衆議院

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第一九八回

衆第九号

   日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案

 日本国憲法の改正手続に関する法律(平成十九年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第百二十五条」を「第百二十五条の二」に改める。

 第二条第一項中「第百条の二において」を「以下」に改め、同条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

2 国会が憲法改正を発議した日から起算して百八十日以内の期間が、衆議院議員の任期満了の日前四十二日に当たる日から当該任期満了の日後四十四日に当たる日までの間(以下この項において「衆議院議員任期満了総選挙関連期間」という。)又は参議院議員の任期満了の日前四十七日に当たる日から当該任期満了の日後四十四日に当たる日までの間(以下この項において「参議院議員通常選挙関連期間」という。)にかかる場合においては、前項の規定にかかわらず、国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して六十日以後二百四十日以内の期間(衆議院議員任期満了総選挙関連期間及び参議院議員通常選挙関連期間を除く。)において、国会の議決した期日に行う。

 第二条に次の二項を加える。

5 国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日前十五日に当たる日までの間に衆議院が解散されたときは、国民投票の期日は、前項の規定により告示された期日後四十二日に当たる日に延期するものとする。この場合においては、中央選挙管理会は、直ちにその旨を告示しなければならない。

6 前項の場合においては、市町村の選挙管理委員会は、新たに投票人名簿及び在外投票人名簿を調製しなければならない。この場合において必要な事項は、政令で定める。

 第九条の次に次の一条を加える。

 (多様な意見に接する機会についての配慮)

第九条の二 国民投票の実施に当たっては、あまねく全国において、かつ、それぞれの地域における様々な場において、国会の発議に係る日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)に対する賛成意見及び反対意見が公正かつ平等に紹介されること等を通じて、国民が憲法改正案に関する多様な意見に接する機会を得られることとなるよう配慮されるものとする。

 第十四条第一項第一号中「国会の発議に係る日本国憲法の改正案(以下「」及び「」という。)」を削り、同項に次の二号を加える。

 五 第百七条の二から第百七条の五まで、第百七条の八、第百七条の九、第百七条の十一から第百七条の十三まで、第百七条の二十、第百七条の二十一及び第百七条の二十四の規定によりその権限に属する事務

 六 第百三条の二第一項に規定する国民投票運動等に関するインターネット等の適正な利用のための指針の作成

 第十四条に次の二項を加える。

3 協議会は、その事務の実施に関し、総務大臣、中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会、市町村の選挙管理委員会その他の関係機関に対し、必要な協力を求めることができる。

4 憲法改正案の広報については、これが憲法改正案に関する国民の理解と関心を深めるとともに、正確な情報に基づく多様な意見を踏まえた国民の議論及び投票人の賛成又は反対の判断の基礎となるものであることに鑑み、国民が国民投票公報の配布、協議会による放送及び新聞広告、説明会の開催並びにウェブサイトの開設等の多様な手段を通じた憲法改正案に関する広報に接する機会を十分に得られることとなるよう、必要な財政上の措置その他の措置が講ぜられなければならない。

 第十九条第一項中「に際し、」を「が憲法改正案について広く国民の意思を問うものであることに鑑み、投票人の投票しやすい環境の整備に努めるとともに、国民投票に際し、投票人の投票の意義及び重要性並びに」に改める。

 第三十六条第二項中「第二条第三項又は第百三十五条第五項」を「第二条第四項又は第百三十五条第六項」に改める。

 第九十八条第二項中「第百三十五条第六項後段」を「第百三十五条第八項後段」に改める。

 第百条の二中「までの間、国民投票運動(憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為をいう。以下同じ。)及び」を「の前日までの間国民投票運動をし、及び国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日までの間」に改め、同条を第百条の三とし、第百条の次に次の一条を加える。

 (国民投票の当日における国民投票運動の禁止)

第百条の二 何人も、国民投票の当日、国民投票運動(憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為をいう。以下同じ。)をすることができない。

2 国民投票運動のために使用する文書図画であってインターネット等を利用する方法(電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)により、文書図画をその受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。以下同じ。)の映像面に表示させる方法をいう。第百三条の二及び第百三条の三において同じ。)により国民投票の期日の前日までに頒布されたものは、前項の規定にかかわらず、国民投票の当日においても、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示させることができる状態に置いたままにすることができる。

