衆議院

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第16号 平成29年5月12日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十九年五月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      木村 弥生君    小島 敏文君

      助田 重義君    中山 展宏君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         中村  格君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           高科  淳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   森本 英香君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     中山 展宏君

  比嘉奈津美君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     比嘉奈津美君

  中山 展宏君     田中 和徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件の各案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長中村格君、消費者庁審議官吉井巧君、経済産業省大臣官房審議官高科淳君、環境省大臣官房長森本英香君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政でございます。

 今回、廃掃法、バーゼル法、それから地方自治法の改正に当たりまして、自由民主党を代表して質問に立たせていただきます。

 今回のバーゼル法の改正に当たりまして、私、非常に政府に対して強く求めてまいりました。

 と申しますのは、以前、ドキュメンタリー番組で、アフリカのどこかの国で、廃家電を素手で分解しながら、野焼きをしながら、そういったことが普通に行われている。その近隣の村では、その煙によって、しびれが起きたり、目が見えなくなったり、手足がむくんだりということが普通に行われているというドキュメンタリー番組がありました。

 そこからこのバーゼル条約というのに関心を持ちまして、党の部会でも、どうなっているのかということで改正を求めるというようなことを申し上げたことがありますけれども、今回、国会で御提出いただいたこと、本当に心から感謝申し上げたいというふうに思っております。

 さて、今回のバーゼル法改正に当たりまして、伊藤副大臣には、私の地元、JX金属の日立事業所に御視察いただいたということを承知しております。

 私も、この質問に当たりまして、事業の状況、現状を改めて聞いてまいりました。廃電子部品から、銅、金、銀、プラチナ、こういった希少金属を回収する非鉄金属のリサイクル事業に対して、伊藤副大臣のまず御所見、どういう感想を抱いたかというのをお伺いしたいと思います。

伊藤副大臣 石川委員にお答えをしたいと思います。

 先般、歴史ある鉱山会社でございますJX金属が、現在は、国内外のいわゆる都市鉱山につきまして、先進的な環境技術により有害物質を適切に処理しながらリサイクルを行っている様子を直接この目で見させていただきました。極めて高い技術力を誇られまして、大変おもしろい作業工程を拝見させていただきました。

 視察を通じまして、我が国が誇る環境技術の先進性を生かしつつ非鉄金属のリサイクルを進めることは、世界全体の環境負荷の低減と我が国の経済成長の両立に資するものであり、積極的に進めていく必要があることだということを改めて確信いたしたところでございます。

 さらに、環境省としても協力しております「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」は、このような我が国の環境技術を活用したリサイクルの取り組みを世界にアピールする絶好の機会と思った次第でございます。

 今回のバーゼル法の改正にありましては、海外で発生した廃電子基板などの輸入円滑化も含んでおりまして、こうした措置を講ずることによって、先ほど石川委員が御指摘をいただきましたような事態をでき得る限り起こさせないということも含めまして、国際的な資源循環に貢献する企業に対する支援をしっかりと強化していきたいというふうに考えた次第でございます。

 以上でございます。

石川委員 ありがとうございます。

 私も現場でお聞きしてきたのは、資源リサイクル原料となる廃電子部品、さまざまな基板等なんですけれども、実はこれは売り手市場でございまして、引く手あまたなんだそうです。

 これはどういう形で渡っていくかといいますと、売り手というのは、雑品スクラップ等が含まれたそういった原料を、きちんと成分を正確に分析してくれるところに、評価してくれるところに販売する傾向があるということでございまして、お聞きするところによると、分析に非常に力を入れている。伊藤副大臣も自動ロボットの作業工程をごらんになったと思いますけれども、やはりああいう形で公平公正に分析をしているということが一つのマーケットに対するPRになるということでございます。

 こうした環境負荷をかけない資源リサイクル事業、とにかくゼロエミッションに力を入れているということでございましたので、少資源国である我が国にとっても非常にこれは強みになるだろう、私も同じ感想を抱いた次第でございます。

 次に、今回のバーゼル法の改正に当たりまして、先ほど申し上げました、ニーズが非常に高まっている有害廃棄物の輸入手続の簡素化それから廃止、あるいは輸入事業者、再生利用等事業者の認定制度が創設される、こういったことを通して、欧州との資源獲得競争に少しでも有利に働くように改善していくという方向は、非常に私は歓迎すべき方向性だというふうに思っております。

 また、大きな前進といたしまして、今回の改正では、最近増加傾向になっておりますシップバック、輸出先から、有害物質だからこれはだめだと送り返される、このシップバックというのがふえているということで、こういったことを防ぐために特定有害廃棄物等の範囲が明確にされるということは、非常に私は大きな前進だというふうに評価をしております。

 しかし、実際には、資源なのか廃棄物なのか、この線引きというか判定が極めて困難でございまして、関税を逃れるため、恣意的に純度の高い銅くず、電線などを混入させる、こういう不正な事案というのも散見されるわけでございます。それを判定する担当者が、予断を持たず、いかに迅速に、そして公平公正に、客観的な判断を下すかというのがこれからの鍵だと私は思っております。

 そこで、お伺いいたしますが、いわゆる雑品スクラップについて、該非の判定基準、この内容を検討されていると思いますが、それについてお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のバーゼル法では、雑品スクラップのように規制対象になるものと規制対象外になるものとの混合物につきまして、該非判断基準が不明確であるため、十分に取り締まることが困難という状況になってございます。

 一方、EUにおきましては、このような混合物は、規制対象になるものが一部でも混入していれば、そのもの全体を規制対象物として扱うということとしております。

 我が国におきましても、EU等の外国の基準も踏まえつつ、現場において客観的かつ短時間で規制対象物か否かの判断が行えるよう、判断基準の整備を検討してまいりたいと思ってございます。

石川委員 ありがとうございます。

 その判断基準を検討する検討会あるいは有識者会議、こういったところを通じてオーソライズされるということだと思いますが、先ほど中井部長から答弁がありました、EUでは、一部でもそういったものが含まれるとだめという厳しい基準をしいているということでございますので、こういったことを参考にやっていただきたいというふうに思います。

 ここで問題になるのは、やはり、海外との取引においてその判定基準が異なりますと、日本では許可、認可されていても、海外ではだめということが往々にして起こり得るわけでございますので、こういった整合性をとるということをどのように考えているか、政府のお考えをお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 今回の法改正におきましては、現行バーゼル条約におきましては国ごとで判断が違い得るということを前提としての国内の法整備ということでございまして、これに対する対応といたしまして、今回の法整備で、相手国がバーゼル法の対象としているというものにつきまして、日本国としてこれを規制の対象にし得るということを法的な根拠を定めさせていただくというところでございます。

石川委員 ぜひそこは、そごのないように整合性をとっていただきたいというふうに思っております。

 次に、環境大臣は、途上国の輸出先において環境汚染防止措置がとられているのかどうかということを確認するという取り組みをこれまでも行ってまいりました。

 これまでどのような判定基準に基づいてこういった作業を行ってきたのか、また今後の取り組みはどのようにしていくのかについてお伺いいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで環境大臣が確認する環境汚染防止措置といたしまして、輸出先国の処分者が環境の保全上適正な処分を行う能力を有していること、また、我が国及びバーゼル条約締結国会議におきまして求める環境の保全上の基準を下回らない方法で処分されることが確実であることなどを書類で確認しております。

 さらに、必要に応じて、輸出先国政府当局への防止措置の実施状況の確認や現地調査を適宜実施しておるところでございます。

 今後は、法的に明確化いたしました確認事項、例えば、処理施設の構造、排ガス、排水対策等の環境保全対策や輸出先での環境関連規制の遵守状況等につきまして、より的確な審査を行ってまいります。なお、必要に応じまして、輸出先国政府当局への確認、現地調査を適宜実施してまいります。

石川委員 ありがとうございます。ぜひ確実に行っていただきたいというふうに思います。

 次に、廃掃法関係についてお伺いしたいと思います。

 今回の改正で、電子マニフェストの強化対策というのが盛り込まれております。これは、二〇一六年一月に発覚いたしました食品廃棄物の不正転売事件、これがきっかけになったと思われますけれども、産業廃棄物処理業者ダイコーが処理したように偽り、排出事業者もマニフェストの虚偽報告を見抜けなかったということでございます。

 不正が発覚した後に検証するにはこのマニフェストというのは非常に有効だと私も思いますけれども、マニフェストだけを見て、果たして的確に最終的な処分が完了したのかどうかというのが書類上だけで判断できるのかなというのが、私は非常に疑問に思うわけでございます。今回の電子マニフェストによって不適正処理事案が発見できるような、IoTなどを駆使したシステムを導入すべきではないかと私は考えております。

 また、適正処理を確実に行うためには、今、電子マニフェストの登録期限というのは処理後三日以内というふうになっておりますけれども、やはりその登録期限というのを翌日までとか短縮するべきではないかと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 マニフェストは産業廃棄物の適正処理の確認に有効な手段ですが、マニフェストだけで不適正な処理を全て発見することは困難であり、最終処分が終了するまでの一連の処理行程が適正に行われているか処理施設の実地の確認等、必要な措置を講ずることが重要でございます。

 このため、ダイコー事案の再発防止等の一つとして、排出事業者向けチェックリストの作成等に取り組んでいるところです。

 また、御指摘のとおり、不適正処理事案の発見へ向けまして、電子マニフェストシステムにおける虚偽記載の防止に資する機能の導入は重要であると考えております。

 このため、平成二十八年度のシステム改修におきまして、産業廃棄物の処理ルートごとに、廃棄物の種類について、委託契約書の記載内容と電子マニフェストの登録内容の相違を検知し、関係排出事業者及び処理業者に対し警告表示を行う機能を追加いたしました。

 また、事業者によりましては、電子マニフェストシステムによる管理に加えまして、運搬車両へのGPS発信機の搭載等により処理状況を可視化するサービスを行っているような事例もございます。

 電子マニフェストにつきましては、使用の義務づけに伴い、登録期限の見直しについて検討するとともに、スマートフォンやタブレットにより現場で即時に登録できるアプリケーションを開発し、その活用を推進してまいります。

石川委員 ありがとうございます。

 この登録期限、三日という期限は、今のようにインターネットが整備されていない時代に、パソコン通信を使って行うということで三日間の猶予を置いたというふうに私は聞いておりますので、こういったIT、IoTそれからネットワークが発展しているわけですから、廃棄物とマニフェストというのはやはり同じ工程で動かした方が私は不正が減るというふうに思っておりますので、ぜひそういった取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 次に、ヤード対策についてお伺いいたします。

 私の地元、皆様の地元にも、空き地に廃品回収いたしますというようなのぼりを立てて、そういった雑品スクラップ、不用になった家電なんかを回収しているところがあると思います。私も、先日、地元でそういったところがありましたので、改めて見てまいりました。そこにはやはり、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、自転車とか鉄くず、ありとあらゆるものが置いてあって、これは本当に許可を受けてやっているのかなというような印象を受けたわけでございます。

 一般的に、不用品回収業者が回収した廃家電というのは、多くは金属スクラップ業者に持ち込まれるということでございます。

 今回、家電や小型家電を回収して保管または処分する、こういったヤード業者に対しては都道府県への届け出が義務づけられるということは、私は、非常にいい、前進したんだなというふうに思います。しかし、このバーゼル法のすき間でもありますけれども、回収業者にはこういった規制をかけないという理由はどこにあるのか、お伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、生活環境上問題となっておりますのは、雑品スクラップがスクラップヤードに保管され、不適正な管理により火災が発生していることや、乱暴な破砕が行われることにより有害物質の流出のおそれが生じていることでございまして、まずは、スクラップヤードにおける対策に注力する必要があるものと考えております。

 また、不用品回収業者が回収し、中古としても使用できない機器の多くがスクラップヤードに持ち込まれていると推測されまして、スクラップヤードにおける保管等の規制、さらに、バーゼル法改正法案によります輸出の厳格化を図ることによりまして、こうした業者がスクラップヤードに持ち込み、不適正な輸出を行うインセンティブを引き下げることができるものと考えております。

 なお、不用品回収業者につきましては、これまでも、各自治体により、廃棄物に該当するものを無許可で取り扱っている場合には廃棄物処理法の無許可営業として取り締まりを行ってきたところであり、引き続きこうした取り締まりを進めてまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 資源リサイクルのメーンルートを太くする意味でも、こういった抜け道は徐々に狭めていっていただきたいというふうに思っております。

