衆議院

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第14号 平成29年4月25日(火曜日)

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平成二十九年四月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    大隈 和英君

      木村 弥生君    小島 敏文君

      助田 重義君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    三浦 正充君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和田 信貴君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   参考人

   (公立大学法人大阪府立大学理事・副学長)     石井  実君

   参考人

   (公益財団法人日本自然保護協会保護室室長)    辻村 千尋君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     大隈 和英君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、公立大学法人大阪府立大学理事・副学長石井実君及び公益財団法人日本自然保護協会保護室室長辻村千尋君、以上二名の方々に御出席いただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、石井参考人、辻村参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず石井参考人にお願いいたします。

石井参考人 大阪府立大学の石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の資料は二種類用意しております。一番上に説明骨子がついていまして、その後ろにパワーポイントの打ち出し、カラー版でつけております。それから、私が最近書きました、これに関する「環境省第四次レッドリストからみた日本の昆虫の現状と危機要因」ということで資料をつけさせていただいております。

 それでは、カラー版の方で説明させていただきますので、ごらんいただければと思います。

 最初に自己紹介からいった方がいいかなと思います。

 専門は動物生態学で、昆虫生態学をやっております。特にチョウで博士論文を書きました。学位論文名が、ギフチョウの生活史に関する研究というようなことです。

 関連著書としましても、「里山の自然をまもる」あるいは「生態学からみた里やまの自然と保護」「日本の昆虫の衰亡と保護」ということで、専門以外にもこのような本を書かせていただいております。

 中央環境審議会の委員でございまして、現在、野生生物小委員長を務めております。それから、大阪府の外郭団体であります公益財団法人大阪みどりのトラスト協会の会長を務めておりまして、大阪府域の里山の保全にかかわっております。それから、今般の話題にかかわります、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律のあり方の検討会は、座長を務めさせていただきました。

 その横の写真ですけれども、里山のチョウの代表になってしまいました日本固有種のギフチョウの写真、それから、今私が保全にかかわっている大阪府能勢町の吉野の里山、ここはギフチョウがいるところです。

 それでは、次の資料で、小さな字で下の方に数字が書いてありまして、シート番号で言いますけれども、二番のところをごらんください。

 もう皆様方には釈迦に説法なんですけれども、環境省がレッドリストをつくったのが一九九一年ですけれども、このときに植物の方は実は環境省はつくっていなくて、日本自然保護協会、お隣におられますけれども、それからWWFJが委員会をつくってつくったものですけれども、緑のものが植物で、小豆色に見えているのが動物、そして、内数ですけれども、私が今座長を務めていますけれども、昆虫のレッド種が出ております。

 黒い数字は、環境省が絶滅危惧種として出している数字より大きなものになっていますけれども、これは全掲載種の種数です。括弧つきの赤い字が絶滅種ということで、ごらんのように、改訂を重ねるたびに、レッド種と呼んでおりますけれども、ふえておるという状況でございます。

 では、次の紙に行っていただきたいと思います。

 では、なぜこのように日本の野生動植物が減少するのかということですけれども、これについて分析したのがシートナンバー三でございます。開発、捕獲・採集といった人間の活動ですね、それから、遷移の進行というのが目につくと思いますけれども、これは後で少し述べますけれども、植物は、草原が例えば森に移っていくような遷移という現象があるんですが、移ろっていく、これによるものです。これが今回の話題の核心になります里地里山の自然の特徴かなというふうに思います。それから、過剰利用とか水質の汚濁、それから外来生物の問題も大きいかなと思います。

 四番目のシートに、環境省が作成しております生物多様性国家戦略の中から、日本の生物多様性の四つの危機を出しております。

 四つありますけれども、人間活動による危機、それから二番目に、枠をつけましたように、里地里山の問題、ここはむしろ働きかけが縮小しているから野生生物が減少しているんだと。それから三番目は、農薬とか外来生物のように持ち込まれたものによる危機、それから四番目が、地球温暖化のような地球環境の変化による危機となっております。

 では、次ですけれども、このような里地里山の自然というのは、人間がかかわっているので、原生的な自然と分けて二次的自然と申しておりますが、このようなものが、各絶滅危惧種がどのように分布しているかというのを示したものでございます。

 ちょっと小さいですけれども、右の方に凡例がありまして、各グラフの中で赤い枠をつけたところが、いわゆる里地里山を含む二次的な自然の部分でございます。

 ごらんになっていただくとわかるように、爬虫類というのは少しその部分が少ないですが、ほかのところでは、特に両生類、魚類、昆虫類、貝類といったところでは、二次的な自然のところに絶滅危惧種が分布しているということがおわかりかなというふうに思います。

 六番のシートでございますけれども、里地里山とは何かということで、本当に釈迦に説法で申しわけなく思いますけれども、狭い意味では、里山と言うときには、炭やまきとかをとる、いわゆる薪炭林、それから、肥料をとる農用林というのは林の部分をいうんですけれども、ここに、絵にあるような全てのところ、これを含めて広義の里山というふうに私は呼んでいますけれども、これを四文字熟語で里地里山と呼んでおります。これは、古くから人為により維持されてきた二次的な自然の典型と言えるかもしれません。

 次のシートへ行っていただきたいと思います。

 次のシートナンバー七が、先ほど申しました遷移というものをあらわしたものでございます。左側が裸の土地、それから右に向かって森ができていきますけれども、草地を放置すると、やがて陽樹林という、明るい、あるいは乾燥した土地にも強い林ができていきます。関東や関西の低地におきましては、これを放置しますと陰樹林ということになりまして、これはいわゆる照葉樹林、シイやカシから成る林でございます。

 陽樹林は、日本の特徴は、下にササが生えていることでして、だんだん下からササが生えてきたりします。そして、森が大きくなると、今度は逆に森が暗くなって、自分の林の中で自分の子供を育てることができない、ドングリが落ちても芽が生えないとか育たないということになってきまして、暗いところでもドングリが落ちてしっかり林ができるというカシやシイというのに変わっていくわけです。これを、最後の段階なので極相と言っています。

 これで右向きに進むことを遷移といいますけれども、一番上に描いたように、左側に戻ることもあります。これは、自然災害であったり、農業なんかの働きによって草刈りをする、木を切るというようなことによって左に行くわけでございます。

 こんなぐあいにして、里地里山にはさまざまな遷移段階の自然が含まれていて、これが多種多様な野生生物に生息環境を提供してきたという仕組みになっているわけです。

 里山林の部分を見ていただくと、八番でございますけれども、こんなぐあいにして、一番下から見ていただくと、木が大きいうちは落ち葉がたくさん落ちるので、落ち葉をかいて肥料にします。大きくなり過ぎたところで伐採して、これをまきや炭、シイタケのほだ木などに使っていきます。そうすると、コナラとかクヌギの場合にはひこばえが生えてきますので、これを育てていきます。萌芽更新というんですけれども、そのときに光が林床に差し込むために、下草刈りといってササとかを刈らなきゃいけないんですね。ただし、昔は、この下草についても田畑に投入して肥料にしていました。

 ですから、こういう循環の中で全てのものを利用してきたということです。持続的な利用ができてきたということです。木を切ったり、下刈りというんですけれども下草刈りをしたり、落ち葉かきをしながら、まきや炭、肥料を得てきた。こういう行為によって、上にある遷移の絵にあるようなさまざまな自然が存在し、そして、小さな里山の中に多くの生物を収容することができていたということでございます。

 次のシートへ行ってください。

 日本の里山林の特徴ですけれども、放置すると、先ほど言いましたように、ネザサが生えてきます。七夕のときのササですね。それから、戦をやっていたときの矢竹にするというようなものですけれども。そうすると、下の方に、十番にありますように、ササの下に隠れた丈の低い草花が枯れていくわけですね。これに依存している生物がいなくなっていくということになるわけでございます。これは遷移の一つということですね。荒廃と言ってもいいかもしれません。

 次のシートをごらんください。

 それぞれの里地里山の要素ごとに説明したものですけれども、里山林におきましては、ギフチョウ、オオムラサキとか、多くの生物が掲載されております。

 危機要因としては、里山林というのは、化石燃料それから化学肥料が普及したことによって経済的価値が一九五〇年代から低下していきまして、開発されてしまう。それからもう一つは、先祖から引き継いだ里山ということで、そのまま放棄することになるんですが、そうすると今度は遷移が進行する。ササが生える、だんだんシイ、カシ林に変わっていくというようなことですね。最近では、竹林が拡大してのみ込んでいく、そしてニホンジカがふえていくなんということも危機要因になっております。

 保全事例としては、そこにあるように、赤城山のヒメギフチョウなんというのがあります。愛好家が立ち上がって、さまざまなことをやるということです。ごらんいただければと思います。

 それから、里地里山の草原の方はどうかと申しますと、たくさんのチョウやガが含まれております。十二番のシートでございます。

 危機要因としては、草地というのは、放牧とか火入れとか、それから、昔は牛馬で田畑を耕していましたので、餌を上げなきゃいけないというので、農地にも、その近くには草を刈る場所、採草地というのがあったわけでございます。これがだんだんそれらの活動の低下によってなくなる。そうすると、草地は森になっていくということです。草地そのものもなくなっていきます。というようなことで、次第に草地も減っていった。それに伴って草地の生物たちがいなくなってきた。

 広島県のヒョウモンモドキというのもそういうチョウでございまして、もう既に国内希少種に指定されておりますが、地元有志団によってヒョウモンモドキの保護の会が発足したりして、保全が行われております。

 時間もありませんので、次に参りたいと思います。

 十三番は、日本チョウ類保全協会から資料をお借りしたものでございますけれども、例えば草原性のチョウ、ヒョウモンモドキ、ウスイロヒョウモンモドキ、オオウラギンヒョウモン、オオルリシジミといったチョウは、市町村単位で数えた産地の減少率というのが八〇から九〇%、ほとんどいなくなっているという状態でございます。

 それから、稲作水系と私が呼んでいるのは、水田とかため池のような稲作の装置というところですけれども、これもかなり危機的でございます。もう既にキイロネクイハムシとスジゲンゴロウというのは絶滅しておりまして、ゲンゴロウ、ミズスマシ、タガメ、トンボ、いろいろなものが減っているということです。

 危機要因ですけれども、水田やため池そのものが減っている、それから生活排水や農薬が流入する、コンクリート護岸する、開発によって埋め立てる、圃場整備を行う、そんなようなことだったり、それから、パイプライン化してしまうんですね、水路が。だからメダカもすめなくなる。そして、稲が植わっているときだけ水が入るという意味で、乾田と呼ぶんですが、そういう状況になったり、農地周りに夜間照明がついて、そこに虫が集まって、コウモリ等に食べられてしまうなんということもあります。それから、ブラックバスやオオクチバスのような外来魚も入る、アメリカザリガニが入るというようなこともあります。

 保全事例として、房総半島のシャープゲンゴロウモドキの例を挙げておきました。

 次をごらんいただければと思います。

 環境省の資料から持ってきましたのですが、十五番目のシートでございます。これが絶滅危惧種の保全対策の相互関係ということで、いわゆる保全戦略を絵にしたものでございます。

 真ん中に赤い枠で囲ったように、種の保護というのは、当然ですけれども、生息域内で保全するのが必要であるということで、いろいろな要素から成り立っているということで、ごらんいただければと思います。モニタリング調査があったり、生息環境の維持があったりするわけです。

 それから、下の方に青い枠で囲ったのが生息域外保全と言っているものでございまして、いよいよ危なくなってきたら、動植物園、昆虫館等を使って、そこで増殖させるというようなことが必要になってくるということです。それらを往復するような形で絵を描いています。

 国内希少野生動植物種の指定の状況は、十六番をごらんいただければと思います。こんなように増加してきている。現在二百八まで来ているんですね。

 次のシートをごらんください。

 十七番目でございます。国内希少野生動植物種にしますとどんなことになるかというと、主に、下にありますように、捕獲それから流通に強い規制がかかるということでございます。

 一番最後のシート、十八番目で私の主張が書いてありますけれども、とにかく、現在、二次的な自然の絶滅危惧種というのは、赤い字で書いたところですけれども、保全に熱心な地元の団体、専門家、地方自治体の多様な主体との連携で守ってきているということがあります。

 それから二つ目に、捕獲のところですが、モニタリング調査、遺伝的多様性の解析、環境教育のためには、最小限の捕獲というのをキープしないとまずいのではないか。

 それから、生息地等の指定ですけれども、行為規制の弱い監視地区のみの指定とか、密猟防止のための種名を伏せた保護区の指定というのをやらないと、すぐになくなってしまう可能性もあります。

 保護増殖の実施ですけれども、昆虫類の場合は、実績のある昆虫館などと連携した生息域外保全も積極的に進める必要があるのではないかということです。

 最後の紙は、一枚目に書いた骨子と同じで、今述べたことをまとめたものでございます。

 私からは以上でございます。(拍手)

平委員長 ありがとうございました。

 次に、辻村参考人にお願いいたします。

辻村参考人 委員長、ありがとうございます。

 本日は、貴重な機会を設けていただきまして、委員長を初め理事の皆様、委員会の皆様に感謝申し上げます。

 私は、公益財団法人日本自然保護協会で保護室室長をしております辻村千尋と申します。

 学生のころにギフチョウの食草であるカンアオイの調査をしたことがあり、きょうは石井先生の隣に立てるというのが、そういう意味では非常に喜びでございます。若干緊張しつつも、きょうは主張させていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず簡単に、私が所属しております日本自然保護協会は、尾瀬ケ原のダム建設反対に端を発して設立され、七十年弱の歴史を持つ自然保護NGOです。人々に寄り添い、日本の生物多様性を守り、持続可能な社会を未来に引き継ぎたいと考え、日々活動をしております。

 本日は、同じような思いで活動されている自然保護NGOの公益財団法人世界自然保護基金ジャパンさん、公益財団法人日本野鳥の会さん、それからトラフィックさん、イルカ&クジラ・アクション・ネットワークさん、野生生物保全論研究会さんと当協会の六団体を代表して、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律改正案に対して意見を述べさせていただきたいと思います。

 事前にお配りしていただいた、六団体共同で提出させていただいた意見書をもとにお話しさせていただきます。

 まず、二〇一三年に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、以降は長うございますので種の保存法と略させていただきますが、制定後二十年たって、目的条項に生物の多様性の確保が明記され、罰則も強化され、罰金も大幅に引き上げられるなど、改正が行われました。一方で、当時、附則第七条で施行から三年後の見直しが規定され、十一項目にわたる附帯決議がつけられました。今回の改正は、これらを受けての改正と認識しています。

 今回の種の保存法改正案で、種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する専門家による常設の科学委員会の法定を検討したことや、希少野生動植物種等の指定に関して国民による提案制度の法定を検討したことなど、非常に高く評価できるものもあると考えています。

 しかしながら、二〇一三年の改正の際の附帯決議に対して全て対応できているのかという観点では、十分とは言えないと思います。そこで、六団体共同で、特に不十分と思われる点を意見書という形式で指摘させていただいたということになります。

 本日は、十五分という時間の制約もありますので、絞ってお話をさせていただくとともに、意見書には書かなかった指摘事項も含めて意見陳述をさせていただきます。そのほかの点については、意見書をお読みいただきたいというふうに思います。

 まず第一点目ですが、科学委員会及び提案制度、生息地等保護区についてです。

 今回の改正案に種の保存法の指定種を国民から提案する制度が明記されたこと及びその選定を判定する科学委員会が法に位置づけられたことは、先ほども申し上げましたが、評価いたしております。ですが、生息地等保護区の設定や保護管理計画の制定はこれまでどおり中央環境審議会の答申を経るというこれまでの仕組みが残されています。種の指定が科学的な議論を踏まえ目標の七百種指定に至ったとしても、保全の実効性を持たせる生息地等保護区の指定や保護増殖計画の仕組みがこれまでと変わらなければ、指定だけされて実際の保全の取り組みが進まないのではないかという懸念が生じます。

 これまでも環境省は最大限の御努力をなされてきたのだというふうに思います。しかし、残念ながら、環境省の予算や人員には限りがございます。環境省予算が天井なしにふやせるのであればよいのですが、私どもNGOはそれを求めていますが、そのようなことは現在の財政状況からは到底望めないわけです。種の保存に関する予算を確保したために、そのほかの環境保全関係の予算が削減されて、かえって環境保全が進みませんでしたというのは許されません。

 必要不可欠な予算を十分に確保するか、もしくは、生息地等保護区の設定や保護管理計画の立案についても現場で実際に保全に取り組む自然保護団体等からの提案を受け入れる制度として、国と自然保護団体等や専門家が一体となって保全活動をしていくことが、こうした事態に陥らないようにするためには不可欠だと考えます。

 事実、地域で地道に保全活動を実践されている自然保護団体は数多く存在しています。ですので、生息地等保護区の指定及び保護増殖計画の立案についても、国民からの提案制度を法定化し、その判定を科学委員会において行うようにするべきだと考えます。

 生息地等保護区については、環境省が土地所有者との交渉を行った上で、環境大臣の諮問に基づき中央環境審議会が答申する形でしか地域指定ができないというふうに現在なっており、このことが、進まないことの一つの理由でもあります。現在九カ所しかございません。ですので、土地所有者や管理者の自発的な意思に基づき環境大臣が指定するような、例えば認定生息地等保護区のような制度を創設して保護地域の拡充を図る必要があります。

 二点目は、国際希少動植物種の取引についてです。

 意見書の中では幾つも指摘させていただいておりますが、時間の都合上、一点にします。

 規制前取得の登録期限を設けるべきという点です。

 今回の改正案では、個体登録の有効期限が設けられました。ですが、規制後も新たな登録が際限なく認められるのでは、偽装の防止には不十分です。そのため、個体、器官、加工品全てにおいて、ワシントン条約附属書1掲載により新たに国際希少動植物種に指定された場合、規制前取得を申請できる期間を、例えば一年程度のように期限を限定するべきです。種の保存法でも、国内の種の譲り受けの届け出は三十日の提出期限が設けられています。

 また、他の法律においても、期間内に手続をしなければ権利が失われることは一般に行われています。例えば外来生物法では、特定外来生物として規制される前から愛玩、観賞目的で飼養等している場合は、規制されてから六カ月以内に申請を提出し、許可されれば飼養が継続できるという制度になっています。また、国税徴収権は消滅時効五年、窃盗罪は公訴時効七年です。

 これらに比べ、象牙は、一九九〇年に、アジアゾウの場合は一九八〇年から輸入が禁止されているにもかかわらず、二十六年が過ぎても新たな登録を認めるというのはいかがなものかと思います。象牙の取引はコントロールされていると主張しても、諸外国からは大きな穴があいているように見られるのではないでしょうか。

 三点目は、海洋生物と海のレッドリストについてです。

 前回の改正で付された附帯決議十に、レッドリスト掲載を積極的に進めることと書かれましたが、対応が十分とは言えず、今回の改正に至ったと考えています。

 環境省は、レッドリスト策定に向けて二〇一二年に検討会を開催しました。その中で、レッドリストの選定は、環境省と水産庁がそれぞれ行うことになりました。ことしの三月二十一日公表された水産庁のレッドリストでは、対象となる種の九十四魚類、鯨類のうち、九十三種がランク外、すなわち、絶滅のおそれが考えられない、あるいは評価するに足る情報がないこととされました。

 しかし、例えば鯨類を例にとれば、IUCNでは十七種が情報不足とされ、スナメリのように絶滅危惧2類に分類されている種もあります。昨年に新種と科学誌に一部掲載され、北海道の漁民にカラスと呼ばれて認識されていた種については、何の言及もありません。

 ちなみに、鯨類については、日本哺乳類学会の評価、一九九七年では、地域個体群を含めると十一種が希少とされ、スジイルカの地域個体群は危急、スナメリ地域個体群には絶滅危惧が懸念されています。日本海域のみ絶滅の危機がないとするのであれば、その根拠を水産庁は明確に示していただきたいと考えています。

 さらに、国境を広い範囲で移動する大型魚類、大型鯨類については、二国間、多国間の条約等によって既に評価されているとしてリストの選定外になっておりますが、これは、同じように移動性の鳥類が、二国間条約、多国間条約等がありながら国内レッドリストに含まれることと矛盾しています。国内においてもレッドリストの評価を科学的に行うべきと考えています。

 そもそも、今回のレッドリストについては、環境省のレッドリスト、IUCNのレッドリスト、水産庁のレッドリストで、例えるなら、警報を発する基準も感度も同じなのに、震度五の地震でこちらは警報が鳴るのに、こっちでは震度七でも警報が鳴りませんでしたという妙な状況になっています。これではレッドリストとしての信頼性にも大きく傷がつくことになります。国際的な評価基準、方法にのっとり評価をし直し、その結果を踏まえ、種の保存法での海域保全を進めていくべきだというふうに考えております。

 四点目は、干潟、浅海域についてです。

 レッドリストで絶滅のおそれがあるとされた種の中で、沿岸の浅海域の干潟や砂泥地に生息する種が複数挙げられています。これらはかつて広く分布していましたが、埋め立てや干拓、環境悪化で生息の場が失われてきた結果、数を減らしてしまったものです。

 残された数少ない干潟や砂泥地を種の保存法の生息地等保護区で守ることができるのか、こうした懸念があります。こうした場所は、権利関係が複雑ですから、生息地等保護区で規制をかけることが難しいと考えられるからです。陸地の里地里山に規制をかけることが難しいのと同様です。本法律の改正や他の法令での対応、もしくは新たな法律での対応が必要なのか、早急な検討が必要と考えております。

 最後に、種の保存法が一九九二年に制定されてから二十五年になります。この間で、希少種を取り巻く状況も大きく変化しています。また、自然環境そのものも、気候変動などの影響で大きく変化しています。残念ながら、絶滅の危険はなくなっていません。先ほどの石井先生の報告でも、絶滅危惧種はふえているというふうになっています。

 我々の暮らしの利便性追求と希少種との関係は、変化していないと言わざるを得ません。希少種をしっかり守り、生物多様性を保全していくことは、我々の暮らしを守ることに直結します。こうした公益の利益と財産権の尊重との調整は喫緊の課題だと思います。種の保存法には財産権の尊重が規定されておりますが、生物多様性基本法や外来生物法には規定されていません。このことの議論が必要だと考えています。

 また、絶滅危惧種の保全で最も費用対効果がよいと考えられるのは、本来、絶滅危惧種をつくらないことです。絶滅危惧種を守るという法の目的とともに、絶滅危惧種をつくらないという目的も本法律に加えるべきだと考えます。そのためには、やはり抜本的な改正が必要です。

 今日の危機的状況を鑑み、できるだけ速やかに抜本的改正が行われるべきであると指摘させていただき、私の意見陳述を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

平委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上貴博君。

井上(貴)委員 自由民主党・無所属の会の井上貴博です。

 参考人の先生方には、このたびの種の保存法の改正案につきまして、今、貴重な御意見を頂戴したことを心から感謝申し上げたいと思います。

 それでは、会派を代表いたしまして、参考人のお二人に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 本日の議題となっております、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、いわゆる種の保存法は、野生動植物が生態系の重要な構成要素であり、また、我々の豊かな生活に欠かすことのできない存在であることを踏まえて、絶滅のおそれのある野生動植物の保存を図ることを目的とした法律であります。

 この種の保存法は平成四年に制定され、その後、平成六年、平成十五年、平成二十五年に改正が行われました。この三回の改正は、象牙などを初めとした国際的に取引が規制されている国際希少野生動植物種の国内流通に関する制度を改変したものであったと理解しております。

 それに対して、今回の種の保存法の改正案は、それだけではなく、我が国に分布している絶滅危惧種を対象とした国内希少野生動植物種に関する改正も盛り込まれています。里地里山などに生息する種に対して、捕獲等及び譲り渡しの規制が、保全活動、環境教育、調査研究等に支障を及ぼすというために、規制を緩和する必要があるということで、特定第二種国内希少野生動植物種制度の新設が提案されています。

