衆議院

メインへスキップ



第一五九回

衆第五九号

   短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律

 目次中「第三章 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等」を「第三章 短時間労働者の均等待遇の確保等に関する措置等」に、「第一節 雇用管理の改善等に関する措置(第六条―第十条)」を「第一節 均等待遇の確保等に関する措置(第五条の二―第十条の二)」に改める。

 第一条中「、その」を「、通常の労働者との均等な待遇の確保並びに」に改める。

 第三条第一項中「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、」を「通常の労働者との均等な待遇の確保(同様の労働に対しては同等の待遇を確保すべきとの観点から、短時間労働者の就業の実態に応じ、賃金の支払い等につき、通常の労働者とできる限り同等の待遇を確保することをいう。)並びに」に、「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同条第二項中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

 第四条第一項並びに第五条第一項及び第二項第二号中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

 第三章の章名及び同章第一節の節名を次のように改める。

   第三章 短時間労働者の均等待遇の確保等に関する措置等

    第一節 均等待遇の確保等に関する措置

 第六条中「除く。)」の下に「のうち厚生労働省令で定めるもの」を加え、「交付するように努めるものとする」を「交付しなければならない」に改め、第三章第一節中同条の前に次の一条を加える。

 (差別的取扱いの禁止)

第五条の二 事業主は、賃金その他の労働条件について、労働者が短時間労働者であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならない。

 第六条の次に次の一条を加える。

 (所定労働時間を超える労働及び所定労働日以外の日の労働の制限)

第六条の二 事業主は、短時間労働者に、所定労働時間を超えて労働させ、又は所定労働日以外の日に労働させてはならない。

2 事業主は、当該事業所に、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては短時間労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを厚生労働大臣に届け出た場合においては、前項の規定にかかわらず、その協定で定めるところによって、短時間労働者に、所定労働時間を超え、労働基準法第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「法定労働時間」という。)を超えない範囲内において労働させ、又は所定労働日以外の日であって同法第三十五条の休日でない日に労働させることができる。

3 事業主は、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、第一項の規定にかかわらず、その必要の限度において、短時間労働者に、所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない範囲内において労働させ、又は所定労働日以外の日であって労働基準法第三十五条の休日でない日に労働させることができる。

4 労働基準法第三十三条第一項又は第三十六条第一項の規定により、法定労働時間を延長し、又は同法第三十五条の休日に労働させる場合における当該延長する法定労働時間及び当該休日の労働については、第一項の規定は適用しない。

 第七条中「事業主」を「常時十人以上の労働者を雇用する事業主」に、「と認められる」を「ものとして厚生労働省令で定める」に、「聴くように努めるものとする」を「聴かなければならない」に改め、同条に次の二項を加える。

2 前項の事業主は、短時間労働者に係る事項について作成し、又は変更した就業規則を労働基準法第八十九条の規定により届け出るときは、同項の意見を記した書面を添付しなければならない。

3 第一項の事業主以外の事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、同項の厚生労働省令で定めるものの意見を聴くように努めるものとする。

 第七条の次に次の一条を加える。

 (通常の労働者への応募の機会の付与等)

第七条の二 事業主は、通常の労働者を募集し、又は採用しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、応募の機会を優先的に与える等の措置を講ずるよう努めなければならない。

 第八条第一項中「前二条に定めるもののほか、」を「第五条の二から前条までの規定に基づき事業主が講ずべき措置その他の」に、「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

 第九条の見出しを「(均等待遇等推進者)」に改め、同条中「雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者」を「均等待遇の確保等に関する事項に係る業務を担当させるため、均等待遇等推進者」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (苦情の自主的解決)

第九条の二 事業主は、第三条第一項の事業主が講ずべき均等待遇の確保等のための措置に関し、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。

 第十条第一項中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同条第二項を削り、第三章第一節中同条の次に次の一条を加える。

 (権限の委任)

第十条の二 第六条の二第二項及び前条に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

 第十三条第一項並びに第十五条第二号及び第五号中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

 第十六条第一項第二号中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同項第四号中「短時間雇用管理者」を「均等待遇等推進者」に、「雇用管理の改善等に関する事項を管理する」を「均等待遇の確保等に関する事項に係る業務を担当する」に改め、同項第五号中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

 第三十一条(見出しを含む。)中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十七年四月一日から施行する。ただし、附則第三条の規定は、公布の日から施行する。

 (適用区分)

第二条 この法律による改正後の短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律第七条第一項の規定は、この法律の施行の日以後における労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条の規定による届出に係る就業規則の作成及び変更について適用する。

 (検討)

第三条 政府は、多くの短時間労働者が厚生年金保険、健康保険及び雇用保険の被保険者となることを認められていない現状を踏まえ、年金制度、医療保険制度及び雇用保険制度の在り方について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、短時間労働者をはじめとする労働者の所定労働時間を超える労働及び所定労働日以外の日の労働に係る割増賃金制度の導入に関し、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第四条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一中第二十号の十六を次のように改める。

  二十の十六 短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律(平成五年法律第七十六号)

 (厚生労働省設置法の一部改正)

第五条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

  第九条第一項第四号中「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改める。


     理 由

 短時間労働者の就業の現状にかんがみ、短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保を図る等のため、事業主は労働者が短時間労働者であることを理由として差別的取扱いをしてはならないこととするとともに、短時間労働者について所定労働時間を超える労働を制限する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.