衆議院

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第3号 平成29年12月1日(金曜日)

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平成二十九年十二月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      岡下 昌平君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    長尾  敬君

      鳩山 二郎君    福山  守君

      船橋 利実君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    太田 昌孝君

      福田 昭夫君    高橋千鶴子君

      足立 康史君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官)           柴崎 哲也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     猿渡 知之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         宮川  晃君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (観光庁次長)      水嶋  智君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     福山  守君

  大岡 敏孝君     池田 道孝君

  小泉進次郎君     大隈 和英君

  小林 鷹之君     岡下 昌平君

  中野 洋昌君     太田 昌孝君

  篠原  孝君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     鳩山 二郎君

  大隈 和英君     小泉進次郎君

  岡下 昌平君     小林 鷹之君

  福山  守君     赤澤 亮正君

  太田 昌孝君     中野 洋昌君

  福田 昭夫君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

十一月二十七日

 労働者派遣法の早期抜本改正に関する請願(宮本岳志君紹介)(第四号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(小沢一郎君紹介)(第三〇号)

 同(山本拓君紹介)(第三一号)

 同(中川正春君紹介)(第七一号)

 同(矢上雅義君紹介)(第七八号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(中谷元君紹介)(第六九号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(中谷元君紹介)(第七〇号)

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇四号)

 重粒子線治療に対する健康保険適用に関する請願(井野俊郎君紹介)(第一〇五号)

 安心・安全の医療・介護に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一二六号)

 同(藤野保史君紹介)(第一二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一二九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三〇号)

十二月一日

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(小沢一郎君紹介)(第一五九号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(岸本周平君紹介)(第一六〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇一号)

 医療・介護の負担増の中止に関する請願(小沢一郎君紹介)(第一六一号)

 同(神谷裕君紹介)(第一六五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一八七号)

 同(藤野保史君紹介)(第一八八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九一号)

 同(小川淳也君紹介)(第二八六号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇二号)

 全国一律最低賃金制度の実現を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第一六二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一九二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第二〇〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二〇二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二〇三号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(重徳和彦君紹介)(第一六三号)

 同(大西健介君紹介)(第一六六号)

 同(篠原孝君紹介)(第二〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇五号)

 同(大串博志君紹介)(第二二五号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第二二六号)

 同(小川淳也君紹介)(第二八七号)

 同(岡本充功君紹介)(第三〇三号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(堀越啓仁君紹介)(第一七九号)

 同(稲富修二君紹介)(第二八三号)

 同(小川淳也君紹介)(第二八四号)

 同(宮本徹君紹介)(第二八五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二九四号)

 同(白石洋一君紹介)(第二九五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九六号)

 同(中村喜四郎君紹介)(第二九七号)

 同(松田功君紹介)(第二九八号)

 同(務台俊介君紹介)(第二九九号)

 介護人材確保に関する請願(義家弘介君紹介)(第二一〇号)

 過労死と職場における差別の根絶に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二二〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第二二一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二二三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二四号)

 さらなる患者負担増計画の中止に関する請願(小川淳也君紹介)(第二七九号)

 社会保障制度に関する請願(横光克彦君紹介)(第二八〇号)

 大都市東京における介護人材確保に関する請願(井上義久君紹介)(第二八一号)

 同(木原誠二君紹介)(第二八二号)

 同(落合貴之君紹介)(第三〇四号)

 同(高木陽介君紹介)(第三〇五号)

 国主体での希少疾患である筋痛性脳脊髄炎の啓発活動等に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九〇号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九一号)

 難病患者が安心して生き、働ける社会の実現に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九二号)

 マッサージ診療報酬の適正化に関する請願(阿部知子君紹介)(第二九三号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(阿部知子君紹介)(第三〇〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 旅館業法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官柴崎哲也君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、雇用環境・均等局長宮川晃君、中小企業庁経営支援部長高島竜祐君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官青木由行君、大臣官房審議官眞鍋純君、観光庁次長水嶋智君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。繁本護君。

繁本委員 おはようございます。

 このたびの衆院選で初当選をさせていただきました自民党の繁本護でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 限られた時間でございますので、早速、順次質問に移らせていただきたいと思います。

 さて、京都、今、もみじがもえ盛る、本当に観光シーズンでございます。国内外からたくさんのお客様で非常にごった返しているような状況でございまして、まさに今回、旅館業法の改正、繁本護、京都からの代表選手でございます、一生懸命頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。

 さて、京都に限らず全国各地、訪日外国人の観光客が非常に伸びております。大都市部を中心に、ホテル、旅館、非常に宿泊サービスの需給が逼迫している状況であります。また同時に、子供の数が減り、人口が減り、高齢化が進み、空き家もふえております。このような空き家を地域の活性化、あるいは同時に安心の確保をしながら、またシェアリングエコノミーの振興といった観点からも、空き家の有効活用が求められております。

 そんな中、さきの通常国会で、民泊サービスを行う住宅宿泊事業者の届け出制度をつくる新しい法律、いわゆる民泊新法が成立をいたしました。また、今般の旅館業法の改正案では、民泊の、いわゆる無許可で営業してしまう方々に対して罰金の上限額を引き上げるなど、無許可営業者に対する規制強化を図ることとしており、これにより悪質な業者が排除をされて、旅館業あるいは民泊の健全な発展に資する法律であると考えております。

 今回の特別国会、非常に会期が短いわけでございます。そんな中で、あえてこの法案を再提出されたことにつきましては、この法律の早期の成立を願う関係者あるいは関係団体の御要望を踏まえたものであると考えますが、改めてここで、本法律案の意義あるいは早く成立させるその必要性につきまして、大臣の御所見を賜りたいと思います。

加藤国務大臣 今回の旅館業法の改正案、これは、無許可営業者に対する立ち入り権限の創設など、現に広がっている無許可の違法民泊の取り締まりの実効性を確保しようとするものであります。あわせて、そうした対応によって、周辺住民、また、取り締まりを行う自治体からさまざまな要請がありますので、それにも応えるということで、そういった意味からも速やかに施行したいというふうに考えています。

 また、今回、そうした規制の面だけではなくて、この改正案では、ホテル営業と旅館営業の営業種別を統合することで、和風、洋風といった様式の違いによる規制を撤廃し、多様なニーズに応えていく。あわせて、政令等においても大幅な規制緩和をすることにしておりまして、こうした規制緩和は、住宅宿泊事業との均衡を図る、こういった上でも住宅宿泊事業法との同時施行をぜひしてほしいと関係者からも要請をいただいているところであります。

 いずれにしても、この法案の取り締まり強化と規制緩和、そして既に成立をしております住宅宿泊事業法と相まって、健全な旅館、ホテルの事業者と民泊事業者が育成され、そして急増する訪日外国人旅行者へのインバウンド対応を進めるものでもあり、我が国の経済発展にも最終的には資するものというふうに思っております。

 実際に施行までのスケジュールを考えますと、法律をお認めいただいた後に、政省令の整備、そしてパブリックコメント、また地方自治体における条例制定手続等の期間が必要でありますので、住宅宿泊事業法が来年の六月十五日に施行されるということであります。それを考慮すると、今国会で速やかに成立をしていただきたい、こういうふうに思っております。

繁本委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 さて、その期待が大きく寄せられる、民泊を含めた旅館業のことでありますけれども、厚労省が昨年十月から十二月にかけて実態調査を行い、ことしの三月に公表いたしました。その結果を読んでおりますと、確実に営業許可を受けて事業をなされている方々、全体の調査件数が一万五千余りと承知しておりますが、その中の一六・五%、都市部、いわゆる大都市圏中心市においてはわずか一・八%、そしてそれ以外の地域では逆にふえて三四%となっております。いわゆる違法民泊が都市部に相当集中しているというような状況が、ここからうかがえるわけであります。

 実際、私の京都におきましても、やはり京都市と京都市以外の地域ではこの民泊に対する受けとめ、あるいはアプローチも随分異なっております。

 同じ京都の府の中でも、京都市以外の、例えば郡部の方でありましたら、民泊を活用して地域振興をしたい、もっともっとお客さんに来てほしいといった極めて前向きな受けとめ、その条件整備に一生懸命知恵を絞っているところでありますが、一方、京都市内、この百四十七万人の都市で急増している民泊については、今の話とはちょっと変わってくるわけであります。

 実際、京都市は二十名体制で民泊専門チームをつくっておりますし、このチームが現地で調査をしたり、また指導に当たっている、このような状況であります。また、京都市の状況に応じた新しい独自のルールをつくるための検討会も立ち上げて、例えば、具体的に申し上げますと、迷惑行為を防止するために本人の確認を対面でやらせましょうとか、あるいは緊急事態が発生したときに管理者が駆けつける要件が設定できないだろうかとか、あるいは周辺住民に事前に説明することを義務づけができないかといったことを考えております。

 京都市に限らず、全国の自治体は、やはりそれぞれ地域の実情がありますから、この実情に照らした独自のルールを設定したいんですが、民泊新法に照らして、どこからどこまでが認められるのかということがよくわからない。非常に不安に思っている現状があります。

 今、京都市の例を申し上げましたけれども、それ以外にも、都市計画上、用途区域上、例えば、この地域はもうやらせないとか、営業日数をゼロにするとか、期間限定にするとか、さまざまな独自ルールが検討されているんですね。ただ、本当に、先ほど申し上げたとおり、どこからどこまでの範囲が地域の実情に応じた独自のルールとして条例でできるのか、これを非常に心配しております。

 京都市の門川市長のお話を聞いていましても、いざ裁判になったときに、いや、市が勝手に条例で縛ってきたけれども、民泊事業者からは、いや、これは国の法律にはこう書いていないじゃないかというようなことが心配で、我々はぎりぎりのところで今検討してルールづくりをやっているんだというような声もいただいております。

 また、観光庁の方では今ガイドラインをつくっているというふうに聞いておりますけれども、ガイドラインができる前に条例ができて、条例ができてからガイドラインができました、ガイドラインを見てみたら条例とちょっとそぐわないといったことができた場合に一体どういった対応になるのか、これらの点について国の見解を聞きたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業法は、一定のルールのもとで健全な民泊サービスの普及を図るものでございまして、事業者の経済活動を不必要に制限しないように配慮しつつ、近隣住民の生活環境への悪影響といった外部不経済への抑止を図るという制度設計をしておるということでございます。

 御質問のうち、営業可能な日数や曜日といいました期間の制限につきましては、住宅宿泊事業法第十八条に基づきまして条例で制限することが可能でございますけれども、その場合には、合理的に必要と認められる限度において、生活環境の悪化を防止することが特に必要である範囲で制限するということが、この規定上求められておるということでございます。

 また、御指摘の、事前説明の義務づけなど、その他の運用上の規制に係る条例につきましては、本法では特段の規定は置かれておりませんが、営業を事実上禁止してしまうような過度の規制となるような場合には、この法律の趣旨に照らして適切ではないと考えられるところでございます。

 また、都市計画の特別用途地区での営業を一律に禁止するといった場合につきましては、都市計画法の趣旨や特別用途地区の考え方、あるいは、求められるプロセスに沿っていただくことが必要であると考えられます。

 いずれにいたしましても、一部の地方自治体において、条例などにより規制を設けることは検討されているところでございますけれども、地域の実情とともに、こういった法の趣旨も十分に踏まえていただいた上で御検討いただく必要があると考えております。

 こうした国の考え方につきましては、本年中に発出予定のガイドラインに盛り込む予定としておるところでございまして、条例の制定に当たりましては、そのガイドラインの内容を踏まえていただきますよう、地方自治体に丁寧に御説明を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

繁本委員 御答弁ありがとうございました。

 少し具体的に踏み込んだ御答弁で、今の話を聞いた京都市も少し安心して準備ができる部分があるかと思いますが、それでも、なおまだ不安はございます。ぜひそのガイドラインを早くお示しいただいて、全国の自治体に安心を与えていただきたいと思います。

 さて、その違法民泊を取り締まる体制について、これは、民泊新法においても、今回の旅館業法の改正においても、規定が設けられるわけでありますけれども、これまた私の地元京都市の事例になりますけれども、先駆けて京都市では宿泊税というものも先般条例で定めたところであります。

 来年の十月に施行の見込みであるんですが、この宿泊税を定めて、無許可の営業者に対しても宿泊税を集めて、そして、そこから得られた財源はこれからの観光振興に役立てていくわけでありますが、京都市においては宿泊税を制定したわけでありますから、課税の公平性というものを担保するためにも、やはり監視体制、取り締まり体制というのが非常に重要になってきます。ここが最初の情報になって、いろいろまた観光庁だとか国交省だとか情報を共有して、しっかりとした監督ができるものだと思っておりますが、この体制です。国は法律を国会で定めて、自治体は権限を付与されたわけでありますが、その人員、財源も含めて、やはりしっかりとした国の応援がなければ、これはやっていけない状況であります。

 京都市では、もう既に、先ほど申し上げました専門チームで、あるいは、民泊サービスに係る通報相談窓口も設けておりますし、こういった地域の努力に対して、しっかりと財政的にも人員的にも応援していただきたいと思いますが、平成三十年度の予算も含めて、国としての取り組み方針をお聞かせいただきたいと思います。

大沼大臣政務官 現在も、都道府県等では旅館業の営業者の調査や監視指導を行っているところでございます。

 このたび、改正法案によって、無許可営業者の立入検査等の権限も付与されることになります。これにより、無許可営業者に対しては、感染症の発生など公衆衛生に重大な危害を及ぼした場合など、立入検査等の業務が新たに発生することになります。

 このため、都道府県等において、委員御指摘のとおり、こうした業務が円滑に行われるように、実態を踏まえて、関係機関と連携しながら、都道府県の体制整備に対する支援について検討してまいりたいと考えております。

繁本委員 生活衛生面、あるいは安全面での保健所の人員体制、これは十分必要であります。しっかりとお願いします。

 先ほど申し上げたとおり、宿泊税を課した例えば京都市においては、またそういった観点からも、今回の保健所から得られる情報が非常に大事になってくるんですよね。そういった意味も込めて、しっかりと体制整備の応援をいただきたいと思います。

 また、家主が不在の場合の、家主不在型の民泊につきましては、国が直接監督する権限、今回付与されています、民泊新法で。この部分について、少し具体的に、体制についてお話をいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、家主不在型ということになりましたときに、今回新しく制度といたしまして住宅宿泊管理業者、こちらがかわって管理をするという仕組みができました。そして、それに伴いまして、国、具体的に申し上げますと、私ども国土交通省の地方整備局、それから北海道では北海道開発局におきまして、この管理業者の登録事務でございますとか、あるいは指導監督事務、これを実施することといたしてございます。

 この適切な実施を確保いたしますために、不動産管理業を現在所管しております部局、ここに住宅宿泊管理業の専門の担当を設けまして、体制を強化して対応していく予定でございます。

 また、今回の制度におきましては、都道府県等も、先ほど申し上げた宿泊管理業者に対しまして、業務の改善の指導、命令を行いますほか、また、国土交通省に住宅宿泊管理業者の登録の取り消しを要請するような仕組みも整えておりまして、いわば都道府県も住宅宿泊管理業者の監督事務の一部を担っていただく、こういったことになっております。

 したがいまして、都道府県と、例えばその事業者の情報を共有するシステムの構築、こういったことを今進めてございまして、こういったことで国と都道府県等の担当部局の連携を密にいたしまして、管理業者への指導監督が、より円滑かつ的確に行われるように対応してまいりたいと存じております。

 以上でございます。

繁本委員 ありがとうございました。しっかりと国の方も体制整備をお願いしたいと思います。

 家主不在型の場合は、国と都道府県、保健所設置市が両方監督できるわけでありますが、そこは決してお見合いになることなく、しっかりと情報共有して、有効な監督取り締まり体制をつくっていただきたいと思います。

 さて、次の質問でありますが、規制、規制、規制、取り締まり、取り締まり、取り締まりばかりではなくて、冒頭申し上げましたとおり、民泊を、しっかり、いい形で地域振興につなげていきたいというような声も実際ございます。私の地元京都でも、いわゆる物のインターネット、IoTを活用した民泊あるいはゲストハウスの運用というものが検討されております。

 例えば騒音、これは一つ民泊の大きな問題でありますが、ゲストハウスの中に人感センサー、騒音センサーを例えばつけますと、お客様がついつい盛り上がってしまった、騒音が出た、多言語で自動的にお静かにと言ってくれれば、そこで一つおさまる。さらについつい盛り上がってしまった、二回、三回、五回となってきたときに、いよいよ管理者に通報しなければならない、これもICTで自動に行く。こういったことがもし実現すれば、未然に取り締まりや、いざ事が起きたときの対処にエネルギーを使うのではなくて、かなり前向きなことに民泊を活用できる。

 また、あらかじめICTで、事前にお客様に、観光情報だとか、例えば周辺でこんなおいしいものが食べられます、こんなものが買い物できます、こんなお祭りがありますよというものを伝えておけば、ゲストハウスの周りでお金が落ちるんですよ。すごくうれしいですよね、お客様も、迎え入れる側、地域の側も。そういったことを通じて地域とお客さんとがコミュニケーションをとって、地域コミュニティーと調和のとれた民泊あるいは旅館業が成り立っていく。こんな期待もあるんですね。

 こういった観点において、IoTとかICTとか、いわゆる技術を使った民泊の活性化というか活用を提案したいんですが、この点について、政府のお考え、取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業の適切かつ効率的な実施を確保し、また行政コストを軽減していくためには、ICT、IoTといったことを活用していくということは、先生御指摘のとおり、大変重要であるというふうに考えております。

 このため、例えばチェックインの際の本人確認につきましても、対面と同等の手段としてICTを活用した方法を認めることとしておりますほか、関係行政機関間での届け出情報などの共有のための電子システムを構築し、活用するということを考えておるところでございます。

 一般論といたしまして、まさに先生御指摘のような方法も含めまして、ICT、IoT技術の活用によって民泊サービスの質の向上が図られるということは大変望ましいことであるというふうに考えておりますので、観光庁といたしましても、こうした民泊サービスにおけるICT、IoT技術の活用を期待いたしますとともに、その動向を見守ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

繁本委員 ありがとうございました。

 時間となってまいりました。最後でございますけれども、今申し上げた規制の面と有効に民泊を活用する面、さまざまございます。両にらみで、この法律、旅館業法も含めて三年後の見直し、目途となっていますが、常に現場の状況、地域の実情に応じた見直しが必要となっています。国として、ぜひ早目早目に論点を整理していただいて、地域にとっても自治体にとってもすばらしい形でこの民泊が活用されることをお願いしたいと思いますが、最後に大臣、一言だけお願いします。

加藤国務大臣 繁本委員御指摘のように、法制度のあり方というのは、どんどん社会情勢等も変わってまいりますから、それを踏まえて不断に見直しをしていくことが必要だというふうに思います。

 ただ、今回のものは、これから法律を皆さんに御審議いただいて、成立をし、そしてそれが具体的に実行されて、その結果を検証するということでありますから、若干時間がかかるんだろうというふうに思いますが、我々としては、いずれにしても、既に成立をしております住宅宿泊事業法、また今回法律をお通しいただければ、この法律が適正に執行される、あるいはそれぞれの事業者がそれにのっとって適正に運営をしていただける、まずそれに努めていきたいと思います。

繁本委員 ありがとうございました。以上で終わります。

高鳥委員長 次に、山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党の山田美樹でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私の地元は、東京の都心の赤坂や六本木、歌舞伎町、神楽坂、秋葉原などの繁華街を抱えております。ここ数年の外国人観光客の増加に伴いまして、民泊におけるごみ出しや騒音などのトラブルが地域の住民にとって深刻な問題になっていることから、新宿区や港区、千代田区など、各自治体においてもさまざまな検討や対策がなされているところであります。

 全国では、旅館業法上、無許可営業の可能性があるもので指導に至ったケースは昨年度一年間で一万八百件ある。そのうち半分以上が大阪、京都、東京に集中をしていると聞いておりますし、営業者と連絡がとれないものが約半数あるとも聞いております。

