衆議院

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第31号 平成30年6月29日(金曜日)

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平成三十年六月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      岩田 和親君    大岡 敏孝君

      大西 英男君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    津島  淳君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      福山  守君    藤井比早之君

      船橋 利実君    星野 剛士君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      池田 真紀君    尾辻かな子君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      吉田 統彦君    大西 健介君

      白石 洋一君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      浦野 靖人君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   総務副大臣        奥野 信亮君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        黒川純一良君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石崎 和志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  武田 俊彦君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       清瀬 和彦君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十八日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     石崎  徹君

  穴見 陽一君     岩田 和親君

  小泉進次郎君     西田 昭二君

  三ッ林裕巳君     大西 英男君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     赤澤 亮正君

  岩田 和親君     藤井比早之君

  大西 英男君     津島  淳君

  西田 昭二君     小泉進次郎君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     星野 剛士君

  藤井比早之君     池田 佳隆君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     八木 哲也君

  星野 剛士君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     三ッ林裕巳君

  八木 哲也君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水道法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房水循環政策本部事務局長黒川純一良君、内閣府民間資金等活用事業推進室室長石崎和志君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、医政局長武田俊彦君、林野庁森林整備部長織田央君、国土交通省水管理・国土保全局次長清瀬和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 トップバッターですので、まず最初に、この委員会の運営について一言申し上げさせていただきます。

 まず、きょうもこの委員会が委員長の職権で立てられているということに、非常に憤りを感じております。そして、今回議題となりましたこの水道法も、趣旨説明を、我々野党、立憲民主党を始めとする野党が出席をしない中で行われたということを、非常に遺憾に思っております。

 我々は、審議をしないと言っているわけではありません。我々が求めていることに余りにも皆さん方が不誠実な対応をとっているから、抗議をしているのであります。

 まず一点、生活困窮者自立支援法についてでありますが、十分な審議時間が確保されないまま、ゴールデンウイーク前に、強引に与党だけで採決まで行いました。これに対して我々は補充質疑を求めてきており、それがまだ十分に行われておりません。

 そして、年金についてでありますけれども、この年金についても、調査の報告書が出てきました。これについての集中審議を求めておりますが、これもかなっておりません。

 そして、一番我々が強く求めてきておりますのは、目黒区で起こった児童虐待、この事件について、現地の視察、そして集中審議をこの間求めてきております。これらについて一向に対応をされていないということを、非常に私は憤りを持っております。やはり政治はスピードが大切だと思います。児童虐待の問題がクローズアップされている今ここで国会が動かないでどうするんだという思いを持っております。

 そして、審議の順番についても申し上げさせていただきますが、働き方改革法案が衆議院を通って、そして、参議院での審議時間が足りないということで国会が延長をされたわけでありますが、そういう中で、参議院を通って衆議院に送られている医療法の改正案を後回しにして、先にたばこの、健康増進法の改正案の審議をし、そして水道法を今度は次にやってくるというやり方は、私は非常に不誠実だと思います。

 医療法、医師法が残っているということは、この国会で、きちんとこの衆議院で採決が行われなければ廃案になるということであります。我々は、この法案は賛成したいと思っているわけですよ。そういう法案を後回しにして、審議時間が足りなくなる、審議日数が足りなくなると廃案になるということで、この水道法の審議を拙速に進めようということにならないようにまずしていただきたいということを申し上げさせていただきます。

 その上で質問に入らせていただきますが、まず、今回の水道法の改正ですが、十七年ぶりの改正ということで、我々も、今の水道事業、このまま、今の規模のままで進んでいったときに、本当に大丈夫なのかという懸念もありますので、広域化を進めることや、インフラを縮小していったり、ダウンサイジングを行っていくということ、これに資するような改正であるならば、そこは賛成をしていきたいというふうに思っております。

 そういう面では、今回の改正案の中に、我々と思いを一に、一致しているところも多くあるんですけれども、残念ながら、我々としては、民間に水道事業を譲り渡すコンセッション方式の導入ということは、これは認めるわけにはいかないというふうに思っております。

 そういう前提で質問をさせていただきますが、まず最初に、きょうは国土交通省の秋本政務官にお越しいただいておりますので、まず秋本政務官に質問をしていきたいと思いますけれども、水道を考える上で、その水源となるダムの問題も切っても切り離せない問題ではないかというように思っております。

 私は今、超党派の議員連盟の、公共事業をチェックする議員の会の事務局長を務めておりまして、これまでずっと大型公共事業の問題に取り組んできております。そういう中で、ダム事業の、特に利水面で見ると、過大な需要予測をして、本当に水が必要かどうか疑わしいにもかかわらず大きな水の需要をつくり上げて、そしてダムを建設することを認めさせてきているということがたびたび見られるわけであります。

 その典型的な例が、私は八ツ場ダムだというように思います。八ツ場ダムは、民主党政権のときに一旦中止ということを表明しましたが、残念ながら続行ということになりました。このほかのダムについても、かなりダムの見直しということが当時の民主党政権のもとで行われてきましたが、残念ながら、三・一一の大震災が起こって、そこで少し見直しということに対する見直しも行われ、続行が決まったダムが幾つかありますが、今振り返ってみると、あのとき冷静さを欠いていて続行を決めてしまったけれども、改めて、本当に必要かどうかということは検証していくことが今求められているんじゃないかと思います。

 そこで、皆さんのお手元に資料をお配りさせていただいておりますけれども、まず、八ツ場ダムの利水面での必要性ということで、関係自治体が出している水の需要予測を添付させていただきました。東京と千葉と群馬と茨城をつけておりますが、東京の資料は、一日一人当たりの最大給水量の推移と、一日最大給水量の推移を出しているんです。

 まず、東京都の場合、二〇〇三年に予測をしているんですね。それで、二〇一二年に新しい予測を立てています。黒い実線が実績なんですけれども、見てのとおり、実績はどんどんどんどん右肩下がりで下がっているにもかかわらず、予測は基本的に右肩上がりにしている。一枚めくっていただいて、一日の最大給水量についても、多少、二〇一二年の試算では右肩下がっていますが、そもそも最初、二〇一五年のスタートの段階で、実績と百万立米も違うようなところからスタートをしているという、非常に私は不適切だと思うんですね。

 同じように、千葉県の傾向も見てください。実績は、ほぼ横ばいから右肩に下がってきているにもかかわらず、当初の予測も、新しくした予測も、全部右肩上がりです。

 もう一枚めくっていただいて、茨城県。茨城県も、非常にこれは差が顕著ですよね。実績は横ばいですけれども、予測は非常に角度のついた、急激に水が必要になるような右肩上がりの予測を立てている。

 群馬県も見てください。群馬県も、ずっと右肩下がりなのに、見直しても、こんな六十度ぐらいあるような角度で予測を立てている。こんなことがあり得るのか。

 こういう予測を立てて、利水面で必要だからといって、八ツ場ダムは五回も計画が変更されて、五千三百二十億円まで事業費を膨らませたわけであります。同じような過ちを絶対に私はしてはいけないと思います。

 そこで、きょう、石木ダムという長崎県にあるダムについて秋本政務官にお伺いしますけれども、このダムも、四十年近くにわたって住民が反対闘争を行っていて、事業の、工事の差止め訴訟が提起されました。結審がされて、七月の九日に判決が言い渡されることになっているということであります。

 お手元へ追加の資料を出しましたが、佐世保市の水の需要の予測も見てください。八ツ場ダムと変わらないように、全体的な傾向は右肩下がりになっているのに、はるかに、ワニの口が開いたかのように、大きな需要予測をしているわけですよ。これで水が足らないからダムが必要だというのは、私はいかがなものかなと思うんですね。

 そこで、私からの提案ですが、予測値と実績が、例えば三年とか一定期間、大きく差が出た場合、しかも傾向に違いが出た場合、右肩上がりの予測を立てているのに右肩に下がっているというのが出た場合には、一旦工事をとめて予測をやり直す、そういう仕組みをダム事業では取り入れるべきではないかと思いますが、政務官の御見解を伺います。

秋本大臣政務官 利水を目的といたします多目的ダムを建設する場合には、利水者から必要な水量等を確認を行った上で多目的ダムの計画を作成し、事業を進めているところでございます。利水者の水需要予測は、利水者が責任を持って行うものであるというふうに認識をしております。

 なお、ダムの実施に当たりましては、ダム事業者といたしまして、事業評価監視委員会の意見を聞くなど、事業再評価等の手続を定期的に行っているところでございまして、今後とも法令にのっとり、適切に対応してまいります。

初鹿委員 利水者が行うものであるという答弁をしましたけれども、利水者がこうやって過大な予測を立てているわけですよ。これに基づいて、ほかのインフラの整備も進んでいくわけですよ、浄水場も場合によってはふやさなければいけないとか。

 今回、水道法の改正で一番今議論になっていくところは、今あるインフラの設備をどれだけ残していくかということになってくると思うんです。そのときに予測が過大だったら、本来一つ減らせるような、そういう設備も減らせないままに進んでいってしまうんじゃないか。だからこそ、きちんと事業者以外の目で見て、余りにもこんなに開きがあるんだったら、とめる仕組みをつくらないと、インフラのコストがどんどんどんどん上がっていきますよ、これから。

 秋本政務官、もう一回聞きますけれども、個人の意見でもいいですから、これだけ差があって、本当に正しいと思いますか。

秋本大臣政務官 繰り返しになりますけれども、利水事業の再評価は利水者が責任を持って行うものであり、補助金交付に当たりましては、所管省庁が適切に判断しているものというふうに認識をしております。

初鹿委員 じゃ、もっとシンプルに聞きますね。

 八ツ場ダムの方を見てください。予測、こんなに大きく離れていますよね。この予測値、正しいと思いますか。全て、各県、予測値どおりの数字になると思いますか。

秋本大臣政務官 繰り返しになりますけれども、利水事業の水需要予測につきましては、事業者が責任を持って行うものでございます。

初鹿委員 事業者が責任を持って行うことだとしても、秋本政務官は、このデータを見て、表を見て、どう思うかということを私は聞いているんです。適切だと思いますか。イエスかノーかでお答えください。

秋本大臣政務官 繰り返しになりますけれども、利水者の水需要予測は、利水者が責任を持って行うものであるというふうに認識をしております。

初鹿委員 ちょっと、ちゃんと答えさせてください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 秋本政務官。

秋本大臣政務官 利水者の水需要予測は利水者が責任を持って行うものでございまして、我々といたしましては評価する立場にございませんので、コメントはございません。

初鹿委員 秋本政務官は、政治家として、この表を見ても何も感じないんでしょうか。私は、この表を見たときに、やはりきちんとした予測を立てていかないと、インフラの整備にどんどんどんどん税金を使って、そして、将来自分たちの首を絞めるというか、将来の世代の首を絞めることになりかねない、そう思っているから聞いているわけですよ。

 そこで、今度は厚生労働省にお伺いしますけれども、このように、各自治体水道事業者が出している予測というのは、かなり実績値と乖離をしているケースが多いわけであります。せっかく今回改正をするわけですから、改正に当たって全ての水道事業者に将来の水の需要予測を出させて、そして、出させるだけじゃなくて、何年か実績をきちんと見て、実績と比較をして、例えば五年とか、この実績との間で乖離が大きく見られる場合は予測を立て直させる、そういうサイクルを、これを機につくる必要があるんじゃないかと思いますが、厚生労働省の御見解をお伺いいたします。

高木副大臣 お答えいたします。

 ただいまの水需要予測と実績が乖離した場合、また、そうしたことが懸念される場合ということであるかと思います。

 この水道水源開発施設整備事業、主にダム開発事業ですが、厚生労働省の国庫補助の対象となっている場合には、厚生労働省の水道施設整備事業の評価実施要領に基づきまして、水道事業者等が事業評価を実施しております。

 評価実施要領では、評価の実施時期として、十年を経過して継続中の事業を対象に、それに対して原則五年経過ごとの評価の実施を求めているほか、社会経済情勢の急激な変化等、例えば人口の変化また工場立地などですが、こうしたことにより事業の見直しの必要性が生じた場合にも、適宜、再評価を実施することを求めております。

 水需要予測と実績が大幅に乖離するなど社会経済情勢の急激な変化が生じている場合には、有識者の意見を聴取するなど、水需要予測の見直しを含む再評価を行っているところでありまして、今後とも法令等に基づき適切に実施してまいりたいと考えております。これが、総合的な水需要予測と実績が乖離した場合の見解でございます。

 今お尋ねの八ツ場ダムにつきましては、ちなみに、今申し上げた事業者といいますのは多数にまたがっております。茨城県の県南広域水道用水供給事業者、同じく県西の広域水道用水供給事業者、群馬県の藤岡市、群馬県、また埼玉県、千葉では北千葉広域水道企業ほか、あと東京都等でございます。

初鹿委員 いろいろるる説明いただきましたけれども、やはり、法律が今回改正されるわけですから、長い、継続している事業があるなしにかかわらず、一回水の需要の予測を出させて、そして、きちんと監視をしていく仕組みを改めてつくる必要があるんじゃないかと思います。

 そして、今回、広域化というものを進めていこうとしているわけですから、どことくっつくかということを考えるときに、この予測というのはやはり一つの指標になってくると思うんですね。それが適正かどうかが疑いがあるようでしたら、やはりそこの自治体とか事業者と一緒になろうというところはなくなってくると思うので、その点をしっかり踏まえた対応をしていただきたいと思います。

 もう一点、佐世保市について一言申し上げますけれども、佐世保市水道は有収率が八五・九%なんですよ。有収率というのは、要は、浄水場でつくっている水の量と、それに対してお金が取れている割合なんですけれども、それが八五・九%なんですね。

 資料に、有収率の上位の五つの自治体と、下位の五つの自治体を出させていただきました。ちょっと自治体名は伏せさせていただきましたが、厚生労働省でベスト二十をつくってもらって、我が事務所で五つずつピックアップさせていただいたんですが、この上位のところを見てください。A県のB市、ここは九八・七%と非常に高いんですね。漏水がほとんどない。これは日本の水道技術のすばらしさだと思います。

 その一方で、下位のところを見ると、六六・八%というのが一番下で、七〇%前半、つまり三割ぐらいの水がお金が取れない状態になっている。佐世保市だとそれが八五%ぐらいだから、一五%ぐらいなわけですね。

 こうやって無駄になっていることを考えると、漏水とかしているということなんでしょうけれども、この有収率の上昇というんでしょうか、漏水率を低下させるという表現の方がわかりやすいかもしれませんが、ここにまずは積極的に取り組む必要があると思いますけれども、厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のように、有収率を上昇させるということは大変重要な課題だと思ってございますので、我々としても、老朽化対策、あるいは、場合によっては耐震化対策を含めまして取り組んでまいりたいと考えてございます。

初鹿委員 やはり上位と下位のところで三〇%も差があるというのは、これは是正しなければならないことだと思うので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、続きまして、コンセッションについて質問をしていきますが、秋本政務官、もう政務官には質問がないので、ここで御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

 まず、きのう、立憲民主党で部会が行われ、そこで水道法についてのヒアリングを行いました。その際にやはり関心が集まったのは、このコンセッション方式についてであります。

 そのとき私からお願いをさせていただきましたが、この法案にコンセッション方式の条文が入った経緯がきちんとわかるようにしてもらいたいということで、資料を要求をさせていただきました。一体どういう議論があってこの条文が入れられたのかということを示す資料を出してくれと言いましたところ、出てきた資料は、いつの審議会でどういう資料が提出されたとかいう一枚紙のペーパーで、全く議論の過程がわからないものでありました。これでは審議が深まりません。

 私から改めてお願いをさせていただきたいと思いますけれども、まず、そこで、先にちょっと幾つか質問させていただきますが、この改正案をつくるに当たって、コンセッションの受け手側になる民間事業者、その中でも特にウオーターバロンと呼ばれるような世界の水事業者からヒアリングを行ったのか。具体的には、テムズウオーターやスエズやヴェオリアといった企業が世界の水道事業を担っていると思いますが、こういうところからヒアリング等は行いましたか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そのような会社とはヒアリングを行ってございません。

初鹿委員 それでは、今世界では、一回民営化したものを再公営化というものが進んでいるわけですよ。そのことは多分皆さんも御存じだと思います。そういう再公営化した自治体や水道関係者からヒアリング等は行っているんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そのような自治体からもヒアリングを行ってございません。

初鹿委員 いや、これは非常に私は重要なことだと思いますよ。世界の失敗事例に学ばないで、世界でもうやめていることを今ここでやろうとしているわけですから、失敗事例に学ばないでどうするのかという思いがあるわけですよ。

 では、次に伺いますけれども、それでは、この水道のコンセッションなどを進めるということが話題となってきていた未来投資会議やタスクフォースのメンバーなどとの意見交換や、また、他の省庁との意見交換等を行った事実はありますか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 宇都宮審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そういった関係省庁とは意見交換してございます。

初鹿委員 では、その意見交換をしたときの議事録というか、メモは必ず残っていると思いますが、それを委員会にまず提出をしていただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと急遽のことでございますので、そうしたメモがどういう形で我々の中でつくられ、保存されているか、承知をしておりませんから、いずれにしても、理事会で御協議いただければ、それに沿って対応させていただきたい、対応できる範囲で対応させていただきたいと思います。

初鹿委員 先日の健康増進法の質疑の中でも、政策決定過程を明らかにするべきだということを申し上げました。もともとあった案から変わったときには、特にそういうことを明らかにするべきだということを申し上げました。

 それで、今回も、与野党で対立をするような部分については、やはり、誰が一体どういう検討を行ったのかがわかるようにすることが、審議を充実させることにつながると思います。そして、この政策決定におけるさまざまな打合せ等は、文書をきちんと残しておかなければならない決まりになっているわけです。

 資料に、厚生労働省の行政文書管理規則を載せてありますけれども、改めてまた読み上げさせていただきますが、下の方の下線を引いてあるところですけれども、「政策立案並びに事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等(職員と職員以外の者との折衝等を含む。以下「打合せ等」という。)の記録については、文書を作成するものとする。」というように、文書をつくらなきゃいけないわけです。

 こういう打合せレベルのものも含めて、全て資料として提出をしていただきたい。まずは、委員会の要求資料としていただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

初鹿委員 まず、そういう政策を決定する過程がわからないと、やはり議論が深まらないと思うんですね。

 今回、このコンセッションを導入するに当たって、やはりメリット、デメリットがあるわけです。特にデメリットの面で、どういうデメリットが指摘をされて、それに対してどういう打ち返しがされて、そしてそれが本当に解決に導くということで、みんなが納得してこの法案が出てきているのかどうか、私は非常に疑問なんです。だから、このような求めをしているわけです。

 その上で、まず大臣に伺いますが、世界じゅうで、一回民営化したものを再公営化しようという動きが出てきているわけであります。日本は、その一周おくれで、今ここで民営化をしようなんということを進めているわけですが、周回おくれであるという認識はございますでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっと、世界の民営化の具体的な姿は承知しておりませんけれども、私どもの方においても、今おっしゃった再公営化の事例として、水道料金が高騰したケース、あるいは水道施設の管理運営レベルが低下し、水質の悪化等を招いたケース、あるいは、これにもかかわりますが、約束された設備投資が不履行なケース、そういった各国におけるそうした事例を収集し、分析をさせていただき、それを踏まえながら今回の法案をつくらせていただきました。

 それから、ちょっと、各国と、直接わからないと申し上げたのは、今回提案させていただいているコンセッション方式は、地方公共団体が引き続き水道事業の継続に責任を持つというものでありまして、水道事業そのものの民営化ではございませんので、その辺が、各国がどうなっているかということはもちろんありますけれども、それは先ほど申し上げた、再公営化するに至った事例、課題、それらも踏まえて、制度をつくる上においては検討を行い、そうした対応も盛り込ませていただき、そうした問題が生じないように制度の設計をさせていただいている、こういうことであります。

初鹿委員 私は、そこが非常に怪しいんじゃないかと思うんですよね。

 これは、一旦民営化をしてしまうと、再公営化をするのに非常に大変になります。例えば、小規模な事業体が民営化をして、今までいた水道の職員が一切いなくなる、それで、五年なり十年なりたったところで、ああ、やはりふぐあいが出てきたから再公営化しようというときに担う職員がいない、そういう状況になったら再公営化できないじゃないですか。それをどう考えているのかということを、私は非常に疑問なんです。

 こういう場合に再公営化できると思いますか。

高木副大臣 お答えいたします。

 まず、コンセッション方式を導入する場合は、地方公共団体がコンセッション事業者の業務、経理の実施状況等に関しまして四半期ごとに報告を求めるなど、定期的にモニタリング、報告徴収、実地調査することによりまして、再公営化するような事態とならないようにすることがまず重要と考えております。

 このため、今般の水道法改正法案におきましては、厚生労働大臣が、地方公共団体のモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者によりまして適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で許可することとしております。

 また、今般の水道法改正案におきましては、厚生労働大臣は、コンセッション事業を許可するに当たり、地方公共団体が、コンセッション事業者の事業継続が困難となった事態をあらかじめ想定しまして、迅速に事業の継続体制を構築できるよう、その対応方法についても確認するということにしております。

 契約にもよりますが、事業の初期段階におきましては、専門的なノウハウなどを有する自治体職員をコンセッション事業者に派遣させることも一般的には想定されるところでございまして、再公営化せざるを得なくなった場合には、これらの職員を自治体に復帰させることも十分考えられると思います。

初鹿委員 まあ何か、あくまでも契約なんですよね。事業者の側で困難になった場合の、取消しをして、その対策というものは盛り込まれていると思いますが、逆に、自治体の側でやはりやめたいということになったときに、本当にやめられるのかということを指摘をさせていただきたいと思います。

 例えば、選挙があって、結果が大きく変わって、推進をしていた市長が落ちたり、議会も反対派の方が多くなって、議会でやめようといったときにやめられるのか。契約上、そういう規定がなければ、多分やめられないと思います。逆に、議会の決定によっては途中で解約する可能性があるという規定を設けたら、契約も成り立たないと思います。つまり、途中で自治体の側からやめるというのは非常に難しいんですよ。

 それと、もう一つ、もう時間がないので最後に指摘をさせていただきますが、トランスナショナル研究所というアムステルダムに本拠地のある研究団体が出している、「公共サービスを取り戻す」というところの結論に書いてあることを最後に申し述べさせていただきますが、国際的な経験からもう一つ重要な教訓は、民間契約はその変更も停止もひどく難しいことだ。一たび契約が交わされれば、企業はあらゆる方法で公的機関を契約条件に縛りつけることができるし、それを変えようとすれば公的機関は全てのステップに膨大な出費を余儀なくされる。契約を途中で停止したり、満期になった契約を再更新しないとき、自治体や国は甚大な出費の困難な戦いを覚悟しなければならない。

