衆議院

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第一七七回

閣第七五号

   国家公務員の労働関係に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第三条)

 第二章 労働組合(第四条−第九条)

 第三章 団体交渉(第十条−第十二条)

 第四章 団体協約(第十三条−第十八条)

 第五章 不当労働行為事件

  第一節 審査の手続(第十九条−第二十七条)

  第二節 訴訟(第二十八条−第三十条)

 第六章 あっせん、調停及び仲裁

  第一節 通則(第三十一条・第三十二条)

  第二節 あっせん(第三十三条)

  第三節 調停(第三十四条−第三十八条)

  第四節 仲裁(第三十九条−第四十一条)

 第七章 雑則(第四十二条−第四十五条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国家公務員の勤務条件について、透明性を確保しつつ、国民の理解の下に、社会経済情勢の変化及び政策課題の変化に柔軟かつ的確に対応して定めることができるよう、政府と労働組合との間の団体交渉及び団体協約等に関する制度を確立することにより、職員が国民の立場に立ち責任を自覚し誇りを持って職務を遂行することを促進するとともに、職員の能力の向上及び優秀な人材の国の行政機関への確保を図り、もって公務の能率的な運営に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 職員 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第四項に規定する職員をいう。ただし、次に掲げるものを除く。

  イ 国家公務員法第百条第二項に規定する職員

  ロ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官又は同法第二十一条第一項に規定する局長の職にある職員その他の重要な行政上の決定を行う職員として中央労働委員会(以下「委員会」という。)が認定して告示するもの

  ハ 特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第四号に規定する職員

 二 労働組合 職員が主体となって自主的にその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体(前号ロに掲げる者が加入するもの又は第四条第一項ただし書に規定する管理職員等と当該管理職員等以外の職員とが組織するものを除く。)又はその連合体をいう。

 (関係者の責務)

第三条 労働組合及び当局(第十一条各号に定める者をいう。次条第一項、第九条及び第十条第一項において同じ。)は、公務の能率的な運営を確保するため、団体交渉の円滑かつ効率的な実施に努めなければならない。

2 この法律に基づく手続に関与する関係者は、国の事務及び事業の確実、効率的かつ適正な実施に支障を及ぼすことがないよう留意しなければならない。

   第二章 労働組合

 (労働組合の結成等)

第四条 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。ただし、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は労働組合との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員その他労働組合との関係において当局の立場に立って遂行すべき職務を担当する職員(以下この条において「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の労働組合を組織することができない。

2 委員会は、管理職員等の範囲を認定して告示するものとする。

3 各省各庁の長(内閣総理大臣、各省大臣及び会計検査院長並びに宮内庁長官及び各外局の長をいう。以下同じ。)は、職を新設し、変更し、又は廃止したときは、速やかにその旨を委員会に通知しなければならない。

 (労働組合の認証)

第五条 労働組合は、中央労働委員会規則で定めるところにより、理事その他の役員の氏名及び中央労働委員会規則で定める事項を記載した申請書に規約を添えて委員会に認証を申請することができる。

2 労働組合の規約は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。

 一 少なくとも次に掲げる事項が記載されていること。

  イ 名称

  ロ 目的及び業務

  ハ 主たる事務所の所在地

  ニ 組合員の範囲及びその資格の得喪に関する規定

  ホ 重要な財産の得喪その他資産に関する規定

  ヘ 理事その他の役員に関する規定

  ト 次項に規定する事項を含む業務執行、会議及び投票に関する規定

  チ 経費及び会計に関する規定

  リ 他の労働組合との連合に関する規定

  ヌ 規約の変更に関する規定

  ル 解散に関する規定

 二 会計報告は、組合員によって委嘱された公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人の監査証明とともに少なくとも毎年一回組合員に公表されることとされていること。

3 労働組合が認証されるためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、全ての組合員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によって決定される旨の手続を定め、かつ、現実にその手続によりこれらの重要な行為が決定されることを必要とする。ただし、連合体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあっては、全ての組合員が平等に参加する機会を有する構成団体ごと又は地域若しくは職域ごとの直接かつ秘密の投票による投票者の過半数で代議員を選挙し、この代議員の全員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によって決定される旨の手続を定め、かつ、現実にその手続により決定されることをもって足りるものとする。

4 前項に定めるもののほか、労働組合が認証されるためには、職員(職員であった者でその意に反して免職され、若しくは懲戒処分としての免職の処分を受け、当該処分を受けた日の翌日から起算して一年以内のもの又はその期間内に当該処分について法律の定めるところにより不服申立てをし、若しくは訴えを提起し、これに対する裁決若しくは決定又は裁判が確定するに至らないものを含む。第五章において同じ。)が全ての組合員の過半数を占めることを必要とする。

5 委員会は、認証を申請した労働組合が前三項の規定に適合するものであるときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、当該労働組合を認証しなければならない。

