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携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律案要綱


第一 総則
一 目的
この法律は、携帯音声通信事業者による携帯音声通信役務の提供を内容とする契約の締結時等における本人確認に関する措置、通話可能端末設備の譲渡等に関する措置等を定めることにより、携帯音声通信事業者による契約者の管理体制の整備の促進及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止を図ることを目的とするものとすること。                          (第一条関係)
二 定義
1 この法律において「携帯音声通信」とは、携帯して使用するために開設する無線局(4において「無線局」という。)と、当該無線局と通信を行うために陸上に開設する移動しない無線局との間で行われる無線通信のうち音声その他の音響を送り、伝え、又は受けるものをいうものとすること。
                                    (第二条第一項関係)
2 この法律において「携帯音声通信役務」とは、電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務(以下「電気通信役務」という。)のうち携帯音声通信に係るものであって、その電気通信役務の提供を受ける者の管理体制の整備を促進する必要があると認められるものとして総務省令で定めるものをいうものとすること。                       (第二条第二項関係)
3 この法律において「携帯音声通信事業者」とは、電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者のうち携帯音声通信役務を提供するものをいうものとすること。   (第二条第三項関係)
4 この法律において「携帯音声通信端末設備」とは、電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備のうち携帯音声通信を行うための無線局の無線設備をいうものとすること。
(第二条第四項関係)
5 この法律において「通話可能端末設備」とは、携帯音声通信端末設備であって携帯音声通信役務の提供に利用されている電気通信回線設備(電気通信事業法第九条に規定する電気通信回線設備をいう。)に接続され通話が可能なものをいうものとすること。        (第二条第五項関係)
第二 本人確認等
一 契約締結時の本人確認義務等
1 携帯音声通信事業者は、携帯音声通信役務の提供を受けようとする者との間で、携帯音声通信役務の提供を内容とする契約(以下「役務提供契約」という。)を締結するに際しては、運転免許証の提示を受ける方法その他の総務省令で定める方法により、当該役務提供契約を締結しようとする相手方について、次の本人特定事項の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならないものとすること。                               (第三条第一項関係)
  (一)自然人 氏名、住居及び生年月日
  (二)法人 名称及び本店又は主たる事務所の所在地
2 相手方は、携帯音声通信事業者が本人確認を行う場合において、当該携帯音声通信事業者に対して、相手方の本人特定事項を偽ってはならないものとすること。        (第三条第四項関係)
二 本人確認記録の作成義務等
1 携帯音声通信事業者は、本人確認を行ったときは、速やかに、総務省令で定める方法により、本人特定事項その他の本人確認に関する事項として総務省令で定める事項に関する記録(以下「本人確認記録」という。)を作成しなければならないものとすること。       (第四条第一項関係)
2 携帯音声通信事業者は、本人確認記録を、役務提供契約が終了した日から三年間保存しなければならないものとすること。                        (第四条第二項関係)
三 譲渡時の本人確認義務等
  携帯音声通信事業者は、通話可能端末設備の譲渡その他の携帯音声通信役務の提供を受ける者としての役務提供契約上の地位の承継に基づき、契約者の名義を変更するに際しては、譲受人等の本人特定事項の確認(以下「譲渡時本人確認」という。)を行わなければならないものとすること。
(第五条第一項関係)
 四 媒介業者等による本人確認等
1 携帯音声通信事業者は、本人確認又は譲渡時本人確認を、当該携帯音声通信事業者のために役務提供契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を業として行う者(以下「媒介業者等」という。)に行わせることができるものとすること。                     (第六条第一項関係)
2 携帯音声通信事業者は、本人確認又は譲渡時本人確認を媒介業者等に行わせることとした場合には、当該本人確認又は当該譲渡時本人確認を行うことを要しないものとすること。(第六条第二項関係)                        
五 譲渡時の携帯音声通信事業者の承諾
1 契約者は、自己が契約者となっている役務提供契約に係る通話可能端末設備を他人に譲渡しようとする場合には、親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合を除き、あらかじめ携帯音声通信事業者の承諾を得なければならないものとすること。          (第七条第一項関係)
2 携帯音声通信事業者は、譲受人等につき譲渡時本人確認を行った後でなければ、1の承諾をしてはならないものとすること。                    (第七条第二項関係)
 六 契約者確認の求め
 警察署長は、携帯音声通信役務の不正な利用の防止を図るため、次のいずれかに該当する場合において必要があると認めるときは、それぞれに定める罪に当たる行為に係る通話可能端末設備につき役務提供契約を締結した携帯音声通信事業者に対し、国家公安委員会規則で定める方法により、当該役務提供契約に係る契約者の確認をすることを求めることができるものとすること。  (第八条第一項関係)
1 この法律に規定する罪に当たる行為が行われたと認めるに足りる相当の理由がある場合
2 携帯音声通信役務が刑法第二百四十六条の罪又は第二百四十九条の罪に当たる行為その他携帯音声通信役務が多く利用され、かつ、その行為による被害又は公共の危険を防止する必要性が高いものとして政令で定める罪に当たる行為に利用されていると認めるに足りる相当の理由がある場合
 七 契約者確認
 六により確認の求めを受けた携帯音声通信事業者は、当該契約者について、本人特定事項その他契約者が携帯音声通信役務の提供を受ける者としての役務提供契約上の地位を有する者であることを確認するために必要な事項の確認を行うことができるものとすること。       (第九条第一項関係)
