衆議院

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第2号 平成28年10月18日(火曜日)

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平成二十八年十月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 北川 知克君 理事 白石  徹君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      井林 辰憲君    伊藤信太郎君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小島 敏文君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      古田 圭一君    堀井  学君

      前川  恵君    菅  直人君

      田島 一成君    細野 豪志君

      松田 直久君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    河野 正美君

      木下 智彦君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山本 公一君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   平井 興宣君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 森 美樹夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板倉周一郎君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   木村 徹也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           田中 照久君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    三浦 正充君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     瀬戸 隆一君

  前川  恵君     古田 圭一君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     岩田 和親君

  古田 圭一君     前川  恵君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官平井興宣君、総務省自治行政局公務員部長高原剛君、外務省大臣官房審議官森美樹夫君、文部科学省大臣官房審議官板倉周一郎君、スポーツ庁審議官木村徹也君、農林水産省大臣官房審議官田中照久君、林野庁林政部長三浦正充君、林野庁森林整備部長織田央君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、経済産業省大臣官房審議官保坂伸君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省総合環境政策局環境保健部長梅田珠実君、環境省地球環境局長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長亀澤玲治君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原崇君。

藤原委員 おはようございます。自由民主党の衆議院議員の藤原崇でございます。

 二十分ということで、私の方から、環境の基本施策に関する件ということで、大臣所信に関連して質疑をさせていただきたいと思っております。

 環境省、新しい体制になりまして、そして環境委員会も、平委員長のもと新しい体制で臨む最初の質疑ということで、大変光栄に思っております。理事、委員の先生方の御配慮に感謝を申し上げたいと思っております。

 二十分という短い時間でありますので、大枠の話だけに終わるかと思いますが、私の方で、先般の大臣所信に関連してお聞きをさせていただきたいと思っております。

 まず第一点目は、地球温暖化対策についてであります。この中でも今一番大事な問題は、当然のごとく、パリ協定、これの批准というのが今国会で大きな、国会でも議論になるでしょうし、あるいは来月のCOP、これでも大きな課題になるということは間違いがないと思っております。

 我が国としては今国会で批准に向けて取り組みをしていくということですが、残念ながら、現状においては、COP22の前に我が国がパリ協定の締約国になるというのは、諸事情、いろいろな事情で難しい状況にあると思われます。

 その一方で、COP22の前にパリ協定が発効されることになりましたので、COP22と同時期にパリ協定の締約国会議が開催をされるということにもなりました。

 まずは事実確認ということで外務省にお伺いをいたしますが、パリ協定のもとの指針等のルールづくりは、これは実質的にはCOP22の中で全ての条約締約国の参加のもと議論がなされるというようなことも聞いておりますが、まず実情はどういうふうになっておるんでしょうか。

 もし、我が国としてもしっかり存在感を発揮することができる、そういうような体制で進むのであれば、我が国としても積極的に参加をして貢献していくべきであると考えますが、この点について外務省の御見解はいかがでしょうか。

森政府参考人 委員御指摘のとおり、パリ協定は、国連気候変動枠組み条約の第二十二回締約国会合、COP22と申しますが、これの開催前の十一月四日には発効する見通しでございます。

 発効後には、パリ協定を締結済みの国がメンバーとなるパリ協定の第一回締約国会合というものがCOP22の会期中に立ち上がることになります。

 委員御指摘のとおり、パリ協定の実施指針、これの策定にかかわる交渉は、我が国を含む国連気候変動枠組み条約の全締約国の参加を得て既に行われており、協定の発効後も、引き続きCOP22を含む国連気候変動枠組み条約の全締約国が参加する場で行われる見込みでございます。

 この交渉におきましては、各国による削減行動等の実施状況や、あるいは他国への支援に関する報告、それから、レビューを行うに当たっての指針の策定等、パリ協定の実効性をより高めるための議論が行われてきております。

 我が国としては、パリ協定の実効性を高めるべく、主要排出国も巻き込みながら、今後の交渉に主体的かつ積極的に関与してまいる所存でございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 今外務省さんからお話があったとおり、実質的には、COP22の中で我が国も含めた締約国の参加のもとで議論がなされるということであります。

 この地球温暖化対策というのは、我が国単独の問題ではなく、全世界的な問題であると思っておりますので、ぜひ外務省さんにもいろいろな点でお力を発揮していただければと思っております。

 さて、それに絡みまして、大臣に御質問をさせていただきたいと思っております。

 第一点については、まず、現状ではCOP22までに締約国になるということは極めて難しい、これについてはやむを得ないことだろうと思っております。さりとて、COP22において日本が発言力を持って臨むためには、少なくともCOP22までにはパリ協定の締結手続を国内的に終わらせておくべきが必要と思います。これは国会において議論することでありますが、この点についてのまず環境大臣のお考えをお聞きしたいというのが一点であります。

 加えて、COP22では我が国としてどのようなことを打ち出していくのか、自民党の温暖化調査会の会長もなさっておりました山本大臣に、この点についての意気込みをお聞かせいただきたいと思っております。

山本(公)国務大臣 どうもありがとうございます。

 COP22に向けまして、一日も早く締結できるよう全力を尽くしてまいるのは言うまでもございません。また、気候変動交渉において、我が国はこれまでも全ての国が参加できる公平で実効的な枠組みとなるようにリーダーシップを発揮してきた、かように思っております。今後も、パリ協定の必要な指針の策定交渉や、JCMを初めとした我が国の知見や技術等を活用した国際的な取り組みを通じて、引き続き国際社会に貢献をしてまいりたい、かように思っております。

 パリ協定の目標達成のためには、企業や自治体等の取り組みも不可欠なものだ、かように思っております。関連イベントへの参加や意見交換の機会等も活用して、我が国の取り組みを発信していきたいと思っております。

 私も、国会のお許しがいただければ、COP22に日本政府団の代表としてぜひ参加したいと考えております。世界の温暖化対策の強化に向けた我が国の立場を力強く発信していきたい、かように考えております。

藤原委員 ありがとうございます。

 我が国としても、この温暖化対策、今まで以上に深掘りをしていかなければいけないということで、COP22での我が国の存在感の発揮と同時に、国内対策についても、山本大臣を初め環境省の皆様方には御努力をいただければ幸いであると思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、温暖化対策の話の次に、鳥獣被害という観点でお話をさせていただきたいと思います。

 これも先般の大臣の所信にもございましたが、鳥獣の適正管理ということで、先般法律の改正が行われました。それによる効果というのも出てきていると思いますが、今回取り上げるのは、全国的な鳥獣被害の問題というよりは、局地的な問題として取り上げさせていただきたいと思っております。

 東日本大震災、これに伴う放射能事故によりまして、東日本、関東もですが、一部の地域では、鹿あるいは熊、こういうような鳥獣につきまして体内からセシウムが検出をされるということで、最近はジビエのブームなんということで食用にするということも言われておるんですが、東日本あるいは関東、そのような一部の地域では出荷停止ということになっております。

 そうした場合には、鹿等をとった場合にどうするかといいますと、それはもう当然、食用には使えないということで、廃棄をしなければいけない。私も、国会閉会中、実際にそういう現場を自治体の方に御案内をいただいて見てまいりましたが、鹿というのは、私の地元では結構大きくて、一頭六十キロから八十キロぐらいあるというふうに聞いております。

 それを、なかなか簡単には燃やせないものですから、普通の処分場に持っていくためにも、鹿を解体して段ボールに詰めて、そして、それを複数の段ボールで持ち込まなければいけない。あるいは、埋めるということもやるんですが、やはり六十キロ、八十キロあるということで、それを穴を掘って埋めるというのも非常にしんどいということで、それぞれの現場は、非常に努力をして、この鳥獣の適正な管理に向けて進めておるわけであるんですが、どうしても現場は高齢化が進展をしております。

 そうすると、鹿の死体というか、それを下に持っていって解体をするのもなかなか大変だし、かといって、その場で穴を掘るのも、これは六十キロ、八十キロの大きな鹿ですので、非常に苦労をしているというような状況があります。

 私の方で御質問をさせていただきたいのは、国としてもこの鳥獣被害対策に力を入れていただいておりますが、東日本、一部の地域では、福島第一原発事故の関係で鹿等からセシウムが検出される、そのために食用に回すことができません。そのために、全頭を埋葬あるいは焼却をしているということであります。この放射能汚染によって当該地域の鹿の捕獲管理に支障が出ていると、私の方では現場を見てよくよく感じております。まず、その点についての認識をお聞きしたいということであります。

 加えまして、そういうような地域では、やはりこれから今まで以上に鳥獣管理に対して支援を行うべきと考えておりますが、その点についてお伺いをしたいと思います。

 これは、農水省あるいは環境省の共管ということになっておりますので、両省からお伺いをしたいと思っております。では、農水省さんから。

田中政府参考人 答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、福島第一原発事故の影響を受けました東北、関東、新潟の九県におきましては、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、イノシシとか鹿といった野生鳥獣肉の出荷制限が措置されております。先生御指摘のとおり、鹿については、岩手、栃木、群馬の三県が出荷制限されているということです。

 それによりまして食肉利用ができないという状況でございますので、狩猟によります捕獲意欲の減退だとか、捕獲鳥獣の処理が進まないといったことが課題になっているということは、農水省といたしましても認識しております。

 このため、鳥獣被害防止総合対策交付金それから東日本大震災農業生産対策交付金等といったものに基づきまして、農水省といたしまして、捕獲わなの購入、捕獲経費への直接支援を行っています。さらに、それに加えまして、先生御指摘のとおり、捕獲鳥獣を適切に処理するための焼却施設の整備それから埋設処理の経費といったものに対しましても支援を行っているところでございます。

 それから、一方で、この野生鳥獣肉につきましては、放射性物質の濃度が基準値未満のものも出ているということでございます。したがいまして、千葉県など一部の県におきましては、イノシシなどにつきまして、全頭検査を実施した上で、基準値をクリアしたものにつきましては食肉としての出荷を可能とする一部解除の措置が講じられているというふうに承知しているところでございます。

 今後といたしましても、農水省といたしまして、関係自治体に対して必要な助言を行うとともに、環境省と連携を図りまして、現場の実情を十分把握しながら必要な措置をしっかり講じていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

亀澤政府参考人 環境省では、鳥獣法を改正しまして、二十七年度から、都道府県が生態系等に深刻な影響を及ぼしている鹿の捕獲等を行う指定管理鳥獣捕獲等事業に対しまして、二分の一の交付金により支援を行っております。

 一方で、原発事故の影響により、捕獲した鹿について基準値を超える放射性物質が検出されました岩手、栃木、群馬の三県におきましては、原子力災害対策特別措置法に基づき出荷制限が行われておりまして、このことが狩猟意欲の減退につながり、ひいては鹿の適正な個体数管理にも影響を及ぼす可能性があるというふうに認識をしております。

 こうした状況を踏まえまして、今年度、二十八年度の交付金では、原子力災害対策特別措置法に基づく出荷制限がある場合、捕獲や捕獲個体の処分等に係る経費に対する交付割合を通常の二分の一から三分の二にかさ上げを行ったほか、都道府県と市町村が連携して効果的に鹿等の捕獲を行うモデル的な取り組みに対しましては、定額補助の新しいメニューを創設したところでございます。

 今後とも、都道府県や農林水産省を初めとする関係省庁とも連携を図りながら、効果的な鳥獣捕獲に取り組んでまいりたいと思います。

藤原委員 ありがとうございます。

 やはり、捕まえて、それを食用として自分の身近なところで食う分には今のままでもできるんでしょうけれども、売り物として出したりそういうことができずに、ただ処分をしなければいけない。そして、それにも非常に労力がかかるということで、なかなか現場としてはまだまだ苦しいような状況があるように感じております。

 国あるいは自治体としては、自分の市の中あるいは県の中、そういうところを中心にやりますが、鹿にしてみれば、県境をまたいで行き来をしますし、市町村の壁も当然またいでいくということでありますので、ぜひ今まで以上の全国的な対策をお願いしたいというふうに思います。

 さらにもう一点御質問をさせていただくのは、これはまた大きくかわりまして、先般発生しました台風十号に関連した問題であります。

 私の方も、九月三日、岩泉町の方に、党の視察団に同行しまして、北川筆頭を初め多くの先生方に被災地に一緒に行っていただきました。グループホームは非常に大変な状況でありましたし、そのほかの浸水家屋も拝見をさせていただきました。本当に土砂がたくさん詰まっておりまして、現場では復旧の作業が必死で続いているという状況であります。

 現在、そのように復旧復興に向けての取り組みが行われていますが、その中でも、個人の自宅について全壊判定を自治体から受けた家屋については、これは恐らく廃棄物の運搬、処理という枠組みで、解体には全額の支援が行われております。その一方で、半壊の家屋については、全壊の判定を受けたように手厚い支援は行われておりません。かつての災害では、東日本大震災や熊本地震、このようなときには半壊であっても解体についての支援が行われたというケースもあることもあります。

 やはり、迅速な救済の観点からすれば、今回の災害についても、半壊判定を受けた家屋についても家屋の解体費用については支援を行うべきではないかと思っておりますが、この点についてのお考えをお聞きします。

伊藤副大臣 藤原委員の御質問に答えさせていただきます。

 環境省の災害等廃棄物処理事業補助金は、市町村の行う災害廃棄物の収集運搬及び処分を対象としておりまして、明らかに廃棄物と観念できる全壊家屋等の撤去を除きまして、家屋等の解体工事は補助対象とはいたしておりません。御案内のとおりでございます。

 過去に半壊家屋の解体工事を補助対象に拡充した災害は、阪神・淡路大震災、東日本大震災及び熊本地震でございまして、いずれの災害も最大震度七を記録した過去最大級の地震災害でございまして、その被害全体としての甚大性に鑑みまして、特別な対応をとってまいったところでございます。

 私ども環境省といたしましては、被害の全容を引き続き調査させていただきまして、地方自治体からの要望等を十分踏まえさせていただきました上で、現在の補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用していくことによりまして、積極的に支援をさせていただきたいものと考えておるところでございます。

 以上でございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 ゲリラ豪雨という言葉がありまして、今思いますと私が子供のころはそういう言葉というのはなかったと思っています。ところが、ここ数年間というのは、もう当たり前のように異常気象、もう異常ではない気象で、昨年の常総市初めさまざまな災害が起こっております。

 そういう意味では、災害を起こさないことも大事ですし、それと同時に、災害が起きたときに迅速に復旧ができる、そういうような仕組みもつくっていかなければいけないと思っております。

 伊藤副大臣におかれましては、今後、岩手県あるいは北海道からそういう要望も出てくると思いますので、ぜひ指導力を発揮して御指導いただければと思っております。

 これで私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 臨時国会の最初の環境委員会での質問を行わせていただきます。

 きょうは、東電の原発事故の除染経費負担の問題について質問をいたします。

 この間いろいろ政府の対応方も変化をしているということを踏まえてお尋ねするわけですが、最初に環境省にお聞きしますけれども、二〇一三年十二月の福島復興指針におきまして、「実施済み又は現在計画されている除染(汚染廃棄物処理を含む。)の費用は約二・五兆円程度、中間貯蔵施設(建設・管理運営等)の費用は約一・一兆円程度」としているところです。

 そこで、この汚染廃棄物処理の費用を含む除染費用及び中間貯蔵施設の費用について、二〇一七年度の概算要求額まで含めた現時点での費用総額がどのぐらいになっているのか、このことについてまず最初に説明をしてもらえますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、除染でございますけれども、政府全体として平成二十七年度までの執行済み額と平成二十八年度予算及び平成二十九年度概算要求までの累計額といたしまして約三・一兆円となっております。また、汚染廃棄物処理につきましても、平成二十七年度までの執行済み額、二十八年度予算及び平成二十九年度概算要求までの累計額として約〇・六兆円となってございまして、除染と汚染廃棄物処理を合計しますと、これは四捨五入の関係もございますけれども、約三・八兆円ということになっております。

