衆議院

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第10号 平成30年2月13日(火曜日)

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平成三十年二月十三日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    岩屋  毅君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    尾身 朝子君

      金田 勝年君    古賀  篤君

      佐藤ゆかり君    竹本 直一君

      冨樫 博之君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平井 卓也君    平沢 勝栄君

      星野 剛士君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    八木 哲也君

      山口  壯君    山本 幸三君

      渡辺 博道君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    池田 真紀君

      岡本あき子君    落合 貴之君

      長妻  昭君    日吉 雄太君

      山内 康一君    井出 庸生君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      小熊 慎司君    階   猛君

      関 健一郎君    森田 俊和君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      浜地 雅一君    原口 一博君

      広田  一君    藤野 保史君

      宮本 岳志君    遠藤  敬君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   法務大臣         上川 陽子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (人づくり革命担当)   茂木 敏充君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   中村 昭裕君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            金杉 憲治君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    岡本 薫明君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木村  聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         田村  計君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    中島  敏君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十三日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     八木 哲也君

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  古賀  篤君     尾身 朝子君

  佐藤ゆかり君     小田原 潔君

  宮下 一郎君     藤井比早之君

  山本 有二君     冨樫 博之君

  岡本あき子君     長妻  昭君

  落合 貴之君     日吉 雄太君

  山内 康一君     池田 真紀君

  井出 庸生君     森田 俊和君

  稲富 修二君     関 健一郎君

  大西 健介君     階   猛君

  後藤 祐一君     今井 雅人君

  中野 洋昌君     浜地 雅一君

  篠原  孝君     広田  一君

  藤野 保史君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  小田原 潔君     佐藤ゆかり君

  尾身 朝子君     古賀  篤君

  冨樫 博之君     山本 有二君

  八木 哲也君     石破  茂君

  池田 真紀君     山内 康一君

  長妻  昭君     岡本あき子君

  日吉 雄太君     落合 貴之君

  今井 雅人君     後藤 祐一君

  階   猛君     大西 健介君

  関 健一郎君     稲富 修二君

  森田 俊和君     井出 庸生君

  浜地 雅一君     中野 洋昌君

  広田  一君     篠原  孝君

  宮本 岳志君     藤野 保史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、内閣府政策統括官中村昭裕君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、消費者庁次長川口康裕君、総務省統計局長千野雅人君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省入国管理局長和田雅樹君、外務省アジア大洋州局長金杉憲治君、財務省主計局長岡本薫明君、財務省主税局長星野次彦君、財務省理財局長太田充君、厚生労働省労働基準局長山越敬一君、厚生労働省社会・援護局長定塚由美子君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、経済産業省大臣官房審議官木村聡君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、国土交通省土地・建設産業局長田村計君、海上保安庁長官中島敏君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 本日は、経済問題等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 冒頭、雪害が発生をしている地域の皆様に心からお見舞いを申し上げます。政府には、ぜひしっかりと御対応をいただきたいと思います。

 さて、総理、韓国出張お疲れさまでした。率直に言って、総理の平昌オリンピックへの御出席には、自民党の中でさまざまな意見がありました。

 ここで、総理に、この出張によって具体的にどのような成果が得られたのか、まず御説明をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日韓首脳会談では、文在寅大統領に対し、日韓合意は最終的かつ不可逆的な解決を確認したものであり、国と国との約束は二国間関係の基盤であるとの日本の立場を明確に、かつ詳細に伝えました。また、未来志向の日韓関係をつくり上げていかなければならないとの認識を共有いたしました。

 北朝鮮問題について、私から文大統領に、対話のための対話には意味がないことをはっきりと伝えました。北朝鮮にその政策を変更させ、北朝鮮の側から対話を求めてくるよう、日韓米の緊密な連携のもと、圧力を最大限まで高めていくことで一致をいたしました。

 さらに、レセプションの機会を捉えて、北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長に対し、私から拉致問題、核・ミサイル問題を取り上げ、日本側の考えを伝えました。特に、全ての拉致被害者の帰国を含め、拉致問題の解決を強く、直接、金永南氏に求めたところであります。

 平昌オリンピックの開会式に同じアジアのリーダーとして出席をし、その成功に向けて協力するとともに、選手村を訪問しまして、直接、日本選手団を激励し、女子アイスホッケーの試合を観戦して日本チームの応援をしたところであります。ぜひ、日本選手団には大活躍をしていただき、この機運の盛り上がりを二〇二〇年の東京オリンピックにつなげていきたいと考えています。

 今回の訪韓は、韓国及び北朝鮮に対し我が国の立場を直接伝える観点からも、平昌オリンピックの盛り上がりを東京大会の成功につなげていく観点からも大変有意義であった、このように考えております。

 なお、文在寅大統領に対しましては、日韓合意について、あの決断の際にも私に対してさまざまな厳しい批判があったことを伝えたところであります。しかし、その際、外交においては、リーダーが決断をしなければ、ある程度批判されることを含めて甘受しながら決断をしなければ、未来志向の両国関係は築けないのではないかということも申し上げたところでございます。

柴山委員 大変厳しい中での御出張だったと思います。

 きょうは、経済問題に関する質疑で、グローバル社会との関係で、外国人労働者の問題について総理に伺いたいと思います。

 総理は、国会でたびたび、安倍政権においては移民政策をとらないと明言をされておりますけれども、空前の人手不足の中で、外国人労働者数は、平成二十五年の七十二万人から平成二十九年には百二十八万人と急増しております。もちろん、女性や高齢者の方々に御活躍をいただき、また、人工知能やITなどの技術革新も進めていかなければいけないわけですけれども、こうしたニーズはまだまだ根強いと考えます。

 かつて、パスポートの取上げやパワハラなどで非常に問題点が指摘をされてきた外国人技能実習制については、介護への職種拡大や管理の改善などの法改正がなされましたけれども、依然として、母国に帰って活躍していただくための制度であります。

 海外からの留学生などの資格外労働、日本人との結婚や定住などによる在留資格の取得、こうした方々や建設業での臨時措置などで現場はしのいでいますけれども、ここで高度人材や農業などを安定的に受け入れていく制度を求める声が大変強くなっている、そう感じています。

 もちろん、対象国ごとに、また職種ごとに、あるいは受け入れる側の我が国の地域ごとに、きめの細かいニーズの把握としっかりとした在留管理が必要と考えますけれども、この点について、厚労省そして法務省の取組をお伺いします。

加藤国務大臣 技能実習についてはいろいろと問題点も指摘をされておりましたので、改めて新たな技能実習制度を構築することとし、昨年十一月から、監理団体については主務大臣による許可制、技能実習計画は個々の実習生ごとの認定制、技能を評価する試験の受検を必須化、あるいは外国人技能実習機構を設立をして実地検査等を行う体制整備、こういったことを行い、技術移転による国際協力を推進するための制度の適正化を図ることとしております。

 また、機構及び主務大臣は、実地検査等によって問題があれば、監理団体や実習実施者に対して適切に指導しているところでございますし、それから、先方の送り出し国においてもいろいろな問題が指摘をされましたので、今回の制度では、送り出し国との間で二国間の取決めを作成をし、この取決めによって送出国政府において適切な送り出し機関が認定され、そこから送り出しをしていただく、こういう制度をつくっているところでございまして、いずれにしても、この技能実習制度の趣旨、これを踏まえて、適切な運営がなされるように取り組んでいきたいと思います。

上川国務大臣 高度な能力を有する外国人の受入れの促進は大変重要な課題でございます。

 法務省といたしましては、平成二十四年の五月から高度人材ポイント制を導入いたしまして、出入国管理上の優遇措置を実施し、その受入れを促進をしているところでございます。

 また、平成二十九年の四月には、特に能力の高い外国人を対象にいたしまして、永住許可に要する在留期間を一年に短縮する日本版高度外国人材グリーンカード制度を創設をいたしまして、昨年九月末までに三十二名に対しまして永住を許可したところでございます。

 委員御指摘の在留管理の大切さということでありますが、受け入れた後もしっかりとした在留管理を行うこと、これにつきましては、法務省といたしまして、平成二十四年から新しい在留管理制度を実施をし、在留期間中においても外国人本人等から所属機関の変更等に係る届出を求める制度を創設をいたしまして、外国人の在留状況等をきめ細やかに、かつ継続的に把握する制度を構築し、厳格な在留管理を実施しているところでございます。

 今後、一層の制度の高度化を図り、点から線の在留管理を確立をし、外国人の就労状況等を迅速かつ確実に把握していく所存でございます。

 在留管理とともに、また地域における外国人への行政サービスの向上を図る等の在留支援を行い、安全、安心な共生社会を実現していくことが必要であると考えておりまして、関係府省と連携をし、適切な在留管理、支援ができるよう、努めてまいる所存でございます。

柴山委員 制度の方は大分進んできたということなんですけれども、現場を見ると、実は、いろいろなまだ不都合が発生をしていると思います。

 例えば、私の地元などでも外国人労働者に対するニーズは大変高いわけですけれども、この間の外国人の働いておられる方々を地域別にプロットすると、東京に三割の方が集中をしているんですよ。そして、さっき、送り出し国というお話がありましたけれども、約三割の外国人労働者は中国人でいらっしゃいます。こういった中で、本当に求められる人材をいかにきめ細やかに管理をし、そしてマッチングをしていくかということは、実は非常に難しい。

 それと、あともう一つ。外国の方々が、そのお住まいになっているところで、今も少しお話があったんですけれども、住んでいる自治体やその子女が通う学校でうまく溶け込めていない、また、場合によっては、行方不明になる方々もたくさん発生をしている、生活に困難な状況がいろいろと散見される。それは、外国人の側からも、地域の住民の方からも寄せられる声であります。

 ところが、今おっしゃったように、法務省の支援ですとか、あるいは文部科学省による日本語教育の支援ですとか、各省の支援、メニューはあるんですけれども、自治体の窓口が、そういったところとのうまいパイプ役になっていない、ワンストップ化ができていない。結局は、そういった方々を支援する団体、NGOなどの団体、そういうところが今非常に汗をかいている、こういうような状況にあるわけです。

 ここはやはり、しっかりと実態に即した省庁横断型の政治主導を行っていかなければいけないというように考えるんですけれども、総理、どのようにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 労働力人口が減少傾向で推移する中、経済成長を実現していくためには、働き手の確保と生産性の向上が重要であります。我が国の活力を維持するためには、あらゆる場で誰もが活躍できる全員参加型の社会を構築することが必要です。

 その上で、外国人労働者の受入れについて申し上げれば、専門的、技術的分野の外国人は我が国の経済社会の活性化に資するという観点から、積極的に受け入れてきており、多くの外国人に活躍をしていただいています。

 政府としては、今後の外国人材受入れのあり方については、経済社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、内容の具体化の検討を着実に進めていきます。その際、受け入れた外国人材が、地域における生活者、社会の一員となることも踏まえ、先ほど柴山議員が御指摘になっているような実態等々もしっかりと踏まえながら、幅広い観点から検討する必要があると考えています。幅広い観点から検討していく上で、党においてもよく議論を進めていただきたいと思います。

 なお、安倍政権として、繰り返しになりますが、いわゆる移民政策をとる考え方はないということでございます。

柴山委員 よろしくお願いします。

 次に、企業統治、いわゆるコーポレートガバナンスについて伺います。

 総理は、施政方針演説の中で、コーポレートガバナンス改革をしっかりと打ち出しておられます。このコーポレートガバナンス改革というのは、果敢な経営判断を外部の目から後押しをする、こういったアクセルの面と、不祥事を未然に防ぐ、そういったブレーキの側面と、両面あると思っております。

 金融庁においては、責任ある機関投資家の諸原則、すなわちスチュワードシップ・コードの策定とともに、このコーポレートガバナンス・コードの適用を開始されました。そして、それ以降、フォローアップ会議ですとか有識者検討会議ですとか、本当に熱心に取り組んでいただいておりまして、それが、なれ合い経営を生んできた株式の持ち合い比率の低下などにつながってきていると私は評価をさせていただいております。

 ただ、そんな中でも、これまで、東芝の不正会計、シャープの債務超過、神戸製鋼や三菱マテリアルのデータ改ざんなど、日本を代表する企業の不正が発覚をし、取引先企業にダメージを与えたり、我が国のコーポレートガバナンスに対する信頼を揺らがせるような状況が生じております。

 麻生大臣、こういったことの理由は一体どのようなところにあると考えますか。

麻生国務大臣 柴山先生御指摘のように、いわゆる日本を代表するような上場企業というものにおいて最近さまざまな不祥事が発生をしておるんですが、これは個々の事案ごとにその要因が少々異なっておりますので、そういった意味では、原因を一律に申し上げることは困難だと存じますが、一般論として申し上げれば、コーポレートガバナンスのいわゆるガバナンスコードへの対応が形式的なものにとどまっているという点で、必ずしも実践的というか実効的なガバナンスというものになっていないのではないか、機能していないのではないか、そういった場合も少なくないと考えています。

 したがって、これをより実効あらしめるためにせないかぬということで、現在、金融庁の有識者会議において、投資家と企業家、経営者の対話というものが、ガイダンスの策定と、これに伴って、いわゆる必要なコーポレートガバナンス・コードというものの改定に向けて、今検討を進めさせていただいております。

 したがって、金融庁としては、引き続きこのガバナンスの改革に向けた取組というものを継続させてまいりたいと考えております。

柴山委員 今まさしく大臣がおっしゃったように、形だけ整えてもしようがないんですね。

 改革の一つの柱は、社外取締役の選任、こういったところであったわけなんですけれども、確かに多くの上場会社が複数の社外取締役を置くようになったんですが、なり手がなかなかいなくて、有能な方には何社からもオファーがある、みんなかけ持ちでやっている。一方で、業務内容とは全然関係ない分野の学者を招いたり、あるいは、取締役として法的責任が発生するにもかかわらず、名前だけ貸してよと言われて就任したり、そういう事例もあるというように聞いています。

 社外役員をしっかりと人材育成していかなければいけないと思っておりますし、そういった取組、経産省もいろいろと研究されているというようにお伺いしますが、端的にお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 本当に社外取締役になる人材が不足をしていまして、一部の著名な経営者に集中して、一人で五社、六社やっておられる方もいて、そうなると、取締役会の日程の調整だけで大変なことになっちゃったりとか、あるいは、ただでさえ日本の上場企業は株主総会が六月後半に集中していますので、そうなると、その社外取締役のとり合いで株主総会の日程がなかなか決められないというような問題も出てきております。

 ただでさえ、五社、六社兼務すると、社外取締役として、きちっと取締役会でいい話をして、経営陣に対してきちっと指導監督をしようと思ったら、やはり何日も前から勉強もしなければいけないわけでありまして、そうすると、五社、六社となってくると、もうその限界を完全に超えていると思います。

 じゃ、人材のプールがないかというと、いいプールがあるんですね。それは、各社の引退される社長、会長さん、この方々が、今は同じ会社の相談役とか顧問とかになっていますが、こういう方々にぜひほかの会社、ほかの業界の社外取締役になっていただければ、別の大企業での経営経験とか人事の経験とかを生かしていいアドバイスができると思いますし、毎年人事で退任される方々はたくさんいらっしゃいますから、そういう方々に積極的に他社の社外取締役を受けてもらうように、経産省としても後押しをしていっているところでございます。

柴山委員 ありがとうございます。

 もう一つ提案があるんですけれども、一部報道にもあったんですけれども、組織でおかしいと思うことは、現場で発生しても、上層部ににらまれるのが怖くて現場からなかなか上がってこない、で、いきなり内部告発という形で報道機関だとか当局にばんと出ちゃう、そういうような実態もあります。

 内部通報保護制度を変えていく必要があると思うんですけれども、今、取組はどのようになっていますか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 企業内部の問題に関する情報を企業が従業員から速やかに入手することによりまして組織の自浄作用を高めるために、多くの企業が内部通報制度を構築されております。これはコーポレートガバナンスの重要な構成要素としても位置づけられているところでございます。

 企業における自浄作用、法令遵守に係る取組を強化するためには、各企業が運用する内部通報制度の質を一層向上させていく、これが必要であると考えているところでございまして、消費者庁では、社外取締役の通報ルートなど、経営幹部から独立性を有する通報受け付け、調査、是正の仕組みの整備を含めまして、実効性の高い内部通報制度の整備、運用を促すための民間事業者向けガイドラインを策定しております。その一層の周知徹底を図るとともに、このガイドラインに沿った質の高い内部通報制度を整備する事業者を評価する新たな認証制度の導入も検討しております。

