衆議院

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第10号 平成29年4月7日(金曜日)

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平成二十九年四月七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    木村 弥生君

      小島 敏文君    助田 重義君

      田中 和徳君    比嘉奈津美君

      藤原  崇君    堀井  学君

      前川  恵君    菅  直人君

      田島 一成君    細野 豪志君

      松田 直久君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 開出 英之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        鳩山 正仁君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     河野 正美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十一日火曜日午前九時、参考人として早稲田大学法学部教授大塚直君、東京農工大学大学院工学研究院教授細見正明君、一般社団法人土壌環境センター技術委員会委員長鈴木弘明君及び元大阪市立大学大学院経営学研究科教授畑明郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官開出英之君、法務省大臣官房審議官金子修君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、国土交通省大臣官房技術審議官潮崎俊也君、国土交通省土地・建設産業局次長鳩山正仁君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 今や、土壌汚染は国民の重大な関心事となっております。それは、東京都の豊洲市場への移転問題から派生した数々の疑念の根本的な問題が土壌汚染でありまして、多くの人々の不安を増幅させたからであります。

 土壌汚染対策法に係る今回の改正の内容は、豊洲問題を受けたものではございません。しかし、憂慮すべき大きな関心事として土壌汚染が社会全体の注目を集めていることは誰もが認めざるを得ないところであります。

 そこで、国民の率直な視点から数点お尋ねをしてまいります。

 さきに今回の法改正について山本大臣より提案理由の説明がございましたが、五年前の、前回改正の施行を踏まえ、どのような課題があり、なぜ現行法を改正する必要があるのか、改めて大臣に立法趣旨を確認いたしたいと思います。

山本(公)国務大臣 平成二十二年の改正法の施行から五年が経過したことから、法に基づき施行状況を検討した結果、まず、土地の汚染状況の把握が不十分であること、汚染の除去等の措置に係るリスク管理が不十分であること、リスクに応じた規制の合理化が必要であることが明らかとなりました。

 これらの課題を解決し、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進するため、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大、汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設、リスクに応じた規制の合理化などの改正を行うものでございます。

田中(和)委員 築地市場の移転予定地である豊洲の汚染問題は、土壌汚染対策法により求められているものではなく、安心の観点からの地下水調査も含めて東京都の判断で運用されているものでありまして、環境省は、自治体の判断の範疇という立場をとっています。

 先日報道されましたけれども、調査した専門家の方々の説明によれば、直ちに市場の運営上健康影響が生じるわけではなく、施設は地下とコンクリートで隔離され、問題の地下水は利用しないことから、安全性は確保されているという説明でございました。また、有害物質が検出されたこと自体を大きく取り上げる報道が続き、東京都民はもとより、国民全体の不安を増幅させておることも事実であります。

 空気、水についても言えることでありますけれども、土壌についても、社会全体で、正しい知識や、利活用の内容によって、また物質の種類と濃度によってどの程度健康リスクがあるのか、土壌汚染問題に関して最低限の知識を身につけるための教育や啓発活動が不可欠であると考えます。

 そこで、土壌汚染対策において、子供たちを含めた一般の国民へのリスクコミュニケーションの重要性について、どこで、どのように、誰が、いつ実行をするのか、環境省の基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。

山本(公)国務大臣 土壌汚染については、汚染があってもすぐに健康影響があるわけではなく、土壌に含まれる有害物質が体内に入る経路を遮断することによりリスク管理を行うことが基本であります。

 一方で、汚染の状態や健康リスクの程度がわからなければ不安が生じやすいものでもあります。正確な情報提供により国民の理解増進を図ることが重要であろうと思っております。

 このため、環境省では、ウエブサイトやパンフレットなどにより、できるだけわかりやすい情報提供に努めるほか、毎年、土壌汚染のリスクコミュニケーションに関するセミナーを開催しているところでもあります。また、環境省が環境教育用に作成しているこども環境白書においても、土壌汚染について紹介をいたしております。

 今後とも、汚染土壌に関するリスク管理に係る国民の理解増進を図るため、引き続き普及啓発に努力をしてまいります。

田中(和)委員 さて、土壌汚染とは、土壌に含まれる有害な物質が私たちの体の中に入り、健康被害に及ぶ経路、すなわち摂取経路があるかどうかがポイントとなってまいります。

 土壌汚染対策においては、汚染物質が人の体内に取り込まれる経路を遮断し、健康被害のおそれがない状態にすることが肝心であります。

 土壌汚染対策法の仕組みでは、調査の結果、基準値を超える汚染物質があり、かつ汚染物質の摂取経路がある場合、都道府県知事は、要措置区域に指定し、土地所有者に対して健康被害を防止するための対策を指示することになります。

 今回の法改正においては、この最も重要な要措置区域における措置について、適切に計画、実施されるような改善措置を講じるとのことでありますが、そもそも現状において要措置区域における対策の実施がどのような状況にあり、今回の改正でどのような問題がどのように改善、解決されるのか、説明をお願いしたいと思います。

比嘉大臣政務官 御指摘の改正内容の対象となる要措置区域については、前回の改正法の施行後の五年間で累計三百五十四件が指定されております。

 要措置区域において土地所有者等が実施する措置及びその内容については、現行制度では、都道府県知事が事前に確認、指導する仕組みがないため、不十分な措置の実施や誤った施行方法による汚染の拡散事例が生じているとの課題があります。

 こうした課題に対応するために、今回の改正法案では、都道府県知事への措置内容の計画を事前に届け出ることを義務づけるとともに、措置が完了した際についても措置の実施内容等の提出を義務づけることとしております。これにより、都道府県知事による措置内容の確認を確実に行うことが可能となります。

田中(和)委員 現行では、自然由来の汚染土壌は、区域から搬出する際は、必ず汚染土壌処理施設において処理することが義務づけられております。近隣の場所にあっても仮置きに活用ができないなど、工事にも支障が生じて不都合が起きております。

 また、諸外国においては、汚染された土壌は、処理施設で処理されるだけではなくて、資材として活用されているという話も聞いております。

 このため、自然由来のような軽度の汚染土壌については、その特性に鑑みて、汚染の拡散につながらない範囲で積極的に有効活用を考えるべきだと考えます。政府側のお考えをお聞きしておきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自然由来等の土壌につきましては、濃度が低く、かつ同一の地層に広く存在をしているものの、現行制度におきましては、これを区域外に搬出する場合には、人為汚染の土壌と同様に汚染土壌処理施設での処理が義務づけられておりまして、御指摘のような有効活用は難しい状況になってございます。

 このため、今回の改正案におきましては、自然由来等の土壌につきまして、同様の汚染状態で同一の地層にある他の管理された区域において、仮置きでございますとか地盤のかさ上げなどへの利用を可能とするということにしてございます。

 また、当該土壌の搬出に当たりましては、あらかじめ事業者から届け出を都道府県にさせまして、都道府県の方で汚染の拡散が起きないような運搬方法や搬出先等の確認を行うということとしております。

田中(和)委員 別の視点になりますけれども、この法律が規制対象とする土地には、土壌環境という側面に加えて、私有財産としての側面があります。

 土壌汚染問題は土地の価値に大きな影響を及ぼしますが、目に見えず、汚染の存在が把握しにくいという特徴から、土地取引の段階では汚染があるかどうかわからないまま取引されるケースが一般的であります。

 私の地元川崎市内でも、一流会社の事業が決定をして、工事に取りかかった後で土壌汚染が見つかり、高額な処理費用を負担して汚染を除去した実例があります。この土地はJR川崎駅前の一等地でありましたから、土地の値段も高く、今では日本で最大のショッピングモールになっております。

 土壌汚染地域は、土壌汚染がない土地に比べて、その処理対策費用として大きな経済的な負担がプラスされることになります。そして、全国的には、その土地の価格よりも処理費用の方がはるかに高額になることの方が一般的であります。

 土壌汚染がある土地について、固定資産税に係る固定資産評価では、土壌汚染はどのように反映されているのか。土壌汚染地域であることにより評価額はその分マイナスされるのか。マイナスになれば、固定資産税が減ることになります。当然地方財政への影響があると思いますが、総務省に実情について確認をしてまいりたいと思います。

開出政府参考人 お答えいたします。

 固定資産税における土地の評価につきましては、基本的に、売買実例価額に基づいて適正な時価を求める方法によることとされておりまして、土壌汚染のある土地につきましては、その要素が売買実例価額に反映されることによりまして、固定資産税の評価においても減価要因として考慮されることになります。

 また、土地取引の段階でわからなかった土壌汚染が後に明らかになったような場合におきましても、当該土地の利用制限の程度等を踏まえ、不動産鑑定士の意見などを参考にしながら、個別にその影響を把握し、減価要因として評価に反映させることとなります。

 このようにして、固定資産の評価額が減価された場合につきましては、具体的な影響額については把握してございませんが、固定資産の税額についても減収となるということになります。

田中(和)委員 今の御答弁を聞いておりまして、本当に土壌汚染によって普通のその地域の固定資産税に比べて減額されているところがどのぐらいあるだろうか、どのようなきめの細かい調査によって固定資産税の評価が決まっているんだろうか、こういうふうに、私自身の今までの経験に基づいてお話しすると、ほとんどできていないと思います。

 そのことをやることによって、一方においては国民に正しい土地の状況を伝えることができるんですが、都市部では、特に委員長の大田区もそうでしょうし、我が川崎も隣接地で同じですけれども、町工場が経済成長期には本当に数多くあったんです。そこが、いつの間にか工場がなくなって、マンションになったり、一般の住宅として分譲されたり、建て売り住宅になったりしているわけでして、この不動産の権利の移転のときに、実は、土壌汚染等の問題を確認して市が固定資産税を決定した、自治体が決定したということは、聞いたことが余りありません。

 この辺の実態について、今後、総務省として、地方自治体の人たちと、確かに課題が大きいんですけれども、どうしようとされるのか、どうあるべきだと考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。

開出政府参考人 先ほど申し上げましたように、固定資産の評価におきましても土壌汚染の要素については考慮するということになってございますが、土壌汚染の状況は個々の土地によって異なるということでありますので、総務省として一概にどの程度評価額が考慮されているかということは把握してございませんが、評価につきましては、私ども固定資産評価基準を持っておりますし、自治体の相談に乗る立場でもございますので、そのあたりは適切に指導してまいりたいというふうに考えております。

田中(和)委員 総務省からの答弁はほとんどすっきりしない答弁ですけれども、これ以上今の段階でお話をしても、答弁は繰り返されることになると思います。

 一歩進めて議論をいたしてまいりたいと思います。

 大工場の跡地などは土壌汚染があることは誰しも気がつきますけれども、小さな町工場や過去のごみ捨て場などが昨今の土壌汚染問題の原因になっていることがどこにでも散見されるわけです。私の近所にも、全く大きな問題として取り上げられたケースもございます。

 土地の所有権者が何度かかわっている場合、その処理費用は現所有者が負担せざるを得ないけれども、なかなか納得がいかないというところもあると思います。また、土地の価格より汚染処理費用が大きい場合は、とんでもない負の資産を所有することになります。

 確かに、土地取引後の所有者が、過去にさかのぼって、汚染原因者負担によって瑕疵担保責任もしくは損害賠償を求めていくという責任追及もできるかもしれませんけれども、一般的には大変難しいことと思われます。また、単に運が悪かっただけでは済まされない大問題ではないかとも思います。

 さらに、融資などの担保にしている土地に後で土壌汚染が見つかったり、価値が減額される場合もあると思います。

 宅建業法では、取引業者に、土壌汚染対策法の区域指定による規制があることなどの重要事項について説明義務が課せられておりますけれども、実態上、このような情報は適切にやりとりされているかどうか、私は疑問だと思っております。

 また、区域指定がされていなくても、過去に何らかの土壌調査が行われている場合、この調査結果は売り手と買い手の双方できちんと正確な汚染情報を共有されてきているのかどうか、この点も疑問であります。

 こうしたことから、土地取引のリスクともなる土壌汚染に関して、土地売買の際には必ず土壌汚染調査を法律で義務づける、すなわち、汚染調査を土地取引の前提とする制度に改めることも検討すべきではないかと私は考えます。

 土地取引をつかさどる国土交通省の見解をお伺いいたしたいと思います。

鳩山政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生から、宅地建物取引業法等について御質問いただきました。

 宅地建物取引業法では、土壌汚染対策法の規定を踏まえまして、取引を媒介する宅建業者に対して、取引対象の土地が土壌汚染対策法に基づき区域指定されているか、そういう土地か否かを重要事項として説明する義務を課してございます。このため、宅建業法に基づいて適切に説明されているものというふうに認識しております。

 それからまた、土壌汚染を含め、物件の形質や利用制限等に関し、購入者等の取引判断に重要な影響を及ぼす事項について宅建業者が知り得た場合には、宅建業者がその旨を適切に説明を行うものと考えてございます。

 なお、先生御指摘の、過去に何らかの土壌調査が行われている場合に、その調査結果が売り手と買い手の間できちんと共有されているのかという点につきましては、一般に、土地の取引については私人同士で行われているものでございまして、何らかの土壌汚染調査の結果が共有されているかどうかということについては、国土交通省としては把握してございません。

 さらに、先生御質問の、必ず土壌汚染調査を法律で義務づける点についてでございますけれども、そもそも、土壌汚染対策法では、まず、汚染の除去等の措置が必要な土地については都道府県知事が区域を指定することとなっており、その区域指定された土地については、先ほどお話ししました、宅建業者が重要事項として土地の購入者等に説明することになってございます。

 その上で、土地取引の件数というのは非常に膨大な数が行われておるわけでございますし、その内容等も、事業用地の取得から全く個人間の売買まで実に多様なものがございまして、全ての土地取引の際に土壌汚染調査を一律に義務づけるということについては慎重な対応が必要かと考えてございます。

田中(和)委員 今の答弁を聞いてもわかるように、実態の把握というもの、さらには取引においての十分な確認というものがなかなかできていないのが実態なんですよ、実は。

 区域指定なんですけれども、一般的に住宅として使われたり商業地として使われるようになって売買が行われると、その状態が継続されるわけでして、なかなか、土の中の調査までして取引が行われるというのは余り聞いたこともございません。

 また、親しい関係で取引が行われた場合に、自分が求めた土地であればあるほど、土壌汚染の確認を地主に対して、地権者に対してするということもなかなかしづらいことですね。

 今私が指摘したように、固定資産税にももちろん影響する、後々地域全体の利活用の上でも大変な影響が出る、金融機関の担保等でも問題が起こる。そして、まさしくジョーカーを引き合うような結果になって、そのジョーカーを最後持っている人が土壌汚染が発覚したときに責任をとらなければいけない可能性も出てくるわけです。これは、今までの仕組みの中では対応ができないということを示していることなんです。

 ですから、きょうは国土交通省の委員会じゃないのでこれ以上は申し上げませんけれども、この土壌汚染の問題は、水質の汚染だとか大気中の汚染以上に国民生活に密着している事柄ですから、この対応を明確にしてもらう、でき得れば、土地の取引、山の中の土地の売買とかあるいは過疎の地域というのは余り対象にする必要がないのかもしれないけれども、都市部においてはこれを義務づけていくということは大切なことなのではないかなと、今回の東京の事件を見てもつくづく感じたところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、時間の関係がございますので終わりにいたしますけれども、これらの土壌汚染の問題というのは世界じゅうで起きております。

 隣の中国でも、急速な経済成長に伴って顕在化した環境問題を喫緊の課題として捉え、環境対策強化を本格化させておりまして、大気汚染や水質汚濁とともに、土壌汚染について、昨年五月に、土十条と呼ばれる土壌汚染防止行動計画が公布されております。現地に工場を持つ日系の企業も、土壌汚染への対策を講じなければならないという企業もあるようでございまして、大変大きな変化であります。

 いろいろとございますけれども、我が国のこういう環境面での技術、土壌汚染の対策等の技術は世界に誇るべきものであるというふうにも伺っておるわけでございまして、ぜひ、大臣におかれましても、我が国がイニシアチブを発揮して積極的に土壌汚染対策のリーダーシップがとれるように、そして、世界のまさしくこの分野のリードをできる国として活動をしていただければいかがかと思いますが、よろしく御答弁をお願いしたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘をいただきました中国におきまして昨年五月に公表されました土壌汚染防止行動計画に基づきまして、中国における土壌汚染対策制度の検討が行われてございます。

 環境省といたしましても、昨年十二月に北京でセミナーが開催されました、そこに担当課長も参加いたしまして、中国の環境担当部局からの出席者に対しまして、土壌汚染対策に関する我が国の法制度でございますとか対策技術等を紹介するというような支援をしてきたところでございます。

 このほかにも、例えば水俣条約におきましては、水銀に汚染された場所の管理に関する手引を策定するということになってございまして、この分野でも日本の貢献が求められているという状況でございます。

 御指摘のとおり、公害問題を克服してまいりました我が国の経験や技術を生かした協力に向けまして、引き続き、各国の土壌汚染問題に関するニーズを把握しながら、土壌汚染問題の解決のための対策に関する制度や基準の策定等に関する協力についても前向きに検討してまいりたいと考えております。

田中(和)委員 大臣、私が申し上げましたように、国民に対して、あるいは次代を担う子供たちに対し、土壌汚染の問題だけではないんですけれども、こういう環境教育を徹底していただくことをぜひお願いしたいと思いますし、今、総務省、国交省にも御答弁をいただきましたけれども、一つ一つが今まだ問題として継続していることばかりなんです。また、世界における課題も、我が国がリーダーシップをとれる余地が大いにあると思います。

 大臣の土壌汚染問題に関しての意気込みをお伺いし、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本(公)国務大臣 今、先生のさまざまな御指摘を伺いながら、私、党の環境部会長のときに、最初に土壌汚染法をつくるときに参画いたしました。今、改めてこの立場になりまして、土対法の今回の改正を受けて、先生の御指摘のところがまだまだということも十分にわかっております。

 その上で今回の改正をお願いいたしているわけでございますけれども、改正をしたからといって、環境省はこの問題に手を緩めることがあってはならないと思っておりますし、関係省庁とも連携をとりながら、土対法の精神を生かしながら、よりよいものにしていきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 ありがとうございました。

平委員長 次に、松田直久君。

松田委員 皆さん、おはようございます。民進党・無所属クラブの松田でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、一昨日北朝鮮から発射されました弾道ミサイルでありますが、我々、この委員会で、日本のそして地球の環境を守っていく、また世界でもこの取り組みをたくさんの方々が我々とともにやっているわけですけれども、弾道ミサイル、最悪の場合はこういう積み上げてきたものを全部吹っ飛ばしてしまう、そういうおそれがある行為であります。断固として許せないことであります。厳重に抗議をして強く非難を申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは、土壌汚染の一部改正という形で、詳細といいましょうか、非常に細かくなる部分が出てまいりますので、どうぞその点、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 土壌は、水や空気と同じように、地球の生物が生きていく上でなくてはならないものである。土壌は地中にいる生物が生活する場でありまして、土壌に含まれる水分や養分は農作物を育ててくれる。土壌汚染とは、このような働きを持つ土壌が人間にとって有害な物質によって汚染をされた状況ですが、非常に見た目ではわかりにくい。また、すぐに人の健康に影響が出るわけではないので、問題化してきた、表面に出てきたときは甚大な被害を我々に与えることがしばしば今まであったということであります。

