衆議院

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第26号 平成29年6月2日(金曜日)

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平成二十九年六月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    江渡 聡徳君

      大隈 和英君    木原 誠二君

      工藤 彰三君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      菅原 一秀君    田中 英之君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      冨岡  勉君    豊田真由子君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      長尾  敬君    丹羽 雄哉君

      福山  守君    堀内 詔子君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      柿沢 未途君    小宮山泰子君

      郡  和子君    中島 克仁君

      長妻  昭君    初鹿 明博君

      水戸 将史君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      河野 正美君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   厚生労働副大臣      古屋 範子君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡西 康博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 康裕君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木原亜紀生君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     中谷 真一君

  秋葉 賢也君     菅原 一秀君

  務台 俊介君     工藤 彰三君

  岡本 充功君     小宮山泰子君

  長妻  昭君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     務台 俊介君

  菅原 一秀君     秋葉 賢也君

  中谷 真一君     赤枝 恒雄君

  柿沢 未途君     長妻  昭君

  小宮山泰子君     岡本 充功君

    ―――――――――――――

六月一日

 旅館業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 旅館業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岡西康博君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、大臣官房審議官松尾泰樹君、厚生労働省医政局長神田裕二君、健康局長福島靖正君、医薬・生活衛生局長武田俊彦君、労働基準局長山越敬一君、雇用均等・児童家庭局長吉田学君、社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君、老健局長蒲原基道君、保険局長鈴木康裕君、国土交通省大臣官房審議官木原亜紀生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 民進党の初鹿明博です。おはようございます。

 きょうは、トップバッターでやらせていただきます。

 まず、先般、水曜日に可決しました児童福祉法の改正案について、ちょっと質疑を残してしまいましたので、そちらを継続してやらせていただきたいと思いますが、その前に、先に、昨日の新聞の記事を皆様のお手元にお配りをさせていただいておりますが、ちょっと私もこの記事を見て、かなり問題だなと思いながらも、これは果たして本当に罪に問えるようなものなのだろうかということを感じましたので、きょうは、そのことについて確認をさせていただきたいと思います。

 今、皆様のお手元に新聞記事をお配りさせていただいておりますが、「AV出演者に輸入ピル」、アダルトビデオの事務所の社長が、自分の事務所に所属をするAVの女優さんなんでしょうか、当時未成年者だということですけれども、二人に輸入のピルを上げていたということであります。

 この記事をぜひ読んでいただきたいんですが、この中には、きょうも委員として出席しております自民党の赤枝先生もコメントを載せておりまして、ピルを上げていただけではなくて、クラミジアという性感染症にかかっていたということなんですが、それに対しても、社長は固形薬と軟こうを使って直接処置された、そういうふうに女性が証言をしているということで、赤枝先生は、「クラミジアで卵管炎を起こすと、不妊症になることもある。社長がやっている行為は、医師法違反の疑いがある」、そう話しているということなんですね。

 きょうは、この点については問いませんけれども、まず、薬を譲り渡すという行為についてお伺いしたいんです。

 一般的に、例えば、私が今、頭痛薬や何かを持っていて、友達が頭が痛いと言ったときに、では、今薬を持っているから、これを飲みなと上げることとかというのは普通にあることだと思うんですね。そう考えると、薬を上げるというだけで罪に問うというのはなかなか難しいのかなとも思いながら、事務所の社長が自分のところの出演者に対して、ここで言われているのは二人ですけれども、二人だけとは思えないなと思うので、みんなに上げていたのかなということを考えると、これを何の罪にも問わないというのもどうなのかなというふうに思うんですね。

 この点について、法律だと、薬事法が、今は医薬品医療機器法、薬機法という名称に変わっているということなんですが、薬機法に抵触する行為なのかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。

武田政府参考人 御指摘の新聞報道に係る問題でございますけれども、医薬品医療機器法におきましては、許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を輸入し、譲り渡すことを禁止しております。

 このため、プロダクションの社長があらかじめ必要な許可を受けることなく、業として、医薬品を輸入し、譲り渡している場合には、医薬品医療機器法違反となるというふうに考えられます。

 なお、ここで、業としてという概念でございますけれども、この業としてということにつきましては、基本的には、反復的、継続的に行われているということを指すものでございまして、営業、つまり営利の目的かどうかは問わないということになってございます。

 また、行為自体は一回限りであっても、多数の方に販売、授与を行う場合は、これも業としてと解釈をするという医薬品医療機器法上の解釈となってございます。

初鹿委員 ありがとうございます。

 業として行っていると、これは薬機法上の違反になるということで、その業としてということが、反復的、継続的に行っているということで、これは金銭をもらってその対価を得るというような営利を目的にしていなくても、反復、継続されていたら業とみなすことがあるということ、あと、多数の人にやっていたら、それも業となる、そういうお答えだったということですので、これは非常に業として行っていたというふうに考えられ得る行為ではないかなというふうに思います。ただ、実態を調べてみないと、直ちにこれだけではわからないということなんだと思います。

 では、業と見るか見ないかということは横に置いておいて、ここで、さらに私が気になったところは、外国から輸入した低用量ピルを飲ませていたということなんですね。外国から輸入をしているんです。

 外国から輸入しているということは、場合によっては、日本国内で承認をされていない未承認薬である可能性が高いのではないかなというふうに思います。これは承認薬だったらいいということではないんですが、未承認薬であるということになると、やはり国内で承認されていない薬でありますから、安全性等で非常に問題があるのではないかというふうに思うんですね。

 仮に業で行っていなかったとしても、輸入をしてきた未承認の薬を他人に譲り渡すような行為がまかり通ってしまったら、これは何のために承認をしているのかということにもつながってくると思いますので、仮に業とはみなせなかったとして、輸入してきて、これは未承認かどうか、この件ではわかりませんけれども、仮に未承認だという前提で話をさせていただきますが、業ではないとしても、輸入してきた未承認の薬を他人に譲り渡す、この行為は法律に抵触しないんでしょうか。

武田政府参考人 ただいま御指摘をいただきました未承認の医薬品の譲り渡しでございますけれども、医薬品医療機器法上は、第五十五条という販売、授与等の禁止に係る条文がございまして、これにおきましては、国内で承認を受けていない医薬品の販売または授与などを禁止しております。ただいま御指摘がありましたが、業として行っているかいないかにかかわらず、この医薬品医療機器法の第五十五条におきましては、未承認の医薬品を譲り渡すことについて、医薬品医療機器法違反というような規定になってございます。

初鹿委員 今明確に答弁していただきましたが、未承認の薬は、これは業として行う、行わないにかかわらず、譲り渡すことはこの薬機法違反になるということですね。これは非常に重要だと思うんです。

 恐らくこのプロダクションの社長は、悪意があってやっていたわけではなくて、ある意味、善意と言ってはいけないですけれども、それを飲ませなければいけないようなビデオを撮っていたということは非常に私は問題だと思うんですけれども、余り悪気もなく、薬を飲んでおいた方がいいよと言って薬を上げていたんじゃないかと思うんですが、これは禁止している行為なんだということをちょっとPRした方がいいのではないか、周知した方がいいのではないかと思うんですね。これが何かまかり通ってしまうと、本当に問題だなと思います。

 先ほど、ちょっと赤枝先生とお話をさせていただいていましたら、風俗店などでは、その経営者がお店で働いている女性にピルを上げていることはしばしばあるんだというお話がありましたが、こういう行為は不適切であって、やはり医師のちゃんとした処方箋を受けて処方してもらった薬を飲むように促していくということが私は重要ではないかなというふうに思います。

 それともう一つ、ちょっと話がずれますけれども、私は今ライオンズクラブに入っておりまして、最近ちょっと活動していないんですけれども、ずっと薬物乱用防止教室の講師を中学校、小学校でやってきました。

 そこで、どういうことを言っていたのかというと、違法ドラッグだとか薬物だとかに限らず、人からもらった薬を飲んじゃいけませんよと。特に小学生に対しては、お医者さんに行ってもらった薬や、お母さん、お父さんと一緒に薬局に行って買った薬以外に、ほかの人から渡された薬は飲んじゃだめですよということを常に教えていたんですね。一番それが基本だと。人からもらった薬は、本物かもわからないし、ちゃんと安全なものかもわからないんだから、とにかく薬を人からもらって飲んじゃいけないよということを薬物乱用防止教室では言ってきたんですね。それをやはり一般の国民の方にも徹底した方がいいんじゃないかと思うんです。

 やはりこの問題は、人からもらって薬を飲んでいるんですけれども、その薬が本当に安全なものなのかどうかということが確認できないわけですから、そもそも医者からもらった処方された薬や、薬局でちゃんと売られている薬以外のものを人からもらって飲むということはやめるように、国民に周知をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、大臣に、この記事全般を見た上での所感も含めて、広く国民に周知をしていくということについて、お考えをお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今回、こういうことが行われているということを改めて確認させていただいたわけでありますが、やはり医薬品というのは正しく使わないといけない。その正しくというのは、病院でお医者さんからちゃんと処方を受けて、それを自分が飲む。それは診断に応じた処方をされているわけですから、それ以外の、他人が医師から処方された薬を自分が飲むとか、あるいは他人に譲渡するとか、そういうようなことはやはりいけない。そしてまた、個人で輸入をしている、そういう薬も含めて、他人に譲渡したりすることは体によくない。

 そして、医薬品を正しく使用することが大切だということを、恐らく子供のころから学校でも教えていかないといけないというふうに思うわけで、それは、正しく使用しないと思わぬ副作用が生じたり害を及ぼすということで、その使用に関しては、やはり専門家から適切な、専門家というのは医師であり薬剤師であろうと思いますが、専門家の適切な情報提供を受けて使用することが大切だということ、このこと自体は、やはり子供のころからちゃんとすり込んでいくということが大事なんだろうというふうに思います。

 毎年十月に薬と健康の週間というのがありますが、そういうような機会を捉えて、パンフレットの配布とかツイッターなどによって国民に広く啓発を行うということは、先生御指摘のように大変大事だというふうに思っていますので、今後とも、各都道府県あるいは薬剤師会、そういった関係団体と協力をして、医薬品の正しい知識や適正使用の重要性を周知徹底してまいりたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 きょうは文科省の瀧本審議官もお越しいただいておりますので、今のお話を聞いていただいたと思いますので、ぜひ薬物乱用防止教室とかの機会を通じて、子供のうちから徹底していただきますようにお願いをいたします。答弁はいいです。よろしくお願いします。

 では、次の話題に移りますが、先日も、児童福祉法の改正案の審議のときに、具体的な三つの例を挙げて質問をさせていただきましたが、きょうも、一つの事件を例にとって質問をさせていただきたいと思います。

 一枚めくっていただいて、資料二、三、四と新聞の記事をつけさせていただきました。

 前回の質問では、虐待で亡くなってしまった子供さんのお話をさせていただいたんですが、今回は、児童相談所もいっときかかわることもありながら、ネグレクトや身体的な虐待もあった少年が結果として殺人事件を犯してしまった、そういう問題であります。

 これは二〇一四年の三月に埼玉県の川口市で起こった事件ですが、祖父母を、おじいちゃん、おばあちゃんを殺害したという容疑で当時十七歳の少年が逮捕をされました。逮捕をして調べていったところ、居所不明児であるということがわかった。学校にほとんど行っていなかった。そして、その生育過程を見ると、かなり凄惨な人生を送っていたということが明らかになったんですね。

 小学校の低学年のころに両親が離婚をして、母親と暮らします。母はホストクラブに入り浸っていて、例えば小学校五年生のときは、丸々一カ月ぐらい、子供を置いてホストクラブに行って、帰ってこなくて、子供だけ残されるということがありました。その後、そのホストと再婚をして、一回埼玉県かなんかで暮らすんですが、いろいろありまして、また逃げてきて、家がなくなって、父親が日雇いの仕事をして、収入があるときはラブホテルで暮らすんですよ。でも、仕事にあぶれて収入がないときは、ラブホテルの駐車場にテントを張って親子三人で寝ていた。それがかなりの期間あったというわけですね。これだけ聞いても異常だなと思うと思います。

 その後、途中で妹が生まれるんです。でも、妹が生まれても母親は相変わらず遊び歩いて、妹の面倒を、そのお兄ちゃんである、殺害をした少年が面倒を見ている。そうこうしているうちに、今度は横浜に移って、横浜の公園でホームレス状態になるわけです。そのときに通報が入って、公園で寝泊まりしている家族がいるけれども大丈夫なのか、そういう通報だったと思います。児童相談所もかかわることになりました。そして、一時保護をするか、いろいろなお話があったそうなんですが、母親も拒んだし、本人も多分拒んだんだと思います。結果として、簡易宿所で生活保護を受けて暮らすということになりました。

 ところが数カ月たって、母親は、ケースワーカーから、いろいろな縛りがあるわけですよね、生活上あれしちゃだめだとかこれしちゃだめだとか、ちゃんと生活しましょうとか、仕事につきましょうとか探しましょうとか、そういうことが煩わしくていなくなってしまうんです。

 実は横浜で生活保護を受けていたときに、この少年は、それまでずっと小学校四年生ぐらいから学校へ行っていなかったんですが、学籍を回復して、公立学校ではないんですが、フリースクールにとりあえず行き始めて、フリースクールの人たちともかかわりを持つようになっていたんですけれども、いなくなってしまって、それも切れてしまいました。

 その後、父親が住み込みの寮で働くようになって、建設会社かなんかの寮に入るんですね、父親が働いていました。ところが、また悲劇で、少年が十六歳のときに父親はいなくなるんですね。下の娘の面倒も見なければいけない、そして父親がいなくなったことで、この少年は十六歳からかわりに働いて、お金を稼いで、その稼いだお金の大半をお母さんが遊興費に使う、そういう事態になっていたということです。

 そして、お金が足りなくなると、母親は少年を使って、親戚を回らせてお金を借りてこさせるということをしていた。そして、ついに最後、祖父母のところに行って、お金が借りられなかったら、母親からどういうことなのかわかるなというようなことを言われて、祖父母のところでお金を借りるのを断られたということで殺害をしてしまったという事件なんですね。

 今、この事件のいきさつを聞いていて皆さんも感じたと思いますが、何度か助けるようなチャンスはあったんじゃないかというふうに感じたと思います、特に児童相談所もかかわっていたわけですから。でも、助けられなかった。

 新聞記事を見ていただきたいんですけれども、ちょうど真ん中の「児相面会 親が保護拒否」の右横ぐらいのところを見ていただきたいんですが、先ほどラブホテルで寝泊まりしたり、駐車場で寝泊まりしていたということを言いましたけれども、そのラブホテルの管理人、七十歳の男性がこう言っているんですね。やはり、子連れで長期に滞在しているから不審に思いますよね。この管理人さんは、月に一回来る警察官にそのことを伝えたらしいんですよ。でも、その警察官は関心を示してくれなかったということです。

 恐らく、当時はそうだったんだと思います。今は多分、この事件があってから、そこは相当改善されているんじゃないかと思いますが、本当にこのときに、警察がちょっとこれはまずい状況じゃないかと児相に通報していたら、変わっていたんじゃないかというふうに思います。

 また、横浜でホームレス状態になっているところで保護されたときも、そこで一時保護をしていれば違っていたんじゃないかというふうに思うんですね。

 一枚めくっていただいて、次の資料三の記事を見てください。去年の四月三十日に毎日新聞に載っていた記事なんです。

 当時、この新聞を見て、こういう事件があるなというのは記憶にあったんですが、この四月三十日の記事を読んで、非常に私も考えるところがありました。

 一番上から見ていただきたいんですけれども、これは、書いた記者と少年が手紙のやりとりなどをし始めたということで、少年が手紙に書いてきたことを載せている記事なんですが、少年は何で取材に応じるようになったかといったら、居所不明児や貧困児童等の存在を認識していただいて、ふだんの暮らしで見かける子供への少しの注意を持っていただきたくて取材に応じたと答えているんですね。

 それで、この記事の下から二段目の後半を見ていただきたいんですが、こうも言っているんですよ。判決が出て、判決自体は無期懲役の求刑に対して懲役十五年と減軽されているので、それについては不満はないんだけれども、上告をしていくんですが、その理由は、似た境遇の子供たちを少しでも生きやすくするために、判決が変わるわずかな可能性を壊したくないと考えたと。一番最後、こう締めくくっております。世の中捨てたもんじゃないなと子供たちに思わせたいからです、それに自分自身に対してもと。

 この発言を聞いて、一体この少年はどういう思いでこういうことを書いたのかなと思いまして、弁護士さんを捜しまして、私は会いに行きました。ちょうど一年ぐらい前です。二回会いました。最高裁の判決が出る直前にも会ったんですが、そこで話して、改めてびっくりしたというか、やはりそうなんだなと思ったことなんですけれども、まず、彼はみんなから大変だったね、大変だったねと言われるので、自分は大変だったんだと思って、それで、自分みたいな境遇の子たちのことを知ってもらいたいとか、自分と同じような子たちを出さないようにしてほしいということを言ったんだけれども、でも、自分は全然大変だと思ったことがないんですよねと私に言いました。これが当たり前だったからと。

 恐らく、それは真実で、こういう貧困家庭や虐待家庭に育っている子供たちは、自分の家族以外は見たことがない、知らないわけですから、それが当たり前になってしまっているんですよ。ほかの家庭との比較がない、それがゆえに、この家族から引き離されてしまったら一体どうなるんだろうかということに不安もあり、恐らく、一時保護をしようというときにも、家族と一緒にいたいということを言ったんだと思います。

 もう一枚めくって三枚目の記事も見ていただきたいんですが、ここの三段目の一番後ろから、記者がこう書いているんですが、「少年は小学五年の時に実母が一カ月も家に戻らなかった体験から、実母が視界の中にいないと不安で、常に実母の後ろを歩くようにしていたという。」こういう状況だったわけです。やはり母親がいなくなるということが非常に恐怖だったと。

 そこで、まず一点、私から言わせていただきたいのは、ホームレスの状態にあったら、これはもう相当ですよ。これはネグレクトのきわみだと思います。

 そのときに、子供の意思というのも私は大切だと思いますが、今言ったように、子供たちにとってみると、自分の家族、自分の親以外の家庭を見たことがないわけですから、そこから切り離されるということは非常に怖いという思いがあって、家族といたい、親と一緒に暮らしたいというふうに主張されるんだと思います。でも、やはり私は、ホームレスの状態になっているんだったら、子供が親といたいと言っても引き離すべきだったというふうに思いますので、子供の意思に反してでも、ホームレス状態になったら一時保護をするということをぜひ徹底していただきたいと思いますが、政務官、いかがでしょうか。

堀内大臣政務官 初鹿先生御指摘のように、親の養育能力が乏しく、親のもとでの養育が困難であるというふうに判断されるケースについては、子供が親のもとにいることを希望する場合であっても、子供の最善の利益を優先する観点から、子供の一時保護を行い、里親や施設などで一時的に養育を行う必要があると考えております。

 この点につきましては、児童相談所運営指針において、子供をそのまま放置することが子供の福祉を害すると認められる場合には、子供の同意を得なくても一時保護を行うことができる旨を明記させていただいております。

 厚生労働省といたしましては、子供の安全などを適切に確保するために、引き続き、しっかりと頑張ってまいりたいと思っております。

初鹿委員 ぜひ、ここは徹底していただきたいと思います。

 それと、今回の法改正は、二十八条審判で裁判所の関与を入れていくということと、一時保護を延長するときに、この際も裁判所の関与を入れていく、家裁の関与を入れていく、そういうことだったんですが、私は、そのこと自体は是としますが、さらにもっと踏み込んで、やはり一緒に暮らさせてはいけないような親子は分離を徹底的にしていくということをした方がいいのではないかと思います。

 そこで、私からの提案は、もう少し親権の一時停止、この措置を使ったらどうかということを提案させていただきます。

 これはなかなか批判もあると思いますけれども、せっかく平成二十三年に民法の改正があって、二十四年から実施されております。皆さんのところに資料五でつけておりますが、年間で親権の一時停止、二百件程度行われているんですが、なかなか一時停止まで行くというのは心理的に児相の方々もハードルが高いのかなとは思うんですが、ここは私は活用していただきたいなと思うんです。

 その理由の一つとして、また資料の三を見ていただきたいんですけれども、資料の三の中段の後半から、この少年が私と会ったときも、一番心配をしていたことは何かというと、自分の将来だとか今後の処遇だとかそういうことじゃなくて、妹なんですよ、義理の父から生まれた。妹がこのまま母親と一緒に暮らしていたら、将来、売春をさせられて、お金を稼いでこいと言われるんじゃないかと。ここでも書いてありますが、親の指示で売春などを始めていたかもしれない、自分はそれをとめられたか、あるいは一緒になって始めさせていたか、考えるだけでわけがわからなくなりますと言っているんですが、非常にそのことを心配しておりました。

 母親は、殺人罪の共謀ということで懲役四年の罪になって、今、服役しているんですが、間もなく出てくることになります。そのときに、親子だということで一緒に暮らすということがあって、本当に大丈夫なのかなというのを私は非常に心配しているわけです。

 この問題だけに限らず、本当に親子で暮らすことが非常に危ないというか、暮らさせない方がいいんじゃないかというときは、もっと積極的に親権の一時停止を使うようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

堀内大臣政務官 平成二十三年度の民法改正により新設された、先ほど来初鹿先生御指摘の親権停止でございますが、この制度は、虐待をする親の親権を制限し、そして親から子供を一時的に引き離すことで、子供の心身の安全を守ると同時に、親権が停止されている間に虐待した親や家庭環境を改善し、親子の再統合を図るといった効果に結びつけていくものでございます。

 こうした審判については、児童福祉法第三十三条の七により、児童相談所長も申し立てることができる旨、規定されております。

 厚生労働省では、平成二十五年度から家庭裁判所に対して児童相談所長が行う親権停止請求の件数などを把握しており、平成二十七年度では四十五件の請求がなされて、二十五件の親権停止が承認されております。

 親権停止については、子供の最善の利益の観点から、必要なケースに適切に活用されることが重要と考えており、活用が想定される具体的な事例、家庭裁判所への申し立てに係る手続の方法や提出書類等について、児童相談所運営指針において明確化するとともに、弁護士の配置の促進など児童相談所の体制の整備も進めている最中でございます。

 厚生労働省としては、こうした取り組みを通じて、親権停止が必要と考えられるような先生御指摘の先ほど来のケースなどについて、児童相談所がしっかりと対応できるようにしてまいりたいと思っております。

初鹿委員 いろいろな状況があると思うんですが、今回の改正を見ても、まず一時保護をして、最初、一時保護の延長をするか、二十八条の審判になるのか、そういう判断がまずあるんだと思います。それで、ここの判断のときに、往々にして、一時保護の行き先の児童養護施設とか、里親が見つからないから延長ということもあろうかと思いますが、では、二十八条の審判をやるかどうかということになったときに、二十八条の審判にするか、それとも一時停止にするか、そういう判断も児相の中でされていて、とりあえず二十八条の審判でというふうにしていることが比較的多いんじゃないかと思いますが、やはり非常に養育が困難だなというふうに思ったときは、親権の一時停止に踏み込んでいただきたいなと思います。

 さらに、親権の一時停止は期限が二年なんですよね。二年たつと、再更新というんですかね、それはできるということなんですが、このことについてちょっと確認をさせていただいたら、二年の期間が終わった後、どうなっているのかというのは把握されていないということなんですね。家裁も一つの事件が終わってしまうとその後は追っかけないということなので、これは非常にどうなのかなと思うんです。親権停止しました、では、その後、親権喪失にいっているのか、そうならずに、児童養護施設等、里親等で暮らしているのか、それとも、親元に戻ってきて一緒に暮らすようになっているのか、これは非常に心配にもなりますよね。

 でも、そういうことがきちんと調べられていないということを、家庭裁判所の方に確認をしたところ、言っておりましたし、厚生労働省も、そこはもう家裁の範疇になるので、十分に調べていないということだったので、親権を一時停止して、その期間が終わった後、もう一回一時停止を延長しているのか、それとも喪失に至っているのか、そして子供はどこにいるのかということをぜひ調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

堀内大臣政務官 厚生労働省では、児童相談所等が行う親権停止件数等は把握しているんですけれども、先ほど初鹿先生が御指摘のように、親権停止期間満了後の数字的な推計調査を把握していないところでございます。

