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   特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案要綱


第一 総則
一 目的
 この法律は、国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情にかんがみ、障害基礎年金等の受給権を有していない障害者に特別障害給付金を支給することにより、その福祉の増進を図ることを目的とすること。                                   (第一条関係)
二 定義
 この法律において「特定障害者」とは、次のいずれかに該当する者であって、障害基礎年金その他障害を支給事由とする政令で定める給付を受ける権利を有していないものをいうこと。
1 その傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」といい、昭和六十一年三月三十一日以前にあるものに限る。)において任意加入制度の対象とされていた被用者年金各法の被保険者等の配偶者又は大学等に在籍する生徒若しくは学生で国民年金制度に加入していなかったものであって、その傷病により現に障害等級一級又は二級の障害の状態にあるもの(当該傷病による障害と当該傷病の初診日以前に初診日のある傷病による障害とを併合して障害等級一級又は二級の障害の状態にあるものを含み、六十五歳に達する日の前日までにおいて障害等級一級又は二級の障害の状態に該当するに至ったものに限る。2において同じ。)
2 その傷病に係る初診日(昭和六十一年四月一日から平成三年三月三十一日までの間にあるものに限る。)において任意加入制度の対象とされていた大学等の生徒又は学生で国民年金制度に加入していなかったものであって、その傷病により現に障害等級一級又は二級の障害の状態にあるもの
                                          (第二条関係)
第二 特別障害給付金の支給
一 特別障害給付金の支給
 1 国は、特定障害者に対し、特別障害給付金を支給すること。
2 1にかかわらず、特別障害給付金は、特定障害者が次のいずれかに該当するとき((2)に該当する場合にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、支給しないこと。
(1) 日本国内に住所を有しないとき。
(2) 監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。
                                       (第三条関係)
二 特別障害給付金の額
 特別障害給付金は、月を単位として支給するものとし、その額は、一月につき、四万円(障害の程度が障害等級の一級に該当する特定障害者にあっては、五万円)とすること。      (第四条関係)
三 特別障害給付金の額の自動改定
1 二の特別障害給付金の額については、総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数(以下「物価指数」という。)が平成十六年(特別障害給付金の額の改定の措置が講じられたときは、直近の当該措置が講じられた年の前年)の物価指数を超え、又は下回るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の四月以降の当該特別障害給付金の額を改定すること。
2 1による特別障害給付金の額の改定の措置は、政令で定めること。
                                        (第五条関係)
四 認定
1 特定障害者は、特別障害給付金の支給を受けようとするときは、六十五歳に達する日の前日までに、社会保険庁長官に対し、その受給資格及び特別障害給付金の額について認定の請求をしなければならないこと。
2 1の認定を受けた者が、特別障害給付金の支給要件に該当しなくなった後再びその要件に該当するに至った場合において、その該当するに至った後の期間に係る特別障害給付金の支給を受けようとするときも、認定の請求の期限に係る部分を除き、1と同様とすること。
3 1又は2による認定の請求は、当該請求をする者の住所地の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)を経由してしなければならないこと。
                                        (第六条関係)
五 支給期間及び支払期月
1 特別障害給付金の支給は、特定障害者が四の1又は2による認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、特別障害給付金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わること。
2 特別障害給付金は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれの前月までの分を支払うこと。ただし、前支払期月に支払うべきであった特別障害給付金又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の特別障害給付金は、その支払期月でない月であっても、支払うものとすること。
                                        (第七条関係)
六 特別障害給付金の額の改定時期
1 特別障害給付金の支給を受けている者につき、障害の程度が増進した場合における特別障害給付金の額の改定は、その者がその改定後の額につき認定の請求をした日の属する月の翌月から行うこと。
2 特別障害給付金の支給を受けている者につき、障害の程度が低下した場合における特別障害給付金の額の改定は、その低下した日の属する月の翌月から行うこと。
                                        (第八条関係)
七 支給の制限
1 特別障害給付金は、特定障害者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の八月から翌年の七月までは、政令で定めるところにより、その額の全部又は二分の一に相当する部分を支給しないこと。
                          (第九条関係)
2 故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする特別障害給付金は、支給しないこと。                 (第十二条関係)
3 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となった事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする特別障害給付金は、その額の全部又は一部を支給しないことができること。                               (第十三条関係)
4 特別障害給付金は、次のいずれかに該当する場合においては、その額の全部又は一部を支給しないことができること。
(1) 特定障害者が、正当な理由がなくて、第四の九の1の命令に従わず、又は当該職員の質問に応じなかったとき。
(2) 特定障害者が、正当な理由がなくて、第四の九の2の命令に従わず、又は当該職員の診断を拒んだとき。
                                      (第十四条関係)
