衆議院

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第2号 平成29年12月5日(火曜日)

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平成二十九年十二月五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 金子万寿夫君 理事 北川 知克君

   理事 関  芳弘君 理事 高橋ひなこ君

   理事 武村 展英君 理事 生方 幸夫君

   理事 柿沢 未途君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 貴博君    金子 俊平君

      木村 弥生君    国光あやの君

      笹川 博義君    杉田 水脈君

      武部  新君    中村 裕之君

      西田 昭二君    百武 公親君

      福山  守君    古田 圭一君

      細田 健一君    三浦  靖君

      務台 俊介君    近藤 昭一君

      堀越 啓仁君    横光 克彦君

      斉木 武志君    細野 豪志君

      遠山 清彦君    福田 昭夫君

      田村 貴昭君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         中川 雅治君

   環境副大臣      とかしきなおみ君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   環境大臣政務官      笹川 博義君

   環境大臣政務官      武部  新君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊丹  潔君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         縄田  正君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     国光あやの君

  百武 公親君     金子 俊平君

  江田 康幸君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     百武 公親君

  国光あやの君     杉田 水脈君

  遠山 清彦君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     西田 昭二君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     河井 克行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官伊丹潔さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳さん、環境省大臣官房長鎌形浩史さん、環境省大臣官房環境保健部長梅田珠実さん、環境省地球環境局長森下哲さん、環境省自然環境局長亀澤玲治さん、環境省環境再生・資源循環局長縄田正さん、環境省環境再生・資源循環局次長山本昌宏さん、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。務台俊介さん。

務台委員 自由民主党の務台俊介です。

 このたび、環境委員会に初めて所属させていただきました。そして、早速質問の機会をいただきまして感謝申し上げます。大臣ほか政務三役の皆様には、御就任おめでとうございます。この場をおかりしてお祝い申し上げます。

 就任されてから、事実上、最初の質疑者の立場を、私、いただきまして、本当に光栄に存じます。本日は、私のふだんからの問題意識も踏まえた質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 中川環境大臣の所信的御挨拶を伺い、改めて、環境行政の裾野が大変広がっていることを感じました。

 大臣は、環境省が発足した平成十三年に大蔵省から環境省に移籍してこられました。そして、環境省二代目の事務方のトップに就任されました。その後、参議院議員として環境政策を政治の場でずっとフォローされてこられ、この夏の組閣で、いわば満を持した形で、次官就任から十五年を経て環境行政のトップに立たれました。

 この間の環境行政を取り巻く国内外の変化もあり、一方で、環境庁、環境省への人材や知見の集中、集積も進んできたと考えますが、大臣なりにこれまでの環境行政の進展を振り返り、今後の環境行政の展開について御展望を御披瀝いただければありがたいと思います。

中川国務大臣 私が環境省で事務次官を務めましたのは、平成十四年一月から十五年七月でございます。

 環境省の前身でございます環境庁は、一九七一年に総理府の外局として発足をいたしまして、さまざまな仕事をしてまいりましたが、二〇〇一年、平成十三年の一月に環境庁から環境省へなりまして、ちょうど私はそのときに環境省の総合環境政策局長に就任をいたしまして、職員も大変士気が上がっていた時期でございます。廃棄物対策等の事務が環境省の方に一元化されまして、環境省の仕事が環境庁時代に比べて大きくなった、そういうときでございました。

 それから約十五年近くたつわけでございまして、その間に東日本大震災がございまして、被災地の復興、創生が新たな任務として加わったわけでございます。除染、中間貯蔵施設の整備、福島の県民の皆様方の放射線に係る健康管理等の仕事がございます。

 そして、独立性の高い三条委員会として原子力規制委員会ができましたが、環境省の外局という位置づけでございますので、予算や人員のサポートをする、こういう仕事が入りまして、環境省ができたときに比べますと、人員も予算も格段に大きくなっております。しかし、それだけに責務が重くなった、責任が非常に重くなったというふうに思っております。

 この地球温暖化対策一つをとりましても、環境省ができましたときからももちろん大きな課題でございまして、私自身も、参議院議員になりましてからも精力的に取り組んできた課題でございます。

 先月も気候変動枠組み条約第二十三回締約国会議に出席をいたしまして、国際的な発信をしてきたところでございますが、やはり地球温暖化対策につきましても我が国としてしっかりとリードしていきたい、こういう思いでございます。

 また、経済成長と環境対策が両立する、そういう社会、経済というものを目指して、引き続き環境行政をしっかりと担っていきたいと決意しているところでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 淡々としたお答えの中に、大変力強い意気込みを感じたということでございます。ありがとうございます。

 環境行政の原点は、大臣の御挨拶の中にもありましたように、現在及び将来の世代が良好な環境の中で健康に暮らすことを実現することにあると私も考えています。その意味では、環境省の仕事は、特定の利害関係業界の支援というものは余り期待できないんですが、サイレントマジョリティーという大きな支援を受けて仕事をする立場にある、そのように考えております。世界全体が気候変動の脅威に立ち向かうというのはその典型的なものではないでしょうか。

 パリ協定発効後一年が経過し、大臣は、先ほどおっしゃいましたように、先月、ドイツのボンで開催されたCOP23に出席され、世界の気候変動の対策の着実な実施に向けた我が国の立場を表明するとともに、我が国の取り組みについても発信されてこられました。パリ協定からの離脱を表明している米国の代表とも会談を行い、気候変動の最大の影響国と言われる議長国フィジーとも協力し、パリ協定の実施指針の策定に向け一定の進捗を果たしたと御挨拶でも述べられておられました。

 そこで、伺いたいんですが、米国の代表との話し合いの内容はどんなものであったか、その米国代表の反応はどうであったか、そして今回のCOP23の成果についてどのようにお考えか、そして、今後に向けての課題がどのようなものであると認識されているのか、改めてお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 COP23に出席をいたしまして、多くの国の代表とバイの会談を行いました。米国の代表とも、お二人の方と順次会談をさせていただきました。

 米国との対談におきまして、私からは、米国のパリ協定からの離脱方針表明は残念である旨お伝えするとともに、米国のパリ協定に対するスタンスを確認いたしました。米国からは、望ましい条件が整わない限りパリ協定には関与しないという従来どおりの方針が示されましたが、一方で、米国の代表のステートメントがございまして、そのときには、米国にとって有利な条件が満たされれば、後日パリ協定に復帰する可能性を引き続き残している、こういう言い方もございました。

 現実に、パリ協定からの離脱方針を表明したわけですけれども、代表団をCOPにも送っておりまして、かなり積極的な発言もされておられるわけでございます。そして、その代表の方とは、日米両国は気候変動対策を実施していくということの重要性についてはしっかりと確認をさせていただいたところでございます。

 COP23の成果につきましては、三点挙げられると思います。一つは、パリ協定の実施指針の交渉について一定の進捗が得られたことでございます。それから二番目といたしましては、世界各国のさまざまな取り組みの情報を集め、開かれた対話を行うタラノア対話のデザインが示されたということであります。また三番目といたしまして、日本としましては、日本の気候変動対策イニシアティブ二〇一七のもと、我が国の先進的な取り組みや途上国支援を進めることを発信いたしまして、他国からも高い評価をいただきました。そういう意味では、日本の存在感を示すことができたというように考えております。

 このように、COP23における我が国の目的はおおむね達成できたというふうに評価をしているところでございます。

 来年のCOP24に向け、実施指針について、しっかりと日本の立場を主張しつつ、実効性のあるものとなるように今後とも取り組んでまいりたいと考えております。

務台委員 やはり、米国が離脱するようなことになると、本当に大変なことになると思います。

 日本は、それによって影響を受ける多くの開発途上国とも協力して、ぜひ、米国が離脱を思いとどまるような、そういう積極的な外交を総合的に行っていただきたい、その中心として環境省が頑張っていただきたい、このように改めてお願いしたいと思います。

 地球環境に対するさまざまな取り組みの中で、最近頻繁に話題になる言葉に、SDGs、ESG投資という言葉があると思います。さまざまなメディアがこの言葉を取り上げてくれることで、ようやく世間にもこの意味をするところが知られるようになってきているというふうに思われます。この流れがさらに加速され、行政や企業の行動指針として具体的に展開されていくことを強く願っております。

 一方で、例えばESG投資に関しては、欧米のこの分野への投資水準に比べて、日本の投資水準が非常に低い、大幅におくれているということがつとに指摘されてきています。

 これに対する現状認識と、これを飛躍的に推し進めるための環境省としての対策についてお伺いしたいと思います。

とかしき副大臣 持続可能な開発目標、SDGsにつきましては、我が国政府といたしましては、昨年、SDGs実施指針、これを策定させていただきまして、各省庁が一体となって本格的に取り組みを推進していく段階にございます。

 日本の特徴は、総理が本部長、そして全閣僚が構成員のSDGs本部を設置している、この体制がしっかりしているのが我が国の特徴でございます。

 SDGsの多くの目標が、やはり環境にかかわることが非常に多いということで、環境省といたしましては、さまざまな関係者が一堂に会して先進的な事例を共有する場所、ステークホルダーズミーティング、この実施等を通じて国内にさらなる浸透を図っていきたい、このように考えております。

 また、ESG投資につきましては、世界一大潮流となっている中、我が国でもGPIFが先頭を切ってESG投資を牽引しているところでございます。

 先日も私の事務所のところにちょうどGPIFの方がお見えになりまして、このESG投資、これから頑張っていきたいということで、環境省との連携をもっと積極的に行いたいということをお申し出なさっていらっしゃいました。

 さらに、その裾野を広げていくためには、環境省といたしましては、平成二十五年、これは世界初でございますけれども、投資家と企業の対話の質の向上を目指して、環境情報等の開示システム、これに取り組んでおります。この四年間で約十倍、今現在、約七百を超える企業及び投資家に参画をいただいております。

 この事業を通じまして、幅広い関係者との連携を一層深めていって、国内のESG投資のさらなる普及、これを目指していきたい、このように考えております。

 ありがとうございます。

務台委員 ありがとうございます。

 取り組み姿勢は非常に前向きであるというふうに受けとめました。ぜひ、これが具体的な結果として、額として、数字として出てくるように期待させていただきたいというふうに思います。

 ところで、COP23の際に、私もちょっと新聞で見てショックを受けたんですが、ことしも日本が化石賞を受賞したという記事が大変皮肉まじりで書かれておりました。環境省として、この受賞に対する受けとめ方、受賞に至ってしまった理由についてどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

 再生可能エネルギーに関しては、政府の中でもさまざまな立場があると思いますが、私は、環境省としては、もっともっと立場を主張して、どんどん、がんがん推し進めていってもいいのではないかというふうに思います。世界の再エネ拡大を目指す毅然とした姿勢のある国もあるのに対して、どうも日本政府のコミットメントが、全体としてバランスをとるというところはあるんですが、いささか腰が引けているのではないかと感じる国民も少なくないというふうに思います。

 私は、エネルギー基本計画における再エネ比率の目標を前倒しして達成していく、それに対して何ができるかを環境省としても打ち出す必要があるのではないかというふうに思います。

 石炭火力発電に対する姿勢、そして、政府のエネルギー政策形成において環境省としてどのように取り組むのか、伺いたいと思います。

森下政府参考人 化石賞につきましてですが、これは個別のNGOによるものでございまして、環境省としての受けとめについては差し控えをさせていただければというふうに考えておりますけれども、御指摘のありました石炭火力発電につきましては、現在多数の新増設計画がございまして、仮にこれらの計画が全て実行されますと、我が国の削減目標達成は困難であると考えております。経済性の観点のみで新増設を進めることは許されないというふうに思ってございます。

 環境省といたしましては、対策の進捗のレビューや環境アセスメントにおける大臣意見の機会を通じまして、石炭火力の問題に対して厳しい姿勢で臨んでいきたいというふうに考えてございます。

 それから、再生可能エネルギー、再エネについてでございますけれども、温暖化対策の鍵を握るとともに、経済成長ですとか、あるいは地方創生、これらにも資するものであるというふうに思っております。

 環境省といたしましても、再エネ導入の最大化、加速化のために、住宅や建築物などのエネルギーを消費する個別の需要側での省エネそして蓄エネとあわせた導入の促進、加えて、地域の自然環境や地元と調和した持続可能な再エネ案件の開発の促進などに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

務台委員 化石賞についてはコメントを差し控えたいということなんですが、恐らく、さらに聞かれたら答えを用意されていると思うので、もしあれば伺いたいのと、もう一つ、石炭火力に対して、新増設計画について大臣意見というアセスの中での意見を申し述べる、そういう立場にはあると思うんですが、もう少しこれを、環境省も絡んで許可にするとか、そういう踏み込んだ立場がとれないかなというふうに私は個人的に感じるんですが、今後の課題にしていただきたいと思います。

 そして、今、バイオマス発電などを含めた再エネ由来の電力、発電した電気が、電力会社がなかなかキャパの問題があって接続してくれないという問題があると思うんです。それは、石炭火力が既に既得権があるから、それを剥いでまで接続できないということがあるんですが、私は、再エネを拡大するためには、再エネ由来のものをむしろ優先して、今使っているものについてはむしろ後回しにするくらいのことをやったら、飛躍的に再エネ比率の目標は高まっていく、このように思います。

 こういう点についてどんなふうにお考えなのか、局長さんのお気持ちを聞きたいと思います。

森下政府参考人 化石賞の件でございますけれども、これは先ほどの繰り返しになって本当に恐縮でございますけれども、受けとめについては差し控えをさせていただければ非常にありがたいと思っております。

 それから、再生可能エネルギーの導入は、特に省エネルギーの推進とそれから再生可能エネルギーの徹底的な導入、これが今後の日本の温暖化対策のキーだ、そういうことも本当に自覚をしてございます。しっかりと経済産業省さんとも意見を交換させていただきながら、現在、温対計画、温暖化対策計画を通じて全政府の取り組みを推進してございますけれども、その取り組みをしっかりと推進してまいりたいと思っておりますし、この温対計画につきましては、法律に基づいて三年ごとの見直しということの規定でございます。そういった中で、またさらにどういったことが可能かどうか検討してまいりたいというふうに考えてございます。

務台委員 頑張ってください。

 地球温暖化対策のための税が平成二十四年度から導入され、現在は平年度化して、再生可能エネルギー導入や省エネ対策に活用されていると承知しています。平年度化しているんだけれども、その効果が国民の目になかなか触れない、実感として進んだんだ、そういう効果があらわれていないようにも思うんですが、この特定財源の政策効果についての御認識を伺いたいと思います。

森下政府参考人 地球温暖化対策のための税、いわゆる温対税の税収でございますけれども、これはCO2の排出抑制対策に活用してございます。

 幾つか具体的に申し上げますと、省エネ家電など国民の一人一人による賢い選択、クールチョイスを促す国民運動ですとか、あるいは、オフィスビルや住宅などへの省エネ設備導入の促進、あるいは、冷蔵庫、冷蔵倉庫などへの省エネ型の自然冷媒機器の導入促進、そして、地域に根差した再生可能エネルギーの最大限の導入、そして、新しいCO2削減技術の開発、実証などを実施しているというところでございます。

 今後とも、温対税を効果的に活用いたしまして、CO2の排出抑制を推進していきたいというふうに考えてございます。

務台委員 個別には政策をなさっているのはわかるんですが、それが結果として国民の目に、ああ、こんなに使われてよくなっているんだというふうに思うような、そういうPRもぜひお願いしたいというふうに思います。

 今申し上げた温暖化防止の、地球温暖化対策の税は企業課税でございましたが、今回の税制改正で、別の観点から、森林環境税あるいは観光振興税といった、個人に着目した形態での新たな税の制度化の動きがあります。私は、国立公園という観光資源を抱えた環境省も、もっともっとこの税にコミットしていくべきだというふうな思いがございます。省としてのお取り組みを伺いたいと思います。

 というのも、私の選挙区には中部山岳国立公園を初めとした広大な国立公園が存在しております。潜在的なインバウンド候補地となっておりますが、受け入れ体制が脆弱であるという弱みがあります。登山道、トイレなどの解決すべき課題が山積しております。特定財源に目を向けることで、この分野の政策の充実を考えていってほしいというふうに思いますが、そういう観点からの御認識を伺いたいと思います。

 例えば、今議論されている森林環境税については市町村への譲与が予定されておりますが、その譲与基準として、例えば登山道の延長を加味するといったような検討があり得ないか、そんなふうに思っているんですが、この点についてもお伺いしたいと思います。

笹川大臣政務官 御指摘の森林環境税については、森林吸収源対策や森、里、川、海のつながりという視点で重要であり、省としては、その創設については支持をしております。

 また、国立公園満喫プロジェクトを推進していることから、御指摘の観光促進税については、その創設に向けた検討が進められることを大いに期待したいというふうに思っています。

 いずれにいたしましても、観光振興税、森林環境税ともに、今現在、与党の税調で議論なされておるというふうに承知しておりますので、今後も議論の推移を注視してまいりたいというふうに思います。

務台委員 非常に慎重な物言いで、いつもの笹川政務官らしくないような気もしますが。

 例えば、制度をつくるに当たってはいろいろなデータが必要だと思うんですよね。例えば登山道が延長がどのぐらいあるか。これは、直轄の登山道もあるでしょうが、民間でつくっている、あるいは昔からあった登山道、こういうものについても指標をぜひ環境省でそろえていってもらいたい。じゃないと、指標がないのに譲与基準というわけにいかない。そういうことも含めて、ぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。

 さて、中部山岳国立公園の上高地では、昨年八月十一日に第一回山の日記念全国大会を挙行させていただき、当時の山本環境大臣にもお越しいただきました。そして、本年は栃木県那須町で開催された第二回の全国大会には中川大臣にもお越しいただきました。祝日の山の日制定に汗をかいた地元国会議員としては、本当に感謝申し上げたいというふうに思います。この山の日の制定というのが、環境省の国立公園振興への取り組みに何らかの影響があったとしたらうれしいのですが、この点についてお伺いしたいと思います。

