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第8号 令和元年6月4日(火曜日)

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令和元年六月四日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 伊藤信太郎君 理事 金子万寿夫君

   理事 武村 展英君 理事 とかしきなおみ君

   理事 堀内 詔子君 理事 生方 幸夫君

   理事 小宮山泰子君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    木村 弥生君

      小林 鷹之君    笹川 博義君

      高橋ひなこ君    中谷 真一君

      百武 公親君    福山  守君

      古田 圭一君    三浦  靖君

      長尾 秀樹君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    横光 克彦君

      西岡 秀子君    屋良 朝博君

      江田 康幸君    田村 貴昭君

      細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣         原田 義昭君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   環境大臣政務官      菅家 一郎君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     小林 鷹之君

  務台 俊介君     中谷 真一君

  富田 茂之君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     武部  新君

  中谷 真一君     務台 俊介君

  江田 康幸君     富田 茂之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 浄化槽法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 浄化槽法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、小林鷹之君外三名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案により、お手元に配付いたしております浄化槽法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。江田康幸君。

江田(康)委員 浄化槽法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 我が国では、いまだに約千二百万人が環境負荷の高いくみ取り便槽や単独処理浄化槽等を使用している状況にあり、その早期転換に向けて、下水道や農業集落排水施設等に並ぶ汚水処理サービスである合併処理浄化槽に対する期待が高まっています。

 しかしながら、平成十二年の浄化槽法改正で原則として新設が禁止された単独処理浄化槽は、依然として約四百万基も残存し、合併処理浄化槽への転換が進んでいないことに加えて、老朽化による破損や漏水も懸念されています。

 また、浄化槽の定期検査は、維持管理業務が適切に実施され、本来の機能が適正に維持されていることを担保するための制度であるにもかかわらず、その受検率は低迷しており、公共用水域の水質保全の観点から受検率の向上が課題となっています。

 こうした状況のもと、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る観点から、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するとともに、浄化槽の管理を強化するため、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、都道府県知事は、既存の単独処理浄化槽であって、そのまま放置すれば生活環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生ずるおそれのある状態にあると認められるものに係る浄化槽管理者に対し、除却等必要な措置をとるよう指導、勧告等の措置をとることができることとしております。

 第二に、市町村は、浄化槽による汚水の適正な処理を特に促進する必要があると認められる区域を、都道府県知事と協議の上、浄化槽処理促進区域として指定することができることとしております。

 第三に、市町村は、浄化槽処理促進区域内に市町村が管理する公共浄化槽を設置しようとするときは、当該公共浄化槽の設置について建築物の所有者等の同意を得て、設置計画を作成することとしております。

 第四に、公共浄化槽の設置が完了したときは、その設置に同意した建築物の所有者は、遅滞なく、当該建築物の汚水を公共浄化槽に流入させるために必要な排水設備を設置し、この場合において、当該建築物にくみ取便所が設けられているときは、遅滞なく、そのくみ取便所を水洗便所に改造しなければならないこととしております。

 また、市町村は、排水設備を設置し、又はくみ取便所を水洗便所に改造しようとする者に対し、必要な資金の融通又はそのあっせん等の援助に努めることとし、国は、市町村が資金の融通を行う場合には、これに必要な資金の融通又はそのあっせんに努めることとしております。

 第五に、浄化槽管理者が清掃をして、その使用の休止を都道府県知事に届け出た浄化槽について、保守点検、清掃及び定期検査の義務を免除することとしております。

 第六に、都道府県知事等は、その区域に存する浄化槽ごとに、浄化槽台帳を作成することとしております。

 第七に、都道府県及び市町村は、浄化槽による汚水の適正な処理の促進に関し必要な協議を行うため、協議会を組織することができることとしております。

 第八に、浄化槽の保守点検業者の登録に関し、条例で定める事項として、浄化槽管理士に対する研修の機会の確保に関する事項を追加することとしております。

 第九に、環境大臣は、都道府県知事に対して、水質に関する検査に関する事務その他浄化槽の管理に関する事務の実施に関し必要な助言、情報の提供その他の支援を行うように努めなければならないこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

 浄化槽法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

秋葉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。山本和嘉子君。

山本(和)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの山本和嘉子でございます。

 浄化槽法の一部を改正する法律案の質疑ということで、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 発議者の皆様には、心から敬意を表したいと思います。ありがとうございます。

 今、人口減少や高齢化が進む中で、思うようには合併浄化槽への転換が進んでいない状況であると思います。生活排水の垂れ流しが放置されて、地域の環境改善が進んでこなかったのが実情だと思います。

