衆議院

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第一六二回

衆第八号

   特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 特定被災者支援事業の認定等(第三条―第十七条)

 第三章 特定被災者支援事業審査会(第十八条―第二十三条)

 第四章 税法上の特例(第二十四条―第二十七条)

 第五章 雑則(第二十八条―第三十条)

 第六章 罰則(第三十一条―第三十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、特定大規模災害が発生した場合において、当該特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動に係る寄附金について税法上の特例措置を講ずることにより、当該地域における被災者支援活動を促進し、もって市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義等)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 被災者支援活動 災害(暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する原因により生ずる被害(紛争により生じた被害を含む。)をいう。以下同じ。)に際して行われる被災者の救援、被災地の復興その他の人道上の支援のための自主的な活動をいう。

 二 特定大規模災害 国内又は国外の地域において発生し、当該地域に甚大な被害を生じさせた災害であって、被災者支援活動を促進することが特に必要であるものとして政令で指定するものをいう。

 三 特定被災者支援事業 特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動に係る事業のうち、営利を目的としない法人によって行われる事業であって、当該事業に要する費用に充てるために支出された寄附金について第四章に規定するところにより課税の特例の適用を受けることができるものとして第四条第一項の規定による内閣総理大臣又は都道府県知事の認定を受けたものをいう。

2 内閣総理大臣は、前項第二号の政令の制定の立案をしようとするときは、あらかじめ、中央特定被災者支援事業審査会の意見を聴かなければならない。

   第二章 特定被災者支援事業の認定等

 (認定の申請)

第三条 特定大規模災害が発生した地域において被災者支援活動を行おうとする法人は、当該被災者支援活動に係る事業(他の営利を目的としない法人と共同して行う事業を含む。)について特定被災者支援事業の認定を受けようとするときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、国外の地域において当該被災者支援活動を行う場合又は当該法人の所轄庁が内閣総理大臣若しくは各省大臣である場合その他政令で定める場合にあっては内閣総理大臣に、当該法人の所轄庁が都道府県知事である場合その他政令で定める場合にあっては都道府県知事に、それぞれ提出しなければならない。

 一 当該法人の名称及び住所並びに代表者の氏名

 二 認定を受けようとする特定被災者支援事業の概要

 三 認定を受けようとする特定被災者支援事業の開始の予定時期及び期間

 四 特定被災者支援事業の認定を申請する理由

 五 その他内閣府令で定める事項

2 前項の申請書には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 一 定款又は寄附行為及び登記簿の謄本

 二 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿をいう。)

 三 直近の二事業年度の事業報告書及び収支計算書その他の特定被災者支援事業を行う能力を有することを証する書類

 四 認定を受けようとする特定被災者支援事業の計画書

 五 その他内閣府令で定める書類

3 第一項の規定による申請書を提出した法人が、特定公益増進法人(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第三十七条第四項第三号に規定する政令で定める法人をいう。以下同じ。)又は認定特定非営利活動法人(租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十六条の十一の二第三項に規定する認定特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)である場合には、当該法人が特定公益増進法人又は認定特定非営利活動法人であることを証する書類をもって、前項第一号から第三号までに規定する書類に代えることができる。

 (認定の要件等)

第四条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定による申請書の提出があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、特定被災者支援事業の認定をしなければならない。

 一 認定を受けようとする特定被災者支援事業の計画が不適切であること。

 二 認定を受けようとする特定被災者支援事業を特定大規模災害の発生の日から六月以内に開始することが困難であると認められること。

 三 当該法人の運営に法令、定款等に違反する重大な事実があると認められること。

 四 当該法人が民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人及び特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人以外の法人である場合にあっては、当該法人が特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動を行うに十分な能力を有すると認められない法人であること。

 五 当該法人が第十七条第一項の規定により特定被災者支援事業の認定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。

 六 当該法人がその認定を受けようとする特定被災者支援事業の計画を適切に実施することができないことが明らかであること。

2 内閣総理大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定による申請書の提出があった日から起算して三週間以内に前項の認定をするかどうかを決定しなければならない。