 それから、中間貯蔵施設でございますけれども、これにつきましても平成二十九年度概算要求までの累計額としては約〇・四兆円となっております。

塩川委員 お答えいただきましたように、中間貯蔵施設は現地の進行状況がありますので、一・一兆円の見込みに対して〇・四兆円ですけれども、除染費用、汚染廃棄物処理を含めて既に三・八兆円、つまり、二・五兆円を大きく上回る見込みとなっているわけであります。

 そこで、重ねてお聞きしますが、この福島復興指針では、費用見込みは適時に見直すとありますが、今後どれだけ費用がかかる見通しかというのは明らかにしておりますか。

伊藤副大臣 塩川委員にお答えを申し上げます。

 今後の費用見込みでございますけれども、今後の労務費や資材費の動向、帰還困難区域での事業の内容、中間貯蔵施設への搬入見通し等に応じまして費用が変動いたしてまいることから、現時点で確たる数字をお示しすることは困難と考えております。

 ただし、平成二十九年度以降も、モニタリングでございますとか、仮置き場の維持及び原状回復、除染廃棄物の減容化等に係る費用は必要となる見込みとしております。

 以上でございます。

塩川委員 それは、労務費等々、いろいろ変動するのはわかります。ただ、もともと二・五兆円というのを仮置きでもつくったわけですよね。それは当然、もともとは東電の救済策の一環として交付国債の規模を決めるということが前提ではあるんですけれども、しかし、そもそも国民的に見て、どれだけの費用がこの賠償、除染にかかるのかということを示すというのは、これは政府として当然行うべき仕事じゃないでしょうか。

 私は、そういう点でも、こういう費用見込みについて、例えば、報道の範囲ですけれども、電事連などがこういう除染の費用について、四・五兆円ふえて七兆円になる、そんな話なんかも言われておりますし、以前に、産総研、産業技術総合研究所の研究グループが福島県内の除染費用について、最大五兆円を超えると試算をする、森林除染が二兆円を超える、こういう試算も出されているところですから、やはり政府として、除染費用の見通しを、仮置きでもいいですよ、何らかの試算を前提にした上で見通しを示す必要があるんじゃないですか。

伊藤副大臣 改めましてお答えをさせていただきますが、今後の費用の見通しの見直しについての御質疑でございますけれども、賠償そして除染、中間貯蔵施設費用に関する枠組みの全体の中で判断されていくものと考えておるところでございます。

塩川委員 納得いくものではありません。

 もう一つやはり明らかにしてほしいのが、そもそも、この二・五兆円という試算の積算根拠なんですよ。何で二・五兆円なのかについて、具体的な数字とかを示されていないんですね。

 そもそも、地目別に、どれだけの面積があって、単価当たりどれぐらいの費用がかかるとか、そういうのがあるからこそ二・五兆円の数が出ているはずなのに、その辺についてまず明らかにしていただかないと、そこからの推計というのが今後の話としても当然出てくるわけですから、こういう数字について、積算根拠を出していただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の平成二十五年十二月の閣議決定において示された費用の試算でございますけれども、これは、その時点で実施済みあるいは計画をされていた除染及び汚染廃棄物処理につきまして、まだその時点では事業の実績が少ない中でございましたけれども、その限られた情報を前提に試算をしたものでございます。

 まず、除染といたしましては、除染そのものの、本体の費用に加えまして、計画の策定や測定等の準備行為の費用、また仮置き場や減容化施設の設置、運営費用などを見込んでおりまして、合計で一兆七千四百億円という試算をしてございます。

 また、汚染廃棄物処理につきましては、指定廃棄物及び対策地域内廃棄物の処理費用などを見込んでおりまして、合計五千二百億円という試算をしてございます。

 これに加えまして、内閣府が平成二十三年度予備費を用いて措置をいたしました除染等の費用約二千二百億円等を加えまして、二・五兆円という推計をしてございます。

塩川委員 いや、要するに、それは項目を言っているだけなんですよ。積算根拠でも何でもないわけ。その項目それぞれの、実際どうやったらこういう数字になるのかという積算根拠を明らかにしてほしいと言っているんですよ。だって、それなしには数字が出ないじゃないですか。

 山本大臣、除染の費用というのはどれだけかかるかわからないといったときに、そもそもそれを誰が負担するのかということが問われてくるわけですよね。そういうときに、この費用の見通し、その際の環境省が試算をした二・五兆円の積算根拠、こういうことについては最低限明らかにしてもらわないとまともな議論ができないじゃないですかということなんですが、ぜひこういうのを指示して出していただきたい、その指示をぜひ大臣としてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 今、高橋局長の方からお答えしたとおりでございますけれども、いずれにいたしましても、今、委員の御指摘のことは重く受けとめさせていただきたい、かように思っております。

塩川委員 ぜひ受けとめていただいて、その資料、積算根拠を出していただきたいということであります。

 今取り上げていますこの二・五兆円というのは、二〇一三年十二月の福島復興指針において、現時点において、つまり、二〇一三年十二月の現時点において、実施済みまたは現在計画されている除染の費用とされたものであります。ですから、それ以降に計画をされたものは含んでいない、まあ、当たり前の話ですけれども。そういうことであれば、二〇一三年十二月時点で計画をされていない帰還困難区域の除染ですとか森林除染の費用というのはこの二・五兆円には含まれていないという理解でいいと思うんですが、その点、環境省、いかがですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この二・五兆円の試算の段階で、帰還困難区域でございますとか森林の除染費用について、排除していたわけではございません。除いていたわけではございませんけれども、今御指摘ございましたように、あくまでも二十五年十二月時点の試算でございますので、その後実施した、あるいは実施予定の帰還困難区域の除染でございますとか森林の除染費用全てを見通して計上しているわけではございません。

塩川委員 二〇一三年十二月時点で計画をされていない帰還困難区域の除染及び森林除染の費用は含まれていないということで、先ほども三・八兆円という数字が出ましたけれども、現行の二・五兆円も大きく超えているわけで、帰還困難区域の除染、森林の除染をどうするのか。それを行うとなれば大きな費用負担になることは明らかであります。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、除染の費用というのは、この間、除染特措法に基づいて、汚染者負担原則に立って東電に求償するという立場にあるわけですけれども、除染費用について東電に求償する、こういう立場に変わりはありませんか。

山本(公)国務大臣 放射性物質汚染対処特措法に基づく除染の費用については、同法の四十四条第一項に基づき、東京電力に求償をいたします。

塩川委員 特措法に基づいて、除染の費用は東電に求償するということです。

 それで、この間行われている除染事業について、帰還困難区域を含む除染事業が、どういう求償をし、東電側が応諾をしたかという一覧をつくっていただきました。

 それを拝見しますと、確かに、二〇一三年十二月以前に実施をしているようなパイロット的な帰還困難区域の除染事業等々についての部分は、当たり前のことながら、環境省は東電に求償し、東電も応諾をして支払っている。しかし、二〇一三年十二月を過ぎると、環境省側は求償しているにもかかわらず、東電がこれに応諾していないんですよね。払っていない例というのがあるんですよ。それは困るんじゃないですか。

 それは、当然のことながら、支払いに応じろという催促、督促をしっかり行うというのは当然のことだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 先ほど申し上げました、いわゆる東京電力に求償をいたしますのは、これは原則でございます。

 ただし、帰還困難区域においては、限られた期間で集中的に整備を進めることができるという観点から、本年八月末に、除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に行うとの方針が示されました。その具体的な事業の進め方については今後検討をいたし、その中で費用負担のあり方についても検討をしていくということになっていると承知をいたしております。

塩川委員 大臣のお答えは、この八月に政府が決めた帰還困難区域の取扱いに関する考え方の中での議論であります。これについては、費用負担のあり方について検討していくということですけれども、その前に、そもそも、二〇一三年十二月以降の部分について、環境省が求償しているにもかかわらず、東電が払っていない例があるんですよ。そういうのは当然払ってくれと督促する、求めるというのは当たり前のことじゃないかと思うんですが、いかがですか。

山本(公)国務大臣 そのとおりだと思っております。これからも求償をし続けていかなければいけないと思っています。

塩川委員 ぜひそういう立場で臨んでいただきたいと思っています。

 そうしますと、そうはいっても、今大臣がお答えになった、ことし八月の政府の方針である帰還困難区域の取扱いに関する考え方で、公共事業的観点からインフラ整備と除染を一体的かつ連動して進めるとなると、これは、一体的に進めると、私は、当然、除染の作業はあるわけだから、その分を切り出して東電に求償するということはできるだろうと思うんですけれども、そうではなく、公共事業という観点で、除染経費についても税金を投入するという考え方に立っているということなんですか。

星野政府参考人 今お尋ねをいただきました帰還困難区域における除染とインフラの一体的かつ効率的な整備につきましては、限られた期間で集中的に整備を進めるという観点から、その方策についてこれから検討するということとされております。

 その具体的な事業の進め方を検討していく中で、その費用負担についても検討が行われていくということになっております。

塩川委員 実際、帰還困難区域で除染作業を行っています。大熊町などにおいても、除染事業が行われています。そういう中には、下野上地区の九十五ヘクタールの除染事業なんかも行っているわけですよ。当然そこは、インフラ、事業所の誘致も含めた面的な整備を見越した取り組みになっているわけですけれども、ちゃんと除染はやっているんですよね。その上でも、当然、インフラ整備もやるんでしょう。

 であれば、私、一体的に、効率的に行うというのはわかりますよ。でも、そもそも費用負担については、やはり特措法の立場に立って、除染部分は東電に求償するのが当たり前じゃないかと思うんですけれども。そういう立場を貫くということが環境省として必要じゃないかということなんですが、大臣、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 先ほど申し上げましたように、今後のことは検討し、そしてまた、費用負担のあり方についても検討していくこととなっているというふうに承知をいたしておりますので、今御指摘の、いわゆるインフラ整備、除染というのを一体的かつ効率的に行うとの方針は示されておりますけれども、いわゆる公共事業との絡み等々についてはまだ検討の段階だというふうに承知いたしております。

塩川委員 いや、ですから、一体的にやるのはいいんだけれども、除染の部分は当然東電に求償しますというのが環境省の立場じゃないのか、本来、政府として行うべき立場じゃないのかと。

 私は、そういう点でも、何か、除染の部分も一体的にやるから公共事業的というので税金でやっちゃうと、東電の求償を曖昧にするような計画であったら絶対だめだと思うんですが、そういう立場に立つということでよろしいですか。

山本(公)国務大臣 御指摘は重く受けとめさせていただきたいと思います。

塩川委員 その点が本当に問われてくるわけです。

 実際には、この帰還困難区域の除染の見通し、どれだけかわかりません。こういう今の八月の政府方針に照らせば、東電への求償を棚上げして、結局は税金で国民の負担にツケ回しをする、こういうことにならざるを得ないということも指摘せざるを得ない。

 あわせて、帰還困難区域とともに森林除染の話ですけれども、林野庁にお尋ねします。

 福島県において、間伐などの森林整備と放射性物質対策を一体的に実施する、ふくしま森林再生事業というのがあります。その概要と執行額を示していただきたい。また、こういった係る費用については東電に求償を行うことになるのか、その点についてお答えください。

織田政府参考人 お答え申し上げます。

 原発事故後、放射性物質の影響により林業が停滞している地域におきまして、土砂流出抑制等の実証的な放射性物質対策と間伐等の森林整備を公的主体が一体的に実施する、ふくしま森林再生事業を推進しているところでございます。

 この事業の予算につきましては復興特会で措置されておりまして、土砂流出抑制等の実証的な放射性物質対策に係る予算として、平成二十七年度まで約三十億円が執行され、平成二十八年度当初予算においては約二十億円が措置されているところでございますし、また、間伐等の森林整備の予算として、平成二十七年度までに約十四億円が執行され、平成二十八年度当初予算においては約十八億円が措置されているところでございます。

 また、この事業につきましては、放射性物質汚染対処特措法に基づくものではないことから、東京電力への費用求償対象とはなっていないというふうな状況でございます。

 林野庁といたしましては、引き続き関係省庁や福島県と連携をし、福島の森林・林業の再生に向けた取り組みを一層積極的に進めてまいる考えでございます。

塩川委員 ですから、森林において、森林整備という観点も当然あるわけですけれども、汚染の拡大防止対策として行う、それを一体的に行うということなんですよね。

 本来、汚染者負担原則の立場に立てば、東電が費用負担を行ってしかるべきなのに、実際には復興特別会計からお金を入れていますと。復興特別会計というのは復興増税で担っているわけですから、国民の皆さんに転嫁をしているんですよ。本来、東電が負担すべきものを国民に負担転嫁をするという形が、こういう形でもまかり通っているというのが許されるのかということになるわけです。

 東電に求償を求めないということになっているわけで、そういう点でも、森林の除染の経費の見通しがどうなるのかということも問われてくるわけで、大臣に改めてお尋ねしますけれども、こういった帰還困難区域の除染ですとか森林除染の費用について、除染特措法の枠外で措置しようということを容認するのか。いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 何度も申し上げますけれども、そのことについてはいまだに検討している段階だというふうに御承知をいただきたいと思います。

塩川委員 これまでは、特措法に基づいて、汚染者負担原則の立場に立って東電に求償していたものを、今後は検討するということでは、そういう意味では大転換になるわけで、こういった加害責任のある東電の負担を国民にツケ回しをするようなやり方というのは絶対に許されないということを指摘しておきます。

 この東電への求償ですけれども、その先もあるわけですよ、実際には。東電に求償した後、では、どういうふうに手当てをするのか。

 まず、試算をした二・五兆円の話がありましたけれども、二〇一三年十二月の福島復興指針の中では、その分というのは、東電の株価が上がって、その株式の売却益で充てるという話になっているわけですよね。つまり、東電をぴかぴかのいい企業にするということが費用を出すという理屈になるわけですけれども、そこで、東電の原発の再稼働の問題が問われてくるわけです。

 大臣にお尋ねしますが、この前の日曜日、投票が行われました新潟県知事選挙、原発の再稼働については非常に慎重だという米山知事が誕生いたしました。米山知事は、例えばNHKのインタビューで、東京電力が目指す柏崎刈羽原発の再稼働への対応について、福島の事故の原因、健康や生活に及ぼす影響、そして避難方法の三つの検証がなされない限り、再稼働の議論には移れないと国に伝えたいと述べ、再稼働に慎重な姿勢を改めて示したといいます。

 原発再稼働反対という民意が示された選挙であって、この点で、原子力防災担当大臣として、このような新潟における民意を大臣はどのように受けとめておられますか。

山本(公)国務大臣 自治体の選挙の結果については、地域それぞれのさまざまな状況がある中での結果だと考えておりまして、コメントは控えさせていただきたいと思います。

 一方で、原子力防災担当大臣といたしましては、避難計画というのは、原発が稼働しているか否かにかかわらず、万々が一の際の住民の安全や安心を高めるためにも重要であり、継続的に充実を図っていきたいと思っております。

 国といたしましては、新知事を初め新潟県等とも密にコミュニケーションを図りながら、柏崎刈羽地域原子力防災協議会の枠組みのもとで、関係自治体の避難計画の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えています。

塩川委員 三つの検証ということを知事はおっしゃっておられる。そういう点では、この間もそうですけれども、選挙においては、このような原発事故について、原発事故の検証なしに再稼働の議論なしと強調してきたのが泉田知事で、その泉田知事の立場をしっかりと継承するというのが米山候補、それが知事として当選されたということを非常に重く受けとめるべきであります。

 ですから、この新潟の選挙というのは、東電の柏崎刈羽の原発の再稼働と切っても切り離せない問題なんだということであります。東電の原発の再稼働に対してノーというのが県民の選択であって、その重みを自覚すべきであります。

