衆議院

メインへスキップ



第15号 平成29年5月9日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十九年五月九日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    木村 弥生君

      小島 敏文君    助田 重義君

      田中 和徳君    比嘉奈津美君

      藤原  崇君    堀井  学君

      前川  恵君    菅  直人君

      田島 一成君    細野 豪志君

      松田 直久君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    森岡 泰裕君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 山本 達夫君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

五月二日

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長森岡泰裕君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、環境省総合環境政策局長奥主喜美君、環境省地球環境局長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長亀澤玲治君、防衛省大臣官房審議官山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 おはようございます。自由民主党の高橋ひなこです。

 質問をさせていただく機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、国立公園について何点か伺います。

 環境省では、国立公園満喫プロジェクトを進めています。政府の、明日の日本を支える観光ビジョンに基づき、外国人誘致に向けた取り組みとして、昨年七月には八つの国立公園が選定されました。観光ビジョンの中でも国立公園は極めて重要と思いますが、国立公園満喫プロジェクトの現在の進捗状況と今後の進め方についてお伺いしたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 国立公園満喫プロジェクトにつきましては、先行的、集中的に取り組みを進めるべく選定した八つの国立公園で、それぞれの地域の多様な関係者から成る地域協議会において、ステップアッププログラム二〇二〇を昨年十二月末までに策定をいたしました。

 このプログラムに基づきまして、地元関係者や民間事業者等と連携して、ビジターセンターへのカフェの併設や、インバウンドに強い国内外の旅行社、メディアなどを招聘するファムトリップなどを実施すべく準備を進めておりまして、まずはこの八公園で成果を出していきたいというふうに思っております。

 また、その成果を他の国立公園に展開して、二〇一五年に四百九十万人であった訪日外国人の国立公園利用者数を二〇二〇年までに一千万人にするという目標を達成してまいりたいというふうに考えております。

高橋(ひ)委員 国立公園満喫プロジェクトで、世界水準のナショナルパークにするために大いに取り組んでいただいているというのがわかったんですが、今、カフェなどのお話ありましたが、ぜひこのカフェはオーガニックなど環境に配慮したものにしていただきたいというふうに思います。

 それぞれの国立公園の現場では、大変広大な地域を数名のレンジャーが管理をしていて、合計で百人程度という非常に少ない人数で頑張っていると承知をしております。そのレンジャーの皆さん、貴重な自然を保護しつつ、地域の活性化にもうまくつなげるため、日々、それぞれの地域の方々と深く対話をしながら、その意見を尊重し、国立公園の管理に当たっていると伺っておりますが、一方で、アメリカの国立公園には、およそ二万二千人ととても多くのレンジャーが国立公園の管理を行っているとお聞きしています。

 我が国でも今年度から現地の管理体制を強化しているとのことですが、より強力に世界ブランドたるべきナショナルパーク化を進めるためには、二〇二〇年までに現地のレンジャーを倍増するくらいのことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 先生の御指摘のとおりだと私も思っておりまして、私もアメリカのあのレンジャーの姿に憧れていまして、ぜひ日本のレンジャーもああいう制服を着てやってもらいたいなと思っているんですけれども、なかなかそこまではまだ、レンジャーの諸君もあそこまではという意見もありますので、なかなかアメリカ的なレンジャーの制服には無理かなと思っておりますけれども、人数に関して言えば、どんどん私もふやしていきたいというふうに、かように思っております。

 インバウンド一千万人の目標ということになりますと、やはり現地で自然環境の保護とそれからいわゆる観光という適正な利用の両立を図っていかなければいけない。そういう両方を理解ができるのはレンジャーの諸君だろうと思っておりますので、これからもレンジャーの人員の充実は私も図っていきたいと思っております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。

 続きまして、復興に関係がございますので、三陸復興国立公園のすぐれた自然環境やその自然を利用するための施設について伺っていきたいと思います。地域の財産として活性化に役立て、地方創生にもつなげるという観点からの質問でございます。

 環境省では、三陸復興国立公園を中心に、地元の方々の意見を酌み上げながら、みちのく潮風トレイルの設定を進めています。全長およそ七百キロ、長距離自然歩道の壮大な計画で、現地事務所では、地元の方々と緻密な調整をしながらルート設定をしていらっしゃいます。

 そこで質問です。みちのく潮風トレイルの現在の開通状況と今後の設定の見通しはどのようになっているんでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、三陸復興国立公園を中心に、自然環境と地域の暮らしを後世に伝え、自然の恵みと脅威を学びつつ、それらを観光などで活用しながら復興を後押しするグリーン復興プロジェクトを進めております。

 このプロジェクトの一環であるみちのく潮風トレイルにつきましては、自然と人、地域の内外の人々、被災地域間など、さまざまなものをつなぐ道として計画をしておりますが、複数回にわたるワークショップを開催しながら、地元の方々とともに現地確認を行いながら路線設定を進めております。

 青森県八戸市から福島県相馬市を結ぶ計画路線約七百キロの路線のうち、現在、釜石市から大船渡市の区間や、先月三十日に開通をいたしました南三陸町の区間を初めとした各区間において順次開通を進めておりまして、これまでに合計約五百キロ開通させております。

 今後も、地元の方々と綿密な調整のもとに路線を順次開通させていき、早期の全線開通を目指したいと思います。

高橋(ひ)委員 私が当選して間もなくだったんですが、自民党の会議に出ておりましたとき、現大島議長が、八戸から被災地をずっと歩いて福島まで結んで復興を支援する計画を進めると熱く語っていらっしゃったのが今でも忘れられません。ぜひ、引き続き皆さんのお力添え、よろしくお願いしたいと思います。

 大変苦労されながら、みちのく潮風トレイル、皆さんの御要望をお聞きしながら順次開通しているということは本当にすばらしいことだというふうに思っておりますが、それが利用されて復興に役立つということがとても重要だと考えています。そのためには利用する方の利便性を高める工夫が必要だと考えますが、その施策と今後の見通しをお聞かせいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 トレイルの利用を促進するために、環境省では、トレイルマップの配布、メディアを通じたPR、ホームページによる情報発信を行っているほか、地元自治体と協力して、踏破認定制度の導入、イベントなどを実施しております。また、トレイルを適切かつ安全に利用していただくため、多言語に対応した全線統一標識の整備などを進めております。

 さらに、より一層の利用促進やサービスの向上、観光情報等を提供することを目的として、平成二十六年七月には青森県八戸市で種差インフォメーションセンターの開所を皮切りに、各所でビジターセンターの整備を進めております。さらに、平成三十年度開所を目指してトレイルセンターの新たな整備も進めているところでございます。

 引き続き、みちのく潮風トレイルの取り組みを推進することで、地域の中の人、外の人との交流を生み出し、東北地方の活性化につなげてまいりたいと思います。

高橋(ひ)委員 東北の活性化につなげていきたいということで、本当にありがとうございます。ぜひこれからもよろしくお願いいたします。

 この国立公園満喫プロジェクトを初め、多くの方に我が国の豊かな自然環境の魅力を伝え、親しんでいただけるような取り組みを進めていく上で、より多くの方に安心して訪れ、楽しんでいただくためには、ユニバーサルデザインの普及が大変重要だと思っております。国立公園とともに、都会のオアシスとして非常に多くの利用者がある国民公園についても同様だと考えています。

 障害を持つ方、子供もお年寄りも、海外から来られる方も、そしておなかにお子さんがいらっしゃる妊婦の方も、利用者の誰もが楽しむことができるようにすることが重要で、これを実現するためには、利用施設の整備や情報提供など、ハード面、ソフト面ともにユニバーサルデザインに対応したものになっているという必要があります。

 こうした認識から、私は、環境大臣政務官時代に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催も視野に、国民公園、国立公園のユニバーサルデザインプロジェクトチームを立ち上げ、いち早く対応を進めるように取り組んでまいりました。その際、大変たくさんの方にお力添えをいただいたことを改めて御礼を申し上げたいと思います。

 そこで、現在の国立公園、国民公園におけるユニバーサルデザインの取り組みの進捗状況はどうなっているのでしょうか、お知らせお願いします。

亀澤政府参考人 環境省におきましては、高橋委員が政務官をされていた平成二十七年六月に、国民公園、国立公園における利用施設の整備等のハード面、案内や情報発信等のソフト面について、ユニバーサルデザインの取り組みのアイデアを取りまとめたところであります。

 これを踏まえまして、各国立公園におきましては、直轄ビジターセンターでの対応状況をホームページで案内しているほか、話し言葉での意思疎通が難しい方と指さしでコミュニケーションをとるためのボードをビジターセンターに置いたり、あるいは園路の段差の解消やトイレの改修等のハード面の整備を実施しております。

 また、新宿御苑を初めとする国民公園におきましては、標識の多言語化やトイレの洋式化を進めるとともに、ユニバーサルデザインマップを作成し、ホームページでの周知や公園内での配布を進めているところでございます。

高橋(ひ)委員 環境省の方々の前向きで真摯な取り組みに感謝を申し上げたいと思います。

 日本の車椅子の方々から、自分たちが自然公園に行くときはアメリカに行くんだというお話を以前何度もされまして、ユニバーサルデザインというのは旅行に行くときやはり本当に必要だなということを実感しております。

 二〇二〇年に開催されるオリンピック・パラリンピックの際に、海外からもたくさんの方がいらっしゃると思います。満喫プロジェクト選定の八公園そして新宿御苑など、観光客またオリンピック・パラリンピックにいらっしゃる方々が特に多く訪れそうな場所は、早急にユニバーサルデザインに配慮をする必要があると思っております。

 現在進んでいるのは大変感謝を申し上げながら、この観光客への対応の設備を早急に進めるべきと考えますが、あわせてお知らせいただきたいと思います。

比嘉大臣政務官 満喫プロジェクトは、二〇二〇年までに国立公園における外国人利用者を一千万人にするという高い目標を掲げており、まずは、選定八公園において、ユニバーサルデザインに配慮した整備を早急に行います。

 年間二百万人が訪れる新宿御苑においても、近年、半数近くが外国人来園者となっております。さらに外国人来園者の増加が想定される東京オリンピック・パラリンピックも念頭に、速やかにトイレの洋式化を進めるとともに、園内の道路や休息所についても、ユニバーサルデザインの対応、改修等に早急に取り組んでまいります。

高橋(ひ)委員 ぜひ、日本の方が海外に行っているという事実、これをしっかりと私も実感しておりますので、海外から来た方が、いや、日本、すばらしいじゃないと言っていただけるような取り組みにしていただけますよう、お願いを申し上げたいと思います。

 さて、ちょうど二年前なんですが、岩手県の一関市長と、当時の文科省の馳大臣に、オリパラのメダルをリサイクルでと御要望に伺いまして、それは非常に大事なことですねと前向きな対応をしていただいたという経緯がございます。

 ことし四月一日から、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、大会で使用する金、銀、銅メダルおよそ五千個分を、携帯電話を含む小型家電から抽出したリサイクル金属でつくる「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を実施しており、環境省も本プロジェクトに協力していると伺い、大変うれしく思っております。

 このプロジェクトは、我が国のリサイクルの取り組みを世界へアピールするとともに、小型家電リサイクル制度の普及を促す上で大変に有意義だと思います。このプロジェクトの成功には、自治体及び国民一人一人の協力を得ることが重要ですので、今後、この認知度をさらに高めていくことが必要だと思っております。

 そこで、このプロジェクトの現在の進捗状況と、環境省の今後の取り組みについてお伺いします。

伊藤副大臣 高橋委員にお答えを申し上げたいと思います。

 まず、今回のリサイクルメダルプロジェクトは、全国民の参加のもとで金、銀、銅のメダルをつくり上げるという明確なゴールがあるため、小型家電リサイクル法の意義やその目標を国民の皆様とともに共有することができる絶好の機会と考えております。

 この好機を捉えまして、全国的にこのプロジェクトを推進するため、ことしの三月、環境省から全国の自治体に協力を呼びかけたところ、五月一日の時点で六百七十を超える自治体から賛同をいただいているところであります。これらの自治体においては、小型家電リサイクル法の認定事業者と連携しつつ、同法に基づく小型家電の回収を進めているところであります。

 今後、環境省としては、引き続き、市町村の回収体制の構築の支援を行うとともに、自治体、学校、団体などの皆様に広く参加を呼びかけるべく、関係省庁とも連携を深めつつ、効果的な広報に取り組んでまいる所存でございます。

 二十五年の四月にこの小型家電リサイクル法が施行をされました。今、全国的に、小型家電リサイクル法がまだなかなか行き渡っていないなと思われる自治体が約四百ほどございます。これは、ぜひこの機会に、全国の皆さんに本当に小型家電のリサイクルに参加をしていただきたい。遠くの自治体の人たち、そしてまた、うんと距離のある人たちの、地域での子供たちの、家電リサイクルによってメダルをつくる、こういう気持ちをつなぎ合わせてまいりたい、そう考えております。ぜひ、全国津々浦々にこの施策が行き渡るようにしたい。

 そしてまた、さらに申せば、オリンピックは明確なゴールがありますけれども、オリンピック後も私たちの国では小型家電リサイクルがずっと定着をしていくということをさせてまいりたい、そこが一番大事なところだというふうに目標を定めまして、私たちは、目下、活動をしているところでございます。

 最後に、きょうここにお集まりの環境委員会の先生方におかれましても、それぞれのお地元に戻られましたら、それぞれの自治体、企業、学校、周りの皆様方にお声がけをいただきまして、一人一人の国民の皆様方のお力によるメダルづくり、そして小型家電リサイクルの推進をよろしくお願いを申し上げます。

 以上です。

高橋(ひ)委員 大変副大臣の強い思いが伝わりまして、感謝を申し上げます。

 私も首長さんから、申し込んでおいたよ、しっかり対応するからねというようなお声をかけていただいております。ぜひこれからも強い意思でよろしくお願いいたします。

 次に、地球温暖化の問題についてちょっと申し上げていきたいと思います。

 地球温暖化に対応していくには、緩和策、適応策の二つを車の両輪として進めていく必要があります。省エネの徹底、再エネの導入等により、緩和策にこれまで以上にしっかりと取り組まなければならないことは言うまでもありません。しかしながら、世界各国が厳しい緩和策を実施したとしても、将来的には一定程度の気温上昇は避けられず、地球温暖化の影響を軽減するための適応策が不可欠となります。