 ところで、その上高地では、河床上昇、川底が上がる、いわゆる堆砂で困っている状況が毎年毎年増進しております。国立公園の特別保護地域内の堆砂でもあり、下流地域に堆砂を持ち出せないのではないかという暗黙の遠慮がございまして、地元も対応に困っております。上高地全体の土砂災害の脆弱性というのも高まっておりまして、この点についての、環境の保全と活用、両立するという観点に立った環境省の立場からのお話を伺いたい、このように思います。

中川国務大臣 日本の主要な山岳の多くは国立公園内に位置しておりまして、山の日の制定は、多くの関係行事の開催につながるなど、国立公園の保全と活用を進める上でもすばらしい契機になっているというふうに思います。山の日を一つの契機として、さらに国立公園の保全と活用をしっかりと進めていきたいというふうに思います。

 御指摘の上高地でございますけれども、平成二十八年に第一回山の日記念式典が開催された場所でもございます。梓川の河床上昇は当該地域の自然景観に大きな影響を与えておりまして、環境省においても懸念しているところでございます。これに対応するため、平成十二年に、大正池付近及び小梨平付近から明神橋に自然公園法の許可基準の特例区域を設定いたしまして、特別保護地区においても土石採取ができるよう措置をいたしました。さらに、平成二十八年にはその区域を明神橋から横尾付近まで拡張いたしております。

 環境省としては、このような措置によりまして、関係機関等が行う堆積土砂の除去等の取り組みにできる限り協力してまいります。

務台委員 ありがとうございます。

 小さな話なんですが、地元にとっては本当に死活問題でございますので、今の大臣の御発言を踏まえて、地元でさまざまな協力をしていっていただきたい、このように思います。

 ところで、環境省では、国立公園満喫プロジェクトを初め、国立公園への外国人訪問者拡大の取り組みを始めておられますが、例えば中部山岳国立公園の取り組みの方向性、これについて教えていただければありがたいと思います。

亀澤政府参考人 国立公園満喫プロジェクトにおきまして、二〇二〇年に国立公園のインバウンドを一千万人にするという目標を掲げておりますが、その達成のためには、全国の国立公園全体で取り組みを進める必要があるというふうに考えております。このことから、先行的に取り組みを進めております八公園の成果を、それぞれの地域の特性に合わせて八公園以外の公園に展開する事業を先月から開始しております。

 中部山岳国立公園内では、松本市や高山市を中心とした南部地域の二次交通手段の開発とプロモーション事業を採択しておりますし、立山地域でも採択をしております。このうち、南部地域につきましては、短期間、通過型観光から周遊、滞在型観光に転換するべく、二次交通の利便性向上、自然体験メニューの充実等を図る事業を地元自治体や地域の関係者とともに実施をいたします。

 中部山岳国立公園は、上高地や乗鞍、立山等、魅力的な観光地が多く、もともとインバウンドの多い公園でありますが、この展開事業を通じてさらに外国人への訴求力を高め、国立公園満喫プロジェクトの目標達成と当該地域の活性化を図ってまいりたいというふうに考えております。

松島委員長 もう質問時間は終わっております。

務台委員 はい。

 では、これで終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、堀越啓仁さん。

堀越委員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。

 本日は、諸先輩方から多大なる御配慮をいただきまして初質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、十月に行われました総選挙にて初当選をさせていただきました。新米議員でございますけれども、もとより、環境問題に関しては、私自身、非常に関心が高い事項が多いものですので、全力で取り組ませていただきたいというふうに思います。地域の問題あるいは地球環境の問題というのは、これは超党派で取り組まなければいけないことだと認識しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、これまでリハビリテーションの現場で働いておりました作業療法士でございます。医療、介護の現場で主に働いておったわけなんですけれども、それとあわせましてもう一つ顔がございまして、それは僧侶でございます。僧籍を取得してから、人の生き方、幸せとは何なのかということを見詰め直す一つの物差しとして、皆さんに仏教というお話をさせていただいておりましたけれども、特に命のとうとさに関しましては、仏教では山川草木悉皆成仏という言葉がございまして、山や草木、川、全てに仏さんが宿っているという考え方でございます。それは、人も動物も命あるもの皆同じであるという概念に依存しているわけでございますけれども、きょうは、そういった観点から、動物福祉のことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 これまで、動物愛護管理法は、さまざまな改正が行われる中で、動物取扱業の規制強化や動物虐待あるいは遺棄に係る罰則、実験動物への配慮などが盛り込まれてきました。我が国における動物福祉は、全体として進歩しているようにも見えるわけですけれども、畜産動物に関する内容についてはとても薄いものになっているというふうに考えております。先進国の中で見ても、世界基準にはほど遠い状況だというふうに認識しております。

 日本には、動物保護に関する法律やガイドラインはあるものの、現在、その実効性を伴わない状況にあります。畜産業が動物愛護管理法の動物取扱業から除かれ、また、法文内に畜産動物に関する個別の条項が設けられているわけではありません。農水省所管の公益社団法人畜産技術協会等が作成したアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の啓発活動を通じて、産業動物の福祉を広めようとしているわけでございますけれども、この指針には強制力はありません。また、アニマルウエルフェアの向上を図っている国際機関であります国際獣疫事務局、OIEが策定した基準よりもやや低目の飼育方法が記載されているのが現状であります。そして、屠畜場については、厚生労働省の管轄となっておりまして、屠畜場での動物福祉の取り組みは行われていないというふうに言わざるを得ない状況ではないかというふうに思っております。

 なぜ我が国がEUと比較するとおくれをとっているのか。この原因として考えられるものは、日本は、畜産物を輸入する国でありまして、輸出をしてこなかった国であるということで、欧米での動物福祉の高まりと比べて情報を仕入れる機会が非常に少なく、認知度も薄いのではないかというふうに考えております。このことが今後大きな問題になるのではないかということを私は懸念しております。

 というのは、二〇二〇年に開催される予定であります東京オリンピック・パラリンピック、この祭典に選手村の食事などで使用する食材は、畜産物は、農作物の要件に加えて、持続可能性に配慮した畜産物の調達基準、アニマルウエルフェアが重要視されているからでございます。つまり、「快適性に配慮した家畜の飼養管理のため、畜産物の生産に当たり、アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に照らして適切な措置が講じられていること。」とされており、その指針は、先ほどの畜産技術協会が作成した飼養管理指針をよりどころとしておりますので、この指針が国際的に認められるレベルかどうかが非常に問われるからであります。

 当然、トップアスリートが集まる平和の祭典でございますので、とりわけ食に関しては関心が高い選手が非常に多いと思いますし、それだけではなく、アニマルウエルフェアによって飼育をされた食材によって栄養をとるということは、彼らにとっては当たり前のことになっておりますので、その辺に関しまして早急な対応が我が国でも必要になるのではないかというふうに考えております。

 OIE基準を満たすアニマルウエルフェアに沿った畜産を国内に流通させる、そして、その上で、海外に自信を持ってこれから我が国から輸出をするチャンスに変えていくという選択肢をつくり上げられればというふうに考えております。もちろん命に対する尊厳は保った上で、それが当然であります。そういったことが実現した上で、我が国は初めて先進国と言えるのではないかなというふうに思っております。

 インド独立の父で知られるマハトマ・ガンジーは、国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかるとまで言われております。

 そこで、中川環境大臣にお伺いいたします。

 先進国、とりわけEU各国においては、日本と比しても産業動物の福祉の理念が非常に浸透しております。牛や豚などの産業動物については、飼養管理、輸送及び処分方法に係る法的規制を行う国もあると承知しております。

 まず、我が国の動物愛護管理法における産業動物の福祉に関する取り組みについて確認した上で、産業動物に関する動物愛護管理法における位置づけについて、環境省の見解をぜひお伺いしたいと思います。

 そして、今後、動物愛護管理法の見直し時期を来年に控えた中で、動物愛護管理行政への意気込みを大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 動物愛護管理法におきましては、産業動物を含む動物を取り扱う場合に、動物の飼養の目的の達成のために支障を及ぼさない範囲で、必要な健康の管理等を行うとともに、動物の種類や習性等を考慮した飼養環境の確保を行わなければならないことを基本原則として規定しております。

 また、動物の所有者等の責務として、その動物を適正に飼養することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めることとされております。

 これらを受けて、環境省としては、産業動物の適正な取り扱いを確保するために、管理者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準として、衛生管理や安全の保持に関する一般的な内容を定めているところでございます。

 引き続き、産業動物の管理者等における取り組みが促進されますように、環境省としては、関係省庁と連携しつつ、同基準の普及啓発に努めてまいります。

 そして、この動物愛護管理法でございますけれども、これは制定から数次の改正がございますけれども、いずれも議員立法によって対応されている経緯がございます。私も自民党の議員連盟に参加をしていたわけでございますが、自民党にも公明党にもございますし、超党派の動物愛護議員連盟がございまして、そこでこれから改正に向けていろいろな議論が煮詰まっていくものと思います。

 そういう意味で、この動物愛護管理法がずっと議員立法で対応されていることからいたしまして、環境省としては、各党における御議論の動向等をまずは注視していきたいと思っております。

堀越委員 御答弁ありがとうございます。

 オリンピック、パラリンピックで用いられる食材の量は、当然、国内消費の比率からすれば本当にごくわずかではありますけれども、しかし、今、国民の皆さんも、健康面、あるいは、それこそ動物愛護、ペットをめでる、そういう思いから動物福祉全体に対する関心は非常に高まっているというふうに認識しております。また、輸送ですとか屠畜の様子なんかも、今、インターネットが普及している兼ね合いでかなり国民の皆さんの目に触れる場面が多くなってきておりますので、ぜひ我が国でも、EU、OIEに基準した動物福祉への取り組みを私たちで全力で取り組ませていただければというふうに考えております。私も議員連盟の方には属させていただきますので、これから訴えをさせていただこうというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、食品のロスの取り組み状況についての御質問をさせていただきたいと思います。

 今、日本社会は大変な格差社会となっておりまして、厚生省の調べによりますと、子供の相対的貧困率は今や六人に一人と言われております。それに対して、昔ながらの助け合いやお互いさまの精神から、市民レベルあるいは行政との連携として、子供食堂やフードバンク、あるいはフードバンクさんに食べ物を届けるフードドライブという活動がふえております。私もこれまで、食べ物を集め、もったいないをありがとうに変えるというコンセプトで、フードバンクへ食べ物を届けるフードドライブを実施してまいりました。

 このもったいないというすばらしい日本語は今や世界の共通語として広く認識され、その提唱者が環境分野の活動家で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性のワンガリ・マータイさんであることは余りにも有名でございます。このワンガリ・マータイさんは次のように述べられております。環境活動の理念で大事なスリーR、すなわち、リデュース、リユース、リサイクル、削減、再利用、再資源化、このスリーRに尊敬の念をあらわすリスペクトを足した四Rを一言であらわせるのがこのもったいないであるということでございます。昨今問題になっているこの食品ロスという、食べられるのに捨てられてしまう食品の存在は、当然もったいないの対象でございますので、できる限り減らしていくことが強く求められております。

 そこで、環境省と農林水産省が本年四月に公表した平成二十六年度における食品廃棄物等の利用状況によりますと、同年度の食品廃棄物等の量は二千七百七十五万トンで、このうち食品ロスの量は六百二十一万トンに上っております。この数字は、前年、平成二十五年度の推計値六百三十二万トンよりも減少したものになってはいますが、全体量が国連の世界食糧計画による世界全体の食糧援助量の約二倍であるということに変わりはありませんので、引き続き官民を挙げた積極的な削減への取り組みが必要というふうに考えられております。

 本年の通常国会で廃棄物処理法の改正法が成立いたしました。改正法案提出の背景の一つには、昨年一月に発覚した廃棄カツの不適正な転売事案がありましたが、この事案を取り巻く食品業界の実態として、食品ロスの存在を強く意識した方々は少ないのではないかなというふうに思っております。

 ところで、この改正法案の審査を行った本年の五月、環境委員会では、当時民進党に所属されておりました太田議員から、食品ロスに関して削減目標を設定することの重要性を指摘され、これに対して当時の山本大臣からは積極的に取り組んでいきたい旨の答弁がございました。

 そこで、限りなくゼロに近づける必要があるこの食品ロスの削減目標の設定について、現在の取り組みはどうなっていらっしゃるのかということを、山本前大臣から後を託された中川大臣の見解を伺います。

 特に、平成三十年度環境省予算の概算要求においては、食品廃棄物等リデュース・リサイクル推進事業費が計上されております。太田議員も質疑の中で触れられておりましたけれども、平成三十年度に食品ロス調査をしている市町村の数を二百市町村にするという、廃棄物処理法の基本方針を定められた目標の達成は可能でしょうか。この点について説明をお願いいたします。

中川国務大臣 食品ロスの削減は、SDGsにおきましてもターゲットの一つとして定められております。また、昨年のG7富山環境大臣会合でも議論されるなど、国際的な関心が高まっているところでございます。

 先生御指摘がございました平成二十八年そして二十九年と山本前大臣、そしてまたその前の年、二十八年五月には安倍総理も食品ロスの削減に向けた目標を定める検討をしてまいりたいということを申し上げているところでございまして、私も山本大臣の食品ロス削減目標の設定についての検討を引き継いでいるところでございます。

 環境省としては、関係省庁や地方自治体と連携しつつ食品ロスの削減に向けた取り組みを進めているところでございまして、目標を定めるということは、関係者の効果的な取り組みを促進していくためにも有効なものだというふうに思っております。現在、食品ロスの目標設定に関する検討会を立ち上げて検討を進めておりまして、現在のところは、食品ロスの発生状況や取り組みによる削減効果等についてまずは調査を進めている、こういう状況でございます。

 そして、市町村が食品ロス削減に取り組む上で、区域内の食品ロスの発生実態を把握し、市民に知らせるということは極めて重要でありまして、このため、廃棄物処理法の基本方針において、平成三十年度までに家庭からの食品ロスの発生の状況について調査を実施したことがある市町村の数を二百にするとの目標を掲げているところでございます。

 家庭からの食品ロスを調査している市町村数は、平成二十八年度の時点で累計六十三市町村でございました。平成二十九年度から調査に取り組む市町村を支援する予算を設けておりまして、今年度は約三十の市町村を支援しております。また、食品ロス調査のノウハウが得られれば調査を実施したいという市町村が五十六あることから、調査の方法を取りまとめたマニュアルを今年度末までに作成し、提供する予定でございます。

 このほか、食品ロス調査を今後行う予定という意向を示している市町村が八十一ございまして、環境省としては、引き続き調査への財政的、技術的支援を通じ、目標達成に取り組んでまいります。

堀越委員 ありがとうございます。

 これから忘年会、新年会のシーズンになります。私たちも席に着いてすぐお酌に回らなければいけないということで、非常に食べ物に対してはもったいないなと認識されておられる方はいらっしゃると思いますので、ぜひ議員の先生方にも御協力をいただいて、まず乾杯をしたらば十五分間は席に着いてしっかり御飯を食べていただいて、そして終わりの打ち上げのときには、またしっかり十五分間席に着いて食事を食べていただくという取り組みも、皆さん、先生方にもお願いをしたいというふうに思います。私も実施できるかどうかわかりませんけれども、全力でやらせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたとおり、日本の食品ロスの量は六百二十一万トンと非常に多いものでございますので、世界が求めている食糧援助量の約二倍ということは私たちはしっかり認識をした上で、やはり先進国として官民ともに取り組んでいかなければいけないことだというふうに思っておりますので、引き続き、御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 次に、先ほどもお話が出ておりましたけれども、COP23それから地球温暖化対策に続いて、エネルギー政策について触れさせていただきたいと思います。

 私の地元は群馬県ですけれども、群馬県は非常に気温が高い箇所が前橋市、館林、これは最高気温をいつも更新して、県内で競り合っているような、そういう状況でございますけれども、非常に気温が高くなってきております。前橋市では百年当たり一・九度上昇しておりまして、真夏日の日数は百年当たり三十六日増加しているということであります。都市化の影響はあるとはいっても、やはり地球温暖化の影響は顕在化しているというふうに考えております。

 地球温暖化の問題に対しては、世界で対応しなければいけない本当に喫緊の課題であるというふうに思っております。パリ協定に基づく世界の取り組みを全ての国が推進するということを実効的なものにしていかなければ、達成は難しいのではないかという認識がございます。

 今回の国会での安倍総理の所信表明演説の中ではこの気候変動問題には触れられておりませんでしたので、所信において気候変動対策へ取り組む姿勢が触れられていないのはちょっと残念かなというふうに認識をしております。

 COP23の開催中、先ほどの質問にもありましたとおり、化石賞というものを日本が受賞してしまった。この化石賞を与えたのは世界各国の環境NGOで組織された気候行動ネットワークですが、この不名誉な賞を日本が単独で受賞した理由としては、十一月六日に行われた日米首脳会談において、二〇一七年から二〇一八年にアメリカと協力して石炭火力発電所や原発の建設を東南アジアへ展開することを合意する覚書も交わされていたことが挙げられるのではないかなというふうに思います。

 非常に答えにくいところもあるかとは思うんですけれども、ぜひ、化石賞を受賞してしまったということに関して、大臣、一言お答えいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

中川国務大臣 私がCOP23に出席しまして、日本からも政府関係者のほかに企業や自治体やNGOの方、大勢出席をいたしまして、全世界では三万人の方が一堂に会して、交渉だけではなく、サイドイベントに大勢の方が参加をして、パリ協定の流れを確実なものにするという雰囲気がしっかり盛り上がったというふうに思っております。

