衆議院

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第6号 令和元年5月17日(金曜日)

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令和元年五月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    木村 弥生君

      笹川 博義君    高橋ひなこ君

      武部  新君    百武 公親君

      福山  守君    古田 圭一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      長尾 秀樹君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    横光 克彦君

      浅野  哲君    西岡 秀子君

      富田 茂之君    田村 貴昭君

      細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣         原田 義昭君

   経済産業副大臣      関  芳弘君

   環境副大臣        城内  実君

   経済産業大臣政務官    滝波 宏文君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   環境大臣政務官      菅家 一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           永山 裕二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  正田  寛君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  屋良 朝博君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野  哲君     屋良 朝博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、生方幸夫君外二名から、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ及び日本共産党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。生方幸夫君。

    ―――――――――――――

 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

生方委員 おはようございます。

 ただいま議題となりましたフロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 修正案は、お手元に配付したとおりであります。

 フロン類対策については、フロン類が強力な地球温暖化物質であり影響が長期に及ぶこと、加えて代替フロンは環境影響や人体影響などの検証が不十分であり将来的なリスクを含んでいることに鑑み、その使用に関しては速やかに抑制をすべきであると考えます。本法案では、フロンの回収と破壊について、罰則を追加し、できる限り対策を強化したことは評価しますが、より明確に脱フロンの方向性を明確にすべきであり、法案の修正を行う必要があると考えます。

 以下、その概要を御説明いたします。

 第一に、この法律の基本原則として、可能な限り、二〇五〇年までにフロン類の大気中への排出がなくなることを目指すこと、フロン類の代替物質を冷媒その他の用途に使用するために必要な技術の早期の普及を図ること、フロン類使用製品に使用されているフロン類の再生等フロン類の循環的な利用を進めること、フロン類使用製品の使用等に際してのフロン類の漏えいの防止、冷媒として充填されているフロン類の確実な回収及び破壊の実施その他のフロン類の適切な管理を行うことを明記することにしております。

 第二に、主務大臣がフロン類の管理の適正化に関する指針を定めるに当たっては、新たに法律上明記されることになります基本原則にのっとったものとすることにいたしております。

 第三に、政府は、この法律の施行後五年を目途として、フロン類の使用の抑制及びフロン類の排出の抑制の状況を踏まえつつ、フロン類使用製品の製造及び輸入の禁止その他の規制をすること、フロン類使用製品の製造又は輸入を業として行う者に対しての経済的な負担を課すことその他のフロン類の使用の抑制及びフロン類の排出の抑制のために必要な措置のあり方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 委員各位の御賛同を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

秋葉委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君、農林水産省大臣官房審議官永山裕二君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、環境省地球環境局長森下哲君、環境省自然環境局長正田寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福山守君。

福山委員 おはようございます。自由民主党の福山でございます。

 きょうは、私に与えられた時間は十五分でございます。時間の関係上、すぐに御質問に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 フロン類については、皆様御存じのとおり、二酸化炭素の数十倍から一万倍以上に及ぶ非常に強力な温室効果ガスであり、オゾン層保護の観点に加え、地球温暖化防止の観点がますます重要であります。

 気候変動に関しては、昨年七月に記録的な豪雨が西日本各地を襲い、我が国のみならず、北米や欧州各国などで高温や大雨などの異常気象が相次ぎ、年が明けると、オーストラリアなど南半球での熱波などが報告されております。我が国では、四年連続で温室効果ガスの排出量が減少している中、増加を続けるフロン類により、省エネ、再エネ努力が打ち消されかねず、その排出抑制対策は極めて重要であります。

 フロン類対策の中でも、特に十五年にわたって低迷を続ける廃棄時の回収率の向上を目指したものと理解をしておりますが、そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、今回の法改正は、低迷する回収率を向上させるための規制強化であると承知をしておりますが、その決意と狙いを改めてお伺いいたしたいと思います。

原田国務大臣 我が国の温室効果ガス排出量は四年連続で減少しているところでありますが、一方、代替フロンの排出量については、冷媒分野におけるオゾン層破壊物質からの代替に伴い、増加の一途をたどっている状況にございます。これまでの温室効果ガス排出削減努力を無駄にしないためにも、いまだ四割弱にとどまっておりますフロン類の廃棄時回収率を早急に向上させる必要があると思っておるところであります。

 このため、本改正により、機器ユーザーの回収義務違反に対する直接罰、直罰の導入や、フロン未回収機器の引取りの禁止等の対策を講じることで、回収率を更に向上させることを目指しております。

 今回の改正により、相当程度の回収率の向上を見込んでおります。まずは、現状の四割弱から、二〇二〇年度までには地球温暖化対策計画の目標でございます五〇%への引上げを達成すべく、全力で取り組んでまいるつもりでございます。

福山委員 時間の関係上、後でまとめてちょっと総括をさせていただきたいと思います。

 改正案の説明資料によれば、現状では約半数の業務用冷凍空調機械しかフロン類の回収が行われておらず、残りの半数は、フロン類の回収をせずに廃棄をされているとのことであります。正直に回収を行った者が損をしてしまう実態になっております。全体の半数の機械が法律を守らずに不適正な処理をされ、CO2の数千倍の温室効果を持つフロン類が垂れ流されていたというのは、まさに言語道断であります。そのようなフリーライダーがのさばることは決して容認できるものではございません。

 そこで、お伺いいたしますが、先ほど大臣も答弁がありましたように、廃棄時回収率を二〇二〇年に少なくとも五〇%、二〇三〇年の七〇%も早期に実現するために、今回の法改正により、具体的にどのようにこうしたフリーライダーを減らしていくのか、お伺いいたしたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、現状では、機器廃棄時に回収作業を行わないユーザーが存在する結果、廃棄時回収率、こちらが四割弱にとどまっているということでございます。

 このため、今回の法改正では、引渡義務違反に対する直接罰を導入をする、さらに、解体現場への立入検査の対象範囲を拡大する等、加えて、ユーザーによるフロン回収が確認できない機器を廃棄物・リサイクル業者等が引き取ることを禁止をする、こういった対策を講じますことで廃棄時回収率を向上させるということを目指しているということでございます。

福山委員 法律は、条文が変われば世の中が変わるというものではないと思います。改正された法律が広く世の中に浸透して、多くの人々に重要性を理解していただき、守ってもらって初めて世の中は変わってまいる。特に、改正法に基づき、都道府県が現場での実効性のある指導監督を行うことができるかどうかが非常に重要な問題であります。

 そこで伺いますが、都道府県は実際に効果的な指導監督を行えるのか、都道府県の指導監督を充実し、法改正の重要性について国民の理解を得るためには国はどのようにして取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 法改正の実効性を上げるためには、都道府県による指導監督を適切に行うことが非常に重要と考えてございます。

 国におきましても、都道府県職員が事業者に指導監督を行う際に参考となる情報をまとめたハンドブック、これを改定する、さらには、国に毎年集約をされます法定報告等の情報を整理、分析いたしまして情報提供する、こういったことによりまして、都道府県の効果的、効率的な指導監督を後押しをしてまいりたいと考えております。

 また、今回の法改正内容につきましては、ポスターやパンフレットの作成、活用、説明会等による普及啓発、加えて、設備業者さん、解体業者さん、さらには廃棄物・リサイクル業者の方々を通じたユーザーへの周知ということが大事でございます。そういったことを図ってまいりたいと思っておりますし、国民の皆様方への普及啓発につきましても、オゾン層保護月間の活用ですとか地球温暖化防止推進センターとの連携、こういったことを積極的に行ってまいりたいというふうに考えてございます。

福山委員 法改正の内容を超えてフロン対策全体を俯瞰すると、平成二十五年のフロン法改正、またモントリオール議定書改正を踏まえた昨年のオゾン層保護法の改正など、フロン類のライフサイクル全体を考えて、フロン類の生産量、使用量自体を減らしていくことも重要でありますし、世界の潮流であります。

 我が党では、フロン類対策をめぐる政策を幅広く模索、議論し、我が国のすぐれた環境技術を内外に展開し、我が国の力強い経済成長に発展する、貢献することを目標として、昨年の冬にフロン類対策推進議員連盟を立ち上げました。我が国のフロン類対策技術を一気に世界に広め、二〇三〇年には三十五兆円に拡大するとも言われる世界の冷凍冷蔵空調市場において、我が国が常に世界の先頭に立ち続ける環境づくりを行うことが重要であると考えます。

 そこで、お伺いいたしますけれども、グリーン冷媒技術の開発、普及、国際展開に向けてどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。

城内副大臣 福山委員の御質問にお答えいたします。

 代替フロンからグリーン冷媒への転換につきましては、経済産業省が研究開発を、そして環境省が普及を促進するという役割分担のもとで、開発及び導入の支援を進めているところであります。

 経済産業省では、現時点で代替技術が見込まれない分野につきまして、産学官のプロジェクトにより、グリーン冷媒技術の開発を進めていくとともに、国際標準化を図り、日本のすぐれた技術を海外に展開することを目指しております。

 また、環境省では、実用化しつつもコスト等の課題を有する分野につきまして、省エネ型自然冷媒機器の導入補助事業を実施しております。

 これらの取組によりまして、日本さらには世界の温暖化防止に貢献するとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつなげてまいりたいと思います。

 以上です。

福山委員 地球環境局長の方にちょっとお伺いしますけれども、日本で行っているフロン回収など、既に使用され、今後使用されるフロン類も含めたライフサイクル全体の取組を広げていってもらいたいと思っております。

 そこで、今現在、海外でのフロン類の回収状況、そして世界における日本の優位性、そして今後の展開をどのように環境局は考えておるんですか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、海外の取組の状況でございますけれども、EUなどの幾つかの先進国で、フロン類の回収、これを義務づけているところがあるというふうに承知をしておりますけれども、こういった国々におきましても、回収業者による回収量の報告といったことは義務づけられていないという状況でございまして、日本のように、回収量を正確に把握して公表する、こういった我が国の仕組みというのは、世界に誇ることができる非常に先進的なものであるというふうに認識をしてございます。

 環境省では、昨年度から、二国間クレジット制度、JCMの仕組みを活用いたしまして、代替フロン等の回収・破壊を途上国で実施をする事業への支援も開始をしたところでございます。

 今後も、こうした取組を通じまして、世界各国にもフロン回収の取組を大きく広げてまいりたいというふうに考えてございます。

福山委員 今いろいろ御答弁をいただきました。

 先ほど私が説明しました中で、フロン類対策推進議員連盟という言葉を使いましたけれども、昨年冬に、会長は甘利会長、そして会長代行は望月元環境大臣、そして小渕会長代理、そして丸川会長代理、実は私は事務局長をさせていただいております。

 これは、環境だけでなしに、そのもの、やはり経済、経産省、そういう関連性として非常に大きいものがございますので、そういう両方、大臣経験者の皆さんばかりですけれども、望月先生の、そういう非常にフロン類のこの問題は大きな問題であるということで、このような議連をつくって進めようということで、去年の冬から始まったわけでございますけれども。

 そういう意味で、きょうも本当は経済産業省の誰かおいでいただいて、御質問の中に入れてもいいかなと思っておったんですけれども、話が最初から広がるのでなしに、これを一つの起点として、大臣以下、城内副大臣、勝俣政務官、また一緒になって、この問題について国家全体としてどうやっていくのか、どう考えていくのかということを、特に経産の方とは話合いが必要であると私は思っておりますので、その点よろしくお願いしたい。これは要望としてお願いをいたしたいと思っております。

 そして、私は、先ほど、この法案ができても、ただできたというだけでなしに、それをいかに国民の間に醸成をさせていくかということが非常に大事な問題だと思うんです。

 令和元年という新しい日付になりましたけれども、平成の三十年間はまさに災害の年と言われてもおかしくないぐらい、地球温暖化と言われるこの現象の中で大きく変わってまいりました。

 私もよく挨拶の中で環境問題を言わせていただくんですけれども、例えば台風一つ例をとっても、私ども子供のときに来た台風と今の台風は違うと思っております。やはり海水温がずっと上がっておりますので、本土上陸するまで台風は成長を続けておるというのが今の現状。昔は、近づくに従って小さくなってきたと思うし、これが、極端に言えば、シュートの台風ルートであって、東北、北海道へ行くと熱帯低気圧に変わっていたのが、今は、東北でもあるいは北海道でも台風上陸というふうな形で、非常に大きいのが継続していく、こういうことがございます。

 そしてまた、一昨年でしたでしょうか、私は初めてこんな台風を見たんですけれども、静岡かどこかに上陸した台風が西日本の方に向いてカーブしていきました。ああいうのは、私、六十六年人生を生きてきた中で初めて見た台風だと思っています。多分、原田大臣もそういう記憶はないと思うんです。

 やはりそういうふうな形で、一つ一つの災害、本当に時代が、こういう時代の地球温暖化という中で変わってきておりますので、今回のこの法改正のフロン類のこの問題につきましては非常に大きなものがあると思いますので、大臣以下の皆様方のますますの御活躍を、また要望をしっかりとお聞きいただければと思っております。

 よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの長尾秀樹でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 元号のみが区切りということではありませんけれども、五月一日から令和になりました。新しい時代の環境にとって最善の策が講じられるように、脱フロンの道筋をしっかりとつけていくという観点から、この政府提出のフロン排出抑制法改正案並びに修正案について質問をしていきたいというふうに思います。

 フロンは、冷蔵庫やエアコンの冷媒や、断熱材、半導体の洗浄剤など幅広く使用されてきた物質であります。非常に便利な物質として多用されてきましたが、フロン類が大気中に放出されると、オゾン層を破壊することや、温室効果が大きく、地球温暖化の一因となることが明らかとなり、現在、オゾン層保護と地球温暖化対策の両面から、国際的な対策の枠組みが構築をされております。

 国内においても法の整備が行われまして、二〇〇一年に議員立法で、業務用の冷凍空調機器などについてフロン類の回収・破壊を義務づける本法律が制定をされました。しかし、制定以降今日に至るまで、十五年以上にわたって業務用冷凍空調機器からのフロン類の廃棄時回収率は三割台にとどまっているという、低い水準で推移をしております。

 二〇一六年五月に閣議決定された地球温暖化対策計画では、フロン類の廃棄時回収率を二〇二〇年に五〇%、二〇三〇年度に七〇%とする目標が掲げられております。今後一年足らずで二〇二〇年度を迎えることになります。これまで三割台で推移してきたフロン類の廃棄時回収率を引き上げるためには、この改正案の提出は遅きに失した感があるのではないかと思っております。

 なぜ、この間、フロン類の廃棄時回収率が低いのか、その原因の究明がこれまでなされてこなかったのかどうか、その点、まずお聞きをいたします。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 フロン類の廃棄時回収につきましては、平成十三年の法制定以降、平成十八年、そして平成二十五年と法改正が行われておりまして、その時点で必要な情報収集を行った上で制度を強化をしてまいってございます。

 その中で、法の認知不足による回収の未実施あるいは建物解体時の課題、こういったものにつきましては認識がされてございましたけれども、今般、近年の回収台数と回収量の傾向の変化も踏まえまして、より定量的な分析を行うとともに、管理者や設備業者、そして解体業者、そして廃棄物・リサイクル業者、そういった関係の皆様方にヒアリングをさせていただいて、廃棄をされた機器の取扱いについてより詳細な分析を行うことにより、今回の改正案の御提案に至ったということでございます。

長尾(秀)委員 遅きに失したとはいえ、この改正を契機にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたが、二〇二〇年度五〇パー、二〇三〇年度には七〇パーという目標を、今後どのように環境省としては達成していくお考えでしょうか。この今回の法改正だけでは困難な面があるのではないか、更に踏み込んだ対応が必要となってくるのではないかと思っておりますが、環境大臣のお考えをお聞きします。

