衆議院

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第2号 平成30年3月6日(火曜日)

会議録本文へ
平成三十年三月六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 金子万寿夫君 理事 北川 知克君

   理事 関  芳弘君 理事 高橋ひなこ君

   理事 武村 展英君 理事 生方 幸夫君

   理事 柿沢 未途君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    上杉謙太郎君

      木村 次郎君    木村 弥生君

      国光あやの君    笹川 博義君

      武部  新君    中村 裕之君

      百武 公親君    福山  守君

      古田 圭一君    細田 健一君

      三浦  靖君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    近藤 昭一君

      堀越 啓仁君    横光 克彦君

      下条 みつ君    細野 豪志君

      鰐淵 洋子君    福田 昭夫君

      田村 貴昭君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         中川 雅治君

   外務副大臣        中根 一幸君

   経済産業副大臣      武藤 容治君

   環境副大臣      とかしきなおみ君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   環境大臣政務官      笹川 博義君

   環境大臣政務官      武部  新君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  星野 岳穂君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           塩田 康一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            奥島 高弘君

   政府参考人       

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         縄田  正君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     国光あやの君

  福山  守君     木村 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     上杉謙太郎君

  国光あやの君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     福山  守君

  宮路 拓馬君     河井 克行君

    ―――――――――――――

三月五日

 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官小糸正樹さん、外務省大臣官房参事官塚田玉樹さん、林野庁長官沖修司さん、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官星野岳穂さん、経済産業省大臣官房審議官塩田康一さん、資源エネルギー庁長官日下部聡さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史さん、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純さん、国土交通省大臣官房技術審議官宮武宜史さん、海上保安庁警備救難部長奥島高弘さん、環境省大臣官房環境保健部長梅田珠実さん、環境省地球環境局長森下哲さん、環境省水・大気環境局長早水輝好さん、環境省自然環境局長亀澤玲治さん、環境省環境再生・資源循環局長縄田正さん、環境省環境再生・資源循環局次長山本昌宏さん、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一さん。

細田(健)委員 先生方、おはようございます。新潟二区の細田健一でございます。

 質問の機会をいただきましたことを、松島委員長始め理事の先生方に改めて心から御礼を申し上げます。

 また、中川大臣始め政務三役の皆様方、本当に御活躍をお祈りをしております。中川大臣は事務次官という事務方のトップを務められた御経験があり、また、政務三役の皆さんも、党内でも本当に環境政策に精通しておられる方がそろっておられる、本当にすばらしいチームだというふうに感じております。ぜひ、本当に心からのエールを送りたいというふうに思います。

 所信表明への質疑ということで、冒頭に大臣がパリ協定について述べられました。二〇五〇年に温暖化ガスの排出の八割の削減を目指すという、これは非常に力強い決意表明があったわけでございまして、また、これに向けて、本当に政府一体、国全体を挙げて頑張らなければならないということだと思いますけれども、ただ一方で、これは特定のセクターを除いていわゆる化石燃料はもうほとんど使わないという、ある意味非常に野心的な未来の絵姿でございまして、これはもう、すなわち、我が国のエネルギーの供給構造あるいは消費構造をどう変えていくかという問題と直結するというふうに思いますけれども、まず、環境省として、二〇五〇年のいわゆるエネルギーの供給構造についてどういう絵姿を想定しているのかということを御説明いただければと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年三月に中央環境審議会地球環境部会において取りまとめられました長期低炭素ビジョンにおきましては、二〇五〇年に温室効果ガスの八〇%削減を実現した絵姿が示されてございます。

 その中では、エネルギーの利用転換、すなわち、あらゆる分野で電化、低炭素燃料への利用転換が進むということ、加えまして、電力につきましては、低炭素電源、これは、いわゆる再生可能エネルギー、CCSつき火力発電、原子力発電でございますけれども、この低炭素電源が九割以上であることとされているところでありまして、環境省として、その実現に向けて尽力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

細田(健)委員 極めて簡潔でわかりやすい御説明をありがとうございました。

 スリーEプラスSという言葉がございます。これは、エネルギー政策を考えるに当たって、安定供給、コストそして環境性というものを、安全性に加えて高いレベルで実現しなければならないということでございまして、これが我が国を始め各国のエネルギー政策の基本的な考え方になっているわけでございます。

 今、低炭素電源ということで、再生可能エネルギー、また原子力エネルギーがその中に含まれるというお話がございました。

 再生可能エネルギー、非常に環境性には、それぞれの電源種は、それぞれ特徴、一長一短がございまして、再生可能エネルギーは環境性能については非常にすぐれていると思いますけれども、ただ、他方で、現在の技術を前提にいたしますと、いわゆる安定供給性でありますとか、あるいはコストの面ではやはりいま一つというところもあると思います。

 一方で、原子力エネルギーについては、当然その安全性への懸念を払拭するということが大前提になりますけれども、やはり、コストあるいは安定供給性という点では非常にすぐれている、また、ゼロエミッション電源であるということもございます。

 この観点からいたしますと、パリ協定、我が国の二〇五〇年温暖化ガス排出八割削減という目標の実現に向けて、原子力エネルギーの重要性というのはこれからますます高まってくるというふうに考えておりますけれども、この点についての大臣の御見解をぜひよろしくお願いいたします。

中川国務大臣 気候変動に関する政府間パネル、IPCCが公表いたしました第五次評価報告書において、原子力発電については、再生可能エネルギーやCCSつき火力発電と並んで低炭素電源の一つとして位置づけられていると承知しております。

 一方、原子力規制委員会は、環境省の外局という位置づけでございますけれども、独立性の高い三条委員会でございますので、環境大臣の私の立場で原子力発電の問題について言及することは控えなければならないというように思います。

 その上で申し上げますと、原子力発電につきましては、いかなる事情よりも安全性を優先し、原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、その判断を尊重するというのが一貫した政府の方針でございます。

 ただ、原発への依存度につきましては、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入などにより、可能な限り低減させるということが政府の方針でございます。この方針に沿って、環境省といたしましては、今先生御指摘がございました再生可能エネルギーのいろいろな課題を乗り越えて、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 もちろん、本当に、あの事故の経験を踏まえて、いわゆる推進と規制の分離というのを行い、また、現在は規制委員会が環境省の所管になっているということで、これは当然規制の独立性というのは十二分に確保されなければなりませんし、また、大臣のお立場もよくわかります。

 当然のことながら、独立性の高い規制委員会が、本当に、世界一と言われている安全基準に則して厳格な審査を行うということだろうと思っておりますが、一方で、今お話があったように、原子力エネルギーを含む低炭素電源の導入ということにぜひ努めていただければというふうに思っております。

 また、これに関連しまして一点お伺いしたいと思います。

 石炭火力についても所信表明で触れられました。なかなか厳しいお話があったわけでございますけれども、確かに、石炭火力の発電については、温暖化の観点からは問題があるということだろうと思います。

 ただ一方で、しかし、すぐにエネルギー源としての石炭をゼロにするということが非現実的である以上は、むしろ、既存の石炭火力を本当に高効率な、日本が誇る技術と言っていいと思いますけれども、非常に高効率な石炭火力に順次置きかえていくということは温暖化ガスの削減にも資するということだと思っておりまして、そういう置きかえを中心に、石炭火力についてはむしろその利用を促進すべきではないかというふうにも思われますけれども、この点についての環境省のお考えをぜひよろしくお願いします。

とかしき副大臣 お答えいたします。

 二〇三〇年度のエネルギーミックスにおきましては、石炭火力は電気構成の二六%を占めております。しかしながら、この石炭火力発電所、最新鋭の技術を用いましても、CO2の排出係数が天然ガスに比べますと約二倍となっております。

 そして、現在、我が国におきましては四十基程度の新規の増設計画がございまして、これを仮に計画どおり実施されるとすると、我が国の二〇三〇年度の削減目標の達成は、これは困難ということになります。

 さらに、世界の流れを見ますと、パリ協定の中では、二〇五〇年に八〇%温室効果ガス削減、そして今世紀中には排出と吸収のバランスを達成する目標に向けて、やはり石炭火力発電は抑制していく必要があるのではないかな、このように考えております。

 また、こうした中、世界でも、ビジネスや投資家の間でも、脱石炭に向けたかじを大きく切っております。私も、副大臣になりまして半年ですけれども、国際会議に何度か出させていただいておりますが、わずか半年の間に、この脱石炭の流れが世界の中であっという間に主流を占めるようになってきている大きな流れが出てきております。

 ということで、環境省といたしましては、電気事業分野における対策の進捗状況のレビューとか、石炭火力発電所の計画の環境アセスメント等を通じまして、この石炭の問題については厳しい姿勢で臨まざるを得ない、こういう状況であります。

 以上でございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 環境省のお立場というのはよく理解できました。

 一方で、先ほど申し上げたように、排出抑制政策というのは、エネルギー政策のコインの裏表という側面があると思います。これはよく政府内で御検討をいただきたいと思いますし、また、済みません、ちょっと通告はしてなかったんですが、特に、国内あるいは国外において、国外の非常に非効率な石炭火力を効率的な石炭火力に置きかえていくということは、これは温暖化対策の国際協力という側面からも重要だと思いますので、そういう点を踏まえてぜひ対応いただければと思っております。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 私は、新潟二区というところを選挙区にしております。これは、新潟の佐渡、これは我が国最大の離島でございますけれども、その佐渡と、それから新潟市の南西部からずっと柏崎刈羽地域までの海岸線の一帯を含む選挙区でございます。これは、例えば拉致事件の現場、佐渡でありますとか柏崎は拉致の現場になったところでもありまして、まさに隣国と軒を接しているというようなところでございます。

 ここは長い海岸線を有しているわけですが、海岸線への漂着物、これは特に隣国から、隣国からといいますか、なかなか出所不明ではあるんですが、それこそハングル文字が書かれたようなポリ缶でありますとか、その他さまざまな漂着物が非常に多く出ております。最近であれば、いわゆる遺棄された漁船が多数海岸線に流れ着いたというような報道もございました。

 これは、基本的にはこのような漂着物は市町村が処理するわけでございますけれども、近年、漂着物の増加に伴って、これを何とか、もう市町村ではなかなか大変だ、何とか財政支援を含めて国の支援をお願いしたいという本当に切実な声が出ておるわけですけれども、このような海岸漂着物の現況、特に市町村レベルの現況について、環境省の方で現況把握をされているのかどうかについてお伺いしたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、市町村単位での細かい実態調査はしておりませんが、対策に必要なデータの蓄積や情報提供のために、あるいは実態把握のために、回収された漂着物の組成、あるいは漂着したペットボトルの製造国の推定などのモニタリング調査を行っております。

 平成二十八年度の調査結果を御紹介いたしますと、全国十地点で海岸漂着物のモニタリング調査を行ったわけですけれども、地域によって、流木などの自然物が多い地域、あるいはプラスチックなどの人工物が多い地域など、構成に違いが認められております。人工物については、ペットボトルとか発泡スチロールなどさまざまなプラスチック類、あるいは漁具などの品目が多く見られております。

 また、漂着したペットボトルの言語表記などから製造国を推定をしたところ、東シナ海や日本海の沿岸地域では外国由来の割合が高い、一方で、内海や太平洋沿岸地域では国内由来の割合が高い傾向にあるとの調査結果が得られております。

 環境省では、平成二十二年度から、こうした調査結果を取りまとめて公表するなど、必要なデータの蓄積、情報提供に努めておりますので、引き続きこういった実態把握を進めていきたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 ぜひきめの細かい実態把握をしていただければと思っております。

 それで、先ほど申し上げたように、特に財政面での支援を求める声が強くございますが、これについては、本当に環境省の方でいろいろな御配慮をいただいて、いわゆる海岸漂着物処理事業については本当に頑張って予算を確保していただいているというふうに承っております。

 この予算については、市町村の切実な声を踏まえて、ぜひ本当に大幅に増額をしていただきたいというふうに思っているところでございますけれども、この点についての環境省の決意表明というのをお願いしたいと思います。

笹川大臣政務官 さまざま委員の方から御指摘を賜り、そしてまた応援もいただきまして、大変心から感謝申し上げます。

 改めて、各自治体においての海岸漂着物への対応、大変苦慮なさっておられるという切実な声も政府の方にも届けていただきまして、環境省では、海岸漂着物地域対策推進事業において、地方自治体による海岸漂着物の回収、処理等を支援をいたしております。平成二十九年度の補正予算においては約二十七・一億円、そして平成三十年度予算案では四億円、計三十一億円を計上いたしております。

 また、先ほど来委員からも御指摘がございました、近年の、北朝鮮籍と見られる木造船が日本海側を中心に漂着し、委員の地元自治体でございます柏崎市そして佐渡市も含めて、関係自治体から財政支援の拡充の強い要望があったことも踏まえて、政府として、地方自治体が財政的不安を伴うことなく漂着木造船等を迅速かつ円滑に処理できるよう、昨年の十二月に、海岸漂着物地域対策推進事業による補助制度を拡充をし、朝鮮半島からのものと思われる漂着木造船等を処理する場合は、実質的な地方自治体の財政負担を生じないようにいたしました。

 環境省としては、本補助制度を活用していただくことにより、地方自治体による海岸漂着物や漂着木造船などの処理を、迅速かつ円滑に進むよう、引き続き全力で支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

細田(健)委員 笹川政務官、本当にありがとうございました。

 環境省の方で、地元の要望に応えて非常に前向きに取り組んでいただいているということがよく理解できました。

 一方で、補正予算で大幅な予算を獲得していただいているということで、これは今年度どうなるかということもまたございますけれども、ぜひ、本予算も含めて、所要予算の確保に努めていただきたいと思いますし、また私も、地元の声を踏まえた与党の議員として、環境省の取組についてはぜひ応援をしていきたいというふうに思っておりますので、引き続き御指導いただければというふうに思います。

 それでは次に、佐渡のトキについてお伺いをしたいと思います。

 先ほどお話ししました私の地元の佐渡には、環境省の施設として、トキの保護センターというのがございます。これは、野生のトキが最後に発見、保護された場所が佐渡ということでございまして、これはまさに佐渡島の豊かな自然と生物多様性を象徴する出来事だと考えておりますけれども、これについては、その後、いわゆる日本の野生のトキが絶滅したときから、中国から譲り受けたトキのつがいを繁殖させて、現在、相当数の野生あるいは保護されたトキが佐渡島内におります。

 まず、この佐渡のトキの現況について、簡潔に御説明いただければと思います。

亀澤政府参考人 佐渡のトキにつきましては、平成十一年以降に中国から提供されました五羽をもとに、新潟県との協力のもと、佐渡トキ保護センターを中心に、飼育繁殖を進めてまいりました。

 平成二十年からは野生復帰を目指した放鳥を開始をしておりまして、これまで佐渡において十七回の放鳥を実施しております。

 その後、野生下で平成二十四年に初めてのひなが巣立って以降、六年連続で繁殖に成功しており、現在では、佐渡に二百八十九羽の野生のトキが生息する状況にまで回復しております。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 本当に、環境省の皆様を始めとして、また地元の皆様の御努力に改めて敬意を表したいと思っております。

 ただ一方で、今もお話があったとおり、基本的には中国から譲り受けたペアの子孫ということで、遺伝的な多様性に欠けるわけでございます。遺伝的に同一系統のものだけが繁殖しますと、やはり病気の心配というようなこともございます。

 やはりこれは、遺伝的多様性の確保といいますか、新しい血を入れるという必要があるだろうということで、昨年の末に、地元の県会議員の中野先生あるいは佐渡市の関係者とともに、訪中される前の二階幹事長にお目にかからせていただいて、トキのつがいを中国からまた新たにいただけないかというお願いをぜひ幹事長から中国政府におっしゃっていただけないかというお願いをいたしました。

 ことしは日中平和友好条約締結四十周年でもございまして、この機会を捉えて、新たなつがいを中国から日本に贈っていただくように、また環境省としても取り組んでいただきたいと思っております。

 この点について、幹事長に同行されて訪中された、またいろいろ前向きに取り組んでいただいている伊藤副大臣から、環境省の今後の取組について御説明をいただくようお願いいたします。

伊藤副大臣 私どもの方からも一生懸命、歴代の大臣、そして中川大臣からもお願いをさせていただいておりますが、環境省といたしましては、トキの遺伝的多様性の確保の観点から、これまでも機会あるごとに、中国政府に対して新たなトキの提供を要請させていただいているところでございます。

 私も昨年十二月に訪中をいたしまして、相手国、中国の担当でございます中国国家林業局の李春良副局長と会談をさせていただき、新たなトキの提供を直接申入れをさせていただいたところでございます。

 その後、一月開催の日中外務大臣会談の場でも、河野太郎外務大臣からも要請をしていただいたところでございます。

 環境省といたしまして、本年が日中平和友好条約締結四十周年であることなどを契機にいたしまして、新たなトキを日本に迎え入れられるように期待をしているところでございます。

 今後も、外務省と連携を図りながら中国政府に要請を継続し、新たなトキが提供されるよう努力をしてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

細田(健)委員 伊藤副大臣、これまでの精力的な取組を本当にありがとうございます。また、環境省とともに、中川大臣を筆頭に、本当に強力にぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 また、機会があれば、中川大臣、伊藤副大臣始め、ぜひ佐渡にいらしていただいて、トキの保護センター等々ごらんになっていただければと思います。非常においしいお酒や、いろいろおいしい食事もありますので、ぜひお待ちをしております。

 それでは次に、最後のトピックに移りたいと思います。これは、アフリカゾウ、あるいは象牙の取引の問題でございます。

 私はもともと通産省の職員でございまして、二十年ほど前に、通産省の中で、ワシントン条約の担当としてこの問題に取り組ませていただきました。私も昔は理想と希望に燃えた若手官僚だった時代があったわけでございますけれども、その当時、環境省の職員の皆さんと、本当に大変有意義に、前向きな仕事をさせていただきました。今、当時の環境省の職員の方は本当に立派な幹部職員として活躍をされておられます。

 ぜひ大臣始め先生方に御認識をいただきたいのは、アフリカゾウといいますと、一般に、絶滅しかかっているんじゃないかというようなイメージがあるんじゃないかと思うんですけれども、これは、ある意味事実に反しておりまして、ある意味、鯨の問題と同じような構図があるんじゃないかと思っております。

 鯨の問題については、欧米の環境保護派が、鯨が絶滅しかかっているという非常に強力なキャンペーンを展開しているわけでございますが、ただ一方で、日本が捕鯨の対象にしている鯨についてはむしろ増加をしていて、これが海洋環境の生態系の破壊にもつながっているんじゃないかという指摘もなされているような状況でございます。

 これとほぼ同じ構図が私はアフリカゾウの問題にあるのではないかというふうに考えておりまして、まず環境省の事務方にお伺いしたいと思うんですけれども、アフリカ、特に南部アフリカのアフリカゾウの個体群について、この現況について、ワシントン条約の基準に照らして、これら南部アフリカの個体群というのは絶滅の危機に瀕していると言えるのかについて、まずお答えいただきたいと思います。

亀澤政府参考人 昨年開催されましたワシントン条約の常設委員会の会議資料によりますと、南部アフリカにはアフリカゾウ全体の約七割が分布し、その中でも、ボツワナ共和国、ジンバブエ共和国、ナミビア共和国、南アフリカ共和国の四カ国については、ボツワナが最大の象の生息域となっていること、また、ジンバブエの個体群は安定し、ナミビア及び南アフリカの個体群は増加傾向にあることが記されております。

 こうした生息状況から、南部アフリカのこれら四カ国の個体群については、ワシントン条約の附属書2に掲載をされております。附属書2というのは、現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がされないようにするために個体又はその一部の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種を掲げているものでありまして、そういう点から申しますと、これら南部アフリカ四カ国のアフリカゾウにつきましては、現時点において絶滅の危機に瀕しているわけではないというふうに認識をしております。

細田(健)委員 局長、ありがとうございました。

 今お聞きになったとおり、確かに適切な管理というのは当然必要なわけでございますけれども、絶滅の危機に瀕しているわけではないわけでございます。

 サステーナブルユースという考え方がございます。これは、生物、生態系を再生可能な範囲で利用するという考え方でございまして、いわゆる利用することによってその保護のためのお金を捻出して、さらなるきちんとした保護につなげていくという考え方だというふうに認識をしております。