 地球温暖化の影響としては、台風の強大化や大雨の増加による災害の激甚化、米や果物などの農作物の品質悪化、熱中症患者の増大などが懸念されます。昨年は観測史上初めて東北地方に台風が直接上陸し、私の地元の岩手県は大きな被害を受けました。今後、地球温暖化が進行することでこのような影響がますます大きくなることが懸念されることから、早い段階から適応策を実施していく必要があります。

 このように、適応策の充実強化は急務だと考えますが、適応の取り組みを推進するために、環境省としてはどのような取り組みを行っているのでしょうか。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

鎌形政府参考人 気候変動に対応するには、徹底した省エネと再エネの最大限の導入などにより、温室効果ガスの排出削減など、すなわち緩和策を進めることが不可欠でございます。しかしながら、御指摘のように、世界全体で厳しい緩和策を講じたとしても一定程度の気温上昇は避けられず、その結果生ずる農業、自然災害などへの影響に対処して、被害を回避、軽減する適応策が重要になってまいります。

 このため、一昨年十一月に気候変動の影響への適応計画を閣議決定いたしました。この適応計画に基づいて、関係府省庁において適応の取り組みを進めているところです。

 環境省におきましては、関係府省庁と連携し、科学的知見の充実に努め、気候変動の影響や適応に関する情報基盤として、気候変動適応情報プラットフォームを構築いたしました。

 また、国、地方公共団体、大学などの地域の関係者一体となって地域適応コンソーシアムを構築し、気候変動の影響評価や適応策の検討を行い、地域での適応の取り組みを推進してまいります。

高橋(ひ)委員 政府において適応の取り組みが進みつつあることはよくわかりましたが、この適応の問題については十分に国民に御理解をいただいていないと私は考えております。この問題について国民に理解を深めていただき、個人個人で地球温暖化の影響に備えていただくとともに、国民の理解のもとで地域において適応策を強化していくことが重要です。

 地球温暖化の影響や適応の問題について国民に理解を深めていただくため、環境省としてどのような取り組みを行っていく予定でしょうか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、地球温暖化の影響や適応について国民に理解を深めていただくことは重要だと認識してございます。このため、地方公共団体と連携して、気候変動の影響や適応に関するシンポジウムやセミナーを各地で開催しております。また、先ほど申しました気候変動適応情報プラットフォームにおきましては、各地域における地球温暖化の影響や、個人でできる適応の取り組み事例など、さまざまな情報を発信してございまして、このような情報を広く共有することで国民の行動を促していきたいと考えております。

 今後は、それぞれお住まいの地域を念頭に置きまして、地球温暖化で各地域で雨の降り方がどのように変化するのか、また地域の特産品にどのような影響を与えるのかなど、各地域のよりきめ細かい影響について予測を行い、これらの情報を国民に提供することで国民の理解を深めていきたいと考えてございます。

高橋(ひ)委員 地球温暖化の影響は将来ますます顕在化していくと予測されており、国民一人一人がそのリスクにどう対応していくか考えていかなければいけないと思っております。

 ドイツの環境問題への対応が進んだのは、子供たちへの教育も大きかったとお聞きしています。日本の学習指導要綱では、各教科等の中で地球温暖化の仕組みなどを学ぶことになっていますが、適応の問題を自分事として捉え、みずから進んで行動していくことができるような子供たちを育てていく必要があると考えています。

 環境省としてはどのようにお考えでしょうか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

奥主政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、気候変動等のさまざまな問題をみずからの問題として主体的に捉え、価値観や行動を変えるように促していくことが重要と考えます。

 現在、学校教育においては、地球温暖化の仕組みを学ぶこととなっていると承知しておりますが、気候変動適応に関する情報につきましても、文部科学省等の協力を得つつ、教育現場に周知してまいります。

 また、昨年四月、文部科学省と連携してESD活動支援センターを開設し、本年七月を目途として、全国八カ所に地方ESD活動支援センターを開設することとしております。

 このセンターは、さまざまなレベルで分野横断的に協働、連携してESDを推進するためのハブ機能を担うことを目的として設立するものです。こうしたセンターも積極的に活用していくことで、教育現場のみならず、広く国民の皆様方に対して気候変動適応に関する理解の浸透を図ってまいります。

高橋(ひ)委員 いろいろお話をしてまいりましたが、この地球温暖化の影響に対処していくためには、学校教育等の機会も活用したり、適応について国民の理解を深めていただく、そして、科学的な情報をベースとして地域での適応の取り組みを進めていくという必要があります。

 現在、適応の取り組みの充実強化に向けた議論が、私が事務局長を務める自民党の環境・温暖化対策調査会で精力的に行われています。世界全体で一生懸命取り組むことが緩和策、それでも気温は上昇してしまう、だから、将来に備え、適応の取り組みをますます強化していくことが大変重要。

 大臣の意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。

山本(公)国務大臣 高橋委員におかれましては、党において精力的に議論を進めていただいておりますことにまずは感謝申し上げたいと思います。

 私は、気候変動に一番敏感な民族はどこだといったときに、日本ではないかと思うんです。つまり、四つのシーズンがある。四つのシーズンがあって、縦長の列島、こういう地政学的な状況の中で、日本という国が一番敏感なんだろうと思っております。

 私は四国ですけれども、先生は岩手県。今、恐らく、大体神奈川県あたりが北限とされているミカンの生産が、多分、将来的には岩手県でミカンができるようなときも来るかもしれない。予測的には、大体佐渡島あたりが北限に近々なるだろうと言われておりますけれども。そういうふうに、農業であったり、また魚が、瀬戸内海固有の魚が北海道沖で捕まる時代が今来ております。サワラという魚なんですけれども、これは瀬戸内海の特産でした。ところが、北海道でサワラが漁があるという時代に入ってきて、農業であったり漁業であったり、非常に激しく気候変動の影響を受けております。

 何よりも、自然災害が、今までは考えられないような、大体、台風なんというものは、四国に、また九州に上陸するものでした。ところが、私の四国には最近上陸しません。いきなり東北であったり北海道であったり、そういうところに上陸するような気候の変動が起きている。

 つまり、日本という列島は非常に敏感な列島なんだろうと思っております。そういう国なればこそ、今後の適応策については、やはり世界に先駆けてさまざまな事例を提供しながら、これからの気候変動に対する適応策を我々は検討していく必要があるんだと思っておりますので、今後もより一層励んでいきたいと思っております。

高橋(ひ)委員 大変力強いお言葉、ありがとうございます。ぜひこれからもよろしくお願いします。

 最後に、環境金融についてお伺いします。

 具体的な行動につなげていくため、今までの議論のことなんですけれども、国民一人一人が意識を高めるのみならず、経済活動の担い手である企業や、企業の取り組みを評価して資金を供給する投資家の意識変革が必要と考えています。

 そこで、地球温暖化などの中長期的な課題について企業や投資家がそれぞれどう取り組んでいるのか、両者の関係はどうなっているのか、そしてどのような課題があるのか。

 恐縮ですが、時間の関係で、もしよろしければ、企業と投資家との間にある認識の差の解消に向けて、環境省は環境金融のアプローチからどのような政策に取り組んでいくのか。

 合わせて二問、一緒にお聞きしていいですか。よろしくお願いします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化などの中長期的な課題につきまして企業や投資家がそれぞれどのように取り組んでいるのか、両者の関係についてまずお答えしたいと思います。

 企業は、中長期的な視点に立った環境情報を十分に開示しているものの、投資家から十分な評価を得られていないと考えておりまして、他方、投資家は、企業の情報開示が十分でなく投資に有用ではないと考えるなど、両者における認識の差が課題であるというふうに考えております。

 このような状況を踏まえまして、環境省といたしましては、企業、投資家がともに中長期的な視点を持って地球温暖化などの将来にわたる課題へのアプローチを充実していくこと等を積極的に後押ししていくことが重要と考えております。

 本年一月に、ESG投資に関する基礎的な考え方を整理して公表いたしました。また、企業と投資家の対話促進のため、引き続き環境情報開示プラットフォームの構築を進めていくほか、環境報告ガイドラインの改訂を行うこととしております。さらに、国際的なグリーンボンド市場の発展を踏まえまして、本年三月、グリーンボンドガイドライン二〇一七年版を公表したところでございます。

 今後も、これらのガイドライン等の普及を通じまして、地球温暖化などの課題に中長期的な視点を持って対処することについて企業や投資家が認識を共有し、能動的に取り組んでいくための環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 恐れ入ります。時間が来てしまったので、最後の質問、通告しておりましたが、要望として終わらせていただきたいと思います。

 今、御答弁いただきました企業や投資家にさまざまな働きかけをしているということなんですが、地球温暖化のような中長期的な課題に企業も投資家も積極的に取り組むこと、そして金融の特定分野にとどまらないで、当たり前の金融の姿というふうにこのようなことがなることが重要だと思っております。関係省庁のみならず、国内外の幅広い関係者を巻き込み、環境省としてぜひいろいろな環境金融についても取り組みをしていただければと思っております。

 環境は、私たちが生きていく上で最重要課題です。大臣を初め、政務三役の方々、環境省の皆さんの活躍が、日本の将来のみならず、地球の未来を大きく左右していくと思います。たくさんのエールを送らせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、野生鳥獣の中での被害、特にイノシシによる被害について質問をしたいと思います。

 当委員会でも、ニホンジカなどを初めとした野生鳥獣による被害のことも議論されてまいりました。生態系への影響やまた農林水産物などへの被害は深刻だということが取り上げられております。きょうは、最初にイノシシによる人身被害の状況について質問をしたいと思っております。

 イノシシの生息数が著しく増加をしている、また生息地の範囲が拡大をしているということが言われておりますが、どのような状況になっているのかについてまず環境省から説明を求めたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、平成二十五年度に、それまでの捕獲実績をもとに全国のイノシシの個体数推定を実施いたしました。その時点で、イノシシの全国の生息頭数はおよそ約八十八万頭と推定をされましたし、増加傾向も確認をされたところであります。

 分布域につきましては、昭和五十三年から平成二十六年の三十六年間で、イノシシでは約一・七倍に拡大しているという状況が確認をされたところでございます。

塩川委員 イノシシの生息数は増加傾向にあるということと、この三十六年間で生息地の範囲が一・七倍に拡大をしているという話でした。

 資料をお配りしました。一枚目が、環境省がつくっております、イノシシの分布域の拡大の図です。

 左上に、囲みのところ、今局長が答弁されましたけれども、一九七八年から二〇一四年の三十六年間で、分布域は約一・七倍に拡大、二〇一一年から二〇一四年の三年間で、東北南部、北陸地方を中心に拡大をしたと。

 左下の方に色別で説明がありますけれども、例えば緑色のところが、四十年前の一九七八年以前からイノシシが生息しているとされていた地域ですが、ダイダイ色でしょうか黄土色でしょうか、二〇〇三年に新たに確認をされるとか、青は二〇一一年、紫は二〇一四年に新たに確認をされる。

 これを見ますと、例えば、今までは群馬とか栃木はなかったものが、この間ずっとふえているということなんかも見てとれるわけですね。そういう意味では、本当に近年、急速にイノシシの分布域が拡大しているということが見てとれるわけであります。

 そうしますと、こういったイノシシの市街地への出没というのが大変問題になってきているわけです。人里、さらに市街地へとイノシシが出てくる例というのがたくさん生まれているということで、環境省が、イノシシの保護及び管理に関するレポートをまとめております。このレポートでは、「今後イノシシの市街地への出没は増加していくことが危惧される」とあるわけです。

 このような市街地出没の危険性、問題点というのはどんなものがあるのか、このことについて、レポートの中身も踏まえて説明をお願いしたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 イノシシの市街地への出没の増加によりまして、人身被害や交通事故等の生活環境被害を引き起こすということが危惧をされております。

 また、出没した場合の対応につきましては、自治体の鳥獣部局のほか、警察や消防等、さまざまな関係機関や地域住民の理解と協力を得るための調整等が必要なこと、さらには、動物由来感染症が伝播すること等にも留意する必要があるというようなことが保護管理レポートに記載をされております。

塩川委員 動物由来感染症の伝播の話や、関係機関や地域との調整が必要となってくる、何よりも、人身被害や交通事故といった生活環境被害を引き起こす事例が頻発をしているということであります。

 イノシシによる人身被害の事例というのが多数寄せられております。私がお聞きした話として、埼玉県の神川町で昨年の二月にイノシシが出没をし、一度に三人の方がかみつかれるという被害があったということでした。

 我が党の川浦雅子町議によりますと、群馬県との境なんですけれども、群馬県側から埼玉県神川町に入ってまいりまして、小学校の南側を通り抜けてきた手負いのイノシシだったということなんですけれども、一人目の方は、自宅の庭で被害に遭って、イノシシに体当たりをされて倒れたところを肘や膝をかまれた方ですとか、倒れてもなお執拗に繰り返し体当たりをされて、口とお尻をかじられたという方もおられた。四回ぐらい体当たりをされて、あと二回ぐらい体当たりをされたら私は死んでいたと思う、こんな話もしていたということでありました。さらにもう一人の方は、ふくらはぎをかまれて玄関に逃げ込んで、閉めたドアのところにもイノシシがつけた傷が残っていたということでした。

 この三人の方は病院に救急搬送されて、一名の方は経過もよく、ふだんの生活には戻れたものの、口をかじられた方はまだ治っていないという話もありました。ふくらはぎをかまれた方は四十日間の入院になったという話であります。

 大臣にお尋ねいたします。

 こういったイノシシによる人身被害というのは全国各地で広がっていることと承知をしております。大臣の地元の愛媛県でもこういう事例もあるのではないかと思うんですが、イノシシによる人身被害の発生状況について、例えば愛媛県の事例など、大臣が承知されていることがありましたら、御紹介いただけないでしょうか。