 一方で、優良な民泊には地元経済の活性化への期待もあります。特にホームシェア型の民泊は、マンションの空き部屋を活用した民泊とは違って、ビジネスというよりも交流の面が強くて、日本ならではのおもてなしとして商店街振興や観光振興も期待され、御高齢者のホストの方には生きがいとなっているという事例もお伺いをいたします。

 さきの通常国会で成立した住宅宿泊事業法と今回の旅館業法改正で、違法営業はきちんと取り締まった上で健全な民泊は育てていくという法的な枠組みは整ったわけですが、これまでるる議論されてきたホテル、旅館業と民泊のイコールフッティング、公正で公平な競争条件の確保という問題は、ほぼ解決したと言えるのでしょうか。

 規制や税制の問題もさることながら、社会的な立場の違いというのもあります。ホテル、旅館の事業者は、万が一事故が起きた場合、営業停止や廃業に追い込まれることもありますが、住宅宿泊事業者の場合、事業者といっても住宅を提供する個人にすぎない場合も多く、民泊事業が停止になっても、自身の生活を営む上での支障はありません。こうした社会的責任の違いをどのように考えていくのでしょうか。加藤厚生労働大臣にお伺いいたします。

加藤国務大臣 今回の旅館業法の改正によって、先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、無許可の営業者に対する立入調査等、規制がしっかりできるということと並行して、ホテル営業と旅館営業の種別の統合を初めとした、各種規制、これは、旅館やホテル等を営んだ方に対する現行の規制が大幅に緩和をされるということがあります。

 他方で、宿泊事業法の施行によって、個人営業の住宅宿泊事業者に対してもさまざまな義務、例えば宿泊者名簿の備えつけ、避難経路の確保などの義務が課せられているわけでありまして、そういった意味で、規制面の差をかなり縮小はできたというふうに思っております。

 また、万が一の事故に備えたさまざまな規制が課されることによって、そうした責任があるんですよということを民泊の個人事業者の方にも認識していただきたいというふうに思っているところであります。

 いずれにしても、今回の法律の改正、あるいは既に成立しております住宅宿泊事業法の施行の中において、利用者のニーズに応じて適切なサービスが、それぞれの主体、ホテルや旅館の事業者、また、民泊の事業者の間での公平で健全な競争を通じてそれが提供されていく、そういう環境をしっかりと整えていきたいと思っております。

山田(美)委員 加藤大臣、御答弁ありがとうございます。

 それぞれの立場から、それぞれの適切なサービスを提供していくということで、宿泊者に対する選択の幅が広がっていくということが実現できればいいなというふうに考えております。

 次に、先ほどのお話の中にも少しありました、家主不在型の無許可営業についての立ち入りのあり方についてお伺いをいたします。

 今回の改正で無許可営業に立ち入り権限が認められることになりましたが、先ほどの繁本議員の御質疑の中にもあったように、国と都道府県の連携ということもありますが、いかに立入検査の実効性を上げて違反営業への抑止効果を高められるかというところが非常に大きな課題だと思っております。

 この点、いわゆる家主不在型の無許可営業に対する立入検査が、実際、具体的にどのようなものになるのかイメージが持ちにくいというところが、そんな声が地元からも多く聞かれているところでございます。

 通常、ほかの業態で立入検査といいますと、店舗ですとか事業所ですとか、店長や社長がいらっしゃる場所が想定されて、そこに検査をしに行く。ただ、家主不在型では、立ち入りに行っても管理者が誰もいないですし、宿泊している人が寝ているところにどかどか押しかけていくのかなですとか、実際行ってみたら言葉の通じない外国人がワンルームの中に十五人も雑魚寝していたというような、そんな事例も伺うところでございます。

 そもそも、立入検査の対象は無許可の営業者でありますけれども、通報があって、まず大家さんに訪ねていくと、大家さんは賃借人が無許可営業をしていたとは全く知らず、聞いてびっくりというケースも多いと伺っております。

 こうした家主不在型の無許可営業の立入検査は実際どのように行うべきなのか。恐らく、さまざまなケースを類型化して対応を整理していくということになるんでしょうけれども、国の方で何か指針を考えているのでしょうか。関係機関の連絡によってうまくいっている自治体の例などもあれば、御紹介をいただければと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 家主不在型については、営業者との接触や指導が困難な事例が多く、今回の改正で立ち入り権限が創設されることによって、客室等における営業実態の確認ができるようになるという意味で取り締まりの実効性が高まるものと考えておるところでございますが、委員御指摘のように、その具体例というものはなかなか描きにくいといった実態もあるため、取り締まりの実効性を高めていくためには、営業のあり方についてもさまざまなバリエーションがございますので、調査や指導を行う必要があると考えております。

 都道府県においては、保健所と自治体の民泊担当部局との間で連携が求められることは当然でございますが、例えば大阪市では、昨年十二月に、副市長をトップとして、民泊をはじめとする宿泊対策プロジェクトチームが設置されました。生活衛生、観光に加え、消防や都市計画といった関係部門がそれぞれ連携をして、市民の安心、安全と、観光客が快適に過ごせる受け入れ環境の整備に向けた取り組みを進めていると承知しております。

 国としても、こうした先進的な取り組みに関する情報を共有してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

山田(美)委員 大沼政務官、具体的な事例も交えての御答弁、ありがとうございます。

 特に外国人を含む場合、絡む場合というのが、非常に対応が難しくなろうかと思います。最近は、外国人観光客を対象にした白タク、違法タクシーもふえているというふうに聞いておりますけれども、民泊以外のほかのシェアリングサービスと連携して違法ビジネスが拡大していくということにならないためにも、違法民泊を厳しく取り締まっていく必要があると思いますし、今ほど御紹介ありました大阪市の事例、先進的な例も参考に、ぜひ国の方からも自治体に対して、行動マニュアルを示していっていただきたいと思っております。

 次に、民泊をめぐるトラブルについて、警察の対応についてお伺いをいたします。

 家主不在型民泊の被害実態についてということで、東京の都心部とその周辺の実例をお伺いいたしますと、例えばごみが散乱している、ただ散らかっているというだけではなくて、分別の仕方がわからないという以上に、もうそこら辺に、そこかしこに散らばっていると。深夜に大声で騒いでいて眠れない、子供が起きてしまう、夜中にマンションの廊下でたむろしていて、女性や若い方にしつこく声をかけて絡んでくるですとか、集合住宅の中には、管理人さんや理事会でさえ、家主不在型民泊を行っている部屋がどこなのかという、その部屋の特定もできていないというようなところもあるという話も聞きます。被害者の方は思い悩んだ末に相談をしてくるわけですから、もうその通報があった時点、相談があった時点では、心身ともに弱り切っている方もいらっしゃるというお話も伺います。

 民泊をめぐるトラブルへの対応は、まずは保健所が主体となって対応するということになるんでしょうけれども、被害を受けている近隣住民の方々の立場からしますと、連絡先は保健所だということを知らない方も実際多いのではないかと思いまして、特に夜中などは、保健所はあいていませんから、直接一一〇番する方というのも、それが現実的であって、実際、そのような例も多いというふうに伺っております。

 無許可営業だということ、それだけではすぐに警察が動く問題ではありませんけれども、住民の中には、違法民泊は薬物取引などの犯罪の温床になるのではないかですとか、あるいは、これからオリンピック・パラリンピックに向けてテロ対策という話が大きくなっていく中で、テロリストのアジトに使われるのではないかといった、そういう不安を抱いている方もいらっしゃるわけでして、もしも、その一一〇番通報で駆けつけてくれればありがたいというところではあります。

 こうした地域住民の安心、安全への要請に、警察はどのように応えているのでしょうか。その上で、警察が行う防犯や治安の取り組みの中で、無許可営業の取り締まりについて、関係機関とどのように協力をされていくのでしょうか。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 地域住民の方から一一〇番通報を受理した場合の警察の対応につきましては、個別具体的な通報内容によりましてそれぞれ異なるところでありますが、一般的には、警察では、一一〇番通報を受理した場合、警察官を直ちに現場に臨場させまして、関係者から聴取するなどして、その状況に応じた措置をとっているところであります。

 その際に、何らかの法令違反となる行為が認められる場合には、所要の捜査等を行うほか、旅館業の無許可営業の疑いがある場合には関係機関に連絡するなど、所要の措置をとっているところであります。

 また、関係機関の調査により、旅館業の無許可営業であることが判明し、関係機関において繰り返し指導を行ったにもかかわらず従わないような悪質なものにつきましては、告発を受理し、検挙するなど、厳正に対処しているところであります。

 警察としては、地域住民の方が安全、安心に暮らせるよう、今後とも関係機関と連携しながら、その状況に応じて適切に対応してまいる所存であります。

山田(美)委員 大変心強い御答弁、ありがとうございます。

 地域のパトロール、防犯、防災においても、地域の警察署が中心となって、町会やその地域の企業さんなどと連携をして進めてくださっているところが多いかと思います。非常に地域、地元、住人の方からも信頼が厚いところですので、ぜひ力を入れて対策をとっていただければと思います。

 次に、先ほど繁本議員の御質問にもありました地方自治体への財源措置について、加えてお伺いをさせていただきます。

 住宅宿泊事業法は来年六月に施行となりますが、それに向けてということで、地方自治体では、東京の周辺ですと、新宿区ですとか大田区ですとか、早いところは年内、今回の第四回の区議会定例会議で、そして、そのほかのところも、年明けには議会で条例を制定する予定だというふうに伺っております。

 来年の三月には住宅宿泊事業者の届け出が始まりますけれども、各自治体では混乱も予想されますし、届け出を受け付けるだけでも忙しくて、取り締まりまで手が回らないのではないかということも心配をされます。

 立入検査を行うのは、保健所職員である環境衛生監視員の方々ですけれども、住宅宿泊事業法の施行後は、住宅宿泊事業の監督事務も加わっていくということになります。

 自治体によって、今現在、既に人員不足で、保健所の職員の方々に相当な残業手当を支払っているところもあると伺っており、国としても対応が急務だと考えます。

 来年春に間に合うように、来年度予算で地方自治体への財源措置や負担軽減措置を講ずるべきだと考えておりますが、どのような対応を進めていらっしゃるでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業法の施行に伴いまして、住宅宿泊事業の届け出、指導監督などの事務を地方自治体に行っていただくということになりますので、この地方自治体の事務負担の軽減について、国としても取り組まなければいけないと思っておるところでございます。

 まず、今後発出を予定しておりますこの法律のガイドラインにおきまして、この法律の具体的な運用の指針をお示しすることなどによりまして、都道府県の事務負担を可能な限り軽減するというふうに努力をしてまいりたいと思っております。

 また、住宅宿泊事業法の手続に関する電子的なシステムを構築いたしまして、関係行政機関において情報を共有するということによりまして、このシステムを活用することによって事務の効率化を図るということを心がけておるということでございます。

 さらに、地方自治体による指導監督などのための人員確保、体制の構築につきましては、現在、関係省庁とともに必要な措置を検討しておるところでございまして、これらの取り組みによりまして、地方自治体において円滑に住宅宿泊事業法の事務をとり行えるよう図ってまいりたいと考えておるところでございます。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 届け出受理システムの構築ですとかガイドラインの策定など、負担軽減策を進めていただいているとお伺いいたしましたが、やはり何といっても深刻なのは人員不足だと思います。

 最後の質問になりますけれども、新宿の御地元の方々の中では、違法民泊は自転車泥棒よりも多いなどとも言われていますが、これから二〇二〇年に向けて、今後ますます立入検査が必要なケースがふえることが見込まれますけれども、行政の枠の中で人員をふやすというのには限界があるようなところもあるかと思います。

 これは例えばですけれども、駐車違反の監視員のように、摘発専門の民間の機関に一部業務委託をするような仕組みも検討の余地があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正後は、都道府県等におきまして、新たに付与された無許可営業者に対する立入検査等の権限を使って違法民泊の取り締まりを強化する必要があり、その体制整備について、地方自治体や関係省庁と連携しながら対応していきたいと考えているところでございます。

 御提案いただきました民間委託につきましては、立入検査等は公権力の行使に当たるといった課題もございますことから、まずは、今回の改正後の無許可営業者の実態や、それに応じた都道府県等の取り締まり体制整備の状況について注視してまいりたいというように考えてございます。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 今後も不断の見直し、検討を進めていただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 バッターを見ていますと、最初の繁本委員が京都で、次の山田委員が東京で、私が大阪。この京都、東京、大阪、どこもインバウンドが今非常に伸びておりまして、そして、民泊に対しても非常に今大きな、さまざまな自治体も関心を持って動いているところのバッターが続くなというふうにして拝見をしておりました。

 この旅館業法の審議、前回の国会でも私、質問に立たせていただきまして、この対になる民泊新法、ここも国交委員会での質問をやらせていただきました。この民泊新法は、国会で成立をいたしまして、来年の三月から民泊の申請が始まる、六月から施行されるというような今、状況になっております。成立した後で今さまざまな動きがありまして、その動きの中で課題として見えてきたところもあるし、さまざまなこうした課題や動きを中心にして、きょうは質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、シェアリングエコノミーということに対して、民泊はこのシェアリングエコノミーの一つであって、政府がどのような姿勢でこのシェアリングエコノミーに対しているか。

 民泊の場合は、スペースをみんなでシェアする。あるいは、移動手段のシェアがあったりとか、物のシェアがあったり、あるいはスキルのシェアというのもあります。クラウドファンディングみたいな資金調達のシェアというのもあると思いますが、このシェアリングエコノミーというものを政府は成長させようとしているのか。それとも、いろいろな課題があるのでこれをしっかりと規制を強化しなきゃいけないというような立場なのか。まず、どちらかお答えいただければと思います。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 シェアリングエコノミーには、我が国に散在する遊休資産やスキルなどの有効活用を通じ、さまざまな社会問題を解決する役割を期待しているところでございます。

 内閣官房IT総合戦略室におきましては、昨年十一月、シェアリングエコノミー推進プログラムを取りまとめまして、モデルとなるガイドラインをお示ししたところでございます。そこにおきまして、安全性、信頼性の高いサービスを事業者団体が認定する仕組みの立ち上げを後押しするなど、その普及と推進のための支援を行っているところでございます。

 また、本年からは、世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画に基づきまして、シェアリングエコノミーを活用する自治体の支援に取り組んでいるところでございます。

 今後も、引き続きまして、我が国のシェアリングエコノミーの健全な発展に向けまして、関係省庁と連携して取り組みを進めてまいりたいと思っております。

伊佐委員 つまり、普及と推進をする立場だと今おっしゃっていただきました。もちろん、規制も必要だというふうに思います。ただ、その規制も、安全性や、例えば信頼性をしっかりと図っていく、安全性、信頼性を図った上で、それは発展させていくために安全性、信頼性を図っていくんだというような御答弁だったと思います。こういうふうに政府が非常にシェアリングエコノミーに対して前向きだというところはよく理解をさせていただきました。

 その上で、今回の民泊について、まず基本的なところを高木副大臣に質問させていただきたいと思います。

 今審議をしております旅館業法というものと、既に成立、可決いたしました民泊新法、これが対の法律だというふうによく言われておりますが、この二つの法律の関係、それぞれの位置づけというのはどういうふうに考えればいいでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 民泊サービスにつきましては、インターネット仲介業者を通じまして、旅館業の許可を得ずに行われている事例などが多く見られておりまして、実態が先行し、騒音やごみ出しなど、地域住民とのトラブルといったさまざまな問題が発生しております。こうした問題は、民泊サービスを誰がどこで実施しているかという実態把握が困難であることなどが要因となっております。このために、適正な形で民泊サービスの把握ができるように、本年六月に成立しました住宅宿泊事業法では、民泊サービスに関しまして、届け出制を初めとする一定のルールを定めて、その実態把握と適切な指導監督が行われることとしております。

 一方で、旅館業法改正法案につきましては、住宅宿泊事業の届け出をせず、また旅館業法上の許可も取得しない、いわゆる違法民泊事業者につきまして、都道府県知事等による立入検査権限を創設する、またあわせて、無許可営業に対する罰金の上限額の引き上げを行うことにより、その取り締まりを強化するものでございます。

 このように、御指摘のとおり、住宅宿泊事業法と改正後の旅館業法が相まって、違法民泊を取り締まりつつ、健全な民泊事業者が育成され、旅館、ホテル、民泊による多種多様なニーズに合った宿泊サービスの提供が可能になるものと考えております。いわばアクセルとブレーキの関係かと受けとめております。

伊佐委員 アクセルとブレーキというふうにおっしゃっていただきました。

 御答弁の中で、実態把握をされるんだと。つまり、その意味するところは、今回、民泊新法あるいは旅館業法という形で新しい法律、法律改正も行われていますが、既にあるんだ、それをどうやって実態把握するか。

 よく、この二つの法律で民泊が解禁された、さあこれから大変なことになるというふうにおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、そうではなくて、もともと今既に存在している。ただ、ルールがなかった。何もルールがなかったがゆえに、周りの住民の皆様に御迷惑をかけているものもあったかもしれないし、あるいは、一部では犯罪の温床になっているんじゃないかというような指摘もあった。だから、そういうところに対してしっかりとルールをつくって、今あるものに対してルールをつくって、民泊を健全に育成というふうにおっしゃっていただきましたが、このアクセルとブレーキになるものだというふうに理解をいたしました。

 それでは、既に民泊が存在している、まだ申請はこれからですから、民泊らしきものが。ということですが、今、日本にどれぐらい民泊らしきものというものはあるとお考えでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる民泊につきましては、先生御指摘のとおり、その実態の把握が難しいところではございますけれども、観光庁がことし行いました訪日外国人消費動向調査というものがございまして、それによりますと、訪日外国人旅行者のうち一二・四%の方が有償での住宅宿泊を利用したという調査結果が得られておるところでございます。必ずしも正確な宿泊実績を把握できているわけではございませんけれども、訪日外国人旅行者のうち一定の割合でそういった利用がなされているものと認識しているところでございます。

 なお、この実態上の民泊につきましては、旅館業法上の許可を受けた簡易宿泊所、また特区民泊の認定施設のほか、旅館業法の許可を受けていない違法な物件などが混在しているのではないかというふうに考えられるところでございますけれども、昨年、厚生労働省がいわゆる民泊仲介サイトに掲載されている約一万五千件の物件を対象に調査された結果によりますと、旅館業法の営業許可を受けている施設は約一六・五%であった、無許可で営業を行っていたものが約三〇・六%、物件の特定ができなかったものや自治体において調査中のものが約五二・九%であったというふうに承知しているところでございます。

伊佐委員 日本に来られた外国人の方の一二・四%の方が有償での住宅宿泊をされたということ。今、ことしの数字も見ていますと、恐らく訪日外国人は三千万人ぐらいに届くかもしれない、近くに行こうとしているようなこういう状況でありますので、単純に計算しても、三千万人で一二・四%ですので三百万人ぐらい、実は今民泊を使っているという状況にある。その実態、その前提の上で我々はこの議論をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 その上で、一つちょっと心配していることがありまして、それは、先ほど高木副大臣がおっしゃっていただいたようなこの法律の趣旨というものがしっかりと関係者の皆様に伝わっているかどうかというところです。

 観光庁は、この制度設計の詳細についてガイドラインをつくるというふうになっておりますが、そこにいろいろな詳細が示されるわけですが、いまだ示されていないという状況です。現場のさっきのいろいろな、各自治体の動き、紹介がほかの委員からもありましたが、現場の制度設計にいろいろな混乱が生じているというふうに思っております。

 法律の十八条では、自治体が条例を制定することができるというふうに書かれております。これは、各地域の実情に合わせて、法律に書かれた規制にさらに上乗せといいますか、それ以上に民泊に制限を加えることができる、住民の生活環境に悪影響を及ぼさないように制限を設けるということになっています。

 例えば、東京のある区では、これは既に特区をやっているところですが、ここのところ、私も見に行っていろいろお話を聞かせていただきました。そこが今審議している条例にはこう書かれています、住居専用地域では全面禁止と。つまり、そもそも人が住んでいる住宅を民泊としてやろうという話になっているんですが、この住居専用地域では全面禁止というような条例を今審議している。