 さかのぼれば、明治時代の足尾銅山、昭和三十年に初めて報告のありました四大公害病のイタイイタイ病、そのように農用地の汚染から始まった我が国の土壌汚染問題ですが、顕在化するまでに必ず農作物とかの異変や生態系の異常があり、自然は私たちにそういう形で警告をしてくれてきた。

 そこで、土壌汚染対策法の第一条は、「この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とする。」こういうふうに定めています。

 人間の前に被害を受ける生物多様性、生態系や地球環境に関しては本対策法に含まれてはいないわけでありまして、本法で土壌汚染による生物多様性、生態系への影響は考慮していないことに関して、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図りまして、もって国民の健康を保護することを目的といたしております。

 御指摘の生物多様性、生態系及び地球環境の保全については、環境の保全に関する重要なテーマだと考えております。土壌汚染対策法の法目的に入れることについては、さまざまな課題があると認識をいたしております。関係者の意見を聞きつつ、将来的な課題として検討させていただきたいと考えております。

 なお、さまざまな課題、いろいろなことがあるわけでございますけれども、汚染サイトにおける実態把握や土壌動物を対象とした毒性データ等が不足をいたしておりまして、引き続き情報収集に努めてまいりたいと思っております。

松田委員 黄信号というのでしょうか、赤になるまでの黄信号で、十分そこのところを注意をということなんですけれども、早ければ早いほどいわゆるいいと思います。ぜひお願いをしたいと思います。

 関連した質問なんですけれども、土壌汚染は、今申しましたように、一旦生じてしまうと、地下水等を通じて広域に、広範囲に汚染が拡散をし、健康被害を発生させる可能性が高く、修復が困難である、人の健康のみならず、生態系に及ぼす影響も大きいものであると今申しました。このため、本来は土壌汚染の未然防止こそ最も重要であると考えます。

 このことに関して、平成二十一年の前回の法改正の際に、参議院の環境委員会におきまして、政府は、土壌汚染の現状に鑑み、未然防止の措置について早急に検討を進めるよう、附帯の決議が付されているわけであります。

 そこで、土壌汚染の未然防止措置について、事業者等の取り組みを促進させるための措置としての環境省の対応について改めて確認をするとともに、環境省の今後の取り組み方針を伺いたいと思います。また、本法において、目的規定に土壌汚染を未然に防止することを加える考え方はないのか、環境省、お答えをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、土壌汚染の未然防止は大変重要であると考えてございます。

 この土壌汚染の未然防止を具体的にどう進めていくかでございますけれども、現時点、私どもとしては、まず、水質汚濁防止法というのがございますけれども、その中で、有害物質使用特定施設を設置する工場や事業場におきまして、有害物質を含む水を地下に浸透させてはならないという規制を従来からしてまいりました。

 また、前回の改正の附帯決議等も踏まえまして、平成二十三年には、この水質汚濁防止法を改正、強化いたしまして、有害物質を使用あるいは貯蔵する施設の設置者に対しまして、地下浸透防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準の遵守、定期点検及びそれらの結果の記録、保存というものを義務づける規定等を新たに設けたところでございます。

 土壌汚染の未然防止については、このような水質汚濁防止法に基づく措置を講ずることを中心にして、しっかりと進めてまいりたいというふうに考えてございます。

松田委員 水質の汚濁法というところできちっと見ていきますよということの御答弁だ、こう思います。

 続けて質問させていただきたいと思います。

 平成十五年の本法の施行当初は、土壌汚染が自然由来であると認められる場合には法の対象外とされてきましたが、平成二十一年の大幅の改正では、人為的原因であれ自然由来であれ、健康被害防止の観点から、リスクを区別する理由がないことから、人為的汚染と自然由来の汚染を区別することなく法に基づく規制を行うこととし、自然由来による土壌汚染も法の対象となりました。

 しかし、平成二十七年に閣議決定をされました規制改革実施計画を踏まえた今回の改正法では、自然由来及び埋立材由来の汚染土壌は特定有害物質の濃度が低い所与の汚染であることを踏まえ、人の健康の影響が生じない処理方法及び管理方法であることを都道府県知事等が事前に確認した上で、適正な管理のもとでの処理の促進や、他の同様な区域への搬出を可能とすることとしています。

 他方で、自然由来、埋立材由来の汚染土壌であっても、自然由来、埋立材由来の汚染土壌の処理は適正に行われるべき、当該土壌の不適正な管理や積み上げ等の問題があった場合には厳格な措置が講じられるようにすべきとの指摘や、当該土壌の処理については、関係者の理解と認識がまとまらないと制度の利用が進まない可能性も指摘をされているところであります。

 一度は、平成二十一年改正で、人為的汚染と自然由来の汚染リスクを区別することのない規制が設けられたという経緯を踏まえた上で、土壌汚染対策は、汚染拡散の防止やリスクの軽減という観点から、区域外に搬出をしない原位置の浄化がよいというリスク管理の考え方もありますけれども、改正案の自然由来等土壌の移動について、改めて環境省の御所見を伺いたいと思います。

 また、今回の規制緩和の後、処理に当たって搬入や管理方法に問題があった場合の将来的なリスクの対応についても、あわせて考え方を伺います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自然由来等の土壌のリスク管理についての御質問でございました。

 自然由来等の土壌の、特に移動につきましては、汚染の状態が同様であり、地層が同一である土地等の条件を満たしており、かつ、既に法に基づく区域の指定が行われて管理されている土地というところに限定をして、その間の移動を可能にするというのが基本的な考え方でございます。

 また、搬出に当たっては、あらかじめ事業者が届け出をいたしまして、都道府県の方で、汚染の拡散が起きないような運搬方法でございますとか搬出先の状況等の確認を行うということとしてございます。

 また、その土壌を受け入れる側の土地につきましても、都道府県において、その土地における工事方法、どういうふうにそれを使うかというところの確認を行うことによりまして、例えば、不適切な土地の形質変更によりまして、自然由来の土壌が蓄積をしたりとか不法投棄されたりとか拡散したりとかいうことがないように防止をすることとしてございます。

 今申しましたように、自然由来の土壌の移動が認められるのは、搬出先においても搬出元と同様の性状の自然由来の土壌が広がっており、なおかつ管理をされているということが前提でございます。

 また、今申しましたように、埋め戻しとかかさ上げが行われる場合には、飛散、流出しないようなことを都道府県知事があらかじめ確認した上で実施をするということでございますので、この規定に従って実施をされれば汚染拡散のリスクはないというふうに考えてございます。

 また、周辺の理解という御指摘もございました。必要に応じて、周辺の住民の方に対するリスクコミュニケーションも行いながら進めていくということも重要かと思ってございます。

 こういう規定のもとで、しっかりとした管理のもとで進めていくということで考えてございます。

松田委員 私の地元にもかつて水銀の鉱山があったんですけれども、現在は水銀の採掘は行われていない。地名から水銀の採掘が行われていたというようなことは、地元に行くと地名でわかったりするんですけれども、自然由来の低濃度の土壌があった場所だということはもう間違いない。

 例えば、地域住民からすると、昔から地元の産業を支えてきた水銀がたまたまその土地にあるので、他地域の水銀に汚染された自然由来の土壌がそこへ持ってこられないか、この改正法で他の地域よりも多いことになるのではないかなという懸念が実はあります。

 当然、土壌を移動しなければならない搬出の理由も、わけもあるとは思いますけれども、実際搬入先となる地域への配慮はどのように考えてみえるのか、ひとつ考えをお聞かせいただきたいと思っております。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたけれども、今回の措置につきましては、当該自然由来の土壌と汚染の状況が同一であり、なおかつ同一の地層というところでの搬出でございますので、非常に遠いところに持っていくということは想定されません。これは地質の状況にもよりますけれども、我々が想定している移動というのは、たかだか数百メートルから数キロメートル程度の、例えば、一つの港湾の区域の中とかそういうところでございますので、全然地元と関係ないところからそのものが搬入されるということはないと思っております。

 いずれにしましても、具体的に進める場合には、地元の住民の方の御理解もいただきながら進めていくということが重要かと思っております。

松田委員 そう遠くへ搬入はしないというお考えということでよろしいんでしょうか。はい、わかりました。

 今回の改正案で、一定規模、三千平方メートル以上の土地の形質変更に関して、臨海部の工業専用地域に位置をする土地は、工場が立地していることから土壌汚染の可能性はあるものの、一般の居住者による地下水の飲用及び土壌の直接摂取による健康リスクが低いことから、土地の形質変更については事後届け出にする、こういうふうにしています。

 あわせて、国や自治体が行う水面の埋め立て等による汚染土壌処理について、都道府県知事との協議の成立により処理業の許可を得たものとみなすという特例を定めています。

 臨海部の工業専用地域は、内陸工業地帯に比べ、海外の原料とかの供給や製品の輸出が容易な分、石油化学、造船、鉄鋼、製鉄など、大規模な工場が多い。これまでの日本の物づくりを支えてきた産業が多く集積をしている。また、埋め立てになる土壌取得が容易であったことも一つの理由になると思います。

 昨年七月に環境省が公表した平成二十六年度の土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果の内容には、汚染原因者に関して、指定された要措置区域等において、汚染原因者と土地所有者との関係が同一である事例は百六十六件で、全体の三〇%。異なる事例は八十七件で、一六%。自然由来の事例が二十九件で、五%。しかし、一番多い件数は、実は、汚染原因者不明の二百六十七件で、全体の四九、約半分を占めているわけであります。

 改正案で、工場が立地していることから土壌汚染の可能性はあるものと前提にするのであれば、まず、確認となりますが、臨海部における現状の土地の形質変更前の汚染状況をどのように把握しているのでしょうか。

 さらに、山本大臣に本法案の目的について確認をいたしましたが、臨海部の工業専用地域の土地の形質変更や水面埋め立て等による汚染土壌処理の特例について、人の健康の保護のみならず土壌汚染による生態系への影響を考慮していくべきですし、また、地下水の飲用だけではなく、臨海部ということから、海洋への影響も考慮するべきではないかと思いますけれども、お伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 臨海部の工業専用地域における取り扱いについて御質問をいただきました。

 今回の事後届け出の特例ということでございますけれども、この特例を受けることが可能である土地というのは、御指摘のとおり臨海部の工業専用地域でございまして、土壌汚染状況調査を既にやっているところでございます。

 状況調査を行った結果、土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然由来または埋立材由来であるということが明らかになっている、そういう土地に限って行いますので、そういう意味で、その土地の汚染状況というのは事前に調査によって把握をされているということがまず一点でございます。

 それから、海洋や生態系への影響というような御指摘もございましたけれども、臨海部の工業専用地域における届け出の特例を適用した場合に、あらかじめどういうやり方でその土地の形質変更をやるかというその施行のやり方、あるいは、その際にどういうふうに汚染の拡散を管理するかという管理の方針、こういうことにつきましては、全体的な方針について事前に都道府県知事に確認を受けるということになってございまして、その確認された全体的な方針に沿って、その形質変更、工事を行うということが求められてございます。

 したがいまして、形質変更を行う場合に、形質変更に伴う地下水の汚染の拡散を引き起こさないような方法で工事が実施されるということでございますので、汚染土壌が、例えば海洋に拡散をして、海洋あるいは生態系に影響を及ぼすということはない、そういう形で実施されるというふうに考えております。

松田委員 折しもというんでしょうか、今、豊洲の問題が非常に大きな問題になっています。ベンゼンですか、大きな問題になっていて。

 僕が心配するのは、今回の改定で規制を緩めるという形になるんだろう、こう思いますけれども、それはそれで一つの考え方だとは思いますけれども、例えば地域の住民とか漁業者とか、非常にやはり気になるところだと思いますし、今、遠くからは搬入はされないという御答弁でしたけれども、これは本当はわからないと思うんですよね。そんな、絶対大丈夫ですなんて、なかなか言えない。

 搬入しやすいところへ一遍に集中をするという可能性も十二分にあるし、例えば、今、形状が、きちっとした工事によって、それで水漏れはないというふうなこともおっしゃられましたけれども、例えば上に盛られたときなんか、風でも飛んでいきますし、雨が降ったりとかしたら、どうしてもやはり港にというか湾に出ていく可能性は、僕はあると思うんです。

 そして、また今こういうことを言いましたけれども、いろいろな形で、風評じゃないですけれども、やはり住民やら漁業をやっていらっしゃる方とかいうのは非常に敏感になっていますし、それ以上に消費者なんかがもっと敏感になっている部分があると私は思うんですね。だから、これはしっかりと説明もしていかなあかんし、やはりそこをしっかり皆さんにわかっていただかなくてはいけない、一緒のことですけれども、そう思うんです。

 改めて、そういった観点からどういうふうに思っていらっしゃるか、お答えをいただきたい。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような、やはり周辺の住民の方々を初めとする皆様の不安、不信というものを招かないような形で進めていかなきゃいけないということで、一つは、今回法律改正を踏まえて、今後、では、具体的にやる場合の技術的な基準、こういうものは省令等でしっかり整備いたしますので、これはまた審議会で関係者としっかり議論しながら合理的なものをつくっていきますし、そういうものについてわかりやすくやはり関係者に御説明をするということもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松田委員 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 日本汚染土壌処理業協会が推計をした公共工事における自然由来の重金属含有土壌の発生見込みは、リニア中央新幹線、東京五輪など、今後大型建設工事が相次ぐ状況から、東京五輪の開催の二〇二〇年まで毎年三百万トンぐらいが発生するだろうという見込みとされています。

 自然由来の重金属は、前回の大幅改正により土壌汚染対策法の対象となりました。これより、要措置区域等から搬出される汚染土壌は、同法に基づく汚染土壌処理業の許可施設でのみ受け入れる制度となり、搬出された汚染土壌は、土壌汚染対策法の許可を得た汚染土壌処理施設、すなわち浄化等処理施設やセメント製造施設、埋立処理施設で適正に処理をされています。

 ただ、同法の対象外になる場合、例えば公共事業等のトンネルや地下掘削工事での搬出される自然由来の汚染土壌に関しては少し懸念があると思っております。

 たとえ同法対象外であったとしても、土壌汚染対策法に関する通達では、移動させる場合には適切な対応が図られることとされています。また、環境アセスメントや国交省におけるマニュアル、地方自治体の条例等により、各事業者は、当然、独自に調査、適正に処理されていると思います。

 そこで、我が国全体に活力をもたらし、国家的プロジェクトであるリニア新幹線に関して、JR東海が公開している環境影響評価書によれば、同建設工事の発生土の総量は一千二百八十万立方メートルに達するとされています。その中で、建設工事の発生土の見込みは現在でもこの数字に変更はないのか、まず国交省に伺いたいと思います。

潮崎政府参考人 ただいまございましたリニア中央新幹線の発生土でございますけれども、平成二十六年の八月に、事業主体でございますJR東海によりまして環境影響評価書が作成をされてございます。

 これによりますと、リニア中央新幹線の品川と名古屋間、現在着工しております、この間の工事で発生する建設発生土は約五千六百八十万立方メートルであるということが見込まれてございます。

松田委員 五千六百八十と言われましたか、今。(潮崎政府参考人「はい」と呼ぶ)その中で、例えば自然由来の土壌がどれだけということはわかっているんでしょうか。

潮崎政府参考人 環境影響評価書におきましては、沿線において行った土壌汚染の調査の結果、何カ所かで行っております土壌汚染調査の結果は記載されておりますが、工事に伴い発生する建設発生土量のうち、土対法の基準値を超過する汚染土がどのくらいになるかということについては、今後の工事の進捗に従いわかってまいりますので、現時点においては、それがどのくらいになるかということについては環境影響評価書の中でははっきりとは記載されてはございません。

松田委員 私ども三重県も、一応リニアが通る予定地になっていますので、なるべく早く順調に進んでもらえればなというふうな思いはあるわけですけれども、ただ、国家プロジェクトというか、民間がやっているとはいうものの、ある程度、どれぐらい自然由来が出るということは、調査というんでしょうか、僕は、今まで議論もあったとは思いますけれども、全くわからないというのは少し無責任のような気がするんです。

 例えば、国交省がかかわっていたと思いますけれども、山梨から静岡の中部横断道、これはトンネルを掘っていますよね。大体リニアと同じエリアというんでしょうか、そこを掘ったら、大体その土がどれぐらい自然というパーセントぐらいは出てきて参考になると思うんですけれども、そういう考え方というのはないんでしょうかね。

潮崎政府参考人 発生土の処理に関してでございますが、環境影響評価書におきましては、工事の実施に当たっては、事前に地歴調査等を実施し、必要に応じて土壌調査を行うなどして、土壌汚染の有無を確認することとしております。

 またさらに、影響評価の段階で、自然由来の重金属の存在が確認された箇所では、今後詳しく調査すべき地質を絞り込み、その箇所につきましては、自然由来の重金属等の溶出特性などに関する調査を実施いたしまして、工事中には、発生土に含まれる自然由来の重金属等の調査を定期的に継続して行うということとしております。

 また、工事中に、刺激臭、悪臭または異常な色を呈した土壌及び地下水が確認をされるなど、汚染のおそれがある土壌に遭遇した場合は、有害物質の有無及び汚染の状況について確認をする。土壌汚染が明らかとなった際には、当然でございますが、土対法等の関係法令に基づいて適切に処理、処分をするとしております。

 いずれにしても、JR東海は、この影響評価書の記載のとおり、指定基準に適合しない発生土が出た場合には、関係法令に基づき適切に処理、処分するとのことでございまして、私ども国交省といたしましても、この事業が関係法令に従い適切な環境の保全を図りながら進められるよう、事業主体である東海を指導監督してまいりたいと考えております。

松田委員 少し僕の質問と答弁が何か食い違っているような気がするんですけれども、何にしても、今、二百万立方ぐらいの処理というか、普通の一般の工事やそんなので出てきている。その上にまたリニアの分がかぶさって、今でも処理が物すごく難しいというか大変なときに、これがまた上から来るわけですよね。ですから、よっぽど注意して、例えば、要するにそれだけの土壌がいごく、移動するわけです。

 これはひとつ、アベノミクスの三本の矢の一本の規制緩和という形で、非常に工事をする分に関しては、規制が取っ払えて、そういった部分は非常に工事する側とすれば楽になるということになるわけですけれども、その分だけたくさんの土、土壌といいましょうか、いごくわけですから、それだけトラックか何かで搬送されるわけですから、やはりそこはしっかりと国交省も、この工事の行方というのでしょうか、そういうのを注視していくというか見ていくべきだ、こう僕は思っていますので、一応そこは今御指摘をすることにとどめておきたいと思いますけれども、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 続いて、土壌汚染対策制度に関連した質問をします。

 土壌や地下水の汚染の修復の技術として、平成十七年、環境省と経済産業省では、告示として、微生物によるバイオレメディエーション利用指針を公表しました。指針内容は、環境中に微生物を投入するバイオオーグメンテーションについては生態系等に影響を与えない方法で行うことについて指針を示されていますが、この利用指針を出してもう十年がたっている。

 バイオレメディエーションは、汚染土壌にもともと生育している微生物に水、酸素、栄養物質を供給して汚染物質の分解を促進させる方法、また、汚染物質の分解菌を新たに導入する方法の二種類があり、物理、化学的な土壌汚染処理のプロセスに比べて、処理時間が長くかかりますけれども、人や環境に優しい、低コストで汚染を処理ができるというメリットがあるというふうに、利用が期待をされているわけです。