八 匿名貸与営業の禁止
 何人も、次の者に対し、それぞれに定める事項を確認しないで、業として有償で通話可能端末設備を貸与してはならないものとすること。                      (第十条関係)
1 自然人 氏名及び居所又は電話番号(当該貸与に係る通話可能端末設備の電話番号以外のものに限る。)その他の連絡先
2 法人 名称及び本店又は主たる事務所の所在地
九 携帯音声通信役務等の提供の拒否
 携帯音声通信事業者は、次の場合には、携帯音声通信役務の提供その他役務提供契約に係る通話可能端末設備により提供される当該携帯音声通信役務以外の電気通信役務の提供を拒むことができるものとすること。                                 (第十一条関係)
1 相手方が本人確認に応じない場合(当該相手方がこれに応じるまでの間に限る。)
2 譲受人等が譲渡時本人確認に応じない場合(当該譲受人等がこれに応じるまでの間に限る。)
3 第二の五に違反して通話可能端末設備が譲渡された場合
4 契約者が七の本人特定事項の確認に応じない場合(当該契約者がこれに応じるまでの間に限る。)
5 八に違反して通話可能端末設備が貸与された場合
 十 媒介業者等の監督
 携帯音声通信事業者は、本人確認又は譲渡時本人確認を媒介業者等に行わせることとした場合には、当該本人確認又は当該譲渡時本人確認が確実に行われるよう、総務省令で定めるところにより、当該媒介業者等に対し必要かつ適切な監督を行わなければならないものとすること。   (第十二条関係)
第三 監督
一 報告
 総務大臣は、携帯音声通信事業者・媒介業者等に対しその業務に関して報告又は資料の提出を求めることができるものとすること。                        (第十三条関係)
二 立入検査
総務大臣は、当該職員に携帯音声通信事業者・媒介業者等の営業所その他の施設に立ち入らせ、本人確認記録その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができるものとすること。                                 (第十四条第一項関係)
三 是正命令
 総務大臣は、携帯音声通信事業者・媒介業者等に対し、違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。                (第十五条関係)
第四 雑則
 総務大臣及び国家公安委員会は、携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関し、相互に協力するものとするものとすること。                           (第十六条関係)
第五 罰則
一 本人特定事項を隠ぺいする目的で、第二の一の2に違反した者は、五十万円以下の罰金に処するものとすること。                                (第十九条関係)
二 
1 第二の五の1に違反して、業として有償で通話可能端末設備を譲渡した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。  (第二十条第一項関係)
2 相手方が第二の五の1に違反していることの情を知って、業として有償で当該違反に係る通話可能端末設備を譲り受けた者も、1と同様とするものとすること。      (第二十条第二項関係)
三 
1 自己が契約者となっていない役務提供契約に係る通話可能端末設備を他人に譲渡した者は、五十万円以下の罰金に処するものとすること。                (第二十一条第一項関係)
2 相手方が通話可能端末設備に係る役務提供契約の契約者となっていないことの情を知って、その者
から当該通話可能端末設備を譲り受けた者も、1と同様とするものとすること。
(第二十一条第二項関係)
3 業として1又は2の罪に当たる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。              (第二十一条第三項関係)

1 第二の八に違反した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。                        (第二十二条第一項関係)
2 相手方が第二の八に違反していることの情を知って、当該違反に係る通話可能端末設備の貸与を受けた者は、五十万円以下の罰金に処するものとすること。       (第二十二条第二項関係)
五 二から四までの罪に当たる行為の相手方となるよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者は、五十万円以下の罰金に処するものとすること。   (第二十三条関係)
六 第三の三による命令に違反した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれ
を併科するものとすること。                        (第二十四条関係)
七 次のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。                           (第二十五条関係)
  1 第三の一による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
  2 第三の二による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
八 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して一から七までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対してそれぞれの罰金刑を科するものとすること。                     (第二十六条関係)
第六 附則 
一 施行期日 
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するもの
とすること。ただし、契約者確認及び匿名貸与営業の禁止に係るものについては、公布の日から起算し
て二十日を経過した日から施行するものとすること。             (附則第一条関係)
二 経過措置
 この法律の施行の際現に役務提供契約に基づき携帯音声通信役務の提供を受けている者について、必要な経過措置を定めるものとすること。          (附則第二条から附則第七条まで関係)
 三 検討
 この法律の規定については、この法律の施行後一年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとするものとすること。
(附則第八条関係)

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