 あるいは、東京の別の区では、住居専用地域では毎週月曜から木曜日は民泊禁止、つまり平日は民泊禁止という条例が審議をされております。東京の民泊の実績を見ますと、八割が四泊以上なんです。八割が四泊以上なんですが、平日禁止になってしまうと、その八割が全部除外されてしまうというような状況になります。

 この状況に対して、政府はどういうふうに今認識をしているでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、住宅宿泊事業法の第十八条におきまして、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、住宅宿泊事業を実施する区域、期間について制限することができるというふうに規定をしておるところでございます。

 当該規定の趣旨からは、自治体が条例を定めていただく際には、生活環境の悪化を防止するために特に必要があるかなどの観点から、きめ細かに検討していただく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。

 このため、一般的に申し上げれば、広範な区域で年間を通じて全面的に住宅宿泊事業を禁止するといったような、事実上の営業規制となるような過剰な規制は、法の趣旨に照らしまして適切でないと考えておるところでございます。

伊佐委員 つまり、自治体等は、今その趣旨が伝わっていないと思うんです。自治体との連携不足だ。そもそも、制度設計でこうして現場が混乱しているのは、ガイドラインが今まだできていないという状況だから。

 六月十五日に施行がされて、三月に届け出が始まります。つまり、これに間に合わせるためには、地方の自治体、議会は今条例をつくらないといけないんです。本来であれば、このガイドラインができた上で自治体が条例をつくるのが本来の流れなわけですが、ところが、ガイドラインがなかなか出ないので見切り発車せざるを得ないというような状況になっております。

 ぜひ、観光庁、ガイドラインを早期につくって公表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この法律の施行のスケジュールでございますけれども、これは、本年の十月二十七日に政省令が公布されまして、来年の三月十五日には届け出などの準備行為が開始される、最終的には六月十五日に法律全体が施行されるということでございますので、このため、各自治体の皆様におかれては、現在、条例の検討を急いでおられるところだというふうに承知をしているところでございます。

 本法の運用指針となりますガイドラインにつきましては、現在、関係省庁とも調整しながら最終的な作成作業を進めているところでございますけれども、本年中、可及的速やかに発出できるように今作業を急いでいるところでございます。

伊佐委員 可及的速やかにということですが、少なくとも今月、年内、あるいは十二月半ばぐらい、今の条例の議論からすると、それぐらいのスピード感でないとこのガイドラインの内容が入れられませんので、ぜひお願いしたいというふうに思っております。自治体としても、やはり、住民の生活を守るという観点からすれば、ガイドラインのない状況ではこうした対応にならざるを得ないというふうに私もよくわかります。そういった意味でしっかりと徹底していただきたいというふうに思います。

 住民の皆さんの生活環境を守っていくという観点で、当然、丁寧な対応をしていく必要がありますが、先に国交省の眞鍋審議官にお伺いしたいと思います。

 例えばマンションで民泊を営業する場合、周りの住民の方々の理解を得ていくことが当然重要なわけですが、マンションは通常、管理組合というのがあります。管理規約もあると思います。二段階でちょっとお伺いしたいと思うんですが、まず、管理組合の総意、いわゆる管理規約ですね、管理規約との関係で、民泊の制限というのはどうなっていますでしょうか。

眞鍋政府参考人 マンションの民泊についてのお尋ねがございました。お答え申し上げます。

 分譲マンションにおける民泊をめぐるトラブルを未然に防止するため、民泊を許容するか否かについて、あらかじめマンションの管理組合においてよく御議論をいただいて、その結果を踏まえて、民泊を許容するか、あるいは否かということを管理規約上明確化しておくことが望ましいと考えております。

 そのため、八月の二十九日、管理規約のひな形であるマンション標準管理規約の改正を行いまして、住宅宿泊事業を許容する場合、あるいは禁止する場合、双方の例を示して、マンションの関係団体や都道府県等への通知を行った、こういうことでございます。

伊佐委員 審議官、済みません、もう一度お願いします。

 私が伺いたかったのは、民泊をしようとする方が届け出を行いますが、そのときに、住民の合意、マンションの管理規約との間できちんと確認をしなきゃいけないという行為があるはずなんですが、それについて答弁願います。

眞鍋政府参考人 申しわけございません。追加でお答え申し上げます。

 住宅宿泊事業者の届け出の際に、マンションにおいては、民泊を禁止する旨の管理規約がないことを都道府県知事の確認事項として法律の省令に位置づけております。

 ただし、管理規約の改正には一定の期間を要するということから、管理規約上に民泊を禁止するか否かが明確に規定されていない場合には、管理組合の総会あるいは理事会の決議を含めて、管理組合として民泊を禁止する方針が決定されていない旨を届け出の際に確認することとしております。

伊佐委員 当然、管理規約に民泊だめよと書いていれば民泊はできないわけです。その上で、ほとんどの場合、多分、管理規約に何も書かれていないんですね。民泊はいいかどうか、その可否が書かれていない。その上で、書かれていない場合には、さっきの答弁は、禁止する意思がないことを確認する書類も添付してくださいと。

 この意味するところは、私がレクで聞いたのは、例えば、管理組合のいろいろな会合の中で、議事録に、民泊が取り上げられて反対だという意見が多数あったら、それは反対の意見がないとは言えないので当然だめです。ただ、反対の意見も何もなければ、ないのが議事録で確認されれば民泊はやってもいい。

 ただ、一つ懸念は、当然、この民泊というものがまだこれからの段階で、マンションの管理組合、住民の皆さんも、まだ管理規約を変えようとかそんな議論になっていないわけです。議論しなかったがゆえに、議事録に当然残っていないわけで、そうすると、議事録に残っていないから特に反対の意思はないということで民泊がどんどん許可されてしまう。だから、住民が何も知らないうちに民泊が進められるんじゃないかという懸念があると思いますが、これをどう考えますか。

眞鍋政府参考人 おっしゃるとおり、管理組合において十分に御議論していただいた上で、まず民泊の制度を御理解いただき、これを許容するか否かということを管理規約上明確にする、あるいは総会や理事会の決議としてまとめていただくということがよろしかろうというふうに思います。

 ただし、現状、まだマンションの居住者の方が、制度の理解、あるいはこうした管理規約の改正の必要性について十分に御理解をいただいていないという状況にあろうと思いますので、私どもといたしましては、制度の理解とともに、こうした管理規約の必要性について周知徹底が必要であるというふうに考えてございます。

 このため、先ほど申し上げました標準管理規約の改正内容を国土交通省のホームページに掲載するとともに、全国の地方公共団体へ周知しております。

 また、全国のマンションの管理業務を受託している管理会社がございますが、この管理会社の九割を所管しているマンションの管理業協会、一般社団法人がございます。そちらを通じて、各管理組合への周知を八月の末及び十月の末、二度に分けて行いました。

 そのほか、公益財団法人マンション管理センターがございますけれども、そちらで相談窓口を八月の末に設けまして、全国の居住者の方あるいは管理組合からの相談の受け付けも開始しております。このセンターでは、管理組合向けの特別のセミナー、これを九月から十一月にかけまして全国、十回設けております。

 そのほか、協会に、業界団体に属していない自主管理組合、これもございますので、そちらに対しての参考資料の配付というのもこの十一月に終えたところでございます。

 なおもまだ制度について十分に御理解をいただいていないというような居住者の方、管理組合の方もあろうかと思いますので、さらに引き続きその周知の徹底を図っていきたいと考えております。

伊佐委員 この制度の趣旨というのをしっかりと徹底していただきたいということで質問させていただいておりますが、もちろん、全員知ることは無理だと思います。当然、全員の住民が知ることも無理でしょうし、ただ、過剰な規制になっちゃいけないというふうに思っておりますので、私がぜひ申し上げたいのは、これから、今、ガイドラインをつくっていらっしゃるわけですが、ぜひ家主居住型と不在型は分けるべきじゃないかというように思っているんです。

 つまり、家主がいて、実際にそのゲストを受け入れておもてなしをする、当然、家主が住んでいるわけですから、向かい三軒両隣はある程度顔が見える関係がしっかりとできているわけですね。そういう場合で民泊をする場合と、あるいは、家主が離れたところに住んでいて、管理会社があくまでその民泊の管理を行っているというところは、誰も住んでいないわけですから、個人的なつながりが周りの住民ともないわけです。そういうところは書き方を少し区別する必要があるんじゃないかというふうに思っておりますので、その辺もぜひ御配慮いただければというふうに思います。

 もう一問、不在型と居住型の区別でもう一つちょっと確認しておきたいのは、個人情報保護の問題です。

 民泊をやっていますよということを表に掲示しなきゃいけません。これは義務になっています。ただ、この内容も、今回、私も質問させていただきましたが、不在型と居住型で分けていただきました。

 つまり、例えば、実際にホストが家にいて、お客さんをおもてなしする。その御家族が住んでいるわけで、小さいお子さんもいらっしゃる。そういうところが、自分の、今民泊をやっています、何かあった場合の連絡先はここです、緊急の電話はここですというような、電話番号であったりとかいろいろな情報を表に掲示しなきゃいけない。これは個人情報保護やあるいはセキュリティーの問題からちょっと問題があるんじゃないかという観点から、今の政省令ですかね、居住型と不在型で情報掲示の内容、掲示はするんですけれども、掲示の内容を分けていただきました。

 これは今、自治体の条例でどういう議論になっているかというと、居住型と不在型も一緒になっているんです。一緒になって、個人情報を全てネットで公開する、ホストであって、人が住んでいる、この家主さんの個人情報も全部ネットで公開する、こういう条例が今審議をされようとしています。この辺はどう考えますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、届け出住宅ごとに掲げていただきます標識につきましては、家主居住型の場合は住宅宿泊事業者の連絡先などは記載しない、そういう旨、省令で規定しているところでございまして、当該住宅宿泊事業者のプライバシーに配慮する制度になっているということでございます。

 一方で、宿泊者あるいは近隣住民の方々などが、民泊物件が合法であるか否かを確認することを可能とするために、一部の自治体におきまして、届け出住宅に関する情報を公表することを検討しているということは承知をしているところでございます。

 この場合、情報の公開に当たりましては、都道府県等の個人情報保護条例などとの整合性の問題でございますとか、あるいはプライバシーへの配慮なども踏まえて具体的な公表方法を検討していただくことが望ましいと考えられますので、その旨をガイドラインにおいて記載することを現在検討しているところでございます。

伊佐委員 ここもやはりガイドラインなんですね。ここをしっかり、ガイドラインをとにかく早期につくっていただきたい。

 もう時間になりましたので終わりますが、これは、実はアジアで最初の法律なんです。アジアでこれだけシェアリングエコノミーが広まっている中で最初の法律で、今、世界が注目しておりますので、しっかりとしたものになるように御努力いただければと思います。

 終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。

 質問の機会を頂戴しまして、ありがとうございます。

 私は、二十分ということでいただいておりますので、早速質疑に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、きょうは旅館業法の審議ということなんですが、その前にちょっと、この間ございましたある発言について、ぜひ大臣に御所見を伺いたいということで、まず一問質問をさせていただきたいと思います。

 これは、十一月二十三日、竹下亘自民党総務会長の御発言の報道についてでございます。新聞報道によりますと、党支部の講演の場で、国賓のパートナーが同性だった場合、私は晩さん会への出席には反対だという趣旨のことをおっしゃったということであります。

 それで、これは外務の方でやっていただいたらいいんですが、今、例えば、ルクセンブルクの首相とかアイルランドの首相は、実はゲイ男性なんですね。セルビアの首相も、実はレズビアン女性でありまして、こういうことを公表されて、その国の代表であるということなんでございます。そういう方を排除するような発言をされると、その方を代表に選んだ国民の皆さんを軽視することになりますし、もちろん、礼儀を失する、外交的な失点になるかと思います。

 そして、その大もとには、実は、性的マイノリティーの人たちをこのように排除してもいいんだというふうな人権意識につながってしまうのではないか、こういう危惧を感じているところであります。

 予算委員会の方で、政府の見解については一定質問されているんですけれども、厚生労働分野を預かっている加藤大臣として、この発言についてどう受けとめられたのかということについて、御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 尾辻委員お話がありましたように、基本的に政府の考え方は、予算委員会で総理からも、また外務大臣からも御発言があったので、省略をさせていただきたいと思います。

 この発言そのものについては、あくまでも政治家個人の見解なので、政府として、また厚生労働大臣としてコメントするのは控えたいと思いますが、しかし、性的指向や性的自認に対する偏見、差別、これは絶対あってはならないというふうに考えております。

 こうした偏見をなくして、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心できる成熟した社会、ある意味では共生社会と言ってもいいのかもしれません、その実現のために、厚生労働省においても、これまでも、セクハラ等のパンフレットの中においても、このLGBTの問題についても内容に盛り込み、そして、適正な対応ということを啓発しているところでありますし、また、労働局の総合労働相談コーナーにおいても相談に対応する、こういった取り組みをさせていただいております。

 引き続きこうした取り組みをしっかり進めることによって、性的指向、性自認に関する職場での理解の促進を図るとともに、全ての方々が働きやすい職場環境づくりに引き続き取り組んでいきたいと思います。

尾辻委員 大臣の方からは、しっかりと偏見をとっていくということでおっしゃっていただきました。ですので、旅館業法の質疑の中でまたちょっと細かいことも聞いていきたいと思います。

 今回、私は、質問させていただくに当たって、六月の委員会の旅館業法の議事録を読ませていただきました。そのとき結構議論になっていたのが、第五条について議論になっていたかと思います。第五条とは何かといいますと、宿泊拒否をしてはいけない、三つの例外を除いてはしてはいけないですよということが書いてある条文でございます。

 実は、旅館業法五条ではこうやって宿泊拒否をしてはならないということになっておりますが、きょうお手元に資料配付をさせていただきました。この一枚目のところの左の新聞記事をごらんいただきたいんですけれども、この左は、大阪市において同性同士で宿泊をしようとしたところ、ホテル側から宿泊拒否に遭いましたという事例であります。そして、これは実は、私が事務局長を務めているイベントでこのことが起こりまして、東京からいらした方が大阪で宿泊をしようとしたところ、同性同士はだめだというふうに断られて、その方から私に連絡があって、これは第五条違反だから保健所に連絡をしたら指導してもらえるということで、保健所に指導をしていただいたというのが、実はこれは結構古くて二〇〇六年でございます。

 そして、その右側ですけれども、二〇〇六年から、今は二〇一七年、十一年たちました。では、実は、この問題は解決しているのかというと、そうではなくて、この右側は二〇一五年七月九日の記事でございますけれども、松山の三つのホテルで、性的少数者、つまり同性のお客様同士のダブルの御利用はお断りしていると書かれたケースが三件あったというようなことで、実際にこれも拒まれております。私も聞きました。

 ですから、旅行に行った際に、こうしてせっかく泊まろうとしたら、門前払いをこのように食ってしまうということが実は起こっております。

 そして、今までは当事者がそれを当たり前だと思った、自分たちが少数派だからこうして断られてしまうのは仕方がないと泣き寝入りをしていた部分が少しずつ見えてきたのかなというふうに思っておりまして、例えば、保健所でしっかり調査をしているところもあります。東京の豊島区の池袋の保健所が、二〇一五年、二〇一六年、調査されたそうですね。区内の宿泊施設の中で同性同士の利用を断ると答えた、百八十件調査したところ四十三件が断るということで、四分の一の宿泊施設が同性同士の利用を断ると答えたということも新聞報道でされております。

 これら保健所で把握されているのもあるんですが、まずは、厚生労働省として、このような同性同士の宿泊拒否について、これらの報告を把握したり、また調査をしたことがあるのかということについてお聞きしたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 これまで、旅館業法第五条違反の件数等の定期的な調査あるいは集計というのは行ってございません。

 しかしながら、都道府県等に対しまして、旅館等への立入検査につきまして、昨年度と今年度の実施状況を特別に調査しましたところ、平成二十八年度に一件、LGBTのカップルの宿泊拒否事案に関しまして立入調査及び指導が行われていたということを把握してございます。

尾辻委員 今、一件ということですけれども、保健所が調べると四分の一あったとか、多くの当事者はなかなか言えていないのかなとか、あと、内閣府で実は、世論調査の中でこれは一回調べたことがあるみたいで、人権擁護に関する世論調査の中で、これは実数ではないと思いますが、性的指向に関する人権問題として、宿泊施設、店舗等への入店や施設利用を拒否されることということについて、一定数こういう人権問題があるということが世論調査の中でもわかっております。

 これだけ事案がある、新聞報道でもある、そして実際は宿泊拒否の実態があるというところで、これはぜひとも防止をしていただかなければいけないと思っております。

 つまり、多くの宿泊業の皆さんは、同性同士の宿泊は断っても構わないんだという認識があるということだと思うんですね、この豊島区の事例を見ても。ですので、ぜひとも、これは通知をちゃんと、同性同士でも宿泊拒否をすることがないようにという通知が必要かと思います。これについてはいかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 旅館業法第五条におきましては、先生御指摘のように、宿泊しようとする方が伝染病等の疾病にかかっていると明らかに認められるとき以外につきましては宿泊を拒んではならないとされているところでございます。

 過去に、ハンセン病の元患者の方の宿泊を拒否した営業者に対しまして旅館業法に基づき行政処分が行われているなど、旅館業法は不当な差別的取り扱いを防止することを原則としてございます。

 このため、御指摘いただきましたとおり、同性同士であることのみをもって宿泊拒否をするというような差別的取り扱いは旅館業法第五条違反となるものでございまして、本規定の適切な運用が図られますように周知を図ってまいりたいと考えてございます。

尾辻委員 済みません。周知を図るということは、通知を出していただけるということでよろしいんでしょうか。確認です。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 自治体の担当者会議その他さまざまな手段があると考えてございますので、その手法につきましては検討させていただきたいと思います。

尾辻委員 ぜひとも通知を出していただきたいと思うんですね。

 これは、別に我が党が言っているだけではなくて、自民党さんも実は提言をされていまして、性的指向、性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すための基本的な考え方というのを平成二十八年五月二十四日に出されているんですが、その中にしっかりと、「宿泊施設や入浴施設等あるいは観光客向けの施設において、性的指向や性自認に関し不当な差別なくかつ適切な配慮がされるよう検討を行い、必要に応じてガイドラインの策定や通知等により行うべき対応を明らかにすること(特にホテルでの宿泊におけるダブルベッドルームの予約等)。」というふうにちゃんと書いてございます。

 なので、済みません、もう一度、ではお聞きしたいと思います。ぜひとも、周知のためには通知がいいかと思います。お答えいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、通知も有効な手段だと思います。通知も含めて検討させていただきたいと思います。

尾辻委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと引き続きまして、LGBT関連ということで、雇用、労働について御質問をさせていただきたいと思います。

 お手元の資料をごらんください。一枚目をめくっていただきまして、二枚目でございます。

 ことし実は、LGBT、性的マイノリティーの働き方、雇用、労働についてはさまざまなところから提言が出ております。

 おめくりいただきましたところにあるのは、経団連がことしの五月十六日に、「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」ということで提言を出されています。これは下に下線を引いておりますけれども、「その中でも、「見えないマイノリティ」であるとともに、企業としても取り組みが急務となっている、LGBTの人々に関する対応に経済界として初めて焦点を当て、各企業の取り組み状況を紹介すると共に、どのような対応が考えられるかを提言するものである。」という、経団連が出しております。

 一枚おめくりください。その次につけましたものは、労働組合の方から、連合の方からも出ているものであります。ことし十一月に、性的指向及び性自認に関する差別禁止に向けた取り組みガイドラインということで出ております。これが大体この大きさで、五十一ページのもの。経団連が四十二ページ物の提言。

 そして、もう一枚おめくりいただきましたら、今度は学術界からもこのようなものが出ております。「性的マイノリティの権利保障をめざして」ということで、ことしの九月二十九日に、労働の分野ということで、もう一枚おめくりいただきましたらついておりますが、(4)雇用・労働に関する権利保障の課題、下線のところに、「第一に、厚労省は、雇用・労働における性的マイノリティの権利保障を目的としたガイドラインを策定すること。」ということで、経済界、そして働く側の労働組合、また学術会議、学者の皆さんからも、学識経験者からも、そろそろ働き方についてガイドラインが必要だとおっしゃっておられます。