 こういう指摘で、この報告書は締めくくられているんですけれども、私は、こういう事態になりかねないということを最後に指摘をさせていただいて、この質問を終わらせていただきます。

高鳥委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日議題になりました法案に関して、初鹿委員がお話しになられたところは割愛をさせていただきながら、やはりコンセッション方式、民間委託を中心にちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 確かに、老朽化する水道インフラと、国、自治体が直面している財政難、その突破口として、日本の水道を全て民営化しよう、そういったお考えでなさっていっているのではないかと思います。ただ、水道を民営化した多くの国々では再公営化が、先ほど来お話があるように起こっているのはもう御存じだと思います。

 法律で定められた耐用年数四十年を過ぎた水道管というのは三万八千キロメートルぐらいあるんでしょうかね。これも、更に今後ふえていくわけであります。こういった老朽化した浄水場やダムの更新、修繕のためには今後五十年で五十兆円を超える額がかかるとも、もう大臣御存じだと思いますが、言われていますよね。そういう中、人口も減って税収が減ってきている国、自治体に余裕がなくなってきている。また、水源開発の水道事業の負債も十兆円を超えていますよね、たしか。こういった転換期を迎えているわけであります。なので、今回、法案自体は非常に大事なことを多く含むんだ、そのように承知しております。

 ただ、公的機関が、公営で行われてきたものを民間にするということ、そもそも水道事業というのは、なるべく安い料金でサービスを提供するために、基本的にもうけないというようにしてきた事業ですよね、公的機関が。だから公的機関が運営をしてきた。それを、企業がもうかるモデルに変えるときというのは、そのやり方は当然限られてくる。

 国際的にはどういうことがポイントになっているかというと、もうけるためのやり方というのは、水道料金を値上げする、水消費をふやす、これが一番目ですね。二番目に、労働者を減らす、非正規に置きかえる、これもよくやられています。それで、三番目に、税金で補填する。これが世界の民営化で起こっている実情なんですが、まず大臣、このことに関してちょっとコメントをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 ちょっと、一つ一つの事例を承知しているわけではないので、なかなか、このケースはこうだという議論はしにくいのでありますけれども、しかし、まず一つは、我々、民営化を全面的にやろうとしているわけではなくて、その地域地域の状況に応じて、一つのそうした、しかも、今回提出させていただいているのは、地方公共団体が引き続き水道事業の継続に責任を持つ、あくまでも地方公共団体が水道事業者である、そういったことを前提に法案をまず提出をさせていただいているということが一つあるというふうに思います。

 それから、これまでのさまざまな民営化を見たときに、全てが失敗しているわけではないんだろうというふうに、日本の中においてもですね。ですから、それはケース・バイ・ケースということもあるんだろうと思いますし、成功している部分と、そうでなかった部分もあるのかもしれません。そういったことも含めて、先ほど初鹿委員にも申し上げましたけれども、今回は、海外での水道事業の再公営化事例、そこでうまくいっていなかったその課題、それらも我々なりに分析をし、そうしたことにも対処し得る、そういった枠組みの中で今回の法案を提出させていただいている、こういうことであります。

吉田委員 大臣、おっしゃることはわかるんですけれども、きのうのレクでかなり細かく、私、通告をしていますので、やはり、気になるところを細かく委員会で審議することが、この法案がいかに大事かというのを国民の皆さんにわかっていただくし、また、安全だということをわかっていただくためなので、大変恐縮ですが、大臣、細かく、私、きのうかなり細かく言ってありますよね、だから、そこはちょっと答えていただきたいと思います。

 では、ちょっと具体的なもので、大臣が今聞いて、ちょっと後ろで役所の方とお話ししても結構ですが、答えていただきたいんですが、例えば、南アフリカの事例で、悲惨なことが起こっているんですよ。民営化された後、全てのコストを水道料金に反映するフルコストリカバリーという制度が採用されまして、貧困家庭の多くは収入の何と三〇%を水道代に割いていた。その結果、料金を払えなかった約一千万人が水道をとめられて、汚染した川で水をくんでコレラが蔓延した。クワズールナタール州だけで十二万人が感染、三百人以上が死亡した。しかし、このとき、民間の水道会社は何もしなかった。結局、政府が給水車を出したり、そのコストを全部補填したということで、何のための民営化だったかわからない事例が起こっています、南アフリカ。

 イギリスは、一九八九年から水道の民営化をしていますが、十年間で水道料金がどんどん値上がりして、水質検査の合格率が八五%以下に下がっちゃった。漏水件数もふえて、何百万人もの方が水道をとめられたという事例がある。しかし、その間、何と株主配当や役員特別報酬は普通に、民間の会社ですから払われていた。

 フランスですね、今度。さっき初鹿委員も言いましたが、二大メジャー、スエズ社やヴェオリア社というのは、フランス・パリが本拠地ですね。一九八五年から二〇〇九年までの間に、水道料金は二六五%上昇したという事例があります。

 うまくいっている事例というのは逆に少ないというふうに思えるんですね。

 水道の民営化というのは地域独占で行われます。だから、市場経済じゃないですから、企業が料金を値上げしたいと言ったら、それをとめるすべが非常に少ないわけですよ。

 パリの場合、三〇%の収益が企業内部留保金になったというようなデータもあります。

 また、一九九九年、ブレア政権となって水道料金の引下げが行われた。何が起こったかというと、経営が悪化した民間企業は、次々に外国資本に買収、合併されていった。水道事業は金融ギャンブルの投機対象のようになってしまったなどという指摘があるんです。

 こういった南アフリカ、英国、パリという事例を見て、大臣、いかがお考えになりますか。

加藤国務大臣 例えば今、料金の話がありました。

 日本の仕組みでは、適正な利用料金を維持するため、まず、PFI法に基づき、地方公共団体が事前に条例で基本的な料金の枠組みを定めることになっているわけであります。加えて、今般の水道法改正法案においては、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して利用料金を設定していることを確認する、そういう仕組みになっております。

 それから、先ほど水道水の安全という話もありましたが、水道法に基づく水質や水道施設の基準を満たしているか、これは厚生労働大臣が直接コンセッション事業者に対して報告徴収、立入検査を実施する仕組みにしているわけでありまして、本来、水道事業者であれば、もちろん厚労省はそういった権限がありますけれども、こうしたコンセッション事業者に対してもそういったことがやれるという仕組みになっております。

 また、サービス水準を確保するため、厚生労働大臣が、地方公共団体のコンセッション事業者へのモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者により適時適切に実施できる体制になっているか、これを確認する、まさに地方公共団体の管理がちゃんと行き届き得るようになっているか、それも確認した上で許可をする。

 こういう仕組みを入れることによって、先ほど申し上げた、これまで海外において起きてきた、結果的に再公営化しなければならなかった、そうした問題点、それに対応する仕組みにさせていただいております。

 それから、私ども全てを承知しているわけではありませんけれども、一九九八年から二〇一一年の間にフランス国内で契約された事業、ちょっと古いあれになりますが、約九七%は民間事業者との契約が更新をされている、そういうことにもなっているということも一方であるんだろうと思います。

吉田委員 フランスも、そうですね、パリはあれですけれども、場所によっては。ただ、全体的にまた再公営化の動きがどうもフランス全体としてはあるらしいですけれども、私が聞いている範囲では。

 大臣、ちょっとまだお答えいただいていないんですが、例えば、株主配当とか役員特別報酬、コンセッション方式で委託されたところ。やはり、水道料金の値上げをどんどんする一方で、株主配当や役員特別報酬を支払うなんということが起こらない、また、漏水や水質検査で著しく問題が起こってくる中でそういう株主配当、役員特別報酬などを払うということは、基本的に大臣が指導して許さないということでいいんでしょうかね。

加藤国務大臣 イギリスでそういう事例があったと今お話がありましたけれども、我が国で今回コンセッション方式を提案、今回のコンセッション方式でありますけれども、PFI法に基づき、公共施設の管理者である地方公共団体が、施設整備を含む業務の範囲、サービスの水準、水道料金の上限、料金の上限ですね、などの枠組みを事前に条例等で定めるということでありますから、それを超えて上げるということにはならない仕組みになっております。

 その上で、地方公共団体は、料金の設定に関与することやコンセッション事業者の役員報酬等を含む財務状況について、これはモニタリングすることになっておりますので、そうしたモニタリングを通じて、水道料金や民間事業者の役員報酬が極端に高くならないように対応していける、こういうふうに考えております。

吉田委員 ありがとうございます。

 そういったことをしっかりと、やはりやっていっていただかないといけないのかなと思います。

 少し初鹿議員からも触れたんですが、水道事業というのは、二十四時間安全な水をずっと出していかなきゃいけない。大変なことですよね、本来的には。それを企業がやると、厳正に選ばれた企業だとは思うんですけれども、やはり、困難になってぱっと撤廃してしまう、急遽撤退してしまうなんということが、会社ですから、ある可能性があるわけですが、急に、もう今月でできませんだとか、そういったことに突然なってしまった場合、極めて急な撤退に対して、この法案では、復旧や、その後の維持に関してはちゃんとした仕組みはできているんでしょうか。

高木副大臣 まず、コンセッション方式を導入する場合には、地方公共団体がコンセッション事業者の業務、経理の実施状況等に関しまして四半期ごとに報告を求めるなど、定期的にモニタリング、報告徴収、実地調査をすることになっておりまして、事業継続が不可能になる前に対処することが重要と考えております。

 このため、今般の法改正におきまして、厚生労働大臣が、地方公共団体のモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者により適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で許可することとしております。

 加えまして、許可の際には、厚生労働大臣は、地方公共団体がコンセッション事業者の事業継続が困難となった事態をあらかじめ想定しまして、迅速に事業の継続体制を構築できるよう、その対応方法につきましても確認をすることとしております。

吉田委員 前段は大臣がさっきおっしゃったことなので、副大臣、最後のところですよね。だから、ちゃんとそれは即日対応できるように地方自治体が責任を持つという理解で、副大臣、よろしいですよね、今の御答弁。はい、わかりました。

 引き続き、では、二〇一三年ごろだと思いますが、麻生副総理が日本の水道を民営化するとおっしゃったんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっと私も、ごめんなさい、正確ではないかもしれませんけれども、そういう御発言をされたと仄聞を実はしているんです。

 水道の再公営化というのが世界じゅうで起こっているという話をるる先ほどからお話しさせていただいていますが、フランス・パリは、二〇一〇年に水道を再び公営化していますね。そのときに、オプセルバトワールという組織を設立して、市民が代表となって、こういう水道事業というか水問題を議論する場がつくられたそうです。その結果、企業秘密だった投資計画、財政計画も公開された。実際、どうも、これも私はちょっと資料で見ただけなので正確かどうかわかりませんが、四十五億円のコストを削減して、八%水道料金を下げた。こういったことがよく、これはパリの事例らしいんですが、されているそうです。

 ブラジルのポルトアレグレでも、参加型予算といって、市民たちが区域ごとに公共事業の優先順位を話し合って決めていて、こういった水のこととかいろんなことをやっている。

 世界の潮流としては、こういう市民参加型の再公営化や若しくは市民参加型の公営維持というものがどうも潮流となって動いているようでありますが、こういった動き、まだ一部だとは思うんですけれども、私が知るところではかなり、八十六カ所ぐらいの地域というふうに聞いていますが、ちょっとこれは正確かどうかは、私も自分自身で調べた例ではないのでわかりませんが、こういった動きに関して、ちょっと御所見をいただけますか。

加藤国務大臣 その市民参加型というのは、ちょっと、どういう立場で参加するのか。日本の場合には、例えば水道事業者は大体地方公共団体でありますから、その地方公共団体の議会を通じてさまざまなチェックがなされる、そしてその議会は住民から選ばれている、こういうような形になっておりますし、また、今回私ども申し上げているのも、あくまでも市町村が水道事業者でありますから、そういった意味では、住民を代表する議会の同意に基づいてこうした事業の経営が行われるというふうに思います。

 ただ、やはりもう一つ大事なことは、市民なのか、その水を使っている人という意味での市民なのかもしれませんけれども、やはり、水道事業というものに対してしっかり見て、関心を持っていただく、そして、関心を持っていただくためには、必要な情報が提供されていくということが大事だと思います。

 現在でも、分析によれば、実際、本来、独立採算を原則としているわけでありますけれども、ランニングコストすらうまく賄えない、あるいは、さらには、長期的なコストも考えると更に赤字である、そうした事業体も結構あるわけでありますね。そういった流れの中で、さらには、これから収入も人口減によって減っていく、やはり、そういった事情ということをそれぞれの皆さんが理解をした上で、じゃ、どうすべきかということを考えていただく。

 そういった意味においても、今回の改正案で、水道施設の計画的な更新や、長期的な収支の見通しを作成し公表することに関して、努力義務、これを課しているわけでありまして、こうした情報公開ということが住民の皆さん方あるいは利用者の方々の関心を生み、また、それを通じて健全な経営といったものにつながっていくということも、我々はぜひ進めていきたいと考えております。

吉田委員 大体、おっしゃることはわかりました。

 大臣、そうすると、一つの、先ほどはこういった事例があるという説明で、更に申し上げると、コンセッション方式というのはそもそも今でも可能になっていますよね、それは後ほどお伺いしますが。そのいわゆる受託する側に関して、先ほど来、しっかり審査をしてということですが、例えばこういう事例があるんですよ、大臣。ウェールズ、ありますね、イングランドの中の。ここは、実は非営利事業団体が、もともと米国資本でされていた水道事業を買収して、非営利形態で、利潤を全て再投資に回すという運営をしているそうなんですね。

 これはある意味、理想的な姿にも映るんですが、今回、日本の今法案でも、非営利の法人だけとは言わないですけれども、そういったところが優先的に参入できるようにするような仕組みとか、そういったものはお考えになりませんでしょうかね。

加藤国務大臣 まず、先ほどから申し上げているように、これでこういうことをやりなさいということを申し上げているわけではなく、選択肢の一つとしてこういう仕組みをさせていただいているということであります。

 その上で、これまでのコンセッションは、今、地方公共団体が水道事業者であることを返納して、そして民間が受けるということになっているので、これで進んでこなかったということで、引き続き地方公共団体が水道事業者でありながら、その運営を民間に委託をしていく、こういう仕組みの中で、先ほどるる説明させていただいているような、さまざまなほかの国での課題等も念頭に置きながら仕組みをつくらせていただいている、こういうことでございます。

 そうした意味で、これから、非営利というお話がありましたけれども、非営利かどうかは別として、やはり、地元のことをよく知っておられる企業、地元の状況がわかる、水道事業でありますから、そういった意味においては、そうした地元の企業等々が積極的に参加をしていただく、そういった方向が私は望ましいのではないかと。しかし、やるときにこうでなきゃいけないと一律に規定するつもりはありませんけれども、地元等の事情等を知っていただく、やはり水道事業というのはそういったこともよく知っていただくことが大事だと思いますので、そういったことも考えていく必要があるんだろうなというふうに思います。

吉田委員 大臣、先ほど来、こうしろとおっしゃっているわけではない、それはわかるんですけれども、ただ、でも、大臣、これはすごく重要なところですよね。大臣がおっしゃることはわかるんです。大臣が、これをしなさいと、みんなに全部民営化しなさいと言っているわけじゃないですよね。

 ただ、しかしながら、一部民営化されるとしたら、そこはすごく耳目も集中するし、本当にその安全性、水というのは、人間の体はほとんど水でできていますし、御飯を食べなくても一カ月水を飲んでいれば生きますけれども、水を飲めないと七十二時間で人間は死亡しますよね。それくらい水は重要。だから、七十二時間はゴールデンタイム、災害のときに七十二時間たっちゃうと生存が難しい。それぐらい水は大事だし、さっきのコレラの話も、言ったように、昔、戦前なんか、井戸だと毒物を混入なんといううわさが起こったりとか、それぐらい人間のライフラインの最も重要な部分ですから。

 ここは、全部をそうしろと言っているわけではない、大臣の言葉はわかるんですけれども、だからこそ、やるとなったらそこはしっかりと、もうしっかり説明はいただいていますけれども、監視をしていただくこと、やはり有事のときに備えていただくということは大事なので、大臣、そこはひとつよろしくお願いします。

 例えばベルリンなんか、大臣、再公営化したときに、企業が途中で放り出しちゃったわけですけれども、再公営化するに当たって水道料金はぼんと上がっていますので、ベルリンも。企業というのはやはり利潤を生まなければやめちゃいますから、そういうときに、また公が戻すときもあり得るわけですよね。あり得るわけですよ。だって、それを大臣が無理やり、もっと続けなさいとは言えないわけですものね。だから、そういったこともやはり十分に備えていただかなきゃいけないと思います。

 引き続き、法案の趣旨に関して説明を求めてまいりたいんですが、本法案で、早期の収支見通しを作成して、施設の計画的な更新、耐震化を進めるというようなことが、説明で厚生労働省からいただいたんですが、本法案でそれが早まるんでしょうか、その根拠というのは。これはもうそのまま私はレクのときにお伝えしてありますので、ちょっとお答えいただけますか。

高木副大臣 お答えいたします。

 施設の計画的な更新、耐震化に向けまして、今般の改正案におきましては、水道事業者等に、一つは、水道施設台帳の作成や保管、水道施設の点検や必要な修繕等の義務づけ、また、水道施設の計画的な更新、更新費用を含む事業の収支見通しの作成や公表の努力義務を規定しまして、水道事業者におけるアセットマネジメントの取組を推進することとしております。委員御指摘のとおりでございます。

 これによりまして、水道事業者等が中長期的な観点から必要な財源を確保した上で、施設の更新や耐震化を着実に進めることにつながるものと考えております。

 平成二十八年度における管路の更新率は〇・七五%でございまして、これを前提に、現在埋設されている水道管を全て更新するために要する期間を単純に計算しますと、約百三十年と考えております。

 水道事業者が置かれた状況、事情が異なるために、法案によりまして管路の更新率がどの程度上昇するかを予測することは難しいことでございますが、厚生労働省といたしましては、改正法を着実に施行するとともに、水道管路の耐震化等に対する財政支援などを通じまして、管路の更新が一層進むよう取り組んでまいる所存でございます。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

吉田委員 微妙に私の質問と焦点がずれながら、二問合わせてお答えをいただきましたので、まあ、それはよしと申し上げますけれども。

 副大臣、ちょっと簡潔に答えてほしいんです、これは大事なことなので。

 百三十年という数字、水道というのは布設をし始めてからそんなものなんですかね、そもそも。もうちょっと短いですよね。ですよね、大臣。何でここからやり直すというか、更新すると百三十年という数字が出るのかということは非常に疑問なんですよね。もっと本当は短いんじゃないかなと思えてしまうこともあるし、逆に、何かの理由でもっと長いのかもしれないんですが、簡潔にお願いしたいんですが、百三十年の根拠を教えていただけますか。

高木副大臣 管路の更新率が平成二十八年度におきましては〇・七五%と考えますと、全て更新するために要する時間、期間を単純に計算しますと、百割る〇・七五ということでございまして、百三十三・三三、約百三十年という計算でございます。

吉田委員 単純な割り算はちょっと当てになりませんね。ちょっと恐縮ですが、それはちょっと、余りデータとして引用するのはどうかなと思ってしまいますので、今後もうちょっとしっかりとやっていただかないといけませんね。

 それで、続きですけれども、主に市町村単位で運営されている、水道事業を。多くの水道事業が小規模で脆弱である現状というのを御説明でいただいていますよね。その現状を本法案で改善できるという明確な理由を端的に、焦点をずらさずに、ぴしっと答えてください。

高木副大臣 恐れ入ります。

 御承知のとおり、水道事業は、必要経費のうち浄水施設や管路等の設備投資に要する費用の割合が大部分を占めます、いわゆる固定費が多い装置産業でありまして、人口が減少したとしても必要経費には大きな変化がないため、小規模な水道事業者の場合、その影響が大きく、事業経営は今後より一層厳しいものになると考えられます。

 こうした小規模で経営基盤が脆弱な事業者につきましては、施設や経営の効率化、基盤強化を図る広域連携の推進が重要であると考えております。

 しかしながら、水道事業はそれぞれの事業基盤に格差があることから、住民や議会の理解を得ることを含めまして、広域連携の調整は非常に難しいという状況にあります。

 このため、この改正法案におきまして、都道府県に対して、広域的な水道事業者等の連携などを進める責務に加えまして、協議会の設置や、基本方針に基づく水道基盤強化計画の作成を法的に位置づけることとしております。こうしたことによりまして、水道の経営基盤強化のために必要な広域化を進め、脆弱性が解決できるものと考えております。

吉田委員 そのように、御計画されたようにいくといいですけれどもね。広域連携、結構難しいかなと私も思います。おっしゃったようにかなり格差がありますので、そこを相当分配慮してやっていかないと、逆に、広域連携をする中で官民の連携が崩れてしまうなんということもあり得ないとも言えないので、そこはしっかりとやっていただきたいと切に願います。

 では、コンセッション方式、ちょっと聞きたいんですけれども、そもそも現行だと、大臣さっきちょっとお答えになっていますが、民間事業者に運営権を設定するためには、自治体が持っている水道法上の認可を一旦返上するんですよね、それで、民間事業者が新たに水道法上の許可を取得することが必要となっている。改正法案でこの違いというのは、自治体が水道法上の認可を有したまま民間事業者に運営権を設定できるとなっていますが、そもそも、どうして、今でもコンセッション方式はできるし、それを進めるためにはほかのやり方もあるのかなと思う中で、なぜこの方法を選ばれたのかということを簡潔にお答えください。

高木副大臣 ただいま委員から御指摘のとおりでございまして、こうした事情から、地方公共団体からは、不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したまま運営権の設定を可能としてほしいという御要望がありました。

 多様な官民連携の選択肢を更に広げるという観点から、地方公共団体が水道事業者としての位置づけを維持しながら、厚生労働大臣の許可を受けることによりまして、民間事業者に運営権を設定できる制度を設けるということとしたものでございます。

吉田委員 まあ、そうですかというふうにしか、ちょっと答えづらいですね、今のお答えだと。まあ、わかりました。

 じゃ、そうすると、ちょっと大事なことを何個か簡潔に説明を求めてまいりますが、不祥事が発生した場合の責任というのは、つまり市町村にあるということでいいですかね。端的に。

