衆議院

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第6号 平成30年3月30日(金曜日)

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平成三十年三月三十日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    石崎  徹君

      大岡 敏孝君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    中曽根康隆君

      中谷 真一君    長尾  敬君

      百武 公親君    福山  守君

      藤井比早之君    船橋 利実君

      三ッ林裕巳君    山田 美樹君

      池田 真紀君    尾辻かな子君

      岡本あき子君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      平野 博文君    高橋千鶴子君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           池田 真紀君

   議員           初鹿 明博君

   議員           尾辻かな子君

   議員           山井 和則君

   議員           宮本  徹君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉住 啓作君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         中山 隆志君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田島 淳志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中田 裕之君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     藤井比早之君

  木村 弥生君     百武 公親君

  小林 鷹之君     中谷 真一君

  後藤田正純君     石崎  徹君

  繁本  護君     高村 正大君

  吉田 統彦君     岡本あき子君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     福山  守君

  高村 正大君     高木  啓君

  中谷 真一君     小林 鷹之君

  百武 公親君     木村 弥生君

  藤井比早之君     穴見 陽一君

  岡本あき子君     吉田 統彦君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     中曽根康隆君

  福山  守君     後藤田正純君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     繁本  護君

    ―――――――――――――

三月三十日

 生活保護法等の一部を改正する法律案(池田真紀君外九名提出、衆法第九号)

 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 生活保護法等の一部を改正する法律案(池田真紀君外九名提出、衆法第九号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件(年金をめぐる諸問題)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に年金をめぐる諸問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君、日本放送協会理事中田裕之君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として財務省大臣官房審議官田島淳志君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、労働基準局長山越敬一君、子ども家庭局長吉田学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平野博文君。

平野委員 おはようございます。無所属の会の平野博文でございます。

 早朝でございますので、元気が出るかどうかわかりませんが、頑張って、大臣並びに、きょう理事長にお越しもいただいておりますので、質疑を続けていきたいと思っています。

 きょうは、年金データの入力ミスという、この問題についての集中でございますが、先般、大臣に質疑をしました働き方改革の少し残っている部分があるものですから、その部分について少し説明を受けたいと思っておりますので、その点はお許しをいただきたいと思います。

 特に働き方改革、今にも、自民党の部会が了承した、こういうニュースがけさも伝わってまいりましたが、やはり、労働時間が長時間にわたる原因、こういう視点で見たときに、裁量労働でありますとかそういうことを考えますと、個人の仕事の業務量というのが明確でないがゆえに、できる人にどんどん仕事が集中して、いろいろな問題を引き起こしてくるんだろうというふうに実は思っておりまして、業務量の制限という言い方がいいかどうかわかりませんが、やはり、過労死の家族の方々からも訴えている言葉の中に、できる人間ほど業務がそこに集中するというのが現実の姿であるという訴えがたくさんあるように私は思っております。

 また、平成二十年の内閣府の調査でも、業務における責任範囲というのがまたあって、そこが曖昧である、そのことによって長時間労働の原因になっているということも示されておるわけでありまして、特に、労働時間管理のない管理職や裁量労働などには、本来の仕組みとして、こなすべき仕事量を含めて、働く者自身が判断、決定できるということが大前提でないといけない、私はそういうふうに思っています。

 みなし労働時間内に消化できない業務量を与えてはならないというふうに、私は、改めて、この裁量労働、みなしを加えていく上においては、規制をやはり加えていくべきではないかと。そうしなければ、できるところにどんどんどんどん来る、結果的には、その仕事の見合いに合った賃金体系であるとか時間がオーバーフローする、こういうことになる懸念が大だと思うんですが、この点、大臣、どう思われますか。規制をしていこうという考え方は持っておられますか。(加藤国務大臣「最後、ちょっと聞き取れなかった」と呼ぶ)

 労働時間の規制を、仕事量の規制を、明確でないがゆえに、仕事量がその人の本来の業務範囲を超えて裁量労働となっているというのが現実の実態ですから、そこを明確にするとともに、労働時間内に消化できない業務量はやはり与えてはならないという規制を加えていくつもりはありませんか、こういう質問です。

加藤国務大臣 今の委員の御指摘、裁量労働制あるいはみなし労働制を中心にお話しになられましたけれども、幅広く捉えると、通常の雇用形態においても同じような課題があって、結果的に、本来の業務時間が決まっているんだけれども、それだけの業務量を仮にこなすとすれば、とてもとてもその時間ではおさまらずに、場合によっては深夜あるいは土日までやらなければそもそも対応できないということが出てきているわけでありますので、そういったことを含めて、今回、罰則つきの上限規制を入れる。これは一応形でありますけれども、そうすると、結果的に、今委員がおっしゃるように、仕事の仕方あるいは与える仕事量、こういったものも、当然それぞれにおいて考えていただかなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 それから、みなしの場合は特に、みなし労働時間と実労働時間の乖離の問題がございます、特に裁量労働制について。これは、委員会でも御議論がございました。私どもも、余りにも乖離が、一日ごとにでこぼこあるのは、これは裁量労働制ということではあり得ると思いますけれども、かなりの期間にわたってみなし労働時間よりも労働実態の時間の方がはるかに長い、こういったことについては、しっかり是正をしていくということも必要であろうと思います。

 それから、これは御議論いろいろあるんですけれども、今回の高度プロフェッショナル制度において、実は、職務をしっかり書きます、そしてそれを文書で合意します、こういう規定になっているわけでありますので、そこの部分については、これまでそういった具体的な形を決めて、いわゆるジョブディスクリプション、具体的にどうするかはこれから議論しなきゃいけない部分もありますけれども、そういった意味においては、今委員お話のあったように、裁量をかなり任せる、裁量も含めてやり方が任せられるという以上は、やはり自分の受ける仕事の範囲というものをきちんと規定をしていこう、そういった考え方にのっとっているということでございます。

 トータルとしてどうするかについては、これはいろいろ御議論があるかもしれませんが、今申し上げた一つ一つの事案、あるいは一つ一つの制度においては、今委員がお話しになったことも念頭に置きながら、私どもも対応を検討させていただいているということでございます。

平野委員 大臣今おっしゃった点でいいますと、では、これぐらいが適当である、その判定は誰がするんですか。結果、使用者側が、これぐらいはできるだろう、こういうふうに思って、その枠をベースに、裁量労働でやるとかを決めていく。しかし、働く側から見たら、使用者側から言って、いやいや、それは働く側から見るとそんなにできないよ。そこによって、その人の、できる人、できない人の評価につながるんじゃないか。だから、働く側の人間は我慢をして必死になってやるんだ、こういうふうに悪循環を起こしていると思うんですが、その辺、大臣、認識どうですかね。

加藤国務大臣 今の御指摘は、一つには、例えば裁量労働制においては、これはある部分、結果で見ていく部分も必要なんだろうと。それで、先ほど申し上げた、みなし労働時間と労働時間がかなり乖離をしていれば、それは是正をするように我々は働きかけていかなきゃいけないと思います。

 ただ、今回の高プロの場合には、どこまでかということをベースに、交渉する、まず入るに当たっての交渉の中に、それを具体的にやらなきゃだめだ、こういう形になっているわけですから。

 そして一方で、これは法案を出した中でも御議論があると思います。どこまで交渉力があるのかないのかという御議論はあると思いますが、一応、これまでのいろいろな制度も踏まえて、交渉力もあると考える人たちが、もしそれが自分の納得がいかなければそれは受けない、そして、もしそれが納得がいけるものであればその限りで受けるといういわば事前におけるチェック、チェックといいますか、事前における条件の設定というものができ得る一つの制度ではないかな、こう考えております。

平野委員 もともと四百万から始まって、今一千七十五万ですか、そういうふうな基準が出ていますが、一般的に見て、一千七十五万ぐらいの報酬をもらう人が、本当に経営者と一、一でやれるぐらいの力量を持った人が一千七十五万円ぐらいのベースにあるかどうかというのは、極めて私は疑問を感じますね。

 私、なぜこのことを、管理職と言っているかといいますと、通常、一般的に大企業と言われている課長職ぐらいだったら、大体一千万を超えていっているんだろうとは思いますよ。課長職の方が経営者と対々で言える環境にやはりあるかどうか。いわんや課長職でない一般の方にも高プロという概念を入れようとしているわけですから、その方が対等に言える関係にある賃金ベースに、賃金ベースから見てもあるんだろうかという疑問を持つんですね。

 私、客観的にちょっと関係者の勤め人に聞くと、そんなのはとても机上の空論ですよと。少なくとも、中小含めて、経営者層と対々でやはり頑張ろうと思うと、それだけのスキルとそれだけの能力と、その人間がいなきゃとてもこの会社がもたないよというぐらいの人であると、報酬でいったら大体どれぐらいだと聞いたら、やはり二千万以上もらわないと、とてもじゃないけれどもそんなのは対々という環境にないよというのが、私が個人的に聞いた人の報酬ベースですね。

 大臣、本当に一千七十五万という基準が、大臣が今いみじくもおっしゃった高プロの対象、しかし判断はその本人だよと言っているけれども、実態的に言うと、やはり経営者からそう言われると、従わざるを得ない環境に、ややもすると雇用者はそうなっちゃう。そうならないような関係にある極めて有能な従業員を放さないというための報酬というのはどんなものですか、私は二千万ぐらいだと思うんだけれども。

加藤国務大臣 平野委員からも、要するに、結果的に一千万で、一千万というか一千七十五万、これは労政審での議論で、まだ最終的にはこれから議論ですけれども、どこかで切ることによって、一定、交渉力のある人がいるでしょう、そしてその人はやはり自律的な働き方があってもいいんじゃないかという、ある意味では、そこの部分においては、やや私どもと重なり合いがあるのかなというふうに思います。

 それ以外にも、いろいろな、健康確保措置とか、更にこうだとか、それはまたいろいろな議論をさせていただきたいというふうに思いますが、ただ、この千七十五というのは、たしか有期契約法のときに、通常三年を五年にするというときに、交渉力があるということで当時議論があってつくられたという経緯から、それが一つの水準になるのではないかということが労政審で議論されたということでありますので。

 やはり、大事なことは、その人がそれなりに交渉力がある、それから多分、給与だけじゃなくて職種もあるのかもしれません。いわゆる会社のラインの人だと、そこから外れちゃうと、もうほかの会社で、それぞれマネジメントの仕方も違いますから、なかなか同じ仕事を得ることはできない。しかし、特殊なスペシャリティーを持っている方は、Aという会社でもBという会社でも同じように仕事をしていくということになれば、やはり最大の交渉力は、いや、もうそれだったら私はここにいません、こっちにもう行きますよというのがやはり一番強い交渉力の一つなんだろうと思いますので、そういった意味で、単に年収だけではなくて、そのやっている仕事、そういったことも総合的に考えていく必要があるんだろうというふうに思っております。

平野委員 余りこの問題ばかり触れるわけにいきませんのでこのぐらいにしておきますが、要は、いずれにしても、使用者側の使い勝手のいい仕組みとして入れていくのではないんですよ。働き方の多様化していくこの時代に応じた仕組みとしての一つの部分ですよ。

 したがって、私は前回も最後にお願いしましたが、やはり働く側に立つ制度設計なんです、労基法というのは。労働法制というのは基本的にはそうなんです。その軸を、ややもすると、今の政府は使用者側に立った法制度に変えようとしているように思えてなりませんから、やはりあくまでも、これは過労死を含めて、働いている側にとって本当に大丈夫な法制であるべきだということを重ねて強くお願いをしておきたいと思いますし、そういう視点で見てもらいたい。

 それともう一点、これは簡単にやりますが、労働基準監督制度、この前、日本は少ないんじゃないの、こういうふうに申し上げました。

 それと同時に、じゃ、監督官はどれだけいるのといったら、人数が非常に毎年ころころ変わるんですね。これは何なんですかね、何で変わるんですかね。例えば、労働基準監督官の総数は三千四百三十九人、現場では、監督指導に当たる監督官は二千九百七十八人。これはいろいろあるんですが、毎年二転三転しているんですね。

 これは、何でこの監督官の数が、私がなぜそれを言うかといったら、ベースは、少ないということを言いたいんですよ。もともと、しっかり現場を把握してもらうための監督官というのは、もっとやはり多くあってもらいたい。ただ、それは財源との関係があるでしょうけれども。しかし、労働基準監督官の、例えば昨年の会議の数、その前の会議の数等々、なかなか政府から出てくる数字が、微妙に違うんですね。

 これはやはり、どういうことでそういう違いになっているのか正確に把握してもらいたいということと、加えて、我が国がやはりしっかりと労働実態を調べていくための監督官をもっと、ある意味、財政事情もあるでしょうけれども、しっかりふやしてほしい、こういうふうに私は思うんですが、大臣としてはどうですか。

加藤国務大臣 今の数字のそごというかについては、また別途詳細に事務局からも御説明させていただきたいと思いますが、ただ、その根底にあるのは、やはり、労働基準監督官という形で、これは実際、採用はその資格で採用しているんですね。でも、実際、採用された後に、まさに監督業務に従事をしている場合と、例えば本省で、当然その経験をもってやっていただいているんですから、それはそういう方も本省にはいていただきたいと思いますが、等々、あるいは、場合によっては他部門におられるという方もいらっしゃいます。ですから、そういったところの数字が今委員おっしゃった数字なんだろうと思いますが。

 ただ、私も、ここに赴任をさせていただいて、やはり監督官業務というのは非常に大事な業務でありますから、そしてこれは監督官じゃなければできないわけでありますので、ということであれば、まさに監督官として採用した人を、監督官業務にしっかり従事をしていただき、そしてその中で、かつ、経験を積んで、監督の手法、技法を高めてもらう。

 そのことが、適正な監督指導、ややもすると、ちょっとやり過ぎをしているじゃないかということもあると思いますが、やはりそこは、経験とか知識が足らないということによってそうなっている事案も中にはあるんだろうと思います。

 ですから、適正な監督指導を行うためにも、きちっとした人数を確保し、そしてしっかりと年限をかけて、最初に入った人たち、中堅、ベテランという形でつくり上げていくということが私は委員御指摘のように必要だというふうに思っておりますので、今そういう方向に向けてかじを大きく切らせていただいております。

 ただ、定員そのものは、御承知のように、もう長官もやっておられたから御承知ですが、全体としての規模がありますが、しかし、その中で、できる限り、定員の増員も含めて努力をさせていただきたいと思っております。

平野委員 それでは、本題の、年金機構の年金のデータの入力ミスの問題について、きょうは機構の水島理事長にもお越しをいただいておりますので、少し具体的なところをお聞かせをいただきたいと思っています。

 先般も少し、この問題というのはあっちゃならないことだということで指摘をいたしました。まして、外国の、中国の事業者に再委託というのか、再委託ではないんでしょうけれども、再外注をしている、こういうあっちゃならぬことが起こっている。加えて、ミスがある。こういうことによって、結果、国民に大きな影響が出ている、こういうことでございます。

 先般からの各委員の質疑を少し聞いておって、私も腑に落ちない点がございます。少し具体的なことでございますが、理事長にもし御答弁いただいたら、恐縮かなと思っております。

 私なりに、どういうシステムで、どういう流れでこれが入力され、どういう仕事としてSAY企画ですか、行っているのかというのを自分なりに、頭でポンチ絵をちょっと自分でつくってみたんですが、これは、国民から出てくるそれぞれのデータを機構に集めますよね、まず。機構からSAY企画に行くときは、紙で行くんですか、データで行くんですか。まず初歩的なところからちょっと聞かせてもらいたいんですが、私が言いますから、イエスかノーかで答えてください。

 まず、機構からSAY企画という業者に行くのは、ペーパーで行くんですか、データで行くんですか、どちらなんですか。

水島参考人 SAY企画に参りますそのデータは、審査業者というのがございまして、まず、申告書をいただくのは私どもにいただきますが、具体的にその申告書の内容が正しいかどうかということについて審査することについて、業者に委託をいたしております。その業者が審査をいたしまして、審査した結果、内容が整っているということを審査いたしまして、その紙をSAY企画に渡すということでございます。

平野委員 ということは、国民から上がってきたデータは、機構へ来る前にまずどこかの業者に入るんですか。そういうことですね。

 機構は、それはもう業者に委託しちゃっている、一切ここに関与はない。

水島参考人 まず機構に参りまして、それを審査業者に渡しまして、そして審査業者からまた機構に参りまして、そのそれをSAY企画に渡す、そういう形式でございます。

平野委員 わかりました。

 それで、SAY企画に渡すときには紙ですか。

水島参考人 紙でございます。

平野委員 その紙というのは、どこまで入ったデータなんですか。

水島参考人 申告書で、お客様、国民からいただいた申告書の内容に書いてございます、申告書そのものでございますので、全てのデータが入っております。

平野委員 ということは、まず確認しておきたいことは、国民から来たデータについて、紙ベースで、これは申告書ですから上がってきますよね。それで機構へ行きますよね。それで審査をする業者に渡るということですね、まず。その業者から機構に戻ってきて、機構がそれによって、多分これは戻ってくるけれどもスルーなんでしょうな、スルーで、紙ベースでSAY企画に行く、こういうことですね。

 では、ここでまた教えてほしいんですが、私が昔仕事しておったときに、普通、特にコンピューターなんかでデータ入力するときには、昔だったらパンチングをしたりいろいろして、今ではいろいろな方法があると思いますが、例えば、これは、非常に重要情報というのはダブル入力するんですね。一入力でやれば間違いがあったときにスルーでいきますから、ダブル入力するんですね。ダブル入力で違いがあればそこではねるんですね。これは間違っている、したがって再チェック、こういうことをするんですが、これは、実際SAY企画の仕事の中身というのはどういうワークなんですか、簡単に言えば。入力という作業はないんですか、ここには。

水島参考人 結果として判明をいたしておりますのは、紙のデータをスキャニングいたします。スキャンをいたしまして、PDFデータとTIFFのデータの画像にいたします。その画像をOCRで読み取る。読み取りまして、データにいたしまして、それを、その内容について人の目で確認をするという作業工程をとっていた。結果としては、そういう作業工程がございました。

平野委員 そうすると、SAY企画ではスキャニングするんですね。ということは、スキャニングするということは、この間の委員の説明の中にあった光学機器か何かでスキャニングするんですね、これは多分。そうすると、それによって読み取るわけですね。スキャニングすることによって読み取るということですが、ここで入力ミスが三十一万八千件起こっているというのは、これは何で入力ミスが起こるんですか。

水島参考人 三十一万八千件の入力ミスは、扶養親族申告書の源泉徴収に関するデータの入力に関して三十一万数千件のミスが発見されたということでございまして、それはOCRで読み取ったものを人の目でチェックをしているということでございますが、そのチェックの過程でチェックが漏れたというものが三十一万八千件あったということだというふうに理解をいたします。

平野委員 そこがちょっとわからないんですね。

 そうすると、国民から来たものを、機構からその業者という、どこの業者かわかりませんが、まず、入り口の部分で業者にチェックさせているわけでしょう。この業者は何のためのチェックをしているんですか。

水島参考人 申告書に例えば氏名がきちんと書かれているかとか、その申告書の内容で記入されるべきところがございますので、その記入されるべきところにきちんと記入されているかということをチェックをする業者でございます。

平野委員 そうすると、今、私、単純に入力ミスと称しましたけれども、これは入力ミスではないんですね。

水島参考人 恐縮でございます。私の御説明がわかりにくいかもわかりませんが、もう一度御説明を申し上げますと、まず、私どもは紙の申告書を受け取ります。その紙の申告書の内容に全て書かれているかどうかについて確認をするというステップがございまして、書かれているという内容についてそれをデータ化して、それを納品させて、私どものオンラインで処理をするという過程をとるわけでございます。

 したがいまして、まず紙を審査をして、データ化する業者がこれはSAY企画でございますが、その紙の内容をデータ化する作業がSAY企画で行われたということでございます。

平野委員 いや、ですから、この入力ミスというのは、じゃ……(発言する者あり)あっ、OCRの読み取りミスですか、これは。

水島参考人 申しわけございません。OCRが間違って読み込んだということについて、人の目でチェックをできなかったということでございます。

平野委員 ここが、僕、非常によくわからなくて。OCRの読み取りミスなんというのは、極めてレアケースなんですよ。普通、自分の目線で、人間の目線で見るミスとOCRのミスとの間で、どちらがミスが起こると思いますか。OCRの方が多いんですね、それならこれは。機械的なミスですか、これは。機械のミス。

水島参考人 私が確認をしております限りでございますが、一番多いミスは、審査業者が審査をいたしますときにいろいろチェックをいたします、そのチェックをOCRが誤って読み取ったというケースが一番多い誤りだというふうに認識しております。

平野委員 どんなOCRを使っているんですか。私も古い技術屋ですけれども、もう陳腐化していますよ、していますけれども、OCRが読み取りミスを起こす、これもゼロとは言いませんよ、あるかもしれませんが、人間の目線の方が正確だったら、人間の目線でやればいいじゃないですか。

 だから、さっき、冒頭言ったように、ダブルでチェックするんですが、普通、それによって物すごくデータ入力の精度が上がるんですね。IBMだって、当初、僕のときは370だったですが、そのときなんて、ダブルチェックしたら、ほとんどミスはゼロですよ、全部はねるんですから、それでまた戻すんですから。

 これはちょっと原始的な仕組みじゃないですか。

水島参考人 私どもが指示をいたしておりますのは、ベリファイ入力をしろということを指示しているわけでございまして、他のパンチ業者にいろいろな委託をいたしておりますが、全てベリファイを義務づけております。

 この業者もベリファイをやっているというふうに説明をしていたわけでございますが、現実には、ベリファイをやらずにOCRによって処理をして、それを人の目によってチェックをするという過程をとっていたということでございまして、私どもが契約上指示をいたしておりました内容と全く異なった方法によって作業が行われたということでございます。

平野委員 理事長、それをさっき言ってくれたらいいんですよ。そういうふうに指示しているのに実態はOCRという仕組みでやって、あとは人的目線でチェックをしているという、こういうことですね。

 まず、仕事のシステムの工程がなってないじゃないですか。いつ気づいたんですか、それは。後でこういう問題が起こってきたから、後追いしていったら、結果こういうことだったということでわかったんですか。

水島参考人 最終的に判明いたしましたのは十一月の中旬でございます。十月の下旬及び十一月の上旬に臨場いたしまして、作業方法について確認をいたしましたところ、OCRによってやっているということが判明をいたしました。そして、その時点では、ベリファイに切りかえて、本来の契約による方法でやるようにということを指示をしたということでございます。

平野委員 これは根本的なところなので、もうちょっと、具体的なところをどうやっているのか、ちょっと私も興味がありますから、あえてこうやって自分なりにメモをとって、自分なりに、こういうふうになっているんだろうなと頭の体操をしたんですが、明らかに、一点、今、理事長がいみじくも言われた、まずそこが変わっているという点が一つ。

 それと、データ化した部分というのはどこのサーバーに入れているんですか。SAYのサーバーに入っているんですか。

水島参考人 SAY企画のサーバーに入りまして、それを媒体化して、私どもに納品するという形式でございます。

平野委員 SAYのサーバーからデータ化して、機構へ、理事長のところへ戻るんですね。そのサーバーの中は、もうメモリは空っぽですか、抜いているんですか。

水島参考人 現在、まだサーバーの中には、当社のサーバーの中には、私どもに納品されたデータは入っております。そこについては全部外部と遮断しておりますので、そこからデータが出ることはございません。

平野委員 SAYのサーバーの中には、マイナンバーを含めて、あるということですよね。あるということですね。あるというならば、それは遮断しているから絶対に外部に漏れることはないと何で言えるんですか。切っているんですか、もう。

水島参考人 失礼いたしました。

 そのサーバーはSAYの所有物でございますが、現実には、私どもに引き揚げております。機構に、物として、物理的に物として機構が持っているということでございます。

平野委員 そこはちょっと安心しましたかな。

 ただ、こんなのをサーバーなんかに入れておったら、今、クラウドなんといって、どこのデータから抜かれてくるかというのはわからぬわけですよ。これはオンラインで当然やっているはずでしょう。一々データを持ってきて、こちらのサーバーに入れて、こっちへこうするということはないはずで、オンライン化しているんですね。

水島参考人 SAYのサーバーは、オンラインとは、インターネットとはつながっておりません。

平野委員 いずれにしても、後で結構ですから、事務方からデータのフローチャート、私に説明をいただけませんでしょうか。

 私は、専門家ではありませんが、ある程度わかりますから、ここでどういうチェックがされているのか、ここでどういうチェックがされているのかということがやはり必要なんだと思います。

 特に、これはマイナンバーがひっついていっておるものですから、このマイナンバーの行方がどこでわからぬようになっていくのかというのが見えないものですから。

 もう一回聞きますよ。SAYに行って、中国へ渡るときには、このマイナンバーのデータというのはどんな仕組みでこれはトリミング、トリミングという表現をしていいのかどうかわかりませんが、カットしているんですかね。

水島参考人 御指摘のとおり、トリミングの手法で、システムで氏名と仮名だけを取り出して、切り出して、先ほど申し上げましたが、紙からTIFFのデータをつくると申し上げました。まず、一次のTIFFのデータは全てのデータが入っております。そこから氏名と仮名文字だけを切り出しまして、中国に渡すためのTIFF画像をつくるという仕組みでございます。

平野委員 それでいって、中国へ行きました。中国で何らかの処理をするんでしょう。中国で処理した部分と、今度中国から戻ってきた部分との照合はどこでやるんですか。

水島参考人 SAY企画では、紙の申告書が入りましたときに、識別番号、SAY企画の内部で使う識別番号をそれぞれのデータにつけます。その識別番号が、先ほど申しましたPDFと、それから全体のTIFFと、それから氏名と仮名だけのTIFF画像、それぞれに同じ番号がつきます。それによって照合をして確認をしているということでございます。