 そういう中で、我が国に対しまして、特にNGOの方から石炭火力の問題に対する我が国の姿勢に対する批判というものがございました。また、私自身も会場で日本のNGOの方と意見交換をする機会を持ったわけでございますけれども、そのときにも石炭火力に対する姿勢に対する厳しい御意見も頂戴をいたしました。

 化石賞という不名誉な賞が我が国に与えられたということについては、先ほど局長からも申し上げましたように、それ自体のコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、石炭に対する、石炭火力に対する姿勢というものは、私自身も、かねてより厳しく臨まなければならないということを申し上げているわけでございます。このCOP23に出席して、改めて世界の流れというものを認識し、石炭に対する対応は厳しくしていかなければならないというふうに認識を強めたところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 心強いお言葉をいただいたなというふうに思っております。本当に、化石賞を受賞したその背景には、やはり世界がかなり石炭というものに対する目を強めている、厳しい目で見ているということは間違いないというふうに思っております。

 その上で、エネルギー政策に関しての御質問を最後にさせていただきたいと思います。

 エネルギー政策の転換を求められているのは、今、先ほどお話しさせていただいたとおり、世界が厳しい目を持っているというところだと思います。

 我が国は、温室効果ガスの排出削減目標として、二〇三〇年度に二〇一三年度の水準から二六%削減することを定めております。この削減目標を達成するために、さらなる省エネルギー政策に向けて抜本的な見直しが必要であるというふうに考えております。今後、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて大きくかじ取りをしていくことが極めて重要だというふうに思っております。

 再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、しかも国内で生産できる非常に有用な国産エネルギー源であるとともに、費用便益比が非常に大きい。つまり、コストはかかるんですけれども、それに対するリターンも非常に大きいというメリットがあると考えられます。また、再生可能エネルギーにかかわる投資を惜しむと、それよりもさらに大きい損害が発生するというデータもあります。

 IRENA、国際再生可能エネルギー機関、これは我が国も理事国になっておりますけれども、温室効果ガスの排出量の削減のみならず、石炭火力から出るばい煙等の健康被害抑制や輸入依存度の低減、環境保護や雇用の創出など、非常に有益な再生可能エネルギーへ日本も大きく政策転換を図る時期であると私は強く考えております。これは、高い技術力を持った日本であるから実行が可能だ、実現が可能であるというふうに思っております。

 そこで、大臣にお聞きいたします。

 世界は今、脱石炭火力発電に向けて大きくかじを切っています。石炭火力発電の輸出をやめるとともに、我が国も石炭火力発電の新増設を安易に認める政策を見直すべきかと考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

 また、経済活性化、未来への投資として、再生可能エネルギーの技術開発や導入促進を積極的に進めていく必要があると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 石炭火力につきまして、世界の流れはよく認識をいたしております。そういう意味で、石炭火力から再生エネへとかじを切るべきだという堀越先生の御指摘、もっともだというふうに私も考えているところでございます。

 再生可能エネルギーには、海外の化石燃料への依存度を低減し、エネルギー自給率の向上に資する、そういうことがございます。それから、地域の資源を利用することで、地域内でビジネスと雇用を生み、経済活性化、地方創生に役立つ、そういうメリットがございますし、地域エネルギーの供給力を強化し、災害発生時には最低限の機能や生活の維持に役立つ、こういった本当にさまざまなメリットがあると考えております。

 何といっても、CO2を排出しないということで、地球温暖化対策として極めて重要だということはもちろんでございまして、環境省としては、再生可能エネルギーの導入の最大化、加速化に向けて全力で取り組んでまいる決意でございます。

堀越委員 ありがとうございます。全力で私たちも取り組ませていただきたいというふうに思っております。

 本当にコストがかかることだとは思いますが、やはり、世代を超えてそれがやがて私たち国益のために返ってくるという認識でこの再生可能エネルギーの問題に関しては取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、質問させていただきまして、ありがとうございました。

松島委員長 次に、柿沢未途さん。

柿沢委員 希望の党、柿沢未途でございます。

 私にとりましては中高の先輩でもあります中川環境大臣に御質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 COP23がありましたので、我が国の気候変動対策、またCO2削減の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。若干堀越委員の御質問に重複する点もありますが、御容赦いただければと思います。

 中川大臣は、先月二十四日の閣議後記者会見で、来年度から、政府として国連への提出が求められている長期温室効果ガス低排出発展戦略、いわゆる長期戦略の検討を開始するということを明らかにされておられます。

 しかし、これをさかのぼれば、伊勢志摩サミットで安倍総理が、二〇二〇年、国連に求められている提出期限に十分に先駆けてG7の諸国は提出を約束しようということで、議長国として高らかに宣言したものであります。そこからここまでに至る間に、ドイツ、フランス、カナダ、そしてアメリカも提出済みで、また、イギリス、EUも作業中、こういう状況になっていて、もうサミットの参加国のG7諸国で、残っている国の方が少なくなってしまっているわけです。

 パリ協定の批准時の昨年十一月に国会で聞かれて、年度内には取りまとめをしたいというような答弁もありましたけれども、それからまた一年が経過をしているわけであります。二〇二〇年よりも十分に早く、こういうふうに日本が伊勢志摩サミットで発信をした、その日本がようやく検討開始というのは、若干出おくれというか遅きに失している、こういう感もあります。

 この際、二〇五〇年CO2八〇%削減に向けて、自然エネルギー拡大、そしてエネルギー効率化、省エネの徹底、こういうことを軸とした大胆な提案を作成していただきたいというふうに思います。この長期戦略、提出時期については日本はどのように考えておられるか、大臣の御所見をお伺いします。

中川国務大臣 パリ協定を踏まえて、我が国としても、長期的目標として、二〇五〇年八〇%削減を目指した取り組みを進めていくことが必要でございます。

 このため、気候変動対策を契機として、我が国が抱える経済、地域などにおける諸課題の同時解決を図り、中長期的な成長につなげていく未来への発展戦略として、長期戦略を策定したいと考えております。

 なかなかこの長期戦略の策定が進んでいないという御指摘でございますが、環境省とそれから経済産業省で、それぞれの関係審議会等において検討を進めてまいりました。ですから、それぞれの省においては検討を進めてきたところでございますけれども、やはり、政府全体としての検討をこれから進めていかなければならないということで、経済産業省とも合意をいたしましたのですが、来年度の早い段階で長期戦略策定に向けた政府全体としての検討を開始したい、こういうふうに考えております。

 その提出時期は、今柿沢先生御指摘のとおり、伊勢志摩サミットで二〇二〇年の期限に十分先立って策定、提出するということをコミットいたしましたので、そのことを踏まえて、まさに二〇二〇年の期限に十分先立った、そういうタイミングで作成をしていきたい、こういうふうに考えております。

柿沢委員 来年度から検討開始ということ、二〇一八年度で検討を開始して、ただでさえ、今まで、言ってしまえば経産省と環境省の間で、ある種の綱引きをやってきてここまで来てしまったわけです。後ほど石炭火力の話もしますし、再エネの話もしますけれども、あらゆることについて、中川大臣のさっきの答弁を聞いていて心強いと思うと同時に、これは全部経産省と環境省の間の綱引きで行われている問題になっているわけですよね。だから、二〇二〇年の目標時期に十分先立ってと言いながら、G7諸国で一番最後に、何とか駆け込みのような形で提出をするとかいうことになったら、言葉は悪いですけれども恥ずかしいと思いますので、ぜひしっかりとお進めいただきたいと思います。

 その際に特に重要だと思いますのは、環境省が本年三月に策定した長期低炭素ビジョンの中で明確になっていない、低炭素電源の中身の明確化です。

 そこには何と書いてあるかというと、二〇五〇年には低炭素電源を九割以上にする、こういうことが書かれているわけなんですけれども、その九割以上になるという低炭素電源とは何ぞやということになると、その内訳が、再生可能エネルギー、CCSつき火力発電、原子力発電。列挙されているだけなんですね。どれに力点を置くのか、どういうシェアを考えているのか、こういうことは全く明らかになっていないわけです。

 一方で、エネルギー基本計画の改定に向けた議論では、原発の新増設にゴーサインを出そうかというような色合いがだんだんだんだん色濃く漂いつつあるわけです。

 しかし、きょうお配りした一枚目の資料を見ても、これはIEAの予測でも、世界的に見れば、原発の伸びなんというものはこんな程度に、極めて限定的なものだと見られているわけです。

 なおかつ、下に書いてありますけれども、今や原発の新増設に関する費用というのは、エネ庁が試算しているものよりもはるかに、飛躍的に上がってしまっている、高くなってしまっている、こういう状況にあるわけです。

 ここで、ベースロード電源として日本が原発新増設にかじを切るというのは、言ってはなんですけれども、私は正気の沙汰とは思えません。

 アメリカのブルームバーグ・ニュー・エネルギー・ファイナンス社は六月に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、二〇四〇年までに全ての新規発電所の、世界の投資額の四分の三を占めるまでに成長する、こういう予測を発表しております。再エネに対する新規の投資は、二〇四〇年までに合計七兆四千億ドル、世界的に見込まれている。太陽光の発電コストは、もう既に二〇〇九年と比べて四分の一まで低下をしていますけれども、さらに二〇四〇年までに六六%下落をすると予測されていて、石炭と比べると、ドイツ、オーストラリア、アメリカ、スペイン、イタリアではもう同額以下、また、二〇二一年までには中国、インド、メキシコ、イギリス、ブラジル、ここでも石炭よりも安くなると言われています。

 こういう中で、劇的な低価格化が進む再生エネルギーで電力のほぼ全てを供給することを目指すことが国際的には常識になっている。一枚目の資料の下の方を見れば、ごらんのとおりであります。

 ドイツは、二〇五〇年には八〇%を再生可能エネルギーで供給する。その道途上で、四〇から四五%という二〇二五年導入目標。そして、二〇二〇年代、二〇三〇年代には、各国このような目標を示しているわけであります。また、ドイツは、二〇二二年には原発をシャットダウンする、こういうことを言っているわけでもあります。

 我が国も、少なくとも八〇%以上の電力を再生可能エネルギーで供給する、こういうことを長期戦略でコミットすべきではないかと思いますが、見解を伺います。

中川国務大臣 環境省といたしましては、御指摘のとおり、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に向け、課題と解決策を検討しているところでございます。

 この長期戦略におきましては、これはやはり思い切ったまさに戦略を描くということもありまして、これから政府部内で検討を開始するわけでございますが、再生可能エネルギーへのシフトというものを環境省としてはかなり明確に示していきたい、そういう考えでございます。

柿沢委員 環境省としてはという何か主語がつきましたけれども、やはり国全体として、世界の流れを見誤らないように、そして遅きに失することのないように、対応をお願いしたいというふうに思います。

 石炭火力の話であります。

 二枚目に日経新聞の記事をつけておきましたけれども、「脱石炭、見誤った日本」、こういうタイトルがついています。最初の文章で、「(COP23)の交渉で日本は存在感を示せず「石炭火力発電の推進国」という点ばかりが注目された。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」離脱を決めた米国と並び、温暖化ガス削減を妨げる勢力とも見られ始めている。」こんなことが書かれています。

 この記事のこの見出しに関する感想は後ほど中川大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、いずれにしても、このCOP23、石炭火力に対する国際的な批判の高まりが明確に示されたものになりました。期間中、イギリス、カナダ、あるいはアメリカのオレゴン州、二十六の国と地域による脱石炭発電連盟、パワーリング・パスト・コール・アライアンス、これが結成された。OECD諸国は二〇三〇年までに石炭火力から脱却すべきということが、ここでは高らかにうたわれております。

 しかるに、日本は、政府の決めたエネルギーミックスで、二〇三〇年においても電力供給の二六%程度を石炭火力に依存することとしています。こういう状況の中で、石炭火力を重要なベースロード電源と位置づけて、国内では四十二基、合計一千八百六十万キロワットの石炭火力の新増設が計画をされているわけであります。先ほど御答弁にもありましたが、これを全部実現したら、二〇三〇年の電力供給における石炭火力の割合は、エネルギーミックスの想定すら超えて上振れしてしまうということになるわけです。

 一方、世界的に見ると、資料の三枚目につけておきましたが、石炭火力からの撤退、中止、これが相次いでいるわけです。国内においても、四十二基新しくつくるというふうに言いましたけれども、一方で採算性の問題などが浮上してきて、石炭火力の新設計画が撤回または中止になるケースが相次いで出てきています。市原、赤穂、高砂、こんなところですね。

 電力消費が減っていく中、またCO2排出量の少ないエネルギーが選ばれる、いわゆる世界的に見ればダイベストメント、こういう流れもある中で、長期的な石炭火力の稼働率の見通しを低く見ざるを得ず、事業性に疑問符がつけられる、こういうふうになっているわけです。

 石炭火力について、高効率化するから大丈夫だみたいな話があるんですけれども、三枚目の資料の下を見ると、これは火力発電のそれぞれのCO2の排出係数の比較ですけれども、IGCC、現時点で最新鋭と言われる石炭火力でも、LNG火力と比べると二倍近い、そういうぐらいのCO2の排出量になっているわけですね。IGFCになると〇・五九だというけれども、これはまだ実用化されていない技術であります。

 例えばアメリカなんかは、オバマ大統領当時の大統領気候行動計画によって、〇・四五三キロCO2、キロワットアワー当たり、これは、LNG火力のこの水準の少し上ぐらいのところが火力の排出規制の規制値となっているわけです。石炭火力が基準をクリアするためにはCCSをつけなければいけない。しかし、CCSをつけた場合は、これはもう高コストで、とても事業性が保たれない。結果として石炭火力は撤退せざるを得ないような水準にアメリカは一旦、規制値を定めたわけです。イギリスもそうですし、ヨーロッパにおいては、やはりCCSをつけなければ石炭火力の新設は認めないというようなことになっているわけです。

 これから四十二基もの新設計画が国内ではあるわけです。それに関して問題意識は環境省は持っている。しかし、民間でやることですから、アセスで意見を言うことぐらいしかできないというような状況になっている。これは、アメリカ、ヨーロッパ等を見習って、排出係数による厳しい規制値を設定するなどという、そうした手段を講じる必要があると思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

中川国務大臣 御指摘のとおり、石炭火力発電というのはCO2の排出係数というのが非常に高い。最新鋭技術でも天然ガス火力の約二倍だということでございます。現実に、四十基の石炭火力の新増設計画の全てが実行されるということになりますと、我が国の削減目標達成は困難ということでございまして、経済性の観点のみで新増設を進めるということは許されないことだというふうに考えております。

 環境省としては、石炭火力発電の問題につきましては、昨年二月に経済産業省と環境省で合意をいたしました電気事業分野における対策の進捗状況をレビューする、目標が達成できないと判断される場合は施策の見直し等について検討するとともに、石炭火力発電所計画の環境アセスメントにおいて事業者に石炭火力のリスクに対する自覚を促すなど、石炭火力に対して厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えております。

 排出係数を厳しくする基準を設定するということにつきましては、諸外国でも検討している国もございますが、なかなか現実に進んでいる状況ではないというふうに認識をしておりまして、一律の排出係数を設定するということについては、検討はしていきたいと思いますけれども、なかなか一方で難しい事情もあるだろうというふうに思います。

 もうちょっといろいろな、例えばカーボンプライシングなどの施策を通じて現実に石炭火力の増設を抑える、排出係数を決めたのと同じような効果をもたらす、そういった仕組みも考えていきたいということで、今いろいろな面での検討を進めているところでございます。

柿沢委員 さっき御紹介申し上げたように、日本はいわば全く逆の方向をひた走っている状況になっているというふうな認識が十分おありなのかどうか、大変疑問に感じる部分があります。

 また、こうした問題については、オバマ大統領が設定したものをトランプ大統領が御破算にしちゃったり、確かに政治の意思によって変動するものでありますけれども、だからこそ、政治の意思が非常に大事に作用する問題だというふうに思います。

 イギリスでいえば、稼働中の石炭火力を二〇二五年までに全廃するという方針を決めて、また、産業革命の母国であるイギリスが、ことしの四月二十一日、とうとう石炭火力由来の電力が丸一日ゼロになる、こういう十八世紀以来の歴史的な日を迎えるに至っています。

 やはり、石炭火力、二〇三〇年までにOECD諸国は全廃をすべきだ、これが先ほどの世界の声だったわけであります。

 そういう意味でいえば、カーボンプライシングの話もありましたが、炭素税などの導入によって、まさに二〇三〇年までの段階的な石炭火力の廃止、これを実現すべきと考えますけれども、御見解はいかがでしょうか。

中川国務大臣 カーボンプライシングの検討についてでございますけれども、これは、環境省の中で六月に検討会を立ち上げまして、長期の大幅削減に向けて我が国にとって実効的な施策のあり方は何か、大局的な見地から論点を整理していただいておりまして、今さまざまな方向性について議論をしているところでございます。

 そのために、まずは、各種の手法、排出量取引、大型炭素税、あるいはその組み合わせといったようないろいろな手法がございますので、その実効性や課題について、経済や社会問題との関係等も含めて丁寧に議論をすることが重要だということで、検討会で今、専門家の方に議論をしていただいているところでございます。

 その上で、環境省としては、諸外国の例もございまして、カーボンプライシングについては有効な手段だという認識でございますので、その御検討をいただいた上で、政府の中にも問題意識が共有できるように、前向きに検討を進めていきたいというふうに思っているところでございます。

柿沢委員 これも環境省としてはという話になるんですけれども、これも経産省からはカーボンプライシングに対するなかなか厳しい意見もあり、遅々として進んでいない、世界の潮流にここでもちょっとおくれつつあるという状況ではないかと思います。

 石炭火力の輸出についてお伺いをいたします。

 先ほど、日米首脳会談でトランプ大統領と交わした、アジアに対する石炭火力の輸出に積極的に取り組むという覚書が、化石賞受賞の理由になったという話がありました。まさしく先ほどの日経新聞の記事にあったとおり、アメリカと一緒になって歴史への逆行を進めているのが、そのお先棒を担いでいるのが日本じゃないのか、こういうふうに思われている状況ではないかと思います。この日経新聞の記事の最後の方を見ると、日本もパリ協定を離脱するのかと中国メディアに真顔で聞かれた、こんなことまで言われているわけです。