 そうした中、本浄化槽改正法案は大きな意義があるというふうに思います。今回の改正は、単独処理浄化槽から合併浄化槽への転換を推進するということで、大きな一歩になるというふうに期待も申し上げます。

 本法律案の浄化槽転換における意義と目標についてお伺いしたいと思います。

生方委員 山本委員にお答えをいたします。

 我が国の汚水処理人口普及率は、現在約九〇%を超えておりますが、いまだに約一千二百万人が汚水処理施設を利用できておりません。また、浄化槽が整備されている場合であっても、単独浄化槽の合併浄化槽への転換が進んでおらず、浄化槽全体の約五三%に当たる約四百万基の単独浄化槽が残存しているのが現状でございます。

 そこで、今回の法改正では、そのまま放置すれば生活環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生ずるおそれのある単独浄化槽について、都道府県知事等が、その所有者等に対し、除去等の措置をとるよう助言、指導、勧告、命令ができるようにするとともに、市町村が設置して住民の利用に供するいわゆる公共浄化槽を整備するための制度を創設することとしております。

 これらの法改正を通じて、単独浄化槽の合併浄化槽への転換が促進され、汚水処理施設の未普及状況が解消されるとともに、さらなる水環境の水質改善に寄与することが期待されております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今回の法案では、従来、保守点検や清掃について、できているところとそうでないところがまちまちであったところを、クラウドサーバーなどを用いて情報連携そして保守点検の質を向上するということを目指しておられるということでございますが、これらについて、法改正後、具体的な効果、また導入のスケジュールなど、わかっていれば教えていただければと思います。

江田(康)委員 先生からの御質問、トータルとして浄化槽の管理についてということでお答えをさせていただきます。

 今回の法改正では、都道府県等に浄化槽台帳の作成、保管を義務づけることとしております。その趣旨は、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の推進や、この適正な維持管理、災害対応力の強化に向けた情報整理等を効率的に行うためには、浄化槽の設置状況や維持管理状況などを把握することが重要であるということを踏まえたものでございます。

 この趣旨に照らせば、浄化槽台帳においては、検査機関や保守点検業者、清掃業者等が把握する情報もあわせて一元的に把握することが望ましいと考えられます。

 政府に対しては、浄化槽の維持管理の状況を把握するために、都道府県、そして保守点検業者、清掃業者、検査機関等が有するデータを情報共有する浄化槽台帳システムを構築するとともに、その浄化槽台帳システムを広く地方自治体に活用してもらうため、必要な措置を講ずるよう期待しているものでございます。

山本(和)委員 ありがとうございました。ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 次に、我が国では、汚水処理人口の普及率、先ほども数字がありましたけれども、九〇・九%程度にとどまっている。まだ約一千百六十万人の汚水処理未普及の人口が残されているということでございます。

 そうした中で、簡易な処理設備である合併浄化槽に対する期待は高まっているということでございますが、一方で、浄化槽の新規基数は最近減っているということで、浄化槽の全体の数も減少しているということでございます。浄化槽の導入は、下水道接続に対して、維持管理の費用や手間も含めて割高感があるということも理由の一つだと思います。

 こうした中、合併浄化槽の普及について、政府の浄化槽普及の全体の方針についてお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘のあった下水道も含めて汚水処理施設、公共下水道、集落排水施設、合併処理浄化槽、それぞれありますので、その特性、経済性等を勘案して、地域の実情に応じた最適な手法を選択して整備をするということが重要と考えております。

 このため、国土交通省、農林水産省それから環境省の関係三省で、都道府県構想策定のためのマニュアルを策定しております。これをもちまして、今後十年程度を目標に汚水処理未普及地域が解消するように三省で取り組んでいく、全体としてはそういうことでございます。

 そして、合併処理浄化槽につきましても、昨年六月に、廃棄物処理施設整備計画、こちらを閣議決定いたしまして、その中に、今後五年間の具体的な目標といたしまして、浄化槽整備区域内の合併処理浄化槽の普及率を五〇%から七〇%に引き上げる、また、浄化槽整備区域内に合併処理浄化槽の基数の占める割合を六二%から七六%に引き上げる、こういった具体的な目標を掲げておりまして、環境省といたしましては、交付金や補助金による支援といったようなことを通じまして、これをしっかりと普及拡大に努めているというところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 それで、次に、下水道との絡みでお伺いをいたしますけれども、既に浄化槽を設置したところに後から下水道ができたために、下水への接続が進まないというケースがこれまであったというふうにも聞いております。国交省が所管する下水道事業と環境省が所管する浄化槽事業の十分な連携がとられていなかったためにこういったケースがあったのかなというふうにも思います。