 そこで、利用指針まで出した微生物によるバイオレメディエーションの実用化された実績について伺います。早い実用例としては十年が経過している現状でどれほどの効果があって、処理スピードを考慮した場合、汚染処理は予測した効果が出ているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘のありましたバイオレメディエーションでございますけれども、微生物の働きを利用して汚染物質の分解を行うということで、特に揮発性の有機化合物等に効果があるということで、実用段階になってきてございます。

 御指摘ございましたように、特に、そこにすんでいない微生物を培養して投入するというような場合には、生態系や人の健康への配慮ということが重要でございますので、平成十七年三月に、環境省と経済産業省が共同で、生態系等への影響に配慮した適正な安全性評価手法や管理手法の考え方を示した、微生物によるバイオレメディエーション利用指針というものを告示いたしまして、事業者から申請のあった浄化事業計画について、この指針への適合確認を行っているところでございます。

 同指針が策定されて以来、これまでに十件の適合確認をしてございます。具体的には、有機塩素系の化学物質トリクロロエチレンあるいはベンゼン等の分解でございますとか、あるいは油汚染された土壌中の油を分解、除去するようなもの、あるいはダイオキシンの分解をするようなもの、さまざまございますけれども、認定をしてございます。

 環境省といたしましては、引き続き、事業者の浄化事業計画について指針への適合確認を適切に行いまして、このバイオレメディエーションの技術、事業の健全な発展、環境保全に配慮した利用の拡大というものを促進してまいりたいというふうに考えております。

松田委員 今言われたような、十件ですか、いろいろそういう成功事例もあったり、今お話をいただきましたけれども。

 私、何が言いたいかというと、十年たって、やるのならしっかりと、いい事例なんかもどんどんと表へ出してやってもらったらいいし、効果が出ないということであれば、どこかでけりもつけなくてはいけないんじゃないかなというふうに実は思っていたんです。

 ただ、やはり、自然環境に優しいバイオレメディエーションは今後も促進を僕はしていくべきだという思いです。今言っていただいたように、しっかりとそういったもので取り組んでいくと言っていただいたと思いますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げ、やはり、きちっと、十年たったんですから、これから十一年、十二年となっていくわけですから、もう少し、どういう効果が出たというのは明確に示していただければいいなと思っていますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、先ほどの関連になりますけれども、土壌汚染対策法の第五十九条では、「国は、汚染の除去等の措置に関する技術の研究その他土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するための研究を推進し、その成果の普及に努めるもの」として、国の研究の推進及びその成果の普及が規定されています。

 土壌汚染調査や汚染の除去等の措置には多額の費用を要し、環境に大きな負荷をもたらすことがあるため、特に、中小企業事業者が土壌汚染対策を推進するためには、例えば狭い土地でも適用できるような調査、対策手法の充実、低コスト化が必要であると考えております。

 環境省では、平成十四年度からこれまで、六十一の技術について実証試験を実施して公表しているところであり、このうち、さきに触れました微生物によるバイオレメディエーションでの実績も含め、二十五の技術について、実証試験後に現場で実際に活用した実績があるが、こうした現場で実際に有効な技術の普及を一層図る必要があると考えています。

 そこで、低コスト、低負荷型の土壌汚染調査、対策技術に係るさらなる開発、実用化、普及の促進を図る必要性について環境省の見解を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 御指摘をいただきましたように、土壌汚染対策に係る調査、対策には多額の費用がかかりますので、これらの低コスト化というのが大変重要でございます。そのために、民間企業等による低コスト、低負荷型の技術の開発、実用化、普及が重要と考えてございます。

 このため、低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査というものを実施してきてございまして、実証試験段階にある低コスト、低負荷型の技術を公募いたしまして、当該技術の実証試験の支援及び評価を行うということで、民間企業等の持つ技術の実用化を促しているところでございます。委員の御指摘ございましたように、これまで六十一の技術について支援をいたしまして、そのうち二十五の技術については活用実績があるということでございます。

 引き続き、このような低コスト、低負荷型の技術開発、実用化、普及の促進というものを図ってまいりたいというふうに考えております。

松田委員 ありがとうございます。

 最後の質問ですけれども、土壌汚染に係る調査などはやはり非常に費用がかかるということで、このため、中小企業への支援策として、日本政策金融公庫は平成十五年度から、汚染原因者も対象とした、調査費を含む土壌汚染対策費用に関する低利の融資制度を実施していたわけですけれども、貸付実績としては、平成十五年度に三件、一千六百万、平成十七年度に二件、一千五百万のみであり、実績がほとんどなかったことから、平成十九年度末限りで廃止された経緯があるわけでございます。

 そこで、今までなぜ使われていなかったのかということも含めてなんですけれども、やはり、中小企業の皆さん方にとってはこういった費用というのは非常に大きな負担を占めますので、もう一度、低金利制度を改めて設けたらいかがかなと私は思っているんですけれども、その件に関してはいかがでしょうか。

高橋政府参考人 土壌汚染対策に関する融資制度でございますけれども、平成十五年度から十九年度まで制度がございましたけれども、貸付実績が五件しかなかったということで廃止をされた経緯がございます。

 また、地方自治体におきましても独自の融資制度を持っている自治体が相当数ございましたけれども、近年減少してきている。この理由につきましては、自治体等からのヒアリングの範囲としては、やはり、一般金融機関に比べて金利が余り有利でないということで利用されていないんじゃないかというような御指摘もございました。

 いずれにしましても、今後、中小企業事業者に対する対応につきましては、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

松田委員 金利が高かったということなんでしょうけれども、目的としては、こういうことにきちっと、彼らの保護というんでしょうか、やはりしっかりと支えてやるということが目的で、金利が高かったから借りてもらっていませんというのは、やろうとすることを、目的、そこへ到達しようというところの道筋を全く考えていなかった、現場をわかっていなかったとしか思えないんです。そこのところをしっかりと、やはり現場にもう少し目を向けて、どういうことが起きているのか、今回の土壌の問題もそうですけれども、やはり、考えられないことというのは多分起きてきます。

 そういった形で、現場をしっかり見ていただくことを特に指摘させていただきまして、時間が来ましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、太田和美君。

太田(和)委員 民進党の太田和美でございます。

 本日は、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思います。

 さて、土対法が制定されてから十五年、前回の改正から五年を経て、今回の改正となりますが、今回の改正案には、操業を続けているなどの理由により調査が猶予されている工場と事業所で確実に調査が行われるようにするための規制の強化の部分と、人が住まない工業地や基準不適合が自然由来による土壌は同一地層のほかの区域への移動も可能とする規制の緩和の部分があるかと思います。

 そこで、まずはこの規制緩和の方についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、私の出身千葉県には、千葉市、市原市、木更津市に広がる京葉臨海コンビナートがあります。京葉臨海コンビナートは、石油、石油化学の企業群が四つのコンビナートを形成し、これを中心として、二つの鉄鋼製鉄所、五つの火力発電所、一つのLNGの基地が立地している世界最大規模のコンビナートでございます。現在は、約六千ヘクタールの敷地に二百三十七の企業群が集積しています。また、環境との調和を図るために、住宅地などと隔離して、緑豊かなコンビナートを形成しています。

 しかし、そこには、以前から、濃度が比較的低いのですけれども、自然由来または埋立材由来の汚染土壌が広く存在しています。人的由来のものと同様に、都道府県知事の許可を受けた汚染土壌施設での処理が義務づけられていると思いますけれども、これらを区域外に搬出する場合は、事前に都道府県知事に届け出をして、汚染土壌処理施設で処理をする必要がございました。このため、同一の地層で近隣の同様の区域への搬出も制限されており、活用が難しいだけではなく、近隣での仮置きができず、工事の利便性が悪い等々の課題がございました。

 この京葉臨海コンビナートの企業にとっては、例えばですけれども、一つの区域からもう一つの区域に汚染土壌を一時的に移動させたくとも、この規制により移動が制限され、工事などが速やかに進まないといった非効率的な問題を抱えておりまして、そのため、千葉県やそして千葉市からも、かねてから、この規制を緩和するように要望等が出ておりました。

 そこで、お伺いをさせていただきたいんですけれども、人が住まない工業地や自然由来の汚染土壌に対する規制を今回緩和することになったと思うんですけれども、緩和することについて、どのような考え方で今回改正を行うのか、その基本的考えについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、臨海部の工業専用地域でございますけれども、地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がなく、埋立材や自然由来による汚染土壌のみが広がっているという場合につきまして、そういう場合には、土地の形質変更に伴う健康リスクは低いというふうに考えてございます。

 このため、そのような要件を満たす土地の形質変更が、あらかじめ都道府県知事の確認を受けた土地の形質変更に係る方針に基づいて行われる場合には、これまで、現行法では、工事ごとに事前に届け出を行う必要がございますけれども、改正後は、年一回程度の事後届け出でよしとするということを考えてございます。

 また、自然由来の土壌でございますけれども、御指摘がございましたように、汚染物質の濃度が比較的低く、かつ同一地層に広く存在をしているということでございますけれども、これも、現在、形質変更時要届出区域に指定をされますと、その区域の外に搬出する場合には、人為汚染の土壌と同様に、汚染土壌処理施設での処理が義務づけられてございます。

 このため、自然由来土壌が同じように存在する近隣の場所であっても、そこの場所に移動して仮置きなどもできないということで、工事に支障が出ているという指摘がございますことから、同一の地層の自然由来等の土壌がある他の区域への移動を可能にするということを考えてございます。

 なお、これらにつきましては、平成二十七年に閣議決定をされました規制改革実施計画の中で、自然由来物質に係る規制のあり方について、「人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得る。」ということが定められてございます。これを踏まえて行うものでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 大規模な施設、プラント建設の計画がある事業者にとりましては、土壌汚染に関する規制が余り強いと、土壌の調査費用を費やす期間、さらに土壌処理にかかるコストなど、投資の足かせになるという意見があります。

 コストは企業にとりまして確かに重要なファクターであります。よって、自然由来の汚染土壌の規制を緩和することは、掘削工事や、特に土壌搬出に係る作業の効率がよくなるだけではなく、コストの削減も可能となるため、結果的には企業にとっては経済的なメリットが多いかと思います。

 よって、いわゆる人の住まない地域では、自然由来の汚染土壌の規制を緩和することは経済面からも合理性があるとは言えると思いますが、ただし、汚染土壌の管理の仕方や保管方法、移動させるときの基準などについては厳格な基準を定めるべきであるというふうに考えます。また、そこで働く作業員の方々、そして汚染土壌に起因する健康被害に遭わぬよう万全な防護措置を講じなければならないと思います。

 今回の改正では事前の届け出は必要となりますが、これについては全く懸念がないとは言い切れません。しかし、火山国でもある我が国にとっては、歴史的にも、広い地域に低濃度の自然由来の汚染土壌が実在していることも事実のようですし、多額の費用を費やして一部の地域だけの汚染土壌を除去したとしても余り合理性はないという意見も多く聞かれました。

 諸外国の例を見ますと、一概には比較できないんですけれども、自然由来とそして人的由来の土壌汚染は区別されていたりします。それに比べ、まだまだ日本は画一的な規制になっているのではないかと思いますけれども、そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 我が国における土壌汚染対策法は、諸外国のものと比較したときに、規制が強いというふうに言えるのでしょうか。環境省としてどのように分析をされているのでしょうか。また、自然由来の土壌汚染の規制についてはどのような方向で今後も検討していくおつもりなのか、お答えをお願いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 諸外国の規制でございますけれども、環境省では、今回の法律の見直しの参考とするために、平成二十八年に諸外国における土壌汚染対策制度の比較調査というのを行いまして、具体的にはドイツ、オランダ、イギリス、アメリカでございますけれども、実際に聞き取りも含めて調査をさせていただきました。

 それによりますと、各国それぞれ土壌汚染対策に関する法制度を持っておりますけれども、それぞれ相当仕組みが異なってございまして、なかなか単純にどちらが規制が強いかというのを比較することはちょっと難しいというところでございます。

 なお、御指摘のございました自然由来土壌の扱いでございますけれども、他の国でも、土壌に含まれる有害物質の種類や濃度に応じまして、そういう自然由来の比較的濃度の低い土壌について、道路でございますとか土木構造物、こういうものに使用することを可能にしているという例が見られてございます。

 今回の私どもの改正法案におきましても、自然由来の土壌につきまして、都道府県による確認を受けた上で、同様の汚染状態で同一地層にある他の管理された区域において埋め戻し等への利用を可能にするということを考えてございますので、先ほど御指摘がございました技術的な基準もしっかりつくりまして、適切に進めてまいりたいというふうに考えております。

太田(和)委員 大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

 今お話をさせていただいていました自然由来の土壌汚染については、二十一年の改正以前は法の対象外でありました。しかし、二十一年の改正によって、自然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌について規制が創設されました。それは、健康被害の防止の観点からは、それが自然由来なのか人的由来なのか、人への健康のリスクがそれは同じであることから、区別する理由がないため、法の対象とすることとされたのだというふうに思います。

 よって、人が住まない地域はともかくとしても、自然由来の汚染土壌に対する規制緩和については、合理性はある程度理解はできるんですけれども、人の健康被害という観点では疑念がちょっと払拭できません。

 ですから、基準不適合の自然由来等による土壌は、近隣の同様の区域への搬出も今までは認められなかったという経緯だったんだと思うんですけれども、こうした経緯からも、人の健康被害のリスクについて大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 規制を緩和するということは、人への健康被害のリスクがないということが前提であるかと想定しますが、では、どのような知見から、またはどのような調査や検討を行ってこの結論に至ったのか。人の健康に被害はないというふうに結論づける根拠や理由についてお答えいただければというふうに思います。

山本(公)国務大臣 今回の事後届け出の特例では、人為由来の汚染があるとわかっている土地は対象外とした上で、あらかじめ土地の形質の変更に係る方針を定めて、都道府県知事の事前確認を受けた場合に限って特例の対象にすることといたしております。

 また、自然由来等土壌の移動の特例については、地層が同一である土地等の条件を満たしており、かつ、既に法に基づく区域の指定が行われ管理されている土地に限定した上で、都道府県が搬出元や受け入れ先における工事方法の確認を行うことといたしております。

 加えて、土壌の搬出の際には、運搬基準の遵守や管理票による移動の管理が義務づけられることから、汚染の拡散リスクが高まるようなことはないと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 土壌汚染対策法の目的は、やはり国民の健康の保護にあると思います。

 過去に起きたいろいろな公害被害などがあると思いますけれども、イタイイタイ病だとかいろいろな公害被害がありますけれども、そういうものというのは、やはり自然由来にプラスして人的由来の産業廃棄物などが流出して加わり、甚大な被害が発生したというふうに思います。よって、人への健康被害が絶対に起きないよう、本来であれば万全な予防対策が必要だというふうに考えます。土壌汚染対策についての国民の関心は非常に高いというふうに言えますし、よって、今回の改正内容についても、国民が安心して納得のいく説明がなされるようお願いをしたいというふうに思います。

 今は規制の緩和の部分についてお尋ねをしていたんですけれども、次に、規制の強化の部分についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本改正案では、調査が猶予されている施設の土地の利用の方法変更についてだけではなく、土地の形質変更を行う場合にも都道府県知事への届け出対象として、都道府県知事は土壌汚染状況調査を命ずることとしています。

 改正後に届け出対象となる企業は、大手だけではなく中小企業も工場等も対象となります。しかし、土壌汚染調査に要する費用は決して安価なものではありません。よって、小規模の事業者にとっては、とてつもなく大きな負担ともなります。また、コストの負担だけではありません。調査には時間も要しますし、こういったことなどから経営を圧迫する可能性もあります。

 そこで、政府参考人の方にお伺いさせていただきたいと思いますが、調査費用に多大な費用負担がかかるため、環境対策等を含めた設備投資意欲がそがれる可能性が生じるのではないかと思いますけれども、これに関して環境省の見解を伺いたいと思います。

 また、中小企業等に対する支援策について、その現状と今後の対応についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもちょっと話題に出ましたけれども、低コスト・低負荷型の土壌汚染調査対策技術検討調査というのを実施してございまして、実証試験段階にある低コスト、低負荷型の技術を公募し、当該技術の実証試験の支援、評価を行うということで、民間企業等の持っている技術の実用化を促してございます。

 こういうことによりまして、中小事業者の方にとっても過大な負担にならないような調査、対策ができるような低コスト、低負荷型の技術の開発、実用化、あるいは普及というものの促進をまず図っていきたいと考えてございます。

 加えて、特に調査費用の削減ということでございますけれども、土壌汚染対策に関する調査につきましては、その土地がどういう利用をされてきたか、そういう利用状況を把握した上で、全ての物質を同じように調査するということではなくて、使用が確認された物質のみを対象に絞って、また、調査する範囲も形質変更を行う範囲にできるだけ限定をして、効率的に調査を行うということも大変重要でございますので、そういうことを通して、調査が過大にならないような、そういう実施方法がなされるように、その辺も工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

太田(和)委員 中小企業にとっては、操業を継続する上で、過剰な規制は土地の有効利用に大きな支障が生じる可能性もありますし、調査費用がかさむだけではなく、きちんとした汚染拡散措置を講じていたとしても、汚染が存在する区域と認知されることで土地の担保価値も下落するなど、風評被害に遭うようなリスクも負います。

 今回の規制は必要とは考えておりますけれども、しかし、規制強化により中小企業の経営を圧迫せぬよう対策を講じる必要があると思いますので、中小企業に対する支援策についても今後さらに検討していただくように要望をさせていただきたいと思います。

 次に、平成二十一年の改正の附帯決議について、大臣の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この二十一年の改正の附帯決議については、第五項に、土壌汚染の現状に鑑み、未然防止措置について早急に検討を進めるとともに、工場等の操業中の段階から計画的に土壌汚染対策に取り組むための措置を検討すること、また、土壌からの揮発経由による摂取リスクについても科学的知見を深め、土壌汚染による生活環境や生態系への影響の実態把握に努めることとあります。

 今回の改正では、土壌汚染調査が猶予されている土地においても、形状変更時に届け出をすることとして、調査を負わせるものとされていますけれども、本来であれば、この点はもっともっとさらなる規制強化が私は必要ではないかなというふうに思っております。

 というのも、そもそも、有害物質使用施設、その施設自体は数万件あるとされています。その施設自体の多くは、その土地は汚染が存在している可能性が高いというふうに言われています。また、有害物質使用施設の廃止件数は約一万件ぐらいに上るのではないかなというふうにちょっとお聞きいたしましたけれども、しかし、環境省のホームページにもありました、土壌汚染調査、対策事例数というのが、平成十五年から二十五年度までの累計がたったの約四千件だけでありました。

 こういったことからも、やはりここはもっと規制を強化して、土壌汚染状況の調査の実施対象をもっとさらに拡大していくべきではないかなというふうに思います。「工場等の操業中の段階から計画的に土壌汚染対策に取り組むための措置を検討すること。」と附帯決議にもありますし、この改正内容は形質変更時というふうにされていますが、ここはもっと強化をするべきではないかなというふうに思いますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 現行の土壌汚染対策法においては、土壌汚染による人の健康被害のおそれがある一定の契機を捉えて、土地所有者等に土壌汚染状況調査を義務づけております。