 そこで、経産省にお聞きしますが、この福島復興指針では、除染費用の二・五兆円について、先ほど申し上げましたように、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有する東電株式売却益を充てるとなっております。二・五兆円を確保するには東電株価は幾らぐらいになることが必要なのか、この点について説明をお願いします。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 東電株式の売却に当たりましては、新・総合特別事業計画において、機構が二〇二〇年代半ばには一定の株価を前提に保有株式の売却を開始し、三〇年代前半をめどに保有する全株式を売却するということになっておりますけれども、具体的な売却株価の水準については、市場への影響に鑑み、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 私の事務所で、東電に問い合わせをしました。

 東電からの回答を紹介しますと、こちらから、二・五兆円を回収するためには株価を時価で幾らにする必要があるかということに対して、東電は、仮に、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有している優先株式全数を転換価格の上限価格で普通株式に転換し、その後、約千円で売却できれば、理論上は二・五兆円を回収することが可能と回答しています。こういう数字でしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御承知のことかと思いますけれども、機構が保有する東電の株式は優先株でございまして、売却の際には普通株に転換する必要があるとともに、市場への影響等を考慮する必要がございます。

 一兆円の優先株を普通株に転換する時点での市場における一株当たりの株価が上限価格である三百円と仮定すれば、単純に、売却時点での市場における一株当たりの株価がその二倍になればその倍、その三倍になれば三倍になるということになりますけれども、具体的水準については、繰り返しですけれども、市場に影響を与えるという可能性がありますので、言及を控えさせていただきます。

塩川委員 私は、こういった除染の費用について、東電に求償しても、その分は、東電本体というよりは、本来国民のお金で買った株の売却益を充てるという話であれば、リスキーなお金を入れているわけですから、上がりがあるのであれば国庫に入れてもらうというのが本来の筋だと思うんですよ。それを除染の費用に回すというのは、筋違いだと言わざるを得ません。

 今、新潟県知事選挙で原発再稼働に慎重な立場の米山知事が誕生して、きょうの東電の株価まではちょっと承知しておりませんけれども、昨日の終わり値が三百八十五円ですか、先週末に比べて七・八九%の大幅な値下がりとなっています。これは、東電の株価、東電の経営について、投資家の目というのは原発再稼働とリンクして考えているわけですよね。

 そうなりますと、東電の株価を上げるというのは、これは原発再稼働を促すという話になってしまうんじゃないのか。東電株式の売却益を除染費用に充てるというやり方は、東電の原発再稼働に前のめりになる仕組みとならざるを得ないんじゃないかと思うんですが、この点、誰か答えてもらえますか。

村瀬政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今現在、東京電力は、二十五年の閣議決定を踏まえまして、新・総合特別計画に基づいて、福島に対する責任を果たしつつ、同時に競争環境に適応していくための改革を進めているところでございます。そのため、電力システム改革を先取りしまして、発送電分離の義務になる前に、自主的に分社化をし、他社との包括的アライアンスを結ぶといったような形で株価向上の取り組みを進めておるところでございます。

 このような改革の取り組みをさらに進めていくということで、東京電力委員会というものを立ち上げて、その中で東京電力にさらなる改革を求めていく、こういう取り組みを進めているところでございます。

塩川委員 そもそも、政府がつくった原発再稼働に前のめりになるような仕組みにつながるこのスキーム自身に問題があるんだ、このことこそ問われなければなりません。

 一方で、復興指針では、株価が想定どおり値上がりしなくて売却益に不足が生じた場合には、負担金の円滑な返済のあり方について検討すると。結局、国民にツケ回しをしようとするやり方にならざるを得ない。

 私は、最後に申し上げたいのは、原発事故に伴う汚染については汚染者負担原則を貫く必要がある、また、国民負担の最小化という立場で臨むことが求められます。事故を起こした東電、東電の株主、メガバンクを初めとした債権者、電気の大口の需要家、そして最後に国民に負担を求めるというのが基本であって、そして、国民負担としての国費の投入を行うのであれば、事故被害について国が責任を認めるべきです。福島の原発事故について国が真摯に反省をするならば、原発再稼働などはできないということになります。

 原発再稼働をやめ、原発ゼロに踏み出すときだということを申し上げて、質問を終わります。

平委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 山本大臣とは多分初めての質疑だと思います。よろしくお願いします。

 まず、先ほどの中でも出ましたが、一昨日の新潟県知事選で、あそこは柏崎刈羽、七基の原発があるわけですが、再稼働に対して慎重あるいは反対の立場を明確にされていた米山候補が当選をされました。大臣の選挙区でも伊方原発が存在し、大臣は原子力防災担当大臣でもありますから、このことは関連が極めて深いというふうに私は思います。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、新潟県民が県知事選で示した態度、つまり、再稼働は慎重にすべきという態度について、大臣として、そういった地元も抱えられていることも含めて、見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 元総理の菅先生の御質問で緊張いたしておりますことをお許し願いたいと思います。

 その上で、今お問いの件につきまして、先ほども申し上げましたとおり、自治体の選挙の結果についてはコメントする立場にはないということだけは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 一方で、私の担当しております原子力防災担当大臣、そういう面からいきますと、避難計画というのが大きな仕事でございますけれども、原発が稼働しているか否かにかかわらず、万々が一の際の住民の安全や安心を高めるために避難計画というのは重要でありまして、継続的に充実を図っていきたい、かように思っております。

 今回、新潟に関しましては、国としては、新知事を初め新潟県等ともこれからも密にコミュニケーションを図りながら、柏崎刈羽地域原子力防災協議会の枠組みのもとで、関係自治体と避難計画の充実に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

菅(直)委員 自治体の選挙のことだからコメントしないという言い方は、我々自身も、もちろん大臣も、地元で選ばれているわけですよ。地元の人は伊方を抱えて、やはりいろいろな意見があります。私も、八月の伊方の再稼働のときはゲート前におりましたから、よく知っております。だから、そういう形で、やはり大臣というのは、地元のことについて、余りお役所の答弁をなぞらない方が私は大臣にとってもいいことだと思います。

 そこで、今も話がありましたが、避難計画ですね。あらかじめきょうは原子力規制委員会の委員長にもおいでいただいていますが、この原発事故のときの避難計画について、原子力規制委員会としてはどういう責任を持っているのか。いろいろな発言の中で、いや、それは必ずしも規制委員会の責任ではないというような趣旨の話もあったように思いますが、もしそうだとすればどこが責任を持つのか、もしわかれば教えていただきたい。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会の関与という点をまず御説明したいと思いますが、我が国の原子力災害対策は、私ども原子力規制委員会がまず災害対策指針を策定し、プラントについてはその安全確保をするための規制を行う。具体的な避難計画については、地域の実態に詳しい立地自治体が国と、内閣府ですけれども、行政事務は内閣府ですが、国と協議しつつ策定することとしております。

 具体的には、そういった形で避難計画をつくられることによって、地域の実情、そういったものに詳しい地方自治体がつくることの方が非常に住民にとっても安全、安心感があるということ、信頼もできるというようなこと、それから、きめ細かな対策ができるということで、そういった方針になっていると承知しております。

菅(直)委員 どうもありがとうございました。

 ということは、山本大臣が内閣府の担当大臣として自治体と一緒に責任を持つ、そういう認識でよろしいですか、大臣。

山本(公)国務大臣 避難計画は、住民の状況や具体的な避難経路、避難先など、地域の実情を熟知している地元の自治体が中心となって策定するのが適当だと思っています。これは、だけれども、地元の自治体任せにするということではない。

 我が国では、避難計画を策定する仕組みについても、福島第一原発事故の教訓を踏まえております。具体的には、原子力規制委員会が作成した原子力災害対策指針に基づいて、初期段階から国がきめ細かく関与し、地域原子力防災協議会において議論しながら、関係自治体と一体となって避難計画を策定いたしております。

菅(直)委員 内閣としては誰が一番の責任を持つ立場ですか。自治体以外で、内閣としては、政府としては。

山本(公)国務大臣 最終的に、緊急時対応について防災会議等々を開いたら、そこは総理大臣が責任者ということになっております。

菅(直)委員 防災担当大臣の役目はどういう役目ですか。山本大臣の役目は。

山本(公)国務大臣 あくまでも、避難計画を策定する段階において防災担当大臣が責任を、ある意味で、国の責任者ということに相なっていこうかと思っております。

菅(直)委員 そうであれば、まさに山本大臣が政府としては責任者じゃないですか。そのことを一応確認しておきたかったんです。

 結局、この問題は、みんなたらい回しにするんですね。いや、自治体の責任だ、いや、何とかだかんとかだと。そういう意味では、担当大臣なんですから、山本大臣が少なくとも政府の立場でいえば責任者なんですよ。

 そうしたら、その責任者であるあなたは、こういう発言をされていますね。ことしの八月八日の記者会見で、十二日に予定されていた伊方原発の三号機の再稼働を前にして、事故を想定した地元の避難計画について、合理的で具体的なレベルで、一〇〇%と言えるとは思っていない、完璧な計画はない、こういうふうに述べたと報道されておりますが、これは事実ですか。

山本(公)国務大臣 事実でございます。

菅(直)委員 つまり、例えば、九月の四日に、海路、海を通しての避難訓練をやられていますよね。

 あそこは、もちろん、大臣は地元だから地形はよく御存じでしょう、佐田岬の根元のところに伊方原発があって、その先が四十キロぐらいあって、約五千人の人が住んでおられます。私も何度か行きました。かなり高齢の方が多いです。台風があったり、あるいは津波の予想があったら、海から逃げられません。現実に、たしかこの日も、訓練は、海路の訓練をやったんだけれども、結果的には、乗船は台風の影響で中止をされた。

 安全に避難できないんじゃないですか、伊方原発から先の方の人たちは。

山本(公)国務大臣 今御指摘がありましたように、伊方原子力発電所は、佐田岬半島のいわゆる根っこの部分に立地をいたしております。原子力発電所からいわゆる三崎半島の先端に至るまで、私のあれでは、四千七百人の方が、旧瀬戸町、旧三崎町の方が住んでいらっしゃいます。当然、万々が一のことがあったときにその方々をどう避難させていくかということが伊方の避難計画の要点だ、私はかように思っておりまして、その場合には、御承知のような伊方の道路事情でございますから、当然、海を利用しなければいけないということに相なってこようと思っております。

菅(直)委員 いや、ですから、実際に訓練をされてみたときにも、台風の影響で、海路は、船には乗れなかった。まさに、例えば、台風が来て、送電線が倒れて、そして事故が起きた、あるいは、福島のように津波の予報が出た、そうしたら、船は出せませんよね。

 だから、今おっしゃったように、海路から逃げようということを大臣自身が言われるけれども、それが実際の訓練でもできなかったじゃないですか。そういうことが十分起き得るわけじゃないですか。ということは、避難計画として、これで大丈夫と言えないじゃないですか。どうですか。

山本(公)国務大臣 あの訓練の際には、結果的には、台風が来まして、フェリーへの乗船はできなかったわけでございますけれども、少なくとも、港までのいわゆる経路、これについては訓練の過程において実施をされたと思っております。

 ただ、海のことでございますので、では、あの際にもフェリーを出しましょうと言われても、多分、そのときに住民の方々のやはり健康ということを考えたら、ああいう荒天時に船を出すということについては、まあ、訓練でございますから、不可能であったというふうに思っておりますけれども、ただ、万々が一のときには、先生御存じのように、佐田岬半島はさまざまな港がございますから、当然、これからそういうこと等々も頭に入れながら、訓練でやった教訓事項を生かしていきたいなと思っているんです。

菅(直)委員 いいですか、大臣、避難計画の政府としての最高責任者はあなたなんですよ。地元の問題なんですよ。そして、そういう計画にのっとって訓練したけれども、私は乗れと言っているんじゃないんですよ、訓練をしたけれども、実際に台風が来ていて乗れなかった。つまり、そういう状況が台風にしても津波の予報にしてもあったときに、その地域の人は避難できないじゃないですか。事実上、それを認めているわけですよ、大臣は。

 ということは、私は、避難ができない、つまり、避難計画がきちんと住民の安全性を保てないようなところの原発は動かすべきでない。当然ですよね。いかがですか。

山本(公)国務大臣 先ほどから御指摘をいただいている佐田岬半島というのは、先生御承知のように、海の状況は瀬戸内海側と宇和海側では全く違います。これは本当に、現場を知る方だったらよくわかっていただいておると思うんです。宇和海側は外海です、どちらかといいますと。瀬戸内海側は内海です。それで、この境目のいわゆる豊後水道、ここは通常でも結構波のある水道であることだけは間違いございません。

 したがいまして、いろいろな方法をこれから考えていきたい、佐田岬半島なればこその避難計画というのを私はつくっていきたいなと思っているんです。

菅(直)委員 だから、つくられて、ここにもその避難計画をいただきました。こんな分厚いのもいただきました、県のものも。しかし、実際にやってみたら、訓練でさえうまくいかなかった。だから、そういう避難をすることが非常に困難なところの原発は動かさない、それがとるべき政策、とるべき方針だと思いますが、いかがですか。

山本(公)国務大臣 避難計画というのは、私は、いわゆる終わりはないと思っているんです。何度も何度もやはり訓練を繰り返しながら、訓練を通じてさまざまな教訓事項が抽出されてまいります。御指摘のようなことも今回あったんだろうと思います。そういうこと等々を含めて、より安全な、確かな避難計画というのをつくっていきたいなと思っておりまして、そのように考えていきたいと思います。

菅(直)委員 結局、大臣、一つ勘違いがあるんですよ、大臣に。先ほどの完璧な計画はないと言われた言葉も、多分、今言われたことだと思うんです。しかし、完璧な計画というのはあるんですよ。わかりますか。

 つまり、自然災害はとめられないんです。台風を勝手にとめることはできない、地震をとめることはできない、津波をとめることはできない。そういうものに対しては、最大限の避難計画です。しかし、原発災害というのはとめることはできるんですよ、人間が原発をつくるんですから。原発さえやめてしまえば、少なくとも原発災害は起きないんですよ。だから、原発をつくって使うか、それとも危険だからやめておくかというのは、決められるんですよ、やれ皆さんや私たちやあるいは関係者が。

 だから、できるだけよくします、それは大いに結構。しかし、まさに、やはりどうしてもこれは危ないと思ったときは、とめるべきだ。つまり、最大限じゃなくて、とめればなくなるんですから。それについての見解を聞かせてください。これは役人の答弁じゃないです、政治家が判断することです。

山本(公)国務大臣 私は、かねがね、閣僚になります前から伊方発電所は稼働すべきだという立場をとっておりました。多分、先生とは見解が異なるんだろうと思いますけれども、私は原子力発電所というのは必要だとずっと思ってきておりました。

菅(直)委員 ですから、論理矛盾じゃないですか。そういう考え方があってもいいですよ、考え方として。ただ、同時に、避難の責任者なんですよ。しかし、避難ができないこともあり得るという答弁じゃないですか、先ほどの言い方は。現実にそうなっています。いわゆる、家にいるとかなんとかという計画が入っています、この中に。

 つまりは、原発によるメリットと、住民の避難と、どちらを重視するか。今の答弁だと、いや、住民が最後のところは危なくても、それでも原発は必要なんだ、そういう答弁として伺っていいんですね。地元の人はみんな見ていますけれども、この質疑を。

山本(公)国務大臣 それはないと思います。私は、申し上げたかったことは、やはり住民の方々が安心して暮らすことができる環境をつくってあげるようにすべきだと思っております。

 そういう意味において、原子力発電所が立地をされておりますその地域において住民の方がより安心して暮らすことができるためには、より安全な、確実な避難計画というものをやはり策定していくというのが私どもの言ってみれば責務だろうと思っておりまして、そのためには避難計画というのは終わりはないんだというふうな思いでございますので、毎回毎回、いろいろな意味の各種の訓練を通じてさまざまなことが抽出をされてまいります、それを生かしながら、より高みを目指した避難計画というのをつくっていきたいというふうに思っております。

