衆議院

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第5号 平成30年2月5日(月曜日)

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平成三十年二月五日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    井上 貴博君

      伊藤 達也君    石崎  徹君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    大塚 高司君

      門  博文君    金田 勝年君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      左藤  章君    佐藤ゆかり君

      高橋ひなこ君    中谷 真一君

      中山 展宏君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平井 卓也君    星野 剛士君

      堀内 詔子君    松本 洋平君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山田 賢司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    岡本あき子君

      落合 貴之君    亀井亜紀子君

      中谷 一馬君    日吉 雄太君

      松平 浩一君    村上 史好君

      山内 康一君    山川百合子君

      井出 庸生君    井上 一徳君

      伊藤 俊輔君    稲富 修二君

      小熊 慎司君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    森田 俊和君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      江田 憲司君    原口 一博君

      福田 昭夫君    志位 和夫君

      藤野 保史君    足立 康史君

      遠藤  敬君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (男女共同参画担当)

   (マイナンバー制度担当) 野田 聖子君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (拉致問題担当)     加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (海洋政策担当)     江崎 鐵磨君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     松山 政司君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)     梶山 弘志君

   国務大臣         鈴木 俊一君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 和夫君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    桝田 好一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    辻  裕教君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   吉田 朋之君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    正木  靖君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       佐野  太君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小川  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           安藤よし子君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         飯田 祐二君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 良之君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    岩田規久男君

   参考人

   (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構理事長)       古川 一夫君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     中谷 真一君

  今村 雅弘君     井上 貴博君

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  衛藤征士郎君     菅家 一郎君

  竹本 直一君     左藤  章君

  平沢 勝栄君     松本 洋平君

  盛山 正仁君     大塚 高司君

  山本 有二君     高橋ひなこ君

  青柳陽一郎君     松平 浩一君

  落合 貴之君     中谷 一馬君

  山内 康一君     日吉 雄太君

  井出 庸生君     森田 俊和君

  稲富 修二君     玉木雄一郎君

  小熊 慎司君     源馬謙太郎君

  大西 健介君     伊藤 俊輔君

  後藤 祐一君     井上 一徳君

  篠原  孝君     福田 昭夫君

  原口 一博君     江田 憲司君

  藤野 保史君     志位 和夫君

  遠藤  敬君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     今村 雅弘君

  大塚 高司君     小島 敏文君

  菅家 一郎君     衛藤征士郎君

  工藤 彰三君     中山 展宏君

  左藤  章君     竹本 直一君

  高橋ひなこ君     山本 有二君

  中谷 真一君     石破  茂君

  松本 洋平君     門  博文君

  中谷 一馬君     山川百合子君

  日吉 雄太君     亀井亜紀子君

  松平 浩一君     青柳陽一郎君

  井上 一徳君     後藤 祐一君

  伊藤 俊輔君     大西 健介君

  源馬謙太郎君     小熊 慎司君

  玉木雄一郎君     稲富 修二君

  森田 俊和君     井出 庸生君

  江田 憲司君     原口 一博君

  福田 昭夫君     篠原  孝君

  志位 和夫君     藤野 保史君

  足立 康史君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     平沢 勝栄君

  小島 敏文君     堀内 詔子君

  中山 展宏君     山田 賢司君

  亀井亜紀子君     村上 史好君

  山川百合子君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     盛山 正仁君

  山田 賢司君     岩屋  毅君

  村上 史好君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田和夫君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、警察庁交通局長桝田好一君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、総務省統計局長千野雅人君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省刑事局長辻裕教君、法務省入国管理局長和田雅樹君、外務省総合外交政策局長鈴木哲君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長吉田朋之君、外務省北米局長鈴木量博君、外務省欧州局長正木靖君、財務省理財局長太田充君、文部科学省科学技術・学術政策局長佐野太君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、厚生労働省職業安定局長小川誠君、厚生労働省人材開発統括官安藤よし子君、農林水産省経営局長大澤誠君、経済産業省大臣官房総括審議官飯田祐二君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君、資源エネルギー庁次長保坂伸君、国土交通省土地・建設産業局長田村計君、国土交通省航空局長蝦名邦晴君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛装備庁長官鈴木良之君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局人事局長堀田眞哉君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 去る二日の西村智奈美君の質疑に関連し、青柳陽一郎君から質疑の申出があります。西村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳陽一郎君。

青柳委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、三十分の時間をいただきました。まことにありがとうございます。

 それでは、早速質疑に移りたいと思います。

 まず、安倍内閣の政治姿勢について伺ってまいります。

 先週来、茂木大臣の線香配付の問題、これがこの予算委員会でも問題になりました。本委員会でも、茂木大臣の答弁、野田総務大臣の答弁がありましたけれども、これは、政党支部の活動だから問題がないとか、名前が書いてないから問題がないとか、そういうことではなくて、そもそも法の趣旨として、物を配って政治活動をしてはいけないんだということなんです。そうした観点からすると、今回の事案は明らかに問題ありだというふうに思います。実際に、これは、野党だけじゃなくて与党からも懸念の声が上がっている、こういう状態だと思います。

 内閣の最高責任者であり、そして大臣の任命権者でもあり、法執行の責任者でもある安倍総理大臣は本件にどのように対応されるのか。大臣の辞職を求めるのか、それとも、もっと説明責任を果たせということなのか、あるいは、ガイドラインぐらいしっかりつくれということなのか、それとも、このままほったらかしにするのか。どのように対応されるのか、まず安倍総理の御意見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 茂木大臣からは、政治資金規正法あるいは公職選挙法にのっとって適切に対応しているという趣旨の答弁があったと承知をしております。

 いずれにせよ、政治家は襟を正し、これは与党、野党かかわらずだと思いますけれども、疑問を持たれれば説明責任を果たしていくことだろう、このように思います。

青柳委員 残念ながら、ほとんど答えになっていないと思いますし、今、与党、野党ということがありました。しかし、法を執行する立場の大臣は、我々一般の議員よりも、より一層法令遵守が求められる。だから、大臣規範というのが別途あるんですよ。実際に大臣規範があるじゃないですか。

 この大臣規範、これは安倍内閣になって形骸化していると思いますよ。実際に、パーティー、政治資金パーティーは大臣規範では自粛するように書いてあるわけです。それが、安倍内閣の閣僚は、多くの閣僚が平気で政治資金パーティーをやっているわけですね。大規模なパーティーをやっている。安倍総理も、これは特定パーティーになるかどうかあれですけれども、朝食会を年に数回開いている。これは政治資金パーティーの一つだと思いますけれども。

 こうした大臣規範、完全に形骸化していますけれども、これは安倍総理、大臣規範の徹底、やるつもりはありますか、それともこのまま、形骸化したままほったらかすんでしょうか。これについても見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 大臣規範においては、自粛すべきパーティーについては特に定められた基準はなく、国民の疑念を招かないよう、良識の範囲で適切に対応すべきものであり、また、安倍内閣においても適切に対応しているものと承知をしております。

青柳委員 これが安倍内閣の姿勢そのものだと思いますよ。線香を配っても、名前が書いてないから問題ないとか。大臣規範があって、パーティー開催を自粛するように書いてあるんですよ。

 私も、小泉内閣時代の大臣の秘書をやっておりましたけれども、非常に厳しく問われましたよ、パーティーをやるなと。一回もやりませんでした。

 今、毎年のように、麻生財務大臣は毎年のように大規模なパーティーを開いていますよね。これで適切にやっていると本当に言えるのかどうか、私はとても疑問だと思いますし、今の答弁そのものが、安倍総理、安倍内閣の姿勢そのものだと思います。だから、緩んでいるとか、おごっているとか言われるんだと思いますよ。

 私は、法令遵守、そして大臣規範の徹底を改めて求めたいと思います。

 次に、景気と税の問題について伺ってまいりたいと思います。

 税の問題をきょう議論させていただこうと思いましたので、佐川国税庁長官にお越しいただきたいということをお願いしております。きょうは佐川長官来ておりますか。

河村委員長 協議が調っておりません。

青柳委員 税の議論をしたいといって、佐川長官にお越しいただきたいとお願いしました。しかし、残念ながら、きょうはいらっしゃっておりません。何でだか全く意味がわからない。

 適材適所だとも言えないんじゃないかと思いますけれども、税の議論をするときぐらい佐川長官にお越しいただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いします。

河村委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

青柳委員 ぜひ取り計らいをお願いしたいと思います。

 総理にお伺いします。

 数字の上では、景気拡大、これがイザナギ景気超えだというふうに発表はされていますけれども、実際に、今回の景気回復は実感なき景気回復だと言われております。この実感なき景気回復の理由を安倍総理はどのようにお考えになられていますか。

安倍内閣総理大臣 五年間のアベノミクスにより、日本経済は、足元で、二十八年ぶりとなる、七四半期連続プラス成長となりました。我々が政権交代をする前はマイナス成長でありましたが、マイナスからプラスに大きく変わったわけであります。

 民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。

 特に、国民生活にとって最も大切なのは雇用ではないでしょうか。我々が政権をとる前は一倍になく、〇・八倍台であったわけであります。つまり、一人の職を求める人に対して一人分の職がない、これは真っ当な社会とは私は言えないと思います。そうですね。

 その中で、我々は、政権交代後、有効求人倍率は足元で一・五九倍、これは四十三年と十一カ月ぶりの大変高い水準であります。そして、なかなか、あの高度経済成長期もバブル期も、一倍を全国全ての都道府県が超えるということはできなかった。しかし、史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超えて、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれていますし、また、正社員についても、有効求人倍率は、調査開始以来初めて一倍を超えて、足元で一・〇七倍、これは過去最高の水準であります。

 昨年四月に高校、大学を卒業した若い方の就職率は、過去最高の水準となっています。

 消費についても、一国全体の姿を捉えるGDPベースでならしてみると、二〇一五年度、二〇一六年度と二年連続で増加となっています。これに対して、家計の消費で見たら違うではないかと言う人がいるんですが、世帯人員の減少などから、長期的に減少傾向があるのは事実であります。

 また、生活意識でありますが、平成二十九年の内閣府の調査によりますと、現在の生活に満足と回答した者の割合は七三・九%、これは過去最高となっています。そして、所得、収入面で満足と回答した者の割合も、平成八年以来二十一年ぶりに不満を上回っています。

 しかし、実感がないというのがあるのも事実であります。我々、それも真摯に受けとめなければならない、こう思っておりますが、この内閣府の調査は、一万のサンプルをとって、そして実際にとれているのは大体六千から七千でありますが、他の、普通の新聞社がやる調査というのは、七、八百、六百、七百程度であるということもあるのかな、また調べ方もあるんだろう、このように思いますが、いずれにせよ、なかなかまだ実感していない方々がおられるのは事実でございますから、しっかりとこれからこうした方々にも実感をしていただきたい、こう思う次第でございまして、この好機を逃さず、更に流れを強いものとしていかなければならない、こう思います。

 世界で胎動する生産性革命をリードして、二〇二〇年までを集中投資期間と位置づけ、賃金の上昇と景気回復の波を全国津々浦々へと広げていき、そしてもっともっと多くの方々に実感をしていただきたいと思います。そのためにも、三%以上の賃上げが実現するよう期待をしているところでございます。

青柳委員 今答弁いただきましたけれども、実感なき景気回復、これは私も地元へ帰り選挙区を回っていると本当に感じますので、ここは問題だと思うんです。

 そして、今、消費や有効求人倍率の話も出ましたけれども、やはり、企業や株価に比べて、個人消費の回復、そして賃金の上昇、所得の上昇というのはまだまだ弱いんだと思います。

 しかし、安倍政権が行っている予算とか税制、政策は、個人消費を喚起するような、所得をふやすような、こういう政策ではないんだ、これが私はきょうの問題意識です。予算規模がまだまだそういう意味では小さくて、対症療法でしかないというのが問題意識なんです。

 実際に、パネルをごらんいただきたいと思いますけれども、法人実効税率、これは安倍政権で下げてきました。しかし、実際に内部留保がたまっている、これが現状なんです。つまり、トリクルダウンが全く機能していないんじゃないか。

 そして、次のパネル。

 資本金が百億円を超える企業、大企業であればあるほど、実際の法人税の負担率というのは低い。これが今の政策になっている、今の税制になっているわけですね。ですから、こうした構造的なゆがみを是正しないと。

 そして、個人の消費、今回の税制改正でも実際に勤労世帯の負担はふえるわけですし、後で議論しますけれども、これに加えて消費税は来年増税する、こういう、個人消費をふやすような政策になっていないわけですね。

 ですから、こういう税のゆがみ、これを解決しないといけないのではないかと思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今トリクルダウンのお話があっておりましたけれども、これは、経済再生の取組によって雇用改善がかなりなされておりますし、賃金の引上げも、御希望ほどではないにしても確実にステップアップしてきているというのは間違いないんだと思っております。少なくとも、ベースアップという言葉は、何年ぶりか、何十年ぶりかで回復しておりますので、そういった意味では、企業収益というものがあったがおかげでそういった賃金がなされておる。

 それに比べて内部留保が高いのではないかという御指摘は確かだと思っておりますが、いずれにいたしましても、今後、賃金の引上げとか、また企業が設備投資というものを積極的にやってもらうことが大切なので、私どもの平成三十年度の税制改正におきましては、少なくとも、賃金引上げとか設備投資とかそういった、企業というものが、積極的な税負担というものを我々としては、やってくれるのであれば、我々としては、しっかりその点に関しては、税負担を引き下げることによって今言われたようなものをしっかりと対応していただけるということを、我々としてはぜひやってもらいたいということで取組を進めさせていただいております。

 また、税の再分配というところも出てくるんだと思うんですが、これは再分配の規模ではなくて、再分配の結果として格差の状況がどうなっているかというのが最も大事なんだ、私どもはそう思っております。

 この点、OECDの再分配の状況につきましては、OECDの統計によっても、社会保障などの歳出面とあわせて見ると、日本の社会保障と税による再分配後のジニ係数はOECDの平均とほとんど変わっていないぐらいでしょう。〇・三一と〇・三三ぐらいになっていませんか。私どもはそう思っています。

 したがって、その上で、税制改正については、今後、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率を引き上げておりますし、また、いわゆる給与所得控除というものの見直しをやるとか、金融所得課税の見直しをやるとか、相続税の見直しをやるとか、そういったものは着実に実行してきておりますので、税の再分配機能のあり方についても、経済社会というものの構造改革等々を考えてやっていかにゃいかぬと思っております。

 また、その他いろいろ出てくるんだと思いますので、その他の場合に関しましては、私どもとしては、税制による所得分配だけではなくて、他の政策を含めて格差是正というのはやらないかぬということだとは思っておりますので……(発言する者あり)短くしてほしいという御希望のようなので、あとについては十分理解しておられるという前提で、答弁を控えます。

青柳委員 大変嫌みな御答弁、ありがとうございました。

 相対的貧困率そして再分配効果の国際比較、これはまだまだ足りていないと思いますよ。OECDのお話が出ました。再分配の話が出ました。今、十分やっているんだというような答弁でしたけれども、実際には、OECDの平均を上回る相対的貧困率、そして税による再分配効果というのは日本はまだまだ低いんだというのが、これはもう結果として出ているんだと思います。やっているのではなくて、まだまだ足りていないということを申し上げておきたいと思います。

 そして、もう一つは、個人消費支出そして賃金水準の比較。これも、改善は見られるということですけれども、大企業の決算とかそれから株価に比べたら、やはり個人消費支出というのは力強さが見られないわけですね。ですから、ここをもっと喚起するような、消費をもっと喚起するような政策を打ち出してほしいというのが我々の主張でございます。

 そして、一番の関心事ですね、消費税。消費税を増税すれば必ず消費は落ちる、これは当たり前のことですけれども、来年十月、消費税、これは予定どおり、総理、増税するんでしょうか、それとも再度延期する可能性があるのか、お伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁の中で、ちょっと追加をさせていただきますと、この相対的貧困率、OECDの平均と比べてみて、これは厚生労働省と総務省が出している数値、それぞれ違うんですが、総務省の数値でいけば、それぞれ、これはOECDよりもいわば相対的貧困率は低いということでございます。

 それと、加えて、我々、低所得者を支える、最低賃金については、この引上げに力を入れておりまして、政権交代前の十年、いわば第一次安倍政権も含めての十年においては、十年間で八十六円上げたわけでありますが、我々は五年間で百円上げているということでございまして、後の五年で三%ずつ上げていって、更に百円以上上げていきたい、こう考えているところでございます。

 それと、ただいまの質問でございますが、消費税を引き上げるかどうか。消費税を引き上げて、いわば子供たちの未来へ投資する、この恒久財源をしっかりと得ていきたい、このように考えております。また、そういう状況をつくっていきたい、こう考えております。

青柳委員 それでは、必ず消費税増税するという答弁でよろしいんですか。去年の総選挙のときの総理のインタビューでは、党首討論やニュースのインタビューでは、基本的には引き上げますけれども、引き上げない可能性についても否定されていないんですね。

 実際に、これは二〇一四年十一月、消費税延期を表明して衆議院を解散しました。このときは、五%から八%に消費税を引き上げて、消費税を引き上げていますからGDPがかなり落ち込みました。なので、延期の判断、これができたんだろうと思いますし、景気条項も入っていました。

 しかし、二〇一六年の六月にもう一度、増税を再延期することを表明したわけですね、総理は。そのときの判断の理由というのは、新しい判断、これで再度延期すると。根拠となる法律や条項というのは何もなかったわけですね。総理の判断で消費増税を再延期したわけです。

 ですから、来年も、実際、結果として見ると、二〇一六年の六月というのは景気拡大局面にGDP上なっているわけですから、リーマン・ショック級のリスクがあるんじゃないかという話がありましたけれども、リーマン・ショック、見てわかるとおり、全然状況が違いますね。ですから、再度確認しますけれども、来年になれば、また新しい判断が出てきて、増税を延期するということはあり得るということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 前回は、まさに世界的な経済の状況を判断したということであります。いわば世界経済が縮小する危険性に対して、国際社会で、G7の議長国でございましたから、伊勢志摩サミットにおいても、あらゆる手段でこれに備えていくということを議長として取りまとめたわけでございまして、当然日本もそう対応すべきだ、こう判断したところでございます。

 消費税を引き上げるというのは、これはやはり経済に対してショックを与える、消費にショックを与える可能性があるわけでございます。しかし、もう来年の話でありますが、次の消費税八%から一〇%への引上げは、前回は三%、今回は二%であるということ、そして、今回は軽減税率を導入しているということ、さらには、五分の四を借金返しに使う、五分の四を借金返しに使うということはデフレ効果があるわけでありますが、これは今回、その半分は子供たちへの投資に使う、政府が支出をするということになりますから、相当そのショックを和らげることができるんだろうと思います。

 いずれにせよ、しっかりとした対策を打ちながら、前回の経験を生かして、前回、消費が落ち込んでしばらく戻らなかったという経験を生かしながら、適切に経済運営を図っていきたい、こう考えております。

青柳委員 明確に否定はされなかったわけでございますが、ですから、来年、消費税増税を延期する余地というのが若干は残っているような答弁でございました。

 その際に、これも昨年の衆議院選挙の党首討論あるいはプライムニュース等で総理は述べているんですけれども、増税を万が一延期した場合、この二兆円の、今も答弁ありました人づくり革命への投資、この二兆円の政策パッケージ、増税しなければやらない、できないんですか、こういう問いに対して総理は、増税しなければこれは実行できないという答弁でした。これは、今でもその答弁は生きているんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 消費税を引き上げるか引き上げないかは、経済は生き物でありますから、リーマン・ショック級の出来事等々があれば、それは引上げを延期する場合がありますが、前回、引上げを延期したときのような、ああした現状を分析する会議をあらかじめ行って判断するということは予定はしていない、こういうことでございます。

 今回の政策パッケージについては、こうした政策の実行は、二〇一九年十月に予定されている消費税率一〇%への引上げを前提としております。

青柳委員 つまり、人づくり革命、あるいは、税の使い道ですから、これを変えるために去年の十月に衆議院選挙をやった、そこまでするんですけれども、増税しなければこの人づくり革命はやらないというのが今の答弁なんですね。

 私は、人づくり革命というか人への投資という方向性については賛成しますし、これはやらないといけないと思うんです。増税しなくても、まさに今、再分配とか、これが求められているわけですから、これをやっていかないといけないと思います。人づくり革命と銘打っておきながら、増税ができなければこれはやらないというのは、これは本当に、まさにメッセージだけ、看板倒れだと思います。

 ぜひ、総理には、人づくり革命とやっているんですから、万が一増税しなくてもしっかりここは手当てしていくべきだということを宣言してほしいと思います。もう一度答弁を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 看板倒れになるのは、確固たる財源がない政策を実行しようとするとこれは看板倒れになるのでありますが、我々は、選挙において国民の皆様に、引き上げて、そしてこの政策をやらさせていただきたいということを申し上げているわけであります。

 選挙の際に、消費税を引き上げると言うのは、これは人気のない政策になりかねないわけでありますが、私たちは、そこは誠実に、消費税を引き上げますと。あの選挙において、消費税を引き上げると言った政党は非常に少なかったというか、我が党だけだったのかな。たくさんあったので、全て見ているわけではありませんが。

 しかし、引き上げる、そのかわり、半分は子供たちのための投資に使わさせていただく、半分は社会保障の安定化のために、いわば今までの借金返しのために使わさせていただく、こう言っているわけでございますので、安定財源を得た以上、我々はその安定財源を使って実行していきたい、このように考えております。

青柳委員 もう一つ問題を提起したいと思います。

 では、増税した場合に、今も御答弁ありましたけれども、軽減税率を導入するということを総理は御答弁されていますけれども、そもそもこの軽減税率は何のために導入するんでしょうか。

 逆進性の解消にはつながらないという専門家が多いですよ。それから、対象品目についての線引き、これは相当曖昧になりますし、政治銘柄化しやすいという指摘も多いんですよ。しかも、手続も煩雑になる。

 更に言えば、この軽減税率、導入すれば一兆円の穴があきます。この一兆円の穴の埋め方、まだ決めていないんです。穴は埋めなきゃいけないけれども、埋め方は決めていない。これはどのように考えますか。

麻生国務大臣 軽減税率のお話につきましては、これはいろいろ御意見のあるところではありますけれども、逆進性というものが緩和されることは確かだと思いますが、買物の都度に痛税感を感じるというか、そういった点も極めて大きなものだと思って、我々はそこを重要視したんです。

 いずれにいたしましても、二十八年度の税制改正を踏まえて法改正をさせていただいたんですが、二〇一九年から軽減税率の実施に向けて準備を進めてまいりたいと思っておりますが、今お話にありましたように、それに当たって税源が要ることになろうと思っておりますので、その税源をいかに確保するかということで、総合合算制度というものの見送りというのをやらせていただきましたので、それによって生じるあれが約四千億ぐらい出ると思いますので、差額の約六千億ぐらいのものが、今、私どもとしては、きちんとした安定的な恒久財源を確保せないかぬというところが一番大事なので、これは私ども、今年度いっぱいまでにそういったものを、安定的な恒久財源をしっかり確保せないかぬと考えております。

青柳委員 今御答弁いただきましたけれども、軽減税率については、もう圧倒的に反対意見の方が多いと思いますよ。これは与党でも反対意見が出ていると仄聞していますが、今ならまだ変えられると思います。

 これこそ、この軽減税率こそ総理の新しい判断で変えるべきだと思いますが、総理、新しい判断で軽減税率導入を見直すことをされませんか。御答弁をお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この軽減税率の導入については、もう既に我々で方針を決定しているところでございますので、この方針どおり実行していきたい、こう考えております。

青柳委員 時間も余りなくなりましたので、最後にもう一つ重要な指摘をさせていただきたいと思います。

 二〇一二年十一月十四日、当時の安倍自民党総裁と野田佳彦総理との党首討論ですけれども、これは非常に見応えのある党首討論だったと思います。このとき、安倍総裁は野田総理に対して、来年の通常国会で定数削減と選挙制度の改正を行う、今この場で、そのことをしっかりとやっていく、約束すると明言しているわけです。そして、衆議院の解散・総選挙となって、第二次安倍政権が誕生したわけですけれども、あれからもう既に五年たちました。

 増税の前に、隗より始めろという言葉があります。約束した議員定数の削減、これはこのままほっておくんでしょうか。増税の使い道は総理が決めて衆議院の解散をする、しかし、身を切る改革は各党に任せますということでは、これは国民の理解は得られないんじゃないんでしょうか。総理に御答弁をいただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 安倍政権において、十議席、十、定数を削減しています。

 ですから、これは、削減すると言うことは簡単なんですが、実際に削減をするということは、しっかりと全国の状況を見て、調整しながらそれを実行していくことが大切であり、また、これは議員の身分にもかかわることでありますから、しっかりと国会で御議論をいただいた結果、十議席、議席を削減したということでございます。

青柳委員 いや、十議席じゃなくて、当時、一割削減すると言っていたんですよ。ですから、十議席では全く足りないと思いますよ。それは、自民党の公約は一割削減すると言っていたんです。

 ですから、それをしっかり実行するんですと言って、十議席やったからいいだろうというのが今の答弁でございました。そして、消費税増税を、国民に対して負担を押しつけるというのは、どうも私は、これは納得は得られないと思いますし、消費税増税すれば、今一番足りない個人消費がまた冷え込むんだと思います。これは、抜本的に政策を見直していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、これで終了させていただきます。

 最後に、税の議論の場合、佐川長官にぜひお出ましいただきたいということを、安倍総理は、税は民主主義の根幹だ、税こそ民主主義だと言っているんですから、その税の執行の責任者である佐川長官にお越しいただけないというのは、我々、とても納得できないと思います。ぜひしっかりお取り計らいをいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質疑を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

河村委員長 この際、逢坂誠二君から関連質疑の申出があります。西村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 まず最初に、きょうは河野大臣にお伺いしたいんですが、週末のことだったので残念ながら通告ができていないんですが、週末の河野大臣の発言を聞いて、私、ちょっと耳を疑いました。それは、アメリカの核戦略の見直しに関する、それに対する発言であります。

 私は、今回のアメリカの核戦略の見直しというのは、核兵器の使用のハードルを下げていく、あるいは逆に、核の先制使用、これもやる可能性があるといったようなことが含まれている、そういう意味では、非常に危険な内容ではないかというふうに思うんですね。

 それに対して、河野大臣は何と言っているか。高く評価すると言っている。高く評価する。単なる評価ではなくて、高く評価すると言っている。これを聞いて、私は本当に驚きました。

 私の記憶が正しければ、河野大臣はかつて核軍縮議連の事務局長もやっていたというふうに思っていますが、それは心境の変化があったんでしょうか。何か大きな転換があったんでしょうか。高く評価する、その意味合いについて教えていただけますか。

河野国務大臣 今、我が国は、北朝鮮の核及びミサイルの脅威にさらされているところでございます。そんな中にあって、今次のNPRは、アメリカだけでなく同盟国にもアメリカの核の抑止力をきちっとコミットする、極めて明確にそのことがうたわれております。

 我が国は専守防衛を旨としておりますので、通常兵器で北朝鮮を攻撃する能力はございませんし、非核三原則を堅持するというのが安倍内閣の方針でございますので、核に対して核の抑止力をみずから用いることはできません。そんな中で、北朝鮮の核の脅威から我が国の国民の生命財産あるいは平和な暮らしといったものを守るためには、アメリカの核の抑止に頼らざるを得ないのが現実でございます。

 そんな中にあって、同盟国に対して核の抑止力を明確にコミットしている今次のNPRを高く評価する、そう申し上げているわけであって、何ら私の気持ちに変化があったわけではございません。

逢坂委員 私は、オバマ前大統領のときは、アメリカには核廃絶に向けた道義的な責任がある、そういった姿勢を感じておりました。しかし、トランプ大統領になってから、そういった雰囲気が感じられない。どちらかといえば、核の使用について積極的な側面が見られる。核兵器の削減という観点からいえば、私は、アメリカが今回のこの核政策の転換によって、核兵器の削減をしていくということを主導する、そういう立場からどんどんと後退しているように感じるんですね。

 そういう観点から見て、それでも高く評価するんですか。

河野国務大臣 オバマ大統領がプラハの演説をしたときと比べると、北朝鮮の核、ミサイルの脅威というのはかなり進展をしているのが現実でございます。

 さらに、中国の核戦力の増強、あるいは中国の核近代化計画の中における透明性の欠如、あるいは、ロシアがウクライナの紛争の中で見せたような、限定的なエスカレーションに対する、ロシアの軍事ドクトリンに対する入れ込み、こうしたことはオバマ政権のときにはなかった、新たに進展をしてきた核の脅威でございます。

 世界じゅうの安全保障に対する脅威が変化する中で、米国のNPRが前回と違っているのは、むしろ当然と考えております。

逢坂委員 河野大臣、私は、世界のさまざまな変化、それを取り上げて、核の抑止力、これが日本にとっても必要なんだということ、それはいろいろな御意見があるから述べていいと思いますけれども、だがしかし、こうやって間髪入れず、高く評価をするなどというコメントを出すこと、こういうことにどんどんどんどん乗っていくことは、私、安全保障のジレンマに陥るその入り口に立っているような気がしてしようがないんですよ。

 安全保障のジレンマという観点で、これはどう思いますか。

河野国務大臣 我々は、北朝鮮の核並びにミサイルの脅威というのを現実のものとして受けとめております。

 実際に、我が国の領土を二度ミサイルが飛び越えていったということからも、我が国の国民の生命あるいは平和な暮らしを守らなければいけない政府として、今回のアメリカのNPRのように、きちんと同盟国に対して核の抑止力を明確にコミットしている、これを高く評価しない理由はないと思っております。

逢坂委員 この問題は、私は落ちついて冷静に議論すべき問題だと思いますので、きょうはこの程度にとどめさせていただきますけれども、間髪入れず、高く評価をするというふうな発言をしたことについて、相当に問題が多い、そう私は思わざるを得ません。そのことを指摘させていただきます。

 それから、もう一つです。今度は総理にお伺いしたいんですけれども、これも週末のことなので通告ができなかったのでありますけれども、総理が、これは産経新聞の報道によれば、米韓軍事演習、これを再開するように要請をするんだという報道が流れております。

 私、これを聞いたときもちょっとびっくりしまして、日本がどういう立場でこのことを要請するというか、できるのか。しかも、韓国軍、これは同盟国と言えるのかどうか私はわかりませんけれども、そういうところで、日本の総理が韓国の大統領に要求するということになれば、かえって誤ったメッセージを発することになるのではないかというふうに思います。

 総理が米韓合同軍事演習を実施するように求めるというふうに報道されていること、これは、総理、事実なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、報道されていることは事実かという御質問でございましたので、報道されているということは事実でありますが……(逢坂委員「ああ、失礼しました。内容」と呼ぶ)ではなくて、報道されている内容が事実か。

 報道されていることは事実でありますが、報道されている内容については、各紙の報道について一々コメントすることは差し控えたいと思います。

逢坂委員 じゃ、各紙の内容についてコメントすることは差し控えたいのであれば、ストレートに聞きます。

 米韓合同軍事演習の実施を韓国やあるいはアメリカに対して働きかける、そういう予定、意向はございますか。

安倍内閣総理大臣 今後首脳間でどのようなやりとりをしていくかということについて、特に安全保障にかかわることでありますから、ここで私がつまびらかにすることは差し控えさせていただきたい、こう思う次第でございますが、いずれにせよ、今、国際社会は北朝鮮に対して、最大限まで圧力を高めていくことによって、北朝鮮の側から、話し合いたい、政策を変更する、こう言ってくる状況をつくる、そのために今、国際社会が連携しているわけでありますから、我々もしっかりとこの国際社会の連携を守るために努力をしていきたい、こう考えているところでございます。

逢坂委員 総理から、米韓合同軍事演習の開催を要請するということ、アメリカや韓国に対して要請するのかという問いに対して、明確な否定がなかったというふうに思います。明確な否定はしないということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 普通、首脳会談で何を話すか、しかも機微にわたることについて明確な答弁をした総理大臣というのは余りいないんだろうと思いますが、特に安全保障にかかわることでありますから、つまびらかにお話をすることは差し控えさせていただきたい、こう考えているところでございます。

逢坂委員 これも私、今後のこの地域の安全保障にとって非常に大きなことだと思いますし、日本の立場にとっても非常に大きなことだと思います。よくよく丁寧に考えて賢明な対応をしていただきたいと思いますし、今報道されているようなことがもし具体的に起こるとするならば、私は、この先に何が起こるのか、相当そら恐ろしい状況が起こるのではないかという懸念を持っておりますので、そのことを伝えさせていただきます。

 さて、それでは、きょうの通告している本題に入らせていただきます。

 青柳議員からも話がありましたけれども、税の問題、それから、今確定申告の時期に入ってきています。今のこの状況を放置しておくと、私は確定申告の現場も随分混乱するのではないかというふうに思います。その鍵の一つは何か。それは、安倍昭恵さんと佐川国税庁長官の国会での証人喚問、これがしっかり実現をして、今国民の皆さんの中に何となくもやもやもやもやとした疑問があるもの、それを解消することが非常に大事なことだろうと思っています。

 そこで、麻生大臣にお伺いします。

 二十九日の麻生大臣の答弁の中で、国税庁所管以外に関心が集まっていたから実施しないと決めた、これは、要するに、佐川国税庁長官の記者会見を実施しないと決めたんだ、その理由は国税庁所管以外に関心が集まっていたからだということでありますけれども、国税庁所管以外のことというのは何なんですか、これは一体。

麻生国務大臣 国税庁長官として、国税に関する話以外の話として、例えば森友、加計学園等々の理財局長当時の話に話題が集中するというのは、国税庁長官の就任の挨拶とは違うのではないかということです。

逢坂委員 しかし、これは、いわゆる森友問題だけというのは独立してあるわけではありません。それをやっていた方が国税庁長官になって、今後の税の行政にも大きく影響を与える可能性がある、国民の信頼を損ねる可能性がある、だから、潔白であって何にも問題がないんであったら、みんなの前できちんと説明すればいい、そう私は思うんです。それをなぜやらないのか、それじゃ佐川隠しじゃないかと思われても仕方がない、私はそう思うんですね。

 そこで、もう一点。国税庁所管以外に関心が集まっていたから実施しないと決めた。決めたのは誰ですか。

麻生国務大臣 佐川長官本人です。

逢坂委員 長官本人が記者会見しないということを決めて、それで国民に対する説明責任、丁寧な説明が果たせると大臣は思っているんですか。いかがですか。

麻生国務大臣 佐川長官の答弁に関しては、これまで国会で何回となく答弁をさせていただいたと、去年一年間の記憶でもそうありますので、それなりの説明はさせていただいていると思っております。

逢坂委員 今、後ろからいろんな声が聞こえましたけれども、国税庁長官の答弁が違っていた、これがことごとく明らかになっているんじゃないですか。売却価格が適正だったか。あるいは、交渉記録がないと言った、ところが、いろんな文書の中にそれも含まれていることが明らかになってきている。事前の価格交渉はなかったのか、そうじゃない、限りなくゼロに近づけるように努力をする、こういう話が出てきている。

 当時の理財局長時代の答弁が間違っている、虚偽だった可能性がある、だからみんなもやもやしているんですよ。

 さてそこで、菅官房長官にお伺いしたいんですが、菅官房長官は、一月十五日の記者会見で非常に貴重な話をされているんですね。これは、どこかの記者に聞かれて、佐川長官の理財局長時代の文書管理をどう評価しているかと聞かれて、官房長官は非常にいい答弁をされています。佐川長官に確認されたらどうかと答弁しているんですよ。

 私も、官房長官の言うとおり佐川長官に確認したいというふうに思うんですが、官房長官、この発言の意味、どういうことですか。記者会見を開くという意味ですか。

菅国務大臣 国会で長官として説明をされているんじゃないでしょうか。議事録にも当時の答弁というのは載っていると思っています。

逢坂委員 官房長官の記者会見での答えは、佐川長官に確認されたらどうかというふうに言っているんですよ。だから、佐川長官に確認するすべが我々には今ないものですから、この発言の意味というのはどういうことなんですかとお伺いしているんです。

菅国務大臣 ですから、当時、そのことについては、佐川長官は当時現職でありましたので、聞かれたらどうですかという話をされました。

 そして、現在は、その後任の方が今ここに、国会で連日答弁しているわけですから、それはその理財局長に聞かれたらいかがでしょうか。

逢坂委員 官房長官、この記者会見はいつの記者会見ですか。これは、一月十五日って、ことしの一月十五日なんじゃないですか。違うんですか。

菅国務大臣 ですから、長官の後を引き継いでいる理財局長として国会でも何回も答弁されている方に聞かれたらどうでしょうか。

逢坂委員 この記者会見から、佐川長官に確認されたらどうかというお答えをされていて、今の答弁じゃ、全く整合性がとれない。

 いずれにしても、麻生大臣も菅官房長官も、どうしても佐川国税庁長官を公の場に出したくない、そうとしか思えない。佐川隠しじゃないですか。

 これから確定申告が始まって、多分現場ではいろんなことが起こる。そのときに、現場の皆さん、税の根拠になるような書類がない、だから所得控除も税額控除もできない、そう言わざるを得ないような場面がある。でも、国民の皆さん、書類がなくていいんだったら、税額控除だって所得控除だって、言いなりにやってくれよと言い出しかねないですよ。

 これは、佐川隠しをやめて、しっかり佐川国税庁長官を国会の場なり記者会見なりで釈明をさせる、そういうことをやるべきだと思います。

 河村委員長、改めて、国会への佐川国税庁長官の証人喚問を要求いたします。

河村委員長 引き続いて理事会で協議をいただきます。

逢坂委員 さて、もう一つの鍵、安倍昭恵さんの問題であります。

 私、これも、週末、ちょっとびっくりしました。安倍昭恵さんが、訪問先の福岡県、そこで森友問題について、私が真実を知りたいって本当に思います、何にもかかわっていないんですというふうに語ったと報じられているんですね。

 これは立場をちゃんとわきまえているのかどうか、非常に私は悩ましくこれを聞きました。真実を知りたいのは国民の皆さんなんですよ。だから、まず安倍昭恵さん自身が真実を語るべきなんですよ。