 現行法では調査義務がないものの、土壌汚染がある可能性が高い土地としては、廃止したものの調査が猶予されている土地や、有害物質使用特定施設が操業中の土地が想定されます。こうした土地では、形質変更時には健康被害のおそれが生じることが懸念をされます。

 このため、改正法案では、調査を猶予されている土地についても、形質変更を行う機会を捉えて、調査を義務づけることといたしました。

 加えて、施設が操業中の土地についても、規模要件を定めている省令を改正し、調査の実施対象となる土地を拡大することを検討してまいります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 今回の改正でも、土壌汚染状況調査の実施対象が拡大されたということで、一定の評価をさせていただきたいと思いますけれども、今後さらに、こういった状況を見た上で、もっと汚染状況の調査の実施を広げていただけるように要望をさせていただきたいと思います。

 次に、土壌汚染調査を行う指定調査機関についてお伺いさせていただきたいと思います。

 土壌汚染調査を行う指定調査機関には、技術管理者を置くことが義務づけられております。そして、その技術管理者は、環境省が実施する技術管理者試験に合格した専門性の高い技術者たちであります。

 平成二十一年改正以降、土壌汚染対策法に基づく年間の土壌汚染状況の結果の報告件数は二倍以上には増加をしています。こういった状況の中で、技術管理者の人材確保が重大な課題となっていると思いますけれども、本改正により、土壌汚染状況の調査の実施対象となる土地がさらに拡大することが見込まれている中で、さらに人材が必要となってくるというふうに思います。

 課題は人材確保だけではありません。質の向上も重要だと思います。調査を実施する指定調査機関の技術管理者には一定の技術的能力が求められていると思いますが、なぜならば、土地に対する土壌汚染対策の方針が土壌汚染状況調査の結果に応じて左右されるからです。

 そこで、政府参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、技術管理者や若手技術者の数は、現在、土壌汚染調査の実施の需要に見合ったものとなっているのでしょうか。また、本改正により調査対象が拡大されると見込まれている中、どのようにして技術管理者の人材不足を解消していくのでしょうか。さらに、調査結果の信頼性向上のためにも、技術管理者の育成に当たっては、質を担保する面でどのような措置を講じていくのでしょうか。

 今後の取り組み方針とその内容についてお伺いをさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 土壌調査の信頼性の確保のために、指定調査機関、大変重要だと思ってございます。

 現在、土壌汚染状況調査を実施する指定調査機関でございますけれども、およそ七百社余りが指定をされてございます。これに対して、技術管理者証の交付を受けている者は現在約二千三百名余りということでございます。私どもがこの調査機関に行ったアンケート調査におきましても、指定調査機関が技術管理者の人材不足というのを課題として考えているということがわかってきてございます。

 このためでございますけれども、現在の制度では、この技術管理者試験を受験する際には、受験をする前に一定の実務期間が求められておりますけれども、若手技術者がもっと受験をしやすくなるように、今後、実務経験がない若手技術者であっても、試験の合格後に実務経験を積めば技術管理者になれるというようなことも検討をしていきたいと考えてございます。

 また、技術管理者や技術者の育成を図るために、技術管理者の更新をするわけですけれども、その更新の講習の内容を充実するなどによりまして、質の高い技術者の育成にも努めてまいりたいと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 調査結果の信頼性が確保されるためにも、適正な人材確保と質の向上に向けて、忘れることなく、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。

 次に、土壌汚染による生活環境や生態系への影響の実態把握についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 土壌汚染がもたらす影響としては、人の健康への影響のほかにも、生活環境や生態系への影響があるというふうに考えられます。具体的には、悪臭等による不快感や地下水の油膜による生活環境への影響、魚介類、食物、農産物等を通じた生態系への影響などがあります。

 現行の土壌汚染対策法は、国民の健康の保護のみとその目的を限定しているかと思いますが、生活環境や生態系の保全が目的に含まれていません。その理由としては、当時は土壌汚染が生活環境や生態系に与える影響についての科学的知見の蓄積が十分になかったというふうにもお聞きいたしました。

 諸外国における土壌対策制度について見てみますと、アメリカの土壌汚染対策法に当たるスーパーファンド法では、人の健康の保護、生活環境保全、そして生態系保全、この三つを規制の目的とされています。また、英国でも、法律の目的が、人の健康保護、そして周辺環境や生態系への影響とされています。諸外国では、我が国と異なり、その法の目的や保護対象が広く捉えられていると思います。

 我が国は生物多様性条約にも批准していますし、批准しているということは、生物多様性は国家戦略に位置づけられているということでもあると思いますので、よって、この土壌汚染対策については、自然環境局とは連携を図っていく必要があるのではないかなと考えます。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいんですけれども、土壌汚染による生活環境や生態系への影響の実態把握は行われたのでしょうか。実施されたのであれば、それはどのような調査や研究で、どういった結果があったのでしょうか。

 また、諸外国の動向を踏まえると、法の目的規定に生活環境保全や生態系保全についても規定をする必要があるのではないかというふうに考えますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 平成二十一年改正時の附帯決議を受けまして、土壌生態系への影響に係る指標や評価方法等に関する情報を収集、整理いたしました。

 我が国において土壌生態系を保全管理する枠組みや技術的手法の検討を進めるためには、国内のさまざまな汚染サイトにおける実態把握や土壌動物を対象とした毒性データ等が不足をいたしており、また、生態系への影響を考慮した対策の必要性も含めて、法に位置づけるには検討課題が多く、引き続き情報収集に努めてまいりたいと思っております。

 また、生活環境への影響としては油汚染が考えられますが、その対策については、環境省が策定したガイドラインに基づいて土地所有者等による対応が図られており、引き続き適切な対策を進めてまいります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 先週も、カルタヘナ法の改正の質疑のときにも申し上げましたけれども、大臣の思いとは少し違っているのかもしれませんけれども、どうも政府は、この生物多様性に関して関心が薄いのではないかなというふうに思います。

 自然由来による低濃度土壌汚染対策の規制が緩和されるきっかけは、自治体や産業界からの要望もありまして、政府に置かれている規制改革会議で議論されたことからスタートしたというふうにお伺いをいたしました。こうした自治体や産業界の要望はすぐ検討しますけれども、前改正の附帯決議の内容や条約にかかわる内容は、ちょっと検討がおくれているのではないかなというふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 我が国は、国連サミットのSDGs、アジェンダの生物多様性の進捗に関して、ただでさえ達成にはほど遠いというレッテルが張られてしまっております。世界からこの点について評価が低いのが実態であります。

 大臣と、あと環境省にももっともっと頑張っていただきたいということを、強くその点を申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、民法改正と土壌汚染の土地の瑕疵担保責任について、法務省にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 土壌汚染に関する地方自治体の条例なども制定され、土壌汚染についての国民の関心が高まることから、土地取引に伴って土壌汚染が判明して、当事者間で解決できない場合には、土壌汚染の裁判の手段がとられるということが多くなってまいりました。また、この土壌汚染を瑕疵とみなして、その汚染土地の売り主の瑕疵担保責任を追及するケースも多いというふうに承知をしております。

 瑕疵担保責任は、その土地売買契約等の内容にもより、今後も、土地取引に伴う土壌汚染の瑕疵担保責任が問題となる事例は後を絶たないというふうに思われますが、今回の民法改正、大改革、大改正というのが今行われているかと思うんですけれども、その瑕疵担保責任の条項が改正され、引き渡された目的物に契約不適合がある場合、買い主は売り主に対して、目的物の補修などの契約履行の追完を請求することができるとされています。

 そこで、民法改正と土壌汚染の土地の瑕疵担保責任について、法務省にお聞きしたいと思います。

 今回の百二十年ぶりの民法大改正には瑕疵担保責任の条項の改正が盛り込まれていますが、汚染土地の取引をめぐる土壌汚染で瑕疵担保責任追及に与える影響というのはあるのでしょうか。お答えをお願いしたいと思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました民法の一部を改正する法律案ですが、これは平成二十七年、第百八十九回国会に提出、現在も御審議いただいているところですが、この法律案におきましては、債権関係の規定につきまして、取引社会を支える最も基本的な法的インフラである契約に関する規定を中心に、社会経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、民法を国民一般にわかりやすいものにするという観点から、全面的な見直しを行うことにしております。

 売買の瑕疵担保責任についても、その要件や効果について見直しを行っております。

 例えば、現行の第五百七十条の瑕疵という要件につきましては、その用語自体が難解であることに加えまして、判例は、その実質的な意味を、契約の内容に適合しないことであると解釈しております。したがいまして、客観的に多少の傷などがありましても、契約の内容に適合する限り同条の瑕疵はないと扱われるなど、現在の文言のままではかえって誤解を招くおそれがあります。

 そこで、民法改正案では、この瑕疵という要件を、端的にその具体的な意味内容をあらわすものに改める趣旨で、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」こととしております。

 また、現行法におきましては、今委員からも御紹介ありましたが、売り主が契約不適合のものを引き渡したという場合に、買い主は損害賠償の請求それから契約の解除をすることができるということは明らかですが、これに加えて、目的物の修補等の請求それから代金減額請求をすることができるかなどにつきましては学説が大きく対立しておりまして、判例の立場も明瞭ではない現状にございます。

 そこで、民法改正案におきましては、買い主は、損害賠償の請求及び契約の解除のほか、その修補等の履行の追完の請求それから代金の減額の請求をすることができることを明らかにしております。

 このように、民法改正案におきましては、売買における瑕疵担保責任の要件や効果について見直しが行われているため、御指摘のとおり、売買の目的物である土地に土壌汚染があり、売り主が契約の内容に適合した目的物を引き渡したと言えないとして買い主が売り主の責任を追及するケースにおきましても、ただいま御説明申し上げたような一定の影響を与えることになるものと認識しております。

太田(和)委員 法務省さん、ありがとうございました。

 なぜこういうことをお尋ねしているのかといいますと、今回、土壌汚染の裁判の事例というのが非常にふえてきている一つの原因として、これは私の考えなんですけれども、土壌汚染対策はいわゆるPPPの原則というのが明確にされていないからではないかなというふうにちょっと思ったわけであります。

 一九七五年版の環境白書にありますが、我が国では、公害防止のために必要な対策をとったり汚された環境をもとに戻すための費用は汚染物質を出している者が負担すべきというPPPの考え方を受け入れています。すなわち、汚染者の責任を明確にして、その費用は汚染者が負担するということであります。そして、これまで起きてきた数々の公害被害対策においては、この原則というのが適用されてまいりました。

 しかし、土壌汚染対策においては、土地の所有者が対策に係る費用や責任を負うことというふうになっています。PPPの原則からすると、汚染原因者が負担や責任を負うべきではないかなというふうに考えます。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいのは、土壌汚染対策法では土地の所有者が対策に係る費用や責任を負うこととなっていますが、どのような理由からこのようになったのかということ、そして、PPPの原則からしますと、今お話しさせていただいたように、汚染の原因をつくった者に負担や責任を負わせるべきではないかなというふうに考えますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 土壌汚染対策法は、土壌汚染による健康被害を未然に防止するため、土壌汚染のおそれのある土地について、汚染の調査と汚染の除去等の措置を適切に講じ、早急にリスクの低減を図ることを目的とするものでございます。

 このため、汚染の調査は、汚染の有無や原因者が不明の段階で行うものであることから、土地所有者等に実施していただくこととしておりますが、汚染の除去等の措置は、汚染原因者が明らかな場合には汚染原因者が実施することとするとともに、土地所有者が措置を実施した場合には汚染原因者に費用を請求することができることといたしております。

 このように、土壌汚染対策法は汚染者負担の原則に即していると考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 諸外国でも、土壌汚染制度には、法律上の責任として遡及責任、連帯責任などが問われています。多くの国は、土地所有者のみが責任を負うのではなく、汚染責任者などにより過去の所有者や創設者にも遡及責任が課せられています。

 今大臣がお話をしていただいたように、汚染者が不明だった場合ということで、明らかな場合は汚染者に求償をすることができるということで、実質的にはPPPの原則に沿っているということでございましたけれども、土壌汚染対策法の、まず原則としてもっとPPPの原則が、所有者というのがちょっと前面に出てしまっているものですから、でも、一義的には、やはり原則としては汚染者に負わせてというものをしっかり書いた上で、それで、それが不明だった場合には土地所有者にという、その二段階目に来るべきではないかなというふうに思いました。

 このPPPの原則をもっとわかりやすく明確にすれば、売り主と買い主の間で、売り主が悪いんだ、買い主が悪いんだ、どっちの責任だというような裁判での争いが後を絶たないということもありますので、瑕疵担保責任の、汚染土地の取引をめぐる訴訟が少しでも減ってくるのではないかなというふうに思いました。

 いずれにしても、土壌汚染対策の法律は、アメリカでは一九八〇年に制定され、欧州各国では八〇年代後半から九〇年代にかけて制定されたというふうにお聞きをいたしました。一方、我が国においては、二〇〇二年に制定がされ、二〇〇三年二月から施行されました。

 諸外国と比べても約二十年のおくれがあるわけでありますので、制度面や規制の有無などについてもまだまだ検証をして、実態を踏まえて進歩させていかなければならないというふうに思っております。引き続き、他国に負けないような法律になっていくように、調査検討を行っていただきたいと思います。

 では、もう少し時間がありますので、次に、土壌から大気中に揮散した特定有害物質の摂取リスクについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ベンゼンなどの揮発性のある特定有害物質による土壌汚染地で土地の形質変更等が行われる場合には、大気汚染のおそれがあり、揮散防止することが必要なことから、現在は揮散防止措置が定められています。

 政府参考人にお伺いさせていただきますが、揮発性のある特定有害物質による土壌汚染地において、大気環境における濃度の測定データのさらなる集積等を実施して、大気中に揮散した特定有害物質の摂取リスクについても科学的知見を集積していくことが必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ベンゼンなどの揮発性の有機化合物につきましては、これまでの調査におきましても、土壌汚染地を掘削する場合に、揮散をして大気汚染を引き起こすおそれがあるということが確認をされてございます。このため、土壌汚染対策法におきまして、汚染地の掘削の際に揮散防止対策を義務づけておるところでございます。

 他方、汚染土壌が存在する、そういう状況におきまして、揮発性有機化合物による大気汚染が生じたという事例はこれまでのところ確認をされてございませんけれども、土壌汚染地における揮発経由の摂取リスクというものにつきましては、引き続き科学的知見の集積に努めてまいりたいというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 もう一分ぐらいあるので、では最後に一問させていただきたいと思います。

 人への健康被害のリスクについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本改正案では、都道府県知事による土壌汚染に関する情報収集事項として、土壌汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれに関しては情報を追加することというふうにございました。

 そこで、ちょっと政府参考人にお伺いさせていただきたいんですけれども、人の健康に係る被害が生じるおそれに関する情報を新たに情報収集事項として追加した趣旨について確認をさせていただきたいと思います。あわせて、新たな情報収集事項とは具体的にはどのような情報のことを指すのでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今回の情報収集の規定でございますけれども、これは、土対法のもとで調査をして汚染が見つかりますと区域指定をするわけでございますけれども、その際に、要措置区域というのと形質変更時要届出区域という二つの区域がございます。

 このどちらに指定するかにつきましては、有害物質の摂取経路があるかないかということで判断されるわけでございますけれども、その際に、非常に重要な経路として地下水経由の経路がございますけれども、この地下水経由の摂取経路があるかどうかというのは、要は、土地の周辺に飲用井戸があるかどうかということで判断をされるということでございまして、この地域指定の際に、飲用井戸があるかどうかということを把握することが大変重要でございます。

 他方で、これまで飲用井戸があるかどうかについての情報収集がなかなか難しいという実態がございましたものですから、今回、都道府県知事による飲用井戸の適切な把握を促すべく、都道府県知事は人の健康に係る被害が生ずるおそれに係る情報の収集に努めるよう規定をするということで定めてございまして、具体的には、飲用井戸に関する情報の収集を促すということが趣旨でございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 終わります。ありがとうございました。

平委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、先ほどから審議されております土壌汚染対策改正法案について、私の方からも質問をさせていただきます。

 土壌は、人の生活また経済活動の基盤である土地を構成している重要な環境要素でありまして、農用地の土壌汚染につきましては、昭和四十五年に農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が制定されまして、汚染地の調査や対策が実施されてまいりました。一方で、工場跡地等における土壌汚染への対応につきましては、蓄積性の汚染であるとか、また汚染対象が私有財産等の土地であるといった土壌汚染特有の難しさがあり、平成十四年になって土壌汚染対策法が制定されて、平成二十一年に一度の改正を行って、今日に至っているわけでございます。

 今回、平成二十一年改正法の施行から五年を経過して、政府において現行法の施行の状況について検証が行われたその結果として明らかになった課題に対して、今回の改正法案が提出されているわけであります。

 環境規制に関する法律の中ではやはり比較的新しい法律となっておりますので、こういう社会的なニーズにしっかり対応できる内容になっているか、また、昨今の土壌汚染に関する関心も大変高くなっておりますので、そのような現状の分析結果を検証しながら、この質問をさせていただきます。

 まずは、土地の汚染状況の把握が不十分であるという課題に対応するための、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大について、質問をさせていただきます。

 現行法では、有害物質使用特定施設の使用廃止時に義務づけられている土壌汚染状況調査について、工場が操業しているなどの理由がある場合、調査を猶予されているわけでございます。今回の改正では、それらの猶予されている土地であっても、土地の形質変更を行う場合には、あらかじめ届け出をさせて、都道府県知事は調査を行わせるということにいたしました。

 これらの調査の強化について、その趣旨について御説明をいただきたいと思います。

関副大臣 現行法では、有害物質使用特定施設の廃止時には土壌汚染状況調査が義務づけられておりますが、実際には、現在、全体の約七、八割が調査が猶予されているのが実態でございます。

 他方で、このような土地につきまして、汚染土壌が存在する可能性が高くなっておりまして、調査が行われないまま土地の形質の変更が行われますと、汚染土壌の飛散、流出や地下水汚染の発生また拡散が生じるおそれがございます。

 このようなことからいたしまして、今回の改正法案では、調査が猶予されております土地につきましても、形質変更を行います際には調査を義務づけることとしているものでございます。

江田(康)委員 今、関副大臣の方から申していただきましたけれども、施設が廃止された場合でも七、八割で調査が猶予されている実態があるということ、そういうような調査が猶予されている土地では汚染が存在する可能性は高い、また土地の形質変更を行うと汚染の拡散が生じるおそれがあるということで、今回、形質変更をきっかけとして調査を行わせることにしたということであります。

 調査の必要性は納得がいくものでありますが、汚染が存在する可能性が高いということであれば、そもそもなぜ調査を猶予する仕組みがあるのかということについてお聞きをしたい。また、今回の改正案によってどの程度調査が行われることになるのか、さらには、軽易な行為は除くとありますけれども、具体的にはどのような行為を示しているのか、お答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 現行法におきましては、有害物質使用特定施設が廃止される場合であっても、その施設が存在した当該敷地において一定の安全管理がなされる工場の用途に供されるという場合等には、人の健康被害が生ずるおそれがないとして、都道府県知事の確認を受けることによりまして調査が猶予されてきたものでございます。

 一例といたしまして、平成二十七年度に環境省が実施をしました自治体のアンケートによれば、調査を猶予された土地の形質変更を条例等で把握している自治体が十七自治体ございました。これらの自治体が同年度に把握した、調査が猶予された土地における形質変更の件数は、百二十五件でございました。

