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第9号 平成29年4月4日(火曜日)

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平成二十九年四月四日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    木村 弥生君

      小島 敏文君    助田 重義君

      田中 和徳君    比嘉奈津美君

      藤原  崇君    堀井  学君

      前川  恵君    菅  直人君

      田島 一成君    細野 豪志君

      松田 直久君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           田中 照久君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    大杉 武博君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官橋本泰宏君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、農林水産省大臣官房審議官大角亨君、農林水産省大臣官房審議官田中照久君、水産庁漁政部長大杉武博君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省総合環境政策局長奥主喜美君、環境省総合環境政策局環境保健部長梅田珠実君、環境省地球環境局長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長亀澤玲治君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 自由民主党の伊藤信太郎でございます。きょうは、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 あの東日本大震災から六年余がたったわけであります。復興にはいろいろな課題がありますけれども、その中で、放射性廃棄物による環境への汚染問題は非常に重要であるとともに、ある意味では復興のネックになっております。

 被災各県、この問題で大変苦慮し、自治体も大変な困難に直面しているわけでありますが、きょうは、宮城県における指定廃棄物処理問題の現状を山本環境大臣がどのように御認識なさっているか、まずお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 宮城県では、現在、約三千四百トンの指定廃棄物が県内約四十カ所に保管されている状況でございます。

 指定廃棄物については、災害等のリスクの観点から県内一カ所に集約して安全に管理することが望ましいため、平成二十六年一月に三カ所の詳細調査候補地を御提示し、地元との意見交換を行ってまいりましたが、現時点で、詳細調査の実施について御理解をいただくまでに至っておりません。

 その後、県の御提案によりまして、まずは八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物の通常処理について優先的に協議しており、詳細調査候補地の調査は当面見合わせることといたしております。

伊藤(信)委員 宮城県でも大変な困難がありまして、平成二十七年十二月十三日に第八回の宮城県指定廃棄物処理促進市町村会議が行われたわけでありますが、この会議の中において、候補地となった栗原市、大和町、加美町の市長、町長から候補地白紙撤回の意思表示があり、詳細調査も拒否となったわけであります。

 このことを受けて、環境省として責任を持って解決すべく回答したいという発言が当時の井上環境副大臣からありましたが、これから一年余がたっておるわけです。その後、どのような進展になっているか、環境省からお答え願いたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年三月に県主催で開催されました第九回市町村会議におきまして、指定廃棄物の放射能濃度の再測定結果の報告にあわせまして、比較的放射能濃度が高い指定廃棄物につきましては、放射能濃度が八千ベクレル・パー・キログラム以下となるのに長時間を要することから、災害等のリスクの観点から県内一カ所に集約して安全に管理することが望ましいとし、また、自然減衰により八千ベクレル・パー・キログラムを下回ったものにつきましては、通常の処理方法で安全に処理することが可能であることから、指定解除の仕組みも活用しつつ、処理ができるものから順次進めることが望ましいとする環境省の考え方を御説明したところでございます。

 その後、同会議での議論を踏まえまして、宮城県から、八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物の処理を優先し、詳細調査は当面の間見送るべきであるとの御要望をいただいたことから、宮城県の御意向を尊重し、現在は現地調査を見合わせているところでございます。

伊藤(信)委員 今、八千ベクレルということが出てきたわけですけれども、なぜ、どのような根拠でこの八千ベクレルというところで線引きをしたのでしょうか。お答え願いたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 環境大臣が指定廃棄物として指定を行う八千ベクレル・パー・キログラムという基準は、この放射能濃度以下であれば、通常の廃棄物処理方法でも、周辺住民や作業員にとって安全に処理を行うことができるものとして策定した基準でございます。

 当該基準の策定に当たっては、周辺住民よりも影響を受けやすい作業員であっても、八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物であれば、その被曝線量は、原子力安全委員会が示した目安である年間一ミリシーベルトを下回ることを確認してございます。

伊藤(信)委員 それでは、宮城県において、八千ベクレル以下の放射能汚染廃棄物の処理の状況、現況はどのようになっていますでしょうか。

中井政府参考人 宮城県におきましては、指定廃棄物以外にも、八千ベクレル以下の汚染廃棄物が約三万六千トン保管されております。

 これにつきまして、昨年十一月の第十一回市町村会議におきまして、村井知事から、県内全ての自治体が協力して一斉に焼却処理すべく、まずは試験焼却を実施するとの御提案がありました。これを受けまして、県内市町村が開催する住民説明会に県及び環境省が参加し、焼却の必要性や安全性について御説明を重ねているところでございます。

伊藤(信)委員 平成二十八年十二月二十七日に第十二回の宮城県指定廃棄物等処理促進市町村会議で、いわゆる、今言及があった試験焼却に関して、参加の市町村長から厳しい意見が述べられました。全ての市町村において、住民から強い反対があり、なかなか理解が得られない、非常に苦労しているという現況が告げられたわけであります。

 会議の最後になりまして、村井宮城県知事がまとめているわけでありますけれども、市町村長の意見の大部分は試験焼却そのものはやってもよい、お一人が少し試験焼却以外の方法を探る時間が必要である、そしてお一人が試験焼却はやるべきでない、その三つに意見が分かれたわけであります。

 全市町村が参加したらやるという前提でありましたので、その前提は崩れたわけでありますが、これを受けて、環境省としてはどのような考えでこれから動いていくお考えでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月二十七日に開催されました第十二回市町村会議におきましては、一斉焼却に関する合意は先送りになったものの、市町村の大部分は焼却に協力するとのことでしたし、また、堆肥化やすき込みについては前向きに取り組むとの合意はなされたと伺っておりますので、一定の前進はあったと考えてございます。

 これを踏まえまして、今後、八千ベクレル・パー・キログラム以下の農林業系廃棄物の堆肥化やすき込みにつきまして、市町村から申請があれば支援させていただくこととしております。

 一方、宮城県内の廃棄物の全量が堆肥化やすき込みによって処理できない場合、焼却処分が最も安全かつ速やかな処理方法であると考えてございます。このため、引き続き、宮城県や関係市町村と協力して、焼却処理の実績や安全性について御説明させていただくこととしてございます。

伊藤(信)委員 山本環境大臣にお聞きしたいんですけれども、六年たった今、この問題は、ある意味ではもうデッドロックに乗っかっていると言っても私は過言ではないと思うんですね。ですから、やはり今後の放射性廃棄物の処理に関して、しっかりとした方向性を、見直しも含めて考えていくということが私は必要だと思います。

 二〇一一年八月三十日、当時の民主党政権下で制定された平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法と、それに基づき二十三年十一月十一日に閣議決定された基本方針、これは、やはり六年たって、今、放射能のレベルの自然減衰、あるいは科学技術における新しい知見、政治状況の変化、もろもろを考えれば、私はもう見直す時期に来ているのではないかなと思います。ここでやはり英知を集約して、より国民が、また地元住民が納得いく方法論を生み出して、コンセンサスを得て、新しいアプローチでこの大変困難な問題を解決すべきだと私は思います。

 そして、この問題は、何といっても、当該自治体といいますか、地元の自治体と住民の理解、信頼を得なければ決して解決できるわけではありません。したがいまして、被災地の民情を深く理解し、信頼を得なければ決して解決しないわけであります。

 被災地の民情を理解するために、やはり環境行政を行うトップリーダーたる山本環境大臣自身が現地に足しげく入り、現場を見て、自治体や住民と、この解決のために真摯に、膝詰めで話し合いを持つということが私は問題の解決のために必要だと考えますが、山本大臣のお考えはいかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 委員御指摘のとおり、この問題の解決のためには、地元の自治体、住民と丁寧に話し合っていく姿勢が重要であろうか、かように思っております。

 私の方も、就任以来、宮城の方にも訪れさせていただきまして、村井知事とも携帯で頻繁に連絡はとり合って、地元のお話も伺っております。それも含めまして、今御指摘のあったように、現時点においては私自身が地元と調整する状況ではございませんけれども、今後の状況に応じて、必要があれば検討いたしておきたいと思います。

 といいますのも、宮城県、私の宇和島市と姉妹都市が多いんです。仙台市もそうですし、大崎市もそうでございまして、姉妹都市が悩んでいるという状況でございますので、私の方も親身になってこの問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。

伊藤(信)委員 ありがとうございます。

 知事も市町村長も大変悩んでいるし、大変苦しんでいます。何よりも被災者、県民が困っていますので、ぜひ山本大臣の強いリーダーシップとそれに裏づけられた行動力を期待したいと思います。

 それから、次の話題に参りたいと思います。

 最近、地元で、特に農村地帯で懇談をしますと、この前、十人に話したら七人、何に一番困っているのと言ったら、鳥獣被害なんですね。本当に鳥獣被害というのは深刻なんです。都会の人は余りわからないかもしれませんけれども、例えば地元の大和町では、イノシシ被害が年間八十五件、ツキノワグマの目撃が九十七件も報告されています。隣の色麻町でも報告されているんですね。

 それで、もちろん畑や何かを荒らすんですけれども、同時に、最近、人に向かってくることもあるんですね。ですから、住民が大変恐怖を感じているとともに、農作物の、あるいは林業の被害というのが甚大なんですね。もちろん、この大和町、色麻町以外でも、日本じゅう、多くの自治体で、この問題は以前にも増して深刻度が増していると思います。

 大臣の鳥獣被害の現況認識、あるいは農水省、環境省の認識をお伺いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の野生鳥獣による農作物の被害額というのは、先生おっしゃったように非常に深刻な問題でございます。平成二十六年度、全国ベースで百九十一億三千万円から、二十七年度につきましては百七十六億五千万円に減少しているものの、被害金額は依然として高水準で推移しているという状況でございます。

 それから、宮城県におきます被害金額につきましては、平成二十六年度二億一千万円から、二十七年度におきましては一億四千万円と減少しております。しかしながら、五年前の平成二十二年度の被害額が六千二百万円であったことから見ると、倍以上になっているということで、非常に深刻な問題でございます。その大部分は、宮城県につきましては、やはり五割がイノシシによる被害という状況でございます。

 金額にあらわれる部分と別に、畑が荒らされてしまうと営農意欲を失って耕作しなくなってしまう、そういう場合には金額として被害額が出てきません。したがって、単純にちょっと減っているからといってうまくいっているというわけではございませんので、やはり、きっちり関係省庁と連携いたしまして、鳥獣被害対策についてしっかり取り組んでいかなきゃいけないというふうに認識しているところでございます。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、鳥獣被害の全国的な拡大を受けて、平成二十六年に鳥獣法を改正したところでございますが、そのときに、保護だけでなく管理の概念を加えました。その法律、改正法が二十七年五月より施行されておりまして、イノシシ等の鳥獣の捕獲強化を図っているところでございます。

 全国における捕獲数につきましては、改正鳥獣法の施行初年度である平成二十七年度の速報値で、イノシシが約五十五万頭、ニホンジカが約五十九万頭であり、ともに平成二十三年度比で一・四倍とふえております。

 また、委員の御地元である宮城県におけます捕獲数につきましては、同じく平成二十七年度の速報値で、イノシシが約五千頭、ニホンジカが約二千頭であり、それぞれ、平成二十三年度比で二・五倍、一・二倍とふえている状況でございます。

伊藤(信)委員 平成二十八年十二月二日施行の農水省管轄の鳥獣被害防止特措法と、当委員会に直接関係する、平成二十七年五月二十九日施行の環境省所管の鳥獣保護管理法は、この二つの法律、割合最近のものなんですけれども、整合性を持ってうまく機能しているんでしょうかね。本当に十年後までに鳥獣の加害群の数を半減するという目標は達成可能だと考えているんでしょうか。

 そのことも含めて、今後の鳥獣被害の対処方針について、農水省、環境省からお聞かせ願いたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 我々農水省におきましては、先ほど先生御指摘いただきました鳥獣被害に対する特別措置法に基づきまして、市町村が実施計画をつくって、市町村におきまして被害防止のための部隊を設置するということがその特別措置法で認められておりますので、それに基づきまして、市町村が主体となって鳥獣被害の防止をやっていく。その中身といいますのは、柵の設置等を行うとともに、もう一つは、やはり捕獲をやっていくということでございます。

 それとあわせて、農水省といたしましては、二十九年度予算でも九十五億円の都道府県に対する交付金の予算を計上させていただいているところでございます。

 こういうふうなものをフル活用するとともに、今度は、環境省さんの鳥獣保護管理法に基づく施策そのものは都道府県単位で行っていくものでございますので、一体となって鳥獣の駆除、捕獲を行いまして、何とか目的達成に向けて頑張っていきたいというふうに考えているところでございます。

亀澤政府参考人 環境省といたしましては、全国のイノシシとニホンジカの生息数を、十年後、平成三十五年度までに半減するという目標を農水省と共同で定めたところでありますが、この目標の達成に向けまして、平成二十七年五月に施行された鳥獣保護管理法におきまして、都道府県がイノシシやニホンジカの捕獲を行う指定管理鳥獣捕獲等事業が創設されたことを受けまして、交付金による、この事業による捕獲を支援しております。具体的には、多くの道府県で捕獲が進んでいない特に奥山や標高の高い地域での捕獲を支援しているところでございます。

 さらに、鳥獣捕獲対策を強化するためには、捕獲の担い手の育成、確保が極めて重要であることから、鳥獣保護管理法では、捕獲を安全かつ効果的に行うことのできる事業者を認定する制度が導入されました。現在までに、全国で百十団体、そのうち宮城県では三団体が認定されておりますが、徐々にその数もふえてきているところでございます。

 二十八年度からは、交付金で認定事業者の育成を支援する等、引き続き、捕獲の担い手の育成を図るとともに、イノシシやニホンジカの管理を図るためのより効果的な捕獲が行われるよう、農林水産省、都道府県と連携して取り組みを一層推進してまいりたいと思います。

伊藤(信)委員 ぜひ目標が達成できるようにしっかり進めていただきたいと思いますし、途中においてどうも達成できないというのであれば、法律、予算あるいは政策も含め、しっかり強化していくことが必要だろうと私は思います。

 次に、食品と放射性物質の関係についてお伺いしたいと思います。

 この問題は、国民の健康を守る上でも、被災地の農林水産業がしっかりと復興の上で復活していくためにも非常に大事であり、適正に定めることが非常に大事だと思います。

 厚労省にお聞きしたいわけですけれども、食品の放射性物質による健康影響への認識がどのようになっているか、現在決めている食品中の放射性物質の基準値の妥当性についてどのような認識を持っているか、お伺いしたいと思います。