平野委員 そこにミスはないんですか。中国で作業してもらったミスは全くないんですか。

水島参考人 中国で作業いたしておりましたのは、OCRで読み取れる率が低くなる氏名と仮名について、中国にベリファイ入力をすることを再委託したというのが内容でございます。

 中国から納品されたデータについては基本的にミスがないというふうに聞いておりますが、その氏名のデータについて、実は、源泉徴収票に御家族のお名前を、扶養されている方のお名前がことしから書いてございます。その入力を依頼したわけでございますが、その入力に関して、最終的に誤りは五十五万件ございました。

平野委員 ちょっとますますわからなくなってきましたが、要は、中国ではベリファイをやっている。日本では光学機器で読み取っている。中国の方が精度が高いんですか。

水島参考人 結果として、そのように理解をいたしております。

 五十五万件の誤りが発生した内容でございますが、中国から戻ってまいりました氏名の入力されたデータを、SAYが機構に納品データとするためにこの番号で名前を上書きしたわけですが、その上書きのシステムに間違いがあったというふうに聞いております。

平野委員 時間が来ましたけれども、私、まだ一問目でとまっているんですね。まことに、理事長、申しわけないので、理事長にこんな細かいことを聞くのは恐縮でありますが、改めて、しっかりとしてフローチャートを出してもらうとともに、やはりマイナンバーというデータが一緒にひっついているものですから、ちゃんとトリミングしているから大丈夫ですというふうにIBMが言っていると言うけれども、本当にどうなんだというのがわからないものですから、それをやはり我々わかるように、理事長を信用しないわけではありません、理事長だって直接見たわけじゃないでしょう、報告を受けてやっているだけでしょう。したがって、ここの部分はしっかりとした確証が我々委員にとれるようにしてもらうことが大事だと思いますし、それが逆に国民の年金に対する不信感を払拭していくことの一歩にもなっていくと思うので、ぜひ、後で結構です、事務方から私にまず説明をしていただきたいと思います。

 大臣に、貴重な時間、座っていただいて、でも、耳を塞いでいたわけと違うでしょう。一番悪いのは厚生労働省なんだよ。だから、そのことを含めて、大臣も、やはり本当に、具体的な仕組みの中でトラブると、データですから、いろいろなことが派生してくるということだけはぜひ頭に入れていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

 一問しかやっていませんから、まだたくさん残っていますから、またやりますよ。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。初鹿明博です。

 本当に今の審議を聞いていても、わからないことというか、より聞きたいことがふえてしまって、準備をしていた質問を全部やり切れないので、ちょっと飛ばしながらいきたいと思います。

 まず最初に、お配りしている資料を一枚めくっていただいて、こちらを見ていただきたいんですが、野村不動産の過労死に関する文書について、きのうも質疑が行われ、理事会にもきょう報告があって、後ほど多分、山井議員が質問すると思うんですけれども、まず基本的に、個人情報は確かに守らなければいけないと思いますが、特別指導という非常に特別なことをやって、会社名まで公表しているわけですから、やはり何がきっかけで調査に入ったかということは、私は、もう少し出せる範囲で明らかにしていただきたいなということを思います。これは要望で、後ほど多分、山井議員が詳しくやると思います。

 私は、この問題のヒアリングをしていて、一つあれっと思ったことがあるんですね。それは、今皆さんのところにお配りをしているこのデータなんですね。これは、脳・心臓疾患及び精神障害のうち裁量労働制対象者に係る支給決定の件数なんです。今回の野村不動産の件、本来だったら裁量労働制で働いてはいけない人が裁量労働制で働いていたということで特別指導の対象になったということでいいわけですよね。

 この野村不動産の過労死した人はこの数字に入るのかということをヒアリングの際に聞いたら、入らないというわけですよ。つまり、裁量労働制の対象になっている人が労災の申請をした場合、そして支給決定された場合は数にカウントされるんですが、法律に反して裁量労働制の働き方で働かされた人たちが、例えば病気になったり、また精神疾患を発症して労災の支給を受けることになったとしても、その数が明らかにならないんですよ。

 私は、これは問題じゃないかと思うんですよね。これから裁量労働制を拡大しようと皆さん方は思っているわけですよね。今はその対象になっていなくて、これから拡大をされてしまうような人たちの中に、実は物すごい数の労災が起こっている。中には亡くなっている人もいるかもしれない。その数がわからないわけですよ。私は、ぜひ今後、本来だったら裁量労働制の対象にならないのに裁量労働制で働かされて、そして病気を発症して労災の支給が、申請をしたり支給をした、その数を明らかにしていく必要があると思います。そういう集計もするべきだと思います。

 それともう一つ、この集計をして、始めていただいたのは、これは結構なことなんですが、この中で、やはり過労死や過労自死、又は障害が残るような重篤な疾患になっている、そういう数もやはり明らかにする必要があると思います。

 我々は、裁量労働制によって過労死がふえるんじゃないか、そういう懸念を持っているわけです。ですから、裁量労働制で一体どれぐらいの方がそういうことになっているのかということも、やはり数字としてきちんと示していただきたいと思いますので、その二点、大臣にお伺いさせていただきます。

加藤国務大臣 前からも御議論させていただいておりますように、個別の過労事案について、私どもの方から個々に説明をし、回答をするのは控えておりますので、その個別の事案を前提に、それがどっちに入るかと言われても、なかなかお答えできないので、一般論で議論させていただきたいと思うんですが、例えば、裁量労働制ということで働いていた、しかし、我々が監督指導に入った結果として、それは適用されるべきではない状況だったという場合には、それは、もともと取消しということになりますから、当初にさかのぼって、その人は、いわゆる通常の雇用形態で働いているというふうに認識をされ、そして、それをベースに、仮にその方が労災請求をして、そして決定を受けた場合は、この欄でいえば、全体に入っていて、裁量労働制のところには入っていない、これが今の実態だと思います。

 これは、これまでずっとそういうことでやらせていただいたのでありますけれども、ただやはり、よく考えると、これはどういうための資料かといえば、結果的にどうだったかというよりも、やはり、どういう体系の中で、雇用形態の中で働いていたかということが多分問われるわけでありますから、その辺、少し集計の仕方を、我々、検討させていただいて、それが違法かどうかは別として、その方がどういう雇用形態の中で働いていたのかということで、やはりしっかり、という形で集計をした方が、議論には私はそぐうのではないかなというふうに思っているところでございますので、どこまでさかのぼることができるか、ちょっとそれはこれから検討なんですが、いずれにしても、そういう方向で考えていきたいと思っております。

 それから、済みません、二点目がちょっとわからなかったんですが、さらに、詳細は……。

初鹿委員 過労死や過労自死や、また障害が残るような重大な疾患になった数も、裁量労働制では何件ありました、あります、また、今大臣が答弁されたような、本来適用すべきじゃないのに適用されていた人の数が何人いますというのも、きちんとはっきりとするべきじゃないかという御質問です。

加藤国務大臣 今お示しいただいている資料では、下の方の精神障害の方にかかわるところだと思います。

 基本的に、括弧が死亡案件、外書きがそれも含めた数字ということでございますので、これを見ていただくと、括弧の中に数字が入っているということは、自殺で亡くなった、いわゆる過労自死の件数がそこに盛り込まれている。それを除いた数字、これはちょっと計算していただかなきゃなりませんけれども、それについては、さまざまな、今言われたような労災として認定すべきような障害、障害というんでしょうか、状況が残っている、こういうことでございます。

初鹿委員 いずれにしても、実態がきちんとわかるような発表の仕方というか、公表の仕方をしていただきたいと思います。

 それでは、次は、優生保護法について少し質問をさせていただきます。

 新聞の記事を資料でお配りさせていただいておりますが、もう昨日も委員会で大臣、答弁されているとおり、厚生労働省として地方自治体に対して、まず文書の保全を求めている、そして今後は、どういう文書があるのかということについて報告をするように調査をしてもらうというところまで今行っているということですね。昨日、多分、福島議員から、社民党の福島さんから、では実際に集まった資料の調査の内容はこれこれこういうことをしてください、そういう質問があったと思います。

 それに加えて、私からは、一つつけ加えていただきたいのは、今回、対象は地方自治体ですが、地方自治体ではなく、民間の福祉施設、入所施設や病院にも、カルテが残っていたり、さまざまな資料が残っている可能性が高いですよね。ですので、地方自治体だけではなくて、そういう民間の社会福祉法人だとか医療法人だとか、資料が残っている可能性のある、そういう施設に対しても調査に協力をするように求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 現状についてちょっと御説明させていただきたいと思いますが、まず、与党のワーキングチームなどから要請もございましたので、まず保全をしてくれということで、これはもう、どの資料というんじゃなくて、かかわるものはとりあえず保全してくださいということを申し上げました。これはもう既に通知をいたしました。

 あと、具体的にそれぞれがどういう資料を持っているのかということを、我々がいろいろ今勉強させていただいて、こんなものあるんじゃないか、あんなものあるんじゃないかということをとりあえず全部調査をし、そして、それをどうするかについて、また与党のPTの皆さんなどとも御相談をしたいと思っている、これが今の状況でございます。

 そこで今前提としているのは、地方自治体が持っているというものを前提にお話をしておりますけれども、さらに、今言った議論、超党派の議連であり、また、与党の中でも当然出てくると思いますので、そうしたことも踏まえながら、我々はしっかりと対応させていただきたいと思います。

初鹿委員 それと、もう一点、大臣に確認したいんですけれども、これまで大臣ずっと、当時は合法であったという答弁を続けております。前の塩崎大臣のときから、当時は合法で手術が行われていたという答弁を続けているんですが、昨日、超党派の議連でお話を聞きました佐藤さんという当事者の義理のお姉さんのお話ですと、その当事者の方は知的障害があるということで療育手帳を持っているんですが、その療育手帳には、はっきりと遺伝性ではないと書かれているんですね。遺伝性ではないと書かれているにもかかわらず、遺伝性だということで、四条に基づいて強制不妊手術がされていたわけです。つまり、当時であっても合法とは言えない。違法というのか、不法と言えばいいのかわかりませんけれども、少なくとも合法ではない手術が行われていた可能性もあるわけであります。

 この点について、まず大臣として率直にどう感じるのかということと、やはり、この点もきちんと調べていくことが私は非常に重要だと思いますので、御所見を伺います。

加藤国務大臣 私どもが合法と申し上げたのは、個々の事案そのものではなくて、そういう制度があったということ自体は、これは委員御承知の、法律にのっとっていたという、そこに言及をさせていただいたということでございます。

 今のこのような旧優生保護法をめぐる議論の中に、大きく言うと二つあるんだと思います。一つは、そもそもそういう制度をつくったことをどう我々は考えていくべきかという話と、もう一つは、今委員御指摘のように、その制度が、是か非かは別として、その制度としてきちんと運用されていたのかという、多分二つ、あるいはもっと、もう少し分けられるかもしれません、そういう議論があるんだと思います。

 それも含めて、これから超党派議連やPT等で御議論がなされていくと思いますので、それらも踏まえながら、我々、注視をさせていただき、また、必要な対応があれば対応させていただきたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、この問題は、議員立法でこの法律はできているわけですよね。やはり、国会全体、これは与野党を問わず、我々の先輩方が間違った判断をしてしまった、国会としての非常に大きな責任だと思いますし、国民も当時この法律を支持していた。また、マスコミもどうやら、国民の世論を受け入れていく方向に、世論喚起というか、世論を進めるような方向で動いていたということが何となくわかってきているわけであります。つまり、国民全体がやはりこれを真摯に反省をして、障害を持っている方の人権を本当に踏みにじってきたということを反省して、前向きに取り組んでいかなければならない非常に重要な問題だと思うんです。

 その上で、きょうはNHKの方に来ていただいております。なぜNHKの方に来ていただいているかというと、先日、質問主意書を出させていただきました。ネットメディアのワセダクロニクルというところが、かなりこの問題について、情報開示請求をしていろいろな文書を手に入れたり、また公文書館に当たっていったりして、かなりいい調査をして記事を書いているんですが、その中で、宮城県の調査をしたことでわかったことが記事にあるんです。

 一九五七年に宮城県で宮城県精神薄弱児福祉協会という団体がつくられました。これは、東北電力の当時の社長が会長になって、小学校の校長会長とかPTAの会長だとか医師会の会長だとかが役員になっている。そして顧問には、県知事、仙台市長を始め、県議会議員、当時の衆参の国会議員もみんな名前を連ねていて、その中に、地元の有力紙である河北新報の会長や、NHKの仙台放送局に当たる、当時は仙台中央放送局と言っていたんですが、その局長も就任をしていたということなんですね。

 また、続きの記事を見ますと、最初に顧問になっていた局長が東京に転勤になって新しい局長が来たら、またその局長が同じ役職につくというように、どうもNHKの局長の充て職のような形にこの顧問という職がなっていた可能性があるわけですね。

 そこで、NHKにお伺いするんですが、これは事実なのかということと、ほかの県で同じようなことはあったのかなかったのかということと、これはNHKという組織としてこういう団体に協力しようという意思決定がどこかでなされていたのかどうかということをお聞かせください。

中田参考人 お答えします。

 御指摘の方々が当時NHKの役職についていたことは事実ですが、当該の団体にかかわっていたかどうかについて確認できる記録は残っておりません。ほかの県についても、そういう記録は残っておりません。また、組織的にということも、そういうことを示す記録は残っておりません。

初鹿委員 もう一点、質問主意書で政府に対しては聞いているんですけれども、番組で、強制不妊手術を進めるような番組を当時つくっていたのかいなかったのか。政府としては承知をしていないということですが、ぜひ、先ほども大臣が、調査をするのに民間にも協力をしてもらうようなことにもなるだろうという答弁をしていたので、公共放送なわけですから、放送機関として世論の形成にどういう影響を及ぼしたというのは非常に重要な問題だと思いますので、当時、そういう番組があったのかなかったのかということの調査をきちんとNHKでしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

高鳥委員長 初鹿君に申し上げます。

 大変いい質疑をしていただいていると思いますが、きょうは年金をめぐる質疑でありますので、時間的には御配慮いただきたいと思います。

中田参考人 NHKのデータベースで調べました結果では、御指摘のような内容の番組を制作したという記録はございません。

初鹿委員 ぜひきちんと調べていただきたいということを指摘して、年金の方に移りますが、まず加藤大臣にお伺いします。

 昨日、高橋千鶴子議員からの質問の際に、一月十日以降も委託が続いていたことに対して、私自身全部頭が回っていなかった、そういう答弁だったんですけれども、要は知らなかったということを言ったんだと思いますが、大臣、そもそも、委託をし続けていたこと自体、これは適当だったのか、それとも、やはり不適切なことだったと考えているのか、どちらですか。

加藤国務大臣 そういう意味では、全体の作業がどういうふうになっているかというのが頭に入っていなかったということで、そこに頭が及ばなかったというのが、先日申し上げたということでございます。

 一月十日以降が云々というお話もありますが、当委員会を始め、そこでの委員会では、むしろ、それよりもっと前の、例えば十月とか十一月、十二月にも、もっと気づけたんじゃないかという御指摘もいただいておりまして、私も聞かせていただきながら、そうした情報が機構の理事長等トップにも上がっていなかった、こういった実態があったし、もし本当に十月であれば、まだ違う選択肢も、これは後づけですから何とも言えませんけれども、あったんではないだろうかという思いもしておりますので、まさにその点は強い反省材料として、これから外部の有識者にもしっかり御議論いただきながら。

 それからもう一つは、一定まで来ると、もう頼まざるを得ない状況ってありますよね。いろいろなもの、期日に来ていますから。そうすると、その辺のリスクを考えたときにどういう発注の仕方があるのか、その辺も含めて御議論いただく必要があるんだろうと思います。

初鹿委員 最後のところが私は非常に重要なんだと思うんですが、仮にそうであったとしても、頼まざるを得ないという状況なのかもしれないけれども、不適切なことが行われているということがわかった時点で、契約を解除するかどうかは、最終的に、どんなことが行われていたのかというのがはっきりしないとできないと思いますが、作業自体は、やはり私は一旦とめる必要があるんじゃないかと思うんです。今後、同じようなことが起こった場合ですよ。

 今回、そのまま続いてしまって、結局これだけのことがわかって、しかも二度手間になるようなことまでやっていたわけですから、私は、やはり、何か問題が起こって、かなりこれは深刻だなと思った時点で、契約が続いていても一旦とめるべきだと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、原則は、私はそうなんだろうと思います。

 ただ、その上で、全体の作業をどうするか、それから、今出てきた問題を、一時的には何かの形でブロックできるというか、そうならないようにできる手段があるかどうか、そういったことも検討していく中で最終的な判断をするんだろうというふうに思います。

初鹿委員 では次に、先ほどの平野先生の質問の続きというか関連で行きますけれども、やはり我々がわからないというか、疑問というか、不審に思っているのは、SAY企画から中国の再委託先にどんなデータが行っていたのかということなんですよね。本当はマイナンバーも含む情報が渡っていたんじゃないか、本当に名前だけ切り取られていたものが渡っていたのかどうか。ここが、IBMの外部調査の結果でも、結果だけ、結論だけ書いてあって、それが本当に確認できているかどうかが明らかじゃないんですよね。

 きょう理事会に提出された資料を見ても、きのうの答弁と先ほどの水島理事長の答弁がそれにのっとったものなんですけれども、あくまでも、まず、SAY企画から中国に送られたデータのやりとりは、クラウドのサーバーに送るのに、切り取られたデータを送るようなシステムになっていましたということですよね。じゃ、実際に中国にその切り取られたデータが残っているのかといったら、ここに書いてあるとおり、セキュリティー対策で、一カ月経過しているので消去されているということで、要は、SAY企画から中国側にどんなデータが行っているかどうかは、もう既に残っていない。つまり確認ができない。

 作業をこうやってやっていましたというのは、実際に実演してもらって確認をしているということですが、じゃ、本当の作業をそうやってやっていたのかどうかは定かじゃないですよね。理事長、確認はしていないわけですよね。だから、そう思うと、やはり、本当はどうだったのかなというのを非常に疑問に思うわけですね。

 まず、一つ確認ですが、じゃ、SAY企画に、もともと、この申告書を画像化したものは残っているわけですね。残っているんですね。じゃ、名前だけ切り取った全ての人のデータというのは残っているんですか。

水島参考人 全てかどうかは確認をいたしておりませんが、かなり大量に、氏名と仮名だけのデータが残っていることは事実でございます。

初鹿委員 残っているのは確認はしているということでいいわけですね。

水島参考人 私どもの事務局が確認をいたしております。

初鹿委員 ただ、本当に最初の工程から最後までそのやり方でやっていたのか、どこかの時点で切りかえたのか、それは定かではないですよね。いかがですか。

水島参考人 まず、その二つの情報を切り出すシステムをつくるのは、中国に再委託するためにつくったわけでございまして、私どもは、検査は抜き打ちで行っておりますし、その時点で大量に残っていたわけでございます。その時点で、例えばデータシステムを変更するということは基本的にはできないわけでございますので、当初からこの二情報であったというふうに考えております。

初鹿委員 抜き打ちで行ったと今言いましたけれども、いつ抜き打ちで行ったんですか。

水島参考人 一月六日は抜き打ちで行っておりまして、その後、システムの確認は一月十日でございます。これは抜き打ちではございません。

初鹿委員 つまり、昨年作業されていたものが同じようにやっていたかどうかの確認はできていないということでいいですよね。

水島参考人 昨年まで行っていたシステムの内容について確認をしたということでございます。

初鹿委員 途中で変えている可能性もわからないんだと私は思います。

 そもそも、やはり画像データがあって、それを切り取る作業をして、ワンクッション置いて、それで再委託しているわけですよね。その作業をするぐらいだったら、名前を打ち込んだ方が早いんじゃないかと私なんかは思ってしまうんですね。だから、そう思うと、本当にずっとその作業でやられていたのかというのは、私は疑わしいなと思います。

 それと、皆さんに受託業務の自主点検結果報告書というのを、十月分と十一月分と資料をお配りしていますけれども、皆さん、ちょっとこれをこうやって合わせて、透かしてみてください。手書きしている、日付以外の「適」というところと「結果」というところ、全く合いますよ、これ。合わせてみてください。つまり、十月分の日にちを変えただけで十一月分をつくっていますよ、これ。合わせてみてください。ぴったり合うんですよ、全てが。こんなにきれいに同じように字を書ける人はいないと思いますからね。

 つまり、こういうことがやられていて、年金機構は気づかなかったわけですよね。だから、非常に私、監査のあり方とかも、ずさんであったんじゃないかというふうに思います。

 そして、きょうの理事会の報告によると、日本IBMの報告書に、我々、山井議員が指摘をしましたけれども、結果しか書いていなくて、では、本当に氏名と振り仮名、漢字だけが渡っていたのかどうかの確認ができていないんじゃないかという指摘に対して、第三者機関にこの日本IBMの実地監査を更に検証させると。監査したIBMを更に監査をするという報告になっているんですが、これは、ここに書いてあるとおりでよろしいわけですね。

水島参考人 その検証は厚生労働省でおやりになるというふうに聞いておりまして、私どもが委託をいたしました内容について、厚生労働省の……。済みません、私はゆうべの情報でございまして。機構で行います。

 まず、ちょっと御理解をいただきたいのは、最終報告は、IBMから、これからきちんと出てまいります。

 今お手元に、私どもから御提出をさせていただいております報告書に関しましては、その後ろに、27001の項目に沿ってチェックした内容が全てございます。そこに、こういうふうにチェックしたということが書いてございます。最終報告はそれを言葉にしていくわけでございますが、基本的には、結論だけが書いてあるということではございませんで、こういうステップで監査をしたということについては、あの中間、あの時点の報告書について、報告だけが書いてあるということではございません。

初鹿委員 そう言いわけしましたけれども、でも、やはり第三者機関に、もう一回ちゃんとチェックをしてもらわなければならないということになっているわけですよね。つまりは、IBMのこの調査の結果も、皆さんとして、十分に信頼に足るとは思えていない。まだマイナンバーが本当に中国に行っていないとは断言できないと思っているから、もう一回調査するんじゃないんですか。

水島参考人 御指摘のとおり、万が一のことがないように、念には念を入れて監査を行うということでございます。

初鹿委員 ぜひ、しっかり調べて、本当にマイナンバーが行っていないかというのを確認していただきたいと思います。

 そして、時間になってしまったので、最後に一つだけ。

 先ほど平野議員の質問の中で、そもそものこの工程というんですか、申告書が来たら、それをまず審査機関にチェックしてもらって、また機構に戻ってきて、これをSAY企画に渡してというように、マイナンバーが入っている申告書が結構第三者の目に触れるような形でぐるっと回っているわけですよね。やはり、情報の取扱いとして本当にこれは正しいのかということを非常に疑問に思います。

 先日の質疑で、この入力作業の外部委託自体をやめて機構がやるべきじゃないかということを私は言いましたけれども、それをやるかどうかは別にしても、そもそもこの扶養親族等申告書にマイナンバーを書くこと自体、私はちょっと考え直してもいいんじゃないかということと、仮に書くことになったとしても、そうやって外部に渡すときには、マイナンバーのところは消す形で渡すようにするべきじゃないかと思いますが、きょうは財務省の審議官にも来ていただいておりますので、ちょっとその点をお答えいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

田島政府参考人 お答えをいたします。

 マイナンバーに関するお話でございます。

 各種所得情報や扶養情報等をより正確かつ効率的に突合するという趣旨で、扶養申告書にも記載をお願いしていることになっています。この取扱いは、普通の会社の給与所得者が勤務者の会社に出す場合も同様の仕組みとなってございます。

 我々は必要と考えてございますが、いずれにしても、きょう御議論がございましたように、委員の御指摘のような不安や懸念が抱かれることのないよう、日本年金機構において適切に情報を管理していくことが重要であると考えてございます。

初鹿委員 終わります。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官吉住啓作君、内閣審議官向井治紀君、人事院事務総局職員福祉局次長中山隆志君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、大臣官房審議官土屋喜久君、医政局長武田俊彦君、健康局長福田祐典君、医薬・生活衛生局長宮本真司君、雇用環境・均等局長宮川晃君、子ども家庭局長吉田学君、社会・援護局長定塚由美子君、老健局長浜谷浩樹君、保険局長鈴木俊彦君、政策統括官藤澤勝博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤高夫君。

安藤(高)委員 本日はどうもありがとうございます。

 最初に、医師の働き方改革について御質問させていただきたいと思います。医師の働き方改革に関しましては、今後、プロジェクトチームで議論を重ねることになっておりますが、きょうはその論点について御質問させていただきたいと思っています。

 医師の働き方改革は、労働衛生における十分な配慮を前提とした上で、特に、救急、そしてまた産科、僻地医療というもの、これは二十四時間体制での医師の対応が必要です。これは現在の医師数でも維持するのが非常に困難な状況でございますけれども、一方的に医師の勤務時間を制限すると地域医療が崩壊に至ってしまいます。これは十分な調査を行ってからやる必要があるのではないかと思っています。また、拙速に働き方のみを規制するのではなくて、医師の需要、偏在対策、それから専門医のあり方も相関させて検討することが必要だと思っています。

 医療法の一条の四の定めだと、良質かつ適切な医療を長期的に確保していくことが大前提でございます。医師の自己研さんを抑制するような規律を設けるべきではないと考えております。

 医師の労働の特殊性を明確にした上で、現行の一般的な労働規制を踏まえて、もちろん、他職種との連携を踏まえて、現場からの提案を受けて、医師の労働法制を制定していただけることが一番だと思っております。この点、いかがでしょうか。よろしくお願い申し上げます。

