衆議院

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第9号 平成30年4月13日(金曜日)

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平成三十年四月十三日(金曜日)

    午前十時三十九分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      池田 道孝君    小田原 潔君

      大岡 敏孝君    大見  正君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    長尾  敬君

      百武 公親君    福山  守君

      藤井比早之君    船橋 利実君

      穂坂  泰君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      平野 博文君    高橋千鶴子君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           池田 真紀君

   議員           初鹿 明博君

   議員           尾辻かな子君

   議員           山井 和則君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        相馬 清貴君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           信濃 正範君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           齋藤 福栄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 俊彦君

   参考人

   (厚生労働省前東京労働局長)           勝田 智明君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 道孝君

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  小泉進次郎君     木村 次郎君

  小林 鷹之君     藤井比早之君

  繁本  護君     杉田 水脈君

  高橋ひなこ君     高木  啓君

  船橋 利実君     大見  正君

  三ッ林裕巳君     百武 公親君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     穴見 陽一君

  大見  正君     工藤 彰三君

  木村 次郎君     小田原 潔君

  杉田 水脈君     繁本  護君

  高木  啓君     高橋ひなこ君

  百武 公親君     菅家 一郎君

  藤井比早之君     小林 鷹之君

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小泉進次郎君

  菅家 一郎君     福山  守君

  工藤 彰三君     船橋 利実君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     三ッ林裕巳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 生活保護法等の一部を改正する法律案(池田真紀君外九名提出、衆法第九号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として厚生労働省前東京労働局長勝田智明君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省大臣官房総括審議官坂口卓君、労働基準局長山越敬一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 きょうも、一週間前に続いてトップバッターを務めさせていただきます。

 一週間たちました。一週間前は、過労死の御遺族からのファクスが東京労働局に届き、そして東京労働局長であった勝田前局長の発言についてのやりとりがここで行われていたわけであります。その後、勝田局長については、処分が決まって、官房付に降格になったということでございますが、また、過労死についても、加藤大臣、お配りした資料にありますとおり、過労死があったという事実はお認めになったということです。

 ちょっと気になるところが一つあるんですけれども、四月の十一日、予算委員会で、希望の党の岡本議員がこの件について質問をいたしました。そのときに、加藤大臣は、過労死があるということを知ったのがいつなのかどうかという質問に対して、労災決定があったことは三月五日に報告を受けた、三月五日に知った、そういうお答えをしていますが、これは、労災の決定、大臣は決定という言い方をしておりましたが、労災認定が決まっていたということを知ったのが三月五日だ、そういうことでよろしいわけですね。

加藤国務大臣 労災認定というと普通二つありまして、支給申請に基づく支給が決定されているか、支給自体が認められなかったか、どっちかということなので、そこをもう少し正確に言えば、支給が決定されたということ、そのことについては、三月五日、その日に私が、もちろん、その前の日にたしか新聞で出ていましたから、新聞は承知しておりますけれども、事務局から聞いたのはその日だということでございます。

初鹿委員 ここは非常に重要なところで、大臣が答えているのは、認定が決まったことを知ったのが三月の五日だったと言っているわけであって、野村不動産で過労死ということがあり、労災の請求というんでしょうか、申請というんでしょうか、それがあったことについては、皆さんに議事録をお配りしておりますが、明確に申していないんですよね。議事録の方の、こちらの二枚目の方になるんですけれども、答弁を読むと、ですから、先ほど申し上げておるように、申請に係る話については、当該遺族の方から云々と言っていて、ここは答弁を控えているということなんです。

 そこで、お伺いしますけれども、労災申請が行われていたことは知らなかったんですか、三月五日まで。

加藤国務大臣 要するに、この議論で私は気を使っているのは、やはり個人情報ということであります。

 今回、御遺族の御意向、ファクスもございましたけれども、それを踏まえて、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第八条第二項に基づいて、私どもとして公にする範囲ということで、野村不動産株式会社に勤めていた従業員が過労死したことについて、新宿労働基準監督署が労災認定、保険給付の支給の決定、これを行ったこと、労災認定基準に当てはめて労災認定としたこと、認定日が平成二十九年十二月二十六日であったこと、この範囲ということにさせていただいているものですから、そこには、いつ申請がなされていたということについては公にする範囲に入っていないということでございますので、そこは慎重に答える必要があるということで申し上げております。

 それで、もう少し私、言って、いただいていいでしょうか。

 決定を知ったのは三月五日でございます。決定そのものがあったのはたしか二十六日でございますから、したがって、その間について、私のところにその決定についての話が来ていないということであります。

 そうすると、仮に今委員の御指摘のように申請を知っていたとすれば、それ以前より前になる。そして、前についていうと、三回、私、この報告を受けていると申し上げています、そのどこかになっていくということになると、その申請云々という話とだんだん近づいていくものですから、そこはやはり慎重に答弁した方がいいだろうということで申し上げているわけであります。

 あくまでも、普通であれば、御家族が発表されていれば発表された範囲を踏まえて私ども対応するんですが、今回は、先方の意向を踏まえながら、先ほど申し上げた条文も踏まえて対応させていただいている、こういうこともありますので、より慎重にやらせていただいているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

初鹿委員 遺族が、申請をしたことを公表しないでくれとは言わないと思うんですよね。もう認定が決まっていることを公表していいと言っているわけですから。

 今の大臣のお答えだと、例えばですよ、大臣は選挙に当選をして今国会議員、衆議院議員になっていますが、選挙に当選していることは公表してもいいけれども、立候補したことは言わないでくれ。例えば、大臣は東大の御卒業ですよね。東大を卒業したことは明らかにしていいけれども、受験したことは言わないでくれ。そんなことにはならないわけで、当然、東大を卒業していれば、東大は受験をしているわけだし、選挙に当選をしているということであれば、選挙に立候補しているわけだし、労災の認定が決定されているということは、労災に申請しているわけですから。つまり、労災申請がいつだからということを聞いているわけじゃなくて、労災の申請がある、そういうことがあるんだということをいつ知ったのかということは、十分に私は言える範囲だというふうに思います。

 何で我々がここにこだわっているのかというと、今回の国会は何国会と命名されている国会ですか、皆さん。働き方改革国会だと総理みずから命名をして、そして、働き方改革関連法案が最大の目玉だと言ってきたわけですよね。そして、その中に裁量労働制の拡大が含まれていた。

 それに対して我々野党は、裁量労働制を拡大をすると過労死がふえるんじゃないか、長時間労働がふえるんじゃないか、長時間労働の是正に逆行するんじゃないか、そういう批判を繰り返していたわけです。

 それに対して皆さんたちは、いや、そんなことはない、裁量労働制はいい制度なんだ、過労死はふえることにはならない、時間もきちんと、普通の人よりも短くなる、そういうデータ、これも偽りだった、偽りのデータを示して我々に説明してきていたわけじゃないですか。

 だから、我々は、もし過労死があったことを知って、それを公にしないで、公表しないで、皆さん方がデメリットは隠し、そしてメリットだと思われるようなことだけを強調してこの制度を推し進めようとしていたら、それは明らかに民主主義の手続としておかしい、そう考えているから、この日にちについては非常にこだわりを持っているわけです。

 野村不動産に特別指導に入ったことについて、十一月の十七日にまず大臣に報告に行っております。二十二日、十二月二十二日と三回の報告に行っている。その中に過労死について含まれていたのか、含まれていなかったのか、これは非常に重要なんですよ。政策決定をしていく過程の中で非常に重要な要素になっているんです。

 ですから、我々はここにこだわっているし、遺族の方も、やむにやまれぬ思いでファクスを流したんだと思いますよ。このままだと亡くなった家族が報われない、家族が亡くなった、これをきちんと明らかにすることで、同じような思いをする御家族や本人が出ないようにしたい、そういう思いでファクスを流したんじゃないんですか。

 ぜひ、その思いを大臣も受けとめていただいて、野村不動産のこの特別指導のきっかけの中に過労死があったのかなかったのか、はっきりさせてほしいんです。だから、黒塗りになっているところ、黒塗りになっていますよね、過労死ということが書かれている、若しくは労災認定や労災申請ということが書かれている部分があるなら、その黒塗りを取ってください。

加藤国務大臣 幾つかの点がありますので、一個一個お話をさせていただいてよろしいですか。

 まず、遺族とのやりとりは、今回、公表しないということでやりとりをやらせていただきましたので、詳細について申し上げるわけにはいきませんが、本当に、しかるべく、我々は誠意を持ちながら相談をした上で、この三点のみ公表ということに整理をさせていただいたということでございます。

 それから、過労死についてでありますけれども、これはここでも何回も申し上げておりますように、過労死については、私どもの方から積極的に申し上げたことは一度もないということでございまして、先方の遺族、またその代理人の方、あるいは今回のように同意があったといった範囲の中においてこれまでも申し上げているということでありますので、少なくとも、今回の件について申し上げれば、この御家族の同意がないまでの間は過労死については申し上げることができないというのは、これはこれまでの一貫した姿勢であって、今回だけこうしたということでは全くないということでございます。

 それから、裁量のお話がありましたけれども、この裁量労働制、時間配分や仕事の進め方を働く人の裁量に委ね、自律的で創造的に働くことを可能にするという制度であります。

 実際やっている中において、これはこれまでも答弁で申し上げましたけれども、そのメリットを享受して、うまくやっているところがある。一方で、長時間労働になっていたり、あるいは、本来適用すべきものでないにもかかわらず適用されているという問題があるということは認識をし、あるいは申し上げてきた。そして、それに対して、まず労働基準監督署において、法の趣旨に沿った運用がなされるようしっかりと指導を行う。

 そして、他方、今回、最終的にはこの裁量労働制については全面削除になったわけでありますけれども、長時間労働を防止し、対象者の健康を確保するため、さまざまな規制強化、これも実は盛り込んでいるわけであります。

 健康確保措置に加えて、これは全て、企画、専門共通でありますが、企画業務型裁量労働制の対象についても、現在指針で決めているものを、法律に、厚生労働大臣が定める基準に該当する知識経験等を有する者に限るということで、しっかりと限定をしていくということ。それから、労使が決議の内容を指針で適合させなければならないという責務規定と、労働基準監督署が必要な助言指導を行うことができるという規定、これも新設をしているわけでありまして、確かに、委員おっしゃるように、一部において適用範囲の拡大という部分はありますが、他方において、やはり今ある裁量労働制の問題を踏まえた、いわば規制を強化していく、そういったことも含めて検討していたということは申し上げておかなければならないというふうに思います。

 それからもう一カ所、端緒の話になりますから、これまで我々、端緒について、あるいはどういうプロセスでどういう議論をしてきたか、これはやはり今後の監督指導等にもかかわりますから、そういったものについては、これは一貫して公表を差し控えさせていただいているということでございます。

初鹿委員 我々は、この特別指導、実は特別指導ではない形で調査をし始めて、最終的に、過労死があって、特別指導という形に切りかえたんじゃないかという疑いを持っているんですね。

 お配りをしている資料を見ていただきたいんですが、まず、二年前、平成二十八年の五月に、千葉労働局長がエイジスという会社に、是正指導の段階での企業名公表で名前が公表されております。そしてその次、今度は愛知労働局、大宝運輸というところが企業名公表をされております。

 何が違うかというと、千葉が最初なんですけれども、大宝運輸の前に企業名公表の制度が更に拡大をして、広がった最初が大宝運輸なわけですね。そもそも、是正段階での企業名の公表が一番最初にやられたのはこの千葉の例。この二つが今あるわけですが、これは見ていただければおわかりのとおり、例えば一カ月当たり百時間を超える時間の労働者数が各事業所ごとに何人いたかとか、結構具体的なことが書いてあるわけですよ、どちらもね。

 じゃ、野村不動産、今回特別指導がされたわけです。野村不動産で、一カ月当たり八十時間を超える時間外、休日労働が認められた労働者数、各事業所ごとに何人いたか、また、そのうち、一カ月当たり百時間を超える時間外、休日労働が認められた労働者数が何人いたのか、それを明示していただけますか。

加藤国務大臣 この公表制度というのは、今委員が御指摘になった指導公表制度もそうでありますけれども、基本的に、こういった対応を示すことによってこうした法律をしっかり守ってもらおう、そういったことの中でやっているわけであります。

 指導公表制度においては、企業名、長時間労働を伴う労働時間関係違反の実態、局長からの指導書を交付したこと、当該企業の早期是正に向けた取組方針、これについて公表する、こういうことに具体的になっております。

 特別指導については特段そういう規定がない、いわば、今回こういう形では初めてということでありますけれども、ただ、ここでも、企業名と法の趣旨を大きく逸脱している実態については、一定の役職以上の労働者を一律に企画業務型裁量労働制の対象としていた、あるいは対象とされていた労働者の大半を対象業務に該当しない個々の営業活動等の業務に主として従事させていた、全社的に行われていた、また、結果として違法な長時間労働と一部割増し賃金の不払いが発生をしていた、そうしたことは東京労働局の公表の中に明確に申し上げているわけでありまして、やはり必要な範囲の中でどこまで公表するかということを判断して申し上げているということでございます。

初鹿委員 特別指導とこちらの是正指導段階における企業名公表制度と、皆さん方として、どちらが、ある意味、違法性が強いというのか罪が重いというのか、どういう言い方が適切かわかりませんが、どちらが重いと考えていらっしゃるんですか。

 きょうは勝田さんに来ていただいておりますから、実際にこのやり方を決定した御本人にお伺いしますけれども、企業名公表の仕方として、これはやはり一種の制裁ですよね、企業にとっては。皆さん方は違うと言うかもしれませんが、これは企業にとっては制裁なんですよ。行政処分ではないけれども、これは制裁なんですよね。

 その制裁をするに当たって、局長は、是正指導段階での企業名公表に比べてこの野村不動産に対する特別指導の方が厳しい、そういう判断で行ったのか、それとも、こちらの方がまだ軽いんだという判断で行ったのか、どちらですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 違法な長時間労働が複数の事業場で認められた企業に対する指導公表制度、その目的は、事実を広く社会に提供することにより、他の企業における遵法意識を啓発し、法令違反の防止の徹底や自主的な改善を促進させ、もって同種事案の防止を図るという公益性を確保するという目的を持っておりまして、決して企業に対する制裁を目的とするものではないというふうに承知しております。

 一方、私が行いました労働局長による特別指導は、労働基準監督署における指導監督の結果、事案の様態が法の趣旨を大きく逸脱しており、これを放置することが全国的な遵法状況に重大な悪影響を及ぼすと認められるものについて、労働局長が企業の幹部に対して特別に行い、行政の対応を明らかにすることにより同種事案の防止を図る観点から、その事実を必要な範囲で明らかにするものであり、個別の事案の状況に応じて行うというものでございます。

 どちらが重い、軽いとかそういった比較をできるものではなく、その性質、様態等において違うというふうに私としては考えております。

初鹿委員 それを、今の説明を聞いても、どちらかというと、やはり特別指導の方が厳しいと判断をする人の方が多いんだと思うんですよね。

 そうであるならば、私は、ちゃんと、こちらの是正指導前の企業名公表の仕組みと同じように、どこの事業所で何人そういう違法だという労働者がいたのかという数字は明らかにするのが、バランスがとれるものだと思いますよ。なぜそれを明らかにしないのかが私は解せない。やはりそこには、それを明らかにすると、実はこっちのスキームで該当しちゃうんだということになるんじゃないんですか。

 では、お伺いしますけれども、今の時点で、二十六日じゃなくて今の時点で、野村不動産は、この是正指導前での企業名公表の要件に該当しておりますか、しておりませんか。どちらですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 きょうの時点ということでございますと、その後の状況とかいろいろあろうかと思いますので、そのことについてはお答えができません。

初鹿委員 では、調査に入っていた最終的な時点でということでこのスキームに照らし合わせたら、該当しているんじゃないんですか。違いますか。労災が決まった段階で。違いますか。

山越政府参考人 十二月二十六日の時点ではそれは該当しないわけでございますけれども、二十五日の時点でも該当しなかったというふうに私は承知しております。

初鹿委員 いや、労災認定がされたら、これは該当するでしょう。五事業所でこれを是正勧告したんですよね。勝田さん、五事業所でしたんでしょう。本店と四つの事業所でしたんですよね。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 どの事業場において是正勧告したかについては、個別の案件に関することでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

初鹿委員 資料をお配りしていますけれども、勝田さん、ちゃんと記者会見で言っていますよ。是正勧告を打ったのは五本という理解でいいですかという記者からの質問に対して、そうですね、はいと答えているじゃないですか。このそうですね、はいはどういう意味ですか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘は、三月三十日の記者会見のときのお話かと思います。

 当初、私と労働基準部長から、記者の質問に対して、十二月の二十六日の定例記者会見において是正勧告を労働局として認めたように思い違いをして発言しておりまして、その後、監督課長の方から、会社が公表していますと述べ、東京労働局が公表しているものではないことを明らかにし、私も、通常は是正勧告しても言えないですと述べており、是正勧告を行ったことを認める発言をしたものではございません。

 しかし、こうした私の発言が、是正勧告を行ったことを認めたかのように受けとめられ、誤解を生じかねない発言となったことにつきましては、改めておわび申し上げたいと思います。

初鹿委員 三月三十日のときも、二十六日の会見を聞くと、是正勧告したというのは、記者の質問に、局長認めていらっしゃるんですけどと。それに対して、本当はいけないんだなと。なぜ、認めたってことでいいんですよねと言って、あっ、いいのか、そうかそうか、それはいいんだなとか、完全に勝田局長は混乱しているんですよ。でも、認めちゃっているんですよ、はっきり言って。

 だから、厚生労働省の立場として、大臣の立場として認められないというのは、それは大臣の立場で理解はしますけれども、勝田さん、発言者の立場からすると、認めてはいけないことを認めてしまったんです。うっかり認めちゃったんですよ。それはちゃんと、うっかり認めてしまいましたと認めてくださいよ。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、私が、東京労働局側が認めたように思い違いをして発言しましたが、その後、監督課長の方から、会社が公表していたものですと述べておりまして、東京労働局全体としては、是正勧告を行ったことを認める発言をしたものではございません。

 誤解を招くようなことになりましたことにつきましては、改めておわび申し上げたいと思います。

初鹿委員 いや、私が言っているのは、労働局として認めたかどうかということを聞いているんじゃなくて、ついうっかり私が言ってしまいました、認めてしまいましたと。それをちゃんと、はっきり言ってくださいと言っているんですね。

 何でそんなうっかりしちゃったのかということを私が推測するには、やはりもともとのスキームがこっちのスキームだったんですよ。こっちのスキームで複数の事業所で是正指導なり是正勧告をしている、それをベースに、何らかの企業名の公表に踏み切るということが頭の中に入っているから、五つですよねと言ったら、はい、五つですとつい答えたんじゃないんですか。違いますか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 先ほど労働基準局長からもお答えがありましたとおり、当時の時点におきまして、本案件は公表制度の対象となっているものではございませんでしたので、その点については全く考えてございません。

 ただ、誤解を招くようなことになりましたことについては、おわび申し上げたいと思います。

初鹿委員 十二月二十六日の記者会見の発言要旨を、ちょっと発言録を抜粋してつけておりますが、局長はここでこういうことも言っているんですよ。

 こういった労働時間の問題も含めて、いろいろな問題について、個別の事業所だけではなくて全社的な問題だということがふえてきている、だから、我々のところに皆さん御承知の「かとく」をつくったのも、本社での考え方とかなんとかを含めた問題があるということでつくって対応しているので、それに対応しているような、私としては、社長においでいただいて、全社の問題としてちゃんと対応してくださいねという、くださいねというかもう少し強いんですけれども、くださいという要請をしたわけなのでと。

 「かとく」で調べていった、その結果で野村不動産の社長を呼んだということをここで言っちゃっているんじゃないんですか。これは何で「かとく」という単語が出てくるんですか、ここで。つまり、「かとく」で始めたということが頭の中にあるから言ってしまったんじゃないんですか、違いますか。

勝田参考人 お答え申し上げます。

 当日、十二月二十六日の記者会見におきましても、私どもの方から、野村不動産の事案は「かとく」の案件ではないということをお話ししておりますが、私がこの特別指導についてお話しした際、確かに「かとく」に触れておりますが、これは、特別指導において社長に対して御要請をする、指導する、これは全社的な問題として取り組むよう要請した、一事業場ではないという趣旨を説明するために、個別の事業場だけではなく、全国展開する企業の問題にするため「かとく」が設置されたという話と同様の例示としてお話しさせていただいたものでございます。

初鹿委員 いや、そうは読めないと思うんですよね。

 これは、しばらくほかのやりとりがあって、基準部長が、記者から、「かとく」の案件なんですか、「かとく」が捜査しているとかと聞かれて、「かとく」の案件ではないですと基準部長が否定をするんですよ。つまり、基準部長は、まずいなと思ったから否定したんじゃないんですか。局長は、間違ってというか、つい口を滑らせて「かとく」の案件だと言っちゃったけれども、これはその案件にしちゃうと、ツーアウトで、公表しなきゃいけない、でも、今回は、それは過労死があるということを暗に認めざるを得ない、若しくは記者からの質問で追及されるかもしれない、そういう判断があって特別指導という形にしたんだから、「かとく」だということを、明らかになったら困るということで否定をしたんじゃないかと私は想像するんですよ。

 ぜひ、これを明らかにするためにも、やはりこの黒塗りは取っていただきたい。

 それと、昨日お願いをしたんですけれども、大宝運輸やエイジスに対して、大臣は報告を受けましたよね、大宝運輸やエイジスの企業名公表をされたときに報告を受けていますよね。その報告を受けたときの文書も出してもらいたいんですよ。そして、見比べて、十七日に大臣に報告したものと大宝運輸やエイジスで報告したものの様式が一緒だったら、同じスキームだったんじゃないかということが想像できるわけですから、ぜひこの二つの文書を出していただくように、委員長、お取り計らいをお願いをいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 もう少し、質問したいことはまだ残っているんですけれども、残念ながら時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきますが、まだまだわからないところがたくさんあります。この後、ほかの委員の方が続きをやっていただけると思いますが、やはりこの問題、しっかり事実を解明して、この法案審議にどういう影響を及ぼしたとか、及ぼそうとしていたのかということを明らかにするためにも、黒塗りを取って、もう一回集中審議をやっていただくようにお願いをして、質問を終わらせていただきます。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十分間、私が質問させていただきまして、残り十分、岡本議員が質問させていただきます。

 きょうも、過労死の御家族の皆さん、傍聴にもお越しをいただいておりますが、質疑をすればするほど、今回の野村不動産の問題は過労死を隠したのではないかと。もっと言えば、過労死を隠しただけじゃないんですよ。逆に、裁量労働制を取り締まった好事例として、いい事例として、裁量労働制の拡大の働き方改革の法案を通すためのいい成功事例として、加藤大臣、安倍総理は国会で答弁したけれども、とんでもない。実は、二〇〇五年に裁量労働制を営業職に拡大して、それから二〇一六年にこの方の過労死が発覚するまで、過労死が起こるまで指導ができなかったという大失敗事例であったということが本当なんじゃないんですか。

 となると、裁量労働制のデータ捏造より私は悪質な危険性があると思います。過労死が起こらないと指導できないという大失敗事例なのに、あたかも、野党議員が、裁量労働制は問題じゃないですかと言ったら、安倍総理や加藤大臣が、野村不動産はしっかり指導監督しておりますと。逆に、裁量労働制をきっちり取り締まっている成功事例かのようにおっしゃっていたんですね。私は、これはとんでもない話だと。一歩間違えば、国民に対するだましではないかと思います。

 それで、私はやはり、この間の裁量労働制の議論は、このフリップに集約されると思うんですね。配付資料の一枚目。

 つまり、きょうもお越しになっておられますけれども、過労死の家族会の皆さん方は、配付資料の二ページ目です、過労死、過労自殺をふやす企画型裁量労働制の拡大に反対しますということをずっと言い続けているんですよ。今回の野村不動産を見れば、まさにそのとおりじゃないですか。

 しかし、野村不動産の過労死が明らかになったら、まさに家族会や野党が言っていることが本当だということになるから、何とか野村不動産の裁量労働制の過労死を隠そうとした。しかし、結果的にはばれてしまった。そういうのが今の真相ではないかと思っております。

 そして、私たちが怒っているのは、この裁量労働制よりはるかに労働時間規制を緩くする、スーパー裁量労働制と言われる高度プロフェッショナル、これを導入する法案を国会提出して、審議入りしようとしているわけです。裁量労働制でもこれだけ過労死が出ているのに、高プロだともっと過労死が出ます。当然、この高プロを削除することが審議入りの大前提である。当然のことです。そのことを申し上げたいですし、過労死の家族の会の方々も、三ページにありますように、もちろん、裁量労働制の拡大のみならず、高プロにはずっと大反対をされておられます。

