衆議院

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第14号 令和元年5月7日(火曜日)

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令和元年五月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      新谷 正義君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      丹羽 秀樹君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    吉田 統彦君

      稲富 修二君    岡本 充功君

      白石 洋一君    山井 和則君

      桝屋 敬悟君    鰐淵 洋子君

      高橋千鶴子君    藤田 文武君

      中島 克仁君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   参考人

   (法政大学現代福祉学部教授)           眞保 智子君

   参考人

   (認定NPO法人DPI日本会議副議長)

   (社会福祉法人アンビシャス業務執行理事・総合施設長)           西村 正樹君

   参考人

   (楽天ソシオビジネス株式会社代表取締役副社長)  川島  薫君

   参考人

   (全国手をつなぐ育成会連合会副会長)       小出 隆司君

   参考人

   (一般社団法人全日本視覚障害者協議会代表理事)

   (障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会副会長) 田中 章治君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、法政大学現代福祉学部教授眞保智子君、認定NPO法人DPI日本会議副議長、社会福祉法人アンビシャス業務執行理事・総合施設長西村正樹君、楽天ソシオビジネス株式会社代表取締役副社長川島薫君、全国手をつなぐ育成会連合会副会長小出隆司君、一般社団法人全日本視覚障害者協議会代表理事・障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会副会長田中章治君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず眞保参考人にお願いいたします。

眞保参考人 おはようございます。法政大学の眞保智子と申します。

 本日は、衆議院厚生労働委員会に、障害者雇用の促進に関する法律の一部を改正する法律案の御審議に際しまして参考人として貴重な機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 また、四月に改訂版として刊行いたしました拙書「障害者雇用の実務と就労支援 「合理的配慮」のアプローチ」をお手元にお届けすることができました。これを機会に、私も携わっております企業に対します障害者雇用の実践につきまして御紹介できましたこと、ありがたいと思っております。

 私は、働き方改革実行計画を受けて平成二十九年九月に設置されました今後の障害者雇用制度の在り方に関する研究会に委員として携わる機会をいただきました。研究会での議論を反映させていただいております障害者雇用促進制度に基づく特例給付金の創設と、基準に適合する事業主の認定につきましてお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、特例給付金の創設でございます。

 平成二十五年の法改正によりまして、平成三十年四月から、精神障害のある方の雇用の義務化が施行されております。

 お手元の拙書百五十三ページからなんですけれども、中小企業で精神障害のある方の雇用にかかわる合理的配慮につきまして書かせていただいております。

 精神障害のある方は、拙書百五十四ページから百五十七ページの事例にございますように、検査やそれに伴う事務ですとか、広い仕事で戦力として業務を担える方も少なくございません。ただ、障害特性と御本人の希望や状況に合わせた合理的配慮は必要です。御紹介するこの事例の場合は、勤務時間と通院日の確保、わからないことや不安があったときに相談できる人の配置を行いました。

 また、百五十四ページの情報提供シートの職歴欄でわかりますとおり転職を繰り返されていらっしゃいますが、以前は障害をオープンにせずに働かれていましたので、合理的配慮提供を受けることができなかったことが大きな理由でございました。

 この事例のときは、障害をオープンにされて働くことを希望されていましたので、仕事のマッチングと合理的配慮提供のためにインターンシップを行いました。同じページの本人希望欄にございますようにフルタイム勤務希望でございましたが、障害特性を考え、御本人にも納得いただき、百五十五ページ、インターンシップ観察シートの実習時間欄にありますように、一日三時間勤務と四時間勤務の二パターンを経験していただいております。

 実際にインターンシップをすることで、御本人も御自身の状況を把握され、フルタイム希望でしたが、百五十六ページ、採用に当たっての配慮事項記録シートにありますように、企業とも相談の上、短時間トライアル雇用を利用して週十五時間から働き始められ、現在は二十時間を超えた勤務をされております。

 もとより、障害のある方の働く場における障害特性とそれに伴う困難は個別的でございます。したがいまして、取り上げました事例はあくまでも一例でございます。また、今回御紹介した企業は、常用労働者二十名ほどの小規模な企業ですので、特例給付金の対象にはならないかもしれませんが、しかし、参考資料の百二十八ページにございますJEED、高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査でも、精神障害のある方は、就職当初から他の障害に比べて職場定着は低い傾向にございます。一方で、短時間から始めて、徐々に勤務時間を延ばしていくことで安定的に働くことができるケースはこれまでも報告されているところでございますので、特例給付金の創設はこうした取組を応援していただくものだと考えております。

 次に、基準に適合する事業主の認定でございますが、JEED、高齢・障害・求職者支援機構がこの三月に報告書に取りまとめられました障害者雇用制度の改正等に伴う企業意識・行動の変化に関する研究によれば、平成二十五年の法改正による差別禁止規定及び合理的配慮提供義務規定の認知率は、いずれも企業規模が小さくなるほど低いという結果が示されております。

 したがいまして、障害者雇用にかかわる取組の実施状況がすぐれているものである等の基準に適合する中小企業を認定することを通じまして、まだ障害者雇用に一歩踏み出せずにいる企業に対して、社会における障害者雇用の進展に対して関心を持っていただけるきっかけになると考えております。

