衆議院

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第3号 平成28年11月25日(金曜日)

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平成二十八年十一月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      井林 辰憲君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    岩田 和親君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      助田 重義君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    木内 孝胤君

      田島 一成君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    木下 智彦君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 森 美樹夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           高科  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     岩田 和親君

  白石  徹君     池田 道孝君

  細野 豪志君     木内 孝胤君

  木下 智彦君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     工藤 彰三君

  岩田 和親君     井上 貴博君

  木内 孝胤君     細野 豪志君

  足立 康史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     白石  徹君

同日

 理事白石徹君同日理事辞任につき、その補欠として石川昭政君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月二十四日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(寺田稔君紹介)(第一四四二号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事白石徹君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に石川昭政君を指名いたします。

     ――――◇―――――

平委員長 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、気候変動枠組み条約第二十二回締約国会議及びパリ協定第一回締約国会合の結果について政府から報告を聴取いたします。山本環境大臣。

山本(公)国務大臣 十一月七日から十一月十八日までの間、気候変動枠組み条約第二十二回締約国会議がモロッコ・マラケシュで開催され、私も閣僚級会合に出席してまいりました。この会議の結果について御報告いたします。

 今回の会議は、パリ協定によって生み出された機運をさらに高め、各国が連携して行動をとることを示す重要な会合でした。私も、日本政府代表としてのステートメントの発表や、各国の閣僚とのバイ会談等の機会を捉え、パリ協定の着実な実施の重要性を訴えてまいりました。本会議を通じ、各国の首脳、閣僚が、一致団結して、後戻りすることなく、パリ協定の実施にしっかりと取り組む意思を明確に発信することができました。パリ協定の実施指針について、全ての国の参加のもと、当面の作業方針がまとまり、二〇一八年までに指針を策定することが決まったことは今回の大きな成果です。

 十一月四日にパリ協定が発効したことを受けて、今回はパリ協定第一回締約国会合も開催されました。百を超える国が既にパリ協定を締結し、世界全体が熱意を持って地球温暖化問題に取り組んでいる様子を目の当たりにしたことは、COP3以来、環境問題をライフワークとして取り組んできた私にとって、感無量でした。

 パリ協定の実施には、効果的な途上国支援が重要です。昨年安倍総理が表明した資金支援の着実な実施や、このたび私が発表したアジア太平洋適応情報プラットフォームの構築を含む気候変動対策支援イニシアティブなどを積極的に発信し、各国から評価をいただきました。また、ことしも第四回JCMパートナー国会合を開催し、関係十六カ国の閣僚等との直接対話を通じて、JCMのさらなる実施に向けた機運を醸成しました。

 また、今回は、行動のCOPという位置づけのもとで、政府だけでなく、企業、自治体、市民社会等による行動を後押ししていくため、さまざまなイベントが開催されました。我が国も三十を超えるイベントを開催したほか、会合中のさまざまな機会を通して取り組みの発信に努めました。加えて、長期目標達成に向け、多様な主体の取り組み強化を促す国際的なプラットフォームが設立され、我が国も参加を表明しました。

 世界は、パリ協定に定められた長期目標に向けて、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収の均衡を達成するべく、大きくかじを切りました。我が国として、まずは二〇三〇年二六%削減を着実に達成するとともに、二〇五〇年八〇%削減を目指し、しっかりと戦略的に取り組みます。そして、引き続き世界の温暖化対策の中で中心的な役割を果たしてまいります。

 以上です。

平委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官森美樹夫君、経済産業省大臣官房審議官高科淳君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省地球環境局長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長亀澤玲治君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 山本大臣、歴史的なパリ協定第一回目の締約国会議、それからCOP22への御参加、大変お疲れさまでございました。

 先ほどの御報告の中に、感無量であった、こういう表現がございましたけれども、参加されての御感想をもう少しお聞かせ願いたい。

 それから、我が国の批准が発効に間に合いませんでした、数日間でしたけれども。このことについて、実質的に交渉に大きなマイナスになるのではないか、出おくれたのではないかという批判もございます。この点について、実際に第一回目締約国会議に参加されて、そういうことをお感じになったかどうか、現実にはどうだったか、この点を最初にまずお聞かせいただければと思います。

山本(公)国務大臣 ありがとうございます。

 まず、私は、御承知のように、COP3のときに環境政務次官を務めさせていただきました。京都議定書に、参加に関与させていただきまして、そのことを思いますと、今回のパリ協定というのは、やっと全ての国が、全ての国が土俵に上がってきてくれたという思いが強くいたしました。

 それと同時に、私はずっと環境に携わっておりまして、さまざまな場面で、非常に応援団が少ないということをかねがね感じておりました。そういうこと等々を踏まえまして、今回行きまして、世界にはこれだけ多くの同志がいるんだなということを改めて感じて、力強いものも感じました。

 そして、この結果を受けまして、日本がやれることはもう全てやっていきたいなということを改めて実感して帰ってまいりました。非常にいい会議であったというふうに思っております。

 そして、先生御指摘の出おくれの話でございますけれども、これは正直申し上げて何にもございませんでした。

 まずびっくりしたのは、本会議場に入りまして、いわゆるオブザーバーと締約国の間の垣根というのが全くありませんでした。いつものとおりABC順の国別の座席になっておりまして、そしてまた、バイの交渉等々をする中で、日本が少しおくれたということは皆さん承知をしていただいておりましたけれども、ほとんど違和感はございませんでした。

斉藤(鉄)委員 違和感がなかった、おくれたという実質的なマイナスはなかったということを聞いて少し安心しました。

 それから、私、テレビを見ていて感じたんですが、二国間の会議も精力的に行われておりました。テレビで紹介されていたのは中国との交渉のときでしたけれども、相手を見ましたら解振華さんでした。私はCOP13に参加させてもらったんですけれども、そのときも、二国間会議をしましたが、相手は解振華さん。ですから、解振華さんはあのときは国家改革委員会副主任という立場でしたが、その数年前から担当されていますので、中国は、地球温暖化対策について、閣僚級ですが、一人の閣僚を十数年ずっと置いて、人脈づくり、また一つの戦略に基づいてあの会議に参加している、これを感じたんですけれども、日本はそれに比べて毎年行く大臣がかわっているということで、ぜひ山本大臣には、今後十回ぐらい続けて、解振華さんに負けないように、日本の戦略を持ってそこに参加していただきたい、このように思います。

 それから、もう一つ大きな、我々が気になるのはアメリカの姿勢でございます。京都議定書の悪夢がまた頭をよぎったわけですが、次期大統領になるトランプさんは、これまでの演説では、温暖化そのものがうそっぱちだとか、私は記事で読んだだけですが、パリ協定に大変否定的な言動をされてきた、こういうふうに大変心配をしているわけですが、今回のCOP22、また締約国会議でアメリカの姿勢がどうだったのか、また、こういうアメリカの次期政権に対して大臣としてどのような姿勢で向かっていかれるか、このことについてのお考えをお伺いします。

山本(公)国務大臣 先生御指摘のことにつきましては、マラケシュでも各国の話題になっておりました。アメリカがどういうことになっているのかということは話題にはなっておりましたが、そのときに私が感じましたのは、各国は、アメリカがどうなろうと我々はやるべきことはやるんだ、一致団結してやるんだということを、改めてかたい表明をしたような気がいたしております。

 アメリカのトランプさん、次期大統領について、どういう政策をおとりになるか、予断を持つことなく、この一月余、注視をしてまいりたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 今回のパリ協定は、ある意味でオバマ政権もリーダーシップを発揮してつくってきた一つの枠組みです。ぜひアメリカも今までどおりのリーダーシップを発揮するように、ぜひ日本としても全力を挙げていただきたい、このように思います。

 それでは、二〇三〇年目標とエネルギー基本計画の関係について質問をさせていただきたいと思います。

 エネルギー基本計画は、平成二十六年に政府として決定されました。この基本計画にのっとって、平成二十七年七月、昨年の七月に長期エネルギー需給見通しというものが定められたわけでございます。二〇三〇年の時点での需給見通しということでございますが、一つは徹底した省エネを行う、その省エネを行った上で、特に電源構成についてですけれども、化石燃料で五五、それから再生可能エネルギーで二二から二四、原子力で二二から二〇、こういう二〇三〇年時点の長期エネルギー需給見通しを決定、決定というか、これを目指して政府としては頑張っていく。化石燃料については、今、現実九〇%を超えている。その化石燃料を五五に大きく低減しなくてはいけないということでございます。

 まず、大臣に、我が国の二〇三〇年目標とエネルギー基本計画の関係についての基本的認識をお伺いいたしたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘のように、本年五月に閣議決定をした地球温暖化対策計画においてお示しをしている二〇三〇年度二六%削減の中期目標は、エネルギー基本計画を踏まえ策定されたエネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題等を十分に考慮した裏づけのある対策、施策や技術の積み上げによって策定したものであります。

 先生御指摘のように、我が国の温室効果ガスの総排出量の九割はエネルギー起源の二酸化炭素が占めております。この点を踏まえつつ、エネルギー政策の動向等も含めたさまざまな状況を勘案しながら、地球温暖化対策を着実に実行していくことが必要と認識をいたしております。

 今後も、関係省庁と十分に連携をとりながら、中期目標の着実な達成に取り組んでまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 この議論をするときに、一次エネルギーの構成で議論するか、電源構成で議論するか、ちょっと議論の仕方にもいろいろあるんですが、大きな柱である電源構成ということで、わかりやすいというところもありますので、電源構成のパーセンテージでちょっと議論をしていきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、いわゆる再生可能エネルギーと原子力、これは二酸化炭素を出さない、これを四五%確保して、いわゆる化石燃料が五五%。この三つしかないわけですから、化石燃料を五五、今九〇あるものを五五まで低減する、今から十四年でございます。

 今の日本はまだまだ化石燃料の割合が逆にふえているという状況の中で、本当に五五%まで低減できるのか、ここが二〇三〇年目標を達成できるかどうかの一番大きなみそだと思いますが、環境大臣のお考えをお伺いします。

山本(公)国務大臣 環境省としては、中期目標を達成するべく、徹底した省エネを進めてまいりたいと思います。その上、再エネの最大限導入を進めること等によりまして、化石燃料への依存を低減し、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいくことが重要と考えております。

 中期目標の達成に向けた進捗状況については、地球温暖化対策計画に基づきまして、毎年厳格に点検を行う、それを通じまして、少なくとも三年ごとに必要に応じて見直すこととしており、このプロセスを通じて実効性あるものにしていきたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 その中で特に大きな要素を占めるのが、化石燃料発電の中で大宗を占めるのが石炭火力発電でございます。

 この石炭火力、どのように対応されるか。環境大臣としていろいろな具体的な計画に意見を言わなくてはならない。環境大臣が意見を言えば、最終的な決定に大きな影響を与え、それがほぼ決定になるというのが今までの通例でございます。

 そういう意味で、大変厳しい状況に大臣自身これから置かれるかと思いますが、片一方で、安い安定した電力が必要だ。日本経済のためにこれはどうしても必要です。そういうことと、それから先ほどの、今の九〇%から五五まで減らしていかなきゃいけない。この現実と直面されることになろうかと思いますが、石炭火力発電についての大臣のお考えをお聞きいたします。

山本(公)国務大臣 先日、マラケシュでケリー国務長官の会合に出席をいたしましたときに、ケリー国務長官が、石炭火力は安いものではないということをはっきりおっしゃいました。いろいろな意味において最終的には非常に高いものにつくという表現だったんだろうと思いますけれども。

 それを踏まえまして、私自身も、これからいわゆる地球温暖化防止のためにいろいろな意味で努力をしていく中で、石炭火力発電の新増設が制約なく進んでまいりますと、これはやはり国の削減目標等の達成に非常に悪影響を与えてくる、これを懸念いたしております。

 ただ、本年二月の環境、経産両大臣の合意に基づきまして、政策的対応等を行うということになっており、この中で、毎年度、その進捗状況をレビューし、目標が達成できないと判断された場合には施策の見直し等について検討することということになっております。

 また、両省の合意以降、石炭火力発電の環境アセスメントにおいて、事業者が省エネ法の発電効率指標を達成できないと判断した場合には事業の見直しを検討すること等を含む環境大臣意見を述べてきております。

 先生がおっしゃいますように環境大臣の意見が全てとなかなかいかないんだろうと思うんですけれども、やはり、事あるごとに環境省らしい懸念は表明していきたいなと思っております。

斉藤(鉄)委員 その点、ぜひ大臣、頑張っていただきたいと思います。

 次に、エネルギー基本計画、長期エネルギー需給見通し、二〇三〇年時点、原子力発電が二〇から二二ということでございます。

 これは原子力発電所の再稼働問題とも関連いたしますが、私たち公明党は、民主党政権時代に、民主党、自民党、公明党、三党の合意によりまして、原子力規制委員会の法律及び新しい規制のあり方を定めました。大きな抜本的な改革だったのではないかと思います。

 その原子力規制委員会が新たにつくった、世界一厳しい基準と言われております、その基準をクリアした原子力発電所については、地元の住民の理解を得ながら再稼働を認めるというのが公明党の考え方でございますし、また、体制、法案を成立させた自民党、民主党、今は民進党となっておりますが、そして公明党の三党の基本的な姿勢ではないか、このように思うわけでございます。

 確かに、化石燃料を今の九〇%段階から五五%に減らす、とにかく、再生可能エネルギーか原子力か化石燃料、この三つしかないわけですから、そういう意味では、化石燃料を減らす、石炭火力発電所も実質的に減らしていくという中で、原子力の役割は大きい、私はこのように思っております。再生可能エネルギーだけで四五%になるというのは、私も技術者ですが、技術者として、これはかなり難しいだろう、このように思います。

 大臣の原子力発電に対しての御認識と、この需給見通しにある数字と、また我が国の三〇年目標との関係性についても大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘いただきました原発の割合については、エネルギーミックスの中で示されたものでありまして、このエネルギーミックスと整合的なものとして中期目標を作成されております。

 気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCが公表した第五次評価報告書においても、原子力発電については、再生可能エネルギーやCCSつき火力発電と並んで、低炭素電源の一つとして位置づけられております。

 そのことを踏まえますけれども、ただ、三条委員会として独立した、原子力利用に係る安全規制の業務を行う原子力規制委員会を所管する環境大臣としては、原子力発電の将来の稼働状況等について予断を与え得る発言は差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにしましても、地球温暖化対策計画の厳格な進捗点検などを通じて、中期目標の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 エネルギー基本計画、長期需給見通しというのを根底に置いて進めていくということは、大臣として御認識されているということですね。では、それをちょっと答弁で。

山本(公)国務大臣 そのとおりでございます。

斉藤(鉄)委員 次に、経産省の方に来ていただいておりますので、まず、経産省として、この基本計画及び長期エネルギー需給見通し、この電源構成、これを達成するために努力をしている、一番責任のある役所でございますけれども、エネルギー基本計画達成への決意といいましょうか、それについてまずお伺いいたします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、政府におきましては、一昨年四月、エネルギー基本計画を閣議決定し、これを踏まえまして、昨年七月に長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスを策定いたしました。

 エネルギーミックスは、あらゆる面ですぐれたエネルギー源がない中で、安全性の確保を大前提に、安定供給の確保、電力コストの引き下げ、CO2排出の抑制の三つの政策目標をバランスよく同時に達成するぎりぎりの姿としてお示ししたものでございます。

 この実現に向けまして、まずは徹底した省エネルギー、さらに、再生可能エネルギーの最大限の導入、石炭火力を含む火力発電の高効率化、安全性が確認された原発の再稼働といった取り組みを進めてまいります。

 具体的には、省エネにつきましては、業界ごとに省エネ目標を定めて省エネルギーを促す産業トップランナー制度、工場、住宅、ビルの省エネ投資支援等をより進めること、再生可能エネルギーにつきましては、現行のFIT制度を見直し、入札制の導入等でコスト効率的な導入を促すとともに、技術開発、規制改革にもあわせて取り組んでいくこと、石炭火力を含む火力発電につきましては、省エネ法、エネルギー供給構造高度化法により、電気事業者の発電効率向上や販売電力の低炭素化を進めていくこと、原子力発電所につきましては、いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準への適合が認められた場合には、地元の理解を得ながら再稼働を進めることといった対応を進めてまいります。

 これらの政策措置を総合的にバランスよく講じていくことにより、エネルギー基本計画を踏まえたエネルギーミックスをしっかり実現してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 それでは次、具体的にちょっと質問させていただきますが、一番二酸化炭素排出抑制の目標を達成していないのが家庭部門と言われております。そこをどう実効のある施策をとっていくかということが大事かと思います。

 需給見通しによりますと、まず電力でございますけれども、本来何もしなければ経済成長とともに伸びていくエネルギー使用量、例えば電力でいいますと、経済成長、年一・七%が続くとした仮定ですけれども、二〇三〇年度で約二千億キロワット時、今からふえていく。トータルが大体一兆キロワット時ですから、二千億キロワット時伸びるというのは二割伸びるということです。基本計画では、この伸びた分を徹底した省エネで抑えて、結局エネルギー使用量そのものは伸ばさないという仮定になっております。

 このために一番きいてくるのが家庭部門の温室効果ガスの削減目標、二〇三〇年までに二〇一三年比で三九%減というのが目標でございます。

 この目標のために、ZEH、これはゼロ・エネルギー・ハウスと言う人もいますし、ゼロ・エミッション・ハウスと言う人もいますが、このゼッチと言われているZEH化を、安倍総理は、昨年十一月の未来投資に向けた官民対話におきまして、二〇二〇年までに新築戸建て住宅の過半をZEH化すると発言されております。

 現実にはまだほとんどこれが進んでいないという現状かと思いますが、家庭部門の削減目標達成のために、二〇三〇年、半分の新築戸建てをZEH化するということに対して、これはかなり覚悟を決めて進んでいかなくてはならないと思いますが、その点についてどのような施策をお持ちか、お伺いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、家庭部門における省エネの促進ということで、ZEHの普及によって住宅そのものを省エネ化していくということは極めて重要であるというふうに思っております。

 このため、ZEH普及促進に向けまして、今年度は、当初予算で、家とそれからビルを含めまして百十億円の予算を組んで補助を行っておりまして、また、先ごろ成立させていただきました第二次補正予算におきまして百億円の予算を追加しているところでございまして、今年度、この二つの予算総数で一万三千件くらいの補助を行うという予定にしてございます。

 今、斉藤先生から御指摘ございましたように、二〇二〇年までに注文戸建て住宅の過半数をZEH化していくということでございます。これに向けて、大変高いハードルではあると思いますけれども、我々、この過半に向けまして、幾つか取り組むべき課題があると思っております。

 一つは、コストダウンを図っていくということであります。これはもちろんハウスメーカーさんにも頑張っていただかなければならないんですけれども、例えば太陽光パネル、蓄電池といった機器メーカーにもコストダウンを最大限やっていただくということで、我々も働きかけてまいりたいと思います。

 もう一つは、質の向上ということでございます。省エネ性能を向上させていくということは当然ですけれども、同時に、例えば、健康、快適といったような、省エネ以外の訴求、一種のブランド化ということによって価値を上げていくという取り組みも重要だというふうに思っております。

 我々、こうした取り組みに向けまして、今後、事業者の皆さんともよく相談しながら、予算制度のあり方、そしてこれを振興していくあり方、こういったことについてよくお話し合いをしながら、ZEH過半数というものに向けて最大限取り組んでまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 先ほどの予算ではまだ足らないぐらいだと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それから、今の答弁にもありましたエネファームそれから蓄電池、私は、特にこれから蓄電池というのが非常にポイントになってくるな、このように思います。

 余剰電力はネットに売るということですけれども、皆さんの今の意識を聞いていますと、蓄電できれば、余剰が生じたときには蓄電をして、それを足らないときに使う、その蓄電池の値段が安くなり、機能が向上すれば、売ってもうけるというよりも、自分の家で、まさにゼロ・エネルギー・ハウス、ゼロ・エミッション・ハウス、こういう形にしたいという御意見の方が非常にふえてきたように私も思います。

 そういう意味では、エネファーム、エコキュート、そして蓄電池の開発、また、これを促進するためにはある程度の補助ということも必要になってくるかと思いますが、この点についてどのようにお考えか、お伺いします。