原田国務大臣 先ほどから議論がありますように、法律というのは、つくったからといって十分ではありません。むしろこれからこそが大事ではないか、こういうふうに思うわけでございます。

 本改正は、関係事業者の相互連携によって、機器ユーザーの義務違反によるフロン類の未回収を防止し、機器廃棄時にフロン類の回収作業が確実に行われる仕組みを構築しようとするものでございます。

 法律の施行後には、機器ユーザーや関係事業者、団体、都道府県への着実な周知を行いまして、法改正の円滑な施行を図るとともに、二〇二〇年度、もう既に来年になっておりますけれども、廃棄時回収率を五〇%の目標を確実に達成したい、こう考えております。

 さらに、本改正法の施行と並びまして、回収できないフロン量を可能な限り減らす対策も含め、二〇三〇年度の廃棄時回収率を七〇%の目標達成につなげたい、こういうふうに考えておるところであります。

長尾(秀)委員 この法律は、二〇一三年に抜本的な改正が行われました。フロン類の回収・破壊のみならず、フロンの製造から廃棄時までのライフサイクル全体にわたる総合的な排出抑制を行う法律となりました。今回の改正案で、このライフサイクルの中でも下流に当たる廃棄時の対策に重点が置かれていると思います。

 これまで三割台で推移してきたフロン類の廃棄時回収率の向上のための対策として、規制を強化することはもちろん必要であると思います。しかし、フロン類が使用された機器が一旦市中に出てしまえば、機器の利用者のみならず、行政としても、その回収のために多大な労力を要することになります。

 こういうことを解決するためには、やはり、フロン類がそもそも市中に出回らないようにすること、フロン類を使用した製品はつくらないこと、つまり、フロン廃絶、脱フロン社会を構築していくことが必要であると思っております。

 脱フロン社会が構築されれば、回収・破壊する手間も、地方公共団体が立入検査する手間も必要ありません。今大臣から答弁いただきましたが、しっかりその回収強化策、やっていただきたいと思いますが、それのみでは今申し上げたような根本的な脱フロンの達成を先送りすることになりかねないという懸念を持っております。

 そこで、野党三会派から修正案が出ております。修正案提出者にお聞きをしたいと思います。

 なぜ二〇五〇年という目標を基本原則ということで明記をされるということになっているのか、その理由をお聞きをしたいと思います。

生方委員 お答えいたします。

 御懸念はごもっともだというふうに思います。そこで、私たちは、しっかり二〇五〇年までにフロン類を廃絶するという修正案を出しました。

 昨年十月に発表されたIPCCの一・五度C特別報告書では、パリ協定の一・五度C目標に整合するためには、二〇五〇年ごろまでに人為的な温室効果ガスの排出をほぼゼロにする必要があると言われております。これに整合するようなフロン対策の強化が必要とされております。

 人為的に、温室効果ガスの一種であるフロン類は、特に人工的につくられた化学物質であることから、CO2のように森林に吸収されるメカニズムもないため、直ちに排出をゼロにするべきだと考えております。

 しかし、現在、フロン排出抑制法の指針では、フロン類を中長期的には廃絶することを目指すことが掲げられているのみで、中長期がいつなのか、その具体的な時期については示されておりません。

 そこで、本修正案においては、基本原則を定め、可能な限り二〇五〇年までにフロン類の大気中への排出をゼロにすることを目標といたしました。

 このように、法律において期限を具体的に明記し、フロン類を確実に廃絶するという意思を強く示すことによって、二〇五〇年、さらには二〇五〇年よりできるだけ前倒しして脱フロンを達成することが必要だと考えております。

長尾(秀)委員 私も、指針のみではなく、法律上にそういう目標期限をしっかりと位置づけるということは賛成でございます。

 今提案者からの説明がございましたが、二〇五〇年という時期を具体的に明示をして、廃絶に向けた意思を強く環境省としても示すべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお聞きします。

原田国務大臣 ただいま御答弁もあったとおり、確かに、中長期的には、フロン類の廃絶については、現行のフロン法上の指針でもしかりでありますし、政策としてもそれを目指さなければいけない、こう考えております。

 具体的な廃絶の時期については、現時点ではエアコン等の分野で代替となるグリーン冷媒技術が確立されていない段階で、必ずしもお示しすることが難しい状態でありますけれども、代替できる技術が確立できた場合には、可能な限り早期のフロン類の廃絶を目指すということを考えておるところであります。

 政府としては、引き続きグリーン冷媒技術の開発及び普及に取り組みながら、中長期的にフロン類を廃絶できるように努めていきたい、こう考えております。

長尾(秀)委員 それでは次に、上流対策の強化についてお聞きをいたします。

 フロンは、非常に高い温室効果を有するものがあります。例えば、HFCの中には、二酸化炭素の一万倍以上の温室効果を持つものがあります。先般、二〇一七年度の温室効果ガス排出量の確報値が公表されました。これによりますと、エネルギー起源の二酸化炭素排出量が減少する一方で、HFCの排出量が増加をしており、二酸化炭素の排出削減努力を打ち消しかねない状況となっております。

 原田大臣は、この改正案の趣旨の説明の中で、こうしたエネルギー起源の温室効果ガスの排出削減努力を無駄にしないためにも、フロン類の回収率を向上させる必要があると述べておられます。おっしゃるとおりですけれども、フロン類回収率向上という下流対策とあわせて上流対策を強化をしなければ、HFCの排出量増加が二酸化炭素の排出削減努力を打ち消してしまう流れをとめられないのではないかと思います。

 そこで、経済産業省にお聞きをいたします。

 根本的には、フロン廃絶、全廃に向けて、上流対策の強化が必要です。CO2同様、温暖化効果の高い物質、フロンについても排出ゼロの社会を築いていかなければならないと思います。

 フロン排出抑制法では、その上流対策の一つとして、現在、指定製品制度というものがあります。指定製品の目標年と目標値については、大半が既に事業者が実施しているものを後追いしているのにすぎないのではないか、かなり意図的に定められている、問題が多いという指摘もあります。果たして指定製品制度は実効性があるのかどうか。

 フロン排出抑制法の政省令をつくる段階において、フロン製造業者がつくった代替フロンを転換先に進めていくという構造となっておって、フロン販売を後押しするような構造になっております。また、家庭用エアコンや店舗、オフィス用エアコンの目標値は、製造業者が売り出しているフロン類やGWPに合わせて目標値が定められているという指摘もございます。

 オゾン層保護法改正においても採択された附帯決議において、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律において、フロン類の使用規制強化に向けて指定製品の対象範囲の拡大や、指定製品の製造業者等の判断の基準において長期的な削減目標の設定を率先して行い、フロンの中長期的な廃絶に向けた具体的なロードマップを描くこととあります。

 フロン全廃を一刻も早く実現をすべく、フロン及び機器の製造業者へ向けて具体的なロードマップを描き、それぞれに理解を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、フロン類の削減を着実に進めていくためには、フロン類及びそれを使用する機器の製造業者等による計画的な削減のための取組が重要であります。

 このため、フロン類の製造や輸入を行う事業者に対しては、フロン排出抑制法に基づき、まずは国がフロン類の使用見通しを示すとともに、それを踏まえ、グリーン冷媒の開発、普及など、フロン類の使用合理化を計画的に進めるよう求めております。

 また、フロン類使用製品につきましては、フロン排出抑制法の指定製品制度に基づきまして、代替技術が確立した分野から順次、環境影響度を低減させる目標値と目標年度、これを設定をし、製品の製造や輸入を行う事業者に対してその達成を求めているところでございます。

 オゾン層保護法によるフロン類の生産量、消費量の上限の設定と、毎年の製造量、輸入量の割当てといった措置に加えまして、今申し上げましたこうしたフロン排出抑制法に基づく見通しの提示によって、事業者による計画的なフロン類の削減、これを促していきたいというぐあいに思っております。

長尾(秀)委員 そもそも全廃されるべき特定物質であるフロン、CFC及びHCFCは、現在我が国にはどれほどの量が残されているんでしょうか。また、キガリ改正で段階的に削減されるとされる代替HFCはどれほど存在をしているのか、把握しておくべきではないかと思います。また、HCFCが二〇二〇年に全廃になった後に、HCFC使用機器やその代替化について経済産業省としてはどのような見通しを持っているのでしょうか、お聞きします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定フロンでありますCFC、HCFC及び代替フロンでありますHFC、これの稼働中の機器に含まれる冷媒量は、CFCが約二百五十トンであります。HCFCが約二万トン、HFCが約十二万トンというぐあいに推計をされております。

 本年末にHCFCの製造、輸入が全廃となりますけれども、HCFC使用機器につきましては、フロン類が漏えいしたり故障しない限り使い続けるということが法令上可能でございます。また、過去に製造や輸入されたHCFCの在庫や、あるいは廃棄機器から回収され再生されたHCFC冷媒、これを使用することも可能でございます。

 一方、HCFCの使用機器からの代替につきましては、これは可能な限り、温室効果の高い代替フロンではなくて、温室効果の低いグリーン冷媒に直接移行することが望ましいというぐあいに考えております。

 こうした観点から、環境省においては、省エネ型の自然冷媒機器について補助金による導入支援というものが行われておりますし、経済産業省におきましては、現在グリーン冷媒技術が確立していないエアコン等の用途についても選択肢を広げるべく、民間事業者への技術開発支援ということを行っているところでございます。

長尾(秀)委員 先ほどから出ておりますように、本法の指針では、フロン類を中長期的には廃絶することを目指すということになっております。フロン廃絶をうたいつつも、具体的目標年が示されておりません。まず、中長期的には廃絶とはいつごろを目指しているのか、経産省にもお伺いしたいと思います。

 次に、二〇五〇年といった年限を示した上でフロン削減を進めるべきであります。フロンの大気中への排出ゼロを目指すのであれば、指定製品において、製品ごとに使用禁止措置や具体的目標を定めるべきではないかと思います。指定製品の対象範囲の拡大や意欲的な目標設定などを行うことで上流対策を強化をしていく、さらには、指定製品制度の実効性を検証して、より上流対策として効果的な制度の構築を検討していく必要があると考えますけれども、このような姿勢、取組、経済産業省としてはそういうお考えがあるのでしょうか。

 フロン全廃を一刻も早く実現をするという姿勢が求められております。副大臣の答弁を求めたいと思います。

関副大臣 政府といたしましては、ことし発効いたしましたモントリオール議定書キガリ改正に基づきまして、フロン類の大幅な削減を進めることといたしております。

 具体的には、代替フロンの生産量及び消費量につきまして、二〇二九年以降で基準値比七〇%の削減、そして二〇三六年以降は八五%削減という厳しい削減義務の達成に向けまして取組を進めているところでございます。

 一方で、最終的にフロン類廃絶、これを実現いたしますために、エアコンなどグリーン冷媒への代替技術が確立していない分野におきましても、安全性と経済性を兼ね備えました代替技術を確立いたしまして、それを用いた製品を市中に普及させていくことが不可欠でございまして、それには中長期的な時間を要すると見込まれているところでございます。

 高度な新技術の開発や普及が必要なところでございますが、現時点でその実現時期を具体的に明示するのは難しいところでございますが、現在、経済産業省では、産学官の総力を結集しましたグリーン冷媒技術の開発プロジェクト、これを強力に推進しているところでございまして、可能な限り早期の実現に向けて取組を進めてまいりたいと思います。

長尾(秀)委員 今副大臣からも答弁ありましたが、この代替技術ですね、代替物質開発、まだそういう技術が確立をしていない分野があります。その研究開発を促進するためにどのような方策を講じておられるのか、また、その今後の開発の見通しについて、再度経産省にお聞きをします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーン冷媒は、代替フロンに比べまして、一般的に、燃焼性を有したり、あるいは適切な温度で気化、液化しないといった物性面の課題があります。

 このため、冷媒量が少なく冷房用途のみのカーエアコンなどではグリーン冷媒への転換へのめどというものは立っておりますが、一方、冷媒量が非常に大きく冷暖房用途の家庭用でありますとか業務用エアコンでは転換のめどは立っていないのが現状でございます。

 このため、燃焼性を有するグリーン冷媒につきまして、安全性を確立した機器の設計、これを可能とすべく、経済産業省では、平成三十年度から、燃焼性に関するリスク評価手法を世界に先駆けて確立する産学官のプロジェクト、これを開始をいたしました。

 加えまして、今年度からは、グリーン冷媒及びそれを用いた機器の開発、これを加速化するために、民間事業者への支援制度も創設をしたところでございます。

 こうした取組によりまして、可能な限り早期にグリーン冷媒技術の確立を図りまして、日本及び世界の温暖化対策、これに貢献するとともに、日本企業のすぐれた技術を世界に展開をするということで産業競争力の強化につなげていきたいというぐあいに考えております。

長尾(秀)委員 次に、自然冷媒の導入促進の必要性についてお聞きをしたいと思いますが、関副大臣は四十五分までということなので、ちょっと順番を変えて、では、先に副大臣にお聞きしますね。

 昨年、オゾン層保護法改正案の議論で、きょうの答弁にもありますように、グリーン冷媒という用語が突然出てまいりました。このグリーン冷媒というのは低GWP冷媒を指すということで、自然冷媒も弗素系の冷媒も一緒になっているというふうに理解をしておりますが、私としては、自然冷媒と弗素系冷媒は分けて考えられるべきであるというふうに思っております。

 新たな弗素系冷媒の開発に予算が使われる仕組みを残しているということを懸念をいたします。もっと自然冷媒にシフトすべきである。あるいは、消費者に誤解を招くと思っておりますので、本来であれば、一足飛びに自然冷媒に転換することを優先するような政策の順位づけが必要と考えますが、経済産業省の見解をお聞きします。

関副大臣 自然冷媒は、自然界にもともと存在いたします物質を冷媒に使用するものでございまして、その活用が技術的に可能でございますれば、有力な選択肢となるものと我々も認識をいたしております。

 しかしながら、自然冷媒は、例えばCO2では、冷凍冷蔵ショーケースなど温度域の低い分野で性能を発揮する一方で、比較的温度域の高いエアコン用途では冷却能力が大幅に低下してしまいまして、また、アンモニアは、毒性を有するために、厳格な管理が可能な大型機器での使用に限定されますなど、その能力を発揮できる用途が限定されるというところがございます。

 こうした自然冷媒では対応が難しい分野におきましてもグリーン冷媒への転換を進めるために、近年、温室効果の低い弗素冷媒でございますHFOの開発が進められているところでございまして、カーエアコンなどの分野での利用が始まっているところでございます。

 このように、モントリオール議定書キガリ改正で定められました、代替フロンを二〇二九年以降、基準値比七〇%削減するという義務を達成いたしますためには、機器や用途に応じまして、自然冷媒のみならず弗素系の冷媒の活用も図ることが不可欠な状況となっておるところでございます。

 このために、政府といたしましては、自然冷媒のみならず、弗素系冷媒を含めまして、温室効果の低い物質でございますグリーン冷媒の利用を強力に推進していくところでございます。

長尾(秀)委員 そうおっしゃいますけれども、第三のリスクにならないように、ぜひ自然冷媒主体で考えていただきたいと思います。

 では、副大臣、ありがとうございました。

 それでは、自然冷媒への導入促進ということで、順番入れかわりましたけれども、環境省にもお聞きをしたいと思います。

 そもそも、代替物質や技術が開発されたとしても、例えば二酸化炭素などの自然冷媒を使用した機器の導入コストは割高となっております。その導入を促進するためには国の支援が不可欠であります。これまでも自然冷媒機器の導入については支援策が講じられてきたと承知をしておりますが、更に普及を加速していくことが必要であります。また、転換が軌道に乗るまでの間、継続的に支援を行っていくことも必要でございます。