6 委員会は、前項の規定により認証したときは、当該労働組合の名称及び主たる事務所の所在地その他中央労働委員会規則で定める事項を告示しなければならない。

7 第五項の規定により認証された労働組合(以下「認証された労働組合」という。)が労働組合でなくなったとき、認証された労働組合について第二項から第四項までの規定に適合しない事実があったとき、又は認証された労働組合が第十項の規定による届出をしなかったときは、委員会は、中央労働委員会規則で定めるところにより、当該認証された労働組合の認証を取り消すことができる。

8 前項の規定による認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該認証された労働組合から請求があったときは、公開により行わなければならない。

9 第七項の規定による認証の取消しは、当該処分の取消しの訴えを提起することができる期間内及び当該処分の取消しの訴えの提起があったときは当該訴訟が裁判所に係属する間は、その効力を生じない。

10 認証された労働組合は、その規約又は第一項に規定する申請書の記載事項に変更があったときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、委員会にその旨を届け出なければならない。

11 認証された労働組合は、中央労働委員会規則で定めるところにより、委員会に認証の取消しを申請することができる。この場合において、委員会は、当該認証された労働組合の認証を取り消さなければならない。

12 認証された労働組合は、解散したときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、委員会にその旨を届け出なければならない。この場合において、委員会は、当該認証された労働組合の認証を取り消さなければならない。

13 委員会は、第十項の規定による変更の届出(第六項の規定により告示された事項に係るものに限る。)があったとき、又は第七項、第十一項若しくは前項の規定により認証を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。

14 委員会は、認証された労働組合に対し、当該認証された労働組合に係るこの条の規定による事務に関し必要な限度において、報告又は資料の提出を求めることができる。

 (合議体による事務の処理)

第六条 委員会は、委員会の公益を代表する委員(以下「公益委員」という。)のうちから会長があらかじめ指名した六人の公益委員及び会長(以下「国家公務員担当公益委員」という。)をもって構成する合議体に、第二条第一号ロ、第四条第二項並びに前条第五項から第八項まで及び第十一項から第十四項までの規定による事務の処理を行わせ、当該合議体のした処分をもって委員会の処分とすることができる。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当でないと認められる場合は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、当該事務の処理を行わせる。

2 委員会は、前項の規定による事務の処理について、第二条第一号ロ及び第四条第二項の規定による認定及び告示並びに前条の規定による処分及び告示を除き、一人又は数人の公益委員にその手続の一部を行わせることができる。

3 第一項の合議体に関する事項その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (労働組合のための職員の行為の制限)

第七条 職員は、労働組合の業務に専ら従事することができない。ただし、政令で定めるところにより、所轄庁の長の許可を受けて、認証された労働組合(第五条第五項の規定による認証をされていない連合体である労働組合であって、認証された労働組合のみから構成されるものを含む。以下この条において同じ。)の役員として専ら従事する場合は、この限りでない。

2 前項ただし書の許可は、所轄庁の長が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、所轄庁の長は、その許可の有効期間を定めるものとする。

3 第一項ただし書の規定により認証された労働組合の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第七条第一項ただし書の規定により組合の役員として組合の業務に専ら従事したことがある職員については、五年からその専ら従事した期間を控除した期間)を超えることができない。

4 第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が認証された労働組合の役員として当該認証された労働組合の業務に専ら従事する者でなくなったときは、取り消されるものとする。

5 第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、常時勤務を要しない官職であって政令で定めるものの職務に従事する場合を除いて、職務に従事せず、何らの給与を受けてはならない。

第八条 職員は、前条第一項ただし書の場合のほか、政令で定めるところにより、所轄庁の長の許可を受けて、認証された労働組合の役員又は認証された労働組合の規約に基づき設置される議決機関(代議員制をとる場合に限る。)、投票管理機関若しくは諮問機関の構成員として勤務時間中当該認証された労働組合の業務に従事することができる。

2 前項の許可は、所轄庁の長が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、所轄庁の長は、その許可の有効期間を定めるものとする。

3 前項の有効期間は、一の職員について一年を通じて三十日を超えないものとする。

4 第一項の許可を受けた職員は、当該許可の有効期間中職務に従事しない。

5 職員が第一項の許可を受けた期間については、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第十五条の規定にかかわらず、その期間の勤務しない一時間につき、同法第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額する。

 (不当労働行為)

第九条 当局は、次に掲げる行為をしてはならない。

 一 職員が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことを理由として、その職員を免職し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを職員の任免の条件とすること。

 二 認証された労働組合と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むこと。

 三 職員が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、第十二条第四項の規定により行われる勤務時間中の団体交渉に参加する職員に対し給与を支給すること、及び労働組合に対し最小限の広さの事務所を供与することを除くものとする。