藤木政府参考人 今御指摘ございました蓄電池というものに関しましては、再エネを導入拡大していく、それから効率的なエネルギー利用を促していくという意味で、一つキーとなる機器であるというふうに思っております。したがいまして、蓄電池を普及させていく、これは非常に重要な政策だというふうに思っております。

 現在、先ほど御質問ございました住宅のZEHの補助金の中で、蓄電池を置くということについても助成をしているところでございますし、また、地域分散型のいわゆる地産地消型のエネルギーシステムとか、あるいはIoTを使ったエネルギー機器の統御のためのシステムづくり、こういったような中で蓄電池の設置に対して助成を行っているところでございます。

 御指摘のように、こういった助成をしながら、機器メーカーさんの御協力によって、コストを下げていく、さらに性能を上げていくといったようなことをやっていきたいと思っておりまして、蓄電池がまさに自立して普及していく、これに向けて努力してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。終わります。

平委員長 次に、太田和美君。

太田(和)委員 民進党の太田和美でございます。

 まずもって、先日の福島県で起こりました地震の被害に際しまして、被災されました方々にはお見舞いを申し上げるとともに、復旧復興に当たられております関係者の皆様の御尽力に改めて敬意を表させていただきたいと思います。

 さて、本日は、パリ協定を中心に御質問させていただきたいというふうに思いますけれども、その前に、千葉県における指定廃棄物の長期管理施設の件について大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 東京電力福島第一原発に伴う放射性物質を含む廃棄物については、国が千葉県内一カ所での集約管理の方針を打ち出しており、そのため、現在は、一時的な措置として、関係各市で保管をされております。

 この長期管理施設の選定に当たっては、平成二十五年、市町村長会議が設けられ、そこで選定手法と提示方法が了承され、千葉県版選定手法そして提示方法が決まりました。これをもって、環境省は、詳細調査を実施し、安全性を評価し、昨年の四月に、千葉市内の東京電力火力発電所内を候補地として選定いたしました。

 その後、建設に着手するには詳細調査を行わなくてはならないんですけれども、現在千葉市はその詳細調査を拒んでいるということもあり、今全く進展していないという状況でございます。

 一時保管をしている市町村、そして一時保管場所の近隣住民は、一時的であったのに、それがもう長期的に近い状況になっているということで、先の見えない中で本当に不安が今募っている状況でございます。そして、その費用も市町村の負担となっていることがあります。

 指定廃棄物の処理場を選定するに当たっては、市町村会議を平成二十五年に四回開催して、四回目の会議で、当時の環境副大臣そして政務官、千葉県知事、副知事を初め、千葉市の方々も含めた関係各市町村の代表者がそこに出席をして、反対意見もなく選定手法の案が了承されたという経緯がございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、この指定廃棄物の長期管理施設の千葉県版の選定手法そして提示方法等は、民主的な方法で選定ルールが定められた、了承されたわけでありますけれども、ここに至って建設に着手するための詳細調査を千葉市が受け入れないことに関し、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 千葉県内の指定廃棄物の長期管理施設について、昨年四月に、千葉市内の土地を詳細調査候補地として選定、提示をしたところでございます。その後、千葉市の皆様への御説明を行ってまいりましたが、残念ながら、詳細調査の実施について御理解をいただくまでに至っておりません。

 先日も、指定廃棄物の一時保管をお願いしている関係自治体の市長等から、長期管理施設の早期の確保について御要望をいただくなど、一時保管自治体及び周辺住民の方々に御苦労と御心配をおかけしております。心苦しく思っております。

 長期管理施設の候補地の選定手法は、千葉市を含む千葉県の全ての市町村長及び知事が参加する市町村長会議での議論を積み重ねて確定したものでありまして、尊重すべきものと考えております。今後も、千葉市等の関係者との対話を、努力を続けてまいります。

太田(和)委員 大臣、本当にこれは難しい問題だというふうに思っております。

 千葉市の近隣住民の理解を得ることも簡単なことではないと思いますけれども、しかし、今、一時保管場所の近隣住民の理解も得られていないという状況になっているのが実情であります。

 この処分場を選定するといった難しい問題については、市町村会議を開催して、何よりも民主的、丁寧に進めてきた、そういう経過があるわけでございますが、しかし、このままでは、何のための選定ルールだったのかということになりかねません。これまでの経緯が無となり、後退しかねないというふうに思います。本音を言えば、選定場所が提示されてからちゃぶ台返しをされてしまうようならば、正直、初めから市町村会議など開かなければよかったではないかというふうに思ってしまうわけであります。

 今、この一時保管というふうに言われている近隣の住民の気持ちをもっと酌んでいただきまして、そして、この件に関しては、この間、関係市町村から要望に来られたというふうに大臣の方から御答弁がありましたけれども、しかし、そのときに対応されたのが副大臣だというふうにお聞きしています。私からお願いをさせていただきたいのは、これから国の責任を果たすという観点からも、大臣にしっかりと御対応していただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 では次に、パリ協定について質問させていただきたいと思います。

 モロッコのマラケシュで開催されたCOP22は、先週閉幕されました。大臣、本当にお疲れさまでございました。

 昨年パリで開催されたCOP21において、全ての国が参加する歴史的な合意であるパリ協定が採択され、一年を待たずして十一月の四日にパリ協定が発効に至り、その際、第一回締約国会合がCOP22の期間中に開催されたことは、大変喜ばしいことであるというふうに思います。これから批准国が全員参加型で地球が直面する課題の解決に向けて行動を開始することは、我が国のみならず全世界にとって大変大きな前進であり、進歩としてとられています。

 さて、パリ協定発効が政府予測よりも早かった背景を考えますと、CO2排出の約四割以上を合わせて占めている、アメリカにはCO2排出の少ないシェールガスがあります、中国には環境汚染、PM二・五の問題などの対策が急務となっていることが挙げられます。

 そのほかに注視しなければいけない重要なことは、風力や太陽光等の再生エネルギーの技術が今ビジネス化し始めています。順調に伸びているということでありますけれども、再生エネルギーの導入は、世界的にこの十年で二倍にふえています。

 今回のパリ協定発効をもって今後はさらに伸びていくことが予想されているわけですけれども、今後は、この再生可能エネルギーの利用拡大は、技術的にも経済的にも世界の潮流となるというふうに言われています。

 政府は、二〇三〇年度に二六%削減、長期的には、経済成長と両立させながら、二〇五〇年までには八〇%削減を目指すことを閣議決定しています。そして、二〇三〇年度に二六%の削減については国際公約にもなっています。しかし、この目標達成の二割以上を原子力に頼っています。

 原発は、日本が地震大国であることを初め、運用四十年で廃炉、再稼働問題、地域住民の理解といった解決困難なさまざまな不安定要素を抱えている上に、国民の大多数の理解も得られていないという状況でございます。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいんですが、再生可能エネルギーの利用拡大は技術的にも経済的にも世界の潮流となるということが予想されている中で、まだ原子力に頼っている、これからも頼ろうとしている我が国の現状について、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 再エネの重要性というのは、今回の地球温暖化対策においては大変重要なことだというふうに思っております。

 再エネの普及拡大について、地球温暖化対策計画においても、固定価格買い取り制度の適切な運用、見直し、系統整備や系統運用の高度化を含む事業環境整備等に取り組むことといたしております。

 環境省といたしましては、自然環境と地域の事情にも配慮しながら、持続的に再エネを拡大する施策に取り組んでまいりたいと思っております。

 具体的には、再エネのコスト競争力や実用性などを高めるために、再エネ設備の導入支援や、ポテンシャルの大きい洋上風力の低コスト化、CO2フリー水素の実証に取り組むとともに、再エネ設備の設置と自然環境等の調和を図るために、風力発電等の環境アセスの迅速化、導入を促進すべきエリアや環境保全を優先すべきエリアを設定するいわゆるゾーニング手法の検討などに取り組んでまいりたいと思っております。

 こうした施策を通じまして、将来的に再エネが我が国の基幹電源となるように取り組んでまいりたいと思っております。

太田(和)委員 再エネが基幹電源となるように取り組むということでございます。

 しかし、もしこれからも原子力を頼ろうというような姿勢であれば、私は、はっきり申し上げて環境大臣失格であるというふうに思っています。というのも、この日本の狭い国土の中で、福島県の国土が放射性物質で大変汚染されてしまったというような現状もございます。ぜひとも、原子力に頼らない社会をつくり上げるためにも、大臣にはそのリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。

 パリ協定に基づいて、二〇二三年以降はグローバルストックテークが実施され、我が国の約束草案も国際的な評価のもとにこれから置かれます。そういった中で、やはり、世界の潮流となることが予測されるこの再生可能エネルギーの利用拡大に国はかじを大きく切るべきであるというふうに思っております。そのためにも、再生エネルギーの利用拡大に向けた策を今以上に講じていただきたいというふうに思います。

 このままでは経済的にもビジネスチャンスを逃しかねません。環境省においても、ほかの関係省庁を初め政府に対してもこの点をしっかりと訴えていただきたいということを強く要望させていただきます。

 さて、次の質問に移りたいと思います。

 COP22の期間中の十七日には、世界の環境保護団体で組織する気候行動ネットワークから、地球温暖化対策の前進を妨げている国に贈られる化石賞に日本が選ばれるという不名誉なことがございました。これは、化石賞をとったからといって、おめでとうございますと言うわけにはいかないわけですね。地球温暖化対策の新たな枠組みであるパリ協定を締結しながら、CO2排出の多い石炭に依存し、石炭火力発電技術を海外輸出するという矛盾した行動が選ばれた理由というふうにされています。

 また、ドイツの環境シンクタンクであるジャーマンウオッチなどが世界の主要五十八の国と地域の地球温暖化対策の取り組みを評価したところ、一位から三位は該当なしとした上で、日本は下から二番目の六十位です。日本より下は、サウジアラビアの一国でございました。ここでもやはり、CO2排出量の多い石炭火力発電を推進していることが低い評価につながったとされています。

 まず、このCOP22の期間中に日本が化石賞を受賞したこと等について、大臣の所感をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 化石賞をいただきました。覚悟をいたしておりました、今の日本の現状を見たときに。それと同時に、石炭火力発電に対して非常に厳しい見方があるんだということも認識をしてまいりました。

 これから私どもがやっていかなければいけないことは、本年二月の環境、経産両大臣の合意に基づく進捗状況のレビューや、先ほども申し上げましたけれども、環境アセスメントにおける意見を通じて、石炭火力発電の問題にしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この不名誉な賞を受賞して、かつ、主要国で六十位という低い評価を受けた背景には、もう明らかに、石炭火力発電を活用していこうという我が国の姿勢への批判があります。

 そこで、大臣に確認をさせていただきたいんですけれども、地球温暖化対策を推進していく上での石炭火力発電の今後の取り扱いに関して、大臣は、世界の潮流に反するものだという思いをお持ちの中で、つなぎとも思っていないというふうに答弁をされていましたが、改めて石炭火力発電のことについてお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 石炭火力発電の新増設が制約なく進むということは、国が立てております削減目標等の達成が危ぶまれるということでございまして、私はいつも申し上げるんですけれども、今まで、石炭から石油、そして原発と、エネルギーは変遷してきたんだろうと思うんですけれども、必ずや新しいエネルギー源を人類は考えていくんだろうと思っておりますので、そういう意味において、石炭というのはつなぎではないということを申し上げました。

 石炭は、はっきり言って十七世紀に逆戻りするというような感覚を私自身持っておりますので、石炭はつなぎではないという発言になったわけでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 パリ協定は脱炭素を宣言したものであると一般的に国際社会では言われています。また、CO2排出世界第五位の国としても、我が国は、ほかの主要国にも劣らぬ責任ある取り組みが今後は求められます。大臣の今の御発言のように、今後は、不名誉な受賞がないように、火力発電についてはできるだけ早い段階で推進を取りやめ、世界的評価が上がる方向に転換するように求めさせていただきたいと思います。

 次に、パリ協定の実効性の関係確保についてお伺いさせていただきたいと思いますが、山本環境大臣は、COP22の閣僚級セッションにおいて、今後の長期戦略や途上国支援にも触れるとともに、気候変動における政治的リーダーシップが今以上に重要となることを実感しているというふうにステートメントで述べられております。

 この政治的リーダーシップは、温室効果ガスを世界全体で削減していくためにも、また国内で削減に取り組んでいくためにも発揮していく必要があると考えますが、COP22の期間中の十一月九日、次期アメリカ大統領としてトランプ氏が当選をいたしました。

 トランプ次期大統領は、気候変動問題については、選挙期間中は懐疑的であり、大統領権限でパリ協定の批准手続を取り消す可能性があるというような報道もなされておりました。現在は表現が少し変化し、これから調査し、検討して結論を出していくなどと言っておられますが、私は、これを軟化したとは言えないというふうに思っています。

 重要なことは、アメリカが世界第二位の温室効果ガス排出国であり、大量排出国であるそのアメリカの取り組みが後退することになれば、パリ協定の実効性を確保することも危うくなるということであります。そのため、国際社会は、アメリカの次期政権に対して、パリ協定に残るよう強く働きかけを行っていく必要があるのではないかなと思います。

 我が国は、アメリカの次期政権に対し、温暖化の問題への積極的な取り組みについても呼びかけを行い、世界全体の温室効果ガスの削減に向けたリーダーシップをとっていく必要があると考えますけれども、今後の見通しと大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 今回のCOPでは、私を含めて各国の首脳、閣僚が、一致団結して、後戻りすることなく、パリ協定の実施にしっかりと取り組む意思を明確に示したことは大きな成果であったと思います。温暖化対策に関する世界の流れは逆戻りしないという感触を得ました。

 我が国がどのようにリーダーシップを発揮していくかでございますけれども、国内の対策に着実に取り組むことに加えまして、途上国のパリ協定の実施を国際社会が協力して支援していくことが重要と考えております。

 このため、COP22の場において、我が国の技術や経験を最大限に活用し、気候変動分野における国際支援の取り組みを発展、拡大するべく、気候変動対策支援イニシアティブを発表しました。

 COP22期間中に、バイ会談等さまざまな機会を捉えて本イニシアティブを発信し、評価をいただきました。今後とも、日本が世界の温暖化対策の中で中心的な役割を果たしてまいりたいと思います。

太田(和)委員 京都議定書以来、地球温暖化対策について世界の中でも中心的な役割を担ってきた我が国でありますけれども、本来であれば、世界の国々の行動をリードする役割を果たすべきところ、今回、批准がおくれて、一部の会議でオブザーバーの参加にとどまってしまったことは非常に残念なことだと思っております。

 しかし、今後は、CO2排出世界第五位の国として、我が国は、ほかの主要国にも劣らぬ責任ある取り組みが求められます。政府におかれましても、その責任をきちんと果たしていき、世界に向けて真のリーダーシップを発揮していただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次に、途上国支援に関する我が国の取り組みについてお伺いさせていただきたいと思います。

 途上国支援における今後の国際交渉において、我が国がリーダーシップをとっていくことも必要とされています。温暖化対策の国際交渉が専門である名古屋大学大学院の高村ゆかり教授は、アメリカが温暖化対策への資金拠出を取りやめることも懸念される中、日本が今後の国際交渉でリーダーシップをとり、発展途上国の支援なども中心になって進められるかが問われているというふうに指摘をしています。

 外務省の資料によりますと、我が国のODA、そのほか公的支援における再生可能エネルギーの関連事業への支援額と、石炭、天然ガス等の化石燃料によるエネルギー関連事業への支援額について確認しましたところ、二年間で行った気候変動対策に関連した途上国の支援に係る実績は、まず、再生可能エネルギーの関連事業への支援額が約二千四百億円、そして化石燃料関連事業への支援額は約四千九百億円というふうになっていました。化石関連事業への支援額は再生可能エネルギーの約二倍であります。

 被支援国の実情に合った支援を行うのは当然であるということは理解しておりますけれども、温暖化対策における途上国支援の今後のあり方についても、我が国は、支援国として一歩踏み込んで、気候変動への対応の視点を取り入れていく必要があるのではないかというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、世界の温暖化対策を進めるに当たって、JCMを推進している我が国は、途上国支援の議論において中心的な役割を果たすことが期待されている中、温暖化対策における途上国支援の今後のあり方について、我が国として具体的にどのようにリーダーシップを発揮して、どのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘のように、世界全体の地球温暖化対策を推進していくための鍵の一つが、途上国のパリ協定の実施を国際社会が協力して支援していくことだと思っております。

 このため、COP22の場において、気候変動対策イニシアティブを発表し、この中で、JCMを通じた低炭素技術の普及、透明性枠組みにつながる人材育成等に加えて、特に、多くの途上国にとって喫緊の課題である適応策の強化につながる取り組みを掲げています。具体的には、二〇二〇年を目途にアジア太平洋適応情報プラットフォームを構築し、途上国における適応計画の策定、実施を支援することといたしております。

 COP22期間中に、バイ会談等さまざまな機会を捉えて本イニシアティブを発信し、評価をいただきました。今後とも、日本が世界の温暖化対策の中で中心的な役割を果たしてまいりたいと思っております。

 既に、このイニシアティブに対する具体的な期待をバイの会談でいただきました。評価は本当に高いものがあったと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、パリ協定は脱炭素を宣言したものであります。しかし、一方で我が国は、石炭火力発電技術の輸出を推進しているということで、不名誉な化石賞も受賞しています。

 大臣の思いとは別に、行動がまだまだ伴っていないというところがございますので、ぜひとも、途上国の温暖化対策を支援していくに当たっては、化石燃料による支援ではなく再生可能エネルギーの導入支援に向けて注力すべきと考えます。大臣、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 次に、生物多様性のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 COPといえば、気候変動枠組み条約のほかに、もう一つ重要なCOPとして生物多様性条約の締約国会議がございます。

 民主党政権時代、二〇一〇年十月に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第十回の締約国会議、COP10では、二〇二〇年までに達成すべき二十の目標から成る愛知目標というものが採択されました。

 二〇一四年十月に韓国の平昌で開催された生物多様性条約第十二回のCOP12では、愛知目標の中間評価が行われたわけでございますが、締約国全体で現時点で達成が見込まれるものは、愛知目標の十一、そして十六及び十七のみでございました。それ以外のほとんどの目標の達成には施策が十分でないとして、目標達成に向けた緊急で効果的な行動が必要であることが確認をされました。

 なお、我が国の達成状況については、二〇一四年三月に生物多様性条約第五回国別報告書として条約事務局に提出されました。それによると、既に達成しているものは愛知目標の十一と十七のみで、それ以外の目標については愛知目標に関する施策が進展しているとされておりました。

 目標十六というのは、二〇一五年までに、遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書が、国内法制度に従って施行され、運用されるということでございますけれども、これについては大多数の国で取り組みが進んでいる中、我が国においては進んでいないという状況でございました。

 この目標十六についての取り組み状況と今後の見通しについて、加えて、愛知目標の達成に向けての我が国の現在の進捗状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 愛知目標の達成に向けましては、これまで生物多様性国家戦略の策定や陸域の保護地域の指定などの各種取り組みを着実に進めてきたところでございます。一方で、例えば生物多様性そのものの認知度が高まらないなどの課題があり、一層の取り組みが重要であるというふうに認識をしております。

 御指摘のありました名古屋議定書につきましては、その締結に必要な国内担保措置がさまざまな産業や学術研究に深く関係することから、効果的な措置とするためには丁寧な検討が必要と考えております。このため、国内関係者の要望も十分に踏まえながら、環境省が中心となって関係省庁と鋭意検討を進め、可能な限り早期の締結を目指しているところでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 生物多様性については、COP10の名古屋において我が国は議長国を務め、二〇二〇年までに達成すべき愛知目標が定められました。そして、現在、アメリカは締結しておりませんが、百九十四カ国が締結しています。

 日本は、議長国として定められた愛知目標があるにもかかわらず、例えば大臣の所信にも、そして財務省の建議においても、この件についてはほとんど触れられておりません。京都議定書の議長国であったこともありますけれども、温暖化対策については我が国は世界の中でもリーダーシップを果たしてきたと同時に、生物多様性についても同様に議長国としての責任を果たしてリーダーシップを発揮していただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次に、関東地域エコロジカル・ネットワーク形成によるコウノトリ・トキの舞う魅力的な地域づくり事業の推進についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 さきにお話をさせていただきました愛知目標の十七、生物多様性国家戦略の改定を受けて、二〇一二年九月に生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇が閣議決定されました。