 そこでなんですが、先ほどの初鹿議員との質疑を聞いていて、あれっと思ったんですね。二十六日までは、このツーアウトルールには合致しないということなんですね。このツーアウトルールになって、過労死ゼロの緊急対策のスキームに乗っちゃうと、過労死が明らかになる可能性が高い。二十六日まではこのスキームには乗りませんと。しかし、山越局長は、今だったら乗るかどうかは言えません。これ、おもしろいですね。何で、二十六日に乗らなくて、今だったら乗る可能性が出てくるんですか。

 では、加藤大臣にお聞きします。

 十二月二十七日という、過労死の労災の支給決定があった翌日であれば、このツーアウトに乗る可能性があるんじゃないですか。

加藤国務大臣 まず、委員、先ほどから、成功事例として申し上げたと。私は、そういうことは一回もありません。問題点があるから、それに対して対処している、そして、こうした事例が起きないようにしっかりやっているということを申し上げて、しかも、だましという言い方をされましたけれども、私ども、だますというつもりで何か答弁をしたつもりはないということは明確に申し上げておきたいと思います。

 また、先ほど初鹿委員にも御説明いたしましたけれども、当初、今は裁量制を全部削除して出させていただいておりますけれども……(山井委員「いや、もうそれはいいですから。済みません、時間二十分しかないので、聞いたことだけに答えてください、二十分しかないので」と呼ぶ)

高鳥委員長 大臣の答弁中です。

加藤国務大臣 いやいや、委員がおっしゃっておられるから申し上げているのであって……(山井委員「いやいや、ちょっとやめてください。そこまでされるんだったら、また次も集中審議をやってもらいますから、それはいいですよ。時間潰しをされるんだったら、もう一回やらせてもらいますので」と呼ぶ)(発言する者あり)

高鳥委員長 静粛に願います。大臣の答弁中です。

加藤国務大臣 端的に申し上げますけれども、私どもが議論させていただいたのは、規制強化ということも含めて出させていただいている、そのことを、ぜひもう一度申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、先ほど、うちの局長から申し上げたのは、二十六日に決定があったわけでありますから、二十五であっても二十六であっても対応は変わらない、こういう言い方をしているわけでありまして……(山井委員「二十七は」と呼ぶ)ですから、二十六日に決定があったものを含めて言っても、対応は変わらないと申し上げているわけであります。

山井委員 答えていない。

 二十七日の場合はどうなんですか。明確に答えてください。

加藤国務大臣 ですから、二十六と二十七の間に変化はないんじゃないんですか。二十六日に決定があったんですから、だから、決定があった日と決定がある前の二十五日の間に対応が変わっているとは思えない、そういうことを申し上げているわけであります。

山井委員 念のため、二十七でどうですかというのを明確に答えてください。

加藤国務大臣 ですから、二十七とか、どんどん、例えばきょうだと言われれば、この間いろいろな事情があります。それを全部、今判断するって、それはできないということを……(山井委員「そんなことは聞いていません。二十七。答えてください」と呼ぶ)

 ですから、先ほど申し上げているように、二十六日に決定があったということをおっしゃっているんだから、二十五と二十六において、その基準に対する対応については変わりはないものということを先ほどから申し上げているということであって、二十六と二十七の間に何の変化があるのか、ちょっと私には理解をし得ないところであります。

山井委員 確認しますが、では、労災認定が決定した後も、これは合致していないということでいいですね。労災認定の支給決定の後も、このスキームには合致していないということでいいですね。

加藤国務大臣 一つ一つ、そのスキームのどこに合致しているかということは答弁しないということでやらせていただいているんです。ただ、その一つ一つ、どれに該当したか、例えば基準に当たりましたかということ、例えば過労死事案があって……(山井委員「いや、もういいですから、端的に答えてください」と呼ぶ)いやいやいや、違いますよ。だから、そこをよく聞いていただかなければ。

 要するに、例えばその基準に……(山井委員「いや、そんなこと聞いていない」と呼ぶ)

高鳥委員長 御静粛に願います。

加藤国務大臣 基準に該当するかどうかについては具体的に申し上げていないんですよ。だから、例えば、仮に過労死事案があって……(山井委員「そんなこと聞いていないから」と呼ぶ)いやいやいや、その過労死事案があってそのプロセスがあっても、それが、過労死があったかどうかということは説明していないんですよ、これまで。

 だから、では、どこに該当するかしないかということについては一つ一つは申し上げられないけれども、委員からそういうお話があるので、二十五と二十六、二十六日は決定日でありますから、ではその間に対応が違うのかと言われれば、そうした対応は異ならないということを明確に申し上げているということであります。(山井委員「とめてください、とめてください。答えてください。答えたらいいじゃないですか」と呼ぶ)

高鳥委員長 山井和則君、質問を続けてください。質問を続けてください。

 山井和則君、質問を続けてください。

山井委員 いや、これ、本当に、たった二十分の質疑なのに、これだけだらだら明確にはぐらかすんですから、来週水曜日、必ず、こういうやり方をするのであれば、集中審議は再度やってください。委員長、お願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 いや、これははっきり言って質問妨害です。

 要は、答えにくい質問はだらだら答えて時間を超過しようとしているんですけれども、過労死を隠しているのはもう大体わかっているわけですから。

 それで、では、一昨日の岡本議員の質問に対して、きょうの配付資料に入っておりますけれども、安倍総理は一月二十九日の時点では過労死のことは知らなかったということを答弁をされておられます、岡本議員の質問に対して。

 それで、大西議員、きょうおられますけれども、大西議員が安倍総理に、その日、質問しているんですね。そうしたら、安倍総理は大西議員に対して、野村不動産で特別指導をしているということを言って、それで、政府としては制度が適正になるように今後とも指導を徹底してまいりますと。要は、やはり成功事例として言っているんですね。

 でも、この成功事例として言っているときに、安倍総理は過労死のことは知らなかったんですよ。知っていたら、こんなこと言えませんよね。徹底じゃないじゃないですか。人が死なないと指導できなかったんだから、十分に指導できなくて済みません、過労死が見つかるまで指導できませんでしたということで、これは徹底なんか全然していないんだから。

 ついては、加藤大臣、一月二十九日、総理は過労死は知らなかったと言っておられるんですけれども、こういう議論になるんですから、なぜ一月二十九日までに安倍総理に、実は野村不動産、過労死が出ているんですよって何で教えなかったんですか。

加藤国務大臣 いや、ですから、先ほどから委員は、失敗事例、失敗事例って、一体何を言っておられるのかというふうに私は思います。(山井委員「過労死が起こらないと取り締まれなかったじゃないですか、それが失敗じゃなくて何なんですか、人が死んでいるんですよ」と呼ぶ)

高鳥委員長 静粛に願います。

加藤国務大臣 ですから、過労死についてはいろいろなところで起きています。我々は、それを減少すべく、努力をしております。

 そして、本件も、こうした事案があって、そして裁量労働制も適正になっていないから、それを是正するために一生懸命に監督官はやっているんですよ。(山井委員「いや、もういいから、答弁してください、早く」と呼ぶ)いやいや、それを失敗事例と言われたら、一体、しかも、過労死があれば、申請があれば、徹底して監督指導するんだという方針も出しているんですよ。

 ですから、それをもって、過労死をもちろん防ぐということは大事でありますし、それは我々は努力をしますけれども、その後の努力というものを全く失敗事例のようにおっしゃる。これは、今現場で頑張っている監督官に対しても、私は、いかがなものなのかということを申し上げたいというふうに思います。

高鳥委員長 山井和則君。(山井委員「ちょっと、質問に答えていないじゃないですか、一月二十九日までに何で安倍総理に言わなかったか。ちょっと悪質ですよ」と呼ぶ)もう一度質問してください。山井和則君、質問を続けてください。(山井委員「いやいや、質問したじゃないですか、だめですよ。ちょっととめてくださいよ」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。(発言する者あり)

 御静粛に願います。

加藤国務大臣 ですから、総理に対しては、特別指導の理由については申し上げているということでございまして、それは、特別指導をやった、たしか十二月二十六日に、資料を官邸の方に持っていって、その上で説明をなされているということで、今回の特別指導も、今言った、なぜやったかということについては……(山井委員「答えていないじゃないですか」と呼ぶ)いや、だから、なぜやったかについては、だから、こうした事案が非常に、先ほど申し上げたような四点、全社的に行われている、一律にやっている、そういったことがある場合、やっているということを申し上げているわけであります。

 それで、個々の過労死事案については、総理に上げるということは通常していないということでございます。

山井委員 全然通常じゃないじゃないですか。裁量労働制が最大のテーマになって、野村不動産のことや裁量労働制の過労死について質問が来るんだったら、上げるのが当たり前じゃないですか。

 私、ちょっとびっくりしました。二〇〇五年から営業に野村不動産は裁量労働制を拡大して、過労死が起こるまで指導できなかったんですよ。私は失敗事例だと思います。人が死なないと指導できなかった。もちろん、指導したことはいいですよ。でも、人が死ぬ前に指導するのが本当の指導じゃないんですか。人が死んで、人が死なないと指導ができなかったのが失敗事例と言ってどこが悪いんですか。

 では、安倍総理は三月五日に過労死のことを報告で知ったということですが、三月四日には、これは朝日新聞に出ているんですね。ということは、一般国民が野村不動産の過労死を三月四日に知った。でも、安倍総理は、一般国民より一日ずれて、自分が裁量労働制を拡大しよう、拡大しようと言っていたのに、一般国民より、それを知るのが一日遅かったということでよろしいですか。

加藤国務大臣 まず、拡大しろ、拡大しろじゃなくて、拡大する部分もありますけれども規制強化をする部分もあるということは、先ほどから申し上げているところであります。

 それから、確かに新聞にはそう出ておりますけれども、その日は日曜日でありましたから、月曜日、しかも、たしか石橋議員からの御質問もあったということで、その機会に上げた、そういうことでございます。

山井委員 でも、信じられません。あれだけ国会で裁量労働制が問題になって、過労死が起こるといって、過労死の家族会の方々も大きな反対、懸念の声を上げているときに、じゃ、新聞報道されるまで、安倍総理に、野村不動産で実は過労死があったんですよ、その結果特別指導になったんですよということを、なぜ上げなかったんですか、加藤大臣は。普通は上げるでしょう、それは。

加藤国務大臣 残念ながら、裁量労働制に関する過労死事案というのは、本件のみならずこれまでもあって、それは私どもも報告をさせていただいているわけでありますから、裁量労働制においても過労死があるということ、これは国会でも答弁をしていたはずでありますし、それはみんな認識をしていたというふうに思います。

 ただ、個々の事案でありますので、過労死一つ一つについては総理に上げていないということ、これは先ほど申し上げたとおりでございます。

山井委員 いや、これは、私、はっきり言って、国民に対するだましと言えると思いますよ。あれだけ裁量労働制はすばらしいということを言っておきながら、実は、厚生労働省や厚生労働大臣は過労死のことを知っていたけれども、安倍総理にも上げなかった。

 そうしたら、最初に安倍総理が三月五日に、実は野村不動産、裁量労働制で過労死があったんですよと聞かされたときに、安倍総理はどういうコメント、どういう反応をされたんですか。私が総理大臣だったら、あれだけ裁量労働制を拡大しようとしていたけれども、やはり野党が言っていたように過労死が出ていたのか、これは大変なことになった、加藤大臣、厚労省、何でもっと早く俺に言わなかったんだと言うと思いますよ。安倍総理はどうおっしゃっていましたか、初めて報告したときに。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、もちろん業務の拡大、これも限定してするということではありましたけれども、しかし、他方で、相当規制強化をいろいろ入れて、そして、そこには裁量労働制の問題点の認識があって入れているわけでありますから、今委員おっしゃるように、何かどんどんどんどん拡大するということでは決してなかった、これが我々の対応であります。

 それから、具体的に総理がどうおっしゃったかは、私どもが、厚労省が直接上げているわけではありませんから、それは私ども、承知しておりません。

山井委員 びっくりしました。無責任。これだけ裁量労働制を拡大するかどうかで与野党、国民を巻き込んだ大議論になっているのに、その肝心の裁量労働制で過労死が出ていることを直接上げていない、安倍総理がどういう反応をしたのかも知らない。それで厚生労働大臣の役職、よく務まりますね。責任を持って裁量労働制の議論をしてください。人が死んでいるんじゃないんですか、そのことを直接総理大臣にも上げずに。

 例えば、私が議論したときも、裁量労働制で過労死がふえるじゃないですかという議論をしたときに、安倍総理は、裁量労働制に関しては八割の人が満足、やや満足で、いい制度ですよと言っているんですよ。そのときも、過労死が起こっていることを知らないんですよ。過労死が起こっていたら、そんなことは言えないと思いますよ。

 じゃ、安倍総理が野村不動産での過労死を知ったときの反応、コメントは知らないということですから、安倍総理に来ていただいて、この野村不動産の過労死等々についての集中審議を行っていただきたいと思います。

 なぜならば、裁量労働制のデータ捏造のみならず、この裁量労働制の過労死を厚労省は知っていたのに安倍総理に伝えず、そして安倍総理が国民に対して裁量労働制はいい制度ですよとPRしていたら、これは過労死隠し、だましとも受け取られかねませんよ、国民からしたら。

 委員長、総理を呼んで、来週水曜日、この過労死隠しの問題、野村不動産の問題について、裁量労働制などの問題について、集中審議を行っていただきたいと思います。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 言っちゃ悪いけれども、この問題だけじゃないんですよ。森友の問題、加計の問題、日報の問題、隠しているんじゃないんですか、うそをついているんじゃないんですか。私は、これらの問題の中で一番悪質だと思いますよ、過労死隠しというのは。

 ここに書いてありますように、実は、野村不動産は、過労死については指導を受けていないんです。なぜだかわかりますか。特別指導は労災認定の前日にやっているんです、わざと。これは、普通考えたら、ああ、特別指導、過労死が起こっていた、ああ、過労死が起こったから特別指導を受けたんだなと思いますよね。違うんですよ。

 加藤大臣、もしかして、わざと特別指導を過労死の労災認定の前日に、わざとやったんじゃないんですか、もしかして。その理由は、これが前後したら、過労死のことも指導しないとだめになって、過労死のことも指導すると過労死がばれるかもしれない。さらに、もしかして、御遺族が労災認定を受けましたと言ったら批判が来る。だから、先手を打って、認定の前日に特別指導をして、もし過労死が明らかになっても、だから特別指導をやっているでしょうと言い逃れができて、もし御遺族が公表しなかったら、特別指導した成功事例として国会でも使える、そういう考えだったんじゃないんですか。しかし、やはり実はばれちゃった、過労死があったことが。

 これは、なぜ前日になっているんですか。何か意図があるんじゃないんですか。それで、これが逆転したら、ツーアウトルールで、過労死が明らかになる危険性があったからじゃないんですか。これらの点について、いかがですか。

加藤国務大臣 これまで答弁したことを、ですから、二十五で二十六と変わらないということは先ほどから申し上げているので、そこを何かまた違う形でおっしゃられても、ちょっとどう答弁していいかなというふうに迷うところであります。

 委員がいろいろと御推測される、それはそれでありなんだろうと思いますが、我々は、この案件はこの案件、そして労災の案件は労災の案件として、それぞれ粛々とやらせていただいている。それがまた我々監督行政の姿だというふうに思います。

山井委員 加藤大臣は、この野村……

高鳥委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

山井委員 最後の一問だけ。

 加藤大臣は、野村不動産の過労死はいつ知ったんですか。それで、一番最初に知ったときに、どういう印象、感想を持たれましたか。

加藤国務大臣 ですから、その話については、その御遺族等々の御意向を踏まえ、そして法律も踏まえた中で、この範囲ということで申し上げているんですから、それを超える話は私の方からはできないということは、これは再三再四申し上げております。

 ただ、過労死ということについては、もちろんそうした事案があって、そして、そのことによって、御本人もそうでありますし、また御家族等々、本当に大変な状況にある。私も、過労死の家族の方からも直接お話も聞かせていただきました。あるいは、そういったシンポジウムでも、その方々の本当に悲痛な思いも聞かせていただいております。

 そのことは我々はしっかり受けとめ、そして、過労死がない、そういった世界を目指して頑張っているんですが、しかし、残念ながら過労死等があれば、その場合には、そこにしっかり監督指導に入ってそこを是正させ、そして少なくともその企業においてそういったことがないように、これは監督官が日々頑張っている、このことは明確に申し上げておきたいと思います。(山井委員「答えていない、答えていない」と呼ぶ)

高鳥委員長 既に持ち時間が経過しておりますので……(山井委員「いや、答えていないから」と呼ぶ)既に時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。(山井委員「シンプルな質問じゃないですか、過労死いつ知ったんですかって。とめてくださいよ、時計」と呼ぶ)

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 いや、ですから、先ほど申し上げたように、委員の御指摘なのは、その過労死ということをいつ知ったかということであれば、それは過労死の支給決定ということもありますけれども、当然、その前には過労死の申請というのもあります。ただ、それについては、御遺族との関係で具体的なことは申し上げられないということで、先ほど来の答弁をさせていただいているということでありますので、ただ、具体的に、先ほど申し上げた、本件においてもこうした事案が発生したということ、このことは本当に残念であり、それを防ぐことができなかったということは、我々は真摯に反省し、そして、そうした事態が二度と起こらないように、さまざまな監督指導にしっかりと取り組んでいきたい、かように思っております。

山井委員 いや、私、もう終わりますけれども、ちょっとやはり気をつけていただきたいのは、これだけ裁量労働制の拡大や裁量労働制の過労死が大問題になっているときに、御遺族がファクスで過労死を公表してもいいですよと送ったにもかかわらず、まだ大臣は過労死をいつ知ったかを言わない。おまけに、その言わない理由に、御遺族の意向が何とかと言って、御遺族の意向のせいにして言わない。私は、御遺族の意向、御遺族が、加藤大臣が過労死を知った時期を言ってくれるななんて、言っているはずがないんじゃないかと思いますよ。それは、御遺族の意向じゃなくて、加藤大臣の御意向でしょう、知っていたのに国民に言っていなかったことがばれたら困るからという。そういうときに御遺族の意向を使うのは、やはり御遺族に対して失礼なんじゃないかと思います。

 そして、やはり、これだけ大議論になった裁量労働制、そして、裁量労働制よりも激しい高度プロフェッショナル、過労死のリスクはもっと高いです。その問題を議論しようといいながら、その前提となる裁量労働制で過労死を隠したという疑いがどんどんどんどん高まって、いまだに……(発言する者あり)隠していないんだったら、いつ知ったか、言ったらいいじゃないですか。言ったらいいじゃないですか。説明責任はあなたにあるんじゃないんですか。

 そういう意味では、ぜひとも、来週水曜日も引き続き、この過労死隠しの問題、集中審議をお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 もう時間が限られています。大臣、端的に。

 先ほど言われました。企業名を公表するのは制裁じゃないと言いました。手元にある資料の、見てください、いろいろマスキングしたときの理由。「法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」は、企業名を公表することによって起こり得ますね。これは認めますか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたのは、制裁としてやるものではない、しかし、その反射的な効果として、そうした今委員の御指摘のようなおそれはあるということ、そのことはそのとおりであります。

岡本(充)委員 その上で、特別指導の根拠は、厚生労働省設置法の第四条の四十一、本当にばくっとした話から、突然、企業名公表という話が出てくるんですが、これは、政省令でも決まっていない、通知でも決まっていない。いわゆる許認可以外で、許認可は、取り消した場合にこれを公表しています。それ以外で、政省令でも通知でもその要件や条件を定めずに、企業の正当な利益を害するおそれがある公表をする制度は、厚生労働省にどういう制度がありますか。

加藤国務大臣 厚生労働省内の労働関係部局において、特別指導以外で、労働関係で企業名の公表を制度として行っているといったものについては、いずれも法令や取扱要領等により要件や基準が定められて行っているということでございます。

岡本(充)委員 厚生部局はどうですか。厚生労働省全体と聞いていますから、私、通告で。

加藤国務大臣 少なくとも、労働関係部局の中は今申し上げたとおりでありますし、厚生労働部局について、そうしたものがあるとかないとかは明確には言えませんけれども、そうしたものがあるということは少なくとも承知はしておりません。

岡本(充)委員 聞いていただいたように、ないんですよ。本当に、厚生労働省の中を見ても、こんな制度はないんです。企業に一定の害するおそれをもたらすような効果を、何の根拠もなく、何の条件も示さずに、ある日突然企業の名前を公表する。これ、私は、それをやったことが悪いとかいいとかという以前に、やはり、日本の法に基づいてさまざまな行政を行うことに逸脱しているんじゃないですか。こんなこと、ほかにないじゃないですか。

 もう一つ、私は確認をしたい。これは理事会でも協議事項になっていましたが、これ、マスキングを外せない理由は、過労死が端緒だということを気づかれるとまずい、今後の指導監督に影響すると言っています。しかし、先ほどから大臣は、過労死があれば是正指導に入るんだ、厳しく対応しているんだと答弁されていますよ。

 したがって、あのペーパーの中で、過労死の案件を取り上げてさまざまな省内の議論をしていることは、誰が考えたってわかる話なんです。あの時点で過労死じゃないですよ、まだ、あの時点では労災申請の段階でありますけれども。

 したがって、この過労死という文言を出してくる、過労死若しくは労災申請という言葉を出してくるということは、既にこれが端緒となって入るんだということを、もう厚生労働省、周知の事実として言っているわけですから、今さらそれを隠す意味は、今後の監督指導に支障を及ぼすおそれの三番はないのではないかと私は指摘をしたいんですが、それはどうですか。

加藤国務大臣 まず、先ほどの根拠法については、現在の公表基準、これについても実は根拠法はないということであります。ただ、通達として、一つの何か基準を出しているということでございます。

 それから、今の御指摘でありますけれども、私ども申し上げておりますように、労災、これは労災認定じゃないんですよ、労災の申請等があった場合にはしっかりと監督指導しようということは、これは通達で申し上げているということ、これは申し上げておりますが、ただ、何が端緒であったのか、そういったもの、あるいは、その関係で、どういう議論がなされ、どういった検討がなされてきたか、やはり、そういったことは、それを明らかにすることは、今後の監督指導に影響するということ。

 しかも、私の場合は、ちゃんと日付づけで、この時期、この時期、この時期、しかも、こういったこと、かなりマスキングな部分はありますけれども、項目的には出させていただいておりますから、それが一層明らかになるということもあって、そこは控えさせていただいている、こういうことでございます。

岡本(充)委員 これは、委員長、ぜひ引き続き、理事会で協議のテーブルにのせていただきたいと思います。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議します。

岡本(充)委員 おかしいですよ。やはりこれは、端緒になるということをもう既に公表しているんですから、これが端緒で入るということはあり得るんですから、ぜひそこは明らかにしていきたいと思います。

 時間ですので、これで終わります。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 六日に勝田東京労働局長が、今は前がつきますが、本委員会に出席をされて、集中審議をやりました。私が質問の冒頭に指摘をしたとおり、やはり、言ってしまったことを、後から、言っていないと後づけの言いわけを聞かされている、そういう感じがいたしました。あの記者会見議事録を見て、誰が納得しただろうか。言っていないなどということはやはり納得できないと思います。

 そこで、まず大臣に伺いますが、四月五日に東京労働局に届いたファクスが野村不動産の御遺族であることを既に認め、過労死を大臣も認められました。遺族はファクスで何を要請したんでしょうか。

加藤国務大臣 これは、御遺族との間で、ファクスの内容、その後電話等でやりとりをしておりますが、その中身については公表しない、こういう前提で対応させていただいておりますので、詳細を申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

 あと、その具体的な話はこれまで言っておりますから、何を公にするかについては、もうこれまで言っておりますので、答弁は省略いたします。

高橋(千)委員 労災認定されたことやその日付などは公表するということを、三点だということを既に報告を受けています。それ以上の中身については、やりとりの中で公表しないとお互いに合意したんだということを今大臣はおっしゃいました。