北島政府参考人 お答えいたします。

 現行の食品中の放射性物質に関する基準値は、国際基準とされている年間線量一ミリシーベルトを踏まえるとともに、リスク評価を専門的に行う食品安全委員会による科学的な評価を受けて設定されております。

 具体的には、この一ミリシーベルトをもとに、放射性物質を含む食品の割合や、男女別、年代別の食品摂取量等を踏まえて、一般食品の基準値を一キログラム当たり百ベクレル以下と設定するなどしております。

 厚生労働省では、各地で流通する食品を購入して食品中の放射性セシウムを測定するマーケットバスケット調査を実施しております。平成二十八年二月から三月までに実施した調査結果によりますと、これらの食品を摂取した人が一年間に受ける線量は、基準値の設定根拠である年間上限線量一ミリシーベルトと比べて一%以下と推定され、極めて小さいことが確認されております。

 このため、市場に流通している食品を摂取することによる健康影響を懸念する必要はないものと考えております。

伊藤(信)委員 この問題は、非常に奥深く、大変重要な問題ですので、次回も引き続きお聞きしたいと思います。

 そこで、ちょっとケーススタディーなんですけれども、放射性物質といっても、自然のものと人為的なものがあるわけです。厚労省の話は今お配りした資料三のものでありますけれども、一方、食品安全委員会がつくった、通常の食品に含まれる放射性物質、カリウム40というのがあります。このカリウム40は、別に原発事故がなくても、干し昆布二千ベクレル・パー・キロ、魚にも百ベクレル・パー・キロ含まれております。厚労省が定めた食品中の放射性物質の基準では、セシウムに対しては百ベクレル・パー・キロでございます。

 カリウムとセシウムの違いとその整合性、また、ほかの放射性物質に関してはどのように認識され、基準が設けられているのか、よくわかりやすく説明していただきたいと思います。

北島政府参考人 食品には、原子力発電所の事故とは関係なく、もともとカリウム40やポロニウム210などの天然の放射性物質が含まれておりまして、通常の食生活により年間約一ミリシーベルトの内部被曝を受けておりますが、健康影響が懸念されるものではないとされております。

 したがいまして、我が国における食品の放射性物質の基準値につきましては、平成二十三年三月の原子力発電所の事故に対応して、天然の放射性物質によるもの以外に、さらに追加的に、食品より摂取するおそれのある放射性物質について設定しているものであり、国際基準の考え方とも合致をしております。

 この基準値は、最も影響が大きいと考えられる放射性セシウムを対象として設定しておりますが、ストロンチウム90、ルテニウム106等の、事故由来のほかの放射性物質についても考慮して設定しております。

伊藤(信)委員 ぜひこのことは国民にわかりやすく説明する努力を、厚労省としても、あるいは環境省としても、農水省としてもしていただきたいと思います。

 それで、この放射能のこともあって、原発事故に伴って、諸外国あるいは地域が、日本の農林水産物、とりわけ水産物ですね、多く輸入規制しているわけですけれども、この全体について、農水省からお伺いしたいと思います。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴いまして、諸外国・地域において、我が国産の農林水産物、食品に対し、放射性物質に関する輸入規制が設けられたところでございます。

 こうした輸入規制に対しまして、これまで政府一丸となって撤廃、緩和に向けて取り組みを進めてきた結果、昨年一年間で、インド、クウェート等の五カ国で日本産食品に対する規制が撤廃されるなど、規制を設けている国・地域の数は、事故後の五十四から三十三となっております。

 しかしながら、主要な輸出先でございます香港、台湾、中国、韓国におきましては、一定の産品に対する輸入停止措置等が続いている状況にございまして、農林水産物、食品の放射性物質の検査結果や海洋モニタリングデータ等を提供しつつ、二カ国間、あるいはWTOのSPS委員会の場等で、規制の撤廃、緩和を働きかけてきたところでございます。

 引き続き、あらゆる機会を捉えまして、科学的根拠に基づく輸入規制の撤廃、緩和が進むよう、粘り強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 宮城県でホヤというのを生産しているんですけれども、これは震災前、七〇%は韓国に輸出していたんですね。ところが、今、お話がありましたように、韓国では全面的に禁輸しておりますので、せっかく三年かけてようやくホヤが、去年、生産額がふえたんですけれども、つくった一万二千八百トンのうち七千八百トン、約六〇%を廃棄せざるを得なくなるという、本当に被災地の漁業者にとっては落胆という言葉ではあらわせないような状況なんですね。

 しかも、これはすごく皆さんが努力して、震災前は国内向けは二千トンだったんです、それを二・五倍にして五千トン、国内のほかの県の皆さん、ありがとうございます、消費していただいているんですけれども、やはり今まで七割輸出していたわけですから、それは補填できないんですね。

 ですから、これは一例ですけれども、ぜひ、こういう非科学的な理由によって輸入禁止、制限している国や地域に対して、国民のために、被災地のために、スピード感を持って解決していただきたいんですけれども、この件についてどういう方策があるのか、水産庁にお伺いしたいと思います。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 放射性物質関係の水産物に対する輸入規制に対してでございますが、水産物に対して規制を設けている国・地域の数、事故後の五十三から三十三まで減少しているわけでございますけれども、先ほど御紹介ありましたとおり、規制を維持している国・地域の中に、我が国水産物の主要な輸出先国である香港、中国、台湾そして韓国などが入っているわけでございます。

 こういった国・地域に対しては、引き続き、科学的な根拠に基づきまして、内閣官房の輸出規制等対応チームのもとで政府一体となりまして、輸入規制の撤廃、緩和を粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。

 特に、韓国に対してでございますが、宮城県産ホヤを含む日本産水産物などについて、一昨年九月に、我が国の要請に基づきましてWTO協定に基づくパネルが設置され、また、現在、パネルにおいて検討が行われておるところでございます。

伊藤(信)委員 ぜひ、復興を進めるためにも、スピード感を持って進めていただきたいと思います。

 話はかわりますけれども、この中にもたくさんいらっしゃると思うんですけれども、花粉症の方というのはふえていますよね。統計によると、都会においては三・五人に一人が花粉症になっている。

 近年、急速に花粉症というのは増加しているんですね。そんなにブタクサとか杉の木の花粉がふえているのかなと思うんですけれども、そうじゃない理由もあるという学説もあるんですね。

 林地というよりも、むしろ都会の方が多いんですね。そうすると、都会と林地の差というのは幾つかあるんですけれども、一つは、都会の方が大気汚染が進んでいるんですね。これは学説なので、認める人と認めない人がいると思うんですけれども、複合汚染という言葉もありますが、要するに、大気汚染と花粉がまじることによって花粉の中からさらに細かいミクロンのものが出て、それが肺の奥に入ってアレルギーを起こすという説もあります。それから、都会においては、土がないので、要するに花粉が舞うんですね。田舎は土があるので、そこで吸われますからという説もあります。

 いずれにいたしましても、花粉症と大気汚染、私は何らかの因果関係があるんだろうと思いますし、これからは国民病になっている危険性もあるんです。ですから、このことに対して現在どういう御見解か、まず厚労省にお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 空気中の汚染物質が花粉症へ何らかの影響を与えているのではないか、そういった指摘がございますし、また、大気中の汚染物質との相互作用が花粉アレルギー性を増悪させるという研究が見られるということも、私、承知いたしております。

 ただ、一般社団法人日本アレルギー学会が作成しておりますアレルギー総合ガイドライン二〇一六、これによりますと、大気汚染、栄養状態の改善、ストレス社会など多くの因子が関与すると推定されるが確証は得られていない、こういった形にされておりまして、花粉症と大気汚染の関連性について、現時点で明確なエビデンスが存在するという評価がなされているわけではございません。

 平成二十七年の十二月にアレルギー疾患対策基本法が施行されまして、二十九年三月二十一日、ことしの三月でございますが、この法に基づきましてアレルギー疾患対策基本指針というものが告示されております。

 この基本指針におきましては、一つは、アレルギー疾患の発症及び重症化の予防、診断並びに治療等に係る技術の向上その他の研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させること、また、国民が、アレルギー疾患に関し、科学的知見に基づく適切な医療に関する情報を入手できる体制を整備すること、こういったことが定められておりますので、厚生労働省といたしましては、この基本指針に基づきまして着実に対策を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 地球環境を守るためにプロアクティブにまた行動していくことを強くお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、松田直久君。

松田委員 民進党・無所属クラブの松田でございます。

 大臣には初めての質問でございまして、どうぞよろしくお願いをいたします。

 大臣は宇和島の御出身ということでございまして、私は三重県の津市在住なんですけれども、ここまで言うと、あっと思われるかわかりませんけれども、宇和島は以前、徳川十七将と言われた藤堂高虎公の最初の城を持ったところでございまして、豊臣から徳川にかわって我々の津の方へ城を構えたんですね。ですから、何か関係があるような感じで、また、今我々は、藤堂高虎公のNHKの大河ドラマ、何とかということで運動しているんですけれども、できたら大臣にも御協力をいただきたいというふうに思っております。

 この委員会に入れていただきまして二年と四カ月ぐらいたつんですけれども、まだまだ大臣の御経験からすれば私どものは浅いわけですけれども、この委員会に入れていただいてずっと質疑を聞かせていただく中で一番感じたことは、与野党ともやはり、環境省頑張れ、そういう何というか、委員の皆さん、先生方は、どちらかというと頑張れと応援をしてみえる。私は、そんな感じで答弁とか質疑を聞かせていただいているんです。その中には、やはり環境行政というのは、各府省、各般に分かれていろいろ分散していますので、いわば、ほかの省庁に負けるなよ、綱引きでも、環境省頑張れよ、引っ張り負けるなよというような、おおむねそういう気持ちで質問をされているんだろうと。

 ちょっと通告にはなかったんですけれども、きのう新しい職員が入省された。恐らくそこで、御挨拶のところでいろいろなお話をされたんだと思いますけれども、やはり私も、環境省は頑張ってほしいな、環境行政という形でリードしてほしいなという思いで、各省に引っ張り負けてはいただきたくないという思いを持っておる一人なんですけれども、ぜひともそういった意味も含めて、大臣、通告はしておりませんけれども、もし御所見があったら一言いただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 ありがとうございます。

 藤堂高虎公が宇和島城をおつくりになってありがたいんですけれども、大変巧妙に町づくりをされていらっしゃいまして、急に狭い道ができたり、急に広い道ができたり、今、車社会でございますので、城下町の名残は、非常に、車社会にとっては大変厳しい町づくりになっております。あと、そういう高虎公が最初におつくりになったのが宇和島城なんですけれども、最後は三重の方に行かれて、徳川家の、言ってみれば重臣になられるわけですけれども、そういう御縁があります。

 今、ありがたいお話をいただきました。環境省というのは大変若い役所でございまして、若い役所なるがゆえに、やはり苦労も多いというのが今までの歴史なんだろうと思っております。

 そういう中で、きのう入省式がありまして、三十人ほどの若い人たちが入ってまいりました。そこで私が申し上げた訓示の最後なんですけれども、環境省の職員になれば、まずは人や物に対する優しさを持て、それと、正義感を持てということを申しました。やはり環境省のよって立つアイデンティティーは、優しさとそれと正義感だと私は思っておりますので、ぜひこれからも応援をしていただきたいなと思います。

 ありがとうございました。

松田委員 やはり環境省をこれからリードしてもらうのは、若い職員さんがモチベーションを失わずに頑張っていただくように、また、上司の方もそれに気を使っていただきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 昨年、大臣就任後、委員会の挨拶で表明をされた、また、今国会でも所信表明をされた国立公園満喫プロジェクトにつきまして幾つか伺いたいと思います。

 まず初めに、国立公園の目的と役割は、次の世代も私たちと同じ感動を味わい楽しむことができるように、すぐれた自然を守り、後世に伝えていくところで、そのために、国が指定し、保護し、管理し、役割を担っていますという紹介をされております。

 また、国立公園、国定公園に関して定義をする自然公園法では、第一条に、「この法律は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする。」と定め、国立公園が国民のため、生物多様性確保のためであることがここからわかるわけであります。

 先月七日に、国内三十四番目で国立公園となりました奄美群島国立公園が誕生し、一つ日本が世界に誇る自然の宝がふえたということであります。

 そこで、我が国における国立公園について、大臣の大局的な見解やその未来像をまずお聞きしたいと思います。

山本(公)国務大臣 日本の三十四の国立公園は、さまざまな形態があります。ただ、一点共通して言えることは、日本の国立公園というのは、その国立公園内に人々の暮らしがあるということだろうと思っているんです。それはまた非常にいいことだろうと思っておりまして、人間と自然との共生を、まさにいい姿を保ち続けているのが日本の国立公園であろうというふうに思っております。

 もちろん、今回、満喫プロジェクトはやるんですけれども、一番大事なことは、やはり国立公園の自然環境を保全していくという、自然環境を壊してまで何かをやるということは、これはまさに本末転倒ということになってまいりますので、一義的には、国立公園、自然環境を保全していくということに注力をしていきたいなと思っております。

松田委員 おっしゃるとおりで、自然を守りつつということも、私もおっしゃるとおりだ、こう思っています。

 それでは、国立公園満喫プロジェクトについて続けて質問をさせていただきたいと思います。

 これを実施していく上で、大臣は、二〇二〇年には一千万人の訪日外国人の方々に日本の自然に親しんでいただくことを目指すと言われました。このことは、さきに述べました国立公園の本来の目的と役割に合致したプロジェクトに当たるのかどうか。政府によるインバウンド市場の創造、開拓策の一環とは理解はできますけれども、訪日される外国人の前に、まず、現在、日本国民が国立公園を実際に満喫しているのか。国民の人に親しんでもらっているのか。

 我が国における国立公園は、戦前から八十年以上の歴史があり、その間に国民のライフスタイルは当然、いろいろ変わってきたわけですね。劇的に変化をしてきた。国立公園に対する国民の認識や評価も時代とともに大きく変わってきたんだろうというふうに思います。

