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法律第二号(昭二三・一・七)

◎財閥同族支配力排除法

第一章 総則

第一条 この法律は、財閥の事業の形成維持に有力な寄与をした人的結合を切り離し、以て民主的で健全な経済の発達を促進することを目的とする

第二条 この法律において財閥とは、この法律施行の日において現に持株会社整理委員会令第一条第一項の規定による指定者の指定を受けている個人につき内閣総理大臣が血族、姻族その他これに準ずる関係に基き指定する区分に従い、その同一区分に属する者の群をいう。

この法律において財閥会社とは(イ)昭和二十年九月二日において資本金額が千万円を超える会社で、ある財閥の直接又は間接に支配する出資の額面の合計額がその資本金額の三割を超えるもの(ロ)ある財閥の直接又は間接に支配する出資の額面の合計額が千万円を超える会社(但し、(イ)及び(ロ)に関し事実上財閥に支配されたものでないとみなされるものについては指定に当りこれを除外するものとする。)(ハ)その他財閥の事業の形成維持に有力な寄与をし又は財閥の経済的支配力の行使に有力な手段となつていたものとして内閣総理大臣が指定する法人その他団体をいう。

前項の財閥会社は、内閣総理大臣が各会社の沿革、事業の規模、各財閥の経済的支配の程度等についての差異に基く区分により、財閥直系会社、財閥準直系会社又は財閥傍系会社としてこれを指定する。

この法律において制限会社とは、昭和二十年勅令第六百五十七号(会社の解散の制限等に関する勅令)第一条ノ二に規定する指定会社をいう。

この法律において従属会社及び関係会社とは、昭和二十一年勅令第五百六十七号(会社の証券保有制限等に関する勅令)第一条に規定する従属会社及び関係会社をいう。

この法律において役員とは、取締役、業務執行社員、監査役及びその他顧問、相談役等名称の如何にかゝわらずこれらの職と同等以上の権限又は支配力を有する職に在る者をいう。

第三条 この法律において財閥関係役員とは、財閥会社の役員でその任免が当該財閥の支配下に在り、且つ、当該財閥の利益を代表して当該会社の重要な業務の運営がに参加していたものをいう。

前項の財閥関係役員とは左の各号の一に該当する者とする。但し、内閣総理大臣がこの法律の定めるところに基き、財閥関係役員に該当しない者として承認した者を除く。

一 昭和二十年九月二日以前において財閥会社の役員の職に在つた者

二 財閥会社の発行に係る株式について昭和二十一年勅令第五百六十七号第四条第四項(同令第十七条において準用する場合を含む。)若しくは持株会社整理委員会令第十条第三項の規定による議決権の行使の委任又は同条第一項若しくは第二項の規定による譲渡があつた場合において昭和二十年九月三日以後最初に議決権の行使の委任又は譲渡がなされた日までの間において、その株式を発行した財閥直系会社の役員の職又は財閥準直系会社若しくは財閥傍系会社の常務取締役若しくはこれと同等以上の権限若しくは支配力を有する役員の職に在つた者

第二章 財閥同籍者

第四条 財閥に属する者が持株会社整理委員会令第一条第一項の規定による指定を受けた際現にその者と同一戸籍内に在つた者(以下財閥同籍者という。)で、この法律施行の際現にいずれかの財閥について内閣総理大臣の指定のあつた財閥会社若しくは制限会社又はこの法律施行の際現にこれらの会社の従属会社若しくは関係会社となつている会社の役員の職に在るものは、この法律施行の日から三十日以内にその職を辞さなければならない。その期間内に職を辞さない場合においては、三十一日目にその職を失う。

前項の場合において業務執行社員の職に在る者は、業務執行権を有しない無限責任社員となるものとする。

財閥同籍者は、この法律施行の日から十年間は、第一項の会社の役員の職に就き、又は同項の会社の役員の職に属する行為をしてはならない。

商法第二百五十八条第一項(これを準用する場合を含む。)の規定は、辞任又は任期の満了に因り財閥同籍者が第一項の会社の役員の職を退いた場合には、これを適用しない。

第三章 財閥関係役員

第五条 財閥関係役員は、この法律施行の際現に当該財閥について指定のあつた財閥会社若しくは制限会社又はこの法律施行の際これらの会社の従属会社若しくは関係会社となつている会社の役員の職に在る場合においては、第六条第一項若しくは第七条第一項の規定により承認の申請をしないときは、この法律施行の日から三十日以内に、又かかる承認の申請をして同項の規定により内閣総理大臣による財閥関係役員に該当する者として通知を受けたときは、その通知を受けた日から三十日以内にその職を辞さなければならない。その期間内に職を辞さない場合においては三十一日目にその職を失う。