 総理、この一昨日の、奥様、安倍昭恵さんの、私が真実を知りたいって本当に思います、何にもかかわっていないんですという発言を聞いてどう思われますか。そのとおりだと思われますか。

安倍内閣総理大臣 これは……(発言する者あり)ちょっと、委員長。

河村委員長 発言中は御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 やじが余りにも多いので、済みません、後ろに座っている人たちのやじも大変大きくて、答えにくいので。

 これは、例えば、安倍晋三記念小学校、こう籠池さんが申請した、これを朝日新聞が事実かのごとく報道しましたね。籠池さんが考えた名前ですから当然そうだと思ったら、実は開成小学校だったんですよ。

 御党、前、皆さんは民進党に属しておりましたが、民進党の福島さんがそこに座って、これ、安倍晋三記念小学校と申請されましたよね、だから、みんなわかっていたんですよ、かかわっていることが。そこでそんたくが生まれたんですよ、それを認めなさいと私を追及したんですよ。

 しかし、例えば、報道した朝日新聞も、しっかりと、これは元本のコピーがあるはずですから、コピーで、普通、小学校の名前を見ますよね。それを普通、裏取りというんですよ。裏取りをしない記事というのは、これはもう記事とは言えないんです。ほとんど、ちゃんとした品質をなしていない。

 そして、実は違った……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 済みません、今、一生懸命答えているんですから、やじで妨害をしないでください。(発言する者あり)済みません、後ろの方々もやめていただけますか。

 委員長、ちょっと、私、発言しにくいものですから、注意してください。

河村委員長 発言中は御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 そこで、いわばそういう形で疑惑は広がっていくんです。今、多くの方々はまだそう思っていますよ、そう思っているんですよ。この籠池さん、これは真っ赤なうそ、うそ八百じゃありませんか。

 その方が、今度、述べたというテープが出てきた。しかも、報道の仕方は、籠池さんと安倍昭恵氏の発言に対する新たなテープが出てきたと書くから、私の妻の肉声がテープになったとまだ多くの方々が誤解していますが、私の妻のテープではなくて、これは籠池さんが、誰かから促されたのかもしれませんが、入れたテープが出てきたわけであります。しかも、それはもう昨年報道されていることなんですよ、五月ぐらいに。それを、また何か出てきたといった、新たな事実といって大きく報道されるということがずっと続いているんですよ、逢坂さん。

 ですから、これは一体何なんだと思うわけでありまして、昭恵に対する質問については、私はここで常にこうやって誠実にお答えをさせていただいている。答えても答えても、いわば皆さんの党も、こういううその報道に乗っかって、それが事実であるとして、事実と認定して質問をする。延々としかも質問をしますから、それがテレビで報道されて、テレビもそれを報道するからそういう頭になっていくということもあるわけでありまして、ですから、これはちゃんと説明をさせていただかなければいけない。

 それだけではありませんよ。あの棟上げ式もそうですね。棟上げ式に行ったと籠池さんが証言した、これも朝日新聞が大々的に報道しましたね。しかし、皆さんの勉強会で籠池氏が、棟上げ式に行っていない、こう言っているんですよ。

 この人物を皆さんは事実を言っているといって、ずっと政権を批判してきたということでありまして、それが一つの真実でもあろう、こう思う次第でございます。

 証人喚問まで皆さんが要求をしておられますから、私も少し丁寧に答弁をさせていただいたところでございます。

逢坂委員 総理、報道が違っているとかどうかとかということ、そういう問題が起こるのはなぜなのかというところ、そこが問われているんです。そういう問題というのは、報道が違っているということがどうではなくて、なぜ今回、この森友の問題がいつまでもいつまでも尾を引くような、こういう、みんなから不透明なところがあるというふうに思われるのか。それはまさに、安倍昭恵さんのこれまでの行動、そこに課題、問題があるんじゃないですか。

 例えば、安倍昭恵さんは、森友学園の教育方針、これを評価しておりませんでしたか。そして、森友学園の幼稚園に幾度か出向いて、そこで現場で何らかの発言をされておりませんでしたか。これは事実ですよ。そうじゃありませんか。

 例えば、二〇一五年の九月、森友学園で安倍昭恵さんは挨拶をしているんです。籠池園長、副園長の本当に熱い熱い思いを何度も聞かせていただいて、この瑞穂の記念小学院で何か私もお役に立てればいいなと思って、こういう挨拶をされている。

 だから、総理夫人がこの森友学園に対して、お役に立てればいいなと思って、そういう御挨拶をしている、こういうことがこの問題の発端にあるんじゃないですか。だから、こういうところをきちんと、どういうかかわりを持っていたのか、それを説明してもらいたい、そう我々は思っている。国民の皆さんのもやもやもそこにあるんじゃないでしょうか。

 総理、今のこの何かお役に立ちたいと思ってということは、これはどういう意味なんでしょうか。(発言する者あり)

安倍内閣総理大臣 済みません、委員長、ちょっとうるさいのでなかなか答えにくいんですが、このままでは。

河村委員長 答弁中、発言中は御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 今の御質問は、実は昨年も何回も、相当の回数、私、答弁させていただきました。もう一回ということであれば、貴重な時間を使って答弁させていただきますが、同じことを申し上げますから、違ったことは言えないと思います。

 しかし、その前に、報道について、報道が間違えた原因が私にあるかのように、また妻にあるかのように言うのは、それは間違っていますよ。報道というのは、裏をとって報道するのが当たり前じゃないですか。間違えたら、訂正、謝罪するんですよ。

 先ほどここで、一つだけ私訂正させていただきますと、朝日新聞は、安倍晋三記念小学校という間違った報道をしたけれども、その後、わからないように訂正したかもしれないと言ったんですが、これは訂正していませんでした。訂正していませんから、多くの人たちはそれをそのまま、その新聞しか読んでいない人はわからないんですよ、ずっと。そういうことが続いているんですよ。

 それを私たちが解明しろといったって、それは解明できない話であって、そのことまで全て背負えといっても、それは私はおかしいのではないか。一方的なデマ、中傷を肯定するのとそれは同じですよ。そういうことをはっきりと申し上げておきたい。(逢坂委員「問題のすりかえですね」と呼ぶ)これは、問題のすりかえではなくて、いわば問題の本質にもつながっている、こう思うのでございます。

 そして、妻も講演に呼ばれていけば、そこのいいところが何かということを選びながら、それは申し上げることはありますが、同時に、いろいろなことを言われても、それは何もできませんねという趣旨で、やんわりと、開校に何か手伝うということはできない旨も申し上げているわけでございます。全体を見ていただきたい、こう思うところでございます。

逢坂委員 そういったことを、直接、安倍昭恵さんからやはり説明すべきだと私は思うんですよ。

 そして、逆に、一昨日の発言のように、あたかも自分には無関係だったかのように、自分が真実を知りたい、私が真実を知りたいって本当に思います、何にもかかわっていないんですと。何にもかかわっていないというのは、これはどう見ても言い過ぎなんじゃないですか。

 例えば、公費で安倍昭恵さんについていた秘書役の方がこの問題についてファクスでやりとりをしている、そういう事実がございました。こういう点を見ても、何にもかかわっていないというのは少し言い過ぎなんじゃないかと私は思いますけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 ふわっとおっしゃったんですが、正確性を期した方がいいと思いますが。

 いわば、国有地の払下げについての値下げにかかわっていないということを、私は代表して答弁をしております。つまり、それについてはかかわっていないということは明確にしているわけであります。

 それ以上は恐らく御質問はないんだと思いますが、それはちゃんと、私、今答えましたよね。それが事実です。一つ一つ、質問について、分析をしながら答えさせていただきますが。

 そしてもう一つ、わからないというのは今申し上げましたよね。例えば棟上げ式、妻は行っていません。私もここでそう答えています。しかし、どう報道されましたか。で、御党かどうかわからないけれども、恐らく御党だと思いますが、棟上げ式に行っただろうと断定的に質問されましたよね。でも、断定的に……(逢坂委員「その質問は私していないですよ」と呼ぶ)いやいや、それは党としての、そういう質問があったんですから。(発言する者あり)それは、民進党、御党は違うかもしれないけれども、もともと民進党という同じ党じゃありませんか。

 そこで……(逢坂委員「私が質問していないことをとうとうと答えられても困るんです」と呼ぶ)そこで、これは大切なことだから少し言わせてください。

 つまり、そこで、棟上げ式に行ったか行かないか、私は、行っていませんと言っているにもかかわらず、そういう報道があるということについては、実際どうしてなっているのかと思うのは当然じゃありませんか。そこで、いわば昭恵はそう答えたわけであります。

 つまり、御党が、御党かどうかわかりませんが、野党の人が、棟上げ式に行ったと言って、これは妻を責めたわけでありますが、実際は行っていなかった。しかも、行っていなかったということは、昨年の民進党がやった勉強会で、籠池さん本人が、行っていなかったと言ったんですよ。しかし、その後、行ったと言って、それが新たな事実であるかのように報道されて、そのうその報道をまた皆さんが、これも朝日新聞だったんですが、もとに皆さんが質問をされるということの繰り返しなんですよ。

 また、今、先ほど質問されたことについては、既に私が昨年答えていることを再び質問をされているということでございまして、これが続いているということであろう、このように思います。

逢坂委員 総理、私は、棟上げ式のことも学校の名称のことも一言もしゃべっていないし、しかも、これまでも、この委員会での私の質問の中でも、全くそのことに私は言及していません。

 私は、どういうふうにかかわったのか、そのことだけをお伺いしているんですよ。

 だから、そうじゃないんですよ。かかわっていないと言うんだったら、御本人にちゃんと説明していただきたいということなんです。(安倍内閣総理大臣「何でかかわったの」と呼ぶ)

 何にもかかわっていないって。だって、お役に立ちたい、あるいはファクスのやりとりがある、こういうのを見れば、外形的には何らかかかわっているんじゃないでしょうかね、そう思わざるを得ない。だから、御本人から説明していただきたい。これも、佐川国税庁長官に引き続いて総理夫人隠しだ、そう思わざるを得ないですよ。

 盗人たけだけしいという言葉が世の中にはありますけれども……(発言する者あり)いえいえ、言葉がありますけれどもと、最後まで聞いてくださいよ。こういう言葉は日本にないんですか。こういう言葉は日本にないんですか。

 それじゃ、ちょっととめてくださいよ、時計。私は何にもまだ具体的に言っていないじゃないですか。時計とめてくださいよ。(発言する者あり)

河村委員長 逢坂君、ただいまの発言については説明を要します。

逢坂委員 委員長、今の時間、どうされますか。

河村委員長 質問を続けてください。

逢坂委員 いや、私は、日本には盗人たけだけしいという言葉がありますがと言いかけただけで、これが誰がどうだということを言うつもりはまだ、だから、そこは最後まで聞いてもらわなきゃわからないじゃないですか。

 でも、この言葉はもうここでは、これほど大騒ぎになっていますので、これはちょっとここでとめさせていただきますよ。(発言する者あり)なぜ撤回しなきゃいけないんですか。いやいや、まずくも何もないですよ。日本にはそういう言葉がありますがというところで……(発言する者あり)だから、そこまで皆さんが言うのであれば、これで私はしゃべりませんよ。

 いずれにしても、証人喚問、佐川国税庁長官、安倍昭恵さん。委員長、よろしくお願いします。

河村委員長 理事会において引き続いて協議を願います。

逢坂委員 じゃ、次に、もう一つ、話題をちょっとかえさせていただきます。

 週刊新潮を始め、さまざまな媒体で、茂木大臣の御地元で国会手帳あるいは線香を無料で配ったということが出ているようでありますけれども、茂木大臣に一点だけ確認したいんです。これを御自身で直接配ったということはないのかどうか。

茂木国務大臣 何度も答弁を申し上げておりますが、配る、配付するというより、亡くなられた方に手を合わせ、仏前にお供えをする、こういうことだと思いますが、いずれにせよ、政党支部の活動として行ったものであります。

 そして、政党支部のこのような活動が適正だというのが、御党の枝野代表が民進党の幹事長時代だったときの統一見解だった、このように理解をいたしております。

逢坂委員 いや、私が聞きたかったのは、御自身で直接配ったという事実はございませんか、ただそれを聞いているだけです。

茂木国務大臣 御答弁申し上げたとおりです。

逢坂委員 ということは、御自身が直接配ってはいないということはこの段階では断言できないということでよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 そのようには申し上げておりません。私がお供えしたということはございません。

逢坂委員 お供えする行為と配る行為はまた別だと思いますので。直接出向いていって配ったということはあるかないか、この段階では言えないということでよろしいですか。

茂木国務大臣 物によりますが、配付はいたしておりません、そういったものは。

逢坂委員 それでは、総務省。きょう選挙部長に来てもらっていますが、選挙部長、公選法百九十九条の三、これについて、本人自身が直接配るということは、氏名を類推する、そういうことに該当するのかしないのか、端的にお答えください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、個別の事案につきまして実質的調査権を有しておりませんので、具体的な事実関係を承知する立場にはありません。

 一般論でございますが、氏名が類推される方法として典型的なものとして、私どもは、直接公職の候補者の氏名が表示されていなくても、その所属する法人、団体名を記載することによって氏名が類推されるような場合にその団体名を記載することなどと、これを典型的に解しております。

 お尋ねの、代表者たる本人ということでございますが、これは、表示のない政党支部からの寄附ということを持参するということが前提でございますと、あくまで、氏名が類推されるかどうか、それは個別の判断になるということを言わざるを得ません。態様によって変わってくるということでございます。

逢坂委員 態様によって変わる、だから、法令違反になる場合もあるし、ならない場合もある、そういう答弁だったと思います。

 菅長官、ちょっと一点確認させてもらえますか。

 菅長官の横浜政経懇話会という、これは菅長官が代表になっている団体があるんですが、こちらで、平成二十三年ですか、供花料、香典、線香、こういったものがこの政経懇話会の収支報告書に計上されているんですが、これは法令に適合した内容のものということで。通告してないので、もしわからなければわからないでいいんですけれども。

菅国務大臣 突然でありますので、答えることは控えたいと思いますが、ただ、いずれにしろ、私どもが報告しているのは区外だというふうに私は考えています。

逢坂委員 野田大臣、ちょっと提案なんですけれども、公選法百九十九条の三、これをめぐっては、やはり、私は、まず一つ、法の規定が少し緩いというかグレーだというか、態様に応じていろいろ変化するんだ、それによって判断するんだということなわけですね。

 私、公選法の改正は必要だと思うんですよ。それで、やはり、国民の皆さんから見ると、いかに合法的であっても選挙区内で無料で物を配るというのはいかがなものかという思いもあると思いますので、公選法の改正を提案したいと思いますけれども、いかがですか。

 時間が終わっていますので、手短にお願いします。

野田国務大臣 そもそも、公職選挙法においては、金のかかる選挙を是正するために寄附禁止の規定が設けられ、順次強化されてきたところです。

 その結果、現在は、政治家本人、後援団体によるものは原則として禁止されていますが、今問題の政党支部については、一般的には政治家個人の後援団体に当たらないと解されているため、政治家本人及び後援団体の寄附とは異なり、候補者の氏名を表示し又は氏名が類推される方法で寄附する場合を除き、寄附の制限はないものとされているところです。

 いずれにしても、今の委員の御指摘は、それぞれの政党の政治活動の自由にもかかわる問題であり、ぜひ各党各会派において御議論をいただきたい、そういう事柄であると思っています。

河村委員長 逢坂君、質疑は終わりました。

逢坂委員 これで質問を終わりますけれども、野田大臣、これは公選法の改正、私はやったらいいと思っているので、もし議員立法ということに仮になったとしても、ぜひいろいろとお知恵をおかしいただきたいと思います。

 以上申し上げて、終わります。ありがとうございます。

河村委員長 これにて西村君、阿部君、川内君、青柳君、逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 希望の党を代表いたしまして質問をいたします。

 安倍総理、先ほどの逢坂議員とのやりとりを聞いていて、私、少し残念だったのは、丁寧に、真摯に説明するということでこの間されていましたけれども、ちょっと選挙前に戻られているような印象を受けました。

 これはいろいろ総理もおっしゃっていましたが、私自身が経験したのであえて申し上げますが、去年の二月二十一日に大阪教育庁に行きました。そこで吉本私学課長と、担当者と話したときに、確かに森友学園の申請のところには安倍晋三記念小学院等の名前は出てこなかったんですが、それ以前の相談の段階で実は幾つか案があったと。幾つか案があった。いや、複数ないんですと。それはどういう案でしたかと聞いたら、安倍晋三記念小学院だったと担当課長が答えていました。ですから、そういうやりとりは実際あった。これは必要であれば議事録出します。議事録出せますからね。

 だから、余りそういう、誤報だとかなんとかではなくて、真摯にやはり説明をぜひいただきたいということで、一点紹介をさせていただきたいと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 我が党は、平均年齢四十九歳の若い政党であります。だからこそ、二〇二〇年代以降に生じる我が国の問題に対して、正面から捉えて、未来先取り政党としてしっかりとした改革を提案していきたいと思いまして、きょうも直球勝負で政策論をやりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 まず、麻生大臣に伺います。

 今話題になっている、コインチェック株式会社からの大量の仮想通貨の流出問題についてであります。

 これは五百億円を超える被害額とも言われていますし、四百六十億円ぐらいをその補償に充てるという話が言われておりますけれども、今、一番、二十八万人とも言われる被害者の方が心配されているのは、現在コインチェック社に四百六十億ものお金が本当にあるのかないのか。

 立入検査に入られたそうですが、これは確認されていますか。

麻生国務大臣 コインチェック、これは会社の名前ですけれども、コインチェック社において、現在、顧客の資産というものがどのような形で保全、保管されているのかについては、金融庁が現在実施中の立入検査というのをしておりますので、まずその状況を検証していくことになるんだと思って、現在、では今どのようになっているかというのは、既に終わっているというわけではありません。

玉木委員 あるかないかわからないんですね、まだ。四百六十億円現預金であるから返すというのも、これはたしか資本金が一億円未満ですから、本当にあるのかな。いや、麻生大臣、にこにこ笑っておられますけれども、これは深刻な話だと思いますよ。

 何でかというと、私は、これは単に規制しろというんじゃなくて、この仮想通貨のもとになっているブロックチェーンの技術なんかは、これは日本を、世界を変えるかもしれないような実は非常に先進的な技術で、プラスに非常に評価しているんです。

 後で聞きますが、エストニアに総理は行かれましたけれども、エストニアはこのブロックチェーンの技術を使ったエックスロードという官民のプラットホームを使って、例えば市役所の待ち時間ゼロ、行政コストも四分の一、こういったことをなし遂げているわけですから、こういった仮想通貨及びそれを支える技術というのは育てていかなければならないんです。だからこそ適切な規制も必要だという観点で申し上げているんです。笑い事ではないんです。

 今の段階では金融庁はわからないんですね。

 伺います。

 確かにこれは資金決済法上の通貨ということで、日本は先進的に登録制度を入れたんです。世界で私はこれは誇るべきことだと思いますよ。ただ、こういうことが起こったので、これからどうするかが大事。

 その中で、テレビをごらんの皆さんの中でも、仮想通貨の、あえて言います、投資をされている方もいるかもしれませんが、一年間で百倍、二百倍、あるいはそれ以上になっていくというのは、これは決済手段としての通貨をもう超えていると思いますね。いわば、有価証券として、投資商品、投機商品としてしっかりと管理しなければならないのではないかという見方もございます。

 私、心配しているのは、一部報道によると、今回のNEMという仮想通貨が流出するということが発表され、実際に取引をとめるまでの間に、別の仮想通貨を特定口座に移したという報道もなされています。これは、証券の世界だったら、完全にインサイダー取引です。しかし、有価証券、金融商品取引法の対象になっていませんから、やりたい放題です、これは。

 麻生大臣に伺います。

 適度な規制と育成のバランスは重要だと思いますが、この仮想通貨、有価証券として規制すべきとの考え、意見もありますけれども、現在、これは、金融当局としてどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 これは、玉木先生、有価証券取引法におきまして、有価証券というのは、御存じのように、これは持分権ですよね。会社に対する持分権という言葉が……(玉木委員「まあ、いろいろありますけれども」と呼ぶ)という権利をあらわす証券ですから、簡単に言えば、金融商品というものは、有価証券というものは。

 したがって、株式に何らかの権利をあらわすものということになりますわね。そのために、特段の権利をあらわすものでない仮想通貨、通貨と言うかどうかは知らないけれども、仮想通貨を金融商品取引法上の有価証券に位置づけることについては、これはちょっと慎重に検討せないかぬのだと思っております。

 他方、仮想通貨に対しては、昨年の四月だったかに、我々としては、仮想通貨の交換業者に対して登録制というのを導入して、あわせて、これは、マネーロンダリングとかテロの資金の供与対策の観点から本人の確認義務なんというのを導入させていただいて、利用者の信頼の確保の観点から、金融商品取引法というものを参考にさせていただきながら、説明義務など一定の利用者保護の規定の整備を行ったところなんですが。

 いずれにしても、今言われたように、今後の規制のあり方については、これはいろいろな技術の進歩ということからいきますと、これはイノベーションとかいう点からいうと、かなり評価されてしかるべき面もあるのではないかというのは確かだと思いますよ、私はブロックチェーンなんというのは大変な技術だと思いますから。

 そういった意味では、利用者保護のバランスというものを踏まえつつこれは適切に判断する必要があるんだと思いますが、まずは、今般起きた事件の原因究明というのを行って、それを踏まえた後、判断をしてまいりたいと考えております。

玉木委員 現時点では有価証券とはしないという方針だと理解しました。

 であれば、これも提案なんですが、自主規制機関が大事だと思います。全部行政が縛り切ってしまうとそういったイノベーションを阻害するというのもよくわかりますから、だから自主規制機関が大事なんですが、大臣御存じのとおり、今、この業界では自主規制機関が二つに分かれていて、申しわけないがお互いに仲が悪い。働いていない、機能していないんですよ。

 だから、これは、自主規制機関なので全部できませんけれども、金融庁もある程度主導して一つにまとめるなり、あるいはきちんとした自主規制が働くようなことは、これはやるべきだと思いますから、ぜひ進めていただきたい、そう思います。

 総理にも伺います。

 先ほど申し上げたように、マネロンとか詐欺、こういったことはしっかり防ぐ手だては必要なんですが、一方で、やはりブロックチェーンの技術は、私は、これはこれからの非常に発展可能性のある技術だと思っています。

 エストニアに行かれて総理もいろいろごらんになったと思いますが、例えば、ICO、イニシャル・コイン・オファリングといって、普通なら国しかできない通貨発行を、地方自治体であったり、法人であったり、個人であったりが気軽にできる、そういうことも可能になってきます。

 例えば、ことしは明治百五十年ですけれども、その前は、江戸時代、各藩が藩札を発行して、それを地域の中で流通する通貨として地域経済を支える、こういう経済圏を構成したということがあります。

 ですから、このブロックチェーン技術に基づいた仮想通貨、地域通貨、こういったもので地域を活性化していくことも、これからは適度な規制の中で私はあり得るのではないかなと思っています。

 総理、こうした新しい技術を生かした国づくり、あるいは地域の発展、こういったことをどう今お考えなのか、総理の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 お答えする前に、先ほど私の答弁姿勢についてお話があったんですが、この安倍晋三記念小学校というのを、これはいわば申請したのは、安倍晋三記念小学校ではないんですから、開成小学校ですから。その違いを何か少し曖昧にさせようということなのか。選択を考えてなのは、これは籠池さんの話ですから。申請したのは、まさに開成小学校ということで申請されたわけでありますから、私が言ったことが何か正確性が欠いているかのごとくの指摘でございましたが、それは違う。いわば申請したのが何だったかということが問題だということであります。

 そこで、フィンテックなどの新しい技術には大きな可能性がありますし、また、国際的にもその可能性が指摘をされているところでありまして、技術の安全性などの確保は必要ですが、企業の生産性向上や利用者の利便性向上のために、地方も含めたさまざまな主体がその活用にチャレンジしていくことが重要であると考えております。

 エストニアにおいて、エストニアは小さな国ではありますが、まさにこうしたフィンテックも進んでおりますし、一切、ペーパーレスの政府をつくっていこうということで高く評価されておりますし、行政改革もそのことによって相当進み、行政費も無駄な冗費が削減をされているところだろう、このように思いますので、政府としても、イノベーションと利用者保護のバランスをとりつつ、引き続きフィンテックを活用した取組を支援していく考えであります。

玉木委員 エストニアでは、九九%行政サービスが電子化されている、区役所の待ち時間もゼロとか、こういうことがありますから、日本のレベルで、日本の規模でやれば、世界一の電子政府が実現可能だと思います。

 我が党としても、未来先取り政党として、日本を世界一の分散型の電子国家、電子政府にしていく、そういう国家ビジョンをしっかりと出していきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、働き方改革についてちょっと伺います。

 これはちょっと表を見てもらいたいんですが、今、安倍政権が取り組んでおられる生産性を向上させていくというのは、これからの日本、特に人口減少社会においてはもう不可欠だと思います。ここを上げない限り経済成長はないと思うので、労働生産性を含む生産性向上はやるべきだと思いますし、これは賛同します。しかし、これを見ていただくとわかるんですが、G7の中で、労働生産性、これは時間当たりのものを書いていますが、二〇〇〇年、二〇一〇年、二〇一六年、全部七位、最下位なんですね。

 伺います。

 今政府が取り組もうとしている働き方改革というのは、この労働生産性、とりわけ労働時間の削減につながるのかどうか、総理の御所見を伺います。

安倍内閣総理大臣 我々が出しているこの長時間労働の規制の法案によって、労働生産性が上がるのかということと、実際に時間が短くなるのかということですね。

 我が国の労働生産性の向上を阻む課題の一つが長時間労働であると考えております。

 欧州諸国と比較して、我が国の年平均労働時間は長く、かつ、時間外労働を行っている労働者の割合も高くなっています。そこで、今回、史上初めて、労働界と経済界の合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けます。長時間労働を是正すれば、経営者は労働者にどのように働いてもらうかに関心を高め、時間当たりの労働生産性向上につながっていく。

 今申し上げましたように、罰則つきの時間外労働の限度、これを初めて設けるわけでありますから、当然時間外労働は減っていく、こう考えておりますし、また、それによって、その限られた時間の中で生産性を上げようと労使ともに努力をしていくわけでありますから、生産性の向上につながっていくと考えます。

 また、これだけではなくて、もう一つの課題であります、正規と非正規という二つの働き方の不合理な処遇の差でありますが、パートタイム労働者の賃金水準は、欧州諸国においては正規雇用労働者に比べて二割低い状況でありますが、日本では四割低くなっているところであります。

 非正規の方々に聞いてみますと、やはり、納得できないということが非常にこの意欲をそぐことになっております。実際、同一労働同一賃金を適用している会社においては、そこに移った人の話を聞けば、やはり、自分のやっていることが正しく評価されていることでやる気が出てきた、こう言っておりますから、生産性向上につながっていくのではないか。

 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の理由のない待遇差を埋めていけば、自分の能力を評価されているという納得感や働くモチベーションが高まり、労働生産性が向上していくと思っております。長時間労働の是正や同一労働同一賃金といった働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段であると思います。

 働き方改革を通じて、働く人の労働生産性を高め、その成果を働く人に分配することで、賃金の上昇と需要の拡大を通じた成長を図っていきたい、成長と分配の好循環をつくっていきたいと思っております。

玉木委員 これはこれからしっかりと分析をしていかなければいけないんですが、実は労働時間の平均というのは、既にアメリカ、イタリアより日本は短くなっています。ですから、単に労働時間を減らすだけでは労働生産性が上がらなくなっている、仕事の中身も質も変えていかなければいけないということに実は日本は直面している、ここが実は今の議論から私は抜けていると思うんですね。これを一つ指摘しておきたい。

 もう一つは、加藤大臣に伺います。

 いわゆる裁量労働制、これを入れたら、確かに裁量労働なので、短く終わった人は早く帰れるので労働時間は短くなるのかなと思うんですが、一方で、時間についての取決めはないですから、長くなる可能性もあるし、逆に早く終わってしまったら、おまえ、もう仕事が終わっているじゃないか、もう一丁やってくれないかというのが日本のある種の労働慣行みたいなところもあって……(発言する者あり)いや、結構ありますよ、私も経験がありますけれども。

 だから、やはり減らないんじゃないのか、裁量労働制を入れることによってむしろ労働時間はふえるんじゃないかということで、例えば、今、裁量労働制、既に入っています。入っていまして、これは平成二十五年の労働政策研究・研修機構、JILの調査では、一カ月の実労働時間、通常の労働者百八十六・七時間に対して、裁量労働制の企画業務型裁量労働制だと百九十四・四時間、専門業務型裁量労働制だと二百三・八時間と、現時点においても裁量労働制を入れた人の方がたくさん働いているんですよね。

 加藤大臣、裁量労働制を拡充することで労働時間は短くなりますか。証拠があれば示してください。

加藤国務大臣 まず、玉木委員から、御自身の体験に基づくお話があったと思います。私も同じところに勤めておりましたが、当時は裁量労働制ではなかったということがまず一つあるんだろうと思います。

 その上で、実態については、今御指摘のある数字があったり、あるいは、平均的な働く人の時間で見ると、一般労働者が九時間三十七分、企画業務型裁量労働制が九時間十六分、こういった調査結果もあるということは申し上げて、しかし、今おっしゃるような数字もあるということも、もちろんそのとおりではあります。

 その意味で、裁量労働制の話でありますけれども、私が実際、現在、裁量労働制を導入している企業に行ってお話をさせていただいた中においては、めり張りをつくることができて、従前よりも早く帰り、また、それによって子育てに参加をしたり、あるいは病気になったときには医療にかかることができるようになった、こういったお話を聞かせていただいておりますので、御自身が自分の判断で、裁量でうまく時間をつくることによって、まさに効率的に御本人の時間を使うことができれば、これは当然、全体として、より短い時間で働き、そして成果を上げていく、こういうことにつながるんだろうと思います。

 ただ一方で、今御指摘がありましたように、実態を見ると、特に、みなし時間とそれから実労働時間という概念があるわけでありますけれども、その間に、当初みなしていた、要するに、このぐらいの時間で終わるだろうからこのぐらいの仕事という前提だったにもかかわらず、実際やってみたらかなり長くなっている、こういう事例があるのも事実でありますから、そういったものに対しては、私ども、しっかり指導していく。

 また、今考えている法案の中においては、指導する法的根拠も明確にして、より厳正した指導をしていくということで、うまく使っていただくことによってより生産性を上げていく。そして、まさに適切でない使い方に対してはしっかり指導していく、こういうことで取り組んでいきたいと思っています。

玉木委員 現状把握をまずきちんとすることが、これからの法改正に必要だと思うんですね。

 ちょっと今聞き取りづらかったんですが、私は、裁量労働制の方が時間がふえるという、これは労働政策研究・研修機構の数字を挙げましたが、今、加藤大臣がおっしゃった、平均的な人、者を比べたら裁量労働の人が少ないということなんですが、それは何のデータですか。

加藤国務大臣 厚生労働省が実施いたしました平成二十五年度の労働時間等総合実態調査の結果であります。(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

玉木委員 私も、これは確認してみました。

 今あった平成二十五年労働時間等総合実態調査の中に、実は、今、加藤大臣が言及された「平均的な者」とあって、これは普通、平均だから、全ての労働者の、例えば裁量労働制のもとで働いている労働者の平均値かなと私も思ったんです。

 これは調べたら、「平均的な者」とわざわざ定義してあるんです。定義してあって、何て書いてあるかというと、「調査対象月において最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に属する労働者のこと」、これは何だかよくわからないんですね。

 これは伺いますが、今、この平均的な者の労働時間というのは、裁量労働制で働いている人の平均労働時間と同じなんですか、違うんですか。

加藤国務大臣 済みません、今ちょっと手元にそこまで細かい今おっしゃった調査の結果がないので、正確にはちょっと申し上げられませんが、手元の資料を見ると、平均的な者、先ほども平均的な者と申し上げましたけれども、その数字ということであります。

玉木委員 これは、皆さん、労働者の平均時間じゃないんです。都合のいいところの数字だけ出してきて、あたかも少ないようにやるのは、私は、これは国民を欺くような不誠実な答弁だとやはり言わざるを得ませんので、加藤大臣、余りこういう議論をしてもあれなので、数字を出してもらいたいんです。

 ここの、今言及された平成二十五年、二〇一三年の労働時間等総合実態調査における一般の労働者の平均時間と、そして、二つのカテゴリーがあります、企画業務型と専門業務型、この裁量労働制のもとで働いている労働者の単純な労働時間の平均、これを出していただけますか、大臣。

加藤国務大臣 実態調査、今申し上げた平成二十五年度労働時間等総合実態調査の結果をもとに、今御指摘のあったものが計算できるかどうか、検討してみたいと思います。

玉木委員 やはり、事実、ファクトに基づいて政策を進めていくことが大事だと思いますので、ぜひ提出をいただきたいと思います。

 それで、これから調査する際に、先ほど大臣からも御紹介がありました、事業所によって、聞けば、いい話も当然聞けると思います。ただ、経営者側、事業主側に聞くとどうしてもいい話が入ってきがちなので、現に働いている人たちからもしっかり声を聞くということをぜひやっていただきたいと思いますし、そういった調査結果も出して、実のある、大事なのは、与野党関係なく、日本の労働生産性を上げていくことですから。これをやらない限り日本の経済は絶対成長しません。

 ですから、これは、本当にファクトに基づいた丁寧な、正確な議論が不可欠だと思いますから、加藤大臣にはぜひ協力をお願いしたいと思います。

 次に、人生百年時代、この話に入りたいと思います。

 ちょっとパネルをごらんください。

 これは野田総務大臣もかつて出されたことを私は覚えているんですよ。いい質問をしているなと思って印象に残っているんです。これはたしか国交省が出したやつですね。鎌倉時代から現在に至るまでの日本の人口構造の変化を示したものです。

 ずっと一貫してわかるのは、ずっとふえてきたんです、いろいろなことがあるけれども。江戸時代は大体三千万人ぐらいで横ばいになって、時代が非常に安定したなということもわかります。ただ、農業社会が支えられるのが多分三千万人ぐらいだったんでしょう。

 それが、まさにことし百五十年を迎える明治維新、ここを機に、坂本竜馬が活躍したころは三千三百万人です。ここからわずか百五十年の間に日本の人口は、よく我々が学校で習う一億二千万までがっとふえるわけです。そして、それがピークを打って急速な減少局面に入る。しかも、大事なのは、その中で、人生百年時代、つまり急速な高齢化を伴いながら、まるでジェットコースターがピークを打って下がるように下がっていく、ここを我々は生きているということであります。

 私たちにとってはとてつもない変化のただ中にいるので、代表質問のときにも申し上げましたが、明治以来の、とにかく人口がふえて、そのことを前提とした経済成長があるという社会、経済の仕組みから、根本から変えた新しい時代づくり、国づくりをしなければいけないというのが、今を生きる我々政治家のこれは責務だと思っています。

 その上で、人生百年時代なので、リカレント教育、私も賛成です。新しい時代を生きる子供たちにどういう教育を、どういう生き方を、ライフスタイルを提案するのかというのは政治の責任。ただ、地元へ帰って聞いていると、一番聞かれるのは何かというと、皆さんもそうでしょう、人生百年、百年になったときの年金どうなるのですよ。

 現在の年金制度がつくられたときは、人生の最後の十年を何とかカバーしよう、多分そういう設計ぐあいでしたよ。ただ、職業人生が終わってから百歳まで三十年も四十年も生きるとなったときに、その間のお金どうするのということですよ。

 「ライフ・シフト」の本の中に出てきますが、二〇〇七年に生まれた子供たち、今、だから十歳、十一歳、小学校五年生ぐらいの子供たちが、日本人は半数が百七歳まで生きるということになっていますから。ですから、これからどういう年金制度、社会保障制度を設計するかというのは、本当に真剣に考えないと大変なことになる。

 そこで、伺います。

 次のパネルの三を見てほしいんですが、年金なんですけれども、これも総理と何度もやりとりさせてもらいました。一昨年の年金カット法案と我々が呼んだ法案のときもそうでしたが、幾つかのパターンを、財政計算で将来の年金の見通しを出していますが、これは経済成長に基づいて幾つかのパターンがありますが、直近のTFP、つまり生産性の数字が〇・七ぐらいですから、ケースでいうとGケースがそれに一番ぴったり当てはまるんですね。

 Gケースを見ると、現在の年金というのは、所得代替率といって、現役の手取りに対してどれぐらいもらえるのかというのが、当時、財政再計算したころは六二・七%でありました。これが四十年後、今二十五歳の若者が六十五歳になったときに年金はではどれぐらいになるんだということを所得代替率が示していますが、四二%ということですね。

 これが実は幾つかの前提を置いていまして、死亡率、死亡中位というのがあって、これは男が八十四歳、女が九十一歳ぐらいなんですが、これが仮に人生百年になって大体一歳延びて、死亡低位、男が八十五歳、女性が九十二歳ぐらいになったらこの所得代替率はどうなるのかというと、約三ポイントダウンするんですね。ダウンするんです。

 一般論として総理にお伺いしたいのは、今の年金制度のもとでは、平均寿命が延びれば延びるほど年金の所得代替率というのは下がるということで設計されていると理解してよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 マクロ経済スライドを入れて、そのマクロ経済スライドというのは出生率と平均寿命等々も入れ込んでいる数字でございますが、それで調整をしていくわけでありますが、基本的に、我が国の公的年金は、現役世代が負担する保険料や税によって高齢者世代を支えるという長期にわたる助け合いの仕組みでありまして、このため、制度の持続可能性を確保するため、少なくとも五年に一度、長期的な給付と負担の均衡を図るための財政検証を行っております。

 平成二十六年に行った直近の財政検証では、日本経済が再生し、高齢者や女性の労働参加が進めば、現役世代の賃金に対する年金水準の比率をあらわす所得代替率は、将来にわたって五〇%を上回ることが確認されております。

玉木委員 それはわかっているんですが、私が聞いているのは、他の全ての要素を同じくしたときに、寿命が延びていったときに、それが年金の額とか、少なくとも所得代替率にとってプラスに働くのかマイナスに働くのか、それだけ答えていただきたい。