3 国民投票運動のために使用する文書図画であって国民投票の期日の前日までに掲示されたものは、第一項の規定にかかわらず、国民投票の当日においても、掲示しておくことができる。

 第百三条の次に次の三条を加える。

 (インターネット等を利用する方法により文書図画を頒布する者の表示義務)

第百三条の二 特定国民投票運動団体(第百七条の二第一項に規定する特定国民投票運動団体をいう。以下この条において同じ。)は、インターネット等を利用する方法により国民投票運動等(国民投票運動又は憲法改正案に対する賛成若しくは反対の意見の表明をいう。以下同じ。)のために使用する文書図画を頒布するときは、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に次に掲げる事項が正しく表示されるようにしなければならない。

 一 当該特定国民投票運動団体の名称及び主たる事務所の所在地

 二 電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。)その他のインターネット等を利用する方法によりその者に連絡をする際に必要となる情報(次項において「電子メールアドレス等」という。)

 三 前二号に掲げるもののほか、国民投票広報協議会が定める事項

2 特定国民投票運動団体以外の者は、インターネット等を利用する方法により国民投票運動等のために使用する文書図画を頒布するときは、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。

 (政党等によるインターネット等を利用する方法による有料広告の禁止)

第百三条の三 第百六条第二項に規定する政党等(次項において「政党等」という。)は、同条第二項の届出をした日の翌日から国民投票の期日までの間においては、国民投票運動等のための広告を、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

2 政党等は、第百六条第二項の届出をした日の翌日から国民投票の期日までの間においては、前項に規定する広告以外の広告であって、当該広告に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面にインターネット等を利用する方法により頒布される国民投票運動等のために使用する文書図画を表示させることができる機能を有するものを、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

 (国民投票運動等に関するインターネット等の適正な利用)

第百三条の四 国民投票運動等に関しインターネット等を利用する者は、虚偽の事実を記載する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めなければならない。

 第百四条中「次条」の下に「及び第百六条の二」を加える。

 第百六条第二項中「及び次条」を「から第百七条まで」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (政党等による国民投票運動等のための広告放送の制限)

第百六条の二 政党等は、前条第二項の届出をした日の翌日から国民投票の期日までの間においては、同条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動等のための広告放送をすることができない。

 第百七条の次に次の二十三条を加える。

 (特定国民投票運動団体の届出)

第百七条の二 国民投票運動等に関する支出(金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付をいう。以下同じ。)の金額(金銭以外の財産上の利益については、時価に見積もった金額。以下この節において同じ。)が千万円を超える団体(以下「特定国民投票運動団体」という。)となることが見込まれる団体は、国民投票運動等を初めて行った日の翌日から起算して七日以内に、郵便等によることなく文書で、その旨、当該団体の目的、名称及び主たる事務所の所在地、当該団体の代表者、会計責任者及び会計責任者に事故があり又は会計責任者が欠けた場合にその職務を行うべき者それぞれ一人の氏名、住所及び生年月日、当該団体が過去三年間の国民投票(国会が憲法改正を発議した日前三年間にその期日がある他の国民投票をいう。第百七条の五第一項第四号及び第百七条の十八において同じ。)に係る特定国民投票運動団体であるときはその旨その他国民投票広報協議会が定める事項を、主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会及び中央選挙管理会を経由して、国民投票広報協議会に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした団体で特定国民投票運動団体でないものは、この法律の規定の適用については、特定国民投票運動団体とみなす。

3 第一項の規定による届出をした団体以外の団体が特定国民投票運動団体となったときも、同項と同様とする。この場合において、同項中「国民投票運動等を初めて行った日」とあるのは、「特定国民投票運動団体となった日」とする。

4 第一項又は前項の規定による届出をする団体は、当該団体の規約、定款その他の国民投票広報協議会が定める文書(次条において「規約等」という。)を併せて提出しなければならない。

5 第一項の文書の様式は、国民投票広報協議会が定める。

第百七条の三 特定国民投票運動団体は、前条第一項又は第三項の規定により届け出た事項に異動があったときは、その異動の日の翌日から起算して七日以内に、その異動に係る事項を同条第一項の規定の例により届け出なければならない。同条第四項の規定により特定国民投票運動団体が提出した規約等の内容に異動があったときも、同様とする。

