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第5号 令和元年5月10日(金曜日)

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令和元年五月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    石崎  徹君

      上杉謙太郎君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    木村 弥生君

      笹川 博義君    高橋ひなこ君

      武部  新君    百武 公親君

      福山  守君    古田 圭一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      長尾 秀樹君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    横光 克彦君

      西岡 秀子君    屋良 朝博君

      富田 茂之君    田村 貴昭君

      細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣         原田 義昭君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   経済産業副大臣      磯崎 仁彦君

   環境副大臣        城内  実君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   環境大臣政務官      菅家 一郎君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            田中 聡志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  正田  寛君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           中井徳太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

平成三十一年四月二十四日

            補欠選任

             屋良 朝博君

令和元年五月十日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     上杉謙太郎君

  務台 俊介君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     務台 俊介君

  上杉謙太郎君     菅家 一郎君

    ―――――――――――――

令和元年五月九日

 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

平成三十一年四月八日

 動物虐待事犯を厳正に処罰するために法の厳罰化を求めることに関する請願(尾辻かな子君紹介)(第七〇二号)

 同(杉本和巳君紹介)(第七〇三号)

 同(青山大人君紹介)(第七四二号)

 同(重徳和彦君紹介)(第七四三号)

 同(高井崇志君紹介)(第七四四号)

 同(高橋ひなこ君紹介)(第七四五号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第七四六号)

 同(吉川元君紹介)(第七四七号)

 同(木原稔君紹介)(第七七一号)

 同(串田誠一君紹介)(第七七二号)

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第八一八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第八一九号)

 同(藤野保史君紹介)(第八二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八二一号)

 同(宮本徹君紹介)(第八二二号)

 同(本村伸子君紹介)(第八二三号)

同月十一日

 動物虐待事犯を厳正に処罰するために法の厳罰化を求めることに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第八七三号)

 同(木村弥生君紹介)(第八九八号)

同月二十六日

 動物虐待事犯を厳正に処罰するために法の厳罰化を求めることに関する請願(太田昭宏君紹介)(第九一七号)

 同(遠山清彦君紹介)(第九三九号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第九五三号)

 同(横光克彦君紹介)(第九六二号)

 同(井上貴博君紹介)(第九七六号)

は本委員会に付託された。

四月九日

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行等に関する請願(第八二一号)は「宮本岳志君紹介」を「穀田恵二君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る四月十七日に行いました東京都における環境の基本施策に関する実情調査につきまして、参加委員を代表して、その概要を私から御報告申し上げます。

 最初に、江東区の東京ペットボトルリサイクル株式会社において、ペットボトルのリサイクルへの取組について説明を聴取した後、ペットボトルの再商品化施設を視察しました。

 次に、大田区の東京団地冷蔵株式会社において、冷蔵倉庫における自然冷媒への転換状況について説明を聴取した後、冷凍機、冷蔵庫、防災センター等を視察し、設備のランニングコスト及び管理状況、自然冷媒による冷却システムの導入の動向等について意見交換を行いました。

 当委員会といたしましても、ペットボトルを始めとするプラスチック類の再生利用による循環型社会の形成を一層推進していくとともに、フロン類の排出抑制を通じたオゾン層保護及び地球温暖化対策が確実に実施されるよう、委員会活動を通じて精力的に取り組む必要があると改めて認識いたした次第であります。

 最後に、今回の視察に当たり御協力いただきました全ての関係者の皆様に深く御礼申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として消費者庁審議官橋本次郎君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、文部科学省大臣官房審議官増子宏君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長椎葉茂樹君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、国土交通省大臣官房審議官小林靖君、環境省大臣官房環境保健部長梅田珠実君、環境省地球環境局長森下哲君、環境省水・大気環境局長田中聡志君、環境省自然環境局長正田寛君、環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君、環境省総合環境政策統括官中井徳太郎君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監山形浩史君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 おはようございます。自民党の笹川博義でございます。よろしくお願いしたいと思います。

 改めて、皆さん、おはようございます。きょうは、質問の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、環境の問題は多岐にわたっておりますが、私は、今回は、象牙の問題、それから海洋プラスチックごみ対策、外来生物対策について質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、象牙の国内市場についてであります。

 これは、過去に象牙の問題というのは国際的なさまざまな指摘を受けて、日本としても対応策をとらなきゃいけないということで法改正ともどもやってきたわけでありますが、今般、大臣から、特段記者会見の中でも、象牙の登録審査、七月より厳しくするんだということで、出所不明の象牙をシャットアウトすることで国内市場は事実上の閉鎖に近づいていくというような形で大臣会見を行われたわけでございます。

 この取組についてでありますが、ワシントン条約の決議一〇・一〇では、特定の品目に係る狭い例外を除き、象牙の譲渡し等を禁止するということであります。そのことの決議と今度の国内措置、確かに七月から厳しくなるということでありますが、このことについて国際社会から評価をされるのかどうかということが大事な観点だというふうに思いますが、まずは大臣の御認識をお聞きしたいというふうに思います。

原田国務大臣 象牙の取扱いについては、国にとっても大事でありますし、また、世界の中でもしっかりとした評価を得なきゃいけない、こう思っております。

 国内で流通できる象牙製品というのはあくまでも合法的なものに限られていると私ども考えておりまして、合法的というのは、ワシントン条約の適用前からもう既に流通していた、存在していた象牙についての取扱いということでありますけれども、あくまでも合法なものだけは国内で流通できているわけでありますけれども、違法な取引については、これは厳格な管理を実施しているということであります。国際社会において、取組内容、そのことについてもしっかりまた発言、また報告もしているところであります。これらのことから、ワシントン条約の枠組みの中では、現在、我が国の市場が例えば密猟等にも悪い影響を与えているというふうには考えていないわけでございます。

 一方で、一部のアフリカ諸国等から、今後開催予定のワシントン条約十八回締約国会議に向けて、我が国を含む全ての国の国内象牙市場の閉鎖を求める議題文書が提出されていることも理解しているところであります。

 日本としては、国内象牙取引を引き続き厳格に管理しながら、条約のもとで野生動植物の保全と持続可能な利用に貢献できるよう、関係機関と協力して取り組んでまいりたい、こういうふうにまた考えているところであります。

笹川委員 現時点での大臣の認識というものはまあまあそんな感じかなというふうには思っております。

 ただ、どうしても、この議論の中で、我々日本と国際社会との差というものは、やはり、日本の場合、象牙そのもの、全形牙も含めて、これを管理しているからいいんだと。国際社会においては、象牙そのものを、何に使っていいのか悪いのかということを明確に線引きしているわけですよね。そこのスタートがちょっと違うと思うんですよね。ですから、非常に狭い領域の中で各国は象牙というものについて許可を出している。そこら辺のスタートが違うので、基本的にどうも議論がかみ合っているようなかみ合っていないようなというところがあるというふうに思うんですね。

 この密輸等々の事件というのは、報道でもされておるように、決して事案がなくなっているわけではない。しかし、それが日本の制度に起因しているものかどうかというのは判断は難しいとは思います。しかし、現実として、日本と中国という、いわゆる象牙の使用大国というこの主張がある限り、このことが続くのではないのかという危惧を抱いている方が多いということが事実ですよね。

 ですから、今度、日本の場合には、やはりもう次のステップへ進むべきだということだと思うんですね。これは一気にどんというのであると、象牙を使用したさまざまな文化もあるし、そういうものについての影響も考えている、これはやはり日本的な私は配慮だというふうに思っておりますので、次はやはり、国際社会から評価される日本ということのステップを明確にロードマップを示すべきだと私は思っております。

 ただ、これは、今、七月からより厳しくするということになれば、やはりそれは経過措置は見なきゃなりませんので、これはあくまでも、大臣に、次のロードマップ、いかがお考えですかというふうにお聞きしたいところでありますけれども、それはやはりお持ち帰りをいただいて、次のステップに向けて省内でしっかりと議論をしていただいて、でき得ることならば、そんなに時間をかけずに次のステップに向けての発表をしていただきたいというふうに思っております。

 やはり、来年はオリンピック、オリパラがありますので、スポーツの祭典とはいえ、世界各国が日本を注目するよき機会でありますので、そういう機会を使いながら世界に発信をしていただきたい。

 ただ、一部に、アフリカの一地域の中で象がふえているからいいじゃないかという人もいる。しかし、それは本末転倒の話であって、それは象をしっかりと生存している地域の国が考えるべきことであって、別に日本がそのことについて、象牙市場がということは私は違うというふうに思っております。

 この問題について、最後に、この言葉が実はありまして、これは長唄三味線の演奏家であって、人間国宝にも指定されている方なんですが、こういう発言があるんですよ。

 象や象牙と日本の伝統文化が心中してはいけない。三味線の音は、ジャンルによっても、同じジャンルでも奏者によって違う。また、運指法と言ったのかな、これはやり方やフレージングなどが悪かったら、いかによい音をつなげても、よくは聞こえない。だから、よい音とは何だ、共通した普遍的な原理は何か、みんなで考えるべきだと思う。江戸時代に歌舞伎が発生したとき、あるいは地歌が日本でできたとき、三味線や琴の音は今の音とは違う。だから、我々は少しやわらかい耳と心を持たないといけない。

 すなわち、文化も進化の過程の中で象牙というものを使用するようになった。すなわち、象牙を使用していない期間も長かったんですよ。だから、それが初めからずっと常識的に象牙が使われているかというと、そうではないんだ。そのことを人間国宝もおっしゃりたかったんじゃないのかなというふうに私は思うんですね。

 こういう象牙の文化に支えられた伝統文化の方ですらそういう認識をお持ちだということでありますから、それを所管する環境省自身がやわらかい耳と心を持たないということは、これは私はおかしいというふうに思いますので、この言葉を披瀝して、象牙の問題についてぜひまた省内で御議論をいただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、海洋プラスチックの問題に入らせていただきたいと思います。

 きょうは一般質疑があるというふうになってから発表したのか私はわかりませんが、読売新聞のニュースに、「プラごみ 輸出停止へ」、環境省云々というような、でかでかとした見出しの新聞が出ておりまして、非常にこの一般質疑を活性化させようという御配慮かなというふうに思っておりますので、大変ありがとうございましたというふうにお礼を申し上げたい。

 改めて、この日本国内においても、脱プラ、再プラの動きにつきましては、業界もそれぞれの企業が非常に取組が加速をしてきた感じがいたします。海洋域に流出したプラごみの影響については、さまざまな海洋生物に大きな影響を与えているということは、これはもう明確なものであります。

 業界については、このプラごみの削減、再利用の取組を更に加速させる必要というのは、私は国民的な共通な意識だというふうに思っておりますが、やはり、その中で環境省が、政府の中できっちりとした立ち位置の中でこの動きについてどのように支えていくのかということが大事だと思いますので、どのような御認識をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。

菅家大臣政務官 それでは、お答え申し上げたいと存じます。

 海洋プラスチックごみ問題の解決に向けましては、原田大臣がいち早くレジ袋の有料化の考えを表明してまいったわけでありますが、当然、産業界を始め、国民各界各層の取組のリードをしてきた経過もございます。加えまして、プラスチックと賢くつき合う、いわゆるプラスチック・スマートキャンペーン、これを通じまして国としてのメッセージを発信するとともに、代替素材やリサイクル等のイノベーションを推進する予算事業を強力に展開しているところでもございます。

 今後も更に、プラスチック資源循環戦略案に盛り込まれた施策を速やかに推進いたしまして、世界のプラスチック対策についてもしっかりとリードしてまいりたい、このように考えているところであります。

 以上であります。

笹川委員 ありがとうございました。

 それぞれの、脱プラスチック、再プラ、これについての動きについて、政府としても、予算含めてしっかりと後押しをしていただきたいというふうに思います。

 しかし、今政務官がおっしゃったとおり、プラスチックとうまくつき合う、このことの観点もぜひ忘れてはならないと思うんですね。プラスチックは我々のこの社会を支えている大きな材料であることは間違いないし、製品であることも間違いない。これを、プラスチックは悪なんだ、悪役なんだというようなことは、私は実はあってはならないというふうに思っています。どううまくつき合っていくんだ、どうまた資源化をしていくんだ、このことをぜひ主たるものとしてお考えをいただきたいというふうに思うんです。

 例えば、じゃ、プラスチックを紙や木製にしたらどうか。それは確かに、プラスチックから紙か木製にする、これはいいことかもしれない。しかし、それは森林資源に対してはどういう影響が出るんだ。さらにはまた、生分解性プラスチック、これは分解するからいいんですよ、使ってくださいと。しかし、これは海洋に出たときに、それぞれの水深の中で本当に分解するんですか。この機能というのは、実はそこをわかっていないんですよね。万能じゃないということなんですよ。環境省とすれば、そういうところまできっちりと配慮する必要があるというふうに私は思うんですね。

 それから、プラスチックというのは、ビニールなり、さまざまなところで実は食品ロス対策にもなるんですよ。でかい袋の中にかつおぶしを入れるのか、一回こっきりずつのかつおぶしなのか、どっちが食品ロスが出ないんですかということになれば、利便性から考えても、答えは出ているわけですよ。

 だから、さまざまな中でいろいろな問題に対しても実は貢献していることはあるんですよ。だから、バランスのいい議論をやはり国としてやっていくべきだというふうに思うんです。違うところに影響が出て、ああ、しまったなというんじゃ、これは困るんですよ。

 太陽光がいい例ですから。太陽光は再生可能のエネルギーだからいいんだ、いいんだと。しかし、考えてみれば、里山を壊して太陽光のパネルがついて、果たして地球にとっていいんですか。それは、人間の価値観からすれば、あの一山、何の価値もないじゃないか、だから太陽光のパネルを使ってFITで稼いでもらった方がいい。それは人間の発想であって、地球から見れば、やはり山は山として自然のままに残しておいてもらいたい、これは当たり前の話なんですよね。人間が見て当たり前のことは、実は地球側から見てそうではないということもあるかもしれない。

 だから、ぜひ、問題というのはやはり多面体で見るべきだというふうに私は思いますので、時には環境省は悪役になって体を張ってでも、こういうこともあるんだということは、やはりきちっと言うべきことは言った方がいいというふうに私は思っております。

 続いて、マイクロプラスチックの問題についてなんですが、この問題についての実は大きな課題というのは、基礎研究が非常に不足をしている。だから知見が不足している。だから、議論をしようにも、知見が不足していれば議論がしようがないんですよ。これはやはり新しい課題であると同時に、大きな課題。そして、さまざまな生物に影響を与えているだろうというふうに言われている課題であります。

 しかし、それをどう裏づけていったらいいのかということが大事でありまして、その中にあって、日本のとるべき道は、この基礎研究の不足、知見の不足、データの不足、このことについて国を挙げてどうバックアップをしていったらいいのかということに僕はあると思うんですね。

 すなわち、資金にしても、研究の拠点として我が国がやはりどこか提供してもいいんじゃないのか、リーダーシップは我が国がとるべきではないのかというふうに私は思っておりますので、改めて、この問題についての環境省としての意気込みをぜひお聞かせいただければというふうに思います。

原田国務大臣 先ほどの、プラスチックをどうするか。これは、議員おっしゃるとおり、まさにワイズコンサンプションというか、プラスチックは人類の発明した本当に最も大事な資材であるということは、これは本当に私たち人間にとっても極めて重要なものになっているところであります。ただ、その使い方について、しっかりまたワイズコンサンプション、多角的な立場から処理していかなきゃいけないということを改めてまた考えたところであります。

 その上で、ただいまのマイクロプラスチックについての研究の必要性というのはおっしゃるとおりであると思っております。マイクロプラスチックに関する知見の集積のため、我が国も積極的に関与していくことが重要だと認識しております。

 環境省では、マイクロプラスチックの影響や海域における分布状況に関するさまざまな調査研究を進めるとともに、世界的なマイクロプラスチックの実態把握を図るために、モニタリング手法の国際的な調和の取組を進めているところであります。

 こうした取組の成果の一つとして、先日開催されましたG7メッス環境大臣会合におきましても、G7の中で我が国が主導して進めておりますモニタリング手法の国際的な調和の取組を歓迎してもらうと同時に、コミュニケにおいてもしっかり言及されたところであります。

 このように、今後とも、国内外の関係機関と連携しつつ、マイクロプラスチックに関する取組をリードしてまいりたい、こういうふうに考えております。

笹川委員 ありがとうございました。

 環境省も積極的に取り組んでおられるということであります。

 しかし、今度の日本で開催されるG20に向けて、やはりもう少し踏み込んだメッセージが必要かなというふうに思うんですね。日本の環境省の場合には、本当に地道にこつこつこつこつやっていただいている、このことは本当に大変すばらしいことなんですよ。しかし、たまにはヨーロッパが驚くような、ばんとやはり花火を上げる必要があると思うんですよ。そういう意味では、今度のG20は、いい、私は格好な場所だというふうに思っていますので。

 このマイクロプラスチックにおいて、世界的にいっても本当にやりたいんですよ。しかし、今言ったように広範囲なモニタリングもしなきゃならない。世界じゅうでやはりやらなきゃならない。そうなったときに、やはり資金というものがあるし、そういう意味において、日本というのが、お、ここまでやってくれるんだということがやはり大事だと思うんですね。

 ですから、やはりそういう意味では、残念ながら研究には費用がかかりますので、そういうところをぴしっと次のG20までによく検討していただいて、大臣の口からばんと世界じゅうに向けて発信していただけると、日本の環境省、お、ようやっておるというような大きな評価につながるんじゃないのかなというふうに思っていますので、大きく期待をしたいというふうに、またお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 今、大臣の言葉の中で、フランスのメッスで行われたG7の環境大臣会合でありますね、その中で、この海洋プラスチックのごみ問題について、六月のG20で、新興国、途上国を巻き込んだ実効性のある枠組みの構築を目指すというふうにあります。

 この実効性のある枠組みというものは、本来だったらどのようなものかというふうに私はお聞きしようかなと思ったんですけれども、G20、もう来月でありますが、やはりそこに向けて今言ったような形で、途上国、新興国を巻き込んだ形の中で、本当にどういう枠組みがいいのか。世界に向けて発信するんですから、やはりもう少し具体的に、世界から評価される、世界の目線での枠組みの構築について省内でなお一層御議論をしていただきたいというふうに思っていますので、その点につきましては、いずれにしても、G20の大臣の発せられる言葉に期待をしたいというふうに思いますので、この実効性ある枠組みというものについてぜひ期待したいと思いますが、今回はちょっと、これについてお答えは結構でございます。

 実は、国際的な枠組みという中で、環境省は、日中韓三カ国環境大臣の枠組みを持っているんですね。これは非常に歴史のある枠組みで、一九九九年から途切れることなく毎年持ち回りで開催ということなんですね。

 私もちょっとよく見てみたんですけれども、これは、最近でいうと、二〇一五年から二〇一九年の優先する九分野の中に、水及び海洋環境保全というのが入っているんですね。これはマイクロプラスチックと海洋ごみ対策を含むというふうに入っているんですよ。過去を見ても、海洋環境の保全ということはうたわれているんですよね。

 ところが、残念ながら、海洋ごみの排出源の分析というものが三月か何かに大きく報道された中に、断トツ中国なんですよね。これは日本と比べても桁が違うんですよ、全然。ベストテン入りしている東南アジアというのは五カ国あるんですね、残念ながら。

 すなわち、三カ国の環境大臣会合で毎回のようにこういう形で取り上げられているにもかかわらず、実は成果が上がっていないんですよ、この海洋プラごみ排出については。残念ながらね。そうしたときに、我が国として、喫緊の課題、もちろん我が国の国益にもつながることなんですが、海洋プラごみの対策についてこの枠組みだけでは不十分だということは、これはもう証明されちゃっているんですよね。

 私は思うんですが、本来、環境の問題、日中の2プラス2もやられて、大臣も行かれたと思いますけれども、このことについて、私はいいと思うんですよ。しかし、もう一つ大事なことは、やはりこれから伸び行く東南アジア、この地域ですよ。今言ったように、海洋のプラごみについては、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、それぞれ足すとすごい数字になるんですね。これは中国並みになるんですよ。

 そうなったときに、我々にとって、環境問題を特化して考えたときには、どういう枠組みがいいんですかということになるわけですよ。この日中韓というものは大切な枠組みかもしれませんが、環境省挙げてこの維持をしなけりゃならない枠組みかといえば、そうではないというふうに思うんですね。というのは、やはり韓国は難しいし。

 そうなったときに、我が国にとって国益につながる、そして世界に貢献できる、地域に貢献できる枠組みというのは、中国と日本とプラスASEANだと。そして、何も海洋環境だけじゃなくて、東南アジアというのは、これから、やはりあれだけ伸びていますから、やはり、河川管理もそうです、自然管理も、さっき言った、これから触れます実は外来生物もそうなんですよね、さまざまこれは問題としてリンクできるんですよ。

 ですから、これから環境省がやるべきことは、新しい枠組みとして日中とプラスASEANという、私、2プラスASEANという枠組みを構築することが、実は日本にとってもアジアにとっても世界にとっても大きな貢献につながるというふうに思っているんですが、その辺についての御所見をお聞かせいただければと思っております。

原田国務大臣 こういう問題に対する取組の枠組みというのは極めて大事なことだと思っております。

 まずは、日中韓という、TEMMと言われる組織がありますし、またことしの秋だかにこういうことが行われるんじゃないかと思いますけれども。

 とりわけ中国は、今の問題では大きな排出国であることは間違いありません。そのことに関連しまして、先月、日中閣僚会議がありましたので、そのときにも、李幹傑生態環境部長に対して直接、排出削減に向けた取組の強化を求めたところであります。私は、全体の数字、八百万から九百万トンのうち、三割から四割は中国が占めているんじゃないかということもはっきり申し上げまして、何とか排出抑制について努力をお願いしたところであります。中国側は、もちろんその努力は約されたが、あわせて、ただ、この三割、四割というのはやはり大き過ぎるんじゃないかというお答えもあったところであります。