 経済産業省、環境省、それぞれ補助金制度がございます。これらの補助金の運用は、果たしてうまくいっているのでしょうか。機器の切りかえ時期と補助金申請時期のタイミングの不一致があるという話も聞こえてきます。補助金を活用するには、申請時期、採択時期、完工時期などを合わせなくてはならないけれども、生産ラインなどの不都合を生じかねないケースが多く、補助金を活用しがたいという事情もあるようです。

 自然冷媒機器を導入する場合、既存のフロン機よりもイニシャルコストも高く、資金面での懸念で足踏みするということがあり得ます。さらには、自然冷媒技術を提供するメーカーにも限りがあります。このような現状を打破するようなインパクトの高い施策、対応が必要ではないかと思っております。

 キガリ改正が発効した今、フロン削減及び低GWPへの転換は、冷媒を使用するユーザーにとっては無視できない問題であります。しかし、高い機器コストや技術不足などといった課題も多く残るものも事実であります。

 国内の自然冷媒市場がより活性化するには、エアコンなど消費者にとって身近にある技術の開発を進めること、それを支援することが求められていると思います。加速度的に自然冷媒の導入を進めていくために今後どのように取り組んでいくお考えか、また、その見通しについて環境大臣にお聞きをいたします。

原田国務大臣 御指摘のとおり、自然冷媒機器をいかに普及するかというのは、これからの環境政策の中で、私ども当然重点的に努力しなきゃいけない、こう思っております。

 環境省におきましては、自然冷媒機器の普及を図るために平成二十六年度から補助事業を実施をしておりまして、これまで千八百五十件の省エネ型自然冷媒機器が導入をされております。その成果もございまして、例えば冷凍冷蔵倉庫におけるフロン類使用機器との価格差は、平成二十五年度末には約二倍を超えていましたけれども、現時点では一・六倍程度にまで低減しているところでございます。

 本補助事業は、申請者の方々からの要望も踏まえた運用改善も可能な限り行ってきており、今後とも、自然冷媒機器に一定の需要を生み出すことで機器の低価格化を図り、自立的普及に向けたさらなる導入の推進と加速化を図ってまいりたいと思います。

 御指摘のように、また各省間の調整も多少必要なようなお話を聞きましたので、その話をしっかり踏まえて、とにかくこの自然冷媒が一番やはり理想的な状況でございますので、私ども、しっかりその方向で取り組んでいきたい、こう思っております。

長尾(秀)委員 ありがとうございます。自然冷媒使用機器の加速度的な導入を、ぜひ環境省として後押しをしっかりやっていただきたいと思います。

 それでは次に、フロン税など経済的な手法についてお聞きをいたします。

 今回の改正案は、機器の廃棄時のフロン類の引渡義務に直罰規定を設けるなど、規制を強化することにより廃棄時回収率の向上を図るということであります。

 先ほども申し上げましたが、しかし、そもそも、フロン類を回収することに経済的なインセンティブが働いていないことが、結果として廃棄時回収率をこれまで低迷させてきたのではないかと思っております。また、社会的コストをかけて回収や破壊を行わなければならないフロン類を製造したメーカーに対して、一定の費用負担などをしていただく必要もあるのではないかと思います。

 フロン税などの経済的手法は、フロン類の排出を抑制する抜本的な対策の一つとして、フロン類の回収促進、使用時の排出抑制、フロン類を使用しない製品の開発や普及を促進をする効果が期待できると思っております。

 こういう経済的手法については、本法律制定時から、また改正時においても付されました附帯決議におきまして、何度も、検討を進めることが求められてきました。二〇〇一年、法制定以来十五年以上も検討が進められているということになるわけですが、大臣、そろそろ期限を区切って結論を出すべきではないでしょうか。

 脱フロンを可能とするフロン税などの経済的な手法についてこれまでどのような検討が行われてきたのか、改めて確認をいたしますとともに、例えば五年などの期限を設けて、フロン類対策としての経済的手法のあり方について結論を出す必要があると考えておりますけれども、今後どのような道筋を考えておられますか、お聞きをいたします。

原田国務大臣 フロン類対策のための経済的手法、いろいろ圧力をかけるという形で、については、冷媒メーカーへの課税、機器メーカーによるデポジット制度、機器メーカーによる課金制度など、対象者を誰にするかを含めてさまざまな手法が考えられてきたところであります。

 こうした経済的手法については、これまでも審議会において議論が行われてきました。その中でも、例えば、回収率向上等の効果、負担の公平性、行政コストといった論点を踏まえて、現在、有識者ワーキンググループを随時開催して検討を継続しているところであります。

 今後も、関係制度や改正法の施行状況も踏まえつつ、結論を出す形で必要な検討を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。委員の御指摘も踏まえて、しっかり検討させていただきます。

長尾(秀)委員 よろしくお願いします。

 次に、開発途上国支援のあり方についてお聞きします。

 国内対策のみならず、世界全体で温室効果の高いフロン類の排出を削減をしていくということが、来年、二〇二〇年から開始されるパリ協定の目指す目標達成のためにも重要であるというふうに思っております。そこで、開発途上国に対する支援についてお聞きします。

 本年一月にモントリオール議定書のキガリ改正が発効して、新たにHFCを対象として、世界的に生産、消費規制が開始をされました。しかし、HFCに限らず、モントリオール議定書の取組では、現在使っているものは使い続けることができるということになりますので、適切に管理や回収などが行われなければ、フロン類が大気中に放出をされてしまうということになります。

 開発途上国においては、フロン類を適正に処理する制度がいまだ十分には確立されているとは言えないと思います。

 一方、我が国においては、フロン類の回収・破壊のみならず、ライフサイクルを通じたフロン類対策について、技術的にも制度的にも知見があると思います。こういう知見をもとに、我が国が開発途上国のフロン類対策を支援をしていく。二国間クレジット制度を活用して、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に寄与をするということも期待ができます。さらに、開発途上国においてフロン類対策を普及させていくことにより、開発途上国からのフロンの排出が抑制をされ、結果としてグローバルな気候変動対策への貢献にもつながるものと考えております。

 以上、申し上げましたが、フロン類対策に関して、開発途上国に対する支援の強化を図っていく必要があると思います。

 フロンの回収・破壊システムや自然冷媒技術こそ、我が国が輸出や普及に力を入れるべきものと考えますけれども、今後どのように取り組んでいくお考えなのか。輸出戦略など具体的方針について環境大臣の見解をお聞きしたいと思います。

原田国務大臣 我が国のフロン回収・破壊システムは、回収量を正確に把握し公表するなど、世界的に誇ることのできる先進的なものであると認識をしているところであります。

 こうした知見を生かして、環境省では、今御指摘もいただきましたけれども、二国間クレジット制度、JCMの仕組みを活用して、発展途上国における代替フロン等の回収・破壊の支援を通じて、世界にフロン回収の取組を普及させていきたい、こう考えているところであります。

 また、グリーン冷媒技術の輸出、普及に向けて、環境省では、省エネ型自然冷媒機器に対する導入補助事業により、自然冷媒機器に一定の需要を生み出すことで、将来的な自立的導入に向けた機器メーカーによる低価格化を促進する、先ほど御説明したとおりでございます。

 また、経済産業省では、グリーン冷媒技術の開発を支援して、日本企業の技術開発を加速して国際競争力を強化していくとともに、国際標準化を図るなど、関係省庁が連携して支援を行い、日本のすぐれた技術を海外に展開するということを目指しているところであります。

 これらの取組によりまして、世界の温暖化防止に貢献するとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつなげていきたいと考えております。

 なお、今、発展途上国への協力については、JCM等を通じまして既に取り組んでいるところでありますけれども、しかし同時に、今、今回こうしてフロン類の法律議論をお願いする過程で、私どもが、やはりこの日本が、このシステム、例えばしっかりした規制システムは、回収・破壊システムを含めまして、日本が世界に本当に誇っていい、非常に先進的なところがあるという意味では、単に発展途上国相手ばかりでなくて、およそ環境政策、みんな取り組んでいる先進国も含めて、日本のこのやり方をやはり各国に届けていく、そういうようなことも必要ではないかな。大事なことは、地球全体でやはりCO2削減、環境を守るという意味では、私ども日本がますますやることがあるな、そう感じておるところであります。

長尾(秀)委員 次に、安全な製品づくりに向けたリーダーシップの必要性という点について、経済産業省さんに、要望も含めてお聞きしたいと思います。

 今後は、地球の環境を意識した施策や取組が求められている時代であります。

 経済の発展ももちろん重要ですけれども、これまで、いろいろ苦い経験も日本はしてまいりました。

 例えば、不燃性で電気絶縁性の高いポリ塩化ビフェニル、PCBは、夢の化学物質と呼ばれていましたが、カネミ油症事件を引き起こしました。また、天然の鉱物繊維である石綿、アスベストについても、不燃性、耐熱性、電気絶縁性にすぐれ、安価であるということで、高度経済成長期には夢の素材として重宝されましたけれども、人体への強い有害性により、現在、多くの労働者や、アスベストを製造していた工場等の周辺住民の方々が健康被害に苦しんでおられます。

 産業界がつくり出し、国が利用を推進をしてきたものが、結果的に、廃棄物の処理、被害者救済という点で、新たに法律を制定しなければならず、対応が迫られている。夢の物質は悪夢となってしまったということであります。

 フロンもまた同様に、無色無臭で毒性がなく、燃えにくいことから夢の物質と言われておりましたけれども、オゾン層を破壊することがわかり、破壊しない物質への転換を迫られ、オゾン層を破壊しない物質を新たにつくり出しても、今度は温室効果が高いということで転換を迫られることとなるなど、その都度対応を迫られ、負担を負わされてきたということです。

 これらをつくり出し、利用を促進してきたものが、人々の健康や環境に影響を与え、経済的負担を強いることが二度とないようにしなければならないというふうに思いますので、こうしたものをつくり出す側が最初から最後までしっかりした責任を負うべきであり、責任を負わせる制度とすべきであると思います。

 産業界の利益のみを優先するのではなく、国民の立場に寄り添って、国民にとって安全、安心な製品づくりが確実に行われるよう、経済産業省としてリーダーシップをとっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

滝波大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国民の安心、安全な製品づくりは経済社会の基本でありまして、フロン類からグリーン冷媒への転換に当たって、その冷媒の燃焼性や、また、人や生態への悪影響等について適切なリスク評価を行い、安全性の確保を図っていくことはもちろん重要なことであります。

 そうした観点から、燃焼性のあるグリーン冷媒につきまして、冷媒漏えい時の着火リスクを評価する手法を確立するための産学官のプロジェクトを昨年度から開始してございます。

 また、弗素系のグリーン冷媒であるHFOを用いることの人や生態に対するリスクにつきましては、他の化学物質と同様に、化審法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく審査の対象となってございまして、同法に基づき、そのリスクを適切に管理しているところでございます。

 代替フロンからグリーン冷媒への転換を進めるに当たっては、今後さまざまな種類の冷媒の開発や使用が行われていくと考えられているところでございます。引き続き、最新の科学的知見を注視しつつ、適切なリスク評価を行い、安全性の確保に努めてまいりたいと思います。先生御指摘のとおり、国民の安全、安心な製品づくり、これにしっかりと努めてまいりたいと思います。

長尾(秀)委員 時間が迫っておりますけれども、最後に環境大臣にお聞きしたいと思います。

 問題が山積をしている原発や石炭火力発電の輸出に力を入れるのではなくて、フロンの回収・破壊システムの整備、代替技術などの開発を進めて、戦略的に輸出していくことこそ注力すべきではないかと思います。我が国が環境先進国であると胸を張って言えるよう、脱フロン、脱炭素の道筋をしっかり描いていただきたいと思います。

 大臣の決意をお聞きしたいと思います。

原田国務大臣 現在、政府におきまして検討中の長期戦略案では、フロン類対策について、段階的な削減を着実に進め、中長期的なフロン類の廃絶を目指すということとしております。また、脱炭素に向けても、今世紀後半のできるだけ早い段階で脱炭素社会をつくり出す、すなわち実質排出ゼロの実現を目指すという長期的なビジョンを掲げております。

 せんだって行われました京都でのIPCC総会でも、京都アピールというのを出して、二〇五〇年までに脱炭素社会を実質的に実現する、こういうこともうたったところであります。

 本年六月のG20までに長期戦略を策定すべく作業を加速して、同戦略のもとで世界の脱フロンそして脱炭素を牽引してまいりたい、こういうふうに思っております。

長尾(秀)委員 原田大臣の御決意、環境省の今後の取組に大いに期待を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの山本和嘉子でございます。

 本日は、フロン類使用に関する管理適正化法についての審議ということで、順次質問を進めてまいりたいと思います。

 今回、修正案が野党からも提出をされております。修正案は、与党案を修正して、より実効性のあるものにしているものであると思います。提出者の方々には敬意を表したいと思います。

 では、まず修正案について質問をさせていただきたいと思います。

 二〇五〇年ごろまでに人為的な温室効果ガス排出をほぼゼロにし、パリ協定一・五度の目標に整合させる必要があるということから、この修正案は、二〇五〇年という明確な目標年を入れることは重要であるというふうに強く述べておられます。そのことに関しましては同意を申し上げます。

 その上で、基本原則の追加について、フロン代替物質とは具体的に何を指すのか、二〇五〇年の目標との関連も含めてお答えいただければと思います。

生方委員 お答えいたします。

 フロン代替物質とは、脱フロン化、低炭素化を推進するため、環境に対する負荷がより少ない冷媒などを指し、環境や人体への影響などが検証されているものが望ましいと考えます。

 例えば、CO2も冷媒として使用されていますが、CO2は森林が吸収することができるものであり、自然界でバランスをとることが可能なものです。

 本年一月に発効したモントリオール議定書のキガリ改定では、オゾン層を破壊する効果を有するHCFCなどの代替物質として普及していたHFCについて、気候変動に悪影響を与えることから段階的な生産、消費規制が行われます。

 こうした情勢を踏まえ、二〇五〇年に脱フロン化を達成するためにも、フロンを環境に対する負荷がより少ない冷媒などに早期に転換していく必要があると考えます。

 以上です。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 続いてお聞きをいたしますけれども、五年と年限を区切った検討条項として、フロン類使用製品の製造又は輸入をなりわいとして行う者に対しての経済的な措置を検討し、実施することとしています。その理由をお聞きしたいと思います。

生方委員 経済的措置については、附帯決議などにおいて検討が求められてきました。政府でも、事例の整理等を行ってきましたが、いまだ結論は出ておりません。

 今回の改正案では、回収率を向上させるために罰則を強化することを肝としていますが、世界的に深刻な気候変動影響が発生している今、これまで以上の温暖化防止策が求められており、フロン回収という下流対策の強化だけでは抜本的な排出抑制策とはならないと考えます。

 脱フロンを目指すため、製造者においては最大限技術開発の努力をしていただく必要がありますが、さらに、製造段階において温暖化係数に応じて経済的な措置を導入するなど、抜本的な対策をとることが必要であると考えます。

 このため、経済的措置の検討及び実施に関して、五年と年限を区切った検討条項を設けることにいたしました。

 以上です。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今回の野党提出の修正案は、脱フロンを目指して、パリ協定の目標に合わせた明確なものであると思います。ぜひ与野党を超えての御賛同をお願いしたいと思います。

 続きまして、政府提出の法案についても質問に入らせていただきたいと思います。

 フロンガスの排出抑制を実際に行うのは、主として都道府県であると思います。しかしながら、現在、フロン排出抑制法を担当する職員数というのが、本庁担当者がおよそ一人、二人であるということと、まだ兼任となっている部分もあると思います。また、事務を委託している出先機関においても、他法令との兼任がほとんどで、全国の都道府県で五百四十一名ということでございます。