 ヤードに関しましては、自動車盗難の温床とも言われております。不名誉なことですが、茨城県は日本で一番自動車盗難が多いということでございまして、この認知件数と検挙件数、そしてこれまでどのようなヤード対策が講じられてきたのか、そして、さらなる私はヤード対策の強化をお願いしたいところですが、これについて警察庁の御見解をお伺いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました自動車盗につきましては、近年減少傾向にはございますけれども、平成二十八年中の認知件数は一万一千六百五十五件、検挙件数は五千七百十三件となっておりまして、依然として百六十億円を超える多額の被害が生じている状況にございまして、看過できないものと認識をいたしております。

 自動車盗の対策としましては、これまでに、関係省庁と民間団体から成る自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチームを設置いたしまして、広報啓発活動や、いわゆるイモビライザーと申しますけれども、電子式盗難防止装置の普及促進、性能向上等の実施、あるいは盗難自動車の不正な輸出あるいは名義変更等を防止するための関係省庁への盗難車両情報の提供といったことを行っておるところでございます。

 特に、委員から先ほど御指摘のございましたヤードにつきましては、その一部で、盗難自動車の隠匿場所あるいは解体等の作業場として使われるなど、自動車盗の温床となっている状況が認められます。

 これに的確に対処すべく、警察といたしましては、茨城県あるいは千葉県を含む一部の自治体ではいわゆるヤード条例が制定されておりまして、そういったことも踏まえて、関係自治体あるいは関係機関と十分に連携をしながら、警察としては、引き続き、継続的な実態解明、さらに強力な取り締まり等、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 被害総額百六十六億円ということですが、必要な機材が盗まれることで営業機会が失われるわけですから、それを含めるともっと大きな被害総額になると思いますので、ぜひ対策の強化をお願いしたいと思います。

 さて、廃掃法について、ちょっと話が戻りますけれども、その事務は地方自治体に任せられているわけですね。したがいまして、その対応は全国統一されていないという一面もございます。それによって事業者が判断に困るケースが多々見受けられるわけでございます。

 そんな中で、廃掃法の具体的な運用について、二点ばかりお伺いしたいと思います。

 一つは、建設汚泥の再生品、再生砕石の県をまたぐ広域の利用について、環境省の検討方針をお伺いしたいと思います。

 それともう一点、あわせてお伺いいたしますが、最終処理施設の設置許可において、従来施設の入れかえ、設備の更新に当たっては、全く同じ品番、型番でなければ新たな、新規設備の許可手続が必要だということでございます。私はこれから、新しい、低炭素型とか環境に優しい施設を入れるという方向を強めていくためには、もう少し規制を緩和した方がいいのではないかというふうに思います。

 この改善の方針、この二点についてお伺いします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 建設汚泥やコンクリート塊につきましては、建築物等インフラが更新時期を迎えていること等によりまして、今後発生量の増大が見込まれていることから、その再生利用をより一層推進することが求められていると認識してございます。

 一方、例えば、建設汚泥処理物等につきましては、土地造成に用いる建設資材等と称しまして不法投棄される等の不適正処理のおそれがありまして、これらの課題解決のためには、不適正処理を防止しつつ広域的な流通を実現することが重要でございます。

 本件につきましては、中央環境審議会におきましても議論がされたところでございまして、ことし二月に環境大臣に対し意見具申されました「廃棄物処理制度の見直しの方向性」におきましては、「関係者による建設汚泥等の有用活用や広域利用に係る検討結果を踏まえつつ、モデル事業の実施等の必要な措置を講ずるべきである。」とされたところでございます。

 今後、意見具申を踏まえまして、廃棄物関係団体、自治体、関係省庁等と連携いたしまして、建設汚泥等の再生利用に係るモデル事業の実施を検討していくこととしてございます。

 また、お尋ねの廃棄物処理施設の更新についてでございますが、この点につきましても、中央環境審議会におきまして、従来施設の処理能力等と同等の新施設や従来施設と比べて環境保全上すぐれた新施設への入れかえであっても、新規設置の許可手続が必要とされるケースがあり、その合理化について議論がされたところでございます。

 ことし二月の、先ほどの中央審議会による意見具申におきまして、「環境負荷が低減する場合の手続の簡素化を検討するとともに、更新許可手続が事業者の円滑な事業の促進を阻害することのないように必要な措置を検討していくべきである。」とされたところでございます。

 今後、この意見具申を踏まえまして、環境負荷が低減する廃棄物処理施設の更新につきまして、必要な措置を検討してまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 設備更新は、アベノミクス、設備投資とつながりますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、地方自治法の福島地方環境事務所についてお伺いいたします。

 これまで福島では、長く事業が継続するであろう中間貯蔵施設の整備、それから除染、汚染土の運搬事業、こういったものが主に浜通りを中心に行われるというふうに承知をしております。

 したがいまして、今回、せっかく福島県に地方環境事務所を置くのであれば、こちらに近い浜通り側に私は所在を置いた方が、より現場に近い判断ができるんではないかなと思いますけれども、環境省の御見解をお伺いします。

井林大臣政務官 石川委員にお答え申し上げます。

 福島地方環境事務所につきましては、現在の福島環境再生事務所と同様に、復興に向けた各種事業の連携強化を意識いたしまして、福島県庁、または復興庁の福島復興局などの行政機関が集中している福島市を所在地とすることとしております。

 他方、委員御指摘のとおり、より現場に近いところで関係市町や住民の皆様の声をお聞きすることも重要と考えておりますので、浜通りを含め、県内各所、六カ所に支所等を引き続き設置し、緊密な関係を維持し、強化してまいりたいというふうに考えております。

石川委員 私も、当選以来、復興にさまざまかかわってまいりましたけれども、やはりこの浜通りと福島というのは一つ山を越えなければならない。また、福島は、御案内のとおり、縦に三つに分かれております、浜通り、中通り、会津地方と。これは県民性も全くやはり違うわけですから、そういったことを加味して、ぜひ現場に近いところで意思決定が行われる、また、その市町村長も、わざわざ何か頼みに行くときに山を越えて福島市内へ行くのではなくて、身近な存在としてこういった環境事務所を活用していただけるような、そういう活動、取り組みはぜひ行っていただきたいというふうに思います。

 最後に、山本大臣にお伺いいたします。

 今回の廃掃法、この大枠を定めている廃棄物処理法は、これまで、主なもので九回、そして平成十五年から十八年には毎年改正を行っております。最近では、平成二十七年にも災害廃棄物等の強化をする改正を行っております。そのほか、循環型社会の形成、そして希少な資源の有効活用を図るために、小型家電リサイクル、それから家電リサイクル法、自動車リサイクル法、食品リサイクル法など個別関連法がありまして、国民にとっても廃棄物処理業者にも大変複雑な法体系になっているというふうに思います。

 今後も、有害物質を含む例えば太陽光発電パネルや海のマイクロプラスチックの汚染のように、有害物質を含む商品、製品が次々と世の中に出てくるわけでございます。

 環境省は、やはり、公害問題が発生してから、その都度受け身で対策を講じていては後手に回る、それによって安全な国民生活が守れないということではいけないと思います。廃棄物処理業者の協力と国民の信頼を得ながら、円滑に適切な廃棄物処理を行うためには、廃棄物が出される前の段階が私は大事だというふうに思っております。

 そこで、お伺いいたします。

 環境負荷や人体に悪影響が予想される製品については、廃棄物として適切に処理、リサイクルされることを前提とした製品開発を全ての事業者に求める姿勢が必要ではないかと思いますが、大臣の御見解をお聞きして、終わりたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘のとおり、適切に処理、リサイクルされることを前提とした製品開発というのは重要であろうかと思っております。

 循環型社会形成推進基本法や各種リサイクル法において、製造業者等に対して環境配慮設計に取り組むことを責務として定めております。これを受けて、例えば家電業界や自動車業界においても、環境配慮設計ガイドラインを策定、改定しながら、家電や自動車の減量化、耐久性向上、再生資源の使用促進等の取り組みが進められてきておるところでございます。

 最近では、太陽電池モジュールについても、環境省と経産省が示したロードマップに沿って、昨年十月、業界によるガイドラインが作成され、廃棄段階を考慮した製品設計が進み始めております。

 引き続き、各企業の取り組みが進むよう、さまざまな機会を捉えて、適切な処理、リサイクルを前提とした製品開発などが進むよう呼びかけてまいりたいと思っております。

石川委員 以上で私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 本日は、廃掃法、バーゼル法、二法案を中心に環境省の考え方をただしてまいりたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。主に、法律の改正点を中心にお聞きしたいと思います。

 まず一つ目は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。

 一つ目は、廃棄物の不適正処理の対応の強化についてであります。

 第一点は、許可を取り消された者等に対する措置の強化についてであります。

 平成二十八年一月に発覚した食品廃棄物の不正転売等を踏まえて、どのように強化するということを今回考えたのか、それをまずお答えいただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法では、廃棄物処理業者の許可を取り消された者等に対する対策の強化といたしまして、これらの者がなお廃棄物を保管している場合には、都道府県知事等は、基準に従った保管そのほかの措置を命じることができることとしております。

 これにより、例えば、適正な処理が可能である別の廃棄物処理業者が廃棄物を引き取りに来るまでの間に生活環境保全上の支障が生じないよう、処理基準に従って保管を行うよう命じること等が可能になります。

 また、廃棄物処理業の許可を取り消された者等につきましては、適正な処理を行うことができないことから、処理困難通知を排出事業者に対して発出することを義務づけておりまして、これにより、排出事業者の責任において産業廃棄物の処理が行われることを確保することとしてございます。

福田(昭)委員 許可を取り消しても、取り消された者が、しかしなお必要な措置をしっかりとれるように改めたということですね。

 では次に、第二点ですけれども、マニフェスト制度の強化についてであります。

 資料の一と二をごらんいただきたいと思います。

 環境省は、電子マニフェストを平成二十八年度において普及率五〇%を掲げて普及に努めてきましたけれども、この表を見ますと、特別管理産業廃棄物収集運搬業七六・三%、処分業八一・一%と非常に高くなっておりますけれども、産業廃棄物収集運搬業三二・三%、処分業五七%と、こちらの方は低くなっております。

 こうした現状を踏まえて、罰則を含めて、今回マニフェスト制度をどう強化しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案におきましては、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、紙マニフェストの交付にかえまして電子マニフェストの使用を義務づけることとしてございます。

 こうした義務対象の排出事業者は、電子マニフェストに対応いたしました産業廃棄物の収集運搬業や処分業に委託をする必要がございまして、委託を受けた産業廃棄物の収集運搬業者や処分業者が電子マニフェストシステムを介して処理終了の報告を行うことが義務づけられてございます。

 したがいまして、義務づけを排出事業者にするという形の方でございますが、これに伴いまして、排出事業者から委託を受けます収集運搬業者や処理業者につきましても、この電子マニフェストの義務化の効力が及ぶということであると考えてございます。

 また、今回の電子マニフェストの虚偽記載等の状況を踏まえまして、罰則の強化ということで、現行法の半年の懲役、五十万円の罰金というものを、一年以下の懲役または百万円以下の罰金というものに改めるものでございます。

福田(昭)委員 そうすると、今の考え方ですと、年間五十トン以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者ということになりますと、産業廃棄物の排出事業者には義務づけるということはないんですか。これからの政令か何かで決めるのかもしれませんが、その辺はどうなんですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法におきましては、特別産業廃棄物を五十トン以上排出する事業者を対象として義務づけをするということで想定するものでございます。

福田(昭)委員 先ほどの資料にありますように、産業廃棄物収集運搬業、実はこちらの方の電子マニフェストの加入率が非常に低くなっております。したがって、例の名古屋で起きた食品廃棄物の不正転売、これにつきましては、多分、特別管理産業廃棄物にならないんじゃないかなと思うんですが、そうすると、この名古屋で起きた事件の対応ができないんじゃないかなと思いますが、それはいかがですか。できるんですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法におきまして、電子マニフェストの義務づけの対象といたしましては特別産業廃棄物の五十トン以上ということでございまして、ダイコーの事案は対象とは直接はならないという状況でございます。

 しかしながら、義務づけというところの検討におきまして、義務づけをすることで電子マニフェストをより普及させるということの重要性に鑑み、今回の措置をとるところではございますが、今後、必要に応じた検討の中で、電子マニフェストの義務づけの拡大等についても検討してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 それはぜひ、今回の法改正の理由の一つにもなっているわけですから、そこはしっかり対処されることを要請したいと思います。