 現場の児童相談所では、親権が回復しても支援が必要な家庭には、これを継続しております。

 それで、親権停止の期間満了後の子供の状況を把握した数字はないけれども、御指摘の親権停止の期間満了後の子供の状況について、国としても把握することは重要であると考えておりますので、今後は必要な調査を実施していきたいというふうな方向性で考えさせていただいております。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 それでは、もう一回この新聞の記事に戻っていただきたいんですが、児童相談所が一回かかわって生活保護になりました。でも、いなくなってしまったんですね。

 こうやって児相に転居先を告げずにいなくなるということが、しばしば虐待家庭の中では多いというふうに聞きます。虐待をしているような、孤立をしているような家庭の方、親は、関係をすぐに切りたくなってしまうということなんですよね。リセットして、引っ越して、また一からやり直したい。ちょっと人間関係でまずいことがあったりするとすぐに転居をする。そういうことを繰り返すことが多いということなんですが、転居した先で、この子供が過去に児相にかかわっていたということをきちんとそちらの自治体でキャッチできるようにならないと、同じようなことが繰り返されるんじゃないかというふうに思います。

 附帯決議でも、情報の共有ということを決議させていただきました。我が党の井坂議員も質問しておりました。ここをやはり徹底していただきたいと思うんですよ。特に、学校にきちんと通ってもらえれば、前の学校でどうだったのかということを確認するわけですよね。そこの確認を徹底していただきたいと思います。

 中には、どこから引っ越してきたのかとか、どこの学校に行っていたのかとか、伝えない親もいると思います。結構いるんじゃないかと思うんですね。その場合は、前の学校の状態はどうだったか、確認をとれなかったとしても、その時点で児相や市町村につないでいくということをするべきじゃないかと私は思うんですよ。こうやって、できるだけ早い段階で、この子供は児童相談所にキャッチをさせて、虐待が再び行われないように防止をしていくというか、そういうことが必要ではないかと思いますが、瀧本審議官、いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 虐待を受けていた児童生徒が進学、転学する際に、学校間において情報を共有することは適切な支援を行う観点から重要と考えております。

 仮に、委員御指摘の転学前の学校に対して転学先を告げずに転学をしてきた児童生徒について、虐待等を受けている疑いがある場合には、受け入れ先の学校や教育委員会が、個々の状況に応じて児童相談所と連携をして、転学前の虐待に係る状況の把握に努めることが必要であると考えておりまして、引き続き厚生労働省との連携を密にして対応してまいりたいと考えております。

初鹿委員 普通に考えて、前の学校はどこですかと聞かれて答えられないという家族は、何かやはりそこにあるんだと思います。中にはDVを受けている被害者の場合もあるので、そこのところは慎重にする必要もあるかもしれませんが、仮にDVの被害者であるとしても、子供は虐待の被害者でもあるわけですから、そういう場合でも適切に市町村につないでいく、この子は、前の学校についての情報を親が伝えてこなかった、これは、やはりきちんと支援をしていく必要がある家族じゃないかということは伝えていくように徹底していただきたいと思います。

 そして、この問題で、フリースクールに通っていたということなんですが、突然いなくなりました。フリースクールの支援者の方も、この後も、居場所がわかっていれば、つながって何とか支援したいと思っていたんじゃないかと思います。このケースは本当に行方がわからなくなっていたので、このケースに該当するとは言いませんけれども、中には、児相が転居先を知っているんだけれども、過去に子供にかかわっていた、支援をしていた団体の方が、この先も子供にかかわり続けたいといって児相に居場所を確認しても、教えてくれないんですよね、個人情報だということで。

 私の友人でも、妹の子供を何年間か面倒を見ていたという人がいるんですが、いろいろあって、妹が子供を連れていなくなってしまって、児相は場所を把握しているんだけれども、お姉さんとしては非常に心配であって、居場所を教えてくれと言っても、親族であっても教えてくれない。

 私は、これは個人の情報だとかプライバシーの問題とかあるとは思いますけれども、子供に過去かかわっていて、支援を行っていた人で、今後も支援をしてもらうことが見込まれるような人の場合は、児相もきちんと、転居先というか、子供の居場所を教えるようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

堀内大臣政務官 まずは、転居先の児童相談所において、この家庭状況をしっかり把握することが大事だと思っておりますが、援助方針を検討することとなりますが、先ほど御指摘のように、転居前にこの御家庭を支援していた親族やNPOなどの支援を継続することが望ましいと考えられる場合には、この御家庭、やはりお父さん、お母さんの御意向を聞きながら、親族やNPOなどとつなげることも有効であると考えられることは認識させていただいております。

初鹿委員 はっきり答えてはもらえなかったんですけれども、これは本当に難しい問題だと思いますが、ぜひ考えていただきたいと思います。

 では、質問を終わります。

丹羽委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 よろしくお願いいたします。

 時間が二回に分かれておりますので、前半、他省庁からお越しいただいているそれぞれ政務の方、ありがとうございます、そちらの方を先にやらせていただきたいと思います。

 ちょっと順番を入れっこしますが、まず、本日、性犯罪厳罰化法案、刑法改正案が本会議で審議入りをするわけでございますが、きょう法務副大臣にお越しいただいておりまして、ありがとうございます。

 これは、もう御承知のとおり、強姦罪や強制わいせつ罪について、被害者の告訴がなくても罪に問える非親告罪化が盛り込まれている。そしてまた、せんだって、ここの委員会でも児福法・児童虐待法改正の中で、まさに女児の性的被害、さまざまな議論があって、この法案の中にも、十八歳未満の子供に対して、監護者に対しても罰則の強化が盛り込まれているということでございまして、評価できるもの、我々は共謀罪より先にということも申し上げてまいりました。

 そんな中で、この法案の中で指摘がされているのが、被害者の間に、監護者以外による強姦や強制わいせつ罪についても、暴行や脅迫という成立条件をなくして、抵抗の有無にかかわらず処罰できるように改めるべきだという声もあるわけでございます。一枚目以降そういった報道、二枚目の、法案の概要を書いておりますが。

 きのうも通告でやりとりをさせていただきましたが、つまり、問題によくなる場面は、合意があったかどうかというのがそれぞれの当事者によって非常に食い違うケースが多いということでございます。やりとりをさせていただくと、事実認定によるわけでありまして、証拠上、どこまでそれが認められるかどうか。つまりは、検察や検察官がそこは判断をされることになるわけでありまして、もちろん最後は、裁判員裁判になれば裁判官が判断をされる、起訴される罪名で決まるということでございまして、私の理解は、そうすると、事実認定ということをどうするかというのは、今回の法改正とはダイレクトにつながらないということになりますので、法務副大臣、「暴行又は脅迫を用いて」という文言が法案の中にあるわけですが、例えば、これを同意に基づかずという形に変更することで、より被害者側に重きを置いた対応になるというふうに考えられるわけでございますが、ぜひそういった点についても検討いただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。

盛山副大臣 今、委員から御指摘を頂戴しました。こういったことにつきましては、法務省に設置をいたしまして検討を行いました性犯罪の罰則に関する検討会、ここでもさまざまな議論が行われた。その結果、今回、このような法案をまとめた、提出したということでございますけれども、今委員は、「暴行又は脅迫」という要件を、同意に基づかずあるいは合意に基づかず、こういったことに改正をすることによって、外形的な暴行ですとか脅迫の有無にかかわらず、同意がないということで強姦罪等による処罰を可能とすること、こういったことを御提案かと思います。

 しかしながら、強姦罪、今回提出しているものが成立いたしましたならば、強制性交等罪というふうになるわけでございますが、ここにおける暴行や脅迫の要件を一般的に撤廃することは、その必要性に乏しく、かえって弊害を生じかねないことから、慎重な検討を要するというふうに、先ほど申しました性犯罪の罰則に関する検討会でも議論が重ねられたところでございます。

 その理由でございますけれども、まず、強姦罪が成立するためには、被害者が抵抗したことが必要であるかのような御指摘というか、誤解もあるわけでございますが、被害者が抵抗するということは強姦罪の成立の要件ではありません。殴るということではなく、手首をつかんで引っ張るといった暴行であっても、具体的な事案に応じて、被害者の年齢、精神状態、行為の場所、時間などのさまざまな事情を考慮して、暴行、脅迫要件が認められているところでございます。

 加えまして、暴行、脅迫が用いられなくても、被害者が抗拒不能、すなわち、物理的または心理的に抵抗が著しく困難な状態で性交などをすれば、準強姦罪等が成立しまして、強姦罪等と同じ法定刑で処罰されることになります。

 ということで、真に強姦罪等により処罰されるべき事案について、暴行、脅迫要件のみが障害になって処罰されていないという状況にあるとは考えておりません。

 さらにもう一点申し上げますと、他方、先ほど先生も御指摘されましたけれども、犯罪の成立について、合理的な疑いを超える程度に証明される必要性があるわけでございますけれども、仮に暴行、脅迫要件を撤廃して不同意性交を処罰することとした場合、暴行、脅迫のような外形的行為がないときは、被害者の不同意を証明するということが容易ではなくなります。性交に応じるか否かという内心の立証、認定は大変難しいということになりますので、性交当事者が後から不同意の性交だったなどと言って争いになることにより、誤った処罰がなされるおそれも否定できません。

 また、外形的に認識できない被害者の内心のみを要件とすることで、同意の有無だけではなく、行為者の故意の立証、認定に問題が生じることも考えられるわけでありまして、暴行、脅迫という構成要件、これを撤廃しても被害者の保護にはつながらないというおそれがあると我々は考えて、今回のような法案を提出させていただいた次第であります。

柚木委員 御答弁の趣旨は私も、承知、認識をしておるつもりなんですね。

 ただ、まさに今、抗拒不能の場合、準強姦罪が成立するというお話で、真に処罰される事案は処罰をされていくということなんですが、御承知のように、つい直近に、まさに準強姦を訴えて、そして実名とお顔も出されて、フリーのジャーナリストの方が会見までされておられます。

 もちろん、私も、知り得ている範囲でということでいえば、この事案は、所轄の高輪署が逮捕状をとったにもかかわらず、警視庁、当時の中村警視庁刑事部長、菅官房長官の秘書官もされていた方ですね、この方が逮捕状の執行にストップをかけたと、御本人も認められている。所轄が逮捕状をとったのに執行されない今回のようなケースは極めて異例だと、さまざまな関係者が言われています。

 もちろん、これは報道ベースですから、この容疑を受けられている側の山口さんという著名なジャーナリストの方、この方が、本来、ひょっとしたら北村内閣情報官に送ろうとしていたメールが、たまたま新潮の記者の方に間違って送っちゃったということも含めて、いろいろこういう報道が出てきているという側面も承知しているわけですが。

 これは本当に、今ちゃんと御答弁をいただいたように、準強姦罪なども、ちゃんと捜査側がきっちりと公正な捜査をして、そして、まさに立件をしていくというプロセス、これが担保されなければ、逆に、この法案が成立しても、今答弁をされたようなことが何ら担保されないという懸念も生じるわけであります。

 盛山副大臣、法務省として、まさにこの法律の実効性を担保すべく、公正公平な捜査が捜査機関としてきちんと行われることが大前提だと私は考えますが、そのような認識でよろしいですか。確認の答弁です。

盛山副大臣 個別具体的なケースについて、なかなか我々お話ししづらいわけでございますけれども、一般的なお答えとして、委員が御指摘であるようなこと、つまり、こういう法改正がなされて、その法改正の趣旨をよく認識した上で、公平公正な捜査、そういったことがなされなければならないというのは当然のことであろうかと思います。

柚木委員 その上で、やはり今後、今回のこの被害女性は、検察審査会に不服申し立て後にそのような会見を、実名にほぼ近い形で、しかもお顔も出されてということで、そういう意味では大変な、さまざまな影響も覚悟の上の会見ということでございまして、やはり、不服、審査会への申し立て以降の状況を注視していく必要があると思うんですね。

 これは確認ということで、最後、副大臣にお尋ねしたいんですが、この後お尋ねをする、いわゆる学校法人の獣医学部の開設問題、文科前事務次官が、書類があったものをないということにしてはならないということで、会見までされている。まさに今回のこの被害女性の事案も、あったことがなかったことに、万が一にもそういうことはあってはならないわけですが、一般論として、検察審査会が例えば不起訴不当とか起訴相当などの議決を行った場合には、それに沿った再捜査が行われ、それでも判断が覆らない場合には、再び検察審査会が起訴相当と議決をすれば容疑者は強制起訴される、こういうルールであることは間違いないですか。確認の答弁をお願いできますか。

盛山副大臣 今委員から御指摘ございましたけれども、我々というんでしょうか、検察あるいは検察審査会が適正な御判断を下し、それにのっとる形で我々検察の方は適正な捜査をしていくことになると承知しております。

柚木委員 ぜひよろしくお願いします。注視してまいりたいと思います。

 限られた時間であと、済みません、学校法人の獣医学部の開設について、きょう、文科省、農水省、来ていただいていまして、なるべく最後まで行きたいと思いますのでお願いします。

 報道によれば、来週にも文科省の審議会が現地で調査をするというような報道もあるわけでございますが、いろいろ伺うと、当然、こういう審議会の審査のプロセス、それも伺いました。そして、最終的に八月の末ぐらいまでに、通常であれば認可をすると。

 ただ、その審査のプロセスですね、当然、経営の見通し、カリキュラム、教員の配置など、あるいは施設が法令に適合しているか、管理運営面も審査対象で、場合によっては審査がおくれて、例えば八月でなく九月、十月、十一月、十二月とかいうケースもあるやに伺っておりまして、文科政務官にお越しいただいておりますが、通常、八月に認可というのが流れでございますが、必要に応じて判定保留として審査を継続する、つまり、おくれるということはあり得るわけですか。

樋口大臣政務官 お尋ねの件でございますけれども、一般論としてしか申し上げられませんが、仮に、八月の時点で判断を保留の上、審査を継続すべきとなった場合には、大学側において申請内容の補正を行い、それに対する審査を改めて行った上で、許可の判断を行うということになります。

 また、八月末の時点で不許可となった場合には、そこで審査終了ということになります。

柚木委員 判定保留で延びた場合、これは確認なんですけれども、仮に、年が越すようなケースもあるようですけれども、ただ、そうした場合に、四月の開学を目指されているわけですが、年を越しちゃうと、開学をされたという前例はないということでお聞きをしたんですけれども、それはそれでよろしいですか。

樋口大臣政務官 これも一般論でございますけれども、八月の次は、またその審査が継続しますので、十月、そして十二月というケースがあったようでございますが、年を越えたというケースを聞いたことはありません。

柚木委員 これはぜひ、きょう農水省にもお越しいただいておりまして、獣医さんの需要予測、三ページ目以降、わざと昔の記事と最新の記事をつけているんですけれども、やはり、御承知の方も多いと思いますが、ペットブームを背景にそういった分野へ進まれる獣医さんは多いんですけれども、公務員獣医師さんですね、これは資料でいうと五ページ目の家畜衛生、公衆衛生等、こういったところに従事される方が非常に不足をしていて、奨学金制度等さまざまな工夫をしているんだけれども、なかなか現状としても、青森の例を四ページ目につけておりますが、七割超の三十四都道府県が募集定員を確保できていなかったというようなことであります。

 農水省、もちろん内閣府のさまざま見方、判断はあるんですけれども、農水省としてしっかりと需要の見通しを明確にしていただいて、厚労省も絡むわけですが、その上でしっかりと先ほどの文科省における審査、こういったプロセスが進んでいかないと、これは学校法人にとっても、そこで勉強されようとしている学生さんにとっても、あるいは地元自治体で十万以上の公費が一人当たり投入されるという納税者の方にとっても、不幸なことになりかねませんから、農水省としてしっかり需要の見通し、そして、これが例えば医師の養成とかだと、不足している診療科、地域などに地域枠とかさまざまな誘導する施策があるわけですね、そういったことも含めて工夫をして、本当にこの審査がきっちりと、将来に向けた見通しが立った状態で進めていくということが不可欠だと思うわけですが、農水省として御答弁をいただけますか。

細田大臣政務官 どうもありがとうございます。

 先生から今御指摘もございましたけれども、獣医師の需給については、近年、家畜や、ペットである犬、猫の飼養頭数はいずれも減少傾向にある一方で、ペット一頭当たりの診療回数は増加をしているということから、獣医師の数自体が全体的に不足している状況にはないというふうに考えております。

 一方、牛や豚などのいわゆる家畜を診る産業動物獣医師については、これも先生から御指摘ございました、都道府県単位の畜産協会等が地元に就職することを条件に獣医学生等に対して修学資金を貸与する等の事業を実施しているというような状況に鑑みれば、その確保が困難な地域があるという状況と認識をしております。

 私ども農林水産省といたしましては、一貫してこのような認識を持っておりまして、今回の国家戦略特区の件については、内閣府が主催するワーキンググループの場等において、私どものこの認識を丁寧に御説明を差し上げているところでございます。

柚木委員 前半、最後、塩崎大臣に伺います。

 厚労省としても、当然、需要の見通しについては所管である部分があるんですが、私、けさの報道を見て解せなかったのは、安倍総理が文科前事務次官を批判されているんですよね。何でそのときに認めておいて、後になってこういうことで反対するというかいろいろなことを言うのかということで、批判をされているんです。

 そうであるならば、まさに国会の場で、場外乱闘じゃなくて、同じリングに上がって、証人喚問に来ると、本人、前次官は言われているわけですから、政府としても、きっちりその場で、安倍総理も出ていただいて、そして事実関係を明らかにしていくこと、そのことがまさに、文科省から答弁をいただきました審議の公平性、公明性、透明性を担保することにつながると思うんです。

 総理、批判するんじゃなくて、事務次官に出てきていただいて、同じ場所で、証人喚問の中でやりとりすべきだ、厚労大臣、そう思われませんか。お願いします。

塩崎国務大臣 国会で何が行われるかは、国会で決めていただくというのが原則でございます。

柚木委員 前半はこれで終わりますけれども、そういうことでは国民の皆様の御理解は到底得られないということを御指摘して、私の前半の質問を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時二十分開議

丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 続き、引き続きよろしくお願いいたします。

 働き方改革の関係で二問通告しておりますが、時間の関係でまとめて伺いますね。大臣、ちょっとまとめてお答えをいただければ。恐縮ですが、お願いいたします。

 先月二十九日の厚生労働省の透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方検討会、この報告書では、企業のリストラ等の手段として使われる可能性があるなどの理由から、金銭救済制度、我々、金銭解雇制度ともいう言い方もすることがあるんですけれども、この創設をする必要はないとの意見があったことを今後の議論において十分に考慮することが適当であると書かれております。

 しかしながら、経営者が解雇を予告する際に、これは水口委員の発言にもあるんですが、この解雇で裁判になったとしても、労働者が勝てるかどうか、裁判を一年やってみないとわかりませんが、今この解雇予告の段階で応じてくれれば、その金銭解決の水準のうち八割の支払いを提案しますと言ったら、これを断れる労働者は非常に限られるんではないかと。

 この制度が導入されれば、経営者側がこれを後ろ盾にして、解決金に近い金額を示して労働者に退職を迫るリストラの手段に使われる可能性があるので、この制度の導入には慎重であるべきではないかと考えますので、この点について、一点まず伺って。

 そして、続けて、この厚労省の報告書に例示されている例三というのがあります。これは通告もしておりますが、実体法に労働者が一定の要件を満たす場合に金銭の支払いを請求できる権利を置いた場合の金銭救済の仕組みについて、多くの論点が示されておりますが、これも、例は、裁判の判例なども現状ない、そういう中で法制化するには非常に困難があるのではないか。このような新たな権利を設定するのは、事後型、事前型という言い方をするんですけれども、事後型ではなくて、お金を払えば解雇できる事前型になってしまうのではないかという懸念をいたしますが、この二点について、恐縮ですが、まとめて御答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 今般取りまとめられましたこの検討会の報告書におきまして、金銭救済制度の必要性については、解雇紛争についての労働者の多様な選択肢の確保等の観点からは一定程度認められ得ると考えられるとされているわけでありますが、一方で、御指摘のとおり、企業のリストラの手段として使われる可能性があることなどの理由から金銭救済制度を創設する必要はないという意見もあったことを今後の議論において十分考慮することが適当であるといった旨の部分も盛り込まれているわけでございます。

 今後、労働政策審議会で議論を行うに当たりましては、御指摘のような点も十分に考慮した上で、議論を深めることができるように努めてまいりたいと思っております。

 例三ということについての御指摘をいただきました。

 御指摘のありましたこの例三、検討会報告書にございますが、労働者が解雇された後に、労働者が使用者に対し金銭の支払いを請求する権利を創設する仕組みであることから、いわゆる事後型の仕組みの一つでありまして、金銭を払えば解雇できるというような事前型の仕組みとは全く異なるものであるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、金銭救済制度につきましては、検討会報告書において、法技術的な論点や金銭の水準、金銭的、時間的予見可能性、現行の労働紛争解決システムに対する影響等も含めて、労働政策審議会でさらに検討を深めていくことが適当とされているわけでございまして、検討会報告書を踏まえて、労使の御意見も十分にお聞きをしながら、労働政策審議会においてさらに検討を深めてまいりたいと思っております。

柚木委員 ぜひ、一問目の答弁は結構なんですね、二問目の部分については、結果的に事後型ではなく事前型になってしまうという懸念を我々は申しておるわけでございまして、最後に、労使で十分に慎重に検討という部分、一問目の答弁がちゃんとかかるというふうに理解をしておりますので、まさに慎重な御検討をお願い申し上げます。

 次に、ちょっと医療関係の質問をいたしますが、まず、薬価の関係で、これも二問質問しているのを、ちょっとごめんなさい、もう時間がないのでまとめて質問いたしますので、御答弁、これはかかわるので、まさにまとめて御質問いたします。

 一つは、新薬創出・適応外薬解消等促進加算という言い方で、もう適応外薬の部分については現政権も取り組まれてこられて、私たちの民主党政権時代から、かなりラグについてはもう解消されてきたという評価になっているものですから、逆に、新薬創出の部分はしっかりと、特許期間中の新薬から得られる収益、つまり価格の維持を、将来に向けた研究開発への投資を継続して行う上で、これまで以上に重要なものと考えておりますので、ぜひ特許期間中の新薬価格の維持をお願いしたいわけです。

 ちなみに、資料八、九を見ていただくと、八は、日本は世界第二位の新薬創出国となっていますが、欧米で、アジアで日本だけが入っていますが、しかし、中国、韓国などが猛烈に今、そういった開発について取り組んでいる。

 九ページ目をごらんいただくと、御承知の先生方は多いと思いますが、新薬の研究開発、巨額投資が必要と、二万分の一とも言われる、そういった中での巨額投資が必要で、海外企業はさらに大規模投資を行い大型新薬を開発という中で、今後の新薬に向けてはさらなる投資が必要ということでございます。

 今後、ゼロベースでこの加算のあり方を見直していくということなんですが、成長戦略上も、これから年末の予算編成過程に向けてさまざまな積み上げの議論はあると思いますが、塩崎大臣におかれましては、まさに我が国の成長戦略、我々もライフイノベーションということで本当に取り組んできました、この点についてはもう精いっぱい私たちは応援してまいりたいと思いますので、ぜひ特許期間中の新薬価格維持をお願いしたいというのが一点目で、実は二点目、絡むのは、参照価格制度について、中医協で三十一日、薬価専門部会での議論がありました。

 診療側、支払い側ともに、反対、慎重姿勢を示されていて、二つのことが言われているんですね。先発医薬品の使用を選定療養に位置づけ、後発医薬品の薬価までを保険外併用療養費として給付し、後発品の単価を超える部分は医療機関などが患者から徴収。もう一点は、患者負担にはせず、先発品の薬価を後発品まで引き下げる。こういう方針が示されましたけれども、本当に、医師会や健保連、協会けんぽ、連合などなど、非常に、スペインの、先発品と後発品の薬価を同一にした場合に、長期収載品から後発品への置きかえ率が激減、長期収載品市場が成長して医療費も増加に転じたということの懸念が表明をされております。

 ぜひ、そういった懸念を共有いただいて、そして、一問目に言いました新薬加算の部分とセットで、セットで議論を進めていただきたいというのが二問目でございまして、あわせて御答弁をお願い申し上げます。

塩崎国務大臣 まず、新薬創出等加算につきましてでございますが、おっしゃるとおり、薬価制度の抜本改革を検討するに当たりまして、革新的新薬創出のイノベーションに配慮をするという、これは制度設計をする際に大変重要なファクターとして我々は重視をしております。