 また、時代の変化で、かつては下水道整備が予定されていたけれども、現在、現実にそぐわないという地域も多いのではないかなと思うんですが、こうした状況を今後どのように見直していくのか、具体的に教えていただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まさに今委員御指摘の点が問題となりまして、これはしっかりと政府の中で連携をとって進めていかなければならないということで、先ほど申し上げました三省庁での都道府県構想策定マニュアルをつくるということをしております。

 そのマニュアルに基づきまして、汚水処理施設の計画の見直しが、今現在、各地で進められておりまして、近年の地方自治体の財政状況や人口減少の状況に鑑みまして、今後、浄化槽の果たす役割はますます大きくなってくると考えております。

 今般御提案いただいております浄化槽法の改正案におきましては、浄化槽による汚水の適正な処理を特に推進する必要があると認められる区域を浄化槽処理促進区域として市町村が指定することができるとされてございますので、環境省としては、その都道府県構想を踏まえて、しっかりと市町村が円滑に区域の指定ができるように取り組むとともに、関係府省と連携して浄化槽の整備に取り組んでまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今回の法案では、先ほども説明がありましたように、クラウドサーバーを用いた情報提供を通じて保守点検の能力を高めるような工夫がされていると思います。

 しかしながら、保守点検と同様に重要なのが、くみ取りの清掃だと思います。清掃せずにそのまま放置すると、汚水の流出とか臭気の発生などが起こって、近隣の住んでいらっしゃる方にも大変御迷惑をかけるということにもなると思います。

 適切なくみ取り清掃というものは浄化槽の維持や普及の生命線だとも思うんですが、くみ取り清掃の適正化や重要性についてはどのようにお考えなのか、環境省の考えをお聞きしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、浄化槽の清掃につきましては、法に基づきまして、年に一回、技術上の基準に基づいて適正に行う、これは本当に維持管理の大変重要な事柄でございます。

 今般の浄化槽法改正で、先ほどから御指摘いただいている浄化槽台帳整備が義務づけられることになりますので、これまで清掃がしっかりできていなかったという状況についてもきちんと把握できることになりますので、こういった行政による清掃未実施者への指導の徹底が一層強化されると考えております。

 また、法案の中にも盛り込まれております、関係者による協議会の組織というところについても、関係者の連携を図ることで、更に清掃を含めた浄化槽管理の徹底が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 浄化槽を適切に機能させるにはやはり清掃が一番重要だと思いますので、新しい台帳管理のシステムを使って行政も管理しやすくなると思いますので、その点、抜けがないような形でお願いしたいと思います。

 次に、共同浄化槽についてお聞きしたいと思うんですが、共同浄化槽は、従来、下水が整備できなくて個々の浄化槽も設置が難しいという地域の浄化槽普及に効果があるというふうに思います。

 一方で、管路が震災などのダメージに弱いのではないかという指摘もあると思います。例えば、管路が一カ所壊れてしまったら、接続している全ての住居で浄化槽の利用ができなくなるのではないかという指摘もあると思います。

 こうした共同浄化槽の管路の安全性も含めて、共同浄化槽の課題とかその普及について、環境省の考えをお聞きしたいと思います。

山本政府参考人 御指摘いただきました共同浄化槽ですが、本年度の予算から、汚水処理人口百人以下で処理を行うような共同浄化槽の設置について、管渠の施工費を含めて新たな補助の対象ということで整理させていただいております。

 これにつきましては、委員から御指摘ありましたように、比較的密集した地域で、各戸で浄化槽を整備することが難しい、あるいは管渠の整備が比較的低コストで行えるといったようなところで整備するということを想定しておりますが、また同時に、災害対応ということでは、もともと管渠が短いというか少ないところが浄化槽の特徴ということでありますので、これは共同浄化槽でも、やはり離れたところを引っ張ってくるということではなくて、離れたところであればやはり個々に従来のそういったものですが、割と密集しているところでやるということで、比較的短い距離をつなぐことによって、できるだけ災害に強い形で整備できると考えております。

 これは、各戸だけじゃなくて、そういうふうに共同でできるというような選択肢を用意することによって、市町村が災害対応も考慮しながら柔軟にできるようにということで運用してまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 災害時の管路の維持とか復旧というのは課題もあるというふうに、今のような意識を常に持っていただいて、さらには、破損しにくいような管路とか、破損した場合の修復のしやすさも考慮していただいて、共同浄化槽を利用する方々が不安に陥らないような状況をお願いしたいと思います。