 二つ目でありますが、二つ目は有害使用済み機器の適正な保管等の義務づけについてであります。

 資料の三をごらんいただきたいと思いますが、第一点は、ヤード業者の現況と実態把握調査の必要性についてであります。

 ヤード業者は、先ほど石川委員からも指摘がありましたけれども、環境対策をせず家電を破壊、鉛等の有害物質を環境中に放出しているというんですが、一体全体、ヤード業者はどのくらいいるのか、その実態を把握しているのかどうか、まずそれをお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるヤード及びその事業者の数につきましては、全国規模では把握されておりませんが、例えば、不用品対策の条例を制定いたしました鳥取県におきましては、条例制定前の平成二十七年の時点で、雑品スクラップの保管または処分を行っているヤードを含め、県内に三十八カ所の不用品の保管を行っているヤードがあり、また、不用品の取り扱いを行っていた事業者は三十三事業所確認されていたと聞いてございます。

 こうしたことから、全国では、中古自動車や農機具が持ち込まれている場合も含めまして、相当数のスクラップヤードが存在していると考えられるところでございます。

福田(昭)委員 最近、多分、関東の、東京周辺の県では、実は中古自動車や建設機械などが盗難に遭って、盗まれて、それらがヤードに運ばれて解体されて、どうも輸出されている、そういう現状があるようでございます。

 今、鳥取県の例がありましたけれども、先ほどの石川先生の地元であります茨城県では、県警の生活安全総務課がこうした犯罪に対応するために規制条例を提出して、多分成立しているんだと思っていますが、何と、茨城県では、そのヤード業者の経営者の七〇・三%が外国人で、国籍はいろいろありますので言いませんけれども、外国人で、そこに持ち込まれたものが、どうも、それこそあっという間に解体されて輸出されている、それを規制するための条例を制定したという話でございます。

 環境省においても、ヤードに持ち込まれたものが有価物で輸出されたり、あるいは廃棄物として処分されたりしているのかもしれませんが、そこが上手に利用されて、まだまだしっかり使えるものも、中古自動車だとかあるいは建設機械とか、そういうものがどうも解体される場所に使われている、このような現状もあるようですから、ぜひ、環境省と警察庁と連携をして、全国の実態調査をして、必要とあれば法的な措置も考える、そのように要請したいと思いますが、いかがですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、雑品スクラップ、またヤードにおいてのさまざまな課題があるという中での今回の法改正ということでございますが、そうした中で、使用できるものがあるという状況もあると同時に、また、いろいろな不正取引で犯罪の可能性ということもあるというふうに認識してございます。

 今回の改正で、有害使用済み機器を保管するヤードに対しまして都道府県への届け出が義務づけられることによりまして、雑品スクラップのヤードの実態を明らかにすることができるものと考えております。

 有害使用済み機器に対する規制は、生活環境保全のために行われるものであり、窃盗等の犯罪を防止するために行われるものではございませんが、仮に何らかの犯罪が疑われるケースが生じた場合には、都道府県とまた警察が連携して取り組むことになる、環境省といたしましても協力をしてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 二番目の答えまでしていただいたようですけれども。

 有害使用済み機器の保管または処分を生業として行おうとする者への義務づけ等についてということでありますが、資料三にありますように、ここに書いてありますように、まさに使用済み家電等のインフォーマルな取り扱いがあって、特に、家電リサイクル法等の形骸化、国内外の環境汚染への懸念が高まっている、こういうことなんですね。

 ですから、こういう現状に対して、今回の義務づけ等でこうしたことを防ごうということなんだと思いますが、ぜひこれを実効性あるものにしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。

 次に、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、いわゆるバーゼル法について質問をさせていただきます。

 一つ目は、バーゼル条約の規制対象物の範囲の明確化についてであります。

 第一点は、どんな雑品スクラップを具体的に特定有害廃棄物の規制対象にするのかということでございます。

 資料の四をごらんいただきたいと思いますが、バーゼル条約が対象としている有害廃棄物等についての記述がございます。こうした中で、どのような具体的なもの、物品を有害廃棄物として法的に明確にするのか、第一点です。

 それから第二点は、バーゼル条約以外の協定書に基づく、OECDなどですね、基づく規制対象物はどんなスクラップが対象になるのか、法的にどのように明確にするのか。

 第一点と第二点、あわせてお伺いをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 雑品スクラップ、今回の法改正での具体的な対応ということでございますが、小型家電も含めました家電等ということが対象になってまいりますが、雑品スクラップという形で、要は、規制対象となるものと規制対象外となるものが混合しているという状況において現状の問題があるというふうな認識をしていまして、これについて明確な対応ができていないという状況でございます。

 今回のバーゼル法改正後は、新たに環境省令を制定することで規制対象物の範囲を明確に規定することといたしてございます。

 また、雑品スクラップが不適正に輸出されている現状を踏まえまして、環境省令の制定に際しましては、規制対象となるものと規制対象外となるものとの混合物について、現場において客観的に、かつ短時間で規制対象か否かの判断が行えるよう、判断基準の整備等を検討することといたしたいと思います。

 二点目の御質問でございまして、条約以外の協定等に基づく規制対象の法的な明確化というものは具体的に何かということでございますが、バーゼル条約以外の協定等につきましては、経済協力開発機構、OECDの回収作業が行われる廃棄物の国境を越える移動の規制に関する理事会決定が該当いたします。

 例えば、当該決定では、電子基板等の再生利用等目的の輸入につきましては比較的緩やかな規制手続が適用されることとされており、EUでは、これらについては規制対象から外しているところでございます。

 今回の法令の改正におきましては、我が国も電子基板等を規制対象から外すことを想定してございます。

福田(昭)委員 では、現時点ではまだ何も決まっていないということですかね。

 資料の四にありますように、バーゼル法と廃掃法が対象としている廃棄物等が書いてあります。

 例えばですけれども、鉛蓄電池や廃基板、石炭灰、それから廃蛍光灯、こうしたものが特定有害廃棄物等に、もしかすると対象になっているんだと思いますけれども、具体的にこうしたものについてはこれから政令で定める、こういうことなんでしょうか。そうすると、今回法案審査といっても、なかなか審査が難しい、こういう話になるのかなというふうに思っております。

 次に、二つ目でありますが、輸出先国で有害廃棄物とされているものを規制対象へ追加することについてであります。第一点と第二点、あわせてお伺いをいたします。

 我が国が受けたシップバック件数の推移と増加の理由についてであります。

 それから第二点は、最近は感染性産業廃棄物のシップバックはなくなったのか。私の経験ですと、平成十三年かそのころかなと思っておりますが、フィリピンへ感染性医療廃棄物が輸出されて大騒ぎになったことがありますが、その後、そのようなシップバックはなくなったのか、きちっと国内で適正に処理されているのか、確認をしたいと思います。

 二点、あわせてお伺いをします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が受けましたシップバックの件数につきましては、平成二十二年及び二十三年はゼロ件でございましたが、平成二十四年は七件、平成二十五年は四件、平成二十六年は九件、平成二十七年は二十件と、近年増加傾向にございます。

 この理由についてでございますが、例えばシップバック案件の大半を占める香港におきましては、我が国のバーゼル法では規制対象外とされて輸出されました液晶パネル等を条約の規制対象としている等、バーゼル条約の規制対象物をめぐる解釈が各国において異なることが一因となっているということでございます。

 また、二点目の御指摘の、感染性廃棄物のシップバックの事例でございますが、平成十一年に日本からフィリピンに輸出されました貨物に感染性廃棄物が含まれまして、フィリピン政府からシップバックを行ったという事例がございますが、近年、感染性廃棄物のシップバック事例は起きてございません。

福田(昭)委員 それでは第三点ですが、輸出承認を今回要件化することによってシップバックはどの程度なくなると考えているのか、お伺いをします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 シップバックの原因としましては、バーゼル条約の規制対象物の解釈が我が国と輸出先国で異なることが主な原因となっておると考えておりまして、輸出先国の規制対象物を我が国の規制対象物に加えることでシップバックを減らすことができると考えております。

 また、我が国の規制対象物とすることで、万が一条約上の手続を経ずに輸出されていたことが発覚した場合には、バーゼル法に基づく措置命令等の対象となりますので、不法取引に対する抑止力という観点においても効果が期待されるものと考えております。

福田(昭)委員 ぜひ、効果が出ることを期待したいと思います。

 次に、三つ目でありますけれども、輸出承認手続時の環境大臣による確認事項を明確化することについてであります。これもあわせて、第一点、二点お伺いします。

 我が国から韓国への使用済み鉛蓄電池の輸出量の推移と増加の理由についてであります。第二点は、輸出先での環境汚染防止措置として環境大臣は何を確認するのか、それをお答えいただきたいと思います。

高科政府参考人 まず、一点目についてお答え申し上げます。

 我が国から韓国への使用済み鉛蓄電池の輸出は、鉛のリサイクルを目的としたものでありますが、輸出量はここ十年で大幅に増加しており、ここ数年は年間約十万トン前後の輸出量となっております。

 輸出が増加している理由としましては、韓国では、鉛の製錬施設の能力が大きい上に、近年も設備増強がなされており、世界じゅうから使用済み鉛蓄電池を輸入するようになったことや、使用済み鉛蓄電池の購入価格が我が国よりも高いと言われていることが考えられます。

中井政府参考人 輸出先での環境汚染防止措置としての環境大臣の確認事項についてお答え申し上げます。

 環境大臣が確認する環境汚染防止措置といたしましては、具体的には、処理施設の構造や排ガス、排水対策等の環境保全対策、輸出先での環境関連規制の遵守状況等を確認することを想定しております。

福田(昭)委員 それでは四つ目でありますが、四つ目は、途上国から輸入されるリサイクル等目的での廃電子基板等の規制撤廃についてであります。

 第一点は、廃電子基板等の電子部品スクラップはなぜ輸入ニーズが高いのかということであります。

 資料の五をごらんいただきたいと思います。

 これは、特定有害廃棄物等の輸出入の実績でありますけれども、量的には輸出の方が圧倒的に多いわけでありますけれども、輸入も年々ふえてきており、平成二十七年は三万八千トンぐらいまで増加してきているようでありますが、どうしてこのように輸入ニーズが高くなってきたのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 廃電子基板等の電子部品スクラップには、主に有価金属としまして金、銀、銅などが含まれており、その含有率は一般的な鉱石よりも高いなど、資源的な価値が高いものであります。

 このため、我が国の非鉄製錬事業者等は、国内からの調達に加えまして、近年、海外からの調達を積極的に推進しており、我が国への輸入は、平成二十二年度の約四万トンから、平成二十七年度は約十三万トンに大幅に増大しております。

 また、非鉄製錬事業者は、現状で廃電子基板等の十分な処理余力を有していることから、さらなる輸入拡大も進めたいとしているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、次に第二点でありますが、我が国の都市鉱山と言われる電子部品のスクラップの埋蔵量はどれぐらいあるのか、もしわかっていたらお答えをいただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきまして、電子部品スクラップの埋蔵量としての推計はございませんが、都市鉱山に含まれる金、銀、銅等の埋蔵量につきましては、国立研究開発法人物質・材料研究機構によりますと、世界の消費量の二、三年相当に匹敵するとの試算がございます。

 我が国の小型家電の年間排出量は約六十五万トンとされておりまして、資源に乏しい我が国におきまして、こうした都市鉱山を有効活用することは、資源の安定的な確保や環境負荷の低減の観点から重要でございます。

 このような都市鉱山を活用するため、小型リサイクル法が平成二十五年四月より施行され、小型家電の回収、再資源化が進められております。

 「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」につきましては、環境省といたしましても、そういうような形で循環型社会を定着させるべく、再資源化へさらに力を入れてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 何か、都市鉱山の埋蔵量は日本は世界一だ、こういう推計もあるようでございますが、ぜひ、東京オリンピック・パラリンピックでしっかりメダルができるように頑張っていただきたいと思います。

 第三点は、途上国からの輸入について、廃電子基板等の規制緩和による経済効果等はどう見込んでいるのか、お答えをいただきたいと思います。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のバーゼル法の見直しによりまして、東南アジア等のOECD非加盟国からの廃電子基板等の輸入につきまして、諸外国との競争上の不利が解消され、約六カ月を要していた輸入手続が約一日から二日間に大幅に短縮されることとなるため、現在我が国に廃電子基板等の処理余力があることを踏まえれば、輸入の増加が、年間数万トンから十三万トン程度になると見込んでおります。