 四 職員が委員会に対し当局がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと又は委員会が当該申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは第十四条第一項各号に定める者と認証された労働組合との間に発生した紛争の調整をする場合に職員が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その職員を免職し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。

   第三章 団体交渉

 (団体交渉の範囲)

第十条 当局は、認証された労働組合から次に掲げる事項について適法な団体交渉の申入れがあった場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。

 一 職員の俸給その他の給与、勤務時間、休憩、休日及び休暇に関する事項

 二 職員の昇任、降任、転任、休職、免職及び懲戒の基準に関する事項

 三 職員の保健、安全保持及び災害補償に関する事項

 四 前三号に掲げるもののほか、職員の勤務条件に関する事項

 五 団体交渉の手続その他の労働組合と当局との間の労使関係に関する事項(以下「労使関係事項」という。)

2 国の事務の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。

 (団体交渉を行う当局)

第十一条 労働組合と団体交渉をすることができる当局は、次の各号に掲げる事項について、それぞれ当該各号に定める者とする。

 一 勤務条件に関する事項のうち、法律の制定又は改廃を要するもの 当該事項に係る事務を所掌する主任の大臣

 二 勤務条件に関する事項のうち、政令の制定又は改廃を要するもの 当該事項に係る事務を所掌する主任の大臣

 三 勤務条件に関する事項のうち、内閣府令若しくは省令の制定若しくは改廃を要するもの又は法律若しくはこれに基づく命令の規定に基づき当該法令を所管する大臣が定めるもの 当該事項に係る事務を所掌する主任の大臣

 四 勤務条件に関する事項のうち、法律又はこれに基づく命令の規定に基づき各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員が定めるもの 当該勤務条件を定めることができる各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員

 五 勤務条件に関する事項のうち、前各号に掲げるもの以外のもの 当該事項について適法に管理し、又は決定することのできる者

 六 この法律の改廃を要する労使関係事項 内閣総理大臣

 七 この法律に基づく政令の改廃を要する労使関係事項 内閣総理大臣

 八 前各号に定める者に共通する労使関係事項(前二号に掲げるものを除く。) 内閣総理大臣

 九 内閣総理大臣及び内閣府に置かれる外局の長並びにこれらの委任を受けた部内の国家公務員又は各省大臣及び各省に置かれる外局の長並びにこれらの委任を受けた部内の国家公務員それぞれに共通する労使関係事項(前三号に掲げるものを除く。) 内閣総理大臣又は当該各省大臣

 十 内閣総理大臣及びその委任を受けた部内の国家公務員、各省大臣及びその委任を受けた部内の国家公務員、会計検査院長及びその委任を受けた部内の国家公務員、宮内庁長官及びその委任を受けた部内の国家公務員又は各外局の長及びその委任を受けた部内の国家公務員それぞれに共通する労使関係事項(第六号から前号までに掲げるものを除く。) 当該各省各庁の長

 十一 前各号に定める者のみに関する労使関係事項(第六号から前号までに掲げるものを除く。) 当該各号に定める者

 (団体交渉の手続等)

第十二条 団体交渉は、労働組合と当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、労働組合がその役員の中から指名する者と当局の指名する者との間において行わなければならない。団体交渉に当たっては、労働組合と当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行うものとする。

2 前項の場合において、特別の事情があるときは、労働組合は、役員以外の者を指名することができるものとする。ただし、その指名する者は、当該団体交渉の対象である特定の事項について団体交渉をする適法な委任を当該労働組合の執行機関から受けたことを文書によって証明できる者でなければならない。

3 団体交渉は、前二項の規定に適合しないこととなったとき、又は他の職員の職務の遂行を妨げ、若しくは国の事務の正常な運営を阻害することとなったときは、これを打ち切ることができる。

4 この条に規定する適法な団体交渉は、勤務時間中においても行うことができるものとする。

5 第一項又は第二項の規定により労働組合が指名した職員は、勤務時間中に適法な団体交渉に参加することについて、政令で定めるところにより、所轄庁の長の許可を受けなければならない。この場合において、所轄庁の長は、公務の運営に支障がないと認めるときは、これを許可するものとする。

6 当局は、労働組合と団体交渉を行ったときは、その議事の概要を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならない。

7 職員は、労働組合に属していないという理由で、第十条第一項第一号から第四号までに掲げる事項に関し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。

   第四章 団体協約

 (団体協約の範囲)

第十三条 認証された労働組合と当局は、第十条第一項各号に掲げる事項に関し団体協約を締結することができる。ただし、この法律、国家公務員法、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)及び外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)の改廃を要する事項に関しては、団体協約を締結することができない。

 (団体協約を締結する当局)