 さらに、制度の実効性向上のため、内部通報制度を含む公益通報者保護法の規律のあり方、行政の果たすべき役割等に係る方策を検討するため、消費者委員会への諮問を行ったところでございます。

 引き続き、内部通報制度の質の向上に向け、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

柴山委員 ありがとうございました。

 次に、投資の側面からデータを示したいと思います。

 このパネル一をごらんください。

 これは、去る二月二日、年金積立金管理運用独立行政法人、すなわちGPIFが、平成二十九年度の十―十二月期の運用状況を公表したものです。ここにあるとおり、収益率が三・九二%、収益額六・一兆円、自主運用開始以降の累積運用収益は六十九兆円にも上りまして、年金の健全性に大きく寄与することとなっております。

 この積立金の運用については、野党の皆さんからは、何だ、株で運用するのかと批判も多かったんですけれども、しっかりとこうやって結果が出ているわけなんですね。

 ただし、最近の不安定な相場に見られるとおり、景気に左右されることも事実ですから、長期的な視野に立った運用によって年金財政を確保していくということが必要だと考えますが、厚労大臣の見解をお聞かせください。

加藤国務大臣 運用の実績は、今委員指摘していただいたとおりであります。

 その上で、保険料を原資とする年金積立金は、将来の給付にとっても大変貴重な財源でもあります。また、それは被保険者からお預かりしている、そういったものでもあります。

 この運用は、法律に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされておりまして、これを受け、GPIFにおいても、年金積立金を幅広い資産、銘柄に分散投資を行い、長期的な視点に立って運用を行っているところでございます。

柴山委員 長期的な観点で運用するのに、今注目されているのがESG投資ですね。Eは環境、エンバイロンメント。Sはソーシャル。女性活躍ですとか、今、実質賃金が上がらないといいますけれども、ブラック企業はだめです。それから、ガバナンスのG。やはりコーポレートガバナンスをしっかりやっているところ。こういったところにしっかりと投資を広げていっていただける、GPIFがそのリーダーとなることを期待していますし、また、中小企業年金などにも広げていくように努力をお願いをしたいと思います。

 最後、ちょっと時間が足りなくなってきましたけれども、そのまさしくいい環境に関係する、再生可能エネルギーの普及についてお伺いします。

 私は、自民党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の会長を拝命をしております。また、私の地元所沢でも、マチごとエコタウン構想など、再生可能エネルギー普及の取組を積極的に行っております。

 それで、日本では、二〇三〇年の再エネ普及目標は全体の二二から二四%となっておりますけれども、ここにあるとおり、既に平成二十八年度には一五・三%になっているんです。これは五年前の一・五倍です。その一方で、同じく二〇三〇年、二〇%から二二%の普及を目標としている原子力発電、これは一番下のネズミ色のラインでわかるとおり、わずか一・七%なんですね。

 今の技術革新によるコスト低下、あるいは水素活用、そういったことも考えると、今我々が持っているエネルギー目標は、再エネの拡大に大幅に目標を修正するべきと考えますが、世耕大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 再生可能エネルギーの導入については、これはもう国の閣議決定された方針として、国民負担を抑制しながら、最大限の導入に努めるということであります。

 今委員御指摘のように、近年、急速に再生可能エネルギーの導入は進んでいるというふうに思います。

 ただ一方で、その裏で、やはりFIT制度によって、国民負担は今年度二・一兆円分になっております。

 あともう一つは、やはり調整電力というのを確保しておかなきゃいけない。結構変動がありますから、それをカバーする電力が必要ということになります。原子力が、今御指摘のように、まだ低いレベルにとどまっている中で、やはりそこは、火力発電ということは、化石燃料に頼らざるを得ないという問題点もあるわけであります。

 こういう問題点を、例えば、今おっしゃったように、水素による蓄電技術などによってカバーをしながら再生可能エネルギーを最大限導入をしていくということは非常に重要だというふうに思いますが、まずは、今、二二から二四というエネルギー基本計画の目標、これだけでも、水力を除くと、今ある再エネを倍にしなければいけないというかなり野心的な目標ですから、まずはこれをしっかりと達成する努力をしていきたい。

 その上で、別にこれは上限というつもりはありませんので、更に技術革新、コストダウン等で進められるのであれば、更に進めていくということになると思います。

柴山委員 時間が過ぎました。

 以前、世耕大臣がおっしゃったとおり、その不安定な再エネを調整するために、欧米で行われているコネクト・アンド・マネージという調整制度を検討しているということですけれども、既存電源、火力や原子力もしっかりと含めたコネクト・アンド・マネージ制度を構築していただくことを心からお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて柴山君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。長妻昭でございます。

 平昌オリンピック、日本選手の活躍、メダルが続いておりますけれども、さらなる活躍を期待するものでございます。

 そして、政府に、安倍総理含めてお願いがあるのでございますけれども、これは年金の問題でございますが、昨年の八月から、年金の受給資格が、年金保険料を延べで十年以上の支払いをされる方に受給ができるということになりました。

 日本はこれまで、延べ二十五年年金保険料を払っていないと一円も年金をもらえない、世界でも相当厳しい要件だったものが、十年以上払えば支給されるということで、無年金の方々に対して相当な朗報だと思います。

 これは民主党政権で法案を提出して、それを与党も受け継いでいただいて、そういう形に相なったわけでございますが、しかし、多くの方がまだ申請に来られておられないということでございます。

 これは空期間もありますので、無年金の方は一応、全ての無年金の方が年金事務所にぜひ相談をしていただきたいし、政府としては告知をもっとしていただきたい。もらえる方でもらっていない方が大変多いということも、テレビ、ラジオを聞いていただいている方にも申し上げたいと思いますので、政府もよろしくお願いをいたします。

 そして、この連休中にニュースがありました。日銀総裁が続投する、こういう断定的な報道がございましたけれども、総理、これは真意はどういうものなんですか。

安倍内閣総理大臣 まだ、日銀総裁の人事は全く白紙でございます。

長妻委員 これは断定的に報道が各紙で出て、情報管理の問題があるのかないのかわかりませんけれども、いずれ、日銀総裁の件については、国会同意人事ですから、議論があるというふうに思います。

 二〇一三年三月、黒田総裁就任のときに、物価上昇率二%を二年程度で実現すると公約をされましたけれども、それがいまだに達成されずに、六度も、六回もその達成時期を先送りしたというようなこと。そして、日銀の国債保有額が国債総残高の相当数を占めるようになってしまったということで、国債の健全な市場機能が損なわれている。あるいは、副作用も顕在化しつつあるのではないのか。いわゆる財政ファイナンスになっているのではないのか。

 これは相当な議論が必要だと思いますので、ぜひ総理におかれましては、この二%の物価上昇の目標の是非も含めて、きちっと、その手法も含めて、検証しないままの続投というのは、これはあってはならないと思っておりますので、ぜひ検証も、政府がまず検証結果を国会に提出をして、そして国会でもきちっとした議論をしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、森友学園の問題を質疑をさせていただきたいと思います。

 これも、先週の金曜日でございますか、突然、森友学園事案についての法律相談の文書、こういう分厚いものが国会に出てまいりました。これはちゃんと製本されているんですかね、きれいに。こういうものは、もっと初めに出していただきたかったわけでございます。

 新たな文書、二十件で三百ページでございますけれども、会計検査院の検査が終わったら、我々が求めていた資料がどんどん出てくるじゃないですか、国会に。何で検査前に出さないんですか。小出しに小出しに出して、我々も、こういう新しい資料が出てくると国会でやはり質問せざるを得ないし、あのとき何でこれを出してこなかったのかということは、強く抗議を申し上げたいと思います。

 その上で、安倍総理にお伺いしたいのが、佐川国税庁長官の人事についてでございますけれども、たびたび国会でも言及されておられて、国税庁長官の人事については最もふさわしい人材を配置するということで、佐川さんが国税庁長官に最もふさわしい人材だというふうに国会でおっしゃっておられるわけでございますけれども、これは、今もその思いには変わりはないんでございますか。

 いや、総理がおっしゃっているから。総理が、適材適所で最もふさわしい人材だと、参議院の本会議で昨年の十二月四日にもおっしゃられています。今も総理はそういうふうにお考えになっておられるのかという、総理の御意見を聞いているんです。いや、総理の御意見を聞いているんです。

 いやいや、ちょっと待ってください。総理が、最もふさわしい人材だというふうに佐川さんのことをおっしゃっておられるので、それは今も変わっていないんですかと。いや、変わっておられるんだったら変わったというふうにおっしゃっていただければ、それは私も歓迎する答弁になるわけですよ。(発言する者あり)その手には乗らないって、これはゲームじゃないんですよ、菅原理事。何を言っているんですか。

河村委員長 先に、任命権者、財務大臣。

麻生国務大臣 国税庁の長官人事につきましては、これも全て他の人事と同じくでありまして、それぞれのポストにふさわしいということで、適材適所ということで配置する考え方に基づいて行っておりますし、具体的に、以前、国税庁の次長をやっておりますし、大阪国税局長をやっておりますし、徴税分野に関する経験とか、また、主税局の審議官など、いわゆる税制の企画立案の経験も豊富であることに加えまして、多種多様な課題の解決に当たってきた人物でありますので、国税庁長官としては適任だと判断したものでありまして、事実、国税庁長官としての職務を適切に行っていると考えておりまして、その職責を果たしてもらいたい、そう思っております。

安倍内閣総理大臣 財務大臣から答弁したとおりであります。

長妻委員 自分の言葉で語るのは、何か不都合があるんでございましょうかね。

 そうすると、総理、確認ですけれども、佐川長官は国税庁長官に最もふさわしいと今でも思っておられるということでよろしいんですね。

安倍内閣総理大臣 任命権者である財務大臣から答弁したとおりであります。

長妻委員 あれだけ昨年は国会でおっしゃっておられたのに、今ははっきりとおっしゃらないわけであります。

 そして、先ほど申し上げましたこの新たな文書でございますけれども、これについて、いろいろな事実が書かれているところであります。

 例えば、パネル二を見ていただきますと、これは新たに出てきた資料のコピーなんでございますが、例えば、下の方の赤線で引いてある、平成二十七年一月九日、「不動産鑑定士からの貸付料鑑定結果が出たことから、当局が学校法人を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。」と。当局というのは近畿財務局だと思いますけれども、学校法人というのは森友学園でありますけれども、概要を伝える、貸付料の、こういうことが明記をされているわけであります。

 その一方で、佐川理財局長時代の佐川さんの国会の答弁では、賃貸価格について学園側に先に伝えて交渉することはない、こういうふうに国会でおっしゃっておられて、これは全然逆ですよね、佐川さんの答弁と。こういう問題が出てきているわけでございます。

 そしてもう一つは、先週の金曜日、麻生大臣から御答弁がありまして、この新たに公表された資料というのは、これは交渉記録ではないと。

 つまり、交渉記録だと政府がこれを認めてしまうと、佐川さんが局長時代に、交渉記録は廃棄した、もう存在しないんだというようなことをおっしゃっているので、それにそごを来すと思ったのか、交渉記録じゃないというふうに言い張っておられるわけでございますけれども、麻生大臣、これは誰が見ても交渉記録だと思うんですが、なぜこれは交渉記録じゃないんですか。

麻生国務大臣 御指摘の答弁というものは、これは森友学園に貸付料を伝えたのではないかとの御指摘があったことから、昨年の三月に、当時の担当者に確認を行って、賃料の算定方法について問われ、土地の評価額と利回りにより算定することになるとの説明をしたが、具体的な金額を提示したことはない旨、財務省より答弁をいたしたものだと思っております。

 この法律相談の文書の記録を読みますと、用語が厳密に使われているわけではありませんが、また改めて当時の担当者に確認を行っておりますが、以前と同様の回答であったということをお伝えいたしておきます。

長妻委員 ここに「国の貸付料の概算額を伝える。」と書いてあるんですよ。そうしたら、佐川大臣も誠実に答弁されればいいじゃないですか。金額そのものを一円単位では伝えていないけれども、概算額は伝えましたと当時答弁すりゃいいじゃないですか。うそに近いと言っても過言じゃないんじゃないですかね。これは相当おかしいと私は思うわけでございます。

 そして、麻生大臣は私の質問に答えておられないんですけれども、これが、例えば、新たな資料には、三ページにわたって交渉記録が時系列的に、森友学園と財務省近畿財務局との交渉記録が事細かに書いてあるわけですよ。これは交渉記録じゃないと。あるじゃないですか、交渉記録。これを交渉記録じゃないというのは、どこが交渉記録じゃないんですか。

麻生国務大臣 公表させていただきました法律相談の文書というのは、これは法的な論点について近畿財務局での検討を行った資料ということだと思っております。

 したがって、検討を行うために必要な情報として、相手側の主張とか当方の考え方が含まれているんだと存じますが、具体的に相手方とのやりとりを記録したいわゆる応接メモとか、また面接記録、面会記録ではありません。

 なお、財務局において、いわゆる相手方との面会記録等の保存期間は一年ということにいたしておりますので。一方、法的な論点につきましては、法曹資格者を有する法律部門、いわゆる統括法務監査官等々に対して行った法律相談の記録は五年ということにいたしているところだと思っておりますので、このような、文書によって保存期間が異なっておりますので、求められた内容に応じて、保存されている文書をお示ししたものであります。

長妻委員 麻生大臣、これは中身をちゃんと見ているんですか、この資料の。法律相談の部分もありますよ、確かに。法律相談の部分もあるんですが、その法律相談の部分の附属資料として交渉記録が書いてあるわけですよ、ここに。出ているんですよ。

 もっと正確に言うと、佐川理財局長、当時は、交渉記録という言葉でなくて、面会等の記録については破棄した、記録が残っていないということをおっしゃっておられるわけで、これは交渉記録でもあり、面会等の記録になるわけじゃないですか。

 何で、あれだけ国会で言ったとき、これを出さないんですか。ここまで出ても麻生大臣は、これは交渉記録でないと言い張るんですか、これがもう出た後にも。これは国民の皆さんから見て、どう考えても皆さん首をかしげる話だと思いますよ。

麻生国務大臣 これはあくまでも法律相談等々のものであって、面会記録ではないということははっきりしております。

長妻委員 それだったら、日本語で国会のやりとりというのは成り立たないじゃないですか。面会等の記録でもない、交渉記録。交渉記録がありますかと言ったとき、ない、ない、ないと。これがあると言えばいいじゃないですか、こういう交渉記録が。

 成り立たないですよ、それは。何か今の麻生大臣の答弁だと、交渉記録というのは、何か厳密に定義して、それはないというようなお話ですけれども、じゃ、こういう記録があるというようなことを、何であれだけ長時間、何度もいろいろな角度から質問したときに、知らぬ存ぜぬを言われたんでしょう。

 これは、例えば、佐川国税庁長官を罷免する署名というのが、今、市民団体の皆さんが始めているところでございますけれども、そこに寄せられた意見、たくさんございます。

 例えば、栃木県の方から寄せられた意見は、印刷工場で自分は経理を担当していて、つい先日税務調査を受けました、こちらは一つの仕訳をするにも関連する書類の保管に神経を使っています、民間企業には七年も資料保管を求めておきながら、国民の財産を取引した経緯が一切残っていないなんて、ふざけるなと言いたい、税務調査の際には、民間企業で紛失したと言えば隠蔽を疑われるのに、役所ではそれがまかり通る、そんなのは間違っていますと。これはそのとおりだと思いますよ。

 麻生大臣、国税庁に苦情の電話とか、どんな電話が寄せられていますか。

麻生国務大臣 佐川長官に対する意見につきましては、人事に否定的なものとか、書類の保存に言及したものもあるということは私どもも聞いております。

 いずれにいたしましても、国税当局においては、納税者と接する場合におきましては、それは法令の内容や申告の方法などについて必要に応じて丁寧に対応するというのは当然のことだと思いますが、同時に法令にのっとって対応しているところでありまして、今現場において、現在、例年と比較して特段の支障が生じているということは聞いておりません。

長妻委員 現場に支障が何にもないからいいんだと言わんばかりの今の答弁。

 佐川長官は、「全国税」という会報紙があるんですが、そこに出ておりました。こんなことを長官就任後、おっしゃっておられます。「年が明ければいよいよ確定申告が始まることになるが、円滑な確定申告ができるよう対応をお願いすることになる」、職員に対して言っているんですね。「現場において納税者からさまざまな御意見が寄せられていることも承知している。このように、職員の皆さんには、特に年明け以降、御苦労をおかけすることになる」ということで、大変、人ごとのような形でおっしゃっておられるわけであります。