 象というのは、地元の方、地元というかアフリカの方にとってはある種の害獣でして、ああいう大きい野生生物がいきなり畑を踏み荒らしたりすると大変な被害が出るわけでして、地元の方にとってはある種の害獣なんですが、ただ、そこから経済的利益が得られる、例えば象牙を国際的に取引をしてお金が入ってくるということであれば、保護のインセンティブもむしろ生まれるわけなんですけれども、ただ、一方で、欧米の過激な環境保護派が言うように、とにかく保護しろ、もう何もやっちゃいかぬ、とっちゃいかぬし、そういう象牙の取引も全くだめだということになると、むしろ、象の経済的な価値が失われて、その保護に対するインセンティブが小さくなるというようなパラドックスもあるわけでございます。

 かつて私が国際会議に参加をし、また、それ以降も、今の環境省の幹部職員になられた方々がこの点について非常に頑張ってきておられまして、日本はこの点についてのサステーナブルユースの考え方を国際的に推進するチャンピオンでありましたし、また、今でもそのチャンピオンであるというふうに私は考えております。

 すなわち、欧米のような環境保護一辺倒だけでなく、その適切な管理というのが当然前提になりますけれども、きちんとした適切な管理あるいは貿易管理のもとで利用をする、あるいは国際取引をすることによって、経済的な利益を、経済的な価値を生息国に移して、それによって更に保護のインセンティブを深める、高めるというような考え方を強力に主張して、これは、いわゆる欧米の強力な環境保護派に対してそういう主張をきちんとして途上国からの圧倒的な支持を受けていたわけでございますが、私は、こういうサステーナブルユースのチャンピオンとしての日本の立場というのは今後とも堅持すべきであると思っておりまして、この点についての大臣の御見解をぜひお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 二〇〇四年に開催されましたワシントン条約第十三回締約国会議における決議八の三では、商業取引が当該種の存続を脅かさない程度に行われた場合に、それが種と生態系の保全及び現地の人々の発展に利益をもたらす可能性があることを認めるとされております。

 また、二〇一四年に開催されたワシントン条約第六十六回常設委員会において公表した「日本のアフリカゾウ保全及び象牙取引についての見解」では、合法的に得られる象牙の取引についても、「原産国及び消費国の双方をはじめとする関係国・国際機関において密猟や違法取引を助長させないような厳格な管理体制を構築することにより、アフリカゾウの種としての存続を図りつつ、地域の発展に貢献する取引が実現されることが望ましいとの立場」と記載されております。

 しかし、その後、象牙の流通管理の強化に対する国際的な要請が強まってきておりまして、こうした要請も踏まえ、昨年の通常国会で種の保存法が改正され、象牙取扱事業者に対する規制及び罰則が大幅に強化されることとなりました。これを受け、環境省では取締り体制を強化することといたしておりまして、違法取引が生じないよう、法制度及び体制の両面から厳格に管理を強化してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、ワシントン条約のもとで、野生動植物と生態系の保全にしっかりと貢献できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 違法取引は当然規制されるべき、あるいは罰せられるべきでございますけれども、本当に、サステーナブルユースのチャンピオン国として、ぜひ日本政府には頑張っていただきたいと思います。

 私の質疑を終わらせていただきます。大臣、本当にありがとうございました。

松島委員長 次に、横光克彦さん。

横光委員 立憲民主党・市民クラブの横光克彦でございます。

 中川大臣、ちょっと遅くなってしまいましたが、大臣に御就任、おめでとうございます。

 事務次官を務められた省庁のトップがその省庁の大臣に就任されるということは、これ以上ない適材適所である、私はこのように思っております。かつての大河原太一郎農水大臣以来、二十三年ぶりのことだそうでございますが、実は、大河原大臣のときには自社さ政権のときでございまして、我が大分県出身の村山富市内閣のときでございましたので、私も非常に感慨深いものを感じております。

 環境行政に精通されて、環境により大きい関心をお持ちの中川大臣と、この環境委員会で論戦することができること、非常に楽しみにしております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、所信につきましてお尋ねをいたします。

 大臣は所信で、今日の環境問題は多様で複雑なものになっているとおっしゃいました。確かにそのとおり、非常に多岐にわたって、多様で、しかも複雑な状況にあると思いますが、そういった多くの課題の中で、今、環境省にとりまして最も重要な政策は気候変動対策だと思うんです。

 大臣は所信で、パリ協定のもと、世界は今、脱炭素社会に向けて大きく動いています、このようにおっしゃられました。

 実は、この流れをつくったのは日本なんですよね。第三回京都会議、つまりCOP3で採択された京都議定書であると私は思っておるんです、この大きな流れをつくったのは。一九九七年でございました。それまでは各国ばらばらの状況ではございましたが、史上初めて国際社会が合意したこの温室効果ガス削減のための約束、これが採択されました。大木大臣のときでした。非常に印象深い採決だったんでよく覚えているんですが、夜明け前でしたよね。まさに画期的な私は採択だったと思っております。

 つまり、脱炭素社会の原点は京都議定書にあるというのが、私は今、世界共通の認識となっている、このように思います。

 あれからちょうど二十年が経過したわけでございますが、この間の脱炭素社会に向けての世界の状況は、進捗状況はどうだったのか、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。

中川国務大臣 京都議定書が国会で批准の議決をいただくときに私が事務次官をしておりまして、衆参両院で全会一致で批准の議決をいただきまして、本当にそのときの感動は忘れることができないわけでございます。

 京都議定書は、温室効果ガスの排出削減に関する法的拘束力を持つ初めての国際枠組みでございまして、先生御指摘のとおり、本当にこの京都議定書は重要な一歩であるというふうに認識をしております。

 しかし、京都議定書では、一部の先進国のみにしか排出削減義務が課されていなかったことから、一部の先進国では排出削減は進んだわけでございますけれども、世界全体の温室効果ガスはふえております。そういった状況がございまして、世界全体で温室効果ガスを削減するため、歴史上初めて、全ての国が参加するパリ協定が採択されまして、二度目標に向けて各国が五年ごとに削減目標を策定、更新することが定められました。

 これは、ほぼ全ての国が削減目標を定めておりまして、大きな前進だというように考えております。二十年たちましてこのパリ協定というものができたということは、大変大きな前進だというふうに考えております。

横光委員 確かに、二十年かけて本当の意味でのこの枠組みの構築ができたパリ協定、本当によかったと思っております。

 今お話ございましたように、確かに京都議定書をめぐることではいろいろとございました。途中、アメリカが議定書から離脱することもありましたし、また我が国も、この二大排出国である中国、アメリカ、ここが不在であるならば京都議定書の第二約束期間に参加する意味がないということで、不参加を表明しておりました。

 実は、私ごとでございますが、二〇一一年の南アフリカ・ヨハネスブルクで開催されましたプレCOP17、これに当時の細野大臣の名代として、私副大臣でございまして出席したことがございます。ちょうど二〇一一年の暮れでしたけれども、やはり福島事故の直後ということであり、各国から同情の声を寄せられたようなことをよく覚えていますが、正直言って、大変つらいプレCOP17でございました。それでも、大変重要なCOP17は成果を上げたと私は思っております。

 当時は、京都議定書を延長するのか、それとも新たな議定書をつくっていくのかというのが大きな争点だったんですね。そういった中、私たちは、つまり我が国は、全ての国に適用される将来の法的枠組みの構築が必要であるとずっと主張してきたわけでございますが、その道筋がこのCOP17において合意されたんですよ。非常にそういった意味で印象深いCOP17だったなと思いますが。それから時を経て、今お話ございましたように、二〇一五年のCOP21のパリ協定によりその枠組みが構築されたことは、まさに隔世の感があるなという気がいたしております。

 そういったいろいろな経緯がありながらも、京都議定書の意義と効果、これは大変大きいものがあったと私は思うんです。この間、CO2排出削減と経済の両立、この両立をなし得た国は、アメリカを含めて二十二カ国もございます。しかし、残念ながら、日本は入っていません。

 日本のこの二十年間の脱炭素社会に向けての取組、進展はどうだったのでしょうか。もう一度、日本の場合もお聞きいたしたいと思います。

中川国務大臣 京都議定書を締結した二〇〇二年度以降、LED照明等の省エネ技術の開発、普及や再エネの導入等については、大きく進展がございました。その結果、二〇〇二年度と比べると、二〇一六年度の温室効果ガスの排出量は約四%減少しております。この間、GDPは約一三%増加しておりまして、我が国においても、この温室効果ガスの排出削減とGDPの増加をともに達成する、いわゆるデカップリングの状態となっております。

 しかし、欧州の先進国のこの十年余りの状況を見てまいりますと、GDPの増加と温室効果ガスの排出削減をともに二桁の割合で達成した結果、かつて世界最高水準だった我が国の温室効果ガス排出量当たりのGDP、いわゆる炭素生産性につきまして、国際的な順位は低下しております。これは、福島原発事故以前から見られる傾向でございます。

 パリ協定のもとで、世界全体が脱炭素社会に向けた取組を進める中、我が国も、温室効果ガスの排出削減について、二〇三〇年度二六%削減の着実な達成はもとより、二〇五〇年八〇%削減を目指して一層取組を強化していく必要があると考えております。

横光委員 LEDや再エネ、いろいろな技術革新によってかなり進んできたという日本の国、されど、欧米に比べたらどうしてもおくれをとっているというようなお話もございました。脱炭素社会に向けて我が国も全力で努力されてきたことは申すまでもありませんが、そういった状況にもあるというのも事実です。

 さらに今、世界は大きく動こうとしているんです。脱炭素社会に向けて、次から次へと各国は努力をしている。

 例えば、イギリス、フランス、カナダが、何と四〇年にガソリン車の販売禁止を宣言しました。更に一歩前進しようとする宣言だと思うんです。脱化石燃料、また脱炭素社会の象徴であると思うんです、こういった動きは。

 さらに、これにかてて加えて、国際経済の血流と言えるこの投資マネーの流れの中に今あるわけです。脱炭素に投資すれば、経済的にも莫大な利益を生み出すという時代になりました。

 ESG投資というものがございますが、これが今世界の中核になりつつあるんですね。欧州では投資の過半数がこのESG投資、さらに、アメリカでは二〇%をESGが占めている。残念ながら、日本はわずか三・四%。これが、先ほど大臣のお答えの中の、ちょっと日本がおくれているという一つの象徴ではなかろうかと思うんですが、ある報道では、日本は、あの過酷な福島の事故を経験しながら、あの悲劇を忘れたかのように、いまだに石炭火力や原発を再稼働し、原発にしがみついているような状況であるという報道もあります。前進できない日本に対し、世界は信じられない思いでいるのではないでしょうか。

 重ねてお尋ねいたします。これからの日本の脱炭素社会に向けてのあるべき姿をお示しください。

中川国務大臣 私は昨年、COP23に参加いたしまして、世界の政治も、また、今先生御指摘のビジネス、金融の世界も、確実に脱炭素社会ということを目指した大きな流れが生じているということを感じたところでございます。また、御指摘ございました、我が国の、石炭火力に頼っている、あるいは石炭火力を輸出している、その姿勢に対しまして世界から厳しい目で見られていることも痛感いたしたところでございます。

 これからは、省エネ、再エネ、そして環境金融、ESG投資といったような、実際の技術開発や金融面でも環境の配慮を織り込んで、まさに官民一体となって脱炭素社会の実現に向けて努力をしていかなければならないということを痛感しております。

 石炭火力につきましては、先ほどとかしき副大臣からも御答弁いたしましたけれども、厳しい姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

 原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を優先し、原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、その判断を尊重するというのが政府の一貫した方針でございます。

 ただ、原発への依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させるということが政府の方針でございます。この方針に沿って、環境省としては、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいりたいと考えております。

横光委員 地球は今、私は、悲鳴を上げていると思うんですよ。脱炭素社会は、もう待ったなしなんです。後戻りは許されません。このことを大臣は肝に銘じて、これからの気候変動対策に取り組んでいただきたい、このことを心からお願いを申し上げます。

 今もお話ございましたが、大臣は所信で、我が国の削減目標達成に深刻な支障を来すことが懸念される石炭火力発電に対しては、厳しく対応してまいりますと表明されました。その石炭火力についてお尋ねをいたします。

 資料をお配りしておりますが、この最初のページ、これは発電量当たりのCO2の排出量が明記されております。左から、石炭火力、そして三つ目が、高効率の石炭火力、そして一番右が、最新型LNGの火力。これのCO2の排出量が、見ますと、結局、ガスに変えて二回燃やすこの高効率の石炭火力でさえ、LNGに比べたら約二倍のCO2が出るんですよね。これがまず大前提でございます。

 一枚おめくりいただきたいんですが、ここにCO2の排出量について書かれておりますが、これは、一番左が現在の実績ですね、四千九百万キロワット。これを二〇三〇年のエネルギーミックスでは、四千六百万キロワットに下げよう、こういう目標を今掲げておるわけでございますが、しかし、残念ながら、今のままの形で石炭火力発電の計画が進めば、一番右にありますように、二〇三〇年の現状追認、今のまま進めば現状から一千万キロワットふえるんですね、今の計画がそのまま進んでいけば。

 下げようと思っているのが上がるというのが、非常に可能性が高い現実でもあります。一千万キロワットふえるということは原発十基分ですよ。これは要するに、現在の状況からエネルギーミックスに向かって下げなきゃいけない、そういう目標があるにもかかわらず、逆の形になろうとしている。このことは非常に私は危機感を持つべきだと思うんです。

 これに対する対策はお持ちでしょうか。

中川国務大臣 石炭火力発電は、今先生御指摘のとおり、最新鋭技術でもCO2排出係数が天然ガス火力の約二倍でございます。我が国におきましては四十基程度の新増設計画がございまして、今先生御指摘のとおり、仮にこれらの計画が全て実行されると、我が国の削減目標の達成は困難となります。こうした石炭火力につきましては、経済性の観点のみで新増設を進めることは許されないと考えております。

 そのため、環境省といたしましては、石炭火力発電所計画の環境アセスメントにおいて、削減の具体的な道筋が示されないままの石炭火力の新増設は容認されるべきでないとの考えに立ち、事業者に石炭火力のリスクに対する自覚を促すとともに、毎年度、省エネ法等を含めた電気事業分野における対策の進捗状況をレビューし、目標が達成できないと判断される場合は施策の見直し等について検討するなど、引き続き厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えております。

横光委員 今、経済的な観念だけではノーだ、しかしアセスで対応するというようなお話がございました。

 しかし、アセスだけでこういった流れをとめることが果たしてできるんでしょうか。私は難しいと思うんです。やはり今の形を野放しにしたままでは大変なことになる、だから何らかの規制をかけなきゃいけない。それがアセスだという環境省の意見ですが、私は、もうちょっと厳しい規制をとらない限り、この流れはとめられないと思うんです。

 この件に関しまして、経産省のお考えをお聞きしたいんですが。

武藤副大臣 横光先生、お久しぶりでございます。

 経産省のことについて、私の方からお答えさせていただきます。

 なかなかアセスメントだけでとまらないということでございますけれども、全ての面におきまして完璧なエネルギー源はないという中で、電源構成にはバランスが大変大事だというふうに認識をしております。石炭火力も、CO2という環境面での課題はありますけれども、一定の割合で活用を図っていくことが重要であるというふうに思っております。

 そして、今のお話のとおり、アセスメントの話については、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、省エネ法に基づきまして発電事業者に対して高い発電効率を要求するとともに、高度化法の遵守などによりまして二酸化炭素排出削減に取り組むことなどを求めております。

 その意味で、環境影響評価書を作成して経済産業省へ届け出ることになることになりますけれども、経済産業省としても、環境保全の観点から適切に審査を行ってまいりたいと思っております。

 そして、ちょっと追加ですけれども、今、エネルギーミックスの基本計画の見直しの中で、さまざまに分科会等々いろいろな御意見を賜りながら、先生の今の御意見もございましたので、今後とも適切に指導していきたいというふうに思っています。

横光委員 私がなぜ今のような状況では今の流れをとめることができないのではないかと心配するのは、次のページをおめくりいただきたいんですが、世界の石炭火力発電に関する流れです。見てください。イギリス、廃止、フランス、廃止、ドイツ、廃止を進める方針で検討中、カナダ、段階的に廃止、中国、建設計画の一部取消し、インド、石炭火力発電新設は不要。こういった状況の中で、日本はある意味では空白になっております。

 私は、このあたりに切り込まない限り、日本の脱炭素社会の進展は難しいであろう、そして、世界にまさに置いていかれるであろうというのがこの資料だと思うんですよ。

 そういった意味では、経産省、環境省、私は、力を合わせて、今の流れをほっておくとふえるわけですから、それをアセスだけでとめられるわけがない、経産省も何らかの規制を一緒につくるべきだ。この世界の流れを見て、このままじゃいかぬ、政府を挙げて、例えば石炭火力発電の上限を決めるとか、ここをこういうふうに世界の流れで廃止するとかいうところまでいくのは難しいかもしれませんけれども、とりあえず何らかの強い厳しい規制をかけない限り、日本は置いていかれるだけですよ。世界の流れについていけませんよ。そのことを強く申し上げます。

 また、アセスの件は、環境大臣も一生懸命取り組んでおられることには敬意を表しますよ。例えば、次のページの三隅石炭火力のアセスの環境大臣意見。これは、現在、約百万キロワットの一号機が稼働しているわけですが、これに加えて、石炭を燃料とする二号機を四十万から百万キロワットに増設するという事業です、中国電力の。こういった事業に対して環境大臣が厳しい意見を伝えました。非常にすばらしいことだと思います。

 しかし、私が言うのは、これで果たしてとまるのかということなんです、アセスの意見だけで。例えば、基本認識では、赤字で書いていますね、二〇三〇年度のベンチマーク指標の目標との関係では、こうした具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではないと強く伝えております。

 また、これを受けた経産省、アセスをですね、ここにも、下の方の赤字で、特に本事業者については、現時点において単独で当該目標の達成の蓋然性が低いため、目標達成に向けた道筋を明確化させた上で、確実に達成するよう指導することと経産省に要請しております。

 さらに、事業者には、本当に、高効率化などのためには、低効率の火力発電の休廃止あるいは稼働抑制、こういったことにも取り組んで、確実にベンチマーク指標の目標達成に向けて道筋を明確化すべきだ、こういうふうにアセスで伝えているわけですが、これは実際事業を所管しているのは経産省ですよね。この環境大臣のアセスを受けて、経産省はこの問題にどのようにお取り組みになるのかをお知らせください。

武藤副大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、アセスにつきましては、環境大臣からの、いわゆる前文から始まりまして、総論、各論、承知をしておるところであります。

 今のお話のとおり、二月の七日に経済産業大臣付で事業者に対して、先ほども申し上げましたけれども、省エネ法に基づき発電事業者に対して高い発電効率を要求するとともに、高度化法の遵守などによりまして二酸化炭素排出削減に取り組むことを求めております。

 その上で、今、横光先生からお話がありました前文がありまして、大変、環境大臣の御意見も拝聴しております。ただ、我々から事業者に対しましては、いわゆる前文の部分については環境大臣としての地球温暖化に係る現状認識を述べられたというふうに承知をしておりまして、従来からこの部分について、経済大臣勧告には総論と各論の内容のみを記載することとしております。

 このような取扱いは、今回の勧告のみならず、他の火力発電所あるいは風力発電所などに対するこれまでの勧告においても同様のこととしております。

横光委員 今、経産省の方の説明で、このアセスの前文、これは現状認識を述べられただけだという意見をおっしゃいましたよ。環境大臣、こんなことでいいんですか。現状認識を述べられただけじゃないでしょう。もっと強い要求をここに打ち出しているじゃないですか。

 私は本当に、環境大臣のアセス意見というのは非常に重いものがあると思うんですよ。ですから、これはただ聞きおくだけじゃだめなんですよ、経産省は。本当にこれを実行に移さなきゃ、せっかくのこのアセスの環境大臣の意見が無駄になってしまう、そういったものを非常に感じております。今の経産省の御答弁を聞くと、全然私は、対事業者に対して環境省がやってほしいということをやるというような意欲が見えませんでした。

 もう一回お聞きします。対事業者に対して、経産省は、このアセス意見に、環境大臣の意見に従って、こういった赤字で書かれている対事業者に対する要求をしっかりと実行させるんですね。お聞きします。