菅(直)委員 もう繰り返しになるから言いませんが、最後にもう一度だけ言っておきますね。

 自然災害はそれで、私は、言われたことでいいと思うんです。原発災害というのはなくすることができるんですね、つまり原発をなくせば。ドイツはなくします、今から。台湾もなくなるでしょう。だから、そこには選択肢があるんですよ。そのことだけは頭に入れてください。

 少なくとも今の大臣の答弁は、住民の安全を考えると言いながら、ぎりぎりのところでは、住民の安全は考えるけれども、どうしても逃げられないこともあっても、やはり原発が必要だ、そちらを優先している。どちらを優先するかですから、私はそのことをもう一回改めて考え直していただきたいと思います。

 そこで、ちょっと話をかえます。

 「もんじゅ」について、全体として廃炉の流れが決まりつつあるというふうに報道も含めて見ております。これは、原子力規制委員会が文科省に対して、運営主体をしっかりしたものに変えるようにという勧告がいわば引き金になってこういう流れができたというふうに思っております。

 私は、そのこと自体はよかったと思っているんですが、あわせて、先ほども話がありましたが、先日、福島原発に改めて行ってきました。いろいろ凍土壁の問題などでも規制委員会のある意味での指導を受けたり、あるいは、先ほどもありました、原賠・廃炉機構のいろいろな指導を受けたり。率直に申し上げて、いろいろ説明を聞くんですが、このメルトダウンを起こした廃炉、これはスリーマイルでは若干ありましたが、メルトスルーまでした原発の廃炉というのは世界で初めてだと思います。これに対して一体最終的に誰がそれを担う責任者なのか、あるいは責任体制が十分なのか。

 ちょうど文科省が「もんじゅ」に対して、必ずしもしっかりした体制をつくれなかったという指摘をされたわけですが、この廃炉について、原子力規制委員会の方で、もし今のような体制について問題があるという場合に、「もんじゅ」の場合と同じように何らかの是正を求める、そういう考え方はありませんか。

田中政府特別補佐人 お尋ねの勧告権のことですけれども、原子力規制委員会設置法では、原子力規制委員会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるとき、関係行政機関の長に対して、原子力利用における安全確保に関する事項について勧告ができる旨、規定されております。

 しかし、今お尋ねの東京電力の廃炉については、これはかねがね私は申し上げておりますけれども、一Fの廃炉は国民的、国全体の課題である、そういう認識で、私どもとしても全面的に、規制の枠を超えて協力できるところは協力するという考えで取り組んでおります。

 具体的には、監視・評価検討会において、廃炉のやり方、それから進み方について、随時、評価、検討をしまして、それについてやや踏み込んだ提案もさせていただいているところでございます。

 そういうことで、現在、今、一Fの事故を起こした廃炉の責任は、これは一義的に東京電力がありますので、東京電力に勧告を出す必要性というのは感じておりませんし、それが適切だとも考えておりません。

菅(直)委員 一般論では、私は言われることはよくわかるつもりです。

 ただ、実際に先日も行って話を聞いたんですが、凍土壁の問題でも、かなり具体的なところまで、まさに規制委員会の方で、ここは凍らせると逆に中の濃度の高いものが外へ出る可能性があるからまだ無理だとか、そういう指導を受けているというような説明もありました。

 私は、そういうことを含めて、一体どこが本当の意味のヘッドクオーターになっているのかなと。先ほどもありましたけれども、この原賠・廃炉機構、大体が原子力賠償の機関に廃炉の責任を負わせること自体、私は全く異質なものを二つ並べているような気もしますし、あるいは、経産省の中には、先ほども出た東電委員会と略称されるものもできています。

 どなたでもいいです、経産省でもいいですが、一体この事故を起こしてメルトダウンした福一の、これは普通の廃炉じゃありませんから、寿命が来て廃炉にするのであればまず燃料を取り出せばいいわけですけれども、燃料が取り出せないわけですから、その廃炉について、最終的なヘッドクオーターはどこなんですか。

平井(裕)政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発の廃炉は、炉の設置者であり、現場に精通し、事故を起こした東京電力が、実施主体としてその責任を引き続きしっかり果たしていくことが大原則というふうに認識しておるところでございます。

 一方、福島第一原発の廃炉につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、世界に前例のない困難な取り組みということでございますので、東電任せにせず、国も前面に立って取り組むことといたしまして、廃炉を着実に進められる体制を構築してきているところでございます。

 具体的には、政府といたしましても、中長期ロードマップを策定し、対策の進捗管理ということを行うとともに、御指摘のありました原賠・廃炉機構につきましては、廃炉技術に関する戦略策定などの技術的支援、これを実施いたしますとともに、さらに技術的難易度の高いそうした研究開発に対しては、国が財政措置等を講じてきているところでございます。

 また、先ほど委員長からもお話のありましたとおり、原子力規制委員会は、規制機関としての、原子炉等規制法に基づいて、福島第一原発を特定原子力施設に指定し、規制の実施をしてこられていると理解しております。

 引き続き、実施主体である東京電力及び関係機関がそれぞれの役割を果たしていくことで、福島第一原発の廃炉を安全かつ着実に進めていく所存でございます。

菅(直)委員 まさにそのことなんですよ。

 事故が起きた直後に、一部にありました、破綻処理をさせるべきじゃないかと。JALの場合は破綻処理をしましたが、飛行機は飛びますから、飛べる体制があるということで当時破綻処理をしました。しかし、あの時点で破綻処理を急ぐと、事故の収束、事故対応そのものが、例えば技術者がいなくなったりして支障が起きるのかなということ、さらには、被害者に対する賠償や救済が、東電がなくなったらすぐ国が肩がわりする、そういうことを考えると、ある時期まではちゃんと東電が中心になってやってもらうことがいいだろうという判断を、少なくとも当時、私の周辺で、私を含めてそういう判断をしました。

 しかし、五年半たったんです。電力会社の本来の仕事は、一般的には電力の供給です。つまり、賠償とか、まさにメルトダウンした原発の解体、廃炉という作業は、通常の電力会社の事業ではありません。しかし、お金の問題では絡むんですね、先ほど来の議論でもあるように。

 そうすると、先ほどの二つの意見でもかなり違いますよね。原子力委員長は、まさに国全体の責任だと。私もそう思います。しかし、実施主体は東電だと。だから、そのところが、そろそろきちんと考える必要があるんじゃないですか。東電には電力供給の普通の電力会社としてやってもらうのはもらう。しかし、そういう世界でも初めての解体、廃炉作業とか、あるいは、これから何十年も続く被害者に対する支援とかは、場合によっては何らかの新しい機構をつくるなり、そういうことも含めて、東電の経営形態にも踏み込んだ判断が要るんじゃないですかと言っているんです。経産省の中には東電委員会というのもつくっているわけでしょう。

 これについて、大臣でもいいし、どなたか御意見があれば聞かせてください。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほども御指摘ありましたように、福島第一原発に係る廃炉等については、やはり、事故を起こした東京電力が、地元福島と向き合って、責任を持って行うというのが大原則かと思います。その上で、平成二十五年の閣議決定に沿って、国としても、東電任せにせずに、前面に立って適切に対応していく、こういうことで考えております。

 こうした方針を前提としました上で、事故の当事者である東京電力に対しては、さらなる抜本的な改革を求めるということで、東京電力改革・一F問題委員会、通称東電委員会を設置いたしまして、検討を開始したところでございます。

 現段階で何らかの方向性が固まっているものではございませんけれども、国民が納得し、そして、福島の方々が安心できるような解決策、東京電力が負う福島に対する責任、安定供給をするという電力事業者としての責任、それから、経営改革の中で原資を生み出して、それを国民と福島に還元していく責任というものをどうやったら果たしていけるのかという解決策を見出していくべく、外部の有識者の御意見をいただきながら、改革のあり方について徹底的に検討してまいりたいと考えております。(菅(直)委員「大臣、いかがですか」と呼ぶ)

平委員長 山本大臣、コメントいいですか。

山本(公)国務大臣 今、経済産業省が説明したとおりだと思っています。

菅(直)委員 説明したとおりでいいかどうかということをお聞きしたんですよね。

 東電が実施主体が大原則だと。果たして、それでこれから三十年、五十年やっていけるんでしょうか。先ほど来の汚染処理の問題、あるいは株の問題を含めて、一般的に言えば、今の東電は、普通の会計処理をしたら債務超過ですよ、間違いなく。国が金を突っ込んでいるから何とかなっているので。さらに足らないから八兆円の国からの支援を要請しているというような話も新聞紙上では少なくとも出ていますよね。つまり、成り立たない会社なんですよ。しかし、やらなきゃいけないんですよ、解体処理は、あるいは賠償は。

 だから、成り立たない会社に実施主体としての責任を持たせているから、何か話が、私から見る限り、いろいろな方から聞いても、はっきりしない。これは、原子力委員会の責任かどうかは別として、委員会が文科省に対する勧告を出されたのと同じように、どこかがやはり中心になって、本当に三十年、五十年先を見通した中での体制を、今のままでいいのかどうか。私は、今のままだとますます無責任になると思いますよ。もう一度だけ、大臣の答弁を求めます。

山本(公)国務大臣 所管外のことでございますので、一応、再稼働、それから福島第一原発等々については、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

菅(直)委員 所管外と言えるのかどうか。先ほど来、防災の問題も含めて、原子力防災の所管なんですからね。余り大臣と水かけ論をやっても、あと残りわずかなので、少し話をかえていきたいと思います。

 先ほども他の委員が、パリ協定について、十一月七日からのCOP22に締約国として参加できないということ、これは、明らかに政府としての失敗というか失策だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 政府としては、気候変動という国際社会の深刻な課題への対応に最大限貢献していくという立場にございまして、パリ協定を重視いたしておりまして、迅速な締結が不可欠であると考えております。

 パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に既に署名を行いまして、同時に、パリ協定の国内実施の担保に係る検討を進めるため、可能な限り迅速に作業、調整を行った上で、十月十一日に閣議決定をいたしました。

 今後とも、パリ協定の実施指針の策定交渉に積極的に臨んで、我が国の利益が最大限反映されるよう全力で取り組んでいきたいと思います。

菅(直)委員 大臣が努力されたことはわかっていますが、しかし、結果として、COP22で締約国として参加できない、これはやはり失敗、失策ではないですかと聞いているんです。その見解を、政治的な見解を聞いているんです。素直に答えられればいいんですよ。

山本(公)国務大臣 いや、なかなか素直に答えるとあれでございまして。

 いわゆる、先生御存じだろうと思いますけれども、プレCOPが多分始まったと思います。プレCOP、世界で今後行われる十一月のいわゆるCOP22の会合に向けての下話交渉がもう既に始まっておると承知をいたしておりまして、その舞台においては、日本は既にもう中心的な存在として議論にかかわっているというふうに承知をいたしております。

菅(直)委員 素直に言えないということを素直におっしゃったので、それ以上は言いませんが、先ほども大臣が、できればCOP22に出たいというふうに言われて、私も大いに出ていただきたいと思うんです。ただ、そのときに、この間の安倍政権の中で、私から見ていると非常に不十分なところがあるんですよ。それは、世界の大きな流れを読み違っているんですね。

 つまり、京都議定書のときから、最もこれに厳しい姿勢をとったのは、最大の排出国である中国とアメリカだったんですよ。それがCOP21から、その最大の抵抗勢力であったアメリカと中国が先頭を切って動き出したんですよ。この背景をきちんと読んでおかないといけないですね。

 私が思うには、中国もアメリカも、もちろんまだ原発は持っています、化石燃料もやっていますが、物すごい勢いで、今、風力、太陽光、そういうものを広げています。もう大臣御存じかどうか、今、世界の風力による発電量は、世界の原発による発電量を昨年超えました。中国は原発もまだつくろうとしていますが、それ以上に風力をどんどん増設しています。つまりは、COP22の最大の課題であるCO2排出を削減できるという見通しを、この二つの国が、最大の排出国が、それを将来的にやれると思ったんですね。

 そのことを見誤ると、つまり、日本はどちらかというと逆をやっています、まだ石炭火力をつくるなんてことを言っていますよ。大臣の所管のアセスをやって、もうちょっと厳しくして。あんなもの五十年もちませんよ、世界的にいうと。必ず批判を受けますよ。そういう大きな流れ、つまり再エネへの流れを日本も進めるという姿勢がないから読み誤った、そう思いますが、いかがですか、最後に。

山本(公)国務大臣 先生の御指摘、本当にありがたく頂戴いたしたいと思います。

 私も、今、先生がおっしゃったように、京都会議のときに私環境政務次官をやっていまして、会議に参加いたしておりまして、当時を考えますと本当に時代が変わったなということを今回のパリ協定を見ながら感じております。

 そういう意味において、やはり、日本がこの十何年間、京都会議以来、間違いなく世界の中心で、この問題でさまざまな仕組みを考えるときに役割を果たしてきたと思っておりますので、今後とも、多分時代が変わろうとも、日本は環境先進国として果たすべき役割があるというふうに思っております。

菅(直)委員 時間なので、終わります。

平委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 東日本大震災、東京電力福島第一原発の事故から五年と七カ月がたちました。しかしながら、原発事故の被害者及び被災地では、先の見えない状況が依然として続いております。政府の進める原発事故対策が前進するのかしないのか、重要な時期が来ていると考えております。

 そこで、新任の山本大臣初め関係者に基本的な考え方をただしてまいりたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず最初に、通告外ですけれども、山本大臣にお伺いをしたいと思います。

 先ほど、菅委員の質問に対して、原発は必要だ、こう答えておるようでありますけれども、実は、平成二十六年度は原発ゼロでした。しかし、二酸化炭素、CO2も削減することができているという資料を国立環境研究所が出しております。

 ですから、原発がなくてもエネルギーは間に合っちゃうんですね。しかも、二酸化炭素も削減できていた。もちろん、石炭火力発電所についてはさまざまな問題があって、これは削減しなくちゃならないんですけれども、しかし、新規の、新設の計画が何と六十二基でしたか、そんなにも出ておりまして、経産省主導になるかもしれませんが、それをみんな認めると、まさに原発がなくてもきちっとやれるんですね。

 ですから、石炭火力発電所をつなぎとしながら、原発はやめて、再生可能エネルギーなどに切りかえて、二酸化炭素も減らしていくということも実は可能なんです。

 ぜひ、その辺のことについて御認識があればお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 福田委員には、今、ありがたい御示唆をいただきました。

 私は最終的には、自民党もそうでございますけれども、原子力発電に対しては一つの考え方を持っております。さはさりながらという世界で日本のエネルギー事情ということを考えていったときに、かくあるべしという思いを持っておりましたことだけはお伝えをいたしたいと思っております。

 今、石炭火力のことをおっしゃっていただきました。私はつなぎとも思っておりません。石炭火力は、私は、やはり世界の潮流にも反するものだという思いを持っておりますので、つなぎとも思っていないということだけは御承知おきいただきたいなと思っています。

福田(昭)委員 それでは、ぜひ経産省との、しっかり調整を期待したいと思っております。

 それでは、通告の質問に入りたいと思います。

 まず一つ目は、除染区域の放射線量の引き下げ目標値と、除染面積と費用の二十七年度末の実績と平成二十八年度末の見込みについて、国直轄の面的除染、そして市町村等が行う面的除染に区分けをして、簡潔にお答えをいただければありがたいと思います。

山本(公)国務大臣 国直轄で除染を行う地域については、最新の数値で、約二万一千戸の住宅、約六千五百ヘクタールの農地、約五千ヘクタールの森林、約一千百ヘクタールの道路等で除染を実施いたしております。国直轄での除染費用は、政府全体で平成二十八年度補正予算までに累計約一・四兆円となっており、平成二十七年度末までに約〇・八兆円を支出いたしております。

 市町村が行う除染については、福島県内、県外を合わせて、約五十五万戸の住宅、約三万一千ヘクタールの農地、牧草地、約三千二百ヘクタールの森林、約一万五千キロメートルの道路で除染を実施いたしております。市町村での除染費用は、政府全体で平成二十八年度補正予算までに累計約一・五兆円となっており、平成二十七年度末までに約一・〇兆円を支出いたしております。