 さらに、国立公園内に多くの私有地、今、大臣も少し言われましたけれども、二五%が私有地だと。国立公園内に住んでいる人もたくさんいる。そこには農林水産業を初めとする地域産業の営みがある。今回の満喫プロジェクトの一環として先進的モデルに指定された八カ所の国立公園においても例外はない。

 そこで、これまでプロジェクトの有識者会議でさまざまな議論がされたとは承知をしておりますけれども、改めて、国立公園満喫プロジェクトの実施の目的とそれに伴うべき国民の意義、さらに、今回、モデル指定をされた国立公園内に住んでいる人、そこで産業を営んでいる人、そして、その地域全体に直接どのような恩恵や、もしくは影響があると想定をしているのか、御所見があればいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 八つの公園を選んだわけでございますけれども、それぞれが特色がございます。私の近くでいきますと、例えば九州の阿蘇くじゅうの世界は、まさに阿蘇山の近辺、近くまで人々の暮らしがあるというところでございますし、先生の伊勢志摩あたりになると、まさに伊勢神宮と一体となった、いわゆる、日本人がたくさん行く公園であります。そういういろいろな、さまざまな公園の中で、自然を楽しむ公園もあっていいんだろう。

 ついこの間、沖縄のやんばるの新しい国立公園へ行ってまいりましたけれども、やんばるなんかはやはり観光地のイメージじゃないんです。いかにも国立公園、自然公園なんです、原生林がそのまま残っていて。そういうところは大事にしていきたいと思うし、比嘉先生、いらっしゃるけれども、あそこを私は観光地化はしようとは思わないんです。やはりああいう自然は残して、こういうところも日本にはあるんだと。

 例えば、やんばるの国立公園で聞きましたのは、ロンドンから、たった一匹の鳥を見るために百万円かけて来るというんです。ノグチゲラを見るためだけに百万円かけてロンドンから来たんですという外国人が来たそうです。

 だから、そういうところを目指してくる外国人もいれば、富士箱根のようなところに来られる外国人もいる。いろいろな方があろうと思うんですけれども、さまざまな型の国立公園の中で、それぞれの地域に合った、特色のある、今回、いろいろなプロジェクトをつくり上げていきたいなというふうに思っているんです。

松田委員 まさしく、大臣が言われたことに私も非常にそのとおりだ、こう思うんです。

 ただ、「国立公園満喫プロジェクト 世界水準の「ナショナルパーク」を実現するために」、これはちょっと、いただいた説明文なんですけれども、これを読んでいますと、どうも大臣の言われたこととやろうとされることに少しすき間があるんじゃないかなというような気がするんです。

 この言葉を全部、言葉尻を捉えてという気持ちも全然ないんですけれども、これは大臣にお聞きするというよりも、どなたかにお尋ねをしたいと思いますけれども、この「世界水準の「ナショナルパーク」に向けた」という項目がありますけれども、世界水準というのは一体どういうことが世界水準なのか、教えていただきたい。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 世界じゅうの方々にとって、ナショナルパークというのはそれなりのブランド力があるというふうに考えております。

 そういう意味で、世界の国々の方々が訪れたいと思っていただけるような、そういう国立公園、日本の国立公園にしたいという意味でのナショナルパークという言葉の使い方をしております。

松田委員 抽象的でよくわからないんですよ。

 では、海外のこういうところを日本の国立公園に適用してとか、考え方を入れてとか、そういうことではないんですか。

亀澤政府参考人 例えばでございますが、アメリカの国立公園の場合は、土地所有も国立公園当局が一元的に持っております。

 それに比べますと、日本の場合は、私有地が二五%あったりというような形で、土地所有はそのままに指定をしておりまして、その中に人々の暮らしがある、なりわいがあるということで、日本らしい国立公園、アメリカとはまた違う国立公園らしさが日本にはあると思っております。

松田委員 私も海外の国立公園は幾つか自分で歩いたこともあるんですけれども、日本らしい、四季とか、日本にしかないようなものをやはり海外の方が来られて楽しんでもらう。もちろん、日本の国民の皆さんというんでしょうか、その人たちが満喫をしていただいて、その上にインバウンドの方々というか海外の方に喜んでもらうという、ベースはやはり国民なんだということは今大臣もおっしゃっていただきました。

 その中で、自然が大切だ、自然を壊したくないということなんですけれども、ナショナルパークに向けたこの方向性の中で、「質の高いホテル誘致」というところに、ここに、「未開発の地域における公園利用計画上の宿舎の追加。」「大手ディベロッパーに個別に要請。」こうあるんです。

 未開発の地域における、いわゆる宿舎をつくるということはどういうふうに捉えたらいいんでしょうか。未開発をまた開発するということなんでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 質の高いホテルにつきましては、小規模であっても自然の中に溶け込むようなホテル、そういうようなイメージも持っておりまして、そういう意味では、大規模に新たなところを開発するというようなイメージは持っておりません。

 そういう点では、かつて開発はされたけれども、その後撤去をされて、その後利用されていないような土地、そういうものを優先的にそういう場所として提供できるようにしていきたいというふうに考えております。

松田委員 未開発のところへ、わざわざそれをやらなあかんのかな。自然を壊すということにつながっていくんじゃないでしょうか。今の大臣のおっしゃられたことと、僕はすごく違う方向といいますか、乖離していると思いますよ、考え方が。

 また、「大手ディベロッパーに個別に要請。」というのは、大手ディベロッパーだけしかだめなんですかね。地元の方々にもいろいろ考え方があると思うんですけれども。

 また、例えば、この「ビジターセンター等公共施設の民間開放」で、「大手カフェ事業者の要望を聴取。地元事業者も含め」、地元業者も公募してもかまへんよというようなことだと思うんですけれども、あえてこの「大手カフェ事業者の」というふうに書いていただいていますけれども、これは少し、どういう意味かというか、考え方を御説明いただけませんかね。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 大手ディベロッパーにお話をお聞きしたのは、そういうところに対して募集をするということではなくて、大手ディベロッパーにおけるこれまでの経験、海外における経験ですとか国内における経験、そういうものをお聞きしたということでございます。

 それから、カフェ事業者に関しましても、これまでの事業者による経験、料金の中から地元の協議会への協力金を出しているというようなカフェ事業者もいらっしゃいますので、そういう事業者のこれまでの経験をお聞きしたということでありまして、今後、国立公園の中でプロジェクトを進めるに当たりましては、地元の若手の事業者とか、そういう方々も含めまして、広くオープンな形で公募をしていきたいというふうに思っております。

松田委員 ようわかりませんが、海外の成功例を挙げてというか、日本らしい、日本の国立公園というか、特色を生かしてということですから、少なくても、日本の中のいろいろな方に相談するとか、余り大手に僕はこだわる必要は実はないと思いますけれども。

 ちょっと、後で、伊勢志摩の方では人口の推計なんかで質問をさせてもらいますけれども、一つだけ、この伊勢のプロジェクトを見ますと、地域住民が国立公園に住んでいることに意義と誇りを持つというところがあるんですね。

 僕は、これを見ていますと、どう考えても、インバウンドで、ホテルをつくって、大手カフェをつくって、バスが連なって、海外から来た人がバスで何台も行って、たくさん見てもらって帰る、そういうイメージしか、実は、想像力が薄いからできないのかわかりませんが、そういうように僕はこれを見て読み取れるんですけれども、やはりそんなことでは、住んでいることに意義と誇りを持ってという、これはなかなかつながっていかないというふうに思うんですが、御所見があったら、どうぞ。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 伊勢志摩国立公園は、我が国三十四の国立公園の中でも特に民有地が多いところでありまして、九五%ほどが民有地の国立公園でございます。

 そういう意味で、民間の方々の暮らし、あるいは農林水産業とかというなりわい、そういうのが濃密にあるところであるというふうに考えておりまして、伊勢志摩国立公園を訪れる方々には、そういう地元の暮らし、あるいはその食文化とか祭りとか、そういうものを特に体感をしていただきたい、そのために、できる限り長期に滞在をしていただきたいな、そういうような感じでおります。

松田委員 それぞれの国立公園の方々に誇りを持っていただきたい、こう思いますので、よろしくお願いします。

 次に、基本的で細かい質問になりますけれども、大臣が所信の中で、二〇一六年には、推計約五百四十六万人の訪日外国人が国立公園を訪れたと言われました。この数字の推計方法、どうやってしてこれを計算されたのか、推計方法をお伺いしたいと思います。

 そして、環境省が自然保護各種データとして公表している数値の中で、平成二十六年当時、全国三十一カ所の国立公園の利用者が合計三億五千二百十八万人となっています。私の地元の伊勢志摩に関して言えば八百八十七万人。

 参考に、伊勢市が発表しているデータの中で、伊勢志摩国立公園内に鎮座する伊勢神宮、つまり、内宮、外宮の参拝者を見てみると、平成二十六年は、両宮合わせて一千八十六万五千百六十人。その内訳は、内宮が約六百八十万人、外宮が四百五万人となっています。

 一体、国立公園の利用者数は、伊勢志摩の八百八十七万人を初め、これまでどのようにカウントをしているか、教えてください。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 五百四十六万人の推計方法につきましては、観光庁で、出国する訪日外国人に空港等で対面調査を行う訪日外国人消費動向調査をしておりまして、その結果を活用して環境省で推計したものでございます。

 具体的には、訪日外国人消費動向調査において主な訪問地を問う設問があり、その中から国立公園内の選択肢を抽出します。例えば、伊勢志摩国立公園でありますと、伊勢志摩と鳥羽という二カ所がそれに該当することになります。

 そのようにして、全体の回答数のうち国立公園内の選択肢を訪れたと回答した人の割合を国立公園ごとに訪問率として算出し、その訪問率を日本政府観光局が発表している訪日外客数の総数に乗じて国立公園ごとに出した訪日外国人利用者数について、一人の人が複数の国立公園を訪れたような、そういう重複する場合を排除した上で、全国分の合計を算出したのが五百四十六万人でございます。

 それと、三億人といったような、かつて国立公園の利用者数として発表していた数字につきましては、環境省として推計をしたというよりは、それぞれ地元の観光協会等で出した数字を合算したものでありまして、その算出の仕方につきましては、駐車場の台数をサンプル的にカウントして、それに乗っている人数を、バスなら何人とか乗用車なら二人とか、そういう係数を掛けて、ごく大ざっぱに出したものでございます。

松田委員 それは、何人まで、細かい数字まで僕はつかめとは言いませんけれども、やはりきちっとした目標を持って、ふやすということだったら、その辺のところはやはり数字をある程度把握していただきたいという意味で質問をさせていただきました。

 次に、国立公園から少し違った観点から質問させていただきたいと思いますけれども、満喫プロジェクトに関連して、国立公園を含む自然公園における地熱発電について少し伺いたいと思います。

 平成二十七年に、環境省通知「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」の改正が行われ、第一種特別地域については、既存通知では地下部へ傾斜掘削も認めないとしていましたが、改正により、地表に影響がなかったら地下部へ傾斜掘削を認めるとしました。

 地熱資源では、日本はアメリカ、インドネシアに次いで第三位、地熱発電の重要性は非常に高いものの、地熱発電の新規立地がなかなか進まないという状況にあります。二〇一三年度現在の全国の地熱発電所の発電出力の合計は五百十五メガワット、発電電力量は二千六百五ギガワットアワーで、日本の電力需要の〇・三%を担っている状況です。また、賦存量、ポテンシャルというんでしょうか、資源は約二万三千四百八十メガワットです。利用率は約二%にとどまっており、この賦存の量の約八〇%が自然公園内に集中をしている。

 地熱発電は気候や天候に左右されない安定な発電であり、エネルギー自給率の低い我が国にとっては、輸入に頼らない純国産のエネルギーだと考えます。また、地熱発電の利用は設備利用率が七〇%と、火力発電に匹敵するほど高い。年間を通じて非常に安定した発電量を得られる。再生可能エネルギーの中では発電コストが最も安く、液化天然ガスを使う火力発電とほとんど変わらない。将来、我が国にとって非常に重要な電源として期待をされている。

 そこで、この自然公園内の地熱開発と発電利用、そして今回の国立公園満喫プロジェクト、さらには国立公園本来の目的の役割という三つの異なった施策があるわけですけれども、環境省として、どういう位置づけで重点政策、順位をつけられればつけていただければいいと思いますけれども、この三つをどういうふうに考えていらっしゃるか、ちょっとお聞きをいたしたい。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 再生可能エネルギーの一つである地熱発電につきましては、地球温暖化対策として重要である一方、貴重な自然を有する国立・国定公園内におきましては、自然環境や地元に十分配慮しつつ推進することが必要というふうに考えております。

 このため、環境省といたしましては、幅広い関係者から成る検討会の意見も踏まえまして、自然環境と調和した優良事例等について認めることとし、これまで規制内容の見直しを行ってまいりました。

 現在、各地で具体的な案件も進みつつありますので、そういう事例の積み重ねを踏まえつつ、環境省としては、引き続き、自然環境の保全など地元に十分配慮した地熱開発が円滑に進められるように対応してまいりたいというふうに考えております。

松田委員 法律が改定されて、公園内で掘らなくても、要するに、掘削していって現場へたどり着けるという形で、非常に、新たな手を挙げるところが出てきたのだろう、こう思っていますけれども。

 今少しおっしゃられたように、開発をやっていきたいんだというところもあるようなお話でしたけれども、ある程度、環境省としては、目標とかそういうものというのは持ってみえるんでしょうか、地熱発電の今後のことですけれども。

亀澤政府参考人 国立公園の中で何カ所とか、そういうような具体的な目標を現時点において持っているわけではございません。

松田委員 これは再生エネルギーとしては安定でありますし、効率もいいということですので、ぜひ一遍真剣にというか、もちろん真剣に考えているんでしょうけれども、本腰を入れてやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをします。

 次の質問に入らせていただきます。

 国立公園におけるごみの増加の懸念への対応についてなんですけれども、国立公園満喫プロジェクトの一環として、全国八カ所の国立公園が先導的モデルとなる国立公園として選定をされ、昨年末にステップアッププログラム二〇二〇が策定されました。

 このモデルとなる国立公園の一つとして、私どもの地元の伊勢志摩国立公園が選ばれた。また、伊勢志摩国立公園は、昭和二十一年に、一九四六年ですけれども、戦後初の国立公園として指定を受けて、昨年七十年を迎えたところでございます。