山本(公)国務大臣 改めて愛媛県の方に確認いたしましたら、二十四年から二十八年度の五年間で、死亡事故は愛媛県ではゼロでございましたが、負傷事例は十件あったというふうな報告を受けました。

 私自身、向こうに住んでおりますから、イノシシが最近市街地に出没しているのは、もう頻繁でございます。頻繁でございますし、いろいろな話やエピソードが伝わってまいります。先生がおっしゃるような事故という事例もございますけれども、武勇伝も結構伝わってきております。イノシシと格闘した、うそかなと思ったら本当だったわけでございますけれども、そういうのも頻繁に話が伝わってくるということは、いかにイノシシが市街地に出没しているかということの事例だろうというふうに思っております。

塩川委員 大臣の方から、愛媛県で過去五年間の負傷事例が十件という具体のお話もいただきました。

 私、報道ベースですけれども、愛媛県の事例では、二〇一五年の十月に小学生の列にイノシシが突進をして児童三人が負傷するですとか、これはイノシシと特定されているわけでありませんが、昨年二月には、八幡浜市だったでしょうか、ミカン山でイノシシに襲われたと見られる農業をされている男性が死亡された、かみ跡もあったという話でしたけれども、そういう話なども、報道ではありますけれども、聞いているところであります。

 ほかの県でも、例えば、静岡県の浜松市の県立公園では、昨年三月、男女九人がイノシシにかまれるなどといって負傷したという例もありますし、群馬県の桐生市では死亡事故も発生をしています。このように、全国各地でイノシシによる人身被害が発生をしているわけです。

 環境省にお聞きしますが、こういったイノシシによる人身被害の発生件数、そういった件数について、都道府県とか市町村レベルでは把握をしている事例もあるんじゃないかと思うんですけれども、このように、自治体においてイノシシによる人身被害の件数を集計している事例というのは承知しておられるでしょうか。

亀澤政府参考人 環境省といたしましては、イノシシによる人身被害に係る発生状況に関しまして、各都道府県や市町村が把握しているかどうかということにつきまして、網羅的には承知をしておりません。

塩川委員 例えば、先ほどの環境省がまとめたレポートなどでも、兵庫県の神戸市における取り組みなども紹介されているわけです。六甲山麓で非常にイノシシがふえている、餌づけをしているのがきっかけじゃないかと言われていますけれども、人身被害の件数も多数に上る、こういう神戸市でのイノシシによる人身被害の件数などについては承知しておられませんか。

亀澤政府参考人 御指摘のありました兵庫県につきましては、六甲山近辺における人身被害の発生状況を兵庫県が神戸市、西宮市、宝塚市の三市を通じて情報収集しており、直近のデータでは、平成二十七年度に、三市のうち神戸市におきまして四十一件の人身事故が発生したというふうに聞いております。

塩川委員 平成二十七年に神戸市で四十一件の人身被害の報告があったということで、大変多いわけであります。

 このように、神戸市は毎年集計をしております。多数の人身被害の件数が報告されているわけです。長野県も人身被害件数を集計しております。

 環境省にお尋ねしますが、こういう自治体レベルで集計している例はあるんですけれども、環境省として、こういう全国におけるイノシシによる人身被害数というのは把握しておられませんか。

亀澤政府参考人 イノシシの全国における人身被害の発生状況につきまして、環境省では把握しておりません。

塩川委員 私は、それは、イノシシによる人身被害の状況を軽く見ているんじゃないかと言われても仕方がないと思います。

 今お話があったように、かなりの件数に上るんですよ。それが全国的にどういう状況になっていて、どういう傾向があって、これに対してどう対策をとるのかということがまさに求められている課題じゃないかということなんです。

 環境省は、この間、野性鳥獣の被害とのかかわりで、熊については人身被害を把握しているわけです。この熊による人身被害の状況についてはどのように把握をしておられますか。

亀澤政府参考人 熊につきましては、都道府県からの報告を集計して公表しておりますが、熊の出没件数、人身被害発生状況につきましては、平成二十八年度は、出没件数が約一万八千件、人身被害の発生件数は約百件となっております。

塩川委員 このように、平成二十八年でいえば、被害の人数は百件という話がありました。

 熊について人身被害の状況を把握する、そういうきっかけというのは何だったんでしょうか。

亀澤政府参考人 熊につきましては、人身被害が発生した際には甚大な被害を及ぼす危険性が高いことや、出没件数が多い年には人身被害発生件数も多い傾向にあることから、行政担当者や一般市民などに対して注意を呼びかけることなどを目的として、ツキノワグマの大量出没が全国の広い地域で発生をいたしました平成十六年及び十八年を契機として、都道府県からの報告を集計して、十八年度から公表を行っているところでございます。

塩川委員 ドングリ、堅果類の豊凶によって、熊の人里へのさまざまな移動が被害にもつながっている。そういう状況について把握をすることで、周知をしていく、注意喚起を行っていくということです。そういう点でいえば、イノシシについても同様のことが言えるんじゃないのかと思うわけですね。

 大臣にお尋ねしますけれども、例えば長野県の集計を見ると、どういう時期に人身被害が多いかというと、秋から冬の時期だという話なんです。それは、イノシシの発情期の時期と重なっているんじゃないのか、こういう指摘などもあるわけです。ですから、被害状況を把握して、その内容をわかりやすく周知すれば、被害を回避する注意喚起につながると思うんです。

 ですから、熊でも既に環境省は行っているわけですから、少なくとも、イノシシによる人身被害の状況を全国的に環境省として把握する、それを踏まえて施策に生かしていく、こういうことが必須だと思うんですけれども、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

山本(公)国務大臣 まずは、都道府県における把握状況を確認いたしまして、熊と同様に都道府県を通じた集計が可能かどうか検討をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 既に各県ごとには集計の数字は持っているわけです、市町村から上がってくるのは手持ちにあって。ただ、それを数字として取りまとめていくという作業がないものですから、それぞれの県で、課題となっているようなところは対策をつくるということでその数字なども生かすということなんですけれども、全国的な傾向などもはっきりさせるという点では、しっかりと把握をしていく。検討というお話がありましたので、ぜひ自治体とも連携をとりながら取り組みを進めていただきたいと思っております。

 それで、そういった被害状況の把握も踏まえながら、実際にどういうふうにやはり被害を回避していくのかということも求められているわけで、そういう点では、各自治体レベルではさまざまな対応マニュアルをつくったりもしているところです。

 例えば愛媛県の話では、やはり過去五年間で十件という被害もあったということで、県として、こういった、イノシシに遭遇した場合についての対策を専門家の監修を受けながらチラシをつくるという取り組みなども行っているわけです。一般向けと子供向け、二種類の資料をつくって自治体や学校などに配付をしているということです。

 資料の二枚目の方にその一つをつけておきました。これは愛媛県の自然保護課が作成、発行しているものですが、子供向けということで小学校などに配っているものだというふうにお聞きしています。四つの四角の枠がありますけれども、「イノシシを見つけたら… ゆっくりとイノシシからはなれましょう!」「近づいてきたら… たてものに入るか、高いところに登るなどして、助けを求めましょう!」「おいかけたり、石をなげない! おこって、おそってくることがあります。」「エサをあげない! 人をこわがらないイノシシになってしまいます。」こういうことを促す、こういったチラシなども作成をしているわけです。

 こういった取り組みについて、大臣は御存じでしたでしょうか。

山本(公)国務大臣 正直、私はこれを見るのは初めてで、同じ愛媛県で、初めてでございますけれども、やはり、これはわかりやすいチラシになっていると思いますので、ぜひ県の方に話をいたしまして、小学校あたりに広範に頒布ができるように協力したいと思っております。

塩川委員 こういった、市街地へのイノシシの出没に対応するマニュアルの作成というのが各県で行われている。これは環境省自身が紹介をしているところですけれども、長崎県や香川県や福岡県などがそういったマニュアルもつくっているということなんです。

 簡単で結構なんですが、自治体がつくっているこのマニュアルの特徴とかというのは、環境省としては把握しておられますか。

亀澤政府参考人 自治体が作成しているチラシ等につきましては、それぞれの自治体でそれぞれの状況に応じて工夫をされて作成をされているというふうに認識をしております。

塩川委員 環境省がまとめているイノシシの保護及び管理に関するレポート、先ほども紹介しましたけれども、こういうときに、市街地出没についてのさまざまな課題などについても紹介しながら自治体の取り組みに生かしていただきたいということで、促す中身になっています。そういった中に、市街地出没対応マニュアルをつくっている長崎県や香川県や福岡県のアドレスなども紹介をしているわけなんです。

 そういう点でいいますと、やはり環境省の取り組みも重要で、単に自治体の取り組みを紹介するだけじゃなくて、環境省として必要なマニュアルをつくるということも求められているんじゃないのか。

 例えば、先ほども、熊については人身被害の状況を環境省として把握をしているという話がありました。こういう熊類についての出没対応マニュアルというのも環境省がつくっているわけなんです。かなりのページ数にもなるんですけれども、このクマ類出没対応マニュアルというのはどんな中身が書かれているのかについて、少し説明していただけますか。

亀澤政府参考人 熊につきましては、堅果類、ドングリ類の豊凶による出没の頻度の違いとか、あるいは山で出会った場合の対処の仕方とか、そういうことが具体例も踏まえて記載をされているものというふうに認識をしております。

塩川委員 このように、クマ類出没対応マニュアルというのが、「クマが山から下りてくる」とサブタイトルで書いてありますけれども、実際に熊の出没の被害マップをつくるですとかこういった取り組みについて、専門家の知恵もかりながら、地域の住民の方の協力も得ながら、取り組みを具体化しようということが書かれているわけなんです。

 そういう点でも、私は大臣にお尋ねしますけれども、イノシシについても、こういった市街地への出没に対応する、そういったマニュアルをつくる必要があるんじゃないのか。自治体任せにせず、環境省としてイノシシによる人身被害を防ぐための対応マニュアルをつくる、その考えはないか、このことについて大臣にお尋ねをいたします。

山本(公)国務大臣 正直なことを申し上げまして、私自身も、熊とイノシシというのは根本的に意識が違っておりました。

 熊というのは、私のイメージというのが、皆さん、お読みになったことがある方もいらっしゃるだろうと思いますけれども、「羆」という日本の小説がございまして、その小説を読むと、北海道の事件なんですけれども、事実、明治時代に起きた話なんですけれども、ヒグマが集落を襲う、そして人を食べるということ等々を含めて、人を食べるものが熊だという意識を持っておりました。イノシシは人は食べない、イノシシは有害鳥獣、いわゆる農作物に被害を及ぼす有害鳥獣という意識でずっと見てきておりました。

 今先生御指摘のように、人身事故という観点から余り見てこなかった。しかし、人身事故が全国的に頻繁に起きているということ等々を踏まえましたときに、イノシシの、いわゆる熊と同じような一つの出没マニュアルといいますか、対策マニュアルというのも考えていってもいいのかなという気はいたしておりますけれども、根本的に違う面もあるんじゃないかという気もいたしております。

 私は田舎に住んでおりますから、目撃情報というのは頻繁に伝わってまいります。四国には多分、熊は生息しているのかよくわかりません、いるんじゃないかと言われておりますけれども、これも目撃情報がほとんどないに等しいので。イノシシはもう頻繁に皆が目撃をいたしておりますので、それが人身事故を起こすということになれば、やはり一つの考え方を我々としてはしていかなければいけないなと。

 ただ、今まではずっと、やはり有害鳥獣という物の考え方でイノシシ対策を環境省も農林水産省も考えてきたんだろうと思っておりますけれども、人身事故という観点からもう一回イノシシというのは見ていく必要があるのかなというふうには私自身も今思っております。

塩川委員 実際にそういった人身被害は非常に多いというのは、私もこの質問を準備する過程で改めて実感をしたところです。

 車との衝突事故というのはかなりあるんですよね。ニホンジカなどはよく紹介もされますけれども、イノシシが車に衝突をして車が損傷する、こういった事例などというのも少なくないと思っています。それは全体像がよくわからないということでもありますので、そういう被害状況の把握と同時に、それらに対する対応策ということについても、環境省がふさわしく役割を果たしていただきたいと考えております。

 この問題で埼玉県の神川町の例を紹介したというのも、ここでは続けて三人の方がけがをされたということもあって、我が党の川浦町議が議会で提案をして、こういった被害者の方に対しての何らかの公的な補償制度とかをつくる必要があるんじゃないのかと。

 もちろん、鳥獣の、猟銃などに取り組むような方々に対して公的な共済制度などをつくる、農水省の取り組みなんかでもあるわけですけれども、実際には一般の方が鳥獣によって人身被害をこうむった場合についての補償制度がない中で、埼玉県神川町では見舞金制度をつくったということです。額も限られているものではあるんですけれども、そういった取り組みというのが、こういう提案に町長が応えて実現をしたということでもありました。

 大臣に、ぜひ、こういったイノシシなど野生動物による人身被害に対する公的な補償制度というのも何らか検討するときに至っているんじゃないのか、このことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 委員御指摘の公的補償制度というのが、実際問題、広島県において行われており、広島県において支払いの状況にもあったということも承知をいたしております。

 一応、国の責任で一律に補償制度を設けるということは考えておりませんけれども、地方自治体において、それぞれの事情に応じて地方自治体が検討されることについては、私どもは、それはそれでよろしいんではないかというふうに思っております。

塩川委員 被害の状況がおさまれば一番いいわけで、こういう取り組みを強めながら、被害に遭われた方々に対する公的な支援というのも検討することが大事ではないかということを申し上げておきます。

 残りの時間で、改正鳥獣保護管理法についての実施状況を何点かお聞きいたします。

 二〇一四年五月に成立をし、二〇一五年五月に施行されました改正鳥獣保護管理法については、我が党は、法案審議に当たって、国による自治体などへの専門家の配置支援や捕獲事業等への財政措置の法的担保もないまま、事実上、国が都道府県や認定事業者に丸投げをして、安全性や効果の保証のない捕獲事業を進めるものだと指摘をしました。鳥獣保護という根幹思想を転換し、環境行政みずから鳥獣管理という捕獲事業に身を置くということは、鳥獣保護行政に禍根を残すとして反対したものです。