 そうすると、すごい不思議なんですよ。何のためにファクス送ってくれたんだろう。特別指導に至る大臣への報告書、黒塗りの文書は、結局、ファクスを認めても、一文字もあきません。何も変わりません。何一つ変わりません、ファクスが来る以前と。御遺族が勇気を振り絞ってファクスを送った意味が全くないではありませんか。その気持ちに、どういう形で応えるんですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 労災の請求につきましては公表しないという前提で御家族とのやりとりをしておりますので、詳細を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますし、御指摘をいただいている十一月十七日等の文書でございますけれども、これにつきましては、野村不動産に対する特別指導につきまして大臣に御報告申し上げました資料でございますけれども、この資料につきましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に照らしまして、個人情報の保護に加え、法人等の権利、監督指導の円滑な実施に支障を来すおそれがあるという観点から、必要なマスキングを施しているものでございます。

高橋(千)委員 今局長は、私が通告したことの答えを言ったんです。でも、通告したこと、まだしゃべっていないんです。

 聞いたのは、大臣に対して質問しました。何一つ変わらない、それでどうやって御遺族の決意に応えるんですかということを聞いたんです。大臣に聞きました。

加藤国務大臣 ここで明らかに変わったのは、これまで私どもは過労死あるいは過労死の認定があったということについては申し上げていなかったということであります。その認定があったということをここで申し上げた、これは、私は随分違う。

 要するに、これまでは、過労死そのもの、あるいは認定があったこと、これについては我々は答弁を控えてきたわけでありますけれども、先ほど申し上げた、御遺族の意向を踏まえ、また行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第八条第二項に基づいて、我々としてここまでということで一応範囲は限定しておりますけれども、その範囲の中において、労災認定あるいは支給決定があったこと、このことを明らかにした。そこは大きな変更点ではないかと思います。

高橋(千)委員 大臣はそれを大きな変更点と言いました。ですが、その過労死と今の起こっていることとの関係を一切認めないわけですよ。長時間労働を認めないわけです。そこが、本当に御遺族の気持ちに応えているのか、過労死を二度と起こさないという立場に立っているのか、そのことが問われていると思うんですね。

 局長、さっき答えたことはもう繰り返さないでくださいね、質問しますから。

 裁量労働制の、本来対象にならない労働者を裁量労働制として届け出ていたのが野村不動産であります。みなし労働時間のみなし効果が働かないということで、それをどういう形で指導するかというと、結局、残業代不払いという形で指導したことになるわけですよね。

 ここから先は一般論です。このような、みなし労働時間を設定しているけれども実際は裁量労働ではなかった、その働き方はやはり違法な長時間労働を疑うべきと思いますが、いかがですか。

山越政府参考人 恐縮です。御質問の趣旨を十分捉えられていないかもしれませんけれども、裁量労働制につきましては、自律的で創造的に働くことを可能とする制度でございます。そういう中で、みなし労働時間と実労働時間の間に乖離のある場合につきましては、あるいは、対象業務についていない、そういった場合につきましては、労働基準監督署がしっかりと指導を行っているところでございます。

 それから、今回提出させていただきました法案におきましても、長時間……(高橋(千)委員「聞いていない。要らない」と呼ぶ)

高橋(千)委員 みなし時間と実際の時間に乖離があるという場合はと今おっしゃいました。乖離があるということは、長時間労働だという意味じゃないんですか。だから、みなし労働時間を設けているんでしょう、本来裁量じゃない人たち。それが問題になったわけでしょう。

 この資料は、私、一枚しかつけておりませんが、左側に、東京労働局の特別指導についてということで、二十五日にやったという発表を二十六日に東京労働局が出した資料です。3、指導の概要の(2)のところに、当該労働者の労働実態から、違法な時間外労働及び割増し賃金の一部不払いが認められたということです。

 これは、違法な時間外労働というのは、結局、長時間労働隠しではなかったのか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、これは一般論でお答え申し上げたいと思いますけれども、監督の過程におきまして、裁量労働制の対象業務につかせていない、対象にならない業務についていた場合は、裁量労働制に基づくみなし労働制は適用されませんので、その部分は一般の労働時間の算定に従って計算することになりまして、その部分については必要な時間外労働手当を払っていただく必要がある、こういうことかと思います。そういった指導を労働基準監督署ではしているということでございます。

高橋(千)委員 それが結局、長時間労働になっているという実態なんじゃないかと聞いています。

 右側の資料を見てください。これは野村不動産のホームページです。同じ二十六日に、企画業務型裁量労働制にかかわる是正勧告、指導についてということで発表をされています。真ん中のところ、裁量労働制の対象者の一部に対し、同制度に基づくみなし労働時間が適用されない結果として、時間外労働に関する協定、いわゆる三六協定を超えた時間外労働が発生していることと企業は認めています。

 では、その企業の三六協定は何かといいますと、大変失礼ですが、山井さんが先ほど使った資料の五ページに載っていますね。黒塗りだけれども、ちゃんと書いているんです。左側、みなし時間は隠れていますが、三六協定の状況は、月四十五時間、年三百六十時間、特別条項、月八十時間、年五百四十時間。野村が、こうして三六協定を超えた時間外労働が発生していると認めています。

 当然、この後出てくる黒塗りの何段もなっているところは、まさに、この三六協定を超えている、イコール長時間労働が、実態が明らかにされていたと言える、当然そうなるのではありませんか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特別指導でございますけれども、これにつきましては、企画型裁量労働制が対象業務外ということで適用できず、みなしの効果が発生しないために通常の労働時間制度が適用になるものでございまして、そういったことから、違法な時間外労働及び割増し賃金の一部不払いが認められた。そういった、対象業務外に労働者をつかせていた、営業活動につかせていた、そういったことが制度を逸脱するものということで特別指導をして公表した、こういうことでございます。

高橋(千)委員 だから、企業が三六協定を超えていると言っているんですから、これは長時間労働でしょう。違いますか。

山越政府参考人 違法な時間外労働があったというのは御指摘のとおりかと思います。そういったことで特別指導をしているということでございます。

高橋(千)委員 今、違法な長時間労働とおっしゃいましたか。そこを認めないところに今回の問題があるんですよ。朝からずっと皆さんが議論しているのはそういうことなんです。

 長時間労働だけを認めない。裁量労働制に伴って過労死がふえるんじゃないかとか長時間になるんじゃないかと指摘されたから、そういう答弁ばかりしていて、そこの時間のところだけ隠している。裁量労働制に沿っていないということはちゃんとあいている、だけれども、時間にかかわる部分だけは隠している。これが不自然なんですよ。

 過労死が認定される前の日に指導したのも、それは公表基準に当たっちゃうからおかしい、だからこうなっちゃった、そういうことじゃありませんか、大臣。

加藤国務大臣 まず、委員御指摘のように、違法な時間外労働というのは、これはいみじくも会社が書いておりますけれども、いわゆる三六協定違反ということでございますから、当然、三六協定で決められた時間よりも長かった、こういうことはここで明確に申し上げているということでございます。

 その上で、具体的な話でありますけれども、公表基準の場合には、超えている場合を書いているわけでありますから、そこまで至っていないものについては特段入っていないわけですね、公表基準においても。全て出しているわけじゃありませんから。本件についても、公表基準上、別に公表基準があるわけではありませんけれども、そこまでの、我々が持っている公表基準にはいわば該当していないということで、その部分においては明示をしておりません。

 しかし、他方で、裁量労働の適用という面においては大変な問題があるということで、幾つか事例を、その具体的な話を申し上げ、その上で特別指導を行った、こういうことでございます。

高橋(千)委員 百八十時間の残業をしてこの男性が過労死をしたわけですよね。当然、全社的に、みんながとは言いませんよ、当然、そういう問題があった、それも、たくさんの方がそうした問題があったということでの指導だったんじゃないんですか。その指導の経過がこの黒塗りの中にあるんですよ。

 先ほど初鹿委員もおっしゃった、愛知労働局が昨年九月四日に公表した是正指導では、個々の事業場名は伏せていますけれども、八十時間を超える時間外労働、休日労働が認められた労働者数、労働者数を発表しているわけですよね。一昨年の公表基準による公表、これは旧基準なんです、新しい基準の前にたった一社しかない、千葉のエイジス。だけれども、同じ形で公表しているんですよね。

 だから、特別指導として企業名を公表したにもかかわらず通常の基準にある公表制度ほどの中身がない、おかしくないですか。

加藤国務大臣 ですから、こちらは公表基準にのっとって出しておりますから、公表基準上該当するところ、これは出させていただいている。

 ただ、今件については、これは、先ほどから御説明を申し上げておりますように、この公表基準に該当しておりませんから、その中で何が問題であったということ、これについて、先ほど申し上げた、法の趣旨を大きく逸脱した内容はどういうことなのか、あるいは結果としてどういうことが発生しているのか、そのことを申し上げ、そして、全体として、やはりこういったことをこのままにしていくということではなくて、それを広しめる、公表することによって、しっかりこうした制度を守ってもらっていく、そういった流れをつくっていこう、こういうことであります。

高橋(千)委員 六日にも指摘した公表通達ですが、勝田氏は、公表通達に沿った指導ではないと明言しました。山越局長は、私の質問に、別の基準で公表を決めたと答えた。この答弁は訂正しませんか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 四月六日の私の御答弁でございますけれども、これは、私の申し上げた趣旨は、公表通達、これは違法な長時間労働等が複数の事業場で認められた企業に対する指導公表制度でございますけれども、に基づく公表の対象ではないという意味で申し上げたものでございます。

高橋(千)委員 しかし、その黒塗りがあかない限りは、沿っていないか、そうじゃないかはわかりませんよね。当然、可能性があると言えませんか。三六協定を超えた時間外労働があったと企業が認めています。違いますか。

山越政府参考人 今申し上げましたように、今回の東京労働局長の特別指導でございますけれども、これは、御指摘がございました公表通達に基づく公表の対象ではなかったというふうに認識をしております。

高橋(千)委員 何の答えにもなっていません。

 公表通達では、企業トップに対する局長の指導は、指導書を交付することになっています。なぜ今回は口頭なんですか。端的に言ってください。

山越政府参考人 今回の特別指導でございますけれども、これは、労働基準監督署における監督指導の結果、法の趣旨を大きく逸脱しているものにつきまして、労働局長が企業の幹部に対しまして特別に指導を行ったものでございまして、これは、東京労働局長が、個別の事案の状況に応じまして、指導の方法も含めその実施を決定し、行ったものと承知をしております。

高橋(千)委員 今回の東京労働局長の記者会見ですら、ですらですよ、みんな取材の方が立ち会っていて、議事録まであっても、言ったと書いているじゃないと言っても認めない状態なんですよ。それを、口頭で指導する、そんなことができますか。口頭といえば、逆に重みがなく、根拠が明確でありません。企業名公表という重い指導でありながら、企業名を公表するという重い指導でありながら口頭とは、理解できません。

 東京労働局は、確かに本社がある労働局です。ですが、全社的指導と言っているわけですから、五都県にまたがる問題です。支社を所管する労基署との調整は、いつごろ、どのように行ったんですか。

山越政府参考人 今回の特別指導でございますけれども、これは、東京労働局から本省への相談の上、行われたものでございます。

 相談を受けての対応の詳細につきましては、個別の事案に関することでございます、また、監督指導の円滑な実施に支障を来すものでございますので、詳細についてはお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 やったのかどうかだけ教えてください、調整を。

山越政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、相談を受けての対応、その詳細につきましては、個別の事案でございます、また、監督指導の円滑な実施に支障を来しますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 ちょっと驚きますよね。全社的な指導と言っているのに、所管している労基署に相談したかどうかも言えない。はっきり言って、局長、出る幕なかったんじゃないですか。だって、口頭でしゃべっただけでしょう。現場は、是正勧告なり、立入調査なりしているわけですよ、文書で。文書で出せば、当然、返事をもらわなきゃいけない。改善したかどうかを確かめなきゃいけない。そういう、現場は厳しく向き合っているんですよ。それに対して、その現場の声も聞いたかどうかも答えられない。それで、口頭で。何をしゃべったんですか。

山越政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この指導の方法でございますけれども、東京労働局長が、事案に応じまして、指導の方法も含めまして判断をして、実施を決定したものでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、この特別指導でございますけれども、多くの御意見をいただいております。今後、そのルール化、そういったことはしっかり検討していかなければいけないと思っておりまして、御指摘のようなことも含めて、今後、検討をしていきたいと思っております。

高橋(千)委員 今、何を検討されると。

山越政府参考人 この特別指導につきましては、今後、そのルール化につきまして、例えば公表の方法なども含めまして、それは、私ども課題を捉えて検討をしてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 今後は当然ですが、私は、今の問題は曖昧にできません。野村不動産の問題はこのままにはできません。

 特別指導の結果はどうやって得られるんですか。口頭で言ったから、口頭で返事をもらうんですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の指導でございますけれども、当該企業におきまして、対象業務に該当しない個別の営業活動に労働者をつかせていた、そういったことが全社的に認められた、そういうことについて是正を図るよう特別指導を、社長に対して指導したということでございます。

高橋(千)委員 結果を聞いているんです。どのような形で結果をもらうんですかと。

山越政府参考人 これにつきましては、特に、こういう形でいつまでにということで定めて指導しているものではございませんで、いずれにいたしても、是正を図るよう特別指導を行ったというのが今回の指導であるわけでございます。

高橋(千)委員 言いっ放しということですね。こんな無責任なことありますか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 これは個別の事案でございますので、どういうふうにするということは控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論といたしまして、これは、署の方の指導、含めてやられているわけでございまして、そういった中で必要な報告がなされる、一般的な取扱いとしてはそういうことだというふうに思います。

高橋(千)委員 意味がわからないです。特別指導なのに、一般的にはって、どういう意味ですか。言いっ放しなのかと聞いているんです。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 指導をさせていただいたことにつきましては、何らかの形で御報告されて、確認……(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛に願います。

山越政府参考人 いただくものだというふうに思っているところでございます。

高橋(千)委員 大臣、どうですか、これ。特別指導は口頭である、その返事はもらうかどうかわからない。何らかの形ですよ。あり得ないですよ。

 これは全く今の案件とは違う問題ですけれども、福島労働局が、勧告を受けたので、報告書、まあ黒塗りですよ、でも、これは、普通、監督復命書とあって、どういう事情で立入りしてやったかというのを丁寧に書いているんです。書面でやるのが普通ですよ、労基署って。当たり前じゃないですか。それに対してちゃんと報告をもらうんですよ。

 何らかの形でって、そんなものを特別指導って呼ぶんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 報告をいただくことになっているというふうに承知をしております。(発言する者あり)

高鳥委員長 高橋千鶴子君、質問を続けてください。

高橋(千)委員 ちょっと余りにも、今のは他人事だよね、承知していますというのは。

 これは、普通であれば、ちゃんと期限を区切って、改善されたかどうかを見ますよね。いつまでと期限を区切ったり、どういう形で報告してくれとか、答えていただきたい。それが答えられないんだったら、そういうふうにやったのかどうかを答えていただきたい。

高鳥委員長 速記とめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案でございますので詳しくは申し上げられませんけれども、報告するように会社に求めているところでございます。(発言する者あり)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 特別指導をしたことに対して是正した状況について報告することを求めているところでございます。(発言する者あり)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ちょっと答弁が多少錯誤して申しわけないので、ちょっと整理させていただきます。

 あそこにおいては全社的にと言っておりますから、当然、全社、各、本社と事業所に対してそれぞれの監督署が調査等している。それを踏まえて、全社的にと言っているわけでありますから、そういった意味でも東京局は、東京局以外もたしかあったと記憶をしておりますから、東京管内以外の、野村不動産のですね、ありますから、そこを管轄するところとは連携をしていたということは、これは当然のことであります。

 それから、その上で、それぞれの監督署においては是正の指導を行っております。そして、当然、是正を指導するときには、それぞれの事業所ごとに、こうしてくれ、ああしてくれ、そして、それに対してどう、報告を求めているわけでありますから、その上に立って東京労働局長は、こういう問題があって、これを全社的だから是正してくれ、こういうことを言っているということでありますので、私の承知している限り、少なくとも、東京局長がその場で社長に対して、いついつまでにどうのこうの、こういう言い方をしているというのは承知をしておりませんが、ただ、今申し上げたように、個々の監督署において、そうした是正の指導がなされ、そして、それに対してどうなっているかというのを一つ一つチェックする、そういうことを通じて、この是正の指導がしっかりと行われるかということを我々として見ていくということでございます。

 一つ一つ、いつまでにとか、そういう詳細なことは事案の関係上申し上げられませんが、全体としてはそういうスキームになっているということでございます。

高橋(千)委員 きょうはここで言い切りにしますから、続きをぜひやらせていただきたいと思います。

 調査を踏まえ連携をするのは当然のことですと今大臣はおっしゃいました。ですが、六日の勝田前局長は、私の質問に対して、公表基準のことを聞いているんですけれども、今回は、本社で直接問題が起こったことによりまして、本社及び社長を呼んで指導したものと答えている。なので、本社なんだ、じゃ、あとのところは、全社的にといいながら調整したのかなという疑問があったわけです。口頭だから何を指導したかわからない、何を指導したかわからないから、どういうバックが返ってくるかもわからないんです。その特別指導の意味は何なのだということを改めて聞きたかったわけです。

 今大臣がはしなくもおっしゃったように、各労基署はきちんと紙を出して指導して、紙を出してバックしてもらっています。それを、あえて口頭の特別指導をやって。それはやはりキャンペーンでしかないというふうに思われるのは当たり前なんです。

 さっき、一言だけ紹介しますが、十二月二十六日、記者会見した同じ日に、渋谷労基署はNHKに指導していますよね。これは、裁量労働制の佐戸未和さんが亡くなったことをきっかけに、事業場外みなし労働ではなく、裁量労働制にしたんですね。そうしたら、そのみなし労働時間が七時間半。余りにも短い。余りにも短いから適切じゃないといって指導したんです。やはり、裁量労働制というのは矛盾なんですよ。はなから十何時間とみなしできないでしょう。でも、やはり、八時間前後にしちゃったら、どうしても長時間になるんです。それをわかっているから、あるいは、佐戸未和さんの過労死で学んだからこそ、そういう指導をしたんでしょう。同じ日ですよ、記者発表した日と。

 そういうことがちゃんとできなければ、ただ口でしゃべった、何を言ったかわからないんだ、そんな曖昧なことはできません。それを明らかにするためには、私は必ず時間が書いてあると思います、黒塗りを開示するべきです。委員長にお願いをいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

高橋(千)委員 終わります。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案及び池田真紀君外九名提出、生活保護法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府公益認定等委員会事務局長相馬清貴君、財務省大臣官房長矢野康治君、文部科学省大臣官房審議官信濃正範君、スポーツ庁スポーツ総括官齋藤福栄君、厚生労働省健康局長福田祐典君、医薬・生活衛生局長宮本真司君、社会・援護局長定塚由美子君、保険局長鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 三十分ということで、貴重な時間ですので、早速質疑に入りたいと思います。

 まず、今回議題となっております生活困窮者自立支援法の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。

 安倍総理は、以前、施政方針演説で、「どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。」と述べていますね。

 全世帯で七三・二%の子供が大学等に進学している。しかし、生活保護家庭に限定するなら三三%、そして、児童養護施設や家庭養護の子供でいうならば、二三・二%にすぎません。

 生活保護受給世帯の子供が大学等に進学する場合は、その子供分は生活保護の給付の対象外とする、いわゆる世帯分離の取扱いが行われています。給付型奨学金の活用や学費の減免などの既存政策の拡大ももちろんしていかなければいけませんが、この世帯分離という措置での大学進学ではなくて、世帯内就学という形での、事実上の生活保護世帯の子供の大学進学を認めるような運用に変えてはいかがかと考えますが、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 そもそも生活保護は、資産や能力その他あらゆるものを活用することを要件としておりまして、この原則によって、生活保護世帯の高等学校卒業者については、高等学校への就学によって得られた技能や知識を活用して、就労できる方は就労していただく。

 しかしながら、大学等への就学が御本人や世帯の自立助長に効果的である、そういった側面もあります。したがって、世帯分離を行って、大学等へ進学した分の保護費を支給しないことにより、同居を続けながらも就労が求められずに大学等に就学することができるようにということで、今委員御指摘の世帯分離という態様がございます。

 生活保護費を受給しながら大学等に就学することについては、一般世帯でも高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方等が一定程度あり、アルバイトなどでみずから学費や生活費を賄いながら大学等に通う方とのバランスを考慮する必要があるということ、また、社会保障審議会の部会での報告書では、大学等進学後の教育費、生活費は生活保護に限らず、したがって、生活保護受給者だけではなくて、国全体として支えていくべき課題だ、そういった学生さんをどう支えていくのか、こういった意見もあったということでありまして、慎重に検討していくべきだというふうに思っております。

吉田委員 大臣としてそのようにお答えになるだろうと予想して、その後、ちょっと細かく討論していきたいと思います。

 大臣、そうすると、なぜ、かつて、一九七〇年に、高校進学に伴う世帯分離がなくなったのでしょうか。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、生活保護費を受給しながら高等学校等へ就学すること、これは世帯内の就学ということで、昭和四十五年から、当時の全国平均の進学率が約八〇%になった事情等を考慮して、これを認める取扱いになったというふうに承知をしております。

 ただ一方、社会保障審議会部会の報告書では、給付型奨学金の拡充や社会人の学び直しの支援など大学等の役割が議論されている中で、大学等進学後の教育費、生活費は生活保護制度に限らず、国全体として支えていくべきではないか、また、高等学校卒業後直ちに就労することも肯定的に捉え、多様な選択肢を確保するという観点でも考えていくべきではないか、さらには、大学等に進学しない子供さん、あるいは生活保護世帯以外の低所得世帯の子供とのバランスの考慮、こういった意見もありまして、大学等に就学すれば、就労を求められずに生活保護費を受給できる取扱いとするということについては、社会全体における大学等への進学率のみではなくて、今申し上げた点も含めて、総合的に慎重に検討すべきだというふうに考えております。

吉田委員 おっしゃるとおりでして、大臣は今しっかりと御答弁いただいたんですが、当時、高校進学が当たり前になったということですよね、一九七〇年の措置に関しては。つまり、進学率が上がった。大臣もさっきおっしゃいましたけれども、八〇%を超えたからということが一つの目安になったと。当時、一九七〇年の記録を調べると、そのように私も心得ております。

 それでは、大臣、大学進学率について、もう一度ちょっと深く議論をしたいんですが、二〇一六年の内閣府の統計では、先ほど述べたように、七三・二%。確かに、八〇%には満たない。これをもって、塩崎前大臣は、実は、昨年の一月ですかね、衆議院の予算委員会で、八〇%未満であるので、生活保護費を受給しながら昼間の大学に就学する仕組みとなっていないと答弁されていました。

 しかし、これは大臣、現役生だけの進学率なんですね。浪人生を含んだ文部科学省の高等教育機関進学率というのは、二〇一四年で既に八〇%、二〇一七年では八〇・六%。つまり、もう八〇%を超えているんですね、大臣。これはどう考えても、先ほどの一九七〇年の措置は、やはり、それが当たり前となったからそういう措置をした。先ほど大臣がおっしゃった、ほかの困窮世帯とか、いろいろなバランスは大事なんですけれども、基本的にこれだけの数字になっていると。

 そういうことを踏まえると、この一九七〇年の先例、そして塩崎前大臣の答弁をあわせてみると、そろそろ、大学進学に伴う世帯分離自体を見直す、なくす機が熟したのではないかと思うんですが、大臣、一言お願いします。

加藤国務大臣 支援がそれしかないということであれば、そういう議論もあるのかもしれませんが、ただ、今、政府の中において、昨年の経済政策パッケージの中で、大学等に進学する人に対する、まず授業料を免除するというのは、これは今もやっている部分がございますけれども、それをどうしていくのか、加えて、生活費部分をどう支えていくのか、どういう範囲にするのか、議論がされているわけでありますので、そういったものとのバランスもあると思います。

 というのは、生活保護世帯だけで切るのか、もう少し低所得の方もいらっしゃるわけでありますし、また、その中で、どこまで進学に対して強い希望を持っているのか、あるいはそれだけいろいろ勉強されておられるのか、あるいはこれからどう伸びていかれるのか、いろいろな要素があると思うので、そこはどういうところで見ていくのかということも含めてこれは議論すべき話なんだろうというふうに思います。

吉田委員 大臣、そのとおりなんです。例えば、大学に進学することだけが全てではないですからね。先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、専門学校に行ったり、いろいろな技能を習得するということ、それが大事ですので。

 いずれにせよ、総理もおっしゃっているわけでありますから、引き続きしっかりとした議論をしていただきたい。そういった機が熟して、その必要があるとなれば、そういったこともやはり考えていただきたいと思います。

 引き続き、本法案において、就学準備給付金の創設というものがございます。生活保護世帯の子供の貧困の連鎖を断ち切るために、大学等への進学を支援することと認識しております。自宅通学の方は十万円、自宅外通学で三十万円とする給付額については、やはり当該金額では不十分だ、これでは大学等に進学することはできないという意見は少なくありません。