安倍内閣総理大臣 まず最初に基本的な考え方だけ述べさせていただいたんですが、死亡、中位を前提とした結果で、死亡低位、寿命の延びが大きい場合、所得代替率は二、三%程度低下をするということであります。

玉木委員 そうなんです。

 寿命が延びることは、非常にこれは望ましいことであります。秦の始皇帝の時代から、いかに健康で長く生きるかというのは人類の永遠のテーマでありましたけれども、それを日本はある種達成しつつあるわけですね。それが更に延びていく。

 そんな中で、現行の年金制度、これは我が国だけではありません、やはり寿命が延びれば減っていくんです。いわば、退職するまでに納めた保険料が、ある種それが年金を受け取る債権となって、それを残年数で割ったものを多分受け取る、簡単に言うとそういう頭でいいと思うんですね。

 ここで問題なのは、寿命が延びていくと、先ほど総理がおっしゃったように、所得代替率がどんどん下がっていくんです。経済が絶好調でいけばいいんですが、もう既に外れていますね。一以上のTFP、つまり生産性の向上を前提にそのときつくっていましたけれども、直近〇・七ぐらいですから、もう既にずれているんです。更に寿命が延びたら、更に所得代替率が下がっていく。問題は、年金財政は私はもつと思うんですよ、そういう制度にしているから。ただ、減った額で暮らしていけるのかということです、特に低所得年金者が。

 安倍総理、今六十三歳ですか、失礼ですけれども。六十五歳になったら、総理、どれぐらい自分が年金をもらえるか、計算したことはありますか。

安倍内閣総理大臣 まだ計算しておりません。

玉木委員 大体、六十歳前とか六十五歳前になると、やはり年金でこれからどうしていくのかと、本当に年金が唯一の収入の人は必死で計算していますよ。少し繰下げというか、受給をおくらせたらちょっと加算されるからどうしようかとか、早目にもらった方がいいのかとか、そんなことをずっと考えておられる方が多いんです。なぜなら、本当にこれが老後の頼りだからです、年金が。

 そこで、総理にお伺いしますが、所得代替率が例えば今示した三〇%台に落ち込むようなケースのときに、それで憲法が保障する健康で文化的な最低限の生活は可能だと総理は認識されておられますか。

加藤国務大臣 まず、多分委員もよく御承知で、現在の年金財政の考え方は、基本的に、将来の、働いている人の実質所得に対して高齢者に対する年金が五〇%というのを目途に運用をさせていただいて、五年ごとにそれが達成されているかどうかということを検証しているということでありますから、今委員が御指摘のような状況が起きれば、そのときにおいて、どう年金を変えていくのかということはしっかり議論しなきゃいけないと思います。

 ただ、今私どもの持っている現状の姿、もちろん、平均年齢だけではなくて、また生産性だけではなくて、さまざまな要因によって年金財政というのは計算されていくわけでありますけれども、いずれにしても、二、三年、二年後でしたか、年金財政の検証をしていくときに最終的には確定をしていく、こういうことになると思います。

安倍内閣総理大臣 人口推計が、先ほど、中位で計算して、中位で見た場合ということで、低位になった場合下がるという話をしたわけでありますが、中位の場合も、二〇六〇年の仮定でありますが、出生率が一・三五で、平均寿命が男が八十四・二で女性が九十・九でありまして、この段階では、先ほどおっしゃった二〇〇七年の子供たちがまだ百になっていないわけですよね、これは。二〇〇七年に生まれた人たちが生きるとすると、二一〇七年ということになるんでしょうけれども、この二〇六〇年の段階では今私が申し上げた状況であって、これが中位推計でございますから、その段階では所得代替率を五〇%確保しているということでございます。

玉木委員 いや、そうではなくて、所得代替率というのもよくわからないんですよ。賃金上昇の伸びも、予定したよりも全然低くなっていますからね。

 だから、要は、国民が知りたいのは、今の国の年金制度に頼って暮らしていけるのかどうかなんです。

 加藤大臣、御存じだと思いますが、単身の高齢者が生きていくのに必要な一カ月の基礎的消費支出というのは、厚労大臣、御存じですか。七万二千円と出しています、厚労省は。七万二千円、現在価値の七万二千円で、今、国民年金は満額もらって六万四千円ですよね。

 私、このことをすごく気にするのは、国民の皆さんも余り御存じないかもしれませんが、すごい先輩は別として、我々国会議員は国民年金だけなので。私、この前うちの嫁さんと相談して、どうしようかと。大変なんです、これは本当に。

 だから、基礎年金だけで暮らしを立てておられる方が、これから将来それで生きていけるのかということが心配なんです。

 それで、パネル四をちょっと見てください。

 総理は、五〇%いけるとかなんとか。そんなことを聞きたいんじゃなくて、要は、人生百年時代と言うのであれば、平均寿命の延びに伴う給付水準の低下と、そして、それを補う就労期間の延長が一体どれだけ必要なのかということを国として出すべきだと思うんですよ。

 つまり、寿命が延びていったら年金は減ります、これは正面から認めた上で、その分、あと三年、あと四年、何年生まれの人は働かないと困りますよねということは、ある程度正直に国が出すべき。なぜなら、公的年金としてこの年金制度を、国民から保険料をもらって運用しているからですよ。

 スウェーデンの例をお示しします。

 スウェーデンにオレンジレポートというのがあるんですよ。これは大したものだと思いましたよ。平均余命の伸びに合わせて自動的に年金水準が下がる。これはマクロ経済スライドみたいな仕組みを入れていますよね。だから、下がるということを認めた上で、年金水準を維持するために必要な退職年数、つまり、もうちょっと働いておくらせないと年金の低下を補えないんですよということを生まれ年に合わせてぴちっと書いているわけですよ。あと三年六カ月働かなきゃいけない、あと三年一カ月働かなければいけない。

 そろそろもう、人生百年時代と言うんだったら、こういうことを日本国政府としても取り組まないと、ある程度予測可能性を与えて、正直、現役世代の貯蓄の割合をもっとふやしましょうということを若者に言わなければいけないかもしれない。

 でも、そのことは、経済政策から見たら非常にこれは逆にまずいことかもしれないですけれども、ただ、さまざまな人生を送る、この人生百年時代を本当にハッピーに暮らすのであれば、日本はスウェーデンのオレンジレポートみたいなこともやるべきだと私は思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、基礎年金、国民年金の例を挙げられたわけでありますが、国民年金については、私も従来から申し上げているところでありますが、基礎年金だけで全ての老後に必要なものを賄うことは難しいわけでありまして、それまでの間の蓄えを含めて、万全な老後の体制が可能となるよう政府も努力をしていきたい、こう思っております。

 基礎年金については、高齢無職世帯の支出との比較で見ると、夫婦世帯では、基礎年金の二人分の額は十三万円でありまして、基礎的消費支出は十一万四千円でありますから、やや上回っているのも事実であります。やや上回ってはおりますが、しかし、従来から私は答弁しておりますように、基礎年金だけで老後に必要なものを全て賄うことはできないということでございますから、それは当然、蓄えも含め、また、万全な老後が可能となるよう政府としても努力もしていきたい、このように考えております。

玉木委員 いや、総理、そのとおりなんですけれども、貯蓄ゼロ世帯の激増をどう考えますか。

 老後の備えは年金だけではやっていけない、総理はお認めになりました。私もそのとおりだと思います。ですから、現役世代に働いた中で貯蓄に回したりして、現役世代の稼ぎも合わせて老後を、百年ですからね、三十年以上、長いですよ。ただ、今の日本経済を見たときに、貯蓄ゼロ世帯が物すごくふえているという実態の中で、ではどうやって現役の世代のときに貯蓄してもらうんでしょうか。こういうこともやはり私は正面から見据えて議論をしていかなければならないと思っています。

 その意味で、私は、消費税が一〇%に上がる際には、いわゆる福祉的給付、六千億円を使って、これは旧民主党政権のときに提案をして、最低保障年金制度的なものとして、第一歩として入っています。こういうことを、私は評価をしますから、やったらいいと思うんですが、ただ、やはり、例えば月額七万円、必ず最低の生活を支えられる、そういった給付措置、いわゆるベーシックインカムのようなものを例えば高齢者だけにまず限定して、既存の基礎年金制度や生活保護制度の整理統合も必要になってくるでしょう、こういうこともそろそろ正面から議論をしていかなければならない。もちろん負担の問題も逃げずに議論しなければなりませんが。

 私たちは、こういったベーシックインカム、とりわけ高齢者向けの安心して老後を最低限暮らせる保障を用意する、こういう制度の構築を我々としても検討を今進めておりますので、ぜひそういう新しい時代を支える社会保障制度のあり方として提案をしていきたいと思います。

 最後に総理に伺いたいんですが、百年になりますね、人生が。そうなると、どうしても年金の支給開始年齢というのは引上げが避けられないのではないかと思います。もちろん、今のまま維持したら、どんどんどんどん給付水準は下がっていく、これも仕方がない。一方で、支給開始年齢の引上げ、一部には、政府の中では、今の六十五歳を七十歳あるいは七十五歳にという声もあるやに聞いていますが、今、安倍総理としては、年金の支給開始年齢の引上げをどうお考えなんですか。国民の皆さんにわかりやすく説明してください。

安倍内閣総理大臣 お答えさせていただく前に、貯金がゼロになっているという御指摘でございましたが、日本銀行の調査は定期預金でございまして、今、非常に低金利になったものでありますから、定期預金を解約して普通預金にする人が非常に多い。この普通預金で見ればほとんど、定期預金と普通預金を合わせたもので見れば、これは今までとそれほど大きな変化はないということでございますので、申し上げておきたいと思います。

 これに加えて、支給開始年齢を遅くするのかどうかということでございますが、現在のところ、我々はそのことは考えておりませんし、マクロ経済スライドを導入し、かつまたインフレスライドを、残念ながらデフレになってしまったんですが、そのデフレのやつを今我々がかぶってそれで削っていっているんですが、それを実行しておりますので、年金財政の方は、今これをすぐに引き上げなければいけないという状況にはないんだろう、このように思っております。

 また、先般公表されましたGPIFの運用においても……(玉木委員「いや、それは聞いていません」と呼ぶ)よろしいですか。ちょっとプラスだったので。前期の十―十二は更にプラス六兆円であったということでございますが。

 いずれにせよ、引き上げることは考えておりません。

玉木委員 総理、年金制度は総合的に考えなければいけないので、引き上げないのであれば、給付水準は引き下げざるを得ません。ですから、私は、その一つ一つのパーツパーツをとってやるのではなくて、先ほどスウェーデンのオレンジレポートにもあったように、全体としての年金制度、そして、それが個々の国民に対してどういう影響を与えるかを正直に政府が説明するところに来ているんです。用意してもらうことは用意してもらう。

 総理は、今、貯蓄ゼロ世帯に対して非常に楽観的な数字を挙げられましたけれども、実態は厳しいですよ。特に、若い方で貯蓄のない世帯、そして、高齢者の中に貯蓄ゼロの世帯がふえていることは、これは真剣に考えなければいけません。株価も上がっています。経済成長も戦後二番目と言われています。しかし、生活保護受給世帯は過去最高水準ですね。しかも、一昨年の三月から、その半数を六十五歳以上の高齢者が占めるようになっています。

 ですから、我が国における生活保護の問題というのは、半分以上、貧困高齢者の問題なんですよ。だから、ここを避けずに、当面のいい数字だけを挙げるのではなくて、こういう形に年金制度はあるし、あるいは、負担、それこそ、保険料も上げない、税金も上げないんだったら、ここがいっぱいですよということを政府として正直に示し、そして与野党挙げて、持続可能な、そして生活を支えるに足る社会保障制度をつくり上げていくのが、人生百年時代の政治家の、私は与野党を超えた責務だと考えています。ですから、総理とぜひそういう議論をしていきたいと思います。

 次に、人づくり革命について伺います。

 これも、人生が長くなってきたときに、子育て、教育をどうするのかというのは国家の根幹であります。これも代表質問で質問しましたが、保育、教育の無償化をすることは賛成です。ただ、総理、特に都会では、幼稚園、保育所、この無償化を先にやってしまうと、やはり二重の不公平が生じますよ。

 一つは、そのことによって、無償化だと言ったら、があっとまた押し寄せて、結局、待機児童問題が悪化して入れない人がふえちゃう。かつ、入れた人は、たまたま入れた人は、もうかなり応益負担になっていますから、高所得者ほど得するというこの二重の負担というのが生じるので、私は、これは見直した方がいい。

 ただ、私の住んでいるところもそうなんですけれども、待機児童の問題よりも待機老人問題なんですよ。きのうも、私、同じ高松市でも山の塩江町というところに行って話を聞いていたら、八十五歳と八十三歳の老夫婦が老老介護ですよ。そして、特養に入りたいと言っても、もうずっと待たされて入れない、そういう状況が生じているのが地方の現状だし、先生方もそういうことはよく有権者の皆さんから聞いていると思いますね。

 私、総理、一つ提案なのは、教育の無償化をやっていくこともいいと思います。ただ、私のところなどはほとんど待機児童がいないので、逆に言うと、無償化してくれたらそれはありがたいんですよ、待機児童の問題がないから。だから、地方においては無償化を優先したって構わない。ただ、待機児童が山のようにいる地域には、せっかくお金の固まりがあるんだったら、まず待機児童の方に使う。地域に選ばせてあげたらいいんですよ、自治体に。

 そういう財源の使い道の柔軟さということを入れていけば、少なくとも二重の不公平の一部は解消できると思うんですが、そういうアイデア、総理、これはいいと思いませんか。ぜひ採用してもらいたいんですけれども。

安倍内閣総理大臣 答弁する前に、先ほどの年金についても、支給年齢の引上げについては、現在既にマクロ経済スライドで最初に答弁させていただいたように調整をしているということでございまして、財政的にはこれでしっかりともっていくということでございますし、二十五年が要件だったものを十年にし、そしてまた、年六万円というのはもう既に委員から御紹介があったとおりでありまして、しっかりとこうした形で支援していきたいと思います。

 そして、待機児童の解消については、私ども、待ったなしだ、こう思っております。ただ、委員がおっしゃるように、地域によって差があるんだろう。私の地元も待機児童というのはもうゼロになっているわけでございますが。

 いわば順番については、幼児教育の無償化については、二〇一九年度から段階的に進めていき、そして二〇二〇年度に一気に進めるわけでありますが、子育て安心プラン、この受皿づくりについては、先般成立をさせていただいた補正予算も活用し、今年度から早急に実施をしていきます。これによって、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を確保して、待機児童を解消することとしているところでございまして、しっかりと実行していきたい、このように思います。

 また、調査によれば、二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由であり、教育費への支援を求める声が多い、このように考えているところでございます。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

玉木委員 ぜひ、地域によって使い道を柔軟にするというのは検討してみてください。

 もう一つ、財源について問題点を指摘したいと思います。

 消費税の使い道を変えて子供政策を充実させるというのが選挙の直前に出てきまして、驚いたわけでありますが、消費税の使い道を変更するというのは、民進党さんもこれは言っていた話です。ただ、これは総理、問題なのは、消費税の使い道を変えて子育てに回すというんですけれども、もとの財源、ありますか、本当に。

 先ほども、青柳さんかな、指摘がありましたけれども、軽減税率を導入したことによって、一兆円、本来入ってくる財源が飛んでしまっているんですよ。総合合算制度をやめて四千億円は確保していますけれども、六千億円穴があいたまま。つまり、穴があいて、なくなった財源を移そうって、これはエア財源ですよ。

 だから、きちんとした財源を見つけることが、そもそも財源を移しかえる先じゃないですか。六千億円、恒久財源として見つけるめどは具体的に立っていますか。歳出カットでやるんですか、新たな増税措置でやるんですか、お答えください。

麻生国務大臣 これは先ほども御答弁申し上げましたとおり、これは一九年に消費税を二%上げさせていただいて一〇%ということにさせていただくんですが、そのときに低所得者への対応として軽減税率というものを実施することにしております。

 その際に、それに足りなくなります分の、約六千億ぐらいだと思われますが、このものにつきましては、私どもとしては、平成三十年度末までにしっかりと恒久財源を確保していこうと。今の段階でこれをやるというのは決まっているわけではありません。

玉木委員 財源のめどがないんですよ、今。ないのに、それをどこかに移して何をやろうといったって、こんな無責任なこと、かつて余りやったことないですよね。

 六千億円ですよ。六千円じゃないんですよ。イージス・アショア六基分ですかね、防衛大臣。それぐらいになりますかね、六千億というのは。毎年毎年きちんと入ってくる六千億を確保するのは相当大変だと思うんです。増税で六千億、どこから恒久財源を見つけてくるんですか。歳出カット六千億、自然増だってある中で、どこで見つけてくるんですかね。

 結局それがなかったとしたら、今言っている話のほとんどは結局赤字国債で賄うということになってしまって、子供たちのためだと言いながら、その子供たちにツケを回す財源でやるということになるんですよ。そうなんです、総理。ここはやはり、軽減税率、やめた方がいいと思いますよ。これはもう二年前に私はここでやりましたが、低所得者対策には全くなっていませんから。

 加えて、これはぜひ……(発言する者あり)六千億円の財源が用意されているんですか。でも、財務大臣は明確にはお答えにならない。何か埋蔵金のようなものがあるんですかね。とてもあるとは思えませんが。

 いや、これは真剣に考えるべきだということを申し上げているんです。特に、一発で終わる事業じゃなくて長く続けていくものなので、恒久政策には恒久財源ということをきちんと考えるべきだということを申し上げているんです。

 軽減税率に関して言えば、消費者への影響はよく言われますが、零細事業者、中小企業においては、いわゆるインボイスを発行できないとこれは取引排除になります。そうなると、これはいわば廃業促進税制みたいな側面もあるので、中小企業に対する影響を甘く見ない方がいいと思いますね。ですから、先送りをしたので、もう一回、私は、軽減税率については慎重に考えてはどうかなということをあわせて提案をさせていただきたいと思います。

 次の五をちょっと見てもらいたいんですが、今も六千億円穴があいたまま、子育て政策の充実ということをやろうとしているという話がありましたが、やはりどう考えても、安倍政権になってから財政再建に対する取組が弱いと言わざるを得ないですね。

 大丈夫、経済成長するから税収も入ってくる、いろいろなことを言います。この前、岸田政調会長とのやりとりでも、岸田政調会長は、どちらかというと財政をきちんとやった方がいいんじゃないか、でも、総理は、成長するから税収が入るので大丈夫、そういう話でした。

 ただ、安倍政権になってから八兆円ぐらい税収がふえている中で、六兆円ぐらいはたしか消費税を五から八に上げたときの増収分ですよ。だから、実は余り他の、いわゆる成長に伴う税収というのはそんなにふえていない。

 これは先般内閣府が出した中長期試算で、いろいろなものが出ていました。私は、あれっと気になったんです。それは何かというと、この国、地方の財政収支の対GDP比なんです。ベースラインケースと経済実現ケースということがありまして、この表で見ると、下に行けば行くほど財政が悪化するということなんです。

 今までのいろいろな数字を見ていたら、ベースライン、これは非常に現実的、これでもまだ過度に私は楽観的過ぎると思うんですが、そうじゃなくて、絶好調で成長した、アベノミクス全開で一番うまくいったケースでも、実は、この内閣府の出した試算では、二〇二七年から国、地方の財政収支の対GDP比は悪化をするんです。

 二〇二四、二五、二六ぐらいで、つまり、高齢化の、団塊の世代が抜けていって、いわゆる二〇二五年問題が生じるぐらいから、ここまでは何とか改善するんですけれども、そこからは経済が絶好調にしても悪化するということを内閣府が出しているんですよ。これは大問題じゃないですか。

 こういう現状、これでも私は甘いと思うんですが、ただ、さすがに内閣府の数字は、もう不都合な真実を隠し切れなくなっているんですよね。だから、これをもっとその先まで見せてくれたらこの傾向が更に明らかになるんですけれども、なぜか二〇二七年で、ちら見せで終わっているんですよ。

 これをきちんと示して、中長期の財政のあり方、つまり、アベノミクスが成功した場合であっても悪化するんだという姿をきちんと捉えて、今から歳出削減とか歳出歳入両面にわたっての改革をやらないと、間に合わないと思いますよ。

 総理、総理が三選されるかどうかは私が言及することではありませんが、安倍総理の任期中は何とかうまくいくんです、これは。でも、安倍総理が終わった後、オリンピックが終わった後から悪くなっていく。後は野となれ山となれ財政戦略のような気がする。

 こういう現状について、総理、どうお考えですか。

茂木国務大臣 玉木委員が図の五でお示しをいただきました財政収支の対GDP比でありますが、今回、この一月に内閣府が試算をしたものでありまして、これにつきましては、足元の経済状況であったりとかさまざまな要因を加味しまして、より現実的なもの、こういう形にさせていただいたと思っております。

 そこの中でぜひ御注意いただきたいなと思っていますのは、財政収支がどうなっていくか、それからPBについてもそうでありますけれども、これは二〇一九年以降の歳出改革を織り込まない試算でありまして、必ずしも、財政収支であったりとかPB、PBの場合は二〇二七年に黒字化するということになっておりますけれども、今後の財政改革、こういったもの、歳出改革というものを織り込んでおりません。これにつきましては、これから、四月ごろ、経済財政諮問会議におきまして、これまでの取組の成果等々も十分検証させていただきたい。

 それも踏まえまして、夏の骨太方針におきましては、PB黒字化の時期であったり、さらにはもう一つ、債務残高の対GDP比、これはフローとストックということになるんですけれども、こういったものがどうなっていくか、PBの黒字化の時期、さらには、それを達成するための具体的な計画といったものもお示しをしたいと考えております。

玉木委員 逆に言うと、そういう中長期の計画も示さないまま予算案を出してきているんですよ、国会に。無責任ですよ、それは。茂木大臣、やはり、きちんとこういう形で改革していくと。

 歳出改革を織り込んでいないと言っていましたよね。織り込まないどころか、六千億の財源も見つけないで新しい政策をばんばんばんばんやろうとしているんじゃないですか。歳出カットどころか、財源なくまた新しい政策をやろうと。財務大臣も、六千億見つかっていないと。まあ、これから考えますわ、これから見つけますわと。イージス・アショア六基分、見つかるんですかね。

 これは、やはりこういうところをきちんと自民党の中でも議論してもらいたいと思いますし、やはりもっと、これは立法府を挙げて行政の税金の使い方のチェックをきちんとやっていかないと、この数字、このグラフは、私、危機的だと思いますよ。

 茂木大臣がおっしゃった国、地方の債務残高の対GDP比、ベースラインケースを見ると悪化していくんですよ、これも。それを内閣府はちゃんと出している。だから、相当限界に近づいているというのが、今回出した中長期試算では非常によくわかる。

 骨太方針までと言いましたけれども、本当はこの予算の審議に間に合わすように出してもらいたいんですよ。それがなければこの審議はできませんよ。だって、今我々が議論しているこの予算案が将来の子供たちの世代に、二〇二五年、二七年以降どういう影響を与えるか、責任持てないから。そういう議論を政治家同士でやりましょうよ。これは提案したいと思います。

 もう一つ……(茂木国務大臣「一つ訂正。そちらの発言、間違っているところがある」と呼ぶ)短くお願いしますね。

茂木国務大臣 先ほども申し上げましたが、二〇一九年以降の歳出改革は織り込んでいない、二〇一八年まではきちんと織り込んでございます。ですから、この予算には織り込んだものが出ていると考えていただいて。

 それから、基本は、我々としては、成長実現ケース、これをしっかり我々のとっていく政策によって達成していきたいと思っておりまして、あくまでベースラインケースにつきましては参考値として出させていただいております。

玉木委員 ベースラインケースでも達成できていないので、ぜひそこは慎重な、保守的な財政運営をお願いしたいと思います。

 次に、六のパネルを見てください。

 今、財政、歳出歳入両面の改革という話もしましたが、これも代表質問で申し上げましたが、日本は国の再分配機能がアメリカに匹敵するぐらい弱いんです。幾つかのことでこれを改めていかなければならないんですが、ちょっとこのグラフを見てください。

 国民の皆さんも、日本は、所得税はいわゆる累進課税が入っているので、いわば所得の多い人ほどたくさん、高い税率を払っているという理解だと思いますが、これを見ていただくとわかるんですが、確かにずっと、横軸が年間の所得で、縦軸が所得税の負担率です、ずんずんずんずん所得が上がるにつれて確かに税負担率は上がっていくんですが、あるところをピークに下がり始めます。どこかというと、一億円です。一億円から所得税負担率がぐいぐいぐいぐい下がっていって、百億円の年間所得のある人の税負担率と、この前サラリーマンで増税が決まりましたけれども、九百五十万とか一千万ぐらいの方々の所得税の負担率は同じなんです。

 何でこういうことになるかというと、金融所得だけは分離課税になっているので、今は二〇%、ちょっと前はもっと低かったので、ここに薄い点線で書いていますが、全ての所得に対する金融所得の割合が一億円を超えたらぐっと上がるんですね。百億円以上年間所得のある人は、実は九三・七%、金融所得で持っています。ですから、トータルの所得にかかる所得税負担率は、金融所得の割合が高くなればなるほど二〇%に収れんしていくということです。もちろん、たくさんあるからたくさんの額は払っておられますが、率で見るとこういう形になっている。

 私は、金持ちだから払えとは言いません。ただ、同じルールで同じだけの負担をしたらどうだと思うので、この一億より右側にいらっしゃるここについては、金融所得課税を例えば総合合算にして、分離課税ではなくて、そういう形で応分の負担を高所得者に求めていくこともしていかないと、今話があったこれからの高齢者がふえていくような財政を支え切れないと思うんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 金融所得課税については、平成二十六年から上場株式の譲渡益等について税率を一〇%から二〇%、これは安倍政権で上げたわけでありますが、これによって高所得者ほど所得税の負担率が上昇する傾向が見られ、所得再分配機能の回復に一定の効果があったのではないかと考えています。

 金融所得に対する課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含めて、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討するとされているところでありまして、丁寧に検討する必要があると考えております。

玉木委員 丁寧に検討なんですけれども、これはやはり私は見直していくべきだと思いますね。

 我が党は外交、安全保障は現実的に取り組みたいと思いますが、世界的にも問題になっている格差の問題、所得再分配機能を強化していこうというのは、我々、しっかりこれに取り組んでいきたいと思っていますので、先ほどのベーシックインカム的な給付措置の創設とあわせて、財源確保の観点からも、こうした高所得の方の、これは高齢者も含まれます、ですから、金融所得、金融資産はかなり日本では高所得者に寄っていますが、ここも、単に高齢者が弱い存在ということではなくて、きちんと所得なり資産を捕捉した上で、公平公正な税制の中で負担できる人には負担を求めていく、こういう政治にやはり変えていかなければならないと思っています。

 次に、憲法について伺います。

 総理は九条二項を変えたらフルスペックの集団的自衛権が可能になると述べられました。安倍総理の九条改憲案というのは、ということは、自衛隊の行使できる自衛権の範囲というのは、これは変わらないんですか。拡大しないということでよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先般お答えしたのは、二項を削除すると書き方によってはフルスペックになる可能性があるというふうに答弁をさせていただいたところであります。

 本来、憲法についての議論でありますが、私は総理大臣としてここに立っておりますので、自民党総裁として申し上げたことをここで内閣総理大臣として議論させていただくことは差し控えさせていただきたいと思いますが、あえてお尋ねでございますので、あえて自民党総裁としての私の考えを申し上げるとすれば、現行の第九条第二項の規定を残した上で自衛隊の存在を憲法に明記することによって自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないものと考えております。

 ただ、もちろん、書きぶりがどうなるか、これはまだ党において議論しているわけでありますが、ただ単にいわば存在を明記するということにとどまった場合は今の考えでございます。

玉木委員 自衛権の議論を正面からせずに自衛隊という組織のありようを書く、自衛隊の任務、権限については変わらないということでありますけれども、任務、権限についての憲法上の明文の規定がないけれども任務、権限は変わらないということであれば、じゃ、新たに書き加えられる自衛隊の任務、権限というのは、憲法の外で、つまり既に成立した安保法制やあるいはそのもとになった四十七年政府見解やその前の閣議決定、こういうことでその任務、権限というのは決められるという理解でよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、任務等については自衛隊法等に既に規定があるわけでありますが、その根幹であります自衛権については、さきの砂川判決から引いてきて、この四十七年の見解と軌を一にするものが出てきているわけでございます。

 そして、この解釈については、平和安全法制の際の前年に憲法解釈を我々は変更した、これは当てはめでありますが、基本的論理は維持しつつ当てはめを変えた、こういうことでございますが、その中で、二項を残すことによって二項による制限が残る中においては、いわば権限は変わらないだろうということを申し上げたところでございます。

玉木委員 わかりました。よくわかりました。

 総理の提案されている憲法改正案というのは、自衛権については触れていない。それは、むしろ憲法の外で、法律や今あった砂川判決、あるいはその前の閣議決定で決まっていくということですね。

 というのは、自衛権の範囲というのは憲法上は明示されず、下位法令や閣議決定に委ねられるということであれば、私は、これは、公権力の行使を縛るという憲法の立憲主義の観点からは、やはり問題が残り続けるのではないかなと思います。

 総理がおっしゃったように、自衛隊が本当に命をかけて頑張っておられる、あの自衛隊の皆さんがやはり誇りを持って、もっと言うと、学者や、あるいは教科書、そういったところで違憲の疑いをかけられないようにするというのが総理の改憲案の私は目的だと認識しております。

 ただ、今の総理の話であると、確かに、自衛隊という組織の存在自体についての違憲の疑いは消えるでしょう。しかし、まさに二〇一五年、安保法制で問題になったような自衛権をめぐる争い、そして憲法学者を含めた違憲の疑いというのは、自衛権の範囲が憲法の中で規定されず、依然として憲法の外で、最高法規たる憲法の下の法令以下で、閣議決定等も踏まえて規定されるのであれば、組織たる自衛隊の違憲性には疑いが消えたとしても、その自衛隊が行使する自衛権については、引き続き、二〇一五年に言われたような違憲の論争が消えないし、巻き起こると思うんですね。

 加えて、その状態で国民投票にかけてしまえば、まさに、あのときにあったような国論を二分する議論が起きてしまい、最悪、国民投票で否決されてしまったら、自衛隊の存在を書き込むその改正案が否決されたら、まさに自衛隊の存在そのものに対する違憲性が確定するような、あってはならない事態が生じる。私は、ここまで考えてやらなければならないと思っているんです。

 総理のおっしゃりたい、自衛隊の皆さんが誇りを持って働くような憲法上の位置づけを与えるというのはわかるんですが、自衛権の議論を避けて単に自衛隊だけを書くことが、近道のように見えて実は遠回りになったり、場合によっては、袋小路に陥って出口の見えない改憲議論になってしまうんじゃないかということを恐れます。

 この根本的な問題に対して、私は、北朝鮮情勢が極めて緊迫している中で、そういうリスクをとるべきではない、我が国の防衛の観点からも、これは百害あって一利なしの総理の九条改憲案だと思うんです。

 ですから、ここは総理、慎重に私はやるべきだと思うし、もし本当に自衛隊の皆さんに、命をかけて頑張る自衛隊さんに報いるのであれば、防衛大臣、防衛出動したときの手当というのは、金額も含めて全く決めていませんよね。でも、本当にミサイルが着弾する、本当に戦争、戦闘状態になるということを、そのときに命をかけてくれというのであれば、むしろ、そういったことも含めてきちんと議論していかないと私はいけないのではないかと思います。

 総理、今の総理の改憲案ではかえって国論を二分し、しかも、自衛権の範囲が憲法上は明記されないことによって、下位法令、閣議決定でしかやはり規定されないことで国論を二分し、そして、違憲の疑いさえ国民投票の結果では確定してしまう。こういった改憲論については、取り下げる、慎重に考えるべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 政府の立場を申し上げれば、自衛隊が合憲であるということはもう明確な一貫した立場であり、これは自衛隊を明記することが国民投票でたとえ否定されても変わらないものであります。これは一貫しているものでございます。

 今、それは意味がないのではないかという意見が……(玉木委員「いや、それは意味はあるんです。意味はありますよ、自衛隊を書くことは」と呼ぶ)書くことは意味があるんですね。

 そこで、いわば書きぶりについて、まだ我が党において議論があるところでありまして、シビリアンコントロールについてはどのように触れるのか、あるいは、今、玉木委員がおっしゃったように、自衛権そのものに触れるのかどうかということも含めて今議論中でありますから、私はこれ以上深入りするつもりはございませんが、しかし、もう既に政府の解釈においては、一項、二項が残る中においても自衛隊は合憲であり、我々は、自衛権の行使として、個別的自衛権とそして集団的自衛権、これは新三条件のもとにおいては行使できるというのが基本的な考え方であります。

 これは今後とも我々は変えるつもりがないという中において、しかし、自衛隊のいわば明記、彼らにとって大切なことは、命をかけても日本を守るという誇りなんですよ。これはたとえ、手当を出せば済むということではなくて、やはり彼らは命をかける公務員であるわけでありまして、そこで、命を賭して任務を遂行している者の正当性を明文化し明確化することは、我が国の安全の根幹にかかわることであろうと私は総裁として考えているわけでありまして、憲法改正のこれは十分な理由になるものであろう、こう考えているところでございます。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

玉木委員 時間となりましたので終わりますが、私が申し上げたかったのは、総理、全く思いは同じなんです。だからこそ、結局、自衛隊を明記したとしても、自衛権の範囲が憲法の外で決まるという今の状況を放置したままでは、自衛隊が合憲になったとしても、その行使する自衛権については違憲だ、違憲だという疑いが残り続ける。そのことでは非常に不安定な状況に自衛隊の皆さんを置いてしまうという懸念もやはりよくよく考えてやらないと、何か、一項、二項を残して自衛隊を書けば国民に通りやすいから通そうという観点で憲法の議論をすべきではない、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

河村委員長 この際、小熊慎司君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 希望の党は国政政党の中で平均年齢が一番若い四十九歳ということで、ちょうど私、四十九であります。また、戊辰百年のときに生まれた小熊慎司でございますが、旧会津藩の小熊が、旧長州藩河村委員長のもと、旧長州藩安倍総理を始め大臣にお伺いいたします。

 施政方針演説の中で会津の山川健次郎さんの話を出していただいたのは、地元会津でもいろいろな評価がありましたが、話題にしていただいたことは素直に感謝を申し上げたいというふうに思いますし、また、先週、逢坂議員がこの百五十周年に関して、野田総務大臣のいろいろな、女性の活躍についてはいろいろな意見があったわけで、それを取り上げたときに、総理の答弁が、官軍、賊軍というのを言い直して、西軍、東軍と言い直していただいたのも、これも地元では大変評価があったところであります。

 しかしながら、歴史というのは、やはり両者からしっかり捉えていかなければならないというふうに思います。一昨年に、オバマ大統領が広島に来られ、そして安倍総理が真珠湾に行かれたというのは、これは非常にいいことだったと思いますし、この百五十年というのも、やはりさまざまな立場から検証していかなければならないというふうに思います。

 そこで、今回の明治百五十年、我々は戊辰百五十年ということでやっておりますけれども、これは、全国各地のさまざまな関連イベントがあります。御承知のとおり、奥羽越、新潟、東北地方ではやはり戊辰に絡んだものが多いわけでありますけれども、この中で、明治の精神というのは三つ、これを検証していこうとなっていますが、機会の平等、チャレンジ精神、和魂洋才。

 機会の平等というところが、私、ひっかかったんですね。山川健次郎さんを取り上げていただきましたけれども、あれは一部の話であって、官僚であれ軍隊であれ、賊軍、東軍がここまでというのがありました。キャップがはめられていた。まして、あの時代の沖縄のことを考えれば、これはかなりの差別といったものがあったわけであります。

 この機会の平等、明治時代、明治政府は機会の平等とはいいますが、これは江崎大臣に聞きますけれども、沖縄の人の心に寄り添えば、そんな明治に機会の平等なんということがあったのか。歴史を検証する上で、こうした捉え方について、大臣の御所見をお伺いいたします。

江崎国務大臣 小熊委員にお答えいたします。

 沖縄は、明治五年の琉球藩設置から明治十二年の沖縄県設置に至るいわゆる琉球処分以降、議員御指摘のとおり、標準語の励行のため用いられた方言札などの、独自性が抑圧されることもありました。

 私は、特に方言といったものは、大いにこれからも生かすところは生かすといった強い思いを持っておりますが、そうしたことがございましたし、また、何よりも、さきの大戦において筆舌に尽くしがたい悲惨な地上戦を経験し、何と沖縄は二十万人の戦禍に見舞われた、大変な場面を経験された唯一の県民であります。かつ、昭和二十七年、サンフランシスコ平和条約の発効といったときも、本土復帰までに二十年の時を要し、苦難の歴史を決して私どもも忘れてはならない事実であります。

 なお、沖縄県出身の人材登用については定量的なデータをお示しすることは困難でありますが、戦前においても、当時の皇太子、後の昭和天皇の欧州巡幸の際、お召し艦香取の艦長を務め、海軍軍人である漢那憲和や、外交官として中国で活躍した田場盛義など、各方面で活躍した沖縄出身の方々も存在されました。

 沖縄担当大臣として、こうした沖縄の歴史を十分に刻みながら、今後とも、沖縄に寄り添って、一生懸命振興策に私自身も努めたいと思っております。

小熊委員 少なからず何人かの沖縄の方が活躍されたのは私も知っています。機会の平等だったかどうかということで言っているわけです。それは、会津の人も活躍した、東軍のいろいろな人も活躍した、鈴木大臣の御地元の南部藩の人も活躍しているわけでありますけれども。

 野田総務大臣が言っているように、女性も、活躍しているのは、それは一部であって全体的な話ではない。総理の先週の答弁でも、全部がよかったという話ではないというふうに言っていただきましたけれども、過去を振り返れば、明治百周年のときに、佐藤内閣、これも長州の方でありましたけれども、復古色が批判を浴びた中でも、百周年の記念のときには、政府がいろいろな行事に臨むときに、佐藤栄作総理は、過去の過ちについては謙虚に反省という一文を述べていました。もちろん総理も、多角的にとはいうものの、まだまだそれが色濃く出ていないという感じを受け取られます。