 大事なことは、科学的知見に基づく計画の策定であり、事業の推進や住民合意への役割を果たす人材確保ということです。この点で、地方自治体におけるこういう鳥獣保護管理行政を担うような専門職員の配置というのはどんな状況になっているのか、このことについては環境省としてはどのように把握をしておられますか。

亀澤政府参考人 都道府県におきましては、鳥獣被害対策を進める観点から、専門職員の配置はそれぞれの県の工夫で進められているというふうに認識をしております。

塩川委員 その際の法案を準備する段階で、二〇一〇年に都道府県のアンケートを行っていたわけですが、鳥獣保護管理に関する専門的な教育を受けた職員や知識を持った職員が配置されているのは十四都道府県と全体の三割程度だったということであります。

 こういうのは、本当にふえているのかどうかというのも問われるわけですし、こういった専門職員の配置に当たって国による何らかの支援策があるのかどうか。例えば、財政的な支援を行う、専門職員の配置に当たって国が支援を行う、こういうものというのはあるんでしょうか。

亀澤政府参考人 財政的な支援の仕組みはありませんが、自治体の職員に対する鳥獣保護管理に関する研修制度、研修のようなものは実施をしております。

塩川委員 ですから、専門人材確保への財政支援措置はないわけです。

 この間、鳥獣保護管理に係る指定管理鳥獣捕獲等事業交付金などをつくってきているというのはあるわけですけれども、もともと鳥獣保護管理法には財政的な支援の規定がないということも指摘をされているわけですが、そういったもとで安定的に事業を継続していくということが可能なのかどうか、このことの懸念というのがあるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。

亀澤政府参考人 指定管理鳥獣捕獲等事業交付金制度というのは鳥獣法の改正により盛り込まれたところですけれども、予算措置につきましては、毎年度必要な額を財務省に対して要求を行っているところでございます。

塩川委員 補正も含めて毎年度予算措置を要求するということで、要するに恒常的な制度にはなっておらないわけです。

 もちろん、こういった被害を軽減するものですから、なくなっていけば財政措置は必要なくなるわけですから、しかし、計画を策定して、それを本当に実効あるものにするためには必要な財政支援を求められているわけで、そこに当たって限定的な財政措置にとどまるのでいいのかということが法制度上からも問われていると思います。

 改正法には財政支援の規定がないわけです。鳥獣保護管理を進めるためには、都道府県に司令塔となる専門的な知識や技術を有する鳥獣行政担当職員の配置を行うことや、それを支える研究機関の設置が必要であり、これらの体制を保障する財政的な支援を法律で規定する必要がある、このことを強調して、質問を終わります。

平委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 四月の本委員会において、私は、豊洲の新市場、これは土壌汚染が非常に激しいものですから、そのことを取り上げさせていただきました。そのときは、土壌汚染法のある時期の改正によって、豊洲もいわば適用範囲に入るというふうな答弁もいただいております。

 その後、四月の十四日に、私はこの問題で内閣に質問主意書を出しました。それが、二十五日に答弁を安倍総理大臣名でいただいております。

 質問主意書は閣議決定ですから、山本大臣もサインをされたと思いますが、何かこのことで認識されておりましたか、サインをされるときに。質問主意書にサインされたはずですが。

山本(公)国務大臣 花押は書いておりますけれども、サインはしておりません。

菅(直)委員 花押を書かれたときに、この案件だということを認識されていましたか。

山本(公)国務大臣 質問主意書は全て一応目を通させていただいております、表題だけですけれども。

菅(直)委員 まあ、認識をされていたというふうに理解をしておきましょう。

 きょうは、やはり、その質問主意書の答弁を含めて、いろいろな問題点、特に豊洲の問題は今、これは東京だけではないと思いますが、非常に大きな関心を持たれていますので、そのことについて申し上げていきたいと思います。

 まず、答弁書の中で、「東京都が、専門家による検証を行うために平成二十八年九月十六日に設置した「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」等において、現在、議論及び検証を行っているところであると承知」というふうに答弁書にあるんですが、ここで言う専門家会議は、平成十九年に東京都が設置した豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議と同じ会議なのか異なる会議なのか、答弁いただきたいと思います。

細田大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございました。

 私どもが把握している経緯について御説明をさせていただきたいと思いますが、まず、東京都は、平成十九年の四月に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議を設置され、この会議が、平成二十年七月に、豊洲市場用地の土壌汚染対策として、卸売場施設等の建物建設に先立ち、環境基準に適合することを目指した地下水浄化を行う、あるいは、豊洲市場用地の全面について二・五メートルの盛り土を行うといった提言を取りまとめておられます。

 その提言も踏まえたその後の状況を見ますと、地下水については、建物建設が開始された平成二十六年二月段階で環境基準に適合しているものの、盛り土については、卸売場施設等の地下部分で、提言どおりの盛り土にかえて地下ピットが設置されていたという経緯がございました。

 こうした状況を踏まえて、東京都では、平成二十八年九月十六日に、これが質問主意書の御回答の中に記載されたものでございますが、豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議を設置し、改めて専門家による土壌汚染対策の検証を開始したところであるというふうに認識をしております。

 以上でございます。

菅(直)委員 順番に聞いていきますから、用意された資料を全部読まないでください。

 今お聞きしたのは、まさにその質問主意書に書かれた専門家会議と、今政務官が言われた平成十九年につくられていた専門家会議が同一のものですかどうですかということを、まず順番を追って論議を進めていきますから、まずそのことをお答えください。

細田大臣政務官 今、順を追って御説明をしたとおり、いわゆる平成十九年四月に設置されたものとは別の、新しい専門家会議が平成二十八年九月に設置されたというふうに理解をしております。

菅(直)委員 資料一と二を皆さんにお示ししております。

 資料一には、今、質問主意書の答弁で出てきた平成二十八年に設置された会議のメンバーが出ております。それから、資料二の二ページ目には、平成十九年に設置された、名称は若干異なっておりますが、メンバーが、リストが出ております。

 つまり、平成十九年に平田座長のもとで四人の委員でつくられた委員会と、平成二十八年につくられたのは、一方が外れておりますが、森澤さんという方が外れておりますが、座長を含めて全く同じメンバーであります。ですから、全く同じメンバーが言っている平成二十八年の話は答弁書にありましたが、今政務官の方から長々と答弁のあった、その前の専門家会議のことは、この質問主意書の答弁には全く触れられておりません。

 そこで、改めてお聞きします。

 確かに、手続的には別につくられているんです。しかし、実質的には、四人のメンバーのうち一人が外れて、座長も含めて三人が全く同じメンバー。実質的な同一と見るのは当たり前じゃないでしょうか。いかがですか。

細田大臣政務官 いずれにせよ、東京都が、そのお考え、権限に基づいて設置をし、検証を進めておられる、こういう母体でございますので、私どもから特に何かコメントをするという事柄ではないというふうに理解をしております。

菅(直)委員 認識を聞いているんですよ、実質的に同一じゃないですかと。四人の方がつくられていたかつての専門家会議。対象は全部全く同じですよ。これが三人になって新たにつくられた。実質的に同一じゃないですかというのを、認識を聞いているんです。これから順番に行きますから。

 農林大臣は、前回の質問でもしたように、最終的に豊洲の新市場移転の認可権限を持っていることは、この間、認められましたよね。質問主意書でも認めています。そのときに、後からできた専門家会議がこう言っていると。それが全然人がかわっているんだったら、前の人とはかわりましたから、ちょっと認識が違うのもあるかもしれません。前のときと全く同じ、四人のうち一人外れただけですから、実質的に同じではないですかということの認識を聞いているんです。

 そんなことが答えられないんですか。認識を聞いているんですから。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 認識といいますよりも、今御指摘があったとおり、事実として、さきの専門家会議に含まれている四名の方のうち、新しく設置された専門家会議には、平田先生、駒井先生、内山先生の三人が委員になっておられて、前回と同様に平田先生が座長を務めておられるという事実を認識しておるところでございます。

菅(直)委員 それで結構なんですよ。

 それで、早々と何か先ほど言われましたが、この最初に設置されたときの、いわゆるもとのという言い方をしますが、もとの専門家会議で、平成二十年七月に報告書が出ていますよね。これは資料の二に、その概略だけ皆さんにお示しをしております。

 この資料二の中にありますけれども、実質的に同じ専門家会議で何をこの報告書で出されているか。まず、順序を追って行きますけれども、特に、この資料二の三ページにありますけれども、このときの報告書は、こういう措置をしなければならない、あるいは、こういう措置をすれば豊洲を市場として使うことも可能であろう、そういう趣旨の内容になっておりますが、どういうことをやればいいというふうに指摘をしていますか、前の、もとの専門家会議は。

細田大臣政務官 先ほど冒頭御答弁を差し上げたところでございますが、最初の専門家会議が平成二十年七月に、豊洲市場用地の土壌汚染対策として、卸売場施設等の建物建設に先立ち、環境基準に適合することを目指した地下水浄化を行う、あるいは、豊洲市場用地の全面について二・五メートルの盛り土を行うといった提言を取りまとめておられるというふうに認識をしております。

菅(直)委員 まさにそのとおりですよね。

 実際にそれは行われたんですか。これは、平成十九年、いわゆる二〇〇八年です。多分、石原知事の時代でしょう。それで、今の小池知事になっていろいろなことがわかりました。わかった中で、このときの、今まさに政務官が言われた盛り土とそれからもう一つの地下水の問題、ここに言われている、こういうことをやるべきだと言われたことが実行されていますか、実行されていませんか、現時点で。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 これも先ほど冒頭申し上げました、地下水については、建物建設が開始された平成二十六年二月段階で環境基準に適合していたものの、盛り土については、卸売場施設等の地下部分で、提言どおりの盛り土にかえて地下ピットが設置されていたということであるというふうに認識をしております。

菅(直)委員 現時点でということを言ったはずですよ。地下水の調査を小池知事になって二度やっています。それでこれに適合していますか。現時点でということをちゃんと言ったんですよ。ちゃんと聞いて答えてください。

細田大臣政務官 失礼いたしました。

 なお、その後、地下水について、平成二十八年九月二十九日に公表された第八回モニタリング以降、環境基準に適合していない状況というふうに認識をしております。

菅(直)委員 ということは、このときの、もとの専門家会議の提言はいずれも実行されていない、現時点でですよ、ということですね。

細田大臣政務官 先ほど申し上げたように、環境基準に適合していないということと、盛り土にかえて地下ピットが設置されている状況であるというふうに認識をしているところでございます。

菅(直)委員 私が聞いているのは、事実を聞いているんですよ。先ほども政務官は事実という表現をされたけれども。つまり、ここに書かれている提言が現時点で実行されているか、いないか、事実を聞いているんです。見解を聞いているんじゃないんです。

細田大臣政務官 見解というか、事実として、提言どおりの盛り土にかえて地下ピットが設置されるということ、そして、事実として、平成二十八年九月二十九日に公表された第八回モニタリング以降、環境基準に適合していないという状況があるというふうに認識をしております。

菅(直)委員 もう一回言いますけれども、最初の、盛り土にかえてというのは、誰がかえたんですか。少なくとも、もとの専門家会議は盛り土をしろと書いているんですよ。この後にはもっとその詳しい図面もあるんです。それはたくさんのページになるからやめましたけれども、相当の土地を削って盛り土をすることになっているんですよ、提案が。それが勝手に、ピットにかえてなんということを政務官が言えるんですか。

 私が言っているのは、この提言が実行されているかどうかというのを聞いているんです。提言の中にピットなんという言葉はないですよ。

 余り逃げないでください、事実関係を言っているんだから。事実関係は正しかったら素直に認めればいいじゃないですか。事実として、この提言が実行されていますか。

細田大臣政務官 事実としては、先ほど私が申し上げたとおりでございます。提言書の報告とは異なるという事実があるということは認識をしております。

菅(直)委員 それでいいんですよ。提言書と異なるというよりは、提言書のことはやられていないんですよ。

 そこで、順次行きますから、余り慌てないでくださいね。

 この提言書の中で、こういうことをやれば、例えば、土壌汚染、地下水の暴露による健康被害の防止とか、揮発性ガス、ベンゼンとかシアン化合物が建物内に侵入して生鮮食料品への影響を防止するために必要な上乗せ対策、こういう位置づけでこういう提言がされているわけです。

 なぜ私がこの質問をしているか、政務官よくわかっていると思いますが、先ほども言ったように、最終的に、例えば小池知事がやはり豊洲に移そうというときには申請を出すんでしょう。その申請に対してあなたの答弁は、厳正に審査をしますと言っていました。質問主意書でも、ちゃんと審査をしますと総理大臣名で来ています。審査をするときに、こういう事実関係がわかって審査をするのか、わかっていなくて審査をするのかということがあるから聞いているんですよ。わかっているでしょう、何で質問しているか。

 つまり、あなたは、前の討議の答弁も、いわゆるもとの平成十九年につくられたときの専門家会議の提言のことは一切触れないで、今の新たにつくられたところが言っていることだけを言っているんですよ。

 しかし、私は明らかに、この平田座長という人は、私、個人的には知りませんが、前言っていることと今言っていることが全く違うわけですよ。前は、ちゃんと地下水のレベルを環境基準値以下に下げるようなそういうコントロールをしなきゃいけない、盛り土をしなきゃいけない、こうやれば大丈夫でしょうと言っていて、それがやられていないことがわかったときに何と言ったんですか、今度は、この同じ平田座長が。いや、それでも大したことないから大丈夫だろうみたいなことを記者会見で言っていますよ。一体信用できるんですか。

 政治家が言ったらいいとか悪いとか言いませんが、少なくとも専門家というのは、少なくともその道の専門家として、専門的知識でもって言ってもらったんだから、言っていることが全然違ったら、済みませんでした、私の知識が足りませんでしたと謝ってやめるべきでしょう、本来。それを、後で言った方だけを取り上げて、先に言った、ちゃんとした文書になって図面まである提言について何もなされていなかった。

 まさに認識を聞きます。これで、後の方だけの認識を参考にして、最後、申請が出たときには決めるんですか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど来申し上げているとおり、先生の事実関係の認識と私どもの事実関係の認識は一致しているというふうに考えておりますけれども、いずれにせよ、本検証、今東京都で、さまざまな場で検証が行われているところでございまして、この問題については開設者である東京都が責任を持って対応しているところでございます。

