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   公共工事の品質確保の促進に関する法律案要綱


第一 目的
  この法律は、公共工事の品質確保が、良質な社会資本の整備を通じて、豊かな国民生活の実現及びその安全の確保、環境の保全(良好な環境の創出を含む。)、自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであるとともに、現在及び将来の世代にわたる国民の利益であることにかんがみ、公共工事の品質確保に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めることにより、公共工事の品質確保の促進を図り、もって国民の福祉の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすること。                 (第一条関係)
第二 定義
 この法律において「公共工事」とは、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第二条第二項に規定する公共工事をいうものとすること。                   (第二条関係)
第三 基本理念
一 公共工事の品質は、公共工事が現在及び将来における国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有することにかんがみ、国及び地方公共団体並びに公共工事の発注者及び受注者がそれぞれの役割を果たすことにより、現在及び将来の国民のために確保されなければならないものとすること。
二 公共工事の品質は、建設工事が、目的物が使用されて初めてその品質を確認できること、その品質が受注者の技術的能力に負うところが大きいこと、個別の工事により条件が異なること等の特性を有することにかんがみ、経済性に配慮しつつ、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならないものとすること。
三 公共工事の品質は、これを確保する上で工事の効率性、安全性、環境への影響等が重要な意義を有することにかんがみ、より適切な技術又は工夫により、確保されなければならないものとすること。
四 公共工事の品質確保に当たっては、入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性並びに競争の公正性が確保されること、談合その他の不正行為の排除が徹底されること並びに適正な施工が確保されることにより、受注者としての適格性を有しない建設業者が排除されること等の入札及び契約の適正化が図られるように配慮されなければならないものとすること。
五 公共工事の品質確保に当たっては、民間事業者の能力が適切に評価され、並びに入札及び契約に適切に反映されること、民間事業者の積極的な技術提案(競争に付された公共工事に関する技術又は工夫についての提案をいう。以下同じ。)及び創意工夫が活用されること等により民間事業者の能力が活用されるように配慮されなければならないものとすること。
六 公共工事の品質確保に当たっては、公共工事の発注者及び受注者が各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行するように配慮されなければならないものとすること。                                (第三条関係)
第四 国等の責務
一 国の責務
  国は、第三の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するものとすること。
 二 地方公共団体の責務
地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、公共工事の品質確保の促進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するものとすること。
 三 発注者の責務
 1 公共工事の発注者(以下「発注者」という。)は、基本理念にのっとり、その発注に係る公共工事の品質が確保されるよう、仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督及び検査並びに施工状況の評価その他の事務(以下「発注関係事務」という。)を適切に実施しなければならないものとすること。
2 発注者は、公共工事の施工状況の評価に関する資料その他の資料が将来における自らの発注及び他の発注者による発注に有効に活用されるよう、これらの資料の保存に関し、必要な措置を講じなければならないものとすること。
3 発注者は、発注関係事務を適切に実施するために必要な職員の配置その他の体制の整備に努めなければならないものとすること。
 四 受注者の責務
 公共工事の受注者は、基本理念にのっとり、契約された公共工事を適正に実施するとともに、そのために必要な技術的能力の向上に努めなければならないものとすること。(第四条から第七条まで関係)
第五 基本方針
一 政府は、公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないものとすること。
二 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとすること。
 1 公共工事の品質確保の促進の意義に関する事項
  2 公共工事の品質確保の促進のための施策に関する基本的な方針
三 基本方針の策定に当たっては、特殊法人等及び地方公共団体の自主性に配慮しなければならないものとすること。
四 政府は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。
 五 各省各庁の長、特殊法人等の代表者及び地方公共団体の長は、基本方針に定めるところに従い、公共工事の品質確保の促進を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
 六 政府は、基本方針の策定及びこれに基づく施策の実施に関し、関係行政機関による協力体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとすること。            (第八条から第十条まで関係)
第六 競争参加者の技術的能力の審査
発注者は、その発注に係る公共工事の契約につき競争に付するときは、競争に参加しようとする者について、工事の経験、施工状況の評価、当該公共工事に配置が予定される技術者の経験その他競争に参加しようとする者の技術的能力に関する事項を審査しなければならないものとすること。 (第十一条関係)
第七 競争参加者の技術提案
一 発注者は、当該公共工事の内容に照らし、その必要がないと認めるときを除き、競争に参加する者(競争に参加しようとする者を含む。)に対し、技術提案を求めるよう努めなければならないものとすること。
二 発注者は、技術提案がされたときは、これを適切に審査し、及び評価しなければならないものとすること。
三 発注者は、競争に付された公共工事を技術提案の内容に従って確実に実施することができないと認めるときは、当該技術提案を採用しないことができるものとすること。
四 発注者は、技術提案の審査及び評価における公正性及び透明性が確保されるよう努めなければならないものとすること。                             (第十二条関係)
第八 技術提案の改善
  発注者は、技術提案をした者に対し、その審査において、当該技術提案についての改善を求め、又は改善を提案する機会を与えることができるものとし、この場合において、発注者は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第四条から第八条までに定める公共工事の入札及び契約に関する情報の公表がなされない公共工事についての技術提案の改善に係る過程を除き、技術提案の改善に係る過程について、その概要を公表しなければならないものとすること。             (第十三条関係)
第九 高度な技術等を含む技術提案を求めた場合の予定価格
発注者は、高度な技術又は優れた工夫を含む技術提案を求めたときは、当該技術提案の審査の結果を踏まえて、予定価格を定めることができるものとし、この場合において、発注者は、当該技術提案の審査に当たり、中立の立場で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴くものとすること。
                                        (第十四条関係)
第十 発注関係事務を適切に実施することができる者の活用
一 発注者は、その発注に係る公共工事が専門的な知識又は技術を必要とすることその他の理由により自ら発注関係事務を適切に実施することが困難であると認めるときは、国、地方公共団体その他法令又は契約により発注関係事務の全部又は一部を行うことができる者の能力を活用するよう努めなければならないものとし、この場合において、発注者は、発注関係事務を適正に行うことができる知識及び経験を有する職員が置かれていること、法令の遵守及び秘密の保持を確保できる体制が整備されていることその他発注関係事務を公正に行うことができる条件を備えた者を選定するものとすること。
 二 国及び都道府県は、発注者を支援するため、専門的な知識又は技術を必要とする発注関係事務を適切     に実施することができる者の育成その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。                                    (第十五条関係)
第十一 公共工事建設コンサルタント業務において提供される役務の品質確保
公共工事建設コンサルタント業務(請負又は受託により公共工事の設計若しくは監理又は公共工事に関する調査、企画、立案若しくは助言を行う業務をいう。以下同じ。)の発注に当たっては、公共工事建設コンサルタント業務において提供される役務の品質が、公共工事の品質と相まって良質な社会資本の整備を図る上で重要な役割を果たすことにかんがみ、基本理念の趣旨を踏まえ、公共工事建設コンサルタント業務において提供される役務の品質が確保されなければならないものとすること。  (第十六条関係)
第十二 施行期日
  この法律は、平成十七年四月一日から施行するものとすること。           (附則関係)

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