 先ほど申し上げました自民党さんの考え方の中にも実はございまして、雇用・労働環境というところに、「職場における自主的な取り組みを促すため、ガイドラインの策定等の施策の検討を積極的に進めること。」ということで書いてあるわけでございます。

 実は、性的マイノリティー、予算委員会でありました、大体、連合さんの調査、一回、インターネット調査で八%という数字がありました。いろいろなところの調査で、大体、五%とか、多いところでは一三・一%。国勢調査に入っておりませんので正確な数字というのはなかなか把握が難しいんですが、一定程度働く中にもおられる。こういう皆さんのところで、最初に大臣の方から、今さまざまな、セクシュアルハラスメントであったりというような一定取り組みがあるというのも聞いておりますが、これはそろそろ厚生労働省としてガイドラインをつくるべきときにもう来ているのではないかと思います。この辺、今の取り組み、ちょっと手短に方向性をお示しいただければと思います。済みません。

加藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、性的指向や性自認に対する偏見、差別をなくす、そして誰もが働きやすい環境をつくっていく、そのためにも事業主を初めそういった方々にも正しい理解を持っていただくことは大変大事だと思っておりまして、先ほど申し上げましたけれども、厚労省においても、これまでも、LGBTというよりも、セクハラ、パワハラとか採用とかそういった観点からアプローチする中でこの問題も取り上げさせていただいております。

 今、各党からも、そして今お話しいただいた経済界とか、労働界、そして学術界からもそうしたお話もいただいておりますので、どういう対応をとるのが一番この問題への理解促進を図るためにいいのか、そういった面についても、ガイドラインの作成も含めてしっかり研究したいと思います。

尾辻委員 ぜひとも研究ではなくて検討をいただきたいと思うんですけれども、御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 失礼いたしました。

 検討させていただきたいと思います。

尾辻委員 本来であれば、厚生労働省が実は引っ張っていって、そして皆さんと一緒にやっていくのがいいと思うんですね。なので、ぜひともガイドラインを策定いただきたいという要望をさせていただきたいと思います。

 あと一問だけやりたいと思います。

 客室のバリアフリーの問題、ホテルのバリアフリー、ユニバーサルデザイン化と言ってもいいと思うんですけれども、この課題について少しお聞きをしたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピック、二〇二〇年東京パラリンピックまであと千日になりましたというところで記事が出ておりまして、車椅子の方が使える客室が、部屋が少ないというような話が出ていて、まず、どれだけ今車椅子を使える部屋があるのかすらわからないというような状況があるというふうに、ここの新聞記事では書かれております。

 私も聞かせていただいたら、実は、今の基準は、五十室以上のホテルに一室だけ車椅子を使える部屋があればそれでよいという基準になっているということなんですね。実は、当事者の障害団体の人に聞いても、五十室に一室だけしかないということであれば、二、三人で車椅子の人が泊まりに行ったら、同じホテルに泊まれないなんということもあったりするわけで、本当にこれで東京パラリンピック、あと千日を迎える中で大丈夫なのかということを危惧しております。

 今どのような検討が進められているのか、そして把握をどうされるのか、お聞きしたいと思います。

眞鍋政府参考人 宿泊施設のバリアフリー化についてのお尋ねでございました。

 高齢者、障害者などがより円滑にホテル、旅館などを利用できる環境を整える、これは重要な課題だと認識してございます。

 このため、現在、実態調査を進めております。利用者の方にとって、どの宿泊施設にどの程度車椅子使用者などが利用可能な客室があるのかという情報が入手できる環境の整備が大変重要だという認識から、関連団体の協力を得まして、宿泊施設におけるバリアフリー対応の実態調査を本年十月から実施しております。この調査で得られた情報をもとに、利用者が必要な情報にアクセスできる環境を整えるようにしてまいりたいと思います。

 また、このような対応に加えまして、東京オリパラ大会を契機としてバリアフリー対応を加速させる観点から、学識経験者、障害者関連団体、宿泊施設関連団体及び地方公共団体などから構成される検討会を設置いたしまして、先ほどの実態調査を踏まえながら、先ほど御指摘いただきましたバリアフリー法のバリアフリー対応客室数の基準、その見直しの検討をしていただくこととしており、ちょうど本日午後、第一回の検討会を開催する運びとしております。

 検討会でのこの御議論を踏まえまして、今後、バリアフリー対応客室数の基準について必要な見直しをしてまいりたいと存じます。

尾辻委員 時間が来ましたけれども、ぜひ、この客室数の基準を見直していただきまして、そして、これはパラリンピックのためだけではなくて、それ以降いろいろな方がちゃんと宿泊できる環境整備を進めていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上をもちまして私の質問とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 選挙後初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは旅館業法の改正案の質疑でありますが、ちょっとその前に、報酬改定、今回、同時改定だということですので、少し触れさせていただきたいと思います。

 皆さんのお手元に、障害の報酬について、九月の二十二日の報酬改定検討チームに出された論点というものを資料でつけさせていただきました。

 一ページめくっていただいて、これは近年本当に大きな問題になっている放課後デイサービスについての論点ということでこちらを取り上げさせていただきますが、私も、二〇一二年に落選した後、放課後デイサービスを始めてことしで四年目になるんですね。始めた年は、私は江戸川区なんですが、うちの施設は十三番目だったんですよ。今は七十を超えているというぐらいに、この三年、四年の間に五倍どころか六倍に膨れ上がっております。

 私がやっている施設は、ほとんどのお子さんが週に一回か二回ぐらいしか来なくて、ほかの日は別のところに通っているので、いろいろなほかの施設の情報が親御さんを通じて入ってきたり、また、当然、自身でやっているということもあって、ほかの地域の放課後デイのお話なども聞いていて、まさに玉石混交というんでしょうか、一生懸命療育に取り組んでいるところと、ただ預かって子供を放置しているようなひどいところと、本当に二分化していると言っていいんじゃないかという状況。

 そういう中で、きちんとした療育に取り組むところにしていこうという姿勢での改革だということはまず理解をした上で質問をさせていただくわけですけれども、こちらを見ていただいて、ちょっと下線を引かせていただきました、論点のところ。「放課後等デイサービスを授業終了後に提供する場合においては、支援時間を適切に評価するため、基本報酬を時間単価にすることを検討してはどうか。」ということなんですね。今までは一日来ると報酬は幾らと決まっていたのを、時間で区切ろうということなんですが、本当にこういうことをやっていいのかということです。

 なぜかというと、この放課後デイサービスというのは子供たちを療育する場所ですよね。学童保育のように預かる場所ではないはずです。療育をするということになると、三時間、四時間療育し続けるなんということ、障害を持っている子供たちにできるでしょうか。私は、より適切な療育をしているところは、療育時間は一時間とか短い時間にきちんとやっている、そういうところの方がよりよい療育をしているんじゃないかと思うんですね。

 例えば私の施設だと、ピアノの個人レッスンというのをやるんですよ。障害を持っているお子さんでも、絶対音感があって、聞いただけでそのまま弾けるようなお子さんとかがいて、ピアノのレッスンをやるんですが、大体一こま四十五分です。そうなると、全部合わせても二時間はいないぐらいで帰るんですけれども、健常のお子さんでも、小学校の低学年ぐらいで三時間ピアノのレッスンなんてできませんよ、普通。

 そうなると、きちんとした療育をするということになると、必ずしも長い時間が必要じゃない。むしろ、短くきちんとやっているところをきちんと私は評価してもらいたいというふうに思います。

 そして、そもそも、開所時間四時間ということが平日は求められていて、開所時間がそれに満たないと減算ということもあるんですが、では、四時間丸々いないと減算になっていくような形にした場合どうなるかというと、ほとんどの高学年以上の子供は四時間はいられません。何でだかわかりますか。

 学校の下校時間を考えてください。高学年になると、授業が三時ぐらいまであるわけですね。その後、掃除をやって、ホームルーム、学活をやって、出てくるのは大体三時四十分です。それから四時間いたら帰りは八時ですよ、送迎の時間もあるわけですから。それを毎日子供に求めるんですかということですよ。小学校のうちから毎日八時に帰る、それで次の日の朝も学校に行かなければならない、これは決して子供のためになるとは思えません。

 そういうことも含めて考えると、私は、療育の質をきちんと見ていくことが大事であって、時間ではないと思うんです。ですから、時間単価で事業所の報酬が減っていくような、時間が少ないと減っていくような、そういう形の改定だけは絶対にやめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 放課後等デイサービスについては、障害児支援施策の一環として、就業中の障害児に対して、授業の終了後または休校日に生活能力向上のための必要な訓練や社会との交流促進の支援を行うものでありますが、授業終了後に支援を提供する場合においては、開所時間等にかかわらず、委員御指摘のように一律の報酬設定とされているところでございます。

 委員御指摘のように、短い時間で質の高いサービスが行われているという事例がある一方で、極端にサービス提供時間が短く、質にも問題がある事業所があるという指摘があるのも事実でございます。報酬の適切な評価のための報酬構造が必要との意見も伺っているところであります。

 こうした状況を踏まえまして、現在行われております平成三十年度の障害福祉サービス等報酬改定に関する議論においては、授業終了後の基本報酬に時間単価を導入することだけでなくて、利用者の状況などの指標に基づいて基本報酬を区分するなど、さまざまな観点から報酬を適切に評価することが検討課題として挙がっております。委員御指摘の質についても、現在、調査研究を進めているところであります。

 引き続き、放課後等デイサービスの質の向上と適切な評価という観点から、関係者の御意見を踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと思います。

初鹿委員 ちょっと一点確認させていただきますけれども、言いたいことはわかりますよ、それは、短い時間で、本当にきちんとした療育をしていないようなところもあると私も思います。

 ここで、私、確認したいんですけれども、時間単価でやるということを、やるんですかやらないんですかということです。二時間と四時間だったら、四時間が報酬が高くて二時間は少なくなる、そういう決めにするんですかということを聞いているんですが、やるんですか。

大沼大臣政務官 現在、まさにその報酬改定に関する議論を行っているところでございますので、関係者の御意見を踏まえつつ、検討をしっかり進めてまいりたいと考えております。

初鹿委員 時間だけでは質ははかれませんから、きちんと質を見るような仕組みというのをぜひ考えていただきたいと思います。

 これは、職員の配置でもそうなんですけれども、資格を持っている職員が必ずしもいい療育をするとは限りませんから、そういうことも含めて、実際にきちんとやっている事業所が評価をされて、そうじゃないところが淘汰をされるような仕組みにしないと、時間単価にすれば、人件費をかけないで、長くビデオだけを見せて預かるようなところが逆に生き延びるようになりますよ。そのことも踏まえて、きちんとした適切な対応をしていただくようにまずこれはお願いをさせていただきます。

 では、次へ移りますが、委員の皆様のところにもたくさん、きのう、ファクスが来ておりますよね。私も朝これぐらいの束が来ております。きょう七時ぐらいに事務所に来て、多分五十枚ぐらい見たんですが、全部見切れませんでした。ちょっと枚数も全部数え切れませんでした。それぐらいに来ております。これは何かというと、食事提供体制加算の継続を求めるという要望書です。

 この問題については、二十四日金曜日に、この当委員会で希望の党の山井議員が質問をいたしました。そのときに加藤大臣はこう答弁したんです。「平成三十年度の障害福祉サービスの報酬改定に向けて、この報告書の内容、」この報告書というのは二十七年の十二月の社会保障審議会障害者部会で出た報告書です、「報告書の内容、そして関係者の御意見、これも踏まえながら検討していきたいと考えております。」と。

 これは金曜日に言って、土日を挟んで月曜日に提案しているんですよね。金曜日に、提案を月曜日にしますと言えばよかったんじゃないんですか。私は、何かその辺は不誠実だったんじゃないかなというふうにちょっと思います。そのことはあえてこれ以上申し上げませんが、月曜日に提案が実際にされて、関係者が、これは大変だということで、これだけの要望書が一晩で送られてくるという事態に今なっております。

 山井議員がこの質問の際にも述べておりましたが、この食事提供加算がなくなると、利用者の自己負担にはね返ってきて、皆さんのお手元に新聞の記事を配っておりますが、月最大六千六百円、二十二日間開所だとして六千六百円の負担増になるということであります。

 これは、実際に負担増になると、通っている障害者の皆さん、一カ月働いて工賃が入ってきますが、一万五千円ぐらいが平均だと思いますが、この六千円を払っちゃうと、それまでの自己負担も合わせると払う方が多くなっちゃう。これはやはり不適切じゃないかなと思います。

 そして、私は、さらに言うと、実は利用者の負担が上がるという事業所ばかりではなくて、そもそもこの食事提供自体をやめてしまうところが出てくるんじゃないか。そちらの方が問題じゃないかと思うんですね。

 お弁当を持ってきてくださいということになったときに、障害のある方で、自分で弁当をつくれる方ばかりじゃないですよね。家族がいてお弁当を持たせてくれる、そういうところばかりじゃないと思います。

 そうなると、コンビニでお弁当を買ったりして、健康状態が悪くなって、ここで数十億円予算を削減して、それでよかったなと思うかもしれませんが、健康状態が悪くなって医療費がかかるようになったら、余計負担はふえますよ。そういうことも招きかねない。

 そして、加藤大臣も答弁の中でおっしゃっていますけれども、この加算は人件費分を見ているものであります。要は、職員の人件費に充たるわけですよ。

 これは、厚労省が月曜日に示した資料によると、一日当たり四百二十円、そういう換算になっているわけですね。四百二十円で二十人の定員だと、一日当たり八千四百円事業所に入ってくるわけです。八日間が休日だとして、二十三日の計算だと十九万三千二百円、二十二日だと十八万四千八百円。つまり、一人分の給料ぎりぎりぐらいですよね。それでもかなり厳しいんじゃないかと思います。

 これは毎日二十人全員来るという前提ですが、恐らくどこの通所の事業所でも、平均で見ちゃうと、十八いけばいいかなぐらいだと思います、平均的にすると。そうなると、二十二日間だと十六万六千三百二十円なわけですよ。

 つまり、食事の提供をしている事業所の多くは、加算だけでは人件費を賄えないで、少し持ち出しをして何とか人件費を出して、障害がある皆さん、利用者の皆さんの健康を考えた食事を提供している、これが現実なんだと思います。

 この人件費分がごそっとなくなってしまう。これは、事業所としては、人を雇用し続けるのは相当厳しくなると思います。

 しかも、御存じのとおり、食事の提供をするような職の人は処遇改善の対象にもなっていないわけですよ。つまり、処遇改善の加算を受けてヘルパーさんたちの給料を上げるとなると、この人たちの昇給分は事業所が負担をしているわけですね。

 そういう中で、各事業所が頑張って、利用者の皆さんのことを考え、食事の提供をしてきたわけですよ。そのことは、大臣、よくわかっていますよね。これがなくなったら、利用者の負担がふえる、そういう事業所もあるし、そもそも食事の提供をやめてしまう事業所も出てくる。食事の提供をやめるとどうなりますか。首を切られる職員が出るんですよ。

 処遇改善をすると片っ方で言っていて、こうやって、仕事を失ってしまうかもしれない人が出るようなことを一方でやるというのは、私は明らかにおかしいと思います。

 大臣、答弁のときに、「関係者の御意見、これも踏まえながら」、そう答えているわけですよ。ぜひ関係者の意見を本当にちゃんと聞いてもらいたいと思います。ぜひ事業所に、この加算がなくなったらどうするのか、アンケートをとってみてください。選択としては、まず、利用者の負担をふやすか、それか食事の提供をやめてしまうか、それか事業所で負担をするか、多分、その三つの選択くらいしかないと思うんですよ。

 これをやってみれば、いかにこの加算をなくすということが理不尽であり、将来的に見て、障害者、利用者の生活、健康状態も悪化させるし、事業所の経営状態にも悪影響を及ぼす、そして、働く皆さんの環境も悪くなる、いいことがないことにつながるということは、アンケートをとればすぐに見えてくると思います。

 ぜひ、検討するに当たって、まずは事業所にきちんと、この加算がなくなったらどうするのか確認をするアンケートをとるなりしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、お話がありました。そもそも、これについては、従前から、社会保障審議会障害者部会の報告書、さっき報告書とおっしゃったことで、いわば宿題的な形で請け負いながら延長がなされてきた、こういう経緯の中で、平成三十年度の障害福祉サービス等の報酬改定に向けて、この五月から検討チームを設置して、四十七の関係団体からもヒアリングを行っているところでもございますし、また、二十七日にはアドバイザーからもいろいろなお話をいただきました。

 中には、ほかのサービス、ほかの方ですね、今の話はそういった形で加算を受けている方々あるいはそういうサービス、例えば介護と比べてどうなるのかとか、そういった方の議論もありました。他方で、今のようなお話、負担をどうするんだとか、こういったお話もあるところであります。

 いずれにしても、そういったことを踏まえながら、しっかりと議論していきたいと思っておりますし、どういう形でそれぞれの方の声を聞くのかというのはいろいろなやり方があると思いますが、いずれにしても、いろいろな方々の声を聞きながら、しっかりと結論を出していきたいと思っています。

初鹿委員 ぜひ、目先の金を削減するためだけの安易な判断はしないでいただきたいと思いますよ。これは人件費分ですからね。継続的にずっと入ってきた人件費分の収入がすとんと抜け落ちたらどういうことになるのかということをきちんと考えて対応していただきたいとお願いをさせていただきます。私は断固反対でありますので、その点は御理解ください。

 それでは、本題の旅館業法に移らせていただきます。

 先ほども皆さんからいろいろ御意見があって、私も伊佐議員と同じように、六月に国交で民泊新法の方の質疑もさせていただき、こちらで旅館業法の質疑もさせていただいておりました。そして、半年ぐらいたつ間、いろいろ状況の変化もある中で、私も、今回質疑に立つに当たっていろいろ考えていって、少し疑問に思うところが出てきたんです。

 それは、まず一つは、届け出の受理を、どういう人をするかということなんですよ。担当の方に聞いたら、今既に違法営業している方も、違法営業の状態をなくすためにつくった法律だから、違法営業している人も届け出したら受理するというんですよね。それはいかがなものかなと私は思うわけですよ。違法状態をなくすための法律ではあるけれども、法律をつくりました、施行は六月十五日ですというところまでもうアナウンスがされている中で、今違法でやっている。見つかったらこれは罰則を受けるわけですよね。

 先ほどどなたかの質問で、一万八百ぐらいが指導を受けているというお話がありました。実際に告発をされて罰金になったり、書類送検されたり、裁判になったりしているのは数件なんですね。年に二件とか一件とかなんですが、それでも、そうやって取り締まられている営業者というか事業者がいる。

 見つかったらペナルティーがあって、これは実際に罰金を払ったりすると、届け出しても受理されなくなるわけですよね。それが、見つからないで営業し続けていたら受理されるというのは、やはり私は不適切だと思うんですよ。これは、三月からまず届け出を受け付けるわけですよね。その受け付けの際に、法律が施行する六月十五日までは営業しちゃいけませんよと、少なくとも誓約書を書かせるぐらいのことはやってもらいたいと思います。

 それと、サイトがあるわけですから、そのサイトの運営者にぜひ協力してもらって、今違法状態でやっていたら届け出が受理されない場合もありますよということを周知していただきたい。そして、改めて、今違法営業をしていたらだめだよということをやはり口を酸っぱく言っていただいて、場合によっては、違法営業をしていたことがわかった場合は届け出も受理しない、それぐらいの対応をして、今からきちんと正していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 基本的には、条件を満たしていれば受理することとさせていただくこととなっております。

 この住宅宿泊事業法は、違法民泊が広がる中で、健全な民泊サービスの普及を図るために、民泊についての一定のルールを定めたものでございまして、法の施行後は、これまで旅館業法の許可を得ずに営業していた事業者につきましても、住宅宿泊事業としての届け出をして合法的な民泊に移行していただくことを期待しております。

 このため、住宅宿泊事業法におきましては、暴力団員等の欠格事由に該当しない限り、都道府県等に住宅宿泊事業を営む旨の届け出をし、住宅宿泊事業を営むことができることとしております。