 そしてもう一つは、記者会見の問題であります。

 これも、私も非常に腹が立つわけでございますけれども、総理大臣も麻生財務大臣も、記者会見はしないでいい、税金以外の質問が飛ぶから、それはしないでいいんだ、こういうふうにおっしゃるわけでございます。

 過去、調べてみますと、さかのぼれるところまでさかのぼると、歴代の長官は、就任記者会見、全員されておられる。佐川長官だけがされておられない。

 今週の金曜日ですよ、確定申告が始まるのは。こんな逃げ回って、自分は国会にも来ない、会見もしない、でも国民の皆さんは確定申告、来い、来てくれ。こんなの、道理が通るんですか。

麻生国務大臣 先ほども答弁をさせていただきましたが、私どもとしては、少なくとも現場におきまして、今までのところ、例年と比較して特段の支障が生じているわけではないということを申し上げておりますけれども、現実を申し上げております。

 その上で、あしたから起きるかどうなるかわからぬぞというお話だと思いますが、それは当然、そういうことも起きるということは十分にあり得るとは思っておかないかぬと思いますが、私どもといたしましては、必要に応じて丁寧に説明をさせていただきたいと考えております。

長妻委員 ちょっと聞こえなかったんですけれども、何が起きるかもしれないとおっしゃったんですか。

麻生国務大臣 いろいろな苦情が起きるんじゃないかということをおっしゃいましたから、そういうことも起きるかもしらぬということだと思います。

長妻委員 苦情が起きるかもしれないって、もう起きているんですよ。鈍感過ぎるんじゃないですか、麻生さん。ちょっと浮世離れされているんじゃないですか。

 先ほどの長官の罷免を求める署名に寄せられたメッセージ、いろいろあります。「書類を保管しなくてもよい、こんなことを我々もしてもよいのですか、これが通るのでしょうか」とか、「国民と政府・与党のどっちを向いて仕事をしているんですか、ばからしくてやっていられないですね、ふざけないでもらいたいです、あなたみたいな公務員は納税者の敵、即刻やめてください」とか、相当激しい、これも、ちょっと激し過ぎるのを除いて私はここで紹介しているわけでございますけれども、本当にこういうようなことで税の信頼が保てるのか。

 この四枚目を見ていただきますと、これも皆さんがおっしゃられることですけれども、帳簿は保管期間は七年だと、国民の皆さんに対して、確定申告。そして、書類については、決済に関して作成した棚卸表などは五年だ、こういうふうに決まっている。七年とか五年とか、確実に保管しなきゃいけない、こういうことが。

 にもかかわらず、本人は、交渉記録は捨てちゃって、ないとおっしゃって、後から、会計検査が終わってから出してくる。

 これは官僚だけの責任じゃないですよ、監督責任ですよ。もっと言えば、総理大臣の責任もありますよ。だって、会計検査院はあの価格は適正でないというふうに判断をしたにもかかわらず、総理は、適正だ適正だとずっとおっしゃっていた、その答弁の責任というのも免れないと思います。

 麻生大臣に聞いてもらちが明きませんので、総理にぜひ聞きたいのは、例えば、せめて記者会見ぐらいはした方がいいと思いませんか、総理。いかがですか。いや、これはさっき聞きましたから。総理です、総理。いや、総理ですよ。記者会見ぐらいさせてくださいよ、総理。

河村委員長 まず、記者会見に対する財務大臣の見解を求めます。(長妻委員「いや、総理に聞いているんです。おかしいですよ。委員長、公正な議事の進行をお願いします、公正な議事の進行を」と呼ぶ)

麻生国務大臣 御指名をいただきましたので。

 就任の記者会見につきましては、就任に当たっての長官の抱負などの文書で既に公表をいたしております。国税庁長官の就任に当たりまして、適切な対応は行われていると考えております。たびたび申し上げてきております。

 いずれにしても、前職の理財局長の折に、国会においてさまざまなことについてお答えをいたしておりますが、前職のことについて、国税庁長官としてお答えする立場ではないという点も御理解いただければと存じます。

長妻委員 いや、総理に聞いているんです、総理。記者会見、せめて出てくるということは必要だと総理は思いませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 所管の大臣は財務大臣でございますので、財務大臣が答弁したとおりであります。

長妻委員 血も涙もないというか、これほど国民の皆さんの怒りがあるのに、しかも、これだけこの証拠の文書も出てきて、交渉記録や面談等の記録がここに入っているわけでありますから、こういうことがまかり通ると、国会というのは日本語でやりとりしているわけですから、成り立たないですよ。

 これは、委員長に、国税庁長官証人喚問、そして安倍昭恵夫人証人喚問、これを強く要請をしたいと思います。

河村委員長 理事会で引き続き協議させていただきます。

長妻委員 そして、佐川長官におかれましては、説明責任を果たした上で、御自身で判断をされて身を処していただきたいということも申し上げておきます。

 これは、麻生大臣、こういう資料はもう最後でしょうね。まだあるんですかね、財務省の中に。もうこれで一切ないと。全部出しているんですか、これ。本当にこれで最後ですか、麻生大臣。

麻生国務大臣 この森友への国有地の売却に係る行政文書につきましては、売却の決裁文書、鑑定評価書など、これまでも相当量の資料を提出させていただいているところだと思いますが、今般の開示請求への対応の中で判明した法律相談の文書をお示しさせていただいたところであります。

 いずれにしても、今後も、御要請があり、仮に該当する資料があれば、私どもとしては、資料の内容の確認など一定の時間をいただく必要はあろうとは思いますけれども、提出に向けて努力をしてまいります。

長妻委員 仮に該当する資料があれば。全部出してくださいよ。何をやっているんですか。本当に、国会をなめるなと言いたいよ。これだけ時間を使って何なんだこれはと、私は本当に腹が立ってくるわけであります。

 次に参りますけれども、働き方改革ということでありますが、これは総理とも前回、一月二十九日、質疑をいたしました。裁量労働制という働き方を営業にまで広げると。営業といっても全ての営業ではない、限定だということなんですけれども、それを広げることで、過労死の御遺族の方々も、これで時間管理ができなくなって過労死がふえるとおっしゃっておられて、私もそう思います。

 これに関して、総理がこういう発言をされておられます。これは、私が聞いたときに総理は、「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」ということなんですが、総理、この根拠データというのは本当に正しいんですか。

安倍内閣総理大臣 裁量労働制は、みずからの裁量で時間配分や出勤時間などを決めることができる、自律的で創造的に働く方を対象とする制度であります。

 先日の本予算委員会においては、私から、厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータがあると答弁をいたしました。これは、ふだん、裁量労働制の方が労働時間が長くなるとの御指摘を受けていることを踏まえ、こうしたデータもあるという例として御紹介をしたものであります。

 しかし、JILPT、独立行政法人労働政策研究・研修機構のアンケート調査によると、一カ月の実労働時間を見た場合、裁量労働制の方が一般の労働者の方よりも労働時間の平均値が長いとのデータとなっています。前回厚生労働省の調査しか紹介しなかったとの御指摘もございますが、こちらの調査では労働時間の平均値を調査しているということで、紹介をさせていただきたいと思います。

 ただし、このアンケート調査は、調査時点で裁量労働制で働く方と一般労働者の方の労働時間をそれぞれ調査したものであり、裁量労働制が適用されることによって、適用される前よりも労働時間が長くなることを示したものではない、このように認識をしております。

長妻委員 いや、これは驚きました。今のは、総理、そうすると、実は総理がおっしゃったのは、平均じゃないんですよ、労働時間の。平均値は、今おっしゃったように、独立行政法人労働政策研究機構がきちっと調査をして、一般労働者よりも裁量労働制の労働者の方が労働時間の平均値は長いというきちっとしたデータがあるにもかかわらず、これを一切おっしゃらないで、知っていながらおっしゃらなかったら罪は大きいと思うんですが、今多分知らされたのかもしれないと思うんですけれども、そういう情報の上げ方、管理も私は問題だと思うのであります。

 では、総理がその一方的なデータだけ言って、いやいや、裁量労働制は一般労働者よりも労働時間が短いというデータもあるんだよ、余り気にしないでもいいというか、長時間労働になるなるという指摘は当たらないんだよというような趣旨でおっしゃったから、新聞も、翌日の新聞が、例えば日経新聞、首相は裁量労働制で働く人の労働時間は平均で一般の労働者より短いというデータもあると説明したと。あるいは、読売新聞に至っては社説で、安倍総理は裁量労働制で働く人は一般労働者より労働時間が短いとの調査もあると反論したということで、国民の皆さんは、これだけ見ると、こういうデータが一方的にあるんじゃないのかというふうにも感じるわけでございます。

 では、総理がこういうデータもあると言ったデータ、私、厚生労働省にどんなデータですかとお伺いしましたら、次々におかしい点が出てまいりました。

 例えば三枚目でございますけれども、八ですね、失礼しました。これは、これに基づいてデータがつくられたということなのでありますけれども、一般の労働者の平均的な人、平均的な者の残業時間、法定時間外労働の実績というのと一日の裁量労働制の労働時間を比べたわけでございますが、その比べる根拠となっている一般の裁量労働制でない労働者の残業時間について、一日の残業時間が一時間三十七分だから、そこに八時間を足すと九時間三十七分である、そして、裁量労働制の方々の労働時間は一日九時間十六分だから、九時間三十七分と比べて一般の方の方が長い、裁量労働制の方が短いというような形で答弁をされたわけです。

 ところが、同じ人を調査した調査で、同じ人にもかかわらず、一週間だと、残業時間、一週間の延べ残業時間が二時間四十七分ということで、データが非常におかしいんですよ。普通は週五日で五倍ぐらいにならなきゃいけないのに、この一日のデータというのは間違いなんじゃないですか。

加藤国務大臣 まず冒頭、年金の受給期間の短期化に関して、これは施行が去年の八月でありますが、既に十月から支給がスタートしております。対象になる方についても、これまで資料等通知しておりますけれども、更に周知徹底には励んでいきたい、努力していきたいというふうに思っております。

 その上で、今の御指摘も含めて、委員会あるいは各党からもいろいろ御指摘をいただいておりますので、私どもとしては、今、データにもう一度当たりまして精査をさせていただいている、こういうところでございます。

長妻委員 これはどうなっているんですか。だって、一国の総理大臣が裁量労働制の方が一般労働者よりも短いデータもあると言う根拠について、精査するというのはどういうことですか。正しくなかった可能性があるということなんですか。

 これは大変なことですよ。生き死にがかかっているんですよ。死屍累々なんですよ、裁量労働制で過労死されておられる方、御遺族、お話聞きましたけれども。

加藤国務大臣 これは、実際、それぞれの監督官がそれぞれの事業所に回ってヒアリングをして調査をした、こういうことでございまして、それの結果として今お示しのようなデータをまとめている、これはそれぞれ事実でございます。

 ただ、それぞれが、例えば私の承知している限りでも、データによって、特に、どう言えばいいんですかね、補正というんでしょうか、そういったものもしているものもあるというふうに聞いております。補正というのは、要するに、業種別の人口を踏まえてもう一回その調査をつくって、これは普通よくやる手法でございますから、そういったものがなされているということ。これは報告書の中にも書かせていただいているところでありますけれども、それらも踏まえて、実際データがどうなっているかを今精査をさせていただいている、こういうことであります。

長妻委員 これ、前提が全く崩れるわけですよ、総理。

 そうしたら、総理、この発言、一回撤回をしていただきたい。一旦撤回をしていただきたい。そうしなければ、これ、質問できません。続けられません。

安倍内閣総理大臣 今私が答弁をさせていただいたように、調査結果については厚生労働大臣が精査すると答弁をしていると承知をしておりますが。

 いずれにしても、裁量労働制のもとで働く方の中でも、労働時間の長い短いはさまざまであると考えています。健康確保措置、みなし時間と実労働時間の乖離の是正など、長時間労働対策をしっかりと進めていくことが重要であろうと思います。

 そうした意味におきまして、労使委員会が決議した健康確保措置を必ず実施させること、客観的な方法によって労働時間を把握し、実際に働いた時間が労働時間となった方には医師による面接指導を行うことを義務づけていることとしております。加えて、みなし労働時間と実労働時間の間に乖離がある場合には、労働基準監督署がその適正化に向けた指導を行っていくということになっているわけでありまして、いずれにいたしましても、厚生労働大臣が精査すると答弁をしていると承知をしております。

 そしてまた、私が答弁をいたしましたのは、厚生労働省の調査によれば、まさにこれは厚生労働省の調査によればですから、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば、これは平均的な方で比べれば、こういうふうに申し上げているわけでありまして、この平均的な方という意味についてはまた厚生労働大臣から答弁をさせていただきたいと思いますが、一般労働者より短いというデータもあるということを申し上げたわけであります。(発言する者あり)

河村委員長 長妻君。(発言する者あり)

 長妻君、問題点を指摘してください。答弁に対して指摘をしてください。

長妻委員 では、もう一回だけ言いますけれども、総理、こういうデータもあるというふうに総理は確かにおっしゃいましたけれども、データもあるというそのデータ自体の信憑性が疑われる事態に今なっているということですから、一回撤回してください。

安倍内閣総理大臣 私が答弁した段階においては、確かに厚生労働省においてはそういうデータがあったわけでありますし、平均的な方、いわば、平均というふうには申し上げていないわけでありまして、平均的な方というふうに申し上げているわけでありまして、その平均的な方とは何かということについて先ほど厚労大臣から答弁をさせていただいたところでございますが、その中において委員の指摘もございましたので、もう一度精査するということである、こういうことではないか、このように思います。

長妻委員 これは本当に大丈夫なのかと思うわけであります。

 そうしたら、もう一つ、九のデータもいただければ。

 そうした一般労働者の、だから私も、平均的な者というのはそのとおりなんですよ、総理がおっしゃっているのは、別にそれを否定しているわけじゃないんです。

 平均的な者の一般労働者で一日の法定労働時間、これが非常に長過ぎるので調べてみますと、事業所を相当、何千の事業所を調べておられますけれども、例えば、その事業所の中で一般的な労働者で平均的な勤務時間の人をピックアップしたとしたときに、その人が残業が十五時間を超えている、残業だけで。そういう方が九事業所、九人いらっしゃった。これは平均的な、九事業所の中で平均的な勤務時間の労働者をピックアップしたときに、残業だけで十五時間を超えるというような事業所、これが平均的ですというと、八時間を足すと二十三時間になるわけですね、一日。一日二十三時間の勤務が平均的な者であるという事務所が例えば九事業所あるということで、加藤大臣、本当ですか、これは。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた調査においてそういう結果があるということは、そのとおりであります。

長妻委員 じゃ、これは事実なんですね。

加藤国務大臣 ですから、調査において私どもが得たデータにはそういうのがあるということは、そういう形でお見せをさせていただいているわけでありますけれども、先般も、この委員会でそうした御指摘もありましたので、もう一回そのデータを精査させていただいている、こういうことでございます。

長妻委員 平均的な人で一日二十三時間の勤務、これが平均的なうちの事業所の者であると。

 これは、でも、きちっとやはり認めないといけないと思うんですね。本当にこういうことが、あり得ないと思うんですよね。

 ですから、まさかそういうことはないと思いますけれども、裁量労働制の勤務時間を短く見せるために一般労働者の平均的な者の勤務時間をふやすような、そういう力が働いてそういうふうに出てきたとすればこれは大変大きな問題だと思いますし、総理は、やはりまずはこのデータを撤回していただきたいと思いますし、JILPTの、独立行政法人のデータがあるにもかかわらず、それをおっしゃらないで片方のデータだけをおっしゃるという、その答弁の仕方自体も私はフェアじゃないということも申し上げたいというふうに思います。

 これは、いずれにしてもこれから続く問題でありますから、これからも指摘をして、質問を続けていきたいと思います。

 そして最後に、これは総理とずっと議論をしてまいりました、労働法制は総理は岩盤規制だとおっしゃる。これは、「岩盤規制に穴をあけるには、やはり総理大臣が先頭に立たなければ穴はあかないわけです」、こういうふうにおっしゃって、緩める一方がいいというような、労働法制に対して価値観を持っておられるということであります。