第十四条 認証された労働組合と前条の規定に基づき団体協約を締結することができる当局は、次の各号に掲げる事項について、それぞれ当該各号に定める者とする。

 一 第十一条第一号に掲げる事項(この法律、国家公務員法、検察庁法及び外務公務員法の改廃を要する事項を除く。) 同号に定める者

 二 第十一条第二号に掲げる事項 同号に定める者

 三 第十一条第三号に掲げる事項 同号に定める者

 四 第十一条第四号に掲げる事項 同号に定める者

 五 第十一条第五号に掲げる事項 同号に定める者

 六 第十一条第七号に掲げる事項 同号に定める者

 七 第十一条第八号から第十一号までに掲げる事項 当該各号に定める者

2 前項第一号、第二号又は第六号に定める者は、それぞれ当該各号に掲げる事項について団体協約を締結しようとするときは、あらかじめ、内閣の承認を得なければならない。

 (団体協約の効力の発生等)

第十五条 認証された労働組合と前条第一項各号に定める者との間の団体協約は、書面をもって作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。

2 前条第一項各号に定める者は、認証された労働組合との間で団体協約を締結したときは、当該団体協約の内容を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならない。

 (団体協約の期間)

第十六条 団体協約には、三年を超える有効期間の定めをすることができない。

2 三年を超える有効期間の定めをした団体協約は、三年の有効期間の定めをした団体協約とみなす。

3 有効期間の定めがない団体協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して、解約することができる。一定の期間を定める団体協約であって、その期間の経過後も期限を定めず効力を存続する旨の定めがあるものについて、その期間の経過後も、同様とする。

4 前項の予告は、解約しようとする日の少なくとも九十日前にしなければならない。

 (団体協約の効力)

第十七条 内閣は、第十四条第一項第一号に定める者が同号に掲げる事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な法律案を国会に提出しなければならない。

2 内閣は、第十四条第一項第二号又は第六号に定める者がそれぞれ当該各号に掲げる事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な政令の制定又は改廃をしなければならない。

3 第十四条第一項第三号に定める者は、同号に掲げる事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な内閣府令若しくは省令の制定若しくは改廃又は勤務条件の決定若しくは変更をしなければならない。

4 第十四条第一項第四号に定める者は、同号に掲げる事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な勤務条件の決定又は変更をしなければならない。

5 第十四条第一項第五号又は第七号に定める者は、それぞれ当該各号に掲げる事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を実施するために必要な措置を講じなければならない。

 (団体協約の失効)

第十八条 団体協約は、次に掲げる場合は、その効力を失う。

 一 前条第一項の規定により提出された法律案(以下この条において単に「法律案」という。)が、当該法律案を提出した国会の会期中(当該法律案が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第四十七条第二項の規定により閉会中審査に付された場合にあっては、後会の会期中)に法律とならなかった場合(当該会期中に国会法第四十七条第二項の規定により閉会中審査に付された場合を除く。)

 二 団体協約を締結した認証された労働組合の認証が、第五条第七項、第十一項又は第十二項の規定により取り消された場合

2 団体協約は、法律案が修正されて法律となった場合は、当該法律と抵触する範囲において、その効力を失う。

   第五章 不当労働行為事件

    第一節 審査の手続

 (不当労働行為事件に係る申立て及び審査の開始)

第十九条 当局が、次の各号に掲げる規定に違反したときは、認証された労働組合又は当該各号に定める者は、委員会に対し、その旨を申し立てることができる。

 一 第九条第一号 労働組合の組合員である職員又は労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとした職員(労働組合に加入し、若しくは加入しようとしていること又は労働組合から脱退しようとしていないことを理由として、職員として採用されなかった者を含む。)

 二 第九条第二号 認証された労働組合の組合員である職員

 三 第九条第三号又は第四号 労働組合の組合員である職員又は労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとした職員

2 委員会は、前項の申立てを受けたときは、遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立てが理由があるかどうかについて審問を行わなければならない。この場合において、審問の手続においては、当該当局及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする十分な機会が与えられなければならない。

3 委員会は、第一項の申立てが、行為の日(継続する行為にあっては、その終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。

 (合議体による審査)

第二十条 委員会は、国家公務員担当公益委員をもって構成する合議体に、不当労働行為事件の審査を行わせ、当該合議体のした処分をもって委員会の処分とすることができる。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当でないと認められる場合は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、当該事件の審査を行わせる。

2 委員会は、前項の規定による審査について、第二十二条第一項並びに第二十五条において準用する労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第二十七条の四第一項、第二十七条の七第一項(当事者若しくは証人に陳述させ、又は提出された物件を留め置く部分を除く。)及び第二十七条の十第四項の規定による処分並びに第二十九条の申立てを除き、一人又は数人の公益委員にその手続の一部を行わせることができる。

