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   厚生労働大臣坂口力君不信任決議案(第一六〇回国会、決議第一号)


 本院は、厚生労働大臣坂口力君を信任せず。
  右決議する。

     理 由
 坂口力君は、厚生労働大臣として、先の通常国会で、国民に多大な負担を強いる、いわゆる「年金改革法」を野党の反対を押し切って強引に成立させた。その際、坂口君は所管大臣でありながら、国民の年金不信解消に努めようともせず、あるいは年金改革に向けた国民の理解を得ようとする努力の姿勢すら見せず、一方的に与党による採決強行に加担したのである。なぜ年金改革が必要なのか。なぜ国民に多大な負担を強いなければならないのか。坂口君は厚生労働大臣として、そうした本質的な問題には一切触れず、あえて根本的な議論を回避することによって、わが国の年金制度に対する国民の信頼を一段と失墜させたのである。その結果は、先の参議院議員選挙で国民の明確な意思として示された。国民は坂口君が率先して成立させた、いわゆる「年金改革法」を明確に否定したのである。国民の声を重んじる大臣であれば、当然のことながら、速やかに法改正に取り組むべきところであるが、坂口君にはそのような姿勢は欠けらもない。加えて、グリーンピア等への年金給付以外の年金資金の多額の流用、相次いで明らかになる社会保険庁や厚生労働省の不正や不祥事。そして、極めつけは、法案の成立後に明らかになった法案の前提である合計特殊出生率の下方修正である。そもそも国民の年金不信には厚生労働省や社会保険庁という役所への根強い不信感がある。それを見事に立証したのがこの問題である。他にも厚生労働省は省としての当然の仕事をしながら、職員が業者から「監修料」として一億円をはるかに超える報酬を、一人あたりにして一〇〇万円を超える報酬を受け取っていた事実が明らかになった。国民年金をめぐる社会保険庁職員の不正アクセス問題や年金の過給付あるいは未払い問題など、国民の不信感を増幅させる事態は枚挙に暇もない。これに加えて、「年金改革法」には四〇カ所に及ぶ誤りがあることが明らかになった。この誤りの中には、国民生活に重大な影響を与える、法案の根幹を揺るがす内容も含まれていたが、政府は、法律を修正して改正案を出し直すという当然の措置を行わず、国会を全く軽視した、「官報による正誤」という極めて安易な対処をしたのである。このような欠陥法の成立を推進した坂口君の責任は極めて重大である。
 また、先に公表された二〇〇三年度の国民年金の納付実績は、未納率が三六・六%と二〇〇二年度実績の三七・二%に比べて見かけ上はわずかに改善したが、その実態は、学生など保険料支払いを免除される人が増え、納付義務を負う人が減ったのが主因で、免除者を含めると未納率は四八・六%と二〇〇二年度実績の四七・八%を上回っているのである。「年金改革法」は、二〇〇七年度に未納率が二〇%に下がることを将来の給付の前提にしているが、未納率を下げる保証はどこにもない。現状の数字が全てを表している。にもかかわらず、坂口厚生労働大臣は自らの発言・行動について責任の自覚も反省もない。どころか、完全に開き直っているのである。これでは国民の年金に対する不信感が解消されるわけがない。
 加えて、日本歯科医師連盟からの自民党・橋本派への一億円の献金問題など疑惑もあとを断たないが、坂口君はその解明に積極的に取り組む姿勢も示していない。
 このような無責任な大臣によって、わが国の厚生労働行政は地に堕ちたと言わざるを得ない。極めて遺憾である。本来ならば、坂口君が自らその職を辞すべきであるが、坂口君には、そのような真摯な姿勢は微塵もない。
 よって、厚生労働大臣坂口力君の罷免を強く求め、不信任決議案を提出する。

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