衆議院

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第9号 平成30年5月18日(金曜日)

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平成三十年五月十八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 金子万寿夫君 理事 北川 知克君

   理事 関  芳弘君 理事 高橋ひなこ君

   理事 武村 展英君 理事 生方 幸夫君

   理事 西岡 秀子君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    河井 克行君

      木村 弥生君    笹川 博義君

      武部  新君    中村 裕之君

      百武 公親君    福山  守君

      古田 圭一君    細田 健一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      近藤 昭一君    堀越 啓仁君

      山崎  誠君    横光 克彦君

      下条 みつ君    鰐淵 洋子君

      田村 貴昭君    玉城デニー君

      細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣         中川 雅治君

   環境副大臣      とかしきなおみ君

   環境大臣政務官      笹川 博義君

   環境大臣政務官      武部  新君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           首藤 祐司君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       清瀬 和彦君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 気候変動適応法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、気候変動適応法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官塚田玉樹さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明さん、国土交通省大臣官房審議官首藤祐司さん、国土交通省水管理・国土保全局次長清瀬和彦さん、環境省地球環境局長森下哲さん、環境省自然環境局長亀澤玲治さん、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村弥生さん。

木村(弥)委員 自由民主党、京都三区の木村弥生でございます。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。

 気候変動適応法案について質問させていただきます。

 まず、気候変動と安全保障についてお聞きしたいと思います。

 安全保障と気候変動はどのような関係にあるのだろうと疑問に思う方は多いのではないでしょうか。近年、地球温暖化という気候変動により、北極海では融氷が進んでおり、北極海航路の新たな活用、エネルギー資源の可能性などによる、資源や環境問題、そして安全保障の観点から注目を集める地域となりつつあり、北極をめぐる国際社会の関心が高まっております。

 専門家の間では、気候変動と安全保障というテーマはかなり昔から議論されてきており、国際社会においても、ここ二、三年の間で議論が活発になっております。

 直近の国際政治の場では、二〇一三年にロンドンで開かれたG7の外相会合で初めて気候変動は経済と安全保障に対してリスクを及ぼすと記載され、その後、毎年G7の外相会合において気候変動のリスクについて分析がされていると承知しております。

 まず、これまでの気候変動と安全保障に関する世界の取組について、外務省に説明を伺いたいと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 気候変動は、海面上昇や干ばつ、自然災害の激甚化等の問題を引き起こしまして、こうした問題の影響を受けやすい国だけでなく、世界の安全保障及び経済の繁栄に影響、脅威をもたらすものとして、国際社会が一致して対応すべき喫緊の課題でございます。

 このような背景のもと、G7の枠組みでは、二〇一三年に、当時の議長国の英国の主導のもと専門家会合が開催されまして、その後も、G7の外相会合、あるいはそのもとにある作業部会におきまして議論が行われてきております。また、国連安保理におきましても、地域情勢に関する決議等の中で気候変動の影響について取り上げられてきております。

 我が国としましても、一昨年広島で行われたG8の外相会合における議論を主導し、昨年九月には気候変動と脆弱性に関する報告書を取りまとめ、G7やCOP23の場で取り上げる等、国際的な議論に積極的に貢献してきております。

 さらに、昨年十二月、我が国は、国連安保理の議長国として、国際の平和と安全に対する複合的な現代的課題への対処に関する公開討論を主催しまして、その中で、現在高まりつつある安全保障上のリスクの一つとして気候変動の問題を指摘するなど、さまざまな場面でこの問題の重要性を提起しております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 この法案が提出されるきっかけとなりました一つのIPCCの第五次評価報告書におきましても、気候変動と人間の安全保障について、気候変動は暴力的な紛争のリスクを増加させる幾つかの要因に影響を及ぼすとする研究結果を示しておりまして、将来の見通しについては、気候変動によってさまざまな民族紛争のリスク、また、土地の損失や強制移転をもたらす可能性があるとされております。

 こういった指摘を受けまして、例えばアメリカでは、国防総省が気候変動の適応についての計画を策定するなど、国家安全保障の観点から気候変動に対応するための取組を進めているところでございます。

 我が国におきましては、平成二十七年に閣議決定された適応計画には防衛省の施策が含まれておりません。また、関係省庁連絡会議におきましても防衛省は参加していないものと承知しておりますが、今後、安全保障の観点から、防衛省との連携強化も進めていく必要があると私は考えておりますけれども、環境省の御見解をお伺いいたします。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘をいただきましたIPCCの報告書、これは気候変動の科学に関する国際的な組織でございますIPCCの第五次評価報告書でございますけれども、こちら、気候変動と安全保障につきまして以下のように述べております。

 二十一世紀中の気候変動によって人々の強制移転が増加すると予想されている。気候変動は、貧困や経済的打撃といった既に十分に報告が存在する紛争の駆動要因を増幅させることによって、内戦や民族紛争という形の暴力的紛争のリスクを間接的に増大させ得る。多くの国々の重要なインフラや領域保全に及ぼす気候変動の影響は国家安全保障政策に影響を及ぼすと予想されると指摘をしているところでございます。

 御指摘のように、そしてこのようにIPCCで述べられておりますように、気候変動の影響は安全保障の観点からも重要であるというふうに考えておりまして、環境省としても、防衛省さんとも意見交換を重ねてまいりたいというふうに考えてございます。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 この課題については、一見直接的には関係するとは言えないとも言い切れないものではないかと思っております。今後、世界情勢、非常に流動しております中で、気候変動が安全保障に与える影響についても考慮していくべき必要があるのではないかと思っております。引き続き、どうぞ御検討をお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 次の質問にいたします。

 各省庁との連携の重要性という点に関連いたしまして、外務省の気候変動に関する有識者会合が、四月の十九日に「脱炭素国家・日本を目指し、気候変動対策を日本外交の主軸に」とすることを提言しておりますが、この提言をどのように受けとめられているのか。また、気候変動対策において、今後外務省とどのように連携していくお考えかということについて、環境省に確認をさせてください。

とかしき副大臣 今回外務省から提言された内容は、気候変動分野に携わる有識者の方々が、同分野における最新の国際的な動向を踏まえて議論をして作成されたものと承知しております。環境省といたしましても、さまざまな有益な御示唆があると認識しております。

 環境省と外務省は、同じ国際会議によく一緒に出ることがございまして、多分、その中で、今、環境政策の中で大きなターニングポイントに来ているということを外務省自身もお感じになって、いろいろな行動に移されているのだというふうに思います。

 G7の伊勢志摩サミットでは、二〇二〇年期限に十分に先立って長期戦略を策定、提出することにコミットメントをしております。

 ということで、外務省を始めとする関係省庁としっかり連携をしながら、長期戦略の策定に向けて政府全体としての検討作業を加速化し、特に脱炭素化に向けた日本の姿勢を国内外にしっかりと示していきたい、このように考えております。

木村(弥)委員 とかしき副大臣、ありがとうございました。

 次に移ります。

 私の選挙区があります京都市におきましては、地球規模の温暖化に加え、ヒートアイランド現象の影響もあり、百年間で二・〇度の割合で気温が上昇しております。世界の平均気温は百年当たり〇・七二度の割合で上昇しており、三年連続して観測史上最高を更新しておりますが、京都市ではそれ以上となっております。

 私の地元では、気候変動の影響とも見られる水害、土砂災害を起こし得る大雨の増加により、桂川の氾濫が多発しております。特に、平成二十五年台風十八号では記録的な大雨となりまして、京都府の全域に大雨特別警報が発令をされました。

 このような背景のもとで、京都府では、雨水が流入して増水した川から水を取り込んで貯留するための、いろは呑龍トンネル、龍が呑むという、そういった名前の地下トンネルの整備を進めまして、豪雨のときにもトンネルが満水になるまで水をため込むことができ、河川の氾濫を抑えることができるようになりました。

 将来的には、土砂災害の発生頻度の増加や、計画規模を超える土砂災害の発生の可能性は限りなく高くなると思いますので、この法案におきまして、将来の豪雨の頻発化などを見通して、できるだけ手戻りの少ない施設の設計に着手できることが期待されております。

 そしてまた、こういったハード面だけでなく、氾濫した場合の避難行動のあり方といったソフト対策面も含めて、ハードとソフト、両面の側面からの対策を各省庁と連携していくことが必要と思いますけれども、まず環境省の御見解を伺いたいと思います。

笹川大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 私の地元でも、五月でありますけれども、三十度超えをいたしまして、真夏日を記録いたしました。委員の御指摘、御懸念も、本当に同様な思いであります。

 改めて、委員の御指摘のとおり、ハードとソフト、両方の面での推進というのを、関係省庁との連携というのは大切でありますので、特にまた、本法案に基づく新しい気候変動適応計画のもとで連携をしていくということだと思います。

 特にまた、今委員の御指摘のとおり、インフラの整備、いわゆる社会資本の整備といったハード、さらにはまた、気候変動の予測、評価、その他の情報提供を含めてのソフト対策ということが大事だというふうに思います。

 特に、環境省といたしましては、国立環境研究所を中核とした情報基盤の整備、そしてまた、気候変動影響評価の実施による防災等の各分野における適応策を主にソフト面から後押しをしてまいりたいと思っております。

 また、もちろん国だけではなくて、大事なことはやはり地域における取組だというふうに思いますので、国、さらにまた自治体等々の、それぞれの機関により構成された広域の協議会において、地方環境事務所が旗振り役となって、将来予測に関する調査や情報の共有、優良事例に関する意見交換などを行いながら、地域に即したハード対策、ソフト対策の両面から充実強化を図ってまいりたいというふうに思っております。