3 前二項の規定にかかわらず、国家公務員担当使用者委員(労働組合法第十九条の三第二項の規定により、各省各庁の長、最高裁判所、特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)又は国有林野事業(特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第二条第二号に規定する国有林野事業をいう。以下この項において同じ。)を行う国の経営する企業の推薦に基づき任命された七人の使用者委員をいう。以下同じ。)及び国家公務員担当労働者委員(労働組合法第十九条の三第二項の規定により、認証された労働組合、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)において準用する第五条第七項に規定する認証された労働組合又は特定独立行政法人の特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第二条第四号に規定する職員若しくは国有林野事業を行う国の経営する企業の同号に規定する職員が結成し、若しくは加入する労働組合法第二条に規定する労働組合の推薦に基づき任命された七人の労働者委員をいう。以下同じ。)は、それぞれ前条第二項の規定により調査(公益委員の求めがあった場合に限る。)及び審問を行う手続並びに第二十四条第一項の規定により和解を勧める手続に参与し、又は第二十二条第二項及び第二十五条において準用する労働組合法第二十七条の七第四項の規定による行為をすることができる。

4 第一項の合議体に関する事項その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (地方調整委員)

第二十一条 委員会は、地方調整委員(労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方調整委員をいう。以下同じ。)であって公益を代表するものに、委員会が行う審査の手続のうち、第十九条第二項の規定により調査及び審問を行う手続並びに第二十四条第一項の規定により和解を勧める手続の全部又は一部を行わせることができる。この場合において、使用者を代表する地方調整委員及び労働者を代表する地方調整委員は、これらの手続(調査を行う手続にあっては、公益を代表する地方調整委員の求めがあった場合に限る。)に参与することができる。

 (救済命令等)

第二十二条 委員会は、事件が命令を発するのに熟したときは、事実の認定をし、この認定に基づいて、申立人の請求に係る救済の全部若しくは一部を認容し、又は申立てを棄却する命令(以下「救済命令等」という。)を発しなければならない。

2 調査又は審問を行う手続に参与する国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員は、委員会が救済命令等を発しようとする場合は、意見を述べることができる。

3 第一項の事実の認定及び救済命令等は、書面によるものとし、その写しを当局及び申立人に交付しなければならない。

4 救済命令等は、交付の日から効力を生ずる。

 (救済命令等の確定)

第二十三条 国が救済命令等について第二十八条の期間内に同条の取消しの訴えを提起しないときは、救済命令等は、確定する。

 (和解)

第二十四条 委員会は、審査の途中において、いつでも、当事者に和解を勧めることができる。

2 救済命令等が確定するまでの間に当事者間で和解が成立し、当事者双方の申立てがあった場合において、委員会が当該和解の内容が当事者間の労働関係の正常な秩序を維持し、又は確立するため適当と認めるときは、審査の手続は終了する。

3 前項に規定する場合において、和解(同項の規定により委員会が適当と認めたものに限る。次項において同じ。)に係る事件について既に発せられている救済命令等は、その効力を失う。

4 委員会は、和解に金銭の一定額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を内容とする合意が含まれる場合は、当事者双方の申立てにより、当該合意について和解調書を作成することができる。

5 前項の和解調書は、強制執行に関しては、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二十二条第五号に掲げる債務名義とみなす。

6 前項の規定による債務名義についての執行文の付与は、委員会の会長が行う。民事執行法第二十九条後段の執行文及び文書の謄本の送達も、同様とする。

7 前項の規定による執行文の付与に関する異議についての裁判は、東京地方裁判所においてする。

8 第四項の和解調書並びに第六項後段の執行文及び文書の謄本の送達に関して必要な事項は、政令で定める。

 (労働組合法の準用)

第二十五条 労働組合法第二十七条の二から第二十七条の八まで、第二十七条の十第三項から第六項まで、第二十七条の十一、第二十七条の十八、第二十七条の二十四、第二十八条の二及び第三十二条の二から第三十二条の四までの規定は、不当労働行為事件の審査について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第二十七条の二第一項第一号

法人である当事者の代表者

当該当事者である職員を所管する国家公務員の労働関係に関する法律第四条第三項に規定する各省各庁の長若しくは当該当事者である同法第五条第七項に規定する認証された労働組合の役員

第二十七条の三第二項

労働委員会

中央労働委員会(以下「労働委員会」という。)

第二十七条の六第二項第三号

第二十七条の十二第一項

国家公務員の労働関係に関する法律第二十二条第一項

第二十七条の七第二項

事業者の事業上の秘密

国家公務員の職務上の秘密

第二十七条の七第四項

使用者委員

使用者委員(国家公務員の労働関係に関する法律第二十条第三項に規定する国家公務員担当使用者委員をいう。)

 

労働者委員

労働者委員(同項に規定する国家公務員担当労働者委員をいう。)

第二十七条の十第五項

審査の申立て又は異議の申立て

異議の申立て

第二十七条の十第六項

審査申立人又は異議申立人

異議申立人

第二十七条の二十四

第二十二条第一項の規定により出頭を求められた者又は第二十七条の七第一項第一号(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の七第一項第一号