 環境省は、この国立公園満喫プロジェクトによりまして、今、世界水準のナショナルパーク、国立公園のブランド化を図り、利用の拡大は自然環境の保護と両立した上で行っていくというふうなお話もいただいております。指定を受けた地元では、期待とともに、それぞれ、これに合わせた課題もいろいろ出てくるんだろうと思っています。

 伊勢志摩国立公園満喫プロジェクトでは、二〇一五年に三・三万人であった外国人利用者を、二〇二〇年には十万人、約三倍ですね、目標が掲げられています。

 伊勢志摩国立公園は、今大臣もおっしゃっていただいたんですけれども、民有地が九六%を占めており、公園内で暮らす人の多さが特徴でありますが、ここに年間十万人もの外国人の利用者を呼び込むことになりますと、当然、ごみの増加や、これらが適正に処理をされるのか、非常に懸念をされる、こういうふうに思っています。

 地元自治体の取り組みとあわせて、このごみ問題について、国立公園を訪れる外国人利用者の意識喚起を国においても行っていく考えはあるのか。またさらに、それに伴い、廃棄物処理施設整備への補助が必要ということであれば、その辺どうなっていくんだろうという点について、御見解をいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 外国人利用者の中には、文化、慣習等の違いから日本のマナーがわからない方もおり、ごみの問題に限らず、遊歩道や登山道の外へはみ出して歩くなど、自然環境に影響を及ぼすということが考えられます。

 これまでも、国立公園の利用マナーブックを多言語で作成するなどしてきたところでございますけれども、満喫プロジェクトを推進するに当たりまして、利用者の増加による、特に外国人利用者の増加によるこうした弊害が起こらないよう、ビジターセンターとか現地での体験プログラムにおいて事前に外国人訪問者への普及啓発や注意喚起を行うなど、一層の取り組みを推進してまいりたいというふうに思います。

松田委員 今、ごみの話は僕が聞き漏らしたんですかね。ごみについて、僕は、もちろんごみは地方自治体の責任だということは十二分にわかっていますけれども、余りたくさん訪れたときの対応として、やはり少し考えていただいておいた方がいいんじゃないかなというふうには思うんですけれども、今決まっていないにしても、考え方としていかがでしょうかね。

亀澤政府参考人 まず、国立公園の中でごみを捨てないというようなこと、日本的なマナーについて普及啓発を進めていきたいというふうに思っております。

松田委員 そういう形になってくると、地方自治体の方からもそれぞれいろいろな相談があると思いますので、ぜひともそういう相談もしっかりと耳を傾けていただいて、せっかく外国の方が訪れていただいて、地元も喜んでもらうという形、やはりそれが姿だと思いますので、ぜひともその辺のところ、お願いをしたいと思っています。

 現在、伊勢志摩国立公園内において、大規模太陽光発電所、いわゆるメガソーラーの建設の動きがございます。地元ですが、いろいろ物議をといいましょうか、問題となり、建設中止を求める運動が、新聞等でも取り上げております。たとえ自然公園法で比較的規制の緩やかな普通地域であっても、国立公園内におけるメガソーラーの設置は、景観を初め、地域の環境と環境資源の著しい劣化を招く懸念があると思っています。

 先月、国立公園普通地域内における措置命令等に関する処理基準の一部改正が行われ、また、国立公園の満喫プロジェクトのステップアッププログラム二〇二〇においては、地元自治体の取り組みとして、景観計画の作成及び変更等による太陽光発電施設の規制を行うということは私も承知をいたしておりますが、これだけでは足りず、一定規模以上の発電設備については許可制にした方がいいだろうという要望もございます。さらに、国立公園内における発電施設の過剰立地を不適切とする地域を定めることを求める声も今湧いてきているというか、そういう声もございます。

 今後、いわゆる厳しい対応も考えなくてはならないというふうに私は思いますけれども、今後の取り組み方針として、今の話をさせていただいたことを含めて御所見をいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 国立公園内の太陽光発電につきまして、環境省といたしましては、関係団体や専門家で構成する検討会での議論を踏まえて、平成二十七年五月に自然公園法施行規則を改正し、大規模な太陽光発電施設に係る許可基準の明確化を図りました。

 具体的には、土地の形状を変更する規模が最小限であると認められること、そして、支障木の伐採が僅少、わずかであるということ等を特別地域内における審査の基準に位置づけるとともに、普通地域内において土地の形状変更がない場合であっても事前の届け出を義務づけました。

 さらに、平成二十九年三月には、普通地域における太陽光発電施設の設置に係る自然公園法に基づく条件として、土地の形状を変更する規模が必要最小限であると認められることなどを追加するとともに、太陽光発電事業終了後の撤去及びその跡地の整理について、特別地域同様、義務づけることといたしました。

 我が国の国立公園は、民有地も含めて行為規制をかけて保護するという制度であるため、一律に厳しい規制をかけることにはなじまないというふうに考えておりますが、太陽光発電施設については、無秩序に設置が進むことのないよう、一つ一つ許可の可否を判断しながら、国立公園の自然環境を保全していきたいというふうに考えております。

松田委員 再生エネルギーだから、太陽光パネルも一つ自然の環境にとっては役立っているじゃないかという考え方もあるんですけれども、山肌が削られて、かなりの面積で太陽光なんかが出てくると、やはりいかがかなという部分もあります。しっかりと、その辺のところ、取り組みをいただきたいと思います。

 ちょっと太陽光発電に関連した質問を続けさせていただきますけれども、再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度、いわゆるFITがこの四月に改正をされました。

 今回の法改正で、太陽光発電所は、保守に関しての義務づけが強化をされました。保守の重要性が高まったのは、国内各地で太陽光発電の故障が報告されるようになってきた。当然、故障した太陽光パネルは、修理できるものは修理をして発電に使いますけれども、落雷や風水害で使用できなくなったものの修理できないものが存在し、今後増加をすることは容易に予測ができます。

 そこで、環境省が果たすべき役割からすると、資源循環をさせる制度、仕組みを構築する必要があると考えています。

 これまで、平成二十五年度から使用済み再生可能エネルギーの設備の処理の推進に関する今後の方向性について検討を行い、昨年三月には太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインを発行しています。このガイドラインでも示しているとおり、現行の廃棄物処理法では太陽電池モジュールの廃棄に特有の規定はなく、将来に大量に太陽電池が廃棄された場合混乱が生じないように備えることが非常に重要だと思っています。

 太陽光発電の設備の撤去、処分に関して見た場合、循環型社会形成推進基本法の定義、第二条にある製品の廃棄物抑制に、今回のガイドラインの整備のみで対応ができるのかどうか、また今後の法整備の必要について見解を求めたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電設備の廃棄量の増加が将来的に見込まれることから、環境省におきましては、平成二十四年度から、経済産業省や関係団体等と連携いたしまして、その排出見込み量や国内外の制度の状況などを調査いたしました。

 これらの結果を踏まえまして、平成二十七年度には、太陽光発電設備等のリユース、リサイクル、適正処分に関するロードマップを取りまとめました。

 このロードマップにおきましては、リサイクル技術開発等への支援やFIT期間終了後の継続利用やリユースの推進の検討に加えまして、関連事業者による自主回収スキームの運用状況を踏まえた義務的リサイクルの必要性の検討を今後の課題として整理したところでございます。

 また、昨年四月には、安全な廃棄や処分のため、自治体や関係事業者向けに太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインを公表いたしました。

 さらに、本年二月には、中央環境審議会から、自主的なリサイクルの実施状況や欧州の動向等を踏まえつつ、リサイクルを促進、円滑化するための制度的支援や、必要に応じて義務的リサイクル制度の活用を検討すべきとの意見具申をいただいたところでありまして、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

松田委員 一遍に今、太陽光、集中にいろいろなところで開発をされているわけですから、廃棄物として出てくるのも一遍に出てくるというようなことで、今いろいろるるお聞かせをいただきましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 少し時間の関係上、通告をさせていただきましたけれども、二、三ちょっと飛ばして質問させていただきたいと思います。

 環境人材についてですけれども、伺いたいと思います。

 これまで、平成十五年に環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律が成立をし、平成二十三年には改正法となる環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律が成立をし、平成二十四年十月一日施行しています。

 この法律において環境教育とは、持続可能な社会の構築を目指して、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場において行われる教育及び学習をいうと、国民の環境意識を高めることは重要だと理解をしています。

 それとは別に、海外、特にアジアに対しての環境人材も、十年前には積極的に進めています。平成十九年度に、持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョンを策定しています。実際には平成二十年度から事業を開始し、本年が十年目になる。人材育成の実績、教育の実績はなかなか一年、二年では得られるとは、できないと思っていますけれども、十年たった。

 まずは、平成十九年度に策定した持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョンの事業成果は、既に総括をしていることだと思いますが、その結果、その実績について伺いたいと思います。

 また、二十九年度は大学を活用した事実はないのでしょうか。平成二十九年度環境保全経費一覧を見ますと、アジア地域に環境技術等と制度整備、人材育成をパッケージにしたモデル事業を行うとした温暖化対策に必要な経費、すぐれた低炭素技術の海外展開を通じた世界全体の排出削減への貢献、教育政策、教育技術の海外需要を捉えた国際展開、アジア地域におけるコベネフィット型環境汚染対策推進事業の記載ぐらいしか見受けられなかったんですけれども、アジアに向けた大学における環境人材育成について、いま少し具体的にお聞かせを願いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘のように、平成二十年三月に持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョンを策定させていただきました。

 これを受けまして、環境省におきましては、二十一年三月にそのコンソーシアムに向けた準備会を結成いたしまして、二十三年三月に産学官民の連携プラットホームであります環境人材育成コンソーシアムを立ち上げたところでございます。

 以後、このコンソーシアムと連携いたしまして、平成二十三年には大学等におきます教育ガイドラインの策定、また、それを受けまして、複数の大学におけるモデル授業の実施に加えまして、その受け手となる企業の環境整備に努めているところでございます。

 現在でございますが、このコンソーシアムへの加盟数でございますが、大学、大学院が国内外で三十九、企業等が十七となっております。今後とも、環境人材育成コンソーシアムと連携を一層密にし、人材の受け手であります企業におきましては、現在でございますが、一年に三回程度、経営者、管理職を対象とする研修を実施しております。また、企業の協力によります大学院生へのサマースクールを昨年度より実施しておるところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを並行して進めることによりまして、環境の人材育成ビジョンが目指すリーダーの育成、大学における育成と、その受け手であります企業にそういう人材が活用されるような環境整備に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

松田委員 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、二十九年度の大学を活用した事業というのはおっしゃっていただいたかな。済みません。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 大学におきますモデル授業といたしまして、先ほど、平成二十四年度から二十六年度まで行ったところでございます。ただ、単位の必修化等、大学との調整が、なかなかうまく学生が集まらなかったというようなこともありますので、その反省を踏まえまして、現在、大学院生のサマースクールというようなことで、大学の枠にとらわれず、そういうリーダー育成のためのサマースクールを開催している、それによる取り組みを進めているということでございます。

松田委員 これは、十年たっているんですよね。たしか、僕の記憶でいくと十年ぐらい。十九年ぐらいですかね、そのときは、大学によっては、アジアから学生を招いて、環境の教育やら技術やら、いろいろなものをやって取り組んでいたと思うんですよ。どうして、年月がたって、一番脂の乗るころの状況が、何か、今言われたのは、結局何も進んでいないと。環境省は人材育成が苦手なんですかね。

 例えば、持続可能なアジアに向けた大学における環境人材教育ビジョンは、第一次安倍内閣が策定した二十一世紀環境立国戦略から派生をしていると承知をしているんですけれども、そういうことなんでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 アジアにおける人材育成の流れでございますけれども、二〇〇二年、ヨハネスブルク・サミットにおきまして、その国連総会で、持続可能な開発のための教育、ESDの十年が採択された。それを受けまして、我が国におきまして、二〇〇六年、ESDの十年における実施計画策定をしました。その流れの中におきまして、二つの閣議決定でございますが、二十一世紀環境立国戦略、アジアの環境リーダー育成イニシアチブ、イノベーション25等が策定される、その流れの中で、環境省といたしましても、このアジア環境人材育成イニシアチブというのを進めてきたという流れでございます。

松田委員 もう一度言いますけれども、第一次安倍内閣が策定した二十一世紀環境立国戦略というものから派生をしたということですけれども、やはり、安倍内閣、総理がそういう戦略を唱えて今現状がそういうことであるということは、これが成功していないというか、進んでいないと。いわゆるこの二十一世紀環境立国戦略が、要するに道半ばというか、進んでいないのかという捉え方でいいんでしょうかね。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 アジアにおける人材育成ということの流れも一つでございますけれども、現在、環境省におきましては、国連ESDの十年、計画が終わりまして、その後を受ける計画ということで、幅広くESD推進ネットワーク、推進体制を今構築しようとしているところでございまして、それをもとに、大学だけではなくて、小中学校を含め、あるいはNGOも含めまして、地域におきます環境ESDの推進を図れるような取り組みを進めているということでございます。

松田委員 一遍総括してみてくださいよ、なぜ進んでいないのか。現場へ行って、現場に行ったら何が足らないのか。現場はやる気があるところはいっぱいありますよ。だけれども、やはりその辺のところの総括をしっかりしていただいて、どこに原因があって進んでいないのかということをしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 時間がございませんので、最後の質問にさせていただきます。

 大臣に質問させていただきたいと思いますけれども、先般も委員からの質問がありましたけれども、アメリカのトランプさんの、きょうの新聞にもあるんですけれども、トランプ大統領は温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名をした、排出削減のペースが鈍るのは確実だが、日本を初めヨーロッパも、各国が米国の政策に振り回されることなく温暖化対策を進めるべきだというような記事がございます。

 先般、大臣は、質問に対して、日本としてとるべき道をしっかりとやっていくんだ、こうおっしゃられました。全くそのとおりだと思いますけれども、これから、日本の国民も含めてそうなんですけれども、再エネもそうなんですけれども、やはり僕は省エネというのが大事だと思うんです。トランプさんのこういうことが、例えば百回言えばうそも本当になるじゃないですけれども、やはり国民の中でも、CO2というのは、別に関係ないんじゃないか、自然になくなっていくんじゃないかとか、そういうことが、やはり僕は、これからの環境行政に大きな問題となるのではないかなと思います。

