衆議院

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第2号 平成29年2月21日(火曜日)

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平成二十九年二月二十一日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    神山 佐市君

      木村 弥生君    小島 敏文君

      助田 重義君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      牧島かれん君    八木 哲也君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    小沢 鋭仁君

      河野 正美君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   復興副大臣        長沢 広明君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   文部科学大臣政務官    田野瀬太道君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 森 美樹夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板倉周一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         重田 雅史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     八木 哲也君

  助田 重義君     神山 佐市君

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     助田 重義君

  八木 哲也君     牧島かれん君

  足立 康史君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     白石  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官森美樹夫君、文部科学省大臣官房審議官板倉周一郎君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、国土交通省大臣官房物流審議官重田雅史君、国土交通省大臣官房審議官伊藤明子君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省総合環境政策局長奥主喜美君、環境省総合環境政策局環境保健部長梅田珠実君、環境省地球環境局長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長亀澤玲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の冨岡勉でございます。

 きょうは、久しぶりにこの環境委員会で質問に立たせていただきます。山本大臣初め両副大臣、政務官、よろしくお願い申し上げます。

 さて、きのうはこちらに来るのに大変な風が吹いて、飛行機が揺れました。雨にも負けず、風にも負けず、冬の寒さにも、そしてアメリカのトランプさんにも負けずに頑張っていきたいと思います。

 さて、そのトランプさん、COP21、地球の温暖化に対するパリ協定、否定的な発言をされております。それで、非常に気になるところですが、きょうの第一問目はその温暖化対策、そして第二問目がCO2排出と健康、住宅問題、そして最後に三問目として、いわゆる、今、福島の原子炉、デブリの問題、中間貯蔵施設の放射性廃棄物の問題、その三題について質問をさせていただきたいと思います。

 さて、その第一問目ですが、温暖化に関与するいろいろな工業、それから暖房器具など、たくさん、多種あるわけなんですが、車の問題からいくと、トヨタを初めとして、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド、そしてエレクトリックビークル、FCV、フュエルセルビークルという、そういう一つの流れ、ラインができて、我々もそれを利用したりして、世界に冠たる自動車大国になったわけでございます。

 ところが、交通手段としてはそのほかにもたくさんあります。交通手段の、乗り物のCO2、あるいは温暖化に資するような観点から考えると、圧倒的に車が多いんですが、そのほか、先ほど触れました飛行機の問題、あるいは、航空機そしてトレーン、そして、我が国は海運国、船の問題がございます。

 まず、基本的な項目として、我が国の二酸化炭素の排出状況とそれに占める、運輸部門に関してきょうは質問をちょっと絞って行いたいと思いますが、その点、自動車や航空機、船舶等の部門別の排出量等について、まず御答弁いただければと思います。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国の二酸化炭素排出量の全体でございますが、昨年十二月に環境省が、二〇一五年度の速報値、これを公表してございます。これは、二酸化炭素排出量全体として十二億二千三百万トンでございます。そのうち運輸部門からのエネルギー起源二酸化炭素排出量は二億一千六百万トンということでございまして、二酸化炭素排出量の約一八%を占めてございます。

 また、さらにその運輸部門の内訳でございます。自動車からの排出量が一億八千七百万トン、船舶からの排出量が一千六十万トン、航空機からの排出量が九百九十万トン、鉄道からの排出量が九百三十万トンとなってございます。

 以上、排出量のデータでございます。

冨岡委員 船舶に関しては、車に比べてそれほど多くはないと。台数が全く単位が違うと思うんですね。

 ただ、大臣もいろいろ船に乗られたりされていると思いますけれども、昔は、陸を走っているディーゼル車は、黒煙を吐いて、非常に車酔いの原因にもなっていたんですが、船も、釣りに行くと、やはり、ポンポン船というんですか、二、三トンの船は非常にまだ黒煙を上げているような状態が続いています。船酔いというよりも、そういった排気ガス酔いに近い状態になるわけなんですが。

 そこで、車と同じように、船も、ハイブリッドからいわゆる電気船あるいは燃料電池船と、恐らくそういう進化過程をとると思うんですが、その点について、環境省の今までの、現時点での取り組みについて御説明をいただければと思います。

山本(公)国務大臣 私も船屋の端くれでございますから、非常に関心のある話でございます。

 環境省では、今まで取り組んできましたのは、平成二十六年度から二十七年度において、小型の燃料電池船の技術開発を行いまして、先生の御地元の長崎県の五島沖において、洋上風力発電実証事業の余剰電力から製造した水素を燃料として活用する実証を行ってきたところでございます。

 正直なことを申し上げまして、私も船屋でございますけれども、今まで、船の燃料、省エネの方にずっと頭が向いておりました。要するに、油の使用量によって営業成績にすぐ影響をしてまいりますから、いかにして油を使わないかということに頭を置いてきたのが正直な話でございます。

 ただ、今回先生からの御指摘のあった燃料電池車であるとかハイブリッドというのは、それをもう随分飛び越した、言ってみれば、最終的に船の世界はかくあるべしというような燃料を今後開発していこうという取り組みだというふうに思っておりまして、地球温暖化防止のことを考えていきますときには、やはりこの分野においても、技術開発その他、積極的に進めていくべきだろうと思っております。

 もう今さら帆船の時代には返れませんから。帆船は確かにCO2を出しません、出しませんけれども、もう帆船の時代には返れません。技術が進歩していく中で、燃料電池船とかハイブリッド船というのはこれからのあるべき姿だと思って、期待をいたしております。

冨岡委員 どうも大臣ありがとうございました。

 大臣御指摘のように、長崎県、離島がたくさんあって、沿岸漁業等も盛んに行われているんですが、よく言う言葉で、漁に出ても油代にもならぬといって、やはり油が高騰するとなかなか漁に出られなくなるというか。そういう意味で風力が一番いいんでしょうけれども、帆船時代の。

 ただ、今お触れになりました長崎では、燃料電池船を一隻だけ今保有しております。県が保有している格好になっていますね。それによりますと、航続距離が三・五ノットで約百キロ。百キロというと、見える範囲内でノリの手入れを、海産物はちょっと釣りの一本釣りぐらいまではいいけれども、なかなか、それ以上になると、船外機をつけたり、大型になるとどうしようもないというような状態になるので。

 ただ、方向性としては、ハイブリッドから電気船というんでしょうかね、それと燃料電池船に行くというのは多分みんな同じように考えているので、こういった点から、ぜひ、このような船に対する技術援助、環境面から考えたそういった取り組みに継続して取り組まれるようにお願いしたいんですけれども、どうでしょう。

山本(公)国務大臣 先ほども申し上げましたように、船舶部門というのは非常にそういう面でおくれておったことは、私は承知をいたしております。

 したがいまして、今回長崎県でやっている実証事業等々を通じまして、船舶の世界が変わってくれることを期待しているんです。航空機は御承知のように、世界的な流れとして、燃料に対する考え方がだんだん変わってきております。船舶も、IMOの条約等々で変わりつつはありますけれども、もう一段上を見た、高みを見た燃料技術の世界が生まれてくればいいなと思っておりまして、環境省としましても、全面的に技術力のアップのために支援をしていきたいというふうに思っております。

冨岡委員 ありがとうございます。

 我が国は、御存じのように海洋立国で、大型タンカーとか、韓国とか中国に押されぎみで、一矢を報いるというか、大きな産業に育てるためには、やはりエコロジーというのが、大型船にも将来、燃料を食わないような、あるいは地球環境に優しいような、もうこれははっきりしていますので、ステップアップをぜひしていっていただく。そういう政策を、経産省とか国交省もあるかもしれませんが、環境省としても、COP21のあの目標に一歩でも二歩でも近づいて、ああ、そうだな、俺は要らぬことを言うたなとアメリカ大統領に言わしめるような、そういう環境政策を海上でもやっていただければと思っております。

 さて、私は医療界に長らく籍を置いて、健康というのが今、加齢とともに、多くの国民が健康について関心を示すようになってきております。

 そこで、昔から健康と住宅というのは、それほど、注目をして、研究された、あるいはリサーチというんでしょうか、いろいろ調べられたという歴史は少ないようです。

 しかし、考えてみれば、どこそこのおばあちゃんが風呂場で倒れとった、どうも頭の、脳溢血、脳出血、脳梗塞を含めて脳溢血、そういうものだったみたいよという話をよく聞くようになりました。交通事故死よりそちらの方が多いじゃないかという、統計上もそうなってきている。それほどこの住宅と健康というのが関係あるのかと言われると、明確なデータがなかったんですね、僕も調べてみて。

 ところが、事ここに至って、そういう今申し上げたような症例がふえてきたということで、健康・省エネ住宅を推進する議員連盟、これは自民党の議員連盟なんですけれども、北川先生が今事務局長をされて……(発言する者あり)ごめんなさい、失礼しました、超党派でやられているということで、私もメンバーなんですが、そこではいろいろな政策を議論しております。

 このパラメーター、観測項目としてたくさんあるんですけれども、健康の、血圧、血糖、体温、血液の状態とか、挙げれば切りがないほどあります。しかし、その中で一番関係があるなというのが、今、リサーチというんでしょうか、そういう研究をされている先生から言わせれば、どうも血圧じゃないかと言われております。体温とかもあるんですけれども。

 そこで、では、住宅の要素というのは何だろうということにまたなるわけですね。どうも温度を一定化すればいいというのは、これは漠然とですけれどもあるわけなんですが、ただ断熱材を入れただけでいいのか。そうしたら、南方系の人は全部血圧が安定して、住居もいいから、そういうのがすぐ反論として来るわけですが、科学的なエビデンスがどうもなかった。したがって、風呂場は少し暖めた方がいいに決まっておる、これの一言だったんですね。そこで、慶応大学の伊香賀教授の一行というんでしょうか、グループが、科学的なエビデンスを求めて研究しようよというような動きが出てきています。

 そういうことで、今まで知られている住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の取り組み状況はいかがなものか、まず、基本的なものとして教えていただければと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、住宅の断熱化が居住者の健康に与える影響を検証する調査に対して支援を行っているところであります。

 公募によって選定された事業者が、医学や建築、環境工学の学識者から成る委員会を設置して、平成二十六年度から四年間の予定で調査を行っているところです。

 具体的には、断熱改修を予定する全国で約千八百軒の住宅を対象にして、改修の前後における室温や居住者の血圧に加えて、生活習慣、身体活動量などの健康に与える影響について検証しているところです。

 この一月に、二十七年度までの調査を通じて得られたデータをもとに検証が行われておりまして、この結果の中間報告がなされております。これによりますと、冬季において起床時室温が低いほど血圧が高くなる傾向があること、それから高齢者ほど室温と血圧との関連が強いこと、断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者の血圧も低下する傾向があること等々の、住宅の室内環境と血圧等との関連が確認されたところであります。

 この調査、まだ中間報告ということでございますので、引き続き二十九年度までを予定しているところでありまして、引き続き、血圧以外の健康に関する項目も含めて、住宅の断熱化が居住者の健康に与える影響について調査を進め、住宅の断熱の効果を検証するということとあわせて、私どもとしても、住宅の断熱改修等、断熱化を進めてまいりたい、このように考えております。

冨岡委員 ありがとうございます。

 言われてみれば当たり前のことの答弁になるわけなんですよね。ただ、それが統計学的に有意差があるかどうかというのが多分問題になってくるんですね。いろいろパラメーターが五百も千もある中で、有意差検定というのをやるわけですが、それをやるための症例が少ないんですよね。いかんせん、数千万戸ある住宅のごくごく一部、数百戸とかせいぜい千単位の、これではエビデンスにならないんです、証拠に。

 なればどういうことになるかというと、世界じゅうにそれを打って出る、当たり前のことをしっかり論文に書いて、英国はそれをやり始めていますが、ほかの国はまだまだ、日本もまだです。漠然と、おじいちゃんが倒れて亡くなったということで、風呂場は怖いところだ、多分暖めておけよみたいな、たったそれだけだ。だから、室温差が問題になります。そして、その室温差を下げることによって、暑いところから寒いところとか、それによって健康になっていく、病気が少なくなるということをデータ的に出すにはnが少ない。一つは、そのnを大きくするような政策は今後どうしますかという話です。

伊藤政府参考人 この調査を行うに当たりましては、断熱前それから改修後のデータをとらなきゃいけない。要は、改修についての助成もしておりますし、あわせて、断熱前に関しての健康の状況、それから断熱後の状況について調査をするということで、実はとても手間がかかっております。

 こういったことを通じまして、ある程度こういう項目が大事であるというふうなパラメーターがわかれば、さらにいろいろな形で展開することができるのではないかなというふうに思っております。その際は、私どもだけではなくて、他省庁も含めて連携して取り組んでいく必要があろうか、このように思っております。

冨岡委員 そのとおりだと思います。

 こうした研究グループがあるので、住宅メーカーと組んでやらないと、とてもじゃないけれども、こういった断熱の基準とか耐震の基準というのは昭和五十六年と平成四年に変えられていますので、その以前、基準以前の群と、一回目の基準、二回目の基準、いろいろお住まいになっている住居がもちろんあるので、そこの住まれた方の疾病率とか死亡率というのを、これは大変な仕事になるわけなので。

 今お答えになったように、大変な労力になるけれども、もしこれが成立してエビデンスを出してしまえば、ジャーナルに投稿してそれが世界に行けば、当たり前のことのように思っていたのに、証拠、科学的根拠を、そうしたら、日本の住宅メーカーというのはすごいな、長生きしておるそうだ、長寿の原因は医療が進んでいるんじゃなくて住宅政策が進んでいるからじゃないか、そういうふうに見解を変えていくことも多分できるので、そうしたら、一つ、販路が一気に世界じゅうに、日本の様式の建築というのはいいんだと。

 ほかは出しようがないですから。膨大なデータを解析して有意差を求め、多変量解析という手法がありますので、重さづけを、今、過去のデータから出て、それから、介入調査、介入実験といいますけれども、では、二重窓、二重サッシにしたり床暖房にしたらどうなるのか、こういうふうに進んでいくと思うので、ぜひ、大臣も健康住宅にお住みになって、長生きしていただきたいと思います。

 さて、三問目の、福島事故からもう六年たちます。そして、除染でだんだんだんだん、いわゆる放射性の廃棄物が移動するたびに、そこの地域の放射線量が減少していくという、当たり前ですけれども、そういう結果が見えております。

 まず、中間貯蔵と言われる、いろいろな袋に入れて、フレキシブルなコンテナ、ドラム缶なんかも使っているところはあるかもしれませんけれども、そういうのがどんどんどんどんたまっていっているんですが、現況は、これからどうなるのという話がいつもやはり出てくるわけです。穴を掘ってそこに貯蔵して、それからどうなるのというのを改めてお答えいただければと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 福島県内の除染で発生しました除去土壌等につきましては、最終処分するまでの間、大熊町、双葉町両町に設置をいたします中間貯蔵施設で安全に集中的に管理、保管することとしております。

 現在、中間貯蔵施設に必要な施設整備を進めるとともに、除去土壌等の中間貯蔵施設への輸送を進めているところでございます。

 さらに、この中間貯蔵施設に貯蔵する除去土壌等につきましては、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法等において、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることとされておりまして、これに基づきまして、県外での最終処分の実現に向けて取り組んでまいることとなっております。

冨岡委員 それを粛々と今やっているわけなんですが、ふえ続けますよね。大変厄介なことなんですが。

 その量の減容化というのが、乾燥させたり焼いたりするわけなんですが、昔、昔というか四年か五年ぐらい前、僕は環境委員会に属していたときに、セシウムをゼオライトという鉱物で結合させて、このゼオライトというのは磁石で吸い取ることができるので、ゼオライトを使って、磁力、磁石でセシウムの九割を除去したと。

 減容の方法はいろいろ出てきたかと思いますが、そういった試みの結果は、これは三年、四年前のことなんですが、その後どうなったんでしょうか。もしわかっていれば教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 委員御指摘の減容化でございます。これは、三十年後県外最終処分に向けては、最終処分すべき廃棄物の量を減らすという意味で、減容化は大変重要でございます。

 今、私どもでやっておりますのは、まず可燃物については焼却等をやって減容化するわけでございますけれども、大部分は土壌でございまして、土壌につきましては、なかなかそのまま容積を減らすということは難しいものですから、今考えておりますのは、土壌の中でセシウムの濃度の低いものについては公共事業等での再生利用を進めるということで、例えば、土壌分級と申しまして、大きな粒と小さな粒に分けることによって、濃度の高いものは小さな粒の方に行くということがございますので、そういう方法、あるいは化学的、物理的な手法を使いまして、セシウムを分離いたしまして濃度の低い土壌をつくりまして、これを適切に再生利用を進める、そういう方向で今検討をしているところでございます。

冨岡委員 これはちょっと朝から質問項目に加えさせていただいたので、僕は、調べる時間がなかったかと思います。大変失礼しました。

 やり方として、ゼオライトというのは単価がある程度安いということで、恐らく数万トンに上ったというああいう中間貯蔵のものも、入れ物というのがぼろぼろになっていく時期になりますよね、もうしばらく。だから、我が国は、環境に優しい、そして世界に先駆けたそういう知見をやれる、いろいろな試みがやれる環境があるわけなので、積極的にそういうサイエンスをするような、そういう観点から、こっちに運んで、もう失対事業の、失業対策事業みたいにやっているように見えないこともありませんので、ぜひ、そこで何かをすれば、将来同じような事故が起こったときにこれは最初から役に立つよ、そういう手段をぜひ見つけていってほしいと思います。

 また、それに関して、今、燃料デブリを取り出そうとしてロボットが入っていったけれども果たせないわけなんですが、安全に保管、処分することや、その処分地を決めること自体が事実上不可能ではないかなと今自分でちょっと思うんです。

 画期的な技術が生まれてこない限り、あそこに、ロシアみたいに、石棺というんでしょうか、シールドで覆う、あるいは地下からもうそこでエンブロックというか、一つの固まりとして保管するようなお考えなんかはないんでしょうかね。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発のリスクを低減し、長期的な安全を確保するためには、燃料デブリを取り出し、安定的に保管することが重要であると認識しているところでございます。

 過去の事故炉を見ましても、スリーマイルにおきましては、燃料デブリを取り出し、安定化に成功しているところでございます。

 一方、御指摘のありましたチェルノブイリの件だと思いますが、こちらにつきましては、いわゆる石棺方式によって燃料デブリを長期に放置した結果、安全管理が一層困難化しており、IAEAからも、土壌汚染などへの懸念から、石棺を解体して燃料デブリを回収すべき、こう評価されているところでございまして、実際に、チェルノブイリにおきましては、将来の燃料デブリの回収を念頭に置いた作業が進められているところでございます。

 このため、政府、東京電力が一体となって策定しました中長期ロードマップにおきましては、まずは、この燃料デブリを取り出し、安全に保管した上で、次の処理処分について検討するということにさせていただいているところでございます。

冨岡委員 時間が来ましたので。

 また、核変換技術なんかもJ―PARCでやっていると聞いております。やはり、中性子を当てたりなんかして、一万年、二万年、十万年となるのを千年単位まで下げていくような、そういうところが我が国に課せられた技術開発だと思いますので、ぜひ大臣の方もよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

平委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 きょうは、大臣の所信にかかわる質疑ということなものですから、大臣の所信表明に準じて質問事項をつくったので、たくさんつくっちゃいましたのできっと最後までは行けないと思いますけれども、できるだけ時間の範囲内で頑張りたいと思いますので、ぜひ大臣初め、簡潔にお答えいただければありがたいと思います。

 まず、大きな柱としての東日本大震災、原発事故からの復興、創生についてであります。

 一点目は、福島県内の住民意向調査の結果についてであります。皆様のお手元に資料を配付してありますので、ぜひ資料の一と二をごらんいただきたいと思います。

 まず、資料の一の方は、住民意向調査ですけれども、特に、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、この第一原発の周辺の四つの町の中身を見ていただきたいと思いますが、戻らないという人が既に、富岡町五七・六%、大熊町六三・五%、双葉町六二・三%、浪江町五二・六%。そして、戻りたいという人が、何と富岡町でさえ一六・〇%、大熊町一一・四%、双葉町一三・四%、浪江町一七・五%。あと、判断がつかないという方でありますが、この回収率を計算してみると、戻りたいという人が実は一割の世帯ない、こういう実態でございます。