高木副大臣 おっしゃるとおりです。水道事業の最終的な給水の責任は、水道事業者である地方公共団体が負うこととなります。

吉田委員 さらに、これも簡単に聞きますが、水道法とPFI法というものに対する罰則は当然、今回、業者の違反に対して発生するわけですが、水道法、PFI法の範疇以外の違反行為に対する罰則とか、そういうのも簡潔に答えていただけますか。

高木副大臣 一般的に水道事業を受託する民間事業者が業務上遵守すべき法律としては、水質汚濁防止法、労働基準法などがあります。民間事業者がこうした法律に違反した場合は、その内容に対応する法律の罰則等の規定が適用されますし、契約に基づきまして、水道事業者は改善措置を指示するなどの対応をとることとなります。

 いずれにいたしましても、それ以外の、業務以外の倫理上等につきましてはこの範疇ではありませんが、最終的にはこうしたことを、契約を結んでいる自治体及び議会が判断することと考えております。

吉田委員 時間がなくなってきましたので。

 事業所の収益、役員報酬、給与等は、条例等で水道料金を決めていくことで影響すると思うんですが、この辺の制限設定というのはあるんでしょうか。

高木副大臣 利用料金の幅につきましては議会で、条例で設定することとなっておりますが、それ以外の、コンセッション事業者の役員報酬等を含む財務状況、これは、モニタリングすることによりまして極端に役員報酬等が高くならないようにできると考えております。

吉田委員 それで、民間事業者に委託した場合、水道料金というのは、海外の事例だと軒並み高くなっています。水道料金はあらかじめ条例で定めるといっても、民間事業者ですから、自社の収益最優先になって、条例で定められた上限額まで水道料金を引き上げてくる可能性が高いですよね。こういったことが本当に国民に対しての利益になるとお考えなのかということと、また、水道料金というのは、ある試算では、今後三十年間で一・六倍まで引き上げないといろいろ修繕とか進まないというデータも私、拝見したことがいつかあるんですけれども、厚生労働省というのは、こういう法律をつくるんだったら、水道料金算定についてのガイドライン等を先につくって、同時にお示しするのが当然かなと思うんですけれども、そこをどう思われますか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高木副大臣 利用料金につきましては、先ほど来申し上げておりますが、地方公共団体が事前に条例で枠組みを決めることとなります。加えて、この法改正におきましては、厚労大臣も、原価を適切に算定して利用料金を設定していることを確認することとしております。

 仮に、やむを得ない事情によりまして、枠組みの範囲を超えて利用料金を上げる必要が生じた場合であっても、やはり議会において条例改正が必要となります。したがって、コンセッション事業者の一方的な意向によって利用料金の値上げができるわけではありません。

 また、今、ガイドラインというお話がありましたが、類似の条件下に置かれた他の市町村の水道料金との比較などから、コンセッション事業者による利用料金の上限改定の要求が不当な理由なものであると考えられる場合は、地方公共団体は、事業者との契約を解除した上で、例えば、別の民間企業への包括委託などによりまして水道事業を継続することとなると考えております。

吉田委員 もうそろそろ時間となりましたが、これは重要な問題で、私、実は、今約十五問お答えいただきましたけれども、二十七問用意しておりまして、本当はもっといいディスカッションを引き続き、委員長、したいので、できればもっと時間をしっかりと確保していただいて、これは大事な問題ですから、後で、このとき議論がなされていたのに、再公営化になったところが頻発して、結局何だったんだということになってしまうなんてことがあってはいけないですし、そうならないようにしていただく政府には御責任がありますけれども、そういったことも含めてさらなる審議を希望しますし、委員長、あと、児童虐待等に関しても、やはりまた集中審議の場を設けていただきたいなと切に希望しておりますので、お取り計らいいただきたいということを最後に申し述べまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 国民民主党の柚木道義です。大臣の限られた時間ということなので、よろしくお願いいたします。

 今ちょうど吉田委員も最後におっしゃいましたし、初鹿委員も言われていましたが、私も、水道法審議、五問通告をしておりますけれども、やはり今緊急的に、人道的観点からも優先して審議いただきたいのは、一昨日御両親が起訴をされた、東京都目黒区で五歳の船戸結愛ちゃんが虐待死をされてしまった。

 政府の中でも緊急対策をこの間も関係閣僚会議で出され、一カ月後をめどにまとめる。与党の中でも大変本質的な、建設的な議論がなされています。

 そして我々も火曜日に、これはいろんな時間的な都合があって、野党五党そして一会派ということではありますが、恐らく法案の内容については与野党御賛同いただける内容が多分に含まれている児童福祉法、児童虐待防止法の改正案を提出をさせていただいているところでございます。

 前半は水道法の質疑の資料をつけておりますけれども、例えば資料の十五、十七あたりを見ていただくと、資料十五というのは野党案です。この野党案というのは、後ほど少しさせていただきますが、児童福祉司の増員あるいは関係機関の連携強化、もちろん児相と警察との協定の締結、その範囲の検証、見直し、そして、十七ページを見ていただくと、まさに関係閣僚会議で政府としても取り組んでいかれるもろもろの対策を包括した内容になっております。

 委員長、まさに人道的観点からも、この児童福祉法、児童虐待防止法の改正案の審議をこの厚生労働委員会で、集中審議はもとより、法案質疑をこの委員会で行っていただくように、これはぜひ理事会でお取り計らいをお願い申し上げます。

高鳥委員長 一言申し上げます。

 今、柚木委員御指摘の児童虐待法案、それから児童虐待に関する集中審議、あるいは視察については、理事会でも理事から御要望が出ております。

 御協議をいただいておりますが、引き続き理事会でよく御協議をいただきたいと思います。

 質問を続けてください。

柚木委員 ぜひ、委員長のリーダーシップも重ねてお願い申し上げたいと思います。

 午後から、大西委員の質疑、少し、柚木さん、もうちょっと質問してくれてもいいよとおっしゃっていただいているので、その範囲の中で、もちろん水道法もやりますけれども。

 ちょっと私、けさ出てきた資料を今追加でつけさせていただいた。皆さん、最後のページ、十九、二十、見てください。

 これも私、本当に驚きました。命の電話相談ダイヤルですよ。全国共通ダイヤル「いちはやく」、もともとの資料では十九ページ、その後二十、二十一になるのかな、一番最後につけているものです。

 つまり、私が何を驚いたかというと、もともとの十九ページの、二十八年四月から改善して、現在、平均接続率、つまり、オペレーター若しくは音声ガイダンスから児相に転送されて、直接相談員が受けるのが二七・六。この数字も実は違うんですけれども、たったこれだけしかつながらないのかという思いでいろいろ調べて、そして、ぜひこの質疑までに調べて出してくださいと言ったら、厚生労働省も頑張って作業いただいて出てきたのが、この全体の中で、皆さん、そもそも四千百六十六件、この調べた七千六百七十三件のうち四千百六十六件、五四・三%はつながってすらいないんです。これはきょう初めて出てきた資料です。

 つまり、話し中であるとか、ツーツーツーとなるとか、あるいは、もちろんその前に切っちゃうというケースもあるかもしれません。でも、それは少数です。つまり、半分以上がそもそも、やむにやまれず「いちはやく」にかけた、ところがつながらずに、こういう実情があるんです。

 加藤大臣、五四・三%もの方々が、まず入り口で、命の相談、子供にとっては命の相談ダイヤルなんです、つながっていない実情、五四・三%という数字、御存じでしたか。

加藤国務大臣 私もきょう朝勉強させていただきました。

 全国相談所全国共通ダイヤル、これは一八九ということでやらせていただいておりますけれども、発信者の利便性の向上や児童相談所へつながるまでの時間を短縮するため、本年の二月に、これまでは郵便番号等の入力が携帯番号からの電話の場合には必要であったわけでありますけれども、これを、コールセンター方式を導入して、オペレーターが対応する仕組みに改善したところであります。

 そして今、五月の数字、これはつながらなかった数字であります、携帯電話だけでありますが。

 全体としては約二万件ありまして、携帯電話からが約四割、固定電話からが約六割、正確に言えば、携帯電話からは三八・一%、固定電話からは六一・九%ということであります。

 今、柚木委員から御指摘がありました。オペレーターにつながる前に電話が切れたということで、これも五月分について調べたところ、総入電数、これは携帯電話でありますが、七千六百七十三件のうち四千百六十六件、五四・三%がオペレーターまでつながっていないわけであります。

 ただ、この理由を見ますと、冒頭のガイダンス、これはお金が、済みません、今有料になっています、お金がかかります、そのぐらいのガイダンスの間に切れてしまっているもの、これが四五%というのは、総入電数の四五%ということであります。それから今度、オペレーターにその後つながりますと言って、ルルルかピーピーピーかわかりませんが、そうつながっていく、その間に切れているものが、全体を一〇〇とすると四%ということでありますから、五四・三に対し四九、ですから、ほぼ九割以上は、実はつながっていないんじゃなくて途中で切られている、これが今の状況だというふうに認識をしています。

柚木委員 今の御答弁も非常に、私も今回、児童虐待の、もちろん法改正、多くの皆さんが、児相さん、あるいはさまざまなNPO、市民団体、母子包括支援センターの担当の方、もちろんそういうことを必要としている親御さんに聞くと、いろいろなことが必要なんだけれども、やはり一番すぐにできるのはこの「いちはやく」なんですね。今どき携帯ですよ。きょうも時間があれば提案しますけれども、SNS、LINEなども使った相談、これはいじめ対応でも本格的に導入を検討されている。

 こういう中で、先日、私もあるNHKの番組を見て、本当にいろいろなことを考えさせられました。つまり、やはり夜中なんです、夜間なんです、こういう虐待のいろいろなことが。我が家も子供がちっちゃくて、いろいろなことで、あしたの学校の準備、何とか、もう大体、ちゃんとできていなかったら、何をやっているのとなるんですよ。

 その夜中に、誰にも相談できない、あるいは一人でお子さんを育てられている、いろいろなことで悩んで煮詰まっている時間帯にかけて、今のような説明があったんですけれども、入り口でつながらない、五四・三%。こういうふうなことになると、それがつながって思いとどまることができた、そして、だんだんその先、子供に愛着を感じることができて、我慢ができるようになって、自分の中で解消する、そういうすべを身につけられるようになった、さまざまな声を聞いていますよ。

 大臣、今ちょうど言っていただいたんですが、この後聞こうと思っていたのは、やはりお金の問題。これは、御存じのように、皆さん、一一〇番、一一九番は無料ですよ。命にかかわる、本当にそういう相談ダイヤルですから、三十分かけたら千円かかる、こういう問題は皆さん時間がかかります、一時間、二時間かかるんです。ですから、千円、二千円かかると思ったら、そのガイダンスを聞いた瞬間に、つながる前に切っちゃう。これでは、子供たちの命、虐待を防ぎ得るものが防げないということにもつながり得ますので、ぜひ、この今のお金の問題も含めて、これは無料化も含めて、接続率、アクセスの向上を大臣、ぜひ御検討いただきたいと思います。よろしく御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 まず、先ほど申し上げたように、ガイダンス中等に、要するに先方が切られている、こういうことでありますから、そうした事情がどういうものかということも少し我々は調べてみなければならないというふうに思います。

 いずれにしても、こうした児童相談所へ本当にいろいろな困難を抱えながらお電話されてこられる、そういった方々の事情というのは十分に我々も認識をした上で対応していく必要があると思いますし、先ほど柚木委員からSNSの話もございました。実は、メール相談を受けている児童相談所も中にはございます、これは全国でやっているわけではありませんけれども。そういった手法についても調査研究をしていきたいというふうに思っております。

柚木委員 今の前半の答弁ですね、まさにお金がかかるから出る前に切っちゃうも含めて、ちゃんと検討したいというところ、私は、この無料化、これはぜひ検討いただきたいと思いますので、今の答弁ににじんで、言っていただいたと思いますが、ぜひそこをしっかりお願いします。

 大臣、参議院がありますから、もう一問だけ。

 十四ページをごらんください。これは、私たち野党が児童福祉法、児童虐待防止法の改正案を出した上での、きのう、野党ヒアリングで、点線から左は厚生労働省が試算をして出した資料です。右側が、野党案が成立をすれば、児童福祉司がどれだけ各都道府県で増員をされ、また、一人当たりの虐待相談件数がどれだけ負担軽減されるか、こういったものを示した資料です。

 例えば、皆さん、東京都をごらんいただくと、今の現行の強化プランでいくと、九十八人定員が足りません。しかし、野党案が成立すれば、プラス百二十四。もちろん、私たちは三万人に一人ですから、基準が上がりますから更にふやさなきゃいけなくなりますが、現状の状況について言えば、不足が解消されるのみならず、一人当たりの児童福祉司さんの相談対応件数五十一・二が二十六・八に半減されるんです。つまり、五十人学級が二十五人学級になるんです。大阪も同様です。百六人足りない、五十人増員、一人当たり六十二・五が三十一・八、半減されるんです。六十人学級が三十人学級になるんです。

 先ほどの「いちはやく」もそうなんですけれども、現場の児童福祉司さんが当直で輪番制でやる、あるいは市民団体の方、あるいは、テレビで、札幌の麦の子会、児童養護施設が持ち出しで当直の方が輪番制で相談対応する。いずれにしても、人手が足りないんです。

 ですから、この野党案、三万人に一人、こういうことをすることでこれだけの効果が認められるわけでありまして、先ほど申し上げた政府の緊急対策の中にも、当然、児相の体制強化、そして十六ページ目には、安倍総理大臣も、まさに、児相強化プランについて、厚生労働省においてしっかりと見直しをして取り組ませる、強化をしていく、こういうことを答弁されていますので、ぜひ、加藤大臣、この一カ月後にまとまる緊急対策も含めて、政府としても、児童福祉司の増員、それによって児童福祉司一人当たりの虐待相談対応件数の軽減を実現していただくようにお願いをいたします。御答弁お願いします。

加藤国務大臣 今月十五日に、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議、総理も御出席をいただいて指示も頂戴しているところでありますので、まずは七月中下旬を目途に、まとめるものはしっかりまとめていきたいと思っております。

 その中において、児童虐待対策を進めるためには、御指摘の児童福祉司を始め児童相談所の体制、あるいはそれぞれの方々の専門性の向上、こういったことが不可欠であります。

 増加し続ける児童虐待あるいは相談件数、この対応をしっかりと行っていくためにも、関係省庁と連携して、平成二十八年に策定した児童相談所強化プランではありますけれども、その見直しをしていきたいと考えておりますし、あわせて、市町村の体制あるいは専門性の強化についても必要な検討をし、そして七月中下旬に向けてまとめていきたいと考えております。

柚木委員 ちょっともう時間がなくて、参議院に行かれると思いますので、ぜひ、今の答弁、もう少し端的に、明確に、児童福祉司、増員をする、今の強化プランよりもペースアップをして、私たちは三万人に一人ということでその配置基準を変える、こういう提案をしています。そのままでなくても結構なんです。とにかく増員を、今の巡航速度よりもペースアップをして増員をして、児童福祉司一人当たりの負担軽減、つまり、守れる命を守る、そのための増員を行うと、一言最後に答弁をお願いします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた平成二十八年に策定した児童相談所強化プランを見直すという意味は、まさに、これは減らすような状況ではありませんから、今の現状、あるいはこれからの児童虐待相談数、まだ残念ながら伸びる可能性もございます、そういったことも想定して見直しをしっかり行っていきたいと思います。

柚木委員 増員いただけるという御答弁をいただいて、本当にありがたく思います。与野党を超えてこの問題にしっかり取り組んでいきたいと思います。

 午後からは法案の質疑もしますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 御質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 大臣が参議院に行かれたということで、この時間、与党の質問、高木副大臣にお話を伺いたいと思います。いつも本当に温かく御指導いただいておりまして、まことにありがとうございます。

 本日の議題は水道法の改正法案の審議ですが、本題の質問に入る前に、私からも児童虐待について一つ質問させていただきたいと思います。

 多くの方が触れられているんですが、三月二日に、東京都目黒区で、両親から虐待を受けた当時五歳の船戸結愛ちゃんが死亡した事件、本当に大きな衝撃でございました。死因は低栄養状態などで起きた肺炎による敗血症というふうに報道されております。大変痛ましいことに、結愛ちゃんの死亡時の体重は、同年代の平均の約二十キロを大きく下回る十二・二キロということでありましたし、さらに、本当に、もうこれは涙なしでは聞けない、毎朝四時ごろから練習させられていた平仮名で、もっとあしたはできるようにするから、もうお願い許してなどと書いたノートが見つかったということも報道をされました。

 児童虐待は、親のすることではないという以前に、人間のすることではないという強い思いを持つのは私だけではないと思います。何としても再発を防止したい、そういう思いで、早速、厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課虐待防止対策推進室長からお話を伺いました。児童虐待防止に係る政府の取組について説明を受けたわけであります。

 その中でもちょっと私は少なからず驚いたことがあって、児童虐待を防止するための協議会、要保護児童対策地域協議会というのがあると承知をしておりますけれども、その構成機関という資料があったんです。もう一回言いますと、要保護児童対策地域協議会の構成機関。少なからず驚いたのは何かというと、その協議会の構成機関に警察署が入っていないという割合が全体の四・三%あったということです。

 御案内のとおり、児童虐待は、体力的にも圧倒的に優位にある親が児童を虐待するということで、言うまでもなく、大人の力で幼児を突き飛ばせば、それだけで場合によっては大けがあるいは死に至る。殺人罪や傷害罪、保護責任者遺棄致死罪などの刑事犯罪に極めてつながりやすい特徴があるというのが児童虐待だと思います。

 だからこそ、取り返しのつかない被害が生じる前に、警察がその権限をフルに使って介入することが必要な場合が多いと考えられるわけです。警察の介入の必要性ということについて言えば、いわゆるDV、すなわち家庭内暴力、例えば夫婦間の、大人同士の暴力の場合と比べても大きいと言えるのではないかと思うんです。

 だからこそ、私が申し上げたいのは、要保護児童対策地域協議会の構成機関に一〇〇%警察が加わっていなきゃおかしい、いざというとき警察の力がかりられない、そういう取組でいいわけがないだろうと私は思うわけであります。

 更に言えば、警察署が構成機関になっている全体の九五・七%を占める要保護児童対策地域協議会においても、国家はできる限り家庭に介入しないという基本的な考え方に基づいて、恐らく警察が消極的な対応を続けているために、防げるはずの事件が多発しているというのが実態ではないかということを強く恐れます。大きな懸念があるということです。

 数字を述べれば、ここ数年、児童虐待による死亡事例の発生件数、毎年八十人前後、これは副大臣、当然御承知のことだと思います。心中による虐待死を除いても、毎年五十人前後ということです。平成二十七年に限れば、八十四人が死亡している。心中を除いても五十二人で、数年間にわたって横ばいということで、何も改善をしていない。改めて申し上げるまでもなく、多過ぎるということだと思います。

 そこでお尋ねをしたいのは、結愛ちゃん事件を契機として六月十五日に開催されました、野党の先生方もお触れになった児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議であります。これを受けて一カ月後を目途に打ち出すこととしている政府の緊急対策がありますが、ちょっと先取りして文句を言うようで申しわけないんですけれども、児相の人員配置を強化するとか、あるいは、その児童が引っ越した場合に児相同士の連携を強化して連絡をよくする、これはきっと盛り込まれると思うんですが、私は、それだけじゃ足りないと思っているんです。

 それで、高木副大臣にお伺いをしますが、警察の関与を強めること、あるいは児童福祉と警察との連携を強化すること、これを目玉としてぜひ盛り込むべきだ、即効性があるのはこれだと私は確信をしているんですが、検討状況について教えていただきたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 この目黒区で発生した児童虐待事案につきましては、私も胸潰れる思いでございます。何としても再発防止のために取り組む所存でございます。

 この児童虐待事案を受けまして、今御指摘のとおり、今月十五日に関係閣僚会議を開催しまして、安倍総理から、子供の命を守ることを何より第一に据え、全ての行政機関があらゆる手段を尽くすよう緊急に対策を講ずることについて御指示がございました。政府、関係機関が一体となりまして、子供の命を守る、そして今回のような痛ましい事件が二度と繰り返されないよう、やれることは全てやるという強い決意で徹底した対策を早急に講じていくこととしております。

 ただいま御指摘をいただきました児童福祉と警察との連携につきましては、さきの関係閣僚会議で示された児童虐待防止対策に関する検討課題の一つといたしまして、大枠六項目でございました、そのうちの一つとして、関係機関間の連携強化、警察、学校、病院等を含みますが、そのことが掲げられております。

 具体的には、児童相談所と警察の間の情報共有のあり方、また二つ目に、子供と会えずに安全確認できない場合の警察との連携のあり方、三つ目に、要保護児童対策地域協議会への警察の積極的な参画や、要保護児童対策地域協議会を通じた適切な情報共有などにつきまして、関係府省庁と連携してしっかりと今検討を進めているところでございます。

 また今後とも御指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。

赤澤委員 高木副大臣と思いは本当に共有をしていると思うんです。

 ただ、若干しつこいようですが、先ほどお話のあった要保護児童対策地域協議会、四・三%は警察署がそもそも入っていない。その状態でどうやって連携するんだ。その辺、もう関係者の認識を改めることから徹底してやっていただきたいと思います。

 もとより警察の権限は抑制的に行使されるべきですが、子供の命が危険にさらされているというような非常事態では、取り返しのつかない被害が生じることを断固として回避するために、警察がちゅうちょせずに家庭に入り込むことが求められる場合が相当数あるだろう、そのことは論をまたないと私は思っています。

 逆に言えば、どういう場合であれば警察が例えば世間から批判されることなく家庭内に入っていけるのかというようなことを、場合によっては場合分けする、シミュレーションする、いろいろなことも含めて本当に警察の力をうまくかりて、警察の関与の強化、児童福祉と警察との連携強化で、目に見えて児童虐待を減らしていただきたいということを強く希望しておきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 次に、本題の水道法改正法案の質疑に移りたいと思います。

 まず、大阪府北部地震など巨大地震の影響で生じる水道の被害や水道施設の耐震化の状況について伺いたいと思うんですね。

 冒頭、今月十八日七時五十八分ごろに発生をしました大阪府北部地震について、亡くなられた方々の御冥福を祈り、御遺族の皆様にお悔やみを、被災された皆様にはお見舞いを申し上げます。