 もう少し踏み込んで申し上げますと、現行の旅館業法には立入検査権限等もなく、そもそも旅館業法違反の把握が困難な場合が多くあります。また、罰金刑が確定し、住宅宿泊事業法上の欠格条項に該当するに至る事業者は、先ほど御指摘のとおり、ほとんどいないという現状もあります。過去の旅館業法違反の有無を確認するよりも、住宅宿泊事業法の趣旨に即して、できる限り多くの事業者に合法的に民泊の事業を実施いただけるように取り組んでいくべきと考えております。

初鹿委員 そうは言っても、これから半年間違法状態を放置するのはやはり好ましいことじゃないので、三月から届け出が始まって、届け出を受けるときに、法施行までは営業しませんと一筆書かせるぐらいは私はした方がいいと思いますよ。これはぜひ検討してください。

 時間がないので次の質問に行きますが、先ほど伊佐議員が、マンションなどの集合住宅で行う場合の管理組合の管理規約との関係のお話がありました。私も、これは非常に問題だなと思っているんですね。

 今現状、多分、多くのマンションに住んでいる方々は、自分の住んでいるマンションで民泊が行われるなんということは想像もしていないと思うんですよ、ほとんどの人は。だから、管理規約にもないし、総会での決議なんということもないんだと思うんです。

 問題は、いざ自分のマンションで営業が始まって、そこでいろいろな問題が出てきたときに、おやおや、これは何だ、民泊か、これはやめてもらわないといけないみたいになって、営業が始まった後に事後的に総会が開かれて、民泊禁止だとか、または管理規約の改正などが行われる、そういうケースが今後出てくるんじゃないかと思います。

 そこでお伺いしたいんですが、届け出が受理された後、マンションの側で民泊を禁止した、そのことが保健所なり監督官庁の方に、うちのマンションは管理規約を変えて民泊を禁止しました、届け出がされて営業している事業所があるんですけれども、これをやめさせてください、そういうことがあった場合に、事後的にこれをやめさせることができるのかどうか、そこをお答えください。

眞鍋政府参考人 マンションでの民泊についての御質問をいただきました。お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業の届け出の際、マンションにおいては、民泊を禁止する旨の管理規約などがないことを都道府県知事の確認事項として省令で位置づけさせていただいております。

 この届け出を経て適法に住宅宿泊事業が開始された後に当該マンションで民泊を禁止しようとする場合には、現に住宅宿泊事業を行っている区分所有者も含めて、マンションの区分所有者間で十分な議論が必要になると考えられますが、そのような議論を経て、区分所有法の規定に基づき管理規約の有効な改正がなされ、民泊が禁止されることなどによって届け出事項を満たさなくなるという場合には、当該マンションにおいて住宅宿泊事業を営むことはできないということになります。その場合、都道府県は事実確認をした上で、事業者に対して指導するということもあり得るかというふうに思います。

 しかしながら、一般的に申し上げて、民泊に限ったことではないと思いますけれども、このような一部の区分所有者の権利に関係のある、影響のある規約の改正を行う場合には、後々、争いやトラブルを招くというようなことも想定されますので、私どもといたしましては、トラブル防止の観点からも、可能な限り早期に規約の改正や決議などを行っていただく、そのような情報提供に努めてまいりたいと考えております。

初鹿委員 事後的に管理組合とかで反対になった場合に行政指導することはできるということで、それでいいわけですよね。

 ただ、やはりトラブルのもとですよね。届け出を受けたのに何でだめなんだとなるので、それだったらやはり、届け出の段階で、ただないということの確認だけじゃなくて、きちんと理事会なりそういうところで諮られたのかどうかということの確認を私はするべきだと思いますので、ちょっとその辺も進めていただきたいと思います。

 そして、もう時間がないので、少し条例の話をさせていただきたいと思います。

 条例では期間や地域を限定することができる、そういう法文になっておりますが、恐らく問題になるのは、家主不在型がやはりトラブルのもとだと思うんですね。この家主不在型を条例で禁止するということは可能なのでしょうか。そこをお伺いさせていただきます。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業法第十八条におきましては、合理的に必要と認められる限度で、生活環境の悪化を防止することが特に必要である区域、期間に限って住宅宿泊事業を条例で制限することができる旨規定されておりますけれども、いわゆる家主不在型であることだけを理由として住宅宿泊事業の実施を制限する条例を定めるということは適切ではないのではないかと考えております。

 ただ、一方、例えば、家主不在型の民泊の急激な増大を起因といたしまして生活環境の悪化が顕在化した、そういったような特別な場合の対応として、合理的に必要と認められる限度において、当該区域における家主不在型に限定して制限するような場合までも、これは直ちに否定されるものではないというふうに考えておるところでございます。

初鹿委員 もう時間なので終わりにしますが、ただ以降が結構重要で、実際にやり始めて家主不在型で問題が出たら、後で条例で禁止することはできる、可能だ、そういう答弁だったわけですね。これは非常に重要だと思います。自治体の皆さんにきちんと周知をしていただきたいとお願いして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消防庁審議官猿渡知之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは質問をさせていただきます、希望の党に所属をしております岡本充功です。

 まずもって、この旅館業法、私も、前国会、六月七日、当委員会、そして国土交通委員会では本年五月三十一日に質問させてもらいました。そのときに答弁いただいた、当時の食品安全部長の北島智子さんがお亡くなりになられたということで、心より哀悼の意を表させていただきたいと思います。今回、そういった意味で、彼女がかかわった法律案をこの国会で成立をさせていくということで、もう一度質問の機会をいただいたというのは大変感慨深いものがありますので、真剣に、前回の質問を含めて、きちっと指摘するべきことは指摘をしていきたいと思います。

 さて、きょうは、前回の宿題は後半にしまして、まずは、旅館業法で一体どういう刑罰がこれまで科された、もしくは、実際に今回法改正で罰則が厳罰化される、立入調査もできるということを法律の立法事実の一つとして挙げているわけでありますが、お手元にありますように、きょう、最高裁判所から資料だけいただきました。

 昭和五十三年から平成二十九年十月末までに旅館業法違反を処断罪として判決が言い渡されたのは、平成十二年、この一件だけ、こういう話であります。昭和五十三年から平成二十九年十月末までですから、相当長い期間において一件しか処断罪として確定判決が出ていない、こういう実態だという話でありました。

 一方で、きょうは法務省にも来てもらっています。一枚めくっていただいて、これは法務省からいただいた資料をもとに岡本事務所でつくったものでありますが、昭和五十三年以降、実際に公判請求もしくは略式命令請求等で起訴もしくは不起訴となった人数というのはこの資料で正しいですか。この点だけ確認をお願いします。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまお示しの資料は検察統計年報によって作成されたということでございますので、正しい内容であるというふうに考えられます。

岡本(充)委員 そうすると、ちょっと気になるのは、平成十二年、これは最高裁判所は一件確定判決が出ているというんだけれども、法務省からいただいたのは平成十二年は起訴がないんですけれども、これはどういう理解をすればいいですか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 個別の事件に関する資料が手元にありませんため詳細を確認することは難しいのでございますが、法務省が承知している起訴人員は処分時におけるものでございます。最高裁判所さんの資料は判決時におけるものでございますので、統計の把握方法が異なることから異なっているものもあり得ると承知しております。

 もう少し具体的に申し上げますと、平成十二年の近辺にも略式命令請求をしている事件は、例えば平成十一年に一人という形で計上されておるのでありますが、仮に、これがその後、正式裁判の申し立て等によって正式裁判に移行しているとしますと、それが判決人員として計上されるという可能性もあるといったことで、その点はそういう可能性もあるということでございます。

岡本(充)委員 略式命令というのは基本的に被告の人が一定程度その容疑を認めているという場合が多いでしょうから、ちょっとなかなか今の説明は理解しがたいところがありますので、きちっと調べてまた御報告をいただきたいと思います。

 その上で、こうした今のこの事件の概要を見ると、二十七年、二十八年はやはり結構ふえているなという印象も持ちますが、それ以前は本当に少ないんだなということを思います。

 その中で、ちょっと幾つか確認をしたいんですが、今度、厚生労働省からいただいた資料がその先で三ページ目ですね。保健所を設置している市や特別区、都道府県などで百四十四自治体に聞き取りをしたら、これまた平成二十八年度二件ということになっていて、平成二十八年十二月結審、こういうふうな書き方になっているんですが、これも法務省は二十八年、公判請求はないことになっているんですね。ここもちょっときちっと確認をしていただいて御説明を求めたいと思いますので、その点だけ指摘をさせていただいて、他委員会もあるということですから、こちらで離席していただいて結構でございます、法務省の方。

 さて、こういう状態の中で、ちょっと確認をさせていただきたいのですけれども、そもそも、今回の法改正で民泊を旅館業法の適用対象とせず、適用除外とした理由は何なのかということについて、一度確認をしておきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 我が国で行われております民泊サービスにつきましては、居住性の観点から一定の設備を備えた住宅において宿泊事業が実施されるものであること、それから、騒音やごみ出しなどによる近隣トラブルなどが生じていることなど、通常の旅館業と異なる性質を有しているものでございます。

 また、住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業のほかに住宅宿泊管理業と住宅宿泊仲介業も規制の対象としておりまして、健全な民泊サービスの普及を図り、制度の一体的かつ円滑な執行を確保するためには、これら性格の異なる三つの事業を一体的に管理する必要があるということでございます。

 こうしたことから、既存の旅館業法や旅館業法の改正ではなくて、別の法制度として新法で対応することとしたものでございます。

 なお、住宅宿泊事業法による届け出が行われた民泊では、事業者に対しまして宿泊者の衛生を確保するために必要な措置を講じることとされてございまして、御指摘のように、レジオネラなどの衛生問題が発生した際には、事業者に対して報告徴収及び立入検査などを行うこともできるようになっているということでございます。

岡本(充)委員 宇都宮さん、それは読んでいるところが多分違う。後段の、衛生法令として、感染症が発生したときにどう対応するのかということについて読んでいます。

 大臣、どうですか。答弁、ちょっと。多分、政務で整理すると聞いていますよ。

加藤国務大臣 失礼しました。

 今、事務局からお話ありましたが、全体の部分がそれに当たるところでありまして、もう一回読んでいいですか。

岡本(充)委員 いや、もう一回確認させてください。

 民泊を旅館業に含めてしまって旅館業法の中で民泊を見るという考え方があったにもかかわらず、あえて民泊を旅館業ではない業とするということで言われましたが、形態が違うといっても、これからお話をしますけれども、必要なサービス等は一緒な話であります。そしてまた、現に提供されるサービスの形態としても同じ効果を持つという中で、あえて、例えば下宿業は旅館業なのに、民泊を外すというのはおかしいのではないか、こういう指摘をしているわけです。

 下宿業が入っていながら、民泊が外れる。先ほどの話だったら、では下宿も下宿業法というのを別につくればよかったですね。違いますね、旅館業に入っていますね。ここの整理はどういう整理なんですかということです。

加藤国務大臣 先ほどと重複してしまいますけれども、あくまでも、民泊サービスというのと通常の旅館業というものの実態を見ると、例えば、提供している施設を見ると、一定の設備を備えた住宅を使うことも想定されているわけであります。また、近隣のトラブルなどがこれまでも指摘をされているわけでありまして、そういった意味では、通常の旅館業と異なる性質を有しているのではないか。

 また、そういった中で、結果的に、住宅宿泊事業法、御承知のように、住宅宿泊事業をする人、そしてそれを管理することがしっかりない場合もありますから、住宅宿泊管理業というのもそこで起こし、そしてさらに住宅宿泊仲介業、これをトータルで規制の対象にしている、そういったいわばサービスの形態になっている、実態になっている。そういったことも踏まえて、別建ての法律として対応されたものと承知しています。

岡本(充)委員 いや、だから、下宿業とどう違うんですか。下宿業も、一般の住宅の一部を間借りさせて下宿させたりすることがあるわけですよ。

 今のお話でいえば、一般の住宅をサービスに供するんだったら、下宿業法をつくればいいじゃないですか。下宿業は旅館業に入れているのになぜ民泊は別建てにするのかと、だから聞いているんです。

加藤国務大臣 例えば下宿業の場合、期間がもう少したしか長かったんじゃないか。

 下宿とまたこの民泊とでは当然性格、中身が違うわけでありますから、そこを念頭に置きながら、民泊を民泊と切り出して、そして、今申し上げたような性格、そしてこれに対する対応を考えた中で別建ての法律体系になった、こういうように承知しています。

岡本(充)委員 いや、それはなかなか苦しい答弁ですね、大臣。

 前回、実は質問をする中で、きっとレクを受けられたと思いますけれども、たしか国交委員会でしたかね、厚労委員会でしたか、結局、まあ後でもお聞きするんですが、いわゆる安全確保について旅館とホテル、それから民泊施設とで差があるのは、根拠は何なんだということを聞いたときに、そのときの答弁が、百八十日を限度にしているからという、この日数を一つ理由として、民泊営業の場合には年間で百八十日未満の提供に資するということで、住宅と、専業でやっていらっしゃる旅館とは性格が異なるということで安全施設基準に差をつける、こう答弁したんですよ。

 僕はここは非常に気になっていて、これから先、規制緩和だといって、百八十を延ばせという話が出てくるんじゃないかというときに、これは絶対百八十日は延ばせないという理解でいいのかということなんですね。これから日数をいじるという話が出てくる可能性があります。この日数が延びてきたら、結局のところ民泊は旅館やそして下宿業と何が違うんだといったときに、今の大臣の答弁はもたなくなるんじゃないかということを私は指摘をしておきたいんです。

 そういう意味で、百八十日は何が何でも守る、こういう話でいいんでしょうか。

加藤国務大臣 今の現行の法律の中においては、住宅宿泊事業法では百八十日というのが規定されているというふうに承知をしております。したがって、それを前提に区分けをしているということであります。

岡本(充)委員 いや、私が聞きたいのは、これから先の議論で、もっと日数を延ばせとか規制改革だとかいう話が出てくる可能性があるでしょう、百八十日がこの法律の根拠の重要なポイントだとするならば、ここはいじれないですよね、その確認をしているんです。これから法改正をする上でも、ここの百八十は動かせない。短くすることは可能だとしても、これを延ばしていって、年間、通年なんということになったら、これは当然、今言っていた大臣の答弁は成り立たなくなるし、前回の私への答弁である民泊と旅館、ホテルとの安全確保について差があることの合理的理由もなくなる、こういう理解でいいのかということを確認しているわけです。

加藤国務大臣 ちょっと、こういう言い方をしたら責任逃れに映るかもしれませんが、今おっしゃっている住宅宿泊事業法そのものは厚労省の管轄じゃないので、その改正について私がとかく言うのは避けるべきだろう。

 ただ、ただし、今回別々になった議論の背景としてそういったことがあったということは、そういう認識の中でこういう議論が進んできたというふうに私は承知しています。

岡本(充)委員 結局、旅館業法との兼ね合いも含めてやはり議論が出てきて、厚生労働省も、幾ら民泊事業法が国交省の所管だからといったって、意見を言う立場になると思いますよ、旅館業法との兼ね合いで。そういうときに、これはできないという理解でいいのかということは、厚生労働省として当然答弁ができる話、範疇でありますから、きちっとここはくぎを刺しておきたい、ピンどめしておきたいと思っているので、そこの点について明確な答弁を厚生労働省に求めたいと思います。

加藤国務大臣 いずれにしても、今回のこうした法律の立て方になった。その背景には、これまでの、今御指摘もあったことを含めた議論、認識があったわけでありますから、当然その認識の上に立って、また、この間、何か起こるかわかりませんけれども、というのは社会の状況が変わるという意味においてですけれども、そういったものを踏まえて議論するに当たっても、この法律がそれぞれつくられた、あるいは今回こういうことになったときに、そうした認識のもとでつくられたということは当然尊重されるべきことだというふうに思います。

岡本(充)委員 この話だけでも三十分ぐらい、十分できるんですけれども、いろいろ論点があり過ぎて、正直申し上げて、いろいろ指摘をしたいところがあるので、ちょっとまた別の機会に触れさせていただければと思いますが。

 きょう、警察にも来てもらっています。先ほどの、いわゆる民泊を行う施設から、もしくはその周辺から警察への情報提供、場合によっては一一〇番ということもあるでしょう、があった場合に、基本的に、警察として一般市民からの告訴、告発をその時点で受けるのか、それとも、そうした一一〇番なり警察への情報提供があったことを保健所に情報提供するという形にとどまり、一義的に直ちに捜査に着手をするという形態をとらないことが想定されるのか、一般論としてお答えいただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 地域住民の方から旅館業の無許可営業に関する通報を一一〇番等により受理した場合におきましては、個別具体の事案に即して適切に対応していくことになるわけでございますが、警察といたしましては、一般論として言えば、警察官を現場に臨場させ、関係者から聴取するなどした上で、旅館業の無許可営業の疑いがある場合には関係機関に連絡するなどの措置をとっているところでございます。

 また、関係機関の調査によりまして旅館業の無許可営業であるということが判明し、関係機関において繰り返し指導を行ったにもかかわらず従わないような悪質なものにつきましては、告発を受理して検挙するなど、厳正に対処しているところでございます。

岡本(充)委員 だから、結局、告発を受理するまで結構ステップがかなりありそうだという話でありますね。

 今回、立入検査の権限を付与する、そして厳罰化をすると言うけれども、実際、本当にこれで民泊事業をしている施設にどれだけ立ち入れるのか、では一体どういうものが立ち入りに至ったのかということで、四ページ目、厚生労働省に資料をいただきました。実際立ち入りに至っているのは本当に一割にも満たない自治体であり、そして、その中でも、旅館として立ち入りを行っても、現実的になかなか告発に至っていないという実態もわかるわけです。

 ちなみに、民泊で、先ほどの質問の後段です、宇都宮さんに先ほどお答えいただいた後段なんですけれども、レジオネラが発生した、もしくは例えばシーツで疥癬に感染した、こういうような話があったときに、民泊においてのこの立ち入りは一体何法に基づいて行うことになるのか。疥癬の場合、レジオネラの場合についてお答えをいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる民泊法におきましては、事業者に対しまして宿泊者の衛生を確保するために必要な措置を講じることとされてございます。もし衛生上の問題が発生した場合には、都道府県知事等は、事業者に対して報告徴収及び立入検査を行うことができると理解してございます。

岡本(充)委員 では、観光庁に聞きましょうか。どこの条文でそれを読めるんですか。民泊における衛生上の立入検査ができるという条文は何条ですか、今度の民泊事業法の。

水嶋政府参考人 先ほど厚生労働省の御答弁にございましたように、それぞれの根拠法令の規定に基づいて立ち入りが行われるということでございまして、それぞれ安全衛生のための法令の根拠に基づいて立ち入りが行われるということだと理解しております。

岡本(充)委員 それは何条なんですかと聞いています。

水嶋政府参考人 住宅宿泊事業法におきましては、第十七条に立入検査に関する規定がございます。

岡本(充)委員 そこに、感染症による立入検査ができるとは読めないでしょう。読んでみてくださいよ、次長。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 第十七条の規定でございます。読み上げさせていただきますと、「都道府県知事は、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、住宅宿泊事業者に対し、その業務に関し報告を求め、又はその職員に、届出住宅その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」と規定されております。

岡本(充)委員 ざくっと適正しかないんですよ。適正という言葉でざくっと言っているだけで、何が適正かという基準が載っていない。もっと言えば、衛生基準に基づいて立ち入ることができるなら、その衛生基準を示さなきゃいけないでしょう。そういう意味で、衛生法令、要するに厚生労働省が所管をしている衛生法令とたてつけが違うじゃないですか。だからこそ、法律がなぜわざわざ国交省に行ったのかということを冒頭質問したわけでありまして、本来衛生部局が管理をするべきものを、適正ということでざくっと一まとめにするということが今回の法律のたてつけをあやふやにしていると私は思いますよ。