 しかし、おっしゃるように、東南アジア各国は、今、成長とあわせて、この問題についてもしっかりまた、出しておられる、排出しているのも事実でありますからね。そういう意味で、枠組みとしては、日中韓はもちろん、更に強めていかなきゃいけない、あわせて、やはりASEAN諸国をどういうふうにするかと。

 昨年のたしか十二月だったと思いますけれども、我が安倍総理がASEANプラス3の中で、まさに、この環境問題、とりわけこのプラスチックの抑制については、しっかりまず発言し、また、我が国もそれについてはあらゆる協力をするということで、約束してきたところであります。

 確かに、日本自身は全体の二、三%ぐらい、出したとしても。しかし、それは単に日本の問題ばかりじゃなくて、地球上の海域をどう守るかという観点からという意味では、やはり、排出国、またそうでない国も協力し合ってこの問題に取り組んでいかなきゃいけないな、こう思っております。

 ただ、その枠組みについては、私は今、日中韓、さらにはASEANプラス3、さらには今度G20ということで、枠組みはもう既にあるから、あとは、その中でいかにやはり皆さんの協力を得ながら、先進国、途上国も含めて、どうやって実効性のあることを目指すかということが大切ではないかと思っておるところであります。

笹川委員 ありがとうございました。

 私は、もうちょっとだけ申し上げておきますが、新しいステージをつくることが大事だというふうに思うんですね。

 我々のパートナーは一体どこだ。それはやはり環境でいえば中国とASEANだ。このことの解決が我々にとっての国益に私はまさにつながる、それで世界に貢献できるというふうに思っています。環境の中での韓国の立ち位置というのは、私はそれほどでもないと。

 我が国にとってどこを解決すべきか。それが同時にまた水資源に与えているビジネスチャンスも含めて、それはやはりASEANともっと緊密にやるべきだ。同時にまた、ASEANに対して影響力のある中国と一緒になってやっていくことが私は日本の国益につながるというふうに思っていますので、ぜひ新しいステージを目指して、G20の中でもぜひまた省内で御議論をしていただきたいと思います。

 そろそろ時間の方も参りましたので、最後の、外来生物に。

 私は、政務官のときに、環境省もいろいろな形で五箇先生と交流をしていますけれども、私は先生から本をもらいまして、「終わりなき侵略者との闘い」、侵略者というのもなかなか響きがいいんですけれども。

 外来生物が何で日本に定着したのかとそもそもで考えてみたときに、この外来生物というのは、やはり食用、これは食料危機のときに入れて、いや、もう結構ですという話になって、今ふえちゃった。ペット、これも、もう飼い切れないのでお放ししたら野生化した。それで、天敵、いや、天敵にもならずに野生化した。さまざまなことがあるんですね。まあ、もちろん、国際的物流網が発展したおかげで、それに乗っかってくるのもいるでしょう。さまざまな要因がある。

 しかし、もとをたどってみれば、ほとんどが人間が生み出した問題なんですよね。人間が生み出しているんですね。そして今では、行き過ぎた家庭内飼育、いわゆるペット化。時間の方が来ましたので、残念ながらこれはもうやめておきますが。

 ただ、いずれにしても、お願いをしたいことは、環境省の立ち位置は、残念ながら後手後手過ぎる。何かがふえたから、では指定しましょう、そういう話じゃないんですよ。やはり、日本列島のこの固有した、この限られた、閉鎖された自然環境の中で何をしたらいいかというと、やはり入れないことですよ。そして、人間のエゴ、このことをやはりきちっと考えた上で、環境省は、立ち位置はもっと厳しくあるべきですよ。そのことが、環境省の立ち位置が甘いから、結局、こういう形で繁殖し、蔓延をし、膨大なコストをかけて、時間をかける結果になったんですよ。これは、考えてみれば全部税金ですからね。国民に対して負担を強いている話です。だから、そこら辺のところをもう少し環境省は立ち位置をしっかりと考えていただいて対策を考えていただきたい。

 もうブラックリストから私はホワイトリストに変えるべきだ、だめなものはだめなんだ。じゃ、どれなら影響がないのか。そこのところを真剣に考えていただいて、環境省、より立ち位置を明確にしていただきたい。このことを強く申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、政府がこのたび発表いたしました温暖化対策長期戦略についてお伺いしたいというふうに思います。

 二〇五〇年までに温室効果排出ガスの八〇%を削減するということとか、今世紀の後半のできる限り早い時期に脱炭素社会を目指すという目標自体は、もちろんこれは大変立派なものだというふうに思っております。問題は、これをどう実現するのかということだというふうに思っております。

 私、二つ気になる点がございまして、一つは石炭火力、もう一つは原発でございます。特に、経産省の意見と環境省の意見が対立するようなところもあるんではないかというのも気になっております。

 二つ指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 これは、有識者懇談会の方で、座長案、座長が意見を述べたことについて、経産それから環境、それから経済界を含めて検討なさって、今回の提言に至ったというふうに承知をいたしております。それで、座長案と今回出された提言の間に、若干の乖離があるんじゃないか。どうしてその乖離が生じたのかというと、やはり私は、経済界の意見というのが非常に大きく影響しているんじゃないかというふうに思います。

 経済界の代表の方たちというのは、当然、現在経済活動を行っているわけですから、目先、やはり自分たちが利益を上げなければいけないというのは最大の使命でございます。しかし、地球環境、温暖化ということになりますと、これは五十年、百年先のことを見越してどう対策を打つのかという現在の対策になるから、当然それは矛盾するということが起こり得るわけですね。

 だからこういうことになるんだというふうに思うんですが、特に、石炭火力の問題からいうと、環境省は、前大臣も含めて、石炭火力はできるだけなくしていかなければいけないという大きな方針を打ち出しているわけで、座長案も、石炭火力について、可能な限り依存度を下げていくんだというふうにして、最初は全廃の方針を打ち出していたのが、今回出た方針では、可能な限り引き下げるということで、引き続き石炭火力をやっていくという方向を打ち出しているわけで、環境省の基本的な姿勢とはちょっと違うんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、その辺はいかがお考えでしょうか。

原田国務大臣 懇談会での議論、当然たくさんの委員がこれに参画をされました。そしてまた、座長は座長の立場で大変御努力されたというふうに伺っております。いきさつについては、それぞれのお立場を多分しっかり議論されたんだろうと思います。

 ただ、この案におきましては、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会、いわば実質排出ゼロの実現を目指すという長期的なビジョンということで関係者が落ちついたというふうに理解しているところでございます。

 その中で、石炭火力については、パリ協定の長期目標と整合的に、火力発電からCO2削減に取り組むということを目指した上で、アセスの厳格な運用、火力発電への依存度を可能な限り引き下げる、CCUS等の本格的な社会実装に向けて、例えば二〇二三年までには最初のCCU技術を商用、実装化する、こういうことを盛り込んでいるところであります。

 いずれにいたしましても、この地球温暖化への対応が十分に示されない案件については、環境大臣意見において、例えば新設のものについては中止も求めるということもしており、こうしたことを通じて石炭火力について引き続き厳しい姿勢で臨んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。

生方委員 今の、力強い意見だというふうには思うんですけれども、環境アセスメントを厳しく適用するということで、国民にわかりやすく説明するとすると、例えば、今までとはこう違って、こういうふうに厳しくするんだ、だから石炭火力はこうやって抑えられるんだということを、もう少し具体的にお話をしていただきたいんですが。

原田国務大臣 特に環境省としては、各事業者からの事業の相談また申入れについては、アセスメントという法律上の立場からしっかりまた、先ほど厳格にと申し上げました。今、私は、中止も含めたというか、中止させると。

 従来、こういう立場よりも、是認できないというふうなことで、事業者に自主判断をさせたような部分がございましたけれども、今後はその立場を更に厳しくいたしまして、はっきり環境省の側から、アセスメント上はこれの中止を求めるということも含めて、かなり踏み込んだ考え方をとりたいな、こう思っております。

生方委員 磯崎副大臣、お越しをいただきまして、ありがとうございました。

 副大臣にちょっとお伺いしたいんですが、今の環境省のお立場でいうと、環境アセスメントを厳しく適用して、石炭火力については厳しく対応すると。この座長案でも、石炭火力は全廃するという方向が打ち出されていて、副大臣も御承知のとおり、石炭火力は、日本は非常に力を入れている、海外にも輸出をしているということで、この間、インドネシアの住民の方がいらっしゃって、ぜひ石炭火力の輸出はやめてほしいというような話もしておられました。そういうことを含めて、石炭火力にちょっと日本は依存し過ぎじゃないか。

 だから、全廃を打ち出すというのであれば、G20に向けて、日本も態度が変わったのかなということで評価をされるというふうに思うんですが、それが、先ほども申し上げましたように依存度を可能な限り引き下げるということになりますと、可能な限り引き下げるというのは一体どこまで引き下げるんだ、やめるというのはやめてしまったのかということになると思うので、その辺、どういうふうにお考えになっているのか、御所見を伺いたいんですが。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 日本の国は資源の乏しい国でございますので、エネルギー政策の基本的な視点というのは、もう先生も御存じのとおり、スリーEプラスSということでございます。安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題に配慮をしながらエネルギーの供給の安定性を確保する、これが基本的な国の方針ということでございます。これは、長期を見通した場合においても変わらない基本的な考え方だろうというふうに思っております。

 脱炭素社会の実現に向けましては、石炭を含めた火力発電、これにつきましては、パリ協定の長期目標と整合的に、温室効果ガスの削減に向けて取り組むことが重要であるというふうに思っております。

 そのために、石炭火力につきましては、高効率火力の有効利用、あるいは非効率な石炭のフェードアウト等を進めることによりまして、石炭を含む火力発電の依存度を可能な限り引き上げることに取り組んでまいりたいというふうに思っております。(生方委員「引き下げるでしょう」と呼ぶ)引き下げる、失礼しました。

 加えて、脱炭素社会の実現、これは非常に野心的な目標でございますので、やはりこれまでの、従来の取組の延長では実現が困難ということでございますので、やはり非連続なイノベーション、これが必要であるというふうに思っております。再エネ、原子力、CCUS、水素、蓄電力といったあらゆる脱炭素化の選択肢、これについてイノベーションを進めていくことが必要だというふうに思っております。

 火力発電所につきましても、CO2を炭素資源として捉え、多様な炭素化合物として再利用していくカーボンリサイクル等によりまして、火力発電の脱炭素化を追求してまいりたいというふうに思っております。

 また、輸出に力を入れているんじゃないかというお話ございましたけれども、これは、エネルギー基本計画の中でも、世界最新鋭である超超臨界圧以上の設備について導入を支援していく、こういう記載がされておりますので、やはり、従来の効率の悪いというものではなくて、最新鋭のもの以上、こういう限定をつけさせていただいているところでございます。

生方委員 最新鋭といっても石炭火力ですからCO2は出るわけで、それを世界に輸出するということになると、世界で取り組んでいるCO2削減には、やはり私は、プラスになるかというよりは、どちらかといえばマイナスになるんじゃないかというふうに懸念をいたしております。

 今回の、依存度を可能な限り引き下げるという、言葉はいいんですけれども、具体的に、では何年までに石炭火力は何%までにするとか、そういう具体的な数値というのはお考えになっているんですか。

磯崎副大臣 現在の数値としましては、二〇三〇年度のエネルギーミックスの数字があるところでございまして、二〇五〇年につきましては、もう先生御存じのとおり、八〇%を目指すという中で、さまざまな選択肢を持って取り組んでいくというのがエネルギー基本計画の基本的な立場でもございまして、現在のところ、具体的な数値、これを持ち合わせているということではございません。

生方委員 やはり具体的な数値というのが非常に大事だと思うんですよね。数値に向けて努力をする。二〇五〇年、二〇三〇年と、こう目標があったら、三〇年までにどこまで達成できたから、なら五〇年にここまで達成できるなというのは国民の目にもわかりますし、外国の国々も、ああ日本はここまで取り組んでいるんだというのがわかるというふうに思うんですよね。

 だから、二〇五〇年、大分先の話ではございますが、ある程度の目標というのを打ち立てて、日本はここまでこうやって本気に取り組むつもりだというのが打ち出せると思うので、お答えは結構なんですけれども、できる限り具体的に数値をお示ししていただきますように、まずお願いを申し上げます。

 それから、あともう一つ、石炭火力については、大手銀行の方で、ESGの観点から融資を控えようという動きも出ております。だから、仮に海外に石炭火力を輸出しようというふうに考えたとしても、肝心のお金が出ないというような可能性もあるということを含めて、経済界もやはり環境に配慮した融資ということを考えるように、そういう時代に変化しつつあるわけですから、経産省が基本的には引っ張っていっているわけで、ある意味では環境省が一生懸命それにブレーキをかけているというような状況なので、ただ、日本全体から見れば、石炭火力は決してそう評判のいいものではないし、幾ら技術革新があったって、CO2が出るのはこれは間違いないことで、石炭を燃やせばCO2が出るのは誰が考えたってわかることで、それが多いか少ないかというだけの話でありますからね。

 そういう観点からも、やはり石炭依存というのは、座長が提案したようにいずれは全廃するんだという方向を打ち出すとか、あるいは石炭依存はもう二〇五〇年までには一%にするとか、そういう具体的な数値を示さないとG20でなかなか説得力がないんじゃないかというふうに思うんですよね。

 感想で結構ですが、いかがですか。

磯崎副大臣 今委員おっしゃったように、石炭火力については、融資を行わないとか、あるいは融資を引き揚げる、ダイベストメントですか、またこういった動きがあるというのも承知をしているところでございますし、また、ESG投資、これも非常に重要な要件であるというふうに思っております。

 石炭につきましては、二〇五〇年を見通す中では、先ほども申し上げましたように、従来の延長線上ではこれはなかなか実現することが難しいということでございますので、これから、非連続、今はまだ開発されていないイノベーションを踏まえて、どういった選択肢があるのかという、やはり選択肢をたくさん前提に置いた中で実現をしていくということが重要でございます。

 委員の方から、具体的な数値目標を持たないとなかなか進まないのじゃないか、そういう御意見をいただきましたので、それはしっかりと踏まえた中で、今後できることをやってまいりたいというふうに思っております。

生方委員 できるだけ数値を、すぐにということではなくても、お示しをしていただきますようにお願いを申し上げます。

 次に、原発についてお伺いしたいんですが、原発については、立憲民主党は、原発ゼロという明確な方針を打ち出しておりますので、政府とは若干見解を異にするというふうには思うんですが、この原発について、この長期計画の中では、座長案のときには、原発は技術的な選択肢の一つとしては有効であって、しかし活用については議論が必要だというふうに、そこまででとどめていた。しかし、今回の提言を見ると、原発を脱炭素社会の選択肢の一つであるというふうに位置づけて、再稼働を進める、あるいは利用の安定を進めるというふうに踏み込んでいる。

 原発そのものは確かにCO2は出さないんですけれども、一旦事故が起これば環境に与える被害というのはそれはもう桁違いだというのは、我々、現在、今、福島第一で経験をしていることでありますから、そういうまさに事故を起こした当事国として、原発をもう一度、日本はまた同じようなことでやるのかというふうになると、なかなか説得力を持たないというふうに思うんですね。

 やはり、脱原発に向けてというのは、事故があった当初は日本政府も脱原発に向けていくんだということになっていたのが、だんだんだんだん緩んできて、しかも、その大義名分が脱炭素社会のためには原発なんだという、全く本末転倒なんじゃないかという私は気がするんですけれども、原発に対する基本的な考え方というのは、磯崎副大臣はどのようにお考えになっていますか。

磯崎副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 原発につきましては、徹底した省エネ、再エネ、これを導入することによって原発の依存度を可能な限り低減していく、このことが政府の基本的な考え方でございます。この長期戦略におきましてもその方針が明確にされているんだろうというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、日本は資源の乏しい国でございますので、原発につきましては、やはり、安定的かつ安価な電気の供給、気候変動への対応、エネルギーの海外依存度、こういったことを考えれば、国としては、責任のあるエネルギー政策、これを実現していくためには、原子力は欠かすことができないものだろう、そういう認識を持っております。

 具体的に、やはり、原子力発電所が東日本大震災のあのことによりまして停止して以降、例えば、震災前の二〇一〇年に比べまして、電気代は上昇いたしております。具体的には、一年間で、一般の家庭で約一万六千円、中小企業では約九百五十万円のインパクトがあるということでございます。

 また、CO2の排出量、これも、電力のセクターにおきましては三千七百万トン増加をしているということでございまして、これは日本のCO2排出量の約三%に当たるということでございますし、また、エネルギー自給率、これも、G7でもずば抜けて低い九・六%、こういう状況が生まれてきているのが現状でございます。

 こうした中で、原子力を含めた多様なエネルギー源を組み合わせて適正に活用することで、それぞれのエネルギー源の強みを生かしながら弱みを補完していく、先ほども申し上げましたスリーEプラスS、これを実現することによって責任あるエネルギー政策を実現していくということかと思います。

 もちろん、私ども今、福島の廃炉・汚染水の担当をしておりますので、やはりその教訓というのは非常に重いものがあるというふうに認識をしております。安全性が最優先である、そういう認識でございます。

 原子力発電所につきましては、これまでも申し上げさせていただいておりますけれども、やはり、いかなる事情よりも安全性を最優先していく、その前提のもとで、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をして、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めたもののみ、その判断を尊重しながら、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、それが基本的な考え方でございます。

生方委員 原子力に、できるだけ依存度を減らしていくというふうに言いながらも、現在、原子力が電力に占める割合というのは二から三ぐらいしかないですよね。これを二〇三〇年には原発比率を二〇から二二に引き上げるとしているというふうに考えると、十倍ぐらいやらないかぬと。

 今の状況の中で再稼働がそんなにスムーズに進むわけはない。地元の反対もありますし、我々ももちろん反対をいたしておりますし、一旦事故が起こったら一体どういうことになるかというのはよくわかっているわけですから。

 それともう一つ加えて、テロ対策ですね。テロ対策をきちんとやらなければいけないというふうに規制委員会が指摘していたにもかかわらず、電力会社の対応がおくれてしまって、テロ対策が済んでいないところの原発は稼働をやめさせるという明確な方針が打ち出されました。これはいずれ五年の期限が来たらとめるという報告が出ているわけですから、とめざるを得ないというふうに思うんですよね。

 そうなりますと、この二〇三〇年に原発の比率を二〇から二二にするというのは、どう考えたって、あと十年しかないのに、不可能ですよね。どうする気なんですか。

磯崎副大臣 お答え申し上げます。

 この二〇から二二という数字でございますけれども、これは、個別の原子力発電所の状況を積み上げたものではなくて、先ほど申し上げましたように、スリーEプラスS、この目標を達成することという前提のもとに検討しましたマクロの比率ということでございます。

 この二〇から二二%の数値、二〇三〇年の数値でございますけれども、達成がどうなのか、困難ではないかという御質問でございますけれども、確かに、今まだ稼働しているのはたしか九基だったと認識しておりますけれども、ただ、今後、原子力規制委員会、非常に厳しい審査基準でございますけれども、これを経て既存の原子力発電所の再稼働をし、震災前には平均稼働率が七割でございましたけれども、これが八割程度まで稼働する、あるいは四十年という期限、これを一部の炉については例えば六十年等々期間延長を行う、こういうことによって達成可能な水準である、そういう認識を持っているところでございます。

生方委員 それは、そうおっしゃったって現実に不可能でしょう。今現在三から四しかないんですよ。もう一九年ですから、あと十一年でこれをほとんど八倍とか九倍に引き上げようといったって何の説得力もないじゃないですか。何か説得力がありますか。これからどんどんどんどん再稼働するなんて、十年の間に、あり得ないでしょう。どの世論調査をやったって、国民の過半数は再稼働反対ですからね。それは、絵に描いた餅を幾ら言ったって何の説得力もないわけで、現実には多分そんなになりっこないんだから、じゃあどうしようかということを考えるのが行政でしょう。言ったってしようがないことでしょう、これ、言ったって実現できないんですもの。副大臣だって自分でそう思っているでしょう、できるんだと言うの。

 だから、この二〇から二二という目標自体がおかしいわけだから、これはこういうふうに見直すと。だって、テロ対策、打てないんでしょう。後ほどちょっとお伺いしますけれども、稼働しているものに対してはテロ対策を打つと。じゃ、稼働していないものはどうなんですか。稼働していないものだって、テロを受けたら同じ被害が出るのは誰だってわかるわけですから。じゃ、稼働していないものが申請して、もう一回またやったら、また五年ですよ。五年たってできるかどうか、再稼働できるかどうかわからないのに、電力会社がそんな投資できないでしょう。再稼働しますという前提があるんであればこれは投資するでしょうけれども、再稼働しますという前提がないのにテロ対策、何百億もかけてやるなんてこと考えられないということを考えると、原発というのはいかにもう現実的なものじゃないかというのはもう明らかになっているんですよ。そうであれば、きちんと方針を転換する。ドイツのようにやめるとかいうことを打ち出すしか私はないと思うんですよ。

 こんな、だって二〇三〇年に二〇から二二なんて全く現実的じゃない数値を掲げて、エネルギーミックスにしたらこれは可能なんだなんて言ったって、何の説得力も私はないと思いますよ。そうであれば、やはり国民に向けてこれは発しているわけですから、国民の普通の人が聞いてああなるほどというふうなことを打ち出さないと、温暖化対策というのは国民あるいは外国の協力も得ながら初めて達成されるものでありますからね。

 副大臣おっしゃって、自分で言っていても、多分無理だろうなというふうに思っているのがわかるのを、じゃ困るじゃないですか。副大臣なんですから、これはだめだ、見直せということを言うぐらいじゃないと私は意味はないと思いますよ。いかがですか。