 そこで、復興庁にお聞きいたしますが、こうした方々が戻らない理由、大きな理由を二点、三点、挙げていただきたいと思います。

長沢副大臣 お答えいたします。

 住民意向調査の中から出てきている戻らない理由というものを幾つか挙げさせていただきますと、町によって若干の違いがございますけれども、例えば富岡町は、判断するために必要なこと、こういう聞き方をしております。戻る、戻らないの理由というよりも判断の……(福田(昭)委員「それは結構だから、理由だけ、二つ三つ言いなさい」と呼ぶ)はい。道路や鉄道、学校、病院など社会基盤、あるいはどの程度の住民が戻るかどうかの状況、それから、放射線量の低下の見通し、除染成果の状況、こういうようなことが例えば富岡町ですと挙がりますし……(福田(昭)委員「だから、そうじゃなくて、じゃいいです、答えはいい」と呼ぶ)ということでございます。

福田(昭)委員 もうちょっと住民意向調査をちゃんと読んだらどうですか。

 大きな理由は二つだよ。一つは、先ほど冨岡先生からも指摘があったけれども、福島第一原発が今後どうなるかわからない、不安だというのが大きな理由のまず一つ。もう一つは、除染をしても、どこまでちゃんと安心して帰れるところまで放射線量が下がるか下がらないのか、これがわからない、不安だ。これが大きな二つですよ、戻らない理由は。あとは、生活環境が整っているかとか、いろいろあります。この二つが戻らない大きな理由ですよ。ちゃんと住民意向調査を読んでいないとだめだよ、基本的に。

 それで、そういう理由で戻らないということを考えて、山本大臣、これをどう思いますか。

山本(公)国務大臣 十分なお答えはできないかと思いますけれども、私どもは、今日まで、福島の皆さん方のお声を聞きながら、さまざまな施策を進めてまいりました。やはり、今先生御指摘のように、戻られない方の理由を聞くにつけ、我々は今与えられた役割をしっかりやっていかなければいけない、かように思っております。

福田(昭)委員 後で聞こうと思っていたんですが、この資料の二の方ですけれども、ここにあるように、ピンク色のところが帰還困難区域なわけですね。面積的には、飯舘村はほんの少しです、葛尾村もほんの少しですね。しかし、この飯舘村や葛尾村でさえ、ことしの四月一日から小学校を開校しようと思ったら、子供が帰ってこない。だから、来年の四月一日までに一年間延期したんですよ。しかし、来年の四月一日に本当に戻ってくるかどうか、これもわからない。

 ですから、このピンク色の帰還困難区域の人はほとんど戻ってこない、それが本当に少ない村でさえ子供が戻ってこない、こういう現状があるということをやはりしっかり復興庁も環境省も認識した上で、この福島の復興について考えていく必要があるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 そこで、二点目でありますけれども、福島第一原発の廃炉の進捗状況についてであります。

 先日、二号機の格納容器内に調査用ロボットを投入しましたけれども、目標とした原子炉直下に到達できず、失敗したということであります。廃炉に向けて、今後、この夏をめどにデブリ取り出しの基本方針を固める予定でありましたけれども、今後の計画はどうなるのか、こっちはどちらになりますかね、ぜひ回答をお願いします。

井原大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今先生がおっしゃったように、一月二十六日から二月十六日までの間に二号機の方にカメラとロボットを投入したわけであります。少し途中で詰まったという報道もありましたけれども、目的はできる限り多くの状況を把握するということでございまして、今後、廃炉に向けて、一号機及び三号機においてもカメラや遠隔操作ロボットの投入も検討しているところであります。

 そして、戻ってこれたとか転んだとかいうことではなくて、そこから十分情報をとることができておりますから、我が国の技術力を結集して、今後とも廃炉作業をしっかりと進め、福島の皆様の安心につなげるようにしてまいりたいと思っておりますし、中長期ロードマップに基づいた方針については、今のところ変更がないということでございます。

福田(昭)委員 それでは確認しますけれども、ことしの夏にデブリの取り出しの基本方針を定めるということになっておりましたが、それはできるんですか。

井原大臣政務官 今のところ、夏を目標に取り出し方針を決めようということにしております。

福田(昭)委員 きょうのところは信用するとして。

 戻らない理由の大きな一つとなっている、先ほど冨岡先生からも、チェルノブイリみたいに石棺化するというような考えはないのかという話がありましたが、まさにこれが大きな、要するに戻る人のポイントになってくるので、これはしっかり取り組んでもらいたいと思います。

 次に、三点目でありますけれども、三点目は、中間貯蔵施設の進捗状況についてであります。

 中間貯蔵施設については、平成二十七年度から平成三十六年度まで十カ年かけて、除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略などを行って、平成三十七年度から平成五十六年度に向けて、最終処分場の方向性を明確化した上で、最終処分地にかかわる調査検討、調整、最終処分地の整備、最終処分地への搬入等を順次実施していく計画となっておりますが、一番問題の地権者の用地交渉はどうなっているのか、それをお聞きしたいと思います。

伊藤副大臣 福田委員にお答えをさせていただきます。

 中間貯蔵施設につきましては、施設の整備に必要な用地につきまして、本年一月末時点で、六百三十三件、約二百八十七ヘクタールについて契約に至るなど、着実に進捗してきております。また、昨年十一月には、土壌貯蔵施設などの本格施設を着工いたしまして、整備を進めさせていただいております。

 二十九年度は、さらに、用地担当の職員を増員いたしまして、用地取得に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 一方、除染土壌等の輸送についてでございますが、本年二月の十六日に、今年度分についての十五万立方メートルの搬入を既に完了させたところでございます。来年度は、今年度の約三倍強となる五十万立方メートル程度の除染土壌等を輸送する方針でございます。

 今後とも、中間貯蔵施設にかかわる「当面五年間の見通し」に沿いまして、中間貯蔵施設事業に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 聞くところによりますと、地権者の方の問題については、こちらの調査次第で進む、地権者の方で反対している人はそんなにいないという話を聞いているので、こちらの方は環境省の方の準備さえ整えばうまくいくのかなと思っております。特別立法は必要ないという話ですが、そのことでよろしいですか。

伊藤副大臣 当面は、ただいま申し上げた努力をさせていただきまして、今までの方法できちっと進められるよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 それでは、次に四点目でありますが、四点目は、指定廃棄物の五県の現状についてであります。

 まず茨城県でありますが、茨城県は、環境省の資料によれば、指定廃棄物、再測定をすると、十年後には、三千六百四十三トンものものが〇・六トンに減るということでありますが、そうした事実を踏まえて、どんな方針を定めたんですか。

伊藤副大臣 指定廃棄物につきましては、茨城県を含めまして五県あるわけでございます。

 各県それぞれの状況を踏まえて、ただいま対応を進めさせていただいておりますが、先生御指摘の茨城県では昨年二月に、そしてまた群馬県では昨年十二月に、現地保管を継続し、段階的に処理を進める方針を決定させていただいたところでございまして、個別に保管強化策の検討を現在進めさせていただいているところでございます。

福田(昭)委員 茨城県と群馬県を一緒に答えていただきましたけれども、群馬県の方は千百八十六・七トンが、十年後、二百六十九トンに減る見込みだということであります。いずれも、茨城県も群馬県も、現地保管を継続し、段階的に処理を進める方針を決定したということであります。

 それでは次に、千葉県は、三千六百九十・二トンが、十年後、千五百十トンになるということでありますが、そうした中で、千葉県においては、千葉市が候補地の選定結果を返上しておりますけれども、それを環境省は認めたのか、認めていないのか、お答えをいただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答えを申し上げたいと存じます。

 千葉県でございますが、昨年十一月に柏市の保管自治体から、早期の長期管理施設の確保について改めて強く要望を受けました。

 引き続いて、私どもといたしましては、先ほど委員の御指摘がございました千葉市につきまして、長期管理施設の詳細調査の実施に向けてぜひ御理解を賜りたいということで、さらなる御理解をいただけるよう要請を続けてまいりたい、こう考えておるところでございます。

福田(昭)委員 千葉市については、今後とも詳細調査をさせてほしいという要請を続けていくということでありますが、それでは、なぜ千葉市では塩谷町のように戸別訪問しないんですか。なぜしないんですか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 指定廃棄物、それぞれの各県、五県の事情があるという状況の中で、環境省として、微力でありますが、精いっぱいやらせていただいているという状況でございます。

 千葉市、千葉県におきましても、千葉県の事情の中で千葉市の理解を賜りたい、千葉県としてのケースとしてのお願いをさせていただいているということで御理解賜れればと思います。微力であることは申しわけないと思っております。

福田(昭)委員 申しわけないけれども、それでは回答になりませんね。

 なぜ塩谷町だけ戸別訪問しているんですか。千葉市は政令指定都市で人口がたくさんいるから、戸別訪問は大変ですよ、それでしないのか。塩谷町は本当にわずか一万二千人の人口で世帯も少ないし、塩谷町はやりやすいからやったのか。差別ですよ、差別。どうですか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 千葉県の先ほどの事情という状況の御説明が抜けておりました。

 千葉県におきましては、千葉市についての住民説明をさせていただいたという状況の中で千葉市とお話をさせていただけるという状況で、栃木県の状況とは違うという中で、栃木におきましては、まだ住民説明もできていないという中で個別にお願いさせていただいているということでございます。

福田(昭)委員 千葉市は、市長もそうだけれども、与野党の議員全部反対なんですよ。自民党の先生方もみんなそうなんです。だから、これはどうやって千葉市で進めるんですか。進めようがないんじゃないですか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 千葉市、千葉県の状況、現在非常に進捗していない状況であることは間違いございませんが、環境省として、引き続き、御理解賜るように精いっぱいやらせていただくということを申し上げさせていただくということでございます。

福田(昭)委員 これ以上いじめないようにしますけれども、現実はしっかり認識しなくちゃだめだということを申し上げておきたいと思います。

 それでは次、宮城県でありますが、宮城県は三千四百四・一トンが十年後には百九十四トンになるということで、そこで、栗原市と大和町と加美町の三市町の候補地の選定結果は、宮城県の場合は多分知事も含めて白紙撤回されたと思いますが、環境省はそれを認めているんですか、認めていないんですか。

伊藤副大臣 宮城県についての事情をお答えしたいと存じますが、宮城県では、昨年の十二月、市町村長会議で、指定廃棄物を除く八千ベクレル以下の廃棄物についての焼却処理の検討は継続をしつつも、まずは堆肥化やすき込みを前向きに取り組むことでの合意がなされました。現在、市町村の職員に向けた説明をさせていただいておるところでございます。

福田(昭)委員 宮城県は知事さんが真剣に取り組んでいるようでありますから、私どももその様子をしっかり見たいと思っておりますけれども、やはり、それを認めたとしたら方針を変えていかなくちゃならない。例えば、茨城や群馬のような方針にせざるを得なくなるのではないかと私は見ております。

 次に、栃木県でありますが、栃木県は、一万三千五百三十三・一トンが十年後四千二百五十トンになる、こう見込まれております。

 そうした中で、塩谷町は、一昨年の台風十八号時の候補地の冠水状況を確認して、候補地の選定結果を返上したわけですけれども、そのことについて環境省は認めたんですか、認めていないんですか。

伊藤副大臣 栃木県につきましても御報告を申し上げれば、昨年十月の市町村長会議におきまして、放射能濃度の再測定結果を報告させていただきました。長期管理施設の整備の必要については、改めて確認をしておるところでございます。また、農家等の負担軽減策を協議したいと申し上げ、現在、農林業系の廃棄物の保管者の御意向について確認をさせていただいておるところでございまして、この確認ができましたら、また県の方にも御報告を申し上げることとさせていただきたいと存じます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 環境省としては、現時点では、千葉市も宮城県の三市町も、そして塩谷町も、いずれも候補地返上されましたけれども、まだ認めていないというふうに確認してよろしいですか。

中井政府参考人 環境省といたしましては、宮城県、栃木県については、詳細調査をお願いしたいということで、向こうからの白紙撤回ということについては、環境省としては、そういうことではなく、詳細調査をお願いしたいという立場でございます。

福田(昭)委員 それは、今、千葉市が抜けると言いましたけれども、千葉市も同じでしょう。要するに、千葉県、三県とも、まだ認めていないということですね。

 そういうことであれば、先ほど、なぜ塩谷町だけ戸別訪問するんだという質問をいたしましたが、戸別訪問はぜひ塩谷町もやめてほしい。基本的に、千葉市も宮城県も戸別訪問をやっていないんだから、しっかりやめてほしいと思いますが、どうですか。

伊藤副大臣 各県それぞれ、県の皆様方、地元の皆様方との対話、そしてまた私どもとの協力の態勢等々、それぞれやらせていただいております。

 特徴があるとかないとかということではなくて、それぞれの皆さんと心合わせをしながら進める方法でやらせていただいておりまして、いずれの場所につきましても、この指定廃の処分につきましては、私ども、従来から申し上げておりますとおり、長期保存の施設の中でできればしっかりと保存をさせていただき、地域の安心と安全をつくり上げてまいりたい、この方針に変わりはございません。

福田(昭)委員 いずれにしても、塩谷町だけ、小さな町だけいじめるというのはよしてほしいと思います。今、学校でもいじめの問題が大きな問題になっていますけれども、ぜひ、よしてほしいということを強く要求しておきます、要請しておきます。

 次に、六番目ですが、当初、最終処分場、今は長期保管施設と言っているようでありますが、五県にそれぞれつくるという計画がありましたが、当初の計画では、それぞれの県で違いますけれども、一県当たり三百億から三百五十億かかる、多分そんな話があったかと思いますけれども、実際、五県分で当初どれぐらいの総事業費を考えていたのか、お答えをいただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 五県でこの長期管理施設を整備する費用は、当初、平成二十五年度、二十六年度の二年度で四百二十五億円を見込んでおりました。

福田(昭)委員 長期保管施設と名前を変えたようでありますけれども、私は認めておりません。閣議決定もせずに、簡単に最終処分場から長期保管施設に変えるなんというのはおかしな話であります。

 五県分で四百二十五億を当初見込んでいたということでありますが、しかし、これだけのお金がかからないことははっきりしてきたわけですね。ですから、こうしたお金もやはり最終的に全て福島県民にお返しをしていくということが私は解決の道だというふうに思っております。

 そこで、山本大臣に質問をさせていただきますけれども、環境省は、有識者懇談会をつくって、特措法の見直しを二年前にやりました。特措法が三年後に見直すということになっておりましたので。しかし、三年後に見直しをしたときには、何も進捗していなかったので、ほとんど見直しをせずに、この指定廃棄物の問題についてはそのまま見過ごしたような状況になっております。

 改めて、五年後、今年度末に除染作業が終了することになっています。その除染作業が終了したことを踏まえて、特措法の進捗状況をもう一度検証する、こういうことになっておりますが、これはやりますか、やられませんか。

山本(公)国務大臣 御指摘のとおり、放射性物質汚染対処特措法については、現行の除染実施計画が終了する時期を目途に、改めて施行、進捗状況の点検を行うべきとされたところでございます。

 環境省としては、内容については、今後行う点検の結果を踏まえまして、必要な措置を検討してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 多分、あのときの文章では、ことし、平成二十九年三月三十一日をめどに再点検するということになっていたかと思いますので、それはしっかりまず取り組んでほしいと思います。

 それからもう一つ、この特措法に基づく基本方針の見直しでありますけれども、先ほどからずっと五県の状況を確認してまいりましたけれども、既に茨城県、群馬県は基本方針を変更、修正しています。そういうことになると、閣議決定した基本方針も、最終的に、千葉県、宮城県、栃木県の状況を踏まえて見直す必要が出てくる、こう思いますけれども、そういう考えはありますか。

山本(公)国務大臣 他県の指定廃棄物を持ち込むことは、さらなる福島県に対する負担を強いるということが基本にございます。そういう意味において、到底理解を得られないわけでございますから、基本方針に規定する県内処理の方針は堅持をいたしたいと考えております。

福田(昭)委員 まだ私は福島へ持っていけと言っていないんですけれども。その答えはおかしな答えでありまして、基本的に、最初から言っている話ではありますが、きょうの質問の中ではその話はしておりません。

 やはり、茨城県や群馬県の問題も、最終的にどうするかという問題はまだ決着がついていないわけですよね。ですから、これは最終的にわざわざ各県につくる必要がなくなってきているという現実が実はあるわけです。そういったことを踏まえて、その各県につくるという基本方針も見直す必要が私は出てきていると思っています。

 私どもも具体的な案も考えていますけれども、それはきょうはやりません。いずれ、もう少し時間をかけて、これは宮城県の皆さんや千葉県の皆さんとも、あるいは栃木県の皆さんとも相談しながら、なぜかというと、栃木県の、私と同じ選挙区ですけれども、西川公也先生、あの上寺島の候補地は、あそこは不適地だから反対だと公言しておりますので。塩谷町も、自民党も、私の方、民進党も反対ですから、話はまとめやすいと私は思っているんです。ですから、大臣、そういうことで基本方針も見直しをせざるを得なくなると私は思っているんです。

 いずれ、具体案はまだ、環境省やまた各県の皆さんとも相談しながら議論をして、それこそ世界から笑われないような解決方針というのをぜひ提案していきたい、こう思っております。

 それでは次に、五点目でありますが、五点目は、帰還困難区域の復興、再生に向けた環境整備についてであります。

 先ほど資料の二をごらんいただきましたけれども、帰還困難区域は、年間の追加被曝線量ですか、五十ミリシーベルトを超えるような地域ということで、しばらく帰れない地域として指定をされたはずなんです。来年度から帰還困難区域を除染して特定復興再生拠点を整備するということでありますが、これで本当に、先ほどもごらんいただきましたけれども、戻る人がどれほどいると考えているのか、まず復興庁からお聞きしたいと思います。

長沢副大臣 お答えさせていただきます。

 戻る人がどのぐらいいるかという御質問でございますが、これは先ほど先生からもいただいた資料で、全体的に見ると、戻らないと決めている人が六割近くまでなっているというのは事実でございます。

 例えば富岡町でいいますと、戻ると決めている人は一六%。ただ、これは最近の数字が一六で、三年前の数字は一一・九、もっと低かったんですね。それが今、少し数字が上がりつつある、変化をしております。

 戻らない方は六割ぐらいいるということは、逆に、判断がつかないという方も含めると、まだ三割から四割ぐらいはこれから判断をされるという方もいらっしゃるということで、帰還するということを考えられる方もこれからまだふえるかなという可能性もあるというふうに思っておりますし、そういう方々が帰りたいと思った、その思いを大切にできるような、こういう準備はしっかり責任を持ってやりたい、こう思っているところでございます。

福田(昭)委員 今の話でありますが、先ほども地図をごらんになったと思いますけれども、富岡町は帰還困難区域は比較的少ないんですよ。ですから、そういうところほど戻りたいという人がいるということであって、しかも、どちらかというと高齢者の人が多い、若い人たちは戻らない人が多いという話であります。

 そこで、実は、チェルノブイリもやはり三十キロ圏内出入り禁止にしてありますね。いまだに、三十年たっても帰さないことになっています。しかし、どうしても帰りたい人は、帰っている人もいます。これは政府は黙認しています。そういうやり方もあるということであります。

 ですから、そういう意味では、危険なところに戻すという政府の判断が、幾ら地元市町村から手が挙がってきたといっても、本当に福島県民の、この周辺の町民の皆さんの健康を守る、先ほど冨岡先生も健康が第一だという話がありましたけれども、健康を守るということにつながる、そう思っているんですか。どうなんですか。

長沢副大臣 健康の問題というふうには、私どもでお答えするかどうかは別として、やはり帰還困難区域、もともと、本来は帰還することが困難であるといった地域を指定してきたわけですけれども、今回、地元の地域からの皆さんの御要望とか、いろいろなことがあって、その中で、帰還できる環境のあるところ、そういうところがどのぐらいあって、そしてそれをどう計画をつくるかということをまた市町村の方で考えていただくわけですが、基本的には、やはり放射線量の低減ということがまず大事になってきますので、除染をした上で放射線量がきちんと下がっていくという見込みがある、そしてまた、その土地利用の見込みがある、一定程度やはり住民の帰還の可能性もあると。