 桜梅桃李という言葉があります。桜は桜、梅は梅ということでありますけれども、やはり人間の多様性を最大に尊重させて調和させていくということの観点、また歴史をいろいろな観点からやっていくという意味においては、ぜひこの百五十周年、明治、戊辰百五十周年という年をしっかり次の百年、二百年につなげていくために、歴史の負の部分も含め、背負っていかなければならないというふうに思います。

 私の政治の師が言っていたのは、自分が生きて関与できない時代、そしてまた未来に関しても、しっかりとその責任を背負っていくのが政治家の使命の一つだというふうにおっしゃっていました。

 まさにそうした意味で、この百五十年を契機に、我々だけ、政治家だけではなくて、やはり日本全体として多角的にこういったものを捉えていくべきであろうかというふうに思います。

 例えば、チャレンジ精神というのであれば、来年になりますけれども、これは移民博物館に飾っていますが、紹介されていますが、アメリカに初めて集団入植したのは会津人です。会津の人たちです。チャレンジ精神です。あの時代です、まだ戦乱の疲弊から立ち直れない中で、数十人の会津人がカリフォルニアに入植をしました。こうしたまさにチャレンジ精神のところに光を当てていただく。明治政府が会津の人を世話したという上から目線のことではなくて、こういったものに光を当てていただくというのが本来の歴史検証ではないかと思います。

 また、これは明治の富国強兵に絡んでいますけれども、その後、計画をされて、大正に完成した会津のこの発電所、これは辰野金吾さん設計ですから、まさに東京駅を設計した人でありますけれども、もう百年前にこの首都圏に、飲む水の前に電力をつくって我々は提供して、今でもですよ、水道の水を使う前に、電気を東京に今でも供給しています。

 野田総務大臣もそうですけれども、やはり政府の側ではなくて、まさに一般の方々がどう努力して生きてきたか、どう国のために、公のために、理想のために頑張ってきたかというのをしっかり紹介していく歴史検証でなきゃいけないと思いますが、そういった観点について、総理、何かありましたら。

安倍内閣総理大臣 これは、長い歴史の中において、日本は長い歴史を持っておりますから、どの時代にも、よい点もあれば悪い点もあるんだろうと思います。

 そして、例えば、今の私たちが生きているスタンダードで、このときこういうことがあったからおかしいじゃないかというのは、ちょっとそれは間違っているんだろうと私は考えているんです。

 例えば、では戦国時代は、信長にしろ秀吉にしろ、殺し合っているわけですから、今のモラル等で裁いてもこれはしようがないのであり、当時の世界はどうだったのか、当時の社会はどうだったのかということを見ながら、この時代はどういう変化があったのか、どういう社会を目指したのかということを見ていく必要があるんだろうと思います。

 それで見れば、明治の時代にもさまざまな課題があり、先人たちのたゆまぬ努力によってそうした課題が解決をされてきたわけでありますから、それは今の時代も同じであり、私たちも、次の時代の子供たちの未来のためにさまざまな課題の解決に日々努力をしていく責任があるんだろうと思います。

 先般も申し上げたように、これは西軍が正しくて東軍が悪いということではないわけでございまして、山口の人間が西軍、東軍という言葉を使うのは余りないんですが、これはやはり相手の方が受ける印象を考えるべきだろうと私も思いますので、この使い方をさせていただいておりますが。

 同時に、当時は、世界を見渡せば、完全に、植民地となっている土地が一部分もない独立した国というのはほとんどない。これは世界じゅうがそうですから。あとは、列強が植民地化しているか、あるいは一部が植民地となっているという中における強い危機感の中で、多くの人たちが命をかけて明治維新をなし遂げ、一日も早く、技術優位の列強に囲まれている中にあって独立を守り、技術を進歩させる、まさに和魂洋才で技術を進歩させ、独立を守り続けていこう、そういうことだったのではないかと思います。そういう点において、私は評価されるべきものだろうと思います。

 また、全く差別がなくなったわけではありませんが、封建的な社会が大きく変わったのは事実であると思いますし、土地に縛られていた人々、あるいは武士や農民といった身分の違いは、全く身分がなくなったわけではありませんが、そういうことになっていった、こういうことでございまして、いずれにしろ、委員が御指摘になったようなさまざまな捉え方があることを十分に踏まえつつ、明治という時代を振り返りながら、未来に向けて日本がどのような国を目指すのかを考えるきっかけにしたい、このように考えております。

小熊委員 長々の説明、もう、歴史の話をしたら多分何時間あっても足りない、一年ぐらいかかりますから、総理、またどこか別のところで、委員長の仕切りのもとでやりたいと思います。

 御紹介申し上げますが、十一年前、総理、会津若松にお越しになりました。参議院の補選の応援です。そのときは総理と私は同じ政党でありましたけれども、幹事長時代です、そのとき、総理は冒頭、先輩が御迷惑をおかけしたことをおわびしなければならないというところから演説に入って、非常に我々としては留飲が下がった部分もありました、リップサービスであったと思いますが。

 ともかく、これは絶えずこだわり続けて、二度と不幸な歴史を繰り返さないということが歴史検証のまた一つの姿勢ですから、一緒にまた、これは終わりのない課題でもありますので、しっかりやっていきたいなというふうに思っています。

 それでは、次に原発の話に移りますが、今、全国で原発が立地されているのが、たまたまだと思うんですけれども、いわゆる戊辰戦争と原発立地の関係性というのが、これは私がつくった資料ではなくて、ある人から指摘をされた資料ですが、今ある原発はほとんど東軍側のところか徳川家の関係のところでしかないというのは、まあ偶然の一致だと思いますけれども。

 原発に関して、来月には震災から丸七年がたとうとしております、脱原発の基本法案も、我々も、また立憲民主党さんも、これは一緒になればいいと思うんですが、国会に提出をしようとしている。また一方で、昨年、東京電力の福島第二原子力発電所の廃炉の法案も提出をしました。ところが、残念ながら、残念ながら去年の通常国会で与党によって廃案にさせられてしまいました。今国会の早い時期にこの廃炉の法案も提出する準備を今進めているところであります。

 県内の原発全基廃炉は県民の総意であり、これは、福島の復興を果たすための一つの大きな条件ともなっているわけであります。

 これについては、昨年の参議院の復興特別委員会において、増子委員が、地元出身の吉野大臣、それを踏まえてどうやっていくのかという問いかけ、質問をしたところ、吉野大臣は、安倍内閣の一員ではあるけれども、やはり福島県民の立場に立って、内閣の中でしっかりその声を上げていくという答弁でありました。

 その後、どういうふうに声を上げて、また、安倍総理以下、内閣ではどんな意見になったのか、お示しをください。

吉野国務大臣 お答えを申し上げます。

 小熊委員おっしゃるとおり、福島県の皆様が福島第二原発の全基廃炉を早急に実現してほしいという思いを持たれていることは、私も福島県民の一人でございますので、十分に理解をしております。そうした福島の声を、閣内の担当大臣であります世耕経産大臣にお伝えをしているところでございます。

小熊委員 その結果としては、多分、これは世耕大臣にもほかの経産大臣にもこれまで質疑してきましたが、事業者の判断というので終わっていると思います。でも、政治が前面に立ってこれをやらなきゃいけないという意味では、事業者の判断ということは非常に県民にとってむなしいというのも、大臣、わかっているでしょう。経産大臣の返答なんて、今まで、これまでもいろいろな見解で出ていますよ。事業者の判断なんですよ。それを飛び越えていけるのが、県民である吉野大臣の役割だったんじゃないですか。

 その事業者の判断というのを聞いて、大臣、更にどう働きかけましたか。

吉野国務大臣 事業者の判断でございます。

 そして、東京電力の新しい経営陣が復興大臣室に御挨拶にお見えになりました。そのときにも、判断を急いでください、こうお願いをしたところです。双葉郡内の各町村のイベントにも、新社長等々が見えておられるときもございました。そのときに、お会いしたときにも、判断を急いでくださいというお願いをしているところであります。

小熊委員 あとは総理にどう言ったかということも聞きたいんですけれども、昨年の三・一一の慰霊祭のときには、総理の言葉の中に原発事故というのが入っていなくて、これは地元で大きな騒ぎになりました。そのことを吉野大臣の会見で記者からも質問されて、ことしはどうするんですかと言ったら、総理に言うと会見で答えていますけれども、この点についてはもう総理に指摘をされましたか。

吉野国務大臣 原発事故で避難を余儀なくされている方々のことは、私も片時も忘れたことはございません。

 一月九日でした、閣議後の記者会見を踏まえ、追悼式典で言葉を入れるということを官邸に申し伝えるという発言をいたしました。それを通じて、事務方を通じて、原発事故に言及していただきたいということを事務方に指示をしたところであります。

小熊委員 では、総理に伺います。それはちゃんと伝わっているのかどうか。

 あと、もう一点聞きますけれども、ことしの施政方針演説の中に福島のことに言及がありましたけれども、脱炭素社会で福島の復興を牽引していくと言っていますが、お手元の皆さんの資料にもありますけれども、福島の復興基本計画には、脱炭素社会なんて言っていないんですね。脱原発、原発に依存しない社会、そして再生可能エネルギーでそれをしっかりとやっていく。脱炭素というのであれば、単なるそれだけであれば原発も含まれてしまいます。

 なぜ、再生可能エネルギーとか原発に依存しない社会、この福島県で使っているキーワードを、重要な言葉を、施政方針演説では脱炭素という言葉に変えてしまったのか。これは何か、ほの暗い何かがあるんではないかと推測もしてしまいたくなるのもやむを得ないところであります。

 二点、吉野大臣の事務方を通じた御意見が総理に届いていて、ことしの追悼式典はどのように対応されるのか、そしてまた、なぜ、あえて、福島県で使っている再生可能エネルギー、脱原発の言葉を使わずに、脱炭素と使ったのか、お伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 吉野大臣の意向は十分に伝わっております。それを踏まえてということになる、このように思います。

 そして、パリ協定が発効するなど、国際的に気候変動対策への機運が高まる中、脱炭素化という言葉は、将来の目指すべき姿として、IPCC、G7サミット、あるいはG20等で使用されるなど、今や世界的なキーワードとなっています。

 今回の施政方針演説では、浪江町でこの夏から建設が開始される、CO2排出ゼロ、世界最大級の水素製造工場などについて言及した上で、こうした福島のチャレンジは、単に日本国内にとどまらず、世界レベルで見ても未来のエネルギー社会のモデルとなるとの思いを込めて、世界的なキーワードである脱炭素化という言葉を用いながら、福島から世界の脱炭素化を牽引するとの決意を述べたところであります。

 他方で、福島県が掲げる、福島において原子力に依存しない社会を目指すという理念を国として尊重する、福島復興再生の基本方針は、当然ながら全く変わることはありません。

 現在、福島県においても、福島を再生可能エネルギー先駆けの地とすべく、さまざま政策に取り組んでいます。政府も県と一体となって、福島新エネ社会構想の実現に全力を尽くしていきます。福島に世界の温暖化対策をリードする未来のエネルギー社会をつくり上げ、新しい福島の復興の姿を世界に向かって力強く発信していきたいと思います。

小熊委員 それなら素直に再生可能エネルギーと言っていただきたかったというのはありますし、既に私の選挙区管内にはこれだけのダムがあって、原発五基分ぐらいのものを既にやっているんですね。

 県と一体と言っていただきました。どっちかというと復興は本当に浜通りの方が大変御苦労されていますから、そっちにインフラが寄ってしまうのは当然のことでありますけれども、やはり県と一体でこの福島県の再生をかなえていくという意味においては、こうしたダムだけではない、また今度、森林環境税も入ってきますけれども、一番山が多いのは会津の地域ですよ。

 この地域におけるCLTを活用して、そしてバイオマスにつなげていくといったことも、吉野大臣、やっていこうじゃないですか。脱炭素というのも、まさに再生可能エネルギーという言葉を使ってほしかった。大臣、どう思いますか。

吉野国務大臣 福島県は、二〇四〇年を目標に、福島県民が使っているエネルギーを全部再生可能エネルギーで、同じ量をつくっていきたいという大きな目標を掲げているところです。

 国も、福島新エネ構想という形で、今総理が答弁されたように、再生可能エネルギーと水素エネルギー、水素社会をつくっていこうということで、福島の復興のある意味の切り札が、新しいエネルギーで福島県は賄っていく、そんな理想を、夢というか希望を、目標を掲げております。

 福島県は、会津も中通りも浜通りも同じ福島県です。特に会津の方は、観光を主体として風評被害をこうむっております。そういう意味で、福島県全部を復興行政としてやっていく、これが私に与えられた務めである、このように考えております。

小熊委員 全県的な意味で、しっかり再生可能エネルギーで世界の先頭に立つ、そういうことをしっかり後押ししていただきたい。そういう意味でも、言葉の使い方というのは大事ですし、これはしっかりそこも捉えて、大臣、福島県民ですから、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 次に移りますが、茂木大臣にお聞きをいたします。

 非常に私も、地方議員時代から茂木大臣にはいろいろと陰に陽に御指導をいただいてまいりましたし、また、選挙、党勢拡大などについても大変すばらしい御指導をいただいてきた中で、選挙のやり方、また有権者の心への寄り添い方なども本当にいい指導を何回かしていただいた大臣に、こうした質問をしなきゃいけないというのは非常にじくじたる思いでもあります。その御指導をいただいたときには、線香と手帳の配り方を教えていただきませんでしたけれども。

 今月は、ちょうど二十年前に、学生時代に飛び込みで学生スタッフからこの政治の道は始まっていますが、私の政治の師の一人である故新井将敬先生の、今月、二月の十九日でちょうど丸二十年になります。そうした年、またその月に、こうした政治とお金の問題を私が茂木大臣にするというのは、本当に言葉にはならない心境にもなっています。

 この質問に当たって、新進気鋭の代議士としてデビューしたとき、政治改革の議論でした、茂木大臣の若かりしころの議事録も見ました。非常に清新な発言をされていた。その政治家の原点に立ち返った心持ちでぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

 本来、公選法の趣旨の一つは、なるべくお金をかけないで、志一本で、情熱一つで、その生まれや身分に関係なく、貧富に関係なく、男女に関係なく、そのチャンスのもとに政治家になれるという仕組みをつくっていかなきゃいけない。でも、現実の中ではやはりお金がかかっていく。

 議員年金という前に、議員年金を復活する前に、町村の議員だって市会議員だって、やはりそうした日常の活動にお金がかかるということで、そうしたものをやらないということが間々あるわけでありますから、やはりこの際、政治とお金といったもの、お金のかからない選挙といったものをもう一回見直していかなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう観点から御質問いたします。

 これまでの質疑の中でも、公選法の百九十九の三、これを中心に議論されてきましたけれども、結局、秘書さんが表示をした。表示をしたというもの、総務省にお伺いしますけれども、名乗ったことも表示だということを過日の野党の勉強会でも確認をしましたけれども、それで間違いないですかね。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては個別の事案についてはお答えできませんのですけれども、一般論としてでありますが、「氏名を表示し」とは、直接公職の候補者等の名前を表示することということでございまして、態様にはよるのでございますが、一般論としては、氏名を表示したと認められる場合には、それは条文に当たるだろう、表示したということになるということでございます。その表示については、言葉で言うことも含まれると解されるところでございます。

 具体の事例については、寄附に該当するかにつきましては、個別の事案ごとに具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

小熊委員 茂木大臣に改めて聞きますけれども、この手帳と線香の配り方は、この百九十九条の三に抵触をしていない形でやっているという認識でよろしいですか。

茂木国務大臣 小熊先生とは、さまざま、政治活動についても、また政策についてもいろいろな議論をさせていただきました。新井将敬先生の秘書時代のお話も伺いました。私が初当選したころ、若かったころ、どんな苦労をしながら政治活動をしたか、こんな話もさせていただいております。地盤、看板、かばんがなくても、志があれば、国を思う気持ちがあれば、地元を思う気持ちがあれば政治家になれる、立候補して御支持をいただければ当選できる、こういう社会にしていきたい、こういった思いは共有をしております。

 そういった中で、公職選挙法、まさに我々が政治活動をする基本になるものでありまして、公選法に抵触するような活動はしていない、このように考えております。

小熊委員 これは参議院の方でも質問が出たんですけれども、それはお答えがなかったんですが、どのぐらい線香を買って何軒配って、手帳を何冊買って何軒配ったかというのは、お示しは難しいですか。

茂木国務大臣 正当な政党支部の活動として行っております。

 そして、こういった活動が適法である、適正であるということは、昨年十月の選挙の前になって、選挙で、野党の皆さん、若干違う政党になられましたが、その前は、こういった活動が適正である、適法である、これが皆さんの統一見解であったと思います。そのように発表されているわけであります。

 そして、適正な活動についてどう説明をするか、報告をするかということにつきましては、政治資金規正法にのっとりまして政治資金収支報告書に記載をする、これによって適正に報告をする、こういう規定になっていると考えております。

小熊委員 この百九十九条の三の前に二があります。これは本人のことです。

 秘書さんがやっていることについては今の見解なんでしょうけれども、先生自身が、大臣自身が、では、新盆参りとかお参りに行くときに線香を持っていったり、また、いろいろな支援者、有権者に、訪問するときに手帳を持っていくといった事実はありませんね。

茂木国務大臣 私、先ほど申し上げておりますように、適正な政治活動をやっている、このように考えております。

 適正な政治活動ではなく、抵触する事実があるということであれば、それについては説明をさせていただきたいと思いますが、小熊先生もさまざまな活動を、恐縮ですが、余り申し上げるつもりもありませんが、されておりまして、それを収支に計上し、そして、政治資金規正法にのっとってそれを提出されている。私も同様に、適正に報告をいたしております。

小熊委員 私のも含め、ここにいろいろな政治家の収支報告書があって、ずっと見直してみました、自分のも含め。

 そうすると、本当に、お金がかからない選挙、公平公正な選挙とはいいながら、白か黒かといえば、真っ白と言える人もいないなと。これは総務省見解も個別の判断ですと言っていますけれども、自分の判断としては、白か黒かというと、黒ではないんだろうけれども白とも言い切れない、オフホワイトみたいなところがあるんじゃないかなというふうに思いました。

 結局は、だから我々、もう一回見直さなきゃいけないのは、やれるといっても、その方向性だと選挙にお金がかかるでしょうというのは言いたいですよ。言われている、何十万も、百万も超えるような冊数を買って配れるのが合法だとしても、私はそれは、その手段として正しいというか、お金をかけないで選挙をやろうという方向にはなっていないというふうに思います。

 私はできないです、そんな何千冊も、合法であっても配るということは。また、志一つで政治家を目指す後輩たちに、政治家を目指すなら、こうやって、合法だからこれをやれるんだけれども、お金がかかるよということも言えない。

 そうした原点に立ち返ってみると、これは合法か違法かということだけでなくて、これはもう一回見直さなきゃいけないというふうに思っています。

 本人が配ったかどうかについては、今の大臣の答弁でありましたとおり、抵触をしていない、イコール、では配っていないということでいいですね。大臣は、一本たりとも、一冊たりとも配っていないということでよろしいですか。

茂木国務大臣 適正な活動を行っております。そして、私としてはそのような認識を持っておりません。

 さまざまな活動をやっておりますから、接している方が仮に誤解をされるということは、例えばお線香を持ってきたというときに、私でなかったのに誤解をされたということが絶対ないとは、相手ですからわかりませんが、私としては、持っていったことはございませんという形でお答えをいたしております。

小熊委員 大臣としては、本人が勘違いするものは別として、本人は持っていっていない。

 ただ、ここに、先ほど私の手元に手に入れることができましたが、過日の週刊新潮でもありました新盆リスト、このリストがありますけれども、秘書対応と代議士対応ということで分かれていて、ということは、これは本物のリストですかね。(発言する者あり)リストがあるということが報道されても、このリストというのは、これは本物ですか。存在しますか、どうですか。(発言する者あり)

河村委員長 小熊君に申し上げます。

 資料は理事会を通してということになっておりますので、今の質疑については取り下げてください。

小熊委員 それでは、大臣は、いろいろな形で大臣が回っているというリストもあるんですけれども、本人は行っていない、いや、行ったとしても、そうしたことは……(茂木国務大臣「行っていないなんて言っていないよ、前段」と呼ぶ)いやいや、行ったとしてもそこでは配っていないということの確認をさせていただきましたけれども、再度聞きます。

 行った際には、手帳も線香も、どこに行ったとしても持っていっていないということでよろしいですか。

茂木国務大臣 何度も申し上げておりますが、公職選挙法に抵触するような活動は行っておりません。そして、活動内容につきましては、法に定められた形できちんと報告をさせていただいております。皆さんと同じことをやらさせていただいております。

小熊委員 最後になりますけれども、この際、御提案を申し上げたいと思いますけれども、これは、与党、野党問わず、自分自身にも私は今回問いかけました、二十年前の私の師の新井先生の死も思い浮かべて。これは、ルールがどうだかじゃなくて、やはりお金のかからないようにしていくという新たなルールの議論をしていかなければならないと思います。今、現時点でこれは合法だといっても、金のかかる方向になってしまいますよ。

 もう一度、これは、与党、野党という立場ではなく、一政治家個人として、しっかりと政治と金の問題について、二度と、いろいろな不祥事が出たり、それで命が失われることがないようにしなければなりませんし、我々もしっかり胸を張って、あのときの政治家が頑張ったから政治がよくなったと百年後、二百年後の後輩たちに言ってもらえるように、そうした方向で議論していくことを御提案申し上げ、質問を終わらさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、津村啓介君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。津村啓介君。

津村委員 岡山県選出の津村啓介です。

 本日は、アベノミクスの弊害と限界を指摘させていただき、今後の政策の見直しについて具体的な提言をしたいと思います。また、時間が許せば、皇室の問題、特に、悠仁様お一人のお血筋で天皇制を存続、維持していくことのリスクの問題を含む皇位の安定的継承の問題について質問をいたします。

 まず最初に、アベノミクスと皇室の問題に先立ちまして、先週、我が党の大西健介議員が取り上げたジャパンライフ社の問題について、関係大臣に幾つか確認をさせていただきます。

 先週の議論をお聞きになっていらっしゃらない方もいらっしゃいますので、簡単に復習をさせていただきますが、ジャパンライフ社は、全国で長年にわたりまして、数多くの高齢者をターゲットに、高額な磁気治療器を、訪問販売、連鎖販売で売りつけてきた企業です。このほど事実上倒産に瀕しておりますけれども、負債額は二千四百億円を超えるとされ、戦後最大級の豊田商事事件を超える被害が見込まれております。

 先週の大西健介さんの質疑の中で、消費者庁でジャパンライフ問題を担当していた担当者その人が、ジャパンライフ社に天下りをして、処分に手心を加えていた疑いがあることがわかりました。また、一昨年末に第一回の業務停止命令が出された後も、そこにいらっしゃる加藤勝信大臣そして二階俊博自民党幹事長が同社の広告塔として長期にわたって利用され続け、被害はさらに拡大をいたしました。

 源馬さん、お願いします。きょうは、静岡の源馬謙太郎議員にパネルをお願いしております。

 まず、加藤勝信大臣に伺いたいというふうに思います。

 加藤大臣は、こちらのパネルにございますように、一月の十三日、昨年ですね、ジャパンライフの山口会長と接点を持たれたことを先週の質疑でお認めになっておられましたけれども、その際の講演料というのはあったんでしょうか。また、会合の主催者についても伺います。

加藤国務大臣 接点を持たれたという意味がどういう意味でおっしゃっているかわかりませんけれども、前回、ここでもお話をさせていただいたように、その会合は、あるマスコミの方が主催をして経済界の方が来られていた、こういう会合でございました。

 その段階で、私が承知した限りは、山口会長のお名前は出席者にはございませんでしたけれども、結果として、その会合に出席をされていたということでございます。

 それから、ごめんなさい、講演料の話ですね。(津村委員「講演料と主催者の名前です」と呼ぶ)失礼しました。

 主催者の方は、リベラルタイム出版社というところが主催をされた会合でございます。

 それから、講演料については、いただきましたけれども、それは適切に処理をさせていただいております。

津村委員 講演料がお幾らだったかということを一つ伺いたいと思いますし、大臣、これは会ったことがだめだと言っているんではなくて、お会いになった後、こういうものをその先方がつくって広く流布されたわけですよ。そして被害が拡大したわけですよ。

 それは、大臣に御了解をとられたわけではないと思いますよ。しかし、現にこういうものが長期にわたって多くの方々の被害拡大を招いたわけですから、どこかの段階で、消費者庁の責任も重いと思うんですけれども、業務停止命令を出した後ですからね、おかしなことをしていないかチェックするのは当然だと思いますし、おかしなことがあったら早くやめさせなきゃいけないわけですよね。そういうことをされなかった、看過されていたわけで、そのことによって、大臣の御地元も含めて、これは全国に被害者がいますから、多くの方の被害が生まれたということの、その道義的な責任を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 看過とおっしゃいましたけれども、私ども、今申し上げたその画像を、画像というか、そういった形のものを、実は明確に承知したのはつい最近でございます。

 実は、この国会でも取り上げられたことがありまして、そういうことはどうなっているかということをまず調べようということで、ネットとかそういうことで、我々、調べることは調べさせていただきました。ただ、残念ながら、そのときには、そうした画像を含めて、まあ我々の能力不足だったかもしれませんけれども、検出することはできませんでした。

 その後、こうした報道が具体的に写真入りで出たものですから、その段階でジャパンライフ社の方に、こうしたことがあるのか、そして、仮にそういうことがあるならば、それは許可も得ずしてやっているということで、強い抗議と謝罪を求める内容証明つきの手紙も出させていただいている、こういうことでございます。(津村委員「講演料は幾らか」と呼ぶ)

 講演料は、別にこのジャパンライフ社とやっているわけではございませんので、それは私のあくまでも政治活動の中の一環でございます。

津村委員 講演料の額についてお答えいただけなかったのは大変残念ですけれども、これは江崎大臣にも伺いたいというふうに思います。

 加藤さんの方は、なかなか、自分の会った方がどういうことをやっているのか、一年気づかなかったというのは、私は大臣として少しうかつではないかと思いますけれども、しかし、自分からはなかなかわからない面もあるかもしれません。しかし、江崎大臣、消費者庁はもうその時点で既に業務停止命令を出していたわけで、業務停止命令を出している会社が、業務を停止せずにこういうことをやっているわけですよ。しかも、同僚の閣僚のお名前を出してですね。

 これは、消費者庁、なぜとめなかったんですか。

江崎国務大臣 津村委員にお答えします。

 先週も御党の大西議員から御質問ありましたが、繰り返しますが、消費者庁はジャパンライフ社に対し、平成二十八年の十二月、二十九年三月、十一月及び十二月の四回にわたり、特定取引法及び預託法に基づく行政処分を行い、新規の契約の勧誘や締結等の業務停止を命じることにより、消費者被害の拡大を防いでおりました。

 津村先生御案内のように、悪い業者というものは本当にいろいろな知恵を工夫しながら、こうしたことを四回も繰り返して、そして全く、被害をこうむった方もございますが、やはり、消費者庁も行政処分の注意、四回いたしましたが、それをかいくぐっての、いろいろ消費者に対して好ましからざる方法をもって勧誘をしておったといったこと、私はそう理解をいたしております。

津村委員 もう一回申し上げますけれども、一年に四回も業務停止命令を出すなんてことは今までになかったわけで、それだけひどい状況だと認識されているにもかかわらず、一年間これを放置していたことを私は伺っているんです。

 加藤大臣がかわいそうじゃないですか。江崎さん、何をされていたんですかと聞いているんです。

江崎国務大臣 お答えいたします。

 先ほどもお話ししましたが、こうした業者はいろいろ、悪知恵というとこれまた差しさわりがありますが、そうしたことによって、加藤大臣はこういったジャパンライフの内容は当然御存じなかったと私ども認識いたしております。(津村委員「何でそんなことがわかるの」と呼ぶ)いや、私ども、そのような認識をしております。

 そして、特に、私、この消費者庁の役につきましたのは八月ですが、これから一生懸命、このジャパンライフ社も、いろいろな場面を精査しながら、しっかりこれからも監督責任をとってまいりたいと思っております。

津村委員 全然お答えになっていないですし、このジャパンライフ社の山口さんという方、衆議院の商工委員会でも集中審議をされたことがあるような、マルチ商法の、まあ過去にもいろいろといわくのあった方で、その方について加藤さんが知らなかったというのは言い切れるんですか、江崎さんが。それは余計なお世話だと思います。

 ちょっとこの話は突っ込みどころがたくさんあるんですけれども、本題に入っていきたいと思うので今後の議論に委ねますが、一つだけ申し上げたいのは、実は、このジャパンライフ社は、年が明けてからもまだしぶとく各地で説明会を開いて、破産してしまったら一円も戻らない、弁護団に依頼したら手じまいにされる、消費者団体は何もしてくれないといって、高齢の被害者の方々に更に吹聴をして、別会社で磁気治療器を販売して返金をするということを説明しているんです。このまま放置すると更に被害が、二次被害が拡大する可能性があるわけです。

 これに対して、弁護団は、このまま事業を継続させれば資産が散逸して被害が拡大してしまうおそれがあるということで、東京地裁に破産申立てを行おうということなんですけれども、破産申立て自体に高額の予納金が必要なために、被害者には到底負担できないということが懸念されるわけです。

 私は、これは国に、今申し上げたように、この一年間、消費者庁さんは事態を適切に処理できなかったんですから、その重い責任がある以上、国が費用を立てかえる国庫仮支弁制度を一刻も早く適用すべきだというふうに思います。

 今後とも、この問題はフォローさせていただきます。

 それでは、アベノミクスの議論に入ってまいります。

 本日ですけれども、あしたも私、少し時間をいただいていますので、先ほど玉木代表が扱われたプライマリーバランス黒字化の問題ですとか、あるいは日本銀行の財務の問題等、引き続き取り上げていこうと思いますけれども、本日は、源馬さん、パネルをお願いします、物価二%目標は既に役割を終えたのではないかという論点を掘り下げていきたいというふうに思います。

 安倍総理が総理大臣に復帰されたのは二〇一二年の十二月、その翌月、五年前に、総理は、一番最初に、アベノミクスの第一の矢として、日本銀行との間に共同声明を結ばれました。こちらが骨子であります。

 一丁目一番地、一番上にあるのが、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とする。」これは五年間ずっと維持してきているわけでありますけれども、他方、これでアベノミクスにはいろいろなメリット、デメリットが生じてきていると思います。

 総理がしばしば強調されるのは、きょうはいいですけれども、しばしば強調されるのは、株価が上昇を続けているということ。本日は五百円ほど下がっているようですが、基本的には堅調に推移してきたということが一つ。そして、失業率の低下。雇用が堅調で、完全雇用に近い状況であるということ。そしてもう一つは、七四半期連続のGDPのプラス基調。これも、統計のあやがございますし、GDPのつくり方が途中で変わっていますので、いろいろ突っ込みどころはあるんですけれども、ただ、総理が強調されるこの三つの数字が好転していることは間違いがないというふうに思います。

 であれば、総理、一方で、この後一つ一つ取り上げていきますけれども、アベノミクスには数々の弊害がございます。この世界的な株高あるいは景気が好調である今のうちに、弊害の方にも目配りをされて、バランスのよい経済政策をとっていかれないと、これから、世界の景気は二〇一九年ないし二〇二〇年には後退局面に入るのではないかと言われておりますし、この日本も、イザナギ超えということも言われましたが、これからオリンピックをまたいで、いつまでも景気がいいかどうかわからない。しっかりと政策の対応力を確保していかなきゃいけないという中で、私は、今がこの二%目標を見直す、あるいは微修正する、非常に重要なチャンスなんじゃないかと思うんです。

 総理、御認識はいかがですか。

安倍内閣総理大臣 物価安定目標は、ただ単に、これはもう津村委員は御専門家でありますが、物価が上がっていけばいいというものではありません。企業収益もふえ、雇用もふえ、賃金も上がって、経済の好循環が力強く回り、国民生活がよくなっていく中で、経済成長に見合う形で物価が上がることを目指すものであります。

 二%という水準は、一種のグローバルスタンダードになっておりまして、妥当性のある目標であると考えておりますが、政権交代後、三本の矢の政策を具体化する中で、政府と日本銀行の共同声明にその目標が明記され、日本銀行自身がコミットするに至ったものであります。

 二%という目標を掲げ、その二%に向けて、黒田総裁がしっかりとした手段を表明したことによって、市場の空気が大きく変わって、また、大胆な金融緩和を含む三本の矢の政策があったからこそ、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができたと考えております。

 経済の好循環は着実に回り始めており、今後とも日本銀行が二%の物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。

津村委員 今の総理の御答弁の中に私は答えがあると思うんですよね。

 二つ、申し上げたいと思います。

 一つは、この二%目標というのはグローバルスタンダードだとおっしゃいました。確かに、欧米でも物価目標二%というのは広く共有されているところですけれども、しかし、そのアメリカもヨーロッパも、二%には達していない段階で、この金融緩和の弊害を直視して、既に出口戦略をとっているわけですよ、もう大分前から。日本だけがこの二%という到底にわかには実現できない目標を掲げ続けて、後で掘り下げますけれども、マイナス金利ですとか、日銀や国民の年金の資金で株を買い募っていくとか、実態よりも大きな背伸びをして、そのことで多くの国民の皆さんの預貯金、年金にリスクを負わせているわけですね。そして、地域の金融機関にもさまざまな、収益の悪化ということも生まれています。

 私は、まさにグローバルスタンダードということをおっしゃるのであれば、欧米と足並みをそろえて、この二%という目標を中長期の目標として掲げるのは結構ですよ、しかし、金融政策の中身、あるいはそれをカバーする、例えば金融庁の取組ですとか公取の取組ですとか、さまざま見直すタイミングに来ているんじゃないですかということを申し上げているんです。

 そして、もう一つ。総理は、今はもうデフレではないとおっしゃいました。確かに、内閣府も以前から、月例経済報告でデフレという表現はもう何年も使っていませんし、昨年の秋には、経済財政諮問会議で、四つの指標、物価に非常に重要な消費者物価指数、GDPデフレーター、GDPギャップ、そして単位労働コスト、それがいずれもプラスになっているということを、わざわざ指摘がありました。

 ここでデフレ脱却宣言を、なかなか宣言という形でされないのは、その後に必ず求められる財政健全化に総理が後ろ向きだからだと思いますけれども、私は、デフレではないとおっしゃって、しかもグローバルな目線でとおっしゃるのであれば、この二%目標の弊害というところに今しっかり光を注がなきゃいけないと思いますけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 デフレ脱却とは、物価が持続的に下落する状況を脱して、再びそうした状況に戻る見込みがないことを指しておりまして、まだこの段階においては見込みがないということまで言い切れないというふうに我々は考えているところであります。

 日本銀行が先月に公表した展望レポートにおいて、現状、企業の賃金、価格算出が慎重なものにとどまっていることなどを背景に、消費者物価が弱目の動きとなっているものの、マクロ的な需給ギャップが着実に改善していること等から、二%の物価安定目標に向けたモメンタムは維持されている旨、示しているところであります。

 もちろん我々もこういう認識でありますが、まだ、純粋にマクロ経済を見ていく中においては、デフレ脱却とは言えないということでございます。

 一方、このレポートにおいては、二%程度に達する時期は、二〇一九年度ごろになる可能性が高いとしていると私も承知をしております。経済の好循環は着実に回り始めており、今後とも、日本銀行が二%の物価安定目標の達成に向けて、大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。

津村委員 総理、ここはしっかりとデフレ脱却を、デフレではないとかちょろちょろおっしゃっているわけですから、ちょろちょろと言ったら失礼ですけれども、いろいろなところでおっしゃっているわけですから、デフレ脱却ということはしっかり宣言されて、次の財政健全化にしっかり向かっていってくださいよ。

 こちら、アコードですけれども、三つのことが書かれているんですね。この消費者物価の二%目標、このとき、よく考えられているんだと思いますけれども、その後、二つのことが書かれている。日銀は金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因をしっかり点検しろ、そして政府は持続可能な財政構造を確立するんだと。実際、この一番上にこだわり過ぎているから、下の二つがうまくいっていないわけですよ。

 だから、これは順番をそろそろ入れかえて、金融面の不均衡の蓄積を含めたリスク要因をしっかり点検して、ここを是正して、そして持続可能な財政構造を確立する。この二つの方に軸足を変えて、五年間たった、日本銀行の総裁、副総裁がこれで任期を迎える、前回、十一月も議論していますけれども、五年の任期というのは金融政策を考えるにちょうどいいスパンだから五年の任期なわけですから、ここでしっかりアコードの読み方、あるいはアコードの優先順位というのを見直すタイミングとするべきだということを申し上げています。

 それに関連して、私、看過できない講演がありましたので、少し取り上げさせていただきます。

 岩田副総裁をお呼びしておりますけれども、先週一月三十一日に大分で行われた岩田副総裁の御講演、御自身でこれが最後の講演だと、三月に任期が切れるからというおつもりなんでしょうけれども、そこでこういうことをおっしゃっているんですね。

 まず、岩田副総裁について、国民の皆さんあるいは委員の皆さんも必ずしも御存じない方もいらっしゃるかもしれませんから、少し御紹介をしておきますけれども、岩田規久男副総裁は、もともといわゆるリフレ派と呼ばれる、大胆な金融緩和が非常にデフレ脱却に効果的だ、万能だというようなことをおっしゃってきた学者さんの代表格でいらっしゃって、アベノミクスの第一の矢である異次元緩和の理論的な支柱となってきた方だというふうに思います。

 五年前の副総裁就任前には、物価目標達成は日銀に全責任がある、そして、私が議運で質問させていただいた当事者なんですけれども、二年間で物価二%を達成できない場合の最高の責任のとり方は辞職することだ、そして、自分たちのせいではない、ほかの要因によるものだという言いわけはしない、こうおっしゃって、そして国会同意人事で就任をされたんです。