牧原副大臣 まさに先生は専門家でいらっしゃいます。我々も、医師は長時間労働の実態にあるということでございますので時間外労働規制の対象とはしますけれども、一方で、応招義務が課せられていたり、今先生が御指摘のような特殊性を踏まえた対応が必要であると考えております。

 このため、働き方改革実行計画においては、改正法の施行期日の五年後を目途に規制を適用することとし、医療界の専門家の皆様も参加の上で検討の場を設けて、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、二年後、つまり今からすると来年になりますけれども、を目途に、規制の具体的なあり方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得ることとされました。

 これを受けまして、現在、医師の働き方改革に関する検討会を立ち上げて、本年二月には中間的な論点整理も取りまとめたところでございます。

 この論点整理では、時間外労働規制のあり方について、例えば、医師の長時間労働の現状、地域医療の実態、医療機関の役割や診療科等ごとの多様性を踏まえて時間外労働の上限時間を設定する必要があるのではないか、あるいは、医療機関で診療を中心とする医師については労働時間の裁量性はないのではないか、医師においても非常に多様な働き方があることや将来の医師の働き方を見据えれば、時間給ではない制度等の新たな労働時間制度の検討も必要ではないかといったさまざまな意見が挙げられておりまして、こうした意見も踏まえながら、引き続き、実態を考慮した検討が必要とされております。

 医師の健康確保のみならず、提供する医療の質や安全を確保する観点など、さまざまな観点から検討を進めてまいりたいと思っております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 ぜひ、医療法、医師法を踏まえて、また現場の声を踏まえて、よろしくお願いしたいと思っています。

 先ほど申し述べさせていただいた論点を踏まえて、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、専門医のあり方ですけれども、臨床研修医、それから専攻医は、医師として研さんを積む非常に重要な時間です。医療界の自主的な取組として、アメリカでは、ACGME、米国卒後医学教育認定評議会のような、専門医の研修プログラム等を総合的に、そして横断的に評価する仕組みがございます。また、地域ごとに診療科ごとの定数を決めています。日本でもそのような取組ができれば本当にいいのではないかと思っています。

 また、専門医の養成においては、医療需要を踏まえた国全体の専門医の必要性について、どう考えるのか。総合的に診ることができる専門医、また専門医の数については、都市部と地方という構造で医師の偏在が議論されております。地域別の配置というのも、これは非常に重要なことでございますので、これについてもお伺いしたいと思っています。

 また次に、医師の業務とタスクシフティングですけれども、現在行われている医師事務作業補助者とか、特定看護師、あるいは医師の、例えばオペの一部の補助ができるフィジシャンアシスタントですとか、あるいは医師の仕事の代替ができるようなナースプラクティショナーなどについてどういうふうに考えられるのかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

武田政府参考人 ただいま何点か御指摘をいただきました。お答えを申し上げたいと思います。

 まず、総合診療専門医でございますけれども、この総合診療専門医につきましては、地域におけるニーズに的確に対応できる、地域を診る医師としての役割が期待をされておりますので、日本専門医機構において、新たな専門医制度における十九基本領域の一つに位置づけられ、平成三十年度からの養成開始が予定をされているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、こういった総合診療専門医の養成支援など、必要な経費の計上も行っておりますので、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 また、御指摘ございました専門研修における診療科ごとの必要数ということでございますけれども、専門研修における診療科ごとの都道府県別定員設定につきましては、そもそも、エビデンスに基づいた将来の診療科ごとに必要な医師数、これを明らかにすることがまず必要であると考えております。その上で、医師が将来の診療科別の医療ニーズを見据えて適切に診療科を選択することで、診療科の偏在の解消につながっていくものと考えてございまして、今後、国といたしましても、将来の診療科ごとの必要な医師数についてお示ししていく方向で考えているところでございます。

 また、タスクシフティングについてもお尋ねがございました。医師の働き方改革につきまして、医師の働き方改革に関する検討会、ここでの議論を踏まえまして、本年二月二十七日に取りまとめられた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」におきまして、医師から他職種へのタスクシフティング、いわゆる業務の移管などの取組が盛り込まれているところでございまして、静脈採血、静脈注射などについては、原則、医師以外の職種により分担し、実施することで医師の負担を軽減する、こういった取組についても促していきたいと思っております。

 厚生労働省といたしましては、こうした取組について、まずは都道府県や病院団体などを通じた医療機関への周知にしっかり取り組むとともに、各医療機関において速やかに実行されることを強く期待したいと考えております。

 いずれにいたしましても、御指摘いただきましたように、医師の働き方改革、さまざまな論点がございますので、私ども、鋭意、各種論点について検討を重ねてまいりたいと思っております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 現場でもさまざまな今、いいアイデアが出てきておりますので、そういうことも踏まえて、よろしくお願いしたいと思っています。

 次に、最近、何でもエビデンスが重要というふうな時代になっておりますけれども、科学的な介護についてちょっとお話をさせていただきたいと思っています。

 三月九日の、科学的裏付けに基づく介護に係る検討会の中間報告では、二百六十五項目のエビデンスが示されました。科学的介護については、介護業務の効率化や介護の質の向上、さらには介護費の削減にも資すると考えられています。国としても進めていくことと理解をしております。

 例えば、現場からでは、要介護認定とか介護報酬の要件のさまざまなことを、チェックする人によって評価がぶれるということがあります。例えば一部介助ということですけれども、これも非常にちょっと、曖昧な部分があります。客観的に記入する難しいデータ項目に関して、今後どのようにエビデンスのある対応をしていくのかというような方針をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの介護のビッグデータの収集に当たりましては、血液検査の結果とか、あるいは体重、握力といった機械で測定される項目だけではなくて、先生御指摘のとおり、利用者のADLの状況など、評価において評価者の判断を要する項目も重要であるというふうに考えております。

 これらの項目のデータ収集に当たりましては、評価者の主観によって評価結果に揺れが生じないよう、評価基準を詳しく明確にする必要があるというふうに考えております。

 御指摘の要介護認定調査におきましては、認定調査員の主観によりまして評価結果に差が生じないように、調査項目ごとの詳細な評価基準、あるいは、判断に迷うケースでとるべき対応等を記しましたテキストを用意しておりまして、これをもとに評価を行っております。

 また、リハビリテーションマネジメント加算4というのがありますけれども、これで提出が求められるデータにおきましては、利用者の日常生活動作につきまして、全介助、一部介助などの選択肢から選ぶことになっておりますけれども、これにつきましても、世界的に広く用いられております詳細な評価基準、具体的にはバーゼルインデックスでございますけれども、この定義を使用いたしております。

 今後のビッグデータの収集に当たりましても、評価者によりまして評価結果に揺れが生じないよう、詳細な評価基準を示してまいりたいというふうに考えております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 ぜひとも、わかりやすいんですけれども、複雑になり過ぎないように、よろしくお願いしたいと思っています。

 次に、社会保障における効率化を考えてみました。その中で、病児保育についてですけれども、現在、国では保育の受皿づくりが進んでおります。心身の発育に着目した上で、保育のあり方を考えていく必要があると思っています。それを踏まえて、受皿という意味での病児保育について御質問をさせていただきたいと思います。

 例えば、診療所とか病院の空き時間とか空きスペースを活用して病児保育ができないかということです。

 これに関しては、大森の医師会立の診療所では、最初、休日、夜間の対応が中心でございまして、平日は施設を使わなかったんですね。そこで、病児保育にぜひ取り組んだ方がいいんじゃないかということで区の方に言ったんですけれども、診療所の用途外の使用で、できないということだったんですが、それを、交渉して、うまくハードルを乗り越えて、四月からできるようになりました。こういうふうな現場のアイデアがうまく取り入れられて、効率化、無駄を省くということになっていくとすばらしいと思います。

 こういった方向性について、どういうふうにお考えか、ちょっとお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました病児保育事業、病気になったお子さんの保護者が希望に応じて就労できるようにするために非常に重要な事業だと私ども受けとめております。直近三カ年で、利用児童数及び施設数、ともに約三割ずつ増加するという状況にございます。

 その病児保育事業の実施場所につきましては、事故防止及び衛生面に配慮していただいているなど幾つかの要件を満たしていただいた上で、その専用スペースとして、病院、診療所などの空きスペースを利用して柔軟に事業を実施していただくことも可能となってございます。

 こうした事業の実施について、関係者の方々あるいは自治体の方々など広く周知徹底をさせていただきながら、多くの方々の御理解、御協力をいただいて、病児保育事業の推進に取り組んでまいりたいと考えています。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 今、空き家利用とかそういうことも言われていますけれども、新しい施設をつくると非常にお金もかかりますので、ぜひ、今あるものを大事にしていくような施策をお願いいたしたいと思います。

 最後の質問になりましたけれども、これも医療費の効率化に役立つことですけれども、再製造のSUDについてでございます。

 例えば、医療における超音波メスというのがございますけれども、使ったときに、最初の先っぽだけかえればいいんですけれども、その後のさまざまな器具とか長いコードも全部かえなければならない。これは本当に、リサイクルとかリユースをすると非常に医療廃棄物も減りますし、資源の有効利用になるのではないかなと思っています。

 この制度を、SUD、単回使用医療機器という意味ですけれども、これは一回限り使用できることとされている医療機器を示しています。海外では、このSUDに関して、外部の処理工場で処理して再利用ができるということになっています。日本でも、去年の七月、やっとこういうことができるようになってきています。それはとてもよかったと思います。

 このSUDの市場規模は約一・五兆円でございまして、SUDの約一割が再製造に適するそうなんですけれども、仮にその半分ができたとすると、七百五十億円の医療費削減になってくると思います。

 しかし、これをやるためには、日本では、ちょっと聞いたお話だと、さまざまな制限があって厳しい、あるいはスピードが少しゆっくりではないかという話がありますので、ぜひ、これは医療費の削減それから病院のコスト削減にもなりますし、また、医療廃棄物が減少して地球に優しい環境づくりにもつながっていきますので、ぜひこれを早くやっていただけたらと思いますが、そこら辺のことについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、単回使用の医療機器、SUDでございますけれども、この有効活用というものは、私どもにとりましても重要な課題と認識しております。

 ただいま先生から御説明いただきましたり御指摘いただきましたように、昨年七月に、使用済みの単回使用の医療機器につきましても、再製造した上で、再度、医療機関にて使用できるようなことができるような仕組みを導入させていただきました。

 再製造におきましては、感染症などの保健衛生上の危害の発生を防止し、安全性を確保することが重要だと考えております。このため、使用時に医療機器に付着した血液ですとかあるいは病原微生物などの除去に関するガイドラインを作成しまして、これを関係する事業者の方々に示すことで安全性の確保を図りたいと考えております。

 これによりまして、事業者の方々にとりましては、医療機器の再製造に係る承認取得に向けた見通しが立つということが期待できることでございますので、事業展開を促すことができると考えております。

 また、再製造の推進を目的といたしまして、本年一月に、事業者の方々などから成る単回使用医療機器再製造推進協議会という関係団体が発足しております。新しい仕組みでございますので、この再製造が円滑に進むよう、この協議会を含む関係者の方々とよく意見交換をさせていただきまして、適切な制度運営に努めてまいりたいと考えております。

 また、当然、その再製造の承認審査に当たりましては、PMDAの相談なども活用いただけるよう、適切に取り組んでまいりたいと思っております。

安藤(高)委員 ぜひ、質を担保した上で、余り厳し過ぎないようにお願いしたいと思っています。

 最後に、これからまた消費税の問題のテーマになってくると思いますけれども、ぜひ、今、医療機関は建てかえですとかあるいはIT投資に非常に投資をしておりますので、ぜひそこら辺の議論をしっかりとしていただきたいとともに、あと、受動喫煙問題に関しては、私は医師ですので、より厳しい対応をお願いしたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

高鳥委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 冒頭、私からも年金の問題について取り上げさせていただきます。

 この問題に関しましては、既に我が党の議員からもさまざま指摘もさせていただいております。また、提案もさせていただいております。業務のあり方の見直しにつきましては、外部有識者を入れた調査会、これを立ち上げる、こういう話も伺っております。日本年金機構におかれましては、きょう理事長に来ていただいておりますけれども、国民の信頼を取り戻すべく真摯に反省をしていただきたい。具体的な業務の改善、これについては直ちに検討、速やかに開始をしていただきたい。私からも冒頭、まずはお願いを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、きょうは、年金の実際の受給者の皆様の立場から、現場を回りますと大変に多くの御心配の声というのをやはりいただくわけでございますので、その立場に立ちまして、今後の対応について、概括的にはさまざま説明はしていただいております、確認的なことも含めまして、一つ一つ具体的に教えていただきたい、このように思っております。

 まず、現在、源泉徴収に影響があった方というのは約十四万九千人ほどいらっしゃる、こういう数字を発表されました。この方々は、二月の段階、源泉徴収の額が間違っていたということで、本来よりも多く徴収をした、年金の支払いでいうと少なく支払われた方もいらっしゃいますし、本来より源泉徴収が少ない、年金の支払いでいうと多く支払われている方、それぞれいらっしゃいます。また、この源泉徴収をいつ是正するのかということに関しましても、三月の段階で既にその処理が終わっている方もいらっしゃいますし、また、四月、これからこうした処理をしていく、こういういろいろな方がいらっしゃいます。

 ですので、具体的に年金を受給されている方の立場に立って、それぞれの方に、では、どの段階でどのような郵送物が届いたり、あるいはそれが何種類届いたり、それを受けて一体どうすればいいのか、いつごろ間違っていた源泉徴収というのが是正をされるのか、こうした点につきまして少し具体的に説明をちょっとしていただきたいというふうに思います。

水島参考人 このたび、当機構によります業務委託、事務処理が適切でなかったと、大変多くのお客様に御迷惑をおかけいたしております。改めて深くおわびを申し上げたいと思います。

 御質問にお答えをさせていただきます。ちょっと長くなりますが、お許しをいただきたいと思います。

 三月の二十日に大臣からお呼出しをいただきまして、一連の対応等に対して大変厳しい御指示を頂戴いたしました。

 その中で、御迷惑をおかけした方々に対し、四月の対応として、二月十四日時点で判明した委託業者の入力漏れにより二月の支払い時に正しい源泉徴収額とすることができなかった方、これは六万七千人の方々でございますが、この方々におわび状をお送り申し上げるようにということがまず一点でございます。それから、委託業者の入力漏れによりまして二月の支払い時に正しい源泉徴収額とすることができなかった一万七千人の方でございますが、これらの方々に対しまして、四月のお支払い時に、正しい源泉徴収税額を算定し調整をするとともに、おわび状をお送り申し上げること。三点目が、委託業者の入力誤りにより二月の支払い時に正しい源泉徴収税額とすることができなかった方に対して、四月の支払い時において、正しい源泉徴収税額を算定し調整するとともに、おわび状をお送り申し上げることという御指示でございました。

 御指示を踏まえまして、四月のお支払いにおける正しい源泉徴収税額の算定、調整作業は完了させたところでございます。現在は、該当するお客様への種々、おわび状等の送付準備を進めているところでございますが、まず、おわび状に関しましては、四月五日ごろに送付を開始する予定でございます。

 また、支払いを調整する金額等につきましては、別途お送りいたします年金振り込み通知書によりまして、お客様に年金額をお知らせすることとしております。三月のお支払い時に正しい源泉徴収税額との調整を行った方に対しましては、既に三月七日にお送りをいたしているところでございます。四月のお支払いで調整を行う方に対しまして、おわび状と同日でございますが、年金振り込み通知書をお送りすることといたしております。

 おわび状には、源泉徴収お問い合わせダイヤルを照会先として記載をいたしまして、お客様に御不明な点がある場合には、そちらで個別に丁寧に御説明申し上げるということにいたしております。

 加えまして、御提出がない方マターでございますが、まず、そもそも一度も御提出いただいていない方に対する再勧奨でございますが、四月二十日前後に再勧奨を行いたいと思います。

 また、一度御提出いただきましたが、不備、不備と申し上げるのは大変恐縮でございますが、御記入の内容に、更に御記入いただくところがある方でございますが、その方々に対しましては、四月の下旬、まだ日にちが決まっておりませんが、できるだけ早くお送り申し上げて、実は大変ショートノーティスになりまして、四月の二十日にお送り申し上げる方は、四月の末までに御返送いただければ、六月の定時払いで調整をさせていただくことができると思います。それから、四月の下旬でございますが、にお送り申し上げる方に関しましては、ぎりぎりでございますが、五月十一日までは、私ども努力をして何とか六月までに、六月で間に合うように努力をいたしたいと思います。

 加えて、更に可能な努力を積み重ねるつもりでございますが、現在、そのような予定で進めているということでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 おわび状が、四月の、先ほど五日とおっしゃいましたか、発送を開始する。それを受け取れば、これは源泉徴収が間違っていたということがわかる。それと別便で、具体的な変更の額について、また別便で送られてくる。それを見ると、ふえる、減る、こういうことがわかる。具体的にはそういう形で、一つ一つしっかりと是正をしていただくということをお話しいただきました。

 このニュースになりまして、やはり、今、自分が対象なのかどうなのかということがわかっておられる方もいらっしゃれば、二月の段階で額が違いますからおかしいという方もいらっしゃれば、わからない、まだ気づいていない、こういう方もいらっしゃるかと思います。今、コールセンターを開設しておられますけれども、問合せの現状、これについてまずはお伺いをさせていただきたいと思います。

 また、先ほど、四月の五日から発送を開始するとおっしゃられたおわびの文書、これは恐らくこの十四万九千人に向けて送られるということだと思いますけれども、それが来ればかなり問合せも殺到するのではないか、こういうふうに思います。一つ一つしっかりと対応できるような体制もぜひとっていただきたい。これもお願いを申し上げます。これについて、理事長、答弁いただきたいと思います。

水島参考人 お客様に対する対応は、まず、フリーコールのコールセンターで原則として対応をさせていただいております。もちろん、全国の事務所でも対応をさせていただいております。

 源泉徴収お問い合わせダイヤル、フリーダイヤルを名称はそのようにいたしておりますが、現在の入電状況を個別に申し上げますと、二十七日がまず最初でございましたが、総呼数が五千二百三十七件、応答数が四千七百六十四件でございまして、応答率は九一%でございました。二十八日は、総呼数二千二百二十六件、応答数二千六十九件、応答率は九二・九%でございました。昨日は、速報値でございますが、総呼数、お問合せが千三百三十件ございまして、応答数千二百五十四件、応答率九四・三%ということでございました。

 御指摘のとおり、お問合せの内容は、ほとんどが、御自身が対象となっているかどうかという点、及び中国に情報が出ていることはないのだなという御確認の電話がほとんどでございます。

 お問い合わせダイヤルに関しまして、現在、最大六百席で対応いたしておりまして、九〇%を超えておりますので、九〇%を超えるときはほとんど対応ができているということでございますが、最悪の場合は九百席まで対応ができる体制をとっておりますが、その対応をとりますと、実は、一般のねんきんダイヤルの応答率が下がるという問題がございます。したがいまして、基本的には最大六百席で対応することになるかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、四月上旬からおわびの文書をお送り申し上げますので、その際には大変大量のお問合せをいただくということを想定いたしております。体制に抜かりがないように準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

中野委員 機構からこうした多くの方に文書送付であったりさまざまなことをするときに、いつも、話題というか、注意喚起ということでよく言われますのが、機構をかたった形で、こういう詐欺みたいなものがあってはいけないということは指摘がよくされます。

 念のための確認なんですけれども、今回の件に関しては、先ほど申し上げられたおわびの文書の送付、そして支払いの額の変更の通知、これの送付、郵便物としては二種類、機構から届く、これ以外には機構から、電話であったり訪問であったり、そうした受給者の方のアプローチは一切行わないということを確認させていただきたい。

 源泉徴収についても、これは自動的に調整をしていくということで、機構の方からは特に、これを振り込んでくださいとかそういう働きかけみたいなことは一切行わないということを念のため確認をさせていただきたいと思います。

 そして、こういう形で機構がしっかりと皆様に対応していくということについても、やはり私は、周知も含めてしっかりやっていただきたいと思いますので、これもあわせて答弁いただきたいと思います。

水島参考人 もちろん、日本年金機構の職員が電話で、あるいは訪問も含めてでございますが、税金を還付する、あるいはお客様の年金受給額あるいは預貯金の口座番号等をお伺いすることはございません。

 これに関しましては、私どものホームページで、昨日からトップページにも加えまして、その旨ホームページに掲載させていただいておりますが、厚生労働省のホームページにおきましても同様の内容について掲示をしていただくようお願いをいたしまして、御承諾を頂戴いたしております。

中野委員 そしてもう一つ、問合せのダイヤルの中身でも多いとおっしゃっておられました、外国に情報が再委託されて個人情報が流出をしているのではないかという御懸念の声が、非常に多くいただきます。午前中の質疑でもございましたが、中国に再委託された部分、氏名と振り仮名だけだったということで今聞いておりますけれども、本当にそうなのかという声も大変に根強い。

 どういう形でこれについてチェックをしたのか、しっかり裏がとれているのか、国民の皆様に安心をしていただくという意味でも、少し詳しく説明をしていただければというふうに思います。

水島参考人 私どもが一月の四日に公益通報で可能性、懸念を把握いたしまして、一月六日に特別監査を入れたということについては御報告を申し上げているとおりでございます。

 同時に、セキュリティー関連系の委託会社でございますIBMも同行してSAYの監査を行うとともに、中国の関連企業と言われている企業についても監査を、これに関しては委託をして、その後、国内監査についても委託に切りかえております。

 その結果でございますが、ややちょっと長くなりますがお許しいただきたいと思いますが、SAY企画は、契約に反して、ベリファイをせずにOCRで入力を行っていたということでございますが、氏名に関しましては、やはりOCRの読み取り精度が悪かったということでございまして、それを中国の関連企業に委託したということでございます。

 その際に、氏名と仮名だけをトリミングして委託をしたということでございますが、その確認でございますけれども、一月十日と十二日にSAY企画の特別監査を行っておりまして、IBMと同行でございますが。その中では、SAY企画内のファイルサーバーに、二情報、漢字氏名と仮名でございますが、これだけを切り出したデータが大量に残っていたということでございます。SAY企画から説明を受けたところでは、先ほど一部御説明申し上げましたが、そのトリミングするシステムをつくってトリミングを行って委託をしていたということでございました。実際に、そのシステムの内容及び作業工程は、監査に参りました私どもの職員も確認をしているということでございます。

 加えまして、一月三十一日から二月二日にかけまして、IBMによりまして現地企業の監査を行っております。私どもの職員も同行いたしております。セキュリティー規定がございまして、ファイルサーバー内の画像データは既に削除をされておりましたが、SAY企画の作業するための入力システムがございまして、その入力画面は二情報だけだったということでございます。

 また、その後、当該事業者、大連の事業者でございますが、の行いましたデータを国内に、返りまして、その上書きをしているわけですが、その内容を紙にしたデータがございまして、その紙にしたデータで確認いたしたところ、二情報であったということでございます。

 これらの状況を踏まえまして、私どもとしては、総合的に考えて、氏名及び仮名の二情報のみが再委託されたと。そのデータの交換方法はクラウドで、第三者がそこには入れない構造になっております。また、それぞれの作業環境も、基本的にインターネットと遮断された、国内は若干問題がございますが、中国側はきちんと遮断されておりました。そのような状況も踏まえまして、現状、今申し上げましたように二情報であるというふうに判断をいたしておりますが、先ほど来申し上げておりますとおり、念には念を入れて、その監査内容について、IBM以外の第三者機関に再度検証をさせたいというふうに考えております。

中野委員 さまざまお伺いさせていただきました。業務の改善というのは、当然しっかり調査検討して速やかに取り組んでいただく。そして、この源泉徴収、実際に間違っていた方がいらっしゃいますので、これへの対応というのは丁寧に、一件一件間違いなくしっかりとやっていただきたい。改めてお願いを申し上げます。

 最後に、ちょっと時間がなくなりまして、医療的ケア児について一問だけお伺いをさせていただきたいと思います。

 医療技術の進歩によりまして、医療的なケアを必要とする子供は年々増加しておりますけれども、この受皿の確保というのがなかなか確保されていなくて、保護者の皆様も、本当に負担の大きい中で子育てをされているという現状であるというふうに思います。こうした医療的ケア児を支援する受皿体制の強化、これにつきまして、最後、高木副大臣の方から答弁いただきたいというふうに思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、近年、医療の進歩を背景といたしまして、人工呼吸器等の使用や、たんの吸引などの医療的ケアを必要とする子供、医療的ケア児が増加しておりまして、平成二十七年の推計では、全国約一・七万人と承知しております。こうした中で、医療的ケア児やその御家族が地域で安心して暮らせる支援体制を構築することは極めて重要な課題でございます。

 このため、平成三十年度障害福祉サービス等報酬改定におきまして、障害児の発達を支援する施設や短時間お預かりする施設、ショートステイなどにおきましては、医療的ケア児を受け入れるために看護職員を配置した場合に報酬上評価することなどの充実を行ったところでございます。

 医療的ケア児の受入れが確実に進むよう、今回の報酬改定の効果も見きわめながら、引き続き、受入れ体制の確保に努めてまいる所存でございます。

中野委員 ありがとうございます。

 済みません。文部科学省からも来ていただきましたが、ちょっと時間がございませんでして、申しわけございませんでした。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 私は、立憲民主党・市民クラブの長谷川嘉一でございます。

 通告に従いまして順次御質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 最初に、貧困層の拡大がもたらす社会保障制度の現状と将来についてお伺いしたいと思いますが、まず一点目として、生活困難者、これは生活保護対象者を除く人たちでありますが、この医療受給状況について御質問をさせていただきます。