 次の資料、十。

 総理、結局、結果として稼ぐ力を上げる、これは我々も思いは一緒なんですよ。日本の労働生産性を見ていただきますと、先進国で二十位まで下がってしまった。OECD平均、先進国三十カ国の平均よりも下であるということです。

 この原因として、十一ページ、内閣府が、私が資料を要求したら、初めて認めました。ここにあります内閣府の公式文書でありますけれども、「非正規雇用比率が高まると、必要な技能や労働者の熟練の貯蓄がなされず、労働の質が低下し、労働生産性を押し下げる可能性がある」、こういうふうに言っているわけですね。

 ですから、労働法制を緩めれば緩めるほどいいんじゃなくて、非正規雇用がふえて、結局、労働生産性、稼ぐ力も低下をする、こういう力が働くわけでありまして、総理の労働法制観を変えていただきたい。

 ゆとりある働き方をするために、労働法制の規制を緩める一方ではなくて、強めるところは強めるべきだ。それが結果として高付加価値を生み出し、稼ぐ力が上がる。ゆとりある働き方を実現しなければ、高付加価値を生み出す稼ぐ力は上がりません。そのために、労働法制は緩める一方でなく、規制を強めるところは強めるべきであるというのが我々が考える労働法制観なんですけれども、最後に、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず、この非正規雇用比率と労働生産性との関係については、個々の非正規労働者の能力など、さまざまな要素が影響を与えると考えられます、一概には申し上げられないと思いますが。

 しかしながら、一般的に申し上げれば、非正規雇用者は正規雇用者に比べて職業教育訓練による人材育成機会が少ないと見られることから、非正規雇用比率が高まると、必要な技能労働者の熟練の蓄積がなされず、労働の質が低下し、労働生産性を押し下げる可能性がある、こう考えております。

 そうした観点も踏まえまして、同一労働同一賃金、これは初めて導入するわけでありますが、これを導入していきたい、こう考えているところでございます。

 そして、さらには、先ほど規制も必要ではないかというふうにおっしゃったわけでありますが、まさに労働基準法が始まって、初めて労使が合意をして、時間外労働の上限規制、これは罰則つきですから、大変厳しいものを初めて導入するわけでありますから、そういうことはしっかりとやっていく。

 と同時に、柔軟な働き方を求めている方々もたくさんいるわけであります。まさにワーク・ライフ・バランスをきっちりと確保していくためにも、我々はこの労働法制の大改革を行っていきたい、このように考えております。

長妻委員 これで終わりますが、上限規制といっても、月百時間までオーケーと、過労死ラインを優に超えています。抗議をいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 希望の党の階猛です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 私は、岩手県の議員でありまして、東日本大震災の復興について、きょうはいろいろとお尋ねしてまいります。

 パネルをごらんになっていただければと思います。

 東日本大震災が起きてから来月で七年になります。本来であれば、避難された方がもう戻ってきていい時期なのでございますが、直近の復興庁のデータによれば、応急仮設住宅等で避難されている方が五万五千人余り、また、親族や知人宅あるいは病院等にいらっしゃる方も含めますと七万五千人余りということで、まだまだ復興は道半ばであります。

 そして、年ごとの人口の移動を見ると、また新たな問題点がわかってきます。

 二〇一一年、震災が起きた年です、被災三県、岩手、宮城、福島で合計四万一千人、こういう多くの方が県外に移動されました。そして、二〇一二年、二〇一三年、流出数はだんだん減ってきました。減ってきた大きな原因は、私たち民主党政権のときに始めました復興の事業、これがだんだん軌道に乗ってまいりまして、二十五歳から六十四歳、このグラフでいいますと赤いラインの部分です、この働き盛りの方々が復興特需でどんどん被災地に入ってきた。そして、二〇一四年がそのピークでありました。それから、二〇一五年、二〇一六年、復興需要が一段落するとともに、今度は二十五歳から六十四歳の方も流出に反転して、そして直近、二〇一七年、総務省が先日公表しましたけれども、一万四千人のマイナスということになっております。

 七年間、平均してみますと一万二千人余りのマイナスですが、年齢別に見ますと、六十五歳以上は途中からほぼ横ばいとなっていまして、平均すると七百四十六人。二十五歳から六十四歳は、先ほど言いました復興特需によるアップダウンがありまして、マイナス六百九十九人。それに引きかえ、若い人たち、マイナス一万一千人余りということで、まさに被災地の将来を支える若い人たちの流出がとまらない、こういう状況であります。

 大変深刻な問題でありまして、人口減少は自然減の方に注目が行くわけでありますけれども、社会減によって若い世代がいなくなるということは、将来の御夫婦がいなくなる、そして子供もいなくなるということで、大幅な自然減にもつながってくるわけであります。

 こうした数字を見ていただいて、総理に伺いますけれども、こうした人口流出が加速している東日本大震災の被災地、どうしてこういう状況になっていると総理はお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、都市部への人口流入でありますが、これは、もちろん被災地で実際そういうことが起こっているのも事実でございますが、全国で地方から東京へという流れがあるわけでございまして、被災前も、そういう流出が被災地も事実としてあったわけでございます。

 東京圏への転入超過は、高度成長期の三十八万人余りがピークでありますが、バブル景気の八〇年代後半やリーマン・ショック前の二〇〇〇年代後半にも十五万人を超えるなど、中長期的に見て、景気がよくなると大きくなる傾向があります。

 政権交代後も、アベノミクスによる景気好転を受け、当初は増加傾向にありましたが、史上初めて四十七全ての都道府県で有効求人倍率が一倍を超えるなど、地方を含めた全国的な景気回復が進む中で、現在は十二万人程度で頭打ち傾向になっています。

 しかし、いまだ転入超過であり、東京一極集中の傾向が続いていることは事実でありまして、その要因については、さまざまな理由が考えられますが、転入超過の大半を十代後半、二十代の若者が占めていることを考えれば、若い世代の大学等への進学や就職が東京圏への移動のきっかけとなっていると考えられます。

 そのため、政府としては、東京一極集中の是正に向けて、地方の魅力を生かしたきらりと光る大学づくりなど、若者の地方での就学、就職の促進、企業の地方拠点強化税制の拡充等による地方における若者に魅力ある仕事づくりなどに取り組んでいます。学びの場としても、働く場としても、若者が地方にこそチャンスがあると思えるような地方創生を政府一体となって進めてまいります。

 なお、東北の被災地では、震災以前から、仙台都市圏などを除き、多くの地域で人口減少が進んでいたところでありますが、東日本大震災により転出超過が大きくなっているものと認識をしております。引き続きまして、住まいやなりわいの復興などに全力で取り組むことで、東北への人の流れをしっかりとつくり上げていきたいと考えております。

階委員 震災前から人口流出が進んでいたということなんですが、震災の前の年、二〇一〇年は流出数は一万五百四十六人でした。それに引きかえ、二〇一七年は一万四千人です。震災で出ていった人が戻ってこないばかりか、さらに出ていってしまっているということで、これは復興が思った以上に厳しい状況にあるということをぜひ御認識いただきたいと思っております。

 それから、全国的な地方の人口流出のお話を今るるされましたけれども、総理はかねがね、東日本大震災の復興なくして日本の再生なしということを言っております。まずは被災地から人口流出をとめなければ日本の再生にはつながらない、そういうことで、ずっと震災の復興に私どもも力を入れてまいりました。

 その中で、総理が、第二次政権が誕生してすぐに、住まいの復興工程表というものを被災地についてつくられました。この場で議論させていただきました。平成二十五年の三月に、この住まいの復興工程表、ちゃんと予定どおり進むのかということを何度も確認しました。責任を持ってやるというお話でしたが、実際には、災害公営住宅の完工時期が二年ほどおくれている、そんなことも見てとれるわけです。

 おくれた理由について、私は、所有者不明の土地問題、これが大きかったと思っております。ようやく政府もこの所有者不明土地問題について新たな法案を整備するということなんですが、私どもから言わせると、遅きに失したのではないかと思っております。

 既に、私たちといいますか、前身の民進党時代に、被災地の復興に必要な用地を確保するために、公共事業の収用手続、これを簡素化する、迅速化する、そういう法案を国会に出しましたし、また、今回、政府の方から出されておりますが、不在者財産管理人制度の見直しということも我々は提案してまいりました。どうしてそういう私たちの提案に対して真摯に対応していただけなかったのか。

 これをもっと早くやっていれば、人口流出がここまで悪化することはなかったと思うわけでありますが、この所有者不明の土地問題について、被災地でまず真っ先に進めるべきものがずっとおくれてきて、そして、今ここに至って、所有者不明土地問題についてようやく対応がなされようとしている。その理由を御説明ください。

安倍内閣総理大臣 東日本大震災の復興事業について、所有者不明の土地を含む用地取得の迅速化のため、応急的な措置として、不在者にかわって土地の処分を行う財産管理人の選任手続を短縮するなど、適正な手続の保障のもとで、累次にわたる取組を進めてまいりました。また、平成二十六年には東日本大震災復興特別区域法を改正し、その運用を更に強化してきたところでございます。

 この結果、災害公営住宅と高台移転については、平成二十九年度まで九割が完成、そして平成三十年度中にはおおむね完成する見込みであるなど、復興事業は全体として着実に進んでいるものと認識をしているところでございます。

 しかしながら、相続時に登記がなされないなどの原因で所有者不明土地が発生しており、今後、高齢化や人口減少が進み、相続の機会が増加する中で、全国的に更に拡大していくことが見込まれます。

 所有者不明土地は、所有者の探索に多大な費用、時間がかかり、公共事業の円滑な実施に支障が生じるなどしており、その対策は喫緊の課題であると認識をしているところでございます。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

階委員 復興工事を進めるために、国の方から復興交付金というお金が出るわけですけれども、この復興交付金について、その交付金によってどのような成果が得られたかという成果指標を行政事業レビューシートというところで毎年発表しているわけであります。

 復興交付金について、成果指標はどのようなものを採用しているかということを、総理、お答えいただけますか。

安倍内閣総理大臣 復興交付金は、被災自治体みずからが作成する復興地域づくりに必要なハード事業の計画に対して支援していることから、その完了を行政事業レビューの成果指標としています。

 議員御指摘の人口維持などについては、復興交付金のみならず、産業、なりわいの再生等のさまざまな施策により得られる成果であり、個別事業の成果指標としてはいかがかと考えているところであります。

 なお、自治体における事業進展に伴い、契約率も確実に上昇してきており、二〇二〇年度までに全ての自治体において計画が完了する見通しとなっています。

 地方創生推進交付金については、地方独自の、先導的な……(階委員「地方創生、聞いていません。復興だけでいいです」と呼ぶ)はい。

階委員 きょうは時間の関係で復興だけに絞ってお伺いしますけれども、今の御答弁の中で、成果指標としては、復興交付金を使った事業を完了した自治体の数を成果指標として挙げているということでありました。

 しかし、この復興事業というのは、用地を整備した事業、あるいは公営住宅を完了した事業、こうしたことの数を数えて、これが、どの程度やったかということを挙げているわけですけれども、私は、そこを問題にしていると見誤ってしまうのではないかと思っています。

 大事なことは、被災された方がちゃんとそこに戻ってきて、あるいは、流出しないで暮らしていけるようにする。したがって、地方創生の方では、二〇二〇年までに東京圏からの人口流入、流出を均衡させるといった目標を立てていますけれども、被災地につきましても、例えば、二〇二〇年、これは復興の最終年度ということで政府は決めていると思いますけれども、そこまでに被災地からの人口流出をとめる、こういったことを成果指標にするべきではないかと思うんですが、こうした考え方について、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 このKPIの設定に当たっては、政府としては昨年十二月にガイドラインを策定したところでありまして、事業の成果に直接結びつく、そして客観的な指標をKPIとするよう求めております。

 また、当然、事業終了後の効果検証についても、地方公共団体に外部有識者や地方議会の関与を得ながら検証を行うよう求めるとともに、政府としても、その検証結果を次年度以降の交付に反映していくこととしております。

 以上のように、この交付金は、地方独自の創意工夫を……(階委員「地方独自、関係ないじゃないですか。復興じゃないですか」と呼ぶ)済みません。

 それで、この行政事業レビューにおける成果指標としては、KPIの設定だけではなくて、KPIの達成状況についても目標を定めて検証を行っているところでございまして、政府としては、今後とも、不断にレビューを行いながら、各地方がしっかりとKPIが達成できるよう事業執行に当たってまいりたい、このように考えております。

階委員 紙を見ていないで、ちゃんと質問を聞いてほしいんですね。

 私が言ったのは、復興の成果指標について、事業の完成がどうなのか、完成した数がどうなのかということではなくて、人口の流出をちゃんととめているかどうか、そういうことを新たな成果指標として設けるべきではないか、こういう御提案をしているんですよ。

 私は、地方創生では、東京圏については同じような成果指標を出しているわけだから、復興なくして日本の再生なしと総理が言われていることからすれば、私の提案は必ずしもおかしなことではないと思いますよ。ぜひそれをお願いしたいんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 議員が御指摘の人口維持などについては、これは復興交付金のみならず、産業やなりわいの再生等のさまざまな施策によって得られる成果でありまして、これは復興交付金だけで得られる成果ではないと我々は考えているわけでありまして、その他のさまざまな施策の成果であろうと思いますので、個別事業の成果指標としてはいかがかと、最初に答弁させていただいたように、いかがかと考えているところでございます。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

階委員 ちょっと被災地の復興に対する思いが薄いのではないかと、被災者の代表としても言わせていただきたいと思いますけれども。

 最後に、日銀総裁の話題が先ほど長妻委員からも出ました。土曜日の朝刊各紙、黒田日銀総裁は続投へということで、政府は月内にも人事案提示という大きな見出しが出ていますけれども、先ほどの御答弁ですと白紙であるということでしたが、これは間違いないですか。御確認します。

安倍内閣総理大臣 まず、従来答弁をしてまいりましたが、五年間のアベノミクスによって、日本経済は、足元で二十八年ぶりとなる七四半期連続のプラス成長となりました。

 また、これは東北地方の経済についても、先月公表された日本銀行のさくらレポートで、内外企業の設備投資の積極化に伴う業務用機械の増産等を受け、総括判断が引き上げられるなど、緩やかな回復が続いております。(階委員「総理、そんなことを聞いていない。時間ないんだから、聞かれたことだけ答えてください」と呼ぶ)今、そういう認識を一応丁寧に説明しようと思いまして。

 で、それはもう既に私、答弁しておりますが、まだ白紙であるということであります。

階委員 白紙ということは、別な方が日銀総裁に任命される可能性もあるということで伺いますが、やはり、マイナス金利の影響で地方銀行の経営は悪化している、私どもの同僚の津村委員からも指摘がありました。

 きょうの資料、委員の皆さんにはお配りしていますけれども、地銀百六行のうち、過半数が赤字です。黒字のところも、わずか三行を除き、前年よりも利益率が下がっています。このままマイナス金利政策を続けていけば、早晩、こういったところも利益率がどんどん低下して赤字になるでしょう。

 こういうことからして、被災地の復興を支えている地方金融機関、これは系統金融機関も含めてですけれども、こうしたところがマイナス金利で経営が厳しくなれば、被災地で融資をふやすどころか、リストラをして支店も撤退せざるを得なくなるかもしれない。復興を進めていくためにも、このマイナス金利政策というのはなるべく早く見直す必要があると思います。

 そのためにも、黒田総裁はこの際更迭して、新たな総裁を任命すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、現状については、先ほど、白紙であるという答弁の前に説明をさせていただいたところでございます。

 マイナス金利導入以降も、中小企業への金融機関の貸出態度や中小企業の資金繰りについては、良好な水準が保たれているのは事実でございます。

 また、金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきであると考えておりますが、引き続き、日本銀行が、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しているところでございます。

 また、地域金融機関の現状、経営環境については、金融担当大臣から答弁させたいと思います。

階委員 私は、二十年前に経営破綻した日本長期信用銀行というところに勤務していました。なぜ経営破綻したかというと、バブル経済が崩壊して不良債権問題が深刻化したからであります。そして、なぜバブル経済が起きたかといえば、日銀がプラザ合意以降の円高を是正するために、異常な低金利政策を二年三カ月続けた、それがバブルの原因になったと言われております。

 今回、黒田総裁は、二年という約束がもう五年も続いている。しかも、その先行きも見えない。問題がどんどん拡大再生産されている状況だと思っております。将来に禍根を残さないためにも、ぜひ、今回の日銀総裁の任命については徹底的な私は議論が必要だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