木村(弥)委員 笹川政務官、ありがとうございます。

 もう時間も限られておりますので、国土交通省の方からも一言、一緒にやっていくんだという意気込みをお聞かせください。一言でお願いします。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘ありました平成二十五年台風十八号を始め、平成二十七年関東・東北豪雨、あるいは平成二十九年の九州北部豪雨など、最近激甚な災害が頻発してございます。今後、地球温暖化による気候変動等の影響によりまして、更に災害が頻発化、激甚化することが懸念されております。

 国土交通省といたしましては、施設では防ぎ切れない大洪水が必ず発生するものだという考えに立ちまして、社会全体で洪水に備える水防災意識社会を再構築する取組を進めてございます。

 具体的には、洪水氾濫を未然に防ぐ堤防整備、河道掘削等のハード整備を効果的、効率的に実施するとともに、現況の施設能力を上回る規模の洪水から氾濫被害を軽減するために、ソフト対策といたしまして、水害対応タイムラインの策定、あるいは、想定最大規模の降雨による浸水想定区域図の作成などを進めてございます。

 国土交通省といたしましては、気候変動適応策を進めていくことは非常に重要と考えてございまして、今後とも、ハード、ソフト一体となった気候変動適応策を進めてまいりたいと考えております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 ともに取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣に質問でございます。

 中川大臣と、環境問題について、私には大変印象深い出来事がございます。大臣が平成十六年の参議院選挙、東京選挙区から初めて出られましたとき、私は父の秘書をしておりまして、父の事務所を訪ねていただきまして、「環境立国への道」という本をいただき、私、読みました。その本には、日本のみならず地球規模の視点を持って環境問題に取り組むとともに、それをわかりやすく伝えていきたいという大臣の強い思いが記されておりました。こうして広い視野から環境問題を俯瞰されてこられた方が今環境大臣となられていることを大変心強く感じております。

 これまでこの適応策の充実強化に向けて質疑を行ってまいりましたが、緩和策と適応策は車の両輪であり、この法案に基づいて適応策を推進していくことに加えて、緩和策についてもより一層の強化が求められております。更にこの広い視野を持って我が国の温室効果ガスを大幅に削減し、さらには世界の脱炭素化を牽引し、地球温暖化を食いとめるための長期的な戦略をしっかりと策定する必要があると思いますので、ぜひ環境大臣にこの御見解を伺いたいと思います。

中川国務大臣 長期戦略は、国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体での排出削減に最大限貢献できるよう、気候変動対策を契機として、我が国が抱える経済、地域、国際などの諸課題の同時解決を図り、中長期的な成長につなげていく骨太なものとすることが重要でございます。

 こうした観点から、環境省では、温室効果ガスの長期大幅削減の鍵となるメッセージや、民間企業にとっての機会、課題などをまとめました、長期大幅削減に向けた基本的考え方を本年三月に取りまとめたところでございます。

 来年は、我が国がG20議長国を務める重要な年であることも踏まえつつ、世界の脱炭素化を牽引するとの決意のもと、政府全体としての長期戦略の検討作業の加速化に向けて調整を進めてまいります。

松島委員長 持ち時間は終了いたしました。

木村(弥)委員 ありがとうございました。

 これからまた、IPCC開催に向けて、京都市を候補地とすることも決定していると聞いております。ぜひ機運が盛り上がることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松島委員長 次に、堀越啓仁さん。

堀越委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブ、自然系国会議員の堀越啓仁でございます。大分定着してきたのではないかなというふうに思います。皆さんの御協力のたまものでございます。

 先ほどの木村委員の御指摘、本当にすばらしいと思います。気候変動とそして安全保障、これはやはり切って切り離せないものであるということは、木村委員の方からも御指摘いただいたことだというふうに認識しています。やはり食料自給率、あるいは災害に伴って難民がふえる、こういったことも、我が国日本においてもしっかり向き合っていかなければいけない大きなテーマであるというふうに思っております。

 先日、委員会におきまして、初めて参考人質疑、立たせていただきました。WWFの小西さんや気候ネットワークの桃井さん、両参考人から貴重な御意見を頂戴いたしましたけれども、そのことについて感謝申し上げるとともに、本日は、採決前の最後の質疑ということでございますので、更に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今までは、経済損失あるいは防災、こういった観点から、気候変動適応法の重要性ということについて、更に厳格化を求めていく必要があるのではないかという点について御指摘をさせていただいたわけでございますけれども、本日は、生物の多様性という点についてもやはり触れていかなければいけないというふうに思っております。

 国内における影響として、モウソウチクとマダケなどの分布地域の拡大が地域の生態系の変化を起こすことによって里山の管理に悪影響を及ぼすことや、サンゴの白化などについても言及ありましたけれども、海外に目を向けてみますと、興味深い報告書がことしの三月に取りまとめられています。それは、参考人質疑でいらっしゃった小西参考人が所属するWWFがイギリスのイーストアングリア大学の気候変動の研究所に委託して行った、地球温暖化による生物種への影響調査の報告書です。

 この報告書によりますと、地球の平均気温が産業革命前から四・五度以上上昇した場合、二十一世紀末までに、アマゾンやガラパゴスなど、WWFが定めた三十五の優先保全地域で生息地の環境悪化が深刻化して、野生動植物の五〇%が絶滅するおそれがあるということがわかりました。極めて大きな被害が予測されている地域もありまして、アフリカの南部の森林地帯ミオンボでは、両生類の九〇%、鳥類の八六%、そして哺乳類の八〇%が絶滅するとしています。また、オーストラリアの南西部では、両生類の八九%が絶滅するとされています。これは本当に大変な問題だというふうに私は認識しています。

 ガラパゴスやアマゾンというのは、いつも自然の多様性の象徴として挙がってくるわけなんですけれども、ガラパゴスというのは、スペイン語でゾウガメという意味なんですね。ゾウガメの島というのをあらわすのがこのガラパゴス諸島になるわけですけれども、ガラパゴス諸島というのは島国ですので、本当に小さな島ですので、そこにいる生物は、海洋によって漂着する、若しくは飛んでそこに定着するという固有種が非常に多いから着目を浴びているわけであります。

 そして、それに加えて、アマゾンも、当然ですけれども、鳥類、魚類、哺乳類、両生類、ありとあらゆる生物の多様性というものが象徴されている、そういうところであるわけですけれども、今現在でもなお、アマゾンでは新種というのが発見されているぐらいなんですね。WWFの調べによりますと、二〇一四年から二〇一五年の間、三百八十一種類もの新種が発見されている。

 それぐらい多様的な生態系があるところで、九〇%あるいは八〇%という高いパーセンテージで絶滅してしまうというおそれがあるというのは、やはり先進国としてもしっかり向き合っていかなければいけない大問題であるというふうに考えております。

 四・五度の気温上昇というのは、非現実的な想定ではなく、小西参考人の発表では、現実の世界の排出量というのが四度上昇するシナリオに沿っているということが指摘されておりますので、このことから考えると、五〇%もの種の絶滅が実現化するおそれをしっかりと受けとめる必要があるというふうに考えています。

 これまでの質疑において、温室効果ガスの大幅な削減が必要であることを何度も指摘をさせていただいておりますけれども、野生の動植物の保護の観点からも、最大限の緩和策の実施の重要性について、ここで改めて指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、やはり、こうした貴重な自然が存在する地域には、気候変動の影響に対し脆弱な開発途上の国々が多く存在していることから、その地域に暮らし、気候変動の影響を受けている人々の生命や生活はもとより、自然環境、動植物が生育、生息できる環境を守っていくためにも、適応に関する支援を適切に実施していくことが必要と考えます。

 また、途上国においては、気候変動の影響評価や適応策を立案していくための基盤となる科学的な知見が不足しており、また、そのような知見を整備し、活用していくための人材や能力が不足しているとの指摘もあります。

 これは、先日の参考人質疑において鰐淵委員が質問した際に、小西参考人からの答弁で、途上国の適応を支援していく仕組み、特に資金メカニズム、そういったものを日本の政府としてはすごく真剣に考えていってほしいということ、また、この法案の中の第十八条の国際協力も、ばくっと技術協力ではなく、そのほかの国際協力ではなく、その中にインセンティブの付与というものを入れていただけたら本当にありがたいなという指摘をされております。また、日本にとっても当たり前の技術である天気予報や早期警戒システムなどにより、途上国では多くの命が救えるんだということを指摘されています。

 そこで、小西参考人の指摘も踏まえ、適応に関する途上国への支援についてどのように取り組んでいくのか、政府にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 先日、ガラパゴスの高校生が数人、私のところを訪問されまして、ガラパゴスの生物多様性、希少種を守る取組について、大変な情熱を持っていることを聞かせていただきました。こうした方々の意思をしっかりと実現できるようにするためにも、途上国に対する適応策の支援というものは極めて重要だというように考えているところでございます。

 環境省におきましては、インドネシア、フィリピン、島嶼国などで、各国のニーズに応じて、気候変動影響の将来予測や適応計画の策定の支援を行ってまいりました。

 今後は、開発途上国が科学的知見に基づき適応策を立案、実施できるよう、アジア太平洋地域の適応に関する情報基盤であるアジア太平洋気候変動適応プラットフォームを二〇二〇年までに構築するなど、引き続き適応策に関する国際協力を積極的に推進してまいりたいと考えております。