 (特定被災者支援事業審査会の意見の聴取等)

第五条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、前条第一項の認定に関する処分を行おうとするときは、中央特定被災者支援事業審査会又は都道府県特定被災者支援事業審査会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。

2 中央特定被災者支援事業審査会及び都道府県特定被災者支援事業審査会は、国内において発生した特定大規模災害に係る被災者支援活動について前項の意見を述べるときは、特定大規模災害の発生した地域を管轄する都道府県知事の意見を聴くものとする。

 (認定に関する処分の通知)

第六条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、第四条第一項の認定をしたときはその旨を、当該認定をしないことを決定したときはその旨及びその理由を書面により当該認定の申請をした法人に通知しなければならない。

 (公示)

第七条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、第四条第一項の認定をしたときは、速やかに、その旨を公示しなければならない。

 (特定被災者支援事業審査会に対する通知)

第八条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、第四条第一項の認定に関する処分を行ったときは、速やかに、当該処分の内容を中央特定被災者支援事業審査会又は都道府県特定被災者支援事業審査会に対し通知するものとする。

 (特定被災者支援事業に係る計画の変更)

第九条 特定被災者支援事業を行う法人は、特定被災者支援事業に係る計画の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、当該変更に係る事項を記載した申請書を内閣総理大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

2 第三条第二項及び第四条から前条までの規定は、前項の規定による特定被災者支援事業に係る計画の変更について準用する。

 (認定の効力)

第十条 第四条第一項(前条第二項において準用する場合を含む。)の認定は、特定大規模災害が指定された日から起算して二年を経過した日(次項において「二年経過日」という。)に、その効力を失う。

2 二年経過日前に、特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定を受けた法人が特定被災者支援事業を行わないこととなったとき(第十七条第一項の規定により当該特定被災者支援事業に係る認定を取り消された場合を除く。以下同じ。)は、当該特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定は、その行わないこととなったときに、その効力を失う。

3 前項の場合においては、特定被災者支援事業を行わないこととなった法人(第十七条第一項の規定により認定を取り消された法人を除く。以下同じ。)は、速やかに、当該特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定をした内閣総理大臣又は都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

4 第七条の規定は、前項の届出を受けた場合について準用する。

 (特定被災者支援事業寄附金の募集等)

第十一条 特定被災者支援事業を行う法人は、その行う特定被災者支援事業に要する費用に充てるための寄附金であって第四章に規定するところにより課税の特例の適用を受けることができることとなるもの(以下「特定被災者支援事業寄附金」という。)については、当該特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定を受けた日から起算して一年を経過する日(その日までの間に特定被災者支援事業を行わないこととなったときは、その行わないこととなった日)までの間に限り、募集することができる。

2 特定被災者支援事業を行う法人は、当該特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定が効力を有する間に限り、特定被災者支援事業寄附金を特定被災者支援事業に要する費用に充てることができる。

3 特定被災者支援事業を行う法人は、特定被災者支援事業寄附金を受領したときは、その都度、その受領を証する書類を当該寄附金を支出した者に交付しなければならない。

4 特定被災者支援事業を行う法人は、特定被災者支援事業寄附金を支出した者が個人である場合は、内閣府令・財務省令で定めるところにより、その者に対し、その年中にその者から受領する特定被災者支援事業寄附金の額の合計額についての証明書を交付しなければならない。

5 特定被災者支援事業を行う法人は、その受領した特定被災者支援事業寄附金の百分の二十に相当する額までの額については、その運営に要する費用に充てることができる。

6 特定被災者支援事業を他の法人と共同して行う法人は、その受領した特定被災者支援事業寄附金の一部を、当該他の法人が当該特定被災者支援事業寄附金を受領した法人と共同して行う特定被災者支援事業に要する費用に充てるため、当該他の法人に交付することができる。

