衆議院

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第3号 平成28年10月26日(水曜日)

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平成二十八年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      あべ 俊子君    赤枝 恒雄君

      江渡 聡徳君    大隈 和英君

      木原 誠二君    木村 弥生君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中谷 真一君    長尾  敬君

      福山  守君    堀内 詔子君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      阿部 知子君    大西 健介君

      郡  和子君    玉木雄一郎君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      初鹿 明博君    水戸 将史君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    足立 康史君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  鈴木 俊彦君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     中谷 真一君

  岡本 充功君     玉木雄一郎君

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     小松  裕君

  玉木雄一郎君     岡本 充功君

  足立 康史君     河野 正美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房年金管理審議官伊原和人君、年金局長鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井坂信彦君。

井坂委員 民進党の井坂信彦です。

 本日は、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能強化のための国民年金法改正案ということであります。わずか二カ月の短い秋の臨時国会で、この無年金者を救う法案を真っ先に審議ができることになりました。御尽力をいただいた皆様には、この場をかりて心より感謝を申し上げます。

 我々は、今国会で何としても無年金者を救う、そのために早期の審議入りを強く主張してまいりました。一方で、審議はしっかりともちろん時間をとって行うべきと考えます。さらには、政府提出法案をさらによくするために国会として何ができるかということについても議論し、また提案をしていきたいというふうに考えます。

 まず、一番最初ですので、基礎的なところからお伺いいたします。

 今回の法改正で新たに年金を受給できるようになる方々が平均で幾ら受給できるようになるのか、月額幾らなのか、基礎年金また厚生年金について、それぞれお伺いいたします。

塩崎国務大臣 今回の法改正によりまして初めて老齢基礎年金を受給するということになる方の平均受給額についてのお尋ねをいただきました。

 月額でいきますと、老齢基礎年金を新たにもらえる方々、約二・一万円になるというふうに見込んでいるところでございます。

 一方で、老齢厚生年金についてのお尋ねもございましたが、これにつきましては、個々の対象者の過去の標準報酬額に基づくわけでございますので、それをもとに、平均の標準報酬額を年金の支給決定を行う際に計算して確定させる必要があるということでございまして、正確な平均受給額をお示しすることはなかなか難しいということでございます。

 なお、約千人の対象者につきましてサンプル調査をいたしましたところ、厚生年金の期間を持った方々につきましては、基礎年金とは別に平均して月額一・一万円を受給されることになるとの結果が、この千人を対象としたサンプル調査で得られたところでございます。

井坂委員 基礎年金だけであれば月額平均二万一千円、そして、千人のざっとしたサンプル調査では、基礎年金とは別に一万一千円ということなので、両方合わせると三万二千円ということであります。

 今回の法案は、もちろん、保険料を二十五年納めていない方を、何とか保険料を納めていただいた分ぐらいは年金を給付しようということでありますから、もとより保険料を納めている期間が十年、十五年、二十年と非常に短いということで、当然、普通に計算すれば、受け取れる年金額は二万円、三万円、このようなことになってしまうのは制度上仕方のないことだと思います。

 一方で、この法案は、無年金の方を救うという意味では大きな第一歩であると同時に、この金額を虚心坦懐に見れば、やはりこれだけで無年金の方が老後をしっかり経済的にやっていけるということではもちろんないわけで、また今後、同僚の議員から、結果的にやはり低年金になることは間違いない、そこをまた年金制度全体でどうしていくのか、老後を支えるための最低保障という議論を今後どう考えていくのか、こういった議論に続いていくことだと思います。

 もう一つ、基礎的なことをお伺いしたいと思います。

 今回の法改正を経てもなお無年金の状態が続く、こういう方は人数で何人になるのか。これは二つの場合がありまして、七十歳までの任意加入制度を使えば無年金じゃなくなるけれども、使わない限りは無年金のままだ、こういう方と、それから、七十歳までの任意加入制度をフルに使っても無年金のままになってしまう方、こういうパターンがあると思いますが、それぞれ人数をお答えください。

塩崎国務大臣 今回の法改正をしてもまだ無年金の方がどれだけおられるのか、こういうお尋ねでございます。

 今回、受給資格期間を二十五年から十年に短縮した場合の対象者を把握するために行った調査によりますと、七十歳まで任意加入をしたとしても十年の受給資格期間を満たすことができない無年金者の方々、この方々は約二十六万人と見込まれているところでございます。

 なお、法改正によっても直ちに年金受給権は発生をしないわけでありますけれども、今御指摘をいただいた、七十歳までの任意加入を行った場合には十年の受給資格期間を満たして年金を得ることができるという方は、六十五歳以上で約六万人というふうに見込んでいるところでございます。

井坂委員 今回、二十五年から十年に短縮されるということで、さらに七十歳までの任意加入制度を使ってそこで保険料を払えば多くの方が救われるわけでありますが、当然、それでもなお期間が足りないという方は残る。ここに関しては、今、生活保護の受給者のことし半数が高齢者になったという状況になっている、こういった質疑もこの間させていただいてきておりますが、やはり、なお残る無年金者、こういう問題については別途何らかの対応が必要である、これは与野党を問わず認識をしているところだと思います。

 そこでお伺いをいたしますが、今回の法改正を経てもなお保険料納付期間が十年に満たない、無年金になってしまう、こういう方に対し何らかの措置は考えられるのかどうか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 今回の法改正を経ても保険料の納付期間が十年に満たない方に対しての特例措置ということだろうと思いますが、平成十九年に実施をいたしました無年金者数を把握するために行った調査によりますと、その時点で納付できる七十歳までの期間を全て納付したとしても二十五年の受給資格期間に満たないという方で無年金となってしまっただろうという方々は、約百十八万人存在すると当時見込まれておりました。

 一方で、今回、受給資格期間を二十五年から十年に短縮した場合の対象者を把握するために行った調査によりますと、七十歳までの期間を全て納付したとしても十年の受給資格期間を満たすことができない無年金の方、これは約二十六万人と見込んでおりまして、無年金の問題は大きな改善が図られるものと考えております。

 それでもなお、無年金の方に対して、二年の時効を超えて過去五年間の未納分の保険料納付を可能とする時限的な特例措置である後納制度、これを利用して十年の受給資格期間を満たす場合もあると考えられるために、対象となり得る六十五歳未満の方に対してこの制度の周知を十分図っていきたいということがまずございます。

 また、例えば、外国に在住をしていたなどによって、国民年金に任意加入が可能だったが加入しなかった期間である合算対象期間、いわゆる空期間と呼ばれている期間でございますが、これを有している方については、それを合計すれば十年以上となる可能性があるわけでありますので、関係機関との連携を強化するということだと思います。

 平成二十九年度後半以降、ホームページその他の媒体によります一般的な周知に加えて、個別のお知らせを行うということによって対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 後納制度、また、外国の方への対応と今御答弁をいただきましたが、やはり可能な限り、いろいろな制度、これは実際、特に無年金の方、これまで無年金だった方というのは、そもそも自分は年金の受給の権利がないということで、年金制度そのものに余り詳しくないのが当然でありますから、ぜひ、あらゆる制度、使える制度は全てきちんと伝えるべき人に伝えて使ってもらう。

 特に後納制度は、もちろん、年がいってから後払いでたくさん払わなければいけないわけで大変なわけでありますけれども、しかし、年金制度というのはある意味長生き保険というような色合いもありますので、今払った分がただ戻ってくるというだけではなくて、もし本当に九十、百まで長生きしたときにも、今払っておけば、それがむしろ自分の寿命が尽きるまでちゃんと一定額もらえる、長生きをしたときにより安心ですよというそのメリット、趣旨まできちんと伝え切ることが大事かというふうに思います。

 次に、実際の今後の流れについてお伺いをしたいと思います。

 今回法改正で、新たに年金を受給できる方々に対し年金機構から、年金請求書、裁定請求書とほぼ同じものでありますが、年金請求書というものを事前に送ることになると思います。

 それを受け取った新たに受給できる方が、それを普通に封筒で送り返してもよいですし、あるいは窓口に持ってきて提出をしてもよい、それをすることで年金請求が終わるということになるわけでありますが、今回、政府案では施行期日が来年の八月一日となっています。もちろん年金請求書は事前に年金機構の方から新たな受給者の方に届くわけでありますが、この受給者の方が、これへの対応、反応がおくれて、八月一日、施行期日を過ぎてこれを提出あるいは返送されたときにはどのような問題が起こるのか、お伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 今の、年金請求書が送られてくるというお話でございますが、今回の受給資格期間短縮で新たに年金受給に結びつく方々は約六十四万人おられるわけでありますけれども、施行後の最初のお支払い月でございます平成二十九年十月から確実に年金をお支払いできるようにあらかじめ年金請求書を御本人宛てに送付する予定でございまして、今御指摘をいただいた年金請求書というのが届くというわけでございます。

 仮に、御本人の事情などによって年金の請求手続がおくれた場合には十月からのお支払いがおくれることになってしまうわけでございますが、受給権は法律が施行する八月から既に発生をしておりまして、請求がおくれた分の年金についても支払われるということとなっているわけでございます。

井坂委員 受給者が年金請求書を窓口に出すあるいは返送するのがおくれても、答弁のとおり、八月一日施行なら来年九月分から受給権があるということでありますから、要は、受給者が出すのがおくれれば、受け取るタイミングがおくれる可能性はあるけれども、しかし、金額が減るというようなことは起こらないということであります。

 聞くところによりますと、むしろ、年金機構の方では、だから、そんな、八月一日までに何が何でも出さなきゃといって慌てて窓口に来る必要はないですよというようなアナウンスもするんだというようなことも事前に伺っておりますが、そのようなアナウンス、どのような目的でされるのか、お伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 今先生、年金請求書が来た場合に送り返すだけでいいじゃないか、こういうことでありますが、恐らく、これまでの経験からしてみて、日本年金機構では、年金請求書を送った場合、お受け取りになられた方がどう行動されるかというと、必ずしも返送するだけではなくて、やはり年金事務所に赴いて御相談をする、これはどうなっているのということをお尋ねされることが多いということです。

 窓口における、六十四万人でございますから、殺到するようなことがあってはならないと考えておりまして、丁寧に御相談に応じるというためにも、これは、皆さん方においでをいただいて、少し時間をかけてお話をする必要がある方には必要に応じて対応していくということが混乱を招かないことになるのではないかというふうに考えているところでございます。

井坂委員 年金請求書が年金機構から送られてきても、受給者の方は、本来はそれを郵便で送り返してもよいわけでありますが、実際は、八割方の方は、やはり心配なので窓口に来られるんだ、窓口でいろいろと確認したり聞いたりしながら最後の手続をされるんだというふうにも聞いております。

 ですから、八月一日施行で、普通の感覚でいうと、何か、八月一日までにこれを出しに行かないと大変なことになる、一カ月分もらい損ねるんじゃないかと思う感覚は私もよくわかりますので、それを、いっときに窓口にそういう方が来られるとさすがにさばき切れないので、あらかじめ、別に八月一日に間に合わなくてもちゃんと金額はお支払いできますよということをアナウンスするんだというふうなことであります。

 そこで、本題に入りますけれども、今回、政府提出のこの法案では、施行期日を八月一日というふうにしておられます。

 もともと、この法律は、改正前はどう書いてあるかというと、二十五年を十年に短縮する、施行期日は消費税一〇%引き上げ時ということで書かれておりました。ですから、今回、消費税一〇%の引き上げが二度にわたって延期をされる、されたということでありますけれども、もともとは、もう二年前に施行期日を迎えているはずであった。一回延びて、今度は平成二十九年の四月に消費税が上がっていれば、そこが施行期日になるはずであった。

 ということで、もともと、特に今回、平成二十九年四月の消費税増税は、これは私がそれを推進しているというわけではありませんが、むしろ安倍総理の方が、この平成二十九年四月の消費税増税は必ずやりますということで断言をしておられた期日でありますから、当然、厚生労働省としては、四月一日に施行期日が確実に来るんだ、だから、それに合わせて粛々と準備をされていたことというふうに思います。

 ところが、今回、その消費税増税が延期をされてみると、四月一日にできたはずの、この法改正、施行期日、そして、四月一日であれば、当然受給権はそこから発生するわけでありますから五月分からもらえたはずなのに、今回、法改正では、施行期日がなぜか八月一日、こういうことで、四カ月おくらされてしまっているわけであります。

 端的にお伺いいたしますが、消費税増税は延期をされましたが、もともと準備をされていたとおり、施行期日は四月一日にすべきではないでしょうか。

塩崎国務大臣 今お話がありましたように、年金の受給資格期間短縮は、法律上は、その施行時期が消費税の税率一〇%への引き上げ時ということとされておったのは、そのとおりでございます。

 消費増税の延期が決定をする中で、これは六月の一日に消費税の二年半の延期ということが総理から発表されるわけでありますが、この消費税の延期が決定をする中で、無年金の問題は、これは大事な喫緊の課題だということで、できる限り早期に実施すべきという判断を、これは七月十一日に改めてしたわけでございます。

 今回の受給資格期間の短縮で、さっきから申し上げている、約六十四万人の方々が年金を受給するということで、多くの方々が、先ほど申し上げたとおり、混乱なく年金を受給できるように相談にも応じるということをするために、対象者の方々に、私どもとしては、五回に分けて請求書を送ろうというふうに考えておりまして、年金事務所窓口の来訪者を五回に分けることで分散をするということなどで対策に万全を期す。そして、最も早い施行期日として、それを踏まえると、平成二十九年の八月施行ということになるのではないかということで、今回八月一日施行ということにさせていただいているわけでございます。

 法律が、今御審議をいただいておりますけれども、成立をして、そして施行日が確定をしない限り、予算執行を伴う業者契約に着手するということはできないわけでありますので、先ほど申し上げたように、六月一日に消費税の再延期が発表された、その時点で、私どもとしても、さっきお話があった、それまでやってきた作業をとめざるを得なかったということでございますので、この法律を一日も早くこの臨時国会でお通しいただくということで、そうなれば、十二月下旬までには業者契約に着手することができるのではないか。そして、増税の延期前は業者契約は八月を予定しておりましたけれども、都合約四カ月の手続遅延が発生をすることでございますので、施行日も四カ月おくれることになるということでございます。

井坂委員 実務で時間がかかるので四カ月おくらさざるを得ないという答弁でありました。

 まず、その実務の話をする前に、財源の話からお伺いをしたいと思いますが、今回、第二次補正予算で、簡素な給付措置、これを平成三十一年まで予算化したことによって、平成二十九年の当初予算で使うはずだった六百六十億円が丸々浮いてきている。今回、政府案でも、これを財源にするんだということで伺っております。

 一方で、私が先ほど御提案したように、平成二十九年の四月一日施行にして、受給権発生の五月分から仮に給付したとしても、丸一年分給付するのに必要な財源は六百五十億円というふうに政府の資料にも書いてありますので、これは財源的には問題がないと考えますが、確認をさせてください。

塩崎国務大臣 何を今回の二十五年、十年の財源にするのかというのは、これは当然のことながら予算編成過程の中で決まってくることでございますので、今特定の、簡素な給付の六百六十億とかそういう御指摘がございましたけれども、そういうものが、すき間ができるということは間違いないわけでありますが、それをそのまますぽっと充てるというような話では、予算編成というのは、そもそもないということでありますので、そういう中で、財源につきましては、年末の予算編成過程の中で決めていくということになってくるわけでございます。