 輸入増加が最も大きい場合は、関連産業への波及も含めれば、経済波及効果は約一千億円と試算しているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、だんだん時間がなくなってきましたので、五つ目の、リサイクル等目的での有害廃棄物等の輸入にかかわる認定制度を創設することについてであります。

 第一点は省きまして、第二点の、認定制度を創設して輸入承認を不要とすることによってどのような効果があると考えているのか、お答えをいただきたい。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事業者の認定制度の創設によりまして、比較的有害性の高いものの輸入についても欧州と同様の規制環境が整備されることとなると考えております。

 具体的には、輸入手続が簡素化されることで手続にかかる期間が約六カ月から約二カ月へと短縮されると考えており、事業者からは、制度が導入されれば、今後、メッキ汚泥などの金属含有汚泥や金属を含む廃液などの輸入を考えたいとの意向が示されているところです。

 また、我が国製錬所は、すぐれた環境技術を持つとともに、厳しい環境基準を遵守しながら処理を行っているところであり、輸入手続を簡素化し、我が国での処理を進めていくことは、世界の環境負荷低減に貢献するものと考えております。

福田(昭)委員 こうした手続の規制緩和ということをすることによって、先ほどもお答えがありましたが、現時点では、平成二十七年ですかね、三万八千トンぐらいの輸入が十万トンぐらい、あるいは以上ふえてくると見込んでいるということでしょうかね。

 それでは最後に、三番目の、放射性汚染物質対処特措法の附則に基づく見直しについて、これは大臣にお聞きしたいと思います。

 今回提案があります廃棄物の処理及び清掃に関する法律、そして特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律については、今回の法律の改正に当たって、二法とも、放射線ですね、汚染物質対処特措法の附則五条、六条等に規定された見直し、つまり、「放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。」を削除する規定が入っておりませんけれども、その入っていない理由をお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 廃棄物処理法の適用除外規定については、現在行われている放射性物質汚染廃棄物の処理の状況を踏まえた検討が必要であるため、放射性物質汚染対処特措法附則第五条に定める見直しの検討に合わせて検討を行う必要がございます。

 特措法の見直しの検討は、平成二十七年度に行われた施行状況検討会において、除染実施計画が終了する平成二十八年度末を目途に改めて行うこととしており、廃棄物処理法の適用除外規定についても、この検討結果を踏まえて検討することとしたいと考えております。

 なお、廃棄物処理制度専門委員会においても、この方針について説明し、今回の廃掃法見直しでは対応しないことについて異論がなかったところでございます。

 バーゼル法につきましては、バーゼル条約の担保法であるところ、条約において国際的な規制が必要となる放射性物質は適用除外とされているために、これを踏まえて対応すべきものと考えております。

福田(昭)委員 いずれ、このことについてはまた提案型の質問をする時間があるかと思いますので、そのときに詳しく質問をさせていただきます。

 きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

平委員長 午前十時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十分開議

平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 廃掃法並びにバーゼル法に関連する質問をさせていただきますが、大臣、私は、有価物になるのか廃棄物になるのか、非常に曖昧な扱いになっている雑品スクラップの問題、この問題をきょうは十分間という時間ですが少し質問をさせていただきたいと思います。

 資料によりますと、先ほど来各委員からもお話がありますが、鉛などの有害物質を含む可能性のある使用済みの電気電子機器等が無許可の不用品回収業者などにより不当に、インフォーマルに回収され、スクラップヤードなどにおいて乱暴に破砕などがなされ、その他の金属スクラップ等と混合された上で輸出されていることがあるということで、この混合物、雑品スクラップと呼ばれているわけなんですが、この雑品スクラップが、不適正な保管あるいは破砕によりスクラップヤードなどに山積み状態で放置され、さらには、船舶で運んでいる最中に火災を起こしたり、あるいは、そこに含まれている有害物質が周辺に飛散するなどして、いわゆる生活環境保全上の懸念も引き起こしています。

 当然、こういう雑品スクラップが有価物として輸出される場合に、バーゼル法の審査を経ずに輸出された後に、輸出先の開発途上国でも不適正に扱われて、環境汚染、健康被害の懸念を生じさせているという問題です。

 そこで、家電リサイクル法あるいは小型家電リサイクル法、そして、今回審議に当たっています廃掃法やバーゼル法等において、雑品スクラップ問題に共通している根本的な課題をまず大臣にお聞きしたいと思います。

山本(公)国務大臣 この雑品スクラップについては、火災の発生や有害物質の飛散など生活環境保全上の支障が生じるおそれがあるにもかかわらず、有償取引されている使用済み機器について規制対象範囲が不明確であったことなどから、廃棄物処理法やバーゼル法の規制が十分及ばないまま、環境上不適正に処理され、輸出されているということが根本的な課題であると認識をいたしております。

 このため、今回の廃棄物処理法やバーゼル法の改正法案では、雑品スクラップに含まれる使用済み電気電子機器の保管や処分、輸出について、明確に規制の対象とし、本来の環境上適正なリサイクルルートに誘導するとともに、適正な輸出手続を踏ませようとするものでございます。

玉城委員 使用家電の四品目に係る地方自治体に対する通知についてお伺いいたします。

 環境省は、平成二十四年三月十九日に、使用済み家電四品目、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機などに係る廃棄物該当性の判断基準を可能な範囲で明確化した通知、「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」、これは一二〇三一九〇〇一号、通称三一九号を地方自治体に発出しています。

 発出して、無料で引き取られる場合または買い取られる場合であっても、直ちに有価物と判断することはできず、それが再使用を目的とした経済合理性に基づいた適正な対価による有償譲渡であるか否かについて慎重な判断が必要だという見解が示されています。

 そこで、廃棄物該当性の判断、三一九号の発出後においてもなお問題とされているところはどこなのかについてお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の三・一九通知は、使用済み家電製品の廃棄物該当性を明確化するための通知ですが、リユースに適さないまたはその目的に適さない粗雑な取り扱いがなされている場合等には、無料で引き取られまたは買い取られたものであっても、廃棄物に該当すると積極的に判断して差し支えないこと等を地方自治体に助言しているものです。

 この通知により一定程度取り組みは進んだものの、地方自治体からは、使用済み家電製品が雑品スクラップとして有価で取引されている場合には、三・一九通知に照らしても廃棄物に該当すると断定することが困難であり、廃棄物処理法に基づき規制することが困難であるとの指摘がございました。

 今般の措置は、そういった廃棄物に該当すると断定できないものにつきまして、今般の生活環境保全を図る観点から、廃棄物処理法により、一定の規制の対象とすることとするものでございます。

玉城委員 さて、廃掃法とそれからバーゼル法の国内担保法関係においては、廃掃法では廃棄物の輸出入を規制し、バーゼル法では特定有害廃棄物等の輸出入を規制しています。

 このバーゼル法において、では、この雑品スクラップと特定有害廃棄物を区別するための手段は今後どのようにとられるのか、お伺いいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のバーゼル法の改正案におきましては、雑品スクラップの不適正な輸出を防止する観点から、同法の規制対象物を法的に明確化することとしておりまして、規制対象となるものと対象外となるものの混合物につきまして、現場において客観的かつ短時間で規制対象物か否かの判断が行えるよう判断基準の整備等を行うことを検討してございます。

玉城委員 さて、今年四月五日ですが、小型家電リサイクル法に基づく基本方針の変更で、使用済み小型電子機器等の再資源化を実施すべき量に関する目標で、これまでは、平成二十七年、二〇一五年までに年間の回収目標十四万トンとされていた数値が同年回収量実績が七万トンにとどまったため、基本方針で定める目標について、平成三十年まで延期し、一年当たり十四万トンと改めています。

 この達成できなかった原因をどのように判断していますでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 回収量目標を達成することができなかった要因といたしましては、資源価格の下落、また、市町村の取り組み状況の差、そして、制度の認知度の課題が考えられます。

 この背景には、参加市町村数はふえているものの、回収品目や回収方法等の相違もございまして、市町村の一人当たり回収量にばらつきがある等の課題がございます。

 環境省といたしましては、回収実績の調査を進めつつ、回収品目の拡大や回収方法の拡大、回収方法の改善などの具体例を整理し、さらなる回収量の拡大を図ってまいりたいと考えております。

玉城委員 やはり制度の認知に関してしっかり国民に伝えるという観点は大変重要だと思います。

 そこで、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会、二〇二〇東京オリパラ大会組織委員会は、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を展開し、金、銀、銅、合わせて五千個のメダルをつくる目標を展開しています。

 そこで、きょうは積極的に取り組んでいらっしゃる伊藤副大臣にお伺いいたします。

 国を挙げて取り組む家電等のリサイクル法及びバーゼル法などの徹底周知とあわせて、現在非合法的に回収に回されてしまっているその非合法を食いとめるという意味でも、家電、小型家電の有効利用の一環として、メダルプロジェクトなどへの積極的な国民の参画を呼びかけることについてのお考えをお聞かせください。

伊藤副大臣 玉城委員にお答えをさせていただきます。

 まず冒頭に、各党の理事の皆様方、委員長の御理解をいただきまして、きょうはそのプロジェクトに使っておりますマグネットを実際に持ってまいりましたので、後ほどお見せさせていただきます。

 「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」につきましては、環境省といたしましても、オリンピック組織委員会や全国の自治体と連携をしながら、多くの国民の参加を得て、オリンピック後も循環型社会として定着するレガシーとなるように、全力で協力をしていくところでございます。

 三月半ばに全国の自治体にこのプロジェクトの協力を呼びかけましたところ、現時点で六百八十を超える自治体の御賛同をいただきました。また、参加自治体には、ポスターや、実際のマグネットがこれでございまして、マグネットなどの広報ツールを提供して、今鋭意、この啓蒙活動も含めてさせていただいているところでございます。

 これはどこに張るかと申しますと、回収ボックスに張っていただきましてさらなる周知をしていただければありがたいということでございます。

 しかし、今、前の質疑のところで玉城委員が言われましたとおり、小型家電リサイクル法、二十五年四月に施行されましたけれども、まだまだ周知の徹底ですとか、いろいろなことがございます。

 消費者に小型家電の認知とその価値を認めてもらうということ、さらには、オリンピック後も継続されて、私たちはこの小型家電リサイクルということを根づかせていく、そして全国津々浦々の皆さんがそこに参加をしていただく。そういう点では、まだなかなか四百近くの遠い自治体の人たちがこのことについて、遠いというのは、東京を中心にして考えましたときに遠い自治体の人たちの参加がまだまだでございます。

 したがいまして、今般の廃棄物処理法の改正も受けて、雑品スクラップを取り扱う業者に対する規制を積極的に行いながら、違法な回収業者対策等を進めることにより、適切なルートへの排出の増加が期待されるとともに、やっていただくことによってオリンピックのメダルに通じるということが子供さんを含め家族の皆さんの夢にもつながるようにさせていただきまして、引き続き、全国の自治体にこのプロジェクトへの参加を呼びかけ、輪を広げて、小型家電の適切なルートへの排出を促してまいりたい、それによる結論を皆さんと共有したい、こう考えているところでございます。

 ありがとうございました。

玉城委員 ありがとうございました。

 東京オリンピックは東京だけのものではない。全国の国民が参加するその意欲を、ぜひこれからもどんどん啓発していただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。終わります。ニフェーデービタン。

平委員長 次に、松田直久君。

松田委員 民進党の松田でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 少し、質問に入る前なんですけれども、いよいよ夏到来という形で、これから本番の夏を迎えるわけですけれども、昨日、首相官邸で副大臣会議がございまして、その中で、当時のクールビズの担当でありました現在の法務副大臣、盛山法務副大臣が、クールビズの二十八度のラインというのは何となく決まっていたというような御発言がございました。いろいろお忙しいですから失念をされておる部分もあるとは思うんですけれども、その中でいろいろと物議を醸したというふうに聞いております。

 環境省の方からは、ビル管理法や労働安全衛生法等々に照らし合わせてやったんですよというようなことなんですけれども、いろいろな方が、どうだったんだろうなというようなことを聞かれるものですので、通告はいたしておりませんけれども、何か御所見がありましたら、大臣でもどなたでも結構ですけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

山本(公)国務大臣 松田委員の御指摘でございます。

 私も、改めて制定時のいきさつ等々を確認いたしました。何か適当に決めたみたいな感じ方をされている方がいらっしゃるかもしれませんけれども、極めて合理的に温度設定を考えているみたいでございます。