第二十八条の二

第二十七条の八第一項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の八第一項

第三十二条の二第一号

第二十七条の七第一項第一号(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の七第一項第一号

第三十二条の二第二号

第二十七条の七第一項第二号(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の七第一項第二号

第三十二条の二第三号

第二十七条の八(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の八

第三十二条の三

第二十七条の八第二項(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の八第二項

第三十二条の四

第二十七条の十一(第二十七条の十七の規定により準用する場合を含む。)

国家公務員の労働関係に関する法律第二十五条において準用する第二十七条の十一

 (民事訴訟法の準用)

第二十六条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百九十六条、第百九十七条及び第二百一条第二項から第四項までの規定は委員会が証人に陳述させる手続について、同法第二百十条において準用する同法第二百一条第二項の規定は委員会が当事者に陳述させる手続について準用する。

 (不服申立ての制限)

第二十七条 第十一条各号に定める者及び職員に係る処分であって第九条各号に該当するものについては、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

    第二節 訴訟

 (取消しの訴え)

第二十八条 委員会が救済命令等を発したときは、国は、救済命令等の交付の日から三十日以内に、救済命令等の取消しの訴えを提起することができる。この期間は、不変期間とする。

 (緊急命令)

第二十九条 前条の規定により国が裁判所に訴えを提起した場合において、受訴裁判所は、救済命令等を発した委員会の申立てにより、決定をもって、国に対し判決の確定に至るまで救済命令等の全部又は一部に従うべき旨を命じ、又は当事者の申立てにより、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができる。

 (証拠の申出の制限)

第三十条 委員会が第二十五条において準用する労働組合法第二十七条の七第二項に規定する物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかった者(審査の手続において当事者でなかった者を除く。)は、裁判所に対し、当該物件提出命令に係る物件により認定すべき事実を証明するためには、当該物件に係る証拠の申出をすることができない。ただし、物件を提出しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

   第六章 あっせん、調停及び仲裁

    第一節 通則

 (関係当事者の範囲)

第三十一条 この章に規定する手続における関係当事者は、第十四条第一項各号に定める者及び認証された労働組合とする。

 (国家公務員担当委員による事務の処理)

第三十二条 委員会が次条第一項、第三十四条第三号及び第四号並びに第三十九条第四号の委員会の決議、次条第二項及び第三十六条第四項の委員会の同意その他政令で定める委員会の事務を処理する場合には、これらの事務の処理には、国家公務員担当公益委員、国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員のみが参与する。この場合において、委員会の事務の処理に関し必要な事項は、政令で定める。

    第二節 あっせん

第三十三条 委員会は、関係当事者の間に発生した紛争であって第十三条の規定に基づき団体協約を締結することができる事項に係るもの(次条及び第三十九条において「団体協約の締結に係る紛争」という。)について、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は委員会の決議により、あっせんを行うことができる。

2 前項のあっせんは、委員会の会長が国家公務員担当公益委員、国家公務員担当使用者委員若しくは国家公務員担当労働者委員若しくは第三十六条第四項の調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから指名するあっせん員又は委員会の同意を得て委員会の会長が委嘱するあっせん員によって行う。

3 労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、委員会の会長は、前項の規定にかかわらず、地方調整委員のうちから、あっせん員を指名する。ただし、委員会の会長が当該地方調整委員のうちからあっせん員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。

4 あっせん員(委員会の委員又は地方調整委員である者を除く。)は、政令で定めるところにより、報酬及びその職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

5 労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第十三条及び第十四条の規定は、第一項のあっせんについて準用する。この場合において、同条中「労働委員会」とあるのは、「中央労働委員会」と読み替えるものとする。

    第三節 調停

 (調停の開始)

第三十四条 委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、次に掲げる場合に調停を行う。

 一 関係当事者の双方が委員会に調停の申請をしたとき。

 二 関係当事者の一方が団体協約の定めに基づいて委員会に調停の申請をしたとき。

 三 関係当事者の一方の申請により、委員会が調停を行う必要があると決議したとき。

 四 委員会が職権に基づき、調停を行う必要があると決議したとき。

 五 各省大臣若しくは会計検査院長(自ら又はその部内の国家公務員が関係当事者の一方である場合に限る。第三十九条第五号において同じ。)又は内閣総理大臣が、公益上特に必要があると認める場合において、委員会に調停の請求をしたとき。

 (委員会による調停)

第三十五条 委員会による調停は、当該事件について設ける調停委員会によって行う。

 (調停委員会)

第三十六条 調停委員会は、公益を代表する調停委員、当局を代表する調停委員及び職員を代表する調停委員各三人以内で組織する。ただし、当局を代表する調停委員と職員を代表する調停委員とは、同数でなければならない。

2 公益を代表する調停委員は国家公務員担当公益委員のうちから、当局を代表する調停委員は国家公務員担当使用者委員のうちから、職員を代表する調停委員は国家公務員担当労働者委員のうちから、委員会の会長が指名する。

