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第一七四回

衆第三四号

   離島航路航空路整備法案

 (目的)

第一条 この法律は、離島が我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担っていることを踏まえ、離島について本土と同等の条件での人の往来又は物資の流通を確保する観点から、離島航路航空路の整備について、基本理念を定め、国、関係地方公共団体及び離島航路航空路事業者の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定、整備計画の作成、離島航路航空路事業者への補助等について定めることにより、離島航路航空路の整備を促進し、もって離島の自立的発展を促進し、離島の住民の生活の安定及び福祉の向上を図り、あわせて国民経済の発展及び国民の利益の増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「離島航路航空路」とは、本土と離島とを連絡する航路又は航空路、離島相互間を連絡する航路又は航空路及び船舶以外には交通機関がない地点間又は船舶以外の交通機関によることが著しく不便である地点間を連絡する航路をいう。

2 この法律において「離島航路航空路事業」とは、離島航路航空路における海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第三項に規定する定期航路事業で同法の適用を受けるもの又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第二十項に規定する国内定期航空運送事業をいう。

3 この法律において「離島航路航空路事業者」とは、離島航路航空路事業を営む者をいう。

 (基本理念)

第三条 離島航路航空路の整備は、離島航路航空路が、離島の住民の生活において、本土における道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路に相当する機能を有しており、離島の住民の生活の安定及び福祉の維持向上並びに産業の振興にとって不可欠なものであることを踏まえ、離島について本土と同等の条件での人の往来又は物資の流通を確保する観点から行われなければならない。

 (国等の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、離島航路航空路の整備に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 関係地方公共団体は、基本理念にのっとり、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、当該関係地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた離島航路航空路の整備に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

3 離島航路航空路事業者は、基本理念にのっとり、利便性の高い船舶又は航空機の運航の実現を確保するとともに、環境への負荷の低減に配慮しつつ、輸送の安全並びに経営の安定の確保及び効率化に努めなければならない。

 (連携協力体制の整備)

第五条 国及び地方公共団体は、離島航路航空路の整備に関する施策を効果的に推進するため、関係行政機関、関係地方公共団体、離島航路航空路事業者及び離島の住民の相互間の緊密な連携協力体制の整備に努めなければならない。

 (基本方針)

第六条 国土交通大臣は、基本理念にのっとり、離島航路航空路の整備に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 離島航路航空路の整備の意義及び目標に関する事項

 二 第八条第一項の補助の金額の算定の基礎となる運航する距離に応じた標準的な運賃及び離島航路航空路において利便性の高いサービスが提供される場合における標準的な料金に関する事項

 三 前二号に掲げるもののほか、離島航路航空路の整備に関する重要事項

3 国土交通大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。

4 国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、運輸審議会に諮るとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5 国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

 (整備計画)

第七条 都道府県は、その区域内の離島を起点、寄港地又は終点とする離島航路航空路について、基本方針に基づき、離島航路航空路の整備に関する計画(以下「整備計画」という。)を作成することができる。

2 整備計画には、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 離島航路航空路の整備の目標

 二 離島航路航空路の利用の促進に関する事項

 三 離島航路航空路事業者に対する補助その他の支援に関する事項

 四 計画期間

3 都道府県は、整備計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、国土交通大臣、関係行政機関の長及び関係地方公共団体に整備計画の写しを送付しなければならない。

4 前項の規定は、整備計画を変更する場合について準用する。

 (離島航路航空路事業者に対する補助)

第八条 国は、基本方針に即し、離島航路航空路事業者に対し、政令で定めるところにより、本土と同等の条件での人の往来又は物資の流通を確保するために必要となる離島航路航空路事業の適正な実施に要する費用の一部を補助するものとする。

2 前項の政令は、次に掲げる事項を旨として定めるものとする。

 一 第六条第二項第二号に規定する標準的な運賃及び料金の実現に資するものであること。

 二 単に複数の離島航路航空路事業者の船舶又は航空機が運航される離島航路航空路であることをもって交付の対象から除外しないことその他離島航路航空路の利便性の確保に資するものであること。

 三 補助金が離島航路航空路事業者の経営の安定の確保に十分な役割を果たすとともに、経営の効率化に係る意欲を低下させるものでないこと。

 四 離島航路航空路事業者に対する支援について、国と地方公共団体の役割分担が適切に行われること。

 (政令への委任)

第九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (離島航路整備法の廃止)

第二条 離島航路整備法(昭和二十七年法律第二百二十六号)(以下「旧法」という。)は、廃止する。

 (経過措置)

第三条 この法律の施行前に旧法及びこれに基づく命令の規定により国土交通大臣又は地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)がした命令その他の処分は、この法律の施行後も、なお効力を有する。

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第五条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (地方税法の一部改正)

第六条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第十五条第二十二項中「離島航路整備法(昭和二十七年法律第二百二十六号)第二条第二項に規定する離島航路事業者」を「離島航路航空路整備法(平成二十二年法律第▼▼▼号)第二条第三項に規定する離島航路航空路事業者」に、「同項に規定する離島航路事業」を「同条第二項に規定する離島航路航空路事業」に改める。

 (登録免許税法の一部改正)

第七条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第百三十三号()中「離島航路整備法(昭和二十七年法律第二百二十六号)」を「離島航路航空路整備法(平成二十二年法律第▼▼▼号)」に、「離島航路事業」を「離島航路航空路事業」に改め、同号()中「離島航路事業」を「離島航路航空路事業」に改め、同表第百三十八号()中「の許可」の下に「(離島航路航空路整備法第二条第二項(定義)に規定する離島航路航空路事業に係る許可を除く。)」を加える。

 (国土交通省設置法の一部改正)

第八条 国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第十五条第一項中「及び航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)」を「、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)及び離島航路航空路整備法(平成二十二年法律第▼▼▼号)」に改める。


     理 由

 離島が我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担っていることを踏まえ、離島について本土と同等の条件での人の往来又は物資の流通を確保する観点から、離島航路航空路の整備を促進するため、離島航路航空路の整備について、基本理念を定め、国、関係地方公共団体及び離島航路航空路事業者の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定、整備計画の作成、離島航路航空路事業者への補助等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度約百二十四億円の支出増が見込まれる。

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