 もう時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になりますけれども、浄化槽の国際展開についてお伺いしたいと思います。

 浄化槽技術はもともと日本オリジナルの技術でありまして、アジアなど、汚水処理未普及人口が多くて下水道に予算がかけられない地域に対しまして浄化槽技術を輸出するということでございますが、そういった、環境と衛生を高める技術として普及が期待されるのではないかなというふうにも思います。

 こうした浄化槽技術や設備の海外進出のために、政府として後押しするような施策があるのか、教えていただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の海外展開に対する後押しということでございますけれども、環境省としては、浄化槽のニーズの高い国を対象にいたしまして、国際会議等を活用したトップセールスでありますとか、セミナーを開催して技術をPRする、あるいはワークショップや国内研修による人材育成を支援する、あるいは浄化槽の性能評価制度等のソフトインフラを支援する、こういった事柄にも取り組んでおります。

 こういった事柄を通じまして、御指摘いただきましたように、我が国のすぐれた技術である浄化槽が海外に普及していくよう引き続き努めてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。ぜひ海外普及も進めていただければと思います。

 今回の法改正で浄化槽の管理の向上がなされるということなので、環境の面でも衛生面でも安心できる法案だと思います。一日も早く具体的な運用が進んでいくように、この分野で与野党関係なく一丸となって進んでいくことを期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 ただいま起草されました浄化槽法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 まず、取りまとめをいただいた提出者の先生方に心より感謝を申し上げます。

 生活排水の処理形態は、下水道、浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティープラントなど、それぞれが、先ほども議論にございました、所管官庁も国交省、環境省、農水省と分かれております。

 浄化槽は、公共の水域の水質保全に大きく寄与し、処理水をその場で放流するので、健全な水の循環、河川の水量が確保できる施設でございます。

 我が国におきましては、依然としてくみ取り方式も大変多く残っておりまして、私の地元の長崎県も大変まだ依然としてくみ取り方式が多数を占めておりますけれども、浄化槽については、単独浄化槽と合併浄化槽の二種類がございます。平成十二年の改正において原則新設禁止となった単独浄化槽が今なお全体の五二%、合併浄化槽が四八%という状況にございます。

 浄化槽を取り巻く現状と浄化槽の特性、また、浄化槽の災害対策、その有効性について、そして、今回の改正のポイント、概要、また、今回の改正が必要なのかということについて、まとめて小宮山議員にお尋ねをいたします。

小宮山委員 西岡議員、質問ありがとうございます。

 今委員が指摘されましたように、単独浄化槽は、平成十二年の浄化槽法改正により設置が禁止をされています。新設は特に禁止とされておりますけれども、現在設置されている浄化槽は、半分ほどが依然として単独浄化槽で残っているというのが現状でございます。

 単独浄化槽の合併浄化槽への転換が進んでいないことは紛れもない事実でもあり、また、浄化槽法により義務づけられている水質に関する定期検査の受検率は、全国平均で約四〇%にとどまっております。

 先ほど委員も御説明いただきましたけれども、河川の水質を守るためにも、やはりここは合併浄化槽にすることによって、また、浄化槽管理のさらなる強化をする必要があるということでございます。そして、これが今回の法案につながったことでもございます。

 また、合併浄化槽の特徴としては、処理性能がすぐれ、単独浄化槽の約八倍の処理能力があること、短期間でも設置ができ、すぐに汚水処理が可能になること、個別処理で地震発生時の全損率が低いことから早期復旧につながるという可能性が高いこと、また、地震の災害への対応能力が高いことも挙げられます。

 そういう意味においては、合併浄化槽に転換をすることというのは、自然環境、そして災害時の町づくりにも大変大きな意味があると考えております。

 また、お尋ねの災害時の状況の対応についてですけれども、災害時のインフラ復旧の目標といたしまして、電力で七日間、上下水道は三十日間、都市ガスの六十日程度と想定されております。

 大規模災害時には、これら生活インフラが破損した場合には、トイレの確保に著しい障害が見込まれております。これは、今までの大規模災害のときにはさまざまニュースにもなっておりますし、実感もあるかと思います。私自身も、東日本大震災の後に被災地を回らせていただいたときに、合併浄化槽というものがあること、浄化槽によって早くに生活排水というのが処理ができるというのを目の当たりにいたしたところでもございます。