 一方で、都道府県における立入検査の実施状況について見ますと、二〇一七年度は全国で二千三百七十九件でありまして、立入検査実施状況の推移を見ますと、二〇一四年度以降には増加傾向にあるということでございます。

 この法律案によって、都道府県による勧告及び命令の対象、そして報告徴収、また立入検査の対象を拡大されて、都道府県の監督権限の拡充が図られるということになりますけれども、フロン排出抑制法を担当する職員数が限られているという状況で、新たに立入検査などが増加することによって、体制の不足というのが懸念されています。

 このため、都道府県がフロン排出抑制法に基づく監督を効率的かつ効果的に実施できるように、運用面において国がサポートを行っていく必要があると思いますけれども、国のその支援策について教えていただければと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、法改正の実効性を上げていくためには、都道府県による指導監督の適正な実施が非常に重要であるというふうに考えてございます。

 今回の法改正でございますけれども、都道府県の限られた人員により効果的な指導監督が行われるよう、ユーザー、解体業者、廃棄物・リサイクル業者、そういった関係の方々が相互に確認、連携をし、機器の廃棄時のフロン類の回収を確保することを意図した仕組みとしてございます。

 国といたしましては、従来から行っております都道府県職員向けの研修や、都道府県への専門家派遣の充実、さらには都道府県職員が事業者に指導監督を行う際に参考となります情報をまとめたハンドブックの改定、加えて、国に毎年集約されますフロン類の充填回収量報告や算定漏えい量報告、こういった情報の整理、分析そして情報提供、これをすることなどを行いまして、都道府県の効果的、効率的な指導監督を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ぜひその取組、進めていっていただきたいと思います。

 続いてお聞きをいたしますけれども、業務用のエアコン又は冷凍冷蔵機器で冷媒としてフロン類が使われている第一種特定製品の廃棄については、建物解体時に行われる可能性がやはり高いということでございます。そのために、機器の廃棄を把握する上で、建築リサイクル法の解体届など、他の法令での届出情報の活用が有効であるというふうにも言われています。

 本法律案でも、都道府県知事は、関係地方公共団体の長に対して必要な資料を求めることができるということによって、実効性が向上されていると思います。

 しかしながら、今も申し上げましたとおり、自治体のマンパワーが不足しているという中では、建築リサイクル法の解体届などの有効な、有用な情報が、解体業者や回収業者そして自治体が自動的に情報を共有できるようなシステム、IoTなどを用いたデータベースの仕組みを整えるとか、そういう実効性を確保できるような対策が必要なのではないかというふうに思いますし、そのあたりの対策などを行っておられるかどうか、お聞きしたいと思います。

森下政府参考人 お答えいたします。

 都道府県のフロン担当部局が建物解体に際しまして指導監督を行う上で、解体場所、日時、そして解体内容等を把握できる建設リサイクル法に基づくいわゆる解体届出、これは非常に有益な情報源でございます。

 他方で、この建設リサイクル法に基づく解体届でございますけれども、戸建てで住宅等も含めて年間三十万件を超える、非常に多数に上るということでございます。これらの中から、業務用、商業用の建築物など必要なものを効率的に活用していくということが極めて重要であるというふうに思っております。

 実は、既に、建設リサイクル法の解体届出を共有しております都道府県の一部におきましては、庁内LANなどの電子情報システムを用いて共有を進めるなど、効率的な情報の活用のための工夫なども行われているというところでございます。

 国といたしましても、都道府県における活用方法の情報収集、そしてすぐれた事例の普及などによりまして、この解体届出の効率的な活用を促してまいりたいというふうに考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、効率的そして効果的な情報の共有などを、国の今おっしゃったようなリーダーシップを発揮していただいて、ぜひお願いをしたいと思います。

 続きまして、現行法においても、特定解体工事元請業者は、解体工事の発注者に対して、第一種特定製品の設置の有無を確認して、その確認の結果を書面にて交付をし、説明する義務が課されているということでございます。

 しかしながら、実際には、事前説明が行われていなかったり、行われたとしても口頭説明で終わってしまうという不履行が多いというふうにも言われております。

 その要因といたしましては、特定解体工事元請業者が必ずしも第一種特定製品に精通しているわけではないということ、そして、回収の重要性、又は法の遵守について正しく認知していないということ、そしてユーザーなどに説明するツールを有していないということなどが指摘されています。さらには、第一種特定製品であることが確認できるわかりやすい表示がないということもその要因というふうにも言われています。

 事業者に対して事前説明を適切に実施させていくためには、今申し上げたような課題に対応できるようなサポートをしていく必要があると思います。そのための取組や方針についてお伺いをしたいと思います。

城内副大臣 お答えいたします。

 解体工事元請業者の事前説明義務につきましては、これまでも、パンフレットの作成や業界団体が開催する講習会の機会などを通じまして、その周知、普及に努めてまいったところでございます。

 フロン類対策を検討する審議会というのがございますが、ここでは、日本建設業連合会及び全国解体工事業団体連合会にも委員として参画いただいておりまして、解体工事業者への周知、普及について、引き続きこれらの団体としっかりと連携して取り組んでまいります。

 具体的には、今回の法改正につきましては、山本委員の御指摘もしっかり踏まえまして、業界への紹介チラシの配布や業界団体の講習会における重点的な周知により、建設解体業界の問題意識のさらなる強化を促してまいりたいと思っております。

山本(和)委員 ありがとうございます。城内副大臣からの答弁、本当にありがたいと思います。

 より現場の状況を国として把握していっていただければと思います。

 また、建物の解体をするに当たっては、建物解体時の廃棄物問題について建設リサイクル法、そしてアスベスト問題などもあると思いますが、それについては大気汚染防止法、そしてフロン類の排出抑制問題についてはフロン排出抑制法と、環境配慮のためにさまざまな対応が必要ということでございます。

 これらは、関係する法律も所管も、また部局も異なっているということから、法制化も含めて、一元的な取組の検討も課題であるとの指摘もなされていると思います。

 このような、建物の解体時における一元的な対応、これについては各省縦割りでは難しいとは思いますけれども、その方向性について、あれば伺いたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、建物の解体につきましては、建設リサイクル法、そしてフロン法、大気汚染防止法、さらには労働安全衛生法、そういったさまざまな法令の規制が及びまして、建設廃棄物の適切な処理、解体工事に伴うアスベスト飛散の防止など、必要となる知識、技術が多岐にわたるということでございます。

 それらの法律は、それぞれの法目的に応じまして、解体時に遵守すべき事項、義務の対象者、そして対象物、手続、そういったものを定めているということでございまして、この届出の一元化を行うことはさまざまな課題があるというふうに考えてございます。

 一方で、本法律改正によりまして、建設リサイクル法に基づく解体届出など、他法令の資料要求規定を創設することとしておりまして、その運用における連携を通じましてさらなる指導監督の強化を図るべく、関係省庁と連携して取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 環境配慮のため、ぜひとも連携強化に努めていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、経済産業省の方にお伺いをしたいと思います。

 代替フロンの生産、消費が新たに規制される中、フロンガスが使用時に漏えいしてしまうことへの対策も大変大事だと思っております。

 平成二十五年の本法改正案では、冷凍空調機器のユーザーによる簡易点検や一定規模以上の機器には専門的な定期点検を義務化する、そして使用時漏えいの抑制に努めるということとされていました。

 合同会議の報告書を見ましても、使用時漏えい対策について、今後、使用時漏えいの実態調査、算定漏えい量報告の分析を通じて二〇一五年に施行されたフロン排出抑制法の効果を見きわめ、冷媒のマテリアルフローのさらなる精緻化も進めつつ、廃棄時回収対策と一体として取り組むことが重要であるという指摘もあります。

 また、管理者の効率的、効果的な点検を促すために、第一種特定製品の稼働状況等のデータの管理、記録が行える機能や、漏えいを自動検知する機能などの、機器のIoT化の技術開発や機器の導入促進、そしてフロン類の漏えいがあった際に感知しやすいような技術開発の検討も必要とされております。

 一方で、このような最先端の研究や検討を待つまでもなく、機器の換気用パイプの継ぎ目対策や、材質劣化の対策などで相当程度漏えいを防げるはずという御意見も聞いておりますが、このような先進的な取組も含めて、使用時漏えい対策のより一層の強化に向けた政府の取組方針についてお伺いをしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでに実施した調査によりますと、冷凍空調機器では機器の種類ごとに年間二%から一七%程度冷媒が排出をしていると想定をされております。

 こうした中、前回のフロン排出抑制法改正において、平成二十七年の四月より、冷媒漏えいを減らすための取組として、機器ユーザーに対して、漏えい防止のための点検、これを定期的に行うこと、そして漏えいが確認された場合、修理をし充填すること、そして一定以上漏えいした場合、国に報告することといった義務を課すこととしております。

 今後、前回の法改正による漏えい削減の効果、これを明らかにするための調査を環境省と合同で実施することとしております。その結果を踏まえまして、必要に応じて対策を検討したいというぐあいに考えております。

 加えまして、委員御指摘のありました、将来的には、IoTによる機器、冷媒情報の統合管理といった先進的な取組につきましても検討していきたいというぐあいに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、連携強化していっていただきたいと思いますが、続いて、経産省の方にも更にお伺いをいたします。

 機器廃棄時のフロン類の未回収が六割強あるということでございますが、そのうちの半分強は機器廃棄時に回収作業が実施されなかったことが原因でありまして、本改正案による罰則の強化などによって回収率の向上が見込まれていると思います。

 しかしながら、廃棄時の回収率を二〇三〇年に七〇%とする目標の達成に向けて、さらなる回収率の向上を図っていかなければならないと思います。そのためには、残りの未回収分の改善が大事であると思います。

 現在のフロン回収は、回収後の機器に多くのフロン類が残存して、結果的に大気中に放出されてしまうということでございます。フロン回収率を高めていくには、回収機の性能を高めるような回収技術の見直しが不可欠だと思います。

 回収技術の向上を図って技術開発を進めるなど、対策を早急に行うことも必要だと思いますけれども、フロン類回収率を向上させるために、技術的な検討を含めて、今後、具体的な対策があれば教えていただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、環境省と合同で実施をいたしました廃棄時回収率低迷の要因分析によりますと、フロン排出抑制法に違反をしてフロン類の回収自体が行われないといった場合のほかに、特に配管が長いビル用のマルチエアコンなどの機器で、回収作業は行われているんだけれども、回収し切れずに冷媒が機器内に残ってしまう場合ということがあるということが判明をいたしました。

 こうした、回収作業を行っても回収残が生じる理由につきましては、これについては専門家あるいは関係者間でも意見が少し分かれておりまして、回収方法や手順に課題があるのか、あるいは、冷凍空調機器の回収機などの技術面、これに課題があるのかにつきましては、更に知見を集積して検討を行う必要があるというぐあいに考えております。

 このため、環境省と共同で、技術的知見を有する専門家の協力を得まして、さらなる要因分析を進める場を今年度立ち上げるということとしておりまして、その分析の結果に応じて、御指摘の技術開発も含めまして必要な対応策を検討してまいりたいというぐあいに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、技術開発、進めていっていただきたいと思います。

 続きまして、時間も少しなくなってまいりましたので、一つちょっと質問を飛ばさせていただいて、本改正案では、第一種特定製品廃棄を実施する者から充填回収業者へのフロン類の引渡義務の適切な履行確保をするために、引渡義務違反及び行程管理票の交付などに係る違反について、直接罰を設けて罰則を強化することによりまして義務違反の抑制効果を高めるなど、実効性を向上させることとしております。

 このフロン類の引渡義務に違反した場合、第一種については五十万円以下の罰金が科され、また、フロン類の引渡しに関する書面の交付義務そして保存義務などの書面違反については三十万円以下の罰金が科されるということになっています。

 これらの金額で果たして抑止力となるのかどうか、要は、罰金が少し安いのではないかなというふうには思うんですけれども、現在の罰金額が妥当なのかどうか、その考えについてお伺いをしたいと思います。

原田国務大臣 再三説明しておりますように、今般の改正案は、機器ユーザーと廃棄物・リサイクル業者等の双方を罰則の対象としていることでございます。ユーザーの回収義務違反による未回収を防止して、機器廃棄時に冷媒回収作業が確実に行われる仕組みを構築しようとしております。

 機器ユーザーの回収義務違反、廃棄物・リサイクル業者等の引取り禁止違反ともに、その罰則は五十万円以下の罰金となっております。ただ、安いか高いかにつきましては、仮に罰金を科された場合には社会的信頼を大きく損なうということとなるため、本改正により、違反が直ちに罰則の対象とすることは十分な抑止力を持つものではないかと私ども考えているところであります。

 まずは、改正法の施行による廃棄時回収率の向上に全力を尽くして、罰金額の引上げといった厳罰化については、今後の施行状況等を踏まえながら必要に応じて検討したい、こう考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 例えばなんですが、こういう解体などを行う中で悪質な業者とかも出てくる可能性もあるかなというふうにも思っています。罰金が低いとすればそうした業者の抑止にはつながらないのかなというふうにも思いまして質問させていただいたんですけれども、今後段階を踏んで検討されていくということですので、何らかのこれからの手段を講じていっていただきたいと思います。

 最後に、また大臣にもお伺いをしたいんですけれども、フロン類の対策強化は、国を挙げて取り組むべき課題だと思っています。この法律の目的は、二〇二〇年に廃棄時回収率五〇%の達成を目標として、目的としておりますけれども、野党提出の修正案では、二〇五〇年に脱フロンを達成するというふうにしています。それが日本が一・五度目標を達成するためにも必要だと考えるからなんです。

 フロン類は、家庭用エアコンや家庭用冷蔵庫などにも使用されてきた身近な物質で、オゾン層を破壊する物質であるということは知られていますけれども、しかしながら、地球温暖化をもたらす物質であるということは、国民的な理解がまだまだ浸透されていないのではないかと思います。六月のG20開催が間近に迫っているという中で、国際的にも恥ずかしくない対応をしていく必要があるのではないかと思います。

 そこで、本改正案も含めたフロン類対策について、国民的理解を増進していくための今後の具体的な方針について大臣にお伺いしたいと思います。

原田国務大臣 山本委員が今御指摘されたように、フロン類というのは、まずは、地球のオゾン層を破壊する一番悪い要素だということから、それがモントリオール会議等でしっかり規制をされてきたところであります。あわせて、それでは、かわるようなものについて、代替フロンとかまたグリーンフロンというような格好でだんだん改善はされておりますけれども、しかし、オゾン層対策は大分解決されてきたとしても、今度は、一方で、地球温暖化対策、温室効果ガス効果は非常にまた大きなことで、そういう意味では、いずれにしても、この両面からやはりフロン類をしっかり抑制するということが大切ではないかな、こう思っております。

 先ほど、私、少し申し上げたと思うんですけれども、そういう日本の進んだ技術、実は法制度的には一番日本が進んでいるというか、抑制や使用というのは大体国際的に決まっていることでありますけれども、同時に、ここまで、はっきり言って日本のように厳しい規制、分析も含めてやっているのは、あるいはほかの国では余りない。EUが大分そういうことで進んでいる、やっているようですけれども、いずれにしましても、それをひとり発展途上国相手ばかりでなくて、国際的にも、日本の経験も踏まえて皆さん方に訴えるということも大事であると思いますし、同時に、それは今度のG20でも、私が議長をやりますから、そういう観点から各国の皆さんにもそれを紹介したり、またお願いしたい、そういうことを考えております。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 大臣、具体的に意気込みをしっかり述べていただいたので、本当に心強いことだと思うんですが、野党提出の修正案も含めて今後しっかりと検討もしていっていただきたいと思いますし、フロンの影響を本当に自分事のように考えて、日本全体が、そういうフロンに対する認識も含めて、地球温暖化に対する意識をもっと深めていただけるような取組、環境省始め政府一丸となってやっていただきたい。そのことを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 今から数日前の十五日のことになるんですけれども、ハワイにあるマウナロア観測所というところが、地球の大気中のCO2濃度の最新値を発表したという報道がございました。私、専門ではないので細かいことはわかりませんけれども、四五〇ppmという数字が出たそうであります。ちなみに、産業革命前の大気中の濃度は二八〇ppmということで、産業革命以降、その数値が数十%上がっているという状況というのが実際にデータで確認をされまして、もちろん史上最高値を記録したということでありました。