 仮にこの改正法案によってこれらの全てが調査されるとなれば、調査対象が相当程度ふえるということになります。

 また、対象から除くこととなります軽易な行為でございますけれども、これにつきましては、土地の形質の変更のうち、例えば小規模なもの、掘削深度の浅いもの、また、工場の運営に際して通常必要とされる軽微な行為などを想定しておりまして、詳細は今後検討してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 そのように、今回対象が拡大されることで、調査が行われる数がふえるということでございます。

 そういうような意味においても、判断基準を省令とか通知で明確化しながら、自治体の事務負担もふえることになりますので、そのようなことにも配慮して、円滑に調査が行われるように省令等の検討をお願いしたいと思います。

 次に、法改正の背景となった課題のうち、汚染の除去等の措置にかかわるリスク管理が不十分という課題に対応した、汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設について質問をさせていただきます。

 対策が必要な要措置区域については、従来は、都道府県知事が要措置区域の土地所有者に対策を行うべきことを指示するという仕組みのみでありましたけれども、今回の改正案では、都道府県知事は、要措置区域内における措置内容に関する計画の提出の命令等を行うこととされたわけでございます。

 この改正趣旨について、同じく御説明をいただきたいと思います。

比嘉大臣政務官 要措置区域において土地所有者等が実施する措置及びその内容については、現行制度では、都道府県知事が事前に確認、指導をする仕組みがないため、不十分な措置の実施や、誤った施行方法による汚染の拡散事例が判明しております。

 こうした実態を踏まえて、今回の改正法案では、都道府県知事による措置内容の確認を行うために、都道府県知事に措置内容の計画を事前に届け出ることを義務づけるとともに、措置が完了した際についても措置の実施内容等の提出を義務づけることとしております。

 これにより、汚染土壌による人の健康に係る被害を防止する措置が確実に講じられるよう、しっかり取り組んでまいります。

江田(康)委員 今政務官よりおっしゃっていただきましたように、対策内容をあらかじめチェックして必要な是正を行って、さらに対策が完了した旨を報告させるということは、大変合理的と思われます。

 一方で、こうした仕組みが今まで設けられているのが当然だと私は思ったわけでございますけれども、それがなかったのはなぜでありましょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 現行法におきましては、都道府県知事が土地所有者等に対して汚染の除去等の措置を指示した場合には、必要に応じて、報告徴収あるいは立入検査の規定によりまして措置の実施状況を確認できるということとなってございまして、これによりまして都道府県知事の指示に沿った措置の実施が確認できると考えられていたところでございます。

 他方で、一部の自治体では、条例等によりまして、土地所有者等に対しまして、措置に関する計画を提出する仕組みが整備されていたところでございます。

 こうした自治体の事例も踏まえまして、今回の改正により、全国統一的な仕組みとして導入することとしたものでございます。

江田(康)委員 一部の自治体で、条例によってこの措置に関する計画を提出する仕組みが整備されていたということでもあります。この自治体の事例などを参考にして、より充実した仕組みにするということで今回の改正になっていると思いますが、これまでどの程度の数の自治体で計画段階や措置の完了段階での確認を行っているのか、お聞きします。

 また、これまでの制度ではどの程度の問題事例が起こっていたのかということもお聞きさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度に環境省が実施しました自治体へのアンケートがございます。この中で、回答のあった百二十九の自治体のうち、計画段階で措置内容の確認を行っているのは九十自治体、また、措置の完了段階で措置内容の確認を行っているのは六十三の自治体でございました。

 事例でございますけれども、事前に汚染の除去等の実施内容の確認を行っている自治体の例では、事前に確認を行っているにもかかわらず、土地所有者等による完了報告の段階で実施内容が不十分であるということが判明をし、やり直しを求めたというような問題事例が年間数件発生しているということでございます。

 以上のことから、汚染の除去等の実施内容の事前確認を実施していない自治体も含めますと、汚染の除去等の実施に関して相当数の問題事例が存在していると認識をしております。

江田(康)委員 以上、確認しましたように、今回の改正の調査の強化、またこの計画提出の仕組みの導入につきましては、大変重要なことであり、適切なことであると評価をするものでございます。

 一方で、調査また対策については多大な費用がかかるわけでありますけれども、特に、資力の乏しい中小企業が円滑に調査や対策を実施できるように、助成や融資等、何らか支援措置を講じていく必要があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

関副大臣 土壌汚染対策法では、国と産業界等が拠出する基金が設けられておりまして、指定支援法人が管理をしているところでございます。

 土壌汚染対策の円滑な実施を図ることを目的といたしましてこの指定支援法人は基金を活用いたしておりまして、一つには、対策を行う者の資力が乏しい場合の間接補助、そして一つには、調査や対策に関する相談業務等を行っているところでございます。

 このほか、政府では、調査、対策手法の低コスト化のために、低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査を実施いたしておりまして、実証実験段階にあります低コスト、低負荷型の技術を公募いたして、実証実験の支援及び評価を行いますことで、民間企業等の持つ技術の実用化等を促しておるところでございます。

 これらさまざまな手法を活用いたしまして、調査、対策の円滑な実施を支援してまいりたいと思います。

江田(康)委員 今副大臣がおっしゃられたような支援措置があるわけでございますけれども、やはり多大な費用に対して対応していくということが、先ほどからもありますように、中小企業にとっては大変重要でございますが、こういう低コスト化、また、先ほどおっしゃったような低負荷型の技術を公募して、そしてさまざまな支援を措置していく、こういうことも大事だとは思います。

 かつては、基金ということで、その基金も用いられてきたわけでございますけれども、基金は汚染事業者に対しては対象外となるということで、そのほか、低利融資等の支援措置というところも大変重要になってくるかと思うんですが、これまでのそういう低利融資制度もあったかと思いますけれども、そのようなことに関してはこの支援の手は伸びないのかということも再度ちょっと確認をさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 土壌汚染対策に係ります融資制度についての御指摘でございますけれども、この融資制度につきましては、平成十五年度から十九年度まで制度があったものの、貸付実績が五件しかなかったということから廃止をされたという経緯がございます。

 また、自治体による融資制度もほとんど使われていないという状況だというふうに認識をしております。

江田(康)委員 これまで、規制の強化に着目して質問してまいりましたけれども、次に、規制の合理化について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、法改正の背景となった課題におきましては、リスクに応じた規制の合理化が必要と掲げられております。規制の合理化という視点は重要でありますけれども、一方で、緩和が行き過ぎて汚染が拡散するなどの問題が生じてしまってはならないわけであります。

 そこで、規制の合理化のうちで、形質変更時要届出区域における形質変更の事前届け出を事後届け出とするという特例について質問をさせていただきます。この改正の趣旨と、どのようなところからの要望を受けてこのような改正となったのか、御説明をいただきたいと思います。

比嘉大臣政務官 形質変更時要届出区域であっても、臨海部の工業専用地域のように、地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がなく、埋立材や自然由来による汚染土壌のみが広がっている場合については、土地の形質変更に伴う健康リスクは低いと言えます。

 このため、一定の要件を満たす土地の形質変更を、あらかじめ都道府県知事の確認を受けた土地の形質変更に係る方針に基づいて行う場合は、汚染の拡散が小さいと言えることから、工事ごとの事前届け出にかえて、年一回程度の事後届け出とする規制の合理化を行うとしたものです。

 本改正事項については、一例として、千葉県経済協議会及び関係自治体から、京葉臨海コンビナートへの適用を想定した御要望をいただいております。

江田(康)委員 今ありましたように、今回は、そうやって事前届け出を不要として、一年に一度の事後届け出とするということでございますが、臨海部の工業専用地域を想定した仕組みということであり、大変重要かと思っております。

 しかし、工業専用地域といいますと、やはり土壌汚染がさもあるかのように思われているわけでありまして、汚染の拡散をしっかり防止できるように取り組むということが大変重要になるかと思いますが、この点について、大臣、政府としてどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。

山本(公)国務大臣 今回、形質変更時要届出区域における形質変更について事後届け出とする特例を設けることといたしておりますけれども、汚染の拡散リスクが高まることがないような制度設計となっております。

 具体的には、そもそも特定有害物質による人為由来の汚染があるとわかっている土地は特例の対象外としております。また、あらかじめ土地の形質変更に係る方針を定めて、都道府県知事の事前確認を受けなければならないとしております。

 今後、対象となる土地の要件や、形質変更に係る方針の基準等を整備する必要がありますが、規制の合理化によって新たな環境リスクが生じることのないよう、しっかりと検討を行ってまいります。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございます。適切なリスク管理がなされるように、環境省の省令等の検討をよろしくお願いしたいと思います。

 時間がございますので、今回、改正案からちょっと離れますが、豊洲新市場予定地について、今、土壌汚染に関する関心は最大に高くなっておりますので、ここは確認をしたいと思っております。

 今回の改正法案の内容自体は豊洲新市場予定地の件とは関係ないものというのは十分承知しておるところでございますが、豊洲新市場予定地をめぐる問題は複雑ですので、土壌汚染対策法との関係について明確にしておきたいと思います。

 豊洲新市場予定地では、東京都は当初より、敷地全体に盛り土を行ったと説明しておりましたが、実際には建物の下に盛り土がなかったこと、また、土壌汚染対策工事の効果を確認するための地下水モニタリングにおいて、地下水環境基準を大幅に上回るベンゼン等が検出されたこと等が問題となってまいりましたけれども、これらのことと土壌汚染対策法とはどのような関係にあるのか、確認をさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 豊洲新市場予定地でございますけれども、これにつきましては、土壌汚染対策法との関係につきましては、この法に基づく調査がまず行われておりまして、その結果、東京都によって、土地の形質変更を行う場合に届け出が必要な区域、いわゆる形質変更時要届出区域ということで、これは二十三年の十一月でございますけれども、指定をされているという状況でございます。

 これに沿いまして、豊洲新市場予定地における土壌汚染の除去でございますとか新市場の建設のための土地の掘削等、さまざまな工事がございますけれども、それらについては、東京都知事に対して届け出が行われ、施行方法の確認を受けた上で工事が実施をされているということでございます。

 これまで、東京都によりまして土壌汚染対策法上必要な対策が実施はされている旨、聞いているところでございます。

江田(康)委員 今おっしゃっていただきましたように、豊洲新市場予定地については、土壌汚染対策法に基づいて、形質変更時に届け出が必要な形質変更時要届出区域ということで指定されているところでありますが、そこについては、今回の形質変更においてその届け出も行われ、また、確認を受けた上で必要な対策が実施されているということでありましょうから、土壌汚染対策法との関係においては、それにのっとってしっかりと行われているということでございます。

 その一方で、東京都は、食の安全、安心を求める立場から、上乗せ的な対策を行って、その中で、約束していた対策が十分に実施されていなかったことやさまざまな問題が生じている、これが今回の、本件のてんまつかと思うわけでございますが、その結果、大きな関心になっているところであります。

 そういうことで、このような状況の中で、大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、国の果たすべき役割については、環境省としてはどのようにお考えか、お聞きをさせていただきます。

山本(公)国務大臣 豊洲新市場予定地については、土壌汚染対策法に基づく調査や手続を行った上で、市場として使うため、東京都が法律を上回る対策を検討、実施してきたものと承知いたしております。

 土壌汚染対策については、東京都の専門家会議において、現状では地上は科学的には安全とした上で、食の安全、安心を確保する観点から、将来にわたるリスク管理上の対応策が検討されているところでありまして、環境省としては、引き続き東京都の対応を注視してまいります。

江田(康)委員 豊洲新市場予定地については、今大臣の御答弁にもありましたように、土壌汚染対策法上の問題はなく、食の安全、安心の観点からなされた上乗せ措置に関して、専門家による議論が今行われている、また、これについては引き続き東京都の対応を注視していくということでございますので、我々としてもしっかりと注視をしてまいりたいと思っております。

 時間がございますので、もう一問加えまして、再び改正案に戻らせていただきます。

 改正案の、先ほどのリスクに応じた規制の合理化ということで、もう一つ今回改正になった部分がございます。それは、同一地層の自然由来による基準不適合の土壌があるほかの区域への搬出が、これまでは大変規制がございまして厳しかったわけでございますけれども、今回、基準不適合が自然由来等による土壌を搬出する場合には、処理施設での処理にかえて、都道府県知事への届け出を行い、同一の地層の自然由来による基準不適合の土壌があるほかの指定区域への移動を行うことを可能とするものでありまして、運搬方法とか搬出先等の汚染の拡散がないことの確認を受けた上で可能とするということが今回改正にあるわけでございます。

 これらの件について、その趣旨、また環境省としてこういう規制の合理化においても配慮すべき点について御説明をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自然由来の土壌につきましては、濃度が低く、かつ同一の地層に広く存在しているということでございますけれども、これらの土地が形質変更要届出区域に指定されますと、この区域の外に搬出する場合には、人為汚染の土壌と同様に、汚染土壌処理施設での処理が義務づけられているということでございます。このため、自然由来等土壌が同じように存在する近隣の場所であってもそこに移動して仮置きができないというようなことで、工事に支障が生じているという指摘がございました。

 また、閣議決定された規制改革実施計画におきましても、自然由来物質に係る規制のあり方について、「人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得る。」とされていることを踏まえまして、同一地層の自然由来等土壌がある他の区域への移動を可能とするものでございます。

 もちろん、その際に、事前の届け出をいたしまして、しっかりと、運搬の方法あるいは移動した先での使い方も含めて、万が一にも拡散等による汚染が生じないような万全の対応をとっていくということでございます。

江田(康)委員 最後に大臣にお伺いをさせていただきます。

 今回の改正法案は、調査拡充などの規制強化、それと、適切な管理のもとでの規制の合理化ということで、バランスよくリスク管理が推進される内容になっているかと思います。

 一方で、規制の合理化につきましては、やはりなし崩し的に緩和が広がるような運用は避けるべきでありまして、本法を自治体が適切に運用できるように国として取り組むことが必要かと考えますが、最後に大臣の見解をお伺いいたします。

山本(公)国務大臣 江田議員御指摘のように、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進することが重要でありまして、そのためには、自治体が改正法案を適切に運用できるよう、国として取り組んでいく必要があると考えております。

 今後、適用要件のような技術的事項や自治体が行う事務手続の詳細など、具体的な制度設計を行うに当たっては、環境リスクの拡大が生じないよう、自治体も含めた関係者間で丁寧に議論をしてまいります。また、制度全体の周知に十分な時間を確保してまいります。

 こうした取り組みによりまして、汚染土壌による健康被害を防止するよう、自治体による適切な運用をしっかりと支えてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 土壌汚染対策法について質問をいたします。

 土壌汚染対策法は、国民の健康の保護を目的として、土壌汚染のおそれがあると判断される土地に対して調査の網をかけ、調査結果に応じた区域指定を行い、そして指定に基づく規制措置を定めております。

 そこで、お尋ねしますけれども、今回の法改正について、その一つに、形質変更時要届出区域内における形質変更の事前届け出制から事後届け出制への緩和の措置が第十二条第一項で行われております。これがどのような内容かということについて、まず確認をしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 形質変更時要届出区域であっても、臨海部の工業専用地域のように、地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がなく、埋立材や自然由来による汚染土壌のみが広がっている場合につきましては、土地の形質変更に伴う健康リスクは低いと考えております。

 このため、一定の要件を満たす土地の形質変更を、あらかじめ都道府県知事の確認を受けた土地の形質変更に係る方針に基づいて行う場合には、工事前の、現行法のもとの工事ごとの事前届け出にかえまして、年一回程度の事後届け出とするという規制の合理化を行うこととしたものでございます。

塩川委員 そこでお聞きしたいのが、これは条文の中にも、先ほどは埋め立て由来、自然由来というお話がありました。条文の方を見まして、専らという言葉の言い方を使っているわけです。

 第十二条の第一項第一号のイを見ますと、「土地の土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来するものとして」云々とあるわけですけれども、この場合の「専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来する」という、この専らの意味がよくわからないんですけれども、この点について、大臣、御説明いただけますか。

山本(公)国務大臣 御指摘の規定、改正案の第十二条第一項第一号イでございますけれども、土壌汚染状況調査の結果として、土地の汚染状態が自然由来または埋立材由来によって占められていると認められることを要件として規定したものでございます。

塩川委員 ですから、専ら自然由来、専ら埋立材由来ということなんですけれども、専らの程度というのはあるんですかね。どの程度まで許容されるのかというのがわからないんですよ。その考え方について少し教えてほしいんですが。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今の大臣の御説明で意味は明白ではないかと思っておりますけれども、実際、この土壌汚染状況調査をやるわけでございます、それの結果として、人為由来の汚染が認められなければ、これは専ら自然由来または埋立材由来に占められたというふうに解釈されると考えております。

塩川委員 そうであれば、今のように、人為由来の汚染が認められないというふうに書けばいいと思うんですけれども、そう書いた方がわかるんじゃないですか。

高橋政府参考人 趣旨は、恐らく理解は同じだと思うんですけれども、法文上、条文化する中で、こういう表現が適切であるということでございます。

塩川委員 これは、ですから、専らとなると、専らでない部分があるという話になって、そこは当然、人為由来の話が入ってくるんじゃないのかというふうにとられるわけですよ。

 だとしたら、もうすっきり、人為由来の汚染が認められないと書けばはっきりしているわけですから、そういうふうに読めるようにやる方が適切じゃないですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、土壌汚染状況調査の結果として、人為由来の汚染が認められない、言いかえれば、自然由来また埋め立て由来によって占められているということが確認できればこの特例が適用可能になるということでございます。

塩川委員 例えば、埋め立て由来の土壌汚染についても、もちろん自然由来のものもあるかもしれないけれども、過去に蓄積をされたような人為由来の汚染も入っていないのかという懸念というのはあるわけなんですよ。そういう埋め立て由来の土壌も人為による汚染がないと言えるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、埋立地というものが全て埋立材由来であって人為汚染がないということではございません。もちろん埋立地におきましても、過去に有害物質を使う工場等が立地をしたり、そういうところで有害物質が取り扱われることがよくございますので、臨海部の埋立地においても、人為由来の汚染があるというケースも当然ございます。

塩川委員 ですから、書き方として、本当にすっきりするような形にすべきであって、専らという用語だと、非常に、そこに何らかの人為由来のものを含み得るような、そういうことを読めるということを指摘しなければなりません。

 それで、改正案は、現行では形質変更時に事前に届け出なければならないところを、自然由来等の汚染による土壌であれば、年一回程度で事後に届ければよいとしているわけです。

 沿岸部の企業の敷地内では、長年の事業活動によって排出をされた操業由来の汚染物質、自然由来の汚染物質等々が混然一体となっていると聞きますけれども、そうなりますと、実態として、汚染が操業由来か自然由来かという判断が、把握が困難ではないのかなと思うんですが、その点はどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、埋立地にもいろいろなケースがあるかと思います。そこで有害物質を使った履歴、そういう操業の履歴等、ある場合、ない場合があるかと思いますので、そういう地歴といいますか、そういうものも調べますし、必要に応じて実際のボーリング調査等もやりまして、汚染の状況をしっかりと把握した上で判断をするということが必要になるかと思いますけれども、その辺の具体的な判断等につきましても、しっかりと技術的な基準を定めて運用していきたいというふうに考えております。

