衆議院

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第1号 平成31年3月8日(金曜日)

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本国会召集日(平成三十一年一月二十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    木村 弥生君

      笹川 博義君    高橋ひなこ君

      武部  新君    百武 公親君

      福山  守君    古田 圭一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      長尾 秀樹君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    横光 克彦君

      西岡 秀子君    富田 茂之君

      田村 貴昭君    細野 豪志君

平成三十一年三月八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    木村 弥生君

      笹川 博義君    高橋ひなこ君

      武部  新君    冨樫 博之君

      百武 公親君    古田 圭一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      長尾 秀樹君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    横光 克彦君

      西岡 秀子君    富田 茂之君

      田村 貴昭君    細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   環境副大臣        城内  実君

   環境副大臣        あきもと司君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   環境大臣政務官      菅家 一郎君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            荒井  勉君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     冨樫 博之君

同日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     福山  守君

    ―――――――――――――

一月二十八日

 対象発電用原子炉施設等に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の特例に関する法律案(柿沢未途君外五名提出、第百九十六回国会衆法第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、御報告申し上げます。

 本委員会の委員長及び理事として多年にわたり御活躍をされました北川知克君が、昨年十二月二十六日、御逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。

 ここに、委員各位とともに故北川知克君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。

 御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

秋葉委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。

     ――――◇―――――

秋葉委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 環境の基本施策に関する事項

 地球温暖化の防止及び低炭素社会の構築に関する事項

 循環型社会の形成に関する事項

 自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する事項

 公害の防止及び健康被害の救済に関する事項

 原子力の規制に関する事項

 公害紛争の処理に関する事項

以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

秋葉委員長 環境の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。

 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。原田環境大臣。

原田国務大臣 委員長を始め委員各位におかれましては、この国会、どうぞしっかりと御指導いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 第百九十八回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣として所信を述べさせていただきます。

 昨年十月の着任以来、私は、環境政策によって環境、経済、社会の諸課題の同時解決を図り、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長を推進してまいりました。

 人口減少、高齢化という経済社会構造上の難題を抱えつつ、脱炭素化や持続可能な開発目標、SDGsの達成を着実に実現していかなければならない現下の状況において、旧来の資源配分を変化させつつ、イノベーションの創出を後押しし、その実践として地域循環共生圏を創造していくことは、環境の観点からも成長の観点からも大変有意義なことでございます。G20において、世界が向こうべき方向性をしっかりリードしていくためにも、引き続き、この環境と成長の好循環を回転させてまいります。

 気候変動対策については、パリ協定に掲げられた目標の実現に向け、大胆かつ着実に国内外の対策を推進します。

 国際的には、昨年十二月のCOP24で、先進国、途上国の二分論によることなく、全ての国に共通の実施指針が策定されたところであります。この機運を維持し、来年からのパリ協定本格運用に向け、地球観測衛星「いぶき」二号による透明性の向上などを通して、引き続き積極的に貢献してまいります。また、科学的知見の提供で重要な役割を担っている気候変動に関する政府間パネル、IPCCについて、ことし五月に京都市で開催される総会等の活動を支援してまいります。

 国内については、二〇三〇年度排出削減目標の着実な達成に向け、企業の脱炭素経営とESG金融を両輪で推進するとともに、再エネの最大限の導入拡大、徹底した省エネの推進、二酸化炭素回収、貯留、利用、CCUSや水素利用等技術革新の加速化、効果的な情報発信による行動変容の促進などに取り組んでまいります。また、フロン類の廃棄時回収率向上のための法案を今国会に提出いたします。さらに、我が国の削減目標達成への深刻な支障が懸念される石炭火力発電については、引き続き厳しく対応してまいります。

 また、二〇五〇年八〇%削減に向けては、世界のエネルギー転換、脱炭素化を牽引するとの決意のもと、環境と成長の好循環を実現する成長戦略として長期戦略をできる限り早期に策定し、国内外に発信してまいります。加えて、脱炭素化への戦略的資源配分を促し、新たな経済成長につながる原動力としてのカーボンプライシングの可能性についての検討をより深めてまいります。

 適応策については、昨年十二月に施行された気候変動適応法にのっとり、環境省の旗振りのもと、政府一丸となって、国立環境研究所を中核とした情報基盤の整備、各地域での農業や防災等に関する取組の加速化、適応策の海外展開、熱中症対策の強化など、さらなる充実強化を図ってまいります。