磯崎副大臣 先ほど申し上げましたように、国の基本的な考え方としましても、再エネ、省エネ、これを積極的に進めていくことによって原子力の依存度をできるだけ低減させていく、この考え方は基本にあるわけでございます。更に言えば、再エネにつきましても可能な限り導入していく、そういう基本的な考え方を持っております。

 そういった中で、二〇三〇年のエネルギーミックスにつきましては、昨年の第五次のエネルギー基本計画の中でも、この見直しは必要ないと、二〇三〇年に向けてはやはりこのエネルギーミックスを実現していくということが方向性として示されたということでございます。

 そういった意味では、やはり原子力規制委員会の審査、これを私どもは見守るわけでございますけれども、二〇三〇年のこの二〇から二二%のエネルギーミックスの実現に向けて我々も努力をしていくということでございます。

生方委員 原子力依存度を引き下げると言いながら、だから、現実には、今、三から四しか依存していないのを引き上げるわけでしょう、八倍に。それは、だから、言っていることが矛盾しているじゃないですか。引き下げると言うんなら、今、三から四しかないんだから、これを一から二にしますと言うんなら、ああ、そうですかと。引き下げると言いながら、三から四を二〇から二二にすると言ったって、誰が理解するんですか。

磯崎副大臣 引き下げるというこの意味は、東日本大震災、その以前の水準から見れば、この二〇から二二という水準は、数字としては引下げになっているということでございます。(生方委員「現在と比べてです」と呼ぶ)現在からは、委員おっしゃるように、数字としてはふえていくということになるわけでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、エネルギー政策を考える場合には、やはり国としては、国民の皆様にきちんと責任のある、そういったエネルギー政策をとっていかなければいけないという考え方がある中で、価格の問題であるとか安定供給の問題であるとか、環境、CO2の問題であるとか、こういったものを全て実現をしていかなければいけないという観点に立つ中では、やはり原子力の二〇三〇年における二〇から二二%、これは必要である、そういう認識のもとでのエネルギーミックスであり、エネルギーの基本計画であるということでございますので、ぜひ御理解を賜ればというふうに思っております。

生方委員 原発事故が起こる前に比べてと言ったって、起こったんですから。起こった後どうしようかということでみんなが考えているのに、原発事故が起こる前に比べてそれは減らすんだと言ったって、何の説得力もないですよ。多分、自分で言っていてもそう思うと思いますよ。

 原発事故が起こったからどうしようかということで、みんな考え方をゼロから直そうというふうになっているとき、原発前の数値に比べて減らすんだと言って、何の説得力があるんですか。全くないですよ、それは。それは言っている当人が一番よくわかっていると思いますけれども。

 それじゃ、国民に理解を得てと言ったって、国民、誰も理解しない。だから、再稼働に依然として五割以上の方が反対しているわけですから。それは、政府が言っていることを国民が理解できないから、それはだめだということを意思表示しているわけですから。七年たっても、もう再稼働はだめだという意見が過半数を占めているという世論をしっかり踏まえないで、幾らこだわっていたって、そんなことできるはずはないというふうに思いますよ。

 規制庁に伺いたいんですが、テロ対策をきちんと打っていなければ稼働させないという、これは大変な決断だったというふうに思うんですけれども、経済界からは、これじゃたまらないというようなことを、いろいろ圧力を受けているんじゃないかというふうに思うんですけれども、一点目は、この方針はきちんと堅持するんだというか、その決意をお示ししていただきたいのが一点と、再稼働しているものについてのテロ対策は今回打ち出しましたが、再稼働していないものに対するテロ対策についてはどのようにお考えになっているのかということをお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず一点目、今回、私どもは、特定重大事故等対処施設と申しております、これは、重大事故等に対する対策をより強化するとともにテロに対する対策を強化するための設備ですけれども、この施設が工事計画の認可を受けてから五年の期限を迎えた場合には、運転中のものは停止する、それから、停止中のものは起動しないという判断をいたしました。

 原子力規制委員会設置に当たっては、国会においても、東京電力福島第一原子力発電所事故の最も重要な教訓の一つである規制機関の独立性ということに関して議論を重ねられて、原子力規制委員会は設置されたものと理解をしております。

 規制当局としましては、この判断、科学的、技術的な根拠に基づく判断の独立性を守るということは最も重要なポイントの一つであると考えておりますし、また、それを守ることが私たちの使命であるというふうに考えております。

 二つ目のお尋ねですけれども、停止中の原子力発電所におきましても、相対的には冷却の進んだ使用済みの燃料が使用済み燃料プールにあるという状態です。したがいまして、運転中のものと、特定重大事故等対処施設というのは運転を前提とした施設でありますので、同一のものが必要という意味ではありませんけれども、当然のことながら、テロに対する備えは必要でありまして、その必要な対策はとっております。

 ただ、その対策の詳細については、脆弱性を示さないという観点から詳しく申し上げることは差し控えさせておりますけれども、停止中の原子力発電所にあってもテロ対策は必要でありますし、また、強化すべき点があれば、強化に向けた歩みというのが必要であるというふうに考えております。

生方委員 経産省としては、稼働していない原発のテロ対策というのはどのようにお考えになっているんですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 現在稼働していない原子力発電所については、今、更田委員長からもございましたけれども、原子炉設置変更許可申請が出されれば、安全審査等の手続が進められることになるものというように認識をしてございます。

 御指摘の原子力発電所のテロ対策につきましては、そうした中で、原子力規制委員会が原子炉等規制法などに基づきまして事業者に対してさまざまな防護措置を求めているものと承知をしてございます。事業者においては、テロ対策を含めた安全対策について、原子力規制委員会の監督のもと、規制要求に的確に応えていく必要があるというように考えてございます。

生方委員 以上、るる申し上げてまいりましたが、原子力の依存度を二〇三〇年に二〇から二二にするというのは、私は到底実現が不可能だというふうに思います。そうすると、それをどこかのエネルギーで代替をせにゃいかぬ。もちろん、火力発電とか石炭火力をふやすわけにはいかないというふうに考えれば、普通に考えれば、再生エネルギーがそのすき間を埋めていくというふうに考えますよね。再生エネルギーの普及をこれから更にスピードアップさせていかなければいけないというふうに私は思っております。

 その一環として、恐らく発送電分離という政策というのが取り入れられたんだというふうに思いますよね。発送電分離も来年から実現され、今現在でも、もう分社化とかホールディングカンパニー化とかというのが進んでいるわけですけれども、実際問題、確かに小売分野は、随分自由化をされたり、新たな発電業者が入ってきたりということはありますけれども、一番重要な送電部門ですね、送電部分というのは依然として独占体制が続いている。

 少なくとも資本関係においては残念ながら同じ資本下にあるわけですから、当然、一つの会社の中の、分社化しているところもあるし、ホールディングでぶら下がっているところもありますけれども、いずれにせよ、全体としての影響力というのは残ると思うんですよね。電力というのは独占して提供することによって安定的な供給を賄うというのがこれまでのずっと伝統でございましたから、いきなり分社化とかホールディング化して自由化されたからといって、なかなかその体質が抜けるとは思わないんですよね。

 きのうもちょっと聞いたんですけれども、ドイツなんかは、いや、最初はそういうふうになっていたけれども、いずれは資本も分離するようにならないとだめだよと、だけれども、そうじゃない会社もあるんだというようなことをきのうちょっと説明では聞いたんですけれども、私もドイツの電力の自由化事情をつぶさに存じ上げているわけではございませんので、それ以上の踏み込んだことは申しませんが、普通に考えれば、通信の自由化なんかのときのことを考えれば、やはり独立性を担保していかないとなかなか進んでいかない。

 これを進めるためには電力を引き下げるということが、電力料金を引き下げるためには自由化だ、自由競争をさせるんだということになると思うので、その根幹部分が、やはり、今現在は分社化したばかり、あるいはホールディング化したばかりだからしようがないとしても、将来的には完全に独立をしたような形にするのが私は望ましいというふうに思うんですけれども、いかがお考えですか。

磯崎副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員おっしゃるように、分散型電源を含む多様な電源を活用しながら安定で効率的なエネルギー供給を実現していくためには、送配電部門を中立化して、誰でも自由かつ平等、公平に送配電ネットワークを利用できること、これは非常に重要であるというふうに思っております。

 電力システム改革当時の議論の中では、発送電分離の方法としまして、一般電気事業者の送配電部門を別会社化をする、今やろうとしている法的分離、それとともに、その別会社との資本関係を解消することまでを義務づける、これが所有権分離でございますが、このことについても検討が行われたところでございます。

 ただ、最終的には、今回採用しました法的分離を採用しまして、その理由としましては、やはり、グループ内で連携をしながら安定供給を担うことができる、そういったメリットがあるということで、この法的な分離の方式が採用されたということでございます。

 ただ、委員おっしゃるように、やはり、中立性、これは確保しなければいけないというのは当然のことだというふうに思っておりまして、その中立性確保の観点からは、同じ例えばホールディングのもとにぶら下がるといっても、人事の面であるとか会計の面、こういった面でやはり厳格な行為規制、これを行うことは必要であるというふうに思っております。

 それを踏まえて、一般送配電事業者及びグループ内の発電、小売電気事業者間の取締役あるいはその従業員の兼職に関する規制であるとか、グループ内の取引に関する規制、あるいはその業務の受委託に関する規制等の措置を講じているところでございます。

 これらの行為規制に当たりましては、経済産業大臣のもとに二〇一六年に設立をいたしました電力・ガス取引監視等委員会が厳格な監視を行っていく予定でございますので、そういった意味では、法的な分離ではございますけれども、行為規制をきちんと行うことによって中立性を担保してまいりたいというふうに思っております。

 今、委員の方からドイツの話が出ましたけれども、EUにおきましても、EU指令におきましては追加的な規制を前提とする法的分離が認められているということで、フランスやドイツでも採用されている、そういう認識を持っているところでございます。

生方委員 これは、実際に運用が始まっていろいろな影響が出てくれば見直していただきたいというふうに思います。

 私がこういうことを言うのは、九州の例がよく報道されていて、九州の再エネが発電量を抑えられるとかというようなことが起こると、やはり何か自分たちのを優遇しているんじゃないかというふうに思われがちなんですが、いろいろ難しい問題はあるんだというふうに思います。

 説明によると、送電網というのは半分しか使われていない、あと半分は非常事態に備えているんだというようなこととか、難しい問題があるようなんですけれども、一つ疑問なのは、稼働もしていない原発用のために送電網の一部をあけているんだという話なんですけれども、これはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の電源についてでございますが、こういったものの系統への接続につきましては、再生可能エネルギー、火力あるいは原子力、こういった電源種によらず、全電源共通で先着優先という方式になってございます。

 これは、仮に後から接続を申し込んだ電源が先に申し込んだ電源を排除するというようなことになれば、発電事業の予見性を損なうおそれがあるために、公平に接続の申込順に送電容量を確保する、そういう措置でございます。

 また、その上で、現在の原発も含めて、先行する電源が稼働していないときには送電を認めるノンファーム型の接続、こういった仕組みの具体化に向けた検討というものを進めているところでございます。

生方委員 要するに、独占時代に決められたことで先着順に優先枠があるということになると、これは、後発組は当然その優先枠がなくなるということになりますので、おかしいんじゃないかと私は思うんですけれども。

 消費者の立場からすれば、むしろこれ、安い順につなげ、安くできたものからつないでいきゃいいじゃないかというふうに思うんですね。電力会社の都合で、火力は一旦とめたらまた起こすのに時間がかかってお金もかかるから火力はずっと使うんだというようなのは、それは電力会社、発電会社側の要請であって、消費者からすれば、少しでも安いところをつないでくれと。優先順位なんというんじゃなくて、安い順につなぐというのは当たり前の話ですよね、普通の社会では。

 それが、独占時代のその発想のままでやっているから、優先順になるんです。それで、我々が聞くと何か難しいことを言うと、わからないわけですよ。実際問題として、これが、もし何かこう来たら停電になってしまうからこれでやるんだと言えば、停電になったらそれは困るからしようがないなということだと、いつまでたったって独占は変わらないと私は思いますよ。

 だから、そういう発想を少し転換しないと、独占やっていたのを独占やめましょうということなんですから、発想を少し転換してもらわないと消費者のためにはならないと思いますよ。いかがですか。

磯崎副大臣 委員の御指摘でございますけれども、今、国の方でも、日本型コネクト・アンド・マネージという新たな考え方で、できるだけ送電線を有効に活用しよう。やはり新しく送電網を引いてくるというのは非常にコストもかかる、時間もかかるわけでございますので、既存の送電網をどう有効に活用していくかというのが、まさに今検討し、進めている日本版コネクト・アンド・マネージということでございますので、この中で新しい接続ができるだけできるようにということを考えております。

 もう一つ、安い順にというお話がございましたけれども、これはある意味わかりやすい考え方のように見えますけれども、やはりこれまで、例えば発電所をつくるについては当然コストをかけて発電所をつくる。当然のことながら、接続をして、これからずっとその発電事業を行っていくということを前提に投資をしているということを考えれば、それが、安いものが出てきたからいきなりつなげられないということになると、やはり先の、予見を持ってそういったその事業に入ってきている人の予見を失わせてしまうようなことにもなりかねませんので、そこはなかなか慎重な考え方が必要なんだろうというふうに思っております。

 ただ、安い、あるいは新たな電源ができるだけつなげられるということにつきましては、私どもも十分に考慮しているところでございますので、新しい日本版コネクト・アンド・マネージ、この考え方にのっとって、新たに接続ができるように考えてまいりたいというふうに思っております。

生方委員 既得権を守るというのが、まさにそれはいけないわけで、規制緩和というのは、いかに既得権があるところからそうじゃない人たちにふやしていって自由競争をさせようという発想には、全く今の話は逆行しているというふうに思いますが、それは結構でございます。

 次にお伺いしたいんですが、FIT制度が取り入れられてからもうすぐ十年になるわけで、家庭用に使っていた太陽光はFIT適用が来年からだんだん切れていくというんですか、終わってくるということなんですけれども、十年、これまでお金を出して買い取っていたのが買い取らなくなるわけで、その活用をどうするのかというのがいろいろ新聞紙上でも取り沙汰されておりますが、経産としては、これ、どのように今後家庭用の電力については活用していきたいというふうにお考えになっているんでしょうか。

小澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、この秋から、そのような家庭用の太陽光なりの買取りの仕組みが終わりますので、その後をどうするのかというのは非常に重要な課題だというように思ってございます。

 現在、これについては、電気事業者あるいは新電力なども含めてさまざまなサービスを検討しているところでございまして、そういったものを我々としても注視しながら、さらにどういったことができるかということを検討していきたいというふうに思ってございます。

生方委員 日本の場合は、蓄電池の普及が非常におくれているということがあるようでございまして、やはり蓄電池があれば、使えない部分は蓄電池にためておけば、その後また利用できるということになるというふうに思うんですけれども、蓄電池の値段が高いのか、何で普及しないのか私はよくわけがわからないんですけれども、ヨーロッパの方では普及しているということなので、蓄電池の普及が、もし値段にネックがあって普及ができないということであれば、若干の援助をするとか補助をするとかして普及させる必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、もし何か御意見があれば、副大臣、どうぞ。

磯崎副大臣 お答えいたします。

 確かに、委員御指摘のとおり、蓄電池の国内の市場価格は、海外の市場価格と比較すると高額という調査があることは承知をいたしております。

 確かに、再エネ、これは変動するエネルギーでございますので、やはり使わないものについてはためていくということが非常に重要なものだろうというふうに思っております。

 この蓄電池につきましては、今、いろいろな形で補助をさせていただいております。例えば、電力会社の変電所に大型の蓄電池を設置した系統運用の安定化に関する実証実験でありますとか、あるいは、二〇二〇年までに揚水発電と同等の設置コストに低減するための技術開発等も行っておるところでございますので、委員御指摘のように、蓄電池というのは非常に重要な要素だというふうに認識しておりますので、研究開発の支援等々を含めて、これからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

生方委員 太陽光のことについてお伺いしたいんですけれども、二〇一九年の事業用の太陽光は、一キロワット当たり二割引き下げて十四円になるというふうに伺っております。太陽光発電は、二〇二五年には、一キロワット当たり七円程度で賄えるようになるというふうに聞きました。

 これまでは、再エネを利用するんだから、その部分については消費者に負担をしてもらうという形で電力料金が上がってきた。それは、高い価格で再エネを買っていたから、それを消費者に転嫁していたということになると思うんですけれども、逆に、二〇二五年には七円でできるということになると、火力や原子力に対しても十分競争力があるというか、火力や原子力が一体幾らかかっているのか、これはいろいろな計算方法があるので難しいとは思うんですけれども、恐らく七円ではできないと思うんですね。

 七円で買うことが太陽光からできれば、普通に考えれば、二十幾らで買っていたのを七円で買うことができるようになれば、当然、電力料金を引き下げることができるというふうに私は考えるんですけれども、いかがですか。

磯崎副大臣 電気事業者の規制料金の適正性につきましては、料金の認可時において厳格な査定が行われているとともに、毎年、事後評価を通じて確認をしているところでございます。

 事後評価の具体的な内容としましては、事業者の超過利潤累積額に関する評価、あるいは、安価な電源調達を行っているか等の経営効率化の検証等を実施いたしております。

 仮に電源の調達のコストが下がって事業者の超過利潤が一定水準を超える場合等には、やはり国から料金の変更認可申請命令を行うこととしておりますので、委員おっしゃるように、調達価格が下がる、そして利潤の累積がふえてくる、これが一定水準を超えるということになれば、電力会社に対して私どもの方から、料金の変更の命令といいますかそれを行っていくということで、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

生方委員 これは、もともとの目的は電力料金を引き下げようということなので、太陽光の価格がどんどん下がっていけば、それが普及していくことによってのメリットをちゃんと国民が得るようにするためには、電力料金が引き下がったということが重要だというふうに思います。

 何か説明だと、下げても、太陽光に、再生エネルギーに依存度を上げるとどんどん国民負担がふえるんだという報道ばかりなされていて、それはおかしいだろうと。太陽光の価格がどんどん下がっていって発電コストが下がっているんなら、それが普及することは、当然、それを利用する国民にとっては電気料金が下がることにつながらなきゃいけないのに、再エネが普及するんだから負担がふえるんだという報道ばかりなされて、再エネは国民にはよくないみたいなというのは、これは本当によくないと思いますよ。

 よく聞いたって、余りよくわからないんですもの。普通に考えれば、だって安いものが普及するんだから、当然、消費者も安いものをというふうに思うので。今は副大臣、いいですけれどもね。副大臣の話も難し過ぎて、もっとわかりやすくしゃべらないと、わからないんですよ。

 どうぞ、何か言いたければ。

磯崎副大臣 今答弁させていただきましたように、一定の超過利潤が超えれば値下げということになると思いますけれども、ただ、FITが導入された当初は四十円を超える太陽光の買取り価格ということでございましたので、やはりそれは二十年間保証ということでございますので、それはもうずっと買う、二十年間は続くということはあるわけでございますので、一挙に、安いものが導入をされるから、それをもってということには必ずしもならないということは、国民の皆様にもぜひ御理解をいただければというふうに思っております。

生方委員 わかりました。非常にありがとうございました。

 それで、あと時間が十分ほどなので、やはり、前回の質問でもさせていただいたんですけれども、福島第一の汚染水の問題ですね。

 これは、二〇二〇年までタンクをつくる計画というのがあったとしても、それ以降は計画がないということで、私も、福島第一、何度も伺わせていただいて、伺うたびにタンクの量だけがふえていって、一体これはどうなってしまうんだろう、もうほとんど敷地内、余裕がないみたいになっているというようなことを考えて、まあ経産省の場合も、それをどうするのかということをいろいろ検討する小委員会を設けているようでございますが、基本的には、空中へ放出をするのか、海へ流すのか、あるいは地中に埋めるのかぐらいしかない。

 それで、少なくとも、今現在聞いている限りでは、水中に出すのが一番時間的にもお金の問題からしてもいいんじゃないかというふうになっているんですけれども、汚染されているからこそタンクにためているわけで、それを幾ら薄めようが、汚染されているものがたまっているわけですから、それを海洋に放出をするということになれば、今でも日本の魚は買わないというような国がたくさんあるわけで、それに対して、放射能に汚染をされた水が海に流されるということになったら、ますます、風評じゃなくて実害がどんどん出てくるんじゃないかというふうに思うんです。

 この辺は後ほど東電にもお伺いしますけれども、経産としては、これはどういうふうに指導するつもりなんですか。時間切れで、多分もうタンクをつくる余地がない、だからもう海に流しちゃうんだなんて、そんなことだけは絶対許されないというふうに思うんですけれども、経産は基本的にはどういうふうに考えているんですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理をしました水の取扱いにつきましては、有識者から成りますトリチウム水タスクフォースにおいて技術的な検討を行っております。その際に、諸外国の前例等を踏まえまして、先ほど委員御指摘のとおり、地層注入、希釈海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設の五つの処分方法について検討を行っております。

 また、技術的な観点に加えまして、風評被害など社会的な観点を含めた総合的な検討を行う必要があることから、社会学、リスクコミュニケーション等の専門家を加えた多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会というところで今議論を行っております。

 特定の処分方法に決定したということではまだございません。まずは小委員会の議論を尽くすことが重要でございまして、引き続き、予断を持たずに丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。

生方委員 規制委員長にお伺いしたいんです。

 前回も質問をさせていただきました。それで、ほかの原発でも汚染水は海洋に放出しているんだから、日本が放出しても何も問題がないということの御発言がございました。

 私の理解は、ALPSを通して除去できないのはトリチウムである。したがって、タンクの中にはトリチウムが残されているだけだというふうに理解をしていたんですけれども、実際には、ストロンチウム以下ほかの物質も多く含まれているということがわかってきている。それで、新聞報道によれば、昨年の八月には、それが基準値を超えて検出をされたということも事実として出てきているわけですね。