 これらの結果、線量は低減しております。除染の効果は地目や線量によって異なりますが、例えば楢葉町では、除染工事により全宅地の線量が平成二十八年二月の時点で除染前に比べて約六六%低減いたしております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 除染の効果は確実に出ているということでありますけれども、昨日いただいた資料によりますと、一般公衆の年間追加被曝線量などについては、低減している割合は、実は、物理的減衰等による低減率が約四〇%、除染による低減率は平均で二四%、それから、子供の年間追加被曝線量などについても、物理的減衰等による低減率が約四〇%、除染によるものは二年間で平均で約二五%、そんな報告をいただいております。

 除染の効果というのは二〇%強ぐらいの効果しか今のところ発揮できていないということでありますので、先ほどの塩川委員の質問にもありましたけれども、今後相当のお金がかかっていくのかなというふうに思っています。

 一応、二十八年度で除染は終わる計画になっておりますけれども、二十九年度以降についての何か検討というのはあるのかないのか、それとも、二十八年度でしっかり打ちどめにすることができるのかどうか、その辺について考え方があればお答えをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、二十八年度末までに当初予定をしておりました面的除染は完了するということで、今鋭意作業を進めてございます。

 ただ、二十九年度以降も、例えばフォローアップ除染でございますとか、里山の除染でございますとか、あと、仮置き場がたくさん残りますので、そういうものを適切に管理して順次中間貯蔵施設に搬出をして、搬出が終わった仮置き場は原状回復をして地権者の方にお返しする。あと、除染で出た可燃物については適切に減容化処理をする。こういう除染で出たものの後処理というものが相当ございますので、それにまた必要な予算がかかるというふうに考えております。

福田(昭)委員 先ほどの塩川委員の質問にもありましたけれども、これから帰還困難区域の除染とかあるいは森林除染をやるということになれば、除染の費用はもしかすると今までかかった以上のお金がかかるということも十分予想されるわけであります。

 森林除染は環境省の所管外になっちゃうのかもしれませんけれども、しかし、森林面積は広大ですから、これは本当に容易なことではないと思っていますが、そんなことに対して、環境省としてしっかり意見を述べるということはしっかりやっていくおつもりはあるんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 森林除染につきましては、環境省が、人が住んでいる生活圏の近隣の森林でございますとか、あるいは人が頻繁に立ち入るような森林については除染をしてございます。

 ただ、それだけではなくて、特に森林、林業の再生という観点では、林野庁あるいは復興庁と連携をして、より幅広く、森林の再生も含めて関係省庁で総合的に取り組んでいくという方針をことしの三月に出しておりますので、これを踏まえて、各省連携をして進めていきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 先ほども申し上げましたが、除染の効果というのは意外と低いんですよね。物理的、自然減衰の方が割合が大きい。これについては、大体四年ぐらいで大幅に減って、それからは徐々にしか下がっていかないというのが基本的な考え方だと思いますので、そういったことも踏まえて、どこまで除染をするのかというのはしっかり考えていく必要があるんじゃないかなということを指摘しておきたいと思います。

 次に、放射線にかかわる住民と市町村職員の健康管理や健康不安についてであります。

 一つ目は、福島の子供たちの甲状腺がん及び疑いについてであります。

 二〇一六年二月十五日現在、福島の子供たちの甲状腺がん及び疑いは百六十六人、うち手術後に確定した子供たちは百十六人に達しているということでありますけれども、福島県が設置した県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会ではどのような評価をしているのか、環境省として認識をしていればお答えをいただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今般の原発事故に伴う住民の健康管理でございますが、これは、医学等の専門家の御意見を聞きつつ進めることが大変重要というふうに認識しております。

 そして、環境省が開催した専門家会議の中間取りまとめでは、先行検査で発見された甲状腺がんについては、「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない。」とされております。また、御指摘の福島県による検討委員会の中間取りまとめにおきましても、これまでに発見された甲状腺がんにつきましては、「放射線の影響とは考えにくい」という評価がされているところでございます。

福田(昭)委員 いつまでそういう評価をしているんですか。

 疫学の専門家によると、通常の三十倍から五十倍の多発であると検証しております。そして、そろそろ評価法を改めないと大変なことになる、もしかするとチェルノブイリよりも多くの甲状腺がんが発症するんじゃないかというふうな疫学の専門家からの指摘もあるし、また、先ほどの、手術をした病院でその病院の手術の状況をホームページにアップしたところ、どこからか文句が入って、それが二回目から削除されてなくなっちゃっているという報道もあります。

 したがって、本当に、どうなっているのか、やはり真実や事実というのは明らかにすべきじゃないかと思っております。

 私も、チェルノブイリで五年間、内科医、小児科医として子供たちあるいは大人たちの健康診断に当たってきた松本市の菅谷市長さんの話を伺いましたけれども、また彼が書いたものも読ませていただきましたけれども、やはり甲状腺がんは事故後五年ごろから多発をする、そして低線量被曝も注意をしなくちゃならない、そういう指摘をいたしております。

 ぜひ、そういった意味で、そろそろ本当のことを知らせる、そういうことに対して前向きになるべきだということを訴えておきたいと思います。

 二つ目は、双葉郡外三市町村、南相馬市、川俣、飯舘村、それから双葉郡内、富岡、楢葉、広野、浪江、大熊、双葉、葛尾、川内村の八町村の事故後六年間の早期退職者、メンタル疾患休職者などについて、政府として把握をいたしておりますか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が実施した地方公務員の退職状況等調査によると、南相馬市、川俣町、飯舘村及び双葉郡八町村における定年退職等に該当せず離職した自己都合などの普通退職者は、平成二十一年度二十人、平成二十二年度十八人、平成二十三年度九十八人、平成二十四年度六十六人、平成二十五年度六十四人、平成二十六年度四十五人となっております。

 震災直後において、これらの団体の普通退職者が増加しているところであります。

 また、総務省が実施した地方公務員制度実態調査によると、当該十一市町村における精神疾患を含む心身の故障による休職者は、平成二十一年度十九人、平成二十二年度十四人、平成二十三年度九人、平成二十四年度十六人、平成二十五年度十六人、平成二十六年度十四人となっております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 総務省の調査と私が頼んでやっていただいた自治労福島県本部の調査と、ちょっと数字は違いますけれども、大体一緒かなというふうに思っております。

 早期退職者とメンタル疾患休職者というふうになっておりますけれども、早期退職者が二〇一一年百四十六人、二〇一二年四十三人、二〇一三年四十五人、二〇一四年四十二人、二〇一五年六十九人、二〇一六年四十人、何と三百八十五人です。メンタル疾患休職者、二〇一一年二十三人、二〇一二年十一人、二〇一三年十四人、二〇一四年十五人、二〇一五年十二人、二〇一六年十五人、九十人となっております。

 まさに、復興の中心となって活躍をしている、あるいは活躍をしてもらわなくちゃならない市町村の職員が病気になったりあるいは早期退職をする、こうした人たちが多数いるという事実をしっかり把握したならば、何らかの対策が必要ではないかと思いますが、このことに対して何らかの対策をする、あるいは対策をしている、そういうことがあれば教えていただきたいと思います。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策五カ年事業ということで、地方公共団体、被災団体が職員あるいはほかの団体から派遣を受けた職員に対するメンタルヘルス対策を実施した場合に、震災復興特別交付税で財政措置をしております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 最近、地元からの話ですと、どうも、復興の拠点をつくるという話が出てきたりして、地元へ戻るということになったらやめたい、実際やめたという若い職員がふえてきているというんです。若い職員がですよ。

 そういう報告なり、認識はしておりますか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、ちょっとそこまで調査しておりません。

福田(昭)委員 このことは、やはり職員だけじゃなくて住民全体に実は通じることなんですね。なぜ戻りたくないかという理由なんです。

 その次の質問に入りますけれども、三番目、住民の半数が戻らない理由について。特に、原発周辺の浪江、双葉、大熊、富岡、ここで戻りたいという人は約一割強ですね。回収率を含めると一割ぐらいになっちゃうんだと思うんですが。戻らないという人は五割ですね。あるいは六割のところもある。

 その戻らない理由についてですが、山本大臣は住民意向調査で戻らない理由について御存じですか、何で戻らないのか。

山本(公)国務大臣 何度か今の御指摘の町には行ってまいりましたけれども、ちょっと今、手元に資料がないので、お答えできません。

福田(昭)委員 大臣は、この問題の解決をするために、きっと最後のバッターとして任命されたんだと私は思っているんですよ。今までの大臣は、申しわけないけれども、全然、より広範に目が行き届かない、残念ながら。役人が書いたものだけ読んでいる。これではやはり解決はできない。政治家が決断するほかないと私は思っているんですよ、基本的に。

 ですから、復興庁と関係の市町村が共同でやっている住民意向調査ですけれども、これは環境大臣もしっかり目を通していただかないとこの問題の解決にはつながらない、こう思っていますので、ぜひ今度確認していただきたいと思います。

 やはり、大きい理由は二つなんですよ。一つは、先ほど菅委員の質問にもありましたけれども、福島第一原発は本当に大丈夫なのか、落ちつくのか、こういう問題ですね。御案内のとおり、凍土壁もどうもうまくいっていない、汚染水はふえるばかりだ、それから原子炉を破って下に落ちちゃったデブリもどうなっているのかまだまだわからない。ですから、一応冷温停止はしているかもしれないけれども、いつどうなるかわからないという不安はずっと拭えないままなんですね。

 それから、もう一つは放射線量です。放射線量が本当に、政府が決めた追加被曝線量が年間一ミリシーベルト以下になるのはいつなのか、安心して帰れるのはいつなのかというのを政府はずっと示さないわけですよ。何年後になったら一ミリシーベルト以下になりますよ、それを目標にしてやりますよという方針を政府はいまだに示していないんです。

 ですから、この二つが戻らない大きな理由ですね。特に若い人たちは、自分の子供たちのことを考えたら帰りたくないんです。先ほどの甲状腺がんの話もありましたけれども、帰りたくないんですね。

 そのほかの理由は、それこそ上下水道から電気から、あるいは買い物できる場所とか生活のインフラをちゃんと整えてくれるのかな、これが三番目として挙がってくると思いますけれども、原子炉がどうなるのかな、それから放射線量が安心できるところまで下がるのかな、この二つが、実は、帰らない、戻らない人の大きな理由なんです。

 そして、その次、二つ目でありますが、二つ目は、住民の被曝線量基準についてであります。

 二〇一二年、平成二十四年の六月二十一日、原発事故子ども・被災者支援法が国会において全会一致で実は成立をいたしました。それにもかかわらず、制定後一年以上もの間、実施がされませんでした。これは政府が実施を怠っていたんです。そのあげく、二〇一三年、平成二十五年十月、被災者の意見がほとんど反映されることなく基本方針が閣議決定をされました。この段階で同法はほぼ骨抜きにされたと言ってもいいと思います。

 山本大臣、いかがでしょう。改めて、この支援法が求めている被曝線量基準、これを年間一ミリシーベルトとしっかり決めませんか。どうですか。

山本(公)国務大臣 政府としては、除染のみならず、モニタリングや食品の安全管理、リスクコミュニケーション等の総合的な施策を通じまして、住民の方々が生活する中で個人が受ける追加被曝線量が、長期目標として年間一ミリシーベルト以下になることを目指しているところでございます。

 福島の皆様方のお気持ちをしっかりと受けとめ、十分な対話を行いながら、引き続き、長期目標である年間一ミリシーベルトの達成に向けて、政府一丸となって種々の対策を実施してまいります。

福田(昭)委員 この子ども・被災者支援法は、チェルノブイリ法を参考にして多分つくったんですよ。チェルノブイリ法では、まさに、年間追加被曝線量一ミリシーベルト、これを基準にして、帰還するか、あるいはここに居住するか、移住するか、そういうことをしっかりと定めた上で、支援する地域、あるいは被災者に対する支援はどうするか、どうあるべきかということを決めてあるんですよね。

 それによって、あの事故からもう三十年近くたちますけれども、今度はソビエトが崩壊してロシアになりました、ウクライナ、そしてベラルーシ、この三カ国の人たちは、そのチェルノブイリ法の恩恵にあずかってしっかり保護されているんですよね、実は。でも、今回、この福島の事故では、残念ながらこれは骨抜きにされてしまいましたから、もう精神的な賠償はやめますよとか、そういうことになっていっちゃったんです。

 さらに申し上げれば、私の地元の栃木県の県北の人たち、この人たちは、県境を境にして、放射線量が同程度でありながら全く補償されていない。七千人の人がADRで損害賠償を請求していますよ。まだ結果は出ておりません。那須町の人、那須塩原の人、大田原の人たちを中心に、県境を境にして、残念ながら、放射線量は隣の白河やあれと同じなんですよ、にもかかわらず、まさに何の補償もされていない。

 こういうところもあるということでありますから、チェルノブイリ法に倣ったのなら、しっかり年間の追加被曝線量は一ミリシーベルトと定めて、それに該当する地域を支援地域としっかり定めて、そこに居住していた人たちの支援をしていくというのをやはりする必要があるんじゃないですか。そうでないと、この問題はいつになっても解決しないんじゃないかなと思っております。

 時間の関係で次に行きますけれども、四番目、帰還困難区域の取り扱いについてでありますが、これについては、まだまだ閣議決定しただけでほとんど何も決まっていないようでありますので、きょうは誰か来てくれていますかね、高木副大臣、せっかく来てくれているので、では、一言だけ。高木副大臣の名誉にかかわることなので、お尋ねしておきたいと思います。

 地元から入ってきた声によりますと、今の年間一ミリシーベルトにかかわるんですが、それまで下げるという目標も示さないし、もし帰還困難区域に復興拠点ができてそこに移住した場合に、健康被害があった場合には誰の責任なんだ、国がちゃんと責任をとってくれるのかという質問をしたら、高木副大臣が、いや、それは自己責任です、こう言ったというような話が伝わってきているんですが、その辺はいかがですか。

高木副大臣 まず、帰還困難区域に関する国の考え方でございますが、これはもう委員御承知のとおり、帰還困難区域のうち、五年をめどに、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す復興拠点を設定して整備することを閣議決定させていただきました。今現在、七つの市町村、しっかりと住民の方々にも御説明をしながら、それぞれの自治体当局とも話し合いをしながら、その復興拠点のあり方等も考えております。

 その一方で、この避難指示の解除の要件でございますが、これは、帰還困難区域だけではなくて、これまで解除してまいりました避難指示解除準備区域または居住制限区域も、基本的には、放射線量については空間線量で推定された年間積算線量が二十ミリシーベルト、こういうようにやっておりまして、これまでの、二年前に田村、川内、そして昨年に楢葉、ことしに入りまして残りの川内と葛尾村、さらには南相馬と解除してまいりましたが、いずれもこの二十ミリシーベルトという基準でやらせていただいております。

 しかしながら、住民の皆様方といろいろとお話し合いをさせていただくと、やはり不安があるというのは確かでございますので、解除の基準は二十ミリシーベルトでございますが、これまで環境省が除染をしてきたその数値を見ますと、さらに下の数値でなっているという現状もございます。

 一方で、住民の放射線不安に対してはきめ細かく対応しなければいけないので、例えば復興庁の予算で放射線の相談員というものも設置をしたり、さまざまな形でリスクコミュニケーションをとっていくということも重要であると思います。

 なお、自己責任というような言い方は私はしておりません。

福田(昭)委員 地元では、高木副大臣が自己責任と言った、とんでもないという声が聞こえてきておりますので、そこはしっかりやっていただきたいと思っています。

 それで、実は我々も、環境委員会も双葉の町や大熊などの四人の町長と現地調査をして意見交換しましたけれども、四人の町長が異口同音に言っておりましたのは、政府が二十ミリシーベルト未満になれば大丈夫だと言っても、どこで帰還宣言していいかわからないとみんな言っていました。十ミリシーベルトがいいのか、五ミリがいいのか。