7 特定被災者支援事業を行う法人は、特定被災者支援事業に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。

 (事業の概要を記載した書面の交付)

第十二条 特定被災者支援事業を行う法人は、内閣府令で定めるところにより、毎年少なくとも一回以上、特定被災者支援事業寄附金その他の特定被災者支援事業に要する費用に充てるための寄附金を支出した者に対し、その者の支出した寄附金に係る特定被災者支援事業の概要を記載した書面を交付しなければならない。

 (実施状況報告書の提出等)

第十三条 特定被災者支援事業を行う法人は、内閣府令で定めるところにより、毎年少なくとも一回以上、当該特定被災者支援事業の実施状況に関する報告書及び収支計算書(以下「実施状況報告書」という。)を作成し、これを中央特定被災者支援事業審査会又は都道府県特定被災者支援事業審査会に提出しなければならない。

2 特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定を受けた法人は、当該特定被災者支援事業を行わないこととなったときは、内閣府令で定めるところにより、第十条第一項又は第二項の規定により当該特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定がその効力を失った日以後三月以内に、当該特定被災者支援事業に関する事業報告書及び収支計算書(以下「終了報告書」という。)を作成し、中央特定被災者支援事業審査会又は都道府県特定被災者支援事業審査会に提出しなければならない。

 (特定被災者支援事業寄附金の残余の額の帰属)

第十四条 特定被災者支援事業を行わないこととなった法人は、当該特定被災者支援事業を行わないこととなった時点においてその受領した特定被災者支援事業寄附金についてなお残余の額があるときは、その残余の額に相当する金額を国庫に納付しなければならない。

2 国は、前項の規定により国庫に帰属した金銭に相当する金額を、特定被災者支援事業を行っている他の法人その他これに類するものとして政令で定めるものに対し、補助金として支出することができる。

3 前項の補助金の支出に当たっては、中央特定被災者支援事業審査会の意見を聴くものとする。

 (報告及び検査)

第十五条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、特定被災者支援事業を行う法人から特定被災者支援事業に関し報告をさせ、又はその職員に、特定被災者支援事業を行う法人の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (改善命令)

第十六条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、中央特定被災者支援事業審査会又は都道府県特定被災者支援事業審査会から特定被災者支援事業の実施状況の改善について意見があったとき、特定被災者支援事業に係る計画について見直しが必要と認められるときその他特定被災者支援事業が適切に実施されていないと認めるときは、当該特定被災者支援事業を行う法人に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (認定の取消し)

第十七条 内閣総理大臣又は都道府県知事は、特定被災者支援事業を行う法人が次のいずれかに該当するときは、当該特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定を取り消すことができる。

 一 当該法人の運営が法令、定款等に違反したと認められるに至ったとき。

 二 当該法人が、特定大規模災害の発生の日から六月を経過したにもかかわらず、特定被災者支援事業の認定を受けた事業を開始しないとき。

 三 当該法人が、申請した計画を適切に実施することができないことが明らかになったとき。

 四 前条の規定による改善命令に違反したとき。

2 第五条第一項の規定は、前項の規定による認定の取消しについて準用する。

3 内閣総理大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により認定を取り消したときは、当該認定を取り消された法人に対し、遅滞なく、文書によりその理由を付してその旨を通知しなければならない。

4 第一項の規定により認定を取り消された法人は、前項の通知を受けた日から十五日以内に、その行った特定被災者支援事業に関する事業報告書及び収支計算書を作成し、内閣総理大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

5 内閣総理大臣は、第一項の規定により認定を取り消された法人が受領した特定被災者支援事業寄附金の総額に相当する金額から、当該法人が特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定を受けた日から当該認定を取り消される日までの間に行った特定被災者支援事業の実態を考慮して当該特定被災者支援事業の遂行に必要とされる金額を控除してなお残余の額があるときは、その残余の額に相当する金額を国庫に納付することを命じなければならない。