 しかし、二年たって二%は達成できていないどころか、五年たっても達成できていないわけで、その最後の講演と御自身おっしゃるところで、金融政策は一生懸命やったが、ほかの政策が逆風でははねのけることができない、財政健全化の速度を経済に合わせてスピード調節することが大事だ、こう発言をされているんです。

 二〇一四年の消費税増税に責任転嫁をされているということが一つと、場合によっては来年十月の消費増税も牽制された御発言なのかもしれませんが、これは大変無責任な御発言じゃありませんか。五年前に、二年間で金融政策だけでやるとおっしゃったんですよ。日銀副総裁の言葉というのは、そんなに軽いんですか。

 岩田さん、最後だというふうにおっしゃっていましたけれども、今回のこの国会で、あるいは今回のこの人事でけじめをつけるという意味ですか。国民の皆さんにおわびされたらいかがですか。

岩田参考人 先日の大分での講演で、財政の健全化のあり方と、それと実体経済、物価の関係について、私の任期の五年の間の経験を踏まえて申し上げたわけですが、講演で申し上げたとおり、中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することが重要であると考えております。その上で、デフレ脱却に向けた機動的な財政政策という第二の矢ですね、ございます。

 それともう一つ、今言った、中長期的な財政健全化を両立させる、これはどうやったら財政、できるかということについて、それはやはり財政緊縮のペースというものが大事な論点だということで、講演では、この五年間余りの日本経済とユーロ圏経済について示唆されることを申し上げたものでありまして、具体的な財政運営に関しては、政府、国会の責任において行われるものと承知しております。

津村委員 講演の中身を聞いているんじゃないです。講演の中身は私から紹介させていただきましたよ。

 私は、あなたの責任を問うているんです。二年で達成できなかったこと、五年で達成できなかったこと、それをおわびもしないのかと聞いているんです。

岩田参考人 副総裁の就任に際しましては、目標が達成できない場合には、まず果たすべきは説明責任であって……(津村委員「そんなこと、言っていなかったよ」と呼ぶ)どのような責任のとり方かというのをそのとき聞かれたので、十分できなかったんですが、日銀法に照らすと、一番は説明責任だということがわかって、その後ずっと、果たすべきは説明責任だと申し上げているわけです。で、仮に説明責任が果たせない場合の最終的な責任のとり方は、やはり辞任、辞職である、こういうことを申し上げたわけであります。

 したがって、この五年間、自分としては、責任、説明責任を果たしてきたつもりであります。

 これまでの二%の物価安定の目標を実現できていないことについては、原油価格の予想もできないような、四分の一への下落とか、あるいは、消費増税が、まだ予想インフレ率が安定しない中で引き上げるということによって、需要が大幅に減少し、消費がずっと、それは、多くのエコノミストも予想しなかったぐらい弱くなってしまったということで、実際の物価上昇率が下落していったわけです。日本では、もともと過去の物価に引きずられやすい予想物価上昇率が弱含んだことが主な主因であると考えております。

 こうした点に加えて、人々の間に根づいてしまった、長い間デフレを続けてしまいましたので、デフレマインドの転換に非常に時間がかかってしまい、企業の賃金、価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっておりまして……(津村委員「副総裁、言いわけしないとおっしゃったんですよ」と呼ぶ)いや、それは、事実を申し上げているわけであります。労働需給に比べて物価の上昇ペースが鈍い理由は、今のような理由であります。

 しかし、量的・質的金融緩和のもとで、マクロ的な需給ギャップは大きく改善し、企業の収益も過去最高になっております。更新しております。労働市場では、ほぼ完全雇用の水準が実現しておりますので、こうしたもとで、物価面ではデフレでない状況になっているということで、私も、任期を残すところ一カ月余りとなりましたので、最後まで全力を尽くしたいと思っております。

津村委員 もう一つ伺います。

 副総裁は、私は再任されないと確信しているとおっしゃいました。これはどういう意味ですか。

岩田参考人 みずからの再任の有無について言及したことは、適切ではなかったと思っております。

 もとより、副総裁の人事は両議院の同意を経て内閣が任命するものという枠組みに沿って、政府、国会において決定されるものということは十分承知しております。

津村委員 次の質問もありますので、また別の機会にこれは取り上げさせていただきたいというふうに思いますけれども、副総裁、あなたは、二年間で二%でやる、それができなかったら責任をとるというのを副総裁のお立場でおっしゃった、まずそこに大きな問題があると思うんですよ。

 これは、総裁に波及しますよ。だって、執行部、一体ですよね、ずっと同じ投票行動をとられているわけですから。そして、それが二年間どころか五年間でもできておらず、今回、私は再任されないと確信しているというのは、どういう意味でおっしゃったか、今言及を避けられたからわかりませんけれども、やはり、御自身が最初におっしゃったことができていないということと私は大きくかかわっていると思いますよ。

 そうすると、黒田さんはどうなんだということになるじゃないですか。今、マーケットは、黒田さんの再任があるのかどうか、大変注目されているわけですけれども、このことは、岩田さんが副総裁をおやめになっても続いていく話ですよ、このアベノミクスの一丁目一番地の二%目標というものの生い立ちですから。

 ここは非常に重要なポイントなので、これからも繰り返し予算委員会の場で取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 あしたもお越しいただくことになるんですけれども、黒田総裁、先ほどのマイナス金利政策の弊害の話、あした、個別のリスクについては掘り下げたいと思いますけれども、二%目標を一番苦労されているのは黒田さんですよ。だって、これは約束しちゃっているから、この約束を変えないと、とにかく弊害があっても何かやらなきゃいけないというところに追い込まれているのは、今、黒田さんです。

 じゃ、そろそろこのタイミングで、黒田さんも今回の任期としてはあと一カ月なわけですから、どういう弊害が起きているのかということを、リバーサルレートの話もされましたが、この国会の場で、少し反省も含めて、この金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因をどう点検してきたのか、少し御紹介いただけませんか。

黒田参考人 委員御案内のとおり、一昨年の九月に、金融政策について総括的検証というものを行いました。

 その中で、長短金利操作つき量的・質的金融緩和を導入するということになったわけですけれども、そのもとで、総括的検証において明確に示されている、第一に貸出しあるいは社債金利への波及、第二に経済への影響、第三に金融機能への影響など、経済、物価、金融情勢を踏まえて、新しい長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとでのイールドカーブを形成するということにしたわけでございます。こうした考え方には変わりございません。

 その上で申し上げますと、現時点で、金融機関は充実した資本基盤を備えておりまして、信用コストも大幅に低下していることから、金融仲介機能に問題が生じているとは考えておりません。また、私どもの各種レポートでも申し上げている、あるいは述べているとおり、これまでのところ、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化は観察されておりません。

 ただ一方で、委員御指摘のとおり、金融機関、特に地域金融機関の収益動向を見ますと、大手金融機関と違いまして貸出しに依存する割合が高いものですから、そうした中で、全体として、低金利状況が続き、さらに、地域経済におきまして人口あるいは企業数が減少しているという中で、貸出しをめぐる競争のもとで更に金利が低下する、あるいは利ざやが縮小するということが生じておるということもよく認識しております。

 その面では、当然、金融庁も御指摘されているとおり、やはり地域金融機関は地域経済にとって非常に重要な役割を果たしているわけですので、その収益動向等には私どもも十分配意しながら、地域経済のもとで十全な力を発揮できるようなさまざまなアドバイス等は引き続き行っていきたいと思っております。

 ただ、その上で一言申し上げますが、やはり二%の物価安定の目標を実現するというこの目標は極めて重要であると思っておりまして、現在の我が国の物価上昇率というのは、生鮮食品を除いたところで一%を若干下回っている、エネルギー品目を除くと更に低い、ゼロ%台前半というところですので、やはり欧米とは違って、まだまだ二%の物価安定目標には道半ばというところでございますので、やはり引き続き強力な金融緩和を粘り強く続けていく必要があるというふうに思っております。

津村委員 総裁、ありがとうございます。あしたも、申しわけありませんが、ちょっと呼ばせていただきますけれども。

 バブルのときも、物価というのはゼロ%台だったんですね。ですから、今、実際に、株価についても、あるいは不動産についても、金融機関、今触れられた地域金融機関の状況も含めて、少しでも高い金利のところに何とか貸さなきゃというふうに、これはモチベーションがそっちに行ってしまいますから、一歩間違うとそういうバブルが生まれている可能性もあるわけですよ。その問題。

 それから、先ほども少し触れましたけれども、株にしても、あるいはマイナス金利、そして公的な資金が株を買い占めていることによる企業統治へのゆがみ、こういったことをあす以降も掘り下げさせていただきたいと思います。

 それでは、もう一つの重要なテーマでございます皇室の問題に触れさせていただきたいというふうに思います。

 総理、この一年間あるいはこの数年間のかじ取りを、総理、間違えられると、天皇家のお血筋というのが本当に細くなっていっているわけですよ。そして、ともすれば、皇統がきちんと百年、二百年続いていくのかということも本当に心配しなければいけない状況にあると私は思います。

 今回の皇室典範の改正特例法で、この附帯決議で、女性宮家の問題について、法施行後速やかに検討を行って政府が報告するということになっていますが、眞子様が御成婚をされて皇籍を離脱されるということが、その後正式に決まりました。

 法施行後というのは来年の五月一日のことですから、もうそれより前に眞子様は御結婚されるわけですね。そして、このパネルを、源馬さん、お願いします、眞子様は、両陛下のお血筋を直接引かれた若い皇族の方は四方しかいらっしゃらない、そのお一人であって、眞子様が御結婚されて皇籍を離脱された後に、じゃ、佳子様は残るのかというと、そうはなかなかならないと思います。

 そして、麻生副総理の御親戚にもなられますけれども、三笠宮家の、じゃ、あの女王様方が女性宮家というふうになるのかというと、眞子様よりも少しお血筋という意味では遠いわけですから、なかなかそれもイメージが簡単にはできない。

 そうなってくると、眞子様が皇籍を離脱された時点で、私は、将来の女性宮家を検討するといっても、対象となり得る、国民の皆さんにイメージされるのは愛子様だけになってしまうのではないか。

 総理は、眞子様がまだ御結婚される前に女性宮家の議論をするというおつもりはありませんか。

安倍内閣総理大臣 女性宮家の議論については、さまざまな議論があるわけでありますが、政府としては、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くしてまいりたいと思います。

 その上で、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重して対応してまいりたいと思います。

津村委員 こちら、ちょっと字が小さいのでテレビではなかなか見れないかもしれませんが、二十八年後の皇室の構成図でございます。

 なぜ二十八年後にしたのかといいますと、皇太子殿下が今上陛下と同じ年になられるのが二十八年後なんですね。そのときにどういう皇室の絵姿になっているかといえば、秋篠宮様は、その六つ年下ですから七十九歳です。

 これは軽々に議論できることではありませんけれども、仮に、皇太子殿下が、今回、今上陛下がそういうお言葉を発せられたように、御高齢ということも含めて退位を考えられたときに、じゃ、六つ年下の秋篠宮様にバトンをつないでいくのかどうかということも、もちろんあり得ると思いますけれども、世代ということで考えたときには、もう次の悠仁様しかいらっしゃらなくなっていて、皇室の女性皇族の皆さんは結婚されると思いますので、そう考えると、もう皇族はゼロになっちゃうんですよ、現役世代が。

 これは皇位継承のことを言っているんじゃないですよ。御結婚をされて、女性皇族の皆さんが、一番若い愛子様でも四十三歳ですから、結婚されている可能性が高いと思うんですけれども、そうすると、悠仁親王以外に七十五歳以下の皇族の方は誰もいないんですよ。

 私は、そういう議論が、眞子様が御結婚されてしまった後だと、仮に愛子様に女性宮家ということをしても、一人だけになるんですよ。悠仁様と愛子様だけになるんですよ。日本の皇族がゼロ又は一人になってしまうという状況を避けるには、あと半年で動かなきゃいけないんじゃないんですかということを言っているんです。日本の皇室と皇族のあり方が根本的に変わってしまうんですよ。

 総理、今その御判断ができるのは安倍総理しかいらっしゃらないんです。日本の天皇家、日本の皇族を守っていただけませんか。

安倍内閣総理大臣 政府としては、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少に係る問題については、内閣官房皇室典範改正準備室において、これまでのさまざまな議論の経緯を十分に検証するとともに、最近の議論の動向等も踏まえ、政府部内で検討を行っています。この問題は、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であると考えています。

 他方で、そのための方策についてはいろいろな考え方、意見がありますが、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えています。

津村委員 あした以降にまた引き続き議論をさせていただきますが、総理、小泉内閣のとき、安倍総理が官房長官でいらっしゃったときに、小泉内閣における有識者会議では、生物学的なリスクまで言及をされていました。つまりは、一人の男性から何代も男性の子孫が続いていく可能性というのが、三代、四代になると、もう一〇%とか二〇%とか、出生率の半分ですからね、男の子が生まれる確率は。それをつないでいくとどういうことになっていくのかという議論まで、これは政府の有識者会議で出されていました。

 日本の皇族、天皇家というものにもしものことがあったら、私たち現代の日本人は、先祖にも、そして子孫にも申しわけが立たないですよ。私たちが真っ先にやらなきゃいけないことじゃないんですか、これは。

 総理、さっきからその官僚答弁を棒読みされていますけれども、この半年ということの危機感が全然感じられないんですよ。日本の歴史をしっかりつないでいかなきゃいけないじゃないですか。

 一言、答弁を求めて、終わります。

河村委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおりでございまして、これは、何か法案を決めるとかいう政策の判断ということではなくて、まさに委員が言われたように、長い歴史の中でどう判断をしていくかという、そういう重い重い課題でありますから、当然、先ほど申し上げましたように、いろいろな考え方がある中、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析と、そして検討と、慎重な手続が必要であると考えております。

津村委員 旧宮家の皇族復帰ということがいかに現実的でないかということは、あした議論させていただきます。

 終わります。

河村委員長 この際、井出庸生君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井出庸生君。

井出委員 希望の党、信州長野の井出庸生です。

 午前中、後ろで水を飲んでおりましたら、与党の大先輩に当たられる方から、厳しくいけよと激励をいただきまして、与党の中にもそういうことを思ってくださる方がいるのだなあとうれしく思いました。その言葉どおりやらせていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 最初に、スパコン詐欺の、ペジーコンピューティング社の詐欺事件の話から伺ってまいります。

 このNEDOの補助金が、一体なぜ二件の事業が詐欺に遭ったのか。

 その被害に遭った交付金事業、一つは、平成二十五年三月に申請があって、四月末に交付が決定して、二十六年の二月二十日の事業期間終了までに、その都度、その途中何度か支払いがありながら、最終的に、二十六年二月に確定検査、これは最終の検査だと伺っておりますが、総額五億円近い交付金が支払われている。

 もう一件の詐欺事件の案件となっている事業は、平成二十四年四月に申請があって、八月に交付決定。その後、二年後、二十六年三月三十一日までに支払いが、最終的に、これも確定検査を経て総額六億三千万円が払い込まれている。

 この二つの詐欺事件、二件について、それぞれ一年から二年間の期間がある。そうした中で、なぜNEDOや経産省は、自分たちでその詐欺、不正というものに気づくことができなかったのか、そのことをどう考えているのか、まず伺います。

世耕国務大臣 NEDOは、ある意味お金をだまし取られた立場ではありますけれども、一方で、国民の税金に基づく補助金がこういう形で詐取されたということについては、大変遺憾に思っているわけであります。

 これは、いろいろな段階で、いろいろな審査とか検査を行っています。当然、これは研究開発事業ですから、かなり、一定の時間もかかるわけであります。

 そういう意味で、事前の、まず採択のための審査という意味では、極めて、半導体ですとか電気電子工学の専門家を始め、そういった方々に、事前の論文審査とか、あるいは最終的に会議を開いて選んでいただくという手続をとって、そして点数をつけて選んでいただいております。この過程で何かがあったというふうには少し思いにくいなというふうに思っています。

 ただ、一定の期間かかるわけでありますから、当然、途中で中間検査というのも行います。そして、最後は、いわゆる本当にそのお金がかかっているのかどうか、当然、予算は予算で、最終的にかかった経費と差が出てくる場合がありますから、民間でいえば、いわゆる精算という行為であります。これは役所では確定検査と呼んでいるわけでありますが、そういった検査を行っているわけであります。

 だまされた側ですので、余り胸を張って言えるわけではありませんが、事前の有識者による審査も中間検査も最終の確定検査も、一定のルールにのっとった手続はしっかり行われていたというふうに思っています。

 特に、中間検査で、外注費が非常にウエートが多いということがわかりましたので、しかも発注から支払いまでが短期間でありましたので、外注先、この場合はペジー社からウルトラメモリ社というのに外注をされていたわけですが、こういったところも訪問をするということもやらせていただいているわけであります。

 恐らく、今捜査に協力する過程で我々が得ている話では、この確定検査のところでごまかされたのではないか。何をどう、一体どの部分で幾らごまかされたのかというのは、これはまだ捜査の結果を待たなければわからないわけですけれども、例えば、実は外注をやっていないにもかかわらず、外注側と結託して書類を用意して、そして、でき上がった、これが成果物ですと言って全く別の半導体を見せて、行った検査員をだましたという場合、あるいは、ソフトウエアの使用契約を結んで、そのライセンス料を一旦振り込んでおいて、しかし一方ですぐキャンセルをして、後でそれを何らかの形で別の口座とか現金で払戻しを受けてそれを隠したとか、あるいは、当然、社内の研究員もどれぐらい仕事をしているのかというのを業務日誌などで点検をしますけれども、これも社内の関係者が結託をして、そういった業務日誌、出勤簿といったものを捏造した、こういったことが考えられるのではないかと思っていますが、いずれにしても、捜査が最終的に中身がわからないと、一体どこでということはちょっと今のところ確認できないわけであります。

井出委員 二月二日の予算委員会で、世耕大臣は、外注先の調査につきまして、自民党の委員の方が、平成二十六年三月、別の不正事件があったと。自民党の方が指摘したその不正事件を受けて、外注先にも帳簿類の提出など必要な協力を求めることをルール化した、抜き打ち検査を実施するなど対策をしてきた、しかし、今回の事件は外注先の調査を強化する前の話だったんだというようなお話なんですが、本当に外注先というものは、それぞれ二件の詐欺事件、一年間、二年間の間に、外注先の調査というものはしっかりされているんでしょうか。もう一度そこをお願いします。

世耕国務大臣 これは我々、ちょっと今、数字を手元に持ち合わせていないんですが、NEDOに関しては何回か不正事案がありました。多くは、一時期大学などで問題になった預り金問題ですかね、ああいったものが多かったんですけれども、一部にやはり外注が絡んで、外注先と結託をして、実は成果物がないにもかかわらずあるかのように見せたというケースがあったものですから、それ以来、外注先に対しても一定の検査を入れるようにしているわけであります。ただ、これはちょっと時間的には、実は今回立件されている二つの案件の後にそのルールの改正を行っているわけであります。

 ただ、今回も、そのルールを変える前ではありますけれども、じゃあ見逃していたのかというと、やはり外注のウエートは非常に高いという特性がありましたから、外注費が適切に使われているかどうかというのはしっかりと検査に行った。外注先にも訪問をして、最後の確定検査のときに、きちっとした外注の発注があったのかどうかということを確認はしているわけであります。ただ、これが、完全に両方結託して帳簿まで偽造されていると、なかなか見つけにくいといったところがあるんじゃないかと思います。

 なお、申し上げますと、研究開発を助成する対象というのはベンチャー企業が多いんですね。ですから、外注率が高いというのはそんなに不自然ではないんです。当然、ベンチャーというのは、いろいろなアイデアとか設計とか、ソフトをつくっていく技術はあるかもしれないですけれども、実際に物をつくるというような機能はなくて、その部分を外へ発注をして最終的な完成品をつくる、試作品をつくるということは、これはあってもおかしくないのかなというふうに思っているわけでございます。

井出委員 今後の捜査を見なければいけないかなと思いますが、このペジーコンピューティングには、実は、ことし、平成三十年二月末と三月末まで二つの事業が補助金の交付が決定をしていて、二十七、二十八年度分は恐らく支払われている。二十九年度はストップになっているかと思うんですが、これも合計すると相当な金額になります。

 今のところ刑事事件化はされておりませんが、補助金の受給として適正であったかどうかというところはこれから調べていかなければいけないと思いますし、状況でいえば、現在も、この間この二つをとめたというような話もあったんですが、実はこのペジーコンピューティングという会社は、去年、平成二十九年の三月に会計監査法人が辞任をしています。会計監査法人は、わずか半年しかその任になかった。それは会社の登記簿を見れば誰でもわかることであって。それで、平成二十九年三月といえば、少なくともこの現在進行形の二つの事業があったわけであります。

 そういう点からも、やはりふだんのチェックというものが本当によかったのか、そこは厳しく追及されなければいけない。政治家のかかわりですとか、この会社に対する特別扱いですとか、そういう話も当然解明をしなければいけないと思いますが、まず、それ以前に、この補助金の申請とそのチェックというものについては厳しく見ていかなければいけない。

 総理にこの件で一言伺いますが、本会議やこの予算委員会で、総理は、それぞれの所管で適正に執行されていると承知をしているというお話がございました。その後、世耕大臣と委員何人か、この件をやりとりをしてきて、特に二月二日の予算委員会では、やはり、その捜査の後を受けて、我々もその外注先がまずかったというところを把握した、被害者ではあるが国民に対して申しわけない、そういう話が大臣からございました。

 被害者であるということはそうかもしれませんが、しかし税金でございます。そうした意味において、税金ですから、一円たりとも無駄にするようなことはあってはならない。そういう視点から、この件について総理が今どう思われているのか、伺っておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 国民の税金である以上、予算が不正に受給されるような事態はあってはなりません。また、予算を効率的かつ効果的に活用することは当然であります。

 担当の省庁、実施機関には、徹底的に原因を究明し、予算がその趣旨にのっとって適正に使われるよう万全の対応をとらせたいと考えています。

井出委員 国民に対する謝罪というものはないんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 担当大臣から答弁があったわけでありますが、担当の省庁、実施機関には、徹底的に原因を究明し、予算がその趣旨にのっとって適正に使われるよう万全の対応をとらせたい、このように思います。

井出委員 先日、世耕大臣からは、一言、国民に対して申しわけないというお話がございましたが、税金に対する認識をきちっと持っていただきたい。

 一月の話になりますが、防衛装備庁の方でも、受注先の企業が、七年間の二十六億円の過払いという話がございました。これは記録が残っているだけで、七年間、二十六億円。証言によれば三十年ぐらいやっていたと。三十年そのペースでやっていれば、百億円を超える金額でございます。

 そういうことも現にあるわけでありますので、やはり、私は、補助金、交付金、先日の本会議また昨年の予算委員会でも別のものを取り上げましたが、必要性はそれぞれにあろうかと思います。しかし、その後のフォローというものを、総理始め、もっと政府全体でしっかりとやっていただくことをお願いします。

 次に、選択的夫婦別姓について、きょう、総理始め全閣僚の皆さんの前で、長年政治が置き去りにしてきたこの課題について議論をしていきたい。当然、立法府にもこの議論が進んでいない責任がございます。それを少しでも進めていければというふうに思います。

 まず、パネルを見ていただきたいのですが、きょう、資料でもお配りをしておりますが、戸籍法という法律のもとに、結婚、離婚、それから日本人同士の結婚、それから外国人と日本人の国際結婚、この類型で氏を選べるかどうか、その制度の有無について資料を用意しました。

 最初に、資料の左上になりますが、日本人同士の婚姻、これは民法の七百五十条に定められているとおり、夫又は妻の氏を称する、どちらか一方の名字を名乗らなければいけない。そういうことで、選択権はないということでバツをつけております。ここが一番の根本のところです。

 それから、その隣に行きまして、外国人と日本人が結婚したときはどうなのか。ここは、戸籍法の百七条によりまして、婚姻の日から六カ月以内に戸籍法に基づき届出をすることで外国人配偶者の氏を称することができる。当然、日本人の方の氏を称することもできる。選ぶことができるということでございます。

 それから、斜め下に戻りまして、日本人同士の離婚でございますが、ここも、民法それから戸籍法に基づいて、離婚によって一旦旧姓に戻った方が、離婚の際、つまり結婚していたときの名字を称することができる。ここも選択権がある。

 同様に、外国人と日本人が結婚して離婚された場合も氏を選べるということになっております。

 細かい専門的なところは法務大臣に伺いますが、まず、総理、この四つの表を見て、少し、なぜこの一個だけバツなのか、ちょっとおかしいんじゃないかと、感想を一言いただければと思います。

安倍内閣総理大臣 総理大臣としては感想というわけにはまいらないのでございますが、この問題は、我が国の家族のあり方に深くかかわるものでありまして、国民の間にさまざまな意見があることから、国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応する必要があるものと考えております。

井出委員 国民的な議論を慎重ながらも進めていこう、そういう思いできょう質問をしているのですが、野田総務大臣に、これは専門家でいらっしゃると思いますので、感想ではなく、この四つを見て御意見をお願いします。

野田国務大臣 私が選択的夫婦別姓を推進していることは周知の事実でございまして、平成八年の法制審の答申以来、とりわけ、氏を変えなければならないのは日本において圧倒的に、九十数%は女性なんですね。これに対して不便を感じているのは女性の側でありまして、その当時から、もう十数年前になりますけれども、そういう不便を感じている方からのリクエストを受けて、井出委員のおじ様も所属していた派閥に御一緒していたときに、森山真弓先生という方が、大先輩がおられまして、ぜひそういう不便を感じる女性のために法律改正を答申に沿ってやっていこうと取り組んだんですけれども、私たち、法案も党の部会に当時出させていただいたんですが、残念ながら御理解が得られず今日に至っています。

 ですから、それがどうのというよりも、やはり選択的夫婦別氏、別姓というのは、これからの女性の活躍の時代に合わせて、その要望は急増してくると思います。また逆に、時代の多様性によって、男性がそれによって不便を感じている場合も出現しているわけですので、なるべく速やかに十数年かかってきた答えは出していくべきではないかと思っています。

井出委員 おっしゃるとおりだと思います。

 法務大臣に伺いますが、戸籍法で氏を選べるかどうか。四つのパターンがあって、日本人同士の結婚一つだけ選べない。こういう表をつくってきたのは、これを見ていただければ、率直に、ちょっとおかしいんじゃないか、この問題に関心のない方もそう思っていただけるのではないかと思って御用意したんですが、なぜ、この日本人同士の婚姻だけが、選択の余地が戸籍法によって与えられていないのか。ほかの三つはいずれも与えられているわけであります。そのことについてお願いをしたいと思います。

上川国務大臣 ただいま委員から四つの象限ということでございましたけれども、それぞれ、日本人同士、日本人と外国人という婚姻関係あるいは離婚の関係ということについては、よって立つ法律について異なるものがあるということであります。

 一般論でありますけれども、そもそも戸籍制度でありますが、民法に従って定められる親族的身分関係を登録、公証する制度でありまして、戸籍法は、この民法の親族に関する規定の手続法としての性格を有しているものでございます。

 先ほど、第一象限のところ、左側のバツのところでありますが、こちらにつきましては日本人同士の婚姻ということでありまして、これは民法第七百五十条、これが適用されるものでございます。すなわち、いずれかの氏を称しなければならないとするものでございます。したがって、戸籍事務におきましても、この民法の規定に従った取扱いをする必要があるということであります。手続法ということであります。

 そして、左側の下ということでありますが、日本人同士が今度は離婚した場合でありますが、離婚の際に称していた氏を称するための戸籍法の規定につきましては、婚氏続称を認めた民法の規定を受けたものということになるわけであります。

 右側の二つであります。日本人が外国人と婚姻した場合に外国人の称している氏を称し、離婚した場合にもとの氏に戻すための戸籍法の規定ということでありますが、外国人には、その氏名について、それぞれの所属というか組織する外国法によって規律を受けるということになりますので、ひいては民法第七百五十条の適用がないということであります。したがって、日本人配偶者にも民法の規定が適用されないということでありますので、戸籍法上の措置を手続法として規定しているということであります。

井出委員 今、法的な解説をいただきましたが、日本人同士の離婚も、民法では一度旧姓に戻るんですね。そこを、それでは社会的に生活上大きな支障があるから、また氏名権の尊重という意味合いもある、お子さんのこともあったかと思いますが、戸籍法と民法を改正した、これは昭和五十一年。

 それから、外国の方のケースは、今お話しいただいたことを簡単に言えば、外国の方は民法の適用にならない、そういう中で、手続法である戸籍法でこのように、選べるように対処をしてきた。

 日本人同士の結婚の中にも、氏を選びたいという人、いるんですよ。では、どうしてここだけバツなのか。

 上川大臣も野田聖子大臣同様、この問題に大変積極的に取り組まれてきたかと思いますが、法律の現状は今御説明いただきました。今後の政策論として、上川法務大臣、今のままでいいとお思いですか。

上川国務大臣 先ほど野田大臣の方から御説明がございましたけれども、この選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、平成八年に法務大臣の諮問機関であります法制審議会から答申を得ているところであります。先ほどの御説明がありましたが、平成八年と平成二十二年に、法案の提出に向けまして、この法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備いたしましたけれども、改正法案の提出にまでは至らなかった、こういう状況がございます。

 他方、平成二十七年十二月十六日の最高裁判決におきまして、この選択的夫婦別氏制度の導入の是非につきましては、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとの指摘がなされたところでございます。

 これまで政府におきましては、女性の社会進出や社会の多様化等を踏まえまして、旧姓使用の拡大に向けた取組を随時推進してきたところでございます。法務大臣といたしましては、今後も引き続き、国民各層の意見を幅広く伺いながら、国会や各方面の議論の推移を注視しながら、慎重に対応を検討してまいりたいというふうに思っております。

 今、さまざまな女性活躍の問題もございます。そして、社会の中の変化に応じて、この旧姓使用の拡大もさまざまな分野で拡大をしているというのも現状でございます。こうした中で、国民の皆さんの意見がこれから先どのように推移していくのか十分に注視しながら、慎重に対応を検討してまいりたいと思っております。

井出委員 今お話があったように、最高裁は国会で議論をしろと。

 選択的夫婦別姓の裁判というのは、通常、国が訴えられて、その代表者は法務大臣であることがこれまでの裁判は多かったんですが、これは、国会も場合によっては、立法で手当てしなきゃいけないものをいつまでも放置していたら、国家賠償の対象になるということが例外的にあり得る。このことは、最高裁も過去そういう判例を出しているんですが。

 河村委員長もかつて野田聖子さんと一緒に、自民党の中で、選択的夫婦別姓を特例的でもいいから進めようと、賛同者に、そのグループに入られていた記録を拝見しましたが、ぜひ議論を深めないと、予算委員会であれだけやったのに、あの予算委員長、訴えてやろうかな、そういう話も出かねませんので、ちょっと問題意識を、過去の関心を呼び起こしていただきたいと思います。

 それから、今、上川法務大臣から旧姓使用の拡大という話がございました。これは、法律が変わらない中で大変結構なことだと思います。平成十三年に国家公務員行政職が旧姓使用が認められた。それから、平成二十七年には改正商業登記規則が変わった。それから、最高裁は、判決や裁判関係文書で裁判官や書記官が旧姓使用をすることを認めている。

 幾つもこういうことがあるんですが、一つその中で、平成二十九年度、この間通った補正予算ですね、総務省、二百七十四・九億円、そのうち百億円、女性活躍のために何をするのか。希望する人が旧姓を併記できるように全国一千七百四十一市町村の住基システム等を改修する、ここに百億円なんですよ。

 旧姓使用を一つ一つ広げていくということはいいんですけれども、戸籍法で一律旧姓に法的根拠を与えれば、こんな百億円を使わなくてもいいんじゃないか、百億円を使う必要はないんじゃないか、そう思うんですね。本当は予算のことなので麻生大臣に聞きたいところなんですが、きょうは事前に御指名をしていないので、野田さんに答弁を伺いたいと思います。

野田国務大臣 この予算委員会、補正の方で、多少マイナンバーカードへの旧姓併記の推進の予算について御批判もいただいたところですが、今お話がありましたように、今現在は、選択制であれ、私たちは例外的夫婦別氏ということで進めてきたけれども、なかなかその議論が進まない中、現実にはやはり、活躍する女性、働く女性がふえてきて、どんどん旧姓を使えない不便が増大する中で、デファクトという形でいいので、とにかくスムーズに、お仕事に支障がないような形で進めていくということで旧姓、通称使用というのがどんどん発生してきているわけです。

 マイナンバーカードを普及させますと、それを持っているだけで、一気通貫で、公共的なものに対して一々煩わしさがなくなり、スムーズにお仕事ができるだろうということで、法律は法律でしっかり議論をしていただきたいなと思うところですが、現状そういうものが担保されていない中、やはり女性が活躍しやすくするためや不便を減じていくために、こういうことで、速やかにカードを作成することで少しでも女性のお役に立てればということで取り組まさせていただきました。

井出委員 もう少し改善のしようがあるのではないか、戸籍法を改正すればいいのではないかというのが私の思いなんですが、旧姓使用を広げても、それでもデメリットは厳然としてある。いろいろな、銀行口座ですとか免許証、保険証、マイレージカード、婚姻の氏に変更しなければマイレージがつかないという話でございます。また、株式を持っている方の名義変更、手数料が相当な金額がかかるという話がございます。

 それから、きょうは最高裁に来ていただいているんですが、最高裁は、先ほど申し上げました、裁判書類に裁判官、書記官は旧姓を使ってよし、そういうことになりまして、ことし一月九日、最高裁判事に就任された宮崎さんという方が、最高裁判所判事として初めて旧姓を使われるということを記者会見でおっしゃって、その方はこうおっしゃっているんですね。選択的夫婦別姓なら全く問題ない、価値観が多様化する中、可能な限り選択肢を用意することが非常に重要だと思う、裁判官の旧姓使用の制度変更については遅きに失した、もっと早くてもよかったと。私は大変そのとおりだなと思います。

 最高裁、大変取組が進んでいると思うんですが、その一方で、判決書に出てくる裁判の当事者ですね、原告、被告、被害者、家族、そうした方は戸籍名で判決書に出ますので、事件があって、裁判中に離婚をした、もしくは裁判中に結婚する方もいるかもしれません、ただ、そういうことは余り裁判で公にされたくない。しかし、裁判の当事者のお名前は戸籍で書かなければいけないから、これが婚姻関係に変更があったときは、例えば田中こと斉藤とか、そういう併記になって、聞く人は、ああ、何か婚姻関係が変わったんだなと、本来だったら知らされなくてもいい、そうしたことが公開の裁判で明らかになってしまう。裁判官の旧姓使用は進んでいる、しかし、そうした裁判全体の旧姓使用というものは進まない、大きな差ができてしまっている。

 そういう意味でも、法律一本で片づけてくれれば、その問題は一気にクリアできると思うんですけれども、最高裁、この現状についてどのように考えていますか。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所における旧姓使用につきましては、委員御指摘のとおり、順次、使用できる文書の範囲を拡大してきたところでございまして、昨年、裁判官を含む裁判所職員が裁判関係文書について旧姓を使用することができるということにしたところでございます。

 この検討に当たりましては、裁判文書の作成名義の同一性、明確性といった問題をどのような形で担保するのかといった問題も検討いたしまして、このような形をとったところでございます。

 裁判の当事者等の関係人の旧姓使用をどのような形にするのかということにつきましては、その同一性等をどのような形で担保する必要があるのかといった問題を含めて、さまざまな問題を検討する必要があるのではないかと承知しておりまして、この点は立法にわたる問題に関係する可能性もあるところでございまして、立法についてコメントする立場にはございませんが、裁判所としてどのような点について検討するのかということにつきましては、先ほど述べたようなことを更にさまざまな観点から検討する必要があろうかと考えております。

井出委員 立法次第なんですよ、立法次第。恐らく、裁判書類というものは正式なものでありますから、裁判所、身内の裁判官であるとかそういう人たちの旧姓使用は皆さんの一存でできると思いますが、これは、法改正しない限り、法律できちっと線を引いてもらわない限りは変わらない。

 済みません、総理に伺いたいんですが、いろいろちょっとお話をしてきているんですが、今回は戸籍法というところで少し話をさせていただいているんですが、要は、氏が選択できるように、そういう人たちに応えてほしいというところは一緒でございます。

 そのときに、申し上げておきたいのは、これはあくまでも選択なんですね。選択的夫婦別姓の世論調査をすると、賛否が拮抗している。認めろというのが過半数行くときもあれば、逆のこともある。しかし、最近の調査を見ると、二十代、三十代は選択的夫婦別姓の制度を認めてもいい、それが、だんだん年齢が高くなるにつれて、それと逆の傾向が出てくる。

 あくまで選択であって、同じ姓を名乗りたいという方も当然いらっしゃる。それはそれで十分尊重していただいて結構だと思いますし、これは、周りの方が何も迷惑がかかることではないと思うんですよね。その選択というところをきちっと御理解いただいているのかどうか、総理にその見解を伺っておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 御理解いただいているというのは、誰がですか。(発言する者あり)それは、当然、選択的夫婦別氏でありますから、選択という名前が最初についておりますから、それは当然承知をしております。

井出委員 要は、私の名字が変わろうが変わるまいが、総理には関係ないことですし、私の質問が急に鋭くなったり優しくなったりするわけでもないですし、その選択制というところを深く御理解いただければ、もう少し前向きにお話を進めていただけないものかと。

 きょうお話をした、少し新しい問題提起というのは、恐らく、選択的夫婦別姓に強硬に反対している方からすれば、ちょっとまかりならぬと。選択的夫婦別姓をもう原理原則にのっとってやってほしいという方からも、もしかしたら、民法改正ではないので不十分かもしれない。

 しかし、名字、氏は一つであるべきだ、家族は大事だ、そういう方もいる。その中で、個人が、特に女性、昔の女性の働き方を見ると、女性は、お若いときに働く人数がふえて、結婚、出産でぐっと減って、それからまた少し戻って、こういう少しゆがんだM字を描いていたんですが、最近はもう確実に逆のU字といいますか、ずっと働き続けるようになってきている。

