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   私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案要綱


第一 課徴金の名称の変更
現行の課徴金の名称を行政制裁金に改めるものとすること。
第二 行政制裁金の基準率の設定等
一 不当な取引制限等を行った事業者に対して納付を命ずる行政制裁金の額の計算に係る売上額に乗ずる率を引き上げ、百分の十(小売業百分の三、卸売業百分の二)とし、併せて規模の小さい事業者に対して納付を命ずる行政制裁金の額の計算に係る売上額に乗ずる率を引き上げ、百分の四(小売業百分の一・二、卸売業百分の一)とするものとすること。        (第七条の二第一項及び第四項関係)
二 行政制裁金の納付を命ずる場合において、当該事業者が調査開始日からさかのぼり十年以内に、一回に限り行政制裁金納付命令等を受けたことがあるときは一の基準率に当該基準率の百分の五十を加えて得た率を、二回以上行政制裁金納付命令等を受けたことがあるときは一の基準率に当該基準率の百分の百を加えて得た率を、適用するものとすること。
                            (第七条の二第五項及び第六項関係)
三 その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第三 行政制裁金適用対象範囲の見直し
行政制裁金適用対象行為を次に掲げる行為とするものとすること。
1 不当な取引制限等で、商品若しくは役務の対価に係るもの又は供給量若しくは購入量、市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することにより対価に影響することとなるもの
                                  (第七条の二第一項関係)
2 私的独占(他の事業者の事業活動を支配することによるものに限る。)で、当該他の事業者が供給する商品若しくは役務の対価に係るもの又は供給量、市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することにより対価に影響することとなるもの           (第七条の二第二項関係)
第四 行政制裁金と罰金刑が併科される場合の措置
同一の事業者に対して行政制裁金と罰金刑が併科される場合において、行政制裁金の額から罰金額に相当する金額を控除する措置を設けるものとすること。
                 (第七条の二第十五項及び第十六項並びに第四十八条の三関係)
第五 行政制裁金の減免制度の導入
一 公正取引委員会は、行政制裁金納付命令対象事業者(不当な取引制限等を行った者に限る。以下同じ。)が次のいずれにも該当するときは、行政制裁金の納付を命じないものとすること。
                                   (第七条の二第七項関係)
1 公正取引委員会の調査開始日前に、公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為をした事業者のうち最初に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行った者であること。
2 公正取引委員会の調査開始日以後において、当該違反行為をしていた者でないこと。
二 公正取引委員会は、行政制裁金納付命令対象事業者が次のいずれにも該当するときは第二の一又は二の算定率により計算した行政制裁金の額に百分の五十を乗じて得た額を、当該行政制裁金の額から減額するものとすること。                        (第七条の二第八項関係)
1 公正取引委員会の調査開始日前に、公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為をした事業者のうち二番目に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行った者であること。
2 公正取引委員会の調査開始日以後において、当該違反行為をしていた者でないこと。
三 公正取引委員会は、行政制裁金納付命令対象事業者が、1及び3に該当するとき(2に該当するときを除く。)は第二の一又は二の算定率により計算した行政制裁金の額に百分の三十以内において政令で定める率を乗じて得た額を、1から3までのいずれにも該当するときは第二の一又は二の算定率により計算した行政制裁金の額に当該政令で定める率に百分の二十を加えて得た率を乗じて得た額を、それぞれ当該行政制裁金の額から減額するものとすること。          (第七条の二第九項関係)
1 公正取引委員会の調査開始日前の公正取引委員会規則で定める期日以後において、この法律その他の法令の規定を遵守するための政令で定める基準に適合する管理体制を有している者(一又は二に該当する場合を除く。)であること。
2 公正取引委員会の調査開始日以後の公正取引委員会規則で定める期日までに、公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為及び当該違反行為に関する入札談合等関与行為に係る事実の報告及び資料の提出(既に公正取引委員会によって把握されている事実に係るものを除く。四において同じ。)を行った者であること。
3 1の期日以後において、当該違反行為をしていた者でないこと。
四 公正取引委員会は、行政制裁金納付命令対象事業者が、次のいずれにも該当するときは、第二の一又は二の算定率により計算した行政制裁金の額に百分の二十を乗じて得た額を、当該行政制裁金の額から減額するものとすること。                      (第七条の二第十項関係)
1 公正取引委員会の調査開始日以後の公正取引委員会規則で定める期日までに、公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為及び当該違反行為に関する入札談合等関与行為に係る事実の報告及び資料の提出を行った者(一から三までに該当する場合を除く。)であること。
2 1の期日以後において、当該違反行為をしていた者でないこと。
五 公正取引委員会が、一から四までによる報告及び資料の提出を行った事業者に対して行政制裁金の納付命令等をするまでの間に、次のいずれかに該当する事実があると認めるときは、一から四までにかかわらず、行政制裁金の減免を行わないものとすること。        (第七条の二第十三項関係)
1 当該事業者が行った当該報告又は提出した資料に虚偽の内容が含まれていたこと。
2 当該事業者が求められた報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたこと。
3 当該事業者がした当該違反行為に係る事件において、当該事業者が他の事業者に対し違反行為をすることを強要し、又は他の事業者が違反行為をやめることを妨害していたこと。
六 その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第六 行政制裁金減免調査官の設置
行政制裁金の減免に関する事由の調査に係る事務を行わせるため、事務総局に政令で定める定数の行政制裁金減免調査官を置くものとし、行政制裁金減免調査官の過半数は弁護士の資格を有する者でなければならないものとすること。               (第三十五条第九項から第十二項まで関係)
第七 犯則調査権限の導入等
一 犯則事件(第八十九条から第九十一条までの罪に係る事件)を調査するため必要があるときには、公正取引委員会の職員は臨検、捜索、差押え等ができるようにするとともに、公正取引委員会は、当該調査により犯則の心証を得たときは、告発を行うこととする等、所要の規定を整備するものとすること。
                     (第七十四条第一項、第百一条から第百十八条まで関係)
二 刑事事件に係る東京高等裁判所専属管轄及び審級省略制度を廃止し、第一審の管轄を全国の地方裁判所に拡大するとともに、各高等裁判所所在地の地方裁判所及び東京地方裁判所の管轄にも属するものとすること。                     (第八十四条の三及び第八十四条の四関係)
第八 罰則規定の見直し
事件について必要な調査をするための事件関係人等に対する処分等に係る罰則を一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金とするとともに、行為者を罰するほか、法人等に対しても罰金刑を科するものとすること。                       (第九十四条及び第九十五条第二項第二号関係)
第九 排除措置を命ずることができる期間の変更
違反行為が既になくなっている場合において、当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることができる期間を、当該行為がなくなった日から当該行為につき勧告又は審判手続が開始されることなく二年を経過したときとするものとすること。
                                    (第七条第二項関係)
第十 審判官の定員の増加及び法曹の登用
事務総局に審判官二十人以内を置くものとし、審判官の過半数は弁護士の資格を有する者でなければならないものとすること。                   (第三十五条第七項及び第八項関係)
第十一 価格の同調的引上げに係る報告徴収規定の廃止
価格の同調的引上げに対する報告徴収規定を廃止するものとすること。   (旧第十八条の二関係)
第十二 その他
一 この法律の施行期日、経過措置等について定めるものとすること。
二 政府は、この法律の施行後二年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、行政制裁金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
三 政府は、この法律の施行後一年以内に、入札談合等に係る事件の発生に関する状況、入札談合等の実態等を勘案し、国等の職員が入札談合等に関与する行為の排除及び防止のための制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
四 所得税法その他の関係法律について所要の改正を行うものとすること。

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