 (特定国民投票運動団体の名称等の公表)

第百七条の四 第百七条の二第一項又は第三項の規定による届出があったときは、国民投票広報協議会は、その届出に係る特定国民投票運動団体の名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者及び会計責任者の氏名を、遅滞なく、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。これらの事項につき前条前段の規定による届出があったときも、同様とする。

 (会計帳簿の備付け及び記載)

第百七条の五 特定国民投票運動団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあっては、その職務を行うべき者。以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 全ての国民投票運動等に関する寄附(金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。第百九条第二号を除き、以下同じ。)及びその他の収入(金銭、物品その他の財産上の利益の収受をいう。以下同じ。)並びに当該寄附に関し次のイ及びロに掲げる区分に応じ当該イ及びロに定める事項

  イ 一件十万円以上の寄附 その寄附をした者の氏名及び住所(寄附をした者が団体である場合には、その名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名。次条において同じ。)並びに当該寄附の金額及び年月日

  ロ 一件十万円未満の寄附 同一の日に受けた寄附ごとにその金額の合計額及び当該年月日

 二 全ての国民投票運動等に関する支出(当該特定国民投票運動団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた国民投票運動等に関する支出を含む。第百七条の七第一項を除き、以下同じ。)並びにその支出を受けた者の氏名及び住所(支出を受けた者が団体である場合には、その名称及び主たる事務所の所在地。次条及び第百七条の八第一項第二号において同じ。)並びに当該支出の目的、金額及び年月日

 三 当該特定国民投票運動団体が国民投票運動等に関する寄附以外の寄附であって次のイ又はロに掲げるものを受けたときは、当該寄附及びその使用状況

  イ 第百七条の十六第一項本文に規定する者(同項ただし書に規定する者を除く。次号及び第百七条の十八において「外国人等」という。)から受けた一件十万円以上の寄附

  ロ イに規定する寄附以外の寄附(第百七条の八第一項又は第百七条の十一第一項の規定により報告書を提出するまでの間に受けたものに限る。)

 四 当該特定国民投票運動団体が過去三年間の国民投票に係る特定国民投票運動団体である場合であって、過去三年間の国民投票に係る特定国民投票運動団体である間に外国人等から一件十万円以上の寄附を受けたときは、当該寄附及びその使用状況

2 前項の会計帳簿(以下「会計帳簿」という。)の種類、様式及び記載要領は、国民投票広報協議会が定める。

 (会計責任者に対する明細書の提出)

第百七条の六 特定国民投票運動団体の代表者若しくは会計責任者と意思を通じて当該特定国民投票運動団体のために国民投票運動等に関する寄附を受け、又は支出をした者は、寄附を受け又は支出をした日の翌日から起算して七日以内に、寄附をした者の氏名及び住所並びに当該寄附の金額及び年月日又は支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した明細書を会計責任者に提出しなければならない。ただし、会計責任者の請求があるときは、直ちにこれを提出しなければならない。

 (会計責任者等が支出をする場合の手続)

第百七条の七 特定国民投票運動団体の会計責任者又は特定国民投票運動団体の代表者若しくは会計責任者と意思を通じて当該特定国民投票運動団体のために国民投票運動等に関する支出をした者は、国民投票運動等に関する一件五万円以上の全ての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面(以下「領収書等」という。)を徴さなければならない。ただし、これを徴し難い事情があるときは、この限りでない。

2 特定国民投票運動団体の代表者又は会計責任者と意思を通じて当該特定国民投票運動団体のために国民投票運動等に関する一件五万円以上の支出をした者は、領収書等(振込みの方法により支出したときにあっては、金融機関が作成した振込みの明細書であって当該支出の金額及び年月日を記載したもの(以下「振込明細書」という。))を直ちに会計責任者に送付しなければならない。

 (国民投票運動等に関する収入及び支出の報告書の提出)

第百七条の八 特定国民投票運動団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、次に掲げる事項を記載した報告書を、国民投票の期日の翌日から起算して四十五日以内に、主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会及び中央選挙管理会を経由して国民投票広報協議会に提出しなければならない。