 先ほど、富岡町の帰還困難区域の面積は少ないんですけれども、住民の数は非常に多いところでもございますので、そういうようなことも含めて、可能性のある、実現可能なところから着実に進めていきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 私は、今、長野県の松本の市長を務めておる菅谷市長さんの話を伺ったことがあります。また、書いたものも読ませていただきましたけれども、チェルノブイリで五年間、内科、小児科医として、被曝を受けた人たちの健康診断、あるいは健康を守ることに従事してきた方であります。

 彼がやはり心配しているのは、大体、放射線を浴びてから五年後ぐらいから子供たちの甲状腺がんが出てくる確率が高くなる、そして、低線量被曝というのも気をつけなきゃだめだということをはっきり言っております。

 そして、今それぞれ全国各地を回って、菅谷市長さんは講演をして歩いています。先日、私の地元の日光市まで来て講演をしていただきましたけれども、まさにそういった実体験者、経験者の話、それこそ医学的に意見は分かれるようでありますけれども、しかし、実際に数がふえているということ、やはりそういう現実を把握しないとだめだと思うんですね。

 例えばでありますが、これは時代や国家体制も違いますけれども、我が国でも足尾鉱毒事件がありました。そのときの谷中村は、政府が強制的に廃村にしました。また、チェルノブイリはソビエト連邦の時代でありましたけれども、これもやはり同じようにしました。

 ですから、そういった意味で、今回、帰りたい人もいるけれども、しかし、福島の人たち、特に若い世代、次の世代を担う人たちのことを考えれば、帰還困難区域はやはり出入りをさせない、ずっと放射線量が自然に下がっていくという時代を待つということが私は大事だと思っているんですね。そうしたことによって、四町の町民の皆さんの健康もしっかり守っていく。それを決断できるのは、実は政府だけなんです。

 環境委員会でも福島視察をしました。四町の町長からも、年度は違いましたけれども話を聞きましたけれども、言っておりました。年間放射線量が二十ミリシーベルト以下になったら帰還宣言できると政府は言うんだけれども、うちの町はどこで宣言したらいいかわからない、十ミリシーベルトなのか、五ミリシーベルトなのか、一ミリシーベルトなのか、そういう不安を町長がそれぞれ言っていましたよ。

 しかも、この間、経産省の高木副大臣は言っていましたけれども、地元の人が、もし二十ミリシーベルト以下で帰還をして健康被害があったらどうするんだ、国は責任をとるのかと言ったら、高木副大臣は前回否定しましたけれども、地元の人は自己責任ですと言われたということで怒っているわけです。そういう声が私のところへ届くわけですよ。

 ですから、そんなことを考えれば、やはり政府がしっかりと、厳しい決断ですけれども、それを決断して福島県民の健康を守るというのは、政府の責任だと思うんです。それは復興庁がやらないとできないと思うんだけれども、復興庁にはそれだけの決意というのはないんですか。

長沢副大臣 先ほど来御説明をさせていただいておりますが、今回、帰還困難区域の中に特定復興再生拠点をつくるという決断は、それはある意味、大きな決断でございました。大きく、次のステージというか、新しいステージに戻ったという点だと思います。

 と同時に、政府としては、どれだけ長い時間かかったとしても、住民が帰還できる環境を責任を持ってつくっていきます、こういうことはもともと基本の方針として決めてございます。それはどんなに長い時間かかったとしても、長い年月かかったとしても、こういう基本の方針はございます。

 その中で、今回復興再生拠点をつくるということは、さまざまな条件はございますけれども、先ほど来申し上げましたとおり、除染による放射線量の低減が見込める、そして、五年を目途に避難指示解除が可能であるという条件のもとで、ほかにもさまざまな条件はございます、そこに帰っていただく人、あるいは帰っていただくだけではなくて、例えば廃炉関係の事業者の方々がそこへ入って事業をできるようにしていくこと、こういうようなことも含めて計画を市町村が考えるという形になってございますので、この方針をしっかり安全に、そして県民の皆さんにも御理解いただけるようにしていきたいと思います。

 四町の首長さん方、私も現場に入って、何度も話をしてお声を聞いておりますけれども、この特定復興再生拠点をつくるに当たってのさまざまなプランを今お考えいただいて、いろいろなことをまた前向きに考えていただいている、その思いをしっかり受けとめたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 そういう町長さんたちの考えを聞くというのも一つだと思いますけれども、私の地元には、双葉郡の南の方は、ぜひいわき市と合併してもらう方がいい、北の方は、南相馬市と合併してもらった方がいい、安心できる、こういう声も入ってきております。

 町長さんたちやあるいは町役場の課長クラスになると、これは町を守るために必死なんですよ。だって、町がなくなっちゃったら大変だもん。職場もなくなっちゃうんだから。しかし、若い職員たちは、それでも自分の子供のことを考えたら嫌なんです。だから、戻らないという若い職員が今やめ出している。そういうことも考えるべきですよ。

 私もびっくりしましたよ。具体的に名前を言うと批判があるので、ある町を、私、二カ年連続町長さんを訪ねて、一時間ずつ懇談したんですよ。そのときに、あるときに行ったら、町長さんと私が会話している、意見交換した。隣に当時の総務課長がいた。町長さんと話していたら、総務課長が突然言い出したんです。いやいや、私のところは第一原発から三キロですけれども、絶対帰ります、こう言った。そのとき、はっと私は思ったんだけれども、そうだな、町がなくなったらこの人たちは職場がなくなっちまうんだな、それは必死だなというのを感じましたよ。

 ですから、そういう意味で、私は自治労の皆さんにお願いして、どれぐらい福島の町役場の皆さんが退職したか、その資料もつくってもらいました、基本的に。

 そういうことを考えると、やはり、これはしっかりそういったことも踏まえて、それは最後のしんがり役というのは本当に大変です。戦のときも、しんがり役というのは死ぬ覚悟でやるんです。ですから、今度の場合も、これは死ぬ覚悟で、まあ、死ぬといっても実際に死ななくてもいいんだけれども、町長とか、そういう政治家としての生命を終わる、そういう覚悟でこれをやらないと、私はだめだと思うんですよ。

 せっかくお金をかけてやったはいいが、戻ってこなかった、そういうことだって十分あり得るんです。ですから、五年後ですよ、しかもこれは五年後に帰ってこようというんでしょう。もう事故から六年ですよ。十一年後に、では戻ってくるという人がどれだけいるのか。おぎゃあと生まれた子供たちは、生まれたところがふるさとですよ、育ったところがふるさとですよ。そういうことも考えて私はやっていくべきだと思います。

 だんだん時間がなくなってきましたので、次の方へ行きたいと思いますが、六点目は、福島県と福島県外の県民の健康管理についてであります。

 福島県民については、経産省と東京電力が約百億円を拠出して、福島県民健康基金を積み立てて、約二百万人を対象にさまざまな健康調査などしておりますけれども、他の県民はおざなりになっているんじゃないかという声が聞こえてまいります。栃木県やあるいは宮城県などがそうなんですけれども、そうしたことに対して、復興庁として何か考えることはありますか。あるいは、環境省として、何かこれからでも調査をして、そうした福島県外の皆さんの健康管理についても取り組んでいこうというような考え方はありませんか。

伊藤副大臣 まず、もうこの質問までの間に福田先生からも十分な御意見も賜りましたが、原発事故後、住民の健康管理というのは、やはり医学等の専門家の意見を聞きつつ進めることが基本的に重大であるということだと思います。

 それで、福島県外での甲状腺の検査につきましても、施策として一律に実施することについては慎重になるべきだという意見が、実は専門家会議中間取りまとめの中ではあったわけでございますけれども、とはいえ、健康相談やリスクコミュニケーション事業等を通じて丁寧な説明をしていくことというのは重要なことだというふうに認識をいたしておりますので、ぜひ、こうした事業の充実を図ってまいりまして、健康不安を抱えた方に対する努力といいましょうか、説明ということについてもしっかりとさせていただきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 そういった意味では、それこそ、最終処分場候補地に選ばれた塩谷町でも子供たちの甲状腺がんの検査が始まりました。これは、最初は市民団体が始めましたけれども、今度は町が独自に予算をとってやるということもスタートしております。そんなこともぜひ参考にしていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、最後の七点目でありますが、栃木県北三市町住民の損害賠償についてであります。

 那須塩原、大田原、那須、三市町の住民七千人超が東京電力へ放射能問題に関する損害賠償などを求めた裁判外紛争解決手続、ADRが現在迷走しておりますけれども、きちんとした審理が行われているのか、その辺、文科省としては認識しているのかどうか、お伺いしたいと思います。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のADRの件は、文科省といたしましても認識をさせていただいておるところでございます。

 この認識に当たりまして、自主的避難等対象区域なのか自主的避難等対象区域以外なのかというようなところが重要なポイントとなってこようか、そのように考えておるところでございます。

 原子力損害賠償紛争審査会が策定する指針、これは、類型化が可能で一律に賠償すべき損害の範囲であったり、もしくは損害項目の目安を示しておるところでございまして、その中で、自主的避難等対象区域の設定に当たりましては、幅広い地域における放射線量に関する状況などを総合的に勘案して、慎重かつ丁寧な審議を行った上で示されておる、そのように私どもは承知をさせていただいておるところでございます。

 なお、自主的避難等対象区域以外の損害につきましても、追加的な指針の中で、個別具体的な事情に応じて賠償の対象と認められ得るということが明記されております。

 私ども文科省といたしましては、ADRセンターの活用などにより、個別事情に応じた公平かつ適正な賠償が行われるということが非常に重要である、そういう認識をいたしておるところでございます。

 以上です。

福田(昭)委員 時間が来ましたので、最後に、ぜひ文科省として、損害賠償紛争審査会に、福島県外の人々の損害賠償について指針をつくるということを要請してほしいと思います。一言だけ。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員の御指摘、大変重要な観点かと存じ上げますが、私どもとADRセンターの関係といいますと、ADRセンターというのは……(福田(昭)委員「いや、だから、紛争審査会に要請をしてほしい。ADRセンターに言うんじゃなくて、紛争審査会に諮問してほしい、そういうことです」と呼ぶ)わかりました。

 私の立場といたしまして、答弁は、ADRセンターにおける和解、仲介の手続、これは公平中立、これが原則としての立場……(福田(昭)委員「ADRセンターじゃなくて、紛争審査会に指針をつくるように諮問してほしい」と呼ぶ)わかりました。

 文部科学省といたしましては、このADRセンターの中の個別案件の進行に我々が関与するということではない、そういうふうに認識をいたしております。(福田(昭)委員「だから、質問しているのはそうじゃない。まあいいや、しようがない」と呼ぶ)申しわけございません。

福田(昭)委員 続きは後でやりましょう。

平委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 福田議員に続きまして、四十五分頂戴をいたしました。大臣所信に対する質疑をさせていただきたいと思います。大臣、また本年もどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先週、所信表明を拝聴させていただきました。大変申しわけない言い方にとられるかもしれませんけれども、環境省がかかわっている当面の施策等々を随分、頑張ります、検討を進めます、加速化させますというような表現ばかりがずらっと並んでいて、大臣がお考えの、環境とは何なのか、自分は環境大臣として何を進めていきたいのかという熱意であるとか、そういった強い思い入れというのが、私はどうも読み取ることが、聞き取ることができませんでした。

 したがいまして、この場で、そもそも環境とは何ぞやというところを共通認識をし、ことし一年間、また、この通常国会で数多く出されます法案の審議に当たりたいと思いますので、大変僣越ではございますけれども、お聞きいただいた上で、ぜひお答えをいただきたいと思います。

 環境の歴史というのは、それこそ人間の歴史だと私は思っております。悠久の人類の歴史の中で、それこそ自然環境と闘ってきた歴史であったと思います。その自然環境、険しく、厳しく、自然の脅威にさらされる中で、それを技術革新や技術力でコントロールし、また、自然を淘汰してきた、そしてつくり上げてきたのが、自然環境ではなく社会環境だと思っております。

 また、この社会環境もいろいろと問題があります。人の手でつくり上げてこられた社会環境。しかしながら、行き過ぎた社会環境にもはや人間が適応できなくなってきている時代にも入ってきています。具体的な事例を申し上げるまでもありません。原発事故もしかりです。私たちが今苦しんでいる、そして今、環境省の中で一番の大きな課題として今回も所信のトップバッターに挙げられました、大変恐ろしい、自業自得と言わなければならない課題に今直面をしております。

 人間がこの自然環境と社会環境の間に立ってどのように共生をしていくのか、そして、その目指すべき方針を打ち出すのが、私は環境省の大きな仕事だと思っております。

 そんな気持ちを持って、私もかつて副大臣を経験させていただきました。経済最優先でやってきた高度経済成長時代、さまざまな爪跡を自然環境にも、また社会環境にも及ぼした。そのことを私たちは決して忘れてはなりませんし、絶対安全だと言われてきた原発があのような事故を起こし、もう六年がたとうとしています。このことを考えると、環境というこの二文字に、私は、相当強い思い入れを持っていただかないと仕事はできない、事はなし得ないというふうに感じるところもあります。

 恐らく、今回の所信表明の中には大臣の強い思い入れが役人の皆さんにカットされたんだろうと、私は実は推測をしています。ぜひこの場で、大臣がお考えいただく環境政策、環境とは何ぞやという部分をぜひ御開陳いただけないでしょうか。

山本(公)国務大臣 田島委員とは若いころから環境問題をやり合ってきた仲でございますので、今の御質問、大変ありがたく思っております。

 私は、御承知のように、京都会議のときの環境政務次官でございました。そこから環境問題に取り組んでまいったと自分では自負をいたしております。

 おっしゃるとおり、いろいろな分野に広がる今の環境行政でございますけれども、私が一貫して常に思ってきたことは、環境というのは、かつては、北川先生のお父さんの時代、環境庁長官時代は開発か保護かというのが一つの対立点であったと私はずっと思ってきておりました。ところが、今の私どもの時代になってまいりますと、開発と保護という考え方、これも大事なことなんだろうと思うんですけれども、私は、一番ずっと思ってきたことは、先生の地元の滋賀県に政務次官のときに行きましたときに、環境省の出先だったと思うんですけれども、ある大きな看板を見ました。地球は子供たちからの預かり物、未来からの預かり物という言葉に私は打たれました。

 まさに、政治というのは、今も大事にするのが政治だろうと思います。だけれども、将来のために今何をなすかということを考えていくのも政治だと私は思って信じておりますので、今環境大臣という立場に立ちまして、いろいろな問題点、今も大事にしなければいけない問題点もあります、しかしながら、やはり将来のために今何をなすべきかという観点だけは持って物事を進めていきたいなと思っております。

 所信の中に、一番最後のところに、私の好きな言葉は出しているんですけれども、ごらんになっていただけただろうと思いますけれども、環境問題というのは、ある意味で、強権な政治ならば一刀両断で片づく話も結構あるんだろうと思っております。ただ、今、我々のような、このような国家においては、とにかく、きょう片づかなくても、きょうよりはあしたは少しよくなるんだ、あしたよりあさっては少しはよくなるんだ、そういう思いで、一歩ずつでも前進させていくのが私は環境行政だろうと思っておりまして、いろいろな、地球温暖化問題についても、また先生が御熱心な生物多様性の問題にしても、とにかく、きのうよりはきょう、きょうよりはあしたよくなるんだ、そういう形で環境行政を進めていきたいなと私は思っているんです。

 ぜひまた御協力のほど、よろしくお願いします。

田島(一)委員 冒頭から大変生意気なことをお尋ねして、大変申しわけございませんでした。

 決して、大臣の環境に対する姿勢を疑っているわけでは全くありません。しかしながら、大臣のその強い思い入れ、きょうよりあした、あしたよりあさって、その強い思い入れが、果たして今の安倍政権下でみんな共有されているのかどうかと考えたとき、大変残念ながら、どうもまだ大臣のアピール力が弱いのか、政権としての、今のお考えが浸透しているとはどうも思えません。

 もう少しべたな言い方をすると、安倍政権に環境哲学というものが存在するのかどうかという考えを、私はもう一度自問自答しながら、この年末年始、過ごしてきたところがありました。中には、環境で飯が食えるか、国際競争に勝つために経済が最優先だ、人の命が何より大切だと、環境が全て後回し、二の次にされてきた時代がありました。それが今なお続いているような印象が私自身にまだ残っております。

 さあ、安倍政権が経済最優先とうたっていらっしゃるように世間では言われてきました。そんな中で、環境が、その経済を優先してでも、しっかりと、きのうよりきょう、きょうよりあした、この地球をしっかりと次世代に引き継いでいくんだという力をしっかりと見せていただく、そのことが私は何より大切なのではないかなと思うのですが、まだまだ発信力が弱いと言わざるを得ない。そのことに対して反論をぜひ聞かせてください。

山本(公)国務大臣 発信力が弱いとお叱りを受けましたが、そのとおりだろう、かように思っております。

 ただ、言いたいことは、私は、ずっと環境というものに携わってきたときに、何とこの政界という世界は敵がたくさんいらっしゃるなというのが率直な感想でございました。何か物を言うたびに敵がふえていくような気がいたしておりまして、逆に味方を見つけたときにはほっとするという、ずっと明け暮れをやってまいりました。

 したがいまして、今こういう立場になりまして、ただ、どこでどうやって自分の、言ってみれば所信というか持論を表に出していけるかなとタイミングを見ているというふうに御理解をいただければと思っております。

田島(一)委員 安倍政権の中では四面楚歌だということを正直におっしゃっていただきました。仲間として、私は大変うれしく思っております。どうぞ、孤軍奮闘であろうかと私も想像いたしますが、私は、さきの臨時国会のときにも大臣に必要以上に期待の弁を申し上げさせていただきましたが、随分長いおつき合いをさせていただいているだけに、本当に最後、山本大臣が頼みの綱なんですよ。この日本の環境政策が今本当に後手後手に回されている印象を全国の皆さんからお寄せいただいています。そこをしっかりと、責任重大ですが、頑張っていただきたい、そんな気持ちでこの所信を受けとめさせていただこうと思います。

 さて、今もお話しさせていただきました発信力が弱いという話は、何もこの大臣が内閣の中での発信力の弱さだけを指摘しているわけではありません。環境省自体の発信力の弱さという部分についても、やはり改めて今なお指摘をしなければならないと思っております。

 もちろん、人員も少ないです。予算も少ないです。できたてのほやほやと言われてもおかしくないぐらい歴史もまだまだ浅い。しかし、何のためにこの環境省ができたのか、その前身である環境庁がスタートしたのかを考えたとき、もっともっと強気で私はアピールしてもらう必要があるんだと思います。誰のおかげで環境の仕事がこれだけ大きくふえてきたんだ、その原因をつくったのは誰なんだというところを絶対に私はひるまないでいただきたい。そのためにも、環境省でしっかりとした知識、知見を整えて、それを土台にして、事実をしっかりと国民にアピールしていくこと、これが大切なんだと思います。

 かつて、原発は安心だ、絶対に事故はないと言われながら、事故を起こしました。もう誰一人、安全だと言う人はいません。こういうような喧伝等々を私たちは他山の石として、環境省がしっかりと事実を訴えていく、そのための役所だと私は思っています。

 この発信力という点をこれからもっともっと環境省が強化していかなければならない。人員が少ないならば、ほかの応援団を使いましょう。政治家もいます。NGOやNPOもいます。地域の皆さんでもまだまだ応援したいという方々はいっぱいいます。こういう人たちによるいっぱいいっぱいネットワークをつくって築いていこうじゃありませんか。

 そして、今、お金がないという話もあります。しかし、本当にお金がないのかどうか、無駄遣いがないのかどうかも、もう一度改めて点検をしていただきたい。

 さらに、いろいろなところにやはり手を挙げていきましょう。いろいろな人たちの協力もいただいていきましょう。そうすれば、必ず環境の道は開けていくと思います。

 そんな中で、見える化を、私は、環境省自体が全庁的にやはり取り組んでいく必要があるのではないかなと思うんですが、御見解をぜひお聞かせください。

山本(公)国務大臣 御指摘の見える化については、効果的な施策の実施のために、また、効果を明らかにし、積極的に国民を巻き込んでいくためにも非常に重要なものだと考えております。