武藤副大臣 恐れ入ります。

 横光先生の御指摘、もっともだというふうに承知をしております。

 ただ、この背景につきましては、先ほど申しましたとおり、いわゆる電源構成のバランスの重要性から踏まえまして、もともと環境大臣とは、平成二十八年二月でありますけれども、当時の林経済産業大臣そして丸川環境大臣との間で、エネルギーミックスの実現に向けて、電力分野の発電効率の向上など低炭素化に係る仕組みを導入することで合意をしておりまして、今回の環境大臣の御意見もこの合意に基づくものと承知をしております。

横光委員 今の石炭火力発電の計画がそのまま進めば、二〇三〇年のエネルギーミックスの目標どころか、更にふえるということは先ほど説明しましたし、環境大臣はそのように認識をしております。この流れをとめる必要があるということで私が質問しているんです。

 今のまま計画が進めば、目の前の結果が見えている、その結果は自分たちが目指そうとしているのと違う、だからとめなきゃいけない。しかし、経産省は、そういった姿が今御答弁の中で非常に私は感じられませんでした。

 ここは、経産省だけでなくて、やはり政府を挙げて、この問題、まず一カ所、ここにしっかりと歯どめをかけなければ、流れがもう起きておるんですから、どんどんどんどん大きな流れになって、二〇三〇年の目標どころか、更にふえるのも確実になりますよ。何らかの強い規制を要求いたしておきます。

 次に、外務省の方からも提言がございました。エネルギーは、もちろん、経産省、エネ庁の所管でございますが、しかし、エネルギーの外交あるいは温暖化対策、こういったことも含めますと、これはもう経産省だけの問題じゃないんですよね。ですから、外務大臣の諮問を受けて有識者会議が、提言をまとめて、提出しました。

 私は、細かいところまでいっぱいありますが、全部読んで、ある意味、感動しましたよ。というのは、世界の現状、日本の現状を直視した上での提言だと思うんです。この外務省の有識者会議の提言は、私は、感動すると同時に、ある意味では悲壮感さえ感じましたよ。ここまで追い詰められているんですよという提言だと思うんですね。そういう印象を私自身は受けました。

 ですから、多く網羅されていますが、重立ったところだけ申し上げますよ、この提言。末吉竹二郎国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問が座長の有識者会合の提言でございます。

 世界がエネルギー転換に向かう中で、日本の立ちおくれが顕著になっている、気候変動対策では、再生エネルギーの拡大がますます重要となってきた、石炭火力の利用を進める政策が国際社会の厳しい批判を受けている、日本の豊かな自然に根差す再生可能エネルギーの活用を中心に据え、海外からの化石燃料やウランの依存を減らせば、エネルギー安全保障に貢献し、国内に新しい経済を呼び込むことができる、持続可能な未来の実現を希求する再生可能エネルギー外交を柱とすべきであると。

 これはほんの一部ですよ。重立ったところを私が今抜粋して読み上げたんですが、そういった内容の提言でございます。

 ですから、例えば、私は、キーは、再生エネルギー外交を柱とすべきであるというのがこの提言のキーだと思うんですね。再生可能エネルギーを柱とすべきだと、外交では。そういう提言をしています。

 この提言に対極的にあると言ってよいのが、原発であり、化石燃料だと思うんです。その原発に対してどういうことを提言しているかといえば、電力の安定供給のために、ベースロード電源として原子力や石炭が必要だという考え方は、既に過去のものになっている、ここまで言っているんですよ、外務省の提言は。それは、実態を見て、私は、有識者の皆さんがまとめた意見だと思うんです。既に過去のものになっていると。

 そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故から七年がたとうとしている中で、事故前には五十四基あった原発の中で、現在稼働しているのは四基である、世界的に原子力が高リスクで競争力のない電源であるということが明らかになっているにもかかわらず、日本では、原子力が他の電源よりも安価であるという試算がそのまま使われている、こう提言しています。日本では、原発の新設、増設は、経済的な現実性を欠いていると。

 非常に厳しい意見、今の日本のエネルギー政策に対して物すごい厳しい意見、提言、それを外務大臣の諮問の有識者会議でまとめた意見なんです。今の意見、提言は、私は、先ほどから言っていますように、世界の現状、日本の進め方、取組方、こういうものを総合的に勘案して提言していると思うんですよ、本当に。

 ですから、問題は、この提言をどう生かすのかということだと思うんです。先ほど言いましたように、ただ聞きおくだけではだめだと。河野外務大臣も、この提言を受けて、政府の中でちゃんと意見をして、そして形になるように努力するというようなコメントもございました。ですから、先ほど言いましたように、経産省だけでなくて、外務省、環境省一体となって取り組まなければ、日本のエネルギー政策はばらばらになってしまいます。そういった意味で、この提言は、私は意味があると。

 そこでお尋ねいたしますが、外務省にまずお尋ねいたします。

 この提言を出した外務省は、この提言をこれからどう生かしていくおつもりなのかお聞きいたします。

中根副大臣 横光先生の御指摘、ありがとうございます。

 今回の提言につきましては、有識者の方々に精力的な議論を行っていただき、気候変動対策で、世界を先導する新しいエネルギー外交について提言として取りまとめていただき、先ほどお話にありました有益な示唆をいただいたものと認識しております。

 外務省としては、その内容をどのように今後政策に反映させていくことができるか、政府部内でよく検討していきたいと思っております。

 今回の提言は、気候変動問題の現状や、先ほど先生がおっしゃっておりました再生可能エネルギー、これの将来性等に関する最新の国際的な動向を踏まえたさまざまな示唆が得られたと考えております。その内容を、先ほどもお話ししたように、政策にどう反映していくのかについては、今後政府部内でよく検討していきたいと思っております。

横光委員 ありがとうございます。

 せっかく大臣がお願いしてつくった有識者の会議で、そして幅広いメンバーの中でまとめ上げてきた提言、これを外務省は受け取ったわけです。外務大臣は受け取ったわけです。

 そして、外務大臣のコメントも、気候変動の影響に危機感を感じている国は多い、日本の外交も今問われているんだ、政府の中にこの議論をしっかり役立てていきたい、こう外務大臣は申しております。

 ぜひとも、せっかくまとめ上げていただいたこの提言を無駄にすることのないように、私は、生かしていくべきだ、今お答えもございました、政府の中で生かしていきたいということもございました、そういった形でぜひ進んでいただきたい、このように思います。

 環境大臣にお聞きしたいんですが、この外務省の有識者会議の提言、お読みになったことと思いますが、どのような感想をお持ちですか。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

中川国務大臣 本提言は、気候変動分野に携わる有識者の方々が、気候変動やエネルギー分野における最新の国際的な動向を踏まえ、幅広いデータを収集した上で、さまざまな議論をされて作成されたものと承知いたしております。

 環境大臣として、本提言にさまざまな有益な示唆もあるというように認識いたしております。

 その内容をどのように政策に反映させていくかにつきましては、今、中根副大臣からも御答弁がございましたように、政府部内でよく検討していくことになるというふうに考えております。

横光委員 今、環境大臣は、この提言について、環境省としても非常に有益なものがあるというお話もございました。

 環境省も、この外務省の提言の柱である、再生可能エネルギー外交を柱とすべきであるということですが、ビジョンを打ち出していますね。これからの、二〇五〇年八〇%削減に向けた機会と課題。この中で、再生可能エネルギーのことには非常に前向きに表明されております。太陽光発電、陸上風力発電がこれから加速的に普及するだろう、そういったことを踏まえて、何と二〇五〇年に環境省の意向は再生エネの主力電源化、ここまで表明しておる。

 再生エネの主力電源化ということは、私から見ると、ベースロード電源の中心に据える、こういう意味合いに私自身は受け取るんですが、本当に環境省も、こういった問題では外務省のエネルギー外交を柱とすべきであるというのと一体だと思うんですね。

 そういった意味で、ぜひ、有益な示唆もあるということですので、しっかりと受けとめて、また政府内で論議をしていただきたい。

 そこで、この提言について、肝心の経産省にお聞きします。

 私が列記した問題、大変なことを経産省としては提言されたなというのが正直な気持ちだと思います。しかし、そこは、だからといって、提言だけだなんという考えは絶対持ってはならない、このように思います。

 まず、再生可能エネルギー外交を柱とすべきである、この提言に対して、経産省はどういう思いですか、そしてまた、どういった対策を練ろうとされていますか。

武藤副大臣 先生のおっしゃられる外務省有識者会議の御提言について、これは承知をしておりますけれども、外務大臣に対して御提出をされたということで、私どもとしては論評することは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、世界では、私も去年のIEAの会議も行きましたし、外務副大臣のときも、二年前ですけれども、そこも出させていただきました。世界における再エネのコストが低減して導入拡大が進んでいる状況、そして、日本でもその期待が高まっている状況は承知をしております。

 その上で、島国である日本の事情というものを考慮しながら、今、エネルギー基本計画の見直しをするわけでありますけれども、いずれにしましても、昨年末から、この議論の形の中で、エネルギー基本計画など中長期のエネルギー政策の方向性に関する議論をしているわけであります。

 議論的には、これは外務省、環境省の参画も得て、客観的データを示し、内外の識者からオープンな場で意見を聴取するなど、多様な意見や見解を踏まえた検討を進めております。

 引き続き、内外のさまざまな分析、見解を踏まえて、先生の御指摘のとおり、またしっかり議論を進めていきたいというふうに思っています。

横光委員 二つ目、お聞きします。経産省に、この提言に対して。

 電力の安定供給のために、ベースロード電源として原子力や石炭が必要だという考え方は、既に過去のものとなっている、これに対して、経産省、お答えください。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

武藤副大臣 先ほどの三隅の件もちょっと絡みまして、石炭の問題をちょっと申し上げますけれども、先ほど大臣からもお話もありましたように、いわゆる省エネ法によって、発電事業者に対しては発電効率の向上を求めています。

 具体的に申しますと、石炭火力の新設に当たっては、いわゆるUSC相当の発電効率の遵守を求めるなどの制度的な措置を講じてきております。この結果、高効率化や発電効率の悪い既設火力のリプレース、休廃止が促進されるものと承知をしております。

 これに加えまして、高度化法によりまして、小売事業者に対して二〇三〇年度に販売電力量の四四%を非化石電源とすることを求めるとともに、石炭火力の高効率化に資する技術開発支援を通じて環境負荷の低減を進めていきます。

 そして、今の御質問でありますけれども、今のエネルギー基本計画、この二〇三〇年目標の実現に際して、現状の技術を前提とすれば、引き続き、原子力、石炭などのベースロード電源の担う役割はまだ大変大きいと承知をしております。

 他方、パリ協定を踏まえました二〇五〇年の議論においては、イノベーションによってさまざまな可能性があると考えております。世界で、先ほど申しましたとおり、再エネのコストが低減して導入拡大が進んでおり、日本でもその期待が高まっている状況であります。

 島国である日本の事情というものを考慮しながら、島国である日本が再エネの大量導入とCO2削減を同時に実現するためには、蓄電池、水素活用などの調整手段が欠かせません。他方、現在の技術を前提とすれば、コストがはね上がる結果となりまして、低廉な電力の供給が難しくなると承知をしております。

 先ほど来申しましたとおり、今まさに、エネルギー情勢懇談会で、ドイツの研究者あるいは水素活用などを進める企業経営者などもお招きをしまして、あらゆる選択肢と技術、イノベーションの可能性を追求してきております。引き続き、しっかりと検討してまいりたいと思います。

横光委員 いろいろと御説明されましたけれども、この外務省の提言のメンバーと論議した場合、今の説明では太刀打ちできませんよ。外務省の提言は、原子力や石炭はもう既に過去のものになっていると、ベースロード電源としては。ベースロード電源には、もう再生可能エネルギー、再生可能エネルギーを外交の柱とすべきと訴えているんですよ。

 もう一つ聞きます。

 日本での原発新設、増設は経済的な現実性を欠いている、これについてお答えください。

武藤副大臣 原子力の件におきましては、まずは安全最優先、この安全最優先の再稼働に全力を傾けることが重要だと考えております。

 現時点においては、原発の新増設、リプレースは想定しておりません。

 そして、エネルギー基本計画の見直しにおいてですけれども、原発の新増設、リプレースについて、まずはそのとおり安全最優先の再稼働に全力を傾けることが重要でありまして、今後とも、長期的なエネルギー政策の将来像については、原子力や再エネ、CCS、蓄電など、ゼロエミッションにつながるあらゆる選択肢の可能性について議論をしているところでありまして、有識者の方々の議論を待ちたいというふうに思っております。

横光委員 今御答弁で、原発の新設、増設、リプレースは想定していない、ノーだということをおっしゃられました。

 では、一つお聞きしますが、今、中国電力で上関原発が一回白紙になったんですが、今また新設のために動き始めているんですよ。こういったことがたとえあったとしても、今の説明は十分効果があると思います。

 新設、増設は認めないということでよろしいんですね。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の炉の新増設が動き始めているというようには事実として認識してございません。(横光委員「聞いていないんですね」と呼ぶ)はい。先ほど副大臣からも御答弁いただいたように、現時点において、原発の新増設、リプレースは想定してございません。

横光委員 動きがあるということは聞いていないというお答えでした。そのような形になるといいと私は思っております。

 私は、この問題で、今問題提起した場合、いろいろな、経産省もお答えになりました、外務省の提言も非常に鋭いものがありました、環境省は環境省で再生可能エネルギーに注力すると、それぞれエネルギー関係について三省がばらばらなんですよ、私から見ると。

 確かに、エネルギーの所管は経産省、エネ庁でしょう。しかし、そこだけで物事が進んでしまえば、本当にあの原発事故は何だったのかということになりかねません。どうか、この重要な省庁、三省がしっかりとやはり論議しなきゃ、この問題は解決できないと思っております。

 そこで、もう一つ、最後はこれは質問ではありませんが、私どもからの報告とお願いをさせていただきます。

 私、きょうの質問の冒頭に、あの福島の原発を忘れたかのように化石燃料や原発にしがみついている日本、このように申し上げました。しかし、私たち立憲民主党は、決して福島のことを忘れてはいません。

 きょうは三月六日です。五日後には三・一一、七年になります。私たち立憲民主党は、その三・一一の前に原発ゼロ基本法案を国会に提出いたします。二〇一一年三月十一日、あの日を私たちは忘れてはなりません。

 大震災とともに発生した原発事故、そのときの政権は民主党でした。それまで国策として原発推進をしてきた自民党でなく、そのときの政権は民主党でした。元菅首相、そして枝野官房長官、この二人が原発事故の全ての対応に取り組んだことは、国民の皆さんは多く知っていることと思います。あのお二人が、人間の力では制御できない過酷な事故、これを誰よりもその対策の中で経験してきた二人なんです。ですから、国が滅ぶかもしれないというような危機的な状況に直面したんですよ、二人は。

 ですから、二度とこのような事故を発生させてはならない、そういった強い信念のもとで、原発をこの国からなくすしかないと決断をしたんです。そして、原発ゼロ基本法案を作成したのであります。

 この法案、国会に提出され、成就するためには、艱難辛苦のハードルがあるとは思っております。しかし、これを乗り越えなきゃならないと思うんです。国民のために、あるいは世界人類のために、もっと言えば、この地球から危険を除去する、そして美しい地球を後世の人たちに渡すためにであります。

 この原発基本ゼロ法案が提出されましたら、どうか、与野党挙げて国会で審議をしていただき、そして党派を超えて正しい道を選択していただきますことを切にお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、柿沢未途さん。

柿沢委員 冒頭、ちょっと通告にない御質問をさせていただこうと思います。

 今、国会では、森友学園の国有地の取引をめぐって、財務省の決裁をされた文書が書きかえられて国会の求めに対して提出をされていた、こういう問題が持ち上がっているわけです。

 これについて、本当に、公文書の改ざんということになりますので、極めて重大な問題だと思いますし、また、国会の、私たちの要求に対して出された文書が政府の都合のいいように書きかえられる、こういうことがあったとすれば、これはもう民主主義の根幹を揺るがすような大きな出来事になると思います。

 そういう意味で申し上げれば、今、麻生大臣は昨日の答弁でも、国会で提出を、言われている文書を出せということを求められたのに対して、捜査中だから、それに影響を及ぼすことが可能性としてあるので今は出せない、あるかないかも認められない、こういうことをおっしゃられているわけですけれども、先般は、逆に、情報公開請求に対して、ない、廃棄していたといった交渉経過を記した資料がいきなり出てきたということもあったわけであります。あのときだって捜査中ですよ。何で今回だけ、捜査中だからといって出せないということになるのか。大変苦しい状況に政府は追い込まれているのではないかということを感じます。

 このことはこのことで、別な場でいろいろと追及なり質問が行われることになると思いますけれども、私が気になるのは、国会が、私たちが、政府に対して、要求されて出されてきた資料が、こうやって政府の都合のいいように、あるいは特定の政治家に都合のいいように書きかえられて出されているというケースが、まさか、財務省で今疑いが投げかけられているように、ほかの省庁でもあったりはしないのかということです。

 厚生労働省の例の裁量労働制のデータの不適切な利用の問題もありました。そういう意味で、公文書やあるいは公正中立であるべき統計調査のデータの使われ方、こういうことに大きな疑義が生じている今の現状でもあります。

 そういう意味で、環境省においてこうしたことがあるのかないのか、ぜひ調べていただきたいというふうにも思いますし、委員長には、ぜひ環境省に対して、そうした事実がまかり間違って万が一にもないのかどうか、こういうことをしっかり調べて報告をするように命じていただきたいというふうに思いますが、大臣並びに委員長に御所見をお願いします。

中川国務大臣 公文書の管理、情報公開につきましては、法律の規定に従って適切に対応していかなければならないというふうに思っております。

 また、国会からの資料要求などにつきましても、国政調査権の趣旨に鑑みて、適切にしっかりと対応していかなければならないというように考えております。(柿沢委員「いやいや、姿勢ではなくて、調べてくれと」と呼ぶ)

 具体的な事案を特定していただかないと、ちょっと環境省全部の資料あるいは今までの要求について調べるということは不可能だというふうに思っております。

柿沢委員 委員長はどうですか。

松島委員長 いや、柿沢委員の御質問の趣旨が、環境省のどの課題、あるいはこの委員会でこれまで議論されてきたことの何について具体的におっしゃっているのかがよくわかりませんので、ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたしたいと思います。

柿沢委員 委員長が理事会で協議をしていただけるということですから、この後、理事会の協議に移りたいと思いますけれども、いずれにしても、今、公文書のあり方、そして国会に対する、国政調査権に対する政府の対応のあり方が極めて大きな疑義が投げかけられている状況ですので、各省庁、やはりもう一度洗い直しが必要なのではないかというふうにも思っているところでございます。

 それでは、ちょっと、大臣所信質疑の本題に移りたいと思います。

 先ほど来パリ協定の話が出ておりまして、二〇三〇年、CO2二六%削減、そして二〇五〇年には八〇%削減、こういう目標が掲げられているわけであります。これを実現するための一環として、今まで経産省、国交省を中心に行われてきた、いわゆるゼロエネルギー住宅に関する事業が、環境省に、一般住宅の普及拡大という方向では移管をされてまいりまして、このゼロエネルギー住宅、あるいは住宅、建物の省エネルギー化、こういうことを環境省が中心になって担うということになりました。

 住宅部門、家庭部門は、これからCO2削減の中心を担っていくということになるわけでありますし、パリ協定のコミットメントをいかにして実現していくか、先ほど石炭火力の問題もありましたけれども、まさに環境省の課題だと思いますので、こうした形で、ゼロエネルギー住宅、住宅、建物のエネルギー性能の向上、これに環境省が取り組んでいくということは適切ではないかと思います。

 まず最初にお伺いをいたしますが、パリ協定における二〇三〇年二六%削減、そして二〇五〇年八〇%削減、このCO2削減のコミットメントを達成をするために、住宅部門、家庭部門ですね、における削減目標はどうなっているか、そして、この部門における省エネルギーをいかにして進めていくのか、まず大臣の御所見をお伺いします。

中川国務大臣 平成二十八年に閣議決定いたしました地球温暖化対策計画の中では、住宅など家庭部門は、二〇三〇年において二〇一三年度比四〇%削減することといたしております。

 この目標の達成に向け、二〇二〇年をめどに、新築住宅について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化、中古住宅の省エネルギーリフォーム件数の倍増、注文戸建て住宅の半数以上をZEH化等について、当該計画に基づいて政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