 今現在、御存じのように、地球温暖化対策というのが地球規模の社会問題になる中で、今回のオゾン法についても、法律の成立当初はオゾン層破壊を防止するための対策でしたけれども、代替フロンの普及が進んで、オゾン層破壊ではなく、今度は地球温暖化係数が高い代替フロンがふえてきたということで、地球温暖化対策という要素が今強くなってきたわけでありますけれども、やはりパリ協定で取り決めた世界共通の目標を達成するために、日本としてもこの目標に対してしっかり取り組んでいかなければいけないと私は思いますし、今回、このフロン法、その中でも重要な法改正だと私は思っておりますので、ぜひともその法律の実効性を高めていきたいと思う観点から、本日質問させていただきたいと思います。

 まず、本日の委員会の中でも何度か質問が出ておりますが、改めて、現在のフロンの回収状況というものをお聞かせいただきたいと思います。最新値に加えて、できましたら回収の年次経過、これまでの推移も含めて御答弁をいただけましたらと思います。よろしくお願いします。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 フロン類の廃棄時の回収率でございますけれども、さかのぼりますと、平成十四年のフロン法の施行以来、十年以上三割程度という数値でございました。平成二十五年に法改正がございまして、この法改正でユーザーが機器の管理者として法律上に位置づけられたことで、機器の適切な管理に対するユーザーの認識が高まったということがございまして、廃棄時回収率も一定程度向上をいたしましたが、二〇一七年でその数値は三八%ということになっておりまして、現在、直近でも四割弱というふうになっているということでございます。

浅野委員 どうもありがとうございました。

 現在、二〇一七年時点で三八%ということで、これが低いという課題は全員共有しているのではないかというふうに思っております。

 今、政府の資料では、二〇二〇年にこの目標を五〇%、そして二〇三〇年に七〇%というふうに置いているわけですけれども、これは、これまで長年にわたって取り組んできたにもかかわらず、なかなか回収率が上がらない、この原因をしっかり分析して、実効的な対策をとっていかなければいけないというふうに思います。

 そこで、改めて確認させていただきたいんですが、過去の法改正の際、附帯決議の中で、この回収にしっかり取り組む旨の決議をしてございます。資料の二と資料の三に、平成十八年改正時に衆議院における附帯決議の内容、そして、平成二十五年改正時の同じく衆議院における附帯決議の内容というのを記載してございますが、それぞれ赤線を引いた部分について、回収が確実に行われるように、周知を徹底して、適切な指導助言を行う、そして関係者の自主的な取組を推進すること等の決議がなされております。

 まず伺いたいのは、過去のこうした附帯決議を受け、取り組んだ回収率改善策、そして、それでもなお現在三八%という現状なんですけれども、主な要因というのを、改めて整理をしながら御答弁をいただきたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました資料の二の、例えば平成十八年改正における附帯決議への対応ということでございますが、まず、赤線が引いてございます、本制度の周知を徹底し、適切な指導、助言を行うとともにというところでございますけれども、こっちの附帯決議を受けさせていただきまして、平成二十五年のフロン法改正以降、平成三十年末までに、都道府県、業界等を対象に、全国で百回以上の説明会を開催してきてございます。また、ユーザーの皆様方等に対しまして、パンフレットを六種類のものをそろえさせていただいて、計十二万部、これを配布して周知を図っているというところでございます。

 めくりまして資料の三の部分でございますが、最初の赤い線の部分でございますが、平成二十五年改正の、適切な施行に取り組むことということで、こちらにつきましても、改正法の説明会の開催ですとか業界団体の説明会への説明員の派遣、そういったことを実施しまして適切な施行に取り組んできたというところでございます。

 その下にあります五番目の赤線の部分でございますけれども、これは、いろいろなさまざまなフロンの回収に関するデータの精度の向上等々でございますけれども、フロンの廃棄時の回収率を算定するに当たりまして、ちょっと専門的になりますが、分母となる数値でございますけれども、これは、フロンを含んでおる機器の別に、出荷台数、そういったデータを用いまして算出しているということでございます。

 この算出方法につきましては、随時、有識者の方々からアドバイスをいただく、あるいは業界への実態ヒアリング、こういったことを行って適切に精度を確保する、そして改善するということを行ってきてございます。

 七ポツにまた赤線の部分がございますが、これは周知の部分でございまして、先ほど申し上げました、平成二十五年以降、都道府県、業界等を中心に、今さまざまに説明会を実施、あるいはパンフレットをつくっているということでございます。

 しかしながら、廃棄時の回収率、依然として四割弱にとどまっているということでございまして、要因分析を経産省さんと一緒に行ったところ、冷媒未回収部分のうち半分強が回収作業自体が行われていない、そういうことに起因をしているということがわかりました。また、特に、建物の解体時に廃棄される機器について回収実態が低調であるということが明らかになっているということでございます。

浅野委員 どうも御答弁ありがとうございました。

 これまでの附帯決議の内容に対応する形で説明会やパンフレットの作成、配布をしてきた、また、正確な回収量を見積もるための算術的な方法の見直しも行ったということでありますが、それで、最終的な要因分析結果が、実は回収しなければいけなかったものが回収されていませんでしたというのは、はっきり申し上げれば大変残念であります。

 やはり、こういうルール、あるいは周知活動というのは、実際に相手の行動に反映されなければ、全くやった意味がないと言われても仕方がないことでありまして、ぜひとも要因分析結果を次は事業者の行動に結びつけるような対策をとらなければいけないと思います。法案の中身に入る前に、この点に関して、大臣の御見解を伺いたいと思います。

原田国務大臣 浅野委員が御指摘されるまでもなく、こういう行政規制法というのは、まず法律で改定だけでは、はるかに十分でありません。まさに結果が出て、結果を出して、それが意味があったということではないかと思っております。

 平成二十五年改正における、ユーザーが機器の管理者として法律上位置づけられ、ユーザーの適切な機器管理の認識が高まったことで廃棄時回収率も一定程度向上はしたというふうに見ておりましたけれども、一方で、回収率は依然として四割弱にとどまっており、さらなる対策が必要なことも事実でございます。

 今般御提案する法改正により、フロン類の回収率が確実に向上するよう厳しく取り組んでまいりたい、法の運用を取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

浅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いての質問に移りたいんですが、この法案の中身で、直接罰を導入するですとか、自治体に協議会を設けて、その実効性を高めていくという対策もある程度盛り込まれているというように理解をいたしております。

 私がこれから議論したいのは、実際に、では回収事業者がちゃんとこの法の趣旨にのっとって回収作業をしてくれるときになったときに、次なる壁がまだあるんじゃないかというふうに思っています。

 一つは、政府の要因分析によれば、残存する、回収し切れなかった冷媒がなぜ回収し切れなかったのかというと、一つは今御答弁をいただいた、そもそも回収をしていなかったからという理由であります。もう一つは、回収作業はしたんだけれども、実はタンクの中にまだ残っていました、そういう要因もあるわけです。

 私は、これからこの法の趣旨がしっかりと履行された場合に次の壁になるのは、回収作業をしてもなお残る冷媒をいかに減らしていくか、ここについてもしっかり考えていただかなければいけないかなというふうに思っています。

 そこでですけれども、ここからは少し提案的な質問になりますが、実際に回収するときの方法としては、ガスの状態の冷媒をガスの状態のまま回収するという方法と液体の状態の冷媒を回収するという、大きく二つの方法があるそうなんですけれども、気体のまま回収する場合ですと、気体だけ吸い取っても、実は中に液体状のものがまだ残っているというケースがどうやら多々あるようなんですね。

 業者としては、全部、ガスがもう出てこなくなったから回収は済んだという判断をして回収済みということにするんですけれども、実際にはそうではないケースもある。であれば、その機器自体にまだガスが残っているということを表示する機能、あるいはそういった手段を備え付けるような対策も講じていくべきではないかというふうに思うんですけれども、この機器自体のフロンの回収状態、これを見える化していくという必要性について、政府はどのようにお考えなのか御答弁をいただきたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 回収をされたフロン類でございますけれども、現状では、ボンベに回収した重量を測定しまして行程管理票に記録をする、そういう仕組みがもう既に導入をされております。これをチェックしますと、関係者が回収量を把握できるということになりまして、回収量が非常に少ない場合は、ユーザーがあれっということで気がつく、そういうことができる、そんな仕組みとなっております。

 それを申し上げた上で、この機器の表示機能につきましては、配管中の冷媒量の把握と申しますのが困難、あるいは技術的な課題もあるかというふうに考えられますけれども、いただいた御指摘も踏まえながら、いかに冷媒を回収するときの回収残をできるだけ、可能な限り減らすことができるか、その対策について、技術的な検討を私どもも進めてまいりたいというふうに考えてございます。

浅野委員 ぜひよろしくお願いします。

 ここはある程度、製造メーカー側との共同も必要になってくると思いますので、ぜひ政府としても積極的な姿勢を示していただきたいと思います。

 そして、今少し触れていただきましたが、これは回収作業のときの作業効率というのも高めていかないといけないと私は感じています。

 資料の四には、冷媒の市中ストックと使用機器の台数というのを、環境省の方からいただいた資料なんですが、下に、機器台数というのが約二億台、市中にはあるというふうに書いてあります。これからこれが、一気にではないけれども順次回収作業を行っていかなければならないんですが、私、少し勉強させていただきまして、冷媒回収作業をどのようにやるのかというのをちょっと確認をいたしました。

 簡単に申し上げれば、回収する例えばエアコンの室外機に圧力計をまず取り付けて、その圧力計を介してコンプレッサーにつないで、このコンプレッサーはガスを中から引っ張る役割なんですけれども、このコンプレッサーで引っ張ったガスを大気の温度に合わせるための熱交換器を取り付けて、その先に収納するタンクを接続するんですね。

 これは毎回毎回その接続作業からスタートをしなきゃいけない。これを大量に発生する廃棄物一つ一つにやっていくというのは大変な作業なわけです。非常に人件費もかかります。ですから、これからしっかり回収作業をしていくというためには、この作業効率を上げるための対策も必要だと思うんですが、これについても政府の答弁をいただきたいと思います。

森下政府参考人 冷媒を回収するときに回収残が出るということでございますけれども、なぜ回収残が出るのか、その要因につきましては、専門家、関係者の間で今意見が分かれているという状況でございます。

 このため、環境省、経済産業省共同で、専門家の協力もいただきながら、技術的見地から要因分析と対策の検討を今後進めていく予定といたしているところでございます。

 いただいた御指摘も踏まえて、まずは要因の分析を進めて、その結果を踏まえて適切な対策を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

浅野委員 ぜひよろしくお願いします。

 次は、一般の事業者からいただいた声を少し、一つ紹介をしたいと思います。

 今、とにかく作業に時間がかかるんだ、そういう話をさせていただきました。これは実際、現場からもこういう声は上がっておりまして、時間をかければ、ポンプを真空に引いてから作業を開始できるんだけれども、契約した料金ではそんな時間をかけることができない、その結果、吸引が中途半端になってしまう、そんな声もあります。また、そもそも、回収業として見合う正当な金額で発注されていないことが問題だと。その結果、回収する機器の金属くずみたいなものは有価物なんですけれども、そこに含まれているフロンガスというのは、業者からしたら、コストが発生する厄介者のような位置づけになってしまっているんですね。

 ですから、取引環境を改善するということも非常に重要な課題になっていくと思います。これについても、引き続き政府の方から答弁をいただきたいと思います。

森下政府参考人 お答えいたします。

 フロン類の充填回収業者につきましては、都道府県知事の登録制という制度がもう導入をされてございます。また、省令で定めます回収基準というものがございまして、この回収基準に従って回収作業を事業者の方々が行っていただくということが既に法律に基づいて義務づけられているということになっておりまして、充填回収業者による不適切な回収行為は抑止できる、そういう仕組みが既に導入をされているというふうに考えてございます。

 また、費用のお話ございましたけれども、フロン類の回収にかかる費用につきましては、法律上、第一種特定製品の管理者において負担すべきものと明確に規定をされてございまして、関係業者に対しまして、引き続きその趣旨の周知を徹底してまいりたいというふうに考えてございます。

浅野委員 ぜひよろしくお願いします。

 大臣、これまでの、何点か提案型で質疑をさせていただきましたが、まずは回収残りがないかどうか、機器自体にそういう見える化の対策をとることですとか、あるいは、そもそも煩雑な作業をもっと簡便にできるような対策をとるですとか、今申し上げた取引環境の改善、こういったことが、この法案が成立したとしてもなお残っていく課題になっていくと私は思っていますが、こうした環境の整備、対策等に向けて、大臣の方から一言いただければと思います。

原田国務大臣 委員おっしゃるように、いかにその法律が目指した、政策の目指した方向で実効性が上がるかということが大事なことだと思っております。

 今、非常に技術的な観点からも御提案いただきましたけれども、どうしても、回収残りがたまったのでは余り意味がないといいますか、お聞きしますと、パイプによっては、百メートルぐらい長いパイプがありまして、そうすると、それを真空で吸引するとか、コンプレッサーで押し出すとか、いろいろ方法はあろうかと思いますし、また、御指摘のように、関係する業者といいますか業界がどういうような取引の中で皆さんが仕事をしているかというのは、これも非常に大事なことでございます。

 また、見える化という御提案もありまして、その辺がやはり、みんなが公明正大にかかわりながら、その中で、あるいは、いろいろな意見、またいろいろな技術改善等の意見等も出てこようかと思いますので、その辺も踏まえて行政の側でしっかりまた取り組んでいきたい、こう思っております。

浅野委員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 本当に地球温暖化対策、このフロンの回収率向上一つとっても、直接罰を設けるとか、あるいは、地域で協議体をつくるだけではやはりどうしてもクリアできない現場の課題というのがございます。そうしたところも念頭に置きながら、運営という、行政からの管理監督、助言というものはしていかなければいけないと思いますので、この観点はぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 私たちの子供や孫や、未来の日本に住む皆さん、あるいは世界に住む皆さんがこの影響を受けますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続いての質問に移りますが、資料の五をごらんください。

 これは、ちょっと簡単にお伺いします。

 キガリ改正に基づく国全体のフロンの消費量の変化ということなんですけれども、このペースでいくと、二〇二九年以降、この基準を逸脱してしまうおそれがあるということで、グリーン冷媒技術の開発というのが急がれるわけであります。

 ここについて、これまでの答弁でも答弁いただきましたので、きょうは、時間の都合もあり、意見にとどめさせていただきますが、ぜひESG資金等の民間資金が流入するような仕組みも考えていただけないかというお願いであります。

 済みません、時間の関係で、これはこれのみにさせていただきます。

 続いて、野党の提出法案について質問させていただきますが、今回、野党提出法案の中では、基本原則を追加すべきという提案がなされております。

 その内容については、ここではあえて申し上げませんが、どれも趣旨としては私は妥当なものであろうかと思っておりますが、改めて、この追加の背景と狙いについて、お答えをいただけますでしょうか。

小宮山委員 質問ありがとうございます。

 近年、気候変動対策が急務となる中で、政府においても、フロン類の排出を抑制するための施策の検討が進められているようでありますけれども、委員も御指摘のとおり、遅々として進まず、実効性が上がっていないのも現実でございます。