 生態系への大きな脅威となっている海洋プラスチックごみについては、G20までに、政府としてのプラスチック資源循環戦略の策定と、海岸漂着物処理推進法に基づく基本方針の改定を行います。また、自治体、NGO、企業など幅広い主体が連携、協働してプラスチックとの賢いつき合い方を発信するプラスチック・スマートキャンペーンを更に強力に展開し、これらの取組を通じて国際的議論をリードしてまいります。

 さらに、今月ケニアで開催される第四回国連環境総会においては、科学的知見の充実の重要性等を各国に訴え、その上で、六月のG20では、プラスチックごみを多く排出する新興国も含めた世界全体での取組の必要性を打ち出し、ごみの適切な回収、処分、海で分解される新しい素材の開発など、アジアを始めとする世界の国々とともに、海洋プラスチックごみ対策に取り組んでまいります。

 環境、経済、社会の統合的向上により新たな成長を実現していくに当たって鍵となるのは、地域における実践であります。地域資源を持続可能な形で活用し、自立分散型の社会を形成する地域循環共生圏の創造に向け、プラットフォームの構築による地域の支援や地域社会インフラの脱炭素化モデル実証を行い、環境で地方を元気にしてまいります。

 東日本大震災の発生から八年が経過いたします。私は、先日も被災地に赴き、みずからの目で現状を確認してまいりました。福島の復興に向けた取組はいまだ道半ばであり、復興に向けた歩みを力強く進めていかなければならないとの思いを更に強くしております。

 復興のさらなる加速化に向け、中間貯蔵施設について、用地取得、施設整備、除去土壌等の搬入を安全かつ着実に進め、二〇二一年度までに搬入をおおむね完了させるとともに、仮置場の解消を進めます。また、最終処分量の低減を図るため、引き続き、再生利用に関する取組を進めてまいります。指定廃棄物についても、引き続き、安全かつ着実に取組を進めてまいります。帰還困難区域については、特定復興再生拠点区域内における家屋等の解体、除染を着実に実施してまいります。

 加えて、放射線健康管理、リスクコミュニケーションの実施や正確な情報発信を通じ、住民等の不安の解消等を図ってまいります。さらに、福島復興のための新たなステージに向けた未来志向の取組についても推進してまいります。

 万が一の原子力発電所の事故に対応するための原子力防災については、原子力防災会議を中心に、関係省庁を挙げて、地方自治体の地域防災計画、避難計画の具体化、充実化への支援、要配慮者への対応、避難の円滑化、防災資機材の整備等への財政支援、原子力防災業務にかかわる人材の育成などにきめ細かく取り組んでまいります。

 原子力災害に対する備えに終わりや完璧はございません。各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化に努めてまいります。

 また、原子力規制委員会が、独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、しっかりとサポートしてまいります。

 資源循環政策の分野では、昨年十月に横浜で開催された世界循環経済フォーラムの成果も踏まえつつ、循環経済への移行に向けた行動を官民連携して拡大してまいります。加えて、大規模災害に備えた万全な災害廃棄物処理体制の構築、一般廃棄物処理施設の更新需要への対応、浄化槽整備の推進による汚水処理リノベーション等を進めてまいります。

 また、途上国等における循環型社会の構築と脱炭素化に貢献しつつ、廃棄物発電や浄化槽等、環境インフラの海外展開を図るため、技術や制度の発信、普及を推進してまいります。

 生物多様性の保全については、二〇二〇年を目標年とする愛知目標達成のため、引き続き取組を加速化させます。その一環として、沖合域に海洋保護区を設定するための法案を今国会に提出するとともに、二〇二〇年以降の新たな世界目標も視野に、SATOYAMAイニシアチブ等による国際連携を展開してまいります。さらに、ニホンジカやイノシシなど鳥獣の管理のほか、希少種保全、外来種対策、ペットの適正飼養等に取り組んでまいります。

 また、国立公園を世界水準のナショナルパークとして磨き上げる国立公園満喫プロジェクトを引き続き推進し、地域経済活性化と自然環境保全の好循環を生み出していくとともに、新宿御苑の一層の活用に向けた新たな取組を実施してまいります。