 つまり、当時の普通のビルの平均の室温が大体二十六度だったそうでございます、二十六度。それで、服装研究所というところの御指摘がありまして、ネクタイを締めているときと外したときの体感温度は二度違うという御指摘があったそうです。平均二十六度のオフィスの室温であるならば、二度体感温度がこうだということであるならば二十八度という数字が出てきたというふうに私はきのう確認をいたしました。

 なお、一点、名誉のために釈明させていただきますけれども、副大臣会議で私どもの副大臣があのような発言はいたしておりません。報道されているような発言はいたしておりません。

松田委員 しっかりと根拠がある、副大臣がそのように言われていないということを確認させていただいて、ぜひともよろしくお願いをしたい、このように思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 サミットが終わりまして一年たちまして、三重県、私どもの地元でサミットが開催をされました。

 サミット開催に先駆けて、富山の環境大臣の会合が丸川前大臣のもとで開かれ、気候変動及び関連施策、維持可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、生物多様性、化学物質管理、都市の役割、そして資源効率性とスリーR、海洋ごみの議論が繰り広げられまして、一定の合意という成果が出たのはまあまあ喜ばしいことだ、こう思っております。

 本改正法案の廃棄物処理法、そしてバーゼル法に関連することでいえば、資源効率性とスリーRで採択された富山物質循環フレームワーク、さらに海洋ごみでは、一昨年のエルマウ・サミットで合意された海洋ごみに対処するためのG7行動計画に関して、効率的な実施の重要性について再認識をされ、G7として、各国の状況に応じ、優先的施策の実施にコミット、いわゆる強い約束をすることで一致された、合意されたということであります。

 海洋ごみに関して、我が国は既に海洋漂着物処理推進法が整備されています。しかし、これは既に廃棄物となった漂流物の処理をどのように進めていくべきなのかを推進する法律でございまして、富山環境大臣会合で話し合われた陸域に由来する発生源対策の重要性を考えれば、潜在的な海岸に出る前のごみを適正に陸域で処理すること、言いかえれば、廃棄物処理の重要性も示唆するべき合意内容だと考えております。

 しかし、現法は、また改正法案の内容においても、海洋に出る前の陸域でごみ処理を進めるための施策等の整備が含まれておらず、今後、可及的速やかに、海岸ごみとなる前の処理に関して廃棄物処理法で規定する必要があると考えております。

 そこで、G7伊勢志摩サミットや富山環境大臣会合で合意をされました内容を踏まえた上で、廃棄物処理に係る大局的な見解と、今後合意事項に取り組まれていく覚悟といいましょうか、そういうものをまず大臣にお聞きしたいと思います。

山本(公)国務大臣 委員が最後の方で御指摘になりました海洋ごみ、私もこのことに関心を非常に持っておりまして、もとを断たなければどうしようもないというのが基本だろうと思っております。そういう意味において、陸域でのいわゆる廃棄物に対する物事の考え方というのは、やはり前進をしていく必要があるというふうに思っております。

 私は常々、廃棄物というのは、本当の廃棄物というのは全体の三%だという持論を持っております。九七%は資源であるという感覚を持っておりますので、スリーRの物の考え方からいきますと、その九七%をスリーRの舞台にのせて再生していくということも、いわゆる廃棄物行政にとっては大きな観点ではなかろうかというふうに自分自身は思っております。

松田委員 サミットなんかの場合は、よく無事に開かれてよかったばかりが先行しまして、内容等々をどういうふうに検証してやっていくんだというところがやはり一番大事なところだと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思います。

 それでは、電子マニフェストの使用義務化について御質問させていただきます。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律についてですけれども、本改正案では、マニフェストの電子化について一部義務化を進めますが、紙のマニフェストでは不適正の処理事案の把握や原因究明が十分でないということはないのでしょうか。紙のマニフェストでは不十分であれば、全ての廃棄物処理業者に電子マニフェストを義務づける必要があると考えますが、今回義務化される特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者として、年間五十トン以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者を想定している基準は適正なのか。また、五十トン以上とする基準の設定の根拠を伺います。

 紙のマニフェストよりも電子マニフェストの方が不適正処理事案の把握や原因究明が確実なのであれば、年間五十トン以上とするよりも、もう全ての排出する事業者とするべきなのかもわからない。また、年間五十トン以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者とは、特別管理産業廃棄物を排出する事業者全体の何%ぐらいをカバーしているのか、あわせてお伺いをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電子マニフェストにつきましては、廃棄物問題の対応に非常に有効だということで、これを電子化を進めていきたいという文脈でございますが、今般の改正法におきまして、電子マニフェストの一部義務化ということで、御指摘のような対応ということでございます。

 電子マニフェストの義務化につきましては、診療所を含む少量の特別管理産業廃棄物を排出する事業者にとりましては、電子マニフェストの義務づけを行うことは、現状においては負担が大きい、こういうふうに考えられることでございます。

 大量の排出事業者である五十トン以上を排出する事業者を今般対象にするということでございますが、排出される特別管理産業廃棄物のうち、このような扱いで推計では特別管理産業廃棄物のうちの約九五%をカバーするということになると考えております。

 なお、この電子マニフェストの使用義務づけの範囲につきましては、排出事業者の負担や処理業者の対応状況を踏まえつつ、段階的に拡大していくことを検討しているところでございます。

松田委員 現場現場にそぐって段階的にやっていただくということだ、こう思いますので、その辺はしっかりやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次の質問に入らせていただきます。

 本改正案では、食品廃棄物の不正転売事件において、産業廃棄物処理業者により電子マニフェストの虚偽報告が行われたのを受け、登録情報の信頼性を担保すべく、現在は六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金と定められている虚偽記載の量刑を、本改正案で、一年以下、百万円以下の罰金に引き上げることとしています。

 パブリックコメントでは、罰則強化について、虚偽内容により十年以下の懲役等とすべきとする、量刑を重くすべき旨の意見もあったとありました。これに対して専門委員は、罰則の内容は違反の程度により定められており、現行の罰則で最も重いものは五年以下の懲役または一千万円以下の罰金またはこれの併科となっていますとコメントをしています。

 そこで、今回の改正案による量刑引き上げの抑止効果についてどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

 その他、処罰を恐れない確信犯的な不適正処理の実行者には罰則強化に加えた対策が必要であり、虚偽記載を未然に防止するには、電子マニフェストのシステムの改善も不可欠と考えます。

 例えば、委託量と処分量が一致しないなど、記載内容に不自然な点があった場合は、情報処理センターにおいて不正を検知できるシステムの導入等が環境省において検討されていると聞いておりますが、紙のマニフェストの使用時も含めて、虚偽記載、虚偽報告を防ぐためにどのような取り組みがあり得るのか。

 また、先般、大きな事件でありましたけれども、ダイコー事案においては、廃棄物処理業者による電子マニフェストシステムの不正登録を検知できなかったことを踏まえ、同じ事例が起きるのを防ぐのに今回のシステムの改善はどれだけ有効になるのか、お伺いをしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の廃棄物処理法改正案におきましては、マニフェスト虚偽記載や不交付に対する抑止効果を高め、マニフェスト制度に関する信頼性を担保するために、現行の六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金を、改正案では一年以下の懲役または百万円以下の罰金という形で罰則の引き上げを行うこととしてございます。

 この罰則の引き上げによる抑止効果につきましては、必ずしも定量的に予測できるものではございませんが、一年以下の懲役または百万円以下の罰金ということでございまして、虚偽記載等に対する罰則としては相当程度重いものになっているというふうに考えてございます。

 また、御指摘の電子マニフェスト虚偽防止等に対する環境省としての対応ということでございます。

 不適正処理事案の今回の発覚を受けまして、電子マニフェストシステムにおける虚偽記載の防止に資する機能の導入は大変重要であると考えております。

 このため、平成二十八年度のシステム改修におきまして、産業廃棄物の処理ルートごとに、廃棄物の種類について、委託契約書の記載内容と電子マニフェストの登録内容の相違を検知し、関係排出事業者及び処理業者に対し警告表示を行う機能を追加いたしました。

 また、廃棄物処理法上、都道府県知事等は、事業者の事業場等に立ち入り、帳簿書類等の物件を検査することができることとされておりますが、立入検査の際にはマニフェストの記載内容と帳簿の記載内容を照合し、整合性を確認するということなどを行うように、都道府県知事等に周知を行っておるところでございます。

 このような措置を通じまして、罰則の強化とあわせまして、引き続き、マニフェストの虚偽記載の対策を講じていきたいと考えております。

松田委員 ありがとうございました。

 虚偽記載というのは、あの事件から大分減ってきているんですかね、件数とすれば。いや、通告していないので結構ですけれども、また後で数字を教えてください。

 次に、電子マニフェストの普及拡大において公共工事の入札条件化の必要性を指摘している意見、パブリックコメントに対し、中央環境審議会の専門委員会は、公共工事の入札に関しては、平成二十五年に環境配慮契約法の契約類型として産業廃棄物処理に係る契約が追加されたことによって、国及び独立行政法人等が産業廃棄物の処理委託契約を締結する際は、電子マニフェスト加入等を含む優良産廃処理業者認定制度の優良基準への適合状況等を評価し、一定基準を満たした事業者に入札参加資格を与える裾切り方式による環境配慮、グリーン契約を推進することとされている、また、地方自治体においても産業廃棄物の処理委託契約における環境配慮契約の推進に努めることとされているとの見解を示しています。

 環境省がことし二月にまとめましたマニフェスト点検報告によりますと、さっき申しました国及び独立行政法人等による環境配慮契約法に基づく入札の実施件数は平成二十七年度で四百九十七件、三九・八%、約四〇%になっており、国はみずからの事業活動を通じて民間の処理業者に加入を促す施策を講じています。

 一方、国及び地方公共団体が排出事業者となる場合、国の行政機関の電子マニフェスト加入状況は平成二十八年三月末時点で十六者、〇・三%、また、地方公共団体は二百二者、〇・六%しかない。

 この数字を見る限り、国の行政機関や地方公共団体へのマニフェストの普及が全くと言っていいほど進んでいない。対象者が一部とはいえ、電子マニフェスト使用義務づけの法律案を提出した以上、国はこれまで以上に行政機関のその加入を進めていくべきと考えるんですが、これまで普及が進んでいなかった原因というんでしょうか、今後のそれに対する取り組みというものをお聞きしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、国及び独立行政法人等の調達という面で申しましては、平成二十五年二月から環境配慮契約法の契約類型に産業廃棄物の処理に係る契約を追加いたしまして、電子マニフェストを評価項目に含めた裾切り方式により入札を行っているというところでございます。

 また、地方公共団体に対しましては、全国都道府県及び政令市等環境担当部局長会議などで電子マニフェストの利用促進について要請しているところでございます。

 客観的な数字、件数の中での、国を含めて公共体の電子マニフェストの使用がないではないかという御指摘でございます。

 これにつきましては、一つ考えられますのは、一般的に、行政体から排出される廃棄物が大宗は事業系の一般廃棄物という状況がございまして、実は産業廃棄物自体の量及び頻度が少ないというところがございます。例えば環境本省におきましては、まとめて産業廃棄物に当たるものは年間三回ほど委託をしてきたというようなことがございます。

 今回、こういうようなことで電子マニフェストを一部義務化するということも含めて電子マニフェストを強化していくという対応をする中で、平成二十九年度になったというこの状況の中で、環境省といたしましても、電子マニフェストの活用による産業廃棄物の委託処理というのを一件、四月からのこの中でやらせていただいているという状況でございます。

松田委員 これを機に、普及啓発という意味でも、先頭を切ってやっていただかなくてはいけないと思いますので、ぜひともこのパーセントを少しでも上げるようにお取り組みをいただきたい、このように思います。

 次の質問ですが、本改正法案では、許可を取り消された者等に対する措置の強化について追加をされていますが、廃棄物処理業者の許可を出す地方自治体の責務はどう考えているのか。

 廃棄物処理法では、産業廃棄物処理業の許可の付与について、「その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。」を求めています。

 ここで、環境省令で定める基準とは、処分業において対象とする廃棄物の処分に適する処理施設を有することなど、施設に係る基準があります。さらに、処分を的確に行うに足りる知識及び技能に加え、的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎を有することといった申請者の能力に係る基準の二つの基準を満たす必要があるということであります。