 そこで、先生方に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 実際の保全活動、環境教育、調査研究等の現場で、捕獲等及び譲り渡しの規制が支障になっている具体的な事例についてお伺いをしたいというふうに思います。

 また、それも踏まえた上で、今回政府から提案されているこの制度の新設に対する評価をお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

石井参考人 どうもありがとうございます。

 では、お答えしたいと思います。

 一番の問題は、里地里山の生物というのは、平たい言い方をすると身近な生物であるということです。そして、昆虫類、両生類、魚類ということでございまして、環境がよければ増殖力は非常に高いということなんですね。ということで、それが前提だということを御承知おきください。

 それで、我々が実際に里地里山の生物を守るときに何をするかというと、まず、どこにどのくらいの数がいるんだというのを把握しなければならないんですね。魚もそうですし昆虫もそうですけれども、体が小さいということがございまして、とらないといけない。そして、正確な個体数把握のためには、マーキング法というのがありまして、一回捕まえた個体にマークをして放して、もう一度、しばらくしてから、一週間ぐらいしてからとって、そのとった個体のうち、マークしている個体が何個体かによって、比率によって、何個体いたんだという絶対数を把握するわけです。ここに捕獲という行為が入ってくる。

 生物の保全には、いわゆる順応的管理というのがございまして、何かアクションをする、草を刈る、木を切る、その効果がどんなふうになったかというのを把握しなければならない。そのやり方というのは、守っている生物の個体数そのものということになりますので、個体数を把握できなければ順応的管理ができないということになってしまうんですね。これを一々、何個体とりますというのを環境大臣に許可申請して、戻ってきてということをやっていると、こういうアクションができないということがあります。

 それからもう一つは、かなり分布が広かったのが、分布が縮小してきて、点在している個体群が多いという状況がありまして、保全するときに、こちらが危なくなってきたからこちらの個体をこっちに持ってきてもいいのではないかと、導入というんですけれども、そういう考え方をすることがあるんですね。

 その場合に、これとこれをまぜていいんだろうかという議論が必要になってきます。その場合には、遺伝子解析をするんですね。こっちの遺伝的要素、こっちの遺伝的要素というのがどのくらい違うのか、同じなのか。同じであればまぜたっていいでしょうということになりますので、そのためには、捕獲して遺伝子解析をするということになるんですね。

 このようなことで、里地里山の生物の保全のためには、捕獲という行為がどうしても必要であるということを御理解いただければと思います。

辻村参考人 御質問ありがとうございます。

 実際の現場で捕獲が進まないことで問題があったのかということなんですが、現在の法制度の中でも、許可申請をすれば調査研究のための捕獲はできるという部分がございます。ただ、例えば、放棄されたような森を管理していく場合のときに、いろいろな希少種が逆にバッティングをしてしまうということがあります。その調整をする際に、こういった特定第二種のようなものがあった方が保全活動が進みやすいということは、私どもそう考えているところではございます。

 ただ、今回のこの第二種が、販売もしくは購入、頒布の目的をもって大量捕獲することのみを禁止しているということから、保全が本当に進むのかという懸念がございます。ですので、あわせて生息地等保護区に指定するようなことをしないと、第二種を指定しても絶滅の危機を減らすことはできないという状況が生まれてしまうのではないかという懸念がございます。

 以上です。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 続いて、種の保存の他の公益との調整についてお伺いしたいというふうに思います。

 種の保存法第三条には、財産権の尊重等が盛り込まれております。財産権の尊重については憲法にも明記されており、あらゆる施策の実施に当たり、当然留意が必要だと考えます。このことで、種の保存と財産権との関係については、財産権尊重条項の存在によって希少種の保全は進展しないのではないかという指摘も承知しております。

 ですけれども、私は、保全活動の実施に当たっては、土地所有者を初めとした地元の方々との連携が極めて重要であり、地元の良好な協力体制を構築するためには、土地所有者の権利に十分配慮することが必要であると考えます。

 種の保存は、当然、公益的な価値も高く、極めて重要でありますが、一方で、個人の財産権の尊重についても、むやみに踏み込んではいけない重要な価値があると考えています。個人の財産を侵害して強引に保全を進めるのではなく、個人の財産権を尊重しつつ絶滅危惧種の保全に理解と協力を求めるという方が望ましいのではないか。むしろ、このタイミングで、大きな理由もなく財産権の尊重条項を削除することで、従来の良好な協力関係を築いてきた土地所有者等の反発を招くことが懸念されています。

 こうしたことを踏まえれば、種の保存法の財産権尊重条項の削除をすることは妥当ではないと考えますが、このことについての御意見を頂戴したいというふうに思います。

 また、あわせて、実際の調査や保全活動の実施の際に、土地所有者を初め、地元とどのような連携、調整を図っているか、具体的な事例がありましたら、お答えいただければ幸いです。

 時間が四十四分までなので、短くお答えいただければ幸いです。申しわけありません。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 端的に申しますと、私は委員の御意見に賛成でございます。

 地元の土地に対する熱い思いというのがあって、そこにいる生物を守ろうということがかなりきいている。例えば、コウノトリの場合は、農地でありまして、そこから、水田があるわけですけれども、その水田を守る、自分の水田を守ってそこにコウノトリが来るのが、その地元の人にとっても大変な喜びであるということがあります。かなり協力的ではないかなというふうに思っているところです。

 そういう意味でいいますと、地元、地主の御理解や御協力がなければ、多分、里地里山の生物は守れないんじゃないかなというふうな思いを持っております。

辻村参考人 ありがとうございます。

 私は、少し逆の立場でお答えさせていただきますが、公益との調整という意味で、これまで里地里山というのは、どちらかというと開発の危機に常にさらされてきました。例えば、道路が通るとかそういったときには、公共性が優先されて、その土地の自然環境を守りたいという利益が侵害されてきたという歴史があります。

 その観点でいうと、この財産権の尊重というのは逆に機能してきた部分があるのではないかというふうに考えますので、先ほども申し上げましたけれども、そういう観点、それから石井先生の述べていただいた観点をきちんともっと議論をするべきだというふうに考えております。

 以上です。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 参考人のお二人も考え方が割れるという大事な案件だというふうに思います。またこの後も質問等があるかというふうに思いますので、そこの中で十分議論をしていきたいというふうに思います。

 もう一つお聞きしたいことがございます。動植物園等の支援についてでございます。今回の改正案に含まれている動植物園等の認定制度についてお聞きしたいというふうに思います。

 認定制度は、希少種保全の観点から、一定の基準を満たす動植物園等を認定する制度を導入し、認定を受けた動植物園等について、希少野生動植物種の譲り渡しの禁止を適用しないこととするものであります。

 この制度により、希少種の保全に取り組む動植物園や水族館の公的な機能が明確になり、種の保存法の手続も緩和されるということで、今後はより一層動植物園等における生息域外保全が進展することが期待されます。

 しかし、希少動植物種の生息域外保全の取り組みは、動植物園の義務として定められているものではありません。あくまでも動植物園の自主性に委ねられております。この取り組みは、国がまず責任を持って進めるべきものであるというふうに私は思います。そして、積極的な支援も必要だというふうに思っています。

 したがって、動植物園の取り組みの支援については、制度的な措置に加えて、政治的、財政的な措置を盛り込むことが絶対不可欠ではないかと考えますが、それについての御意見を頂戴したいというふうに思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 私も委員の意見に賛成でございます。

 もともと動物園、植物園、水族館等というのは別の目的でつくられているわけですけれども、動物園におきましては、同じ園で飼っている動物同士を交配していると、やがて血が煮詰まってきてうまくいかなくなるということで、昔からいろいろな動物園間の動物のやりとりをしていたという経緯があるんですね。

 それから、昆虫の場合は、昆虫館というのは、見せ物として昆虫を見せているところがありますけれども、別の機能だったわけです。ですけれども、生息域外保全の観点がどうしても危ない種類については必要になってきまして、増殖のために、動植物園、昆虫の場合には昆虫館も使っていったらどうかと思うんですね。

 ただ、それにはやはり職員数が足りない、動植物園の方もそうですので、経費がかかる。どうしても国がリーダーシップをとって財政的な措置もしなければならないというふうに私も思っております。

辻村参考人 ありがとうございます。

 私も希少種のアカガシラカラスバトの保護増殖委員をしていますので、動物園の方々がこれまで多大な努力をされてきたことは十分認識しております。

 その意味で、今回のこの法改正はとてもよいというふうに思うんですが、もう一つ、やはり、動物園法のような業法をつくって、しっかりと動物園、水族館を守っていくということも重要なのではないかというふうに思っております。

 以上です。

井上(貴)委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、太田和美君。

太田(和)委員 民進党の太田和美でございます。

 本日は、お二人の参考人におかれましては、御多忙の中、御出席を賜りまして、また貴重な御意見を頂戴し、心より感謝を申し上げたいと思います。

 では、早速でございますけれども、私の方から質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、辻村参考人及び石井参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日、新聞報道で、千葉県のレッドリストのことが掲載されていました。ヒメキンポウゲなど本県を南限とする二十一種が絶滅したとあります。ヒメキンポウゲは、環境省のレッドリストでも絶滅危惧2類に分類されています。このほかにも、県のレッドリストのAランクに新たに百十七種が加えられるなど、絶滅危惧種が置かれている現状は相変わらず厳しいものであると思われます。

 今回の種の保存法の改正でこうした危機的状況は改善されるのか、そして、改善される部分と改善されない部分があるのであれば、御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

辻村参考人 御質問ありがとうございます。

 環境省さんには厳しい意見かもしれませんが、改善される部分は少ないというふうに考えています。

 というのは、現在、絶滅危惧種が減ってきているという状況ではなくて、常にふえてきているという状況ですので、やはり根本的に何かを変えていかない限りには、保全が進まない、危機的状況を脱することができないというふうに思っています。

 その点では、生息地等保護区の設定をもう少し速やかに大規模にやっていく必要があるというふうに考えております。

石井参考人 特定第二種の国内希少種の設定によりまして、里地里山関係の種の保全はやりやすくなるというふうに私は思っております。

 ただ、難しいところは、環境省の方の予算、人員の問題がございまして、ここを措置しない限りは、指定のしっ放しになってしまう。ただ、里地里山の場合は、民間がもう既に動いているケースが多いので、そこと環境省が一緒になってやっていくというケースでかなり改善される部分もあるのではないかというふうに思っております。

 心配な部分というのは、やはり国の方がしっかりと予算の措置とか人員の手当て等をしていただくことではないかなというふうに考えております。

太田(和)委員 次に、辻村参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 きょうの御発言では詳細に触れられませんでしたが、配付資料の意見書では、特定第二種国内希少野生動植物種及び生息地等保護区についての意見が述べられております。

 これまで余り進んでこなかった里地里山の希少種について取り組みが進むのではと期待できると思いますけれども、何が課題として残されているとお考えなのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 まずは、今回の第二種、それが創設されたことは高く評価しますけれども、先ほども申し上げましたが、販売もしくは購入、頒布の目的以外、そこだけが禁止されているということになっています、ですので、第九条の捕獲等規制や第十二条の譲り渡し等の規制が適用されないというふうに考えられますので、やはり、あわせて第三十六条の生息地等保護区の指定を進めない限りには保全の実効性が上がらないというふうに考えています。

 同時に、なかなかやはり生息地等保護区が進まない理由というのは、土地所有者との交渉を行った上でとか、さまざまな権利関係の調整というものが現在もありますので、そこは、先ほど申し上げた認定生息地等保護区のような制度をつくることというので代替していく必要性があるのではないかというふうに思っています。

 さらには、例えば生息地等保護区の土地が民間地の場合、これが非常に多いんですけれども、土地の所有者の方がとても協力的であれば、例えば協力することに対してのインセンティブを与える、英国では環境スチュワードシップ制度のようなものがありますので、優先的に多面的機能支払いとか環境保全型直接支援等が得られるような制度をつくっていくべきではないかというふうに考えています。また、その土地を地方公共団体等に寄附する場合には租税措置をして、そういうようなものも必要ではないかなというふうに考えています。

 あともう一点なんですが、環境影響評価法に基づいて、配慮書の早い段階で影響を回避するということが今行われているんですが、守った自然をさらに守っていく制度がないので、こっちの計画では守られましたが次の計画で開発されちゃいましたということが起きかねない状況になっています。そういった、他の開発によって破壊されることがないように、環境大臣が第三十六条に基づいて積極的に生息地等保護区に指定していって、環境影響評価法との横断条項を設けていくということも必要ではないかというふうに考えております。

 ありがとうございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 続きまして、石井参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 里地里山の希少種の保全では、各地の自然保護団体などがその役割を担っていることが知られております。こうした活動があって保全されている種が少なくないという現状から、種の保全のために、保全活動する団体の協力が不可欠ではないかなというふうに思いますけれども、その御所見をお伺いできればと思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 委員のおっしゃるとおりだと思います。

 私も実は自然保護協会さんにかかわっておりまして、国の施策でモニタリングサイト一〇〇〇という事業がございます。里地部門では二百カ所ほど全国選んでおりまして、私が専門としているチョウもモニタリングの対象になっているわけですね。

 そういうふうに見ますと、全国には、その予備軍も含めまして、たくさんの自然にかかわっている団体さんがおられて、その熱い思いで守られてきた種というのはかなり多いというふうに私は思っています。全くそのとおりではないかと思います。

太田(和)委員 続きまして、辻村参考人及び石井参考人お二人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 種の保存法では、財産権の尊重が第三条に規定されています。この規定が絶滅危惧種の保全にとって足かせになっているのではないか、絶滅危惧種の生息地が開発行為と重なったときに、財産権の尊重により開発が優先されてきたのではないかと思います。この規定の是非について、お二方の御所見をお伺いさせていただければと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたが、やはり開発ということで財産権が用いられてきてしまったということは否めない事実だと思います。

 今般、絶滅危惧種のランクが下がったオオタカというのが、種の保存法の指定種に今はまだなっております。これを解除するという議論が進められておりますけれども、これまで、里地里山のような、権利関係、開発にさらされるようなところを守る象徴種としてオオタカが機能してきたという部分があります。これは、裏返して見ると、そういったところを守るための制度、仕組みがないということになります。例えば、里地里山保全法のようなものはございませんし、そういったところを有効に守っていく制度がないがために開発にさらされてきてしまった。その助長をするようなことがあるんだとしたら、財産権というのは邪魔になるだろう。

 でも、先ほど石井先生おっしゃったように、その逆もまたありますので、私どもとしましては、財産権を尊重する部分と、いわゆる公の利益、生物多様性保全をすることによって得られる利益というのをどういうふうに今後考えて社会を構築していくべきかという議論を十分にこういう国会の場でしていただくことが一番重要なのではないかというふうに考えております。

石井参考人 御質問どうもありがとうございます。

 先ほどの繰り返しにもなってしまうので、ちょっと別の観点で述べますけれども、里地里山というのは、従来、人が使いながら守ってきたというのは私の説明で申し上げたとおりです。ですので、普通に、ある一定の区間を区切ってそれで終わりということをやってしまいますと、別の自然になってしまうことになる。それで、守りたい種というのは守れなくなってしまうというところがあるんですね。

 ですので、そこに住まれて産業をしている、農業とかしている人たちの熱い思いというのはやはり重要ではないか。それがその土地を守ろうという、その人の土地ですので、そういう形で守っていくという仕組みが大切で、その自然のありようというのも、やってきたなりわいによって決まっているのではないかというふうに思うんですね。それが、里地里山の特殊性、そこにすんでいる種を守るときの特殊性ではないかなというふうに思っているんですね。

 ということで、財産権を制限するということになってしまったり取り上げたりすることになると、そこに熱い思いを持っている人がいなくなってしまって、本当の意味での里地里山の生物の保全にはつながっていかないというのを危惧しているわけでございます。

太田(和)委員 続きまして、辻村参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 象牙の取引についてお伺いをさせていただきたいと思います。象牙の違法取引を根絶すべきと考えますけれども、そのために最も効果的な方法としてどのような策がいいとお考えなのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 非常にストレートに答えれば、市場を閉めるということが最も効果的だというふうに考えております。

 もし仮に市場を閉めることができないのであれば、全ての、今この世の中に存在している象牙の器官から何から全て含めて、きちっと登録をする、要するに、登録のないものが既に違法であるという状態をつくるということが肝要かと思います。後から、例えば蔵から出てきましたというようなことはもう一切、この段階で全てなくすという状態をつくる。そうすることによって、その取引が違法であるということがすぐにわかります。警察も今捕まえることができないのは、違法かどうかの判断ができないというところがございますので、しっかりとそういう状況をつくるということが肝要ではないかなというふうに思っております。

太田(和)委員 少し時間が早いんですけれども、終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 引き続き、種の保存法の改正について、参考人の先生方に質問をさせていただきたいと思います。

 本日、このように参考人の先生方からは貴重な御意見をお伺いしたことを、まずもって感謝申し上げる次第でございます。

 まずお二人にお聞きさせていただきますが、環境省のレッドリストの絶滅危惧種は年々ふえて、現在三千五百九十六種が掲載されていると思います。一方で、種の保存法における国内希少野生動植物種の指定は二百八種にとどまっているという状況でございます。

 平成二十五年の改正の際に、衆参の環境委員会の附帯決議で、当面、二〇二〇年までに三百種を新規指定することとしたわけでございますが、環境省の絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略においても同様の目標が掲げられました。その結果、当時九十種だった指定が二百八種までふえてきたところであります。さらにこの指定を進める必要があると私は思うわけでございますが、次の、二〇三〇年までに七百種を目指す目標を設定すべきだという意見もございます。

 このようなことについて、その妥当性とそして今後の課題についてまずはお伺いをしたいと思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 基本的には委員の御意見に賛成でございまして、絶滅危惧種を幾ら選定しても種の保存法にかからなければ種は守れないという立場からいいますと、国内希少種をふやしていくということが重要かと思います。

 ただ、ふやせばいいというわけではございませんで、先ほどから議論が起こっておりますように、守る仕組みをきっちりしなければならないとは思っておりますが、ふやすこと自身は私も賛成でございます。

辻村参考人 ありがとうございます。

 これは同様で、私どもも、ふやしていくべきだというふうに思います。

 ちょっと視点を変えまして、今、レッドリストというのはかなり科学的にしっかりと中立性を持って議論をされて、三千種が指定されています。例えば、絶滅危惧の1類、1A類、1B類と二つあるんですけれども、これはもう自動的に種の保存法の指定種にしてしまうとか、そういうことでもっと種をふやす。ただ、それは何を意味しているかというと、選定するというところの労力を下げて、保全していくというところに労力をかけていくべきだというふうに考えますので、こういったようなことも考えていくべきではないかというふうに思います。

江田(康)委員 双方とも、今後の保全対策がまた大変重要であるという御指摘でございます。

 今回の改正法案の中身についても御質問をさせていただきます。

 多くの絶滅危惧種が里地里山等の二次的自然に生息しているわけでありますけれども、人口減少等によりまして人による自然に対する働きかけが縮小した、そのことによって、生息、生育環境の悪化が懸念されている。そこで、今回の改正では、販売、頒布目的での捕獲や譲り渡し等を禁止する特定第二種国内希少野生動植物種制度、これを創設して、業者の捕獲等の抑制による保全、また保護増殖事業の実施、さらには生息地等の保護区の指定による保全を図ることとしたわけであります。

 今回の改正の評価とその課題について、改めてお伺いをさせていただきます。

 今回の改正で、研究また教育目的の捕獲や譲り渡し等は緩和されて、保護増殖等が進むことが期待されますが、まずその評価についてお伺いをします。

 一方で、絶滅を回避するための里地里山等の生息環境の保全が重要であるわけでありますけれども、今回の改正である特定第二種国内希少野生動植物種の制度は、生育環境の保全に対してはどのような意義があるのか。生息地保護区の指定等々についての今後の課題もあるかと思いますが、その点についてお伺いをお二人にさせていただきます。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 再三繰り返していることなので、ちょっと別の観点で述べますけれども、いわゆる里地里山というのは日本の国土のどのくらいを占めているかということですけれども、環境省がいわゆるメッシュで数えるやり方をしますと、農地それから集落等のモザイクになっているところを里地里山とすれば、大体四割ぐらい国土を占めるんですね。これを全部守るのは難しいだろうというふうに思うんですね。

 その一方で、委員おっしゃるように、農業等で守られてきた里地里山の関係、農業と里地里山の関係が切れているという中でどうやって守っていくかという問題が生じるということでございます。

 環境省の方でも、私も委員になったんですけれども、里地里山の保全・活用検討委員会というのをつくりまして、全部を守ることは不可能なので、重点化して五百カ所ほどの里地里山を選定し、ここを守ると生物多様性が守れるんじゃないかというのをやっております。

 ここを実際に守るにはどうしたらいいかということですけれども、やはり、農業との関係が切れているところが多いということになりますと、地元の熱い思いというのが、先ほどから繰り返していますけれども、必要になってくる。広報活動も必要だと思いますけれども、こういう生物がここにいて、これを守らなきゃならないという思いをその地元の中で再生産していかなければならないという問題があります。

 そのときに、この虫をと、まあ、虫は小さいですので、どうしてもとって見せなきゃいけないという行為があったり、ふやすという行為もあるので、そのような過程で、どうしても捕獲という厳しい規制がネックになってきたという側面はございます。

 そういう意味でいいますと、特定第二種国内希少野生動植物種の新しい設定というのはかなり有利に働くのではないかなというふうに思っております。

辻村参考人 ありがとうございます。

 私も、この特定第二種国内希少野生動植物種という二段階にしたというのは、保全が進んでいく部分があるんだろうというふうに思いますが、やはり、再三申し上げているとおり、生息地等保護区があわせて同時進行できちっと守られていかないとなかなか難しい、実効性が上がらないのではないかというふうに考えています。

 その中で、例えば、石井先生のお話にも少し関連すると思いますけれども、先ほども述べさせていただきましたけれども、保全に協力するということで、やはりインセンティブを与えるということはすごく重要になってくるというふうに思います。

 ですので、例えば、多面的機能支払いとかそういったような支援、税金の支援制度みたいなものをしないと、実は、里地里山で保全活動されている方も残念ながら非常に高齢化が進んでおりまして、自然保護協会の会員も高齢化が進んでいるんですけれども、そういうような状況で、担い手が本当に減ってきているという状況がございますので、そういうことに対して対処していくためには、やはり国の積極的な財政の支出というのが必要なんだろうというふうに思っていますし、できれば環境省にもっと予算をつけていただきたいというふうに思います。

江田(康)委員 大変貴重な御意見でございます。

 次に、近年、希少野生動植物種の生育環境の悪化に伴って、生息域外保全の重要性が高まっております。生息域外保全の担い手としての動植物園等の役割が一層重視されているところであります。

 そこで、今回の改正についてでございますが、希少種の保護増殖という点で、一定の基準を満たす動植物園等を認定する制度を創設する、そして、認定された動植物園等が行う希少野生動植物種の譲り渡し等については規制を適用しないこととするわけでございます。

 先週、私ども環境委員会で、トキの保護増殖やオガサワラシジミの保護増殖に尽力していただいている多摩動物園を視察させていただきました。

 トキについては、一旦野生下では絶滅したわけでございますが、それが、佐渡またこういう多摩動物園等の保護増殖の事業によって二百五十二羽が放鳥されて、そして現在では三百七十三羽になってきているという、このような大変重要な保護増殖事業が、多摩動物園を初めとする動物園の保護増殖事業が貢献しているという例を見させていただきました。

 今回の改正で、多様な主体による生息域外保全での保護増殖事業が進むと思われますが、その評価についてもいただくと同時に、一方で、先ほどから一貫しているんですが、保護増殖された絶滅危惧種を野生に復帰させるためには、生息地環境が保護、保全される必要があるわけでございます。多摩動物園も、そこで増殖させたトキについては、佐渡に移動させてそこで放鳥させるわけでありますから、その生息地環境が保護、保全される必要が大きい。

 今回の改正と、生育環境の保全、保護区の指定とはやはり車の両輪と思われますけれども、今後の課題とその対応についてもお伺いをさせていただきます。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 本当におっしゃるとおりでございまして、域外保全の大切さが里地里山の種に関してはますます高まっているというふうに私も認識しております。