 薬価制度の見直しの具体的な内容につきましては、現在、中央社会保険医療協議会、中医協において検討中でございますけれども、関係者の意見をよく聞きながら、引き続き検討してまいりたいと思っております。

 いわゆる参照価格制度と言われているものについてのいろいろな議論がありますが、五月三十一日の中医協では、先発医薬品価格のうち後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担のあり方につきまして議論が行われました。

 議論の中では、先発品と後発品の差額を選定療養として患者負担とする案については、先発品を使用する患者の負担が増加するのではないかといった意見、それから、患者負担にはせず、先発品の薬価を後発品まで引き下げる案については、後発品メーカーは非常に厳しい状況になるのではないかといった意見のほか、こうした負担の見直しが医療費の適正化につながるといった意見も見られたとおりでございまして、御指摘をいただいたとおりでございます。

 こういうような意見をしっかりと踏まえた上で、関係者の意見を伺いながら、社会保障審議会医療保険部会や中医協において引き続き検討を進めてまいりたいというふうに思います。

柚木委員 ぜひ、それぞれにおいて関係者の意見を聞きながら、そういうところ、それぞれおっしゃっていただいた点、そこは私も重く受けとめて、今後の状況を注視してまいりますし、ぜひ、同時改定に向けて、とりわけこの薬価の部分についても、与党の皆さんの中でも当然お取り組みはあると思いますが、我々野党としても、本当に、我々のときからも取り組んできたライフイノベーション分野で非常に重要な薬価の取り組みでもございますので、そこは逆に、私たちもしっかり応援していきたいというぐらいの気持ちでおりますので、お取り組みをお願い申し上げておきます。

 それから、看護について通告をしておりまして、御質問を申し上げます。

 看護小規模多機能型の居宅介護サービス、いわゆる看多機でございまして、これは十ページ目に資料をおつけしておりますが、先日も、私も議連の事務局長を仰せつかっていまして、視察に行ってまいりました。「わいは」という新宿区にある施設でございまして、本当に高齢化社会が進んで、医療依存度の高い高齢者の在宅療養の継続支援の体制整備、まさに、全国、今三百カ所ぐらいというふうに聞いていますが、国として、看多機の整備を促進するための方策、これをぜひ検討を進め、対応を講じていただきたいと思っていまして、その方策をどのように考えておられるか。

 そして、その体制整備とあわせまして、当然、在宅介護領域で働く看護職の人材確保策についても、検討、推進が必要だと考えます。その「わいは」においても、やはり、通所などで、そういったことに思いを持って働かれていた看護師さんが立ち上げられているんですね。ですから、事実上、大規模病院に看護師さんが行かれることも多い中で、国として、看多機などの在宅介護領域の小規模事業所に看護師さんを配置させるために、どのような方策を考え、今後、進めていかれるか、ぜひ前向きな御答弁をお願い申し上げます。

塩崎国務大臣 今御指摘をいただいた看護小規模多機能型居宅介護でございますが、これは、平成二十四年につくられまして、平成二十八年十月段階で全国で三百三十の事業所で行われているわけでございますが、いわゆる小規模多機能と我々が呼んでいる一般の小規模多機能が全国で約五千あるのに比べますと、かなり伸び悩んでいるということでございます。

 これは、医療ニーズの高い利用者の状況に応じて看護小規模多機能型の居宅介護というのが御用意を申し上げているわけでありますが、通いとか泊まりとか、訪問介護とか訪問看護とか、こういうものの組み合わせによって、地域におけるさまざまな在宅療養支援を行えるようにということでつくられていますので、重要な介護サービスだというふうに思っています。

 このため、自治体にその重要性を御理解いただくことを広めつつ、介護保険事業計画において、各自治体におきまして地域のニーズを把握した上で、看護小規模多機能型居宅介護を含めた各サービスの見込み量を適切に設定していただくとともに、各都道府県に設置をされております地域医療介護総合確保基金、これを活用していただいて、サービスの提供体制の確保を推進していくこととしているわけでございます。

 今後とも、看護小規模多機能型居宅介護を含めて、在宅療養を行う医療依存度の高い高齢者、こういった方々に対して必要なサービスの確保をしっかり進めてまいりたいと思っております。

柚木委員 これは本当に、おっしゃっていただいたとおり、重要な今後の流れの一つの方向性でございますので、しっかりとしたお取り組みをお願い申し上げます。前向きな御答弁をありがとうございます。

 それで、歯科についてもちょっと、私も議連をみんなでやっている部分があって、与党の中でも取り組まれておられると思うんですが、十一ページ目以降、多分御存じの先生方も多いと思います。いわゆる歯科医療、口腔保健によるさまざまな効果について、在院日数の減少であるとか、あるいは入院医療費の減少、歯が残っているほど医科医療費も少なくなると、ずっと十四ページまでおつけをしておりますが、おわかりいただけますように、歯科診療による口腔機能管理を充実させることで、病院に入院する患者の在院日数が減り、入院医療費が減少するというエビデンスが出ておりまして、歯が残っている人ほど医科医療費が少ないというデータ、今お示ししたとおりでございます。

 ぜひ、今後、高齢化が進んで、もちろん先進医療も進んで、医療費の総額がふえていくわけですが、その伸びをいい意味で適正化していくという意味におきまして、医科の病院に歯科診療を置く病院歯科、以前からその充実の必要性についての指摘もあろうかと思います。

 その点をぜひ、善処、御検討いただきたいのと、また、お年寄りの歯科診療の充実のために、在宅歯科医療の充実、これも非常に重要であると考えます。先ほどの看多機もそうなんですけれども、在宅歯科診療の充実に向けた施策の充実、診療報酬改定に向けて、ぜひ前向きにお取り組みをお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

塩崎国務大臣 口腔の健康は、全身の健康にもつながるということで、大変大事だと思っております。

 これまで、歯科診療報酬におきまして、手術前後の入院患者に対する口腔機能管理を評価しておりまして、平成二十八年度診療報酬改定では、これをさらに推進する観点から、関連する点数の引き上げなどを行っております。

 二〇二五年以降の超高齢社会に向けて、地域包括ケアシステムを構築する上で、こうした入院患者に対する口腔機能管理や在宅歯科医療などの推進は重要でありますので、平成三十年の診療報酬改定に向けて、今後、これまでの診療報酬改定の影響を調査、検証した上で、関係者の御意見をしっかりと踏まえて検討してまいりたいと思います。

柚木委員 終わりますけれども、前半の質問でも私感じましたけれども、ぜひ、塩崎大臣が直接全部が関係しているということじゃないんですけれども、獣医学部の問題、書類があったものがない、あるいは準強姦罪の、例の私が触れた問題も、あったことをないと、そういうようなことがもし起こると、国民の知る権利、知らせる国会の義務、こういったことが損なわれることになりますので、会期末、迫ってきておりますけれども、そういった点をしっかり明らかにしていくことをお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民進党の水戸将史でございます。

 今回は、在宅医療に絞りながら、大臣初め当局の御見識を問いただしていきたいと思っております。

 御案内のとおり、平成十八年度の診療報酬改定におきまして、在宅療養支援診療所、いわゆる在支診と言われるものが創設されました。そして、医療法改正によりまして、在宅医療の確保に関する事項が医療計画に位置づけられることにもなりました。在宅医療の推進に向けて大きくかじを切ってから、もう既に十年がたっております。

 この在宅医療に関する国民のニーズにつきましては、終末期、療養場所といたしましては、六割以上が自宅を希望されていらっしゃいます。また、来年度の診療報酬、介護報酬同時改定に向けても、みとりが医療、介護の連携に当たっての重要なテーマとして取り上げられていることも承知をしております。

 一方で、実際に亡くなる場所、資料一にもこれを掲示させていただいておりますけれども、病院での死亡は二〇〇五年が一番のピークだと思う。約八〇%が病院でお亡くなりになる。直近、二〇一五年では七五%とやや減少しておりますが、しかし、これは単に老人ホームとか介護老人保健施設等で死亡する割合が増加しているだけで、決して自宅での死亡の比率が増加しているわけではない。

 大臣、まず、こういう現状につきまして、どのような御見識でありますでしょうか。

塩崎国務大臣 内閣府の意識調査によりますと、自宅や地域の施設など、住みなれた場所で最期を迎えたい、こう望む方が約六五%いるわけでありますが、一方で、実際には、二〇一五年の統計でも、自宅や施設などで人生の最期を迎えていらっしゃる方々は約二一%というところにとどまっております。約七五%の方は病院で亡くなっておられるわけであります。

 また、議員御指摘のとおり、平成十七年から平成二十七年までの十年間では、病院での死亡が七九・八%から七四・六%に約五%減少する一方で、介護施設などは約三%から約九%に増加をしておりまして、自宅は、一二・二%から一二・七%ということで、微増という形になっています。

 御家族の状況とか御本人を取り巻く介護環境などの状況もいろいろあるわけでございますので、自宅や施設、病院、このどちらがよいということはできないところでございますけれども、国民が望む場所で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けていくことができる体制を整備していくということが引き続き重要だというふうに思っております。

水戸委員 申し上げましたとおり、多くの方々は自宅で最期を迎えたい、そういうニーズがあるにもかかわらず、実際に亡くなっていらっしゃる場所は病院が主である、なかなか自宅でということはふえている状況ではないという、この実態を踏まえながら、そういう中において、やはり在宅医療のあり方が今後問われてくると思うんですね。

 資料二、ちょっとごめんなさい、白黒でわかりづらいんですけれども、この左の棒グラフでありますが、在支診の届け出数が頭打ちとなっているような、平成二十五年以降ですね、二十七年になると若干これは減っているわけでありますが、直近の平成二十六年から二十七年を見ると、やはり強化型在支診とか従来型在支診の届け出数はふえているとはいうものの、全体としては減少に転じているということなんですね。

 これから地域包括ケアシステムの構築に向けて、何といっても在宅医療の普及が鍵となっていると考えておりますけれども、こういうふうに減少になっている。これは一過性のものなのか、また、今後ともこういう形で大体低迷し、減っていくのかということについて、厚労省はどのような分析をされているんでしょうか。

鈴木政府参考人 在宅療養支援診療所の届け出数についてお尋ねがございました。

 在宅療養支援診療所、いわゆる在支診でございますけれども、この届け出数は、平成二十七年七月段階で一万四千五百六十二でございまして、平成十八年に新設をされた制度でございますけれども、平成二十六年度までは増加傾向でございました。二十六年から二十七年にかけましては、御指摘のとおり、ほぼ横ばいというふうになっております。

 横ばいの理由は必ずしも明らかではございませんけれども、平成二十八年度の診療報酬改定の影響について、検証、調査の結果を踏まえまして、御指摘の届け出数の動向も含めて、在宅医療の提供体制について、来年、平成三十年度の診療報酬改定に向けて分析を行ってまいりたいというふうに思います。

水戸委員 一過性かどうかは、まだまだこのグラフの推移というのはこれだけでは判断できないことはよくわかりますけれども、そういう形で、これから診療報酬改定もあるということも含めて、後ほど診療報酬の話はさせていただきますけれども、経営のあり方、経営の状況について、どのような形で診療報酬改定がアプローチをしていくのかということは、やはり私もそれなりに関心を持って、これからの在宅医療の推移を見定めていきたいと思っております。

 そこで大臣、そもそも、この在宅医療が拡充する、これがふえる、非常に普及すると、社会保障費が節約になるんじゃないかという意見も聞かれております。

 在宅医療が必要な患者さんをふやしていけば、しかし、その分だけマンパワーも必要となってきますし、また、コストの面でも非効率となってくるのではないかという一方での懸念もありますが、この在宅医療と医療費の問題、これは在宅介護ともよく連携する話になってきますけれども、在宅医療を展開すればするほど、医療費に対しては、これはいい意味でふやさない、医療費はどっちかというと削減の方につながっていくんだというようなことも考えられないではないんですけれども、大臣、どのような御見識でしょうか。

塩崎国務大臣 二〇二五年以降に超高齢社会がやってくると言われていますが、同時に、いわゆる多死社会ということになってくるわけでありますけれども、まさに患者がその望む場所において療養を続けることができるように、質の高い在宅医療を推進していくということは極めて大事であります。

 お尋ねでございますけれども、医療費につきましては、個々の患者について見ますと、在宅医療となった場合に、入院医療と比べて低くなることも考えられますけれども、むしろ、今度は逆に、患者の重症度などによっては高くなることもあり得るということでございまして、在宅医療の進展による医療費の増減、どっち方向に行くかというのは一概にお答えをするのはなかなか簡単ではないというふうに思っています。

 なお、在宅医療に係ります医療費は医療費全体の二%程度でございまして、在宅医療の進展が医療費全体の増減に対して直ちに大きな影響を与えることは考えにくいとは思いますけれども、方向性として在宅医療という方向に進むとすれば、今申し上げたように、一概にどっち方向に行くかはわからないということでございますので、いろいろ考慮しないといけないというふうに思います。

水戸委員 コストの問題というのはなかなか一概には言えないという今の御答弁でありました。

 確かに、マンパワー、コストの面というのは、これを推しはかることがなかなか簡単ではないことはよくわかっております。しかし、厚労省の方針として、また総論として、後ほど大臣にも改めてお尋ねしますけれども、在宅医療を推進していくんだというお立場でありましょうから、やはりコストの面も非常に注視をしながら、これから取り計らっていくことを強く強く私は要望させていただきたいと思っています。

 これからますます高齢社会になりまして、どうしても認知症の高齢者の方々もふえてくる。ましてや、そういう方が自宅で医療、介護を受けるということになるわけでありますが、本当に、認知症の高齢者、患者の方々、長い期間、こういう方々と向き合っていかなきゃいけないということで、地域といたしましても、やはり在宅医療機関の充実化というのを求めていく必要があると思うんですが、どのような取り組みをこれから進めていく予定でありますでしょうか。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、平成二十七年の一月に関係省庁と共同で策定いたしました新オレンジプランに基づきまして、認知症の方々の容体に最もふさわしい場所で適宜適切に医療、介護等が提供される仕組みの構築を目指すということで、体制整備を進めているところでございます。

 御質問のございました医療の関係でございますけれども、具体的に申しますと、身近なかかりつけ医の方が認知症に早期に気がついて、必要な医療が受けられるようにつなげていくということが大事でございます。こういった観点から、かかりつけ医の認知症対応力向上に向けた研修、こういうのを開催いたしております。また、かかりつけ医の認知症の診断等に関する相談役などの役割を担う認知症サポート医、こういう方々の養成を行っております。また、これに加えまして、認知症の専門医療機関でございます認知症疾患医療センターの整備などを進めてございまして、こうした取り組みを通じまして、引き続き、在宅で生活をされている認知症の方々を支える医療体制の整備を進めていきたいというふうに考えております。

水戸委員 ますますこういうニーズは高まっていくと思うんですね。やはり認知症の方に対する医療を提供する側のスキルアップをもっともっと進めていくことを強く期待し、また要望したいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思っています。

 時間が限られていますので、診療報酬の改定の話を若干させていただきたいと思います。

 御案内のとおり、平成二十八年度の改定で、在宅医療の収入の根幹となるような医学総合管理料の報酬体系が見直されており、おおむね引き下げられておりますね。一方、より重症な患者をより手厚い体制で診ることは今まで以上に評価するようになりました。

 この改定によって、訪問診療が個別かどうかによらず、同一の建物、老人ホーム等々で診療をしている患者数に応じて点数が細分化されております。

 仮に、特定施設で十人以上の患者を診た場合、管理料は六割超の減収というふうに聞いているんですね。経営上、かなり圧迫しているというようになりますけれども、現状をどのような形で把握されているでしょうか。

鈴木政府参考人 診療報酬改定における在宅時医学総合管理料、いわゆる在医総管についてお尋ねがございました。

 この在医総管は、平成二十八年度の診療報酬改定におきましては、当時、高い診療報酬を算定するために、集合住宅に入居する複数の患者の方々を一人ずつ別々の日に訪問診療するという非効率な実態が見られたことを踏まえまして、効率的な在宅医療を推進する観点から、実際に訪問診療する日にかかわらず、集合住宅に住んでおられる患者さんの総数に応じまして、診療報酬をきめ細かく設定する見直しを行いました。

 その結果、御指摘のとおり、診療報酬が適正化されるケースも生じておりますけれども、一方で、重症患者への訪問診療に対する診療報酬を充実させております。

 こうした改定の影響につきましては、調査、検証を現在行っておりますので、この結果を踏まえまして、在宅医療の診療報酬のあり方について、中医協で検討してまいりたいというふうに思います。

水戸委員 この二年間の経過をたどりながら、来年度、改定するということになりますけれども、資料三をあえてお示しさせていただいたのは、これはあくまでも大阪府保険医協会の調査資料の結果報告なんですけれども、この下の円グラフの左側、減収五六%と。とりわけ、これはやはり、先ほど申し上げましたが、同一建物の診療患者数に応じた点数設定の導入が影響した、診療報酬の改定がこうした経営に減収という形であらわれたという意見が多くて、施設入居者への今後の在宅医療の提供につきましては、ここにもいろいろとるる書いておりますけれども、新規受け入れをやめるとか、患者を減らすとか、訪問日数を減らすといったような回答をした診療所も多くありました。

 恐らく、これは大阪府に限ったことじゃなくて、全国的にもこうした傾向があるんじゃないかということは推測されますよね。

 また、この十年間の在宅医療をめぐる診療報酬制度を振り返りますと、特に同一建物居住者に対する取り扱いが目まぐるしく変わっているんですね。その都度その都度、朝三暮四じゃありませんけれども、いろいろな形で、同一建物に対しましては、診療報酬が変わっております。

 これは、医療機関を経営する側にとっては不確実性の高いもので、やろうと思っても、こういうようになかなか目まぐるしく報酬改定が変わってくると、参入も踏みとどまって、ちゅうちょしてもおかしくない、そうした状況も起きていると思います。

 大臣、こういうような今までの一連の流れを鑑みた場合、来年度、診療報酬の改定が予定されておりますけれども、特に同一建物に関する取り扱いについて、今どのような議論を厚労省内でやって、トップとしてそれをどういうふうに捉えていらっしゃるのか。

 なお、先ほど申し上げました医療総合管理料のあり方について、在宅医療を強化する視点から、やはり工夫が必要ではないかとも思われますけれども、今後、この改定に向けて、この事実経過をどう受けとめて、また改善の手を打とうとしているのか。大臣はどのような御見識でありますでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど保険局長からも答弁いたしましたが、管理料につきましては、平成二十八年度の診療報酬改定で、当時、高い診療報酬を算定するために、集合住宅に入居する複数の患者を一人ずつ別々の日に訪問診療する、こういう非効率な実態が見られたことがございました。こういうようなことを踏まえて、効率的な在宅医療を推進する、そういう観点から、集合住宅の患者数に応じて、診療報酬をきめ細かく設定するという見直しを行ったわけでございます。

 その結果、御指摘のとおり、診療報酬が適正化されたケースも生じていますけれども、一方で、重症患者に訪問診療を行った場合の点数は充実をさせておりまして、一律に引き下げを行ったものではないということを御理解賜れればというふうに思っています。

 こういう見直しの影響について、調査、検証を行っておりまして、今後、その結果を分析した上で、平成三十年度の診療報酬改定に向けて、在宅医療の診療報酬について、関係者の御意見を伺いながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。

水戸委員 平成二十八年度の診療報酬改定は、これだけではなく、いろいろな分野にまたがっております。在宅医療に関しましてもいろいろな分野にまたがっておりまして、この報酬改定によって、一定の要件のもとにおいて、要件を満たせば在宅医療を専門に実施する診療所の開設が認められることになりました。在宅医療専門診療所という形ですね。

 地域で二カ所以上の協力医療機関を確保すること等の要件を満たすことは、地域によっては簡単ではないと考えられておりますけれども、施行からもう既に一年余りが経過しておりますが、いわゆる在宅医療を専門に実施する在宅医療専門診療所は、この間、診療報酬が改定になったこの一年ちょっとの間、どの程度開設されていますか。

鈴木政府参考人 在宅医療を専門とする診療所についてお尋ねがございました。

 御指摘のように、在宅医療を専門に実施する診療所につきましては、平成二十八年度の診療報酬改定におきまして、外来患者に対応できる体制を有していない場合でも随時連絡に応じる体制を整えることなど、その要件を明確化いたしました。

 この要件を満たす在宅医療専門の診療所の数は、現段階で具体的には把握をしておりませんけれども、在宅患者の割合が九五%を超えており、在宅医療を専門にしているのではないかというような診療所の数は、平成二十八年五月のレセプト調査でございますけれども、三百四十六医療機関というふうになっております。

水戸委員 三百四十六、不確実でありますけれども、これぐらいの数に上っているということですよね。九五%以上の在宅医療だということですね。逆を言えば、五%未満外来を預かる、今、そういう医療機関というふうになりますけれども。

 この在宅医療専門診療所に適用する診療報酬について、一定の要件を満たさない場合、これは二割ぐらい診療報酬が少なくなるというふうに聞いております。これは、もちろん二割を減じる、点数を下げるという理由はいろいろとあると思うんですけれども、例えば、外来対応でかかるコストが不要になる分を勘案したという形で二割減算する仕組みにしたというような回答も返ってきているようでありますが、こういうような形で専門的に在宅医療を行う、九五%以上、そういう在宅療養する患者を診る、こういう医療機関に、この二割の診療報酬を減らしたことによってどのような影響が出ていると認識されていますか。

鈴木政府参考人 在宅医療専門診療所が一定の要件を満たさない場合の減算についてお尋ねがございました。

 御指摘のように、在宅医療専門の診療所につきまして、平成二十八年度の診療報酬改定におきまして、その要件を明確化するとともに、みとりの実績等、一定の要件を満たさない場合には、一部の診療報酬を二〇%減算する措置を行ったところでございますけれども、これは経過措置がございまして、ことしの三月までは適用しないということになっています。四月から適用されています。

 この措置を導入した理由でございますけれども、従来、我が国の公的医療保険制度におきましては、患者のフリーアクセスを確保するために、医療機関に対しまして、外来患者に対応できる体制、いわゆる外来応需を求めてきたことを踏まえまして、いわゆる在宅医療専門の診療所に対しては、そのような対応を求めないかわりに、みとり等の実績、一定の基準を満たさない場合には、一部の診療報酬を二〇%減算するということにしています。

 この影響につきましては、現在、調査検討を行っておりますので、その結果も踏まえまして、そのあり方について中医協で検討したいというふうに思います。

水戸委員 今わからなかったんですが、影響の度合いなんですけれども、どのような影響が出ているかということについて、もう一度、具体的にちょっとお示しください。

鈴木政府参考人 先ほど答弁をさせていただいたとおり、実際にこれが適用されたのは四月からでございますので、現在その調査をしておりますので、その結果を見まして評価をしたいというふうに思います。

水戸委員 適用されたばかりだということで、これからの推移を、でも、短期間になりますけれども、来年度の報酬改定を年度内にやらなきゃいけませんから、ある程度客観的な事実に基づいて判断するのでありましょうけれども、しっかりと分析、調査をしながら、一定の方向性を出していただくことを強く要望したいと思います。

 資料四という形で、やはり二十八年度の改定によりまして、資料四でも見てとれるように、既存の在支診でも、直近一カ月の在宅患者割合が九五%以上であれば、先ほど言ったように、ことしの四月以降なんですかね、この四月以降、四つの要件、この要件というのはかなりハードルが高い要件ですけれども、これを満たさなければならなくなりました。仮に在支診を届けられなくなれば、医学総合管理料の点数は一人当たり四割から五割程度低くなるとも言われております。

 これに対応するには、厳しいこの四要件をクリアするか、もしくは、外来患者をふやして在宅患者割合を九五%未満にするというような形で、どちらかを選択しなきゃならなくなりますね。こうなると、非常に経営上の困難性も出てくるのではないか。

 そもそも、医師の確保というのはそんなに簡単じゃありません。今、非常に人材不足ということも相まって、まして、在宅医療というのは、御案内のとおり、二十四時間三百六十五日対応ですから、ある意味、病院で入院患者を診ているのと同じような形で、それをわざわざ各家庭まで足を運んで対応しなきゃいけない。それを断ることはできませんから、そうなると、非常にマンパワーの確保というのは大事なんですね。