河村委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申出があります。階君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 この質疑に出るために、きのう夜、飛騨高山から名古屋まで車で走ったんですけれども、本当に豪雪で冷や汗をかきましたけれども、全国で、本当に苦しんでいる方がおられると思います。我が党でも豪雪の対策本部を早速立ち上げて今対策をつくっておりますので、また官邸の方にもお願いしたいと思いますので、十分な対応をしていただきたいということを先にお願いしておきたいと思います。

 それでは、先ほど長妻委員もやっておられましたが、先週の金曜日に公表されました森友学園についての法律相談の文書、これについてまずお伺いしたいと思うんです。

 会計検査院の方、きょういらっしゃっていただいていると思いますが、昨年の十一月二十二日に会検の検査が行われましたけれども、この文書はいつ会計検査院の方に提出されましたか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 お尋ねの法律相談文書につきましては、昨年十一月二十一日に十九件、本年二月五日に一件の提出を受けてございます。

今井委員 今の答弁は正しいですか。最初の五つが十一月二十一日で、それ以降は十二月二十一日というふうに伺っていますが、どうですか。訂正されるなら。よろしいですか。

戸田会計検査院当局者 申しわけございません。

 昨年十二月二十一日に十九件、本年二月五日に一件の提出を受けてございます。申しわけございません。(発言する者あり)十二月二十一日に十九件、本年二月五日に一件の提出を受けてございます。申しわけございません。

今井委員 正確に答えてくださいね。十一月二十一日に五件出て、十二月二十一日に十九件出て、ことしになっても一件出た、そういうことですね。はい。

 先ほどもありましたけれども、これの中身を見ると、非常に経緯とかいろいろな細かいことが書いてあります。

 検査院にもう一度お伺いしたいんですけれども、十二月二十一日、報告の一カ月も後に出たこの十九件、この中に会計検査院が調査するに当たって必要な書類というのは含まれているという認識でよろしいですか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 お尋ねの法律相談文書につきましては、財務省から会計検査院に提出されてございますが、会計検査院が提出を要求していた内容のものかどうかにつきましては現在精査を行っているところでございます。

今井委員 そういうことなんですね。これだけ膨大であって、十二月二十一日に出てもまだ中身は精査が必要なぐらいのものがいろいろ書いてあるんです。それが今ごろになって出てきて、私たちは一体何を審議していたか。これは本当にばかにしているとしか言いようがありませんよ。

 私はとても不思議なんですけれども、今回は管財部統括国有財産管理官側にあったということなんですけれども、照会しているのは近畿財務局ですから、近畿財務局にもこれはあったんじゃないんですか。照会しているわけですから、その答えが返ってきているわけでしょう。その回答のものは保存していなかったんですか、近畿財務局に。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回提出させていただいたものは近畿財務局の統括法務監査官のところに保存があったもの、それは五年の年限があったからということです。管財部の第一統括国有財産管理官のところは基本的に一年未満、最終的に決裁文書に集約ということでしたので、彼らのところにはこの文書はなかったということでございます。

今井委員 同じところにあったということは、当然この事案は知っていらっしゃったわけですよね。そういう中で、どんな書類があるかということを近畿財務局の中で精査しなかったんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 会計検査院の検査において、もちろん近畿財務局に対する検査あるいは財務省に対する検査ではございますが、中心的に活動しておったのは近畿財務局の管財部、特に第一統括国有財産管理官という部門でございましたので、大変申しわけないことではございますが、この件については気づかなかったというのが事実でございます。

今井委員 これはただの相談じゃないんです。中身を見ていくと、先ほど交渉の過程が出ていましたけれども、私も読み込みました、結構大変だったんですけれども。平成二十七年の春から冬に変わって、この近畿財務局の森友学園への対応が大きく変わっていることがわかります。

 平成二十七年四月ですけれども、こういう言い方をしているんですね。軟弱地盤の判明により工事費がかさみ、事業計画の遂行に支障があるのであれば、国において措置することも難しいため、無理に本地を借りていただかなくてもよいと投げかけることも考えていると、突き放そうとしていたわけですね。無理に森友学園と契約をしなくてもいいです、どうでしょうか、こういう相談をしています、四月に。

 ところが、二十七年の十二月、ここになると大きく変わります。学校が買わないという結果にならないよう、売買金額についてはできるだけ学校法人と事前調整に努めると、突き放すと言っていたのが、何とか買ってもらえるように事前調整に努める、こういうふうに変わっています。

 経緯だけ申し上げますね。

 二十七年の四月以降、その年の九月の五日に、安倍昭恵総理夫人が塚本幼稚園の名誉校長になられました。そして、同じ年の十一月です、安倍昭恵夫人のおつきの谷査恵子さんが財務省に問合せをしています。この国会でも何度か取り上げられたと思います。その後、翌月の十二月から財務省、財務局の対応が大きく変わっている。経緯としてはそういう経緯です。

 私は、ここの間に何があったのかというのが知りたいだけです。どうしてこういうふうに対応が変わったのか、まずそこを説明していただけますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員は、ある特定の時点ともう一つのある特定の時点を捉えて、そこで非常に対応が変わったという御指摘をされました。ただ、最初に御指摘の、ある特定の時点、前段の部分ですが、その前の部分をごらんをいただくと、逆に言えば、一生懸命何とかこの話が進むようにという努力をしている部分がたくさん出てまいります。

 基本的には、私ども、国有財産、あるいは国会でもこれまでも、森友の問題ではなくて、御議論があるときには、国有財産の有効活用という言葉がよく出てまいります。それは、国有財産をそのまま放っておいても何の役にも立たないので、それはできるだけ有効に活用しようと。有効活用という観点から、まず最初に公用、公共用を優先する。それは、放っておくよりも、公用なりあるいは公共用に使っていただけるなら、その方が国民にとっては利益があるんじゃないかという発想から、そういう考え方ですし、国会でもそういう議論がなされています。

 そういう中で、本件は、学校法人、公共用ということでございますので、社会福祉法人や学校法人には、使っていただけるのであればそれが国民に利益が裨益するので、それをできるだけ進めていこうというのが基本的な立場で、そういうことをやっておるというのが基本的なスタンスだと思っております。

今井委員 ちょっとこれは厚いので全部紹介できません。私も全部読みましたが、確かに二十七年の四月の前にいろんな相談を受けていますが、特にここに便宜を図ってあげようとか、できるだけそういうふうに応じてあげようという姿勢は出ていませんよ。今、その答弁はちょっとおかしいです。相談は確かに受けていますが、できる限り学校法人との事前調整に努めるなんということは、この二十七年の十二月前はありません。

 ですから、前々からそういうことをやっていたような、そういう雰囲気を出す答弁はやめていただきたい。正確に言ってください。

 それと、もう一つこれを読んでいて思いましたが、平成二十八年の三月二十四日に照会していますけれども、その照会のところに何て書いてあるかというと、今、校舎建設予定箇所に存在する土壌の現状というのがありますけれども、何があるかというと、柱状の、改良工事の際に、こうやって深さ九メートル掘った、そこからごみが出てきた、それ以外は工事業者が掘った地下三メートルまでの工事のときに出てきたものだ、その二つが混在していますと、わざわざ財務局は書いてあります。

 皆さん、覚えていらっしゃいますか。九・九メートルまでごみがある、三・八メートルまでごみがある、ずっとこの説明をしてきましたが、財務局そのものが認めているじゃないですか。三メートルまでのごみと九メートルまでのごみが混在していると言っている。今までの答弁はおかしいですよ。三・八メートルまで掘ったなんてどこにも書いてないじゃないですか。

 私、前、写真を見せましたよね、四メートルと言っていますが実際三メートルまでしか掘っていないんじゃないですかと。同じことがここに書いてあるじゃないですか。これは答弁が間違っているんじゃないですか。いかがですか。

太田政府参考人 私ども、あるいは国土交通省が答弁を申し上げてきておりますのは、九・九メートルまでくいを掘削する工事をする過程において地下埋設物が発見をされたという連絡を受けて現状確認をした、あるいは、四月になってからだったと思いますけれども、国土交通省あるいは私ども近畿財務局も行っておりますけれども、そこで業者が幾つかの試掘をしたときに、一メートルから四メートル掘ったところ、三・八メートルのところにもあったというようなことを申し上げています。

 それで、今回の積算は、委員御案内のとおりだと思いますけれども、九・九メートル及び三・八メートルの深さに対して、面積五千百九十平米、それに対して地下埋設物の混入率を四七・一%というふうに計算をしています。ゼロメートルから三メートルまでに地下埋設物はないという計算は、今御説明したとおり、そういう計算をしておりませんので、三メートルまでにもあることを前提に計算をしているということは事実であります。

今井委員 先日、四メートルまでごみがあるという根拠の写真を見せましたが、そこには三メートルと書いてあった。プレートに三メートルと書いてあった、これはおかしいんじゃないですかということに対して説明してもらえませんでしたね、あれは。いまだに私は説明してもらっていないんですけれども。

 こういういいかげんな説明ばかりするんですけれども、総理、私はこの間、ネットでニュースを見ていましたらこんなのを見つけて、ちょっとびっくりしたんです。

 これはある自民党の議員のフェイスブックへの書き込みですけれども、謝らない朝日新聞というタイトルだったかな。いつもおっしゃっている、開成学園と安倍晋三小学校ですか、その違いのことですけれども、そのことを指摘して、「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした。」これは総理が書かれたんですか、本当に。

安倍内閣総理大臣 これは私が書きました。

 かつて、私がNHKに圧力をかけたという全く捏造の報道をされたことがあります。そして、朝日新聞はそれを検証したんですが、私が圧力をかけたという事実をつかむことができなかったという検証だった。でも、彼らが間違えたということは一度も書かない。私に一度も謝らない。

 かつて、サンゴ礁にKYという傷をつけたのはダイバーだと書いた。でも、そうではなくて朝日のカメラマンだった。なかなか謝らなかった。しかし、最後は、責任を社長がとったんでしょうか。そういうことが連続ですよ。

 そして、吉田所長の調書。これも、最初は全然謝らなかった。自分たちの正しさを主張したけれども、しかし、実際調書そのものが出てきたら、そこでやっと謝ったわけであります。

 そして、吉田清治の証言に至っては、これは日本のまさに誇りを傷つけたわけであります。

 そして、今度のことについても、安倍晋三記念小学校という、これは全く違ったわけであります。しかし、これを訂正もしていないわけでありますから、まさに国民の間にそういう安倍晋三記念小学校だったということが浸透している。しかし、実際は開成小学校だった。

 この黒塗りの部分、これは、籠池氏の言ったことをそのまま書くのではなくて、その原本があるはずであります。原本があるんですから、その原本に当たればすぐにわかるはずであります。原本に当たるという、記者がとるべき裏づけも全くしなかった、最低限のことをしなかったということであります。

 そして、検証記事を書いた。検証記事を書いたにもかかわらず、これは籠池さんが言ったから、それはそのまま書いたということしか書いていない。自分たちが記者として最低限果たすべき裏づけをとらなかったということについては全く言及がないということについては、これで私はあきれたわけであります。それはある意味では、今までのことをずっと見てきて、予想どおりだったということを述べているところでございます。

今井委員 委員長、ちょっとひどいですよ、二十一分しか質問がないのに五分もこんなことで答えられたら。もっと簡単に言ってください。

 じゃ、申し上げますけれども、私、もう一度このテープ起こしを見ましたけれども、何度も読み返しましたけれども、佐川さんは、先方から幾らで買いたいといった希望もあったこともございませんとずっとおっしゃっていますが、どれだけ読んでも、ゼロに近い金額にしてくれ、ゼロに近い金額にしてくれと言って、幾らで買いたいと言っているんです。何度も読みましたけれども、ゼロで買いたいと言っていますよ。虚偽答弁じゃないですか。

 でも、こういうものはほったらかしにしておいて、確かに朝日新聞は間違えたかもしれません、そちらの部分だけ攻撃して、自分たちが間違えたのはほったらかしですか。公平じゃないじゃないですか、それは。そういうことが格好悪いと言っているんですよ。それは、相手が間違えたことを言うのはいいですよ。そうしたら、自分たちも謙虚に認めてくださいよ。明らかに間違っているじゃないですか。

 それと、ちょっともう一つ。最近、加計学園をやっていないので、僕はもう一つ指摘しておきます、話題に上がっていないから。

 私が何度も言っている、この一番肝のところです。平成二十七年四月二日に、加計学園と一緒に今治市の人たちが官邸に一時間半相談に行っているという記録があって、これは黒塗りになっていますが、ここにも、誰が行ったかという名前が書いてあるんです。これは柳瀬さんでしょう、お会いしたのはと言ったら、記憶にございませんですよ。

 でも、ここの部分が実は加計の問題の一番の肝なんです。ここで会って何かを話していたとすれば事前に加計学園と調整をしていたということになるし、これが事実でなければそれは違うということになると思うんです。この部分もちゃんと説明してくださいと言っているのに、ずっと逃げているじゃないですか。

 都合の悪いことは説明しない、自分たちが間違っていることは訂正しない、でもマスコミが一度間違えたら徹底的に攻撃する。このやり方は私は許せません。(安倍内閣総理大臣「許せない」と呼ぶ)本当に、公平にやっていただきたいというふうに思います。

 もう時間がありませんので、先ほどの長妻さんが言っていたこの不思議な資料ですけれども、私も一番と三番、それを説明していますが、もう一個変なんですよ。

 一日の残業時間は一時間三十七分と出ていますが、実際に所定の平均、働いている時間はどれだけかといったら七時間三十五分、これを合わせると九時間十二分です。九時間三十七分と言ったのも、これも整合性がとれません。おかしいんですよ。

 だから、こういうものを、先ほど、そのときのデータはそうだったのでと過去形でおっしゃいました。であれば、今こういう不思議なことが出てきたんですから、一回あの答弁は撤回されて、結果が出てからもう一度答弁されればいいじゃないですか。先ほど、このデータはそのときはあったというふうにおっしゃいました。でも、今、精査にかかったわけですから、こういうことを一度撤回して、もう一度検討して答弁させてもらう、そういう謙虚さを持ってくださいよ。いかがですか。

 細かいことを聞いているのではありません。精査しているということは伺いました。先ほど大臣の答弁もいただきましたけれども、精査中であれば、正確を期すために、そのときのデータはそうだったと先ほどおっしゃっているんですから、一回撤回して、もう一度精査した上でそれを取り上げるなら取り上げたら結構じゃないですか。そうしてください、ぜひ。

安倍内閣総理大臣 先ほど来ずっと一方的にイマムラ議員の主張をされて……(今井委員「イマムラじゃありません。人の名前を間違えないでください」と呼ぶ)済みません。今井議員の主張をずっと展開しておられるわけでありますが、一々もう私は先ほどの主張に対して反応することはないわけでございますが、もし私が答弁する必要があれば今ここで答弁しますが、それは必要なさそうですから、この問題についてだけ答弁をさせていただきますと、調査結果については、厚生労働大臣が精査すると答弁をしているものと承知をしております。

 いずれにしても、裁量労働制のもとで働く方の中でも、労働時間の長い短いはさまざまであると考えています。健康確保措置、みなし時間と実労働時間の乖離の是正など、長時間労働対策をしっかりと進めていきたい、そう考えているところであります。

 いずれにいたしましても、私の答弁は、平均的な方という言い方をいたしまして、こういう数値もあると答弁をさせていただいたところでございますが、その後、厚労大臣の方からもう一度精査するというふうに答弁があったと承知をしているところでございます。

今井委員 時間が来ましたので終わりますが、やはり今の安倍総理のこの発言の撤回を求めますし、それと佐川国税庁長官、やはりこの方の答弁は、私は本当にいろいろなところで間違っていると思います。ぜひ証人喚問していただいて真実を明らかにしたい、そのことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて階君、今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民進党の原口一博でございます。

 豪雪被害に遭われた方々にお見舞い申し上げ、あわせて、AH64D五〇二号機墜落事故で犠牲になられた方の御冥福をお祈りします。

 私も実際に、総理、墜落の現場へ行きました。ローターが五百メーター以上離れて見つかりました。

 この一等陸佐は、まさにAH64Dの生き字引と言われるような、そういう方でありました。住宅地に墜落させてはならないと、最後まで操縦桿を握り締めて回避をされたんだと思いますが、いかに無念であったか、そう思います。徹底的な原因究明と再発防止を求めて、きょうの質問に入りたいというふうに思います。