 御存じと思いますけれども、対馬にツシマウラボシシジミという、結構長いですけれども、小さな小さなチョウがいまして、これは結構いるというふうに認識されていたんですが、いきなり減りまして、絶滅するのではないかというおそれが出てきたんですね。

 それを察知したチョウの愛好家、研究団体がそれを確保して、ある昆虫館でそれを増殖を始めた。こちらの方はほぼ絶滅状態になったんですけれども、その行為によってもう一回対馬に戻すことができたというのがあります。保険としての生息域外保全の重要さというのを認識した次第です。

 実際に、昆虫なんかの場合は、今の場合は一回だけの話をしましたけれども、恒常的にやっていこうと、野生復帰と組み合わせて生息域の方の保全というのをやろうとしますと、どうしても、同じ個体で回していると血が煮詰まってくる、それで生存率が低くなっていってしまうんですね。例えば、スズムシをずっと飼っていると、やがて子供はどんどんどんどん羽が伸びなくなって、やがて卵もふ化しなくなってくるのと同じなんですけれども、野生から個体を持ってきて血を入れていくということをやらなきゃいけない。

 だから、生息域の保全と、それから生息域外の、昆虫館等を使った、地元のがいいんだと思うんですけれども、ところと組み合わせたやり方というのがこれからは必要になってくるんじゃないかな、昆虫なんかをやっている立場からはそのように思っております。

辻村参考人 ありがとうございます。

 私は、小笠原希少昆虫連絡会議のメンバーでもあって、オガサワラシジミの取り組みというのはずっと何年も前から見させていただきました。

 ちょっと観点を変えさせていただいて、動物園を位置づけることの意義とかは私どもも最大限認めておりますが、ちょっと観点を変えると、小笠原の場合は特殊なのかもしれませんが、あそこは外から持ち込んだものが外来種になってしまう特殊な島ですので、域外でふやしたものを単純にもとに戻すことができないんです。それは、例えばシジミを持って帰ってきた、その飼っていたケージの中にほかの何かがまじっていると、それをそのまま持っていくことはできなくなるわけですね。病原菌もそうなんですけれども。そこがすごく難しい課題となりました。

 オガサワラシジミの場合は、たしか今、母島で、東京都の施設で、現地でふやす取り組みというのが進みました。

 私は、今回の、動物園を認定することはとても評価するんですが、あわせて、動物園を認定する枠の中で、域内に限りなく近い域外保全という制度をきちっとつくるべきではないかというふうに今思っています。ですので、そこに対してきちっと予算を立てていく。あとは、先生がおっしゃられたとおり、生息地環境を守るということも重要になってくるので、それを三つ合わせるのが重要じゃないかなというふうに思います。

江田(康)委員 大変貴重な御意見ありがとうございました。

 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、種の保存法の審議に当たりまして、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。

 早速質問をさせていただきます。

 今回の法改正の中でも、国内希少野生動植物の種の指定に当たっての取り組みの改善方についての提案をされているわけですが、きょうの参考人質疑でも議論されておりますように、種の指定がされても、やはり生息域における保全をどう進めていくのかが肝心だと、保護増殖事業や生息地等保護区の設定が進まないような問題などについても、現状や対応策についてお二方からの御意見もいただいたところであります。

 こういう取り組みに当たりまして、今回の法改正で新たに盛り込まれました科学委員会、また提案募集制度、これがやはり積極的に役割を果たすのではないかなと思っております。

 ですから、種の指定とともに、保護増殖事業や生息地等保護区の指定等に当たって、科学委員会がその役割を果たすということや、また、提案募集制度を活用する、こういうことは重要だと思いますが、このことについてのお考えをそれぞれお二方にお聞かせいただきたいと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 そうですね、種の指定だけではなくて、生息地等保護区についても、それから保護増殖事業についても、提案制度が重要であるというふうに考えております。

 その一つの視点として、今の制度ですと、中環審に案が上がってくるまでの過程というのは全く透明性がないのでわからないんですね。要するに、ブラックボックスの中で議論されて、それが諮問されて答申されるというだけなんですが、今回それを科学委員会にするというのは、議論の過程が透明性を持つということが重要なんだろうと。

 要するに、この種を指定します、この場所を生息地等保護区にします、そこでどういう議論が行われ、どういう判断がされ、そういったものが我々国民がきちんと目にすることができる、間違った判断があれば、それは間違いであるということをきちっと言える場がつくられるという意味も含めて、科学委員会、提案制度というのは重要なので、それを今回もう少し広げるべきだというのが私どもの考え方になります。

 以上です。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 科学委員会でございますけれども、基本的には必要なものであるというふうに考えております。

 ちょっと別の話をしますけれども、ゼニガタアザラシという希少種がおりまして、北海道において、定置網漁に入ってサケを食べてしまうということでかなり問題を起こしている。

 それで、私が漁民に呼ばれまして、少し説明してほしいと。環境省の立場というんですか、委員長をやっている立場で行かせていただいたんですけれども、そのときの主張は、環境省というのは勝手にレッド種を決めておいて、我々を守ってくれないという言い方をされたので、私は、違います、レッド種というのは、レッドリストを決めるときは純粋に科学的にやらせていただいています、絶滅危惧種というのは減少率が激しいということで選ばせていただいているんだ、それと、鳥獣保護管理法というのをつくって管理をしていくというのは違うと。だから、科学的につくるという選定の部分は、本当に極めて学問的、専門的にやる必要がある。

 ですから、科学委員会も、例えば、種の選定においては本当に専門家がやるべきだと私は思っているんですけれども、生息地等保護区の場合には、ある意味、自然保護団体というのはいろいろな土地の自然を守ってきている人たちですので、そちらの方には委員に入っていただくというふうな、例えば二つのパターンがあるのかなと、委員会としまして。科学委員会にも二種類あるというふうに私は認識しております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、象牙の取引の関係についてお尋ねいたします。

 今回の法改正で、象牙の事業者の管理強化の措置がとられておるわけですけれども、しかし、やはり国内取引の規制や登録制度の強化が問われているのではないかと思っております。

 先ほど、辻村参考人、その関連でお答えいただいたものですから、石井参考人に、こういった象牙の取引におきまして、国内取引規制、登録制度の強化が必要ではないのか。その際、国内市場閉鎖についての考え方についてもあわせてお聞きしたいと思っています。

 関連して、辻村参考人に、補足があるようでしたらお願いしたいと思っています。よろしくお願いします。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 幾つかを混線させてはいけないと私は思っていまして、象牙の市場における不正行為というものと、それから、種の保存法の精神というのはアフリカゾウを守ることにあるのだと。だから、どちらを選択した方が施策としてアフリカゾウのためにいいんだというのを選ばなきゃいけないというふうに思うんですね。

 要するに、象牙というのが、アフリカゾウの生きた個体をとらなくてもいい状態で市場を出回っている状態が確保されているとすれば、アフリカゾウをとりに行く人はいなくなるということもあるので、その辺が重要かなというふうに考えています。

 ということで、観点としてはアフリカゾウを守るんだということに立ちますと、日本の市場を閉鎖するという考え方よりも、やはり適正に管理する、厳格に管理するというようなところが必要なのではないかなというふうに私は考えております。

辻村参考人 先ほど大分熱い思いを述べさせていただいておりますので、私は、最も費用対効果がいいのはやはり市場を閉鎖するということだろうというふうには思っていますが、後半の部分はもう石井先生と一緒で、しっかりとコントロールできる状態をつくる。

 例えば、僕は持っていませんけれども、この印鑑は一体どこから来て、いつ来て、どこに渡ってきて、どう製造されてここに至ったのかということが全て透明であるという状態が全ての象牙の製品においてつくられるという状態をつくることが徹底管理だというふうに思っていますので、それが必要だというふうに思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、国際希少野生動植物種の流通管理強化の関連で、個体識別措置の導入の問題であります。

 今回の法改正では、国際希少野生動植物種の登録手続について、新たに登録の有効期限を設定するとともに、個体識別措置を導入する措置が行われることになります。

 そこで、個体識別措置につきましては、原則、やはり全てを対象に行うということではないのか。お二方にお聞きしたいと思いますけれども、この法案の中身の説明、環境省の説明紙などを見ると、可能かつ必要な種というふうに書いてあるわけですけれども、もちろん答申の中にもそれに相当する部分というのはあるわけですが、基本はやはり、本来の趣旨に立てば、こういう個体識別措置というのは全ての国際希少野生動植物種を対象に行う、それが基本ではないかと考えますが、この点についてのお考えをお聞かせください。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 有効期限を設定するということがとても大切というふうに思っていまして、これを、証明書とその個体というものの一対一対応というのを厳しくやっていくということが必要だということは、私も全く同じです。

 ただ、そのためのコストというのがあったり技術論があったりする部分もあるんですね。マイクロチップを埋め込むとかそういう技術の場合にコストがかかるし、実際にそのマイクロチップがいつまでもあるわけじゃないかもしれないということもあったりするので、その辺については、個体識別は原則論として私もすべきだとは思いますが、コストとの関係、技術論との関係で、検討すべきところはあるのではないかというふうに考えています。

辻村参考人 ありがとうございます。

 コストの問題があるにせよ、やはり全てがきちっと登録されている状態をつくるべきだというふうに私どもは思っています。

 例えば、その中で、今登録票に書かれている情報というのは、その持っている人の名前とか住所とかも書かれていないんですね。だから、仮にその登録票を持って違法と思われる生き物を持っていたとしても、その人が誰なのかもわからない状態で、警察は摘発ができないという状況がありますので、費用対効果を考えた上でも、もう少し登録票の情報を、せめて動物愛護法で求めている情報と同等ぐらいの量を求めるべきではないのかなというふうに思っています。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、海洋生物の国内希少野生動植物種の指定について、関連してお尋ねしたいと思っております。

 レッドリスト作成、評価に当たりまして、海洋生物につきましては、環境省が新たにレッドリストを作成しましたけれども、同時に水産庁も行っているわけであります。つまり、環境省以外の国の機関でレッドリストにかかわっているのは水産庁だけと承知をしているわけなんですが、何でこんなふうになるのかということであります。

 言われるところでは、海洋生物については、一九九二年に当時の環境庁と水産庁が交わした絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案に関する覚書があって、水産庁の方は、水産資源保護法に基づく採捕制限により保護すべき水産動物、そういう観点で、種の保存法の指定の対象外として、そういう種については水産庁の方がやりましょうねと。

 私は、やはりこういう区分というのが、本来、種の保存法という一本の仕組みに対応して、もちろんレッドリストそのものは法的な権限に直接かかわるものではありませんけれども、やはり多くの国民の皆さんにこういった絶滅危惧が懸念されるような種について広く周知をする、その際に科学的な見地で行う、大変大きな役割を発揮しているわけで、本来一本で行うべきものを分かれて対応するような今の仕組みというのはおかしいんじゃないかなと思うんですが、御意見をお聞かせください。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおりだと思います。

 先ほどゼニガタアザラシの話をしたのでございますけれども、あのケースの場合には、ゼニガタアザラシはやはり科学的に見て希少種なんだという認識はもう揺るがないんだけれども、でも、ここが人間の生活に影響を与える、産業に影響を与える場合には何かの措置をとるというやり方をすべきだと思うんですね。

 水産庁は、やはり水産資源というところが結構重要なので、純科学的にできるかどうかは、ちょっと失礼な言い方ですけれども、難しいところがあるのかもしれないと思っています。

 そういう意味でいいますと、できるだけ早く環境省側で、水産生物についてもレッド種は科学的につくるようにする、そして、それをどのように資源として利用するかというのは、水産庁さんを中心に例えばやっていくというような形に持っていくのが理想ではないかというふうに思っております。

辻村参考人 ここに関してはもう意見は完全に一致です。水産庁と環境省がそれぞれレッドリストを出すというのはおかしな話ですので、水産庁の方がデータを持っているのであれば、水産庁からデータの提供を受けて、環境省でしっかりとしたレッドリストを科学的につくるべきだというふうに思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 最後に、ジュゴンのことでお尋ねしたいんですけれども、やはりいろいろ、ジュゴン、レッドリストには掲載されておりますが、ただ、種の保存法の指定には至っておりません。いろいろ環境省なりの理屈があって、もともとこの法律によらなくても保護ができるという趣旨のことを述べているんですけれども、率直に、それでいいのかなということは疑問に思わざるを得ません。

 やはり、単に種を保護するというにとどまらず、その生息環境の改善を図らなければならないわけであります。そういった点でも、私はやはり種の保存法のスキームに乗せることによって、個体の保護とともに生息環境の改善を図っていくといった取り組みにつなげていく。もうちょっとほかに工夫もできるところがあると思うんですけれども、そういう観点で、種の保存法の指定の対象にならないというのは大変疑問に思っております。

 この点について、短くで結構ですが、お二方に、御意見お願いできないでしょうか。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 ジュゴンという生物は本当に数が少なくなってしまっておりまして、当然これは守るべき対象であるというふうに私は思います。

 海洋環境ということがあってなかなか難しいところがあるのかもしれませんけれども、原則としては、科学的にはジュゴンはもう本当に危なくなっている生物であるという認識のもと、何かの対策を打っていく、生息環境の改善、回復とかというのをすべきであろうというふうに私は思っております。

辻村参考人 ありがとうございます。

 自然保護協会は、ずっとジュゴンの保全に取り組んできております。

 ほかの法令で守れるというのは私にとってはちょっと納得がいかなくて、御指摘のとおり、種の保存法の指定種にし、しっかりとした保護増殖計画を立て、その上で個体数復元を図っていく。そのためには種の保存法の指定をしないとできませんので、もう早急にするべきだというふうに考えております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 両参考人の先生方には貴重な御意見、本当にありがとうございます。

 幾つか論点も出てきておりますので、できるだけ重複しないように質問をさせていただきたい、こう思っております。

 まず、そもそも論で恐縮なんでありますけれども、なぜ、種の保存あるいはまた生物多様性を我々は大事にしていかなければいけないのか、こういったことに関して御意見を両先生から聞かせていただきたいと思います。

 ちょうど私、大臣をやらせてもらっていたときには、二〇一〇年のCOP10の準備をやらせていただいていたときに、生物多様性という言葉自体がまずよくわからないね、国民の皆さんに、だから、地球生き物会議という名前で、通称でやったらどうか、こういう話もしましたが、なかなか役所から受け入れられずに終わったんです。

 国民の皆さんにそういった話をするときに、私は、夜星を見上げてください、何百、何千という星がありますけれども、生き物がいる星というのは少なくとも今わかっているだけでは我が地球だけですと。

 最近、土星の惑星に生き物がすめる環境の海があるのではないか、こういう話をNASAがこの間発表しておりましたけれども、そういった意味でも、本当に、この地球だけがまさに今現在わかっている段階では生き物がいる星ですよというような話をすると、国民の皆さんも、ああ、そうか、こう言って本当に納得してくれるんですが、ただ、これは理屈ではないんですよね。感覚的な話で生き物の大切さという話を申し上げているんです。

 両先生にとって、種の保存をなぜしなければいけないか、生物多様性をなぜ維持していかなければいけないか、これが国民の皆さんにぴしっと伝わっていないから、なかなか開発だとかそういった話でも議論がかみ合わないんではないか、こんな思いがあるものですから、せっかくの機会なので、ぜひ両先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 非常に難しいテーマといいますか、なぜ守らなければいけないのかというのをすごくわかりやすい短いフレーズで伝えることができれば、我が団体はもっと支援者が多いのではないかというふうに思うんですけれども、非常に難しいとは思います。

 ただ、全ての生き物は何らかの形でつながっております。たとえ僕らが嫌いなゴキブリでさえもほかの生き物を支える存在になっていて、それが、強いて言えば、僕らの食べる食べ物につながってくるものですので、それの一つでも欠けるということは我々の生活の何かを欠けさせていることだというふうに思いますので、今すぐに影響が出なくても、例えば、今四歳の私の娘が成人するころに何か影響が出るというぐらいの時間軸かもしれませんけれども、そういう影響が出るものだ、何一つ欠けさせてはいけないんだというふうに考えております。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 いつも市民に問われ、そして学生たちに問われ、どうやって答えたらいいんだろうという悩みがありまして、大阪に私おりますので、大阪のいろいろな団体から、その今の委員が御質問された内容についてわかりやすく説明してくれと言われているので、ちょっといろいろ考えまして、大阪の土地柄を考えて、たこ焼きの向こうに生物多様性が見えるという講演をやっているんですね。

 かなり皆さん気に入っていただいて、いろいろなところに呼ばれておりますけれども、たこ焼きに一体何種類の生物がかかわっていると思われますかというところから入ると、二十種かなぐらいで入るんですけれども、そういう甘いものでもなくて、例えば、かつおぶしをつくるだけでもかつおぶし菌なんというのが必要だったりとか、それから、たれのソースの中には物すごいたくさんの生物が入っています。タコそのものも、肉食の動物ですので、海の中で卵から育つ段階でたくさんの海洋生物がかかわっています。だから、地球の生命の三十八億年の歴史を全部しょってたこ焼きを我々は味わっているんだという話をすると、みんなうんと大きくうなずいて帰るんですね。例えば、たこ焼きを焼いている人、食べる人、それからそれを流通している人、それらも含めると、たこ焼きで一体何人が生きているんだと考えたらすごくわかりやすいだろうというふうに説明したりしております。

 理屈っぽく言ったらいっぱい説明できるんですけれども、簡単に説明させていただきました。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 辻村参考人からはゴキブリの話が出たり、また、石井参考人からはたこ焼きの話が出たりしましたけれども、本当に私も、例えば、毒蛇なんというのは、人間に危害を加えるわけですから、何で守らなきゃいけないんだろうというような、そういった素朴な意見もあるでしょうし、例えば、これは人為的ではないんですけれども、恐竜が絶滅をしましたですよね、恐竜が今の時代に生きていたらどうなんだろうとか、いろいろ考えるとある意味では楽しい世界に入れるわけですけれども、話をもとに戻して、法案の審議の方に入っていきたい、こう思います。

 そこで、さっきのCOP10の話のときに、きょう、主に石井参考人から里山の話が出されましたが、SATOYAMAイニシアチブというのを日本が提唱させていただいたわけですね。まさにそのSATOYAMAイニシアチブを提唱させていただき、国内でも当然我々率先して進めるんだという話を申し上げ、また、国際的にはSATOYAMAイニシアチブパートナーシップという制度を発足させていただいたわけであります。

 このSATOYAMAイニシアチブ、今、あれからどのように進展しているか、うまくいっているんだろうか、あるいは、海外の国際的な組織はうまく機能しているんだろうか、まさにそういった観点で石井参考人の御意見を聞かせていただきたいと思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 SATOYAMAイニシアチブ、里山というのはアルファベットで書きまして、この意味はかなり深いと私は思っているんですけれども、もちろん漢字で書いたら世界で読めないということもあるんですが、里山という文字は、先ほど私の説明でも述べましたけれども、狭義、広義に使われておりまして、狭義の場合は森の方、林の方なんですね。広い意味に使うと、農地も含めて人里も含めて、大きな意味を含んでいる。自然保護協会さんは、里山の山を平仮名で書くと農地も含む、漢字で書くと林だとかいって、皆さん苦労されているんですけれども、世界に発信するとき、日本の場合は、ローマ字であらわすことによって、農地も含む持続的な利用をする、そういう里地里山全部をあらわしているということを発信したわけです。

 これについては、国内でも里地里山保全・活用検討委員会をつくったりしてやったんですけれども、では、国際的にちゃんと動いているのかという認識なんですけれども、どういうふうに言うと、なかなか立場上難しいところもあるんですけれども、必ずしもうまくいっていないのではないかという認識をちょっと述べさせていただきたい。もうちょっと頑張ってほしいなというふうに私は思ったりしております。

小沢(鋭)委員 環境省、頑張るように頼みます。我々も一生懸命バックアップしていきたい、こう思います。

 次に、辻村参考人にお尋ねいたします。

 先ほど来から、科学委員会が法定化される、こういう話があって、その重要性等の意見がございました。絶滅のおそれのある種について詳しい諸団体を、あるいはまた国民からの提案をしっかり受けとめるべきだ、こういうことだと思いますが、それでは、具体的にどういう団体を認定していったらいいのか、そういった基準等に関して辻村参考人に御意見がありましたらお尋ねしたいと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 基本的には、選ばれた団体がそれにふさわしいかどうかというのは、恐らくそれを見ている国民の方たちが判断されるのが一番いいんだろうというふうに僕は思います。

 ただ、そうはいっても、なかなか最初に選ぶときは難しいんだとは思いますので、例えば、きちっと活動が公益性を持っているというふうに認定されている公益財団法人でありますとか認定NPOであったりという、きちっと活動そのものを評価していただいて団体として存在しているというところを選ぶべきではないかなというふうには考えております。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 ちょっと話が大きくなって恐縮なんですが、両参考人から、いわゆる環境権、憲法における環境権に対する意見をお尋ねしたいと思います。

 先ほど来もずっと、この法案の中で、いわゆる財産権に対する対抗力、こういう話があります。

 私、この環境委員会でしょっちゅうそういう話をさせていただいていて、財産権とか個人の所有権に対して、環境というものがある意味ではしっかり対抗力を持っていくためには、いわゆる基本法である憲法の中にそういったものを位置づけないと、なかなか所有権、財産権に対しては対抗できないのではないか、こういうことをずっと主張している人間であります。

 そういった観点から、今憲法議論も、両参考人御案内のようにかなり活発に議論がされるようになってきております。そういった中で、この環境権を制定すべきだ、こう私は主張しているんですが、そのことに関して両参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

石井参考人 専門が生物学なものですから、なかなかそれは難しい質問かなと思うんですけれども。

 憲法の改正という大きな話でございますけれども、確かに、憲法がつくられた時代背景から考えると、そういうものが制定されていないというのは私も認識しておりまして、そういうものが盛り込まれたら、私も環境を守る立場で働いていることが多いので、いろいろいいだろうなというふうには思うんですが、いろいろなものとの調整が必要かなと思うんですね、その辺は専門外なので、ちょっとお答えできないですが。

 あったらいいかもしれませんねという、ちょっと曖昧なお答えにさせていただきたいと思います。

辻村参考人 私も同様に法律は専門ではないので、あと、団体をしょっていますので、憲法改正について何かを述べるというのは、個々の職員の考え方もばらばらでございますので、ちょっと難しいかなと思いますが、少なくとも環境基本法に環境権を位置づけるとかいうことは我々も昔から主張しておりますので、そういう観点では、先生の御指摘のとおり、きちっと環境権を何らかの形で位置づけていくことが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 若干時間がありますので、私の意見も申し上げたいと思うんです。

 両先生とも専門ではない、こういうお話がありました。もちろんそうなんだろうと思いますが、私並びに維新の会というのは、これまでの憲法の議論が、ある意味ではイデオロギー的な論争が基本だった、具体的に言えば、保守は改憲、それから革新は護憲と。そういう話ではなくて、まさに時代の変化に対応した、脱イデオロギーの憲法改正というのが必要だという話を私も日本維新の会も一貫して言ってきているわけであります。

 そういった意味においては、まさに環境というような権利も、この時代の変化において極めて今重要な権利になっているということを、両先生ともそういった御意見をおっしゃっていただきましたので、そういった意味では、まさにそういう生活の観点あるいはまた変化の観点の中で、ぜひともそういった話もちゃんと加えたらいいんじゃないのという話も、御主張を今後いただければありがたいという私の意見並びにお願いも申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうは両参考人に、この機会ですので、ぜひ私の地元の件について少しお話を伺えればと思います。

 私の地元は沖縄県の、住んでいるところは沖縄市なんですが、その選挙区の中には、大浦湾というジュゴンの生息域を含めた非常に自然豊かな地域がありまして、先日はやんばる国立公園に指定を受けまして、これからまた世界自然遺産に登録を目指そうということで、地域の皆さんや行政が一生懸命取り組んでおります。

