衆議院

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第一七四回

衆第一八号

   公職選挙法の一部を改正する法律案

 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

 第百四十二条の二の次に次の七条を加える。

 (インターネット等を利用する方法による文書図画の頒布)

第百四十二条の三 第百四十二条の規定にかかわらず、選挙運動のために使用する文書図画は、インターネット等を利用する方法(電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)の送信(公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)により、文書図画をその受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。以下同じ。)の映像面に表示させる方法をいう。以下同じ。)により、頒布することができる。

2 選挙運動のために使用する文書図画であつてウェブサイト等を利用する方法(インターネット等を利用する方法のうち電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールをいう。以下同じ。)を利用する方法を除いたものをいう。以下同じ。)により選挙の期日の前日までに頒布されたものは、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示させることができる状態に置いたままにすることができる。

 (ウェブサイト等を利用する方法により文書図画を頒布する者の表示義務)

第百四十二条の四 ウェブサイト等を利用する方法によりその者の行う選挙運動のために使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。以下同じ。)が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。

 (選挙運動用電子メールの送信の制限)

第百四十二条の五 電子メールを利用する方法によりその者の行う選挙運動のために使用する文書図画を頒布する者(以下「選挙運動用電子メール送信者」という。)は、次に掲げる者以外の者に対し、選挙運動のために使用する文書図画を頒布するために用いられる電子メール(以下「選挙運動用電子メール」という。)の送信をしてはならない。

 一 あらかじめ、選挙運動用電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を選挙運動用電子メール送信者に対し通知した者

 二 前号に掲げるもののほか、選挙運動用電子メール送信者に係る政治活動のために用いられる電子メール(以下「政治活動用電子メール」という。)の送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を選挙運動用電子メール送信者に対し通知した者(その通知をした後、当該政治活動用電子メールの送信をしないように求める電子メールアドレスを明らかにして、当該政治活動用電子メールの送信をしないように求める旨を選挙運動用電子メール送信者に対し通知した者を除く。)

 三 前二号に掲げるもののほか、書面による方法により自己の電子メールアドレスを選挙運動用電子メール送信者に対し通知した者

2 選挙運動用電子メール送信者は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事実を証する記録を保存しなければならない。

 一 前項第一号の規定による通知を受けた場合 選挙運動用電子メールの送信をするように求めがあつたこと又は送信をすることに同意があつたこと。

 二 前項第二号の規定による通知を受けた場合 政治活動用電子メールの送信をするように求めがあつたこと又は送信をすることに同意があつたこと。

 三 前項第三号の規定による通知を受けた場合 書面による方法により電子メールアドレスの通知があつたこと。

3 選挙運動用電子メール送信者は、第一項各号に掲げる者から、選挙運動用電子メールの送信をしないように求める電子メールアドレスを明らかにして、電子メールの送信その他の方法により選挙運動用電子メールの送信をしないように求める旨の通知を受けたときは、当該選挙運動用電子メールの送信をしてはならない。

 (選挙運動用電子メール送信者の表示義務)

第百四十二条の六 選挙運動用電子メール送信者は、選挙運動用電子メールの送信に当たつては、当該選挙運動用電子メールにより頒布される文書図画に次に掲げる事項を正しく表示しなければならない。

 一 選挙運動用電子メールである旨

 二 当該選挙運動用電子メール送信者の氏名又は名称

 三 前条第三項の通知を、当該選挙運動用電子メール送信者に対し行うことができる旨

 四 電子メールの送信その他のインターネット等を利用する方法により前条第三項の通知を行う際に必要となる電子メールアドレスその他の通知先

 (インターネット等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者の表示義務)

第百四十二条の七 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法によりその者の行う当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレスが、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。

2 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、電子メールを利用する方法によりその者の行う当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、当該文書図画にその者の電子メールアドレス及び氏名又は名称を正しく表示しなければならない。

 (インターネット等を利用する方法による候補者の氏名等を表示した有料広告の禁止等)

第百四十二条の八 何人も、その者の行う選挙運動のための公職の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称又はこれらのものが類推されるような事項を表示した広告を、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

2 何人も、選挙運動の期間中は、前項の禁止を免れる目的をもつて、同項の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称又はこれらのものが類推されるような事項を表示した広告を、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

3 何人も、選挙運動の期間中は、公職の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称又はこれらのものが類推されるような事項が表示されていない広告であつて、当該広告に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面にウェブサイト等を利用する方法により頒布される選挙運動のために使用する文書図画を表示させることができる機能を有するものを、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

 (選挙に関するインターネット等の適正な利用)

第百四十二条の九 選挙に関しインターネット等を利用する者は、公職の候補者に対して悪質な誹謗中傷をする等表現の自由を濫用して選挙の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めなければならない。