 我が国においては、生活保護対象者ばかりではなく、生活保護一歩手前の生活困窮者が苦しい生活を強いられている旨を、昨年十二月六日の当委員会で質問をさせていただきました。保険医療機関では、そのことに向き合わなければならない現実がございます。地方の医療センターなどでは、医療費の自己負担分が払えないために、入院を患者様が拒否をするということも珍しくありません。当然ながら、高額な薬剤等について投薬や注射を拒否するケースも、まれでなくあると聞きます。

 まず、そのことをどの程度厚生労働省として把握しているかをお聞かせいただきたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきました、経済的な理由で必要な医療を受けられていない方の状況、データなどにつきましては、厚生労働省では具体的には把握していないところでございます。

 ただし、生活に困窮されている方につきましては、生活困窮者自立支援法に基づいて、全国九百二の福祉事務所設置自治体に相談支援を行う窓口が設置されておりまして、こちらの窓口に経済的な理由で医療を受けにくいという方が相談に来られているという状況がございます。

 そうした場合には、御本人の意思も踏まえまして、無料低額診療事業、これは、生計困難者に無料又は低額な料金で診療を行っている医療機関、全国に六百余りございますけれども、こうした医療機関の受診を勧めている。また、生活保護の受給が必要だと考えられる方については、福祉事務所の生活保護担当を御案内するように周知をしているところでございます。

 今後とも、こうした困窮の状況にある相談の方がお見えになりましたら、早期に適切な支援が受けられるように取り組んでまいりたいと考えております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 生活困窮者、保護を受けていない方の方が実際には多い、八割方は受けていらっしゃらない。また、その前後で苦しい生活をしていらっしゃるという方が大勢いらっしゃいますので、地方においては、こういう状況が散見されるということではなくて、もう珍しくない状況であるということを改めて御指摘を申し上げておきたいと思います。九百二、支援施設があるということでありますけれども、その施設がいかんなく機能を発揮して、このセーフティーネットを機能していただけることを要望させていただきます。

 次に、企業の収益に対する社会保険料の負担についてお伺いをいたします。

 労働者派遣法による規制緩和を受けて、派遣社員などの非正規労働者が急増しております。そのことにより、企業にとっては、給料を低く抑えることができることに加え、健康保険料や年金保険料などの社会保険負担を免れるという現実があります。企業にとりましては、法人税に比べ社会保険負担がはるかに大きい、これが実態であり、実際、国税庁の統計年報を見ますと、二〇一五年度の日本の全企業の六二%は法人税を払っておりません。日本の企業の収益に対する社会保険負担は、国際的に比較して、決して大きくないと考えますが、この辺についての厚生労働省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま社会保険料についての御質問がございました。

 御案内のとおり、社会保険につきましては、疾病とか老齢とか失業、こういったような国民の自助だけでは支え切れないリスクに対しまして、これをみんなで支え合うという考え方でございまして、その保険料につきましても、したがって、給付に見合う保険料を御負担いただくということになります。

 その中で、今御指摘ございました事業主負担が重いのではないかということでございますけれども、この事業主負担の性格につきましては、そもそもの、社会保険に従業員の方が加入をするということを通じて労働者が安心して就労できる基盤を整備する、これは事業主の責任の一つでもございます。こういった責任に基づくものでございますし、また、逆に労働者の健康の保持、あるいは労働生産性の増進が、社会保険への加入によって安心して労働できるということで図られるわけでございますので、そういった面で事業主の利益にも資するということだろうと思います。

 そういうことで、事業主に一定の御負担を求めているところでございまして、きちんと給付に見合う御負担をいただきながら、しかし、保険料水準が一概に上昇していくということはなりませんので、保険料水準の上昇の抑制に向けたさまざまな努力もあわせ講じながら進めていくということである、かように承知をいたしております。

長谷川委員 ありがとうございました。

 実は、私はこの保険料負担が大きいと言っているのではなくて、逆です。日本の企業の場合、社会保険料に対する負担は諸外国と比べて大きくありませんよということを申し上げたい。実は、これについて、派遣法で、制度から逸脱して、個人的に入られるという方を増加してしまっているという内容についてはぜひ御認識していただいて、網の目をくぐるようなことがないようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 次の三番目の質問に移らせていただきます。

 貧困層拡大と少子化の現実についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今や、非正規雇用労働者は全雇用者の三分の一を超えております。総務省の労働調査によれば、二〇一七年四月から六月の役員を省く全労働者は五千四百四十一万人でございます。その三七%に当たる二千十八万人が非正規雇用労働者でした。年次経済財政報告によると、正規労働者の給与は勤続年数によってふえてまいりますが、非正規労働者はふえません。非正規労働者の七割が年収二百万円に届かないという結果、ある団体の調査結果等もあります。

 また、非正規労働者の結婚は非常に厳しく、例えば三十五歳から三十九歳の大卒男子の結婚しない率でありますが、これは、正規の方は結婚していらっしゃらない方が二五・三%。これに比べて、派遣社員、契約社員は六七・二%が結婚しておりません。また、パート、アルバイトについては八五・五%という数字もございます。

 結婚後の子供の数についても、男女とも正規雇用の場合は一・九〇人。これに比べて、男性が正規であってカップルの女性の方が非正規の場合は一・七九人、わずか少ない。しかし、男性が非正規雇用、女性が正規であっても、この場合は一・〇九人。半分近い数しか出生できない。これが実態であります。

 男女とも、非正規労働者の場合はこの非常に厳しい状況がございますが、こうした中で、合計特殊出生率を上げることが少子化対策の一つの目安となっておりますが、出産適齢期の女性の減少が進んでいる現実を考えますと、合計特殊出生率が多少上がっても、出産児数は減少をこのままでは続けることになります。

 必要な少子化対策の一つとして、非正規労働者増加に伴う貧困層の拡大防止があると考えますが、厚生労働省のお取組をお聞かせいただきたいと存じます。

宮川政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、非正規労働者の数が一時期ふえておりましたけれども、最近では不本意非正規という形で一定数ふえていたところでございますが、最近、その数字の増加傾向は抑えられている状況でございます。

 いずれにいたしましても、この非正規労働者対策というのは非常に重要な観点でございまして、一つは、不本意非正規をなくしていくという形の中での、いわゆる正社員化を求める方々を正社員にしていくという政策を進めることと、あわせまして、正規と非正規の間の不合理な待遇差をなくしていこうということが大変重要な観点だと思われます。

 今回、準備しております働き方改革関連法案の中におきましても、いわゆる同一労働同一賃金といたしまして、正規と非正規の間の不合理な待遇差を解消していこうという法律を入れさせていただいておりますので、それらの政策を通じまして、非正規労働者の正規化なり、あるいは処遇改善ということに努めてまいりたいと思っております。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 詳しいことには言及いたしませんが、非正規雇用労働者の増加に伴う貧困層の拡大を防ぐことは少子化対策の最も重要な要件の一つであるということを改めて申し添えさせていただきます。

 次に、四番目として、貧困層の拡大がもたらす将来の社会保障についてお伺い申し上げます。

 まず、被用者保険では、健康保険料、年金保険料の五〇%が、先ほど御説明いただいたように、企業主負担、雇用主負担が発生しますが、非正規雇用労働者の場合、被用者保険への加入は、これは現実としてなんです、現実として制限され、国民年金に加入することが多くなっているのが実態であります。

 また、厚生年金に加入できない場合は国民年金のみになります。企業、いわゆる雇用主の負担が少ない分、保険料の個人負担分が重くなってしまっている。現実として、給料が少ない上に、社会保障において正規労働者より不利な扱いを受けていることになっております。

 二〇一五年度、国民健康保険被保険者数、三千五百五十万人の前年度、二〇一四年度の平均所得は百四十万円となっております。一九九三年度の被保険者の前年度の平均所得が二百四十万円でありましたから、この二十二年間で四二%も減少しているということになります。二〇〇八年四月一日の後期高齢者医療制度の施行以降、七十五歳以上の高齢者が国民健康保険から外れたことを考えると、所得の減少は四二%よりも大きいと考えるのが妥当かと思います。

 その減少した所得の中から、実態としては、国民健康保険料を払う、単身世帯では年間十四万二千円、国民年金保険料、単身で十九万八千円、これを支払わなければならない。極めて厳しい財源から年間三十四万もの出費をしているというのが現実でありますが、このことについて厚生労働省の御見解をお聞かせ願いたいと思います。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、貧困の拡大ということでございますけれども、相対的貧困率につきましては、高齢者世帯の増加等により、これまで長期的に上昇傾向にございましたけれども、雇用が大きく増加するなど経済の好転を背景に、直近では改善に転じているところでございます。

 いずれにいたしましても、我が国の経済社会が持続的に発展をしていけるようにするためには、格差あるいは貧困の固定化や世代間の連鎖の防止にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。

 また、我が国は、国民皆保険制度などを通じて医療や介護などのサービスを社会全体に保障をしておりますけれども、今後、少子高齢化が進行し、御指摘のように、社会保障の負担の増加も見込まれる中で、低所得の方であっても制度の保障の網からこぼれ落ちないようにし、必要なサービスを受けられるようにする必要があると考えております。

長谷川委員 まず、ぜひそのような方向を考えていただきたいと思いますと同時に、今申し上げた内容については全省挙げてしっかりと御認識をいただき、担当部署には激励等々を与えていただければありがたいということを国民の代表として申し上げておきたいと思います。

 次に、今の問題について、もう一つ話を進めさせていただきますが、生活保護を受給しない貧困層の中に、無理して国民保険料を納めているにもかかわらず、自己負担分が払えないために必要な医療を受けていない人たちが相当数いるということは、先ほど冒頭に申し上げました。貯蓄のない、あるいは極めて厳しい非正規労働者の老後はどのようになるのでしょうか。

 国民年金八十万円だけでは生活できません。生涯、非正規雇用から抜け出せないとすれば、老後に生活保護を受給せざるを得なくなります。国民年金を受給しながら、生活保護においては、当然、生活保護費からその分が差し引かれます。苦しい中から無理して国民年金料を支払っても、将来、生活保護を受けざるを得なくなったときには、生活保護費からこれが差し引かれる。

 こういったことであれば、年金保険料を支払わずに当座の生活に回す方が、御本人にとっての生涯の可処分所得総額は多くなります。当事者にとりまして、国民年金保険料を支払わないことに経済的合理性が存在することになってしまう。今、どのくらいの皆様方が国民年金料をちゃんとお支払いになっているかは今後の御指摘にさせていただきますが、このことについてお伺いをしたいと思います。

 このように、現在、非正規雇用労働者の増加とそれに伴う貧困層の拡大は、将来、未来にわたり、我が国の医療保険制度、年金保険制度、生活保護制度などの社会保障制度を持続可能なものとする上で、放置できないのではないかと考えます。

 今まさに対策をとらなければならない問題と考えますが、厚生労働省の御所見をお伺いいたします。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、働く中で、あるいは年金保険料を納めながら働いていても、なかなか、高齢に達するにつれて困窮に陥っているという方が現在でも多く見られるところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、現在、困窮状況に既にある高齢者に対しては、年金について、年金受給資格期間の短縮などによる収入の確保、また一方で、医療、介護の保険料負担軽減などによる支出の軽減という両面から低所得者対策を行ってきているところでございます。

 さらに、こうした方々、将来困窮状況に陥るという方がないようにということで、高齢になる前からの予防的な取組ということも大変重要と考えておりまして、そうした観点からは、今回、改正法案も提出させていただいております生活困窮者自立支援の中で、家計管理もしながら、高齢になって困窮に陥らないような予防的支援をしっかりしてまいりたいと考えております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 これについては厚労大臣にも御所見をというふうなことで考えていたんですが、今御答弁いただいた内容でもよろしいかと思いますが、大所高所からの観点で、大臣の御所見をお伺いできればと思います。

加藤国務大臣 非正規でという方がふえてきている。その非正規の方が、どういう就業の理由といいますか背景でついているかによっても、これも随分違ってくるところはあると思います。中には、単身で非正規ということであれば、より一層問題は深刻化していくのではないかと思います。

 そういった意味において、やはり、社会保障制度にしっかり乗っていただくという意味においては、国民年金もありますけれども、働く場合には、厚生年金というものでカバーされていく必要もあるんだと思います。これまでも適用拡大をしてまいりましたけれども、更にそういった意味での努力をしていく。そうすることによって、将来の年金額が、国民年金に比べれば、より高い水準がキープされる。

 それから、配偶者という立場で働いている方においても、やはり将来を考えれば、御自身の年金が確保されるということは、御自身の暮らしの安心にもつながっていくのではないかというふうに思っております。

 先ほど局長からお話をさせていただいた、生活保護、また、その手前でどう抑えていくのかということと同時に、制度としても、非正規で働く方も、まずは、今回、働き方改革で出させていただきますように、処遇についても合理的に、要するに、不合理な格差を解消して、しっかりとその働きぶりに応じた評価がされ、そしてそれに基づく賃金がなされていく。そしてまた、そうした働き方にあっても、できる限り厚生年金等が適用されていく、そういったことも考えていく必要があるんだろうと思います。

長谷川委員 どうも御答弁ありがとうございました。

 持続可能な社会保障制度、それから先ほど言った人口減少、また現在の日本の国の財政状況等、どこをとっても将来に対する不安は払拭できないものであり、一部署の問題ではないかもしれませんが、今、若い方たちは、年金はもらえないというふうに思っている方たちが実は過半数。実態では、私の周辺で聞くと、もらえないよねと。当然、その人たちは、払っていない人たちが大勢いらっしゃる。このことだけは更に申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。通告の二番目の介護離職についてでございます。

 まず一番目として、介護離職の現状把握についてお伺いいたします。

 厚生労働省は、地域包括ケアシステム構築により、在宅介護を推進しようとしております。私も地域でその構築現場に身を置き、その推進に取り組んでおりますが、そこで常に問題になるのが介護離職の問題であります。

 まず、介護を理由としてやむを得ず離職せざるを得ない状況があることを、労働と医療、介護、福祉とを所管する厚生労働省としてどのようにお考えになっているのかをお聞かせ願います。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

宮川政府参考人 介護離職の現状把握についての御質問をいただきました。

 まず、介護離職そのものについてでございますけれども、総務省の就業構造基本調査によりますれば、平成二十三年十月から平成二十四年九月までの間に介護、看護のために前職を離職した者の数は約十・一万人となってございます。

 男女誰もが親等の介護が必要な時期にも仕事と両立させて働き続けることができ、その能力を発揮できる社会とすることは、女性の活躍あるいは少子化対策、男女の希望の実現の観点、さまざまな観点、その他の観点で、仕事と家庭の両立の支援が非常に重要だと認識しているところでございます。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 次の項目に移らせていただきますが、介護離職の二及び三は同時に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、改正育児・介護休業法施行後約一年六カ月になると思いますが、この現状認識についてお尋ねをしたいということと、国家公務員の介護離職について、これをあわせてお伺いいたします。

 改正育児法は、昨年の一月一日に施行され一年半がたちますが、民間事業者において、同法改正の施行に当たり、懸命に、きめ細かく対処されている事業所もあると聞いております。私が地域包括ケアシステム構築現場で多く耳にするのは、民間企業の介護離職だけではなく、国家公務員、特に、かつて厚生労働省職員だったという多くの介護離職者の声であります。

 人事異動で地方異動となり、介護ができなくなる旨を訴えても異動は変わらない。介護で異動できないなら介護休暇をとれと言われ、言われるままに介護休暇を出しても、介護休暇は分割三回までで合計六カ月。都市部では六カ月で入所施設も決まらず、結局、その後離職することになった。また、暫定的に今のまま置いてやるが仕事はしないでよいなどと言われ、まるで座敷牢に閉じ込められたようで、暗に離職を選択するようにしむけられたなどというものであります。

 そもそも、同法二十六条「労働者の配置に関する配慮」では、事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならないとあります。

 また、同法二十八条では、厚生労働大臣は、第二十一条から前条二十七条までの規定に基づき事業主が講ずべき措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべきその他の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るための指針となるべき事項を定め、これを公表するものとあります。

 厚生労働大臣の、労働者の仕事と家庭の両立の実現における責任は重大であります。民間に対するものとイコールではありませんが、同法六十一条には公務員に関する適用についても言及しております。

 国家公務員の人事異動について、この観点からどのようにあるべきとお考えか、厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。

宮川政府参考人 まず、私の方から育児・介護休業法の施行状況について御説明させていただきたいと思います。

 平成二十九年一月一日に施行されました育児・介護休業法改正法におきましては、先生御指摘のとおり、介護休業の分割取得などの見直しを行ったところでございますが、法改正後、現在までにおきまして、企業等からの、改正法の内容につきまして、半日取得の考え方など、介護のためのさまざまな問合せをいただいているとともに、説明会でも多くの御質問をいただくなど、関心の高さを認識しているところでございます。

 厚生労働省におきましては、企業における仕事と介護の両立支援の取組が進みますように、一つは、事業主が介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援のモデルの作成や事業主への普及、あるいは円滑な介護休業取得や職場復帰のための介護支援プランの策定支援、あるいは両立支援等助成金の支給などにより支援を行っているところでございます。

 今後も、改正内容の着実な定着に努めるとともに、施行後の企業の取組状況などについては、来年度、調査を行いたいと考えているところでございます。

加藤国務大臣 制度的には、公務員と民間とは別体系になっているわけでありますけれども、公務員においても介護離職ゼロを目指していかなければならないと考えておりますし、厚生労働省においては、毎年、家族の介護を行っている職員の状況や介護休暇の取得の意向等を把握するため、職員から、介護シートというものを配って提出していただき、人事配置や業務負担の軽減などに配慮させていただいているところであります。

 また、仕事と育児・介護両立支援ハンドブックを作成し、介護休暇を初めとした仕事と介護の両立支援制度、どういう制度があるのかということを具体的に周知を図っております。

 さらに、これは内閣人事局でありますけれども、全国十一ブロックで仕事と介護の両立のためのセミナーに希望する職員を参加させ、家族等の介護に直面したときの対応や介護保険サービスの利用等に関する知識等の習得をさせていただいているところでございます。

 私自身の経験からいっても、制度はわかっていても、自分の近くでどうそれを活用するかというのはなかなかわからないわけでありますから、やはり日ごろからこういったことをそれぞれの職員あるいは働く方々に周知をしていく、そして、何かあったときに、心構えを持っていくということが、いわゆる介護休業の中においてさまざまな介護サービスを提供してもらえる仕組みをつくっていく、こういったことにもつながっていくんじゃないかと思っております。

長谷川委員 ありがとうございました。大変端的な御答弁であったかと思います。

 現在、厚生労働省は、地域包括ケアシステム構築により在宅介護を推進する立場であります。隗より始めよという言葉がありますが、地域包括ケアシステム及び育児・介護休業法を所管する厚生労働省における人事異動において、介護離職に追い込まれることのないように、そのことにより在宅介護を阻害することがないようにすることは、厚生労働省として当然であると考えます。民間事業者ではないとしても、育児・介護休業法第二十六条で規定する内容に従い、ワーク・ライフ・バランスを無視した、パワーハラスメントととられかねない人事異動強要が起こりませんように、くれぐれもお願いを申し上げます。

 次に、お許しをいただいて、技工士の数の減少について端的に御質問……

橋本委員長代理 長谷川君に申し上げます。

 時間は参っておりますので。

長谷川委員 では、これについてはまた後日の、せっかく準備していただいているかもしれませんが、後日の御答弁ということでよろしくお願いします。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。丁重なる御答弁ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 昨日、旧優生保護法下における強制不妊手術を考える超党派の議員連盟の二回目の会合が開かれまして、そこで厚生労働省から、三月二十八日付で自治体に宛てて、「旧優生保護法に関連した資料の保全について(依頼)」という、この資料についても御説明をいただきました。

 私たち、第一回目の会合のときにも、やはりこの全体像を明らかにすることが必要だ、厚生労働省はその調査を行うことができる恐らく全国で唯一の組織でありますので、そこが先頭に立ってやっていただきたいということを議連からも申し上げていたんですけれども、このような形で依頼が出たということ自体は評価したいというふうに思っております。ただ、調査の範囲と内容につきまして、まだやはり懸念がございます。

 旧優生保護法のもとで強制不妊手術といいますか不妊手術を受けた方々は、さまざまな報道などでは約一万六千人とされていますけれども、これは、保護法の第四条と第十二条に基づいて、本人の同意を得ることなく強制不妊手術を受けた方々、この方々を称して一万六千人とおっしゃっているわけです。

 それ以外にも、第三条に基づいては、ハンセン病や遺伝性とされた疾患を対象に実施された不妊手術となっておりますけれども、これは、表面上は本人の同意が必要だということにはなっていますが、実質的には、拒否することが難しかった状況の中で手術を受けられていたのではないかというふうに考えております。

 ですので、この調査の範囲も、三条、四条、十二条、ここまで含めると一万六千人ではなくて現時点では約二万五千人と言われておりますが、この方々、この範囲を対象に調査が行われるのだということを厚生労働省からもう一回確認をしていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 今、まさに与党のPT等から、調査の内容をまず検討してくれということで、宿題を負っております。私どもの方として、この旧優生保護法下においてさまざまな資料がつくられていたと思いますので、一体どういう資料があるのか、それを今網羅的に検証し、またそれをお示しする中で、今委員御指摘の点も含めて、御議論をいただきながら、それに対応していきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 それに対応するというのは、つまり、三条、四条、十二条、その条文を根拠に行われた手術全般についてということでよろしいですか。

加藤国務大臣 ですから、調査の段取りもあろうかと思いますので、その辺は、資料を与党PT等にお示しをしながら、ではどういう形でこの調査を進めていくのか、そういった御指示をいただき、それに対応させていただきたいと思っております。

西村(智)委員 これは与党PTだけではなくて超党派の議員連盟もございますので、そちらの声もぜひ聞いてくださるようにお願いをします。そこは強い要望です。

 それから、自治体に今回は、情報をまずは保全してくれ、資料を保全してくれという依頼をされたようなんですけれども、国が保有している資料、これもあると承知いたしております。図書館の中と、それから厚生労働省の書庫の中等々にもありましょうし、また、旧優生保護法では、都道府県の優生保護審査会の決定に異議がある場合には中央優生保護審査会で再審査を行うということが定められておりました。それに関する書類の存在、これもあろうかというふうに思います。ここはぜひ精査をしていただきたい、これが一点。

 それから、都道府県が国の機関委任事務として行ったもの、優生手術に関する庶務は、優生保護法に基づいて国の機関委任事務として当時行ったものであって、判断に迷った場合には都道府県から国に問合せが、いわゆる照会がされているというふうに承知をいたしております。ですので、国が優生手術に関連して発出した通知、これを全て開示して、それもあわせて調査する必要があるというふうに考えますけれども、この二点について、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 済みません、一点目と二点目がどういう差異があるか、ちょっと今理解できていませんが、ただ、いずれにしても、これから都道府県等の地方自治体に、そうしたまず保全をお願いし、調査をしていくわけでありますから、厚生労働省の所有しているもの、保管しているもの、これについてもしっかり調べさせていただきたいと思います。

西村(智)委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 それでは、けさの理事会に提出いただきました、野村不動産における企画業務型裁量労働制に関する特別指導の関連資料についてお伺いをしたいと思います。

 黒塗りでした。三種類のペーパーが出されてきて、大変多くの部分が黒塗りになっている。先日の山井委員の質問で、どの情報がどの理由によって黒塗りにされているのか明らかにしていただきたいという要請をして、理事会で協議をしましたところ、けさ出てきたペーパーは、皆さんのところに資料としてお配りすることはできなかったんですけれども、監督指導の実施に支障があるとか、それから、企業情報であるという理由で黒塗りになっているという説明がございました。

 これは大変おかしな話でして、理事会に出席されておられた理事の皆さんは御承知だと思うんですけれども、その理事会で説明に来られた審議官は、三つの理由によって黒塗りにしていますというふうにおっしゃったんです。一つは個人情報の保護、そして二つには法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ、そして三つには監督指導の円滑な実施に支障を来すおそれという観点からマスキングをしましたということなんですけれども、なぜこれは個人情報の保護を理由として黒塗りにされたところがないんですか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 私が聞いている範囲で答弁させていただきますけれども、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条の、いわば一号が個人情報の保護、二号が法人等の権利云々かんぬん、それから四号、六号が監督指導の円滑な実施、この大きく三つの要因を申し上げたわけであります。

 そして、後者の二つについてはお示しをさせていただきながら、一についてお示しをするということはいろいろな意味で差しさわりが、どこに何があるかということも含めてお出しすることは適切ではないということで、これは、それがないという意味ではなくて、どこにあるかということをお示しすること自体もそれは控えた方がいい、こういう判断でそういう資料が出されたというふうに承知をしております。

西村(智)委員 おかしいですね。理由が三つ示されているのに、出されてきた答えには二つしか答えがないんですよ。一つ目の答えは一体どこですか。それをあわせて、私は、審議官は分類を説明してくださるんだと、どこが個人情報に関するもの、どこが企業情報、どこが監督指導の実施に支障があるということで示されるんだというふうに思っていたんですけれども。

 なぜ個人情報の保護は、では、このペーパーの中には個人情報はないということでよろしいんですか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、まず、今回のこの提出をさせていただいている資料についてマスキングをしている理由は、先ほど委員からも御説明いただきましたように、三点、三つの観点から施しているものでございまして、個人情報の保護もそこに含まれております。