 丸川大臣の時代に、メディアのインタビューに答えて、環境大臣として、高効率な石炭火力の輸出は途上国のCO2削減に資するので結構なことだというふうにコメントをされたようなことも過去にはありました。

 中川大臣は、同じような考えでインフラ輸出、成長戦略として、また途上国の温暖化対策支援として石炭火力の輸出を積極的に進めるべきだ、こういう考えでしょうか、伺います。

中川国務大臣 これも、環境省としてはと言うとまた叱られるかもしれませんけれども、環境省としては、積極的に進めるという考えは全くございません。

 ただ、石炭火力の高効率なものについての輸出というのは、途上国の、エネルギーに全くアクセスできない方がたくさんいる、そういう中で、その途上国が石炭火力をつくって、そういうエネルギーの安全保障の見地から建設を進めようというときに、我が国が高効率の発電所の設備の導入を支援するということで、本来非常に非効率な発電所ができるところを高効率なものにかえればその分はCO2の削減に寄与するということで、地球温暖化対策に資する場合もあり得る、こういうことだろうとは思うわけでございますけれども、私自身も、COP23に伺ってそういった非難をいただきましたし、世界の流れというものをよく認識しておりますので、これもまた環境省としてはと言うとまたお叱りになられるかもしれませんけれども、全く、石炭の火力発電所の輸出を積極的に進めるという考えはございません。

柿沢委員 時間がちょっと限られてまいりましたので、次の話題に移りたいと思います。

 ゼロ・エネルギー・ハウス化による住宅における低炭素化促進事業、四枚目の資料につけてありますが、六十二億円の予算要求を、来年度に向けて、環境省さんが経産省、国交省と一緒になって要求しておられます。

 我が国は、建物、住宅の省エネ化またCO2削減、おくれが著しいというふうに思います。とてもこの点では省エネ先進国と自称できないような状況になっていると思います。

 例えば窓ですけれども、熱貫流値、Uw値の最低基準も設けていない。ドイツと五倍も違う。そして、世界最低レベルの性能の窓が五千七百万戸のうち八割を占めている。そもそも、世界的に見ると、アルミサッシが九割を占めているなんというのは先進国では日本だけ。それだけ熱を逃がしているような状況になっているわけです。

 改正省エネ基準を二〇二〇年に義務化の方向で進めているんだといっても、これ自体が、一九九九年、二十年近く前の省エネ基準に毛が生えた程度のものであって、ドイツのパッシブハウス基準に比べると、断熱性能を示すQ値で二・七倍、また、気密性能を示すC値でいえば、これは日本は定めてすらいないわけであります。これすら二〇二〇年に義務化が予定をされているだけということになっているわけです。

 こういう気密性、断熱性を軽視した結果、建物の寿命は短く、また室内温度が冬場は低下をし、また気温差によってヒートショックが起きて、これもドイツと比べると十七倍も脳卒中の発生率が多くて、お風呂で溺死する人が交通事故の死者の数を上回っている、こんな状況にもなっているわけです。

 このような状況を変えていくために、やはりゼロエネルギー住宅の標準化というものが求められている状況だと思いますが、きょう経産省さんに来ていただいて御答弁をいただくつもりだったんですけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、意見として、これは今までの経産省がやってきたゼロエネルギー住宅の支援の事業でいうと、大手のプレハブメーカー十九社に発注が行われている補助の割合が八割程度を占めていて、逆に八割程度をつくっているはずの地域の中小工務店はほとんど仕事が得られていない、こういう状況だと思います。

 いろいろな点があると思いますけれども、環境省さんが今度担う役割はこのゼロエネルギー住宅の普及拡大という役割ですから、そこの点については、中小がもっともっとこのゼロエネルギー住宅の施工にかかわることができるように制度設計の改善が必要である。特に工期については、大手プレハブメーカーの短い工期に合わせて設定をされている、そういう仕様になっているというふうにお聞きをしていますので、中小工務店の在来木造のそうした工期に合わせるように設定できるよう改善を求めたいというふうに思いますが、ここは御答弁をお願いいたしたいと思います。

中川国務大臣 このZEHの補助金につきましては、環境省としては、財務省に平成三十年度の概算要求をしている段階でございます。

 仮に、環境省として、来年度、ZEHへの補助を行うこととなった場合には、中小工務店の方は工期が長いというケースが多いということで、できるだけ早い時期に事業者の公募手続を行うことによって、中小工務店にも不利とならないように最大限努力をしていきたいというように考えております。

柿沢委員 最大限と言うんですけれども、これはきちっと進めていかないと最終的な期限を……

松島委員長 質問時間は終わっていますから。

柿沢委員 まだ終了したという表示、来ていませんよ。

 最終的な期限をいまだ満たせない、こういうことが事態として想定されますので、そういう意味からもぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ちょっと質問を余してしまいましたけれども、時間が参ったようでございますので、終わりにさせていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

松島委員長 次に、鰐淵洋子さん。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 環境委員会におきまして初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、以前、私、一期、参議院議員を務めさせていただきまして、その際、中川大臣とともに環境委員会に所属をいたしまして、いつも中川大臣の質問を伺いながら勉強させていただいておりました。今回は、大臣に就任されまして、私も質問をさせていただけるということで大変にうれしく思っておりますが、しっかりと頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず初めに、このたびドイツで開催されましたCOP23について質問させていただきます。

 今回のCOP23は、米国がパリ協定から脱退表明してから初のCOPであり、パリ協定を後戻りさせることなく全世界が団結をして取り組んでいくために大変に重要な会議であったと思います。今回のCOP23を受けまして、日本を初めとする先進国がリーダーシップを発揮し、パリ協定を着実に実施していかなければならないと思います。

 COP23での議論を踏まえまして、国内外の温室効果ガス削減に対し、今後どのように取り組んでいかれるのか、改めまして大臣の御決意をお伺いいたします。

中川国務大臣 ありがとうございます。

 パリ協定はもう後戻りできない、そういう大きな流れができているというふうに思います。

 COP23におきまして、パリ協定の実施に向けた議論が本格化しておりまして、私自身、世界の脱炭素化に向けた潮流を改めて実感したところでございます。

 このため、我が国においても、パリ協定のもとで温室効果ガスの大幅削減に向けた取り組みを国内外で着実に進めてまいります。

 国内では、昨年五月に決定いたしました地球温暖化対策計画に基づき、二〇三〇年度二六%削減の達成、さらに二〇五〇年八〇%削減に向け、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入等の対策をしっかりと進めてまいります。

 また、気候変動対策を契機として、我が国が抱える経済、地域、国際などの諸課題の同時解決を図り、中長期的な成長につなげていく未来への発展戦略として長期戦略を策定したいと考えておりまして、来年度の早い段階で政府全体としての検討を開始できるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

 国際的には、COP23に先駆けて私から発表いたしました気候変動対策支援イニシアティブ二〇一七のもとで、二国間クレジット制度や途上国の取り組みの透明性向上のための支援を行ってまいります。

 これらの取り組みを通じ、国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体の排出削減に最大限貢献してまいる決意でございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 先ほども申し上げましたが、今回、米国の脱退方針の表明を受けまして、我が国は、引き続きぶれることなく、このパリ協定の二度目標などの実現に向けてまたしっかり頑張っていかなければならないと思います。

 これも先ほどから各委員からも質問で出ておりましたが、米国の脱退ということで、やはり、これは一つの大きな、これから進めていく上で課題にはなってくるかと思いますが、言うまでもなく、米国というのは世界第二位の温室効果ガスの排出国でもありますし、またさまざまな先進的な技術の導入や取り組みを行ってきている国でもありますので、米国なくして目標達成はあり得ないと思っております。

 また、米国に対して引き続き働きかけをしっかりと日本としても行っていきたいと思いますし、また、温室効果ガスの排出削減の取り組みをしっかりと、ともにやっていく、そういったことを、ともに協力していく方法を模索していかなければいけないと思っております。

 また、今回のCOP23の中でも、先進国と途上国の間での大きな溝がある、そういったお話も伺っておりますが、こういった中で、途上国、先進国の溝、こういったことも全部乗り越えた上で、また一体となって我が国も途上国へ支援をするなどして国際連携を具体的に進めていかなければいけないと思っております。

 具体的にこの国際連携をどのように取り組んでいくのか、途上国への支援など、どのように具体的に連携を図って取り組みを進めていくのかをお伺いしたいと思います。

 また、あわせまして、今回のCOPでは、企業、自治体、NGOなどの非政府主体の積極的な行動が注目されたと伺っておりますので、今後、こういった非政府主体などをどのように巻き込んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

森下政府参考人 まず、一点目のアメリカ、米国への働きかけでございますけれども、今回のCOPにおきまして、大臣が米国とバイ会談を実施しまして、パリ協定のもとで気候変動対策を実施していくことの重要性、これをお伝えしているところでございます。

 それから、九月にカナダで開催をされましたカナダ、EU、中国主催の閣僚会合におきましても、とかしき副大臣が米国代表と対談を実施するなど、これまでも機会を捉えまして気候変動問題への取り組みの必要性を働きかけており、引き続き、必要な対応を実施していきたいというふうに考えております。

 それから、二点目の途上国への支援でございますけれども、COP23におきまして、気候変動の緩和策、適応策の両面で、政府が一体となってさまざまな支援を実施することを表明いたしております。例えば、途上国における排出量などの透明性の向上を支援する新たなパートナーシップを設立いたしております。

 その一環といたしまして、地球環境ファシリティー、GEFに対しまして、透明性のための能力開発イニシアティブのため五百万ドルを拠出すること、加えまして、気候変動リスクや適応策に関する情報基盤でありますアジア太平洋適応情報プラットフォームの構築などの取り組みの強化を大臣から表明いたしました。今後、これらに基づきまして、途上国の支援を進めていきたいというふうに考えております。

 それから、このほか、我が国が従来から実施をしてきております二国間クレジット制度、JCMにつきましても、JCM案件のさらなる形成と実施を推進していきたいと思っております。

 三点目の非政府主体、企業、自治体、NGOなどとの連携でございますけれども、今回のCOP23でも、企業や自治体、NGO等の非政府主体の取り組みは極めて重要であるということで、さまざまなイベントなども実施されておりますし、国としてもそれをサポートしてきてございます。

 環境省では、大臣から担当までさまざまなレベルで、NGO等のステークホルダーとの間で定期的に、COPでの交渉ですとか国内対策等に関する意見交換も行ってございます。

 それから、特に企業でございますけれども、SBT、サイエンス・ベースド・ターゲットと呼ばれます企業版の二度目標、この策定に取り組む積極的な国内企業の取り組みの支援も行っておるというところでございます。

 こういった取り組みを通じまして、非政府主体の行動をしっかりと支援してまいりたいというふうに考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、米国への働きかけ、また先進国、途上国、一体となって取り組むということで、今るる御説明いただきましたが、やはり日本が先頭に立って取り組みを進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、企業、自治体、NGOの取り組みということで、やはりこういった非政府主体が取り組むことによりまして、それが目標達成に向けての大きな原動力となると思いますので、引き続き、ここに対しても支援を続けていきたいと思いますので、その点もよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、気候変動の影響への適応についてお伺いをしたいと思います。

 気候変動問題に対応するためには、地球温暖化の原因となります温室効果ガスの排出を抑制、削減するなどの緩和策とあわせまして、既に起こりつつある地球温暖化による農業や自然災害の影響を軽減する適応策を講じることが国民の皆様の生命、財産、生活を守る上で大変に重要な取り組みであると思っております。

 適応策について、環境省を中心に政府全体でしっかりと取り組んでいく重要な課題であると思っておりますが、具体的にどのような取り組みを進めているのか、お伺いをしたいと思います。

森下政府参考人 近年、気温の上昇や大雨、この頻度の増加等が観測をされてございます。また、高温による農作物の品質の低下、あるいは動植物の分布域の変化など、気候変動の影響が既に顕在化をしているというふうに考えてございます。こうした気候変動の影響に対処し、被害を回避、軽減する適応策が非常に重要であるというふうに考えております。

 このため、政府では、平成二十七年の十一月に気候変動の影響への適応計画、こちらを閣議決定いたしておりまして、この計画に基づきまして、現在、関係府省庁が連携をいたしまして、例えば農業、防災、さまざまな分野における適応策を進めているという現状でございます。

 環境省におきましては、関係府省庁とも連携をさせていただきまして、適応の情報基盤となります気候変動適応情報プラットフォームを昨年の八月に構築いたしております。これは国立環境研究所が運営をいたしまして、国民の皆様方へ普及啓発を進める、あるいは気候変動や影響予測に関する科学的な情報に基づく適応策の促進、これをするものでございます。

 また、国、地方公共団体、地域の研究機関等が参画をする地域適応コンソーシアム事業というのを推進しておりまして、地域における具体的な適応策の立案や実施を推進しているという状況でございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今取り組みをお伺いいたしましたが、これらを着実に推進するためにも、公明党といたしまして、環境部会といたしまして、本年七月に、その当時の山本環境大臣に対しまして、気候変動の影響への適応策の充実強化に向けて、例えば、国や地方公共団体における適応策の位置づけを明確にするなどの法的措置が必要であると申し入れをさせていただきました。

 この公明党の申し入れに対しまして、その後どのような検討状況なのか、お伺いをしたいと思います。

とかしき副大臣 この夏の九州の北部豪雨を初め、ここ数年、大きな豪雨災害があちこちで起こっておりまして、今後も大雨や大きな台風の発生頻度が増加するのではないか、こういう危惧がされております。国民の皆様からもこういった不安の声が上がってきておりますので、気候変動の適応策の強化、これは重要な課題であると認識をしております。

 特に、公明党さんからいただきました御要望に加えまして、実は、同じような要望が地方公共団体からも、適応策を法的に位置づけてほしい、そしてその取り組みを後押ししてほしい、こういう御要望を受けておりまして、これらの声をしっかりと環境省としては受けとめていきたいと思っております。

 このような背景も踏まえまして、今、地方公共団体等から意見を聴取するとともに、気候変動の影響への適応に関する関係府省庁の連絡会議の骨組みも活用しながら、関係府省庁と調整を進めているところでございます。

 今後も引き続き、この適応策の充実や強化、そのための法制度について前向きにしっかりと検討を進めていこう、このように考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 この件につきましては自民党の方からも申し入れがあったと伺っておりますが、いずれにしましても、国民の皆様の生活、またそういったものを守る上で大事な対応かと思いますので、法制化に向けて私たちもしっかりと頑張ってまいりたいと思いますが、御対応をよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、被災地の復興についてお伺いをいたします。

 東日本大震災の発生から六年八カ月が経過をいたしました。被災地の復興は目に見える形で着実に進んでおりますが、被災者の皆様が安心、安全に生活するためには、除染や中間貯蔵施設の整備などは、なくてはならない取り組みでございます。

 中川大臣は、就任後、被災地の皆様に寄り添いながら復興支援を進めるために、みずから現地に行かれまして、多くの方々から直接声を聞いていらっしゃると伺っております。被災地のさらなる復興の加速に向けまして、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 東日本大震災から六年半以上が経過いたしましたが、引き続き被災地の復興を最優先の課題とし、取り組んでいかなければならないと考えております。

 環境省といたしましては、これまで除染実施計画に基づき面的除染を進め、本年三月までにおおむね完了したところでございます。

 今後、復興のさらなる加速化に向けて、中間貯蔵施設の整備と施設への継続的な搬入、放射性物質に汚染された廃棄物の着実な処理、放射線に係る住民の健康管理、健康不安対策など、被災された方々に寄り添いながら取り組みを進めてまいります。また、帰還困難区域における特定復興再生拠点区域の整備につきましても、環境省としてしっかりと役割を果たしてまいります。

 今後とも、被災地の復興に全力で取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 最優先課題ということで、全力で取り組むという御決意をいただきました。大変にありがとうございました。

 具体的に、また復興支援について質問させていただきたいと思いますが、いずれにしましても、今環境省が担っていらっしゃる取り組みというのは、除染であったり中間貯蔵施設の整備など、どちらかというとマイナスからゼロに近づけていくような、そういった作業が続いているかと思います。そういった意味では、本当に、なかなか気づかれないところもあるかと思いますが、しかし、そこで一生懸命頑張ってくださっている、携わってくださっている職員の方だったり地元の方もいらっしゃいますので、そういった方々への感謝の思い、また支援も含めて、環境省としても全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 その上で、具体的に質問させていただきたいと思いますが、除染実施計画に基づく面的除染は、先ほどもお話がありましたが、福島県外は全ての市町村で当該計画に基づく除染を完了し、福島県内では、住宅、子供の生活環境を含む公共施設、農地など、ほぼ終了し、早期完了を目指していると伺っております。そして、除染に伴う放射性物質を含む土壌や廃棄物が大量に発生するため、最終処分するまでの間、安全に管理、保管する施設として、中間貯蔵施設の整備が必要になってまいります。今後の施設用地の確保や整備についてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

伊藤副大臣 鰐淵委員にお答えを申し上げます。

 福島県内の除染土壌等の中間貯蔵施設につきましては、中間貯蔵施設に係る当面五カ年の見通しに沿いまして、用地取得を進めているとともに、施設の整備、除染土壌等の輸送をただいま進めさせていただいているところでございます。

 まず、用地取得につきましては、地権者の皆様方の多大なる御協力によりまして、着実に進捗をさせていただいております。先月末の速報値では、全体面積約四六%に相当する約七百三十五ヘクタールを取得いたしたところでございます。

 施設設備につきましては、本年十月二十八日に、大熊工区において除去土壌の貯蔵を開始いたしたところでございます。それ以外にも六つの施設整備を進めているところでございます。