 環境省といたしましても、関係省庁と連携して、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHの新築や建てかえに対する補助、住宅の断熱性向上のためのリフォームに対する補助、国民の皆様への省エネ住宅の快適さや利便性、経済性をアピールする普及啓発などに取り組んでいく予定でございます。

柿沢委員 そうおっしゃいますけれども、我が国は、建物、住宅の省エネに関してはおくれが著しいと言わざるを得ないと思います。過去には省エネ先進国ということを胸を張ってきたわけでありますけれども、しかし、省エネ先進国、この過去の栄光を振りかざすのはお恥ずかしいような状況になっていると思います。もっと言えば、日本は主要先進国の中で、住宅、建物の省エネという点については最もおくれた国になっていると言っても過言ではありません。

 今、改正省エネ基準の段階的義務化という話がありましたけれども、この改正省エネ基準といっても、一九九九年、もう二十年近く前ですね、この省エネ基準に毛が生えた程度の水準にとどまっているわけです。この間二度にわたって見直されていますけれども、住宅を含めた建物の省エネ基準についてはほとんど変わっていません。しかも、二千平米以上の大規模なビルとか非住宅、これ以外は基準適合が義務化をされていないわけです。つまり、基準を満たさない住宅や建物でも、建築確認はおりて建てられてしまうわけですよ。

 改正省エネ基準を満たす新築住宅の割合が、二千平米以上の大規模マンションでは五〇%以上になったということを最近快挙みたいに言われるわけですけれども、それ以下の住宅ではまだ四割前後でありますし、三百平米以下の小規模物件では、住宅も非住宅も基準適合すら求められていないわけです。要するに、新築マンションでも、二十年近く前に設定した基準すら満たさない物件を建て続けて、それが半分以上になっているというのが今の現実なわけですね。

 その二十年ぐらい前から変わっていないという改正省エネ基準というのはどんなものかといえば、ここに、資料の一枚目で、ドイツのパッシブハウス基準との比較を書かせていただきましたけれども、建物の断熱性能でいえば、熱損失係数、Q値で二・七倍も違う、これはまだグラフに書いてありませんけれども。また、建物の気密性能のC値については、数値そのものが定められていないわけです。

 表にあるとおり、これは建築家の松尾和也さんという方が試算をしたものでありますけれども、改正省エネ基準の六地域、一番左のところですね、の東京に相当する地域とドイツのパッシブハウス基準というものを比べると、一次エネルギー消費量、黄色のところですけれども、ドイツでは二十五キロワットアワー平米年、これが最低基準になっているわけです。日本の場合は九十七ということですから、三・八八倍、四倍も違うということになります。そして、下の方、ほかの地域を見ていても同じようなことが言えます。

 ちょっと裏面を見てもらいたいんですけれども、このパッシブハウス基準と日本の改正省エネ基準、暖房負荷を比べてみましょう。

 暖房に係るエネルギー消費量がどのぐらいになるかということでありますが、ドイツのパッシブハウス基準十五、そして日本の改正省エネ基準六地域、東京は九十五、実に六・三三倍、こういうことになっています。これはすなわち、暖房負荷が六倍ということは、同じ温度を室内で維持するのに六倍エネルギーを必要とする、こういうことにほかならないわけです。

 ドイツでは、パッシブハウス基準、二〇一五年で、新築建物で義務化をされました。さらに進んで、二〇二一年には、住宅を含めた全ての建物で新築はゼロエネルギーにするということが義務化をされる方向で議論が進んでいるそうであります。つまり、消費するエネルギー量と屋根の太陽光パネルとかでつくり出されるエネルギーの量、これが差引きゼロ以下になる、そういう建物でなければ、ドイツはそもそも建物が建てられなくなるということになるわけです。

 こうしてドイツは、累次にわたって、断熱政令、省エネ政令を出して、義務化された最低基準を設定をし、建物と住宅の断熱性能、省エネ性能の向上を推進してきたわけです。一方、日本では、一九九九年の改正省エネ基準からずっと事実上の足踏みを続けていて、ドイツと比べると三十年おくれている、こういうふうに言われているありさまです。

 最近になって、ZEHだ、ゼロエネルギー住宅だということで、そのゼロエネルギー住宅の基準も設けられましたけれども、このゼロエネルギー住宅の建物の外皮の断熱性能の基準も、これはヨーロッパ、ドイツを含めて、諸国の最低基準を下回っている。ゼロエネルギー住宅だ、一番進んでいるんだと言っているものだって、ヨーロッパの義務化された最低基準すらクリアできていない状況であるわけです。

 この改正省エネ基準、はっきり言えば、これすらおくれているということを言ってきたわけですけれども、その適合義務化を二〇二〇年にようやくやろうということになっているわけですけれども、しかし、先ほど申し上げたとおり、現状において、新築ですら、適合している住宅は半数以下しかないわけです。

 もう二年前ですけれども、二〇二〇年に予定どおり、全建築物を対象に、この改正省エネ基準適合義務化は、せめて実施を予定どおりされるんでしょうか。この期に及んで、立ちおくれたこの改正省エネ基準の義務化すら仮に先送りをしてしまったとすれば、世界の物笑いの種になりかねないというふうに思いますけれども、一体どうするのかということについてお伺いをしたいと思います。

簗大臣政務官 お答えをいたします。

 地球温暖化対策計画等において、規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化することとされています。

 省エネ基準への適合義務化については、省エネ基準への適合状況の推移を見ながら、規制による費用負担と効果のバランス、規制の必要性に対する国民の理解、そして建築主などの申請側と審査側の体制整備の状況などを総合的に勘案しながら、検討を進めていくこととしております。

 このため、まずは、住宅、建築物の省エネ性能に関する実態について徹底的に把握、検証を行い、その結果を踏まえ、丁寧に検討を進めていくことが重要であると考えております。

 昨年九月より、学識者や業界団体の方々をメンバーとする、住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会を立ち上げ、住宅、建築物の省エネ性能の実態把握、検証や、省エネ基準への適合率のさらなる向上等に関する課題の整理等に向け、議論を進めているところでございます。

 本研究会の取りまとめの後、審議会等において、本研究会の検討結果を踏まえ、具体の制度設計について検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

柿沢委員 それは事実上、二〇二〇年の、この改正省エネ基準の適合義務化を明言しなかったということになるんじゃないですかね。まずは調査を行ってというような話もありましたけれども、これは二年後ですよ、二年後。しかも、現状、新築において半分以上が適合していない。これが建築確認を通っている。この状態で二年後にやれるんですか。これはなかなかお寒い状況だと言わざるを得ないのではないかと思います。

 先ほど資料で示したとおり、ドイツのパッシブハウス基準と比較をすると、これは暖房負荷でいえば六倍違う。そのような状況であるのが、今、適合義務化が云々かんぬん言っている日本の改正省エネ基準なわけです。これだけヨーロッパと比べて断熱性能が低い、つまりはエネルギー効率が悪いということですよ。こういう住宅を放置をしていて、そして、何か二〇三〇年にはCO2二六%削減だ、家庭部門からは四割削減だ、こういうことを言っている。こんな状況を環境大臣、どう思いますか。

中川国務大臣 住宅におけるエネルギー消費につきましては、必要なときに必要な部屋にだけ暖房を行うことの多い我が国には、住宅全体を暖める欧米と比較して、世帯当たりのエネルギー消費量が小さくなっているということは事実だと思います。

 他方で、住宅の快適性を高めながら省エネを実現するために重要となる、住宅の窓を含む断熱性能という意味では、我が国の住宅は欧州と比べるとまだ改善の余地があるということは事実でございます。今先生からお示しをいただきました表を見ましても、そのことは十分に認識されるわけでございます。

 我が国としては、この住宅の問題につきましても、諸外国に比べておくれている部分については、今後どのような改善を図って追いついていったらいいのかというようなことも含めて、しっかりと研究していかなければならないと思っております。

 環境省としては、まずは、住宅の省エネ性能を向上させるため、ZEH化の支援や既存住宅の断熱リフォームの支援に取り組んでまいりたいと考えております。

柿沢委員 改善の余地があるどころじゃないんですよ。これは著しく世界におくれているんですよ。これをどうしていくかということについて、お話を進めてまいりたいと思います。

 今、中川大臣の御答弁の中で窓の話がありました。この間、最初に、今期、環境委員会で質問したときに、日本のアルミサッシ九割というのは世界ではあり得ない状況だという話をしましたけれども、たしかあのとき松島委員長から、そんなことあるのというお話をいただきましたので、リクエストにお応えして、これから窓の話をしたいと思っているんです。

 窓の断熱性能をはかる数値として、U値又はUw値、熱貫流率という数値のものがあります。三枚目の資料のところにつけておきましたけれども、これは日本は、さっき言ったように、義務化された基準はないんですね。つまり、これ以下の性能のものをつくっちゃだめよという基準はないんです。

 改正省エネ基準の数値というのがあるわけなんですけれども、この表に書いてあるとおり、そこで東京地域において目安とされている値というのは、四・六五という数値なんですね。四・六五というのはどういう数値かといえば、書いてあるとおりですよ。さっきから言っているドイツ、ドイツは先進国だから特別なんだろう、そんなことないんですよ。ヨーロッパの国々は大体二以下、こういうことが最低基準として設けられているわけです。

 そして、先進国だけじゃないですよ。中国が先進国かどうかというのはありますけれども、中国ですらと言ったら申しわけないけれども、しかし、東京と同じ程度の地域においては二・五という最低基準を設けているんです。

 で、日本はどうか。まず基準がない。示されている目安の基準も四・六五、こういう極めて低い数値になっているわけです。

 ちなみに、これは余り御気分を害さずに聞いていただきたいんですけれども、この四・六五というのがどういうレベルかというと、アメリカやヨーロッパに持っていくと、性能が悪過ぎて犬小屋でも使わないレベルだと、あるウエブサイトでは書かれていました。お隣の韓国や中国でも、法律の最低基準を満たしていないので住宅では使用できません、あるウエブサイトにこう書かれていました。

 そのレベルの窓を新築住宅で堂々と使えて、そして、ごらんのとおり、右側を見ていただくと、四・六五で、省エネ建材等級ラベル、星一つはもらえる、これが日本の状況なんですよ。

 それどころか、既存の住宅ストックの六千万戸を見れば、そのうち八割が今のU値でいうと六・五、これは世界最低レベルの性能ですね。単板ガラスのアルミサッシです。そもそも、先ほどからも申し上げているとおり、アルミサッシが九割というのが世界の非常識でもあるわけです。

 この資料の裏面をめくっていただきたいと思います。

 アルミの熱伝導率、書いてありますけれども、ちょっと小さい字で。これ、二百ワット・パー・mKという数値でありますが、樹脂を見ていただくと、これは〇・二という数値になっています。木は〇・一六ということで、つまり、これは、アルミサッシは樹脂サッシや木製サッシと比べて千倍以上も熱を通しやすい、こういうことなわけですよ。にもかかわらず、この日本では、その熱を逃しやすいアルミサッシが窓全体の九割を占めていて、樹脂は一〇%ほど、そして、木製サッシに至っては何と〇・二%のシェアしかない。これが現状なんです。

 ドイツでは、樹脂サッシが五五%、木製サッシが二五%、アルミサッシが二〇%、これは資料をもとにそう、この間ネットで書いたんですけれども、それは違うと言われまして、実は、この統計でアルミサッシと言われているものは、アルミクラッドサッシといって、木製サッシにお化粧というか、表面にカバーみたいな形でアルミをつけているだけで、これは事実上木製サッシなんだと。だから、このアルミサッシ二〇%というのは木製サッシにカウントすべきで、ドイツは樹脂が五五%、木が四五%、こういうことです。

 アメリカでは、樹脂が四六%、木が三八%、アルミサッシ一六%。これにも今のアルミクラッドが入っていますから、本当に日本みたいなアルミサッシはもっと低いと思います。それどころか、アメリカでは、断熱性能が低いからということで、五十州のうち二十四州までがアルミサッシの使用そのものを禁止しているんですよ。

 こういう状況になっているのが世界の動向なわけです。

 住宅部門の消費エネルギーの三割は冷暖房です。先ほど申し上げたように、冷暖房におけるエネルギー性能の向上というのは、断熱性能の向上、とりわけ窓の性能の向上にかかっているわけです。しかるに日本は、アルミサッシ九割、熱貫流率のU値でいうと六・五、世界最低レベル。ちょっと繰り返しで申しわけないですけれども、こんな言い方をしたら本当に心苦しいですが、しかし、犬小屋レベルの窓がまかり通るというお寒い限りの窓後進国になっている。

 この現状について、環境大臣、問題意識を感じませんか。

中川国務大臣 住宅部門のエネルギーの効率化というものは、これは重要な課題だというふうに認識しております。今先生の御指摘を承りまして、そういった認識を更に深めたところでございまして、これから住宅、家庭部門の省エネルギー化を図っていく、そのための御示唆をいただいたというふうに認識をしております。

 住宅の省エネ性能につきましては、我が国でも、平成二十八年四月に施行された建築物省エネ法の中で、窓を含めた住宅の断熱性能を評価する指標である熱貫流率、UA値の基準値が設定されておりまして、環境省としても、この基準を満たす省エネ性能の高い住宅の新設を始めとする住宅の省エネ化の促進に取り組んでいるところでございますし、今後も取り組んでまいりたいと思いますが、さらに、今の御指摘を踏まえて、一層の省エネ化を図っていかなければならないというふうに認識しております。

柿沢委員 一般的な住宅では、夏場の冷房の涼しさの七割が窓から逃げていきます。冬場の暖房の暖かさの七割がやはり窓から逃げていきます。ですから、窓は重要なんです。

 先ほどドイツのパッシブハウス基準との比較を紹介しましたけれども、窓などの断熱性能が低いと、それだけ朝昼晩の室内の気温差は大きくなってしまいますし、一定の温度に保とうとすれば、冷暖房をがんがん回さなければいけなくなる。だから、日本の住宅とドイツの住宅で、六倍も冷暖房効率が劣るということになっているわけです。

 それどころか、断熱性と気密性を軽視してきた結果、日本の住宅の朝起きたときの室温は、六度とか七度とか、べらぼうに諸外国と比べて寒くなっているわけです。

 ちなみに、ウェザーニューズ社が調べているんですけれども、冬場の朝起きたときの室温が最も寒いところはどこだか御存じですか。これは北海道とか東北じゃないんですよ。一位は長野県です。しかし、二位は大分県、三位は宮崎県、四位は佐賀県なんですよ。断熱性能が低くてそれでいいとされている地域区分の九州が、朝の室温の低さでは上位にランキングされているんです。

 ちなみに言っておきますけれども、私は別にドイツ信奉者ではありませんけれども、ドイツでは、室内温度が十八度以下ということになった物件は、そもそも賃貸住宅として貸し出すことができません。つまり、人間の生活の質にかかわるということになっているわけです。

 この状況、日本の状況を象徴的に示しているのが、ヒートショックによる死者の問題だと思うんです。

 夜の入浴時、暖めた居間から冷えた脱衣所に入って、裸になって、そしてお風呂場に入って熱い湯に入るわけです。この、暖かいところから寒いところ、そして熱いお湯ということで、日本は、入浴時、脳卒中などを起こしてそのまま亡くなってしまう方が世界で突出して多い国になっています。

 ちなみに、厚生労働省の調査によると、入浴中の事故死の数は年間一万九千人、こういうことになっていて、交通事故の死者数が四千人ですから、その四倍以上がお風呂で亡くなっているということになるわけです。住宅の断熱性能の低さによって、命の危険がもたらされているわけなんですね。

 熱が逃げると、もちろん結露も発生します。家は朽ちるし、カビは生えるし、住み心地は悪い。ぜんそくのもとにもなると言われている。結露に悩まされている方も大変多いわけです。

 長々お話ししてきましたけれども、この問題を解決するのが、アルミサッシから断熱性能のはるかに高い木製サッシや樹脂サッシに転換することなんですよ。先ほど申し上げたとおり、木製サッシ、木はアルミと熱伝導率が千二百倍違います。樹脂とアルミで千倍違います。それだけ、熱を逃がさずにエネルギー効率が高くなるわけです。

 アルミサッシから同程度の複層ガラスの樹脂サッシや木製サッシにかえると、ガラスは同じでも、かえるだけで、それだけで電気の消費量が二割減らせる、こういう計算もあるんですね。

 とりわけ木製サッシは、〇・二%しかシェアはないですけれども、自然の木材を材料に使うので、電気の塊のようなアルミや、あるいは樹脂だって石油製品みたいなものですよね、石油製品そのものです、製造段階での消費エネルギーも格段に少なくて済むわけです。

 ちなみに、製造段階で消費されるエネルギーは、アルミサッシと木製サッシで百五十倍違うということであります。大体、消費エネルギー量でいうと、プリウスを一台充電するのを四百回分ぐらい違うということで、それだけ電力を製造段階でも削減できることになるわけです。しかも、材料となる木材は、リサイクルも可能な、山から生み出される国産の資源ということになるわけです。

 二枚目の資料なんですが、これは新聞記事ですけれども、木製サッシで日本の窓を変えようということで、青森県十和田市に昨年五月に操業を開始した、その名も株式会社日本の窓、こういう会社があります。

 その木製サッシの工場を私は見てきました。もともとは世田谷を中心にデザイン性の高い注文住宅を手がける工務店の東京組という会社の中野渡利八郎会長が、みずからの出身地にオープンをさせたものであります。

 青森県産の杉でつくられた美しい木造建築の工場なんですけれども、ここで、地元で採用された二十四人の若者が今働いております。イタリアから最新鋭の木工機械を入れて、窓枠に液体ガラスを塗布する。ロボットでやっているんですけれどもね、見事なものでしたけれども。これは、地元の杉の間伐材を使った国産の木製サッシの工場大量生産に、今、取り組んでいます。

 当面は、一日六十窓、年間一万五千窓、これは大体千棟分になるそうですけれども、この生産量を目指して、工場稼働から半年余りで、既に一日当たり五十窓の生産体制に達したということであります。

 ちなみに、これまで既存の木製サッシメーカーの年間生産量が二万窓、年間ということですから、この一万五千窓の生産体制というのは、単体の工場としては画期的な大量生産体制ということが言えると思います。

 これまで、木製サッシというと、高級注文建築で主に使用されて、何かヨーロッパ風のおしゃれな、高価なぜいたく品、こういうふうにみなされてきました。アルミサッシと比べても二倍、樹脂サッシと比べても一・五倍、こういう価格差があったのも事実です。それだけに利用も広がらず、また、アルミサッシと比べて、あってなきがごとしの〇・二%のシェアにとどまってきたわけです。

 しかし、この工場では、地元の地域材の杉の間伐材を使って、しかも大量生産が可能となって、これまでとは違って、中小工務店向けには大体、樹脂サッシと引けをとらない価格で卸せるようになったというんですね。日本の豊富な木材を活用し、生産ラインを整えれば、アルミサッシ並みのコストで実現できるということを中野渡会長は語っておられます。

 評判を聞きつけて、東京から新幹線で三時間以上かかる青森県十和田市の工場に、わずか一年足らずの間に、青森県知事や林野庁の高官を始め千三百人もの人たちが見に来ているそうであります。

 ちなみに、もっといいこともあるんですよ。本場のイタリアやドイツでも、木製サッシのメーカーというのは比較的やはり小規模な工場が森林の裾野に点在をする、こういうものになっています。つまり、それだけ森林・林業地域の経済振興や雇用創出に資するということになるわけです。

 現に、日本の窓の工場でも、地元で採用された若者が働いていて、みんな、アパレル、肉屋、大工、精密機械、業界の外から、この工場には夢があるといって飛び込んできた若者たちですよ。こういう形で、まさに地域活性化にも資する、森林・林業地域の産業振興にも資する、これが木製サッシなんですよ。

 この木製サッシ、〇・二%ですよ。一%にするだけでシェア五倍になるんですから。これ、私は普及拡大をやはり強力に推進するべきだと思います。環境大臣、ぜひ御感想を聞かせてください。

中川国務大臣 木製サッシにつきましては、先生御指摘のとおり、一般的にアルミサッシより大幅に省エネ性能が高く、また、間伐材を利用すれば森林保全や林業振興にも役立つというふうに認識しております。