 例えば、地球温暖化対策計画において、CO2削減量等を明らかにした上で、その施策の実施状況について毎年厳格に点検を行うなど、見える化に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたように、環境行政の幅は広く、環境大臣の役割、ひしひしと重さを感じております。

 私自身、何ほどのことができるかわかりませんけれども、かつて環境行政にはなかった一つの視点も出していきたいなという覚悟は決めておりますので、頑張らせていただきたいと思っております。

田島(一)委員 情報の発信力というのはやはり大切だと思うんですね。私も、ここ数年ずっと、環境省のメーリングリストを頂戴しています。本当に頻繁に送ってきてくださっていますが、色気がない。はっきり言って、その続きのURLをクリックしようと思わせる工夫が全然ない。いつ見ても同じページなんですね、表かがみは。遊び心を持てなんてぜいたくなことは言いませんけれども、もっと皆さん注意してくださいよ。そのための三役でしょう。こうした方がもっと皆さん興味を持って見てくださいますよとか。それだけ見ていないという証拠ですよ。それだったらそこに座る資格はないと思う。

 皆さんが世間で環境省をどう見られているか、環境省の情報が行く先々できちっとニュースとして皆さんの目や耳に届いているかどうか、それを持ち帰って役所の中できちっと三役会議でやるのが皆さんの仕事ですよ。そういう仕事をきちっとやっていくこと。何もメーリングリストだけが全てではありません。本当に多くの皆さんから期待を寄せられる役所であってほしい、そのことを強く皆さんにお願いしておきます。

 何も、規制庁だから、法律で決まっているから、それだけが全てではありません。まだまだ新しい課題も、皆さんの問題意識も変化してきています。その点だけ、皆さん、十分にアンテナを高く掲げて頑張っていただきたい。エールとして、次の質問に移らせていただきます。

 そういいながらも、あのアメリカの大統領選挙はやはり私にとっても衝撃でありました。日本も大変これから先、日米関係がどうなっていくのか。大慌てで政府専用機でゴルフクラブを当選祝いにお届けに行かれた安倍総理、そして、そのクラブを使ったかどうかわかりませんが、ゴルフ外交と、世間の皆さんにはどう映っているのか、大変興味深いところでもあります。

 どんな成果を上げてこられたのか、どんな新しい手応えが確証できたのか、まだまだ表舞台には出てきておりませんが、やはりこの環境委員会においての一番の問題点、課題となるべきは、パリ協定離脱と当選前に発言していたことが果たして履行されるのかどうか、大統領令が発せられるのかどうかという心配であります。

 年末にも環境省からアメリカに情報収集に飛ばれたとお伺いをしておりますし、あたかも、ちょうど真っただ中で梶原審議官がアメリカに飛んでいらっしゃるというふうに伺っております。恐らくハドソン研究所に行っていらっしゃるんだろうと思いますが、きょうの段階で何らか情報がもし入っていれば、トランプ政権がパリ協定についてどのような方向に行こうと進んでいるのか、情報をもし収集されていれば、その点、御開陳をいただけないでしょうか。

鎌形政府参考人 トランプ政権が一月二十日に発足いたしましてから、パリ協定や気候変動枠組み条約への対応などの国際的政策の方針は、公式には現時点では明確に示されていないという状況だというふうに考えてございます。

 今御指摘のとおり、昨年十二月には大臣官房審議官が、そして現在、地球環境審議官がアメリカを訪問いたしまして、シンクタンクを中心に関係者のところからの情報の収集に当たっているというところでございます。

 今、パリ協定の離脱かどうかということについての絞ったお尋ねでございますけれども、その二つの訪問の過程で、というか、まだ現在訪問している地球環境審議官からは具体的な報告はございませんが、十二月に収集した情報なども含めて、離脱についての情報というのは私どもは確認できておりません。

田島(一)委員 個人的に聞かせてくれというのではなくて、ちょっとしっかりと、新しい情報という部分で、また機会を見てぜひ聞かせていただきたいと思いますので、そのことをお帰りになられたらよろしくお伝えください。

 他国の政権交代によって地球上のさまざまな方向性が大きく狂ってくるという、これまで余り経験したことのない局面に今立っているような気がしてなりません。もはやアメリカが離脱したところで、パリ協定はもう既に発効しているわけですから、考える必要はないとお考えかもしれませんけれども、一つ、私、気になっているのが、緑の気候基金、外務省が今かかわっていただいておりますけれども、いわゆるグリーン・クライメート・ファンドの行方であります。

 きのうきょうの話ではなくて、日本ももう既に十五億ドルの拠出を国会でも議決しておりますが、アメリカはその倍、三十億ドルを拠出表明しておるこのGCFでありますが、トランプ政権にかわってから、果たしてこの三十億ドルの拠出がなされるのかどうかという点がやはり疑問が残ります。

 もう既にオバマ政権下で五億ドル掛ける二回の十億ドルの拠出は済んでおりますが、あと二十億ドルが足りません。そうなると、トランプ政権がこのGCFからも離脱をすると言いかねない事態に、果たして二十億ドルのツケが、日本を初めとするEU各国、G20にしわ寄せが来たりするのかな、それ以外に、この気候変動対策のさまざまな事業展開が後手後手になって、またおくれていくのかな、そんな懸念すら持っているところでもあります。

 きょう、外務省にお越しいただきましたので、そのあたり、外務省として把握されている御認識、GCFに関して、お知らせをいただけませんでしょうか。

森政府参考人 今委員からお尋ねのございましたGCF、緑の気候基金に対する対応、これを含みますところの気候変動交渉に対するトランプ政権の姿勢、これにつきましては、先ほど地球環境局長からの御答弁にもございましたとおり、いまだ十分に明らかになっていないのが現実でございます。

 日本政府としては、現在、確たることを申し上げる状況にはございません。現時点で、したがいまして、米国の立場を予断して、緑の気候基金、GCFの今後の見通し、それからこれに対する日本の立場について申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

 しかしながら、気候変動問題と申しますのは国際社会全体で取り組むべきグローバルな課題でございまして、日本政府としては、今後とも引き続き情報収集に努めつつ、各国と連携の上、積極的に取り組んでまいります所存でございます。

田島(一)委員 もう既にこのGCFではプロジェクトも採択されて動き出しております。予算拠出も、日本ももう既に三百八十五億円を二回でしたか、拠出されているわけでありますけれども、アメリカだけのわがままでまた離脱なんてことを阻止する手だてであるとか、やはり事務局との連携等々を密接にやっていただかないと、動き出しているものを途中でおりますといったって、これはおりてもらうわけにはいかない話であります。

 アメリカに対して誰が物を言えるのか。この間の、ゴルフを回りながら、安倍さんがそのことについてちょっとでも触れてくれたのかななんて期待もしませんけれども、非常に不安定な状況に今あるということは共有させていただきました。どうぞ注目していただきまして、事務局からのいろいろなコンタクトをまた機会を見てぜひ聞かせていただきたい、そのことだけはぜひお願いをしておきたいと思います。

 緩和と適応への支援を初め、さまざまな途上国支援がこのGCFを通じて途上国でなされていくこと、一定の期待を寄せている中で、不安の材料がこうしてあるということを考えると、気候変動における国際貢献も非常に前途多難な年明けとなってしまいました。

 外交の部分については、先ほども御答弁いただきましたのが、外務省が窓口ではありますけれども、環境省としても当然かかわりを、全く知らないというわけにはいかないというふうに思います。こうしたGCFの不透明な展望について、大臣どう、では、環境省ではどうお考えなのかをお聞かせください。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、GCFは、途上国を含め全ての国が参加する実効的な枠組みであるパリ協定、これを機能させるために非常に不可欠なものだというふうな認識でございます。そういう意味で、しっかりと機能していくべきだということが私どもの考えでございます。

 ただ、アメリカの影響につきましては、先ほど外務省からも御答弁がございましたが、不確かな状況で、予断を与えることはなかなか申し上げられないわけでございますけれども、いずれにしても、米国の動向を注視しつつ、先ほども申しました重要性の認識を持った上で、外務省等とも緊密に連携しながら対応していきたい、このように考えてございます。

田島(一)委員 鎌形さん、ありがとうございます。

 梶原審議官がお帰りになられるのを楽しみに待っておきたいと思います。

 地球温暖化対策の次なる質問に移らせていただきたいと思います。

 今回、環境省にあっても温暖化対策に力を入れていこうという姿勢、さらには、環境省だけではなく、関連する各省庁と連携して進めていこうという姿勢はかいま見ることができますが、やはり、予算の部分でどうも腑に落ちない、過去の経験や反省に基づいてつくられているのかなと疑問に思う点が一点、どうしてもこれだけは言及させていただきたいと思います。国民運動の必要性と妥当性であります。

 先ほども、環境政策の見える化が必要だと申しました。もちろん、その延長線で国民運動だとおっしゃる答弁も用意されているかもしれませんが、国民運動の方向性が実は私にはまだ見えません。

 随分長い歴史があります。排出サイドに対しては経産省が担当しよう、そして経済界に対しては経産省が、そして国民に対しては環境省が担当しようとすみ分けをされてスタートをしたのが二〇〇五年の四月でした。当時は、チーム・マイナス六%と称して、たしか小池大臣でしたか、随分張り切って、クールビズ等々もそれなりに定着はしたように私も理解と認識はしております。その後、我々民主党の政権時では、チャレンジ25というキャンペーンも打ちました。また、この反省にも立って、改めて皆さんにお尋ねをしたいと思っているんですが、今回、また看板はクールチョイスという看板に変わって国民運動を展開されようとしています。

 毎年毎年かなりの予算をこの国民運動に費やしてきました。我々も反省しています。結局、国民運動の新たな広報手段を役所の中で見出すことはほぼ不可能でありました。斬新なアイデアを持っている方が役所の中にいなかった。我々三役もそうでありました。結果、つぎ込んだ予算は広告のプロに任せるという手段でありました。いつしか温暖化対策は広告代理店が仕切るような事態になっているのではないか。

 今回も二十億円という巨額の予算が計上をされていますが、お金をかければ成果は出るんでしょうか。クールチョイスとやらに刷り込んだら、国民はCO2排出量を激減してくれるのでしょうか。もう一度この国民運動のあり方をしっかり再点検する、そんなタイミングに来ているのではないかなと思います。

 広告代理店だけが丸もうけ、そんなやゆがネット上でにぎわっています。そんなふうに言われてはやはり元も子もありませんし、これまで積み上げてきた国民運動の評価と反省を今後きっちりとやっていかないと私はだめだと思います。

 過去の反省に立って、これまでとは何が違うんだと胸を張って言えることがあればお答えください。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 温暖化対策を進める上で、二〇三〇年二六%の目標というのがございまして、その目標達成のために、いわゆる民生部門四〇%削減ということで、非常に大きな削減をしていかなきゃならない。各主体がそれぞれしっかりと取り組んでいただく、こういうことが必要でございます。

 そのために、クールチョイスというような旗印を掲げての運動を掲げているわけでございますが、クールチョイスというのは、低炭素なものを選択していこう、サービスを選択していこう、そういうコンセプトをあらわしているものでございます。

 実際に、これまでも、温暖化関係の普及啓発でありますと、温暖化が起こればどのような影響があるかとかそういうことについての啓発、あるいは、例えばLED電球とかそういうものの対策について、身近にできる対策についての普及啓発、こういうことを行ってきましたけれども、さらに、私ども、そういった選択がしっかりと行われるようにということで、今具体的には五つの分野、例えば住宅、家電、それから自動車などなどの五つの分野について、関係の業界も含めて、そういった選択肢、例えば省エネ性能の高い家電でありますとかあるいは省エネ住宅、そういったものについての選択肢をしっかり示して、それを国民の方々に選択いただけるような、そういう方向の国民運動ということで、具体的な削減につながるようなことを目指す国民運動にして展開しようというふうにしているところでございます。

 先ほど来、過去の評価に立ってということの御指摘がございましたけれども、そういったことも踏まえつつ、また、実施しながらも評価を繰り返して、実際の削減につながる国民運動にしていきたい、このように考えてございます。

田島(一)委員 ぜひ、これまでの国民運動の評価をまた別の機会に示してください。毎年どれだけの予算をつぎ込んで、どれだけの民生部門で削減が図れたのか、お手盛りではなくて事実をやはり見せていただかないと評価のしようが我々もありませんので、その点だけ、ぜひ宿題としてお持ち帰りいただきたいと思います。

 さて、時間もなくなってまいりました。

 先ほども申し上げた省庁横断的な温暖化対策の推進の部分で、私、一定の期待を寄せております。今回ばかりは期待しております。相当寄せています。そのつもりで。もう既に参議院等でも、国交委員会でしたか、質問でやりとりもあったものでありますが、配達ロスが及ぶ影響について取り上げてみたいと思います。

 皆さんも御利用されている宅配便の取り扱い、この十年間で約三割ふえております。二〇一五年の九月に、国交省が設置されました宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会、ここの調査によりますと、宅配便の取扱個数が増加する一方で、再配達、いわゆるお留守のおうちにもう一度届け直すという再配達の個数が約二割を占めているということであります。三十七億個の取扱個数の二割、約七億個が再配達に費やされ、その再配達のために使われている配達員の労働力を年間で換算すると約九万人分に相当するということであります。

 この再配達、実は、労働力不足である配達業務の分野の人員をフォローするだけではなく、温暖化対策、いわゆる手押し車だけで持っていけるところばかりではありません、車で配達しているわけですから、このCO2の排出量という部分でも大変気がかりなところでありますが、この七億個分の再配達によって、CO2の排出量は環境省の方で何万トンだというふうに推計されているか、数字をまずお知らせいただけませんでしょうか。環境省に。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 CO2の排出量にして、再配達による増ということで、約四十二万トンの増というふうに把握してございます。

田島(一)委員 それは国交省の数字ですよね。

 私、省庁の連携という切り出しで始めました。今回の配達ロスを主に検討を進めてこられたのは国交省だと承知しています。それはそれで何も異論はありません。

 ただ、この配達ロスの問題は国交省だけではありません。人員不足の問題からいえば、厚生労働省だって当然かかわってきます。いわゆる配達の問題ですから経産省もそうですし、このCO2削減の問題からすれば、環境省だってコミットしていかなきゃいけないテーマだと思うんですね。

 残念ながら、この国交省が設置された検討会には、今申し上げた役所からはどなたも入っていらっしゃいませんし、国交省の中だけで取り組まれた課題ではありますけれども、ようやく事業として今回この配達ロスの対策が予算化をされて、環境省が乗り出してきているということを私は歓迎するんですけれども、やはりそのためには、冒頭申し上げた見える化の、環境省として、配達ロスがどれだけのCO2を出しているのか、そのことによってどれだけの森林を伐採することになるのかといったような専門的な知見を国交省に教えるぐらいのサイドで、私は情報をもっともっと発信してほしいと思うんです。

 配達ロスの問題、私も今住んでいる集合住宅にも実は宅配ボックスというのがありますが、住居者数に比べて宅配ボックスの数が少ないものですから、結局郵便ポストに、持ち帰らせていただきますという札が入っていたことが何度もあります。そう考えると、この宅配ボックス、集合住宅にあっては適切な数というのが本来あってしかるべきだろうと思うんですけれども、そのあたり、国交省は、建築に関する新築に関して数字等々はお持ちであるかどうかだけ教えてください。

重田政府参考人 お尋ねの件ですけれども、集合住宅に関しまして、宅配ボックスの設置の場所とか個数、こういったものについての基準、指針でございますが、現時点で国土交通省において作成してはおりません。

田島(一)委員 同じ省の中であっても、住宅と物流ではやはり連携がとれていないという数字なんですよね。集合住宅では、本来ならば何軒あれば何個の宅配ボックスがあれば望ましいというのは、業者からいろいろと情報をいただければ多分出てくる数字だと思うんですよ。物流の方からも、きちっと数字を各部局間の横断的に、省の中ででももっともっと自信を持ってお願いしていく話だと思うんです。

 私はぜひ、きょう住宅局が答弁に来られるかなと思ったけれども、お越しになられませんでした。審議官からお伝えしにくいのかもしれませんけれども、どうぞきちっとその点はお伝えをしてください。

 今、新築のマンション等々、集合住宅にあっても、メーカー等がこの検討会の報告を受けて、この宅配ボックスの設置に非常に前向きなニュースがどんどん発信されています。大変歓迎すべきことだと思っています。

 また、福井県のあわら市では、宅配ボックスをつくっているパナソニックが、実証実験ということで百軒の戸建て住宅に無償で配付をして、今実験をされているということであります。去年の十一月ぐらいから始まったことでありますので、まだデータが整っていないんだろうと思いますけれども、ぜひこうした民間の情報等々、蓄積も参考にしていただいて、この宅配ボックスが、集合住宅や不特定多数だけではなく、戸建ての住宅であったとしても、たとえそれが個人に帰属するものという認識があったにせよ、配送ロスを防ぐ、排出CO2を削減するという目的でいけば、全く私は問題がないことではないかという認識を持っております。

 こういう点について、今後どのような水平展開を図ろうとお考えか、審議官の方から、もしお考えがあればお聞かせください。

重田政府参考人 お答えいたします。

 今先生が御指摘になりました集合住宅における受け取りの、玄関口以外での多様化を進めていくというのは、民間の方で今極めて先進的な取り組みが、御案内のとおり各地で生じております。

 私どもとしましては、現時点で、確かに、こういった規模であればこういった配置でこのぐらいの口数が要るという技術的基準を含めてまだノウハウを持ち合わせておりませんが、民間の方におきまして、ディベロッパーさんとか宅配ボックス会社とか、あるいは宅配事業者の皆さんそのものが、今そういったノウハウを蓄積しつつあるところであると考えております。

 これら関係者の皆さん方において、そのノウハウの共有と、建物の形態とそして入居数、こういったようなものに応じて設置の規模とか個数というものが、ある意味では標準化みたいなものが進んでいくことをまず期待したいと思っておりますし、役所としても十分フォローさせていただきたいと思っております。

田島(一)委員 今集合住宅でどんなことが起こっているか、皆さんにぜひ聞いていただきたいんですけれども、宅配ボックスの数が限られているから、朝一番に宅配の事業者が一斉に集まってくるんですね、大型の集合住宅に。宅配ボックス取りが今起こっているんですよ。笑えないんですよ、これが。宅配ボックスにまず荷物を預けて、それは何度も何度も手間をかけて再配送するなんて、業者だって嫌がりますよ。だからこそ、今、数少ない宅配ボックス取りが起こっているということをぜひ理解をいただいて、何とかしていただきたい。

 もちろん、中山間地域等々の、いわゆる距離を使って行かなきゃならないところにあっては、もう環境省が何とかやはり手を打たなきゃいけない話だと私は思います。

 これだけ宅配を利用する、ネットでの買い物が普及してきている社会事実を今ここで否定することはなかなか困難だと思いますが、少なくとも、そのことによる弊害を最小化していくことは努めなければならない課題だというふうに思います。

 宅配ボックスを利用されたことが多分ないだろう大臣、お考え、もし御感想がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 大変すばらしい御指摘をいただいたと思っております。私も、かねがね宅配のことは気になっておりまして、今御指摘のように、国交省と環境省、その辺の横の連携をうまくやらせていきたいというふうに思っております。

 切り口はいっぱいあろうかと思っておるんですけれども、これは宅配業者の方も喜ぶ話だというふうに聞いておりますので、ぜひ環境省としても関心を持って進めてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 古く、私の地元滋賀県の近江商人は、三方よしという言葉をモットーに努めてきたと聞いております。売り手よし、買い手よし、世間よし、環境政策も、全てこの三方よしがかなえられるんだと思います。

 この再配達のロスを防ぐことは、今大臣が御理解いただいたように、運送会社も喜んでくれる、そして注文した利用者も喜ぶ、さらには、環境政策にあっても、交通渋滞にとっても、人員不足の皆さんにとっても、みんな喜んでくれる、その最たる事業だと思います。