 除去土壌等の輸送については、今年度は五十万立方メートル程度、来年度は百八十万立方メートル程度と当面五カ年の見通しでお示しをした最大限の量を輸送することと公表しているところでございます。

 今後とも、地元の方々に丁寧に御説明を申し上げながら、さらなる用地取得に全力を挙げてまいるとともに、作業の実行においての安心、安全については十分に配慮いたしまして、確実に土壌貯蔵を進めてまいりたい、こう考えているところでございます。

 以上です。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今御答弁もいただきましたが、しっかりと地元の皆様の御理解をいただきながら着実に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、帰還困難区域についてお伺いをしたいと思います。

 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域が帰還困難区域ということでございますが、放射線量の低下、そして帰還を希望される住民と地元からの要望を受けまして、帰還困難区域の復興再生に早期に取り組む必要があると思っております。今後、帰還困難区域の拠点整備にどのように取り組むのか、お伺いをいたします。

武部大臣政務官 帰還困難区域における特定復興再生拠点の整備につきましては、環境省としまして、改正されました福島復興再生特別措置法に基づいて市町村が策定し国が認定する計画に沿って、家屋等の解体、除染を行うこととしております。

 現在、双葉町、大熊町において既に計画が認定されておりまして、環境省としましても、この計画に基づいて、関係者と調整しつつ、速やかに事業を実施してまいりたいと思います。

 引き続き、福島復興再生のさらなる前進に向けまして、環境省としても、関係省庁と連携し、しっかりと役割を果たしてまいりたいと思います。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 こちらもやはり地元の皆様の切実な思いがあるかと思いますので、それをしっかりと受けとめて進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきますが、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえまして、環境省の当面の施策の方向性として、リスクコミュニケーション事業の継続、充実が挙げられております。復興に向けて安心して暮らすことのできる生活環境の実現のために、放射線に係る住民の健康管理や健康不安への対応をしていくことは、大変に重要な取り組みであると思っております。しっかりと対応していただきたいと思いますが、この放射線のリスクコミュニケーションについて、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 環境省としましては、住民の皆様の安全と安心を確保することは極めて重要であると認識しております。

 避難指示解除後の、事故による放射線の影響に係る健康不安対策として、環境省では、住民からの相談に対応する人材の育成や、地域のニーズを踏まえた住民セミナー等のリスクコミュニケーション事業に取り組んでいるところです。

 また、住民の皆様を身近で支え、放射線不安等に対応していく相談員の方々の活動を科学的、技術的な面から支援していくために、放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターにおきまして、専門家派遣や研修会の開催等を引き続き行ってまいります。

 今後とも、住民の皆様の思いに寄り添いながら、誠心誠意取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 やはり、特に福島の皆様におきましては、健康、そういった面が一番不安に思われている方も多いかと思いますので、一人一人御丁寧に対応していただきまして、少しでも不安が払拭できるように取り組んでいただきたいと思います。

 また、放射線の健康面を受けまして、これが一つの問題というか、それを受けて、いじめにつながったり、そういったことも各学校の現場でも起こっておりますので、直接的な問題はなくても、こういった放射線の健康問題から、例えばいじめにつながるとか、さまざまなそういった問題も出てきておりますので、そういったこともぜひ広く見ていただきながら対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 エコチル調査について質問させていただきます。

 エコチル調査は、近年、これまで余り多くなかったアレルギー、発達障害、シックハウス症候群など、増加傾向にある子供の病気と環境要因との関係性を解明し、原因となる化学物質の規制や適切なリスク管理につなげ、安全で安心な子育て環境をつくることが目的となっております。

 具体的には、胎児期から小児期にかけての長期的な追跡を行う疫学調査で、大規模で長期的な国家プロジェクトとして行われております。

 公明党は、子供が環境中の化学物質の影響を受けやすく、化学物質の暴露が子供の健康に影響を与えているのではないか、しかし解明されていない点が多いため、調査する必要があるということで、長年、このテーマ、課題を訴え続けてまいりまして、私も参議院時代に力を入れてきた課題でもございます。

 この調査が開始してより約七年がたちましたが、現在はさまざまな種類の化学物質の解析を行う時期に入っていると伺っております。このエコチル調査のこれまでの進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 エコチル調査では、約十万組の親子を対象に、子供が十三歳になるまで健康状態等を継続して追跡しております。平成二十二年度の調査開始以来、全国十五の調査地域の大学を中心に、参加者をきめ細かくフォローしており、現時点で開始当初の約九五%の方々に継続して御参加をいただいております。

 その結果、妊娠、出産期の親子から約四百五十万検体もの血液、尿等の生体試料を頂戴しておりまして、また、出生後、ほぼ半年ごとに子供の健康状態等に関する質問票調査に御協力をいただいております。

 さらに、一部の方々には、精神発達調査や自宅室内のホルムアルデヒドを調べるといった環境調査など、より詳細な調査にも御協力をいただいております。

 現在、調査開始から七年目を迎えまして、さまざまな種類の化学物質の解析を行う段階に入っております。生体試料の化学分析につきましては、妊娠期の母親二万人分の生体試料中の重金属濃度を測定し、子供の出生時の質問票調査のデータとの関係などについて解析を進めているところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 このエコチル調査におきましては、心身ともに健康な子供の育成のために、また少子化対策にもつながる重要な調査になってくるかと思いますので、長期的で大規模な調査になっておりますが、時間のかかることでありますが、しっかり私たちとしても予算を確保しながら引き続き充実していくように頑張っていきたいと思っております。

 その上で、今も少し触れていただきましたが、今回、この調査を受けましてさらに進めていただきたいと思いますが、今申し上げましたが、子供の疾病を低減して安心、安全な子育て環境を実現するためにも、今後どういった成果を目指していくのか、その点を改めてお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 エコチル調査は、大規模、長期間にわたる疫学調査でございまして、まずは、参加者の方々に引き続き高い割合で参加し続けていただくことが重要と考えております。

 今後、多数の生体試料について、さまざまな化学物質を計画的に分析するとともに、子供の成長に伴って集積される質問票データとの関係を統計的に解析することにより、化学物質が子供の健康に与える影響を明らかにすることとしております。

 こうして得られた成果につきましては、順次、科学的成果として発表することはもとより、一般の方向けのシンポジウムを開催するなどして、社会にわかりやすく説明することで還元してまいります。さらには、化学物質の適正な管理に関する施策に活用することにより、安全、安心な子育て環境の構築に役立ててまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後に、これも先ほど質問が出ておりましたが、ちょっと重なる点もありますが、国立公園満喫プロジェクトについてお伺いをしたいと思います。

 八カ所の国立公園で、国立公園ステップアッププログラム二〇二〇が策定をされまして、二〇一六年時点で五百四十六万人の訪日外国人が国立公園を訪れており、二〇二〇年までに外国人国立公園利用者数を倍増の年間一千万人にさせるということとしております。

 訪日外国人の訪問先が今、主に東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪という日本の人気五都市を周遊するルート、いわゆるゴールデンルートに集中しておりますが、全国の国立公園の美しい景観や温泉、歴史など、それぞれの特質を生かしながら整備をしまして、新たな観光資源として訪日外国人に訪れていただくことでインバウンドの増加も期待されるかと思います。

 観光立国の推進の上でも国立公園満喫プロジェクトは重要な取り組みと考えますが、具体的な取り組みと今後の展望についてお伺いをしたいと思います。

笹川大臣政務官 現在、昨年七月に先行的、集中的に取り組みを進めるべく選定した八つの国立公園について、自治体や民間事業者等と連携をして、魅力の磨き上げと海外プロモーションを強力に推進しています。

 具体的には、自然体験プログラムの開発、普及、ビジターセンターへのカフェの設置、SNSによる海外発信などの取り組みを進めております。

 一方で、二〇二〇年に国立公園の訪日外国人利用者数を一千万人にするという目標の達成のためには、全国三十四カ所の国立公園で取り組みを進める必要があります。このため、先行八公園の成果を、地域の特性に合わせながら他の公園に水平展開できるように、事業を先月から開始させていただきました。

 また、昨日、国立公園満喫プロジェクトシンポジウムを開催させていただきまして、自治体そして民間、さらにはNGOの皆さん、もちろん環境省の担当職員も参加をさせていただいて、事例発表ですとか意見交換をさせていただきました。

 引き続き、先行八公園で集中的に成功事例をつくっていくとともに、展開事業を進めて、その地域ならではの魅力を求める多くの外国人の皆様方に国立公園を利用していただき、当該地域の経済活性化につなげてまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今おっしゃっていただきましたが、この取り組みは地方再生にもつながる重要な取り組みにもなってくるかと思いますし、また、国交省また地方自治体、そして民間企業も含めまして、地域の皆様も含めまして、皆で力を合わせて取り組んでいく中でこのプロジェクトを成功させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十一分開議

松島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫さん。

福田(昭)委員 それでは、本会議、御苦労さまでございました。

 今回は、残念ながら民進党として立候補できなかったものですから、無所属で立候補いたしましたので、無所属の会ということできょうは質問させていただきます。福田昭夫でございます。

 中川大臣、就任おめでとうございます。環境省出身の大臣ということで、期待が高いのではないかと思っておりますが、ぜひ頑張っていただきたいなと思っております。

 東日本大震災、原発事故から六年八カ月がたちました。いまだに先が見えないのが原発事故の対応であります。その鍵を握る一つである特措法について、きょうは、政府、環境省の考え方をただしてまいりたいと思いますので、大臣初め答弁者は簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、検討会の論点とスケジュールについてであります。

 第六回と七回の検討会に提出された論点は、除染関連と中間貯蔵、汚染廃棄物関連、合わせて六点でありますけれども、委員から、制度面での見直しまたは留意すべき点などについて、今までは出なかった意見が出たのかどうかということと、検討会のスケジュールについて、いつごろまでにこの答えを出すのか、その辺を教えていただきたいと思います。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 本年度の放射性物質汚染対処特措法施行状況検討会でございますけれども、今御指摘のとおり、除染、中間貯蔵それから汚染廃棄物、それぞれの分野について議論を深めていただいております。

 除染のフォローアップの進め方、除去土壌の処分方針の策定に当たっての留意点、さらには、中間貯蔵におきましては輸送に当たっての安全確保上の留意点、除去土壌の再生利用について理解醸成を図る上での留意点、そしてさらに、指定廃棄物の県内処理方針、これに基づいて処理を進める上での留意点等について御審議いただいておりまして、特に、今御指摘ございました、指定廃棄物を発生した県内で処理する、こういう方針が特措法の基本方針として閣議決定されておりますけれども、これについて異論が出たというような一部報道がございました。

 この点につきましては、次回以降の検討会について改めて御議論を深めていただくことになっていると考えておりますけれども、環境省といたしましては、県域を越えて指定廃棄物を集約して処理することの理解を得ることは非常に困難である、また、福島県に集約すべきという御意見もございますけれども、福島県は原発事故により最も大きな被害を受け、復興、帰還に向けた懸命な努力を行っている、このような県に他県の指定廃棄物を持ち込むことはさらなる負担を強いるということで、到底理解を得られないであろう、さらに、各県のそれぞれの状況を踏まえた対応については一定の進展が見られるということでございまして、環境省としては、県内処理の方針は堅持したいというふうに考えてございます。

 ただ、この検討会はまだ引き続き行うことになっておりまして、第三回目の検討会の開催に向けては日程の調整中ということでございます。(福田(昭)委員「最終は、めどは」と呼ぶ)はい。めどにつきましては、六回の検討会でお示ししておりますけれども、今年度末までに検討を済ませるということを目標にして検討を進めてございます。

福田(昭)委員 この点については後ほどぜひ議論をさせていただきたいと思っています。

 次に、中間貯蔵施設に貯蔵する除染土壌等の推計発生量と指定廃棄物の指定状況についてであります。

 資料の一と二をごらんいただきたいと思いますが、これは全て環境省が作成したものであります。

 中間貯蔵施設に貯蔵するものは大きく分けて二つありまして、一つは、仮置き場等に保管されている、除染に伴う土壌や廃棄物等、落ち葉だの枝などと書いてあります。もう一つが、十万ベクレル・パー・キログラムを超える放射能濃度の焼却灰等、合わせますと、これは約三万立米なんですね。

 また、指定廃棄物については、資料の二でありますが、福島県を含めて十一都府県に、焼却灰等が平成二十九年六月三十日時点で十九万四千八十・八トンです。そのうち、農林系副産物、稲わらなどが一万五千七百七十九・四トン、八・一三%ぐらいでありますが、こんな状況になっておりますが、これは大体間違いないですか。イエスかノーで答えてください。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお示ししていただいた資料の時点では、御指摘のとおりでございます。

 最新の数字を申し上げさせていただきますと、福島県内で発生した除去土壌につきましては、平成二十九年三月時点の推計値で一千五百二十万立方メートル、これは焼却前と想定しております。

 また、指定廃棄物につきましては、二十九年九月末時点で全国に約二十万トン存在しておりまして……(福田(昭)委員「もういいです」と呼ぶ)ということでございます。

福田(昭)委員 時間がありませんので、簡潔に答えてください。

 それから次に、福島県内の対策地域内廃棄物及び指定廃棄物の処理状況についてであります。

 これについては、旧フクシマエコテックセンターを買収して、特定廃棄物埋立処分施設として整備をして、埋め立て対象物は、双葉郡八市町村の生活ごみ、対策地域内廃棄物等、福島県内の十万ベクレル以下の指定廃棄物等であり、搬入期間は、生活ごみは約十年間、対策地域内廃棄物等及び指定廃棄物は約六年間となっております。

 この特定廃棄物埋立処分施設は、埋め立て可の量が約六十五万立米。福島県内の埋め立て対象物は、指定廃棄物が十六万六千二百四十六・二トンと合わせ、どのくらい出ると予想しているのか、それを教えてください。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 福島県内におきまして、対策地域内廃棄物のうち十万ベクレル・パー・キログラム以下のものが四十四・五万立方メートル、福島県内の指定廃棄物のうち十万ベクレル・パー・キログラム以下のもの、これが十八・二万立方メートルと想定してございます。

福田(昭)委員 わかりました。それでは、福島県内のものについては、この旧エコテックセンターで可能だということですね。

 それでは次に、福島県以外の指定廃棄物の処理の現状についてであります。

 資料の三をごらんいただきたいと思いますが、一つは、まず茨城県、群馬県であります。茨城県は平成二十八年二月、群馬県は同年十二月に、現地保管継続、段階的処理の方針を決定いたしました。

 次に、千葉県でありますが、千葉県は平成二十八年七月、全国で初めて、八千ベクレル以下に減衰した指定廃棄物の指定を解除しました。しかし、ここに書いていないのが、千葉市が最終処分場の候補地選定結果を返上したと記載しておくべきでしょう。

 それから三つ目、宮城県でありますが、宮城県は平成二十九年七月、指定廃棄物を除く八千ベクレル以下の汚染廃棄物を圏域ごとに処理する方針を決定しました。最終処分場については、現地調査を断念したと記載しておくべきでしょう。

 それから四つ目、栃木県であります。栃木県については、塩谷町が平成二十七年十二月、候補地の選定結果を返上したということも記載をしておくべきでしょう。平成二十九年七月、指定廃棄物を保管する農家の負担軽減策として、市と町単位での暫定的な減容化、集約化を提案し、現在、県、保管市町村と調整中であるとのことでありますけれども、現在どのようになっているのか、簡潔にお答えください。

縄田政府参考人 御指摘の会議開催の後に、保管農家のいらっしゃる市町をお伺いしまして、御意向、御要望をお聞きし、協議を行ってきております。現在のところ、具体的に処理方針が決定したという市町はございません。

 引き続き、保管農家の負担軽減に向け各市町と協議をしてまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 それでは、その次に、栃木県における指定廃棄物の保管農家の負担軽減策についてをちょっと議論したいと思います。

 資料の四をごらんください。今栃木県においては、この表のように、指定廃棄物がそれぞれの市や町で保管をされているということでございます。

 一つ目の現状と解決策についてでありますが、環境省が提案した負担軽減策を見ますと、国が長期管理施設を県内一カ所に整備する方針は堅持、こう書いてありますけれども、これはそろそろ無理だということを認識した方がいいと思いますが、このことについては後で議論したいと思います。

 そこで、平成二十九年七月十日、保管農家がある市町単位で、一カ所または数カ所の暫定保管場所を確保し、農家保管の指定廃棄物を集約する、こう提案しました。その現状については、先ほど、まだどこもまとまっていないということでありますけれども、その解決策は環境省には何かあるんですか。

縄田政府参考人 地域それぞれにおいての状況はあるというふうに認識してございます。私どもといたしましては、提案した内容について引き続き御説明をし、御理解を得ていきたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 それでは、この提案した案の中には、四角の中の一番最後の丸ですけれども、具体的には、保管農家がある市町単位、括弧して、または広域処理組合単位で、こう書いてありますが、この広域処理組合単位での提案というのは具体的には何もしていないんですか。

縄田政府参考人 私どもの御提案の中で、保管農家の負担軽減策として、市町単位に限らず、広域処理組合単位で集約することについても可能ということでお示ししてございます。

 こちらで集約を行う意向をお持ちの市町があれば検討させていただきますし、また、広域処理組合を構成する市町において、暫定保管場所に関し合意をいただければ検討を進めていくことが可能だというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 それでは、大臣、今までの話を聞いて大臣は何を感じましたか。自分ならこう解決するということは何か考えておりますか。

中川国務大臣 ただいま局長から答弁を申し上げましたとおり、放射性物質に汚染された廃棄物につきましては、福島県においては、特定廃棄物埋立処分施設での埋立処分が開始され、その他の五県におきましても、放射能濃度測定等の現状把握を行いながら、各県それぞれの状況を踏まえた対応を進めているところでございます。