3 労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、委員会の会長は、前項の規定にかかわらず、地方調整委員のうちから、調停委員を指名する。ただし、委員会の会長が当該地方調整委員のうちから調停委員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。

4 委員会の会長は、必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、厚生労働大臣があらかじめ委員会の同意を得て作成した調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから、調停委員を委嘱することができる。

5 前項の規定による調停委員は、政令で定めるところにより、報酬及びその職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

 (報告及び指示)

第三十七条 委員会は、調停委員会に、その行う事務に関し報告をさせ、又は必要な指示をすることができる。

 (労働関係調整法の準用)

第三十八条 労働関係調整法第二十二条から第二十五条まで、第二十六条第一項から第三項まで及び第四十三条の規定は、調停委員会及び調停について準用する。

    第四節 仲裁

 (仲裁の開始)

第三十九条 委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、次に掲げる場合に仲裁を行う。

 一 関係当事者の双方が委員会に仲裁の申請をしたとき。

 二 関係当事者の一方が団体協約の定めに基づいて委員会に仲裁の申請をしたとき。

 三 委員会があっせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお紛争が解決しない場合において、関係当事者の一方が委員会に仲裁の申請をしたとき。

 四 委員会が、あっせん又は調停を行っている事件について、仲裁を行う必要があると決議したとき。

 五 各省大臣若しくは会計検査院長又は内閣総理大臣が、公益上特に必要があると認める場合において、委員会に仲裁の請求をしたとき。

 (仲裁委員会)

第四十条 委員会による仲裁は、当該事件について設ける仲裁委員会によって行う。

2 仲裁委員会は、国家公務員担当公益委員の全員をもって充てる仲裁委員又は委員会の会長が国家公務員担当公益委員のうちから指名する三人若しくは五人の仲裁委員で組織する。

3 仲裁委員会は、仲裁裁定を行ったときは、当該仲裁裁定の内容を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならない。

4 労働関係調整法第三十一条の三から第三十三条まで及び第四十三条の規定は、仲裁委員会、仲裁及び仲裁裁定について準用する。この場合において、同法第三十一条の四第二項中「仲裁委員二人以上」とあるのは「仲裁委員の過半数」と、同法第三十一条の五中「労働委員会の使用者を代表する委員又は特別調整委員及び労働者を代表する委員又は特別調整委員」とあるのは「中央労働委員会の国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員」と読み替えるものとする。

 (仲裁裁定の効力)

第四十一条 仲裁裁定があったときは、当該仲裁裁定の定めるところにより、関係当事者間において有効期間の定めのない団体協約が締結されたものとみなして、第十六条第三項及び第四項、第十七条並びに第十八条の規定を適用する。この場合において、第十七条第一項中「提出しなければならない」とあるのは「提出するようできる限り努めなければならない」と、同条第二項中「改廃をしなければならない」とあるのは「改廃をするようできる限り努めなければならない」とする。

   第七章 雑則

 (抗告訴訟の取扱い)

第四十二条 委員会は、この法律及び労働組合法の規定に基づいて委員会がした処分(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第二項に規定する処分をいい、第六条第二項又は第二十条第二項の規定により公益委員がした処分及び第二十一条の規定により公益を代表する地方調整委員がした処分を含む。)であって、当局、職員(第十九条第一項第一号に規定する職員として採用されなかった者を含む。)若しくは労働組合(以下この項において「当局等」と総称する。)に対してしたもの又は当局等に係る手続において当局等以外の者に対してしたものに係る行政事件訴訟法第十一条第一項(同法第三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による国を被告とする訴訟について、国を代表する。

2 前項の訴訟においては、委員会に対しては、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第六条の規定は、適用しない。

 (行政手続法の適用除外)

第四十三条 この法律の規定により委員会がする処分(第五条の規定による処分を除き、第二十条第二項の規定により公益委員がする処分及び第二十一条の規定により公益を代表する地方調整委員がする処分を含む。)については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。

 (不服申立ての制限)

第四十四条 この法律の規定により委員会がした処分(第五条の規定による処分を除き、第二十条第二項の規定により公益委員がした処分及び第二十一条の規定により公益を代表する地方調整委員がした処分を含む。)については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。

 (政令への委任)

第四十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、国家公務員法等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第▼▼▼号。以下「平成二十三年国家公務員法改正法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第六条(第五条第五項から第八項まで及び第十一項から第十四項までに係る部分を除く。)並びに次条、附則第六条(第二十条第一項及び第四十条第二項に係る部分を除く。)及び第十条の規定 平成二十三年国家公務員法改正法の公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

 二 第二条第一号ロ、第四条第二項及び第三項並びに第六条(第五条第五項及び第六項に係る部分に限る。)並びに附則第五条の規定 平成二十三年国家公務員法改正法の公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内において政令で定める日