 どうぞ、これにとどまらず、いろいろなところにアンテナを高くしていただいて、活躍いただけることをお祈り申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 大臣、どうも御苦労さまでございます。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということで、私の方からは、地球温暖化対策と海洋ごみ対策、さらには熊本地震、大きく三つ質問をさせていただきたいと思っておりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、地球温暖化対策についてでございますが、最初に、世界の情勢を見ますと、先ほどからありますように、米国第一主義を唱えるトランプ政権の発足、またイギリスのEU離脱、さらには、各国がこのような自国の国益を優先するような動きが出ているわけでございます。

 さきのCOP22では、パリ協定が発効されまして、世界全体で気候変動に取り組むという姿勢を確認したところでありました。このような事態を受けて、取り組みが後退することがあってはならないと思うわけでございます。

 そこで、幾つか質問をさせていただきたいのでございますが、まず、アメリカのトランプ大統領並びに閣僚の気候変動に関する発言として、今、最新でどのようなことが言われているのかということでございます。

 トランプ大統領は、御存じのように、選挙期間中にはパリ協定の離脱についても言及していたわけでありまして、世界第二位のアメリカがパリ協定を離脱した場合、パリ協定に大きな影響を与えるのは必至であります。パリ協定は失効しないとしても、その意義は大変大きく薄まってしまう、世界の排出削減に与える影響は甚大である、こういうような状況があるかと思いますが、これについて質問させていただきます。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大統領、閣僚の発言についてでございますけれども、トランプ大統領は、選挙期間中に、これは報道ベースでございますけれども、気候変動はでっち上げという発言、あるいはパリ協定からの離脱を公言していたということでございます。しかし、当選後のインタビューでは、偏見を持たず注意深く調べるという発言をされておりまして、その他の発言については特に確認されてございません。

 また、閣僚に関してでございますけれども、EPA長官並びに国務長官、気候変動に関係してまいりますけれども、公聴会などでの発言を見ますと、温暖化は実際に起きているとか、あるいは、人為的な影響によるものと信じている等の発言がなされている、こういうふうに承知してございます。

 また、アメリカのパリ協定へ与える影響という御質問がございましたが、さきのCOPにおきまして、世界各国の首脳、閣僚が一致団結して、後戻りすることなく、パリ協定のもとでの温暖化対策にしっかり取り組む、こういう意思を確認しているところでございますので、我が国としてもそのような姿勢で取り組むべきと考えてございます。

 アメリカの動向についてはまだ不確定な要素があり、仮定の話について予断を与えるようなコメントは現在のところ差し控えさせていただきたい、このように考えてございます。

江田(康)委員 今、アメリカにも、先ほどから話がありますように、地球温暖化の審議官も派遣されていると聞いております。

 アメリカやEUの動き、こういうものを今後も引き続き注視していく必要があると思いますが、特にアメリカにつきましては、パリ協定を離脱するという想定外の事態が仮に起こった場合においても、日本としてどのようにこれに対応していくのかということが非常に問われるわけであります。

 アメリカの動きにかかわらず、日本としては、しっかりと気候変動対策に向けてそのリーダーシップを今こそ発揮していくべきときだと思っておりますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 アメリカの新政権、今後の政策方針については、現時点では明確に示されておりませんので、予断を与えるような発言は差し控えるべきだとは思っております。

 その上で、いずれにせよ、米国の気候変動政策に対する動きは注視していかなければいけないと思っておりまして、先ほどお話がありましたように、年末にも職員を派遣し、今また現在、職員をアメリカの方に派遣をいたしまして、その動向等々を注視させていっているところでございます。

 その上で、もし万々が一というお話でございました。私は、どういう状況になろうとも、日本は、私の言葉で言いますと、やはり愚直にこの問題に対処していくべきだ、かように思っております。もう世界の流れは変わらない、後戻りはできないんだという思いを強くいたしておりますので、日本の今までやってきたこと、これからやろうとすることを愚直に追求していきたいなというふうに思っております。

 幸い、幸いといいますか、アメリカもいろいろなことが漏れ伝わってまいりますけれども、州政府であったり、そしてまた企業であったり、この問題に、何といいますか、非常に前向きなグループもいらっしゃいます。必ずやアメリカは、我々と同じような、歩調を合わせるような環境政策をとっていただけるものだと私は期待をいたしております。

江田(康)委員 私も、脱炭素の流れは変わらないと思うんですね。そういうような中で、やはり日本が、国際社会の中でそれを調整していく、説得していく。これはTPPもそうかもしれませんけれども、そういう重要な責務を持っているということを肝に銘じて、これからの地球温暖化対策は進めていくべきだと思っております。

 このパリ協定については、これは脱炭素社会の構築に向けて重要な一歩を踏み出したわけでございます。我が国は、パリ協定の目的を実現するために、この約束した二〇三〇年二六%の削減を確実に達成していかなければなりません。また、長期目標である二〇五〇年八〇%削減に向けた長期戦略にも取り組んでいかなければならないわけでございます。

 その二〇三〇年二六%削減の達成の柱は、我々は、再生可能エネルギーの最大限の導入と省エネの普及、そしてまた石炭火力の高効率化にあると思っております。

 本日の質問でございますけれども、まず再生可能エネルギーについて、特に、きょうは水力発電についてお伺いをしてみたいと思います。

 日本の豊富な資源、それが水力であります。それは、大変安定供給にすぐれたベース電源であるわけであります。温対計画でもそのことは規定されており、大きくこれを進めるとあります。

 我が公明党の総合エネルギー対策本部に、先日、元国交省の河川局長である竹村公太郎先生をお招きいたしまして、水力発電が日本を救うと題して、水力発電活用の提言を伺ったところでございます。

 その提言の内容は、発刊されております「水力発電が日本を救う」というこの本にあるわけでございますけれども、皆さんも参考にしていただきたいと思いますが、この提言の前提は、新しいダムはつくらない、これは当然でありますが、施設改変を伴わずにダムの運用を変更して発電能力を高めるというものでありまして、画期的な、傾聴に値するものでございました。

 すなわち、現在のダムは、治水と利水、この二つの目的を持つ多目的ダムでございます。それぞれ治水容量と利水容量が定められているわけでありますが、洪水を予防するために、日本のダムは水を半分ぐらいしかためていないという状況にあるのは御存じだと思います。そして、その基準は特定多目的ダム法に規定されておりまして、昭和三十二年、今から五十九年前に制定されて以来、この法律は一度も改正されていない状況である。

 しかし、現在は、気象衛星等の科学技術の進歩によって、台風の接近や大雨も、これは一週間前には大方確実に予測されるわけでございまして、また、そのことによって、台風が接近する三日から五日前に放流すれば、十分に洪水には対処できるというものでありました。

 ですから、洪水予防のためであっても、ふだんからダムを大きくあけておく必要はないということでありまして、ダム湖の水位はもっと上げることができるわけで、そのことによって水力発電の能力を大幅に向上することができるというものでございました。これはまさに、特定多目的ダム法を改正し、ダムの運用を変更することによって、我が国の豊富な資源である水力発電を、その効果を大幅に増大させることができるというものでございまして、私も大変関心を持ちました。

 それは、我が国が、三〇年二六%削減という中期目標にとどまらず、長期目標、すなわち五〇年八〇%を削減するというその目標は、中期目標の延長線上にはない、はるかに難しい、ハードルの高いものであろうかと思っております。ですから、今、私もかかわってまいりましたが、エネルギー基本計画のエネルギーミックスで、再生可能エネルギー二二から二四%、その中に占める水力はというと十数%で、今現在とそう変わりはない。そういうような中で、やはり日本の豊富な、日本らしい再生可能エネルギー、この水力を大きく能力を上げていくということは、百年後、二百年後を踏まえていけば、非常に重要な施策であろうかと思っております。

 今、一点目について、ダムの運用を変更することによって水力発電等を大きく向上させる、そういう能力、可能性について、これは検討する必要があると思っておりますけれども、国土交通省、いかがお考えか、お聞きしたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 再生可能エネルギーの導入につきましては、国土交通省といたしましても積極的に推進すべきと考えておりまして、現在も、小水力発電の促進、あるいは、管理を行っているダムにおけるダム管理用発電設備の積極的な導入など、未利用エネルギーの活用を進めているところでございます。

 江田委員御指摘のとおり、既存ダムの操作を工夫して水力発電を拡大する方策として、洪水調節容量を発電容量に活用することが考えられます。その際、やはり、洪水が予想される場合には、貯水位を事前に所定の水位まで速やかに低下させる必要がございます。

 貯水位の低下に当たりましては、下流河川の安全管理を行いながら長時間をかけて放流を実施することなどが必要とされております。以前と比べ天気予報の精度は向上いたしましたが、一方で、ダム流域の比較的狭いエリアでの降雨予測精度の現状からは、技術的制約があることも事実でございます。

 このような制約を踏まえながら、国交省といたしましては、水力発電を含むさまざまな用途にダムの容量を活用できるよう、個々のダムの状況を勘案しながら、ダムの運用を開始しているところでございます。

 また、水力発電の促進については、発電事業者との連携が不可欠であり、国土交通省、経済産業省及び電気事業者の間でも既に意見交換を開始したところでございます。今後とも、関係者が連携して取り組んでいくこととしたいと考えております。

江田(康)委員 さらにこの提言は続くわけでございますが、既存ダムのかさ上げによる水力発電の拡大についても提言がなされました。

 今現在の成果として、夕張のシューパロダムというのがあるようでございます。私もまだ視察には行っておりませんが、三十七メーターのかさ上げを行ったことで、それだけでといいますか、容量は八千七百万立方メートルから四億二千七百万立方メーターまで、五倍にふえたということであります。また、津軽ダムにおきましては、三十九メーターかさ上げすることで、容量は三千八百万立米から一億四千百万立米まで、四倍にふえております。

 そしてまた、ダムは、百年、二百年もつというものでありまして、日本の豊富な資源である水力をもっと活用すべきであると思ったわけでございます。

 こうした手法を取り入れることで約三百七十万キロワットの発電増強が可能であるとおっしゃっておられまして、コストは六兆円はかかる、しかし、将来、百年、二百年先を見渡せば二百兆円の経済効果も生むものだ、そういう提言であります。元国土交通省の河川局長である竹村先生の提言でありますから、非常に重たく受けとめたわけであります。

 こうした既存ダムの活用によって水力発電の拡大そしてまた治水容量の発電への積極活用について、国交省はどのように考えていかれているのか、お伺いしたいと思います。

 こういうダムのかさ上げで発電容量を拡大することは実際行われているので可能だと思いますが、そのような事業を実施しているダムは幾つあるのか、また、さらにもっとふやしていくということはできないのか、その課題は何なのか、そこについて国交省の見解をお伺いいたします。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 ダムのかさ上げにつきましては、ダムの形式あるいは地形、地質条件によって技術的に可能なことがございます。ただ、その実施に当たっては、やはり他の利水者あるいは地元の関係者などとの合意形成をまずしっかりと図っていくことが必要となります。

 国土交通省所管のダム建設事業においては、電力事業者の意向を確認した上で、御指摘の既に完成した夕張シューパロダムのほか、現在、北海道の新桂沢ダムそれから青森県の津軽ダムの二ダムにおいて、かさ上げによって発電容量を拡大する事業を実施するところでございます。

 国土交通省といたしましては、再生可能エネルギーの利活用の重要性に鑑みて、引き続き、既存ダムを水力発電等に有効活用する各種方策につきまして、まずは前提となるのは、やはり他の利水者などもいる状況の中でございますので、そのような関係者の意向等をきちんと踏まえながら適切に対応して、またこのようなダムのかさ上げ事業を適切に進めてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 きょうは既存ダムの最大活用で水力発電が大きく向上するという可能性について触れさせていただいたわけでございますが、国交省はいかんせん、治水や利水、それを目的とするダムの建築というか、そういうところにあるわけでございましょうから、水力発電の活用ということに関しては、これは他省庁、経済産業省等々が、環境省も重なってくるわけでございます。

 やはり法律というのが大事でありまして、そのような目的で水力発電を大幅に活用していくということにおいては、確かに法改正で、例えば河川法の目的の中にエネルギーの活用というようなものを、改正においては、過去三回行われたわけでありますけれども、そういう目的条項を入れていくというようなことが必要不可欠なのかもしれません。また、多目的ダム法においてもそのような運用をさらに進めるということにおいても、立法府におけるそういう法律の改正が必要になるのではないかというのが大きな宿題でもございます。

 このようなことについても含めて、今後とも再生可能エネルギー、全ての、あらゆるエネルギーを活用していくということにおいて、また引き続き質問をさせていただきたいと思っております。

 時間の制約上、ちょっと飛ばしまして、海洋ごみ対策関連について質問をさせていただきたいと思っております。

 近年、我が国の海岸に国内外から大量の漂流、漂着物が流入して堆積し、また、それによって海岸の環境への影響が深刻な問題になっているのは、もう環境大臣初め皆様も十分御承知のことだと思っております。

 全国の海洋ごみの推計量は三十一万から五十一万トンということでございます。それが、海洋環境の悪化、また漁業や観光への影響ははかり知れないものがあるわけでございます。

 このために、平成二十一年、私も提案者の一人でありましたけれども、海岸漂着物の円滑な回収、処理と発生抑制を目的とした海岸漂着物処理推進法というのを議員立法で成立させて施行をしてきたところでありますが、しかし、まだまだ対策が十分とは言えない状況にありますので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣にお聞きいたしますが、海岸漂着物処理推進法に基づいて、海岸に漂流、漂着する海洋ごみの回収、処理や発生抑制というのは、都道府県が地域計画に基づいて地域の実情に応じた対策を実施するということとされております。また、「政府は、海岸漂着物対策を推進するために必要な財政上の措置を講じなければならない。」としているところであります。

 当初、財政上の措置として、我々は地域グリーンニューディール基金を創設して市町村が機動的に使えるようにしたわけでありますが、その後これがなくなりまして、地域環境保全対策費補助金として、平成二十九年度の予算では三十八億五千万が計上されております。

 このことは大変ありがたいことであるわけでございますが、その後、補助率も、当初十分の十だったものが十分の七から十分の九に下がってきております。また、全ての海洋ごみの回収には至っておらず、全体の一〇%ぐらいに相当する四・五万トンが回収されているにすぎない。現場からは、使い勝手が悪くなったという声も聞きます。

 これらを勘案して、市町村による海岸漂着物の回収、処理及び発生抑制が着実に実施できるように、政府においては十分な財源もしくは恒久財源を確保して支援を行うべきと私は強く思っているわけでございますが、このような総額や補助率について必要な措置がどこまでなされているのか、お聞きしたい。

 また、毎日海洋ごみは漂流、漂着するわけでありまして、その海洋ごみの処理に対して、地域グリーンニューディール基金の再創設も含めて、市町村が機動的に使えるような制度にしていかなければならないと強く思うわけでございますが、環境大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 海岸漂着物等の回収、処理及び発生抑制を促進するために、平成二十八年度補正予算では約二十七億円、平成二十九年度予算案で四億円、計約三十一億円を計上し、都道府県に財政支援を行っているところでございます。先生御承知のとおりでございます。

 補助率については、原則十分の七とし、また、条件不利地域等については、過疎地等は十分の八、離島等は十分の九とかさ上げしているところでございますが、地方負担分の八割が特別交付税により措置をされておりまして、実質的な自治体の負担軽減に配慮した制度となっております。

 私も、海洋ごみのことは非常に関心がございまして、なかなか減らないというのが実情だということはよくわかっております。先生が御懸念のような財政的な面で、やはり作業していただく方々、自治体等が御懸念を持たれないように、私どもは全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

江田(康)委員 時間の制約上、ちょっとカットさせていただきますが。

 このほかに、この法律をつくったときには、これは名前が海岸漂着物でございますから、漂着物に限ったものであったわけでございますけれども、漂着ごみだけでなくて、漂流・漂着ごみについても、これは明確にこの法律に位置づけていかなければならないのではないか、そのように思っております。今回は、立法府の対応でもございますので、それはそのように申し上げておきたいと思っております。

 先ほど大臣から申されました財源だけでなく、発生抑制というのが非常に重要になってくるわけでございます。海洋ごみ対策においてはこの発生抑制対策が最重要課題で、国内由来の漂着ごみについては、実はその七割は河川からの由来だという指摘もあります。河川を経由して海洋に流出する海洋ごみの削減に向けて、河川流域において広域的な発生抑制を強化することが重要となってきておりますが、現在、海岸漂着物等処理推進法においては、海岸管理者の回収、処理責任が明確化されておりますけれども、河川管理者の責任は明確に位置づけられておりません。河川に流入するごみについて、河川管理者は対策をどれほど実施する責任を有しているのかということでございます。

 河川法の改正が必要であればそれを行っていく必要があろうかとも思いますが、河川管理者の責任をまずは海岸漂着物等処理推進法に明確に位置づける必要があると思っておりますが、このことについては、国交省に所見をお伺いしたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 海岸を有する地域が漂流・漂着ごみの処理で大変御苦労されていることは承知をしてございます。また、漂流・漂着ごみの中には、河川を経由して海域に流入するものもあることは理解をしているところでございます。

 海域に流出する前に河川に漂着あるいは投棄された一般ごみや流木などは、まずその河川の環境や景観を阻害いたします。加えて、これらのごみは、例えば、洪水の際に橋脚に堆積し洪水の流下を阻害する、あるいは、樋門、樋管などの河川管理施設に堆積し操作を阻害するなど、河川管理に支障を及ぼすおそれもございます。

 そのため、河川管理者としては、なかなか厳しい予算状況ではありますけれども、河川の維持管理として、ごみの回収、さらには、河川巡視による不法投棄の早期発見や、カメラの設置による監視などの取り組みを行っているところでございます。加えて、ごみの発生抑制のため、流域の市民との連携による清掃活動の実施や、ごみマップの作成などによる普及啓発も実施しておるところでございまして、ボランティアで河川清掃に参加する住民は年々増加傾向にあると存じております。

 河川のごみ対策については、治水及び河川環境の保全といった河川管理の観点からも重要な課題であると認識してございまして、今後とも、関係機関や地域とも連携して、漂流・漂着ごみの削減に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 今、自治体の厳しい財政状況を考慮すれば、国管理の河川以外でも国による新たな発生源対策を大きく進めていかなければならないのは、これは必要不可欠であると思っております。

 こういう河川管理者の責任ということを私は言いましたけれども、河川管理と海洋ごみというのを一体的に行っていく必要があるということで、それらを大きく前に進めていかなければならないという提言でございます。どうぞ、しっかりと国においても海洋ごみ対策を一体的に推進できるようにしていっていただきたい、そのように強く願うわけでございます。

 きょうは、予定していた質問が予定どおりいきませんで、多く残してしまいました。この海洋ごみ対策においても、私にとっては大事な熊本地震対策においても、また次の、近いうちにあろうかと思いますので、その質問を引き続きさせていただきたいと思っております。

 本日は大変にありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 環境大臣の所信質疑をさせていただきます。

 きょうは、原発事故に対する東電の汚染者負担原則について、昨年末に、除染の経費についても大きくその試算額が増加をする、そういったことに対する政府としての対応策をめぐって質問をいたします。

 東電原発事故に伴うコストが幾らかかるかという試算額が、昨年の十二月、経産省などが出した数字で、大きな話題となりました。二兆円と見積もっていた廃炉費用が八兆円になる、賠償は五・四兆円が七・九兆円に、除染は二・五兆円が四兆円に、中間貯蔵施設は一・一兆円が一・六兆円に、合計で十一兆円が二十一・五兆円となるもので、従来の試算額が倍増するもとで、原発事故が巨大な被害をもたらすことが一層浮き彫りとなったわけであります。

 昨年十二月二十日、政府は新たな福島復興基本指針を閣議決定いたしました。原発事故の加害企業である東電に対して、賠償や除染の費用負担を回避する仕組みをつくるものと言わざるを得ません。賠償については電気料金への転嫁、除染については税金投入ということが大きく報道されたわけです。原発事故の加害企業である東電の汚染者負担原則を棚上げするやり方は容認できない、この見地で質問をいたします。