井坂委員 今大臣がおっしゃったのは、これは完全に建前の答弁でありまして、もちろん、平成二十九年の予算編成はそのときに考える、そのときに財源も考える、それはおっしゃるとおりだと思います。

 ただ一方で、我々、党の部会で正式に説明をいただいたときにも、当然、財源はどうなるんですかとお聞きをしたら、建前は今大臣がおっしゃったとおりですけれども、しかし、簡素な給付措置で必要となくなる六百六十億円が平成二十九年度もそして平成三十年度も浮いてくるので、何か新たな財源、何もないところからひねり出さなければいけないという状況ではないということは明快に説明をしていただいた。

 その後、私も確認しましたけれども、その六百六十億円、何かほかに使い道がもう決まっているんですかと言ったら、当然そんなことはまだ決まっていないということでありますから、普通に考えれば、その六百六十億円を今回の、二十五年から十年に短縮をして無年金者の方を救う、その財源に充てるということになるんだ。お金に色はついておりませんから、それがそのままこっちに行くというのは、それはそうじゃないと言い張るかもしれませんけれども、財源論からいえばそういうことだというふうに思います。

 ですから、結論としては、別に、四月一日施行にして受給権を五月分から与えても、財源面では全く問題がないということであります。

 大臣にお伺いしたいのは、わずか四カ月ではあります、実務で、確かにそう何でもとんとんとんと四月一日までいくということはないでしょう。私も実務を詳しくお聞きいたしました。ただ、この問題は、単に早い遅いの問題ではなくて、やはり五月から八月分の受給権があるかないか、もろに金額が変わってくるという問題が一つ。

 それから、私が見過ごせないなと思うのは、やはり高齢の方々ですから、今ざっと六十万人おられる。大体、普通に考えると年間三万人ぐらいのペースでこの方々は亡くなっていく。四カ月というとちょうど一万人ぐらいの方が、このおくれている間に新たに年金をもらうことなく亡くなっていくということであります。

 これは、財源的にも問題がない中で、政治の都合、まさに消費税増税の直前の延期、さらには行政の都合、いわゆる、何か入札や業者契約が間に合わない、あるいは、何かテスト印刷だとかあるいはデータの受け渡しのフォーマットの整備だとかで二週間だ、四週間だ、二カ月だかかる、こういった政治と行政の都合でこの四カ月分を、受給権を奪う、またさらには、その間に一万人の方が亡くなってしまう。

 これはやはり改善をするべきだ、四月一日から受給権をきちんと持ってもらうべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、もともと、八月一日にしたのは、消費税の再延期をする時期との兼ね合いで、先ほど申し上げたとおり、時間的に後ずれしたということ。法律が通らないといけないわけでありますから、何も事務手続ができないということでありまして、もう一つは、やはり混乱を招かないようにして、この約六十四万人の方々も五回に分けるということをやって、丁寧に窓口で来訪者に応対をしていくということをやっていこうということでございますので、そういうことでございますし、またもう一つは、四月に施行ということになりますと、また年金機構のシステム改修にも時間も費用もかかるということでございます。

 何よりも、二十五年を十年にするということを、消費税引き上げ時ということで法律には書いてございますけれども、今回、法改正をお願いしているように、これを前倒して消費税の引き上げよりも前にやるということで、今回、これが粛々とこなせるように、八月一日からということでお願いを申し上げているところでございます。

井坂委員 年金機構のシステム改修まで言われると、もう何かまさにそれは行政側の都合じゃないかというふうに思ってしまうわけでありますが、これは確かに、おっしゃるように、窓口が混乱しないようにということで五回に年金請求書を出し分ける、そういう工夫もあると思います。

 例えば、仮に四月一日施行にした場合に、年金請求書をそれまでに出すのが間に合わない、年金請求書が施行日より後に受給者のもとに届くことがありました、こういうことがあったときに何か問題があるんでしょうか。

塩崎国務大臣 四月一日とした場合に、それよりも前に請求書が届くというのは、これは大原則だろうというふうに思います。

 何よりも、私たちが一番、もちろんタイミング的におくれているということに加えて大事なことは、先ほど来申し上げているとおり、窓口で混乱をしていく、これは、請求書を発送し出すのは、この法律が通って、業者を入札で選んで発送し始めるということになりますと、恐らく二月の終わりぐらいになるのではないかというふうに今見ておりまして、そこから五回に分けて請求書をお送りするということになりますので、これは、四月一日というようなことは、その大原則である、事前に、施行日の前に国民の皆様方に、対象者に対して見ていただく、知っていただくということの原則を外すことにもなりますし、一番は何しろ、窓口での混乱がないように丁寧に対応ができるようにということでございます。

井坂委員 ちょっとはっきり答弁されなかったので再度お聞きしますが、仮に四月一日施行にして、年金請求書の届くのがそれよりおくれた場合に、それは前に届くのが大原則だというような答弁をされましたが、大原則というのは非常に曖昧な言葉だと思います。四月一日施行より後に請求書が届いたら何か問題があるんでしょうか。

塩崎国務大臣 そういうだらしない行政はやらない方がいい、こういうことだと思います。

井坂委員 だらしある、だらしないというのは、まさに、要は法的に問題がないということなんだと思うんですけれども。

 そうなんですよ。これは、年金請求書って別に、だって、裁定請求書が年金機構の窓口にあって、それを出すのが本来の手続で、どっちかというと、より親切にするために年金請求書というのを、法的には送っても送らなくてもいいものを送っている、こういうことだというふうに理解をしておりますので、年金請求書が四月一日からおくれるというのが何か法的に問題があるということではないと思います。

 これは、最初に、四月一日施行ですよ、受給権が五月から発生をしますよ、こういうアナウンスは早期に必要だと思いますけれども、しかし、今おっしゃったような、年金請求書を何か印刷するのに時間がかかる、送るのが五回に分かれるから時間がかかる。それは、今回、四月一日施行にできない致命的な理由ではありません。財源論からいっても、六百六十億円、既に明確に浮いている財源がありますので、これは問題がないというふうに考えます。

 我々は、二十五年を十年に短縮する、このことについては、これはぜひやるべきだ。そして、今回、きょう議論させていただいた、何で八月一日におくらせてしまうのか、受給権だけはもう四月一日施行で予定どおりやったらいいではないか、ここに一つ論点があると思っておりますので、また引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

丹羽委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 まず、無年金者対策について質問いたします。

 二十五年から十年に年金受給資格を緩和するということは、我々も民主党政権下から、これは重要な課題だということで取り組んでまいりました。三党合意の大きな柱でもあり、そして、消費税の税率アップが予定どおり行われていれば来年四月から実施されるということでありましたし、非常に大事なことだと思っております。

 まず、改めて確認しますけれども、これに必要な財源について、年間どれぐらいなのか。次の消費税税率一〇%へのアップまで、トータルどれぐらいかかるのかということについて教えていただければと思います。

塩崎国務大臣 答える前に、できるだけ具体的に質問を事前にお届けいただくと、さまざまな議論が深まるということになろうかと思うので、玉木委員には、ぜひ質問をお出しいただけたらありがたいなというふうに思っております。接触も不可ということでありますので、何が何だかよくわからないままでは、いい議論ができないという心配をしています。

 今のお話でございますけれども、平年度ベースで、一年間で六百五十億円程度というふうに考えております。

玉木委員 次の消費税一〇%増税で安定財源が確保されるまでにトータルで必要な財源というのはわかりますか。もしわかれば。わからなければ結構ですが。

塩崎国務大臣 これも事前通告がないので。

 六百五十億で二年半ということで、ざっくり言えば約千三百億ということになろうかと思います。平成三十一年九月まで、十月から引き上げるということでございますので。

玉木委員 一千億を超えるような大きなお金でありますけれども、消費税増税を延期したために、この安定財源をどう確保していくのかというのが大きな課題だと思っております。

 この二年半分の安定財源をどのように確保する方針なのか、決まっているものがあれば教えていただければと思います。

塩崎国務大臣 これは先ほど申し上げたとおり、予算編成の過程の中で考えていくことで、決め込んでいくことでございまして、非常に多くの額を要する社会保障の費用の中で何をどうするかは、連立方程式の数は数限りなくあるぐらいたくさんございますので、最終的に年末にかけて毎年度決めていかなきゃいけないということだと思います。

玉木委員 では、明確な安定財源はない中で、毎年の予算編成過程でこの無年金者対策の財源は見つけていくという方針でよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 この問題については、今お話し申し上げたとおり、金額がそれなりに大きな支出項目になり得るわけでありますから、それなりのやはり政治的な決断をもって、しかしこれは大事だからやろうということで法律を出させていただいているわけでございますので、その予算につきましては、さまざまなことを考えた上で毎年度の予算として決め込んでいくことが必要であり、期間短縮、このことによるものについては優先的に扱っていくということで今回法律改正をお願いしているということでございます。

玉木委員 では、安定財源は今時点ではないということですね。毎年の予算編成過程の中であくまで見つけていくということでやっていくということで、来年度についてはある程度めどが立ちながら……(発言する者あり)今、安定財源らしきと言いましたけれども、安定財源らしきであって安定財源ではないということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 玉木委員は財務省、大蔵省出身で、もうわかり抜いた上でこういう意地悪な質問をされるんだろうと思いますが、ハーバードの後輩とはとても思えないところでございますけれども。

 先ほど井坂議員からお話がありましたように、簡素な給付措置の、言ってみれば枠のことも念頭に入れながら、しかし、ではそれが全部これに行くのかみたいな話で、一対一対応ができるわけではないわけで、その他、介護の問題もいつも皆さん方からお叱りをいただいておりますし、医療もそうでありますし、やはり社会保障の充実というものは絶えず考えなきゃいけませんので、それのやりくり算段は、それはやはり、最終的にそういうすき間が少しできたということを念頭に置きつつも、何をどうするかということは、それぞれ年度の予算編成の過程の中でしっかり考えていくということが大事だというふうに思っております。

玉木委員 さすが塩崎大臣、安定した安定財源に対する答弁だったと思います。

 なぜこんなことを聞くのかというと、これは一体改革のメニューだったんですね。我々は、歳出と歳入を一体的に責任ある形で考えていこうというのが一体改革の理念だったので、そのうちの一部のメニューを消費税増税がないけれどもやると。やってほしいんですが、そのときに、やはり安定財源の話を避けずにやっていくべき。消費税の増税が当面入ってこないのであれば、それに伴う税収がないのであれば、やはり責任ある税収の確保、財源の確保ということは、二年半分であってもきちんと明示すべきではないかなと。

 その中で、簡素な給付措置も念頭に置きつつということなので、一部それは入るのだと思いますが、その質問をする前に、私、前から気になっているのは、我々も一緒にやったときには、これはたしか三百億円超ぐらいの財源だったんですよ。今回見直してやろうとしたら、倍の六百億円オーダーになっていて、いい悪いは別として、なぜ倍になっているのかというのは、最初御説明いただいたときに、ああ、これは倍になっているなと思って、法律も最初に出したときも三百億円オーダーで安定財源を考えていたんですが、倍になっているので、果たしてそれはどういう理由なのかなということで、ちょっと御説明いただければと思います。

塩崎国務大臣 その前に、安定財源が必要だということで、玉木さんは、我々と同じように財政のことをしっかり考えておられるんだなとよくわかりましたが、たしか前の岡田代表は、赤字国債でこれを賄う、こういうことをおっしゃっていたような記憶が参議院選挙のときに鮮明にあるような気もいたしますので、ぜひ責任ある政党としては玉木さんの方を見習って、玉木さんが代表になったら、代表ではありませんが、ぜひそういう声を広めていただいて、やはり絶えず責任ある政策提言をお願いできたら、こう思うわけであります。

 今、何で六百五十億まで膨らんだんだ、こういうことでありますが、年金の受給資格期間を十年に短縮することによって、約六十四万人でございますけれども、一体改革時の試算、これは制度改正によって新たに基礎年金を受給できる人が十七万人と見ておりましたが、これは平成十九年調査をもとにしたものでございました。

 今回の対象者数は直近のデータに基づいて精査を行ったものでございまして、高齢化がやはり進んでいるということが如実にあらわれておりまして、対象者数がふえたというふうに思っているところでございます。

 そういうことでございますので、今回、六百五十億円ということになったところでございます。

玉木委員 わかったようでわからないような。高齢化は前から進んでいるし、人口動態の変化というのはある程度予想できたのかなと思って、これは別に塩崎大臣を責めるのではなくて、逆に、今回の見直し、消費税増税の先送りがなければ、こうした必要経費の見直しが行われないまま、この年金受給資格の緩和の実施に入っていたとしたら、後で申請がいっぱい来て、やったらお金が足りませんでしたということになっていたのかなと思うと、政府の見通しとか必要な予算の見積もりということの精度について若干疑問を感じたので質問させていただいたんですけれども、ちょっとよくわからなかったので。

 いずれにしても、これから高齢化社会がまさに加速度的に進展していく、二〇四二年ぐらいまでは六十五歳人口というのはふえ続けるという試算もありますから、やはりそういったものを正確に把握しながら対策、政策を打っていくということが非常に大事だなということ、これは指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、先ほど井坂委員からも話がありましたけれども、安定財源の話に戻ります。

 六百五十億円ぐらいかかるとされる財源を安定的に捻出していかなければいけないということで、金に色目はない、毎年の予算編成過程の中で見つけていかなければならない、これは典型的な政府答弁でありますが、やはり、消費税五%から八%に上げたときに実施をしたいわゆる低所得者に対する対策、逆進性対策と言ってもいいかもしれません、簡素な給付措置というのを行っておりました。年間六千円。ことしは、消費税が上がるからということで、半分の三千円がたしか二十八年度は計上されていたと記憶しておりますが、私は、このお金を回してきたんだと。

 回してきたというのはどういうことかというと、補正予算で残りの二年半分を一括計上して、そこで浮いた分をやっているということなんだと思います。井坂さんからもありましたが、六百五十と六百六十、うまくいいのを見つけてきたなと思っているんですが、これはやはり、そういう財源として、ある程度期待しているということでよろしいですね。

塩崎国務大臣 これまた財務省出身の玉木委員はよくわかって御質問されていると思いますが、一対一は対応しているわけではないわけでありますが、そういうすき間が、ある意味、できたということは、そのとおりでございます。

 しかし、ほかの支出項目の中からその分欲しいというふうに思う方々はたくさんおられるわけでありますので、そういうところをどう優先順位をつけるかということで、この二十五年を十年に短縮するということを我々としてはしっかり実現していきたいというふうに考えて、ですから、そういうことを念頭に入れながら年末の予算編成をしていこうというふうに考えているわけでございます。

玉木委員 逆に言うと、明確な、これが財源ですと言ってくれれば、二年半分の安定財源はがちっとあるなということで納得できるんですけれども、おっしゃらないので、毎年毎年どこかから見つけてこなきゃいけないなということになると、安定財源がないままこの制度改革に踏み込んでいくのかなと思わざるを得ないので、ちょっとお伺いした。ただ、頭の片隅にあるということなので、そこは期待しているのかなと思っております。

 私、これは一つ問題提起をしたいのは、この簡素な給付措置を、多分、財源を捻出するために、ぐっと補正で寄せて、補正計上でまとめて二年半分払いますということにしたので、計算上は合うんですよ。計算上は合うんですけれども、これは一般に低所得者対策について言われるんですが、やはりまとめて渡してしまうと、低所得者の生活が結構不安定になると言われています。