 ですから、ここは、二十ミリシーベルトで、はい、帰還できますよというのは考え直した方がいいと思います。それは、御案内のとおり、楢葉も二十ミリシーベルト以下で帰還宣言いたしましたけれども、戻ってきた人がいまだに一〇%にも満たない、こういう状況でありますから、今度は特に帰還困難区域の避難指示の解除でありますから、ここはしっかり、二十ミリシーベルト未満なら大丈夫だという考え方は改める必要があると思いますので、今後検討していただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、本来なら指定廃棄物の現状と今後の方針についてずっと聞きたいところでありましたが、ずっとはしょりまして、最後に、六番目の指定廃棄物の最終処分場が決まらない理由について、大臣と意見交換をしたいと思います。

 まず一つ目でありますが、特措法に基づく基本方針が原理原則を無視しているということについての認識はありますか。

山本(公)国務大臣 指定廃棄物のことでございますけれども、いわゆる放射性物質汚染対処特措法に基づいて閣議決定した基本方針において、指定廃棄物は、発生した各県内で処理することとされております。

 福島県は、原発事故により最も大きな被害を受け、復興、帰還に向けた懸命な努力を行っているところであり、他県の指定廃棄物を持ち込むことでさらなる負担を強いることは、到底理解を得られないと考えております。

 環境省としましては、今後とも基本方針に沿って対応を進めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 先ほど来の質疑応答にありますように、原子炉を廃炉にしたときに出てくる放射性廃棄物を最終処分する責任は、原子炉等規制法で原子力事業者と決まっているわけです。この原子力事業者がきちっと最終処分するんだという原則が実は薄められてしまっているのがこの特措法です。ですから、東電の責任が後ろに引っ込んじゃっている。先ほどからいろいろな議論の中に出ていましたけれども、東電は、では特措法に基づいて金銭的な賠償だけすればいいのかという形になっちゃっているのが特措法であります。しかし、御案内のとおり、放射性廃棄物を最終処分する責任は原子力事業者、今回の場合は東京電力です。このことを踏み外しているというのがまず今回の特措法の問題点であります。

 それからもう一つは、やはり、候補地として、できるだけ早く候補地を選びたいということで国有林を選んだことです。国有林はほとんど豊かな水源の森です。水源地を荒らすことは許されません。ですから、当初選んだ矢板についても、あるいは高萩についても、すぐ反対運動が起きました。今回も、宮城県でもまさに反対運動が起きましたし、栃木県でも塩谷町でも反対をしております。

 ですから、原理原則を無視しているということ、やはり、排出者責任、汚染者責任、原子力事業者の責任、これを無視した特措法に基づく基本方針だからまとまらない。

 そして二つ目。

 今もお話がありましたけれども、福島県にこれ以上負担をかけられない、歴代の大臣が、私が言うと、必ずそう答えました。福島県の中間貯蔵施設へ収蔵する量二千二百万立米と比べると、五県の指定廃棄物の量は〇・一%にしかならない、こう申し上げておりましたが、今回、再測定すると、十年後の量は五千五百七十三・六トンということで、二千二百万立米と比べますとわずか〇・〇二五%にしかなりません。

 そうすると、歴代の環境大臣は、いや、量の多寡ではないんだ、量が多い少ないじゃないんだ、福島県民にこれ以上負担をかけられないと言うんですが、それは、では何なんだということについてはずっと答えがないんです。福島県民に負担をかけられない、それは何なんだと言うと、答えがずっとないんです。

 大臣も御存じのように、福島県内で発生したものについて、十万ベクレルを超えるものは中間貯蔵施設へおさめます、それ以下はエコテックセンターです、こういうふうに区分けされておりますが、実は、中間貯蔵施設へおさめるものは、十万ベクレルを超えるものはわずか三万立米です。それ以外は除去した土壌等です。十万ベクレルを超えるのは、わずか三万立米ですよ、二千二百万のうち。

 五県におさめる指定廃棄物とこの中間貯蔵施設へおさめる廃棄物の性質は全く同じです、性状は。違いはありません。なのに、どうして五県につくるということになるのか、その理由が全くわかりません。その理由は、福島県民にこれ以上負担をかけられないというんですがね。だから、何で負担になるのか、私には全くわからない。

 ですから、これは国が全て対応するんですよ。こういうごみを、指定廃棄物を全部運搬して中間貯蔵施設へおさめるということも全部国が対応するんですよ。福島県がやるわけじゃありません。あるいは、周辺の町村がやるわけでもありません。なのに、福島県民にどういう負担がかかるんですか。どうですか、大臣。

山本(公)国務大臣 繰り返しになりますけれども、福島県のお地元には、苦渋の決断として、福島県において生じた除去土壌等や特定廃棄物に限って受け入れていただいたといういきさつがございます。

 また、福島県の意向は、平成二十五年六月に確認した際にも、閣議決定された基本方針に基づき、各県内において国の責任で確実に処理すべきとの回答をいただいております。

 福島県外の指定廃棄物は、福島県内の除去土壌等と比較して少量であることは事実でございますが、それでも、福島県の方々にとって県外のものを受け入れる心理的負担ははかり知れないものがあると考えております。

福田(昭)委員 どういうふうに決まっているかというと、中間貯蔵施設へおさめるものも三十年以内に県外へ持っていくと決まっているんですよ。まあ、県外があるかどうかわかりませんけれども。そうしたら、指定廃棄物もみんな中間貯蔵施設へ一旦おさめて、三十年以内に県外へ持っていく、こういうふうにしたらどうですか。そうでないと、五県は絶対まとまりませんし、しかも、世界じゅうから笑われますよ。こんな危険なものは、一カ所に集中管理するほかないんです。これは世界標準です。ですから、世界標準も踏み外しているから、これはまとまらないんですね。まあ、きょうはここまでにしておきますが。

 最後、塩谷町の町長選が八月にありましたけれども、そのことについて大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

 今回、八月に塩谷の町長選挙がありましたけれども、このとき、現職の見形町長も対抗馬の手塚元町長も、最終処分場の白紙撤回を訴えました。これが最大の争点でありました。中でも、元町長の手塚氏は自民党の推薦を受け、応援に入った自民党の国会議員も県会議員も全員白紙撤回を訴えました。そのことに対してどう受けとめますか、大臣。

山本(公)国務大臣 指定廃棄物の問題については、御地元の関係者の皆様方にさまざまなお考えがあるということは承知をいたしております。

 環境省としては、塩谷町にある詳細調査候補地の選定は、市町村会議において数回にわたって議論を重ねてきた結果であり、このいきさつを尊重する必要があると考えております。

 今後も、御地元の懸念や疑問についてよくお話を伺い、丁寧に御説明する機会が得られるよう、働きかけを行ってまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 最後に地元の新聞の記事を紹介しますけれども、塩谷町長選、手塚氏、見形氏、三度目の激突ということで、特に、七月の二十四日開かれた手塚氏の決起大会。西川公也衆議院議員は、候補地として塩谷町上寺島は不適地である、急傾斜地につくるのは反対、町内の平場も反対、与党に頼まないで反対と声を上げるだけでは解決できないとアピール。参議院議員の高橋克法氏は、手塚氏には政権与党がついている、白紙撤回を実現するのは我々だと。板橋一好県議は、見形町長からの反対意見を聞く耳はない、手塚先生が当選すれば、私は反対派に回る。

 これはみんな自民党の議員ですよ。これですよ。まさに町長選においては、それこそ与党候補も無所属の候補も白紙撤回を訴えたんです。

 ですから、町民の意思はどっちも白紙撤回なんですよ。この民意というのを環境省がどう受けとめるのか。これは沖縄の問題と違って、沖縄は国策だからといって民意を受け取らないですけれども、全然受けとめませんけれども、私は、沖縄の問題も民意を受けとめるべきだと思っていますけれども、政府は全く受けとめません。

 しかし、これはまさに、諸外国が絡んでいる話でもありません。ですから、この塩谷町民の意思、民意というのをやはりしっかり考えて、原理原則に戻って、汚染者負担の原則、まさに原子力事業者の責任ということを将来に考えて、解決先はそこしかないということを考えて、中間的な対応を考えて解決をしていくというのがこの問題の実は一番早い解決方法だと思っていますので、今後また議論してまいりたいと思います。

 時間が来ましたので、以上で終わります。

平委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 山本大臣、おくればせながら、御就任おめでとうございます。大臣、これまで長きにわたって環境分野の仕事にかかわってこられまして、深い見識と経験をお持ちでございます。大臣のリーダーシップで、日本の環境行政、大きく前進をしていただきますことを御期待申し上げ、本日の質問に入らせていただきます。

 本日は、パリ協定と地球温暖化対策について私の方から質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、パリ協定についてですが、昨年十二月に採択をされたパリ協定、本年九月以降に、アメリカ、中国の同時締結、さらにはインドの締結、そしてEUの締結と、主要排出国の締結が相次ぎまして、十一月の四日にもその発効の運びとなったわけでございます。全ての国が参加する歴史的な協定がこのように早く発効に至ったことは、気候変動対策をリードしてきた我が国にとって大変喜ばしいことであり、これは画期的なことだと思っております。

 しかし、この発効の要件の達成に貢献した最初のグループに我が日本が入れなかったのは非常に残念でありまして、なぜここまで対応がおくれたのか。また、パリ協定採択直後の発効の見通しはどうだったのか。見通しが甘かったのではないかと私は危惧するわけであります。

 外務省の見解をお聞きいたします。

小田原大臣政務官 我が国はパリ協定を重視しております。迅速な締結が不可欠であると考えています。このため、政府は、パリ協定の署名が開放された当日である四月の二十二日に署名を行いました。

 また、ことし五月のG7伊勢志摩サミットにおいて、ことしじゅうのパリ協定の発効との目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめ、パリ協定の早期発効を目指す立場を積極的に示してまいりました。

 さらに、パリ協定の国内実施の担保に係る検討を進める等、可能な限り迅速に作業、調整を行った上で、臨時国会の審議日程の見込み等を踏まえ、十月十一日に閣議決定を行いました。

 一方で、当初の見通しを上回る形で国際社会の早期発効に向けた機運が高まったことは事実であります。しかし、我が国以外にも、例えばEUは、EU及び全加盟国一括締結の当初の方針を変更し、全ての加盟国が締結手続を了していない段階で、EU及び一部の加盟国のみが、これは七カ国でありますが、先行して締結をいたしました。

 政府として、一日も早く国会の承認をいただけるよう全力を尽くす所存であります。

江田(康)委員 さまざまな課題があって発効の最初のグループに入ることができなかったということでございますが、これは、パリ協定採択直後からやはり強い危機感を持って積極的に締結準備を進めていくべき最重要課題でありまして、そういう意味においては、さまざまな課題はありますけれども、ここに至ったことは重く受けとめなければならないと思っております。

 その上で、大臣にお聞きいたしますが、大事なことは、十一月の七日から開催されるCOP22におきましては、パリ協定の第一回締約国会合が行われることになっております。日本がここに協定の締約国として参加することは厳しくなったと考えられるわけでありますけれども、このCOP22では、パリ協定の実施にかかわる大事な指針が議論されると聞いております。

 具体的にどのような議題がここで予定されるのかということをまずお聞きした上で、締約国として参加できないことで今後の重要な指針の交渉に参加できないことになるのか、これが心配されるところでありますが、国益を損なうことのないように一刻も早く批准することが不可欠、そのように考えるわけですけれども、山本大臣のお考えをお聞きいたします。

山本(公)国務大臣 先生おっしゃるとおり、パリ協定というのは画期的な協定だと私どもは評価をいたしております。

 その上で、COP22が開かれるわけでございますけれども、世界がいわゆる低炭素社会、脱炭素社会に向けたパリ協定にうたっている行動をとることを世界に示す意味で重要な会合であります。

 ここで協議されますのは、パリ協定の実施指針等の策定に係る交渉が行われると承知をいたしております。例えば、温室効果ガス削減行動等に関する報告、レビュー制度に関するガイドラインの議論、全ての国が着実に温暖化対策を実施していくためのルールづくりが議題となってこようかと思っております。

 指針の策定に係る交渉は、引き続き、COPのもとで、我が国を含む全ての国が参加する形で行われる見込みであり、各国の取り組みの実効性を高めていくために、我が国も積極的にルールづくりの議論に参加することといたしております。

 これらの議論の場において、我が国として説得力を持って交渉に参加するためにも、一日も早くパリ協定を締結することが重要でございまして、政府として全力を尽くしてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 今おっしゃられましたように、大変重要な指針の策定でございます。

 ただし、今大臣がおっしゃられましたように、COP22でこの交渉は行われるわけで、締約国会合では日本はオブザーバー参加ということでありますけれども、その交渉自体には、日本は批准さえしておればここに参加してこの議論に加わることができるということだと思いますので、まず、本当にこの国会、短期国会ではありますけれども、今我々がなすべきことは、やはり全政党協力して一刻も早くこのパリ協定の承認をこの国会でなすこと、そして批准国としてCOP22に参加をしていくことだと思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 次に、地球温暖化対策、国内対策また海外への貢献等について質問をさせていただきます。

 今言ったように、パリ協定は、脱炭素社会に向けた重要な一歩になってくるわけでございます。我が国は、パリ協定の目的を実現するために約束した二〇三〇年の二六%削減、これを確実に達成すること、また、長期目標である二〇五〇年八〇%削減に向けた長期戦略づくりにも取り組んでいかなければならないわけでございます。

 そこで質問をさせていただきますが、温対計画で二〇三〇年二六%削減を達成する最大のポイントは、家庭、業務などの民生部門の四割削減にあると思っております。そのためには、家庭やオフィスなど国民全体を巻き込んだ、ありとあらゆる場面での多大な努力が必要になってくるわけでありますが、環境省として、この民生部門四割削減を達成するためにどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

 また、その中の一つではありますが、来年度予算概算要求の中に、省エネ家電への買いかえを促進する省エネ家電等クールチョイス推進事業九十九億円を盛り込んだわけでありますけれども、かつてのエコポイントとの違い、また利点、その効果予測についてもお伺いをさせていただきます。

鎌形政府参考人 お答えいたします。

 民生部門四割削減についてのお尋ねでございますけれども、そのためには、国民お一人お一人にCO2削減にしっかり取り組んでいただく必要がございます。

 このため、私どもといたしましては、賢い選択、クールチョイスということを旗印にいたしまして、低炭素型の製品、サービス、ライフスタイルの選択を促していく、こういうための具体的なアクションの選択肢をしっかりと示していく、これがまず必要でございます。

 その際に、CO2削減のために必要ということのみならず、その他のメリットについてもしっかりと発信していきたいと考えております。例えば、住宅の断熱を高めるということになりますと、ヒートショックの防止など、快適で健康的な暮らしにも資するんだということ、あるいは、省エネ型家電への買いかえということは、光熱費の節約で、長期的には生活費を抑えていくことができる。

 こういったメリットについても、例えば住宅メーカーや販売事業者といった経済界と連携して発信していくということで、断熱性能が高い住宅や省エネ家電など低炭素型の製品、サービスの市場を創出、拡大していきたい、このように考えているところでございます。

 そして、その中で、お尋ねの省エネ家電等クールチョイス推進事業でございます。これは、よりCO2削減の効果の高い省エネ家電への買いかえを促すというための事業でございます。従来行っておりました家電エコポイントと異なりまして、省エネ性能がトップランクの製品への買いかえに限定した対応をするということ、また、買いかえによる具体的なCO2の削減量に比例してインセンティブを決定する、補助金額を決定する、こういった内容の要求となっております。

 また、家電エコポイントにつきましては、消費者に直接インセンティブを与えるという方向をとりましたけれども、今回は家電の販売店に対してインセンティブを与えることといたしまして、販売店の活力、創意工夫を生かしていきたい、このように考えているところでございます。