 その上で、今回の御要請の中で、それぞれの部分がどの理由によるかということでございましたけれども、個人情報の保護という観点につきましては、そのことに言及をするということになりますと、前から申し上げておりますように、労災補償の個別の事案については、これは申請者の方の個人情報をお預かりをして業務を行っている中で、その個人の情報の保護をするという観点から、基本的には、その案件があったかなかったかを含めて、御回答を申し上げるということを差し控えさせていただいているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、どの部分にその個人情報の保護という観点が入っているかということに私どもが言及をいたしますと、その時点で、今申し上げたような個人情報の保護ということにかかわってくることになりますので、今回理事会に御報告した資料でも、記述の存否や、具体的にどこが該当するかをお示しすることはできないというふうに御回答申し上げた次第でございます。

西村(智)委員 今のお話ですと、この黒塗りされた部分の中に、労災にかかわる部分があったということなんですかね。

 いや、先ほど審議官は、これを、個人情報の保護の理由は、労災の事案を明らかにしますと云々かんぬんというふうに言われたので、この中に労災の情報があったということなんですよ。審議官は恐らくそれを前提に答弁をされておられるわけです。

 私、なぜ、この問題を私たちがこれほどまでに明らかにしたい、明らかにしなければいけないと思っているかといえば、これは、予算委員会で総理も大臣も、本当に繰り返し、裁量労働制の取締りとしてこれほどやっていますというふうに繰り返し答弁をされた事例だからなんです。それをもって、恐らくは、裁量労働制の企画業務型の対象を拡大しても大丈夫だ、働き方改革の関連法案を出しても大丈夫だということをきっと言いたかったんでしょう。

 だけれども、その端緒が労災、しかも過労死であったということであれば、これは全く別の話であるし、これは私は、もし本当に、この特別指導の端緒に、本当に過労死あるいは労災ということが端緒としてあったのであれば、とてもとても、あんなふうに堂々と予算委員会で、テレビ入りのところで、これほど取締りをしていますというようなことは言えないはずだというふうに思うんですよ。

 大臣、裁量労働制の拡大は、今回、撤回をされました。もうこの野村不動産のことについても、大臣の口から本当のことをそろそろお話しになってもいいのではないですか。

加藤国務大臣 まず、今委員御指摘でありますけれども、委員からも、委員がこの事例を挙げて御質問されたので、それにお答えをしたということで、私は、裁量労働制一般の議論の中で、私の方からこれを持ち上げて、こういう事例がありましたと言ったことはありません。したがって、その中で、こうした、確かに裁量労働制においてもいろいろな課題があります、そしてそれが見つかった場合にはこうやって対応しております、そういうことを申し上げているわけであります。

 今回の特別指導においても、監督指導として入って、そしてその結果として、全体としてどういう状況なのか、これは全社的にやっている、対象者も多い、そういうことでこういう判断をしたということでございまして、したがって、それについて、むしろそこにおいて今回対応させていただいたということでございます。

 それから、過労死の問題については、これまでも幾度も申し上げておりますように、すこぶる個人的な情報ということなので、その取扱いに対しては十分私は考慮していかなければならない、こういうふうに考えております。

西村(智)委員 ちょっと時間が限られておりますので、そろそろにしなければいけないとは思いながらも、私、これは加藤大臣もダブルスタンダードだと思うんですよ。

 電通の高橋まつりさんのことについては、これはもう既にいろいろな方がいろいろなところで名前をおっしゃっているので……(発言する者あり)御遺族が同意したからという話がありますけれども、今、ここの理事会に示されたペーパーの中の根拠としては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条の各号に照らしてと書いてあります。個人情報保護法です。これの条文は何かというと、個人情報について、本人の同意があれば公開することができるというふうになっているんですよ。本当に本人の同意、とられましたか。私、聞いている限りでは、それはとられたというふうには承知いたしておりません。

 今回の野村不動産の件は、本人の同意、当然とれないわけでありますし、また、この件について、会社の方は既にそういった案件、労災案件があったということは言っているわけでありますので、ここのところは、ぜひぜひ大臣、そんなに、これは私、何も個人のお名前を挙げてくださいというふうに言っているわけではありません。そのほかの案件についても、全て明らかにしてくれというふうに言っているわけでもありません。

 だけれども、なぜこんなに隠すのかということが本当に不思議でならないんです、特にこの件について、ということを申し上げて、また引き続き、いただいたペーパーもよくよく精査して質問をさせていただきたいと思っております。

 そして、きょうは働き方改革について一点伺いたいと思っています。

 労働基準法第三十六条、これは行政指導の根拠条文だというふうに、その性格を私は承知しておりますけれども、三十六条の第九号が行政指導のための根拠となる条文だというふうに理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 現行法において、三十六条に九号というのは存在していないんじゃないかと思いますが。

西村(智)委員 失礼しました。

 今回、働き方改革関連法の中で、行政指導の根拠条文として、九号が加わるということになりましょうか。

 それで、この間、裁量労働制が全面削除されたということで、いろいろな各政党での議論が改めて行われて、私たち立憲民主党の中でも、政府から出されようとしている働き方改革関連法についてどう対応するかということで今いろいろ議論をしておりますけれども、この三十六条九号に関して、中小企業へ配慮すべきだという議論が与党の中でなされているやに承知いたしております。大臣、このことを御存じでしょうか。

加藤国務大臣 まず、法案全体について、その詳細を今与党の中で、確かに、自民党の中のレベルでいえば、部会は終わったということではありますけれども、まだまだ党として決定をしていないということなので、余り逐条について今私どもの方から申し上げるのはいかがかというふうに思います。

 ただ、委員の御指摘があります。当然、党の中においての議論においても、やはり中小企業の方々にはさまざまな状況があるので、そういった状況はいろいろと配慮する必要がある。しかし、実態において今回の規制はしっかり適用していくということ、そして、本当にいろいろな指導をした上でやはり問題だということがあれば、それはそれに応じた対応をすべきである、そこについては何ら変わっていないというふうに認識をしております。

西村(智)委員 恐らく、この九号が行政指導を行うときの根拠条文になってくるんだというふうに思うんです。

 それで、私が聞いておりますところ、中小事業主に対してこの助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、それから人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮するということで検討されているということのようなんですけれども、大臣、こういったことが検討されているということに対して、厚生労働大臣としてどういうふうにお考えですか。

加藤国務大臣 今そういったことも含めて党の中で御議論をいただいているということでございますが、ただ、いずれにしても、例えば、労務管理部門がしっかりできている大企業と、そういったものがない形で実際に仕事をしている中小企業、それから下請という立場でいろいろな事情があるとか、やはりそういったことは当然考えていかなきゃいけない、そういった指摘を党の中でもいただいているということでございます。

西村(智)委員 厚生労働大臣として、私、今の答弁はいかがかというふうに思いますね。

 つまり、行政指導をやる立場が厚生労働省であって、それは厳格にやるんだということをやはり厚生労働省としては言わなければいけないと思うんですよ。今のお話は、労務管理がしっかりしている大企業と中小企業で対応を分けてもいい、こういうふうに答弁されたんですか。

加藤国務大臣 今、対応を分けてもいいということではなくて、本質は何かといえば、きちんとそれぞれの会社で労務管理を行ってもらうように、どうしていくのかということでありますから、それに当たって、大企業だったら、これをやってくれと言ってできる場合、やはり中小企業においては一緒になって考えなきゃいけない場合があって、結果において、そこで働く方々の労働条件をどう確保するかということに我々は心を砕いていかなきゃならない。そういった意味での議論をいただいているということでありまして、結論において到達すべきものが違っていいということではなくて、しっかり、そうしたところに向かうためにどうすればいいのか、それぞれの状況の中で考えていく必要があるのではないか、そういった観点で、与党の中において御議論をいただいている、こういうふうに承知をしております。

西村(智)委員 しかし、到達すべきポイントが、ゴールが同じということであれば、なぜあえて今、私が紹介したような条文が必要なんでしょうか。書く必要はないと思いますけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げていますように、まだ法案を出しておるわけではございませんので、その必要があるかないか、まさにそれも含めて党の中で御議論いただいているというのが今の状況でございます。

西村(智)委員 出されたときには、もう一回これは聞かなければいけませんが、極めておかしな内容だと私は思います。ダブルスタンダードに必ずなっていくし、そして、中小事業主とか中小企業とか、労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態、何だか非常に言葉の定義もそれぞれ極めて曖昧で、わかりにくいものがたくさん含まれております。そういったものを厚労省、労働局、監督官が本当に把握できるのかどうか、非常に疑問ですし、私は、これを入れてしまったら本当に大変なことになる、厚生労働省として、あしき前例をつくってしまうことになるということで、これはやるべきではないということを強く申し上げたいと思っております。

 そして、最後に一点だけ、産業医のことについて伺いたいと思います。

 厚生労働委員の中には極めてすぐれた産業医のドクターもいらっしゃるんですけれども、やはり事業場と産業医の契約によって、産業医の皆さん、お仕事をされていますから、中には、例えば自分の専門外だからということで、なかなか、産業医に相談しても、事業場の相談に乗っていただけないというようなこともあるようなんです。

 実際に、労働安全衛生法という法律があって、その中で産業医の職務ということが規定されてはおりますけれども、これは義務ではないということなんですね。義務である職務もあるんだけれども、やらなくてもいい職務も結構記載されていまして、その中で、例えばストレスチェックなどについてはマニュアル等々も示されてはいるんですが、やはりこれは私、産業医の皆さんに、その能力とか役割をきちんと発揮していただくために、契約のあり方、これについて、今はもう現場任せということになっておりますが、もう少し、こういったことを職務としてやっていただきたいんですよということを厚労省として示していくべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 今委員御指摘もございました、基本的に、まずは事業主に、そうしたことをしっかりやってくれということが課せられ、そして、産業医を指定した場合には、こういうことをやってもらわなきゃならない、行わせなければならない、こういう規定になっております。

 メンタルの話については、労働安全衛生規則の第十四条の第三号で、心理的な負担の程度を把握するための検査実施となっていますけれども、この第十四条そのものにおいては、医学に関する専門的な知識を必要とするもの、こういうふうに注がついておるわけでありますから、場合によってはメンタルヘルス、ある部分についてはお医者さんじゃない方にお任せをし、そして医学的な対応が必要になったら受ける、こういった役割分担をするということは、制度的にできないことはないんだろうと思います。

 ただ、いずれにしても、今委員御指摘のように、仮に区分をした場合には、では、どこまでが産業医にやっていただく、そしてその入り口のところをどうするのか。やはりそこはきちっと決め、そして産業医の方にも認識をしていただく、それから、社員の方にもそこをよく理解してもらう。そういった努力は私は必要だというふうに思いますし、我々も、そうなっていくように努力をしていかなければならないと思います。

西村(智)委員 契約のあり方について、例えば、厚労省でガイドラインというか、ひな形をつくるというか、そういったことについては検討していただけませんか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今、一つは、全国の産業保健労働支援センターを通じて、事業所と産業医を対象とする研修を行っていますが、その研修で使う、事業所、事業者と産業医を中心とする効果的な産業保健活動についてのテキストをつくることにしておりまして、そのテキストにおいて、産業医の事業所におけるメンタルヘルスに係る相談対応へのかかわり方についても明確化し、その周知をまずは図っていきたいというふうに思っています。

西村(智)委員 結局、産業医の方々も、何をやったらいいのか、何をどこまでやったらいいのか、明確でないということが、この役割をまだ十分に発揮できていない理由の一つではないかというふうに思うんです。メンタルヘルスとかストレスチェックだけの話ではありません。ぜひそこは、契約のひな形をつくるなりして、全当事者にそういったことが行き渡るようにしていただきたい。お願いして、終わります。

高鳥委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 希望の党の大西健介でございます。

 特別国会は、私、議運の理事になった関係で一旦、厚労委員会を離れましたけれども、またこうやって戻ってくることができて大変うれしく思います。この後、長い本会議も予定をされておりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、通告していないんですけれども、ちょっとお聞きしたいというふうに思います。

 昨日の毎日新聞の夕刊ですけれども、牧原副大臣について、さいたま市の認可保育園の存続を求める署名、これの紹介議員ということで牧原副大臣がなられた、しかし、その署名簿を流用して、その署名をした人たちのところに、昨年の十月の衆議院選前に牧原副大臣の事務所がはがきを送付したということが問題になっております。その中では、八月より厚生労働副大臣を拝命し、年金、子育て、介護を守り抜く活動を今後も続けてまいりますということが書かれているということでございます。

 きょうの報道を見ますと、事務所の方から、保育園存続に関して陳情を受けた方々に結果報告をしたもので、選挙に関するものではない、だから問題ないんだということで、事務所の方では取材に答えておられるようですけれども、一点確認をしますけれども、これは、署名簿に書いてあった住所情報、個人情報、これを、問題はないと言われていますけれども、利用したということは間違いないんですか。

牧原副大臣 この案件ですけれども、去年の選挙の直後に、一番、皆さん御承知のとおり、選挙直後という結構大変な状況の中で、もう本当に三日、四日以内に、膨大な質問を要求されて、それに答えないと記事にするぞ記事にするぞというかなりのきつい取材があって、そして、十一月の半ば過ぎだったと思いますけれども、非常に、我々からするとおどしともとられるようなきつい取材だったので、弁護士を通しながら、本件の適法性等を確認しながら、適法であるという旨を答えているということでございます。

 その報告については、署名をとったPTAの人たちから依頼も受けて、確認も受けて、出してくれということで、非常に、結果、閉園しそうだった四十年続いている無認可保育園が閉園しないで存続をするということが九月の半ばぐらいに決まったものですから、その時点で、そういう依頼を受けて、我々としては準備をしたというものでございます。

大西(健)委員 いや、私の質問にお答えいただいていないんですが、記事では、そのはがきが届いたのは昨年の選挙の前、公示前だということなんですけれども、私が聞いているのは、署名者の同意を得ずに、いわゆる個人情報を使ったのかどうなのか、この事実関係を確認させていただいております。

牧原副大臣 署名者というよりは、署名を集めたPTAの関係の皆さんからの承認と依頼を受けて、我々として出してくれとお願いをされたものでございますので、個々の同意を受けたかどうかというのはちょっとこちらではわからないですけれども、我々としては、非常にいい結果で、そして、四十年続いた保育園が続いて、そしてみんなやめなくて済む、またあるいは来年以降入る人は入れるんだということが決まったわけですから、できるだけ早く報告をしてくれという趣旨でやったものでございます。

大西(健)委員 その署名用紙には、名前や住所など署名者の個人情報を要望の提出以外には使用しないということが明記されているということで、実際にそのはがきを受け取った方の中には、非常に困惑をしたと、あるいは署名簿が流用されたのではというような指摘が上がっているということでありますので、この点は、副大臣、もう一度精査をしていただきたいというふうに思います。

 それからもう一問、これもちょっと、済みません、通告をしていないんですけれども、本委員会の委員でもある白須賀委員、自民党の厚生労働部会長代理ということでありますけれども、まさに働き方改革、これから法案も議論されようかということでありますけれども、これに関する自民党の中の合同会議の中で、自身が運営する保育園で病児保育のために採用した看護師について、雇って一カ月後には実は妊娠して産休に入ると言ってきた、人手不足で募集したのにそれは違うだろうと言った瞬間に労働基準監督署に駆け込んだという発言をされたということが記事になっています。

 これはマタハラ発言ではないかというふうに御指摘がありますけれども、ここで厚労省に御確認、大臣に確認したいんですけれども、今の発言はマタハラ発言に当たりますでしょうか、当たりませんでしょうか。

加藤国務大臣 そういう新聞記事が出ていたことは承知しておりますけれども、そこだけで判断しろと言われても、なかなか判断し得ないということだと思います。

 ただ、いずれにしても、マタハラ等、あってはならないということはそのとおりでありますし、我々も、そうならない、そういったことがないようにしっかりと対応していかなきゃいけないと思っております。

大西(健)委員 マタハラがあってはならないことは当たり前なんですけれども、要は、採用して一カ月で妊娠してやめると言われた、そして、それを違うだろうと言ったら労基署に駆け込まれた、こういう発言はマタハラに当たるかどうかということを、厚労省の見解を聞いているんです。

加藤国務大臣 個々のケースについては、先ほど申し上げているところでございます。

 それから、どういう状況の中で、しかも、今、誰が誰に対して、まあ、誰がというのはありましたけれども、誰に対してどう言ったのかというところ等々もよくわかりませんので、正直言って、コメントは差し控えたいと思います。

大西(健)委員 これはまた、私、後ほど正式に厚労省の回答を求めたいと思いますけれども、一般論として、採用してすぐやめると言われたら、妊娠してすぐやめると言われたら労基署に駆け込んだというような発言というのがマタハラに当たるかどうかというのは、これはまた改めて聞かせていただきたいというふうに思います。

 それから……(発言する者あり)

高鳥委員長 静粛に願います。

大西(健)委員 済みません、じゃ、一般論として、今申し上げましたように、採用してすぐ妊娠したと言われて、それは違うだろうと言ったら労基署に駆け込まれたということを言うことは、一般論としてこれはマタハラに当たるかどうかというのを、理事会に厚労省の見解を提出していただきたいと思いますけれども、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議します。

大西(健)委員 あと、その会議では、報道では、白須賀厚労部会長代理は、労基署が大嫌いだと発言されたということですけれども、これは、大臣、これから働き方改革をしっかりやって、過労死をなくしていくために労基署はしっかり仕事をしてもらわなきゃいけないのに、与党の部会長代理が、労基署は大嫌いだ、こういう発言をしたというのは、これは労基署を所管している大臣としてどのように受けとめられるか、御所見をいただきたいと思います。(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛にお願いします。

加藤国務大臣 いずれにしても、報道の一つ一つについてコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、国会議員の皆さん方には……(発言する者あり)

高鳥委員長 大臣の答弁中です。御静粛にお願いいたします。

加藤国務大臣 労働基準監督署がどういう役割を果たしているのか、どういう思いでやっているのか、そういったことをしっかり御説明をし、理解を求めるように努力をしていきたいと思っております。

大西(健)委員 まさにこれから働き方改革、幾らいい法案をつくっても、それが守られなければ意味がないわけで、その点においては、労基署の皆さんにしっかり仕事をしてもらわなきゃいけない中で、与党の部会長代理から、労基署は大嫌いだという発言が本当にあったとしたら、これは私はとんでもない発言だというふうに思います。

 それでは、質問に入っていきたいというふうに思います。

 さて、予算委員会で、裁量労働制のデータの捏造というのが問題になりました。この問題を他に先駆けて取り上げてきた法政大学の上西充子教授が予算委員会の公聴会に出席をされたときに、このように言われております。この問題は、単にデータの不備という問題ではなく、政府の審議会における政策立案プロセスの問題や政府の国会対応の問題を凝縮して示してみせた事例だと考えていると。私も、そのとおりではないかなというふうに思うんです。私は、こういう結論ありきで、それに合わせてデータをつくって、そして政策決定プロセスがゆがめられている、こういう事例がほかにもあるんじゃないかなというふうに思っているんです。きょうは、ちょっとその一つを取り上げたいと思うんです。

 皆さんのお手元に資料として、厚労省の資料ですけれども、加熱式たばこにおける科学的知見、こういう資料をお配りさせていただきました。これの一番上の囲みの三つ目の丸のところに、加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチン濃度は紙巻たばこに比べれば低いということが書かれています。そのバックデータというのが下に載っているんですけれども、下から二番目の囲みですけれども、喫煙時の室内におけるニコチン濃度というのが書かれています。ここに書かれている数値でありますけれども、紙巻きたばこ、千から二千四百二十マイクログラム・パー・立方メートル、それから加熱式たばこ、二十六から二百五十七マイクログラム・パー・立方メートルという数字が書かれております。

 これは、紙巻きよりも低いとはいえ、加熱式たばこにもニコチンが含まれているんだよということを言いたいという資料ではないかというふうに思うんです。

 ただ、ここに書かれている数値、これについては、国際がん研究機関、IARCがまとめた研究論文の中の数値と比べても大体八十倍ぐらいという非常に高い数字になっている、専門家の皆さんが見て、これはあり得ない数字だという御指摘があります。

 そこで、私、質問主意書を出したんです。というのは、ここには、この数値というのは、換気のない狭い室内で喫煙した場合と書かれているんですけれども、じゃ、その実験をした条件というのはどうだったのかということを質問させていただきました。

 二ページ目ですけれども、皆さんのところに質問主意書と答弁書をお配りしております。左側が答弁書なんですけれども、少し網かけをしておきました。これを見て、ちょっと私、びっくりしました。縦〇・八メートル、横〇・八メートル、高さ二・二メートルと。これは電話ボックスよりも狭い空間です。そこで、扉が閉められ、換気口及び排水口が目張りされた状態で、約三十分の間に五十回の煙の吸入を行った。これは高い数字が出るのは当たり前じゃないですか。私は、ちょっとこれはびっくりしました。

 何の説明も書かずにこの数字をゴシックで書くというのは、これは国民や我々国会議員に対しても誤解を与える、そういう可能性があるんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣はどういうふうに思われるでしょうか。

加藤国務大臣 今の御指摘の研究は、同一環境下で喫煙した場合の室内ニコチン濃度について紙巻きたばこと加熱式たばこを比較する、こうした目的の中で、厚生労働省が国立がん研究センターに委託をして、一定の条件下で測定をしたということでありまして、具体的には、今、委員の質問主意書に出したような状況の中でそれが出されたということだというふうに承知をしております。

 受動喫煙を受ける程度について、当然、喫煙場所の広さ、時間、あるいは喫煙者数によって大きく異なるものでありますけれども、これを議論するときには、望まない受動喫煙をいかに防ぐかという観点で我々は議論したわけでありますから、安全サイドに立って、より健康影響が生じる場合を勘案して検討することが適当だということで今回の調査が行われたということでございます。

 資料等においてそこまで細かいことが書いてないではないかという御指摘であるとするならば、ちょっとその辺は、ホームページでどこまでどう書いているかをもう一回チェックをして、そうした、どういう環境下というか、どういう条件下で示されたかということについては、必要な情報を提供していくことは検討しなければならないと思います。

大西(健)委員 今申し上げましたように、紙巻きたばこのこの数値が、専門家が見ると、こんな数字はあり得ないという高い数字になっている。要は、国際機関の調査の八十倍ということでありますので。

 今言ったように、IARCの数値の八十倍に紙巻きがなっている。同列に、例えば、単純に考えると、加熱式のたばこにこれを当てはめると大体〇・三から三・二になる。〇・三とかというのは誤差の範囲、三・二もほとんどニコチンがないというふうに言ってもいいような濃度なので、それだと、加熱式も規制対象にしたいと思っている厚労省にとっては都合が悪い数字なんです。だから、あえてこういう数値を、数字をいじって、うそではないけれども、しかし誤解を私は与える数字だと思うんです。

 ですから、やはりそこは、今大臣言っていただきましたけれども、ちゃんと、こういう条件でやっているんですよと。専門家が見ると、明らかに、おやっ、こんな高い数字はあり得ないなと思うけれども、我々素人が見ると、ああ、そんなものなのかなと思っちゃうわけですよ。これはやはり、私、誤解を与えると思いますので、この資料は訂正するなり、ちゃんとその条件を書き込むなり、今後、受動喫煙について国会でも審議を進めていくわけですから、そのときこの資料を使用されるんだったら、ぜひそこは資料を訂正していただくということでお願いできますでしょうか。

加藤国務大臣 一つは、国会等に出す資料において、どういう形でその辺を付記するのかということ。それから、今、多分ホームページで出ているというふうに承知をしておりますから、そこに対して、実験というんでしょうか、この研究をした条件、そういったものを記載する、そういう方向で検討させていただきたいと思います。

大西(健)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次に移りますけれども、資料の三ページ目ですけれども、ほくろ除去クリームによる健康被害についてというものです。

 これは私の知り合いの友達の皮膚科の先生がブログに上げておられるんですけれども、ほくろ除去クリームというのを使用しているサロンで処置を受けて、そしてひどい傷跡になったという患者さんが皮膚科に駆け込んできていると。このサロンでは、このブログの記事に書かれていますけれども、漢方成分でほくろ除去などというふうにうたっているけれども、実際には、硝酸銀とかトリクロロ酢酸という化学物質で皮膚を腐食させているだけだということで、やけど状態とかと同じ状態だということであります。

 厚労省は、平成十三年に「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」という通知を出していただいているんですけれども、この通知の中でも、酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為を医師免許を有しない者が行うことは医師法違反であるというふうにはっきり言っていただいております。

 実は、この問題のサロンに対しては愛知県の福祉部も何度も指導等をしていたにもかかわらず、行為の速やかな停止を求めるような対応がなされなかったために、つい最近までこのほくろ除去というのをずっと続けてまいりました。

 次のページですけれども、これはそこのサロンのことしの元旦のブログなんですけれども、これを見ると、二〇一七年をもちまして、ほくろ除去の施術業務を終了しましたと書かれているんですね。私も、よかったな、やっと観念してやめたのかと思ったんですけれども、その下に、ブログは引っ越ししましたといってリンクが張ってあって、そのリンク先に飛ぶと、右側なんですけれども、オリエンタル、ほくろ悩みセルフコースと書かれているんですね。これはちょっと何か嫌な予感がするんですよね。そこだけ見ると詳しい内容は書かれていないんですけれども。

 そこで、確認をしたいのは、皮膚を腐食する薬品をそのサロンが塗るんじゃなくて、患者さんというか、来たお客さんに塗ってくださいとアドバイスをして、みずから塗らせる、こういう行為は違反行為に当たるんでしょうか、どうでしょうか。

武田政府参考人 一般論でございますけれども、医師法十七条に規定する医業といいますのは、当該行為を行うに当たりまして、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為、すなわち医行為を、反復継続する意思を持って行うことと解しておりまして、これを無資格者が行えば医師法違反となるところでございます。

 御指摘の、患者自身にほくろ除去の薬品を塗布させる行為につきましては、例えば、患者の治療方針を決定し、投薬などの行為を行えば、当該行為は医行為に該当し、無資格者が反復継続する意思を持って行えば、医師法第十七条違反となると考えられます。