 厚生労働省は、民間団体が行った調査を参考にするなどして給付金の給付額を決定したと説明していますが、給付金の使途としてどういったものを想定して、また、その使途に見合う金額であるのかどうか、給付金の算定根拠はどのようになっているのか、これを大臣、お答えいただきたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 進学準備給付金の算定根拠ということでございます。

 今御指摘がありましたように、自宅生十万円、自宅外生三十万円という一時金としておりますが、これは、生活保護世帯のお子さんが進学後の新生活を立ち上げる新生活立ち上げ費用ということを念頭に置いておるものでございます。

 これは、生活保護家庭の場合に、ほかの御家庭と違いまして、進学時の新しい生活を立ち上げるための経費を親世帯から受けるということができないということに基づくものでございまして、なかなか最初の費用というのが賄えなくて大変であるという声もお聞きしているところから、このような経費を設けたいとしているところでございます。

 具体的には、先ほども御紹介ございましたけれども、民間団体、具体的には全国大学生活協同組合連合会でございますけれども、こうしたところの経費を参考としながら、今申しましたような新生活立ち上げ費用として適当な経費を総合的に勘案して決定をさせていただいたところでございます。

吉田委員 全然答えになっていない。算定根拠をもうちょっとはっきり。もう一回しっかり、算定根拠をちゃんとはっきりと。

定塚政府参考人 今申し上げました全国大学生活協同組合連合会の調査でございますが、自宅生の場合、家財道具と家電、衣類、身の回り品等で約九万円、自宅外生の場合には、これらに加えまして寝具や家具、自炊用品等で三十二万円という経費がございます。

 こうしたことを賄える経費ということで算定をいたしたものでございます。

吉田委員 まあ、大体そういうお答えしかできないと思うんですけれども、全然足りないわけですよ。もうこれはわかっているわけで。

 そこで、私、ちょっとお伺いしたいんですけれども、生活保護世帯の高校生のアルバイト。大臣御承知のとおり、基礎控除一万五千円分と未成年者控除一万一千六百円の合計二万六千六百円というのは控除の対象になるんです。それ以上のアルバイト代は、実際、修学旅行費の積立てだとかクラブ活動の費用、学習塾の費用、私立高校における授業料の不足分以外の分は生活保護費から減額されますね、大臣。だから、これはどう見ても、今回の給付額では十分じゃない。

 先ほど大臣も、アルバイトをしながら、生活困窮の世帯でも大学生活を送ったり学生生活を送るとおっしゃったわけだから、そもそも、こういった控除の枠の中に、大学進学に向けてのアルバイト貯蓄というものも認めるべきじゃないでしょうかね。大臣の御意見を聞きたいと思います。

加藤国務大臣 生活保護世帯の高校生のときのアルバイト収入については、平成二十六年度から、大学等の入学料や受験料など、進学のために、高校生でいる間に事前に必要となる経費に充てる場合には、これは収入として認定せずに、手元に残すことを可能としたところであります。

 さらに、平成二十七年十月からは、学習塾費についてもこの収入認定除外の対象にし、また、本年四月からは、大学の受験に必要になる交通費や宿泊費についても、収入認定除外の対象となることを明確にしている。そういった形で、受験までに至るところについてはいろいろ対象にしているわけであります。

 ただ、他方で、生活保護制度は、困窮のため最低限の生活を維持することのできない者に対して、最低限度の生活を営むために必要な範囲で給付をする、こういう考え方になっておりますから、高校生等のアルバイト収入を、将来、大学等の進学後に必要となる授業料に充てる目的で収入認定から除外するというのは、今のくくりで、今のこの整理、先ほど世帯分離の話もありましたが、生活保護受給者でなくなった後の将来の需要に対して実質的に生活保護費を充てる、そのために生活費をとっておくということになるので、そのことについては慎重な検討が必要ではないかというふうに思います。

 ただ、先ほどから申し上げておりますように、それから後の大学時代の生活費等をどう賄うかについては別途議論しているわけでありますから、そういった議論も見ながら考えていくべきではないか、こう思います。

吉田委員 先ほど大臣も、御答弁の中で、大学の苦学生、アルバイトしながらの苦学生の話もされていましたから、ぜひここも、一定のルールは必要だと思いますけれども、ちょっと御検討いただいて、私は、これは余り弊害が出るようなルールじゃないと思いますので、大臣、ぜひこういった委員会での議論も踏まえてしっかりと前に進めていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。これはお願いだけして終わります。

 せっかく政務官も来ていただいていますので、ちょっと順番を入れかえまして、生活困窮者の地方移住についてちょっとお伺いしたいんですね。

 都市部の生活、居住というのは大変高額なわけであります。また、地方都市でも、別に、快適で安価な住環境があって、有効求人倍率が極めて高い自治体もありますよね。今国会でも、実は既に、例えば、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案だとか又は地域再生法の一部を改正する法律案とか、こういったものが議論されているわけですよね。

 地域創生ということでは、地方が活気を取り戻す政策を進めて人口減を防ぐ一策としても地域移住も進められているわけですよね。お詳しいと思いますが、二〇二五年を目途とする地域包括ケアシステムも、地域の活性化とセットでなければ絵に描いた餅になるんですよ、絶対に。

 その中で、もちろん、絶対、強制なんかしちゃいけませんよ、強制なんかしちゃ、これはもってのほかですけれども、希望する方や、その方が世帯にとってよりよいと思われる生活保護受給世帯を、そういった快適で安価な住環境があって、有効求人倍率がとても高い自治体へ移住を可能とする施策、そういったものも考慮に値するのではないかなと思うわけであります。

 ただ、現在は、生活保護受給世帯がそれを望んでも、例えば仲介業者に支払う高額な手数料などで尻込みをすることもしばしばあるわけでありますが、こういった地方移住に対しての準備金を用意するだとか、それを何かいろいろ政府として手助けをする、準備金だけじゃなくてもいいですよ、さまざまなことでそういったことをする。あるいは、生活保護世帯の大学進学、さっき大臣と議論させていただきました。これも、地方大学にいっぱいいいところがありますよ、大臣。そういったところに入学をしやすくする環境づくりなど、必要な施策はあまたあると思いますが、大臣政務官、いかがお考えでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 都市部で暮らす方の地方への移住につきましては、農村、漁村への定住意向が各年代で増加傾向にございます。また、東京在住者の四割が地方へ移住したいと考えているといった調査結果もあることなどから、地方への移住希望を持つ生活に困窮されている方も一定程度存在するものと考えております。

 厚生労働省といたしましては、個別自治体において、大都市圏の生活困窮者が地方において就労や社会参加するための支援といたしまして、送り出す自治体と受け入れる自治体間での役割分担の上、移住候補者のニーズ把握を含めまして、生活困窮者自立支援制度による包括的な支援を実施するとともに、委員御指摘のように、地方創生の枠組みを活用いたしまして、就労先の開拓や、地域住民との交流等による生活環境の整備の実施を行うなど、人を支える支援と、また受皿づくりを一体的に進める試みが行われているといった事例があると伺っております。

 例えば、大阪府の豊中市と高知県の土佐町におきましては、既にこうした事業の取組が行われております。

 移住先でのこれらの取組状況やその成果をもとに、関係省庁と連携しながら、移住を希望する生活困窮者が地方へ移住を選択できるように、さまざまな仕組みのあり方について、こういった自治体の事例も収集し、その提供を行ってまいりたいと思います。

吉田委員 ぜひ進めていただきたいんです。

 ちょっともう一問、では、今の関連でお伺いしたいんですけれども、実際、東京一極集中が、大臣も思われている、これは本当に問題ですよね。さまざまな意味で問題です。

 東京二十三区と仮に仮定してもいいですけれども、そこから地方への移住をした事例がどれくらいの数字とか、どれくらいの成果が出ているのか、ちょっとデータをお持ちだったら。もうちょっとはっきりとしたデータをいただけると、皆さんわかりやすいと思いますので。

大沼大臣政務官 現段階で、ここで詳細なデータについてはちょっとお答えすることができないので、また後ほど御説明いたしたいと思いますけれども、例えば、シングルペアレントの母子家庭の方の移住支援とかを、さまざまな自治体とか、あとNPOの方も行っていると伺っております。そういった事例、また調査等もしっかりと受けとめて参考にしてまいりたいと思います。

吉田委員 ぜひ、政務官、大臣も、実態把握をちょっとしていただいて、これは大事な施策だと思いますよ、はっきり申し上げて。かなり重要な施策ですので、ちょっと実態把握と、またデータを我々にお示しいただきたいということを要望して、次の質問に移ります。

 では、順番をまた戻しまして、後発医薬品等々の、いわゆる生活保護法、社会福祉法にある、生活習慣病の予防等の取組の強化、医療扶助費の適正化という部分が今回あると思うんですが、医療扶助費のうち、医師等が医学的知見から問題ないと判断するものについて後発医薬品で行うことを原則化するとあるわけですが、後発医薬品の使用を原則化するということは、患者の医薬品を選択する権利や、そもそもの医者の処方権を奪うという側面もあるわけです。また、生活保護受給世帯に対してのみ後発医薬品を原則化するのは差別であると捉えられやすいと考えるんですが、大臣の所見を簡潔にいただければと思います。

加藤国務大臣 もともと、医療保険制度では、効率的な医療の提供を推進する観点から、後発医薬品の使用を促進するため、これまで、処方箋の様式を累次にわたって見直す、そして、医師が後発医薬品を処方しやすく、また、薬局においても後発医薬品の調剤をしやすくするということで、累次の対応がなされてきたところでございまして、薬局において後発医薬品の銘柄を選択するということになるため、銘柄が多岐にわたっていても、医師が処方ごとにそれらを調べることなく、後発医薬品の処方が可能になっている、こういった制度であります。それが一般的な話であります。

 この生活保護制度についても、前回の改正において、被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことを法律に定めるなど、これまでも医療扶助における後発医薬品の使用を促す取組を進めてまいりましたけれども、なかなか、使用割合の伸びが鈍化をしておりまして、また、地方自治体からも、使用割合を八〇%にするという政府の目標に向けて更に取組を進めるためには、運用ではなく制度的な対応として後発医薬品の原則化が必要という意見もあり、今回の改正では、一定の条件を満たす場合に、後発医薬品の使用を原則としているわけであります。

 ただ、この運用に当たっては、患者である生活保護受給者に対して、福祉事務所において新しい仕組みの趣旨や具体的な取扱いを十分説明をするとともに、処方を行う医師、歯科医師、さらには薬局において、後発医薬品の使用について適切に説明をいただくことになっております。

 実際、後発医薬品の使用を可能とする処方を行った場合でも、患者さんが御自身の状況を十分に医師に伝えられず、また薬局において、どうも後発医薬品を使うのは心配だよ、こういったことから必要な服薬が期待できないと認められるような場合には、薬局から処方した医師等に確認がなされ、医師等が医学的見地に基づき先発医薬品が適当であると判断した場合には先発医薬品を調剤する、こういう仕組みにもなっているわけであります。

 また、このほか、福祉事務所が、患者からの相談を受けて、改めて処方した医師との相談につなげる、こういうことも、そういったルートもつくっております。

 いずれにしても、そうした中身について、よく生活保護受給者の方々に周知を図っていくとともに、医師等関係者に対しても、円滑な対応への協力をお願いをしていきたいというふうに考えております。

吉田委員 大臣に大分細かく答えていただいたので質問を少し飛ばしますが、実際に、医師が先発薬や後発薬を処方するとしますね、大臣。それを、調剤薬局が自身の薬局の在庫である後発品に実態はかえているのが事実なのも、大臣御存じだと思います。そういったところで、医師は、結局、どの後発品に変更されるかわからないんですよ。また、それによって、場合によって、効果に疑問があるということもあるんです。

 例えば、医師が信頼できる後発品を指定できるようにすると、医師の好みごとにそれらをずらっとそろえるとなると、調剤薬局の負担も極めて大きくなるわけであります。それなら、もう結局院内処方で、医師みずからが信頼できる後発品を処方することの方がメリットが大きくなると思いますけれども、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 そもそも、医師をされておられるということもありますので、実態には精通されているのではないかというふうに思いますが。

 薬局において、処方された医薬品に重複等があると疑われる場合には処方医に確認したり、調剤後も患者の状態を把握して、処方医へのフィードバックや残薬管理、服薬指導、これを行うことは、患者の適切な服薬、治療にとって非常に重要だということで、これは別に生活保護だけではなくて、通常の患者さんにおいても同じことだということであります。

 その上で、生活保護受給者で医療を必要とする方が大変多いわけであります。また、その場合に、医療扶助と他の公費負担医療の両制度、例えば障害者総合支援法に基づく自立支援医療等々、他の制度で調剤を受ける場合には、これはレセプトを使った事後的な重複調剤のチェックも現状では大変難しいということから、やはり薬局が一カ所であることのメリットというのはあるのではないかと思います。

 また、受診医療機関が一つだけの場合には、診察から調剤までその医療機関において把握できるということで、今委員のおっしゃるところはあると思いますが、複数の医療機関を受診している場合には、やはり、先ほどの問題から考えて、薬局を一カ所にするという対応というのにもメリットがあるというふうに考えております。

吉田委員 大臣、そこまでしっかりと御理解いただいているんだと、もうちょっと踏み込んでお話しすると、現在の政府の後発品推進をされているわけじゃないですか、これは生活保護関係なく。調剤薬局が主導で後発品の処方を、実際インセンティブがついていますから、ふやしていますよね。ただ単に医療扶助費の削減だけが主眼であるということなのであれば、いっそ、さっき言ったように、生活保護受給者の薬剤処方は、院内処方に本当にインセンティブをつけて、院内処方に回帰させた方がいいと思いますよ。

 なぜかというと、今回の、今大臣がおっしゃった仕組みの問題もあるんですよ。福祉事務所の保健師さんが、頻回受診の抑制とか、医療機関受診の際に付き添うということが考えられていますよね。だったら、そのときに院内処方の処方薬と薬剤もちゃんとチェックしてあげれば、何も調剤薬局を一カ所にしてチェックする手間も省けるし、何といっても調剤料が大きく下がって、医療経済的にはすごくプラスじゃないですか、大臣。

加藤国務大臣 受けるべき例えば診療所自体が、そうした生活保護だけ、生活保護を受けている方、これを対象にしているということであれば、おっしゃるようなこともあるのかもしれませんが、通常は保険医療もされておられるわけです。保険医療に関しては、院外処方という、院外調剤ですかね、というやり方になるわけでありますから、そうすると、両方やっている場合に、生活保護の方だけ院内、それ以外は院外、これはなかなか正直言って難しいのではないのかなというふうには思います。

吉田委員 本当はちょっと野党提案のあれなんですけれども、登録がされていなかったですかね、通告。ごめんなさい。じゃ、また次回のときにちょっとさせて、ごめんなさい。ちょっと私の方の事務的なミスで。じゃ、続けさせていただきます。

 大臣、これは本当に、医療財政、緊迫化していますよね。適正なところにやはり適正なものを充ててあげなきゃいけないというのはもう事実なんです。だから、やはり、今大臣おっしゃっていましたけれども、仕組みとしてはどんな医療機関でもこれはできますよ。できますので、ぜひ、ちょっとこの委員会を契機に、大臣、大変見識があるので、進めていただきたい。

 引き続いて、頻回受診の適正化についてちょっとお尋ねをいたします。

 現在、医療機関を受診する生活保護の受給者の方で、一日にもうすごい複数の科、十個とか、かかる方が実際いらっしゃるんです。私が診察していた方でもそうで、例えば、私が以前勤務していた病院では、頻繁に軽症と思われる症状で救急車で来るんです、大体。救急車で来るだけならいいんですけれども、入院はもう必要ないよ、軽症だからもう帰りなさいと言うと、納得せずに、最後、大体看護師さんを殴って、パトカーで帰るという、まあ、来るのも税金、帰るのも税金という方も、これは大臣、笑っていますけれども、本当にいらっしゃるんですよ。

 こういうのは極端な例ですけれども、本当に必要なところを手厚くしたいですね、我々。それは大臣も我々も、ここにいる全国会議員そうだと思うんですけれども、やはりこういった部分にはメスを入れる必要があると思うんですね。

 ただ、医師には応招の義務というのがあります。大臣、医師や医療現場が明確にこれはおかしいと判断する一定以上の頻回及び多科受診に関して、福祉事務所に医療側から助言をする、提言をするとか、そういうルールづくりも必要じゃないかと思うんです。さっきの、保健師さんが回ってということ以前に、医療側からやはり状況を報告させるルールづくり、岡本先生は今いないけれども、よく医師だと現場で必ず遭遇することなんですけれども、大臣、ここをどうされるか、今の段階での、この今回の法案も含めて、ちょっと御意見をいただきたいです。

加藤国務大臣 今回も、頻回受診対策について、同行するとか、あるいはそれに対するチェックの仕方について見直しをしようとしているわけでありますけれども、今委員御指摘のように、主治医の方と連携をとる、これは非常に大事なことだろうというふうに思います。

 今後とも、主治医等々と十分連携をしていく、その中で対策を講じていく。そのために、今御指摘のように、更に何か対応することがあるのならば、そういったものもよく研究をして、連携をとりながら、本当に必要な受診はしていただければいいわけですけれども、いわゆる頻回と言われる、必要度を超えているようなもの、これに対してはしっかり抑制をしていくということが、財政的なことだけではなくて、生活保護の方がやはり健康を確保していくという意味においても非常に大事なことなのではないかと思います。

吉田委員 大臣、今の答弁ですと、しっかりそういったところも考えていただけると私は受け取りましたので、本当にぜひこれはやっていただいて、やはり、不要なものはなくして必要なところに手厚くというのは、これはもう絶対に必要なことですので、ぜひお願いします。

 私、野党の提案の法案にも質問したかったんですが、時間も来ましたし、ちょっと通告の、済みません、私のミスがありましたので、次回、またぜひ時間をいただいて、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 ただいま御指名をいただきました、立憲民主党・市民クラブの長谷川嘉一でございます。

 きょうは、法案、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法の一部を改正する法案について、まず御質問をさせていただきます。

 私も、これについては、十二月六日の初質問のときにも触れられた内容でありますので、若干しつこく思われるかもしれませんが、大変重要な部分でございますので、ここに少し集中をしてみたいと存じます。

 まず、総務省統計局がことし三月一日付で発表された平成二十九年十月一日の人口確定値を見ますと、人口全体でマイナス〇・一八%、六十五歳以上ではプラス一・六二%でした。

 医療の需要、医療を必要とする割合は、当然、高齢者ほど高くなります。医療扶助受給者のおよそ七割が六十歳以上であること、また、そのうち六十五歳以上の高齢者がおよそ四六%であること、また、人口全体が縮小していることなどを勘案したとき、確かに平成二十七年度で医療扶助費の増減率はマイナスからプラスに転じてはおりますが、六十五歳以上の高齢者が現在より少なかった平成二十一年度、二十二年度は八%を超えております。

 医療扶助受給者の高齢化等を考えますと、医療扶助費の増加率は果たして高いと言えるでしょうか。厚生労働省の御見解をお聞かせください。

定塚政府参考人 生活保護の医療扶助費の伸びについてのお尋ねでございます。

 生活保護については、受給者数については全体で減少傾向にあるものの、医療扶助費は引き続き増加傾向にあるという状況でございます。二十八年度の実績では一兆七千六百二十二億円と、生活保護費全体の約四八%、五割弱を占めているという状況でございます。

 この医療扶助費の伸びについてでございますが、二十七年度について三・二%となっておりまして、この伸びの要因を分析いたしますと、被保護者数の影響、これは被保護者数、減っておりますので、マイナスの〇・一%。一方で、御指摘ありましたように、被保護者の高齢者がふえる等の年齢構成の変化の影響が一・四%。そのほかの影響が一・九%と推計をしているところでございます。

 なお、平成二十年度以降の変化を分析してみると、平成二十五年度までは被保護者数の増加に伴う影響が大きかったところでございますが、二十六年度以降は高齢化等の年齢構成の変化による影響が大きくなっておりまして、そのほかには、診療報酬改定や医療の高度化などの要因もあると考えてございます。

 いずれにせよ、生活保護費の中で五割弱という大変大きな額を占めている、また、高齢者の増加ということに伴って増加してきているということを踏まえますと、医療扶助費の財源は全額公費によって賄われているということも踏まえると、後発医薬品の使用促進を含めまして、医療扶助費の適正化、不断に行っていかなければならないものと考えているところでございます。

長谷川委員 ただいまのお話については若干異論がございまして、余りこの伸び率にこだわらないで、実態をもうちょっと見る必要があるのではないかと御指摘を申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、これは、増加に転じている平成二十七年度、御指摘のように、前年度プラス三・二%の医療扶助費の伸びの要因分解を見ますと、被保護者、この年齢構成の変化を見ていただきたい。この影響がプラス一・四%。その他の影響としては、今御説明いただいた診療報酬改定、それから医療の高度化がプラス一・九%。そこから被保護者の増加による影響マイナス〇・一%を合算すると、プラス三・二%。御指摘のようになっておりますが、六十歳以上の高齢者の増加率、これをしっかりと勘案していただかなければいけません。医療扶助費の増加率は決して高いとは、私は、このことからは言えないというふうに考えます。

 御自分ではどうすることもできない生活保護受給者が一定割合存在することと、高齢者の被保護者の増加率を考えますと、これは妥当な増加率の範疇と考えますが、厚生労働省の御所見をお伺いいたします。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、生活保護受給者の方で大変高齢者の方が多くなっている、医療を必要とする方が多くなっているということを踏まえますれば、先ほどの平成二十七年度の三・二%が生活保護の医療扶助でございますが、これが一般と比べて特に伸びが大きいとか、そういうふうに考えているわけではございません。

 しかしながら、先ほど申しましたように、そもそもの生活保護全体の中での医療扶助の割合というものが極めて大きいということ、また、後発品の使用促進については、生活保護だけではなくて、医療保険制度を含め、全体として推進をしている中で、生活扶助についても同様に進めなければいけない、このように考えておるところでございます。

長谷川委員 今のお話には釈然としない部分がございます。それは局長御自身がおわかりではないかと思います。

 昨年も、しつこいようでしたけれども、十二月六日にこの委員会で、私は不思議な感じを覚えたものですから、ジェネリックの問題について、御質問を率直にさせていただきました。

 医療扶助費の抑制を目的として、医療扶助受給者が薬剤を処方してもらう際の薬剤は後発医薬品を原則とする旨の生活保護法改定案が出されておるわけでありますが、これは一般の診療報酬におきましても、保険医療機関及び保険医療養担当規則、これにのっとって、投薬を行うに当たっては、後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等、患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならないとされておるわけです。

 また、医療扶助指定医療機関、生活保護の関係でありますけれども、これにおける診療方針及び診療報酬は、別に定める場合を除き、国民健康保険の例によると既にされている。当然、医療扶助指定医療機関においてもその責任がありますので、医療扶助受給者の治療に当たって、医師、歯科医師がその規定を守っていないとお考えになっていることはないと思いますが、この辺の御見解をお聞かせください。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 後発品の使用促進については、先ほども申し上げさせていただきましたが、限られた医療資源を有効活用するという観点から、医療保険制度全体でも、生活保護の医療扶助においても推進しているところでございまして、使用割合を八〇%以上とする目標が、両方において同じ目標が設定をされているというところでございます。

 一方、生活保護におきましては、前回の改正の中で、被保護者に対して、可能な限り後発医薬品の使用を促すということを規定いたしまして、使用促進に取り組んできております。このことで使用が進んできておりましたけれども、ここのところ、使用割合の伸び、鈍化してきておりまして、このままでは八〇%の目標が達成が難しいということで、地方公共団体の方からも、運用ではなくて制度的な対応として後発品の原則が必要であるという要望が出され、今回のような改定を行うとしたところでございます。

 また、医療扶助については、現在も、指定医療機関医療担当規程において、前回の生活保護法の改正を踏まえまして、後発医薬品の使用を促すということを定めるなど、一般医療保険とは異なる生活保護制度独自の給付方法を定めているところでございます。

 今回の法改正によりまして、先発医薬品を使用する必要がないと医師が認めた場合については後発医薬品を使用するという、生活保護制度としての給付方法を定めるということは可能である、このように考えているところでございます。

長谷川委員 時間の関係で先に進ませていただきますが、平成二十九年度の医療扶助受給者の後発医薬品使用割合は七二・二%、医療全般では六五・八%。患者さんが高齢になるほど、治療上のリスクファクターは大きくなります。