堀越委員 中川環境大臣、ありがとうございます。

 先ほど、生の声を実際聞いていただいたということでございましたので、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。

 生物の多様性に関しては、なぜ生物の多様性を守らなきゃいけないのか、あるいは絶滅をさせてはいけないのかという点について、私は少し考えさせていただいたんですが、やはり、今まで我々人間がこの地球上に存在するまでの間、さまざまな動植物は絶滅してきた経過があります。しかしながら、人間がこの地球上に生まれてきてから、そのスピードが飛躍的に上がってしまっている。これは倫理的に考えても、人間がほかの動植物を絶滅に追い込んでいいのかという点が一つ。

 それから、そういった気候変動や地球環境の変化によって、やがてその影響は我々人類にも及んでくる可能性があるという点からも絶滅を防がなければいけないんだということを私は考えておりますので、この点につきましても、ぜひ環境省、一体となって取り組んでいっていただければというふうに思います。私も頑張っていきたいと思います。

 続きまして、インフラのことについてなんですが、グリーンインフラという考えがあります。このグリーンインフラに関しては、かつて、安倍総理が衆議院の予算委員会において触れております。

  我が国が、我が国の豊かな自然を活用しながらグリーンインフラの整備を進めていくことは、経済、社会両面で有効であり、重要であると思います。我が国においても、緑の防潮堤や海岸防災林の整備のような、自然の機能を生かした事業を減災、防災等の取り組みとして進めているところであります。

  グリーンインフラという考え方を取り入れて、将来世代に自然の恵みを残しながら、自然が有する機能を防災、減災等に活用していきたいと考えております。

と答弁されております。

 私、これは非常に重要なことだと思っておりまして、公共事業というと、自然破壊型の公共事業というのが行われがちですが、このグリーンインフラに関しては、自然再生型の公共事業である、そして、減災、防災の観点からも非常に重要な点であるというふうに思っております。

 この点について、その後どのような取組が行われているのか、国交省に伺いたいと思います。

 その上で、グリーンインフラは、これまでの適応策においてどのように位置づけされておるのか、評価がされているのか、重ねて伺いたいと思います。

首藤政府参考人 お答えいたします。

 グリーンインフラは、社会資本整備や土地利用等のハード、ソフト両面におきまして、自然環境が有する機能、この機能と申しますのは、生物の生息の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等と考えておりますが、この機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるものでございまして、グリーンインフラを推進することは、経済、社会両面で有効であり、重要であると認識をしております。

 そのため、平成二十七年八月に閣議決定されました国土形成計画や、平成二十七年九月に閣議決定されました社会資本整備重点計画にグリーンインフラを位置づけるなどにより、多自然型川づくりや緑の防潮堤、さらには延焼防止等の機能を有する公園緑地の整備など、さまざまな分野におきましてグリーンインフラの取組を推進しているところでございます。

 どのような位置づけで取り組んでいるのかということでございますが、適応策としての取組でございますけれども、国土交通省におきましては、平成二十七年十一月に国土交通省気候変動適応計画を策定したところでございます。

 この適応計画におきましては、適応策の基本的な考え方の一つといたしましてグリーンインフラを位置づけまして、目的や地域特性に応じて、生物の生息、生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制などといった、自然環境が有する多様な機能を活用することとしております。

 今後とも、この適応策の基本的な考え方を踏まえながらグリーンインフラの推進に取り組んでまいります。

 以上でございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、この点について、今回の適応法案提出に当たり、環境省のグリーンインフラに係る見解をお聞かせいただければと思います。

亀澤政府参考人 環境省では、生態系の多様な機能を地域づくりに生かすグリーンインフラを、生物多様性の保全とともに、人口減少等に伴う国土の管理水準の低下や気候変動の影響による自然災害の激甚化にも対応し、地域の強靱性を向上させるものと考えておりまして、四月に閣議決定された環境基本計画でも位置づけているところでございます。

 特に、生態系を活用した防災、減災につきましては、基本的な考え方を具体例を交えて冊子として整理し、自治体の担当者等の実務者向けに普及を図るとともに、社会実装に向けて、国内外の事例収集や生態系の機能評価に関する研究について、環境研究総合推進費による支援等を進めております。

 また、国際的な取組として、我が国の拠出により生物多様性事務局に設置された生物多様性日本基金を通じまして、途上国の政府担当者を対象とする能力養成のプログラムを実施してきております。

 環境省といたしましては、グリーンインフラの推進に向けて、引き続き、生態系の機能評価や保全、再生に努めてまいりたいと思います。

堀越委員 ありがとうございます。

 国交省の取組、それから環境省の取組、グリーンインフラに係る見解をお伺いしたわけですけれども、ぜひこれは、国交省の皆さんも環境省に寄り添い、環境省の方は国交省に寄り添う形で、一体となって進めていっていただければというふうに思います。

 気候変動の影響に関しては、非常に不確実性が高いものだと思います。そういった中で公共事業を展開してくる際に、コンクリートで覆っていくような公共事業を行う際には、やはり巨額の資金というのが当然必要になってきます。片や、このグリーンインフラに関しては、時間はやはり生育に関しても必要なものかもしれませんが、自然の景観をよくしたり、あるいは減災、防災についても効果を高める重要な視点であるというふうに思っております。

 私ごとで恐縮ですけれども、私は実家が寺でございまして、寺の裏には山があるんですけれども、かつて、私の父親が大学に行くときに、お金がないので、先代の住職は、裏の山の木を切って大学に行かせたということがありました。そのときに、裏の山がかなり痩せてしまったんですね。大雨があったときに裏山がやはり崩れて崩壊したということがあります。

 実際、これと同じようなことが中山間地域には多々起こっているのが今現状でありますので、そういった自然な景観を取り戻すということは防災、減災にもつながるんだという視点でぜひこのグリーンインフラを進めていただければ、すばらしい自然再生型の公共事業になるのではないかというふうに私は考えております。

 最後になりますけれども、適応策が適切に実施されるためには、こちらも繰り返し質問させていただいておりますけれども、現場の自治体への支援が重要であるというふうに思っております。

 日本列島は南北に細長く、そして、その地域や植生、また各地でつくられる作物、多種多様でございます。このため、気候変動の影響も地域によってさまざまな様相を見せているわけでございます。そこで、気候変動適応に、影響に現に対峙している、またこれから対峙しなければならない自治体が適応という課題に取り組んでいくために、財政的支援も含め、どのような支援を行っていくのか、政府に伺いたいと思います。よろしくお願いします。

笹川大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 今委員の御指摘のとおりでありまして、やはり、地域の、またそれぞれの基礎自治体の対応というものが大変大切でありますので、そういう意味において、地域レベルにおいても、防災、さらには農林水産業の振興等々についても、しっかりと連携をしながらやっていくことが大事だろうというふうに思います。

 そういう意味を込めて、本法案におきましても、地方公共団体による防災や農業に関する既存の施策に効果的に適応策を組み込み、効率的に施策を推進していく旨の、計画策定に努めるという規定をさせていただきました。

 しかし、この適応策を地域の皆さんが推進するためには、今まで環境省は、農林水産省そして国土交通省等とも連携をしながら取組を支援してまいりましたが、やはり引き続いてこれを連携しながら支援をしていくことは大事でありますので、そういう意味において、計画策定マニュアルの作成さらに提供、本法案の規定に基づく国立環境研究所による技術的、それから情報の提供、そしてまた広域協議会を通じた地域の関係者によるすぐれた取組の、この委員会においてもさまざまな優良事例につきましての御紹介がございました、そういう情報の共有化が私は大切だ、それをまた推進をしていかなければならないというふうに考えております。

 そのためにも、この法案、成立させていただいたならば、やはり環境省として、今まで以上に積極的に地域、地方に足を運んで、そして本法案の意義というものを説明する説明会等々を開催していくことが大事だというふうに思いますし、それから、地域適応計画の策定の初期の段階からしっかりと支援をしていくことが大事だろうというふうに思っております。

堀越委員 ありがとうございます。

 先ほど笹川政務官の方からお話がありましたとおり、情報の共有化、本当に重要なことだと思っています。

 先日質問で取り上げさせていただきました「いぶき」、この情報源も、やはり中央の方で持っているだけではなく地域にしっかり落としていくということ、そして、今私は地方創生委員会の方に属させていただいているわけなんですけれども、やはり地域の創生とそしてこの適応に関しては、非常になじみやすい、親和性の高いものであるというふうに認識をしておりますので、気候変動に伴う影響で作物のとれるものがやはり変化してくるというのも今までも取り上げさせていただいておりますけれども、愛媛などでは、ミカンからオレンジにかわる良質なものがとれるというようなこともありますし、私の地元の群馬県でも、やはり米が、品質が大分変わってきたというようなところもあります。

 ぜひ地域と一体となってこの適応を大きく進めていただきたいというふうに思います。私も地元に戻ってこのことをしっかり伝えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上をもちまして、私の質問とさせていただきました。ありがとうございました。

松島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、さきの五月十六日の日に、経済産業省の審議会におきまして、国の今後のエネルギー政策のあり方を示す、三年ごとに発表していらっしゃるエネルギー基本計画の素案というものが発表をされました。今後、パブリックコメントを通じまして幅広く意見を求めていく方針ということで、夏の閣議決定を目指しているものというふうに聞いております。