 そういう中で、家族というものを大事にする人、それから仕事を全うする上で氏名権というものを大事にする人、その両方にとって、百点ではないかもしれないですけれども、一歩前進だと思うんですね。それは、野田さんがかつて取り組まれた例外的な、裁判所に届けて別氏を認めるというのも、不十分ではあるけれども、法制審よりは一歩後退だったけれども、一歩前進。

 そういうことを与党、野党を超えてやっていかなければいけないと思いますし、慎重な議論というお話がありましたが、安倍内閣の実行力、政治は結果、そういうことを常日ごろおっしゃっていらっしゃるので、ぜひ少し前向きに考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 選択的夫婦別氏制度については、国民の間にさまざまな意見があります。例えば、内閣府や報道機関が行った世論調査の結果においては、賛成、反対の意見が割れているものもあると承知をしております。

 例えば、その中では子供の姓をどうするかという課題もあるわけでありますが、内閣府の世論調査の結果は、夫婦別氏に反対が三六・四%、別氏容認が三五・五%、通称名のみ容認が二四・〇、わからないが四・一%であります。読売新聞においては、反対が六一%、賛成三八。朝日新聞が、これは逆転しておりまして、反対が三四、賛成五二。毎日新聞が、反対三六、賛成五一。日経新聞が、反対が五二%、賛成三五。こういうことになっているということを承知しております。

 いずれにせよ、この問題は我が国の家族のあり方に深くかかわるものでありまして、国民の間にさまざまな意見があることから、国民的な議論の動向を踏まえながら、慎重に対応する必要があるものと考えています。

井出委員 旧姓使用で現実的に対応していくというのも一つの手なんですが、それでは絶対解決できないのは、やはり夫婦別姓では結婚ができない。そのため、事実婚で裁判を起こしている方がいる。過去に裁判を起こした方の中には、一度結婚をしたんだけれども離婚をして、それからまた届出をして不受理になったという方もいらっしゃる。

 この問題は、やはり法律できちっと線を引かなければ解決できないと思いますし、私、地元を歩いていて思うんですが、よく人の表札、世帯主の方とその奥様とお子さんの御夫婦なんでしょうか、お孫さんまでそこにきちっとかわいい字で書いてあったりするケースもございます。たまに名字が違うこともあって、一人娘さんの御夫婦と一緒に暮らしていらっしゃるのかなと思うんですが、戸籍というのは、現行は夫婦と同じ氏の子供なんです。三代戸籍はないんです。それでもそうやって、家、家族を重んじている方もいらっしゃるし、私は、それはそれで大変すばらしいと思います。

 だけれども、別にそういう人たちにも何ら迷惑をかけるものではない。家族制度のあり方というものをもっと多様に捉えていく、きょうを一歩にしていきたい。きょうお示ししたこのニュー選択的夫婦別姓という考えのもとに男性の側から裁判に踏み切られた、そういう方もいらっしゃいます。

 長年の政治がそのままにしてきたことですので、ぜひこれは、党を超えて、国会全体と政府で考えていきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

河村委員長 これにて玉木君、小熊君、津村君、井出君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 江田憲司でございます。

 きょうは、私としては珍しく、政策物ではなくて、初めて森友・加計問題をやらせていただきたいと思います。

 と申し上げますのも、私は、総理も御承知のとおり、昔、自民党、官邸で総理大臣の秘書官もやらせていただきましたし、同時に総理夫人担当でもございました。そこでさせていただいた経験に照らしてみて、どうしてもこれまでの国会審議における安倍総理の御答弁、御説明に納得できない、理解しがたいことがある。私の常識に反することが陸続として起こっていると考えておりますので、きょうは少し切り口を変えて、私なりにこの森友・加計問題について問いたださせていただきたいと思います。

 まず、森友問題。

 私は、この問題がここまで大きくなった最大の要因は、昭恵夫人が名誉校長を引き受けたということだと思います。事の発端もそうでしょう。

 小学校、学校といえども、これは一私学ですね、私立です。こういうところに、本来であれば、総理夫人といえども、肩書を貸す、そういうことは厳に慎んでいたと私は理解をしているんですけれども、安倍総理は、昭恵夫人が名誉校長になられた。

 それは経緯はいろいろあったでしょう。不承不承であったのかもしれない、一時拒否をされたのかも、そんな説明は結構ですから。現に、二〇一五年の九月五日に名誉校長に就任をされ、昨年の二月、ですから一七年の二月、この問題が発覚し、大きくなると同時に退任をされるまでの間、厳然たる事実として、安倍昭恵夫人は名誉校長でいらっしゃったことは事実ですから。そして、その小学校のパンフレットには顔写真が載り、メッセージまである。籠池先生の教育に対する熱情にほだされて云々、名誉校長を引き受けました云々の記述がありますよね。これは客観的事実ですから。

 安倍総理にまずお聞きしたいことは、この問題の最大の要因というか、それは安倍総理夫人が名誉校長を引き受けたことにある、こういった御認識はまずございますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この問題はもう何回も質問された質問でございますが、私の妻であるということと同時に、一人の人間でございますから別人格ではありますが、妻が名誉校長を引き受けたことによって疑念の目が向けられたということは事実なんだろう、このように思っております。

江田(憲)委員 総理夫人のところにはおびただしい数のいろいろな要請、要望が来ますよね。祝電をくれ、祝辞をくれ、講演に来てくれ、挨拶に来てくれ、果ては、顧問になってくれ、肩書を貸してくれ、いっぱい来るんですよね。そうしたときに、これも安倍総理の御認識、御夫人のことですから、どうさばいておられたんですか。

 私は、当時、夫人担当として厳に戒めていたことは、総理夫人といえども、どうしても第三者、国民から見れば、総理の分身、代理と見られちゃうんですよね。

 もちろん、総理夫人といえばもう信用力抜群ですから、それを目当てに寄ってくる方々も、全部とは言いません、いらっしゃいますよ。だから、メッセージくれ、挨拶してくれ、顧問になってくれ、そういう人がいらっしゃることも否定できませんよね。

 そうしたときに、やはりこれは、総理夫人が公人だ私人だという前に、やはりどうしても総理の分身、代理と見られる総理夫人の立ち居振る舞い、そういう要請を受けるか受けないかというさばきは、官邸のリスク管理というか、当然、私は戒めていたことは、やはり総理大臣は全体の奉仕者です。憲法に書いてあります。一部の奉仕者であってはならないと書いてある。

 総理夫人には直接にはそれは当てはまりませんけれども、さっき申し上げたとおりに分身だ代理だと見られる以上、そこは、ある意味で、ディシプリン、規律の問題、モラルとして、私は、一私人、一私企業、一私学のために肩書を貸したり講演に行ったりはしない、そういうふうに一線を引いていたんですけれども、安倍総理はどういうお考えで今まで処してこられたのか、お聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 たくさんの御依頼がございます。

 私の場合、総理大臣でありますから一切断っているわけでありまして、総理に就任する前はさまざまな顧問等々を引き受けたものがございますが、基本的に、総理に就任したと同時に会長等々は、例えばアーチェリー連盟の会長でもあったんですが、これは一時、他の方が代行を務めている、こういうことになっているわけであります。

 妻の場合は、何回か申し上げているんですが、名誉校長を引き受けてくださいと頼まれて、これは二十七年の九月五日でありますが、講演の前の待合室で頼まれたんですが、その場で妻は断っております。申しわけないけれどもそれはお受けできないと申し上げ、夫である私との関係もあるのでそれはお引受けできないと断っていたわけでありますが、その後、突然講演の場で、籠池さんから、名誉校長に就任されたと紹介をされたわけでありまして、父兄の前で拍手をされましたので、そうなった関係がございましたその場で、お引受けできないとはっきり言うことができなかったとのことであった、こういうことでございます。

 結果としては受けてしまったということでありますが、これはもともとは受けないということにしていたのでございます。結果としてそういうことになって、国民の皆様から疑念を招いたということは残念であった、こう思っているところでございます。

江田(憲)委員 今の御説明は、多分そのとおりなんでしょう。

 ちょっとこのパネルをごらんいただきたいんですが、それだけにとどまっていないんですよ。

 これは、これまでの国会審議で、慎重に私も事実に限って列挙しました、事実に限って。

 安倍昭恵夫人がどういう関与をしていたか。申し上げたとおり、一、二はもう申し上げましたね、名誉校長に就任をし、そこには顔写真とメッセージも寄せ、このパンフレットに基づいて森友学園は寄附金募集、児童募集をしていたわけですよね。そういう魂胆なんですから。

 それで加えて、これは、何度も昭恵夫人は訪問しているじゃありませんか。そして、これはテレビでも流れましたけれども、児童たちの振る舞いに感激をして、涙まで流されている動画が流れました。講演も、二回か三回行かれているんですか、複数回行かれて、その講演の冒頭では、この小学校に何か私もお役に立てればということを明確におっしゃっています。

 ちょっと飛ばして、六、七を。

 それだけじゃなくて、籠池さんと二〇一四年四月には校地予定地まで一緒に視察をされている。この写真もあります。

 それから、大阪府の私学審会長といえば、この小学校の認可権限を持つ、その会長の教授、これは、学長を務めている奈良の大学までわざわざ昭恵夫人は行かれて、この私学審の会長とも面談をされているんですね。これは大学のホームページで見られます。

 もう全部事実ですよ。

 ですから、申し上げたいことは、それは確かに、いろいろな経緯でこうやって籠池さんにある意味でははめられた面もあって名誉校長になっただけならまだしも、こうした形でアクティブに、能動的に後で行かれているじゃありませんか、こういう。この事の本質は、こういう外形をつくり出しているのが昭恵夫人だということなんですよ、外部的徴表というか。それを見た第三者、これは役人であれ国民であれ、ああ、これは昭恵案件なんだな、夫人案件なんだなと思うのは当たり前でしょう。

 ですから、私も、価格交渉にまで口出しをしたとは言いません。しかし、トップたる者、大将たる者、昔、これが江戸時代であれば、殿様はよきに計らえと言うだけで、みんなそんたくして部下が動きました。しかし、今の時代、そんなことで部下は動きませんよ。しかし、私に言わせれば、ここまで入れ込んでデモンストレーションを昭恵夫人がすれば、この森友問題のように、普通は連絡の悪い縦割り官庁の財務省と航空局が、開学時期に合わせて、とんとん拍子に、異例な手続で例外的な要件まで認めて進めるなんてあり得ないんですよ。私も中央省庁に二十年間勤めましたけれども。

 あの頭のかたい、ほかの役所の言うことなんて歯牙にもかけない、ましてや民間の言うことなんてもう門前払いだ、こういうところがこんなとんとん拍子に進めることなんかあり得ないんですよ。そこに大きな、政治的に力が働いているんじゃないかと思うことは、むしろ自然じゃありませんか。

 ですから、私の質問は、ここまで外形的な徴表をつくり出した昭恵夫人に大きな道義的、政治的責任があるんじゃないですか。いかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 まず、はっきりさせておきたいのは、これは私ではなくて私の妻であるということであります。妻は基本的に別人格であり、そして、名誉校長を引き受けた経緯については先ほど申し上げたとおりでございますが、しかし、父兄の前で紹介された後、それでも私はお引受けできませんということを申し上げたんですが、いや、これはもう父兄の前で紹介してしまったんだからということでありました。しかし、そこでは断ったというつもりだったんですが、その後何回も何回も電話をされ、最終的には受けたということでございます。

 これは確かに、この事柄では事実なんでしょうけれども、どれか一つが、例えば値引き交渉にかかわっているものがあるんでしょうか。それは一つもないんですよね。一つもないんですよ。ですから、確かに妻が名誉校長としてかかわったことは事実でありますし、何回も、こうして何回か訪問したことは事実でございますが、それと値引き交渉そのものをかかわり合わせるというのは、それは少し、事実から一気に飛躍しているのではないか、こう思う次第でございます。

 何回も申し上げておりますように、私も妻も事務所もあの国有地払下げの値引き交渉等に、あの交渉自体にかかわってはいないということは、全くかかわっていないということは申し上げたとおりでありまして、かかわっているということであれば、そのかかわっているファクトをぜひお示しをいただきたい。それであれば、正確にこちらも反論ができるところでございます。

江田(憲)委員 それでは申し上げますが、四と五、この安倍昭恵夫人の行動には常に夫人付が同道しているということですね。そして、ファクスで明らかになったとおり、この国有財産の払下げ問題で谷さんという夫人付が財務省に問い合わせた結果を籠池さんに報告している、返答しているファクスが明らかになり、そこには明確に、昭恵夫人にも、総理夫人にも報告済みですということが書いてあるんですよね。

 ちょっと総理にお聞きしたいんですけれども、何で谷さん、二人いらっしゃるんですね、これはなかったことです。安倍官邸だけですよ。私がいたときには、私が担当で、そんな総理夫人付は、外務省の非常勤がいました。これはサミットの夫人プログラムがありますけれどもね。安倍官邸だけですけれども、なぜ常勤の二人の夫人付は経産省からの出向なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これももう何回も既に委員会で議論をされていることでありますから、重ねてお答えを、前回の答弁と同じことをお答えをさせていただかなければいけないので、答弁書をそのまま読まさせていただきますが、常駐職員については、政権が発足後、地球儀俯瞰外交とともに経済最優先を旨として取り組む中で、総理夫人による総理の公務遂行を補助する活動が国内外を問わず大幅に増大することが予想されたことから、夫人との常時の連絡調整等を円滑に行うために必要と見込み、外交のみならず経済分野に明るい職員を十分に配置したものであります。

 また、諸外国でも、公務員をスタッフとして配置している例もあったところでありまして、その後、政権発足後約五年が経過する中で、職員が専門性を生かして工夫を重ねつつ、また、資料の収集や知識経験の蓄積を進める中で、公務遂行補助活動も軌道に乗り、活動をサポートする業務の効果的な進め方も確立をしてきたところでありまして、また、国会での御指摘もいただき、現在は、業務の適正な管理の観点から、職員の旅行命令等について個別に確認する手続を踏むような改善も行ったところでありまして、このように、業務の効果的な進め方の確立をしましたので、一定の改善を図る中で、今回のことを契機に、サポート体制のあり方を総合的に見直したところでございます。

江田(憲)委員 それは建前です。

 なぜ経産省から二人も、人繰りが苦しいんですよ、役所は。行革で、人減らしで。二人官邸に常駐させる、出向させる、大変なことなんですよ。

 それはなぜかと、私から申し上げましょう。それは、政務の秘書官が経産省出身だからですよ。

 だから母屋に、既に言いましたよ、私は政務秘書官で夫人担当なんですよ。政務担当秘書官が夫人担当になるには合理的な理由があるんですよ。それは、総理家と一番親しいから、近しいから。ほかの秘書官は事務秘書官ですから、役所出向ですから、関係ありませんでしたから。夫人の立ち居振る舞いというか、こういうのを受ける受けないの判断をするときにどうしても必要なのが、総理家とのこれまでの人間関係、経緯を知らないと判断できないんですよ。だから私は当時は橋本家の御夫人の担当をしていたんだ。

 ですから、安倍家のことは安倍事務所が一番知っているでしょうが、安倍事務所は一方で国政のいろいろなならわし、相場観というのはわからないから、だから政務秘書官がやっているんです。だから、今の政務秘書官が母屋の経産省にお願いしないと、こんな、二人は出向してこれないんですよ。これが真実なんですね。

 そして、この谷さん、第2種の公務員で、大変優秀な方と聞いていますけれども、私の役所勤務の常識でも、夫人付といえども、この谷さんが財務省といろいろやりとりをして、いろいろな、ファクスで返答するような権限もあれもありません。

 ですから、私が申し上げたいことは、経産省から出向しているこの夫人付の直接の上司は、政務秘書官、経産省から来ている政務秘書官か経産省から来ている事務秘書官かなんですよ。

 ですから、夫人付が全部安倍昭恵夫人に同道して、それで、こういうファクスのやりとりの中でも、夫人には報告済みというふうに書いている以上、当然、推定ですよ、強く推定されるのは、この出張報告で、安倍昭恵夫人が何かできることがあればとおっしゃったのであれば、当然、その夫人付の職務遂行上の義務として、帰京したら総理秘書官に報告をする。となれば、総理秘書官が、例えば財務省に一本電話をかける、よろしく頼むよとだけでも、細かいこと抜きでも。それは通常考えることですよ。

 ですから、私が申し上げたいことは、こういうもろもろのことは、裁判であれば補強証拠というんですよ。情況証拠の積み重ねなんですよ。裁判というのは、本人自白はなくても有罪になるんですよ。

 私が申し上げたいのは、ここまで外形的標準を、名誉校長のことだけじゃないんですよ、こうやってビヘーブしているじゃないですか、行動しているじゃないですか、昭恵夫人が、その後も。

 そして、こういう、夫人付がこのファクスのやりとりをして、官邸のメカニズムとか役所のならわしから考えてみると、私が言っているのは、そうだと断定しているんじゃないですよ、強く推定が及ぶんですよ。これは、少なくとも、安倍総理みずからじゃないかもしれないけれども、安倍官邸が主導している、昭恵夫人が主導している案件だという強い推定が及んでいるがゆえに、安倍総理に求められることは、それに対する強い反証なんですよ。おまえ、証明しろと言うんじゃなくて。

 ましてや、この国会の場は裁判でも何でもないですから。裁判官は国民なんですよ。今こうやってやっているやりとりを聞いて、どっちが信憑性のあることを言っているかということを国民が判断するわけです。

 残念ながら、今まで、どの世論調査をやったって、七、八割の人がこの問題、納得していない、安倍総理は説明責任を果たさないと言っているじゃありませんか。それが国民の今の審判ですよ。

 これは、失礼ながら、最近での世論調査でも、内閣不支持率で断トツに多い不支持理由が、安倍総理の人柄が信頼できないからじゃありませんか。一月のNHK調査もそうですよ。四〇%ですよ、三九%。ですから申し上げているんですよ、安倍総理。

 この問題を、本当に懸念を払拭したいのであれば、私が申し上げたように、強く反証してくださいよ、総理。記録がない、記憶がないじゃないんですよ。強く反証してください。

安倍内閣総理大臣 信頼できないという比率がそういう比率があることは、大変私の不徳のいたすところだろう、こう思っております。それは、全体でということではなくて、私の内閣を支持しないという方の中におけるそういう比率だろうというふうに承知をしておりますが、これまでも何回も申し上げてきているんですが、私や妻がこの国有地払下げに、もちろん事務所も含めて一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。

 今、委員が取り上げておられるこのファクス、夫人付からのファクスの件については、念のために申し上げますが、国有地売却の議論がなされる前の貸付けの段階でありまして、つまり、議論の前の、払下げの前の話でありますから、当然これは論理的にかかわりがないということでもあろうと思います。

 そして、事実を申し上げれば、私の妻は、籠池氏から何度か留守番電話に短いメッセージをいただいたところでありますが、土地の契約に関して、十年かどうかといった具体的な内容については全く聞いておらず、そしてまた、私の妻に対してではなくて、夫人付に対して、十月二十六日消印の問合せの書面が送られてきたところであります。

 妻は、何回も電話があってもほとんど電話には出ていないというところで、ほとんど電話には出ていないということも申し上げておきたいと思いますが、この書面に対しては、夫人付からファクスにて、籠池氏側の要望に沿うことはできないときっぱりとお断りをしたと承知をしています。ゼロ回答であり、そんたくしていないことは、これは明らかであります。

 また、この回答内容については、財務省に問合せを行った結果として夫人付が作成したものであり、法令や契約に基づく対応を説明したものであります。国有財産に関する問合せに対する一般的な内容であって、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問合せがあったとしても同様に答える内容であると承知をしています。

 なお、妻は、あくまで夫人付から回答を送る旨の事前の報告を受けただけでありまして、要望に沿うことはできないとお断りの回答をする内容だったと記憶していると言っております。また、内容について関与していないとはっきりと言っているところであります。

 したがって、この夫人付が財務省に問い合わせた行為やファクスで回答した行為が国有地の払下げに私の妻が関与したことにはこれは全くならないところでございますし、財務省のそのときの近財局長も理財局長も、私の妻が名誉校長であったことは知らないと明確に答えているところでございますが、しかし、何回か申し上げているところでございますが、安倍晋三記念小学校としていわば申請されていたという報道等があって、その報道等が訂正されていない中にあって、国民の皆様もその疑惑をそのまま持っておられるところもあるんだろう、このように思うところでございます。

江田(憲)委員 それでは、質問の仕方を変えて、総理秘書官の関与について総理は確認されましたか。ここまで大きく問題になっているんです。当然されていると思いますよね。

 さっき言ったように、総理夫人付は経産省から来ている。その上司は政務秘書官なんですよ。若しくは、経産省から出向している総理秘書官なんですよ。そういう総理秘書官というのは総理と一体ですからね、これは。その総理秘書官が、例えば、いろいろな意味で関与して主導したかどうか、関与されていたかどうかということは確認をされましたか。その結果はどうですか。

安倍内閣総理大臣 これまでも国会において官房長官や財務省から説明があったとおり、財務省に問合せを行った結果として夫人付が作成したわけであります、あのファクスの中身についてでありますが。また、他の官邸職員への、今、江田委員が指摘をされた首席秘書官、総理秘書官、政務秘書官も、このやりとりをしたということもなかった、このように承知をしております。

江田(憲)委員 それでは、こういう問題が起こって以降、今後、今もそう、今もあちこち行かれているみたいですね、総理夫人。何か、私が先ほど申し上げましたように、総理夫人といえども、どうしても総理の分身、代理と第三者、国民から見られるので、当然、一私企業、一私人、一私学のために加担をすれば、私企業であれば利益が及ぶ、私学であればこういった補助金や認可で何か便宜を得よう、そういうことにつながっていくということですから、厳に慎むということでこれから運用されるということで、総理、よろしいですか。

安倍内閣総理大臣 今回のことにおいて、まさに江田委員が言われたように、厳に慎んでいかなければならない、このように考えております。

江田(憲)委員 それでは、やはり最後に委員長にお願いしなきゃいかぬことは、きょうも総理から、夫人は別人格、別人格という言葉が何度も出ましたからね。ですから、これまで安倍総理は、いや、自分の妻のことは私が全部知る立場にあるから証人喚問は要らないんだという答弁もされてきましたけれども、委員長、ぜひ、これはやはり、この問題が終わらないのも、やはり昭恵夫人、出てこられないからですよ。公で説明していないじゃありませんか。ですから、証人喚問でも参考人でもいいですから、ぜひ昭恵夫人をこの委員会に招致していただくことをお願いいたします。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

江田(憲)委員 それでは、加計問題でございます。

 総理、総理が戦略特区で加計学園が申請をしていたという事実を知ったのは昨年の一月二十日だという答弁をされていますが、それは今でもそうだということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 変わりはありません。

江田(憲)委員 一五年の四月二日、柳瀬秘書官、彼は私の通産省の後輩ですけれども、彼が今治関係者と官邸で本件について面談をしたということなんですけれども、そのことについて、総理は御存じだったでしょうか。

安倍内閣総理大臣 四月二日の事実関係については、昨年夏の閉会中審査において、既にこの国会の場で柳瀬元秘書官から答弁があったとおりでありまして、それ以上に私からのコメントのしようがないわけであります。

江田(憲)委員 いや、会っているんですよ。一〇〇%会っているんですよ。確証がありますから、私は。

 ぜひ、今治市が当初公開をしていた黒塗りの資料、これは出張報告等々の復命書とかが公開されているんですよ。黒塗りを取ってください、黒塗りを。柳瀬秘書官と会っていると書いてありますから。お願いします。

安倍内閣総理大臣 秘書官は日々多くの来客を受けていると思いますが、私自身、毎日分刻みのスケジュールをこなす中で、秘書官への来客についてまで私が一々報告を受けることは当然ありません。柳瀬元秘書官も、昨年夏の閉会中審査でそのように答弁をしているところであります。

 そもそも、国家戦略特区のプロセスは、ワーキンググループや特区諮問会議といった民間有識者が主導する会議を経て決定されるものであります。そのため、仮に秘書官など官邸スタッフが個別の案件について何らか関与しようとしても、民間有識者がそのことを知らずしてプロセスは前に進まない仕組みとなっています。

 その上で、今回の改革プロセスを主導した八田座長を始め民間有識者の皆さんは、口をそろえて、一点の曇りもないと繰り返し述べているわけであります。彼らは純粋に民間人でありますから、我々が彼らの発言をコントロールできるはずがないわけでありますし、その中で、一点の曇りもない、全員、皆さん、そう述べているわけであります。

 いずれにいたしましても、昨年夏の閉会中審査において、担当大臣も前川前次官も、誰一人として私から国家戦略特区における獣医学部新設について何らかの指示も受けていないことが明らかとなったところであり、そのことが最も重要なポイントであろうと思いますが、今、御質問についてでありますが、御質問については、これは今治市が判断することであろう、このように思います。

江田(憲)委員 私もこういう公の場で言うからには確証を持って申し上げますが、四月二日に、急遽前日に、官邸に来いという、当初は、今治市の課長ですから、内閣府の担当者に会う予定で上京された、出張の命令もそうなっていた、それを前日に急遽、官邸に来いと言われて官邸に行ったんですよ。そこには柳瀬秘書官がいた。そして実は、加計学園の関係者も三名同席しているんですよ。これは事実ですから。これはいずれわかりますから、黒塗りが外れれば。

 しかし、柳瀬秘書官、かわいそうですよ。彼は、若いときから知っていますけれども、真面目でうそをつけない男ですよ。だから、昨年夏、ここで参考人招致をやったときも、記憶にない、記憶にないですよ。本当に痛々しかった。会っていなきゃ、会っていないと言えばいいんですよ。

 総理秘書官が、加計学園の、総理の腹心の友の案件で今治市のしかも課長と会って、しかも十年前じゃないですよ、たった一年少々前、一年から半年ぐらい前ですよ、九カ月ぐらい、そんなことを覚えていないなんてあり得ませんよ、そんなことは。私も総理秘書官の経験がありますけれども。そんなのは覚えていなきゃ失格ですよ。まあ、いいでしょう。それは事実なんですよ。

 総理、その五日後、加計孝太郎さんとお会いになっていますよね。

安倍内閣総理大臣 今申し上げたように、柳瀬秘書官が答弁したとおりでありまして、しかし、問題の核心は、柳瀬秘書官が誰に会っているか会っていないかということではなくて、私が指示したかということでありまして、これは明確に、ないということであります。

 そもそも、最初は、今治市の課長と私が会った、こう追及されてきたわけでありますが……(江田(憲)委員「そんなのは問うていない」と呼ぶ)いや、他の方々からはですね。それは明確に違うということはもう既に明らかになっておりますし、私が、市の市長でもそう簡単には会いませんが、課長と会うということは、一〇〇%、常識で、ないことを随分私も質問されてきたということは申し上げておきたい。

 そこで、今御質問のございました、ちょっと前置きが長くなりましたが、今御指摘の四月七日の会合については、たしかお花見の会合があったわけでありまして、これは三年前のことであり、会話を一つ一つ思い出すことはできませんが、例年何十人も集める会でありまして、私が出ることもあれば出ないときもある、こういう会でございます。

江田(憲)委員 では、お会いになったわけですよね、四月七日。

安倍内閣総理大臣 日程を調べてみましたら、私はその会に出ておりましたから、会っております。

江田(憲)委員 柳瀬さんが二日に会ったのは事実なので、その五日後に総理が加計孝太郎さんとお会いになるという日程は、当然、総理秘書官ですから日程調整でわかっているわけです、前日から。

 そうすると、総理秘書官として、ああ、こういうことがありましたよと総理に報告がなかったんですか。なかったとしたら、これは総理秘書官の職務懈怠ですよ。我々秘書官は、そういうのを一番頭に置かなきゃいかぬことですよ。なかったんですか。

 そして、加計孝太郎さんの、桜を見る、これは例年やっておられるらしいですけれども、二〇一三年にも出られておりますけれども、そこで一切獣医学部の話は出なかったんですか。

安倍内閣総理大臣 私も分刻みのスケジュールをこなしておりまして、たくさんの方々とお目にかかりますが、秘書官も、私の秘書官は大変忙しいんですね。いろいろな方々が来られますが、一々私は報告を受けておりません。そうしたらもう体が幾つあっても足りませんから、相当重要な案件でない限り、私が話を受けることは全くないわけでございます。

 そこで、何回も申し上げておりますように、四月七日の、二〇一五年ですね、三年前のこの会については、会話を一つ一つ思い出すことはできませんが、たくさんの人々がいた、何十人も出席をしている会の中に私もいたわけでありますし、そのほとんどの時間を私はいろんな人たちと写真を撮ることに実は使っていたのであろう、こう思うわけでありまして、そうした、いずれにせよ、仕事の話をしていなかったと思います。

 加計さんは私が政治家となるずっと前の学生のころからの友人でありますが、しかし、彼は私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことはこの四十年間一度もなかったわけでありまして、だからこそ友人としてずっとつき合うことができたのではないのか。獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ない、だからこそ友人であったんですが。

 彼が私に話しているところを見た、こんなことを言っていたという人は、今まで一人も出ていないわけですよ。ですから、それは全く明らかには、その事実だけは明らかになっていて、私、話していないということを一〇〇%証明するということは、ずっと彼との会話を録音して皆さんに聞かせない限り、それであっても、録音していないときがあるだろう、こう言われるわけでありますから、それを私に証明しろと言われても難しいんですが、しかし、そのことだけははっきりと申し上げておきたいと思います。

江田(憲)委員 だから、こうやっていろんな情況証拠というものを積み重ねているわけですよ。

 総理秘書官は忙しいですよ。だけれども、大体毎日一回、夕方には翌日のスケジュール調整でちゃんと総理を囲んでいろいろやるでしょう。昼御飯だって結構一緒に食べておられるでしょう。そういうときに、いろんな雑事も含めて報告するのがならわしなんですよ。そういうことをやっているのはわかっているじゃないですか。だから、出ない方がおかしい。

 四月二日に、これまで会って、今治関係者とも会って、加計学園とも会って、柳瀬秘書官が希望に沿うようにいたしましょうみたいなことを言っているという話もある。それが、五日後に総理がその加計孝太郎さんと会うときに、総理、実はこんな話がありましたよと言うのは自然だと思うんですけれども、認められないから、まあいいでしょう。そういうのをごらんになる皆さんがどう思われるかですね。

 そこで、馳浩大臣、当時文科大臣、一六年夏までやっておられた馳元文科大臣が、昨年の夏、民放の番組に出られて、私は知っていたと明言されているんですよ。この戦略特区の対象が加計学園であるということを知っていたと当時の文部科学大臣が明言をされているんですよ、番組の中で。一六年の夏、退任をされました、内閣改造で。

 文部科学大臣も知っていた。それで、前川次官は、当然加計問題だということで、加計ありきでやっていたと言っていた。何で総理だけが知らないんですか。

 何でこれを詰めているかというと、総理が一月二十日まで知らなかったなんて言うから。驚愕の事実だったよ、私にとっても。だから、こうやって言っているんですよ。文部科学大臣も知っていた、前川次官も知っていた、役人もみんな知っていたというのに、何で総理大臣だけが知らない。こんな不自然なことはないじゃありませんかと私は申し上げているんです。

安倍内閣総理大臣 先ほどの、柳瀬秘書官が今治関係者と会っていたではないか、その数日後に私が花見に行ったら当然そこで話しているのではないかという話でありましたが、もしそれであれば、当然、調べてみたんですが、私と同行するのが柳瀬秘書官か政務の秘書官でなければ話が合わないわけでありますが、全く別の役所から出ている大臣が、ですから、それは全くそういう意味で、そういう話を当然、今、委員の流れであれば、それは当然そうであろうということでありますが、そうではなかったということはまず申し上げておきたいと思います。

 それと、例えば、文科大臣ですから、担当の大臣でありますから、それまで、例えば三大臣との面会において、加計理事長も含めて、これは、例えばこの閉会中審査でも申し上げたんですが、大臣はこの件についてずっと議論をしている立場にあるわけでありますから、当然知っているんだろう、こう思うわけであります。

 それは、各大臣の所管でありますから、そこまで深く知るのは当然のことであり、それがたまたま私の友人であったとしても、それは私は知り得る立場にはないわけでありまして、ずっと特区で、国家戦略特区ではないんですが、別の特区でずっと申請をしていて、安倍内閣でもその申請は却下していますが、その観点から、当然馳大臣も、それは職務を担当していますから知っていた。でも、却下はずっとしていたということ自体も私も知らなかったわけです。

 ですから、安倍内閣においても却下をしているわけでありますし、そもそも、第一次安倍政権のときには、これは加戸知事もおっしゃっておられましたが、文科省に言ったけれども、けんもほろろだったんですね。ですから、加戸知事も、加計さんと安倍さんが知り合いだということを、あの加戸知事も全然知らなかったということであります。そのことも申し添えておきたいと思いますし、文科大臣は、当然、それは所掌の大臣でありますから、知っていて当然なんだろう、このように思います。

江田(憲)委員 普通の案件なら、文科大臣が知っていることも総理が知らないことはいっぱいありますよ。しかし、内閣審議官もいろいろ指導していたし、内閣補佐官もそうだ、総理秘書官も知っていた、文部大臣も知っていた、事務次官も知っていた。何で一月二十日まで総理だけは知らないんですか。しかも、腹心の友ですよ。何回会って、何回会食して、何回ゴルフされているんですか。その間、一言も出ない。常識では考えられないでしょう。

 委員長、最後に、やはりこの問題も、本当に収束しないのは、一方の当事者である加計孝太郎さんが全然公で説明しないからですよ。これをやっている限り、絶対国民は納得しませんから、加計孝太郎さんの証人喚問を求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

河村委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長星野次彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 この際、福田昭夫君から関連質疑の申出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党、無所属の会の福田昭夫でございます。

 きょうは二十分時間をいただきましたが、何か時間が減りましたので省略して質問をさせていただきますが、やはり今回は、安倍内閣の財政健全化、財政再建に対する本気度について確認をさせていただきたいと思っています。

 既に現在、我が国の債務残高はGDP比二四〇%ということでありまして、今から七十三年前、太平洋戦争に負けたときには、国民所得比でありましたけれども、二七〇%ぐらいの大変債務残高があって、実質破綻状態でありました。それにほぼ近い状態に現在なっております。

 先ごろ財務省が、一月三十日ですけれども、二〇一六年度、平成二十八年度末の国の資産と負債の状況をあらわす貸借対照表を公表しました。

 負債が資産を上回る債務超過は五百四十八・九兆円と、過去最大を更新しました。膨張する社会保障などの費用を税収で賄えず、国債を増発しているためだと。一六年度末の資産は六百七十二・七兆円と、前年度に比べ〇・四兆円の増加。負債は、二十八・五兆円増加して、千二百二十一・六兆円となった。

 企業なら既に倒産してもおかしくない状況だが、将来増税したり歳出削減したりする可能性があるため破綻はしない、こう報道されておりますけれども、果たしてそうでしょうか。このままいけば必ず太平洋戦争に負けたときと同じ状況になる、私はそう心配をいたしておりまして、その財政の健全化についてのお話を伺いたいと思います。

 時間の関係で、一番目の財政の健全化の目標達成については、茂木大臣にお伺いする予定でありましたが、これは省略をいたします。

 二〇二〇年度に、当初、国と地方のプライマリーバランスの黒字化を達成するという話でありましたが、ここへ来て、どうやら二〇二七年度まで引き延ばすと。アベノミクスを五年間やっておきながら、とてもとても目標達成は無理だということで延ばすという試算が出たということでありまして、アベノミクスは余りうまくいっていないなというのがはっきりしてきているんじゃないかなというふうに思っております。

 それでは、さらに、二番目も省略しまして、三番目の、二〇一九年十月からの消費税率の引上げについてであります。これは安倍総理に伺います。

 先ほども質問がありましたけれども、本当に来年十月に消費税率を八%から一〇%に引き上げるんですか。昨年、総選挙で国民の皆さんに約束しましたから、引き上げないというわけにはいかないんだと思いますが、どうですか。改めてお伺いします。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 消費税の引上げについては、五年間のアベノミクスにより、福田委員はそうおっしゃいますが、日本経済は、足元で二十八年ぶりとなる七四半期連続のプラス成長でありますし、四年連続の賃上げによって民需主導の力強い経済成長が実現をし、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいるのも事実であります。

 消費税率の引上げについては、消費税率の引上げが可能な経済状況をつくり、二〇一九年十月に引上げを実施していくために経済財政運営に万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。

福田(昭)委員 安倍総理、先ほども質問の中にありましたけれども、日銀の岩田規久男副総裁は、物価安定目標二%が達成できなかったのは、消費税率を引き上げた、景気減速の影響が大きい、この間の講演でそう述べているんですね。来年の引上げについてもぜひ慎重にやってほしい、そのように言っております。

 また、安倍内閣の内閣官房参与であります藤井聡先生も、消費税一〇%は景気に与える影響が大き過ぎる、だから、もし一〇%に上げるんだったら、よっぽど大規模な経済対策を打たないと無理だ、こう言っているんですね。

 そういった意味では、安倍総理のアベノミクスの応援団である人たちが何か来年の消費税率引上げを非常に反対しているんですね、本当に。

 ですから、そうした中で、安倍総理が、なぜ来年十月、景気条項もなくなっちゃったからかどうかわかりませんが、早々と引上げを決めたというのはどうもおかしいなと思っているんですが、どうですか。

安倍内閣総理大臣 まず、日本銀行副総裁の発言に対しては政府としてコメントすることは差し控えたいと考えていますが、その上で申し上げれば、経済の好循環は着実に回り始めており、今後とも、日本銀行が二%の物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しています。

 それと、藤井参与の発言でありますが、藤井参与は、日本経済の先行きを心配して御発言をされているんだろうなと思います。

 この間、我々はしっかりと三本の矢の政策を進めてきましたが、その結果、賃上げも進んでおりますし、何といっても雇用でいい結果を出している、こう思う次第でございます。

 重要なことは、負担増の影響をはね返せるよう雇用や所得の拡大を実現することであり、このため、生産性革命、人づくり革命などあらゆる政策を総動員していく考えであります。

福田(昭)委員 私は大変うがった見方をしているんですが、もしかすると、森友学園の問題で財務省が昭恵夫人をかばったり安倍総理をかばったりして、これは財務省に消費税率引上げを約束させられちゃったんじゃないか、私はそういう疑いを持っているんです。本当でなければいいんですけれども、まあ、その辺でやめておきますが。