 したがって、医療扶助受給者の七割が六十歳以上であることを考えますと、医療全般の後発医薬品使用割合と比較しても妥当な、あるいは相当高率な割合と考えますが、この点についての御所見をお伺いいたします。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護の後発医薬品促進については、前回、二十五年の改正を行った結果として促進をされ、先生今御発言いただきましたような率まで達しているところでございます。

 しかしながら、目標値は、生活保護及び医療全体、両方とも八〇%ということでございますが、先ほども申したように、このところ、伸びが鈍化してきてしまっているという状況でございます。

 医療全体と比べまして、生活保護制度については、全額公費で医療の給付を行っているということから、生活保護受給者については、通常、医療に係る患者負担が発生しないということから、患者本人に後発医薬品を選択する動機づけが医療全体と比べて働きにくいという状況がございますので、先ほど申し上げたような、自治体の要望ということも含めまして、後発医薬品の原則化ということを進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

長谷川委員 局長の御答弁は、余りにも現場を知らないのかなというふうに思えてなりません。

 実際、医療扶助受給者の後発医薬品の使用は、保険医療機関及び保険医療養担当規則における規定を前提に、医師、歯科医師が治療上の必要から先発医薬品を指定処方した結果とも考えられます。医師、歯科医師が、医学的知見に基づいて後発医薬品を使用することができると認めたものという注釈をつけたといたしましても、このような医療扶助受給者の後発医薬品の使用状況を考えますと、改めて、生活保護法に医療扶助における後発医薬品の使用の原則化を規定することは、医師、歯科医師の医療上の裁量権にも影響を与える問題であります。

 そもそも、六十歳以上の被受療者が七割を占める医療扶助受給者において、後発医薬品の使用割合を八〇%とする目標値に、この正当性はあるのでしょうか。もう一度、この点についてお伺いいたします。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 この使用割合八〇%以上という目標でございます。経済・財政再生計画改定工程表の中で定められているものでございますけれども、先ほど来申し上げているように、生活保護のみならず、医療保険も含めた両方の目標値ということで設定をされておりますので、私どもとしては適当なものと考えているところでございます。

長谷川委員 諮問会議の答申によって妥当ということでありますが、これはもうちょっと実態を精査する必要があるということを御指摘をさせていただきます。

 さて、医師、歯科医師が一般処方による処方箋を出しているのに、調剤薬局において、生活保護受給者である患者の意向で後発医薬品を処方できなかったとする割合が六七・二%、保険薬局の備蓄の関係で後発医薬品としなかったのが二八・八%、その他四%とする、先ほどの財政制度等審議会資料を目にさせてもらいました。

 私は、長い歯科医師としての人生において、多くの生活保護受給者を診療してまいりました。しかし、一度も、生活保護受給者が後発医薬品を拒否するということを経験したことはありません。また、自分の不見識かもしれないので何人かの友人に聞いてみたところ、医師、歯科医師にお聞きしましたが、生活保護受給者に後発医薬品を拒否されたという経験をした人はおりません。

 この統計における回答者は、調剤薬局であるのか、医療扶助受給者である患者本人なのかを教えてください。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきました調査結果につきましては、医師等が一般名処方をした医薬品について、その処方箋を薬局に持ってきた際に、薬局で後発医薬品を調剤しなかった場合、この理由を調査したものでございます。したがいまして、薬局で回答を行っているものでございます。

長谷川委員 これについては得心のいかない部分ですが、最後の質問まで、できるだけは行きたいと思いますので、次に移らせていただきます。

 回答者が調剤薬局であるのであれば、この調剤薬局サイドに、後発医薬品を出すことに対する何らかのインセンティブが働いていることなど、何らかの事情があることも考えられます。患者の意向が六七・二%というデータの信憑性にも疑義が生じます。厚生労働省の御見解をお聞きしたいところでありますが、時間の関係がありますので、この辺は、後ほど機会を見てお答えいただければと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 そもそも、この六七%の患者に問題があるとすれば、調剤薬局に対して、医師、歯科医師が一般名処方で処方箋を出した趣旨をお伝えし、後発医薬品を使用するよう指導監督することが厚生労働省に求められていることと考えますが、厚生労働省の御見解をお聞かせください。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 前回の生活保護法改正、二十五年の改正の施行以来でございますけれども、後発医薬品の使用を促進するということとしておりますので、薬局に対しては、薬局に一般名処方あるいは後発品可とする処方箋を持ってきた生活保護受給者に対しては後発品をお勧めするということを通知に書いてございまして、それを実際に各調剤薬局で実施をしていただいているところと承知をしてございます。

長谷川委員 また、それに関してでありますけれども、都道府県における取扱いの差が最高と最低ではおよそ二〇%程度であるということも問題として御指摘されていますが、これも厚生労働省として、各都道府県に実効性のある指導監督を行うことが求められている事案ではないかと思います。

 このことに際して、都道府県にどのような働きかけ、指導をなさっているか、御答弁をお願いいたします。

定塚政府参考人 御指摘いただきましたとおり、後発品の使用割合は、生活保護においても各都道府県でかなり差があるという実態がございます。医療全般においても同様かと思いますけれども、生活保護においてもかなりの差があるという状況でございますので、私どもとしては、都道府県ごとに差があるというその実態を各県にお示しをする、また、会議等を通じて、これだけの差があるということを認識いただいて、それぞれの県での使用を促進していただくという必要があるということを常々申し上げて指導してきているところでございます。

長谷川委員 この二〇%の高低差については妥当性があるという御見解であるかと思いますが、これも、さらなるこの規制、わかるように、御努力されるよう要望いたします。

 次に、この部分について、私は、この今までの内容については、厚生労働省内部のこれは懈怠、表現はかたいんですけれども、ほかの表現が見つかりません。懈怠ともとられかねない内容を含む可能性のある事案を、責任が医療扶助受給者にあるかのような、医療の現場を無視するような、医師、歯科医師の医療上の裁量権を損なうような、医療の普遍的平等を損なうような生活保護法の改定は行うべきでないということを強く申し上げます。

 次に、今回出されております生活保護法の一部を改定する法案についての質問に移らせていただきます。

 まず最初に、前回の厚労委員会で、橋本委員からの御質問に初鹿委員がお答えになっていらっしゃったジェネリックの問題について、いま一度、私自身もそれに大変興味を持っている人間として、初鹿委員のこの部分に関する御認識をお聞きしたいと思います。

初鹿議員 長谷川議員、御質問いただきまして、ありがとうございます。

 先般の質疑の際に橋本議員からの質問に対して答弁をしたのは、まず、ジェネリックに関しての効能については、既に承認されているので、有効性、安全性については問題がないと考えているということでございます。ただし、生活保護世帯のみに対して安価な薬を原則化するということは平等の観点から問題があり、これは一般の方との扱いが違うということで、劣等処遇ではないかということを申し述べた次第であります。

 先ほどから答弁がありますとおり、生活保護世帯とこれ以外の一般世帯とを比較をすると、ジェネリック医薬品の使用の割合は、平成二十九年度において、一般世帯を含めた全体が六五・八%に対して、生活保護世帯は七二・二%と、生活保護世帯の方が高いわけであります。先ほども厚生労働省の答弁でありましたとおり、一般世帯、生活保護世帯問わず、八〇%以上にするという目標値を設定をしているということであるのであれば、生活保護世帯のみを原則化するのではなくて、一般世帯も含めて原則化するのが筋であるというふうに考えております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 まさにそういう視点で政府も御理解を進めていただけるようにお願いをしたいと思います。特に法のもとの平等、決して平等にやっていないということは申し上げませんが、この辺は十分に配慮していかなければいけない内容の一つであるということを御指摘申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 次は、六党共同提案の生活保護法の一部を改定する法案について、山井委員が出されておりますので、お伺いをさせていただきたいと思います。児童扶養手当の支給額増額に関してでございます。

 これを、金額を一人一万円とする根拠、比較的区切りのいい数字ではないかと思いますが、これについての根拠をお聞かせいただきたいと思います。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 もちろん、一万円の引上げで十分とは考えておりませんが、しかし、貧困家庭の子供の生活の底上げと言う以上は、やはり最低一世帯一万円というものを目指すべきだというふうに考えております。

 そして、一万円ということですが、実は、過去、介護職員、障害者福祉職員の方々の賃金引上げの法案を二度野党で、一万円引上げ法案というものを出したことがあります。そういうものを踏まえて、例えば、政府がそれを受け入れて、二〇〇九年には九千円月額でアップしたとか、また、二〇一七年の四月にも月額一万円相当の処遇改善加算を政府が行ったということがありまして、この介護の処遇改善の部分でも、一万円の法案や、一万円の次、引上げというものは行っております。

 そういう意味では、ぜひ、まず第一歩として、児童扶養手当の引上げに関しては与党も野党もないと思いますので、与党の皆さん方の賛同もいただければと思っております。

長谷川委員 ありがとうございました。

 この一万円という数字は、受給世帯にとっては大変貴重な、大変有効に生かせる、我々で一万円とその方たちとの一万円の重さが全然違う額でありまして、決して私は高額であるとは思えません。もっともっと光を当てなければいけない分野に、せめてものこの金額をつけていただくということは、大変すばらしいことではないかというふうに思っております。

 今回はまた六党共同提案ということでありますが、できれば与党二つの党をあわせて、八党共同提案という形でこの部分が審議されるようにこれからなっていくといいなと思っておりますが、今までの提案の中で、これが少しでも、少なからず実を結んできたということがあったようですが、端的に、そういった事例があればお示しいただきたいと思います。

山井議員 私たちは、今までから、児童扶養手当について、例えば、平成二十八年の三月に児童扶養手当の引上げの法案というものも出しております。そういうものも、まあ、この法案だけではありませんが、野党の多子加算の引上げとか、前回野党で提出した児童扶養手当法の児童扶養手当の毎月払いの実現、そういうものを受け入れて、政府・与党も平成二十八年の八月から児童扶養手当の多子加算を引き上げたり、今回の法改正でも、毎月払いにはなっておりませんけれども、一歩前進の二カ月ごとに払うということになっておりますので、そういう意味では、野党が法案を出してこういう審議をすることによって、着実に与野党が歩み寄って合意できた部分から、子供の貧困対策、実現できるというのは非常に喜ばしいことだと思っておりますし、そうなるように今回の法案も期待しております。

 よろしくお願いいたします。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 いいものはいい、必要なものは必要、どうしてもやらなければいけないことは全党一致している案件だと思いますので、今後ともこういった前向きな提案がされることを望んで、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 希望の党の大西健介でございます。

 福田健康局長にきょうは御出席をいただいております。

 冒頭、健康格差という言葉もありますけれども、貧困と、健康の格差、健康というのは、私は相関関係があると思います。この点について御答弁をいただきたいと思います。

福田政府参考人 まず、冒頭、職務外の個人的なことにつきまして、このたび大変お騒がせし、大変申しわけなく思っております。まことに申しわけございませんでした。

 本件につきましては事務次官より注意を受けたところでございまして、省の幹部としての職員の模範であるべき局長の立場を自覚し、深く反省するとともに、省内の調査には協力をしてまいりたいと考えております。

 お尋ねの健康と貧困の関係についてでございますけれども、健康を決定する要因につきましてはさまざまなものがあり、地域や職業、経済力や社会的地位といった要素も健康を決定する要因となるという見方がございますが、所得の状況にかかわらず国民誰もが健康となっていく社会の構築が重要であると考えております。

 このため、厚生労働省としては、平成二十五年より進めております第二次健康日本21におきまして、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目的に掲げ、あらゆる世代の健やかな暮らしを支える良好な社会環境を構築することにより、地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差といった健康格差を縮小していくことを目標として、国民の健康づくり運動を展開しているところでございます。

 また、今般の生活困窮者自立支援法等改正法案におきましては、生活保護受給者に対しまして生活習慣病の予防や重症化予防を推進する健康管理支援事業を創設し、治療中断者などに治療のための受診を促したり、健康な生活習慣に向けた支援等を行うことといたしております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

大西(健)委員 今冒頭、福田局長から謝罪の言葉がありました。

 今、財務省の事務方トップの事務次官のセクハラ疑惑についても大変な問題になっておりますけれども、事業主に対してセクハラ防止を呼びかける厚労省の幹部にセクハラの問題があったというのは、私は極めて遺憾だというふうに思います。

 今、謝罪の言葉はありましたけれども、セクハラという言葉はありませんでした。改めて、大臣に、今回の福田局長の行為を厚労省としてセクハラと認定しているのか否か、このことについてお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 事実関係の具体的な確認を現在行っているところでありますから、断定的なことは今言えないというふうに思います。

 ただ、今までの私どもの承知をしているところから見て、やはり、セクハラ対策を進める立場にある厚生労働省として、こういったことが取り沙汰されているということはまことに遺憾である、こういう認識を持っているところであります。

大西(健)委員 今の大臣の答弁だと、まだ事実の詳細については明らかになっていないと。

 ただ、報道によりますと、蒲原次官から口頭注意があったというふうに聞いておりますけれども、何を注意したのか。また、大臣は、ほかの参議院の答弁ですかね、処分も検討しているということであります。私は、セクハラだから処分を検討するということではないかと思いますけれども、改めて、どういう口頭注意を次官から行った、あるいは、大臣からは処分を検討しているというお話がありますけれども、今後の対応を含めて、改めてお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、セクハラだと断定するにはまだ確認する作業が必要だというふうには考えておりますが、ただ、今般、職員に対しセクハラが疑われるメールを送っていた、このことは不適切だということでありますので、今後、このような言動というか、動の方だと思いますが、動を行わないということはもとより、省の幹部として職員の模範であるべき局長という立場、自覚して、率先して服務規律を遵守するということと、それから、今調査をすると申し上げましたが、これは人事課が行いますので、人事課が行う調査に対して誠実に対応してほしい、対応することということを次官から局長に指導したと聞いております。

大西(健)委員 今国会、厚労委員会、大変重要な法案、これから議論する生活困窮者の法案もそうですし、それ以外にも、働き方改革、この働き方改革の中では、我々も対案のパッケージの中でパワハラの防止法案というのを出しておりますけれども、パワハラ、セクハラ、こういう問題は本当に重要だというふうに思います。また、受動喫煙の法案も審議を予定されていますけれども、この法案の担当局長でもあります。果たして、この委員会にこれから出ていただいて、そして、担当の局長として答弁していただくにふさわしいかどうか、しっかりと調査をしていただいて、しかるべき処分をお願いしたいということを冒頭申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、法案の質問に入っていきたいというふうに思います。

 今回の法案、先ほど来出ていますけれども、生活保護受給者の方にジェネリックの使用を原則化するということが含まれておりますけれども、まずお聞きしたいのは、このことによって一体、医療扶助の額がどれぐらい適正化されるというふうに見込んでいるのか、その額をお答えいただきたいと思います。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 後発医薬品の原則化によりまして、財政影響については、国庫負担ベースで約八十億円、事業費ベースにいたしますと約百億円、財政支出が減少する、このように推計をしているところでございます。

大西(健)委員 今、百億円という局長からの答弁がありました。これを多いと考えるか、少ないと考えるか、いろいろあると思いますが。

 皆さんのお手元に資料をお配りしていますが、これは少し、二〇一三年度とちょっとデータは古いですけれども、この医療扶助費の内訳というのを見ていただきたいと思います。

 これを見ていただくと、例えば、入院のところが九千五百六億、医科のところが四千二十六億、調剤のところは二千六百四十六億とありますけれども、割合でいうと調剤は一五・五%なんですね。今言ったように、一番多いのはこの医科の入院で五五・七%。

 私は、まず、ジェネリックの使用を原則化するということも結構ですけれども、それより先にやることがあるんじゃないかというふうに思っております。全体の五五・七%を占めているこの入院の部分、しかも、これは、下の方の表を見ていただきたいんですけれども、人数で見ますと、逆に入院は全体の七・一%なんです。こういう言い方が適切かどうかわかりませんけれども、全体の七%の人が五六%の医療扶助費を使っているというような状況になっている。ならば、私は、この入院のところを適正化するということをまずやるべきではないかというふうに思っています。

 特に私が指摘したいのは、ぐるぐる病院と言われている、こういう病院があるんです。

 資料の二ページ目をごらんいただきたいんですけれども、こちらは総務省の行政評価局による平成二十六年八月の生活保護に関する実態調査結果報告書に載っているものなんですけれども、事例一、事例二、事例三とここにありますけれども、例えば事例一、三年二カ月の間に十二病院で三十四回転院した。事例二、六年十一カ月の間に十六病院で四十三回転院した。事例三、二年三カ月の間に十二病院で二十五回転院した。これが、だから、ぐるぐる病院と言われているやつなんですね。

 これは余りにもやはり、私はひどいと思いますけれども、これは氷山の一角だというふうに思います。つまり、全額公費負担ですから病院からすると取りはぐれがない、ですから、病院同士で生活保護受給者をたらい回しにしているというようなことが行われている。このような生活保護受給者を食い物にしているような病院が、私はあるんだというふうに思います。

 厚労省は、このような短期頻回転院、この実態をどのように把握して、どのように是正をしようとしておられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、委員から御指摘がありましたように、生活保護受給者は医療を必要とする方も大変多いわけでありますけれども、逆に、それゆえ医療機関を適切に利用していただくということが大変大事でありまして、そのことは受給者本人の利益にもなるというふうに思います。

 他方で、約三・八兆円の生活保護費の約半分が医療扶助費ということで、また、委員からお話がありました、かなりの部分が調剤以上に入院の関係があるという御指摘がありました。不適切な頻回転院についても、平成二十六年八月から適正化のための対策に取り組んでいるところでございますし、また、毎年毎年その転院状況については報告をもらうこととし、また、これまでのこの報告のありよう、いささか問題点もありましたので、二十九年三月には、改めて、報告内容を整理し、また適切な退院指導の実施を地方自治体にも通知をしたところであります。

 具体的には、複数の医療機関で転院を繰り返すような不適切な転院を防止するために、医療機関から福祉事務所に対して転院前に連絡を行うことの周知徹底、また、福祉事務所において、嘱託医と協議をし転院の必要性を検討する、特に入院を要しない者には退院の支援を行うこと、また、医療機関に対して必要に応じ個別指導を実施する等により適正化に取り組んでいるところでありますし、今後とも、御指摘のような頻回転院対策、委員はぐるぐる病院と言っておられましたけれども、そうした対策にしっかりと対応していきたいと思います。

大西(健)委員 本当に、本来はこういうものは、必要性がなければ入院そのものが認められないはずなんですけれども、二年三カ月で十二病院で二十五回転院、これはもう明らかにやはりおかしいと思うんですよね。こういうものが放置されている中で、ジェネリックだというんだったら、もっと先にやることがあるだろうというふうに私は思うんです。

 それから、これは入院だけじゃありません。ほかにも生活保護受給者を食い物にしているというような事例があります。

 資料の三ページをごらんいただきたいと思いますけれども、これは、いわゆる全体の診療件数のうち生活保護受給者の割合が高い、割合が高いって、一〇〇%というのがあるんですよ。一〇〇%、つまり、受診者の全員が生活受給者。次の欄でも九〇%から九九%ですから。

 例えば、さっきは入院の話でしたので、今度は入院外のところで、診療所と病院のところを九〇%以上で足し上げると、九割以上が生活保護受給者だ、そういう病院、診療所というのは、医科で百五、歯科で百、こんなにもある。これは私、衝撃的な数字だというふうに思いますけれども、このままで、大臣、いいんでしょうかね。

 それで、実は、具体的に問題になった中でも、二〇一五年度に問題になったんですけれども、都内で四つの精神科クリニックを開設する医療グループが、大田区、江戸川区、港区の福祉事務所に職員を相談員として派遣をしていた。そして、その相談員の助言の中で、生活保護受給者に特定の精神科クリニックに行くようにというふうな、そういう指導をしていた。そのクリニックに行っても、日がな一日クロスワードパズルをやったりとか塗り絵をやって、ろくに診察もしない。じゃ、もう精神科クリニックに通うのをやめたいと言ったら、やめたら生活保護費を打ち切るぞと言われたそうです。こういう証言が実際にあります。

 このように、生活保護を受給している患者を囲い込みしている、こういう医療機関が私はあるんだというふうに思います。改めて、これについても、先ほどの入院だけじゃなくて、まさにこういうところをしっかり適正化することがジェネリックの話よりも私は先ではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今個別事案のお話がありましたけれども、そうした病院等に委託をした、結果、すると、今言ったような事案が起こるということで、そういったことはないように対応しているというふうにまず承知をしているところでございます。

 その上で、診療件数に占める生活保護受給者の割合が高い医療機関について、社会保険診療報酬支払基金のデータを活用して把握をしております。委員からもお示しをいただきました。ただ、ちょっとその中には、国民健康保険と後期医療者、医療制度が含まれていないということで、若干ずれが出てくるというところはあるんだろうというふうに思います。

 また、生活保護受給割合が高いから直ちにそれをもって不適切とは言えませんけれども、都道府県等が、個別指導の対象とする医療機関の選定に当たっては、こうした情報も参考にするということは有効であるというふうに考えております。

 診療件数に占める生活保護受給者の割合が高い医療機関や、被保護者以外と比較して被保護者の一件当たりの請求点数が高い医療機関などの情報も勘案した上で、個別指導の対象となる医療機関を選定するよう、都道府県等にも求めているところでございます。

 今後とも、生活保護法に基づく指定医療機関に対する指導、これを、今申し上げたような観点にも立って、適切かつ効果的に行っていくよう、都道府県等に対する指導も実施していきたいと考えております。

大西(健)委員 おっしゃるように、国民健康保険の分が入っていないとか、地域によって、たくさんそういう方が住んでおられる地域にある病院というのもあるのかもしれませんけれども、さすがにやはりこの数字というのは、私は衝撃的だと思いますので、こういうのを放置していて生活保護受給者の方にジェネリックを使えと言うのは、私は、やはりこっちから先に、さっきの入院の部分もそうですけれども、しっかりやっていただきたい。これは重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。

 それから、次の問題に移りますけれども、先ほども少し山井提出者からの御答弁の中にもありましたけれども、この法案では、児童扶養手当の支払い回数を現行の三回から六回にふやす。そのこと自体は、私も大変いいことだというふうに思います。ただ、先ほども山井さんからもお話がありましたけれども、我々野党は、平成二十八年の改正のときに、支払いを毎月にすべきじゃないか、支払い回数をふやすべきだということを主張して、対案も提出をしました。

 欲を言えば、あのとき、野党の考え方も取り入れていただいて、支給回数をふやしていただければよかったのになというふうに思いますけれども、当時は、政府は、地方公共団体において円滑な支給事務を実施するための体制の確保等が難しい、地方自治体の事務が大変だから、こういう答弁を繰り返しておられたんですけれども、二年たって、なぜ六回の支給ができるようになったのか、何か状況が変わったのか。それから、それでもなお毎月は無理だということについて、わかりやすい御説明をいただければと思います。

加藤国務大臣 今、大西委員からありましたように、児童扶養手当の支払い回数の見直しについては、平成二十八年の児童扶養手当法改正案の成立後、そのとき、附帯決議にたしか盛り込まれたということだと思いますが、支給事務を行う自治体に対し、回数増の可否や回数増のために必要な運用の見直しについて調査を行いました。

 その結果、支払い回数の増加が可能であると回答した自治体が、そもそも三二・九%と三分の一でありました。また、年六回以上の支払いが可能であると回答した自治体は、都道府県、市及び福祉事務所設置町村のうち支払い事務を行う九百二自治体中の一六・二%に当たる百四十六という自治体でありました。

 したがって、なかなか自治体の方、腰が重たかったというのはその段階でもそうでありましたけれども、自治体に対するヒアリングや地方三団体と調整を行いまして、そして、特に、毎年八月に申告される前年の所得を支給額に反映するというものについては前々年度でもいいよといったような、事務処理期間を見直す、そうしたことを通じて、現行の年三回から年六回にふやすということで自治体側の方からも協力をしていただけるということでありましたので、この法案に盛り込ませていただくことになりました。

 毎月支払いということでありますけれども、児童手当の支払い月と重なる月の支払い事務が大変過重、大変であるということ、また、そもそも六回に関してもなかなかいろいろありましたけれども、自治体のそうした負担の増加、そうしたことを考慮すると、毎月支払いというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。

大西(健)委員 先ほど山井さんからお話があったように、野党案が一つの契機になったと私も思いますし、附帯決議も一つの契機になったということで、それ自体はいいことだというふうに思いますが。

