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   労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱


第一 業務上の優位性を利用して行われる労働者に苦痛を与えるおそれのある言動に関し事業者の講ずべき措置(第71条の5関係)
 一 事業者は、次の者が、それぞれに定める労働者に対し、当該労働者との間における業務上の優位性を利用して行う当該労働者に精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動であって業務上適正な範囲を超えるものを行い、及び当該言動により当該労働者の職場環境が害されることのないよう、当該事業者の従業者に対する周知及び啓発、当該言動に係る実態の把握、当該事業者の労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備、当該言動を受けた労働者及び当該言動を行った者に係る迅速かつ適切な対応その他の必要な措置を講じなければならないこと。
  (1) 当該事業者又はその従業者 当該事業者の労働者又は当該事業者以外の事業を行う者の労働者
  (2) 当該事業者以外の事業を行う者又はその従業者 当該事業者の労働者
 二 厚生労働大臣は、一により事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針(以下第一において「指針」という。)を定めるものとすること。
 三 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たっては、一の言動を受けた労働者の利益の保護に特に配慮するものとすること。
 四 厚生労働大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとすること。
 五 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとすること。
 六 三から五までは、指針の変更について準用すること。
第二 消費者対応業務の遂行に関連して行われる労働者に苦痛を与えるおそれのある言動に関し事業者の講ずべき措置(第71条の6関係)
 一 事業者は、その労働者を消費者対応業務(個人に対する物又は役務の提供その他これに準ずる事業活動に係る業務のうち、その相手方に接し、又は応対して行うもの(事業を行う者又はその従業者に専ら接し、又は応対して行うものを除く。)であって、厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)に従事させる場合には、当該労働者に対しその消費者対応業務の遂行に関連して行われる当該労働者に業務上受忍すべき範囲を超えて精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動(当該労働者と業務上の関係を有する者により行われるものを除く。)により、当該労働者の職場環境が害されることのないよう、当該消費者対応業務の態様に応じ、当該労働者の職場において当該言動に適切に対処するために必要な体制の整備、当該労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならないこと。
 二 厚生労働大臣は、一により事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を定めるものとすること。
 三 第一の四及び五は、二の指針の策定及び変更について準用すること。
 四 その消費者対応業務の全部又は一部を委託する者は、当該委託を受けた事業者が当該委託に係る消費者対応業務について一により講ずべき措置を適切かつ有効に実施することができるよう、必要な配慮を行うものとすること。
第三 助言、指導及び勧告並びに公表(第71条の7関係)
 一 厚生労働大臣は、第一の一及び第二の一の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、助言、指導又は勧告をすることができること。
 二 厚生労働大臣は、第一の一又は第二の一に違反している事業者に対し、一による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができること。
第四 調査研究等 (第71条の8関係)
  政府は、第一の一及び第二の一の言動に関し、その実態の調査、当該言動により労働者の職場環境が害されることの効果的な防止に関する研究その他の調査研究並びに情報の収集、整理及び分析を行うものとすること。
第五 国の援助(第71条の9関係)
  国は、第一の一及び第二の一により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため、相談、情報の提供その他の必要な援助に努めるものとすること。
第六 施行期日等
 一 施行期日(附則第1条関係)
   この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
 二 検討(附則第2条関係)
   政府は、この法律の施行後3年を目途として、この法律による改正後の労働安全衛生法の施行の状況等を勘案し、第一の一の言動がその労働者に対し他の事業者又はその従業者によって行われた場合に事業者が当該他の事業者に第一の一の措置を求めることにより不当な不利益を受けることの防止に関する施策その他の事業者が当該他の事業者に第一の一の措置を求めやすくするための施策及び第二の一の言動が行われることを防止するための施策を含め、他の者の言動により労働者の職場環境が害されることを防止するための施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 三 労働安全衛生法の適用を受けない国家公務員、船員等に関する措置(附則第3条関係)
   労働安全衛生法の適用を受けない国家公務員、船員等については、この法律による改正後の同法第7章の3の規定を踏まえ、必要な措置が講ぜられるものとすること。
 四 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正等(附則第4条等関係)
   労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、当該派遣先の事業を行う者もまた当該派遣中の労働者を使用する事業者と、当該派遣中の労働者を当該派遣先の事業を行う者にもまた使用される労働者とみなして第一の一及び第二の一を適用すること等所要の規定の整備を行うこと。

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