6 第十四条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により国庫に帰属した金銭について準用する。

7 第七条及び第八条の規定は、第一項の規定により認定が取り消された場合について準用する。

   第三章 特定被災者支援事業審査会

 (設置)

第十八条 内閣府に中央特定被災者支援事業審査会を、各都道府県に都道府県特定被災者支援事業審査会を置く。

 (所掌事務)

第十九条 中央特定被災者支援事業審査会及び都道府県特定被災者支援事業審査会(以下「特定被災者支援事業審査会」という。)は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、次の各号に掲げる事務をつかさどる。

 一 特定被災者支援事業寄附金が適正に使用されていないと認められる場合に、当該特定被災者支援事業寄附金を受領した法人その他の関係者から意見を聴取し、若しくは当該特定被災者支援事業寄附金を受領した法人その他の関係者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又は内閣総理大臣若しくは都道府県知事に対し当該法人の特定被災者支援事業の実施状況について改善が必要である旨の意見を述べること。

 二 実施状況報告書及び終了報告書に記載された特定被災者支援事業の実績について検証し、評価し、及び監視すること。

 三 中央特定被災者支援事業審査会にあっては、前各号に規定するもののほか、被災者支援活動の促進のための施策の在り方を調査審議すること。

 (委員)

第二十条 特定被災者支援事業審査会は、それぞれ委員五人以内をもって組織する。

2 委員は、被災者支援活動、災害対策等について十分な知識と経験を有する者のうちから、中央特定被災者支援事業審査会にあっては内閣総理大臣が、都道府県特定被災者支援事業審査会にあっては都道府県知事が任命する。この場合において、それぞれその委員の過半数は、被災者支援活動について十分な知識と経験を有する者でなければならない。

3 委員は、非常勤とする。

4 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任されることができる。

6 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

7 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

 (会長)

第二十一条 特定被災者支援事業審査会にそれぞれ会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、特定被災者支援事業審査会を代表する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 (事業の概要等の公表)

第二十二条 特定被災者支援事業審査会は、第八条の通知を受けたときは、特定被災者支援事業を行う法人に係る次に掲げる事項をインターネットその他の適切な方法により公表するものとする。

 一 当該法人の名称及び住所並びに代表者の氏名

 二 特定被災者支援事業の概要

 三 特定被災者支援事業の開始時期及び期間

 四 その他内閣府令で定める事項

2 特定被災者支援事業審査会は、第十三条第一項又は同条第二項の規定により実施状況報告書又は終了報告書が提出されたときは、これをインターネットその他の適切な方法により公表しなければならない。

 (政令への委任)

第二十三条 この章に定めるもののほか、特定被災者支援事業審査会の組織及び委員その他特定被災者支援事業審査会に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 税法上の特例

 (所得税法の特例)

第二十四条 個人が、各年において、特定被災者支援事業を行う法人に対し、特定被災者支援事業寄附金を支出した場合において、その年中に支出した当該特定被災者支援事業寄附金の金額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二十二条に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額をいう。)の合計額の百分の三十に相当する金額を超えるときは、当該百分の三十に相当する金額)が三千円を超えるときは、当該特定被災者支援事業寄附金の金額の合計額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額(それぞれ同法第二十二条第二項又は第三項に規定する総所得金額又は退職所得金額若しくは山林所得金額をいう。)から控除する。

2 前項の規定の適用を受ける場合における所得税法第七十八条の規定の適用については、同条第一項第一号中「を超える場合には、当該百分の三十に相当する金額」とあるのは「から特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律(平成十七年法律第▼▼▼号)第二十四条第一項の適用を受けた特定被災者支援事業寄附金の金額を控除した金額を超える場合には、当該控除した金額」と、同条第二項各号列記以外の部分中「するもの」とあるのは「するもの及び特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十四条第一項の適用を受けたもの」とする。