 ここでは、二〇二〇年までに重点的に取り組むべき施策の方向として五つの基本戦略が示されました。このうち、「地域における人と自然の関係を見直し、再構築する」という項目の中で、「地域固有の野生生物を保全する取組の推進」として、関東地域二十九市町村の連携によるコウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムの取り組み事例を取り上げています。

 このように、地域に固有の種や生態系を保全し、種の絶滅を避けることは、種の多様性の劣化を防ぐとともに、最優先で取り組むべき課題の一つとされています。

 私の選挙区でもありますけれども、千葉県の我孫子市と柏市も含めた関東エリアにある三十の自治体で構成された、コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムというネットワーク組織があるんです。関東地域は、水辺の生物多様性が豊かであり、明治時代までコウノトリやトキが見られ、また、生態系サービスを生かした伝統的な生活が昭和三十年ごろまで行われてきました。この関東地域において、多様な主体の協働、連携によるコウノトリ、トキの復活をシンボルに、河川及び周辺地域の里山環境などの保全や再生に取り組み、水と緑の豊かなエコロジカルネットワークづくりを進めようとするものであります。

 このことは、環境の世紀にふさわしい地域振興や経済活性化、ひいては地域の自立的な発展に貢献していく活動であると思い、私も大きな関心を持って支援しているところでございます。

 しかし、コウノトリとトキは飛翔により広範囲な移動の交流を行うため、基礎自治体の単独の取り組みでは限界があるというふうにおっしゃっています。

 そこで、環境省のさらなる広域的な支援が不可欠であるとして、この組織の市長さんたちがことしの八月に要望書を提出されています。そこで対応されたのが、国土交通省は石井大臣が対応されたとのことでありますけれども、環境省は自然環境局長が対応されたというふうに聞いています。この活動と要望内容について、山本大臣の御見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 コウノトリ、トキを指標とした水辺環境の保全を推進する御指摘の事業について、国としても支援すべきという御要望を委員のお地元の自治体からいただいていることは承知をいたしております。

 大型鳥類の生息環境の回復や生態系ネットワークの形成の推進は、生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇や、環境省が国民運動として取り組む森里川海プロジェクトの提言の中にも掲げられており、生物多様性保全や自然と共生する地域づくりの観点から重要であると認識をいたしております。

 このため、環境省も、関東エコロジカル・ネットワーク推進協議会に参画するとともに、関係自治体の生物多様性保全活動の取り組みなどを支援してきたところであります。

 今後とも、関係機関や自治体と連携し、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

太田(和)委員 ありがとうございます。大臣から、非常に重要である、そして積極的にというお言葉をいただいて、大変心強く思います。

 現在、地方創生の取り組みが各地で始められていますが、自治体がみずから生態系ネットワークの形成を牽引していくこの組織の活動はほかの地域でも応用できると思いますので、ぜひ成功するように、環境省も主体的に、そして大臣も積極的に御支援をいただけますようお願い申し上げて、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 大臣、ありがとうございました。

平委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 太田委員に引き続き、この気候変動枠組み条約締約国会議についての質問をさせていただきたいと思います。

 大臣、大変お疲れさまでございました。マラケシュで、私、大臣とお目にかからせていただいて、これからいよいよ閣僚級会合というそんなさなかに激励を送って失礼したわけでありますが、その様子を今御報告いただいて、そしてまた、これからの日本の立ち位置、また日本の大きな責任、試される日本というのを非常に痛感し、私もマラケシュから戻ってきたところであります。

 ちなみに、私は、COP22の会場にももちろんお邪魔をいたしましたが、ここにいらっしゃる自民党の北川先生と一緒にIPUの国際会議に、並行して開催されましたので、そちらの方に出席をさせていただきました。その会場の中でも、百数十カ国から成る国会議員が集結し、今回の気候変動に対するさまざまな意見、そしてまた各国の政府の取り組み等々を開陳されたところでありましたが、その話はちょっと後々またさせていただくとして、きょうは、国土交通省から藤井政務官にもお忙しい中わざわざお運びをいただきました。

 冒頭、少し外れるんですけれども、ちょうど同日、十一月の十五日、COP22の開催期間中に開催をされました琵琶湖保全再生推進協議会についてお尋ねをしたいと思います。

 昨年、私も提出者の一人でありましたので感無量の全会一致で成立をいたしました琵琶湖保全再生法、これにつきましては、皆さんの御理解と御協力をいただいたことを、地元の人間としても大変心から感謝を申し上げたいと思います。

 法が成立をし、今、滋賀県が中心となって、各省とも協議をしながら、琵琶湖保全再生計画をつくっていただいているところであり、年明け三月までにはまとまるという見通しで進められておる中、十一月の十五日には第一回目の琵琶湖保全再生協議会が開催され、きょうお越しいただいている、国交省から藤井政務官、そして環境省からは比嘉政務官が御出席いただき、さらには琵琶湖の視察もしていただいたというふうに伺っております。大変ありがとうございます。

 そのときの様子や中身については、環境省や、また滋賀県からも、国交省からも報告をいただき、つぶさに拝見させていただきましたが、この温暖化とも非常に関係もあります。また、生態系が今大きく脅かされようとしている中で、新たなスタートとして、保全、再生に向けた取り組みを、琵琶湖は国民的資産であるという位置づけのもとで、総合的に、また全体的に取り組まなきゃいけないということを恐らく感じ取っていただいたのではないかというふうに思うわけでありますが、それぞれ、御出席いただいた両政務官から、どのような意気込みで今後取り組もうとしているのか。

 とりわけ、やはり、先立つもの、財政的な支援という部分が非常に大きな課題であることも御認識いただいているのではないかと思います。刈り取っても刈り取ってもどんどんふえていく侵略的外来植物の問題、また外来魚の問題、鳥獣被害などなど、挙げれば切りのない、予算を滋賀県が積み上げても全然、焼け石に水といったような事態になっております。

 こうした財政的な支援も含めて、今後どのようにこの法律に基づいて進めていこうとお考えなのか、それぞれ両省からお聞かせください。

藤井大臣政務官 お答えさせていただきます。

 田島委員御指摘のとおり、今月十五日に琵琶湖保全再生推進協議会が開催されまして、私も出席させていただいたところでございます。

 委員御指摘の財政的支援につきましては、琵琶湖の保全及び再生に関する法律第四条におきまして、「国は、琵琶湖保全再生計画に基づく事業が円滑に実施されるよう、その実施に要する費用について、必要な財政上の措置を講ずるものとする。」と規定されているところでございます。

 琵琶湖保全再生計画につきましては、今後、滋賀県において検討の上策定されるものと承知しておりますが、琵琶湖においては、現在、大量繁茂する水草の対策や水質汚濁防止など、さまざまな課題があるものと認識いたしております。

 国土交通省といたしましては、これらの課題に対し、社会資本整備総合交付金等を通じて、水草の除去や琵琶湖流域での下水道事業による水質保全など、琵琶湖の保全、再生のための支援を行ってきたところであります。

 今後策定される琵琶湖保全再生計画の内容を踏まえつつ、関係地方自治体及び関係省庁と連携しながら、琵琶湖の保全及び再生の着実な推進に向けた支援に努めてまいります。

比嘉大臣政務官 お答えいたします。

 私も、十五日に行われました協議会に参加させていただきました。協議会に先駆けて、ちょっと視察などもさせていただきましたが、この琵琶湖の重要性、先ほど委員がおっしゃられました、国民的資産であるということの重要性を非常に感じたところでございます。

 まず、琵琶湖の保全及び再生に関する法律第四条においては、滋賀県が策定する琵琶湖保全再生計画に基づく事業が円滑に実施されるよう、国はその実施に要する費用について必要な財政上の措置を講ずるように定めているところでございます。

 環境省では、これまで、オオバナミズキンバイなどの外来植物の防除や、浄化槽の設置などに関しまして支援を行っているところでございます。

 今後、環境省といたしましては、滋賀県が策定を進めている琵琶湖保全再生計画を踏まえて、関係地方公共団体及び関係省庁と連携しながら、引き続き、琵琶湖の保全、再生のための支援に努めてまいります。

田島(一)委員 ありがとうございます。ぜひ、今の言葉、忘れずに、お願いをしたいと思います。

 お二方のホームページのブログも拝見させていただきました。どんな足跡を残していらっしゃったのかなと実は拝見したんです。

 その中に、比嘉政務官のブログ、十八日付でしたか、琵琶湖保全再生推進協議会に出席したことを書いていただいていました。その中の一文、つまらないことですけれども、ちょっと披露させてくださいね。「私は国交省の藤井政務官とともに協議会の会長に選任され、関係機関との連携の重要性などを強調してきました。」と。

 会長になられたんですか、藤井政務官。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

藤井大臣政務官 お答えいたします。

 協議会発足の際に、共同会長として、国土交通大臣と環境大臣が会長ということになりまして、私と比嘉政務官は代理ということで出席させていただいたというところでございます。

田島(一)委員 それで間違いないですよね。

 ブログというのは議員個人の責任でお書きになっていらっしゃるんでしょうけれども、やはり事実とは違います。つまらないことですけれども、やはりそこはしっかりとした事実をお書きになられた方がよろしいかと思いますし、また、秘書官なんかも、個人のブログであったとしてもやはりチェックしてあげてください。そうしないと、政務官にも環境省にもいろいろ飛び火してくることになりますので、その点だけ指摘をしておきたいと思います。早々にまた修正をしておいた方がいいと思います。

 とにかく、今、国交省にあっても環境省にあっても、今回の琵琶湖保全再生法に基づいての取り組みの前向きなお答えをいただきました。その点だけぜひよろしくお願いを申し上げて、本題の気候変動の方に移らせていただきたいと思います。

 藤井政務官、どうぞお引き取りくださって結構です。

 COP22に関してであります。

 冒頭でも少し申し上げましたけれども、日本の本気度が試される、そんな雰囲気の中でのCOP22だったのではないかなというふうに私は思います。

 先ほど太田議員も引用されましたけれども、本日の化石賞も、見事に、私もやはり絶対来るだろうなと思っていたとおり、大臣もやはり予想されていたとおり、本当に不名誉ながら御受賞もされました。それと、ちょうど同じ時期に、ドイツのNGOのジャーマンウオッチが発表した気候変動パフォーマンス・インデックスでも、今度はびりから二位という非常に不名誉な数字であります。どれもこれも、石炭火力にかじを切っていることに対する批判が世界から浴びせられている、そういう印象を私は持ちました。

 しかしながら、パリ協定がこうして批准できたこと、そして各国が、それぞれ長期目標に向けて、今世紀末ゼロに向けて取り組んでいこうという姿勢が心一つになったことは、私自身も大変感動しておりますし、またお祝いを申し上げたいという、そんな気持ちであることは間違いありません。

 ただ、やはり気になるのは、先ほど太田委員もおっしゃいましたけれども、アメリカの大統領選挙の結果であります。

 トランプ氏が、選挙期間中は、オバマ政権に対する面当てのつもりでしょうか、パリ協定から離脱をすると大見えを切って、マイクを通して全米、全世界に公言されておりました。ここに来て、そういった暴言録はホームページからもどんどん削除されたり、また言いぶりも、予断を持たず注意深く調べてみるなんというふうにトーンダウンしてきたようでありますけれども、やはり何をしでかすかわからぬなという、そんな気がしてならないところであります。

 そこで、つい先日、まだ就任もされていないトランプ氏を訪ねて安倍総理が訪米されました。その中身については申し上げられないというふうに公式におっしゃっているようでありますけれども、実際に、安倍総理が、このパリ協定から離脱をするということに対して、日本として、そんなばかなことをしちゃいけないよというようなことをおっしゃったかどうか。この面会の中で、パリ協定の重要性なんかを安倍総理がお伝えになられたかどうか、大臣はお聞きになっていらっしゃいますか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

山本(公)国務大臣 一切伺っておりません。

田島(一)委員 お尋ねにもなっていらっしゃいませんか。

山本(公)国務大臣 このことについては、話題になってきておりません。

田島(一)委員 私が大臣だったら、多分気がかりでしようがないなというふうに思うんです。気候変動、もちろんTPPのことも気がかりでありましょう、しかし私は、同じ閣僚ですから、内閣の一員として、そのあたりは、せめて、一般国民にはオープンにできずとも、環境大臣にはそれぐらいのことをお伝えされるだろうなと思っていたわけであります。わざわざいらっしゃったにもかかわらず、このパリ協定、離脱されるのかどうかがわからぬまま進んでいくことは、やはり一抹の不安を感じずにはいられません。

 そういう意味で、今後アメリカの動向はやはり注視をしていかなければならないと思っております。ただ、もう動き出したこのパリ協定、アメリカがどうこう言おうとも、もうブレーキをかけたり、途中でおりることはできないというのは、IPUの会議に出席していた各国の議員も同様の発言でありましたし、私どももそのように感じているところであります。

 こうした不安材料があるにせよ、こうして世界が同じ一つの目標に向かって進もうとしているところでありますから、どうぞ、信頼するトランプさんに対して、安倍総理から、このような愚かな決定をされることのないように進言していただけるよう、何らかの機会にぜひ大臣からおっしゃっていただけるよう、強く要望しておきたいと思います。

 さて、閣僚級会合二日目の十六日でしたか、山本大臣もスピーチにお立ちになられました。締結におくれをとったとはいえ、脱炭素を目指すパリ協定を高く評価し、その早期発効は日本が求めていたものと世界が共通の認識であるというようなことをお述べになられて、一定、今後、パリ協定の実施には政治的なリーダーシップの役割が重要になることも表明されたことに、私は大変胸をなでおろしたところでもあります。

 政治的リーダーシップの役割が今後パリ協定の実施に重要な役割を果たすことになる、大臣がおっしゃったとおりだと私も思います。もはや政治が決断するかしないか試されている、今そのようなタイミングではないかというふうに思うわけであります。

 パリ協定実施のために日本にまず求められているもの、それは、二〇三〇年二六%削減という目標をどこまで引き上げられるか、その達成のために、政策措置の強化、途上国支援を十分にやっていけるためのあり方の見直しなどなどではないかというふうに考えるわけであります。

 しかしながら、残念にも、この今回の大臣のステートメント、スピーチでは、現行の対策、計画の披露には言及されましたけれども、二〇五〇年八〇%削減という長期目標に照らした目標の引き上げであるとか、カーボンプライシングなどの政策強化に向けた意欲的な発言というのはなかなか見つからなかったのが、私の正直な感想で、ちょっとがっかりしたのが本音でございます。

 各国のステートメントを拝見させていただきますと、ドイツは、二〇五〇年に八〇から九五%の温室効果ガス削減に向けた長期戦略を高らかにうたい上げたところでもありました。スウェーデンは、二〇四〇年にカーボンニュートラル実現を発表いたしました。そして、批准したばかりのオーストラリアにあっては、パリ協定を高く支持する、中国も、マルチラテラリズムの成功と、今までにない非常に前向きな、挑戦的な発言が見え隠れしたところでもあります。

 アメリカに至っては、長期戦略をあの場で発表されました。G7伊勢志摩での約束、二〇二〇年よりずっと早くという約束どおり長期戦略を発表されたオバマ政権に対しても拍手を送りたいと思っておりますが、果たしてこれを先ほど申し上げたトランプ政権が引き継ぐのかどうかという大きな課題もあります。

 とはいいながら、各国が非常に野心的な、挑戦的な表現、表明をされた中で、大臣の今回の、より積極的とは言えない意気込みが、私には本当に残念でなりません。きょう、この委員会の冒頭で御発言された中でも、短期目標については着実に達成するとおっしゃいましたが、長期目標については、目指し、戦略的に取り組むと、ちょっと消極的な表現にやはりとどまっており、真剣さが本当にあるのかなと言わざるを得ません。

 こうした諸外国のステートメントと聞き比べて、大臣がCOP22でおっしゃった御発言との違いをどのようにお受けとめいただいているのか、そして、それを受けてきょうのこの冒頭での御発言になったというふうに思うわけでありますが、正直な御感想をぜひ聞かせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘ありがとうございます。耳が痛いものもございました。

 今回の私のステートメントについて、野心的ではないという御指摘でございましたが、精いっぱいの思いを述べたつもりでございます。その点だけはぜひ御理解をいただきたいなと思っております。

 また、先ほど来、アメリカの動向についての御指摘もありました。これについては、まだ一カ月余ありますので、予断を持つべきではないと思っておりますけれども、私がマラケシュの場で感動した一つに、やはり、オバマ政権のスタッフではありますけれども、あの場に来ているアメリカのスタッフが、どうなろうと自分たちはやるんだという決意を披瀝いたしておりました。感動いたしました。非常に、本国がああいう状況でもありながら、現地に来ているスタッフはとにかく頑張るんだということを申しておられたことに感動をいたしました。

 そして、私のステートメントの話でございますけれども、これからも、積極的なルールづくりへの貢献や国内対策の着実な実施、ニーズを踏まえた途上国支援について、我が国の気候変動対策に係る取り組みへの決意を新たにしたところでございますけれども、特に、二〇五〇年八〇%削減に向けては、今先生御指摘のように、私どもも、もう私の大臣の間に日本もこの長期目標について一つの方向性を出していきたいという覚悟を持っておりますことだけは御理解を賜りたいなと思います。

田島(一)委員 方向性だけではなくて、これは、温対法改正のときにも私たち修正案を出させていただいたとおり、法律の中にきちっと書き込むということがやはり大事だと思います。

 今回、長期目標に対する意気込みの温度差というのもやはり浮き彫りになったというふうに思います。今大臣が、在任中にとおっしゃってくださったこと、大変心強く思っております。本気でやらなければ、これは本当に国際約束ですから、ですからアメリカだって、政権がかわろうともしっかりとそこは引き継ぐということを、オバマ政権が多分大臣におっしゃってくださったんだろうと思います。

 私たちは、責任ある国際社会にあってのリーダーシップを発揮してきたという自負を持っております。加えて、山本大臣にあっても、もうCOP3からこれはライフワークとしてやってきたと先ほどもおっしゃいましたけれども、私もそういう意味で物すごく期待しております。大臣がやらなきゃ、絶対ほかは誰もやりません。やれません。

 だからこそ、私は、山本大臣に本当に期待を申し上げて、このようにちょっときつい言い方でしたけれども、大臣らしいステートメントを本当は期待しておりました。どうぞ、まだまだこれからチャンスがあります。役人が書いたステートメントではなく、大臣の言葉でぜひ思いをぶちまけていただきたい、そんなことを、今後の御活躍に御期待を申し上げて、次の問いに移らせていただきたいと思います。

 この長期目標でありますが、具体的なAPA交渉の部分についてのお尋ね、とりわけグローバルストックテークに関する意見提出を求められることになっておりますが、この点についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 来年の四月末までに、このグローバルストックテークに関する意見を提出するというふうになりました。

 この中の論点で、パリ協定の目的とその長期目標の達成に向けて、世界全体の進捗状況をどのように理解し評価すべきか、また、その評価を最新の科学的知見に照らしながら、排出削減や適応、途上国支援について包括的かつ促進的にどのように進めるべきかといったような意見、さらには、長期目標の達成に向けた進捗をチェックする際、排出削減、適応、途上国支援という全ての要素における情報収集をどのように行うべきかなど、長期目標の達成が大きく問われる、そんな意見を来年の四月までに出すように求められているところであります。

 グローバルストックテークが排出ゼロの実現に向けて各国の目標引き上げを促す機会になることも示しておる中で、各国から寄せられてくるこの意見に期待を寄せているものでありますが、恐らくこの意見については環境省が中心となっておまとめになられるんだろうと思いますし、もう既に腹の中にはどのような意見を出すのかお持ちだろうというふうに思いますので、ぜひ、その具体的な意見となり得るお考えをお示しいただきたいのと、この意見提出に向けて、要は長期目標というものをやはり重要視されているということでありますから、詳細について、皆さんのお考えをぜひ御披露いただきたいと思います。

鎌形政府参考人 グローバルストックテークについてのお尋ねでございます。

 グローバルストックテークのサブミッションについては、御指摘のとおり来年四月までの提出ということとされてございます。今回のCOPの成果に基づきまして、世界全体の進捗とパリ協定の長期的な目標との関係性、情報源、実施方法、成果物の活用について意見を提出する予定でございます。