 そこで、きょう、日銀総裁、来ていただいております。

 まず伺いたいのは、今、仮想通貨、聞くところによりますと千五百以上もあるということでございますが、通貨の発行権は国にある、これは主権そのものであり、通貨の発行益は国に属する、国民に属する、こう考えますが、基本的な認識を伺いたいというふうに思います。

黒田参考人 御案内のとおり、ビットコインなどのいわゆる仮想通貨は、法定通貨ではありませんし、裏づけ資産も持っておりません。その結果、現状ではほとんど投機的な投資の対象となっておりまして、送金や支払いへの使用というのはごくわずかのようでございます。

 また、国際的にも、信頼と使い勝手を備えた円やドルあるいはユーロといったソブリン通貨を凌駕する形で支払い決済手段として広く使われていく可能性は低いという見方が大宗でございます。

 したがいまして、国際的には、仮想通貨、いわゆるクリプトカレンシーという言い方ではなくて、仮想資産、クリプトアセットという言い方に変えるべきだというふうに言われているぐらいでございます。

 もとより、日本銀行といたしましては、支払い決済システムの安定を確保するという観点から、仮想通貨について、これが支払い決済への人々の信頼を損なうおそれがないかといった観点から、その動向を十分注視してまいりたいと思います。

原口委員 やはり、金融の面から主権が侵害される、これは絶対あってはならぬというふうに思います。

 そこで、重ねて日銀総裁に伺いますが、先週、世界は激震に見舞われました。最近の米国金利上昇と世界同時株安の背景について、日銀総裁に認識を伺いたいと思います。

黒田参考人 御指摘のありました最近の米国金利上昇の主な背景について、市場では、一月の雇用統計を含めまして米国の経済指標が市場予想を上回ったということから、先行きの物価上昇ペースが早まるという警戒感が強まったというふうに言われております。

 こうした金利上昇を受けまして、これまで史上最高値を更新し続けてきた米国株価の水準が調整され、これが、投資家のリスク回避姿勢の強まりを通じて、我が国を始め世界の多くの国で株価低下あるいは下落につながったというふうに言われております。

 もっとも、我が国では、良好な実体経済を背景に、企業業績が業種の広がりを伴いつつ改善しておりまして、先行きも増益基調が見込まれております。このように、株価のベースとなる企業収益の見通しや我が国の経済のファンダメンタルズはしっかりしているというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、内外の金融資本市場の動向というものは経済、物価に影響を与える可能性がありますので、引き続き注意深く見ていきたいというふうに思っております。

原口委員 私は、今、日銀総裁がお話しになられただけではないと思っています。やはり、巨額の財政赤字、一・五兆ドルの減税、一・五兆ドルの投資、こういったものについての評価というものを考えておかなきゃいけなかった。

 そして、総理に三つ指摘を申し上げたいと思います。

 イザナギ超えの景気回復といいますが、八三%以上の人が景気回復を実感できないとしています。

 表一は、相対的貧困、子供の貧困でありますけれども、夏休みなどが明けたときに、げっそり痩せている子供たちを見かけます。それは何かというと、一日一食が当たり前になっていて、そして、夏休みだと給食がございませんから、その後にげっそり痩せてくる。来月からまた春休みです。ぜひ、この子供たちにしっかりとした支えをお願いしたい。生活実感の悪化を訴える声というのは、やはり多く届いています。

 他方、若者との対話集会で出てくるのは就職の不安です。これだけ有効求人倍率がよいにもかかわらず、雇用は堅調なのに、ブラック企業やブラック労働への不安が強く、人手不足が深刻化していて、特定の業種では事故がふえています。

 また、高齢者に多く聞かれる不安は、一人で老いていく不安であります。定年後の二十年、三十年、四十年をどうやって生きていけばいいのでしょうか。健康や年金の不安もですが、一人の不安を訴える方も少なくございません。誰一人、ひとりぼっちにしない政策こそ求められていると感じます。

 私は、この三十年間の新自由主義、新保守主義がもう終わる時代に来たんだと思います。口を開けばリストラ、口を開けば海外展開、今だけ、金だけ、自分だけ、こういう経営では日本がよくなるわけない。

 プラザ合意以降、緊急の政策とされた超低金利政策。金融危機を経て、今では常態化しています。銀行預金金利は〇・〇〇一だとすると、これは一千万円預けても金利は百円ということで、この事態をかつて民主党の同僚議員はお金の失業と表現していましたが、これが三十年も続いたことになります。

 後年度影響試算、これは、宮沢財務大臣のときにお願いしてつくっていただいたものを、ずっと毎年やっていただいています。税収弾性値を一・一と仮置きし、三%成長でも、一般会計税収と総歳出額、公債発行額、これはワニの口はなかなか閉まらない。私は、やはり健全な財政再建、これが求められると思います。

 消費税についても、この三十年間、これだけの税収、約三百六十兆ぐらいの税収でありますが、レベニュー・ニュートラルというか、減税先行をやったために、財政再建というのはまだまだ道半ばであります。ことし、レーガノミクスからの三十年、三十年債がアメリカは償還期を迎えます。あのとき、減税すれば増収になるということでございましたけれども、結果はそうではございませんでした。

 今は世界的バブル崩壊の過程ではないのか。中央銀行が国債や株を買い込み、バランスシートを拡大させて、それをもとに金融緩和をする中央銀行バブル、この副作用は巨大で、純債務が世界じゅうにふえる事態は極めて深刻だというふうに認識をしています。

 そこで、総理に伺います。

 今、私たちがお金を銀行に預けて、〇・〇〇一と言いましたけれども、ここの表がいわゆるゼロ金利の仕組みであります。マイナス金利の仕組みであります。

 黒田総裁は、まだマイナス金利をお続けになるのか。先ほども階議員が指摘をしましたが、地方銀行を始め、経営を圧迫しています。すなわち、それは私たちの大事な、日本の強みである中小企業に対する金融も圧迫することになります。現に、表の五をごらんになってください。銀行貸出しは、マイナス金利にもかかわらず、一八年度は下がっています。

 私は、このマイナス金利をまだ続けるのかということとあわせて、最初は十兆だったのが、もう今二十五兆もマイナス金利をやっています。そして一方、ETFの買入れ、これは表をごらんになってください。二十・三兆円も株を買い込んでいるんです。しかも、この表をごらんいただければ、総理、実に四十一銘柄が一〇%以上です。

 私は、バズーカを期待するより、日銀のビヘービアを常に見ながら、そこに関心を払いながら経営をするよりも、バランスシートの安定を図っていただきたい。

 さきの国会で日銀総裁は、長期金利一%の上昇で自己資本は二十三兆円毀損するという答弁がございました。じゃ、株が暴落すれば、これはもう、国債は日本国の信用ですから、一気にバランスシートに悪影響を与えることはないかもわからないけれども、株をこんなに買い入れるということについては大変大きなリスクがあるんじゃないかというふうに思います。

 総裁に伺います。

 まだマイナス金利を続けるのか。そして、この異例中の異例と言えるETF、これは官製市場じゃないですか。そういったものは一刻も早くやめ、市場のことは市場に任せる、日銀は本来の、経済のアンカーであるというその矜持を取り戻すべきだというふうに思いますが、日銀総裁の答弁を求めます。

黒田参考人 まず第一点の、長引く低金利環境のもとで、銀行経営あるいはそれの経済全体に対する影響はどうかというお尋ねであったと思いますが、現在の長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで、我が国の長期金利は安定的に推移して、貸出金利や社債金利も極めて低い水準になるなど、金融環境が極めて緩和的な状態であって、経済を支えているということは御理解いただけると思います。

 こうした中、確かに、貸出金利の低下幅に比べて預金金利の低下幅が小さいことを踏まえますと、委員御指摘のとおり、低金利環境の継続が、特に預金貸出業務への依存度の高い地域金融機関を中心に、貸出利ざやの縮小などを通じて収益に影響を及ぼす面があると認識をしております。

 もっとも、現下の我が国の金融機関は充実した資本基盤を備えておりまして、資本コストも大幅に低下していることから、現時点で金融仲介機能に問題が生じているとは考えておりません。

 一方で、景気拡大や労働需給の引き締まりに比べて、物価は弱目の動きが続いておりまして、二%の物価安定目標の実現までにはなお距離がございます。

 こうしたことを踏まえますと、引き続き、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが日本経済にとって必要であると考えております。

 ETFの買入れによって日本銀行の抱えるリスク量が増大することは、委員御指摘のとおりであります。

 もっとも、買い入れたETFについては、引当金の計上などにより、財務の健全性の確保を図っております。

 また、ETFの買入れは、現在の長短金利操作つき量的・質的金融緩和の枠組みの一つの要素でありまして、今後とも、財務の健全性に十分配意しつつ、二%の物価安定の目標の実現に向けて必要な措置として実施していく方針でございます。

 なお、ETFを通じた日本銀行の株式保有割合は、株式市場全体の三%程度でございます。また、コーポレートガバナンスの面でも、ETFを構成する株式については、いわゆるスチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社により適切に議決権が行使されていると考えております。

 したがいまして、現状、ETF買入れによる副作用が大きな問題になっているとは考えておりませんが、委員御指摘の点も含めて、今後とも十分注意してまいりたいと思います。

原口委員 これで質疑を終わりますが、総理、ECB、FRBに比べて、日銀のバランスシートは三倍ですよ。そういう中で、限られた政策資源を浪費しているんじゃないか。また、国債買入れ額も減少、八十兆円を大体今五十兆円にしていますね。ステルステーパリングをやっているんじゃないか。出口戦略についてもきっちりと議論をすべきだ。

 委員長に最後にお願いしますが、この経済金融問題についても集中的な審議をここでしていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございます。

河村委員長 理事会にて検討いたします。

 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私からも、豪雪被害に遭われた皆様方に、お見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、総理、総理は、去る二月一日の参議院予算委員会で、我が党の辰巳孝太郎参議院議員が、二〇一六年三月十六日の音声データの中に、前日の三月十五日、財務省から出た途端に安倍夫人から電話があり、どうなりました、頑張ってくださいと言っていたという籠池氏の発言が録音されていたことについて、翌日、妻に確認したところ、そのような電話はしていないと否定をされました。

 私たちは、決して籠池氏の発言をうのみにして事実だと断定しているわけではありません。辰巳議員は、十五日に電話をかけたのかと質問したわけであります。昭恵氏がかけていないとおっしゃるならば、両者の言い分は明確に食い違うことになります。

 しかし、この日に電話をやりとりしたかどうかは別として、この間、安倍昭恵氏と籠池氏側が頻繁にメールや電話のやりとりをしていたことは動かぬ事実であります。

 昨年三月二十三日の参議院予算委員会で籠池氏の証人喚問が行われたとき、自民党の西田昌司参議院議員は、昭恵さんから許可をいただいて、メールを文字に起こして全部持っていると言い、総理は公表したいとお話しになっていますから、あなたも奥さんに公表させたいということで御了解願いたいと言って、そのメールのやりとりを公表いたしました。

 総理に確認いたしますけれども、これは西田議員が述べたとおり、総理も公表を望まれたということでいいですね。

安倍内閣総理大臣 私から、私が妻と籠池夫人とのメールのやりとりを西田議員に対して公表するということを認めたことは、事実であります。

宮本(岳)委員 そこで、このパネルを見ていただきたいと思います。

 自民党が公表した安倍昭恵氏と籠池夫人とのメールのやりとりで、昭恵氏がメールを送った日付と回数であります。籠池夫人のみが送った日は挙げておりません。この間、三十四回。特に、昨年二月十八日からの一カ月間で昭恵氏がメールを送った日が十日ございますので、まさに三日に上げずメールをしていたことになります。昨年三月十六日まで、こうしてメールのやりとりが続いているわけですね。メールのやりとりは続いているわけですよ、総理。

 電話の件でどちらかうそを言っているのだから、結局、籠池氏と安倍昭恵氏にこの委員会に来ていただいて、やはり、うそをつけば偽証罪に問われるという形で証言していただくほかはないと私は思うんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは、籠池さんについては、先ほど申し上げましたように、そういう電話を昭恵がしたことはないということを申し上げたところでございます。いわば籠池さんの発言にのっとった質疑であったわけでありますが、それは根本から違うということを申し上げているわけでございますが。

 この紹介したメールにつきましても、口どめともとれるメールが届いたと籠池氏が述べたわけでありまして、これはまことに心外であったわけでありまして、メールの前後の文脈を見ていただければ、籠池夫人から、みずからには非がない旨、勘ぐりをされている、真っ当な人間が真っ当なことをしているのを阻止されるなどと繰り返していたのに対しまして、そしてこちら側から、信じたいと思っています、しかし園長の説明を聞いていても私は人に納得してもらえるように話すことはできません、なぜ売却価格を非公開にしてしまったのですか、やはり怪しまれるようなことはしない方がよかったのかなと思いますと、やんわり籠池氏側を非難した上で、私がかかわったということは、裏で何があるのではと疑われないように、細心の注意を払わなくてはならないということだったのでしょうと言っているわけであります。つまり、かかわったというのは、名誉校長になっていたことを指すわけでございます。

 つまり、一部だけというか、籠池さんの発言が、全くこれは誤りなことを向こう側が言ったことに対して、西田さんがちゃんと……(宮本(岳)委員「長いじゃないですか」と呼ぶ)いや、長いといっても、この事実は事実として申し上げなければ全容がわからないわけでありまして、それを私は今説明をさせていただいているわけでありまして、私が説明をしようとすると答弁を遮られたのではちゃんと丁寧な説明ができないわけでありますが、繰り返しとなりますが、妻が国有地売却の問題や学校認可の問題に関して何らの便宜も図っていないことは、メールのやりとりを見ていただければ明らかなことではないか、このように思います。

宮本(岳)委員 時間稼ぎみたいな答弁はやめてくださいよ。私は、中身なんか聞いていないんですよ。この時点でもメールのやりとりは頻繁にやられていた、電話やメールのつき合いがずっと去年まで続いていたという事実を、私は指摘をしたわけであります。

 総理、あなたは、昨年の特別国会の当委員会で、私に対して、当時の理財局長も近畿財務局長も安倍昭恵氏が名誉校長であったことは知らなかった、だから、安倍昭恵氏が名誉校長であることによって値引きされたということには全くならない、こう答弁されました。

 しかし、この森友学園への国有地売却に財務省本省理財局でかかわってきた田村嘉啓国有財産審理室長は、籠池夫妻が上京して田村室長と激しい談判をした二〇一六年三月十五日時点では、昭恵氏が森友学園の名誉校長であることを知っていたと財務省は認めました。この田村室長こそ、その前年の十一月ごろ、安倍昭恵夫人付の谷査恵子氏から、ファクスのもととなる問合せを受けた本人であります。

 太田理財局長、田村室長は、このときの総理夫人付からの問合せについて、どのように語っておりますか。

太田政府参考人 お答えをいたします。

 宮本委員からは、昨年十二月六日の国土交通委員会においても今の件について確認を求められておりまして、それを受けて、当時の担当者、国有財産審理室長に確認をいたしましたので、その結果を申し上げます。

 平成二十七年十一月ごろ、総理夫人付から、当時検討されていた介護施設に適用される定期借地の賃借料についての優遇措置について問合せがあり、当該優遇措置の対象に学校法人は含まれず、また学校法人に拡大する予定もないと回答をしております。また、問合せがあった際、学校法人で定期借地制度を活用した貸付けを行っていたのは森友学園のみであったと認識しておりましたことから、総理夫人付の問合せの内容は、森友学園に関係しての照会であったことは認識していたと思うということでございました。

宮本(岳)委員 財務省本省の田村嘉啓国有財産審理室長は、既に二〇一五年十一月ごろ、谷査恵子氏からの問合せを受けた時点で、森友学園という学校が、首相夫人である安倍昭恵氏が関係する学校であることをはっきり認識していたというのが今の答弁ですね。

 このパネルを見ていただきたい。二〇一五年十一月十七日付で谷査恵子氏、夫人付から籠池氏に送られたファクスであります。

 総理は、ファクスの内容にはそんたくはないとおっしゃいますけれども、ファクスの最後には、赤線を引いたところに、「引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。」と書いてあります。ここから、理財局の田村嘉啓室長によるそんたくが始まった、こう言わざるを得ないと思うんです。