 ですから、外来患者か在宅患者かで、どちらを、割合を、バランスをとってというのはなかなか難しいものでありますから、どちらも中途半端にやられると、在宅医療そのものが私は崩壊してしまいかねないんじゃないかということを非常に危惧しております。

 ですから、先ほどいろいろと当局もお話をいたしましたけれども、来年度の報酬改定、今年度中に報酬改定しなきゃいけませんが、どの時点でどういう適正な判断をするのかということ、具体的に期限も含めてなんですけれども、現状を含めて、在宅医療のあり方と診療報酬のあり方、先ほど言ったように総合医療管理料もありますし、このような専門的に診るような、そうした診療所のあり方、そしてその診療報酬のあり方を含めて、やはりもっともっと、これは現状を踏まえて、この経営実態を踏まえて、しっかりとした改善の手を私は打っていく必要があると思うんですけれども、大臣、もう一度、この診療報酬の改定について、どのような御見識で、これからどのような形で進めていくのか、それをいつまでにやるのかに関して、具体的にお話をしていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど保険局長から答弁いたしましたけれども、いわゆる在宅医療専門の診療所、ここにつきましては、平成二十八年度の診療報酬改定において、要件を明確化するということでやってまいりまして、それに加えて、みとりの実績など、一定の基準を満たさない場合には、一部の診療報酬を二〇%減算する、こういう見直しを行ったわけであります。

 今お尋ねの、今後どうなんだ、こういうことでありますが、在宅医療の診療報酬につきましては、議員御指摘の点も含めて、こうした診療報酬改定の影響を分析した上で、二〇二五年以降の超高齢社会において、質が高く効率的な在宅医療、この提供体制を構築できるようにしなければならないので、まずは平成三十年度の診療報酬改定、これは介護報酬とのダブルの改定になるわけでありますが、これに向けてしっかりと検討していかなければならないというふうに考えております。

水戸委員 検討、検討ばかりで、しっかりと結論を出さなきゃいけない日が必ず来ますから、ぜひ、こうした実態を踏まえていただいた上で、これからの方向性、在宅医療を拡充していくという方向性であるならば、やはり診療報酬のあり方というのは最大のポイントとなりますから、しっかりと現場を踏まえての診療改定を私は強く望んでいきたいと思っております。

 また、在宅医療を希望する場合、患者さんやその家族は、やはり入院していた医療機関からの紹介とかインターネットで検索して、そして在宅の医療機関を選択していくというふうになりますよね。しかし一方では、入院していた医療機関の紹介でも、本当にそれが適切なのかということもありますし、また、特に高齢者の方は、インターネットの検索は難しいのではないかと思います。

 例えば、かかりつけの診療等が在宅医療を実施しない場合、適切な情報入手をどうすべきかということなんですけれども、どのような形で、在宅医療機関の選択に当たりまして、患者さんとか家族に情報を提供させているのか、厚労省はどのような形で今の実態を把握されていますか。

神田政府参考人 お答えいたします。

 患者や家族が、どのような情報を得て、在宅医療を受ける医療機関を決定したのかということについてでございますが、それそのものを調査したものはございませんので、その実態について定量的なお答えをすることは難しい状況にございます。

 ただ、一般的には、在宅医療を開始するに当たりましては、日ごろから外来で治療を受けているかかりつけ医に相談をされるとか、あるいは入院した医療機関からの退院時の相談に当たりまして、こうした医療機関を通じて情報提供が行われているものというふうに承知をいたしております。

 また、自治体ですとか地域の医師会等におきまして、在宅医療を行う医療機関に関する情報提供が行われている場合もございますので、こうした情報にアクセスして、在宅医療を選択している場合もあるものというふうに考えております。

水戸委員 ただ単に、厚労省は傍観者じゃなくて、やはり厚労省側も積極的に、こういうニーズがありますから、患者の選択に資するために、いろいろな情報をこちらからも率先垂範して提供する側になる、この必要性が私はあると思うんですね。

 例えば、在支診の施設の設置基準の中には、年に一回、みとり等を報告しているという要件があります。年に一回、みとり等を報告している。医療機関ごとのみとり件数の公表を行うことだけでも、やはり患者や家庭に対して、ああ、こういうことをやってくれているんだという選択肢になると思うんですね。

 こういうような情報の提供を率先してやるべきだと思うのですが、どうでしょうか。

神田政府参考人 お答えいたします。

 在宅医療を受けるに当たって、患者やその家族が必要な情報を入手できるよう環境を整備することは重要であるというふうに考えております。

 現在、医療法に基づきます医療機能情報提供制度というものがございますけれども、これは患者が医療機関の選択を適切に行うために必要な事項というものを都道府県に報告することを義務づけいたしまして、都道府県はその情報を集約、公表することとしております。この制度の中におきまして、在宅におけるみとりですとかの件数について報告の対象となってございますので、これをホームページ等で提供させていただいているところでございます。

 また、市町村における在宅医療と介護の連携を推進する観点から、在宅医療・介護連携推進事業というものがございますけれども、その中で、地域住民に対して、パンフレットやチラシなどを活用した在宅医療・介護サービスの普及啓発も実施をしているところでございます。

水戸委員 もっと効果的な形での情報提供を強く私は望みたいと思います。

 専門外の医師が在宅医療を行っている、こういう指摘もあるんですね。これは、やむを得ず、地域によっては、ほかに適切な機関がないから、本来は専門外でも、善意で在宅医療を始めたような、そうした医師もいらっしゃるというように聞いておりますが、そうだとすれば、このようなケースにつきましては、やはり安定的な医療提供と質の確保という観点から、在宅医療に関する専門性を高める機会をきちんと提供する必要があるんじゃないかと思います。

 そのために、研修に出るかわりに、そのお医者さんが専門性を高めるために研修とかをしなきゃいけませんから、その留守の間、医師を行政があっせんしたりするとか、幅広く、専門性を高める、人材の育成のために、これは率先垂範して行政側からも支援を展開していく必要があると思うんですが、どのように取り組もうとしているのか、それについてどうでしょうか。

塩崎国務大臣 在宅医療の質の確保という点からの御指摘だと思いますが、在宅医療を担う医師などの専門人材の育成は大事でございますが、厚労省としては、在宅医療に関する専門知識や経験を豊富に備え、地域で中心的に人材育成事業を支えることのできる高度人材の育成、あるいは地域医療介護総合確保基金を活用して、在宅医療等を担う人材育成のための研修を都道府県が行う場合の財政支援などを行っているわけでございます。

 このような取り組みを行うことによりまして、在宅医療を担う人材の質の確保を図り、地域にふさわしい在宅医療の提供体制の構築に努めたいと思っておりますが、これは、医学部教育の中で在宅医療というものの専門講座があるのが、医学部多しといえども二つしかないというふうに聞いています。国立一つ、東大、そして私学は慶応、こういうことでありますから、やはり医学教育そのものの中で、在宅医療、地域医療というものを、もっと力を入れて、教育、卒前の教育をやるとともに、卒後の教育も、いろいろなステージがありますが、考えて、よくこれから構築をしていって、今先生御指摘のように、専門性の高い、良質な在宅医療を担える医師を育てるということは大変大事なので、包括的に考えていきたいというふうに思います。

水戸委員 専門性を高めると一口に言っても、非常に時間も要することで、特に、今大臣御指摘のとおり、医療的な技術のみならず、人間性というものも、やはり相手は患者さん、人間でありますから、いろいろな、先ほど言った認知症も含めて、また終末ケアとかそういうのもありますから、やはり相手に寄り添って医療を展開するという、そうした人間的なスキルも求められてきますから、大学機関に二つしかない、そういうお話でありますから、まだまだこれでは即応できないんじゃないか、なかなか、これだけニーズがあるにもかかわらず、人材は随分と追いついていっていないんじゃないかという実態がよくわかります。

 ですから、これから、きょう、あしたという話になりませんけれども、長期的なスパンから、やはり在宅医療に対しての人材の育成を私は強く強く期待し、求めていきたいと思っております。

 もう最後になりましたけれども、本当にいろいろ、るる大臣からも、当局からもお話しいただきましたが、こうした議論を踏まえて、真に必要な患者さんに行き届いた在宅医療を提供するといった視点から、やはり在宅医療は必要ですし、また、さらに普及、充実化を図っていかなきゃいけないんだというようなことだと思うんですね。

 それでは、これからどのような課題があるのか。医療費の問題も、確かに先ほど若干お話をされましたけれども、取り組みを強化する必要性を本当に感じているのか。こういう観点から、大臣、在宅医療のこれからのあり方について、どのような形でこれを進めようとしていくのか、取り組もうとしているのかについて、最後に御認識を新たにしていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど先生から御指摘があったように、人生の最期を迎えるのに在宅という希望が多いのに、今そうなってないというのは、やはり体制自体もそのようになっていないということだろうというふうに思います。

 そういう課題があるわけでありますから、私ども厚生労働省としても条件整備をしていかなきゃいけないということで、多くの国民が希望されている限りは、やはり可能な限り住みなれた生活の場において必要な医療が受けられ、そして、それを最後まで続けられるということが在宅医療を充実するということになるわけでございますので、そういう方向で私どもも今努力をしているわけであります。

 厚労省では、在宅医療の関係団体、学術団体が、それぞれの知見を相互に共有いたしまして、連携して効果的な活動をしていくための全国在宅医療会議というのを開催しています。それから、地域医療介護総合確保基金を活用して、在宅医療などを担う人材育成、そして多職種連携の構築というものを都道府県が行う場合に財政支援をしながら、より密な連携のネットワークというものができるようにということを進めて、応援をしていきたいと思っております。

 それから、平成三十年度の診療報酬、介護報酬の同時改定における医療、介護の連携強化の検討などを行っているところでございまして、こういうような取り組みを総合的に行うことで、在宅医療のさらなる普及、そして一層の充実に向けて、しっかりと取り組んでまいらなければならないというふうに考えております。

水戸委員 時間が来ましたけれども、地域包括ケアシステムの中で、在宅医療、もちろん在宅介護、こういう連携の強化も図っていく必要がありますし、行き届いた中においての、やはり必要とする方々に真に必要とするサービスが提供できるようなことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 よろしくお願いいたします。

 まず、年金の積立金の運用についてお尋ねをいたします。

 GPIFが、クラスター弾を製造しているテキストロン社の株を、昨年の三月末の時点で百九十一万株、七十八億円、保有をしているということでございまして、議場におられる皆さん、違和感をお持ちの方は多いんじゃないでしょうか。年金積立金でクラスター弾を製造する会社の株を買っているというのは、皆さん、全然違和感ないですか、自民党の方は。

 日本には法律がございまして、クラスター弾等の製造の禁止及び所有を禁止する法律がある。しかも、びっくりしましたのは、この法律が、今度共謀罪の対象にもなる、二百七十七の中に入っているということでありまして、株を買ったら共謀とは言いませんけれども、どうなのかなと。そして、日本は、クラスター弾の禁止条約、これも締結しているわけでございまして、塩崎大臣にちょっとお尋ねするんでございますけれども、例えば、クラスター弾を製造している会社の株は持たないというような選択をするためには、法改正以外に道はない、こういうことでございましょうか。

塩崎国務大臣 厚生労働大臣を御経験の先生はもう重々御存じの上でお聞きをいただいているんだろうと思いますが、GPIFの年金積立金というのは、法に基づいて、専ら被保険者の利益のためだけに運用する、それから、信託銀行等に投資一任という形でやっているわけで、これが原則であります。特定の企業を投資対象としたり、逆に、投資対象から特定の企業を外すというようなことを政府やGPIFが指示するということはできない仕組みとなっています。

 GPIFの投資対象となる企業というのはほぼ世界全域に及んでいるわけであって、その投資対象に対して、外交やあるいは安全保障、環境、人権など、諸問題が間断なくいろいろな形で世界では発生をしているわけであります。GPIFの投資対象をめぐって、年金財政上の収益とは別に、投資の是非を逐一判断するということは、年金積立金の運用を、こうした是非についての判断が分かれ得るさまざまな問題に巻き込まれるということになりかねないわけでございまして、国民の貴重な財産である積立金を、こうしたリスクにさらされることのないように、先ほど申し上げた原則は重要であって、特定の企業を投資対象から外すことを政府やGPIFが指示することはできないという仕組みは今後とも守っていくべきではなかろうかというふうに考えております。

 したがって、法改正以外ないのかということでございますが、法律に定められた方法で今やっているということでございます。

長妻委員 ちょっと私の考え方と違うわけでございまして、法改正しなければできないというふうにおっしゃいましたけれども、私は違う立場でございます。

 なぜならば、最近、政府は国連が提唱しているESG、責任投資原則に署名をされておられる。ESG投資でございます。これは、環境、エンバイロンメント、そしてソシアル、社会、企業統治、ガバナンスに配慮している企業を重視、選択して行う投資、これをするということであります。

 例えば環境では二酸化炭素の排出削減や化学物質の管理に着目する、例えば社会では人権問題への対応や地域社会での貢献活動に着目する、企業統治ではコンプライアンスなどなど、情報開示などに着目するということで、サインをされているんですね、最近。

 かつ、御存じだと思いますけれども、今、ESGの指標を公募しておりまして、聞くところによると、応募の会社が今来ていて審査に入っているということでございます。十四社から二十七の指数の応募があって、いずれ、それを選択して、環境とか人権とかどこに重点を置く投資をするのか、その会社が出してきた指標を選んでいく、こういうことが始まるわけで、当然、取捨選択するわけですね、一つの価値基準に基づいて。

 これは現行法でできるということで今政府は進めておられるわけですから、そのESGの投資の枠組みの中で、例えば人権に配慮するという指標を政府が選択されると、恐らくこの会社は入らないんじゃないのか、こういうふうにも私は思うわけです。そうすると、別に法律を変えずにもできる。

 信託会社が銘柄も選んで政府に提示をしていくというような仕組みでありますから、政府が、この会社はだめだ、いいだということではなくて、全体の哲学の中で信託会社が会社を選択して持ってくる、それを政府は選ぶというような仕組みでございまして、今、応募が、二十七指標が来ている、私も中身はわかりませんけれども、その中で適切な指標を選ぶ、こういうスキームが入るわけでございますから、それに基づいて適切に判断できるのではないかと思うのでございますけれども、これはいかがでございますか。

塩崎国務大臣 責任投資原則というのは、署名機関にそれぞれ受託者責任の範囲内で取り組むことを求めるのみで、投資除外、どこかの会社を外せとか、そういうことまでを求めているわけではないわけでございまして、今お話がありましたように、指数に基づいた運用を行うということで、公募によって選定を進めているわけでありまして、その中に何が入ってくるかというのは、これは信託銀行の方が選んでくるということでございますので、先ほど申し上げた原則と何ら変わらないというふうに思っております。

長妻委員 今の答弁、びっくりするんですが、大臣おわかりになっていないというふうにちょっと言わざるを得ないんです。

 今おっしゃったのは、ネガティブスクリーニングという手法でございまして、特定の企業を価値観に基づいて投資対象から外すネガティブスクリーニング。今回聞いていますのは、ネガティブスクリーニングはやらない、ただポジティブスクリーニングということで、ESG評価の高い企業を投資対象に組み込むということで、これは当然、高い企業を組み込むわけですから、低い企業は組み込まない、こういうような価値判断によって信託会社がその企業名も含めて提案を持ってくるということでありますから、これは十分できるわけでございまして、大臣、ちゃんと調べて、精査をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、指数をどういう形でつくるかというのは、これはGPIFではなくて、この企業を入れろというような形で言うことはないわけで、持ってきたものをどれにしますかという指数の固まり、それをどうするかというのはこれはこちらが選ぶ、こちらというかGPIFが選ぶ、こういうことは原則だと思いますね。

 したがって、特定の企業を入れないでくれということで指示をするということはあり得ないだろうというふうに思います。

長妻委員 大体、そうですね、今おっしゃったことがそのとおりだと思います。

 特定の企業を個別に指名して外すということ、これは私も危険だ、やっちゃいけないと思います。なぜならば、そんなことをやり始めたら、政府が恣意的に、ちょっとこの企業は反社会的だとか、ちょっと法令違反している可能性があるとか、粉飾決算だ、こういうような価値観で除外して、例えば今の政権に従順な企業だけは買います、反抗した企業は買いませんということになったら、これは大変な独裁国家になるわけでございまして、これは私も、そんなことは絶対やっちゃいかぬ、これは絶対やっちゃいかぬ。心配している人もいるんです、実は。今、GPIFの中でそういう議論が一部起こっているわけでございまして、こんなことは絶対やらせちゃだめですよ、それは。

 周りから言う人もいるんですけれども、それはだめなんだけれども、今大臣が前半答えたように、ポジティブスクリーニング、つまり、こういう価値、例えば人権を重視するというようなファンドがあったとしたら、そこには恐らくクラスター弾の会社は入らないでしょう。ですから、そういうようなセレクトによって、法律を変えなくてもできるんですよ。ですから、そういうことを研究をぜひ大臣も、関心を持ってしていただきたい。

 ちなみに、表もつけておりますけれども、例えばスウェーデンとかノルウェーは倫理委員会があって、例えばクラスター弾を製造している会社は禁止。そして、軍事企業、たばこ企業、そして強制労働する企業も投資は禁止。カナダについては、対人地雷をつくっている会社は禁止、全て公的年金ですね、クラスター弾は禁止。米国も、カルパース、カリフォルニア州の職員の退職年金基金でございますけれども、たばこ企業は投資禁止になっている、イラン関連企業等についても禁止になっているというようなことで、こういういろいろな仕組みが世界にあるわけで、ちょっと私が調べた限り、一切何にも除外しません、そういうめり張りもつけませんというのは、これまで日本だけでございましたので、今回、いろいろ個別銘柄の公表もするということになったわけでございますので、そういうことをぜひ研究していただきたいということをお願い申し上げます。

 このESGについて研究をしていく、めり張りをつけた投資の研究をするということを、ぜひ一言おっしゃっていただければと思うんですが。

塩崎国務大臣 このESG自体は、この投資の仕方自体は、国連で署名をしているわけでございますから、それはそれで大変大事なことだと思うので、その考え方は当然これからGPIFもとっていくということだと思いますので。

 それが、どういう形でやるのが一番いいのかということは、これは絶えず研究をしていかなければいけないので、このESG投資を含めて、私どもは、GPIFの投資のあり方は、当然、この法律で定められた枠内で、何が最善のことができるのかは考えていかなきゃいけないというふうに思います。

長妻委員 ぜひよろしくお願いします。

 そして次に、裁量労働制の拡大についてお尋ねをいたします。

 労基法の改正案、国会には出ておりますけれども、まだ審議入りをしておりません。

 これもことしの予算委員会で総理や塩崎大臣と少し議論をいたしましたけれども、その中で、ちょっと端的にお伺いしたいんですが、今回、拡大をする裁量労働制、営業に拡大をするということでございまして、政府がネーミングをつけましたのが課題解決型提案営業、これは拡大するんだということでございますが、この課題解決型提案営業なるものは広告代理店の中にあるのかないのか、絶対ないのか、一〇〇%あるのかないのか、そこら辺についてはどうですか。

塩崎国務大臣 今お話があったように、課題解決型提案営業というものですから、営業という言葉があるとどうしても一般的な営業ということを想起しがちで、ネーミングとして工夫はあり得べしかなというふうに思っております。

 それで、現在提出している労基法の改正法案で新たに追加をいたします課題解決型提案営業、言ってみれば、より正確に言えば新規開発提案業務と私たちは呼ぶべきかなというふうに、特に営業という意味が非常に幅広くみんなに解釈がし得るものですから、新規開発提案業務というような感じですけれども、これは個別の営業活動は対象とならない。例えば、銀行全体の業務システムの開発とか、顧客である会社全体とかあるいは事業場、工場全体に影響する案件の新規開発提案を行う業務であって、単なる個別の営業活動を対象とするわけではない。これを行う方々だけに限ってでございまして、通常、広告の会社についてのお尋ねでございますけれども、例えば個別の広告の制作とかあるいは広告枠の営業業務とか、これは当然対象とならないし、他社の商品開発をコンサルティングするような業務も対象とはならないわけで、事業全体に影響する新規開発提案をみずからの裁量を持って行う方でなければ対象にならないというふうに考えております。

長妻委員 では、広告代理店にはないということでよろしいんですね。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、個別の営業をやるような形での広告代理店ということで、普通はそういう業務ですから、そういうことは対象にはならないということで、相手の企業の会社全体に与えるような、さっき申し上げたような、銀行であれば決済システムとかですね、そういうような大きい話で提案をする、そういう業務を指しているわけであります。

長妻委員 ちょっとお答えになってないんです。

 広告代理店にはあるんですか、ないんですか。

塩崎国務大臣 代理店ですから、今申し上げたように、基本的には、その会社全体についてということは余りないんだろうというふうに我々は想定は、こういうことが行われるということが想定されるということではないと思います。

長妻委員 そうすると、あり得るということなんですか、可能性は低いけれども。

塩崎国務大臣 我々の中では想定されていませんので、しかし、業種的に何か除くとかいうようなことを言っているわけではないし、今やいろいろなビジネスがありますから、そういうことで、我々は、今言ったような、顧客である会社全体とか工場全体に与えるような案件を新規開発して具体的に提案をする、そういう業務を指すので、通常は広告代理店はそういうことはないんじゃないかというふうに考えております。

長妻委員 通常はないという御答弁と、想定していないという答弁、広告代理店について、今おっしゃったわけでありまして。

 これはもう塩崎大臣もよく御存じだと思いますが、今回の営業に裁量労働制を入れるというのは、まずは電通の強烈な陳情から始まっているわけでございまして、歴史を古くは、細かくは振り返りませんけれども、一九九一年の電通事件、二十四歳の若者が過労死して、裁判の中で裁量のことを電通はしきりに訴え、そして日本広告業協会、理事長は電通の会長でしたけれども、営業への裁量労働制の拡大を当時労働省に強く陳情をしたと。

 そして、一九九八年に法律改正がなされて、一定程度広がりましたけれどもまだ営業は不十分だということで、ここにもお配りしておりますけれども、二〇〇二年に電通の人事局部長さんが論文も書いて強烈ないろいろ働きかけを行い、そして二〇一五年法律が出てきた、営業への拡大ということで。

 電通を初めとする広告代理店の悲願でございまして、それが成立をしてしまうと、これはもう過去何回も国会での質問がございましたけれども、裁量労働制というのは本当に、残業ゼロ法案という呼び名もありますけれども、問題が大変大きいです。残業時間が間違いなく伸びる傾向にあるわけでございまして、しかも残業代は払われないということで、高橋まつりさんの御遺族の方も大変問題であると言っているわけでございまして。

 この論文の中にも、電通の人事局長は、今やソリューションコンサルタントなんだと。つまり、広告だけじゃなくて、商品を新しく開発するときにその商品のポジショニングとかネーミングとか商品開発からお手伝いをして、そして新たな商品を提案していく。こういうような、まさに今回の条文でいえば三十八の四にある拡大の規定に合致するわけでございまして、これを拡大してしまうと、私は、大変なざるになるということでございますので、ぜひ重々お気をつけていただきたい。

 そしてもう一つ、ちょっと悪いうわさを聞くわけでございますけれども、どういううわさかといいますと、今回、働き方改革で残業時間の上限を決めた。それについては、恐らく秋に労基法の改正案が出てくるでしょう。そしてもう一つは、同一労働同一賃金で、恐らく、パートタイム労働法と労働契約法と派遣法が関係するから、それらの改正法案も出てくると思います。

 そのときに、悪いうわさといいますのは、今回の高プロ、高度プロフェッショナルと今回の裁量労働制の営業拡大の法案もまとめて一本にして国会に出すんじゃないか、あるいは、一括して審査をして、そして賛成反対、賛否を問うんじゃないのか。まさかそんなことはないとは思いますけれども、いろいろなところからいろいろな、経営者も含めたそういう、私はそれはおかしい審議の仕方だとも思うわけでございますけれども、まさかそんなことはないというふうに明言いただければ。

塩崎国務大臣 これは今既に、労働基準法の改正は、だけではありませんけれども、おととしに出した法律でございますので、可及的速やかに御審議をいただいて御採決をいただくとありがたいと思っているわけでございます。