 冷媒代替を進めることは、高い技術力を有する我が国の企業の成長のため、市場環境を整え、国際展開を後押しすることにもつながります。

 そこで、本修正案においては、基本原則を定め、グリーン冷媒の普及を図ること、フロン類の循環的な利用を進めること、フロン類の適正な管理を行うことにより、可能な限り、二〇五〇年までにフロン類の大気中への排出をゼロとすることを目標とし、その期限を明記して、重点的な施策の実施を行うこととしております。

 この基本原則を追加して、施策の方向性を示すことで、温暖化対策をより進めることを狙いとしております。

浅野委員 どうもありがとうございました。

 今の答弁の中でもございましたけれども、目標を決めて取り組むべきであると。非常に重要な点だと思います。

 やはり、これまでの議論も通じまして、しっかりこの法制度が市場において履行されるように、その結果、目標が達成されるわけですから、何度も申し上げますが、ぜひ実効性を高めていただきたい。お願いいたします。

 最後の質問に移りますけれども、海外におけるフロン回収、破壊、再生処理等に対して、こうした日本の取組というのがどのように貢献していくべきなのか。海外に向けた日本政府としての方針というのを最後に御答弁いただきたいと思います。

原田国務大臣 我が国のフロン回収、破壊、再生処理のシステムは、回収量を正確に把握し公表するなど、世界的に誇ることのできる先進的なものである、そういうふうに認識をしております。

 こうした知見を生かして、環境省では昨年度から、二国間クレジット、JCMの仕組みを活用して、代替フロン等の回収・破壊を実施する事業への支援を開始したところであります。

 今後も、こうした取組を通じまして、ひとり発展途上国相手ばかりではなくて、世界各国にもフロン回収、破壊、再生の仕組みを、経験者として、また先進的な技術者として進めていきたい、こういうふうに考えております。

浅野委員 どうもありがとうございました。

 本日、私の質疑はこれで終了させていただきますが、最後にちょっと、次の西岡先生の許可をいただいて、一言申し上げたいことがございます。

 十五日から、今、茨城県の常総市というところの廃材置場で火災が発生をしておりまして、三十七時間経過した昨夜の段階でもまだ消しとめられていないということなんでございます。

 廃材置場の適切な管理、処分という面については、廃棄物処理法というのを国は改正して、しっかりと保管方法、処理方法というのを改めるように取り組んでまいりましたが、今回こうした火災が起きて、今、周辺の学校の子供たちは健康上の問題が発生しており、また、この地域の産業にも影響が出ているということであります。

 今回の法案の内容とは異なりますけれども、環境の視点からも、こうした廃材の管理という面では、ぜひ、今後、環境省の方から関係者に対して適切な啓発活動を行っていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。法案についてきょうは質問をさせていただきます。

 早速質問に入らせていただきます。

 現在のオゾン層の状況についてお尋ねをいたします。

 従来から使われておりました特定フロンがオゾン層を破壊するということがわかりましてから、一九八〇年代からは、それにかわって代替フロンが広く冷媒で使われておりましたけれども、この代替フロンについても、二酸化炭素に比べて一万倍の温室効果があるということがわかり、今回、この代替フロンも規制の対象とされまして、ことし一月にこの規制が発効をいたしております。

 二〇二〇年には特定フロンは全廃の予定であり、代替フロンも二〇三六年には八六%の削減目標となっております。

 今後は、温暖化の影響のないグリーン冷媒に置きかえていくことが大変急がれるわけでございますけれども、フロンのさまざまこれまでの規制によって回復傾向とされるオゾン層でございますけれども、現在どのような状況にあるのか、また、今後の予測についてお尋ねをいたします。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 南極域で毎年形成をされておりますオゾンホール、その規模でございますけれども、特定フロン等の大気放出によりまして、一九八〇年代から一九九〇年代半ばにかけて急激に拡大をいたしましたが、お話にありましたモントリオール議定書に基づきまして特定フロンの生産及び消費が国際的に規制されたということで、一九九〇年代後半以降は、年々変動ございますけれども、回復傾向にあるということでございます。

 WMO、世界気象機関、そしてUNEP、国連環境計画が取りまとめをしましたオゾン層破壊の科学アセスメント二〇一八報告書によりますと、南極オゾンホールが、オゾン層破壊が顕著になる前の指標とされております一九八〇年の量に回復するのは二〇六〇年代であるというふうに予測をされているということでございます。

西岡委員 さまざまな取組で改善傾向にあるということでございますけれども、一方で、昨年のモントリオール議定書の会議におきまして、東アジアで相当量のCFC11と言われる特定フロンが放出をされているということが報告をされました。一方で、放出されているだけではなくて生産されている可能性もあるということを指摘されたというふうに聞いておりますけれども、このことについて我が国としてどのように捉えているか、また、何かこのことを受けて国際的な取組があるのかどうか、このことについてお尋ねをいたします。

森下政府参考人 今お話のありました特定フロンでありますクロロフルオロカーボン、CFCでございますけれども、これは、国連の全加盟国が締約国となっておりますモントリオール議定書のもとで、生産、消費を二〇一〇年までに全廃するということとされておりまして、締約国は現在もこれを遵守をするという義務を負っているという状況でございます。

 我が国は、モントリオール議定書のもとで、ほかの締約国と一緒にオゾン層の保護に取り組んできておりまして、このCFCに関しましても、自国としての議定書上の義務は完全に履行をしているという状況でございます。

 御指摘の問題につきましては、これは昨年の五月に、議定書に基づいて全世界で製造が全廃済みのはずのCFC11の排出量が二〇一一年以降に増加をしておる、東アジアで違法製造、排出されている可能性が高いということが科学論文におきまして示唆をされたことを受けまして、昨年十一月のモントリオール議定書締約国会議においても議題となったということでございます。

 その結果、議定書の専門家パネルに対しまして、CFC11の放出状況や想定される発生源に関する調査、報告を行うことを求めるとともに、全ての締約国にCFC11全廃を徹底するための措置を講じるよう呼びかける締約国の決定が採択をされたということでございます。

 環境省としても、外務省や経済産業省さんと連携をしまして、議定書の枠組みに基づいて必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回の法改正につきましては、お配りをしました資料を配らせていただいておりますけれども、フロン類の対策については、この資料にあるように、さまざまな法を通じて、またいろいろな対応を通じて今まで対応をとってきていただいておりますけれども、二〇二〇年に五〇%、二〇三〇年に七〇%という目標がある中で、二〇二〇年五〇%を目前に控えた今、この法改正が行われているということ。先ほどから議論があっておりますけれども、なぜこのような、ぎりぎりの対応と申しますか、五〇%の達成を目前にした中での法改正となったかということについて、簡潔にお答えをお願いいたします。

森下政府参考人 御指摘もございましたけれども、このフロンに対する取組というのは、適時、法律の強化、制度の強化ということがなされてきてございます。

 直近になりますと、平成二十五年の法改正がございまして、この法改正が平成二十七年四月に施行されまして、その効果を見たところ、現状のままでは二〇二〇年度に五〇%の目標を達成することは困難というふうに考えられることから、必要な調査、分析を行いまして、対策を取りまとめたということでございます。

西岡委員 先ほどもお話をちょっとさせていただきましたけれども、今後、グリーン冷媒を導入していくということが大変大きな課題であると考えております。

 環境省においては、脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業ということを展開をされておりまして、ことしは、予算が昨年度から十億円ふえて、七十五億円の予算が組まれておりますけれども、なかなかこの導入というのがコスト面で進んでいかないという状況があると思いますけれども、現在の利用状況、またこの冷媒機器の導入状況について、また、この補助を受けるための事業者の要件について、簡潔に御答弁をお願いいたします。

森下政府参考人 脱フロン、低炭素化社会の早期実現のための省エネ型の自然冷媒機器導入加速化事業でございますけれども、平成三十年度は、対象の事業者として、冷凍冷蔵倉庫、そして食品製造工場、そして食品小売店舗、こういった対象を補助事業の対象といたしまして、省エネ型の自然冷媒機器の導入補助を実施をしているということでございます。

 補助実績でございますけれども、全体で二百十六件、約六十億円でありまして、その内訳としましては、大手の企業で百六十九件、二十九億円、中小企業四十七件、三十一億円等々となってございます。

西岡委員 先般環境委員会で視察に行かせていただきました東京団地冷蔵株式会社、ここの機器がまさに環境省の補助事業で導入をされた機器でございます。大変珍しい形式の、団地方式の冷蔵倉庫でございましたけれども、脱フロン化を目指して、省エネ型自然冷媒、アンモニア、CO2使用の省エネ冷凍設備を補助金を使って導入をされております。

 このときにさまざまお伺いをいたしましたけれども、やはり補助金がないと、コストが大変高い状況で、一般の一・三倍やはり今費用がかかるということで、ただ、この自然冷媒については大変省エネ効果が大きいというメリットがあるという御説明がございましたけれども、なかなか、大企業、大手の企業では導入することができますけれども、中小の企業、また地方においてはまだまだ大変難しい状況もあると思いますし、なかなか、全て建てかえるというような機会でないと導入することが難しい。また、中小企業においては、フロン以外にも、耐震の問題など、ほかに早急に対応しなければいけない課題があって余裕がないという、そのような状況もあるとお聞きをいたしました。

 また、一方で、配管等からフロンが漏れているケースも大変多いという現実もございますので、このメンテナンスという面も大変重要な側面ではないかというふうに思っております。

 今後、中小企業も含め、また地方も含めて、導入促進のために、また、今回この事業にプラスして、さまざまな取組について、今後の予定等ありましたらお尋ねをいたしたいと思います。

森下政府参考人 省エネ型の自然冷媒機器の導入でございますけれども、これは、先ほどお話もございましたとおり、若干その初期コストの面で高いというところがございまして、初期市場をつくっていく、そうすることによってコストを下げて、自立的に導入が進んでいく、そういうことを起こしていく必要があると思っております。

 引き続き、この事業を適切に実施すること、さらには、大企業に加えまして中小企業にもしっかりとこの補助金を使っていただく、そういった工夫もさせていただきながら、この取組を更に進めてまいりたいというふうに考えてございます。

西岡委員 今言われたように、中小企業また地方もこの補助金を利用しやすい仕組みというものについても今後取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、質問させていただきます。

 環境省とともに、経済産業省についても、省エネ化・低温室効果を達成できる次世代冷媒・冷凍空調技術及び評価手法の開発事業という事業を行っていただいております。この事業内容、また昨年の実績について御説明をいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーン冷媒は、一般に、燃焼性を有したり等々の物性面の課題がございます。また、冷媒量が大きく冷暖房用途の家庭用、業務用エアコンでは転換のめどが立っていないという現状でございます。

 また、二〇二九年以降、基準値比七〇%削減という厳しい義務の達成というのは、これは日本にとっても非常に大きな挑戦であります。他方、これは他国にも厳しい削減義務が課される中で、日本が世界の新たな市場を獲得するチャンスでもあるということであります。このため、グリーン冷媒の技術の開発に産学官が一体となって取り組んでいるところでございます。

 グリーン冷媒、燃焼性を有するものも多く、漏えいした場合に着火リスク、これを考慮する必要があるということでありますので、ただ、他方、この評価手法は確立をしていないということでございます。

 経済産業省においては、平成三十年度から、燃焼性に関するリスク評価手法、これを世界に先駆けて確立する産学官のプロジェクト、これを開始したところでございます。その成果は国際標準化を図り、日本のすぐれた技術を海外に展開するということを目指しているところでございます。

 加えて、今年度からは、民間事業者におけるグリーン冷媒及びそれを用いた機器の開発に対する支援制度、これを創設したところでございます。

 こうした取組によって、日本は更に世界のフロン類対策に貢献をするとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつなげていきたいというぐあいに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 日本のすぐれた技術力をぜひ国際的な、地球規模の温暖化防止のために役立てていくということが、大変日本における大きな一つの役目であるというふうに思っておりますし、配らせていただいた資料の冷媒代替現状マッピングに書いてありますけれども、まだ代替技術が確立をしていない分野については、ぜひこの技術開発に早急に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、野党提出の修正案につきまして質問をさせていただきます。

 今回の野党提出の修正案においては、法改正の四つの原則を規定して、二〇五〇年までにフロン類の大気への排出がなくなることを目指すと、政府案より一歩踏み込んだ内容となっております。また、五年後の見直しや、業者への経済的な負担についても検討事項に明記されております。

 パリ協定を見据えて明確な方針を示しているというふうに思っておりますけれども、この修正案の趣旨について御説明をお願いいたします。

小宮山委員 委員御指摘のとおり、本修正案は、基本原則を明記することにより、政府案よりも踏み込んで、できるだけ二〇五〇年までに、さらには前倒しをして脱フロンを達成するための施策の方向性を示すものでございます。

 さらに、一般的な検討条項に加え、更に踏み込んだ施策の検討についても、本法施行後五年をめどとして政府に義務づけています。

 具体的には、フロン類の排出の抑制のために必要な措置のあり方として、フロン類使用製品の製造及び輸入の禁止そのほかの規制をすること、フロン類使用製品の製造又は輸入を業として行う者に対して経済的な負担を課すことについて検討することが明記されております。

 これらの施策により、より実効性のある温暖化対策を進めることにつながる修正案となっております。

西岡委員 ありがとうございます。

 政府案も、対策を強化していただいたということについては大変評価するものでございますけれども、やはりこの脱フロンというような大きな課題については、明確な理念や目標を掲げるということも大変必要なことではないかというふうに思っております。

 それでは、まだ少し時間がございますので、政府案について、戻りましてお尋ねをさせていただきます。

 今回の法改正の実効性のためには、機器廃棄またリサイクル業者、充填回収業者、制度実施を監督する都道府県の関係者など、関係者間の連携が極めて重要となると考えております。この関係者間の連携の取組について御説明をお願いいたします。

城内副大臣 西岡委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘のとおり、この法改正の実効性を上げ、廃棄時回収率の向上を図るには、関係者間の連携強化が極めて重要であります。

 本改正では、充填回収業者や廃棄物・リサイクル業者等の関係者を構成員として、都道府県が設置する協議会を法律に位置づけることとしております。この協議会の設置によりまして、制度運用上の課題についての効果的な対策を関係者が連携して進めることができるようになり、法律の実効性の確保につながるものと考えております。

 国といたしましても、業界団体に対して、協議会への参加を積極的に呼びかけてまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 関係者間の連携については、国が積極的に、この連携を図るためにぜひ役目を果たしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

秋葉委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、フロン管理適正化法案について質問をしてまいります。

 かつて、オゾン層を破壊するとして、フロンが世界的に製造禁止ということが進んでまいりました。それにかわって使われているのが代替フロンであります。しかし、この代替フロンは、オゾン層を壊さないけれども、二酸化炭素の数百倍から一万倍超の温室効果があるということで、温暖化対策の面から規制するため、政府は、代替フロンが大気中に排出されるのを抑えるためにこの法律案を提出をされました。

 今回の改正の主な柱として、まず、一回でも違反すれば罰則を科していく、罰則強化、そして、回収済みの証明書がないと処理業者に機器を渡せないようにする、また、都道府県が建物の解体現場に立入調査をすることができる、このような改正点が盛り込まれております。

 今改正案は、回収率の向上につながる実効性ある対策の第一歩であると評価をすることができると思っております。

 このフロン類の回収・破壊につきましては、二〇〇一年の六月に、業務用冷凍空調機器等からのフロン類の回収・破壊を義務づけるフロン回収・破壊法が制定をされました。しかしながら、この機器廃棄時の冷媒回収率、法施行後十年以上で三割台で推移をしました。