 そうすると、この間委員長がおっしゃったように、ほかの原発でもやっているんだから海洋放出には何も問題がないということにはならないというふうに思うんですが、前回とお考えは変わったでしょうか、どうでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、他の原子力施設においても海洋に放出をしていると申し上げたのは、トリチウムという化学種に対してのものであります。化学種と申し上げたのは正確ではない、水素の同位体であるトリチウムであります。それで、トリチウムについては、委員も御承知のように、他の原子力発電所ですとか、それから再処理施設等を含む、いわゆる原子力施設から海洋への放出が行われております。

 一方、ALPSなどの設備で処理をされた汚染水、処理済み水と呼んでおりますけれども、この処理済み水の中にはトリチウム以外の核種も含まれております。更に言えば、濃度が低くなれば低くなるほど、除去を進めていけば進めていくほど、更に濃度を下げるということは技術的に難しくはなっていきます。そういった意味で、他の核種も含まれているという意味では、他の原子力施設から放流されている水とは性質が大きく異なります。

 しかしながら、原子力規制委員会としては、規制基準を満足する形でそういった処理をされた水を海洋に放出することに関しては、これまでの見解とは変わりなく、科学的、技術的観点から環境への影響は考えられないというふうに考えております。

生方委員 トリチウムだけというのが、そうではなくても見解は変わらないということなんですけれども、それは科学者の科学的見地からいうとそうかもしれないんですけれども、一般国民からいえば、トリチウムがどのぐらい危険なのか、ストロンチウムがどのぐらい危険なのかというのは、我々は非常にわかりづらいですから。ただ、いずれにせよ、そういう放射能に汚染された水が、海洋に、幾ら薄めたって、それは海に出ればどんどん薄まるわけですから、海に出る前に薄めて出せば同じだということには決してならないというふうには思うんですよね。

 だから、これはどうするのか。これは経産なのか東電なのかわかりませんけれども、いずれにせよ、あそこは満杯になるわけですから、どうするのかというのを誰かが決めにゃいかぬわけで、とりあえず当事者、きょうは東電さん来ていただいていますので、東電さんとしてはどういうふうにお考えになっていますか、汚染水の問題。

文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。

 前回も先生にはお答えさせていただいて大変恐縮ではございますけれども、今答弁がありましたように、多核種除去設備の処理水を含む処理水の扱いにつきましては、国の小委員会において、現在、その処分のあり方については、技術的観点だけではなくて、風評被害などの社会的な観点も含めて今議論が進められております。ですので、その議論を踏まえた上で、今後、国から当然ながら方針が出されるというふうに我々は認識してございます。それが出されましたらば、それを踏まえまして、当然ながら、地元を始め関係者の皆様の御意見を伺いつつ、丁寧なプロセスを踏みながら適切に対応してまいりたいと思います。

 今先生御指摘のように、いつまでもためられないだろうという、それはそうでございます、物理的には。ただ、それまでの間は、したがいまして、その陸側遮水壁、いわゆる凍土壁とか、あるいはサブドレーン、それと地下水バイパス等の予防的かつ重層的な対策によりまして汚染水の発生を極力抑えるということを努めながら、それまでの間は、安全に貯蔵できる方法によりまして貯蔵を継続してまいるという方針でございます。

 以上でございます。

生方委員 私が心配しているのは、だから、物理的に置くところがなくなってしまうんじゃないかと。それで、もう物理的に置けないんだから流しちゃえというようなことになるのは何としても避けないかぬなというふうに思っているんで、前回は、中間貯蔵施設はすぐ脇にあるわけですからそこにタンクを置けばいいんじゃないかというような感じもお話をさせていただいたんですけれども、東電さんが持っているのは福島第二があるわけですから、そんな第二は遠いわけじゃないですから、万々が一、それまでに結論が出なくて、地元の理解も得られないということになったら、福島第二にタンクを置くというふうなお考えがあるのかどうかというのを最後にお伺いしたいと思います。

文挾参考人 ありがとうございます。それでは、お答えさせていただきます。

 当社の福島第二原子力発電所など、離れた場所で保管する場合は、輸送用の車両とか船舶、それとか配管からの漏えいなどのリスクが、増加が非常に高まるというふうに今考えてございますので、今、現時点におきましては難しいのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

生方委員 これは、どっちにしろ、離れているといったって、そんなに離れているわけじゃありませんから、ほかの土地に建てるというのはほとんど不可能でしょうから、やはり今から検討しておかないと、それは、満杯になったから出しちゃうよということは、絶対、無責任、できないわけですから、ぜひとも検討していただきたいということをお話をいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党・無所属フォーラム、自然系国会議員の堀越啓仁でございます。きょうもよろしくお願い申し上げます。

 本日、たくさん質問をさせていただきたいと思って用意をさせていただいたんですが、先ほど笹川委員の方から質問がありました象牙の問題、それからマイクロプラスチック、さらに、かい掘り、外来種ですね、このことを私も触れさせていただきたいと思って、通告、用意をさせていただいていたところなんですが、笹川委員ともろかぶりだったので、急遽ちょっと変更させていただいて質問させていただきます。

 先ほど大臣の方からも御答弁ありました象牙の件に関しては、私も、国際社会からどう評価されるか、これがやはり非常に重要だと思っています。

 笹川委員の方からも御指摘ありましたとおりだと思いますが、やはり、象牙を登録していないと売り買いできない状況になってはいますが、しかし、その登録そのものが非常に弱い法律になっていると私は思っています。例えば、一部でもカットされると規制の対象外になりますし、登録する際には現場検査せず、牙そのものに印も何もないので照合できない、あるいは、登録する古い牙であるということ自体が、これを証明する要求というのがないわけですよね。

 なので、結局、日本としては、いわゆる密猟や違法取引に加担していないというふうに主張されておりますけれども、こういう緩い法律のたてつけが、逆に加担していることにもなるというふうに言わざるを得ない状況だと思っておりまして、そのことを、いわゆるこれまで象牙をたくさん使ってきたかのように思えるこの文化圏の中で、そうではないんだということを、先ほど笹川委員の方からも指摘があったんだと思っております。

 私もこれは同じ思いでありますし、今でも密猟というのは本当に悲しい現実としてありますので、これを日本の市場にも出回らないようにしっかりしていくためにも、更に厳格化を求めていきたいと思っています。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、昨年の通常国会において、気候変動適応法案の審査に際して、温室効果ガス観測技術衛星の「いぶき」二号についてたびたび取上げをさせていただいております。前回の臨時国会の際には、城内副大臣に御答弁をいただき、本当にありがとうございました。

 これは繰り返しになりますけれども、適応策そして緩和策、両方行っていく際にも、正確なデータは当然必要不可欠であります。「いぶき」二号がその上で果たす役割は非常に重要であると思いますので、そんな中、今週、IPCC第四十九回の総会が、現在京都市で開催されております。この機会で、温室効果ガスの排出量の算定や検証方法などに関する指針を策定することとなっています。

 そこで、この初号機の「いぶき」と後継機の「いぶき」二号、これらがこれまで観測して培ってきたデータ、そして、さらにこの推計技術、温室効果ガス排出量の推計技術ですね、こうしたデータというのは、まさにこれから世界が取り組んでいく上で、実効性を向上するのに寄与することは当然期待できるというふうに思っております。

 この点について、改めて環境省の考えをまず伺いたいのと、その上で、現在開催されているIPCC総会において、「いぶき」二号の活用について提案をされるお考えはあるのか。既に何らかの提案をされている場合には、それも含めて御答弁いただければと思います。

城内副大臣 自然系国会議員として、環境省の環境行政に大変深い御理解をいただいていることに改めて敬意を表するとともに、感謝申し上げたいというふうに思います。

 昨年の臨時国会、十二月四日にございました、そのときも堀越委員から御質問ありましたが、まず、この「いぶき」二号についてですけれども、その前の「いぶき」、これが二〇〇九年に世界初の温室効果ガス観測専用衛星として打ち上げられましたが、「いぶき」は十年たった現在も観測を継続しているところでございます。

 この十年間、主な温室効果ガスであります二酸化炭素及びメタンの地球全体の濃度が季節変動を伴いながら年々上昇していることが、この「いぶき」を通じて明らかになってきたわけでございます。

 委員御指摘のとおり、その後継機として、昨年十月に種子島から打ち上げ成功いたしました「いぶき」二号は、これを更に観測精度を向上させるとともに、新たに一酸化炭素を同時観測することによりまして、人間活動による二酸化炭素排出の把握を目指しておりまして、気候変動対策の推進に大いに役立つものと期待しております。

 また、「いぶき」と「いぶき」二号、これら「いぶき」シリーズの観測データを広く公開し、パリ協定に基づく世界各国の排出量の報告の透明性確保と、世界全体での進捗評価により、パリ協定の実効性向上への貢献を目指しているものでございます。

 また、現在、京都でIPCC第四十九回総会が開催されておりますけれども、各国が温室効果ガス排出・吸収量を算定する際に用いる共通のガイドラインについて、最新の科学的知見を踏まえた改良について議論が行われております。

 COP24で合意したパリ協定の実施指針では、全ての国がIPCCのガイドラインに基づき排出量を算定することに合意しております。今回の改良版を含め、IPCCのガイドラインは、パリ協定の透明性を支える極めて重要なものであります。

 現在のガイドラインが二〇〇六年に策定された後、二〇〇九年に「いぶき」が打ち上げられ、統計データから算出した温室効果ガス排出量を、衛星観測データを活用して比較、評価する手法の研究が進められております。

 これらデータの活用の成果につきましては、IPCC総会の場でも参加者に積極的に説明し、今般のガイドラインの改良版に衛星観測データの活用がしっかりと記述されるよう、議論に貢献してまいります。

 いずれにしましても、このIPCC総会のみならず、あらゆる気候変動枠組み条約関連の国際会議におきまして、この「いぶき」及び「いぶき」二号について、委員御指摘のとおり、アピールしてまいりたいというふうに思っております。

堀越委員 ありがとうございます。

 気候変動、あるいは温室効果ガスの排出量の算定、これらについては、やはり日本だけではなく世界全体で取り組んでいかなければいけない課題でありますし、そこで「いぶき」、これまで頑張って働いてきてもらった「いぶき」とそして後継機の「いぶき」二号、これらは、やはりその持っている力というのは確実に寄与できるものであると思いますので、引き続きアピールをしていただきたいというふうに思っております。

 と同時に、やはり、これは当然、諸外国に対して日本の高い技術力を提供するということだけではなく、日本国内においても、この温室効果ガス排出削減、全力で取り組んでいかないといけない状況であるということの観点から、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略についてお尋ねをしたいと思います。

 パリ協定では、全ての締結国は、長期の温室効果ガス低排出発展戦略を作成、提出するように努めるべきとされております。

 我が国においても、昨年六月、総理から、金融界、経済界、学界など各界の有識者を集めて、これまでの常識にとらわれない新たなビジョン策定のため、有識者会議を設置して、そのもとで関係省庁は連携して検討作業を加速すべしと指示がありました。それをもとにパリ協定長期成長戦略懇談会において議論が重ねられて、ことし四月二日に、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会提言がなされました。

 この提言を受けて、先月二十三日に、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略案が示されました。今後、これがパブリックコメント等々を経て、六月末のG20までに、国連にこの長期戦略、提出されるものと承知をしているわけですが、この長期戦略案では、石炭火力については、先ほど生方委員の方からもありましたけれども、「パリ協定の長期目標と整合的に、火力発電からのCO2排出削減に取り組む。」であるとか「非効率な石炭火力発電のフェードアウト等を進める」など、玉虫色の表現が見受けられます。

 石炭火力発電は、たとえ最新鋭のものであっても天然ガス火力発電の二倍のCO2を排出するというものもありますので、こういった観点から見ても、やはりパリ協定の長期目標とこれは整合的でないと私は言えるのではないかなと思います。

 そこで、お伺いしたいんですが、原田大臣、先日、環境アセスメントを厳格化して、二酸化炭素の削減に道筋を示せない場合、火力発電所の新設計画の中止を求めることを表明されておりますが、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略における、特に火力発電についての記述に対する御見解を伺いたいと思います。

原田国務大臣 現在政府で検討中の長期戦略におきましては、今お話がありましたように、パリ協定の二度目標や一・五度努力目標を踏まえて、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現する、こういうことを掲げているところであります。

 その中で、石炭火力については、パリ協定の長期目標と整合できるように、火力発電等からのCO2削減について取り組むとした上で、環境アセスにおいては、お話しのように、火力発電への依存度を可能な限り引き下げる、さらにその中止も辞さないというようなこと、さらには、CCUSの本格的な社会実装に向けて、二〇二三年までに最初の商用化規模のCCU技術を確立するということを盛り込んだところであります。

 このように、長期戦略の内容はパリ協定の目標に沿うものというふうに考えておりまして、私どもは、それを踏まえて、六月のG20で更にそれを明確な形で発表したいな、こう思っております。

堀越委員 本当にこの気候変動に対しては、日本だけではなく世界全体で取り組んでいかなければいけない喫緊の課題だと思いますので、ぜひ危機感を共有しながら進めていただければと思います。

 このパリ協定の長期成長戦略懇談会においてどんなやりとりがあったのかというのが一部報道がなされておりまして、その中で、北岡座長案は、石炭火力発電は長期的に全廃に向かっていく姿勢を明示するという案としてあったものが、やはり産業界の委員の反対により撤回をされ、そして、提言としては「依存度を可能な限り引き下げる」というかなり後退した表現となっているなというふうに思います。もちろん、今いきなり石炭火力発電を全廃するのは当然難しいわけですが、長期戦略でありますので、この長期戦略の中でそういった野心的な提言をしていくというのは、私は非常に、これは絶対必要なことだと思っています。

 そして、更に言えば、CCSやCCUといった、二酸化炭素を貯留してそれを活用していくという技術革新、資源利用としていく技術革新、これは私、これはこれで必要だとは思いますが、やはり、そこに望みをかけ、イノベーションが大きく発展することに望みをかけていきながら火力発電所を維持していくという、延命させていくというのは、それは総理が求めているいわゆるこれまでの常識にとらわれない新たなビジョンとは私は到底言えないんじゃないかなというふうに思います。これでは世界をリードするとは言えないと思います。

 石炭火力等を今後も建設、運転を続けて、さらにそこにばんばん費用をかけていって不確実なCCSやCCUを導入するより、今後コストが大幅に下がってくる再生可能エネルギーに、それを主力電源化を進めていくこと、これがむしろ確実でさらに持続可能な選択であると私は思っています。

 私は、この北岡座長案で示されている、やはり長期的には全廃だ、石炭火力発電は長期的には全廃に向かっていく姿勢を明示することこそが、長期戦略をパリ協定の長期目標と整合的にするものだと考えておりますが、環境省の御見解を伺いたいと思います。

原田国務大臣 長期戦略の中で当然議論があったというのは、先ほど説明したとおりであります。

 座長の思いというのは、これは極めてとうといことだと思っておりまして、私ども、座長の思いも踏まえながら、最終的には石炭火力に対しては厳しい措置をとっていきたい、こう考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 ぜひ、座長案ももう一度御加味した上で、前向きな提言となることを進めていただきたいと思います。やはり環境行政が力を持たなければいけないことだと思いますので、ぜひ、原田大臣、他省庁も含めて牽引をしていただきたいというふうに思っております。

 温室効果ガスの問題というのは環境に大きな影響を与えて、結果的に国民の皆さんの生活や生命や財産を損なう、そして大きな経済損失を生むんだということをしっかり主張していただいて、これを大きく進めていくことが何より必要だということをぜひ訴えていただきたいと思います。

 さらに、発展途上国支援に関しても、北岡座長案では、石炭火力発電に公的資金は投入しないことを選択肢として提示していたとされておりますけれども、残念ながら、長期戦略案では、輸出について明確な姿勢は打ち出されておりませんでした。

 現在、我が国が海外に輸出している石炭火力発電により、現地の住民の皆さん、インドネシアの現地住民の皆さんから我が党の部会で切実な声を実際リアルでもお聞きしましたけれども、この石炭火力発電により、大気汚染それから健康被害等々の被害を受けておられる。そしてさらに、農業や漁業への影響、自然への環境インパクト、こういったものも実際起こっているということを聞いております。

 ここで伺いたいんですけれども、長期戦略案では海外の石炭開発事業への投融資を中止する方針が不可欠であったと考えておりますが、あわせて環境省の見解を伺いたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 パリ協定長期成長戦略懇談会でございますけれども、都合五回開催をされてございますけれども、第四回までの議論を踏まえまして座長が御作成をいただきましたたたき台、これをもとに委員の間で意見交換が重ねられまして、最終的に座長のもとで提言が取りまとめられたものというふうに承知をしてございます。

 その過程でそれぞれの委員からさまざまな意見が表明をされたと承知していますが、個別の委員の意見についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 石炭火力につきましては、懇談会の提言におきまして、「パリ協定の長期目標と整合的に、石炭火力発電等からのCO2排出削減に取り組む。」とともに「石炭火力発電等への依存度を可能な限り引き下げること等に取り組んでいく。」こととされております。

 また、石炭火力の輸出につきましては、懇談会の提言におきましては、「海外におけるエネルギーインフラ輸出については、パリ協定の長期目標と整合的にCO2排出削減に貢献する目的で、支援を行う。」こととされているところでございます。

 これらを踏まえまして、政府として検討しております長期戦略案におきまして同様の内容を盛り込んでいるところでありまして、その内容は、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会の実現を目指すという長期戦略案の全体ビジョン、あるいはパリ協定の目標と整合するものであるというふうに考えてございます。

 本年六月のG20までに長期戦略を策定すべく、作業を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

堀越委員 そうですね、少しちょっと弱いかなというふうに思います。

 インフラ輸出、私は大事な観点だと思います。まだ発展途上の国々で、エネルギーを求めている国々に対して、技術を持っている日本がそれをインフラ輸出として行っていくというのは非常に重要だと思いますし、更に言えば、受け入れる、求めている国の環境指針に合わせたものになるので、日本のこの高い基準のものではない火力発電の新設というのも行われるというふうに感じておりますが、やはりこれは、一部経済産業省の取組として、環境基準そのものを引き上げようという啓発活動をされているというのは私は承知していますけれども、やはりそれだけではなくて、高い技術力を日本側が海外に輸出をしていく際には、その地域で求めている、なぜエネルギーが必要なのかという根本的なところにしっかり特化して、いわゆる端的にインフラ輸出をするんだということではなくて、生活そのものを改善するような技術を提供していくという観点も私は非常に重要なのではないかなというふうに思っています。

 結果的に、エネルギーは供給されるようになった、しかし一次産業が破壊され、持続可能な社会でないのであれば、これはSDGsの観点からしてもゴールが保たれないということになりますので、広く、多面的に捉えていただきたいというふうに思いますので、海外への火力発電のインフラ整備については、もう一度あらゆる面から再考していただきたいというふうに思っております。

 そして、この長期戦略案のうち、原子力の件についても触れないといけないと思っています。

 先ほど生方委員の方からもお話ありましたけれども、先ほど指摘したその報道によれば、パリ協定長期成長戦略懇談会で、北岡座長案では、原子力は気候変動対策としても重要かつ現実的な選択肢となっていたものが、学界やあるいは脱原発派の河野外務大臣の意見を受けた外務省の意見によって、提言では、「可能な限り原発依存度は低減しつつも、」「安全性確保を大前提とした原子力の活用についての議論が必要」という表現に改められていたとされております。

 これは長期戦略ですから、その長期戦略の中に、私としては、脱原発、これが挙げられなかったということは非常に残念な観点ではありますが、議論の結果、提言が少しでも踏み込んだ表現となった点については率直に評価できると思います。

 しかし、長期戦略案を見て、私、大変驚いたわけなんですけれども、長期戦略案では、低廉かつ安定的な電力供給のため、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」という表現になっています。

 原子力の活用について議論が必要という文言から、再稼働を進めるといった表現になっているのは非常に驚いたわけですけれども、この策定に当たり、やはり、原発の再稼働を進めるというこの文言に関しては国民的議論をしっかり行うことが私は非常に重要だと思っていますが、それをせずして原発の再稼働に向かっていこうとする、これは非常に問題であると私は思っておりますし、更に言えば、長期戦略、パリ協定に対する長期戦略でありますので、この原発に対するスタンス、私は到底認めることはできませんけれども、提言として整合性をとるのであれば、さきの石炭火力発電に関して、パリ協定の長期戦略ですから、CO2削減の観点から見れば、全廃に向かっていくとしてもよかったのではないかと考えております。

 私は、やはり、今世紀の後半を見据えるのであれば、むしろ、コストの低下が著しく、基本的に温室効果ガスを排出しない再エネの主力電源化に向けた施策の展開を強化していくことこそ重要だと考えております。その点について環境省の見解を伺いたいと思います。

森下政府参考人 最初に、環境省でございますが、御案内のように、外局といたしまして、独立性の高い三条委員会である原子力規制委員会を所管する立場にございますので、そのことを最初に申し上げさせていただいた上でお答えをさせていただきたいと思います。

 原子力発電につきましては、いかなる事情よりも安全性を優先し、原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、その判断を尊重するというのが一貫した政府の方針であるということでございます。

 原発への依存度につきましては、徹底した省エネルギーそして再生可能エネルギーの最大限の導入などによりまして可能な限り低減させるということが政府の方針でございまして、検討中の長期戦略案においても、「原子力は、安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する。」との方向性を示しているところでございます。

 また、御指摘のありました再生可能エネルギーでございますけれども、長期戦略の案におきましては、「経済的に自立し脱炭素化した主力電源化を目指す。」とのビジョンを示した上で、国内の価格を国際水準並みに引き下げ、固定価格買取り制度、FITからの自立化を図り、我が国のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源として持続可能なものとなるよう、円滑な大量導入に向けた取組を引き続き積極的に推進をしていくとしているところでございます。

 現在実施をしておりますパブリックコメントでの意見等も踏まえながら、本年六月のG20までに野心的な長期戦略を策定すべく、作業を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