 その上で、今回の大阪府北部地震では、高槻市などで水道管の破損があり、道路上に水があふれ出た映像、あるいは十数メートル水が噴き上がった映像、これがテレビで頻繁に流されておりました。

 聞くところによると、いずれの水道管も昭和三十年代に布設されたものであるということで承知をしております。地震がきっかけということではありますが、水道管の老朽化が進んでいた結果起こったものであり、地震に強い水道とすることが必要不可欠だと考えます。

 そこで、まず事実関係から伺いますが、大規模な地震ということでは、まだ記憶に新しいのは二年前の熊本地震ということになります。最近の熊本地震や直近の大阪府北部地震も含めて、近年の地震による水道施設の被害状況がどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。

高木副大臣 まず、大阪北部地震で亡くなられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 今御指摘の、六月十八日、大阪北部を震源とする地震におきましては、最大震度六弱を記録し、大阪広域水道企業団の送水管の破損等によりまして、高槻市や箕面市において最大九万四千戸に断水又は減圧給水が発生をいたしました。しかしながら、迅速に復旧を行いまして、翌日の十九日には解消するに至っております。

 また、平成二十八年の熊本地震におきましては、最大震度七を記録し、約四十四万六千戸が断水となり、断水期間は最長で約三カ月半に及びました。

 さらに、平成二十三年の東日本大震災では、最大震度七を記録し、約二百五十六万七千戸が断水となり、断水期間は最長で約五カ月に及びました。

赤澤委員 東日本大震災の場合、最大で五カ月も断水が継続したということであります。

 改めて水道施設の耐震化の必要性を強く認識するところでありますが、全国の水道施設の耐震化の進捗状況についても御説明をいただきたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 平成二十八年度末におきまして、耐震性を有すると評価される耐震適合管が基幹管路に占める割合は全国で三八・七%となっております。これに対し、今回地震被害のあった大阪府におきましては、三九・七%と、全国とほぼ同等の値となっております。

 なお、大阪府における四十年の法定耐用年数を超えた管路の割合は二九・三%と、全国の一四・八%より高い値となっておりまして、管路の老朽化が進行している状況にあると認識しております。

赤澤委員 地震について、私もいろいろな記憶が、あるいは経験がありまして、東日本大震災の後、発災後一月たつ前に、まさに今厚労大臣をお務めの、今おられませんけれども、加藤大臣と二人で、防災服を着込んで、一台のバンに救援物資を積み込んで、二人で交代で運転しながら被災地を訪れた記憶があります。

 そのときに、いろいろとお話を被災された方たちに聞くと、やはりガスと水道がそろって復旧するということが非常に重要で、それがないと、水があれば体は洗えるんだけれども、冷たい水ということになるわけで、ガスと水道が同時に復旧しないとお風呂に入れない、本当に気の休まるときがないというような話をかなり切々と聞かされて、都市と地方で、ガスと水道、実際、ガス会社が供給している場合、プロパンでやっている場合、いろいろな場合に、災害への対応については注意点がさまざまあって、例えばプロパンが災害には実は割と強かったとか、いろいろなことがあります。

 生活インフラをしっかり確保していく上で、水道については、そもそも水を飲めなければ人間は本当に長生きできないということもありますし、しっかりと対応していただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 水道管路の耐震化の進捗は全国で四割弱というお話がまさにあったところで、端的に申し上げれば、まだまだ全く不十分と言わざるを得ないということになります。引き続きの取組を強くお願いいたします。

 そこで、今回の水道法改正法案でありますけれども、住民に身近なサービスである水道について、耐震化を始め、基盤の強化を図って、いかに持続可能なものにしていくか、これが水道サービスの将来を占う非常に重要な内容の法案となっているところであります。今回の法改正によって、キーワードは持続可能性ということだと思いますが、どのように水道の基盤強化を図り、水道の持続可能性を確保していくことができるかという観点から、以下質問を続けさせていただきます。

 今回の法改正では、広域連携もうたわれております。これについてはいろいろな先生方がまた質問されると思いますが、それに加えて、官民連携の推進ということもうたわれております。中でも、水道施設の運営権を民間事業者に設定できるようにするコンセッション方式、これを導入しやすくする制度改正が盛り込まれているということであります。

 特に、コンセッション方式については、私は旧運輸省、国土交通省出身なものですから、空港のコンセッションがかなり進んでいるということを非常に身近に、よく元同僚の皆様から聞かせていただくもので、それも絡めてお尋ねをしたいと思うんですが、これまでのところ、コンセッション事業の中では空港分野が進んでいるというふうに私は承知をしております。その理解でよろしいのか、また、空港分野で特にコンセッション事業が進んだ理由について、担当から御説明をいただきたいと思います。

石崎政府参考人 御指摘のとおり、コンセッションの中で、現在、空港分野、五件のコンセッション分野が既に運営を開始してございます。これはさまざまな分野の中でも特に進んでいるものでございます。

 空港分野につきましては、これまで、平成二十五年に民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律が制定されまして、空港法ですとか航空法の特例を設けることで、各対象施設においてコンセッション方式の導入を可能とするなど、コンセッション事業推進に向けた制度整備をいち早く実施したというのがまず一つ挙げられると思います。

 また、初期段階で形成されました案件におきまして、コンセッション方式導入と軌を一にして、外国人観光客の増加等がございました。その結果、空港において民間の資金や能力、ノウハウ等の活用が特に有効に機能したということもまた、空港分野におけるコンセッション事業が進んだ要因であると認識してございます。

赤澤委員 それで、空港の場合、二〇二〇年の東京オリパラなどを考えた場合も、インバウンドの需要、四千万人目標ということだったですかね、訪日外国人観光客。これからインバウンドが非常に伸びていく、空港の利用もふえるだろうといった大変期待が膨らむ中で、民間からも、我こそはというか、手を挙げて、空港の経営に乗り出してみようということで、話が進みやすいというか、希望者が出てきやすいような、そういう状況にあると思いますが、水道について言えば、これまでも水道でコンセッションを行うことができたのに、なぜ、今般、水道法を改正してコンセッションを促進しようとしているのかという点について御説明を賜りたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、現行制度におきましても、PFI法に基づきまして、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定することは可能となっております。しかしながら、地方公共団体が水道事業の認可を一旦返上した上で、民間事業者が新たに認可を受けるということが必要となります。

 このため、地方公共団体から、不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したままで運営権の設定を可能としてほしいという御要望がありました。

 多様な官民連携の選択肢を更に広げるという観点から、地方公共団体が水道事業者としての位置づけを維持しつつ、厚生労働大臣の認可を受けることによりまして、民間事業者に運営権を設定できる制度を設けることとしたものでございます。

 さらには、コンセッション方式が水道事業の基盤強化に当たりまして有効な選択肢となるよう、海外の先行事例の教訓を踏まえまして、安定性、安全性、持続性の確保に十分に留意した制度を整備してまいりたいということで、今般の法改正をさせていただくということでございます。

赤澤委員 今御説明にありましたとおり、水道事業者に認可が残る形であればコンセッション方式を活用してみようかという市町村が出てくる、市町村としては、それであればやってみたいということがあるということだったと思います。そういう意味では、空港分野でもかなりコンセッション方式が取り入れられてきて、水道の分野でもそのあたりのことを、ちょっと遅過ぎたというか、もっと早目早目に手を打っておけばよかったなというのが、実は私の実感であります。

 ただ、今からでもしっかり、この方式で水道の維持管理ということができればいいなと思っておるので、制度の運用についてもしっかりやっていっていただきたいというふうに思っております。

 改めて、この法案なんですけれども、大阪北部地震を見て、私自身は、法案はぜひ成立させたいなという気持ちが強まったというのが正直なところなんですが、改めてお伺いしておきたいのは、広域連携の取組の推進でありますとか、あるいはコンセッション方式を導入しやすくする、今御説明いただいた制度改正、さらには、指定給水装置工事事業者の指定の更新制、これは五年ごとだったかと思いますけれども、それを導入するなど、そういったことを柱とする、内容とする今回の水道法改正でありますけれども、次に大阪北部地震のような大きな地震が発生した場合を想定すれば、水道施設への被害の軽減に資する法案の内容になっているのか、そのあたりについてお伺いをしたいと思います。

高木副大臣 このたびの大阪府北部を震源とする地震におきましては、断水等によりまして国民生活に多大な支障が生じて、水道という重要なライフラインの強靱化の必要性を改めて認識したところでございます。

 今般の水道法改正法案におきましては、ただいま御指摘のとおり、水道事業者等に、水道施設台帳の作成や保管、水道施設の点検や必要な修繕等の義務づけ、また、水道施設の計画的な更新、また更新費用を含む事業の収支見通しの作成や公表の努力義務を規定いたしまして、水道事業者等におけるアセットマネジメントの取組を推進することとしております。

 こうした見える化によりまして、水道事業者等が中長期的な観点から必要な財源を確保した上で、施設の更新や耐震化を着実に進めていくことによりまして、地震に強い、被害の少ない水道を構築することにつながるものと考えております。

赤澤委員 ありがとうございます。

 しっかりとこの法案を成立させて、次に同じような地震があったとき、少しでも被害を軽減していきたいという思いを共有して、前に進めていただきたいというふうに思います。

 次に、これは野党の先生方も御指摘があったところで、私も全く同じ危惧を持っておったわけですが、海外における水道事業、これを見てみると、コンセッション方式のようなものをやってうまくいった例もあるけれども、いかない例も結構あるぞと。例を聞くと、パリとかベルリンとか名立たる大都市でやってみて失敗したという例が出てくるわけであります。水道料金が高騰して、これはいかぬと。あるいは、水道施設の管理、運営レベルの低下、水道、水質の悪化等。

 パリについては、手元の資料だと、水道料金の高騰と、それから管理運営レベルの低下、水質の悪化が両方同時に起きた。利用者の側からすれば、料金が高くなってサービスの質は悪くなったという踏んだり蹴ったりの状態というのが現に起きたということであります。あと、ベルリンの場合であれば、水道料金が高騰した以外に、約束された設備投資の不履行というものがあった。

 こういう本当に名立たる大都市、そこの、行政官庁も割としっかりしているだろうというようなところでも、何かしら制度設計を誤ったり判断ミスをして、結果、再公営化をすることになった。まあ、非常に明確な失敗なわけです。

 今回、法案の中には、今までの質疑を聞いている限り、いろいろな仕組みが入れてあるから大丈夫だということであります。

 例えば料金については、厚生労働大臣も、しっかりと原価を適切に算定して料金設定しているかを確認するんだというようなことが御説明としてあったわけでありますし、また、サービスレベルの問題とか、きちっと設備投資をやるかについては、いろいろな機会に水道事業者が報告徴収、実地調査を行う、あるいは、厚生労働大臣が直接コンセッション事業者に対して報告徴収、立入検査などを実施するというようなことが決められていると思うんですが、私自身は、報告徴収をやる水道事業者あるいは厚生労働大臣がしっかりした権限を持っているのかということも含めて、やはり若干懸念がないわけではないということで、高木副大臣から再度、今回の法改正で同様の事例は起こらないのだと、考え得る問題点、きちっと克服できる制度設計になっているのだということについて御説明をいただきたいというふうに思います。

高木副大臣 今、委員の御指摘のとおりと思っております。

 いずれにしましても、今回の水道法改正法案に盛り込んでおりますコンセッション方式は、地方公共団体が引き続き水道事業の継続に責任を持つものでありまして、水道事業を民営化するものとは考えておりません。海外での水道事業の再公営化事例を踏まえた上で、制度の検討を行っているところでございます。全てを民営化というお話もございますが、そうではございません。あくまでも自治体が検討するものでございます。

 具体的には、サービス水準を確保するため、厚生労働大臣が、地方公共団体のコンセッション事業者へのモニタリング体制が専門的な知見や知識を有する者によりまして適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で許可することとしております。

 また、水道水の安全が大事でございますので、安全を確保するため、水道法に基づく水質や水道施設の基準を満たしているかどうか、厚生労働大臣が直接コンセッション事業者に対して報告徴収、立入検査等を実施する仕組みとしております。

 さらに、適正な利用料金を維持するため、PFI法に基づきまして、地方公共団体が事前に条例で基本的な料金の枠組みを定めることとされておりまして、加えて、今般の法改正におきましては、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して利用料金を設定していることを確認することとしております。

 このように、海外での先行事例の教訓を踏まえまして、事業の安定性、安全性、持続性の確保に十分留意した制度としておりまして、同様の事例が起こらないことを担保しております。

 先ほど、厚生労働大臣のそうした権限、権能はどうなっているのかというお話がございました。こうした制度を踏まえまして、適切に行使できますよう、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。

赤澤委員 それで、今、御説明を聞いていてちょっと思ったことで、これはPFI担当に聞けばいいのか高木副大臣に聞けばいいのかあれなんですけれども、コンセッション方式、これが基盤の強化に資するというなら、コンセッション方式の導入を例えば全ての水道事業者に求めていくというようなことも全くないわけではないということに、思うんですけれども、その辺についてはやはり使い分けをするという考え方に立っておられると思うんですが、どのようにお考えか、御説明をいただければありがたいと思います。

高木副大臣 PFI法改正法におきましては、上下水道事業に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る措置を講じるということとされたわけでございます。これは、上下水道事業分野における公共施設等運営事業、いわゆるコンセッション方式を促進するための資金面でのインセンティブ措置を設けたものでございます。

 一方、水道法改正案は、不測のリスク発生時に責任を負えるよう、地方公共団体が、水道事業者等としての位置づけを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入するものでございます。

 それぞれの法案は独立しておりますが、水道分野におけるコンセッション方式の導入に取り組みやすい環境を整える点では共通をしております。既にPFI法改正法は成立をしておりますので、その中身としてこうしたコンセッション方式を水道法で規定をさせていただき、広域連携をとるのか、又はコンセッション方式をとるのか、それぞれの地方公共団体で選択しやすい仕組みとさせていただいております。

赤澤委員 今、国のインフラ全体が、持続可能性というのが本当に問われていると思うんですね。

 何が起きているかといえば、高度成長期にいろいろ整備をした道路とか橋とかも含めて、ありとあらゆるコンクリートに係るものが、五十年たつと本当にその維持管理が難しくなってくるということです。

 世界大恐慌のタイミングで、ニューディール政策でつくられたアメリカの多くのインフラが、五十年たって、「荒廃するアメリカ」という本が出たころに、本当に橋が落ちたり、そんな事態が起きたということであります。

 日本の国の持続可能性を考えていく上で、老朽化したインフラをどうやって維持していくのか、予算にも限りがある、本当に厳しい問題を我々は突きつけられているということなんだと思うんです。

 そこで、私自身は、やはり、水道についても非常に大事な生活インフラでありますし、予算が少ない中、耐震化もまだ四割しかできていない、地震が起きれば毎回非常に大きな被害が出るというような状態を何とか脱していきたいと思っているんです。この水道法が改正されたことで、少しでも維持管理について、例えばコストが抑えられる、予算を有効に使える、いろんな意味で持続可能性に足すところがあればいいなということを切に願うものであります。

 ということで、これは結びになりますけれども、今般の水道法の改正によって、持続可能性が問われる公共インフラの中でも非常に重要である水道、そしてそれにかかわる水道事業を国としてどのように維持発展させていくのか、決意を聞かせていただきたいと思います。

高木副大臣 御指摘のとおり、人口減少に伴う料金収入の減少、また水道施設の老朽化、さらには深刻化する人材不足などの水道の直面する課題に対応するためには、やはり水道の基盤強化を図ることが不可欠と思っております。

 そこで、これまで原則として市町村ごとに整備されてきた水道施設の統合や経営の一体化などによりまして、スケールメリットを生かして事業を効率化する広域連携や、また、民間事業者の有するノウハウを活用する官民連携などの取組が必要と考えております。特に広域連携につきましては、都道府県に広域連携の推進役を担っていただくことが重要でございます。

 そこで、今般の法改正に広域連携や官民連携の推進などを盛り込みまして、これらを実施することを通じて、国民生活や経済活動に欠かすことのできない水道が将来にわたって持続可能なものとなるよう、水道の基盤強化にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

赤澤委員 非常にしっかりした答弁をいただきまして、これからも国民に合理的な価格で良質な水道サービスが提供されるように、ぜひ水道の持続可能性が確保されるように、しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。

 高木副大臣には本当にお礼を申し上げます。加藤大臣、おられませんでしたけれども、一切寂しさは感じることなく、充実した質疑ができたことに心からお礼を申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大岡敏孝君。

大岡委員 自民党二番目のバッターは、滋賀県の大岡でございます。

 このたびは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。順次、通告に従いまして質問をさせていただきたいと思いますが、先ほどの赤澤先生の質問にもございましたが、一部重複するところは省きながら質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の水道法の改正、本当に持続可能性を持ちつつ、できるだけ合理的な経営を目指していくという視点から、広域化、そしてコンセッション、この二つが大きなテーマだというふうに思っております。

 一方で、その水道が置かれている状況というのはまちまちでございますので、それぞれの状況ごとのビジョンやゴールについて、順次まずは聞きたいというふうに思います。

 まず、もともと経営基盤が極めて弱い市町村、とりわけ町村でございますけれども、更にこの後、人口減少が進んでくるわけですね。一方で、老朽化や耐震化の対策は常に求められ続けている。

 今回の水道法の改正を通じて、国として、経営基盤の弱いところをまずどのようにしようとしているのか、このビジョンについて教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、小さな市町村におきましては、特に、人口減少に伴う料金収入の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等が水道の直面する深刻な課題となってございまして、これらに対応するためには水道の基盤強化を図ることが不可欠でございます。

 このため、これまで原則として市町村ごとに整備されてきた水道施設の統合や経営の一体化などにより、スケールメリットを生かして事業を効率化する広域連携や、民間事業者の有するノウハウを活用する官民連携などの取組が必要ということでございます。

 特に、広域連携に関しましては、都道府県に、市町村を超えた広域的な見地から、水道事業者等の間の調整を行う広域連携の推進役を担っていただくことが重要であると考えてございます。

 今般の水道法改正法案に広域連携の推進などを盛り込むこととしてございまして、これらを実施することを通じて、国民生活や経済活動に欠かすことのできない水道事業を維持、継続、発展させるよう、水道の基盤強化に取り組んでまいりたいと考えてございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 後ほどまた、それらの課題については、順次伺いたいと思います。

 次に、二番目に、都市部でございます。

 大都市部におきましても、同様の理由で危機感を募らせている自治体というのはたくさんございます。例えば、東京においては、需要が減りつつある工業用水を廃止をする、そし上水に一本化するということも検討されているようでございますし、大阪市に関しては、今回のこの改正法案を出す前からコンセッションを検討して、民営化を進めようとされています。

 国としては、こうした大都市部においては、今回の法改正を通じて、どのようなビジョン、あるいは、ひょっとすると、大都市部にお願いをしたいこと、大都市部は一体どういったことを担ってもらいたいと思っているのか。こうしたビジョンがありましたら、お答えいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 都市部におきましては、一般に、水道の整備された時期が古く、施設の老朽化が進んでいる場合がございます。また、都市部であっても、今後、人口減少が進む地域もございまして、水道事業の経営は悪化が予想されますことから、将来を見据えた事業基盤の強化が必要と考えてございます。

 そこで、今般の水道法改正によりまして、水道事業者の広域連携、適切な資産管理、多様な官民連携の推進等について定めることとしているところでございます。

 市町村を超えた広域的な視点を有する都道府県に対しましては、広域的な水道事業者等の連携を進める責務に加えて、協議会の設置や、基本方針に基づく水道基盤強化計画の作成を法的に位置づけてございます。これにより水道事業の広域連携を進めていきたいと考えてございます。

 この中で、都市部の大規模事業者に対しましては、地域の水道を支える核となって、広域連携を積極的に牽引する役割を期待したいところでございます。地域の実情に応じた広域連携のための議論を支えていただきたいと考えているところでございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 ちょっと関連して、言及がなかったのでお尋ねしますが、都道府県の指導あるいは調整等を、今回の法案の中で書き込んでおられます。

 しかし、例えば東京などは、場合によっては、都道府県域を超えた本当の意味での広域化というのもあり得ると思うんです。こうしたことまで想定をされているのか。あるいは、私、地元は滋賀県でございますが、大阪の方々も含めて、滋賀県を源流とする水を飲んでいただいているわけですね。つまり、逆に言うと、この淀川水系、琵琶湖・淀川水系でもって統合することだって十分考えられる、こうしたことまでビジョンの中では想定をされているのかどうか、教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘ございましたように、都道府県の県境を超えた連携についてでございますが、我々といたしましては、基本的には、都道府県ということであっても、それを超えるものを妨げることは考えてございません。現在も、実際に都道府県の境を超えた連携をしているような自治体もございまして、そういったものも、それぞれの地域の実情に応じて進めていただければというふうに考えてございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 次に、三点目、海外の視点についてお尋ねをしたいと思います。

 海外、とりわけ途上国における水インフラ、そして水ビジネスへの取組について、特に日本に近い東南アジア各国においても、水道や下水道、ごみ処理など生活関連事業については、日本の支援あるいは日本の技術、そうした企業の進出を期待する声というのは極めて高いです。

 政府は、経協インフラ戦略会議を設置するなど、こうした海外のインフラに、あるいは海外の国民の期待にしっかりと応えていこうという姿勢を打ち出されていますが、とりわけ、この水道事業においての今後のビジョンやゴールについてどのように設定されているのか、教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 経協インフラ戦略会議におきましては、我が国のインフラシステムの輸出につきまして、各省庁と連携して取り組むための施策を、毎年、インフラシステム輸出戦略として取りまとめてきたと承知しているところでございます。

 この中で、上下水道分野につきましては、我が国のすぐれた技術やノウハウを生かした国際展開を図るために、国、地方公共団体、民間企業などの連携を強化しまして、開発途上国や水資源に乏しい地域等での案件発掘等の段階から関与して、本邦企業の海外展開を支援していくこととしているところでございます。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

大岡委員 ありがとうございます。

 先ほど、本邦企業の海外進出を支援するというふうにおっしゃっていました。しかし、残念ながら、現時点では、例えばヴェオリアやスエズのような、トータルで水問題を解決できる、トータルでソリューションを持っている企業というのは日本には当然存在しないわけですね。現時点では水道事業をほぼ公営でやっているものですから、存在しない。この状態の中で、どうやってそうした企業の進出を支援をしていくのか、具体的なイメージがちょっと湧かないんですけれども、どう考えておられるのか、もう少し踏み込んで教えていただきたいと思います。