3 第一項の規定の適用を受ける場合における所得税法第百九十条の規定の適用については、同条第二号中「次に掲げる金額」とあるのは、「次に掲げる金額及びその年中に支出した特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十四条第一項に規定する特定被災者支援事業寄附金の額(その居住者がその年において提出した同法第二十四条第六項に規定する特定被災者支援事業寄附金控除申告書に記載され、かつ、同条第五項に規定する書類の提出又は提示のあつたものに限る。)につき同条第一項の規定の適用があるものとした場合に控除されるべき金額」とする。

4 国内において給与等(所得税法第二十八条第一項に規定する給与等をいう。)の支払を受ける居住者は、前項において読み替えて適用する所得税法第百九十条に規定する過不足の額の計算上、同条に規定する特定被災者支援事業寄附金に係る控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の所得税法第十七条の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

 一 当該給与等の支払者の氏名又は名称

 二 その年中に支払った第一項に規定する特定被災者支援事業寄附金の額

 三 その他政令で定める事項

5 前項の規定による申告書を提出する居住者は、政令で定めるところにより、その年において同項第二号に規定する特定被災者支援事業寄附金の額につき、その特定被災者支援事業寄附金が第一項に規定する特定被災者支援事業寄附金である旨及びその支払をした旨を証する書類を提出し又は提示しなければならない。

6 第四項の規定による申告書は、給与所得者の特定被災者支援事業寄附金控除申告書という。

 (法人税法の特例)

第二十五条 内国法人(法人税法第二条第三号に規定する内国法人をいう。)が各事業年度(同法第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。)において寄附金を支出した場合において、同法第三十七条第三項に規定する寄附金の金額のうちに、特定被災者支援事業を行う法人に対する特定被災者支援事業寄附金の額(同法第三十七条第四項の規定の適用を受けた寄附金の額を除く。)があるときは、当該特定被災者支援事業寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度に係る同条第三項に規定する損金算入限度額を超える場合には、当該損金算入限度額に相当する金額)は、同条第三項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。

 (地方税法の特例)

第二十六条 道府県は、所得割(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十三条第一項第二号に規定する所得割をいう。)の納税義務者が、前年中に、特定被災者支援事業を行う法人に対し特定被災者支援事業寄附金を支出し、その支出した特定被災者支援事業寄附金の額の合計額(当該合計額が前年の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額(同法第三十二条第一項に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額をいう。)の合計額の百分の二十五に相当する金額を超える場合には、当該百分の二十五に相当する金額)が三千円を超えるときは、当該特定被災者支援事業寄附金の額の合計額をその者の前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額(同項の規定により算定された総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。)から控除するものとする。

2 前項の規定の適用を受ける場合における地方税法第三十四条の規定の適用については、同条第一項第五号の四中「次に掲げる寄附金」とあるのは「次に掲げる寄附金(特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律(平成十七年法律第▼▼▼号)第二十六条第一項の適用を受けた特定被災者支援事業寄附金を除く。)」と、「を超える場合には、当該百分の二十五に相当する金額」とあるのは「から特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第一項の適用を受けた特定被災者支援事業寄附金の金額を控除した金額を超える場合には、当該控除した金額」と、同条第十二項中「寄附金控除額」とあるのは「寄附金控除額、特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第一項の規定による控除の額」とする。

3 第一項の規定の適用を受ける場合においては、地方税法第四十五条の二第一項各号列記以外の部分中「若しくは寄附金控除額」とあるのは「、寄附金控除額若しくは特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第一項の規定による控除の額」と、同項第五号中「寄附金控除額」とあるのは「寄附金控除額、特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第一項の規定による控除の額」と、同条第三項中「若しくは寄附金控除額」とあるのは「、寄附金控除額若しくは特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第一項の規定による控除の額」とする。

4 市町村は、所得割(地方税法第二百九十二条第一項第二号に規定する所得割をいう。)の納税義務者が、前年中に、特定被災者支援事業を行う法人に対し、特定被災者支援事業寄附金を支出し、その支出した特定被災者支援事業寄附金の額の合計額(当該合計額が前年の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額(同法第三百十三条第一項に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額をいう。)の合計額の百分の二十五に相当する金額を超える場合には、当該百分の二十五に相当する金額)が三千円を超えるときは、当該特定被災者支援事業寄附金の額の合計額をその者の前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額(同項の規定により算定された総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。)から控除するものとする。