塩川委員 その技術的基準というのがよくわからないので、懸念が残るところです。

 実際、企業の敷地内では、長年の事業活動によって排出された人為由来の汚染物質、自然由来の汚染物質、また埋立材由来のものなども混然一体となっているということで、このことは、中環審の土壌制度小委員会の中で、例えば石油連盟の代表の方が発言をされておられます。その際にも、臨海部の工業専用地域のようなところの広い場所ですと、自然由来の汚染とか、埋め立て由来の汚染とか、操業由来の汚染とかなど、由来が何かよくわからないような汚染とかがごちゃごちゃしているということを率直におっしゃっておられるわけで、これが実態なんじゃないでしょうか。それで大丈夫なのかと思うんですが、いかがですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 いずれにしましても、技術的な基準については、今後しっかりと専門家あるいは関係者と検討していかなければいけないと思いますけれども、現時点で、まず基本的な考え方を申し上げると、先ほどもちょっと申しましたけれども、有害物質による人為由来の汚染があるとわかっている土地は当然対象外になるということでございます。そういうもとに、事前にしっかりと都道府県知事が確認をしながら、リスクが拡散しないような運用をしていかなければいけないというふうに考えております。

塩川委員 ごちゃごちゃしているというのが実態じゃないかと思うんですが、そういうことは受けとめておられますか。

高橋政府参考人 その石油連盟の方がちょっとどういう情報をもとにごちゃごちゃしているというような表現をされたかわかりませんけれども、いずれにしても、まさにそういう実態、現場の実態はそういう現場の方からもよくお話を聞きながら、やはり人為汚染がないということをいかにしっかりと、また合理的な、現実に実施可能な方法で確認するかということをしっかりと詰めていきたいと思っております。

塩川委員 私は、率直に、こういった状況のもとで形質変更時の事後届け出制を認めれば、操業由来の汚染土壌の事業者処理責任を曖昧にすることになりかねないのではないか、また、事業者の勝手な敷地内の形質変更による利活用を可能とする、こういう懸念が拭えないということを申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、改正のポイントとして、汚染土壌の搬出規制の緩和があります。汚染土壌処理の委託の例外を設けるという第十八条の一項二号や三号、これがどのような内容かについて説明いただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず一つは、自然由来等の土壌の区域間移動の件でございます。

 自然由来等の土壌につきましては、濃度が低く、かつ同一地層等に広く存在をしているものの、現行制度においては、区域外に搬出する場合、人為汚染の土壌と同様に、汚染土壌処理施設での処理が義務づけられております。このため、自然由来等の土壌が同じように存在をする近隣の場所でありましても、例えば仮置きができないというようなことで、工事に支障が生じているという指摘がされてございます。

 このため、都道府県による一定の確認を得た上で、同一の地層の自然由来等土壌がある他の区域への移動を可能にするというものでございます。

 もう一つ、今回、特例というものを考えてございます。

 これは、公共工事における汚染土壌の水面埋め立てや構造物での汚染土壌の封じ込め処理というものがございます。これらは有効な処理方法であるわけでございますけれども、現行法では、このような処理を行うためには汚染土壌処理業の許可の取得が当然必要になってまいります。例えば公共セクターがこういう許可をとるというのはなかなか現実には難しい面がございまして、これまで余り行われていないという状況でございます。

 このため、これも自治体等からのいろいろな御意見も踏まえまして、国や自治体による適正な処理を促進するという観点から、この許可制度の特例といたしまして、国または地方公共団体が行う水面埋め立て等による汚染土壌処理につきまして、都道府県知事との協議が成立をしたというときには汚染土壌処理業の許可があったものとみなすという特例を定めるということとしたものでございます。

塩川委員 その前段の部分について関連してお聞きしますけれども、自然由来等の件で、汚染土壌搬出規制の緩和と、先ほど冒頭でお聞きしました形質変更の事後届け出制への緩和の部分ですけれども、これは、例えば中環審の土壌制度小委員会に環境省が出している資料の中で、臨海部の工業専用地域の特例のところがありますよね、そこのところにその新区域の指定について幾つかの具体の話で書かれていることだと思うんですけれども、これは法改正ではこういう形で入ってくるというふうに受けとめていいんでしょうか。

高橋政府参考人 今御指摘の部分は、工業専用地域の方の話かと思いますけれども、確かに、審議会の議論の中では、新しい区域としてそういうものを位置づけるというような議論もございましたけれども、今回の御提案の中では、これまでの形質変更時要届出区域の中の一類型として特例を設けるというような形で整理をしているというものでございます。

塩川委員 形質変更時の枠内でという話で、二〇一三年のときの、形質変更時要届出区域についても区分を新たにつくったというのが、埋立地の特例区域ですとか自然由来特例区域の話もあります。こういうのに加えて、あるいは重なるような形で新区域を指定する、そういうイメージなんでしょうか。

高橋政府参考人 あくまでも、先ほど申しましたように、今回の特例というのは、形質変更時要届出区域の中の特例ということでございます。

塩川委員 中環審に出ている環境省の資料で「新区域の対象となりうる土地の詳細イメージ図」というのがあるんですけれども、そういう地図の中に、新区域に指定可能というエリアとして、「人為由来の汚染のおそれが少ない土地」と書いてあるんです。

 ですから、「人為由来の汚染のおそれがない土地」とは別に、「おそれが少ない土地」つまり人為由来の汚染があるという土地も新区域に指定可能となっているのは、これはこういうものなんですか。

高橋政府参考人 おそれが少ないか、おそれがないかという二通りの言い方をしてございますけれども、これはあくまでも、いろいろな、当然、都道府県知事の方で調査等をするわけでございます、いろいろな情報から推測をするわけですけれども、おそれがない土地であればあえてボーリングはしなくてもいいけれども、おそれが少ない土地であれば本当にないかどうかはボーリングをしなければわからないというようなことで、確認の仕方が変わってくるわけでございますけれども、結果として汚染があればこれは認められないという部分は同じでございますので、結果として、何か、おそれの少ないところは緩くていいということではございません。あくまで確認の仕方の厳密さが変わってくるというふうに御理解をいただければと思います。

塩川委員 土対法の改正では、汚染土壌処理業者への汚染土壌の処理の委託義務が、現行では委託義務がかかっています。これは、国や県から認定された処理業者が汚染土壌の処理を責任を持って行うことで、汚染土壌処理が適切に行われるよう担保する仕組みであるわけです。

 その点で、改正案で汚染土壌の移動をいわば土地の事業者任せにするということが、事業者の処理責任を曖昧にすることにならないか、この点の懸念もあるんですが、そこはどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今回、自然由来等の土壌についての移動を認めるということでございますけれども、これは、先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、形質変更時要届出区域として指定をされて管理されている土地であって、なおかつ自然由来で同一の地層のものが広がっている、そういう限定された範囲の中での移動でございますので、何か、どこか勝手に持っていっていいということではございません。

 いずれもしっかりと管理された区間の中の移動でありますし、なおかつ、事前に届け出をしてもらって、運搬の仕方とか移動した先での扱いが適正であるかということもしっかりと都道府県知事がチェックをいたしますので、要は、これまでは処理業者のいわゆる土壌処理施設にしか持っていけなかったものを、限定された範囲の中で、環境への悪影響のない範囲で有効に、例えば盛り土等に使うというようなことを可能にしようという趣旨でございます。

塩川委員 もともと、二〇〇二年成立の土対法は、法に基づく調査対象が限定的でありましたので、土壌汚染調査のうち圧倒的多数を法に基づかない自主調査が占めるという問題がありました。また、搬出土壌に対する規制がなかったため、汚染土壌の不適正処理事案が発生するなどの問題も発生をしたわけです。

 豊洲地域の深刻な土壌汚染が明らかになって、国民からも厳しい批判の声が寄せられる中で、二〇〇九年に土対法の改正が規制強化という形で行われたわけです。土地の形質変更時に調査義務がかかることや、汚染土壌の搬出時に汚染処理業者への処理の委託義務が課せられる。また、法改正に伴う局長通達で、自然由来による汚染土壌も法の対象となったわけです。

 そういうのが二〇〇九年の強化の中身だと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 前回の改正の主な趣旨につきましては、今委員から御指摘のあったとおりかと思います。

塩川委員 そうしますと、ここで強化した中身というのが今回の改正で緩和をされているということになるわけで、二〇〇九年の法改正の趣旨に逆行するものではないかと思うんですが、その点はいかがですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 前回の改正、先ほど委員から御指摘のありましたようなポイントでございますけれども、その結果として、例えば土壌汚染状況調査の実施件数につきましても、大幅に、二倍以上ふえたということでございますし、区域の指定についても、要措置区域と形質変更時要届出区域という、リスクに応じた指定を行うということで、相当形質変更時要届出区域がふえてきてございますけれども、これはある意味リスクに応じた管理が進んでいるということで、前回の改正の効果は着実に上がっているというふうに考えてございます。

 ただ、今回の改正につきましては、特に自然由来につきましては、自然由来のものも、最初の法律制定時は対象でなかったものを、やはり搬出の規制という、土壌汚染を、きれいな土地にそういうものが拡散されるということは防がなきゃいけないということで新たに導入したわけでございますけれども、それによって、土壌汚染、土対法のかかっていないところでできているような通常の工事にも支障が出ているというような部分がありましたものですから、その部分については、それによって新たな汚染の拡散リスクがふえてしまってはもちろん前回の改正の趣旨に反するわけですけれども、そういうことが起こらない範囲で、しっかりと手続を踏みながら、そういう、ある意味例外的に有効活用のできる部分を今回導入をした。

 そういうことでございますので、決して前回の改正の趣旨を損なうものではないというふうに考えております。

塩川委員 自然由来による汚染土壌も法の対象となるというのは、いろいろ議論があった経緯があるわけですけれども、健康被害の防止の観点からは、やはり自然由来の汚染土壌とそれ以外の汚染土壌を区別する理由がないために、自然由来汚染土壌についても土壌汚染対策法の対象としているという、その趣旨というのが本来重要だと思うので、そういう見地を考えると、今回の緩和措置というのは、やはりそういう規制強化と逆行すると率直に言わざるを得ないんですが、その点はどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 人の健康への影響という意味では、例えば砒素であっても、それが人為由来なのか自然由来なのか、それによって変わりはないということでございまして、その基本的な考え方は今回も一切変わってございません。

 あくまでも、今回は、同じような自然由来の地層が広がっている区間の中での移動ということを認めるということでございますので、そういう意味でリスクがふえるということはない。そういう範囲の中で、有効利用という観点で手続の緩和をするという趣旨でございます。

塩川委員 緩和であることは明らかであるわけで、その点での、本当に環境への影響を通じた健康への不安というのが懸念されるところであります。

 こういった緩和要望の背景に、この間の経済界や企業からの要望があります。

 二〇〇九年の規制強化に対して、鉄鋼や石油あるいは石油化学などの産業界から反発の声が上がりまして、この間、規制改革会議や中環審の土壌制度小委員会において、経団連や千葉県経済協議会、湾岸地域に立地をするこれら大企業の参加がある千葉県経済協議会等から要望が出されております。

 千葉県経済協議会は、二〇一五年の規制改革会議の中で、基準不適合土壌を場外に搬出できず場内に山積みにしており、設備レイアウトが困難または新たな設備投資の空き地の確保が困難、汚染土壌処理コストが高く、価格競争力が損なわれるとの立場を表明しております。

 こうした産業界からの要望を受けて出された二〇一五年六月閣議決定の規制改革実施計画で、沿岸部の工業専用地域の汚染土壌処理の規制緩和について、人への健康リスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得るとの方針が示されたということです。

 ですから、今回の改正案というのはこの方針に基づくもので、やはり汚染土壌の処理の負担軽減や土地利用規制の緩和を求める経済界からの要望に応えるもの、それはそういうことになりますね。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今回の特例制度でございますけれども、例えば、先ほどもございましたけれども、千葉県の経済協議会など、そういうところからの要望ももちろんいただいてございます。また、委員の今御指摘もございました規制改革実施計画、閣議決定をされたものの中で、臨海部の工業専用地域の土地の形質変更及び自然由来物質に係る規制のあり方について、人の健康へのリスクに応じた必要最低限の規制とする観点から検討し、結論を得るというものがございますので、こういうものも踏まえて検討したわけでございます。

 ただ、この検討につきましては、これは中央環境審議会の中で、事業者あるいは自治体それから有識者、専門家、そういうさまざまな立場の方に御参加をいただき、御意見を伺った上で答申を取りまとめております。もちろん、当然その中で産業界の要望もお聞きしましたけれども、それをそのまま受け入れて成案化しているわけではございませんで、やはり当然、健康被害が生じないと考えられる範囲で限定的に手続の合理化を行うという観点の議論も相当した上でこの案はまとめておりますので、決して特定の主張に沿って見直しをしたということではございません。

塩川委員 実際、臨海部の工業専用地域において、事業者はどのような土地利用を考えているのか、どういうニーズがあるから土地利用規制の緩和についての要望が出されているのか、具体の事例とかというのは承知しておられますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今回の中環審の審議の中で、そういう具体的な用途まで俎上に上げて議論をしたということではなかったと記憶してございます。

塩川委員 例えば、今、東京湾岸でいいますと、石炭火力発電所の建設の計画というのが幾つも出てくるんですけれども、そういう用地として使用されるという可能性もあるということでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 そういう可能性についても何も議論はされたことはなかったと思っていますが、いずれにしましても、今回の議論は、自然由来あるいは埋立材由来の土壌の扱いについて、その扱いのリスクを主軸として議論をしてございますので、その後の上物の土地利用がどうこうというのは、基本的にはこの議論には影響を与えるものではないというふうに考えております。

塩川委員 このような、今、環境省の対応とすれば、大臣の環境アセスに係る意見もこの間出されているところでありますけれども、一方で石炭火力発電の建設については慎重な対応を要求しているのに、他方では用地確保にもしかすると手をかすようなこういう緩和措置になりはしないのかという点では、環境行政としての責任を問われることにならないかというのが率直な感想なんですが、大臣のお考えというのはいかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 ちょっとそれとは別であろうと思っております。

 やはり、あくまでも今回の法改正においては、私どもは、今までの土対法の言ってみれば弱点といいますか、それを補強するという意味が専らであろうというふうに思っておりますので。

塩川委員 この点については注視したいと思っております。

 それから、先ほど説明がありました公共工事に係る汚染土壌の封じ込め措置に係る自治体の要望に応えた措置ですけれども、改めて、国等が行う汚染土壌の処理の特例、汚染土壌の公共事業への再生利用というのがどういうものなのかについて、簡単に御説明ください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほども若干御説明をいたしましたけれども、東京都などから、中環審の議論におきまして、自然由来あるいは埋め立て由来の基準不適合土壌につきまして、公共事業等の管理下での活用を可能にしてはどうかという提案がされております。

 具体的に想定されるのは、水面埋め立てなどこういうところの公共事業で土壌を活用する、そういうことが円滑に進むような観点からこういう特例を設けたらどうかということでございます。

塩川委員 東京都がそういう要望を出す動機といいますか、東京都としてはどういうことが想定されるのでこういった特例を要望されたんでしょうか。

高橋政府参考人 一般論になりますけれども、やはり土壌の処分というのは非常に逼迫をしているという中で、安全な形で有効活用あるいは適切な処理ができるような、そういう選択肢をふやすということがやはり自治体では大変大きな課題になっているということが背景にあるのではないかというふうに考えております。

塩川委員 今回の改正案で、国や自治体が行う汚染土壌の処理の特例を設けるわけですが、この改正について、環境省は、国等が行う公共事業において、都道府県知事との協議の上、合意された場合に汚染土壌を公共事業へ利用できるようにする、詳細は省令で定める、使い道は道路の路盤材などを想定しているということもおっしゃっておられたんですが、一つは、こういう協議、合意というスキームでいいのかということと、使い道に、先ほど水面埋め立ての話もありましたけれども、路盤材に使うような、道路の底に敷くような、そういう利用なども想定しているということでよろしいのか、その二点、お聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 これは、公共工事、公共事業での活用でございますので、都道府県知事との協議がしっかりできれば支障がないものと考えてございます。

 また、用途につきましては、水面埋め立て、これは実は、例えば海のしゅんせつをした土砂なんかは当然水面埋め立てをしているわけでございますので、同じような土であっても、土対法の規制のかかった土はできなくてほかの土はできるという、そういうある種二重構造となっておりますので、そこは同じような扱いができるようにするということでございます。

 また、路盤材は一つの例でございますけれども、要は、自然由来の汚染がある土壌について、それが表面に露出するのではなくて、封じ込められた形で安定的に使用できるような、そういう用途というものがあり得るのではないかというふうに思っております。

塩川委員 中環審の小委員会で東京都が出している土壌汚染対策制度の見直しに向けた提案の中で、幾つかそういう制度の要望が出ているんですけれども、具体的にその用途として、自然由来基準不適合土壌について、その土壌の移動を可能にするという要望で、それは公共事業の管理下での活用となっているわけですが、その場合の公共事業の管理下として、一つは関連事業間の利用、つまりトンネルの掘削土を盛り土に利用するという関連事業間の利用ですとか、水面埋立用材などと書いてあるんですが、こういう関連事業間の利用というのは当然想定されるものということでよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 東京都さんの方から御提案あった、今おっしゃられたような関連事業間の利用というものも、当然有効利用の選択肢として考えられるものと思っております。

塩川委員 ここには、公共事業の管理下での活用というより、「公共事業等の管理下での活用」と書いてあるんですけれども、つまり、公共事業以外での活用というのもあるということを東京都が想定している、それを受けるような今回の措置になっているということなんでしょうか。その辺はどういうふうになっているんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 公共事業が主たるものでございますけれども、例えば、同じ事業者が、自分の工事区域の中で、ただ、その途中がちょっと区域が連続していなくて飛び地になっているようなところで使うというようなものもありますので、そういう意味で等が入っているんだろうと思います。

塩川委員 つまり、請負事業者が別途公共事業以外で利用するという場合もあり得るということですか。

高橋政府参考人 今申し上げたのは、事業者が、同一の工事区域の中で、同じ工事の中で、ちょっと場所が、区域が連続していなくて、途中に例えば川が流れているとかいうことで、今の法律だと区域が連続していないと一切移動ができないというような、処理施設に持っていくしかないというようなことになっているものですから、そこは、移動するということで、有効に、同じ業者が同じ工事の中で、もちろんそれは、土対法上は形質変更時要届出区域として指定がされて管理がされているということでございますので、当然、その使い方についてもきちんと基準があって、都道府県知事が確認した上ででございますけれども、そういう中で活用するということでございます。

塩川委員 ちょっと具体的にイメージが湧かなくて聞いているんです。「公共事業等の管理下での活用」と書いてあるんですが、その等がどういうものかという質問なんですが、その点、もう一回わかりやすくお願いします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほど私が申し上げた、同じ事業者が自分の工事の区域の中でやるということでございますので、これは公共事業じゃなくて、その事業者の事業でございますので、公共事業には当たらないということで、等の中に入るということになるかと思います。

塩川委員 その点はまた改めてお聞きしたいと思います。

 こういった自然由来である汚染土壌について緩和の措置が図られる。ただ、封じ込めするというお話ですけれども、やはり、道路や堤防などへの汚染土壌の再利用というのは、封じ込めがされた場合でも、災害時に流出するんじゃないかとか、雨水等による浸透の可能性があり、汚染の拡散が進むんじゃないかとか、そういう懸念もあるわけですよね。