 他方で、北部訓練場という米軍の訓練施設・区域がありまして、皮肉なことに、よく語られるのは、米軍基地があったから自然が守られてきたという点と、米軍基地あるがゆえに自然の環境調査が行われていないという、非常に二律背反するそういう問題、ジレンマを抱えているところでもあります。

 しかし、可能な限り、将来その基地が返還される場合に当たってはそこから何か調査や研究を始めるのではなく、今の段階で日米が双方で協議をして、必要と見られるのであれば、特定の種類の、例えば昆虫、チョウ類、両生類が生息するであろうと思われる場所には、積極的に日米で協議を踏まえた上で調査をする必要があると思います。

 そういう日本の法律が及ばない区域における種の保存について、両参考人から、まず大きな感覚で意見をいただければと思います。

 基地の存在はおいておいて、そういう、なかなか両国家の法律で整合性がとれないような場合においての保存のあり方についても構いませんので、御意見を賜ればと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 基地の問題というのはすごく難しゅうございますので、ただ、その中で、環境省というか日本国は、二月一日にあの一帯を世界自然遺産に推薦をしたわけでございます。推薦したからには、世界自然遺産の登録地、それから、その周辺におけるバッファーを機能しなければいけない地域というのを守っていくことを世界に約束するということになりますので、当然、そこの土地を現在実効管理している者とは環境保全協定などを結んでしっかりと保全をしていくという取り組みを申し込んで、一緒にやっていくといった場をつくっていくべきだというふうに思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 とても大きな問題ですけれども、沖縄の自然というのは本当に、日本の中では、生物研究者は皆同じ思いですけれども、とても大切だと思っています。地史的に本当に大切なものだということです。にもかかわらず、日本の研究者が研究できないとか調査できないとかという状態もあるんですね。

 当然ですけれども、先ほどから言っていますように、生物を守ろうと思ったら、まず何がいるかがわからなきゃやはり基本的にだめ。どうしたら何が減る、どうしたらこの種にとっていいという研究をしなきゃならないということから考えますと、どういう手段かというのは私にはちょっと政治的には判断できませんけれども、まず調査をするという段階に持っていく必要があろうかというふうに思いますので、委員の意見に賛成でございます。

玉城委員 では、石井参考人にお伺いいたします。

 実は、日本蝶類学会の宮城研究員という方がリュウキュウシジミ……(石井参考人「ウラボシシジミ」と呼ぶ)はい。ウラボシシジミの研究に非常に熱心でいらっしゃって、そのウラボシシジミの個体群が生息する区域がまさに、今米軍のヘリパッド建設で問題になっている国頭村や東村のうっそうとした森と少し開けた場所、そして、近くには水脈、沢が流れているそういう場所があるということで、非常にその環境の保全については、基地ができて以降もそこの環境については守られるべき基準や指針が示されるべきだということで、大変研究熱心なそういう意見を述べていらっしゃいます。

 この間、私たちもこの環境委員会で、特に私は、その生息域が開発されることによる自然の攪乱のみならず、生息域が攪乱された後に、飼養される外来の影響による個体群への影響の方がはかり知れないのではないかと思うんですね。

 そこで、石井参考人にお伺いしたいのは、そのようないわゆる世界環境基準的な指針、種の保存に係る指針を、例えば開発した後においても協議をして定めることができるような、国際的な取り組みというものについての御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

石井参考人 先ほど言われた宮城さんについては私も存じ上げておりまして、私自身が、チョウのもう一つの学会、日本鱗翅学会という学会の会長を務めていたときに、このヘリパッド問題について要望書をお書きしたという経緯もございます。

 ただ、難しいのは、沖縄は、照葉樹林帯になるんですけれども、また温帯林で常緑樹なんですね。ただ、常緑樹林帯だからといって、里山でなかったとは言い切れない。人はやはり燃料を採取しなきゃいけないので、きっと常緑樹であろうとも、まきを採取するということはやっていたのではないかということですね。

 だから、森を守るといったときに、何もしないで守る、そうしたらリュウキュウウラボシシジミが保全されるかどうかということはわからないと私は思うんですね。やはり、何がいるかとともに、先ほどから言っているように、どうしてそれぞれの種がここにいるのかという仕組み、人間とのかかわりというのも調べていかなきゃならないんじゃないかと思うんですね。

 そういう意味では、まず調査が必要だろうということ。それで、できれば日米共同のプロジェクトか何かが立ち上がったら、それは研究という意味でもいいんじゃないかと思いますね、国際協力という意味でもいいんじゃないかと思いますから、少し夢が膨らむ話かなと思います。

玉城委員 非常にありがたい御意見だと思います。

 つまり、開発か環境かということを語る場合に、開発できることによってやはり経済が循環していくという利点と、環境を守っていくことによって環境がさまざまな社会的な公益性を保っていくという利益の部分と私は二つあるべきだと思います。

 ですが、今の例えば環境アセスメントなどは、事業をする前にとりあえず全体的に調べてみて、そこに何か問題があれば、例えば、済みません、きょうは資料がいっぱいありまして。

 これは、沖縄の中城湾港公有水面埋立事業の場合に泡瀬干潟の保存をどうするかという、その影響評価の枠組みについての研究論文の中で、環境影響評価における記述例は、「その記述内容は、ほとんどが「工事中において、新たに貴重な動植物が確認された場合は、専門家の意見を聴取した上で、適切な措置を講じること」」となっているわけですね。

 ですから、ここでホソウミヒルモですとかさまざまな新種だということが発見された場合どういう手段をとるかというと、それをバックホーでがぱっと掘って、それをそのまま別のところにどすんとおろすみたいな、本当にこれで生きていけるんかいなということがありまして、素人目の私たちから見ても、適切な処置や保護ということに関しては、やはりその専門家の皆さんの意見をしっかり踏まえた上で、新種が見つかった場合はこういうふうな措置をとるべきであるというふうなことを、環境影響評価法ではなくて、種の保存法やあるいはそのほかの法律の中で新種が発見された場合についての記述を明記しておくべきだと思いますが、その件に関しては、両参考人から御意見をいただきたいと思います。

辻村参考人 ありがとうございます。

 先ほど若干指摘させていただいたんですが、種の保存法とほかの法令とのちゃんと横断条項をつくっていくということは僕も重要なことだというふうに思っています。

 残念ながら、環境影響評価法でせっかく環境影響を評価し、保全しましょうというふうになった場所が別途開発で壊されていくということが今の制度ではどうしても防げないという状況がございますので、やはり一旦守ったところをどうまた守り続けていくのかという意味では、環境影響評価法を軸にするのか、僕はどちらかというと、種の保存法をしっかりと軸にして、それがきちっと環境影響評価法もひもづいているという、アメリカなんかはそうなっていますので、そういうような法令にしていく必要性が僕はあるんだろうというふうに思っております。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 新種のお話をされたんですけれども、新種だから、新種でないからということではなく、例えば、その種を一種だけをどこかに移すというのは、生物というのはひとりで生きているわけではないということで、環境との相互作用、生物と生物の相互作用の中で生きていますので、その判断が必要だろうと。この新しく見つかった種がどういう性格の種かというのを本当にきっちり調べた上で、どういう措置をとるかを考える必要があるというふうに思うんですね。

 アメリカでは、オンサイトミティゲーションというのとオフサイトミティゲーションというのが、御存じかなとも思うんですけれども、その場所で、どうしてもここを何かしなけりゃならないという場合には、そこの部分と同等の価値のところのものを、その事業者に永遠に保全させるというふうな手続をするという方法もあるんじゃないかと思うんですね。

 だから、繰り返しになりますけれども、やはり、その種、どんな種が組み合わせでいて、どんな環境の中で生きていて、人とのかかわりはどうかというのをきっちり見た上で物を判断する仕組みというのは必要だろうというふうに思います。

玉城委員 両参考人には、本当におこがましい話ではありますけれども、私も、かねてからこの環境委員会では、例えば沖縄の山原を例にとっても、その森と林と里地里山と川と干潟と海と、これは全てがつながっていると思います。ましてや、重要海域の沖縄本島北部一帯を選定しようということについては、私は、この世界自然遺産が、その海域が全体も含まれるべきであろうというふうに思います。つまり、全てはバッファーゾーンであり、その種の生息主地域だという考え方をとると、そこで連関しているもの、つながっているものは、全て私は連携して考えるべきであると思います。

 ですから、今参考人が本当にいみじくもおっしゃっていただいたように、そこだけを考えて、それをほかに移せば生息できるのかというのは、非常に人間のエゴにすぎないと私は思います。人間も、この環境の中で生きている以上、ふだん気にはしないんですが、空気がなければ生きていけないのと同じようなもので、ふと目を閉じて息をしてみると、いろいろな物音が聞こえてくる。その風の音や鳥のさえずりや、あるいは車のエンジン音や人の話し声や、その環境の中で生息しているということを考えると、全てがつながり合っているということについてまず目を向けていき、そこから、ではどういうふうに、人間が加えるべき手段とは何か、その方法あるいは内容についてしっかり吟味をしなければいけないのだなということを、この種の保存法の議論の中で、たくさんの委員の皆さんの意見からも、そのようなことをお伺いいたします。

 さて、残り時間、少しジュゴンについての話を聞かせてください。

 沖縄県文化環境部の自然保護課では、「ジュゴンのはなし」という、沖縄の歴史とジュゴンにまつわる経緯について、いろいろな参考文献やたくさんの皆さんからの資料をもとにして、ホームページでこれがわかりやすく読めるようになっています。ですから、字も大きく、振り仮名も振られていますので、例えば漢字の苦手な大臣でも読めるのではないかと。これは決して環境大臣のことを言っているわけではありませんが。失礼いたしました。今の発言は取り消してください。よろしくお願いします。

 「種の保存法」というページがありまして、「正式名称「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的としています。この法律において、ジュゴンはワシントン条約付属書1の記載種であることから、「国際希少野生動植物種」に指定されていますが、「国内希少野生動植物種」には指定されていません。」となっているんですね。

 他方、今度は、これは「「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案に関する覚書」に係る確認書」で、環境省自然環境局長と水産庁長官が覚書をしたことなんですが、「我が国に生息するジュゴンについては、覚書の記一にかかわらず、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」として、「「国内希少野生動植物種」として政令に定めることができること。」「ジュゴンを国内希少野生動植物種として政令で定める際は、環境省は十分な時間的余裕をもって、水産庁に協議すること。」とあります。

 これは、辻村参考人にお伺いいたします。いまだ、この記載の、覚書の後、登録されていないということでの確認でよろしいわけですか。

辻村参考人 ありがとうございます。

 ジュゴンの種の指定については、提案制度が今でもございますので、自然保護協会は提案をしていますが、提案しただけで、指定に至っていないということだと思います。

玉城委員 つまり、新しい種あるいは未記載の種がどんどん見つかる一方で、国際的な保護をしなければいけない絶滅危惧種であるジュゴンが日本において記載されていないということについて、石井参考人の御意見もぜひあわせてお伺いしたいと思います。

石井参考人 さまざまな背景があるのかなとも思うんですけれども、科学的に考えたら、当然指定すべきものというふうに思っています。多分手続論とかがあるのかなとも私は思ったりするんですけれども、指定した場合に実効があるかどうかというのを環境省的には考えられると思うんですね。その辺のところがどうなっているか、私はちょっとよくわからないですけれども、私、科学者の立場からいったら、当然、本当に数の少ない、日本によくいてくれたなと思うような海洋生物だと思いますので、守る方向にしていただいたらいいんじゃないかというふうに思っております。

玉城委員 質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

平委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 石井、辻村両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

平委員長 引き続き、内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として林野庁林政部長三浦正充君、水産庁増殖推進部長保科正樹君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君、国土交通省大臣官房審議官和田信貴君、環境省総合環境政策局長奥主喜美君、環境省自然環境局長亀澤玲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原崇君。

藤原委員 先ほどの参考人質疑に続きまして、自由民主党の藤原崇であります。三十分間、種の保存法について質問をさせていただきます。

 まず、本日議題となっております種の保存法なんですけれども、この法律は、平成四年に制定され、その後、三度の改正が行われました。その中では、ワシントン条約等によって国際取引が規制されているいわゆる国際希少野生動植物種に関する規制、こういうものが順次強化をされてきたということであります。

 一方で、今回法案審議にかかっている改正案においては、もちろん国際希少についてもそうなんですが、国内希少野生動植物種についても大幅に変更することになっています。その意味においては、国内に関しては、種の保存法制定以来初めての大きな改正であろうと思っております。

 そこで、最初にお伺いをしたいのは、概括的な質問であります。

 国内希少野生動植物種については、今回このような大改正を行うその趣旨、そして次に、国際希少野生動植物種については、平成二十五年にも改正を行ったにもかかわらず今回さらに改正を行うということであります。この理由についてお伺いをさせていただければと思います。

関副大臣 国内外におけます絶滅のおそれのあります野生動植物種の保全についてでございますが、これはもう喫緊の課題でございます。

 まず、我が国においてでございますが、約三千七百種が絶滅危惧種となっております。その保全を一層進めていく必要があるわけでございますが、その多くの絶滅危惧種が里地里山等に生息そして育成しております。それらの身近な絶滅危惧種につきましては、効果的な保全を進めるための新たな制度の創設が求められているところでございます。

 また、ワシントン条約に基づいて取引が規制されております国際的な希少種についてでございますが、登録票の不正利用などが発生していることを受けまして、国内における流通の管理を強化する必要がある、そのように捉えております。

 今回の法改正におきましては、これらの要請に応えますために制度的な措置を講じようとするものでございまして、なお、平成二十五年の改正につきましては、罰則の引き上げ等についてのみ行われたものでございますが、今回の改正案につきましては、種の保存に関する国内外のさまざまな課題に対応するために必要な措置を最大限盛り込んだ、そのような内容でございます。

藤原委員 ありがとうございました。

 実質的な内容で、国内あるいは国外、双方ともに大幅に拡充をして内容を変える改正であるということでありました。

 そういう中で、まず国内についての議論をしたいと思います。

 先ほど関副大臣から里地里山という言葉も出ました。このことは非常に大事なことなんだろうと思っております。

 まずこの点から伺いますが、日本というのは季節によって特色の非常にある、そして南北に長い大きな島国であります。こういう中では、地域地域によって、それぞれ独自の自然環境あるいはそういう固有種がいることになっております。

 私も、昨年、環境委員会の視察で奄美に行かせていただきました。そういう中で、国内希少野生動植物種に指定されているアマミノクロウサギ、これは夜だったと思うんですが、実際にここにいる何人かの先生方とともに行きまして、一晩で五、六匹ぐらいでしょうか、実際アマミノクロウサギを見させていただきました。

 そのときにガイドの方がお話をしていたのは、十年くらい前までは一晩で一匹でも見られれば運のいい方だろうということだったということなんですが、その後、マングースの駆除など、そういうことが進むなどの取り組みの結果、非常にそういう固有種の種類もふえてきたということを聞きました。こういう環境省あるいは地元関係者による保全の努力というものが非常に形になっているなというふうに感じたところです。

 そういう中で、今回の改正においては、まさに人と生活とのかかわりが深い里地里山の絶滅危惧種を守るために、特定第二種国内希少野生動植物種という新たな類型を概念として設けることにしたわけでありますが、その意義がどういうところにあるか、あるいは現行法の規制ではどういう問題点があるか、そういう点について御指摘をいただければと思っております。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 現行の国内希少野生動植物種制度につきましては、その指定に伴って捕獲の禁止などの規制を課しております。

 他方、特に里地里山など身近な自然に生息、生育する昆虫類とか魚類等の種につきましては、この厳しい規制がかえって環境教育や調査研究、保全活動等に支障を及ぼすため、一律に厳しい規制を課している現行の種指定がなじまないことが多いという課題があります。

 具体的に申し上げますと、ゲンゴロウ類を初めとする昆虫類につきましては、種を識別するために実際に個体を捕獲等しなければならないことが多いわけですが、現行の規制では、研究者等が分布情報等を把握する場合であっても、その都度、種の保存法の手続が必要となるため、分布情報がなかなか集まらないというおそれがございます。

 今回の法改正では、こうした厳しい規制がなじまない種につきましては、販売または頒布目的での捕獲及び譲り渡し等のみを規制する特定第二種国内希少野生動植物種制度を創設いたします。これによりまして、特に里地里山における種の保存のための行為規制と、環境教育や調査研究、保全活動等の推進を両立させていきたいというふうに考えているところでございます。

藤原委員 ありがとうございました。

 一律の厳しい規制にはなじまないところについて、学術的目標等がある場合にはその規制を緩める、そういうような必要があるということでありました。これは、新しい制度をつくっていくことというのは非常にいいことだろうと思っております。

 それと同時に問題になるのは、どうしても我々、法律をつくった、それでよかったですねということで終わることが多いんですけれども、今度は、それがちゃんと規制をされているのか、実効性が確保されているのかということも大事であります。

 少し考えてみればわかるとおりでして、そういう希少動植物種というのは全国いろいろなところに存在している、それをもし販売目的等で捕獲をしようとした場合、それを直ちに、捕獲をしようとしているのを捕捉して、とめる、あるいは検挙するということは簡単なことではないわけなんですね。どうやってその実効性を確保するかということが一つ大きな課題になるんだろうと思います。

 例えば、去年行った奄美で、ツアーのガイドの方がお話をしていたのは、そういう観光ガイドの方がいろいろなところを回っている、その方々が、単にお客さんを案内するだけではなくて、不審人物というか、そういうような兆候のある方を同時に見守りながら、もし問題がありそうな方がいた場合には、そういうことがないようにということでパトロールも兼ねてやっているとおっしゃられておりました。そうした、実際に現場でその取り締まりがちゃんと行われているのか、そういうことの重要性を感じました。

 この第二種国内希少野生動植物種については、目的によって、規制緩和されるかどうかというのが変更されるわけであります。そういう意味では、なかなかこの目的の認定というのも難しいところがあるんだと思っています。

 そういう行為を取り締まることができる体制が整っているのかどうかという点、問題があると思うんですが、この特定第二種国内希少野生動植物種、これをつくったときに、この捕獲等について、政府としては、どうやって販売目的などを認定して、どうやってこれを取り締まっていくのか、この点についてのお考えを伺いたいと思っております。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 捕獲個体が実際に販売または頒布された場合に、種の保存法違反として取り締まるとともに、その個体の捕獲にさかのぼって取り締まることが可能と考えております。その場合の捕獲について、趣味のためなどと釈明した者についても、販売または頒布されたと確認をされた場合には違反とすることができるというふうに考えております。

 さらに、実際に販売または頒布されていない場合に、捕獲の現場で販売または頒布目的かどうかを判断するには、捕獲等を実施した者の行う事業あるいは職業とか、捕獲数、あるいは捕獲方法、また、現場に何回来ているかといった捕獲の回数等の捕獲態様等から総合的に判断したいというふうに考えております。

 現場における取り締まりにつきましては、地方環境事務所等において、それぞれの地域で活動されている団体等から情報提供が得られるような体制をふだんから構築しておくとともに、警察とも連携をしつつ対応していきたいというふうに考えております。

藤原委員 ありがとうございました。

 非常に、簡単な話ではないと思うんですが、ぜひ、この制度をもしつくった暁には、しっかり実効性の確保というところ、お願いをしたいと思いますし、我々国会議員としてもそれは応援をしていきたいと思っております。

 里地里山の話に話を戻します。

 余り環境の分野から語られることが少なかったのかもしれませんが、今、我が国というのは人口減少を迎えております。そういう中で、この里地里山を維持するというのは非常に大変なことであります。

 ぱっと外から、例えば都会の人が見に行ったときには、風光明媚でいいね、環境がいいねと言う方もおられるんですが、あれを維持するためにはとんでもない人の手がかかっている。毎日毎日草刈りをしなければいけないし、今の時期になればほとんどのところで田んぼの通水が終わっていますけれども、その前には水路の泥上げから何から、そして冬にはその補修もしなければいけない。それでつくった里地里山なんだけれども、これはこれから問題になると思うんですけれども、なかなか生活がしづらいというのも事実であります。

 そういうところで、どんどん里地里山から人が減っていっています。維持することができない地域が出てくるのは否定はできないんだろうと思っています。その管理ができないところは、もはや里地里山ではなくなってくるんだろう。きょうの参考人のお話でもございました。原生林というわけではないと思うんですけれども、そういうところになった場合には、里地里山だからこそ生息できていた昆虫類あるいは淡水魚類、こういうものの絶滅が心配される状況になると思うんですけれども、今回の改正で、特定第二種国内希少野生動植物種、これを設けるわけですが、この種が減っている大きな原因というのは、人口減少を背景とした、里地里山の、里が荒れてくるということ、こういうことにもあるわけです。

 種を指定して規制をかけるだけでなく、こういう生息地に対する働きかけをどうやってふやすかという点も重要だと思いますが、これは環境省としてはどうお考えでしょうか。

亀澤政府参考人 御指摘のとおり、特に特定第二種国内希少野生動植物種の保全を効果的に進めるためには、種の指定だけでなくて、その後、保護増殖事業の実施等を通じて、里地里山における草原とか水路とか、そういう、人の働きかけによる維持管理を支援する、そういった取り組みを着実に進めていくことが必要だというふうに考えております。

 また、今回の改正では、所有者不明の土地であっても、保護増殖事業の推進のために必要な木の伐採とか外来種の捕獲等ができるように措置をしたいというふうに考えておりまして、本改正法案を認めていただいた暁には、これらを着実に実施していくために、必要な人員あるいは予算の確保に努めていきたいというふうに考えております。

藤原委員 ありがとうございました。

 この里地里山の維持と、固有種、希少生物の保護というのは、ある意味で相反するところがあるんだろうと思っております。

 私も、どちらかといえば里地里山の生まれであります。中山間であります。そういうところというのは田んぼも小さいし、本当に昔ながらの農業みたいなことをやっていたんですが、やはり、今はもう高齢化の中でそういうこともできないとなれば、大規模に、圃場整備ということで一回田んぼも全部壊してしまって、立派な圃場にして、ある程度大規模化にやらないと、そもそも中山間で農業だってできなくなってくるわけなんですよね。ただ、そういうことをするということは、ある意味では、そこにすんでいた淡水魚類あるいは昆虫、こういうものの生育の環境を奪ってしまうということも事実だろうと思っています。

 なかなか難しい問題だと思います。自然環境保護のために、里地里山に住んでいる人には、はっきり言えば、昭和の中ごろまでみたいな、そういう農業をやれ、都会の人たちあるいは平場では大規模な農業をやるけれども、中山間では朝から晩まで労力を使って人力で農業、畑、そういうことをやってくれ、そういうことはなかなか言えないんだろうと思っています。

 私も、だからどうしろというのはなかなか思い浮かばないんですが、これは、ちょっと私、きょう参考人のお話を聞いたり、いろいろ勉強していて、これから一つ大きな課題になるのかなと。温暖化の分野では南北問題というのがありますけれども、種の保存法に関しても、田舎と都会というところの対立もないわけではないんだろうと思っております。

 そういう中で、生息地に対して働きかけを維持していくということ、これに関係して、本日の参考人質疑でも議論になりました財産権の尊重条項、これについてちょっとお聞きをしたいと思っております。

 種の保存法第三条に財産権尊重条項というのがありますが、時代おくれである、削除をすべきではないかというような議論があるのも事実であります。

 しかし、我が国の自然保護行政を振り返ってみますと、国立公園、これは民有地を指定していくわけですから、その際には、土地所有者としっかりと調整を行った上で、関係者の方と、理解を得た上で自然環境保全を図ってきたということになっています。自然環境の保全といっても、中央から、あるいは一部の環境保全をする人たちだけでばっとできるわけではなくて、地元の方々、地権者の方々の協力というのは当然に必要なんだろうと思っております。

