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第一八六回

閣第七三号

   著作権法の一部を改正する法律案

 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。

 第三条第一項中「をいう。」の下に「以下この項、次条第一項、」を、「受けた者」の下に「若しくはその複製許諾(第八十条第三項の規定による複製の許諾をいう。第三十七条第三項ただし書及び第三十七条の二ただし書において同じ。)を得た者」を加える。

 第四条第一項中「若しくはその許諾」の下に「(第六十三条第一項の規定による利用の許諾をいう。)を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその公衆送信許諾(第八十条第三項の規定による公衆送信の許諾をいう。次項、第三十七条第三項ただし書及び第三十七条の二ただし書において同じ。)」を、「又はその許諾」の下に「(第六十三条第一項の規定による利用の許諾をいう。)」を加え、同条第二項中「得た者」の下に「若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその公衆送信許諾を得た者」を加える。

 第七条第一号中「行なわれる」を「行われる」に改め、同条に次の一号を加える。

 八 前各号に掲げるもののほか、視聴覚的実演に関する北京条約の締約国の国民又は当該締約国に常居所を有する者である実演家に係る実演

 第三十一条第二項中「第三十三条の二第四項において」を「以下」に改める。

 第三十七条第三項ただし書及び第三十七条の二ただし書中「受けた者」の下に「若しくはその複製許諾若しくは公衆送信許諾を得た者」を加える。

 第七十九条第一項中「第二十一条」の下に「又は第二十三条第一項」を加え、「複製権者」を「複製権等保有者」に、「その著作物を」を「その著作物について、」に、「又は」を「若しくは」に改め、「出版すること」の下に「(電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む。次条第二項及び第八十一条第一号において「出版行為」という。)又は当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この章において同じ。)を行うこと(次条第二項及び第八十一条第二号において「公衆送信行為」という。)」を加え、同条第二項中「複製権者」を「複製権等保有者」に改め、「その複製権」の下に「又は公衆送信権」を加える。

 第八十条第一項中「、頒布の目的をもつて」を削り、「著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利」を「著作物について、次に掲げる権利の全部又は一部」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 頒布の目的をもつて、原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利(原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む。)

 二 原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利

 第八十条第二項中「の出版」を「の出版行為又は公衆送信行為(第八十三条第二項及び第八十四条第三項において「出版行為等」という。)」に、「複製権者」を「複製権等保有者」に、「当該著作物を」を「当該著作物について、」に、「複製する」を「複製し、又は公衆送信を行う」に改め、同条第三項中「出版権者は」の下に「、複製権等保有者の承諾を得た場合に限り」を、「複製」の下に「又は公衆送信」を加え、「できない」を「できる」に改め、同条に次の一項を加える。

4 第六十三条第二項、第三項及び第五項の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、同条第三項中「著作権者」とあるのは「第七十九条第一項の複製権等保有者及び出版権者」と、同条第五項中「第二十三条第一項」とあるのは「第八十条第一項(第二号に係る部分に限る。)」と読み替えるものとする。

 第八十一条中「出版権者は」の下に「、次の各号に掲げる区分に応じ」を加え、「次に掲げる」を「当該各号に定める」に改め、同条第一号及び第二号を次のように改める。

 一 前条第一項第一号に掲げる権利に係る出版権者(次条において「第一号出版権者」という。) 次に掲げる義務

  イ 複製権等保有者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品若しくはこれに相当する物の引渡し又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から六月以内に当該著作物について出版行為を行う義務

  ロ 当該著作物について慣行に従い継続して出版行為を行う義務

 二 前条第一項第二号に掲げる権利に係る出版権者(次条第一項第二号において「第二号出版権者」という。) 次に掲げる義務

  イ 複製権等保有者からその著作物について公衆送信を行うために必要な原稿その他の原品若しくはこれに相当する物の引渡し又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から六月以内に当該著作物について公衆送信行為を行う義務

  ロ 当該著作物について慣行に従い継続して公衆送信行為を行う義務

 第八十二条第一項中「その著作物を出版権者があらためて複製する」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 その著作物を第一号出版権者が改めて複製する場合