 他方、メンテナンスが必要である、水をはじくための塗装が必要である、そういった問題もあるというふうに認識をしております。

 環境省といたしましては、平成三十年度予算案の中で、既存住宅の断熱リフォームを推進する事業を盛り込んでおりまして、木製サッシについても、要件を満たせば、その対象とすることを考えております。

 今の先生の御指摘を十分に踏まえて、今後とも研究をして、検討してまいりたいと思っております。

柿沢委員 省エネ断熱リフォームの助成金があるので、その中に木製サッシが基準を満たせばと。もうちょっとがあんと言っていただきたかったところなんですけれども、御趣旨は酌み取っていただけたのではないかと思います。

 林野庁長官もお見えですから、これからちょっとお伺いしますが、先日、福島県いわき市で、CLTを使った復興住宅を私は見てきたんです。CLTを構造材として使った木造三階建ての四棟、集合住宅としては、これは国内最大級の延べ床面積となるCLT建築となります。ここに浪江、双葉、大熊、富岡の各被災者の皆さんが入居をすることになるわけです。

 これも地元の福島県の、会津地方の企業経営者が、地元の資源である森林を活用して地域の産業振興を図ろうという意欲的な取組を進めている。その一環として、このCLTの復興住宅が建てられているんですね。だけれども、私は現地を見て、やはりそうかとちょっと残念に思ったことがあったんです。

 木を使ってCLTで意欲的な木造建築をつくろうというんですけれども、見てみたら、窓のサッシはやはりアルミなんですよ。何で、木を使うことをテーマとした現場で、それでも窓枠がアルミサッシなんですか。木製サッシが普通に出回るようになるためには、やはりコスト競争力もなければならないし、生産体制の強化も必要。しかし、何よりも、こういうときの選択肢に木製サッシが入ってくる政策の後押しの力がやはり必要なんだということを感じました。

 林野庁長官、また国交省の方からもお伺いしたいと思いますけれども、木製サッシの普及拡大、私は国策として進める価値のあるものではないかと思いますけれども、それぞれの御見解をお伺いをしたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 私も、実を言いますと、その青森の工場を見てまいりまして……(柿沢委員「知っています。ぜひ感想を聞かせてください」と呼ぶ)はい。非常にすばらしい工場だと思っております。近代的なすばらしいラインを持っている工場でございますし、ああいう工場がこれから日本の各地で、山村地域でできてくれば、非常に楽しい姿が描けるんじゃないかなと思っております。

 それで、まず、我が国でございますけれども、戦後造成されました森林資源が本格的な利用期を迎えてございます。そうした中で、これらの森林資源をきちんと循環利用していく、先生もさっきおっしゃられましたように、間伐材をきちんと利用していくとか、循環利用していくことが非常に重要でございまして、林業の成長産業化といった面でも非常に大切なことだと思っております。

 こうした中、木製サッシでございますけれども、この普及拡大に向けましては、おっしゃられましたように、あそこも杉を使っておられまして、針葉樹の無垢材、これを使っていくということが非常に多くなっていくのではないかなと考えております。構造材に比べまして付加価値が非常に高まりますので、そうした意味におきましては、林業の採算性といった面でもメリットがあるのではないかなと考えてございます。

 これまでも林野庁の方では、こうした針葉樹の内装への利用とか技術開発とか、科学的データの蓄積に取り組んできておりますけれども、特にこの三十年度の予算案におきましては、顔の見える木材での快適空間づくり事業という事業の中で、これまでの住宅分野に加えまして、新たな、建具とかそれから家具、こうしたものを支援対象といたしまして、開発、普及に必要な予算を計上しているところでございます。

 引き続き、木製のサッシ、こうしたものが全国で普及されるように努力したいと思います。よろしくお願いいたします。

簗大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、木製サッシは金属製サッシと比べて熱を伝えにくいという優位性があることから、建築物省エネ法に基づく省エネ基準の適用に当たっては、断熱性能が高いものと評価しております。

 また、省エネ技術の普及を図るため、関連団体の協力も得つつ、中小工務店等を対象とする、省エネ住宅に関する講習会を全国で実施しておりますが、その中で、断熱性能の高いサッシの情報も含めて周知を図っているところでございます。

 なお、木製サッシの窓を、隣地境界線等に近い、延焼のおそれのある部分に使用する場合、建築基準法上の防火設備に関する基準に適合させる必要があります。この基準における一般的な告示仕様には鉄製サッシの窓のみが規定されているため、木製サッシについては、個別に大臣認定を受ける必要があります。

 現在、木製サッシの窓に関する大臣認定については、既に百四十五件の実績があり、更に今後のニーズを見据え、標準的な仕様を大臣認定を受けずに使用できるよう、告示仕様に位置づけるための実験や技術的検討を進めているところでございます。

 今後とも、こうした取組を通じて木製サッシの普及に努めてまいりたい、そのように考えております。

柿沢委員 今、御答弁でちょっと誤解を招くようなことをおっしゃられたので、私、ちょっと補足で申し上げますけれども、木製サッシは、耐火性能、防火性能もアルミや鉄より高いですよ。

 つまり、例えば、八百度の炎に包まれた場合どうなるかといえば、アルミというのは六百度ぐらいで溶けてしまうんですね。溶け落ちたアルミのサッシのすき間から火が室内に入ってくるということになるんです。だけれども、木はそうではなくて、むしろ、炭化して、逆に熱を通しにくくなりますから、私は実際に実験を拝見をしましたけれども、アルミではもう火が回ってしまったような分数、十五分、二十分の分数を、木製サッシの方では持ちこたえているという比較試験の様子も拝見をさせていただきました。

 木製サッシが火に弱いというのは必ずしも真実ではないと思いますので、そうした点、ぜひ、デメリットであるかのように喧伝をされないでいただきたいというふうに思います。

 既存住宅のリフォームについて、ちょっとお話をお伺いをしたいと思います。

 私、大蔵省出身の中川大臣にぜひお伺いしたいことがあるんですよ。

 既存の住宅ストックの六千万戸、そのうち八百二十万戸はもう空き家ですね。昨年のベストセラーの「未来の年表」の河合雅司先生が書いていますけれども、二〇三三年には、空き家の件数が二千百六十七万戸、二・六倍にふえて、全国の三軒に一軒が空き家になってしまうわけですよね。

 これ、何が原因かといえば、やはり僕は新築住宅の供給過剰だと思うんですよ。そもそも、これから人口減少が確実に急速に進んでいくのに、年間百万戸近く新築住宅がじゃんじゃんじゃんじゃん供給されているわけです。住宅総数は、とうに総世帯数を上回っている。

 これ、結局、何が起こるかわかっていながら、景気対策を優先して、住宅ローン減税で優遇までしながら新築住宅をじゃんじゃんつくってきた、こういう結果ではありませんか。あまつさえ、相続税対策としてアパートが雨後のタケノコみたくつくられて、地銀を始めとする金融機関はそれに貸し込んできているわけですね。人口減少社会の中で、ロークオリティーな住宅ストックが無用に積み上がっていくのを政策的に誘導しているようなものだと思うんですよ。

 ちなみに、ドイツ、ドイツの話ばかりして恐縮なんですけれども、しかし、総世帯数が四千万、ちなみに住宅ストックは四千万、ちょうど勘定が合っているんです。つまり、新築住宅の供給量を抑制をしているんですね。ドイツは、大体年間十八万戸ぐらいしか新築住宅は出てきません。そのかわり、住宅の省エネに対して補助金や税制優遇をどんとやって、むしろ、今まで新築住宅を建ててきた工務店の皆さんをこのリフォームの方に回していくということで、雇用も維持をしていくということをやっているわけです。

 しかも、これで省エネリフォームをやって、一%省エネ性能が上がれば、日本でいえば二十兆円、化石燃料を輸入して国富の流出が行われている、その二十兆円のうち、一%ですから年間二千億円のお金がリフォームに回って、これは国内を循環していくということにもなるわけです。海外に流れちゃっているお金が、この省エネリフォームを通じて日本の国内で還流する、こういうことにもなるわけです。

 私は、今何か、新築住宅で省エネ性能を高めることばかり言っているんですけれども、既存の住宅ストックの改修を行っていくことがもっともっと大事なのではないかと思うんです。その点について、また、先ほど申し上げたように今までの住宅政策のあり方についても、もしよかったら大臣のお話を聞かせていただきたいと思います。

中川国務大臣 今後の住宅のあり方として、中古住宅を、省エネを実現する断熱リフォームを推進して有効に活用していくということは、極めて望ましい方向だというふうに考えております。

 既存の住宅ストックの断熱性の能力の向上を図っていくということは、CO2の大幅削減のためにも、また健康で快適な暮らしを実現するためにも、大変重要であるというふうに考えております。そのため、断熱リフォームへの支援や、国民、工務店への断熱リフォームのメリットを知っていただくための普及啓発が必要であるというふうに考えます。

 こうした考えのもと、環境省では、平成三十年度予算案の中で、既存住宅を、高性能な建材を組み合わせて、現行基準よりも一五%以上の暖冷房の省エネを実現する断熱リフォームを推進する事業を盛り込んでいるところでございます。

 また、クールチョイス、賢い選択の旗印のもと、温暖化対策の普及啓発の一環で、省エネリフォームのパンフレットの作成、配布、工務店の方向けに断熱リフォームの方法や効果などを解説したガイドブックの作成、配布などに取り組んでいるところでございます。

柿沢委員 先ほど申し上げたように、日本の住宅はほとんど断熱化されていません。改正省エネ基準を満たした住宅、これも不十分な基準だと私は思いますけれども、これ自体、既存のストックの五%程度しかないわけです。つまり、五千万戸の断熱リフォーム需要が存在をしているということになるわけでありますので、私は、そういう意味では、この断熱リフォームに転換していくということがやはり望ましいのではないかというように思います。

 最後に、一番最後の資料をちょっとごらんをいただければと思います。これは興味深い事例です。

 京都の西京極大門ハイツというマンションなんですけれども、ここが、築四十年を経過した百九十戸のマンションなんですが、二〇一一年には窓ガラスを、通常の窓より断熱性能が四倍高い、さっきの値でいうと一・四という二重の真空ガラスに交換をしました。そして、二〇一四年には建物の外断熱改修工事をやりました。内断熱と外断熱の違いは資料に書いてあるとおりですので。その資料の表面です、大臣。

 その二つの省エネ改修をやったんですね。この改修の効果はどうだったかというと、裏面のとおり、電気使用量は、ごらんのとおり、断熱ガラスの導入で一五%下がり、更に外断熱で一〇%近く、合わせて二五%近くの削減になっている。冬場の光熱費が三分の一になった、こういう御家庭もあるそうであります。

 結果、ここが結構驚いていたんですけれども、築四十年超の老朽マンションのはずなのに、このマンション、西京極大門ハイツは、購入時より資産価値が上がっているんですね。最近の中古価格は一千二百万から一千六百万ぐらいで、四十年前の購入時より二割から六割ぐらい上がっているんです。周りはそんな傾向はないということですから、これは改修、断熱効果だと思います。

 これから、築四十年過ぎて建てかえを検討しなければならないマンションというのは、全国で百六十二万戸に上るとされています。戸建て住宅と違って、これらのマンションはスクラップはできにくい。リフォームによって断熱性能、エネルギー性能を向上して、ストックとして長く使い続けていく、こういう方向への転換が求められていると思います。

 ちなみに、今回の、国が進めているゼロエネルギー住宅の事業というのは、ネットでゼロになればいいということで、断熱性能がそれほど高くなくても、設備やあるいは太陽光パネルで差引きゼロならこれでいいみたいなことをやっているんですけれども、やはり、ランニングコストを考えて、建物の長寿命化を考えれば、この躯体の外断熱化であるとか、特に集合住宅、マンションにおいて、こういう断熱性能の向上、外皮性能の向上にむしろ力を入れてこの事業を進めていく、そういう方向を示していく必要があるというふうに思います。

 ぜひ、そうした形で既存の住宅ストックのエネルギー性能の向上を進めていく、大臣の決意をお聞きしたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 外断熱化を含む断熱性能の向上は、暖冷房エネルギーの削減を通じ、住宅の省エネ化に資するものと考えております。

 環境省では、平成三十年度予算案に、集合住宅等をZEHにする補助事業を盛り込んでいるところでございます。いずれの断熱工法にしても、集合住宅のZEHの要件を満たせば、その対象になり得るところでございます。適切かつ効果的に執行することにより、断熱性能の向上を促進してまいりたいと考えております。

柿沢委員 最後に申し上げた点、設備やあるいは太陽光パネルによる創エネ、そっちで帳尻を合わせるというような形でなくて、建物のエネルギー性能の向上、中でも断熱性能の向上、窓、木製サッシ、こういうことをまず優先して行うというそのマインドを持っていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、江田康幸さん。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 私、ずっと環境委員会に所属しておりましたが、昨年の特別国会ではちょっと一時離れておりましたので、大変おくればせながらでございますが、中川環境大臣、大臣就任おめでとうございます。

 本日は大臣所信に対する質疑ということでございまして、私は、今回は、地球温暖化対策を始め、また循環型社会、そして自然との共生、幅広くまずは質問をさせていただくことにしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、地球温暖化対策関連についてでございますが、最初にパリ協定についてお伺いをさせていただきます。

 昨年十一月にドイツで開催されたCOP23には、中川環境大臣が日本の政府代表団長として参加されたところでございます。

 パリ協定は、京都議定書にかわる二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際約束で、国際的な枠組みでありまして、先進国だけでなく途上国含む全ての国が参加する、まさに歴史的、画期的なものでございました。

 COP23では、そのパリ協定の実施指針等々についてその交渉が行われたところでありましょうけれども、次のCOP24では、パリ協定のこの実施指針が採択されることになっているものと承知しております。この実施指針の交渉では、先進国と途上国に意見の隔たりがあると聞いておりまして、今後も難しい局面も予想されるわけでございましょう。

 そこで、COP24に向けて、気候変動の国際交渉、国際的な気候変動対策にどのように取り組んでいかれるか、大臣にお伺いをいたします。

 あわせてでございますが、パリ協定から脱退を表明した米国の対応についても、改めてお伺いしたい。

 昨年夏、私、この環境委員会で委員派遣の一員として訪米をいたしまして、環境保護庁また国務省とも面会をさせていただきました。アメリカ政府は、国連気候変動枠組み条約のもとで、どういった形でアメリカがこの気候変動政策にコミットするべきか模索してはいるものの、パリ協定にかわるビジョン、またメカニズムを提案する、そういう具体的な考えは持ち合わせていませんでした。

 最近では、トランプ大統領が、一般教書演説の中で気候変動対策に一切言及しなかった一方で、アメリカに有利な条件が整えばパリ協定への復帰を検討する考えを示したという報道もございました。

 パリ協定で言及している、今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収を均衡させる目標を達成するためには、世界第二位のアメリカがこのパリ協定に復帰することが、第二位の何かを言っておりませんでしたが、世界第二位の温室効果ガス排出国であるアメリカがこのパリ協定に復帰することが非常に重要であり、我が国がアメリカの復帰に関して主導的な役割を果たすべきだと考えますが、大臣、米国への今後の対応についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 COP24は、パリ協定の実施指針が策定される大変重要なCOPとなります。パリ協定が実効性のあるものとなるよう、まずは五月の首席交渉官級会合などにおいて、しっかりと日本の立場を主張してまいりたいと考えております。

 また、COP23で公表いたしました日本の気候変動対策支援イニシアティブ二〇一七に基づき、我が国の経験や先進的な技術を生かした具体的な途上国支援を進めてまいります。

 今後、国内対策はもちろん、国際的な観点でも日本が役割と責任をしっかり果たすことで、世界の気候変動対策に貢献してまいります。

 米国との関係についてでございますが、私も、昨年十一月のCOP23に出席した機会に米国の代表と会談を行いまして、日米両国がパリ協定のもとで気候変動対策を実施していくことが重要であるということを申し上げたところでございます。また、とかしき副大臣も、国際会議におきまして、米国の代表の方とそうしたお話をしているわけでございます。

 気候変動問題は世界全体で取り組むべき課題でありまして、全ての国が大きな関心を持って取組を進めていくことが重要だと考えております。

 今後も、引き続き、さまざまな機会を捉えて、米国がパリ協定のもと気候変動対策に取り組むことの必要性を伝えていきたいと考えております。

江田(康)委員 引き続いて、国内の温暖化対策、特に水素を含めた再生可能エネルギーについてお伺いをさせていただきます。

 パリ協定、今大臣からも申していただきましたこのパリ協定のもとで、我が国は、一昨年に閣議決定した地球温暖化対策計画において、温室効果ガスの三〇年二六%の削減の達成と、そして五〇年八〇%削減を目指すことを目標にしたわけでございますけれども、これらの目標達成には、やはり再生可能エネルギーを最大限導入していくことが必要不可欠であると考えております。

 再エネの拡大については、公明党が中心となって立ち上げさせていただきましたけれども、再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議というのがございますが、そこを中心に関係省庁が連携して取組を進めてまいりました。さらなる導入拡大を進めるためには、やはり革新的な技術開発、特に水素エネルギーの利活用が必要不可欠だと思っております。

 水素は利用時にCO2を排出しない、再生可能エネルギーで製造した水素はCO2フリーのエネルギーとなります。再エネを水素に変換することで、貯蔵や運搬も容易になるわけであります。

 昨年十二月に政府が策定したのが水素基本戦略でございましたが、そのもとで水素社会実現に向けた取組が加速することを私は大変期待しているわけでございますけれども、この水素利用を含めた再エネの普及拡大に向けて、環境省としての具体的な取組、決意をお伺いをさせていただきたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーにつきましては、我が国の温室効果ガス二六%削減目標の達成、そして、それからその後のさらなる大幅削減の鍵を握るエネルギーであるというふうに考えておりますし、また、同時に、経済成長ですとかあるいは地方の創生にも非常に役立つものだというふうに認識をしてございます。

 環境省としても、再エネ、再生可能エネルギー導入の最大化、加速化のために、自治体や例えば企業におきまして費用対効果の高い再生可能エネルギー設備を導入する際の検討の支援ですとか設備の補助、さらには、ポテンシャルの大きい洋上風力の低コスト化、そして風力発電などの環境アセスの迅速化、導入を促進すべきエリアや環境保全を優先すべきエリアなどのゾーニング手法の検討などに取り組んでまいります。

 それから、再エネ、再生可能エネルギー由来の水素でございますけれども、再生可能エネルギーを、おっしゃるように最大限導入するための鍵となる技術だというふうに考えてございます。私ども環境省といたしましても、地域の再生可能エネルギーから水素を製造し、そして貯蔵、輸送を経て利用するまでの低炭素な水素サプライチェーンの実証などを実施しております。

 こうした施策を通じまして、将来的に再生可能エネルギーが我が国の基幹エネルギー源となり、CO2の大幅削減が実現できるよう、引き続き関係省庁とも連携して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

江田(康)委員 先ほどから、再生可能エネルギーを含む新たなエネルギーの方向性等々が激しく議論されているわけでございますけれども、私は、五〇年八〇%を目指すというような意味においては、やはり今までの延長線、この中期目標のような延長線ではなくて、やはり画期的なイノベーションというか、そういうものがないと、我が国は達成できない、また世界もそうだと思っております。

 その核心をついてくるのが、やはり、再エネの中でも、再エネを活用した水素というものでありましょうし、やはり将来的には、水素発電というようなものをしっかりと確立していく方向を進めていけるかどうか、そういうところが、原発を低減させて、そして再生可能エネルギーをさまざまな課題から解き放して基幹電源にしていけるかどうかの鍵だと私は思っておりまして、強力にこれを進めてまいりたいと思っておりますので、またどうぞよろしくお願いをいたします。

 時間に限りがございますので、ちょっと先に飛びますが、自然環境関連の分野について質問をさせていただきます。

 まず、国立公園満喫プロジェクトの全国展開についてお伺いをさせていただきたいんですが、我が国の傑出した自然を指定した国立公園には、美しい自然の中に人の暮らしや営みがあり、雄大かつ繊細な自然環境の魅力のみならず、その自然に育まれた伝統文化、そしてまた、食、温泉など、地元特有の生活に触れられることも大きな魅力であります。