 (重要な行政上の決定を行う職員等の告示のための準備行為)

第二条 委員会は、前条第二号に掲げる規定の施行の日前においても、第二条第一号ロ又は第四条第二項の規定による事務に関し必要があるときは、各省各庁の長に対し、資料の提出を求めることができる。

 (労働組合の認証に関する経過措置)

第三条 登録職員団体(この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において現に平成二十三年国家公務員法改正法第二条の規定による改正前の国家公務員法(以下「旧国家公務員法」という。)第百八条の三の規定により登録されている職員団体をいう。以下同じ。)は、施行日において、認証された労働組合となるものとする。この場合において、委員会は、当該認証された労働組合の名称及び主たる事務所の所在地その他中央労働委員会規則で定める事項を告示しなければならない。

2 前項の規定は、第二条第一号ロに掲げる者が加入する登録職員団体については、適用しない。

3 第一項の規定により認証された労働組合となったもの(以下この条において「移行認証労働組合」という。)の認証は、施行日から起算して六月を経過する日(当該移行認証労働組合がその日までに第五条第一項の規定により認証を申請した場合にあっては、当該申請に対する処分があった日)にその効力を失う。この場合において、委員会は、その旨を告示しなければならない。

4 前項の規定によりその認証が効力を失った移行認証労働組合が締結した団体協約は、当該認証が効力を失った日にその効力を失う。ただし、当該移行認証労働組合が施行日から起算して六月を経過する日までに第五条第一項の規定により認証を申請した場合において認証されたときは、この限りでない。

第四条 施行日において現に旧国家公務員法第百八条の三第九項又は第十項の規定により人事院に対してされている届出は、それぞれ第五条第十項又は第十二項の規定により委員会に対してされた届出とみなす。

第五条 第五条第五項の規定による認証を受けようとする者(登録職員団体を除く。)は、施行日前においても、同条の規定の例により、認証を申請することができる。

 (国家公務員担当公益委員に関する経過措置)

第六条 第六条第一項、第二十条第一項及び第四十条第二項の規定の適用については、委員会の委員の数が平成二十三年国家公務員法改正法第六条の規定による改正後の労働組合法第十九条の三第一項に規定する数に達する日の前日までは、第六条第一項中「六人」とあるのは、「四人」とする。

 (労働組合のための職員の行為の制限に関する経過措置)

第七条 施行日において現に旧国家公務員法第百八条の六第一項ただし書の許可を受けている職員は、第七条第一項ただし書の許可を受けたものとみなす。この場合において、同項ただし書の許可を受けたものとみなされた職員に係る当該許可の有効期間は、旧国家公務員法第百八条の六第一項ただし書の許可の有効期間の施行日における残存期間とする。

2 旧国家公務員法第百八条の六第一項ただし書の規定により登録された職員団体の業務に専ら従事した期間は、第七条の規定の適用については、同条第一項ただし書の規定により認証された労働組合の業務に専ら従事した期間とみなす。

3 第七条の規定の適用については、国家公務員の労働関係の実態に鑑み、労働関係の適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、当分の間、同条第三項中「五年」とあるのは、「七年以下の範囲内で政令で定める期間」とする。

第八条 施行日前に所轄庁の長の許可を受けて勤務時間中旧国家公務員法第百八条の三の規定により登録された職員団体の業務に従事した期間で政令で定めるものは、施行日の属する年における第八条の規定の適用については、同条第一項の規定により許可を受けて認証された労働組合の業務に従事した期間とみなす。

 (認証された労働組合と各省各庁の長等が行う団体交渉等に関する経過措置)

第九条 認証された労働組合と各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員が第十一条第四号、第五号又は第九号から第十一号までに掲げる事項について行う団体交渉については、施行日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までは、第九条第二号の規定は、適用しない。

2 認証された労働組合と各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員は、前項の政令で定める日までは、第十四条第一項第四号、第五号又は第七号(第十一条第八号に掲げる事項に係る部分を除く。次項において同じ。)に掲げる事項について第十三条の規定による団体協約の締結をすることができない。

3 認証された労働組合と各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員との間に発生した第十四条第一項第四号、第五号又は第七号に掲げる事項に係る紛争については、第一項の政令で定める日までは、第六章の規定は、適用しない。

 (政令への委任)

第十条 附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第十一条 政府は、団体交渉の実施状況、あっせん、調停及び仲裁に関する制度の運用状況その他この法律の施行の状況並びに自律的労使関係制度の運用に関する国民の理解の状況を勘案し、国家公務員の争議権について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


     理 由

 国家公務員制度改革基本法第十二条に基づき自律的労使関係制度を措置するため、非現業国家公務員に協約締結権を付与するとともに、これに伴い、団体交渉の対象事項、当事者及び手続、団体協約の効力、不当労働行為事件の審査、あっせん、調停及び仲裁等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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