衆議院

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第一九八回

衆第五号

   司法試験法等の一部を改正する等の法律案

 (司法試験法の一部改正)

第一条 司法試験法(昭和二十四年法律第百四十号)の一部を次のように改正する。

  目次中「司法試験等(第一条−第十一条)」を「司法試験(第一条−第九条)」に、「第十二条−第十六条」を「第十条−第十四条」に、「第十七条」を「第十五条」に改める。

  第一章の章名を次のように改める。

    第一章 司法試験

  第一条の見出しを「(司法試験の目的)」に改め、同条第三項を削る。

  第二条の見出しを「(司法試験の方法)」に改め、同条第一項中「筆記」の下に「並びに口述」を加え、同条第二項を削る。

  第三条を次のように改める。

  (司法試験の試験科目等)

 第三条 短答式による筆記試験は、次に掲げる科目について行う。

  一 憲法

  二 行政法

  三 民法

  四 商法

  五 民事訴訟法

  六 刑法

  七 刑事訴訟法

 2 論文式による筆記試験は、短答式による筆記試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。ただし、法科大学院(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十九条第二項に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。)の課程を修了した者に対しては、その申請により、第二号に掲げる科目の試験を免除する。

  一 前項各号に掲げる科目

  二 法律実務基礎科目(法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む。)についての科目をいう。)

 3 口述試験は、筆記試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。

  一 公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。)

  二 民事系科目(民法及び民事訴訟法に関する分野の科目をいう。)

  三 刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。)

 4 前三項に掲げる試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。

 5 司法試験においては、その受験者が裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価するため、知識を有するかどうかの判定に偏することなく、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力、判断力等の判定に意を用いなければならない。

 6 筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法試験の筆記試験を免除する。

  第四条及び第五条を削る。

  第六条中「第三条第二項第四号若しくは第三項又は前条第五項」を「前条第四項」に改め、同条を第四条とする。

  第七条の見出しを「(司法試験の実施)」に改め、同条中「及び予備試験」及び「、それぞれ」を削り、同条を第五条とする。

  第八条中「司法試験考査委員」を「、司法試験考査委員」に改め、「予備試験の合格者は司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき、それぞれ」を削り、同条を第六条とする。

  第九条中「又は予備試験」及び「それぞれ」を削り、同条を第七条とする。

  第十条中「若しくは予備試験」を削り、同条を第八条とする。

  第十一条第一項中「又は予備試験」及び「それぞれ」を削り、同条第二項中「当該試験」を「司法試験」に改め、同条を第九条とする。

  第十二条第二項第一号から第三号までの規定中「及び予備試験」を削り、第二章中同条を第十条とし、第十三条を第十一条とし、第十四条を第十二条とする。

  第十五条の見出しを「(司法試験考査委員)」に改め、同条第一項中「司法試験考査委員を置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)」を「、司法試験考査委員」に改め、同条第二項中「及び予備試験考査委員」を削り、「当該試験」を「司法試験」に改め、同条第三項中「及び予備試験考査委員」を削り、同条を第十三条とする。

  第十六条中「第十二条」を「第十条」に、「、司法試験考査委員及び予備試験考査委員」を「及び司法試験考査委員」に改め、同条を第十四条とする。

  第十七条中「及び予備試験」を削り、第三章中同条を第十五条とする。

 (裁判所法の一部改正)

第二条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。

  第六十七条第一項中「一年間」を「一年二月間」に改める。

 (弁護士法の一部改正)

第三条 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。

  第四十三条の十五の次に次の一条を加える。

  (研修の機会の提供等)

 第四十三条の十六 弁護士会は、法科大学院(学校教育法第九十九条第二項に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。)等と連携しつつ、その所属する弁護士に対しその資質の維持向上に資する研修の機会の提供を行うとともに、その所属する弁護士及び弁護士法人に係る情報その他のそのサービスの利用を容易にするための情報の提供等に努めるものとする。

  第五十条中「及び第四十二条第二項」を「、第四十二条第二項及び第四十三条の十六」に改める。

 (法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の廃止)

第四条 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成十四年法律第百三十九号)は、廃止する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

 一 次条並びに附則第三条第六項、第九条、第十三条及び第十四条の規定 公布の日

 二 第三条の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

 三 第二条及び附則第八条の規定 公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日

 (新司法試験の実施のために必要な行為に関する経過措置)

第二条 法務大臣は、第一条の規定による改正後の司法試験法(以下「新法」という。)第三条第四項の法務省令を制定しようとするときは、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、司法試験委員会の意見を聴くことができる。

2 法務大臣は、施行日前においても、新法第十三条の規定の例により、新法の規定による司法試験(以下「新司法試験」という。)に係る司法試験考査委員を任命することができる。

3 新司法試験の実施に必要な公告その他の準備行為は、施行日前においても、行うことができる。

 (旧司法試験の実施)

第三条 司法試験委員会は、新司法試験が初めて行われる年から六年間は、新司法試験を行うほか、従前の司法試験を行うものとする。

2 前項の規定により行われる従前の司法試験(以下「旧司法試験」という。)については、第一条の規定による改正前の司法試験法(以下「旧法」という。)第一条第三項、第二条から第四条まで及び第六条の規定(これらの規定に基づく法務省令の規定を含む。)は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。この場合において、旧法第一条第三項中「司法試験」とあるのは「司法試験法等の一部を改正する等の法律(平成三十一年法律第▼▼▼号)附則第三条第二項に規定する旧司法試験(以下「旧司法試験」という。)」と、旧法第二条及び第三条第四項中「司法試験」とあるのは「旧司法試験」と、旧法第三条第一項中「短答式」とあるのは「旧司法試験の短答式」と、同条第二項中「論文式」とあるのは「旧司法試験の論文式」と、旧法第四条第一項中「司法試験は」とあるのは「旧司法試験は」と、同項第一号中「法科大学院(」とあるのは「司法試験法等の一部を改正する等の法律の施行の日前に法科大学院(」と、「の課程」とあるのは「に入学し、その課程」と、同項第二号中「司法試験予備試験」とあるのは「司法試験法等の一部を改正する等の法律第一条の規定による改正前の司法試験法の規定による司法試験予備試験」と、同条第二項中「司法試験を」とあるのは「旧司法試験を」とする。