 例えば、一つ例を挙げると、児童扶養手当。これは、三千円を六千円、五千円を一万円ということで、第二子、第三子、拡充をしました。そのとき、児童扶養手当は、年に三回の払いになっていますね。四カ月まとめて払っていく。この四カ月まとめて払うことでも、やはり生活、つまり、苦しいから、手元に一気に来ると一気に使っちゃって、年度を通した安定的な収入としてならないので、毎月支給にした方がいいんじゃないのかという議論があって、我々も、これは議員立法を提出させていただいたような経緯がございます。

 これは多分、今回の二十五年、十年の年金受給資格の短縮の財源を見つけるためにやったんだと思いますが、その反射的効果というか、まあ、悪い言葉で言えば副作用として、低所得者対策たる簡素な給付措置を、六千円、六千円、三千円と本来なら払うものを、一万五千円どおんと渡すんですよ。そのことによって、低所得者の皆さんの生活の安定が少し崩れてしまうのではないのかということが、実は財源論、無理して財源を見つけてきたことによって、結果として一括支払いになってしまって、二年半分を一気に補正計上して払うということになっていて、少し問題が生じるのではないかということを私は心配しています。

 低所得者の生活の安定を少し害してしまうのではないか、こういう副作用があると考えているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 簡素な給付の件についてのお尋ねで、今の、二十五年、十年のお尋ねではないということだと思いますが、それは、今お話しのような論理ではなくて、やはり実務上の観点から、このことについてはまとめてお支払いをするということでいくのがよろしいのではないかということが結論だったということでございます。

玉木委員 簡素な給付措置は、五%から八%に消費税を上げたときの低所得者対策なので、やはりある程度、期間期間、それぞれの、その年々に払う方が、私は低所得者の皆さんのためにもいいと。それをぐうっと寄せてきて、二年半分まとめて払いますわみたいになっているわけですよ。

 それは、何でそんな無理なことをするのかなというのが、景気対策としてやるのかなと思っても、でも、もともと消費税増税に伴う逆進性対策であれば、まとめて払うのに何でこんな補正計上をしているのかなと違和感を感じたのが最初なんです。よくよく考えると、ああ、こんな無理して出さなきゃいけない財源は何だと思ったら、やはり年金の受給資格の緩和のための財源を見つけてくるためだったんだなと逆に思ったんです。

 だから、私は、これは提案なんですが、財源は補正で一気に計上して確保していますから、いわゆる簡素な給付措置、一〇%に上がるまでの低所得者対策については、予定どおり、財源は一気に計上していますけれども、やはり毎年払いをして、低所得者の皆さんの計画的な生活設計ということに寄与するような形で配る方が適当ではないかなということで、これは提案をさせていただきたいと思っております。

 次に、先ほど井坂委員の質問に対して、これが実現すると、基礎年金の方で二万一千円、厚生年金で、千人サンプルでさらに一万一千円というような試算をお示しになられました。これは、いずれにしても非常に少ない額ですよね。ゼロよりはいいと思いますが、少なくて、これだといわゆる最低保障機能を果たせるような額ではないなと思うんです。

 だからこそ、もう一つの法案である、いわゆる我々が年金カット法案と呼んでいる、今回の年金の給付の抑制を行う法律が、やはり、新たに年金を受給できるようになった人たちに対しては特にきいてくるのではないかということを心配しているわけであります。

 前回、私、塩崎大臣と非常にいい議論ができて、いろいろなことが明確になりましたので、改めて少し確認をさせていただきたいなと思っております。

 繰り返しになりますけれども、お手元に改めて配りましたが、今回、新しく二つのスライドのルールが加わる。物価、賃金、両方とも下がったときに、賃金下落が多いときには、賃金下落に合わせて既裁定も新規裁定も下げていく。また、物価が上がったときに賃金が下がる、こういう場合は、物価が上がった場合であっても、既裁定も新規裁定も賃金の下落に合わせて下げる。この二つのパターンが新たに加わり、我々の試算では、もし十年前からこのルールがあったとしたら、過去十年間に五・二%年金が減り、国民年金でいうと年間四万円、厚生年金だと年間約十四万円減るというようなことをお示ししたわけであります。

 これに対して政府からも一定の試算が出てきて、それが三の資料でありますけれども、これについて前回議論をさせていただいて非常に興味深かったのは、基本的に私たちが計算したのと同じ考え、同じルールで政府側も試算をされていたということがわかったということであります。

 つまり、過去十年を振り返ったときに、新しいルールが適用されるのが、全部ではありません、我々は過去六回あるということで、その新しいルールが適用された年には新しいルールを適用して、追加で減るものがそれぞれ六カ年あって、それを累積して足すと五・二%の減なので五・二%でした。それを、例えば二〇一四年の財政検証をした年のモデル年金額、国民年金、厚生年金に掛けてやると、単純に言うと四万円、十四万円それぞれ減になる、こういう、ある意味、非常にシンプルな試算をお示ししたわけであります。

 それに対して政府が、同じような考えだと思うんですが、少し違っていたところが前回明確になったので、そこを少し今回明らかにさらにしたいなと思っているのは、我々は過去十年を振り返ってみたら、新しいルールが適用されるのは六カ年、六回ですね。政府は五回ということでありまして、まず、その五回でいいのかどうかということと、我々より一回減るその理由について改めて教えていただければと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 玉木委員御指摘のように、政府の試算と民進党さんがお示しをいただいた試算、おおむね同じような考え方でされていると思いますが、その可処分所得について、私たちは、割り戻すというルールは適用されないと考えているということで差が出ているという理解をしております。

 それで、六回ルール適用か五回ルール適用かという話ですが、二十八年度について、私どもの場合でありますと、賃金改定率は〇・〇%ということになります。それで、物価改定率は〇・八%ですから、賃金に合うということで〇%になりますというふうに考えております。

 これがマイナスの賃金改定率であった場合、新ルールの適用ということで、恐らく、民進党の試算では新ルールの適用となっているんだと思いますが、マイナスになりませんで〇・〇%ですので、それは賃金に合わせてゼロの改定ということになっているので、新ルールには当たっていないというふうに私たちは考えているということです。

玉木委員 よくわかりました。

 資料の四、いっぱい数字が書いてあって、ちょっと目がちかちかするんですが、今、橋本副大臣からも御説明いただいたことを実はここにも書いてありまして、上が民進党試算、下が政府試算になっていまして、物価の改定率、賃金改定率を、それぞれ十九年度から二十八年度までぐっと並べています。

 ポイントは、賃金改定率のところに民進党試算と政府試算では差があるんですね。何の差があるかというと、一番左に書いています、〇・二%分上乗せと書きましたが、これが結果として年金の圧縮幅の圧縮になる源になるんですが、可処分所得割合の減少分、マイナス〇・二%の影響を織り込むか織り込まないかということであります。

 これは、ややこしいので簡単に言うと、来年の九月まで保険料はずっと上がり続けますので、その分、可処分所得が減るんですね。その分を加味して賃金改定率も下がるということで、我々というか政府も過去そういう計算をしていたんですが、皆さんの計算は、それがなかったものとして余り下がらない、簡単に言うと。その〇・二ポイント分下がらないということで、賃金改定率が全体に、我々というか皆さんが過去適用したものよりも下がらないという形で全部計算されているわけですね。

 そうすると、私たちの、上で見ていただくと、二十八年度、物価が〇・八%増、賃金がマイナス〇・二の減なので、まさに新ルールが適用されて、今までこれは据え置きパターンだったのが、既裁定も新規裁定もマイナス〇・二になるパターンで新しいルールが適用されるというふうに我々申し上げたところなんですが、今の橋本副大臣からもお話があった政府が使っている賃金改定率は、過去実際に適用されたこの上のものではなくて、全部そこにプラス〇・二を上げ底していった、政府試算の上から二つ目の数字、〇・二、マイナス〇・二、一・一、マイナス二・四、マイナス二・〇、マイナス一・四、マイナス〇・四、プラス〇・五、プラス二・五、プラス〇・〇。このプラス〇・〇になるので、これと物価上昇の〇・八を比べれば、古いルールのままで、低い方の賃金に合わせてやるので既裁定も新規裁定もゼロで済むということで、新ルールは適用されないし、改定のルールだと〇・〇だ、こういうことなんだと思うんですね。

 私、これは一つの考えかなと思うんですが、質問は、政府の試算でも新しいルールが適用されるのが過去十年間で五回、半分適用されています。結構な確率かなと思うんですが、問題は、この〇・二%分のある種のかさ上げを新ルールが適用されない年にも適用して、だから、ここでいうと平成十九年、平成二十一年、平成二十六年、二十七年、二十八年の、これは新ルールというふうに、下の政府試算でも、適用があるなというところでやっているんですが、全く新ルールが適用されない、政府の試算でも旧ルールのままでいいところでも〇・二%分をそれぞれかさ上げして、しかも、それを全部足し込んでいって三%の減と出しているのは、私は、これは新ルールの適用の影響を出す試算としては不適切ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 もともと、機械的な試算をせい、こういうことでございましたのでこういう結果になっているわけで、現実には、何度も申し上げておりますけれども、特例水準が平成二十六年度まではあったわけでありまして、そうなれば今回の改定ルール見直しは発動されないということになるわけで、年金額の減額は起きないということであります。

 しかし、それを機械的に計算をせいということなのでプラス〇・二ということを乗っけているわけでございますので、今回の試算では、今回の額改定ルールの見直しが施行される三十三年度には、今申し上げたとおり、可処分所得割合の減少分の影響は生じないということからその影響を織り込んでいないわけで、なお、平成十七年度までさかのぼってやったのが、さっき申し上げたとおり、額の改定ルールの見直しが機械的に適用されるとすれば平成十七年度以降では五回該当するということで、今いろいろ御指摘をいただきました。

 しかし、今回の試算では、見直し後のルールの適用にかかわらず、可処分所得割合のマイナス〇・二分というのは影響を織り込まないということで、これは、マイナス〇・二の影響はこの五回だけではなくて、十年分、毎回カウントされるわけでありまして、いずれにしても、試算結果は三%減ということで、井坂試算のマイナスの五・二ですか、とは違うということをお示し申し上げたということでございます。

玉木委員 今回、よくわかりました。二つの効果を足し合わせて三%の減というのを政府案が出しているのがよくわかりました。

 それは何かというと、新ルールを適用した場合の年金額の減少分、これは我々は六カ年分あると思っています。それと、可処分所得の減少の影響を除外した場合の年金額の増加分、これは過去十回分あると皆さんは言う。これをまぜこぜにして、それで三%の減と言っていますので、私は、新ルールのみの影響を試算するのであれば、実際、過去十年間は、現にその減少分を皆さん自身も加味した改定率でやってきたわけですから、過去十年にさかのぼってやるとしたら、その二つの影響、新ルールを適用した場合の年金額の減少分と、可処分所得の減少がないものとしてふえる分、これは十年間全部ふえますから、これらの二つがごちゃまぜになって試算をして三パーと言っているのは、私は、少しこれは不正確で、むしろ井坂委員が当初示したものの方が誠実で正確だということを指摘を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長代理 次に、柚木道義君。

柚木委員 民進党の柚木道義でございます。

 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 井坂議員、玉木議員とそれぞれ質問をされてまいりました。

 今回、私たちは、無年金者救済法案という言い方をさせていただいておりますが、この法案を年金カット法案とは分離、先行審議をして成立をさせて、そして、我々民主党政権のときにまさにこの無年金者救済法案を決定させていただいて以降、二年も既に待たされることになる、そういう状況の中で、少しでも早く、そして一人でも多くの無年金者を、少しでも多くの年金額を救済させていただきたいというふうに思っておるところでございます。

 これまで、本当に、先ほどの質問でありましたように、政治の流れに二転三転。今回のこの救済法案、もともとは、私たちは、まさに消費税が一〇%段階、二十七年の十月にはこの救済法案を施行させる、そういうつもりで考えておりましたが、二〇一四年十一月、総選挙前に安倍総理が、まさに、消費税一〇%、一度目の延期を決められて以降、迷走をしていくわけです。

 その後、ことしの六月に消費増税再延期、参議院選前に。これによって一時期は平成三十一年十月までおくれるのではないかと思っておりましたらば、さすがに、いや、やはり前倒しで二十九年四月年度からというふうな流れ。ああ、そうなのかと思っていたら、やはり時間がかかるということで、二十九年八月施行、支給が十月ですか、こういうことで、そうすると、本当に財産権の侵害というべき事態が、今回、本来救済されるべきであった方々にとっては起こり得るということでございます。

 それで、事前に通告をしておりますので、ぜひここは正確に、まだこれまでの国会なり、さまざまな場面で試算をお示しいただいておりませんので、私の方から要求をしておりますので、お答えをいただきたいんですが、今回、政府提出のこの年金受給資格の短縮法案、これを我々は修正案で四カ月前倒しということを申しておるわけで、また金曜日に審議をさせていただくわけですが、理由云々はもう結構です、先ほど聞いておりますので、難しいという。

 仮に、四カ月前倒しでスタートした場合に、年金の受給者が、この政府閣法の場合、つまり八月一日施行に比べてどれだけ増額するのか。これは、一人当たり、そしてまた総額の予算も含めてお答えをいただけますか、塩崎大臣。通告をちゃんとしております。

塩崎国務大臣 理由などにつきましては、もう先ほど井坂議員にお答え申し上げたとおりでありますけれども、今回の改正によって初めて老齢基礎年金の受給権を得る約四十万人、この方々につきましては、仮に施行を四カ月前倒ししたとしても、その人数は基本的には変わらないというふうに考えております。

 ただし、支給額につきましては、早く施行される分、支給される月数がふえるわけでありますので、対象者が受け取る受給総額は多くなる筋合いでございまして、具体的には、受給資格期間短縮の措置によります老齢基礎年金の平均受給額、約二・一万円であることから、一人当たりは四カ月分で約八・四万円の増額、二・一掛ける四、それから、総額は、二・一万円掛ける約四十万掛ける四カ月となりますので、約三百四十億円程度の増額というふうになるわけでございます。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

柚木委員 私も初めてこの数字はお聞きもしましたし、見ました。国会でも初めて御答弁いただいたわけですが、私は、これはやはり非常に重いと思いますよ。

 つまり、八万四千円、これはこの後の質疑の中で出てくるかもしれません。あくまでこれは平均ですから、この受給期間短縮によって老齢基礎年金の受給権を得る方々、これは月額最大四万円ぐらいの層の方もおられますから、そうすると、例えば、一人当たり平均八万四千円だったとしても、二年間の逸失、損失は五十万円ぐらいになっちゃいますし、四万円の方であれば、十六万で、二年で百万円ぐらいの損失になるわけですよ、おくれることで。

 無年金者の方というのは、それこそ生活保護、あるいは、まさに私も今「下流老人」という本を読んでいるんですが、大臣は読まれたことがあるかどうかわかりませんけれども、過去にも、おにぎり一個食べたかったと遺書を残して死んでしまったり、いろいろな、本当に切実な状況で今この瞬間も暮らされているわけです。

 もちろん、我々は金曜日に修正案をお示しをし、四カ月前倒し施行でということで考えておるんですが、仮に、大臣、大臣、聞いてくださいよ、政府案どおり八月一日施行であっても、私は、せめて、やはりこの逸失分を、例えば、二年とは言いませんよ、この四カ月分だけでも上乗せをして支給することをぜひ御検討いただきたいと思うんですよ。大臣、これは本当に切実な問題ですから、無年金者救済、ぜひ、上乗せを八月一日施行でも考えていただけませんか。いかがですか。