 この中で、二〇三〇年に向けた施策として、今回初めて、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの主力電源化へ向けた取組という文言が明示をされました。一方で、エネルギーの目標数値については従来と変更しないという内容となっております。また、今回、パリ協定の枠組みにおいて、二〇五〇年を見据えて、再生エネルギーの、経済的な、そして自立した、脱炭素化した主力電源を目指すという方向性もあわせて示されております。

 まだ計画として確定したものではございませんけれども、この計画につきましては有識者の方々からさまざまな意見が出ているというふうに聞いております。今まだ素案の段階でございますけれども、中川大臣にその所感をお尋ねいたします。

中川国務大臣 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会におけるエネルギー基本計画の見直しに向けた議論がなされておりますが、環境省としても注視しているところでございます。

 エネルギー政策は地球温暖化対策と密接に関連していることから、環境省としては、エネルギー基本計画の見直しの方向性が、パリ協定を受けた脱炭素化の方向性と整合したものとなることが重要であると認識いたしております。

 二〇五〇年という長期を見据えれば、再エネは主力電源となっていかなければなりません。そのような観点から、二〇三〇年度に向けても、そのために必要な対策をしっかりと講じつつ、再エネの最大限の導入を進めていく必要があると考えております。

 こうした環境省の考え方につきましては、しっかりと経済産業省などに伝えてまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 これから幅広くさまざまな意見を聞いていかれると思いますけれども、やはり、有識者はもちろんでございますけれども、広くこの計画に意見を反映していくことが私は大変重要であるというふうに考えております。

 次に、今回の適応策を推進するに当たりまして大変中心的な役割を果たされる国立環境研究所についてお尋ねをいたします。

 現在の国立環境研究所における体制、また人員構成、またその予算の状況などにつきまして、現在の体制についてお尋ねをすると同時に、今回の法律が成立をした後、この研究所の体制の強化などの計画、また今後のあり方についてお尋ねをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 国立環境研究所は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護、整備などに関する調査研究を実施する国立研究開発法人でありまして、現在の体制は九百十七名でございます。運営費交付金により事業がなされておりまして、国の国立環境研究所に対する運営費交付金、三十年度予算で百三十四億円となってございます。

 適応に関しましては、これまで、環境に関する調査研究の一分野といたしまして、気候変動による影響予測手法の開発等を行ってきております。

 加えまして、平成二十八年から、適応の情報基盤といたしまして、環境省が関係省庁と連携して運用する気候変動適応情報プラットフォームの事務局を務めております。このプラットフォームでは、地方公共団体の気候変動影響評価や適応計画の策定支援等を行っております。

 平成三十年四月時点で、これらの業務に携わる研究者は十一名でございます。

 また、国立環境研究所、現行三十年度予算におきまして、先ほど申し述べました百三十四億円の運営費交付金のうち、この適応関係ということで九・七億円という状況になってございます。

 今御審議をいただいておりますこの気候変動適応法案が可決、成立をいただきましたならば、国立環境研究所の主要な業務の一つといたしまして、研究段階から一歩踏み出し、予測手法の精度や解像度の向上などを行うことで、より実用的な影響予測を実施いたします。

 また、この成果を活用いたしまして、地方公共団体への計画策定支援や、地域気候変動適応センターに対する技術的支援をより的確に行うとともに、国や地方の研究機関との連携協力体制の構築を進めていきたいと考えております。

 こうした取組を着実に進めるため、国立環境研究所の組織、人員、予算を含めまして、さらなる体制強化を図ることとしてございます。

 環境省といたしましても、引き続き国立環境研究所の体制整備を支援してまいります。

西岡委員 今お話がございました。大変、今後この適応策を推進するに当たりまして、この国立環境研究所の役割というものがより重要となってくると思いますので、環境予測の体制というのも本当に重要な部分であると思いますので、より一層の体制の充実をぜひお願いをいたします。

 一点、適応策の大前提となる緩和策について、前回の質問におきましても、再生可能エネルギー、洋上風力発電について取り上げさせていただきましたけれども、先般、再生可能エネルギーにつきまして、千葉大学の倉阪教授と環境エネルギー政策研究所が、地域において生活するための電気をどの程度その地域が賄えるかという調査をされております。つまり、エネルギーの自給率というものを見える化する調査でございます。

 エネルギーの地産地消というのは、今後のエネルギーの安全保障の面、また、この少子高齢化社会のもとでの地域の振興、また地場産業の振興、そして雇用の創出という面においても大変重要な視点であると考えております。

 その調査によりますと、自給率という面では、あくまでもこの教授の調査でございますけれども、大分県が三八%という自給率で一位という試算が出ております。その根拠となっておりますのは、地熱発電所、そしてメガソーラーによるものであるということでございます。二位は秋田県で、風力と、やはりこれも地熱発電所による取組によるものだというふうに思っております。この地熱発電につきましては、まだまだ今後伸びる要素が全国で大変ある発電源であるというふうに言われております。また、一方で、自給率ではなくて、電力の供給量という面については、愛知県が一位であるという調査が出ております。

 今後、再生可能エネルギーにつきましては、コスト面も含めてさまざまな課題がありますし、また、持続的なエネルギーの確保、安定的な確保という面も大変重要でございます。また、先ほどの調査にあります自給率というものも、大変今後必要な視点であるというふうに思っております。

 現在の日本におきましての再生可能エネルギーの進捗状況、これは供給ベースで結構でございますので、今の日本の再生エネルギーの状況についてお尋ねをすると同時に、世界における状況についてもお尋ねをいたします。

 また、強力に再生エネルギーを推進していくために、環境省としての今後の取組方針についてもあわせてお尋ねをいたします。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

森下政府参考人 二〇一六年度におきます我が国の発電電力量に占めます再生可能エネルギーの割合でございますけれども、約一四・五%となってございます。内訳ですが、水力発電が約七・六%、太陽光発電が約四・四%、風力発電が約〇・六%、地熱が約〇・二%、バイオマス発電が約一・八%というふうになってございます。

 それで、海外の状況についても御質問がございました。

 例えば、イギリスの発電電力量に占めます再生可能エネルギーの割合、二〇一六年でございますけれども、約二五・三%となっております。内訳は、水力が約二・五%、太陽光が約三・〇%、風力が一一・一%、バイオマスが約八・七%でございます。

 ドイツは、再生可能エネルギーの発電電力量に占める割合が約二九・九%。内訳として、水力発電が約四・一%、太陽光が五・九%、風力が約一一・九%、地熱が〇%、バイオマスが約八・〇%であります。

 続いて、フランスですが、こちらは発電電力量に占める再エネが約一八・〇%となっておりまして、内訳は、水力が約一一・五、太陽光が約一・五、風力が約三・八、地熱が〇・〇、バイオマスが約一・二、それぞれパーセントとなっております。

 もう一つ、アメリカですが、こちらも、発電電力量に占める再生可能エネルギー、その割合が約一五・三%。内訳は、水力が約六・七、太陽光が約一・三、風力が約五・三、地熱が約〇・四、バイオマスが約一・六、それぞれパーセントということでございます。

 環境省の取組方針でございますけれども、再生エネルギーというのは非常に重要だと私どもも考えてございます。脱炭素社会構築に向けた鍵を握るエネルギーでございますし、経済成長や地方創生にも資するものだというふうに考えてございます。

 このため、私どもでは、自治体や企業におきまして再エネ設備を導入する際の検討支援ですとか設備補助、洋上の風力発電など新たな再エネ電源の技術開発、風力発電等の環境アセスの迅速化などに取り組んできております。

 ことしの三月には、環境省再エネ加速化・最大化促進プログラムを発表しておりまして、そのプログラムに基づきまして、例えば、ゼロ・エネルギー・ビルあるいはゼロ・エネルギー・ハウス、ZEB、ZEHの新築や改修支援を行うことで、住まい、オフィスなど、エネルギーを使う場で、省エネ、蓄エネとあわせた形で再エネの活用を促進していこう、あるいは、地域エネルギー企業の立ち上げ支援などによります地域の自立と脱炭素化の促進を進めていこう、我が国の豊富な再エネ供給ポテンシャルを最大限活用するための洋上風力発電の低コスト化やゾーニング手法の検討などを実施しているところでございます。

 消費者、企業、地方公共団体等さまざまな主体の方々に再エネに取り組んでいただいて、将来的に再エネが我が国の主力電源となりまして、CO2の大幅削減が実現できるように、引き続き関係省庁とも連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。

西岡委員 ぜひ、今後とも強力にこの再生可能エネルギーの推進というものに邁進をしていただきたいと思いますし、地方の、やはり地域の再生のためにも大変重要なものであると考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 適応策に戻らせていただきます。

 今回、基本戦略として適応策の国際展開というものがうたわれておりまして、国際協力、国際貢献の推進というものが規定をされております。先般からの質疑の中でも出てきておりますけれども、気候変動適応情報プラットフォームを確立をして、それをアジア太平洋地域に拡大するという方針でございます。具体的にこれをどのように進めていかれるのか。

 そして、進めていく上で、専門的な人材の派遣や、また国際的な人事交流というものが大変必要であると考えております。現在、国際的な人材の派遣また人事交流などの実績についてお尋ねをいたしまして、また、今後、その人事交流、人事派遣についてどのような方針で取り組んでいかれるのかということをお尋ねをいたします。

 また、発展途上国の人材を育成していくということも大変日本が果たすべき大きな役割であると考えておりますが、現在のその取組の状況、今後の取組について、笹川政務官にお尋ねをいたします。