 総理、昭恵氏が名誉校長を辞任されたのは一体いつですか。

安倍内閣総理大臣 辞任したのは、こちら側の申入れに従って直ちに先方がホームページから妻を名誉校長だとする記載を削除したということではないかと思いますが、昨年の二月二十三日のことであったと思うわけであります。

 先ほど御紹介させていただいたメールは、いわば、うちの妻は向こうからメールが来たことに対しての返信をしているわけでありまして、あの返信の今中身を紹介をさせていただいたわけでございますが、今御紹介をさせていただいた内容だけを見ても、私の妻が何か籠池さんたちに口どめをしているということは全くない、むしろ、ちゃんと、価格は非公開ではなくて公開にすべきだったという趣旨のことを述べているわけでございます。

 つまり、中身をしっかりと、一部だけを取り上げるのではなくて、中身を見ていただいた方がいいのではないかということを申し上げているところでございます。

宮本(岳)委員 中身なんか聞いていないですよ。やりとりがあったという事実を、私はお示しをしたまでであります。

 この間、音声データが明らかになった二〇一六年三月十五日の財務省本省での田村室長への談判時点、あるいはその翌日の音声データの時点も、三月下旬から四月にかけての口裏合わせと言われる音声データの時点でも、ずっと安倍昭恵氏は紛れもなく森友学園の名誉校長だったわけであります。

 総理、あなたは、このパネルを見ていただきたいんですが、冒頭も言われましたよ。籠池さんの言うことは、ころころ言っていることを変える人物だ、だから信用ならない、こういう論法で安倍昭恵氏をかばい立てております。なるほど、籠池氏が発言を変えたことは幾らもあります。大体、安倍首相に対する評価は、証人喚問の前と後とで百八十度ひっくり返っております。

 しかし、それと全く同じく、ころころ籠池氏の評価を変えたのが、総理、あなたですよ。

 昭恵氏が名誉校長をやめる前の昨年二月十七日の予算委員会では、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いている、私の考え方に非常に共鳴している方と述べておりました。それが、昨年十月、総選挙中のテレビ番組では、こういう詐欺を働く人物のつくった学校と言い、今国会では、この籠池さん、これは真っ赤なうそ、うそ八百だと。ころっと、あなたの態度が、あなたの答弁が、あなたの発言が変わっているわけですよ。

 しかし、変わるまでは、昨年の二月二十三日まで安倍昭恵氏は森友学園の名誉校長であり、昨年の三月十六日までは頻繁にメールのやりとりをしてきたわけですよ。

 昭恵氏が何もかかわっていない、こんな話は到底通らないということを、私ははっきり申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

河村委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。お疲れさまでございます、連日。

 我が党はいつも、お昼前になると最終の時間になりまして、きょうは十二分の質問時間をいただいておりますが、NHKの中継が切れると大体半分ぐらいになっちゃうんですけれども、きょうのように時間がずれてくると全く映らないということもございまして、与野党、予算委員会の理事会の皆さん方には本当に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。(発言する者あり)ああ、そうだ。公明党の浜地先生や竹内先生、本当にありがとうございます。申しわけございません。

 それでは質問をさせていただきたいと思いますが、大阪万博について総理に質問をさせていただきたいと思います。

 経済についてでありますので、東京オリンピック・パラリンピック後の成長戦略ということで、大きな観光産業の柱ということで、将来の日本の地方経済のあり方については、大きな観光産業が柱となってまいります。フランスが辞退されたということでありますけれども、まだまだ、ロシア、アゼルバイジャン等との戦いがございます。

 総理から国民の皆さん方に、意気込みとこの意義、お聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 国際博覧会の国内への誘致は、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会だと考えています。開催地のみならず、我が国各地を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する起爆剤になると考えています。

 私自身、各国の首脳に対して直接働きかけを行っております。また、各国政府要人に対し、遠藤議員も参加されている超党派の議連の皆様や経済界の方々に精力的に働きかけていただいており、国、自治体及び経済界がオール・ジャパン体制で積極的な活動を展開しております。来月にはBIE調査団が来訪予定であり、その受入れに万全を期すとともに、この機会に、大阪、関西の魅力をしっかりと伝えてまいりたいと考えております。

 今後も、十一月に予定されるBIE総会での開催国決定投票に向け、御党を始め、もちろん大阪の自民党も一生懸命頑張っているところでございますが、国会議員の皆様に幅広くお力をかりながら、何としても誘致を成功させるという決意のもと、内閣としても全力で取り組んでいく考えであります。

遠藤(敬)委員 本当に、官民一体となって全国に、また世界に発信をしていかなくてはならないと思っております。

 ちなみに、二〇一二年には、大阪に来られた外国人旅行者、二百三万人だったんです。昨年は、二〇一七年、一千百十一万人と、五倍にふえております。本当に大阪も海外から多くの旅行客にお越しいただいておりますが、これが全国の津々浦々に広がるように、オリンピック、パラリンピック、またその後の大阪万博へとつなげていけるようにともに頑張ってまいりたいと思いますので、総理、御指導をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、尖閣諸島の最近の状況についてお伺いをしたいと思っております。

 最近、尖閣諸島の近海では、頻繁に出没する中国公船が報道されておりますが、非常に緊迫した状況にあるかと考えておりますが、今の現状について御説明を賜りたいと思っております。

中島政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島周辺海域では、平成二十四年九月以降、中国公船が荒天の日等を除きほぼ毎日接続水域を航行する傾向にあり、領海侵入する事案も二百七件発生をしております。また、平成二十八年九月以降、中国公船四隻による活動が多く確認されるなど、尖閣諸島周辺海域における情勢は依然として予断を許さない状況にあります。

 海上保安庁では、領海に接近した中国公船に対して、国際法及び国内法にのっとり適切に対処しております。引き続き、我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの方針のもと、関係機関と緊密に連携し、冷静に、かつ毅然として対応してまいりたいと考えております。

遠藤(敬)委員 こちらのフリップにもありますように、海上保安庁と中国公船とのちょうど領海の中での行き来を、また、日々、連日緊張感を持って対峙している海上保安庁の皆さん方には本当に御労苦をおかけしていると思いますが、その辺につきまして、尖閣諸島を購入した、また尖閣諸島を国有化しておりますが、どちらの持ち物になるんでしょうか、国の中の。

中島政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年九月十一日に海上保安庁が尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島を取得し、保有をいたしております。

遠藤(敬)委員 ちなみに、購入金額というのは幾らでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 尖閣三島、魚釣島、南小島、北小島の取得価格は、二十・五億と鑑定評価をさせていただいております。

遠藤(敬)委員 この二十億五千万でありますけれども、購入の段階で、どのような購入金額で算出をしたのか、決めたのかという、算出にかかわる、そういった金額の査定の仕方を教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 尖閣三島、魚釣島、南小島、北小島の取得につきましては、政府部内におきまして、不動産鑑定士、技術士等の資格を有する専門家を含めた検討を行いましてその取得価格を算定したものであります。

 その手法でございますが、尖閣三島の取得が極めて高次かつ特別な国益上の目的のために行われるものであることから、同島全体を長期にわたり平穏かつ安定的に維持管理し続けることの価値、いわば国が島を保有することの価値を価格として算定したものであります。

 その算定に当たりまして、島の再調達費用から算定する、いわゆる再生費用法と言っておりますけれども、方法をとっております。具体的には、沖縄県における国の埋立事業の事例をもとにいたしまして、島を再生すると仮定することにより、二十・五億と算定をしたものです。

遠藤(敬)委員 その専門家と言われる方々はどういう方々なんでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省内に検討チームを設けました。メンバーとしては、当時の担当課長ほか、不動産鑑定士、技術士の資格を有する者を非常勤職員として任命をし、検討チームに加わっていただいて、そこで検討したということでございます。

遠藤(敬)委員 ということは、政府の内部の方々が専門家チームということでございますので、果たして透明性の高い専門家チームと呼べるのかどうか、このことが不透明ではないかと思っております。

 時系列で見ますと、東京都が八月に二十億で購入と報じられておりまして、九月の二日の日経新聞、九月の三日のNHKでは、政府が二十億五千万で購入するという方針を打ち出されております。

 要するに、国交省が計算を出す前に購入金額が決まっているのではないかということでありますけれども、いかがでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 購入金額は、事前に決まっているものに基づいて鑑定したものではありませんで、その検討チームにおきまして客観的に算定をしたものと承知しております。

遠藤(敬)委員 では、改めて聞きますけれども、二十億という金額は都と地権者が合意をされたという話なんですけれども、偶然にも二十億五千万というのは、日経新聞やNHKが報道する前に、九月の七日に専門家チームが値段を決めて、閣議決定をされたということになっておりますが、こういった前後はおかしくないですか。どうですか。

田村政府参考人 東京都等がどういう額をされたかにつきましては承知してございませんが、私ども、この価格につきましては、内閣官房から、国交省に対しましてこの三島の不動産としての評価の価値を算定してほしいという依頼を受け、九月七日付で内閣官房に対して二十・五億という数字を報告させていただいているところでございます。

遠藤(敬)委員 では、この九月の二日、三日に各報道がなされた二十億五千万というのは、偶然ということでよろしいでしょうか。

田村政府参考人 偶然かどうかにつきましては承知しておりません。

遠藤(敬)委員 では、二十億五千万というこの数字、これは予備費で出しているんですね。国を守る、こんな大きな課題を何で予備費で出さなくちゃならなかったのか、お答えをいただきたいと思います。

中島政府参考人 お答えいたします。

 尖閣三島の取得につきましては、国会閉会中に、所有者との間で同島の国への売却に基本合意を得たことを踏まえ、政府方針に基づきまして海上保安庁で取得手続を行ったものであります。

 御案内のとおり、予備費は、予見しがたい予算の不足に充てるため設けられており、具体的には、当該経費の不足が予算編成時には予見し得なかったものであって、速やかに支出を行う必要があると認められる場合に、あらかじめ国会の議決を得た予備費の範囲内で支出を行うものができると承知しておりまして、当時もそのような判断に基づき取得手続に進んだものと認識をしております。

遠藤(敬)委員 終わりますけれども、尖閣諸島を、いかにこれから中国に対する脅威を考えていくかということを考えれば、将来的にもう一度確認して、これからの尖閣諸島海域での防衛、そして国を守る、そういった安全保障に対しても考える大きな課題ではないかと思っております。引き続き指摘をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。三十分、時間を頂戴いたしました。

 まず冒頭、北陸地方で発生をしております豪雪被害に対する政府の対応についてお聞きをしたいと思っております。

 福井県を中心に、二月の四日から断続的に寒波が襲っております。積雪は百四十センチを超えまして、これは三十七年ぶりの大雪でございます。残念ながら、死傷者も出てしまいました。

 まずは、被害に遭われました方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思っております。

 国道八号線には、一時、一千五百台もの車両が立ち往生しましたが、これにつきましては、自衛隊を中心に手作業で懸命な作業を行っていただきまして、現在は解消されているというふうに聞いております。

 公明党としましても、発災直後から次々と国会議員、また地方議員を現地に派遣をしておりまして、今この瞬間も調査を続けさせていただいております。

 現場からある声、これは、生活道路につきましては除雪がまだ全く進んでいない状況のようでございます。また、排雪の施設も満杯になっている。そして、食料やガソリン、灯油などの不足が大変目立っているということでございます。昨日現地に赴きました議員の話によりますと、きのうあいていたガソリンスタンドには長蛇の列ができていたそうでございます。さらに、農業用のハウス、また家屋の倒壊もあるようですが、まだ雪で埋まっておりまして、正確な被害が把握できていないというのが現状です。

 総理、こういった災害時の迅速な対応こそ、政権の姿勢が試される重要な局面だと思っております。総理におかれましては、政府を挙げて万全の体制で対応、復旧に当たっていただきたいと思いますが、総理の御答弁を求めます。

安倍内閣総理大臣 まず、このたびの大雪によりお亡くなりになられた方々に心から哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 二月四日以降、日本海側を中心に大雪となり、特に、福井県福井市では、昭和五十六年の豪雪以来三十七年ぶりの大雪となりました。

 この大雪に伴い、国道八号の福井、石川県境付近において、最大約千五百台の車両が滞留するなど、生活への大きな影響も生じたところであります。長時間にわたり車中にとどまることを強いられた多くの方々に対してお見舞いを申し上げます。

 政府としては、大雪となる前から、関係省庁災害警戒会議を開催し、政府一体となった警戒態勢を確保するとともに、大雪となって以降は、各省庁が連携して必要な対応をとってきたところであります。

 特に、記録的な大雪となった福井県では、自衛隊の災害派遣や除雪車の応援などを行い、懸命の除雪、排雪作業に当たるとともに、地元自治体と連携し、長時間滞留している車両を対象として食料や水、燃料の配給などを行ってきたところでありますが、ふだんの量を大きく上回る膨大な積雪と、更に降り続く雪のため、現場での作業は困難をきわめたところであります。

 今回の経験を踏まえ、こうした例を見ない大雪に対してもより適切に対処できるよう、政府の対応について不断の見直しを行うとともに、今後とも、地方自治体と緊密に連携し、大雪の被害から国民の生命、暮らしを守るための対策に万全を期していきたい。

 今回のことについても、常に災害においては万全を期すわけでありますが、それぞれに反省すべき点がある、そうした反省すべき点を次に生かしていきたい、このように考えております。

浜地委員 また本日から更に寒波が予想されております。さらに、被害の拡大も予想されておりますので、ぜひ最大限の御支援をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、本日のテーマは経済問題等でございますけれども、きょうはシンプルな議論をさせていただきたいと思っています。

 これは、アベノミクスの果実、これが実際に家計に届いているのかという問題です。大変シンプルですが、いつも私も地元で国民の皆様から一番多く聞かれる議論でございます。また、安心して消費にお金を回していくには、どういった国民の皆様方の不安を取り除くかという議論もしたいと思っております。

 第二次安倍政権、自公政権になりまして、マクロ経済の数字は大きく好転をしました。GDPは、政権発足時に比べまして名目で五十六兆、実質で三十六兆円増加。株価も、若干最近は調整をしていますが、二万一千円台を維持しております。前政権の一番底だった株価の三倍でございます。企業収益、就業者とも大幅に伸びました。

 総理は常々、アベノミクスの果実を家計に届ける、そのように宣言をされまして、政労使会議などあらゆる場面で企業に賃上げを要請されてまいりました。実際、毎年二%程度の賃上げを現実に実現をされてきたわけでございます。

 ただ、この話を地元の党員会などでしますと、一つには、年金保険料を始め、社会保険料はこのまま上昇してしまうんじゃないですかという御不安の声もございます。また、若い世代を中心に、いまだに、将来年金をもらえるんですかという御質問をされる若い世帯もあるわけでございます。だから安心して消費に回せないという声があります。

 資料一をごらんください。

 これは、総務省のデータに基づきまして、いわゆる現役世代と言われます六十歳未満の世帯の可処分所得の推移、そして消費支出の推移を私の方でグラフにしてまいりました。わかりやすくお話をしますと、可処分所得とは、お給料など家庭の収入から税金や社会保険料を引いた、いわゆる手取りでございます。

 十年前の二〇〇七年からのデータをとりましたけれども、二〇〇七年は四十五万八千円です。そこからかなり下降線をたどっておりますが、現在、二〇一七年、これは暫定の数字でございますけれども、四十五万八千円と、十年前の水準に戻ってきております。特に、二〇一四年以降、上昇に転じてきているわけでございますが、この間、大きな所得税減税はありません。むしろ、可処分所得のマイナス要因でございます社会保険料は徐々に上がったわけでございますので、これは、景気回復によって実際にお給料が上がってきている、また政府での賃上げを促す税制の効果が出てきている証左だろうと私は思います。

 しかし一方で、その下の段の消費支出です。これは、残念ながら、まだ下降線を少したどっているわけでございます。つまり、貯蓄の方に回っているというデータでございます。

 この原因の一つが、先ほども申し上げましたとおり、社会保険料の上昇や年金制度への漠然とした不安がまだ国民にはあるということだろうと思います。これを払拭するためには、やはり、まずはそもそもの賃金、名目の賃金を確実に引上げをする環境を継続する必要があろうかと思っております。

 第二次安倍政権では、毎年のように賃上げ促進税制を行ってまいりました。簡単に言いますと、一定の条件のもと、給料を上げた企業には法人税を一部減額する制度でございます。