3 新法第一条、第五条から第九条まで及び第十五条の規定は、旧司法試験について準用する。

4 司法試験委員会は、新法第八条(前項において準用する場合を含む。)の規定により新司法試験又は旧司法試験を受けることができないものとすることができる場合においては、他の一方の試験についても、情状により五年以内の期間を定めて受けることができないものとすることができる。

5 第一項の場合における新法第十条第二項第一号から第三号まで、第十三条及び第十四条の規定の適用については、新法第十条第二項第一号中「司法試験」とあるのは「司法試験及び司法試験法等の一部を改正する等の法律(平成三十一年法律第▼▼▼号)附則第三条第二項に規定する旧司法試験(以下「旧司法試験」という。)」と、同項第二号及び第三号中「司法試験」とあるのは「司法試験及び旧司法試験」と、新法第十三条第一項中「、司法試験考査委員」とあるのは「司法試験考査委員を置き、旧司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため旧司法試験考査委員(以下この条及び次条において「旧司法試験考査委員」という。)」と、同条第二項中「司法試験考査委員」とあるのは「司法試験考査委員及び旧司法試験考査委員」と、「司法試験を」とあるのは「当該試験を」と、同条第三項中「司法試験考査委員」とあるのは「司法試験考査委員及び旧司法試験考査委員」と、新法第十四条中「及び司法試験考査委員」とあるのは「、司法試験考査委員及び旧司法試験考査委員」とする。

6 前条の規定は、旧司法試験について準用する。この場合において、同条第一項中「第一条の規定による改正後の司法試験法(以下「新法」という。)第三条第四項」とあるのは「次条第二項の規定によりなお効力を有するものとされる第一条の規定による改正前の司法試験法第三条第二項第四号又は第三項」と、同条第二項中「新法第十三条」とあるのは「次条第五項の規定により読み替えて適用される新法第十三条」と、「新法の規定による司法試験(以下「新司法試験」という。)に係る司法試験考査委員」とあるのは「同条第一項に規定する旧司法試験考査委員」と読み替えるものとする。

 (新司法試験及び旧司法試験の受験)

第四条 新司法試験と旧司法試験の双方が行われる各年においては、法務省令で定める手続に従い、あらかじめ選択して出願するところにより、そのいずれか一方のみを受けることができる。

 (旧法の規定による司法試験予備試験に合格した者に関する経過措置)

第五条 旧法の規定による司法試験予備試験に合格した者については、法科大学院(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十九条第二項に規定する専門職大学院であって、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。)の課程を修了した者とみなして、新法第三条第二項ただし書の規定を適用する。

 (施行前の不正受験者に対する措置に関する経過措置)

第六条 司法試験委員会は、この法律の施行前に行われた旧法の規定による司法試験若しくは司法試験予備試験を不正の手段によって受けた者又は旧法若しくは旧法に基づく法務省令に違反した者に対しては、施行日後においても、その試験の合格を取り消し、又は情状により五年以内の期間を定めて新司法試験若しくは旧司法試験を受けることができないものとすることができる。

2 この法律の施行の際現に旧法の規定による司法試験を旧法第十条の規定により受けることができない者は、新法第八条(附則第三条第三項において準用する場合を含む。)の規定により新司法試験及び旧司法試験を受けることができない者とみなす。この場合において、その新司法試験及び旧司法試験を受けることができない期間は、旧法の規定による司法試験を旧法第十条の規定により受けることができないこととされた期間の施行日における残存期間と同一の期間とする。

 (旧法の規定による司法試験又は旧司法試験に合格した者に関する経過措置)

第七条 旧法の規定による司法試験又は旧司法試験に合格した者は、新司法試験に合格した者とみなす。

 (司法修習生の修習期間に関する経過措置)

第八条 第二条の規定の施行前に採用され、その施行後も引き続き修習をする司法修習生の修習期間については、なお従前の例による。

 (法曹の養成に関する配慮)

第九条 国は、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会が実現されるよう、法曹の養成に関し、弁護士又は弁護士法人に対して法律事務の取扱いの依頼が困難な地域が生じないようにするために必要な配慮をするものとする。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第十条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第八条第三号中「司法試験予備試験又は」を削る。

 (社会保険労務士法の一部改正に伴う経過措置)

第十一条 旧法の規定による司法試験予備試験に合格した者に係る社会保険労務士試験の受験資格については、なお従前の例による。

 (法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律の一部改正)

第十二条 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律(平成十五年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「かんがみ、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成十四年法律第百三十九号)第三条の規定の趣旨にのっとり」を「鑑み」に改め、「同条第一項に規定する法曹養成の基本理念に則した」を削る。

 (政令等への委任)

第十三条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令(第二条の規定の施行に係るものについては、最高裁判所規則)で定める。

 (関係法律の整備)

第十四条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定める。


     理 由

 司法試験を広く受験しやすいものとするとともに、法曹の資質の維持向上を図るため、司法試験の受験者を法科大学院修了者及び司法試験予備試験合格者に限定する制度を廃止するほか、司法試験の方法及び試験科目の見直し並びに司法修習の期間の二月延長の措置を講じ、併せて弁護士会等による弁護士への研修機会の提供等に関する規定を設ける等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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