 また、法律に明記されることで、官公庁や地方自治体における優先調達や制度融資などの仕組みも整備される可能性があり、先進的な取組をしている中小企業が社会的にも経済的にもメリットを得られると考えております。

 特例給付金と基準に適合する事業主の認定は、いずれも、障害特性及び障害のある労働者の状況に配慮して、それぞれの企業でほかに先駆けて工夫を積み重ね、障害のある労働者が働きやすい環境を整備し、働き続ける実績を積み上げたことを評価するものでございまして、障害者雇用の促進に資する制度であると考えております。

 最後に、このたび、人事院の統一試験による最終合格者の六割弱が精神障害のある方であり、精神障害がある方が職場に適応して安心して働ける方策が今後一層求められると思います。

 拙書百七十九ページから、リフレクションペーパー、略してRPと呼んでおりますが、この一部を紹介しております。これをエクセルで簡単に運用できる仕組みを現在開発中でございまして、企業、支援機関と連携してデータを積み上げて、微力ではございますが、障害者雇用の促進に資する実践ができますよう、今後とも頑張ってまいりたいと存じております。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、西村参考人にお願いいたします。

西村参考人 おはようございます。

 本日は、このような場に参考人としてお招きいただきましたことに、冒頭、厚くお礼申し上げたいと思います。

 私の意見は、関係法令と障害当事者、雇用現場の実情に基づき、今回の法改正に当たっての論点を中心として発言しますので、よろしくお願い申し上げます。

 最初に、公務部門の責務の明確化と、障害者活躍促進計画について意見を申し上げます。

 参考資料では、公務部門として、障害者雇用の理念や考え方及び制度の理解を改めて確認、徹底し、意識の低さを反省し、改めると記載されています。

 今回の中央省庁の水増し問題への対応として実施された障害者の採用試験の応募資格について、一部の省庁では、自力で通勤でき、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能と定めていました。現在、国は、私たちDPIの意見も受けて、このような制限規定を削除しています。

 しかしながら、自治体がホームページに掲載している障害者採用に関する募集要項を確認すると、現在も、今申し上げた制限規定に加え、活字印刷物に対応できる者、口頭面接に対応できる者、点字試験は実施できませんと受験資格に明記している実態があります。

 こうした現状を踏まえると、自治体に求められる計画作成指針と計画策定に当たっては、障害者雇用促進法に基づき定められている差別禁止指針と合理的配慮指針、これを公務部門にも適用することが必要だと思っています。

 そして、これらの指針を基準として、各自治体が定めている受験資格、採用試験の実施方法、採用後の労働環境等に関する現状の点検と点検結果を公表するとともに、この点検結果に対する改善もあわせて計画に盛り込むことが必要です。

 これは、今回配付されている資料に掲載されている障害者雇用を単なる雇用率達成を目的とすることを避けるためにも、極めて重要な項目だと思っています。

 次に、公務部門への財政措置です。

 私は北海道在住ですが、北海道の多くの自治体は財政状況が厳しく、夕張市は、御承知のとおり財政再建団体に指定されています。

 こうした現状から、国は、単に地方自治体に計画策定を求めるだけではなく、自治体の財政状況や地域事情に応じて、自治体や地域事情にかかわりなく、それぞれの自治体が立てた計画が実現できるための予算措置を講じることが必要だと思っています。

 次に、民間事業主に対する措置ですが、今回示された個別論点の項目ではなく、論点全体を通じて重視するとされている障害者雇用の理念や推進の考え方、障害者の活躍の場の着実な拡大、採用した障害者の職場定着に向けた職場の環境整備、そして障害者雇用の質を確保するための観点から、現行法制度の見直しの必要性について申し上げたいと思います。

 まずは、法定雇用率に算定される障害者の範囲の見直しです。

 現行制度では、障害者手帳を所持している者とする規定ですが、障害者雇用促進法では「障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。」としており、手帳の所持者のみを障害者と定義してはいません。

 私は前職で北海道庁の更生相談所において身障手帳の交付事務を担当していましたが、手帳の交付要件は、個々の視力、聴力、筋力といった身体の機能状態に対する医師が書いた意見書に基づく個人・医学モデルとして手帳は交付しています。

 我が国の法制度は、障害を個人モデルから社会モデルに転換しました。また、手帳制度の限界から、障害年金を始めとする障害福祉サービスの利用者は、手帳所持者以外も対象としています。

 こうした障害者関連の法制度の現状と制度、施策間の整合性を確保する観点からも、雇用率の算定対象を手帳所持者とする限定規定の見直しが必要です。

 次に、雇用促進法及び雇用施策の根本的な問題として、障害者が働くための人的支援を含めた支援メニューに関する財源の見直しが挙げられます。

 現行制度の財源は、障害者の雇用率未達成企業が不足している障害者数に応じて納める納付金で賄っています。

 私は、障害者雇用促進法は、その名のとおり、障害者の雇用を社会全体で進めていくことが目的であり、理念であると思っています。しかしながら、こうした財源措置は、一定数の民間企業が法定雇用率を達成していないことを前提としたものであり、障害者雇用を促進するという理念とは相反するのではないかと思っています。