塩崎国務大臣 四月一日から本来消費税を引き上げるということでありましたが、この判断も、安倍総理は、悩みに悩んだ末に、経済全体、今お話しをいただいた低年金あるいは無年金で困っていらっしゃる方々を含めて、総合的な判断の上で消費税の引き上げを二年半延期するということを決めたわけでありまして、そういった方々の暮らしを支えるのは、ひとり年金だけで支えるわけでは決してないわけでありまして、それは総合的に、経済政策をどうしていくのかということを、経済再生最優先でやってきた安倍内閣としてさらにこれを進めよというのはこの間の参議院選挙の選挙結果を見ても明らかなわけでありますから、そういうことを含めて総合的に対処していくということであります。

 今、八月が四月だったらどうなのか、こういうことで、計算は、もちろんそういうことは可能でしょうけれども、今回八月にする理由はさっき井坂議員に申し上げたとおりでございまして、よりよき行政のあり方ということを考えてみれば、このように、責任ある行政のとり方としては、八月一日が最短だということで、我々、何も意図的におくらせようなどというようなことは一切考えておりませんで、最短でいけたらいつなんだということを、私からも、水面下でまだ作業をしている際にも申し上げてきたことでありますから、それについてはよく御理解を賜り、むしろ、経済再生を図っていくことが、全体の暮らしを持ち上げるということにもなります。

 前回議論になりました賃金スライドの問題も、これは、そういう不測の事態に備えるという意味で、民主党政権時代からのかねてからの宿題を、私たちはきちっと宿題に答えを出すということで、万が一のことに備えるということであります。

 むしろ、物価や賃金を上げろということで、この間、おとといですか、働き方改革実現会議で、私の目の前に連合の神津会長がおられましたが、そのときにベアの決意を言っておられました。その際に、総理から、ぜひ頑張って賃上げしてくださいということを言っていたぐらいでありますので、そういうトータルな経済政策というものをよくお考えいただいた上で御判断をいただければありがたいなというふうに思います。

柚木委員 もう限られた時間なので、お尋ねさせていただいたことだけの御答弁でお願いします。

 もちろん、パッケージで、福祉施策も総動員してというのは、私たちこそが最低保障機能を強化すべきだということで提案しているわけですから、それはそれでやっていただいて結構なんですよ。

 ただ、私は、技術的なお話も……(発言する者あり)もう繰り返さないでいただきたいんですね、時間がないので。それはそうですけれども、私たちはもう少し工夫もできると思っていますよ。手続もそうだし、早く前倒しでそれもやればいいと思うし、金曜日にそれをやりとりさせていただきます。

 ただ、これは本当に工夫できると思いますね。例えば、四月一日施行にして、当然今の四カ月分、受給権が発生、ふえるわけですが、その支給について、いや、支給日についてはまさに手続も含めて時間がかかるということであれば、例えば秋なら秋であり得るわけですよ。ですから、そこは、手続がそうであっても、実際に支給の上乗せということは可能なわけですから、ぜひ、大臣、今の手続の話があるから上乗せはできないということにはなりませんから。

 政治の都合でこの間おくれてきた、さっきありましたけれども、私たちがまさに政権から下野して、我々は当然こういうことを同時にやるつもりで準備してきましたが、できませんでした、下野したから。しかし、下野したからといって、そのままでいいとは思いません。そこはぜひ、今の手続的な問題はあっても、上乗せ、支給開始日の工夫なども含めて、できますから、改めてこれをぜひ検討することぐらいはやっていただけませんか、支給日がずれても上乗せはできますから。

塩崎国務大臣 先ほど玉木議員からいい議論をいただきましたけれども、あのときの議論からすれば、では、先ほど申し上げたように、四カ月早めた場合に、三百四十億円程度の財源が要るわけであります。これは柚木議員は何からお出しになる予定であるのかも一緒に御提案をいただくとより深い御議論ができるのではないかなというふうに思っているわけで、赤字国債だということを明言するならば、またそれも一つだというふうに思いますので、ぜひそれは、財源とともに御提案をいただくことがやはりいい議論になるのではないかというふうに思います。

 私どもは、先ほど井坂議員にお答え申し上げたとおり、事務手続の問題などを含めて見れば、最短でいくと八月一日ということだというふうに申し上げているわけでございますので、そこのところを御理解いただくとともに、もし上乗せをせいということであれば、財源も一緒に御提案をいただくといい議論ができるのではないかというふうに思います。

柚木委員 まさにこれは、満年度で六百五十億、しかし、初年度は四カ月もおくれるために二百六十億ですね。この差額分で十分確保できますし、これは私たちが試算すると二百十億ぐらいなので、そもそもちょっと開きがあるんですね。これについても、なぜ百三十億も開きがあるのかというのはちょっと私も確認したいんですが、いずれにしても、これは、六百五十億、満年度ベースでもともと確保できている。

 では、これは年金以外に使っちゃうんですか。年金は後回しなんですか。この差額分はどこに使っちゃうんですか。塩崎大臣、年金を最優先でまさにこの上乗せ分を確保する、予算六百五十億、満年度で確保できているんですから、年金を最優先すべきじゃないですか。無年金者救済を最優先すべきじゃないですか。後回しなんですか。どうなんですか。

塩崎国務大臣 たしか蓮舫代表もチルドレンファーストとおっしゃっていたような気がいたしましたが、子育て支援、保育なども極めて重要でございますし、介護についても、中島委員は、いつも私はお叱りを頂戴していて、なぜカットするんだということでありますから、介護の充実もやはり大変大事でありますし、低所得の方々の医療費の問題についてもさまざま議論がございますので、年金だけ切り出して、そこだけ右に行くか左に行くかという話だけでは議論はできませんし、何よりも大事なのは、やはり、子ども手当のときもそうでしたが、現実的な財源は何なんだということであり、赤字国債だというならば、赤字国債だというふうに明言をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

柚木委員 私があちらに今答えますので、ちょっと静かにしていただいていいですか、ここはよく聞こえるので。

 私、もちろん、年金だけとは言っていませんよ。子育てだって介護だって大事ですよ。ただ、これは私の……(発言する者あり)ちょっと委員長、静かにさせていただいていいですか。

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

柚木委員 お願いします。

 これについては、まさに本当に、我々が下野したことも含めて、政治の都合で無年金者の方を二年待たせてしまっているわけですから、私はぜひ検討いただきたいと思います。

 それで、これは確認の意味で念のためにお聞きしますけれども、今回、トータルで六十四万人の無年金者が、この法案が成立、施行されれば救済をされる。その場合、この救済された方々に対しても、今般政府が成立を目指している、我々は年金カット法案と呼んでいますけれども、この影響は及ぶんですか、及ばないんですか。シンプルに。

塩崎国務大臣 その前に、民進党の皆さん方も二年半延ばすことは、まあ二年半とは言わなかったような気がしますが、消費税を延期することは賛成を明言されておりました。むしろ自民党よりも先に言っておられたような気がいたしますので、そうであるならば、この二十五年、十年について、どのようにしようとしていたのか。まあ、赤字国債というふうに言っていましたから、約束どおり全部赤字国債でやるというのが民進党の考え方だというふうに我々は理解をしておりますが、そういうことも明確に言っていただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。

 そこで、年金カット法案が成立した場合、期間の短縮法案の対象者もこの見直しの影響を受けるのか、こういう御質問であったようでありますが、もちろん、私たちは、将来年金確保法案、これでありますから、考え方は、年金は、将来年金を受給する現在の若い人たちが現在年金を受給している世代へ仕送るという助け合いの仕組み、いわゆる賦課方式であるとともに、限られた財源を適切に配分する世代間の分かち合い、つまり、助け合いをする世代が将来年金をもらうときの財源をちゃんとバランスをとれる形で確保しておく、このために今回の法案は出しているんだということをまず明確にしておきたいというふうに思います。

 これまでのルールでは、仮に現在の若い人たちの賃金が下がった場合には、現在年金を受給している世代の年金水準は維持をされる、変えない、一方で、現在の若い人たちは、賃金も下がって、将来受け取る年金水準も低くなるという、いわば二重の苦しみとなる可能性がございました。

 今回の見直しは、仮に現在の若い人たちの賃金が下がるような経済状況が起きた場合は、現在の年金額も若い人たちの賃金の変化に合わせて改定をするということで、世代間の公平を確保して、将来世代の年金水準を確保するためのものであります。

 したがって、受給資格期間の短縮によって新たに年金を受給される方々、この方々についても、世代間の分かち合いの仕組みに加わっていただく以上は、同じルールが適用されるということでございます。

 同時に、年金を受給する低所得の方については、何度も申し上げますけれども、平成三十一年十月までに施行される年金生活者支援給付金、年間最大六万円の対象にもなりますし、もとよりこれは、繰り返して申し上げれば、物価と賃金が上がっている場合には年金額が下がることはないわけでありますので、年金を含む社会保障を強固なものにするためにも、強い経済が必要。アベノミクスをしっかりと前に進めるという参議院選挙での結果を、我々はさらに、経済再生を全力で取り組む形で実現をしていくことが必要だというふうに思います。

柚木委員 つまり、今回救済をされる無年金者の方々にもこの年金カット法案の影響が及ぶわけです、今お認めいただいたように。

 そうすると、先ほど減る議論がありました。三%、あるいは我々の五・二%。同時にやはりふえる方の議論も、私は前回やらせていただきましたが、こういう国民の皆さんをミスリードする、誤解を与えるようなこの試算、ペーパー、改めておつけしておりますが、これは本当に、私は、改めて、訂正して、説明し直していただきたいんですよ。

 塩崎大臣も、前回、金曜日の私とのやりとりの中で、確認しますけれども、一応事前に、政府の年金額改定ルールの見直し、お手元にお持ちでなかったらいけないので、今、裏に届けておいてくださいということでお渡ししていますが、この新ルールに明確に、新ルール適用の場合は、まさに、賃金上昇が物価上昇よりも下回って、かつマイナスだった場合に、マイナスの賃金の方に合わせて、これまで以上に既裁定の方も新規裁定の方も減ります、そして、物価が上がって賃金上昇率がマイナスだった場合には、その賃金上昇の方に合わせるので、まさに物価上昇分と賃金下落分が実質年金目減りになるということをしっかりと図示しているわけですね。だから、まさに年金カット法案じゃないですか。何が将来年金確保法案なんですか。

 この年金カット法案で年金が下がる新ルールというのは既に政府提出資料の中でも明確に認められた上で、塩崎大臣、これは上がる話ですけれども、こういうふうに私の質問に答えられているんですよ。「過去の経済動向が今回の見直し後のルールによる額改定に反映されることはない。」ということは、まさに七%、五千円アップということはないと答弁で認めているんです。答弁で認めているにもかかわらず、七%、五千円上がることについて訂正、撤回しないというのは、これは本当におかしいですよ。

 ぜひ、塩崎大臣、改めて、この年金カット法案施行によって、試算じゃないですよ、施行によって七%、五千円上がるというのは違う、これは無関係の試算だということをここで明確に、シンプルにお認めいただけますか。それだけで結構ですよ。

塩崎国務大臣 井坂議員の予算委員会でお出しになった試算を、言ってみれば、政府が十七年からやり直してみたらどうなんだ、こういうことを御注文いただきましたが、もともと特例水準があるうちはそういうものは発動されないということもあって、それでもどうしてもやれというので、機械的に算出をしてお出しをしたわけでありまして、可処分所得のマイナス〇・二ということを加味してみれば、それはもうなくなっている世界ですから、三十三年からは。そういうことで当てはめてみれば、三%減る一方で七%ふえるというのは、何度も申し上げているように、今の年金をいただいていらっしゃる世代の方々と将来年金をもらう方々のバランスをマクロ経済スライドは前提にして組み立てているわけでありますし、そもそも、マクロ経済スライドについて、皆さん方も否定をしているわけではない。

 つまり、将来世代にちゃんと配慮をするということでありますし、また、人口が減ることによって七%になるんだというのは、井坂試算を前提に機械的な計算をした場合の三%、七%と言っているわけでありますので、それは、将来どうなるのかというのは、そもそも経済前提がどうなるかは全くわからないわけでありますので、七%にいつもなるなどのようなことを言っているわけではないということでございます。

柚木委員 今、認められましたね、七%ふえるわけではないと。まさにそのとおりですよ、大臣。七%アップするわけではないと、ようやく、初めてここで今認められましたけれども、そのとおりなんですよ。当たり前のことですよ、大臣。

 だって、そうでしょう。年金局もこれまで、まさに機械的に当てはめられたのは皆さんの方ですよ。そして、ここに、資料にも書いてありますけれども、まさに「財政検証(ケースE)を基に機械的に計算を行ったところ、」とわざわざただし書きをしているんですね。そして、そのただし書きについても、私たち、この間、毎日のように年金局の方とやりとりをして、いや、こんなケースEの試算は、毎年毎年賃金上昇、百年間ということは、これはもう現実的にはあり得ないので、あり得ないということを認めている。しかも、このあり得ない試算がケースEの経済前提で起こったときには、当たり前の話ですけれども、これは物価上昇より賃金上昇の方が上回っているんですから、年金カット法案は発動しないわけですから、当たり前の話ですよ。七%、五千円アップするわけないじゃないですか、この年金カット法案で。

 ようやく、七%、五千円上がるわけではないというふうにお認めになったんですけれども、私は、国民の皆さんに、前回、どの報道も新ルールで将来七%、五千円アップと報道しているんですから、七%アップするわけではないと今お認めになったんですから、改めて、これは訂正して、国民の皆さんをミスリードしました、正しくは、この試算は全く別の前提の試算であって、年金カット法案で七%、五千円上がるということはないと。今、必ずしもそうなるわけではないとお認めになったわけですから、これは訂正して、ちゃんと国民の皆さんにわかるように、では、正しい、現実的な試算を当てはめて。

 今、いろいろな声が飛んでいますけれども、そこまで言われるんだったら、御自身たちで、別に井坂さんがこれでやれと強制したわけじゃないんですよ。こういう前提も置くことができますね、だから現実に起こり得る試算で将来の受給額への影響を出してくださいと言ったんだから、ケースEのような経済前提が、これは、年金カット法案、発動もしない、そして、起こり得ないんだったら、起こり得る財政検証のパターンを私は前回も申し上げましたよ。例えば実質賃金上昇率がマイナスのケースとかも含めて、AからHまで以外のバリエーションもつくって、複数でも結構ですよ、影響額試算は。

 ケースEというのは比較的いいケースですよ。うまくいった場合ばかりじゃなくて、十年間の中で過去六年は実際にこの年金カット法案が発動するような状況が足元の経済で起こっているんですから、ぜひそういう現実的な試算を出して、その上で、影響額についてもちゃんとお示しをいただきたい。井坂試算を批判するばかりでなくて、ちゃんと対案を出してください。

塩崎国務大臣 驚くばかりでございますが、もともと井坂議員があり得ない前提で五・二%の引き下げになるんだと言ってこられたので、それに対して我々が試算をするというのはいかがなものかとは思いましたけれども、機械的にやってもいいということだろうということで、ほぼあり得ない機械的な試算を出すということにならざるを得なかったわけであります。

 したがって、今、井坂前提でいくと、我々のルールを、三十三年度以降適用されるものを当てはめてみれば、マイナス五・二なんかには、過去を見てもないですよということを言って、三%のマイナスにとどまるだろうということを申し上げて、それに見合う将来年金を将来の年金受給者の数で割ってみれば、これは七%上がることに結果としてなりますねということを機械的にお示しをしただけでございます。