笹川大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 開発途上国におきましては、気候変動に特に脆弱である。我が国が有する科学的知見、技術を生かして開発途上国の適応能力の向上のために国際協力を進めていく、このことが大変大切だというふうに認識をいたしております。

 環境省といたしましては、インドネシア、フィリピン、島嶼国、いわゆるフィジー、バヌアツ、サモアなどの各国のニーズに応じて、気候変動影響の将来予測や適応計画の策定の支援を行ってまいります。

 開発途上国が科学的知見に基づき適応策を立案、実施できるように、アジア太平洋地域の適応に関する情報を一元的に提供するアジア太平洋気候変動適応プラットフォームを二〇二〇年までに構築すべく、各国との調整を今進めているところでもございます。

 昨年の気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP23のサイドイベントにおいても、同プラットフォームの暫定版を紹介させていただき、開発途上国から強い期待も寄せられたところでもございます。しっかりとその期待に応えられるよう、情報の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

 また、委員の御指摘のとおり、開発途上国の適応能力向上のために、人材の派遣、そしてまた人材の育成の推進が重要と認識をいたしております。現在、国際協力機構、JICAの技術協力により、開発途上国への専門家の派遣及び開発途上国の政府関係者等に対する適応をテーマとした研修も実施をいたしております。

 環境省においても、アジア太平洋地域の八カ国で適応に関する二国間協力事業も行っておりまして、その中でも、国立環境研究所等の専門家を派遣して、現地でもセミナーを開催させていただいております。このようなことを通じながら、関係途上国の能力向上に貢献をしてまいりたいと考えております。

 今後とも、一層取組を着実に実施をして、開発途上国の人材育成等にも改めて協力を強力に進めてまいりたいというふうに考えております。

 ありがとうございました。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

西岡委員 ありがとうございます。

 引き続き、その取組をぜひよろしくお願いいたします。

 次に、民間事業者にとっても、この適応策を推進していくためには、大変情報や知見が現在不十分な状況でございます。適応策のビジネス推進につきましても、あわせて大変国の支援というものが不可欠でございます。

 事業者の適応取組事例というものがポータルサイトにて紹介をされております。国内企業はもとより、海外に進出している国内企業にとっても、この適応策というものは大変重要な問題でございますし、充実していく必要が大変あるというふうに思っております。

 気候変動適応ビジネスの展開の機運というのは、一方でまだまだ不十分でございますし、民間の資本の活用というものも大変重要な視点であると考えております。とかしき副大臣に、今後の方向性、取組についてお尋ねをいたします。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 大きな気候変動が起こりますと、事業者にとっては、これは一瞬にして今まで持っていた資産の価値がなくなる、こういう状況に追い詰められる可能性があります。ということで、この気候変動への適応に関する取組を進めることは、事業者にとってはとても重要であります。

 ところが、先進的な事業者は既に取組を始めておりますが、残念なことに、まだまだごく一部でしかありません。具体的には、洪水災害の大規模化、多発化を想定して、業務継続のためのリスク管理とか、あと、衛星画像を活用した農場のリアルタイムの分析、そして異常気象や高温に対する適切な営農を支援する事業とか、こういったものが事例としてあります。

 ただ、先ほども申し上げましたように、これは一部の事業者にとどまっているのが現状でございます。ということで、委員御指摘のとおり、これをやはりいかにふやしていくのか。適応ビジネスを推進していくためには、やはり情報や知見、これが十分でないと取り組むことができませんので、環境省といたしましては、適切な情報提供等の後押しが必要であると認識をしているところであります。

 今法案が通りましたら、これは、民間事業者における取組が広がるように、気候変動適応情報プラットフォーム、これを充実させて、優良事例の紹介とか、将来の気候変動、どういう影響が出てくるのか、適応についての考え方とか、こういった情報提供を行って、民間事業者の適応ガイドライン等の検討を行うなど、事業者の取組を後押し、しっかりしていきたい、このように考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 ちょっともう時間がなくなってしまいましたけれども、この気候変動適応法案、大変私は重要な法案であると思っております。この法律の中でうたわれていること、大変重要なことでございます。

 その中で、やはり特に、地方でこの適応策をとっていくときの国の支援というものが私は大変必要であると思いますし、地域によってさまざまな事情がございます。ぜひ、この視点を本当に重要、一番大切な視点として取り組んでいただけますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

松島委員長 次に、江田康幸さん。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日も、気候変動適応法案について質問をさせていただきます。

 前回は、私の方からは、法案の意義や気候変動適応計画の実効性、また地域の適応計画、そして国際協力や緩和策の強化等について全般的に質問をさせていただきました。

 本日は、四月の二十四、そして五月の十五日ですか、両日行われました参考人質疑を踏まえて政府に質問をさせていただきます。

 まず、気候変動影響評価の活用について、中川大臣にお伺いをしたいと思うんですが、茨城大学の学長の三村参考人は、最新の科学的知見を収集して、五年置きに気候変動影響評価を行う本法案の仕組みは大変有効であるということを評価しておられました。

 実際に、イギリスの気候変動法においても、同様に五年ごとに気候変動影響評価を行う仕組みを導入しておりまして、どの分野の適応策を推進するのか、科学的な観点から優先づけを行って、それを適応計画に反映させているというような状況であります。

 本法案では、環境大臣が中央環境審議会の意見を聞いて、責任を持って気候変動影響評価を行うこととされておりますけれども、重要なことは、この結果を気候変動適応計画に反映させて、各省庁において重点的に適応策を実施してもらうようにすることが大事ではないかなと思います。

 そこで、環境省として、気候変動影響評価の結果をどのように活用していく方針か、また、それを踏まえた重点的な適応策の実施を各省庁にどのように働きかけていくのか、中川大臣にお伺いをいたします。

中川国務大臣 適応策は、気候変動影響に関する科学的知見に基づき推進していくことが重要でございます。このため、本法案では、気候変動影響が大きい分野や地域を特定することなどにより、重点的、効果的な適応策を推進するため、環境省が最新の科学的知見を踏まえ、おおむね五年ごとに気候変動影響評価を行うこととしております。

 また、本法案では、関係省庁と協議をしながら気候変動影響評価を行うことといたしておりまして、関係省庁が有する知見を取り入れ、関係省庁の理解を得て評価結果を取りまとめていきたいと考えております。

 このように、政府一体となって取りまとめた気候変動影響評価の結果につきましては、気候変動適応計画の改善に積極的に活用いたします。その際、科学的知見を踏まえた重点的、効果的な適応策を推進することができますように、今でも気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議というのがございますが、こうした場を活用するなどにより関係省庁に働きかけながら、気候変動適応計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。

 続いて、適応計画の策定見直しについて、とかしき副大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 国立環境研究所の原澤参考人は、五年ごとの気候変動影響評価に加えて、政府において気候変動適応計画のPDCAサイクルを確立すべきと主張されておりました。また、WWFの小西参考人や気候ネットワークの桃井参考人は、計画の内容の妥当性を確認するための第三者機関の仕組みが必要とも主張されておりました。

 私としましても、適応計画の策定や、そして進捗状況のフォローアップ、さらには見直しに当たっては、多様な関係者の意見を聴取しながらPDCAサイクルを回していくことが大変重要だと思うわけでございますが、そこで、気候変動適応計画の策定や見直しに際してどのように多様な関係者の意見を聴取していくこととしているのか、とかしき副大臣の見解をお伺いいたします。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘の視点は非常に重要だと環境省としても認識をしているところであります。

 特に、気候変動の影響は、国民一人一人に幅広く及ぶものでありますので、その影響を回避、軽減する適応策は、多様な関係者の理解と協力のもとで進めていくことが重要であります。

 こうした観点から、本法案では、新しく策定する気候変動適応計画では、国、地方公共団体、事業者、国民等の幅広い主体の連携協力による取組を盛り込んでいくとしております。

 このため、気候変動計画の策定や見直しに当たりましては、次の三つのポイントで推進していきたいというふうに考えております。まず一つ目は、広域協議会の場を活用していく。地方公共団体を含む地域の関係者の皆様の御意見を伺うようにする。二点目は、関係審議会等を通じたさまざまな専門家や有識者からの意見を聴取すること。そして三つ目は、国民の皆様から声をいただくということで、パブリックコメント、これを充実させていく。

 こういった多様な関係者の皆様からの御意見をいただきながら見直し等を進めていきたい、このように考えております。

江田(康)委員 副大臣、ありがとうございました。

 大変重要な視点でございまして、多様な関係者の意見をしっかりと聞いていっていただきたい、また、そういう制度であっていただきたいと思います。

 次に、適応策の評価手法の開発についてお伺いをさせていただきます。

 本法案においては、適応策の効果を把握、評価する手法の開発に努めるものとされております。緩和策はCO2の削減量という指標をもって評価をすればいいわけですけれども、適応策というのは、この指標に大変制限がありまして、農業や防災や生態系などさまざまな分野があって、それぞれどんな指標を用いて適応策がどれだけ進んだのか評価をすればいいのかが明らかではありません。諸外国においても評価手法が確立されていないという問題がございます。

 適応策に特化した力強い法制度を持つ我が国が世界に先駆けて評価手法を開発して発信していくことが大変重要だと思います。また、その際には、地方公共団体や民間事業者などの具体的な適応の取組を踏まえながら、その取組を定量的に評価できる手法を開発していくことが重要となります。