 働き方改革で新たに出てくるものは、これも早期に法律化をするというふうに総理から指示を受けているわけで、これから労政審で、既に始まっておりますけれども、本格的な議論の末にきちっとした法案を提案できるように持っていきたいと思っておりますので、既に出ているものは速やかに成立を期していきたいというのが基本であります。

長妻委員 そうすると、今の趣旨は、既に出ているものと一緒にするということはない、こういう趣旨でありましたか。

塩崎国務大臣 もう既に出ているわけでありますから、これを通してくださいというのは政府として当然のことでありますので、そのこと以外は何も考えていないということであります。

長妻委員 別々に審議するということですね。

塩崎国務大臣 既に出ている法案は審議をしていただきたいということを考えているだけでございます。

長妻委員 セット販売という言葉も国会で最近はよく出ますけれども、全部、かなり前に出ている法案も、それでこっちをあわせて、何かいろいろな取引があるのかどうかわかりませんけれども、いろいろ着地する中で、これを入れるからこっちだ、こっちを入れるからこっちだみたいな話があるとすると、非常に審議権の制約を政府が国会に要請をする、そういう行為をしていくということになりかねないので、それは十分、委員長も含めて、分離して審議をしていくと。

 もう絶対答えないですね、何度聞いても。委員長、次に答えなかったらきちっと指示していただけますか。では、ちょっと最後、答えてください。

塩崎国務大臣 既にお出しをして、政府提案として国会にお出しをしているわけでありますから、これを可及的速やかに御審議をいただいて成立を期してまいりたいというのが私たちの変わらぬ姿勢でございます。

丹羽委員長 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 今後出てくるものについてどうするかということはまだ何も決まっていないわけでありますので、今お出しをしているものについて可及的速やかに御審議をいただきたいということでございます。

丹羽委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

丹羽委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 既に御提出申し上げている法案については可及的速やかに御審議をいただきたいということ、今後お出しをするであろう法案についても、同じように御審議を速やかにしていただいて成立を目指して私どもも努力をしたいし、皆様方に御審議をいただきたい、こういうことでございます。

丹羽委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

丹羽委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 申し上げているつもりでありますけれども、今後出てくるものの扱いについてどうなるかということは今後決めることでございますので、今どうするこうするということを決めることは、まだ影も形もない法律でありますので、申し上げることができない、こういうことでございます。

長妻委員 セットもあり得るというふうに私はとりましたけれども。違うんだったら、手を挙げて反論してください。違うんであればね。反論しないわけでございますので。

 私は、これは本当に、国会の審議権というんでしょうか、それを不当に制約する話だと思いますよ。まあ、我々の政権のときも、それは幾つかの法律を一緒にまとめるということもありましたけれども、幾ら何でもこれはやり過ぎじゃないですか、もしまとめるとしたら。相当前に出てきて、これだけ反対論がある中で、そして働き方改革という、我々の、一つの政策であるものを官邸の中で推し進めて、それをがっちゃんこしていく、これは幾ら何でもおかしいというふうにここで申し上げて、そういうことのないようにぜひしていただきたいと思います。

 そして最後に、QODという言葉を御存じでございましょうか。QOLというのは、クオリティー・オブ・ライフ、生活の質でございますが、QODというのは、クオリティー・オブ・デス、死の質ということでございまして、英国の雑誌のエコノミスト社が定期的に調査しておりますが、二〇一五年のクオリティー・オブ・デス・インデックスというのを発表いたしまして、日本はクオリティー・オブ・デスが十四位、こういう形でありまして、少しは順位は、かつてよりは上がったんでございますけれども。

 塩崎大臣、QODを上げるためにどういう施策が必要なのかということを問いたいわけでございますけれども、QOLというのはジェロントロジーという老年学から生まれた発想だと思っておりますけれども、QODはサナトロジーという死生学から生まれた言葉で、同時に両方の学問が一九〇〇年初頭に発生をしてきたと私は理解をしているわけでございます。

 しかし、日本では、この死生学というのが余り知られていないし、余り、死生観についても語られることが少ない。人間の大きな役割は三つあると私は思っておりますけれども、生きる、死ぬ、みとる、この三つだと思いますけれども、その死ぬとみとるところが相当すっぽり日本の社会は抜けているんではないのかというふうに思うわけでございます。

 私の尊敬する、厚生労働省のOBでもございます、今京都大学の教授をやられていますけれども、広井良典教授、こういうことをおっしゃっておられます、死生学の教科書で。現在の日本では、死という意味がよく見えないと同時に生そのものの意味もよく見えない、死生観の空洞化状態にある、こんなようなことをおっしゃっておられるわけでございます。

 塩崎大臣、今十四位で台湾にもシンガポールにも抜かれておりますけれども、QODを上げるためには何をしたらいいかというふうにお考えでございますか。

塩崎国務大臣 大変大事な問題だと私も個人的に思ってもおりますし、厚労省としても大事だと思っております。

 特に、高齢化、それも日本が一番進んでいるわけでありますから、今、老年学から出てきたというところもあるというお話がございましたが、そういう意味で、これから多死社会を、世界に先駆けて直面をする日本でありますので、生きることだけではなくて、亡くなることのクオリティー、質を考えるということは私も大事だというふうに思います。

 特に、これをどう高めていくのかということでありますが、かなりいろいろなことがあり得ると思いますし、今イギリスのエコノミスト・グループがまとめているこれも、要素が幾つかございますので、やはりそれぞれをよくしていくということがなければ、今十四位というのをもっと上げていくべきだというお話をいただきました。高齢化の最先端を行っているならば、やはりこのクオリティー・オブ・デスについても国民が納得するような順番になった方がいいと思いますが、しかし、もちろん、これはインデックスそのものが本当に日本人の心をあらわしているかどうかということは考えなきゃいけないと思いますが、いずれにしても、これから、こういったことについて、これは医療だけではなくて、医療も大事です、そして医療周りのことも大事でありますが、恐らく、生き方ということになれば、宗教の問題も個々人には非常に大事なことになっていくんだろうというふうに思います。

長妻委員 塩崎大臣、臨床宗教師ということは聞いたことがございますですか。

塩崎国務大臣 海外では割合そういうことがよく、亡くなる方々と接する人たちの中にそういう方々がおられることは知っておりますし、安楽死が合法化されている国、たしかオランダとかそういうところはかなりそういうことをやっていらっしゃる方がおられるというふうにも聞いております。

長妻委員 今おっしゃっていただいたチャプレンというのは、キリスト教国、欧米諸国に、これはどの病院でも牧師さんや神父さんがそこにおられて、みとりの仕事を、精神的ケアをされているというのがあります。

 日本でも、この臨床宗教師、東北大学が始めまして、二〇一六年度末までに修了者が百五十二人おられる。今、龍谷大学、鶴見大学、高野山大学、種智院大学、上智大学、武蔵野大学、大正大学、愛知学院大学、合計九大学で、その講座があって、この資料にも入れておりますけれども、各地の病院で今活躍をしているところでございます。

 今は、私は、超高齢多死社会がやってきたと思います。この資料十ページでございますけれども、今、我が日本では一日何人亡くなるのか、御存じでございましょうか。今現在、最新の数字では、二〇一五年、三千五百三十五人が毎日亡くなっておられるわけでございます。年間の死亡者を三百六十五日で割るわけでございますが。

 ピーク時は一日何人が亡くなる社会が来るかといいますと、十一ページでございますが、二〇三九年がピークで、一日四千五百九十九人の方が毎日亡くなる社会、今よりも千人ふえる。

 そして、二〇二五年には、二〇二五年は昭和に換算すると昭和百年でございますけれども、昭和百年には、百年問題とも言われておりますが、死亡する方が生まれる方のほぼ二倍になる。こんな差は、歴史的に初めてである。死亡が百五十三万人、生まれる方が七十三万人ということになるわけでございます。

 そして、多くの方、半分以上の方が自宅で亡くなることを希望しておりますけれども、現実には七五%が病院で亡くなっておられる。しかし、オランダやスウェーデンを見ると、四割ぐらいが病院で亡くなっておられるだけでございます。我が国も、私が生まれた一九六〇年は八割の方が自宅で亡くなっておられたということで。私は、病院の今の現状をいろいろお伺いすると、相当大変な今状況になっているということで、危機感を持っているわけでございます。

 例えば、なかなか日本は固定した宗教がお持ちの方が少ないということもあるのかどうかわかりませんけれども、死を間近にして、今はがんも告知をしますし、がんという病気は、一定程度、亡くなるまで生きる病気であります、意識もはっきりしている。そういうような方々がふえることによって、病院が今大混乱をしているという状況もございます。つまり、死ぬのが怖い、そして取り乱して、例えばいろいろ暴力を振るってしまう、あるいは、俺は人体実験をされているんじゃないのか、全然治らないんじゃないのか、訴訟する、いろいろなトラブルが起こって、お医者さんがなかなか治療に専念できにくいという状況がある。

 その中で、臨床宗教師という方々が、これは東北大の、郡議員もよく御存じだと思いますが、大震災を契機にできたものでございます。その中で、岡部医師、お医者さんが、戦後の日本では、宗教や死生観について語り、この暗闇におりていく道しるべを示すことのできる専門家が死の現場からいなくなってしまったということで、この方の情熱で講座ができているわけでございます。

 寄り添って、亡くなる方々が、自分は何のために生きたのか、俺の人生意味ないんじゃないのか、そういうような方々に対して、いろいろお話を聞いて、気づきを求めていくというものでございます。こういうものについて、私自身は、政府もよくよく研究をしていく必要があるというふうに思います。

 その一方で、宗教的な話でございますので、例えば東北大学は、倫理規程をつくって、倫理委員会もつくっています。この活動をするに当たっては、自分の信仰、信念や価値観を押しつけてはならない、ましてや自分の宗教の布教や伝道を目的として活動してはならない、こういうようなこと、遵守義務を課して活動をしているということであります。

 台湾は進んでいるようでございますけれども、このチャプレンの制度も参考にしながら、政府も一定程度の研究を、これから多死時代を迎える中で、していく必要があるんではないかというふうに私は考えるわけでございますけれども、大臣の認識をお聞かせいただければと思います。

塩崎国務大臣 何度も申し上げましたけれども、大変大事なことであって、個人レベルの心の中の問題に深くかかわる問題であって、宗教は、政府としては一つの宗教に何か偏るわけにはまいりませんし、政府は中立でございますけれども、しかし、心の中ではやはりいろいろな形でいろいろな方々がおられるのに、その際、人生の最期を迎えるに当たってどういうふうなサポートをしながらそのときを迎えるかということは、我々厚生労働省としても当然考えなきゃいけないと思っております。

 特に、医療あるいは介護の現場を預かっているわけでございますので、今回の医療法の改正でも、今まで高度な医療のことをやる特定機能病院でありましたが、そのときに、患者の安全ということがすっぽり抜けていた。当然、高度な医療が行われるためにはリスクも高いわけですから、そのときに、患者のことを考えれば、安全ということを考えなきゃいけないので、どちらかというと、供給側の論理が強く出過ぎていたこれまでの医療、あるいは医療の現場、これをやはり、医療安全ではなくて患者の安全という形で見ていけば、究極なところは、最期はどういう亡くなり方をしていくのかということになるわけで、医療の関係者の皆さん方にもぜひ、既にいろいろと御努力を、皆さん、それぞれの形でいただいていますけれども、今、チャプレンであったり臨床宗教師であったり、いろいろなお話を頂戴いたしましたけれども、そういうようなところにたどり着くであろう問題について、我々も考えていかなければなりませんし。

 特に、これは、人生の最期を迎えるときに当たっての、健康なうちから考えておくということについては余りなれていない日本でありますので、そういうことをもっと、医療関係者も含めて、そして医療政策や介護政策をやる厚生労働省も、よく考えていかなきゃいけないというふうに思います。

長妻委員 今、臨床宗教師のみならず、臨床仏教師、みとり士、いろいろな活動をされている方々がおられるわけで、どうしても今、医学の分野では、死は敗北だ、患者さんの死というのは医学的に見ると敗北なんだということで、死と闘う、こういうようなマインドがあるわけでございますけれども、しかし、やはり死と寄り添っていく。質の高い死というのは、一つ定義がございますが、患者や家族の希望にかない、臨床的、文化的、倫理的基準に合致した方法で、患者、家族及び介護者が悩みや苦痛から解放されるような死であるというような定義もございます。

 私自身は、昨今の風潮で、終末期医療は金がかかるから余り延命治療をしない、延命治療をしないことがイコール尊厳ある死である、こういう短絡的な議論に非常に危機感を持っているわけで、そんな単純な話じゃない。延命治療をすることを望んでいる御家族も本人もおられるわけでございまして、ですから、本当に日本は、今全く議論がないまま来ておりますけれども、死生学あるいは死生観、そしてQOD、これをよくよく考えて、本当に効果のある医療、国民の皆さんが幸せを感じられる医療、これをつくり上げていく。安易な安楽死や尊厳死の議論には絶対くみしてはならないということも申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民進党の大西健介でございます。

 本日は、一般質疑の時間をいただきましたので、地元を回っていて、いろいろいただいた御意見や御質問をもとに、また後半には、働き方改革とか解雇の金銭解決についても質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、一昨日、三十一日は世界禁煙デーでありました。きょうも、まずは受動喫煙の問題について聞いていきたいというふうに思うんです。

 報道によりますと、大臣は二十四日の日に自民党の茂木政調会長と協議を行ったものの、議論は平行線で物別れに終わったということを聞いております。これはTBSの報道ですけれども、ある自民党幹部はということですけれども、自民党としてできることはやった、あとは政府が決めることと述べていて、厚労省側が自民党案に理解を示さない限り、厚労部会を開かない考えを示しており、今国会への法案提出は困難な情勢になっている、このように報じています。

 大臣、まだ今国会への法案提出は諦めていない、断念していないということでよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 厚生労働省としては、国民全体の健康に責任を負っています。したがって、受動喫煙の健康影響というのは科学的に明らかであって、健康を確保して命を守り、子供たちの未来を守る、こういう大きな目的のために、望まない受動喫煙から完全に解放するという対策を講じる必要があるというふうに考えています。

 特に、職場の送別会とか接待とか、みずからの意思とは関係なく、そろって飲食店に行ったりするという場合もしばしばあって、がんとかぜんそくとか難病の患者さんなどを含めて、人知れず病気と闘っている方々、あるいは妊娠をされている方々を、望まない受動喫煙から完全に解放するということをどう実現するかということを真剣に考えなければならないと考えています。

 したがって、今国会への法案の提出に向けて、これまでの自民党内の意見も踏まえ、再度修正した案を現在自民党にも御提起を申し上げておりますけれども、国民の健康を大事に思う気持ちは、これはもう国会議員、皆ひとしく思っているはずでございますので、引き続き受動喫煙対策の重要性に関して御説明を申し上げ、関係者の皆様方の理解を得るための努力を続けてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 私も大臣を応援する立場ではありますけれども、今大臣は、再度修正した案を自民党にもお示しをしていると。ただ、この報道によれば、自民党案に厚労省側が理解を示さない限り、もう厚労部会は開かないと言っている。ボールはどっちにあるんですか、今。

 では、大臣としては、厚労省の再度修正した案を投げているから、ボールは自民党にあるのか。それとも、自民党は、もうやることはやった、厚労省側がおりてこないと厚労部会は開かない。ボールはどっちにあると理解したらよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 それは、政府・与党は一体でございますので、ボールがどっちにあるとかいう話ではないと思います。

大西(健)委員 いずれにしろ、もう会期末、まあ延長するのかしないのかわかりませんけれども、時間的な余裕はもうなくなってきているわけですから、やるならやるということでしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 これに関して、週刊金曜日という雑誌がこんな記事を載せています。表題は、小誌入手の会話メモが示す自民党の多数派工作、ねじ伏せられた受動喫煙防止というような、こういう題名なんですけれども、この中には、今、田村さんが戻ってこられましたね、田村政調会長代理が自民党内での調整結果について塩崎大臣に報告した際の電話のやりとりというのが生々しく記されているんです。

 ただ、ここの部分じゃなくて、私が興味を持ったのは、ほかにも、ある厚労族議員と厚労官僚で交わされた会話というのがここに出ているんですけれども、それはこういう内容です。

 厚労族議員、自分は厚労省の案でいいと思っているんだが、田村先生から口封じの電話があった、表立った厚労省案賛成派に電話をしまくっているのではないか、その電話の趣旨というのは、自民党の考えをつくって固めれば厚労省は従わざるを得ないだろうということ、田村先生はそれでいいと思っている、恥をかくのは自民党だよ。厚労官僚、官邸はどうなのでしょうか。厚労族議員、官邸だって恥をかくだろうさ。

 これは週刊金曜日という雑誌に載っていることを私は今読み上げさせていただいたんですけれども、こういうことが本当にあったのかどうなのか、これは田村筆頭に本当は質問したいところですけれども、それは聞くことはできませんので。

 私がお聞きしたいのは、この記事の最後の部分です。

 とかしき氏は部会に出席したいと考えていた丸川珠代東京オリンピック・パラリンピック担当大臣の出席も拒んだ、塩崎厚相を孤立させるためだろうというのが周囲の一致した見方だ。

 こういうふうに書いてあるんですけれども、ここについて、きょうは内閣官房に来ていただいていますので、この十五日の自民党厚労部会に丸川大臣が出席を希望したが認められなかった、こういう事実があるのかどうなのか、これについてお聞きをしたいというふうに思います。

岡西政府参考人 お答えいたします。

 私ども、内閣官房オリパラ事務局が主催している会議ではないものについて、どういう方が参加、出席されるかなど、その会議の運営に関することにつきましてお答えする立場にないものと考えております。

大西(健)委員 スモークフリーの東京オリンピック・パラリンピックというのは私は重要な問題だというふうに思うので、むしろ、丸川大臣が自民党の部会に出席したいと言われるのは本来あるべき姿じゃないかというふうに思うんですけれども、出席する必要はないんでしょうか。オリンピックの担当としてどのように考えておられるか、再度答弁をお願いします。

岡西政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、私ども内閣官房オリパラ事務局が主催している会議でないものにつきまして、どういう方に参加、出席していただくかなど、その会議の運営に関することについて、私どもとしてはお答えする立場にはないものと考えております。

大西(健)委員 塩崎大臣はどのように考えられますでしょうか。つまり、スモークフリーのオリンピックというのは国際社会から求められていることであって、塩崎大臣はこの自民党の部会に出席をされているわけですけれども、丸川大臣がやはり出席した方がいいと大臣はお思いになりませんでしょうか。

塩崎国務大臣 他の大臣の行動について、私がどうのこうの言う立場にはないというふうに思っております。

大西(健)委員 先ほど、まさに政府・与党は一体だということをおっしゃったわけですから、私は本当に、スモークフリーのオリンピックというのがまさに求められている、これは非常に関係の深いことですから、当然、丸川大臣が出席して自分の意見を述べたいと思われるんじゃないかなと思ったので、そういう事実があったのかどうなのか、これはまさに、先ほど来お話に出ているように、記事には書いてありますけれども、記事が真実とは限らないので、ですから、確認をさせていただいたということであります。

 いずれにしろ、先ほども言いましたけれども、もう会期末が近づいています。大臣はまだ諦めたわけではないということでありますので、最後までぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、歯科医師の需給問題についてお聞きをしたいと思います。

 資料の一ページ目なんですけれども、歯科医師の需給問題については、平成十八年に文科大臣と厚労大臣の間の確認書というのがあります。歯科医師数の養成数の削減等に関する確認書、これに基づいて、歯学部の定員の削減とそれから国家試験の合格基準の引き上げ、この二本柱での対応が今進められております。

 右側の厚労省が対応している国家試験でありますけれども、平成十八年は八〇・八%だったのが、直近の平成二十九年、これは六五%まで絞られてきているということであります。

 ただ、先日、地元で歯科医師の先生方と意見交換する機会があったんですけれども、そのときに歯科医師の先生方から、この合格率の数字にはからくりがあるんだという御指摘がありました。

 この合格率というのは当然合格者数を受験者数で割ったものなんですけれども、大学の中には、出願の前に留年、休学させたり、あるいは出願締め切りの後も卒業試験で大量留年させたり、卒業留保を大量に出すことで合格率の数字をよく見せるように操作をしている、そういう大学が多く存在しているんだという御指摘がありました。

 厚労省はこうした事実を認識しているのか、また、認識している場合にはどのようにそれを受けとめておられるのか、事務方から御答弁をいただきたいと思います。

神田政府参考人 お答えいたします。

 歯科医師国家試験の合格率についてでございますけれども、本年二月に実施されました歯科医師国家試験の合格率は、先生提出の資料にもあるとおり、六五%ということでございます。このときの出願者数は三千六百九十一人で、受験者数は三千四十九人ということですので、八五%の方が、出願した後、実際に受験しているということで、出願者に対する受験者の割合が低い大学があることも確かでございます。

 合格発表の際には、各大学ごとの出願者数、受験者数、合格者数、それぞれを発表しておりますので、大学によって出願者と合格者の関係がどうであるかということもわかるようにして公表しているところであります。

 先ほど先生御指摘のありました平成十八年に、厚生労働大臣と文部科学大臣との間で取り交わされました歯科医師の養成数の削減等に関する確認書を受けまして、平成二十一年に、文部科学省の有識者会議におきまして、国家試験の合格率の低い大学だけではなくて、すぐれた入学者の確保が困難な大学や留年の学生の多い大学などの入学定員などの見直しを含めた提言が取りまとめられているところでございまして、歯科医師の養成について、厚生労働省としても、文部科学省と連携しながら、改善が進むように努力していきたいと考えております。

大西(健)委員 今、医政局長からお話があったように、大学別というのが出ています。見ると、国公立大学と私立の大学で大分状況が違っていまして、今私が指摘したような、合格率をよく見せる操作と思われるような数字が出ているのは、私立の大学においてそういうことがどうも行われているんじゃないか。

 例えば、これはある大学ですけれども、受験者数が四十二名で合格者が二十五名なので、合格率五九・五%というふうになっています。しかし、これをよく見ていくと、十一月の出願締め切り時の志願者数というのが出ているんですけれども、これを見ると百二十名なんです。実際に受験したのは今言ったように四十二名ですけれども、十一月の出願締め切り時の志願者数は百二十名。それから、先ほど申し上げたように、出願前に既に留年、休学とかをして、二十一名出願させていない。本来の六年生の学生数は百四十一名、仮にこの数字を分母にした場合の合格率を引き直すと一七・七%、非常に衝撃的な数字になるということなんですね。

 私立大学だけをとると、先ほど言われたように、例えば千八百三名が出願しているんですけれども、受験しているのは千二百九名なんです。ですから、私立の六年生の実数は千九百四十五名、そこから実際に国家試験まで到達できているのは六二・一%、つまり、私立の歯科大学の学生の四割弱は国家試験の受験すらできていない、これが現実なんです。

 これを見たときに、私は、やはり私立の大学では、六年間勉強しても四割は国家試験を受けることすらできない、また、ある大学、今私が具体的に申し上げた大学では、六年生の二割に満たない人しか国家試験に受からないということになると、一体、大学教育というのは何をやっているんだろうという、その教育の中身の問題になってくるのか、それとも、やはり入り口をしっかり絞らなきゃいけないんじゃないか、入学定員を思い切って削減するしかないんじゃないか、こういう話になってくるのではないかというふうに思うんですけれども、きょうは文科省の樋口政務官にお越しいただいておりますので、御答弁をいただきたいと思います。

樋口大臣政務官 国民から信頼される確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するために、歯学教育の充実を図っていくことは重要であるというふうに認識をしております。

 先ほど来答弁のあっておりますけれども、平成二十一年に有識者会議を立ち上げました。その後に、それに関するフォローアップ調査を行っております。各歯学部における教育の改善充実の徹底を図ってきたところでございまして、昨年三月に取りまとめたフォローアップの調査結果では、臨床能力に関する試験の実施や体系的な歯学教育の進展等、教育の質の一層の向上が見られた、また、入学者選抜競争倍率の向上等、改善が確認をされたところでございます。

 他方、御指摘のように、修業年限内での卒業者が少ない、また、歯科医師国家試験の合格者の割合が低い歯学部もあるということは課題として認識をしておりまして、実態をしっかりと把握した上で、さらなる改善方策に取り組んでまいりたいと思っております。

大西(健)委員 今私が指摘したように、六年生の二割に満たない人しか合格できないというのは、これはやはり、そういう大学はどうなんだろうというふうに率直に言って思わざるを得ないというふうに思いますので、そこはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 お忙しいと思いますので、政務官、結構でございます。