 我が国といたしましては、主として、プロセスとしては、それまでの進捗状況を科学的かつ技術的に評価するためのフェーズ、技術的な検討のフェーズと、世界全体での取り組みのモメンタムを高めるための政治的なフェーズにより構成すべき、また、情報源としては客観的かつ技術的な情報をインプットすべき、成果物については、各国が協定の目的及び長期目標とのギャップや世界全体での対応を強化するための機会を認識することに資するものであるべきという考えでおるところでございます。

 来年四月までの提出に向けては、交渉の中で特に途上国から示された意見もしっかりと分析した上で、これらのテーマについて建設的な進展を図るべく、サブミッションの内容をつくり上げていきたいというふうに考えております。

 また、国内の中期目標の引き上げについてのお尋ねでございます。

 パリ協定の四条におきましては、各締約国によるその直前の国が決定する貢献を超える前進を示すということとされております。我が国として、この規定に沿って適切な対応をとることが必要と認識してございます。

 また、地球温暖化対策計画においては、毎年厳格な進捗点検を行うとともに、目標及び施策については、少なくとも三年ごとに検討を加え、必要に応じて本計画を見直すこととしております。長期的な目標を見据えて意欲的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 今お答えいただいたように、もう長期目標を見据えずして、短期目標も、それから具体的な施策、行動もあり得ないということでありますよね。どれだけ長期目標というものを世界が意識しているのか、この認識をぜひ今改めて強くお持ちいただかなければ、私は、短期目標の二六%削減だけで満足していてはならないということをぜひ皆さんと共有し、これからの環境省そして政府の取り組みを日々注視していきたいと思っているところであります。

 先ほど申し上げたグローバルストックテークに関する意見にも含まれている政策課題の一つ、気候変動の適応についての質問に移らせていただきます。

 適応についても、強制ではないとはいえ、全ての国に対して、優先事項や、実施、支援に関するニーズ、計画や行動などについて取りまとめ、報告することが求められております。

 昨年十一月二十七日に閣議決定されました気候変動の影響への適応計画に基づいて、気候変動適応情報プラットフォームなるものをおつくりになられて、関係する省庁が連携をしながらも、利用者である国民、地方自治体、企業等のニーズに応じた情報の提供や、適応行動を支援するツールの開発や提供等々に取り組んでいただいているというふうに、ホームページ等々ではオープンになっております。

 具体的に申し上げますと、この適応というのは、非常につかみどころのない、また、非常に予測不能な課題も多々含まれているだけに難しい課題でありますが、しかしながら、今回のパリ協定ではしっかりとした行動や対応が求められているだけに、避けて通るわけにはいかないと考えております。

 私は、この臨時国会ででもこの適応に関する法整備を整えられるのかなというふうに期待しておったんですが、今回提出は見送られました。

 大変難しいこともよくわかります。環境省だけでどうこうできる話ではありません。農業やそれから河川、山林、さまざまなセクター、テーマに、多岐にわたる課題でありますから、省庁間の連携や、また調整を整えるのも並大抵のことではいかないというふうに考えますが、しかし、国内法を一定整備していかないと、今後、適応の行動計画や地方自治体等々との連携、各省庁間の連携、命令、指示系統等々は曖昧なままで進めざるを得ない。結局、閣議決定はされたものの、計画は計画で終わってしまうのではないかというふうに私は心配をするところであります。

 今後、この適応についての行動を進めていくために、法整備の取り組みが必要だと私は認識をしておりますけれども、大臣、お考えがありましたら、ぜひお聞かせいただけますか。

山本(公)国務大臣 御指摘のように、昨年十一月に気候変動の影響への適応計画を閣議決定いたしました。

 この適応計画に基づきまして、関係府省庁と連携して、気候変動適応情報プラットフォームを本年八月に構築したところであり、これにより、地方公共団体等による適応の取り組みを促進してまいります。

 また、適応計画の進捗状況を把握するための方針についての議論を関係府省庁の連絡会議において行っており、今後も、この連絡会議を活用して、関係府省庁で連携して適応に取り組んでまいりたいと思っております。

 御指摘の法制化については、適応計画の進捗状況や課題を把握しながら、引き続き検討してまいりたいと思っております。

田島(一)委員 このプラットフォームのホームページに、各自治体の取り組み状況もURLでリンクを張りつけて頑張っていらっしゃいます。

 しかし、この適応についての地方自治体の取り組みというのを見ると、なかなか温度差がありますね。温暖化対策計画をつくっているだけでもましと言わなければならないのか、まだ計画すらつくっていない都道府県、政令都市もやはり見受けられます。

 適応についても、例えば、つい先日、徳島県が独自の適応計画をお出しになられました。大変先駆的にやっていらっしゃるなと高く評価するものでありますが、やはり、各自治体にこのような意識づけをさせていくこともプラットフォームの大きな責務であろうかと思いますが、まだまだ足並みがそろっていない。やはりここは大きな問題だというふうに思います。

 事務方の方からで結構ですけれども、この足並みをそろえるのにどれぐらい時間がかかるんでしょう。計画がつくれていないところにどうやって尻をたたいていこうとお考えなのか、お聞かせいただけませんでしょうか。

鎌形政府参考人 適応についての自治体の取り組みについてのお尋ねでございます。

 御指摘のとおり、例えば徳島県などは、脱炭素の条例をつくられて、その中で適応というものを一つの章に取り上げるぐらいの大きな取り組みをされている。そういった意識の高い自治体もございます。また、適応の取り組みに対して計画をつくれていないというところもまだ多数ございます。

 これまでの取り組みとしては、幾つかのモデル的な自治体を選びまして、モデル事業としまして適応に対する考え方の整理とか課題の整理などについて行うということについて、私どもも財政的支援などもしながら取り組んできたところでございます。

 さらに、これまでの取り組みに加えて、適応の情報プラットフォームという形で、全国的な情報がベースにはなりますけれども、各県、北海道の状況、九州の状況、四国の状況でそれぞれ違ってまいりますので、そういったものの情報をまとめて示すということの取り組みを始めたところです。

 いつごろまでにどうかということの御質問がございましたけれども、まだ、何年たったらということではございませんけれども、適応計画は三年程度で見直すというような形になっていますので、そういったことに向けて、我々もそういった情報をしっかりと収集して整理していきたいと思っておりまして、それを順次自治体に対して提供するという形で、可能な限り早く各自治体での取り組みが進むように取り組んでまいりたい、このように考えております。

田島(一)委員 なかなか今の段階では、ゴールを目標設定しているわけではないという事態なんだと理解せざるを得ないと思います。

 ただ、本当に、これは国際約束ですからね。やってくださいというよりも、これは各自治体にもその責任の一端を担っていただかなければならないんだという、やはりそういう決意を持って取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 なかなか足並みがそろっていかない、また、適応に対する認識もまだまだ十分でないというような事態であります。ここから先、エンジンをフル回転させてでも進めていただきたいと思いますので、どうぞその点だけよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、次に、ダイベストメントについてお尋ねしたいと思います。

 先ほども、ステートメントの御紹介の中でブラジルの環境大臣を御披露させていただきましたが、ブラジルの環境大臣は、汚い石炭産業への多額の支援をとめると宣言されました。

 石炭産業への支援をとめる、いわゆるダイベストメントの動きが、今、世界で物すごい勢いで進んでおります。私も非常に関心を寄せているところでありますが、恐らく、この潮流は、日進月歩、企業だけではなく、民間基金や大学、宗教団体、さらには政府系の金融機関までもが、脱炭素化、化石燃料ダイベストメントの潮流に今入ろうとしております。

 もはや、石炭火力の問題、多くの議員からも質問がありましたけれども、石炭火力を使わないというだけではなく、もとから断っていこうといういわゆる金融面からの脱炭素化施策であり、私もやはり有効ではないかというふうに考えておるところでありますけれども、大臣は、このダイベストメントの潮流についてどのような御認識でいらっしゃるのか、お聞かせいただけますか。

山本(公)国務大臣 御指摘のダイベストメント、いわゆる投資の引き揚げでございますけれども、これは多分、日本にいたらなかなか気がつかない動きなんだろうと思うんです。大変な潮流になっていると私は思っております。

 ちょっと御参考までに、二〇一五年六月五日に、ノルウェーの公的年金基金というのが保有する石炭関連株式を全て売却するという方針をノルウェーの議会で正式に承認したという動きもございます。

 そのように、もう絶対的な世界的な潮流になっているわけでございまして、私としましても、こういう流れをやはり日本の一つの流れに持っていければなという期待は持っておりますけれども、なかなか難しいということもあるということだけは御承知おきいただきたいと思います。

田島(一)委員 覚悟と決意があるか次第なんですよね。今御紹介いただきましたノルウェーだけではなく、スウェーデン、それからデンマークも、年金基金から、いわゆる低炭素を促進する企業への投資を大きく増大させるグリーン投資にかじを切っています。それだけではなく、アメリカでも、資産額千八百四十億ドルを誇る全米第二位の基金、アメリカのカリフォルニア州の教職員退職年金基金、これも、低炭素投資戦略にコミットすることを既にもう決定しております。

 この潮流、本当に、うかうかしていると、日本が石炭産業に気遣いばかりしていると、大きな負債を抱えてしまうことになりかねない、そんな流れが今あることを相当重く受けとめないと、日本は相当大きな損失をこうむってしまうのではないかと私は思っております。

 もう既に、海外のこうした基金等々にあっても、日本の火力発電を中心とする電力産業からの投資引き揚げに踏み切っています。だからこそ支えてあげるべきだというお考えで、悩ましいんだと多分大臣はお答えになったんだろうと思いますが、私は、例えば今一番気になるGPIFの、国民の皆さんからお預かりしている年金積立金、この運用先についても、低炭素投資戦略にコミットし、ダイベストメントを適用していく、もうそういう発想をしなければならない岐路に今立っているのではないかとさえ思うわけであります。

 もちろん、所管が違うからと大臣はおっしゃるかもしれませんけれども、閣僚として、この政権を抱える、重要ポストの環境大臣として、このダイベストメントの潮流をこうした年金積立金の管理運用にぜひ適用していくというような、そんなお考えをお持ちかどうか、ぜひお答えいただけませんでしょうか。

山本(公)国務大臣 御指摘のGPIFは、昨年九月に国連責任投資原則に署名して以降、本年七月にいわゆるESG指数を公募するなど、ESG要素を考慮した投資に取り組んでいると承知をいたしております。環境省としては、このようなGPIFの取り組みは、ESG投資を金融界に広げるきっかけとなるものとして歓迎をいたしております。

 気候変動リスクを踏まえた投融資行動として、御指摘のダイベストメントのほか、保有株式等に付随する権利を行使すること等により投融資先企業の取り組みに影響を及ぼすエンゲージメントも広がっていることも承知をいたしております。このような世界の潮流を見つつ、環境情報等の開示システムの開発を行う事業や、金融業界横断的な環境金融の普及啓発等を通じて、我が国におけるESG投資を活性化しております。

 私自身も、ESG投資という一つのこの動きは、もっと日本で活発になってもらいたいなという希望を持っております。

田島(一)委員 いきなりGPIFを例にとって、ちょっと大胆過ぎたかなという気もいたしますが、やはり、民間の基金や金融関係に対してもこういう働きかけができる唯一の大臣、ポストだろうというふうに私は思います。今、こうした低炭素投資戦略に大きくかじを切れるかどうかという瀬戸際だというふうに思いますので、ぜひ、積極的な取り組み、どこに働きかけることができるかということを試行錯誤、模索していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 残りあと五分となりました。最後に、石炭火力について、改めて私の方からもお尋ねさせていただきたいと思います。

 これまで、いろいろな報道や文献、研究者からさまざまなデータが発表されておりますが、私なりにこのデータを簡単にまとめさせていただくと、石炭火力発電は、CO2排出が少ないと言われている最新型であったとしても天然ガス火力発電の約二倍に排出量がなるという数字、さらには、国内で新増設がどんどんふえておりまして、計画されている石炭火力発電が全て建設されると、二〇三〇年のCO2削減目標を約七千五百万トン超えるおそれがあるというような積算で私は認識をしておるんですけれども、この数字、参考人で結構です、どのようにお考えですか。

鎌形政府参考人 まず、石炭火力発電の排出係数ですが、最新鋭石炭火力であるIGCCでも〇・七一ということでございまして、最新型の天然ガス火力発電のGTCCの排出係数は〇・三二から〇・三六となってございますので、石炭火力発電の排出係数は、最新のものであっても天然ガスのおよそ二倍ということでございます。

 また、各社の公表資料をもとに、私どもで、新増設が計画されているもの、設備容量としては総計二千五十万キロワットということでございます。これらの計画が全て実施されて、かつ、既存の老朽火力発電所が稼働から四十五年で一律に廃止される、こういった仮定でした場合には、二〇三〇年の石炭火力発電所の設備容量は六千百万キロワット、そして、エネルギーミックスの想定と同様に稼働率を想定いたしますと、想定排出量は三億トン、我が国の二〇三〇年の目標を七千五百万トン超過するという計算になります。

 それから、先ほど私、適応の答弁に関しまして、適応計画の見直し期間を三年と申し上げましたが、五年程度の誤りでございました。失礼いたしました。

田島(一)委員 ほぼ私の方で積算した数字、データに誤りがないという認識を前提にしてお尋ねさせていただきたいと思いますが、やはり、この石炭火力発電の新増設は何としても食いとめていかなきゃいけないなというふうに私も考えます。

 大臣、先ほどの答弁の中でもおっしゃっておりました、石炭火力はつなぎでも何でもない、先祖返りのような話だということ、記者会見でもお述べになっていらっしゃるとおり、私も非常に賛同をし、エールを送りたいと思っているお考えであります。その前提の、つなぎのエネルギーが原子力だという部分について、ちょっと賛同しかねるところもありますけれども。

 石炭火力をいかにして新増設を抑えていくか、これをやらないと、パリ協定なんて絶対にこれは無理です。短期目標だって達成できません。本気でそのことを考えていくならば、今、環境影響評価で経産大臣に意見を述べられる立場である大臣がしっかりと異議を唱えていかなければならないのでありますが、ことし二月、先ほども御紹介ありましたけれども、あの丸川大臣が石炭火力発電の新増設を容認してしまったことで、何か歯車が随分狂ってしまった、環境省としてのレーゾンデートルが疑われる事態になってしまいました。

 大臣が石炭火力は個人的には容認しがたいと記者会見でもおっしゃっておりますけれども、私はこの際、個人的ではなく、環境大臣として、石炭火力発電の新増設容認をきっぱりともとに戻すことが求められているのではないかというふうに思います。

 アセスの手続で大臣が意見を述べるのは来年以降になる見込みということでありますけれども、この愚かな丸川大臣の失策をきっぱりと訂正されるべきではないかというふうに考えますが、大臣の見解を、最後、ぜひお答えいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 私の記者会見での発言等を引用されての御質問でございます。

 いわゆる二月の環境、経産両大臣の合意に基づいて、政策的対応等を行うということはいたし方ないかと思っておりますけれども、この中で、毎年度、その進捗状況をレビューし、目標が達成できないと判断された場合には施策の見直し等について検討することということになっております。まずは、今後の取り組みの進捗状況をしっかりと評価してまいりたいと思っております。

 また、石炭火力発電の環境アセスメントの環境大臣意見においては、事業者が省エネ法の発電効率指標を達成できないと判断した場合には事業そのものを見直すということを検討することを含む意見を述べておりますし、これからも述べていきたいというふうに思っております。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 私は、本気で山本大臣に期待しています。丸川大臣とはやはり歩んできた道が違うんだということを、ぜひ大臣、自信を持ってやってください。COP3からライフワークとして取り組んできたとおっしゃったとおり、私は大臣には期待をしたいと思いますので。

 私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

平委員長 次に、石川昭政君。

石川委員 自由民主党の石川昭政でございます。

 COP22出張、山本大臣の報告、成果について質問をさせていただきたいと思います。

 パリ協定発効後初めて開かれましたCOP22、マラケシュ会議でございますけれども、無事に山本大臣を送り出すことができまして、環境委員の一員として私も安堵をしているところでございます。

 この間、与党のみならず野党の皆様にも審議に御協力いただいたことを、この場をおかりして御礼申し上げたいというふうに思っております。

 さて、COP22でございますけれども、今回、パリ協定の早期発効が実現をいたしまして、その船出を祝う祝福ムードであったろうということは報道で承知をしております。

 地球温暖化を初めとする地球環境破壊は、人類が残してきた大きな汚点でございます。その対策に向けて、全ての国が一定の目標に向けて一歩を踏み出したことは大いに意義があることだと私は思っております。

 山本大臣は、COP22の間、閣僚会合で、バイ会談あるいはマルチ会談でさまざまな国の閣僚と会談を行ったということでございます。今回、日本が提出した約束草案、あるいは日本が提唱をいたしましたアジア太平洋適応情報プラットフォーム、それから気候変動対策支援イニシアティブ、このあたりにつきまして、各国の日本に対する評価というのはどういうものであったか、大臣にお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 COP22では、さまざまな閣僚等とバイ、マルチの会談を行ってまいりました。

 今回のCOPのタイミングで発表した気候変動対策支援イニシアティブについては、途上国グループの議長であるタイ、気候変動枠組み条約のエスピノサ事務局長等から我が国の積極的な姿勢に対する評価をいただきました。特に、アジア太平洋適応情報プラットフォームについては高い関心を示されたところであります。JCMについては、JCMパートナー国会合において、十六カ国の閣僚等との対話を通じまして、JCMの進捗を歓迎し、さらに推進していくことを確認いたしました。

 このように、会合中のさまざまな機会を捉えて我が国の取り組みを発信したことによって、日本の存在感を示せたと考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 しかし、船出をしたからといって、懸念がないわけではございません。

 一つは、アメリカのトランプ次期大統領が選挙中からパリ協定の離脱を示唆していたわけでございます。先ほどの大臣の御報告によりますと、アメリカがどうあろうとも我々はやるんだと各国首脳は語っていたということでございます。

 また、アメリカの次期政権、環境保護局がございまして、この次期長官には、温暖化否定論者であり、石炭火力発電所の新設を実質禁じたオバマ政権の政策を違法だというふうに言っているマイロン・エベル氏の起用を固めているというふうに報道されているところでございます。

 COP22で、米国代表のケリー国務長官がいらっしゃっていたと思いますけれども、トランプ氏の示した意向をどのように各国に説明、伝えていたのか、お伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、COPの間、ケリー国務長官初めオバマ政権のスタッフでありますけれども、マラケシュに来ていたアメリカの代表団は、大変感動的に、どういう形になろうとも我々はやらなきゃいけないということを言っておったことを先ほど申し上げました。ケリー国務長官は、ケリー国務長官の、CMAという会合の席においてやはり同じようなことをおっしゃいまして、米国及び米国民は気候変動対策の重要性を認識していると。

 このマラケシュの間でアメリカの一つの行動の特色的なのが、アメリカに来ていた、アメリカ企業約三百六十社がやはり要請文を出しておられました。気候変動枠組み条約の中でのいわゆる地球温暖化防止に対するアメリカの貢献という意味においての要請書を出しておられました。

 したがいまして、私は、予断を持って話すわけではございませんけれども、期待をいたしております。

石川委員 ありがとうございます。

 ブッシュ政権時に、京都議定書の発効前に離脱したわけでございます。その二の舞を避けるために、やはり日本として、アメリカを引きとどめるための方策が何か必要だろうと私は考えております。一つは、山本大臣が早急に訪米をして、次期政権移行チームの皆さんと意見交換をするなど、そういった取り組みを日本として私はやるべきだろうと思っております。

 また、COP21においては、先進国が途上国へ二〇二五年までに年間一千億ドルを支援するという枠組みがもう決められております。その気候資金につきましても、最大の資金提供国でありますアメリカが取りやめるということになりますと、これがもし仮にEUに飛び火し、そして途上国の地球温暖化対策の取り組みが頓挫しかねない、こういう事態になるおそれもあるわけでございます。この件につきまして、今回のCOP22ではどのような話し合いがなされていたのか。

 この二点、お伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 今般のCOP22における気候資金の議論におきましては、資金に係る第二回隔年評価書作成等の本年の成果が各国から歓迎されますとともに、さらなる議論を行っていく上での論点整理や方向づけ等について議論が行われました。

 COP22の期間中の九日に、アメリカ大統領選挙においてトランプ氏が当選したことを受けまして、来年発足する次期政権の気候変動政策に関係国の関心が集まったことは事実であります。多くの参加国からは、国際社会において極めて重要な課題である気候変動の解決に向けて、今後も国際的な協力のもと前進していくべき旨が表明されたところであります。