 防災拠点となる公共施設や避難所指定において合併浄化槽の整備を推進することによって、災害への備えが強くできるかと思います。

 以上です。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

西岡委員 今、小宮山委員からもございました、さまざま浄化槽には大変メリット、大変環境にも貢献をしますし、大変少子高齢化の今の地域の状況にも大変見合った施設ではないかと思っておりますけれども、先ほど議論になりましたけれども、地域において、それぞれが地域の特性に合わせた排水施設を取り入れて構築をしていくということが大変重要でございます。

 その意味でいきますと、この所管の省庁とともに、総務省も含めた連携が私は今後大変重要ではないかと思っております。この改正において、一層単独浄化槽から合併浄化槽への転換というものが進むということを期待をいたしております。

 次に、今回の改正で、浄化槽の管理、保守点検体制の確立が盛り込まれました。老朽化破損、漏水の事例は六千件に上っております。生活排水の垂れ流し、公衆衛生悪化につながるなど、汚泥の主な原因となっております。

 浄化槽の適正な機能を保つためには、日ごろからの保守点検、清掃が何よりも重要であると考えております。設置後三カ月から八カ月の七条検査と、年一回の定期点検、十一条検査がございますけれども、特にこの十一条検査の検査率が低い状況となっております。

 また、保守、管理を行う国家資格である浄化槽管理士の数は現在八万千五百九十一人というふうに聞いておりますけれども、六十歳以上の比率というのが四二・七%、大変高齢化、また後継者不足という状況もございます。

 一方で、合併浄化槽は省スペース化また高機能化をしておりまして、技術が大きく進展をいたしております。この状況を踏まえると、浄化槽管理士の技術力、技術水準の確保というのが大変重要であると考えます。

 浄化槽の管理の現状の認識、また、浄化槽管理士の育成の施策について、今後どのような体制整備をこの改正によってなされるのか、小宮山議員にお尋ねをいたします。

小宮山委員 浄化槽は、処理性能の向上、コンパクト化に伴う技術の高度化が進み、浄化槽の適切な維持管理に新たな知識、技術が必要となっております。

 一方で、浄化槽の保守点検者に置かれる浄化槽管理士には、資格を取得した後の知識、技術力を高度化していく場が余りなかったのが今までの現状かと思います。また、高齢化というのも委員御指摘のとおりでもございます。

 昨日、私も、埼玉県内に、浄化槽をつくっているメーカーさんに行かせていただきました。本当にコンパクト化される、また、それによって、ある意味、スペースが小さい分、大変管理も難しいということも伺っております。

 今回の法案におきましては、浄化槽管理士の知識、技術力の向上を図るために、現在一部の都道府県では、条例により浄化槽管理士の質の向上に努めておりますが、今回の法改正で、浄化槽管理士の研修の機会の確保に関する規定を設けることとしており、この取組をより広めることができると考えております。

西岡委員 一層この管理士の皆さんがこれからの大変大きな役割を果たされると思いますので、この研修、育成、今後とも進めていただきたいと考えております。

 次に、平成三十一年度に改正をされました浄化槽設置整備事業実施要綱についてお尋ねをいたします。

 この改正については、地方自治体との意見交換や意思の疎通が十分とられておらず、混乱が生じているという指摘が地方自治体から上がっております。

 地方からの要望によって激変措置がとられたというふうに認識をいたしておりますけれども、本改正において、補助の対象外となる浄化槽が大変多く発生をすると見られております。どのような場合に対象から外れてしまうのか。この対象から外れることによって住民負担の増大というのも懸念をされますけれども、どのような要件のもとに決められたのかということについて御説明をお願いいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました浄化槽の設置整備事業実施要綱につきましては、平成三十一年の三月二十九日付で改正をしてございます。

 その基本的な方向性としましては、まず一つは、汚水処理未普及人口がまだまだ残っているということで、その解消をしていくという観点から、単独処理浄化槽やくみ取り便槽の合併処理浄化槽への転換に予算の重点配分をする。それからまた、浄化槽の市町村整備推進事業を重視して、特に市町村にとってコスト削減や経営改善につながるような、PFIの民間活用、大型浄化槽による共同化、公営企業会計の適用というものを重点配分するというような方向性を出しております。

 それで、具体的には、浄化槽整備区域内におきまして、先ほど御答弁申し上げたような共同浄化槽の整備でありますとか、あるいは、単独処理浄化槽に、転換していただく場合の宅内配管工事、これを新たな補助の対象とするということで、むしろそういったところについては従来より手厚く支援をするという形にさせていただいております。