 一 第百七条の五第一項第一号に掲げる事項

 二 全ての国民投票運動等に関する支出(予定される支出を含む。以下この号において同じ。)の総額並びに国民投票運動等に関する支出のうち人件費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたってされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日

 三 第百七条の五第一項第三号に規定する場合にあっては、同号に掲げる事項

 四 第百七条の五第一項第四号に規定する場合にあっては、同号に掲げる事項

2 特定国民投票運動団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、同項第二号に規定する経費の支出(予定される支出を除く。)について、国民投票広報協議会の定めるところにより、領収書等の写し(当該領収書等を複写機により複写したものに限る。)(領収書等を徴し難い事情があったときは、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した書面又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し(当該振込明細書を複写機により複写したものに限る。))を併せて提出しなければならない。

3 第一項の報告書の様式及び記載要領は、国民投票広報協議会が定める。

4 第一項の報告書には、真実の記載がされていることを誓う旨の文書を添えなければならない。

 (監査意見書の添付)

第百七条の九 特定国民投票運動団体の会計責任者は、前条第一項の規定による報告書を提出するときは、あらかじめ、当該特定国民投票運動団体の規約、定款その他これらに相当するものに基づいて設けられた会計監査を行うべき者に対し、当該報告書に係る会計帳簿、明細書(第百七条の六に規定する明細書をいう。以下同じ。)及び領収書等についての監査意見を求め、当該監査意見を記載した書面を当該報告書に添付するものとする。

2 前項の書面の様式は、国民投票広報協議会が定める。

 (会計帳簿等の保存)

第百七条の十 特定国民投票運動団体の会計責任者(特定国民投票運動団体が次条第一項の規定に該当する場合にあっては、当該特定国民投票運動団体の会計責任者であった者)は、会計帳簿、明細書、領収書等及び振込明細書を、第百七条の十二の規定によりこれらに係る報告書が公表された日の翌日から起算して三年を経過する日まで保存しなければならない。

 (解散の届出等)

第百七条の十一 特定国民投票運動団体が解散したときは、その代表者及び会計責任者であった者は、その日の翌日から起算して三十日以内に、その旨及び年月日を文書で主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会及び中央選挙管理会を経由して国民投票広報協議会に届け出るとともに、第百七条の八第一項の規定による報告書を提出していないときは、同項の規定の例により、その日現在で、国民投票運動等に関する収入及び支出に関する事項を記載した報告書を提出しなければならない。

2 前項の規定による届出があったときは、国民投票広報協議会は、遅滞なく、その旨をインターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

3 第百七条の八第二項から第四項まで及び第百七条の九の規定は、第一項の報告書について準用する。

 (報告書の公表)

第百七条の十二 国民投票広報協議会は、第百七条の八第一項又は前条第一項の規定による報告書を受理したときは、国民投票広報協議会の定めるところにより、インターネットの利用その他の適切な方法により、当該報告書を三年間継続して公表しなければならない。

 (報告書等の保存及び閲覧等)

第百七条の十三 第百七条の八第一項又は第百七条の十一第一項の規定による報告書並びに第百七条の八第二項(第百七条の十一第三項において準用する場合を含む。)及び第百七条の九第一項(第百七条の十一第三項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による書面は、国民投票広報協議会において、前条の規定により報告書を公表した日の翌日から起算して三年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、前条の規定により報告書が公表された日から同日後三年を経過する日までの間、国民投票広報協議会に対し、国民投票広報協議会の定めるところにより、当該報告書又は第百七条の九第一項の規定による書面の閲覧を請求することができる。

 (国民投票運動等に関する支出金額の制限)

第百七条の十四 国民投票運動等に関する支出の金額は、一の特定国民投票運動団体について、五億円を超えることができない。

 (国民投票運動等に関する寄附の総額の制限)

第百七条の十五 何人も、特定国民投票運動団体に対して五億円を超えて国民投票運動等に関する寄附をしてはならない。

2 特定国民投票運動団体は、前項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。

 (外国人等からの国民投票運動等に関する寄附の受領の禁止)