 これは考えてみれば当然でして、今回、種の保存法を見てみますと、生息地等保護区という制度があります。これも参考人の御意見の中でなかなか進まないとありますが、実際これは、その規制をかければ、そこで家を建てるとかの開発行為が許可制になるわけなんですよね。許可制になったときには、そこにどういう種がすんでいるかによって許可の基準というのは変わるのでありますけれども、そうなったときに、自然環境を守るために規制をかける、それはいい、では、それによって損失をこうむった方の損失というのはどういうふうに考えるのかという議論もあるわけなんですよね。

 これは今、現行法上、損失補償というのは原則としてほとんど無理だというふうに考えられております。ということは、国から一足飛びに指定をかける、そして、かけたところは開発規制もかかるから土地としてもなかなか売ることもできない、税金についてはある程度減免はあるんでしょうけれども、固定資産等、重荷もある、それでまともに使うことができない、そういうようなリスクがあるわけなんですね。

 もちろん、それは種の保存のためには大事だから一足飛びでやるということもいいかもしれませんけれども、百人の人口のうちで一人にそういう負担を押しつけて、それでいいのかということは考えなければいけないんだと思うんですね。

 先ほどの里地里山の圃場整備と同じであります。中山間に住んでいる人間にしてみれば、平場、平らなところと同じように、大規模な機械で大きくやって収益を上げて生活を向上させたい、だけれども、自然環境の保全という意味ではそれはまかりならぬとなったときに、これは中山間の人間としてはなかなか難しい問題だなということで感じているところであります。

 翻って、きょう参考人としてお越しの辻村さんの資料を見てみますと、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する意見書」ということで、二ページ目を見てみますと、「特定第二種国内希少野生動植物種及び生息地等保護区について」というところの四段落目、(二)ですね、生息地等保護区が進まない理由として、土地所有者と交渉を行った上で、答申する形でしか地域指定ができないことが問題であるということで書いております。しかし、その先を見ると、土地所有者や管理者の自発的な意思に基づいて指定する制度を創設すべきであるという書き方をしているわけであります。

 つまり、今の現行制度、問題があるかないかというのは議論がありますけれども、仮に問題があったとしても、やはり土地所有者や管理者の意見を越して強制的に上からばっとかけることは無理がある。恐らく、辻村室長が持ってきたこれも、幾つかの団体ではそういう議論になったんだろうと思っています。

 これは、日本全国どこでもあり得る話ですよね。きょうまで普通に家も建てられた、では子供が帰ってくるから二世帯住宅にしようかと考えていた、ところが、一週間後に指定が、これからしますという話になった。開発も改築も、これは許可制になります。そうなったときに、許可がおりるかどうかわからない。では、許可がおりなかったときどうするんですか、それは種の保存のためには我慢をしてください。なかなかそれは、そういうような運用というのは難しいんだろうと思っています。

 そういう意味では、この財産権の条項、これを置くことにはやはり法令上の意味があるんだろうと思っております。今のタイミングでこれを削除することは難しいと思うんですが、この点についての政府の見解を伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存が生物多様性保全上の基本的な施策であることは言うまでもありませんが、そういう前提のもとで、保全の取り組みを進めるためには、土地所有者を初め地域の関係者等の権利に十分配慮し、御理解を得ることが重要である、そういうことを踏まえまして、この法第三条、財産権尊重条項では、この法律による土地利用の制限などの行為規制等が国民の生活に大きな影響を与える可能性があることから、法の適用に当たって、国民の財産権を尊重し、住民生活の安定等にも配慮するという、いわば当然のことを規定したものであるというふうに認識をしております。

 こういう事情は現在も変わりはないため、本規定を削除することは妥当ではないというふうに考えております。

藤原委員 ありがとうございました。

 やはり、どういうものでもバランスと調和をとってやっていかなければいけない。九十九人にとってプラスであっても、一人にとってマイナスであったとき、それをどういうふうに考えるかというのは非常に大切な問題なんだろうと思っております。

 続いて、話をかえまして、動物園、まあ植物園等もあるんですが、これと連携した生息域外における種の保全の推進であります。

 これについては、生息域外で個体の繁殖を実施するということは、現在のところ、全国にある動物園などの施設が非常に大事な役割を担っていると伺っております。今回の改正法案では、そうした取り組みを後押しするために、動植物園等を環境大臣が認定する制度を創設することになっていますが、この制度を設けることとした背景や狙いはどのようなものでしょうか。

比嘉大臣政務官 近年、生息域外保全は、国際的にも動植物園等が果たすべき重要な役割の一つであると認識されてきております。一方で、動植物園等からは、生息域外保全に取り組むことの社会的な位置づけが明確になっていないことが、その取り組みの必要性を内外に説明する上で大きな支障の一つであると指摘されております。

 このため、動植物園等の認定制度の創設により、環境省と積極的な連携を図るとともに、生息域外保全を初めとする動植物園等の公的な位置づけの明確化と社会的な認知度の向上を図ることが、動植物園等における生息域外保全等の取り組みの推進に効果的と考えております。

 また、動植物園等では、近親交配を避けるために頻繁に個体を他の動植物園等との間で移動させておりますが、従来は、その都度環境大臣による譲り渡し等の許可を受けなければ移動させることができませんでした。

 新たに創設する認定制度では、認定された動植物園等においては譲り渡し等の規制を適用除外することとしており、繁殖等のための個体の移動を円滑に行うことができるようになると考えております。

藤原委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が足りなくなってきたので、何点か簡潔に伺ってまいるんですが、この動植物園について、認定制度で後押しをするということでありましたけれども、これは、認定制度で制度的な後押しだけではなくて、財政支援等は考えられるのかということ。やはり動植物園も営利事業ですので、財政的にプラスにならなければなかなか取り組めないと思うんですが、この点についてどうでしょうか。

亀澤政府参考人 平成二十九年度予算におきまして、日本動物園水族館協会及び日本植物園協会との綿密な連携のもと、国内希少野生動植物種等の生息域外保全の実施方針の検討や保全技術の検討、開発のための予算として、新たに千八百万円を計上したところでございます。

 改正法案が認められれば、この事業の実施と並行して、認定を受けた動植物園等に対するより効果的な支援策のあり方についてさらに検討してまいりたいと思います。

藤原委員 ありがとうございました。

 続いて、国際希少野生動植物種の流通管理の強化ということですが、何問か飛ばして、問いの十について伺いたいと思います。象牙製品の問題であります。

 これについては、今回から象牙事業が登録制に変更されるということでありますが、登録制となった場合、登録を取り消された場合には扱えなくなるということですが、もし登録の取り消しを受けた事業者が保有している象牙のカットピースと象牙製品は、これは倉庫に眠っているのがどうなるのかということをちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

亀澤政府参考人 象牙のカットピースや象牙製品を扱う特別国際種事業の登録を取り消された事業者は、少なくともその後五年間は欠格要件に該当することとなることから、特別国際種事業の登録を受けることができなくなります。

 その登録を受けなければ、象牙のカットピースとか象牙製品の譲り渡しまたは引き渡しの業務を行う事業ができないことから、その事業者が保有していた象牙のカットピースとか象牙製品につきましては、そのまま保有し続けるか、廃棄することが必要になるということでございます。

藤原委員 象牙事業者にとっては極めて厳しい規制なわけなんですね。登録を取り消された場合には死蔵するか廃棄せざるを得ないということで、非常に大きなサンクションとなりますので、これは、その事業者への影響もあるんですけれども、厳格な運用をぜひお願いしたいと思います。

 そして、最後、問いの十三ということで、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 今回の規制を契機として、種の保存をより着実に実施していくことが必要だと思っております。今回の法改正は、国内あるいは国外どちらについても、さまざまな課題に対応して、実質的に大きな中身を変える改正であると思っております。

 この改正法案を受けて、大臣から、今後の種の保存の取り組みへの決意を伺えればと思います。

山本(公)国務大臣 絶滅のおそれのある野生生物の種の保存は、我が国においても、また国際的にも、我々人類が解決していかなければならない喫緊の課題だと思っております。

 今回の改正法案は、種の保存に関する国内外のさまざまな課題に対応するために必要な措置を最大限に盛り込んだものだと思っております。

 改正法案をお認めいただきましたならば、予算、体制の充実を含め、その着実な実施に全力を挙げて、種の保存の取り組みを加速化していきたいと考えております。

藤原委員 ありがとうございました。

 種の保存については、非常に希少種等ふえている中で予算が横ばいだというお話もありました。そして、規制を行っていくのも、これは警察との協力も必要ですが、マンパワーも環境省として必要になってくるんだろうと思っております。

 そういう意味でも、この法改正後、しっかりその実施体制を大臣の御指導のもとでつくっていただければということをお願い申し上げまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 午前中の参考人質疑そして法案審議に続いて、午後、トップバッターで立たせていただきます。恐らくこの法案についての質疑はこれが最後になろうかと思います。皆様のお計らいで、一時間という長時間を頂戴いたしました。どうぞ、睡魔に襲われる時間帯とは存じますが、時々サプライズな質問も織りまぜながら、眠気を吹っ飛ばしていきたいと思いますので、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと思います。

 この後、質疑終局の後、また採決そして附帯決議等々と運ばれていくわけでありますが、附帯決議等々についてもやはり視野に入れさせていただきながら、総括的な質問をさせていただきたいと思いますので、大臣以下、適切な答弁をぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まずは、今回新設されます、常設となります科学委員会の設置について確認をさせていただきたいと思います。もうこれまで同僚委員からも随分質問が出ておりますので、重複は避けたいと思いますが、確認だけさせていただきたいと思います。

 同委員会の、まず構成される委員の人選における専門性のバランスについて、しっかりそれをとるつもりでいるのかどうか。さらには、この科学委員会における自由でそして闊達な議論というものを保障されるのか。さらには、この科学委員会における議論の様子等々について情報公開を徹底される考えがしっかりあるのかどうか。さらに、今後、同法の見直しにとどまらず、その他関係の法令の見直し等々についての意見が出されたり、また具申されたりすることを妨げないことをしっかりとお約束していただけるかどうか。確認の答弁をお願いしたいと思います。

関副大臣 今回の改正によりまして新設されます科学委員会につきましては、一つには、構成委員は、専門性のバランスを考慮いたしました上で適切な専門家に依頼する。二つには、自由闊達な議論をしていただけますように配慮をします。三つには、公開での会議の開催など、情報公開を徹底いたします。四つには、種の保存法や関連法令の見直しにつきましても意見具申をしていただくことを期待しております。

 このように、田島委員御指摘の点にも十分対応していただけるような科学委員会の適切な運営を図ってまいりたいと思います。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 専門ですから、著名人であるとか動物が大好きだからというような理由で人選されることのないように、くれぐれもくぎを刺しておきたいと思います。

 次に、与野党からも質問が出ております財産権の尊重条項について、改めて確認と、そして私の意見も含めて、テーマに移らせていただきたいと思います。

 そもそもこの議論のスタートは、本会議での代表質問、私の隣にいらっしゃる松田議員の代表質問における財産権の尊重についてであります。

 松田委員の質問に対して、大臣の答弁を読み上げさせていただきます。「本法は、野生動植物の種の保存のため、その捕獲等を規制するとともに、その生息地の保護等を行うものであり、国民の生活に大きな影響を与える可能性があります。 このため、当該条項は、法の適用に当たっては、憲法が保障する国民の財産権を尊重すべきであることを明らかにしたものでありまして、削除または変更することは妥当ではないと考えております。」というふうに答えていらっしゃいます。

 その後、参考人の方からも、この趣旨から大きく逸脱するような答弁というものはございませんでしたが、やはりこの財産権の尊重条項というのは、この種の保存法だけではなく、自然公園法を初めとするありとあらゆる自然系の法律に付されている部分を、私は将来的にも取り除いていくという姿勢を明らかにしていきたいと思っているところであります。

 皆さん御存じでしょうか。北村喜宣さんという方がお書きになられている「環境法雑記帖」という本がございます。こちらの中に、次のように書かれています。

 自然環境保全法第三条、「自然環境の保全に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。」と規定する。自然公園法第三条、種の保存法の第三条にも、同様の規定がある。しかし、こうした規定は、都市計画法、森林法、採石法などにはない。公用制限をかけることになる自然環境保全法制に対して、私的土地所有権主義の観点から牽制しているのであろう。絶滅のおそれがあるという急を要する政策を実施する法律にこうした規定があるのは、場違いな気がする。一九九二年制定という最近の法律にも入れざるを得ないのは、内閣法制局の指導だろうか。そうだとすれば、憲法違反に対する過剰防衛的な、何とも時代おくれの感覚だろうかというふうに、財産権の尊重条項が入っていることをやゆされる内容で締めくくられています。

 まず、ほかの類似する法律と比較されて引用されていた都市計画法、森林法、採石法、これらの法律には財産権尊重条項というものの記述がございませんが、それぞれ所管する省庁から、この財産権尊重条項が入っていない理由について、手短にお願いできませんでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 都市計画は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用等に関する計画であります。このようなことを定めます都市計画法におきましては、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保するために、それぞれの民間の土地所有者等の財産権行使の調整を図るものであることから、財産権を尊重するという規定を置いていないものと考えられます。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 森林法は、森林の保続培養、森林の生産力増進といった法目的が、森林の有する公益的機能の維持を図ることと森林に関する財産権との調整を前提とするものであるため、法目的を達成することが必然的に公益の調整につながることから、財産権尊重条項を置く必要はないものと考えております。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 採石法では、例えば採石業者が岩石の採取計画の認可を受ける基準として、岩石の採取が他人に危害を及ぼさないこと、あるいは他の産業の公益を損じないことが要件とされているなど、財産権や公共の福祉の調整を図る内容が含まれております。このため、財産権の尊重条項が置いていないものと考えてございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 都計法並びに森林法については、公益性という言葉を引用されて御説明をいただきました。公益性、よく法律をつくる段階で必ず照らし合わせていかなければならないものがこの公益性の確保であります。

 では、この種の保存法にあっては、公益性なるものはまるで関係ないのか、公益性という認識を持たずにこの法律を読み解くことができるのかどうかと考えたとき、私は、やはりちょっと厳しいのではないかなというふうに思います。

 絶滅のおそれがある。先ほど午前中にありました参考人の先生方からの御意見にあっても、我々が食するもの、我々が生きる上において、ありとあらゆる生物、生き物がつながっていることによって、どの部分がなくなっても我々は生きることに必ずや支障を及ぼすんだというような御回答を頂戴いたしました。つまりは、種の保存法、生物の多様性というものが、ありとあらゆる生きるものへの益をなしている、公益性を担保しているんだというふうに私は感じるところであります。

 法律が制定されたのが今から二十五年前の一九九二年。この当時、実は、この法律がつくられる段階で省庁間で議論されていたもととなる案というものを私、入手しました。

 きょう皆様にわざわざお見せすることは避けますけれども、省庁間の当時調整されていた中では、この財産権の尊重という文言、今あります三条は一切入っておりませんでしたが、当時、環境庁が内閣府を通じて作成した法案が、省庁間折衝で、第二条の「責務」と、この後、四条になります「定義等」の間にこの「財産権の尊重等」という第三条が加えられたということがよくわかる資料でありました。

 当時の環境庁にあっても、財産権の尊重というよりも、財産権よりも自然環境の保全が優位にあるべきだという認識だったというふうに私は察するわけでありますけれども、それでもなお、財産権尊重条項の削除、変更は妥当ではないとお答えされるのでしょうか。財産権よりも環境保全が優位に立つ時代に私はもう入ってきたという認識を持っておりますが、大臣、大臣の正直なお気持ちをぜひこの場で吐露していただければと思いますが、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 環境保全が財産権より優位に立つとは私は一概には言えないとは思っておりますが、御指摘のように、人々の環境に対する意識が従来より向上してきていることもこれは事実であろうと思っております。

 今御紹介がありました、法制定時の詳細ないきさつまでは必ずしも承知をいたしておりませんけれども、この法律による行為規制等が国民の生活に影響を与える可能性があることから、法の適用に当たって、国民の財産権を尊重するという当然のことを規定しているものだというふうには思っております。

田島(一)委員 もうこれは多分、いつまでもその間は、溝は埋まらないような気はいたしますけれども、絶滅のおそれがある野生生物種よりも二世帯住宅の方が優先だというような、何かそんなお話も午前中ありました。なかなか、こういう考え方が横行する時代の中にあってこの種の保存法改正案を議論しているのが非常に残念でならないわけでありますけれども、私どもは、もはや、絶滅のおそれがある生物種を守っていくこの種の保存法の趣旨に鑑みれば、財産権の尊重というものが今や二十五年前の法制定当時からは大きく変わってきているんだという認識に立たなければならないと考えるところであります。

 この後、またほかの質問もちょっと抱えておりますので、このテーマについてはこれぐらいにさせていただきますけれども、どうぞ、必ずしも優先すべき事態にはなってきていないということをぜひ大臣にも御認識いただいて、省内でぜひ御議論を重ねていただきたいと思います。

 次に、国際希少動植物の取引についてお尋ねをしたいと思います。

 まず最初に、個体識別措置と有効期間の設定が必要な種というものは大体どういうものを想定されていらっしゃるのか、まずその具体的なところだけ御説明いただけますか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 国際希少野生動植物種の登録について、個体識別措置と有効期間を新たに導入する対象といたしましては、生きている個体を想定しているところであります。

 そのうち、個体識別措置につきましては、国際的に認められた繁殖施設から合法的に輸入されており、原産国で密漁等の問題が生じているとの情報のないアジアアロワナ以外の種であって、かつ、特に小さくないなど、個体識別措置が技術的に可能な種について導入を図ることを考えております。

 なお、有効期間については、全ての種の生きている個体について導入を図ることを考えております。

田島(一)委員 生きた動物であり、違法事例の報告がなされていて、さらに技術的に可能なものという御答弁でもありました。

 そもそも、この国際希少種というのは絶滅の危機に瀕しているわけでありますから、違法事例があるかないかであるとか技術的に可能かどうかというようなものを超えて、原則的に全てやはり対象にしていくということが必要なのではないかというふうに思います。多分、環境省の中でもそういうふうに議論を重ねてこられたのではないかというふうに思いますが、どうしてこのような形になったのか、お答えいただけますか。

亀澤政府参考人 個体識別措置につきましては、本来、全ての生きている個体につけるということも考えましたけれども、少なくともアジアアロワナに関しましては、ワシントン条約で認められた繁殖施設から合法的に輸入をされている個体、すなわち、野生からとってきたものではなくて、繁殖施設で人工的に繁殖した個体が輸入をされているというような実態がございます。

 それから、体のサイズが小さくて、個体識別措置、マイクロチップなどを入れることが技術的に可能かどうかということは、現実問題として考える必要があるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、今申し上げた種はごく限定的であって、ほとんどの種は個体識別措置を入れることになるというふうに考えております。

田島(一)委員 いわゆるマイクロチップが入れられるかどうかというのが、お答えいただいた技術的に可能かどうかという話なんでしょうけれども、マイクロチップのサイズ以上のものというような前提に立つと、なかなかこれは、国際的な条件、前提等々に立つ場合、もっとほかの種にあっても、やはりきちっとした対応というものを求められていくのではないかと私は感じるところであります。もちろん、開発等々の費用など、ハードルが非常に高いということも認識をいたしますけれども、もう少し何か対応足るものに、しっかりと考えていただく必要があるのではないかなと実は考えるところであります。

 生きた動物以外のものであっても、登録票と一対一でやはり対応していく必要があるのではないかなというふうに私は感じるところであります。

 例えば象牙でありますけれども、これまでもいろいろと随分議論が重なりました。聞くところによると、ある国では、シリアルナンバーをつけたホログラムシールを象牙の本体に張って管理をし、そしてきちっと一対一の対応ができるようにされているというふうに伺っております。

 さてそこで、日本については今後どのような形でこの一対一での対応、登録票と一対一で対応するような方策を考えようとされているのか、現実的なマーキング方法というものについてどのようにお考えなのか、お答えいただけませんでしょうか。

亀澤政府参考人 登録した個体が死亡したにもかかわらず、その登録票を、違法に入手した別の個体の登録票として不正に流用した事件も発生をしております。このために、定期的にその状態を確認する必要がある生きた個体については、登録を失効させる有効期間の設定や、登録票と登録個体との関係を照合するための個体識別措置の導入を図ることとしているところでございます。

 象牙を含めまして、器官及び加工品につきましては、生きた個体に比べて状態が変わることは少なく、登録票が流用される可能性も低いことから、登録の有効期間及び個体識別措置を導入する必要性は高くないというふうに考えております。

田島(一)委員 済みません、話が生体に行ったり生体でなかったりとあっちこっち行ったりしますけれども、まず登録票と現物がきちっと一致しているかどうかというのは、これは管理しないとやはりだめだと思うんですね。

 実際に、この後で、私、皆さんにお配りした資料を用いて紹介させていただきたいと思いますけれども、例えばスローロリスというジャワ島産の希少性動物の生体票であっても、結局使い回しされているというような指摘が随分あったりします。登録票であっても、使い回ししようと思えば何とでもできてしまえるような、そういうものであってはやはりならないというふうに思います。

 もちろん、今、象牙にあっても写真を添付したりだとか、そういう形で販売されたりしている事実はありますけれども、これが本物なのかどうなのか、それ以降手を加えられたら全く形を変えてしまうということで、一致しているかどうかというのがなかなかわからないんですね。

 そういうことを考えると、専門家の方からもやはり指摘されているのに対応していかないということについては、非常に問題があるかというふうに私は思うわけでありますけれども、どのような対応をされようとしているのか、お答えいただけますでしょうか。

亀澤政府参考人 象牙につきましては、個体識別措置を講じるべきという御意見があるのは承知をしておりますけれども、流用する可能性は高くないというふうに考えておりまして、個体識別措置を導入することまでは考えておりません。また、技術的な問題として、象牙の個体識別措置、例えばシールにつきましては、象牙から剥がれやすいというような技術的な問題もあるというふうに承知をしております。

 今後も、象牙に係る流通の動向を踏まえて、その必要性については引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 私、きょうここへ来る前に、ヤフーという最大大手のネットオークションのページを開いて検索をかけてみました。象牙それから象牙のカットピースや端材等々、大体、検索すると、ヒットした数が百五十五点ありました。入札件数も数件ありました。

 もちろん、数時間で簡単に入札件数等々も変わったりするわけですから、今すぐに見たところで、その数字が正確性がないと言われるかもしれませんけれども、百五十五件以上ものこの出品数等々は、やはりこれは取引量が相当多いわけですね。のんびりと動向を見てからというようなことがなぜ言えるのかなというのが私の正直な気持ちであります。

 本来ならば昨年にでも出されていたかもしれないこの法改正が、一年かけてじっくりと検討しようと思えば、できる時間は十分にあったというふうに思うわけであります。ちょっとその点の動きについて、今後どのような形でこの取引を正常にそしてきちっとカバーしていけるのかという点が、私は非常に疑問であります。

 今後、このネットオークションのような形で売買されるケース、これは特定の業者だけではありません。個人の方も入札、応札することができるわけでありますから、今おっしゃっていたような取引量の少なさであるとか現状の先入観みたいなものはなかなか全て拭い去れないんじゃないか、そんな心配をしております。

 もし、何かその点についてもお含みおいてお答えいただけることがありましたら、お願いいたしたいと思います。

亀澤政府参考人 象牙の流通実態の把握につきましては、国だけでやるのではなくて、ヤフーを初めとするネットオークションの会社等にも協力をいただいて官民協議会という形をつくっておりますので、そういう民間の協力も得てしっかりとやってまいりたいと思います。

田島(一)委員 個人的な話になりますけれども、実は私、趣味で茶道をやっておりまして、茶道の道具にもかなり象牙が用いられております。

 濃茶のお茶入れのふたは、今でこそ樹脂製等々も出回っておりますが、やはり象牙でつくられているふただったりします。中には、ふた置きであったり香合であったり、いろいろな道具が実は象牙でつくられていて、またその貴重さに対して、やはり多くのコレクター、また、たしなむ人たちも憧れを持っているというのが正直あります。

 象牙という魅力というものは、使わない人にとっては全然わからないでしょうし、それであったとしても、これだけなぜ、新しいお茶入れ等々が焼かれて出回っているのに、象牙のふたが次々と新しいものがどんどんできてくるのかと、実は私も不思議に思っているところであります。