 大臣として、やはり、なかなか総理は言えないのかもわかりませんけれども、やはりトランプさん、あなたは間違っとるでということをある程度のメッセージとして言っていただいた方がいい、僕はこう思うんですけれども、その辺を含めて、最後、ちょっと大臣に御所見を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 ありがとうございます。

 トランプさんのキャンペーン中から、環境問題というか気候変動問題は振り回されてきました。しかし、今、就任してから約三カ月経過したトランプさんのやり方を見ておりまして、きょうも何かの新聞に書いてあったと思うんですけれども、まだスタッフの何か全体像が決まっていないと。いわゆる承認をされたスタッフはごくごく限られているというふうに聞いております。

 私どものカウンターパートの環境保護庁、EPA、長官は決まりましたけれども、長官以下はまだ全然決まっていないということも情報として入ってきております。したがいまして、アメリカの環境政策がどういうふうになっていくのか、なかなかまだ予断を許さないという状況なんだろうと思います。そうはいっても、日本はやるべきことはやるんですと。

 それで、今先生御指摘のように、アメリカがその気がないんだったら我々もいわゆる引くよという考え方の人も日本にもあるやに聞いております。外国にもあるやに聞いております。しかしながら、私は、やはり京都議定書のときと違って、パリ協定というのはもう世界の流れだと思っておりますので、アメリカも、確かに今トランプさんのおやりになっていることというのは、パリ協定離脱まではまだお出しになっていませんけれども、非常に気候変動問題に対して後ろ向きの発言も多いことは間違いありません。ただ、アメリカもやはりある種のそういうような世界の流れというのはある瞬間からおつかみになるんじゃないかなという期待をいたしております。

 したがいまして、日本はやるべきことはやっていくんだという姿勢は変える必要はないと思っております。

松田委員 時間が来ました。

 守りということよりも攻めの、ひとつ、大臣のこれからの活躍を祈りたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、希少種であります鳥類の保護と米軍機、自衛隊機の訓練飛行問題について質問をいたします。

 最初に、イヌワシについてであります。

 環境省にお尋ねをいたしますが、イヌワシは絶滅危惧1B類に当たる貴重な種であります。このイヌワシを種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定した理由は何か。イヌワシの分布状況や生息個体数と繁殖状況、生息を脅かす要因等についてもあわせて説明をお願いしたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 イヌワシは、森林生態系の食物連鎖の頂点に位置する動物であります。主に本州の中部以北に分布しており、個体数は約四百から六百五十羽程度と推定されております。

 平成三年に公表した当時環境庁のレッドリストにおいて絶滅危惧種に選定されており、種の保存法に基づいて保護を図る必要があったことから、平成五年には国内希少野生動植物種に指定しております。

 繁殖成功率が継続して減少傾向にあることが大きな問題として指摘されており、その背景には、開発や人工林の手入れ不足等により、イヌワシが狩りをするのに適した場所や餌となる生き物が減少していることなどが挙げられております。

塩川委員 四百から六百五十羽という個体数、あわせて繁殖成功率が減少傾向にあるという点でも極めて重大で、そういう意味でも、狩り場の適地や餌となる動物の生息環境の減少ということが挙げられております。

 同時に、やはり人的な環境変容、ダム建設や林道工事などの大規模開発や、レジャー等の不用意な接近、こういうのも攪乱要因としてはあると思うんですが、その点はいかがですか。

亀澤政府参考人 今御指摘のような人為的な行為による影響もあるというふうに考えております。

塩川委員 そういうのを踏まえてイヌワシの保護増殖事業に取り組んでいるわけですけれども、このイヌワシの保護増殖事業の概要とその効果について説明を求めたいと思います。

亀澤政府参考人 イヌワシにつきましては、環境省と農林水産省が共同で、保護増殖事業計画を策定し、生息、繁殖状況等のモニタリングや生息環境の改善といった保護増殖事業に取り組んでおります。

 調査に関しましては、イヌワシの主要な分布域である東北地方においては、環境省の猛禽類保護センターが中心となって平成十八年より繁殖状況の継続的な把握を行っております。

 また、林野庁と共同で、保護増殖に向けた効果的な森林施業をモデル的に実施しておりまして、狩りに適した開けた環境や、あるいは餌となるノウサギなどの動物を増加させるなどの生息地の環境の改善につながるかについて検証を進めているところでございます。

塩川委員 その効果というのはどういうふうにあらわれているのか、そこはどうですか。

亀澤政府参考人 今申し上げました林野庁と共同で行っている森林施業のモデル事業に関しましては平成二十七年度から開始をしたところでありまして、二十七年度に、餌をとれるような開けた環境、あるいはノウサギの餌となる下層植生、いわゆる下生えが復活できるような、そういう光が入るような帯状の間伐を実施したところでありまして、その効果については二十八年度から測定をしておりますが、現時点で顕著なノウサギの増加が見込まれたという状況ではありません。

塩川委員 その点でもしっかりとした対応を求められるわけであります。

 そういう点で、餌となる動物の環境を整えていくと同時に、やはり人為的な形での影響を極力小さくするということが極めて重要で、猛禽類保護ガイドラインを公表して、取り組み、周知などを図っておられるというふうに承知しておりますが、このガイドラインの中には、例えば、繁殖への影響を与える事例としてヘリの飛行などがあると聞くが、どうなっておりますか。

亀澤政府参考人 ただいま御指摘のありました「猛禽類保護の進め方」で引用しております日本イヌワシ研究会のアンケート調査によりますと、釣り人やカメラマンの接近、大規模な伐採等とあわせまして、ヘリコプター飛行を伴う送電線鉄塔の建設、点検もイヌワシの繁殖失敗の原因の一つとされているところでございます。

 営巣期などイヌワシが外部の刺激に影響を受けやすい時期において、営巣木付近で人の活動を行った場合には、巣を放棄するなどイヌワシの繁殖に影響を与える可能性があるというふうに考えられます。

塩川委員 送電線の点検もありますし、建設、そういう際にヘリが飛ぶ、それがましてや繁殖時期に大きな影響をもたらすという事例があるという紹介であります。

 この繁殖に係る営巣期の時期というのは、およそ何月ぐらいなんでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えをいたします。

 特に影響されやすい時期としては、十二月から五月ごろの営巣中心域での人間活動が影響するというふうにこの「進め方」には書いております。

塩川委員 冬場から春先にかけてという時期が非常に重要だということであります。

 そこで、資料をお配りいたしました。

 ごらんいただきたいんですが、一枚目と二枚目というのが、防衛省が集計をしております米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表というものであります。つまり、全国で、米軍機ではないのかという形で、飛行した、それについて住民の方が苦情を述べる、その苦情について防衛省に届けられた場合に、防衛省が米軍に確認をして、米軍機かどうかを明らかにし、そうであればしかるべき対策を求めるという中身になっているわけです。

 そういった中に、希少種であるイヌワシや、二枚目の方にはクマタカの例が挙がっているわけです。

 赤の枠で囲ったところをごらんいただきたいんですが、飛行日時に平成二十六年一月の十五日、右側に苦情等の内容というのがありますけれども、新潟県イヌワシ保全研究会からの配慮要請ということで、当該地域はイヌワシの生息、営巣区域であるが、上記日時場所において、戦闘機が低空飛行した際、イヌワシが巣から飛び出していったことを確認したと。当該機を撮影しており、仲間と調べたところ、どうもFA18らしい、FA18は空母艦載機として厚木基地にいるということもその際に知ったので、米軍機だと思っている、この時期は絶滅危惧種イヌワシの繁殖時期に当たる、航空機の低空飛行やそれに伴う騒音等はイヌワシにとって悪影響であり非常に懸念しているという苦情でありまして、一番右側の備考のところ、赤枠で囲っているように、米軍が回答して、米軍側が米軍機の飛行を認めるということを確認しているという中身なんです。

 この具体的な新潟県イヌワシ保全研究会の方からの要請について、防衛省はどのように受けとめて、どのように対応したのか、この点について説明してください。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十六年二月、新潟県南魚沼市に所在する新潟県イヌワシ保全研究会から、防衛省、これは直接には北関東防衛局に対してでございますが、その年の一月、米軍機と思われる戦闘機が低空飛行した際、イヌワシが巣から飛び出していったことを確認された、イヌワシの存続にかかわる問題なので、南魚沼市上空での飛行をやめてもらいたいとの苦情をいただいたところでございます。

 防衛省としては、この苦情を受けまして、米軍に対しその内容を伝え配慮を求めたところ、米軍からは、当該飛行が米軍機によるものであると認める、イヌワシ生息地域に配慮するという回答がございました。

 なお、防衛省として承知している限りでは、これ以降は同様の苦情は寄せられていないものと承知しているところでございます。

塩川委員 イヌワシ営巣地域に配慮するという回答があったということです。

 この一枚目の右下のところに、赤枠で囲っているところで、イヌワシの存続にかかわる問題なので、この地域での飛行をやめてもらいたい、営巣地域を図示したものを提供しようと考えている、その際にも、米軍によろしくお取り計らい願いたい、これは、そういうやりとりがあったんでしょうか。

深山政府参考人 今、我が方で把握しているところによりますと、営巣地域を図示したものというものをまだこの協会からはいただいていないということでございます。

塩川委員 非常に皆さん慎重に対応しておられるわけで、私のところにも会の方から御連絡いただいて、特定できるような情報はなるべく公にすることについては差し控えていただきたいということで、今、墨塗りでお出ししているわけなんですけれども、そういう点では、非常にやはりイヌワシの営巣地域が限定されているという点でも、そこに障害をもたらすようなことを行わないということへの配慮というのは強く求められているわけであります。

 次に、資料の二枚目の方にクマタカの例があります。

 平成二十八年の三月十六日や三月二十四日に、福岡県の朝倉市江川付近上空ということで、同様に、クマタカの営巣するところに航空機が通過をした、クマタカが飛び出す異常行動が確認をされた、こういった飛行は避けてもらいたいという要請で、右側の備考にあるように、米第五空軍が米軍機だと回答したということであります。

 この件について、防衛省はどのように対応したんでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年五月に、福岡県朝倉市に所在する独立行政法人水資源機構の朝倉事務所から、防衛省、この場合は具体的には九州防衛局でございますが、九州防衛局に対しまして、その年の三月、米軍機と思われる航空機の通過後、クマタカが営巣する林の中から飛び出していったことが確認された、クマタカの繁殖活動に重大な影響を及ぼす可能性があるので朝倉市上空での飛行を避けてもらいたいとの苦情が寄せられました。

 防衛省としては、この苦情を受けまして、米軍に対しその内容を伝えて配慮を求めたところ、米軍からは、当該飛行が米軍機によるものであったと認める、クマタカの生息地域に配慮するとの回答がございました。

 なお、こちらにつきましても、これ以降は同様の苦情は寄せられていないものと承知をしております。

塩川委員 このような苦情が寄せられているわけですけれども、環境省は、これらの事例については承知しているんでしょうか。イヌワシ、クマタカ保護の観点で国の府省間の連携というのはとれているのか、その点を確認したい。

亀澤政府参考人 ただいま御指摘のありました苦情につきましては、いずれも防衛省に対して行われたものでありまして、環境省としては承知しておりませんでしたが、今後、環境省といたしましては、イヌワシなど希少猛禽類等に関する情報共有を防衛省に対して働きかけるとともに、防衛省との連携を一層強化し、イヌワシ等の保全を進めてまいりたいというふうに思います。

塩川委員 それで、ここを飛行している米軍機がなぜここを飛んでいるのかということがあるわけなんです。

 その点で、MV22オスプレイにつきまして、普天間基地に配備をする際に、米海兵隊が環境レビューを行っているわけです。二〇一二年の四月ですが、米海兵隊が作成をしたその環境レビューには、MV22中隊は、必要な航法訓練、ナビゲーショントレーニングの一部を、既存の六つの航法経路、ナビゲーションルートに沿って実施をするとあります。

 資料の三枚目は、日本自然保護協会が作成をしました、イヌワシ及びクマタカの生息地とオスプレイ飛行訓練ルートとの関係図であります。上がイヌワシ、下がクマタカです。

 MV22の飛行訓練ルートを図示しておりますが、赤い線になっているわけですけれども、防衛省、確認しますが、このMV22オスプレイに係る環境レビューの中には、こういった米軍の低空飛行訓練ルートが図示されていると思いますが、確認します。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のMV22オスプレイに係る環境レビューでございますが、その中におきまして、日本本土や沖縄周辺の計六本の飛行ルートを記載した上で、オスプレイの配備に伴う環境への影響について評価がなされているものと承知をしておりますけれども、具体的なルートの詳細等につきましては、米軍の運用に係る事項でありまして、承知していないという状況でございます。

塩川委員 環境レビューの中に、ここで図示したようなルートの位置が描かれていますか。

岡政府参考人 御配付いただいた資料、今この場で見たものですから、逐一照らし合わせてはおりませんけれども、基本的には同じような形で描かれていたというふうに記憶をしているところでございます。

塩川委員 もちろん、中国山地は、破線になっているんですけれども、これはブラウンルートと通称言われているもので、それは環境レビューには描いてないんですよね。でも、過去、そういうルートがあるということが言われているので、それを図示しているわけなんですが。

 これは、イヌワシの生息地でもクマタカの生息地でも、その主要部分に米軍機の低空飛行訓練ルートが所在をしているということになるわけです。ですから、これで見ていただくと、イヌワシについて、新潟県のイヌワシ保全協会の方が要請されたポイントというのは、まさにこのルート上にかかる、ブルールートと通称言われている、そういう低空飛行訓練ルートに相当するものであります。

 もう一つ、資料の四枚目ですけれども、今度は、米軍横田基地に米空軍のCV22オスプレイを配備する計画が発表されました。その際に、米空軍の特殊作戦コマンドが、CV22の横田飛行場配備に関する環境レビューを出しておりまして、その中では、CV22オスプレイの訓練場の一つとしてホテル地区を挙げておりますが、ここで米軍が言うホテル地区というのはどういう場所なのか、防衛省、わかりますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 米側が作成したCV22の横田飛行場配備に関する環境レビューにおいて、CV22が訓練を行う六つの訓練区域の一つとしてホテル地区が記述されているところでございます。