 また、再利用に当たっては、利用箇所において看板などでの周知は環境省令で定められていますが、住民合意というのは必要がないわけで、近隣住民の方への十分な説明や合意がないままに汚染土壌が使われることが懸念されるんですけれども、この点はどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 きょうの午前中の質疑にもございましたけれども、実際に現場で使う場合には、必要に応じて関係者への説明をしっかりとやるということも大変重要ではないかというふうに思っております。

塩川委員 ごめんなさい、私、二つのことを聞いていたものですから。

 住民合意の関係については現場での丁寧な説明という話でよかったんですが、今、封じ込めというけれども、例えば、堤防の盛り土に使うとか、路盤材であれ、道路に亀裂が入るような場合とか、そういう際に汚染の拡散につながることはないのかという点なんですけれども、そこはどうですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 そのような具体的な用途につきまして、どういう用途を決めるかというのはこれから議論でございますけれども、いずれにしましても、今後、具体的な用途については、技術的な基準をしっかりつくりまして、その安全性、しっかり管理ができるようなものに限ってこういうものを認めるということにしていきたいと思っております。

塩川委員 この点でいえば、重金属などの有害物質というのは、ほぼ半永久的に存在するわけです。ただ、一方で、公共物というのは耐用期限というのがあるわけで、数十年の単位なわけで、それを考えたときに、率直に言って、では、きちんとした封じ込めができるのか、そういう基準というのが百年とか二百年先とかという見通しで言えるのかと率直に思うんですが、それはそういうふうに言えるんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの説明で一点ちょっと抜けておりましたのは、このスキームを使って自然由来の土壌をそういう公共事業に使ったといたしますと、その使った現場というのは、これは土対法上の管理区域になります。形質変更時要届出区域等になりますので、そういう意味では、土対法のスキームの中で、引き続きそこは管理をされるということでございます。

塩川委員 そうすると、そういう公共物、堤防とかというのも、そういう管理区域のままずっと続くというイメージなんですか。

高橋政府参考人 土対法のスキームの中で利用されておりますので、その利用された現場というのも、土対法の指定区域として引き続き管理をされるということになるかと思っております。

塩川委員 その点はまたお聞きしたいと思います。

 この措置の場合に、国や自治体が行う公共事業において、都道府県知事との協議の上合意された場合に、汚染処理の許可があったとみなして汚染土壌を公共事業等に再生利用することができるとしているわけですけれども、例えば、東京都が事業の実施主体で、その場合、その協議、合意の相手方は東京都知事になるという関係ですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 実際上は、東京都の中でも、実際事業をやる部局と環境部局がございますので、具体的に申せば、事業部局から環境部局に協議がある、そういう形になるかと思っております。

塩川委員 大臣に伺いますけれども、今のお話のように、東京都が事業の実施主体で、それに対しての環境部局、東京都知事に当たるのは都の環境部局になるわけですけれども、どちらも東京都なわけですよ。

 そういったことを考えると、しかるべくチェック機能が働くのかなという疑問が湧くんですけれども、その点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

山本(公)国務大臣 やはり、基本的には部局と部局の話になるんだろうと思うんですけれども、なぜならばといいますと、やはり一番よく知っているということにおいてはそういうことになっていくんだろうと私は思っております。

塩川委員 そもそも、この緩和要望そのものは東京都が出されて、今度こういった法制度として具体化をされるという経緯がありますので、どちらかというとこの事業を推進するという東京都の視線において、環境部局がしかるべく役割を果たすのかどうかというところについての疑念もあるわけですけれども、そういった点で、しかるべくチェック機能は働くのかということについてはやはりちょっと考える必要があるんじゃないかなと思うんですが、改めて、大臣、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 やはり、行政というのは、部局部局を信頼するといいますか、そこに原点はあるんだろうと思っておりますので、それぞれの部局を信じて行政を行うべきだと私は思っております。

塩川委員 きょうのところはこれで終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、足立康史君。

足立委員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 土壌汚染対策法ということで、またちょっと出張させていただきまして、質問させていただきます。

 法律の枠組みの話ももちろんありますが、通告はまずそういう法律の枠組みから入っているんですが、ちょっと順番を変えさせていただいて、今、塩川委員の方から非常にすばらしい御質問がありました。共産党についてはいろいろ申し上げることも多いんですが。今、最後に塩川委員がおっしゃった東京都の中の問題は、これは質問じゃありませんが、私は結構問題があると思いますね。

 例えば、二月の二十八日に、実は、日本維新の会が、豊洲移転促進すべきだという提言書を、三月の八日だったかな、済みません。二月の二十八日に、情報公開請求をしたものが来たんですね。提言書を三月の第一週に東京都にお持ちしました。

 二月の二十八日に、実は、私の事務所が東京都に情報公開請求をした。何を情報公開請求していたかというと、築地市場のまさにいろいろな地歴とか、そういうことなんです。それまでは、築地市場の地歴というのはわからないし、土壌汚染についてはわからない、調べたことがない、こういうことだったんですが、実は、私がまさに土壌汚染対策法を読みまして、あれっと。豊洲は形質変更時要届出区域ということで、これはわかりやすいわけですが、築地市場についても全くその地歴等を調査する契機がないわけではないはずだということで、特に土壌汚染対策法四条に基づく調査等をやったことはないのか、こういう情報公開請求をして、その請求した資料が出てきたのがことしの二月二十八日なんです。

 おもしろいのが、おもしろいと言ったら怒られますけれども、二月の二十八日の夕刻に私の事務所に、郵送してもらうと時間がかかるので、私の秘書がとりに行って、手にしたわけです。私、それを拝見するのは夜になったんですけれども、夜の九時ぐらいに急遽、都の建設局が緊急会見を開いて、実は地歴がありましたと。実は、私が受け取った資料の中に入っているんですね。だから、国会議員に渡しちゃったものだから、やばいということで東京都が緊急会見を開きまして、都の建設局が、実は築地の地歴はわかっていたんですということを出してきた、それが二月の二十八日でした。

 そのときに、小池知事もぶら下がりをされたわけです。関係部局は三つあるんですね。東京都の環境局かな、環境当局ですよ。それから、卸売市場を統括している市場部局。それから、環状二号線をやっている建設局かな、ちょっと正式な名前は違うかもしれませんが。実は、私が請求したのはいずれも環状二号線絡みだったので、土壌汚染対策法に基づき、東京都建設局が環境部局に届け出をしたりしている書類が全部届いたわけです。だから、そこへ入っていたんですね。

 それは結局、ことしは二十九年でしょう、二年前の二十七年の春には、実は環境部局と道路部局、建設部局がそれを持っていたんです。二年前ですよ。ところが、卸売市場部局がこの事実について認識をしたのは、私の事務所が情報公開請求をして、それに対応するプロセスで初めて市場当局は知ったと言うんですよ。これは公式にそう認めて、この委員会だったかな、農水委員会だったか、認めていただいています。

 だから、それぐらい東京都の中というのは、私は伏魔殿とか言いませんけれども、とにかくでかいので、そういう三部局の情報シェアさえ二年間の間できなくて、都議会もまあいいかげんで、都議会議員があれだけいるのに一切それを見つけられなかったわけです。

 これは我田引水というかあれになりますが、国会議員である私の事務所が東京都に情報公開請求をすることで初めて二月の二十八日にそれがわかって、そういうことも全部含めて、三月の八日だったかな、に豊洲移転すべきだという提言書を小池都知事にお持ちした。そのときも、小池都知事は都庁内にいらっしゃったそうで、会ってくれたらいいんだけれども、会ってくれませんでね。それで、何かモニターで見ていたとかいううわさが飛んでいるんですけれども。許さぬとか言っていたとか言っていないとか、そういうよくわからないうわさが、匿名ブログじゃありませんが、うわさがあるわけでありますが。まあ、そんなものです。

 だから、我々はその提言の中で、豊洲移転をすべきだということと、小池都知事がしっかりと適切なリスクコミュニケーションをやるべきだということ、要は二重基準はやめてくれということ、そして、法改正をいろいろしたらどうか、いろいろなことを書かせていただいたわけであります。

 申し上げたいことは、いろいろな方と御意見交換をすると、やはり、環境省とかいろいろな役所がありますけれども、自分で自分を監督しているというのがすごく多いんですよ。多いらしいんですよ、今の自治体はね。いろいろな国の法律がありますね。それは全部が大臣がやっているわけじゃありません。都道府県に落としている仕事が山のようにあります。要するに、監督者が都道府県で、都道府県が自分でやっていることを全部自分で監督しているんです。そんなものでうまくいくのかと言うと、いや、まあ、性善説ですと。要すれば、都道府県というのは、地方公共団体というのは善であると。性善説に基づいた理解がどうもあるようであります。

 ところが、ちょっと長くなって済みませんね、いつもこうやってしゃべるので怒られるんですけれども、質問をちゃんとしますから、委員長、大丈夫です。

 ところが、今回の築地のことでいうと、結局、実は、市場部局というのがすごくいいかげんで、建設局と環境局が持っていた資料を二年間もらうこともしなかった。それが一つ。

 それからもう一つは、条例、土壌汚染の環境確保条例という東京都の条例があります。同じようなものの都版ですね。都の条例版。それについては、実は、築地市場で八件ほど、本来、環境部局に届け出をせないかぬかった、条例に基づく届け出義務を果たしていなかった、すなわち条例違反があったということを小池都知事が二月二十八日のぶら下がりで公表されたわけです。

 もうむちゃくちゃです。実は東京都というのはむちゃくちゃだということを、小池都知事が悪いとかいうんじゃないですよ。あれだけ大きな役所ですから大変難しいわけですが、なかなか、さっき塩川委員が御指摘されたように、大変問題がある。私、総務委員でもありますので、そういう自治体のガバナンスの問題、こうした問題は別途、総務委員会で取り上げていきたいと思いますが、そんなものだということであります。

 さて、せっかくそこから入りましたので、築地市場の土壌汚染調査。これは、まあ、条例の話はいろいろあるんです、条例違反もいっぱいあるんです。きょうは国会ですから、土壌汚染対策法に基づく築地市場の土壌汚染調査について、四回のそういう契機があったわけです。今、その四回についてどうなっているのか、ちょっと簡単に御紹介をください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 築地市場につきましては、土壌汚染対策法上の区域指定は行われておりませんけれども、環状二号線の工事に伴いまして、土壌汚染対策法に基づく土地の形質の変更に伴う届け出が東京都に対してこれまで四件行われております。

 形質変更が行われる範囲について、東京都が汚染のおそれを判断しているところでございますけれども、当該四件のうち、三件については土壌汚染状況調査の命令を発出しておらず、一件については引き続き審査中と聞いております。

足立委員 三件はもう終わっていて、要は、都として、都の環境局としてこれを検討して、これは調査の必要性はなしと判断しているということだと思います。

 四件のうち一件、最後の一件は今審査中、すなわち環境局が検討のプロセスに今乗っているということでありますが、何か、いつごろ結論が出るとか、そういう見通しは御存じでしょうか。

高橋政府参考人 お答えします。

 見通しについて、私どもの方で今把握はしてございません。

足立委員 さっき申し上げたように、東京都というのはそんなものですから。ぜひこれはまた私も、なかなか東京都のことに国会が余り口を出すのもいかがなものかという議論もあると思いますが、ただ、もう今や、豊洲市場、築地市場の問題は、ひとり東京都の問題ではありません。全国の卸売市場に影響を及ぼしていますし、きょうの議題である土壌汚染対策のあり方についても大変な問題提起をしているわけでありまして、ぜひ国会でも十分な議論を、この法案審議も含めて取り組んでいくべきであると思っております。

 築地市場の土壌汚染調査、これについては別途またフォローしていきたいと思いますが、先にちょっと個別の話、法律の話もやりますが、大臣、小池さん、小池都知事ですが、これはもちろん都民の大変大きな御支持があります、世論調査を見ても、選挙で大勝もされたということであります。ところが、この土壌汚染ということについて言えば、要すれば、何か、安全はあるけれども安心はないとか、築地市場はコンクリート、アスファルトに覆われているから安全だけれども、豊洲市場もコンクリートで覆われているんだけれども何か云々ということで、私はよくわかりません。小池都知事の御評価をちょっとお願いします。

 いや、御評価と言ったらいけませんね。もうちょっと、ちゃんと通告させていただいているのは、大臣じゃなくてもいいんですが、もし可能であれば、そういう豊洲市場、もうちょっとちゃんと言いますね、済みません。

 真面目というかちゃんとやると、豊洲市場は、私は、土壌汚染対策法上は法令を満たしている、条例も満たしているわけですが、したがって、土壌汚染について、いわゆる法令が対処を求めているようなリスクはないと思っています。ところが、小池都知事は大変曖昧な態度を継続しておられて、その結果、豊洲市場のみならず、豊洲地区にお住まいの皆様からも大変な苦情が私のところにも届きます。苦情というのは私に対してじゃないですよ、小池都知事、何とかせないかぬという苦情が私の党にも届くということでありますが。特に、先ほど申し上げた提言書を出していることもあって、たくさんのメール、レターを頂戴するわけであります。風評被害ですね。

 こういう、今の小池都政の土壌汚染、特に豊洲市場に係る土壌汚染に対する対処、どんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。

山本(公)国務大臣 豊洲市場の予定地については、土壌汚染対策法に基づく調査が行われまして、その結果、東京都によって、土地の形質変更を行う場合に届け出が必要な区域に指定されておりまして、土壌汚染の除去や新市場の建設については、土壌汚染対策法上、必要な対策が実施されている旨、東京都より聞いております。

 これらの土壌汚染対策の状況については、東京都の専門家会議において、現状では地上は科学的に安全とした上で、食の安全、安心を確保する観点から、将来にわたるリスク管理上の対応策が検討されているところでございまして、環境省としては、引き続き東京都の対応を注視してまいりたいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 今御紹介いただいたように、まさに、例えば専門家会議の平田さんとおっしゃったかな、平田座長、明確にこれは安全宣言をされています。

 されているんだけれども、要すれば、科学者、専門家として、専門家会議としては、これは安全としかもう言いようがない、あと、その安全である豊洲市場をどう扱うかは、これは行政であり、選挙で選ばれた小池都知事の御判断だということで、当然、専門家会議はそこまでなわけです。

 科学的に安全である、あるいは法的にも全く問題がない、そうしたことが明らかになっているにもかかわらず、問題があるかのように曖昧な態度を継続されている。一部には、それは選挙、都議選をにらんだ非常に政局的な動きであるというような批判もなされているわけでありますが。

 私は、小池都知事に対する都民の支持、これは当然尊重するわけでありますが、大変心配をしています。特に、我が党の、先ほど申し上げた提言書の中には、やはり都庁ガバナンスの見直しもするべきだ、こう書いています。

 実は、我々日本維新の会というのは、大阪から始まって、今も本部は大阪にあるわけですが、大阪府、市は、そういうトップが、百条委員会も東京はやっていますが、大阪では、トップがどういう情報に基づいてどういう判断を下したかということをフルオープンで、全て戦略本部会議という、大阪府知事の政治判断は全て、どういう情報に基づいてどういうロジックで判断を下したのか、それはいつなのか、それを全部フルオープンの戦略本部会議という場でやることにしていまして、この七年、八年。後からおかしな議論に、小池都知事が石原都知事を突き上げるようなことが、そういうおかしな、ちょっととても見ていられないようなことが繰り返されることはないように大阪ではしています。

 その提言書の中で、大阪の戦略本部会議のような東京都版戦略本部会議をつくるべきだということを提言していましたら、この間、市場のあり方戦略本部というのがまたできまして、もう全くこれは、名前は似ていますが、似て非なるものでありまして、大変危惧をしています。

 結局、そういう我々の提言も、その中身を拾うことなく、表面的な名前だけを引っ張って先延ばしに使うようでは、とても東京都の、東京都庁のガバナンスは信頼になかなか値しない、こう指摘をせざるを得ないわけであります。

 さて、そうした背景となっている土壌汚染対策法であります。幾つか、事務的で結構ですから教えていただきたいのは、一つは、土壌汚染対策法というのは、ほかの大気とか水とか、そういうもののいわゆる汚染対策法に比べて立法が遅かった。平成十四年に成立し、十五年に施行されている。

 これは、何か土壌汚染というもののある種の特殊性みたいなものが背景にあるのかな、こう思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 土壌汚染の問題でございますけれども、大気汚染や水質汚濁などと異なりまして、発生源を断てば汚染が解消するというものではございませんで、一度生じた汚染は費用をかけて除去しない限り残留する、いわゆるストック型の汚染であるということ、また、汚染の対象といいますか媒体が、大気等の公共財ではなくていわゆる私有財産である土地であるということ、また、汚染があったとしても人が摂取しなければ健康被害のおそれがないということでございます。こういうさまざまな特徴があると考えてございます。

 このため、法制化に当たって、例えば土壌汚染対策を実施する、どういう場合に実施するかという要件でございますとか、対策の実施主体は誰であるべきか、さまざまな課題がございまして、法制化に時間がかかったという経緯があるかと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに今端的に御紹介いただいたように、土壌汚染の特殊性、特に私有財産、ストック、さらには摂取しなければリスクはないんだというようなお話がありました。

 そういう意味では、私は、今回の法案、先ほどいろいろ突っ込まれている委員もいらっしゃいましたが、私は、規制強化すべきところは規制を強化し、合理化すべきところは合理化をする、極めて適切な御提案であるというふうに敬意を持っているところであります。

 特に、リスクに応じた規制の合理化、これは大変重要な視点であると思います。リスクに応じた規制の合理化、こういう今回のような改正、合理化のための改正、こういうものを今回措置することとなった背景とか理由とか課題、これをちょっと教えてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、臨海部の工業専用地域でございますけれども、地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がなく、埋立材や自然由来による基準不適合土壌のみが広がっているという場合に、土地の形質変更に伴う健康リスクは低いというふうに考えられます。

 一方、大規模な工事を行う場合の届け出、調査を行った結果、その臨海部の工業専用地域が形質変更時要届出区域に指定をされますと、工事ごとの事前届け出が求められることになりまして、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とすべきという指摘が出てきてございます。

 また、自然由来土壌につきましても、区域外に搬出される場合には汚染土壌処理施設での処理が義務づけられておりまして、その有効活用あるいは工事に支障が生じているという指摘がございました。

 このため、健康被害のおそれがない土地の形質変更は、その施行方法等の方針についてあらかじめ都道府県知事の確認を受けた場合に、工事ごとの事前届け出にかえまして、年一回程度の事後届け出とするということを考えてございます。

 都道府県知事に届け出ることによりまして、運搬方法や搬出先等について汚染の拡散がないことの確認を受けた上で、同一の地層の自然由来等の土壌がある他の区域への移動を可能とする、こういう合理化をすることを考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 今まさに御紹介をいただいたような背景、課題があって今回の法改正になっているわけでありますが、私は、リスクに応じた規制の合理化というのは極めて大事だと。まさにこの法案、賛成をするところでありますが、勝手に言っちゃいけませんね、個人的には賛成をするところであります。