 それでは、対案提出者の方にお伺いしますけれども、なぜ毎月にしなければならないというふうに考えるのか。また、今、なかなか自治体の事務が大変だという話がありましたけれども、毎月でもできる、事務的にはできるんだということについて、お答えをいただければと思います。

山井議員 御質問ありがとうございます。

 本当に、子供の貧困に苦しむ御家庭においては、毎月の収入に波があるというのは非常につらいんですね。そういう意味では、毎月支払いにすることにより、毎月の決まった支出に備えることができるようになり、月ごとに大きな収入の波がある一人親家庭の家計の安定を図ることができます。これは、子どもの貧困対策センターあすのばからも、毎月払いにという要望を、私たち超党派の子どもの貧困対策議連で受けているところであります。

 それで、この実現可能性については、報道によれば、大阪府箕面市の倉田市長が、児童扶養手当も自治体の工夫で毎月に近い頻度で支給できると思いますというふうに述べておられます。また、兵庫県の明石市では、児童扶養手当を毎月受け取れるよう、児童扶養手当の一カ月相当分の貸付金を手当支給のない月にお渡しすることで、毎月の収入のばらつきをなくし、家計の安定を図っておられます。

 二年前、野党が、児童扶養手当の毎月支給ということを言ったときには、毎月支給のみならず、年六回の支給においても手間がかかる、コストがかかるということで、厚生労働省は大変抵抗をされました。しかし、とはいえ、二年間頑張っていただいて、一歩前進で、二カ月に一遍の支給にできたわけですから、そういう意味では、今回、野党がこの法案を出すことによって、今回はもう二年とは言わずに、早いうちに毎月支給にできるように、ぜひとも与党の先生方のお力もおかりできればと思っております。

大西(健)委員 御説明ありがとうございました。

 実際に自治体の努力でやっているところもあるという御説明ですし、今言われたように、今はなかなか難しいと言っているのかもしれませんが、ぜひ、この我々の対案も受けとめていただいて、毎月支給に向けてさらなる努力をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、政府案と対案の違いで、これは先ほど吉田委員の方から詳しくありましたから少しはしょりたいと思いますけれども、大学進学する場合の世帯分離についてです。

 これは、尊敬する田村理事が会長を務める超党派の子ども貧困対策議連が昨年四月に提言を出しておられるんですけれども、その提言の中でも、一九七〇年に高校進学についての世帯分離が廃止されたことに鑑み、大学等への進学についても、二〇一八年度の進学に間に合わせられるよう早急に効果的な支援策を講じるべきであると。この点でも与野党一致しているんじゃないかというふうに思います。

 また、資料の次のページ、四ページ目をごらんいただきたいんですけれども、これは実際に、昭和四十五年度、一九七〇年度の生活保護実施要領の改正のときに、専門誌に当時の厚生省の社会局保護課が解説記事を書いているんですけれども、線を引いている部分、まさに理由として、「全国平均の進学率が約八〇パーセントとなった事情をも考慮し、」と書いてあるんですね。

 ただ、先ほども吉田委員も指摘をされていましたけれども、下の方の会議録、これは予算委員会での当時の塩崎大臣の答弁ですけれども、「今、専修学校を入れると七三・二という数字であります。そこにとどまっているわけで、」ということで、七三・二だからできないんだというような、こういう答弁になっているわけです。

 先ほども吉田委員から、浪人生を含めれば、二〇一七年度、既に八〇・六%を一般世帯で超えているんだ、大学進学率もという話がありました。でも、先ほどの大臣の答弁では、それでも難しいという、それだけじゃないんだ、ほかの支援もという話がありました。まさにさっき言ったように、一九七〇年度、昭和四十五年度のものを見ても八〇%というのを一つの基準にしているんです。じゃ何%になったら、今言ったように、浪人生を含めれば八〇%を超えているわけですけれども、そうじゃないと七三・二ということですけれども、じゃ、この七三・二が八〇を超えたらこれは認めるということなんでしょうか。どうなんでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど吉田委員との議論、今、大西委員から御指摘のように、高等学校への就学について、生活保護費を受給しながら高等学校等へ就学する、これは世帯内就学ということでありますが、これは、昭和四十五年、この取扱いを認める取扱いにし、そして、当時、全国平均の進学率が約八〇%、そういうことも踏まえてそうした取扱いがなされたというふうに承知をしております。

 また、現行でも、今、七三%というお話がありましたけれども、先ほど、いわゆる浪人の方も含めれば八〇%ではないかという御指摘もございました。その数字はその数字として我々しっかり受けとめていく必要があると思いますけれども、社会保障審議会の部会の報告書でも、給付型奨学金の拡充や社会人の学び直しの支援など大学等の役割が議論されている中で、大学等進学後の教育費、生活費、これは生活保護制度に限らず、国全体として支えていくべきではないか、考えていくべきではないかということでもございます。

 また一方で、昨年十二月の新しい経済政策パッケージの中においても、こうした議論、そうした対応も盛り込まれているところでございますので、そういったことも含めて考えていく必要があるんだろう。

 そういった意味で、現在の生活保護制度の中において、例えば世帯分離ということにせずにということに関しては、これは慎重に考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

大西(健)委員 私は、ほかの支援をしてもらうことはどんどんやってもらったらいいんですけれども、やはり、実際に、生活保護家庭の子供たちが、この世帯分離が一つの大学進学の妨げになっている、親に迷惑をかけるんじゃないかというようなことが実際にあるわけですから、だったら、先ほど言ったように、高校を外したときと同じような状況にあると考えられるわけですから、ここで本来は御英断をいただかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

 時間がありませんので次に行きます。

 次の資料の五ページ目を見ていただきたいんですけれども、これは先進国の養育費の受給率と貧困率の関係を示したグラフです。

 これを見ていただくと、これは少しデータが古いんですけれども、養育費受給率が九四・八%のスウェーデン、これは突出していますけれども、フランス五五・八%など、養育費の受給率が高いほど一人親世帯の貧困率が低い、こういう傾向がはっきりと出ているということであります。

 じゃ、我が国はどうかといえば、離婚の際に養育費の取決めをしたのは全体の三七・七%、実際に養育費を受けたのは一九・七%にとどまっています。一人親世帯の貧困率が五四・六%であるということを考えれば、この部分を何とかすることが、私は子供の貧困対策として極めて有効ではないかというふうに考えております。

 この点、次のページに神戸新聞の記事をつけておきましたけれども、先ほど山井提出者の御答弁の中にも明石市長の話が出てきましたけれども、我々のかつて仲間でもあった泉明石市長は、実は明石市で、これは神戸新聞の記事ですけれども、養育費の取決めや受取について、調停の申立てや公正証書の作成、給与の差押えなど強制執行の手続をサポートするモデル事業というのを既にスタートをさせておられます。

 さらには、泉市長は、養育費の市による立てかえ払いの検討、こんなことにまで言及をしておられるということであります。

 また、諸外国の事例を見ると、例えばアメリカなんかでは、養育費の支払いは給与の天引きが原則になっている。さらには、所得税の還付金とか失業給付から取立てを行っている。さらに、滞納した場合には、州によっては自動車運転免許が停止をされるとか、あるいはパスポートが発給してもらえない、こういうようなペナルティーがあるような厳しい州もあるというふうに聞いております。

 泉市長は、これはつくられた貧困であり、養育費が支払われない状態を放置してはいけない、あとは政治の決断だ、こういうふうにおっしゃっております。

 大臣、国としても、養育費の受給率を上げるために思い切った施策を講じるべきじゃないか、まさにそれが政治の責任ではないかというふうに思いますが、大臣の御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、やはり、養育費、あるいは養育費がきちんと支払われていくということは大変大事なことだというふうに思います。

 ただ、この場合も、今委員からお話があった二つの段階があるんだと思います。それは、裁判等によって、いわば養育費として、これは債権債務と言っていいのかわかりませんが、それが確定をするということと、そして、それをどう履行していくのかというこの二つの段階なんだろうと思います。

 現在、まず確定しているところの割合が非常に低いということでありますから、これについては、厚生労働省としては、すくすくサポート・プロジェクトに基づいて、自治体における弁護士による養育費相談の実施、こうしたことを支援したり、あるいは、自治体の対応が困難な事例については、公益社団法人に事業を委託して、直接当事者からの相談に応じる、こういったことによって、まず離婚の際にそこをはっきりさせておく、確定的なものにしておくということが大事なんだろうというふうに思います。

 そこから先になると、やや厚生労働省からののりを越える部分がありますけれども、養育費の支払いの履行確保については、法務省において、強制執行、これは、裁判又は当事者間の協議により養育費の取決めが行われた場合には給与や銀行口座を差し押さえることは現行制度の中でも可能というふうになっているわけでありますが、その申立てを容易にするため、財産開示制度の実効性向上を含む民事執行法の改正に関する議論も進められ、昨年九月には中間試案も示されているというふうに承知をしております。

 こうした、法務省ともよく連携をしながら、こうした養育費というものがしっかりと支給されていけるように我々も努力をしていきたいと思います。

大西(健)委員 残りの時間、ちょっとわずかですので、子供の貧困に関連して、きょう文科省宮川政務官に来ていただいておりますので、資料の最後の二ページなんですけれども、中学校での完全給食ということについてお聞きをしたいというふうに思うんです。

 この後ろから二ページ目なんですけれども、公立中学校での完全給食が実施されていない子供の割合というのが載っております。非常に地域による偏在がある。例えば近畿だとか神奈川を中心に、中学校の完全給食が行われていないというところが多いんです。

 ただ、次のページですけれども、例えば同じ神奈川県でも、やっているところとやっていないところと完全に二分されている、非常に差があるということであります。

 この神奈川県のグラフだと、川崎市は、家庭の弁当を基本に学校で牛乳を提供するというミルク給食に分類されていますが、実は、川崎は昨年の十二月に完全給食になりました。出勤前に毎朝弁当をつくっていた、例えばシングルマザーの方からも、非常に助かっているというような声も上がっている。あるいは、いまだに弁当の学校では、弁当をつくってもらえない、買えない子供が、昼食のときにトイレに隠れていたり、あるいは机に突っ伏して寝ているふりをしている、こういうような話もあります。

 また、大阪、北九州の調査では、週一回も弁当を持参しない生徒は三%から五%いる。まさに、育ち盛りで十分に食事がとれない、そういう生徒がいるということが、この調査の結果が示しているものだと思います。

 学校給食が全ての子供に栄養ある食事を提供するセーフティーネットの役割を果たすんじゃないか、こういう専門家の指摘もあります。子供食堂がふえているという報道もありましたけれども、これもいいことでありますが、まず、全国どこに住んでいても公立の中学校でしっかりと完全給食が保障される、これが私は必要じゃないかというふうに思いますが、宮川政務官の御答弁をお願いします。

宮川大臣政務官 委員御指摘のとおり、学校給食は児童生徒の心身の健全な発達に資するものでありまして、中学における完全給食の実施率の向上を図ることは大変重要な課題だと私たちも認識をしております。

 食育基本法に基づく第三次食育推進基本計画では、平成二十八年度から平成三十二年度を計画期間といたしておりまして、全国的には、中学校における完全給食の実施率を九〇%以上とすることを目標に掲げており、平成二十八年度の調査では九〇・二%に達しております。

 しかし、現状として、御指摘のように、中学校における完全給食の実施率については、地域間格差が見られるところも事実であります。

 その理由として言えば、例えば、1としては、施設整備のお金が足りない、人件費がないという財政的な問題と、二つ目を挙げるとすれば、お弁当の方が保護者と子供たちの関係を深める等の教育的な効果が期待できるとの考えが挙げられております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、さまざまな機会を通しまして、学校給食の意義等を周知することにより、全国各地において完全給食を実施する中学校が更に増加するよう、学校設置者に対して働きかけてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 時間ですのでもう終わりたいと思いますが、生活困窮者支援、生活保護の問題、特に子供の貧困の問題、非常に重要な問題でありますし、極めて論点も多岐にわたります。野党質問はきょうが初めてでありまして、対案も出ておりますので、現場視察だとか参考人質疑、十分な質疑時間を確保していただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。

 また、野村不動産に対する特別指導に関する大臣資料のマスキング部分に、過労死とか労災とか、こういう言葉が入っているかどうか、これさえ言えない、こういう姿勢は、私は本当に非常に憤りを感じております。

 先ほど山井委員からも御指摘いただきましたけれども、一月の予算委員会で、私は、野村不動産に対する特別指導の問題を取り上げて何を聞いたかというと、この裁量労働制というのは、一旦導入されてしまうと、これは外から濫用しているかどうかというのがわからない、こういう事例じゃないかというふうに聞いたんです。

 ですから、もし今回の過労死が端緒になって野村不動産における裁量労働制の違法適用が発覚したということになれば、まさに人が死なないと、過労死が出ないとこの裁量労働制というのは濫用が外からわからないという制度だということなんです。だから、私は、それを聞いたんです。

 それを聞いたにもかかわらず、そのとき、知らなかったとか、あるいは、ちゃんと大臣や総理にそのことが上がっていなかったとしたら、これは私は極めて問題の答弁だというふうに思っております。それを隠し通す状態では、働き方改革法案の審議なんてできないというふうに思っておりますので、そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房長樽見英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 希望の党の柚木道義です。

 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 法案質疑の通告も十項目ほどしておりますが、関係省庁に来ていただいていますので、先にそちらを終わらせて、終わった方は、政務の方もおられますから、どんどん御退室をいただければと思いますので。

 冒頭、安倍政権のハラスメント対応、これは所管は厚労省で、後ほどお聞きもしますが、財務次官のセクハラ問題、厚労省健康局長のセクハラ問題、やらざるを得ないんですが、本当に残念です。

 しかも、一昨日のことですよ、東京労働局長がパワハラ発言、メディアに圧力を、何なら是正勧告してあげましょうかと、聞かれたくない質問をしたら、そうやって圧力をかけてメディアの質問権を封じるということで、懲戒処分、減給、更迭ですよね。一昨日の話ですよ。そして昨日、報道では、ダブル福田問題ですか、そんなことまで言われちゃっているじゃないですか。次官と局長、名字がたまたま一緒でいらっしゃる。

 これは本当に安倍政権のたがが緩んでしまっているんじゃないんですか。今や、こんなことが続いているようだと、安倍政権、本当に、セクハラ、パワハラ政権と言われかねませんよ。

 きょうはまず、そうでなくても森友問題で、本当に多くの国民の皆さんが、国民の財産あるいは税金、権力が私物化されているんじゃないかと。渦中の財務省の、しかもトップですよ。私も財務政務官時代によく存じている方ですよ。本当に残念です、こんな質問をしなきゃいけないことが。

 きょうは、財務副大臣、そして官房長にもお越しいただいております。

 まず伺いますが、報道によれば、麻生財務大臣、昨日の参議院財務金融委員会においても、本人がみずから反省していると言ってきた、しかし覚えていないんだ、だから特定のしようがないと。したがって、きょうは閣議後会見で、事実ならアウトと言っているんですよ、財務大臣は。事実ならアウトってどういう意味なんですか。事実ならアウトなんだけれども、処分を考えていないって、何なんですか、これは。何で調べないんですか。官房長、与党の公明党幹事長も、調査し、厳正に対処すべきと述べているじゃないですか。

 何ですか、これ、報道。キスしたい、ちょっとはばかられるから丸と言いますけれども、○○さわっていい、○○しよう、○○行こう、どれくらい○○しているのか、最近どれくらい前に○○したのかといったセクハラ発言だけでなく、○○というのは、言うのもはばかられるから、これは実際には言葉が入っているんですよ、具体的な。その上、実際に抱きついたりと、行動にまであらわしているじゃないですか。

 矢野官房長、きちんと再調査、この間の、単に覚えていません、反省していますじゃなくて、相手のある話です。報道には証拠もあるそうですよ。ちゃんと再調査をする、そして、その調査結果に基づいて、財務大臣が事実ならアウトというのが何を意味するのか、この後伺いますけれども、まずはしっかり再調査をするということを、ここで、財務省の信頼回復をするつもりがあるのなら、再調査を約束してください。答弁ください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 福田次官に関する御指摘の週刊誌報道につきましては、昨日の参議院の財金委員会で大臣が答弁いたしましたように、公的な場での発言に関する記事ではなくて、福田次官自身の私的なやりとりに関する記事であると認識しておりますけれども、既に福田次官本人から大臣に対しまして報告がなされております。

 その中で、いずれにいたしましても、誤解を受けるようなことのないようにいたしたいというふうに次官が大臣に報告をしたと答弁でも引用させていただき、また、大臣が次官に対しまして、財務省が今置かれている立場を考えても、緊張感を持って行動するようにというふうに訓戒を申し渡して、次官も反省の意図を表明したということでございます。

 以上でございます。

柚木委員 ちゃんと答えてくださいよ。わかっていますよ、もう、全部答弁見ていますから、報道も。そうじゃなくて、何ですか、そうしたら、覚えていないと言って謝ったら許されるんですか、こういうセクハラの言動も。一般社会でそんなこと通用するんですか。だったら刑法も何も要らないじゃないですか。財務副大臣、ちょっと答えていただきたいんですけれども。

 これは、つい先ほどでしょう、この雑誌を出している週刊新潮、デイリー新潮の動画が公開されていますね。私も見て驚きましたよ。何なんですか、このやりとりは本当に。胸さわっていい、だめですよ、手縛っていい、そういうこと本当やめてくださいと記者が答えていて、そういう数々の発言の一部が動画で公開をされていて、そして、記者が福田次官に取材をしたら、何を失礼なことを言っているんだ、誰がそんなこと言っているんだよ、ふざけるなよと言って逆切れしているんですよ。

 じゃ、動画は、怪文書ならぬ怪動画なんですか。これは政務じゃないと決断できませんよ、財務省のトップなんですから。さっきの厚生労働省は事務次官が注意できる。だけれども、トップなんですよ、誰も注意できない。麻生大臣あるいは政務三役がこれは調査をする、しっかりと。そして、その調査結果が明らかになれば必要な処分を講ずる。

 これは本当に、財務省、国民の皆さんは今、税金を払いたくないといっぱい言っていますよ、地元に帰れば。信頼回復するつもりはあるんですか。あるんだったら、再調査をちゃんとやる、これは政務として明確に御答弁いただけますか。

うえの副大臣 福田次官に関します御指摘の週刊誌報道につきましては、昨日の参議院の財政金融委員会で麻生大臣が答弁をし、今官房長の方からも答弁をさせていただいたとおり、公的な場での発言に関する記事ではなく、福田次官の私的なやりとりに関する記事であると認識をしておりますが、既に報告が麻生大臣にもなされているところであります。

 具体的な報告内容としましては、いずれにしろ、誤解を受けるようなこととならないように気をつけてまいりたいとのことでありました。その上で、麻生大臣から次官本人に対して、財務省が現在置かれている状況も踏まえ、緊張感を持って行動するようにと申し渡し、次官本人も反省していたものと承知をしております。

 今後、何らかの新たな事実というものが明らかになるような場合においては、何らかの対応を行うという可能性を否定しているわけではございませんが、現時点におきましては麻生大臣の答弁のとおりだと考えます。

柚木委員 これは本当に国民の皆さんの信頼回復をするつもりはあるんですか、財務省は。調査しないんですか。政権ぐるみでセクハラを隠蔽するんですか。これはとんでもないですよ。相手の方がいるんですよ、何人も。しかも、記者だけじゃなくて、何か一般の企業の方もという話まで聞こえてきているんですよ。気になるのは、私的な場であれば許されるんですか、じゃ。

 財務副大臣、ちなみに、こういった書かれているような、○○さわっていいとか、実際抱きついたり、どこどこへ行こう、いつ何々した、いろいろなことを実際に言葉、行動であらわして、しかも相手が嫌がっている場合、これは刑法に触れる可能性があるわけですけれども、その場合どういう刑法犯があるか、もし御存じだったらお答えいただけますか。通告していませんから、御存じだったら、こういうセクハラの場合の刑法犯、御存じだったらお答えください。

うえの副大臣 済みません、通告がありませんでしたので、確認しておりません。

柚木委員 これは、私も、この委員会でも、まさに安倍政権中枢が場合によってはもみ消しているんじゃないかという準強姦罪の疑惑の問題も予算委員会でも質疑させてもらいましたけれども、まさに強姦罪、あるいは強制わいせつ罪、名誉毀損罪、侮辱罪など問われ得る行為なわけですし、刑事責任だけじゃないですよ、民事上の賠償責任だって、例えば、その所属をしている記者の会社が相手方の会社、つまり財務省ですよ、財務省を訴えたら、まさに財務省自体がそういう対象になっちゃうんですよ。

 そういう重い重い疑惑が今報じられていて、私も実際の事務次官、もちろん存じ上げております。こういうことを、本当にもう言うもはばかられる、そして取材に対しては逆切れをする、動画まで公開されているんですよ。

 刑法犯になり得るような事案について、ここで国民の皆さんに、ちゃんと調査をする、もう一度再調査をすると何で約束できないんですか、副大臣。もう一遍答弁してください。

うえの副大臣 委員御指摘のとおり、私的なやりとりであったとしても、セクハラに該当するような発言が許されるというふうに考えているわけでは決してございません。

 今後、何らかのいろいろな事実が明らかになる場合においては、当然、何らかの対応を行うという可能性を否定しているわけではありません。

柚木委員 どれだけ身内に甘いんですか。今、この場で約束してくださいよ。

 ちなみに、過去にもありますよ。いろいろな事例を調べましたよ、この後、厚生労働省にも聞かざるを得ないから。厚生労働省関係で調べると、過去にありますよ。そういったセクハラの中で、これは二〇一一年六月七日の報道ですけれども、山形労働局の中でまさにそういったセクハラ行為を繰り返した。

 事務次官も五月まで日程が埋まっているそうですから、毎晩毎晩大変でしょう、飲み会も。だけれども、ずっといろいろな記者さん、私も聞いていますよ、はっきり言って。そういう言動を、長年、ひょっとしたら続けられてきた、繰り返されてきたんじゃないんですか。

 ちなみにこの事例は、一人は懲戒免職ですよ。残り二人は停職、一人は自主退職しているんですよ。そういう事案なんじゃないんですか。

 今この場で、動画までアップされているんですよ、何でこの場で約束できないんですか。約束してくださいよ、再調査するということぐらいは。

 財務副大臣、これは政務じゃないと決断できませんよ。官房長の上司なんですから、官房長に答えを求めるのは酷ですよ。財務副大臣、政務として、責任を持ってきちんと再調査すると約束してくださいよ。お願いします。

うえの副大臣 繰り返しになって恐縮ではございますが、私的なやりとりであっても、セクハラに該当するような発言が決して許されるものではないということは申し上げているとおりでございます。

 今後、何らかの新たな事実が明らかになる場合におきましては、何らかの対応を行う可能性を否定しているわけではございません。

柚木委員 いや、今、つい数十分前に、まさに文章だけじゃなくて音声も公開されているんですよ。その音声、次官本人が聞いたらすぐわかるじゃないですか。五秒でわかりますよ。

 ちなみに、その動画、本当にわずか一、二分の動画ですよ、この中の一部。何なら今見て、聞いてもらってもいいですよ、本当に。その動画の音声が自分の声じゃないのか、自分の声なのか。その上で答弁してもらわなきゃ、まともな答弁ができないんですか。

 新たな事実が出ているじゃないですか、音声という物証が。それなのに、聞いていないでしょう、聞いているんですか、その音声。聞いていないでしょう。だったら、新たな物証が出ているんですよ、ここに答弁に来る前の、その答弁原稿の後に。出ているんですよ、新たな物証が。

 だから、その音声も含めて、真偽をきちんと判別をして、そして内容が事実かどうか。それを、財務省のトップというのは官僚のトップでしょう。スーパー官僚で、まさにベスト・オブ・ブライテストと呼ばれるエリート中のエリートが自分の声を判別できないんですか。

 その音源の精査も含めて、まともな調査をやっていないんだから、ちゃんと調査をすると今この場で約束しなかったら、国民の皆さん、ずっと財務省に不信感が続きますよ。この場で約束してください、ちゃんと調査すると、音源も含めて。お願いします、副大臣。

高鳥委員長 柚木君に申し上げます。

 本日は法案に対する質疑でありますから……(柚木委員「いや、わかっていますよ。だったら答弁させてくださいよ、委員長」と呼ぶ)答弁はさせますが、質問は議題に沿ったものでお願いいたします。

うえの副大臣 その音源につきましては、済みません、私も確認をしておりませんので、これからそれを確認をさせていただきたいと思います。

柚木委員 そうしたら、委員長、よろしいですか。

 これはハラスメント対策でこの後も伺いますけれども、まさに厚労省として、パワハラも含めて、働き方改革の本当に中心的なテーマなんですよ。それが、あろうことか、安倍政権の中核で、財務省で、厚労省で起こっている。