第百七条の十六 特定国民投票運動団体は、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所(以下この項において単に「金融商品取引所」という。)に上場されている株式を発行している株式会社のうち定時株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための会社法(平成十七年法律第八十六号)第百二十四条第一項に規定する基準日(以下この項において「定時株主総会基準日」という。)を定めた株式会社であって直近の定時株主総会基準日が一年以内にあったものにあっては、当該定時株主総会基準日において外国人又は外国法人が発行済株式の総数の過半数に当たる株式を保有していたもの)から、国民投票運動等に関する寄附を受けてはならない。ただし、日本法人であって、その発行する株式が金融商品取引所において五年以上継続して上場されているもの(新設合併又は株式移転により設立された株式会社(当該新設合併により消滅した会社又は当該株式移転をした会社の全てが株式会社であり、かつ、それらの発行していた株式が当該新設合併又は当該株式移転に伴い上場を廃止されるまで金融商品取引所において上場されていたものに限る。)のうちその発行する株式が当該新設合併又は当該株式移転に伴い金融商品取引所において上場されてから継続して上場されており、かつ、上場されている期間が五年に満たないものであって、当該上場されている期間と、当該新設合併又は当該株式移転に伴い上場を廃止された株式がその上場を廃止されるまで金融商品取引所において継続して上場されていた期間のうち最も短いものとを合算した期間が五年以上であるものを含む。)がする寄附については、この限りでない。

2 前項本文に規定する者であって同項ただし書に規定するものは、特定国民投票運動団体に対し国民投票運動等に関する寄附をするときは、同項本文に規定する者であって同項ただし書に規定するものである旨を、文書で、当該特定国民投票運動団体に通知しなければならない。

 (本人の名義以外の名義等による国民投票運動等に関する寄附の制限)

第百七条の十七 何人も、特定国民投票運動団体に対して、本人の名義以外の名義又は匿名で、国民投票運動等に関する寄附をしてはならない。

2 特定国民投票運動団体は、前項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。

3 第一項の寄附に係る金銭又は物品の提供があったときは、当該金銭又は物品の所有権は、国庫に帰属するものとし、その保管者は、政令で定めるところにより、速やかにこれを国庫に納付する手続をとらなければならない。

4 前項に規定する国庫への納付に関する事務は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととする。

 (国民投票運動等に関する寄附以外の寄附の国民投票運動等への使用禁止)

第百七条の十八 特定国民投票運動団体は、特定国民投票運動団体である間に受けた国民投票運動等に関する寄附以外の寄附(その団体が過去三年間の国民投票に係る特定国民投票運動団体であるときは、過去三年間の国民投票に係る特定国民投票運動団体である間に外国人等から受けた寄附を含む。)を国民投票運動等に使用してはならない。

 (少額寄附の特例)

第百七条の十九 一件十万円未満の国民投票運動等に関する寄附については、第百七条の六、第百七条の十五及び第百七条の十七(匿名寄附の禁止に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

2 一件十万円未満の寄附であって、特定国民投票運動団体が当該寄附をしようとする者に対し当該寄附を国民投票運動等に使用する可能性がある旨を表示し、又は文書で通知したものについては、国民投票運動等に関する寄附とみなして、この法律の規定を適用する。

 (監督上の措置)

第百七条の二十 中央選挙管理会若しくは都道府県の選挙管理委員会又は国民投票広報協議会は、第百七条の二第一項若しくは第三項、第百七条の三若しくは第百七条の十一第一項の規定により提出された届出書類、第百七条の八第一項若しくは第百七条の十一第一項の規定により提出された報告書若しくはこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面(以下この条において「報告書等」という。)に形式上の不備があり、又はこれらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書等の訂正を命ずることができる。

 (報告書等の提出方法及び保存)

第百七条の二十一 前条の報告書等については、国民投票広報協議会の定めるところにより、それぞれ二部提出するものとし、中央選挙管理会は、そのうち一部を第百七条の十三第一項の規定の例により保存するものとする。

 (報告書等に係る情報の公開)

第百七条の二十二 第百七条の八第一項若しくは第百七条の十一第一項の規定による報告書又はこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面で第百七条の十二の規定により当該報告書が公表される前のものに係る行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第三条の規定による開示の請求があった場合においては、当該報告書が公表される日前は同法第九条第一項の決定を行わない。