 特に、先般公表されました昨年度の民間部門で雇用されている障害者数が史上最大規模となった現状を踏まえると、納付金に頼らない持続可能な新たな財源を確保することが必要です。

 最後に、障害者が働くために必要な支援制度の運用の見直しです。

 具体的な支援制度の事例として車椅子使用者などに対する駐車場助成がありますが、内規によると、職場からおおむね二百メートル以内に確保することとされています。この内容では、機械式駐車場がふえてきている現状などから、制度の利用が困難な場合もあります。

 また、駐車場助成もそうですが、職場介助者や手話通訳者といった人的支援についての助成期間は十年間を基本としています。この理由は、制度設計時の労働者の平均在職年数が十年と伺いました。しかし、障害者が障害に基づき必要とする合理的配慮は、基本的に生涯必要とするものです。

 支援に年限を設けることは、合理的配慮を期間限定とするものであり、関係法令に抵触するとともに、障害者の安定雇用を制度が阻害することが懸念されます。

 そして、聴覚障害者への情報保障としては新たに遠隔音声認識サービスなどがありますが、時代の流れや当事者の現状を踏まえた支援メニューの見直しと拡充が必要です。

 あわせて、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは就労時の利用が制限されていますが、こうした制限の見直しも必要であると思っています。

 以上が私からの意見ですが、私たちは、障害者の課題を改善することは、障害者の問題だけを解決するのではないと思っています。私たち障害者が公共交通機関に求めてきたエレベーター、ホームドア、トイレ、電光掲示板の設置は、障害のない人々にも安全、安心と快適な空間の提供といった社会的効果を生み出していると思っています。

 現在、国は、一億総活躍社会を実現するために働き方改革を掲げ、私たち障害者を含めた多様な人材の活躍やさまざまな雇用形態を進めようとしています。障害者が活躍できる職場は、公共交通機関と同様、誰もが活躍できる職場につながると私たちは確信をしています。

 今回の雇用水増し問題を起点に、質が確保された障害者雇用が大きく前進する規定になることを願いまして、私の発言を終わりたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、川島参考人にお願いいたします。

川島参考人 おはようございます。楽天ソシオビジネスの川島と申します。

 本日は、本会にお招きいただきまして、まことにありがとうございます。また、参考人として発表の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。

 それでは、お手元に資料を御用意しておりますので、そちらに沿ってお話をさせていただきたいと思います。

 弊社楽天ソシオビジネスは、二〇〇七年十二月五日に楽天の特例子会社という形で設立されました。現在、拠点の方は、東京、仙台、大阪、大田区の森ケ崎、また磐田市の磐田工場がございます。従業員数が、こちらは四月現在になっておりますが、二百四名、雇用率が二・二八%となっております。

 私たちの会社の理念という形で、特例子会社を設立するに当たって楽天の三木谷と約束したことが二点ございます。一つが、障害者雇用を推進し、社会に貢献できる企業として成長すること、もう一つは、障害のある方に成長の機会を提供し、その結果、事業としての成功を果たすこと。

 私自身、楽天ソシオビジネスが設立したときに、一般のプロパーで入っております。プロパーで、私自身が足に障害を持っておりまして、障害者雇用で働くのが初めてだったんですね。実際に入ってみて驚いたことがたくさんございまして、いろいろ役職を経て現在役員としてやっているんですが、この中で、もうちょっと障害者雇用を変えていかなければいけないのではないか、どうして障害者と健常者の間に壁があるんだろう、差別があるんだろう、活躍機会がなぜないんだろうという疑問を感じながらこの十二年やってきました。

 社員構成なんですが、障害者の方が中心となっております。障害者が七七%、健常者が二三%。障害の種別が身体、知的、精神、近年では精神の方々の雇用を促進しておりまして、今現在だと四〇%を超えております。男女比で見ますと、IT企業はやはり男性の人気がございまして、男性の社員が多いです。

 雇用形態ですが、正社員、パート、契約社員となっておりますが、基本的に全員正社員にするということが私たちの目標です。契約社員という形でいるのが、トライアル採用ですね。トライアル採用を使っております。半年間のトライアルを経て契約社員となり、パート、正社員という形になっております。

 続きまして、従業員数の推移となります。こちらは二〇〇八年からカウントをとっておりますが、純増して二〇一八年には百七十九人、この一年でかなり人数がふえてきております。

 雇用率ですが、二〇一八年に雇用率が二・二%になったときに、私たちもなかなか今採用が追いつかないという状況で、一旦落としております。

 私たちの会社は、二〇一二年から黒字を達成しております。というのも、今までずっと二〇一一年ぐらいまで、楽天から補填を受けてやっておりました。ただ、やはり障害者の方々の給与を上げることができないとかさまざまな問題があり、楽天からの補填を切ることにしました。自力経営をしていこうということで、みんなで一致団結して新たな仕事を獲得し、自分たちで経営をやっていこうという方針に変えていきました。そこから、みんながモチベーションを上げ、自分たちのスキルを高め、今現在に至っております。二〇一八年では十一億を達成する企業へと成長してきております。