 骨とう品が出回っている分については、それは何ら新しい象牙を密輸したり加工したりしたものではないですから、ふえるわけはないんですけれども、新しいお茶入れにですら象牙のふたがやはりついている、このようなことを考えると、まだまだ全体像が把握し切れていないのではないかなと私は感じるところであります。

 水際でのチェックというのも非常に大事であります。しかし、例えば、インターネットのオークションをずらっと見ていると、印鑑のもととなります象牙の本体が、百本とか束で販売されていたりするケースがあるんですね。そうなると、取引量もやはり決して少ないとは言えませんし、先ほど申し上げた端材や柄材、煎餅材などの出点数、百五十五点というのを見ていても、決して私は少ないとは思えないわけであります。

 事業者間以外の取引というものも今後きちっとカバーをしていくことができるのかどうかという点、疑問を持つんですけれども、どのようにお答えいただけますでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 骨とう品であっても、古物商としての許可を得ている場合は、象牙の事業者の登録制度の対象になります。また、個人であっても、個人が一回限りで出品する場合は対象にはなりませんけれども、二回以上反復して出品されるような場合では今回の取り締まりの対象になるというふうに考えておりますので、民間の協力あるいは警察の協力も得てしっかり監視をしてまいりたいというふうに思っております。

田島(一)委員 アクセサリーから楽器、いろいろなものに古来から利用されていたという事実はやはりきちっと把握をしなければなりませんし、例えば、三味線のばちであるとか琴の琴柱だとかについても、やはり象牙の製品が今なお新品として売られている実態があります。そのもとがどのような形で流れていっているのかという、トレーサビリティーではないですけれども、そのあたりをきちっと把握をしていかないと、この地下マーケットにおける流通等々を、やはり全体像が把握し切れないのではないかと私は考えるところであります。

 どうぞ、この法律が成立した暁には、象牙のマーケット自体の全容をやはりきちっと明らかにしていくということをお約束いただきたいと思います。

 これ以上、象牙についての問いは終わらせていただきますが、ぜひ、その点だけ大臣からお答えを聞いて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、私も就任以来、象牙の問題には頭を悩ませてまいりました。

 今回の法改正で、ある意味からいったら、登録制になることによりまして、事業者が今持っていらっしゃる在庫の把握等々も進んでいくのではないかと期待をいたしております。

 まずは、今現在、国内にどれほどの全形牙の象牙が存在するのかということを把握していきたい、この法改正にそこに私は期待をいたしております。

田島(一)委員 次に、実は海外で日本が輸入元とされている押収事例等々についてお尋ねしようと質問は用意しておりました。所掌官庁が環境省ではありませんので、この点についてお尋ねしてもお答えしづらいので、この質問はカットさせていただきたいと思いますけれども、実際に、中国で三トン以上の象牙が日本から違法に持ち出されたとワシントン条約締約国会議の資料にも書かれております。国内にどれぐらいの象牙があるのかという推定、また、それらの所在をしっかりと把握することが何より大切であります。

 今大臣から明確にその姿勢をお答えいただきましたので、どうぞ、この点について、国内に存在する象牙の把握について努めていただくようお願いを申し上げて、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次なる質問は、動物園、植物園についてであります。

 先日、委員会で多摩動物園に視察にお邪魔をいたしました。私も、考えてみれば三十年ぶりの多摩動物園だったわけであり、その当時はコアラがやってきた時代でありまして、世間の皆さんが多摩動物園に関心を寄せていた、そんな時代だったわけでありますが、あの当時からも昆虫館が非常に全国的にも有名で、世界各国の希少種等々のコレクションやふ化等々取り組んでいらっしゃる動物園であるということは認識をしていたところであります。

 しかし、多摩動物園のようなそうした研究調査等々に力を入れている動物園ばかりではありません。さまざまなレベルの動物園や植物園がありますし、生息域外保全という大義のもとで、違法なルートで、野生動植物、とりわけ日本に生息していない種が持ち込まれないようにする必要があるのは明らかだというふうに私は思いますが、今後どういった措置をとろうとお考えなのでしょうか。

 今回、新たな認定制度で認定希少種保全動植物園という公共性の高い認定施設がつくられることとなりました。これが一つの大きなお墨つきを与えることになるわけでありますが、この公共性の高い認定施設の情報、管理であるとか動物飼養の状況、動物の福祉などなど、こうした情報についてはやはり広く国民に公表されるべきものというふうに考えております。

 飼養の目的、さらには飼養の計画、実施体制、そして展示の方針、動物たちを休ませる計画などなど、漏れなく公表されていくものというふうに信じてよろしいかどうか、お答えいただけますでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 改正法案におきましては、当該動植物園等において取り扱われる種の飼養等及び譲り渡し等に関する計画が、種の保存に資するものであることと、あわせて計画が確実に実施されると見込まれることを希少種保全動植物園等の認定基準としているところでございます。

 これによりまして、認定の段階で計画を審査し、譲り渡し等を行う種や譲り渡し等の相手方等を含めた計画が適切なものであることを確認したいと考えております。さらに、計画管理者の存在など、この計画が確実に実施できる体制等が整っていることを確認することになるため、違法な譲り渡し等を防ぐことができるというふうに考えております。

 さらに、環境大臣への定期報告や、環境大臣による報告徴収及び立入検査等を活用いたしまして、違法な譲り渡し等が行われていないか、事後的にも確認をしっかりしてまいりたいというふうに考えております。

 それと、希少種保全動植物園等を認定した場合には、認定された動植物園等の名称、所在地、飼養等及び譲り渡し等をする希少野生動植物種の種の名前及び飼養等及び譲り渡し等の計画等、関連する情報は広く公表することを考えていきたいというふうに思っております。

田島(一)委員 これは、認定をしてから全てクリアにしていくではなくて、遡及適用、今までの動物の入手経路等々についても全部オープンにしていただいて今回認定するという認識でいいんでしょうか。

亀澤政府参考人 認定の対象となるのは、国内希少種あるいは国際希少種等を飼っている場合ということでありますので、その計画に含まれる国内、国際的な希少種の情報は広く公表していきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 わかりました。どうしても、新手で手に入れるなんてことが横行するようでは、やはり動物園の人気というものもかなり陰っていくんだろうなというふうに私は感じます。正々堂々と正当なルートで手に入れていってこそ初めて国民の皆さんは喜んでその観賞等々に訪れるんだというふうに思います。

 恐らく、動物園の運営主体についても、もちろんおわかりのことだというふうに思いますが、とにかく金さえ積めば何とかなるみたいな、そういうような発想で子供たちに夢等々を与えていただくのだけはやはり避けていただきたい、そんな気持ちで私は、この新たに誕生いたします認定希少種保全動植物園の拡大を大いに期待させていただいているところであります。

 さて次に、種の保存についての国民の理解を深めていくことについての質問に入らせていただきたいと思います。

 この質疑の中でも随分、種の交雑等々についてのお尋ねも見られました。ことし三月に、たしか朝日新聞だったというふうに思いますけれども、沖縄在来のメダカが本州のメダカとの交雑によって絶滅の危機にあるという報道を目にしたことを記憶しております。

 メダカと一言で申し上げても、これまで私も何度か取り上げてまいりましたが、東日本型、瀬戸内型というように、同じ本州の中にあってもメダカでも種が違うというケースで、その交雑が随分進んでいることを過去質問に取り上げたことがありますが、もはや沖縄在来のメダカまでもが本州のメダカとの交雑で絶滅に瀕しているという状況であります。

 何でこんなことが起こったのだろうかと調べてみますと、全国各地で今、メダカが泳ぐ川を復活させよう、ビオトープなどなどのブームもあって、多くの環境保護団体が、自分たちの身近なところの小川にメダカが泳ぐ川を復活させるためメダカを放流しているというケースが随分後を絶ちません。この行為自体、ここで終われば非常に美しい、すばらしい行為だで終わるんですが、沖縄でもやはり同じようにこの保護活動の一環としてメダカを放流した。ところが、その放流したメダカが沖縄の在来のメダカではなく、本州のメダカだったということなんですね。結果的には、本州のメダカが沖縄在来のメダカを結局席巻して、絶滅につながりそうなおそれがあるというような話があるわけであります。

 観賞用のものまでもが放流されて交雑するケースというのがやはりあるわけであります。危機的な状況だというふうに私は感じるわけでありますが、残念ながら、この法律の改正案の中には交雑個体に関する見直しというものは入っておりません。一体どのような対応をされようとお考えなのか、まずお答えいただけませんでしょうか。

亀澤政府参考人 メダカにつきましては、同一種内であっても地域の個体群ごとの遺伝的な特徴が異なり、保護活動としてほかの地域から持ち込んで放流された個体が、その地域の在来の個体と交雑して、その地域の生態系に影響を与えるケースがあることは認識をしております。このため、生物多様性保全の観点から、正しい認識のもとで保全活動を実施していただく必要があるというふうに考えているところでございます。

 学識経験者等の有識者から成る淡水魚保全のための検討会において作成され、昨年四月に環境省が公表いたしました、二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言におきましても、遺伝的な攪乱が生じることを避け、既存の生態系を保全するために、在来の淡水魚についても安易な放流を抑制する必要があるということが記載されております。

 メダカの交雑個体は、交雑していない個体との外見上の見分けが難しくて、現場での取り締まりも困難であることから、法的な規制にはなじまないというふうに考えておりますが、まずは、そういう提言も踏まえまして、安易な放流を抑制するための普及啓発による対応をしっかり行ってまいりたいと思います。

田島(一)委員 本当につらいのは、善意でやられていることが裏目に出ているということなんですよね。認識をきちっと持っていただいていたならば、在来のメダカをふ化させて放流しよう、それならば大きな拍手を送るべきところが、やっていることがかえって、余計なことをしやがってみたいな話につながっているわけですよね。

 こういうケース、本当に沖縄だけの話じゃないと思うんです。よそでもやはり起こっているわけで、それすら気づかずに、まだ拍車をかけて放流されているなんというケースもやはりあると思うんです。

 本当に広報啓発は大事やとは思うんですけれども、なかなかそれがやはり行き渡っていないんですね。自分は環境保護家だと自称する人に限ってそういう認識が甘かったりすると、行動力があるだけに、やはりおっかないんですよ。何とかその首元をきちっとつかんでおかないと、これはとんでもないことになる、法律をつくっただけではどうしようもない、現場で抑えなきゃいけないというのが私のすごく心配するところなんです。

 もう少し何か具体的に、法律に書くほどのことではないというようなお話ではあったんですけれども、やはり今回、この検討についてはちょっと思い入れを持ってやっていただかないと、国内のメダカですら種の交雑がどんどん年を追うごとに広がっていくんじゃないかなと私は心配しているんですけれども、具体的にどのような形で広報啓発、そして対応を考えようとされているのか、お聞かせいただけませんでしょうか。

亀澤政府参考人 委員御指摘のとおり、それぞれの地域で、現場での普及啓発がそれぞれのところで浸透していくことが大変大事だというふうに考えておりまして、具体的には、地方環境事務所もありますが、地方環境事務所におきまして、地元の、それぞれの地域で活動される団体とのふだんからの情報交換、そういうものも通じて、そういう道もたどりながら、それぞれの地域での普及啓発をしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 どういうルートで放流したりするメダカ等々を手に入れていらっしゃるかという、そのもとをやはり断たないとだめだと思うんですね。実際にネットオークションなんかででも売ってはるんですね。しかし、そういうような記述だとか注意書きなんというのは一切ない。全国どこの方でも購入できてしまえるんですよ。そういうところに、まず何よりも、そこのただし書きをきちっと入れなさい、もしくは、放流するのはこの地域に限りますというようなことさえ書いて、認識があれば、そういう誤った交雑というのは絶対に起きないと思うんですね。

 大臣、今、メダカのことを引用させてもらいましたけれども、やはり、浅い認識、浅い知恵のもとで展開される環境保護活動は、かえって災いにつながってしまうんだという認識をぜひお持ちいただきたいんです。

 それで、私、何が大事かなと考えたとき、学校教育や社会教育はもちろんのことでありますけれども、専門的な知識や経験というのを持っている方をもっともっとやはりふやしていかないと、物理的に今足りないんだと思うんですね。

 実際に、沖縄にも環境省の出先機関がありますが、その出先機関がありながら、沖縄種、沖縄の在来のメダカが絶滅の危機のおそれにあるという事態を引き起こしてしまっていることに何ら水を差すことはできませんでした。沖縄の地方事務所が悪いと言っているわけでは決してありませんが、せっかくありながら、現場を職員の皆さんが歩いていて、いろいろな情報収集等々をしていったら、ひょっとしたらもっと早くに手を打てたんじゃないかなという、そんな後悔の念が立つわけであります。

 人材の育成、そして環境保護団体、先ほどの参考人の方からも、さまざまな、絶滅のおそれのある品種を守る地域での取り組みを御紹介いただきました。しかし、そういった団体にあっても、完璧にその生態系全部を把握して取り組みをされているかというと、必ずしもそうではないだろうというふうに思います。

 そう考えると、やはり、こうした先進的な取り組みの団体も、きちっとその中身、活動の実態というものを把握する仕組みが必要なのではないかなと私は思うわけであります。いろいろな折に触れて、そうした環境保護活動に取り組んでいる団体を表彰したりするケースも決して珍しくはないと思います。そういった表彰することと同時に、やばそうな活動をしているところには警鐘を鳴らすということも一方でやらなきゃならないと思うんです。

 こうした、知識を広く国民に伝えていくための教育や団体の支援、さらには人材の育成について、具体的にどんなふうに今後進めていこうとお考えか、ぜひ大臣からの御決意を、姿勢を聞かせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、これから私どもは、科学的根拠に基づく環境保全活動を促進していきたいというふうに思っております。そのためには、正しい知識の普及啓発や、それを通じた人材の育成が極めて重要だろうと思っております。

 そういう中で、先生と昔、環境教育という法律をつくったと思っておりますけれども、環境教育というのは大変幅の広いことを指すわけでございますけれども、やはり、ある意味からいったら、子供のときに、こういう生態系というのはこういうものなんですよというようなことを教育の場で教えてあげる機会があっていいんだろうと思っております。したがいまして、学校現場においても、環境教育、地球温暖化防止ということも大事なことですけれども、やはり足元の、いわゆる生態系というものに対する考え方を正しい知識として子供のときから教え込んでいくということはあっていいんだろうと思っております。

 それと、もう一つ、私が経験上思いますことは、数十年前から比べれば、地方において、環境に熱心な団体が随分とできてまいりました。そういうところの指導者の方に正しい環境知識を身につけていただく機会を、さっき局長の方から環境事務所という表現がございましたけれども、やはり環境省本体の動きとして、そういう全国的な一つの動きをしてもいいのではないかというふうに思っております。

田島(一)委員 役所だけが頑張るのではなくて、今や民間の財団や企業にあっても、社会貢献活動の一環として、さまざまな地域での具体的な環境運動を展開されているケースは決して珍しくなくなりました。協力いただいている企業、それこそ、生物多様性のときにも経団連を通じて協力要請もかけ、今どのような関係を築いていらっしゃるのか存じ上げませんけれども、お願いすればまだまだ協力していただけるセクターはいっぱいあろうかというふうに思います。そういったところにぜひアンテナを高く掲げていただいて、いろいろな団体、いろいろなセクター、そしていろいろな地域で、やはり本当に正しい認識に基づいた環境保全活動そして希少動物種の保存活動等々が進むことを、強く心から願うものであります。ぜひ、予算の獲得、そして他省庁への働きかけも力を入れていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 あと十分程度になりましたので、最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 きょう、皆様のお手元に一枚のフライヤーをお配りさせていただきました。「東京レプタイルズワールド二〇一七」という、これは広報用のチラシであります。

 まず、大臣、このイベントは御存じでしたか。

山本(公)国務大臣 まことに済みません、知りませんでした。

田島(一)委員 結構です。よく知っていますと言われると、かえって突っ込みようがなかったんです。

 実は、このイベント、二〇〇二年ぐらいから行われていて、エキゾチックアニマルと言われる、タイトルにもありますよね、「ちょっと変わったペットたちと一緒に暮らそう!」。暮らしたい人がこの部屋に何人いらっしゃるかわかりませんけれども、昨年だけでこのイベントに二万人来場者があったそうであります。しかめ面されている政務官も多分私と同じような印象だろうというふうに思いますけれども、このレプタイルズワールド二〇一七、同様に神戸でも開催されているようであります。

 本来日本にいるはずのない希少野生生物が、このようなフライヤーだけではなく、ホームページやいろいろな広告、広報媒体を通じて宣伝されて、エキゾチックアニマルを飼育することを促進していらっしゃるわけであります。

 「爬虫類・両生類・猛禽類など鳥たち・有袋類など小哺乳類の展示・即売会」とあります。何やら子供たちがすごくうれしそうな表情で、右下の写真に、手の上に乗っけて親しんでいる様子もありますし、その上では、どこか、いつもテレビで見るお年寄りも何かマイクを握っていらっしゃる姿が写っています。

 この裏を見てください。ハリネズミ、パンサーカメレオン、インドホシガメ、コーンスネーク、パイソンなどなど、お金を出せば何でも買えてしまう、そんな時代になりました。

 買う人がいるから売るやつが出てくるのか、売る人がいるから買う人が出てくるのか、卵と鶏の関係のようでありますが、実際にこのような場で購入された希少生物は、本来いるはずのないおうち、マンションで生きているようでありますが、寿命を全うできる生き物というのはほとんどいないというふうに聞いています。

 とあるNPOからは、以前に取得した国際希少野生動植物種登録票が、同じ種類で若い未登録の個体の販売に使用されている、疑わしい調査実態も指摘されています。しかも、この販売方法が余りに劣悪だという報告も受けています。

 その販売方法の状態については動物愛護法関連でありますから、この法改正の部分にはなじまないのかもしれませんけれども、皆さん、デパートの地下なんかで買われた方、あるでしょうか、カットフルーツなんかが入っている透明のプラスチック容器、卵ケースみたいなものにパイソンなんかの蛇がとぐろを巻かされて、身動きとれずに販売をされているようであります。おりの中に入れられた猿等々も何とかしておりを出よう、出ようとしているのですが、そんな動物の福祉はお構いなしに、この二日間、おりの中に閉じ込められて販売されているようであります。

 販売する業者も限られた面積のブースに高額の出展料、三十万円とお伺いしておりますけれども、三十万円を払っているので、カットフルーツの透明ケースぐらいに押し込めた蛇類などを所狭しと並べて販売をしていらっしゃるようであります。

 この催し、五月の二十日、二十一日であります。買えとは誰も言いませんので、ぜひ一度、環境省で視察に行っていただいたらどうかなと思うんですけれども、これまで環境省は、このイベント、二〇〇二年から開催されているというふうに聞いていますが、どなたか、環境省内で視察に行っていらっしゃるかどうか、その実態だけ、お聞かせいただけますか。

亀澤政府参考人 毎回ということではありませんけれども、担当者が見に行ったことはあるというふうに聞いております。

田島(一)委員 その視察をされた感想、さらには視察の状況で、私が先ほど申し上げたような販売の形態等々について報告はあったかどうか、またそれについて対応されたかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

亀澤政府参考人 済みません、私自身は特別な報告は受けておりません。

田島(一)委員 ぜひ、お勧めいたします。五月の二十日、二十一日、ぜひ見に行ってください。

 三役の方も、土曜日、日曜日で御地元が忙しいかもしれませんけれども、見て、この法改正の審議をしているときに田島が渡したこのフライヤーを持ってというふうに言っていただいて結構です、ぜひ見に行っていただいて、その後ある委員会で、ぜひその感想を聞かせていただきたいと思います。

 実際に、このエキゾチックアニマル、全国で大体何体ぐらい今飼育、飼養されているか、環境省は把握されていますか。お答えいただけますか、エキゾチックアニマルの全国飼養頭数。

亀澤政府参考人 環境省としては把握しておりません。

田島(一)委員 数自体も御存じではないですが、二万人が来場して何頭ぐらい売れているかも、これはもちろん把握はされていないだろうというふうに思います。

 ただ、このエキゾチックアニマルを購入した人は必ずおうちで飼われているはずなんですよね。万が一このエキゾチックアニマルが病気になったりけがをした場合誰が診ているのかといえば、実は動物病院の獣医さんなんですね。全国に動物病院というのは一万軒以上あり、動物病院で働いている獣医さんというのは約一万五千人いらっしゃいます。しかし、その大半は、犬、猫、そして畜産動物が対象であって、エキゾチックアニマルの中でも爬虫類を専門に診察しているお医者さんの数、動物病院の数、これを環境省は把握していらっしゃいますか。数字を示していただけませんでしょうか。

亀澤政府参考人 環境省では、爬虫類を専門に診療している動物病院、獣医師の数は把握しておりません。

田島(一)委員 私、つい先日、都内でエキゾチックアニマル専門の獣医師さんとお出会いさせていただいて、おおよその数字を聞きました。確証のある数字ではありませんけれども、十軒以下だそうであります。そして、獣医師の中でも、こうした爬虫類の診察ができる獣医さん、獣医師は国内に二十人程度しかいらっしゃらないということであります。たった二十人程度で、八千種類の爬虫類の知識を十分に持ち、そして、けが、病気等々に対応できているのかということを考えると、私はまず不可能だろうなというふうに思うわけであります。

 病気をして弱ってきたら、では、この十分な知識を持たない、エキゾチックアニマルを購入した買い主はどうするんだろうか。その命はどうなっていくんだろうか。生態や特徴も理解できずに、かわいいから、珍しいからというだけで飼育したならば、恐らく寿命は全うできずに、野外へ遺棄したり、死なせてしまうのが落ちではないかと私は思うわけであります。

 本来日本にいてはいけない生き物を野外に遺棄したり、飼養放棄する、飼育放棄するということ、そんなのを見ると、私は、絶対に、こうしたエキゾチックアニマル、希少種の飼育というのは奨励してはいけないんだというふうに考えるわけであります。

 本来生息していない生き物、種類は日本からやはり何とかして原産国等々へ戻すのが大事であるというふうに思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

山本(公)国務大臣 外来生物法であったり種の保存法であったり動物愛護管理法であったり、法律において、今先生が御指摘のようなことに対する指摘はございますけれども、私は、今のお話の内容というのは法ではなかなかうまく管理ができないんだろうというような感じをいたしております。

 先ほどお話がありましたと同時に、やはり動物を飼うということ、また、さっき、エキゾチック何と言うんですか、私は爬虫類がだめなので、写真を見ること自体がだめなのでほとんど目を背けていましたけれども、そういうこと等は、やはり正しい知識を皆さん方に持ってもらう。

 さっき、お話を伺いながらちょっと感じたんですけれども、最近、別の案件で、スーパーマーケットの、何というか使い方と言ったら語弊がありますけれども、随分不特定多数の方が出入りされるところで、ある種の張り紙を出して、張り紙というかポスターでもいいんですけれども、何らかのやはりキャンペーンをやっていく価値はあるなというような気がいたしております。

 ちょっと余談でございますけれども、田島先生がおっしゃった、いろいろな意味で、種の保存のことに関して私もいろいろな思いがあるんですけれども、いつも思い出しますのは、ニューヨークにワイルドセンターというところがあります。ローランドゴリラを飼っているんですけれども、本当にガラス越しに目を見詰め合うんです、これぐらいの距離で。哲学的な表情をしているんですよね。見ていて、彼は一体何を考えているんだろうと思わしめるんです。ひょっとしたら、彼は俺を見ているのか、何か、俺の方が飼育されている状況でゴリラに見詰められているのかなというような感じすら与えるところなんです。

 あそこでいつも思いますことは、彼はやはりアフリカにいる方が幸せだったのかなと思うんですけれども、いろいろな条件等々を考えていくときに、あそこのワイルドセンターで飼育をされて子孫繁栄を図っていくというのも一つの物事の考え方かなということを、いつもこういう問題が起きるときに考えてしまうんです。