 当該行為が医師法に違反するか否かにつきましては、個別の具体的状況に応じて法令に照らして判断する必要がありますので、法令に違反する事案があるのであれば、関係機関と連携し、対応を行ってまいりたいと考えております。

大西(健)委員 この記述には、ほくろで悩まれている人は、その悩みを御自分で解消することができますよと書かれているんですけれども、私はこれは脱法行為の疑いが強いというふうに思っています。

 この問題のサロン、これまで、たび重なる指導、注意を無視したりとか、ごまかしてほくろ除去を続けてきた。極めて私は悪質だというふうに思っています。

 二〇一一年には、東京都の足立区で無資格でほくろ除去を行っていた業者が医師法違反容疑で警視庁に逮捕されています。

 先ほどの平成十三年の通知の中には、「悪質な場合においては、刑事訴訟法第二百三十九条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと。」というふうに書かれているんですね。

 ですから、私は、ぜひ、このまま放置しておくと被害が拡大するおそれがある。被害者の中には、やはり、ほくろというのは人によっては非常にコンプレックスになるということで、そこにつけ込んでいるわけですけれども、思春期のお子さんなんかも含まれているんですね。ですから、医師法違反のほくろ除去に対して、この通知にあるように、悪質な場合にはちゃんと、刑事告発も辞さないんだということを、大臣、ここで明言していただけますでしょうか。

加藤国務大臣 委員の御指摘がこの案件ということになりますと、ちょっと個別性が強くなり過ぎるわけでありますが、一般論として申し上げれば、医師法等の法令違反が疑われる事案に関する情報に接した場合には、厚労省としては、各都道府県等と連携し実態把握をし、そして各都道府県に対し必要な指導を行うよう求めるということで対応するわけでありますが、さらに、指導を行っても改善が見られないなど悪質な場合においては、関係都道府県と、また捜査機関と適切な連携を図った上で対応していくということが必要だというふうに考えております。

大西(健)委員 確かに、個別の話についてはお答えはいただけないというふうに思いますので、本件について私から厚労省にも情報提供していますので、愛知県福祉部に対して、ちゃんと警察と連携して適切に対応するように厚労省からも御指導いただければなというふうに思っております。

 それでは、次のテーマに移りたいと思いますが、産後ケアの問題についてお聞きをしたいと思います。

 資料の次のページをごらんいただきたいんですけれども、産後うつの状態になる人というのは十一人に一人というふうに言われています。ただ、NPO法人のマドレボニータというところが調査をしたところによれば、産後うつという診断は受けていないけれども、その一歩手前だったと思うと答えられている産後の女性というのは約八割に上っているということで、やはり何らか産後、体調が悪いとか気分が落ち込むとかいろんな、いらいらするとか、そういう経験をされる方が多いんだというふうに思います。

 産後うつというのは、この1に書いてあるように母体そのものの危機だけではなくて、2、3というところにありますように、乳児の虐待だとか夫婦不和につながる、こういうリスクもあるということであります。例えば、虐待で死亡した子供の約四割が零歳である。それから、母子世帯になった、離婚するケースですけれども、一番下のお子さんの年齢が零歳から二歳という人が最も多く、三割を超えている。あるいは、妊娠時の夫に対する愛情が七四・三%だったのが産後一年で三六・八%に落ちる、こういうような調査結果も出ています。

 国は、今、産後二週間と一カ月の母親健診の費用助成というのを行っておりますし、自治体によっては、こういう産後ケアに対してさまざまな助成を行っている、宿泊あるいは日帰りの産後ケアに対して助成を行ったりとか、相談業務に助成を行ったりとか、いろんなことをやっておられる自治体があります。

 我が国では、妊娠、出産、ここまでは公費のいろんな援助があるんですけれども、それ以降は、例えば予防接種とか、大体子供を軸にして公費負担の仕組みが組まれているために、母親が死角になっているんじゃないかというような指摘もあります。ですから、産後ケアに、今自治体がそれぞれやっているということですけれども、私はもっともっと予算をつけるべきだというふうに、一つ思っております。

 それから、もう一つは、妊娠、出産に関しては、みんな、夫婦もすごく夢を描いて、いろんなベビー用品を買いそろえたりとか、楽しみにしているんですね。ところが、いざ生まれると、夜泣きをするとか、なかなか思うように育児ができないとか。やはり、妊娠、出産の夢でいっぱいの状態から、産後の状態というのはいろんな違いがある。そういうことまで、普通、頭が回っていない。例えばそういうことについても、産後についても夫婦で学んで準備をして、心構えをしているだけでも大分このリスクを減らせるんじゃないか。

 そこで、提案なんですけれども、例えば、母子手帳の中に何か産後うつとか産後ケアに関する情報を書き込むとか、あるいは、母子手帳を渡すときに、こうした産後うつへの対応とか相談先に関する情報とかを渡すというような、こういう仕組みができれば私はいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、産後うつを始めとする妊産婦の方々のメンタルヘルス、委員お示しのように、いろんなお子さんあるいは御本人に対する影響もございますので、それに対する対応というのは非常に重要であるというふうに思っております。

 今、母子手帳に御言及いただきましたけれども、私ども厚生労働省としましても、出産後の心身の健康という形で、母子健康手帳に、例えばでありますけれども、産後うつは産後のお母さんの一〇から一五%に起こるとか、あるいは、産後うつかもしれないと思ったときは迷わず医師、助産師、保健師に相談することなどというのを盛り込ませていただきまして、現場におけるいろいろな妊産婦の方々に対する指導の中で、情報提供として周知をさせていただいているところでございます。

 また、事業といたしましては、情報提供するだけではなく、産後うつの予防も図るという観点から、市町村において、出産後間もない時期の産婦の方々を対象に、身体の回復状況あるいは授乳状況、精神状況を把握するということで、産婦健康診査事業というのを二十九年度から開始をさせていただきました。

 相談機関という意味では、市町村に、現在、子育て世代包括支援センターというものを設けて、二十九年四月一日現在、五百二十五の市区町村に千百六カ所、今展開をしております。これを今後ふやしていくという方針でございますが、その子育て世代包括支援センターなどにおいて、妊産婦の方々へのきめ細かな支援を行っております。

 こういうことを通じて、今御指摘いただきましたように、非常に重要な産後うつあるいは産後ケアというものについて取り組ませていただきたい、自治体の方々にも取り組んでいただきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 先ほど紹介したNPO法人等、実際に現場でいろんな取組をされているそういう団体もありますので、そういうところとしっかり連携をして、そういう多様な選択ができるような支援の仕組みというのをつくっていただければなというふうに思っております。

 次に、放課後等デイサービスの見直しについてお聞きをしたいと思います。

 放課後等デイサービスは、二〇一二年度の制度開始以来、急増して、一万件を超えました。その背景には、利用料の九割が公費負担で安定的に利用者が見込める、そういうことから、開業支援を行う、コンサルティングを行うような、そういう業者もあらわれている。それで、福祉とは無縁の営利企業がこの放課後デイサービス事業に参入してきている。その中で、子供に暴言を浴びせたりとか暴力を振るう事例が出てきたりとか、あるいは日がな一日テレビを見せたりゲームをさせたりとか、適切な支援をしていないというような事業者が出てきているということが指摘をされております。

 そこで、厚労省は、職員配置基準の厳格化等を行うということで、もう既に実施をされていますけれども、既存の事業者には一年間の猶予措置が認められてきて、この四月からこれが適用になってくるということであります。

 放課後等デイサービスで一番多いのは、定員十人ぐらいの、こういう小さいところです。そうしたところでも必ず、児童発達支援管理責任者、児発管と略しているみたいですけれども、を置かなきゃいけない。大体、十人だと、あと二人のうち一人は児童指導員又は保育士を置かなきゃいけない。これが満たされなければ翌月からは三〇%減算になるということなんですけれども、例えば小さな事業所の経営者にとっては、三〇%減算というのは非常に大打撃である。児発管とか保育士が急に家庭の事情等でやめちゃった場合に、資格を持っている人を補充するのがなかなか難しいというような声が現場から上がっております。

 児発管もとり合いになっていますし、保育士も、御存じのように、不足をしているような状態。もちろん見つけたいと思っているんだけれども、努力しても、すぐに資格を持っている人が見つけられないような状態で、例えば二月、三月、減算が続くと、こういう小さいところはもう潰れてしまう。そして、潰れてしまえば、利用者が結局、行き場を失ってしまうということになるんじゃないかというような声が上がっております。

 悪質な業者は、私も、淘汰すべきであって、厚労省がやろうとしていること自体は間違いではないというふうに思いますが、ただ、例えはよくないかもしれませんけれども、例えば害虫を駆除しようとして強い農薬を使って作物が枯れてしまうとか、益虫まで死んでしまうというのでは、これは元も子もないという話でありますので、やはりしっかり、やるに当たっては、もちろん、指定基準ですから、原則ちゃんと守ってもらわなきゃいけないということではありますけれども、やはり実情をよく見て、この四月からの実施を進めていただきたいなというふうに思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 放課後等デイサービスについては、今委員からもお話がありましたけれども、かなり急激にそうした施設がふえてきているという中において、さまざまな問題が指摘されているところもあるし、一方では、本当に地道にずっとやってこられているところもあるというふうに認識をしておりまして、そういったことを踏まえて、今回、今お話があった、児童発達支援管理責任者をどうしていくのか、あるいは人員配置基準の見直し等々の手当てを講じさせていただいたところであります。

 放課後等デイサービス、これは子供さんを預かる場所でありますから、当然、やはりそれに見合う体制をしていくということが私は大事ということだというふうに思います。

 ただ、今回の対応の結果として、今の時点で、団体等から強く、こうだ、ああだという話をまだ伺ってはおりませんけれども、実際これがどうなっていくのかについては、実は、平成三十年度予算において、今回の障害福祉サービス等報酬改定、これは今申し上げたことだけじゃなくて報酬改定そのものでありますけれども、その効果を検証するということにもなっております。そして、事業所に対する実態調査を実施することとしておりますから、この実態調査の中においても、今委員御指摘のような点が把握できるようなデータの収集等はしっかりと行っていきたいと思っておりますし、また、その収集したデータをよく分析をして、今後の対応を考えていきたいと思います。

大西(健)委員 きのうちょっと、じゃ、児発管って全国にどれぐらいいるんですかと言うと、きのうはちょっとわからないという話だったんですけれども、けさお電話をいただいて、今、研修を受けた人の累計でいうと三万三千人いるという話なんですけれども、例えば、保育士さんだって登録者は百十九万人いる。でも、実際に働いているのは四十三万人。これは大体三六%なんですけれども、例えば、三万三千にこの三六%を掛けると一万一千八百八十。そういう単純なものではないとは承知の上ですけれども、全国一万カ所以上あるわけですから、やはり偏在もしているでしょう、多分、児発管も。だから、そんなに簡単には、多分、私、急にやめちゃったときに見つけるのは難しいんじゃないかなと思うんですね。

 ですから、今大臣言っていただきましたけれども、一年後を目途にしっかり検証していただく、今回のこの人員配置基準の見直しによって放課後等デイサービスの経営状況がどうなったのか、廃業するところがふえたのか減ったのか、こういうことはちゃんと検証していただきたいなと思っております。

 今お答えがありましたので、これは結構でございます。

 最後に、年金情報の入力ミスとか未入力、それから中国業者への再委託の話についてお聞きをしたいというふうに思います。

 先日、吉田委員の質問を私、聞いていてちょっとびっくりしたんですけれども、水島理事長は、十月十六日の時点で、SAY企画が八百人体制でやるところを百人しか集められていなかったということに気づいていたということを答弁されました。それからまた、十一月半ばには、本来やるべきベリファイ入力というのをできていないということも確認していたということであります。

 これまで我々は、十二月三十一日に法令違反窓口に通報があったことをきっかけにして契約違反の再委託が行われたことが発覚したんだという説明を受けてきて、ただ、それに対しても、じゃ三月二十日まで何で黙っていたんだ、あるいは、再委託が判明した後もデータを渡していたのは問題じゃないかということを言ってきたんですけれども、そもそも、体制がとれていないとか、ベリファイ入力という契約上求められていることが履行されていないということは、十月十六とか十一月半ばにはもうわかっていたということで、私は、契約書、仕様書に定められた手順を遵守できていないところで契約違反なんだから、そこで契約解除したらよかったんじゃないか、そうすればこんな被害が広がることはなかったんじゃないか。

 契約書の三十二条の第二項八には、契約を解除できる場合として、本契約又は仕様書等に定められた内容に違反したときということが明確に書かれています。十一月半ばに、私は、もう契約を守っていないわけですから、解除すればよかったんじゃないかと思いますけれども、水島理事長、いかがでしょうか。

水島参考人 御指摘のとおり、担当部門は、体制の不足について、十月十六日の打合せにおいて指摘をした、確認をしたということでございます。また、ベリファイを行わずOCRで行っているということについて、十一月十四日に、高井戸に、本部でございますが、SAY企画との打合せを行った際に是正を指示したということでございますが、その後、遅延の解消に重点を置き、具体的な改善には至らなかったということでございます。

 御指摘のとおり、この契約について見直す機会、期限といたしましては、源泉徴収票については、十一月十五日ぐらいに見直しを行えば対応ができたかもしれないというふうに思います。また、源泉徴収税額については、やはり十二月の半ばまでに何らかの対応を行い得れば可能であったかもしれないというふうに考えておりまして、このような事態について組織として共有をされなかった、私のところに報告がございましたのは入力ミス等々に関しては一月の半ばでございまして、まことに遺憾だと思います。大変申しわけないと思っておりますが、このような事態を起こさないよう、内部体制の確立を図ってまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 水島理事長からは、素直に、本当に、十月十六日時点とかそういう早い段階で見直していたら、もしかしたらそれは見直しができたかもしれないというような御答弁がありました。ただ、この結果を見たときに、私はやはり、そもそもこのSAY企画というのは大切な年金情報を委ねるのに適切な、そういう事業者だったんだろうかということが疑問に思わざるを得ないんですね。

 資料をごらんいただきたいんですけれども、これはカイシャの評判というサイトなんですけれども、口コミ情報として、SAY企画に対して次のような情報が寄せられています。資料をごらんいただきたいと思いますけれども、下から三ページ目ですね。社員やパートさんの人員が少ないのに予定人数以上の業務を受注するので作業負荷が高い。案件を受注するだけ受注して、それからどうするか決める、開発側は人員不足を訴えても売上げが欲しいために、どんどん案件をとりにいく。

 まさにこのとおりのことが今回起こったんじゃないかというふうに思うんですね。

 それから、ちょっと時間がないので次のページを見ていただきたいんですが、これは日本年金機構がSAY企画に委託をした平成二十二年度以降の事業の一覧なんですけれども、この右側のところに、私、落札価格を予定価格で割り戻した落札率というのを手書きで書いておきました。これを見ると、今回問題になったのは三十二番目のやつですけれども、落札率七五・四%ですけれども、五〇%台や四〇%台もありますし、二〇%台というのもあるんですね。

 こういうふうにどんどんどんどん仕事を安く受けて、人も集められないのにどんどん受けているわけですから、さっき言われたように、八百人必要なところが百人しかいなくて、十月十六日で、すぐに八百集まるわけないじゃないですか。こういう仕事の受け方をしている事業者だったということをやはり日本年金機構が事前に気づくべきだったんじゃないか。

 これは、誰でも見られるサイトに書かれているぐらいですから、業界の中ではこういう評判だったと思いますよ。だから、私は、そういう評判を事前に日本年金機構は知らなかったのか、あるいは、こういう安受注というか無理な受注をしているという状況を事前に日本年金機構というのは勘案していなかったのか、この点について、水島理事長、いかがでしょうか。

水島参考人 まず、御指摘の二〇%台ということに関しましては、私ども、低入の調査は、予定価格一千万円以上について低入調査をするというルールになっておりまして、この低入の調査を行っていないようでございます。これに関しましては、やはり、今後を考えますと、このようなことについてもきちっと調査を行うという体制をつくらなければならないかなというふうに思っております。

 また、SAY企画は全体で、本件を除きまして三十二件ございますが、全ての案件について、従来の事務処理誤りを調べてみました。判明いたしましたのは二件判明をいたしましたが、ミス率としては極めて今までは低かったというふうには認識しております。また、平成二十七年以降はそのようなこともなかったということでございます。

 ただ、従来の実績が非常に低額の実績であるということを踏まえますと、やはり今回を新しい案件として捉えるべきだったということは反省点だと思いますし、また、能力に関して、契約前に履行能力を調査する仕組みと申しますか、そのようなものも導入しなければならないというふうに考えているところでございます。

大西(健)委員 こういう能力のない事業者に委託をした日本年金機構の責任は重いということを申し上げて、時間ですので、終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時一分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。白石洋一君。

白石委員 希望の党の白石洋一です。引き続きよろしくお願いします。

 お手元に資料も届けさせていただいております。

 まず、介護の個人負担の限度設定についてなんですね。今、介護の自己負担の上限制度というのは、一つ大きな区切りとして、課税世帯で幾らなのかということなんですけれども、月額幾らでしょうか。これは恐縮ですけれども、大事な数字なので、大臣、お願いします。

加藤国務大臣 高額介護サービス費の上限については、市町村民税が課されている世帯の負担上限額は、全国一律で月額四万四千四百円となっております。

白石委員 この四万四千四百円というのが非常に大事な数字であります。

 私のこの問題提起というのは、これが本当に正しいのか、あるいは応能負担の色合いを累進的にもっとつけるべきじゃないかということが問題提起なんです。

 例えば、健康保険制度というのは自己負担について上限があります。その上限の月額は、長期は基本四万四千四百円になっております。これに介護制度も合わせたという事情があると思いますけれども、介護の自己負担も昨年の八月からこれに合わせた、合わせたというのは引き上げられたということなんです。

 今、現場でどういうことが起こっているかというと、低収入、あるいは、介護を受けるわけですから、年金生活者、低年金の方々は、自己負担金が払えなくて、一割ですけれども、一割の自己負担金が払えなくて、本来ならば要介護度からして受けられるべき介護サービスを受けられない状況がある一方で、高収入、高年金の方は、ここでは介護認定は必要ですけれども、受けられた認定のもと、介護サービスをどんどん使って、フルに使って、そのことによって、介護サービスというのはやはり限界があります、貴重なものです、それを使うことによって、利用を押し出してしまっているところがある。これが一つ。

 もう一つは、そのことによって、所得の高い人が、自己負担金一割であっても、あるいは二割、あるいはこれからは三割であったとしても、この四万四千四百円で抑えられているがゆえに、自己負担のところが介護財政に入ってこない。そのことによって、介護保険料が上がっているわけですね。介護保険料が上がって、そして、先ほど申し上げた低年金、低収入の方々に、より高い介護保険料を支払わさせている。

 つまり、低収入の方にとっていえば、自分が使わない高い介護保険料を支払わされているのに、介護サービスは受けられない、自制によって受けられない、経済的理由によって受けられない、こういう状況になっていると思うんです。

 そのことを踏まえて質問するんですけれども、まず、そもそも、このお手元にある資料にありますように、左側が自己負担の上限額のマトリックスです。これは愛媛県の新居浜市の場合ですけれども、これは基本的に全国同様だと思うんですね。この所得段階、そして所得段階別上限額はどのように決まったのか、政府の方、お願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、高額介護サービス費の自己負担の上限額でございますけれども、市町村民税課税世帯につきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、月額四万四千四百円、それから、市町村民税非課税世帯につきましては月額二万四千六百円、また、そのうち年金収入が八十万円以下の方などにつきましては月額一万五千円と設定されております。

 この所得段階、あるいは所得段階別の上限額の考え方でございますけれども、家計への影響を考慮して定めるという考え方になっておりまして、具体的には、先生御指摘のとおり、医療保険における高額療養費の所得区分、あるいは負担上限額を参考にしながら設定しているところでございます。

白石委員 その根拠のところが、参考にしながら設定しているということなんですけれども、そこが聞きたいんですね。

 つまり、これによって相当に介護制度については逆進性が強いものになっている。つまり、所得が高い人にとっては介護サービスにかかるお金というのは非常に割合が低いのに対して、所得の低い、低収入の人についてはより負担が重い、割合が高いということになっているんですね。

 特に問題視するのは、課税世帯以上の方々について全て一律ということになっていることなんです。例えば、自己負担じゃなくて、介護保険料であれば、相当細かく設定しているんですね。それはお手元の資料の2の介護保険料の六十五歳以上のマトリックスなんですけれども、これでいうと、第五段階がちょうど境目になっていて、そこから上、本人課税となると、第六段階から第十一段階まで五段階分けられていて、上の方は相応に負担をお願いしている、一・八五倍まで負担をお願いしている、ちゃんと払ってもらっている、滞納者も少ないということなんですね。一方、本人非課税世帯から下のところは、最初、〇・四五倍というふうにして、それ相応に、応能負担的にしているわけです。

 ところが、どうして自己負担の上限額については非常に大ざっぱなのかということ、そこをもうちょっと、参考にしながらというところを教えてください。

浜谷政府参考人 具体的な設定については、さまざまな経緯を経てこうなっているわけでございますけれども、基本的な考え方といたしましては、保険料につきましては、基本的な負担能力に応じて設定する、一方で、給付につきましては、保険料を納めていただいていますので、ある意味、平等に給付するというような基本的な考え方がもともとございました。

 その中で、経緯といたしましては、そうはいいましても、所得が多い方につきましては一定程度の負担を高額介護サービスについてもしていただくということで、現役並み所得者の方々につきましては四万四千四百円といった区分を設定したという経緯がございます。

 また、その中で、今回の改正につきましては、そういう意味では、一定の負担能力のある方については、ある意味、一定の負担を御負担いただくということで、一般の方につきましても四万四千四百円といった負担を御負担いただくといった改正をしたところでございます。

 そういう意味では、ある意味、給付段階で、給付の平等ということと負担能力に応じた負担ということにつきましてどういった組合せをするのかということにつきまして、これまでいろんな考え方のもとに設定してまいったというようなことでございます。

白石委員 ちょっとまだ腑には落ちていないんですけれども、先ほどおっしゃった自己負担の金額は、ことしの八月から、現役並み世帯、現役並みの所得のある方については三割負担をお願いすると。でも、現役並み所得がある人についても、月額四万四千四百円の上限がかかっていたら、ちょっと語弊がありますけれども、せっかく三割負担してくださいよと言っても、実際は四万四千四百円、前年どおりということになって、財源効果はないということになるんじゃないでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 そういう意味では、高い給付を受けている方々につきましては、おっしゃるとおり、上限にひっかかりますので、財政効果はないということになります。一方で、そこまで給付が、少ない方々につきましては、三割負担でいわば財政効果があるわけでございますので、御指摘のとおり、財政効果が縮小するという意味ではおっしゃるとおりでございますけれども、三割負担によりまして一定の財政効果はあるということも事実でございます。

白石委員 それで、大臣、提案なんですけれども、所得の高い方々については応能負担を求めて、その原資でもって今の市民税課税世帯でも低い限度額を設けることができる。そして、非課税世帯からまた更に所得の低い方については更に低い上限額を設定することができる。その財源に持ってくることができるんです。所得の高い人については、四万四千四百円じゃなくて、五万円なり十万円なり十五万円なり、もっと階層を分けて、介護保険料だって一・八五倍までお願いしているわけです。そのようにしてそれを財源にして、一般世帯四万四千四百円を引き下げる。そして、それよりも更に下の方については低い上限額を設けることができる。そのような検討をされてはと思うんですけれども、御所見をお願いします。

加藤国務大臣 委員の、今、高額介護サービス費について、特に医療と比べて、医療はかなり、もう少し上の区分があるじゃないか、こういう御指摘だと思います。

 これまでも何度か、この負担額を引き上げるということをやらせていただいているところでありますが、これを更に引き上げていくということについて、逆に、先ほどおっしゃった、ことしの八月から三割負担になっていくわけでありますけれども、そのときに、上限額はともかくとして、実際、そうした高所得者の方がどのぐらい負担をするのか等、やはりそうしたところを見ていく必要があるんだろうと思います。

 そこがかなり、この今の上限があるために、三割負担したものが増収につながっていないのか、あるいはどうなのか、それによっての対応というのも出てくるんだろうと思いますので、別に私ども、否定するつもりもありませんけれども、余り効果がないときにまた上げてという手続をするかどうかということ等々、総合的な判断をさせていただく必要があるんじゃないかなと思います。

白石委員 大臣、上限額を上げることを私は言っていないんです。倍率を所得の高い人についてはちゃんと設けて高い上限額にしてもらう。そのことによって標準的な、先ほど一番最初に答えていただいた四万四千四百円を引き下げることができるんじゃないかというのが私の提案です。

加藤国務大臣 済みません。私の意味も、今の四万四千四百円の層を、上のところを切り上げる、そこだけをまた上げる、そういう御提案だというふうに受け取っていますので、今申し上げたように、そこは一つの検討材料ではあると思います。

 ただ、今申し上げたように、そこを上げたときに実際どのぐらい財政効果があるのかなどなどについては、しっかり見きわめていく必要があるだろうと思います。

白石委員 ぜひ検討をお願いします。介護保険料では、この右のマトリックスのようにやっているわけです。

 次のテーマに移ります。年金です。

 年金について、まず一つ目は、これは一番最初の厚生労働委員会でも申し上げたんですけれども、私、ずっと歩いていて、年配の方がやはり一番関心があるのは年金です。年金をもう下げないでほしい、これは必ず言われます。若い人も、何はともあれ、とにかく年金だけしっかりまずやってくれということですね。あるいは、全然諦めているからもう期待しない。この二つに一つ、どちらかです、若い方は。