 具体的なところでいきますと、七ページになります。

 オフィス環境、こちらにつきましては、私たち独自で経営はしていますが、親会社の楽天がとても理解があります。私たちが困っていることに関しては、オフィス環境を含め、さまざまなところで改善をしてきております。

 二〇一五年に二子玉川に移転する際、オフィスの方も私たち障害者の方々が仕事をしやすい環境といったところをつくっていただいております。

 視覚障害につきましては、点字ディスプレーを入れたり、読み上げソフトを入れたり、拡大鏡を入れたり、あとは、二階のエレベーターホールですね。普通のビルになりますと、ビルの入り口までは点字ブロックがあるんですが、中に入るとなかなか点字ブロックがございません。ここを楽天の方に交渉し、点字ブロックをエレベーターの前まで引いていただきました。

 また、聴覚障害につきましては、ブギーボードを貸出ししたり、あとは、朝礼、会議体とかは手話通訳者を配置しております。上下肢につきましては、昼食のアテンドや自動車通勤等をしております。

 続きまして、業務紹介になります。さまざまな方々が活躍しております。

 私たちの会社は、身体の人は身体の仕事とか、精神の人は精神の仕事と、分けていないんですね。一つの仕事を切り分けして、みんなが仕事に携わっていくということをやりましょうということで、ウエブ制作をやっている精神の方もいれば、知的の方もいます。

 あとは、人事関係ですね。大体、人事の業務は外部に出している企業が大半なんですが、これを内製化しました。楽天の社員にかかわる書類関係、入退社であったりとか社保であったり、そういった手続を全て私たちの会社で行っております。ここについても、知的障害の方であったり、精神の方も活躍をしております。

 また、独自の事業といったところも行っておりまして、こちらが十三ページ、十四ページになります。

 二子玉川に移転した際、コンビニエンスストアを社内でつくることにしました。社内の決済は現金を使いません。Edyであったりカードが主流になっており、知的障害の方でもレジ対応ができるようになっております。こういった面でも、さまざまな障害をお持ちの方が活躍することができるようになっております。

 社内では、クリーニングの一次受けサービスもあり、クリーニングの衣類にタグづけをする仕事につきましては知的障害の方がやったり、レジ対応は精神の方がやったりという形で、多岐にわたっております。

 また、ファクトリー事業を、こちらも二〇一五年から開始しております。

 植物工場を大田区の森ケ崎の方につくっておりまして、ここでは、重度の障害を持っている方が三名、また身体の方が二名という形で働いております。磐田工場につきましては、二〇一九年、地方の障害者雇用をもうちょっと活性化したいという思いで、磐田市に工場をつくりました。こちらにつきましては、雇用人数は障害者十名を予定しており、現在採用活動を行っているところでございます。日産百八十キロのレタスを楽天の社員食堂の方に納品しております。

 続きまして、十五ページ、私たちの特徴といったところになります。どのように採用をしているのかといったところになります。

 手帳種別に合わせ、専門の方々を配置しております。身体の方、知的の方、精神の方、こちらのやはり理解といったところ、障害特性の理解がないと、採用もなかなか進めていくことが厳しいです。

 すまいる採用につきましては、知的障害の方。特別支援学校と連携をとり、就労支援機関とも連携をとり、マッチングの部分でお互いにミスをしないようにしております。アシスト&トレーニングチームは、精神、発達の方々の採用、ここに最近は力を入れております。

 精神の方々の採用というのは、どこの企業もなかなか進んではいないんですが、ここをあえて挑戦しにいこうという形で、就労支援機関であったりそういったところと連携をとり、実習を経て、トライアル採用という形で三・五カ月ぐらい、お互い、当事者に関しては会社を知る、環境になれる、私たちは、その方々が働ける準備ができているのかどうか、その辺を見きわめながら本採用へと導いております。

 また、入ればそれで終わりではなくて、その後、本人たちがいかに定着していくかといったところに力を置いております。

 そこにつきましては、メンバーサポートチーム、ここは、専門の方々が知的障害の方々のトレーニング、サポートを行っております。パソコンにつきましても、少しずつできるようにこちらの方がお手伝いをし、彼らの職域を広げております。

 事務サポートチームにつきましては、精神、発達障害の方々。やはり、入るとなかなか安定はしないです。不安定なところをいかに安定に持っていくか。たび重なる面談を経て彼らに自信をつけていく、そんなようなサポートをしております。

 社内環境につきましては、人的サポートです。障害者職業生活相談員を配置しております。また、ジョブコーチ、精神保健福祉士、そのほか、手話技能検定につきましては管理者全員が取るようにして、社員のサポート体制を行っております。