財閥関係役員は、この法律施行の日から十年間は、前項に規定する会社の役員の職に就き、又はこれ等の会社の役員の職に属する行為をしてはならない。

前条第二項及び第四項の規定は、第一項の場合にこれを準用する。

第六条 第三条第二項各号に掲げる者で左の各号の一に該当する事由があることの明確な証拠を提出し得る者は、証拠書類を付し内閣総理大臣に対し財閥関係役員でないことの承認を申請することができる。

一 昭和二十年九月二日以前において財閥会社の役員の職に在つた期間において、当該会社が当該財閥に属する者又は当該財閥について指定のあつた財閥会社の支配に属していなかつたこと。

二 本人の役員としての就任事情又はその職務の執行の実情より見て本人を財閥関係役員とみなすことが明かに不当であると認められること

内閣総理大臣は前項の申請を受理した場合、これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その審査の結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。

第一項に規定する者で、この法律施行の際現に当該財閥について指定のあつた財閥会社若しくは制限会社又はこの法律施行の際これらの会社の従属会社若しくは関係会社となつている会社の役員の職に在る者が、同項の申請をしようとする場合は、この法律施行の日から三十日以内にこれをしなければならない。

第七条 前条第一項の規定による外第三条第二項第一号に該当する者で財閥準直系会社の常務取締役若しくはこれと同等以上の権限若しくは支配力を有する役員以外の役員の職又は財閥傍系会社の最高代表役員以外の役員の職にあつた者、及び同項第二号に該当する者は、左の各号に掲げる事由が総て(同項第二号に規定するものについては第三号を除く。)備わることを理由として財閥関係役員に該当しないことについての内閣総理大臣の承認の申請をすることが出来る。

一 当該財閥に属する者又はその同籍者の配偶者又は親子兄弟姉妹若しくはこれらの者の配偶者でないこと

二 当該役員の職に就任するために予め当該財閥又は当該財閥の財閥直系会社の承認を必要とする旨の取極のなかつたこと又は取極のない場合においてその承認を受けていなかつたこと

三 財閥準直系会社の役員の職に在つた者については常務取締役、財閥傍系会社の役員の職に在つた者については最高代表役員と同等以上の権限又は支配力を事実上有していなかつたこと

四 当該財閥の財閥会社の役員の職を同時に四以上兼ねていなかつたこと

内閣総理大臣は、前項の申請を受理した場合これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その審査の結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。

第一項に規定する者が同項及び前条に規定する事由による申請の双方をなさうとするときは、同時にこれをしなければならない。

第八条 第四条第一項又は第五条第一項の規定により会社を代表する権限を有する役員の全員がその職を去ることとなる場合において必要があるときは、関係の会社は、当該役員の過半数の同意をもつてその職を退くこととなる役員のうち一人を選び、この法律施行の日から六箇月以内の期間を定め、一時その職に留まらせることについて、内閣総理大臣に対し、その承認を申請することができる。

前項に規定する場合の外、関係の会社が、国民経済の復興上必要な場合その運営上欠くことのできない者であり、且つ、余人を以て代えることが困難な者について、内閣総理大臣に対し、一年を超えない期間を限つて、役員の職に留まらせることについての承認を申請することができる。

前項の規定により留任を承認された者の勤務する会社の承継会社が設立された場合、当該承継会社が国民経済の復興上必要であり、又その者がその運営上欠くことのできない者であり、且つ、余人を以て代えることが困難な者であるときは、関係の会社は、内閣総理大臣に対し、その者が留任を許可された期間内に限り、当該承継会社の役員の職に就くことの承認を申請することができる。

財閥関係役員は、内閣総理大臣に対し一年を超えない期間を限り清算中の会社の清算人の職に留り、又は就くことについての承認を申請することができる。但し特に必要があるときは、期間の更新を申請することができる。