 廃棄時の回収率の向上に累次の改正が行われてきたわけでございます。二〇〇六年には行程管理制度の導入等の改正、二〇一三年にはフロン回収・破壊法を抜本改正、フロン類製造から破壊まで、ライフサイクル全体にわたる包括的な対策を講じるフロン排出抑制法とする大幅な改正をしたわけなんですが、二〇一七年度現在でも廃棄時の回収率は四割弱と、飛躍的な向上には至っておりません。

 初めに、代替フロンが地球温暖化に与える影響について、また、フロン回収・破壊法の制定後、廃棄時回収率が低迷し続けている原因、そして、今回の改正まで非常に長い時間がかかった原因についてお伺いをいたします。

森下政府参考人 まず、代替フロンでございますけれども、二酸化炭素の数十倍から一万倍以上と、非常に高い温室効果を有してございます。冷凍冷蔵機器や空調機器の冷媒において特定フロンからの代替が進んでいることなどによりまして、近年排出量が増加をしているというところでございます。

 フロン類の廃棄時の回収につきましては、御紹介もありましたが、平成十三年の法制定時に、まず、ユーザーによる冷媒フロン類の引渡義務、これは罰則などの担保措置はございませんでした、が規定をされまして、その後、平成十八年の改正によりまして、現状の間接罰あるいは行程管理制度、そういったものが導入されてございます。

 さらには、平成二十五年の改正によりまして、ライフサイクルをしっかりと管理をしていこうということの中で機器の管理者が位置づけられまして、ユーザーの適切な機器管理の認識が高まったということで、これまでフロン対策につきましては、逐次、状況も踏まえながら、施策の見直しそして強化を図ってきておるところでございます。

 しかしながら、廃棄時回収率につきましては、当初、約三割というところでスタートをしておりまして、こういった改正によりまして、特に直近の平成二十五年の改正で一定程度回収率が向上いたしましたが、現状としてはまだ四割弱にとどまっているということがございます。

 まだまだこの法律の周知、そして実効性を上げていくといった取組を強化をしていく必要があるというふうに考えておりまして、そういったことも踏まえまして、今回、法制定以降の累次の改正や詳細な要因分析を行いまして、法律の改正案を御提示させていただいているということでございます。

古屋(範)委員 廃棄時回収率達成への取組、また目標達成についてお伺いをしてまいります。

 本法律案では、施行日を、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 地球温暖化対策計画におきましては、廃棄時回収率目標、二〇二〇年五〇%、また二〇三〇年七〇%ということが掲げられております。しかし、残された時間は非常に短いということが言えます。この廃棄時回収率目標達成見通しにつきまして、京都議定書目標達成計画における廃棄時回収率の目標、二〇一〇年度において六〇%、これも既に達成ができなかったということがわかっております。

 二〇二〇年五〇%の廃棄時回収率達成のために、この改正成立後、一刻も早く施行されて、目標達成に取り組んでいくことが必要であるというふうに思っております。この点について、また、廃棄時回収率の目標達成、先ほど言いました二〇二〇年度五〇%、二〇三〇年度七〇%の見通しについて、これは大臣にお伺いをしたいと思います。

原田国務大臣 本改正は、再三議論が進んでおりますけれども、機器ユーザーの回収義務違反に係る直罰の導入、解体現場への立入検査の対象範囲拡大等によりユーザーに対する指導監督の実効性を向上させること、さらには、ユーザーによるフロン回収が確認できない機器を廃棄物・リサイクル業者等が引き取ることを禁止する、こういうことによって廃棄時回収率を向上させることを目指しているところであります。

 今回の改正により相当程度の回収率の向上を見込んでおり、二〇二〇年度には、現状の四割弱から、地球温暖化対策計画の目標である五〇%への引上げを達成したいと考えております。

 今委員が御指摘のように、全体としてはかなりおくれているんじゃないかということでございまして、私どもその辺は真摯に反省いたしまして、できるだけ、当初立てた大なる目標を達成できるようにこれから努力をしたい、こう思っております。

古屋(範)委員 国会といたしましても、本法律案、早期に成立をさせ、ぜひとも早期に施行していただいて、目標達成に全力を挙げていただきたいと思っております。

 しかし、フロン類を使用した機器が一旦市場に出回ってしまって、その機器を使用している事業者、また行政も、労力また費用をかけてフロン類を回収するということになってしまうわけであります。これを着実に効果を上げていかなければならないんですが、しかし、これはやはり対症療法であると言えると思います。抜本的な対策として、フロン類を代替物質へと転換をしていく、廃棄時にフロン類を回収する必要のない機器へとかえていくことが最も重要であります。

 私も、せんだって、委員長とともに、大田区にあります東京団地冷蔵株式会社に行かせていただきました。こちらは、全体が老朽化したということで、総額約四百億円をかけて全て建て直して、そのときに、アンモニア、CO2を使っている省エネ型の自然冷媒機を導入をしています。これは環境省の補助金制度を活用をしておりました。マイナス二十度の冷凍庫にも入り、体験をさせていただき、バックヤードも機械室も見せていただきました。

 また、ローソンなども二〇一〇年度からノンフロン冷凍冷蔵システムの設置を開始をしているということで、徐々にこうした取組は広がりつつあるのかなというふうに思っておりますが、この脱フロン、低炭素化を進めるために、こうした自然冷媒機器を導入を促進するということが不可欠であります。政府として、こうした代替フロンにかわる冷媒の開発を後押しすべきと考えます。この点についてお伺いします。

 また、省エネ型の自然冷媒機の導入に対して、二〇一八年度から五年間の事業として支援を行っていらっしゃいます。今年度も七十五億円の予算が充てられております。こうした自然冷媒機器の導入の状況と、そして温室効果ガスの削減効果についてお伺いします。

 さらに、この自然冷媒機器の導入を加速化していく事業の今後の見通しについてお伺いをいたします。

勝俣大臣政務官 ありがとうございます。

 代替フロンからグリーン冷媒への転換については、経済産業省が研究開発を、環境省が普及を促進しているという役割分担のもと、開発及び導入の支援を進めているところであります。

 経済産業省では、現時点で代替技術が見込まれない分野について、産学官のプロジェクトにより、グリーン冷媒技術の開発を進めていくこととしております。

 環境省においては、省エネ型自然冷媒機器の導入補助事業を実施してきておりまして、平成三十年度までの自然冷媒機器の累積導入数は、現在千八百五十件に上っております。

 これらの取組は、温暖化防止に貢献するとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつながります。今後、更にグリーン冷媒機器の開発導入を進め、地球温暖化対策計画に定められた、二〇三〇年度までにCO2換算で一千百二十万トンのフロン削減を目指してまいるところでございます。

古屋(範)委員 今、導入の状況を政務官からお答えをいただきました。

 今後、設備更新時に、事業者、中小企業も含めまして、自然冷媒機器を選択するために、機器の低価格化とともに、導入するメリット等の情報を的確に発信をしていくということが必要になってくると思います。

 事業者が自然冷媒機器を導入するメリット、また導入を加速化をするための情報発信の取組についてお伺いをいたします。

森下政府参考人 事業者の方々にしっかりとこういった環境によい機器を導入していただくことは非常に重要でございまして、そのために、適切なタイミングで正しい情報を御提供することは非常に大事だというふうに思っております。

 こういった新しい機器を導入することのメリットとしましては、例えば、もちろんオゾン層保護にも役に立つし、そして温暖化対策にも役に立つということでございますけれども、また、経済的なメリットということもあるということを御理解をいただくことも非常に重要かと思います。

 特に、非常に省エネ型ということで、ランニングコストで見てみると、かなり戻ってくる、あるいはプラスになる部分も出てくる。あるいは、機器がより高性能化、高度化して、安定的なオペレーション、そして、事故あるいは故障がより少ないものが提供されている。そういったことをしっかりと情報提供させていただくことで、導入促進のまた後押しをしていきたいというふうにも考えております。

古屋(範)委員 事業者への導入促進、これはしっかり図っていかなければならないと思っております。

 現行法の九十七条第一項には、国は、フロン類の大気中への排出を抑制するために、事業者及び国民の理解と協力を得ることが欠くことができないものであることに鑑み、フロン類の使用の合理化と、充実に必要な措置を講ずるということが規定をされております。

 政府は、九月をオゾン層保護対策推進月間と定めております。今回の改正で罰則が強化をされるわけなんですが、廃棄が限定的なために、その内容を十分認識しないまま廃棄をしてフロン類が大気中に放出されることのないよう、法改正後の周知を図るべきと思っております。家庭用エアコン、冷蔵庫などにもフロン類が含まれておりますので、温室効果ガスとしてのフロン類排出削減について、国民の理解また協力を得るための取組も重要であると思います。この具体的方針について伺います。

森下政府参考人 国民の皆様方に、フロン類対策の重要性、そして今回の法改正の必要性について御理解をいただくことは極めて重要だというふうに考えてございます。

 私ども環境省といたしましては、関係省庁あるいは都道府県、関係団体等とともに緊密に連携をしまして、お話にもありましたオゾン層保護月間などの機会に、ポスター、パンフレットの作成、そして説明会の開催を行う等によりまして、フロン類対策の重要性の周知に今努めているというところでございます。

 今回の法改正につきましては、お認めいただけましたならば、普及啓発ツールを作成をいたしまして、解体元請業者さんあるいは廃棄物・リサイクル業者さん等の協力を得て、機器が廃棄される局面において、ユーザーと相互に確認、周知を図っていくということで、しっかりとこの法の趣旨、そして施行が徹底されるように努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、地球温暖化防止推進センターというのもございますので、そことも連携をいたしまして、普及啓発を強化をしてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 法案の質問の前に、先週取り上げましたゲノム編集のことについて質問をしたいというふうに思います。

 DNAの遺伝情報を人為的に操作するゲノム編集には国民から心配、不安の声も多く、ゲノム編集食品の取扱いに関する政府の方針に消費者団体から抗議の声も上がっているところであります。

 先週の質問では、ゲノム編集のデメリットについてお伺いしました。環境省からは、オフターゲット、標的とする配列以外のゲノム領域に意図しない突然変異が導入される問題があること、自然的変異と人工的変異の判断が、最終産物で判断することが技術的に困難であること等の問題があり、使用者等に情報提供を求めていくこととの答弁がありました。

 最初に、環境省、厚労省それぞれにお尋ねしますけれども、ゲノム編集に関する環境省と厚労省の整理というのはどういうふうになっているんでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、生物多様性保全の観点から、細胞外で加工した核酸を組み込む遺伝子組み換え生物について、カルタヘナ法で使用に際しての拡散防止措置や生物多様性影響の評価を義務づけておるところでございます。

 近年技術の革新が著しい、ただいま委員から御指摘ございましたゲノム編集技術の利用により得られた生物につきましては、本年二月に同法の取扱いとの関係整理を行ったところでございます。

 その結果、ゲノム編集技術で得られた生物のうち、細胞外で加工した核酸が含まれていない生物は法の対象外と整理したところでございます。ただし、そうした生物につきましても、ゲノム編集技術の新規性等を考慮し、知見の蓄積と状況の把握のため、ゲノム編集の方法や、生物多様性影響に係る考察等について、国が使用者等に、改変に利用したゲノム編集の方法や当該改変により付与された形質の変化等の情報提供を求めることといたしました。

 環境省といたしましては、関係各省と協力いたしまして、本取扱いを使用者等に広く周知するとともに、知見の蓄積と状況の把握に努めてまいります。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 ゲノム編集技術応用食品につきましては、薬事・食品衛生審議会の部会等において食品衛生法による安全性確保措置の必要性を検討し、三十一年三月二十七日に報告書が取りまとめられたところでございます。

 報告書に記述されたゲノム編集技術につきましては、ゲノム編集技術の手法に着目すると、標的とする遺伝子を切断するのみで変異を得るタイプ、これをタイプ1と報告書ではされております。標的とする遺伝子を切断する際、あわせて特定の機能は持たない一から数個のDNAを組み込むことで変異を得るタイプ、これはタイプ2です。それから、標的とする遺伝子を切断する際、あわせて特定の機能を持つ遺伝子を組み込むことで変異を得るタイプがタイプ3に分類することができるとされております。

 一方で、報告書においては、従来の品種改良技術を用いた食品と比べた安全性等の観点から最終的な食品の遺伝子変化の状況に着目し、ゲノム編集技術応用食品のうち、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものは、安全性審査を義務づけることまではせず、食品の開発者等に届出を求めて公表する。自然界又は従来の品種改良技術を超える遺伝子変化により得られるものは、基本的に安全性審査の対象とするとされているところでございます。

田村(貴)委員 役割はよくわかりました。

 ただ、自然界でも起こり得るそういう事象については安全だ、そういうふうに断定していいものかというところに多くの国民の不安があるわけであります。

 既に、血圧の上昇を抑制するトマト、あるいは毒成分のないジャガイモ、あるいは筋肉量をふやしたマダイなど、農産物やあるいは水産物がゲノム編集で開発されています。ゲノム編集でつくられた農産品の環境影響評価については、どんな手続となっているんでしょうか。

永山政府参考人 お答えいたします。

 ゲノム編集技術を用いた生物につきましては、先ほど環境省の方から御答弁もございましたが、環境省の中央環境審議会において環境影響評価の観点から議論されまして、ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、細胞外で加工した核酸が導入されていないものをカルタヘナ法の対象外とする一方で、同法の対象外となる生物につきましても、所管省庁が事業者等に生物多様性への影響に関する情報提供を求め、把握した情報を公表するなど一定の管理を行うこととされたものと承知しております。

 農林水産省といたしましては、農林水産分野での利用に先立ち、所管省庁の一つとして情報提供を受けることになりますので、その適切な管理に向けまして環境省とともに連携して対応していきたいと考えております。

田村(貴)委員 情報提供だけ求めるにとどまるものもあるといったところですね。ここも心配材料です。

 そして、もう報道等では、ゲノム編集食品、夏にも食卓へ、こうした見出しも躍っているところであります。こうした報道もあるんですけれども、今時点で申請されているものがあるんでしょうか。また、この申請の動きについて教えてください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から御指摘ございました開発の状況等については情報として承知しているところでございますけれども、申請に関する動きということでは、我々が把握しているところでございません、ありません。

田村(貴)委員 申請はまだされていないということですか。

宮嵜政府参考人 厚労省としても、これから手続等、詳細詰めていくところでございますので、委員御指摘のとおり、まだ申請には至っていない、申請手続は始まっていないということでございます。

田村(貴)委員 それでは質問を続けますけれども、DNAを切断、欠損させただけのものは開発情報の提供を受ける。しかし、安全性については、開発者からの情報提供を受けるにとどまるという話ですけれども、それは何でですか。その理由について教えてください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 報告書におきまして、ゲノム編集技術応用食品のうち、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものについては、実際には従来の品種をかけ合わせて選抜していく過程を経て食品として流通するものであることも踏まえ、自然界又は従来の品種改良技術と同程度の安全性は確保されているものと考えられることから、安全性審査を義務づけることまでは要しないとされているところでございます。

 一方、自然界又は従来の品種改良技術を超える遺伝子変化により得られる食品につきましては、基本的に、遺伝子組み換え食品と同様、安全性審査の対象となります。

田村(貴)委員 日本ではそういうふうな今取決めになっているということでありますけれども、DNAを切断、欠損させただけのゲノム編集というのは遺伝子組み換えではない、しかし、その生産品も含めて、世界各国・地域の対応と評価についてはどうなっているんでしょうか。教えてください。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 生物多様性に関する点からお答えをいたしますと、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書におきましては、ゲノム編集により作出された生物のうち、細胞外で加工した核酸等が含まれていない生物の取扱いについては特段の規定はされていないと承知しております。