 時間の関係で、私、本当にいっぱい聞きたいんですけれども、前回の宿題も聞いておかなきゃいけないので、確認をちょっとしておきたいと思います。

 前回幾つか質問をしましたけれども、結果として、民泊施設と旅館、ホテルで安全確保について差があることについて、合理的理由は何なのか、まあ、百八十日という答弁があったという話をさせていただきましたけれども、改めて消防庁の方からの御答弁をいただきたいと思います。

猿渡政府参考人 お答え申し上げます。

 消防法上、一般住宅につきましては、住宅用火災警報器を寝室等に設置することを義務づける一方、旅館、ホテルにつきましては、その業態に鑑みまして、規模にかかわらず自動火災報知設備や誘導灯の設置義務がございます。

 一方、一般住宅と他の用途に供される部分とが混在する建築物につきましては、他の用途の部分が五十平米以下であるような場合には、その建築物を住宅として取り扱ってきたという運用がございます。

 先般、住宅宿泊事業法の成立に伴い、家主が居住する部分と宿泊事業に供される部分が混在するものが想定されましたので、先ほど申し上げた運用などを踏まえまして、民泊に対する消防法令の適用につきましては、旅館、ホテルとして取り扱うということにした上で、人を宿泊させる間に家主が不在とならず、かつ、宿泊室の床面積が五十平米以下となるような場合には、家主が居住する部分と宿泊事業の用に供される部分とをあわせて住宅として取り扱うというふうにしたところであります。

 なお、今回の旅館業法の改正によりまして、今後、最低客室数の制限が撤廃された場合におきまして、先ほど申し上げましたような小規模な民泊と同様の利用形態になるというようなことが確認される場合には、同様の取り扱いとする予定でございます。

岡本(充)委員 前回も検討していくということで、一定の結論を得たのでありましょう。今の話はそういう理解ですけれども。

 その上で、私はちょっと、やはり指摘をしておかなきゃいけないのは、家主不在型において安全確保をとることは極めて重要だということを前回もお話をしました。さまざまな言語の人が泊まる可能性があって、誰もいなくて、出口もわからない、非常に複雑な構造で複数人、多人数を泊めるような施設が出てきた場合に、これは大変大きな惨事になりかねないという指摘をしているわけでありまして、そういう意味で、今の答弁であれば、家主不在型であれば旅館と同様の設備を求める、こういう理解でよろしいということですね。いいですね。ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 その上で、今度は観光庁において、先ほどからも議論になっていますけれども、宿泊拒否が認められる合理的範囲についても検討していただけるという話でしたが、これについてはどういう結論に至ったか、お答えいただけますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業は、そもそも住宅に人を宿泊させる事業ということでございまして、宿泊を専業としている旅館、ホテルとは異なる事業であり、法律上、宿泊拒否制限規定は置かれておりません。

 実際にも、住宅の施設の状況等によりましては全ての宿泊者を受け入れることが困難である場合も考えられますことから、住宅宿泊事業においては、事業者自身が宿泊サービスの提供対象者を判断することとならざるを得ないものと考えております。

 ただ、一方で、その判断が差別意識や偏見に基づくものである場合には、社会通念上、不適切であるということになろうかと思います。

 今後発出を予定しておりますガイドラインにおきまして、これらの考え方をお示しいたしまして、各事業者に対して適切な御判断を求めることとしてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 こっちは決まっていないということですね。

 これはちゃんと、やはり、法施行までと言っているけれども、きちっと示すべきですよ。やはり議論をされるべきだと思うんですよ、先ほどからそういう議論はあるわけですからね。

 最後に厚生労働省に。フロントでの本人確認の実効性をどういうふうに担保するのか、そしてまた、いわゆるイベント民泊について、ガイドラインをこれからつくっていくということでしたけれども、他制度との整理、進捗状況はどうなっているか、最後に御答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘は六月七日の質疑のお話だと思いますけれども、そのときのイベント民泊につきましては、イベント民泊ガイドラインに基づきまして、自治体が自宅提供者に対しまして、宿泊者全員の本人確認を実施することなど治安面等に配慮した必要研修等を実施すること、それから、感染症等の流行等、公衆衛生上のリスクについて問題がないと自治体が判断した上で実施することにより、御懸念のようなトラブルが生じないよう適切に対応していただくということを想定しているところでございます。

 今後、見直しなどにつきましては、現在、民泊新法の施行に当たって、先ほどから話題に出てございますガイドラインが作成されつつあるところでございまして、その内容も見ながら必要な対応について検討してまいりたいと考えてございます。

岡本(充)委員 本人確認の話については。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 本人確認につきましては、ICTを活用したフロント機能についての代替なども含めまして、ICTあるいはマイナンバーカードの普及など社会の実態の変化を注視しつつ、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

岡本(充)委員 もう時間ですからやめますけれども、それは全然、答弁、違いますよ。結局、外国人に本人確認を求めながら日本人の本人確認をしないことについてどうあるべきなのかという議論を六月七日にやっているんです。もう一度議事録をよく読んでまた答弁いただきたいと思いますが、時間ですので、これで終わりにします。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 旅館、ホテル、民泊、バリアフリー、障害者、そして、初鹿議員に続いて、少し食事加算の質問もさせていただきたいと思います。

 まず最初に、先ほど尾辻委員からも話がありましたが、バリアフリーの問題、非常に重要かつ深刻な問題だと思います。

 私も、二十代のころ一年間、京都ボランティア協会の職員をしておりまして、障害者の方々を支えるお仕事をさせていただいておりました。京都は観光地ですから、全国から多くの車椅子の観光客が来られまして、その受け入れということも、京都ボランティア協会の職員の一人として私もさせてもらっておりました。

 しかし、先ほど尾辻委員からも指摘がありましたように、最低一部屋あればいいとか、そういうガイドラインの中で、なかなかバリアフリーが進んでいないんですね。例えば、二人、三人のグループで車椅子の方が旅行に来られたら、では別々のホテルに泊まるんですか。

 それと、もっと言えば、私たちの親の世代も、やはり目が不自由になる、足腰が不自由になる、車椅子になるということは、これは高齢者になるとふえてくるわけでありまして、親孝行の一つとして、そういう老いた親を旅行に連れていく、そういうことを考えたときにも、単に障害者の方々のみならず、このバリアフリー化というのは非常に重要だというふうに考えております。

 配付資料をお配りしておりますが、一ページ目。「宿泊施設にバリアフリー評価制度 観光庁」ということで、厚生労働省の調査も赤線で引いておりますけれども、「七十歳以上の旅行回数を増やすためには、宿泊施設や観光施設でのバリアフリー対応が必須とされる。」

 二ページ目。これからのオリンピックやパラリンピックというものへの対応ということを考えても、大型ホテルでも一室あれば基準を満たしたことになり、バリアフリーの部屋は「五十室未満の施設では設置は努力義務にとどまっている。」それと、下に書きましたように、「障害のある人が優先だが、ベッドの高さなどシニア層にも使い勝手がいいと好評だ」、それで、「障害のある人に使いやすい部屋は一般の人にも使いやすい。」こうしたユニバーサルサービスデザインの客室をふやしていくと。

 それで、さらに、「車いす用客室 全国調査」というふうな、こういう調査結果も出ております。

 そこで、もちろん国土交通省にも絡むことですけれども、やはり高齢者や障害者が旅行しやすい、泊まりやすいという趣旨からすると、厚生労働大臣の役割、責任も非常に重要だと思っております。このような体の弱った高齢者やあるいは障害者に優しい旅館やホテルというものをふやしていくための厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに委員御指摘のように、障害のある方が、自立と社会参加を支援していくという意味においても、外に出て、また宿泊することが、宿泊できるところが確保されているというのは非常に大事だというふうに思っておりまして、旅館、ホテルのバリアフリー化を進めることは大変重要だというふうに思っております。

 現行について、今お話がありましたバリアフリー法ということで今進めているところでありますし、また、それに向けて、国交省とも協力して制度の周知に努めているところであります。

 また、ハード面のみならず、ソフトという意味においては、障害者差別解消法衛生事業者向けガイドラインというのを策定して、そうしたソフト面での対応をお願いし、また、どういうところでそうしたバリアフリーが進んでいるか、情報の提供も非常に重要であります。これは、旅館関係団体のホームページで、設備やサービス等の面でバリアフリー対応を進めている旅館やホテルの紹介をしている、こういう事例もございます。

 そうした関係団体とも連携して、バリアフリー化をさらに進めていきたいというふうに思っております。

山井委員 バリアフリーにするとコストがかかるという部分は確かにあるわけです。しかし、高齢化社会、そして障害者差別解消法、障害者の社会参加ということを考えても、このことは早急に進めていかねばならないと思っております。

 この三ページの配付資料にも書きましたように、「五十室以上の宿泊施設には車いす利用者用の客室を「一室以上」設けることを義務化。」小規模な施設では特に整備が進んでいないと。それで、パラリンピック競泳金メダリストの成田さんも、「国内大会がある時には、部屋が取り合いになることもある。現状では絶対的に少ない」ということをおっしゃっておられます。

 さらに、その次のページにありますように、車椅子利用者がグループで観戦する場合では、「その際に複数のホテルに分宿してもらうのは無理がある」というふうな、こういう声も出てきているわけであります。

 今、加藤大臣からも御答弁をいただきましたけれども、これを今後、もちろん障害者の方々に優しいということも重要なんですけれども、高齢社会に向かって、やはり高齢者の方々にとっても、旅行をするというのはもう本当に最大の楽しみの一つなんですね。健康づくり、生きがいづくりにもなるわけですし、親孝行にももちろんなるわけでありますしね。

 そういう部分から、これをどうすれば、もう一歩、国土交通省と連携して推進していくことができるか、そこの決意をお聞きできればと思います。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、健康長寿ということを考えても、外に出ていく、そして特にこうした旅行をする、これは大変重要なことなんだというふうに思います。

 バリアフリー化の推進について、今、日本政策金融公庫による貸付制度があります。旅館等においてバリアフリー化を進めるための設備投資を行う場合にはより有利な条件で融資が受けられる、こういうことでありますから、こういったこともしっかり周知を図りたいと思いますし、また、今、国交省においては、ホテルまたは旅館のバリアフリー客室の設計標準の見直しについても検討が行われているということでございますので、そういった検討の動向等もよく見きわめながら、国交省と逐次連携をとって対応していきたい、こう思っております。

山井委員 私、京都ボランティア協会に一年勤務してやめた後、二年間スウェーデンに留学して福祉の勉強をさせてもらいましたけれども、やはり宿泊施設もスウェーデンは非常にバリアフリー化ですし、駅も会社の中も道路も通路もお店もということで、もちろん単純に比較はできませんけれども、やはり障害者の社会参加の度合いが大きく違うなということを、つくづく私はスウェーデンに二年間生活して感じました。

 そこで、今、旅館、ホテル不足ということで民泊がふえております。それで、旅館、ホテルでも、それだけバリアフリー化が進んでいないわけですけれども、当然、民泊は十分に進んでいないんですね。でも、ホテルが満室だ、一般の人だったら、では民泊に泊まろうかとなるわけですけれども、車椅子の方、障害者の方は、ホテルが満杯だ、では民泊に泊まろうか、民泊はバリアフリーじゃない。結局、宿泊あるいは旅行を断念するのかということになるんですね。

 そこで、加藤厚生労働大臣に、民泊でのバリアフリー化の推進、障害者や体の不自由な高齢者が利用しやすいような民泊、ここについての御見解をお聞きできればと思います。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

加藤国務大臣 今お話ありましたように、建物の構造でいえば、共同住宅にはバリアフリー化の基準適合というのがあるんですが、この民泊、これが共同住宅の中であれば、その流れに乗るのかもしれませんけれども、そうでないケースも想定されるわけでありますから、必ずしもバリアフリーが求められているわけでもありません。

 それから、正直言って、今どういう状況なのかも、我々、まだこの住宅宿泊事業法が施行されていないということもあって、実態を把握していないところでございます。

 先ほど申し上げたガイドラインについて、ソフト面からしっかり周知をしていくということが一つ。それからまた、さまざまな、障害者差別解消法の趣旨についても、いろいろな機会に、そうした民泊等を行う人たちに対しても広報また啓発をしていく必要があるというふうに思っております。

 また、加えて、どういうところにおいてバリアフリーのそうした施設があるのか、あるいは民泊があるのか、こういった情報も重要だというふうに思っておりますので、これは観光庁とも連携をして、住宅宿泊仲介業者、ここが非常にネットでいろいろな情報をやりとりしていますから、そういった情報の中に、こうしたバリアフリーに関する情報の掲載をしてもらう、そういった働きかけもしていきたいと思います。

山井委員 先日、私、デイサービスセンターや、あるいはホームヘルプを受けられているお年寄りの家を訪問させていただいて話を聞いて、今どうしてホームヘルパーを利用されているんですか、どうしてデイサービスを利用しているんですかと言ったら、いや、実は転倒しまして骨折しました、段差で蹴つまずきました、階段で転びました。やはり、もう七十、八十でそういう転倒、骨折ということになると、なかなか完全に治らなくて、その後ずっと車椅子になったりつえになったり、そういうふうなことで歩行困難になるケースというのが非常に多いわけなんですね。

 そういう意味では、本当に非常に重要なことですので、民泊、旅館、ホテルでのバリアフリー化、ぜひともこれから進めていかねばというふうに思います。

 また時間があれば後ほど、民泊、旅館の話に戻りたいと思いますが、先ほど初鹿議員も質問されましたが、障害者の食事加算、先週金曜日、加藤大臣に質問をさせていただきました。月に約六千円自己負担がアップしかねない、そして全国で約二十六万人の低所得の障害者の自己負担が上がる、あるいは給食が食べられなくなりかねない。これは、単なる報酬の問題じゃなくて、工賃が五千円とか一万円、一カ月の給料がですね、その方から自己負担が六千円アップするというのは、これはもう到底受け入れられない話だと思います。そのことについて、加藤大臣、先週金曜日、現在検討中であるということで、関係者の意見を聞いて判断するということをおっしゃっていました。

 そして、今週月曜日、朝からその検討会があったので、私はまだ検討中なんだろうなと思って一応傍聴に行かせていただきました。そうしたら、びっくりしたんですけれども、関係者団体のヒアリングにおける主な意見、このいろいろなヒアリングの中で唯一、この食事加算の廃止だけはやめてくれということを、ほぼ全ての団体が言っているんですね。にもかかわらず、何とその場で、食事提供加算の取り扱い、障害児者、子供も一万数千人いるんですよ、二十六万人の中に。障害児者ともに経過措置について、延長しない方向で検討してはどうか、つまり廃止が提案されたんですよ。私はもう、はっきり言ってびっくり仰天しました。

 実際、その場所におられたアドバイザー、専門委員の方々からも反対論続出。それはハレーションがあるでしょう、合意が得られないのではないか、各団体の反対が強い、所得保障がこの十年確保されていないですよ、理解を得るのは難しいんじゃないですか、経過措置だから廃止というのはだめです、障害者の自己負担が大幅にふえかねない、まずは実態調査してからでしょうという反対論も続出したんです。

 それで、昨日も、障害者の方また保護者の方から直接話を聞かせていただきまして、もうおいしい給食を食べられなくなるんじゃないか、やめてほしい、急過ぎる、何でこんな私たちを苦しめるのという、本当に切実な声をきのうも聞かせていただきました。

 そこで、配付資料なんですが、六ページ、そんな中で、京都の宇治市でも、こういう記事が、洛南タイムス、城南新報という地元新聞に出ております。赤線で引かせていただきましたけれども、障害者の通所施設の保護者の方々が四十人集まって、市と懇談会をされたんですね。そこで、「働いても食費で“赤字”か」と。つまり、この地域では、一カ月働いて工賃が大体六千円とか八千円ぐらいなんですね。ところが、食事加算を廃止すると自己負担が一万四千円になるんですよ。ということは、人間というのは普通働きに行ったら給料をもらえるんですよね。違うんですよ。一カ月働きに行ったら何千円か払えと。

 それで、この洛南タイムスによりますと、利用者らは月々の収入を超える食費を支払わねばならないと。ある施設は年間八百万円予算が減ることになる、負担増になる。八百万円ですよ。週末バザーをやって、百円、二百円のものを売りながらやっているところに、八百万円の負担増。東京の施設は利用者の収入が高いと聞くが、こちらは一カ月の工賃が六、七千円ほど。地方のことを考えてもらわねば、弱い者いじめ、憤りを感じる、こんな声が続出したと。

 さらに、城南新報によると、「工賃を上回る食費危機」「寝耳に水」。それで、ある作業所は八百万円負担がふえる、ある通所施設は三百万円負担増、あるいは障害者本人の負担増になると。最悪のケースでは施設閉鎖の事態も想定されかねない。これはもう大変なことになっているんですよ。「親亡き後のことを考え、子供の通帳を作っている。今は食費が低いので、少しずつ貯まっているが、自己負担となれば貯金が減っていく。親亡き後が心配」「とにかく加算を切ってもらったら困る」、昼食がおにぎりになる、廃止は困るという声が続出をしたわけであります。

 このような声を踏まえて、私、最初に言っておきますが、これは別に与野党対決する話でもないし、与党の議員の方々も障害者福祉には非常に熱心だということを私は思っていますし、この厚生労働委員会でも、障害者福祉は、与野党を超えて本当にみんなで障害者を応援してきたんです。そういう趣旨からも、ぜひこの廃止ということを断念していただきたいと思うんですが、加藤大臣、いかがでしょうか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 御指摘の記事も事前にいただいておりましたので、読ませていただきました。そうした、まさに利用者あるいは御家族、あるいは施設を運営しておられる方々の声もあるということは、しっかりと受けとめたいと思います。

 ただ、前回も申し上げましたけれども、これについては従来から経緯があり、社会保障審議会の障害者部会の報告書でも、これはあくまでも時限的なものであるということ、そして、平成二十二年度から障害福祉サービスの低所得者の利用者負担が無料になっていること、それから、ほかの制度、例えば介護の場合どうなっているか、こういったバランスや公平性を踏まえて検討すべきである、こういうふうにされていたわけでありまして、そういった中で、今回、今お話があった形で考え方を示させていただいたところであります。

 ただ、これに関しても、二十七日の検討チームでアドバイザーからも、サービスごとに負担に違いがあるので公平性の問題から見直すべき、一律廃止が筋という意見がある一方で、また、食事の栄養面に配慮する支援などの調査研究を行った上で改めて方向性を検討すべきではないかという慎重な意見もいろいろいただいたというのは、御指摘のとおりであります。

 そうした意見、また関係者のこれまでもお聞きした意見もございます。これらを踏まえて引き続き検討していきたい、こういうふうに思っております。

山井委員 きょうは本当に時間もありませんので、余り議論できないんですけれども、これは切実です。単なる報酬の話じゃなくて、一カ月の給料が六千円とか八千円の人の自己負担が六千円アップする、これはもうもたないですよ。

 大臣、申しわけないけれども、介護保険との公平性とかバランスとか、バランスとか公平と言い出したら、障害者の方々を応援するということは、誰も不公平なんて国民は文句を言わないと思うんです。

 それで、この城南新報にもこう書いてあるんです。この保護者の方々や施設の方々が、年内に国や国会に、廃止は困るという意見を集約して、国会、厚生労働省に届けるということをおっしゃっているんですね。

 これはちょっとお願いなんですけれども、ぜひとも一回、大臣、お目にかかっていただいて、このことをやったらどういうことが起こり得るのか、本当にこれは深刻な問題なので、ぜひ大臣、お目にかかって聞いていただけませんか。もちろん大臣が忙しいのはわかっていますから、どうしても無理でしたら、もちろん副大臣、政務官ということもあろうでしょうけれども、やはりこれは本当に、二十六万人の障害者や御家族の命と健康と人生がかかっていますので、会って話を聞いていただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 この障害者の報酬の話も含めて、関係者の方からしっかりとお話を聞いて対応する、こういう姿勢でこれまでも取り組んでまいっておりますし、今後ともそういう姿勢で取り組ませていただきたいというふうに思います。