堀越委員 これはやはりエネルギー政策ですから、長期的に、長いスパンで物を見ていただきたいということを加えさせていただきたいと思います。

 今現在、例えば原発が安価なエネルギーであったとしても、やはり事故以降、その危険性というものがわかってきておりますし、更に言えば、安全対策費用そのものを見てもやはり高騰しているということが言われますし、IRENAの方からも提言ありますけれども、これからエネルギーのコストが下がってくるのは再生可能エネルギーしかないということもありますので、ぜひここは大きく再生可能エネルギーに、主力電源化に向けてかじをとっていく、それを進めていかなければやはり持続可能な社会ではないというふうに思っておりますので、ぜひこれを強く牽引していただければと思います。

 時間的に最後の質問になると思いますが、最後に、やはり、これまでも私、この環境委員会、あるいは農林水産委員会にも属させていただいておりますので、動物愛護法、畜産動物の件に関して何度か質問を取り上げさせていただいていますが、今、動物愛護法の改正が目前に迫っておりますので、どうしても漏れがちな、置いてきぼりにされていってしまう畜産動物についての話をさせていただきたいと思います。

 現在、環境省は、産業動物、畜産動物、言葉は私は一緒だと思っていますが、産業動物についての取組について、農水省、厚生省との連絡会議を行っていると承知しておりますが、実際、現場の連携というのはどういう形でやられているのか、あるいはそれがとれているのかという点について聞いてみたいんですね。

 動物愛護に関する地方自治体の担当者というものが、いわゆる農場や屠畜場、あるいは畜産動物の輸送業者、あるいは繁殖場に入っていくことということはほとんどありません。しかし、そういった畜産の現場、農場、あるいは輸送、屠畜に係る現場でも、やはり動物愛護法の観点から指導をしていただかなければいけない現場というのが実は多々あります。

 これは農林水産委員会の中でも私も発言させていただいて、食鳥処理場に関しての長時間の放置に関しては是正を求める勧告を出していただいたりもしましたが、やはりそれでも変わっていない、そういう現場が多々あります。私も実際、目で見させていただいたということもありますけれども。やはり、動物愛護法改正は議員立法ですので、議員間で討議をすればいいんだろうと思いますが、どうしてもこのあたりがまだまだ不十分な点であると思います。

 我が国においては、動物への虐待とか暴力を規制する強制力を持っているのは、環境省、この環境省が所管の動物愛護管理法しかありませんので、ここのやはり所管の大臣たる原田環境大臣にこの件について伺いたいと思いますが、私が申し上げた、畜産動物への虐待あるいは暴力が取り締まれていない現状というのがあるんですね。今後、これを取り締まりに向けて、畜産、屠畜など関連部局との連携強化、どのように行っていくのか、お伺いをしたいと思いますが。

原田国務大臣 この問題に対する議員の、本当に情熱、また真摯な取組には心から敬意を申し上げたいと思います。

 動物愛護管理法では、動物の飼養について、必要な健康管理や、動物の種類、習性等を考慮した飼養環境の確保等を原則に定めているところであります。こうした動物の取扱いの考え方は、産業動物の飼養、飼い方においても尊重されるものと考えております。

 環境省では、産業動物の適正な取扱いを確保するために、動物愛護管理法に基づき、飼養者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準を定めて、関係省庁と連携して、衛生管理や安全の保持、導入、輸送に当たっての配慮、危害防止などの実現に努めているところでございます。

 関係省庁との定期的な打合せ等により、密な連絡体制を強化し、産業動物の適正な取扱いがしっかり実施されるように取組を進めてまいりたい、こう考えております。

堀越委員 済みません、質問時間がもう終わってしまったので終わりますが、家畜保健衛生所の職員さんは定期的に行っているんですよ。その方々に動物愛護法のことをしっかりレクチャーをしていただいて、あわせて指導できるような連携強化というのが私は現実的かと思いますので、その辺もぜひ含めて御検討いただければと思います。

 そして、冒頭お話もさせていただきました、笹川委員の方からもお話がありましたけれども、象牙の件、これもぜひ厳格化、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、屋良朝博君。

屋良委員 ことし四月の補欠選挙で、沖縄三区、当選させていただきました屋良朝博でございます。国民民主党・無所属クラブでございます。

 初めての質問でございます。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 きょうは、先週でございますけれども、ジュネーブで開催されたストックホルム条約に関する締結国、COP9で、制限あるいは使用禁止が決まりました有機弗素化合物、PFOAについて、もう一つは、同じ化合物であるPFOSについての質問をさせていただきたいと思っております。

 これはいずれも、既に国際条約として製造、使用そして輸入が制限されたものでございます。そうしたことの我が国における対策、現状についての質問と、それから、それとあわせて、沖縄や東京の横田、山口県岩国の米軍基地で起きております弗素化合物を含有する物質の流出事故、それに伴う河川、地下水汚染が起きている問題というのが現実として今報道などをされております。その現状と対応についての質問をさせていただきたいと思っております。

 まずは、その事実的な情報提供をいただきたいんですけれども、PFOSとPFOA、この二つの有機弗素化合物に関するストックホルム条約の現状、それに基づく規制の今のあり方について、我が国のあり方についてお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 PFOSにつきましては、二〇一〇年八月にストックホルム条約の附属書Bに追加されております。これは、すなわち、国際的に、特定の用途を除き製造、使用等が制限されているという状況にございます。

 PFOAにつきましては、本年四月末から五月初めにかけて開催された条約締約国会議におきまして附属書Aに追加され、特定の用途を除き廃絶することが決定されたところでございます。

 このような新たな決定に基づきまして、国内で担保するための所要の措置を講ずることとしております。

屋良委員 この二つの有機化合物なんですけれども、アメリカでは、二〇〇二年に主要化学製品メーカーが製造を停止しております。それは、母親と子供の出生体重や体格に影響を及ぼすといった健康被害が確認されているということなど、また、あるいはアレルギーや感染症のかかりやすさなど免疫機能への影響、そして甲状腺機能、生殖系ホルモンへの影響があると言われているためだというふうに理解しておりますけれども、それとあわせて、がんを発生する発がん性物質にもなり得るのではないかというふうなことも指摘されているというようなものであると理解しております。

 この条約機構が廃絶対象物質とする国際的な議論の現状と、国内ではどういう議論がなされているのか、それと、環境省はその健康被害についてどのように認識なさっているのかということを御説明ください。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、いわゆるPOPs条約でございますが、これは、毒性、難分解性、生物蓄積性及び長距離移動性を有する残留性有機汚染物質から人の健康及び環境の保護を図ることを目的としております。条約締約国各国は協調して、これらの性質を有する化学物質の廃絶や使用制限等を行っているところでございます。

 健康影響につきましては、条約に設けられた専門家会合、ここで知見がまとめられているところでございます。これによりますと、PFOSにつきましては哺乳類等への影響が、またPFOAにつきましては発がん性等の影響が、いずれも動物実験で認められていると承知をしております。

 なお、こうした国際的な議論を受けまして、一部の化学品メーカーにおきましては、自主的に代替物質への転換が進められているところと承知しております。

屋良委員 今御説明がありましたように、健康への被害が懸念されていて、国際的にそれを制限しようという流れにあるというふうに理解しておりますが、幾つかの国では独自にその基準値、最低基準値を設けて、それ以上になった場合の対応なども指針を設けて行っているというふうに対応なさっているというふうなことを理解しております。

 ところが、我が国においてはその基準がまだ設定されていないということが現状なんですけれども、それは一体なぜなのかということをまず知りたいということです。

 アメリカでは、飲料水に関する生涯健康勧告値をPFOS、PFOA合わせて七十ナノグラム・リットル以下と定めております。これは、二〇一六年までは二百ナノグラム・パー・リッターと規定されていたものが、更に厳しくされて七十ナノグラム・パー・リッターに基準値を上げているというふうな現状がございますけれども、日本ではなぜそのような基準が設定されていないのか、それを教えてください。

田中政府参考人 水質汚濁に係る環境基準について御説明いたします。

 環境基準につきましては、国内やWHO等の国際機関における毒性情報に関する科学的知見、国内の水環境中の検出状況、生産、使用等の実態などを踏まえまして、設定する物質を選定することとしております。

 PFOS及びPFOAにつきましては、WHO等の国際機関において耐容一日摂取量が、TDIでございますが、確定していないということと、国内の水環境中での検出状況についても増加傾向ではないということでございます。

 また、PFOSについては、既に第一種特定化学物質に指定をされているということで、製造、輸入が原則禁止となっております。

 PFOAにつきましては、先ほどもありましたけれども、第九回ストックホルム条約締約国会議の結果を受けまして、化審法において第一種特定化学物質としての指定に向けた検討を行う予定となっております。

 こういったこともございまして、PFOS及びPFOAのいずれにつきましても、平成二十六年三月より公共用水域に関する要調査項目として位置づけておりまして、情報、知見の収集に努めているところでございます。

 環境省といたしましては、関係機関とも連携をいたしまして、国外の動向も注視しつつ、必要な対応に努めてまいります。

屋良委員 その存在、国内におけるPFOS、PFOAの残存率というんですかね、自然界にある物質の量がさほど大きくないということと、それから、WHOの確たる規定がないということが理由だというふうな今御説明だったんですけれども、じゃ、果たしてそのサンプリングは定期的になされていて、それを環境省としては適宜確認なさっているのかということを教えていただきたいと思います。その結果の概要について御説明ください。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、一般環境中の化学物質の把握を目的としまして、化学物質環境実態調査を実施してございます。PFOS及びPFOAにつきましては、平成二十一年度から平成二十八年度に調査を実施しました。毎年四十六都道府県で残留状況の調査を実施しております。

 その結果でございますが、直近、平成二十八年度の水質の調査結果では、全国におけるPFOSの測定値は、最小値が〇・〇二三ナノグラム・パー・リットル、最大値が十四ナノグラム・パー・リットルであり、平均すると〇・三三ナノグラム・パー・リットルでございました。

 また、PFOAにつきましては、最小値が〇・二六ナノグラム・パー・リットル、最大値が二十一ナノグラム・パー・リットルであり、平均すると一・三ナノグラム・パー・リットルという結果となってございます。

屋良委員 この〇・三三ナノグラム、一・三ナノグラムなんですけれども、ある文献によりますと、一つのプールの中に、食卓塩三粒入れると一ナノグラムらしいので、かなり微量な単位であって、非常に制限されている、国内では非常に制限された状態であるということが確認されているというような理解でよろしいかと、私も今説明を伺いましてそうだと思いました。

 ところが、特定地域、例えば、米軍基地の周辺、それは沖縄だけじゃなくて、横田でも、それから山口県の岩国の周辺でも、この基準値というか平均値をはるかに、百倍あるいは一千倍ぐらいの検出、サンプリングの中での検出結果が次第に報告されてくるようになっております。例えば、三年前から、普天間飛行場や嘉手納飛行場周辺の地下水、湧き水から高濃度で検出されていることが既に報道ベースでも明らかにされておりますし、それは、この〇・三三ナノグラム、一・三ナノグラムという平均値と比べると、もう数百倍という異常な値で検出されているのが現状でございます。

 例えば、嘉手納飛行場近くを流れる河川の取水ポンプ場、人が飲む水をとるところですけれども、それをことし三月末に沖縄県の企業局がサンプリングした結果、六百八ナノグラム・パー・リットルの汚染が検出されている。この水は、もう、沖縄県都である那覇市を含めて、かなりの人たちが飲料水として使っている飲み水なんですね。

 それとあわせて、これも既にメディアで報道済みなんですけれども、情報公開制度で入手した、これは基地から出てきた、アメリカ軍当局が作成した内部資料によると、アメリカ軍が実施した調査で約三万ナノグラム・パー・リットルもの有機弗素化合物が基地内の消火訓練場から、消防の消火訓練場から採取した水サンプルで検出されたというふうに報道されています。

 消火訓練場からなぜそういう物質が検出されるかというと、アメリカ軍が使っている泡消火剤の中にこのPFOS、PFOAが含まれているということがわかっているわけで、それが訓練のためにだだ漏れになっちゃう、あるいは、流出事故が起きたときに、土壌を伝わって周辺の河川に地下水として流れ出ている可能性が指摘されているわけでございます。

 それは、嘉手納周辺の河川のサンプリングの中から泡消火剤に含まれている特定の物質が検出されているという事実も明らかになっておりまして、沖縄県の企業局では、嘉手納基地由来であるという蓋然性が極めて高いというふうな報告をしております。

 国際社会が製造、輸入を禁止して廃絶に向けて取り組んでいる化合物、これがこれほどの異常な値で検出されている状況を環境省、労働省はどう認識なさっているのか。何らかの対応を講じる必要はないのかということの御見解をお伺いしたい。よろしくお願いします。

大口副大臣 厚労省でございます。

 御指摘のとおり、沖縄企業局の北谷浄水場の取水地点である比謝川取水ポンプ場や長田川取水場等においてPFOS、PFOAが検出されているという状況は承知をしております。

 このため、沖縄県企業局の北谷浄水場においては、粒状活性炭処理設備により、水道水中に含まれるPFOS等の濃度を低いレベルに処理しているものと承知をしております。そのために、この活性炭の交換頻度が高い、費用もかかっているということも承知しているところであります。

 厚生労働省といたしましては、水道法第四十三条において、水道事業者、これは沖縄企業局でありますね、水道事業者等は、水源の汚濁の防止に関して、関係行政機関の長等に対して意見を述べ、また適当な措置を要請することができることにしていることから、まずはこの規定を踏まえて、水道事業者、沖縄企業局が関係機関と連携して水源の汚濁防止を図っていくことが重要であると考えておりますし、御相談いただければ、それに対して厚生労働省としても対応させていただきたい、こう思っております。

原田国務大臣 沖縄の基地の問題、また、在日米軍基地等の環境問題について、多少、今、厚生労働省の話とかぶることもあるかと思いますけれども、在日米軍基地における環境問題については、必要に応じ、日米合同委員会のもとに設置されている環境分科委員会の枠組みを通しまして、関係省庁において密接に連絡し、そして在日米軍と協議することにしております。これは定期的に、三カ月、四カ月ごとに行われているということであります。

 このPFOS又はPFOAについては、WHO等の国際機関において、人が継続的に摂取した際の健康影響が生じない限度量が確定していないという段階でありますけれども、引き続き、リスクに関する知見の集積に努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 一般論でありますけれども、当該外国軍隊等は、受入れ国の法令を遵守していただかなきゃならないわけでありますけれども、少なくとも尊重しなければならないということに現在なっておりまして、日米地位協定では、米軍構成員等が我が国の法令を尊重する義務を負っているという旨を確認しているところであります。

 それぞれ、米軍内でも、日本に向けての環境管理基準、JEGSというものをつくって、これに基づく環境管理を行っていると承知しておりますが、日本また環境省としては、米側が引き続き環境分科委員会の枠組みを通じて協議を行うということとあわせて、米側が日米の各ルール、規則を守るように、機会を捉えて働きかけておる、そういう状況でございます。

屋良委員 原田大臣、大口副大臣、御答弁ありがとうございます。

 とりわけ大口副大臣の方から、沖縄県から相談があれば対応なさるというお答えは非常に、これまでずっと、この問題というのは三年間ずっと放置されていたんです。沖縄県が一生懸命、特にこれは嘉手納由来だろうことから、地元の防衛省の出先機関である防衛局に対して何とかしてくださいというふうなお願いをしてまいりました。それから、大臣御説明のあったように、ジョイントコミッティー、日米合同委員会における環境分科会で本来であれば対応がとられているはずだと、皆そう期待してずっと待たされて三年間がたっています。

 そうすると、これは誰が一体、所管省庁はどこなのと。防衛省に対してお願いしているんだけれども、ジョイントコミッティー、合同委員会が開かれるというような報告も一切ないし、開かれそうだという予兆も全然感じられない。しかし、飲み水は、国内基準あるいは国内の平均値を何千倍も上回るような汚染が発見されている。この三年間というのは、これはとてつもなく長い長い時間、沖縄の企業局は、活性炭を使って除去したり努力をしている、ひとり頑張っているような状況なんですね。なぜそういう状況が起きているのか。

 ここは、日米合同委員会にまず提起すべき立場であろう防衛省から御見解をいただきたいんですけれども、鈴木政務官、お願いします。

鈴木(貴)大臣政務官 御質問をいただきました。

 防衛省としての対応でありますが、まず、前提条件といたしまして、このPFOS及びPFOAにつきましては、WHO等の国際機関において、人が継続的に摂取をした際の健康影響が生じないいわゆる限度量というものが確定をされていないという現実があります。そういったことから、引き続きリスクに関する知見の集積が必要な物質であるということは、我が方、防衛省としても認識はしているところであります。

 そのため、PFOS等が河川や地下水から検出されたことをもって、直ちに人の健康や生活環境に係る被害等の環境保全上の支障があると防衛省としては判断ができかねるというのが現状であるということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

屋良委員 これは、国際条約でもうなくしていこうという、そういう物質なんですよ。そういう物質が全国平均と比較して特定地域でこれほど大きく見つかっているということは、やはり、WHOの知見が確定していないということの事実だけによって対応がなされていないというのは、非常にどうなんでしょうね。国としてどちらにこの問題の責任が所在するのかというのが、全く宙に浮いてしまうような気がしております。

 企業局は、沖縄県は、防衛局に対して、アメリカ軍にちょっと交渉してほしい、基地内でモニタリングをさせてほしいと。これは原因が究明されないと、沖縄県はずっと、もしかしたら汚染されているかもしれないという取水源に頼らないといけないという精神的な負担というのははかり知れないんですね。しかも、活性炭を定期的にかえないといけない、かえる頻度がふえてしまった。サンプリングも沖縄県は年に二回やっているんですよ。それにかかる費用も独自で捻出している。

 そうすると、沖縄で特異な問題、あるいはWHOに規定されていない物質なのですぐさま対応はしないでいいというふうなことが今説明なされたんですけれども、これは実は沖縄だけではないということを冒頭申し上げたのは、イギリス人のジャーナリストが情報公開制度で入手した資料に、アメリカ軍が作成した資料によりますと、二〇一二年の十一月なんですけれども、横田基地、東京ですね、その泡消火剤の貯蔵タンクが空になっていることがわかった、それを調べてみたら、そのタンクから漏れ出ていた、一年以上かかって全部漏れ出て空になっていたというふうなことが報告されていて、この泡消火剤の中にはPFOS、PFOAが含まれていると明記されているんですよ。これは東京で起きていることです。その報告書の中には、日本ではJEGSの基準がないというような記述がある。

 だから、それは、アメリカ側は、一般的には、自国の基準とその受入れ国、日本の場合は日本です、日米の場合は日本が受入れ国なんですけれども、日本の基準と比較して厳しいところを採用するというふうなやり方をしているんですけれども、そうすると、日本に基準がない、WHOの基準がないからすぐさま対応する必要はないということの理解のままで、この沖縄ひとりが、平均値の何百倍、何千倍もの汚染がずっとサンプリングで報告されている状況を放置する。恐らく、これは地下水なので、地上で消火訓練をしたときに漏れ出たものが土壌を伝わって地下水を渡って河川に入って、取水場からとるわけですから、これは恐らく今後長い間同じ問題に悩まされるということなんですよ。その問題をどう考えるかということなんですね。

 これは横田だけではなく、横田のその汚染は研究者によると多摩川に行っているんじゃないかというようなことも指摘されている。二〇一二年の七月には、三沢基地、青森県の三沢ですね、三沢では、これまた泡消火剤の流出が確認されて、田んぼに泡が出現していた。それを見てびっくりした農家さんがすぐ三沢市に連絡して基地に問い合わせて対応してもらったところ、その泡消火剤からPFOS、PFOAの含有については、わかっていない、明確にわかっていない、あるかもしれないけれども、ないかもしれないという状況で、ペンディングされているような状況。それから、岩国でも、山口県の岩国基地でも、その汚染物質の流出は報告されております。これは二〇一五年の五月なんですけれども、そういった状況がある。

 それで、恐らく、汚染物質のその濃度というのは、直接その消火剤から出てきていることが考えられるので、濃度的には高いでしょう。それを、じゃ、WHOの規定がない、日本に基準がない、そういったことで対応しないでいいということがずっと続けられるのかどうか。それって環境行政で、本当にこの国って、この国の国土の環境をいかに保全していくか、いかに守っていくかというところの問題、安心、安全して飲める水の確保、それをどうやっていくのかというふうなことになると思います。

 在日米軍基地という特異なケースだということで、それで流していていいのかということの問題だと思うんですけれども、できましたら、大臣、副大臣、政務官、それぞれ御見解をいただきたいんですけれども、よろしくお願いします。

原田国務大臣 委員の御指摘は、本当に沖縄の皆さんが御苦労されている本当に深刻な話だろう、こう思っております。

 先ほど私は何回か、関係省庁しっかり連絡をとってと申し上げましたけれども、それぞれ各省は所管はもちろん違いますけれども、いずれにしましても、これは環境一般的な話からスタートする問題でありますから、ですから、それぞれ分野、例えば農業被害なら農水省とか、健康被害なら厚労省、これはありますけれども、まずは、三年間もそれが置き去りになっていたというのは少し問題だろうと思いますから、いずれにしても、この問題、政府としてしっかり受けとめまして、まずは調査をして、その上でまたアメリカ軍に何を言うかというのはまた次の話だろうと思いますけれども、しっかり対応させていただきたい、こう思っております。

大口副大臣 PFOS、PFOAについては、平成二十一年に要検討項目としてなっておるわけで、水道水における検出状況とか、あるいは最新の科学的知見等の情報収集にしっかり努めて、そして関係機関とも連携をしながら対応していきたいと思っています。