 あわせて、例えばスエズやヴェオリアというと、売上げが数兆円の世界ですね、売上げが兆円の単位です。一方で、日本で最大の事業者であります東京都の水道局でも三千億とか四千億とかの規模でございまして、それ以下、例えば二位以下の大阪になると、今、三百億とか四百億とかですか、四、五百億ぐらいですか、そのぐらいの規模しかなくて、世界的な視点で見れば、圧倒的なガリバーと、あと小さな事業体が幾つかあるのが日本の現状でございまして、これらと競争する、勝ち筋というのはしっかり見えているのかどうか、この二つについて追加で教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道に関しまして、まだコンセッション方式が導入されてございませんが、コンセッション方式ではない民間委託につきましては、自治体によっては進められているところでございまして、その中で包括的な委託という形で委託をして、その委託を受けて全体の水道事業に関与している、そういう事業者もいるところでございます。

 ただ、御指摘いただいたように、ではヴェオリアなどにそのまま対抗できるかというような話もございますが、今回の法律改正によりましてコンセッション方式を導入することによって、我が国の民間企業に水道事業の経営に関する実績が蓄積されることによって、今後、海外水道事業における入札参加資格の獲得が可能となって、海外展開の機会が増すことにつながるものと考えているところでございます。

 厚生労働省では、開発途上国において水道セミナー等を開催して、相手国の水道が抱える課題と日本が有する技術、ノウハウのマッチングを図っているほか、案件形成、発掘調査を実施して、我が国の民間企業の海外展開を支援しているところでございまして、こういったものを活用して、今後、企業の育成をしていくということも考えられると思ってございます。

大岡委員 ということは、つまり、皆さん、ある程度意識をして、ヴェオリアやスエズに対抗できるような、メード・イン・ジャパンの水メジャーを育成していくという姿勢なんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 こういった制度を活用して、そのような育成に寄与できればというふうに考えているところでございます。

大岡委員 それでは、次の視点について質問させていただきます。

 先ほど来いろいろお尋ねをいたしました。共通してお答えいただいたのが、広域化、統合、スケールメリットでございますけれども、まず、統合がしっかりできるかという環境整備についてお尋ねをしたいと思います。

 御存じのとおり、現時点では、水道は資産台帳すらあるかどうかもわからない。あると言っているけれども、出てくるものは工事の発注書だったりするわけです。これが残念ながら今の水道事業の実態でございまして、このような状態で統合しようにも、特に小さな市町村においては、一体どういう経営状態になっているかというのはわからないわけですね。

 だとすると、今回の法案の中でも、こうした会計についての義務づけがなされてはおりますけれども、実際にはちゃんと、手順書なり評価の方法なり、あるいはそれを監査する仕組みなりをつくらない限り、書いてはいるけれども実施されない、実施されたとしても何も使えないような資料が出てくるということが十分考えられるわけですが、この点について、今後、踏み込んだ対応をする考えがあるのかないのか、教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、現行の水道法では、例えば水道施設台帳に関する整備の規定がないこともございまして、その整備率は六割程度にとどまっていて、水道施設のデータ整備が不十分であるというようなこともございます。

 このために、今般の水道法改正法案におきましては、水道事業者等に、水道施設台帳の作成や保管をすることに加えまして、水道施設の点検や必要な修繕等の義務づけ、それから、水道施設の計画的な更新、更新費用を含む事業の収支見通しの作成や公表の努力義務などを規定いたしまして、水道事業者等におけるアセットマネジメントの取組を推進するとしているところでございまして、こういったものを活用していくことではないかというふうに考えてございます。

大岡委員 大変、おっしゃっているというか、法案には、もちろんそのように書いてあるんでしょうから、わかるんですけれども、実際には、小さな町村というのは、それすらやるマンパワーがない。今まで、わざとやってこなかったわけじゃないと思うんです、やれなかったからやらなかった。これを何らかの方法で支援する考えがあるのか、あるいは、それを、全国統一のやり方でディスクロージャーの仕組みを構築する考えがあるのかないのか、この点について教えていただきたいと思います。

高木副大臣 御指摘のとおり、例えば台帳を作成するに当たりましても、小規模な水道事業者は作成できないのではないかという御懸念と思います。

 水道施設台帳が未整備である水道事業者につきましては、整備するまでにそもそも時間を要すると考えられますので、この施設台帳に関する規定は、改正法の施行の日から三年以内の政令で定める日から適用することと考えております。

 また、台帳の整備は、水道事業の基盤を強化し、持続性を確保するための第一歩と位置づけられますので、規模にかかわらず、全ての事業者に実施していただく必要があります。

 中でも、広域化を検討している協議会等に参加している水道事業者に対しましては、台帳整備のための財政支援を既に行っておりまして、小規模な水道事業者におきましては、こうした支援も活用いただきたいと考えております。

 なお、こうした支援の期間、電子化も含めまして、平成三十年度から三十二年度までの三年間というふうに予定をしているところでございます。

大岡委員 副大臣、そのように答弁していただきましたので、しっかりとこれをやっていただきたいと思います。実態を定められた基準でもってディスクローズしていくというのは、広域化、統合の大前提でございまして、これがなされない限り統合もできないということになりますので、ぜひ、しっかりとした会計や監査的な支援を国としても検討していただきたいと思います。

 それから、統合、広域化する上で、あと二つほど壁があるのが事実でございまして、二つ目の壁は料金でございます。

 まず、料金について、現在、水道料金というのは逓増制という制度を採用しています。つまり、使えば使うほど単価が上がる。これは、水源が乏しくて、使用量を抑えていかないといけない時代には確かにマッチしていた制度だというふうに思います、使えば使うほど単価が上がるので。しかし、今どうなっているかというと、先ほど初鹿先生からもお話がありましたけれども、水は余っているわけですね。しかも、どんどんどんどん使用量は下がってきている。

 つまり、そうなるとどうなるかというと、逓増制の仕組みは、一定の給水原価があって、少ない人は給水原価以下の金額で供給をし、そして、たくさん使う人は給水原価以上の金額で供給することによってバランスをとっていたわけですね。これが、使用量が減ってくるとどうなるかというと、給水原価以下で供給する人の数がどんどんどんどんふえてくるということです。この制度を見直さない限り、民営化しようとコンセッションにしようと、あるいは公営のまま続けようと、いずれ早晩、経営が行き詰まるということは想像できるわけです。

 この逓増制につきまして、現在、約三倍から四倍の開きが出ているのが事実でございますが、今後、見直す考えがあるのか。あるいは、どの程度の範囲内に抑えるというビジョンや目標を持っておられるのか、あれば教えていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいたこと、ごもっともでございます。

 まず、実情をお話しさせていただきますと、公益社団法人日本水道協会が発行します水道料金表によりますと、平成二十九年の四月一日現在で、全上水道事業千二百六十九事業者のうち、約六七%の八百四十九事業者が逓増制の料金設定となってございます。

 一方、水道事業は、設備投資に要する費用の割合が大部分を占める、いわゆる装置産業ということで、御指摘いただきましたように、水需要が減少傾向にある現状では、逓増制が安定経営に資する料金体系とは言いがたいということでございます。

 このため、厚生労働省としましては、平成二十五年三月に公表いたしました新水道ビジョンにおきまして、従来からの逓増制料金体系についても緩やかな見直しをするよう求めているところでございます。

 ただし、水道料金は、地方自治法によりまして条例で定めることとされているところでございまして、まずは持続可能な水道を保つために必要な料金原価をしっかりと見積もっていただいた上で、地方自治の考えに基づいて、自治体において適切な料金の設定をお願いしたいと考えているところでございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 この逓増制につきましては、やはりある程度見直しの目安をつくっていかないと、恐らく、特に水道の場合は政治的なテーマになりやすい問題なものですから、これはやはり国で、ある程度のちゃんとルールを示してあげることが必要だと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 三つ目は、人のことでございます。人事でございます。

 特に日本の場合は、公務員というものについて、身分意識が強過ぎるという嫌いがあります。今回、コンセッション方式等を導入されていますが、このコンセッションを本当に導入するということになりますと、これまで公務員として公共団体の職員が担ってきた水道を民間人がやるということになりますと、じゃ、これまでいたこの公務員をどうするんだというのが当然大きな課題になるわけです。

 最初に申し上げたとおり、日本は、公務員は身分である、職業ではなくて身分であるという意識が強過ぎるせいで、これが最大のネックになって統合や民営化が進まないということが十分考えられるわけでございますが、現在、こうしたことに対する対策を政府としてどのように考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 コンセッションに基づきまして公共事業を運営する民間事業者に対しまして、事業の円滑かつ効率的な実施を図るため、引継ぎですとか技術移転、こういったものに対しまして、一定の年限を限っての話でございますが、公務員を派遣することが必要な場合がございます。これに関しましては、平成二十七年のPFI法改正におきましても特例制度として措置をし、今後、水道事業において、必要に応じて、こういう制度を活用することも可能と考えてございます。

 ただ、引継ぎですとか技術移転、こういうような、目的の範囲を超えるような、民間企業に公務員を本格的に派遣するというようなことにつきましては、例えば地方公務員派遣法などの、公務員制度全般の中の議論が必要な事項だというふうに認識してございます。

大岡委員 公務員の派遣の場合はそれでよろしいかと思いますが、例えば、膨大な職員を擁している、公共でやっている水道事業がありました、これを民営化する。結局、例えば、勤めている人たちが、水道を担うんだという職業ではなくて、公務員だという身分意識の方を優先してしまい、公務員をやめたくないといった場合は、では、全てこれらの職員は、もとの市町村なりの職員として本部に返さなければならないということなんでしょうか。

石崎政府参考人 済みません、本日、ちょっと、公務員制度全般を担当する総務省が来ておりませんので。

 我々としては、PFI法の中でできる話として、先ほどのような、一定期間を定めての特例制度を設けさせていただいている、申しわけございません、その範疇でございます。

大岡委員 例えば大阪市は、現時点で考えておられるのは、事業体を新たに一つ設立して、公務員であった人たちもそちらに移籍をしていただくということを前提にしています。

 私は、これをルール化するということが、混乱もなく、また、市町村ごとの対応のばらつきもなく、また、行革に反するような、結局、水道は民営化したものの、民営事業者にお金を払いつつ、本体部分は公務員が山ほどふえてしまったという本末転倒の結果を招かない重要なポイントだと思っておりますが、こうしたコンセッションを進める上で最も重要な人事に関する規定を特に今回設けておられないというのは、どういう理由なんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の水道法改正法案におきましては、あくまでPFI法にのっとった仕組みとして考えているところでございますので、身分についても、そういった仕組みの中で運用するものと考えてございまして、今回の水道法の改正法案にあえて入れるということではなかったということでございます。

大岡委員 ちょっと時間がなくなってきたので、もうやめますが、同一労働同一賃金という言葉が、もちろんこの厚生労働委員会でも議論されました。これはまさに、公務員という身分にこだわるのじゃなくて、それぞれの職務に応じて給料をお支払いしよう、適切な給料を探していこう、また平等、公平に対応していこうというのが本来の理念です。だとすると、こうしたことから、本人も、あるいは社会全体も、身分制にこだわり続けるというあり方を、ぜひ変えていっていただきたいというふうに思っております。

 最後に、ちょっと時間がなくなったので一番最後の質問は割愛いたしますが、モニタリングでございます。

 先ほど来、副大臣、答弁でもモニタリングという言葉を何度も出していただきました。私は、広域化あるいはコンセッション、公営であろうと民営であろうと、どちらであっても、このモニタリングが最も重要だというふうに思っております。

 今回、コンセッションをする場合は、モニタリングの体制をチェックするということになっております。しかし一方で、公営を続ける場合にも、このモニタリングというのをやらなければいけないわけですね。しかも、コンセッションをやる団体が、ある程度規模があってモニタリングの体制を組めるところであれば、もちろんそれぞれにやらせるということができるんですが、一方で、組めない、あるいはいいかげんなモニタリングになってしまうということだって十分考えられます。

 実際、今は公営をしています。公営をしているけれども、多くの市町村において、本来取るべき料金を取らず、また、適切な経費節減を行わず、結果として、老朽管の整備を先送りしてしまっている、やらなければならない工事をやめることによって経費を抑え込んで、それに見合った料金しか取らないで、この場をごまかしているという自治体がたくさんあるのも事実です。

 だとすると、このモニタリングは、コンセッションだけに限らず、全ての水道事業者をモニタリングするべきでありますし、また、公平、客観的な視点からも、本来は国において、ある程度、第三者、外部機関をしっかりと定めていくという必要があると考えますが、このモニタリング全般のあり方についてどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、このコンセッション方式につきまして、地方公共団体のモニタリングは大変大切なことと考えてございます。

 今回の制度改正におきまして、厚生労働大臣は、地方公共団体のモニタリング体制が適時適切に実施できる体制となっているかを確認した上で許可するということになってございます。あわせまして、水道法に基づいて、厚生労働省から直接コンセッション事業者に対しても報告徴収、立入検査等を実施する仕組みとしているところでございまして、両者をあわせまして、適切に事業が実施されているかということをモニタリングするということでございます。

大岡委員 もう時間となりましたので、残念ながら追加の質問ができないんですけれども、このモニタリング、先ほど初鹿委員からもありました、例えば過大な需要を見込み続けている、これは普通、マネジメントしている人ではあり得ないわけですね。これは水利権の問題等も相まって、あるいは省庁間のやりとりも相まって、こういう結果になってしまっていると思うんですけれども、えてして公がやると、このように経営とかマネジメントの点では極めて弱い、極めてずさんな状態で放置をされてしまう。今までどおりでいいやとか、わざわざこんなことで国交省ともめるぐらいだったら過大な見通しのままでいいや、どうせ赤字になっても怖くも何ともない、この発想が将来における水道事業を危うくしているのは事実でございまして、だとすると、今回のコンセッション、公営しようと民営しようと、このモニタリングというのは物すごく大事なことでございまして、本当に持続可能性がある経営を行っているのか、全ての自治体が、全ての水道事業者が持続性のある経営を行っているのかどうか、これはしっかりと皆さんの方でチェックをしていただきたいというふうに思います。

 えてして、この自治体の、例えば選挙で水道料金を値下げするという公約を出す首長候補がいらっしゃるのも事実です。中身を見てみると、簡単に言うと、施設整備を怠って、やるべきことをやらずに値段を下げるということだけを約束して、問題は全て先送り、隠れた負債は全て先送りするというケースだってあるんです。例えばそうしたことも、モニタリングをすることによって、市民、住民がチェックができれば、こうしたことは防げるわけですね。

 民営化しようと公営でやろうと、私は、マネジメントという視点を今回水道に入れ込むことこそ最も重要な水道法の理念だというふうに思っておりますので、引き続き皆様に取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、水道法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。

 まず冒頭、先週、六月十八日に起きました大阪府北部を震源とする地震、これに関連をして何点か質問をさせていただきます。

 改めまして、亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 この地震では、大きく報道されましたのは、通学路のブロック塀、学校のブロック塀が倒壊をして亡くなられるという痛ましい事案もございました。そして、この地震の中では、先ほど来御質問も出ておりましたけれども、老朽化した水道管が破裂をして断水あるいは減圧給水、大変に多くの方々に影響があった、こういうことも大きくクローズアップをされました。

 私ども公明党としても、やはり早急に対応していかないといけないということで政府にもさまざま申入れをさせていただきまして、水道に関しましては、ライフラインの早期の復旧ということでお願いもさせていただきました。関係者の皆様の大変な御努力をいただきまして、水道の施設の関連につきましては全て現在復旧できている、こういう状況でございます。改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 さて、こうした震災が起きるたびに、水道の被害というのが大変に出てまいりました。一昨年の熊本地震では、上水道の被害は大変に大きいということで、四十四万五千戸以上ということで、大変に大きな断水があったというのも御記憶に新しいかというふうに思います。

 改めまして、水道の老朽化対策というのが本当に待ったなしなんだということを感じております。ですので、水道の基盤強化、このための水道法の一部を改正する本法案、これはまさに早急に国会で議論をする、審議をすることが非常に重要である、こういうことを改めて指摘をさせていただければというふうに思います。

 私の地元は、兵庫県の尼崎市では震度五弱でございました。これも、市内でも水道管の漏水などが発生をいたしました。ですので、今回、私、これをきっかけに市内の水道の状況というものもさまざまお伺いをいたしました。私の市ですと、市内の管は全長約千キロぐらいあるというふうにお伺いをしまして、実際に耐震化あるいは更新、こういうものがどのくらいできているのかというのを聞きましたところ、年間大体十キロぐらいだ、こういうこともお伺いをしました。このペースでいくと一体何年かかるのか、こういうことも、私の、自分の地元でもやはりそうなんだなということを今回改めて感じております。

 先ほど来、水道の管路の更新、このペースでいくと百三十年、こういう数字も副大臣も御答弁していただいておりましたけれども、まさに今後、老朽化が急速に進んでいく。今回地震のありました、被害の大きかった大阪は、設置後四十年を超えた水道管が約三割もあるということで、これは全国で一番大きい、一番悪いというか、水道ができたのが早かったということがございますので、そういうこともございます。同じく早く水道ができてきた都市部、こういうところを中心に老朽化というのがどんどん進んでいく、こういう現状でございます。

 まず冒頭、副大臣の方に、水道の老朽化対策はまさに待ったなしであるというふうに思っております、この老朽化の現状、そして、まさに今回の法案がその大きな対策の一つであるというふうにも思いますけれども、今後の老朽化対策をどうやって進めていくかにつきましてお伺いできればというふうに思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 我が国の水道は、高度経済成長期に急速に施設が整備されてきたために、今後、水道管路等の施設が順次、更新時期を迎えてまいります。適切に更新時期を判断し、更新を行っていく必要があると考えております。

 水道管の耐震化もおくれておりまして、このたびの大阪府北部を震源とする地震におきましても、断水等によりまして国民生活に多大な支障が生じることとなりました。水道は、地域の社会活動や国民の生活、そしてまた、今回、大阪におきましては人工透析などの医療にも必要であるということを改めて実感をしたわけでございますが、重要なライフラインでございまして、強靱化の必要性を改めて認識したところでございます。

 このような課題を踏まえまして、厳しい財政状況ではありますが、引き続き、耐震化対策等の水道整備に必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今般の水道法改正法案におきましては、将来にわたり水道施設を健全に維持していくために、施設管理の基礎となる水道施設台帳の整備と、施設の点検や維持修繕を義務化することとしております。また加えて、施設の計画的な更新や、長期的な収支の見通しの作成、公表に関する努力義務を新たに規定することとしております。水道事業者にアセットマネジメントの取組を推進し、見える化することによりまして、こうした作業を進めてまいりたいと考えております。

 政府といたしましても、この法案の速やかな成立を目指しまして、国民生活や経済活動に欠かすことのできない水道が将来にわたって持続可能なものとなるよう、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。どうぞ、後押し、よろしくお願い申し上げます。

中野委員 ありがとうございます。

 冒頭、副大臣の方から、まず、老朽化対策を進めていくということで包括的に御答弁をいただきました。

 震災に関連をいたしまして、先ほどまさに透析の患者の方への御対応とか副大臣にも述べていただきましたけれども、今回、厚労省の関係で、国立循環器医療センター、病院が被災をいたしまして、特に、国立の医療センターであるにもかかわらず非常用電源が作動をしない、こういうようなこともございました。

 まさに、いざというときに備えてやっていた電源が実際に震災が起きると作動をしない、こういうことではまさに命にかかわる、こういう状況でございまして、確かにこのセンターは老朽化が非常に進んでいて、まさに移転の準備もしていたというふうにも伺ってはおるんですけれども、いざというときに病院の機能が発揮できないということでは大変なことになるというふうに思っております。

 この被害への対応の状況、そして、今後こういうことは全国いろんな病院にも恐らく起こることが十分考えられるというふうに思いますので、全国的にもこれはしっかりと対応する必要があるというふうに思います。これもあわせて、どのように対応されるか、お伺いをしたいというふうに思います。

武田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の地震の発生後、国立循環器病研究センターにおきましては、今御指摘ございましたように、非常用電源から電気が供給されずに一時的に停電などの被害が発生をいたしまして、一部の入院患者につきまして転院又は退院というような事態が発生をしたということでございます。

 この停電につきましては、自家発電機から送電するための回路の一部がショートしていたことが原因と判明をしておりますけれども、ショートした原因につきましては現在調査中というふうに伺っております。

 また、この調査の中で、電気事業法で定める保安検査につきまして、停電を伴って実施するものにつきましては少なくとも過去五年以上実施していなかったということも判明をしております。したがいまして、早期に保安検査を実施すること、法定の保安検査の実施状況を早急かつ詳細に調査することを大臣から指示をしたところでございます。

 また、今御指摘がございましたように、いざというときの備えの非常用電源でございますので、全国的にしっかり検査がされているかどうかということが課題となってまいりますので、私どもといたしましても、全ての病院に対しまして、都道府県を通じ、保有する非常用電源の保安検査を法令に基づき実施しているか直ちに確認するとともに、実施していない場合につきましては保安検査を直ちに実施し、非常用電源が問題なく稼働するか確認するよう求めたところでございます。

 今後、全ての病院の非常用電源の確保及びその点検状況等につきましては調査を行ってまいりたいというふうに考えております。

中野委員 しっかりと、そしてまた早急に対応していただくよう、改めてお願いを申し上げます。

 震災の防災の関係でいきますと、やはり水道の耐震化を進めていくということが非常に大事だというふうに思います。同様に、いざ実際に災害が起きたときになるべく被害を少なくするであるとか、あるいは復旧がなるべく早くできるようにする、こうしたいわゆる減災といいますか、そうした取組もあわせて進めていくことが重要なのではないかというふうに思っております。

 特に、人口の多い都市部などにおきまして、断水の地域が大変に大きな地域になりますと、これは非常に国民生活に影響が大きいということもございますので、例えば私の地元の市でどういう取組が考えられるのか、こういうことを今回改めて聞いてまいりましたけれども、例えば、実際に水道管が破損をしたときに断水する区域がなるべく大きくならないようにする、具体的に言うと配水区域を小さいブロックにしていくブロック化、やや専門的なんですが、こうしたこともあるんじゃないかということで指摘をいただきました。一つの水道管で配水する区域を小さいブロックにすれば漏水の影響というのが小さくすることができるということでございまして、こうした取組もやっていけばいいのではないかということで地元でも御意見もいただいたところでございます。