 いずれにしましても、私は、爬虫類は別ですけれども、うちの娘がハムスターを飼っていまして、ハムスターも死にました。これも外来生物ですけれども。その死んだときに、娘の表情を見ていて、お通夜をやっておりました、やはり動物に対する思いがあれば、どんな動物であろうと、飼えば親しみが湧く、愛情が湧く、当然だろうと思います。飼う以上は愛情を持って飼ってもらいたいなということだけは申し上げておきたいなと思っております。

田島(一)委員 愛情は当然必要だろうと思いますが、病気になったりしてしまうと愛情というのはぶっ飛んでしまう可能性がやはりあるんですね。ですから、飼い方や生態がわからないものは飼わないことがやはり大事だと私は思うんですね。

 今、ペット飼育の規制が厳しい欧米からの観光客を日本全国いろいろなところでお見かけいたします。でも、海外、とりわけ欧米からの観光客が厳しい声を上げるのは、日本のペットショップ、国際希少野生動物までも売っている日本のペットショップについて、非常に厳しい意見をおっしゃっています。違法ではないかという声、さらには、動物園や水族館に対しても非常に厳しい目で見て、そして厳しい意見をネット上でも上げていらっしゃいます。

 非常に評判が悪いということを考えると、この先、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックもあり、海外から相当観光客がお越しになられるわけであり、日本の悪い評判が立ってしまいかねないそんな事態が、この法律にかかわる動物園や水族館、さらにはペットショップということにもなります。

 生息国で保護されている動物の国内でのペット用販売や、ワシントン条約を遵守した交雑個体の扱い、さらには動愛法と連携した取扱業者の規制強化など、まだまだやらなきゃならないことがたくさんあろうかと思います。

 本来ならば、大臣に最後の御所見をいただきたいところでありますが、私は、この法改正を通じて、これがゴールではないんだということだけは皆さんとともに共有をしていきたいと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 種の保存法改正案の質問をいたします。

 今回の法改正では、国際希少野生動植物種の登録手続につきまして、新たに登録の有効期限を設定するとともに、個体識別措置を導入する措置が行われます。この点で、個体識別措置の導入についてお尋ねをいたします。

 この個体識別措置は、環境省の説明のペーパーなどでは、可能かつ必要な種ということもちょっと書いてありますけれども、本来、全ての国際希少野生動植物種を対象に行う、これが基本ではないかと考えますが、この点についてまずお答えをください。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 個体識別措置の導入対象としては、生きている個体を想定しているわけですけれども、一部例外もあると考えております。

 それは、ワシントン条約で認められた繁殖施設から合法的に輸入されており、かつ原産国で密漁等の問題が生じているとの情報のないアジアアロワナと、あとは、体が小さくて個体識別措置の装着が技術的に困難な種という限定的なものとする考えでございます。

塩川委員 技術面の話がありました。個体が小さいというために個体識別措置がつけがたいという話ですけれども、その辺も、いろいろ技術的には解決する問題もあると思うんですね。そういったさまざまな技術的な改善、運用等を行うことによって、基本はこういった個体識別措置を行っていく、そういう立場で臨む、その点について改めて確認をしたいと思います。

亀澤政府参考人 基本的には例外なく個体識別措置を入れていきたいというふうに思っておりますので、技術的な改善も含めて、全てのものに入れられるようにしていきたいというふうに思います。

塩川委員 今お話がありましたように、原則全ての国際希少野生動植物種を対象に行う、対象外は非常に限定的に行っていくという立場で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、海洋生物の国内希少野生動植物種の指定に関連してお尋ねをいたします。

 全体として、レッドリストについて確認的に伺いたいんですけれども、レッドリストを作成、掲載する、その意義について環境省としてはどのように考えておられますか。

亀澤政府参考人 レッドリストは、法的な根拠があるものではありませんけれども、絶滅のおそれのある種について専門的、客観的な立場からリストアップすることによって、その後の法律による指定、あるいは世の中に対する普及啓発、そういう意味があるというふうに思っております。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

塩川委員 直接的な法的効果を伴うようなものではありませんけれども、しかし、絶滅のおそれがある種について、科学的な知見で明らかにすることによって、その後の法的措置、国民への広い意味での啓蒙にもつなげていくということで、大変意義ある取り組みであります。

 そういったレッドリストの評価、掲載について、もちろん地方自治体、NGOの取り組みはあるわけですけれども、環境省以外の国の機関が実施している例というのはあるんでしょうか。

亀澤政府参考人 レッドリストにつきましては、野生動植物の種の保存を所掌する環境省がこれまで作成してきたところでありますが、海洋生物につきましては、環境省に十分な知見の集積がない一方で、水産庁には、長年の資源評価の知見や小型鯨類について多くの全国的な知見が集積されていることから、これらの種につきましては水産庁により評価を行っております。

塩川委員 環境省以外でこのようなレッドリストの評価を行っている国の機関は水産庁しかありません。

 海洋生物についての知見があるからということですけれども、そういう意味では、海洋生物をとっても、レッドリスト評価について環境省と水産庁がすみ分けをしているということになるんですけれども、基本は環境省のもとで、水産庁が持っている知見、あるいは水産庁と一緒に協力しているような専門家の方の力もかりれば、特段すみ分けをする必要もないんじゃないかなと思うんですけれども、なぜそこの水産庁のところだけ切り分けるようなことにしているわけなんですか。

亀澤政府参考人 水産庁にはこれまでの蓄積が相当あるということから、水産庁のそうした知見を活用して水産庁が評価を行うことがより効率的、効果的というふうに判断をして、そのような形で役割分担をしたところでございます。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 海洋生物については、一九九二年に当時の環境庁と水産庁が交わした絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案に関する覚書によって、水産資源保護法に基づく採捕制限により保護すべき水産動植物は種の保存法の指定の対象外とされた。こういうすみ分けがレッドリストの作成に当たっても影響しているということじゃないですか。

亀澤政府参考人 その覚書に関しましては、既に破棄をされたといいますか、既に水産庁の方でも法的拘束力がないというふうに認識をしておりますが、実際上、知見が環境省にないという実態がありますので、環境省といたしましては、今後、海洋生物に関する知見の集積には努力をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 法的拘束力がないという水産庁の答弁もあるということですけれども、この覚書そのものはそういう趣旨かもしれませんけれども、実際のこの運用上でどうなっているのかという問題であります。

 そういう点でも、このレッドリストの作成についてもすみ分けがあるわけですし、やはり種の保存法に基づく国内希少種の指定に当たって、残念ながら、海洋生物のこの指定の状況というのがふさわしいのかという疑問の声というのは広くあるわけであります。

 大臣にお尋ねいたしますが、レッドリストのすみ分けの話ですけれども、それにとどまらず、種の保存法の希少種の指定についても影響を与えているんじゃないかという懸念というのは当然出るわけですけれども、私は、水産庁の保護の観点というのは水産資源保護法に基づくものであって、水産資源保護法というのは、漁業として利用する水産資源の保護培養を図るということを主目的とする法律であります。ですから、水産資源保護法に基づく水産資源保護の観点と、種の保存法に基づく希少種の保護という観点はそもそも一致しないんじゃないのか、仕組み上、やはりそごが生じるんじゃないかと思うんですが、その点についての大臣のお考えをお聞かせいただけませんか。

山本(公)国務大臣 確かに、種の保存法と、漁業としてのいわゆる資源の評価というのは若干違ってくるだろうとは思っておりますけれども、先ほど来局長が答弁いたしましたとおり、環境省よりははるかに知見は有しているのが水産庁であろうかというふうに思っております。

 したがいまして、水産庁の持つ一つの研究施設等々を通じての知見というのは、環境省は間違いなく利用させていただいているというふうに思っております。

塩川委員 ほかの役所でこういうふうにすみ分けしている例はないわけですから、基本は環境省のもとで、いわば誤解がないようにといいますか、当然科学的な知見に基づいてと、基準についても一応水産庁とも一致してやっているという話でありますけれども、そうであるならばなおのこと、環境省のもとで統一してそういったレッドリストづくりを行い、それが絶滅危惧種として種の保存法の希少種の指定にもつなげるような、そういう一連の流れになるということが目に見えてわかるような、こういう取り組みこそ必要じゃないかなと思いますので、そういう点でも、環境省が統一して実施をする、こういう立場に踏み出していく、このことが必要だと思うんですが、改めていかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 私は就任前に自民党で水産もやっておりましたので、水産庁が持つ一つの能力というのはよく評価をいたしております。

 その上で申し上げますけれども、海のことに関しまして言いますと、小沢前大臣も細野前大臣もいらっしゃいますけれども、環境省には船がありません、まず船が。あると言いました、どこにあるのと言ったら、慶良間諸島にボートがあると。そういう機動力しかないわけでございまして、その点、逆に、水産庁の方は、水産研究所もありますし、海のことに関して言えば圧倒的に知見を有していることだけは間違いないんだろうと思っておりますから、先ほど来お話を聞いておりますと、すみ分けという言葉がございましたけれども、当然、水産庁と環境省は協力をしながら海洋生物のレッドリストづくりはやっていく必要があるんだろうというふうに認識をいたしております。

塩川委員 次に、ジュゴンの保護対策についてお尋ねをいたします。

 ジュゴンについては、二〇〇七年にレッドリストに掲載をされました。

 環境省にお尋ねしますが、ジュゴンの分布域や生息地、個体数の現況など、現在の生育状況について説明していただけますか。

亀澤政府参考人 ジュゴンは、インド洋とその周辺海域からバヌアツ、東南アジアに至る温暖な沿岸域のうち、内湾やサンゴ礁周辺で生活し、アマモなどの海草を食べて暮らしております。

 日本近海では、明治時代には奄美大島以南の南西諸島に分布をしておりましたが、定置網漁等による混獲事故死や海岸開発等による海草藻場の消滅により、一九七〇年代以降は、沖縄島の中北部の沿岸水域で確認されるのみとなっております。

塩川委員 今お話しになりましたように、かつては奄美大島から八重山諸島方面まで分布をしていたけれども、現在は、沖縄本島の北部沿岸に他の分布地から隔絶した北限の個体群として少数が残存する、レッドデータブックでこのように掲載されているものであります。

 今若干触れていただきましたけれども、こういった非常に少数の個体群の存在ということですけれども、存続を脅かす要因というのは、内的な要因や外的な環境、外的な脅威がどのようなものがあるのかについて、改めて御説明をお願いしたいと思います。

亀澤政府参考人 日本近海のジュゴンは、生息数が数頭以下という極めて少ない状況でありますので、こういう状況でありますれば、一個体の死亡が大きな脅威となると考えております。

 具体的には、漁網による混獲事故、そういうものが一つの大きな脅威になるというふうに考えております。

塩川委員 漁網による混獲事故というお話がありました。この点は極めて重要だと思っております。

 海草藻場が非常に損傷しているという問題なんかもありますし、もちろん、さまざまな陸地部分における開発行為というのが海に非常に否定的な影響を与えているという問題も当然あるわけであります。ですから、こういった漁業に係るような事故死を根絶をする、こういう取り組みとともに、生息環境を改善して個体数の回復を図ることが重要であります。

 現在、ジュゴンについての現行の保護対策というのは、法制度上はどのようになっているでしょうか。

亀澤政府参考人 現状、ジュゴンにつきましては、鳥獣保護法により個体の捕獲、殺傷が原則禁止されているとともに、種の保存法による国際希少野生動植物種に指定されていることで、流通も禁止されております。

塩川委員 鳥獣保護法で個体の捕獲、殺傷が原則禁止、種の保存法による国際希少種の指定で流通の禁止ということですけれども、その他、水産資源保護法や文化財保護法もかかっていると思いますが、これはどのような措置になっているかわかりますか。

亀澤政府参考人 それらの法律につきましても、採捕規制あるいは捕獲規制がかかっているというふうに承知をしております。

塩川委員 文化財保護法で特別天然記念物の指定というのは非常にインパクトがありますから、その重要性というのを多くの方が認識する上でも、こういったそれぞれの法律に基づく保護措置というのが役割を果たしているとは思います。

 ただ、文化財保護法や水産資源の保護法、鳥獣保護法というのは、ジュゴンの捕獲制限、捕獲の禁止、殺傷の禁止、こういう措置でありまして、絶滅危惧の野生生物の保護を直接目的としているわけではありません。また、種の保存法による国際希少種の指定というのも、基本は流通面でありますから、そういう点でも非常に限定的な措置でしかありません。そういう意味では、個体の保護対策にとどまっているという現状であるわけで、この点で不十分だと言わざるを得ません。

 レッドデータブックでも、生息環境を改善して個体数の回復を図ることが重要だと指摘をしているわけですけれども、このように、生息環境を改善して個体数の回復を図る、こういう措置ということで、環境省、国が取り組むことというのはどうなっておりますか。

亀澤政府参考人 ジュゴンに関する生息環境の改善という点では、ジュゴンが採食に利用している海草藻場の環境改善ということは考えられますが、現状で海草藻場は沖縄本島周辺に広く分布しておりまして、積極的にそれを人工的に造成等を進めるという状況にはないというふうに考えております。

塩川委員 実際に、個体の保護にとどまらず、個体数の回復を図っていく、こういう措置ということで具体化するものというのはないんですか。

亀澤政府参考人 自然の中で個体数をふやすためには、海草藻場、餌場との関係が特に重要かというふうに考えておりますが、赤土の流出防止とか、そういうことは考えられますが、海草藻場そのものを積極的に造成していくということまでは考えにくいかなというふうに思っております。

塩川委員 文化財保護法や水産資源保護法、鳥獣保護法でのジュゴンの捕獲制限はわかりますが、ただ、先ほども言いましたように、絶滅危惧の野生生物の保護を目的としているわけではありません。

 そういう点では、種の保存法の国内希少種の指定ということに踏み出すことによって生息環境の改善や個体数の回復を図る措置を行っていく、こういう道筋をつけることが必要じゃないかと思うんですけれども、この点で、種の保存法に基づく指定ということについては考えていないんですか。

亀澤政府参考人 法の指定効果という意味では、鳥獣保護法を初めとする既存の法律での指定もされているところでありまして、これに加えて種の保存法に基づく国内希少野生動植物に指定した場合の規制措置というのは、既にこれらの法令で担保されているというふうに考えておりまして、国内希少野生動植物種の指定による保全上の新たな効果は大きくないというふうに考えております。

塩川委員 いや、そういうふうには思いませんが。

 種の保存法に指定することによって、もちろん個体の保護を図っていくということも当然ですけれども、やはり、保護増殖事業を実施する、また、保護地域、保護区域を設定する、こういうことを通じて個体数の回復を図っていく、こういったことは必要ではないかと思うんですけれども、それは要らないということですか。

亀澤政府参考人 現状において、直ちに国内希少野生動植物への指定を考えてはおりませんが、海洋生物のレッドリストをつくったということもありますし、今後、海洋生物全体の指定に係る検討の中では検討はしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 検討した結果、指定もするということで、その際に、指定だけではなくて、例えば保護増殖事業計画を策定する。種の保存法に基づいて指定をした上で、保護増殖事業計画を策定する、そういうことまで踏み込んでやらざるを得ないんじゃないかと思うんですが、その点、環境省として踏み込んでやる考えはないんですか。

亀澤政府参考人 種の保存法による指定の効果という意味では、種指定だけではなくて、その後の保護増殖事業等が大きな意味を持ってくるということはそのように考えておりますので、今後指定を考えていく場合には、種の指定だけでなくて、その後の保護増殖事業等の措置もそれはセットで考えていくことになるというふうに思います。

塩川委員 ぜひ大臣にもこの点で一言御答弁いただきたいんですけれども、やはり他の法律でジュゴンの保護を図るということはあるわけですけれども、そもそも絶滅が危惧される種であるわけですから、こういった絶滅が危惧される種についての保存を図るという種の保存法に基づく希少種の指定と、その具体的な回復措置として保護区域の設定や保護増殖事業計画を立てる、そういったことまでいわばセットで踏み出してこそ回復が図れるんじゃないのかと。

 まさに数頭で、三頭とか何頭とか言われるような深刻な状況であるわけですし、そもそもこの分布の北限に位置する場所ですから、そういった希少性というのはまさに明らかであるわけで、そういう意味でも、種の保存法に基づく希少種の指定、それを踏まえた保護増殖事業計画などをしっかりと立てるということでジュゴンの保護を図っていくということに踏み出していく必要がある、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 先ほど来局長が御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、極めて先生の御指摘のこのジュゴンの問題というのは難しい問題だろうとは思っておりますが、先ほど来局長が答弁させていただいたとおりではございます。

塩川委員 この点では本当に、種の保存法に基づく指定が行われていないということに、私、率直に言って、環境省の姿勢があらわれているんじゃないのかということを問わざるを得ません。こういう点でも、当然のことながら、種の保存法に基づくふさわしい指定や措置を行っていくということを求めていきたいと思うものです。

 沖縄県も、こういったジュゴンについての保護対策事業に取り組んでいます。検討委員会も立ち上げて議論も行っているわけです。そういった中には、混獲リスクの低減を図るという取り組みと同時に、生息環境の保全を図るという措置なども掲げているわけですね。

 もちろん、生息環境の保全で、保護地区の設定というのはなかなかやはり難しい問題はあると思います。ですから、そこも知恵を出して考える必要がある。ただ、それがやはり生息環境の保全に必要だという観点は沖縄県も訴えているところであるわけです。

 検討委員会の文書を見ましても、ジュゴンに餌場として利用されている重要な海草藻場に関してはその周辺海域を積極的に保全することが重要である、そのための最も効果的な手段として保護区制度の活用による一定の開発行為等の規制が有効と考えられる、将来的な保護地区の設置を含めた検討を行いたいとしているわけです。

 こういった沖縄県の取り組みに対して、環境省として、保護地区の設置を含めた検討を支援していく、そういう考えはありませんか。

亀澤政府参考人 混獲リスクの低減あるいは生息環境の保全あるいは保護区の指定等、それらを海洋生物全体の指定に係る検討の中で考えていきたいというふうに考えておりますが、その際には沖縄県等とも十分連携をとって進めてまいりたいと思います。

塩川委員 沖縄本島北部は、生物多様性の観点から、重要度の高い海域に指定をされている貴重な海域であります。そこに米軍新基地建設が、予定地として、今工事がまさに始まったところであります。このような米軍新基地建設を強行しようとしていること自身は、オール沖縄の反対の声を踏まえて、許すことはできません。

 きょうから辺野古の沿岸部の埋め立ての護岸工事を始めるということであります。大量の石材や土砂が投入をされればもとに戻れないわけですから、私は、こういった米軍新基地建設に対しても、環境省として、環境を保全する立場から、生物多様性を保全する立場でしっかりと物を言っていくということこそ必要だと思うんですが、この点で大臣の方はいかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 所管外のことは答弁は差し控えさせていただきますけれども、ジュゴンという希少な動物に対して環境省は今後何ができるか検討してまいりたいと思います。

塩川委員 オール沖縄の声に応えて、辺野古沖における米軍新基地建設は中止をすべきだ。普天間基地は即時閉鎖、撤去を求めるものであります。ジュゴンの保護の立場でしっかりとした対策をとることを強く求めておくものであります。

 最後に、象牙等の事業者の管理強化について何点かお尋ねをしたいと思います。

 条約締結前の全形牙取得という要件は、所有者本人とその家族、知人がサインをした書類だけで登録が可能となる。これは、率直に言って、条約適用前に取得をしたという客観的証拠が必要とされない現状という点で適切とは言えないと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

亀澤政府参考人 全形牙の登録申請に当たっては、規制の適用日、これは一九九九年一月でございますが、それ以前に取得されたものであることを確認するために、公的な書類がない場合に限って本人以外第三者による証明を求めております。

 一方で、この第三者証明を用いた今の全形牙の登録審査のあり方については課題も指摘をされているというふうに承知をしておりまして、今後、第三者証明につきましては証拠書類として採用しないということも含めて、登録審査の厳格化について検討したいというふうに考えております。

塩川委員 そういう意味では、本来、公的書類というのがきちっと担保されるということが求められているわけで、そういう角度から、信頼性が損なわれるようなやり方というのは改めるべきだ、こういうことで臨むということで、改めて御答弁を求めたいと思います。

亀澤政府参考人 客観的な、公的な書類、それによる審査をすることで信頼を確保してまいりたいというふうに思います。

塩川委員 こういった登録に当たっての登録機関であります自然環境研究センターについて、登録申請者に対し、電話の問い合わせがあった際に、このセンターの職員の回答として、昭和の時代ということなら問題ないと、条約適用前となるような取得年の記載を勧めていたという報道があったわけであります。

 こういった対応というのは当然容認ができないわけで、こういったあり方そのものについてどう考えるのか、対応策についても含めて説明をいただきたい。

亀澤政府参考人 御指摘の件につきましては、環境省で当該自然環境研究センターの対応を精査した結果、登録申請者に象牙の偽装登録を積極的に促したという事実は確認をされておりませんが、その対応につきましては一部誤解を与えかねないものがあったということから、昨年一月には、「象牙の所有の正当な権原等について確実に確認を行うこと。また、その確認に必要な範囲において、申請者等に適切な情報の提供を行うこと。」といった内容で、登録事務の適正な実施についての指導文書を出したところであります。

 今後とも、あらぬ誤解を与えるようなことがないようにきちんと指導してまいりたいというふうに思います。

塩川委員 しっかりとした対応を求めて、質問を終わります。

平委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 早速、前回に続いた質問を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 河口域や内湾に生息する貝類は、平成二十四年発表のレッドリストでも評価されており、その多くが絶滅危惧種というふうに判定されておりましたが、海の方の、海産の貝類というのは、国内希少野生動植物種に指定されたものがありません。これはなぜでしょうか。

亀澤政府参考人 海産、海の貝類につきましては、たくさんある分類群の中でも、特に最新の生息状況や保全の状況などの情報が不足しているという面はありますけれども、今後、そうした情報の収集、整理を進め、国内希少野生動植物種への指定について検討を進めてまいりたいと思います。

河野(正)委員 こういった海の干潟とかは、レジャーとかで人間の活動も活発でしょうし、漁業もありますので、しっかりと調査をしていただきたいなというふうに思います。

 次に、干潟や浅海域の保全の国際的な枠組みとしてラムサール条約があり、条約湿地への登録とその法的担保措置として国立公園等の保護地域、鳥獣保護区、河川法などの例があります。

 今後、さらに活用すべき法として、水産資源保護法を初め関連する法令に、生物多様性の保全を目的と位置づけることも求められるのではないかなというふうに思います。

 環境省、水産庁、それぞれの考え方を簡単に伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 国内のラムサール条約湿地の選定に当たりましては、国際的に重要な湿地であること、地元から同意が得られていることのほか、自然公園法、鳥獣保護管理法、種の保存法等の法律によって将来にわたって自然環境の保全が図られることが担保されていることを条件としているところであります。

 これまでには河川法を保護担保措置として登録した渡良瀬遊水地の例もあり、今後とも、関係省庁とも連携しつつ、干潟や浅海域を含むラムサール条約湿地の新規登録を進めてまいりたいというふうに思います。

保科政府参考人 水産資源保護法の目的は、「水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与すること」とされておりまして、水産資源やその生育環境等について、同法に基づいて適切な保護を図っているところであります。また、水産資源保護法に基づく施策は、生物多様性の保全にも資していると考えております。

河野(正)委員 次に、国際希少動植物種の取引について伺いたいというふうに思います。

 国際的に協力して種の保存を図っていくために、国際取引や国内取引が禁止されているのが国際希少動植物種でありますが、条約や法律の施行前に所有していたものについては例外的に取引が可能とされ、そのために登録制度というのがあるかというふうに思います。

 本改正案では、個体等登録について有効期限が設けられることとなり、適正な取引を実現する上で一歩前進かなというふうに思っております。一歩前進ではありますが、規制後も新たな登録が際限なく認められるのでは、偽装防止策としては不十分かなというふうにも考えるところでございます。