 そもそも、今回の二つのケースの場合のスライドの変更をお示ししているのは、何度も申し上げておりますけれども、民主党政権時代の平成二十四年二月に閣議決定を皆さん方がされた一体改革大綱というのがありますが、そこに、デフレ経済下においてのマクロ経済スライドのあり方について見直しを検討するというふうになっていたわけでございますので、ここの、私たちが出しているのは、まさに民主党時代に閣議決定をされた課題に答えを出すためのものというふうに御理解をいただかなければならないものだろうと思います。

 返す返すも、皆さん方の政党の綱領には未来への責任と書いてあるわけですから、改革は先送りをしないとも書いてありますので、ぜひ将来年金確保法案についても御一緒に御議論を賜れればありがたいなと思っているところであります。

柚木委員 それなら、起こり得る現実的な試算をぜひお出しいただいた上でおっしゃっていただきたいんですよ。

 我々は、過去十年に当てはめた場合という井坂試算を出しました。それについて、起こり得ないということをおっしゃるのであれば、現実的に起こり得るバリエーションで、では、実質賃金が、十年間のうち六回は、今回、発動しているわけですから、そういうことが起こったような場合もちゃんと試算を出していただく。

 そして、私は本当にきょうは驚きましたよ、大臣。七%、五千円が、必ず上がるわけではない、こういうことをお認めになった中で、ぜひもう一遍、厚生労働省、三十分会見して、メディアの皆さんを通じて、最初は三%、二千円下がるけれども、将来は七%、五千円上がるという報道をされた、これを訂正する会見を開いていただきたいと思います。

 そして、私たちは、まさに正しい、現実的な、あり得る、起こり得る試算で責任ある年金の議論をさせていただきたいと思いますので、その試算が出ない中での年金カット法案の強行審議入りは反対をするということを明言して、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 本日の法案審議は、いわゆる無年金者救済法、そういう法案でございます。

 これはもともとは、旧民主党政権時代に、日本は大変厳しい、厳し過ぎるルールがある、延べ二十五年間保険料を払っていなければ、老後、一円ももらえないし、保険料は全額没収される、こういう大変厳しい、先進国の中では余りない厳しいルールだった、これを先進国並みに十年以上ということで受給資格を発生させようということで、旧民主党政権のときに法案を国会に提出して、国会で成立をいたしました。

 今回はその施行期日を変えるという改正案だということでありますけれども、ぜひ大臣、これはちゃんと宣伝と周知をしないと、実際に十年以上払っている方が気づかずに、申請をしてこない。日本は申請主義でありますから、自動的に年金が振り込まれるわけでないわけでして、これを個別に通知するなり、あるいは、住所がわからない方もたくさんおられますので、そういう方にもお知らせをする。

 そして、もう一つは、今までは延べで二十五年払っていないともらえないから、消えた年金問題とか空期間についても、ああ、どうせ、ねんきん便が来たけれども、名寄せ便が来たけれども、自分はこの記録が見つかっても十五年ぐらいにしか最大ならないから、無駄だからやめておこう、こういう方もいっぱいいらっしゃったんですね。

 ところが、十年以上あればこれからもらえるということですから、消えた年金問題についてもまた新たなステージになるし、あと空期間も、これは意外に知られていないんですけれども、専業主婦の方でいうと、昭和三十六年から昭和六十一年までは任意加入の国民年金のときですから、このときは入っていなくても空期間として算定できるんですね。ですから、一年しか払っていなくても、空期間が九年以上あれば年金をもらえるんですよ。

 ですから、そういうことがほとんど知られていないということで、これはぜひ、今回、十年以上で受給権が発生するということで、また実務が相当、それだけでなくて、全体が変わってくると思いますので、幅広に御検討いただきたいということは、これはお願いとして申し上げておきます。

 そして、今回も、先ほど御答弁いただきましたけれども、ふえる年金は、平均二万円とか、厚生年金を入れてもそれにプラスアルファだということで、非常に少ないわけでございますが、これはある意味では当たり前の措置だと我々は考えております。

 その中で、先ほど来議論されているいわゆる年金カット法案でどんどん年金が減っていくところに、本当に、どこで歯どめがあるのか、我々はこういう問題意識を持っておりまして、私の理解では、歯どめというのは、今法律にも書いてございますけれども、所得代替率が五〇パーを切らない、五年以内に切る場合には措置をする、つまり抜本改革する、こういうふうに法律に書いてある。つまり、年金制度を見直す唯一のトリガーが日本は所得代替率、こういうふうに法律で書いてあるというふうに理解しておりますが、ほかの先進国でこういう国はあるんですか。

塩崎国務大臣 まず、平成十六年の改正法がございますが、財政検証において、次の財政検証が行われるまでの五年間にモデル世帯の所得代替率が五〇%を下回ることが見込まれる場合には、所要の検討を行い、マクロ経済スライド調整期間の終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び費用負担のあり方について検討を行い、所要の措置を講ずるものと規定をされているというふうに、今御指摘のとおり、法律に、いわゆる所得代替率のことに関して、トリガーとおっしゃいましたが、そういう措置を講ずるということに相なっているわけでございます。

 かつて、GPIFの評価損の問題で、すぐに何か年金支給額にかかわるようなことになるんじゃないかという御質問が玉木委員からあって、いろいろな議論がありましたけれども、そういう意味では、この五〇%よりはるかに高い今の段階でそんなことがあることはあり得ないということでもあるわけでありますが、おっしゃるとおり、今、トリガーという意味では、ある意味、そういうことであります。

 二十六年の財政検証で、日本経済が再生をし、高齢者、そしてまた女性の労働参加が進むという前提で、また、将来の所得代替率は五〇%を上回るだろうということが確認をされたわけであります。

 この所得代替率については、報酬比例部分と基礎年金部分に分けて算出をしていることはもう御案内のとおりでありまして、これによって、将来の基礎年金の所得代替率が低下することが実は平成二十六年の財政検証で明らかとなったわけでございます。

 このため、平成二十四年の一体改革の大綱など、それから三党合意、ここにもありましたが、今回、賃金の低下に合わせた年金額の改定ルールを、あらゆる事態に備える意味で、デフレ経済下におけるルールの見直しを法案に盛り込んでいるところでありまして、こうしたことで、財政検証は、単に所得代替率が五〇%を上回るか否かを確認するためだけのものではなくて、その分析を通じて、政策として対応が必要な課題を明らかにするためのものであるわけでございます。

 なお、我が国のように、保険料の上限を固定した上で給付水準を調整する国というのは、承知している範囲ではございませんで、我が国同様に、所得代替率のみをトリガーとした仕組みを持つ国も承知はしておらないところでございます。

長妻委員 大臣が最後におっしゃったように、日本は所得代替率のみを年金抜本改革見直しのトリガーとしている、これは法律でありますけれども、そういう体系なんです。

 そこで私は、前回の質疑でも、では、所得代替率となるものが本当に国民の実感からして正しいのかと。所得代替率、半分は維持できますよ、それを切るときは抜本改革します、半分までは大丈夫ですから安心してください、簡単に言うと、こういうことが本当に適切なのか、唯一のトリガーが所得代替率でいいのかという問題意識をぜひ共有していただきたいというふうに思うんです。これは、別に与野党問わず、私は共有できる問題意識だと思います。

 そこで、所得代替率の話でございますけれども、今の所得代替率は、ちょっと言葉がややこしいので、ネットという言葉を、額面から社会保険料や税金を引いた後の手取りをネットと呼ぶ、グロスは額面、こういうふうな用語の整理をした上で、今のモデル世帯の所得代替率は、御存じのように、ネット分のグロスになっているわけで、六二・七%、二〇一四年時点でございます。

 その時点で、前回も塩崎大臣が答弁されましたように、ネット分のネットであると五三・九%、グロス分のグロスでありますと五〇・九%ということで、改めて私は驚いたわけでございますけれども、ネット分のネットあるいはグロス分のグロスがそれぞれ五〇%を切るのは、何年後に切るのか、ぜひ教えていただければ。これは事前に試算をしていただいたと聞いておりますので、よろしくお願いします。

塩崎国務大臣 先般のやりとりに関して、一部報道で誤った報道があったことは極めて残念なことで、長妻委員が前向きなお考えをということでありましょうから、報道にも正確性を私どもとしても期待したいというふうに思うわけでございます。私たちも抗議を正式に申し上げ、きょう訂正文が朝日新聞に掲載をされておりました。

 今のお尋ねでございますが、現在の、分母をネット、分子をグロスというふうにしている所得代替率の定義と計算方法は、これはもう前回の長妻委員の御質問にもありましたけれども、国会で決められた法律で定められているということが、まず第一点であります。国民の皆様方に明確に御理解を賜るためにも、この計算方法は法律で決まっているということでございます。

 厚生労働省は、この法律で定められたとおりに計算をしておりまして、その値が将来にわたって五〇%を割り込むことがないか、五年に一遍、財政検証を行っているというのが今のプラクティスであります。

 分母、分子をともにグロスやネットにそろえた値は、現行の計算方式とは異なる物差しではかられたものでありまして、物差しが異なれば目標値も変わってくる以上、これらが現行の計算方式で保障している五〇%をいつ割り込むのかに政策的な意味がない、国民に混乱を生じさせるおそれがあることから、そういうようなことは、お求めの値をお答えすることは差し控えたいと思っております。

 なお、分子、分母ともに例えばグロスとした場合、それについてのお尋ねをいただいたんですかね……。

 それはしていない。では、今のところでいいですかね。

 では、そういうことでございます。

長妻委員 これは確かに法律のトリガーではない、このグロス分のグロスとかネット分のネット。それは前提としてわかりますが、ただ、国民の実感からいうと、これはOECD諸国も合わせているわけで、今確認されている限りでは先進国でも合わせているわけで、やはり国民の実感からすると、私は、ネット分のネットが国民の実感、つまり、可処分所得分の可処分所得、現役世代の可処分所得の平均値分の老後の年金の可処分所得、つまり、年金から社会保険料などを支払った後のもの、これが実感に非常に近いと思うんですね。

 では、それが半分を割るのは、あと何年後なのかというのは、これは、国会での議論のためのデータとしては私は必要だと思うんですけれども、ぜひこれを出していただきたいんですが、計算をしていただきたいと思うんですが、これは計算されているはずですから、ぜひ大臣、お願いします。

塩崎国務大臣 さっき申し上げたとおり、今までの計算方式と異なる物差しで、分母、分子ともにグロスにするとかネットにするとか、いろいろあり得るわけでありますけれども、物差しが異なると、当然、今までずっと、これは長妻厚労大臣のときも同じ目標値をお持ちになっていたわけで、長妻大臣もこの数字を同じ定義でお使いになってきたわけであります。つまり、連続性があるということなんですね、国民にとっても。

 これが現行の計算方式で保障している五〇%をいつ割り込むかというようなことで計算をせいということでありますけれども、これは国民に、先ほど申し上げたとおり、混乱を生じさせるようなおそれがあるので、お求めの値をお答えすることは差し控えたいと思います。

 物差しが異なるということは、これは、五〇%ということを今まで申し上げてきた、長妻大臣もおっしゃってきた、これと比較するということになれば、言ってみれば、メートルとヤードとを、一メートルと一ヤードを同じものとして比較するようなものでありますので、そこのところはよく考えていただいた方がよろしいのではないかなというふうに思っております。

長妻委員 いや、ですから、質問の趣旨をちゃんと理解していただきたいんですが、私も、何か法律を変えて、所得代替率をネット・ネットに法律上してくれ、こういうことを申し上げているのでなくて、今の法律はそういうふうに、おっしゃったような状況になっているけれども、やはり国会の年金の議論に欠かせない私はデータだと思うから、それを出す必要があるんじゃないのかということを申し上げているんですね。

 仮に、その所得代替率、法律で決まっているものが、ネット・ネットとかグロス・グロスとか、そろっていれば、百歩譲ってそういう議論もあり得るのかなとも思いますけれども、そもそもの法律で規定されているものが、諸外国には今のところないようなばらばらの分子、分母で、つまり、結果として大きく見せるようなそういう数字になっているから、ちゃんと正確な実感をあらわした数字をやはり出さないとだめだと。

 さっき、国民に混乱を生じさせるという話がありましたけれども、国民はばかじゃありませんよ。ちゃんときちっと説明してデータを出せば、国民の皆さんもちゃんと理解するわけでありますから、国民の皆さんは誤解をするからそういうのは出さない、国民の皆さんはよく考えずにぱっと理解しちゃうからそういうのは出さないと。余りにも国民をばかにした話じゃないかというふうに思うわけでありまして、なぜ、参考のデータとして出してほしいと私は申し上げているわけでありますから、ぜひ御検討をするというぐらいの答弁もできないんですか。

塩崎国務大臣 これは当然、厚生労働大臣経験者である長妻先生は、先々をよくごらんいただいた上で年金のことについていつも議論を賜ってきたんだろうというふうに思っておりますが、先ほど、他の国にあるかないかというお話がありましたが、いわば、人口ピラミッドの先行きを見通してみれば、日本というのはやはり極端な逆三角形になっていく国であります。

 つまり、肩車型に向かって進んでいるとよく言われますが、それはまさに、賦課方式を原則とする今の年金制度のもとで、どういう形でいけばこの年金制度が持続可能性があり、なおかつ、三党合意でも行われましたが、その中で、賦課方式の限界をどう乗り越えていく仕組みを、単に年金制度だけではなくて組み合わせていくのかということが大事なんだということは、三党合意で、民主党政権時代に三党で合意をしたことであるわけで、それを一つ一つこなしていっているのが今の年金の改革であり、今回御審議をいただいている二十五年、十年もその一つ、そして、今回の将来年金確保法案もその一つということであります。

 そういう意味で、今御議論いただいたように、外国で同じようにネット分のグロスとやっているところはないじゃないかということでありますが、それは、今申し上げたとおり、日本が少子高齢化が極端な形で世界の中で最先端で進んでいく中であることでありますし、それについて、何よりも大事なのは、長妻大臣時代も含めてこの五〇%というのはお約束をしてきたことで、これは岡田当時の副総理も認めてこられたことでもありますので、そこのところはよく、どういう物差しを使っていくのかということについて、頭の体操をするのはそれはあり得るかもわからないということで、この間、次の財政検証に向けて、何が国民にとって意味のあることなのかということを、今の法律で定められたことに加えて、あるのかどうかということは検討をしていくということは申し上げたわけでありますけれども、事この五〇%の所得代替率の目標というものは、これはずっと一貫してあるものでございますので、これはこれとしておきながら、絶えず今回のように年金制度は改善をしてきているわけでありますので、そこのところはさまざま配慮しながらやっていかなければならないというふうに考えております。

長妻委員 大臣、いろいろ厚労省が持っているデータというのは、自分たちが出す出さないを全面的に判断できるものではなくて、やはり公共財ですから、税金で集めたデータでありますので、参考データとしてそういうのを計算するということも、これは厚労省の責務だと思います。

 であればということで、出していただけるという話だったんですが、かたくなに拒絶をされておられるので、これは私の方でちょっと計算をしてみました。

 配付資料の一ページ目でございますけれども、グロス所得代替率、グロス分のグロス、ネット所得代替率、ネット分のネット、これが五〇%を下回る時期、機械的計算というものでございます。