 ただし、米国の次期政権における気候資金の取り扱いを踏まえた対応といった将来を予断するような議論は、今回のCOP22の会議の場では特には行われなかったものと承知しております。

 実際、米国政府代表団は、会議の場で積極的に議論に参加しており、現政権のもとでの方針を維持していたものと承知しております。

 トランプ次期政権の気候変動問題に係る姿勢についてでございますが、来年発足する同政権の政策に対して、予断を持ってこの場でコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

石川委員 ぜひ、山本大臣もできるだけ早く、そういった米国の環境関係の閣僚あるいはその関係者の方にお会いいただくように、私から要望を申し上げたいというふうに思います。

 次に、CMA1についてお伺いいたします。

 パリ協定の実施指針を策定するCMA1も開かれたということでございます。CMA1では、二〇一八年までの二年間に詳細を策定することが決められたということは承知をしております。

 今回、オブザーバー参加でございましたけれども、実際に何か我が国の国益を損なうような決定がなされたのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 今次会合におけるパリ協定の実施指針等の策定に係る交渉は、我が国を含む条約の全ての締約国の参加を得て行われました。

 その上で、CMA1では、我が国を含む多くの国がかねてから主張してきたとおり、今後の交渉について、引き続き全ての国が参加して行われること、その上で、指針等を二〇一八年までに採択すること等が決定をされました。

 そのために、CMA1にオブザーバーとして参加したことによる不利益をこうむるような決定はありませんでした。

石川委員 ありがとうございます。

 今回の参加によって何か不利益なことが決定されなかったということが明確になったことは私はよかったというふうに思います。

 次に、第四回JCMパートナー会合についてお伺いをいたします。

 IEAの試算によりますと、パリ協定を完全に実施するためには、再生可能エネルギーの普及など総額で八千二百兆円、巨額の投資が必要だという試算を公表いたしました。これはそう簡単にできる話ではないというふうに思っております。

 その中で、我が国が提唱しました二国間オフセットクレジット、JCMは、日本のすぐれた低炭素技術を我が国だけで使うのではなく、他国の削減にも寄与する、こうした高い環境技術を持つ我が国にとって強みを生かせる分野だというふうに思っております。

 今回、第四回JCMパートナー会合が開かれたわけでございますけれども、署名をした十六カ国で進行している主なプロジェクトについてお伺いします。

鎌形政府参考人 JCMについてのお尋ねでございますが、これまでアジアを中心に十六カ国がパートナーとなっております。

 こうしたパートナーとの間で、例えば、幾つか申し上げますと、インドネシアにおける廃熱利用発電、あるいはベトナムでの送電網の効率化など、百一件の排出削減のプロジェクトを実施しているところでございます。

石川委員 百一件のプロジェクトが進行しているということでございます。私は、パンフレットをいただいて内容を拝見いたしました。主に東南アジア各国が多いように感じておるところでございます。

 先ほどほかの委員から質問がございましたけれども、石炭火力発電というのはこのJCMプロジェクトの中に含まれることはあるんでしょうか。ちょっと通告にございませんけれども、お尋ねしたいと思います。

鎌形政府参考人 JCMの対象となる事業につきましては、相手国と日本との間で話し合いで決める、こういうことになってございます。その中で、実際に削減が見込めるかとか、あるいは国際的な理解が得られるかとか、そういったものを考慮して判断するということでございます。

 現在までのところ、石炭火力についての事例はございません。今後の予定もございません。

石川委員 ありがとうございます。

 石炭火力は現時点では含まれないということでございますが、今後もそういったものには敏感に対応していただきたいと思います。

 それで、JCMプロジェクトによりまして削減された二酸化炭素の取り扱いでございますけれども、そのプロジェクトが行われている国と我が国という形で、二酸化炭素削減量の分配方法が、どのように分配されるか、その取り決めがまだ定められていなかったと思うんですが、これについて協議の進展等はございましたでしょうか。

鎌形政府参考人 JCMクレジットの配分につきましては、プロジェクトごとに、日本及びパートナー国のそれぞれの貢献に応じて、民間事業者間にて協議の上、決定されることとなっております。

 なお、JCMの実施に当たりまして、環境省ではJCMの設備補助事業を実施してございます。この対象となる事業につきましては、クレジットの二分の一以上を日本政府に配分するということを条件にしてございます。

石川委員 ありがとうございます。

 ぜひ、民間もこういったプロジェクトに参画をしていただく、官民挙げてJCMプロジェクトに参加をし、その二酸化炭素の削減を日本の削減量に上乗せしていただく。そして、もっと大切なのは、ダブルカウントしないというような、そういった明確な取り決めを、ぜひそのプロジェクトの署名国と協議において取り決めていただきたいというふうに思います。

 次に、日本の温室効果ガス削減計画についてお伺いしたいと思います。

 我が国の排出量の約三割を占める産業部門におきまして、セクターごとに自主行動計画を策定して省エネに取り組んできた結果、二〇〇五年度比で六%の削減を達成してきたところでございます。経団連を中心とする経済界は、今後も、地球温暖化対策計画をもとに、自主的な取り組みに委ねられているところでございます。

 低炭素社会実行計画を策定していないのはどのような業種、業界があるか、そして策定していないその理由はどこにあるのか、お教えいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 低炭素社会実行計画の策定状況についてのお尋ねでございます。

 まず、京都議定書の第一約束期間における業界団体の自主行動計画がございまして、これを策定していた業種のうち、二〇二〇年、三〇年を目標とする低炭素社会実行計画を策定していない業種ということで申し上げます。

 本年五月に地球温暖化対策計画を閣議決定いたしました時点で、閣議決定にも書いてございますけれども、今から申し上げる六業種がまだ策定されていないということでございました。日本放送協会、テレコムサービス協会、日本ケーブルテレビ連盟、日本インターネットプロバイダー協会、日本自動車整備振興会連合会、日本旅館協会、この六業種が挙げられておるところでございます。

 各業種において、目標の対策や検討に時間を要しており策定に至っていないものの、策定に向けて努力はされているというふうに承知してございます。

 これらの業種につきまして、できるだけ早く策定するよう、環境省及び経済産業省から、各業種の所管省庁を通じて要請をしているところでございます。引き続き、早期の策定を促してまいります。

石川委員 ぜひ、環境省として、協議が促進するように指導を行っていただきたいというふうに思います。

 次に、現時点で、家庭部門それから業務その他部門の削減取り組みについてお伺いしたいと思います。

 先ほど冒頭、斉藤委員の方からも、家庭部門の取り組みが重要だという御指摘があり、私もそのとおりだというふうに思います。

 二〇〇五年度比で、家庭部門は一一・九%、業務その他部門では一六・七%、二酸化炭素排出量が増加をしているわけでございます。ほかの業種、部門でどんなに頑張って削減しても、相殺されてしまえば意味がないわけでございます。これをいかに抑えていくかというのが、私は、この二酸化炭素削減の鍵であろうというふうに思います。

 環境省においては、国民運動、クールチョイスというものを提唱しているわけでございますけれども、私たちの認識だと、まだ認知度が低いと思います。

 環境省にお伺いしますけれども、家庭部門そして業務その他部門、この削減の達成に導く方策をお伺いしたいと思います。

比嘉大臣政務官 民生部門については、床面積や世帯数の増大、電力のCO2係数の悪化などにより、委員御指摘のようにCO2排出量は増加しておりますが、この数年は、省エネの進展により、エネルギー消費量自体は低減しております。

 他方で、中期目標としては、二〇三〇年までに四割もの大幅削減をする目標を掲げており、国民お一人お一人にさらなる努力をお願いする必要がございます。

 このため、賢い選択、クールチョイスを旗印に、低炭素型の製品、サービス、ライフスタイルの具体的な選択肢を全国津々浦々に発信してまいります。

 その際には、例えば、住宅の高断熱化は、住宅内外の温度差に起因すると言われるヒートショックの防止など快適で健康的な暮らしに有効、省エネ型の照明や家電に買いかえると、光熱費を節約でき、長期的には生活費を抑えられるといった、CO2削減以外のメリットを含め、しっかりと国民に発信してまいります。

 こうした発信を住宅メーカーや販売事業者といった経済界と連携して行い、断熱性能の高い住宅や省エネ家電など、低炭素型の製品、サービスの市場を創出、拡大していきたいと考えております。

石川委員 そのとおりなんですね。

 やはり、今回の地球温暖化対策によって、経済活動を制限する方向ではなくて、むしろ、これを前向きに捉えて、いかに削減することが日本のイノベーションを進展させるんだということを国民の皆さんに理解していただくということが一つ重要だというふうに思っております。

 先ほどクールチョイスのお話を出しましたけれども、やはり、もう少し国民運動として認知をさせるために、私は、省を挙げて、我々国会議員もそうでありますけれども、ぜひ取り組んでいく重要な課題だというふうに思っております。その上で、長期計画ということにつながっていくわけでございます。

 次に、二〇五〇年の八〇%削減に向けた長期計画の策定についてお伺いしたいと思います。

 ことし二月ですけれども、環境大臣のもとで、気候変動長期戦略懇談会という懇談会が提言をまとめました。私、その提言書をいただいて、じっくり拝読をいたしました。それぞれの専門家が、さまざまな提言、あるいは今の現状を分析した上で、この二〇五〇年の八〇%削減にこう取り組むべきだという方向性を示したものでございまして、具体的な中身というのはまだまだこれから詰めていかなければならないと思いますし、産業界あるいは国民にもっと理解を求めていかなければならないというふうに思います。

 その提言の中では、現状の政策の延長線ではなく、現在の価値観あるいは常識を打ち破るぐらいの取り組みが必要だという強烈な指摘がございます。その中核的な考え方として、社会構造のイノベーションが必要だというふうに指摘をされています。

 私は、この言葉を聞いて、非常に重い提言だなと思いました。今までの各省の政策の積み上げでは、恐らく八〇%削減というのは達成できないというふうに思います。

 先ほど比嘉政務官から、こういった取り組みを行って二六%削減を行います、二六%削減というのは、ある意味で既存の各省の政策の延長線、積み上げで何とか達成できる範囲内だというふうに思いますけれども、事八〇%になりますと、やはり根本から全ての政策を見直す、あるいはつくり直すぐらいの覚悟がなければ、私は、この八〇%の削減というのは達成に導くことは非常に難しいというふうに思います。

 そこで、山本大臣にお伺いをいたしますけれども、具体的にどこをどのように社会構造のイノベーションを起こしていくのかということをお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 気候変動長期戦略懇談会における提言では、長期大幅削減を実現するためには、先進的な技術に加え、社会システム、ライフスタイルを含めた社会構造全体のイノベーションが必要とされております。

 このようなイノベーションは、自然体では実現せず、規制・制度改革、教育訓練、起業・創業支援、研究開発、税制、補助金等の政策的対応が必要であろうと考えております。

 現在、中央環境審議会において、長期低炭素ビジョンについて、そうした政策的対応を含めて御議論をいただいており、世界の潮流を踏まえ、我が国が長期的に目指すべき方向を明確にお示しいただけるものと考えております。

 長期低炭素ビジョンは、ビジネスにおける予見可能性を高めるなど、大幅削減に向けた取り組みの加速化を促すとともに、今後政府として策定する長期低排出型発展戦略の土台となるものと考えております。

石川委員 長期計画の策定に当たりまして、環境省、それと経済産業省においても、この計画の策定が進んでいるものと承知をしております。

 本日、経済産業省にも来ていただいておりますので、経済産業省の現時点の取り組みについてお伺いいたします。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、本年七月に産官学の長期地球温暖化対策プラットフォームを立ち上げまして、その中で、国内投資の拡大、あるいは我が国の有するすぐれた技術を生かした世界全体での排出削減への貢献、それから大幅な排出削減を可能とするイノベーションの創出など、経済成長と両立する地球温暖化対策のあり方につきまして、年度内の取りまとめに向けて検討を進めているところでございます。

石川委員 環境省の提言、計画と、経済産業省の計画、いずれすり合わせて一本化して閣議決定ということになるかと思いますけれども、ぜひ、そこはしっかり我々もフォローして、後押しをしていきたいというふうに感じております。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 二〇五〇年ごろまでには、二酸化炭素大規模発生源、火力発電等ですが、CCSが標準装備される必要があるのではないかと私は考えています。また、再生可能エネルギーを推進すればするほど、実はその裏で、安定した電力を供給するための火力発電が多用されているというジレンマもあるわけでございます。

 お伺いいたしますけれども、このCCSに関して、環境省の今の計画はどのようになっているか、お教えいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 二酸化炭素回収、貯留、CCSでございますが、これは、気候変動対策として極めて重要な技術というふうに考えております。

 このため、環境省といたしましては、二〇二〇年ごろのCCS実用化を目指した技術開発や、二酸化炭素貯留適地調査などに取り組むとともに、商用化を前提に二〇三〇年までに石炭火力にCCSを導入することを検討し、さらに、火力発電所において将来CCS設備を設置するために必要な準備を行う、いわゆるCCSレディーの導入に向けた検討などを行っております。

 また、個別の発電所に対する環境アセスメントの環境大臣意見でも、事業者に対して、技術開発状況等を踏まえ、CCSに関する所要の検討を求めているというところでございます。

 CCSの導入に向けては、技術面だけでなく、制度面、経済面、社会面の課題に取り組む必要があることから、必要な施策について、専門家の意見も踏まえ、引き続き検討を進めてまいります。

石川委員 ありがとうございました。

 今回のCOP22を契機といたしまして、我が国の温暖化対策をなお一層強力に推進していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ふだんは別の委員会で仕事をさせていただいていますが、きょうはちょっと交代をさせていただいて、この環境委員会で山本大臣に御質問したいと思います。きょうはありがとうございます。

 実は前々から、我が党で理事をさせていただいている河野議員に、ぜひ一度環境委員会で質問させてほしいということでお願いをしていまして、きょう、どうぞということでかわっていただいたんです。

 冒頭、大臣の方からはCOPの話がありました。実はきょう、COPの話ではない話を質問させていただきたいと思います。

 ただ、せっかく大臣から冒頭COPの御報告がありましたので、一問ぐらいはCOPの話をという話もありますが、もうたくさんされましたので、委員長、しなくてもいいですか。

平委員長 決めてください。

足立委員 私が用意していたCOPに関する議論は、もう既に委員各位が御質問され、大変よくわかりました。本当に気候変動は大変重要ですので、大臣が気候変動に力を入れてこられていることはもう永田町はみんな知っています、国民もみんな知っていますので、これからもまた引き続き頑張っていただきたい、こう思います。

 きょう私が、委員を交代していただいてまで大臣のまた御指導をいただきたい、こう思っているテーマは、一言で言うと環境政策に係るゼロリスク論なんですね。

 ゼロリスク論というのは、環境政策、皆さん、釈迦に説法でありますが、結局どうしてもリスクをゼロにしたい。手を洗う、要は自分の身の回りもとにかくきれいにしたいということですが、人間の体でもそうですけれども、きれいにし過ぎるとまた不健康になります。だから、人間の社会、人間もそうだし社会もそうですが、ゼロリスクというのはそもそも私は存在しないと思っています。

 環境の専門家の方々も大体そうだということですが、ところが、政治家は、いや、リスクゼロにするよと選挙で言うんですね。

 実は私の地元でも、私の選挙区の中には自治体が五つありまして、三市二町が私の小選挙区になっています、その三市二町のうちの二つの町の首長選挙が九月、十月に一つずつありました。私も政治家ですから、そこで町長を選挙で応援するわけです。両方とも私が応援した町長が敗北をしました。

 私は今、日本維新の会という政党におりますが、与党である自民党さんが応援した、別にきょうは自民党の悪口を言うために来たわけではないんですが、地元の自民党の代議士と府会議員が、完全無害化をします、これはダイオキシンでもめている地域なんですね。ちょっと全国のニュースでも見ていただいたことがあるかもしれませんが、大阪の北部で、私の地元です。もう十何年も前から、ごみ処理場でダイオキシンが出たと一時えらい騒ぎになりました。もう今は誰も騒ぎません。そんなに、言うほど危なくないんだと私は思いますが、えらい騒ぎになった。その騒ぎになったダイオキシンがまざっているごみ、これをどこに持っていくかでもめるわけです。もう十年以上もめているわけです。

 それがついこの間えらい騒ぎになって、町長選挙で、それをどうするかということで選挙になって、私どもは、既にもう無害化、法律は満たしている、環境省が持っている例えばダイオキシン特措法、この法律はもう満たしているんだから、あとは適切にまたこれも廃掃法に基づいて埋めればいいんですよ、こういうふうに選挙で言うわけです。結構正直なものですから、本当のことを言っちゃうんですね。

 ところが、自民党に所属されている地元の議員さんは、いやだめだ、何を言っているんだ、風評被害があるじゃないか、風評被害を片づけるためには、これはもうみじんも残してはいけない、ダイオキシンを徹底的にゼロにするんだということで、やりますと言って選挙をやると、住民の皆さんはそれはその方がいいよなということで、選挙は私の応援している町長が二人とも負けたということなんです。

 別にいいんですよ、それは。いいんですよというのは、住民の皆さんが選ばれたことでありますから。それは民主主義ですから仕方ないんですが。

 ただ、やはり私は、ゼロリスクというのはないんだよと。むしろ、環境省が、まさに山本大臣のところで法律をしっかりつくっているんだから、その規制をしっかりと満たしながら、みんなが幸福に生活をしていく、これが最も大事なことである。逆に、政治家が余りゼロリスク論を掲げて暴れると、私は、余りいいことはない、マイナスはあってもいいことはない、こう思っています。

 私が今ずっと申し上げたこの問題意識、ちょっと入り口のところで恐縮ですが、山本大臣から、ちょっとそれは足立さんおかしいよとか、いろいろ御指導をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

山本(公)国務大臣 環境問題への対応に当たっては、科学的知見に基づきまして、環境や健康に与えるリスクを適切に評価して、合理的な対策を推進することが重要でありまして、この考え方を踏まえまして、対策実施の必要性や緊急性を適切に判断して対策を講じるべきであると考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 実は、地元の話からきょうは入りましたが、全く同じ話が豊洲で起こっているんですね。

 これは、きょう理事会で許可をいただいて、夕刊紙は余り持ち込まないそうですが、ちょうど小池知事が、豊洲市場で砒素が出たと。テレビも結構出していました。新聞、一般紙も結構出ていたと思います、これほど大きくなかったかもしれませんが。夕刊紙、こうやって出します。

 ところが、これは中身を読むと、環境基準の四割の砒素が出たと言っているわけです。わかりますか。そもそも、出たのは地下です、地下水です。そこで環境基準と言っているのは飲み水の基準です。要は、一日に二リットル七十年間飲み続けても大丈夫という飲み水基準のさらに四〇%しか砒素は出なかったんです。ところが、こういうふうに豊洲市場というのは火がついていった。

 結論から言うと、きょう、農水省、役人の人もみんな忙しいのでもう呼んでいませんが、農水省に聞いても、あるいは関係省庁に聞いても、豊洲は今、国の法律を満たしているのか満たしていないのかといえば、これは環境基準を満たしています。だから、もう全然大丈夫なんです。

 ところが、そういう意味では、国の法令は満たしているんだけれども、どれだけ過剰にきれいにしますか、どれだけ手を洗いますか、どれだけ歯を磨きますかということです。

 この間、うちの妻が、私が歯を磨いていたら、本を一冊置いていったんです。歯は磨くなという本なんです。要は、食べた後というのは磨かない方がいいらしいですね、すぐには。昔はよく三分以内に磨きましょうと。これは諸説あるから、余りこういうところで言ってはいかぬかもしれぬけれども。

 その本は、食べた後は、結構いろいろ唾液とかいいものが出ているし、食べているから歯がやわらかくなっているんですね、だから、食べた後すぐにごしごし磨くとエナメル質が削られちゃうというんですよ。まあ、そういういろいろな説があります。だから、何が言いたいかというと、まあそういうことです。

 それで、大臣、ちょっと質問の順番を変えて、豊洲の一般論、報道の話はちょっとおいておいて、先に汚染土壌の話を。事務方で結構ですから。

 豊洲市場というのは、東京ガスかな、何かあったので、確かに手は入れなあかんかったわけです。土壌汚染対策法という法律があって、土壌汚染対策法に基づいて手は入れなあかん。