 したがって、そのような生物の取扱いにつきましては、各国がそれぞれの国の実情を踏まえ、対処を検討、実施しているところであると認識しております。

 その取扱いの一例を申し上げますと、欧州司法裁判所におきましては、遺伝子組み換え生物と同様の規制の対象とすると判決されたところでございます。一方で、アメリカにおきましては、植物病害の原因となる生物やこれらを用いて作出された生物でない限り規制しないこととなっていると承知してございます。

 このように、各国がそれぞれの実情に応じて対処していることと承知しておるところでございます。

田村(貴)委員 国によって、考え方、そして扱い方が違うわけです。

 EU司法裁判所においては、欠損させただけのゲノム編集であっても遺伝子組み換えとする判断がなされている。日本では、それを遺伝子組み換えには当たらないとして、開発者からの情報提供のみで、国としては、生物多様性における影響、食の安全等については検証しないと決めたわけであります。

 率直に申し上げて、拙速な判断ではないかなというふうに思います。それこそ、やはり見直しの議論が私は国民的にも必要ではないかと考えるものであります。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 二回にわたって論議させていただきましたけれども、私は、やはりこのゲノム編集技術というのは慎重の上にも慎重な議論が必要であると思います。決して商品化が先走ってはいけないというふうにも思います。

 三月二十七日の「食品等の食品衛生上の取扱いについて」は、消費者団体などから抗議の声も上がっています。仮に商品化が認可されたとしても、それがゲノム編集された農産品、食品であることの表示は義務づけられていないんですね、今時点で。それは、この間の委員会で消費者庁から答弁があったところであります。

 こうしたことに多くの国民が不安の声を上げており、そして是正を求めているところでもあるわけですけれども、大臣として、どのように受けとめておられるでしょうか。また、今後のゲノム編集に対してどう臨んでいかれるおつもりでしょうか。

原田国務大臣 ゲノム編集により得られた生物のうち、カルタヘナ法の規制対象とされた生物を利用する場合には、専門家の意見、パブリックコメント等を実施した上で、生物多様性の影響が生ずるおそれがないと認められる必要があると私も考えております。

 一方、カルタヘナ法の規制対象外とされた生物についても、使用者等に対し、あらかじめ生物多様性への影響の可能性等について情報提供を求めることとしております。使用者等へ広く周知することによって、より多くの情報提供をしていただけるように努めてまいりたいと思います。

 提供された情報については、新技術の影響に対する国民の理解を深めるために、一定の情報を年度ごとにウエブサイト等で掲載することとしております。

 私ども、立場上、生物多様性への影響についてはしっかり監視をしていかなきゃいけない、こう思っております。

田村(貴)委員 私は、科学の発展を否定するつもりは毛頭ございません。しかし、この問題は、人の口に入るものであります。動物の口の中に入る話であります。しかも、未知の領域の科学技術でもあります。しかも、生命倫理の範疇に属する議論にもなっています。商品化されれば、密閉された研究室あるいは工場から、安全性等の検証もなく、外界に放たれるものもある、食卓に上ってくるものもあるわけです。少なくとも、食品表示については必ず行うべきであります。ぜひそういうふうにしていただきたい。

 ゲノム編集の功罪について、拙速な判断を行うことなく、しっかり議論し、対応に当たっていただくことを強く求めるものであります。

 それでは、フロン管理適正法について質問します。

 パリ協定の一・五度目標達成には、人為的な温室効果ガスの排出をゼロにしていくことが必要であります。

 フロン排出抑制法の指針では、今後見込まれるHFCの排出量の急増傾向を早期に減少させることを含め、フロン類の段階的な削減を着実に進め、フロン類を中長期的に廃絶することを目指すとしているところであります。

 最初に、大臣にお伺いします。

 IPCC一・五度特別報告書では、世界全体の人為的な温室効果ガスの排出を、二〇三〇年までに二〇一〇年水準から約四五%減少させ、二〇五〇年前後にゼロに達する必要があることが指摘されています。

 これは、やはり修正案にあるように、二〇五〇年までに排出をゼロにしていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

原田国務大臣 パリ協定に基づきまして、またIPCC等の場で本当に大変な高い目標を掲げて、私どもも政策の基準としているところであります。

 差し当たりは、日本としては、それを頭に置きながら、二〇三〇年には二六%カットする、また、五〇年には八〇%のカットをするというようなことで今まで進んでいるところでありますけれども、ただ、今作成中の長期戦略の中では、更にそれを前倒し、また意欲的に進めることによって、今世紀の後半のできるだけ早い時期に実質的にこれをゼロにする、こういうことであります。

 先週行われました京都アピール、京都でIPCCの総会があったときには、その他の御意見として、二〇五〇年までに、更に日本の政府の原案を先んじて、二〇五〇年までに排出を実質的にゼロにする、こういう意欲的な発表をしたところであります。

 いずれにしましても、今委員がおっしゃるように、この温暖化問題、気候変動の問題は、それこそ、そういう具体的な目標を目指して、あらゆる施策を導入せないかぬな、こう思っておるところであります。

田村(貴)委員 目標達成に、やはりフロンを使用し続けるうちにおいては、だめだ、できないというふうに考えます。新規製品におけるフロンの使用について、製品ごとに具体的に年限を決めて禁止していくことが、これは極めて重要であると考えます。

 フロン排出規制法における製品ごとの環境影響度、GWPの目標値は、脱フロン、自然冷媒への転換を進めるものとはなっていません。

 例えば、家庭用エアコンでありますけれども、GWP七五〇に対して、メーカーは、ダイキンなどを中心に、十年前から、HFC32という、GWP六七七と、目標値よりもやや下の冷媒を売り出しています。これだったら、国の値というのは新製品のセールの後押しにしかならないわけなんですよね。

 冷蔵冷凍ショーケースで見てみますと、先ほどもありましたけれども、ローソンなどでは自然冷媒の利用が進められています。しかし、国の目標値が一五〇〇であるがために、セブンイレブンは、この目標値よりやや下回る、GWP一二七三、混合冷媒R448Aを採用しており、自然冷媒への転換にブレーキがかかっている。こういう現実があります。

 そこで、お伺いします。

 フロン業界にとって甘い目標値ではなくて、脱フロンを促進するために、既に自然冷媒が利用できるものについては、フロンの使用については、年限を決めて禁止すべきではありませんか。GWPの値の設定についても、より低い数値へと見直しが必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 フロン類使用製品の製造及び輸入につきましては、法律の第十二条の指定製品制度というものがございまして、その中で、製品種別に、国内製造品そして輸入品に対する取組、具体的にはフロン類の削減を段階的に求めていく、そういった取組が既に行われているということでございます。

 具体的には、例えばグリーン冷媒技術が確立をした分野では、基準となる環境影響度、御紹介もありましたけれども、製品種別の平均GWPでございますけれども、このGWPを小さくする、これを製造者等の判断基準としてお示しをする、設定をするということで、この製品に基づく環境への影響を小さくしていく。

 さらには、グリーン冷媒技術が確立をしている分野については、フロン類を実質的に今使えなくするという取組も可能という制度になってございます。

 数値の設定に際してしっかりと見直しをしていくべきだという御指摘でございますけれども、この環境影響度の目標設定に際しましては、審議会の意見も踏まえつつ、転換候補のうち最も環境影響度の低いものを勘案して設定するということがされてきていると承知をしておりまして、必要に応じて見直しが行われているというふうに承知をしております。

 政府としては、引き続き、グリーン冷媒技術の開発及び普及に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 いや、現状がこうなっているので私は質問したんですよ。

 必要に応じてじゃなくて、直ちに、やはり厳しい数値を設定することが必要であります。

 グリーン冷媒のお話が出たんですけれども、経済産業省は、昨年のオゾン層保護法の審議の際に、低GWP、温暖化係数が低い冷媒をグリーン冷媒と一くくりにする言葉をつくりました。HFC1234yfやHFC1234zeは、これはフロンガスが含まれています。フロンガスと自然冷媒と区別をする、自然冷媒への転換を優先して進めるべきであります。

 また、日本自動車工業会は、そのHFC1234yfを新車のエアコンの冷媒に使用することを決めました。フロン系のグリーン冷媒は回収の対象とすべきではありませんか。

 この二点について、いかがでしょうか。

森下政府参考人 お答えいたします。

 グリーン冷媒、ノンフロンも同じでございますけれども、これらはフロン法又はオゾン層保護法の規制対象となるフロンということではございませんで、フロン類に代替をする物質でありまして、つまり、オゾン層の破壊をもたらさず、かつ温室効果の低い物質であるということを意味しております。

 ということでございますので、自然冷媒だけではなくて、先ほどお話が御紹介ありましたけれども、HFOの関係、HFO1234yfなどもそうでございますけれども、弗素を含む弗素系冷媒につきましても、その対象に含まれるということでございます。

 フロン法は、オゾン層を破壊し又は地球温暖化に深刻な影響をもたらすフロン類の大気中への排出を抑制することを目的としておりまして、その意味では、御指摘のHFO1234yf、自動車の関連で御紹介ありましたけれども、これは、法目的に照らしまして、同法に基づく回収の対象にはならないというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 それは非常にわかりにくいと思うんですよね。

 グリーン冷媒というふうにくくってしまうと、これはもう、そうしたらフロンガスが含まれていないんだろうと捉える向きもあるわけです。そのやはり区別というのはしっかりしないと、私は理解が得られないと思いますよ。

 それから、フロン系のグリーン冷媒というのは、これはやはり回収しないと、あるわけですから、残っているわけでありますから、そこはやはり大事なところだと思います。

 フロンの製造禁止、自然冷媒への転換は当然必要でありますけれども、中長期的に廃絶するには、既に市場に出されたフロンの回収率を一〇〇%にしていく必要があります。

 今回の法改正により機器の回収率は向上するでしょう。機器一台当たりのフロンそのものの回収をまた引き上げなければ、いつまでたっても一〇〇%の回収とはなりません。

 フロン排出量のうち七割を占めているのが今の空調機からの排出でありますが、経済産業省と環境省の合同委員会の調査では、業務用の中型空調機について、一台当たりのフロン回収が四割にとどまっているということであります。これは、残りはどうなっているんでしょうか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御紹介のありました中型空調機器の一台当たり、平均の機器一台当たりの回収率が四割程度であるということでございますが、残りの六割につきましては、これは既に回収前に漏えいをしていた可能性も否定できませんが、多くは回収作業後も機器内に残存をし、その後の機器の取り外しや処分の過程で大気中に放出をされているものというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 ここは非常に大事なところですよね、取り組む上でも。これは、いわゆる一つの大きな課題だというふうに思います。

 冷媒の回収口において一定の圧力になれば、フロンが残ったとしてもフロン回収済み証明書は交付されます。そうですよね。

 重要なのは、フロンが残っているかいないかということであります。初期の充填量からフロンが何割回収されたのか、ここを見ることが、フロンの回収率を基準として設けるべきではないかと私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。

森下政府参考人 機器の中にフロンが残ってしまう、そういう現象につきましては、さまざまな理由が考えられるというふうに考えております。

 ビル用の、例えばマルチエアコンなどの中型の空調機器におきましても、配管が百メーターを超えるなど特に長いケースがある、あるいは、多数の室内機に接続をしている、タコ足になっている、それぞれの室内機の、電磁弁というのがございまして、そこで、電磁弁でシャットされて冷媒がとどまってしまう、さまざまなことが考えられまして、一台当たりの回収率が低調となる要因も考えられるということでございまして、これらについては、その要因につきまして、専門家、関係者間でも意見が現在分かれているところでございます。

 今後、こういった実質作業を行う段階で回収率を上げていくということも非常に重要だと思っておりまして、そのための取組を環境省、経済産業省共同で、専門家の協力を得て、技術的見地から、要因分析と対策の検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 その際、御指摘がありました圧力の話でございますけれども、現在は、現行の回収基準において、御指摘のとおり、冷媒回収口での圧力が大気圧より小さい一定の値となることを法律に基づく基準の中で定めてございます。

 この初期充填量に対する回収率での基準につきましては、機器の使用中の漏えい度の度合いによりまして、回収前に機器に残存しておりますフロン類の量が機器によって非常に異なる、さまざまなケースが、機器によって変わってくるということでございます。そういうこともありまして、回収前の残存量が例えば基準未満の場合には達成不可能となるケースが必然的に出てしまうなど、一律に適用すべき基準としてはなかなか設定することは困難であるというふうに考えております。

 いずれにしましても、御指摘の点は非常に重要であるというふうに思っております。現場でしっかりと回収率を上げていく、そのための方策につきまして、環境省、経済産業省共同で、専門家の協力を得て、しっかりと取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 しっかり進めていただきたいと思います。

 そして、検討して対応策をつくっていく上で提案したいと思うんですけれども、一定の回収をしたもののみにやはり証明書を発行していくという取組が大事だと思います。

 既に、九五%以上回収できるフロン回収機器も存在します。そうした話も専門の方から私は伺いました。高い回収機器に補助を与えるなど、回収機器の選定や支援のあり方等も含めて検討する必要があっていくと思いますけれども、今、業者さんや有識者などで検討も進めていくというお話でありました。高い値を目指すように協議されてください。行政として、こうしたところに働きかけていくことも含めて、いま一度、いかがですか。

森下政府参考人 実際に、現場で冷媒が回収残になるということを防ぐための措置、一体何をすればそれが効果的なのかということについてしっかりと解析を進めさせていただいた上で、じゃ、それを実現するために一体どういうアプローチが必要なのかということになりますと、これは恐らく、現場での取組に加えまして、製造段階での取組ということも必要になってこようかと思います。

 いずれにしましても、しっかりと要因分析をいたしまして、それを対策に反映させていくということについて努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 地球温暖化対策待ったなし、脱フロン、フロンをなくす、根絶する、この目標値を必ず持っていただくこと、そしてフロンの回収に実効ある措置をとっていただくこと、このことを最後に要望して、きょうの質問を終わります。

秋葉委員長 以上で原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、生方幸夫君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋葉委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋葉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、とかしきなおみ君外三名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 フロン類の大気中への排出を可能な限り抑制し、できうる限り早くフロン類を廃絶するとの目標の達成を確実にするため、指定製品の対象範囲の拡大や、指定製品の製造事業者等の判断の基準において長期的な削減目標の設定を率先して行い、フロン類の中長期的な廃絶に向けた具体的なロードマップを作成すること。

 二 フロン類から代替物質へ転換を進めるに当たっては、環境に対する負荷がより少ない冷媒への転換を行うことを政策的に位置付け、その加速度的な導入を進めること。

 三 フロン類の生産及び排出のさらなる抑制に向け、改正法の施行状況も踏まえつつ、我が国における経済的手法の在り方について、その導入による回収率向上等の効果、行政コスト及び負担の公平性等を総合的に勘案しつつ検討を進め、五年を目途に結論を得ること。

 四 フロン類の回収における技術的課題等を早期に究明し、その結果に応じて、フロン類の回収が容易な機器等の開発の促進並びにフロン類の回収機の性能及び回収技術の向上のため、機器メーカー等に対する支援等、所要の措置を講ずること。

 五 脱フロン化・低炭素化を推進するためには、環境に対する負荷がより少ない冷媒への転換を加速度的に進めていくことが必要とされることから、代替技術の確立していない分野の技術開発の促進、初期導入コストが割高なため普及が進まない機器の導入のための支援を充実・強化すること。

 六 フロン類の使用量が増加している開発途上国において、フロン類の回収・破壊・再生処理等に関する取組、代替物質及び代替技術の普及等、フロン類のライフサイクル全体で排出量を低減するためのシステムの構築を支援し、世界の脱フロン化に向けて、我が国の経験・知見を活かした積極的な国際協力を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

秋葉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋葉委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。原田環境大臣。

原田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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