 副大臣、テープの真偽をこの後直ちに確認して、これが本物か本物でないか、内容を含めてすぐに確認して、この厚生労働委員会理事会に報告してください。そうでないと、今の審議は意味ないですよ。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議します。

柚木委員 今委員長からも、まさにハラスメント対策、重要なんですよ。その中で、女性活躍を掲げる安倍政権が、まさに女性記者に対して、いやいや、笑っている場合じゃないですよ、副大臣、本当に。真剣に質疑しているんですよ。ちゃんと、今委員長が言われたように、音源の真偽を、内容を確認して報告をしていただくべく、そこは約束してください。今委員長もそういうふうに言ったんだから、そこは約束してください。(発言する者あり)

高鳥委員長 委員長は、理事会において協議すると申し上げました。

柚木委員 委員長にはお取り計らいをお願いしました。

 そして、財務省として、いいですか、副大臣。理事会で、言われるまでもなく、今言われたように、真偽を確認すると言われたんですから、言われずとも、真偽を確認して、内容を確認して報告をいただく。あるいは、公表、会見もいただいたらいいと思いますよ。そのことだけはせめて約束してくださいよ、音源が出ているんですから。約束してください、お願いします。

 さっきも音源を確認するとは言われたんだから、確認をするだけじゃなくて、内容の真偽、それをちゃんと確認をして、見解を外に向かってちゃんと示していただく、そのことについてはせめて約束してくださいよ。出ているんですから、物証が。

うえの副大臣 音源については確認をさせていただきます。その上で、しかるべき対応をさせていただきたいと思いますが、国会の御指示に従いたいと思います。

柚木委員 ぜひお願いをいたします。

 そして、厚生労働省においても、先ほど大西委員からありましたけれども、健康局長、本当に残念ですよ。

 質問はまさに一緒だったんですよ。健康と貧困、困窮との関係、これはデータも出ていますからね。もっと言うと、申しわけないけれども、ハラスメントとの関係だって、これは健康に重大な影響を及ぼすんですよ。それで過労自殺に至ってしまった方がいるんですよ。そういうことにもつながり得るんですよ。

 それぐらいの事例なので、これは加藤大臣に確認しますけれども、先ほど聞いていましたけれども、これも、調査はもちろん当たり前です。調査、今金曜でしょう、すぐできますから、週明け早々にも調査結果を公表していただいて、その内容によっては厳正に処分を行っていただく。加藤厚生労働大臣、明確な御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 事実関係の具体的な確認は今行っているということを先ほど答弁をさせていただきました。

 調査をどうやって終了するか等々であります。現時点で確定的なことは申し上げませんけれども、相手のプライバシーの保護ということもございます。そういう面も配慮しながらしっかりと調査をし、その結果に基づいて対応していきたいと考えております。

柚木委員 相手のことはもちろん御配慮ください。私もよくわかっています。いろいろな影響がありますからね。しかし、厳正に、迅速に対応してください。

 ちょっと、関係省庁、来ていただいたのに、私、きょう通告ももちろんしているんですが、関係省庁にかかわるところをもう一つ、まとめて済ませますね。

 救命救急とまさに今回は大相撲との関係で、女性が土俵に上がっちゃいけない、これは実は大相撲に限らないんです。さまざまなスポーツの中でそういういわゆるルール、明文化されているかどうかはあって、きのう消防庁あるいは医政局にも確認しましたけれども、こういう救命救急の事態が生じたときに、例えばいろいろあるんですよ。甲子園の野球とか、あるいはゴルフのことも、今度オリンピックに絡んで、女性が出入りできる、できないという議論がありました。

 そういう中で、きょうは、ちびっ子相撲のことでも、楽しみにしていた女の子が土俵に上がれない。過去には上がっていたのに、男女分け隔てなく。けがをするから、女性が。ではエビデンスを示してください、男の子よりも多いという。

 そういうことも含めて一度、こういう事案が起こっていますから、二問まとめて聞きますけれども、内閣府の方にまず。

 これは、例えば女性の首長さん、知事さんとか市長さんとかが土俵上で挨拶をするとか、断髪式でお母さんが断髪をできないから下でやるとか、いろいろなことがこの間起こっています、ちびっ子相撲の女の子のことも含めて。

 ぜひ、見直すべきルールは時代に即して見直していくための議論を、これはまさに日本相撲協会の池坊評議員会議長もそういうことを述べておられるのを拝見しました。ぜひ、時代に即して見直すべきは見直す。男女同権。女性差別、女性蔑視などという見方がされないように、国技、公益財団法人、多額の税金も投入されているわけですから、国民の理解、支持なくしては、国技としての大相撲、本当に存続していくことができるんでしょうか。

 そういった視点で、時代に即して見直すべきルール、文化は見直していく点と、それから、まさに、きょうは文科省、スポーツ庁にも来ていただいていますけれども、スポーツ全般で同種の課題、問題というものがもしあるのであれば、そういったことを調査、整理をして、方針を示していただく。そして、救命救急行為などが必要な場合には、まさにしっかりと取り組んでいただけるような環境をつくっていただく。ぜひそのことを、まず内閣府の方から、まとめて御答弁お願いいたします。

高鳥委員長 申合せの時間が来ておりますので、簡潔に御答弁お願いします。

田中副大臣 今のお問合せの件でありますが、現行の公益法人制度においては、公益法人がどのように事業活動を実施するかについては、基本的には法人自治の問題であり、各法人において自主的に判断されるべきものと考えております。

 そして、本件についてでありますが、これは、国民各層の意見、動向、これを踏まえつつ、公益財団法人の日本相撲協会において判断されるべきものと考えております。

 内閣府としては、協会の対応を十二分に注視してまいりたいと思います。

齋藤政府参考人 御指摘のいわゆる女人禁制のような事項については、賛否両論、さまざまな意見があると承知しています。

 その取扱いは各団体等が自主的に判断するべきものですが、政府としては、スポーツ分野においても女性活躍は重要であると考えております。各団体等の取組について注視してまいりたいと思います。

柚木委員 通告を十項目していたんですけれども、できないんですけれども、実は私も、地元の子供食堂、これは実際に話も聞いてきていたんですよ。本当に課題はさまざまあるんです。

 ぜひ、この法案審議は私もきょう初めてですから、この十項目についても機会を改めて。本当に課題もたくさんあるし、思いを持って、子供食堂だけでは、はっきり言って十分じゃないんです。もっと、平日ずっとやっているような、そういう子供食堂の拡充版のようなものが、これは私の地元、大臣もすぐ近所なんですが、やっているところもあって、これを小学校区単位で全国に拡大していくような取組も、きょう資料もいろいろおつけしておりますので、生活保護基準の話も貧困スパイラルの話も、さまざまきょう通告していたこともしっかりとまさに質疑をさせていただけるような環境を、こんなパワハラ、セクハラ問題をやらなくてもいいような環境を、これは安倍政権、大蔵省の何とかしゃぶしゃぶとか全然反省していませんよ、本当に。おごり、緩みが本当に今蔓延している。そういうことのない、ちゃんとした、パワハラ、セクハラ問題にも対応いただく、そのこともお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 法案について質問いたします。野党は、きょうが第一回目であります。

 今、国の行政全体に対する強い不信感、改ざんや隠蔽が相次ぐ、果ては官僚トップの不祥事など、目に余る状況であります。与野党問わず、政治の信頼が取り戻せるのかが問われていると思います。きょうの午前中も集中審議をやったわけでありますけれども、与党理事におかれては、そうした状況に配慮をいただいたと感謝をしておりますが、引き続き、必要なことはお願いをしたいということと同時に、本法案も本当に重要な論点が多いものですから、十分な審議時間の確保をお願いしたいと思います。

 最初の質問は、三十日の本会議でも質問しましたけれども、生活困窮者自立支援法の第二条に基本理念を創設し、第三条の定義を見直した理由についてです。

 同法は、二〇一一年、民主党政権のもとでの求職者支援制度を出発点とし、二〇一三年成立、二〇一五年四月から施行されました。保護の一歩手前の人を対象とし、自立支援とは就労支援が中心であるという認識がありました。今回は、就労が困難な方たちにとっての支援も同法によってカバーする、そういう理解でよろしいでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 生活困窮者自立支援制度でございますが、平成二十七年の施行当初から、現行の生活困窮者の定義のもとで、断らない相談支援が全国で実践をされ、縦割りの制度では対応できなかった複合的な課題を抱える方々を広く対象といたしまして、就労支援のみならず、家計相談支援や住まいの確保など、個々の生活困窮者の状況に応じた包括的な支援を実施することにより自立の促進を図ってきた、このような制度でございます。

 今回の法案では、こうした包括的支援などの基本理念や定義を関係者間で共有をし、適切かつ効果的な支援を更に推進するために、基本理念や定義の明確化を図っているところでございます。

 これによりまして、これまでの生活困窮者自立支援制度の対象者自体を見直すというものではなく、御指摘の就労が困難な方に対しても、その状況に応じたきめ細かい支援を引き続き行っていきたいと考えてございます。

高橋(千)委員 きめ細かい支援、就労だけではないんだということで、確認をさせていただきます。

 やはり、背景をさまざま書くことによって、そのことがクリアになってきたのではないかと思います。ただ、出発点がやはり就労ということがあったものですから、どうしても、いわゆる稼働能力といいますかね、そこに中心が行ってしまうのではないかということで、そうではないよね、いろいろな課題があるよね、また、すごい頑張ってくださっている方々がたくさんいると思っているからこそ、あえて伺わせていただきました。

 そこで、次に、一月三十一日の深夜、札幌市の共同住宅そしあるハイムの火災により、生活保護受給者など十六名の入居者中、十一名が亡くなるという事故がありました。改めてお悔やみを申し上げたいと思います。

 二月九日、私も現地に行きまして、消火に当たった消防署の職員から事情を聞くとともに、北海道、札幌市、また、生活支援やシェルターなどに取り組むNPO法人、団体の皆様からお話を聞く機会もございました。

 正直、現地に行くまでは、この施設をどう見ればよいか、よくわかりませんでした。いわゆる貧困ビジネスとか、そういうことも、ちまたではよく言われるわけですよね。報道では、とにかく、無届けの有料老人ホームじゃないかというふうなことが言われる。だけれども、決して高齢者だけではなく、若年の方もいらっしゃる。そういう中で、結局、お世話になった方たちの、本当にこの施設がなければという声も紹介されていたわけなんです。それを、本当に、行ってみて、そのことを強く実感したわけなんですけれども。

 実は、二〇〇九年の、群馬県渋川市の「たまゆら」で十名の高齢者が亡くなった際にも現地に行きました。未届けの有料老人ホームと認定され、主に墨田区を始め首都圏の、生活保護を受けながら、言ってみれば、住宅扶助の安い地方の施設に入所していたという、本当にやるせない事故でありました。

 今回のそしあるハイムも、どういう位置づけなのかということが報道されて、町としては把握していないということも報じられました。消防法では下宿と位置づけられています。運営をしていた合同会社なんもさサポートは、東区に五施設、北区に二十九施設、合計三百世帯を支援する施設を持っている。今回のような下宿型は、ここのみと聞いています。形態としては、無料低額宿泊所に近いのではないかと感じたこと。

 資料の一枚目につけておきましたが、読売の二月三日付、「助けられずごめん」という見出しになっています。これは、同法人が運営するほかの住宅に住む女性が、そしあるハイムの住民と交流があったということで、こういう声を上げていた記事であります。

 また、二枚目には、毎日新聞の三月二日付の記事、自分だけ助かっても喜べない、住みやすい施設で、みんな一生懸命やっていたのにという入居者の声を紹介しています。

 一枚目の朝日、二月三日付の社説もつけておきましたけれども、いわゆる貧困ビジネスの類いではない、十分な環境や体制とは言えないまでも、入居者にとってはなくてはならない住まいだったと思います。

 大臣に伺います。

 今回の事故を受けて、単にこの施設の法的位置づけがないことや、防火対策をどうするかというだけの議論にとどまらず、それぞれの利用者がどのような背景で保護を利用するようになり、この共同住宅に集まってきたのかを捉まえ、何を教訓として導くのかが大事だと思いますけれども、認識を伺います。

加藤国務大臣 御指摘の、一月の札幌市の施設の火災、今、高橋委員からもお話がありましたけれども、十一名の方がお亡くなりになりました。改めて哀悼の意を表させていただきたいと思いますし、また、厚労省では、二月の六日には高木副大臣に現地に行っていただいて、献花をするとともに、市の担当者等とも状況説明をするなど、自来、札幌市とも、この問題についても適宜連携をさせていただいております。

 この施設は、路上生活者の支援を行っている事業者が運営していたものと承知をしておりますが、こうした施設も含めて、無料低額宿泊所の利用者や、社会福祉各法に位置づけのない施設に入所する生活保護受給者、約三万二千人おられるというふうに承知をしておりますが、その二割弱が病院等からの入所、二割強が自宅から、三割強が路上生活からということでございます。さまざまな事情で住宅の確保が難しい方がこうした施設を利用されている。一方で、さまざまな事業者によって、ある意味では、こうした住居が供給されているということで支えられているという状況もあるわけであります。

 このため、居住の確保が困難な生活困窮者の住まいに関する支援について検討させていただき、今回の生活保護法、生活困窮者自立支援法の支援策にも盛り込んだところでございまして、具体的には、生活保護法の改正において、無料低額宿泊所の規制の強化とあわせて、単独での居住が困難な生活保護受給者に対する日常生活上の支援を、福祉事務所が質の担保された事業所に委託する仕組み、また、今回火災が起きた施設のように、生活困窮者が多数居住しているが、居住期間が長いということで、この無料低額宿泊所には該当しない、このように判断がなされたというふうにも聞いております。届出が必要となる事業者について、居住期間の長短を問わないということにする等の観点も含めて、今後、関係者の意見を聞きながら、この判断基準の明確化を図っていきたいと思っております。

 あわせて、今回の改正案においては、一時生活支援事業を拡充し、シェルターを利用していた方等に対する一定期間の見守りや生活支援を行う事業も追加をしております。

 こうした施設を利用する方々の状況や背景、これはさまざまなものがあるわけでありますから、そうしたものを踏まえた上で、地方自治体、また、実際に提供等されておられます事業者など関係者の意見も聞きながら、今回の新しい制度を施行することも含めて、支援を要する生活困窮者のまずは住まいの確保、この問題にもしっかり取り組ませていただきたいと思います。

高橋(千)委員 大臣が、法案の概要説明みたいなことまでおっしゃってしまったものですから。

 ちょっと趣旨は、やはりどうしても、「たまゆら」のときはまさにそうだったんですけれども、火災が起きて、結局それは未届けの有料老人ホームだねという議論になり、今回は有料老人ホームを疑ったけれども、いや、ちょっと違うよねとなり、でも無料低額でもないよね、そういう議論ばかりになっちゃう。

 それから、火災が起きれば、じゃ、どうしようかという議論になっちゃう。スプリンクラーは、やはりかなり高額ですから、同様の施設の方にもお会いしましたけれども、それはあるのがいいに決まっているけれども、とても無理なんだ、どこからそのお金が出るんだとおっしゃっていたわけなんですね。

 だから、その議論だけになっちゃうと、じゃ、どんな形でこの方たちが歯を食いしばって支援をしてきたのかというところに思いを寄せれば、何が必要なのかというのが見えてくるんじゃないかという議論をしたかったわけなんです。

 アパートを借り上げて支援をしている団体、NPOにも聞きましたけれども、お話ししている最中に、ひっきりなしに電話がかかってくる、その方の携帯電話に。とにかく今すぐ助けてくれという話なんですね。それは行政からも連絡が行きます。また、札幌市にそういう施設が集中しているものですから、地方から、市外から連絡が来るんですね。やはり、いろいろ不十分だけれども、どうしてもそういう存在が必要なんだということ。

 それから、なんもさサポートと協力会社という法人ともお会いしました。この方たちは、やはりいろんな人がいるんだ、だからタイプを決めないでほしい、つまり、高齢者の施設であるとか障害者の施設であるとかではなくて、その人に合った支援をしているんだということで、決めないで、それをそのままわかって、やりやすい形で応援していただきたい、こういうことも言っていました。

 同法人は、なんもさサポートというのは、実は二〇〇五年に発足しているんですけれども、ホームレス支援の草分けのような存在である。札幌市を中心に、生活困窮者支援を行っている団体などからはよく知られていたと思います。

 この点は、認識、一緒でよろしいでしょうか。一言で答えてください。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の法人についての認識は、ただいま委員から指摘されたとおりでございまして、生活困窮の方への支援を積極的に行ってきている団体の一つと認識をしております。

高橋(千)委員 高木副大臣、直ちに駆けつけていただいたわけですけれども、ケースワーカーの方も訪問をしていたわけですが、どういう実態把握をされていたのか、また、この事故を受けて関係者とどんな協議をされてきたのか、お伺いします。

高木副大臣 お答えいたします。

 二月六日に、私も、そしあるハイム前にて献花をさせていただきました。火災の被害の大きさを目の当たりにしまして、胸詰まる思いで、今も忘れることはできません。改めて、お亡くなりになられた十一名の方々の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。

 火災直後の二月二日に、厚生労働本省の生活保護担当職員を札幌市に派遣をいたしまして、札幌市東区役所におきまして、そしあるハイムで生活していた生活保護受給者の方々のケース記録の確認と、担当職員からの聞き取りを行いました。

 まず、ケースワーカーによる家庭訪問につきましては、国の通知で定められている一年に二回以上行われているということでございまして、また、福祉事務所におきまして、入所者が、事業者から食事の提供や通院の付添いなどの生活支援を受けながら日常生活を送っていることを認識はしていたようですが、施設の運営に特段問題があるとは感じていなかったという見解を聴取しております。

 生計困難者などの住まいにおける防火安全対策につきましては、火災直後から消防庁、国土交通省と協議を重ねまして、三月二十日に三省庁連名で通知を発出しまして、地方自治体の福祉部局、消防部局及び建築部局が連携した取組の実施を依頼したところでございます。

 また、重ねて、札幌市からは、私どもに対しまして、今回の法案に盛り込まれている無料低額宿泊所の見直しに際し、その該当性の判断基準や施設の最低基準の検討に当たっては、十分な協議の機会を設けてほしいとの要望をいただいておりまして、今後、地方自治体や事業者などの関係者の意見を聞きながら、法施行までの間に、最低基準などにつきまして具体的な検討を進めていくことが重要だと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 ケースワーカーが年二回行っていた。ですから、考えれば、位置づけがはっきりしない施設であっても、ケースワーカーを通して、要するに利用者と結びついているわけなんですよね。

 だけれども、そこでは何も気づかれなかったということで、今回、一つの対策として、ケースワーカーが訪問した際に安全対策をやるんだということで国が通知をして、資料の三枚目につけておきましたけれども、チェックリストという、要するに、ケースワーカーはそっちの専門家ではないわけですから、どういうふうなものを見ればよいのかということで、たばこの吸い殻の管理状況ですとかストーブの使用状況、ガスこんろの使用状況、コンセントがタコ足になっていないかとか、こういうのは、確かに素人でも、言われれば気がつくよねと思います。

 だけれども、指摘をしたいのは、やはり大変な過重労働であること。ケースワーカーさん自身が持っているケースが大変多いわけですから、またここに気をとられると、十分な時間が、利用者に割く時間がとれないのじゃないか、そういうことも心配するわけですが、いかがでしょうか。

定塚政府参考人 御紹介いただきましたとおり、今般の取組、新しい取組といたしまして、ケースワーカーが訪問した際に、入居者向けの助言をしたり、防火点検を行ったりということを関係省庁とともに通知をいたしております。

 生活保護受給者が居住する施設の防火安全対策については、従来から、福祉事務所による居住環境確認をし、消防への協力等について自治体に依頼をしてきたところでございますけれども、今申し上げたように、先月、新たに、自治体の福祉部局、福祉事務所、消防、建築部局が連携をしての取組を進めるとしたところでございます。

 この通知についてのケースワーカーの行動でございますけれども、ケースワーカーの業務負担を考慮しまして、この点検などは、あくまでも受給世帯への訪問調査を行う際にあわせて行っていただくということとしております。

 また、御紹介いただきましたけれども、専門的な知識を有しないケースワーカーであってもチェックができるようにということで、いただいた資料の下半分の方でございますけれども、チェックをする。

 また、防火対策の助言などについては、福祉事務所で点検、把握した、このような情報を参考として、自治体の福祉部局、消防部局、建築部局が連携して行うということで、ケースワーカーが一人で抱えるのではなくて、消防や建築部局と連携をして、この情報をまた検討していくということにしているところでございます。

 引き続き、このような取組で、防火安全対策を推進できるように取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今、最後のところで、ケースワーカーが一人で抱えるわけではないんだというお話がありました。

 実は、資料の二枚目につけてあるんですけれども、札幌市で、この火災を受けて関係部局の対策会議が持たれ、つまり、先ほど来話題になっている三月二十日の国の指示を受けて、どのようにやっていくかという市の防災対策をまとめたわけですけれども、二段目に書いてありますように、「同日、全国の自治体に求めたケースワーカーによる防火点検などは最終的に明記しなかった。」と書いてある。これは、情報共有は当然必要だと確認したけれども、「通常業務が激務で、知識も乏しい。点検した施設で火災が起きれば責任問題になる」と市の幹部の声を載せていますが、それは本当に、ある意味、当然のものだと思います。

 ですから、今お話しされた、一人で抱えるのではないんだということをしっかりと届けていくと同時に、やはりそうはいっても、ケースワーカーそのものが足りないという状況にあるわけですから、そことあわせて、やはり国が責任を持つんだとやっていただきたい。これは要望にとどめておきたいと思います。

 それで、資料の5なんですけれども、社会福祉法に位置づけのない施設というのが、調査が二〇一四年に行われて、これは無料低額宿泊所と同時に調査が行われているんですけれども、千二百三十六施設、一万六千五百六十八人が入所しているということがわかっています。

 生保利用者が二人以上いる場合を調査の対象としているわけですが、札幌市は百九十五施設、二千三百三人と回答しているんですね。これは、札幌市に、実は法的位置づけのない施設というのが全国一多く、施設数では一五・七%を占めるわけです。一方、社会福祉法第二条第三項に規定する無料低額宿泊所が一つもなく、北海道全体でも一つしかありません。あくまで一時的なものだからこれに当たらないと説明されたわけですが、むしろ、そしあるハイムは、私は、これは位置づけるべきだったのではないかと直接市にも言いました。法人も申出をしていたと聞いております。

 今回、この無料低額宿泊所を、生活扶助を委託できる施設として、日常生活支援住居施設を法定する、また、その費用を事業者に交付するとしています。

 生活保護には居宅保護原則があり、住宅扶助基準面積は十五平米となっているわけです。もともと、無料低額宿泊所の指針は、その半分の七・四三平米でよいことになっています。全国調査で見ても、十五平米以上は八・二%にすぎません。

 そこで、伺いますが、これから法定する日常生活支援住居施設の面積基準は、当然、生活保護の住宅扶助基準を下回るべきではないと思いますが、どのようにするんでしょうか。

定塚政府参考人 改正法で新しく、日常生活支援を委託できる日常生活支援住居施設、法定するわけでございますけれども、この要件につきましては、日常生活支援を適切に行うために必要な体制や整備、運営上の必要な事項について定めるということを想定をしております。

 居室の面積基準も含め、具体的な内容については、地方自治体や事業者など関係者の意見も聞きながら、改正法施行までの間に検討してまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 でも、これは、終わってから、法律が通ってから決めるんですでは、やはり済まない問題だと思うんですね、居宅保護原則を変えるわけですから。一時的だと言っていた施設を、いわゆる恒久化するんでしょう。そのときに、今までの基準でなくてもよいというふうにするのかということは、重大な問題だと思うんですね。

 無料低額宿泊所は、さっき言ったように、十五平米以上を満たしているのは八・二%しかないんだけれども、住宅扶助基準と同額の宿泊料を徴収しているのは七七・五%もあるわけですよね。そうすると、扶助はしっかりもらっている、だけれども基準は満たしていない。だったら、やはり基準に近づけていかなきゃ、これをちゃんと法定するのであれば。それができないんだったら、一時的な施設である、そういうふうにやはりきちっとしなければ、ダブルスタンダードになってしまいます。いかがですか。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘の方向性、私どもも十分理解できるところでございます。