 それで手を入れました。これまた徹底的にやったわけです。別に、小池さんの前ですけれども、徹底的にやりました。土を全部入れかえたわけです。入れかえたり、あるいは入れかえた分の一部を浄化して戻したわけですね。

 私、事務方にちょっと教えていただきたいのは、豊洲市場からどれだけの汚染土が出て、そのうちどれだけを豊洲に戻し、どれだけが豊洲以外のところに運ばれたかというのを、ちょっとざくっと教えていただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 豊洲新市場用地における汚染土壌の処理といいましょうか、搬出の状況でございますけれども、東京都によれば、この豊洲新市場用地において掘削された汚染土壌の量は約九十万立方メートルでございまして、そのうち、現地で処理されたものが三十二万立方メートル、外部に搬出されたものが約五十七万立方メートルというふうに承知してございます。

足立委員 今、この九十万のうち五十七万が、六割かな、七割かな、これが外へ出されているわけです。どこかへ運ばれているわけですよ。

 何十万立方メートル、これが汚染土壌としてはどれぐらいの規模かということを、汚染土壌というのは、土壌汚染対策法という法律がありますから、大体わかっていると思います。全国で年間にどれぐらいの汚染土壌が出ているのか。比較すると大体雰囲気がわかると思うので。

高橋政府参考人 日本全国で申しますと、土壌汚染対策法に基づいて指定された区域から、平成二十六年度でございますけれども、搬出され処理された汚染土壌の量は、全体で約八十九万立方メートルとなってございます。

足立委員 要は、一年間に全国で出る汚染土壌は八十九万です。この豊洲だけから、東京の市場をつくるこの豊洲だけで五十七万外へ出したわけですよ。それはどこかにあるんですよ。どこかにある。どこかにあるんです、これ。当然、法律ですから、法律に基づいて汚染土壌の処理施設があるわけです。

 だから、東京都が何をやっているかといったら、東京都の中かな、外といっても東京都の中が多いかもしれませんが、要すれば、自分のところのそこはきれいにするけれども、そこで出た汚染土壌は別の市町村とかに持っていっているわけですよ。

 特に、何でそんなことを言うかというと、私の地元は土砂の崩落というのも起こった。土砂というのはごみじゃないんですね。廃棄物処理法で、これはもう釈迦に説法で、違っていたら手を挙げてもらっていいです。多分そうだと思うんです。土砂というのはごみじゃないという整理になっているんです。

 要すれば、ごみだということになっていないので、例えば工事をします、そこで土砂が出たら、それをどこかに積んでおいて、またどこかに運んで埋めたりいろいろするんですけれども、大体、最近土砂は余っているんですね、埋め立てとかが少ないからかもしれませんが。そうすると、その土砂置き場でもめるわけです。

 よく最近ニュースで、裏山に積まれていた土砂が崩れて家が潰れたとか、私の地元でもありまして、建設残土が突然崩れてくるわけです。それはそれでまた議員立法で規制してくれということで、今やっていますが。大体、私の質疑は話が飛び散るので、もうちょっとちゃんとやりなさいとよく言われているんですが。

 今、環境省から御紹介があったように、年間全国で発生する汚染土壌に匹敵する量が豊洲から出て、豊洲はぴかぴかにするというわけですよ、ぴかぴかに。これですよ、これ。ぴかぴかですよ。毎日二リットル七十年間、一生飲んでも大丈夫なぐらい地下水をきれいにすると言っているわけですよ。

 大臣、それで、風評ということですけれども、実は、豊洲はえらい風評が広がっています。豊洲市場は汚れているんだ、汚いんだ、大変なんだと都民は思っていますよ。都民だけじゃない、国民も思っています。でも、結論から言うと、もう環境基準は満たしているんです、今でも。

 だから、豊洲についていえば、小池都知事が言っちゃった、移転は立ちどまって考えると言っちゃった、選挙で。言っちゃったんですよ。うちの地元の町長も、ダイオキシンを完全無害化すると言っちゃったんですよ。政治家が言っちゃったから、その政治家が言ってしまった移転延期、一旦立ちどまると言ってしまったその公約、それを糊塗するために今、都庁は議論をしているだけです、私に言わせれば。

 私の地元の町長も、選挙の間はすぐやりますと言っていたんですけれども、結局、完全無害化というのはお金がかかるんですよ、できないし。できないし、完全に近づけようと思ったらお金がかかるんです。やはりお金は余り使いたくないということで、ちょっと二年間ゆっくり考えますと言っているんですよ、今の町長。ちょっと待ってくれ、公約はしたけれども、ううん、どうしよう、お金は使いたくないなということで、ちょっと二年間時間をくれと言っているわけですよ。まあひどい話ですね。

 それから、その町長が言っているのは、マスコミはもう取材しないでくれ、終わってから取材に応じるから、終わるまでは報道には応じませんと言っているんですよ。ひどい話ですね。

 自民党の地方議員さんが応援する、私の地元では自民党の国会議員が、今総務省の副大臣をやっていますが、その方がその町長を応援したんですが、まあとにかくひどい話ですよ。私は、とにかく政治家が環境政策に口を出すと大体おかしくなるというふうに思っています。

 大臣にちょっと改めて伺いたい。

 豊洲を見ていると、私は、今豊洲はこういうことで、小池都知事の約束を何とか糊塗するためにやっているだけの話であると。それから、もうちょっと言うと、そこでやっているために、ほかの市町村は汚染土壌を受け入れているんですよ。

 大臣、もうちょっと言うと、私は、東京都が何でこんなことをやるかというと、金が余っているからだと思いますね。大体、地方政治というのは、地方行政というのは、交付税制度があります。東京都は交付税を受け取っていないから好きにやっていいんだといいますけれども、私は、東京都の税源が多過ぎるんだと思うんですよ。東京都の税源をもっと引っ剥がして地方に渡すべきですよ、こういうおかしなことをやる財源の余裕があるんだったら。

 こんなふうに思っていますが、この豊洲をめぐるこういう報道とか、あるいは風評被害とか、あるいは政治家のそういうことについて、御所感がありましたらお願いします。

山本(公)国務大臣 風評被害のことについて多分お聞きになったんだろうと思っております。

 地下水の水質汚濁に係る環境基準は、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として定められており、当該基準値を満足している場合には特段の問題はありません。

 御指摘のとおり、土壌汚染問題においては、過剰な不安や不信感を与えることのないよう、土壌汚染やリスクについて正しい情報をわかりやすく伝えることが重要と考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 次に、私が地元で、ダイオキシンの話をしています。これはまさに、ダイオキシン特措法、環境省の方に大変お世話になっていまして、一時は毎日のように環境省の人と議論して、これはどうしたらいいということで御指導いただきました。

 ダイオキシンというのは、一時、何年前かな、もうえらい騒ぎになって、それで、特に私の地元でダイオキシンが出たということで、何かベトナムの枯れ葉剤かなんかと分子構造が一緒なんだとかいうことでえらい騒ぎになって、私の地元のそういう事案が一つの引き金になってダイオキシン特措法というのができたんだったと記憶をしていますが、ダイオキシンというのはそんなに有害なんでしょうか。ファクトだけちょっとお教えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ダイオキシンの有害性でございますけれども、事故に伴う暴露によりますクロルアクネの発生、これはにきびに似た皮膚障害でございます、あるいはがん死亡の増加、あるいは実験動物を用いた毒性試験によります発がん性や免疫毒性、生殖毒性などの知見がこれまで報告をされてございます。

 また、世界保健機関、WHOの国際がん研究機関、IARCの報告によりますと、ダイオキシン、いろいろ分子構造によって種類がございますけれども、その中でも最も毒性が高いダイオキシンについては、事故などの高濃度暴露の知見から、人に対する発がん性があるというふうにされてございます。

 ただし、現在の我が国におきまして、大気や水等の常時監視をしてございますけれども、そこで検出されている濃度のレベルでございますと、ダイオキシンによってがんになるリスクはほとんどないというふうに考えております。

足立委員 難しかったかもしれませんが、いわゆるダイオキシンというのは、その辺でたき火をしても出るときは出るわけでありまして、例えばこの砒素も、よく言われますけれども、砒素というと怖いとみんな思うかもしれませんが、大体、ヒジキを食べると、ヒジキに入っているんですね。だから、怖がるのもほどほどに、またあるいは適切に、正しく恐れるということが大事だと思っています。

 一点だけ、そういうダイオキシンがどうとか砒素とかいう話とちょっと離れて、きょう、私は地元の廃棄物の話をしています。もう一つ地元でえらい悩んでいるのが、一般廃棄物か産業廃棄物かなんです。

 私も法令を勉強しましたが、廃掃法を中心とする環境省の法令は、一般廃棄物に関する規定と産業廃棄物に関する規定あるいは規制があります。ところが、私の地元にあるその固まりは混合物なんです。一般廃棄物と産業廃棄物の混合物なんです。これはどういうふうに法令に従って対処すればいいですか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 産業廃棄物と一般廃棄物の混合物につきましては、でき得る限り分けて処理するように努力すべきものでございます。

 分けて処理することが困難な混合物につきましては、一般廃棄物について処理責任を有します市町村と、産業廃棄物の処理について指導監督権限を有する都道府県または政令市との間において調整の上、当該混合物の性状などを勘案するなどして適切に対処されているものと承知いたしてございます。

足立委員 ありがとうございます。

 更問いですが、両者が相談して、ちゃんと調整してやってねと。これは規範はあるんですか。彼らが、彼らというのは町と府が、うちでいうとね、それを相談します、調整します、そのときに参照すべきルール、規範、国が定めている何か、ありますか。私は、両者で調整するということに尽きるので、特段の規範は環境省は示していないと理解していますが、どうですか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 産業廃棄物に該当するかということにつきましては、都道府県、政令市の長が、産業廃棄物に関する立ち入り権限、措置命令等の指導監督権限を有するということがございまして、その産業廃棄物に該当するかどうかの点について、行政処分の指針という形で平成二十五年の産廃課長通知というものがございますが、これを踏まえて、都道府県及び政令市で産廃に該当するかどうか判断しているというところでございます。

足立委員 おっしゃるとおり、産廃についてはいいんですが、要は混合しているときに、何割以上こうだったら、三対七ならこうだとか、そういう混合物についての規範、ルールというのはあるんでしょうか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘の混合物というものについての規範はございません。

足立委員 私の地元も相当悩んでいまして、さっきおっしゃったように努力はしているんですよ。産廃の部分は産廃としてもう処理しています。一廃の部分も、これは結構、研究材料にもなるので、研究機関が欲しがるものですから、それももう処理しています。今は、もう分けられない混合物がそこにあるわけです。

 今おっしゃったように、規範はないんです。要は、都道府県、大阪府と地元の町でこれを調整すればいいんですが、すると、規範がないということは、例えば、今の町長、先代の町長、その前で、その判断が変わるということは私はあると思っています。

 ちょっとこれは難しい質問で申しわけないんですけれども、要すれば、当該混合物、同じ混合物、物としては同じものなんだけれども、そのラベルが、ある町長の時代は一般廃棄物として処理すると決めて、大阪府とも調整してそうしていた、次の町長のときに産廃と決めて、大阪府とも調整して処理した、それで次の代にまた一般に戻る、こういうことは僕はあり得ると思いますが、いいですね。

中井政府参考人 先ほどお答えさせていただきましたように、一廃、産廃の混合物ということの中で、都道府県及び市町村において、環境省としては、法の趣旨に沿って適切に判断をしていただけるものと承知いたしております。

足立委員 いやいや、適切に判断、これは大事だから、ちょっとお願いしますね。

 物は同じだけれども規範はないんですよ。規範はないんだけれども、では、それは誰が決めるかというと、大阪府と市町村が決めるというんだけれども、大阪府と市町村というのは誰が仕切っているかというと、それは選挙で選ばれた町長と知事が決めているわけですよ、最終権者はね。だから、当然、選挙でかわればラベルは変わり得るんじゃないんですか。変わり得るということだけ確認したいんですが、難しいですか。

中井政府参考人 廃掃法を所管している国の立場から申しますと、法の趣旨に沿って個別にやっていただきたいし、いただいておるというふうに思いたいということでございます。

足立委員 これは難しいテーマ。確かに、お役所的に言えば、真実は一つだと。しかし、申しわけないけれども、規範はないんですよ。規範はないとおっしゃいました。ルールはないんですよ。そうしたら、七、三でまざっている、あるいは五、五でまざっている、あるいは六、四でまざっている、これは、大阪府と町の協議というのは人によって変わり得るとしか私は思えないんだけれども、それは変わり得るとは言えないのかな。言ってほしいんだけれどもね。

 では、こうしましょう。当然、その説明責任はその今いる首長にありますよ、過去のことも含めてね。だから、しっかりと説明責任を果たすという前提で、要は、説明責任が一番大事だと思うんです、住民の皆さんに。これは法令に従ってこう判断してこういうラベルで処理しています、説明責任を果たすという前提で、その説明責任の果たし方が、規範がない中で、混合物の扱いが左と右にぶれることは当然にあっていいと私は思いますが、否定しますか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 環境省、国といたしましては、法令に沿って、一般廃棄物を所管する市町村または産廃を所管する都道府県、この中での御協議の中で適切に御判断いただきたいということでございます。事実として、いろいろなことが起こっているという報道等も承知はいたしておりますが、とにかく適切に、混合物で、いろいろ規範がない中で、個別の処理として、適切に御判断いただきたいということでございます。

足立委員 これは大変重要な話なので、一定の御回答をいただけたと思いますが、またやります。

 説明責任を果たす、そういう意味では、国は規制はしていますけれども当事者ではないので、地元の首長がしっかりと説明責任を果たしていくことが大事だということを私も理解をいたしていますので、また引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 気候変動枠組み条約第二十二回締約国会議及びパリ協定第一回締約国会合等の件について、きょうは、山本環境大臣に、発出されたステートメントなどの内容も含めてお伺いしていきたいと思います。そのほか、経産省にもまたよろしくお願いしたいと思います。

 さて、今回、今月十八日に日本政府代表団から報告のありましたCOP22とCMA1、パリ協定第一回締約国会合についての資料を見ますと、今回のCOP22に際し、日本側は、包摂性に基づく意思決定の確保、パリ協定の実施指針をめぐる議論の推進、日本の気候変動分野での国際的協力についての発信の三点を主な目的として臨み、これらの三点については各局面を通じておおむね達成できたと評価しているということで報告をいただいております。

 十一月四日、パリ協定が発効し、七日から十八日まではCOP22、マラケシュ会議が開催されました。そして、その中では、後ほども質問いたしますが、二〇一八年、協定のルール合意、そして二〇二〇年からの協定の各項目の始動、さらにそこから長期的削減の目標達成に向けて、後戻りすることなく、各国が一致して取り組む行動、これは、今世紀後半に人為的な温室効果ガス排出と吸収源による除去のバランスなどで行動するとしておりますが、日本の相応の責任と役割を果たすことについて、まず山本環境大臣の所感を伺います。

山本(公)国務大臣 世界第五位の温室効果ガス主要排出国として、パリ協定の実施に着実に取り組んでいくことが重要であり、責任を持って国内外の取り組みをさらに加速化してまいりたいと思っております。

 国内の取り組みについては、パリ協定の発効を踏まえ、我が国の国際公約である二〇三〇年二六%削減達成に向けた家庭、オフィスを初めとした民生部門等の対策、二〇五〇年八〇%削減に向けた長期的な低炭素社会のビジョン策定等に着実に取り組むことがまず重要と考えております。

 国際的には、途上国のパリ協定の実施を国際社会が協力し、支援することが重要であろうかと思います。そのため、先日発表した気候変動対策支援イニシアティブを軸に、我が国の技術や経験を最大限に活用し、気候変動分野における国際支援の取り組みを発展、拡大してまいりたいと思っております。

 こうした取り組みを通じて、我が国も気候変動分野における責任と役割を積極的に果たしてまいりたいと思っております。

玉城委員 今回開催された第一回締約国会議、CMA1において、パリ協定を批准できていない国を含む全ての国がルールづくりに参加するため、CMA1を一旦中断の手続をとり、二〇一八年のCOP24までにルールづくりを完了させ、そして、一旦中断していたCMA1を再び再開して、協定のルールを採択するということになっております。

 この間は、パリ協定特別作業部会、APAでの交渉が継続されるということも了解しておりますが、パリ協定の実施指針の協議と今後のルールづくりの作業及び交渉等の明確性や透明性を持たせること、さらには対話の促進等について、日本側からどのような提案、協議などを行ったか、お伺いいたします。

山本(公)国務大臣 我が国は、パリ協定の実施指針等に関する交渉については、国連気候変動枠組み条約の全締約国が参加して行うべきであることを、事前の準備会合やCOP22期間中においても繰り返し主張いたしました。

 また、実施指針の具体的な議論においても、途上国と先進国間で意見の隔たりが見られた中で、論点が明確になるよう提案を行うなど、対話を促進すべく積極的に議論に臨んでまいりました。

 このように、我が国は、COP22の場で、各国との対話を重視しつつ、合意形成に貢献をしてまいりました。

玉城委員 先ほども質問の中で取り上げましたが、全ての国がルールづくりに参加するいわゆる包摂性、ここでそのルールづくりをしていくというところに取り組めたのは、私は、日本の、ちょっとおくれてというふうな気持ちで参加はしたんですが、非常に、そこが一番重要なポイントではないかと思います。

 今回のパリ協定の第一回会合において、本邦はオブザーバー参加となりましたが、今申し上げましたように、ルールづくりに関しては、各国と同様に参加し、協議することについて、さらには、これから我が国は積極的な貢献も可能だというふうにされております。

 他方、外交上の失態とも思えるようなパリ協定締結のおくれ、世界で百三番目。我々は、十一月七日から今回のCOP22がスタートしたんですが、手続が完了したのは、一日おくれて十一月八日でありました。そういうことから、協定国のリーダーとしての存在が薄いとの懸念も聞こえる中、山本大臣がステートメントで述べた、日本が果たしていく中心的な役割について、どのようにその役割を発揮できるのかの見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 まず、全ての国が参加するパリ協定の実効性を高めるべく、我が国の経験、知見に基づき、パリ協定実施のためのルールづくりに積極的に貢献してまいりたいと思います。

 また、国内対策についても、二〇三〇年二六%削減の達成はもとより、二〇五〇年八〇%削減に向けて戦略的に取り組んでいくことによって、国際社会に我が国の気候変動対策に係る積極的な姿勢を示していきたいと思います。

 さらに、途上国における気候変動対策を後押ししていくために、今般発表した気候変動対策支援イニシアティブに基づき、途上国のニーズを踏まえた効果的な途上国支援を一層推進してまいります。

 こうしたことを通じて、世界全体の気候変動対策が前進していくよう、我が国が中心的な役割を担っていきたいと考えております。

 なお、議員御指摘の外交の失敗というのは、ちょっとあれだろうと思いますけれども、おくれたことに対する各国の反応でございますけれども、非難めいたことを私は言われた覚えはありません。

玉城委員 失敗ではなく失態というふうに報じているところがあるものですから。これは何かというと、いわゆるTPPの国会審議とパリ協定の批准に関する手続の、恐らくはその前後をそういうふうに指しているのではないかと思います。

 私は、これは、各会派、全党がしっかり批准に臨むべきであるという気持ちを示したことに大きな意義があると思いますので、それは一部のそういう報道ということもありまして、その点をお含みおきいただきたいと思います。恐れ入ります。

 それでは、続いて、COP22それからCMA1の環境関係についてちょっとお伺いしたいと思います。

 ここは経産省にお伺いしたいんですが、世界的には、二〇五〇年ごろの温暖化ガスなどの実質排出ゼロに向けて取り組むとする先進各国の発出している長期戦略、あるいは、気候脆弱国連合、CVFの、二〇二〇年よりも前に策定したいという長期戦略などに対して、本邦が取り組む長期戦略、これが現在、具体的なそれらの内容について、いつの時期を目途としてどのような検討で進めていく計画になっているかをお聞かせください。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 COP21決定におきまして二〇二〇年までの提出が招請されております長期低排出発展戦略、いわゆる長期戦略でございますけれども、その策定に向けまして、現在、経済産業省と環境省がそれぞれにおきましてヒアリング等を通じた基礎的な検討を進めているところでございます。