 最初に、大臣に確認をいたします。

 放射性物質汚染対処特措法、除染特措法における汚染者負担原則について確認をしたいと思います。

 この特措法に基づいて講じられる措置というのは、東電の負担のもとに実施をされるというのが費用負担の基本的な考え方ではありませんか。

山本(公)国務大臣 御指摘の放射性物質汚染対処特措法、いわゆる除染特措法第四十四条第一項に「この法律に基づき講ぜられる措置は、」「関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。」とあり、これが除染特措法における費用負担の考え方を示しているという考えでございます。

塩川委員 つまり、東電の負担のもとに実施をされるということであります。

 環境省にお聞きしますが、これまで帰還困難区域における除染の費用というのは東電に求償してきたと思いますが、その点についてお答えください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 これまで、環境省の方では、帰還困難区域につきまして、一部先行的に除染を実施してきております。それらについては、特措法四十四条に基づきまして、東電に求償をしているところでございます。

塩川委員 その理由は何かをお聞きしたいんですが。

高橋政府参考人 今申し上げた措置につきましては、放射性物質特措法に基づく措置であるということで、原因者である東京電力に求償しているということでございます。

塩川委員 除染特措法にもありますけれども、放射性物質による環境の汚染が人の健康または生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する目的で行う除染については、これは除染特措法に基づいて東電に求償しますと。

 ですから、帰還困難区域において例えばインフラの整備を行う、道路の除染を行うということであれば、そういう経費は、当然のことながら、帰還困難区域ということであっても東電に求償する、そういうことでよろしいですね。

高橋政府参考人 帰還困難区域におきましても、除染特措法に基づいて必要な除染を行う場合には、当然東電に求償するということでございます。

塩川委員 これまで、除染特措法に基づいて、除染関連費用については、帰還困難区域を含め東電に求償してきたわけであります。

 昨年十二月の基本指針によると、これまで明らかにしてきた除染、汚染廃棄物処理関連費用の試算額が大きく変更となりました。これまでの二・五兆円が四兆円になる。そのときの除染、汚染廃棄物関連費用の内訳と増額になった理由について、環境省の方から説明をお願いいたします。

高橋政府参考人 除染、汚染廃棄物処理に関する費用が、平成二十五年十二月のときの試算に比べて今回増加していることについて御説明をいたします。

 今回、一定の蓋然性を有する費用を現時点での知見等に基づきまして概算をしたわけでございますけれども、除染と汚染廃棄物処理につきましては、二十五年十二月の約二・五兆から今回四・二兆になりました。交付国債発行分については四・〇兆でございますが、それに加えて原賠法に基づく政府措置額がございますので、合わせますと四・二兆円になります。

 増加分の内訳でございますけれども、まず、除染の本体の費用が、一兆二千八百億円から二兆三千九百億円となりまして一兆一千百億円の増加、それから、仮置き場、減容化施設の設置、運営費用でございますけれども、五千六百億円から九千七百億円となりまして四千百億円の増加、それから、汚染廃棄物処理が、五千三百億円から八千二百億円となりまして二千九百億円の増となっております。

 これらの増加の主な要因でございますけれども、除染や廃棄物処理につきましては、需給の逼迫によります労務費や資材費の上昇、現場の状況を踏まえた丁寧な除染の実施によりまして除染の対象物が追加されたこと、また、避難の長期化に伴いまして建物の解体でございますとか仮置き場の撤去の際などの廃棄物の発生量が増加した、こういうような要因があると考えております。

塩川委員 増額の金額とその理由についての説明がありました。

 丁寧な除染を行う、当然これは被害者、避難者の方の立場で行うべきことでありますし、当然のことながら、人件費、資材費の高騰というものの影響も受けるでしょう。こういった必要な経費というのが当然かかってくるというのが、実際に執行していく中で、ある程度の見通しということで出されているのが四・二兆円であるわけです。

 当然のことながら、これまで、帰還困難区域について、除染特措法に基づいた東電への費用の求償も行われてきたわけですけれども、この試算である四兆二千億円については、この中には帰還困難区域の除染費用というのは含まれているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました四・二兆円の中には、先ほど御質問がございました、除染特措法に基づいて帰還困難区域において行った先行的な除染等の費用については含まれております。ただ、今国会に提出されております福島復興再生特措法の改正、この改正後に基づいて行うこととなる除染等の費用は含まれていないということでございます。

塩川委員 今国会に提出された福島復興特措法の中にこの除染特措法について特例を入れるということですので、そういったことについては、その措置に係るものについては含まれていないということですけれども、実際、でも、いずれにせよ、帰還困難区域についても、特定復興拠点を設けるとかという基本指針に基づいた取り組みを行っていけば、インフラと一体的という話はあるにしてみても、除染に係る費用というのは当然あるわけですよね。それはどのぐらい見込んでいるとかというのはないんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会で改正がされた場合の福島特措法に基づく帰還困難区域のいわゆる復興拠点に係る除染等については、これは法律が改正された後、それを踏まえて政府と地元市町村、県等がよく協議をして調整してまいるものでございますので、現時点では、その総額などについては明確になっておらないという状況でございます。

塩川委員 ただ、費用については来年度予算も頭出しにはなっているわけですから、当然のことながら、どのぐらいかかるのかという見通しというのはあってしかるべきだと思うんですけれども、そういうのもないということですか。

高橋政府参考人 来年度予算につきましては、当面必要なものとして計上いたしましたけれども、全体についての明確な見通しというものはまだ持ち合わせていないという状況でございます。

塩川委員 昨年十二月二十日の基本指針では、もちろん復興拠点の話も出てくるわけですけれども、十二月の復興指針でも触れていますけれども、昨年八月の「帰還困難区域の取扱いに関する考え方」という方針、文書では、最後の、終わりの部分には、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除することを決意するというふうに出ているわけですね。

 政府としてはそういった決意を持って臨むということですから、そういう点でも、帰還困難区域の除染費用の見通しというのは、こういう決意がある以上、政府として本来あるべき費用の試算というのが求められるのかなと思うんですけれども、そういうのはお考えにはならないですか。

高橋政府参考人 今おっしゃられたような決意といいますかは盛り込まれておりますけれども、現時点では、まずは、復興特措法が改正された場合の、それに基づきまして、当面五年を目途に、帰還が可能となる、解除が可能となる地域について拠点として整備をしていく、そのための必要な除染あるいは廃棄物の解体等をしっかりと実施していくというのが私どもとして必要だというふうに考えております。

塩川委員 帰還困難区域の除染費用の見通しは明らかではありませんが、ただ、除染費用は四兆円にとどまらず、さらに膨らんでいくということだけは明らかだということであります。

 次に、中間貯蔵施設関連費用の内訳と、その増額になった理由について説明をしていただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 中間貯蔵施設関連費用でございますけれども、今回、約一・六兆円という試算をしてございます。内訳でございますけれども、減容、再生利用技術開発などを含みますいわゆる調査費が五百億円、用地の取得に係る費用が一千九百億円、それから施設整備が九千億円、輸送に係る経費が三千六百億円、管理運営に係る費用が一千百億円ということになってございます。

 これも、平成二十五年十二月時点の試算では約一・一兆円でございましたので、増加をしてございます。主な理由は、未確定でありました輸送時の安全対策でございますとか、施設の仕様が具体化をしたためでございます。

 前回試算を行いました二十五年十二月の時点では、まだ地元の自治体にこの中間貯蔵施設の建設の受け入れをしていただく前でございました。まだ事業に着手をしていない状況で見積もりをしたわけでございます。その後、実際に工事や除染土壌等の輸送が始まりまして、事業が具体化をしてきたことによりまして、新たな試算で数字が変わったということでございます。

 施設の仕様につきましては、福島県の専門家会議等でも議論をしていただきまして、具体化を図ってまいり、土壌貯蔵施設につきましては、公共の水域の汚染を防止するための遮水対策、あるいは水処理設備による水質の管理などを行うこととなりました。

 また、福島復興に向けた仮置き場からの早期搬出のため、土壌貯蔵施設が整備されるまでの間、除染土壌等を保管する保管場というものを中間貯蔵施設内に整備をするということにもなってございます。

 また、輸送時の安全対策につきましては、専門家による検討会も経まして、袋単位の全数管理でございますとか、GPSによる全車両の運行管理などの対策を行うこととなりました。

 これらのことを踏まえまして、現時点での最新の情報に基づいて、一定の蓋然性を有するものとして今回試算をしたものでございます。

塩川委員 一・一兆円が一・六兆円にふえる。その中には、施設整備や輸送に係る費用の試算額が大きく膨らんでいるわけですが、実際にパイロット事業なども行って、輸送に係るような費用の見通し、安全対策ということも当然経費として乗ってくるわけだし、施設整備においても、土壌の貯蔵施設の基本の安全対策をどうやるのかということ、管理上の対策に対しての経費や、そこに持ち込めないような場合の保管場について新たに設けるということなど、それなりに実情に即した経費の上積みというのが積み上げられての金額だというふうには承知をしております。

 具体化をする中で費用が大きくなってくるわけで、今後どうなるのかということもあるんですが、中間貯蔵施設後の対応として最終処分というのもあるわけですが、その費用というのは何らか見積もりなどというのがあるんでしょうか。

高橋政府参考人 今回の試算の中では、いわゆる三十年以内の県外最終処分、これにかかわる費用については含まれておりません。現時点ではそれについての数字はございません。

塩川委員 含まれていない、それについての数字はないということですが、当然費用はかかる。

 この最終処分の費用は、東電に求償するという仕組みでしょうか。

高橋政府参考人 現時点では、先ほど申しましたように、最終処分に関する具体的な方策等はまだ確定をしてございません。ございませんけれども、仮に現在の除染特措法に基づいて最終処分を実施するということになれば、当然東京電力に求償するということになると考えております。

塩川委員 東電に求償するという仕組みということでの話でした。

 今後、最終処分の費用も見込まれるわけですし、原発事故由来の放射性廃棄物の処理費用はさらに膨らんでいきます。このように除染関連費用が大きく膨らんでいく。その費用負担については、これまで、帰還困難区域を含めて東電に負担を求めてきたわけです。

 しかし、今回、この方針を大きく転換しようとしているわけです。

 昨年十二月二十日の、政府が閣議決定した新福島復興基本指針では、帰還困難区域の復興に取り組むとして、特定復興拠点を整備すること、そのために整備計画を策定し、そのもとで除染とインフラ整備を一体的に行うとしております。そして、整備計画の実施に係る除染費用相当部分等を含む費用負担については、東電に求償せず国の負担において行うものとしました。その理由は何なのかについて、説明を求めたい。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 帰還困難区域は、平成二十三年十二月の原子力対策本部におきまして、将来にわたって居住を制限することを原則とするものとして設定されたものであります。こうした政府方針を前提としまして、東京電力も賠償を実施してきております。

 今回、福島特措法改正法案におきまして、帰還困難区域の復興拠点整備の一環として行うこととした除染事業は、新たな法的枠組みにおける一つの計画のもとで、インフラの整備と一体的に行われるものと位置づけてございます。

 したがいまして、この除染事業は、従来の政府が示してまいりました方針から一歩前に踏み出して、新たな町づくりを進めていくという事業の一部でありますことから、除染特措法ではなく福島特措法に基づいて実施することといたしまして、これにより、国の負担のもとで行うと整理をしたものでございます。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 汚染者負担原則という基本にかかわる問題ですから、ぜひこの点については環境大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいんですが、今経産省の方でいろいろと説明がありましたけれども、基本指針の中身についてですが、一歩前に踏み出す、今までと違う、ステージが変わったんだと。だから国でという話にはならないわけで、もともと、将来にわたって居住を制限するとしていた地域において除染を行うという場合には、既にそういった長期避難を前提としたような賠償もやってきている、それに除染を乗せるからとなると、そこの部分はちょっと考えようねという話なわけですよね。でも、これは納得いかないんですよ。

 環境省は汚染者負担を大原則として掲げてきたわけで、帰還困難区域における除染費用負担についてもこの間も東電に求償するということを行ってきたわけですから、こういう除染費用負担を国が行うという方針というのは、除染特措法の東電に費用負担を求めるという汚染者負担原則を大きくゆがめるものになる、投げ捨てるものになるんじゃないか、このように思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

山本(公)国務大臣 東電の事故に関する費用を社会的にどう負担していくかについて、復興拠点整備は、それまでの方針から、国として、今お話がありましたように、一歩前に踏み出し、復興のステージに応じた新たな町づくりとして実施するものであること、除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に実施するものであることといったさまざまな事情を勘案した上で、除染特措法ではなく福島復興再生特措法に基づいて実施をすることとし、国費で実施するとの方針となったものでございまして、汚染者負担原則をないがしろにするような御指摘は当たらないと考えております。

塩川委員 それは説明になっていなくて、一歩前に踏み出す、それは、帰還困難区域で復興拠点を設ける、地元の要望もある、戻りたいという方もいらっしゃる、そういうことで一歩踏み出すというのはあるわけですよ。でも、そのときに、では東電に求償をやめましょうという話にならないんですよね。

 インフラと除染を一体的に進めると。それもあるでしょう。でも、ここにも書いていますように、そういうインフラの費用とともに、除染の費用負担についても、ともに東電に求償せず、国が負担する。そもそも、分けることができる除染の費用について何で国の負担にするのかと。これは全然筋が通っていないと思うんですけれども、改めていかがですか。

山本(公)国務大臣 帰還困難区域の復興拠点整備に関しては、新たな町づくりとして除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に実施するという観点から、政府部内で検討した結果、国費で実施するという方針になったものと承知をいたしております。

塩川委員 ですから、除染とインフラを一体的に整備すると。その費用負担について、インフラの整備の部分を国が見るというのはあるかもしれない。しかし、除染の費用については今まで東電に求償してきたわけですから、そこは切り分けることができるわけで、何でそれを東電に求償しないのかというのを聞いているんですよ。

山本(公)国務大臣 繰り返しになりまして恐縮ですけれども、今回、除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に実施するという観点から、政府部内で検討した結果、国費で実施するという方針になったということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 いや、全く納得ができないわけで、ここは、もしこういう形で穴をあけたら、今後の話にもなるわけですよ。

 そもそも特措法上は、こういった汚染者負担原則に立って、事故由来の放射性廃棄物の除染については東電に費用負担を求めましょう、求償しましょう、こういうスキームで来ているわけです。それについて、一体的な整備だからというだけでそこを曖昧にするというその合理的な理由がわからないんですよ。政府部内で検討して決定しましたからというのでは、国民に何の説明もしていないじゃないですか。もう一度。

山本(公)国務大臣 何度も繰り返しになって恐縮でございますけれども、従来、将来にわたって居住を制限することを原則とするとされてきた帰還困難区域において、除染とインフラ整備を一体的かつ効率的に行い、政府と地元が一体となって、復興のステージに応じた新たな町づくりに取り組むことになったということで、福島の復興が加速化をされるものだというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 今まで居住を制限されたところに住めるような環境づくりをしましょう、そのために除染もしましょう、インフラの整備をしましょう、これはわかるんですよ。それは国が前面に立ってというのもあるでしょう。しかし、その費用負担のあり方なんです。そのときに、除染についてはせめて東電に求償するのは当然だというのが特措法のスキームだったんですから。私なんか、インフラの整備だって東電が持てと言いたいくらいなわけですけれども、何で東電に対して除染の費用分は求償しないのかという説明がないと、これは国民は納得できないという話なんですが、どうですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、帰還困難区域の復興拠点の整備の一環として行うことといたしております除染事業は、先ほど来申し上げておりますとおり、従来の方針から一歩前に踏み出した新しい町づくりを進めていくという事業の一部でありますことから、除染特措法ではなく福島特措法に基づき実施するという整理のもとで考え方を示したものでございます。

塩川委員 そういうふうに整理したと言っているだけじゃないですか。何で特措法において東電に求償する仕組みになっている除染部分の費用まで国が持つのかということについての合理的な説明が聞きたいんですよ。

 大臣、説明できないということですか。

山本(公)国務大臣 何度も繰り返しになって恐縮でございますけれども、帰還困難区域については、政府一丸となって一日も早い復興を目指して取り組んでいくという決意のもとに今取り組んでおりまして、閣議決定された福島復興再生特措法の改正案もその実現のためでございます。

塩川委員 やりとりの中でも、東電に求償するという除染の費用について今度国が負担するということについての合理的な説明はないですよ。新しいことをやります、新しいことを始めるからというだけの話じゃないですか。それでは国民は納得できないという話なんですよ。

 多くの被害者、避難者の方々がもとの生活に戻れない中で、賠償だって極めて不十分なんですよ、営業補償の問題や営農の補償の問題だって。多くの皆さんが先が見えない暮らしをしているわけです。長期避難の中での多くの御苦労というのがあるわけですよね。賠償に対してだって不十分だという声があるのに、除染の費用について、これを東電に求めるんじゃなくて国が負担するというのは、私は、こういう原発事故を起こした東電に対しての国の姿勢そのものが問われる一番の問題だと思います。

 そういう点でも、このような除染費用を東電に求償せず税金を投入するということは、環境政策の汚染者負担原則をないがしろにするものだ、断じて認められないということを強く申し上げておきます。全く合理的な説明がない。こんなことでは国民は絶対納得しないということを申し上げておきます。

 次に、除染関連費用についての回収方法についてお尋ねをいたします。

 除染関連費用については、その支払いは汚染者である東電が負担するのが原則というのは申し上げてきたところです。その際、除染特措法のスキームは、除染関連費用について、国がまず費用負担を行って、その後東電に求償するということになっております。東電が必要とする資金繰りは、原賠機構法に基づき、支援機構への交付国債の交付、償還により支援することになっています。実際には、除染関連費用に充てる交付国債の償還費用の回収というのは、支援機構が保有する東電株式を中長期的に売却して、それにより生じる利益の国庫納付により除染費用相当分の回収を図るというものです。

 これは前回も少しやりとりをいたしましたけれども、支援機構が一兆円持っていますから、その一兆円の株が値上がりすることによって、売却をすれば、その上がり分について除染の費用に充てるというスキームで、これが本当に東電の汚染者負担原則なのかというところも疑問なしとはしないところでありますけれども、これは、そもそも、二・五兆円が四兆円になったわけですが、この四兆円を出すために東電の株価がどのぐらいになるかというのは、これは経産省とかは見通しを持っているんですか。

村瀬政府参考人 個別の企業の会社の株式価値に関することでございますので、回答は控えさせていただきます。

塩川委員 会計検査院が一昨年の報告書でこの試算もしているわけですけれども、従来の二・五兆円を株式売却益で賄うには、機構保有の種類株が全て普通株に転換した場合、平均売却価格が千五十円になる、このことが必要と指摘をしています。

 この数字を使えば、会計検査院が指摘したやり方に沿って四兆円に相当する株価を見ると、千六百八十円ということになります。午後冒頭の東電株価が四百三十九円ですから、三・八倍ということでは、大きな費用負担、見通しというのはなかなか見えてこないわけですけれども、もちろん中長期と言っているわけですが。

 東電の株価が上がるというのは、要するに、原発再稼働しましょうというときなんですよね。そういうのでは、東電の株価が上がるというのが、原発の再稼働を前提にした、こんな回収方法というのは決して認めることができないということは申し上げたいと思います。

 その上で、中間貯蔵施設の費用についてですが、これは経産省でしょうか、この中間貯蔵施設の費用はどのように回収するのか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 機構法第六十八条に基づきまして、必要な資金につきましては、エネルギー特別会計に計上することによって対応させていただく、このようになっております。

塩川委員 機構法の六十八条に基づく資金交付ということで、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定に計上するということですけれども、これが、これまで三百五十億円だったものが、一・一兆円が一・六兆円になることで四百七十億円にふえたわけです。

 重ねて経産省にお尋ねしますけれども、この中間貯蔵施設費用相当分については、支援機構に対し、機構法第六十八条に基づく資金交付を行うというのが説明でありました。この六十八条に基づく政府による資金の交付というのは、どういうスキームになっているんでしょうか。