 以上となります。このような形の特例子会社もあるという形で御認識いただけたらと思います。

 本日はどうもありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、小出参考人にお願いいたします。

小出参考人 全国手をつなぐ育成会連合会の小出と申します。

 本日は、このような機会を与えていただき、本当にありがとうございます。

 私どもの団体は、知的障害を持つ子供たちの保護者会ということで活動をしております。

 私自身も、知的障害と自閉症を重複する二十八歳の娘の父親でございます。娘が生まれたのは私が四十になるちょっと前でしたけれども、それまでは、知的障害のこと、それから障害のこともほとんど意識することなく生活をしていた、そういう状況でございました。

 そんな中で、娘が生まれ、三歳のときに診断を受けたということになりますけれども、そのときから娘の、自閉症を伴う知的障害児の歩みというのは、一般の幼稚園は入園拒否され、小学校、中学校、高等部、それらも、健常な人たちとは分離されました特別支援教育という名のもとの養護学校で過ごしました。それから、卒業をしまして、二十八歳になりますけれども、今は近くにあります作業所の方に通っているということ。生まれてから、診断を受けてから、私ども知的障害、そういう障害の人たちは、一般の健常な人たちとは分離された状況にあるということですね。

 そういうことでありまして、今振り返りますと、その逆の方々、健常の方々あるいは国家公務員になるような方々は、私どもの子供たち、知的障害を持った、あるいは障害を持った人たちと触れ合うという機会がないということですね。

 それから、知的障害は、体験ができない障害の一つでございます。ということで、これを理解することは触れ合うことしかないということですね。そういうことにおいて今般のようなことが起こった、真相はそういうところにあるんじゃないかというふうに思っております。

 さて、ここで、私ども知的障害の置かれている立場を見ますと、参考資料の百十七ページの統計資料にありますように、今、障害者の数は九百三十七万人ということになっております。それから、知的障害はそのうちの百八万二千人でございます。これは全体の一一・五%ということで、約十分の一ということになります。また、日本の人口からしますと一%に満たないということで、ほとんどが健常な人であって、知的障害ではないということになります。

 ただ、その中で、障害福祉サービスを受けている方の知的障害の割合は、十八歳以上になりますけれども、四七%と、要は支援が非常に必要な障害であるという特徴があります。

 また、平成十八年の障害者自立支援法、それから養護学校が特別支援学校と言われたそのころから、知的障害者の人たちが一般企業で働くという機会が多くなりまして、今現在は、就労支援関係の障害福祉サービスの事業所から一般企業に移ったのが年間一万三千五百人、それから養護学校の方、これは特別支援学校になりましたけれども、卒業生の約三〇%、六千四百人が一般企業に行っているということですね。

 このような中、前置きが長くなりましたけれども、今般の雇用促進法の一部を改正する法律案は、主に国及び地方公共団体における障害者雇用数の不適切な計上ということで、私ども、毎年発表されます六・一報告の公務部門における雇用率、これそのものが規範なんですね、民間企業に対する規範。この数値というものを目指して、公務部門においてはこれだけ達成されているな、そういうことで、一般企業の方は法定雇用率を守ろうと努力をしているということであります。先般、このような中でこういう不祥事が起こったということは、私ども、ああ、やはり障害と触れ合う機会が少ない人たちがいかに多いかということを認識したわけでございます。

 また、今回、法律化の方に向けている項目に関しましては、労働政策審議会障害者雇用分科会の方でいろいろ議論しました項目が掲示をされているということで、私どもとしては一定の評価、認識をしたいと思います。

 それから、同意見書の中の、民間事業主における障害者雇用の一層の促進に関する措置においては、多くの項目のうちの二点について今般取り上げられておりますけれども、今後の障害者雇用制度の在り方に関する研究会において緊急性と実効性を求められている項目であります。

 週所定労働時間二十時間未満の障害者の雇用に対する支援は、働く機会を広げる意義もあり、期待したい制度であります。

 それから、障害者雇用に関する優良な中小企業に関する認定制度の創設、これは、もう既に地方公共団体においては、入札等の条件としているところもあると思います。これが全国的に広まるということは、今後、こういう障害者の雇用の促進に有効なことではないか。

 また、もう一つは、先般行われました一斉の採用試験において、知的障害者がそのうちの三名であったということですね。それは、条件として、高卒程度、あるいは筆記試験が課せられたということなんですけれども、知的障害者は特別支援学校の高等部を出ておりますけれども、高等部には教科書がありません。そういうことで、高卒という条件を課せられた今般の試験ということは、やはり知的障害者あるいはほかの障害に対しても、もう少し配慮が必要ではないか、もう少し時間をかけた取組が必要と思っております。

 きょうは、このような貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。よろしくお願いします。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、田中参考人にお願いいたします。

田中参考人 田中章治と申します。

 私は、当事者団体という立場で、今回の雇用促進法の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。

 点字を読む関係で座ってやりますので、お許しください。

 まず、この法律案を提案するそのきっかけとなった障害者雇用水増し問題について、若干意見を述べたいと思います。

 私たちは、この障害者雇用水増し問題を、障害者雇用偽装問題というふうに捉えています。それはなぜかと申しますと、規模の大きさ、それから四十二年間というそういう長い期間ということ、そして、その水増しの中で既に退職している人もカウントする、これが国や自治体に広く波及しているという、そういうことで私たちはそのように捉えております。まさに国による障害者差別、排除の考え方が根底にあるんじゃないか、そして、先ごろ問題になっておりました旧優生保護法の関係で申しますと、やはりこれは優生思想につながっている、そういう問題だと思っております。