 そこで、環境省として、地方公共団体や民間事業者と連携をしながら、具体的な事例を踏まえて適応策の効果を把握、評価する手法を開発していくべきと考えますけれども、見解をお伺いします。

森下政府参考人 御指摘いただきましたとおり、政府はもちろんのことでございますけれども、地方公共団体ですとか民間事業者の方々にとりましても、それぞれの適応の取組が気候変動の影響による被害の回避や軽減にどれだけ貢献をしたのかなど、適応策の効果を定量的に把握、評価していくこと、これは非常に重要と考えてございます。

 しかしながら、適応策の効果を把握、評価する手法は、適切な指標の設定が困難であること、適応策の効果を評価するには長い期間を要することなどの課題がございまして、御紹介のありましたとおり、諸外国においてもまだ具体的な手法が確立されていないという状況でございます。

 このため、本法案では、政府は気候変動適応の進展の状況を的確に把握し、及び評価する手法を開発する旨の規定を置いてございます。

 私ども環境省といたしましては、地方公共団体ですとか民間の事業者の方々と連携をいたしまして、それぞれの具体的な適応の取組が気候変動の影響による被害の回避、軽減にどれだけ貢献をしたのか、可能な限り定量的な指標をもって評価できますよう、しっかりと事例を集めながら、適応策の効果を把握、評価する手法の開発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 この評価手法の開発は大変に重要でありまして、我が国こそがそれを先導していっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間が迫っておりますので順番を変えさせていただいて申しわけございませんが、中川大臣にお伺いをさせていただきます。

 先ほどから議論もあっているところでございますが、国際協力また適応ビジネスの推進についてということで質問をさせていただきます。

 WWFの小西参考人が、適応ビジネスが緩和ビジネスに比べておくれていることを指摘しておりました。また一方で、途上国は適応に対するニーズは非常に高いものがありまして、天気予報や早期警戒システムなどの、我が国で当然に使われている技術等への期待が非常に大きいことを主張しておられました。

 我が国は長年にわたって、変化する気象に対応するために、気象予報また防災対策、営農支援等の技術を開発してきたわけでございます。このような民間事業者が持つ技術を積極的に海外展開して適応ビジネスを発展させていくことが重要と考えます。

 我が国でもこれからアジア太平洋気候変動適応プラットフォーム、AP―PLAT等を構築していくことにされているわけでございますけれども、環境省としてどのように適応ビジネスの育成やまた海外展開を進めていく方針なのか、環境大臣にお伺いをいたします。

中川国務大臣 先生御指摘のとおり、気候変動への適応を推進していくためには、国や地方公共団体による適応策や民間事業者がみずから気候変動のリスクに対応することにとどまらず、民間事業者が有する適応に関する技術、サービスを提供する適応ビジネスを促進することが重要でございます。

 こうした観点から、環境省は平成二十八年に構築した適応の情報基盤であります気候変動適応情報プラットフォームにおきまして、関係省庁と連携して、国内や海外における適応ビジネスの優良事例を広く発信するなど、事業者の適応の取組を支援してきたところでございます。

 また、特に気候変動に脆弱な開発途上国が適応能力を向上していくためには、我が国の民間事業者が有する適応技術、サービスが有効でございまして、開発途上国においてその積極的な活用を図ることは、我が国の国際協力にもつながるわけでございます。

 このため、環境省としては、適応の情報基盤を国際的に展開することで、アジア太平洋気候変動適応プラットフォームを二〇二〇年までに構築し、開発途上国における将来の気候変動影響に関するリスク情報とあわせて、我が国の民間事業者が有する適応技術、サービスに関する情報を積極的に発信してまいります。

 また、関係国とのさまざまな協議の場におきましても、開発途上国の適応能力の向上に資する適応技術、サービスを紹介すること等により、適応ビジネスの促進や海外展開を図ってまいりたいと考えております。

江田(康)委員 あと一問できそうでできませんので、これで終わらせていただきますけれども、これまでのこの質疑で、私は、気候変動適応計画、また気候変動影響評価、そして適応の情報基盤から、地域での適応、また国際協力や適応ビジネスというところまで、あらゆる観点から本法案の内容について確認をさせていただいたところでございますけれども、やはり本法案は、現在及び将来の気候変動影響に対応していくために、大変重要な法案であるということが確認をできました。法案の迅速な成立を図っていくことを期待したいと思います。

 政府においても、このたびの国会での審議を十分に踏まえていただいて、本法案に基づく措置を着実に実行に移して、適応策の実効性を高めていただきますように、改めて私の方から要請をいたしまして、質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、田村貴昭さん。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 先日に引き続き、気候変動適応法案について質問をします。

 毎日新聞四月五日付が、都道府県と政令市を対象に行った調査を報道しています。適応計画を策定、実行する上で不足している要素として、一番多かったのが影響予測や対応に関する科学的な情報。これが、三四%、専門的な職員は二八%。気候変動適応計画の策定と実施に当たっても、まず人からの対策が求められるという結果でありました。

 さらには、適応策の策定、それから実施をしていくための予算措置も必要であります。

 中川大臣、こうした地方自治体に対して、どのような支援策をこれから進めていかれるんでしょうか。

中川国務大臣 気候変動の影響は、地域の気候や社会経済状況により異なり、また、適応策は地域の防災や農業等の施策と連携しながら進めていくことが重要でございます。

 このため、本法案では、地方公共団体が地域気候変動適応計画の策定に努める旨規定いたしております。

 先生御指摘のとおり、地方公共団体が適応策を推進するに当たりましては、情報や知見の提供や対応する職員の確保、予算面、財政面等が重要な課題になるものと考えております。

 このため、環境省は、これまで地域適応コンソーシアム事業として、農林水産省、国土交通省と連携いたしまして、地域における気候変動影響の将来予測に関する調査や科学的知見に基づく適応策の検討を進めることなどによりまして、地方公共団体の取組を支援してまいりました。引き続き、このような支援を行ってまいりたいと考えております。

 そして、計画策定マニュアルの作成、提供、本法案の規定に基づく国立環境研究所による技術的サポート、地域協議会を通じた地域の関係者によるすぐれた取組の共有を推進してまいります。

 また、環境省としても積極的に各地域に足を運び、本法案の内容や適応策の重要性について地方公共団体に理解を深めていただくことで、地域における気候変動への適応に関する知見を有する人材の確保を後押ししてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 わかりました。

 都道府県や政令指定都市においてもこれだけの要求があって、課題がある。ましてや、小さな市町村にとってみて、地域気候変動適応計画、ここからつくるというのはなかなか大変な作業であるというふうに思うんですけれども、この地域気候変動適応計画というのは全ての市町村においてつくらなければいけないんでしょうか。それとも、ある一定の地域であれば同じ課題であるので、県と一緒にやるとか、あるいは複数の自治体でつくっていくとか、そういうことは可能なんでしょうか。

森下政府参考人 御質問のありました、複数の市町村でつくることができるかということは、これは可能でございます。この法案の中に、そういった旨の規定を置かせていただいております。連携をしながら取り組んでいくということも効果的な、効率的なやり方だというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 何といっても、大事な法律になろうとしています。私もるる申し上げましたけれども、緩和策が何よりも大前提である、緩和策がないと適応も進んでいかないということであります。そして、何よりも、緩和策というのは、温室効果ガスを削減していく、日本においては、石炭火力発電所、こうしたものが大きな比重を占めているので、やはりここに対する規制を強めていかなければならないということであります。

 このことを基本にして、適応化政策、対策を積極的に進めていただきたい。そして、自治体に対する、要望には正面から、そして全面的に応えていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 続いて、原子力発電所の安全問題について質問をします。

 お配りしている資料は、九州電力がつい先日までホームページにアップをしていたものであります。そして、このリーフレットは、玄海原子力発電所の立地周辺自治体に配られてきたものであります。

 私は、これを一目見たときから、すごいことが書いてあるなと思っていたわけなんですけれども、「「福島第一原子力発電所のような事故は決して起こさない」という固い決意のもと、」「取り組んでまいりました。」「その結果、「世界で最も厳しい水準にある新規制基準」に適合し、安全対策の有効性が確認され、万が一の事故の際においても、放射性物質の放出量は、福島第一原子力発電所事故時の約二千分の一の「四・五テラベクレル」であることが確認されました。」というふうに主張しているわけです。またしても安全神話が出てきたわけであります。

 こうして九州電力が述べていることに対して、原子力規制委員会の更田委員長は、二月十一日、玄海原子力発電所に関する地元関係者及び事業者との意見交換の会談において、次のように述べておられます。「これ以上の規模の事故はありませんというのを申し上げるのは、これはゼロリスクと同じことであって、私たちが到底申し上げていいことではないと思っています。」と、更田委員長はこのように発言されました。

 今もそうだというふうに思いますけれども、改めてお伺いいたします。

 九州電力が、こうした宣伝をホームページにおいて、そして、玄海原発のある地元で七千五百世帯においてこのリーフレットを配布して宣伝してきたことについて、どうお考えになりますか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 事業者が、みずからが運用する原子力施設の安全について、主体的にみずからの言葉で発信することには意義があり、リーフレットの配布ですとかホームページの作成そのものについては、原子力規制委員会が申し上げることではないと思っています。

 その上で、先生も御指摘になりました部分ですけれども、その記述は、不正確なものであり、不適切なものであるというふうに考えております。

田村(貴)委員 わかりました。

 更田委員長は、一月二十九日の衆議院予算委員会で、「一〇〇%の安全であるとかリスクはゼロであるとかといったようなものは、いわゆる神話への後戻りを示すものであり、」というふうにも述べられました。