 現在の要求額は百億円というところでございますけれども、一トン削減当たり二千円の補助をするということで検討をしているところでございます。仮にその要求額を前提とすれば、年間およそ五十万トンの削減というような計算になるところでございます。

 省エネ家電への買いかえ効果が広く一般に認識され、買いかえが広がれば、さらに大きなCO2削減効果が期待される、このように考えてございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 時間がございませんので、民生部門の件について、四割削減についてさらに質問をさせていただきますが、この民生部門の四割削減というのは、今局長にも答弁していただきましたけれども、家庭、業務の省エネだけではなくて、この電力の排出係数の改善がその中の二六%を占めている、ここが大事なんですね。

 それで、現在、先ほどもお話がありましたけれども、石炭火力の新増設の計画も相次いでいるわけでありますけれども、こうした中で、電力の排出係数を改善するために、二月には環境大臣、経済産業大臣合意が発出されたところでございます。

 すなわち、これは、発電事業者に対して、自主的な枠組みの努力とともに、省エネ法に従って石炭火力の高効率化を進める、すなわち、最低でもUSCレベル、IGCC、IGFCレベルを進めていく、そして、LNGとも組み合わせて一対一以上の効率を達成する、一方で、電力の小売事業者に対して、エネルギー供給構造高度化法に基づいて四四%の非化石電源、再エネ、また原子力というところを導入することで、エネルギーミックスの目標である排出基準〇・三七キログラムCO2・パー・キロワットを達成するという、画期的な政策的な対応だと思っております。

 私も長らく経済産業委員会に所属しておりましたので、この合意に基づく、省エネ法並びにエネルギー供給高度化法で規定していく、温暖化対策の目標を達成することができるこの政策的対応について、これは全体的な実効性が大変重要になってくるかと思うんですけれども、これをどのように担保していくか、大変重要なところであろうかと思いますので、山本大臣の御見解をお伺いいたします。

山本(公)国務大臣 CO2排出量の多い石炭火力発電というのは、新増設が進むと、国の削減目標等の達成が危ぶまれてまいります。このため、環境、経産両大臣の合意に基づいて、省エネ法や高度化法の基準の設定、運用の強化といった政策的対応等を行うこととなっております。

 環境省としては、今後、経産省からの情報等も踏まえて、電力分野の排出量や排出係数等を評価し、取り組みの進捗状況をしっかりと評価してまいりたいと思っております。また、目標達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等を検討することといたしております。

 二月の両相合意以降、複数の石炭火力発電所の環境アセスメントにおいて、事業者が省エネ法の発電指標の目標を達成できないと判断した場合には、事業の見直しを検討することなどを含む環境大臣意見を述べております。

 これらの取り組みを通じて、地球温暖化対策に責任を持つ環境省として、二〇三〇年度二六%削減に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

江田(康)委員 石炭火力の高効率化ということにおいて、また、全体的なエネルギーミックスの目標を達成する、ここが大変温暖化対策の二六%削減にも大きな観点になろうかと思いますので、しっかりと取り組んでいかれますことを大臣にお願いをしておきます。

 時間も少なくなったところですが、次に、海外での排出削減への貢献について質問をさせていただきます。

 世界全体での排出と吸収のバランスを目指すパリ協定の趣旨を踏まえれば、これは、国内の排出削減に加えて、途上国の、海外の削減にも積極的に貢献していくことが必要不可欠になってくるわけでありますが、パリ協定では日本のJCMが認められました。日本の貢献を適切に評価して、我が国の削減目標の達成に活用する。既に十六カ国十五事業が正式に登録済みでありますけれども、五月には、インドネシアで実施しているJCMにおいて、日本で初めてのクレジットが発行されたと聞いております。この事業についても、来年度予算でこれはまた組まれておるところであろうかと思います。

 これらも含めて、来年度予算ではこの二国間クレジット制度の資金支援事業百五億円が組まれているわけでありますけれども、これから日本として、世界全体での削減を進めるために、我が国のすぐれた環境技術を活用してどのように貢献していくか、そのトータルのことについて副大臣にお伺いをいたします。その際、CDMとの違いについても御発言いただければと思います。

関副大臣 江田委員の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 もう委員おっしゃるとおりでございまして、パリ協定で定められました二度Cの目標達成、これは日本一カ国だけではできませんし、世界のみんなの協調が必要になってまいります。そういうときにでき上がりましたのが、国際協調を促進するという意味での二国間クレジット制度、JCMでございます。

 このJCMでございますけれども、途上国にすぐれた低炭素技術を普及していこうということでございますが、これが地球規模での排出削減に我が国が貢献する本当に一番いい制度だと思っております。

 なお、委員もおっしゃられましたCDM、京都議定書のもとで決められましたこのCDMは、クレジットを購入して我が国が削減目標を達成するというものでございましたが、例えば、特定のプロジェクト、投資回収ができる省エネプロジェクト等というのは、実際には実施が困難だったりする場合が多いことでございますが、今回のJCMというのは、この制度の内容が、広範な対象範囲、省エネプロジェクトが中心でございまして、非常に使いやすい制度となっております。

 今後も我々は、世界に先駆けまして取り組んでまいりました経験をしっかりと活用して、プロジェクトの形成支援等によりましてこのJCMを一層推進して、世界全体の排出削減に努力、推進してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 時間がちょっと足りないので用意した質問は全てできませんでしたけれども、公明党として、この地球温暖化対策はこのように最重要課題と位置づけて積極的に取り組んできたところでございます。

 今回、パリ協定、COP22への参加において、環境大臣には力強い姿勢でこれに取り組んでいただきたいと思いますが、我が党としても全力で御支援をしてまいりたいと思います。

 世界のリーダーたる日本として、このCOP22への出席、そして取り組みに向けて、最後に環境大臣の決意をお伺いいたします。

山本(公)国務大臣 公明党さんも、これまで一生懸命私どもに協力していただきまして、ありがとうございました。

 COP22、まさに転換期の大きな会議になると思っております。そういう中で、我が国としましては、諸般の事情で若干の立場の違いが生じてくるかもしれませんけれども、私がいつも申し上げますことは、この環境という分野において、日本がこれまで世界において貢献してきたということは全世界が認めてくれているというふうに思っておりますので、ぜひそういう意味において、立場はどうあろうとも、日本の役割というのを一〇〇%発揮してまいりたい、かように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

江田(康)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。二十分間、よろしくお願いいたします。

 早速質問に入りますが、パリ協定について伺いたいと思います。もう最後の方になってきましたので、かなり議論も出ていると思いますが、よろしくお願いします。

 ことし、G7が我が国で開催をされました。安倍総理が議長として、温暖化対策を中心に、G7が先導し、世界をリードしていくと表明され、パリ協定について、二〇一六年中の早期発効を目標に掲げられていたと思います。

 さらに、ことし五月には富山でG7環境相会合が開かれ、当時の丸川環境大臣は、ことしは具体的な行動を起こす実施の年というふうに述べられています。

 山本大臣は、前任の丸川大臣より、パリ協定についてどのような引き継ぎを受けているかを伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 丸川前大臣から、G7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言を踏まえまして、本年中のパリ協定の発効という目標を念頭に置き、我が国として早期締結を目指す必要があるという引き継ぎを受けております。

河野(正)委員 アメリカ、中国は九月、翌十月にはインド、EUと、立て続けに批准する国がふえて、十一月四日、パリ協定が発効するに至ったと思います。十一月七日から始まるCOP22は、パリ協定締約国による第一回の記念すべき会合も開催されると見られます。

 大臣は、このように世界各国が批准を急いだ理由をどのように考えているのか。EUなど、例外的措置で批准を早めているということでありますが、山本大臣のお考えを伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 本年九月の米中による締結や国連事務総長主催のパリ協定早期発効促進ハイレベルイベントを受けまして、当初の想定を上回る形で国際社会の早期発効に向けた機運が高まったため、各国が締結を早めたと認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、パリ協定を昨年十二月の採択時から一貫して重視してきた我が国は、パリ協定の締結に向けて、外務省を初めとする関係省庁が一体となって、可能な限り迅速に準備作業を行ってきたところでございます。一日も早く締結できるよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 各国が批准を急いだのは、この締約国会議が、これからの環境、低炭素社会を支えるエネルギー、技術革新、イノベーションを進めるための新たなルールをつくる場になるからだというふうに思います。

 すぐれた技術を有する我が国産業界にとっても、省エネ技術を世界に売っていくというまたとないビジネスチャンスであるのに、そのルールづくりにおくれてしまったのではないかというふうに思います。

 影響がないと言い切れるんでしょうか。これも山本環境大臣のお考えを伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 COPにおいて、かねてから我が国は、全ての国が参加する公平で実効的な枠組みとなるよう、交渉においてもリーダーシップを発揮してまいりました。

 例えば、すぐれた低炭素技術等の海外展開を図り、途上国等における排出削減に貢献するとともに、我が国の削減目標達成に活用できるJCM等の市場メカニズムも、我が国の提案によってパリ協定に位置づけられております。

 こうした市場メカニズムの活用等の詳細ルールを含むパリ協定の指針の策定に係る交渉は、我が国を含む全ての国が参加する形で現在行われております。協定が発効した場合においても、引き続きこの場で行われる見込みであり、環境技術の売り込みについての影響はないと考えております。

 今後とも、我が国として、積極的に議論をリードしてまいりたいと思います。

河野(正)委員 次に、例えば我が国では、自動車の環境技術ではかなり世界的に高い水準にあり、温室効果ガス削減に貢献してきたというふうに思います。ハイブリッドカーであるとか電気自動車、燃料電池自動車などの新しい技術を開発し、そうした技術を積極的に海外に広めていくことで、さらなる温暖化対策への貢献も可能になるのではないかというふうにこの自動車産業について期待をしているところであります。

 政府もそうした開発を応援する取り組みを進めてほしいというふうに願うところでありますが、自動車に関する新しい環境技術の現状や今後の方向性などについてお示しいただきたいと思います。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車でございますけれども、我が国は、世界に先駆けまして、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車の量産車を市場に投入するなど、これまでもすぐれた環境対応車を開発し、世界に展開してきたところでございます。

 世界的にも環境対応の次世代自動車の市場拡大が予想されておりまして、温室効果ガスの低減及び我が国自動車産業の国際競争力の確保の観点からも、より一層の市場獲得に向けた取り組みが必要と認識しているところでございます。

 今後とも、電気自動車など次世代自動車の購入補助、充電インフラの設置補助などを通じた次世代自動車の普及支援及び研究開発税制などによりまして先端技術の開発を促進するとともに、我が国のすぐれた環境対応車が世界に展開されることを後押ししてまいりたいと考えているところでございます。

 パリ協定は、途上国も含めた全ての国、地域が削減努力を約束した歴史上初めての枠組みでございまして、パリ協定に掲げる二度目標の達成のためには、途上国の削減が不可欠でございます。

 このため、我が国のすぐれた省エネ、低炭素技術の海外展開、自動車を含めての海外展開を進めることが一層重要と考えておりまして、二国間クレジット制度は、経済と環境の両立を目指して、海外での温室効果ガス削減に貢献する制度でございまして、これまでFS調査やNEDOによる海外実証、設備補助などを活用しながら、官民で案件形成に取り組んできているところでございます。

 今後は、自動車の展開も含めまして、民間ベース案件への拡大を図ることによって、費用対効果を向上させ、世界の削減に貢献してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今、ハイブリッドカーとか電気自動車とかそういったものは、やはり車本体がガソリン車に比べれば高いということもあって、なかなか世界的にはちょっと売れ行きが厳しいんじゃないのかと心配する声もあるようですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。

保坂政府参考人 まず、電気自動車でございますけれども、燃費規制もございまして、ヨーロッパではかなり電気自動車の普及が進みそうなところでございまして、この後、水素自動車等もなるべく普及をするべく、トヨタ等も頑張っているところでございますので、電気自動車を中心にこれから市場は伸びていくものだと思っていますので、我が国の自動車産業を応援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 G7伊勢志摩サミット首脳宣言では、パリ協定により提出が要請されている長期戦略について、「我々は、二〇二〇年の期限に十分先立って今世紀半ばの温室効果ガス低排出型発展のための長期戦略を策定し、通報することにコミットする。」と述べられています。

 パリ協定の批准に続き、こちらでもおくれをとることがあってはならないと思いますが、現在、環境省、経産省の審議会で別々に議論されているということですが、本来、これからの日本の国家、社会のありようの土台を議論することであれば、こういった議論は、各省庁からのボトムアップではなくて、内閣を挙げての省庁横断的に取り組むべき課題ではないかというふうに考えます。

 今後、どのように政府として戦略を取りまとめていく予定かをお聞かせいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 長期戦略についてのお尋ねでございますけれども、長期低排出発展戦略の策定に当たりましては、さまざまな観点からの検討が必要だというふうに考えております。

 環境省といたしましては、まず、この長期戦略検討に当たっての土台として、大幅削減を実現するための方向性と社会の絵姿をお示しするべく、中央環境審議会におきまして長期低炭素ビジョンについての御議論をいただいているというところでございます。

 経済産業省におかれましても、御指摘のとおり、長期戦略に向けた検討が進められているということでございます。

 こういった長期戦略の検討は、政府として省庁横断的に各省連携して取りまとめていく、こういうことが必要でございますので、そういったフェーズに向けて進めていきたいというふうに考えております。

 御指摘のとおり、伊勢志摩サミットで、二〇二〇年の期限に十分先立って長期戦略を策定し提出するというコミットをしているということでございますので、省庁横断的な検討を進めた上で、長期戦略の早期提出に努めてまいりたい、このように考えております。

河野(正)委員 時間も余りありませんので、次に、ちょっと順番を変えまして、違法伐採について伺いたいと思います。

 オリンピック、パラリンピックでは、ロンドン大会以降、持続可能性が重要なテーマとなり、東京二〇二〇においても、持続可能性に配慮した運営計画が策定され、木材に関しては、既に組織委員会により、持続可能性に配慮した木材の調達基準というのが定められています。

 しかし、日本スポーツ振興センター、JSCは、この調達基準は採用せず、グリーン購入法に準拠すればよいという方針を示されています。新国立競技場はこの基準により木材調達が進むことになるように聞いておりますが、同じようなオリンピック関連施設において異なる調達基準が採用され、レガシーとなるべき建物において、違法伐採された木材が使われてしまう可能性を危惧する声があります。

 なぜ多くの時間と議論を経てオリンピックのためにつくられた調達基準をJSCは採用しないのか、伺いたいと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 新国立競技場の整備におきましては、事業主体であるJSCが昨年九月の公募に当たり作成した新国立競技場整備事業業務要求水準書の中で、本事業の実施に当たっては、いわゆるグリーン購入法等の関係法令や、環境物品等の調達の推進に関する基本方針、木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドラインといった関係基準を適用することを定めているところでございます。

 議員御指摘の、組織委員会が策定した調達基準については、組織委員会がみずから調達する物品・サービス等に使用される木材についての基準を本年六月に定めたものであり、政府機関に対しては、組織委員会が内閣官房宛てに発出した文書により、今後の調達案件に関し、当該基準を尊重するよう求めていると承知しております。

 現在進めております新国立競技場の設計作業におきましては、事業者である大成建設等の共同企業体において、屋根や軒、ひさしの木材は森林認証を取得した国産材を使用するなど、国内法令等に基づいて、これらの基準を踏まえ、前向きに努力することとしております。

河野(正)委員 ことし五月には、合法木材利用促進法が成立しております。違法伐採された木材が流通しやすい現状を踏まえて議員立法としてされたもので、登録した事業者のみ合法木材の利用が明確に義務づけられていると考えますが、果たして違法伐採対策について実効性を担保し得るのかどうか、法成立後の取り組み状況とあわせて見解をお示しいただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 本年五月に成立いたしました合法伐採木材等流通利用促進法につきましては、木材の合法性確認の取り組みを、政府調達だけではなくて民間での取引にも広げるということと、合法性の確認を行う事業者を登録できる制度を新たに設けることとされております。