 さて、第三者による検証結果でございますが、それなりの結果は出していただいていると思うんですが、私たちに言わせますと、今の意見を踏まえると、極めて不十分だと思っています。特に、ちょっと気になるのは、恣意的であったが意図的ではないというこの意味が、もう一つ突っ込んだ分析が必要じゃないか、そのように思っております。

 それから、政府の公務部門における障害者雇用に関する基本方針ですけれども、二〇一九年末までに四千人の障害者を採用するという計画になっております。私たちの懸念としては、これが単なる数合わせになってはいけない、そういうふうなことをまず思いました。

 さて、問題発覚後の中央省庁の障害者採用状況について感じたことを申します。

 まず、人事院の障害者を対象とした選考試験、最終的には七百五十四人が合格しております。ここで気になるのは、身体障害者三百十九人、この内訳を私たちは知りたいと思います。私たちが独自に入手した情報によりますと、このうち視覚障害者は四十三人、そして点字使用者はわずか二人だったというふうなことも聞いております。これをやはり公表してもらいたいというふうに思います。申込者に対する最終合格倍率は十一・六倍ということで、これはかなり期待も大きいということですね、そういうことと理解しております。

 それから、問題発覚を受けての、その時点から四月までの中央省庁の障害者採用について、新聞報道によりますと、二千七百五十五・五人を採用したということで、四千人に対する達成率六七・六%ということで、非常に高い数字、順調に採用が進んでいるということです。しかし、私たちの認識としては、単なる数合わせになっていないか。それから、民間で働いている人もかなり入っていますね。それと、中軽度の障害者がかなり多いんじゃないか、これは私たちの推測でございますが、そのように思っております。

 そして、視覚障害者の国家公務員の関係で申しますと、実は、点字試験が実施されたのは一九九一年です。それから五年後の一九九六年に一人、2種で国家公務員試験を突破した者がおります。しかし、それ以後、視覚障害者の点字受験の合格者は出ていないんです。そういうことで、視覚障害者の雇用は非常に、国家公務員に関して言うと、おくれているんじゃないかという問題意識を常日ごろ持っております。

 そこで考えられますのは、単に事務職だけじゃなくて新しい職種もこの際考えてみたらどうかということで、私の資料の巻末に、ハローワークにおける視覚障害者の職業紹介状況という表を載せてありますが、これによりますと、総合計が二千三十五件。専門的・技術的職業に分類されるところの、ここに、あはき業と書いてありますけれども、これは、あんま、マッサージ、はり、きゅうのことです、これが九百七十九件、四八・一%。うち、重度に関して申しますと、七百九十五件、六五・四%ということで、いかに視覚障害者はあんま、マッサージ、はり、きゅうに依存しているか。そういう意味で申しますと、民間におけるヘルスキーパー、そういうような仕事もかなり広がっておりますので、この際考えていくべきではないか。これは自治体に関しても同じです。そのように思います。

 さて、今回の改正案に対する意見を若干述べたいと思います。

 前進面としては、国や自治体に障害者を解雇した際ハローワークへの届出を義務化した、障害者手帳のコピー等関係書類の保存義務、障害者の雇用状況の公表は行政機関ごとに行わせる、責任を明確化させるという点、それから、雇用の質の確保に向けて障害者の相談や指導に当たる生活相談員制度をつくった、この辺は評価できると思います。また、民間企業の雇用促進策として、週の労働時間が二十時間未満の障害者の雇用機会を確保した企業に対して給付金制度を設ける、これらは評価できる点だと思います。

 一方、再発防止のための課題、問題点もまだまだあると思います。

 まず一番目、行政機関の障害者雇用状況を監視する第三者機関が必要ではないか。厚労省にチェック機能を持たせるというようなことのようですが、これは果たしてどうなのか、今までの経緯から見て疑問に思っています。

 それから、公的部門も納付金制度の適用をという意見が強かったわけですが、これに関して、雇用率未達成の省庁から予算を年額六十万円、一人につき削減するという案で対応しようとしています。これについては効果は余り期待できないと思います。むしろ、民間の納付金に見合った、未達成の自治体や国の省庁から一定の資金をプールする、それで雇用促進策を進めるという考え方をしたらどうかというふうに思っています。

 それから、視覚障害者など障害に配慮した職種、これは先ほど申しましたヘルスキーパーの例を考えております。

 それから、合理的配慮の提供に関してですけれども、この考え方をもっと徹底すべき。通勤や職場内介助者の問題は、これは福祉関係との併用も考えられると思います。

 ちなみに、視覚障害者で申しますと音声パソコンであるとか職場介助者、そして弱視の場合は拡大読書器などが考えられると思います。

 最後に、まとめでございます。

 私たちは、常に、バイブルとして障害者権利条約というものを念頭に置いて活動しております。その意味で、権利条約第二十七条の労働及び雇用、これをやはり目標にして、今回の雇用促進法の改正、まだまだ不十分だと思います。抜本的な見直しを今後に向けてやっていただきたいというふうにお願いします。