 農林水産省としては、前回の審議でも申し上げましたが、東京都から移転に関する認可申請があった段階で、卸売市場法に基づき厳正に審査を行い、適切に判断をしていくという考えでございます。

菅(直)委員 その答弁だけでいえばそれでいいんですよ。ただ、前回の質疑の中で政務官自身も、そしてこの質問主意書に対する安倍総理の答弁の中でも、そういうふうに素直に言っていないんですよ。

 つまりは、この質問主意書の答弁によれば、わざわざ、平成二十八年、後に設置された専門家会議において議論をされていると思う、それしか触れていないんですよ。それから、この間の政務官の答弁もそうですよ。ちゃんと前の報告書の内容を含めて実施されているのかどうか、後で言っていることと矛盾しているわけですよ、同じ平田座長のもとで。

 それが矛盾しているということも認識して判断するんですか、それとも、前のことはもう忘れて後のことだけで判断するんですか、どちらですか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 これも前回の審議のときから何回か申し上げておりますけれども、いまだ東京都から移転に関する認可の申請も行われていない段階でございます。いずれにせよ、認可申請があった時点で、卸売市場法に基づいて厳正に審査を行い、適切に判断していくという考えであります。

 これは、私ども一貫してこういう形で答弁を差し上げているということをぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。

菅(直)委員 聞いていることを答えてください。

 つまり、平成二十年に、この資料二に出したように、前の専門家会議がこういう報告書を出している、こうすべきだと。逆に言うと、こうしなければ安全性は確保できない、事実上そういうことを言っているわけですよ。ちゃんとこれも判断材料にするんですか、どうですかということを聞いているんです。はっきり答えてください。

細田大臣政務官 先ほど御答弁を差し上げましたいわゆる盛り土の問題を含めて、先ほど申し上げたように、盛り土にかえて地下ピットが設置されていた等々の事実関係も把握をしているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、まだ本当に申請も行われていない段階でございます。認可申請が行われた段階で、私どもとして適切に判断をさせていただくということでございます。

菅(直)委員 政治家みたいな、何か逃げのあれを余りやらないでくださいよ。私が聞いているのは、事実関係を聞いているんですから。

 当たり前のことでしょう。だって、事実上同一のメンバーが平成二十年に出した提言をちゃんとやられていたかどうか、参考にするのは当たり前でしょう、判断する上で。それをやらなくてよかったというんだったら、その提言は意味がないわけですから。そんな人たちに、いや、当時はこういうふうに言ったけれども、今は考え方が変わりましたからそれじゃなくてもいいですよなんという意見の方だけを指しているわけですよ、答弁書でも、あなたの前回の答弁でも。

 ですから私が、事実関係として、この存在を知っているわけでしょう、平成二十年の報告書の存在は、当然。知っているんでしょう。認可の判断をするときには厳正に審査するというんだから、この経緯もこの内容もきちんと認識した上で判断するんですねということを聞いているんです。ごく当たり前のこと。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 これも前回の審議で何回か申し上げたと思いますけれども、いわゆる認可申請、東京都から認可申請があった場合は、卸売市場法に基づいて、農林水産大臣が策定した中央卸売市場整備計画に適合するか、業務規程の内容が土壌汚染対策法、食品衛生法等の関係法令に違反していないか等が判断基準になります。これらの認可の基準に従って厳正に審査を行い、適切に判断を行っていくという方針でございます。

菅(直)委員 もう一回聞きますよ。

 平成二十年のこの報告書について、答弁書でも触れていない。あなたも、答弁で触れたかどうか知りません、はっきりしない。これも判断をする材料になるんですねということを聞いているんです。極めて簡単なことを聞いているんです。その点について答えてください。

細田大臣政務官 事実関係の把握は、先ほど申し上げたとおりでございます。これは、事実関係の把握については、先生と同一の事実関係の把握をしているということだろうと考えております。

 審査基準については、先ほど御答弁で申し上げたとおりでございます。

菅(直)委員 事実関係の中には、この平成二十年の報告書は入っているんですね。存在を認めて、その内容もきちんと把握しているということですね、事実関係として。

細田大臣政務官 当然のことながら、その報告書の内容について把握をしております。

菅(直)委員 だから、最初からそう答えればいいんですよ。

 一つだけちょっと、関連したことを聞きます。

 これは、たしか交付金が出ていますよね、農林省から。これは予算ですよね。一方で、まだ認可は申請が出されていない。私は、二百八億円でしたか、交付金が出ているのが、認可が出されていないけれども交付金が出ているというのがどうも不思議で、いろいろ農林省に聞いてみたんですが、しゃきっとした返事がないんですね。

 どういうことですか、まだ認可するかどうかが決まっていないのに交付金を出しているというのは。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 豊洲市場の整備に関する国の交付金の手続についてでございますけれども、平成十三年に東京都が中央卸売市場の豊洲移転を決定いたしまして、まず、平成十七年三月に、卸売市場法に基づき農林水産大臣が関係自治体に協議した上で定める中央卸売市場整備計画に、新設市場として豊洲地区が記載をされました。その後、東京都からの申請に基づいて、国が、強い農業づくり交付金等により、平成二十三年度から二十六年度にかけて、卸売場施設等の建設費等として約二百八億円の交付金の交付を行ったところでございます。

 この交付金については、個性を生かし、自立した地方をつくることを目指した地方分権改革の一環として措置されたものでありまして、事前審査を簡素化するなど地方の自主性、裁量性を最大限に尊重し、また、事前審査に当たっては、目的及び内容が適正であるかどうか、達成しようとする成果目標が交付金の目指すべき方向に合致しているかどうか等を審査したところでございます。この基準に適合しているということで交付の決定を行ったということをぜひ御理解いただければと思います。

菅(直)委員 これは認可がおりなかったらどうなるんですか、認可がおりなかったら。この移転のですよ。

細田大臣政務官 これは前回の審議から何回も申し上げたとおり、まだ認可の申請も行われていない段階でございますので、現段階で仮定に基づいた御質問にお答えできない、こういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。

菅(直)委員 予算について聞いているんですよ。払ったものがどうなるんですか、認可が出されなかった場合に。仮定じゃなくて、まさにそうなった場合はどうなるんですか。事務方の説明は返してもらいますと言っていますけれども、違うんですか。

細田大臣政務官 一般的には補助金適正化法等に基づいて適切に処理されるもの、こういうふうに認識をしております。

菅(直)委員 返してもらうというふうに私は説明を聞きましたが、違うんですか。適切に処理というのはどういう形をとるんですか。

細田大臣政務官 済みません、事前の説明でどういう説明が行われたかということは私は把握しておりませんけれども、いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、補助金適正化法等に基づいて適切に処理をされるものというふうに認識をしております。

 ただ、繰り返しになりますが、いまだ東京都から認可の申請も行われていない段階でございます。この段階において予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えております。

菅(直)委員 あなたの言っていることは本当にお役人とそっくりですよね。

 つまり、一方で、二百八億円を出すについては、こういうことを考えたら適切だと思うからいろいろな判断をして出したといいながら、一方では、もし認可がおりなかったら、認可権限を持っているわけですから、何が言いたいかといえば、半ば認可することを前提にして出したんじゃないですかということなんですよ。普通にそう思うじゃないですか。

 認可をするかどうかわからないのに出しておいて、認可をしなかったら返してもらう、少なくともその何とか法によればそうなっているらしいですよ。そうすると、では何で出したんだという話になるわけです。それでいろいろな施設をつくっていたら、東京都の方もその施設が認可されなきゃ使えませんから、ではそれだけ返してくれと言われたら、東京都としては一方的に使えもしない施設の補助金を返さなきゃいけないわけですよ。だから聞いているんですよ。

 一方でそういうふうに、少なくとも交付金についてはある種の判断をしながら、適切だとか判断しながら、一方では、まだ認可はやっていないからそんなことは予断を持って何とか言えない、こんな答弁が成り立つと思うんですか、本当に。どうですか。

細田大臣政務官 恐縮でございますが、いまだ認可も行われていない段階で、予断を持ってお答えすることはできないというのが政治家としての私の信念でございます。この点についてぜひ御理解をいただきたい、こういうふうに思います。

菅(直)委員 繰り返しになるからあれしますけれども、予断を持ってとかじゃなくて、先ほど言った手続上どうなっているんですか、その何とか法に基づいて。一旦出したものが、それがその目的がなくなったときに何とか法に基づいてどうなっているんですか。予断のことを聞いているんじゃないです。手続が決まっているんじゃないですか、何らかの。

細田大臣政務官 一般論として申し上げれば、先ほど申し上げたように、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがございます。これに基づいて適正に判断されるというふうに考えております。

菅(直)委員 時間ですから、最後にちょっと山本大臣に。

 このことは、前回の質疑でも、直接環境省が生鮮食料品の安全性についてまで関与してはいないという趣旨の話は聞いております。しかし、閣議でこういう答弁を出されているわけです。だから、その閣僚として、これは土壌汚染に非常に深い深いかかわりのある問題です、ある意味では、土壌汚染を担当される大臣として、例えば、総理に閣議の席で、こういう問題が指摘をされている、十分土壌汚染の問題も念頭に入れて判断すべきだと思うと、閣議というのは本来閣僚同士が議論する場ですからね、そういうことを言っていただいた方がいいのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

山本(公)国務大臣 先生も閣議というのがどういう場かということはよくよく御存じだろうと思っております。

 その上で申し上げたいと思いますけれども、今までの農水省とのやりとりを聞いておりまして、環境大臣として、土壌汚染対策法を所管する大臣として関心を持たざるを得ません。関心を持たざるを得ませんが、しかし、政府の一員としては、所掌外のことでございますので、具体的なコメントだけは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。しかし、非常に関心は持っております。

菅(直)委員 時間ですので終わりますが、関心を持って、所掌外ではなくて、閣議の席というのは所掌外であっても議論していいというのが、少なくとも我が党が内閣を担当したときはそういう扱いをやっていました。ですから、ぜひそういういい例に沿ってやっていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

平委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 私からは、まず、中間貯蔵施設についてお伺いします。

 かなりの月日がたっている中で、環境省としては、福島の除染を進めるために、非常に努力をしてこられたというふうに承知をしておりますし、その努力の結果として、前進もしてきたというふうに承知しております。

 まず大臣に、この中間貯蔵施設の進捗状況、さらには、そこへの搬出状況について、まず概略を御説明いただきたいというふうに思います。

山本(公)国務大臣 除去土壌等の輸送については、昨年度までに約二十三万立方メートルの搬入を完了しております。これにより、十九市町村、特に会津地方からの輸送は全て完了することができました。

 今年度はさらに五十万立方メートル程度の除染土壌等を輸送することとしており、今後とも、「当面五年間の見通し」に沿って、中間貯蔵施設事業に全力で取り組んでまいります。

細野委員 今、会津地方からという話がありましたけれども、会津以上に、中通りさらには浜通りには深刻な、それこそフレコンバッグの膨大な数が敷地の中に置いてあるわけですね。これをどうやってこれから処理していくかということなんでありますけれども、まず確認をしたいのが、これは総理も発言をされていますが、二〇二〇年には身近な場所から仮置き場をなくせるようにするということなんですね。

 目標数値を見ておりますと相当幅があって、例えば、二〇二〇年までに、六月まで、オリンピックまでということでいうならば、三百五十万立方メートルから八百万立方メートルと倍ぐらいの幅がある。これは、これぐらいの幅がある中で、本当に二〇二〇年に仮置き場をなくせるというふうに断言できるのかどうか、ややそこに疑問を感じるんですが、環境省としてはどうお考えになっているか、お答えをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 昨年の三月に、中間貯蔵施設に係ります「当面五年間の見通し」というのを発表してございます。その中で、今もちょっと御指摘ございましたけれども、平成三十二年度いっぱいで五百万ないし千二百五十万立米程度の除去土壌等を搬入するとの見通しを公表してございます。

 この見通しを踏まえまして、住宅や学校など身近な場所にある除去土壌等の搬入を進めまして、平成三十二年度には身近な場所から仮置き場をなくせるよう、中間貯蔵施設の整備を進めてまいりたいと考えております。

細野委員 今、二〇二〇年の一番下限の五百万立方メートルという数字を御答弁されたんですが、五百万でとどまったとしても仮置き場はなくなる、こういう認識でよろしいんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 五百万だった場合に、では実際にどこの仮置き場なりの土壌を搬出するかというのは、最終的には各市町村の御要望を踏まえて決定してまいりますので、そういう意味では、どこの仮置き場がなくなるかということを断定することはできませんけれども、この見通しに基づいて、身近な場所を優先的に搬出することによって、身近な場所から仮置き場がなくせるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

 また、この見通しも、もちろん用地取得の状況によってこれは大きく変わってまいりますけれども、現状においては、用地取得も、昨年夏から体制も強化をいたしまして、また福島県からも人材をいただいたりしまして、比較的順調に進んでございますので、現時点ではこの幅のかなり上の方で推移しているということでございますので、今後とも最大限努力をしてまいりたいと考えております。

細野委員 市町村の要望という話がありましたが、除染の事業自体は市町村がやるという形になっていますよね、中通りとか会津なんかは。そこはわかるんです。ただ、そこで出てきたフレコンバッグを運ぶのは国の直轄事業ですよね。

 ですから、ちょっとこれは、市町村の要望ということで、まずは優先的にということでおっしゃったんでしょうけれども、やはり環境省としてきちっとマスタープランをつくって、二〇二〇年だとあと三年しかありませんから、やり切る計画を立てるべきではないかというふうに思いますが、局長、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも最終的にどこを運ぶかというのは市町村と十分協議いたしますけれども、その原則として、先ほど申しましたように、まずは身近な場所にあるものを優先的に搬入を目指すということはうたってございますので、こういう原則のもと、これは毎年度各市町村と細かく量とか場所を調整しながら進めてございますけれども、十分調整をしながら、そういう原則を踏まえて、一刻も早い復旧を目指して進めてまいりたいと考えております。