 一方で、委員御指摘のあった若干の混乱というのは、実は、一月二十四日に、こちら、都道府県の担当者説明会で、開催をして内容について説明したのですが、その説明がこちらも十分でなかったということと、御指摘あったように、自治体との意見交換が十分でなかったということがございますので、その後、しっかりと自治体と意見交換をしまして、先ほどの未普及解消をいかに進めていくか、単独転換、個人の負担を下げてしっかりやっていく、そういう観点から、どういう形でやっていくのが重要かということをしっかり意見交換させていただきまして、具体的には、少なくとも、昨年度の繰越しでやっていただく分には昨年度どおりのやり方で大丈夫ということで整理させていただきましたのと、それから、新年度のものについても、例えば下水道区域から転居して家を新築する場合には対象とするような形で整理をさせていただきまして、できるだけ市町村の実情に沿った形で整理をさせていただいてございます。

西岡委員 やはり地方の声をしっかりと反映をした中で、この保守点検、清掃については、大変維持管理費の負担というものが住民の皆さんに大きくのしかかっておりますし、人口減少、高齢化によって、大変維持していくのが難しいという住民も大変いらっしゃると思いますので、しっかりと地方と連携をとって今後進めていただきたいと思います。

 時間が残り少なくなりましたので、最後に、浄化槽システム普及による国際的な我が国の貢献、そして海外展開についてお尋ねをいたします。

 二〇一五年の国連持続可能な開発サミットで採択をされましたSDGsにおいて、全ての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確立するという目標が掲げられ、二〇三〇年までに世界の未処理排水の割合を半減をするという目標が掲げられました。特に、東南アジア地域においては、生活排水処理の必要性が大変高まっております。

 その中で、我が国のすぐれた浄化槽システムが大変国際的に貢献できる今状況があると捉えております。今後の国際貢献、また海外市場への展開についての取組について、小宮山議員にまずお聞きした後、環境大臣の、今後のお取組についての所見をお尋ねをいたします。

小宮山委員 御質問ありがとうございます。

 今までも、私自身も委員として、質疑の中で、国際展開というものを進めるべきであるということを、質疑と、また提案をさせていただいておりました。

 日本で生まれましたこの浄化槽の制度というものは、やはり海外の各地において広めていくことは、国際貢献としても好ましく、また望ましいものであると考えております。浄化槽設置の推進、そして生活排水適正化の仕組みこそ、積極的に環境省がリードして国際展開をすることによって、日本の貢献、また各地域で生活排水をきれいにするということ、これはやはり進めていくべきだと考えております。

 また、私、ここは個人的な考え方ではありますけれども、さまざまなインフラの輸出をしておりますけれども、この点に関しては、原発などを輸出することよりも、浄化槽で水をきれいにすることにもっと重点を置いて、日本は戦略的にしっかりと対応していくべきだと考えております。

原田国務大臣 ただいま小宮山議員からもお答えいただいた部分でございますけれども、委員も既にお話しになっておりますように、浄化槽の海外市場というのは近年急速に拡大をしております。昨年度の海外設置基数は前年度比で二倍の一万基と伸びており、今までの累計設置基数は二万三千基となっているというふうに報告されております。

 環境省は、平成二十九年度に、日本の環境技術、制度を発展途上国に展開することを支援する環境インフラ海外展開基本戦略を策定しまして、その主要な取組分野の一つに浄化槽を位置づけているところでございます。

 具体的には、浄化槽のニーズの高い国を対象として、国際会議等を活用したトップセールス、浄化槽セミナーによる技術のPR、ワークショップや国内研修による人材育成、浄化槽の性能評価制度等のソフトインフラ支援といった具体的な取組を進めております。

 今後も関係機関や民間企業と連携しながら浄化槽の海外展開を戦略的に推進し、途上国の環境改善だけでなく、我が国のビジネス展開にも貢献できるもの、そういうように考えているところであります。

 どうぞしっかりよろしく御指導いただきたいと思います。

西岡委員 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 大臣、ありがとうございました。

伊藤(信)委員長代理 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 浄化槽法の一部改正案について質問します。

 浄化槽の維持管理、これは非常に大事であります。そして、単独浄化槽から合併浄化槽への転換を図ることも、これも非常に重要だと私も我が党も受けとめております。

 そこで、お尋ねしていきたいと思いますけれども、単独浄化槽から合併浄化槽への転換にはどのぐらいの費用がかかるのでしょうか。単独浄化槽の撤去について、生活雑排水を浄化槽に引き入れる宅内配管工事について、合併浄化槽本体の購入と設置工事費、それぞれについて教えてください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換に要する費用、仮に五人槽の浄化槽を転換する場合のモデルケースについて申し上げますと、まず、単独処理浄化槽を撤去する費用として約九万円、それから合併処理浄化槽本体を設置する費用に約九十万円、それから雑排水などの配管工事費用に約四十万円ということで、合計で約百四十万円の費用がかかるものと試算されます。