 まさにリスクに応じた規制の合理化という点で、やはり小池都知事の豊洲市場対応、これはまさにリスクに応じた合理的な対応をしていないと思いますね。

 ちょっと局長、その辺、今回の法案は、まさにリスクに応じた規制の合理化をやっているわけです。ところが、自治事務だからそれは好きにしろというのも、突き放すのも一つですが、そういう視点、要は、環境省が今回国会に提示をされている土壌汚染対策法の改正案の柱の一つである、リスクに応じた規制の合理化という政策思想、そういう政策思想に基づくと、個別論に言及しなくても結構ですが、東京都知事の豊洲市場に係る対応に象徴されるような、ああいう科学的ではない、合理的ではない、とは思えない対応は不適切であると私は思いますが、一般論で何かネガティブなコメントをいただけないでしょうか。

高橋政府参考人 東京都豊洲市場における土壌汚染対策の状況につきましては、東京都の専門家会議において、現状では地上は科学的に安全とした上で、食の安全、安心を確保する観点から、将来にわたるリスク管理上の対応策が検討されているところでございまして、環境省としては、引き続き東京都の対応を注視してまいりたいと考えております。

足立委員 我々、地方分権政党ということで、地方自治体の独自性とか自立というのは実は尊重しているんですが、それはやはり、自治体が、しっかりと成熟したまさに民主主義の中で、しかるべき権限と責任を果たしていくことができる、これが大前提でありまして、なかなか厄介な状況だなと東京都を眺めているわけであります。

 最後、もう一つ、法案について一言、一方的に申し上げておくと、罰則は低過ぎると思いますね。大体、環境関係の法令の罰則は低過ぎますね。とてもじゃないけれども抑止効果にならない、こう思っています。それはまた別途、別途というか、時間がないので割愛をします。

 さて、きょう、農水省、お越しをいただいています、丸山官房審議官。

 きのう農水委員会で取り上げて、ちょっと時間切れだったこともあって、一言、時間をいただきたいと思います。

 民主党政権下の赤松国務大臣が、豊洲市場に関連して、やはり卸売市場の問題は、最終責任は国にある、国の責任でこれは取り仕切っていくんだ、こういう発言を再三されていました。

 当時の民主党というのは、この豊洲市場について非常に、東京都議会も席巻しておられた時代でありますし、ちょうどこの政権交代に当たって改正が施行されたということで、実は、豊洲市場問題というのは民主党問題でもあるし、民主党の政権に係る問題でもあるし、また、共産党さんも大変大きな働きを、役割を、私が申し上げているのはネガティブな意味でありますが、東京都において果たしてこられた、こう思っているわけであります。

 それで、農水省、この赤松大臣の発言、ちょっとこれは、何かちょっとまずくないですか。これはちょっと言い過ぎじゃないんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年二月二十五日の衆議院予算委員会第六分科会における当時の赤松農林水産大臣の答弁を、まず会議録に従って申し上げますと、「まずは開設者であります東京都がきちっと考え方を上げてきてください。」「文書が上がってきた段階で、私どもが、」「いろいろなことを判断しながら、それを認めるか認めないか決めていきたい、」「安全については一切問題はないということにならなければ、これは認めるわけにはいかないというのは当然のことだというふうに思っております。」と述べられた上で、「国の責任でもって、」「私どもが判断をしてやっていく。」「最終責任は国にある、国の責任でこうしたことについては全部取り仕切ってやっていきたい」と答弁されておりまして、これは、東京都によって認可申請があった場合の、農林水産大臣の認可についての基本的な考え方を述べられているものと考えております。

足立委員 すると、今も、この赤松大臣の御答弁、同じ答弁が、全くコピーの答弁をお願いしたら、できますか。

丸山政府参考人 申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、赤松当時の農林水産大臣の御答弁というのは、東京都によって認可申請があった場合に、農林水産大臣の認可について基本的な考え方を述べられていると考えておりますので、そうした趣旨の答弁は引き続きさせていただくということでございます。

足立委員 赤松当時大臣は、「今後とも、こうした市場に関することについては、最終責任は国にある、国の責任でこうしたことについては全部取り仕切ってやっていきたい」。ちょっとこれを読んでください。審議官でいいです。いや、読むんじゃないな、同じ答弁をしてください。

丸山政府参考人 あくまでも東京都による認可申請があった場合という前提でございますけれども、その認可についての最終責任は国にある、国の責任でこうしたことについて対応してまいりたいということでございます。

足立委員 全部取り仕切ってやっていくというこの全部というのを今飛ばしませんでしたか。全部と言えないよね。全部と言えますか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 認可についての対応につきましては、全部対応させていただくということでございます。

足立委員 最後ちょっと意地悪な質問になりましたが、終わりたいと思います。ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案、本日最後のバッターですが、重複するところもあるかと思いますが、きょうは、私は、この法律に関連して、ブラウンフィールド問題について質問をさせていただきたいと思います。

 ブラウンフィールド、直訳すると茶色い原っぱという意味ですね。つまり、ブラウンフィールドというのは、産業活動などに起因した汚染土壌の存在もしくは存在する可能性により遊休化した土地のことです。

 つまり、土壌汚染が原因となって売却や再利用ができずに放置されている土地のことで、当然ですが、かつて例えば工場が操業していた場所にマンションを建てようとか、あるいはもちろん住宅を建てようという場合には、有害物質の漏えいや廃棄物の埋め立て等により土壌汚染が発生しています。しかし、これらの土壌汚染浄化費用はやはり莫大な金額になり、では、その土地の価格に見合った土壌汚染対策を行って、その土地がその対策を講じた価格で売れるかということを考えるとちゅうちょしてしまう、結果的にそれらの土地が放置されている、これがブラウンフィールド問題です。アメリカでは五十万サイトとも六十万サイトとも言われているそうですが、しかし、アメリカはいち早くこの問題に対して取り組んでいます。

 他方、本邦日本も、平成十九年、二〇〇七年、土壌汚染をめぐるブラウンフィールド対策手法検討調査検討会が、社団法人土壌環境センターの委託により、ブラウンフィールド問題について、「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド問題の実態等について 中間とりまとめ」が出されています。今から十年前のことです。

 そこで、今回の土壌汚染対策法の一部を改正する法律案に関連して、種々質問をさせていただきたいと思います。

 本邦におけるブラウンフィールドの定義から、まずお知らせください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ブラウンフィールドの定義についてのお尋ねでございますけれども、我が国においては、法令上、定義されたものはございませんけれども、先ほど委員の御指摘のございました、平成十九年度の環境省の請負業務でございますが、土壌汚染をめぐるブラウンフィールド対策手法検討調査検討会報告書におきましては、ブラウンフィールドにつきまして、「土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本来、その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地」というふうに定義をしてございます。

玉城委員 まさにその一ページに書いてあるそのとおりです。「土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本来、その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地」、つまり、本来あるべき土地として活用されていない、経済産業に対して大きなリスクを持っているという土地が存在する、その土地こそブラウンフィールドだと位置づけているわけですね。

 しかし、他方で、我が国では土壌汚染への取り組みの歴史が比較的浅いことから、現時点、つまり中間取りまとめの調査当時、平成十九年、二〇〇七年時点では、ブラウンフィールドはそれほど顕在化していないが、諸外国では既にブラウンフィールド問題が深刻化し取り組みが行われている、我が国でも今後この問題が社会経済情勢によって深刻化する可能性があると、まず、その前段を置いて種々の報告がなされています。

 では、本邦において、このブラウンフィールド問題が大きく顕在化してきた時期及びその背景について御説明ください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ブラウンフィールド問題は、土壌汚染の調査が実施される機会がふえ、土壌汚染の判明が増加するに従いまして顕在化をしてくるというふうに言われてございます。

 我が国では、諸外国に比べますと土壌汚染への取り組みの歴史が比較的浅いという面がございますので、ブラウンフィールドとされる土地はいまだ限られているものと考えられますけれども、今後、社会環境の変化によって、諸外国のように顕在化してくる可能性もあるというふうに考えております。

玉城委員 二〇〇七年、私は、よく物事を時系列的に考えるときには、元号のように途中で変わっている考え方よりも、西暦でそのまま置きかえて考える。それは沖縄に住んでいる影響もあると思いますが、私たちは小さいころから、写真のプリントをカメラ屋さんに持っていくと、前のカメラにはなかったんですが、いつのころからか西暦で日付が写るようになりました。ですから、アルバムに整理するときも、西暦で考えると非常に物事の流れがわかりやすいんです。ですから、私は、あえて西暦で二〇〇七年当時というふうに、この取りまとめを取り上げているわけです。

 今、答弁でありましたとおり、まだ顕在化はしていないというような御認識のように見受けますが、しかし、二〇〇七年以降何があったかということを簡単に考えてみたいと思います。

 二〇〇八年、世界的な経済規模で大混乱、リーマン・ショック、サブプライムローンの破綻によりリーマン・ショックが引き起こりました。二〇〇九年、政権交代をした民主党政権当時は、そのリーマン・ショックの立ち直りからあがきにあがき、やがて立ち直りつつあるぞと経済が上向いたときに、自民党に政権交代した。いわば、たたき台の期間だったんじゃないかなというふうに私は思っております。

 しかし、その間、やはり多くの皆さんが、この社会経済、世界の経済の破綻に巻き込まれないように頑張ろうということで、必死になって取り組んでいただきましたが、さりとて、経営努力もむなしく、経営破綻した、あるいはもう営業をやめたという方々が数多くいらっしゃいます。

 例えば、郊外にあるガソリンスタンドなど、系列店を持っていた方々は、多くのガソリンスタンドを閉鎖いたしました。しかし、そのガソリンスタンドの地下には大きなガソリン専用のタンクがあります。ですから、そのタンクから漏えいしていることを考えると、その周辺地盤を調査して土壌改良しなければ、そのガソリンスタンドがあった場所は有効利用できないのだと思います。

 事実、沖縄でも、多くのガソリンスタンドを営業していらっしゃった方々が店じまいいたしました。しかし、そのガソリンスタンドがあった場所は、私が知り得る限り、例えば駐車場に使ったり、例えば建設ヤードの資材置き場に使ったり。そこにマンションが建っているというふうな姿、つまり、都市計画の中の有効な土地として活用されているという事例がなかなか見えないわけですね。

 実際、二〇一一年、三・一一があった以降、多くの方々がやはり廃業いたしました。そして、多額の対策費を要するため、再開発が断念され、工場跡地を売却したいが、土壌が汚染の疑惑があるかもしれないということで買い手がつかないという土地、あるいは、そういうことが公表されることを恐れて、情報の公表を恐れて売却できない土地、それらがやむを得ず倉庫や駐車場として使われているということが、二〇〇七年のこのブラウンフィールド問題の調査においても報告されています。

 では、お伺いいたします。

 ブラウンフィールドと診断される土地の面積、資産価値及び汚染対策費のいかんについてお聞かせください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年度の検討会の報告書の数字でございますけれども、アンケート調査及び既往の研究結果から、土壌汚染地の四分の一がブラウンフィールド化するという仮定を置いて試算した場合でございますけれども、汚染対策費が多額なために売買が困難な、いわゆる潜在的なブラウンフィールドと思われる土地は二・八万ヘクタール、当該土地の資産価値は十・八兆円、土壌汚染対策費は四・二兆円というふうにこの検討会の報告書の中では試算をされております。

玉城委員 そうなんです。二〇〇七年当時は二・八万ヘクタール、土地資産価格十・八兆円、土壌汚染対策費四・二兆円がかかるだろうという試算だったんです。

 それから、私が先ほど申し上げたとおり、リーマン・ショックがあり、東日本大震災があった。その土地を使用していた方々のいわゆる経営に対して大きな負担がかかったのがこの十年間の間であったわけですね。間違いなく我が国では大きな影響がありました。ですから、私は、今、二〇〇七年当時の潜在的なブラウンフィールド二・八万ヘクタール、土地資産価格は十・八兆円ですが、土壌汚染対策費が四・二兆円かかるというこの数字はもっとふえているんだというふうに思います。

 ですから、こういうブラウンフィールドが、問題が発生すると、結局は、先ほど、この報告書の中にありますとおり、土壌汚染の土地だといううわさが公表されるのが怖い、さらには、対策費が多額であることがブラウンフィールドの発生の主たる要因とされているんですが、その多額な対策費用、対策が長期間、情報開示が困難などなど、どうしても土地にまつわるさまざまな風評被害も含めた、土地の活用にブレーキがかかっているということになるわけですね。

 しかし、実際には土壌汚染の対策として掘削除去が行われることが多いわけですが、土壌汚染の対策法では、通常は、つまり、土地の中で汚染されている場所がどこであるのかということをしっかり調べ、その一サイトが全てが土壌汚染されているかどうかということを詳しく調べた上で、その汚染されている部分についてのみ対策をすれば何とか土地利用が可能になるのではないかと考える土地所有者の方々も大勢いらっしゃいます。

 現に、アメリカではそういうサイトを調査し、国が各州に、連邦政府が予算をおろし調査をし、その部分が所有者がもし利活用が可能である、その後に転売をすることで有効利用できるということで成功をおさめているということが先進事例として挙げられています。

 他方、やはり日本では、その土地の所有者は、土地所有者の個人の資産であるがゆえに土地所有者の責任であるというふうに、かつてのアメリカが一番最初にとったブラウンフィールド対策の端緒の、持ち主に対して重たい責任を課すという時点にとどまっているにすぎないのではないかと思うわけですね。

 このブラウンフィールド問題に直面する土地所有者のとるべき責任について、改めてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 環境保全の観点からは、ブラウンフィールドとなった土地に存在する土壌汚染による環境への影響が懸念される場合には、その土地所有者等に対しまして、人の健康被害を防止するために必要な一定の措置を求めることが必要となる場合があると考えております。

 ただし、土壌汚染が存在することが必ずしも直ちに人の健康の被害につながるものではございません。リスクに応じた適切な管理を行うことによりまして、土地の有効利用が可能な場合も多いというふうに考えられます。土壌汚染に対する理解の促進や土壌汚染に関する情報の透明化等によって問題が解決する場合があることにも留意する必要があるというふうに考えております。

玉城委員 ある民間企業の調査によりますと、日本における汚染サイト再開発というページの中では、三つに、ブラウンフィールド問題を解決するためにとり得る方法というものを掲げています。

 一つは、自発的に再開発されるサイトです。これは土地需要に対して土壌汚染対策費用が占める割合が小さいサイトのことを指します。地価の高い土地では最大土壌汚染リスクが許容範囲内であり、掘削除去等の完全浄化を実施したとしても再開発が可能なサイトですね。

 二番目は、条件が整えば再開発が可能なサイトと言っています。ある程度需要のある土地でも、汚染の全量除去を選択すると許容対策費用の範囲を超過する場合があるが、リスク評価を適切に行い、汚染を残置することが可能であると診断されれば、対策費用を削減し、許容対策費用の範囲内で抑えることができる、条件が整えば再開発可能なサイト。

 そしてもう一つ、行政支援がないと再開発できないサイト。土地需要や地価に対して土壌汚染対策費用が占める割合が著しく大きく、汚染を残置することのリスクも高いと診断され、かつ、その浄化費用が土地の価値に対して許容できる範囲外にある土地です。過疎地において重度の土壌汚染が発生し、かつ、敷地外に汚染物質が流出しているような土地は、浄化費用の補助や税制措置等の行政支援がないと再開発できない。

 つまり、この三つに分けて考えれば、使える土地は使えますね、あなたも負担できますね、この部分だけだったら置いていてもいいですよ、でも、しっかり管理をしてくださいね、これは全体的に手を入れないとだめですなという、この三つに分けることができるわけです。

 では、伺います。

 このブラウンフィールド問題の拡大化を防ぐために、つまり、二〇〇七年の調査当時から十年たった現在、どのような数字になっているかは、調査が行われておりませんので把握することはできておりませんが、しかし、二〇〇七年当時のこの数字をもとにして、その問題の拡大化を防ぐために行政がとり得る支援対策があるとすれば、どのような対策でしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ブラウンフィールドが発生する主な要因は、土壌汚染対策に多額の費用を要することによりまして、実際問題として、土地取引や再利用が進まないということだと考えられます。

 また、では、なぜ土壌汚染対策費が多額になるかということでございますけれども、一つには、土地取引の当事者が土壌汚染が存在することに対して必要以上の不安を抱き、費用の高い掘削除去が求められる傾向にあるということも一つ挙げられるかと思っております。

 このことを踏まえまして、国としては、低コスト、低負荷型の土壌汚染対策技術の実用化を促すとともに、掘削除去に偏ることなく、汚染の状況や健康被害の生ずるおそれの有無に応じた、まさにリスクに応じた適切な対策が選択されるよう普及啓発をするということも重要かと思っております。

玉城委員 持っている土地をどうにかしたいなと思っている方々は少なくないはずです。

 では、今回の土壌汚染対策法とこのブラウンフィールド問題を解消することとの関連性や整合性について、それがありますでしょうか。お聞かせください。

高橋政府参考人 このブラウンフィールド発生の主要因でございます土壌汚染対策に要する多額の費用という問題については、土地の所有者の方がその土地の実態を理解して、必要な措置、健康のリスクに応じた適正な管理ができるような、そういう取り組みを促すことが重要かと思ってございます。

 この観点で、これは前回、平成二十一年の土壌汚染対策法の改正でございますけれども、その際に、現状では健康被害が生ずるおそれのない形質変更時要届出区域と、健康被害が生ずるおそれがあるために措置が必要な要措置区域という二つの指定区域に分類をするということをいたしました。

 また、平成二十三年の水質汚濁防止法の改正によりまして、有害物質を使用、貯蔵する施設における地下浸透防止のための規制を新たに設けております。

 また、今回、土壌汚染対策法の改正によりまして、操業中のために調査が猶予されている事業場での対応を促進することによりまして、土壌汚染の未然防止あるいは拡大防止を促進するということをしております。

 こういう観点から、ブラウンフィールド問題をできるだけ解消していくということにつながる取り組みを進めていきたいと思っております。

玉城委員 これ以上汚染地域を広げないということは、もちろん一義的には理解できます。しかし、広げたくないがゆえに申告しない方、申し出ない方、あるいは、あるかもしれないけれども調査をしない方、そういう方々はなかなか相談できないんですね。

 ですから、相談できる方策を探しなさいと言っているのが、この二〇〇七年の中間取りまとめの一番最後です。

 ブラウンフィールド問題解決方策の視点、あらゆる場合において、汚染の除去、掘削除去または原位置浄化を求める風潮は、ブラウンフィールド問題のみならず、環境対策の経済合理性の観点からも望ましくない、土壌汚染の実態や影響を正しく理解の上、土壌汚染と上手に向き合いながら、限りある土地資源を管理しつつ有効に利用する視点や方策が必要、今後、この問題を、環境問題としてだけでなく社会経済的問題としても認識し、関係諸方面における幅広い取り組みが求められるというふうに結んでいます。

 まさに、二〇〇七年時点で、さあ、これから広がるかもしれないこのブラウンフィールド問題、こういうふうにしなければ解決できないのではないかという問題がその時点で既に明らかになり、その方向性が示されているわけです。

 ぜひ、このブラウンフィールド問題、追跡調査を行った上で、我が国における土壌汚染対策の、法律の穴があいているところはどこなのかということをしっかりと埋めて、それが土地活用への、土地を持っている方々への支援の対策になれるよう強く希望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

平委員長 次回は、来る十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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