 これは多くの外国人を引きつけるものでありまして、多言語対応、トイレの洋式化、また展望台等のカフェの併設や、景観や体験ツアーの磨き上げ、また海外プロモーションといった、こういう外国人観光客の受入れ環境整備を進めて訪日外国人の国立公園利用者拡大を目指す国立公園満喫プロジェクトは、政府の観光ビジョンの中でも重要な柱と考えております。

 この環境委員会でも、昨年夏でございましたけれども、本プロジェクトで先行的に取組を進める、私の地元でもございますが、八つの公園の一つである阿蘇くじゅう国立公園を視察していただきました。熊本地震からの災害復旧、これは並行して進んでいるわけでございますけれども、その災害からの復旧が進んでいることを確認していただくとともに、草原景観の維持、再生や、多様な宿泊施設、またサイクリングなどの魅力的な体験プログラムの実施などの取組が着実に進んでいることを感じていただきました。

 阿蘇くじゅう国立公園については、引き続き、復旧復興支援の継続とさらなるプロジェクトの推進を図っていただきたいことが一つでございます。

 その上で、二〇年に訪日外国人国立公園利用者数を一千万人にするというこのプロジェクトの目標達成のためには、先行している公園の成果を全国に広げていくことが重要であるわけでありますが、どのように成果を広げていく考えか、見解をお伺いをいたします。

亀澤政府参考人 阿蘇くじゅう国立公園におきましては、環境省直轄事業による阿蘇中岳中央火口の再整備を始め、補助金等による被災した草千里給水施設の再整備等、おととしの地震災害及び噴火災害からの復旧復興支援を継続して進めております。

 また、おととし七月には、阿蘇くじゅう国立公園を含む八つの国立公園を国立公園満喫プロジェクトで先行的に取組を進める公園に選定し、自治体や民間事業者等と連携して、国立公園を観光資源として磨き上げる取組や海外への発信等を推進しております。阿蘇くじゅう国立公園についても、多言語対応等のほか、外国人ライター等のアドバイスも受けながら、地域とともに、火山、草原、水をテーマとしたツアーメニューの増強などを進めております。

 先行する八公園の取組の成果につきましては、体験型ガイドツアーの開発とか周遊ルートの開発など、ソフトを中心としてその八公園以外の公園に展開する事業を昨年の十一月から開始をしております。引き続き、先行八公園で集中的に成功事例をつくっていくとともに、他の公園への横展開を進めることで、全国の国立公園の魅力向上につなげてまいりたいと思います。

江田(康)委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 さらに、私、昨年の夏、この環境委員会でアメリカのヨセミテ国立公園も見てまいりました。中川大臣に国際観光旅客税の活用についてお伺いをさせていただきたいと思うわけでございますが、ヨセミテといえば、もう皆様も御存じのように、まさに世界水準の国立公園であって、ナショナルの中のナショナルといいますか、そういうすぐれた公園、規模の大きいものでございました。我が国とアメリカで国立公園の制度は違うものの、ビジターセンターでの情報発信のあり方など、学ぶべき部分が多数あると感じたところでございます。

 そのような中、国際観光旅客税が来年度からスタートするわけでありますが、来年度は一部が国立公園での多言語解説の充実に使われることになっておりますけれども、我が国の売りの一つでもある豊かな自然のすばらしさや大切さをより多くの人々に理解してもらいながら、観光資源として積極的に活用していくためには、国際観光旅客税をより一層活用していくことが重要だと思います。

 環境省では、観光客の満足度向上と一千万人の目標達成に向けて、この財源をどのように活用していくお考えか、中川大臣にお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 国際観光旅客税につきましては、昨年末に観光立国推進閣僚会議にて決定された方針において、その税収を、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上等の三つの分野に充当することとされております。

 この方針に基づき、環境省では、来年度につきましては、その税収を活用して、国立公園におけるICT技術を活用した多言語解説の整備や、外国人利用者の興味、関心に沿ったコンテンツを充実させたウエブサイトの構築を進めたいと考えております。

 さらに、二〇二〇年に訪日外国人の国立公園利用者数を一千万人とする目標を達成するためには、ビジターセンター等における魅力的な多言語解説の充実、外国人利用者のニーズに合った自然体験プログラムの開発などにより、国立公園での体験や滞在の満足度向上を図ってまいります。また、ターゲットごとの海外プロモーションを強化するなど、多岐にわたる施策を強力に進めていく必要がございます。

 平成三十一年度以降も、このような国立公園の体験や滞在の満足度を向上する取組を中心に、当該税制の税収も十分に活用しつつ、本プロジェクト全体を加速化し、目標達成につなげてまいりたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 大臣の御答弁でございます。しっかりと国際観光旅客税を活用して、この一千万人目標達成に向けて支えていただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 もう一つ、自然環境といいますか、関連として、海洋ごみ対策についてお伺いをさせていただきます。

 私どももずっと取り組んできているところでございますけれども、この海洋ごみは、我が国だけでなく世界各国の沿岸に漂着して、地域の観光、漁業への深刻な影響が出ているだけでなくて、マイクロプラスチックというような形で広範に漂流して生態系への影響も懸念されている、地球規模で取り組むべき重大な問題であることは明らかでございます。

 この問題への対策を更に推進するために、現在、我が党では、海岸漂着物処理推進法の改正を検討しているところでございます。自民党の北川先生たちとお力を合わせながら進めていく予定でございますが、この検討の中では、マイクロプラスチックの発生抑制、そして海岸漂着物の原因となる散乱ごみへの対応、また実態把握に向けた国際協力、そして海岸漂着物の回収などに取り組む市町村や民間団体への支援などが課題として挙げられております。

 さきの本会議で、安倍総理が我が党の山口代表の質問に対して、海洋ごみ対策について、各国と連携して総合的な取組を強化する旨の答弁をいただいたところでありますけれども、改めて、こうした課題を解決して海洋ごみ対策を更に推進することに向けて、大臣の決意と考えをお聞かせいただきたい。

中川国務大臣 海洋ごみ対策は極めて重要でございます。

 環境省では、マイクロプラスチックの発生抑制のため、海洋ごみの回収、処理とともに、その原因となるプラスチック等の発生抑制、リユース、リサイクルや適正処理の推進などにより、海洋に流出するごみを減らすための取組を進めているところでございます。

 また、マイクロプラスチックを含めた海洋ごみ対策を国際的に進めていくためには世界的な海洋ごみの実態把握が重要でございまして、我が国は、日本近海の実態把握を進めるとともに、マイクロプラスチックのモニタリング手法を国際的に比較可能なものとするよう調整を主導してまいりたいと考えております。

 一方、国内の漂着ごみ対策には、内陸の地方自治体も含めた流域圏としての取組が重要でございまして、今後、民間団体にも参画いただきながら、流域圏の複数地方自治体が連携した発生抑制対策を推進していきたいと考えております。

 引き続き、関係省庁と連携しつつ、海洋ごみ対策を総合的に推進してまいります。

江田(康)委員 海洋ごみについてはエルマウ・サミットでも取り上げられて、世界的な対応が問われているところでございますが、我々、これから海岸漂着物処理推進法の改正へ向けて議員立法としての提案をしていく予定でございます。他党の皆様のお力も得ながら、成立へ向けて努力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 最後に近くなってまいりましたが、循環型社会関連について御質問をさせていただきます。

 時間がございませんが、数多くございますが、また次なる一般質疑のときにも取り上げさせていただきますけれども、まず最初に、食品ロス対策についてお伺いをさせていただきます。

 環境省や農水省の推計によりますれば、二〇一四年度、日本全体で約六百二十一万トンの食料が、食べられるにもかかわらず捨てられたということであります。これは、国連世界食糧計画による世界全体の食糧支援の二倍にも当たるものであります。循環型社会を形成する上で、食品ロスを減らすことは非常に重要なことだと考えておりまして、それは、二〇一五年に国際連合で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsのターゲットの一つに食品ロスの削減が掲げられたこともあらわされております。

 食品ロスを削減するため、これまでにも、例えば、賞味期限の三分の一までを小売店への納品期限、また次の三分の一までを消費者への販売期限とする業界の商慣習、いわゆる三分の一ルールの見直しや、また消費者一人一人の生活習慣の見直しなど、民間企業や地方公共団体による取組が進められております。

 最近では、恵方巻きの大量販売を見直して、売り切れる量の販売にとどめるというスーパーマーケットの取組についての報道がありました。このようなお店が消費者によって選ばれるようになれば、食品ロスの解決にも一層近づくものと考えております。

 このように、食品ロスの削減は社会全体で取り組むべき課題でありまして、こうしたことから、我々公明党でも、食品ロス削減に向けた法案の提出に向けて現在検討を進めているところでございます。

 これまでにも、環境省を始めとしまして、政府全体で取組が進められてきたところでありますけれども、改めて、環境省として、食品ロス削減目標の設定も含めて、今後この問題にどのように取り組んでいくか、その決意と取組についてお聞かせいただきたいと思います。武部政務官、よろしくお願いします。

武部大臣政務官 食品ロスの問題につきましては、江田先生始め公明党の先生方、大変お世話になっております。

 先生おっしゃるとおり、この問題は、国、自治体、事業者、消費者等、あらゆる主体が一体となって、まさに国民運動として取り組んでいかなければ解決できない課題だと思っております。

 このため、環境省では、関係省庁や自治体と連携しつつ、食品ロスの削減に関する全国の関係者が一堂に集まるイベントを初めて行いました。第一回食品ロス削減全国大会を昨年十月末に開催するなど、食品ロスに関する普及啓蒙に取り組んでおります。

 あわせて、自治体によって進められております食品ロスの削減に係る取組を後押しするため、食品ロス量の把握のための自治体の調査に対する財政的、技術的支援及び学校給食から発生する食品ロス量の削減のためのモデル事業等についても実施しております。

 また、国全体で取組をより一層進めるために、現在改定を進めております第四次循環計画に、我が国の家庭からの食品ロスを二〇三〇年までに半減するという目標を記載することを検討しております。

 環境省としては、食品ロス削減に向けた普及啓発に更に取り組むとともに、自治体による食品ロス削減の取組を支援してまいります。

江田(康)委員 最後に、少し時間がございますので、循環型社会関連分野として、ことしは、循環型社会形成推進基本法から十八年が経過しまして、第四次となる循環基本計画の見直しが進められると伺っております。

 これは大臣にお伺いを最後していきたいと思うんですが、この循環基本法の施行からこれまでの間、市民、自治体、事業者、各主体の取組によって、資源生産性や循環利用率が上昇して、最終処分量が大幅に減少するなど、循環型社会の形成は着実に進展してまいりました。しかし、近年、これらの指標に横ばいの傾向が見られるほかに、世界的には、人口増加や途上国の経済発展による資源制約が強まっております。また、国内的には、人口減少、少子高齢化による資源循環の担い手不足の進展があります。

 このような循環型社会を取り巻く状況には大きな変化があることが事実でございますが、こうした状況の中で、次期循環計画の見直しの進捗が今どういう状況にあるのか、どういう方向性で議論が行われているのか、大臣に最後お聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 循環型社会の形成は、極めて重要な課題でございます。

 今般検討を進めております第四次循環基本計画は、御指摘のように、世界的な資源制約、国内における人口減少、少子高齢化等の社会経済情勢の変化を踏まえ、今後の長期的な方向性を定める重要な計画となります。

 具体的な見直し作業につきましては、昨年度末に検討を開始し、昨年十月に、中央環境審議会において、新計画策定のための具体的な指針を取りまとめていただきました。この指針にのっとりながら検討作業を進めておりまして、二月十五日の中央環境審議会循環部会では、新計画の全体案を提示したところでございます。

 計画全体としては、環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的向上を掲げた上で、重要な方向性として、地域循環共生圏の形成推進による地域の活性化、物質フローのライフサイクル全体での資源効率利用の徹底、適正処理のさらなる推進と環境再生の実施などを掲げ、さらに、今後五年間で各主体が実施すべき取組を示しております。

 ことし前半に新計画を策定できるよう、引き続き中央環境審議会において御審議いただく予定でございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 きょうは、中川大臣始め環境省の副大臣、政務官、副大臣にはお聞きできませんでした、次、予定をさせていただきます。環境行政、しっかりと引っ張っていただきますように、よろしくお願いいたします。

 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

松島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫さん。

福田(昭)委員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 きょうは、中川大臣の所信について、時間の範囲内で何点か質問をさせていただきますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 まず、二〇三〇年度温室効果ガス排出目標の達成についてであります。

 一つ目は、再生可能エネルギーの最大限の導入についてであります。

 大臣は所信の中で、最大限の導入に取り組むと言われておりますけれども、その意味は、エネルギー基本計画の目指すべき量も超えて更に再生可能エネルギーに大胆に取り組む、そういう意味なのかどうか、お伺いをさせていただきます。

中川国務大臣 国民負担を抑制しながら再エネの最大限の導入を図るというのが政府の方針でございます。

 まずは、エネルギーミックスで掲げる再エネ電源比率二二%から二四%の目標達成をより確実なものとすることが重要でございますが、私としては、結果としてその目標を超えて再エネの導入を拡大するという意気込みで、全力で取り組んでいく決意でございます。

福田(昭)委員 ぜひ大臣、目標をはるかに超えるような努力をお願いしたいと思っています。

 二つ目でありますが、二つ目は、徹底した省エネルギーの推進についてであります。

 徹底した省エネルギーを推進するとは、具体的に環境省としてはどのように取り組むつもりなのか、お伺いいたします。

中川国務大臣 徹底した省エネを進める、そのために、環境省では、温暖化対策税の税収によるエネルギー特別会計も活用いたしまして、LEDや省エネ家電の利用、宅配便の再配達防止など、CO2削減につながる行動を促す国民運動、クールチョイスの推進、省エネ性能の高い住宅やビルの新築や改修、CO2削減ポテンシャル診断による中小企業の省エネ取組の支援等に取り組んでおります。

 加えて、これらの取組を支える電子機器の電圧制御等を行う部品を大幅に高効率化する窒化ガリウム半導体の開発、実証、鉄より五倍軽く五倍強度があり、車の軽量化等に役立つセルロースナノファイバーの用途開発などの技術開発を推進しているところでございます。

 このように、財政支援や技術開発、普及啓発などのさまざまな政策を総動員することで、目標の達成に向け、全力で取り組んでまいります。

福田(昭)委員 環境省でも当然調べているかと思いますけれども、ドイツでは、省エネの徹底、特に窓ガラスは、日本では二重サッシですけれども、ドイツでは三重サッシだそうであります。省エネの徹底が一つですね。

 それから二つ目、再生可能エネルギーの最大化。最大化と同時に、ドイツでは、電力供給のグリッド化、つまり、本当に配電網を網の目のようにめぐらせて、それこそ再生可能エネルギーが、どちらかというとこれが中心になると不足するところも出てくるけれども、それをこの電力のグリッド化の配電網でささっと電力を動かして、効率的に電気を使う、そういうことが実は取り組まれております。再生可能エネルギーの最大化と同時に、電力網のグリッド化。

 そして、三つ目が自動車のEV化、電気自動車化。これは日本がちょっとおくれておりまして、トヨタでさえも、これからもしかしてやばいなと言われるくらい自動車のEV化が今世界の大きな流れになっておりますけれども、ドイツは、この三つで脱原発、脱炭素社会をつくるということで頑張っているようであります。ぜひ我が国も参考にして進むべきだと思っております。これは答えは要りません。

 次に、三つ目でありますが、三つ目は石炭火力発電への対応についてであります。

 午前中に横光先生からすばらしい指摘の質問がありました。全体として私も賛成でありますけれども、それに向けて、私の方は、ちょっと石炭火力を上手に使いながら変えていくという観点から質問をさせていただきたいと思います。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。これは、環境省が平成三十年一月発表した、一月九日に修正を発表したんですね、二〇一六年度、平成二十八年度の温室効果ガス排出量速報値の参考資料であります。

 第一点は、二酸化炭素の排出量の推移についてでありますが、これを見ますと、二〇一二年をピークに減っておりますけれども、二酸化炭素が減っている理由、主な理由、大きな理由というのは何なのか、お答えをいただきたいと思います。

森下政府参考人 お答えします。

 温室効果ガス排出量でございますけれども、これはもちろん、天候の状況ですとか、そういう気候の、寒暖の毎年の差ですとか、そういうものにも影響されますけれども、私ども、この変化は、省エネルギーの推進とそして再生可能エネルギーの導入、これがきいてきているというふうに判断をしてございます。

福田(昭)委員 それでは、次に、第二点と第三点をまとめてお伺いをいたします。

 原子力事故以来、我が国の原子力発電の代替電源は、大体、これを見ると、石炭火力が代替エネルギーになっているのかなと思っておりますが、経産省としてはどう考えているのか。

 そして、三点目の、高効率石炭火力発電所のCO2削減能力は、先ほど横光先生からの指摘もありましたけれども、どれぐらいなんですか。例えば、これから技術開発をすればもっと削減ができるのかどうか、それとも、現状で限界なのかどうか、その辺、あわせてお伺いをしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、二〇一四年の状況でございますけれども、御指摘のとおり、原発が全て停止をする中で、これは石炭火力とLNG火力の双方のたき増しによって安定供給を確保した状況にございます。そういう意味では、何で代替していたかと申しますと、石炭及びLNGが主たる代替電源でありまして、そのような中で、二〇一四年でいえば、CO2の排出量は一〇年比で約年間一万トン増加をし、電気料金も産業用で四割増加するといったような状況でございまして、先ほどの消費量が減った背景には、そのような電気料金の上昇ということもあるというふうに考えてございます。

 また、今後の石炭の高効率化の可能性でございますけれども、最新鋭の技術を導入することで、従来の石炭火力に比べますと、CO2排出量を一割以上削減することが可能と考えておりまして、また、更に高効率化に取り組むことによりまして、いわゆるIGCCといった技術が商用化されますと、更に一割以上削減することが可能であるというように考えてございます。

 加えまして、更にこの石炭ガス化技術に燃料電池を組み込みますと、これはいわゆるIGFCの技術でございますが、この開発によりましてCO2の排出量は三割程度削減することが可能、このように考えてございます。

福田(昭)委員 そうすると、先ほど横光先生の資料にもありましたが、現状では、LNG火力発電の倍以上二酸化炭素を排出する、そんな計算もあるようでありますが、今話をしたようなことをやると、LNG火力発電と同じぐらいまで削減できるんですか、どうなんですか。

村瀬政府参考人 CO2排出という観点で考えますと、かかる技術開発を行いましても、LNGとの比較において石炭が優位に立つというのはなかなか難しい状況にございます。

福田(昭)委員 先ほどの質問にもありましたように、石炭火力は今では世界じゅうの悪名高き電源というふうになっているわけでありますが、そうしたことも踏まえて対応する必要があるんだろうなというふうに思っています。

 第四点、石炭火力発電所の新設計画への対応についてであります。

 大臣は、我が国の削減目標達成に深刻な支障を来すことが懸念される石炭火力発電について厳しく対処するということでありますが、石炭火力発電所新設計画を改めて見直すべきだというような提言をする考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 石炭火力発電は、今お話がございましたように、最新鋭技術でもCO2排出係数が天然ガス火力の二倍でございます。ですから、我が国におきまして、現在、四十基程度の新増設計画がございますが、仮にこれらの計画が全て実行されると、我が国の二〇三〇年度の削減目標の達成は困難になります。

 パリ協定のもとで、さらに、二〇五〇年に八〇%の温室効果ガス排出削減、更にその先、今世紀後半には排出と吸収のバランスを達成する、こういう目標がございまして、そこに向けて石炭火力発電は抑制していく必要があるというように考えております。

 環境省としては、電気事業分野における対策の進捗状況をレビューして、目標が達成できないと判断される場合は、施策の見直し等について検討することとしております。また、アセスにおきまして、厳しい姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 高効率発電をする石炭火力がCO2削減に大きく貢献することができるということであれば、少し使っていくということもあるのかなというふうに思っておりましたが、なかなかそうはいかないということになると、やはりしっかり見直す必要があるのかなというふうに思っております。

 先ほど大臣は、再生可能エネルギーの導入に最大限の努力をするという話でありましたが、昨年、環境委員会で、米国、コスタリカを視察してまいりました。そのとき、カリフォルニア州を訪れたときに、カリフォルニア州の環境庁長官は何と言ったかというと、カリフォルニア州では再生可能エネルギーを五〇%以上にしますと、二〇二五年まで。二〇二五年までに再生可能エネルギー五〇%以上を目指す、そして、三基ある原発、既に一基は停止をしています、あと二基も二〇二五年までに停止をします、こうカリフォルニア州の環境庁長官は私どもに得意げに説明してくれました。