 こうした例えばブロック化などの減災の対策、これもあわせて進めていくことが重要というふうに考えますけれども、政府としてどう考えているか、答弁いただきたいというふうに思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました配水管路のブロック化につきましては、配水区域を分割して、震災時に漏水等管路被害の多い配水区域を切り離して極力断水範囲を限定する対策でございまして、断水人口を低減する減災の方策として重要であると認識しているところでございます。

 厚生労働省の水道の耐震化計画等策定指針におきましては、断水の影響を最小化する減災のための取組として、配水管路のブロック化や浄水場系統間の連絡管の整備等の検討を行うよう求めているところでございます。

 今後とも、引き続き水道事業者等に配水管路のブロック化などの取組について求めてまいりたいというふうに考えてございます。

中野委員 ありがとうございます。

 それでは、法案の中身について質問をさせていただければというふうに思います。

 今回の法案の中で非常に大きなポイントは、やはり広域化、経営基盤の強化、これが大変に大事なポイントだというふうに思っております。

 しかし、水道事業というのは、こうした経営基盤を強化するために、非常に零細な事業者も多いものでございますから、やはりこれを広域化していくということは今までもずっと続けてきたわけでございます。例えば、簡易水道については、平成十九年度から補助金のあり方というものも見直しまして、なるべく統合をしていこうということで進んできたというふうに承知をしております。

 しかし、実際にさまざま統合を進めていく中で、どこまで経営基盤が強化できるのか、零細な水道というのは、それぞれ、合併したからといって何か上水道が一つにまとめられて効率化できるかというと、必ずしもそうでもないでしょうし、どこまで経営基盤強化ができているのかというふうな指摘もお伺いしたこともございます。

 また、都道府県が中心になってしっかりやっていかないといけないというのは今回大変に大きなポイントだと思うんですけれども、これも、都道府県に、水道ビジョンの策定をやっていこうですとか、厚労省としてはさまざま今までも取組を進めてこられてきたというふうに承知をしております。しかし、それがなかなか進んでいかないというのが今までの広域化の取組なのではないかというふうに今回改めて感じたこともございます。

 今回、広域化を進めるということで、今までの厚労省の広域化の取組について現段階でどのように評価をしているのかというのをまずお伺いをしたいというふうに思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、水道事業者等の広域化は、我が国の水道において長年にわたる課題となっているところでございます。近年では、厚生労働省から水道のあるべき姿として示しました水道ビジョンや新水道ビジョンの策定、公表、水道広域化検討の手引きの作成、普及等によりまして、広域的な連携等を含めて、主に水道事業者等の自主的な取組を促すことにより推進してきたところでございます。

 しかしながら、水道事業は主に市町村ごとに経営されて、安価に利用できる水源の有無や地理的条件等によって、水道料金を始めとする事業基盤に格差がございます。このため、水道事業の広域化に当たりましては、住民や議会の理解を得ることを含めまして、その調整が大変に難しいものとなっているところでございます。

 このような中で、近年、広域化が成功した事例として、例えば、県下の三市五町の水道事業を統合した群馬県、それから府下の一市一町一村一企業団の水道事業等の経営の一体化をした大阪府、それから県下のほぼ全市町であります八市八町の水道事業を統合して一元化した香川県などの先進事例もございますが、全国的にはいまだ十分に進展していないと考えているところでございます。

 このため、今般の水道法改正法案によりましてこういった広域的な連携を更に進めてまいりたいと考えているところでございます。

中野委員 今まで自主的な取組を促してきたけれども調整が非常に難しいところがあるというのは、まさにおっしゃるとおりだというふうに思います。

 そうしたなかなか難しくて進んでこなかった広域化というものが、今回の法改正を通じてそこがどのように具体的に前に進めるポイントになってくるのか、この法律によってどのように広域化を進めるのかということにつきまして、ではお伺いをしたいというふうに思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正におきましては、都道府県の役割を明確化いたしまして、広域化におきますリーダーシップ、旗振り役を務めていただきたいというようなことを明記するというようなこともございます。

 先ほど申しましたように、それぞれの事業基盤に格差がある市町村などの調整が非常に難しい中で、都道府県に、市町村を超えた広域的な見地から調整を行う広域連携の推進役としての役割を担っていただくということを考えているところでございまして、今般の改正法案におきましては、都道府県に対しまして、広域的な連携等を進める責務に加えて、協議会の設置や基本方針に基づく水道基盤強化計画の作成を法的に位置づけることとしているところでございます。

中野委員 今回の法案でもう一点重要なところが、設備の維持更新といいますか、水道の施設、非常に老朽化が進んでいる、今、全く更新というものが、今の計画でいくとなかなか図られていかないのではないかという声もある。また、実際に、水道の施設の台帳すらしっかり把握できていないような自治体がかなりの割合に上っているような状況にある。こういう中で、しっかりと水道施設が持続可能なものに本当になっていくのか、これをしっかりと措置をしないといけない、アセットマネジメントをしっかり進めていかないといけないというのが非常に大きなポイントだというふうに思っております。

 私ども公明党も、防災・減災ニューディールというふうに銘打ちまして、各種インフラにおきましては、やはりアセットマネジメントが非常に大事だ。これから老朽化がどんどん進んでいく、ですので、自然に老朽化をしていって、それが耐用年数に来たから新しいものにつくっていこう、こういう単純なことではトータルコストとして非常にコストがかかってしまうということもございますので、長寿命化ですとかさまざまなことを計画的に、より低い国民負担でやっていこう、こういうことは常々訴えてきておりまして、例えば橋梁ですとかいろんなインフラに関してこれをやっていこうということを訴えてまいりました。

 それは、水道事業におきましても全く同じことだというふうに思っております。今回の法律案におきまして、このアセットマネジメントをしっかりやっていくというふうな仕組みが入っているというふうにも思います。

 他方で、気になります点が、今までこのアセットマネジメントをしっかりやっていこうというのは、先ほど参考人の方から御答弁いただいた新水道ビジョンですとかいろんなところでもう既に、やっていこうということで促しておられるわけでございまして、それなりの規模あるいは組織、こういうものを抱えられているところは先行的に、恐らく、しっかりやれるところはやっているというところが現実なんだろうというふうにも思っているんです。

 その中で、なかなかこういうものができていないというところは、正直、零細な事業者でありますとか、人もほとんどいない、施設の台帳もどこにあるのかよくわからない、こういう状態の事業者も多数いるという中で、やはり、全国的にしっかりアセットマネジメントをやっていくという仕組みが本当にどのようにできるのか、こういうところを進めていかないといけないというふうに思っております。

 今回の法案を通じまして、この水道のアセットマネジメントについて、どのようにこれが進んでいくのかにつきまして答弁をいただければというふうに思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の水道法改正法案におきましては、水道事業者等に、まず、水道施設台帳の作成や保管、水道施設の点検や必要な修繕等の義務づけをいたします。また、水道施設の計画的な更新、更新費用を含む事業の収支見通しの作成や公表の努力義務を課すということでございます。こういった規定を設けることによりまして、水道事業者等におけるアセットマネジメントの取組を推進することとしているところでございまして、これによりまして、さらなるアセットマネジメントが推進されるということを期待しているところでございます。

中野委員 制度としてはさまざま義務づけを行ったり、進めていくということでございます。あとは、実態的にそれがどうやってできていくのか、あるいは、これは恐らく、広域化などが進めていけるのかということもあわせての議論にはなってくるかというふうに思うんですけれども、今回、さまざま議論をしていく中で、都道府県が大きな役割をやはりさまざまな場面で果たしていくんだろうなというふうに思っております。しっかり都道府県にこうしたことをやっていただくと同時に、国としては、都道府県にそこはしっかりやっていただくんですけれども、やはり、そこを自治体任せにすることではなくて、どういう形で後押しができるのかということをしっかりやっていくということが大事になってくるんだろうというふうに思います。

 少し時間もなくなってまいりましたので、コンセッション方式についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 いろんな御指摘が午前中の審議だけでもなされてまいりましたコンセッションの方式、基本的には、こういうのは運営の効率化をしっかり図っていくということがポイントだというふうに思っておりますけれども、今回、コンセッション方式の導入、政府はこれについてどのようなメリットがあるというふうに考えているのか、どういう狙いがあるのか、まずこれについてお伺いをしたいというふうに思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 人口減少に伴います水の需要の減少、あるいは水道施設の老朽化等の水道の直面する課題に対応して、将来にわたって安全な水の安定供給を維持していくためには、水道の基盤強化を図るということが不可欠だということでございます。

 この基盤強化を図るために、民間事業者の技術や経営ノウハウ等を活用できる官民連携は、その有効な対応策の一つであると考えているところでございます。

 このため、今般の水道法改正法案において、多様な官民連携の選択肢を更に広げる、そういう観点から、引き続き地方公共団体が水道事業者としての位置づけを維持することによって水道事業の公共性等を担保した上で、つまり水道事業者としての位置づけを維持したことによってコンセッション方式の導入を行うというようなことでございます。

中野委員 先ほど来も、かなり多くの先生方がこのコンセッション方式に関していろんな懸念の声も出しておられた部分もございまして、私もそれについては理解できるところもございまして、今回の方式というのは、水道事業者、事業者としては地方自治体がしっかり責任を負ってやっていくということでありますけれども、運営権を民間の事業者にある程度包括的に設定をするというふうな形になるんだろうというふうに理解をしております。

 私もいろいろお伺いをしているんですけれども、具体的には、自治体と民間の事業者との契約の中身がどうなってくるのかというところによってくるんだとは思うんですけれども、例えば、今回の大阪北部の地震のようなことが発生をして多くの断水ですとかいろんなことがあったときに、果たして、民間の事業者は災害時に本当に全部きちんと対応してくれるのか。かなり昼夜を問わず復旧作業というものが進んでくることになりますけれども、それが本当にできるのか。それは自治体とどういう責任分担をするかということにもなってくるかと思いますけれども、例えばこういう点は気になる方が多いというふうに思います。

 あるいは、水道事業というのは地域独占的な、そして公益性の高い事業でございまして、しかも、場所によっては、人口減少ですとか、なかなか運営基盤そのものも、これから基盤を強化するのが非常に困難なそういういろんな状況がある中で、民間の事業者の方がどういう形で料金を設定していくのか。それは本当に、料金の水準というものは適正な水準というものになるのかどうか。

 あるいは、経営が困難になって破綻をしたときに、水道はライフラインでございますので、すぐとめるわけにはいかないわけでございまして、どうするのか。いろんな方が懸念ということで声を発しておられるわけでございます。

 こうした公益性の高いインフラでございますので、コンセッション方式ということで、こういうことをやっていく中でいろんな懸念の声がある。これは国として本当に払拭ができるのか、そういう問題が起こらないようにしっかりやっていける制度だ、こういうふうに果たして言えるのか、こういう声があるわけでございます。こうした指摘に対してどのようにお答えをするのかということを、ぜひ答弁をいただきたいというふうに思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今、三点ほど御懸念、御指摘ございましたが、まず、災害時の対応につきましては、水道事業者である地方公共団体は、災害等の非常時における当面の事業継続のための措置をあらかじめ定めるということが求められてございまして、厚生労働大臣がその措置について確認した上で許可を与えることとしているところでございます。

 このように事前に確認はするのでございますが、仮に大災害によってコンセッション事業の継続が一時的に困難となった場合であっても、導入前と同様に、全国の水道事業者等の関係者の協力、これは市町村が事業者となっているということで他の市町村からの応援が可能ということでございます、こういった協力や、必要に応じて国や都道府県の支援も得て、応急給水や復旧に取り組むということで、水道事業の継続を確保することとなるということでございます。

 次に、水道料金が高騰することについての懸念でございますが、これは、PFI法に基づきまして、地方公共団体があらかじめ条例で基本的な料金の枠組み、上限を含めましたそういう枠組みを定めることとしてございまして、加えて、厚生労働大臣も、原価を適切に算定して利用料金を設定していることを確認することとしているところでございます。

 最後に、経営状況の悪化等についてでございますけれども、まず、地方公共団体がコンセッション事業者の業務、経理の実施状況等に関しまして定期的にモニタリングを行うことによって、経営難に陥る前に対処するということが重要でございます。厚生労働大臣は、このモニタリング体制がきちんとした体制になっているかということを確認した上で許可することとしているところでございまして、さらに、厚生労働大臣は、コンセッション事業者の事業継続が困難となった事態をあらかじめ想定して、迅速に事業継続ができるよう、対応方法についても確認することとしているところでございます。

 これらのとおり、今回の水道法改正法案におきましては、多様な官民連携の選択肢を更に広げるという観点から、このコンセッション方式が基盤強化に有効な選択肢となるように、こういった安全性、持続性の確保に十分留意した制度を整備するものでございます。

中野委員 時間もございませんので、簡潔に、最後に副大臣に一問だけお伺いをしたいと思います。

 今回、広域化あるいは効率化、水道基盤強化のため、さまざまな政策をとってまいります。しかし、私、大事なことは、そもそも財政的措置が、水道予算というものが近年大変に、国の予算として減ってきている、これはやはりしっかりと確保しながらあわせて進めていかないとなかなか難しいのではないかというふうに思っておりますので、しっかり財政的にも支援をしていく、こういう御決意を、最後、副大臣からぜひ一言いただければと思います。

高木副大臣 委員御指摘のとおり、水道施設の整備につきまして、当初予算額で申し上げますと、平成二十一年度は一千億程度ありました。平成二十六年度には二百五十五億円まで減少しております。

 その後、新たに生活基盤施設耐震化等交付金を創設いたしまして、これは水道施設の耐震化、広域化などの支援を目的としておりますが、予算の増額を図ってまいりました。その結果、平成三十年度予算におきましては、前年度に対して二十億円増の三百七十五億円を計上しております。

 水道事業の広域化、また施設の耐震化は、国民生活や経済活動に欠かすことのできない水道を持続可能なものとするために取り組まなければならない重要な課題でありまして、厳しい財政状況ではございますが、引き続き、水道施設整備に必要な予算の確保に全力で頑張ってまいる決意でございます。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 国民民主党の柚木道義です。引き続きよろしくお願いいたします。

 午前で、せっかく厚生労働省が御努力いただいて初出の資料を御紹介するのが漏れていましたので、皆さん、十三ページ目をちょっと見てください。

 これは私も非常に今後の参考になる、まさに児童福祉司一人当たりの相談対応件数を初めてお出しいただいた資料でして、次のページのところは先ほどやったんですが、実は、これは一人当たり大体四十件、四十・五件ということでありまして、いわば、児童福祉司さんが四十人学級の担当をされているというふうにちょっと想像いただくとわかりやすいんですが。

 上位三つを見ますと、委員の皆さん、御地元の状況、いかがでしょうか。奈良県が一番多くて、一人当たり七十三・四件。埼玉が六十五・三件。大阪府が六十二・八件。ちなみに、最も一人当たりの担当が少ない鳥取県の四・四件。最大で、比較すると十六・七倍の一人当たり格差。

 これはともすれば本当に命の相談格差につながりかねないわけでございまして、大臣、今後のまさに死亡事例検証、場合によっては都、香川、国を含めた一体的な検証、そして緊急対策が出てきて、さらに来年度の対応等につながっていくときに一つぜひお願いしたいのは、いわゆるどこまでが、そういう意味では、一人当たりの対応件数の上限、いや、大体想像すれば、私も地元の児相さんが一人当たり百件とかいって、これは到底、本当にきめ細やかな対応は困難だなと思って、その後二度の法改正もあって、対応も強化プランで進んできてはいるんですが、しかし、まだこういう状況がある。

 上限とか格差が許容できる部分とか、そういった基準の策定なども、これはぜひ、この数値がともすれば、香川の事例も勤続十年未満のベテランではない方が対応されていた、対応せざるを得ない、離職率、そういったところにもつながりかねないわけでありますから、格差なり上限なりの基準策定というものを、まさに今さまざまな調査が行われております、四十八時間以内の対応、さまざまな中で、この一人当たりの件数もそういった対応に当然直結されてくる部分だと思いますので、ぜひ、格差、一人当たり上限などの基準策定を御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これは、児童福祉司のまさに人数をどうするかということにもつながる御議論でありますから、当然、もちろんそこにおられる、今もそうでありますけれども、人口とか、あるいは子供さんの数とか、あるいは相談件数、そういったものも念頭に置きながら考えていかなきゃいけない、これは当然のことだというふうに思いますので。

 それは、算出するときどう考えるかというのと、また、具体的なそれぞれの地域においてどう考えるかというのはまたちょっと違うのかもしれませんが、まずは、少なくともそうしたことを考えながら、これからの見直しをやらせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 ぜひ、見直しの中にそういった上限、格差、そういったものを含めていただけるという御答弁だと思いますので、私たちもしっかり応援をしますので、お取組をお願いをして。

 ちなみに、昨日の野党ヒアリングで来られた担当者は、体制強化がおくれている自治体に国として指導すべきではないかという指摘、まさにこういう対応です、各自治体にどう考えているかを聞きながら進めるということで、まさに自治体に委ねるのではなくて、国もしっかりとそこはコミットしていく、そういう趣旨のお言葉もいただいておりますので、強くお願いもし、また、きょう、資料十一ページ目にも、昨日の両親起訴の、これは産経新聞の記事ですが、おつけしておきました。

 私たち厚労委員全てが肝に銘じるべきは、一番下段でございます。「これまでも過去の教訓を元に再発防止を叫びながら、悲劇は繰り返されてきた。」

 虐待防止法、福祉法の改正、さまざま行われてきましたが、残念ながら、小児科学会では、三百五十人です、毎日一人、最愛の親御さんから虐待死。こういうこともいまだに起こっている。

 必要なのは、最後の、子供の命を救うための措置をためらわないこと。このことを強くお願いを申し上げておきたいと思います。

 済みません。じゃ、一点だけ短く。四番目だけ、ほかは大体皆さん、ほかの方がされたので。済みません。これは日本政策投資銀行のレポートですね。大西さんからちょっと御配慮いただいているので、一問だけ。

 上水道だけでなく、下水道も非常に経営上の困難を抱えているということでございまして、これは、まさに上水道以上に高い有利子負債、設備の老朽化と更新の必要性、人口減少と人口一人当たりの汚水処理量の減少に伴う減収。そして、下水道関連の自治体職員の減少、高齢化。さらには、きょうも質疑をやりました、耐震化への対応や防災、災害の対応など多くの課題を抱えている中で、現状、上水道の所管が厚労省、そして公共下水道が国交省、そして自治体の中にはそれら上下水道一体経営のところもあるということでございますので、ぜひ、これは厚生労働省として、国交省と、上下水道一体経営を進めていくような必要性の議論も含めた対応、御検討をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、上下水道の一体的な運営のお話がありました。

 確かに、そういう、一体的にやっている事例もあるというふうに承知をしております。他方で、やはり上水道と下水道、かなり技術が違って、例えば管に関しては、上水道の場合には圧力をかける、下水道の場合には基本的に自然流下、それから処理方法ももちろん違うわけでありますので、そういった違いはありますけれども、それぞれの地方公共団体の中で、一緒にやった方がうまくいくんだ、こういう御判断をされるようなところに対しては、我々、相談があれば、しっかりと対応させていただきたいというふうに思います。

 また、私ども自体としても、先ほど上下水道を一緒にやっている経営の例もあるということを申し上げましたけれども、そういった事例において、実際、コスト等を含めてどういうことになっているのか、実態もしっかり把握をしていきたいと思います。

柚木委員 大西委員に後は委ねますが、ぜひ、来週も水道法、もちろんまだまだ必要な質疑があると思うんですが、全ての閣法が終わってから私たちが提案している児童虐待防止法、児童福祉法改正案ということではなくて、ぜひ、このまさに人道的緊急性の高い法案を、会期をせっかく延長されているわけですから、政府・与党が通したい法案はもとより、私たちも皆さんと合意できる法案だと確信しておりますので、この法案審議もぜひ行っていただくことをお願いをして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党、大西健介でございます。

 柚木さんとしっかり役割分担をして、私は水道法の質疑をさせていただきたいと思っております。

 人間の体は、年齢によっても違いますが、成人だと六〇%が水でできているということでございます。

 地球は水の惑星と言われますけれども、地球上の水の九七%は海水である。残り三%の淡水についても、その七割は北極や南極の氷ということで利用ができない。そうすると、地球上で利用できる淡水というのは〇・八%ということであります。

 〇・八%といってもよくわからないので、よく例えられるのが、お風呂の水は大体二百リットルだそうですけれども、〇・八%というと一・六リットル。コカ・コーラの一・五リットルというペットボトルがありますけれども、あれより少し多いぐらい。お風呂の水のうち、それぐらいしか使える水がない。

 さらに、人間が使いやすい川、川に限ると〇・〇六%ということですから、これはお風呂の中のティースプーン四杯分という非常に限られたものである。

 そういう中で、蛇口をひねれば飲める水が出てくるというのは、これはほぼ奇跡と言っていいのではないかというふうに思います。

 そういう中でのこの水道法の改正、特にコンセッション方式ということについては、まさにこの根幹にかかわる話でありますので、慎重な議論が必要ではないかなというふうに思っております。

 まず、加藤大臣にお聞きをしたいんですけれども、大臣、レントシーキングという言葉を御存じでしょうか。もし御存じであれば、その意味を簡潔に御説明いただきたいと思います。

加藤国務大臣 言葉は聞いたことがありますけれども、ちょっと具体的な中身まで承知していません。

大西(健)委員 レントシーキングというのは、辞書を引くと、こういうふうに書いてあります。企業が政府官庁に働きかけて法制度や政策を変更させ、利益を得ようとする活動、みずからに都合がよくなるよう、規制を設定又は解除させることで、超過利潤、レントを得ようとする活動のこととあります。

 そして、こうした活動をする人のことをレントシーカーと呼ぶということなんですけれども、経済評論家の三橋貴明さん、民営化というものについてこう書かれています。公共セクターは民営化され、そこに新規参入したレントシーカーがもうける構図が生まれている、パソナの取締役会長である竹中平蔵氏が、政府の諮問会議の民間議員と称する民間人として、民間企業のビジネスを生み出す規制緩和政策を推進しているのは御存じのとおりというふうに書かれています。

 竹中氏は、これまで繰り返し、政府の諮問会議等の場で、上下水道のコンセッション方式、民営化ということを主張されております。例えば、平成二十六年五月十九日の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議に竹中氏が提出をされている資料にはこのように書かれています。コンセッション方式は、建設業等インフラ関連企業や投資家にとって大きな新規のビジネスチャンスになる、こう書かれているんですね。