細野委員 大臣にもぜひ御認識いただきたいんですが、これはやはり、環境省が本当に指導力を発揮して、みずから計画的にやっていかないと、二〇二〇年の目標達成というのはかなり難しいと思います。

 もちろん、山の中にあるものとか、いろいろなところがありますから、その状況を知っているのは市町村だというふうに思いますけれども、全体を見通すことができるのは国であるということだけはぜひ大臣として認識をしていただいて、計画的にやっていただきたい。これは私の方から要望申し上げます。

 局長に答弁はもうこれ以上は求めませんけれども、ぜひお願いをしたいのは、例えば汚染土壌で置いてあるものの中にも、これは福島県外でも言えることなんですけれども、八千ベクレル、この基準を既に下回っていて、やがて、もう汚染土壌でないものというのも中には恐らく出てくると思うんですね。さらには、運び込まれる前、もしくは運び込まれた後ということでも結構なんですけれども、それをどう有効に活用するかということも、これも非常にこれから重要になってくると思うんです。

 この間、中間貯蔵であるとか除染事業をやられることによって、環境省は事業官庁としての力も随分つけたというふうに思いますが、そこは、これこそまさに、市町村の要望に基づいた待ちの姿勢ではなくて、新しい方法としてどういう方法があるのかということについては積極的に開発していくという姿勢が重要だというふうに思います。

 せっかくここまで申し上げましたので、ちょっと決意のほどを局長に、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 今御指摘の点は大変重要だと思ってございます。特に、三十年以内の県外最終処分を考えますと、最終処分をしなければいけないその量をできるだけ減らしていくということでございますので、その際に、濃度の低いものについては再生利用を進めていくということが重要かと思っております。

 これにつきましても、今、一部実証事業も進めてございますけれども、地元の御理解を十分いただきながら、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

細野委員 次に、少しこの事業主体について気になることがございますので、これは大臣にお伺いしたいんですけれども。

 まず大臣、ちょっと数字として改めて確認をしたいんですが、福島環境再生事務所というのがありますね。これは私が大臣をやらせていただいているときにつくった事務所なんですが、小さいところからスタートして、随分拡大をしました。

 この福島環境再生事務所の中で中間貯蔵施設を担当している人が何人いるか確認をしましたところ、二百六十一人という相当の人数が担当しているんですね、土地の買収を含めて。除染に百五十一人という人数で、廃棄物に百二人ということで、この周辺だけでこれは全部で本当に五百人強の人員が担当しているわけですね。

 一方で、中間貯蔵施設については、JESCOという、国のこれは直轄の法人ですが、ここが担当していて、ここでも除染に関しての担当者が本社と福島で合計百三十五人いると。

 ちょっと私が整理しておきたいのは、福島環境再生事務所というのも買収など中間貯蔵施設を担当するわけですね、二百六十一人。一方で、JESCOはJESCOで事業主体として中間貯蔵施設を担当する。この役割分担というのはどうなっているんですか。

山本(公)国務大臣 JESCOは、国の委託を受けまして、施設の運営管理や輸送の管理を行うほか、国が行う施設整備の支援を行っております。

 また、福島の環境再生事務所におきましては、御承知のように、中間貯蔵施設の整備や運営管理等、これを国の責任ということで行っておりますのが環境再生事務所だというふうに思っております。そのうちの一部を国の指揮監督のもとでJESCOに委託をしているというのが今の姿だと思っております。

細野委員 そうしますと、中間貯蔵施設の整備は環境再生事務所の仕事なんですか、JESCOの仕事なんですか。どっちなんですか。

山本(公)国務大臣 基本的に、整備につきましては、国が行う整備の支援をJESCOが行っているということでございます。

細野委員 つまり、責任の主体は環境再生事務所にあり、その支援をJESCOがやっているということですね。わかりました。

 そこで、JESCOなんですけれども、JESCO法の改正も私のときにやったんですね。それまでPCBだけをやっていたのが役割としては非常に大きく拡大をして、ちょっと種類は違うんだけれども、この事業は国がもう実質的に直接やるしかないので、やはり何らかの法人が関与する必要があるだろうということで随分省内でも大議論をして、JESCOにしたんですね。

 そのこと自体は間違っていなかったというふうに思うんですが、そのとき、JESCO法の審議の中で、私はある委員からこういう指摘を受けました。これは環境省の天下り先になるんじゃないか、そういう指摘を受けたんです。もちろん、私は、いや、これは国が直接やらなければならない事業なのでやるのであって、そういうことではないんです、そういう思いをその前の段階での答弁で伝えたんですけれども、どうも見ているとちょっと様子が違うんですね。

 平成二十四年、JESCO法が改正をされてPCBプラス中間貯蔵をやる前は、環境省のOBというのは役員の中で一人、職員でゼロだったんです。足元、何人になったかなと思って調べましたら、社長も次官経験者になられた。役員の中に二人、職員の中に五人、環境省OBがいるんですね。

 これは私、答弁した責任があるので、きちっと大臣にここはもう一度御答弁いただきたいんですよね。

 国の事業が直接あるので、国の、ある程度、いろいろな意味で呼吸がわかる人が必要だということは理解します。ですから、何人かそこに入るということは理解できる。しかし、さっき私が質問で申し上げたように、環境再生事務所はあるわけですよ、これは役所そのもの。そことびっちり連携をしてJESCOがやっているというのであれば、JESCOにそんな大勢は要らないんですよ。

 これはどうですか。役員の中二人、職員五人、ちょっと多過ぎませんか。

山本(公)国務大臣 今先生御指摘のように、JESCOと福島環境再生事務所との役割の考え方の中で一つだけ私自身が思っておりますことは、やはり福島の環境再生事務所というのは、これは役所の出先だ、どう転んだって役所の出先、JESCOの場合は一応会社組織であると。

 この違いは何だろうということをいろいろ考えていきますときに、JESCOにおいては、多分、人材の登用ということに関して言えば、かなり柔軟性を持って対処できるのではないかというふうに思っております。こういう福島ならこういう人材が必要だといったときに、役所はなかなか簡単に人材を補強することはできませんけれども、JESCOにおいてはできるというふうに私は思っております、会社でありますから。

 人材の適用というか、採用ということが時間を置かずにできる、これがJESCOの特徴だと私は思っておりますので、そういう観点からJESCOを私は見詰めております。

 一方、先生御指摘のように、若干環境省からの関係者が何人か行っているということも私も承知をいたしております。しかし、誤解を招くことがないように、この辺は我々の立場で、彼らとやはり接触をしながらウオッチをしていきたいなというふうには思っております。

 従来、私がずっとこういう場面で懸念をいたしておりますのは、まさに役所の指定ポストみたいに思われるということに対して私も懸念を感じておりますので、その点につきましては、先生はこのJESCOをおつくりになった大臣であったろうと思いますので、ぜひ協力をしていただきたいというふうに思っております。

 やはり世間の誤解を招くような組織は世間の信用を得ることはできませんので、環境省というのは世間の信用をいただいて成り立っている役所だと私は思っておりますので、そういう目で今後見詰めていきたいなと思っております。

細野委員 環境再生事務所の方も相当柔軟に人を集めたと思いますよ。実際は、環境省だけではなくて、地方の国交省関係者とか、さらには農水省関係者が相当入っていますよね。ですから、役所の人員という意味では、環境省だけではなくて、相当幅広に環境再生事務所に入っているんですよ。だから、JESCOで人材を求める必要があるとするならば、役所以外で多様な人材を集めやすいというのなら理屈が通りますよ。ただ、天下りの人がJESCOに必要だという説明には、今なっていないと思いますよ。

 私も、一人一人の顔も浮かびますし、これはやはり役所の中にいた人間として、もうこれ以上余りつつきたいとは思わない。ただし、中間貯蔵施設は三十年ありますからね。三十年、長きにわたって誤解なきようにするための出発点としては、私はやや疑問を感じますよ。

 ですから、大臣、これは本当、今ちょっとお話がありましたけれども、やはり下手すれば巨大な利権になるんですよ。

 環境省というのは、規制官庁だからこれまではそういう利権とは遠かったわけです。だから、それぞれ御苦労されたこともあるかもしれないけれども、例えば研究者になられたり、いろいろなところでそれぞれ自分の力で活躍をした。しかし、JESCOはちょっと性格が違いますからね。

 こういう不幸なことがあったことによってできたそういう組織によって、環境省がそれこそ焼け膨れしたみたいなことだけには絶対にならないように、大臣、ここだけは強く申し上げておきます。それだけは目を光らせていただきたいと思いますが、一言いかがですか。

山本(公)国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、環境省というのは規制官庁から出発をいたしまして、今こういう役所になったわけでございますけれども、やはり環境省というのは、私の言葉で言わせていただくと、大変生意気な言い方ですけれども、あらゆる官庁の中で唯一葵の印籠が似合う官庁だと私は思っておりますので。葵の印籠が似合うということは、信用されるということ、権威があるという役所なんです。

 そういう思いで環境行政をこれからも取り組んでいきたいというふうに思っております。

細野委員 では、次に行きます。

 除染についてですけれども、大臣、これは私、本会議でも、福島の再生特措法のときにも質問をしたんですけれども、やはり一番気になるのは、復興再生拠点の除染は汚染者負担の原則の例外になって、国が費用を負担するという、この部分なんですね。

 このことに具体的に入る前に、大臣に、ひとつぜひお答えいただきたいんですけれども、大臣には、この東京電力の福島原発の事故というのは、日本の歴史上、非常に重大な公害事案だという認識はおありですか。

山本(公)国務大臣 それはございます。

細野委員 そうしますと、これだけ重大な公害事案において汚染者負担の原則の例外を設けることの意味はどうお考えになりますか。

 いろいろ役所から聞きました。答弁もいただきました。プログラム規定なので例外はあるんだと言うんだけれども、非常に重大な公害事案において例外をつくるんですよ。例外をつくるのは、特措法なのでこれは何の問題もないんですでいいんですか。

 これからいろいろな公害を我々は防いでいかなければならない。これは国家も関与した重大な公害なので、逆に例外中の例外なんだということはどこかで大臣が言わないと、これは環境政策の重大な例外でもありますから、そこの認識をぜひ大臣に、これは政治家として御答弁いただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 汚染者負担原則というのは、公害行政を行う上においてはまず大前提だろう、かように思っております。その上で申し上げたいわけでございますけれども、福島の今回の事案につきましては、過去に類を見ない大規模なものだというふうに私は思っております。

 日本ではいろいろな公害の案件もございました。先週も水俣に行ってまいりましたけれども、やはりこれも深刻な日本の公害の事例だろうというふうに思っております。

 それと比較してと言ったら語弊があるかと思いますけれども、福島の場合は、今回、非常に長期にわたって、水俣も今六十年たってまだ解決はついておりませんけれども、福島の場合はそれ以上の長い年月、福島の方々に御迷惑をかけざるを得ないんだろう、かように思っております。

 その中で、今、国が何ができるのか。東電が何ができるのかということとはまた別に、国が何ができるのかということを考えたときに、一刻も早く皆さんが安心をして帰られる、帰ってこられる状況をつくり上げていくことが私は国の役割だろうというふうに考えておりまして、そういう観点からいくと、今回の復興拠点における、いわゆる国費で行うということについては、私は間違った方向ではないというふうに思っております。

 国がやらなければ、これはやれない。東電の力だけでやっていただくんだったら、それはそれでいいんでしょうけれども、なかなか、それだけのお力に頼っていては、今の福島県民の方々、特に被災者の方々が一刻も早く安心して帰還ができるような状況はやはりつくりにくいんだろうと思っておりますから、今回、国が一歩踏み出すということは非常に大切なことであったと私は思っております。

細野委員 もう一度確認しますけれども、この事故そのものに国も責任があり、長期的にかかるので、極めて重大な公害事案であるけれども、例外的に国が除染について費用を負担するんだということでよろしいですか。

山本(公)国務大臣 今までとは違うという状況であることだけは間違いないと思います。今までの公害事例とは若干違うということだと私は思っております。

細野委員 もう一つ私が懸念をしているのは、一体幾らかかるかなんですよね。

 きょう事務方にも来ていただいていますが、改めて聞きますけれども、帰還困難区域というのは相当広いですよね。今、拠点をつくるというので、拠点は限定的なんでしょうけれども、ずっと広がる可能性がある。

 除染にどれぐらい費用がかかるかというのは、多少は見積もりをしているんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 帰還困難区域における除染でございますけれども、これは御案内のとおり、現在、福島復興再生特措法の改正案が国会に提出されておりまして、環境省といたしましては、この改正後の法律に基づいて、復興拠点において必要な事業を進めることとなります。

 この復興拠点の規模あるいは事業内容等につきましては、改正後の福島復興再生特措法に基づきまして、国と関係自治体との間で具体的な検討、調整が進められるものと承知してございまして、現時点では具体的にお答えすることは困難でございます。復興のステージに応じた新たな町づくりとして、除染事業とインフラ整備等を一体的な計画のもとで連動して進めていくということでございます。

 なお、初年度の二十九年度につきましては、この復興拠点の整備計画が認定された後、適切に対応できるよう、三百九億円を計上しているというところでございます。

細野委員 まあ、説明は何度か聞いたんですけれども、どうも、ちょっとこの問題に関しては環境省は待ちの姿勢なんですよね。復興庁があって、そこで復興をしながらやるんだ、そこから出てきた数字をもとに対応するということなんですが。

 環境大臣、これはぜひ御認識いただきたいんですが、除染を直接やるのは環境省ですからね。しかも、中通りとかと違って、国が直轄事業でやるわけですからね。これは結構恐ろしいことを言っているんですよ。帰還困難区域という膨大なところは国が直接やります、全く幾らかかるかわかりません、国が直接やるんですと。

 ですから、そこはもう少し踏み込んで、どんなことができるのか、どこまでできるのかという、そこは環境省自体がやっていかないと、もう後々大変なことになる可能性はあると思いますよ。そのことだけは指摘をしておきたいと思います。