2 前項に規定する開示の請求があった場合における行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定の適用については、同法第十条第一項中「開示請求があった日から三十日以内」とあるのは「日本国憲法の改正手続に関する法律(平成十九年法律第五十一号)第百七条の十二の規定により報告書が公表された日から同日後三十日を経過する日までの間」と、同法第十一条中「開示請求があった日から六十日以内」とあるのは「日本国憲法の改正手続に関する法律第百七条の十二の規定により報告書が公表された日から同日後六十日を経過する日までの間」とする。

 (特定国民投票運動団体の地位の終了)

第百七条の二十三 特定国民投票運動団体の会計責任者が第百七条の十の規定により会計帳簿、明細書、領収書等及び振込明細書を保存すべき期間が終了したときは、当該特定国民投票運動団体は、特定国民投票運動団体でなくなるものとする。

 (国民投票広報協議会への委任)

第百七条の二十四 憲法改正案に係る国民投票の一部無効による再投票については、第百七条の二から前条までの規定に関し、これらの規定に特別の定めがあるものを除くほか、当該再投票の行われる区域等に応じて国民投票広報協議会が特別の定めをすることができる。

2 第百七条の二から前条までに定めるもののほか、これらの規定の施行に関し必要な事項は、国民投票広報協議会が定める。

 第百二十二条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

  第百条の二第一項の規定に違反して国民投票運動をした者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

 第百二十二条の次に次の九条を加える。

 (インターネット等を利用する方法により文書図画を頒布する特定国民投票運動団体の表示義務違反)

第百二十二条の二 特定国民投票運動団体が第百三条の二第一項の規定に違反したときは、当該特定国民投票運動団体の役職員又は構成員としてその違反行為をした者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 (特定国民投票運動団体の届出義務違反)

第百二十二条の三 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした団体の役職員又は構成員は、一年以下の禁錮若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第百七条の二第三項又は第百七条の三の規定による届出をしなかったとき。

 二 第百七条の二第一項若しくは第三項又は第百七条の三の規定による届出に関し虚偽の届出をしたとき。

2 第百七条の十一第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 (会計帳簿の備付け及び記載等の義務違反)

第百二十二条の四 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の禁錮若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第百七条の五第一項の規定に違反して会計帳簿を備えず、又はこれに記載すべき事項の記載をしなかった者

 二 第百七条の六の規定に違反して明細書の提出をせず、又はこれに記載すべき事項の記載をしなかった者

 三 第百七条の七の規定に違反して領収書等を徴せず、又はこれを送付しなかった者

 四 第百七条の十の規定に違反して会計帳簿、明細書、領収書等又は振込明細書を保存しなかった者

 五 会計帳簿、明細書、領収書等又は振込明細書に虚偽の記入をした者

 六 第百七条の二十の規定により求められた説明を拒み、若しくは虚偽の説明をし、又は同条の規定による命令に違反して同条の報告書等の訂正を拒み、若しくはこれらに虚偽の訂正をした者

 (国民投票運動等に関する収入及び支出の報告書の提出義務違反)

第百二十二条の五 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の禁錮若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第百七条の八又は第百七条の十一の規定に違反して報告書若しくはこれに併せて提出すべき書面の提出をせず、又はこれらに記載すべき事項の記載をしなかった者

 二 第百七条の八若しくは第百七条の十一の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者

2 前項の場合(第百七条の十一の規定に係る違反の場合を除く。)において、特定国民投票運動団体の代表者が当該特定国民投票運動団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときは、五十万円以下の罰金に処する。

 (国民投票運動等に関する支出金額の制限違反)

第百二十二条の六 特定国民投票運動団体が第百七条の十四の規定に違反して国民投票運動等に関する支出をしたときは、当該特定国民投票運動団体の役職員又は構成員としてその違反行為をした者は、三年以下の禁錮若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 (国民投票運動等に関する寄附の総額制限違反)

第百二十二条の七 次の各号のいずれかに該当する者(団体にあっては、その役職員又は構成員としてその違反行為をした者)は、一年以下の禁錮若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第百七条の十五第一項の規定に違反して寄附をした者

 二 第百七条の十五第二項の規定に違反して寄附を受けた者

 (外国人等又は他人名義等の国民投票運動等に関する寄附の制限違反)