田村(貴)委員 五人槽の浄化槽を新たに設置する場合には百四十万円ぐらいの費用がかかるということでありました。

 単独浄化槽の撤去について、また宅内配管については、ほぼ満額の補助があるというふうに伺っています。

 では、合併浄化槽本体の購入それから設置工事費の自己負担というのは、どの程度のものになるんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 個人設置型の浄化槽設置整備事業における公費の負担割合につきましては、生活雑排水の処理に係る、除去に係る費用のうちを考慮いたしまして、定率四割として国庫助成の基準額が算定されております。

 したがいまして、先ほどのモデルケースで申し上げますと、本体の工事費九十万円に対しまして個人負担分六割の五十四万円が個人負担となるということでございます。

田村(貴)委員 個人の合併浄化槽を設置する場合に四割の補助がある。市町村設置型では九割ですよね。ところが、個人の場合は四割の補助である。これは一つの大きな問題になっているわけなんですね。ですから、合併浄化槽を入れたいんだけれども、お金の負担の問題があって、しかも、五人槽の場合だったら五十四万円も自己負担が生じる、ここが合併浄化槽への転換が図られない大きな要因になっているというふうに私は考えるものであります。

 そこで、この法案なんですけれども、個人の合併浄化槽の本体購入費用と設置の費用に対する新たな支援の拡充というのは盛り込まれているんでしょうか。提案者にお伺いしたいと思います。

小林(鷹)委員 お答え申し上げます。

 現行の浄化槽法におきましては、第五十一条に、「国又は地方公共団体は、浄化槽の設置について、必要があると認める場合には、所要の援助その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」というふうに規定をされております。この規定に基づきまして、現在の予算措置におきましては、浄化槽設置整備事業に係る個人の合併浄化槽設置につきましては、その工事に係る費用の六割を自己負担として、残りの四割が助成の対象とされているところであります。

 政府におきましては、今年度から、単独浄化槽から合併浄化槽への転換に附帯する宅内配管工事に対する補助制度が創設されて、自己負担の軽減が図られたところであります。今後、この法改正に伴いまして、政府において自己負担分のさらなる軽減のため、資金のあっせん等の措置が行われ、合併浄化槽への転換が進むことが期待されるところであります。

田村(貴)委員 提案者にお尋ねします。

 確認なんですけれども、この改正案の中で、個人の合併浄化槽の本体購入費用、それから設置に対する新たな支援は盛り込まれているのですかと私は聞いているんです。

小林(鷹)委員 お尋ねありがとうございます。

 その点につきましては、新たに何か今回の法改正で規定を設けるというわけではありません。

 ただ、繰り返しになりますけれども、今申し上げましたもともとの現行法の五十一条におきまして、国、地方公共団体に対して合併浄化槽の設置、援助の努力義務というものが既に課されているわけでございますので、今回の法改正の趣旨にのっとって、国、地方自治体に対して相応の対応をしていただくことを期待しているところであります。

田村(貴)委員 改正によって期待されるということなんですよね。ですから、一番自己負担で大きなものになっている合併浄化槽の本体部分、ここに対する支援がやはり問われる。ここを、道を前に進めていかないと問題が解決しないと思います。

 環境省にお伺いしますけれども、いわゆる六割の自己負担、四割の補助という部分は、ここは変わらないんですか。

山本政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、今年度内容を見直した部分につきましては、宅内配管工事についての上乗せということでございますので、本体工事の部分については変更ございません。

田村(貴)委員 期待される本体部分の上乗せ、拡充についてはなされないということでありました。

 二〇一九年度予算では、宅内配管工事への助成が三十万円、上限三十万円で新設されました。そして、百人以内の共同浄化槽に対して、また、個々の家との接続に対しても助成対象とされました。これは前進であります。これらの政府の予算措置というのは、本改正案とは関係なく執行されるものと理解してよろしいでしょうか。

山本政府参考人 御指摘いただきました宅内配管工事への助成、それから共同浄化槽への助成は、今年度の予算から措置されておりますので、今年度の予算として執行することが可能でございます。

 ただ、今般の浄化槽法改正が実現された場合には、予算と制度が相まって、更に単独処理浄化槽の転換、あるいは共同浄化槽を含めた市町村設置事業の実施が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