村瀬政府参考人 六十八条でございますけれども、まず、除染につきましては、除染特措法に基づきまして、環境省から東電に対して求償される、その資金繰りについては、国から原賠機構への交付国債の交付により支援する、こういうことになっております。

 その場合、電力会社の負担金などを原資として原賠機構から国庫納付される、こういうことになっているわけですけれども、この六十八条に基づきまして、被害者の方々への賠償に加えまして、こういう中間貯蔵の費用相当分ということにつきましては、負担金の年間支払い額が非常に大きくなる可能性がある等々の理由から、国民負担の増大を抑制する、かつ電力の安定供給に支障を生じさせないようにするといったような観点から、この六十八条に基づきまして、必要な資金がエネルギー特会に計上されて、このものが原賠機構に支払われる、こういうことになります。

塩川委員 つまり、原子力事業者の負担金でそもそも回収するということなんだけれども、原子力事業者の負担金の年間支払い額が大きくなる、そうなれば、原子力事業者に負担がかかるので、電力の安定供給にも支障が出かねないということで、その分について、このように、六十八条に基づいて、いわゆる電源開発促進税で手当てをするということでよろしいですか。

村瀬政府参考人 この中間貯蔵施設につきましては、昨年十二月の閣議決定におきまして、福島復興の観点から、中長期にわたって安定的に管理する施設であるものであるからして、国がその費用の確保に万全を期す必要がある、このような考え方に立ちまして、六十八条に基づいて、必要な資金を予算でエネルギー特会に計上した上でその費用を充てる、こういうことになっているということでございます。

塩川委員 中長期的に安定的に管理する必要があるということで中間貯蔵施設の話がありました。

 ちょっとそういうのを答弁として押さえた上で、もう一つ経産省にお聞きしますけれども、機構法の第六十八条に基づく政府による資金の交付は、今答弁ありましたけれども、原子力事業者の負担金がふえることを軽減するという形で、結果とすれば、原子力事業者の負担の軽減、免除ということにつながるわけですね。

村瀬政府参考人 六十八条には、国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあるといったような場合にしっかりとこれを予算の定める額の範囲内において対応する、このように規定されているところでございます。

塩川委員 聞いているのは、結果として原子力事業者の負担軽減になるよねと、そのことなんですが。

村瀬政府参考人 昨年十二月に閣議決定されました福島復興加速化指針の中では、福島復興の加速を行うために対応する、こういう方針になっているところでございます。

塩川委員 ということで、原子力事業者の負担軽減ということですよね。

村瀬政府参考人 繰り返しになって申しわけございませんが、長期的、安定的に継続する事業について、これを国が責任を持って管理し対応する、こういった観点から今回の措置が講ぜられているもの、このように理解しております。

塩川委員 条文の六十八条に、国民生活及び国民経済に重大な支障のおそれがあると認められる場合に限り、機構に対し必要な資金を交付することができるということですから、国の方が税金を入れるわけですよね、それが電促税なわけですけれども。そうすれば、本来原子力事業者の特別負担金、一般負担金で手当てする部分が減るという話なんですよね。

 そこで、だから、そういうお金の出し方でいいのかという話になってくるんですけれども、電気料金に上乗せ徴収されている電源開発促進税を、今後三十年間にわたって、本来東電が負担すべき除染関連の中間貯蔵施設の費用に流用するものです。二〇一七年度の、来年度の電促税の税収というのが三千四百五十三億円と見込んでいますので、毎年四百七十億円というのはそれの一割を超えるような金額なんですよ。大変大きな額を払うことになる。それは電気料金に上乗せされていますから、国民の皆さんが負担をしているんです。

 中間貯蔵施設の建設の費用というのは、本来事故を起こした東電に求償する話であって、その費用について東電が本来回収する筋であるにもかかわらず、実際には国民の皆さんの税金にツケ回しになっているということになるわけで、さっき言いましたけれども、こういった仕組みというのは、これはやはり国民は納得できないんじゃないかなと思うんですが、この辺、大臣はどうですか。

山本(公)国務大臣 環境省としては、財源についてお答えする立場にはございません。必要な措置を実施するために今後とも必要な予算を確保し、執行してまいりたいと思っております。

 また、原発の再稼働についても、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 本来、除染にかかわる話ですから、それについては当然環境省としてふさわしく役割を果たすということが必要であるわけで、私、そういう点では、財源の話とか原子力事業についてはというのでは本来の環境省の役割は果たせないんじゃないかなと率直に思うんですが、改めていかがですか。

山本(公)国務大臣 ただいまやっている除染特措法に基づく除染も、私は、まだまだ拡大されていく、かように思っております。予定されて、ここで終わりということはないんだろうと思っておりますので、そういうこと等を勘案するときに、今回の除染特措法と福島再生特措法、分けた物の考え方というのはあっていいんだろうと思っています。

塩川委員 では、経産省にお聞きしますけれども、こういった、本来東電に求償して東電に回収を求めるような中間貯蔵施設の部分について、電促税という形で、電気料金という形で国民が負担をする、こういうスキームというのは国民が納得できないんじゃないかなと思うんですが、その点どうですか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 現状の機構法第六十八条におきましても、「国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合」ということで、「予算で定める額の範囲内において、機構に対し、必要な資金を交付することができる。」と規定がございます。

 この法律に基づきまして適切に対応していきたいと思っておりますし、当然のことながら、発災事業者である東京電力がこの事故の資金をしっかりと対応するというのが大原則でございますので、昨年末に東京電力委員会で提言された改革提言を踏まえまして、東京電力が大胆な改革をしっかりと実現していく、このような中で、企業価値を高める、もしくは必要な資金を捻出してしっかりと対応していく、こういうことは不可欠だと思いますし、その東京電力の大胆な改革を全力で東京電力が取り組んでいくよう、国としてもしっかり指導してまいりたい、このように思います。

塩川委員 大胆な改革の支援の前に、このスキームそのものを検討すべきだ。

 先ほどの答弁にもありましたけれども、中長期的、安定的に継続するような事業について出しますよという話ですよね。そうなりますと、この原発の事故に伴う事業というのはずっと続くんですよ。

 除染は一定の期限でやりましょうという話でありますけれども、廃炉だってかかるわけですし、賠償だって、この先、打ち切りなんという話というのは当然のことながら認められないという被害者の方の声があるわけですよね。中間貯蔵も長くなるとなると、中間貯蔵で、中長期的に安定的に継続するような事業で、この六十八条に基づき税金投入という仕組みを容認するということになれば、ほかの事業もこれでどんどんいきましょう、税金投入しましょうということをどんどんどんどん重ねることになるんじゃないですか。

 その理由が、原子力事業者の負担金の年間支払い額が大きくなるから、それを軽減するためにというのが六十八条なんですから。こんな六十八条に基づくような税金投入の仕組みは、きっぱりとやめるべきだ。

 その点、経産省と、もう一回、環境大臣にお尋ねします。

村瀬政府参考人 六十八条に基づく措置は、先ほども申し上げたとおり、国と東京電力の役割分担について、まず、平成二十五年十二月に福島復興加速化指針を閣議決定いたしましたときに、方針として出されているものでございます。

 今回の、昨年末に閣議決定をして策定をした福島復興加速化指針におきましても、基本的にこの平成二十五年十二月の方針を維持する、こういうことになってございます。

 引き続きまして、この法律に基づいてしっかり適切に運用してまいりたい、このように思います。

山本(公)国務大臣 いずれにせよ、除染や中間貯蔵施設整備の全体工程の効率化について、福島復興を加速する観点から、今後も地元の御理解を得つつ、関係省庁の御協力をいただきながら進めてまいりたいと思います。

塩川委員 私は、きょうの質疑で改めて実感をしたのが、もう汚染者負担原則は投げ捨てるというスキームになっているということなんですよ。二つある。一つは、除染費用への税金投入の問題です。もう一つが、今指摘をした中間貯蔵施設の費用回収に電促税を充てるという形で国民に負担を転嫁する。

 ですから、こういった大原則である汚染者負担、これをないがしろにするようなやり方ということは認められないということを申し上げる。

 最後に一問、大臣に率直にお聞きしたいのが、現時点でもう二十一・五兆円という原発事故コストの問題なんです。

 こういう巨額の原発事故コストが発生している、そういう原子力の事業について、というよりも、原子力事業といくとあれなのかもしれないけれども、この二十一・五兆円の原発事故コストの重みといいますかについて、率直に大臣としてどのように受けとめておられますか。

山本(公)国務大臣 原子力発電のことにつきましては、環境大臣として、独立性の高い第三条委員会である規制委員会が環境省の外局として存在をいたしておりますので、原子力発電等々についての予断を与えるような発言は差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 率直に、二十一・五兆円というコスト、これをどういうふうに受けとめているのかというのはぜひお聞きしたいんですけれども、改めていかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 決して安いものではないと思っております。

塩川委員 私は、一度事故を起こせばこれだけの多大な被害をこうむるというのが今の原子力事業だということを出発点に、施策の見直しを図るべきだと思います。

 一つは、この負担の問題についても、東電の責任、東電の経営責任、株主責任、メガバンクなどの貸し手責任、ステークホルダーの責任を厳しく問う。私は、率直に、東電を破綻処理すべきだと思いますけれども、こういった責任ある対応を行うということと同時に、それで賄い切れないような大きな被害になっているわけですから、国費を入れるということであれば、国のエネルギー政策への責任が問われているんですよ。

 安全神話を振りまいてきた、原発を推進してきた、そういうエネルギー政策を転換する。省エネを大きく進めて、再生可能エネルギーを急速に普及する、そういうエネルギー政策への根本的な転換を国が行うということがその責任を果たすことだ。このことを求めて、質問を終わります。

平委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょう、同僚の委員の皆様にちょっと御理解をいただきまして、ふだんは他委員会で活動しておりますが、こうして質問の時間を頂戴いたしました。

 所信質疑ということですが、環境政策というと地球環境もあれば地域環境もあるわけですが、実は最近、世間をにぎわしているのは、何といっても、今、もちろん大臣が一番力を入れてこられているCOP、これも大事なんですが、マスコミで喧伝されている最近のテーマというと、豊洲とか。豊洲と言うといけないんだ、豊洲市場と言わないと、風評が豊洲地域に広がり過ぎるという議論があるわけですが。そういう地域環境政策ということを改めて今整理をしておきたいということで時間を頂戴いたしました。

 冒頭、地域環境政策における国と地方公共団体との関係についてちょっと御答弁をいただきたい、こう思っています。

 どういうことかというと、結局、今、豊洲市場の問題、実は、それぞれの法律で、例えば土壌汚染対策法が、今、土壌汚染、地下水が豊洲市場で問題になっていますが、これは自治事務ですから、豊洲市場自体は、だから、これは東京都が、小池都知事が取り扱っていらっしゃるわけですが、実は、それぞれの法律は体系があって、政府も一定の関与があるわけです。その点は大変複雑なので、きょう、質問の時間を三十分いただいていますので、冒頭、ちょっとその辺の解きほぐしから入らせていただきたいと思います。

 まず、ざくっと、地域環境政策における国と地方公共団体との関係というのはどういうふうに考えておいたらいいのか、御答弁いただければと思います。

比嘉大臣政務官 環境政策における国と地方公共団体の関係については、環境基本法第六条及び第七条において、国は、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を、地方公共団体は、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策をそれぞれ策定し、実施する責務とすると規定されております。

 個別の環境政策における国と地方団体との関係については、個別具体の法令等において規定されております。

足立委員 ありがとうございます。

 基本法の枠組みは大分抽象的で、わかったようなわからないような規定だと思います。私もそれを拝見して、今伺って、抽象的にはわかるんですが、実は、現場で起こっていることをさばくというか取り扱うに当たって、私個人的には参考に余りなりません。ついては、今政務官の方から御紹介がありましたように、個別の法律を見ていかなあかんわけです。

 ただ、個別の法律といったっていっぱいあるわけですから、何かそこに共通の規範というか、一般の方でもわかるような、何か国と地方の関係というものをもうちょっと理解できないかなということで、私は通告で、私が特に注目している法律は今二つあるんですということを一応事務方には申し上げています。

 一つは、豊洲市場で議論になっている土壌汚染対策法。それからもう一つは、実は私の地元大阪府の選挙区は三市二町ありまして、大阪府の一番北側の選挙区になるんですが、その北側の選挙区の中でも一番北側に豊能郡というところがあります。豊能町と能勢町、これは一時ダイオキシンで、何か、そのダイオキシンのごみを神戸に持っていったとか持っていっていないとかいうのでえらい全国ニュースになってしまって、私は、豊洲と豊能町、豊能と豊洲、名前が似ているからどうということはありませんが、実は両方とも風評に苦しめられているので、豊豊風評被害、こう勝手に言っているわけですが、その私の地元の豊能郡というところはまさに、いわゆる法律で言うと廃掃法、廃棄物処理法に係る取り扱いで、きょうも実は通告させていただいていて、時間があればそっちの方も行きたいと思います。

 土対法と廃掃法、これは両方見ると結構構成が似ている、特に国と地方との関係については似ているところがあると思います。この辺ちょっとどうなっているか、御紹介をいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 土壌汚染対策法についてまず御説明したいと思いますけれども、委員御指摘のとおり、土壌汚染対策法に基づく調査の命令でございますとか区域の指定等に係る事務は自治事務でございます。したがいまして、法令で定める基準等に基づきまして、地方公共団体の裁量のもとで実施をしていくということが基本になってございます。

 ただ、この法律の中で、一つ特別な規定がございます。これは、土壌汚染に起因する高濃度の地下水汚染が見つかった地域で地下水が実際に飲用に利用されている、なおかつ、汚染の除去等の措置が行われなければ健康被害が生ずる可能性が高いにもかかわらず、都道府県知事がこれを見過ごして調査の命令や区域の指定を行わない場合など、こういうことで、土壌汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するために緊急に必要があると認めるときには、土壌汚染対策法に第五十七条というのがございます、この五十七条の規定に基づきまして、都道府県知事等に対して国が必要な指示をすることができるということがございます。

 ただ、これまでにこのような規定を適用した事例はないということでございます。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 廃棄物処理法におきましても、先ほどの政務官からの答弁がございましたように、環境基本法ということでの国と地方との総括的な考え方のもとで、個別にということでの規定がございます。廃掃法十九条の五及び十九条の六には措置命令という形での都道府県の知事の規定がございますし、十九条の八には都道府県の代執行という規定もございます。

 これにつきましても、法的な位置づけとしては法定受託事務ということで整理されているものでございますが、この十九条の五、十九条の六、十九条の八の都道府県の事務につきまして、現在、廃棄物処理法二十一条の四で、環境大臣として必要な指示をすることができるという規定がございます。

 これについては、実は、複数の県にまたがって大量の不法投棄がなされる等の、都道府県単独での速やかな対処が期待しがたいような事態があるというようなことが、前々回、平成十六年の法改正のときに問題になりまして、このような国の責務のさらなる強化という観点から法改正ということで入れられた規定でございます。

 この規定につきましても具体的な指示適用事例はない、こういう状況でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに、今、両局から御紹介をいただきました。それぞれ、土対法、廃掃法、廃掃法は幾つか規定があるわけですが、少なくとも両方に共通するのは、環境大臣の指示という条項が明確に立っている、少なくとも今は立っている。ただ、両方ともその指示をしたことがないというわけですね。私は指示してほしいんですよ。

 してほしいというのは、はっきり言って、豊洲市場の問題は介入した方がいいと私は思います。また、私の地元も、これも大変、特に兵庫県も巻き込んでややこしいことになっていますから、これは本当に、もちろん地方自治で、特に日本維新の会、我々の党は、地域の自立、地域がしっかり自立して、自分でやっていくんだ、これを党是としていますから、地域のことは地域で解決できるにこしたことはないんですが、ただ、それが立ち行かないときに、少なくとも今、現行法には大臣の指示という規定があるわけですから、私はしっかり行使すべき事態があるのではないかということで、これから各論について質問させていただきますが、ちょっと現状を、要は、指示をしていないということは、指示をするような状況がないということを掌握しているということだと私は理解していますが、今もそれはないという理解でいいですか。

高橋政府参考人 先ほど御答弁しましたように、土対法の五十七条の指示をする場合については、高濃度の地下水汚染が見つかり、それが実際に地下水として飲用されている、そういうことで、この状態を放置すると健康被害が生ずる可能性が高い、そういうような状況の場合に指示をするということでございますので、豊洲を含めて、現時点でそういう状況が生じているということは把握をしておりません。

中井政府参考人 廃棄物処理法上の先ほどの大臣の指示の規定につきましては、先ほど御答弁させていただきましたように、平成十六年の法改正のときの経緯がございました。複数の県域にまたがるような、単独の都道府県知事での速やかな対処が難しいというような状況で、事案としては、特に、違法を覚悟で不当利益を得ることを目的とした悪質な事案があったというような状況の中で環境大臣の指示ということでの法改正がなされました。

 その制度の趣旨に鑑みますと、現在のところ、この法改正はさせていただきましたけれども、この規定に当たるような、指示に当たるような事案があるとは、今のところは把握してございません。

 引き続き、廃棄物処理法の適正な運用に努めてまいりたいと思っております。

足立委員 きょういただいている時間で、今から各論をやります。余り時間もないですが、最後にもう一度、きょう私が質問した内容について、これは現行法で解釈し得るかし得ないかまた御意見を伺いたいと思いますから、ちょっと御対応をいただきたいと思います。

 まず、豊洲ですけれども、これは、先日も私は本会議で、本会議あるいは昨年の十二月にも環境委員会で質問をさせていただいたり、あるいは本会議でも議論をさせていただいていますが、豊洲市場、我が党はこの間、党で人を募って豊洲市場を見てきました。大変厳しい操業、操業というか営業環境にありました。はっきり言って、これからも、築地、ごめんなさい、見てきたのは築地です。豊洲も行きましたけれども、豊洲は中を見せてもらえないということで外から見ましたが、築地は、もうカモメは飛んでいる、カラスは飛んでいる、猫、ネズミは走っている。屋根も全部破れているんですね。そこは修理しないんですかと言ったら、いや、修理しに上ることももう危なくてできないというような状況の中で、とても。一方で、では、現地再整備ができるかというと、それも今まで何度もトライしてきたけれどもできないということで、豊洲の議論になっている、豊洲市場をつくろうということになってきたという経緯があるわけです。

 その中で、きょうは、そういう意味では、ちょっと質問の順番を変えて、今築地の話をしましたので、築地についてちょっと一言。これも環境省でいいのかな。

 築地も実は、今、ぱっと視察に行ったときの雰囲気はお伝えしましたが、物の書類を読むと、昔、化学兵器の何か工場があったんだとか、あと、ちまたでよく言われているのは、被曝をしたマグロが埋められているんだとか、それも本当かどうかわかりませんが、いろいろな議論が喧伝されています。

 そういう築地市場の地歴を踏まえたときに、私は、これだけもめているんだから、東京都は築地の土壌汚染、築地市場の地下水、これをしっかり調査すべきだ、こう思って発言もしていますが、また、我が党は党としても、近いうちに意見をまとめて、提言として、国会というよりまずは小池都知事にこれを提示していきたい、こう思っているわけです。

 築地の土壌汚染調査、私は必要だと思いますが、御見解、環境省ですかね、ありますでしょうか。

高橋政府参考人 築地市場における土壌の汚染状況調査ということでございますけれども、築地市場と土壌汚染対策法の関係につきましては、これは東京都に一応経緯を確認いたしましたけれども、これは土対法上、三千平米以上の土地の改変をする場合には届け出が必要になって、必要があれば調査ということになるんですけれども、これについて、これらの経緯を確認したところ、築地市場における土地の形質の変更に伴う届け出については、これまで四件届け出があったということを聞いてございます。

 このうち三件については、東京都として土壌汚染状況調査の命令を出していない、調査の必要がないという判断をしておられる。また、残り一件については、まだ審査結果が出ていないという状況だというふうに聞いております。

足立委員 先ほどまさに御紹介をいただいたように、今の土対法は、最終的には大臣の指示ということで、土対法の五十七条に規定があるわけです。すなわち大臣は、環境相は、全国のそういう事態を相応に眺めながら、まさにこの法律が求めている指示を要するような事態、これが発生したらやはりちゃんと調査しろということが一応構成としてあります。