 次に、資料の二ページ目、「働き方改革で残業減、懐直撃」という見出しの記事があります。これは、足元で現金給与総額が十カ月ぶりに前年同月を下回った、これは残業時間が大きく減ったことが影響しているんじゃないかというような趣旨の記事であります。

 残業代を含む定期給与が減ると、ほぼ同額の消費を抑える傾向があるというふうに言われております。生活設計に残業代を織り込んでいる家計では、家計支出の見直しに動く可能性もある。一方では、残業が減れば自由な時間ができて消費がふえるんじゃないか、こういう見方をする人もいます。

 そこで、厚労省にお聞きしたいと思いますが、まず、残業代が給与総額に占める割合が大体どの程度なのか、また、残業代が減って手取り給与が減ることが家計や消費に与える影響をどのように見ているのか、事務方から御答弁をいただきたいというふうに思います。

山越政府参考人 厚生労働省が実施をしております毎月勤労統計調査の平成二十九年三月の確報によりますれば、一般労働者、これはパートタイム労働者を除いた労働者でございますけれども、決まって支給する給与が三十三万四千五百四十七円、所定外給与が二万七千二百九十五円でございますので、所定外給与が決まって支給する給与に占める割合は、約八・二%でございます。

 それから、給与の中には、特別に支払われる給与、賞与などもございますので、これも加えて考えますと、給与総額に占める所定外給与の割合は八・二%よりもさらに小さい割合になるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、長時間労働の是正が経済の好循環と両立するためには、時間当たりの生産性を高め、働く方がその成果に見合った賃金をもらえるようにすることが重要であると考えているところでございます。

大西(健)委員 今、八%程度という話がありましたけれども、この記事の中では七%程度と出ていますけれども、いずれにしろ、そのような水準だと思います。それがそのまま落ちてしまうと、当然のことながら、手取り給与が減って、消費にも影響を与えるということだというふうに思います。

 やはり、地元でいろいろな皆さんと話していたり、あるいは組合の皆さんと話していると、働き方改革で残業代が減って収入が減るのは困る、こういう声があります。

 この点、一般にブラック企業が多いと言われるIT業界において、残業時間を激減させると同時に、増収増益を続けて注目をされているSCSKという会社がありますけれども、ここも最初はなかなかうまくいかなかった。最初はなかなかうまくいかなくて、例えば、従業員の方も最初のうちは、経営者側は給料を抑えて経費も販管費も減らしたいから残業を減らせと言っているんだろう、こういう疑心暗鬼だった。そこで、社長みずから、うちは、例えば五十時間の残業を二十時間に短縮できたら、三十時間の残業代分は全部翌年のボーナスで戻す、だから、収入、経済上の心配は一切するなと、社員にこのようにメッセージを送ったそうです。

 働き方改革を成功させるためには、このSCSKのように、労働時間を削減して残業代が減った分は、利益が維持できているんだったら、それは全額賞与に上乗せして従業員に還元する、これが私は不可欠だというふうに思います。会社としては、残業が減っても、仕事の生産性が上がって業績が維持できれば問題ないわけですし、むしろ、社員の採用だとか定着を考えた場合には、残業が少ないということは高評価を受けることにもつながるというふうに思います。

 こうした取り組みを行う企業を何とか応援できないのか。例えば、税制の優遇措置とか、そういったインセンティブの仕組みを検討することが必要ではないかというふうに思いますが、大臣、この点、どのように思われますでしょうか。

塩崎国務大臣 給与とは何ぞやということにかかわる大事な問題を提起していただいていると思います。

 基本給の水準とか賞与のあり方を初め、給与体系全体は、やはり労使の間で交渉を通じて決められることで、少なくとも制度として何か政府から一つの形を押しつけるようなことは余りなじまないというふうに思います。

 インセンティブというお話でございますけれども、給与というのはGDP統計でも付加価値ということでありますので、付加価値というのは何かといえば、やはりアウトカムがあって、それを評価して、それに見合った給与を払うということだろうと思います。

 先ほど局長から申し上げたように、時間当たり生産性が高くなって、収益、先ほど大西先生もおっしゃいましたが、言ってみれば、長時間労働を短くして生産性を上げて、時間当たりのアウトプットが高くなる、そういう意味で生産性が上がるということであれば、働く方の成果に見合って賃金が支払われるわけでありますので、それが結果として、基本給であったりボーナスだったり、いろいろな形で出てくるんだろうと思います。

 ですから、大事なことは、一人一人が公正な評価を受けて、それに見合った処遇を受けるということで、やはり時間ではなくて成果が大事で、それをきちっと評価した上で給与がふえていくということは、実は企業にとっては、競争力が増して、収益力が増して、そしてその裏に生産性の向上というのがあって、それが賃金をアップするという、言ってみれば、働く喜びと成長の好循環を実現することがやはり大事なんだろうな。

 SCSKも、これは、残業代を切った分、実は、多分生産性も上がって、収益力も強くなって、競争力が増して、その分賞与に加算をしたということが起きたのではないかというふうに推測されるわけでございますので、もちろん短期的な問題はともかく、長期的にはやはりそういう方向なんだろうというふうに思います。

 そういう意味では、生産性を上げるためにどういう政府としてのバックアップができるのかというのは、私どもも、今回、特別会計の雇用保険の法律についても生産性の向上というのを初めて入れ込んだということでございます。

大西(健)委員 この問題で成果主義を強調するのはちょっと違うような気がしますが、さっきも言いましたように、残業が減っても、生産性が上がって業績を維持できれば会社としては損はないわけですから、ですから、その残業代の支払いが減った分は賞与に還元する、そのことによって、また自由な時間ができているわけですから、そこで家族と過ごしたり、あるいは健康的な何かをやる、自己研さんをする、それがまた生産性につながっていくという好循環なんだというふうに思います。

 少しずつではありますけれども、こうした企業はふえてきています。例えば、私の地元に株式会社キャッチネットワークというケーブルテレビ局があります。ケーブルテレビですけれども、いわゆる放送業界ですから、かつては残業も多かったと。

 私は会社の中を案内していただきましたけれども、全社的にフリーアドレスになっていて、カフェとかがあって、休憩所も非常にきれいで、リラックスできるような、そういう施設整備もしています。あと、この会社でも、社長が、残業が減ったら臨時ボーナスで社員に還元するから、手に入れた自由な時間の一部は自己研さんのために使ってほしいということを社員に伝えていると。その結果、残業時間を減らす一方で、売り上げ、経常利益ともに伸び続けているということであります。

 こういう成功事例をふやして、共有していくことは必要だと思いますけれども、ただ、ほっといても、自主的にできるところだけやってくださいと言っても私は拡大していかないと思いますので、そういう意味で、先ほども申し上げましたけれども、何かインセンティブがあればいいなというふうに思っておりますので、これはぜひ、引き続き検討していただきたいと思います。

 次に、建設業界における働き方改革についてお聞きをしたいと思います。

 これも、先日、地元のある建設会社の役員の皆さんと働き方改革について意見交換をさせていただきました。やはり建設業界も、今後、そういう働き方改革をやっていかなきゃいけない。だから、前向きな意味でいろいろな検討をされています。

 そのときにも話が出たんですけれども、次の資料の新聞記事にもありますように、現在、国交省は、公共工事において週休二日を取得できるように、工期に余裕を持たせた現場をふやして、その際、例えば機材のリース代の増加分はちゃんと面倒を見るとか、こういうような取り組みをやっています。そして、この新聞記事にありますように、週休二日を取得できる現場の数を昨年度の十二倍にふやす、こういう方針を固めたというような報道も出ております。

 これは若者の建設業界離れを食いとめる上でも、公共工事において率先してこういうことに取り組むということは、私は大変いいことだと思います。ただ、やはり建設会社の役員の皆さんからは、公共工事でそれをやるのはわかるけれども、民間工事においては、例えば適正な工期の確保やその際のリース品等の費用負担については、各発注者の経営判断によって行われている、だから、その理解や協力を得ることはそんな簡単じゃないんじゃないか、こういうさめた反応がありました。

 この週休二日工事を民間工事に波及させていく具体的な方策について、どのようなことを考えておられるのか、きょうは国交省の根本政務官にお越しをいただいていますので、政務官の方から御答弁をいただきたいと思います。

根本大臣政務官 建設業においては、他産業では当たり前となっている週休二日の確保が十分ではないことが長時間労働の原因の一つとなっております。建設業をより魅力ある産業として、将来の担い手を確保するためにも、週休二日の確保は非常に重要であるというふうに考えております。

 国土交通省では、まず直轄工事から率先して取り組むこととしており、平成二十九年度においては、週休二日の対象工事を約二千件で実施する予定です。

 こうした直轄工事の取り組みを地方公共団体にも周知し、公共事業における週休二日の確保を図ってまいります。

 また、公共工事のみならず、民間工事においても週休二日を実現していくために、まずは発注者の理解と協力が不可欠であります。

 三月に策定されました働き方改革実行計画では、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するなど、必要な環境整備を進めることとされており、国土交通省では、関係省庁と連携して、民間発注者の理解と協力が得られるよう努めてまいります。

大西(健)委員 残念ながら、理解と協力を得ることに努めてまいりますということですけれども、やはり具体的な話はなかったんですね、今の御答弁。そうはいうけれども、民間はそれぞれの経営判断でやっているんだから理解してくれと言われても、それはなかなか難しいよ、具体的な話がないと難しいよという話だったんだというふうに思います。

 まだ具体的な話はないということがわかりましたので、ぜひそこは、そういうふうに協議会で言っていただくことは結構ですけれども、やはり具体的にやっていただきたいなというふうに思います。

 政務官、結構ですので。

 ほかにもいろいろ問題があって、先ほど私は、残業代が減ったら賞与に上乗せすべきという話をしましたけれども、例えば建設現場は、日給制の職人さんというのがいます。こうした職人の手取りが減ってしまう、これも建設特有の問題じゃないかと思うんですけれども、これに対して、国交省は何か対策というのがあるんでしょうか。

木原政府参考人 お答えいたします。

 週休二日の導入によって収入が減るかどうかは、いわば労働契約次第であり、労使が自主的に決定すべきものではありますが、一般論として、日給制の場合、週休二日の導入により、労働者の勤労日数が減少し、収入が減る可能性があることは認識しております。

 また、建設業界では、日本建設業連合会において週休二日推進本部を設置し、本年四月に週休二日推進の基本方針が定められておりますが、この中で、当面の検討課題として、稼働日数が減少しても建設技能者の総収入が減らない方策のほか、生産性向上、工期、価格のダンピング排除等の自助努力などが取り上げられております。

 先ほど政務官から答弁がございましたとおり、建設業における週休二日の推進等の休日確保などにつきまして、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置することとされておりますが、以上のようなことも踏まえつつ、官民で総合的に検討してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 これについても、日給の人は減るということは認識しておりますということですけれども、やはり具体的なところがないんですよね。だから、結局、現場の人と話していると、要は、政府、国はきれいごとを言っているけれども、では、実際にはどうやってやるのかというような感じで、非常にさめたふうに受けとめられているんだと思います。

 同じような話、現場の皆さんとお話しすると言われてしまうことは、自分たち民間にはやれやれと言っておいて、国はどうなんだ、こういう不信感があるように私は感じました。

 例えば建設業界は、先ほど来言っているように、工期が決まっている、それから、雨が降ったりとか、寒い、暑い、いろいろな季節的要因で作業ができなかったりおくれたりする、こういうことで残業がどうしても起きてしまう。

 では、例えば国家的事業、東京オリンピック・パラリンピック、もうこれは時期が決まっている、関連の工事がある。これも、ちゃんと労働時間規制を守った上で、本当に工期内にちゃんとできるのか。これは、大西さん、ちょっと聞いてくれと言われましたので、労働時間規制とかを厳守した上でちゃんとできるのかということについて、国交省にお聞きをしたいというふうに思います。

木原政府参考人 お答えいたします。

 建設業における時間外労働の上限規制の適用に当たりましては、天候等の自然的条件による現場の不稼働日の考慮や、準備や後片づけの期間の確保等、適正な工期の設定が不可欠でございます。

 先ほども申し上げましたが、働き方改革実行計画に基づき、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置する等の必要な環境整備を進めていくこととされております。

 国土交通省としましても、厚生労働省等の関係省庁とも連携しながら、適正な工期設定に向けて、関係者の理解と協力が得られるように努めてまいります。

 あわせて、長時間労働を是正するためには、担い手の確保、育成や生産性向上に取り組むことも必要であり、国土交通省としても、建設業界への支援等を通じて、これらの取り組みをしっかり進めていきたいと考えております。

 いずれにしましても、発注者の理解と協力を得ながら、関係者が一体となって長時間労働の是正に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

大西(健)委員 今の答弁は聞いたことについて全く答えていただいていないんですけれども、私が言っているのは、具体的には東京オリンピック。もう日にちは決まっています。おくらせるわけにはいかない。この工事でもちゃんと労働時間規制というのは守るんですよねということを聞かれたときに、やはり私も、ううんと思ってしまうんですね、もちろん守らなきゃいけないわけですけれども。

 では、厚労省に再度聞きたいと思いますけれども、これはしっかり守ってもらう、その中でちゃんと工期を守ってしっかりやっていくんだ。これは国が率先してやらないと、逆に言うと、さっき言ったように、民間にやれやれと言っているけれども、あんたらちゃんとやるんだろうねということを言われているわけなので、この点、厚労省にお聞きをしたいと思います。

山越政府参考人 建設事業でございますけれども、現在の時間外労働の限度基準告示では適用除外となっているところでございますけれども、実行計画では、この建設事業につきましては適用除外とはしないわけでございますけれども、改正法の一般則の施行期日の五年後に、この一般則を原則として適用するということでございます。

 したがいまして、この猶予期間中に関係省庁とも協力いたしまして、先ほども御答弁がございましたような、発注者を含めた関係者での協議会の設置や、労働時間の短縮に向けた段階的な取り組みを推進することにより、こういった一般則の適用を目指していきたい、こういうことでございます。

大西(健)委員 確かに、臨時国会に出て、法律が成立して、施行日が決まっても、オリンピックそのものにはかからないのかもしれませんけれども、国家的事業のオリンピックにしろ、あるいは最近厚労省も何か一斉消灯みたいなことをやろうとしているということですけれども、やはり民間にやれやれと言うからには、国もちゃんとやるんだよねというふうに見られているということは、こういうのは地元に行くと言われますので、ぜひ心してやっていただきたいと思います。

 最後に、解雇の金銭解決についてお聞きしたいと思いますけれども、二十九日、厚労省の透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会が報告書をまとめました。

 報告書の中には、「この検討会における委員のコンセンサスが必ずしも得られたわけではなく、」とか、「金銭救済制度を創設する必要はないとの意見があったことを、今後の議論において、十分に考慮することが適当である。」といった記述が見られます。

 これを見る限り、一年半議論しても、私はコンセンサスが得られたというふうには全く見えないというふうに思います。厚労省は、労政審で夏にも議論を始めたいとしていますけれども、こんな生煮えのまま労政審に上げても、私は着地点は見えないというふうに思います。

 そもそも、これは労政審に上げるだけの前提条件が整っていないんじゃないか。今申し上げましたけれども、コンセンサスが必ずしも得られたわけではないとか、必要ないとの意見があったことを十分に考慮することが適当である、ここまで書いているわけですから、労政審に上げるところまでまだ行っていないんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 検討会では、金銭救済制度についていろいろな意見があって、制度の必要性はないという御意見もあれば、選択肢を設ける必要があるという意見も、幅があって報告書はまとめられたというふうに思います。

 さまざまな御意見を踏まえつつも、最終的には座長が、個々の論点等に関する御異論がある場合はその御意見を付しつつ、委員の御意見を踏まえて、全体として一定の方向性を出すべき点についてはその方向性を記載するといった方針で取りまとめが行われまして、報告書の取りまとめについて委員各位の御理解を得られたものと私どもは思っています。

 この議論の出発点となった日本再興戦略において、本検討会での結論を得た上で労働政策審議会での議論を経て、所要の制度的措置を講ずるとされておりまして、また、検討会の報告書も踏まえると、今後は労働政策審議会で議論をしていく必要があるというふうに考えるわけでございます。

 その際、報告書にもありますけれども、多様な意見を十分に考慮し、また労使の意見も十分に聞きながら、検討を進めなければならない、このように考えております。

大西(健)委員 例えば、制度をつくるのはつくろうよ、その制度の詳細については労政審で議論しましょうというならわかるんですけれども、必要性について真っ二つに割れている状態で労政審に上げたって着地しないと私は思うんですね。

 だから、そういう意味では、まさに一年半も議論したけれども、必要性についても真っ二つに割れている状態なんですよ。だから、これで労政審に上げたって私はなかなか厳しいんじゃないかなと思います。

 ただ、百歩譲って、では、労政審で議論を続けるにしても、私は、例えば使用者側からの申し立てについては、これはもうそこでの議論の対象から外した方がいいと思っています。

 検討会でも、「政府が検討対象から除くと言った「事前型」に近い構造を持っているという点で非常に問題」という意見がありました。そして、報告書にも「使用者申立制度については、現状では容易でない課題があり、今後の検討課題とすることが適当であると考えられる。」とあります。「現状では容易でない課題があり、」という表現はかなり強烈な表現だと思います。

 私の理解では、「今後の検討課題」の今後というのは、今回の労政審における検討ではなくて、将来における課題として先送りする意味ではないかというふうに理解するんですけれども、そういう理解でいいのか。つまり、使用者側申し立て制度は労政審での検討対象にしないというふうに私は理解しますけれども、大臣、それでいいのか、お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今、大西委員から御指摘がありましたとおり、使用者申し立て、この問題につきまして、当初、報告書たたき台におきまして、このように書いてあって、「現状では導入は困難であり、今後の検討課題とすることが適当」とされていたわけでありますが、最終的にはこうなりました。「現状では容易でない課題があり、今後の検討課題とすることが適当」。つまり、「今後の検討課題とすることが適当」ということは変わっていない、こういうことでございます。

 検討会報告書において、使用者申し立ては、「現在の解雇法制との断絶は、労働者申立と比較して格段に大きい。」等の指摘があり、「現状では容易でない課題があり、今後の検討課題とすることが適当」、こうされたわけでありますが、さらに、金銭救済制度の必要性について、「労働者の多様な救済の選択肢の確保等の観点からは一定程度認められ得る」という結論とされたところでございまして、それを踏まえますと、労働政策審議会における議論においては、労働者申し立てについて検討を深めていくということが適当だというふうに我々は考えているところでございます。

大西(健)委員 時間が来たので終わりますが、つけてある新聞記事にも引いておきましたが、今大臣の答弁にあったように、原案は、導入は困難となっている、原案どおりだったら、まさにこれはもうこれで終わりということですけれども、現状においては容易でない課題があるため、今後の検討課題ということですけれども、私は、この今後というのは、この夏からも始まるという労政審の議論ではなくて、さらにその先の課題という意味だというふうに考えるべきだと思いますよ。

 百歩譲ってということですけれども、私は、そもそも労政審に上げるような状況、煮詰まっていないというふうに思いますし、仮に労政審で議論するにしても、使用者側申し立てというのは今議論するところまで来ていないというふうに思います。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

丹羽委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、一般質疑ということで、化学物質過敏症について質問したいと思います。

 厚生労働委員会で取り上げるのは初めてですけれども、二月二十二日の予算委員会第六分科会で、環境大臣、厚労省、内閣府などに質問をいたしました。そのときの厚労省の答弁は、化学物質過敏症は病態が不明で診断基準も確立されていないということで、全国に専門外来がどのくらいあるのかという質問に対しても、調べていないという、ちょっと残念なものでありました。ただ、個々の要求については、前進的な答弁があったかなと思っております。

 そこで、資料の一枚目を見ていただきたいと思うんですが、これは、一九九七年の八月に、まだ厚生省の時代ですね、厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班が発行したパンフレット、「化学物質過敏症 思いのほか身近な環境問題」の抜粋であります。本体は結構おどろおどろしい色を使っていますので、ちょっと見やすい部分をとったわけですけれども。同年の三月に研究報告書が出されておりまして、北里大学の石川哲名誉教授が化学物質過敏症の診断基準をここで公表したということが周知の事実ではないかなと思っております。

 それで、原因物質を見ていただきたいと思いますが、家の周りにたくさんのものがありまして、洗浄剤、漂白剤、芳香剤、食品添加物、シロアリ駆除剤、除草剤、殺虫剤、さまざま、こういう形で、身近なところにあるんだよということを指摘して、これらが本当に微量であっても原因物質となって変調を来すということが言われてきたと思っております。

 また、二〇〇九年に、化学物質過敏症は、診療保険請求の際の、傷病名マスターというんだそうですけれども、病名としても認められていると承知をしています。それなのに、現状が極めて厳しいと思います。

 二月の質問のときには、患者の会のアンケートも示して、病気が理解されないために病院をたらい回しにされたり精神疾患の扱いをされるという苦しい声を紹介しました。

 その質問を見た方から次々と、全国各地から陳情が来ています。

 病院に行っても、CSだと言っても認知がなく大概の先生は専門外だとスルーされる。保健所に相談に行ってCSについて伺った、でも、そんなことは聞いたことがないと目の前に患者がいるのにそう言われるというんです。しかも、せっかく資料も持っていったんだけれども見てさえくれなかった。あるいは、発作が出て救急車を呼んだんだけれどもどこにも運ぶ病院がないと断られた方もいるわけです。こういうことを、みんな、苦しい思いをしている人がたくさんいらっしゃるわけなんです。

 そこで伺いますが、大臣は化学物質過敏症についてどのような認識をされているでしょうか。また、今紹介したような、二十年たってもまだ専門外来もわかりませんなどといった対応でよいのでしょうか。

塩崎国務大臣 二月の衆議院の予算委員会の分科会でお取り上げをいただいて、厚労省から答弁を申し上げた、余り御満足をいただかなかったというふうに報告を受けております。

 かつて、シックハウス症候群なんという言葉でも言われていたことにもつながる、いわゆる化学物質過敏症について、先ほど引用していただきましたが、病態あるいは発症メカニズムが未解明な部分が多くて、医学的になかなか確立された定義とか診断基準が存在していないというふうな認識でおるわけでございます。

 御指摘の、例えば専門外来といっても、ある特定の疾患に対して専門的な相談や治療を行う外来のことであるわけでしょうから、そうなると、化学物質過敏症というのは、先ほど引用していただいたように、病態が不明な点が多く、診断基準も確立されていないということになりますと、化学物質過敏症について、専門外来の数を把握するということはなかなか困難であり、今確たることを申し上げることがなかなか難しいという状況でございます。

高橋(千)委員 名誉のために申し上げますが、大臣、今、御満足いただけなかったようだとおっしゃいました。

 無理を言って馬場政務官に出席をしていただいたんですけれども、そのときに、私が質問したのは、精神疾患扱いをされて投薬されている、これが、必ずしも薬が合っていない場合も多いし、また、そのことによって悪化することもあるんじゃないかということを質問したのに対して、政務官が、「議員御指摘のとおり、患者の状況によって向精神薬の処方が適切な場合もあれば、適切でない場合もあるというふうに考えます。」こう答えていただいたのは、私、とてもよかったと思っています。

 それから、「化学物質過敏症は病態もさまざまであることから、より一層、患者の病状や病態を適切に確認して治療に当たる環境が実現できるよう目指してまいりたいと存じます。」こう言った。私、これは大変前向きな答弁だと思うんです。

 今、わからないから、専門外来を決められないからと言ったら、一歩も前に進まないんです。だから、前に進めようという努力を、決意を大臣が持っているのかということをまず伺いたかった。幾ら何でも、政務官がお答えしたことを、それよりも大臣は後ろ向きですということはあり得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 馬場政務官と私も同じ考えでございます。

高橋(千)委員 資料の最後のページを見ていただきたいと思うんですね。これは茨城県のホームページなんですけれども、茨城県化学物質過敏症対策連絡会事務局が担当課の一覧を載せています。

 県のホームページというのは全部の県にあるわけではなくて極めて限られているんですけれども、これを見ていただくと、住宅ですとか学校ですとか家庭用品、それぞれ、関係する法律がこれである、制度がこれである、それで基準はここを見るとわかる、担当課を明示して、相談窓口は保健所へ行きなさい、こういう連絡先が書いてある、このこと自体が、私、すごく大事だと思うんです。