田村(貴)委員 法改正があってもなくても政府予算というのは執行されるということでありました。これも確認しておきます。

 本改正案の問題点の一つに、罰則規定がございます。負担がかかるとの理由で、転換したくともできない人がいます。今も申し上げました。その人にも、都道府県が転換の命令、勧告を行い、罰則、三十万円以下の罰金を科すというふうになっています。

 罰則規定というのが附則についていて、私たちもちょっと驚いたわけなんですけれども、この罰則規定をもって、経済的理由によって合併浄化槽への転換が図られない、そういった人々を追い込むようなことは僕は絶対してはいけないというふうに感じております。

 こうした人たちに対する配慮がやはり求められると思いますけれども、そこはいかがでしょうか。

小林(鷹)委員 お答えいたします。

 今回の法改正におきましては、附則の十一条三項という規定がございます。もう先生ごらんになっているかと思いますが。そこの規定におきましては、勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、合併浄化槽への転換命令を行うことができる旨を規定しているところでございます。

 お尋ねのございました財政負担の理由で転換したくてもできない場合につきましては、転換の勧告に係る措置をとらない正当な理由があるものと解されると考えております。そのため、転換命令が出されることはなく、命令違反の罰則が科されることもないものと承知をしております。

 なお、財政上の理由で合併浄化槽への転換が困難な場合につきましては、合併浄化槽への転換や附帯する宅内配管工事について、先ほども出てきましたけれども、適切な費用助成が行われますとともに、転換のために適切な指導助言が行われることが期待をされるところであります。

田村(貴)委員 今お答えありましたように、この改正案の附則十一条の三、必要な措置をとるよう勧告を受けた者が、正当な理由がなくてとらなかった者に対して罰則がある。そして、経済的な理由、ここについては、負担の問題、ある人については、この正当な理由ととることができるというふうな回答だったというふうに思います。

 環境省、そういう理解で進めていくんですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 法案が成立すれば、その立法府の意思を踏まえて、しっかりと運用していきたいと考えております。

田村(貴)委員 であるならば、正当な理由であるというのは、経済的理由であるとか、そうしたところをやはり付していただきたかった、挿入していただきたかったというふうに思うわけであります。

 単独浄化槽、全国三百九十一万基あって、この合併浄化槽への転換が進んでこなかったその理由は何かとずっと今質問してきたわけなんですけれども、単独で既にトイレの水洗化ができたので、生活排水への浄化は進まないといったところの理由も挙げられていました。

 しかし、やはり生活していく上で、高齢者世帯が多い、その高齢者世帯は合併浄化槽への経済的な負担がやはり重過ぎる、ここが挙げられると思うんです。それが合併浄化槽への転換が図られなかった大きな理由であると思いますけれども、環境省いかがですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 確かに、今御指摘ありましたようなところが大きな理由だと考えております。

 特に、私ども、大きな理由の一つとしては、宅内配管工事の負担、これが、トイレの水洗化が実現してしまっているがゆえに、個人にとっては、新たに台所の水などの処理をするというのは、公共のためであって個人の便益につながらないというところが最大の要因かと考えておりまして、今回、その宅内配管工事に踏み込む補助を認めていただいたということでございます。

 これを、本年度からでございますので、しっかり運用をしてみて、また、市町村とも意見交換をしながら、よりよい制度を目指して努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 その政府の措置は異議を唱えるものではありません。ただ、やはり、合併浄化槽を設置する場合に大きな費用となるのは、本体、そして設置費用であります。これは、単独浄化槽の設置者である方が高齢化しているという現状から見たら、やはり六割負担というのはかなり厳しい。ここに着手しないと解決していかないというふうに考えます。

 そうした意味で、合併浄化槽への転換を図るために、合併浄化槽本体の購入、設置におけるやはり政府の支援というのは、行政の支援というのは速やかに、可及的に行っていかなければならないと思うんですけれども、残念ながら、この法案には入っていなかった。しかし、その必要性はあるんじゃないですか。提案者、いかがでしょうか。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたとおり、この法案、今回の法改正自体に書き込まれていないそのものもありますけれども、先ほど申し上げました規定の、本法律の第五十一条に、しっかりと、国、地方自治体については、この浄化槽法の趣旨にのっとって、しっかりとした相応な支援をしていただきたい、そのことを期待するところであります。

田村(貴)委員 議論してまいりました。

 今回の改正案においては、費用負担の改善を行うものとはなっておりません。その一方で、転換を行わない所有者に対しては、罰則をもって勧告、命令を行うこととなっているわけであります。ここは問題であります。こうした問題があり、賛成できないということを申し上げて、質疑を終わります。

秋葉委員長 以上で発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋葉委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る七日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十三分散会


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