5 前項の規定の適用を受ける場合における地方税法第三百十四条の二の規定の適用については、同条第一項第五号の四中「次に掲げる寄附金」とあるのは「次に掲げる寄附金(特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第四項の適用を受けた特定被災者支援事業寄附金を除く。)」と、「を超える場合には、当該百分の二十五に相当する金額」とあるのは「から特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第四項の適用を受けた特定被災者支援事業寄附金の金額を控除した金額を超える場合には、当該控除した金額」と、同条第十二項中「寄附金控除額」とあるのは「寄附金控除額、特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第四項の規定による控除の額」とする。

6 第四項の規定の適用を受ける場合においては、地方税法第三百十七条の二第一項各号列記以外の部分中「若しくは寄附金控除額」とあるのは「、寄附金控除額若しくは特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第四項の規定による控除の額」と、同項第五号中「寄附金控除額」とあるのは「寄附金控除額、特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第四項の規定による控除の額」と、同条第三項中「若しくは寄附金控除額」とあるのは「、寄附金控除額若しくは特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律第二十六条第四項の規定による控除の額」とする。

7 地方税法第一条第二項及び第三項の規定は、第一項又は第四項の規定を適用する場合について準用する。この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

 (政令への委任)

第二十七条 この章の規定の適用がある場合における所得税法、法人税法、地方税法その他の法令の規定に関する必要な技術的読替えその他この章の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

   第五章 雑則

 (普及啓発等)

第二十八条 国は、特定大規模災害の指定をしたときは、広報活動等を通じて当該特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の必要性についての国民の理解を深め、その推進についての国民の協力を求めるよう努めなければならない。

 (認定を受けた日前に受領した寄附金の特例)

第二十九条 特定被災者支援事業に係る第四条第一項の認定を受けた法人が、特定大規模災害の発生の日から当該認定を受けた日の前日までの間に受領した当該特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動に係る寄附金を特定被災者支援事業に要する費用に充てることとする場合においては、当該寄附金は第十一条第一項に規定する特定被災者支援事業寄附金とみなして、この法律を適用する。

 (政令への委任)

第三十条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   第六章 罰則

第三十一条 第十六条の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第三十二条 特定被災者支援事業を行う法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、当該法人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、当該法人に対しても同条の刑を科する。

第三十三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、特定被災者支援事業を行う法人の役員又は職員は、二十万円以下の過料に処する。

 一 第十三条又は第十七条第四項の規定による書類の提出を怠り、又は虚偽の書類を提出したとき。

 二 第十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後三年以内に、市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進するために特定非営利活動法人その他の営利を目的としない法人に係る税制の抜本的な見直しを行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (経過措置)

第三条 この法律の規定は、この法律の施行前に発生した災害についても適用する。この場合において、第四条第一項第二号、第十七条第一項第二号及び第二十九条中「特定大規模災害の発生の日」とあるのは、「この法律の施行の日」とする。

2 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (内閣府設置法の一部改正)

第四条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条第三項の表中

独立行政法人評価委員会

独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)

 を

独立行政法人評価委員会

独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)

 

 

中央特定被災者支援事業審査会

特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動の促進のための税法上の特例に関する法律(平成十七年法律第▼▼▼号)

 に改める。


     理 由

 最近における災害の発生、社会経済情勢等にかんがみ、特定大規模災害が発生した地域における被災者支援活動に係る寄附を促進するため、これに係る寄附金について、所得税及び個人住民税の寄附金控除の対象の拡大、法人税の寄附金の損金算入に係る寄附金枠の対象の拡大等所要の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行による減収額は、新潟県中越地震と同規模の特定大規模災害が発生した年度においては、約二億二千万円の見込みである。

衆議院
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