 御指摘の栃木県では、本年七月、保管農家の負担軽減のため市町単位での暫定集約を提案し、現在、各市町と協議しているところでございます。

 今後とも、各県それぞれの状況を踏まえて、御地元とよく相談させていただきながら、放射性物質に汚染された廃棄物の処理を進めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 何ら具体策がありませんね。

 それでは次に、放射性物質汚染対処特措法と基本方針の問題点についてを議論したいと思います。資料は五と六であります。

 大臣、福島県外の指定廃棄物の最終処分場が受け入れられない理由は何だと考えておりますか。

中川国務大臣 指定廃棄物につきましては、県域を越えて集約して処理することの理解を得ることが困難をきわめると考えられておりますことから、発生した県内で処理をする旨を特措法の基本方針として閣議決定しているところでございます。

福田(昭)委員 そういう考えをしているからまとまらないんですよ、大臣。いいですか、これから議論しますけれども、基本的認識が間違っているんですよ。

 それで、資料の五は特措法の概要、資料の六はその基本方針でありますが、いいですか、私は、なぜ受け入れられないのか、その理由を五点考えておりまして、これからそれぞれ一つ一つ大臣の考えをただしてまいりたいと思います。

 第一点は、放射性物質の発生源を隠蔽したことであります。

 これは、誰が考えても、法律の名前にも書いてありますけれども、東京電力福島第一原発が発生源なんですよ。発生源は、大臣、どこですか。

中川国務大臣 もちろん、もとは福島第一原発の事故によるものでございます。

福田(昭)委員 まさにそのとおりで、発生源は東京電力の福島第一原発なんです。これをこの特措法で隠しちゃったんです、これから申し上げますけれども。

 第二点は、五県の県民感情を無視したこと。先ほど大臣も、県域を越えてそれをするのは難しいと言いましたけれども、福島県民の感情は物すごく大事にしました、大切にしました。私もそれでいいと思いますけれども、しかし、福島県民以外の感情は無視しちゃったんですよ。

 指定廃棄物は、県内で発生したものではないんですよ。環境省は、上手に、巧みに、それこそ、それぞれの都道府県内で発生したものだと規定をして、定義をしておりますけれども、しかし、そんなことは全くないんですね。

 御案内のとおり、セシウムなどは、東京電力第一原発の事故で、風に乗って飛んできて、雨が降って落ちたんですよ。そのセシウムが落ちなければ、指定廃棄物なんて、よその、福島県外のところに、まあ、福島県もそうですけれども、これはできっこないんですよ。ですから、そういう論理のすりかえをやった。これで県民感情を無視したんですよ。ですから、納得する県民など、どこの県民もいないんです。原発事故による実害それから風評被害、受けたのは福島県だけじゃないんですよ。私の栃木県を初め、宮城県も茨城県も群馬県も千葉県も、あるいは新潟県も、これはみんな受けているんですよ。

 大臣、文科省の原子力損害賠償紛争審査会、あそこが東京電力に対して賠償金を払えと決めた方針、それをごらんになったことはありますか。

中川国務大臣 そういう方針は聞いております。

福田(昭)委員 聞いているだけじゃだめで、あれは一覧表になっているから、ちゃんと見てください。全ての被害を受けた県に対して、農林畜産物から、あるいはキノコから山菜から魚から、そうしたものから、あるいは、工場の被害から、商工業から、そして、旅館、ホテル、観光業、お土産屋さんまで全て損害賠償の対象になっているんです。もちろん、その数は県ごとで違いますよ。本当に、全ての産業が損害賠償の対象になっているんですよ。

 ですから、これは福島県だけが被害を受けたんじゃないんですよ。あたかも福島県民だけが被害を受けたような話が全てのもので進んでおりますが、それは私も否定しませんし、福島の人は大変だな、気の毒だなという思いは一緒です。しかし、そうかといって、では、ほかの県の皆さんが被害を受けていないかといったら、そんなことは全くないんですよね。

 しかも、セシウムは東京電力第一原発から飛んできたということをみんな知っているんですよ。それを、変な定義をして、それぞれの稲わらとか牧草とか、あるいは汚泥廃棄物とかそういうものはそれぞれの県で出たんでしょうと。たまたまそこにセシウムがくっついていたから指定廃棄物ですよという定義なんですよ、これは。こんな定義、今の国民は利口ですから、そんなことでだまされない。

 ですから、環境省の皆さんには、やはり認識を変えてほしい、そして定義も変えてほしい、私はそう思っているんですが、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 まず、指定廃棄物は、放射性物質に汚染されていなければ、原則として、それぞれの地域において処理されるはずだったものでございます。

 そして、指定廃棄物であっても、廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理体制等を活用しながら、特措法に規定する処理基準に従い、安全に処理することが可能であることから、自区域内での処理という本来の廃棄物処理の考え方に沿って方針が定められているものと認識しております。

 そして、特措法におきましては、事故の原因企業である東京電力と、原子力……(福田(昭)委員「もういいですよ」と呼ぶ)はい。

福田(昭)委員 時間がなくなっちゃうから、いいです。

 次、第三点目は、解決を急ぐ余り、国有地など用地交渉の必要のない場所を選んだわけです。それが、水源地など不適地ばかりを選定したんですね。最初は、栃木県矢板、茨城、高萩でやりました。今度、政権がかわって、栃木は塩谷、宮城は三カ所選んだんですよね。これは全て水源地で、適地はないんですね。

 次、四点目。四点目は、これが大事なんですけれども、原子炉等規制法に基づく原子力事業者の最終処分責任を免除してしまった、特措法で。東京電力の責任が曖昧になってしまったんですよね。大臣は原子炉等規制法を御存じですよね。いかがですか。

中川国務大臣 承知しております。ただ……(福田(昭)委員「では、それでいいです」と呼ぶ)それでよろしいですか。

福田(昭)委員 大臣も、原子炉等規制法、ちゃんとよく御承知だということでありますが、原子炉等規制法では、廃炉に伴う放射性廃棄物の最終処分の責任は関係原子力事業者にあるんですよね。ですから、今回は東京電力にあるんですよ。

 それを特措法では、この責務のところで、誠意を持って必要な措置を実施するとともに、国または地方公共団体の施策に協力と、原子力事業者はこうなっちゃっているんですよ。協力じゃないんですよ。どれだけ量があるかわからないから、この時点ではこれでいいかもしれないですけれども、しかし、六年八カ月もたって、現状、よくわかってきた。

 したがって、ここにやはり、地方公共団体の施策に協力し、原子炉等規制法に基づき放射性廃棄物の最終処分を行う、こういうふうに入れなきゃだめだと思うんですが、どうですか。

中川国務大臣 特措法におきましては、事故の原因企業である東京電力と、それから原子力政策を推進してきた国がともに責任を持って対応すべきこととされております。

 このため、指定廃棄物の処理の費用は東京電力が負担することとされておりまして、東京電力は責任を免れているものではないと考えております。

福田(昭)委員 大臣、廃炉にするときに出てくる放射性廃棄物、国が責任を持って最終処分をするのは、今のところ、高レベルのものは国です、経産省です。低レベルのものは原子力事業者と書いてあるんですよ、低レベルのものは。

 ですから、この原子炉等規制法の中身を知っていた新潟県の当時の泉田知事、今は衆議院議員になってきましたけれども、泉田知事は経産省出身だからこれを知っていたんですね。だから、東京電力にこの指定廃棄物をぜひ引き取れと十回も請求書を出しているんですよ。しかし、特措法があったから東京電力は引き取らなかった。特措法で逃げちゃったんですよ。これはそのままになっているんですよ。

 五番目として、結果として廃棄物処理の大原則、環境省だって廃棄物処理法で排出者責任をうたっているじゃないですか、それが発生者責任を免除してしまったんですよ。ですから、田中委員からの指摘のように、もともとわかっていたんだけれども、発生源の近くに一カ所にまとめるのが大原則なんだ、こういう意見が出てきたんじゃないですか。

 大臣、いかがですか。

中川国務大臣 指定廃棄物につきましては、県域を越えて集約して処理することの理解を得ることは極めて困難であるということで、発生した県内で処理する旨を特措法の基本方針として閣議決定をしておりまして、この方針を堅持したいと考えております。

 それで、田中委員の御指摘は、指定廃棄物の処理という課題はさまざまな意見をお持ちの方がおられるため、自由な議論がなされることが重要である、そういう趣旨であったと受けとめております。

福田(昭)委員 大臣、自由な意見を議論したら、絶対、東京電力に責任を持たせて、持っていけということになりますよ、これは基本的に。私もいろいろなところで議論しておりますが、最終的にはそうなる。県民の世論調査をやってもそうです。これを曲げたからこういうことになってきて、どこの県も理解が得られないんです。

 次、二つ目に行きますけれども、第七回の特措法施行状況検討会における田中勝委員の指摘でありますが、第一点は、中間貯蔵施設に関する三十年以内の福島県外最終処分についてであります。そして二点が、今話が出た、不合理な指定廃棄物の都道府県内処理方針であります。三点目が、自由な話し合いの場を設けたらどうか。第七回では田中委員はこの三点を指摘したんですね。

 まず最初の第一点目、中間貯蔵施設に関する、三十年以内に福島県外へ処分しろと法律はなっておりますけれども、これで本当に実現できると思いますか、大臣。

中川国務大臣 「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」という法律の規定がございます。

 それで、現在のところは、最終処分に回す土壌を極力少なくしていこうということで、減容化、再生利用を進めることが大事だということで、実証実験を含めて技術開発を行っているところでございます。

 福島県の方々には非常に過重な負担をおかけしてきたということで、三十年以内に最終処分を福島県外で完了するための必要な措置を講ずるという規定ができているものと理解しております。

福田(昭)委員 まだ三十年先の話だからここで結論を出す必要はありませんけれども、しかし、先ほどから申し上げているように、特措法から関係原子力事業者の責任を後退させてしまった。これは、損害賠償の負担金、お金を出せばいいよという話ではないんです。原子炉等規制法に基づいて、原子力事業者の責任、これは、低レベルの放射性廃棄物は最終処分をする責任がある。この責任を全うさせるということを曲げちゃったからおかしくなっちゃったんですよ。これを曲げてはいけません、基本的に。その点を田中先生はやんわりと指摘したんじゃないですか。だから、指定廃棄物については、不合理なのはもとからわかっていたと言っているじゃないですか。

 だから、中間貯蔵施設におさめる十万ベクレルを超えるものも八千ベクレルから十万ベクレル未満のものも、きちっと原子炉等規制法に基づいて、今後、指定廃棄物も十年後には相当減衰しますから、そうしたことも踏まえて将来どうするかということを考えていけば、私は、解決方法が自然に出てくると思っていますよ。今すぐ答えは要りませんが、ぜひそういう観点からこの問題は解決すべきだと思います。

 そして、自由な話し合いの場をぜひセットしてください。どうですか、大臣。

中川国務大臣 この自由な議論の場というのは、田中委員も、政府の中にという趣旨ではなくて、政府の外で、いろいろな方が自由に御議論していただきたい、こういう趣旨だというふうに理解しております。

松島委員長 質疑時間が終了しております。

福田(昭)委員 質疑時間が終了しちゃったの。

 では、そろそろ終わりにしますが、私もそれは承知していますから。政府の外にしっかりとした議論の場をつくって、やはり自治体の人や、あるいは住民が、NPO法人が、国民が何を考えているかということは、やはりしっかり認識をしなきゃだめですよ、基本的に。今の国民は利口なんですから、ちゃんとしたことをやらないと、反対するのは当たり前であります。

 以上指摘して、質問を終わります。

松島委員長 次に、田村貴昭さん。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 環境委員会で初めて質問をします。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、地球温暖化対策と石炭火力発電の問題について伺います。

 国連の世界気象機関、WMOは、ことしの世界の平均温度が史上三番目に高くなる見通しであることを発表しています。日本においても、この夏は各地で異常気象が続きました。北部九州を襲った集中豪雨、そして台風、長雨。気候変動による災害を食いとめるためにも、地球温暖化対策というのはもう待ったなしの課題であります。

 しかし、現時点で、各国が提出した国別削減目標は、全部足し合わせたとしても将来の排出量を減らすことができずに、パリ協定の目標の水準に届いてはおりません。来年開かれるCOP24では、CO2削減目標の上積みも不可避の課題となってまいります。日本は、二〇三〇年に二〇一三年比で二六%削減としていますけれども、一九九〇年に比べれば一八%削減の目標にすぎないわけであります。

 大臣にお伺いします。

 中川大臣は所信表明で、世界の気候変動対策において中心的役割を果たすというふうに述べておられます。ならば、現状の削減目標を抜本的に引き上げた野心的な目標を堅持すべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 パリ協定は、二度目標の達成のため、今世紀後半に温室効果ガスの実質排出ゼロを目指しておりまして、我が国としても、大胆な低炭素化による大幅な排出削減に取り組んでいく必要があると認識しております。

 現在のところは、まずは、二〇三〇年度に二〇一三年度比二六%の排出削減を達成する、そのために、地球温暖化対策計画に基づく取り組みを着実に実施することに加えまして、対策、施策の進捗状況について毎年厳格に点検を行うとともに、少なくとも三年ごとに目標及び施策について検討を行い、必要に応じて計画を見直すということを踏まえまして、政府全体で検討を進めていかなければならないと思っております。

 そして、二〇五〇年までに八〇%の排出削減、そのための取り組みとして長期戦略を策定していきたいと考えておりまして、現在、環境省、経済産業省で、それぞれ別々の関係審議会で検討を進めているところですが、それを来年度の早い段階で、政府全体としての検討になるように開始をしていきたい。

 そして、さらなる野心的な目標というのは、まさにその次のステップということで、まずは、この既に約束している削減が確実なものになるようにしていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 やはり、世界を牽引する重点、そして中心的な役割を日本が持たないといけないと思います。

 なぜならば、アメリカは、パリ協定離脱を表明しております。地球温暖化対策にとっては、これは重大な懸念材料であります。

 大臣は、十一月十七日の記者会見でアメリカ側の反応について触れて、日米両国は気候変動対策を実施していくことも重要であるということも確認いたしましたとされました。しかし、トランプ大統領は、協定離脱の構えを崩していません。また、政府の米国のパリ協定脱退方針の表明後の我が国のスタンスでは、米国と協力していく方法を探求するとしてあります。

 離脱表明をしている国との協力というのは、どういうことを指しているんでしょうか。ちょっと教えていただけませんか。

森下政府参考人 米国はことしの六月にパリ協定の脱退を表明しておりますけれども、この国は、これまで、イノベーションを通じた先進的な環境関連技術の導入などの取り組みを行ってきておりまして、我が国とは、気候変動対策と経済成長とは両立するんだという認識を共有いたしております。

 お話のありましたように、COP23におきましては、中川大臣が米国のガーバー国務次官補代理らとの対談を行っております。先方からは、米国にとって望ましい条件が整わない限り、パリ協定には関与しないという従来どおりの方針が示されましたけれども、日米両国は、気候変動対策を実施していくことが重要であるということも確認をしております。

 今後とも、米国との協力の方法について探求すべく、さまざまな機会を捉えまして対話を行っていく必要があるというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 それではだめですね。アメリカと同じエネルギー政策を共有していると、それはやはり納得されないと思いますよ。日本は後ろ向きだと言われても仕方がないと思います。

 COP23では、脱石炭火力の方向性も明確になってまいりました。

 会議の終盤、イギリスとカナダが呼びかけて、石炭発電の全廃を目指す脱石炭発電連合が発足しましたけれども、日本は名を連ねていません。さらに、我が国では、石炭火力発電所の建設計画が乱立し、きょうも論議されていますけれども、脱石炭の世界の流れに逆行しています。

 中川大臣は、十一月二日、記者会見で、石炭火力発電について次のように述べておられます。計画が全て実行されれば、当然、我が国の削減目標達成は困難になるわけでありまして、この石炭火力の新増設を進めるということは、私は基本的には許されないことだと。

 お伺いします。

 石炭火力発電の新増設というのは、温暖化対策には逆行するものである、そして、認められないもの、そういうふうに受けとめておりますけれども、間違いないでしょうか。

中川国務大臣 今御指摘いただきました石炭火力に関する基本的な考え方は、変わりはございません。

田村(貴)委員 そうしたら、去年の二月九日の経済産業大臣との合意、ここから変わっているわけなんですよね。

 消費電力量当たりのCO2排出量の〇・三七キログラム、この目標の達成に向けて、二人の大臣の合意は、電力業界の自発的枠組みを促すこと、そして、政策的対応で石炭火力の新設を容認するという立場に今なっているわけなんです。石炭火力発電を認めないとする一方で、ベストミックスなら認めるというのは、これは中川大臣、矛盾しているのではありませんか。

中川国務大臣 昨年二月の両大臣の合意では、電力業界の自主的枠組みに加え、省エネ法等の基準の設定、運用の強化等を行うこととしております。

 この両省の合意が実現されることを前提に、それ以降のアセス大臣意見では、二〇三〇年度に向けてベンチマークの指標目標を確実に遵守するように求めております。

 しかし、パリ協定の発効ということがございました。石炭火力抑制に向けた世界の潮流などを考えますと、石炭火力発電を取り巻く状況は一層厳しさを増しているというふうに思います。

 このため、ことし三月の蘇我火力以降の大臣意見では、事業者において長期大幅削減の必要性を十分認識いただき、事業の実施について再検討を含むあらゆる選択肢を検討するよう求めております。

 さらに、八月の武豊火力の大臣意見では、事業者が所有する低効率火力発電所の休廃止や稼働抑制など、二〇三〇年以降に向けて、さらなるCO2排出削減を実現する見通しを持って、計画的に事業を実施することを求めております。