 安全神話の復活は絶対に許してはならないんですよ。これが福島原発事故の最大の教訓なんですよね。こういう安全神話づくりをしている現実があるわけなんです。

 経済産業省にお伺いしますけれども、安全神話づくりの復活を認めない、経産省も同じ立場ですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省、資源エネルギー庁といたしましても、いわゆる安全神話、一〇〇%安全とかゼロリスクといった、そういったことに陥らない、そういったことはあってはならないというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 私たちは、何度もこの九州電力のリーフレットの撤去を求めてきました。佐賀県の市民団体の方と一緒に、昨年七月二十六日、経済産業省にも要請をいたしました。覚えておられると思います。そのときに、原子力立地政策室の方は、不安を与えたことは大変申しわけない、不安を与えないように丁寧に説明するよう指導する、これは会社に対して指導するというふうに述べたわけであります。

 しかし、あの七月から半年以上にわたって、九州電力は、その後も改めなかったのであります。原発周辺の住民の不安は与えられたまま、そして、丁寧な説明もないままでありました。

 経産省は、私たちは主張しました、要請もしました、しかし安全神話の発信を九州電力はずっと続けてきました、なぜ容認してきたんですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月二十六日に、田村先生を始めとした皆様から要請を受けまして、その翌日に、資源エネルギー庁の担当部局から九州電力に対して、今先生からも御指摘ございましたけれども、住民に不安を与えないような丁寧な理解活動の実施、そういった形をするようにという指導は行ってございます。

 その上で、九州電力が策定したリーフレットでございますけれども、できる限り平易な言葉やデータを活用することで、地域の皆様にできる限りわかりやすくしたいという思いで策定したものというように考えてございます。

 今先生からいただいた資料もございますし、リーフレット全体を私も今確認をしているわけでございますけれども、例えば、先生にお示ししていただいた資料の後半のところには、「今後とも、安全性向上の取り組みに終わりがないことを肝に銘じ、」ということで、引き続き安全性向上に取り組んでいく、そういったことも記載がございますし、別のところには、安全に終わりはありません、地域の皆様のお声もお聞きし、自主的、継続的な活動を積み重ねることで、絶えず安全性向上に取り組んでいきたいという趣旨のことも記載がございます。

 いずれにいたしましても、九州電力を始め、電力事業者においては、安全性向上の取組については、これは不断の努力が必要でございますし、地元の皆様に対しては、不安を与えないように、できる限りわかりやすく丁寧な情報発信に心がけていくことが重要というふうに考えてございます。

田村(貴)委員 私どもが要請した翌日に九州電力に対して連絡をされて、そして丁寧な説明と。経済産業省のその指導的な連絡にもかかわらず、九州電力は言うことを聞かなかったということなんですよ。

 今お話があったように、「安全性向上の取り組みに終わりがないことを肝に銘じ、」これが重要なんですよ。これだけ書いておけばいいんですよ。二千分の一の放射能の放出量であることが確認されたと。これを受け取った住民はどう捉えますか。びっくりしますよね。

 ことしの三月に、佐賀県議会で、我が党、日本共産党の県会議員がこのリーフレットのことを取り上げて、山口・県知事が、安全神話につながるような考え方というのは決してあってはならないと答弁されました。これは、その前にあった更田委員長との懇談で更田委員長がおっしゃったことを踏まえての発言だというふうに私は見ております。

 佐賀県がその後九州電力に申し入れて、このリーフレットの活用はなくなりました。ホームページからも削除されました。しかし、結果として削除、中止となったわけなんですけれども、本来ならば、これは国が、経済産業省が、率先して正すべきことではなかったのかと思うわけです。

 反省点はありませんか。経産省、いかがですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、先生から要請を受けて、その次の日に九州電力に対して指導をしてございます。また、我々としても、原子力事業者が安全神話に陥ることはあってはならないというふうに考えてございます。したがいまして、安全対策をしっかりと継続してやっていただくこと、それから、やはりその地元の住民の皆様に対しては丁寧な情報発信を心がけていくこと、それもできる限りわかりやすくということだと思いますので、引き続き、そういった面でしっかりと対応してもらうように、今後とも指導してまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 今後のことについて伺います。

 今後、九州電力に限らず、原発事業者によるこうした安全神話づくり、拡散があった場合に、どうしていくおつもりですか。まず更田委員長にお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力の利用に当たって、安全の確保に一義的責任を負う原子力事業者は、みずからの運用する施設についてきちんと語れるようになることが重要だと思っています。安全神話の復活につながるような説明ないしは宣伝をしてしまうことは、ひいては、その事業者の信用そのものを損ねることになるだろうというふうに考えております。

 規制委員会は、個別の宣伝、個別の広報活動に対して、これを手とり足とり口を出す立場にはありませんけれども、規制委員会は、安全神話の復活を許さないという強い決意のもとで、私たちの考えをきちんと発信していくこと、これがまた重要であろうというふうに考えております。

田村(貴)委員 経済産業省にもお伺いしたいんですけれども、ちょっと時間がありません。

 続いて、この安全神話に続いて、安全軽視の姿勢についても触れておきたいというふうに思います。

 このリーフレットの問題の直後の三月三十日、玄海原発三号機で、配管から蒸気が漏れるという重大事故が発生しております。この事故自体が問題なんですけれども、その後の対応がまた問題です。運転員が蒸気漏れを確認したのは午後七時ごろ。しかし、佐賀県への報告は二時間後の八時五十九分。玄海町が九時三十七分。最も遅く連絡が入った伊万里市は十時九分と、異常確認から三時間も経過をしていたわけであります。

 佐賀県は、空振りでも結構なので、日ごろと違う状況がある段階で本県に連絡をしてほしいと要請した。当然の要求だというふうに思います。

 経産省にお伺いします。原発異常時の自治体への連絡というのは、やはり速やかに行うよう、いま一度徹底すべきではありませんか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 原子力でトラブルが発生した際に、立地自治体など関係者に速やかにその状況をお伝えするということは非常に大事であるというように認識してございます。

 今回の玄海三号機、四号機でトラブルが発生した際、我々の方から、九州電力にもその都度しっかりとした情報提供、通報、連絡を行うよう指導してございますけれども、今後とも、引き続きそういった指導を行ってまいりたいというふうに思ってございます。

田村(貴)委員 この件について、三号機の蒸気漏れについて、自治体への連絡がおくれたことについては、経産省から九州電力に何らかの指導とか、あるいは連絡、要請をしましたか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、三月の玄海三号機のトラブルが発生した案件がございましたですけれども、その後、資源エネルギー庁の担当部局の方から九州電力に対しまして、しっかりとした高い緊張感を持って臨むように、徹底した原因調査を行うように、そういったことの指導を行っております。

田村(貴)委員 地域の防災計画とか、いろいろこれから改善していかなければならない。課題は山積だというふうに思います。

 福島原発事故の最大の教訓は、原発は事故を起こさないとした安全神話でありました。九州電力は、安全神話を拡散し、原発を再稼働させています。少なくない自治体、住民の反対の声を聞かずにであります。しかも、再稼働のわずか七日後には、今度は蒸気漏れ事故を起こして、自治体から連絡が遅いと言われる始末であります。事業者としての適格性が問われているのではありませんか。

 三号機は停止させ、四号機の再稼働は行わないことを強く求めて、本日の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、玉城デニーさん。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 気候変動適応法案、いよいよきょうが最後の、私が最後のバッターになりますが、重複する質問もあろうかと思いますが、どうぞその点は御了解いただき、御答弁をお願いしたいと思います。

 さて、今回の気候変動適応法案ですが、現行の政府の適応計画は法律に基づかない国の施策が中心の行動計画になっていますが、今回の法案の成立により、今までの国の施策、地方公共団体、事業者、国民を含めて、幅広い連携を持って推進することが大きく期待されています。世界的には、緩和と適応が車の両輪となり、今までは緩和が中心だったもの、出さないようにすることが中心だったものが、今度は、現状に対してどのように適応し、それを軽減させていくか、なくしていくかというふうなことについては、長いスパンと幅広い取組が求められる。まさにこの気候変動適応法案は、そういう意味では大きな期待が込められているものと思います。

 初めに大臣にお伺いいたします。ぜひここは大臣の思いも込めていただいて、お伺いしたいんですが、気候変動計画、この策定に当たり環境大臣が取り組まなければならないこと、どのようにお考えでしょうか。

中川国務大臣 気候変動の影響は、自然災害、農業、生物多様性など、さまざまな分野に及ぶものでございまして、適応策を推進するに当たっては、関係省庁との連携や多様な関係者の理解と協力が不可欠でございます。

 こうした考え方のもとで、現行の適応計画の内容を大幅に見直す必要がございます。このため、国会の御審議を経て本法案が成立した場合には、本法案に基づく新たな気候変動適応計画の策定作業に速やかに着手したいと考えております。

 計画の内容につきましては、国会での御審議の内容を踏まえながら、関係省庁と十分に協議した上で、国の施策を充実させていくことはもとより、地方公共団体、事業者、国民等の幅広い主体の連携協力による取組を計画にしっかりと盛り込み、実効性の高いものにしてまいります。

 こうして策定した新しい計画のもとで、環境省が旗振り役となって、国、地方公共団体、事業者、国民等、全ての主体が一丸となった適応策を展開することにより、その実効性を高めてまいる決意でございます。