 個体、器官、加工品全てにおいて国際希少動植物種に指定された場合、規制前取得を申請できる期間を、例えば一年程度といったふうに限るべきではないでしょうか。政府の考えを伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 国際希少野生動植物種に指定された場合であっても、所持そのものは規制されないため、引き続き飼育する場合は登録の手続は必要ありません。

 そういう状況で、国際希少野生動植物種につきましては、アロワナ類や亀の仲間など二十年から三十年ほど生きる長寿命な種も多いため、指定の時点では継続して飼育する意向であっても、将来的に譲り渡し等を行う必要が生じる可能性もあり、登録申請ができる期間を限定してしまうと、そうした場合に登録できなくなり、野外に放してしまうとかそういう問題が生じ得ることから、登録期間の限定等につきましては慎重に検討してまいりたいというふうに思います。

河野(正)委員 違法行為の摘発が難しい理由として、登録票の様式の問題があるかと思います。個体や器官、加工品という対象物が違法であることが明確にわかるように、表記を見直していく必要があるんじゃないかなと思います。

 お手元に配付資料をお配りしておりますので、資料を見ていただきたいなと思いますが、これは、先ほど田島委員の方でも話が出ておりましたけれども、同じ会合かなと思いますが、都内で開催されたエキゾチックペットの展示即売会で、認定NPO法人野生生物保全論研究会の方々が撮影したものです。ここに写っている登録票は、両方ともペット用に販売されていた小型猿のものであります。

 一つ目の画像、左側、スローロリスです。規制前、二〇〇七年九月十三日より前に取得したと登録票に書かれておりますが、販売用の表示を見ていただくと、二〇〇八年タイ産と書かれております。登録票の交付は二〇一一年一月二十八日となっていますが、この登録票では輸入時期、所有者の確認というのができませんし、また西暦と元号の混在で非常に見づらいものなのかなというふうに思います。

 二つ目の右側、ライオンタマリンですけれども、国内で繁殖したということが明らかになっております。親の登録番号やマイクロチップ番号が記載されております。そして、生まれてから約四カ月後に登録票が交付されたということであります。ただし、ブリーダーや所有者の確認というのはこの登録票だけではできません。

 こういった実情を踏まえれば、今回の改正で導入される登録の有効期限、個体識別措置の情報のほか、登録者の氏名、名称、動物取扱業者の登録番号、所在地、輸出入に関する情報などを登録することでより規制の実効性を高めることができるのではないかと思いますが、政府の見解を伺います。

亀澤政府参考人 登録票につきましては、今回の改正案で、個体識別番号、登録年月日等の記載を新たに義務づけることとし、所有者がかわっても個体等と登録票の一対一の対応関係が明確になるようにすることによって、不正流用を防止したいというふうに考えております。

 その時々の所有者というのは最初の登録者と必ずしも一致しませんが、その時々の所有者が持っている個体と登録票の対応関係が個体識別番号により確認できれば足りるということ、さらに、現行の法律でも、国際希少野生動植物種の個体等の譲り受けまたは引き取りをした者は、環境大臣に住所、氏名等を届けることになっておりまして、データベースにより現在の所有者を、これまでの所有者も含めて追跡することが可能となっていることから、登録票に登録者の氏名とか取り扱いの履歴を記載することまでは必要ないというふうに考えております。

河野(正)委員 昨年九月に開催されたワシントン条約第十七回締約国会議で、象牙の国内市場の閉鎖が決議されました。背景に、アフリカゾウの激減と密猟、密輸の横行による非武装組織の資金調達といった点も指摘されております。また、国際自然保護連合による世界自然保護会議では、国内取引禁止の勧告が採択をされました。

 我が国では、現在、象牙の国内での売買や譲渡を行うための条件として、牙の形状を保った象牙の取引では、個体等登録という手続が必須であります。象牙の断片、カットピースにした場合は、判こやアクセサリーなどの材料としての象牙や製品の取引を行う事業者に対しては、事前の届け出が求められております。

 今回、象牙の取引業者の管理強化を図るため、特別国際種事業者制度が改正案に示されております。届け出制からより厳しい登録制へ変更し、事業者情報を公開するものであり、これも一歩前進であると評価できます。

 しかし、事業者登録制の導入だけでは、日本市場から違法取引を完全に排除できるとは言えないかなというふうにも思います。過去五年間に報道されているだけでも、象牙を扱う事業者による違法事例が五件と、行政処分が二件されております。こうした事業者は、今後、事業登録の更新拒否や取り消しなどによって淘汰されることになると思いますが、既に製造、販売した製品については、市場から排除することはおろか、追跡することすらできないという問題点が残るかというふうに思います。

 象牙取引が残る我が国への国際社会の厳しい視線をどのように受けとめ、今示したような課題、問題点にどのように対応していくのか、政府の見解を伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 象牙に関しましては、細分化された個々の素材、いわゆるカットピースや加工品等についてまで登録対象とすることは実務上困難な面もあることから、それらの譲り渡し等を事業として行う事業者を管理することによって、流通の適正化を図っているところでございます。

 今回の改正案では、それらの事業者について、現行の届け出制から新たに登録制にすることによって、事業登録をせずに業として譲り渡し等することを禁止し、違反した場合の罰金を現行の五十万円以下から、個人五百万円以下、法人一億円以下とし、さらに五年以下の懲役刑を新たに設けることとしております。さらに、事業登録の際の審査、違反した場合の登録取り消し等の規定を新設するとともに、事業の登録をする際に、所有している全ての全形牙の個体等の登録を義務づけることとしております。

 これらによりまして、事業者の管理が強化され、象牙の国内市場の管理は十分なものになるというふうに考えております。

河野(正)委員 国際希少野生動植物種に指定されている野生生物の中には、ペットとしての取引が大きな脅威となっているものも多いというように思われます。しかし、種の保存法では、生体を扱う事業者は規制対象になっておらず、国際的に希少な野生生物のこういった取引が心配されるところであります。

 希少な野生生物はペットとしても、先ほどもお話ありましたけれども、需要が高く、数百万という価格で取引されているような例もあることから、違法取引のターゲットとなりやすく、過去十年間、事業者による違法事例は二十八件を数えております。

 特別国際種事業の対象を拡大する等、生体を取り扱う事業者の登録要件を定め、コンプライアンスの低い事業者を排除することが必要ではないかと思いますが、改めて政府の見解を伺います。

亀澤政府参考人 生きた個体の譲り渡し等を行う場合は個別の個体について登録が必要であり、登録をせずに譲渡等を行った場合は五年以下の懲役または五百万円以下の罰金ということで、前回の改正で強化をされております。

 さらに、哺乳類、鳥類、爬虫類の国際希少野生動植物種を取り扱うペットショップ等につきましては、動物愛護管理法によりまして、都道府県知事等に第一種動物取扱業の登録を行う必要があり、さらに、同法に基づき動物を適正に取り扱うための基準等を満たす必要があります。加えて、同法の規定によりまして、種の保存法の譲り渡し等の禁止に違反して罰金以上の刑に処せられた場合や基準に適合しなくなったとき等には、知事等は、第一種動物取扱業の登録の取り消しや業務停止を命ずることができるという規制になっております。

 これに加えて、象牙の方で行っている業の規制、これは、細分化されたカットピース等について、登録対象とすることが実務上困難であることから設けているものでございますが、生きた個体の譲り渡し等を行う場合については個別の個体について登録が必要となっていることから、種の保存法上、これに加えて業管理を行う必要性は低いというふうに考えております。

河野(正)委員 済みません、ちょっと時間もありませんので、先に進みたいと思います。

 国内希少野生動植物種について提案制度というのがありますが、選定に至るプロセスが不透明だと思います。希少野生動植物種の指定に関する検討会は非公開ですが、平成二十六年には三十五種三十八件、平成二十七年には十二種十四件の提案を受け付け、このうち十二種が国内希少野生動植物種に指定されているようであります。

 しかし、検討会が非公開であるため、どのような議論があったのかがわかりません。国民から提案をされたけれども指定されなかったものはどのような種で、どういった理由に基づいて指定がされなかったか、明らかにするべきではないでしょうか。

 また、検討会を非公開にする理由として、指定前の駆け込み捕獲等を防止するためとも言われることが多いのですけれども、指定後には、種の指定をした、あるいは指定をしなかった理由を公開することには差し支えはないのではないでしょうか。

 非公開とされる検討会の委員をどのように選定しているのかとあわせてお答えいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 国内希少野生動植物種の指定候補種につきましては、捕獲、採取圧が高い種が多くて、検討過程を公開した場合、駆け込みで捕獲等される危険性があります。そのため、種の保存を優先する観点から、これまでは、中央環境審議会に先立って指定候補種を決める検討会は非公開としてきたところでございます。

 その検討会の委員は、絶滅危惧種の生息、生育状況等について科学的知見を有する大学の教授や研究機関の研究者などの専門家を環境省で選定し、委嘱しております。

 なお、検討経緯等の透明性の確保については大変重要と考えておりまして、今後は、絶滅危惧種の分布情報等の情報管理の観点には配慮しつつも、可能な範囲で対応していくことを考えております。具体的には、今回の改正によって新たに創設をされ、公開で行う予定の科学委員会を開催する際には、それに先立って指定候補種の議論が行われた検討会における検討の経緯とか結果概要を公表するというような対応を検討したいというふうに考えております。

河野(正)委員 種の保存法第五条は、環境大臣が、種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときには、緊急指定種として指定することができるというふうにされております。

 国内希少野生動植物種の指定の議論を公開すると駆け込み捕獲がふえるという意見もありますけれども、全ての種についてそのような議論が当てはまるわけではないと思いますし、指定を検討することにより駆け込み捕獲のおそれがある種については、緊急指定をすることができるのではないかというふうにも思いますが、環境省の見解を伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 種の保存法の緊急指定種制度は、既に絶滅したと考えられていた種が再発見された場合や新たに種が発見された場合など、例外的に三年の期限つきで緊急措置として規制を行うとともに、その間にデータの収集等を行って種指定の必要性を検証するというものでございます。

 これは、既存のデータがないものの絶滅のおそれが高いと考える場合には、データに基づく評価が可能となるまでの間に乱獲等による絶滅を防止することを目的としておりまして、したがって、審議会等の意見聴取等の手続を不要としているところでございます。

 それに対しまして、国内希少野生動植物種の指定につきましては、既に国内での生息が確認されている種を対象としておりまして、事前の調査や生息状況のモニタリング等によるデータ収集が可能であるという点で、緊急措置としての規制をかけるだけの必要性を説明することは困難かというふうに考えております。

河野(正)委員 残り時間がありませんので、最後に一問だけ大臣に伺いたいと思います。

 環境分野は、国民がそれぞれの地域で活発に活動してきた蓄積というのがあります。政策の立案、企画、実施、監視、いずれの段階でもそうした国民の取り組みを行政が適切に取り入れていくことで、より実態に合った実効性の高い取り組みにつながるのではないかというふうにも思います。

 本改正案で国民が指定種を提案する制度が創設されたことは、これもまた評価できますが、生息地等保護区、保護管理計画の立案など、さらに提案制度を広げることによって、国民の関心を高めて、より保全、保護に向けた活動が活発になるのではないでしょうか。

 そこで、山本大臣に最後に伺いたいと思いますが、国民が積極的に参加できる仕組み、知恵を集めて生かす制度というのは大変重要だと思います。オーフス条約というのはそうした取り組みを国際的にも後押しするものでありますが、日本はいまだ批准をしておりません。先日も国会内でこれについて会議が開かれたところでありますけれども、環境分野に国民の力を生かすためにも、早期批准を望む声というのがございますが、山本環境大臣の見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 欧州地域を中心として結ばれているオーフス条約は、環境政策をより市民、地域住民の立場に立ったものにしていくという点から重要な示唆に富んだものであるということは認識をいたしております。

 その趣旨については、これまでも我が国の個別の法制度等において一部具体化されてきているところでございまして、国内希少野生動植物種の指定提案制度も、国民の参画によって広く知見を集約し、法の効果的な実施を促すという点において、意思決定への市民参加を確保するものであると考えております。

 他方、オーフス条約の批准について、例えば、情報開示の義務を負う者の範囲の整理、司法における原告適格の整理等の課題もある旨、有識者より指摘されているところでございます。

 このため、同条約の批准そのものについては、こうした諸課題について、我が国の状況に合った形で反映することが可能かどうか、他国における実施状況なども見ながら検討する必要があると考えております。

河野(正)委員 環境省における関連する条約はこれ以外にもたくさん批准されていないものがあると思いますし、かなり長期にわたって、もう十年単位で検討が続いているというのもあると思いますので、早期にスピード感を持って対応していただきたいなと思います。

 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 種の保存に関する法律の一部を改正する法律案、早速質問させていただきます。

 本法における生物多様性四つの危機、第一の危機は開発や乱獲、第二は里地里山の問題、第三は外来生物や化学物質、第四は地球環境の変化の中で、特にこの第二の里地里山の管理放棄などの問題で絶滅危惧種がふえていることについて、特定第二種国内希少野生動植物種制度を創設することにより、二次的自然に分布する昆虫類、魚類、両生類等の保全への取り組みが期待されるとあります。

 現在は九カ所のみが指定を受けていますが、特定第二種国内希少野生動植物種の生息地等保護区の指定について、環境省は今後どのような目標を立てていらっしゃいますでしょうか。

山本(公)国務大臣 特定第二種国内希少野生動植物種については、生息地等保護区の指定がその保全に効果的でありまして、積極的に指定を推進していきたいと考えております。

 しかしながら、生息地等保護区の指定は、土地所有者等の利害関係者との合意を丁寧に進める必要があることから、指定数の目標設定はなじまないと考えております。

 いずれにせよ、積極的に生息地等保護区を指定し、種の保存を図っていく考えです。

玉城委員 保護区の指定及び保護増殖事業の策定などについて伺います。

 住民や利害関係者のほかに、現場で実際に保全活動に取り組むNPO、NGO、そのほか自然保護団体からの意見及び提案を積極的に受け入れることも必要ではないでしょうか。お伺いいたします。

亀澤政府参考人 現行法でも、土地所有者等から生息地等保護区の指定や保護増殖事業計画の策定について具体的な提案があれば、種の保全上の効果が高いと考えられるものについて積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。

 さらに、今回の改正法案には種指定の提案制度を盛り込んでおりますが、この種指定の提案の際に、あわせて保護区指定や保護増殖事業計画の策定についての提案があれば、これについても積極的に対応したいというふうに考えております。

玉城委員 さらに、特定第二種の希少種については具体的にどのような保全を考えているのかについてお聞かせください。

亀澤政府参考人 特に里地里山に分布する特定第二種国内希少野生動植物種の保全を効果的に進めるためには、例えば、草原に分布するチョウの仲間であれば、草刈りや野焼き等による草原の維持、あるいは幼虫が食べる食草を保全する必要があるというふうに考えております。また、水路やため池に分布する淡水魚類であれば、泥上げによる水質の維持や、あるいは土どめ等の補修を行う必要があるというふうに考えております。

 このように、農林業等に伴い古くから持続的に行われてきた自然に対する働きかけを維持することが必要でありまして、種の指定後、保護増殖事業の実施等を通じて、里地里山における草原や水路等の維持管理といった、人の働きかけを支援する等の取り組みを今後とも着実に進めてまいりたいというふうに思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 種の保存法に関する質問は以上とさせていただきますが、非常に私はきょうはやるせない気持ちです。やるせない気持ちです。こんな、非常に、沖縄の方言で言うと、チムワサワサーとチルダイと言うんですね。チムワサワサーは、心がざわざわと騒ぐことです。チルダイというのは、気だるい。本当にフルマラソンを走った後の心と体の状態です。

 なぜかというと、種の保存にこんなに懸命に、環境大臣初め亀澤局長からも、積極的に前向きに、里地里山についてはしっかり保存していこうという意見がある。しかし、その一方で、きょう、実は、これです、辺野古の護岸工事、埋め立ての号外が新聞に出ています。

 一つ紹介させてください。「著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保全を求める十九学会合同要望書」というのが、平成二十六年十一月十一日、前の防衛大臣と環境大臣、それから防衛局長、前の県知事宛てに出されています。

 いろいろ文章が書いてありますけれども、防衛省の環境影響評価書では五千三百三十四種もの生物が海域から記録されています、うち水鳥を含む、資料が挙がっています。そこには二百六十二種もの絶滅危惧種が含まれているということです。そのうち十一種は二〇〇七年以降に新種として記載されました。大浦湾一帯には、多様な環境が隣接し合いながら豊かな生態系をつくり上げています。よく茂った亜熱帯林から流れ出る自然度の高い川、その河口に発達するマングローブ林、湾を縁取る自然海岸、砂浜と岩礁と干潟、よく発達したサンゴ礁とその内側に発達する海草藻場、湾内の深みに広がる細かい砂の底、砂底や砂の泥の底、ガレ場、それらが国内ではここでしか見られない極めて特徴的な生態系をつくり出しています。ジュゴンのはみ跡、トレンチの残る広大な海草藻場、高さが七メートルにもなるマジリモクの藻場、巨大なハマサンゴの群体が続く浅瀬、アオサンゴの大コロニー、ブンブクやナマコが豊産する砂底、沖縄島で最も多くの種の魚が遡上する川などは、この生態系の貴重さを際立たせています。ジュゴンの生息場所である海草藻場の生態系を良好に維持し続けることの重要性を示唆しています。

 まるで何かの自然ドラマのナレーションみたいですよね。事実なんです。これは、この十九学会が合同で要望している言葉そのものなんです。

 種の保存を一生懸命ここで議論をする、私は、非常に各委員のその達見した、いろいろな角度からの提案とそして質問は非常に感銘を受けますし、それに真摯に答える環境大臣初め政府関係者の皆さんにも本当に頭が下がります。

 しかし、やはりどうしても欠けている部分があるのではないかと私は思ってしまうわけですね。欠けている部分は何か、それをしっかり立法府で埋める作業をしないといけないのではないかと思うんです。

 事業者が進めているから、事業者がやっているアセスでいいですよといっても、結局出てくる答えは、新種が見つかったらその都度適切に判断いたしますという答えしか返ってきません。適切な判断は、では、環境省や、あるいは関係団体、この十九学会などに、例えば何らかの相談があったり、その種の保存について専門的な意見を聞いたり、そういうふうな立法的な仕組みがあるんでしょうか。

 そういうことを考えると、きょうの議論は非常に重要な議論です、しかし、どこかに大きな穴があいている。ぜひ、委員を初め、私たちのこの心にあいている大きな穴をどうやって埋めるかという真摯な努力を私たちは絶対忘れてはいけないと思います。

 工事は始まりましたけれども、終わるわけではありません。しかし、法務委員会ではテロ等共謀罪の話が進んでおり、副大臣は、そのデモに参加する住民も対象者になり得るということを発言しています。どこかおかしいんです。議論のゴールが見えないんです。たとえ決まりは決まったとしても、その議論のゴールをしっかり私たちは正面から見詰めないといけないと思います。これが私のチムワサワサーと、そしてチルダイの全てではないかなと思います。

 午前中の参考人からの意見にもそのような思いを少し述べさせていただきましたけれども、やはり、私たちは真摯に、本当にあるべき議論をもっと積み重ねていかなくてはいけないというふうに思います。

 ぜひ、委員の皆さん、この思いを共有していただき、環境大臣、そして委員長初め、この環境委員会でのこれからの審議にも、その大きな心の穴を埋める作業をぜひ一緒にやっていただければと思います。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

平委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平委員長 この際、本案に対し、田島一成君外一名から、民進党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。松田直久君。

    ―――――――――――――

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松田委員 ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民進党・無所属クラブを代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 修正案は、お手元に配付したとおりでございます。

 種の保存法三条では、財産権の尊重等として、「この法律の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し、並びに国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。」とされているところであります。同様の規定は、自然環境保全法、自然公園法にも置かれています。これらの規定は、生物多様性保全や自然保護の意識がまだまだ低い時代の、自然保護で所有権が侵害され、財産的価値が低くなるという考えや、自然を破壊しても公共事業を行うべきという考え方が支配的な時代の条文であります。

 二〇一〇年の生物多様性条約第十回締約国会議において、今後十年から二十年の間に生物多様性の損失をとめなければ地球の臨界点を超える、ティッピングポイントを超えるとされました。

 人間の諸活動がこのとうとい地球の生態系の上に成り立っているという観点からすれば、生物多様性、生態系の保全を優先的な価値として考えるべきです。三条の規定をわざわざ置くことによって、種の保存が十分に行われないような事態は避けなければなりません。この条文が本法の効力を弱めてきたという指摘が生物多様性の保全に取り組む団体から指摘されていますし、本法の上位法である生物多様性基本法には、財産権の尊重に関する規定はありません。

 したがいまして、種の保存法における財産権の尊重規定について削除することとしました。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

平委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、田島一成君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、冨岡勉君外五名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田島一成君。

田島(一)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 常設の「野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者」からなる科学委員会の委員については、野生動植物種の保全に関し専門の学識経験を有する科学者等国民の理解を得られる人選を行い、自由闊達な議論を保障するとともに、明確な理由の存在しない限り、国民に対する情報の公開を徹底すること。また、科学委員会は、環境大臣の諮問を待たず、種の保存に関連して、種の保存法の見直しやその他関係法令の見直しを含め、積極的に意見具申を行うこと。

 二 生息地等保護区の指定や保護増殖事業計画の策定についても、現場で実際に保全に取り組む団体等からの提案を受け入れる制度の法定化を検討するとともに、これら国民からの提案を踏まえ、科学委員会は、種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護増殖事業計画、生息地等保護区などを適切に具申すること。

 三 二次的自然に分布する絶滅危惧種については、自然への働きかけの縮小による生息・生育状況の悪化が主な減少要因とされていることから、特定第二種国内希少野生動植物種の指定と同時に、生息環境の改善に取り組むこと。また、二次的自然については、厳格な行為規制よりも人の管理を継続することが重要となることから、農林水産業や市民活動を奨励するような生息地等保護区の指定の在り方について検討すること。

 四 国内希少野生動植物種の指定は、科学的知見を最大限に尊重して実施することとし、当面、二〇三〇年度までに七百種を指定することを目指し、候補種の選定について検討すること。

 五 「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」を法定の「基本方針」に確実に反映させ、閣議決定すること。

 六 海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価の透明性を高め、その評価を環境省と水産庁で連携して同法の趣旨に沿って適切に行うこと。また、国内希少野生動植物種の指定に当たっては、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に対象とすること。

 七 生物多様性基本法第二十四条、種の保存法第五十三条第二項に則り、種の保存に関し、最新の科学的知見を踏まえた学校教育・社会教育・広報活動、専門的な知識・経験を有する人材の育成、種の保存に関して理解を深める場及び機会の提供等により、種の保存に関する国民の理解を深めること。

 八 生物多様性基本法第八条を踏まえ、希少野生動植物種の保存のため、地方自治体への支援を含め、財政上、税制上その他の措置を講ずること。

 九 改正法附則第十条に基づき、改正法施行五年後に本改正内容の評価を行うとともに、以下の措置を講ずること。

  1 ワシントン条約附属書に掲載されている種は、保全に国際的協力が不可欠であり、地球の自然体系のかけがえのない一部であるという観点から、国際情勢を踏まえて、抜本的な見直しを検討すること。

  2 違法取引が原産国での過度な捕獲や採取を助長するとの認識に立ち、国内取引の規制強化や交雑個体の取扱について検討すること。

 十 今回創設される特定第二種国内希少野生動植物種については、販売・頒布目的以外の捕獲等及び譲渡し等が認められることから、種の分布や生息状況を定期的に把握すること。

 十一 アフリカゾウの密猟を防ぐため、象牙の国内市場の閉鎖が世界的な潮流となる中、国内市場を存続させている我が国においては、違法取引が疑われることのないよう、象牙の管理の更なる強化に積極的に取り組むこと。

 十二 輸入が差し止められた希少な野生動植物については、本来の生息地での保全が最も望ましいことから、原産国等へ返すための方策について検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

平委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本環境大臣。

山本(公)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

平委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平委員長 次回は、来る五月九日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会


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