内閣総理大臣は、前四項の申請を受理した場合、これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。

第一項の場合において、当該申請に係る役員について、承認の処分があつた場合においてはその者はその承認のあつた期間、なおその職に留まることができるものとし、又、不承認の処分があつた場合においてはその者はその旨の通知があるまでの間、なおその職に留まるものとする。

第九条 第四条又は第五条の規定の適用に当つては第四条第一項又は第五条第一項に規定する会社の承継会社は、これ等の規定に規定する会社と見なす但しこれ等の規定により役員の職を辞さなければならない期間は第二項の規定により指定のあつた時又は内閣総理大臣による財閥関係役員に該当する者としての通知を受けた日から三十日以内とし、その職を失う日は、同項の規定により指定のあつた日又は内閣総理大臣による財閥関係役員に該当する者としての通知を受けた日から三十一日目とする。

この法律で承継会社とは、財閥関係役員審査委員会が、前項に規定する会社の出資の状況並びに当該会社の営業、資産、取引先及び役職員の大部分、商号等の承継を考慮し、当該会社と実質的に同一なものとして決定したものについて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

第四条第一項又は第五条第一項に規定する会社から出資を受け、又はその営業の全部若しくは一部の譲渡を受けた会社は、この法律施行の際現に存する会社についてはこの法律施行の日から三十日以内、又この法律施行の日以後あらたに出資を受け又は営業の譲渡を受けた会社についてはこれ等の行為のあつた日から三十日以内に、前項の規定による指定についての申請をしなければならない。

顧問、相談役、参与その他役員なることを疑わしめる名称を受けた者は、第四条及び第五条の規定の適用については、これを会社の役員の職に就いたものとみなす。

第二条第二項及び第三項の規定による指定に関し指定の基礎となつた事実につき誤りがあると認めるときは利害関係人は、明確な証拠書類を附し、指定があつてから三十日以内に内閣総理大臣に対し指定の取消又は変更を申請することができる。

内閣総理大臣は、前項の申請を受理した場合は、これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その審査の結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。

第一項の申請があつた場合においては、第五条第一項及び第六条第三項の規定の適用については各々同条同項中この法律施行の日とあるのを第十条第一項の申請に対する内閣総理大臣の決定の公表のあつた日と読み替えるものとする。

第四章 財閥関係役員審査委員会

第十一条 内閣総理大臣の所轄の下に財閥関係役員審査委員会を設置する。

第十二条 財閥関係役員審査委員会は、左に掲げる事項に関する審査を行う。

一 第六条第一項の規定による財閥役員でないことの承認の申請

二 第七条第一項の規定による財閥役員でないことの承認の申請

三 第八条第一項乃至第四項の規定による留任又は就任の申請

四 第十条第一項の規定による指定の取消又は変更の申請

第十三条 内閣総理大臣は、前条各号に掲げる申請を受理したときは、直ちに、これを財閥関係役員審査委員会に送付しなければならない。

第十四条 内閣総理大臣は、財閥関係役員審査委員会の要求に応じ、関係者をして、委員会に対して資料を提出させ、又は事実を説明させることができる。

第十五条 財閥関係役員審査委員会は、その審査の権限に属するものを審査し、申請の送付を受けた日から三週間以内(第八条第一項による申請については五日以内)にその経過を、意見を附して内閣総理大臣に報告しなければならない。但し内閣総理大臣は、必要あるときは、委員会の要求に応じ前項の期間を期間を限つて延長することができる。

第十六条 内閣総理大臣は、前条の規定による審査の報告を受けたときは、一週間以内(第八条第一項による申請については二日以内)に申請の承認若しくは不承認の決定を行い、これに基いて必要な措置をし、これを公表し、且つ、関係書類を公衆が閲覧し得るようにしなければならない。