 この施設に係る基準、申請者の能力に係る基準により、政令市を含む都道府県が許可を出しているわけですが、許可を出した都道府県の役割として、いわゆる許可を出した後の適切な処理の業務運営がなされているのか、監視の強化は必要ないのか、許可を出した機関としての役割と責務に関して、指導的な立場の環境省さんの所見をお聞かせいただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県知事等は、事業者に対しまして、廃棄物処理業の許可を出した後にも、報告徴収や定期的な立入検査などにより、適切に指導及び監督を行っているものと考えております。

 環境省といたしましては、立入検査マニュアルを策定いたしますとともに、年度当初に立入検査等に関する年間計画を作成し、年間計画に基づき効率的に検査を行うよう、都道府県等に対し通知をいたしてきたところでございます。

 引き続き、こうした措置が適切に施行されるよう、必要に応じ、都道府県等に助言等を行ってまいりたいと考えております。

松田委員 現場といいましょうか、地方は大変で、なかなか目が届かないところがあって、事例が発生してから対応ということは、もうこれはそういうことになるわけですけれども、だけれども、事前になるべく指導できるのであれば業者にとってもいいことだ、こう思いますので、ひとつそういう面で、今おっしゃっていただいたような形のお取り組みを求めたいと思います。

 次は、バーゼル条約なんですが、先月二十四日から五月五日にかけまして、スイスのジュネーブにおいて、バーゼル条約第十三回の締約国会議が開催をされました。

 主な成果が、既に採択をされている電気電子機器廃棄物及び使用済み電気電子機器の越境移動に関するガイドラインについて、リード国が中国となって、さらなる検討を行うための専門家作業グループを設置することが決定したとの報告がありました。

 このガイドラインは、使用済み電気電子機器を再使用目的で輸出入する際の廃棄物と非廃棄物の識別に関する客観的な判断基準を取りまとめ、輸出入国当局や税関等関係機関による当該輸出入が適法に行われているかの適切な判断をするための指針を提供するものでございます。

 条約締約国会議で示される電気電子廃棄物ガイドラインの内容と今後の検討を行う専門家作業グループで決められていくガイドラインの内容が、我が国の現法並びに改正法案のバーゼル法とどれほどのかかわりが生じているのか、また、今後そごが生じてこないのか、また、温暖化対策と同じく中国がリーダーシップをとることについてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、去る四月二十四日から五月五日にかけて、バーゼル条約第十三回締約国会議、COP13がスイスにおいて行われ、そこで、電気電子機器廃棄物についての越境移動に関する技術ガイドラインにつきまして、これをさらに検討していくための専門家作業グループの設置が決定されたというところでございます。

 このガイドラインがいかなるものかという中身につきましては、まさしくこれからの議論というところになるわけでございますが、今回、そのリード国として中国がなったということでございますが、国際的な調査におきましては、中国は、電気電子機器の廃棄物、いわゆるEウエーストの取り扱いが多く、また、Eウエーストによる環境汚染が引き起こされている実態があると報告されている国だというところでございます。

 こうした背景から中国はEウエーストに関心が高く、今般リード国となったというふうに推察してございますが、日本政府といたしましても、このガイドラインは、世界の環境負荷低減、また我が国の法制度、国際的な資源循環のための整合性、非常に重要なものだと考えておりますので、当該ガイドラインのさらなる検討に日本としてしっかりと貢献していくということを発言いたしております。

 今後とも、この場におきまして議論に参画いたしまして、整合性をとりながら、日本の国益も追求していきたいと考えております。

松田委員 少し時間がなくなったので、次に移らせていただきますけれども、福島の地方環境事務所の設置について御質問させていただきます。

 今回、福島の環境再生事務所を地方環境事務所に格上げするということでございますが、格上げしてどういうところがよくなって、今までどこが悪くて、よくなるのか、少しお答えをいただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、格上げさせていただくわけですけれども、これまで震災以降、除染、中間貯蔵、廃棄物というものを既存の体制の中で直面する課題ということで対応してきてございました。

 今年度から復興・創生期間という新しいステージに入るということもございますし、環境省も、国直轄の面的除染が終了して、今度は除染して大量にたまっているフレコンバッグを中間貯蔵施設へ運び込むという段階に入るということでございますので、いわばそのステージが変わったということを踏まえて見直しをさせていただくということでございます。

 実は、今回の改正は本省においての体制強化とリンクしてございまして、これまで、除染、中間貯蔵施設の整備、それから廃棄物というのは、水・大気環境局、廃棄物・リサイクル対策部、放射性物質汚染対処技術統括官ということで、それぞれ担当してございましたが、それぞれ独立した形で動いてきたわけですけれども、今後は、それが統合的に、今申し上げましたように、フレコンバッグを中間貯蔵へ持っていく、同じように廃棄物を持っていく、こういう段階に入りましたので、これを一本化しまして、環境再生・資源循環局、仮称でございますけれども、これを新設する。

 あわせて、現地の福島環境再生事務所を東北事務所から独立させまして、地方支分部局に格上げする。そのことによって、本省と事務所のダイレクトな意思疎通の徹底を図るということと、それから現地における意思決定の迅速化というのを図っていきたいということで、今回させていただきたいということでございます。

松田委員 時間が来ました。

 実は、この福島の事務所の格上げ、これは地域に合ったといいましょうか、当然のことなんだろう、こう思っていますけれども、その中で、この間も質問がありましたように、たくさんの方々がこれに携わっていただいておる。本当にこれだけで適正な人数なのかな、多いんじゃないかなとか、いろいろな議論があるんですけれども、例えばそこの中でいろいろな不正な事件も起きておる。

 私は、やはりこの事業というのは、今から三十年進めていかなくてはいけない、環境省さんがこれに携わって、やはり環境省がやっているからしっかりしているな、やはり最初からやったことは最後までやり切っていただかなあかんというふうに思うんですね。

 ですから、そういう不正な事件があったりとかすると、他部局がやったらいいじゃないかとか、いろいろな意見が出てきてはおりますけれども、僕は最後までやはり責任を持ってやっていただくべきなんだろうというふうに思っています。

 その辺のところ、もし最後に大臣、御所見がありましたら、一言よろしくお願いをいたしたいと思います。

山本(公)国務大臣 環境省ならばこその仕事を福島で私はやり遂げたいと思っております。

 ぜひまた皆さん方の応援をよろしくお願いいたします。

松田委員 終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回は三つの案件の審査ということで、きょうは廃棄物処理法を中心に何点かお尋ねをしたいと思っています。

 最初に、有害物を含む使用済み電気電子機器の保管等に関する法改正に関連する部分についてです。

 まず、雑品スクラップと出てきますけれども、この雑品スクラップというのはそもそも何なのかということについて、雑品スクラップの内訳、あるいは総量ですとか、組成がどうなっているのか、そういう概要についてまず説明をしてください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 雑品スクラップとは、使用済みの電気電子機器が、いわゆるスクラップヤードにおいて重機などで破砕されましたスクラップであり、一般的には、他の金属スクラップと混合され、そのほとんどが海外に輸出されているとされております。

 雑品スクラップは、鉄スクラップなどと称して輸出されている場合もあるため、どのくらいの量の雑品スクラップが輸出されているのかを把握することは困難となってございます。

 素材の構成でございますが、雑品スクラップには、エアコン、洗濯機といった各種の使用済み電気電子機器が混入しております。したがって、鉄、銅、アルミニウムなどの金属が相応の割合を占めているものの、鉛等の有害物も含有しております。また、プラスチックなどの可燃物も相当割合で含まれているというふうに考えてございます。

塩川委員 使用済み電気電子機器がヤードで破砕をされて、その他の金属スクラップと混合した、そういうお話でした。

 私、三菱総合研究所のリポートで、業界関係者にヒアリングしたものを拝見したんですが、ここでは、定義が違うんだと思うんですが、雑品スクラップというのは大きく二つに分けられますと。工業系雑品スクラップと家電系雑品スクラップという言い方をして、工業系雑品スクラップというのは工場の解体物等が主な発生由来となっているもので、家電系雑品スクラップというのは、家電製品ですとかOA機器、それにプラスチックがまざっているようなものだ、家庭やオフィスから出るようなものと。

 このことを要するにスクラップ業界の関係者の方等々は雑品スクラップというふうにくくっているようなんですけれども、そういうように工業系、家電系含めたのがここで議論をしている雑品スクラップなのか、その点はどうですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 雑品スクラップということの定義につきまして、これが法的な言葉ではないものですから、そういう形で、いろいろな概念があるという状況でございます。

 今委員御指摘の、工業系のものと家電系由来のものということの御指摘がございましたが、そういう意味では、今般の法改正の対象と予定しておるのは家電系のもの、有害使用済み電気電子機器ということで、家電系ということであろうかというふうに思います。

塩川委員 わかりました。

 要するに、有害物を含む家電、後でちょっとやりとりしますけれども、それを含むものということであります。

 それで、こういうのが有害物質を含むという話がありましたけれども、実際に雑品スクラップが扱われているようなヤード等々で生活環境に係る被害が出ているという話があるわけですけれども、生活環境に係るような被害状況というのがどのぐらいありますかとか、それがふえているのかどうなのかとか、そういうような基礎的なデータというのはないんですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 これにつきましても、現時点で被害状況等の統計などがあるという状況ではございません。しかし、いわゆる雑品スクラップというところで、ストックヤードに火災等の事件が最近多発しているという状況が明らかなように、大きな問題となってきているというふうに認識しております。

塩川委員 例えば、火災が多発しているという話は、それは集計はしていないんですか。つまり、ふえる傾向にあるのかどうなのかとか、そういうものというのはわかりませんか。

中井政府参考人 手元にある、ある研究者の数字ということで、参考という形で申し述べさせていただきますれば、陸上における金属スクラップの火災の発生件数につきましては、二〇〇七年が一件、二〇〇八年が二件、二〇〇九年が三件というような状況の中で、二〇一二年四件、一三年五件、一四年三件、一五年四件と、増加傾向にあるというふうに言えるのではないかと思います。

塩川委員 増加傾向といいましても片手の範囲の話でありまして、なかなか、これで多発なのかなというのを率直に思うんです。

 現場は実際、火災等があって大変だという話をお聞きしますし、こんなことがないのにこしたことはないんですけれども、私、そもそもこの対策をとる上での前提となるような被害状況というのが本当に正確に把握をされた上で出されているものなのかというところがよくわからないというのは、今のやりとりでも改めて思っているところです。

 もちろん、生活環境に支障が生じるようなことは困るわけですから、そういうことにはならないように対策をとることが大事なわけですけれども、では、そもそも雑品スクラップというのがふえているのか、そもそもそれはいつから生まれたのかとか、その辺というのはわかりますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、雑品スクラップと言われる形での社会問題への対応ということの前提といたしまして、これをめぐる諸課題が生じているという認識をしておりますが、実は、この雑品スクラップ、またそれが置かれているヤードの全体的な事業者数及びその数につきましても、まさしくこれが廃棄物処理法なり法的な対応をとってきたものでないという中で、一体、全体の規模がどれだけの数なのか、そういうものについての整合的な網羅的な計数等というのがないというのも実態でございます。

 全国規模ではそういう意味では把握されてはおりませんが、例えば、不用品対策の条例という形で条例を制定いたしました鳥取県におきましては、条例制定前の平成二十七年の時点での数字といたしまして、雑品スクラップの保管または処分を行っているヤードを含め、鳥取県内に三十八カ所の不用品の保管を行っているヤードがあり、また、不用品の取り扱いを行っていた事業者が三十三事業所あったということが確認されております。

塩川委員 鳥取県の実情、あそこは条例をつくっていますから、そういう意味でも対象となるような事業者、事業所の把握をしておられるということですけれども、そもそも全体でどのぐらいあるのか、それがふえているのかどうなのかという傾向もよくわからないで対策をとるのかなというのも率直に思っているわけです。

 それで、もともと今回の有害使用済み機器の保管等に対する措置については、前提として、こういう雑品スクラップが輸出されて海外でリサイクルされている、国内外の環境汚染や家電リサイクル法等の形骸化の懸念が高まっているという現状があるからということなんですよね。

 海外での環境汚染、これはあるでしょう。ですから、それが定量的にどうなっているのかというのは、これはこれとしてやはり環境省はきちっと説明責任があると思います。あわせて、国内の状況について、今言ったような説明だけじゃ極めて不十分じゃないかなと率直に思うんですよ。そのことは申し上げておきたいと思います。