 経済産業省におきましては、本年七月に産官学の長期地球温暖化対策プラットフォームを立ち上げまして、その中で、国内投資の拡大、我が国が有するすぐれた技術を生かした世界全体での排出削減への貢献、大幅な排出削減を可能とするイノベーションの創出など、経済成長と両立する地球温暖化対策のあり方につきまして、年度内の取りまとめに向けて検討を進めているところでございます。

 日本政府として国連に提出する長期戦略の策定時期及びその具体的内容につきましては、現時点では決まっておりませんが、今後、両省の検討結果等を踏まえつつ、関係省庁と調整を進めてまいりたいと考えてございます。

 いずれにしましても、二〇二〇年の期限に十分に先立って長期戦略を策定し、通報するとされましたG7伊勢志摩サミット首脳宣言も踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

玉城委員 その長期戦略の策定は、非常に細部にわたる部分もあるでしょうし、各省庁でのそれぞれの取り組みをすり合わせていくということでは非常に大変な努力を重ねなければならないというふうに思います。

 我が国の二〇三〇年二六%削減目標、さらに二〇五〇年八〇%削減目標実現のために、世界的見地から見直すべきエネルギー戦略については、従来の原子力発電と石炭火力発電のベースロード電源依存政策を根本的に改めて、世界の趨勢であります再生可能エネルギーを中心とするエネルギーの生産比率と高技術化、効率化を高めていくことを、やはり我が国の将来にわたるエネルギーの成長戦略に位置づけるべきと思っております。

 これは、気候ネットワークの資料からちょっと拾って紹介というか、余り聞きたくない話かもしれないんですが、日本政府は会期中の十七日、国内外の石炭火力発電プロジェクト推進を理由に、国際NGOの気候行動ネットワーク、CANが交渉に最も後ろ向きの国に与える不名誉な賞である本日の化石賞を、第一位、第二位とダブル受賞したというふうに記述されています。

 第一位は、国内の石炭火力の新設計画を進める日本が、化石燃料の利用を拡大している国として、トルコ、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、インドネシアと共同受賞。第二位は、日本が、世界、インドネシアなどで石炭火力プロジェクトに多額の融資をし、さらに追加を検討していることが理由となっている単独受賞ということで、不名誉な賞を第一位、二位と受けてしまったということなんですね。

 これは、先ほど他の委員からもありましたとおり、国民の生活のみならず、産業構造、エネルギー政策全体のイノベーション、変革がやはり絶対に必要だというふうに言わざるを得ません。

 ですから、パリ協定における今世紀末までの温室効果ガスの吸収と排出のゼロ目標に照らせば、我が国においても、新設石炭火力発電所の建設計画の中止、及び、既存の石炭火力発電もこのパリ協定の理念に即して考えると廃止していかなければ、到底この二〇三〇年二六%、二〇五〇年八〇%削減目標実現には届かないのではないかと思うんですね。そういうことも含めて、考えをお聞かせください。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、パリ協定では、今世紀後半に温室効果ガスの排出と吸収をバランスさせることを規定しております。このような抜本的な排出削減のためには、先生御指摘のようなイノベーションによる解決を追求していくということは非常に重要というように考えております。

 他方、当面のものとして、二〇三〇年度に向けて昨年七月に策定したエネルギーミックスの中では、この中では二〇三〇年度における電源構成等をお示ししておりますが、石炭火力については二六%程度の電源構成を占めるということをお示ししております。

 全ての面において完璧なエネルギーはないという中で、我が国においては、スリーEプラスS、すなわち、安定供給、経済効率、コスト、環境適合、安全のバランスのとれた電源構成が重要と考えております。

 石炭火力につきましては、他の電源と比較して、CO2を多く排出するという環境面での課題はございますが、安定供給あるいは経済性の面からすぐれており、一定の割合での活用を図っていくことが重要というふうに考えております。

 一昨年四月に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画においても、石炭火力について、「環境負荷を低減しつつ活用していく」としているところでありまして、今後とも、石炭火力について、その高効率化、低炭素化を十分に図りながら、その活用を進めてまいりたいと考えております。

玉城委員 この点については、またこれからもしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 最後に、大臣に二点お伺いしたいと思います。

 温暖化対策そのものに否定的で、パリ協定への協力に消極姿勢を示す米国の次期大統領に対し、COP22参加国からも、パリ協定を守り抜かねばならないとの意見や声明が発出されています。現大統領が国連に提出している温室効果ガス削減目標、二〇二五年の二〇〇五年比二六ないし二八%削減についても、消極的対応、目標達成への恣意的なおくれが出るのではという危惧も出ているそうです。

 万が一、米国が自国の目標を達成せずとも、罰則規定などは特にありません。このことについて、これは相手国のとるべき対策に任せるべきであるということにしても、もし仮にそのような状況が起きたと仮定した場合に、日本はどのように取り組みを促す姿勢を米国に示せると想定できるでしょうか。お聞かせください。

山本(公)国務大臣 政権移行後の米国の気候変動対策については、現時点で予断をすべきではないと考えております。

 COP22では、各国の首脳、閣僚が、一致団結して、後戻りすることなく、パリ協定の実施にしっかりと取り組む意思を明確にしました。こうした世界の潮流については、米国新政権にも理解いただけるものと期待をいたしております。

 引き続き、世界全体で気候変動対策に連携していくとともに、我が国としても全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 私は、どのような、いかなる状況になろうとも、日本は愚直に愚直にこの問題に取り組んでいきたい、かように思っています。

玉城委員 願わくば、新政権に山本大臣のような環境問題に熱心な方が取り組まれることを切に、本当に望みたいと思います。

 さて、最後に一点ですが、二〇一七年のCOP23は、ドイツのボンを開催場所とし、その議長国は、気候温暖化による海面上昇等の国家的危機に今まさに直面している南太平洋の島嶼国家フィジーです。フィジー代表からのスピーチでは、地球温暖化に否定的な米国次期大統領に対し、パリ協定への真剣な取り組みを要請するという一場面もあったと報じられています。

 ここで、大臣にそのお気持ちをぜひお伺いしたいと思います。危機に直面する島嶼国家への日本からの支援及び協力など、地球温暖化対策をライフワークとして取り組む山本環境大臣の考えをお聞かせください。

山本(公)国務大臣 私が環境問題に関心を持ちましたのは、京都会議のときにナウルの大統領が演説をしました。涙ながらの演説でした。私の島が沈んでしまうという演説だったんですけれども、それから環境問題に関心を持ってまいりました。

 したがいまして、太平洋の島嶼国は気候変動に対して特に脆弱でありまして、我が国の知見や技術を活用して、気候変動の被害を回避、低減する適応に関する支援を行っていく、これは日本が一番行えるのではなかろうか、かように思っております。支援を行っていくことが重要だと考えております。

 このため、環境省においては、昨年度より、フィジーなどの太平洋の島嶼国において、現地の研究機関とともに、サイクロン由来の高潮、高波のリスク評価や防災マップ作成等の支援を進めていっております。

 COP22において、適応に関する国際的な情報基盤となるアジア太平洋適応情報プラットフォームを構築し、同地域の途上国支援を進めていくことを発信いたしました。各国から高い評価をいただいたところであり、引き続き島嶼国に対するさまざまな協力を進めていきたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございました。

 終わります。ニフェーデービタン。

平委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十二分開議

平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 COP22、パリ協定についてきょうは質問をいたします。

 このCOP22等の会合に関する日本政府代表団による概要と評価というのが出されております。そこには、「パリ協定特別作業部会等におけるパリ協定の実施指針等に関する検討については、緩和、市場メカニズム、適応、透明性、グローバルストックテイク等それぞれについて、来年以降技術的な作業を効率よく進めるため、次回交渉までの期間に行う具体的な作業が決定された。」とあります。

 これがどのようなものなのか、日本政府はどのように関与するのかについて、まず説明していただけますか。

山本(公)国務大臣 事務方が答えさせていただくそうでございます。

鎌形政府参考人 パリ協定特別作業部会、APA等におけるパリ協定の実施指針等の交渉の進展については、今後も全ての国の参加のもとで交渉を行い、遅くとも二〇一八年までに指針を策定することを決定いたしました。また、次回交渉までに行う具体的な作業を決定したところでございます。

 具体的には、二〇一七年に、パリ協定の締約国会合、CMA1を一度再開し、作業の現状確認を行った上で再び中断する、また、二〇一八年にCMA1を改めて再開し、実施指針を採択する、こういうスケジュールでございます。そして、それぞれの項目につきまして、サブミッションの提出の期限、あるいはワークショップを開くかどうかといったことも決まってきたということでございます。

 今後、二〇一八年までにパリ協定の実施指針等を採択するために、緩和、適応、透明性等、さまざまな分野における各国間の異なる立場を調整していく必要がございます。そのためにも、今後、実質的な議論を進めていく必要があります。

 我が国といたしましては、パリ協定をさらに実効的なものとするべく、関係国と緊密に連携しながら、実施指針等の策定に取り組んでまいります。

 失礼いたしました。私、指針の策定を二〇一七年までと申し上げたかもしれませんが、二〇一八年までということでございます。失礼いたしました。

塩川委員 後でちゃんとお答えになっていたと思いますけれども。

 二〇一八年までに実施指針の採択、それに向けて全ての国が参加する形での議論が行われる。日本も当然そこに参加をして、実施指針をつくる交渉に関与するということであるわけです。

 続いて、外務省に確認しますけれども、COP22において、日本政府は、気候変動に関係する途上国支援について、二〇二〇年に官民合わせて約一・三兆円、これまでの実績の一・三倍にすることを表明しました。これは、昨年のCOP21で安倍総理が表明されたものについて、山本大臣の方も改めて表明をされたところであります。

 この途上国支援についてですけれども、直近の途上国支援の実績とその内訳がどうなっているのかについて、説明をお願いいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 COP21において安倍総理より表明いたしました二〇二〇年における約一・三兆円の対途上国支援は、二〇一三年から二〇一四年までの間に我が国として実施いたしました同種の支援額である年平均で約一兆円、米ドルで約百億ドルの支援を土台に算出したものでございます。

 この中で、太陽光等の再生可能エネルギーの使用促進や省エネ設備の導入等の支援を主眼とする緩和、いわゆる温室効果ガス削減分野の支援でございますが、約百七十二・六億ドル、気候変動に伴う自然災害への対処能力の強化を目的といたし、洪水や干ばつ等の被害対策及びその予防対策等に必要な機材や設備を供与することを主眼とする適応分野の支援は約二十四・六億ドル等となっております。

 また、この中で、石炭火力案件にかかわる支援には、例えば、インド・クドゥギ地区の超臨界圧石炭火力発電所約三・四億ドル、バングラデシュ・マタバリ地区の超超臨界圧石炭火力発電計画約四・一億ドル及びベトナム・ビントゥアン省の超臨界圧石炭火力発電所約三・三億ドル等となっております。

塩川委員 今お答えいただきましたように、気候変動に関係する途上国支援について、二〇一三、一四年で二百億ドル、そのうち緩和が百七十二億ドル余り、適応が二十四億ドル余りということで、この緩和、温室効果ガスの削減に関して石炭火力発電も含まれているという説明でありました。

 ちょっと重ねてお聞きしますけれども、この三件について、関与した公的金融機関がどこなのか。その関与の仕方ですけれども、融資あるいは出資、投資、債務保証、この辺どうなっているのかがわかりますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 申しわけございません。今、手元に関与した金融機関の資料を持ち合わせておりませんもので。

塩川委員 後でまた教えていただきたいんですけれども、途上国への温暖化ガス排出抑制に関する日本の資金提供というのは、石炭火力発電所を含むということを確認しました。

 そういう中で、例えばインドのこの事例というのは、国際協力銀行、JBICが支援を行っていると承知をしております。公的金融機関が海外における石炭火力発電所の建設の支援を行っているわけです。

 次に、環境省にお聞きしますが、日本政府は、パリ協定の第六条、市場メカニズムにおきまして、二国間クレジット制度、JCMの仕組みが位置づけられたとしています。この二国間クレジット制度は、日本の技術や製品を提供して新興国や発展途上国の温暖化ガスを減らし、その削減分を排出枠として得る日本独自の制度とされています。

 そこで、お聞きしたいのは、この二国間クレジット制度というのは、大規模石炭火力発電も対象とするのか。

鎌形政府参考人 JCMは、温室効果ガスの排出削減に資する技術を用いた排出削減事業を対象としているものでございます。具体的な対象事業の決定は、各国の状況に応じて、また国際的な理解が得られるかも考慮した上で、一つ一つ両国で議論していくことになります。

 石炭火力についても同様の考え方でございまして、具体的な事業内容をもとに、両国の間で、温室効果ガス排出量を削減する事業として位置づけられるかを議論することとなります。

 現時点で、JCMとして実施している石炭火力発電の具体的な事業はございません。また、今後も予定しているものはございません。

塩川委員 今までの実績の話は聞いていないので、スキームとしてどうなのかという話であります。

 そういう点では、石炭火力について、明示的にこれはJCMの対象から除外します、そういうふうになっているんですか。

鎌形政府参考人 JCMのスキームにおきましては、具体的な事業は、その事業内容を踏まえて、個別案件ごとに相手国との議論により決定されるというものでございますので、一概に決められるものということになってはございません。

塩川委員 だから、除外されていないんですよね。明示的に除いているものではありません。相手との関係で、国際的な理解云々とありますけれども、大規模石炭火力発電を除くというふうになっていないんですよ。

 大臣にお尋ねします。

 これは、過日、外務委員会でパリ協定の審議を行った際に、経済産業省にもこの点についても同様にただしました。高木経済産業副大臣は、二国間クレジット制度について、大規模火力発電も対象となることは可能だと答弁をしています。これは環境大臣としても同じ認識でしょうか。

山本(公)国務大臣 JCMの対象は、温室効果ガスの排出削減に資する技術を用いた排出削減事業でありまして、具体的には、その事業内容を踏まえて、個別案件ごとに相手国との議論により決定されるものであるため、一概に決められるものではありません。

塩川委員 一概に決められないということでありますけれども、大規模石炭火力発電を除くものとするとしているわけではないということでもあるわけですね。

 経産省のいろいろな検討の中で、長期地球温暖化対策プラットフォーム、海外展開戦略タスクフォースというのがあるんですけれども、その資料を見ますと、二国間クレジット制度の課題というのを指摘しています。その中では、「大型・ビジネス案件のJCM化が必須。」とあります。パリ協定の詳細ルールづくりにおいて、大型・ビジネス案件のJCM化を求めているわけです。

 私は、日本政府の姿勢として、途上国に対する支援として再生可能エネルギーですとか省エネの推進、そういう資金というのは当然あり得ると思います。これを自国に削減量としてカウントするかどうかというのはまた別な議論であって、我々とすれば、それは国内の排出抑制の努力そのものを弱らせることになるというので問題だということでありますけれども、議論したいのは、こういった二国間クレジット制度の枠組みに、大量のCO2、温室効果ガスを排出する石炭火力発電を含めるのかということが問われているわけで、大臣にお聞きしたいのは、こういう石炭火力発電を二国間クレジット制度の対象から除くという考えはありませんか。

山本(公)国務大臣 石炭火力を選択せざるを得ない国もあるというのも事実だろうと思うんです。供給安定性等、国力に応じた選択をせざるを得ない国がある。であるならば、今ある、多分古い石炭火力発電所があるんだろうと思います、であるならば、より高効率な石炭火力発電設備を導入することも、ある意味からいったら、地球温暖化防止のために資するものであるという考え方もあるということであります。

塩川委員 この辺はまた後で、世界の流れとの関係での議論はしたいと思いますけれども、私は、率直に言って逆行していると思います。

 老朽石炭火力発電があるのであれば、それはもう閉鎖をして、やはり大きな形での再生可能エネルギーの普及を図るような支援こそ日本としてとるべき姿勢であって、環境省がこういった大規模石炭火力発電を容認するような姿勢というのが、私は日本に対する各国の厳しい視線になっているということを指摘せざるを得ません。

 ですから、冒頭、この詳細ルールづくり、実施指針づくりに日本政府もかかわっていくわけですけれども、このパリ協定の詳細ルールづくりに当たって、日本政府が、大規模火力発電所も二国間クレジット制度の対象となるような、そういうスタンスで交渉に臨むというのはもうきっぱりとやめるべきだと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

山本(公)国務大臣 IPCCの第五次報告書においても、石炭火力発電は原子力発電とともに認められております。ただし、CCSという条件つきだというふうに思っておりまして、これから石炭火力発電所をつくろうとする方々は、CCSという問題も同時にやはり考えていっていただきたいなと私自身思っております。

塩川委員 私は、東電の原発事故の教訓を真に学ぶのであれば、もう原発に依拠しない、そういうエネルギー政策こそ必要でありますし、パリ協定を本当に成功裏に終わらせる、そういう努力を行うということであれば、石炭火力発電に肩入れをするような、そういう政治こそ見直す必要がある。それに対しての言明がないというのは極めて残念であります。日本政府がパリ協定の詳細ルールに参加をしても、こういった大規模火力発電を推進する立場で臨むということになる。これではやはり温暖化対策の足を引っ張ることにもなるということを言わざるを得ません。

 重ねて大臣にお聞きしますけれども、今、先進国においては、こういう石炭火力発電への資金支援について見直しをする動きが広がっております。WWFを初めとした環境NGOの団体の調査では、G7諸国の石炭に対する資金支援というのは、二〇〇七年から二〇一五年で四百二十億ドルを超えるということだそうです。その半分以上が日本だとされております。

 大臣にお聞きしたいのは、海外の石炭火力発電への資金支援というのは、先進国においては日本が最多だ、こういう認識はお持ちでしょうか。

山本(公)国務大臣 WWF等が公表したレポート「新・隠された石炭支援」において、日本の石炭火力支援について、G7の中で最悪であり続けているという指摘があることは承知をいたしております。

 我が国の国際協力銀行、日本貿易保険、国際協力機構から、一件当たり数百億円を超える大規模な資金支援が複数なされていることは事実だろうと思います。

 こうした資金支援について、途上国の中には、先ほど申し上げましたように、供給安定性等の観点から石炭火力を選択せざるを得ない国もあるという事実を踏まえると、そのような場合には、より高効率な石炭火力発電設備の導入を支援することも地球温暖化対策の一つになり得るとの考えによるものと理解しております。

塩川委員 極めて残念であります。

 世界の流れということを考えたときに、日本ほど石炭火力発電への資金支援を行っている国はない。大臣が紹介していただいたような国際協力銀行や日本貿易保険や、また国際協力機構が大きな支援を行っているところです。

 今、世界では、この間、ダイベストメントと言われるような、化石燃料事業からの投資の撤収を図る、こういう大きな流れが広がっているわけです。これは、多分COP22の中でもいろいろな議論の中で出ているということは、大臣もよく御存じのことだろうと思います。

 英国のシンクタンクのカーボントラッカーが発表したことが契機になっていますけれども、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて二度未満に抑えようとすると、現在企業が資産として計上している化石燃料の八割は、実際にはその価値が実現できない回収不能な資産、いわゆる座礁資産だということが指摘をされているわけです。ですから、過大に評価をされた資産価値がはじけるようなカーボンバブルが起これば、これが大きな金融危機を新たにもたらすおそれがあるという警告だったわけです。

 IEAも同様に、確認されている化石燃料の三分の二は燃やしてはいけないと指摘をしていると承知をしております。

 だからこそ、先進国、欧米諸国における途上国への石炭火力の輸出の規制ですとか、OECDによる輸出信用ガイドラインの改定ですとか、世界銀行を初めとする国際金融機関による融資の規制が行われているわけで、大臣が、石炭火力発電を新増設するということは世界の潮流に反すると答弁しておられましたが、日本政府による海外の石炭火力発電への資金支援というのは、まさにこういう世界の潮流に反するものなんじゃないのか。

 この点についての大臣の率直な受けとめをお聞きしたいと思います。

山本(公)国務大臣 先ほどから何度も申し上げますけれども、相手国の事情ということも勘案せざるを得ないということだけはぜひ御理解を願いたいと思っております。

 より高効率な石炭火力発電所ということと同時に、私は、やはりCCSという問題も、考え方だけではなくて技術的なことも含めて、海外に協力を求めていく姿勢が大事なんだろう、かように思っております。