第十七条 委員会は、委員九人以内でこれを組織する。

特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。臨時委員は、委員会の決定に加わることはできない。

第十八条 委員長は、委員において互選する。

委員及び臨時委員は、内閣においてこれを命ずる。

第十九条 財閥関係役員審査委員会は、委員長及び委員を併せて七人以上の出席がなければ会議を開くことができない。

委員会の議事は、委員長を含め出席委員の過半数をもつてこれを決する。

可否同数の場合は、委員長の決するところによる。

第二十条 委員長、委員及び臨時委員は、委員会の審査に関しては、これを外部に漏らしてはならない。

第二十一条 財閥関係役員審査委員会に事務局を置く。

事務局は、委員会の庶務を整理する。

事務局に政令の定めるところにより所要の職員を置く。

第二十二条 審査の手続その他委員会の事務に関して必要な事項は委員長がこれを定める。

第五章 訴願

第二十三条 左に掲げる者は、その決定の基礎となつた事実につき誤りがあると認めるときは、内閣総理大臣に決定があつてから一箇月以内に再審査を請求することができる。

一 第六条第一項の規定により財閥関係役員でないことの承認を申請して却下せられた者

二 第七条第一項の規定により財閥関係役員でないことの承認を申請して却下せられた者

三 第八条第一項乃至第四項の規定により留任又は就任を申請して却下せられた者

第九条第二項の規定による指定に関し、その指定の基礎となつた事実につき誤りがあると認めるときは、利害関係人は、内閣総理大臣に指定があつてから一箇月以内に再審査を請求することができる。

第二十四条 内閣総理大臣は、前条の規定による再審査の申請を受理したときは、直ちにこれを財閥関係役員再審査委員会に送付しなければならない。

第二十五条 財閥関係役員再審査委員会は、送付された申請書に基いて審査を行い、正当且つ充分な理由があるか否かを決定し二週間以内にその経過を、意見を付して内閣総理大臣に報告しなければならない。

第十五条但書の規定は、これを前項の場合に準用する。

第二十六条 内閣総理大臣は、前条に規定する報告を受理したときは、速かに再審査の申請の却下又は財閥関係役員審査委員会への差戻の決定を行い、これに基いて夫々必要な措置をとらなければならない。

第二十七条 財閥関係役員審査委員会は、前条の規定により内閣総理大臣から再審査の請求を受けたときは、二週間以内にこれを再審査し、その経過を、意見を付して内閣総理大臣に報告しなければならない。

前項の場合において、財閥関係役員再審査委員会委員は、財閥関係役員審査委員会に出席し、且つその決定に参加することができる。

第十五条但書の規定は、第一項の場合にこれを準用する。

第二十八条 内閣総理大臣は、前条の規定による再審査の報告を受けたときは、一週間以内に前回の決定の取消又は再審査の申請の却下の決定を行い、これに基いて必要な措置をし、これを公表し、且つ関係書類を公衆が閲覧し得るようにしなければならない。

第二十九条 内閣総理大臣の所轄の下に、財閥関係役員再審査委員会を設置する。

再審査委員会は、委員七人以内でこれを組織する。

再審査委員会は、委員長及び委員を併せて五人以上の出席がなければ会議を開くことができない。

第三十条 第十四条、第十七条第二項、第十八条、第十九条第二項及び第三項、第二十条ない至第二十二条の規定は、財閥関係役員再審査委員会にこれを準用する。

第六章 罰則

第三十一条 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役又は一万五千円以下の罰金に処する。

一 第四条第三項の規定に違反した者

二 第五条第二項の規定に違反した者

三 第六条第一項、第七条第一項、第八条第一項ない至第四項又は第二十三条の規定による申請をした者でその申請につき虚偽又は事実をかくして申立をなした者

四 第九条第三項の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者

五 第十四条の規定により資料の提出又は事実の説明を求められこれに応じないか、又は虚偽若しくは事実をかくして申立をなした者

前項の罪を犯した者は、情状により懲役及び罰金を併科することができる。

附 則

この法律は、公布の日からこれを施行する。

持株会社整理委員会令の一部を次のように改める。

第十条に次の一項を加える。

前二項ノ規定ハ、財閥同族支配力排除法施行ノ日ニ於ケル指定者及其ノ指定アリタル際現ニ其ノ指定者卜同一戸籍内ニ在リタル者ノ総テノ者ガ同法第五条ニ規定スル会社ノ株式其ノ他ノ出資ニ付所有スル額面ノ合計額ガ其ノ資本金額ノ一割ヲ超ユルトキハ其ノ一割ヲ超ユル部分ニ付之ヲ準用ス。

(内閣総理大臣署名)

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