 電気事業者におかれましては、石炭火力を取り巻く厳しい状況をいま一度よく勘案していただく必要があると考えております。

田村(貴)委員 削減を求めるということと、これはやはり認められないという言い方は、全然違うというふうに思います。

 今、我が国における石炭火力発電からのCO2排出量、この実績値、二〇一五年度は、二〇三〇年度に達成が必要と考えられる推計値を既に超過しています。そして、今計画されている石炭火力発電所が全て実行されて稼働すると仮定しますと、CO2排出量は、二〇三〇年度目標と整合する排出量を七千万トン程度超過してしまうということであります。石炭火力発電所の新規増設、電力業界の自主的取り組みで〇・三七の目標値が達成できるというふうには、これはなかなか考えられないと言わざるを得ません。

 二〇三〇年度の削減目標の達成に向けた道筋をやはり早急に明確にする、そして、これを国全体で共有し、各主体が進捗を管理していかなければ、制約なく石炭火力発電所の増設が進んで、そして、二〇三〇年度の削減目標の達成が危うくなっていくばかりであります。危うくなっていくばかりだというのであれば、やはり石炭火力をとめる手だてを打たなければいけません。

 とめる手だてを打たなければいけないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 昨年二月の両大臣合意というのは、毎年度、対策の進捗状況をレビューし、目標の達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等を検討するということにしております。

 そういう中で、目標が達成できないということになれば、環境省としても、これは必ず目標の達成が必要でございますから、いろいろな方策を提言していくということになるというふうに思います。

田村(貴)委員 今現在、三十五カ所、四十基も石炭火力発電所の新増設計画があるわけでありますけれども、環境アセス法の対象となっているのは幾つでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、環境省の方で把握してございます石炭火力発電所の建設計画は三十四件、発電所の建屋としては四十基ございまして、そのうち、環境影響評価法、アセス法の対象となるものは、十九件、二十五基でございます。

田村(貴)委員 およそ半分近いところの数字がやはりアセスの対象外になっている。これは、多くのNGOや地球温暖化対策に取り組む人たちからは、アセス逃れというふうにも言われているわけであります。十九基が十一・二五万キロワット未満の石炭火力であります。

 私の地元北九州でも、石炭火力が進められています。若松区の響灘に、全国で十九基のうち、二基の小規模石炭火力が計画されています。条例アセスによって市長の意見はつくんですけれども、事業は進んでいるわけです。

 どんなに高効率の石炭火力であっても、天然ガスの二倍のCO2を排出するんです。世界の流れは脱石炭火力であります。CO2全排出量の四割を排出するこの電気業界の自主的取り組みでは、実効性は担保されないと考えます。石炭火力の輸出を改めて、そして、海外とのクレジット取引ではなくて、日本の国内での排出削減に取り組んでいただきたい、このことは強く要求したいと思います。

 そして、原子力とともに石炭を重要なベースロード電源に位置づけているエネルギー基本計画の撤回、見直し、これはもう課題であります。そして、エネルギー政策の根本的な転換を求めたいというふうに思います。

 時間の関係上、次の質問に移ります。

 九州北部豪雨被害における家屋の公費解体撤去について質問をします。

 七月五日、九州北部を襲った豪雨によって、福岡県や大分県を中心に甚大な被害がもたらされました。環境省は、災害廃棄物の対策に当たっているわけでありますけれども、ここでは住宅の公費解体について伺います。

 とりわけ被災がひどかった福岡県朝倉市、東峰村、大分県日田市における公費解体の進捗状況について御説明いただけるでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御質問のありました状況でございますが、十一月二十九日時点の状況でございますが、公費解体の申請件数は、朝倉市が百三十二棟、東峰村が二十三棟、日田市が十棟です。

 そのうち、解体撤去が完了した家屋につきましては、朝倉市はまだございません。東峰村につきましては、二十三棟中二十二棟、それから日田市については十棟全部が撤去完了しております。

 以上でございます。

田村(貴)委員 公費解体撤去がやはり進んでいない。進んでいないわけがやはりあるわけなんですね。被災家屋について、まだ判断がつきかねない、そして、やっていいものか悪いものかわからないという状況の地域もたくさんあるわけなんです。

 朝倉市は、先週末の数値なんですけれども、全壊が二百四十一、大規模半壊は百三十一、半壊は六百五十七。先ほど御説明があって、公費解体の申請が百三十二棟あると言われました。相談を含めたら二百十一件あるそうなんですね。そういう状況の中でまだ未着手になっているという状況です。

 お聞きいただきたいのは、こうした被災家屋が朝倉で千棟近くある中で、たとえ半壊であっても住むことができない家というのはたくさんあるわけなんですよね。例えば、泥水が入ってにおいが抜けない、それから流木が壁に突き刺さってしまった、そうしたところから半壊撤去を求める声というのは非常に多いわけでありまして、朝倉の相談の中に、半壊世帯からの公費解体撤去の相談も寄せられている。日田市に伺っても、相談の中で半壊世帯からの相談もあるということはぜひ承知をしていただきたい、今の時点で思います。

 今後、復興計画が定まって再建が始まるわけなんですけれども、集団移転という話が朝倉のたくさんの集落で今議論されています。道路もそれから河川も、見る影もなく洪水にやられてしまった。ですから、面的整備、地域を面的に整備していく、その中で、別の地点で住宅を建てていく、いわゆる集団移転とかいう論議もあっているわけなんです。

 内閣府防災、お越しいただいていると思うんですけれども、お伺いします。

 実際には住むことができない、そういう半壊家屋世帯というのは相当数に上るものと思いますけれども、いかがでしょうか。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年七月の九州北部豪雨におきましては、福岡県、大分県などで記録的な大雨となりまして、河川氾濫や土砂崩れにより、家屋等の損壊が発生したところでございます。

 例えば、先生御指摘の福岡県朝倉市、東峰村及び大分県日田市では、被害認定調査の結果、十一月中旬の時点で千百二十六件が大規模半壊または半壊と認定されたと伺っております。

 過去の水害での状況を見ますと、半壊であっても、浸水等の被害により、流入した土砂の除去や耐えがたい悪臭のため、やむを得ず住宅を解体する場合が一定数生じているところでございます。

田村(貴)委員 ですから、半壊認定を受けても実際には住めない家屋というのは存在し、事、九州北部水害で一番被害の大きかった朝倉では、今後ふえていくというふうに見られるわけであります。

 そこで、ぜひお聞きいただきたいことがあるんですけれども、甘木・朝倉広域市町村事務組合というのがあります。これは被災を受けた朝倉市も、それから東峰村が入っている事務組合なんですけれども、ここが福岡県に要望を出しています。

 中川大臣、ぜひお聞きいただきたいと思うんですけれども、住家の解体費については全壊のみ補助対象事業であるが、大量の土砂、流木等が流れ込み住家に損壊を与えている。その除去は長期間を要するため、住民からは、修理等で再建するのではなく、解体を望む声が多い。大規模半壊及び半壊の解体費を補助対象とし、住民負担、被災自治体の負担の軽減を行うことを国に働きかけるとともに、県においても支援を行ってほしい、こういう要望であります。これが被災地からのストレートな要望であります。

 国は全壊までしか公費解体の対象としていません。朝倉市は、大規模半壊の費用を市の全額負担、一億円を拠出することを決めました。東峰村は、財政調整基金三千三百万円を取り崩して、半壊家屋を含めて解体撤去費用を村から支出しています。これはもう、村の基金とか財政資力が物すごく弱まる中で、ぎりぎりの判断ですよ。そして、被災者、住民を思う措置であります。やむにやまれぬ措置をとっているわけなんです。

 実際には住むことができない被災家屋の処理というのが大きな問題に今なってきているわけです。自治体の頑張りに応えて、そしてこの切なる要望に応えて、ここは、もう住むことができない、半壊もふえるということであるならば、この半壊も、自治体は大規模半壊までは認めた、それ以上はできないと言っているんだから、ここはやはり国が、半壊もやはり公費解体撤去の対象範囲に認めて、するべきではないか。熊本地震ではやったじゃないですか。同じことを今被災地の住民は求めている、自治体は求めている。

 これに応えるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 家屋の解体撤去につきましては、生活環境保全上の観点から、廃棄物と同等とみなすことができる全壊家屋のみを対象としており、全壊の判定は市町村が発行する罹災証明に基づいております。市町村が、災害に係る住家の被害認定基準運用指針において、罹災証明の発行基準は、地域の実情に応じて、各地方公共団体の判断により設定できることとされていると聞いております。

 環境省としては、現在の補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用することにより、円滑、迅速な処理に向け必要となる支援を実施してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 大臣、違うんですよね。それは制度論なんですよ。私は実態論を言っているわけなんですね。

 資料配付させていただきます。これは、福岡県朝倉の被災地の集落を、私、先月訪ねて撮ってきた写真なんですけれども、まだ公費解体撤去が行われていませんから、損壊世帯、家屋というのは建ったままなんですね。流されていない家屋というのはこういう状況なんです。

 全壊家屋もあれば半壊家屋もある。その中でボランティアの人たちが泥出しをやってくれた、そして家財道具も出してくれた。しかし、もうふすまも畳もそれから壁もない、そうした住宅もいっぱいあるわけなんですね。こうしたところに同じ洪水が来て住むことができるのかと、集団移転の論議をしている集落もいっぱいあるわけなんです。それがもしまとまったら、半壊家屋といえども全壊家屋といえども、ここにはもう住むことができないわけなんですよ。そうしたものの扱いをどうするのかということが今問われているわけなんですよね。そして、私はもうここで住むことを諦めたと、そうしたら、この住宅に対して、資力のない方、解体にはお金がかかりますから、そのお金がない方はどうするのか。それを放置していたらまさに復興が前に進まないという問題があるから、ここはやはり政治的決断が必要だと。熊本地震ではそうしたじゃないですか。それを今、被災地は求めているので、再考を今促したいというふうに私は意見を述べ、そして質問をさせていただいているわけなんです。

 朝倉市の半壊住宅は六百六十一棟なんです。そのほかに、非住家の被害が、全壊が百六十一棟、半壊は五百七十四棟、非住家もまだこれだけあるわけなんですよね。これがそのまま残っていくとなったら、まさに復興は進みませんよ。

 国の廃棄物処理、この施策の枠組みの中でやっていくんだったら、やはり被災地の現状は変わらないというふうに思うわけであります。皆さん、ぜひ、この被災地の現状を酌み取っていただいて、そして知恵を出していただきたいと思うんです。

 中川大臣、九州北部豪雨水害、被災自治体の視察は行かれたんでしょうか、まだ行かれていませんか。ちょっと教えてください。

中川国務大臣 被災地自体には行っておりませんが、福岡県の副知事などから実情を、また知事からも実情はよく伺っております。

田村(貴)委員 廃棄物処理は、担当副大臣は伊藤副大臣の方になるんですか。(伊藤副大臣「はい」と呼ぶ)伊藤副大臣は、九州北部の方は御視察されたことはありますか。

伊藤副大臣 まだ現場には伺っておりません。

田村(貴)委員 ぜひ現地を見ていただきたいと思います。

 一番最初に答弁がありましたように、朝倉市はまだ公費解体撤去は始まっていないんですよ。申請を始めたんだけれども、まだ申請の数だけ見ても非常に少ない。まだどうしていいかわからないということですね。

 今私がずっと述べたことは、まさに今、現状と課題であります。ここに市と村は最大限の努力をして、お金を出して今頑張っている。あとは、私は、国が県と相談して何らかの解決策を出さないと、被災地の復興は進んでいかないというふうに思うわけです。

 九月の五日の災害対策特別委員会、とかしき副大臣においでいただいて、私、質問をさせていただきました。あのとき、とかしき副大臣からは、全壊であれ半壊であれ、とにかくもとの生活に戻れるように、スピード感を持って対応していきたい、そういう御答弁がありました。そして、関係省庁と自治体とがしっかり連携をとりながら、どういう場合に対応するのか、ここはちょっと知恵を出していきながら対応していきたいというふうにお答えをいただきました。

 この認識を、恐らく、大臣も伊藤副大臣も、そして政務官も共有していただけると思うんですけれども、やはり知恵を出さないといけないと思います。制度論だけで突っぱねていくだけでは解決しません。

 なぜならば、半壊の家というのは半壊のままなんですよ。これを全壊とみなすことは絶対できないんですよ、計算式があるわけですから。しかし、住むことができないんだったら、全壊して解体しましょう、被災者再建支援法は適用する、そして国の支援は受けられるんですよ。住むことができない、解体すると決まったら、支援法の世界では救済されるんですよ。

 しかし、その住宅家屋を撤去、解体することについては、誰も手を差し伸べることができない。ここの問題に行き当たっているわけです。そうしたことが、大きなところだったらやる、小さなところだと、これは小さくないですよ、物すごい量ですから。ここはしっかり応えていただきたいと思います。

 最後に、中川大臣、これは、国がやはりこの問題に正面から応えていく以外に私はないというふうに思います。被災建物の撤去、解体が進まない限りは、九州北部水害の復興とそして復旧事業はあり得ません。福岡県と大分県とぜひ相談してください。

 そして、大臣、政務官、副大臣、お忙しいと思うんですけれども、私、七月五日以降、大分回りました。それでも私も行き着けていないまだ山奥の集落がある。そして、政治家が来たことがない、この間行った地域なんかは、初めて政治家が来たといった地域もあるわけなんですよ。

 まだまだ目が届いていない地域がいっぱいありますので、まずは行っていただきたい。そして、現地からの情報を収集していただきたい。要望を正面から受け取っていただきたい。そして、福岡県と大分県とこの問題について合い議をして、知恵を出していただきたい。

 政権全体として、私は、この公費解体、撤去の改善を求めたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 まず、罹災証明の発行基準というのは、先ほども申しましたが、地域の実情に応じて、各地方公共団体の判断により設定できるわけでございますので、そのことにつきましては、既に福岡県等とお話はしたところでございます。

 環境省としては、こうした現在の補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用することによって、円滑、迅速な処理に向けて支援を実施してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 被災地の方は、この災害の中で年越しをし、新年を迎えていくわけです。本当に、将来に向けて、もう不安でしようがない。そして、そこに光を当てるのは、やはり政治と行政の仕事であると思います。対応策の抜本的な強化を求めて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、玉城デニーさん。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうは、環境の基本施策に関する件、まず、松島委員長、北川、生方両筆頭を初め委員の皆さんに、三十分という質問の時間を与えていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 ふだんなら、非常に短い時間ですので、本当に、肝心な点といいますか、非常にテーマが限られてしまうということもありますが、きょうは三十分いただいたということで、ふだんお話しできないこと、特に環境の基本施策について、気候変動や地球温暖化などについてもしっかりお話をさせていただきたいと思います。

 まず、きょう私は、冒頭、きょうの委員会の前に理事会で委員長を初め理事の皆さんの許可をいただきまして、本を持ってきました。まず最初は、こういう本です。アル・ゴア合衆国元副大統領がまとめた、一つは二〇〇七年に発表した「不都合な真実」、もう一つは今映画と一緒に、上映、公開されている、不都合な真実、見捨てられた地球という本でございます。

 この本は、実は映画の公開と合わせて今発表されておりますが、二〇〇七年、元米国副大統領のアル・ゴアさんが、世界じゅうに温暖化の危機を知らしめ行動を促すこと、そして、その解決に向けた取り組みを伝えることを目的に、世界各地で、あらゆる分野、世代の方々へ正確なデータに基づく講演を行い、その様子と合わせて自身の生い立ちや環境問題へ取り組むきっかけとなったいきさつなどをドキュメンタリー映画として書籍とともに発表した「不都合な真実」から、今公開されています「不都合な真実2 放置された地球」は、その前作から十年の経過を紹介するドキュメンタリーです。

 先日、私も、都内で一カ所でしか上映しないという、非常に限られた場所でしか上映していませんので、時間を設けて見てまいりましたが。二〇〇七年当時、このアル・ゴアさんの講演は、余りにも誇大し、飛躍し過ぎているとか、映画に対しては、氏の政治的、個人的なプロパガンダでしかないなどとやゆされていましたが、世界各地で地球温暖化の危機とその事実に対する解決策を精力的な活動で訴えられ、二〇〇七年に、気候変動に関する政府間パネル、IPCCとともにノーベル平和賞を受賞しています。

 ドキュメンタリー「不都合な真実2」でも、COP21で、想像以上に難航する先進国と発展途上国間の協議などを経て、世界共通の目標達成へ一致した行動をとることが合意され採択されたパリ協定、二〇一六年十一月に発効しましたが、この協定へのかつてない大きな期待と取り組みへの評価、例えば、アメリカ合衆国は、二〇二五年までに二〇〇五年比二六%から二八%温室効果ガスを削減する、中国は、二〇三〇年までにCO2排出量をピークアウトする、インドは、二〇二二年までに百七十五ギガワットの再生可能エネルギー発電を設置するなどなど、いわゆる排出大国の根本的なこの取り組みに対して、非常にこのパリ協定は世界各国で評価され、そして大きな期待を集めました。

 しかし、その取り組みへの評価は、米国のトランプ新大統領の脱退発言によって、再び大国の自国経済優先主義のエゴが繰り返されるのかという失望がまた生まれてしまいました。

 きょう、大臣は、この委員会の冒頭から、各委員の質問に、アメリカが脱退することによって、COP21のパリ協定の実行についていささかもおくれてはいけないこと、そして、もちろん日本を初め、各国が協力してその目標には鋭意取り組むことということを繰り返し述べていらっしゃいます。

 もう一つ御紹介させてください。

 これは、秋田県出身の写真家で生物ジャーナリストの藤原幸一さんという方がまとめられた「こわれゆく地球との向き合い方 環境破壊図鑑」という本です。こういう本です。もう二度と見ることができないかもしれない地球の今とサブタイトルがつけられていますが、野生生物の生態や環境問題に視点を置いて世界じゅうを訪れ、数々の講演活動やメディアへの出演、そして御自身による著書「南極がこわれる」「ペンギンの歩く街」「ヒートアイランドの虫たち」そしてこの「環境破壊図鑑」など、このほかにも数多く発表し、地球環境の悪化や生態系の危機などを一刻も早く食いとめ、未来の地球を展望する行動を国際社会全体で進めていくべきだと呼びかけています。