 具体な話は、またそのときにお話をいただければ調整させていただきたいと思います。

山井委員 十二月に来られますので、今、調整いただけたらということなので、ぜひ、大臣に会っていただければと思っております。

 それで、申し上げにくいんですけれども、なぜ私はここまで必死かというと、七ページを見ていただけますか。十年前から議員をされている方は覚えておられるかと思いますが、本当に、障害者自立支援法に関しては、与野党を超えて、泣いたんですよ、みんな。保護者の方が泣き、職員の方が泣き、私もこんな質問をしたくないけれども、実際、この七ページにあるように、滋賀県では、四十三歳のお父さんが、障害のある二人の娘さんを連れて、親子心中も起こったんですよ。福岡でも、自立支援法に関連して、お母さんが、知的障害のある娘さんを、包丁で刺して、包丁じゃないや、ここにも書いてありますけれども、とにかく親子心中を図った、そんなことすら起こっちゃったんですよ。

 何を申し上げたいかというと、単なる報酬の問題じゃなくて、自己負担がふえるかもしれないとなると、みんな、もう本当に前途を悲観して大変なことになるんです。残念ながら、私の親しかった施設の職員さんも、この自立支援法のことで疲労こんぱいして亡くなられました。私の知り合いも数家族、自立支援法で自己負担がふえるんじゃないかということで離婚をされました。本当にこれだけは政治が、党派を超えて最も守らねばならないのは、やはり障害者の方々なんです。

 それで、加藤大臣にお聞きしたいんですけれども、最後のページにありますが、結局、これをやれば何万人の人に影響が出て、月一人幾ら、年一人幾ら、それで国費が幾ら節約できるんですか。八ページにもありますが。

加藤国務大臣 今現在、食事提供体制加算に要する費用は、月額約十六億ですから、年額にすると約百九十二億円となっています。これは、国負担が二分の一、都道府県、市町村がそれぞれ四分の一ということでありますから、機械的に計算すれば、国が九十六億、都道府県、市町村がそれぞれ四十八億円ということになります。

 また、利用者の方は、これはちょっと推計でしか出せないんですけれども、対象になっているサービスの利用者は約三十八万人おられます。このうち、この加算によって軽減されている方は約二十六万人ということになるんだろうと思います。

山井委員 九十六億円ですよ。確かに予算がかかるのはわかるけれども、これは政治の本質にかかわる問題なんです。申しわけありませんが、何としても、これはやめてください。半額だけカットさせてもらうとか、経過措置をつくるからやらせてくれ、これも絶対だめですよ。なぜならば、安倍総理も、一億総活躍、障害者の方々が活躍しやすい社会をつくるといって、自己負担増はやはりだめだと思うんです。

 言いたくありませんけれども、もしこんなことを強行されるんでしたら、来年の通常国会、予算委員会で、加藤大臣ではなく、安倍総理に徹底的にこのことは追及させてもらって、撤回するために闘いますし、私たちは、食事加算の復活法案も議員立法でつくって国会に提出して、これを大問題にします。なぜならば、これは本質なんです。何のために政治があるのか、何のために厚生労働委員会があるのか。政党は関係ないと思います。ぜひとも、与党の方とも協力して、ここだけは障害者の方を守りましょうよ。九十六億円だったら、ほかで捻出できると思います。

 それで、最後になりますが、委員長にお願いしたいと思います。

 この問題、食事提供加算、年末までにはもう決まっちゃうわけです、法律じゃありませんから。ぜひとも、集中審議をこの厚生労働委員会で、食事提供加算の問題についてやっていただきたい。そして、先ほど初鹿議員からも話がありましたが、どういう影響が出るのか。

 それで、委員長にお願いしたいんですけれども、この審議会の中で、各団体が提供加算の廃止は困るということを、これだけの団体がノーと言っているんです。この資料を、障害者の各団体の、どういう見解を出したのかという資料を、次の理事会に提出をしていただければと思います。

 集中審議をお願いいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 これで終わらせていただきますが、ぜひとも加藤大臣、面会をお願いしたいと思いますし、調査なくして改正なし。実際、障害者一級の年金は、この十年間で八万二千五百円から八万一千二百円に、千三百円下がっているんです、十年間で。障害二級は、六万六千円から六万四千九百円、千百円下がっているんです。消費者の食事の物価は上がっているんです。ぜひとも、党派を超えて、この食事加算の廃止というものを阻止していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、先ほど山井委員が取り上げました障害者通所施設の食費負担の問題については、また、初鹿委員も先ほど取り上げました、私からも、絶対やってはいけないと思います。きょうは法案質疑ですのでその時間がございませんけれども、改めてこの国会の中で、本当に与野党を超えて議論をしていきたい、このように思っております。ぜひ、委員長にもよろしくお願いいたします。

 さて、旅館業法に入るんですけれども、国土交通委員会所管の民泊新法がことしの通常国会で成立し、来年六月十五日から施行されます。規制法である旅館業法がおくれをとるわけにはいかないという点では理解をしております。

 また、ことし六月七日の同法案質疑でもいろいろと指摘をしたわけですけれども、もともとは、やはり旅館業法の枠組みで民泊を規制する考えだったと思うし、私はそうすべきであったと考えています。

 そこで、まずは、民泊新法の政省令が十月に示されております。前回、六月七日の委員会でただした点についてどのように整理されたのかを幾つか確認していきたいと思うんです。

 それで、資料の一枚目に大まかな措置の中身が書いているんですけれども、近隣トラブルが非常に多い中で、民泊新法においては、家主に対して、騒音防止などの宿泊者への説明、苦情などの処理を義務づけ、また、家主が不在の場合は、住宅宿泊管理業者に委託することを義務づけました。

 そこで、先ほど来幾つか質問が出ているんですけれども、私も、六月七日のときに、マンションの管理組合が民泊を受け入れたくない、あるいは、独自の条件をつけることが可能かと聞いたわけであります。省令においてどのように整理されたのか、お願いします。

眞鍋政府参考人 マンションの民泊について御質問いただきました。お答え申し上げます。

 分譲マンションにおける民泊をめぐるトラブルの防止のため、民泊を許容するか否かについて、あらかじめマンションの管理組合においてよく御議論をいただいて、その結果を踏まえて、民泊を許容するか否か、管理規約上明確化しておくことが望ましいと考えております。

 今回の民泊新法、住宅宿泊事業法の政省令、特に省令でございますけれども、住宅宿泊事業者の届け出の際に、マンションにおいては、民泊を禁止する旨の管理規約などがないことを都道府県知事の確認事項として位置づけており、具体的には、届け出の様式において、民泊を禁止する旨の管理規約などがない旨を記載させること、管理規約の写しなどを提出させること、こうしたことを求める旨、省令において定めております。

 なお、管理規約の改正には一定の期間を要するということから、管理規約上に民泊を禁止するか否かが明確に規定されていない場合には、管理組合の総会、理事会の決議を含め、管理組合として民泊を禁止する方針が決定されていない旨を届け出の際に確認することとしております。また、その必要な書面を提出するように省令に位置づけてございます。

高橋(千)委員 資料の二枚目に今の、まあ、規約の中に定めがないというのは、それは簡単なわけですよ、規約の写しを出せば、ないねと見ればわかる。問題は、その次のところですよね。下のところに、第四条のヲのところにアンダーラインを引いていますけれども、「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」。

 ですから、禁止しますというのは簡単だし、あるいは、許可しますというのも簡単だと思うんです、もしそういうことを決めたのであれば。問題は、意思がないということは、まだそこまで考えが至っていないときに、どうやってそれを証拠として出すのかということなんですね。

 もう一枚めくっていただきますと、住宅宿泊事業届出書というのがあります。これはひな形であります。それで、下の段に、いっぱい書くところがあるんですが、その他の事項で、ここの一番幅の広いところ、「定めがない」というところにちょんをするというふうなことになっているわけですけれども、まさかそれだけではないと思うんですよ。

 どうやってそれを示すのか。実は、時間の関係で言いますけれども、先ほど伊佐委員もお話をされた、例えば議事録があるんじゃないかとかお話をされました。だけれども、それは、議事録に、議題に上らなかったらそれは禁止する意思がないとは、意味が違うと思うんですね。

 それを確認したというのを本人が、つまり管理業者になる人が確認したという書類だというわけなんです。つまり、管理組合の人がわかったよとサインをするんですかと言ったら、そうじゃないと言うんです。それじゃとても失礼だと。それで意思がないと確認したことになるんですか。

眞鍋政府参考人 お答え申し上げます。

 届け出した者が管理組合に住宅宿泊事業の実施を報告し、届け出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針、例えば理事会や総会の決議というものでございますが、それがない旨を確認した誓約書あるいは議事録などを提出していただくことを想定しております。今後まとめられるガイドラインの中にそれを明記しておきたいというふうに考えております。

 ただ、本人の誓約だけでよろしいのかどうかというお尋ねだと思いますけれども、管理組合側への負担の軽減も考慮し、届け出者本人の誓約書あるいは議事録の提出ということを想定しておりますけれども、その他の書面を否定するものではございません。

 また、誓約書の内容について疑義がある場合には、例えば都道府県から管理組合等へ問い合わせを行い、その内容を確認するということもあり得るというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 ですから、私は逆にすべきだと思うんです。ある旨を出させる、認めます、あるいは禁止しますと。ないことを証明するというのは、それは難しい、悪魔の証明だと誰かが委員会で言いましたけれども、それと同じことを今やろうとしているんですよ。そうでしょう。

 さっき初鹿委員の質問に対して、決議をすれば、後からでも決議をすれば民泊はできないということをおっしゃったと思う。でも、それは絶対トラブルになるであろうというのは誰もがわかっているわけなんです。だから、あることをきちんと出して、最初からトラブルがないように。

 だって、皆さんは、そうやって管理組合に標準規約を改正してまで周知をしていますと言ったじゃないですか。だったら前向きな議論をね。だったら、それはわかるよと。そうじゃなくて、ないはずだよというのは認めない、最初からそうすればいいんじゃないですか。

眞鍋政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、届け出者本人の誓約書あるいは議事録を提出していただくということを想定してございますが、その内容について確認が不十分だということであれば、都道府県の方から管理組合等へ問い合わせを行い、その内容を確認する、真偽を確認するということもあり得るというふうに考えております。

高橋(千)委員 一問目だけで時間がなくなるとあれですが、管理組合が、問い合わせを行うくらいのところまで至っていないかもしれないんですよ。よくわかっていない、わかっていないけれども禁止されていないということで話が進むということは絶対ないように、そのことを重ねて指摘したいと思うんです。

 それから、もう一回、六月のときにあわせて聞いているんですけれども、独自の条例の問題、自治体の独自の条例の問題。これもきょうたくさん質問が出ました。

 第十八条には、騒音の発生、生活環境の悪化を防止する必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができると書いてある。これはたしか資料を次のページにつけていたと思いますが、先ほど来の答弁を聞いていますと、かなり限定的なイメージを受けるわけなんですよ。むしろ、今言った騒音の発生、生活環境だけだ、過剰な規制はよろしくないというふうにとても聞こえるわけですよね。ですが、ここにあるように、その他の事情を勘案してと書いてあるわけです。だから、当然、自治体によってさまざまな事情があって、それを踏まえた条例を設ける、そこは当然認めるということでよろしいと思うんですが、いかがでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業法第十八条におきましては、先生御指摘のとおり、都道府県等は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、政令で定める基準に従い条例により、住宅宿泊事業を実施する区域と期間を制限することができることとしております。

 この政令におきましては、区域については、土地利用の状況その他の事情を勘案して、また、期間につきましては、宿泊に対する需要の状況その他の事情を勘案して、生活環境の悪化を防止することが特に必要である場合に制限することができることとされておるところでございます。

高橋(千)委員 ですから、その生活環境の悪化ということは、自治体によって非常に広い意味だと思うんですね。やはり、六月のときにも言いましたけれども、子供たちがとても多い地域なんだ、そこで夜中にガラガラというのは嫌なんだ、そういうふうないろいろな議論があって自治体が設けることがあるじゃないかということだと思うんですね。

 東京新聞の十一月十六日付で、新宿区の条例案について紹介をしておりました。実は、議会に提出したばかりで、きょうが審議の日だということなんですね。ですから、私が予断を持ってその中身について言うことはできないなと思うんですが、非常に重要なポイントがあると思うんです。

 それは、一つは、住宅の周辺住民との関係で、届け出しようとする日の七日前までに書面によって説明しなければならないとしていること。そして二つに、月曜日の正午から金曜日の正午までは実施することができない。そして三つに、区長は届け出住宅に関する事項を公表しなければならない。これはやはり、ホームページを見てずっと検索していくと、自分のところに当たる業者はどんな人があるかなというのはわかるけれども、そういう人ばかりではないわけで、身近なところで、区長さんの責任で公表されるということは非常に合理的な考え方ではないかなと思うんですね。

 規制改革会議の実施計画そのものも、あるいはあり方検討会で見ても、やはり、地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能と書いてある。その心は、住居専用地域も民泊を禁止しない、禁止しないと決めた以上は、やはりそれは地域の実情はちゃんと考慮するよという趣旨だったと思うんです。

 それで、簗政務官にお越しいただいております。こうした自治体独自の条例については当然尊重するべきものだということで確認をさせていただきたい。

簗大臣政務官 先ほどの答弁とも重複することがあろうかと思いますが、住宅宿泊事業法は、民泊サービスについて、一定のルールのもとで健全な民泊の普及を図るものであり、事業者の経済活動を不必要に制限しないよう配慮しつつ、近隣住民の生活環境への悪影響の抑止を図る制度設計をしています。

 このため、住宅宿泊事業法第十八条において、生活環境の悪化を防止することが必要な際に、合理的に必要と認められる限度で、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、期間を制限することができると規定されています。

 本規定に基づき、また、さきの通常国会における御議論等を踏まえて、政令において基準を定めたところでございます。

 国としましては、このような住宅宿泊事業法や政令の規定を踏まえた上で、各地域において十分に御議論をいただき、適切に対応していただくことをお願いしたいと考えております。

高橋(千)委員 ですから、口出しをするわけではないということでよろしいんですね。

簗大臣政務官 この第十八条の規定、そしてそれに基づく政令、そして今後策定されるガイドラインの趣旨を踏まえていただいた上で、それぞれの地域の実情等を勘案して十分な御議論をいただいて、適切な対応をしていただきたい、そのような考えでございます。

高橋(千)委員 その適切な対応というところに非常にひっかかるわけなんですね。

 やはり、先ほどの御答弁の中で、事業者の健全な経済活動に支障がないようにとおっしゃいました。経済活動なんだと言っていったら、もうそれは民泊という世界ではないと思うんですよね。だからこそ旅館業法の世界できちんと定めるべきだったと私は重ねて指摘をしたいと思うんです。

 それで、懸念はどんどん募っていくわけですけれども、家主不在型の民泊の場合のチェックイン時の本人確認、外国人であれば旅券の確認をどうするかということ。これは、対面またはそれと同等の手段と答弁をされました。これは政省令を見ても詳しい説明がありません。どのようになりましたか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 家主不在型の場合でございますけれども、本人確認は、深夜における対応も含めまして、登録を受けた住宅宿泊管理業者が家主からの委託に基づいて行うということになるわけでございます。

 具体的には、住宅宿泊管理業者の営業所のほか、業務の一部を再委託し、近隣のホテルのフロントや二十四時間営業の店舗などにおける対面での確認でございますとか、映像などのICT技術を活用した方法による確認が想定されておるということでございます。

 このような本人確認の適正な具体的な実施方法につきましては、今後、ガイドラインにおいてお示ししていく予定でございます。

高橋(千)委員 今、二十四時間営業とおっしゃいましたよね。ホテルのほかに何か、例えばコンビニとかも、そういうものも想定されているということですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 深夜における本人確認ということでございますので、二十四時間の営業の店舗、これは、具体的な営業形態としてはさまざまな店舗があろうかと思いますけれども、そういったところを活用した対面での確認というものが一つ考えられておるということでございます。

高橋(千)委員 いやいや、とてもとても現実的じゃない、住民の不安には応えられないというふうに思います。前回の議論の中で、だから、ホテルの業者にそういう代行業をやらせればいいんじゃないかという話までも出てきているじゃないかという指摘をしました。何か本当に本末転倒な議論ではないか、このように思います。

 それで、さらに心配が募るわけですが、資料の5を見ていただきたい。

 民泊の標識のひな形が示されました。さっきから議論しているのは、家主居住型と不在型と二種類しかなかったんです。もともとの議論はそうだったんですね。いつの間にか三つになっている。これはどういうことかというと、真ん中にあるのは、家主が近くにはいるんだけれども、離れとかあるいはマンションの別の部屋とか、だから要するに、同じ一つのところにいるわけではない、ホームステイとは違うということで三つの類型が出されたわけであります。

 私は、やはり二つできちっと整理をして、それから、さっき逆の議論がありましたけれども、たとえ家主居住型であっても、一体ここは誰のおうちなのかなということがわかってしかるべきではないか、このように思うのであります。

 まず、簡単な質問をします。どこにこの標識を張りますか。マンションの場合は、まさか玄関じゃないと思うんです。でも、個人の部屋の前だと意味がありません、普通。でも、ほかの人は入れないですから。では、集合ポストに張るんでしょうか。どのようにしますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅宿泊事業法第十三条の規定に基づきまして、住宅宿泊事業者に標識を掲げていただくということになっておるわけでございますけれども、これは省令におきまして具体的な様式を定めておるということでございまして、これは先生御指摘のとおりの様式となっておるということでございます。

 この標識には、住宅宿泊事業の届け出を受け付けた自治体の長の名称でございますとか、自治体が届け出者に対して通知した届け出番号などを記載するということにしておりますけれども、これらが記載された標識が掲示されるということによりまして、住宅宿泊事業法に基づく届け出が実施されているということが外形的に確認できるようにしておるということでございます。

 場所でございますけれども、法律におきましては、公衆の見やすい場所に標識を掲げることというふうに規定をされておりまして、具体的な場所につきましては、今後発出するガイドラインにおきまして、より具体的に掲示の場所についてお示しするという予定にしておるということでございます。

高橋(千)委員 ですから、どこかと聞いているんですよ。マンションの場合、ポストに張るくらいでもしなければわからないじゃないですか。でも、その建物の全部じゃないのに玄関のところに張っていたら絶対おかしいし、お部屋に張っているんだったらわからないでしょう。

 これは資料の一枚目に、改めて聞きますけれども、標識の掲示については「合法民泊の明示」と書いている。それは当たり前です。これは、ああ、合法だと。だけれども、「その結果、違法民泊も特定可能」。どうすれば特定できるんですか、違法なものは。違法なものは張っていないんですもの。どうやってわかるんですか。それは、集合ポストにばっと張っていて、番号を見て、そのくらいのことをやらなかったらわかるわけないじゃないですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律の趣旨でございますけれども、合法な民泊につきましては、その標識を外形的に掲げるということによりまして、外形的に、あっ、ここは合法な民泊なんだなということをわかっていただく、そういう制度設計をしたということでございます。

高橋(千)委員 だから、どこに張るかと聞いているじゃないですか。

水嶋政府参考人 繰り返しのお答えになることをお許しいただきたいのでございますけれども、法律におきましては、公衆の見やすい場所に標識を掲げるという規定がございまして、その具体的な、より具体的な掲示場所につきましては、今後発出するガイドラインにおいてお示しをする、そういうことになっておるということでございます。

高橋(千)委員 だったら、マンションは絶対ポストじゃなければ、目の前の集合ポストでなければ見やすいとは言えないと思います、最低でも。でも、きっと隣の人も嫌がりますよね。そういうことをちゃんと考えなければいけないと思うんです。

 そこで、大臣に伺いたいと思うんです。

 結局、こうやって民泊新法が施行されると、届け出された民泊以外が違法とされ、どこにいるかわからないのに、隠れているのに、それが旅館業法で規制されるということで、厚労省の所管になるわけです。

 資料の六枚目に、この間の違反のおそれがある業者に対して行っている指導の状況がありますけれども、昨年度でもう一万八百四十九件指導していて、その前、その前と見ていきますと、一桁ずつふえているわけなんですよね。だけれども、私は、その中でちゃんと許可をとるというふうに指導すればいいと思うんですが、それができたのはたった二%。では、違法だったらもうやめてくれと、それはわずか一四%にすぎないわけです。圧倒的に多い五三%が、調査中で連絡がとれないもの。こういう中で、新たに違法民泊の取り締まりをどのようにやっていくんでしょうか。