 これは、厚労省の中に財政検証詳細結果等というジップファイルがございまして、各年の詳細な金額等が書いてございますので、これを参考にしました。

 ただ、機械的に数字を置いている大きな二つを申し上げますと、グロス所得代替率の計算に必要な現役男子の収入に占める可処分所得割合は、平成二十六年財政検証で用いられた〇・八一四、この数字を今後もずっと続くという前提で用いました。

 そしてもう一つ、ネット所得代替率の計算に必要な年金受給世帯の可処分所得割合は、総務省統計局にある、夫六十五歳以上、妻六十歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得十八万五千六円を、同世帯の実収入二十一万四千八百六十三円で除して算出した〇・八六一、これがずっと続くという前提で機械的に算出をいたしました。

 そうすると、ケースEでいうと、グロス所得代替率が半分を、五〇%を下回る年というのはことしというような結果が出ました。これはケースAからケースHまで同じでございます。

 国民の実感に多少近いネット所得代替率を見てみますとどうかというと、これが五〇%を下回る年、ネット分のネットでございますが、ケースE、厚労省が計算をするメーンのケースでありますが、ケースEでは二〇二五年、あと九年すると、ネット所得代替率、私は国民の実感に近いと思うんですが、これが半分を下回るというような、私にしたら大変考えさせられる数字がここにあるわけで、ケースAでありますと、ネット所得代替率が半分を切るのが二〇二八年、ケースBが二〇二七年、ケースCが二〇二七年、ケースDが二〇二六年、ケースFが二〇二三年、ケースGが二〇二三年、ケースHが二〇二三年。

 グロス所得代替率が五〇パーを下回る年は全て二〇一六年、どのケースでもということなんですが、これについてやはり正確に出していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございますか。

塩崎国務大臣 ただただ驚くばかりのことでありまして、目標の五〇%というものの定義はネット分のグロス、今お出しをいただいているのはネット・ネット、グロス・グロスの仮定計算をしたものであって、それと今までのネット分のグロスの目標値と比較するということ自体が全く意味がないことだというふうに思いますので、こういう乱暴で、国民に不安をいたずらにあおるようなことはできるだけお控えをいただいた方が、責任ある厚生労働大臣経験者としてはわきまえていただくとありがたいなというふうに思うところであります。

長妻委員 いや、私も今の答弁は驚くべき答弁だというふうに思います。

 OECD諸国や諸外国が、ネット分のネットなど、そろえて計算をしているというのは、やはり、ばらばらに計算をしていると非常に誤解を招くということになるんですよ、それは法律では規定されているというのはよくわかりますけれども、国民実感からすると。

 では、大臣、例えば、社会保険料がどんどん上がってくる。例えば、社会保険料がどんどんどんどん値上がりする、相当な値上がりする。そうすると、今の所得代替率では、分母が、これは可処分所得だから、どんどん分母は小さくなってきますね。

 ところが、分子は、年金受給者もそれは後期高齢者医療保険料とか介護保険料を払うわけですから、それがどんどん値上がりしても、分子は額面だから減らないんですよ、保険料を引かれても。

 ということは、分母が、どんどんどんどん保険料が上がると減っていく、年金の額は変わらないにもかかわらず、所得代替率だけがどんどん上がっていく、大きくなる、こういうことになってくるわけです。

 社会保険料が上がれば上がるほど所得代替率は大きくなってくる、こういうようなことも起こるわけでありますから、私は、参考としてそういう数字を出すべきではないのか、そうすることで年金の下支え機能をきちっと議論することになるのではないのか、こういう問題提起をしているわけでございます。

 そして、そうすると、グロス・グロスの所得代替率、グロス分のグロスの所得代替率は、当初、二〇〇四年はどのくらいの値だったのでございますか。

塩崎国務大臣 これは長妻委員には事前にお出しをしておりますけれども、グロス・グロスですね。この場合の数値、平成十六年度、つまり法律ができたときですが、この数値は四九・八%、平成二十六年度の数値は五〇・九%でございます。

 ただ、繰り返し申し上げますけれども、物差しが異なるわけでありますので、これは、今の目標としてきた五〇%、長妻時代も同じように目標でございました五〇%との比較というのは余り意味があるとはとても思えないというふうに思います。

長妻委員 今おっしゃったのも恐らく国会で初めての答弁だと思うんですけれども、これも改めて厚労省から、配付資料三ページにございますが、これを拝見して、非常にこれもびっくりするというか考えさせられるというか、そういう思いをいたしました。

 つまり、グロス分のグロスで、これはOECDもやっているような計算方法で所得代替率、モデル世帯をやると、二〇〇四年の一番スタート時点が既に五〇%を切っている、四九・八%というような数値が出ていて、それがもう一回五〇・九%、二〇一四年ということで水面上に浮上をして、そしてまたそれが水面下に下がっていく、五〇%以下になる、こういう推移をしているわけであります。

 私は、塩崎大臣にぜひお願いをしたいのは、こういう年金の下支え機能がどういう実態になっているのか、これが今の所得代替率ではなかなかわからないということは共有をいただけると思うのでございますが、例えば、年金の将来分布というのを政府は出しておられないわけでございますが、こういうものも出していただければありがたいと思っているわけです。

 例えば、十一ページをごらんいただきますと、これは一橋大学の稲垣先生の論文から抜粋をした表でございますけれども、これは稲垣先生のモデルでシミュレーションをされたというものでございますが、二〇一〇年の年金額、二〇四〇年、二〇七〇年、二一〇〇年の年金受給額の分布なんですけれども、年がたつにつれて左の方に、つまり低年金の方にぐっと山が寄ってくる、こういう実は格差というか低年金がふえることがこの図でおわかりになると思います。

 十二ページを見ていただきますと、これはマクロ経済スライドを適用する場合、適用しない場合。先ほど塩崎大臣からも御答弁がございましたが、私も、恐らく塩崎大臣もそうだと思いますけれども、予想以上にマクロ経済スライドが特に基礎部分にきいてくる、三十年で所得代替率が三割もカットされる、一年に一%ずつ基礎年金部分の代替率、下がっていく、比率がですね、そういうような非常に予想外のことが起こっている。

 稲垣先生が調べると、マクロ経済スライドをやはり適用した場合は、適用しない場合に比べて、これは等価所得が一人百万円未満である者を貧困と定義して、高齢者全体に占める貧困高齢者の比率の将来見通しをグラフにしたものでございますけれども、やはりマクロ経済スライドをかけていくと相当低年金の人がぐっとふえていく、年とともに急にふえていくというような図でございまして、こういう年金の格差がわかる研究もあるわけです。

 ですから、こういうものを厚労省は出せるわけでありますから、年金の格差、低年金の方がどう推移していくか、こういうデータを出す責任があるんじゃないのかというふうにも私は考えております。

 そして、もう一つ言えば、十四ページを見ていただきますと、これは毎日新聞の記事でございますが、この前も柚木議員から話がありましたけれども、いろいろな保険料の負担増、あるいは自己負担増がどんどこどんどこ議論されているという記事でありますけれども、仮に、決定する前にこういうものが実際に実行されたらば、高齢者にどういう影響が与えられるのかということが一切試算がされていない、トータルでは。

 ですから、こういうものについてもトータルで試算をしていただきたいというふうに考えるところでございまして、こういう負担増が、新たにたくさんのメニューが起こっていくと、例えばこれでいうと、後期高齢者医療制度では保険料軽減の特例廃止、高額療養費制度では七十歳以上の自己負担額の上限引き上げとか、入院時の光熱費を自己負担にするとか、かかりつけ医以外を受診した場合、定額負担を導入とか、高額介護サービスの自己負担上限引き上げ、通常一割の自己負担を二割にする対象拡大とか、いろいろな検討事項がこれはあるわけです。

 こういう検討事項をやったらば、トータルで、例えば生活保護基準以下に落ち込んでしまう高齢世帯は一体何%ぐらいあるのか、何人ぐらいいるのか、そういうような試算を出していただくことが年金の議論にも資すると思うんですけれども、以上、いかがでございますか。

塩崎国務大臣 まず、お配りをいただいている資料の十二ページに、マクロ経済スライドを適用しない場合とありますが、厚生労働大臣経験者の長妻先生がよもやマクロ経済スライドを適用しないということを言っていらっしゃるとは思えないので、私の方からそうではないですよねと質問をしたいぐらいでありますが、私は質問しちゃいけないことになっているので、あれですけれども。

 つまり、マクロ経済スライドはもともと、先ほど申し上げたように、年金におけるいわゆる賦課方式の助け合いの仕組みと、その助ける側が将来年金をもらう側になったときのことも考えた上の分かち合いの仕組みであるわけで、まさに未来への責任を果たす、そして、両世代を考えた上でのぎりぎりのやはり配慮をしている制度として、これは民主党政権も、野田当時の総理もお認めをいただいていたわけでございまして、そういうことを考えていただかなければいけない。

 しかし、そうはいいながら、低所得者対策、低年金者対策については極めて重要な問題であって、これは、さっきも申し上げたとおり、賦課方式の、言ってみれば、果たし得ないことについては別途政策対応をしようということで、年金生活者支援給付金を導入し、そして医療、介護の保険料の軽減をし、そして被用者保険の適用拡大をする、あるいは、今回御議論を賜っている、二十五年を十年にすることによって無年金者を極力減らす、こういうようなことを総合的に対策として打っていくというのが私たちがやるべきことであり、これは、淡々と一体改革の哲学を実践しているということを繰り返し申し上げているわけであります。

 したがって、そういうことをやるべき状況かどうか等についてはいつも目配りをしていかなきゃいけないということは、私たちもそのとおり考えているところでございます。

長妻委員 いや、全く答えていないですね。将来推計、年金の分布、これをしていただきたい、検討していただきたいということに答えずに、質問を曲解して、何かおかしな答弁がずっと続いておりますけれども。

 私が問題意識として持っておりますのは、年金が破綻する前に老後の生活が破綻してしまうのではないのか、こういう問題意識のもと質問しているわけでありまして、そんなお役人みたいな、年金局長みたいな答弁はやめてください。

 最後に一問申し上げますと、では、社会保障プログラム法第六条に書いてあります、高所得者の年金給付のあり方の見直しということで、これは今未着手だと思います。我々はクローバックの法律も政権のときに考えましたけれども、これはいつやるというおつもりですか。つまり、高額受給者の税金部分を我慢していただいて、それを低年金者に振り向ける、これはいつやるおつもりですか。

塩崎国務大臣 その前に、年金局長のような答弁ということですが、やはり、未来への責任ということを綱領に書いている民進党の考え方が、そのとおり言われているかどうかということを問う、政治としての私は議論をしているつもりでございますので、あしからず御理解を賜りたいと思います。

 恐らく、プログラム法におけるクローバックの問題だろうと思いますが、このクローバックにつきましては、社会保障審議会年金部会で議論が行われて、高齢者世代内の再分配につきましては、年金制度内部にとどまらないで、年金課税あるいは福祉制度など、より大きな視点から、公平公正となるように幅広い議論が必要であるといったような指摘がありました。これで引き続き議論を行っていくというふうに考えております。

 なお、クローバックにつきましては、社会保障・税一体改革においても当時の民主党政権が法案を提出されていたわけでありますけれども、三党協議において、保険料納付インセンティブに与える悪影響、それから、約束をした給付が支払われないのは社会保険の原則に反するのではないかといったような懸念が次々出されまして、法案から削除をされた経緯があるというふうに理解をしております。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、プログラム法に書いてある改革すらやらない、これは本当に、老後の生活が破綻するのかしないのか、こういうぜひ真摯な議論を政府の中でもちゃんとしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今国会には、今審議入りをしている年金機能強化法案と、野党はカット法案と呼び、先ほど大臣もそうおっしゃいましたけれども、将来年金確保法案と説明している継続法案の、二つの年金関連法案が出されております。

 与党理事の皆さんは、年金関係だから一緒の審議をするべきと主張しておりましたが、私たちは分けてやってほしいと要望して、そのようになったことをまず感謝申し上げたいと思います。

 今回の法案は無年金者救済法案と位置づけているわけですが、年金の受給資格を得るのは、加入期間二十五年以上だったものを十年以上にするという法律が、既に成立しているんだけれども、消費税一〇%と同時スタートとしていたためにおくれている。今回、来年八月からに前倒しするというもので、一日も早くという思いがあります。

 また、一方の法案の方は、年金を受給している人には購買力を保証するという点から、原則物価スライドだった現行制度を賃金に合わせるという重大な変更であり、到底受け入れられません。重要広範議案として十分な審議を行うよう、委員長、また与党理事の皆さんにも強く要請しておきたいと思います。

 さて、まず最初の質問は、先ほど最初の質問でもあったかと思うんですけれども、整理のために伺います。

 年金受給資格が加入十年間へと短縮されるので、約四十万人が救済されるということが言われておりますが、それでもまだ無年金として残る人がどのくらいか、お願いします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、受給資格期間を二十五年から十年に短縮した場合の対象者を把握するために行いました調査によりますと、七十歳まで任意加入をしたといたしましてもこの十年の受給資格期間を満たすことができない、こういった無年金の方は、約二十六万人になるというふうに見込んでいるところでございます。

高橋(千)委員 もう一度局長に伺いますけれども、今の対象者を調べた調査というのは、要するに、全体を網羅する調査ということでよろしいのか、サンプルではないということでよろしいのかというのをまず一つ確認したいのと、資料の二枚目に、前にこの短縮法案が出されたときの資料をつけております。下のところに、六十五歳以上の無年金者約四十二万人の納付済み期間の分布というのがありまして、十年未満が五九%ということで圧倒的に多いということがわかるんですけれども、しかし、これは平成十九年の、しかも旧社保庁のときの調べですので、大分時間が経過している。これがどんなふうに移っているのか、わかるように教えてください。

鈴木政府参考人 今回の調査でございますけれども、これは日本年金機構が把握しております納付済み期間、免除期間、これを全てピックアップいたしまして調べた調査でございますので、そういう意味では、サンプルではなく、全数に近い調査だというふうにごらんいただいてよろしいかと思います。

 今先生から御指摘のありました十九年のときの分布でございますけれども、これは、基本的には無年金者の方々が大体減っておりますので、実際の分布がどうなるかというのはまた調べてみる必要がございますけれども、基本的に、この分布全体が低くなって、減っているというふうに御理解いただいて、大方間違いないのではないかというふうに考えております。

高橋(千)委員 全体に低くなっているというだけでは、大分違うんですよね。だって、二十五年にあと数年とか数カ月とかというので諦めていた方が、十年というと大分差があるわけですからね。それで救済される人というのは、本当に網羅、要するに取りこぼしがないようにしなければならないわけです。

 それで、せっかく全数調査をしたとおっしゃっているんですから、この分布が、もっとぐっと、わかるようにならなきゃいけないと思うんですが、出していただけるんでしょうか。

鈴木政府参考人 今回の調査に基づきます納付期間の分布につきましては、また整理した上で、わかるように御提示を申し上げたいというふうに思います。

高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。

 次に、十年で資格を得るようにということは、私たち自身も、そうするべきだということはかねてから要求をしてまいりました。

 とはいえ、現在の基礎年金部分が満額でも六万五千円という低い水準のために、ちょっきり十年だとその四分の一、一万六千円にしかならないんです。先ほど平均が二万一千円とありました。それ自体も十分低いですけれども、今言っているように、やはり十年のところに近いわけですよ。だから分布図を出してくださいと言っているわけ。だから、一定の人もいるから、ミックスして平均するとそうなるかもしれないけれども、実際は一万六千円に近い人が多いだろうということが、当然予想されるわけですよね。到底これでは足りないということがわかるかなと思うんです。