 環境行政の基盤である各種環境リスク低減のための取組も引き続き重要であります。ライフサイクル全体での化学物質の環境リスク評価、管理を進めていくほか、子供の健康と環境に関するいわゆるエコチル調査や、水銀に関する水俣条約の実施に着実に取り組みます。また、石綿飛散防止や、琵琶湖、瀬戸内海等の水環境保全、PCB廃棄物期限内処理の確実な達成を進めるとともに、水俣病を始めとする公害健康被害対策と石綿健康被害者の救済に引き続き真摯に取り組んでまいります。

 G20まで余すところ三カ月となりました。今回のG20では、史上初めてG20各国の環境大臣が一堂に会する、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合も長野県軽井沢町で開催されます。議長国として、世界に対し、向かうべき未来像をしっかりとお示しするためにも、私の担当する全ての分野において、引き続き、人と環境を守るという根本的な使命を果たすべく、全力を尽くしてまいりたいと思います。

 以上、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。

 秋葉委員長を始め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御指導を賜りますようお願いを申し上げます。

 ありがとうございます。(拍手)

秋葉委員長 以上で環境大臣の所信表明は終わりました。

 次に、平成三十一年度環境省所管予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。城内環境副大臣。

城内副大臣 平成三十一年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算では、総額三千四百五十九億円余を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地球環境保全対策については、パリ協定のもとで国内及び世界全体の地球温暖化対策を進めるほか、気候変動適応策の推進、環境インフラの海外展開やG20関係閣僚会合開催などに必要な経費として、一千四百四十六億円余を計上しております。

 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、プラスチックの資源循環の推進などスリーRの取組を進めるほか、廃棄物処理施設や浄化槽の整備、災害廃棄物対策、循環産業の育成や国際展開の支援、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として、五百五十億円余を計上しております。

 第三に、自然環境の保全対策については、生物多様性の保全及び持続可能な利用を図るため、国立公園や世界自然遺産などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用の推進、希少種の保全や外来生物対策の推進、鳥獣保護管理の強化、動物愛護管理の推進などに必要な経費として、百八十億円余を計上しております。

 第四に、総合的な環境政策の推進につきましては、環境、経済、社会の諸課題の同時解決につなげるべく、地域資源を持続可能な形で活用し、自立分散型の社会を形成する地域循環共生圏の創造に向けた地域の支援、事業活動や金融のグリーン化、環境教育施策の推進、実効ある環境影響評価の推進などに必要な経費として、四十億円余を計上しております。

 第五に、公害健康被害対策等については、水俣病対策、公害健康被害補償制度や石綿健康被害救済制度の適正かつ円滑な実施、化学物質対策の着実な推進などに必要な経費として、二百五十億円余を計上しております。

 第六に、大気、水、土壌環境等の保全対策につきましては、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五などの大気環境保全対策、海洋ごみ対策、土壌汚染対策などの推進に必要な経費として、五十九億円余を計上しております。

 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発につきましては、地球環境の保全、化学物質対策等に関する調査研究、技術開発の推進などに必要な経費として、十八億円余を計上しております。

 第八に、国の環境政策の企画立案に必要な地域の情報の収集及び地域の実情に応じた機動的かつきめ細かな環境政策の展開を図るための経費として、六十七億円余を計上しております。

 第九に、原子力安全の確保につきましては、原子力規制委員会が行う原子力安全規制対策の推進に必要な経費として、四百四十九億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、エネルギー対策特別会計予算では、総額二千百六億円余を計上しております。

 以下、その内訳について御説明申し上げます。

 第一に、地球温暖化対策については、二〇三〇年の温室効果ガス二六%削減等に向けて、家庭・業務部門や地域内での再エネ、省エネ、蓄エネの活用による省CO2対策の推進、先導的技術の開発と社会実装、日本全体の大幅なCO2削減を見据えたグリーンな経済社会システムへの転換、我が国の環境技術等による世界の脱炭素化への貢献などに必要な経費として、エネルギー需給勘定に、一般会計から一千四百一億円余の繰入れを行い、総額として一千七百一億円余を計上しております。

 第二に、原子力安全規制対策については、原子力安全規制のさらなる高度化及び原子力規制委員会の専門能力の強化等を図るための必要な経費として、電源開発促進勘定に、一般会計から三百四十億円余の繰入れを行い、総額として四百五億円余を計上しております。

 次に、東日本大震災復興特別会計予算では、中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の適正管理、搬出等の実施、指定廃棄物等の処理等の推進、帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域における除染及び家屋解体などに必要な経費として、復興庁所管予算に総額五千五百九十二億円余を計上しております。