 あわせて、後でお聞きしますが、家電リサイクル法の形骸化、これはこれとして議論があるところだと思っております。

 それで、次にお聞きしたいのが、ここで出てくる有害使用済み機器です。この有害使用済み機器の定義と、その具体の対象というものがどうなっているのか、このことについてお答えいただけますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 有害使用済み機器につきましては、使用が終了し、収集された電気電子機器を定めることを想定してございます。

 具体的には、雑品スクラップの流通や電気電子機器に含まれる有害物質の実態等を踏まえつつ、テレビや冷蔵庫、エアコンを初めとする電気電子機器を個別具体の品目ごとに指定することを検討しております。

塩川委員 エアコン、テレビ、冷蔵庫とかという例示がありましたけれども、これは、家電リサイクル法の四品目及び小型家電リサイクル法で列挙をしている二十八品目、これが対象となり得るということでよろしいですか。

中井政府参考人 お答えいたします。

 家電リサイクル法及び小型家電リサイクル法が今回の対象かという御質問でございまして、家電リサイクル法及び小型家電リサイクル法の対象品目を今般対象にすることを考えております。

塩川委員 ということです。

 それで、そういった場合に、いわゆる家電リサイクル法、小型家電リサイクル法の対象品目の電気電子機器がまざっているような雑品スクラップということになるわけですが、今回、有害使用済み機器保管等事業者というのも規定をするわけですけれども、規制の対象としてのこういう事業者をつくるということになりますが、うちは金属スクラップのみを扱っているんだ、そういう事業者が、だから有害使用済み機器保管等事業者ではないということであっても、その事業者が家電四品目とか小型家電の対象品目を扱っていれば、今回の法改正による届け出の義務が生ずるということでよろしいんでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 スクラップの中に有害使用済み機器に該当する機器がまざっていても、事業者が有害使用済み機器を業として保管または処分していると判断される場合には、適正な保管を行うことができる者として環境省令で定める者を除き、都道府県知事に届け出を行う必要があるということでございます。

塩川委員 環境省令で除くという、あの部分というのは具体的にはどんな中身なんですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 適正な保管を行うことができる者として環境省令で定める者は除くという形の条文規定になってございますが、この趣旨は、小型家電リサイクル法に基づき、使用済み小型電子機器等の再資源化事業の実施に関する計画の認定を受けた認定事業者等を想定しております。

塩川委員 再資源化事業の認定を受けていないような事業者であれば、そういう家電四品目や小型家電に係るようなものがあれば、それはやはりきちっと届け出を出す必要があるよねとなってくるということであります。

 それから、有害使用済み機器保管等事業者に対して遵守が義務づけられる保管、処分に関する基準、これはどのようなものになりますか。

中井政府参考人 有害使用済み機器を保管するヤード等におきましては、これらの機器等に起因すると考えられる火災が発生していること、また、当該機器等がぞんざいに取り扱われることにより、その内部に含まれる有害物質が周辺に飛散、流出する等による周辺環境への影響が懸念されます。

 このような状況を踏まえまして、有害使用済み機器の保管や処分に関しましては、一定の基準を設けることにより、生活環境への悪影響を防止する必要があると考えております。

 具体的な基準につきましては、これまでに発生した有害使用済み機器の保管場所等における火災や、有害物質等の飛散、流出事故の実態を調査し、これらの事故を未然に防止できるような措置につきまして、現行の廃棄物の処理基準を参考に今後検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 現行の廃棄物処理基準を参考に策定するという話でした。

 次に、鉄スクラップ業者と称して、有害使用済み機器保管等事業者の届け出をしていない場合でも、そこに、家電を積んだトラックがその業者のヤードに入っていくというのを確認できれば、それは有害使用済み機器保管等事業者が想定されるということで、その際に都道府県が立入検査でそれを確認するということは可能なんですか。

中井政府参考人 廃棄物処理法の第十九条におきまして、都道府県は、廃棄物または廃棄物の疑いのあるものの収集、運搬または処分を業とする者その他の関係者の事務所等に立入検査を行うことができるという規定がございます。

 この規定は今回の十七条の二第三項において準用されておりまして、有害使用済み機器の疑いがあるものの保管または処分が行われている場合には、都道府県知事による立入検査の対象になるものと考えております。

塩川委員 そういう点でも、適切に届け出を果たしている事業者だけではないような場合であっても、疑いがあればこれを都道府県が確認する、立入検査もできるという話であります。

 要するに、生活環境にさまざまな支障をもたらすような、そういう業者の実態というのは是正されなければなりません。それにふさわしい措置が行われることが求められていると思います。

 同時に、では、生活環境上の支障がどれだけ発生しているのかというのが、さっきみたいな把握の状況だと説得的に言えるのかなというのは思うものですから、ここはやはり、きちっと納得いくような説明というのは環境省として尽くすべきだということを申し上げておくものです。

 それで、もう一つ、家電リサイクル法等の形骸化の懸念という部分で何点かお聞きします。

 一つは家電リサイクル法ですけれども、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機という家電四品目、このリサイクル率、回収率というのはどういうふうになっているのか、また、家電四品目の家庭、事業所からの排出数及びそのうちに占める海外スクラップの台数と割合を示してください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、家電四品目の回収率でございますけれども、平成二十七年度の回収率は五二・二%でございます。

 また、これは平成二十七年度におきまして家庭、事業所から排出されました家電四品目の推計の数字でございますが、全体で約千八百万台となってございます。このうち、国内スクラップ及び海外スクラップ推計台数の合計が六百四十万台、海外のスクラップに約五百六十万台、国内スクラップに八十万台となってございます。

 こういう中で、家電リサイクル法にのっとって製造業者等によって適正にリサイクルされた台数が千百万台ということで、先ほどの五二・二%の回収率ということでございます。

塩川委員 このリサイクル率というのは、熱回収も含まれている数字でいいんですか。

中井政府参考人 回収率の計算は機器ベースでやっております。

塩川委員 マテリアルリサイクルということでいいのかな。

中井政府参考人 お答え申します。

 あくまでもこれは全体の商品台数の中でということで、別途の数字といたしまして、今委員御指摘いただきました点については、再生利用率とかほかのものがございます。

塩川委員 わかりました。マテリアルやサーマルリサイクルの話はまた別途と思います。

 それで、資料をお配りしました。一枚目が、これは環境省の作成したものです。先ほどお話のありました推計のものです。一番左側に出荷が二千百三十二万台で、右側から二つ目の枠が指定引き取り場所での引き取り等々のリサイクルの数で、これが幾つか足すと千百万台ということで、五二・二%。

 これで見ていただくのが、要するに、リサイクルが五割ちょっとだけれども、海外スクラップ、雑品スクラップで海外へというのが三割なんですよね。ですから、リサイクルに回らないうちの大宗が雑品スクラップで海外に輸出をされているような状況になっています。

 そこで、ちょっと確認なんですが、雑品スクラップに関与するヤード業者が引き取る家電のほとんどが海外に行っています。このヤード業者への家電流入元はどこで、その台数は幾つになっているのかをお示しください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が資料で配付いただきましたこの表ということになりますが、家電四品目の平成二十七年度のフローを推計いたしましたところ、ヤード事業者に約六百四十万台、ここに六百三十七万台と書いてございます、が流入しておる状況でございます。このうち、不用品回収業者からの流入が約三百九十万台、引っ越し業者からの流入が約百四十万台、建設解体事業者からの流入が約七十七万台と推計されておるところでございます。

塩川委員 その上の小売業者からも三十二万台あるというのは、それでよろしいですよね。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 小売事業者からの流入が約三十二万台、あと、その他リユースショップからの流入が少量あるということかと考えております。

塩川委員 本来は、小売業者が引き取れば指定引き取り場所に行かなくちゃいけないんですけれども、そこからも流れているのが、一部ではあれ存在をしている。

 ここにあるように、本来は有償で引き取りをするという家電リサイクル法のスキームなんですが、引っ越し業者、建設解体業者、それから不用品回収業者が実質無償で引き取るような状況というのがあるということがここにも推測されるわけです。

 大臣にお尋ねいたします。

 国立環境研究所の研究員の方などもこういった問題を指摘しているわけですが、排出段階での個人の経済合理性だけを考えれば、後払いか無料回収かの選択肢というのは消費者に相当高い意識と協力を求めているものなんだ、消費者にとっては、正直者がばかを見る、こういう状態で、不用品回収に出すのは容易にとめられないと指摘をしているわけです。この点についてはどのように大臣はお考えでしょうか。

山本(公)国務大臣 家電リサイクル法というのは、私が知る限り、多分この国で一番最初にできたリサイクル法であったろうと思っております。

 当時一番問題になったのは、やはり不法投棄をいかに防ぐかというのがこの法のまず出発点であったろうと思っております。

 そういう意味において、家電リサイクル法、四品目に限った法律ではございましたけれども、今は不法投棄は減ってきているんだろう、なくなってはおりませんけれども、減ってきているんだろうとは思っておりますし、ただ、御指摘のように、今ヤード業者にかなりの部分が流れているということもこれは事実なんだろうと思っております。

 いずれにしましても、やはり家電リサイクル法というものの効用というものをもう一度我々は見直していく必要があるんだろうというふうに、つまり、時代が変わってきているということなんです。この法制定時に比べて、いわゆる廃棄物というものの考え方が違ってきているということだけは間違いないと思いますので、いわゆる家電リサイクル法自体の見直しというのはやはり不断にあっていいんだろうと私は考えているところでございます。

塩川委員 その場合に、その見直しのポイントとして、こういう廃棄物に当たるものの費用負担をどうするのかといったのが極めて重要だということです。

 私は、大臣にお尋ねしますが、メーカーが自社製品から生ずる廃棄物について費用負担する、そういう拡大生産者責任こそ行うべきで、拡大生産者責任というのは、生産者が廃棄物の処理費用を負担することであり、これにより、処理費用が少なくなるよう、リサイクルに適した製品を開発、販売する誘因を企業に与えるものであります。消費者に責任を負わせるのではなく、廃棄物そのものを減らすことにつながるような拡大生産者責任こそ明確にすべきだと思うわけですが、この点についてのお考えをお聞かせください。

山本(公)国務大臣 私もいろいろなリサイクル法の制定にかかわってまいりまして、いわゆるデポジットという物の考え方も、あるリサイクル法では取り入れた経験もございます。

 そういう中で、私は、今回のこういうさまざまなことを考えていくときに、企業の責任ももちろんあろうかと思いますけれども、やはりユーザーのある意味での責任というのも生じてくるんだろうと思っております。

 したがいまして、デポジットを導入するときには、例えば、自動車リサイクル法なんかは、まさに最初の販売価格の中に設定をいたしておるわけでございまして、いろいろなやり方があろうかと思っておりますし、また、いろいろな意味で抵抗も大きい話だろうというふうに思いますけれども、もとを断つという物の考え方からいきますと、やはりデポジットという物の考え方は、私は有効な手段ではなかろうかというふうに思っております。

塩川委員 ヨーロッパの拡大生産者責任は、外部費用の内部化を生産者による費用負担と整理をして、廃棄時に費用を支払わせないということを出発点にしています。もともと自治体の負担を消費者にというのもあったんですけれども、さらにさかのぼって、そもそも生産者がごみになるようなものを出さないように、そういうふうに内部化をするということこそ本当の意味での排出抑制につながっていくだろうということであります。

 製品と廃棄物とを一体的に考えて、製品廃棄物がもたらす負の外部費用を内部化させ、製品設計に環境配慮を反映させる、こういうアプローチこそ必要だということを申し上げ、あわせて、リユースを促進するような制度設計も必要じゃないのかというのが、この家電リサイクル法の物の流れを見ても改めて思ったところです。

 きょうのところはここまでということで、終わります。

平委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美です。

 早速法案の質疑に入りたいと思います。

 廃棄物の不適正処理から伺いたいと思いますが、本改正案が生まれるきっかけとしては、昨年一月に発覚した廃棄食品の不正流通問題があったというふうに認識をしております。

 これは、愛知県の産業廃棄物処理業者が食品関連事業者等から処分を委託された食品廃棄物が不正に食品卸売業者などに転売をされて、商品として店に並び、販売されていたということであります。