第百二十二条の八 次の各号のいずれかに該当する者(団体にあっては、その役職員又は構成員としてその違反行為をした者)は、三年以下の禁錮若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第百七条の十六第一項又は第百七条の十七第二項の規定に違反して寄附を受けた者

 二 第百七条の十七第一項の規定に違反して寄附をした者

 (受領禁止に違反する寄附に係る財産上の利益の没収)

第百二十二条の九 第百二十二条の七第二号及び前条第一号の違反行為により受けた寄附に係る財産上の利益(第百七条の十七第三項に規定する寄附に係る金銭又は物品を除く。)は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

 (重過失の処罰)

第百二十二条の十 重大な過失により、第百二十二条の三、第百二十二条の四、第百二十二条の五第一項及び第百二十二条の六の違反行為をした者は、当該各条の刑を科する。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

 第百二十五条中「第百二十二条」を「第百二十二条第二項」に改め、第二章第八節中同条の次に次の一条を加える。

 (両罰規定)

第百二十五条の二 団体の役職員又は構成員が、第百二十二条の六から第百二十二条の八までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その団体に対して各本条の罰金刑を科する。

2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

 第百三十五条第一項中「第六項」を「第八項」に改め、同条中第六項を第八項とし、第五項を第六項とし、同項の次に次の一項を加える。

7 第二条第五項及び第六項の規定は、第一項の規定による国民投票について準用する。この場合において、同条第五項中「国会が憲法改正を発議した日」とあるのは「第百三十五条第一項の規定による国民投票を行うべき事由が生じた日」と、「前項」とあるのは「同条第五項」と読み替えるものとする。

 第百三十五条第四項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

4 第二条第二項の規定は、第一項の規定による国民投票について準用する。この場合において、同条第二項中「国会が憲法改正を発議した日」とあるのは「第百三十五条第一項の規定による国民投票を行うべき事由が生じた日」と、「前項」とあるのは「同条第三項」と読み替えるものとする。

 第百四十二条第一項中「次に」を「次の各号に」に、「市町村の」を「各号に定める」に改め、同項各号中「請求」を「請求 当該市町村の選挙管理委員会」に改め、同項に次の一号を加える。

 三 第百七条の二十の報告書等の提出 当該都道府県の選挙管理委員会

 第百四十四条中「含む」を「含み、第百七条の二十の報告書等の提出を除く」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。

 (適用区分)

第二条 この法律による改正後の日本国憲法の改正手続に関する法律の規定は、この法律の施行の日(以下この条及び附則第五条において「施行日」という。)以後にその期日を告示される国民投票(日本国憲法の改正手続に関する法律第一条に規定する国民投票をいう。以下この項において同じ。)について適用し、施行日の前日までにその期日を告示された国民投票については、なお従前の例による。

 (国会法の一部改正)

第三条 国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の一部を次のように改正する。

  第百二条の十一第二項中「手続」の下に「及び事務」を加える。

 (公職選挙法の一部改正)

第四条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第三十一条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。

 4 国民投票(日本国憲法の改正手続に関する法律(平成十九年法律第五十一号)第一条に規定する国民投票をいう。以下この項において同じ。)の期日前十四日に当たる日から国民投票の期日までの間に衆議院が解散されたときは、前項の規定にかかわらず、衆議院の解散による衆議院議員の総選挙は、解散の日から三十四日以後四十日以内に行う。

 (改正後の公職選挙法の適用区分)

第五条 前条の規定による改正後の公職選挙法の規定は、施行日以後に衆議院が解散される場合について適用し、施行日の前日までに衆議院が解散された場合については、なお従前の例による。


     理 由

 憲法改正国民投票の投票人が憲法改正案に関する正確な情報に基づく多様な意見を踏まえて賛成又は反対の判断を行うことができる環境の整備等を図るため、政党等による国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の禁止、特定国民投票運動団体の届出及び収支報告、国民投票運動等に関する支出金額の制限、国民投票運動等に関する寄附の制限、インターネット等を利用した国民投票運動等の適正化、国民投票の当日における国民投票運動の禁止その他の公正な国民投票運動等の実施のための措置、憲法改正案の広報の充実強化及び投票環境の整備等並びに国政選挙の選挙運動期間と国民投票の期日前投票の期間との重複を回避し国民投票に関する周知等のための十分な期間を確保するための措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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