 そこで、予算委員会でも話題となった年金生活者支援給付金なるものが低所得者対策としてあるんだということ、大臣も総理も何度もお答えになりました。

 そこで、資料の3なんですが、今、長妻元大臣ともやりとりをしていた、社会保障・税一体改革における経緯という資料であります。これは、民主党政権時代には、低所得者等の年金額の加算という扱いで、つまり、年金制度の中で検討していたわけですよね。それは月六千円の定額加算なので、これは、当時公約として掲げていた最低保障年金七万円を目安としていたものだと思っております。世帯非課税という、範囲は大変限られているわけですけれども、納付期間に限らず定額であったということと、免除期間を考慮した加算も入っている、そういう意味での工夫があったかと思っております。

 ところが、当時野党だった、ちょっと今いらっしゃいませんが、現田村筆頭理事が、基礎年金額よりも一円でも多い収入があればもらえなくなる、そうすると、その境界線ぎりぎりの、例えば、厚生年金もあるんだけれども、それがとても低い人などはむしろ不利で、逆転現象が起きる、こういう大変厳しい指摘が野党時代の自民党からありまして、それで、私たち共産党は入れてもらえない自公民三党協議によって修正され、月額は五千円に減額をされ、そして、表にあるように、年金法の外の福祉的給付と位置づけられた、こういう経過がございました。

 しかしながら、ちょっきり十年の方は、一万六千円プラス、今言ったように、納付期間に比例した加算ですので、五千円ではなく、四分の一、千二百五十円しか足さないんですね。私は、これは一律五千円でよかったのではないかと思うんです。

 大臣に伺いますが、年金生活者支援給付金は、年金法の外という位置づけなのに、何で保険料の納付期間に比例した加算となるんでしょうか。

塩崎国務大臣 社会保障・税の一体改革についてお触れをいただきましたけれども、そこにおいて当時の民主党政権が政府案として提出した年金額加算は、今御説明をいただきましたけれども、基本的には定額加算ということになっていました。しかし、三党協議を通じて、その中で、保険料の納付意欲を損ない、社会保険方式になじまない、こういう意見が出されたわけであります。

 こういう意見を踏まえるということで、年金生活者支援給付金については、三党合意において、給付金の額を、保険料の納付意欲に悪影響を与えないよう納付実績に比例するとともに、年金制度の枠外で実施することとされたわけでございます。

高橋(千)委員 十年になるかならないか、そういう人たち、大変な事情のある方たちが、それを定額にしたら納付意欲が減退するだろう、そういう議論自体がおかしいんじゃないですか。そもそも、世帯非課税のところしか対象にならないわけですよ。

 福祉的給付と仮にも名前をつけるのであれば、これは、一々ここをスライドする必要はないんじゃないですか。もう一度検討するとおっしゃっていただきたい。

塩崎国務大臣 十年にちょっと満たない方々だけを相手にこういう御議論を申し上げているわけではなく、年金制度全体にかかわる方々、まだ二十になる前の、これから保険料を払うようになる若い方々、そういう方々にとってもメッセージがあるわけでありますので、助け合い、分かち合いの制度である年金制度、保険制度についての理解をいただくということが大事だというふうに思いますので、この納付について、納付をすることが将来の給付につながるという基本原則を御理解いただくということは大変大事なことだというふうに思っております。

高橋(千)委員 そうであれば、低所得者対策ですとか、あるいは福祉的給付だということは言わない、言うべきじゃありません。その名に値しません。そのことを指摘しておきたいと思います。

 私は、こういう給付をするよりも、年金額そのものを減らさなければいいと思っておりますので、そういう、いかに所得をふやしていくかということで議論を進めていきたい、このように思います。

 それで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、改めて一枚目の資料を見ていただきたい。

 これは、記憶があるかもしれませんが、昨年の予算委員会で質問したときに使った資料に一年分を足したものであります。新しくしたものであります。上の方が六十五歳以上単身無業者の基礎的消費支出、下の方が老齢基礎年金であります。ぱっと見て誰もがわかるように、基礎的消費支出に追いついておりません。赤字であります。

 これは、大臣は、こういう資料を出すと、我が国は夫婦二人のモデル世帯を基準としているからとお答えになるわけであります。先ほど来、長妻元大臣が大変な議論をされておりますが、そもそも、所得代替率という議論も、夫婦二人になって初めて五割という議論をしていたわけですね。私は、そのこと自体がもうおかしいんじゃないか、そう思うんです。

 なぜなら、昨年の国民生活調査では、六十五歳以上の単身世帯は二六・三%、十年間で約一〇ポイントふえているわけですね。これは男子とは限らない、女性の方がむしろ多い。女性の方が年金額が少ない。現実にそうだとわかっていながら、モデル世帯で済ませていられるんでしょうか。

 まず大臣に、単身世帯では満額でも基礎年金だけでは暮らしていけない、そういう水準であるということをお認めになりますか。

塩崎国務大臣 これは、先ほどおっしゃった、夫婦だけのことを言っているわけではなくて、我々ももちろん、単身世帯がふえているということもよくわかっております。

 夫婦の場合には基礎年金で基礎的な収支はカバーできるわけでありますが、単身の方々については、おおむねできるということを申し上げてきているので、だからこそ、今回のような年金生活者支援給付金、こういうものをちゃんと導入しないといけないということで、私たちも消費税引き上げ時に導入しようということを申し上げているわけでありまして、これは、基礎年金だけという方には全て支払われることになるということでもございます。

高橋(千)委員 まず、単身世帯がふえていることはよくわかっているとおっしゃいました。よくわかっているのであれば、やはりこの実態からスタートするということが大事だと思います。

 夫婦の場合はカバーしているとおっしゃいましたが、その夫婦が必ずしもモデル世帯には当てはまらないわけなんです。

 それと、この表を見ておおむねと言うのはちょっと言い過ぎではないかと指摘をして、おおむねカバーできていると言うのは、ちょっと実態から、あるいは当事者から見たらなじまない、許しがたい議論ではないかなと思っております。

 私は、これまでも、全日本年金者組合の皆さんが取り組んだ実態調査や、あるいは年金減額違憲訴訟が起こっていることを紹介してきました。現在、訴訟をしている方は四千六百二人にもなっているそうであります。

 私が述べたいのは、これらの方たちはどなたも、長い間働いてきちんと保険料を納めてきた方たちなんです。そこが大事なんですけれども、大臣、よろしいですか、そこをわかっていただきたい。さっきから納付意欲がどうのという話をしていますけれども、頑張ってきた人たちが厚労省が描くモデル世帯にはほど遠いんだという現実を受けとめていただきたいということです。

 簡単に紹介します。

 夫婦合わせて年金十万円、今は何とか健康で、仕事もあり生活できるが、夫婦どちらかが病気になったり仕事がなくなったりしたら、直ちに生活できぬようになる。八十五歳になるが、それでも働き続けなくてはならぬ、やめるにやめられない、もしかしてこれが一億総活躍なのかと思ってしまいました。

 外出したり近所の人とつき合うと何かとお金がかかると、一人で家に閉じこもっている人もいます。

 もともと気管支が弱く、長時間働くことが困難で、六十歳になったときに引き続き働かないかと言われたんだけれども、定年退職を選んだ。国民年金を十五年、厚生年金を二十五年余り掛けてきたけれども、六十歳定年退職でようやく年金が支給されて少しは楽な生活ができると思ったんだけれども、支給開始年齢が原則六十五歳になっちゃった、なので、再就職もままならず、減額を承知の上で六十歳前倒しの手続をとったという方。

 子供さんが難病で、親亡き後、子供さんが働いたわずかな時間と、厚生年金のわずかな時間と免除期間の年金だけで、どう暮らしていけるかと心配をされている。

 大臣、こうした実態をどう受けとめていらっしゃいますか。真面目に働いて納めても、なお大変、暮らしていけない。モデル世帯というわけには現実はいかないというところから出発して、どうするか考えていきたいと思います。いかがでしょうか。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 御指摘のように、特に高齢単身世帯について、さまざまな問題、課題があるということはよくわかっております。

 それは、先ほど来答弁申し上げているように、ひとり年金だけで全てを解決するということはなかなか難しいわけでありますけれども、しかし、年金生活者支援給付金のような年金とリンクした形での低所得者対策、低年金者対策というものをしっかりやる。もちろん、二十五年、十年のこの期間短縮の法案も、無年金の方をどうカバーしていくかということでもございます。

 それと、やはり社会保障全体でどうサポートしていくか。これは、被用者保険の適用拡大で、働ける人は働いていただくということでもございますが、一方で、医療、介護などの保険料の軽減措置というものも、既に始まっているものもございますが、一〇%に引き上げ時にもさらに行うことが、介護でも行われる予定になっておりますから、こういうことを両々相まっていかなきゃいけませんし、何よりも、働くことが可能になるような働き方改革も、同じように高齢であろうとも元気であれば働けるということが大事だというふうに思いますし、元気ではない場合のことについては今申し上げたとおりでございます。

高橋(千)委員 ですから、給付金はとても低所得者対策には値しないと今指摘をいたしました。それだったら、せめて定額にすればいいじゃないかということも言いましたし、年金が少な過ぎるから八十五歳まで働いてもやめられない、そういう人に対して働けというのが一億総活躍社会ではなかったはずなのにと指摘をして、私、もう少し建設的な提案をしたいと思います。

 そこで、資料の四枚目ですが、納付機会の拡大についてということがありますが、上の方を見ていただきたいんですが、十年後納制度、これは平成二十四年から二十七年の九月まで、それから、五年後納制度ということで今やっております。そういうことがこれまでもやられてきたわけなんですね。

 そうすると、もう既に終わった十年後納制度、これは民主党政権のときですけれども、受給資格を得た方、ふえた方など、実績がどうなっているか、教えてください。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の十年後納制度は、平成二十四年十月から平成二十七年九月までの三年間の時限措置として実施させていただきまして、この間に保険料を納付した者は百十八万四千七百四十七人でございます。

 この十年後納制度で保険料を納付したことによって老齢基礎年金額がふえた方は三万八千五百三人、このうち新たに老齢基礎年金の受給権を得た方は二万九千八百四十九人でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今報告いただいたものを、この下の方にもつけておきました。

 聞いていただいて、あっと思ったと思うんですが、新規に資格を得た方が二万九千八百四十九人で、ふえた方が三万八千五百三人で、合わせると六万八千三百五十二人がまずふえた、資格を得たということ、それ自体は大変よかったと思うんですね。

 それプラス、利用者総数が百十八万人以上いるということ。これは納付月数にしますと千六百十四万月で、二千三百九十六億円以上納付があったわけなんですね。そうすると、この方たちは、これから先、年齢が上がっていくことで、いよいよふえたり、あるいは新しく資格を得たりするわけですよね。そうすると、チャンスがあれば払いたい方はこんなにいるということ、まずその認識を共有したいと思うんです。

 それで、後納制度については、議論をしたときに、後からまとめて払えるとなれば、毎月払っている人との不公平感があるとか、モラルハザードなどと言われました。しかし、現実に、後から払うことでの調整金、上乗せして払わなきゃいけないというリスクもあるわけですし、毎月払っている方に迷惑をかけているわけではないわけですよね。だったら、無年金、低年金を解消する上でも活用すべき制度と言えるのではないでしょうか。

 二年時効の見直しや時限措置ではなく、恒久法にするなど、改めてこの制度を検討すべきではないでしょうか。大臣に伺います。

塩崎国務大臣 後納制度につきましてお尋ねをいただいておりますが、現役世代の方々が毎月納める保険料がその時々の高齢者の方々の年金給付に充てられる助け合いの仕組み、世代間の助け合いの仕組みを我が国の年金制度はとっているわけであります。いつまでも保険料を納付できる仕組みというのは、この助け合いの仕組みを、言ってみれば、どちらかといえば、その前提を崩すようなことにもなりかねないようなことでもあるわけでございます。

 しかし一方で、できる限り保険料を納めやすくするという観点からは、二年の時効を超えて保険料納付を可能とする後納制度というものを実施しておりまして、保険料納付意欲や既に保険料を納付した方との公平感に配慮する観点から、これまでも時限措置として実施をしてきたわけであります。

 こういうような観点から、後納制度については、その時限措置の期限が到来するときに制度も終了することが基本であるというふうに考えているわけでございます。

 年金受給資格期間短縮が施行されてから現在の後納制度が終了する平成三十年九月三十日までの、一年以上の時間がその間にあるわけでありまして、後納制度を利用して十年の受給資格期間を満たそうとする方が制度を確実に利用できるように、後納制度の周知をさらに十分に図っていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 助け合いというんだったら、納付者がふえた方がいいじゃないですか。二千三百九十六億円以上の納付があったわけですよね。だから、さっきから議論している、給付金財源どこにありますかとか、六百五十億どこですかという議論をされてきたわけですよね。だけれども、そうではなくて、みずから払ってこうした財源が生まれているわけなんですよ。だったら、やはり年金制度の中で解決できることは解決すればいいんです。

 私は、そういう意味で、もっと前向きに考えるべきだということ。それで、平成三十年で、時限で終わることを基本とお答えになりましたが、そこは決めてしまわないで、引き続き検討していただきたい、これは要望にしたいと思います。

 そこで、もう一つ伺いたいのは、年金加入が任意だったとき、学生時代などに障害を持ったことで無年金になってしまった方たちに特別障害給付金という制度がありますが、直近の受給者数がどうなっているか、伺います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 特別障害給付金の直近の受給権者数は、本年八月末時点で九千二百八十一人となっております。

高橋(千)委員 これは前にも一度質問をしたことがあるんですが、この方たちは、本来、年金制度に入りたい、そう思って、訴訟もやった方が、学生無年金訴訟などもありました。そうした中で、政治決断で、障害年金とは違うけれども、給付金という形で、一級の方は五万一千四百五十円、二級の方は四万一千百六十円という形で給付をされております。

 こうした方たちに対しても、年金生活者支援給付金、さっきも年金に準じてやるということを言っているわけですから、支給するということを考えてもよいのではないでしょうか。また、その際かかる費用はどのくらいか、お答えください。

塩崎国務大臣 年金生活者支援給付金につきましては、社会保障・税の一体改革の中で、当時の民主党政権が年金額の加算として提案をされたものについて、三党協議を経て、先ほどのとおり、現在の給付金の形になっているわけでございます。

 こうした経緯を踏まえて、年金生活者支援給付金は、年金受給者を対象とする、そして保険料納付実績に応じて支給するということとなっておりまして、福祉的な措置でございます特別障害給付金の受給者を対象とすることは考えていないところでございます。

 なお、平成二十六年度末の特別障害給付金の受給者数を用いて、一級、二級の額を機械的に乗じますと、およそ約五億九千万円となるところでございます。

高橋(千)委員 五億九千万円ということをお答えいただきました。

 これは私、国会に来た直後のときに、自分の大学の同級生がまさにその当事者であったということを後で伺って、集会などにも参加したときに、やはり皆さんが、生活保護ではなく、年金にこだわっているんですよ。ですから、障害があって働けないという方もたくさんいらっしゃって、だったら生活保護の資格はあると思うんです。だけれども、年金給付という形で資格を得たいんだとおっしゃっていたわけです。だとすれば、ずっと低いお金だけれども、そこで頑張ると言っている方を応援するというのは理にかなっているんじゃないか。そういう発想の転換をしてほしいということで提案をしておりますので、ぜひ検討していただきたいと思うんですね。