 次に、現在の税制と改善の方向性について、これは麻生大臣の方にお伺いをいたします。

 私は、税制の基本方針は、やはり、中立だとか公正だとか公平だという言葉もありますけれども、それよりも、何といっても、担税力のある人、担税力のある企業から一定の累進性を持って応分の負担をしていただく、これが税制の基本だと思いますが、麻生大臣はどう思われますか。

麻生国務大臣 消費税に関連しての御質問なんだと思いますが、大前提は、少子高齢化というものがこれまでの勢いでずっといきますと極めて厳しい社会構造になる、日本の場合はこれは間違いないわけですね。(福田(昭)委員「簡潔でいいですから。簡潔に」と呼ぶ)いや、そこのところが一番肝心ですから。じゃ、それだけです。

福田(昭)委員 簡潔にありがとうございました。

 それでは、所得税と法人税と消費税がどんな状況になっているかというのをちょっと表を使って御説明したいと思います。

 表一は、申告納税者の所得税負担率であります。

 これは先ほども出ましたけれども、課税所得が一億円の方が一番税金を税率的には納めているんですね。更にそれ以上所得のある人は、どんどん納めなくなっている。これは、株式譲渡だとか金融所得課税が一律二〇%だということで、これについては、やはり総合課税をやるとか、あるいは分離課税でも、金融所得課税にも累進性を持たせる、そういうことをやれば税収はふえると思います。

 それから、二つ目、今度は会社の方でありますが、資本金階級別法人税平均実効負担率であります。

 これは、資本金五億円以下が一番税金を納めているんですね。それから、どんどんどんどん資本金がふえるに従って税金を納めなくなってしまう、こういうことなんですね。

 ですから、これもしっかり、これはどちらも中央大学の名誉教授の富岡教授がつくった表でありますが、法人税も、これは地方税も含めた三税でありますが、この富岡案では、一律に二五%でフラットにするということによって、実は法人三税が、この平成十二年の試算で五兆四千億ふえると言っているんですよ。ですから、租税特別措置法とかいろいろなことで優遇税制がありますけれども、全部なくして、本当にフラットで二五%、それで税収がふえるというんですよ。こういう改正が必要だと思うんです。

 それから、表の三、消費税でありますけれども、消費税収入と法人三税の減収額の推移であります。

 これも富岡教授がつくった表でありますが、消費税を平成元年につくってから二〇一四年まで、消費税収は累計で二百八十二兆円、減税した法人三税は累計が二百五十五兆円にもなります。これはまさに、せっかく消費税でたくさん税金を納めていただいても、約九割は法人税の減税で消えちゃっているんです。

 ですから、法人税をこんな扱いをして、それこそ、安倍内閣になったら産業競争力強化法とかいろいろな法律をつくったり、税制で優遇して企業を一生懸命応援しても、全然税収に反映しない。しないどころか、企業がためているのは内部留保資金、四百六兆円もためちゃった。日本のGDPに匹敵するぐらいため込んじゃったんですよ。ですから、こうしたいびつな税制をやはり直せば、きちっと税金は日本の今の経済でも入ってくるんですね。(発言する者あり)いや、簡単ですよ、これは。やるかやらないかだけの話ですよ。

 それで、そうしたことで、時間がなくなってきちゃったので、このことはぜひ検討していただきたいと思っています。

 次の五番目の、財政の健全化の必要条件であります。

 表四でありますけれども、表四は、正規・非正規別・年齢階級別賃金であります。正規職員が赤、非正規が青でありますけれども、賃金の格差はもう明らかであります。

 やはり、経済を成長させるためには個人消費を伸ばさなくちゃならない。そのためには、やはり非正規雇用を廃止したり縮小しないとだめだと思うんですね。本当に、年収二百万円ぐらいの人を全雇用者の四割もつくっておいて経済を成長させようといったって、無理だと思います。

 ですから、ここは、非正規雇用は原則廃止。安倍総理も所信表明演説で非正規雇用という言葉を日本からなくしたいと言いましたけれども、まさに、そういった意味では、非正規雇用を原則なくす。希望者によってはそれはしようがないですけれども、そうした、やはり働き方をしっかり変える、そして中間所得層をちゃんとつくっていくということが、個人消費を伸ばす大きな原因になると思います。

 安倍総理は経団連に賃金引上げをお願いしていますけれども、大企業で働いている人たちは全雇用労働者のたった五%です。ですから、たった五%の人たちだけの給料を上げても、経済を押し上げる力になりません。

 こうした非正規雇用の人たちをしっかり正規雇用にしてもらって、給料をちゃんとまともに払ってもらう。そうすれば、結婚もできるし、車も買えるし、家もつくれる。そうすれば、個人消費も伸びていきますよ。そういうことが必要であります。

 そしてさらに、ゆがんだ税制、先ほど申し上げたように、所得税や法人税、こうしたゆがんだ税制をしっかり直して消費税だけに頼らずに税収をふやすというのが一つと、もう一つは、やはり経済を成長させる、経済を成長させるのはやはり脱炭素だけじゃなくて脱原発、この二つです。この二つをちゃんとやれば経済は成長していきます。

 こうしたことをやはりしっかり取り組んでいって、財政再建をちゃんとやるということが大事だと思います。

 御案内のとおり、二〇二五年、団塊の世代が全て七十五歳以上となって、ほとんど働く人がいなくなります。そうしたときに備えてやはり財政再建しておかないと、とんでもないことになります。

 先ほど、年金の話もありました。先ほどの話はちょっと先の話でありましたが、二〇四〇年も、全国の市区町村の半数が消滅の危機にあるという発表がありましたけれども、地方はとんでもない状況になろうとしております。

 少子高齢化、人口減少がどんなすごい変化をもたらすかということを、やはり政府を挙げて、与野党を挙げて取り組んで、国と都道府県と市町村が連携してやっていかなかったら、この少子高齢化、人口減少時代は乗り切れないと私は思っております。

 そして、安倍総理に最後に、時間がなくなってきましたので申し上げたいと思っておりますが、私は、やはりいまだに出口戦略のない異次元の金融緩和を大変心配いたしております。改めて、アメリカの大投資家ジム・ロジャーズの話をぜひ安倍総理にお伝えしたいと思います。

 過度な円安政策は間違いだ、今はいいが、やがてツケが回ってくる、自分の国の通貨をこんなにおとしめて、あのとき一ドル八十円から百二十円に五割下げたわけでありますが、こんなにおとしめて繁栄した国はない、やがて安倍総理は日本を破壊した男としてその名を歴史に刻まれるだろう、こうジム・ロジャーズが言っております。

 ぜひ、安倍総理、そうならないように、今から、やはりちょうど運よく日銀の黒田総裁始め、それこそ副総裁も交代できる時期なんだから、そこはしっかり考えて、方針を変えることをお勧めして、私の質問を終わります。

宮下委員長代理 これにて江田君、福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。

 きょうは、限られた時間なので、生活保護の問題に絞って質問します。

 ことしは五年に一度の生活扶助基準の見直しの年となっていますが、安倍政権が最大五%という生活扶助基準引下げの方針を決めたことに対して、国民の不安と批判が広がっております。

 生活保護の問題は、制度を利用している人だけの問題ではありません。今日の日本で、貧困は特別の事情ではなく、倒産、失業、リストラ、病気、親や家族の介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥っておかしくない状態に置かれています。

 また、生活扶助基準の引下げは、住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに連動し、広範な国民の生活に重大な影響を与えます。憲法二十五条に明記された国民の生存権を保障する最後のセーフティーネットである生活保護のあり方は、全ての国民の権利にとっての重大な問題であります。

 まず総理に伺いたいのは、今日の日本における貧困の実態をどう認識されているかということです。

 私は、一月二十五日の本会議の代表質問で、安倍政権の五年間で貧困が悪化したという事実を認めるかどうかをただしました。総理は、二〇一四年の総務省全国消費実態調査で、安倍内閣発足後、長期的に上昇傾向にあった相対的貧困率が低下に転じたと述べ、貧困が悪化したという指摘は当たらないと答弁されました。

 まず確認します。

 全国消費実態調査で、総世帯の相対的貧困率がどうなったか。この四回の調査結果について、総務省、数字を示してください。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

千野政府参考人 お答えいたします。

 総務省統計局の全国消費実態調査によりますと、相対的貧困率は、平成十一年は九・一%、十六年は九・五%、二十一年は一〇・一%、二十六年は九・九%となっております。

志位委員 今報告があったように、確かに直近の数字では、相対的貧困率はわずかに低下しております。総理は、この相対的貧困率が低下したことをもって、貧困が悪化していないと言われるわけですが、果たしてそうか。

 相対的貧困率というのは、所得、厳密に言えば等価可処分所得の順番に全国民を並べたとき、真ん中に来る人の額を中央値とし、その二分の一を貧困ラインとし、貧困ラインに満たない所得の人の割合であります。一般の国民の所得が下がりますと中央値が下がるので、それに連動して貧困ラインも下がることになります。

 次は、総理に伺います。パネルをごらんください。

 これは、この間の貧困ラインの推移です。全国消費実態調査のデータに基づき、総務省に実質ベースの数値を計算してもらいました。一九九九年は百五十七万円、二〇〇四年は百五十一万円、二〇〇九年は百四十万円、二〇一四年は百三十三万円、一貫して下がり続けています。

 貧困ラインが下がるとどうなるか。これまで貧困ライン以下にいた人、貧困に数えられていた人が、これまでと同じ収入、暮らしであっても、貧困ラインが下がることによって貧困ラインの上に来てしまい、貧困ではないと数えられてしまうことになります。

 パネルをごらんください。

 二〇〇九年から二〇一四年でいえば、パネルのこの点線で囲まれた部分の人たち、所得百三十三万円から百四十万円の人たちは、収入や暮らしがよくなって貧困から抜け出したのではありません。収入も暮らしも変わらないけれども、貧困ラインが下がったために貧困ではないと数えられてしまう。すなわち、貧困ラインが下がりますと、貧困の実態は変わらなくても、相対的貧困率を押し下げるという効果が働くのであります。

 そこで、総理に伺います。

 総理は、相対的貧困率が低下したことをもって、貧困が悪化していないと答弁されました。しかし、貧困ラインが下がるもとでは、相対的貧困率が低下したとしても、それだけをもって、貧困の実態が改善した、これは言えないんじゃないですか。端的にお答えください。

安倍内閣総理大臣 実は、この相対的貧困率論争というのは、私が出したのではなくて、かつて野党側から、安倍政権が進めている経済政策では相対的貧困率が恐らく伸びていくだろうと。安倍政権ではそれをまだとっていなかったんですがね。とっていなかったんですが、そう言って私を批判したものですから、では、安倍政権でとったときにそれを見て議論しましょうと言ったら、これがよくなったものですから、その後、相対的貧困率についての議論というのを挑まれることは実はなくなったという今までの経緯を御説明させていただきたい、こう思うわけであります。

 念のために申し上げますと、相対的貧困率について、雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で、低下に転じました。特に、子供の相対的貧困率は、二〇一六年に公表された総務省によれば、十五年前は九・二、十年前九・七、五年前が九・九と上がってきたものが、七・九と、二ポイント、これは大きく改善をした。

 そこで、実は、相対的貧困率、野党から質問を受けたときに、こちら側の方から、これは絶対値とは違いますよという反論もさせていただきましたし、今の中央値のお話も、こちら側からもお話をさせていただいたこともあるんですが、ではなぜ日本で中央値が下がっているかといえば、高齢者の世帯、要するに、高齢者がふえてきたことによって、当然、団塊の世代の方々は年金生活者に変わりますから、一人一人の収入が落ちてきた。その数が大きくなってきたことによって中央値が下がってきた、このように認識しております。

志位委員 今、子供の貧困率が下がったことをおっしゃいました。しかし、貧困ラインが低くなり過ぎた結果、貧困ライン以下の世帯では子供を持つこと自体が困難になっているという、より深刻な事態が子供の貧困の場合はあるんですよ。

 それから、高齢者の単身世帯、この問題も言われましたけれども、全体として貧困ラインが下がった、こういうもとでは、相対的貧困率が下がったことをもって貧困の改善にはならない、私の指摘を否定することはできませんでした。

 もう一枚、ごらんください。

 これは、OECDのデータから作成した、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、そして日本の貧困ラインの、二〇〇〇年から二〇一五年までの推移です。名目値で計算したものです。日本以外のどの国も、貧困ラインは大幅に引き上がっている。貧困ラインが下がり続けているのは日本だけですよ。高齢化というのはある程度、ほかの国も共通している。しかし、これだけ下がっているのは日本だけです。

 貧困ラインが下がり続けているということは、一般の国民の所得が下がり続けているということですよ。雇用がよくなったと言いますけれども、安倍政権の五年間で、働く人の実質賃金は十五万円、年間、減っているわけです。全体の所得が下がる中で貧困ラインが下がっている、これは日本だけですよ。

 総理、この点で、日本は異常な国だ、異常な国になっているという自覚はありますか。

安倍内閣総理大臣 これは、下がっているのは、一つは、デフレが続いておりますから、このデフレの影響というのは非常に大きいんだろう、こう思うわけであります。それはちょっと先ほどお話もさせていただいたとおりでございます。

 また、ほかの国も高齢化が進んでいるではないかという御指摘がございましたが、日本の高齢化のスピードというのは非常に速いということでございます。まさに団塊の世代が年金世代に入るという中においては、それが顕著であるということでございます。

 こうした中で、例えば、国民にとってみんなの稼ぎである総雇用者所得を見ますと、名目で見ても実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスになっておりますし、そして、こうした中で、二〇一七年の内閣府の調査によれば、これは一万近くのサンプルをとり、六千以上の回答を得ている非常に大がかりな調査でございますが、現在の生活に満足と回答した者の割合は七三・九%、これは過去最高となっています。

 そして、所得、収入面で満足、これは所得、収入ですよ、所得、収入で満足と回答した者の割合も、平成八年以来二十一年ぶりに不満を上回っている。実は、その間ずっと不満だったんですが、この不満、まさにこれが大切な点なんですが、これを逆転させることができたのではないか、このように思います。

志位委員 私は、国民の全体の貧困の問題について論じている。

 そして、デフレだと、日本はデフレだから下がったんだとおっしゃった。しかし、先ほどパネルを見せたじゃないですか。あれは実質値ですよ、物価上昇あるいは下落、これを反映した実質値で日本は貧困ラインが下がり続けている。さっき見せたじゃないですか。

 次に進みたいと思うんですが、もう一枚パネルをごらんください。

 では、実態を見てください。貧困の実態を見る上では、貧困層の所得そのものがどうなっているかを見ることが大変重要になります。

 これは、所得が最も少ない一〇%の層、第一・十分位の上限値の所得がどう変化したかのグラフです。総務省全国消費実態調査のデータをもとに、総務省に実質ベースの数値を計算してもらいました。これは実質値です。所得が最も少ない一〇%の層の所得は、一九九九年は百六十二万円、二〇〇四年は百五十四万円、二〇〇九年は百四十万円、そして安倍政権になっても、二〇一四年は百三十四万円。下がり続けているんです。これが貧困の実態を反映した数字ですよ。

 総理に伺います。

 安倍政権のもとで貧困は改善した、この認識を改めてください。貧困が、実態が悪化しているという事実を、きちんと正面から認めるべきじゃありませんか。いかがでしょう、総理。

加藤国務大臣 先ほど中央値のお話があったんですけれども、最初のやつだったと思いますけれども、これは等価可処分所得なんですが、これは、一人当たりの可処分所得が変化するのと、世帯人員が変化するのと、両方の影響を受けるわけであります。

 特に、世帯人員の場合には、例えば夫婦お二人百万円ずつだとしますと、世帯収入全体は二百万なんですが、これを二で割るんじゃなくて、ルート二、一・四で割ります。したがって、夫婦御一緒だったら、それぞれ百万なんだけれども、一人が百四十一万で、これが、お一人が亡くなって百万になったら百万になっちゃう、こういう世帯が小さくなることに伴う影響もそこに出てきている。

 実際、私どもの厚労省と、先ほどのは総務省なので、ちょっと時間が違うんですけれども、二〇一二年と二〇一五年を見る限りは、一人当たりの可処分所得というものの低下が、ずっと来たものがとまって、やや上昇に転じている、こういったことも指摘できるんじゃないかと思います。

志位委員 一二年と一五年の数値で上昇に転じているというのがありましたが、これは別の調査だと思うんですが、名目値ですね。実質値ではマイナスです。実質値では直近の三年間でマイナスになっている。

 それから、等価可処分所得で比較するのはおかしいというお話がありましたけれども、貧困をはかる物差しとしては等価可処分所得、すなわち家族の人数で調整された可処分所得を使うのが国際標準なんですよ。だから、日本政府もそれで貧困の問題を議論している。

 総理、お答えください。これは明らかですよ。等価可処分所得で見た場合に、あなたの内閣になってからも、最も所得が少ない一〇%の層の所得が落ち込んでいるんです。ですから、貧困は改善したとは言えない。悪化したという事実を正面から認めていただきたい。

安倍内閣総理大臣 悪化はしていないと思います。

 これは何回も申し上げているわけでありますが、例えば、最低賃金にしても、これは低所得者の皆さんにとっては大変きくわけでありますが、安倍政権になる前の十年間、民主党政権とその前の七年間の自民党政権を足し込んだ十年間、十年間でやっと八十六円上がったわけであります。しかし、安倍政権は五年間で百円上げているんです、時給ですね、時給。

 ですから、そういう意味においては、相当これは低所得者の皆さんにとって、もちろんパートの皆さんにとっては過去最高の収入になっていますが、そうしたものは伸びているということであります。

 そこで、御指摘の等価可処分所得の中央値でありますが、これは、先ほど来申し上げておりますように、高齢者の増加等に伴い、長期的に低下傾向にある。長期的にずっと下がっているわけでありまして、これは安倍政権になって急に下がったわけではなくて、いわば、高齢化が進む中において、先ほど厚労大臣からも答弁をさせていただいたわけであります。

 こうした中で、アベノミクスのもとで、しかし、その中において、我々が進めてきた経済政策を進めてきた結果、相対的貧困率は改善に転じているわけでありますし、子供の相対的貧困率は先ほど申し上げたとおりでございまして、更にしっかりと、我々、今の経済政策を進めることによって、更に、例えば最低賃金についても千円を超えていきたい、こう考えているところでございます。

志位委員 所得の少ない高齢者がふえたからだと繰り返されるんですけれども、もう一つ政府の統計を使いますと、一人当たりの可処分所得を見ても、この直近の五年間では実質でマイナスになっているんです。どの指標を見てもマイナスなんです。ですから、高齢者世帯がふえたということだけで説明できるものじゃないんですよ。

 そして、最低賃金のことを言われたけれども、その最低賃金の効果も含めて、この数字が出ているんです。

 こう議論しますと、総理は自分の都合のいい数字だけを宣伝し、深刻な実態を見ようとしない。そんな姿勢から、私はまともな政策は出てこないと思いますよ。安倍政権のもとで、所得が最も少ない一〇%の層の実質所得が減り続けている、貧困の実態は悪化している、この事実を正面から捉えてこそ、まともな政策が出てくると思います。

 次に、今回の政府の生活扶助基準の見直しの方針について伺います。

 総理は、本会議での私の質問に対する答弁で、今回の見直しでは、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性ごとに、一般低所得世帯の消費の実態と生活保護基準額との乖離を是正するため、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じる。モデル世帯、夫婦子一人世帯では、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、生活扶助基準を全体として引き下げるものではない。全体として引き下げるものではない、こう答弁されたんです。

 パネルをごらんください。これが今回の政府の生活扶助見直しの全体像であります。データは全て厚生労働省の説明資料のものであります。

 総理は、上がる世帯、下がる世帯が生じると言われましたが、生活保護を利用している世帯で、生活扶助費が上がる世帯は二六%、変わらない世帯は八%、下がる世帯は六七%ですよ。七割近くの世帯で生活扶助基準が引き下げられることになります。生活扶助費は最大五%、平均一・八%削減される。生活扶助費総額は年間二百十億円、国費分で百六十億円削減される。

 総理は、この見直しを、全体として引き下げるものではないと言うんでしょうか。誰がどう見たって、全体として引き下げるものになっているじゃないですか。明らかじゃないですか。

 総理、どうですか。総理の答弁なんだから、総理、答えなさい。総理の答弁なんだから。

河村委員長 加藤厚労大臣、先に答えてください。

加藤国務大臣 これまでも御説明させていただいているんですけれども、この生活扶助の考え方というのは、やはり、今回の場合、一般の低所得者世帯の消費の実態、これと見比べながら決めていくわけであります。その上で、モデル世帯、夫婦子一人世帯でこれを比較する。そして、その結果として、一般低所得者世帯の消費水準と生活扶助基準がおおむね均衡しているということであります。

 それから、一般低所得世帯というのをどうやって選ぶかというときにも、やはり、そこにおける、例えば、だんだんだんだん所得が減っていきますと急に消費が減る、いわゆる変曲点というんですが、そういったところ、あるいは消費の中に占める固定経費の割合、ここが変わる、こういうのを見ながら、どこを対象にすべきかというのを判断をし、そして今申し上げた十分の一の低所得世帯を選び、そして、それと現行とを比較して判断をした結果として、今は均衡している。したがって、全体は動かしていない。

 しかし、級地別とか、それから世帯別とか、年齢別というのがございます。それを一つ一つ見ると、例えば級地別を見ると、これまでも指摘をされていたんですけれども、例えば東京とそして地方とを比べると東京の方が高くて地方が低いということで、かなり機械的にやってきたんですが、実態を見ると必ずしもそうではなくて、やはり地方の方も高い、あるいは都会の方はそれほどでもない。そこを是正したというのが今回の個々の見直し、こういうことであります。

志位委員 要するに、モデル世帯をあなた方が選んで、そこでは一般低所得世帯と均衡していたと。しかし、それにいろいろな数値を掛けて、指数を掛けていった。その結果がこれじゃないですか。その結果、全体の世帯で見たら二百十億円の削減ですよ。これを、全体として引き下げるものではないと言うのか。紛れもなく引下げじゃないですか。

 総理、今度は答えてください、総理が言ったんだから。全体として引き下げるものではないと言うんですか、この数字を見て。この数字に間違っているところがあるんですか。

安倍内閣総理大臣 今、基本的には加藤厚労大臣から答弁したとおりでございますが、これはいつもそうなんですが、今般の検証では、生活扶助基準について、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性によって、一般の低所得世帯の消費の実態より生活扶助基準額が高い場合と低い場合の双方があると確認されたわけであります。これは加藤大臣から答弁したとおりでございますが。

 今回、実態と乖離のある基準を世帯類型ごとに是正したため、その結果、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じています。その上で、モデル世帯、これは夫婦子一人の世帯でありますが、で比較すると、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、ですから、私が本会議で答弁をしたとおり、生活扶助基準を全体として引き下げるものではない、このように申し上げさせていただいたとおりでございます。

志位委員 この数字にどこか間違いがあるのかと聞いたのに対して、お答えになりません。これは間違いないんですよ。こういうのを全体として引き下げるというんです。

 しかも、今回の引下げというのは、二〇一三年の最大一〇%、平均六・五%、総額八百九十億円の引下げに続く連続引下げになります。二回の引下げを合わせると、総額で一千百億円もの引下げになります。圧倒的多数の生活保護世帯が削減となります。こういう切下げを押しつけながら、痛みを感じていない。あなた方は痛みを感じていない。これは私は、大問題と言わなければなりません。

 次に進んでいきたいと思います。

 今回の政府の生活扶助基準の見直しの最大の問題点は、一般低所得世帯、所得が最も少ない一〇%の層に合わせて生活扶助基準を引き下げるという方針になっていることにあります。

 まず、現在の生活扶助基準が、憲法二十五条が保障する健康で文化的な生活と言える水準になっているか、総理の基本認識を伺いたいと思います。

 私は先日、千葉県で、生活保護を利用して高校生、中学生、小学生三人、五人のお子さんを育てているシングルマザーの方から直接お話を伺いました。生活保護を利用するようになって、子供たちの給食費が毎月きちんと納められるようになったのがうれしかった、子供たちが持っている能力を最大限発揮させて、社会の役に立つ人になってほしいと願っていると話されていましたが、生活の実態は本当に大変であります。

 こういうお話でした。

 買物は、値段が下がるまで待って行きます。食パンは、八枚切りで九十八円が四十九円と必ず半額になってから買います。品物ごとに安売りの底値が頭に入っていて、底値以上の値段のものを食べてはいけないと思っています。子供に食べさせるのが最優先で、私は子供たちが食べた後で、残りがあったら食べるという程度です。

 お風呂は冬場に週一回沸かすだけで、あとは水シャワー、お風呂は絶対一人で入らず、まとまって短時間で済ませています。テレビも炊飯器も掃除機も冷蔵庫も壊れてしまい、買いかえることができません。冷蔵庫だけは夏までには何とかしなければと悩んでいます。

 こういうお話であります。

 総理に伺います。こうした生活が、憲法二十五条が保障する健康で文化的な生活と言えますか。御認識を伺いたい。総理、どうですか。総理に聞いているんです。総理の認識なんです。

 いいですよ。総理に聞いている。

加藤国務大臣 今、個々具体的なお話、それはそれぞれ、いろいろな事情を抱えている方はいらっしゃるというふうに思います。

 そういう中で、今お話があった生活保護法の中で、この法律により保障される最低限の生活は、健康で文化的な生活を維持することができるものではならない、こういう規定がございます。それを踏まえて、私ども、先ほど申し上げたような形で、現状の水準がそれぞれの世帯にとって最低限の生活をするのに必要かどうかを科学的に専門的に分析して検証させていただいている、こういうことでございます。

志位委員 私は総理に聞いております。

 実際にこういう生活を余儀なくされている方がいて、それが健康で文化的な生活と言えるかどうかの認識を聞いています。答えてください。

安倍内閣総理大臣 例えば、今回、一般低所得、これは消費水準に合わせて、一般の、生活保護ではない方々の消費水準と合わせて、ここで均衡をとらなければならないのは事実であろう、このように思います。

 生活保護ではなくて普通に生活をしておられる低所得者の方々の消費水準と、生活保護を受けている方々の消費水準が逆転をしてはならないわけでありますから、先ほど加藤大臣が答弁をしたように、専門家による科学的な分析をした結果、今回こういう対応をとったわけであります。

 ですから、全体ではなくて、その対象ごとにこれは決定をしていくわけでございますが、そこで、恐らく共産党としては、それは恐らく消費水準が低下したためではないかという御指摘があるかもしれませんが、それは……(志位委員「聞いていないことを答えないで、聞いていないから」と呼ぶ)いや、ちょっと先回りしてお答えさせていただこうと思ったんですが……(志位委員「聞いていないことを答えなくていいですよ、時間がもったいないから」と呼ぶ)わかりました。

 では、いずれにせよ、それは、結論から言えば、消費水準は減少はしていないということは申し上げておきたいと思います。

志位委員 私は、具体的な例を挙げて、これが健康で文化的かと聞いたんですが、まともなお答えがない。そして、一般低所得世帯との均衡、均衡とおっしゃる。

 現在の生活扶助基準でも、憲法二十五条が保障する健康で文化的な水準とは到底言えません。それを、一般低所得世帯、所得が最も少ない一〇%の層に合わせて更に引き下げたら、どういう事態が生まれるか。

 もう一人、具体的なお話をしたいと思います。大阪府で、中学生、小学生の二人の子供を育てているシングルマザーの方の訴えを紹介したいと思います。先日、反貧困ネットワーク大阪などが主催した集会での発言です。紹介します。よくお聞きください。

 今回の政府案が通ってしまうと、私の世帯は引下げ率が高い世帯になってしまいます。引下げの理由は、一般低所得世帯と比べたとき、私たちの支出額の方が上回ったからと聞きました。でも、私は、ここは大変疑問に思うところです。生活保護が受けられるようになる前、つまり、今回で言うところの一般低所得世帯であったころの私たちの生活は、とてもとても厳しいものでした。

 私は、今より八キロ以上痩せていました。子供たちを食べさせるために、自分は余り食べずにいました。生活に対する不安感が強過ぎて感覚が鈍くなっているのか、外に出ているときはおなかがすいているのに、家に帰って子供たちを目の前にすると、その感覚を失うのです。貧しいのは私のせいなのだから私は食べたらだめという強迫に近い感情がそこにはありました。

 お風呂は、お湯の温度をぎりぎりまで下げてお湯をため、シャワーは使わず、三人一緒に入っていました。お風呂から上がるときは、浴槽の中は随分と冷めたわずかなお湯が残っているだけ。当時、子供たちは、寒い、寒いと言いながら、大急ぎで体を拭いていました。

 室内の電気も、暗くなるぎりぎりまでつけず、子供たちを早く寝かして、私も電気を消して、早々と布団に入っていました。夜、テレビを見ることの楽しみもない夜です。

 一番つらかったのは、無保険だった期間です。三年間、幼い子供を一度も病院に連れていけませんでした。息を潜め、薄氷の上を歩いているような生活でした。でも、そんな生活は、外側からは見えにくい状態であったと思います。余りにも恥ずかしい生活なので、周囲には悟られないようにしていました。

 一般低所得世帯の中には、そんな生活をしている世帯が多く存在しているかもしれません。国には、そんな生活が人として健全な暮らしであるかどうか、目を向けていただきたい。本当に必要な対策は、生活保護費を下げることではなく、保護受給世帯や低所得世帯の生活実態を把握して考えていくことではないでしょうか。

 つらくて惨めな生活は、生活保護を受けるようになってから天国のようになりました。子供たちに食べさせてあげられる安心感、それは、母親としてとても幸せなことでした。私には、国が神様のように見えました。心から感謝しました。そして、思ったことは、この負の連鎖を断ち切りたい、子供たちを心も体も丈夫な子に育てよう、それが助けていただいた国に対する私のできる恩返しなんだ、そう思って今を生きています。

 ただ、今回の引下げが決定したとき、今度はどこを削って生活しようと。光熱費も食費も今が限界です。子供たちの将来かかってくる学費や今現在使っている塾代を削る、そこしかありません。本当は感謝したい国に対して、反対意見を出すということがとても悲しいです。どうか、親子ともに自立しようと思う気持ちを折らないでください。

 こういう訴えなんですね。

 総理に伺います。

 生活扶助基準を一般低所得世帯に均衡させる、こちらが低かったらそれに合わせて引き下げようという、それは、この母子家庭を、かつて置かれていた生活扶助基準にすら満たないつらくて惨めな生活に引きずり戻すということじゃありませんか。

 総理、お答えください。総理。総理の認識を聞いている。総理に聞いている。

加藤国務大臣 まさに今のお話を聞かせていただきながら、やはり生活保護、これは生活に困窮する方に最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットでありますから、それをしっかり活用すべき人は活用していただく、それは大変大事なことだなということをまずおっしゃっておられたんだろうと思います。

 その上で、生活保護基準でありますけれども、現在の生活保護法の八条で、保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要をもととし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことができない不足を補う程度において行うものとする、その前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な……(志位委員「ちょっと、時間潰しはやめてください」と呼ぶ)いやいや、事情を考慮した最低限の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつこれを超えないものでなければならない、こう書いてあるわけであります。

 そうした観点に沿って、先ほど申し上げたような検証を専門家の方にしていただきながら、今回の見直しをさせていただいている、こういうことであります。

志位委員 総理に聞いております。

 このお母さんの訴えというのは、一般低所得世帯に合わせて均衡ということで扶助を引き下げるのはおかしいじゃないか、そんなやり方はないじゃないかという訴えなんですよ。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 そこで、先ほど、一般の低所得世帯の消費支出の推移を見ますと、平成二十一年は十三万一千五百円だったものが、平成二十六年は十三万六千六百円と、五千百円、三・九%増加をしているわけでありますから、ここが下がったから、いわば生活保護世帯が世帯特性等で同じように下げられるということではないということはまず一つ申し上げておきたい。これは夫婦子一人の世帯でありますが。

 と同時に、私どもとしては、今言われた子供のいる世帯については、母子加算の見直しは行いますが、児童養育加算の給付対象者を高校生に拡大します。また、その約六割では基準額が増額となる見込みであります。例えば、地方に暮らす母一人、中学生と高校生の子供二人の母子世帯の場合は、年間で十一万一千円の増額となるわけでございます。

 さらに、大学等への進学準備の一時金として、自宅から通学の場合は十万円、そして自宅外から通学の場合は三十万円の給付を創設します。また、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費の減額を取りやめるなど、生活保護世帯の子供に対する支援を強化していきたい、こういうメニューもあるということも、テレビを通じてぜひ知っていただき、活用していただきたい、このように思っております。

志位委員 私が聞いたのは、このお母さんが一般低所得世帯の水準に合わせて扶助基準を引き下げるのはおかしいじゃないかという、この問いなんですが、全くお答えになっていない。

 子供に対する手厚い手当をやっているんだとおっしゃいました。母子加算は二割カットじゃないですか。児童養育加算ということもおっしゃった。確かに高校生には拡大されるかもしれない、しかし、三歳未満は五千円カットじゃないですか。そして、このケースでいえば、小学校と中学校ですから、児童養育加算はちっともプラスになりません。この世帯の場合は、扶助費は年間十万円下がるんです、今のケースで。これが実態なんですよ。

 そもそも、生活保護基準というのは、憲法二十五条で保障された健康で文化的な最低限度の生活を送るために、これ以上の貧困があってはならないという最低ラインを定めた基準です。一般低所得世帯の方が、そっちの方が生活水準が低いというんだったら、あるいは均衡がとれていないというんだったら、やるべきことは、生活保護基準を引き下げるんじゃなくて、一般低所得世帯の支援であり、それこそが憲法二十五条に基づく政治の責任だということを強く言いたいと思います。

 次に移ります。

 なぜ、一般低所得世帯、所得が最も少ない一〇%の層の生活水準がこれほどまでに困窮した状態に置かれているのか。その原因の一つとして、生活保護の捕捉率、生活保護を利用する資格のある人のうち、実際に利用している人の割合が二割程度にとどまっているという問題があります。大問題です。

 現在の生活保護の利用者数は約二百十三万人ですが、その背後には数百万人の単位で、利用できていない生活困窮者が存在しております。

 捕捉率の実態はどういうものか。私、ここに持ってまいりましたが、厚生労働省は、民主党政権時代の二〇一〇年四月に、「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」、こういう報告書を出しております。パネルにも出しました。ごらんください。

 それによりますと、生活保護未満の低所得世帯数に対する被保護世帯数の割合は、つまり、ざっくり言えば生活保護の利用率ですね、所得のみの場合、推計した場合には一五・三%、資産を考慮した場合の推計は三二・一%、こういう数字が出ております。大変低い利用率であります。

 この報告書では、この結果について、最後にこう述べております。「現状把握の指標として捉えるべき一つの数値が明らかになった」「今回と同様の調査を定期的に実施し、その動向を把握していく。」

 今度は厚生労働大臣、この七年間、定期的な動向把握、調査をやりましたか。調査をやったかやらないか、それだけでいいです。もう長い答弁は要りません。やったかやらないか。

加藤国務大臣 今のやつは、一つの数字をお出しになっているので、全国実態調査でいきますと、所得のみの場合が二九・六、資産を考慮すれば八七・四ということで、非常に数字にばらつきがあって、なかなかこれをとるには至らない、たしかそういう議論になっていたというふうに承知をしているところであります。

 そして、実際それぞれ推計するにしても、その方の所得のみならず、もちろん意思がございます。稼得能力、資産、それらを全体的に把握しなければ、なかなかその方が生活保護の対象になるかどうか判断し得ないということで、そうしたことの推計というのは非常に難しいというのが今の現状であります。

志位委員 だから、調査はやったんですか、この七年間。やったかどうか聞いているんです。やったかどうか。それだけですよ。

加藤国務大臣 この間には、そのとき以降、推計をしている結果はございません。

志位委員 調査をやっていないわけですよ。

 今、いろいろなことを言われました。全国消費実態調査あるいは国民生活基礎調査、この間にはばらつきがある。確かにそうですよ。統計によっていろいろな幅がある。

 しかし、全体を系統的に動向調査していけば、利用率の全体がどうなっているか、それをつかめるはずです。だからこそあなた方は引き続き調査をすると二〇一〇年に約束した。これは民主党政権の時代です。民主党政権はいいことをやっているんです。この点では評価したいと思うんですが、自民党になって全くやっていない。これは本当に、この理由になりませんよ。いろいろなばらつきがあったら、それも含めて全部調査したらいいじゃないですか。

 もう一点、伺います。

 日本の生活保護の捕捉率は、専門の研究者の推計で、大体二割程度にとどまっていると言われております。諸外国に比べても極めて低い。なぜこんなに低いのか。専門の研究者、支援団体の方々に伺いますと、共通して三つの原因を指摘しております。

 第一に、スティグマと言われる、生活保護は恥だという意識や、生活保護に対するバッシングから、生活保護を申請することをためらってしまう。

 第二は、自分が生活保護を利用できることを知らない方が多い。年金があったらだめ、働いていたらだめ、持家があったらだめなどと誤解している方が多い。これは制度の周知不足が招いたことであります。

 第三に、勇気を持って役所の窓口に行っても間違った説明で追い返される、いわゆる水際作戦が依然として横行していることであります。

 この三つの原因それぞれについて対策が必要ですけれども、第一に挙げた、スティグマと言われる、生活保護は恥だという意識や、生活保護バッシング、これをなくしていくことは大変に重要な課題だと思います。

 先ほど私、千葉県の、五人の子供さんを育てているシングルマザーの方からお聞きした話を紹介いたしました。この方は、生活保護を自分が利用するかどうか考える際に恥ずかしいという思いが物すごくあった、親友に相談してみたら、生活保護を受けてのんきに暮らすつもりなの、恥ずかしいと言われて、大変ショックだったということをおっしゃっておられました。なかなか働くことができない、病気がまだ癒える段階なんですね。