 最後に、自然環境局長、来ていただいているので、地熱についてお伺いしたいんですが、何カ所かで実験的にやっていただいている。このレンジャーの皆さんの中でいうと、国立公園の中を地熱発電の採掘をするかどうか相当議論がありました。私のときもあったし、もう一度規制改革もして、規制緩和もして、国立公園の中を掘れるようにしたわけですね。逆に言うと、国立公園以外で地熱の可能性があるところはほとんどないので、そういう意味では非常に大きな決断をされたと思う。

 ただ、ちょっと私が気になっているのは、もう数年たったんだけれども、なかなか結果が出ていない。地熱発電、重要な再生可能エネルギーですから、いつの時点でめどが立って、そして具体的にこれが本格的な採掘に至るのか、そのめどについて、現段階で把握していることを教えていただけますか。

亀澤政府参考人 再生可能エネルギーの一つである地熱発電につきましては、地球温暖化対策として重要である一方、貴重な自然を有する国立・国定公園内におきましては、自然環境や地元に十分配慮しつつ推進することが必要というふうに考えております。

 環境省といたしましては、幅広い関係者から成る検討会の意見も踏まえまして、平成二十四年には、普通地域に加えて、第二種、第三種特別地域において、自然環境と調和した優良事例等について認めることとし、さらに、二十七年には、第一種特別地域の地下部への傾斜掘削を認めるといった規制緩和を行いました。

 こういう見直しを踏まえまして、地熱開発事業者等による新たな調査等が着手をされておりますが、そのうち、比較的規模の大きいものは四件、それぞれ、平成二十四年度ないしは二十五年度から、地元との合意形成を図りつつ、地表調査、掘削調査が進められている状況であります。

 今後の本格的な採掘のスケジュールにつきましては、各地域、各事業者において、地元との調整を図りながら進められるものというふうに承知をしておりますけれども、これら四件の地域で現在行われている地表調査、掘削調査の後、これらの調査結果を踏まえた探査のための調査井掘削等には、一般的に三年程度必要というふうにされております。

 本格的な掘削等についてはそれより後ということになりますが、具体的な時期については、掘削調査等の結果も踏まえて、それぞれ事業者により判断されることになるというふうに考えております。

細野委員 大臣、今局長の答弁を聞かれて、もしかしたら若干お感じになったかもしれないんだけれども、レンジャーの方の主要な仕事は国立公園を守ることなんですね。そういう意味では、環境に一切影響がないように頑張るのは当然レンジャーの皆さんの仕事なんです。

 ただ、ちょっと視野を広げると、地球温暖化という非常に重大な問題があり、原発がなかなか動いてこないということになってくると、安定的な電源である地熱の可能性というのは物すごくこれから期待されるわけですね。

 ですから、そこは、そういう認識を環境省として持っていただいて、相当これまで議論してきたというふうに承知をしておりますけれども、できるだけ早くこの実証実験を終えて、事業化は皆さんの仕事ではないけれども、事業化につなげていくという役割を担っていただきたい。このことを最後に私の方から要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 きょうは、一般質疑、こういうことでございますので、生活環境整備ということを一貫してこの委員会でも申し上げてきておりますので、そういった観点で、汚水、下水の点に焦点を当てて質問をさせていただきたい、こう思います。

 ついでに申し上げておくと、法案審議がそろそろ終盤に入ってきておりますので、それが終わりましたら、前から申し上げているごみ屋敷の話をぜひ御議論いただきたいと改めて申し上げておきたいと思いますし、また、環境省の方もぜひそれについての御判断、御認識を御検討いただいておきたいと冒頭申し上げておきたいと思います。

 まず、汚水、下水の処理でございますけれども、ちょっとおさらいをしておきたいと思います。

 浄化槽、あるいはまた下水道、あるいはまた団地等ではコミュニティープラント、あるいはまた農業排水、こういった話があろうかと思いますが、まず、ざっくり言って、今、人口比率というか世帯比率で何割ずつくらいになっているのかということと、それから、時間がありませんので一括して質問しますが、下水道の予算と浄化槽の予算、昨年あたりは大体幾らくらいずつになっているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道や合併処理浄化槽等の汚水処理施設による全国の処理人口は、平成二十七年度末時点で一億千四百七十四万人となっておりまして、このうち、下水道によるものが九千九百二十六万人の約八九・九%、また、合併処理浄化槽によるものが千百六十七万人でございまして、これが九・一%となってございます。

 また、予算についてでございますが、浄化槽整備の普及に係る国の予算といたしまして、循環型社会形成推進交付金及び二酸化炭素排出抑制事業費等の補助金がございます。

 平成二十九年度の循環型社会形成推進交付金及び二酸化炭素排出抑制事業費等補助金の予算額は、北海道、沖縄などの他省庁計上分を含めまして、国費ベースで合計約百億円となってございます。

 また、下水道の汚水対策の普及に係る国の予算といたしましては、主に国土交通省所管の社会資本整備総合交付金がございます。

 平成二十九年度の社会資本整備総合交付金の予算額は、国費ベースで八千九百四十億円でございまして、下水道の普及に係る予算はこの内数となってございます。

小沢(鋭)委員 今お聞かせいただいたとおりのある意味では比率で来ているわけでありますけれども、環境委員会として、ここは環境省、こういうことで考えてみるときに、環境省は合併浄化槽をずっと担当しているわけですね。

 若干質問が前後いたしますけれども、環境省として、いわゆる浄化槽のメリット、下水道と比較したときにどういうふうにお考えになっているのか。特にまた費用の面で、合併浄化槽を設置するときは家庭で負担金が生じるわけですね。そうしたいわゆる初期費用、維持費用を含めて、そういった合併浄化槽のメリット等をどう考えているか、お答えいただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、最初、一点だけ修正させてください。

 先ほど、下水道普及の比率につきまして、八九・九%と間違って申し述べてしまいました。七七・八%でございます。九千九百二十六万人ということになりますと、七七・八%でございます。

 それで、浄化槽につきましては、特に汚水処理の未普及人口が多く残る地方部におきまして、経済的、効率的な整備が可能な汚水処理施設と認識してございます。また、地域の中小企業により設置、維持管理が行われることから、地方創生にも貢献する、こういうメリットがあると考えてございます。また、分散処理ということでございますので、災害等への対応の際にも非常に有効であるというふうに考えてございます。

 また、これがどのような費用がかかるかという点についてでございますが、下水道と比較してどうであろうかとか、いろいろなことがございますが、実は、汚水処理施設の経済的な比較につきましては、地域の地形、特性によりまして、施設の整備費用、維持費用につきましては大きく異なってくるという現状がございますので、ちょっと一概に、比較してこうだというふうな、費用について申し述べられる状況ではございませんが、ちなみに、五人槽の浄化槽の場合に、本体価格と工事費用を含めました平均的な設置費用は八十三・七万円、また、保守点検や清掃、法定検査、その他家庭の電気代や機器交換費も含めました平均的な年間の維持管理費用は六・五万円となってございます。

小沢(鋭)委員 今の八十三・七万円、こういう数字ですけれども、個人のところでそこまでかからないでしょう。国の補助金それから地方の補助金というのがありますね。恐らく一割程度くらいしかかかっていないと思うんですけれども、八十三・七万円、どうですか、その補助金を考えたときの比率は。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、浄化槽に係ります国庫助成の制度というのがございまして、これには実は個人設置型というものと市町村設置型という二つのものがございます。

 先ほど申しました五人槽、八十三・七万円という通常型の工事費用の一つの標準というものがございますが、これにつきまして、実は、個人設置型におきましては、全体の六割は個人で負担していただく、残りの四割につきまして国と市町村で補助をさせていただくという制度がございます。

 それと同時に、市町村設置型という形がございまして、これは、この八十三・七万円という工事費用全体につきまして、これが国庫助成の対象となってございますが、全体のうちの個人負担をいただく部分は十分の一ということで、八十三・七万円の十分の一については市町村型の場合には個人負担、残りの部分につきましては国と地方自治体での補助、助成という形になる形でございます。

小沢(鋭)委員 部長、だから、今言ったような数字を言わないと、個人で八十三万円かかるという話だけが出ちゃうと、これはなかなか個人の方々は踏み込めませんから。そういった意味では、ある意味でいうと、環境省を応援するというか、浄化槽を推進しようと思っている人間としては、常にやはりそこのところをしっかりと説明していただくことが必要なんだろうと思うんですね。

 そういう観点でいったときに、今までは結構浄化槽へのセミナーを市町村を対象にされてきていると思うんですが、最近そういった話がないんだよ、こういう声も聞きますけれども、現状はいかがですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、浄化槽のメリットについて、特に地方自治体の関係者の方、首長を含めまして、十分御理解をいただくということが極めて大事であると考えてございます。

 具体的には、平成二十八年度におきましては、兵庫県、沖縄県、青森県の三カ所におきまして、地方公共団体の首長さん、幹部や議会の議員を初め、幅広い関係者を対象といたしました浄化槽トップセミナーを開催したところでございます。

 平成二十九年度、本年度につきましては現在検討中でございますが、この浄化槽の特徴、具体的な整備方法についての御理解を深めていただけますよう、適切に機会を捉えましてセミナーを開催してまいりたいと考えてございます。

小沢(鋭)委員 大臣に、通告しておりませんけれども、こういったセミナー、やはり必要だと思うんですけれども、いかがですか。

山本(公)国務大臣 先生御指摘のとおり、浄化槽がなかなか普及しないことに私も懸念を抱いております。

 一つの例を申し上げたいと思います。

 環境省の事業でございますので、例えば愛媛県の場合、県民環境部にこの話が参ります。県民環境部というのは、土木事業その他は一切関係ない世界でございます。愛媛県の私の町の首長さんが県に御相談に行きます、下水をやりたい、土木部に行きます。土木部に行くと、相変わらず都市下を勧められます。県民環境部がまさかそんな事業をやっているとは思わないわけでございます。

 これは、私は環境省に責任があると思っています。環境省がちゃんとその辺のことを首長さんにわかるようにアピールをしていないと、やはり首長さんは土木部に相談に行くんです。土木部が、ではあなたのところは浄化槽をやりませんかとは絶対言いません。相変わらず都市下を勧めます。

 こういうことが現実でございますので、環境省としては、先生御指摘のように、セミナー等も大事でございますけれども、やはり市町村、末端の基礎自治体の方々に、こういう事業がありますよということをよくよくわかってもらうような努力をしていくべきだろうと私は思っております。

小沢(鋭)委員 大臣から大変前向きな御発言をいただきました。

 本当に、下水道で全国全てやれれば、それはそれで一つの姿だと思いますけれども、なかなかそこまでやり切れない、こういう話があるわけでありまして、そういった意味では、やはり汚水、下水の処理というのも、これは必ずやらなければならない話でありますから、ぜひそこの部分は大いにしっかりと各都道府県にも声をかけていただいて、合併浄化槽の推進を進めていただきたいと改めてお願いしたいと思います。

 そういった中で、省庁間ではどんなやりとりになっていますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道を管轄する国土交通省、農業集落排水事業を管轄します農水省、また浄化槽を担当いたします環境省と、関係三省がございますが、汚水処理施設を適切な役割分担で行うということを目指しまして、これを計画的に整備していくために、国土交通省、農林水産省、環境省の三省で、平成二十六年一月に都道府県構想策定マニュアルというものを策定しておりまして、現在、このマニュアルに基づきまして、今後十年程度を目標にして、汚水処理未普及地域が解消するよう、三省で協調して取り組んでいるところでございます。

小沢(鋭)委員 ぜひそういった調整も進めていただいてお願いしたい、こういうふうに思います。

 それから、若干話はかわるのでありますけれども、汚水処理、下水処理のいわゆる科学技術というのは相当進展している、こういうふうに承知をしておりまして、若干違和感があるかもしれませんが、汚水処理も、今の日本の科学技術で処理すると飲める水にも匹敵する、こういう話もあります。

 特にまた、私が聞いているところでは、長崎のハウステンボス、ここでは、汚水処理、下水処理をいたしまして、いわゆる中水というんですか、上水道、下水道の間の中水、こういう形で活用している、こういう話もあるんですが、そういった汚水、下水のいわゆる利活用という点ではどんなぐあいになっているでしょうか。

森岡政府参考人 お答えいたします。

 下水道からの処理水質につきましては、水質汚濁防止法における排水基準、あるいは下水の放流先の河川、その他公共の水域または海域の状況を考慮して、例えばBODは一リットルにつき十五ミリグラム以下などと定められております。

 一方、処理した水につきましては、都市内における貴重な水資源という観点から、下水処理水を再生水として利用を図ることは重要であるというように考えております。

 このため、国土交通省では、平成十七年四月に下水処理水の再利用水質基準等マニュアルを作成いたしまして、水洗トイレ用水、あるいは散水用水、修景用水、こういった再生水の利用用途に応じて、例えば大腸菌が不検出といった水質基準を規定しております。

 なお、全国でこういった下水処理水の再利用を行っている処理場は約三百カ所ありまして、水洗トイレ用水、修景用水等に利用されておるというところでございます。

 御指摘の長崎県のハウステンボス及び周辺区域では、下水処理水に砂ろ過等の高度処理を行いまして、主に水洗トイレ用水として利用しております。こういった水洗トイレ用水の利用につきましては、全国で約五十カ所行われているというふうに承知をしております。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 やはり水というのは大切な資源ですから、そういった意味で、再利用、有効利用ができればいいわけでありまして、意外とこれは知られていないので、これもぜひ、国交省としても大いに宣伝をしていただいて、大切な水資源の再利用というのも進めていただきたいな、こういうふうに思います。

 もう一つ、この環境委員会で、ずっとかねてから環境外交ということで申し上げてきておりますが、いわゆるこの汚水処理、下水処理のまさに海外への輸出、こういった話は本当に、特にアジア諸国で都市化が進んでいるところでは大変有効か、こう思うわけでありますけれども、環境省としてそういった取り組みをしているでしょうか。お答えいただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、し尿を含む生活排水の対策といたしまして、下水道、浄化槽等のそれぞれの有する特性、経済性等を総合的に勘案し、効率的な整備・運営管理手法を選定し、適切な役割分担のもとでの計画的な施設整備を推進してまいりました。こうした取り組みは、東南アジア地域を初めとする海外、新興国でも大変有用であると考えておるところでございます。