鈴木(貴)大臣政務官 防衛省として御答弁をさせていただきたいと思います。

 防衛省といたしましても、沖縄の皆様がPFOS等の検出に対して不安を抱いていらっしゃるということは重く受けとめております。

 これまでも、環境省そしてまた厚労省、関係省庁、また県の皆様とも連携をさせていただきましたが、引き続き、情報の共有等、さらなる連携を、引き続き連携をさせていただきたいと思っております。また、沖縄県また米側とも密接に連携をしてまいりたいと思います。

 防衛省といたしましては、そういった現実に即して、そしてまた基準に照らしながら、防衛省としての担当所掌をしっかりと果たしてまいりたいと思います。(発言する者あり)

屋良委員 そうなんですね。三年間ずっと放置されていて、沖縄県が支出してきたこれまでの費用、これはどうなるんですかというふうなことを、もう本当に私自身、個人的にも実に大きな不満、不安、それと、この国の環境行政はどうなっているのというふうな疑問を禁じ得ないわけですね。

 やはり、環境というのは恐らく国境を越えた全人類的な問題であって、そこはアメリカ軍のフェンスがあろうがなかろうが、我が国の国土なんだ、それはちゃんと保全していきましょうというのが恐らく基本的なスタンスだと思うんですよ。その上で、大臣がおっしゃられた関係省庁との連携、これは恐らくもう不可欠だと思います。このままアメリカ軍との交渉を待っていても、汚染はずっと流れ続けているだけであります。

 だから、その辺しっかり関係省庁の連絡を密にしていただいて、具体的な、そして実効的な結論を早期に導き出していただけるようにお願いして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

秋葉委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 令和になって最初の環境委員会での質問とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 国民民主党の小宮山泰子でございます。

 今先ほど屋良委員の方からありました、やはり水質というものは大変重要でもあります。

 以前に私もかかわらせていただきましたけれども、水循環基本法案を実現させていただきました。この中においては、地下水というものの扱い、これはやはり公共のものであるという位置づけをなさせていただきました。ただ、ここにはさまざまな権利関係もあり、一概に今現在としてこれが公共財として保護ができるような状況にはないのは存じ上げておりますが、先ほどの屋良委員との話を、また大臣がしっかりと対応していかれるという答弁がございましたけれども、地下水の保全というものは重要なんだなということ、また、この法案というものが必要だなと感じたところでもございますので、ぜひ、大臣におかれましても、この問題、特に沖縄の水質や、基地内からという、外国軍でありますのでなかなか、日米地位協定の改定も必要かと思いますけれども、日本の国土の自然環境を守るという意味において、大臣にはさらなる御努力、御尽力をいただきたいと思います。

 さて、それでは、本日準備させていただきました質問の方に入らせていただきます。

 これもやはり水に関係いたしますけれども、全国にいまだ約千二百万人が、くみ取り式であったり、また単独浄化槽等が使用されておりまして、生活雑排水はいまだ未処理の状態が続いていると言えます。

 単独浄化槽から合併浄化槽への転換をより積極的に推進するための内容や、公共浄化槽の設置に関する規定、浄化槽台帳の整備、協議会の設置など、改正において、これまでも議員立法などで進めさせていただいておりましたけれども、やはり盛り込んでいくべきだと考えております。

 国民民主党といたしましても、全国浄化槽団体連合会、全国浄化槽推進市町村協議会、この関係団体から御要望、意見も伺わせていただきました。

 平成十二年には、浄化槽法改正によって、新設浄化槽は合併処理浄化槽とすることが義務づけられましたけれども、新設が禁止となる中でありますが、単独処理槽が約四百万基、現在も残っているのが日本の現状であります。

 単独浄化槽から合併浄化槽への転換推進などは最重要課題とも言えますけれども、単独浄化槽から合併浄化槽へ転換推進について、環境省の現在の取組について、また今後の展望についてお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきましたように、単独処理浄化槽、まだ約四百万基残っているということで、これを合併処理浄化槽に転換していくということは最重要課題の一つと認識しております。中でも、水質改善や防災対策の観点からも重要ですし、老朽化が進んでおりますので、特に公衆衛生上の観点からも合併処理浄化槽への転換促進を行う必要があるという認識でございます。

 政府では、昨年六月に廃棄物処理施設整備計画を閣議決定いたしまして、この中で、浄化槽整備区域内の単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換につきまして具体的な目標を新たに設定いたしました。

 それに加えまして、本年度予算におきましては、合併処理浄化槽への転換というところに重点化をいたしまして、その転換のために必要な宅内配管工事費用、これを新たに補助の対象としております。

 このように補助の制度も変わりましたので、こういったものを最大限活用して、積極的に地方公共団体あるいは団体に対しても周知を図りながら、単独処理浄化槽からの転換というのを全力で進めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 また、一般社団法人浄化槽システム協会の調査によりますと、平成三十年に海外に設置された浄化槽は一万四百二十三基、対前年度比で四千二十九基増加となっておりまして、これは六年連続での増加につながっております。累計設置基数では、四十六カ国に、五十人槽以下の小型浄化槽が二万二千二百六基、五十一人槽以上の中・大型浄化槽が千六十三基で、合計二万三千二百六十九基。国別では、中国が最も多くて、その次にオーストラリア、ベトナム、アメリカ、ケニアとかさまざまに続いてまいります。

 生活排水の適正処理が行われることで、先ほども御指摘ありましたけれども、衛生環境が向上し、伝染病であるとか一般的な体調不良などに至る可能性を大幅に軽減できるとともに、河川並びに海洋水質改善にもつながると考えられております。生活排水適正処理の方法として、人口密度の高い都市部以外では浄化槽設置が効果的であり、日本のすぐれた浄化槽を広く海外の各地に広めていくことは国際貢献としても好ましく、望ましいと考えております。

 浄化槽設置推進、生活排水適正処理の仕組みこそ積極的に海外展開していくべきと考えますけれども、国際的戦略を打ち立てて、環境省が先頭に立って普及に努めていくべきではないかと考えます。この点の見解を求めるとともに、現在の取組状況について大臣より御説明をお願いいたします。

原田国務大臣 この浄化槽問題は、国内においてもさまざまな歴史を踏まえながら、おかげさまで日本では相当なところまで来ているということで、まだまだ改善の余地はありますけれども、このことは国際戦略にも極めて大事であるというふうに考えております。

 御指摘のように、海外市場は近年急速に拡大をしております。数字も、御指摘のように、昨年度の海外設置基数は対前年度比で二倍の一万基となっており、累計件数が二万三千基を超えたということでございます。

 環境省としては、平成二十九年度に、日本の環境技術、制度を発展途上国に展開することを支援する環境インフラ海外展開基本戦略というものを策定いたしまして、特にこの浄化槽問題をその中心に据えて努力しておるところであります。

 この基本戦略をもとに、例えば、国際会議等を活用したトップセールス、浄化槽セミナーによる技術のPR、ワークショップや国内研修による人材育成等々、具体的に取り組んでいるところであります。

 今後は、下水道との連携も図りながら、日本のすぐれた汚水処理技術を戦略的に推進し、途上国の環境改善に貢献するとともに、実は、我が国のビジネス展開にも非常に有益であるという意味では、相手国に対しての環境を改善すると同時に、日本のそういう意味でビジネス展開にもプラスになるという意味では積極的に取り組まなきゃいけない、こう思っております。

小宮山委員 ビジネス展開をされるということで、期待をしたいと思いますが、国交委員会の方で昨年成立させました国際インフラの輸出の法案があります。これは、かかわるところは、国交省の関係外郭団体、水関係もそうです。やはりこういったところともしっかりと更に連携をしていただきたいと思います。

 私自身は、やはり原子力発電施設の輸出とか武器輸出三原則の緩和に基づく輸出ということを打ち出すよりかは、この浄化槽、これは災害にも強いですし、また地域の水にも貢献をいたします、環境保全にも、また衛生管理にも大変有効でもあります。下水道処理場、下水道が欲しいという要望が恐らく多くあると思いますけれども、それと、しっかり後々のメンテナンス、そういった維持管理から考えても、浄化槽というのは大変システムとして輸出すれば大きな役割もすると思いますので、この点、ぜひ官民挙げての取組をしていただくことを要望させていただきます。

 さて、連休前に出ました記事で非常に驚いたものがございました。防衛省では南極観測船「しらせ」の運用からの撤退を検討すると、四月二十八日の、これは産経新聞のデジタルの方ですか、報道が配信されておりました。

 「しらせ」は、研究者始め観測隊員を乗せて約五カ月間かけて日本と南極を往復されております。長期にわたって、二〇一七年には観測から六十周年という、継続されてきた事業でもあり、現行の二代目の「しらせ」はまだまだ以前から見れば新しい船でありまして、大変驚いた記事でもありました。

 この報道内容の真偽について確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小波政府参考人 お答えいたします。

 近年、周辺国による海洋活動の急速な拡大、活発化を受け、警戒監視を始めとする自衛隊の任務が急増している一方、少子化等の影響から自衛隊の募集環境は極めて厳しい状況にあり、さまざまな施策を検討、実施しているところでございます。

 他方、委員お尋ねの「しらせ」につきましては、平成二十一年度に新型艦が就役したところであり、現在行っている南極観測事業は従来どおり実施していく考えに変わりはないところでございます。

小宮山委員 防衛省の方から、従来どおり観測を続けられるということでありました。

 なぜこんな記事が、連休前、しかもこれは配信の時間が四月二十八日二十一時五十五分という、非常にぎりぎりでもありました、こんなものが出てしまうのか。やはり報道のあり方というのも、これがまたネットニュースではさまざまなところに拡散をされた状態でもございました。

 今、防衛省の方からはっきりと継続をされるということを聞いて安心もいたしましたし、改めて、この地球環境の観測に寄与する日本のやはり施策として強化また継続をしていただきたいと思いますので、引き続き防衛省におきましても御協力またお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは続きまして、奄美のノネコ問題について質問をさせていただきたいと思います。

 奄美大島には、アマミノクロウサギやアマミヤマシギなど、多くの固有種や絶滅危惧種を含む貴重な在来種が生息をしております。一九七九年に奄美大島に持ち込んだマングースの増加による在来種の捕食が生態系に大きく影響したことで、環境省では二〇〇〇年からマングースの防除事業を本格的に実施し、個体数の減少につなげてきたと認識をしております。一方で、最近は、新たな課題として、ノネコの希少種、在来種の生態系への影響が指摘されております。

 奄美大島には、本来、猫のような肉食性哺乳類は生息しておらず、猛毒を持つ蛇であるハブが人の暮らす周辺にも出没する中、ハブ対策、ネズミ対策として猫を人為的に持ち込んで放し飼いにされてきたというふうに聞いております。この放し飼いの飼い猫が繁殖して野良猫が生じて、さらにその一部がそのまま野生化し、ノネコになったものと考えられております。

 こうした状況の中、多くの固有種、希少種を含む奄美大島の生態系に対してノネコが及ぼす影響を取り除き、さらにノネコの発生源対策を講じて在来生態系の保全を図っていくことを目的とする奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画が、環境省の那覇自然環境事務所、鹿児島県、及び奄美市などの五自治体によって策定されました。同計画では、二〇二八年三月までの十年間において、ノネコの捕獲などを行うとともに、ノネコ発生源対策として野良猫の個体数低減及び飼い猫の飼い方を改めていくことに取り組むとされております。

 ここにおける管理計画に基づいて、二〇一八年七月よりノネコの捕獲を実施しております。これまでの捕獲頭数、捕獲後のノネコへの対応状況などについてお聞かせください。捕獲数、実際に捕獲に取り組んだ団体、事業者数、捕獲後のノネコのうち、マイクロチップや首輪などから飼い主が判明して引き渡された頭数、新たな飼い主に譲渡された頭数、殺処分された頭数及び現在収容中の頭数についてもお聞かせいただければと思います。

正田政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘ございました奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画に基づきまして、まず、捕獲頭数でございますが、捕獲を開始いたしましたのが昨年の七月十七日でございます。ことし五月九日までの間でございますが、猫の捕獲頭数は五十一頭でございます。また、捕獲業務を請け負った事業者は一社でございます。

 次に、飼い猫等の関係でございますが、今申し上げましたノネコ管理計画に基づく捕獲の際に、マイクロチップ又は首輪により飼い猫と判別された二頭が捕獲をされてございます。このうち一頭につきましては、飼い主が判明いたしましたので、飼い主に返却されたところでございます。残る一頭につきましては、現在のところ飼い主が見つかっておりませんので、引き続き飼育中となってございます。

 また、譲渡等の関係でございますが、認定されました譲渡対象者に譲渡された猫は四十四頭となってございます。また、今後譲渡対象者に譲渡予定の三頭と、あわせまして、最近捕獲された四頭、計七頭が現在収容中でございます。以上のとおりでございまして、現時点で安楽死させることは行っておりません。

小宮山委員 あわせて、管理計画に基づくということで、取組についての環境省の予算額、予算に基づく事業内容についても御説明をお願いいたします。

正田政府参考人 お答えいたします。

 今年度は、環境省による対策予算といたしまして、徳之島における対策予算も含めまして、約四千五百八十万円を計上してございます。

 この予算による事業についてでございますが、奄美大島におけるノネコ管理計画に対応した捕獲のためのわなの設置、点検、自動撮影カメラによるモニタリング調査、検討会の開催といった内容に加え、徳之島におけるノネコの捕獲の実施についても含まれております。

小宮山委員 この管理費というかさまざまな費用の中では、一番やはり人件費が大きくなっているんだと思います。この点に関しても、さまざま使い方、また、実施計画というのが長年にわたるということでもありますのですが、もう少し効率よくできないのかなと少々思うこともございます。

 引き続いて、質問に戻らせていただきますけれども、管理計画により、ノネコの捕獲後、飼い主がどうかわからなかった個体は、県が引き取って希望者への譲渡に努めるとともに、譲渡できなかった個体を殺処分することと実際にはされております。まだ、現在のところ、殺処分されたのはゼロというふうに、安楽死もしていないということでありますので、答弁はいただいておりますが、希望者への譲渡については鹿児島県が実施する事業という位置づけとなるのか、譲渡事業に係る経費は鹿児島県の予算から支出されることになるのか、環境省では予算措置をされていないのか、まず伺いたいと思います。

 あわせて、捕獲事業を実際に委託している事業者に払う金額並びに委託内容について伺わせていただきます。おおむね何頭を捕獲するとか、どのような規模、方法で捕獲するのか、契約状況について簡潔にお聞かせください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 まず、お尋ねございました譲渡事業につきましては、これにつきましては、奄美五市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会が実施をしてございます。また、捕獲された猫の収容施設の整備につきまして鹿児島県が補助を行っておるところでございます。管理計画においてこうした役割分担を定めておりまして、譲渡事業につきまして、環境省による予算措置はございません。

 また、捕獲についてでございます、この契約内容についてでございますが、今年度は、奄美大島におけるノネコのモニタリング調査と捕獲作業としておよそ三千九百万円で契約をしてございます。

 この契約の、個別のどういったことにどういったお金を使うか等内訳につきましては、今後実際に事業者が執行してまいるわけでございますので詳細の金額を申し上げることは困難でございますが、環境省におけます積算の割合で申し上げますと、わなの設置、点検など捕獲作業に係る経費といたしまして約七五%、モニタリング調査に係る経費が約一九%、検討会の開催や報告書作成等に係る経費が約六%程度と見込んでいるところでございます。

 次に、お尋ねがございましたノネコの捕獲の規模や方法についてでございますが、現在、希少種の分布密度の高い地域を中心といたしまして、約八十平方キロメートルの範囲に生け捕り用のわなを約三百個設置してございます。捕獲された猫の保護のため、作業員六名により、全ての稼働わなについて、一日一回、実際に猫がわなにかかっているかどうか、こういったことにつきまして確認をしているところでございます。また、捕獲に当たりましては、わなの稼働日をふやし効率を上げるとともに、センサーカメラによるモニタリングを適宜行いまして、捕獲の効率性の向上に努めているところでございます。

小宮山委員 集落周辺に生息する野良猫に対しては、捕獲、トラップをかけて、避妊手術、ニューターを施して、もとの場所に戻す、リターン活動、TNR事業が行われていると聞いております。

 五市町村で取り組まれている飼い猫の不妊去勢手術の助成事業、野良猫のTNR事業には、環境省あるいは国として助成は行われているか否か、確認をさせてください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 まず、飼い猫の不妊去勢手術の助成事業につきましては、奄美五市町村がそれぞれ実施をしてございます。また、野良猫のTNR事業につきましては、奄美五市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会が実施しておるところでございます。

 これらの事業に対しまして、国交省所管でございますが、奄美群島振興交付金が活用されていると承知しておりますが、環境省としての助成は行っておりません。

小宮山委員 ありがとうございます。

 平成三十年度奄美大島における生態系保全のためのノネコ捕獲等に係る検討会の委員には、大学教授一名、国立環境研究所研究員一名、森林総合研究所研究員二名とともに民間企業の職員一名、計五名で構成されております。

 この民間企業は、文科省の事業であるナショナルバイオリソースプロジェクトの一部として生理学研究所が取り組む実験用ニホンザルの繁殖供給事業において、事業の委託先とされる随意契約先の企業だと思いますけれども、この点に関しまして確認をさせてください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 生理学研究所の随意契約の委託先につきましては、議員御指摘の民間企業であるというふうに承知しているところでございます。

小宮山委員 また、ノネコ捕獲事業の委託先事業者に、社名の似た事業、株式会社奄美自然環境研究センターがありますけれども、両事業者に何らかの関係があるのか、環境省に確認いたします。

 あわせて、ニホンザルの繁殖供給が主な会社設立の目的である中、このノネコ対策の検討会に委員として参加していただいているということ自体、さまざまな臆測を呼んでいるところであります。この意図についても御説明ください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 社名が似ているということで御指摘ございました二つの法人でございますが、これは全く別の法人でございまして、両法人に組織的な関係性はないものと認識をしてございます。

 また、検討会の委員の関係でございますが、御指摘がございました当該委員につきましては、奄美大島におけるノネコによる希少種の捕食や飼い猫の適正飼養等の研究を行っている研究者でございます。こうした研究を行っている専門家としての立場から、生態系保全のためのノネコ対策について御意見を伺うために御参加いただいたものでございます。

 なお、当該委員につきましては、四月末をもちまして同研究所を退職したと聞いておるところでございます。

小宮山委員 実験用のニホンザルの供給元から外れることで、残されたニホンザルに対してどのような対処がとられるのか。この供給に当たっては、以前には動物園から猿も分けてもらった個体などももとに繁殖が行われており、動物実験用として飼育されていたとはいえ、殺処分などが行われるということでは、また、保管の環境が大変変わってきているということで、反対の声が強まるということも懸念をしております。

 この点に関しまして、どのような対処をされているか、文科省に、お聞かせください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 生理学研究所が取り扱っております残りのニホンザル、三十年度末で百九十五頭残っております。

 これにつきましては、現在、生理学研究所におきまして検討委員会を設置いたしまして、科学的観点のみならず社会的観点からも慎重に議論を行っているものと承知しております。

 具体的には、飼養保管の継続、あるいは他施設への移動の可能性などを含めまして検討しているものと承知しているところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 しっかりと適切に対応していただきたいと思いますのと、内規等で情報公開ができない部分もあるようでございます。ただ、やはりこういった動物実験などに関すること、情報として、いつかまた、世界では大体スリーRの方に移行している中において、補助金なり支援をしているのであれば、きちんと情報把握ができるように、文科省におきましても御努力いただきたいと思います。

 さて、時間の関係で最後になりますけれども、動物実験によるスリーR、代替、削減、苦痛の軽減への取組についてお聞かせください。

 医療や科学的見地の発展のためには、動物実験におけるスリーRというものは大変必要であり、これを行っていくことは重要であると考えております。

 スリーRのうち、代替法の採用推進は国際的潮流となっております。医薬開発、安全性確認のための実験動物は認めた上で、化粧品開発における動物実験を禁止に踏み切った国が拡大しております。

 化粧品では、動物実験を行って製造された製品自体、EU諸国において販売が禁止されるなどをしており、法令により禁止されていない国においても、海外輸出を行っているようなメーカーでは動物実験を既に行っておらず、代替法の実施にも進んでおります。新規の試験法、代替試験法を提供する事業も拡大していると聞いております。

 医薬、医療にかかわる動物実験も含めて、代替法を推進するための環境省の現状の取組について簡潔に御説明ください。

正田政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法におきまして、動物を科学上の利用に供する場合には、いわゆる動物実験のスリーRの原則によりまして行うこととされてございます。

 具体的には、動物を使わない方法の活用、利用する動物の数の削減により動物の適切な利用に配慮することを求めるとともに、動物の苦痛の軽減を義務づけておりまして、環境省において、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準を定めているところでございます。

 また、動物実験施設を所管いたします関係省庁が基本指針を策定しておるところでございますとか、日本学術会議が取りまとめたガイドラインというのがございまして、こうしたものによりまして、実験動物の適正な取扱いに十分配慮するとなってございます。

 さらに、環境省におきましては、平成二十九年十月でございますが、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説というものを策定してございます。その中で、実験等の実施上の配慮といたしまして、実験計画の立案段階から、できる限り、生きた動物個体を利用する方法にかわる方法、いわゆる代替方法の利用を検討するよう求めたところでございます。

 環境省におきましては、こうした基準の解説の内容を踏まえまして、関係学会が主催いたします研修会やシンポジウム等の講演等を実施して、引き続き、関係省庁と連携いたしまして、代替法の浸透を図ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 ぜひ代替法の浸透を図っていただきたいと思いますが、EU諸国では、実験動物保護指令では動物実験のスリーRが義務化されております。韓国においても同様に義務化しているという国際的な流れがございます。そういった中において、現行の動物愛護法においては、スリーRに関しては苦痛の軽減のみ日本では義務化され、代替、削減は推奨されているにとどまっているのが現実でもあります。