 二〇一三年、国連の社会権規約委員会は、日本政府に対して次のような勧告を行っています。総理にお聞きしますよ。

 委員会は、締約国に対して、公的福祉給付、生活保護のことですが、の申請手続を簡素化し、申請が尊厳を持って扱われることを確保するための措置をとるよう求める。委員会はさらに、公的福祉給付に付随したスティグマ、恥の意識を解消する目的で、締約国が国民の教育を行うよう勧告すると。

 政府は、この勧告を受けてどのような措置をとったんですか。厚労大臣。

加藤国務大臣 その前に、生活保護の最近の動向は、平成二十一年から二十七年に比べて、世帯数でいえば百二十七万が百六十三万ということで増加している、こういう状況にあるということは、まず申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、先ほど申し上げましたが、生活保護はまさに最後のセーフティーネットであります。生活保護を受給することへの偏見をなくして、本当に、真に保護を必要な方に確実に保護を適用することが重要であります。

 実際、生活保護の窓口では、きめ細かな面接相談を行うとともに、生存が危ぶまれるような急迫した状況の場合は申請をせずとも保護を行う、こういうこともさせていただいております。

 また、一般の住民の方にも制度について周知をし、厚労省のホームページにも載せておりますけれども、民生委員等と連携して生活困窮者の発見に努めるように福祉事務所の取組もまた促しているところでありますし、また、生活困窮者自立支援制度、その入り口といいますか、そこにおける窓口においても、生活保護が必要な方を把握した場合には、こうした生活保護の窓口につないで適切な支援に結びつけていく、こういった形で対応させていただいているところでございます。

志位委員 私は、国連の勧告に対してどういう措置を講じたかということを聞いたんです。答弁はありませんでした。きちんと使えるようにしているとおっしゃいますけれども、捕捉率は大変低い、これが実態なんですよ。

 総理に一つ、ここで提起したい。

 このスティグマと言われる、生活保護は恥という意識をなくしていくことの重要性は、あなたも認めるところだろうと思います。総理の口から、ぜひ、生活保護を利用することは決して恥ずかしいことではない、憲法二十五条に基づく国民の正当な権利だということを、国会のこの場で表明していただきたい。総理、どうですか。

安倍内閣総理大臣 生活保護制度は、生活に困窮する方に最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットであります。このため、本人からの申請を待つばかりではなくて、住民に対する制度の周知や、民生委員等と連携して生活に困窮している者の発見等に努めるよう福祉事務所の取組を促すなど、生活保護が必要な方が適切に支援を受けられるようにしているところであります。

 生活保護を受給することへの偏見をなくし、保護を必要とする方は確実に保護を適用するという方針のもと、適正な運用に取り組んでいく考えであります。

志位委員 正当な国民の権利だということをお認めになりますね。一言でいいです。総理、正当な国民の権利だということをお認めになりますね。

 いいですよ、もう時間がないんだから、あなたはいい。

 総理。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、生活保護を受給することへの偏見をなくして、真に保護を必要とする方に確実に保護を適用することが重要だということでありますから、これは適用する側でありますから、当然、利用される方は、そうした生活保護が必要な方はこうした制度を利用していただく、これは当然のことだと思います。

志位委員 きょうるる申し上げてきたように、今回の政府の生活扶助削減の方針は全く道理のないものです。生活扶助削減の方針を撤回し、二〇一三年の削減前の水準に戻すことを強く要求します。

 その上で、提案があります。

 貧困打開のためには、最低賃金の引上げ、年金の底上げ、非正規社員の正社員化、男女の賃金格差の是正など、総合的対策が必要ですが、それらと一体に、生活保護法の緊急の改正が必要だと思います。既に日本弁護士連合会などが具体的に提案を行っていますが、それらも踏まえて、日本共産党として、生活保護を使いやすくするための緊急提案として、次の柱から成る生活保護法の改正を提案したいと思います。

 パネルをごらんください。

 第一は、法律の名称を生活保障法に変える。これによってスティグマをなくしていく。

 第二は、国民の権利であることを明らかにし、制度の広報、周知を法律で義務づける。

 第三は、申請権を侵害してはならないことを明記し、水際作戦を法をもって根絶する。

 第四は、定期的に捕捉率を調査、公表し、捕捉率の向上に努める。

 以上、四つの柱ですが、総理に真剣な検討を求めたいと思います。検討していただけますね。

安倍内閣総理大臣 それは議院での、議員としての御提案でございますから、国会において御審議をいただければ、このように思います。

志位委員 政府に検討を求めております。先ほど、生活保護がきちんと受給できるようにきちんとやっていると。やっているんだったら、法律に明記することに何の障害もないはずです。いかがですか。政府として検討してください。

安倍内閣総理大臣 いずれにせよ、我々は、先ほど加藤大臣からも答弁をさせていただいたように、適切に現行法を運用していかなければならない、このように考えております。

志位委員 これで終わりますが、憲法二十五条の生存権、これは全ての日本国民にきちんと保障される、そういう社会をつくるために全力を挙げる決意を申し上げて、質問を終わります。

河村委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この国会、まだまだモリ、カケ、スパ、続いているようであります。本当に野党の皆さんも、何といいますか、先ほど玉木雄一郎希望の党代表が労働生産性の議論をされていました。まず、みずからの労働生産性をしっかり議論していただいて、しっかりこの予算委員会、時間を使うのであれば、きょうは玉木さんはさすがに、線香の問題もあって、スキャンダル追及は控えたようでありますが、しっかり労働生産性の高い予算委員会にしてまいりたい、こう思います。

 それから、玉木さんを申し上げましたが、先ほど、江田憲司さん。江田憲司さんは偉そうですね。大体、質問されるときは必ず、みずからが官邸で総理秘書官をされていた時代のことをおっしゃっていますが、基本的には経産省に対する怨嫉、これが背景にある、こう思います。

 経産省といえば、茂木大臣が、これは質問、可能であればですが、私、線香の問題。問題はあると思いますよ。あると思いますが、おっしゃったように、これは政党支部です、政党支部。みずから、あるいはみずからの後援会とそれから政党支部、これは違いますね。違います。茂木大臣の場合は政党支部だと。

 ただ、政党支部と後援会の問題は、山尾志桜里議員のことを思い出してください。後援会でやっていたんですよ。それも、線香じゃないですよ、供花、香典。供花、香典を持っていっていた。みんなに追及されて、彼女はどう言いましたか。いや、これは後援会でやっていたと言いましたけれども、政党支部の間違いでしたというわけですよ。ひどい話ですよね。

 そういうことを言っている人間がいる立憲民主党が政府を追及するというのは私はナンセンスだと思いますが、我が党は、政党支部と後援会の線引き、これはやはり問題があると思います。

 例えば、企業・団体献金は、我が党は禁止していますよ。なぜか。それは、だってそうですよ。後援会でもらったらいけないものを政党支部でみんなもらっているんでしょう。そういうことが今の国会議員、国政には横行しているというか、そういう制度になっているわけですが、我々維新の会は、それはあかんということで、維新の会は……(発言する者あり)だから、言っているでしょう。政党支部と後援会の関係ですよ。これについては、私は、例えば選挙区支部長を兼ねている政党支部の代表、これについては例えばみなし規定を入れて禁止をする、こういうふうにすれば茂木大臣がいろいろ御苦労されることもないと思いますが、いかがですか、ちょっとそういう制度改正。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

茂木国務大臣 まず、事実関係から申し上げますと、政党支部の活動として行ったものであります。

 そして、何度か野党の皆さんから御質問をいただいておりますが、先ほども御答弁申し上げたように、今、立憲民主党であったり、いろいろな党、昨年の選挙で新しくなられましたが、その前の民進党におかれては、当時の民進党の幹部の方が、確かに後援会でそういった活動をしていた、それに対して違法性が問われるということで、いや、これは政党支部の間違いでした、修正をいたします、政党支部では合法である、こういうふうにおっしゃったわけですね。私はその解釈については総務省の方に伺いたいと思いますが、まさにそういった主張。

 そこで、私が申し上げていることはそんなにそごがないことで、逆に、後援会から政党支部の方に来られた、それで政党支部で活動した私に対してどうなんだということに対しては、若干疑問なところは持っております。

 その上で、公選法の解釈については所管の省庁にお聞きいただければ、また、その運用のあり方等々、ルール等々につきましては国会において御議論いただくことだ、このように考えております。

足立委員 それで、モリ、カケ、スパですけれども、若干の時間を使って片づけたいと思いますが、まず、今、このパネルを出しました。

 国会の野党の皆さんが一生懸命追及しているこの森友学園、道路を一本挟んで、隣に野田中央公園というのがあります。こっちにも疑惑があるんですよ。何で追及しないんですか。

 彼らがこちらを追及しない理由は、これは二つあると思いますよ。一つは、━━━━が関係しているからですよ。━━━━━━━━━━━━のときに補助金を配ってゼロ円にした。もっとひどい話ですよ。━━━━は、何か籠池夫人の携帯メールにも名前が出てきているけれども、マスコミに対してこれを、何で立つんですか、マスコミに対してこれを報じるなというふうに圧力をかけた人ですよ。私は、こういうバランスの悪いのは本当に問題だと思います。

 私がなぜこの、続けていいですね、なぜ野田中央公園が問題かというと、これを見てください、この数字。この数字の、三つ枠がありますが、二〇〇九年の四月に予算要望をします。予算要望ですから、なめなめの数字です。例えば、この〇・九五。これは本当に、地価がちょっとだけ落ちてきているから、ちょっとだけ引きましたということで、〇・九五でなめています。豊中市に聞いても、この〇・九五の根拠は、バックデータはありません。

 ちょっと目ざわりだから、どいていただけませんか、ちょっと。

 それで、二〇一〇年の二月の……(発言する者あり)いや、だって、私が今質問しているんですよ。どうしたらいいんですか、じゃ。(発言する者あり)どうしたらいいんですか。続けますよ。

宮下委員長代理 足立委員に申し上げます。

 不規則発言はおやめください。

足立委員 その下に、結論として、十四億二千三百八十六万円、こういう数字が予算要望のときになめなめで出ています。

 ところが、━━━━━のときに出てきた実際の不動産鑑定士の数字、見てください。その結論、十四億二千三百八十六万三千円ですよ。この同じ数字が実際の予算要望で出てきています。それはいいんですよ、別に。そういうこともあるでしょう。

 でも、その左の、それをはじいた数字を見てください。上の方の予算要望のところでは、単価掛ける〇・九五、この単価の数字がぐんと上がっています。ところが、掛け算の、この〇・八三九でしょう。要すれば、違う数字を、単価も変わっている、それから補正率も変わっている、でも、掛けると三千円しか違わないんですよ。おかしくないですか、これは。これをやっていたのは━━━━━ですよ。なぜ野党はこれを追及しないか。いや、いいですよ。だから、次にやったらいいじゃないですか、追及を。それはやってほしいと思います。

 それからもう一つ、近財が同じ土地を、野田中央公園の土地を近財が九億円とはじきました。これは見積り合わせをしていますから、近財は近財で不動産鑑定をさせています。豊中市は豊中市で不動産鑑定をさせています。

 ところが、豊中市がさせた不動産鑑定士は地中ごみをカウントしていません。マイナス〇%です。高圧線もマイナス二%です。それに対して、近財は地中ごみ六パー、高圧線で二割減価しているんですよ。

 これが、この世界、この世界というのはどの世界かわかりませんが、少なくともこの二つはどっちもどっちですよ。

 それで、先週の金曜日、どなたかが森友学園で起こったこと、これを、確率をカウントすると、一億か一兆か忘れましたけれども、すごい確率で、一兆分の一だっけ、とか言っていましたよね。これはもっとですよ。千兆分の一ぐらいですよ、この確率は。そういうことが起こっている。

 それで、私は一つ、国交大臣、恐縮ですが、国交大臣に通告していない。事務方でいいですよ、事務方で。不動産鑑定というのは大体こんなものですか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 不動産鑑定評価とは、その不動産の最有効使用、最も有効な使い方というものを前提に置いて、その経済価値を判定し価格に表示をするということでございます。

 この場合、どのような使用を最有効とするか。例えば、その土地に中高層の建築物を建てるのがいいのかとか、低層のものがいいのかということのさまざまな使用形態につきましては鑑定士によって判断が異なっていくことがあり、その結果として、評価価格に違いが生ずる場合もございます。

 このように、鑑定評価価格は一定の幅を持って理解されるべきものと考えております。

足立委員 会計検査院長、お越しいただいているかと思います。

 こういう国有地の払下げが適切な価格で行われているか、森友だけじゃありません、全国的にそういうのを網羅的に調査したことはありますか。

河戸会計検査院長 会計検査院は、国の会計経理について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から常時検査を行っております。

 国有地等の国有財産の検査におきましては、会計検査院では、主として、国有財産のうち、国が行政上の目的のために所有している庁舎、道路、河川などの行政財産につきまして、行政目的に沿って有効に活用されているか、その管理が適切かなどに着眼して検査を行ってきており、全国的に検査を行ったものとしては、河川改修事業において整備した堤防等の効果が十分発現していない事態を指摘したものなどがございます。

 一方、行政財産以外の財産である普通財産につきましては、民間が保有している土地等と同様に契約による処分が可能でございますので、毎年経常的に行っている各財務局の会計実地検査等におきまして、売却や貸付けといった個別の会計経理について、主として、入札、契約の事務は適正か、予定価格は適切に算定されているかなどに着眼して検査を行っております。

足立委員 とにかく、私、一回検査した方がいいと思うね、これは。全国、会計検査院も忙しいと思いますが、一回こういう、この二つだけじゃないと思いますよ。だから、ぜひ一度検査をしていただく。これも要望というか、これは議会で議決せないかぬのかもしれませんが、個人的には要望しておきたいと思います。

 それから、もう一つ、スパコンですね。スパコン、これも、疑獄事件ではないと思いますが、結局、検査が不十分であったということであります。

 世耕大臣、これは、結局、審査委員が名前が匿名になっているとか、そういうのを全部聞いています。だから、それなりに審査はちゃんとされていると私は思っているんですが、検査に行くときに、これから行くよと言いますよね。だから彼らは今回、準備をして、にせの名刺をつくって、にせのウエハーを見せてやったんだと仄聞していますが、抜き打ちをもっとやった方がいいと思うんですよ。

 過去、これまで、もう一言でいいです、抜き打ち検査って何件やったことがありますか。

世耕国務大臣 審査と検査は分けておかなきゃいけないと思います。審査は、いわゆる企画書とか計画書を学者の先生がチェックをする。検査は、まさにお金が適正に使われているか。平成二十六年以降、抜き打ち検査という仕組みを入れましたけれども、これまで三回実施をして、不正な経理処理の是正などを行ってきたわけであります。

 確かに三回というのは少ないという実感がありますので、抜き打ち検査については、今回の事案も受けて、どういう頻度でやるのがいいか、少し改善の余地があるのではないかというふうに思っています。

足立委員 要すれば、少ないのでふやしていくという御答弁ですね。確認です。

世耕国務大臣 今回、いろいろな捜査で全容がわからなければわからないことというのはたくさんあるわけですけれども、少なくとも、三回というのは少ないと思いますので、ふやす方向で検討していきたいと思っております。

足立委員 今申し上げた森友とこのスパコン、私、これを国会でいろいろやることに若干違和感を持っているんですね。

 今ちょっとパネルを出していただきますが、これはもう大分古い話でありますが、ロッキードのときですね。私は、モリ、カケ、スパなんというのはロッキードに比べたら子供みたいなものだと思いますが、赤ちゃんぐらいだと思いますが、当時の稲葉法務大臣が、国政調査権と犯罪捜査権の関係についておっしゃっています。私も、私は今野党ですから余り気にしないんですが、自分が将来与党になり、政府に入るときのことを考えると、捜査中のものは余り国会でやってほしくないですね。そう私は思います。

 法務大臣、こういう国政調査権と犯罪捜査権のせめぎ合い、これはどういうふうにお考えですか。

上川国務大臣 ただいま委員御指摘いただきましたその当時の答弁ということでございますが、その趣旨につきましては、正確に把握ができているかにつきましてわかりかねるところもございますが、一般論として申し上げれば、捜査、公判中の事案に関する国政調査権の行使につきましては、個人の名誉、プライバシーの保護の観点や、今後の捜査、公判への影響なども考慮しつつ、国会において御判断されてきたものと認識しております。

足立委員 これは、当時の稲葉大臣が、余り国会でやられると邪魔なんだよなと。というか、捜査の障害になると。私は当然だと思いますよ。

 少なくとも、モリ、カケ、スパのうち森友学園とスパコン疑惑については、もう既に捜査は入っているわけですよ。だから、私は、警察あるいは司直の手にもう委ねているわけだから、一旦任しておいたらいいと思うんですよ。彼らに任すことが信頼できないという国会議員は、じゃ、制度を見直した方がいいですよ。警察の制度を見直したらいいんじゃないですか。国会がやるべきことは制度の見直し。それを、捜査が、司直がもうやっているものに国会で手を出すというのは、やはり不見識だと思います。

 私は、きょう、もう一つだけやりたいのは、一方で、加計学園の問題だけはまだ司直の手が入っていません。いや、入る必要がないんだと思いますが。入っていませんよ。ただ、野党がまた何で、きょう、石破さんいらしている。いらっしゃらない。(発言する者あり)いらっしゃらない。予算委員ですよね。(発言する者あり)交代されちゃった。ちょっと残念でありますが。

 皆さん、私は、加計学園の問題、これは、加計学園あるいは安倍総理、余り問題があるようには感じていません。私は国際戦略特区の仕組みもよく承知していますが、例えば議長をおりた方がよかったんじゃないかとかいう指摘は一定の理があると思いますが、むしろ加計学園の問題の本丸は━━━━ですよ、━━━━

 これを見てくださいよ、皆さん。獣医師会の会議報告に、全部公開されている資料ですよ、日本獣医師政治連盟の北村直人委員長は、六月二十二日、すなわち石破四条件が設定される直前でありますが、私は石破大臣と折衝し、一つの大きな壁をつくっていただいていると。お願いして壁をつくっていただいていると書いているわけです。

 それで、六月三十日に石破四条件が閣議決定をされた後の全国獣医師会の会議において、同じく北村委員長が、石破担当大臣と相談した結果、最終的に、既存の大学、学部で対応が困難な場合という文言を入れていただきました、つまり、新しい学部の設置はできないということが戦略に書いてあるのである。

 また、二カ月後の九月十日、きのう、この北村委員長が獣医師会の会長とともに石破大臣と二時間議論、意見交換をしたけれども、現実的には参入は困難という文言にしておいたからなというふうに石破さんがおっしゃったと。これは疑惑じゃないですか、疑惑。

 別に私は捜査機関じゃありませんから、これについて白黒と言うつもりはありませんが、実際に石破さんは献金をもらっています。要は、事実認定というのは非常に難しいので、何が請託で、何が職務権限かということは大変難しいテーマですが、ここに書いてあるものを見てなぜ野党が石破さんを追及しないのか、さっぱりわからないですね。

 むしろ、玉木雄一郎さんはこれに乗っかって、さんざん石破四要件、四条件を取り上げて、安倍総理の問題を追及したわけですね。━━なんじゃないですか、これは。だから、━━━━━━━━━━は、自民党の顔をしていますけれども、━━━━━かもしれません。

 私は、それぐらい、いや、だって、おかしいじゃないですか。何で立つの。いや、だから、皆さんが総理は追及するけれども、当時の大臣である石破さんをなぜ追及しないのか私は国会議員としてわからないので、ぜひ、これはこれから野党に、私はやりませんが、やっていただくよう、お願いをしておきたいと思います。

 さて、このモリ、カケ、スパは以上です。いいですね。何か、もっとやってほしいですか。

 では、やりますよ。

 それでは、次に、時間の関係でいけますね、この国会で一番大事なのは憲法です。私は、憲法審査会の委員として、憲法改正に、党としても私も頑張って取り組んできたつもりであります。本当に、ちょっと座っていただけませんか。いいですか。(発言する者あり)えっ、言っちゃいけない……(発言する者あり)いや、でも、目ざわりですよね。(発言する者あり)はい。

 憲法九条、私は、憲法九条に関するさまざまな議論が今各所で出てきていますから、これを、若干の整理をしておきたいと思います。

 与党一、与党二、与党三というのは、名前を書くと、そうじゃないとかいってこれは消されてしまうので番号にしてありますが、端的に言うと、石破さん、石破議員がおっしゃっているようなものを象徴とする、代表とする二項削除論が与党一です。それから、青山繁晴参議院議員に代表されるような自衛権明記論が与党二です。それから、総理・総裁として安倍総裁がおっしゃってきていることが与党三、私はそう思っています。

 日本維新の会が申し上げているのが、この「自衛隊を明記?」というのはまだ議論していませんが、米軍等防護事態というものを平和安全法制の国会で提示させていただきました。

 それから、野党の多くの方は、特に山尾さんが雇っている弁護士の方がおっしゃっているのが、個別的自衛権というのを憲法に明記しろと言っています。

 まず、総理、この個別的自衛権なんですけれども、個別的自衛権と憲法に書くと、恐らく、平和安全法制は廃止か改正を余儀なくされます。日米同盟に影響はありませんか。

安倍内閣総理大臣 例えば、公海上で弾道ミサイル警戒に当たっている米国艦船の防護や邦人を輸送している米国艦船の防護のケースは、いずれも、我が国に対する武力攻撃が発生しておらず、個別的自衛権により対応することはできないわけでありまして、また、本来集団的自衛権を援用しなければならない場合に個別的自衛権を拡大解釈して対応することは国際法上認められないと思っておりまして、平和安全法制により、日本を守るために、日米はあらゆる事態に対し切れ目なく互いに助け合うことが可能となったわけでありまして、助け合うことのできる同盟はそのきずなを強くする、こう考えております。

 今や、我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しいと言っても過言ではないわけでありまして、平和安全法制がなければ、米国との信頼関係に大きな影響があるのみならず、この緊迫する北朝鮮情勢にしっかりと対応することはできないというふうに考えております。

    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

足立委員 では、もう一つ、ちょっとこれは、外務大臣、通告している質問とは別に、可能であれば、もし難しければ、通告していませんからあれですけれども、この表の上側にあります、石破議員や青山参議院議員が主張されているような二項削除あるいは自衛権の明記。先日、書きぶりによってはフルスペックの集団的自衛権ととられるかもしれないねという御答弁が総理からもあった件です。これらは、書きぶりによっては、日本国憲法の大原則、三つの柱の一つである平和主義に抵触する可能性があると私は思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 外務省で検討しているわけではございませんので、即座に答えることはできません。

足立委員 通告しておけばよかったと思いますが、ちょっと私も忙しいので、済みません。

 通告しているのは、その中で、この青いところ、安倍政権の存立危機事態。先ほど総理から御答弁があった。一方で、日本維新の会は、米軍等防護事態、こういう対案を出して否決されていますが、実際に、維新の法律だと、未来永劫じゃないですよ、当面の日米同盟のオペレーションに支障を来すかどうか、御答弁をお願いできますか。

小野寺国務大臣 政府としましては平和安全法制がベストなものと考えておりますが、さまざまな御議論があるということは大変意義があるということだと思っております。

 その中で、今委員の方からあったことについて、私ども防衛当局から考えていく中で、特に平和安全法制の審議の際に次のような議論がなされたと思っています。

 我が国近隣で武力攻撃が発生し、米国船舶が公海上で武力攻撃を受けている、攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない、このような状況では取り残されている多数の在留邦人を我が国に輸送することが急務となる、そのような中で、在留邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受ける明白な危険がある場合は、状況を総合的に判断して存立危機事態に当たり得ると政府として説明をしております。

 この事例のように、我が国に対する武力攻撃が予測される段階にとどまっている段階においては、当時の維新の案では米国の船舶を守ることができないのではないかという議論があったと承知をしております。

 いずれにしても、この問題についてはさまざまな議論があることは大変ありがたいことだと思っております。

足立委員 自民党の存立危機事態の概念は、まさに政権とそれから外務、防衛省の皆様が本当に夜を徹して、日本を守るために考えていただいた提案だと思っています。敬意も表しています。

 ただ、どちらかというと、高村副総裁が時折おっしゃっていたように、想定できる範囲内で日米同盟が考えることは大体この法律でカバーできる、こういうところで今、日本の安全を守ろうとされていると思いますが、私たちのものは、むしろ、もうちょっと、当面具体的な案件として想定できることであればこれでいけるのではないか、こういう議論をしていますが。

 いずれにせよ、平和安全法制に対する不安感があって、野党の言い方も問題があると思いますが、九条改正、憲法改正についてのさまざまな懸念が出ているわけでありますから、私は、この自民党の存立危機事態の概念、今さらっと防衛大臣御答弁されましたが、我が党の米軍等防護事態の概念、こういったものも、改めて、九条の改正の発議に先立って、並行して、ほかの野党のような、暴れたりはしませんから。かつ、やはりこの議論は機微な話が多いと思います。少なくとも、共産党がいるところで話ができるテーマではないと思います。

 ぜひ、これは党の話ですが、党対党でしっかりと、憲法改正の議論に並行して、平和安全法制の概念についても議論を、自民党と維新の会、自公と維新の会でしっかり議論していく、そして憲法改正、九条の改正に臨んでいく、これが大事だと思います。

 総理、一言お願いします。

安倍内閣総理大臣 平和安全法制の審議に当たっては、当時の維新の党の皆さんには危機感を共有していただき、具体的な対案も出していただいたわけであります。残念ながら合意には至りませんでしたが、責任感ある誠実な対応には改めて敬意を表したいと思います。

 他方で、今国会においてはいまだ法案は提出されていないものと承知をしておりまして、御党のお考えを十分に理解しないまま、政府として御党の御提案を批評することは適切でないと考えております。

 政府としては、平和安全法制がベストのものと考えておりますが、安全保障をめぐる状況は一層厳しさを増しており、政党間で将来に向けた政策論争を行うことは大変意義のあることである、このように考えています。

足立委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、憲法改正が安倍政権の最重要テーマの一つと承知をしていますので、我々も、我々の立場からしっかり論戦を挑みながら、国民のためになる、日本のためになる憲法改正の議論、論戦を闘わせていく所存でございます。

 憲法改正のもう一つのテーマが、教育無償化でございます。

 これはどこかで野党の方も出されていたかもしれませんが、よく維新以外の野党の方が、無償化の前に全入化だとか、待機児童解消もできないで無償化とは何事かというようなことをおっしゃいますが、私は、無償化に先立って、あるいは並行して全入化を図るのは当然だと思いますよ。

 だからこそ政府も三十二万人という数字で、また前倒しをしてこういう計画を出されているんだと承知をしていますから。安倍政権、まあ、もともと我々が言い出しっぺですから、当時、橋下代表率いる日本維新の会が、教育無償化こそ次代に日本を引き継いでいく、引き渡していくに当たって最重要の、また国力を高めていく上で最重要のテーマだということで提案をしてきたテーマでありますが、ちょっと一つ懸念をしているのは、この三十二万人、これはいろいろな就業率、女性の就業率とかでずっと計算しているんです、推計しているんです、そもそも無償化の影響が入っていないんじゃないですか。

加藤国務大臣 今、幼児教育無償化の待機児解消に対する影響というお話がございました。

 今回の幼児教育の無償化は基本的に三歳から五歳を対象にしているわけでありまして、もう既にその九割以上、認可施設、幼稚園、保育園あるいは認可こども園、こういったことを利用しているわけでありますので、無償化しても待機児童への影響はそう大きくないのではないかというふうに判断をしております。

 それから、ゼロ歳児から二歳児については、これは待機児童の問題がありますから、これにしっかりと対応していくことは非常に大事なことでありますけれども、ただ、無償化については住民税非課税世帯に限定をしているところでございますので、そういったところを考えますと、トータルとして無償化そのものがこの待機児童に大きく影響するというふうには考えていないということであります。

足立委員 今の御答弁は、無償化をしてもこの三十二万人は、ちょっともう一回、大臣、一言で言えば、国民の皆様にわかっていただく必要があるので、一言でもう一回、繰り返し同じ御答弁でいいんですが、一言で言うと、この三十二万人の推計に無償化の影響はカウントしていない、ただ、大臣からおっしゃったのは、そもそも影響は小さいからカウントしていないんだ、こういうことですね。

加藤国務大臣 子育て安心プランを作成した時点においてはまだ無償化の議論はここまで出てきていなかったというふうに承知をしておりますけれども、それで、今、女性の就業率がどう上がっていくのか、あるいはそうした中で利用がどう進むのか、そうしたことを前提に三十二万という数字を出したわけであります。

 その後、無償化を進めていくということでありますけれども、ただ、先ほど申し上げたように、無償化そのものを、三歳から五歳あるいはゼロ歳から二歳、そうした状況がございますので、無償化自体の影響が待機児童解消にそう大きく影響するものではない、こういうふうに考えています。

足立委員 今の御答弁でも、カウントしていない、そもそも無償化の議論をする前につくった数字だ、こういうことです。

 大臣が影響は小さいとおっしゃるんだけれども、それは国民はわかりません。ぜひ、小さくてもいいので、再度、無償化の影響、だって無償化するんでしょう、無償化の影響を加味した待機児童解消の目標、数字は同じでもいいですよ、再度精査をしていただくことはできませんか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、それほど大きな影響はないだろうというふうに判断をしているわけでありますけれども、いずれにしても、実際、受皿を整備していくには、主体である市町村がそれぞれ、必要な潜在ニーズあるいは待機児童の状況、これをもって受皿整備をしていくわけでありますし、また、そうした状況把握というものをしっかりやってほしいということも先般申し上げ、そして、私どもとしては、そうした市町村の取組に対しては国としてしっかり支援をしていくということでございます。

 したがって、今の段階で改めて待機児童解消プランを見直すという考えはございません。

足立委員 せっかく大きな仕事をするというときに、多少労を惜しまずやっていただいた方がいいと思いますが、今大臣がおっしゃったとおりですよ。自治体が全部実態をわかっているんです。だから、厚労省も関係省庁も自治体に改めて調査をかけているんです、ずっと。

 だから、私たち維新の会は、憲法改正に教育無償を書くべきだということでずっと打ち出していますが、決して今のように、今、安倍政権がやられているように、国が全てお金も、お金も結局交付税で裏はやるわけですから、お金も数字も国がはじくというのは私はそもそも無理があると思っているんです。

 むしろ、憲法で地方公共団体に無償化と全入化の両方を、全入化といっても希望者ですよ、希望者については全入かつ無償化にするということを義務づければ、財源を生み出すために地方公共団体の無駄、行財政改革も進むし、いろいろな、総理が先ほどおっしゃったように、この教育無償化は経済への刺激にもなるし、もういいことずくめですよ。

 だから、私は、やはり私たちが提案したとおり、憲法において地方公共団体に義務づける。まあ、法律でもいいですよ。でも、憲法に無償化と書く、そういう当初我々が考えたとおりのことをやっていただければ、今みたいに、国は幾らだと数字を推計しているんだという質問は国会でやる必要がなくなります。ぜひお願いをいたしたいと思います。

 次に、大学の改革であります。

 これは、安倍政権が人づくり改革で出してこられた無償化の対象大学の要件です。

 いやあ、びっくりしましたね。大学に線引きするんですね、初めて。この線引きに入る大学は無償にする、この線引きに入らない大学は無償にしない。無償にしないということは、その生徒さん、学生さんがその大学を出ても、人生にプラスにならないということですよ。そうでしょう、麻生大臣。

 だから、こういう大学は早く潰した方がいいんじゃないですか。だって、ここに書いてあるのは、そもそも、法令にのっとっていないとか、成績を管理していないとか、内部で、内輪でやっているとか、実務がわかっていない、よくわからぬ先生だけだとか、大体、こんな大学が日本にうじゃうじゃあることの方が問題じゃないですか。

 なぜ、無償化の議論をするまでこんなものをほったらかしにしていたんですか。

林国務大臣 昨年末に新しい経済政策パッケージというのを取りまとめましたが、これは、所得が低い家庭の子供たちや、真に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を実現するということで、授業料の減免措置の拡充とあわせて、給付型奨学金の支給額を大幅にふやすということにいたしましたので、今回の支援措置は、大学での勉学が就職に結びつくということによって格差の固定化を防いで、支援を受けた子供たちが大学でしっかりと学んだ上で、社会で自立し活躍できるようになることを目的としておるわけでございまして、支援の対象となる大学については、その目的に鑑み、実務経験を有する教員や外部理事の登用など一定の要件を満たすことが必要である、こういうふうに考えております。

 一方、大学は就職することだけが目的でない部分もあると思いますが、こちらの方も、やはり大学改革というのは待ったなしの課題だと思っておりまして、昨年、中教審の方で我が国の高等教育の将来構想については既に諮問をしておりまして、しっかりと質保証していくための改革はそれで進めていきたいと思っております。

足立委員 ここに書いてある基準はそれ以前の問題が多いと思いますので、私は、これを機に、大学改革、アクセルを踏んでいただきたいと思います。

 それでは、最後になるかもしれませんが、議員年金ですね。

 きょう、これも、希望の党の玉木雄一郎議員が国民年金の話をされました。でも、希望の党は地方議員年金賛成なの、青柳さん。(発言する者あり)希望じゃないの。よくわからないんですよ。みんな、わからないですよね。ちょっと、名札をつけておいてもらった方がいいんじゃないですか。名札じゃない、党名の札をね。

 議員年金は、僕らの主張は、ごめんごめん。失礼。関係ないか。僕に怒っているのじゃないのか。地方議員年金について、我々がいかがなものかと言っているのは、先ほど総理もおっしゃった、国民年金で老後を全部、生活を安心してできるわけでもないというような、もともと国民年金の出自というか制度ができてきた経緯もありますから、それはなかなかそうは言えないんだけれども、たくさんの国民の皆様が、国民年金、少額の年金でどうしようということで悩んでいらっしゃる、そういう中で議員だけが先にやるのはいかがなものかということが最大の我々のポイントなんです。

 だから、例えばこの一番上にある大阪維新の会茨木市議団、これは私の地元の市会議員の皆さんです、お名前も書いていますが、彼らは、自分たちが提出者となって、ちょっとアンダーラインを引いてあるところ、彼、彼女らは、同志の仲間は、年金制度だけを先行させることは議員だけを特別扱いする議員特権復活と言われても仕方がない、むしろ選挙制度とかいろいろなことを検討した方がいいよというものを可決しています。総務省にも届いていると思います。

 これはすごい大事なことで、議員になり手のない例えば郡部の村とかで、議員がいないんだったら、よく、ふるさと納税というのがあるじゃないですか、ふるさと納税じゃなくて、ふるさと議員というのをつくったらいいんですよ。

 私どもの松井代表、大阪府知事がよく記者会見で提案しているのは、要は、もう村の議会は例えば週末議会にして、あるいは夜間議会にして、働いている人、あるいは都会に出ちゃっている人でも、ふるさとの行政を真っ当にするためには働きたいという人がいるんだけれども、今はできないですよ、居住要件があるから。市長さんには居住要件はないんだけれども、議員さんにはあるんですよ。

 だから、そんないろいろな制度改革をしようねということが茨木市議会で可決されていますが、こういうのを可決されているのは私の地元の茨木市議会だけであります。日本じゅうの千以上の地方議会が厚生年金加入に賛成という意見書を出しています。全国で一千七百の地方公共団体がありますが、そのうちの千以上の地方議員の方がつくってくれと言っているんですね。

 なぜ地方議員の方がこの地方議員年金をつくってくれと言っているか、わかりますか。給料に換算すると、毎月十万円アップに相当するお金が入ってくるんですよ。よく、みんな、議員報酬、議員報酬と言っていますが、この厚生年金に加入すると、地方議員の給料は、市によっては十万円アップします。それぐらいの税金が、市税、府税、国税から政治家に回るというのがこの地方議員年金の復活なんです。

 それは、先憂後楽を掲げる日本維新の会、大阪維新の会としては認められないということで、府議団が、この次ですけれども、厚生年金加入については断固反対するという意見書案を出しましたが、自民党に反対をされて、大阪の自民党ですよ、反対をされて、成立をしませんでした。

 かわりに成立したのがその下ですよ。ちょっと、総理もこれをぜひ見てください、総理、これ。官房長官もぜひ見てください。自民党大阪府連と大阪府議団はこういうのをつくったんですよ。同じ時期にですよ。特権的な地方議会議員年金制度には断固反対する。中身を見てください。かつての議員年金の復活は反対する。

 でも、かつての議員年金なんて今議論されていますか。されていません。今されているのは厚生年金加入なんです。大阪の自民党というのはこういうことをやるんです。わかりますか。

 意味のない、我々維新の会はこれに反対をしました。当たり前ですよ。こんなおためごかしの、共産党もびっくりの、この有権者だましのこういう意見書を提出して、公明党さんとかも何か賛成したらしいですけれども、見識を疑いますが。

 それで、彼らの言っていることが恐ろしいですよ。これに反対した維新の会を取り上げて、僕たちは反対しているのに、大阪維新の会はその反対意見書に反対しているんだと言って、大阪府民に、維新が悪いと言って、プロパガンダでやっているんですよ。ひどい政治集団ですよ。私は、大阪の自民党というのは、やっていることは共産党以下。だって、これを見てくださいよ。小熊さん、これはおかしいでしょう。

 総理、こういう意見書を出しているのは、全国広しといえども大阪府議会の自民党だけ。

 これは何か質問を用意していたかな。総務大臣、ちょっと御感想を。

野田国務大臣 全国地方自治体、とりわけ、人口減少とか高齢化のところでは、なり手不足が深刻だということは私も承知していますし、実際にそういうお話を伺って、総務省の中でも、今後のあるべき議会、地方議会をどうするべきかという勉強会を立ち上げているところです。

 ただ、今の話もなり手をつくる一つの考え方かもしれませんが、例えば女性がほとんど地方議会ではなっていないこととか、また兼業についての議論とかさまざまな、総合的に判断して、委員の皆様方に結論を出していただければいいんじゃないかと思います。

足立委員 もう時間ですので、総理、官房長官にまた大阪自民党を御指導いただくようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

河村委員長 終わりに当たり、足立君に委員長として申し上げます。

 足立君。自由闊達に意見をおっしゃることは大いに結構でありますが、公党である他党を誹謗中傷しかねない発言については十分注意していただきたいと思います。

足立委員 はい。注意しますが、事実ですので、よろしくお願いします。

河村委員長 次回は、明六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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