加藤国務大臣 委員の御提出資料のように、旅館業法違反のおそれがある事案について、これは都道府県等から報告を受けた件数ではありますけれども、平成二十七年度が千四百十三が、平成二十八年度が一万八百四十九と大幅に急増しているわけでありますし、このうち、下の方でありますけれども、調査中が五千七百七十九ある。

 これは、連絡がとれないなどの理由で調査中になっているわけでありますけれども、この背景には、逆に、都道府県等に無許可営業者に対する立入調査権が付与されていない、現行制度のそういったこともここに出ている。そういった意味で、今回、そうした調査権限を創設する、また、罰金額の上限を上げる、こういうことによって違法民泊への取り締まりの強化を行うことにしていきたい。ある意味では、そういったことに対する対応をとらせていただきたいと思います。

 また、具体的には、やはりこれを調査する人たちがいるわけであります。それについては、私ども厚生労働省から総務省に対して、保健所体制強化のための地方交付税措置を今お願いをしているところでございます。

高橋(千)委員 残念ながら、時間が来ました。前回も指摘をしたんですが、衛生監視員は、微増とはいえ、六千三百一名で、その専従者はたった二百九十四名なんですよ。そして、見るのは、旅館や違法民泊だけではなくて、クリーニングとか理美容とか、五十七万以上の施設があるわけなんですね。思い切った体制をとらなければ、そして、やはり体制をとるだけでは絶対追いつかないと思うんです。だから、法律で縛りをかける分野をもっときちんと見ていくということが絶対必要だということを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ちょっと時間が五分ぐらいおくれているようですが、もしよろしければ予定どおり二十五分やらせていただきたいと思いますが、ちょうどNHKのカメラがさっき来まして、私、何かまた悪いことをやったかなと思って、ちょっと気になったんですけれども、C型肝炎の採決の関係で多分来られているんだと思います。関係の皆様、ちょっと時間がずれていますが、できれば、もし終われば五分早く、またそういうことをやるとややこしいか。予定どおり……(発言する者あり)とにかく早くやれということですので早くやりますが。

 私、きょう伊佐先生の御質問を伺って、やはり与党の時間も要るなと思いましたね。あれは、やはり伊佐さんしかできない御質問だし、僕はやはり、五、五でもいいと思っているわけですけれども、閣法は僕は野党が十でもいいと思うんですが、でも、きょうの話だと、閣法であってもゼロ、十ではやはりだめで、閣法であってもやはり二、八ぐらいで、それで、野党の議員立法をやるときには八、二とかでやるといいんじゃないかなと、改めて自分の理想形がちょっとブラッシュアップされたということであります。ありがとうございます。

 それから、山井先生の御質問の、旅館業法とも関係するんだろうけれども、障害者の話。これは私はとても大事だと思っていて、私の兄弟もそういう福祉の分野で頑張って働いているんです、大阪ですけれども。だから、実は、山井さんが取り上げているテーマは大体よくわかるというか、大事だと思っています。

 特に、日本維新の会というのは、すごく誤解を、ちょっとひとり言ですから、別に聞かなくて、のんびりしていていただいたらいいと思うんですが、日本維新の会というのは、すごい誤解をされていまして、何かすごく右の政党だみたいなことで、それで自民党を補完ばかりしている、特に足立は安倍政権の補完しかやっていないといってえらい怒られるんですが、先日の厚生労働委員会は、自民党さんにも若干苦言を申し上げたらすごい評判がよくて、ああいう感じでやればいいんだよといって皆さんから御指導をいただいているわけでありますが。

 いずれにせよ、日本維新の会は、実は右でも左でもなくて、大事なことは大事、いいことはいい、悪いことは悪い、これでもう一貫して判断をしてきている。たまたま安倍政権はいいことが多いので、何か是々非々が是々々々非ぐらいになって、補完じゃないかと言われるんですけれども、それは、安倍政権がそれなりによくやっているからであって、決して、日本維新の会が何か補完しようとしているわけではないわけであります。

 それから、特に、我々は、できるだけ増税は急がずに、行財政改革をもっとやって、これは内閣委員会できょう、うちの浦野代議士がやっていますが、結局、増税なのか行財政改革なのかとゼロ、一じゃないんだけれども、そこの努力が自民党は足りないということを我々はずっと言っているわけだし、そこで浮かせた、増税でも行財政改革でも、そこで出てきたお金をまずどこに投入すべきかというと、我々も山井さんと一緒です。まず福祉ですよ。

 ただ、福祉なんだけれども、例えば障害を持たれている方、この障害を持たれている方に対する御支援というのは、だって、困難が多いんだから、そこをしっかりとお支えをする。

 例えば、生活保護でも、僕らは大阪では生活保護をちょっと削っています。削るとまた山井さんから怒られるんだけれども、でも、それは、もらうべきじゃない人のところを削って、本当に生活保護をもらうべき人のところに行っていないから、そっちへもっと向けようよということで、本来支えなければいけない方はしっかりとお支えをしていく。例えば障害を持たれている方の御支援、これは徹底してやっていく、それは自民党よりも我々の方がやっていく、山井さんよりも僕たちの方がよくそこは考えているんだというぐらい、私たちはそこは力を入れているつもりなんですね。

 きょうはせっかくの機会だから、山井さんと今ちょっと裏で話をしていて、山井先生がさっき、これは応援してくれよ、こう言われて、ちょっと話をしていて、いや、僕は最初、これは確かにそうだよなと思ったんですが、山井さんにちょっと聞いたら、山井さんは自立支援法自体に反対なんですね。僕は自立支援法自体には賛成なんです。

 山井さんは、つき合っている人がちょっと狭いんじゃないかな。結局、福祉の現場を広く見てください、福祉の現場というのは広いんです。さまざまな分野がある、さまざまにかかわっている方々がいる。そういう方のお声を虚心坦懐に受けとめると、あの自立支援法で喜んでいる人、むちゃくちゃ多いんですよ。(発言する者あり)今、何、障害者総合支援法。障害者総合支援法で喜んでいる人、むちゃくちゃ多いですよ。(発言する者あり)変えたからいいの。済みません。では、今の法律は賛成なんだ。大変失礼しました。いいのね、今の法律は。失礼しました。ちょっと私の拙いあれで。

 ただ、結局、自立支援法であれ、それを改善した総合支援法であれ、一定の競争を入れたわけですね。そうだよね、多分。一定の競争、競争じゃないか。ちょっと勉強不足かな。まあいいや。まあいいんですが、いずれにせよ、大分よくなったわけですよ。大分よくなった。

 よくなったんだけれども、例えば、ここで、山井さんとか、あるいは私が尊敬する高橋千鶴子先生とか、やっていらっしゃることは、まあ言ったら、何というのかな、僕、こんなところでやらなくていいと思うんですよ。だって、ああいう話は、まさに法律のエンフォースメント、法律を執行するときにいろいろと課題が出てきたら、それを役所と。だから、僕らはここに立っている以外の時間に、田村先生もそういう仕事をたくさんやっているわけです。

 要すれば、国民の皆様が政府との関係で、地方公共団体も含めて政府と国民がいるわけです、その間で、やはり、特に行政権を執行するときにさまざまな課題が発生する。それを、例えば白であるべきものが黒と判定されていたら、それはおかしいだろうと言わなあかんし、あるいは、役所が気がついていない現場の問題でかゆいところに手が届いていなかったら、ここはかゆいから、ちょっと早く手を伸ばせよと言う、こういうことはまさに僕らの日常活動ですよ。

 ほとんど、厚生労働委員会で野党の方々の一部が、一部ですよ、されている方の質問は、ここで質問の論評をしている場合じゃありませんが、私は、ここじゃなくてできることだと思いますね。それは議員会館でやればいい。

 私がここできょう議論したいことは、まさにもっと骨太な、例えばきょうの旅館業法の話であれば、旅館業法と民泊について、一体政府は何をしようとしているのか。そのバランス、例えば、競争していくわけです、これからは。旅館とホテル、あるいは民泊が競争していくわけですね。その競争関係の中でみんな悩んでいるわけです。悩んでいるから、役所の、例えば伊佐先生が言うところのガイドラインがどうなるんだ、そういうのをみんな注視して、業界を挙げてみんなそれを見ているわけだけれども、その規制のチューニング、ファインチューニングがちょっと変わるだけで民間事業者は影響を受けるわけでしょう。そこが大事なんですよ。

 それで、ちょっと御質問をするわけでありますが、そもそも民泊が制度化される、これはちょっと下の方から、四ポツからいきたいんですが、もし、大臣、可能であれば、この問いだけ一応大臣にも振ってありまして、あとはもう大臣は帰っていただいても結構ですから。ああ、その後があるからね。これも、面倒くさければそちらでも結構ですが。

 私がちょっと聞きたいのは、そもそも民泊制度が制度化された理由ですよ。

 大阪は、例えば、インバウンドでどんどんどんどん需要がふえる。需要がふえるけれども、全く足りていない。だから特区で、今評判の悪い特区で、僕らは本当に特区にお世話になっているんですよ。国全体がまだ動いていないけれども、大阪ではどうしても必要な制度というときは、それは特区でやるんですよ。だから、何か特区は悪いとかいう、何かよくわからない政党がどこかありましたが、特区は助かっています。大阪は、まさにこの民泊は特区で始めたんですね。それが今、一般制度になったということですが。

 例えば、そうやって、足りないから制度化がされたと考えたらいいのか、あるいは、何か制度上の不備があってこういう制度化がされた、あるいは、そもそも規制改革会議とかいろいろなところがやっているような規制緩和、いわゆる規制緩和なんですということなのか、いろいろ趣旨がこれはまざっていてわかりにくいんですが、政府の意図、政府が民泊を制度化してきた意図はどの辺にあるか、御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、民泊の方について申し上げれば、訪日外国人の旅行者がどんどんふえてきている、そういう中で、住宅を活用して宿泊するサービス、いわゆる民泊、これが実際いろいろ出てきた、こういう状況の中で、これをどう捉えていくのか。そして、特に今、宿泊ニーズもいろいろ多様化しているわけでありますから、そういったことを考えると、こうした新しく出てきたこの形態を適正に、これが育っていくためにも一定のルールが必要だというのがベースにあると思います。

 そして、それがしっかりとした届け出制度において実行できるためには、そのルールに乗らない人に対しては的確に対応していくということが今回の旅館業法の改正の一つとなっています。

 ただ、並行して、今度は、民泊と旅館、ホテル業が健全な競争をしていくという必要があります。そういった意味で、今、ホテルとか旅館にかかっているさまざまな規制が、例えば、ホテルと旅館は別ですという立て方、これが実態に合っているのか、あるいは、さまざまな基準が実態に合っているのか、そういった意味も含めて、今回、そちらの方の規制緩和もしていく、こういうことであります。

足立委員 まさに今大臣がおっしゃったように、もともと旅館業の規制があった、それで、違法な民泊があった、ざくっと言うと、その二種類があったわけでしょうが、その違法な民泊の人たちに、全員旅館業法に入ってきてくれと言われても無理だから、新しい規制体系をつくる、つくるけれども、公正な競争、公平な競争環境はつくっていかないといけない、こういうことで今回の規制緩和もある、こう承知をしているわけです。

 私は、現場でいろいろ話を聞くと、こんな声があります。いや、民泊が制度化されたのはいいよと。いいよというか、そういう調整をしてきたわけですから。全旅連とかとずっと調整をしてきて、やっとここで落ちついた、やっと落ちついた。落ちついたんだけれども、実は、ホテルを今どんどんつくっていますね。大阪でもすごいですよ。もう大変なホテルの、これから何年間かの、床というの、部屋数というの、それはもうすごい伸びを示します。すると、民泊なんかなくたって、俺たちホテル業界で全部面倒を見られるから、もう民泊をやめてくれよみたいな議論があります。そういう議論というのは、ある種既得権、悪い意味じゃないですよ、悪い意味じゃないけれども、従来のホテル業界、旅館業界の人たちからすると、そういう気持ちになる。

 もし、緊急的に、インバウンドの受け皿がなかったから、緊急避難的に民泊制度を制度化したんだったら、いずれ民泊制度は、これは緊急避難だからなくすということになります。

 一方で、いやいや、これは、さっき伊佐先生が、伊佐先生じゃないかな、誰だったかな、シェアリングエコノミーの話をした。ああ、伊佐先生。シェアリングエコノミーというのが今展開をずっとしてきています。どの分野でもそうです。

 だから、これは選択肢の一つとして当然あっていいサービスで、だから、この民泊というのはシェアリングエコノミーの一環として、もし需要が例えば減っても、あるいはホテルの供給がふえても、民泊という業態は、これは緊急避難じゃないんだ、これからの未来の業態なんだということで発展させていくのか、させていくんだと思いますが、その辺で考え方が違ってくると思います。その辺の哲学というか、将来展望というか、抽象的でも結構です、お願いします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の方から、民泊制度の意義というのは緊急避難的なものなのか、そうではないのかというお尋ねがございました。

 現実には、既存の旅館、ホテルのサービスには飽き足らない新たな宿泊のニーズがあるということもあろうかと思いますし、また、特に地方部におきましては、遊休不動産あるいは住宅でございますけれども、これの有効活用といった観点から民泊というものを進めたいというお考えもあろうかと思います。

 そういうことを考えますと、これは決して緊急避難的なものではなく、新しい宿泊のサービス形態として捉える方が適切ではないかというふうに考えている次第でございます。

足立委員 なるほど。そうであれば、まさに、ホテルという業態、旅館という業態、そこの線引きもいろいろ議論があるんでしょうけれども、それから民泊、これがこれからもずっと競争していくわけですね。インバウンドを含めて、宿泊の需要が仮に減ったとしても、減ることはない、ふやしていくんだけれども、減ったとしても、それは競争していくわけだから、まさにその競争環境、公平な競争を担保していく、旅館、ホテルと民泊の公平な競争を担保していく、これはとても重要なことだと私は思いますね。

 競争するときに当事者たちが一番気にしているのは、まず、競争しているから、さっきあったみたいに、皆さんがつくっている制度の上げ下げ。まさに規制緩和の手心の加え方で彼らの生きるか死ぬかが決まってくるわけですから、だから、僕は、これからこの分野を行政が制度改正とかしていくときに当たって一番大事なのは、やはり競争、すなわち公平な競争を担保するということが一番大事だと。

 そこは競争ということでいいですよね。例えば、需要が減った、減らないですよ、仮に減ったときに、ホテル、旅館が生き残るのか、民泊が生き残るのか、あるいは市場を分け合うような形で本当に拮抗するのか、それは競争の結果決まるんだということでいいですね。

加藤国務大臣 一つは、そうしたニーズが減らない、需要が減らないように、我々、さらに、特に訪日外国人旅行客の増大にしっかり努めていくということが必要なんだろうと思います。

 その上で、どちらがということではなくて、今お話があるように、公平に競争できるような条件を提示しながら、利用者側、宿泊者側の多様なニーズに対応していく、そうした状況を、それぞれの旅館やホテルの業者の方、そして民泊の事業者の方が、それぞれがある意味では競争しながら、あるいは切磋琢磨しながら、そうした宿泊サービス等を提供してもらう、そういうことなんだろうと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 その競争環境の中でやはり一番大きいのが税制です。

 この分野では、固定資産税とか宿泊税、これが問題になって、先ほどもどなたかから京都市の話が出ていました。宿泊税は東京、大阪、京都ということになりますが、まず、固定資産税の話からちょっとやっておきたいんですが、固定資産税というのは住宅用地特例というのがあります。これは、住宅といわゆるホテル、旅館、それから民泊が間にあります。この固定資産税に関する民泊の取り扱い、その辺は公平になっているんでしょうかというのがポイントなんですが、総務省、いいですか。

稲岡政府参考人 民泊に用いられる住宅に係る住宅用地特例については、その適用の有無は、居住の用に供しているかどうかということで判断をされるということでございまして、この民泊について特段別途の取り扱いをしているということではないということでございます。

足立委員 民泊については、例えば、来年春にこの制度ががっと立ち上がるわけですね。そうだけれども、税制改正はないということですね。

稲岡政府参考人 民泊ということにかかわる税制改正はないということでございます。

足立委員 僕もいろいろ聞いているんですけれども、どうもその税制改正要望は、少なくとも関係省庁から出ていないと。

 きょう一応、誰かわかる人はいるかな。これは厚生省、国交省かな、わからなければやめますが、なぜ、この民泊制度ができるのに、固定資産税に関する税制改正は必要ないのか。わかる人はいますか。ちょっと難しいか。国交省がいないと難しいね。では、やめておきましょう。(発言する者あり)レクでね。僕、自分でさっき言っていたものね。

 レクで一応やったんですけれども、レクでやっていたんですよ。やったんだけれども、これは議事録に残しておこうかなと思って。まあいいや。ちょっとブーメランが刺さっていますね、ブーメランが。わかっていますよ、僕はわかっているんですけれども、わかっていないのが山井さんとかですけれども。まあいいや、それは時間がないので。

 あと、申し上げたいことは、固定資産税に関する制度要望は関係者からは出てきていないということなので、今の住宅用地特例の制度のもとで関係者が競争していくと。税制に関しては、そこについてはルールは新しく変えられないということだと承知をしています。

 次に、いわゆる法定外税である宿泊税、これについて京都市がいろいろと取り組みがあると聞いていますが、京都市の取り組みをちょっと紹介していただけますか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 京都市からは、本年十一月八日付で、いわゆる宿泊税というものの新設に係る協議の申し出をいただいております。

 民泊に関連して申し上げれば、この宿泊税は民泊も課税対象としているということでございます。

足立委員 ごめんなさい、また高橋先生に怒られそうだけれども、ちょっと忙しくて事前にお役人さんとやれなかったんですけれども、もう刺さりまくっていますね。宿泊税は東京都と大阪府と京都市があると思いますが、民泊にそれを議論しているのは京都市だけということでしょうか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 宿泊税、現在、東京都と大阪府は民泊を対象としておりません。京都市の宿泊税につきましては、現在協議の申し出を頂戴しているところでありますが、これにつきましては民泊も課税対象としている、こういうことでございます。

足立委員 要すれば、この宿泊税が、大都市だけの話で恐縮ですけれども、東京と大阪は、旅館、ホテルに該当しないと急にどんと下がる、下がるというか、ないわけですね。京都は、それではいかぬだろうということで多分宿泊税の議論をされているんだと思うけれども、審議官、京都市の意図というのはわかりますか、何のためにそれを要望しているんだということは。目的。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが伺っておりますのは、京都市が設置した検討委員会から、宿泊行為について課税対象となる施設とそうでない施設が生じるのは公平性に欠けるとの考え方から、民泊を含む全ての宿泊施設を対象とすることが妥当である、こういった答申がされたことを踏まえたものというふうに伺っているところでございます。

足立委員 もう終わりますが、まさに今のような、これは自治体がやればいいと思うので、自治体で議論していけばいいと思いますが、私がきょう皆様の前でこの議論をしたかったのは、まさに公平な競争ということです。

 これから、将来は、このホテル、旅館と民泊というのはもしかしたら制度的にはもっともっと融合していくというか、今は、旅館業法があって、新しく事業法ができた。でも、それは、制度的にはとにかく生まれたばかりですから、これからどういうふうにさまざまな業態の宿泊施設が公平に競争していくのか。その公平な競争環境を担保できなければ、おかしな形で潰れるところが出たりして、不公平だと私は思います。

 そのときに、やはり、今申し上げた固定資産税のみならず宿泊税、これは自治体においても競争ということを十分に視野に入れて、私は、京都の取り組みが非常にいいのか、いいのであれば東京も大阪もまねをしていけばいいと思うし、それはよくこれからも精査をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、旅館業法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 本案は、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法に基づく給付金の支給の請求の状況に鑑み、給付金の請求期限を五年延長しようとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 衆議院厚生労働委員長提出の特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては異議はございません。

高鳥委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付しております草案を特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第9因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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