玉城委員 気候変動は、地域によっても、気候、季節によっても、それから期間、スパンによっても非常に、どれをとっても確実ということはないと思います。気候変動は不確実性を伴う長期な課題があるということは、もう言うまでもありません。そのための、最新の科学的知見による継続的な状況の把握と、それからその進捗に関する管理が必要とされています。

 ここで必要とされている評価手法など、そのような開発にはどのようなものが考えられるか、お伺いしたいと思います。

森下政府参考人 把握、評価手法に関する御質問でございます。

 御質問のありました気候変動適応計画の進捗管理でございますけれども、それぞれの施策が気候変動の影響による被害の回避、軽減にどれだけ貢献をしたのかなど、適応策の効果を定量的に把握、評価していくことは非常に重要だと考えております。

 しかしながら、適応策の効果を把握、評価する手法でございますけれども、適切な指標の設定が困難であること、適応策の効果を評価するには長い期間を要することなどの課題がございまして、諸外国においても具体的な手法がまだ確立されていないという状況でございます。

 このため、本法案では、政府は気候変動適応の進展の状況を的確に把握し、及び評価する手法を開発する旨規定してございます。

 環境省としては、諸外国の検討状況の情報収集や調査研究を推進するとともに、地方公共団体や民間事業者と連携をいたしまして、それぞれの具体的な適応の取組の効果について、可能な限り定量的な指標をもって評価できるよう、しっかりと事例を集めながら、適応策の効果を把握、評価する手法の開発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

玉城委員 続けてお伺いいたします。

 気候変動の適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、気候変動適応計画を策定、できるだけ手戻りを回避し、適時的確に適応を進めていけるよう、PDCAサイクルを徹底して進めるとされています。

 PDCAサイクルというのは、プラン、方針と計画ですね、そしてドゥー、実施、チェック、点検、それからアクト、是正、見直しという、このプロセス、方針、計画を立て、実施をし、点検をして、さらに是正をして次の方針にのせていくというプロセスを繰り返すことにより、気候変動適応の進捗状況を継続的に改善していこうと取り組むものであります。

 このPDCAサイクルについて着実に取り組むために、では、どのような体制によってこのPDCAサイクルが管理され、推進されるものとなりますでしょうか。

森下政府参考人 本法案に基づく気候変動適応計画につきましては、関係省庁の連携のもと、定期的に実施状況のフォローアップを行っていくこととしておりまして、その結果や最新の科学的知見に基づく気候変動影響の評価の結果を踏まえながら気候変動適応計画を見直していきたいというふうに考えてございます。

 さらに、気候変動適応計画のPDCAサイクルを進めるに当たりましては、本法案に基づく広域協議会の場を活用いたしまして、地方公共団体を含む地域の関係者の御意見を伺うとともに、関係審議会等を通じたさまざまな専門家や有識者からの意見聴取や、国民の皆様方からいただいたパブリックコメント等を通じまして、多様な関係者の御意見を聞きながら進めていきたいというふうに考えてございます。

 こうした体制のもとで、PDCAサイクルをしっかり進めてまいりたいと思ってございます。

 以上です。

玉城委員 このPDCAというのは、一般的な事業所や会社でもよく使われている手法であります。計画を立てて、それを実行する、さらに、その確認、点検を行うことによって、また次の計画にのせていくことができる。これを、いろいろな場面、いろいろな立場、あるいはいろいろな環境の中でそれを進めていくということは、非常にわかりやすくなってくると思うんですね。

 例えば、そこが、市町村あるいは一般のNPOなどの方々と一緒にPDCAをちょっと点検してみようよというふうに取り組んでいくと、その体制づくりが参画しやすい仕組みづくりにもなっていく、それが結果的には、この気候変動適応計画などにも盛り込んでいく新しいプランがまた出てくるだろうというふうに思います。ぜひ、このPDCAを大事にして取り組んでいただければというふうに思います。

 さて、この気候変動適応法ですが、これは、言うまでもありません、我が国のみならず、世界的に情報を共有し、協力をしていくということが当然必定とされてまいります。

 国は、気候変動等に関する国際間の情報共有のための協力体制を整備し、技術協力その他の国際協力を推進していくものというふうに記されておりますが、では、最後にお伺いいたしますが、環境省として、現在進めている国際協力のための体制と、それから、この法整備以降、気候変動適応法整備以降に予定される取組の推進についてどのようなものがあるか、御紹介ください。

森下政府参考人 開発途上国は気候変動に特に脆弱でございます。我が国が有する科学的知見や技術を生かしまして、開発途上国の適応能力の向上のために国際協力を進めていくことが非常に重要だと認識をしてございます。

 このため、これまで、環境省におきましては、インドネシア、フィリピン、そしてフィジー、バヌアツ、サモアといった島嶼国などにおきまして、各国のニーズに応じまして、気候変動影響の将来の予測ですとか、あるいは適応計画の策定の支援というようなことを行ってまいりました。これは、国立環境研究所の方々ですとかあるいは有識者の方々の御協力もいただきながら、こういった技術的な支援の提供ということを進めてきてございます。

 こうした取組を一層推進するため、本法案では、気候変動等に関する情報の国際間における共有体制を整備する旨規定をしてございます。

 この規定を踏まえまして、今後は、アジア太平洋地域の適応に関する情報を一元的に提供する、アジア太平洋気候変動適応プラットフォームを二〇二〇年までに構築をし、開発途上国が科学的知見に基づいて適応策を立案、実施できるよう、国際協力をより一層推進してまいりたいというふうに考えてございます。

玉城委員 気候変動によって暮らしと命が脅かされている国々も少なくありません。ぜひ、この気候変動適応法によって、さまざまな適応計画がいろいろな国々と協力をし一歩でも前進していける、そういうものになりますことを期待申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

松島委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松島委員長 この際、本案に対し、山崎誠さん外一名から、立憲民主党・市民クラブ及び日本共産党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山崎誠さん。

    ―――――――――――――

 気候変動適応法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山崎委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 気候変動適応はあくまでも気候変動影響に対して実施されるものであり、気候変動影響を極力抑えるためには、車の両輪である温室効果ガスの削減などの緩和策を最大限に実施することが重要であります。

 また、気候変動影響は、地域により大きく異なることから、国立環境研究所は地域ごとの気候変動適応の推進の重要性に留意することが重要であります。

 さらに、国において気候変動影響についての調査研究を推進し、より充実した気候変動影響の評価を行うため、気候変動及び多様な分野における気候変動影響について多様な主体からの情報の収集を行うことが重要と考えられます。

 以下、その内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、国の責務として、気候変動を抑制するための地球温暖化対策をより一層推進することを明記することとしております。

 第二に、国立環境研究所による気候変動適応の推進に関する業務について、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供の業務を行うに当たっては、地域の実情に応じた気候変動適応の推進の重要性に配慮しなければならないことを追加することとしております。

 第三に、国は、科学的知見に基づき気候変動適応を推進するため、気候変動及び多様な分野における気候変動影響の多様な主体からの情報の収集を推進するよう努めるものとすることを追加することとしております。

 以上が、この修正案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松島委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松島委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、気候変動適応法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山崎誠さん外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、関芳弘さん外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀越啓仁さん。

堀越委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    気候変動適応法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 気候変動対策として、緩和策の最大限の実施により気候変動影響を最小化させることが重要であることから、脱炭素社会の実現に向けた緩和策の一層の徹底を図りつつ、気候変動適応に関する施策を総合的に策定し、推進すること。

 二 気候変動の影響についての知見がいまだ不十分な分野について、国際機関や他国の機関との人事交流・情報交換等を密に行うこと等によって、調査研究を推進させ、より充実した気候変動の影響評価を行うこと。また、気候変動及び多様な分野における気候変動影響の情報の収集を推進するよう努めること。

 三 気候変動の影響のあらわれ方は、人口、都市・産業構造、気候風土等の影響を受ける側の社会の様態によって大きく異なると考えられることから、気候変動の影響に対する脆弱性や曝露を評価するための指標や手法の開発に当たっては、地域の実情に応じた気候変動適応の推進の重要性に十分留意しつつ進めること。

 四 多様な分野における科学的知見に基づき気候変動適応を推進するため、適応の情報基盤の充実に向け、関係府省庁との連携や関係する調査研究等機関の連携を図ることはもとより、これら以外の事業者や地方公共団体に対しても気候変動及びその影響の観測・監視データの提供を求め、気候変動等に関する情報を一元的に集約し、わかりやすく提供すること。

 五 適応策の効率的かつ効果的な実施を確保するため、その必要性、代替可能性、費用対効果等について市民等にも開かれた評価の場を構築することを検討すること。

 六 地域の実情に応じた気候変動適応の推進の重要性に鑑み、絶対的に不足している気候変動の研究者及び気候変動の行政事務に携わる職員の育成策を講じていくこと。また、地方公共団体による地域気候変動適応計画の策定を促進するため、環境省及び国立環境研究所の体制を十分に確保するとともに、特に、地域気候変動適応センターとして想定される大学における研究者等を継続的に確保していくため、必要な施策を講じること。さらに、同計画の策定状況を的確に把握し、公表するとともに、策定状況等を踏まえ、地域の適応への取組に対して適切な支援を行うこと。

 七 我が国が世界有数の温室効果ガス排出国である現状に鑑み、地球規模の気候変動に対応していくため、途上国に対して気候変動適応の技術・資金等に係る必要な支援を行っていくこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中川環境大臣。

中川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

松島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十分散会


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