 これだけ年金について、もうこれでは生活できないという声が大きい割には、私、国会に戻ってきて、政府の検討、本格的にされていないんじゃないかなというふうに感じるわけです。どうしてかな、声が形になっていないからかな、その声を、数字で、統計で示す必要があるんじゃないかと。

 それで、まず一問目なんですけれども、年金の手取りベースのデータはあるわけです。今ちょっとデータで問題になっていますけれども、年金があって、そこから介護保険料、そして七十五歳以上の方は後期高齢者医療保険料を引いて、さらには、けさもやっていましたけれども、人によっては源泉徴収をしてお支払いする、これを日本年金機構はやっているわけです。データがあるわけです。

 もうこれはデジタルであるわけですね。アナログじゃない、紙のベースじゃない、デジタルでデータとしてあるわけです。これをリアルな実態統計として使えるんじゃないか。これだけしか毎月もらっていない人がこれだけいるんだ、過去から比べてどうなっているのか、リアルな生活実態調査となると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、年金からは、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療制度の保険料、個人住民税が特別徴収されているところでございます。そして、その特別徴収された後の手取りが年金として支払われるということでありまして、日本年金機構においては、個々の受給者における支払い額、今回ちょっとそこに問題があったわけでありますけれども、個々にデータを持っておりますが、ただ、もともと、それ自体を統計データとして使うという発想がありませんから、システムとしては、データはありますけれども、それをつくり出してきて集計するというシステムにはまずなっていないということであります。

 また、他方で、特別徴収者の対象は、もう御承知のように、当該年の四月一日現在において六十五歳以上であること、また、当該年の四月一日現在において特別徴収の対象年の支払い額が年額十八万円以上であるということで、その中には、特別徴収されている人と、今言った条件に当たらないために、されていない方も混在をしておりますので、そこから一種の統計データとして有意なものが取り出せるのかという課題があるというふうに思います。

 また、他方で、委員の御指摘、多分、そういった実質で物を考えていくべきじゃないかというところに委員の問題意識があるんだろうと思います。そこにおいては、家計調査や全国消費実態調査によって、年金を含むさまざまな収入、また、税、社会保険料といった非消費支出を含むさまざまな支出の実態を把握することが可能でありますから、統計データという意味においては、こうしたデータを活用して国民の生活実態を把握し、政策議論につなげていくことが大事なんだろうというふうに思います。

白石委員 もちろん、今の年金データにはノイズがある、差し引いてそれを解釈しないといけない部分があるのは当然です。でも、これは四千万件あるわけですよね。

 先ほど本会議で言っていた消費実態調査というのは、五万件程度からやる。それで、岡本議員がおっしゃっていた、生活に困窮している人は書きもできないんじゃないかと。同様のことがやはり高齢者についても言えると思うんです。よく字が読めないから書けない。そこに困窮している高齢者の実態がちゃんと反映できているかどうかというと、私は疑問だと思います。それよりもむしろ、四千万件ある年金データの方がずっとリアルな実態をあらわすんじゃないかなというふうに思うわけですね。

 もちろん、家計調査、そして消費実態調査、そして今の年金データ、フローのものです。ですから、別途、どれだけストックがあるか、金融資産を持っているか、これはまだわからない、それも差し引いて考えないといけない、分析しないといけないにせよ、フローのデータとしては、年金の手取りベースの支払い、給付のデータ、これを分析することが一番だと思うんですね。

 もう一度、大臣、お願いします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたことは、まさに、今は、集計できるようになっていれば集計するというのは確かにあるのかもしれませんが、集計できないデータ。システムにするということに対してそれなりの費用がかかるわけであります。そうすると、その集計した結果がどれだけ統計データとして有意なものかということもよく考えていかなきゃいけないんだろうという意味で申し上げたところでございます。

白石委員 目的は、年金で最低限の生活をしてほしい、そのために制度を見直すということなんです。

 ですから、データ、エビデンスなしにやるということであれば、それも一つの手だとは思います。でも、年金生活者は、一番気にしているのは手取りベース。年金が下がっているというのは、年金の額面は下がっていないかもしれない、でも、介護保険料が上がって、下がっている、そういうところがあるんです。

 それをどういうふうに救っていくのかというのは、総合合算方式かもしれません、ほかにも何かあるかもしれない、ベーシックインカムかもしれない。その政策は、また別の議論になると思います。次の段階の議論になると思います。

 次の質問に移ります。

 今、ねんきん定期便やねんきんネットがあって、これは一つの進歩だと思います。自分がどれだけ払ってきたのか、そして、この調子で払っていけば、幾ら六十五歳からもらえるのか、これがわかるようになっている。これは一つの進歩だと思います。

 しかし、厚生労働委員会、最初のときの議論でも答弁してもらいましたけれども、そこにマクロ経済スライドは加味されていないということなんですね。

 このマクロ経済スライドは非常に大きなインパクトを持ちます。基礎年金部分については三割減価する、そして、二階建ての厚生年金部分、所得比例の部分についても一割弱は減るだろうと。それも、今の経済見通しにおいてですよ、今の比較的いい前提を置いてそういう状況になっている。

 でも、ねんきんネットなりねんきん定期便でもらって、自分がこれだけもらうというふうに思っていたのが、実際、マクロ経済スライドが発動されたら、大きく見通しが狂うわけですね。人生設計が狂うわけです。ずっと地元を歩いていると、昔はもっと年金がもらえると思って、貯金もそれほどせずに、あるいは貯金をどんどん取り崩し、あるいは大き目の家を建ててしまって、でも、意外と年金が少ない、それがどんどん減ってくる、固定資産税がかさむ、でも売れない、こういう方がふえている。人生設計が狂っているんです。

 そういう悲惨な方をふやさないためにも、もっと現実を見てもらう。このねんきんネットなりねんきん定期便で、マクロ経済スライドを加味した給付の見通しを示すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のマクロ経済スライドの仕組みですけれども、平均余命の伸長ですとか被保険者数の減少といった人口構造の変化、これを、賃金、物価がプラスの場合に限り、その伸びの抑制を図る形で年金額に反映させるわけでございます。

 ねんきんネットやねんきん定期便におきましては、こういう経済の実態に応じて変動する条件に一義的な仮定を設定して、それによって個々人の将来の年金額試算をお示しするというのは大変難しい。経済の前提はいろいろ変わりますから、どの前提で計算式をねんきん定期便に反映させるかというのは、これは非常に、一義的に大変難しいと考えてございまして、現在、マクロ経済スライドは反映しない、したがって物価の変動等も反映しない現在額としての年金額でお示しをさせていただいております。

 いずれにいたしましても、将来、マクロ経済スライドが適用されていく中でどのような年金制度の姿になっていくか、これにつきましては、さまざまな経済前提を用いた財政検証でお示しをいたしまして、将来見通しなどを国民の皆様にわかりやすく周知していくことが大切であると思っております。

 現在の年金制度、保険料の納付や免除の手続も含めまして周知も必要と考えておりまして、今後とも、わかりやすい周知に努めてまいりたいと思っております。

白石委員 最後になります。

 ねんきんネットは、前提条件をいろいろ変えて、自分で打ってみることができるんです。それも、現在の貨幣価値で出るようになっているわけですね。ということであれば、現在の貨幣価値で、マクロ経済スライドが発動される条件かどうかというのは別として、三割減の金額、あるいは、二階建ての部分については、七年ぐらい、マクロ経済が発動されたその姿を現在貨幣価値で示すべきだと思うんです。その前提条件であるとか、実際のマクロ経済スライドとはこうですよというのは、リンクして別途詳しく見れるようにすればいいと思うんですね。そのことを提案しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間、質問させていただきます。

 過労死ゼロ、働き方改革の質問をさせていただきたいと思いますが、冒頭、一、二問、年金の再委託のことについて質問をさせていただきたいと思います。

 きょうも何人かの議員の方々、質問されましたけれども、中国に、五百万件の中国の業者に年金情報が流れた、その中にマイナンバーも含まれているのではないか。それで、それに関してIBMが調査結果を出した。前回の私の質問も聞いてくださったと思いますが、ところが、この配付資料にもありますように、結論としては、振り仮名と名前のみという結論が書いてあるんです、結論が。

 ところが、その証拠、根拠、調査結果はないんです、この報告書に。それで、さらに聞くと、いやいや、実は名前と振り仮名だけの画面があるんですと。その画面、じゃ、くださいと言ったら、その画面が出てきまして、配付資料の十七にこの画面がありました。でも、これが証拠ですと言う割には、報告書にはこれは入っていないんですよ。つまり、これ、きっちりと、本当にマイナンバーが五百万人分、中国の業者に流れているかどうかというのは、これはまだ確認できていないんじゃないんですか。

 それに関して、きょうの理事会で、理事の方々の御尽力によってペーパーが出てまいりました。どういうペーパーかといいますと、この配付資料の一番裏に書いてあります。つまり、きょう出てきた理事会に対する厚生労働省年金局の回答では、こう書いてあるんですね。厚生労働省としては、日本年金機構を通じて、IBMの報告内容を聴取している。IBMに、報告書に記載された結論を得るに至った根拠を改めて示していただいた上でと。つまり、私が指摘したように、根拠が報告書に出ていないことは認めたわけです、厚生労働省は。

 今回、IBMが行った実地監査や報告などのプロセスについて、第三者的な機関に、専門的な立場からもう一度検証させるように指示していると。ということは、加藤大臣、厚生労働省として、名前と振り仮名以外が中国の業者に流出している可能性があるという認識をされているから、改めて第三者的な機関に専門的立場からもう一度検証させるというふうに指示しているということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今、日本年金機構がセキュリティー支援事業者として日本IBM株式会社に委託をして、SAY企画からの再委託に基づき中国の関連事業者が昨年十月から十二月に実施したデータ入力作業を対象として調査をしていただいている、そして、調査については、今委員御指摘のような、氏名と振り仮名以外の情報は再委託先事業に渡されていなかったと。

 ただ、その報告書の中には、具体的なその根拠が書いてないわけでありますけれども、私どもが年金機構から聞いている話としては、SAY企画に対して抜き打ちで行った特別監査において、申告書の画像データから氏名部分を切り取る作業はシステム化されており、作成手順のヒアリング及び実際の作業工程を確認した、また、中国の関連事業者に対する実地監査、これは一月の三十一日から二月の二日でありますが、入力作業用画面の提供を受け、氏名部分のみの画像により入力を行っていたなどを確認したということを聞いておりまして、それをまた根拠として先ほど申し上げた報告書になっているということなので、私どもも、第三者に改めて確認をするという、確認をされていないことを確認をするというためには、ただ、その根拠となることをきちっと報告をしていただかないと第三者の機関に諮ることができない、そういうことで、今委員お読みいただいた形で機構に対してIBMからそうしたことを出していただいて、そして、その上で、第三者機関における確認をしてもらうべきではないか、こういうことを申し上げているところでございます。

山井委員 大事な答弁だと思います。

 ということは、現時点においては厚生労働省も、中国の業者に氏名と振り仮名しか流れていない、そういう根拠は確認できていないということでよろしいですか。

加藤国務大臣 いや、私どもは、だから先ほど申し上げた、今、報告書にはついておりませんけれども、機構から聞いている話として、それらを踏まえて機構あるいはIBMが出した結論について、氏名と振り仮名以外の情報は渡されていなかったということ、それは一応受けとめてはおります。

 ただ、その中で、いろいろ御議論がありますので、それを改めて確認する必要があるということで第三者機関にお願いをする、そして、お願いするにしても、IBMがどういう、より細かい判断基準等々について出していただく、それが第三者機関で審査をしていただくことにおいても大事な条件になってくる、こういうことを申し上げているわけであります。

山井委員 つまり、ここには根拠が全く入っていないから、現時点においてはこのIBMの調査は不十分だと認識しているということでよろしいですね。

加藤国務大臣 いや、不十分か十分かということではなくて、まずいろいろ聞いた限り、IBMの報告はそれとして受けているわけでありますが、ただ、国民の皆さんからもいろいろ御懸念の話、また委員会等からもお話を聞くものですから、改めてそれを確認する必要があるだろう、そういうことで今申し上げたところでございます。

山井委員 答弁になっていないじゃないですか。根拠は報告書に入っていない、根拠はないけれども、SAY企画やIBMや中国の業者が言っているって。でも、そうしたら、何でこの報告書に根拠が書かれていないんですか。そういう甘い姿勢だからだめなんです。

 とにかく早急に再調査して、次回の理事会でこの結果を早急に言ってください。というのは、これは対外的には、五百万件は、マイナンバーは流れていないというふうに皆さんおっしゃっていたんですから。それがまだ確認できていないということになれば、これは前提が崩れますからね。理事会で、次の理事会にはちゃんとファイナルアンサー、マイナンバーが中国に流れていたのか流れていなかったのか、はっきりと出してください。

 委員長、お願いします。

高鳥委員長 次回の理事会に提出するかどうかというのは、委員長が決めることではないと思います。(山井委員「委員長、協議してください」と呼ぶ)後刻、協議はいたします。

山井委員 この問題も非常に深刻な問題ですが、次、重要な働き方改革の議論をしたいと思います。

 この働き方改革に関しても、議論が非常に問題だと思うんですね。

 野村不動産の過労死が起こりました。新聞の報道でも報じられておりますし、新聞の取材に対して、野村不動産も過労死が起こったということを認めております。にもかかわらず、厚生労働省、厚生労働大臣は、まだ過労死の野村不動産の事実を認めておりません。

 それで、特別指導をやって、六百人が裁量労働制の違法であったということで特別指導したけれども、その資料を出してくれと言うと、この黒塗りであったわけですね。さらに、理事会において、どういう理由で黒塗りになっているのかと聞くと、きょうの配付資料にもありますけれども、個人情報が入っているのか入っていないかということに関しても答えられないということであります。でも、これはやはり過労死を隠蔽しているのではないかというふうに私は思えてならないわけであります。

 そこで、質問通告していますので、お聞きしたいと……(発言する者あり)田村さん、毎回しゃべるの、やめてください、本当に。やめてくださいよ、もう。過労死の質問をしているときに何で大声でしゃべるんですか。(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛に願います。

 質問を続行してください。

山井委員 いや、本当、人の命がかかっている審議をするときに、やめていただきたい。

 それで、是正勧告をされていたというふうに聞いているんですけれども、十二月二十六日の勝田労働局長が記者会見で、是正勧告をされていた、是正勧告を野村不動産にしたということを発言をされておられます。これは事実でよろしいですか、加藤大臣。

 とめてください。通告もしていますから、とめてください。時間もったいないから、とめてください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今の御指摘、一度確認させていただきますが、十二月二十六日の記者会見で東京労働局長が、野村不動産へ是正勧告があったことについて触れているかという御質問。(山井委員「そうです」と呼ぶ)

 会見、私が持っているペーパーでは、会見において是正指導という言葉は触れてはいないというふうに認識しています。

山井委員 けさの記者会見でも、是正勧告ということについて認めたというふうに、私、聞いておりますよ。質問通告もしていますから、答えてください。

加藤国務大臣 記者会見でもそうした発言はされていないというふうに聞いております。

山井委員 是正勧告について、けさの記者会見でも発言があったと私は聞いていますが、けさの記者会見でも。

 そうしたら、東京労働局長が野村不動産の是正勧告について認めたということはないということですね。これは本当に大事なことですから、ないならないで、本当に責任持って答弁してくださいよ。

加藤国務大臣 責任を持てと言っても、その記者会見に、私、同席していませんので、手元にあるこのコピーをベースにしか物が言えないわけですから、その範囲であることをお断りさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

 だから、今来ている、ここへ来ている、その会見の一部の資料しかないということを申し上げているので。

山井委員 いや、だから事前に質問通告しているんですから、ちょっととめてください。それでは何のために質問しているか、私、わからないじゃないですか。ちょっととめてくださいよ。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山井和則君。

山井委員 今、理事の方が協議してくださいましたので、また後刻質問させていただきたいと思いますが、少しだけ言いますと、この黒塗りに対する配付資料が出てきたのも、けさの朝の理事会です。さらに、そういう、東京労働局長が十二月二十六日、そしてけさの記者会見で是正勧告をということを野村不動産に対してしたということを認めたのではないかという話を聞いたのも、けさの記者会見の後です。ですから、そういう意味で、当然、きょうの質問の前に、私は、シンプルなファクトだから確認していただきたいと言ったわけで、電話一本していただいたらいいのになというふうなことを思うわけであります。

 なぜここまでこだわるかというと、隠しているんじゃないかというふうに私は思うからです。

 例えば、きょうの配付資料の中にもありますけれども、過去にも、過労死のことを答弁しているケースがあるんですね。九ページ、平成十五年三月二十五日、このときは、八ページにありますが、ダヴオスという販売会社で二十四歳の方が過労死をしてしまわれました。そのニュースがNHKニュースで流れた。

 それを受けて、沢たまき参議院議員が質問をされておられます。九ページにあります。先週の水曜日に、東京労働基準監督署が二十四歳の社員が過労死したことに関して労災認定をし、上司を書類送検したことが報道されておりましたと。これに関して政府参考人は、二十四歳の会社員の方が自殺したことにつきまして、御遺族から労災の申請がございました、中身はプライバシーに関することなので省略、業務上であるということで労災認定されたというふうに、労災や過労死のことを厚労省は認められないとおっしゃっているけれども、このように認めたケースがあるのではないかと私は思うわけです。

 さらに、きょうは総務省にお越しをいただいております。これは、個人情報保護法のみならず、情報公開法によると、個人情報はあるものの、その情報開示が公益上、公益がまさるというときには開示できる、そういう項目があります。総務省の参考人、御説明ください。

堀江政府参考人 情報公開法第七条は、開示の請求の対象となる行政文書に、法第五条各号の不開示情報に該当する情報が記録されている場合であっても、行政機関の長が公益上特に必要があると認めるときはその行政文書を開示することができるとする、いわゆる公益裁量開示という定めを置いております。

 これは、不開示情報に該当する情報であっても、それぞれの行政分野を所管する各行政機関の長の高度の行政的な判断により、その行政文書を公にすることについて、不開示とすることにより保護すべき利益を上回る公益上の必要性があると認める場合には開示することができるという規定でございます。

山井委員 私は、今回は、この規定に当たるんじゃないかというふうに思うんです。なぜならば、働き方改革あるいは裁量労働制の中で過労死がふえるのかどうかというのは、これはもう国民的な心配なんです。それで、この六百人の違法な裁量労働制の中で、そして、かつ、高橋議員や西村さんに対しても、しっかり監督指導していると厚生労働省が胸を張っておっしゃったモデルケースにおいて過労死が起こったのかどうか、もしかしたら、野村不動産に対するその調査自体が、過労死があってから調査になったのかどうかということは非常に重要なことであって、今後の私たちの、過労死をゼロにするための議論に非常に重要なんですね。

 それで、私は、この情報公開法、情報開示請求もしております。そのうち、黒塗りの資料が改めて正式に来るんですけれども、それに対しては、この配付資料にもありますように、異議申立てということもできます、十一ページにありますように。

 私は、やはり公益裁量開示ということに該当するのではないか。なぜならば、過労死が明らかにならないと、なぜ起こったのか、どうしたら予防できるのかということを国会でも議論できないんですね。

 それで、今回、野村不動産で過労死が起こったということは、新聞で報道されて、野村不動産も認めて、それをコメントで認めて、誰もが知っている。それを、厚生労働省だけがいまだに、野村不動産で過労死があったことは言えません、真っ黒ですというのは、私は、これは本当に過労死の対策を、ある意味でブレーキをかけてしまっていることになるのではないかと思います。

 ですから、私は、もし私のやっている情報開示請求でも不開示という決定が来たら、ここにあります審査請求を、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に対してさせていただきたいと思っております。

 さらに、今までのケースでも、ダイオキシンの被害などについて個人情報を開示したケースが厚生労働省はあります。そのときも、ここにありますように、開示することが公益にかなうということであったわけであります。

 ですから、加藤大臣、これは加藤大臣の裁量でできることですので、ぜひとも、やはりここで、この野村不動産で過労死が起こったのかどうかということは、非常にやはりこれは重大なことなんですね。このことはもうオープンにもなっているわけですから個人情報でもないと思いますので、ぜひ、労災認定、労災申請、過労死があったかどうか、そういうことぐらい開示をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 一つは、特別指導になった背景はるる説明をしているところでありまして、実際、監督指導に入り、そしてそこで全社的に、そして大量な形で本来裁量労働が適用できない、その実態を踏まえて特別指導を行った、これが全てでありますから、別にその脈略の中で、今おっしゃっているようなこと、個別のことについて申し上げるわけにはいきませんけれども、ファクトとしては、特別指導のファクトはそこにあるということをこれまでも御説明させていただいているわけであります。

 他方で、今、労災の話がありました。年間、それぞれ、過労自死も入れれば、二百人近い方が亡くなっておられる。これはしかも認定された部分だけですから、実際、更にいろいろな議論があるんだろうと思います。それに対して、私どもはそれをなくすべく最大限努力していく、これは当然のことだと思います。

 ただ、じゃ、それを議論するときに、今委員の御指摘から見れば、あらゆるものを全部出してこなければ……(山井委員「そんなこと言っていません」と呼ぶ)いやいや、見てこなければ分析できないじゃないんですか。だから、それはやはり、むしろ、そうではなくて、それはそれとして議論しながら、いかにそれを防ぐかということを我々は議論しながらしていく必要がある。

 ただ、やはり労災の申請とか認定とかについては、すこぶる個人情報という部分がありますし、これまでもそうやって対処してきたわけでありますから、そこの姿勢というのはしっかり検証していく必要があるというふうに考えております。

山井委員 私は、一般ルールを変えようと言っているんじゃないんですよ。特別指導という史上初のことをやって、それで企業名も公表している、そこまで特別なことをやって、今、裁量労働制の拡大を政権もしようとしたわけじゃないですか。そこで過労死が起こったかどうかぐらいは、特別指導で企業名まで公表しているんですから、大臣の裁量で公表できるんですよ、今の公益裁量開示の項目を使えば。そのことを言っているわけです。

 でも、皆さん、おかしいと思いませんか。史上初めて、悪質だからということで野村不動産に特別指導をやった。でも、三ページを見てください。その経緯、経緯が真っ黒なんですよ。そんな悪質な特別指導に対して、なぜ経緯を国民が知ることができないのか。さらに、次のページの、特別指導についての三ページ目、理由一、何で特別指導をやったか、理由一が黒塗り。これはおかしいと思いませんか。

 ここまで大問題が起こった経緯は黒塗り、特別指導を史上初めてやった悪質性の理由も黒塗り。でも、私は、これははっきり言って過労死だと思いますよ。過労死だと思いますよ。やはりそういうことは国民は知る権利があるんじゃないんですか。ですから、これについて、ぜひ開示していただきたい。

 それで、時間も限りがありますので、次の質問に入ります。

 こういう、私は過労死隠しではないかと。ぜひ開示していただきたい。

 そして、昨日、自民党で働き方改革の法案の修正案が何か了承されたということを聞いておりますが、私は本当にとんでもないことだと思っております。

 聞くところによりますと、結局、附則に、中小企業の配慮について、行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮するものとすると。

 これは骨抜きじゃないですか。大企業と中小企業とで何で人の命が変わるんですか。大企業は百時間以上で過労死するけれども、過労死ラインですよ、中小企業の人は過労死しないんですか。とんでもない改悪だと思います。私たちは百時間でさえ長過ぎると思っている。きょうも過労死の御家族の方が来られていますけれども、これで過労死がまたふえてしまうと大変なショックを受けておられます。

 大臣、こういう附則を入れるということは、大企業と中小企業の指導において差をつけるということになるんじゃないんですか、いかがですか。

加藤国務大臣 まず一つは、まだ党の中では、自民党のプロセスとして、まだ部会ということなので、最終的な決定に至っていないということ、これを前提にお話をさせていただきたいと思いますけれども、別に、前、たしか山井委員に申し上げましたけれども、法律の適用そのものから除外するとかいうことは全く考えていないわけであります。

 ただ、実際の指導等に当たっては、やはり、要するに、何が大事なのかといえば、それぞれ企業において長時間労働等がなくなるようにしていく、これが私たちの目的なわけでありますから、それに向かって、どういうやり方がいいのか、それにおいては、それぞれ、大企業、中小企業においても違うかもしれない、中小企業の中においても違うかもしれない。そういった差異を見ながら、大事なことは、パニッシュメントを与えればそれで済むということではなくて、その企業で働き続ける方がよりいい労働条件の中でいかに働いてもらえるようにするか、それを私たちは考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 そういった観点から自民党の中で議論があって、こういったことが今挙げられている、こういうふうに理解をしております。

山井委員 こんなものを労働基準法に入れて、違法だけれども指導は手かげんします、大目に見ます、それで過労死が起こりました、そんなの、人の命にこれはかかわっているんですよ。

 結局、大企業と中小企業の指導に差をつける、これは本当に、かつ、取引の実態とか、加藤大臣、労働基準監督署の職員、取引の実態なんかどうやって調査するんですか、お答えください。

高鳥委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

加藤国務大臣 いや、これはこれまでも、中小企業に対する対応として、やはり下請関係がある、そういったことを踏まえた場合には、例えば中小企業庁とも連携しながら対応する、そういった取組もさせていただいているわけでありますから、そういった意味において、それぞれの取引の状況等、それを聞きながら、先ほど申し上げていますけれども、大事なことは、では、どうやったら長時間が是正できるのか、どうやったら労働条件がよりよくしていくのか、やはりそこに向けて、我々、監督指導の中においても当然企業と一緒になってそれに取り組んでいく、それは大事なことじゃないかというふうに思います。