 さきのレントシーカーという私が読み上げた定義に照らせば、まさに竹中平蔵氏というのは私はこれに当たるんじゃないかと思いますが、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 竹中平蔵氏、規制改革等でいろいろ発言をされている、あるいはそういう会議に参加をされているということは承知をしておりますが、そもそも、私、先ほど申し上げた、レントシーキングという意味すらしっかり理解をしておりませんから、それに該当するとか該当しないとか、特に、個々の方について申し上げるのは控えたいと思います。

大西(健)委員 今言ったように、三橋さんが書かれているように、いろいろな諮問会議に民間議員、民間議員といっても民間人でありますけれども、参加をされている。例えば、神奈川県の特区で、規制緩和によって家事支援外国人受入れ事業が始まりましたけれども、これを受けたのはパソナである。パソナ会長を竹中さんがやられている。あるいは農業分野で、外国人の労働者の受入れの特区、兵庫県の養父市。ここでこの事業に参入したのはオリックス農業、オリックスの子会社ですけれども、竹中さんはオリックスの社外取締役も務められているということであります。

 まさに先ほどの三橋さんの書かれているとおりではないかなというふうに私は思うんですけれども、これは与党の皆さんからもそういう声が上がっていて、例えば、昨年、衆議院の地方創生特別委員会で国家戦略特区法の改正がありましたけれども、そこで、衆議院でついた附帯決議の中でも、民間議員が私的な利益の実現を図って議論を誘導し、又は利益相反行為に当たる発言を行うことを防止すると、附帯決議でちゃんと、院の附帯決議としてちゃんと決議をしているんです。あるいは、直接の利害関係を有するときは、審議及び議決に参加させないことができると。

 ですから、私は、そういう問題意識を持って、規制緩和、進めるべきところは進めればいいと思いますけれども、それが我田引水になって、それを主張した人が新たなビジネスチャンスを得るみたいなことになっては、これはやはり、国民の目から見ると、公正さを欠くというふうに見られても仕方がないのではないかというふうに思います。

 こうしたコンセッションということを進めていく、今後、ですから、もしこの法律が成立をしてコンセッションにいろいろな企業が参入をする、そういうところに何かこういうことを主張してきた人たちの関係する企業なんかが参画していくと、これはやはり、私は公正さを疑われることにつながりかねないというふうに思いますので、しっかり政府としても監視をしていただきたいなというふうに思います。

 今申し上げましたように、私、民営化とかコンセッション全てを否定するつもりはありません。物によっては、民間企業の創意工夫というのをうまく生かすことによって事業収益を高めることができるものもあるというふうに思います。例えば空港。空港は、商業施設、お土産物屋さんとかレストランとかが入っていますし、あるいはホテル、駐車場、こういうところで稼ぐことができる。そこに民間の創意工夫というのを生かすことができると思います。また、顧客をふやせばふやすほど収益が上がる。

 ただ、水道はどうかというと、附帯事業というのは基本的にはありません。また、給水人口、水道を使う人口は、今後、人口減少とともに確実に減っていく。あるいは、水道をどんどん、じゃぶじゃぶ使ってくださいなんということは普通はなくて、必要な分だけ使うんです。かつ、夏になって例えば渇水になれば、むしろ水道を使うのを控えてくださいと言わなきゃいけない。

 基本的にそういう構図の中で、民間になれば、これは午前中にも話が少しありましたけれども、株主への配当であったりとか役員報酬の支払いであったり、あるいは法人税、新たなコストが、民間でなかったときには必要なかったコストもかかるようになる。

 そういう意味で、私は、全ての民営化やコンセッションを否定するものではありませんが、水道というのは民営化やコンセッションには向かないのではないかと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 向く、向かない、それはそれぞれの地域の中で御判断いただくということで、先ほどから、午前中も申し上げましたけれども、私ども、今回提案させていただくコンセッション方式で全ての皆さんにやってほしい、やってくれということを申し上げているわけではなくて、そうした手法を取り入れることによって事業の効率化が図り得る、そういった判断をされている地方公共団体あるいは水道事業者、そういったところに対して、そうした一つのやり方、選択肢を提供させていただいているということであります。

 また、その選択肢を選ぶ際には、午前中ありましたけれども、外国において、一度民営化したものをもう一回公営化するという中において生じた課題、問題、そういった問題に対応していく、そうした仕組みも盛り込むことによって、こうした弊害を抑制し、そしてそのメリットがしっかり発揮をしていただける、そういう仕組みを今私どもとしてはお示しをさせていただいている、こういうふうに考えております。

大西(健)委員 全てをそうするのではなくて、それが選べるようにするということでいえば、今でもコンセッションはできるということでありますし、そうであるとは思うんですけれども、そうじゃないようなことを言っている人もいるんですね。

 例えば、麻生副総理は、二〇一三年の四月十九日ですから、今、こういう法案が形になって国会で審議されるよりもはるかに前、二〇一三年の四月にワシントンDCのCSISで講演をしたときに、日本の水道は全て民営化しますと発言した。会場はざわざわざわっとなったみたいですけれども、まさに安倍政権の重要閣僚、副総理がそういうことを言われている。

 大臣は、これはそういう選択肢を示すだけで、別に全て民営化してくださいということではないんだと言っているけれども、アメリカで、まさに講演の場で副総理が、日本の水道は全て民営化します、こう言っているということは、安倍政権としては、全て水道は民営化したい、こういうことを思っておられるんでしょうか。

加藤国務大臣 今の発言自体、私、承知をしておりませんし、それ以外の場所では、たしか麻生副総理が、東京水道局における漏水率が非常に低くて、非常にうまくやっている例だということを言っておられた、そんなことも記憶をさせていただいているところでございます。

 いずれにしても、今回の法案を出している私ども厚生労働省としては、先ほど申し上げたように、何か、民営化、あるいは民営化というよりは今回のコンセッション制度、これを使う、それをいわば強いていくというか、そちらの方向へ流していく、そういう思いは全くございません。

大西(健)委員 そうであるならば、やはり副総理という地位にある人がこういうことを言っちゃいけないんじゃないかと思います。これは本当に、普通にネット上の動画で確認できます。私も確認しましたけれども、日本の国営若しくは市営、町営水道は全て民営化しますとはっきり言っておられるということでありますから、やはり、そういうことを片や副総理が言っていて、いや、選択肢を示しているだけなんですと言っても説得力がなくて、やはり、そういう選択肢ができてしまうと、いつか安倍政権では民営化を目指すんじゃないかというふうに私は誤解を与えるんじゃないかというふうに思います。

 水道料金の話をしたいんですけれども、皆さんのお手元に資料をお配りをさせていただいています。

 この上の方ですけれども、水道料金の最高と最低、これをごらんいただきたいんです。私もちょっと見て驚きましたけれども、最高は夕張ではありますけれども、夕張以外でも高いところは結構あります。六千八百四十一円です。家事用二十立方メートル当たりの料金ということで、六千八百四十一円。最低の兵庫県赤穂市が八百五十三円。非常に大きな開きがあります。

 その下に水道料金が高くなる要因というのをつけておきましたけれども、当然、水源に恵まれていない地域であったり、配水や給水にコストがかかるとか、あるいは料金単価が高い大口需要者がいないなどいろいろな理由はあって、ある程度の開きが出てくるのは私も仕方がないだろうというふうに思います。

 しかし、同じライフラインでも、例えば料金を未納した場合、電気やガスは五十日間の滞納でとまるそうですけれども、先ほど午前中に吉田委員も言っておられましたけれども、七十二時間、人間は水を飲まないと死んでしまうということですので、水の方は九十日、料金を滞納しないととめられないそうなんですね。同じライフラインで、生きていく上に不可欠のライフラインでこんなにも差があっていいのか。私は、国民の多くの皆さんは、それは余り御存じないんじゃないかと思います。

 私は、この格差というのは、ある程度の格差というより限度を超えているんじゃないか。料金の上限を設けて、それを超える部分については、ナショナルミニマムを確保する観点から、国が財政的な補填をするとか、そういう措置をした方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、今後、もっともっと料金は上がってくるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 水道料金は、それぞれの地域において、地理的な条件もあると思います、それから浄水処理方法、事業規模、そうしたことに応じて水道事業者ごとに設定をされておりまして、公益社団法人日本水道協会が発行する水道料金表によれば、これは多分、今委員がお示しいただいているのがそれなんだというふうに思いますが、平成二十九年四月一日現在で、全国の家事用の使用水量平均料金においては最大で約八倍の料金差があるところであります。

 これを踏まえて、総務省では、自然条件等により水道施設の更新投資を含む維持管理費が割高のために、高水準の料金設定をせざるを得ない水道事業については、料金格差の縮小に資するよう一般会計からの繰入基準を定め、それに対して地方財政措置を設けているというふうに承知をしております。

 また、水道料金の格差縮小、あるいは水道料金の抑制に向けては、やはり水道事業の広域化、これが非常に大事でありますので、厚労省においても、生活基盤施設耐震化等交付金によって、広域化に資する施設整備に対しては財政支援を行わせていただいているところであります。

 水道事業については、地方自治の考えに基づいて、地方公共団体において料金が設定されるべきということでありますので、今申し上げた財政支援制度、あるいは水道事業の広域連携、これらを推進することによって、料金を抑制し、それを料金の格差の縮小につなげていくということが必要だと思います。

大西(健)委員 現在でも地財措置とかやられているということであります。

 地方自治といいますけれども、一方でナショナルミニマムという言葉があるように、人間、水を飲まないと死んじゃうわけですから。この格差というのは、大臣、許容できる格差だと思いますか。私は許容できる格差を超えていると思う。

 ですから、今もやっていると言われるけれども、例えば、どれぐらいまで格差を認めるかという基準をどこに設けるかは別にして、これぐらいの格差はもうしようがない、これは許容できる格差だと思われますか。私は思いませんけれども。

加藤国務大臣 今の水準だけで見ていいのか、これまで常に議論がありますけれども、この間、あるいはこの十年、あるいは十五年、それぞれの水道事業者が、あるいは地方公共団体がどういう対応をしてきたのか、そういったことをいろいろ総合的に考えていかないとなかなか比較はできないのではないかなというふうに思います。

 ただ、委員御指摘のように、今、圧倒的な、地理的な要因等々において明らかに違うということ、それは是正していく必要があるということで、総務省における措置等々が盛り込まれているということであります。

大西(健)委員 私は、やはりこれだけの差というのはばかにできないというふうに思っていまして。

 料金の話を続けますけれども、今言ったように、例えば、高くなる理由として、家事用よりも料金単価が高い大口需要者が少ないというのが書いてありますけれども、普通のこういう料金というのは、使えば使うほど割引になるというか安くなる、こういう仕組みなんですけれども、水道の従量料金設定というのは、生活に必要不可欠な分については単価を低く設定しようという考え方に立っているために、使用量が少ないほど一立方メートル当たりの単価が低くなって、使えば使うほど段階的に単価が高くなるという累進性、こういう仕組みをとっているということであります。

 これは、企業など大口の需要者の負担によって家庭とか家事用の負担が抑えられるという点では一見合理性が私もあるというふうに思いますが、一つ問題があるというふうに思っています。

 私、毎週末、公民館とかで小さいミニ集会をやっているんですけれども、先日、そこで、子供が六人いるという女性が手を挙げて質問されました。その方が言われたのは、大西さん、子供がたくさんいると、洗濯機も何回も回さなきゃいけない、お風呂も水道をたくさん使う、水道はたくさん使うと高くなるというのは知っていますかと言われて、恥ずかしながら、私、知りませんでした。今言ったような仕組みになっているから、使えば使うほど高くなるんです。

 この資料の裏面を見ていただきたいんですけれども、これは東京都の水道局の資料です。下は二十三区の例ということであります。上が、世帯ごと、大体一カ月の平均使用量がどれぐらいになるかということなんですけれども、例えば、夫婦二人みたいな二人世帯であれば、一カ月の平均使用量は十六・二立方メートル。そうすると、基本料金は千百七十円。例えば、段階的になっていますけれども、十一立方メートルから二十立方メートルの単価は百二十八円。ところが、これが六人世帯になると、平均使用量は三十五・四立方メートル。

 さっき言われたところは、お子さんが六人ということだから、御夫婦合わせると、最低、多分八人の家族になるんでしょうけれども、八人になると、ここにはちょっとないんですけれども、大体五十立方メートルを超えてくるんじゃないかと。例えば五十立方メートルを超えると、基本料金は何と二万七百二十円ですよ。はね上がるんですよ。これを見てもらうと、四十立方メートルから五十立方メートルのところではね上がるんですね、基本料金が。(発言する者あり)ああ、そうか。これはメーター径ですね。ごめんなさい。

 ただ、単価もはね上がるんです。単価が、例えば五十立方メートルを超えると、三百七十二円、非常に高くなる。単価も非常にはね上がるということになっています。

 済みません。先ほどのは確かに径ですね。間違いです。

 子供の多い家庭というのは、ただでさえ食費や被服費もかかるのに、水道料金が高いのは、これはばかにならないというふうに思います。少子化の中で、多くのお子さんを産み育てている家庭を応援するためには、この水道料金の仕組みについて、例えばですけれども、子供の多い家庭には減免を行うとか、何らかの措置が私は必要じゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほどお話がありました、水道料金もそれぞれの地域によって異なるわけでありますし、これは東京都の例だと思いますから、この段階的な水準もまたそれぞれによって違っているんだろうというふうに思います。中には、生活保護受給者や児童扶養手当受給者等に対して水道料金の減免措置を設けている、こういう市町村もあるというふうに聞いているところであります。

 いずれにしても、水道料金はそれぞれ、地方自治法によって条例で定めるということにされておりますので、料金の減免措置についても、各市町村においてそれぞれ御検討いただくべきものというふうに考えるところでありますし、他方で、子供全体に対する子育て費用をどうするかというトータルとしての議論、これはまた別途、子育ての支援ということで議論していく必要はあるんだろうと思います。

大西(健)委員 なぜここにこだわるかというと、先ほど来ずっと言っているのは、水というのは本当に基本的なライフラインだからだということです。それで、水道というのは、飲料水はもちろんですけれども、炊事、洗面、お風呂、洗濯と、まさに生活全てに毎日使うということであります。

 この点で、政府・与党は、来年秋、消費税の引上げを予定しておりますけれども、同時に軽減税率を導入することとしておられます。政府・与党は、消費税の逆進性対策、まさに低所得者対策として、食料品や新聞を軽減税率の対象にしていますけれども、だったら、なぜ公共料金を軽減税率の対象にしないのか。水道料金なんかはまさにこの軽減税率の対象に私はすべきじゃないかというふうに思います。

 我々は軽減税率の導入そのものに反対でありますけれども、軽減税率を導入するのであれば、新聞よりも水道だろうというふうに思うんですけれども、この点、財務省、いかがでしょうか。

今枝大臣政務官 大西先生の御質問にお答えをいたします。

 消費税の軽減税率制度の対象品目につきましては、消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮という趣旨を踏まえて、日々の生活の中での消費、利活用の状況、消費税の逆進性の緩和、合理的かつ明確な線引き、社会保障財源である消費税収への影響等の諸点を総合勘案いたしまして、酒類及び外食を除く飲食料品等としたところでございます。

 水道料金につきましては、利用者に過重な負担とならないよう公定料金又は認可料金とされていること、多くの市町村で低取得者向けに水道料金の軽減を行っていること等の事情を総合勘案いたしまして、軽減税率の適用対象とはしなかったところでございます。

大西(健)委員 電気、ガス、水道というまさに公共料金、これはもう本当に生活の基礎ですから、新聞よりかは少なくともこっちの方がよほど低所得者対策になるのではないかというふうに思います。

 時間がありませんので次に行きますけれども、私の地元の安城市に明治用水という用水があります。その初代理事長の岡田菊次郎は、水を使う者は水をみずからつくれ、こういう理念を掲げて、大正三年から長野県の根羽村に山林を買い入れて、現在では五百二十五ヘクタールの水源涵養林を保有しています。同様に、東京都の水道局も水道水源林というのを保有しておられますし、横浜市の水道局も山梨県の道志村に道志水源林というのを保有しています。

 私は、水を使う者はみずから水をつくれというこの考え方は極めて重要だと考えておりますけれども、これに関連して、森林環境税の導入が決まりました。国民一人当たり年額千円の課税が始まるのは二〇二四年度からということでありますけれども、この使途についてもこれから具体的なことが今後決まってくるというふうに思われます。

 そこで、確認ですけれども、森林環境税というのは森林の水源涵養機能の維持のために使うことができるんでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林の整備は、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源の涵養につながり、国民一人一人が恩恵を受けるものでございますけれども、森林所有者の経営意欲の低下ですとか所有者不明森林の増加等が大きな課題となっておりまして、こうしたことを踏まえまして、森林環境税は市町村が行う森林の公的な管理を始めとした森林整備等の財源に充てるため創設されることとなっているところでございます。

 市町村分に係る税の具体の使途につきましては、平成三十年度税制改正大綱におきまして、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用とされておるところでございます。

 農林水産省といたしましては、市町村がこの使途の範囲内で、税の創設の趣旨も踏まえつつ、地域の実情に応じた森林整備を進めることによりまして、先生御指摘の水源涵養機能の維持増進を含めた森林の多面的機能の発揮が図られることを期待しているところでございます。

大西(健)委員 これを確認させていただいたのは、森林環境税の目的には、二酸化炭素排出の森林吸収源対策に係る地方財源の確保、こう書いてあるので、私は、良質な水道水を確保するための森林の水源涵養機能の維持というのもしっかり目的に掲げるべきではないかというふうに思っています。

 そうでなければ、これは個人に課税しているわけですよね。水道水の水源の涵養林の維持ということであれば個人に課税する道理が立つんですけれども、温暖化ガスの吸収ということでいえば、二酸化炭素の排出量の内訳は、家計関連は二二%、企業が七八%、圧倒的に企業が多いんですよ。

 それから、もう一つ言えば、水源の涵養林の維持ということでいっても、例えばサントリーさんは、工場でくみ上げる地下水よりも多くの水を生み出す森を育む、こういうスローガンを掲げておられて、全国に天然水の森というのを保有しておられます。王子製紙や住友林業といった企業も広大な社有林を保有している。こうした企業の社有林の公益的な機能に対して支援を行えば、新たに社有林を保有しようとする企業もあらわれるかもしれない。

 この点においては、私は、森林環境税の目的に、今言ったように森林の水源涵養機能の維持を明確に位置づけて、企業に対しても広く薄く課税をお願いするということが必要ではないかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

奥野副大臣 今委員の御高説を拝聴いたしましたけれども、我々もいろいろなことを勘案しながら答えを出してきているわけでありまして、少し林野庁の回答とかぶりますけれども、全体を整理して申し上げたいと思います。

 森林環境税の全額を地方団体に譲与する森林環境譲与税の市町村分の使途は、平成三十年度税制改正の大綱において、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用とされておりまして、森林環境税及び森林環境譲与税を創設するための法律案についても、その旨規定する予定であります。

 そして、森林環境譲与税を活用した森林の整備が進むことで、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源の涵養などの地方創生や快適な生活環境の創成、森林の公的機能の発揮につながり、その効果は、広く国民一人一人が恩恵を受けるものと考えられるわけであります。

 したがって、森林環境税については、国内に住所を所有する個人に年間千円を負担していただくことになっておりますけれども、一方で、法人に対しては、地方財政審議会に設置した森林吸収源対策税制に関する検討会において、税以外では、これまでも自主行動計画等の枠組みの中で温室効果ガスの排出削減を実現するとともに、また、税の面では、地球温暖化対策のための税、すなわち石油石炭税の上乗せ措置も負担していることなども考慮して、地球温暖化対策にかかわる取組に貢献していることなどを勘案して、さらなる負担を求めないことが妥当であるとの提言がなされたところであります。

 このようなことを踏まえて、法人には森林環境税を課さないということにしておりますけれども、森林整備による効果は国民に広く及ぶものであることを踏まえて、必要な負担を産業界も国民も一人一人が広くひとしく負担するように結果としてなっているというふうに私どもは考えている次第であります。

大西(健)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、きょう質問しませんでしたけれども、水源林が外国人とか外国資本に買われている、こういう大問題もあります。日本人はどうしても、空気と水はただという感覚がしみついておりますけれども、遠くない将来、水戦争が起こる可能性もゼロではないと言われております。

 そんな中で、水道を民営化して、水道メジャーと呼ばれるような多国籍企業に委ねることを本当に許していいのか、このことは私は慎重であるべきではないかということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、きょう午前中、参議院の本会議で働き方改革法案が成立をしたことに強く抗議をしたいと思います。もうそもそも働き方改革と呼ぶこと自体がふさわしくないのではないかと。

 衆議院のこの委員会で加藤大臣が、高プロのニーズがどこにあるのかということに対して答えた答弁も、全く、いわゆる答弁に合わせて聞いたものであったと、言ってみれば虚偽答弁であったということが参議院の委員会の中で明らかになったわけであります。

 到底、立法事実はないし、法案は廃案を、撤回をするべきだという立場に変わりはありませんが、今後とも、詳細な省令を詰めていくことになると思いますが、そうした中でも議論を続けていきたい、このように思っております。

 それで、きょうは水道法について質問をいたします。

 資料の一枚目は、二〇一三年三月の新水道ビジョンから、取組の目指すべき方向と書いております。これは、水道の理想像という言葉があるんですね。私たちにとって望ましい水道とは、時代や環境の変化に的確に対応しつつ、水質基準に適合した水が、必要な量、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価をもって、持続的に受け取ることが可能な水道でなければならないと。

 これは、いつでも、どこでも、誰でも、つまり、これは国民皆保険制度と同じ、国民皆水道という考え方だと思います。憲法二十五条に基づき、国民の生存権を保障するもの、それだけ貴重な、重要なものだと思っています。

 それで、資料の二枚目に、この法案の目的規定、第一条がどのように変わってきたかというのを整理していただいたものがあるんですけれども、これは、昭和三十二年に成立した当時が書いてあるんですけれども、三十二年と昭和五十二年と、そして三番に今国会と書いてあります。