 米側からは、ホテル地区については、自衛隊の高高度訓練空域であるエリアHのことである旨、説明を受けているところでございます。

塩川委員 ということで、この四枚目の地図では、黄色い色で塗られた場所というのが自衛隊の訓練・試験空域のエリアH、これが、米軍がCV22オスプレイの訓練場とするとしているホテル地区に当たる場所です。群馬県上空や長野、新潟、一部栃木や福島にもかかっているエリアになっています。そこを横切るようにブルーの線がありますが、これが低空飛行訓練ルートのブルールートと呼ばれているもので、いずれもイヌワシの繁殖地域に相当するような場所にこれらの米軍の訓練ルート、訓練エリアがあるわけであります。

 そこで、こういった米軍の訓練飛行ルート、訓練エリアについて、長野県から、防衛省、環境省に要請が行われております。

 平成二十五年三月、長野県は、防衛省と環境省に対して、MV22オスプレイの飛行訓練についてという要請を行っています。そこでは、ブルールートと言われる飛行訓練コースの一部が本県に含まれる可能性がありますが、この経路の周辺は、イヌワシやライチョウといった絶滅危惧種の生息が確認されている重要な地域であり、MV22オスプレイの飛行訓練がこれら希少種の繁殖等に与える影響を懸念する声が県に寄せられていますと、適切な対策を講ずるよう在日米軍に求めることを要請しております。

 また、平成二十八年の九月、CV22オスプレイの米軍横田基地配備に伴うオスプレイの訓練エリアとして長野県域を含むホテル地区が挙げられていることを踏まえて、イヌワシやライチョウの生息環境に対して適切な対応をとるよう求めております。

 この要請書は、当然のことながら、県民の皆さんの安全や健康、不安にしっかりと応える必要があるんだ、こういうことを求める、あわせて、こういった絶滅危惧種のイヌワシやライチョウの生息環境に対しての適切な対応を求めているわけです。

 こういったイヌワシ、ライチョウの保護の要請を受けて、防衛省、環境省がどのように対応したのかお答えいただきたい。環境省については、ぜひ大臣からお答えをいただきたいと思っております。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成二十五年三月二十二日に長野県知事から、MV22飛行訓練について、ブルールートと言われる飛行コースの一部が長野県に含まれていることから、イヌワシやライチョウの生息環境に与える影響の低減に配慮し、適切な対策を講ずるよう米側に求める旨の御要請をいただいております。

 また、平成二十八年九月二十日には、やはり長野県知事ほかの方から、オスプレイの飛行訓練につきまして、オスプレイの訓練区域はイヌワシやライチョウの生息する重要な地域のため、その生息環境に与える影響の低減に配慮し、適切な対策を講じるよう米側に強く求める旨の御要請をいただいております。

 一方、米側が作成しましたMV22の環境レビュー、あるいはCV22の環境レビューにおきましては、生物資源に与える影響はない、あるいは地域住民や周辺環境に対して著しい悪影響はないとの評価がなされていると承知しています。

 しかしながら、防衛省といたしましては、このMV22やCV22の運用に伴う長野県ほかの方々の御懸念については十分理解をしておりまして、我々は、米側といろいろな協議を行っておりますけれども、そうした協議の場において、米側に対して、MV22やCV22の運用に当たっては地域に与える影響を最小限度にとどめるよう求めておりますし、引き続き求めてまいりたいと考えておるところでございます。

山本(公)国務大臣 平成二十五年と平成二十八年に長野県知事より、オスプレイの飛行訓練がイヌワシ、ライチョウ等の生息に与える影響を低減するため米軍に対して配慮を求めるよう要請をいただいております。

 オスプレイの運用に当たっては、米国政府により環境への影響を最小限にとどめるための措置について検討が行われ、環境に対して著しい悪影響はないとの評価がなされていると承知をいたしております。

 万一、オスプレイの運用によってイヌワシやライチョウに対する影響が生じたとの情報があった場合には、必要に応じて、オスプレイの運用による地域への影響を最小限にとどめることができるよう、米軍と情報交換をしていきたいと考えております。

塩川委員 私が指摘をしたいのは、こういった、米軍がいわば勝手に自分で訓練ルート、訓練エリアを設定しているんですよ。日本側の具体的なこれに対しての同意とかというのがあるわけじゃないわけですよね。それはおかしいんじゃないのか。

 もともと米国内でどうしているかといえば、米国内で米軍が訓練ルートを設定する場合には、国内法での仕組みに基づいた措置をとっているんですよ。一つは、米軍自身が環境影響評価を行って、歴史的建造物への影響があるとか野生生物に影響があるとか、こういう調査をやっているんですよね、国内では。そこは配慮しているわけです。ルートの設定には、軍が連邦航空局に申請、審査を受ける。さらに、連邦航空局による許可がされた後も、国防総省の空域計画地図への記載、公表で使用が可能になるという形で、具体的に訓練ルートというのは明らかにするということなんです。

 日本の場合には、米軍がこういう形でこの間示しましたよ、だけれども、日本政府は、こういうルートがあるということを前提の議論をしないんですよ。そういう発表をしているということは知っているというだけなんですよ。

 これではやはりこの問題についての大もとは解決できないわけで、本来、日本国内で米軍がそういう訓練ルートを設定するのであれば、日本国内のルールにのっとってやるべきじゃないのか。つまり、日本国内での環境影響評価もしっかり行うということが必要なんじゃないか。

 こういうことというのは、防衛省なり環境省なりというのは考えないんですか。

深山政府参考人 米軍による実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練については、日米地位協定は、施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、施設・区域の上空外においてもこれを行うことは認められているところでございます。

 他方、米軍が我が国において訓練を行う場合は、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきであることは言うまでもございません。御答弁を既に申し上げましたように、私どもは、訓練等を行う場合には、地元の方々への配慮を、オスプレイに関する訓練のみならず、累次にわたって申し上げているところでございます。

 また、オスプレイについて一言補足をいたしますと、二〇一二年九月十九日合同委員会承認でございます、日本国における新たな航空機MV22に関する合同委員会への覚書という文書がございますけれども、これによりますと、MV22は、時折、低高度で運用されることから、同機の乗組員は、日本国内において低空飛行を行う、MV22は、訓練航法経路を飛行する間、地上から五百フィート以上の高度で飛行する、ただし、MV22の運用の安全性を確保するには、その高度を下回る飛行をせざるを得ないこともある、低空飛行の訓練の間、原子力エネルギー施設、史跡、民間空港、人口密集地域及び公共の安全に係る他の建造物、例えば学校、病院等といった場所の上空を避けて飛行することは、合衆国航空機の標準的な慣行である旨、定められているところでございまして、米軍といたしましてもかかる配慮を実践しているものと承知しております。

亀澤政府参考人 環境省といたしましては、絶滅危惧種であるイヌワシ等の生息に影響を与えるとの情報が得られた場合には、防衛省等と連携して、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 防衛省の方で日米合同委員会の合意の中身等々触れてありますけれども、基本は、でも、配慮するという枠組みでしかないんですよね。尊重するという枠組みなんですよ。航空法は適用除外というのが米軍の実態ですから、尊重という形で言うだけで、実際の法令上の義務づけなどが課されていない。

 そういうことを考えても、本来は、日本国内で飛行するのであれば日本国内のルールにのっとってやるべきだ。そういった点で、人間の生活、そしてこういった希少種に対する影響についても、しっかりと悪影響が及ばないということをルールとして示す、こういう必要な規制措置を設けるべきであって、勝手な米軍機の訓練飛行を許すような、戦後つくられている米軍特権というのを改めるべきだということを申し上げておきます。

 関連して、自衛隊でお聞きしたいんですが、資料の四枚目にピンク色を図示したものがあります。これは、陸上自衛隊東部方面隊が国交省の各空港事務所に申請した最低安全高度以下の飛行許可の飛行区域。最低安全高度以下というのは、通常であれば百五十メートル以下、人口稠密な地域であれば三百メートル以下の飛行を禁止するという規定ですけれども、それ以下でも飛べるようにするという許可をとっているエリアになります。

 こういった最低安全高度以下の訓練飛行は、どの部隊が、いつ、どこで、どのような訓練を行っているのかについて説明してください。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問にありました航空法第八十一条ただし書きの規定により国土交通大臣の許可を得る必要がある最低安全高度以下の高度での飛行の関係でございますけれども、直近の例で申し上げますと、陸上自衛隊東部方面隊隷下の第一師団長が、昨年十月十一日に、国土交通省東京国際空港長、成田国際空港長及び百里空港事務所長に対しまして、また、同じく東部方面隊隷下の第一二旅団長が、同年九月十六日、東京空港事務所長、新潟空港事務所長に対して申請を行い、それぞれ警備地区の上空の一定区域における最低安全高度以下の飛行に係る許可を得ているところでございます。

 これらの許可に基づきまして、中央即応集団隷下の第一ヘリコプター団や第一二旅団隷下の第一二ヘリコプター隊といった、主に東部方面隊管内に所在している航空部隊が使用をしているところでございます。

塩川委員 実際には、航空偵察、空中監視、空中観測、航空輸送、射撃動作、ヘリボーン行動、写真撮影等が行われているわけですが、この第一ヘリ団、第一二旅団第一二ヘリコプター隊、この航空部隊について、訓練を行っている所属航空機の種類と所属機数、訓練日数がどうなっているのかについて説明を求めます。

岡政府参考人 御質問の点でございますけれども、平成二十七年度の最低安全高度以下での飛行訓練等の飛行実績がどうかということで数字をまとめておりますので、それで申し上げますと、第一ヘリコプター団に関しましては、CH47約三十機によりまして百九十八回、また、第一二旅団隷下の飛行隊におきましては、OH6というヘリがございますが、この数機によりまして二十九回、UH60というヘリがございますが、その約十機によりまして百三十八回、CH47約十機により三十九回の飛行が行われているところでございます。

塩川委員 こういうふうに、かなりの回数、最低安全高度以下での飛行訓練が行われております。

 見ていただいてもわかるように、静岡の富士山周辺から、山梨、神奈川、東京の多摩、埼玉の秩父、群馬、長野、新潟というエリアに、連続するようにこういった訓練区域が設定をされております。

 こういった中で、例えば二〇一二年の七月には、相模原市の相模湖付近で陸自のヘリがホバリングを行って、近所の方から非常に不安や苦情を訴える声が相模原市に多数寄せられた件があります。こういった事例の経緯と防衛省の対応についてお聞きしたい。その際に、相模原市にはこの訓練について事前に連絡をしていたのか、この点についても確認したいと思います。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の平成二十四年七月六日の件でございますけれども、この日の八時四十五分から八時五十五分ごろ及び九時四十五分から十時十分ごろ、山梨県上野原市秋山付近及び神奈川県相模原市緑区名倉付近におきまして、東部方面航空隊隷下の第四対戦車ヘリコプター隊が、操縦技術の練度維持向上を目的として、航空偵察及び低空飛行の訓練を行ったところでございます。

 本訓練に対しまして、相模原市の住民の皆様から相模原市等に対しまして複数の苦情が寄せられたと承知しております。防衛省といたしましては、これを受けて、関係自治体に対して事実関係等について説明を実施したところでございます。

 なお、事前に連絡をしていたかどうかということでございますけれども、関係自治体に対する特段の事前連絡は行っていなかったということでございます。

塩川委員 相模原市に三十数件苦情が寄せられたわけです。民家があって、保育園があって、小中学校があって、観光施設がある、そういう場所なんですよね。そういったところで訓練を行うことについて、そもそもそういうところでやること自身がけしからぬわけですけれども、事前の連絡もそもそもない。

 少なくとも、こういった最低安全高度以下の訓練をするようなところには、そういう地元自治体に事前連絡するというのは最低限のルールじゃないですか。そういうことは考えないんですか。

岡政府参考人 御質問の点でございますけれども、最低安全高度以下の飛行訓練ということで、航空法第八十一条ただし書きの規定に基づく場合を除いてそうした最低安全高度以下の高度で飛行してはならないこととされているわけでございますが、このただし書きに基づく国土交通大臣の許可を得て実施しておりまして、いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、各種の飛行訓練を行うに当たりましては、定められた法令等に基づき、飛行経路上の地上における安全にも十分配慮しながら実施をしていきたいと考えているところでございます。

塩川委員 最後に、大臣に伺います。

 こういったように、人の生活においても低空飛行というのは大きな障害をもたらすものでありますから、こういったことはもちろんやめてもらいたいし、少なくとも、訓練するようなときには事前に地元自治体ぐらいには連絡するというのは当然だ、このことは防衛省に強く求めておきますけれども、イヌワシやクマタカの繁殖地域にも重なるようなところで自衛隊のヘリの訓練が行われている。

 こういったヘリの飛行というのが繁殖に影響を与えるということは先ほどの話にも出てきたところですから、こういった自衛隊の訓練飛行についても、イヌワシやクマタカなどの希少種の繁殖に影響を及ぼすような場合については、やはり環境省としてもしっかりと物を言うということは必要なんじゃないか。その点について、ぜひお答えいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 自衛隊機の低空飛行がイヌワシやクマタカの繁殖に影響を及ぼしているとの情報に接した場合には、これらの鳥類が音に過敏となる営巣期等における運用上の配慮など、防衛省に対して希少種保全への協力を求めていきたいというふうに思っております。

 私がこの問題で環境省の事務方に指示いたしましたのは、やはり、クマタカ、イヌワシ、その生態をとにかく環境省は把握をしろと。全国に、推定にはなりますけれども、おおよそどれぐらいいて、どれぐらい減りつつあるのか、減りつつあるならば何の影響によって減りつつあるのかとか等々、やはり環境省であるならば、イヌワシ、クマタカの生態を十二分に把握するような努力をしなさいという指示は出させていただいたところでございます。

塩川委員 住民生活に被害をもたらし、こういう絶滅危惧種の保護の障害となるような自衛隊ヘリの訓練飛行については見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 冒頭、先般の一般質疑のときに申し上げたごみ屋敷の問題ですが、たまたま先日、厚労委員会で、全然そのテーマじゃなかったんですけれども、塩崎大臣が、ごみ屋敷問題というのがあって、その問題は制度的に不備がある、こういう発言をされたんだそうです。私どもの河野委員がちょうど質問中でありましたので、河野委員から、それに関しては、維新の会はかつてごみ屋敷法案というのを、私、小沢鋭仁を中心につくらせてもらって提案をしたことがあるんです、今度も提案しますからよろしくお願いします、そういうやりとりがあったようでございます。議事録にもちゃんと載っております。