 国は、関係する省庁をまとめて、そこを見れば、いろいろなことがあるんだけれども、一覧がぱっと出てくる、まずそのくらいやってほしいなと思うんです。

 そして、資料を一枚前に戻っていただきたいんですが、自治体のホームページ、どこかいいところがないかなということで、大臣のお地元の松山市がとても親切なホームページをつくっているので紹介をさせていただきます。

 「「シックハウス症候群」とは」と書いてあって、その次に「「化学物質過敏症」とは」ということで、

  建材や内装などから放出される化学物質だけでなく、家庭用品などの日用品に広く含まれる多種多様の化学物質にも敏感に反応して、様々な症状があらわれる方がいます。

  一度ある程度の量の化学物質にさらされるか、あるいは低濃度の化学物質であっても長期間さらされて、いったん過敏状態になると、それ以降は、ほんのわずかな量の物質にも過敏に反応するようになります。

  個人差が非常に大きく、原因物質や発症の仕組み等、まだまだ未解明な部分が多いとされています。

未解明な部分が多いけれども、少量でもなるよということや、長期間でなるよということをきちんと書いて、症状は目や鼻や頭痛やさまざまなことを書いて、そして、大事だなと思うのは、医療機関の情報を書いています。やはり、国立病院機構高知病院、福岡病院、それから、関西ろうさい病院ということで尼崎の病院を紹介して、窓口はいずれも保健所である、電話番号も書いてある。こういうふうに、少なくともたどり着くというふうにしなければならないと思うんですね。

 患者らが求めているのは、化学物質過敏症委員会のような対策委員会が欲しいということなんです。まず、窓口をつくっていただきたい、そして、こうやって大臣の御地元で病院を紹介しているように、整理をするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 御指摘の化学物質過敏症について、先ほど来申し上げているように、医学的に確立された定義や診断基準が一つとして存在をしているということではなくて、今お示しをいただいた茨城や、あるいはこの松山もそうですけれども、いろいろなものがあり得るということが書かれているわけでございます。

 そういう意味では、化学物質過敏症ではないかというときにワンストップで相談できるようなそういう窓口があって、なおかつ、一定程度の、この茨城などを見ますと、原因と推定されるような物質についても書かれているわけでありまして、そういう意味で、自分はそうではないかと思う方々にとっては、病院に、医療機関にかかりやすいようにしておくということは大変大事だろうと思います。

 私どもとしては、やはり、研究によって疾病概念というものを整理する、そして患者の状況を、それぞれジャンル分けができるんだろうと思いますけれども、詳細に把握するということをまずしっかりやって、さらに、必要に応じて関係省庁と情報の共有を図りながら、疾病概念の確立などに向けて研究を支援するということをやっていかなければならないと思います。

 いろいろなものがあり得るわけでございますので、関係する省庁、環境省はもとより国交省やその他関係するところと連携をしっかりやっていくということで、それではないかと疑われる方々にとって、一つは病院に導きやすくするようにすることと、何よりも、病院にとってもプラスになる研究をサポートしていくことだというふうに思います。

高橋(千)委員 少し前向きに、ありがとうございます。

 四月の末に、国立病院機構盛岡病院の化学物質過敏症・環境アレルギー外来、こういうふうに表示しています、訪問をしました。専門医の水城まさみ先生、本業は呼吸器内科でありまして、診察も病棟対応も、つまり、こればかりやっているわけじゃなくて、さまざまな仕事をしていらっしゃいます。

 そうした中、新患の予約が殺到しているわけですが、三カ月待ちだということなんですね。電話の先で、三カ月待ちですよと言われると、途端に泣いてしまう、とった電話そのまま、延々と電話口で療養相談のようになってしまう。やっとたどり着いたのに、まだ待ってくれと言われるわけですね。

 そして、今受診している方も、三カ月に一回通っているんです。福島だったり、岡山だったり、北海道だったり、秋田だったり。福島の方は、医大がありますけれども、呼吸器内科でどこも悪くないと言われ、転々として神経内科に行き、盛岡病院にたどり着くんですけれども、診断してもらって初めて病名がやっとわかった。わかった、それだけでも、まだ治ってないんですけれども、どれだけ患者さんにとって大きな意味があるかなというふうに思うんですね。

 アンケート方式の問診票を使い、これはもう確立したものでありますけれども、治療のポイントは、解毒と原因物質の除外、そして周囲の協力であります。家族が、結局、芳香剤をずっと使っているとかでは意味がないわけでありまして、ワックスがけをせず、空気清浄機を置き、アースを使って、電磁波対策ですけれども、それだけでもかなり違う、でもすごく特別なことをやっているわけではないということを改めて思ったわけです。

 資料の二枚目には、水城先生が建築ジャーナルの五月号に寄せたレポートの中の資料であります。建築専門誌ですので、主にそこにかかわる、シックハウスなどにかかわる分野なんですけれども、見ていただくとわかるように、自宅の新築や転居、リフォームなどをきっかけに、今まで何の症状もなかった方が化学物質に反応している、発症しているというのが特徴であります。それから、その他のところに、職場での受動喫煙というのが四名もいらっしゃるので、受動喫煙もれっきとした化学物質の反応であるということを、これはぜひ御承知いただきたいと思います。

 それで、シックハウス症候群からCSになり、また電磁波の影響もかなりあるという指摘がされています。厚労省の直轄でもある国立病院機構でこのような貴重なデータを積み上げている、ここをぜひ参考にしていただきたいと思います。

 さて、そうした意味で話を進めていきますが、化学物質と労災はどのような考え方で整理されているでしょうか、また、どのくらい認定されているでしょうか。

山越政府参考人 労災保険制度におきましては、補償の対象となる具体的な化学物質の名称と当該化学物質にさらされる業務によって生じます疾病を省令などで明らかにしているところでございます。

 化学物質による疾病として労災の請求があった場合でございますけれども、まず、その労働者が使用していた化学物質を特定すること、そして、その事業場での化学物質の使用状況あるいは作業環境の調査を行います。そして、労働者に生じた症状等を確認いたしまして、業務上の疾病であると認められる場合には労災認定をすることとしております。

 平成二十七年度において、がんを除く化学物質等による疾病として労災認定をした事案は百九十二件でございます。

高橋(千)委員 今、一年分しかお話ししてくれなかったわけですね。

 三年間の数字をいただいていますが、二〇一三年から見て、二百十八件、翌年が二百二十八件、そして二〇一五年が百九十二件ということで、コンスタントに二百件前後の労災があるということ、化学物質の病名ではなく、暴露によって認められているということがあったと思います。

 資料の三枚目に、厚労省が新規化学物質の有害性の調査をどのように扱っているのかというのを表にしておきました。

 新規の届け出があった物質について、名称等を公表するということと、学識経験者の意見を聞いて必要な対策を事業者に対して措置を、例えば換気ですとかマスクですとか、さまざまなことをやっているということで、化学物質にもいろいろ危険度というのがあって、ピラミッドの形をしていますけれども、届け出物質が年間一千物質以上、累計で約二万八千物質になっているということでは、かなりの化学物質にかかわって労働者が仕事をしているということだと思います。

 また、大臣告示によって、官報に告示がされますけれども、例えば、アンモニアであると皮膚障害ですとか、塩酸であると皮膚障害、前眼部障害というように、症状というのが一定こんなものがあるよということを告示されています。

 ですから、そういう化学物質とどんな症状があるのかということがまず厚労省として告示をしていること、同時に、そのことを参考にして労災も毎年二百件程度の認定をされていること、もちろんたどり着いていない人もいるんですけれども、そういう積み上がった知見を、先ほど来化学物質過敏症の診断はまだ確立していないということが言われておりますけれども、やはりそこは共有して知見を生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山越政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども御答弁をいたしましたように、労災補償でございますけれども、今先生もおっしゃいました省令あるいは告示にその病名とかあるいはその疾病が記載をされているわけでございまして、労災認定に当たりましては、そういった物質が使われているかどうか、そういった症状があるかどうか、そしてその間の因果関係があるかどうかということを調べまして、認定をしているところでございます。

 そうしたことで、引き続き労災認定を的確に行っていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ですから、的確に行って、その知見を、やはり、全体の治療方法を見つける、あるいは診断を確立していくという点に生かすべきだ、同じ厚生労働行政ですからということを提案しています。これは通告していませんでしたので、大臣にもぜひ聞いていただいて、生かしていただきたいと思います。

 では、次に文科省に質問いたします。

 まず、化学物質過敏症の子供が一体学校にどのくらいいるのか、わかっていたら教えていただきたいし、わかっていなければ調査をすべきではないかということです。それから、子供たちの学習が可能になるためにどのような対応をしているのか、教えてください。

瀧本政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる化学物質過敏症の調査につきましては、医療機関の診察を受けている子供がいる一方、医療機関の診察を受けずに罹患している子供もいるため、正確な人数を把握することは極めて困難であることから、調査の実施については予定をしてございません。

 他方、さまざまな症状に苦しんでいる子供たちに対して、個別の対応策を講じることで学習機会を確保することは極めて重要なことと考えております。

 このため、文部科学省におきましては、化学物質過敏症の子供たちへの対応等につきまして解説をする参考資料を作成し、その中において、具体的な対応方法を示しているところでございますが、例えば、換気設備の常時運転や積極的な換気による化学物質の放散、あるいは、教科書の天日干しをするための教科書の早期提供、さらには、化学物質を放散する可能性の少ない備品等の購入や教室等の変更あるいは保健室での休養など原因物質の発生場所からの回避、さらには、症状によりやむを得ず指定された学校への通学が困難な場合には保護者の申し立てによる学校の変更などを示しているところでございます。

 これらを参考にしまして、化学物質過敏症の子供が在籍する学校におきましては、当該子供の症状に応じ個別に対応しているものと認識をしているところでございます。

 文科省としましては、今後とも、さまざまな機会を通じまして、化学物質過敏症の子供への対応が促進されるよう、指導に努めてまいります。

 以上です。

高橋(千)委員 予定していないという断定的な答弁は極めて残念だと思います。ぜひやっていただきたいと思うんですね。

 実態がわかっていないのに、個別に対応してくださいと。どうしているかがよくわからないわけですよね。病院でさえも、うちは専門外だといってスルーされる状態なのに、学校で十分な対応ができているのかということをやはり指摘をしなければならないと思うんですね。

 それで、資料の四枚目に、今紹介された中にあったと思うんですが、文科省が出している「健康的な学習環境を維持管理するために 学校における化学物質による健康障害に関する参考資料」というパンフレット、これは平成二十四年の一月に出されたものであります。この中の第四章、「いわゆる「化学物質過敏症」を有する児童生徒等に対する個別対応の基本的な考え方」というタイトルがついています。

 最初の三行のところをちょっと読みますけれども、「極微量の化学物質に反応するいわゆる「化学物質過敏症」を有する児童生徒等の学習環境を確保するためには、その重症度によっては児童生徒等及びその保護者や担任教員等の個人レベルでは対応に困難な場合があり、学校全体や教育委員会等の組織だった連携が必要になること」。個人レベルでは困難だと認めている、組織立った連携が必要だとおっしゃっている。これはすごく大事なことだと思うんです。だけれども、実態はわかっていない、任せている。これは非常に、極めておかしなことだと思うんですね。

 さっき、教科書の天日干しの話がありました。ちょっとめくっていただいて、資料の六枚目に、びっくりしたんですけれども、一般社団法人教科書協会が対応本作成依頼書というのをつくっているんですね。右側に、どんな対応本があるかというと、消臭紙カバーですとか天日干しですとか全ページコピーですとか。ただし、やるのは全部学校か家庭ですということなんですけれども。ただ、天日干しには一カ月かかるので早目に出しますよという意味で、希望をとっているんですね。そして、左側に、その対応が必要なのは何という生徒なのか、何年生で、発症年齢がいつで、どんな状況なのかというのを書くようになっております。

 なるほどなと思った、こういうことを文科省はやっているんだなと思ったんですが、そこではたと気がついたんですが、こうやって個人の情報を集めているわけですよね。そうすると、文科省は実態はわからないんだけれども、教科書協会は何人いるかを知っているということになりませんか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる化学物質過敏症につきましては、さまざまな原因があろうかと思いますが、教科書協会が行っているものについては、教科書の例えばインクですとか接着剤ですとか、そうしたものによるものと思われることから個別の対応を望まれている方に対して、早期にお渡しをしたりとか特別なカバーをという形をとっておりますので、いわゆる化学物質過敏症全体、教科書によらないものも含めて全体としてどれぐらいの数になるかということについては、私どもとしては把握をしていないところでございます。

 以上です。

高橋(千)委員 今、教科書によらないとおっしゃいましたね。だったら、天日干しの教科書を必要とする子供がどのくらいいるのかわかっているんですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、御通告いただいておりませんでしたので、教科書協会でこの調査により把握した数字については、現在、手元に資料はございません。大変申しわけございません。

高橋(千)委員 結局、ないということじゃないですか。

 私は、全部わかってないんだから、そもそも化学物質過敏症というのをまだ厚労省があの程度の答弁しかしないわけですから、文科省に全部、医者じゃないのに答えろと言っているわけじゃありません。だけれども、保護者が訴えていることに対して、なぜつかまないのかと言っているんです。まして、教科書だけは把握しているんですから、教科書協会に聞けばいいだけの話じゃありませんか。そのくらいやるとお答えいただけますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 教科書協会でこの調査で把握している数字については、別途確認をさせていただきたいと思います。

 なお、先ほど、冒頭申し上げましたとおり、一人一人の子供たちのさまざまな症状に対して個別対応していただくための参考資料ということでお配りをしており、そうした取り組みが個々の学校では行われて、子供たちの学習の場を確保するよう努めているということについては御理解をいただけたらと思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 そこで、資料の七枚目を見ていただきたいと思うんです。これは、アレルギー疾患のある生徒個人について、何にアレルギーがあるのか、学校生活上の留意点、緊急連絡先、医療機関などをカード化した学校生活管理指導表というものであります。先ほど来お話ししているように、個々の生徒の対応をするんだとおっしゃっているので、これがまさにそうなんですね。個々の生徒の対応なんです。

 古屋副大臣が何度もアレルギーの問題、熱心に発言をされまして、平成二十六年、全会一致でアレルギー対策基本法をここで議員立法で成立させたわけですよね。

 詳細に書いてあるので皆さんも見ていただければとは思うんですが、こういうことを今やっているんだ。だとすれば、私は、現場の負担を新たにふやすというのは大変だなと心配したんですけれども、アレルギーについてこういう仕組みがあるんです。だったら、とりあえず今わかっていること、教科書のにおいはだめなんだ、あるいは音楽室や図工室だけは行くと非常につらそうにするんだとか、わかることはあるんですよ。そういうのを書き込むことで個人の状況を把握するということを仕組みに乗せていくことは可能なんじゃないですか。それはむしろ教員の負担も結果として減ると思うんですが、いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、学校におけるアレルギー対策においては、学校生活管理指導表を活用しまして、アレルギー疾患を有し、配慮、管理が必要な生徒の把握、あるいは、個々の児童生徒の病の型、症状等に応じた校内での支援方策の策定や、医療機関、保護者など緊急体制の確認等を行いながら、教職員全員の共通理解のもとに適切な対策を講じるように運用をされているところでございます。

 なお、化学物質過敏症につきましては、その症状が多彩であることあるいは原因が特定できていないために、一概にアレルギー疾患と同様の詳細な管理指導表をもって対応することは困難ではないかと考えておりますが、一方で、保護者等が記入をいたします保健調査票というのがございますが、この保健調査票を活用するなどによりまして、学校、保護者、学校医あるいは主治医等と個々の症状について共通理解を持って対応することは重要なことと考えております。

 以上であります。

高橋(千)委員 保健調査票という形で、こんなことを訴えているとか、こういうことを気をつけるという形でやるだけでもかなり違いがあるのではないかと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 それで、改めて伺いたいんですけれども、先ほど私が読んだところ、資料の四に戻るんですけれども、物すごいたくさん、いわゆるという言葉がついているんです。今お答えいただいたときに、いわゆる、ついてなかったんですよね。だけれども、タイトルにもついているし、本文中にも必ず「いわゆる「化学物質過敏症」」という言葉になっております。そもそも、かぎ括弧をつけている時点でいいんじゃないのかと思うんですよね。患者らは、いわゆると言われることがとてもつらいとおっしゃっています。

 先ほど来説明しているように、レセプトデータの傷病名にもなっているわけなんですから、これはもうそろそろ、五年もたったことだし、見直しをして、削除すべきではないでしょうか。

瀧本政府参考人 御指摘いただきました子供たちの学習環境を確保するための参考資料につきましては、第一章の冒頭のところにおきまして、一応定義を置きながら、そこでの考え方の整理として、この中では、「いわゆる「化学物質過敏症」」というということで整理をさせていただいたものであります。

 さまざまな症状、原因等々があり、不明な中で、これを今の時点で外すのが適当かどうかということについては、そのことの是非を含めて検討させていただきたいと思います。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり、これは厚労省の姿勢も問われていると思いますので、ぜひ一緒に、いわゆるを取っていくことでお願いしたいなと思うんですね。

 やはり、背景に何があるかなと思ったときに、この文科省の参考資料は平成二十四年の一月に出されているんですけれども、きのう説明を伺いましたら、平成十六年三月の完成を目途に専門委員会で検討を始めたというんですね。何でそれが八年間たつまで出なかったんだろうと。当時は、シックハウスですとかシックスクールなどが大きな問題となっていた、そういう中で、かなり精力的に議論を始めたと思っているんですけれども、今となっては、では、一体当時の委員は誰ですかと聞いてもわかりませんと言われたし、一片の資料も出てこなかったんです。

 何が、何かと聞いたらいいんでしょうか、あったんでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 この参考資料を作成するに当たっての御質問でございますが、十六年の一月一日に日本学校保健会というところに参考資料の作成委員会を設置しました。しかしながら、先ほどもお答えさせていただいているとおり、原因等が必ずしも明らかになっていない中で、専門家の委員の方々の御議論の中でも、参考資料として学校現場に確たるものとして提供できるような形では想定していたスピード感ではまとめることができなかったために完成がおくれたものと理解をしております。

 以上であります。

高橋(千)委員 でも、それだったら、資料も何もないはずないんですよね。

 私は、ずっとこの病気に苦しんできた方が一番事情を知っているだろうと思って、聞いてみたら、ありました。シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議、平成十四年八月五日に第一回がやられています。

 その中で、やはり、「小児のMCS」、多種の場合の化学物質過敏症ですが、「まだ三例しかなく、日本の小児アレルギーの分野でも化学物質過敏症については客観的に病気であると判断する手法を得ていない。疫学調査、実態調査をどれだけ精度の高いプロトコールを作ってやれるかがポイント」だなということで、かなり消極的な意見が出ています。

 でも同時に、保護者にアレルギーがあると症状が出てくる場合があるねとか、厚労省のシックハウス症候群の基準を下回っているけれども症状が出ている生徒がいるとか、実際どのくらいいるんだろうという議論があるわけですね。

 それから、保護者の方からこういった事例があるという話は伺っているが全国調査を行ったことはない、この調査研究の中で児童生徒の実態を把握したいと考えているという議論があって、部会が立ち上がったんですよね。測定部会と調査部会、二つ。それも、全会一致と書かれています。

 なのに、どうしていまだに調査しないという答えなんですか。

瀧本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げているとおり、文部科学省としては、さまざまな症状に苦しんでおられる子供たちの学習の機会をいかに確保していくかというところを最重要な課題と考えておりまして、そのための対策を講じる、ないしは、そのためのヒントとなるような対応策等については、さまざまな機会に周知をしたり、こうした参考資料の形で提供しているところでございます。

 一方、調査を仮に行うとなれば、その調査対象の定義を決めていく必要がございますが、残念ながら、まだ医学的な面も含めて原因等がはっきりしない中で、どこまでを含めてどこまでを含めなくていいのか。このいわゆる化学物質過敏症については、専門家の方々でも、現在でもなおさまざまな意見があるものと理解をしておりますので、調査について直ちに行うという段階にはなく、具体に、さまざまな症状で苦しんでいる子供たちに対する支援を優先して行いたいということでございます。

 なお、先ほど、いわゆるをつけなかったではないかという御指摘ございましたが、本日の答弁の冒頭につけさせていただいたものですから、その後のものについては意識的にはつけておりませんでした。御理解をいただければと思います。

高橋(千)委員 まさかそこで、正直驚きましたけれども。

 時間がなくなってまいりまして、用意した質問がちょっとやり切れない状態なわけなんです。

 それで、ぜひ紹介しておきたいなと思っています。このいわゆるがなぜ取れないかといったときに、やはり、九七年に診断基準ができたはずなのに、専門外来を掲げて頑張ってくれている先生方もいるのに、いまだそれが共有されていないという実態があるからだと思います。

 それで、二〇〇八年、平成二十年で少し古いんですけれども、雑誌「臨床環境医学」第一号に、化学物質過敏症看護相談室の設置効果に関する臨床という論文があります。これは、三重大学医学部看護学科のチームの発表です。CS患者、四人の研究協力者に、看護の介入によって、いずれもQOLが改善されたという発表です。

 いずれも、四人、女性です。三人はリフォーム後のアパートの入居がきっかけ、もう一人は、せっかくの新築住宅、建て売りだった、入った途端に症状が出ちゃった、そういうことなんですね。四人に共通することは、理解者がいないことへの不満なんです。

 それで、まず理解をするところから始めた。面談、電話、メールなどで看護師がよく話を聞いて、例えば部屋の化学物質の濃度をはかったり、受診先が見つかっていない人もいたので専門病院の看護師さんを紹介したり、症状改善のための衣食住の指導をする、そういうことをやって、四カ月ですとか六カ月の中で、これまで不良だった人が良好になったり、やや良好という形で、QOLが改善したということがなっているんですね。

 この論文で指摘をされていることは、はっと思ったんですが、看護系大学で用いられる教科書には、SHS、シックハウス症候群や、CS、化学物質過敏症に関する患者支援の必要性が掲載されているということです。

 看護職が患者の悩みを聞き取り、専門外来を紹介するなどの役割が期待される。どうでしょうか。

福島政府参考人 お答えいたします。

 看護基礎教育におきましてはさまざまな教科書が用いられておりますけれども、例えば、基礎看護学のテキストにシックハウス症候群あるいは化学物質過敏症の概要について記載があったり、あるいは、成人看護学のテキストにそういうシックハウス症候群患者の看護についての記載がされているというものもございます。

 これらで紹介されているシックハウス症候群あるいはいわゆる化学物質過敏症、そういう方かどうかに限らず、医療現場においては、まず看護職を初めとする医療従事者が患者さんの悩みを聞き取って、そして適切に医療につなげていく、こういうことは重要なことでございますので、これは病態に限らず、そういうことができるように私どももしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり、お医者さんが、仮に専門医じゃない、わからないにしても、まずその悩みを聞く、どういう状況なのかを看護の段階で聞いていくということが大事なんだという指摘があったんだと思います。ぜひそうしていただきたい。それだけでも気持ちが相当和らぐ。

 当事者団体から強く要望されているのは、やはり、診断されていないことの悩みだけでなく、ほかの病気のときに病院にかかることができないということなんですね。それで、特に悩んでいるのは歯医者さんの治療。歯医者さんの治療はどうしても、さっきとてもいい話があったんですが、ただ、反応するものがほとんどであります。もっと工夫をして、例えばパッチテストをするなどして、負担を和らげる材料を使うなど努力してほしいと言っているし、そういうお医者さんもいますよという紹介をしていますので、少し研究していただけるでしょうか。

神田政府参考人 歯科における化学物質過敏症等の対応についてのお尋ねでございますけれども、特に歯科治療に使用される歯科材料等に関するものにつきましては、例えば金属アレルギーがあるような方については金銀パラジウムではなくてレジンですとかほかの材料を使うというような対応がされておりまして、患者の状況に応じて歯科医師が適切に使用しているものと考えておりますけれども、先ほどから御指摘ございますように、現在、歯科材料を使用する場合等、患者の視点からのただいまの御指摘を含めまして、どういった点に問題があるのかといったようなことについて十分把握できておりませんので、今後、関係学会や関係団体と連携して現状把握に努めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 よろしくお願いします。