 この点に関してももっと進めていきたいと思いますけれども、大臣にぜひお聞かせいただきたいのは、やはり、ここに関して、マーケットにもなっていきますし、日本が動物にも優しい、犬に対して大変思い入れもあると言っていただきました原田大臣におきましては、動物実験に対するスリーRの、特に代替法についての取組の強化について、環境省としてもっと進めるべきだと考えておりますが、大臣の御見解をお聞かせください。

原田国務大臣 動物実験に関するスリーRというのは、私も改めて議員から教えていただいたところであります。まずはリプレースメント、リダクション、そしてリファインメント、本当にこれは、とうとい基準がどういうふうに実用されているかということは大切なことだと思っております。

 スリーRの考え方が浸透していくように、関係省庁と連携しつつ、また、国際的な動きも踏まえながらしっかり普及啓発を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひしっかりと進めていただきますことを要望いたします。

 時間となりましたので、御準備いただいて申しわけなかったんですけれども、地域循環共生圏、特にエネルギーの地産地消につきましては、また次の機会にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時九分開議

秋葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 午前中に引き続き、一般質疑の質問を行わせていただきます。

 まず、五月の五日、六日、原田環境大臣、G7メッス環境大臣会合に出席をされました。G7各国また招聘国と、生物多様性、また気候変動、また海洋プラスチックごみ等をテーマに議論をされたというふうに伺っております。

 まず、このG7メッス環境大臣会合の成果について大臣にお伺いをいたします。

原田国務大臣 連休中でありますが、五月五日及び六日に、フランス・メッスで開催されたG7環境大臣会合に出席したところであります。

 会合では、幅広い地球環境問題について議論されました。G7等の生物多様性に対する今後の取組をまとめた生物多様性憲章などが採択されたところであります。

 加えて、この機会を捉えG7各国と個別会談を行い、海洋プラスチックごみ問題を始めとする課題の解決に向けた協力、さらにはかたい結束を確認したところでございます。

 なお、来月、いよいよ長野県軽井沢町で開催いたしますG20環境・エネルギー関係閣僚会議においては、私が議長を務めることになります。リーダーシップを発揮し、今回のG7の成果も踏まえてしっかりと成果を取りまとめたい、こう考えているところであります。

 また、この会合に先立ちまして、我が国の水素・燃料電池関係企業を引率しまして、日本の環境大臣として初めて、フランスの水素技術先進企業との意見交換や、水素燃料電池列車への試乗をいたしました。今回の訪問も踏まえて、水素社会の実現に向け尽力をしていきたい、こういうふうに思っているところであります。

古屋(範)委員 大臣におかれましては、生物の絶滅を食いとめる取組を加速するこのメッス憲章を採択されたということでございます。

 百万種に上る生物が絶滅の危機に今瀕しております。人間が食料としてきた哺乳類は六千百九十種存在するんですが、そのうちの一割近くに当たる約六百種が二〇一六年までに絶滅をしました。更に一千種以上が絶滅をするおそれがあると指摘をされております。

 六月には、大阪で二十カ国・地域首脳会議が開かれます。ここで生物多様性の保全を議題として取り上げて、日本の主導により各国が取組の強化をするということが非常に大事な点だというふうに思っております。ぜひ、日本がイニシアチブをとってこの分野に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 また、私の地元は横須賀なんですが、そこにもやはりこの水素の関係の企業が最近進出をしてまいりました。ぜひ、この水素社会の推進についても前進をさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 きょうのテーマは、浄化槽について順次お伺いをしてまいります。

 現在、全国の汚水処理人口の普及率は九〇・九%となりましたけれども、いまだ約一千二百万人の汚水処理未普及人口が残されております。その早期解消に向けて、下水道や農業集落排水施設と並び立つ汚水処理サービスとして、この浄化槽への期待が高まっているところでございます。

 しかし、この浄化槽の新設基数は近年減少傾向にありまして、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換も遅々として進んでおらず、加えて、新規基数を上回る既存浄化槽の基数減少が見られます。

 さらに、法定検査率の低迷に象徴されているとおり、関係する主体それぞれの負うべき役割が十分に果たされていないという面もありまして、浄化槽に対する社会の信頼感は必ずしも高いとは言えない状況にあります。

 初めに、合併処理浄化槽の整備状況とその特性についてお伺いをいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、合併処理浄化槽の普及状況ということでございますが、平成二十九年度末現在において、約三百六十七万基という整備状況となってございます。

 それから、特性につきましてですが、浄化槽は、水環境保全上につきましては下水道と同等の処理性能を有している、そして、特に人口密度の低い地域において比較的安価に整備できて、短期間で整備できる、さらに、地震等の災害に強いというような特徴を有しております。また、地域の水環境保全を通じまして農林水産業や観光業の振興といった地方創生につながる地域の活性化を図るという意味でも、重要な汚水処理施設と考えてございます。

 環境省といたしましては、特に先ほど御指摘あった一千二百万人の未普及地域でございますけれども、今後、人口減少等の社会情勢変化によりまして、こういった地域を中心に汚水処理のための施設整備が進められるということから、浄化槽の役割はより一層重要になるというふうに考えておりますので、合併処理浄化槽の普及を通じて未普及の解消に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 合併浄化槽の特性として、下水道と同等の処理性能があり設置コストも安い、また地震にも強い、また地方創生にもつながっていくことでございます。こうした合併浄化槽は、適切な整備が必要と考えます。

 先ほど申しましたように、二〇一七年度末現在で、いまだ約一千二百万人の汚水処理未普及となっています。その多くは都市郊外、地方部を中心に存在をしております。汚水処理未普及の解消に向けて、都市郊外や地方部で効率的また経済的に汚水処理サービスを提供できる浄化槽への期待が高まっているところでございます。

 しかしながら、単独処理浄化槽は、合併処理浄化槽に比べて約八倍の汚濁負荷、公共用水域の汚濁の主要な原因となっており、水路の悪臭等、周辺の生活環境にも影響を与えております。

 既存の単独処理浄化槽は減少傾向でありますけれども、約七百万基存在をしておりまして、四十年以上経過したものは推計で約百三十六万基あります。老朽化による破損、漏水等の事例が多く報告をされております。生活排水の垂れ流しのみならず、公衆衛生に支障を生じるという可能性もあるわけであります。汚水処理形成に向けては、未普及人口の半数以上を占める単独処理浄化槽の合併浄化槽への転換が大きな課題となっております。

 そこでまず、単独処理浄化槽設置者に対する指導を強化していく、あわせて合併処理浄化槽への転換を強力に推進すべきと考えます。また、浄化槽本体のみならず、転換に付随する宅内配管工事への助成が必要と考えます。これは本年度予算での対応が図られていると承知をしておりますけれども、その詳細についてお伺いをいたします。

 せっかくの政策予算も知らないと使われないわけですので、徹底した周知が必要かと思います。その対応についてもお伺いをいたします。

 あわせて、市町村整備推進事業の市町村の浄化槽を整備する区域において、単独浄化槽等を使用している住民が同意した場合には、市町村が設置する合併処理浄化槽の使用を推進すべきというふうに考えております。

 以上の点についてお伺いを申し上げます。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、特に未普及のところでまだ単独処理浄化槽がたくさんあるということは非常に大きな問題だと思っております。

 御指摘あったように約四百万基がまだ残っているという状況でありまして、これを合併処理浄化槽に転換していくということが、水質改善のみならず、委員御指摘あったように、現に老朽化が進んで生活環境保全上の問題あるいは衛生上の問題も生じているというような状況がございますので、この転換促進を行うのは非常に重要だと考えております。

 一方で、個人の方にとりましては、既に単独処理浄化槽をつけることでトイレの水洗化が実現してしまっているので、そこであえて生活雑排水まで含めて処理をする、コストのかかることをやっていただくというのは非常に大きなハードルがございました。それで、先ほど御指摘ありました本年度の予算で、こちら単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換する場合、その宅内配管工事、水回りの工事をしていただく費用を新たに補助の対象に追加するという予算をお認めいただいたところでございます。これは、従来、なかなか普及の進まなかった個人の方に対する訴求という意味では非常に大きな変更だと考えております。

 ただ、それをいかに活用するかということで、委員御指摘ありましたように、しっかりと、制度が変わったということを関係者にPRしていくというところが重要だと考えております。特に、それを実施、実際に補助をする地方公共団体あるいはそれにかかわる事業者の方の関係団体、こういったところに制度の周知をしっかりとしていくということが重要かと思っております。

 具体的には、環境省におきまして、浄化槽トップセミナーというようなことで、首長あるいは議会議員の方々、政策決定にかかわる人たちへの直接周知をするというような取組とあわせまして、説明会などを通じまして、地方公共団体それから浄化槽関係団体への周知を行っているというところであります。

 本年度、最初の年ということでありますので、このあたりの周知はしっかりと徹底してまいりたいというふうに考えております。

 それから、もう一点、市町村整備事業についての御指摘がございました。

 こちら、浄化槽は、基本的には個人が設置するものに対して市町村が助成するという形なんですが、市町村みずからが、下水道と同様に、市町村の事業として、設置主体となって浄化槽を整備する浄化槽の市町村整備推進事業ということがございまして、これは特に生活排水対策が重要な地域を面的に整備していけるという意味でも重要な施策だと考えております。

 これに関連しまして、本年度の予算で、浄化槽の整備区域におきましては、汚水処理人口百人以内で、比較的小規模で処理を行う共同浄化槽の整備に対しても予算として新たなメニューを設けさせていただきました。個々につけるとコストがかさむ場合で、何軒か一緒になってやることでもってコスト的にも安くできる、こういった形でできるようになりましたので、こういったものも活用して、地域の実情に沿って多様な形で汚水処理施設の整備が可能となりました。

 こういったものも最大限活用いたしまして、地方の皆様の声を聞きながら、積極的に未普及解消に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 なかなか合併浄化槽に転換をしにくいというのを、今答弁にもありましたように、使っている住民としては、水洗というものが実現をしていると、改めて浄化槽を転換していくというインセンティブが働きにくい。また、転換する設置費用の問題もあると思います。また、この合併浄化槽の特徴、単独浄化槽との違いがいまだ知られていない、普及が不十分であるなど、さまざまな理由が考えられます。

 ですので、宅内配管工事への部分も補助対象となるということが新たな予算として今年度盛り込まれておりますので、ぜひともこのところを更にPRをしていただき、トップセミナー等も行っていらっしゃるということですので、積極的に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、検査体制についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 浄化槽が、持続可能で信頼をされる汚水処理サービスとして生かされていくために、浄化槽システムへの信頼性を向上することが必要であると考えております。単独浄化槽を含めて検査体制を強化していくことが必要だと思います。

 二〇〇五年の浄化法改正によりまして、法定検査に基づいて行政指導を行うということが明確化をされました。これを契機に、浄化槽法定検査の見直しに関する検討が進められてまいりました。浄化槽の設置及び維持管理に対する行政指導を強化していくためには、公平性の観点から、浄化槽法第七条検査及び第十一条検査の受検を徹底していく必要があります。

 資料をいただきましたけれども、二〇一七年度末時点において、全国平均の受検率が今四一・八%ということであります。合併処理浄化槽に限れば六〇・四%ということで、いまだ低い水準になっておりまして、多くの都道府県では第十一条検査の受検率向上が喫緊の課題となっております。

 さらに、近年、合併浄化槽の省スペース、高性能化による構造が複雑化をしておりまして、浄化槽管理士の高い維持管理技術というものが求められていると思います。一部の自治体では、保守点検業者の技術力向上に関する都道府県の取組を条例で規定をしております。また、浄化槽管理士の知識及び技術の向上に向けた取組は極めて重要だと思っております。登録、更新の際に、浄化槽管理士が最新の浄化槽技術、知識を身につけていくことができるよう、研修の仕組みというものも重要ではないかというふうに考えているところでございます。

 この受検率の向上のためには、受検者のメリットを高める必要があり、検査結果から浄化槽の調整や補修が必要と認められた場合には、速やかに改善できる仕組みを地域で構築していくことが必要だと思います。

 この検査体制強化の取組についてお伺いをいたします。

山本政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、浄化槽法第七条、第十一条に基づきまして検査をするというところをしっかりやっていくことが浄化槽の信頼性向上にとって非常に大きいということは、おっしゃるとおりでございます。

 特に、定期検査は、浄化槽が適正に設置されて、その後、保守点検、清掃が適正にやられている、浄化槽の機能が正常に維持されているということを確認するという意味で、都道府県が指定する検査機関が年一回行うという仕組みでありますので、これは浄化槽の信頼性を保つ根幹となる仕組みだと考えております。

 ただ、受検率は、委員御指摘のとおり、単独処理浄化槽も含めた全体では四一・八%、合併処理浄化槽に限ってもまだ六〇・四%ということでありますので、まだまだ改善を図らなければならない状況だと考えております。

 特に受検率の高い地方公共団体もございまして、そういったところは、浄化槽台帳システムを整備したり、あるいは保守点検、清掃、法定検査などを一括で契約したりとか、あるいは、未受検者に対しての受検の勧奨というのを組織的に取り組んでいる。さまざまそういった優良な取組もありますので、そういった優良な取組も参考にしながら、これをしっかりと後押ししていくような取組を進めてまいりたいと思います。

 その意味でも、まず未受検の浄化槽をなくしていくという意味では、浄化槽台帳システムをしっかり整備するということも重要でありますし、あるいは、行政と検査機関、それから維持管理の業者が連携して受検手続を円滑にできるようにする、そういったような取組も重要でございますので、こういったところに積極的に取り組む地方公共団体をしっかりと支援するようにしていきたいと考えております。

 それから、あと、御指摘のありました浄化槽管理士ですね、実際にそれを管理する国家資格を持った方々の資質向上というのも重要でございます。

 委員御指摘のとおり、浄化槽もどんどん性能が上がってきて、かつコンパクトなものになってきて、従来と同じような形で維持管理しているだけではいけなくて、また留意すべき点も変わってきているということがありますので、その点につきまして、研修なりを各都道府県で工夫されてやっておられるところがあって、それは本当に望ましいことだと考えておりますので、こういったことに関してもできるだけ支援をしていくというようなことを方向としては考えていきたい。

 委員御指摘のように、受検者がメリットがあるというのと同時に、やはり受検していないところで不適切なことが起きているということがありますので、まずはしっかりと受検をしていただいて、悪い浄化槽をしっかりと浄化槽法に基づいて指導していって改善をしていくということが重要だと思いますので、そのための手だて、引き続きしっかりと検討して、講じてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 やはり、検査を徹底して行っている自治体は台帳をつくっているということでございました。

 この浄化槽の台帳整備について、引き続きお伺いをしてまいります。

 この浄化槽台帳システムというのは、行政において、浄化槽管理者から届出による情報、指定検査機関からの報告、その他浄化槽関係者からの情報整理をして電子データ化をして、データベースとそれを管理するシステムで構成されたものであります。

 平成三十年度、浄化槽の指導普及に関する調査結果によりますと、都道府県の台帳整備状況は、約一七%が未整備、また、システム台帳管理は約七〇%というふうになっております。また、市町村の台帳整備の状況におきましては、約三四%が未整備、システムによる台帳は約三〇%という結果が出ております。

 この法定検査受検率の高い県を見ると、先ほどおっしゃいましたように、この台帳整備一括契約、未受検者に対する受検勧奨などが行われているわけであります。行政による浄化槽の台帳システムが整備をされれば、維持管理状況等、的確な把握により、行政によるきめ細かな管理指導が可能となってまいります。

 この浄化槽の単独転換対策、適正な維持管理の確立及び災害対応力の強化に向けた情報整理、更新、精査が効率的に行える浄化槽の台帳の整備を強力に推進すべきと考えます。この浄化槽台帳システムの整備推進及び情報管理のための助成等をすべきと考えます。

 またさらに、この台帳を整備した上で、過疎化による空き家が増加をしておりまして、当然、その空き家では、使われていない浄化槽が増加をしております。浄化槽法でも、休止や停止などの概念がないために、長期にわたり使用しない浄化槽があっても、年一回の法定検査、数カ月に一度の保守点検が求められております。

 都道府県や市町村によっては、休止や停止を条例、規則等で規定をしているところもあります。資料をいただきましたけれども、調査によれば、三百五十五の自治体において休止制度を活用している、採用しているということであります。

 浄化槽台帳とあわせて、過疎化で使用していない浄化槽の把握、適切な管理、そして休止などの措置が必要と思いますが、この点についてお伺いをいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 浄化槽台帳に関する問題点、課題につきましては、委員がただいま御指摘のとおりでございます。

 特に、設置状況、維持管理状況を把握する上で台帳システムは重要でありますが、先ほど最初の方で御指摘いただいた単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換していくという際にもそういった情報がないといけませんし、あと、先ほど御指摘いただいた休止している浄化槽、これもなかなか行政によっては十分把握できていない。そもそも、どこにどういうものがついているのかが十分把握できていないとその先の施策というのはできませんので、そういったものをしっかりと把握するという意味でも、浄化槽台帳システムは重要と考えております。

 環境省におきましては、これまでも、台帳の電子化や関係機関との連携ですとか、あるいはGISの活用などによりまして台帳システムを整備していく、あるいは、施策を活用していくというための、それを促進するマニュアルを整備して、これを積極的に使っていこうという自治体への導入支援というようなことは行わせていただいておりますが、まだまだ、御指摘いただいたように、やっているところとそうでないところの濃淡は大きいということがございます。

 昨年六月には、廃棄物処理施設整備計画というものを閣議決定させていただきましたが、この中でも、浄化槽台帳に法定検査等の結果等も反映して、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換や浄化槽の管理の向上に活用するということを閣議決定計画の中にしっかり位置づけさせていただきましたので、委員本日御指摘いただいた点も踏まえて、引き続き、これをどうすればよりいい形で整備推進していけるかというのを検討し、実施してまいりたいと考えます。

古屋(範)委員 検査にいたしましても維持管理にいたしましても、台帳というものが全ての基本になっていくと思います。この台帳を整備していくことを推進していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、災害時における学校、公民館、また公共施設と避難場所への浄化槽の設置についてお伺いをしてまいります。

 近年、大きな災害が頻発をしております。浄化槽は、分散処理であるために長い配管整備を伴わないために地震等の災害に強い、個別処理であることから、施設がもし損壊した場合でも、その影響範囲が屋内にとどまるために広範囲に影響を及ぼしにくいという特性を持っていると思います。

 今、関係省庁が一丸となって汚水処理施設の早期整備に向けて取り組んでおり、都市郊外及び地方部においては浄化槽の役割が増していると思います。防災、減災の観点からも、こうした公共施設への、特に避難場所に指定されている施設への設置の必要性が高いというふうに考えます。避難場所等災害拠点においても適切な衛生環境、生活環境保全を確保するためにも、平時から地域内にし尿浄化槽汚泥収集システムを確保して、緊急時に必要に応じて利用することができるよう、こうした避難指定場所への浄化槽の設置を進めるべきと考えます。この点についてのお考えをお伺いいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 合併処理浄化槽は、御指摘のとおり、災害に強い構造であって、被災しても早期復旧が可能ということでもありますので、災害に強い町づくりや国土強靱化の観点から重要というふうに考えております。また、さらに、御指摘いただいたように、避難所にそれを設置するということにつきましても非常に有効な手段だと思っております。

 現状ですが、全国の防災拠点に設置してある浄化槽の基数は、平成二十九年度末時点で約二万三千基ですが、残念ながらそのうちの約一万基は単独処理浄化槽ということでありますので、こういったものも合併処理浄化槽にしていく必要があると考えております。

 環境省といたしましては、市町村が地域防災計画等に位置づけて実施する浄化槽の面的整備でありますとか、あるいは防災拠点における浄化槽整備を財政的にも支援しておりますので、引き続き、こういったものを通じて、浄化槽の災害対応ということで整備推進に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 最後の質問になります。

 午前中、小宮山委員も質問されていたんですが、日本の浄化槽の情報発信、国際展開の強化についてお伺いをしてまいります。

 浄化槽は日本で高度に発達した技術でありまして、世界でも注目をされております。この浄化槽の輸出基数におきましては、資料をいただきました、二〇一五年には千三百十四であったものが二〇一八年におきましては一万四百二十三基と、過去三年間で約八倍に飛躍的に増加をしております。

 国際的にも、二〇一五年九月の国連総会において、未処理排水を二〇三〇年までに半減をさせるという国連の持続可能な開発目標が合意をされまして、日本の浄化槽を輸出する機運も高まっているというふうに思います。輸出拡大を通じて世界の公衆衛生の向上、水環境改善に応じていくということが期待をされていると思います。

 この日本の浄化槽の情報発信、また国際展開の強化について、最後、お伺いを申し上げます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今まさに御指摘ありましたように、国際的にもSDGsの目標で二〇三〇年までに未処理排水割合を半減するという大きな目標が掲げられておりますので、その有効なツールとなり得るものですので、この辺は、下水道ともしっかり連携して海外への展開ということを考えていきたいと思っております。

 海外への展開につきましては、午前中大臣からも答弁申し上げましたとおり、しっかり環境省としての基本戦略をつくってその中に位置づけて進めているという中で、具体的には、国際会議等を活用したトップセールスでありますとか、浄化槽セミナーによる技術のPR、それからワークショップや国内研修による人材育成、それから浄化槽の性能評価制度というものをソフト面でのインフラ支援ということで海外に展開する、こういった事柄にも取り組んでおります。

 海外からも非常に最近強くそういう期待感があらわれておりますので、今後とも、関係機関、民間企業と連携しながら、しっかりと、浄化槽ニーズの高い国を中心に海外展開を戦略的に推進して、SDGsの国際目標に貢献できるように取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 アスベスト対策について質問をします。

 二〇二〇年から二〇四〇年にかけて、建築物の解体に伴って、石綿、アスベストの排出量がピークを迎えることになります。急いで対策を進めていかなければならないし、対策を強化しなければなりません。