 変わっていないのは、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、」この部分が変わっておりません。そして、逆に変わったのが、「水道事業を保護育成することによつて、」というところが、次のところに、その上に「水道を計画的に整備し、」というのが入った。これは、やはり普及率を高めていくという段階では必要だったかなと思うんですけれども、ところが、今回は、この「保護育成」という言葉が取れて、「水道の基盤を強化する」ということになった。これは、基盤を強化することが悪いという意味ではなくて、意味が全然違ってきたんじゃないのか、こう思うんです。

 それで伺いたいのは、水道法の趣旨と目的が変わった理由を伺います。

加藤国務大臣 今委員、歴史的にも、この水道法の趣旨をお示しになられました。

 この第一条には、水道の布設及び管理を適正かつ合理的に行うとともに、水道を計画的に整備し、また、水道事業を保護育成することにより、清浄で豊富な、低廉な水の供給を図り、公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること、こう規定されているわけであります。

 今般の改正案では、将来にわたり安全な水の供給を維持するということで、水道を計画的に整備することや、水道事業を保護育成することも含む、これは広い概念として「水道の基盤を強化する」ということを法の目的に掲げたところでございます。

 水道事業に対する技術的、財政的支援を行う旨の規定、これは引き続き残しているところでございますので、また、水道事業が地域独占の事業であることも維持しており、水道事業を保護育成することにも変わりがない、こういうふうに考えております。

高橋(千)委員 含まれているんだ、広い概念になっているんだというふうにおっしゃるんですけれども、やはり、あえて保護育成という言葉を使ってきた、その理由があったのではないか、そこにこだわりを持っています。

 もう一回、一枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、安全でなければならない、持続しなければならない、強靱でなければならない、これはいずれも、どれ一つも欠けてはならない、そう思うんですね。だから、その点に照らして、今、含まれているという表現でいいんだろうかということが問われていると思うんです。

 そもそも、水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告、これは平成二十八年の十一月に出されておりますけれども、全ての管路更新に百三十年かかるという老朽化の問題。先ほど、高木副大臣がこれを答えたのに対して、百三十年というのは、なかなか例えとしてはどうかなという指摘もありましたけれども、しかし、現実に、百三十年よりかかるかもしれないわけですよね、下手すれば。そのくらいの事態である。そして、耐震化がおくれている。今、三八・七%、四割を切っている段階である。そして、小規模で経営基盤が脆弱なところがまだ多い。そういうことが指摘をされたと思うんです。

 その問題点は当然共有できるものであるんですけれども、なぜそうなったのかというのが余り書かれていないなと正直思うんです。そのことを大臣にちゃんと答えていただきたい。

加藤国務大臣 今お話がありました平成二十八年十一月の水道事業の維持・向上に関する専門委員会の報告では、老朽化の進行、耐震化のおくれ、これが指摘をされておりまして、これについては、水道事業者等が水道施設の状況を必ずしも的確に把握をしていなかったこと、また、更新計画が策定できていなかったこと、また、計画的更新のための必要資金を確保できていなかったこと、こういったことが要因になっているというふうに考えております。

 また、小規模で経営基盤が脆弱という課題については、これまでもずっと認識がされ、水道事業者の広域化という議論があったわけでありますけれども、この広域化については、それぞれの事情が異なるということで、なかなか、そうした統合というんですか、広域化が進まないということ、あるいは広域化のメリットがなかなか見えてこなかったことといった事情があって、そうした広域化が進まない中において、人口減少や、あるいは節水機器の普及ということによって、あるいは節水意識の向上、まさに水需要が減少し、それに伴う料金収入が減少したということが更にその経営基盤の脆弱化を図った、こういうふうに考えております。

 そのため、今回の法案では、水道施設台帳の作成、保管、あるいは水道施設の点検や必要な修繕等の義務づけ、あるいは水道施設の計画的な更新等々の措置を設けること、また、広域連携が推進するようにすること、そうしたことも、そうしたいわば反省に立って盛り込ませていただいているところであります。

高橋(千)委員 質問するときに、今、課題は共有できるが、なぜそうなったのかと質問しましたけれども、今の答弁を聞いていると、共有できるという言葉を撤回しなくちゃいけないのかな、問題意識が全然違うのかなと思うわけですね。

 だって、大臣、今、広域化が進まない中においてと、はなから広域化じゃなきゃいけないという前提があって、だから、進まないから小規模で脆弱なんだという議論にしてしまうと、我々は広域化が全部だめと言っているわけじゃないですよ、全部だめと言っているわけじゃないけれども、そうじゃない、自治体の選択権というのがちゃんと残されていなきゃいけないし、それでも成り立つ水道事業でなければならないんだということを考えているわけなんですよ。そうすると、全然問題意識がずれてくるなと。

 今、節水意識と言いましたけれども、そもそも、水が多過ぎるじゃないか、需要が過大だったじゃないかということも指摘をされたと思うんですね。

 新水道ビジョンの中には、これまで水道事業者は将来の最大給水量を見込んで施設整備を行ってきました、念のため、念のためとマックスやってきた、それで、今後、水道事業者は、施設の更新時に、当該施設の余剰分を廃止して規模を縮小するのか、あるいは一定の目的のために更新するのか、厳しい判断を迫られていると。

 つまり、余剰分を廃止するという選択肢だってあるんですよ。ダウンサイジングということがあちこちで言われていますよね。こうしたことを、やはり現実をちゃんと見なければ、そういう現実を見た上で、そういう選択肢も含まれているんだと。そうじゃなければ本当の解決にはならないと思います。

 これは、問題意識、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 将来の動向を見据えて、それに合わせていくというのは、当然必要になってくることだと思います。

 ですから、その上において、先ほどちょっと、広域化について意識が違うとおっしゃったんですが、例えば、隣同士であるものが浄水場を一つにしていくとか、そうしたさまざまなやり方も、当然その中には含まれるのではないかなというふうに思います。

高橋(千)委員 そんな、急に身近なコミュニティーのような話をされても、違うと思いますよ。

 これは、議論は、広域化の問題、また続けていきますけれども、まず、大阪北部地震で、改めて、水道、ガスなどライフラインの重要性が問われたと思います。きょうも何人かの方が議論をされておりました。

 資料の三を見ていただきたいんですが、都道府県別の管路経年化率、これは全国平均は、右端にあります一四・八%なんですね。それで、大阪府は二九・三%で、断トツの老朽化が進んでいる、こういう状態なわけです。

 資料にはないんですが、大阪市はそもそも四四・九%で、十三大都市中、最大という老朽化だということです。二〇一四年四月に橋下前市長が水道事業の民営化を提案し、維新を除く全ての会派に反対され、つまり、自民党さんや公明党さんも反対し、二度目の案も議会に否決され、廃案となった経緯がございます。

 そこで伺いますが、今回地震があったから、法案審議が前倒しをされたと思います。この法案が、こうした問題を解決するのでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、このたびの大阪府北部を震源とする地震では、断水等により国民生活に多大な支障が生じて、水道という重要なライフラインの強靱化の必要性、それから、大阪における老朽化の進行、こういったことにつきまして、改めて認識したところでございます。

 そこで、今回の水道法改正法案におきましては、先ほど大臣からも答弁ございましたが、水道施設台帳の作成や保管、施設の点検や必要な修繕等の義務づけ、あるいは水道施設の計画的な更新、更新費用を含む事業の収支見通しの作成や公表の努力義務といったものについて、水道事業者等にそういったものを規定いたしまして、事業者のアセットマネジメントの取組を推進することとしていることでございます。

 これによりまして、水道事業者等が中長期的な観点から必要な財源を確保した上で、施設の更新や耐震化を着実に進めていくということで、地震に強い、被害の少ない水道を構築することにつながるものであると考えているところでございます。

高橋(千)委員 義務づけただけでは、予算はがばっと減ってきたという話をしているわけですし、どこからも生まれないわけですよね。

 民営化をしても、では、これまで自治体の責任でここまでおくれてきたものを、何で我々が引き受けるんだという議論になりますよね。これは別に大阪市を責めているわけじゃないんですが、そういう議論にこれからなっていくわけですよね、民営化すればということでいうと。

 そうすると、やはりそれは、最低限は責務や整備をさせることは必要なことかもしれないけれども、この法案によって解決するのではない、うんと議論しなければならないことがあるということだと思うんですね。

 それで、伺いたいんですけれども、ちょっとその前にですが、法案の目玉である官民連携、コンセッションという形式を水道事業でも導入しようという、これが切り札となるのかということなんです。

 地方公共団体が、水道事業者等としての位置づけを維持しつつ、大臣の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定する、これがコンセッションの考え方だというわけですけれども、まず、資料の四枚目に、水道事業にかかわる職員数がありますけれども、ピーク時と比べて三割減少しています。給水人口規模で見ると、五千人未満のところ、一番下のところにあるんですが、最多が二名、最少が一名、こういう状態ですよね。技能職はゼロ、こういう現状なんです。

 だけれども、これはまず認識は共有できるんでしょうか、大臣。技術の継承は深刻な問題だと思います。

 それで、民間に運営を仮に任せたとしても、では、この職員がどうやってモニタリングをするのか、その体制を確保するのか、非常に矛盾していると思いますが、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、小規模事業者の場合におきましては、職員数は非常に少ないということでございます。

 モニタリングにつきましては、水道法に基づく水道施設運営権の設定の許可を受ける地方自治体が責任を持って行う必要がございますが、場合によっては、必ずしもその全てを水道事業者自身がみずから行う必要はなくて、水質検査機関等の専門的知見を持つ第三者の役割や専門性を踏まえて、適切なモニタリングの体制を構築して行うということも考えられるところでございます。

 今後、省令におきまして、許可基準に関する技術的細目として詳細な基準を定めますとともに、ガイドライン等において許可基準の明確化や許可申請時の留意事項等を示してまいりたいと考えているところでございます。

高橋(千)委員 ちょっと、いっぱい書いているんですけれども、少し飛ばします。

 今、責任を持って全てをやるわけじゃないんだというふうにおっしゃったんですよね。それ自体が問題だと思うんです。結局、今、第三者機関に移す場合に、委託をする場合もあるんだとおっしゃいました。今、八割の水道事業者が水質検査を登録機関に依存をしています。既にそういう状態なんですね。つまり、みずからチェックする力を持たないで、モニタリングだって民間委託、こういうことになるわけじゃないでしょうか。

 これは、水道事業のコンセッションについて議論された内閣委員会でも、いろいろなこういう議論がされているんですけれども、審議官が、これからの水道事業として、水道の基盤強化のため、広域連携や官民連携などを推進すると答弁をされております。

 かつ、再公営化、きょうも出ましたけれども、再契約のときに更新をせず、公営に戻るという事例が海外でふえている、こういう指摘に対しては、海外のコンセッション事業で問題になったことのある管理運営水準の低下、設備投資の不履行といったサービス水準については、コンセッション事業者の業務、経理の状況を適時適切にモニタリングすることにより、早期に問題を指摘し、改善を求めることができる、こう言っているわけですよね。

 できないということを今もう答弁しているじゃないですか。これは全然担保がない。そう言えませんか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、みずから行うことでなくても、専門的知見を持つ第三者というものを活用いたしまして適切なモニタリング体制を構築して行うということであれば、そういったことは可能かと思うところでございます。

高橋(千)委員 ちょっとその答弁、本当に、こう言っては失礼ですが、恥ずかしくないでしょうかね。そう思いませんか。

 本当に基盤が脆弱になってきて、人手も足りなくなってきて、それで民間のノウハウを、委託するんだと言って、だけれども、ちゃんとモニタリングもするんだから大丈夫だと言っておきながら、じゃ、本当にできますかと言うと、いやいや、第三者に任せることもあるから大丈夫だ、こういう話では、全然、結局、どっちも大丈夫じゃないということなんですよ。

 午前の高木副大臣の答弁の中にも、再公営の問題が指摘をされたときに、民間事業者に人材を、これまでの水道事業をやってきた、要するに公務員ですよね、その人材を派遣するんだと。それで、再公営したときにどうするかと言ったら、その人が戻ってくるから大丈夫とおっしゃった。これは本当に、もう語るに落ちたということなんですよ。

 これだけ人が足りなくなってきている中で育てられないでいるのに、もう二年か三年で異動するかもしれないような人を、民間に行って戻ってくることもあるから大丈夫よと言ったら、一体、何十年も委託をすると言っているのに、あら、もう二、三年でだめかもしれないということを見込んでいるんですか、こういう話になるんですよ。

 政府が、それでも海外のように失敗はしないと言う最大の根拠は、従来のPFIと違って、地方公共団体が水道事業者であり続けるから、リスクは自治体がとって、もうけは民間に、だから成長戦略だと言いたいんだと思うんですね。

 水は国民共有の貴重な財産、これは水循環法にも明記されています。リスクは、責任を持ってというんだったら、最初から民営化なんかしないで、人材をちゃんと育てて、必要な財源を投入して、ライフラインを守るべきだと思うんです。

 全然、予定していた問いができませんでしたので、引き続いて来週やりたいと思いますので、十分な時間を委員長にお願いしたいと思います。

 これで終わります。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 冒頭、きょう大阪北部地震のことも何名かの先生方にお話をいただいております。改めて、震災で亡くなられた方の御冥福をお祈りしたいと思います。また、いまだに地震の影響で不便を強いられている方々もたくさんまだいらっしゃいますので、そういった方々に対して政府もいろいろと御支援をいただいて、そして、この委員会にいらっしゃる与野党を超えた先生方からもお気遣いをいただいております。本当にありがとうございます。大阪はしっかりとやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは大阪の話題が、午前中は大岡委員からもありましたし、先ほど高橋委員からも。まさか高橋委員が大阪の水道に関する出来事をああいうふうに言及するというのは、ちょっと僕も想像していなかったんですけれども、そうなんです。実は、我々、この水道法の前に、大阪で広域化するということで、我が党が主導して頑張ったんですけれども、先ほどの高橋委員のお話のとおり、猛烈な反対に遭いましてポシャってしまいました。ポシャってしまったとこの委員会で言ってええんか、ちょっとあれですけれども。

 その当時の市議会におられた先生も、中には、今、国会にいらっしゃる先生もいらっしゃるので、この法案についてどう思っているのかなというのはちょっと個人的に聞いてみたいなと思ったりもします。その当時、皆さん、反対をされましたので。この法案がそのときの全ての内容を含んでいるかと言われたら、それは細かいところはちょっと違うかもしれませんけれども、大筋では、今回、法案で意図している部分が、我々がその当時やろうとしていたこととほぼ変わらないということなんですね。

 ずっとこれまでも質問を聞いている中で、もちろん、非常にかぶる質問の内容もあるんですけれども、先に言っておきますけれども、我々、もちろんこの法案は賛成です。我々は、この法案がなる前から進めていた、取り組んでいた方ですから、今回の法案が出てくることについて非常に評価をしております。ただ、評価をしているんですけれども、この法案ができたからといって、じゃ、我々が大阪でやろうとしたことができるようになるのかといいますと、実際はそうではない。結局は同じ問題にぶつかって前に進まなくなる可能性もあるというのは、質問の中でちょっと触れていきたいと思います。

 最初、一つ目に質問をしようと思っていたのはちょっと飛ばしますけれども、大阪は水道管の老朽化がワーストワンだということで、それはもちろん古くから水道を整備してきた歴史的なことも相まって普及率は高い、古くからやっているから老朽化も早かった、そしてそれが今非常に困った状況になっていっている。大阪府だけの話ではないですけれども、国は水道の基幹管路の耐震適合率を平成三十四年に五〇%にするという目標を掲げています。これは一体どれぐらいの予算がかかるのかというのをまずお聞かせ願いたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました水道基幹管路の耐震適合率は、平成二十八年度末時点で三八・七%となっているところでございます。

 これを平成三十四年度末に五〇%とする目標を達成するには、直近の実績で申し上げますと年間一・五ポイント程度増加しております耐震適合率を、平成三十四年度末までの六年間、一・九ポイント程度に引き上げる必要があるということでございます。

 水道事業者が基幹管路の更新に要している事業費を集計したデータはございませんが、一・五ポイントを一・九ポイントに引き上げる、これは極めて単純計算でございますが、そういった計算を行えば、この目標を達成するためには、現在、水道事業者が基幹管路に投資している事業費を一・三倍程度に増加させる必要があると考えられるのではないかと思われるところでございます。

浦野委員 具体的な数字は計算できないということで、わかりました。かなりお金はかかると思うんですね、これをやっていこうと思ったら。これはなかなか難しい話だなというふうに思うんです。

 次に、水道ビジョンが、平成二十五年に策定をして以降ということで、今、二十九年の四月現在では十六カ所、これができています。一番最初の広域的水道整備計画は昭和五十年代から始まって、お聞きすると、完了しているところはそんなにたくさんないということなんですけれども、こういういろいろな計画がなされている中で、実際に広域化というのがちゃんと完了している都道府県というのがあるのでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業の広域化の取組がほぼ完了している都道府県といたしましては、まず一つ目は、本年四月から県下の八市八町の水道事業を統合いたしまして一元化した香川県がございます。それからもう一つは、多摩地域の一部の市を除いて都内のほとんどの地域で水道事業を実施している東京都がございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 なかなか、広域化というのはそれだけハードルが高いということなんですけれども、大阪もチャレンジをしましたけれども、全国で広域化がなかなか進まないという最大の原因は何だというふうに政府は考えていらっしゃいますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業は主に市町村ごとに経営されてございまして、それぞれの事業は、安価に利用できる水源の有無や地理的条件、それから水道事業の経営条件の違い等によりまして、施設の整備水準、水道料金を始めといたします事業基盤に格差がございます。したがって、水道事業の広域化に当たりましては、住民や議会の理解を得ることを含めまして、その調整が非常に難しいものでございます。そういったことが広域化が進まない大きな要因であると考えてございます。

 このため、水道事業者等の間の調整を行います広域連携の推進役が必要でございまして、今般の水道法改正法案におきましては、都道府県に対しまして、広域的な水道事業者等の連携等を進める責務に加えまして、協議会の設置や基本方針に基づく水道基盤強化計画の作成といったものを法的に位置づけることとしているところでございます。

浦野委員 我々、もちろん水を使っている側でもありますから、そういう立場からいうと、大阪で一番問題になったというか大きかったのは、やはり水道料金なんですよね。大阪市がもうめちゃくちゃ安いんですよね、実際。大阪の中で断トツで安い。例えば、私の住んでいる松原市と大阪市は隣同士ですけれども、同じ量を使っても二千円以上値段が違います。私の住んでいる市は、大阪府下でも上から三番目やったかな、高いぐらいの市なんです。やはり、それが高くなる市はもちろん広域化に納得できませんし、そういうのが最大のネックになってしまうんですね。

 水道料金の議論もきょう委員会でも何人かの方からありましたけれども、やはり水道料金というのは非常に難しい問題だというふうに思っているんですね。

 この法案で関係者の責務が明確化されたということなんですけれども、ただ、権限は何も変わっていないわけですよ。大阪のように決まらなかった、でもみんなで頑張りましょうといってその最後の壁を乗り越えられるんだ、乗り越える権限を都道府県なのか主体の人たちに与えられるのであれば、この大阪で起こったようなことというのはクリアできるんですけれども、できないのであれば、この法律は意味がないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道事業者等の広域連携につきましては、これまでも、厚生労働省からあるべき姿として示した水道ビジョンや新水道ビジョンの策定、公表、水道広域化検討の手引きの作成、普及等を行いまして、そのときは、主に水道事業者等の自主的な取組を促すということによりまして検討を進めてきたところでございます。

 今般の水道法改正法案におきましては、御指摘いただきましたように、都道府県に対しまして、広域的な連携の推進役としての責務に加えまして、先ほど申しました水道基盤強化計画の策定、広域連携等推進協議会の設置を法的に位置づけて、しっかりやるようにしたということでございます。

 この協議会によりまして関係者が広域連携の議論をスタートさせて、優良事例の共有を行うなどによりまして、広域連携の検討を一層進めるということが期待できるのではないかと考えているところでございます。

 このように、この協議会におきまして、各水道事業の置かれている状況や将来の姿をシミュレーションして、関係者の問題認識や広域連携のメリットを共有しつつ、合意形成を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 また、厚生労働省では、地域ブロックごとに都道府県に対する説明会等を開催いたしまして、都道府県が推進する水道事業者等の広域連携の優良事例の紹介や、水道基盤強化計画の策定支援、都道府県との意見交換等を通じまして、今般の法改正の趣旨を踏まえて全ての都道府県が水道の基盤強化に向けて必要な広域連携の推進に取り組める、そういう支援をしてまいりたいというところでございます。

浦野委員 私は、絵に描いた餅を大量生産するだけになってしまうんじゃないかという危惧を持っています。

 今、広域化が進まなければ、やはり将来的にコストが上がっていく。これも、議論されてきた地方自治との兼ね合いで、そこまでは言えないというのはあるかもしれません。しかし、整備が先送りされると、結局、最後は、そのコストが増大してそのコストを支払うことになるのは、やはり将来世代の、結局は次の世代、更に次の世代の国民、市民の皆さんなんですよね。だから、私は、それを避けるためにも、もっと強制的にといいますか、権限をちゃんと持たせて広域化を進めるような仕組みをつくるべきだと思っていますけれども、それについてはいかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道は、水源、地形等の自然的条件や、人口、経済活動等の社会的条件を踏まえまして歴史的な経緯を持って整備されてきた地域の重要な財産ということでございますため、広域連携を進めるに当たりまして、強制的に進めるべき性質のものということでは必ずしもなくて、地域の実情を踏まえてよく御議論いただくということが重要ではないかと考えているところでございます。

 広域連携につきましては、料金の統一化を含みますため実現のハードルが高い事業統合という選択肢以外にも、事業認可や料金体系は別だけれども水道の経営主体を同じにする経営の一体化、あるいは共同で施設を設置、経営する施設の共同化など、多様な形態も考えられるところでございます。このため、関係者がまず同じテーブルに着いて検討を行って、それらの選択肢の中から地域にとって望ましい広域連携の姿を描いて、それにのっとって効率的な施設整備を行うことが重要ではないかと考えているところでございます。

浦野委員 時間がなくなりましたので、最後、一言だけ。

 いい歴史であればいいんですけれども、例えば大阪のように、同じ淀川水系で、隣同士で別々の建物を建てて水をとっているというのが大阪の今、歴史なんですね。それを一つにしたらええやんかと誰もが簡単に思うことなんですけれども、それが不幸せという言葉の、非常に不幸な歴史の積み重ねですので、その辺の歴史なんて別にもう今考えなくていいんじゃないかと思っていますので、ぜひ、これは広域化を実現したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十三分散会


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