 でありますので、ぜひ、また正式にこれは与野党の先生方にお願いを申し上げますので、何とぞ、また環境省の方でも前向きな御対応をお願いしたいというふうに思います。塩崎大臣にも、ぜひ山本大臣から御確認をいただければと思います。

 それでは、この前は身近な問題ということで、そんなごみ屋敷の話を聞かせてもらったんですが、きょうは、少し、海を越えて、海外環境協力について質問をさせていただきたいと思います。特に、気候変動の話だとか、それから廃棄物処理、そういった観点で聞かせていただきたいと思います。

 まず、二国間クレジット、JCMという制度があります。これは、いわゆる気候変動条約の中で、それも京都議定書の中で、京都メカニズムという、ある意味では排出量の削減を国際的な活動や何かで達成するための仕組みというのがあるんですけれども、そのいわゆる気候変動枠組み条約のかつてのやり方だと、なかなか、制度の申請あるいはまた判定、それに時間がかかる、長期化する、こういうことの中で、我が国がある意味では主導して、二国間でまずそれをやろうじゃないかという話を提唱してきた経緯があります。

 JCM、こう呼ばれているわけですが、これがパリ協定の中で制度的に位置づけられたというふうに承知をしているわけでありますけれども、そのJCMの位置づけ、意義について、まず御答弁をお願いしたいと思います。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のJCMは、低炭素技術の海外展開により世界全体の温室効果ガスの排出削減を促進するため、国際交渉を重ねて世界に先駆けて実現した最も重要な推進策、このように考えてございます。

 パリ協定におきましても、第六条2におきまして、JCMを含む市場メカニズムの活用が可能となったということでございます。そういう意味で、JCMを展開していく上での国際的な位置づけが明確になった、このように認識してございます。各国からも高く評価されており、関心が高いところでございます。JCMに関する知見やノウハウの国内外への積極的な情報発信に努めているというところでございます。

 このように、重要な位置づけというふうに考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 今答弁でもおっしゃっていただきましたが、要は大変重要な仕組みでありまして、世界からも評価をされている、こういうことになるわけですが、全然宣伝が行き届いていないんですよね。JCM、二国間クレジットと言っても、スーパーか何かのクレジットなのみたいな話で、これは本当に、日本が率先して提案をした制度なんですね。

 私が行かせてもらったコペンハーゲンのころは、そこまではっきり、まあ、日本の国内ではそういう議論をしていたんですが、国際的にそこまではっきりとした認知はなかったんだけれども、いわゆる下からの積み上げ方式、そういったものをきちっと認識して、判定して、MRVや何かもしっかりやって、そういった制度をやっていきましょうねみたいな話は既に議論があったところなんですが、今、鎌形局長からも話がありますように、しっかりとした形でパリ協定の六条の中に位置づけられているんですね。

 ですから、ここは大臣、大いに、日本が率先してこういったまさに仕組みをつくったんだということをおっしゃっていただきたいと思っているんですが、いかがですか。

山本(公)国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、ただ、この間うちのマラケシュでのCOP22のときに、特に東南アジアを中心にして、各国といろいろなバイをやったりなんかする中で、JCMの宣伝はしたつもりではございます。

 ただ、私の経験上、その国その国に応じてさまざまなプロジェクトを抱えている、だから、やはり、日本らしいきめ細かいJCMの商品をうまく提供していくということに日本は努力すべきだろうと思っているんですけれども。

小沢(鋭)委員 ぜひ、大いに宣伝をして、日本が世界をリードしてつくった制度というのはそんなにあるわけではないので、それもソフトのノウハウとしてですね、ですから、ぜひ大いに宣伝をしながら、なおかつ推進をお願いしたい、こういうふうに思います。

 そこで、今、日本政府としては、このJCMはどこが主体でどういう形で推進をしているか、御答弁をお願いできますか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 JCMにつきましては、外務省、経済産業省、環境省といった関係省庁が緊密に連携しつつ、パートナー国、今十七国ございますが、パートナー国と協力しながら努力しているというところでございます。

 我が国の中における具体的な役割分担といたしましては、まず外務省におきましては、民間企業とのJCMに関する意見交換、気候変動関連会合への参加招請、そして大使館による現地での個別案件のフォローなどを実施しております。

 経済産業省においては、実現可能性調査、フィージビリティースタディーや実証事業などを通じた案件形成を実施しております。

 環境省では、都市間連携の枠組みを通じたマスタープランの策定支援や、JCM資金支援事業を通じた案件形成を実施しているというところでございます。

 今後とも、関係省庁としっかりと連携して取り組んでまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 これは確認なんですけれども、いわゆる外務省でやっているODA、これとリンクをさせてやれば、まさに経済協力をやりながらなおかつ日本もクレジットが獲得できるという意味で一石二鳥かな、こう思ったんですが、たしかODAの話とは切り分けられているんですかね。

鎌形政府参考人 御指摘のJCMとODAの関係でございますが、途上国から、ODA資金による気候変動対策案件が実施されると、従来実施されていた分野のODA資金が実質的に減るという懸念が示されてきました。国際交渉の中でこういった懸念が示されてきたところでございます。そのため、気候変動対策であるJCMとODAを制度上明確に区別する必要性が認識されているところでございます。

 こうした経緯もございますので、ODA事業そのものをJCM化するということではなくて、温室効果ガス削減に貢献する事業をJCMで実施して、それ以外の部分を従来のODAで実施するとか、そういった形で連携して行うという形を今とっているところでございます。

小沢(鋭)委員 海外でそういった経済協力で活動する人たちというのは、例えば、後ほどラオスのビエンチャンの話をさせてもらいますが、大体、ビエンチャンの市内には、JICAの人もいればOECCの人もいれば、こういう話になりますから、そういう連携活動は大いに進めていただいて、事業としては、今おっしゃったようなことがあるので切り分けだけは最後はする、こういう話なんだろうと思うんですね。ぜひその連携調整をしっかりやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、どの程度の吸収量を見込んでいるんでしょうか。そして、日本の排出削減目標のどのくらいのパーセンテージになるということを計画しているんでしょうか。

鎌形政府参考人 地球温暖化対策推進法に基づきます地球温暖化対策計画におきましてJCMも位置づけられてございますが、JCMにおきまして、毎年度の予算の範囲内で行う政府の事業により、二〇三〇年度までの累積で五千万から一億トンの、これはCO2でございますが、国際的な排出削減、吸収量を見込んでいるというところでございます。

 なお、このJCMについては、削減目標積み上げの基礎とはしていないということでございますが、獲得した排出削減、吸収量につきましては、削減として適切にカウントする、このようにしているところでございます。

 それで、具体的にどの程度の規模かということでございますけれども、二〇一三年、現在の二六%削減の基準年でございますが、およそ十四億トン台ということでございます。先ほど、二〇三〇年度まで累積で五千万から一億トンと申しましたので、それまでの年数で割っていく必要がありますけれども、数百万トンから一千万トンとかそういうようなレベルでございますので、我が国の排出量の中では、年に換算しますと、一%未満のどこかにあるということかというふうに思います。

小沢(鋭)委員 ぜひ大いに推進をしてパーセンテージも上げてもらいたい、こう思います。

 それで、それの実施機関は、環境省の場合はOECC、こういう話があるわけですが、海外環境協力センター、これの組織、予算、活動について簡単に御報告いただけますか。

鎌形政府参考人 御指摘のOECC、海外環境協力センターは、海外の環境保全に関する協力、調査研究、広報活動等を通じ、国際的相互依存時代の地球環境の保全に貢献する、こういったことを目的として一九九〇年に設立された公益法人でございます。

 このOECCは、JCMに関しましては、情報発信、普及啓発を主な役割としてございます。一つには、情報プラットフォームを活用した情報発信及び普及啓発、それから二番目に、民間事業者による案件形成に資する支援、こういったことを実施しているというところでございます。

 予算でございますけれども、JCMに関しては、ここ数年、一億円台の仕事を環境省からお願いしているというところでございます。

小沢(鋭)委員 具体的な案件をケーススタディーでお聞かせいただきたいと思います。

 私は、たまたま今ラオスの友好議員連盟に所属しておりまして、一月にラオスに行ってきたものですから、ラオスの具体例でお聞かせいただきたいと思うんです。

 先般、ソーンサイ副首相が来日されまして、日本とラオスの直行便を夏までに就航するということを発表されました。インドシナ半島のラストランナーと呼ばれている国でありまして、大変可能性が高いところです。

 私がそこに一月に行ったときに、前の在日本ラオス大使のケントンさん、今国会議員になっていますが、ケントンさんとか、あるいはまたボケオ県知事のカムパンさんという方、ケントンさんもボケオ県出身の国会議員なんですが、そこに行きましたところ、ボケオ県の地熱発電とか観光開発に日本の協力をぜひやってもらいたい、こういう話があるんですが、そういった話は承知していますか。

鎌形政府参考人 ラオスとの関係で申しますと、二〇一三年八月にラオスとの間でJCMが構築されて、いわゆるパートナー国ということになりまして、これまで合同委員会を開催するなどしてきているというところでございます。

 今の御指摘の地熱の話につきましては、私ども、現時点で確たることは把握できておりません。

 失礼いたします。

小沢(鋭)委員 ぜひそれもちょっと調べていただいて、そういう要請があったということを正式にお伝えしておきたいと思います。

 それから、廃棄物処理の海外協力について、次に御質問したいと思います。

 特にアジアの国々は、都市化が今進んできている中で、いわゆるごみの問題が大変重要な案件になってきている、我が国においては廃棄物処理の技術がある、こういうことでありまして、一般的に廃棄物処理の海外協力はどのような状態か、お聞かせください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、これまで、循環型社会の実現に向けまして、廃棄物の適正処理、リデュース、リユース、リサイクルのスリーRのための政策推進、焼却による廃棄物の最終処分量の減容化等に取り組んでまいりました。

 こうした取り組みにより、例えば、テレビやエアコン、携帯電話などのさまざまな家電から、選別を行い有用金属を回収するリサイクル技術や、廃棄物の焼却時に熱エネルギーを回収し発電を行う廃棄物発電技術、また、適切に管理しながら廃棄物の埋め立てを行う最終処分技術など、すぐれた技術を有しておりまして、こうした技術は東南アジアを初めとする新興国においても有望な技術と考えられます。

 しかしながら、新興国におきましては、制度整備や人材育成も重要な課題となっておりまして、技術だけの協力では必ずしも十分な成果を上げられない状況がございます。このため、環境省では、技術そのものの国際展開だけではなく、制度整備や人材育成などをパッケージで包括的に支援していくということでやってきております。

 例えば、アジア太平洋3R推進フォーラムを国連地域開発センターとともに毎年開催いたしまして、アジア太平洋地域の政府担当者等の間で各国の制度や経験を共有してございます。

 また、二国間協力の一例といたしまして、本年一月には、伊藤副大臣が訪問いたしましたインドネシアにおきまして、環境林業大臣に対して、廃棄物発電導入を包括的にサポートする支援プログラムを提案いたしまして、好意的に受けとめていただきました。現在、これに基づきまして、廃棄物発電ガイドラインの策定支援や訪日研修による人材育成などを実施しております。

 以上のように、技術、制度整備、人材育成等を有機的に連携させて、循環産業の海外展開を効果的に推進してまいりたいと考えてございます。

小沢(鋭)委員 これもケーススタディーで、ラオスのことで聞かせていただきたいと思います。

 今、中井さんの話の中で、インドシナの廃棄物発電の話がございました。私がビエンチャンを訪ねたときも、そのときは、ブアソーン元首相、ソムマート環境大臣と会談をさせていただいたんですが、ビエンチャンでも、ごみ焼却で廃棄物発電、それをぜひ日本にお願いしたい、こういうことがあって、ホームページにも掲載されているようですから固有名詞でお聞かせいただきたいと思いますが、日立造船さんがその案件は携わっている、こういう話がありました。ただ、それが頓挫しているんですということで、ぜひそれを進めてもらいたいんだ、こういうふうに要請を受けてまいりまして、来ているわけでありますが、そのことを御承知なのか、あるいは推進をしてもらえるのかどうか、改めてお聞かせいただけますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 日立造船は、昨年十二月にラオスのエネルギー鉱業省と環境・グリーンエネルギー開発及び事業化に関する包括連携協力協定を締結いたしまして、有機性廃棄物のメタン発酵や焼却発電についても検討、提案をしていく予定と承知してございます。

 環境省といたしましては、廃棄物、リサイクル関連事業につきまして、具体的な海外展開を計画する際に、我が国自治体や関係機関との連携や、また、二国間協力、多国間協力との有機的な結びつけなどを含めました実現可能性調査等の実施支援をしてきてございます。

 なお、ビエンチャンにおける生ごみによるメタン発酵プロジェクトにつきましては、環境省といたしましては既に平成二十七年度に実現可能性調査を支援しているものの、事業採算性がよくないとされたところでございまして、事業化に際してはこうした課題を克服する必要があると認識しております。

 一方、これとは別に、廃棄物発電につきまして有望な提案がなされるようであれば、実現可能性調査の支援対象になり得るものと考えております。

小沢(鋭)委員 ごみの問題は、なかなか我が国でも深刻でありますけれども、特に途上国においてはこれからの課題になるわけでありまして、そういった我が国の廃棄物処理の技術を大いに活用していただいて、ごみ焼却から発電までいけば、今度はJCMでそれもまたクレジットが獲得できる、こういうメリットもありますので、ぜひそういった対応をしっかりととっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 環境の施策に関する件について、きょうは、北部訓練場及びヘリコプター着陸帯の工事等についてお話を伺いたいと思います。

 きょうは、各委員のお手元に私が三枚資料を御用意させていただきましたので、先に御紹介させていただきます。

 今回、この北部訓練場の新しいヘリコプター着陸帯の建設によって返還される既存の着陸帯や、新しくつくられる事業実施区域という図があります。

 そして、真ん中の赤い大きなこのグリッドは、自然環境の厳正な保護を図る区域、評価ランク1です。その外側のやや少し薄い赤いライン、これは、自然環境の保護・保全を図る区域、評価ランク2、そして、その外側の緑は、主に人間が生活しているという環境から、自然環境の保全を図る区域として評価ランク3というふうに、自然環境の保全に関する指針によるランク区分がなされています。