5 特別障害給付金の支給を受けている者が、正当な理由がなくて、第四の八の1による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、特別障害給付金の支払を一時差し止めることができること。                                    (第十五条関係)
八 支給の調整
 特別障害給付金は、特定障害者が国民年金法の規定による老齢基礎年金その他政令で定める給付を受けることができるときは、政令で定めるところにより、その額の全部又は一部を支給しないこと。ただし、当該給付の全額につきその支給が停止されているときは、この限りでないこと。 (第十六条関係)
第三 不服申立て
 社会保険庁長官のした特別障害給付金の支給に関する処分は、国民年金法に基づく処分とみなして、同法第百一条及び第百一条の二の規定並びに社会保険審査官及び社会保険審査会法の規定を適用すること。
                                        (第十七条関係)
第四 雑則
一 国民年金保険料の免除に関する特例
特別障害給付金の支給を受けている者であって国民年金の被保険者であるものに係る国民年金法第九十条及び第九十条の二の規定の適用に関し必要な事項については、同法の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができること。                       (第十八条関係)
二 費用の負担
1 特別障害給付金の支給に要する費用は、その全額を国庫が負担すること。
2 国庫は、毎年度、予算の範囲内で、特別障害給付金に関する事務の執行に要する費用を負担すること。
                                       (第十九条関係)
三 事務費の交付
 国は、政令で定めるところにより、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し、市町村長がこの法律又はこの法律に基づく政令の規定によって行う事務の処理に必要な費用を交付すること。
                                       (第二十条関係)
四 時効
 特別障害給付金の支給を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によって消滅すること。
                                      (第二十一条関係)
五 不正利得の徴収
 偽りその他不正の手段により特別障害給付金の支給を受けた者があるときは、社会保険庁長官は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができること。                                (第二十二条関係)
六 受給権の保護
 特別障害給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないこと。                                    (第二十三条関係)
七 公課の禁止
 租税その他の公課は、特別障害給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができないこと。                                   (第二十四条関係)
八 届出
1 特別障害給付金の支給を受けている者は、厚生労働省令で定めるところにより、社会保険庁長官に対し、厚生労働省令で定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令で定める書類その他の物件を提出しなければならないこと。
2 特別障害給付金の支給を受けている者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を社会保険庁長官に届け出なければならないこと。
3 1又は2の届出又は提出は、当該届出又は提出をする者の住所地の市町村長を経由して行わなければならないこと。
                                      (第二十七条関係)
九 調査
1 社会保険庁長官は、必要があると認めるときは、特定障害者に対して、受給資格の有無及び特別障害給付金の額の決定のために必要な事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し特定障害者その他の関係者に質問させることができること。
2 社会保険庁長官は、必要があると認めるときは、特定障害者に対して、その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をして特定障害者の障害の状態を診断させることができること。
                                      (第二十八条関係)
十 市町村長が行う事務
 特別障害給付金の支給に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、市町村長が行うこととすることができること。                            (第三十一条関係)
十一 事務の区分
 第二の四の3及び第四の八の3により市町村が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とすること。                               (第三十二条関係)
十二 罰則
1 偽りその他不正の手段により特別障害給付金を受けた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すること。ただし、刑法に正条があるときは、刑法によること。      (第三十五条関係)
2 第四の八の2に違反して届出をしなかった戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、十万円以下の過料に処すること。                            (第三十六条関係)
第五 その他
一 施行期日
 この法律は、平成十七年四月一日から施行すること。             (附則第一条関係)
二 検討
 障害を支給事由とする年金たる給付を受けられない特定障害者以外の障害者に対する福祉的措置については、国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情を踏まえ、障害者の福祉に関する施策との整合性等に十分留意しつつ、今後検討が加えられるべきものとすること。     (附則第二条関係)
三 財源の確保
国は、この法律に基づく特別障害給付金の支給に要する費用を賄うための安定した財源の確保に努めるものとすること。                             (附則第三条関係)
四 経過措置等
1 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において六十五歳以上の特定障害者は、施行日から五年以内に限り、第二の四の1にかかわらず、第二の四の1による認定の請求をすることができること。                                  (附則第四条関係)
2 その他所要の規定を整備すること。

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