 大臣には、やりとりの後で決意を語っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 去年の六月、本委員会で私はアスベスト問題を取り上げました。熊本地震で効果のあったアスベストアナライザー、これを国や地方自治体に導入すべきだという質問をしたところ、早速応えていただいて、徐々に導入が進んでまいりました。目視でしか確認できなかった石綿、アスベスト、この機械を使いますと、簡易計測ですけれども、瞬時に、壁とか天井とかはりとか、その中の含有が検知できる。非常にすばらしい機械であります。事前に建築物の中での予測ができるということで、建設作業に当たっている方、またアスベスト対策に当たっている方々からは歓迎の声が上がっています。

 そこで厚生労働省に伺いますけれども、全国の労働局への導入状況、そして今後の予定について説明をしていただけますか。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 都道府県労働局におけるアスベストアナライザーの導入につきましては、解体等工事における事前調査の適切な実施及びその結果に基づく暴露防止対策の徹底に資するため、平成二十八年度から平成三十年度までの間に、七労働局に一台ずつ配置を行ったところでございます。

 今年度は新たに八カ所の労働局に配置する予定にしておりまして、今後とも引き続き石綿暴露防止対策に係る指導体制の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 私も見たことがないので、見に行ってまいりました。福岡労働局に導入されました。そのときに、普通の建設解体現場にあった建設廃材を、飛散防止対策をした上で、労働局でアスベストアナライザーで検出があるのかどうか、ちょっと試行させていただいたんですよ。そうしたら、びっくりしたことに、Chrys、つまりクリソタイルと表示が出たわけです。つまり、白石綿が入っているということだったんです。

 こんな簡単に出るものなのかなと私はびっくりしたんですけれども、建設作業に当たっている人は、やっぱりと。ほとんどの解体現場はやはり対策が施されていない、そういった現場がたくさんあるということを教えてもらったので、これはちょっと大事な問題だなと改めて認識したところであります。

 全国至るところで解体現場はあるんですけれども、全てが全てそうだと思いませんけれども、そういったことが私が労働局に行って一つの事例として感じたので、これは徹底して検査それから調査をしなければいけないと思いました。

 こうした解体現場にあって何の防御策もなしに解体されてしまったのでは、取り返しのつかない事態が生まれてしまうわけであります。建築物の中におけるアスベストの含有の把握、そして建設作業員が吸い込まないための万全の対策、これが求められるんですけれども、果たしてこれは完全にできるんでしょうか。

 こういう疑問があるんですけれども、きょう、環境省、それから厚生労働省、それから国土交通省に来ていただいているんですけれども、代表して環境省、どうですか。これは防止できますか。

田中政府参考人 御指摘のアスベストアナライザーでございますけれども、建材中の比較的高濃度のアスベストについて簡易に短時間で確認することができるということで、環境省の災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルにおいて測定機材の一つの例として取り上げているところでございます。

 アナライザーを導入している自治体におきましては、建物の解体前の調査が適切に実施されているかといったことの確認のため、立入検査の際などに有効に活用されていると承知をしております。一方で、専門家の方からは、低濃度のアスベストの測定ができないことなど、正確性について幾つか課題はあるというような御指摘もいただいているところでございます。

 これからまた、建材についての規制のあり方なども今検討しているところでございますので、引き続き、アスベストアナライザーの適切な活用方策について今後更に検討していきまして、飛散することのないような制度づくりにも寄与していきたいと思っております。

田村(貴)委員 今の質問は、今お答えになったのは私の次の質問なんですね、私がお伺いしたかったのは、どこでも見られる建設解体現場、これが調査も把握もなしに、そして飛散されている、こういう状況をやはり食いとめることができるのかという素朴な疑問なんですけれども、それはいかがですか。

田中政府参考人 解体現場につきまして、一部につきましては、大気汚染防止法でもこれまで規制対象といたしまして、必要な事前調査、それから適切な解体工事、こういったものの促進をしてきているところでございます。

 ただし、幾つか課題もあるという御指摘も受けているところでございますので、これから制度を拡充し強化する必要があるんじゃないかということで、今、審議会において検討をいただいているところでございますので、これを急ぎまして、遺漏のないようにしていきたいと思っております。

田村(貴)委員 そのアナライザーは、例えば建設従事者の方が、この現場、ちょっと問題あるかなといったときに、労働局なら労働局、それから自治体なら自治体で、ちょっと見に来てくれぬかといったときに、その計測機械があったら瞬時に判定できるから、これをもって施主さんとかそれから施工者の方に対して説得力を持つわけですよ。ですから、これはやはり有効な機械だと思います。完全には測定できません。だけれども、有効な機械であることは間違いないから導入してもらっているんですよね。

 一気に、全四十七都道府県それから全政令市はもうすぐにやはり導入した方がいいと思います。すぐに導入できませんか。

田中政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたが、環境省のマニュアルにおいても一つの例として取り上げさせていただいております。先生の、まさに立入検査などにおいて有効に活用できるというような御指摘もいただいているところでありますので、引き続きその周知に努めてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 建物の調査、それから除去対策についてお伺いします。民間建築物千平米以上の調査、建物、建築物についてです。

 二十六万二千棟の調査対象があって、アスベストの使用がないということが確認されているものは二〇一七年度末までに約二十四万棟で、対応率は九一・四%と伺っております。うち、露出してアスベスト等が吹きつけられている建物は一万五千棟、除去済みが一万二千棟で、除去率は七七・六%であります。

 確認が一〇〇%になかなか進まないのは一体なぜなんでしょうか。そして、露出したアスベスト吹きつけがあることがわかっているのに、なぜいまだに除去されないのでしょうか。

小林政府参考人 お答えをいたします。

 今委員が御指摘のように、民間の建物で床面積が千平米を超えるもので、アスベストの露出があり、それがまだ除却などの対応が完了していないものが約三千棟ございます。これにつきましては、今、地方公共団体と連携をして対応をさせていただいているところでございます。

 三千棟、三千四百棟余りというのが正確なんですが、そのうち、指導による対応予定のものが六百八十八棟ございます。また、指導中のものが二千四百九十六棟となってございまして、国土交通省といたしましては、引き続き公共団体と連携をして指導をしてまいりたいと思っておりますが、所有者等への指導を徹底するように継続的に公共団体に対して要請をいたしますとともに、社会資本整備総合交付金などを活用いたしまして、アスベストの調査や除去などの対策に対して補助を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 私は地元が北九州市なんですけれども、この間、北九州市役所で聞いたら、一千平米以上のものについては全て対応済みだというふうに伺いました。急いで確実に進めていただきたいと思います。

 あわせて、では、一千平米未満の建物について、この調査の取組について教えていただけますか。

小林政府参考人 お答えします。

 平成二十九年の五月に、社会資本整備審議会建築部会アスベスト対策部会におきまして、千平米未満の建築物を始めとする小規模建築物を含めた対策を進めることが提言をされております。この提言を受けまして、国土交通省におきましては、平成二十九年六月に、小規模建築物も含めて、対象となる建築物の優先順位を定めまして、台帳整備などの対策を推進する、それから、建物に関連する団体と連携をして重点的な周知活動を行うよう公共団体に対して通知をしたところでございます。

 この通知を受けた地方公共団体の対応状況を申し上げますと、小規模建築物を含むアスベスト調査台帳の整備に関しましては九割以上の特定行政庁でその整備に着手をしている、また、実際の建築物における吹きつけアスベストの使用実態調査に関しましては約半数の特定行政庁において調査を開始しているということを把握しております。

 この状況につきましては、本年三月に開催されました社会資本整備審議会のアスベスト対策部会にも報告をいたしまして、本年五月七日付で改めて地方公共団体に対して、台帳整備の徹底、それから調査、除去などの対策の推進について通知をしたところでございます。

 引き続き、地方公共団体と連携をして、建物所有者による除去などの対策が適切に講じられるよう努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 環境省にお伺いします。

 住宅・建築物安全ストック形成事業の、建物、民間建築物に対するアスベスト含有調査、アスベスト除去、この事業についてであります。

 去年もお伺いしましたけれども、創設している自治体は政令市を除くと三百五十三市区町村で、全一千七百二十二市区町村の二割にすぎないということです。

 これは、自治体の条例制定がなくても支援ができる制度に転換しなければいけないんじゃないでしょうか。なぜならば、この制度は二〇二〇年度までを着手期限とするというふうにされているからであります。進捗状況から見ても、当然、期限内ではおさまらないという状況です。延長する、そして自治体の条例制定がなくても支援が受けられる、こういうふうにできないものでしょうか。

小林政府参考人 では、お答えをいたします。

 ただいまお話がございました社会資本整備総合交付金の関係でございますけれども、住宅アスベスト改修事業というメニューがございまして、それによりまして、民間の所有を含めた住宅、建築物における吹きつけ建材中のアスベストの有無を調べるための調査、それから、吹きつけアスベストなどの除去、封じ込め又は囲い込みに要する費用について支援を行っているところでございます。

 早急にこうしたアスベスト対策を進めていくためには、国と地方公共団体が協調して対策を講じることが重要だと思っておりますので、国土交通省では、引き続き地方公共団体に対して本制度の積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

 あわせて、地方公共団体と連携をしながら、建物の所有者に対してどのような働きかけをしていけばアスベスト対策が効果的、効率的に進むのか、これについては不断に検討をしてまいりたいと考えております。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

田村(貴)委員 今私の方から要望したことは、ぜひ検討していただきたいなと思います。実態がやはり進んでいないというのが現実なんですね。

 それから、更に国土交通省に伺いたいと思いますけれども、いわゆるアスベストが入っていた、含有されていた建材なんですけれども、三つのレベルに分けられます。その中で、レベル3の建材は非飛散性であって、切断、破砕しなければ発じんせず暴露はないというふうにされているわけなんですけれども、しかし、建設現場では、ドリルで穴をあけて、電動のこぎりやグラインダーなどで切削、切断が行われてきたわけであります。アスベストの使用が禁止されるまでは、切断、破砕等によって発じん、飛散してきたのではないかな、それはかなりの量で飛散してきたんじゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。

小林政府参考人 お答えをします。

 ただいま御指摘ございましたレベル3の建材、スレートとか成形板のことだと思います。そのレベル3の建材につきましては、アスベストを含有する成形板の状態、通常の使用状態において飛散性が確認をされておりませんので、建築基準法上、使用禁止の対象とはなってございません。

 なお、建築工事などで行う成形板などの切断等の作業時における安全性の確保につきましては、労働安全の関係法令において対応されているものと承知をしております。

田村(貴)委員 しかし、それは、現場においては、寸法を合わせて切断して穴をあけるわけですから、それは誰が考えても、そこから出てしまうというのは明らかなんですよ。それは、長い歴史の中であったということです。

 もう一つ。建築基準法で認められてきたんですよね、今答弁があって。建築基準法で規定されてきたから、やはり多くの建物でずっと使われてきたと思うんです。

 このレベル3の建材を含めて、アスベスト建材が建築基準法に基づく耐火・不燃材として認定され、使用が認められてきたのはいつごろまでなんでしょうか。

小林政府参考人 お答えをいたします。

 建築基準法上、耐火構造に求められる性能を満たす構造方法として、吹きつけアスベストで覆った柱やはり、石綿スレートを張った壁などを昭和三十九年の告示において位置づけておりました。その後、昭和六十二年に耐火構造の告示を改正し、吹きつけアスベストで覆った柱やはりなどを対象から除外をしたところでございます。さらに、平成十六年に耐火構造の告示を改正いたしまして、石綿スレートを張った壁を対象から除外をしております。

 以上です。

田村(貴)委員 そうすると、やはりかなり最近まで使われてきたということですよね。建築基準法上でやはり認められてきたから使ってきた。危険性が知らされながら、長い間、建築基準法でアスベスト含有建材の使用を奨励し、そして規制をしてこなかったというのは、これはやはり、現場においてはこういうふうにやってきたわけですから、大変問題があったのではないかというふうに私は考えます。いかがですか。

小林政府参考人 まず、吹きつけアスベストについてでございますが、昭和五十年に、建築基準法ではありませんけれども、関係の規定がございまして、禁止になっている。そこから、建物について吹きつけアスベストについては使われなくなっているという状況だと認識しております。

 また、推奨されたというふうなお話でございますが、耐火構造の告示につきましては、幾つかの、性能を充足する選択肢を示しておりまして、特定の使用を奨励、推奨したものではないと認識をしております。

田村(貴)委員 しかし、不燃材である、そして使用を認めてきたわけですから、それが本当この間まで認められてきたわけですからね。それで、吸入してしまって、今発病している人、これから、発病している人、出てくるわけなんですよ。これはやはり長い歴史的な問題だと思いますよ。国土交通省だけ責めるんじゃないんですよ。これは政府一体のものとして、もう裁判も行って、そして国はもうずっと断罪されています、司直によっても。ですから、この歴史を絶対繰り返してはならない。

 今やらなければいけないのは、現に露出しているものもある、そして含有している建物がある、解体が行われる、しかし、それが掌握されていない、調査もされていない、だから急がなければいけないし、計測機器も入れたらいいんじゃないかと言っているわけです。

 そこは、本当、正面に受け取ってもらって、加速度的に進めてもらわないと、これは、肺を患ってしまう人というのは、あした、あさって、あらわれるんじゃないんです。長い年月の中で出てくるから、今対策をとっておかないと、将来本当に大変な事態になる。警告を持って、私、きょうは質問をさせてもらっていますので、ぜひ、これまでの歴史上の過ちは繰り返さないといったところの責任感を持って進めていただきたいと思います。奨励してきた国の責任は重いと私は思いますよ。

 ハザードマップについて質問します。

 自治体ごとに、この建物がある、ここはいついつ解体だということのハザードマップをつくることは非常に大事だというふうに思います。これは、国がイニシアチブを持って、また責任を持って、自治体がつくるように進めてもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 御指摘のハザードマップでございますけれども、特に災害発生時に石綿飛散防止に係る応急対策を迅速に実施するためには、御指摘のとおり、平常時から建築物等における石綿使用状況を把握しておくことが重要であります。

 一昨年度改訂をいたしました災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルにおきましても、平常時から建築物等における石綿使用状況の情報を把握、整理しておくことが望ましい旨を明記し、活用できる情報として、国土交通省で整備を推進しているアスベスト調査台帳や、自治体所有施設の使用実態調査などの情報を示しているところでございます。

 引き続き、このマニュアルの普及や関係省庁との連携により、自治体に対し平常時からの準備を促してまいります。

田村(貴)委員 大きい自治体とか県レベルは進むかもわからないんですけれども、やはり市町村、支援が必要なところは、ぜひ国の方からも支援もしていただきたいと思います。

 大臣、今ずっと議論してきたんですけれども、やはり急がなければならないと思います。私が福岡労働局で建築解体現場からの建設資材をアナライザーで見たら、クリソタイルが出てきた。あれは福岡県内の解体現場の話なんですよ。もうあらゆるところでこういうことがあっているんじゃないかなと思うので、やはり、把握する、調査する、そして、解体されるときがわかったら、完全に飛散防止対策をとって、建設労働者の健康、命を守っていくといった取組、本腰を入れて、もう今もやっています、どこかで解体していますので、それは進めていかなければならないと思います。

 大臣の決意をお伺いしたいと思います。

原田国務大臣 御指摘のように、今後、建築物の解体工事の件数がますますふえることが予想されております。国土交通省関係の手元の数字でも、まだどんどんふえて、二〇二八年ぐらいがマックス、ピークになる、こういうようなデータもあるところでございます。建築物の解体等に伴うアスベストの飛散防止対策は喫緊の課題である、今委員御指摘のとおりであります。

 このため、環境省では、昨年八月に中央環境審議会へ今後の石綿飛散防止のあり方等を諮問し、現在、制度に強化すべき点はないかについて幅広く御議論いただいているところでございます。

 国の環境、また国民の皆様の健康を守ることは、私ども環境省の使命でございます。関係各省と緊密な連携をとりながら、アスベストによる被害防止対策に全力を尽くしたい、こう思っております。

田村(貴)委員 まさにこの問題でイニシアチブをとっていただくのは原田大臣だというふうに思っております。よろしくお願いします。

 続いて、ゲノム編集のことについて質問します。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、全部質問できないことをお許しいただきたいと思います。

 ゲノム編集技術は、これまでの遺伝子組み換え技術に比べて、狙った遺伝子の改変を容易にする新技術で、ここ数年、急速に農産物や水産物に対する開発も進んでいるところであります。一方で、この新技術、農家や消費者団体、研究者からは、オフターゲットや生態系に対する懸念や危険性を指摘する声も多く上がっているところであります。

 時間の関係上、最初に環境省にお伺いします。

 ゲノム編集、いろいろもう市場に出てくる、それは聞いています、報道でもあっています。ただ、ゲノム編集について、デメリット、解明されていない点、問題点、懸念される事項、これについて教えていただけますか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 ゲノム編集につきましては、まさに新しい技術ということでございまして、今指摘がございましたようなオフターゲットという話がございます。これは、狙った遺伝子配列以外のところでも変異が起こり得るという話でございます。

 こういったゲノム編集技術につきましての扱い、カルタヘナ法上の扱いにつきまして、中央環境審議会のもとで専門的に御議論いただいた際にもそういった懸念点は挙がったところでございます。また、例えば、実際に自然変異が起こった場合と人工的変異が起こった際の判断が困難じゃないか、こういった点もあったところでございます。

 これにつきまして、中央環境審議会のもとで検討いただきまして、その取扱いの方針というのをまとめたところでございますが、例えばオフターゲットにつきましては、使用者等に対して、そういった標的塩基配列の改変により生じた形質の変質以外にもどういった形質の変化があったか、その有無や内容、こういった情報提供を求めていこうとしたところでございます。

 また、実際に自然変異か人工的変異か、これは、最終産物で判断することは難しい、技術的に大変難しいことだと思ってございます。そういう意味では、やはり事前に情報提供、こういった協力を求めることが大事だと考えておるところでございまして、取りまとめましたゲノム編集取扱い方針におきましても、カルタヘナ法の対象外のものにつきましてもそういったことにつきまして情報提供を求める。これは関係省庁と一緒に、そういった事業者に十分に周知を図って、確実に情報を求めていこう、こういったことで取り組んでいきたいと考えているものでございます。

田村(貴)委員 その事業者が届けるという確約もないわけなんですよね。もう夏にも、ゲノム編集技術によって、例えば野菜とか出てくるというふうにも報じられているわけであります。

 消費者庁、来ておられると思うんですけれども、その生産物が市場に商品となって出てくる。出てきたときに、ゲノム編集技術によってつくり出された品目である、この表示はされるんでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 ゲノム編集技術を用いた食品の表示のあり方につきましては、現在消費者庁で検討しているところでございます。

 厚生労働省の審議会の報告書であります「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて」という報告書におきまして、ゲノム編集技術を用いた食品については、従来の遺伝子組み換え食品と同様に整理し得るものとそうでないものがあると整理されております。

 消費者庁においては、今後の流通可能性の把握に努めるとともに、消費者委員会食品表示部会の委員の皆様からゲノム編集技術応用食品に対する懸念、表示のあり方等さまざまな御意見を伺い、それらを参考として検討を進める必要があると考えております。

 検討の進め方につきましては、厚生労働省におけるゲノム編集技術を利用して得られた食品の食品衛生上の取扱いの運用開始が本年夏ごろを目途として検討が進められていることを受けまして、消費者庁におきましても、このスケジュールを念頭に置いて進めたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 もう出回ってくるゲノム編集技術による野菜が、品質表示されるかどうかもわからないという状況であります。

 さきに述べたように、デメリットがさまざまにある中で、法的規制もないわけであります。何よりも、判断すべき材料を今国民が持っていません。国民的な議論も行われていない。そんな中で、国民の心配、疑問の声は拡大する一途であります。製品化が私は先走っては絶対ならないというふうにも考えているところです。

 きょうは時間がありませんので、済みません、次にまた機会があったときにこの問題を取り上げさせていただきたいと思いますので、きょうはここまでで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

秋葉委員長 次に、内閣提出、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。原田環境大臣。

    ―――――――――――――

 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原田国務大臣 ただいま議題となりましたフロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、大雨の頻発化に伴う水害、土砂災害、山地災害の増加など、気候変動の影響が全国各地で起きており、さらに今後、長期にわたり拡大するおそれがある中で、温室効果ガスの長期大幅削減に全力で取り組むことが不可欠でございます。

 フロン類については、極めて大きな温室効果を持ち、この排出削減を進めることは、オゾン層保護はもちろん、地球温暖化対策において重要な課題の一つであります。

 我が国においては、フロン類を冷媒として利用する業務用の冷凍空調機器である第一種特定製品について、その廃棄等に際してフロン類の回収を義務づけ、回収率の向上に取り組んでまいりましたが、法施行から十五年を経過しても、なお回収は四割弱にとどまっております。

 我が国全体の温室効果ガス排出量は四年連続で減少している一方、代替フロンの排出量は増加の一途をたどっており、省エネルギーや再生エネルギーの導入といったエネルギー起源の温室効果ガスの排出削減努力を無駄にしないためにも、フロン類の回収率を早急に向上させる必要がございます。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、関係者の相互連携により第一種特定製品の管理者の排出事業者責任を徹底し、地球温暖化対策計画に定める二〇二〇年度回収率五〇%の達成を始めとしてフロン類の排出抑制を推進するための措置を講じようとするものでございます。

 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、第一種特定製品に充填されているフロン類を回収せずに当該第一種特定製品の廃棄等を行った者に対し、直接罰を導入いたします。

 第二に、建築物又は工作物の解体工事に際して元請工事業者が行う第一種特定製品の有無の確認及び書面での説明について、その書面の保存を義務づけます。

 第三に、第一種特定製品の廃棄等に際して、フロン類の回収を証明する書面を第一種特定製品の引取り等を行う事業者へ交付することを義務づけるとともに、当該書面が交付されない第一種特定製品の引取り等を禁止することといたします。

 このほか、都道府県の立入検査権限等の拡充、関係者を含めた協議会の位置づけなど、所要の規定の整備を行います。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

秋葉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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