 ちょっと見えにくいので、よくごらんいただきたいんですが、まず、上のブルーの返還される予定の着陸帯に赤い丸があります。この赤い丸が、実は上に六つあります。そして、ぐっと図の下の方を見てみますと、N―1、N―4のさらに下のブルーの部分に赤い丸が見えます。この丸が一カ所で、合計七カ所。日本側に返還される北部訓練地域にある七カ所のヘリパッドがなくなるということですね。

 では、かわりにどうするかというと、黄色い枠というんですか、黄色のバックに黒い字で枠囲みされているアルファベットと数字、ここに六つの着陸帯ができます。

 下の方からいきますと、N―4の1、N―4の2、ここは右側に高江集落がありますが、最も近い家屋から四百メートルです。そして、その上、N―1(a)とN―1(b)、これは、今回新しく樹木を伐採してつくられた場所です。さらにその下にH、右手に行きますとGというふうに、六つの着陸帯が完成しています。

 しかし、実は、この着陸帯以外にも、既存の着陸帯が十五あります。その十五のうち、私が別の資料で照合して皆さんのお手元の地図の上に落としたところ、この赤い、厳正な保護を図る区域、評価ランク1に五カ所、既存のヘリパッドがあります。この地図には私は今回記入しておりませんが、中に五カ所あります。

 そして、それ以外に、主にN―4の1、N―4の2、そしてN―1(a)とN―1(b)の周囲に集中するように、自然環境の保護・保全を図る区域、評価ランク2に指定されているところに十六のヘリパッドがあります。

 ということを考えますと、既存のヘリパッドは、合わせて考えると、全部で十五プラス六で二十一カ所ということになるんですが、この地図の中で、評価ランク1、評価ランク2というところに米軍使用のヘリパッドがほとんど残っている、あるいは新しくできたということの資料です。

 おめくりください、二枚目の資料です。

 これは日本蝶類学会会員の宮城秋乃さんという方が、二〇一四年五月に、オスプレイが使っているヘリパッドの近くで営巣するノグチゲラの近くでオスプレイが飛んでいる写真です。左側の赤丸のイタジイの木の股のところに実は営巣しているんですね。そのすぐ近く、基地に隣り合っているこの木の近くでオスプレイが着陸訓練をしている。

 なぜ着陸訓練をしているかということを見ると、この写真のオスプレイは、エンジンナセルと言われているエンジン部分を垂直にしています。これは、ヘリコプターのように垂直で離着陸する、つまりヘリパッドを使うときに飛ぶ形状の格好をしているからですね。ですから、その場合は、エンジンの排気音や熱は、当然ですが、下降に、通常のヘリコプターよりも多く排出されるということで、ここが騒音と低周波の、オスプレイの持っている機体の特徴でもあり、問題でもあるというふうに言われています。

 三枚目をごらんください。

 これが、実は二〇一七年三月二十八日に、同じく宮城さんが撮影されたノグチゲラの、これは営巣、巣をつくっている様子です。実は、八分間の映像の中のこれはワンショットを私が撮ったものです。

 映像開始から二十八秒後に、一番ノグチゲラの姿がわかるようにとめてスクリーンショットで写真に撮ったものですが、実はこの写真と同じような写真が先日沖縄タイムスに、「東村高江の森で二十八日午前、国の特別天然記念物ノグチゲラが巣作りをしている様子が確認された。」という報道が沖縄タイムスに載っています。「高江の森では以前、オスプレイが低空飛行し騒音を響かせる中、巣立とうとしていたノグチゲラのひなが二時間以上も巣から顔を出さなくなることがあった」ということで、まさに、このようにノグチゲラが営巣しているすぐ近くでオスプレイが現に訓練をしているということを示すために、このノグチゲラの写真を添付させていただきました。

 この三つの資料をもとに質問をさせていただきたいと思います。

 これは、まず確認からさせてください。北部訓練場及びヘリコプター着陸帯ですが、防衛省に伺います。これはあくまでも確認の意味で伺いますので、事前通告はしていませんが、知り得る範囲、事実関係を御報告ください。

 北部訓練場の日本側への引き渡しは、昨年十二月にその引き渡し式典も行われたというふうに私も認識しています。では、北部訓練場における六カ所のヘリパッドについて、この地図の中にあるヘリパッドについては、工事が完了し米側に引き渡されたという認識でよろしいでしょうか、お願いいたします。これは、先に防衛省の方にお伺いしたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 北部訓練場について、ヘリパッドの六カ所の移設工事は完了いたしました。

 ただ、提供手続について、念のため確認をいたします。

 と申しますのは、一部、追加工事、追加というのは加えてではなくて、工事をする予定があってまだ提供していない部分がありますので、そうしたことで間違いがあるといけませんので念のため確認いたしますが、既に完成をいたしております。

玉城委員 ありがとうございました。

 もう既にオスプレイが使える状態にはなっているということですが、恐らく、宇嘉川からG地区、宇嘉川と尾根の部分ですとか、もろもろの補修のための工事が残っているということだというふうに、私も調査をしてそのように確認をしております。

 では、環境省にお伺いいたします。

 世界自然保護連合、IUCNは、沖縄の名護市辺野古、大浦湾で進められる米軍基地建設と東村高江など山原の森で進められている米軍ヘリパッド建設に対して、これまで幾たびか勧告、決議を採択しています。

 二〇〇〇年のヨルダン・アンマン会議での勧告「沖縄島およびその周辺のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」(二・七二)と二〇〇四年のタイ・バンコク会議での勧告「ジュゴン・ノグチゲラ・ヤンバルクイナの保全」(三・一一四)は、新基地やヘリパッド建設により危機にさらされる絶滅危惧種のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全のための行動計画を策定し、基地やヘリパッド建設に係るゼロオプションを含む環境アセスの実施を日米政府に求めたものであるというふうに思料いたします。

 きょうは、特に、ジュゴンを除いてノグチゲラやヤンバルクイナの保全のための取り組み、生息域保護の取り組みについて、どのように行われたかを確認したいと思います。環境省、お願いいたします。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 ノグチゲラ及びヤンバルクイナにつきましては、種の保存法に基づく保護増殖事業計画、さらに、事業を具体的に進めるための実施計画を定めておりまして、これらの計画に沿って、生息状況調査、交通事故対策などの必要な保護対策を進めているところでございます。

 また、マングース等の外来種対策等も進めておりまして、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの保全強化のために、さらに山原地域において、鳥獣保護法に基づき、平成二十一年十一月には、国指定鳥獣保護区として、安波鳥獣保護区及び安田鳥獣保護区を指定いたしました。

 これらの取り組みによりまして、ヤンバルクイナにつきましては、個体数は近年増加傾向にあると認識をしております。

玉城委員 では、ここからは防衛省にお伺いいたします。

 防衛省は、この着陸帯工事に際して、ノグチゲラの営巣期間、三月から六月までの営巣期間の騒音軽減をどのように図ったでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 ヘリパッドの移設工事を実施するに当たりましては、我々が自主的な判断で行った環境影響評価に基づきまして、建設機械の騒音による影響を回避するため、ノグチゲラ等の多くの貴重な鳥類の繁殖期間である三月から六月につきましては、建設機械による土工事は実施しないという処置をとったところでございます。

玉城委員 つまり、その営巣期間については工事はしないということですが、しかし、その工事をしていない間も、米軍機は、既に引き渡したヘリパッドは使用していたということだと認識をいたします。

 では、この営巣期間など、騒音軽減対策については防衛省は努力をいたしましたが、米軍への、この間工事をとめているという情報提供及び対策等に関する協議等は行ったでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 北部訓練場におけるヘリパッドの移設工事に関する環境影響評価図書の作成、自主的に行ったものでございますが、この環境影響評価図書の作成に当たりましては、その案を公表する直前である平成十七年十月に、現地の在沖縄海兵隊司令部に対して、ノグチゲラの繁殖期間である三月から六月については土工事を避けるということも含めまして、その内容を説明しているところでございます。

 このような日本側の取り組みにつきましては、工事を開始した後においても、米側に適時説明は行ってまいったところでございます。

玉城委員 説明はしたということですね。

 では、自然環境の保全について、こういう方向性で私たちは自然環境を保全することに努力していますよということについて、米軍側への情報提供及びその自然環境保全の対策に関する話し合いは行っておりますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどまず御答弁申しましたように、ヘリパッドの移設工事の環境影響評価図書の作成に当たっては、その内容を米側に説明いたしました。

 また、このような機会を活用いたしまして、北部訓練場の返還計画の策定に際しては、自然環境に与える影響が少なくなるように米側と調整も行ったところでございまして、その結果、先ほど委員から御指摘もありましたが、移設するもとは七つのヘリパッドということでありましたが、これを全て移設するのではなく、六つにとどめる。また、米軍の要望を踏まえると、もともと米軍の要望は直径七十五メートルの大きさで造成してほしいというところであったところでございますが、調整の結果、必要最小限の四十五メートルの直径のものに縮小するなどの環境への影響を最小限にとどめる構造とする、こうした話し合いも行ったところでございます。

玉城委員 いかにもヘリパッドが小さくなった、そういう書きぶりなんですね、この報告書でも。

 四十五メートルの直径に、周囲に十五メートルの緩衝地帯がありますよね。十五足す十五は幾つですか、三十です。三十足す四十五は七十五メートルなんですね。つまり、それだけ広範囲に森林を伐採して、N1地区、あるいはH地区、G地区はつくられたわけです。

 ですから、そういうことを考えると、環境に与える影響が本当にゼロであったかのようなそういう表現は、私は間違いではないかと強く指摘をしたいと思います。

 もう時間ですので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 この問題については、先ほど紹介いたしました日本蝶類学会の宮城秋乃研究員も、山原の森は場所によって環境が違い、その場所でしか生きられないからこそそこにすみついている生物がいる、それを他の場所へ移せば生き残りにくくなる可能性が高くなる、移植、移動先である生物種の個体数を人為的にふやすことは、今まで保たれていた適切な個体群密度を壊す可能性があり、すみかや餌、配偶者を獲得するための競争を激化させ、移動した生物にも、もともとそこにすんでいた生物にも負担を与えるというふうに論文で書いています。

 つまり、自然環境は、そこにある環境を保護、保全するということに重きを置かないといけない。だからこそ、ここで評価ランク1、評価ランク2という、厳しい、人間の手がなるべく加わらないようにということで指定をされているということにもかかわらず、いわゆる工事が行われたということです。

 では、工事が一旦、これから補修工事や残っている工事が終わると、ヘリパッドも渡します、すると工事の音は終わります。ところが、そこを使うヘリコプターやオスプレイの音は激化します、激しくなります。

 工事終了以降の騒音軽減対策について、米側への情報提供及び協力等、対策に関する協議は行っておりますか。

深山政府参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど確認すると申しましたヘリパッド六カ所は、米側に引き渡しが済んでおります。確認をいたしましたので、お答えをします。

 今の委員の御指摘についてでございますけれども、私どもは、先ほど申し上げました自主的に行っている環境影響評価におきましては事後調査というものを行うことになっておりまして、オスプレイ等の運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施しております。これにより、御指摘になりましたノグチゲラ等貴重な動植物への影響についても対応できるものと考えております。

 その上で、我々防衛省が行う事後調査により環境影響の程度が著しいということが明らかになった場合には、その原因について専門家等の指導助言を踏まえ検討し、関係機関と協議するとともに、米側に改善を申し入れるなど、対策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

玉城委員 この問題はまだまだとどまるところがありません。問題を追及して、さらに防衛省からの回答を求めていきたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

平委員長 次に、内閣提出、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山本環境大臣。

    ―――――――――――――

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(公)国務大臣 ただいま議題となりました土壌汚染対策法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 土壌汚染対策法では、土壌汚染状況調査の実施、調査結果に基づく区域の指定、区域内の土地における汚染の除去等の措置の実施、汚染土壌の処理に係る規制等について規定しており、これまで着実に施行されてきました。今般、前回の改正法の施行から五年が経過したことから、法律の附則に定める施行状況の検討を行ったところ、次のような課題が明らかとなったところです。

 まず、工場が操業を続けている等の理由により土壌汚染状況調査が猶予されている土地においては、土地の形質変更を行う場合、土壌汚染状況の把握が不十分であり、地下水汚染の発生や汚染土壌の拡散が懸念されます。

 また、汚染の除去等の措置が必要な要措置区域においては、土地の所有者等が実際に実施した措置について、都道府県知事が事前に確認、指導する仕組みがなく、不適切な措置の実施等のおそれが指摘されています。

 他方、形質変更時要届出区域においては、たとえ土地の状況から見て健康被害のおそれが低くとも、大規模な土地の形質変更を行う際には土壌汚染状況調査が行われ、その結果、区域指定が行われるため、その後の土地の形質変更のたびに事前届け出が求められること、また、自然由来による汚染土壌が存在する場合であっても、指定区域外に搬出される場合には汚染土壌処理施設での処理が義務づけられていることから、リスクに応じた規制の合理化が求められています。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、土壌汚染に関するより適切なリスク管理を推進するための措置を講じようとするものです。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、土地の汚染状況の把握を促進するため、土壌汚染状況調査が猶予された土地において土地の形質変更が行われる場合には、都道府県知事は土壌汚染状況調査の実施を命ずることとします。

 第二に、汚染の除去等の措置が必要な要措置区域において、不適切な措置による汚染の拡散を防止するため、都道府県知事が土地の所有者等に対し、汚染の除去等の措置内容に関する計画の作成及び提出を指示し、必要に応じて計画の変更を命じる等の仕組みを創設します。

 第三に、形質変更時要届出区域内において、その汚染が専ら自然由来等であって健康被害のおそれがない土地の形質変更については、その施行及び管理の方針についてあらかじめ都道府県知事の確認を受けた場合、事後届け出とします。また、土壌の汚染状態が専ら自然由来等であるなど一定の要件を満たす区域内の汚染土壌を、同様の状態の他の区域内の土地における土地の形質変更に使用するために搬出を行うことを可能とし、その場合には、汚染土壌処理業者への処理の委託を要しないこととします。

 このほか、土壌汚染状況調査の手続の迅速化、施設設置者による土壌汚染状況調査への協力等に係る規定の整備を行います。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

平委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十四分散会


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