 以上で私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。船橋利実君。

船橋委員 自由民主党の船橋利実でございます。

 本日は、五名の参考人の方々には大変貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。

 早速ではございますが、私の方からお尋ねをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、通勤支援に関して全ての参考人にお尋ねをいたします。

 通勤支援は、障害者が職場で働くために重要なポイントであるというふうに考えております。

 この十連休の間、私、後半戦、孫をベビーカーに乗せて都内各地を歩いておりました。そうすると、車椅子と同じような状況があるかなというふうに思っておりましたけれども、道路の段差の問題、特に車道と歩道の段差の問題ですとか、所によってはひび割れだとか穴だとか、あるいは、鉄道、地下鉄、バスなどを利用する際にも、ホーム、バス停、それと、鉄道とバスのすき間とか段差とか。それから、エレベーターなども、設置されているところはあるんですけれども、車椅子であれば一台しか入らない、あるいはベビーカーも、サイズの比較的小さなものが二台でなければぎりぎり入らないようなところ、しかも、非常に混むような駅等であったとしてもその速度が物すごく遅いというような施設が随分と見られるなということを確認してきた次第でございます。

 こうした現状の中で、通勤支援について、障害者雇用促進法に基づく合理的配慮指針には、通勤の記載というものはありません。障害福祉サービスの対象ともなってはいない。こうしたことから、障害者の採用試験の実施に当たって、一部省庁などが告知した応募資格に対する御指摘が参考人からあったものと思います。

 そこで、通勤支援について、雇用と福祉の両面でどのような対応が求められているとお考えか、それぞれの参考人からお聞かせいただきたいと思います。

眞保参考人 法政大学の眞保でございます。

 通勤支援に関する御質問をいただきました。

 通勤支援に関しましては、例えば、人工呼吸器ですとかそうした器材をお使いの場合は、やはり福祉の特別な専門の支援の方のサービスの方が得意分野であろうかと思いますし、また、視覚障害の方ですとかそうした方への支援、あるいは知的障害の方の、一部企業ではバス等を出していらっしゃるところもありますが、そうした通勤の支援に関しましては、労働側でできる、助成金等でできる可能性があるかと考えております。

 いずれにしても、福祉それから労働側で、それぞれ得意分野を生かして通勤支援の方を今後考えていった方がよろしいのではないかと思っております。

 以上です。

西村参考人 通勤支援につきましては、都市部と田舎では全く違うというふうに思っています。

 私は、四年間、東京で勤務をしておりましたが、ほぼ通常の公共交通機関を使うことで十分に通勤をすることができました。しかしながら、北海道に帰るとそうはいかなくて、全てやはり自家用車の通勤が求められてきます。

 御指摘の通勤支援については、雇用促進法に係るところでは私はないと思っています。

 先ほど障害者総合支援法を使えるようにというふうに申し上げましたが、障害者総合支援法では、移動支援ということで、これは知的障害のある方も含めまして移動に関する支援という施策があります。自力通勤可の者という規定につきましては、私は基本的に、自分の力だけで通っている人たちはいないと思っています。公共交通機関を使うなり、何らかのインフラを使って通勤をしていると思います。そういった意味では、障害の特性に応じた、例えば介護タクシーだとか、あるいは移動支援だとか、そういったものを組み合わせることによって通勤可能になるというふうに思っています。

 ありがとうございます。

川島参考人 川島です。

 弊社の場合、本人が希望した場合ですね。こちら側から特別に何かするということはしていないです。本人が通勤困難であるということを私たちに話が出た場合に、その人その人に応じた配慮という形では行っています。

 現在、私もそうなんですけれども、朝の通勤ラッシュのところで、つり革にもつかまれないと足が踏ん張れないんですね。そうすると転んでしまう。転ぶと、人工股関節なんですけれども、骨が外れてしまうというのがあるので、私の場合は通勤ラッシュが難しいので、車通勤という形にしてもらっています。

 このように多様に応じて配慮の方は行っております。

小出参考人 育成会の小出でございます。

 通勤支援、この問題は一般企業就労について一つのネックになっている、そういうふうに思っております。

 通勤支援、今、先ほど出ましたように、障害福祉サービスの方の移動支援、これは通勤には使えません。それから通学も使えません。ということがあります。それから、労働の方で申しますと、通勤というものそのものが一つの雇用する条件にもなっているということですね。これは、直接差別ではありませんけれども、私は間接差別になっていると。

 要は、自力通勤ができる者、そういう条件も課せられているということもありますので、ぜひこの問題は、どちら、労働の方で解決する問題かあるいは障害福祉サービスの方で解決する問題かということ、両方で相まって、これは両方サービスできないよというようなことになっておりますので、障害者そのものに対する、自力でという、今現在はそういう状況にあります。ですから、これは一般企業就労についての大きなネックになっていると思います。