 第百四十三条第一項中「第四号」の下に「、第四号の二」を加え、同項中第四号の二を第四号の三とし、第四号の次に次の一号を加える。

 四の二 屋内の演説会場内においてその演説会の開催中掲示する映写等の類

 第百四十三条第二項中「類」の下に「(前項第四号の二の映写等の類を除く。)」を加え、同条第三項及び第六項中「第一項第四号の二」を「第一項第四号の三」に改め、同条第九項中「同項第四号の二」を「同項第四号の三」に改め、「)、立札及び看板の類」の下に「(屋内の演説会場内において使用する同項第四号のポスター、立札及び看板の類を除く。)」を加え、「こえて」を「超えて」に改め、同条第十一項中「第一項第四号の二」を「第一項第四号の三」に、「巾」を「幅」に、「こえて」を「超えて」に改め、同条第十三項中「第一項第四号の二」を「第一項第四号の三」に改め、同条第十四項中「同項第四号の二」を「同項第四号の三」に改め、同条第十五項中「第一項第四号の二」を「第一項第四号の三」に改める。

 第百四十四条の二第五項中「第百四十三条第一項第四号の二」を「第百四十三条第一項第四号の三」に改める。

 第百五十二条中「パンフレット」の下に「、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画」を加える。

 第百七十八条第二号中「信書を」を「信書並びにインターネット等を利用する方法により頒布される文書図画を」に改める。

 第百八十七条第一項中「及び電話」を「並びに電話及びインターネット等を利用する方法」に、「外」を「ほか」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

 第二百一条の四第六項中「文書図画」の下に「(インターネット等を利用する方法により頒布されるものを除く。)」を加え、「一に」を「いずれかに」に改め、同項に次の一号を加える。

 三 屋内の推薦演説会の会場内においてその推薦演説会の開催中掲示する映写等の類

 第二百一条の十三第一項第二号中「雑誌」の下に「並びにインターネット等を利用する方法により頒布されるもの」を加える。

 第二百二十九条中「いう」の下に「。以下同じ」を加える。

 第二百三十五条の五中「又は電話」を「、電話又はインターネット等を利用する方法」に改める。

 第二百四十三条第一項第三号の次に次の二号を加える。

 三の二 第百四十二条の五第一項又は第三項の規定に違反して選挙運動用電子メールの送信をした者

 三の三 第百四十二条の八の規定に違反して広告を文書図画に掲載させた者

 第二百四十四条第一項第二号の次に次の二号を加える。

 二の二 第百四十二条の六の規定に違反して同条に規定する事項を表示しなかつた者

 二の三 第百四十二条の七第二項の規定に違反して同項に規定する事項を表示しなかつた者

 第二百七十一条の五の次に次の一条を加える。

 (適用関係)

第二百七十一条の六 この法律の適用については、文書図画に記載され、又は表示されているバーコードの類に記録されている内容であつて、その内容を読み取るための装置を用いて読み取ることにより映像面に表示されるものは、当該文書図画に記載され、又は表示されているものとみなす。

2 前項の規定にかかわらず、この法律の規定により記載し、又は表示しなければならない事項についてバーコードの類により記載され、又は表示されているときは、その事項は記載され、又は表示されていないものとみなす。

3 この法律の適用については、文書図画を記録した電磁的記録媒体を頒布することは、文書図画の頒布とみなす。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。

 (適用区分)

第二条 この法律による改正後の公職選挙法(以下「新法」という。)の規定(新法第百四十二条の五第一項及び第三項の規定中通知に係る部分、同条第二項の規定並びに新法第百五十二条、第二百二十九条及び第二百七十一条の六の規定を除く。)及び附則第五条の規定による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙の期日の公示の日又は施行日以後初めてその期日を公示される参議院議員の通常選挙の期日の公示の日のうちいずれか早い日(以下「公示日」という。)以後にその期日を公示され又は告示される選挙について適用し、公示日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例による。

 (同意等に関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際既に政治活動用電子メール(新法第百四十二条の五第一項第二号に規定する政治活動用電子メールをいう。以下同じ。)の送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を選挙運動用電子メール送信者(同項に規定する選挙運動用電子メール送信者をいう。以下同じ。)に対し通知している者(その通知をした後施行日の前日までの間に、当該政治活動用電子メールの送信をしないように求める電子メールアドレス(新法第百四十二条の四に規定する電子メールアドレスをいう。以下同じ。)を明らかにして、当該政治活動用電子メールの送信をしないように求める旨を選挙運動用電子メール送信者に対し通知している者を除く。)は、新法第百四十二条の五第一項第二号に掲げる者とみなす。

2 この法律の施行の際既に新法第百四十二条の五第一項第三号に規定する方法により自己の電子メールアドレスを選挙運動用電子メール送信者に対し通知している者は、同号に掲げる者とみなす。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 この法律の施行前にした行為及び附則第二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部改正)

第五条 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を次のように改正する。

  第三条第二項第二号中「情報(以下」の下に「この号及び第五条において」を加える。

  第四条を第五条とし、第三条の次に次の一条を加える。

  (公職の候補者等に係る特例)

 第四条 前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動のために使用し、又は当選を得させないための活動に使用する文書図画であって選挙運動の期間中に頒布されたものに係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。

  一 特定電気通信による情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。以下同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨及び名誉が侵害されたとする理由(以下「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

  二 特定電気通信による情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び名誉侵害情報の発信者の電子メールアドレスが公職選挙法第百四十二条の四又は第百四十二条の七第一項の規定に違反して表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、当該情報の発信者の電子メールアドレスが当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。


     理 由

 近時におけるインターネット等の普及にかんがみ、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治への参加の促進等を図るため、インターネット等を利用する方法による選挙運動を解禁する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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