 そして、もちろんですが、日本もまた、このCOP21のパリ協定に続いてCOP22、そしてせんだってはCOP23が開催され、中川大臣もそこに参加され、大臣ステートメントなども発表していらっしゃいます。

 そこで、きょうはまず、この今の地球環境の置かれている危機的な状況、そしてさらには、各国が取り組んでいくべき高い目標を必ず実現していくというその確認が行われたCOP23の閣僚級セッションで発出していただきました、中川環境大臣のステートメントの概要からお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

中川国務大臣 COP23の閣僚級セッションのステートメントの中で、私からは、国際協力を中心とする我が国の貢献策を紹介しました。

 例えば、二国間クレジット制度を活用したすぐれた低炭素技術等の普及等による排出削減、気候変動対策の透明性向上のためのパートナーシップの設立、さらには、その一環として、透明性のための能力開発イニシアティブへの五百万ドルの拠出を行うこと等を発表しました。

 また、適応に関しましては、小島嶼国に対する支援や、アジア太平洋適応情報プラットフォームの構築などの取り組みを発信しました。

 さらに、二〇一九年のIPCC第四十九回総会の日本開催誘致の意向を表明し、日本のこうした取り組みについて、途上国を含め、各国から高く評価いただきました。

玉城委員 今回は、ドイツのボンで、十一月六日から十七日に開催されまして、議長国をフィジーが務められました。

 今も大臣の発言の中にもありましたが、では、この議長国フィジーを含む島嶼国に対する支援ですね、本邦、日本も島嶼国家ですが、それよりさらに脆弱な環境の状況にあると言われているフィジーを含む島嶼国に対する支援などについては、どのような取り組みをするものでしょうか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 島嶼国でございますけれども、御案内のように、海面上昇など、気候変動に対しまして特に脆弱でございます。

 そこで、我が国の知見や技術を活用しまして、気候変動の被害を回避、軽減する適応に関する支援を行っていくことが重要というふうに考えております。

 このため、環境省におきましては、平成二十七年度より、フィジーなどの太平洋の島嶼国におきまして、現地の研究機関とともに、サイクロン由来の高潮や高波のリスク評価や、それから防災マップの作成、こういったことを行うという支援を進めてございます。

 また、二〇二〇年までに、適応に関する国際的な情報基盤となりますアジア太平洋適応情報プラットフォームを構築するということといたしておりまして、島嶼国を含む途上国が科学的知見に基づく適応策を立案し、実施できるよう、引き続き支援を行ってまいりたいと考えてございます。

玉城委員 島嶼国は、エネルギーあるいはインフラなど、やはりまだ基盤整備そのものが脆弱であるという現実的な課題もあると思います。

 その一方で、きょうは、環境の基本施策のうちの気候変動についての御質問をさせていただきますが、実は、ツバルなどを含め、海面上昇の危機によって、今、住民の移動が余儀なくされている島嶼国もあるというふうに言われております。

 例えば、私の住んでいます沖縄でも、夏場の引力との関係で、高潮の時期になると、ふだんは歩いて散策できる公園の歩道が、満潮のときに全部水につかってしまう。そういうことも日々、日々といいますか季節によってはそういう状況にありますが、島嶼国家においては、実は、この海面の上昇、いわゆる地球の温暖化によって、南極や北極、あるいはツンドラ地帯の氷、永久凍土が解けて海面が上昇すると、とてつもない状況に陥ってしまう。

 例えば、二〇七〇年までに海面上昇によって危険にさらされる都市のうち、マイアミは四百八十万人、上海は五百五十万人、その金額で見てみると、上海は一・八兆ドル、そして東京は一・二兆ドル。これはOECDのデータによるものですが、このほか、IPCCの第五次評価報告書の概要の中でも、海面が五十九センチ上昇した場合、影響を受ける日本の三大湾、東京湾、伊勢湾、大阪湾などのゼロメートル地帯の面積は五割増大すると言われています。つまり、日本も、こういう海面上昇の影響が決して島嶼国だけではないということを、その現実をまず認識を新たにすることが必要だと思います。

 では、改めて大臣にお伺いいたします。

 この海面上昇等における住民の移動、いわゆる海面上昇難民が発生するやもしれないという事態に対して、その危機について現時点でどのような見解などがおありなのか、お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 気候変動に関する政府間パネル、IPCCによりますと、海面水位の上昇は島嶼国における気候変動の脅威の一つとなっており、今後、気候変動によって人々の強制的な移住が増加すると予測されております。私も、大変な危機意識を持っているところでございます。

 同じ島嶼国である我が国におきましても、海面水位の上昇や高潮、高波のリスクの増大など、気候変動の影響に対処し、被害を回避、軽減する適応策を推進していくことが重要でございます。

 このため、政府では、平成二十七年十一月に閣議決定されました気候変動の影響への適応計画に基づき、国内における対策をしっかりと進めるとともに、島嶼国を初めとする途上国の適応策の支援を行ってまいります。

 こうした我が国の国際的な取り組みについて、さきのCOP23においても、日本の気候変動対策支援イニシアティブ二〇一七として発信しておりまして、引き続き、我が国の技術や経験を生かして、世界の気候変動対策にも貢献してまいります。

玉城委員 今大臣がおっしゃいました、地球温暖化対策計画は、地球温暖化の科学的知見、京都議定書第一約束期間の取り組み、二〇二〇年までの取り組み、そして二〇二〇年以降の国際枠組みの構築、自国が決定する貢献案の提出、温暖化対策推進の基本的方向、温室効果ガス削減目標、進捗管理方法、目標達成のための対策、施策などなど、非常に、より野心的な内容も含んだ温暖化対策計画となっているというふうに思料いたします。

 この気候変動問題と科学的知見との連動性の重要性、例えば、衛星を使った探査をすれば赤外線までその濃度が探れるなどなど、例示を挙げるとそういうふうなこともあると思いますが、科学的知見との連動の重要性に対する見解、そして今後の取り組みについて、そのいかんを伺いたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました科学的知見でございますけれども、気候変動対策を講ずる上で、それはその前提となる必要不可欠なものであるというふうに考えてございます。私どもといたしましても、専門家との連携によりまして科学的知見を収集するとともに、その知見を政策に活用していくことが非常に重要であるというふうに認識してございます。

 我が国では、平成二十年度から、温室効果ガスの観測技術衛星「いぶき」によりまして地球全体の温室効果ガスの観測を行ってございます。今後は、観測精度を向上させました後継機を平成三十年度に打ち上げる予定でございまして、継続的な観測を通じまして、科学的知見の収集、共有を図ってまいりたいと思ってございます。

 また、最新の科学的知見を提供する気候変動に関する政府間パネル、IPCCでございますけれども、このIPCCの活動は非常に重要でございまして、さきのCOP23の場におきましても、二〇一九年五月に開催されます予定のIPCC第四十九回総会の日本開催の誘致の意向を大臣から表明をしたところでもございます。

 引き続き、IPCCと連携しながら、科学的知見の充実と政策への活用に努めてまいりたいと考えてございます。

玉城委員 IPCCの第五次評価報告書が環境省のホームページでも紹介されています。

 「観測事実」というコーナーを見てみますと、最近三十年の各十年間の世界平均地上気温は一八五〇年以降のどの十年間よりも高温であること、それから、一九七一年から二〇一〇年において海洋の上部、ゼロメートルから七百メートルで水温が上昇している、さらに、三千メートル以深、よりも深い海洋深層で水温が上昇しているなどなど、非常に科学的知見に基づいた観測の事実がここでも紹介されています。

 ぜひ、国民の皆さんにもこういうページにも目を通していただいて、では、どうするべきなのかというふうなことも少しずつみんなで考えていく、その取り組みの端緒となればというふうに思います。

 では、気候変動について最後にお伺いいたします。

 気候変動対策と持続可能な開発目標、いわゆる市民も企業もその目標に向かってともに取り組んでいくという持続可能な開発目標との関連性、これの具体的な取り組み、気候変動対策とあわせて大臣にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 途上国における気候変動対策を支援するということで、その国の社会経済上の諸課題を同時解決し、持続可能な開発に貢献できると考えております。

 例えば、島嶼国に対する適応の支援策におきまして、気候変動に伴って増大する高潮、高波のリスクを評価して防災マップの作成をすることは、これらの国の防災能力の向上にも役立ちます。SDGsのゴール十一に相当するというふうに思います。

 また、二国間クレジット制度を活用してクリーンなエネルギーの導入支援を行うことは、持続可能で近代的なエネルギーへのアクセスの確保につながります。SDGsのゴール七に相当するというふうに考えます。

 今後も、途上国でこのようなSDGsを推進するという視点も踏まえ、気候変動対策を推進してまいりたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、続いて、生物多様性と環境の保全についてお伺いしたいと思います。

 実は、私たち沖縄県選出の国会議員、うりずんの会という任意の会を結成し、さまざまな要請行動の支援を、支援をといいますか取り次ぎを行ったりしています。昨日は、アメリカの沖縄ジュゴン訴訟関係者との意見交換会がありまして、私的な会合ということでの意見交換という形をとらせていただきましたが、環境省、文化庁、外務省、防衛省、それぞれ担当の方々に来ていただきました。

 そもそも、その米国でのジュゴン訴訟ですが、なぜアメリカで裁判をしたのか。

 今行われております名護市辺野古での新基地建設は、日本政府と米国政府共同での行為である。つくるのは、日本政府が国民の税金を原資にして基地をつくり、使用するのは、米国が使うということになっています。

 日本政府、米国政府ともに、基地建設に当たっては自国の法律を遵守しなければならないのは当然であり、アメリカは、国家史跡保存法、NHPAは、外国、外に存在する文化財に関しても、国家の行為が悪影響を与える可能性を十分に考慮すべき義務を国家に課しているわけですね。それで、二〇〇三年十月からジュゴン訴訟が行われております。

 そのジュゴン訴訟は、簡単にこれまでの経緯を紹介しますと、二〇〇三年から始まり、二〇〇八年、アメリカの地裁が中間判決を行いました。国防総省は、この法令上の手続、ジュゴンへの悪影響の考慮を履行していない、これは違法であると認定し、その後は一旦休止状態となりますが、裁判が再開した後に、原告は、この国防総省の行為は違法であるとの宣言をし、そして、工事の差しとめを改めて求めました。ところが、国防総省は、二〇〇八年以降ジュゴンへの悪影響を調査し、ジュゴンへの悪影響はないと判断した、その時点で違法ではないという旨を主張しているんですね。

 そして、二〇一五年二月、地裁の判決は、違法の宣言部分は原告の適格はない、違法が宣言されても原告は救済されない、差しとめの部分、工事の差しとめは、政治問題の法理により却下する、裁判所が口を出す問題ではないと言って、裁判所はこの事件の中身を判断しないというふうに行ったんですね。

 ところが、二〇一七年八月、高裁に提訴をした、その高裁で逆転の判決が行われました。違法の宣言部分と差しとめの部分は原告に適格があり、政治問題の法理にも当たらない、地裁は国防総省の行為が違法かどうかの中身を判断せよ、つまり、裁判はまた振り出しに戻った。それよりか、さらに厳しい状況が、この国防総省に対して裁判所が求めるわけですね。

 この二〇〇三年九月、米国におけるジュゴン訴訟に関するこれまでの環境省の見解をまず初めに伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 御指摘の米国におけるジュゴン訴訟の件は報道等で承知をしておりますが、アメリカ国内において現在係争中の裁判のことであり、コメントする立場にはないというふうに考えておりますので、お答えは控えさせていただきます。

玉城委員 では、裁判の問題ではなく、具体的に、希少種、国指定の天然記念物であるジュゴンが住んでいる大浦湾、辺野古海域、あるいは沖縄本島北部一帯、そのジュゴンの生息する環境の保全、海域、採餌、餌場ですね、そして、そのジュゴンが生息できる環境の保護への具体的などういう取り組みを環境省としてはしていらっしゃるんでしょうか。

亀澤政府参考人 ジュゴンは、環境省のレッドリストにおいて、絶滅危惧1A類、すなわち、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種に選定されておりまして、その保全は大変重要であるというふうに考えております。

 生息数は極めて少なくなっておりますため、一個体の死亡が種の存続にとって大きな脅威となることを踏まえまして、環境省としては、漁網による混獲事故を未然に防ぐことが一番重要であると考えまして、そのための対策を実施してきているところでございます。

玉城委員 具体的には、では、この名護、大浦湾、辺野古海域ではどのようなことを実施しましたでしょうか。

亀澤政府参考人 ジュゴンにつきましては、鳥獣保護法によりまして個体の捕獲が原則禁止されておりますとともに、種の保存法による国際希少野生動植物種に指定されていることで流通も禁止をされておりまして、既にこれらの法令で必要な措置は担保されていると考えておりますが、これに加えて、先ほど申し上げましたように、一個体の死亡が大きな脅威となることから、環境省の方で、地元の専門家、あるいは自然保護団体、漁協等と連携をしながら、混獲防止のためのレスキューマニュアルの作成とか、レスキューの訓練などを行ってまいりました。

玉城委員 混獲というのは、いわゆる漁網の網に間違って絡んでしまう、それを助ける、レスキューするという意味ですね。

 しかし、今現在、辺野古の基地建設に至っては、ジュゴンの餌場であったということが専門家の皆さんから証明されているにもかかわらず、そういう事後の報告や調査の類いはほとんど考慮されていないというのが、私たちの、今まで質問をし、答弁をいただいてきた中でのある一定の見解になっています。

 では、この希少種ジュゴンの保護及び環境の保全に関する海洋及び海洋生物に関する学識有識者並びにNPOなどの専門家と今後協議、連携する必要性と取り組みをどのようにお考えか、お伺いします。

亀澤政府参考人 本年三月に海洋生物レッドリストを環境省として新たに公表したところでもありますので、今後、ジュゴンも含めまして、海洋生物全般について国内希少野生動植物種指定の検討を進めることとしております。その際、必要に応じて専門家等からの意見を十分聞きながら進めてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 専門家からの意見、あるいは、きょうは気候変動についてもさまざまなデータ、観測から出てくる紛れもない事実の数字などなど、やはり専門家の知見をしっかり生かしていくということは欠かせないと思います。

 これは、環境省は、ぜひ、事業主体が防衛省だからということではなくて、環境の問題は我々が率先して取り組むということを、アメリカに対しても明確にその立場を主張すべきです。なぜなら、アメリカは、自国の国家文化財保護法によって、国の外にいる動物であっても、この国内の法律を適用して、そこで、海外で例えば米軍などが行動するのであれば、そこは使うなということが明確に言えるわけですね。国内法で裁ける、裁けるといいますか、きちんと対処できるわけです。そのことを改めてやはり皆さんにはしっかり考えていただきたいと思うんですね。

 最後に、大臣にお伺いいたします。

 この希少種、天然記念物、脆弱性の高い生物の陸域、海域などの保護、保全に関する環境政策に対して、環境政策のオーソリティーでいらっしゃる中川大臣の見解をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 我が国では、依然多くの野生生物が絶滅の危機に瀕しておりまして、希少種やその生息地の保全は重要な課題であると認識しております。

 希少種につきましては、種の保存法に基づき保全を図っているところでございますが、その取り組みの強化のため、さきの通常国会で改正法を通していただいたところでございます。来年六月の施行に向けて、現在政省令等の準備を行っているところでございます。

 加えて、多くの希少種が生息、生育する生物多様性豊かな地域につきましては、国立公園等に指定することにより保全を図ってまいります。

 これらを通じ、今後とも、我が国の希少種保全に万全を期してまいりたいと考えております。

玉城委員 大臣の現在での見解はそのように承っておきたいというふうに思いますが、環境行政は、私は、きょう、本当に地球規模の大きな話をさせていただき、そして、地域的、区域的にはこういう目の前の喫緊の課題がありますよということをつなげてお伺いする形で委員皆さんの御理解をお願いしたいところでもあるわけですね。

 委員会の冒頭で幾つかの書籍資料を紹介したのは、市民、行政、団体、企業、そしてもちろん議会までも含めた人々が、全ての問題は目の前にあることから始まっているんだということ、それを認めるということです。

 日本を初め世界各国の緊急かつ重大な気候変動の危機からの転換を図るためには、国際社会との危機感を共有しつつ、国内でもあらゆる世代が加わって、あなたからできる地球と未来への行動を徹底してやっていこう、これしかないと思います。それをずっと続けていこうというための、知らせること、知らせ合うこと、学び合うことにも力強く取り組むべきだということを私はこの場でもお伝えしたかったということで、きょうは、書籍、「不都合な真実」とそして「環境破壊図鑑」を、三十分という時間をいただきましたので、この書籍も紹介できるということで、私の環境政策に対する大臣のお考えを聞きたいということのもとになったわけでございます。

 「不都合な真実2」の中では、クライメート・リアリティー・プロジェクトということを、ゴアさんを初めいろいろな方々が率先して行っています。

 クライメートリアリティー、市民が改革への強力なリーダーシップをとっていくということ、人任せにしない、どんどん提言をする、あるいは、国会に出る、政治家になる、どんなことでもいい、自分がこの世の中を変えていくためにそのリーダーシップをとらなければならないということに目覚めていく人をふやしていく、そしてこの問題を解決するのは消費者である我々であるという、その原点に立ち返るということなんですね。ですから、クライメート・リアリティー・プロジェクトは、大きな行動ですけれども、目の前のできることから始めていこうという、子供たちへの教育の第一歩にもなっているわけです。

 そのような大きな視点と、小さな子供たちの心もしっかり育てながら、私は、世界に冠たる環境政策に一日も早く追いつき追い抜いていけるよう、その成熟をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

松島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


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