 二 その著作物について第二号出版権者が公衆送信を行う場合

 第八十二条第二項中「出版権者」を「第一号出版権者」に、「あらためて」を「改めて」に、「つど」を「都度」に改める。

 第八十三条第二項中「の出版」を「の出版行為等」に改める。

 第八十四条第一項中「第八十一条第一号」を「第八十一条第一号(イに係る部分に限る。)又は第二号(イに係る部分に限る。)」に、「複製権者」を「複製権等保有者」に、「その出版権」を「それぞれ第八十条第一項第一号又は第二号に掲げる権利に係る出版権」に改め、同条第二項中「第八十一条第二号」を「第八十一条第一号(ロに係る部分に限る。)又は第二号(ロに係る部分に限る。)」に、「複製権者」を「複製権等保有者」に、「その出版権」を「それぞれ第八十条第一項第一号又は第二号に掲げる権利に係る出版権」に改め、同条第三項中「複製権者」を「複製権等保有者」に、「出版を」を「出版行為等を」に改める。

 第八十六条第一項中「第三十三条の二第一項」の下に「及び第四項」を加え、「第三十七条第一項及び第三項」を「第三十七条」に改め、同条第二項中「第三十三条の二第一項」の下に「若しくは第四項」を加え、「第八十条第一項」を「第八十条第一項第一号」に改め、同条に次の一項を加える。

3 第三十条の二第二項、第三十条の三、第三十一条第三項前段、第三十二条第一項、第三十三条の二第四項、第三十五条第二項、第三十六条第一項、第三十七条第二項及び第三項、第三十七条の二(第二号を除く。)、第四十条第一項、第四十一条、第四十二条の二、第四十二条の三第二項、第四十六条、第四十七条の二並びに第四十七条の六の規定は、出版権の目的となつている著作物の公衆送信について準用する。この場合において、第三十条の二第二項、第三十条の三、第三十五条第二項、第三十六条第一項及び第四十七条の二中「著作権者」とあるのは「出版権者」と、第四十七条の六ただし書中「著作権」とあるのは「出版権」と読み替えるものとする。

 第八十七条中「複製権者」を「複製権等保有者」に改め、「限り、」の下に「その全部又は一部を」を加える。

 第八十八条第一項第一号中「複製権」の下に「若しくは公衆送信権」を加える。

 第百十四条第三項中「著作権者」の下に「、出版権者」を、「その著作権」の下に「、出版権」を加え、同条第四項中「著作権」の下に「、出版権」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十七年一月一日から施行する。ただし、第七条の改正規定及び次条の規定は、視聴覚的実演に関する北京条約(同条において「視聴覚的実演条約」という。)が日本国について効力を生ずる日から施行する。

 (著作隣接権に関する規定の適用)

第二条 この法律による改正後の著作権法(以下この条において「新法」という。)第七条第四号に掲げる実演(同条第一号から第三号までに掲げる実演に該当するものを除く。)又は同条第五号に掲げる実演であって、視聴覚的実演条約の締約国の国民又は当該締約国に常居所を有する者である実演家に係るものに対する新法中著作隣接権に関する規定(第九十五条の三第三項及び第四項の規定を含む。)の適用については、著作権法の一部を改正する法律(昭和六十一年法律第六十四号)附則第三項、著作権法の一部を改正する法律(平成元年法律第四十三号。次項において「平成元年改正法」という。)附則第二項及び著作権法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十三号)附則第二項の規定は、適用しない。

2 視聴覚的実演条約の締約国の国民又は当該締約国に常居所を有する者である実演家(当該実演家に係る実演が行われた際国内に常居所を有しない外国人であった者に限る。)に対する新法中著作隣接権に関する規定(第九十五条の三第三項及び第四項の規定を含む。)の適用については、平成元年改正法附則第四項の規定は、適用しない。

 (出版権についての経過措置)

第三条 この法律の施行前に設定されたこの法律による改正前の著作権法による出版権でこの法律の施行の際現に存するものについては、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第四条 前二条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 インターネットその他の新たな情報伝達手段の発達に鑑み、公衆送信を行うことを引き受ける者に対し出版権を設定できることとするとともに、視聴覚的実演に関する北京条約の実施に伴い、著作権法による保護を受ける実演として同条約の締約国の国民が行う実演を追加する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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