 本来廃棄されるべき食品が販売されてしまったという点で、現在の廃棄食品の流通とその安全性に重大な疑念を抱かせる結果となってしまいました。

 本来消費者の手元に届くべきではない食品が流通し、販売されてしまう事件は過去にも幾つか発生していると思います。

 例えば、一例を挙げますと、二〇〇七年に発覚した、賞味期限間近または切れている食品が再び流通した事件、二〇〇八年には、カビや残留農薬により食用に適さない米が食用に転用され、販売されていた事件もあったかと思います。

 このような過去の経験がありながら、今回も結果として不正転売事件の発生を許すことになったのはなぜなのか、政府の認識を伺いたいと思います。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、本来廃棄されるべきものが食品として流通をいたしまして消費者に販売をされたことは、食の安全、安心を揺るがす事案であり、大変遺憾であるというふうに考えております。

 本件に関しましては、事案の発生の重大性を受けまして、直ちに環境省及び警察庁を含めまして食品安全に関する関係府省連絡会議を開催いたしまして、関係府省で情報共有を図ったところでございます。

 あわせまして、昨年の二月には、廃棄物処理の適正化、食品の取り扱いの適正化等の観点から再発防止策等について取りまとめ、公表を行ったところでございます。

 具体的には、廃棄物の処理の適正化に係る課題といたしまして、電子マニフェストの機能強化、廃棄物処理業者の透明性と信頼性の確保、排出事業者による転売防止対策の強化等を挙げているところでございます。

 また、食品の取り扱いの適正化に係ります課題としては、食品等事業者の監視指導の徹底、食品表示の適正化を挙げているところでございます。

 こうした課題の裏返しが、先生御指摘の事件発生を許した一因にもなったものというふうに考えているところでございます。これらの課題につきましては、今回議論されております廃掃法の一部改正等も含めまして、各府省がそれぞれの対策の実効ある推進に努めているところでございます。

 消費者庁といたしましては、引き続き、食の安全を揺るがす事案の発生等に際しましては、関係府省が緊密に連携をして適切に対応できるよう、食品の安全に関する総合調整機能を発揮いたしまして、消費者の安全、安心の確保に万全を期してまいる所存でございます。

河野(正)委員 今回の不正転売事件は、カレー専門店が廃棄したビーフカツが小売店に並んでいたということから発覚いたしましたが、ごみとして処分されたはずの食品が不正な手段で一度流通ルートに乗ってしまうと、商品として消費者の口に入ってしまう危険性がある、そうした実態が明らかになったかと思います。

 廃棄物として受け取った食品を横流しした事業者が極めて悪質であることは言うまでもありませんが、この廃棄食品が小売店に並ぶまでには多くの事業者がかかわっていたというふうに思います。事件の全容解明がどの程度進んだのか、事件をどのように検証し再発防止に向けた取り組みを進めているのか、環境省から見解を伺いたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましても、愛知県等からヒアリングを行っておりまして、全容把握に努めておるところでございます。

 愛知県によれば、ダイコー株式会社が平成二十二年ごろから食品廃棄物を過剰に保管し、平成二十四年、二十五年ごろから発酵施設が稼働していなかったと推測されます。また、本社工場だけでなく、無届けの場所にも処理委託された廃棄物を処理することなく不適正に保管し、一部の食品廃棄物を不正に転売するようになったと承知しております。

 今回の不適正処理事案の原因といたしましては、ダイコーは、マニフェストにおいて処分が終了した旨の虚偽報告をしていたこと、また、県に許可を得ていない、いわば隠し倉庫において廃棄物の保管を行うなど、悪質な確信犯であったことがまず挙げられます。

 排出事業者は不適正処理を見抜けず、また、食品廃棄物が一見商品と見えるような状態で処理委託されたことで容易に不正転売を行えたということがあったこと、また、愛知県におきましても、事案発覚前、立入検査を行っておりましたが、不適正処理を見抜けなかったことなど監視が十分でなかったこと、国におきましても、食品リサイクル法の登録基準を満たさない状態にあることを見抜けなかったことが挙げられます。

 対策といたしましては、昨年三月十四日に公表いたしました再発防止策では、これらの原因を踏まえまして、電子マニフェストにおける不正検知機能の強化、また排出事業者責任の周知徹底、指導強化に向けました排出事業者向けのチェックリストの策定、通知、食用と誤認されないよう包装の除去等の適切な措置をすること、また、都道府県等による食品廃棄物の不正転売に係る立入検査マニュアルの策定、食品リサイクル法に基づく国の立入検査と廃棄物処理法に基づく都道府県等の立入検査の連携強化を掲げ、対策を順次進めてきております。

 今般の廃棄物処理法改正案にも、その対策の一部として、電子マニフェストの一部義務化、罰則の強化、許可を取り消された処理業者に対する命令等を盛り込んだところでございます。

河野(正)委員 今答弁の中にもありましたように、一見商品に見えたというようなことですので、やはり、排出事業者がごみをきちんとごみの形で出していくということも大切なんじゃないかなというふうに思います。

 次に行きたいと思いますが、本改正案では、許可取り消し後の廃棄物処理業者への措置の強化、マニフェスト制度の強化が対策として挙げられております。

 マニフェスト制度の強化では、記載内容に虚偽があった場合の罰則を一年以下の懲役または百万円以下の罰金へと引き上げる規定となっております。これで果たして効果があるのかどうか。

 廃棄食品の不正流通が後を絶たないのは、その行為にそれだけうまみがあるんじゃないかということも言えるかと思います。つまり、金銭的に得られる利益が大きいことが考えられますので、百万円以下の罰金という程度であれば不正を押しとどめるのは難しいかとも思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法改正案におきましては、マニフェスト虚偽記載や不交付に対する抑止効果を高め、マニフェスト制度に関する信頼性を担保するために、罰則の引き上げを行うこととしてございます。

 一年以下の懲役または百万円以下の罰金という罰則につきましては、虚偽記載等に対する罰則としては、他の法令と比較しても相当程度に重いものとなっているというふうに考えてございます。

 また、不適正処理の抑制を図る観点からは、虚偽記載の罰則の強化に加えまして、環境省として不正転売事案を受けた再発防止策を策定し、都道府県等による食品廃棄物の不正転売に係る立入検査マニュアルの策定などを行ってまいりました。

 この立入検査により違反行為が見つかった場合には、廃棄物処理法第十九条の五に基づく措置命令等の行政処分の対象となるということでございまして、この命令違反に対しましては、五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金が科せられるということになります。

河野(正)委員 また、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に限って電子マニフェストの使用が義務づけられますが、特定の産業廃棄物に今回不正が行われた廃棄食品が対象となるのか、義務づける範囲を限定した理由とあわせて答弁いただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事案等を踏まえまして、また、不法投棄、不適正処理事案が全体として撲滅には至っていないという状況の中での対応ということが必要になってございます。こうした観点から、電子マニフェストの普及を強力に推進するということが重要であると考えております。

 このため、今般はまず、毒性があり、生活環境衛生上のリスクが高く、処理業者の約八割が電子マニフェストに加入しているなど、利用環境も相当程度に整っていると考えられる特別管理産業廃棄物を電子マニフェストの義務づけの対象とすることを想定しておりますが、電子マニフェストの使用義務づけの範囲につきましては、排出事業者や処理業者の負担及び対応状況を踏まえつつ、今後、段階的に拡大していくことを検討していきたいと考えております。

河野(正)委員 今回の問題では、やはり消費者の側にも多くの課題を提起しておると思います。わけあり商品の背景には食の安全を脅かすリスクがあること、非常に安い商品にはそれなりの理由があること、それを食べることのリスクを意識してもらうことも大切ではないかなというふうに思います。

 一方で、廃棄食品の不正流通と直接かかわるわけではありませんが、まだ食べられるものを捨ててしまうもったいない行動を見直す、いわゆる食品ロスを減らそうという課題もございます。

 余談でありますけれども、食品ロス、食べ残しについては、我が党の片山虎之助代表がパーティーや懇親会の御挨拶の際にたびたび提起をしておられます。

 消費者に対して、食にまつわるリスクと、できるだけ食品ロスを減らす問題などを広く知ってもらうこと、考えてもらう機会をつくっていくことも極めて大切かなと思います。今回の事件の教訓をこうした取り組みにつなげていくことも一案かと思いますが、いかがでしょうか。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、消費者に対しまして、食品のリスク、例えば食品に絶対の安全はないということや、食品ロスの実態やその削減の必要性につきまして広く知っていただくことは重要であるというふうに考えております。

 これまで、食品の安全につきましては、そのリスクを含めた正確な情報を消費者にわかりやすく伝えるとともに、事業者、行政を含めました関係者間のリスクコミュニケーションの適切な推進に努めているところでございます。

 また、食品ロスにつきましては、食品ロス削減関係省庁等連絡会議を設けまして、関係省庁が連携をして食品ロスの削減に向けた取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、関係省庁、地方公共団体、消費者団体等と連携をしつつ、食品の安全や食品ロスの削減に関しまして、具体的な取り組み事例の紹介や、よりわかりやすい情報発信などにも努めまして、消費者に対する効果的な普及啓発をさらに進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 次の問題に移りたいと思います。

 使用済みの電気電子機器が環境対策をせずに業者によって破壊され、金属スクラップとまぜられて、雑品スクラップの形で輸出されている問題への対応策が本改正案で示されております。

 有害使用済み機器を保管、処分する業者に都道府県知事への届け出を義務づけて基準の遵守を求め、都道府県が報告徴収、立入検査、改善命令等をできるようにするものだというふうに思いますが、どれも基本的な枠組みであって、これまで何ら規制がなかったということが意外という声も聞こえてきます。

 なぜ今まで取り組みがなかったのか、政府の認識を伺いたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省といたしましては、平成二十四年三月に、使用済み家電製品の廃棄物該当性を明確化するための通知、いわゆる三・一九通知を発出いたしまして、リユースに適さない、またはその目的に適さない粗雑な取り扱いがなされている場合等には、無料で引き取られ、または買い取られたものであっても、廃棄物に該当すると積極的に判断して差し支えないこと等を地方自治体に助言してまいりました。

 この通知により、取り組みは一定程度進んだものの、地方自治体からは、使用済み家電製品等が雑品スクラップとして有価で取引されている場合には、三・一九通知に照らしても廃棄物に該当すると断定することが困難であり、廃棄物処理法に基づき規制することが困難であるとの指摘がございました。

 このため、雑品スクラップを構成する要素となっている電気電子機器の保管や処分につきまして、生活環境保全を図る観点から、今般、廃棄物処理法により、一定の規制の対象とすることとしたものでございます。

河野(正)委員 都道府県は、新たに有害使用済み機器の保管、処分業者への対応が求められることとなりますが、先ほど取り上げた廃棄食品の問題を見ても、業務量に対して十分に人員を充てることができないのが実情じゃないかなというふうに思います。

 果たして実効性ある規制が今の都道府県の体制で可能なのかどうか、県をまたぐような事件、問題の横断的な対応に手間取ることも考えられるわけであります。

 より実効性のある施策とするため、自治体を支える取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、都道府県の実施体制というところでの課題がございます。

 国といたしまして、本改正を踏まえまして、都道府県で効率的に執行できていくということが大事だと考えておりまして、そのための施策を展開してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 残り時間がほとんどありませんので、最後に山本大臣に伺いたいと思います。

 町中において、不用品を何でも回収するといったような看板を掲げた業者をよく見かけます。消費者には、そういった業者にごみを出すことによって環境汚染を招きかねないということを知ってもらうことも極めて重要なことじゃないかなと思います。

 消費者に対する教育、周知も重要と考えますが、政府としてどのように考えておられるのか、大臣に伺いたいと思います。

山本(公)国務大臣 今般の改正にかかわらず、廃棄物処理法上の許可なく、廃棄物となった使用済み家電製品等を収集、運搬することは、廃棄物処理法に違反する行為でもあります。

 環境省では、ポスター、ホームページ等を通じて、消費者に対し、許可のない回収業者を利用しないことなど、使用済み家電製品等の適正な処理について周知啓発を行っておるところでございます。

 また、無許可の回収業者への指導能力の強化を目的とした自治体職員向けセミナーやモデル事業なども実施をしており、引き続きこれらの取り組みを行い、取り締まりの徹底を図ってまいりたいと思っています。

河野(正)委員 これら町中の業者はいろいろ問題もあると思います。平積みしていろいろなものが雨ざらしになっていたりとか、大変な問題もあると思いますので、その辺も含めてしっかりと対応していただければなと思います。

 予定していた質問はあと幾つか、まだかなり残ってはいるんですけれども、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次回は、来る十六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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