 下水道分野につきましては、国土交通省さんにおかれまして、政府間会議や技術セミナーの実施、相手国関係者を招聘した研修、相手国政府等への専門家の派遣、相手国における技術基準の策定の支援や国際標準化の推進等に取り組んでおるところと聞いております。

 また、環境省といたしましても、我が国の優位技術であります浄化槽の海外展開を推進するために、関係機関と連携いたしまして、浄化槽を初めとする個別分散型の汚水処理技術やその制度を海外に普及させることを目的に、情報発信やネットワークづくりを今進めておるところでございます。

 今後も、関係機関や民間企業と連携しながら、我が国の技術の国際展開を積極的に推進してまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 廃棄物処理の話で、アジアへのいろいろな政務官、副大臣の出張等入っているというふうに承知しておりますけれども、ぜひこの汚水処理の浄化槽の話もしっかりと同時に行っていただくことが肝要かな、こういうふうに思います。

 それから、最後に、ちょっと時間がありますので、いわゆる自然環境における、山におけるトイレ、これは若干私も、我田引水なんですが、富士山トイレに関しては一生懸命やらせていただいて、かつては、白い川、こう呼ばれて、トイレットペーパーが流れているという話があったわけですが、今やそういう話がなくなりました。

 どういう状態で、今、いわゆる山岳地帯のトイレ、進んでいますでしょうか。お答えいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 環境省では、平成十一年度から、山岳地域の山小屋のトイレ等の排水、し尿処理施設の整備、改善に対しまして補助事業により支援を行ってまいりました。

 御指摘の富士山につきましても、山梨県及び静岡県からの要望を聞きつつ、平成十四年度から十八年度にかけて計三十一カ所の山小屋トイレの整備について補助事業により支援をしたところでございます。

 富士山におきましては、標高が高くて気象条件が厳しいことや、水が少ないなど条件が厳しく、通常の浄化槽による汚水処理が困難なため、この環境省の補助事業を通じて、平成十八年度までにバイオ式や燃焼式の環境配慮型トイレへの改良を進めたことで、そのほかのトイレも含めまして、富士山全体、五十一カ所のトイレにおきまして、現在では適切な汚水処理が行われているというふうに認識をしております。

小沢(鋭)委員 時間ですから、終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 環境の施策に関する件、きょうは辺野古新基地建設の埋立工事に関する件で質問をさせていただきたいと思います。

 さて、この普天間飛行場の代替施設、いわゆる辺野古新基地建設についての公有水面埋め立ての承認の経緯から少したどってみたいと思います。

 公有水面埋立承認願書の提出が平成二十五年三月二十二日。その補正の求めが四月十二日。補正資料を沖縄県に提出いたしましたのが平成二十五年五月三十一日。告示、縦覧が六月二十八日から七月十八日。以下、質問と回答が繰り返されまして、沖縄県知事による公有水面埋め立ての承認が平成二十五年十二月二十七日に行われたという経緯になっております。

 その後、実は、普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会が平成二十七年一月二十六日に設置され、県知事からその諮問を受けております。そして、その公有水面埋め立て手続に関する検証結果を七月十六日に報告しております。この百三十一ページにわたります検証結果報告書について質問をさせていただきます。

 公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会による検証結果報告書の三十九ページの「(4) 本件埋立の遂行によって失われる利益」、つまり生じる不利益のことですね。そのことについて、(4)の大きなアでは、「本件埋立対象地の自然環境的価値」が失われるということ、大きなイでは、「生活環境に関する不利益―騒音被害等」が生じるということ、それから、大きなウは「生活環境に関する不利益―地域への影響」、大きなエは「漁業における不利益」、大きなオにおいては「沖縄県や名護市の地域計画等の阻害要因となることによる不利益」などが挙げられています。

 その中で、「本件埋立の遂行によって失われる利益」、生じる不利益、大きなア、「本件埋立対象地の自然環境的価値」の部分における(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)において質問をさせていただきたいと思います。

 (ア)については、本件埋立対象地について、知事意見は、当該事業が予定される辺野古沿岸地域は、礁池内、イノーの中に、絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト、植物1において、準絶滅危惧種として記載されている種類があるという海草藻場や、絶滅危惧1類として掲載されているホソエガサ等が分布しているということ、それから、沿岸及び沖合の海域においては、国の天然記念物であるジュゴンが確認され、礁池内の海草藻場でそのはみ跡等が確認されているということを挙げています。

 それから、平成二十六年十一月十一日、日本生態学会など十九学会が連名で防衛大臣らに提出した、著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保全を求める十九学会の合同要望書などを挙げております。

 つまり、この(イ)から(ウ)について、いわゆる自然的な価値が失われるということで、この検証委員会は報告書で記しております。そのことについて、防衛省は、この失われる利益についてどのように判断されたものであるかについてお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の「本件埋立の遂行によって失われる利益」、(ア)、(イ)、(ウ)は、沖縄県が設置をした、普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会が、公有水面埋立法第四条第一項第一号、「国土利用上適正且合理的ナルコト」の検討をする中で挙げたものと承知をしております。

 その点につきましては、国といたしましては、昨年のいわゆる不作為の違法確認訴訟におきまして、国土利用上の観点から、その必要性及び公共性の高さや、当該埋め立て自体及び埋め立て後の土地利用が周囲の自然環境等に及ぼす影響など、相互に異質な利益を比較考量した上で、地域の実情などを踏まえ、技術的、政策的見地から総合的に判断すれば、本件埋立事業が国土利用上適正かつ合理的であることは明らかであることなどについて主張をしてまいりました。

 昨年十二月二十日、最高裁判所はこのような国の主張を受け入れ、辺野古沿岸域の埋め立てについて、翁長現沖縄県知事が行った埋立承認取り消し処分が違法であるという司法の判断が確定をしております。

 普天間飛行場の一日も早い返還を実現し、同飛行場の危険性を除去することは極めて重要な課題であるということは国と沖縄県との共通認識であり、防衛省といたしましては、昨年末の確定判決や昨年三月の和解の趣旨に従い、本件事業をしっかり進めてまいる所存でございます。

玉城委員 この検証結果では、つまり、今まで普天間飛行場があった部分からその基地が移設されれば、当然、そこにおける被害は解消されるであろうということを述べております。しかし、その一方で、普天間飛行場があったがゆえに起こる騒音被害あるいは人的被害は、それはそのまま移るだけなんだということを明らかにしています。

 ですから、この福岡高裁の判決も、実は自然環境に関する件についてはほとんど触れておりません。公有水面の埋め立てについて、それが是か非かということで、国の立場に立って判断を下したものであるというふうに私は思料しております。そのため、平成二十六年十一月に日本生態学会など十九学会が連名で提出した、著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保全を求める合同要望書が出されているわけですね。

 この合同要望書について、その宛先の一方である環境大臣から見解を伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 日本生態学会など十九学会により連名で提出された要望書において、大浦湾のサンゴ礁生態系は特筆すべき特徴と価値があると指摘をされております。

 環境省としても、辺野古、大浦湾を含む沖縄島中北部沿岸は、生物多様性の保全上重要な海域であると認識をいたしております。

 なお、同海域において行われている普天間飛行場代替施設建設事業の工事の実施に際しての環境配慮については、環境影響評価の結果も踏まえて、事業者である防衛省において適切に行われるものと認識をいたしており、環境省としても、これらの取り組みを注視してまいりたいと思っております。

玉城委員 続いて、防衛省にお伺いします。

 以上の件について、見解をどうぞ。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、代替施設建設事業に当たりましては、約五年間にわたる環境影響評価手続におきまして、沖縄県知事等から意見を受け事業内容に反映するなど、防衛省として、事業実施区域及びその周辺における環境や住民生活への影響にも十分に配慮して事業を進めてきたところでございます。

 また、沖縄防衛局は、平成二十六年四月、環境監視等委員会を設置し、専門家等からの指導助言を得ながら、環境保全措置や事後調査などの検討、実施を行うこととしております。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、引き続き、法令に基づき、自然環境にも最大限配慮をして、辺野古移設に向けた工事を進めてまいる所存でございます。

玉城委員 先ほどの十九学会が出した合同要望書には、「大浦湾一帯は、世界の生物多様性のホットスポットのひとつと認識されている」ということもあり、そのいわゆる環境アセス以降も新種が続々と見つかっているわけです。ところが、その新種に向けて、きちんとその以降の記載やあるいは取り調べをしていないということについて、この環境影響評価書では最近発見された未記録、未記載種が記載されていないだけでなく、多様な環境が複合しているこの海域の特異性がきちんと評価されていないという文言が入っているわけです。

 つまり、この環境影響評価書の評価以降に見つかったものは野ざらしである、そういう現状では、とてもこの多様な、生物多様性の環境は守れないというふうに言っているわけですね。

 済みません、時間が来ましたので、最後の質問を一つさせてください。

 第三者委員会から法的に瑕疵があると指摘された環境保全対策について、工事進捗等によって明確な環境保全対策の欠陥が生じた場合、防衛省はどのように沖縄県側及び米国側あるいは米軍側に説明し、対処するものでありますか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 工事の進捗等によって明確な環境保全対策の欠陥が生じた場合との仮定の御質問にはお答えすることは差し控えさせていただきます。

 その上で申し上げますれば、代替施設建設事業に当たりましては、約五年間にわたる環境影響評価手続におきまして、沖縄県知事等から意見を受け事業内容に反映するなど、防衛省として、事業実施区域及びその周辺における環境や住民の生活への影響にも十分配慮して事業を進めてきたところでございます。

 いずれにいたしましても、環境保全措置や事後調査などにつきましては、今後とも、沖縄防衛局に設置をいたしました部外専門家から成る環境監視等委員会の指導助言を踏まえながら、適切に対応していく考えでございます。

玉城委員 環境保全がなされていないということで環境監視等委員会から委員が脱退をしたという経緯も、後刻また改めて追及したいと思います。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

平委員長 次に、内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件の各案件を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。山本環境大臣。

    ―――――――――――――

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(公)国務大臣 ただいま議題となりました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律については、不法投棄を初めとした廃棄物の不適正な処理を撲滅するため、これまで累次にわたり改正が行われ、対策が強化されてきました。しかしながら、昨年一月に発覚した食品廃棄物の不適正な転売事案を含め、廃棄物の不適正処理事案は引き続き発生しており、こうした事案への対応を進める必要があります。

 また、近年、新たな問題として、使用済みの電気電子機器等が主に発展途上国への輸出目的で収集され、いわゆるスクラップヤードにおいて、不適正に保管または破砕されることにより火災や有害物質の漏出等が生じており、対応の強化が必要となっています。

 本法律案は、これらの課題に対応するための制度的な措置を講じようとするものであります。

 第一に、廃棄物処理業の許可を取り消された者等に対する対策の強化であります。許可を取り消された廃棄物処理業者等が、なお廃棄物を保管している場合に、都道府県知事等は、基準に従った保管その他の措置を命ずることができることとします。

 第二に、いわゆるマニフェスト制度の強化であります。特定の産業廃棄物を多量に生ずる事業者は、当該産業廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合には、原則として、紙マニフェストではなく、電子マニフェストを使用しなければならないこととします。また、マニフェストに関する罰則を強化します。

 第三に、有害物質を含む使用済みの機器への対応であります。収集された使用済み機器のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管または処分が行われた場合に人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものの保管または処分を業として行おうとする者は、都道府県知事に届け出なければならないこととするとともに、政令で定める基準に従い保管または処分をしなければならないこととします。

 第四に、二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例であります。現行では、産業廃棄物の排出事業者がみずからその産業廃棄物を処理する場合には、廃棄物処理業の許可は不要とされていますが、二以上の事業者が、一体的な経営を行い、かつ、産業廃棄物の適正な処理を行うことができるとの要件を満たす旨の都道府県知事の認定を受けた場合には、当該二以上の事業者は、排出事業者責任を共有した上で、廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に産業廃棄物の処理を行うことができることとします。

 次に、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我が国は、有害廃棄物等の越境移動について、平成四年のバーゼル条約発効を受け、同年に国内担保法である特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律を制定し、不適正な輸出入を防止するための手続を整備するなど、その管理の基本的枠組みを整備しました。

 法制定から約二十五年が経過し、近年、循環資源の国際的な取引が増大しております。これに伴い、輸出では、鉛などの有害物質を含む電気電子機器などのスクラップ、いわゆる雑品スクラップの不適正な輸出や輸出先国から我が国への返送を求める通報が増加しているほか、輸出先国における特定有害廃棄物等の不適正処理事案が発生しています。また、輸入では、循環資源の国際的な獲得競争が激化する中、競争上不利な事業環境を解消することが重要な課題となっています。

 本法律案は、これらの課題に対応するための制度的な措置を講じようとするものであります。

 次に、この法律案の主な内容を説明申し上げます。

 第一に、雑品スクラップや輸出先国において条約上の有害廃棄物とされているものが法の手続を経ずに輸出されることを防止し、また、廃電子基板などの国際的なリサイクルを推進するため、法の規制対象となる特定有害廃棄物等の範囲を見直します。

 第二に、輸出先国における特定有害廃棄物等の不適正処理を防止するため、輸出先国における環境汚染防止措置について、環境大臣による確認事項を法的に明確化します。

 第三に、我が国の先進的な技術を有効活用し、特に非鉄金属を含む循環資源のリサイクルを着実に進めるため、再生利用等を目的として輸入を行う事業者等の認定制度を創設し、認定の範囲内で特定有害廃棄物等を輸入する場合には、輸入承認の手続を免除します。

 次に、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。

 現在、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関し、東北地方では、環境省の地方支分部局である東北地方環境事務所において、その事務を担っております。今般、環境省本省において関係部局の一元化を図ることにあわせ、地域における除染等の措置等や中間貯蔵、指定廃棄物の処理等の取り組みについても一層の推進を図る必要があります。

 本件は、以上の理由によりまして、環境省に、地方支分部局として、福島地方環境事務所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づく国会の承認を求めようとするものであります。

 以上が、二法案及び国会承認を求めるの件の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

平委員長 以上で各案件の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.