 現在、林野庁では、来年五月の同法の施行に向けまして、先般御承認いただきました二十八年度補正予算も活用いたしまして、広く木材関連事業者を対象に法の内容などの集中的な広報を行うほか、合法性を確認する際の判断の基準あるいは登録を受ける事業の範囲など、省令で定める事項につきまして関係省庁と検討を進めているところでございます。

 また、来年五月の同法の施行後も、関係者を集めた協議会による意識の喚起、業界を通じた登録の働きかけを進めることとしております。

 これらの取り組みによりまして、同法による違法伐採対策を実効性の高いものとなるよう努力してまいります。

河野(正)委員 先ほど述べましたグリーン購入法というのは、公共調達を対象にしており、民間調達より高い水準が求められることとなります。合法木材利用促進法における登録事業者であることを公共調達の条件にするなど、議員立法の問題意識をグリーン購入法の基本指針などの見直しへとつなげていくべきではないかというふうに思います。

 例えば、家具新聞というのがありますが、家具新聞というものの調査によれば、家具メーカー十五社のうち、登録に前向きなのはわずか六社にすぎません。

 グリーン購入法による仕組みを手直しして、登録へのインセンティブを高めていく必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 グリーン購入法に基づきまして、政府が調達する木材、木製品につきましては、同法の基本方針におきまして、合法木材またはそれを原料としたものに限定するとされ、その合法性の証明方法は、林野庁が定めた木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドラインによるということとされております。

 現在、来年五月の合法伐採木材等流通利用促進法の施行に向けまして、法律の内容の広報、省令で定める事項の検討を行っているところでありまして、このガイドラインのあり方につきましては、こうした法律の施行に向けた取り組み、あるいは法律の施行後の状況、こういったものを踏まえて検討してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 我が国の違法伐採された木材に対する規制は、EUを初め、他の国々よりも甘いんじゃないかという評価が少なくないようです。地球温暖化や地球環境の持続可能性を高めていく上で、違法伐採対策というのは避けて通れない課題だと考えますが、環境省の見解を改めて伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 違法伐採は、持続可能な森林経営を阻害いたしまして、森林減少・劣化をもたらすということから地球温暖化にも影響する、このように認識してございます。

 そういうことから、温暖化対策の一環としても、引き続き関係省庁と連携してその対策を進めていくことが重要であると考えてございます。

河野(正)委員 それでは、違法伐採を終わりまして、ちょっと時間が微妙に残っていますので、国内希少野生動物種の指定等々について、一問だけ最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 ことし九月に開催されたワシントン条約締約国会議で、象の密猟や象牙の違法取引に関与する国内市場を閉鎖するという決議が採択されています。閉鎖を除外される合法的な市場もその縮小を求められているというふうに理解をするところであります。

 山本環境大臣は、国内の市場は管理されているので閉鎖すべき市場に当たらないとコメントされているようですが、実際には、その管理が行き届かずに、違法な象牙でも流通できるようないわば抜け穴が存在し、日本と中国の間で密輸出、国内での違法取引が行われているということも指摘されていると思います。

 今回の勧告を受けまして我が国も対応をしっかりとやっておく必要があると思いますが、環境大臣の見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 我が国の国内象牙市場は、適切に管理されていることから、さきのワシントン条約締約国会議で採択された決議で閉鎖が勧告された密猟や違法取引に貢献するような象牙の国内市場ではないと認識をいたしております。

 ただ、我が国としましては、今回の決議を踏まえまして、関係省庁や関係機関が連携いたしまして、立入検査の強化などの国内取引管理の徹底、水際取り締まりの強化、取引規制に関する情報発信の推進など、象牙の国内取引に対してさらに厳格な管理を行うことといたしております。その上で、環境省としてさらにできることがないか検討してまいります。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 パリ協定もそうですけれども、地球温暖化についてしっかりと対応していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 名前もすっきりしましたので、すっきり質問に入りたいと思います。

 きょうは、大臣所信に対するマクロ的な質疑をさせていただきたいと思います。

 その姿勢などについてお伺いをさせていただきますが、大臣所信では、東日本大震災からの復興、創生と循環共生型社会の構築の二つの基軸を環境行政の柱として述べられています。

 東日本大震災発生から五年半が経過する中において、復興をさらに加速させていくためにも、被災地の皆様との信頼関係こそが一番大切であるとの思いから、大臣就任直後から被災地にもたびたび訪問され、知事、地元市町村長を初め関係者の皆様から直接話を聞かせていただき、何よりも被災地の皆様の思いに寄り添いながら、誠心誠意取り組んでいくという考えを冒頭で述べられました。

 そして、いわゆる環境行政の主なことに触れられて、結びには、今を一生懸命に取り組めば、未来は変えることができる、悲観論に陥ることなく、現在の世代はもちろん、子や孫など将来の世代のためにも、私は全力を尽くしてまいりますと力強く宣言されました。全く同意でございます。

 そのことについて、改めて決意や姿勢をお伺いいたします。

山本(公)国務大臣 環境大臣を拝命してまだ三カ月でございますけれども、改めて、人と環境を守るという環境大臣としての責任の重さを痛感いたしております。

 それは、環境行政は、例えば被災地の復興、創生といった目前の課題はもちろん、時には、二〇五〇年やさらに未来のことを考えながら進めなければならないからでございます。現在の世代と、そして将来の世代に対しても、しっかりとその責任を果たしていかなければなりません。

 私は、実は、環境問題に取り組む姿勢として一番大事なことは、一刀両断に物事を解決することはなかなか難しい、であるならば、きのうよりもきょう、きょうよりもあした、一歩ずつでも前進をさせていく、そのことが一番大切なことだというふうに信じておる一人でございまして、そういう意味において、これからも、一歩ずつでもいい、きのうよりはいい世界をつくっていきたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 その崇高な思いをぜひ共有させていただきながら、委員会でも闊達な議論をさせていただきたいと思います。

 さて、去る十六日に投開票が行われた新潟県知事選挙では、東京電力福島第一原発事故の検証なしに再稼働は議論しないと公約に掲げた米山隆一候補が当選し、七月の鹿児島県知事選挙で九州電力川内原発の一時停止を公約に掲げた新人候補が現職を破って当選したように、原発再稼働に反対あるいは慎重な住民の意思が示されたものであると思います。

 立地自治体の理解なくして原発政策を進めることはできないと理解することが賢明な姿勢であると思料いたしますが、原子力災害に対する備えに終わりや完璧はないと所信でも述べていらっしゃいます。原発防災担当でもいらっしゃる大臣の見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 原発の再稼働を含め、原子力政策については所管をしておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。

 原発については、安全性を最優先し、原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の方針でございますので、その状況を注視していきます。

 いずれにいたしましても、原子力防災対策の充実は、原発が稼働するか否かにかかわらず、住民の皆様の安全、安心の観点から重要であり、さらなる充実強化に継続的に取り組んでまいります。

玉城委員 では次に、自然環境の保護及び生物多様性の確保についてお伺いいたします。

 大臣所信では、循環共生型社会の構築については、地球温暖化対策、自然の保全、活用、生き物との共生、資源循環の実現と安心、安全の確保という三つの柱を挙げられました。

 その中で、人と自然の共生を目指し、生物多様性条約の愛知目標達成に向け、生物多様性を確保するための取り組み、希少種保全、外来種防除などについても取り組むと述べています。

 愛知目標とは、二〇二〇年までに生物多様性の損失を食いとめるための緊急かつ効果的な行動をとるために、生物多様性第十回締約国会議、COP10で合意され、各国に求められる行動が二十にまとめられたもので、愛知ターゲット、愛知目標と名づけられています。

 平成二十年に制定された生物多様性基本法で、都道府県及び市町村は生物多様性地域戦略の策定に努めることとされており、平成二十七年三月末現在の地域戦略の策定状況は、都道府県が三十五、政令指定都市が十四、市区町村が四十八、合計九十七の地方公共団体で策定済みとなっています。

 さて、関芳弘副大臣の御地元兵庫県は、生物多様性ひょうご戦略を平成二十一年三月に策定し、平成二十六年三月には改定版を出していらっしゃいます。

 そこでお伺いいたします。関副大臣、自然環境の保全のあるべき姿勢についての所見を伺いたいと思います。

関副大臣 いろいろ地元のことを調べていただいて、どうもありがとうございます。

 今、兵庫県から選挙に出ているんですが、生まれは四国の徳島県小松島市という非常に田舎のところでございまして、自然に育まれて育って、親が初めて買ってくれた本が昆虫の百科事典でございまして、全ての昆虫の名前を覚えて、将来は昆虫学者に絶対なるんだという小学校の卒業文集を書いたような人間でございます。

 今回、環境副大臣に就任させていただきまして、本当にしっかりと頑張っていきたいと思っているところでございまして、地球温暖化とか自然環境を担当することになっております。

 この九月に、早速、富士箱根伊豆国立公園に視察に行きまして、国立公園の管理の実態、そしてまた、観光客の回復の状況を調べてまいりました。そして、自然保護と利用推進の調和ということを図るのが本当に大切なんだなとさらに実感しましたし、また、地域おこし、地域の振興、この両方を両立させないといけないな、そういうことを非常に強く感じた次第でございます。

 現地でも、レンジャーの方と昆虫の話で盛り上がったんですが、余りにも私が詳しいのでちょっと辟易とされたようなところもありましたけれども。

 私としましては、こうした経験も踏まえまして、国立公園の満喫プロジェクト等の取り組みをしっかりと推進していきまして、自然環境の保全と両立する形で、我が国の国民経済の活性化にしっかりとつなげてまいりたい、そのように考えております。

 ありがとうございました。

玉城委員 ありがとうございます。

 私の地元沖縄県は、平成二十五年三月に生物多様性おきなわ戦略を策定しています。そのガイドブックの冒頭には、

  沖縄県を構成する島々を含む琉球列島は、かつて大陸の一部でしたが、約二百万年前からの地殻変動に伴い大陸から離れ、徐々に現在の島へと移り変わっていきました。

  沖縄諸島ではオキナワトゲネズミやリュウキュウヤマガメ、オキナワイシカワガエルなど、奄美諸島を除いては近隣地域に近縁種が見られない固有種が多いことが知られていますが、このことは、琉球列島の中央に位置する沖縄諸島と奄美諸島がとりわけ早く大陸から隔離されたことが理由のひとつだと考えられています。

  さらに、島の地形や地質が多様であったことや、島ごとに異なる生物相が関わり合い共生していく中で独特の生態系が生じてきたことも、豊かな生物多様性が保たれている理由だと考えられています。

  このように、沖縄の豊かな生物多様性は何十万年、何百万年という長い歴史の中で隔離・進化した生物相互のつながりの上に成り立っています。

と記述されており、歴史的、生物学的な必然性からもその環境保全の重要性が極めて高いことがうかがえます。

 では、同じ地元の、自然環境を担当する比嘉奈津美大臣政務官に自然環境の保全に対する取り組みの姿勢を伺います。

比嘉大臣政務官 お答えいたします。

 私も玉城委員も沖縄出身でございまして、今お話にございましたように、沖縄の自然環境、すばらしいものがございます。その中で、私も政治家としてこれまで活動をしてまいりました。その経験を生かして、環境大臣政務官として、生物多様性の確保の取り組みがより一層進んでいくようお仕事をしていきたいと思っております。

 希少種の保全、外来種の防除、鳥獣管理などに努めてまいります。これにより、人と自然の共生を図りつつ、豊かな自然環境を現代世代から将来の世代につなげていけるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。

玉城委員 さて、ここからです。

 日米合意による新たな米軍基地建設問題が、この貴重かつ重要な地域の環境の保全に対して大きな脅威となっていることは、今や多くの国民が知るところとなっています。

 二千百万立方メートル、十トントラック三百五十万台分の土砂で辺野古、大浦湾を埋め立てる甚大な環境破壊、埋立土砂を県外から搬入する際に危険視されているアルゼンチンアリなどの外来生物の侵入、また、絶滅危惧種や天然記念物などの貴重な生物が生息する固有な地域を、二万五千本もの立木を一部は違法に伐採して強行している垂直離着陸機オスプレイも使用可能なヘリパッド建設など、生態系環境の攪乱や破壊のみならず、県民や地域の住民の負担軽減どころか、多大な不安や騒音や低周波音などの被害を発生させ、永続させようとする米軍基地の建設に多くの県民が強い反対の意思を示しています。

 比嘉政務官、厳しい質問をいたします。

 日米合意推進の政府方針に与党議員の一人として従うと公約していること、政務三役として内閣に従うことと、今を一生懸命に取り組めば、未来は変えることができる、悲観論に陥ることなく、現代の世代はもちろん、子や孫など将来の世代のためにも、全力を尽くしてまいりますと述べられた山本大臣、先ほど、きょうよりもあした、あしたよりもその先と一歩一歩進めていくとしっかり環境行政についての基本姿勢も述べられました。

 その大臣を支える環境大臣政務官として、生物多様性の保護イコール未来のための自然遺産の保護、保全に邁進する職務と責任に、御自身なりに、歯医者さんでもいらっしゃいますけれども、そごを来しているという感覚はありませんか。

比嘉大臣政務官 私は、きょうは環境大臣政務官としてこちらに立たせていただいておりますが、沖縄本島北部に限らず、沖縄の自然の貴重な固有種なもの全てを守りながら、生態系を保存しながら、やはり事を進めていくということで、まあ基地問題になってまいりますが、工事の実施に関しても、環境影響評価を踏まえて、事業者である防衛省が適切に行っているものと認識しております。

 そして、沖縄県、今本当に基地負担軽減ということも我々は一生懸命やっております。これにおきまして、今度、北部訓練場が返還されると、四千ヘクタールという大きな土地が戻ってまいります。沖縄県の基地負担は二割減になってまいります。その返還した土地を、また新たに環境を保全しながらナショナルパークのようなことに進めていくということも、地域活性化につながっているものだと私は思っております。

 どう守っていくか、それをしっかり踏まえて、させていただきたいと思っております。

玉城委員 米軍の司令官は、使えない土地は返す、そのかわり、北部地域はこれから基地の機能強化が図られてすばらしい環境になるということをおっしゃっているんですね。そのことの事実をぜひ踏まえてください。

 沖縄本島北部の山原地域にのみ分布する国の天然記念物ヤンバルテナガコガネが昭和五十八年九月十五日に発見された日にちなみ、国内三十三カ所目の国立公園として、本年九月十五日、やんばる国立公園が制定されました。しかし、多様な命を育むその公園地域は、これまで申し述べましたように、さらなる演習激化が懸念される米軍北部訓練場と隣り合っているところです。

 先ほど政務官がおっしゃったように、六カ所のヘリパッド建設によって、つまり、七カ所が減り、新たに六カ所ヘリパッドをつくることによって面積の過半が返還されるという国の主張は、高江という集落を囲むようにして、住民に被害が及ぶことがあらかじめわかっているのに、そこに、二万五千本の木々を伐採して、樹齢六十年からたつと、ノグチゲラとかヤンバルテナガコガネが営巣木として使えるそういう木がいっぱいある。それももう全部なぎ倒していって、六カ所のヘリパッド建設によって面積の過半が返還されるという国の主張は、逆に、ヘリパッドができたら、人的、環境的な被害発生の事実が始まるということを覆い隠そうとするものです。

 基地はつくって終わりではありません。そこから使われることによって被害が始まるんです。それをよく、環境委員会の委員の皆さん、大臣を初め政務三役の皆さんはしっかりと受けとめていただきたいと思います。

 環境委員会の一員として、取り返しがつかない無謀な環境破壊計画につながるようなものは直ちに中止し、修正、撤回を提言することこそ尊厳のある判断であり、環境政策としての正道であるという意見も申し上げて、質問を終わります。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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