塩川委員 世界の流れに逆行している日本ということを示すようなお話ということで、こういうスタンスこそやはり変えるべきときだということを申し上げたいと思います。

 もう一つきょう取り上げたいのが、国内における石炭火力発電の新増設問題であります。

 環境省にお聞きしますが、国内における石炭火力発電所の新増設の計画がどうなっているのか、その件数と出力の総計を示していただきたいと思います。

鎌形政府参考人 平成二十八年十一月時点で、各社の公表資料をもとにいたしますと、石炭火力の新増設計画は、三十七カ所、総計で約二千五十万キロワットとなってございます。

塩川委員 資料を配付いたしました。環境省が各社の公表資料を踏まえて取りまとめたもので、石炭火力発電所の新増設等の計画の一覧です。左側に事業者、出資事業者、発電所名、出力、発電の形式ということで整理をしてもらっています。このように石炭火力発電所の新増設が相次いでいるということが、この間、問題になってきているわけです。

 答弁にありましたとおり、ここには鈴川エネルギーセンターというのも表には入っていますが、これは既に稼働しているということで、それは合計値には含まれていないということですので、それを入れれば三十八カ所ということになります。二千万キロワットを超える規模での新たな新増設の計画というのは極めて大きいものであります。

 環境省にお聞きしますが、こういった集計をNGOの気候ネットワークも行っております。

 気候ネットワークが集計している石炭火力発電の新設の一覧表では、四十八件、設備容量の合計が二千二百八十四・一万キロワットとなっているんですが、若干違いがあるんですけれども、この違いがどんな理由なのかはわかりますか。

鎌形政府参考人 結論から申し上げますと、気候ネットの調べにつきまして、詳細に調べておりませんので、よくわからないところでございますけれども、先ほど私は新増設計画三十七カ所と申し上げましたけれども、基数にすると四十四基ということでございまして、数字の数え方もいろいろあろうかと思います。

 ただ、総計は約二千五十万キロワットというのが私どもの計算ということでございます。

塩川委員 おっしゃるとおりで、気候ネットワークの場合は基数で分けているものですから、一カ所に二基あれば二つ、それを環境省の方は一カ所でカウントしている。その数としては差が出るけれども、先ほど言いました出力ではほぼ同等ということで、気候ネットワークの方が若干報道ベースのを含めて取り上げているようですので、それが公表資料でないということで環境省の方には入っていない、若干のその差はあると思うんですが、いずれにしても、環境省の調べでも、大変大きな規模での石炭火力発電所の計画がありますし、環境省の集計にも入っていないような、計画中のものもあるだろうということも推察されるわけであります。

 こういったたくさんの新増設計画について、もう一つ、発電技術形式の特徴がどうなっているのかについて、環境省の方から簡単に説明していただけますか。

鎌形政府参考人 私どもで把握しております新増設計画の中の計画では、USCと呼ばれるものと、IGCCと呼ばれるものの計画がなされております。

 USCは、超超臨界圧発電と申しまして、SC、超臨界圧発電の発展型でございます。微粉炭を燃焼させ、蒸気タービンを回すことにより発電する方式であります。発電効率は四〇%程度、排出係数は一キロワットアワー当たりCO2で〇・八二〇キログラム程度、蒸気温度は五百六十六度を超えるものとされております。

 また、IGCC、石炭ガス化複合発電は、石炭をガス化、燃焼し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせることにより発電する方式でございます。発電効率は四六から五〇%程度、排出係数は〇・六五〇キログラム程度とされてございます。

 また、現在新増設が計画されているもののうち、環境影響評価法に基づく環境影響評価を行っているものについてはそうした形式がわかってございまして、USCが十四件、IGCCが三件ということになってございます。

塩川委員 IGCCが最新型の石炭火力とされているわけです。USC、それ以前の超臨界等々従来型の石炭火力と区分がされているわけですけれども、御案内のとおり、この最新型の石炭火力においても、天然ガスの発電に比べて二倍のCO2の排出の規模だとされておりますように、石炭火力というのが大量の温室効果ガスを発生させるということが問題となっているわけです。

 ですから、この形式を見ても、不明のところはわからないわけですけれども、実際には、最新型のIGCCでない形式、従来型の石炭火力がかなり含まれている可能性があります。

 ですから、いずれにしても、最も温室効果ガスを発生させ得る石炭火力発電の計画がこのように新増設で実行された場合に、二〇三〇年の削減目標との整合性がとれるのかどうかということが問われるわけですけれども、この点については環境省はどのようにお考えですか。

鎌形政府参考人 先ほど申し上げました計二千五十万キロワットの新増設計画が全て実現し、かつ、既存の老朽石炭火力発電所が稼働から四十五年で一律廃止されると仮定した場合でございます、あくまで仮定でございますが、二〇三〇年の石炭火力発電所の設備容量は約六千百万キロワットになるという計算になってございます。

 この場合のCO2排出量につきまして、エネルギーミックスの想定と同様の稼働率七〇%で稼働すると仮定すれば、想定排出量はCO2で約三億トンになりまして、我が国の二〇三〇年の削減目標を七千五百万トン超過するという計算になるというところでございます。

塩川委員 ですから、現状でも既にエネルギーミックス以上の容量になっているわけです。それが、この計画がどんどん進めば、対策がとられないということになれば、大幅な排出超過になる。約七千五百万トンの超過をする可能性があるということも環境省が指摘をしているところです。極めて深刻な事態だと思うわけです。

 この点で山本大臣にお尋ねをしますが、こういった石炭火力発電所の新増設計画というのは温暖化対策にとって極めて深刻な事態だと思いますが、大臣の御認識をお聞かせください。

山本(公)国務大臣 CO2排出量の多い石炭火力発電の新増設が制約なく進むと、国の削減目標等の達成が危ぶまれると考えております。

 このため、二月の環境、経産両大臣合意に基づきまして、政策的対応等を行うとともに、毎年度、その進捗状況をレビューし、目標が達成できないと判断された場合には施策の見直し等について検討することとしております。

 また、両省の合意以降、石炭火力発電の環境アセスメントの環境大臣意見において、事業者が省エネ法の発電効率指標を達成できないと判断した場合には事業の見直しを検討すること等を含む意見を述べてまいりました。

 これらを通じまして、石炭火力発電の問題にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

塩川委員 今、新増設が制約なく進んでいくと、この削減目標との関係、達成が危ぶまれるというのはまさにそのとおりだと思いますが、制約なくという条件でおっしゃっておられるわけですけれども、それは、今御答弁にありましたことし二月の環境、経産大臣の合意に基づく電気事業分野における地球温暖化対策に基づいて、経産省としても幾つかの措置をとり、それを環境省でしっかりレビューもしていくということでフォローするという話ですけれども、ことし二月の環境、経産両大臣の合意に基づく電気事業分野における地球温暖化対策というのがどんなスキームなのかについて、簡単に説明してもらえますか。

鎌形政府参考人 ことしの二月に環境大臣と経済産業大臣との間で合意いたしました電気事業分野における地球温暖化対策についてということでございますけれども、まず、電力業界について、電力業界の自主的枠組みで取り組んでいただく、それにつきまして、引き続き、実効性、透明性の向上や加入社の拡大に取り組むということで、二〇三〇年度に排出係数で一キロワットアワー当たりCO2にして〇・三七キログラムという目標を掲げられてございますが、この目標に向けて取り組むことを促していく、これがまず第一点でございます。

 また、政策的な対応として、省エネ法に基づきまして、電気事業法の全ての発電事業者に対して、石炭火力発電所等の新設基準や火力発電の運転時の発電効率のベンチマーク指標を設定するということ、また、エネルギー供給構造高度化法に基づきまして、非化石電源についてエネルギーミックスと整合的な数値を設定していくというような措置を講じていくということです。これらを、指導、助言、勧告、命令を含め適切に運用していくということでございます。

 さらに、これに対しまして、毎年度、その進捗状況をレビューしていくということでございます。取り組みが著しく不十分と判断される場合には指導監督等が行われますし、また、電気事業分野からの排出量や排出係数等の状況を評価して、〇・三七キログラムの目標の達成ができないと判断される場合には施策の見直し等を検討していく、こういった取り組みでございます。

塩川委員 前提が、電力会社の自主的枠組みを求めると。もちろん、今言った、目標の〇・三七を含めて、個々の事業者がしっかりと対応するということが前提になっているわけですけれども、それを促していく上での政策的な対応ということで、経産省の省エネ法や高度化法の対応があり、これについて環境省として毎年度レビューをしていくという話ですけれども、実際、環境省がどんなことをやるのかということについて、進捗状況のレビューのお話とかがあると思うんですけれども、現段階でどんなことをやってきたか、それともこれからなのかな、その辺の、環境省として、この両大臣合意に基づく取り組みにおける措置はどんなことをやるのか、やってきたのか、その点について教えてください。

鎌形政府参考人 今申し上げました枠組みでは、毎年度レビューをしていくということでございますが、このレビューのプロセスに私ども既に取りかかってございます。

 具体的に、必要な情報を集めて枠組みの状況についてレビューするということでございますが、十一月、今月の上旬に有識者にお集まりいただいて、どういう視点からレビューを行うべきかということの意見をヒアリングという形でお聞かせいただきました。それを踏まえて今私ども作業を進めてございまして、これに基づいて枠組みの進捗状況についてのレビューをしていく、そういう状況でございます。

塩川委員 そうしますと、その二月の両大臣合意で、事業者、経産省の枠組みでの実際の電力業界の取り組みについてレビューしていく、経産省にもきちっと資料も出させるということになるわけですけれども、ただ、では何のレビューをするかというと、その中身はまだ決まっていないということなんですか。

鎌形政府参考人 具体的なレビューの視点については、先ほど申しました有識者から意見を賜ったところでございます。そういう意味で、どういう視点からレビューを行うべきかということも含めて、今私ども整理をしているという段階でございます。

 もちろん、進捗状況ということでございますから、自主的枠組みの進んでいる状況とか、あるいは省エネ法や高度化法の状況とか、そういうものについてのレビューということでございますけれども、その具体的な視点について、今私どもで整理している最中というところでございます。

塩川委員 そうなると、二月の両大臣の合意が何だったのかという話になるわけですよ。そこできちっとレビューするとなっているんだけれども、では何をレビューするのかということはこれから考えますということになると、この二月の両大臣会合も、これは経産省の都合でというか電力業界の都合で、それに環境省がそのまま乗っているようにとられる、皆さんが言う環境省としての役割を果たしているのかと率直に思うんですけれども、何で二月の両大臣合意のときに、具体的なレビューのポイントとか、どういう視点なのかということまで詰めてなかったんですか。

鎌形政府参考人 二月の合意の時点では、まず、政策的な対応としては、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法に基づく指針ないし基準をつくっていくということがありました。その進捗状況を見ていくということ、そこは当然レビューの項目としてあるわけでございますけれども、さらに、どういう観点から見ていくかという詳細についての検討を今している、整理をしているというところでございます。

 そういう意味で、レビューについて、何を見ていくか、自主的枠組みの動き、それから政策的対応の動向を見ていく、この辺は当然のこととして共有されているということでございます。

塩川委員 非常に対応が甘いのではないのかということを指摘したいのと、そもそも電力業界の自主的枠組みでいいのかというのが問われているわけで、電力業界、電事連を中心としてつくった実行計画においても、私は〇・三七というのは低い目標だと思いますし、総量での削減量というのが明らかにされていないという問題も当然あるわけで、ここに依拠してということで本当に進むのかということを指摘したいと思います。

 そこで、この二月の環境、経産両大臣の合意というのは、もともと経緯があるわけですよね。その過程では、電力業界の自主的枠組みづくりについて不十分な対応ということで、環境省が石炭火力発電のアセスメントについて、これはだめだと何度もだめ出しするような場面もあったわけですよ。そういう中でこの二月の両大臣合意に至っているということは承知をしているわけですが、そもそもの出発点の、平成二十五年の東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ、電気事業分野における地球温暖化対策のもとになっているこの取りまとめの内容について、簡単に説明をしていただけますか。

鎌形政府参考人 御指摘の平成二十五年の局長級会議の取りまとめでございます。電気事業分野における実効性ある地球温暖化対策のあり方と、環境アセスメントにおける二酸化炭素の取り扱いについて取りまとめたものでございます。

 まず、電気事業分野における実効性ある地球温暖化対策のあり方につきましては、国の温室効果ガス排出削減目標と整合的な形で電力業界全体の実効性ある取り組みを確保するため、以下を主な内容とする枠組みの構築を促すことといたしました。

 その内容といたしましては、一つは、国の計画と整合的な目標が定められていること。二つとして、新電力を含む主要事業者が参加すること。三つ目、責任主体が明確なこと、これは小売段階に着目するということでございます。四つ目といたしまして、目標達成に参加者が全体として明確にコミットしていること。五番目といたしまして、新規参入者等に対しても開かれており、かつ事業者の予見性が高いこと。以上のような枠組みの構築を促すこととしたのがまず第一点でございます。

 それから、環境アセスメントにおける二酸化炭素の取り扱いにつきましては、これから申し上げる観点により、必要かつ合理的な範囲で審査することといたしました。

 一つは、竣工に至るスケジュール等も勘案しながら、アセス手続中の最新発電技術等の採用の可能性を検討した上で、既に商用プラントとして運転中の最新鋭の技術以上を採用するように努めること。また、国の中期目標や二〇五〇年目標との整合性を図ること。以上の観点からのアセスメントを行うということでございます。

塩川委員 今、丁寧な説明をいただきました。

 答弁にもありました電気事業分野における実効性ある地球温暖化対策のあり方で、電力業界全体の枠組みの構築ということで五点説明がありました。

 そこで、この四点目に「目標達成について参加事業者が全体として明確にコミットしていること」とあるんですけれども、その後の括弧書きがあるんですが、この部分についての説明をお願いできますか。

鎌形政府参考人 失礼いたしました。

 「目標達成について参加事業者が全体として明確にコミットしていること」の後に括弧書きがございます。「目標達成の手段として、二国間オフセット・クレジットやCDMの取得など我が国の優れた発電技術等の国際展開による排出削減等の取組も可能」というふうにされてございます。

塩川委員 そうなりますと、電力業界の自主的枠組みにおいて、このように、二国間クレジット制度等々、国際展開による排出削減等の取り組みも可能ということが両大臣合意の対策の大もとにあって、いわば、この二国間クレジット制度のように、国際展開による排出削減の取り組みもビルトインをされた仕組みということになるわけですよね。

鎌形政府参考人 目標達成についてのコミットに関して、二国間オフセットクレジットやCDMの取得なども活用可能とした枠組みということでございます。

塩川委員 先ほどは、この二国間クレジット制度の問題について、せめて石炭火力は外したらどうかというのに対しては、そういう姿勢がないということがあったわけですけれども、私は、やはり国内での排出抑制の努力を本気でやるということこそ事業者に求めるべきであって、このように途上国等を含めた国際展開による排出削減の取り組みも織り込むということでは、本気でこういう事業者に対して削減努力を、もっと国内における排出抑制の取り組みを求めることに大きな障害が生じることになりはしないのかと思うんですが、その点、どうですか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、我が国としての温暖化対策の取り組みというのは、まず国内での削減をしっかりとやるというところが前提と思います。その上で二国間クレジットなどの活用というものを考えていく、こういうスタンスで臨んでいるというところでございます。

塩川委員 これはことしの通常国会でも議論したところですけれども、結局、国内の石炭火力の新増設による温室効果ガスの増加が行われたような場合でも、そっちの方を減らすんじゃなくて、国内で減らすんじゃなくて、海外の削減分を手当てするという話になりはしないのかということなんです。

 国内で石炭火力をどんどんつくりました、温室効果ガスがたくさん出ます、こういうことに対して海外でクレジットで持ってくれば、そのクレジットも大規模火力発電も排除されていないんですから、国内でも石炭火力発電をつくり、海外でも石炭火力発電をつくり、それが結果として排出抑制の目標に適合的だというスキームだと、これはとても納得できるものではないと思うんですが。

 大臣にお尋ねしますが、こういったスキームそのものが国内での削減努力をおろそかにすることになるんじゃないのか、環境省としてはこういうことを容認しているのではないのか、このことが厳しく問われるわけですが、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 御指摘は痛いほどわかります。

 その上で申し上げたいと思うんですけれども、長期的には、電力部門から排出されるCO2は大きく低減しなければならないと思っております。

 その意味において、石炭火力発電は、高効率なものであっても、天然ガスに比べCO2を二倍程度多く排出します。こうした石炭火力発電の新増設が制約なく進むと、国の削減目標等の達成が危ぶまれるというふうに考えております。これを踏まえると、石炭火力についてはより抑制的であるべきだと考えております。

 いずれにせよ、計画に基づき、国内対策を強力に推進していきたいと思っております。

塩川委員 抑制的と言うのであれば、こういったいろいろな意味での国内での排出削減の努力、あるいは大量の温室効果ガスを出す石炭火力発電そのものを認めない、こういう方向での取り組みこそ求められているわけで、電力業界の自主的枠組みに任せるというわけにいかない。世界の潮流に反する政策を推進しているのは日本だ、こういうことこそ転換をすべきだということを申し上げたいと思います。

 そこで、この資料にありますように、たくさんの石炭火力発電所の新設計画があるんですけれども、そもそも何でこんなに多くの石炭火力発電所の新設計画がされているんでしょうか。

鎌形政府参考人 それぞれの事業者においてどのような投資計画を立てるかということによるかと思いますけれども、一つには、石炭火力につきましてはランニングのコストが低いというようなところも考慮されているのではないかというふうに考えます。

塩川委員 ランニングコストの話、要するに安いという話ですけれども、きっかけはやはり東電の事故なんですよ。東電の事故で、東電は原発を動かせません、経営的にも非常に深刻だといったときに、安い火力で動かしたいというのに経産省が動いて、環境省がそれに対して注文をつけたんだけれども、スキームとすれば今言ったような枠組みで、石炭火力も結果とすれば容認をするし、二国間クレジット制度で国内の排出抑制の努力をおろそかにしかねないような、そういうスキームで両大臣合意につながっているということを考えても、私は、こういったことを容認する大もとの一つにエネルギー基本計画があると指摘をしたい。

 もともと、東電の原発事故の後に作成をされたエネルギー基本計画の中で、電源確保のために、石炭火力発電所を安定供給性や経済性にすぐれた重要なベースロード電源として位置づけている、ここがそもそも間違いなんじゃないのか。このエネルギー基本計画そのものを根本的に見直すということこそ必要だと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

山本(公)国務大臣 今、先生の御指摘は、私も同感するところ多々ございます。

塩川委員 共感していただけるのであれば、では、そういう施策を進めていただけますか。

山本(公)国務大臣 なかなか難しい問題等々もあろうかと思いますけれども、基本的な考えだけは私はずっと持ち続けていきたい、かように思っております。

塩川委員 問題意識だけ持っていても、大臣なんですから、執行してもらわないといけないわけで、思っていてもやらないんじゃ、現行の政策を追認するだけなんですよ。このことこそまさに問われているんじゃないのか。

 そもそも、安倍政権がインフラシステム輸出戦略のもとで石炭火力発電の輸出を位置づけているというのも重大なんですよね。

 私も、この前の外務委員会のパリ協定の質疑の際に、インフラシステム輸出戦略で、総理大臣がたくさんの財界人を連れて政府専用機で、政府専用機に民間の財界人も乗せて海外を回っているんですよ。そういう中に、たくさんの石炭火力発電を売り込むという話もいっぱい入っているんですよね。

 私は、こういった枠組みそのものが、結果として温暖化対策に逆行するような話になっているし、国内での石炭火力発電の新増設のラッシュにもつながっている。国際的な、石炭火力発電を転換していこう、減らしていこう、そういう流れに逆行するような石炭火力発電の輸出戦略であるインフラシステム輸出戦略そのものを転換する必要があるんじゃないのか。これこそ今はっきりと環境大臣として言うべきことじゃありませんか。

山本(公)国務大臣 この間マラケシュで、ケリー国務長官がある会合で、決して石炭火力は安いコストではないということをおっしゃったんです。回り回って大変高いコストがつきますよという表現をされたんです。私どもは、その考え方に大いに共感をいたしました。

塩川委員 共感だけではだめで、執行することこそ政治の責任であります。

 石炭火力推進のインフラシステム輸出戦略はもう見直すべきだ。エネルギー基本計画を抜本的に見直して、石炭とそれから原発から撤退をし、省エネを進め、再生可能エネルギーの急速な普及へと大きくかじを切ることを求めて、質問を終わります。

平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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