 こうしたこともやはり参考にしてやっていく必要があるんじゃないかなと思っておりますので、石炭火力が余り温室効果ガス削減には効果がないということになれば、やはり、日本でも再生可能エネルギーの資源はたくさんあると思うんですよね。それこそ、水力発電だってまだまだ幾らでもできる可能性がありますし、太陽光もあるし、さらには地熱発電もほとんど行われていないという状況でありますし。

 ですから、そういうことを考えると、やはり石炭火力については大胆に見直しをしていくというのが必要なんじゃないかな、こういうふうに思いますが、改めて大臣の考えをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 環境、経産両大臣の合意に基づき、電力業界の取組について電気事業低炭素社会協議会からのヒアリングを行い、省エネ法に基づく定期報告の結果等の情報も分析した上で、二〇三〇年の目標達成に向けた見直し等について環境大臣として評価を行います。

 現在、本年度の協議会に対するヒアリング等に基づき評価を行っているところでございます。

 こうした評価結果を踏まえて、施策の見直しについて必要があれば検討してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 ぜひ頑張ってほしいなと思っています。

 それでは次に、東京電力福島第一原発事故への対応についてであります。

 一つ目は、福島第一原発の廃炉の見通しについてであります。

 事故からもうすぐ七年となります。事故で溶け落ちた核燃料と使用済み燃料の取り出しが大きな課題となっている廃炉作業は、三十年から四十年後とされる廃炉完了までの見通し、どんなふうな状態になっているのかお聞きをしたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策でございますが、中長期ロードマップに基づきまして、国も前面に立って、安全かつ着実に進めてきております。

 廃炉対策につきましては、これまで、二号機、三号機の調査で燃料デブリの可能性があるものを確認いたしましたとともに、画像や線量など多くのデータを収集しておりまして、燃料デブリの取り出しに向けた炉内状況の把握が進展しております。

 今後は、二〇二一年内の燃料デブリの取り出しの開始に向けまして、さらなる内部調査や、取り出しのときの放射性物質の閉じ込めの方法などの確立等の研究開発を行うこととしております。

 また、汚染水対策でございますが、サブドレーンによります地下水のくみ上げ能力の強化、あるいは、凍土壁がおおむね完成いたしましたなど、予防的、重層的な対策が着実に進展してきたと考えております。

 これによりまして、例えば雨の少ない時期で比較いたしますと、汚染水発生量が、凍結前の日量約五百二十トンから、足元では約百四十トンにまで七割以上も減少してきておりまして、対策の効果が着実にあらわれていると考えております。

 今後、汚染水発生量をできる限り低減するために、必要な対策を安全かつ着実に実施してまいります。

 今後とも、一刻も早い福島の復興に向けて、安全確保というものを最優先に、リスクの低減重視の姿勢を堅持しながら、福島第一の廃炉・汚染水対策に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 原発の近くに住んでいた人たちでありますが、この人たちが何を心配しているかということは御存じだと思いますが、一つはやはり、原発がどうなるのか、廃炉がちゃんと行われるのかどうか、これが一つ。もう一つは、放射能は安全なのか、大丈夫なのか。この二点が心配で実は帰る決断ができないでいるんですね。あるいは、もう帰らないと決めちゃった人がいるということでありますから、ぜひここはしっかり取り組んでほしいと思っています。

 二つ目は、帰還困難区域の復興の拠点づくりについてであります。

 浪江、双葉、大熊、富岡、四町のうち、再生計画を策定されたのはどこでしょうか。また、現在一部が帰還可能となっている浪江、富岡町の三月一日現在の人口は、事故前の人口と比べてどのようになっているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 改正福島特措法に基づく特定復興再生拠点区域復興再生計画につきましては、これまで、双葉町、大熊町、浪江町の三町の計画が認定されたところでございます。また、現在、富岡町からの認定の申請がなされていて、国の方で審査を行っているという段階でございます。このうち、一部避難指示が解除されている町としては、浪江町、富岡町が該当いたします。

 浪江町の事故前の人口は、平成二十二年度の国勢調査によると二万九百五人、現在の居住者数は、町の調査によりますと四百九十人というふうになっております。同様に、富岡町の事故前の人口は一万六千一人、現在の居住者数は四百五十八人というふうになっております。

福田(昭)委員 今まで復興庁が何度か、住民の意識調査、これをずっと実行してまいりましたけれども、しかし、この四町とも、意識調査、アンケートの回収率を計算すると、大体、戻りたいという人が一割いないんですよね、実は。そうした中でのこの復興の拠点づくりなので、私は、相当難しいんじゃないかなということで、この法律改正のときにもしっかり指摘をさせていただいているんですが、これは今後の推移を見守りたいと思っております。

 次に、三つ目でありますが、三つ目は福島県外の指定廃棄物の処理についてであります。

 環境省では、放射性物質汚染対処特措法の見直し中と思いますけれども、有識者検討会において塩谷町が出した意見要望書、特措法公布から約五年四カ月ですかね、五年四カ月が経過しても処分場が設置されない状況を挙げ、根本的に法律の本質を見直し、検討する必要がある、最終的には発生者である東京電力に引き取ってもらうことが最善の方策と当たり前のことを主張しておりますけれども、それに対して有識者からはどんな意見が出たのか、教えていただきたいと思います。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 指定廃棄物の発生県内処理方針につきましては、一月の検討会において、委員の先生方から、処理技術は既に確立されてきている、あるいは、福島県に持っていくことは到底理解が得られないなどを理由として、方針を維持することが妥当という意見を多くいただいております。また、この方針を進めるに当たりまして、地域の方と話し合うリスクコミュニケーションなどに環境省が更に努力すべきという御指摘もいただきました。

 これらの御議論を踏まえまして、本年度末までに検討を済ませたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 新聞報道によりますと、有識者からは、他の県では、栃木県以外はですよ、他の県ではいろいろな方法で検討して、合意しているところもあり、福島に持っていけという話にはならないのではないか、こう報道されておりますけれども、他の県で、自分の県で最終処分場をつくっていいという県、五県のうち、ありますか。

縄田政府参考人 最終処分場の設置について合意された県は現在のところございません。

福田(昭)委員 そうしたら、環境省としてミスリードじゃないですか、有識者の皆さんに、有識者がこう言っているんだから、他の県では合意しているところもあると。最終処分場はどこの県もまだ合意していないんですよ。こういう有識者の意見をそのまま認めちゃだめじゃないですか。これは後でまたやりますから、この辺にしておきます。

 ですから、そういう意味では、五県のうち、まだ各県処分を認めた県はないんですよ。そうしたことを前提に特措法の見直しはやるべきですよ。それだけ指摘しておいて、また後でこれはやらせていただきます。

 それでは、だんだん時間がなくなってきてしまったので、最後に原発の話をちょっとさせていただきます。

 原子力発電所の再稼働についてであります。

 資料の二をごらんいただきたいと思いますが、これは経産省が作成した資料で、我が国における原子力発電所の現状であります。びっくりいたしますけれども、北海道から九州まで、何と六十基もつくってあります。この狭い日本に六十基もつくってしまった。これは、私はもしかするととんでもない過ちを犯したことになるのではないかなと思っております。

 そうした中で、原子力の再稼働については、現在、原子力規制委員会の技術審査をクリアして、自治体の避難計画が策定されれば、政府が再稼働するかしないか決めるということになっておりますが、しかし、私はこれではだめだと思っております。先ほどもちょっと申し上げましたが、アメリカのカリフォルニア州では、何と、使用済み核燃料を安全に処理する技術が開発されるまでは新設又は再稼働を認めない、そういう法律があるそうであります。

 私は、日本も、規制委員会の技術基準をクリアした、自治体の同意があるだけではありません、やはり、使用済み核燃料をより安全に処理する技術ができるまでは、カリフォルニア州のように新設や再稼働は認めない、そういう方針が必要だと思いますが、いかがですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいた、米国カリフォルニア州におきまして州法が存在していることは承知してございます。他方、アメリカにおきましても州によって対応は異なっておりまして、米国政府といたしましては、引き続き、最終処分場の選定の途中ではございまして、この取組を地道に進めつつ、そのような中で原発を活用し、州によっては新たな原発を建設中というふうに承知しております。

 我が国におきましても、もちろん、この最終処分の問題、それから再処理を安全に実現しなければいけないということで、規制庁の規制をクリアしたものをしっかり進めていくということにしているところでございます。これは安全最優先で必ず実現すべきものと考えているところでございます。

 このような課題を一つ一つ解決をしつつ、しっかりと御理解をいただきながら進めていくということで臨ませていただきたいと思います。

福田(昭)委員 そうですね、いまだに、核燃料サイクルもうまくいくかどうかわからない……

松島委員長 質疑持ち時間が終了していますので、早目に。

福田(昭)委員 使用済み核燃料の最終処分場もない、まさによく言われるトイレのないマンションをこんなにつくっちゃったわけですよ。

 ですから、ここでやはり大きく方向転換する、そういう時代に来ていると思いますので、そうした指摘をして、質問を終わります。

松島委員長 次に、田村貴昭さん。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 質問に入る前に、一言。

 今、大問題になっている、森友学園の国有地取得をめぐる決裁文書が書きかえられていたという疑義が生じていて、調査が行われています。まともな回答がないわけでありますけれども、これがもし真実だとするならば、国会の国政調査権、そして議員の国会での審議権をじゅうりんする重大なものであります。この疑義を一刻も早く晴らすように、そして求められた文書を出すように、安倍政権一丸となって取り組んでいただきたい。強く要求し、質問に入らせていただきます。

 まず最初に、石炭火力発電について質問をします。

 中国電力が増設を計画する島根県の三隅発電所二号機において、中川環境大臣は、一月十二日、環境影響評価法に基づく意見を経産大臣に提出いたしました。中川大臣、どういう意見を出されたのでしょうか。

中川国務大臣 中国電力の三隅火力発電所計画に係る環境大臣意見においては、二〇三〇年度及びそれ以降に向けたCO2削減の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、事業の実施についてあらゆる選択肢を勘案して検討することが重要であること、とりわけ、二〇三〇年度の目標との関係では、具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではないこと、本事業者は単独では二〇三〇年度の目標達成の蓋然性が低く、この計画が容認されるためには、目標達成に向けた具体的な道筋の明確化が必要不可欠であること、政府としても、明確化に向けた検討状況を適切にフォローアップ、評価していく必要があることを述べた上で、国内外の状況を踏まえた上でなお本事業を実施する場合には、所有する低効率の火力発電所の休廃止、稼働抑制及びLNG火力発電所の設備更新による高効率化など、目標達成に向けた道筋を明確化し、これを確実に達成すること、さらに、二〇三〇年以降に向けて、さらなるCO2削減を実施すること等を求めております。

田村(貴)委員 具体的な道筋が明確にできなければ、事業計画の撤回を含めて考えていきたいと。その一方で、本事業が稼働する場合には、所有する低効率の火力発電所の休廃止、稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新など、目標達成に向けた具体的な道筋が不可欠としています。

 ということは、大臣、休廃止や稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新を行えば容認するということなんでしょうか。いま一度説明していただけますか。

中川国務大臣 環境大臣意見を裏から読めばそのようなことになるわけでございますけれども、環境大臣意見の趣旨としては、こういうことを達成すれば容認する、そういうスタンスより、こういう条件が満たされなければ容認できないという強い姿勢を示したというふうに御理解いただければと思います。

田村(貴)委員 強い姿勢は、表から読んでも裏から読んでも読めるようなものでないといけないというふうに思うわけです。

 大臣、同じ日の記者会見で、記者の質問に対してこう述べておられます。これは環境省のホームページに載っているわけですけれども。大臣は、石炭火力自体に無理があると今おっしゃいましたが、私としてはそういうふうに考えたいと思いますと。もう火力発電はだめだと。それから、その一方で、二〇三〇年度の目標をしっかり実現できる道筋の中で石炭火力を認めていくと。石炭火力新増設は全くだめということではないともおっしゃっている。そうかと思ったら、石炭火力自体は、今世紀後半には実質の排出量をゼロにしなければならない、こういう世界的な流れの中にあっては、石炭火力発電そのものがもう卒業していかなければならないと述べておられる。午前中のとかしき副大臣の説明もこの基調だったというふうに思いますけれども。

 石炭火力の新増設を認めていきながら二〇三〇年度の目標達成を目指していくのか、それとも、新増設は認めない、目標達成は極めて難しいからこれは終息させていく、どちらなのか、この際はっきり答えていただきたいと思います。いかがでしょうか。

中川国務大臣 二〇三〇年度の目標達成に向けて、エネルギーミックスの数字がございますし、政府全体としての施策が地球温暖化対策で閣議決定されているわけでございます。その目標が達成できない、そのような状況になる石炭火力の新増設であれば、当然これは認められないということでございます。

 一方、石炭火力の新増設をもし実施するということであれば、それによってふえる排出量を上回って更にCO2を削減するような、そういった設備の、ほかの設備の更新とかあるいは改良を図っていくということで、トータルとして、CO2削減の量がふえる、CO2削減幅がふえる、大きくなるというようなことであれば、それは一切認められないということではないというふうに考えております。

田村(貴)委員 では、その実施の前提という話なんですけれども、中国電力の二〇一六年度の電気事業者別排出係数は〇・六九一キログラム、CO2排出係数二〇三〇年度目標は、ベンチマーク指標は〇・三七キログラム、かなりの開きがあるわけであります。低効率の火力発電所の休廃止、稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新、この道筋で二〇三〇年度の目標は、ではクリアできるのでしょうか。その根拠となるのはどういうことなんでしょうか、説明していただけるでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中国電力につきましての現在のベンチマークの指標が、二〇三〇年のエネルギーミックスの指標から大分離れているという状況になる中で、今回のアセスの審査に当たりましては、そういう意味で、大臣意見といたしまして、中国電力単独では当該目標達成の蓋然性が低いという、その認識を明確にさせていただいております。

 そうした中で、先ほど来大臣から御答弁させていただきましたように、見通しが立たないということ、見通しを明確化できるのかということをむしろ説いておるという状況でございまして、非常に厳しいという認識の中で、新増設をした場合に、今あるものをとめてしまうとか、そういうことでの、稼働率、休廃止等をあわせた中で、CO2が減るような運用をするのかしないのか、そういうことも含めまして、厳しい認識を大臣意見として出させていただいたところでございます。

田村(貴)委員 結局、明確な答えは出ないんですよ、今の段階でも。ですから、条件をつけること自体がおかしな話になってくるわけなんです。その曖昧さがやはり、新増設を認めていくことになっていく、経産省にそれを認めさせる余地になっていくのではないかなというわけであります。これでは、午前中から議論があっているように、ますます世界からおくれをとってしまいます。

 かつては、中川大臣、新増設は是認できないとおっしゃっていたわけでありますから、曖昧さを残さず、表から読んでも裏から読んでも、やはり環境省としては、CO2を一番出す、どんな最新鋭の石炭火力発電でも出す、それだったらできないよね、これはもうフェードアウトしていく、やめさせていく、そういうしっかりとした意思表示が必要だと思いますけれども、いま一度、大臣自身は、新増設、反対なんですね、どうですか。

中川国務大臣 二〇三〇年度二六%削減という目標の先には、二〇五〇年に八〇%削減、更にその先は排出と吸収がイコールになる、そういう社会を実現していかなければならないという、パリ協定のもとでの世界的な目標というものがあるわけでございます。

 そういうことを考えますと、石炭火力は、幾ら高効率のものといえども、現状においてはLNGに比べるとまだ相当効率が悪くて、しかも、耐用年数が四十年とかそういう、長いわけでありますから、その先のことを考えれば、石炭火力というものは卒業していくべきだというふうに考えております。

 ただ、当面の一つ一つの新増設に当たっての環境大臣意見ということになりますと、今申し上げたようなスタンスということになります。

田村(貴)委員 世界の脱炭素化を牽引していくと総理も大臣も所信でおっしゃったわけですから、そうしたら、やはり、新増設は認めない、この立場を明確にするのが世界の流れであるということを指摘させていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。漂着油の問題について尋ねます。

 一月六日、奄美大島の西約三百十五キロの東シナ海で、パナマ船籍のタンカーが香港籍の貨物船と衝突しました。漂流と炎上の後、十四日に沈没しました。お手元配付の資料にありますように、その後、鹿児島県から沖縄にかけての島々に油が漂着しています。海上保安庁の調査では、既に二十四の有人離島で確認されています。事故との因果関係においては調査が行われていますが、大量の油が離島に漂着し、自治体と島民は、手作業による人海戦術で、その回収に多大な負担を今余儀なくされているところであります。先日、鹿児島県に行って伺ったところ、奄美群島を中心に、二月十八日時点で約九十トンの漂着油を回収しているとのことであります。

 そこで、環境省にお伺いします。生態系への影響はどのように見ておられるでしょうか。

亀澤政府参考人 油状のものの海岸への漂着等により、漂着地域における野生生物や生態系に影響をもたらすおそれがあることから、環境省では、漂着地域における野生生物や生態系への影響を把握するための調査等を進めております。

 これまでに、油漂着地域では、油が原因で死亡した可能性がある野生生物の報告を複数受けておりますが、現時点で油により死亡した可能性が高いと考えられる野生生物は、二月六日に奄美市知名瀬で発見されたアオウミガメ一頭でございます。

 それから、二月半ばに、奄美大島における五つの海域公園地区において船の上からの目視による緊急調査を行った結果では、海面における油状のものの浮遊や海中のサンゴ等への付着は確認されず、サンゴ、海草類等の生息、生育には特に異変がないことを確認したところでございます。

田村(貴)委員 油は水に浮きます。そして、長い漂流の過程の中でスリックという油膜になっていくわけですね。それが海底の中のサンゴに付着するといったことはちょっと現実的には考えられにくいというふうに思うわけなんですけれども、その海底のサンゴに付着していないことをもってして、果たして影響がないと言えるのかという思いもします。

 調査対象を広げていく考えはございますか。それから、船からの目視にとどまらない、継続した観測がこれからも必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

亀澤政府参考人 奄美大島の五つの海域公園地区で行った目視による緊急調査に加えまして、現在、奄美大島及びトカラ列島の宝島にまで調査区域を広げて、海中での映像撮影等による詳細調査を二月の末から実施しております。この詳細調査は三月半ば過ぎまでかかる見込みでございますが、調査終了次第、結果を取りまとめて、速やかに公表する予定でございます。

 さらに、環境省の現地事務所もありますので、引き続き地元とも連携しつつ、巡視等による調査を継続し、状況把握に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 調査対象が広がって、そして監視カメラ等による調査も広がっているということは今わかりました。

 言うまでもなく、奄美群島そして沖縄は、希少野生動植物が生息する、そして生育する地域でもあります。亜熱帯の森や美しいサンゴ礁などが多くの人々を魅了する観光地でもあります。そして、今、日本は、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産登録を目指しているところの最中でもあります。徹底した調査を求めたいと思います。

 海上保安庁に今質問したいと思うんですけれども、油が船から流出した際には、どんどん拡散していきます、海面を覆っていきます。これを広げないためには漂流油を封じ込める必要があるわけです。例えばオイルフェンスであるとか、それから油分散剤の配布など、これまで世界で、いろんなところでとられてきた方策が今回とれなかったという理由は何なんでしょうか。教えてください。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁がサンチ号の沈没位置付近におきまして確認した浮流油、これにつきましては、回収が困難な薄い油膜状のものでありましたことから、巡視船の航走によりまして油の自然蒸発あるいは分解を促進させる措置、航走拡散と呼んでございますけれども、これが最も有効な手段であると判断されたところでございます。

 このため、化学剤であります油処理剤の使用、あるいはオイルフェンスの展張は実施せず、この航走拡散により対応したところでございます。

田村(貴)委員 漂着した油、回収している自治体と島民にとっては、これは大変な事業であるわけなんですけれども、この漂着油の回収に環境省の海岸漂着物等地域対策推進事業、いわゆる海ごみ補助金ですね、この追加の配分があったということは伺っております。