 この制度、平成三十年度も、賃上げ促進税制、改正をされて用意をされておりますが、麻生財務大臣に、この三十年度の賃上げ税制の内容について御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 経済の好循環というものを達成する上で、賃金の引上げというのは極めて重要な課題なんだと思っております。

 したがいまして、政労使会議などの取組のほか、所得拡大促進税制を平成二十五年度に創設、拡充といった対応を進めてきたところですが、今回の税制もその一つのきっかけとして、四年連続、二・〇七、一・九八、大体二%前後の賃上げというものが実現をできたものと考えております。

 平成三十年度の税制改正で、今御指摘がありましたように、持続的な賃金引上げとか、生産性の向上というものを継続的にやってもらうためには設備投資を強力に後押しするという観点から、所得拡大促進税制を見直すことといたしております。

 具体的に申し上げれば、賃金の引上げについては、平成二十四年度以降一定以上の増加という要件をやめて、前年度に比べて賃金を三%以上引き上げるということと、また、生産性の維持向上のために、一定以上の国内の設備投資を行っていただくということを要件に税額控除を設けるということにしております。これによって、賃金引上げを行おうとする企業の強力な後押しになるのではないかと考えております。

 なお、中小企業が一番問題なんですけれども、そこにつきましては、三%ということではなくて、前年度から一・五%、大企業の約半分の賃上げで足りることとし、設備投資の要件は設けないなど、大企業に比べて一定の配慮をさせていただいております。

 こうした改正を契機に、これまでの法人税制改革とあわせて、企業におけるいわゆる賃金の引上げとか、また生産性を向上させるために設備投資が進んでいくことによって、経済の循環というものがよりよくなるのではないかということを期待しているところであります。

浜地委員 御答弁いただきました。

 大企業については、これまで二十四年度比であったのが前年度比になりまして、更に賃上げを促進し、設備投資もしていただくよと。ただ、中小企業につきましては、一・五%、低いハードルを設けて、まだ体力は弱いですから、確実に賃上げを促すことだろうと思っております。意外と中小企業の経営者はこの税制を御存じない方もいらっしゃいますので、私どもも含め、政府としてもPRをぜひお願いしていきたいと思っております。

 次に、可処分所得のマイナス要因としては、先ほど申し上げました社会保険料の上昇がございます。

 ただ、年金の保険料につきましては、昨年の平成二十九年に段階的な引上げは終了しております。これを地元の皆さんに話しますと、結構、えっというふうに言われます。余り御存じありません。

 この資料二で書いてありますとおり、年金保険料は、第一次自公政権の二〇〇四年に大幅な改革を行いました。その一つとして、年金の保険料を段階的に引き上げるということがあったわけでございます。しかし、保険料は際限なく引き上がるわけではなくて、一定の上限、キャップをこのときつけました。

 これが、この一番上の図、厚生年金の保険料につきましては、昨年の九月に一番上限であります一八・三%まで上がって、ここで打ちどめになっています。これは当然、厚生年金は労使折半ですから、従業員の皆さんは九・一五%の負担で打ちどめです。

 国民年金保険料も同じように、昨年の四月で引上げが終了しています。ただ、国民年金保険料は、いわゆる賃金に対する割合ではありませんので、若干の調整はございますけれども、自動的に引き上がっていくということはもうないわけでございます。

 この点、国民にぜひ安心していただくためにも、もっとこれを周知すべきですし、我々議員も含めて、アナウンスをしてまいりたいと思っております。

 また、一番下、年金の給付水準とございますが、これにつきましては、政府は五年に一度、年金財政の検証を行っております。結果は、女性や高齢者の労働参加が進んだ前提でございますけれども、所得代替率が五〇%を超えているというデータです。わかりやすく、所得代替率とは、現役世代の平均的なお給料の手取りに比べて、実際に支給される年金が幾らかというものでございます。

 きょう私が示しますケース、実際にどういう数字になるかということを示したいと思っております。これはさまざまなケースを想定されて計算をしていますが、一番経済成長などを低く見積もった場合のケースEを持ってまいりました。

 この図は、経済成長率を実質〇・四%と前提をしております。しかし、昨年の成長率は一・七%でございますので、かなり控え目な数字を前提としています。出生率も、一・三五前提でございますが、一昨年は一・四四まで回復をしてきているわけでございます。また、年金の資金の運用利回りも、三%が前提でございますが、自主運用開始以降、年金積立金の運用は三・三九%で、これを上回っております。女性の就業率、これは欧米並みの七〇%を超えました。高齢者の再雇用、労働参加も進んでおります。ですので、これは私は実現可能な数字であるというふうに思っております。

 この表を見ますと、一番左、確かに、現在の高齢者がもらっていらっしゃいます所得代替率は六二・七%です。どうしても少子高齢化が進みますのでこれは徐々に低下をしてまいりますが、二〇四三年、今のちょうど四十歳の人が年金の支給が始まります二〇四三年では、このときの平均的な給与の手取り、これを四十八万二千円というふうに前提を置いていますけれども、夫婦でもらえる年金額は二十四万四千円、所得代替率は五〇・六%を示しております。

 ですから、今の若い世代の方が抱いているような、年金が大幅に削られる、また、もらえないということはないんだということをきょうは国民の皆様方に改めて御理解いただきたく、この表を持ってまいりました。

 来年、平成三十一年には、また財政検証が行われます。しっかりこの結果を広く国民の皆様方に公表していただいて、年金財政の姿をお示しいただきたいと思っております。

 しかし、介護保険料につきましては、この年金保険料のような上限のキャップはまだ制度としてございません。

 よく高齢者の方にも、介護保険料がどこまで上がるか心配だという声がございます。今後も当然介護制度を維持することは大前提でございますけれども、やはり可処分所得の点から、介護保険料の大幅な上昇を抑えるためにはどのような方策があるか、加藤厚生労働大臣にお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 介護保険制度については年金のような仕組みは導入されていないわけでありますけれども、高齢化が進展する中で、必要な方に必要なサービスが確実に提供されるということが一方では大事でありますが、その財源は保険料であり、公的負担といっても税金であり、あるいは御本人の利用者負担という、言ってしまえば国民の負担そのものでありますから、その負担をどう抑制しながら財源を確保していくかということが非常に大事だというふうに思います。

 このため、累次の改正によって給付の効率化、重点化を進めて保険料負担の抑制に努めるとともに、昨年の介護保険法改正においては、高齢者の自立支援や重度化防止等のための保険者の取組も制度化をさせていただきました。

 また、今、若年層の介護保険料ということでありますが、現役世代内の負担の公平、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、昨年八月から、介護納付金について、いわゆる総報酬割という新たな制度に移行をしております。これによって、総報酬の低い医療保険者、どっちかといえば給料水準が決して高くない医療保険者については介護納付金の額が軽減されるということになります。

 実際、これは今、二十九年度から段階的に進めて、三十二年度で全面的に適用になりますけれども、そのときに、平成二十六年度の実績をベースにしてみますと、これは推計ですけれども、上がる方、下がる方がいるんですが、下がる方、負担減となる被保険者は約一千七百万人程度ではないか、こういうふうに推計をさせていただいているところであります。

浜地委員 お答えありがとうございました。

 介護保険料については、高齢者の世帯につきましては、消費税が一〇%に上がったとき、低所得の高齢世帯の介護保険料は軽減される、そういった政策も既に用意をされております。

 また、これは年金の話になりますが、低年金の世帯の方には最大月額五千円程度の年金額を加算する社会的給付というものも用意をされておりますので、国民の不安を払拭するためにも、確実に与党としても実施のために頑張ってまいりたい、そのように思っております。

 続きまして、可処分所得の引上げ、これを消費に回していくためには、やはり一番お金のかかる子育て世帯の負担の軽減、教育負担の軽減が必要だと思います。

 公明党は、二〇〇六年に発表しました少子社会トータルプランにおいて、いち早く、幼児教育の無償化や教育負担の軽減、これを提言させていただきました。昨年の総選挙におきましても、教育負担の軽減というものをスローガンに掲げて選挙を戦わさせていただきました。

 そして、昨年の末、新しい経済パッケージ、これを政府でまとめられましたが、この中には、人づくりの一つとして、幼児教育の無償化、また、我が党が主導的に進めました私立高校の授業料実質無償化を盛り込んでいただきました。

 これは教育という面でも大事でございますが、やはり可処分所得をしっかり引き上げる、安心して安倍政権では子育て世帯も消費に回せるんだ、そういう環境を整えるために、この幼児教育の無償化、そして私立高校の授業料実質無償化、なるべく広い範囲でとっていただきたいというふうに要望いたしております。

 ぜひ、茂木人づくり担当大臣の御答弁を求めます。

茂木国務大臣 浜地委員から、先ほど可処分所得そして消費支出の推移のグラフもお示しをいただきましたが、この中で、消費支出に関連して年齢階級別の平均消費性向というものを見てみますと、六十歳から六十四歳では九四・一%、六十五歳以上が八二・三%に対しまして、いわゆる子育て世代とされます三十九歳以下ですと消費性向が六五・三%と、二十代、三十代の消費性向は低く、この三十年を見ましても、低下幅が最も大きくなっております。

 また、二十代、三十代の若い世代に、理想の子供の数を持たない理由、これをお聞きしますと、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、これが最大の理由となっておりまして、子育ての経済的な負担軽減に対するニーズは非常に高い、このように考えております。

 本来さまざまな消費ニーズを持つと考えられるこれらの若い世代に教育費の負担が重くのしかかっていることが、我が国全体の消費の弱さであったりとか少子化の原因の一つとなっているのは間違いないと思っております。

 一方、そこの中で、幼児教育につきましては、諸外国においても、三歳から五歳児の教育について、所得制限を設けずに無償化が進められているところでありまして、これはしっかり進めていきたい。

 また、高校につきましては、現在、進学率が九七%、まさに国民的な教育となっておりまして、高校教育を幅広く受けられるようにする観点から、経済的な負担を軽減する意義は大きいと考えられております。

 こうしたことから、今回の経済政策パッケージで決定した幼児教育の無償化、そして御党が主導的にお進めをいただきました高校授業料の実質無償化措置、これは委員御指摘のとおり、子育て世代の負担を軽減する、こういう大きな不安に直面するこれらの世代に対する大きな支援策となると考えております。

 もちろん、消費、これはさまざまな要因によって決まってくるものでありまして、一つの政策によってどの程度具体的に効果が出るか、これを申し上げるのは難しいところがありますが、今回の措置はこういった子育て世代、若い世代の消費の活性化に間違いなくプラスに働く、このように考えております。

浜地委員 ただいま茂木大臣の御答弁の中に、三十代の消費支出、これはまだなかなか回復していないということもデータを出していただきました。私自身も、かなり大変な子育ての負担があるんだなということを改めて痛感をしましたので、しっかりとこの政策、与党公明党としましても推し進めてまいりたいというふうに思っております。

 総理、第二次安倍政権、また自公政権となってから、総理は本当に先頭に立って、賃上げの促進というものを経済界始め多くの方々に促されてまいりました。先ほどのグラフにもありましたように、アベノミクスの果実は確実に、可処分所得の上昇を見てわかるとおり、家計に回り始めております。今後もあらゆる政策を総動員され、家計に恩恵をもたらす、景気回復を実感していただく、これが大事だろうと思っております。

 総理にこの問題について、可処分所得の増加策、総理の御所見をお伺いしたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 アベノミクスは何かといえば、それは、仕事をつくり、家計を豊かにしていくことであります。

 我々の政策によって、経済はこの五年間で、名目GDPで一一・四%成長しました。そして、しっかりと雇用を大幅に改善をし、税収を引き上げていく中において、更に経済の成長軌道を確かなものとし、そして、今こそ、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、人づくり革命と生産性革命を車の両輪とする新しい経済政策パッケージを昨年十二月に閣議決定したところであります。

 今こそ、今申し上げた人づくり革命と生産性革命を行わなければならない、こう考えております。

 生産性革命をしっかりと進める中で、平成三十年度税制改正においては、所得拡大促進税制を見直し、賃上げ等に積極的な企業の税負担を引き下げることとしておりまして、過去最高の企業収益をしっかりと賃上げ等につなげていくこととしております。

 高齢化が進展する中で、社会保障制度を持続可能なものとし、次世代に引き渡していくということが安倍内閣の重要な課題、責務であります。消費税率の一〇%への引上げに当たっては、その使い道を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当することにより、子育て、介護等、現役世代が抱える大きな不安を解消し、また、社会保障の持続可能性に対する不安も解消していくこととしています。

 こうした取組によって、社会保障制度に対する国民の信頼を一層高めてまいりたいと思います。

 また、調査によれば、二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由であります。このため、幼児教育の無償化や私立高等学校の実質無償化など、子育てや教育に係る負担軽減措置を講じていきます。

 アベノミクスによる雇用、所得環境の改善等を背景に、税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得は三年連続で増加をしておりまして、引き続き、生産性革命、人づくり革命など、あらゆる政策を総動員して、経済再生の取組を更に加速させ、成長と分配の好循環を実現していきたいと考えておりますが、その上におきましても、この春の賃上げ三%、これはむしろ社会的要請と言ってもいいのではないか、このように思います。

 経済界の皆様にはぜひ対応していただきたい、このように考えております。

浜地委員 総理に力強い御答弁をいただきました。二〇二〇年オリンピックに向かって、景気が上昇していくと思っております。今の可処分所得の流れ、最後にこれを、とどめを刺して、上昇カーブに持っていくには、本当にことしが大事だろうと思っておりますので、ぜひ前面に進めていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問にいたします。

 きょうは小野寺防衛大臣に参加をいただきました。本来、経済問題がテーマでございましたが、きょう出席いただきまして、本当にありがとうございます。

 この週末、小野寺防衛大臣は、佐賀県目達原基地駐屯地所属のヘリ墜落事故の現場を視察いただきました。公明党としましても、大臣の現地入りを強く求めておりましたので、本当に行っていただいてよかったと思っております。

 私自身も現場に行かせていただきました。ヘリの部品の一部が御自分の田んぼに落ちた農家の方を訪ねまして、実際にお話を聞かせていただきました。

 今、ヘリの部品というのは全て回収をされておるんですが、どうしてもまだ不安があるようでございます。細かい部品や金属などがまだ田畑の中に埋まっているんじゃないかというふうな言い方をされておりました。

 また、墜落時はかなりの黒煙が上がったそうでございます。この煙が、風に流されて自分の田んぼの上を、相当降り注いだということでございます。ですので、航空用燃料がこの中にもしあれば、今後、田畑に影響があるのではないかという声もありましたので、御紹介をさせていただきました。

 被害に遭われました御家族、このお見舞い、補償は当然でございますが、ぜひ、周辺住民の皆様方にも御説明、また、お声をお聞きいただき、不安解消に努めていただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思っています。

 その上で、大臣が実際に現地に入られまして、被害御家族、また自治体関係者とお会いになりました。新たな課題も見つかったであろうと思っております。この御視察を受けての大臣の事故に取り組む姿勢、最後にお聞かせください。

小野寺国務大臣 まず、改めまして、今回の事故では、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことは極めて遺憾であり、心よりおわびを申し上げます。

 十日から十一日まで佐賀県を訪問し、事故現場を視察するとともに、山口佐賀県知事、石倉佐賀県議会議長、松本神埼市長、多良吉野ケ里町長及び武広上峰町長等、そして被害に遭われた皆様にもお会いをし、謝罪をし、また、亡くなられた二名の隊員の葬送式に参列をしてまいりました。

 事故現場では、火災被害に遭った建物やそこに残された機体を目の当たりにし、航空事故の危険性を改めて認識し、このような事故を二度と起こしてはならないという思いを一層強くいたしました。

 墜落による火災の被害に遭われた方々のほか、現時点において、屋根の損傷といった七件の近隣の建物等への被害も確認しており、これまでのところ、この中には田畑に燃料が飛散したといった状況は確認されてはおりませんが、現在も、部隊において、飛行経路における落下物がないか捜索をしております。きょうも、千人以上を超える隊員で、現場でさまざまな部品を含めた被害の確認をさせていただいております。

 今後とも、万が一被害がありましたら、私どもとしてしっかり補償させていただき、また、被害に遭われた方々の生活再建や心のケアについても、御要望を伺いながら、誠心誠意対応させていただきたいと思っております。

浜地委員 防衛大臣、よろしくお願い申し上げます。

 時間となりました。終わります。ありがとうございます。

河村委員長 これにて浜地君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十四日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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