山井委員 もう終わらせていただきますが、結局、こういうことを法文に書くということは、明確に、現場の労働基準監督署職員も萎縮して、ああ、中小企業はもうこれで指導できないということだなと。これは本当に大変なことですよ。骨抜き。まだ決まっていないとおっしゃるけれども、だから、決まる前に言っているんじゃないですか。絶対こんな骨抜きはやめてくださいよ。中小企業の方々の労働者の命を何と考えているんですか。

 それに、最後に申し上げますが、とにかく働き方改革は与野党関係なく円満に合意してやるべきものですから、まさか強行採決をして、労働者の方や過労死の御家族の方々の反対を押し切って強行採決するなんてことは絶対にやめていただきたいということを強く言って、質問を終わります。

 ありがとうございます。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 言いたいことはいっぱいありますが、予定したとおりの質問をしたいと思います。

 昨日、優生保護法下における強制不妊手術について考える議連の勉強会があり、最初に声を上げた飯塚淳子さん、原告の佐藤由美さんのお姉さん、いずれも仮名でありますが、お二人が訴えました。

 超党派の議連ができたのは三月六日。メディアの関心も高く、田村元厚労大臣を座長とする与党ワーキングチームが立ち上がり、救済法案を来国会でと報道されるなど、急速に動いております。国連人権理事会女子差別撤廃委員会からも勧告を受けていること、社民党の福島みずほ参議院議員が繰り返し取り上げ、二〇一六年、塩崎元厚労大臣が対応を約束し、厚労省の担当課が被害者からの聞き取りを行ってきたと承知をしております。

 飯塚さんが二〇一五年六月に日弁連の人権救済申立てを行ったのをきっかけに、新里宏二弁護士らが呼びかけた院内集会に私も参加しました。優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するという目的のもとに強制不妊手術が執行されていたこと、ナチスの断種法の流れをくんだ戦前の国民優生法を引き継ぎ、優生保護法は戦後一九九六年まで、いわば、つい最近まで行われていたのだということに強い衝撃を受けました。

 飯塚さんは仙台市の出身で、十六歳のとき、理由を知らされずに手術を受けさせられました。手術を行った宮城県中央優生保護相談所附属診療所は一九七二年十月に廃止していますが、外来が一切なく、優生手術のみを行う施設であったこと、その所長である長瀬医師が一九六四年十一月の第九回家族計画普及全国大会において、人口資質の劣化を防ぐため、精薄者を主な対象とした優生手術を強力に進めておりますと発表したこと、この国ぐるみ、県ぐるみの姿勢にも大変衝撃を受けました。宮城県での最年少は、九歳の女の子、十歳の男の子に手術をしていたということです。

 そして、一番ショックだったのは、実は、この集会に出るまで、自分自身が全く優生手術という事実を知らなかったことです。恥ずかしく、本当に申しわけなく思いました。まさに裁判によって問われているのは国と国会の立法不作為であり、我々自身が正面から受けとめ、全容解明と被害者に対する謝罪と補償を行うべきと考えます。

 そこで、大臣に伺います。

 優生保護法は、戦後、一九四八年から九六年まで続きました。政府は、当時は合法であり、謝罪も補償も必要はないとしてきたこと、手術が適正に行われていたという答弁が繰り返されてきました。大臣は、今もその立場ですか。

加藤国務大臣 一つ、その制度は、もちろん、当時の法律にのっとってそうした制度が、法律によってそういう制度が運用されていたということでありますが、今委員おっしゃった、個々のそれぞれについて、全てがその法律にのっとって合法的だったかどうかということも発言したかどうかについては、ちょっと私も承知をしておりません。

 ただ、いずれにしても、厚生労働省としては、旧優生保護法から母体保護法への改正の趣旨を踏まえて、全ての人々がお互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会、この実現に取り組んでいきたい、そういう思いでやらせていただいております。

高橋(千)委員 大臣、私、個々なんて一言も言っていないんです。午前の質疑でもそういう答弁があったと思うんですけれども、誰のことを、例えば、たまたま今、最初の申立てをした飯塚さんの話をしましたけれども、その人がどうかという話をしたんじゃないんです。国会の中で、当時は合法だったから謝罪も補償も必要ないと言ってきたこと、それから、手術が適正に行われていたと、全てをですよ、個々じゃなくて全てを、そういう答弁をしたから、それでいいんですかということを聞いているんです。

加藤国務大臣 今言った、制度としては、先ほど申し上げた、法律に基づいて運用されていたということを今申し上げたところであります。ただ、全てがという意味において、そういった発言というか答弁をされていたかどうかについて、ちょっと、私、手元の資料では確認できていないというところでございます。

高橋(千)委員 調べる必要もない、適正だったかどうかは。

 もうとっくに報道がたくさん出されているわけですよね。当時の法律が合法だという皆さんの立場に立ったとしても、政府の立場に立ったとしても、その政府の要綱から見て適切ではない、いわゆる子宮の摘出ですとか放射線照射だとか、そういうことが行われていたということは、もう周知の事実なわけなんです。

 そういうことがあるということの指摘があるのに、はなから調べる必要はないという立場に立ってきたんです。それは、今となっては間違いであった、調べる必要はあると見直すべきではないですか。

吉田政府参考人 事実関係としてお答え申し上げたいと思います。

 委員おっしゃられましたように、これまで国会などにおいて御指摘をいただきました際に、私ども、法を執行する立場にある行政、政府といたしましては、当時、適法において成立していました法を執行するという立場から、この旧優生保護法において運用させていただいていた、そして、その法律に基づいて行われていたということを前提に、私どもとしては、今御指摘いただきました、過去におけるいろいろな調査その他の御指摘については、法を適正に執行してきたという立場から、御意見、御答弁を申し上げたという事実はございます。

 その上で、先ほど来、御意見をいただいておりますように、昨今、いろいろな議論の中で、超党派における議員連盟の動きでありますとか与党の先生方における御議論というものを踏まえて、私ども、その動きを踏まえながら注視をさせていただいているというふうに御理解をいただければというふうに思います。

高橋(千)委員 ですから、どの範囲かということが随分議論されたわけですけれども、与党ワーキングチームの要請を受けて、二十八日、都道府県などに旧優生保護法に関連した資料の保全を依頼した。まず私自身は、私は、遅過ぎるとはいえ、資料の保全が最優先でされるべきことは全く同意します。

 問題は、調べる必要がないと言っちゃった部分はやはり訂正してもらわないと、政府がそういう立場だから、あるものを出せばいいんだろうという立場じゃないんだよ、あらゆる努力をしますという立場に立たなきゃいけない、その認識を聞いているんです。

 ハンセン病のときもただされたように、そういう立場に立って全容を解明するんだ、優生保護法三条、あるいは三条が本人同意で済まされてきた、だけれども、それだって、そうではないという議論がいろいろあるんです。それを、決めつけるという意味ではなくて、ちゃんと調べるという立場に立つかということが、聞いていることです。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、私ども、法を執行する立場の行政として、当時において適法に成立しておりました法の執行の中において、私どもとしては、その全体について調査を行うなどについては、法の執行の立場から、これまで必要はないという趣旨の御答弁を申し上げております。

 その中においても、御案内のように、また午前の審議においても御発言がございましたように、個別にいろいろな御意見があった場合には、私ども、職員をして誠実に対応させていただいている、そういう経緯だと思います。

高橋(千)委員 ちょっと、本当に驚く答弁が続いているんですが、今にも与野党一致して法案ができるのかなと、ことしではないかもしれないけれども、そういうふうに前向きな方向が出てきたのかなと思っているのに、何でそんなにかたくななんでしょうか。

 まだ何も始まっていないわけですよね。政府は、ありもの調査とおっしゃいましたよね。まず資料を、どれだけのものがあるのかを、まず保存してくれと。その上で、やはり恐れることなく全容解明に行かなきゃならないと思うんですね。

 きのうの議連でも、実態を知る手がかりとして、この間、この問題にずっと取り組んできた優生手術に対する謝罪を求める会が具体的な提案をしておりますけれども、まずは相談窓口をつくるべきである。これは、相談といったときに、私のカルテあるのという話ではなくて、私もこういう経験があったけれども、もしかしてそれに当たるのかしらと、そういう人だっていると思うんですね。そういういろいろな手がかりをやはり設けなきゃいけないと思うんですが、その点について、予算措置も含めて取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、先ほどの件なんですけれども、与党の方からは、まず文書を保全しろ、それから、保存資料の内容を把握する資料を調査しろということでございましたので、どういう資料が当時においてあったのかということを、ちょっと私ども、今精査させていただいて、また、どういう、具体的なやり方については、御相談しながら進めさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、窓口のお話がありました。今、厚生労働省では、これまでも申し上げていますが、当事者からお話があれば、担当者が直接話を伺うという対応をしてきているところでもあります。ぜひ、そうした問合せ等があれば、担当部局の職員が適切に対応したいと思いますし、もし委員からあれば、一体、何課の誰だという必要があれば、そういったことははっきりさせたいと思っております。

高橋(千)委員 必要なときは予算もという意味で聞きましたが、いかがでしたか。

加藤国務大臣 予算というのは、例えば相談員をとかいうことなんだと思いますが、現時点、これはいろいろ申し上げていますけれども、まだそこまでの相談は来ておりませんので、とりあえず、まず窓口で担当の職員が対応させていただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 やはり、資料を保存しろ、まずしてくださいとお願いをする。もちろん、きのうは、県だけではないよ、いろいろなところにあるよという指摘がありました。それも大いに話を聞いてもらいたいと思うんです。その先、相談も受けてください、資料も受けてください、だけれども、支援をしますよというメッセージが国からないと、県がどこまで頑張れるんだろうということになるわけですから、そこはしっかり早く決断をしていただきたいと思います。

 そういう意味で、きょう、資料をつけておきましたけれども、きょうの資料は一枚だけです。三月十六日、宮城県議会が全会一致で議決した意見書です。三月十六日付で、これは大島議長宛てなんですが、厚労大臣宛てにも出しているはずです。

 三段落目に、「旧優生保護法に基づき全国で優生手術を受けた約二万五千名のうち、強制不妊手術の被害者は六割を超える約一万六千五百名に達し、本県においては全国で二番目に多い約一千四百名であったことが判明している。」と書いております。その下の段に、宮城県の六十代の女性が仙台地裁に国家賠償を求め、提訴したことなどを受けて、最後のところに、一日も早く政治的及び行政的責任による解決を求めていると。

 こうした実態解明と被害者への補償措置を求める意見書も複数上がっていることを大臣は承知しているでしょうか。国としても決断すべきと思いますが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 御指摘の、今のは宮城県議会のお話でありますけれども、自治体から意見書、要望書、そして直接私どもの方で受け取ったもの、あるいは報道等を通じて把握しているもの、それぞれございますが、その中には、今委員御指摘のように、実態調査や救済について盛り込まれているというふうに承知をしております。

 その上で、今、先ほど申し上げたようなプロセスに入っておりますから、そういったプロセスを進めていきながら、また与党ワーキングチーム、議連等もございます、そういったところでの議論も我々はしっかり注視をし、また必要な対応を図らせていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 請願が、まだ参考送付の準備をしている段階のもので、北海道、宮城、三重、鳥取、岐阜県ということで、五道県から意見書が決議されているということを請願課から聞いております。こうした動きが広がっていくと思うんですね。

 メディアの皆さんも本当に努力をして、掘り起こしをしてくださっています。連日報道があって、手術の記録があったとか、カルテが見つかったとか、そうした努力が広がっているんですよね。何年たってもやはりこれを曖昧にしてはならない、そして急がれるんだと。当事者が高齢になっているということで声が上がっているわけですから、その声に本当に真摯に応えていただきたい。

 きょうは時間が短くて、これで終わりますが、また引き続き、お願いしたいと思います。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会、浦野靖人です。

 あと、きょうも十五分で終わりますので、皆さん頑張ってください。きょう私の質問は、安心してください、全部通告してありますので、しっかりと答弁していただけると思います。

 きょうは一般質疑ということなんですけれども、確認をしておきたい、確認的な質問を最初にしていきたいと思っております。きょうも山井委員が取り上げておりましたSAY企画さんの関連の、日本年金機構のことですね。

 今回、個人情報がいろいろ漏れたんじゃないかという疑いがかかっているわけですけれども、個人情報保護委員会の方から、今回のこの事案について、委員会としてどういったところが問題かというのをまず確認したいと思います。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますと、今回の委託業者においても、個人情報保護法上、例えば安全管理措置を講ずるなど、個人情報の適正な取扱いに係る規律への対応が求められることとなります。

 しかしながら、今回の事案について申し上げますと、当委員会といたしましては、一義的には、日本年金機構における委託業者の監督の問題であると認識をしております。

浦野委員 年金機構、きのうでしたか、指摘をさせていただきましたけれども、きょうも、質問の中身を聞いていますと、結局はやはり、年金機構さんがもうちょっとしっかりしないと、なかなかこの問題、また何か起こすんじゃないかなというふうな危惧をしています。

 きょう、午前中とかは水島理事長も来ていただいていましたけれども、僕の質問は最後なので、最後まで残っていただくのもかわいそうなので、きょうはもう理事長はいいですよというふうに言ったんですけれども、今、個人情報保護委員会の方に聞きましたけれども、じゃ、年金機構の方の、今回の問題で外部に漏れると困る情報というのはどういう情報なのかというのを教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 年金機構は、お客様から大変たくさんの個人情報をお預かりして事務を行っております。個人情報でございますので、これにつきましてはしっかりと管理をして、間違いないような事務を行う、これは基本だと思っております。

 今回の事案では、中国の関連事業者に契約に違反して再委託をした、これが大変、契約違反、重大な問題であったわけでございますが、再委託先の事業者が取り扱った情報は氏名と振り仮名のみ、それ以外の情報は再委託先事業者に渡されていなかった、また、情報セキュリティー対策が組織面、業務面のいずれにおいても中国の関連事業者においては適切に講じられており、委託された入力情報も適切に管理、削除されて特段の問題はなかったという旨の、委託先のIBM等の実地監査の結果、旨の報告がされてございます。

 しかしながら、業務委託契約に違反して再委託あるいは入力上の問題があったというのは、大変重大な問題でございます。したがいまして、日本年金機構におきまして、四月早々に外部の専門家から成る調査組織をつくりまして、機構が業務を委託する場合における事務処理のあり方につきましては抜本的な見直しを行ってまいりたいと考えてございます。

浦野委員 今、漏れたのは二つで、その二つだから問題ないということなんですけれども、例えば、これは確認のために聞いているだけなんですけれども、この二つ以外に、もし何かセットで漏れた場合に、そうなると、どういうふうなふぐあいというか、まずいことが起こるというのはどのように認識をされているのかというのを、ちょっともう一回お答えください。

高橋政府参考人 年金機構は、お客様の所得情報でございますとか、マイナンバーでございますとか、あるいは年金額でございますとか、さまざまな個人情報を取り扱ってございます。そういう意味で、これらにつきましてしっかりと管理をしていくということがまず基本的な責務だと思っておりまして、それによってどうなるかということではなくて、お客様に、お預かりしている情報、これをきっちりと行っていく責務がある、このように考えてございます。

浦野委員 僕の聞きたいことにはっきりとお答えはしていただいていないんですけれども。

 じゃ、例えば、マイナンバーと今回漏れたもの、二つが一緒に外部に漏れていたと仮定して、そうなった場合、どういった悪用がなされるかという想定はされていますか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー制度につきましては、制度設計当時から、マイナンバーを用いた個人情報の名寄せ、突合等により集積された、集約された個人情報が外部に漏えいされるのではないかとか、他人のマイナンバーを用いた成り済まし等により財産その他の被害を負うのではないかという御懸念があるということは承知してございます。

 このため、マイナンバー制度を設計する際には、諸外国で問題となっているような成り済ましを防止するために、マイナンバーの利用手続におきまして、その届けを受ける際には厳格な本人確認を義務づけておるところでございます。具体的には、マイナンバーのみによる本人確認を禁止し、写真つきの個人番号カード等により、番号の真正性、本人の身元確認を義務づけております。

 したがいまして、悪意を持った者が他人のマイナンバーを悪用しようとしても、マイナンバーだけで各種申請等の手続を行うことはできない仕組みとなってございます。

 また、このほか、マイナンバー制度導入に当たり、従来どおり、個人情報は各行政機関で分散して管理しまして、同じところでは一元管理は行わない、また、各行政機関間での情報のやりとりをする際には、マイナンバーではなく、暗号化された符号を利用するといったシステム面の措置を講じておりまして、仮にマイナンバーを悪用して情報を抜き出そうとしても、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとなってございます。

 以上のことから、マイナンバーが漏えいして他人に知られたとしても、直ちに何らかの被害が生じるものではないと考えております。

浦野委員 今確認をしたとおり、やはり、相当な情報がひもづけされない限り、マイナンバーを悪用するということはなかなかできないような仕組みになっているというのは今確認をさせていただきましたけれども、今回の問題は、一部ネット等では、委託先が中国の企業だ、あと、経営者が外国人だということで、それをもってそういった情報漏えいをされているんじゃないかということを危惧している記事とかも散見されております。そこは、それとこれとは別の問題として国会では議論をしていかないといけないと思っていますけれども、年金機構がやはりしっかりとしていただく以外は、こういった問題は解決できないですし、これから発生しないようにするには、もうその努力しかないと思っていますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思っております。

 最後、地元のことで一つお話をしたいと思っているんです。

 私の住んでいる生活圏で救急病院が一つありまして、私たちの大阪の南部の方、南河内というところなんですけれども、南河内のところで、その救急病院が今まで多くの患者を引き受けてきてくれました。ところが、これは大学の附属病院ですので、大学の方針で、今度、堺市に移転をするということになってしまいました。当初は、一部機能を残すということで地元市とも話がついていて、大阪府ともそういう話で終わっていたんですね。ところが、最近、ことしの頭ですかね、年末から頭にかけて、突然、やはり全面移転するということで、救急を受けていただいていた病院がなくなることがほぼ決定しました。

 私たちの住んでいる南河内で、もともと、そんなに医療資源の豊富なところでもなかった、その中で救急を受けていただいていた病院が、自分たちの経営判断で違う地域に移転をしてしまう。これだけで、何に困るかというのは皆さんはもう御理解をいただけると思うんですけれども、救急搬送先が非常に遠くなるんですね、一部の地域の方々からすれば。それは非常に大きな問題だと思うんです。

 もちろん、国が、それはあかんとかという指導はできないとは思うんですけれども、ただ、でも、移転するのが決まってしまって、その地域に住んでおられる方々の救急医療、もちろん、距離的な問題というのが一番大きいですけれども、中には、高速で走ったらええやんとかと言う方もいるんですけれども、南河内の特に南部は、高速道路の入り口すらない、高速道路まで走るのに三十分かかったりとかするような地域も含まれています。そういう救急搬送できる病院、一番近い病院でも、下手をすれば一時間以上かかってしまうようなところも出てきてしまいますので、非常に地域の方々の問題に、移転はまだ数年後ですのでまだ今はなっていませんけれども、問題になるのは、もう間違いなくなります。

 一義的には、もちろん、地元市町村、そして大阪府だとは思うんですけれども、国としてこういったことに関して何か手だてができるというようなことはあるんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今議員から御指摘のありました近畿大学医学部附属病院の移転の計画につきましては、私どもも、大阪府を通じて適宜情報をいただいているところでございます。

 私どもが聞いているところによりますと、この近畿大学医学部附属病院は、重症及び複数の診療科領域にわたる全ての重篤な救急患者を二十四時間体制で受け入れる役割を有する救命救急センターとして大阪府知事に指定をされ、これまで、南河内医療圏を中心に、三次救急医療機関としての役割を果たしてきたというふうに認識をしております。

 この近畿大学医学部附属病院は、昨年の十一月に、大阪狭山市が所在する南河内医療圏から堺医療圏に全面移転する意向を大阪府に申し入れたというふうに聞いているところでございます。

 救急医療提供体制につきましては、国が定める医療計画の策定指針におきまして、各都道府県が確保するというふうにされているところでございますので、本事案につきましても、一義的には大阪府の方で御判断をいただくということになろうかと思いますし、今後、大阪府が設置する南河内医療圏保健医療協議会において、今後の医療提供体制のあり方について議論を進めているとも聞いているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、実際に二次医療圏をまたいだ病院の移転ということになりますと、医療法に基づきまして、都道府県から協議を受けるという立場にございますけれども、これまでと同様に、大阪府からよくお話を伺いまして、この地域の救急医療提供体制の確保に関して相談があれば必要な助言などを行ってまいりたいと考えております。

浦野委員 近畿大学の医学部ですので、某閣僚の方が関係者で国会にはいらっしゃいますけれども、いいそんたくをしていただけたらと思って、質問を終わります。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案及び池田真紀君外九名提出、生活保護法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 近年、単身世帯の増加や高齢化の進展、地域社会との関係性の希薄化等の中で、生活保護受給者数は減少傾向にあるものの、高齢の生活保護受給者は増加傾向にあるなど、生活に困窮する方への多様な支援の必要性が高まることが予想されます。

 こうした状況を踏まえ、生活保護に至る前の段階における支援を含め、生活に困窮する方等の一層の自立の促進を図るため、この法律案を提出いたします。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、生活困窮者自立支援制度における自立支援を強化します。

 具体的には、生活困窮者に対する包括的な支援体制の強化を図るため、福祉事務所設置自治体による就労準備支援事業や家計改善支援事業の実施を努力義務とするとともに、福祉事務所設置自治体の各部局が生活困窮者を把握したときは、自立相談支援事業等の利用勧奨を行うよう努めることとします。また、生活困窮世帯の子どもの学習支援事業において、生活習慣や育成環境の改善に関する助言等を行うとともに、一時生活支援事業において、その事業を利用していた方や居住に困難を抱える方であって地域社会から孤立している方に対し、訪問等による日常生活支援を行うことにより、これらの事業の強化を図ります。

 第二に、生活保護制度における自立支援の強化と制度の適正な運営の確保を図ります。

 具体的には、生活保護世帯の子どもの貧困の連鎖を断ち切るため、大学等への進学の際に進学準備給付金を支給するとともに、健康管理支援事業を創設し、データに基づいた生活習慣病の予防など、生活保護受給者の健康管理支援の取組を推進します。また、医療扶助について、医師等が医学的見地から後発医薬品の使用を問題ないと判断する場合、その使用を原則化します。

 加えて、一定の要件に該当する無料低額宿泊所等において、単独での居住が困難な生活保護受給者に対する日常生活支援を行う仕組みを創設するとともに、無料低額宿泊所の最低基準を設けること等により、貧困ビジネス対策を強化します。

 第三に、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進を図るため、児童扶養手当の支払回数を年三回から年六回に増加します。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成三十年十月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

高鳥委員長 次に、池田真紀君。

    ―――――――――――――

 生活保護法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

池田(真)議員 ただいま議題となりました生活保護法等の一部を改正する法律案、いわゆる子供の生活底上げ法案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 まず、本法律案の提案理由について御説明いたします。

 我が国の子供の貧困率はOECD諸国の中でも高い水準にあります。特に、一人親家庭については、親の八割以上が働いているにもかかわらず、貧困率は五〇・八%に達するという特異な状況です。

 また、ことし二月には、子どもの貧困対策センター、公益財団法人あすのばの調査により、低所得の子育て家庭の約七割が経済的な理由で塾や習い事を諦めており、また、子供のアルバイト代を生活費や学費に充てている家庭が少なくないという厳しい生活実態が明らかになっています。

 こうした状況の中、今般、政府は、生活保護基準を見直し、生活扶助費を最大五%、平均で一・八%削減することを決定いたしました。これにより、生活保護を受けている子育て家庭のうち、四割以上で生活扶助が減額されることになります。まさに、子供の貧困対策に逆行するものです。

 そもそも我が国の生活保護の捕捉率は極めて低いと言われています。にもかかわらず、低所得世帯との均衡のみに着目して生活保護基準を改定する方式が妥当なのか、さらには、今回の見直し後の生活保護基準は、本当に憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を営むのに足るものになっているのか、極めて疑わしいと言わざるを得ません。

 安倍総理は、本通常国会の施政方針演説において、「格差の固定化は、決してあってはならない。貧困の連鎖を断ち切らなければなりません。」と高らかに宣言いたしました。貧困の責任は子供たちにはありません。今こそ、貧困の連鎖を断ち切るべきときではないでしょうか。

 貧困の連鎖を断ち切り、全ての子供たちが、夢と希望を持って、みずからの将来を切り開いて進むことができる社会を実現するためには、大学等に進学しやすくする支援を含め、子育て家庭の生活を底上げすることが必要不可欠と考え、ここに本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の概要を御説明いたします。

 第一に、厚生労働大臣は、平成二十九年に行われた生活保護基準の検証の際に用いられた手法による基準改定によっては、要保護者の最低限度の生活の需要を満たすに十分なものでなくなること等が懸念されていることに鑑み、この法律の公布後一年以内に、生活保護基準の改定方法等のあり方を見直し、必要な措置を講ずることとし、この措置が講ぜられるまでの間、現行の基準に比して要保護者に不利な内容の基準を定めてはならないこととしております。

 第二に、生活保護における世帯単位の原則の運用に当たっては、要保護者の世帯に属する子供が世帯を単位とする保護を受けつつ大学等に通うことができるように配慮しなければならないとしております。

 第三に、児童扶養手当の支給要件に係る児童、障害基礎年金の加算対象に係る子及び遺族基礎年金の支給対象、加算対象に係る子を、二十歳未満の者に拡大することとしております。

 第四に、児童扶養手当の月額を、一万円増額することとしております。

 第五に、児童扶養手当の支払い期月について、年三回から、毎月に変更することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(拍手)

高鳥委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十二分散会


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