 いろいろ述べてきましたが、大臣、最初におっしゃってくださったように、まずは総合的な窓口ということで、厚労省がリーダーシップを果たしていただきたいと思います。

 終わります。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、一般質問ということで多岐にわたるお尋ねをしたいと思います。

 時間も限られておりますので、早速始めたいと思いますが、まず海外出張について伺いたいと思います。

 ことし五月十七日から二十一日まで、ドイツ・フランクフルトで開かれたG20の労働雇用大臣会合に、橋本厚生労働副大臣の出席が予定されていましたが、取りやめとなったということであります。冒頭、その理由について伺いたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 先ほどお話をいただきましたように、五月十八日、十九日にドイツにおいて、G20労働雇用大臣会合が開催をされ、労働の未来、女性の労働参加の促進などにつきまして議論が行われました。

 私自身としても、この会合にぜひ参加をしたいと考えておりました。三回ほど実は発言の機会がございまして、日本の女性活躍だとか働き方改革とか、そういうことについてしっかり御説明をしていきたい、こう思っていろいろ準備もしていたところではございますが、直前の状況によって、国内におけるさまざまな課題にしっかりと対応する必要がある、このように考えまして、大臣とも御相談の上、御指示をいただいて、大変残念ではありますが、欠席をすることとしたという次第でございます。

 なお、私のかわりに幹部職員を出席させ、議論に対応することにより、会合そのものは無事成功裏に閉幕をしたと報告を受けております。

河野(正)委員 次に、先日、民進党の中島委員も取り上げられておりましたが、先ほど中島委員ともちょっと話をしておったんですけれども、塩崎厚生労働大臣も、予定していたG20の保健大臣会合への出席をやめられております。今、橋本副大臣の方から、事務方、ほかの方が行かれて対応されたという形でありますけれども、もしそれであれば、大臣、副大臣、政務の方が行かなくてもいいのかなという話にもなってしまいますし、さまざまな問題があって、塩崎大臣もやめられたのかなと思います。昨年の伊勢志摩サミットで我が国が問題提起したテーマも議論になる予定だったということでありますので、大臣が行かれなかったことは極めて残念なことなのかなと思いますし、我が党としては、大臣、副大臣、政務の方々を国内に縛りつけるのではなくて、国益に資するものであれば、ぜひ海外に行っていただきたいという立場で行動させていただいておりますが、残念ながら、今回、国内でいろいろな問題があって行けなかったというようなことをお聞きしております。

 G20保健大臣会合参加を断念された思いと、出席をやめられたことに見合う成果が国内であったのかも含めて、海外出張の今後のあり方について、塩崎大臣に伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 今回のG20の労働雇用大臣会合に関しましては、橋本副大臣が出席をするということで調整をしておった、また予定も、本人を含めて、しておったわけでありますけれども、最終的には国内に残って、さまざまな課題に対応をしていただいた、こういうことでございます。

 当然、私としては、重要な国際会議は政務が出るというのが原則だと思っています。WHOの総会は何十年と出たことがないんです、大臣が。今回は馬場政務官に行っていただきましたが、今回、特に事務局長を選ぶ大事な総会でありまして、かなりの主要国の保健大臣は皆集まっている、そういうところでもございますので、まあ、今回は馬場政務官が行けたので、とりあえず、政務が参加できたということでよかったと思いますが、会合本体、あるいは他の国の政務との対話、あるいはファーストネームで呼べるような関係の中でいろいろな新しい政策もできるようになってくるわけでございますので、国際社会におけるルールづくり、そして政策協調を進めることが、人間関係の中で、政務が参加することで、より太く確実なものになるのではないかというふうに思っています。

 こういうことで、国内の諸課題、国会審議などの状況も踏まえながら、可能な限り、私を初め政務三役が国際会議へ出席できるよう取り組んでまいりたいと思いますし、国会の方の皆様方にも御理解を賜りたいというふうに思います。

河野(正)委員 今回、断念されたわけですけれども、国内にとどまって、まあ、行くか行かないかで大変迷われたと思いますが、行かなくてよかったなということはあったんでしょうか。

塩崎国務大臣 それは国内の諸課題、いろいろあったものですから、それに対応したということでございますので、まあ、いろいろ、苦渋の決断ではありましたが、それなりのやはり成果はあったというふうに思います。

河野(正)委員 次に移りたいと思います。

 受動喫煙防止対策につきまして、先ほど来、いろいろほかの先生方からも話が出ておりましたが、まず確認をしたいのが、そもそもの話といたしまして、今回の受動喫煙防止対策の徹底の趣旨は、誰かが吸っている喫煙行為が他人の健康に害を及ぼすことを防ぐためであって、喫煙者本人の健康被害とは別の議論と受けとめてよいのかどうか、確認したいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、私どもの「基本的な考え方の案」、これは喫煙者の人の喫煙自体を禁止するものではございませんで、公衆の集まる場、パブリックスペースにおけます受動喫煙によって他人の健康に影響を与えることがないような場所で喫煙していただく、こういうことを念頭に置いたものでございます。

 受動喫煙によって肺がんなどのリスクが高まることはもう科学的に明らかでございまして、国民の八割を超える非喫煙者や、妊娠している女性、子供、がん、ぜんそく、難病の患者などを受動喫煙による被害から守ることが必要であるということでございます。

 また、「基本的な考え方の案」は、喫煙の自由が、公共の福祉に反しない限り、当然に認められるものであることを前提としておりますが、先ほども言ったように、国民の八割を超える非喫煙者、あるいは妊娠している女性、子供、がん患者、ぜんそく患者、難病患者、あるいは受動喫煙のない環境になれている国から日本に来られている外国人など、いわゆるサイレントマジョリティーの方々の健康という公共の福祉が、喫煙者の喫煙の自由よりも後回しにされている現状を変えるために、受動喫煙を防止するための社会のルールを整備するということにしておるものでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 その辺が若干議論の中で混乱しているところがあるのかなと思いましたので、確認をさせていただきました。

 これもまたいろいろ情報があって確認をしたいところなんですが、最近は、紙巻きたばこにかわって、いわゆる電子たばこを愛用される方がふえてきていると思います。

 厚生労働省では、燃焼式と非燃焼式で区別をされているのかなと思いますが、今後の議論のためにも、たばこの定義や区分について、政府の考えを教えていただきたいと思います。

福島政府参考人 厚生労働省がお示しした「基本的な考え方の案」におきましては、喫煙用、かみ用、嗅ぎ用に区分されております製造たばこのうち、煙が発生しないかみ用、それから嗅ぎ用の製造たばこは規制対象外とする一方で、紙巻きたばこや葉巻などの喫煙用の燃焼により使用する製造たばこ、これは受動喫煙の健康影響が科学的に明らかであることから、規制対象にすることとしております。

 一方、最近販売されております、いわゆる加熱式たばこでございますけれども、喫煙用の燃焼以外の方法により使用する製造たばこに該当しておりまして、主流煙、副流煙に発がん性物質などの有害物質が含まれていることはわかっておりますけれども、受動喫煙の健康影響については、現時点では科学的知見が十分明らかでないということで、加熱式たばこの受動喫煙が及ぼす健康影響について、引き続き研究を進めまして、改正法が成立した暁には、その法施行の時点までに規制の対象とするかどうかを判断することとしております。

 また、葉たばこを使用しないで、液体を電気で加熱して使用する、いわゆる電子たばこ、これもたばこ販売店ではなく、普通の一般店舗で売られておるものがございますけれども、製造たばこに該当しないために規制対象とすることを考えておりませんが、この使用が他人の健康に影響を及ぼすことが明らかになれば、その段階で何らかの対応を検討すべきと考えておりまして、今後とも科学的知見の収集に努めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 今お答えいただきまして、いわゆる電子たばこでも、電気で加熱したり、あるいは液体を使ったりするものなど、さまざまな種類があると思います。

 受動喫煙の健康影響について十分な知見が明らかではない、今情報収集されているところだと思いますが、仮に健康影響がない、もしくは低いのであれば、これも確認ですが、どこでも吸えるようになると考えてよいのかどうか。極端な例えとして、禁煙の場所でも吸ってしまってもよいものなのか。現時点での政府の考えを伺いたいと思います。

福島政府参考人 これについては、まず、そもそもどのような健康影響があるかということを明らかにする必要がありますので、その程度がどの程度かということがございますので、現時点でどういうふうな扱いにするかについては、まだ検討中ということにさせていただきたいと思います。

河野(正)委員 我々日本維新の会は、一刻も早い受動喫煙防止対策の議論が必要であるという立場から、提言をまとめて、五月二十三日、塩崎厚生労働大臣にお届けをいたしました。

 我が党の考え方としては、いわゆる厚生労働省案をベースとしつつ、飲食店の取り扱い、未成年者の入店禁止、電子たばこへの転換促進といった内容について盛り込んでおります。加えて、施設の範囲を二年以内に見直す規定を設け、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでにさらに受動喫煙防止対策を広げることも視野に入れております。

 この提言について、塩崎大臣の受けとめを伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 まず第一に、維新の会として御提言をまとめていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。政党としてまとめて案を御提示いただいたという意味において、初めてのことだったというふうに思います。

 三月一日に私どものお示しをしている「基本的な考え方の案」というのは、維新の会は七十五平米以下の飲食店について二年間の例外を設けておりますが、私どもは三十平米以下の小規模のバーあるいはスナックなどでの扱いだけにとどめているわけでございまして、厚労省としては原則屋内禁煙ということを前提とすべきであるというふうに考えておりまして、喫煙、分煙の表示義務だけでは望まない受動喫煙というのは排除し切れないのではないか、こういう考え方でございます。

 また、いわゆる電子たばこの使用が周囲の者の健康に与える影響につきましては、十分な科学的知見は得られていないので、先ほど申し上げたとおり、引き続き科学的知見の収集に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにしても、議論に一つの刺激を与えていただいたことに感謝申し上げます。

河野(正)委員 日本維新の会は、提言に基づいて、法案の形で参議院に提出すべく準備を進めております。政府案が出てこないのであれば、単純に待つのではなくて、各党各会派も案を提出いただき、広く国会で議論すべきではないかというふうに思っているわけであります。国民全体で、結構これは盛り上がった議論になるのかなというふうにも思っておりますので、頑張ってまいりたいと思っております。

 会期末までもう二週間ほどということで、提出なきまま通常国会が閉会になるのではないかと危惧しているところでございまして、今国会では、テロ等準備罪がオリパラ開催までに必要という認識で審議を急がれたというふうに思いますけれども、同じオリパラが目標であるはずの受動喫煙防止対策がおくれているというのはちょっと理解しがたいなと思いますし、さらに、塩崎大臣は、オリパラの前年のラグビーワールドカップも引き合いに出されておりますので、もし、分煙徹底のために喫煙室を併設することとか、あるいは改修工事などを考えるということになれば、事業者はその費用負担の捻出について考えなければいけませんし、国や自治体は補助金をどうしていくのかということなど、さまざまな課題があるのではないかなと思っております。

 先ほど来お話を聞いていますので、提出については、答弁は結構です。

 次の問題に移りたいと思います。

 精神医療審査会についてちょっと伺いたいと思いますが、お手元に資料をお配りいたしております。

 患者本人の同意なく精神科病院に入院させる措置入院や医療保護入院、いわゆる非自発的入院が適切かどうかを審査するために自治体に置かれている精神医療審査会において、委員の出席者数など法令の要件を満たさないままに行われていた例が、全国十六の自治体で件数二万五千件に及ぶとの報道がありました。

 私は地元の西日本新聞で見て知ったんですけれども、調べてみましたら、京都新聞の方が具体的な表も書かれていてかなり詳しかったので、そちらを資料としてお配りいたしております。

 精神保健福祉分野では、平成二十七年に発覚した精神保健指定医資格の不正取得問題が起きたばかりでありますし、またもこの制度の根幹を揺るがす状況が明らかになったのかなと深刻に受けとめなければならないというふうに思っております。

 私自身も、十年余り、福岡市と福岡県で審査会委員を務めておりました。日程調整に大変苦労した思いがありますし、しかし、当事者である患者さんのことを考えれば、何としても早急にお返事してあげなければならないという強い使命感で何とか職務に当たっていたということを自負いたしております。

 例えば福岡市においても、福岡市が措置命令を出している方でも、私の経験では長崎で入院したという方がいらっしゃいまして、長崎県で退院請求が出て、では、福岡市の委員がそれを審査しに長崎県まで行かなきゃいけないということになって、誰が行くんだという話と、どういう調整をするのか。精神医療審査会は、精神保健指定医と、あと、医師でないソーシャルワーカーの立場の方、学識経験者であったり、あるいは法曹、弁護士の方、検事さんとか、必ずそういうペアで行きますので、このペアの日程を組んで福岡市から長崎まで行くのに、誰がどうやって行くのという感じで、大変な調整をしたような思いがあります。

 結局、この記事を見ていただければわかるように、そういった日程が調整できないから、誰かがいなくてもいいやということでやっていたんじゃないかなということだと思います。

 御承知のように、強制的な入院の診断書とかをこれで審査しておりますので、そこに診断した精神保健指定医の名前が書いてあります。我々が見れば、誰が診察したのか、先輩か後輩かとか、あるいは友達かとかいうこともわかってしまうわけですね。そうすると、そういうことはあってはならないんですけれども、やはり、いろいろ指導するというのも、同僚であれば難しいこともございます。

 そういったところで、先生はオーケーと言っているけれども、これは弁護士の立場からしたらだめだろう、もうちょっと詳しく書いてもらわなきゃいけないし、この診断あるいは症状で強制的な入院はいかがなものかといったようなことが言われることもありました。

 そういうことを考えると、本当に、誰かが抜けていてもいいや、弁護士さんがいなくても、医者だけで診ておけばいいというようなことが起きているのであれば、これは本当に大変な問題じゃないかな、人権を無視するかのような、本当に信じがたいことが横行している事実だと思います。

 大臣、戻られたばかりで申しわけありませんが、こういったことについて、政府の認識を伺いたいなと思います。

塩崎国務大臣 精神医療審査会の要件の問題で御指摘をいただきましたが、精神医療審査会は、適切な医療の提供と人権擁護の観点から措置入院等の必要性について審査をする機関でございますが、御指摘のように、一部の自治体、これは都道府県ごとにあるわけでありますが、審査会の開催要件を満たしていなかった事例が確認をされたということは、大変問題で、遺憾であるわけであります。

 審査会が定足数を満たさずに開催された背景について、自治体からは、担当職員の法令知識の不足だけではなくて、委員が急用によって欠席することになった場合に審査の遅延を避けるためにやむを得ず開催したといった事情が挙げられているわけでございますが、厚労省としては、やはり、ことし二月に開催をされました全国精神医療審査会長・精神保健福祉センター所長会議というのがありますが、ここで、法令遵守の徹底を図るよう促すとともに、精神医療審査会の適正な運営を図るよう注意喚起を行うなどの対応をとってまいりました。

 今後、同様の事案の再発防止を図って、審査会の運営における適正な手続の確保に向けて、私どもとしてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 実は、前回の精神保健福祉法改正案の審議の際も、私は厚生労働委員ではなかったんですけれども、差しかえで来させていただきまして、参考人質疑でこの場所に立たせていただきました。

 精神医療審査会の状況が大変厳しい状況にあり、委員の確保など、自治体も対応に苦慮している状況を取り上げさせていただきました。その新聞の裏の方を見ていただくと、大阪の大阪精神医療センターの籠本孝雄院長が、二〇一三年六月十一日でございますが、やはり厚生労働委員会に来てくださいまして、例えば大阪では、合議体が、このチーム、先ほどお話ししたように、精神保健指定医と、弁護士さんなり法律家の委員、あるいは学識経験者、ソーシャルワーカーの方たち、大学教授の方たち、この三職種でつくっている合議体が、大阪ではAから始まってHの合議体まである、それがフル稼働してもなかなかすぐに飛んでいくことができないというようなことをおっしゃっておりました。日程調整が大変だということであります。

 それから四年が経過したわけでありますが、状況は、改善するどころか適切な運営がなされていなかったことが今回明らかになったわけであります。本当に、私は、実際に自分が苦労して日程調整をしていたことを抜きにしても、大変に大きな、患者さんの人権を踏みにじるような問題だというふうに認識をいたしております。

 加えて、先日、参議院で可決され、今後、今国会で衆議院でも審議されるであろう精神保健福祉法改正案では、さらに精神医療審査会の任務がふえることとなっております。報じられた現実を無視して職務をふやすということになりますから、改正案の成立によって、この際、きちんと精神保健福祉体制を早急に立て直していかなければなりません。

 今国会で、ぜひとも精神保健福祉法を、参議院先議ということで、もう可決してこちらに来ているわけでございますので、しっかりと審議をしていただきたいなというふうに思っておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。

堀内大臣政務官 先ほど来、河野先生が大変御心配いただいている、委員の出席が十分じゃないといった精神医療審査会の審査なんですけれども、それは、今国会に提出している精神保健福祉法の改正案においては、都道府県知事、政令市長は、患者の権利擁護や適正手続の確保の観点から、措置入院を行った際に、その必要性について、先ほど来の審査会の審査を求めなければならないということを規定させていただいているところでございます。

 この点、既に入院時に精神医療審査会の審査が義務づけられている医療保護入院については、現時点で年間十八万件の新規入院件数について審査を実施しているところでございますけれども、今回の改正が行われることによって、さらに年間約七千件の措置入院についての審査の事務がふえるものと考えられているところでございます。

 これに対して、審査体制の強化などのために、既に各自治体に対し、予備委員の積極的な活用を促しておりまして、今後、全国の好事例を周知するとともに、改正法案において、指定医の更新要件に追加する業務経験として、精神医療審査会への参加を評価することによって、指定医の委員をより確保しやすい、そういった環境を整備することを盛り込んでおります。

 こうした取り組みを進めることによって、人員のことについての御心配、御懸念も少し緩和されるのではないかと思い、適切な審査が可能となるように努めてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 私は、自分自身が十数年こういった仕事をしていたというのはなぜかといいますと、福岡県精神科病院協会で理事をしておりまして、予備委員も含めて、先生方にお願いしますという係をしておりましたので、まず自分が積極的に行って、しかも遠いところの病院の審査に出向かないと、自分もやっていないのに何だと言われるので、頑張ってやっていたのが十数年続いたということでございます。

 本当に、この精神医療審査会、これでまた法律が、改正案が通れば職務がふえていくわけでありますので、既に参議院先議で可決しておりますので、ぜひとも早急に審議を始めていただきたいなと。そして、聖マリアンナの指定医の不正取得問題もありましたし、我が国の精神科医療が国民に安心していただけるよう、今後は、精神保健指定医の問題につきましても、口頭試問が入るとかそういったこともありますので、ぜひとも早く審議をしていただき、さらに質の高い医療体制を目指していかなければならないというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 大分語り過ぎて時間がなくなったので、最後まで行かないと思いますが、次に、ネウボラということについて伺いたいと思います。先日の委員会で議論された児童虐待に関してであります。

 フィンランドのネウボラという取り組みが子育て、育児支援の分野で注目をされています。妊娠期から出産、産後、幼児期、就学前までの子供の健やかな成長、発達の支援だけでなく、両親やきょうだい児など、家族全体の心身の健康をサポートするということが目的になっております。同じ担当者が一貫して対応していくため、信頼関係も築きやすく、問題が生じた場合に、早急に、すぐに対処できるということが大きな特徴と伺っております。

 グラフも出させていただきました。先ほどの議事録の下のところにありますけれども、児童虐待を未然に防ぐという観点からも大変な効果を上げており、十五歳未満の子供十万人当たりの虐待死亡者数の推移も、およそ四十年間で十分の一になったということであります。

 日本では、妊娠期に接するのは産婦人科の医師か看護師、助産師、出産後は地域の保健師さんが中心となると思います。これは、担当者の移動もあって継続的な支援が難しいというのが実情かなというふうに思います。

 ネウボラのデータは五十年の長期にわたって保存され、子供が親になってからの支援、親支援にも結びつけるなど、学ぶべき点も多いように言われております。

 もう一つ特徴的なのは、育児パッケージとも呼ばれる、無料で現物支給される育児グッズということであります。妊婦健診の受診時に渡すことで健診を受けるインセンティブになるなど、工夫された仕組みとも思います。

 国内でもこれを参考にした取り組みが進んでいると聞きますが、虐待を防ぐためには、こういった海外での事例を参考にしながら積極的に取り組んでいくことも重要と思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

堀内大臣政務官 ただいま河野議員から御指摘いただいた、また御説明いただいたネウボラでは、利用者のさまざまなデータを長期間保存し、親支援や医療機関の連携に役立てる、また、妊娠初期に健診を一回以上受けている場合には、母親手当として百四十ユーロまたは育児グッズの詰め合わせが支給されるといった取り組みがあると聞いております。

 日本でも、このフィンランドのネウボラの取り組みを有効なものと考え、これを参考に妊産婦や乳幼児に対して、切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターを昨年の母子保健法改正により法定化し、ニッポン一億総活躍プランでは、平成三十二年度末までに全国展開をさせていただくこととさせていただいております。

 子育て世代包括支援センターにおいては、妊産婦や乳幼児の実情を継続的に把握し、支援台帳により管理するとともに、必要に応じて関係者で情報共有する、手当給付や物品頒布の窓口機能は想定してはおりませんけれども、一部の市町村の中には、妊娠届の提出時に育児グッズを支給したり、利用の動機づけを行うといった取り組みが行われていると承知しております。

 厚生労働省では、こうした自治体での取り組みも参考にしつつ、いわゆる子育て世代包括支援センターのガイドラインの策定を行うなどによって、全国展開に向けてしっかりと支援してまいりたいと思っております。

河野(正)委員 実は、次にインセンティブについて伺おうと思って、これは介護保険のころからずっと用意していたんですけれども、なかなか時間がなくて、きょうも随分精神保健について語ってしまいましたので、時間がほぼありませんので、済みません、また次回に回したいと思います。

 最後にですけれども、先ほど来お話ししましたように、健康増進法、受動喫煙防止ということから、我が党としても、しっかりと法案を準備しながら政府案を待ちたいなというふうに思っております。これは私が担当しているんですけれども、いろいろな詳細を見ると、厚生労働省案をベースとしながらつくっているわけなんですけれども、それでも大変な問題があるなというふうに思っているところでございます。

 また、私も精神保健指定医の一人として、精神科医療、きちんと国民の信頼をいただけるような制度にしていかなければならないなと思っておりますので、こういった法案についてしっかりと審議をしたいなと思っておるんですけれども、もしよろしければ、大臣、最後に一言、コメントをいただきたいなと思います。

塩崎国務大臣 これは何度も申し上げているように、施政方針演説で受動喫煙対策を徹底するということを総理から申し上げているわけでありますので、これは今国会で法案提出に向けて努力を続けるということでございます。

河野(正)委員 精神保健福祉法の方はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これは参議院でいろいろな議論がありました。ありましたが、私は、大変重要な法案であり、これまで、措置入院の中身、あるいは特に退院後の問題について、やはりやるべきことはたくさんあった、宿題が。そういう意味で、これについても、ぜひ成立を目指して御審議を賜れればありがたいなというふうに思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

丹羽委員長 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 平成十四年にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定・施行されて以来、巡回相談員による相談、自立支援センターにおける宿泊場所や食事の提供等、ホームレスの自立の支援等に関する施策が総合的に推進されてきました。

 こうした取り組みによりホームレスの数は大幅に減少してきているものの、依然として約六千人のホームレスが確認されているほか、ホームレスの高齢化、路上生活期間の長期化等の新たな課題も生じております。

 本案は、こうした状況に鑑み、ホームレスの自立の支援等に関する施策を引き続き計画的かつ着実に推進するため、平成二十九年八月六日までとなっているホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の有効期限を十年延長し、平成三十九年八月六日までとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

丹羽委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案をホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

丹羽委員長 次に、内閣提出、旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 旅館業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎国務大臣 ただいま議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 消費者のニーズの変化、違法な営業者の広がり等を踏まえ、旅館業に係る規制緩和を進めるとともに、無許可営業者に対する取り締まりを強化し、旅館業の健全な発展を図るため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、旅館業の営業種別について、ホテル営業と旅館営業を統合し、旅館・ホテル営業とします。

 第二に、無許可営業者に対して、都道府県知事等が報告徴収や立入検査、緊急命令を行うことを可能とするとともに、旅館業法に違反した者に対する罰金の上限額を引き上げます。

 最後に、この法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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