 ただ、最終的にどのような施設が日常生活支援住居施設として法定すべきか、また同時に、日常生活支援施設は、無料低額宿泊所や有料老人ホームを主に想定しているわけでございますけれども、無料低額宿泊所としての規制をどこまでかけていくかというもの、これについては、委員も先ほど来御指摘いただいているように、各地でいろいろな支援者がそれぞれの工夫で取り組んでいただいているという現状もございます。また、地域性もございますので、こうした各地でのいい支援をしていただいている事業者の行っている無料低額宿泊所等、これらが日常生活支援住居施設として活動できるようにということも踏まえながら、関係者と協議をしてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 やはりこれは、今回のなんもさサポートの例がとても象徴的なんですよ。つまり、ここはホームレス支援から始まっていると、さっき言いましたよね。とても感謝しているんです、市は。長年やってくれてありがとうと言っています。だけれども、火災を起こしたら何の施設かわからないと言って、あっせんもしていないと。

 そういう問題じゃないんですね。やはり本当に、生活保護の人たちに住まいを提供するのに十分な施設がない。アパートもそういう安い値段で、三万六千円です、札幌市の基準は。それで満たすものがない、だから見て見ぬふりをしている、あるいは頼りにしている。でも、いざ問題が起きれば、頼りにしていたとは言えない、こういう状況を本当に変えていかなければ、扶助の基準が足りないのであれば見直しをしていく。今回は引き下げていますからね、前回ね。そういうことも含めて、やはりあり方を考えなければならないと思います。

 そこで、続けて聞きますが、本会議の質問で私は、生活困窮者自立支援の窓口に来所した方、私の質問に対して大臣が、四十五万人のうち五万人が生保の福祉事務所につながっていると答弁されました。ただ、窓口を紹介するだけで、受給までたどり着いたのかどうか、わからないわけですよね。把握しているんでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護が必要な方については、これまでも運用において、要保護状態と認められる方や支援途中で要保護状態となった方については、自立相談支援機関から福祉事務所につないでいる。

 こうした中で、法施行後二年間の自立相談支援機関への新規相談者数約四十五万人のうち、推計でございますが約五万人、福祉事務所の窓口につながっているということでございます。しかしながら、これらのつないだ方について、結果として生活保護の受給に至っているかどうかについては、把握をしていないところでございます。

高橋(千)委員 把握していないというお答えでした。五万人がきちっと受けられたかどうか、わからないわけなんです。でも、逆はわかっているんですよ。

 資料の六枚目にあるんですが、関係機関から相談がつながる際の実態ということで、生活保護を相談に行ったら自立相談支援の窓口につないでいる、八八・三%とか、ちゃんと同行していってあげて自立支援を受けなさいと言っているのが五一・二%。それで、保護が却下となった人とか廃止となった人とかがいるわけなんですね。

 でも、それは、我々が、結局、水際作戦にならないかということを指摘をしてきたけれども、そういう点での親切な同行はあるけれども、その逆は、本当に必要な人の保護を見届けるというところまでいっているのかということがわからない。これは重大な問題だと思うんですね。しっかりと調べていただきたい。

 断らない支援は大事だけれども、本当は断らない保護でなければならない、私はそう思うんですね。やはり、必要な人はまず保護を受けて、安定して、その上で、これは検討会の報告書にも書いていますよね、安定して、そうしたら自立支援という形で保護を脱却することだってあり得ると書いているわけですから、そういう見方ができるんじゃないか。

 あと、もう一問だけ質問したい。

 生活困窮者、生保、いずれも住まいの確保が極めて重要です。住居確保給付金は、二〇一六年度で五千九十五件の実績しかありません。四万件近かったのが大分減りました。離職者であり、就労を念頭に三カ月限定の制度であったために、今回、定義を見直したことも含め、拡充するべきではないか。いかがですか。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 まず、把握の件でございますけれども、福祉事務所につないだ結果、生活保護に至るかどうかを把握するということについては、御本人からの申請を受けた上で、福祉事務所において生活保護についての判断を行うものであり、また、生活保護の受給の有無が決定するまでには一定の期間を要することもあることから、自治体におけるフォローアップを行うための事務的な負担というのも考慮する必要があると考えております。

 さらに、保護受給を開始した旨の情報を福祉事務所から自立相談支援機関の窓口に返すためには、当該情報提供について本人から同意を得る必要もあるところでございます。

 こうしたことから、現状において、保護受給に至った実績の把握は行っていないところであり、行うことは容易でないと考えているところでございますけれども、何よりも重要なのは、委員も御指摘いただいたとおり、生活保護の窓口対応において、紹介のあったケースが保護を要する状況であれば、適切に保護を実施していくということが必要でございまして、今後とも、申請権を侵害しないということはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎み、適切な対応に努めるということを地方自治体に周知をしてまいりたいと考えております。

 また、もう一つ、住宅確保給付金についての御提言をいただいたところでございます。

 この住宅確保給付金でございますが、その目的としては、離職により住居を失った方や失うおそれのある方に対して、所要の求職活動などを条件に、賃貸住宅の家賃相当額を一定期間支給するものであり、就労による自立に向けた住まいの確保を図るということを目的としてございます。

 生活困窮者自立支援制度施行後の状況によれば、給付金を利用した方の約七割が就職に至っており、就労自立に向けて非常に高い効果を上げているというところでございます。

 御指摘いただいたような給付金の拡充については、本給付金は離職者の早期再就職による自立を支援するというためのものであって、仮にこれらの要件を緩和すれば、単に低収入の世帯に対しての家賃支給となってしまうことから、要件の緩和は制度の趣旨から難しいと考えているところでございます。

 なお、生活困窮者を含む低所得者の居住については、ハード、ソフトの両面の支援が必要ということで、今回の生活困窮者自立支援法の改正においても、一時生活支援事業の拡充で地域居住支援事業を位置づけるということなどの改正を盛り込んでいるところでございまして、昨年十月より施行された改正住宅セーフティーネット法とも連携を図りながら、生活困窮者の地域における継続的、安定的な居住の確保を図ってまいりたい、このように考えてございます。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたので、また続きをやります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 きょうは、法案、両方の方に質問をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど私、きょうは内閣委員会で二つ質問があったので、戻ってきたら、山井さんが御迷惑をおかけして済みませんと謝ってきはったので、何の話かちょっとよくわからなかったんですけれども、法案の審議は厳しくやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず一問目、閣法に対しての質疑をしたいと思います。

 生活保護を受けられている方々の中には、二世代にわたって、親子にわたってその状況から抜け出せないでいる、親の世代が生活保護を受けておられて、その子供たちが結局はまた同じようにそういった生活保護を受けることになってしまっている、そういう世帯が少なからず見受けられます。私は、この法律は、こういった方々がそういう貧困のサイクルから抜け出すためにある法案だというふうに思っているんですけれども、現実には、二世代にわたってそういったことになってしまっている方々が多くいらっしゃいます。

 その抜け出せない現状について、なぜそうなっているのかということをどう考えているのか、答弁をいただきたいと思います。

定塚政府参考人 二世代にわたり生活保護を受給する方の状況というお尋ねでございます。

 平成二十八年に、全国二十五の自治体の協力を得て、生活保護受給世帯のサンプル調査を行っております。調査対象となった生活保護世帯の世帯主のうち六・八%の方が、子供のころに生活保護を受給していたことがあるとの結果が得られているところでございます。

 このような貧困の連鎖を断ち切るためには、生活保護受給世帯全体について、就労を通じた自立支援を図っていかなければならない。逆を言えば、就労等の自立支援がこれまで十分図られてきていなかったという側面もあろうかと思います。また、生活保護世帯のお子さんの将来という問題もあろうかと思います。

 このため、今回の法律案におきましては、就労を通じた自立支援等を強化するということとともに、大学等への進学準備の一時金として進学準備給付金を創設するほか、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費の減額を取りやめたり、生活保護世帯の子供で高校卒業予定の方やその保護者に対し家計相談支援事業を実施したり、高校生世代や小学校等への学習支援を強化することとしており、このような取組を通じて自立支援に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

浦野委員 当然、さまざまな政策効果が重なって初めてそういったものから抜け出せるということになるとは思うんですけれども、今、一つ、答弁の中にもありましたように、就労支援、これもしっかりとやっていかなければなりません。

 今回、都道府県の役割が明記をされました。都道府県が役割を明記された以上は、この役割を発揮できるような支援も必要だと思いますけれども、広域就労支援事業等でそういったことを考えておられるのか、答弁をいただきたいと思います。

定塚政府参考人 都道府県につきましては、現行法においても、管内の自治体に対する必要な助言、情報提供その他の援助を行うといった責務規定が設けられており、大阪府の取組や、熊本県における就労準備支援事業や家計相談支援事業の広域的な実施など、都道府県が中心となって取組を進めているという地域も見られるところでございます。

 こうした中で、社会保障審議会の報告書において、広域的な見地からの都道府県事業については、効果的、効率的に発揮されるよう、従事者の研修、市域を超えたネットワークづくり、各種事業の実施に当たっての支援について、都道府県が行うべき事業として明確に位置づけるべきとの指摘がなされておりまして、これらを踏まえて、本法案においては、都道府県の市等の職員に対する研修等事業を創設し、その中で管内自治体の事業実施体制の支援をメニューの一つとして位置づけ、大阪府の取組のような都道府県の主導による複数の自治体の広域的な事業実施についても推進していくこととしているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 事例で挙げていただいた大阪府なんかは、数字も、しっかりと結果を出しているということで取り上げていただいたと思います。これはまたしっかりと進めていただきたいと思います。

 続いて、頻回受診対策ですね。

 我が党は、代表質問、本会議場でも指摘をさせていただきましたが、やはり償還払いの検討を進めるべきだという立場をとっております。今、検討、進捗状況というか、どういうふうになっているのか。検討、検討と言ってずっと検討のままというのが常ですので、いつまで検討して、いつまでに結論を出すということまで決めていただけたらありがたいと思っているんですが。

定塚政府参考人 頻回受診対策でございますが、これまでも頻回受診者等をレセプトから抽出をして指導を行うなどの取組を進めてきたところでございまして、平成三十年度においては、福祉事務所の指導員が頻回受診者の受診に付き添うことで、医師による病状の聴取や治療方針の説明などを受給者とともに受け、医師と連携しながら適正受診指導などを行う事業を補助事業として開始をするということとしているところでございます。

 また、この医療機関への指導員の付添いについては、生活習慣病であるのに治療を受けていない方、あるいは治療を中断している方に対しての医療機関の受診勧奨と一体的に行うということとしておりまして、平成三十三年一月以降は、今回の改正で新たに創設をする健康管理支援事業の取組の一つとして実施をすることも想定をしております。

 さらに、窓口負担の導入ということでございますけれども、審議会における議論では、子供を対象外としたり、あるいは過度の負担とならないような上限額を設けるなどの工夫により窓口負担は実施可能であるという意見がある一方で、最低生活保障との両立が難しくなるという懸念や、必要な医療の受診まで抑制をされて、むしろ長期的には医療費がふえるといった懸念や、仕組みによっては医療機関の未収金やケースワーカーの事務負担の増加につながるといった懸念から、反対意見が多数であったところでございます。

 頻回受診者に対する窓口負担については、厚生労働省としても、このようなさまざまな意見を踏まえながら、課題として検討する必要があると考えておりまして、頻回受診対策に向けたさらなる取組の必要性、最低生活保障との両立の観点なども踏まえつつ、いわゆる、御指摘いただきました償還払いの試行も含めた方策のあり方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。

 現時点でこの検討のスケジュールを設けるということはなかなか難しいわけでございますけれども、例えば、償還払いについては、償還払いにより受診行動などにどのような影響を与えるかといったような点についてもまず知見を深めるという必要があると考えておりまして、まずはこうした影響などについて研究をしていきたいと考えているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 お医者さんにかかるというのと関連して、大阪なんかでは、昔、貧困ビジネスで、薬を大量に処方してもらって、その薬をまた転売をするというようなこともありました。今、大阪では厳しく取締りをするようにしてやったりとか、もちろん、厚労省の対策としてやっていただいていることもあります。

 もともとそういうことに対応するためにつくったわけではないですけれども、お薬手帳というものもあります。私は、そのお薬手帳もしっかりと活用してはどうかというふうに思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

定塚政府参考人 頻回受診対策ということでは、厚生労働省としてもさまざまな方策を自治体とともに進めさせていただいているところでございます。

 薬局において、処方された医薬品に重複などがあると疑われる場合に処方医に確認をしたり、あるいは調剤後も患者の状態を把握して、処方医へのフィードバックや残薬管理、服薬指導を行うということ、患者の適切な服薬、治療にとって大変重要であると考えているところでございます。

 特に生活保護受給者は医療を必要とする方が多く、また、医療扶助とほかの公費負担医療制度の両制度で調剤を受けるという場合もございます。こうした場合に、レセプトを使って事後的に重複調剤のチェックをするということは現状で難しいことでございまして、例えば、薬局が一カ所であるということによる患者のメリットが大きいと考えておりまして、薬局を一カ所とするモデル事業を二十九年度から大阪市と青森県で実施をしているところでございます。

 こうしたモデル事業の成果も踏まえて、自治体からは、地域の医療機関、薬局の所在や交通状況などにも十分配慮すべきとの意見もいただいていることから、こうしたことも踏まえながら、取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 お薬手帳につきましては、患者さんの服用歴を経時的に記録、管理するということで、患者さんがみずからの薬に関する記録を一元管理して、みずからの健康管理に役立てることができるだけでなく、医師や薬剤師が患者の服用歴を確認して医薬品を処方、調剤することにより、相互作用の防止や副作用の回避に役立てることができるものである。これは生活保護受給者についても同じと考えてございます。

 今後、薬局の一カ所化については、地域の事情などに配慮して進めることとしており、受給者によっては一カ所にすることが難しいという場合も想定されております。一方で、お薬手帳についても、持参されないという場合も想定されるものでございますので、この二つ、薬局の一カ所化とお薬手帳の活用を並行して進めていくということが適当ではないかと考えているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 続いて、後発医薬品の使用の原則化についてお伺いをいたします。

 まず最初に、先発医薬品と後発医薬品の効能について差があるのか、確認をしたいと思います。

宮本政府参考人 お答えさせていただきます。

 後発医薬品は、先発医薬品と有効性、安全性等が同等であるものとして承認されている医薬品でございます。

 後発医薬品の審査に当たりましては、例えば、錠剤においては、服用後に、その有効成分が時間の経過とともに血液中にどの程度含まれるのかなど、幾つかの項目につきましてのデータ等につきまして厳正に審査し、先発医薬品と品質、有効性、安全性が同等であるものとして承認を行っております。

 なお、こうした承認審査における考え方は、我が国でも長年用いられているほか、米国や欧州等の海外においても採用されている科学的知見に基づく世界標準の考え方であると承知しております。

浦野委員 先日の橋本岳委員の質問で、初鹿提案者が、劣等処遇とおっしゃいました。私はそんなふうに思っていませんけれども。

 例えば、四月十一日の読売のネットのニュースでしたけれども、白血病のジェネリックの値下げで患者さんの負担を減らすという記事がありました。このジェネリックは生涯飲み続ける必要がある薬ですので、患者さんの経済負担が非常に課題だったということなんですね。なかなかこれが利用が進まないということで、ジェネリックをつくっておられる会社が、それを更に半額にして、患者さんのためにもっと安く提供できるようにするという記事がありました。

 そのことは、初鹿さんの言い分でいうと、安いのが悪いんですかということになるんですけれども、いかがですか。

初鹿議員 先ほども答弁させていただきましたが、安いことが悪いということを言ったわけではありません。生活保護世帯のみに対して安価なジェネリック医薬品を原則化するということが、一般の世帯との比較において劣等処遇ということになるのではないか、差別的な取扱いではないかということを申し上げたところであります。

 先ほども答弁したとおり、国が目標としている八〇%に向かっていくということであるならば、一般世帯も含めて全ての方に原則化をするということであれば、我々も賛同するところであります。

浦野委員 納税者の方々は、そうは思っていない方も中にはいらっしゃいます。といいますのも、やはり皆さん、自己負担をされている方たちですから、それがないということ自体が既にもう差があるわけですからね。納税者の皆さんは、やはり、それぐらいはいいんじゃないか、薬に変わりがないのであればそれでいいんじゃないかという方の方が多いと私は思っております。

 これが適当な比較になるかどうかわかりませんけれども、例えば、電車賃なんかも子供は半額ですよね。それは別に、差別でも何でもないですよね。私は、だから、初鹿さん、初鹿さんだけじゃなくて皆さんがおっしゃっていることについて、一〇〇%否定はしません。ただ、これは、納税者の皆さん方が、最低限な生活を送れるように、その納めた税金の中から皆さんに使っていただこうという形でやっている納税者の税金が原資ですから、そこはやはり、薬の効能に差がないのであればやむを得ないんじゃないか、我々はそういうふうに考えております。この問題はこれまでにしておきます。

 次に、財源についてお伺いをします。

 これは両方の方にお聞きをいたしますけれども、今回の法律を可決することによってかかる金額、それと、どこからその財源を工面するのかということについて、両案の方から答弁を求めたいと思います。

定塚政府参考人 政府提出法案でございますけれども、平成三十年度予算においては、生活保護世帯の子供の大学等進学支援のために今回の改正案に盛り込んだ進学準備給付金の支給に要する費用のほか、法律事項ではございませんが、住宅扶助費の減額を取りやめるという措置を計上しており、これらで合わせて十七億円が確保されているところでございます。

 また、生活困窮者自立支援法関係予算につきましては、今般の改正案に盛り込んだ施策を実施するために、前年度比で約三十一億円の増額となっているところでございます。

 具体的には、三十年十月一日施行を予定している就労準備支援事業、家計改善支援事業を効果的、効率的に実施した場合の家計改善支援事業の国庫補助率の引上げ、都道府県が行う市等の職員に対する研修等の事業の創設、福祉事務所を設置していない町村による一次的な相談の実施などに要する費用が計上されております。

 また、児童扶養手当の支払い回数の見直しについては、今年度、自治体におけるシステム改修費用について、地方交付税措置が行われる予定とされているところでございます。

尾辻議員 浦野委員、御質問ありがとうございます。

 財源についてということでお答えを申し上げます。

 子供の生活底上げ法案の施行に要する経費としては、平年度約五百二十億円を見込んでおります。この財源としては、予算の無駄を省くという観点からの予算の見直しに加えまして、種々の税制改正により確保できるものと考えております。

浦野委員 それでは、そもそも論なんですけれども、この法案を審議するに当たって、日本維新の会に説明に来られましたか。

山井議員 浦野委員にお答えいたします。

 維新の会には御説明に行っておりません。大変遅くなりまして、申しわけございません。

浦野委員 これは二度目だと思うんですね、この質問。前回も山井さんが答弁をされたと思います。

 今国会に入って、もちろん、まあ、我々、説明に来ていないから審議しませんという党ではありませんので、野党の皆さんは嫌われるでしょうけれども是々非々の政党ですので、法案は審議、ちゃんとします、説明に来なくてもね。ただ、やはりそこは、本当に法案を審議して通してもらいたいという気持ちがあるんだったら、説明に来るべきだと思うんですよね。例えば、政府が法案を提出したときに皆さんに説明に来なかったら、どうしますか。

山井議員 おっしゃるとおり、成立を目指すのであれば、説明に行くのが当然であると思っております。ついては、きょうも審議していただいておりますが、採決までにはまだ日数がありますので、ぜひ維新の会にお伺いして御理解をいただきたいと思いますし、浦野先生におかれましては、松原市で天美保育園を運営されまして、雅代園長とともに、本当に子育て支援とか子供の貧困対策、大変御努力されておりますので、そういう意味では、この子供生活底上げ法案の趣旨にも非常に賛同していただける面もあると思っておりますので、ぜひともよろしくお願いします。

浦野委員 山井さんが野党の筆頭をされているとき、僕、まだ一年目、二年目だったんですけれども、家まで来るんですよ。もうびっくりしましたよ、誰がうちの家を教えたんやと。近所のおばちゃんに聞いたら教えてくれたと言うてはったんですけれども、最初、ピンポンと鳴って、誰かなと思ったら山井さんだったので、びっくりしました、本当に。それは大分前の話ですけれども。(発言する者あり)だから、委員会を円滑に運営するために、コミュニケーションをとるために来られたんだと思うんですけれども、それが三週間ぐらい連続で来はったんで、ちょっと怖かったんですけれども。

 もちろんこれからでも、まあ、岡本さんが、要求するよと言うんですけれども、ぜひ、これからでもいいんですけれども、ただ、この法案の厚労の担当は足立康史ですので、またしっかりと足立康史にお願いをしていただいて、この法案の審議を、党内議論をしていっていただけたらと思っております。(発言する者あり)そうです。足立です。

 余計な話が出ちゃいましたけれども、私も、今、山井さんがおっしゃったように、保育園、ほとんど運営は園長の私の奥さんに任せていますので、私も偉そうなことはもう言えないんですけれども、子供たちが置かれている環境は、確かに皆さんがおっしゃるようになかなか厳しいところもある。それをこういう法律で支えるのはもちろんなんですけれども、やはり、それより何より、地域でそういった子供たちをしっかりと見つけて支えていくということを、本来はまずしないといけないと思うんですね。昔でいうところのおせっかいな人たちがおって、その人たちが子供たちの面倒を見ていく、そういった日常が本当は必要なんだなというふうには思うんです。

 法案の審議に戻りますけれども、野党提案の法案についてですけれども、児童扶養手当の支給要件に係る児童、障害基礎年金の加算対象に係る子及び遺族基礎年金の支給対象、加算対象に係る子を二十歳未満の者に拡大することとしておりますね。それを二十歳未満とした理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

尾辻議員 引き続いての御質問、ありがとうございます。

 お答え申し上げます。

 今、二十歳未満の者に拡大する理由でございますけれども、全体の高校卒業者の、まず進学率が七割を超えている中で、一人親家庭の子供の進学率は四割ほどというふうになっております。その最大のネックは、頼みの綱である児童扶養手当が、高校を卒業すると支給されなくなってしまうということであります。

 こうした児童扶養手当の支給対象の拡大については、平成二十八年にも議員立法を提出させていただいて、当時の法案では、拡大の対象を二十歳未満の大学の学生等としておりました。その理由は、貧困状態にある一人親家庭の子供でも、この要件を満たす者は、一般的に稼得能力がなく、一人親と生計を同じくしていると考えられるところ、このような者であっても大学等へ進学できるようにするためということで、前回の法案では二十歳未満の学生等ということにさせていただいて、今回は二十歳未満の者ということなんですが、貧困家庭の中には、大学等に進学されるような学生のほかにも、高校卒業後、浪人生活で困窮をされたり、十分な収入を得られる安定した職につけずに苦しむ子供たちもたくさんいるということであります。一人親世帯の貧困、貧困の連鎖を解消し、子供の生活の底上げを図るという観点からは、このような子供たちも含めて、進学、就職といった次のステップに進めるように支援すべきと考えました。

 ですので、今回の改正案では、児童扶養手当の支給対象を、一律二十歳未満の者ということで拡大をして御提案をさせていただきました。

浦野委員 確認なんですけれども、この二十歳未満というのは、成人年齢が二十歳だからということではないということでよろしいですか。

尾辻議員 成人年齢というわけではございません。

浦野委員 それでは、ちょっと時間的にはもう最後の質問ですけれども、本会議で進学準備費用についてかなりの指摘をされていました。今回、野党の皆さんが出された案で、指摘をされているならばどこかに入っているのかなと思ったんですけれども、法案の説明を聞いていないので自分で探したんですけれども、見当たらなかったので、それはどこで手当てをされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

尾辻議員 閣法の方では、生活保護世帯の子供が大学等に進学した際の新生活の立ち上げ費用として一時金を給付する制度、これで進学準備費用ということになっております。私どもの方では、この進学準備費用ということは計上しておりません。そうではなくて、世帯分離の運用を改善して、そして、生活保護世帯の子供が大学等へ世帯内就学できるようにということで考えております。

 ですので、要保護者の世帯の自立の助長を図るため、世帯単位の原則に係る規定の運用に当たって、要保護者の世帯に属する子供が世帯を単位とする保護を受けつつ大学等に通うことができる配慮をしなければいけないということを規定いたしまして、世帯分離の運用改善を図っていくという法案になっております。

浦野委員 ありがとうございました。

 尾辻さんとは、実は大阪府議会の同期の当選組で、私、最年少や思ったら、尾辻さんが通ったので最年少は尾辻さんになりまして。でも、本当に、こういった形で、まさか国会内でこういうやりとりをするようになるとは思ってもいませんでした。またこれからも、この法案の審議も続きますし、よろしくお願いをいたします。

 質問を終わります。

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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