 漂着ごみ、漂着した油、これは島の住民にとって、自治体にとって、何ら責任のない問題であります。この回収、処理には多大な費用がかかりますし、現地でできずに、これは本土に持っていって、鹿児島県なら鹿児島県でやるというふうな方向になると思うんですけれども、この処理費用の負担が問題になってくると思います。国の補助金の追加配分があったことはよいことだと思いますけれども、しっかりとこの対応をしていただきたいというふうに思います。

 この求償の問題なんですけれども、タンカー、サンチから流れ出たことがはっきりすれば、この油の回収、処理に当たっている自治体はこの船会社に対して求償することになります。例えば鹿児島県だったら、それは初めてのことになろうかと思います。保険会社も間に入るかもわかりません。こうした手続、交渉には専門の知識を要することでもあります。政府として、この求償が必要になったときにしっかりとしたサポート、支援をしていただけるのではないかと思いますけれども、その辺のところはいかがでしょうか。

宮武政府参考人 船舶からの貨物油や燃料油による油濁損害の場合には、船舶油濁損害賠償保障法において、原則として船舶所有者が損害を賠償する責任を負うこととされています。

 国土交通省といたしましては、地方自治体が油濁損害に対する責任等についての知見を十分には有していない可能性もありますので、地方自治体の意向を確認しまして、必要な助言等を行ってまいる所存でございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 続いて、海上保安庁に尋ねます。

 このサンチ号に積んでいた油なんですけれども、コンデンセートが約十一万トンと伺っております。そして、燃料の重油が合計して二千百二十万トンですか、この程度だというふうに聞いておるところであります。

 遠く離れた島々に流れてきた、この漂着した油、これは、成分解析の後、どちらのものと見ておられるんでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁では、奄美群島あるいは沖縄本島などの沿岸に漂着いたしました油状のもの、これにつきまして、それぞれサンプルを採取し、分析を行いました。

 この分析の結果、それぞれC重油相当の油又は原油相当の油であるとの分析結果を得ております。

田村(貴)委員 そうであるならば、これはタンカー船でなくても、普通の船が沈没して、そしてC重油系が流れたら、遠く離れた日本の島々にも流れてくる、こういう教訓が今度はっきりしたということであります。

 そこで、この間の経緯なんですけれども、奄美大島において油の漂着が初めて確認されたのは一月二十七日、そして、島において回収が始まったのが二月八日であります。確認から回収まで十日ぐらいかかっている。これは、島民にとってみたら、この漂着物が一体何なのか、何が原因なのか、汚染ぐあいはどうなっているのか、人体や生態系への影響はどうあるのか、回収、撤去は誰がやっていくのか、たくさんの疑問が渦巻く期間であったわけなんです。行政からの情報が本当に欲しかったとさまざまな声を聞いてまいりました。

 大臣にお伺いします。

 まず、この情報伝達についてですね。海難事故があった場合に、油が流出する、そして漂着することが今回明らかになったわけであります。今後、こういう事態があったときに、いち早く自治体等に対する伝達が重要になると思いますけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 地方自治体への情報発信につきましては、一般論として申し上げれば、海上保安庁から提供される情報等において、日本沿岸に油等が漂着するおそれのある場合には、環境省が必要に応じ、関係自治体に対し、沿岸の環境や生態系の保全等に必要な情報をできるだけ迅速に提供することが重要であると考えております。

 今後とも、今般の事故を踏まえまして、海上保安庁等の関係省庁と連携して、地元自治体への迅速な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 わかりました。

 海上保安庁も同意見ですか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、サンチ号が中国上海沖で衝突し火災が発生した当初から、関連情報を関係省庁に情報提供いたしますとともに、報道機関に対し広報を行うなど、情報の発信に努めてまいりました。

 また、こうした情報発信のほかに、サンチ号沈没位置付近海域の浮流油の状況、油状物等の漂着状況、油状物の分析結果、さらには海水中に含まれる油分の測定結果等について、海上保安庁のホームページあるいはツイッター等を活用して最新の情報提供をいたしてございます。

 今後とも、海上保安庁におきましては、地元住民あるいは自治体へ正確な情報をできるだけ迅速に提供できますよう努めてまいりたい、このように考えてございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 これからは、やはり事前の対応というのが物すごく大事になってくるというふうに思います。遠く三百キロ離れた公海上から、油が日本の島々に押し寄せてくることがわかったんです。事前に情報を持っておくこと、これは本当に大事だと思います。

 お配りしている資料の二は、鹿児島県が製作した油回収マニュアルでありますけれども、これは本当に簡単にはいかないわけなんですよね。副大臣は、大島の方に行かれて、現地で確認されて対応されたと思うのでよく御存じだと思うんですけれども、こうしたマニュアルにしても、鹿児島県がつくるのは初めてであります。

 沖縄県が今どうなっているのか、海岸線を持つ自治体がどうなのかといったところで、政府がやはりここをコーディネートしていく必要があると思うんですけれども、事前の対策について、環境省、いかがでしょうか、これから。

中川国務大臣 今後、同様の事案が発生した場合には、今般の事案の教訓も踏まえつつ、発生する事案の特性等に応じて、必要な通知や事務連絡の発出など適時適切に実施し、地元自治体への支援を着実に行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 今起こっている課題と問題に、政府がやはり自治体に寄り添って、島民に寄り添ってしっかり対応していただくこと、それから、今回大きな教訓を得たので、海上保安庁、環境省、それから農林水産省、いろいろなセクションがやはり連絡をとり合って機敏な対応をしていただくこと、これを強く求めたいと思います。

 質問通告していませんけれども、副大臣、奄美にいち早く行かれて、いろいろと見聞きされたと思うんですけれども、私がきょう質問した事項、それからお願いした事項、取り組んでいただけることを含めて、御回答いただけますか。

とかしき副大臣 私も現地の方に行かせていただきまして、本当に自治体の皆さんが一生懸命、ボランティアの方も集まって油の回収をなさっている様子を見ておりました。

 やはり情報がきちっと伝わっていないと現場が混乱いたしますので、やはり正確にタイムリーにきちっと情報がお渡しできるように、そのマニュアル等も今後しっかりつくって、対応できるようにしていきたいと思っております。ありがとうございました。

田村(貴)委員 マニュアルはやはりつくるべきだというふうに思いますので、今回の油流出事故の教訓を本当にそれぞれの省庁で受けとめていただきたいなというふうに思います。

 素人目から見たら、油が流出したときに、その油をとにかく汚染しないようにとめる、この手だてが一番必要だと思いますし、これはやはり国際協調も必要になってくるかなと思います。今から教訓点が明らかになる問題も出てくるかと思いますけれども、それらを一つ一つ検討して、そして、振り返っていただきたいなというふうに思います。

 島民と自治体が今大変な状況になっていること、お伝えしました。しっかりと対処していただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、玉城デニーさん。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうの質問、私が最後になります。質問の内容についてはそれぞれの委員からの質問と重複する点もあろうかと思いますが、どうぞ真摯な御答弁をお願いしたいと思います。

 さて、きょう、実は、お昼の理事会のときに、サンゴの話になりまして、理事のメンバーと少しサンゴの件について話をさせていただきました。

 きのうが三月五日、サンゴの日ということで、実は、これは環境省からは副大臣が御参加なさったんでしょうか、あの座間味の。阿嘉島にサンゴの保全拠点ができたということで、慶良間諸島国立公園が擁するサンゴ礁の保全や、情報発信を目的とした施設、さんごゆんたく館を阿嘉島に完成させたということですね。関係者らが出席して、この式典をお祝いしたというニュースが紹介されています。

 この国立公園は、二〇一四年三月に全国三十一番目の国立公園に指定されていますが、この慶良間海域は、サンゴはもちろんですが、ウミガメやそれからザトウクジラなども回遊してきて子育てをする海域で、非常に豊かなといいますか、子育てに都合のいい、非常に豊かな海域になっております。

 質問通告はしていないんですが、副大臣から感想があれば、一言お聞かせください。

とかしき副大臣 きのう、さんごゆんたく館の開館式ということで、記念セレモニーの方にお邪魔をさせていただきました。

 自治体の多くの皆さん、お集まりいただきまして、関係者の皆さん二百人ぐらいで、皆さんで盛り上がっておりましたけれども、サンゴを皆さんに愛していただけるようにということで、理解も深めていただけるように、ゆんたく館ということで、私たち、国立公園の満喫プロジェクトの方も環境省は進めておりますので、その中の八つの公園を特に注力していこうということで、その中の一つに今回選ばれておりますので、その中で、さらに成功事例になっていただこうということで、今回、さんごゆんたく館というのを、施設をつくらせていただきました。

 あとは、上手に運営していただいて、本当にゆんたくしていただけるように、地元の方にも観光客の方にも愛していただけるような施設に育てていくことがとても大切だと思いますので、どうかこれからも御支援いただけたらありがたいな、このように思っております。

 すばらしい自然でした。ありがとうございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 沖縄には、灯台もと暗しという意味合いの表現で、慶良間は見えるけれども、まつげは見えないという表現があります。あんなに遠くてすばらしい島はよく見えるのに、自分の目の前にあるものが見えないというふうに言われておりまして、この慶良間諸島は昔から、沖縄県民にとりましても非常に豊かな海、そして、那覇からフェリーで一時間半ぐらいですか、非常に近いところにあるということで、観光の拠点のみならず、海に関する学習や研究の拠点にもぜひ活用していただきたいと思います。

 それから、環境省は一月に、石西礁湖、これは石垣島と西表島の間にある国内最大級のサンゴ礁ですが、この石西礁湖の三十五地点を調べた結果、サンゴの平均白化率は四九・九%で、前年同時期の九一・四%から減少した、つまり、サンゴは回復傾向にあるということも発表しています。

 しかし、やはり沖縄は、台風が来ないと、海の水が拡散されないと、サンゴの影響はもちろんですが、漁業にとっても大きな影響があります。これからも、この国立公園の運営のみならず、さまざまな海をなりわいとする方々への御尽力をぜひお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

 では、ここから質問に入らせていただきます。

 石油タンカーの衝突事故についての質問から入りたいと思います。

 本年一月六日の夜、軽質原油コンデンセート十三万六千トンをイランから韓国へ輸送中であったパナマ船籍の石油タンカー、サンチ号と香港船籍の貨物船CFクリスタル号が、中国・長江河口の沖約三百キロ地点で衝突し、その後、炎上したタンカーが油を流出させながら漂流、一月十四日に沖縄本島の北東約三百キロの地点で沈没をしています。

 この沈没事故に関しては、多くの犠牲者が出ておりまして、御冥福をお祈りするところではありますが、国際環境NGOでありますグリーンピース・ジャパンからは、この地域の重要な食用種にキグチ、サバ、タチウオなどがあります、それらの生物への影響。それからまた、イカ類などの産卵の場所などにもなっておりまして、あわせて、先ほど紹介しましたザトウクジラやセミクジラ、コククジラなど、多くの海洋哺乳類の移動経路にも当たっています。

 このように、非常に世界からも懸念されていた事故ではありますが、それからかなり日がたっておりますけれども、この事故について、今般、環境省から説明をいただきたいと思います。

 まず、この事故によるオイルの流出と周辺海域における影響について、どのような経緯になっておりますでしょうか。御報告をお願いいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 事故により火災が発生いたしましたサンチ号ですが、一月十四日に奄美大島の西の海域で沈没しておりますが、海上保安庁の情報によれば、サンチ号の沈没位置付近で認められる浮流油については、末端から拡散消滅しつつあるという状況とのことです。

 また、周辺海域の影響につきましては、海上保安庁におきまして、一月二十九日から二月二日にかけて、サンチ号が沈没した周辺海域及び沖縄周辺から南九州沿岸にかけての海域の十四カ所で採水し、油分を測定した結果、全ての採水箇所におきまして、事故以前に測定された油分の値と変化がないということが確認されております。

 他方、一月二十八日以降、奄美大島、沖縄などの島々の海岸において油状の漂着物が確認されておりまして、海上保安庁からの情報では、三月四日現在で二十五の島において漂着が確認されているという状況でございます。

 環境省といたしましては、周辺海域それから漂着地域の状況を継続的に把握していきたいと考えております。

玉城委員 確かに、よく重油流出事故というと、真っ黒い、厚い原油の層が何百キロにもわたって流れているというふうな印象がありますが、今回漏れました油は、どちらかというと、もともと気体であるものを凝縮して液状にしてあるという点から、揮発性が高いということも言われております。さりとて、流出したこの油についてさまざまな懸念が、先ほども各委員からの質問にもありました。

 この漂着する油汚染への対応についての環境省の取組を御紹介ください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、この事案に適切に対処するために、漂着地域の野生生物や生態系などへの影響調査を鋭意実施しております。

 これまでのところ、油により死亡した可能性が高いと考えられる野生生物は、二月六日に鹿児島県知名瀬で発見されたアオウミガメ一頭でございます。

 また、奄美大島におけます五つの海域公園地区におきまして目視による緊急調査を行った結果では、海面における油状のものの浮遊、サンゴ等への付着は確認されず、サンゴ、海草類等の生息、生育には特に異変がないことを確認しております。

 さらに、国立研究開発法人国立環境研究所と連携いたしまして、油状のものの漂着地域周辺の海水について水質モニタリング調査を実施して、いずれの調査地点においても環境基準値等を超える項目はないことを確認しております。

玉城委員 表層においてはそれほど影響はないというふうなこと、それから、漂着地点でも大きな影響はないということで、そのような報告かと思料いたします。

 しかし、他方で、船が沈没したという経緯を考えますと、この沈没した船からは、ごく局所的、あるいは少量かもしれませんが、オイルが漏れ続けるという懸念もあるかと思います。

 さらに、グリーンピース・ジャパンからは、どのくらいのコンデンセートが流出したのかを分析をできるだけ早く実施し、適切な封じ込めと除去対策を講じる必要があるということ、それから、環境への影響を最小限に抑えるために、さまざまな潜在的な影響を評価する作業に移行することも重要だという指摘などもあります。

 そこで、これは大臣にお伺いしたいと思いますが、この沈没船から流出が予想される問題と今後の対応についてお聞かせください。

中川国務大臣 沈没船からの油の状況につきましては、海上保安庁等において周辺海域の調査や状況把握が行われているところでございまして、環境省としても引き続き情報収集に努めてまいります。

 漂着した油状物が環境に与える影響につきましては、現在、水中での映像撮影による生態系の調査を行っているところでございます。また、海水の水質モニタリング調査を引き続き実施してまいります。

 今後とも、海上保安庁等の関係省庁と連携しつつ、野生生物や生態系等の保全、海岸環境の保全、良好な景観の確保等に最大限取り組んでまいります。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 海洋国家である日本、それから、私は沖縄にも住んでおりますので、常にそのニュースを耳にしたりいたします海洋ごみについてお伺いいたします。

 平成三十年度環境省の予算主要事項の中には、大気、水、土壌環境等の保全対策のうち、十三項目めには海洋保全対策費が挙げられております。うち、漂流・漂着・海底ごみに係る削減方策総合検討事業費、これは一億六千七百万円余りですか、それから、海岸漂着物等地域対策推進事業として四億円が計上されております。

 富山県にあります公益財団法人環日本海環境協力センターでは、「海洋ごみを学ぼう!」というポータルサイトがありまして、わかりやすい、子供から大人まですぐ海洋ごみについてを知ることができるような、そういうホームページがあります。

 今般、この海洋ごみの問題については、これは二〇一六年の海洋ごみシンポジウムで環境省の当時早水審議官が、海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組ということでシンポジウムで発表しておりますが、海洋ごみというと、勢い、私たちは、大きな、目に見える漂流物などを海洋ごみというふうに認識しがちだと思います。

 そこで、きょうは少しその海洋ごみについて詳しくお話をお聞きしたいと思いますが、まずは、海洋ごみ対策への環境省の基本方針、総論的な基本方針からお聞かせください。

中川国務大臣 海洋ごみの問題は、マイクロプラスチックの問題も含め、国内のみならず国際的にも重要な課題であると認識し、取組を進めているところでございます。

 具体的には、海洋ごみの発生の抑制が重要であるとの認識に立って取組を進めておりまして、国内での廃棄物の適正処理等の推進によるプラスチックごみの発生抑制、自治体に対する財政支援等による海洋ごみの回収、処理の促進、海洋ごみの実態把握のための調査、海洋ごみの問題に関する国際連携の推進に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、海洋ごみの削減に向け、これらの取組を継続的かつ総合的に推進してまいります。

玉城委員 これもよく知られているところだと思いますが、海洋ごみ、漂着ごみについては、いわゆる海外の、よその国から海流によって流れ着くものもたくさんあります。沖縄では、例えばハングル文字の入ったペットボトルですとか、あるいは中国語の表記の缶ですとか、そういうものが水際に打ち上げられていることが多々あります。ですから、海洋ごみの対策は、やはりこれは日本だけの問題ではなく、この海に面する国々が一致協力して取り組むべき国際的な課題であるというふうに思います。

 そこで、海洋ごみ対策における根本的な課題、特に国際連携についての対応について、これも大臣からお願いいたします。

中川国務大臣 マイクロプラスチックを含む海洋ごみは、生態系への影響が懸念されている地球規模の課題でございまして、G7やG20などにおいても国際的な対策の必要性が確認されているところでございます。

 このため、環境省では、G7で合意されたマイクロプラスチックの調査手法の国際的な調和、つまり、国際的にいろいろな調査手法があるわけですが、それが比較可能になるようにその手法を調整していく、それを主導していきたいというふうに考えております。また、G7やG20、APECなどを通じまして、海洋ごみの発生抑制が進むよう働きかけてまいります。

 また、特に東アジア地域につきましては、日中、日韓といった二国間協力に加え、日中韓三カ国環境大臣会合、これはTEMMと言っておりますが、あるいは、ロシアを加えた北太平洋地域海行動計画、NOWPAPと呼んでおりますが、こういった多国間の枠組み等も活用しながら、東アジア地域における海洋ごみ対策が促進されるよう、各国との連携に取り組んでまいりたいと考えております。

玉城委員 今大臣からありましたとおり、プラスチックごみ、マイクロプラスチックごみ対策への取組は、本当に重要かつ喫緊の課題であると思います。

 環境省の海洋ごみの実態把握調査、マイクロプラスチックの調査の最新結果、これは、二〇一六年のシンポジウムの報告資料によりますと、日本周辺海域、東アジアでは、北太平洋の十六倍、世界の海の二十七倍のマイクロプラスチック、これは個数ですね、マイクロプラスチックが存在したという報告があります。今回調査した日本周辺海域はマイクロプラスチックのホットスポットであると言えるということで、日本周辺のマイクロプラスチックの分布という地図とともに調査の結果を公表しています。

 こういうふうな調査は、やはり国が率先して行って、地域の行政あるいは活動していただくNPO、NGOと連携をしていくことが欠かせません。ですから、このプラスチックごみあるいはマイクロプラスチックごみ対策への取組について、その懸念が持たれている中、環境省での取組を最後にお聞かせいただきたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの発生の抑制が重要であるとの認識に立ちまして、プラスチックごみなどの発生抑制、リユース、リサイクルや適正処理の推進などによりまして、国内の陸域から海洋に流出するごみの発生を減らすための取組をまず進めております。

 また、マイクロプラスチックを含む海洋ごみにつきましては、プラスチックごみが細分化してマイクロ化する前に回収、処理をすることが重要ということで、地方自治体によります回収、処理などが円滑に進みますよう、海岸漂着物等地域対策推進事業によりまして必要な財政支援を行っております。

 さらに、環境省では、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの実態把握のためのモニタリング調査を実施しておりまして、対策に必要なデータの蓄積、情報提供に努めております。

 環境省といたしましては、地方自治体によります海洋ごみの回収、処理などが促進されるよう、引き続き必要な支援を行いますとともに、マイクロプラスチックの発生抑制あるいは実態把握などの取組を総合的に推進していきたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 質問は以上ですが、冒頭、昨日のサンゴの日についてのお話をさせていただきました。実は、三月の宝石がサンゴ、コーラルになっております。これは、深海でとれる非造礁サンゴ類を宝石にして、三月の宝石はサンゴということで国際的に決められているそうです。

 サンゴの、この宝石の言葉は長寿と幸福です。ですから、これからも、我が国のみならず、世界各国が海を通じて長寿と幸福にあやかれますよう祈りまして、質問を終わらせていただきます。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

松島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時十分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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