 以上が、平成三十一年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。

 最後に、各府省の平成三十一年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。

 政府全体の環境政策の効果的な実施を目的として取りまとめております環境保全経費については、平成三十一年度におけるその総額として、一兆八千六百七十一億円余を計上しております。

 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために五千八百十六億円余、生物多様性の保全及び持続可能な利用のために一千八百四億円余、物質循環の確保と循環型社会の構築のために一千二十四億円余、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために九百五十一億円余、大気環境の保全のために一千八百八十六億円余、包括的な化学物質対策の確立と推進のために五十一億円余、放射性物質による環境汚染の防止のために五千六百五十二億円余、各種施策の基盤となる施策等のために一千四百八十三億円余をそれぞれ計上しております。

 以上、平成三十一年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。

秋葉委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、平成三十年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。荒井公害等調整委員会委員長。

荒井政府特別補佐人 公害等調整委員会は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るとともに、鉱業等と一般公益又は他の産業との土地利用に関する調整などを行うことを任務とし、総務省の外局として置かれている委員会でございます。

 当委員会が平成三十年中に行った公害紛争の処理に関する事務について御説明申し上げます。

 第一に、当委員会に係属した公害紛争事件についてでございます。

 当委員会は、公害に係る紛争について、当事者からの申請に基づき、双方の互譲による合意を促して解決に導く調停、加害行為と被害との因果関係の存否や損害賠償責任の有無及び賠償額について法律判断を行う裁定等により、事件の迅速かつ適正な解決に努めております。

 平成三十年に当委員会に係属した公害紛争事件は、調停が三件、裁定が四十件、合計四十三件でございます。

 係属中の主な事件としましては、東京国際空港の近隣において事業を営む申請人らが、空港を離着陸する航空機を増便するために新しい飛行経路が開設、運用されると騒音被害等が生じるとして、国に対して滑走路の供用制限等を求めた調停申請事件、愛知県瀬戸市において養豚業を営む申請人らが、隣接する一般廃棄物処分場を運営する衛生組合によって養豚場の土地を廃棄物で埋め立てられたために、ダイオキシン類による土壌汚染が生じたとして、同衛生組合に対して損害賠償を求めた責任裁定申請事件などがございます。

 また、平成三十年中に終結した事件は、十六件でございます。

 主な事件としましては、高知市の申請人が、付近の工場の廃水処理施設からの悪臭、騒音等により健康被害及び生活の質の低下が生じたとして因果関係の判断を求めた原因裁定申請事件などがございます。

 そのほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状が進行したとして慰謝料等の増額を求める申請が一件係属し、平成三十年中に終結いたしました。

 当委員会は、事件処理に当たり、多様化、複雑化する公害紛争への機動的かつ的確な対応を図るとともに、公害紛争処理制度の利用の促進に努めております。

 具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、被害発生地などの現地で審問期日等を積極的に開催すること、事実関係を明らかにし、判断の精度を高めるため、事件調査の充実と専門委員の知見の活用を図ること、広報活動として、国民や法曹関係者、関係する相談機関に本制度を積極的に周知することなどがございます。今後もこうした取組を一層推進してまいります。

 第二に、都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件についてでございます。

 都道府県公害審査会等では、当該都道府県内における公害に係る紛争についての調停等を行っております。平成三十年には七十九件の事件が係属し、公害の種類別では、騒音に関する事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は四十五件でございます。

 第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情の実態を調査いたしました結果、平成二十九年度の公害苦情の総件数は、前年度から約二千件減少して、約六万八千件となっております。

 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約四万七千件、それ以外の苦情は約二万一千件となっております。

 当委員会は、全国で発生するさまざまな公害関連の事案を全体として適切に解決する観点から、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体への情報提供、相談支援などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。

 以上が、平成三十年中に行った公害紛争の処理に関する事務の概要でございます。

 続きまして、公害等調整委員会における平成三十一年度歳出予算案について御説明申し上げます。

 当委員会の歳出予算額は、五億六千五百万円でございます。

 厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速かつ適正な解決に資するよう、第一に、事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として三千三百万円、第二に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で審問期日等を開催する経費として千二百万円をそれぞれ計上しております。

 以上が、公害等調整委員会における平成三十一年度歳出予算案の概要でございます。

 公害等調整委員会としましては、今後とも、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

秋葉委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時五十七分散会


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