 この四回目の審査を今東京都がやっている、これはある種のチャンスです。四回目のこの機会に、移転の問題でこれだけもめているんだから、東京都は築地の地下水、土壌汚染の調査をすべきだと思うし、仮に東京都がこれをしないとなれば、環境大臣の指示をしてでもこれは調査させるのが、ひとり東京都のみならず国益に資する、こう私は確信をしていますが、どうでしょうか。

高橋政府参考人 築地市場にこの土対法の五十七条による環境大臣の指示をすべきかどうかということでございますけれども、先ほどもちょっと御答弁をいたしましたが、この第五十七条の環境大臣の指示につきましては、土壌汚染に起因する高濃度の地下水汚染が見つかっており、それが実際に飲用されているということで、放置すれば健康被害を生ずるおそれが、可能性が高い、このような極めて緊急の事態に対応したものでございまして、現時点において、築地市場においてそういう状況があるということは認識をしておりません。

足立委員 いや、認識をしていないというのは、要はわからないということで、調べたことがないんですよ、築地は。もしかしたら、これはまずい状況が発生している可能性は否定できないんじゃないですか。否定できますか。

高橋政府参考人 環境省として築地市場を直接調査したことはございませんけれども、これまでのさまざまな公開情報を含めて、そのような状況、つまり、緊急を要するような、健康被害を及ぼすような状況が生じているという情報はないというふうに考えております。

足立委員 余りこれをやっても、余りやるとまた、きょうは小沢先生から、品よくやれ、こう言われていますので、さっきから、何か足立さんきょうはぎこちないなと思われるかもしれませんが、厳しく党からの指導が入っていますので丁寧にやっているわけであります。

 でも、五十七条の規定、実は詳細を私もちゃんと読み込んでいませんが、五十七条一項には、緊急の必要云々という柱書きのもとに、「次に掲げる事務に関し必要な指示をすることができる。」一号から十号並んでいます。それで、私は結構これは広く読めるんじゃないかと思っていますが、本当に、今の築地の事態あるいは豊洲の事態について、環境省が法律上動けないのであるということであれば、私はこの規定は改正した方がいいと思うんですよ。

 なぜかといえば、本当にこの築地と豊洲の問題というのは、東京都だけの問題じゃないんです。地域環境政策をめぐる風評被害、これは本当に、私の地元も、日本じゅうでこういう問題はあるんです。何で地域環境をめぐる問題が重要な問題になるかというと、すぐに、政治闘争、党利党略とは言いませんが、そういうものに使われがちなんです。

 私の地元でも、ダイオキシンをめぐってえらい騒ぎになりました。昨年の秋に町長選挙が両町ともありました。両方とも新しい町長が誕生しました。新しい町長は何を言って選挙して勝ったかというと、ダイオキシンを完全無害化します、完全無害化、この漢字の五文字がチラシに躍る選挙になるわけですよ。そりゃ住民の皆様は完全無害化がいいに決まっていますよ。でも、そんなことはできないんです。それは、何百億円かければいいですよ。でも、普通の町の財政でそんなことできるわけない。だから、今、新しい町長は膠着していますよ、では、どうしたらいいのかと。でも、選挙では完全無害化と言うんですよ。

 私が応援していた町長が、現職でしたが、真面目だから、それは無理ですと。既に今、コンクリート固化といって、そういう廃掃法に基づく処理をしているから安全なんです、このまま埋めさせてくださいと選挙をやったんです。絶対勝てませんよ。政治家が、そういう環境政策をめぐる、ありもしない、何というか、いわゆるゼロリスク論といいますけれども、必ず有権者は飛びつく。飛びつくと言ったら失礼ですけれども、そういう政局に利用されるんです。

 だから、土対法であれ廃掃法であれ、地域で、要すれば、安心と安全というのがあります、卸売市場法に。これは農水省ですけれども、卸売市場法の指針みたいなものにもその両方の字が出てきます。安心って何なんだというと、誰も答えられないです。私の理解では、安全について正確に情報提供すれば安心がもたらされる、安全について適切なリスクコミュニケーションを講じれば安心に結びつく。

 ところが、私は、小池さんはやっていないと思いますよ。小池都知事は一切やっていません。そういう本来あるべきリスクコミュニケーションをやっていないんですよ。早くやったらいいんですよ。だから、そういう適切なリスクコミュニケーションをしない場合、していないと認められる場合は、環境大臣が指示をしてやれと言える、こういう法律にしませんか、皆さん。

 我々日本維新の会は、卸売市場法の改正案を出します。ちょうど今も、私、卸売市場法にそういうリスクコミュニケーションの必要性、特に食の安全にかかわる卸売市場については、日本じゅうにマーケット、市場がありますから、卸売市場法にそういう規定を設けようかなと思って、実は法制局と立案しているんですが。

 今、この場で質問しながら思ったんですけれども、土対法も変えた方がいいですね。さっきから、いや、できません、だって、深刻な健康被害は知りませんと。しかし、安心と安全をめぐる風評被害の方がもっと深刻ですよ、都民にとっては、国民にとっては。だって、健康被害は目に見えるんだから。風評被害は目に見えません。

 だから、私たちは、日本維新の会は、小池さんがちゃんとやらないんだったら、徹底的に政策提言していきますよ。僕も選挙区が大阪だから、何で大阪の人が東京に口出しするんだといってえらいネットでも非難されていますが、国益ですから。

 十二月にこの環境委員会で質疑させていただいたときに、私、御答弁いただきました。豊洲市場をつくるために、汚染された土地を豊洲からたくさん運び出しているんですよ。日本じゅうで一年間に発生するぐらいの汚染土壌が豊洲から運び出されて、どこかの市町村に積んであるんですよ。

 だから、私は、風評をベースとした過度な対策を特定の地方公共団体がその財政力を背景に講じることは国益に反する、こう思っているので、私は国会議員ですから、国会議員としてしっかりとその辺、法整備も含めて、近いうちに法律の提案をしていきたいと思っています。

 せっかくだから、もう一つだけ、豊洲について。

 今、築地の話をしました。築地は汚染されているかどうか、実はわからないんです。一回調べたらいいと私は言っているんです。

 ところが、豊洲は、ちょっと時間がないのでこちらから申し上げると、形質変更時要届出区域というのに指定されています。ここに指定されているということは、健康被害をもたらすような土壌ではない。もし健康被害をもたらすような土壌だったら、要措置区域になるはずなんです。

 形質変更時要届出区域に指定されているということはどういうことを意味するのか、ちょっと端的にお答えください。

高橋政府参考人 形質変更時要届出区域でございますけれども、これは、法律に基づきまして土壌を調査した結果、汚染が見つかった、汚染はあるのでございますけれども、汚染の摂取経路がない。具体的には、地下水を飲んでいないとか、子供が土を直接摂取したりしない、こういう汚染経路がない場合には、直ちに汚染の除去等の措置を講ずる必要がない土地として、形質変更時要届出区域に指定されるということになっております。

足立委員 だから、豊洲市場として使う限りにおいて、食の安全は、まさに土壌汚染あるいは地下水の水質という観点では、豊洲市場を建設して運用していくに当たって健康の問題が起こる可能性はない、安全であると言えますね。

高橋政府参考人 豊洲新市場の土壌汚染対策の安全性につきましては、東京都において、専門家による科学的な検証等を実施し、適切に対処しようとされているところでございますので、環境省としては、引き続き、東京都の対応を注視してまいりたいと考えております。

足立委員 いやいや、それは違うでしょう。承知しているんでしょう。今、豊洲市場は、土壌汚染対策、土対法という観点からいえば安全である、それは言えないんですか。

高橋政府参考人 繰り返しになりますけれども、新市場の安全性については、東京都において、専門家による科学的な検証あるいは再調査等をされておりますので、私どもとしてはその結果をしっかり見てまいりたいというふうに考えております。

足立委員 いやいや、総務委員会で同じ質問をさせていただいて、一回これは終わっている話なんだけれども、何か問題が起こりましたか、その後。

高橋政府参考人 総務委員会での質疑は私も拝見しましたけれども、土壌対策法における必要な手続、具体的には、形質変更時要届出区域において工事を行う場合には届け出が必要だ、そういう必要な手続は踏んでいるということは答弁させていただいたというふうに考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、実はきょう、この後、総務委員会で全く同じ問いを通告していますので、また再び総務委員会でお会いすることを申し上げて、またそこで質問を続けさせていただく旨を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 環境の基本施策に関する件、大臣所信についての質問ですが、きょうは大臣には、最後に感想という形で少しまとめの所見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 先日、大臣が述べられた中で、現在及び将来の世代が良好な環境の中で健康に暮らす、そのための安心、安全の基盤を確保するための取り組みは、環境省の原点であります、さまざまに存在する環境リスクの低減に向け、しっかりと取り組みを進めますという、この所信表明の資料の六ページには中ほどにそうやって書いてありますし、もちろん大臣は、御自身のまとめの中で、きのうよりきょう、きょうよりあす、未来に豊かな環境をしっかりと引き継げるよう、そして将来、子供や孫たち世代に、我々が頑張ったから今の豊かな環境があるんだと思ってもらえるよう全力を尽くしてまいりますという言葉、本当に非常に私は感銘を受ける大臣の思いであります。

 ですから、党の違いはあっても、同じ日本国民という観点から、全国におけるさまざまな、特に環境省所管の課題には全力で取り組んでいただくことを改めてお願い申し上げる次第でございます。

 その上で、きょうは、この大臣所信にあります中から二点、確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、使用済み小型家電からのリサイクルメダルの取り組みについてでございます。

 これまでにも、使用済みの小型家電のリサイクルについては、例えば、「廃棄物・リサイクル分野の地球温暖化対策の提言」ということで、平成二十八年十一月には日本廃棄物団体連合会からもさまざまな御提言をいただいております。その中でも、現在の問題についてしっかりと捉えられておりますが、この使用済み小型家電からのリサイクルメダル、非常に画期的な、国民が注目をする取り組みになるのではないかなと思います。

 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、二〇一七年、ことしの四月から始めるということで、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を発表しています。プロジェクトを推進するため、株式会社NTTドコモ、一般財団法人日本環境衛生センター、東京都、そして環境省と一体となって取り組んでまいりますというふうに紹介しておりますので、そのことについてお伺いしたいと思います。

 まず、このリサイクルメダルの取り組みに関するこれまでの経緯並びに環境省としての所掌、それから、平成二十九年度では、ではどのぐらいの予算を計上するのかということについてお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 小型家電リサイクル法の施行を所管しております環境省におきましては、これまで、組織委員会に対しましてリサイクルメダルの作製を提案してきた自治体などのいろいろな御相談がありました。そういう御相談に対しまして、必要なデータや技術的知見の提供などをこれまでもずっと行ってきたところであります。

 そうした中で、今般、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の入賞メダルに、携帯電話やパソコンなどの小型家電から抽出されるリサイクル金属を活用する、こういうことの方針が組織委員会から出されまして、昨年十一月に協力事業者を選定するための企画提案の公募が行われました。そして、本年二月には、先ほど先生から御指摘がありました、NTTドコモのグループと小型家電の方のリサイクリンググループの二者についての協力事業者が選定されたということでございます。

 環境省といたしましては、小型家電リサイクル法の趣旨を大きく広げるための大変重要な企画である、テーマであると考えておりまして、力強く推進していきたいと考えております。

 具体的には、予算といたしましては、平成二十九年度予算におきましては、小型家電リサイクルの推進関連事業費といたしまして約一億三千万円ございます、これの内数、今回二月に決まったということでございますので、まずはこれを活用して、市町村の回収体制の構築支援、小型家電リサイクル制度の効果的な広報に努めてまいりたいと思っておりますので、この要求について、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 このオリンピックのメダルは、IOC、国際オリンピック委員会により規定されています。直径が七十ミリから百二十ミリ、七センチから十二センチですね。厚さが三ミリから十ミリ、重さが五百グラムから八百グラムというふうに、そのほか規定があるんです。

 日本の組織委員会のQアンドAがホームページに載っております。そのホームページを見ますと、オリンピック・パラリンピック合わせて、金、銀、銅、合わせて約五千個のメダルを製造する予定だというふうに具体的な計画が載っています。

 では、この回収する家電品からの金属総量の必要量及び予想などがあれば御説明いただきたいと思います。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 組織委員会の公表した資料によりますと、メダル製作に最低限必要な金属量は、製造時の歩どまりも考慮すると、金は約四十キログラム、銀は約四千九百キログラム、銅は約三千キログラムとなっております。

 一方、平成二十七年度に小型家電リサイクル法に基づく認定事業者によって再資源化されました金属量は、金が約二百キログラム、銀が約二千六百キログラム、銅が約千五百トンとなってございます。

 このため、単純計算いたしますと、金は数カ月、銀は二年以内、銅は一日でメダルの製作に必要な量を回収できると推計されるところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 やはりレアメタルは、採取における人的健康被害、環境への悪影響が世界的な問題です。こういうところから、レアメタル、使用済み小型家電からのリサイクルは、世界に対して非常に有益なメッセージになるのではないかと思うんですね。

 しかし、他方、金属以外の部品に関するリサイクルと廃棄などについても一部懸念があると思いますが、その計画についてお聞かせください。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十七年度に小型家電リサイクル法に基づく認定事業者が回収いたしました小型家電は約五万七千トンでございます。そこから回収された金属は約三万トンとなってございます。

 金属以外といたしましては、リサイクルされたプラスチックが約二千六百トン、熱回収されましたプラスチックが約一万四千トンとなってございます。

 今後も、認定事業者の処理、選別技術の向上を図り、回収された小型家電が資源として最大限リサイクルできるよう支援してまいりたいと思います。

玉城委員 では、この問題、最後に一点お伺いいたします。

 国民参画の意識づくりに関する体制等について、どのような取り組みを進められますでしょうか。

伊藤副大臣 玉城委員にお答えを申し上げたいと思います。

 今回のリサイクルメダルのプロジェクトは、国民の小型家電リサイクル制度への気づきと参加を促す上で、委員御指摘のとおり、画期的な、国民の注目する取り組みとしてまいりたいと思っております。すなわち、北海道から南は沖縄まで、全国民の参加のもとにこのメダルをつくり上げていくという大切なプロジェクトでございます。

 実は、平成二十四年の四月から小型家電リサイクル制度を推進してまいりましたけれども、今回のプロジェクトでは、金銀銅のメダルという明確なゴールがあるがために、小型家電リサイクル法の意義ですとかその目標を国民の皆様とともに共有することができる絶好の機会だと環境省としてもとっております。

 この取り組みの成功が大会後もレガシーとして循環型社会の構築に大きく寄与してまいるように、私どもといたしましては、これから、指定事業者の皆様方、関係自治体と連携をして、認定事業者との連絡会も活用しながらやってまいりたいと思いますが、ここで大事なことは、どう伝えていくかということでございます。例えば、自治体あるいは学校、団体、そうしたところの皆様方に広く参加を呼びかけていくために、これから、関係省庁との会議も含めて、ずっと広く国民の皆様方に参加をしていただける広報をやり続けてまいりたい、こう考えております。

 今年度は、小学校の授業で活用できる資料や授業の映像を盛り込んだDVDを希望する市町村に対して配布してまいろうと思いますが、ぜひ大勢の皆様方に御支援をいただきまして、実は、二月の一日にこれを記者発表いたしましたときに、既にオリンピアンの皆様方から、この国民の総意のメダルを獲得したいというメッセージをいただいたところでございます。

 ぜひ頑張ってまいりたいと思いますので、また御支援と御声援をよろしくお願い申し上げます。

玉城委員 ありがとうございました。

 その折には、我が家にも家族分を含めて十個近くの携帯が眠っておりますので、貴重に活用させていただければうれしいかなと思います。

 では、もう一つの質問ですが、エコチル調査について質問させていただきます。

 エコロジーとチルドレンを合わせてエコチルというふうに表現いたします、二〇一〇年度から始めた大規模なプロジェクトですが、このエコチル調査についての目的、経緯及び現況、それから平成二十九年度の計上予算などについて、まずお聞かせください。

関副大臣 エコチル調査でございますが、環境中の化学物質が子供の健康に与える影響を明らかにすることを目的としまして、平成二十二年度から開始されました疫学調査でございます。平成二十九年度予算案では、約四十五億円を計上いたしておるところでございます。

 平成二十三年一月から平成二十六年三月までの約三年間ですが、その三年間で全国十五地域を参加登録していただきまして、約十万組の親子から、母体血、臍帯血、母乳等を採取させていただきまして、保存、分析をいたします。さらに、子供が十三歳になるまで、質問票による追跡調査を行うことといたしております。十万組のうち五千組におきましては、より詳しく調べようということで、採血や家庭訪問による化学物質の調査も行っておるところでございます。

 また、その調査結果を、子供の健康状態や生活環境等について基礎的データを分析して、論文や一般向けのシンポジウム等で発表していって、今後もこの調査を着実に進めてまいりたい、そういうように思っております。

玉城委員 私も、昨日、環境省の担当の方からレクをいただきながら、資料を頂戴いたしました。非常にわかりやすくまとめられている「エコチル調査」というパンフレットも頂戴いたしました。この中にもその内容や取り組みについて書いてありますが、全国十五の地域で進行中です。

 全国十五ユニットセンターを指定する根拠や目的などについて、御説明をお願いしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 エコチル調査に当たっては、質の高い調査を継続的に行うとともに、可能な限り日本全国から幅広くデータを収集するため、地域単位で参加者の募集や調査の実施等を行うユニットセンターを公募いたしました。

 平成二十一年度に公募を行ったところ、二十六カ所から応募があり、審査委員会において、実施計画や地域バランスを考慮して、十五カ所を選定したという経緯でございます。

玉城委員 この十五カ所は北海道から沖縄、沖縄は宮古島市になっておりますが、それぞれの地域によって地域の環境が変わると思います。

 このエコチル調査のメーンは、環境要因、特に胎児期から小児期にかけての化学物質などへの暴露が子供の健康に与えている影響を解明するということですが、地域間においても、いわゆる化学物質が空間的、数値的に存在しているという環境はそれぞれの地域で違うと思います。地域における環境要因の違い、差異と調査目的との関連性について、御説明を伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、本調査は環境中の化学物質と子供の健康の関連について解明するということを目的としておりますので、まずは大規模な調査を一律に実施した上で、全国単位で解析するということが重要と認識しております。

 まずはこの考え方に沿った取り組みを進めた上で、将来的には、研究者の創意工夫として、各地域のデータを活用した解析により、地域における要因等が明らかになることもあり得ると考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 以上、質問させていただきましたが、過去に学び、今を読み、将来を見通す、この言葉は私の大好きなある政治家の言葉なんですが、常に我々がその立ち位置から見える全方位を見渡して将来設計を立てていくというのは非常に大切だと思います。

 山本大臣が視察された際に目にとまったという、地球は未来の子供たちからの預かり物という言葉も、まさに過去から未来までの、今、ちょうどそのポイントにいる私たちが何をすべきかということを示唆する大変すばらしい言葉だと思います。

 まとめとして、環境大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 玉城議員が環境問題に関心を持っていただいていることにまず御礼を申し上げたいと思います。

 きょう御質問いただいたリサイクルメダル等についても、これは私が非常に力を入れている事業でございまして、非常に、今、小型家電の回収率が悪いんです。一割ぐらいしか回収されておりません。十台あるそうですから、十機ぜひ回収に参加してもらいたいと思いますけれども、今回のオリンピックを契機に一つの弾みがつけばいいなという思いで、私はこの問題を、副大臣とも相談しながら、国民運動にしていきたいなというふうに思っております。

 エコチル調査につきましても、これは環境省としては非常に息の長い事業でございまして、評判もよろしゅうございます。息の長い事業ということは、やはり継続していくことに意味があるんだろうというふうに思っておりまして、ぜひ今後も続けていきたいなと思っております。

 いずれにしましても、環境行政というのは少しでも前に進んでいくということが大事、それと同時に、国民の理解がなかったらなかなか進んでいかないということも事実でございます。皆さん方もどうぞ、そういう意味において御協力を賜ればと思っております。

 ありがとうございました。

玉城委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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