 やはり私は、きょうこうした議論をしてくるのは、実は、無年金者救済法案と名づけるものですから、いやいや、本当に救済になっているだろうかということをずっと考えて、それでこうしたことを言ってきたわけです。

 最後に一問伺いたいんですが、無年金、低年金については、先ほど紹介した平成十九年、二〇〇七年の調査がいまだに使われているわけです。六十五歳以上で年金を受給できないだろうという方が最大四十二万人、六十歳未満を入れると百十八万人になるという資料でありました。しかし、その後、今紹介したように、後納制度も取り組んできたし、十年納付というふうなこともあるわけです。プラスの面もあるわけです。ただ一方、企業側の事情で厚生年金未加入者もふえています。その未加入者が、必ず国民年金の受給資格を持てるほどちゃんとやっているかということはわからないわけです。ですから、こういう実態を調査して解決に結びつけていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 無年金者数につきましては、御指摘のとおり、従来、平成十九年に当時の社会保険庁が行った推計により把握されてまいりました。

 今回の受給資格期間短縮に当たりまして、改めて日本年金機構が保有している年金記録に基づいて対象者の把握を行った結果、今後、七十歳まで保険料を納付してもなお十年に満たない六十歳以上の無年金者の数は約二十六万人ということは先ほど申し上げたとおりでございますが、なお、日本年金機構が記録を把握していない方を含めた調査を行うべきではないかという御要請がございました。

 国民皆年金のもとで、現在は基本的に全ての成人の方に、住民基本台帳をもとに基礎年金番号が付与されていることとなっておりまして、おおむねその年金記録を把握していると考えられること、そして、それでもなお把握ができていない少数の方を調査するためには極めて大規模な実態調査を要すると考えられること、こうしたことから、御要請にお応えすることは容易ではないというふうに考えております。

高橋(千)委員 残念ですが、また続きをやりたいと思います。終わります。

丹羽委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 塩崎大臣、本当に厚生労働委員会はいいですね。ほかの委員会にはない一体感というか、やはり自分の本地というか本籍は厚生労働委員会だなというふうに、改めて、きょうは一日、午前中、感じているところでございます。

 ただ、きょうは私、希望して来たのではなくて、河野委員がどうしてもちょっと別用ですので、頼まれて、無理やりきょうははめていただいた、はめられてしまった立場でございます。

 きょうは、民進党さんが二時間十分、共産党さんが三十分御質問されました。私は二十分しかありませんが、本当に意味のある、聞くにたえ得る議論は高橋先生だけ。本当に、レッテル張りというか、いや、塩崎大臣も大変お怒りであられましたが、全く同感で、私、いつも、民進党さんの話を聞いている間にだんだん気持ちが高ぶってきちゃって、最初は冷静にやろうと思っているんですが、大臣と一緒で、いや、これはちょっと聞くにたえない、このまま放置するわけにはいかない、こう思ってしまうわけであります。

 まず、法案の質問に入る前に、未来への責任。きょう、大臣が民進党の質問者に対して、いや、未来への責任というのが綱領に書いてあるじゃないかと。これは元祖はうちですから。二〇一二年の秋に日本維新の会を結党したときに、日本の再生、未来への責任、こう銘打ったわけでありますし、また、民進党の綱領にある身を切る改革、これも当然、釈迦に説法ですが、我々がやっていることであります。

 もちろん、我々が言い出した、我々が……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえますか。我々が言い出した。大体、民進党は、自分たちは好きなことばかり言って、我々が言うとわあわあわあわあうるさいことを言うんですよ。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 大臣、もちろん未来への責任とか身を切る改革というのを広げていただくのはいいですよ、広げていただくのは。でも、やってくれないと。身を切る改革と綱領に書きながら、身を切る改革をやらない。江田さんとか柿沢さん、やめちゃいましたよ。

 それから、未来への責任と言いながら、赤字国債。私、玉木さんが、玉木代表候補がこども国債とおっしゃった。僕はおもしろいと思いますよ。おもしろいと思うけれども、逆に、民進党さんがそれを言うと、やはり改革はやらないんだな、やはり行財政改革はやらないんだな、そういうメッセージになっちゃいますよ。

 だから、私は、未来への責任であれ、身を切る改革であれ、やるんだったら使ってもらっていいんだけれども、やらないんだったら返上してくれ、これが我々の思いであることを冒頭申し上げて、時間がないので質問に入ります。

 この法案、年金受給資格が得られる保険料支払い期間を二十五年から十年に短縮。私、これは賛成しますよ。賛成しますが、民進党さんの質問にあるような細かい、行政官に任せておけばいいような話を質問しません。

 ただ、私は、この十年に短縮するというのは、メリットばかりじゃないと思うんです。いや、みんないいことだ、政治家はみんないいことだと言って賛成しますよ。デメリットもあるんじゃないですか。

塩崎国務大臣 今回のこの年金受給資格期間短縮法案、これによって、新たに約六十四万人を超える方々が年金受給権を得ると見込まれているわけですね。納付した年金保険料を極力給付に結びつける、こういうことで、国民の年金制度に対する信頼感を高めようということでございます。

 同時に、年金は、長く保険料を納めれば受給額もふえる仕組みでありますから、十年納付すれば十分といった誤解があってはならないようにしないといけないわけで、納付する意義について周知をしていかなければならないというふうに思うわけでございます。

 また、低所得、低年金の高齢者への対策については、受給資格期間の短縮に加えて、もう先ほど来何度も出ている年金生活者支援給付金の創設とか、医療、介護の保険料の負担の軽減とか、社会保障制度全体で総合的に講ずることとしており、こうしたことをしっかりと取り組んでいくことが重要だと思っております。

 将来に向けて、今回の年金改革法案にも盛り込んだ被用者年金の一層の適用拡大、私的年金の拡充、これを行うなど、年金制度を初めとする社会保障制度が国民の一層の信頼を得られるように、不断の改革をやらなければいけないので、こういったことだけで物事が全て解決するわけではないというふうに思っております。

足立委員 まさに今おっしゃったように、例えば私の周りでも言いはります、要すれば、十年でいいのかと。十年で年金をもらえるんだ、こういうメッセージが必ずこれは広がります。本来四十年ですよね。本来四十年なんです。それが、十年でももらえるんだということが先行して広がると、そうか、六十五歳まで働くんだったら五十五歳から納めればいいんだ、こういうことになりかねないので、私は、本当は今回の法案はびほう策だと思っています。低年金対策、あるいは全く手がついていない無年金対策、これを本格的にやらないと、今回の法案は、やはり自民党、やはり自公の政権はびほう策に尽きるなにとどまってしまうんだなということを私は思うわけであります。

 だからといって、民進党さんのように、何か四カ月、柚木委員なんて、あれはレッテル張りですよ。柚木委員、それは僕の席ですよ。柚木委員が……(発言する者あり)ちょっと真面目に聞いてくださいよ。四カ月施行を前倒しするといって、彼らはまたキャンペーンを張るんですよ。与党は何かつべこべ言って、こんなにもらえる人をもらえないようにしているんだと。要は批判することしか考えていないんだけれども、四カ月どうするというのは、これは行政官に任せておいたらいいんです。施行、法の運用の実態については、これは行政が考えている。ねえ、局長。考えているんですよ。政治家が考えるべきはもっと大きなことなんですよ。民進党の言っていることは小さい。民進党が小さいんじゃないですよ。民進党が言っていることは小さい。

 それで、民進党に言いたいのは、四カ月を問題にするんだったら……(発言する者あり)ちょっと静かにしてくれますか。二〇〇九年に政権をとったときにやれよ。それから何年たっているんだ。七年ですよ。だから、もし民進党が政府・与党に四カ月の逸失利益を返せと言うのであれば、国民の利益ですよ、民進党には、七年分の逸失利益を返せ、こういうふうに日本維新の会は言わざるを得ないわけであります。

 私が政府に対して、今回の法案はびほう策だよ、これは賛成はするけれども、二十五年を十年にしたって、むしろ先ほど大臣がおっしゃったようなデメリットの方がもしかしたら大きいかもしれないぞ、これは年金制度が崩壊していく一つの階段、ステップになっちゃうんじゃないかという、局長、僕は本当に懸念を持っています。

 局長でもいいですよ。四十年納めるのが本来の形だとすれば、そのときにもらえる月額が、ちょっと間違っていたら言ってくださいね、六万五千八円。それが、十年納めた方は、僕の計算では、要は四分の一ですから、それで十二カ月ですよ、二十万に届きませんよ、年間。年額二十万に届かないんですよ。これは合っていますね。

鈴木政府参考人 今回の受給資格期間が短縮された暁に、十年全部納めていただいたという前提ですと、今先生がおっしゃった額になろうかというふうに思います。

足立委員 だから、年間二十万ですよ。これで老後は大丈夫だと誤解をされたら大変なことになる。しっかりと国民お一人お一人が民進党さんが振りまくデマに振り回されずに、正しいことを言っているのは、大体、政府・与党と私と高橋さんぐらいですよ。しっかりと議事録を、本当の議事録とデマばかりの議事録を仕分けして、皆さんよく勉強をしていただきたいわけであります。

 あともう八分ぐらいしかないので、一つだけ言っておくと、大臣、これはもう質問しませんが、私は、四年前に初当選させていただいてからずっとこの厚生労働委員会に所属をして、ずっと言ってきたことがあるんです。

 それは、現役世代のセーフティーネットというのは、失業手当とかいろいろあります。高齢者のセーフティーネットが、年齢に伴う、高齢化に伴う保険というかセーフティーネットが年金制度です。

 ただ、この年金制度が、どうしても低年金、無年金、今局長からあったように、とてもじゃないけれども、年額二十万を下回るような年金額で生活ができるわけがないんだから。では生活保護かというと、生活保護は本来高齢者のためにあるんじゃないですよね。大臣、そうですよね。生活保護というのは高齢者のためにあるんじゃないんですよ、高齢者もカバーしていますけれども。

 やはり高齢者向けの、年金をさらにカバーする第二のセーフティーネット、これが私は絶対に要ると。これは、長妻委員もこの間言っていますけれども、長妻さんが言う前に僕が言っているんですよ、三年前から。私は、高齢者向けの第二のセーフティーネットが要るとずっとこの厚生労働委員会で言い続けています。

 大臣、ちょっと検討していただいた方がいいんじゃないでしょうか。

塩崎国務大臣 この間も長妻委員からも出ていましたが……(足立委員「私が最初に言ったんですよ」と呼ぶ)そうですか。認識を新たにいたしたいと思いますが。

 高齢者で低所得の方々に対して年金を含めてどのようなサポートをするかということは、現在までもいろいろやってきておりますけれども、これは絶えず、新たなことも含めて、どうあるべきかは考えていくべきだというふうに思っております。

足立委員 当時、平成二十五年、もう三年以上前の五月の質疑で、ちょっと今いらっしゃいませんが、田村大臣と相当やりとりをさせていただいた。(発言する者あり)ああ、いらっしゃる。

 田村大臣が、当時、高齢者の方々、それから生活保護一歩手前の方々、自立するぎりぎりのところの方々、こういう方々を、高齢者ですよ、高齢者の方についてどうその生活をお守りしていくのか、これはなかなか難しい問題でありますけれども、社会的に大きな課題であるという認識は持っているので、またいろいろ一緒に議論しようね、こういうことです。

 ただ、議論している間にみんな年をとっていきます。しっかりと、これは私は、抜本的な制度、高齢者向けの、年金制度をさらにサポートする第二のセーフティーネットは絶対に要ると改めて主張しておきたいと思います。

 残る時間、どうしても看過できなかったので、所得代替率の話をちょっとやっておきたいと思いますが、これは田村委員と長妻委員のところで若干出たんだけれども、国民の皆様にもっとはっきりと言っておいてあげた方がいいと思うんですね。

 年金カット法案と政府・与党の法案を批判していますが、民進党のカット率はもっと深いんですよ。ここにありますけれども、民進党は、いわゆる賃金スライドに加えて、十五歳から六十四歳の人口減少率掛けるアルファ、アルファがゼロから一ですよ。わけがわからない。

 だから、本当に民進党は、もし人のことを……(発言する者あり)いや、僕は政府の法案をサポートしていませんよ。そうだけれども、政府・与党よりもひどい、深いカット率を提案しておきながら、政府に対してカット、カットとレッテルを張るのは、私は本当に、本籍を厚生労働委員会に持つ者として、やはりこれは看過できないんですよ。だから、ぜひそういうデマはこの厚生労働委員会からもう出ていってもらう。田村先生、ぜひ御協力をよろしくお願いします。

 さて、もう時間がないので、大事なこと。

 そもそも、きょうも議論がありました五〇%。しかし、この五〇%というのは、長妻さんもさすがですよ、ミスター年金、言っていること、方向は間違っていますけれども、ところどころ指摘は正しい。そのときに、今政府がやっているネット分のグロスというのが必ずしも絶対的な分数ではない。今の法律にはそう規定されているが、法律を変えたっていいわけです、また、継続的に。

 私がもう一つ指摘したいのは、財政検証をしたときに八つのパターンがありましたね。それは全部五〇を満たしていますか。満たしていないんですよ。大臣、財政検証、八つの検証のシナリオがありました。そのうち、八つのうち三つはもう五〇を割っているんですよ。

 だからこそ、当時の田村大臣は、これはひとり厚生労働政策の問題ではない、これは、年金だとか社会保障、ひとり社会保障の問題ではなくて、日本の国の存亡のかかった戦いなんだと。(発言する者あり)いやいや、田村大臣がおっしゃっていたんですよ。この戦いを我々はやり遂げていかなあかん、こういう御指摘、私はいたく感銘をしたことを覚えているわけであります。

 大臣に私が求めたいのは、五〇を割らないようにするという一つの方向性で政策を講じていらっしゃることは、私は悪くないと思いますよ。だから、これは年金カット法案ではなくて、生涯年金確保法案とおっしゃっていますが、私はむしろ、だって、僕らが、日本維新の会と自民党、公明党が政権にあればデフレに陥らないように頑張るんだから。でも、民進党が言っていることをやればデフレになるんだから。今回の法案は、民進党政権対策法案ですよ。

 ただ、加えて、私が最後に訴えたいことは、あえて言えば、政府は生涯年金確保法案だと言う。でも、私に言わせれば、それは民進党政権対策法案だと。ただ……(発言する者あり)ちょっと静かにしてよ。人の席に座らないでくださいよ。大臣、あと……(発言する者あり)委員長、ちゃんとやります。

 大臣、僕が言いたいことは、抜本改革は今から準備した方がいいということなんですよ。今、厚労省の中に、そういう抜本改革の準備をしている部屋はないんですか。組織はないんですか。

塩崎国務大臣 これは、質疑の中でも出てまいりました、国民会議でも出てきているように、そしてまた、これはたしか、当時、野田総理もおっしゃっていたと思いますが、やはり、今できることはやる、さらには、その次にまた何をやるべきなのかということはその次にまた考えるということで、二段ロケットのように書いてあったと思います。

 我々が今回提案しているのも、全体が持続可能かどうかということを絶えず念頭に入れながら、必要な政策メニューを必要なときに打っていくということを考えていきたいというふうに思っておるところでございます。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、民進党の玉木さんの紙、詳細につくられていますよ。しかし、大体、玉木さんはいつもそうなんですよ。黒塗りでいいからTPPの資料を出せと言ったら、黒塗りだといって騒ぐ。機械的でいいから試算しろと言って、出してきたら機械的だといって批判する。もうそういう厚生労働委員会は早く卒業していただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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