 以上でございます。

田中参考人 私は、三十五年間、東京都の職員をしておりました。この期間、盲導犬を連れて、通勤はほとんど問題なく過ごすことができました。ただし、東京都の方で一時間の時差出勤ということで、通常は九時から五時ですが、私の場合、十時から六時というようなことで配慮をしていただいて、ほとんど問題なく通勤できました。

 これは基本だと思うんですが、中途視覚障害者など、いきなり途中で見えなくなって、職場をやめたくない、継続雇用という場合に、やはり、一時的にヘルパー、そういうものをつけて通勤するという制度があってもいいんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味で、労働と福祉の連携という、同じ厚労省の中なので、それは制度的に活用できるようにすべきじゃないかというふうに思っています。

船橋委員 各参考人におかれましては大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 次に、国、地方公共団体に対する措置ということで、眞保参考人と小出参考人にお尋ねをいたします。

 今回の公務部門におけます採用の状況を見てまいりますと、知的障害者の採用はごくわずかとなっておりますが、公務部門におきましても知的障害者の雇用を促進していくことが重要と考えております。そういった観点から、これまでの御経験を踏まえ、知的障害者の方が働きやすい職場環境の整備や仕事の選定について御見解があればお伺いをいたします。

眞保参考人 法政大学の眞保でございます。

 国、地方公共団体において、知的障害の方がどのような形で働いていけるかというお話だったと思います。

 現在の統一試験の制度では、やはり、高卒以上の筆記試験というのがございますので、今の制度ではなかなか難しいのかもしれませんが、ただ、各省庁あるいは各都道府県で個別の採用ということが認められておりますので、そうした個別採用試験の中で知的障害の方が働きやすい仕事をまとめて、職掌、職域を拡大して採用していくということは可能ではないかなというふうに考えております。

小出参考人 育成会の小出です。ありがとうございます。

 公務部門における今般の一斉試験、採用試験、これは非常に短時間でありまして、また、このような試験が初めて行われるということ、それからもう一つは、公務部門における仕事の切り出しということがされないまま、障害者雇用率、障害者の雇用を達成しようということで行われたのが今般の試験であると認識しております。

 私ども知的障害を持つ子供たち、特別支援学校では実習がありまして、高等部、三年間みっちり実習して、それで目指す企業で実習しながらそこに勤める、その中で自分たちに合った仕事というものを見つけ出す、そういうプロセスがあります。

 ですから、公務部門におけるもう少し仕事の切り出し、それから、どういうことがあるだろうかということをもう少し研究してから採用ということに踏み切っていただければと思います。そうでないと、今、一般企業においては、二〇%強の知的障害が勤めておりますので、そういう実績までは可能ではないかなというふうに思っている次第でございます。

 よろしくお願いしたいと思います。

船橋委員 ありがとうございました。

 次に、西村参考人と田中参考人にお尋ねいたしますが、国、地方公共団体に対する措置ということで、国及び地方公共団体におきましては、法定雇用率の速やかな達成に向けた取組が求められている一方で、障害者の職場定着や雇用の質の確保のための取組も確実に進めていく必要があります。

 そのような中で、法案には国及び地方公共団体に対する障害者活躍推進計画の作成の義務づけが盛り込まれておりますが、どのような内容や目標を盛り込むべきとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

西村参考人 西村です。

 先ほども申し上げましたが、やはり、自分たちの職場の中できちんと障害者が働くことができる環境があるのか、あるいは、障害者雇用促進法は必ずしも公務部門には適用されておりませんが、平等原則がきちんと反映されているのかということの物差しではこれらの指針というのは非常に重要だと思っています。

 したがいまして、障害者を採用するということにあわせて、どのような職場環境をつくっていくのかということをきちんとしなければ、結局、雇用はされたけれども離職してしまうという結果になると思います。

 多くの障害者は、雇用することを目的ではなくて、ここで働くことで生きがいを感じたいというふうに思っています。そうした環境の整備こそが雇用率以上に私は重要だと思いますし、その結果、雇用率が達成されるということで、その質の確保が重要だと思っています。

 以上です。

田中参考人 私も地方公務員をずっとやっていたもので、その経験から申しますと、一番気になるのは、やはり、今問題になっております共生社会の実現ということがまだまだ不十分だと思います。

 私の経験ですけれども、障害者雇用、それは結構だということで、職場でもそういう意見が出るんですけれども、いざ自分の職場に障害者、特に重度の視覚障害者などが入ってくることに関してはやはり抵抗がありました。

 そういう意味で申しますと、やはり、共生社会の実現という、障害者差別解消法などの理念をもっと波及させる、そういう自治体での取組をやっていただきたい。

 そして、雇用率に関しても、これは一つの目標なので、これは達成ということをまず中心的な課題として追求していただきたいというふうに思っております。

 以上です。

船橋委員 時間ですので、終了させていただきたいと思います。

 参考人の皆さんには大変ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美と申します。

 きょうは、五名の参考人の皆様、大変貴重な御意見を聞かせていただき、まことにありがとうございます。

 現状と分析、そして今後に向けた残された課題について、私なりに、皆さんのお話を伺いながら、今頭の中の整理をさせていただいているところですけれども、そのためにということで、きょうは、短い時間ですが、質問をさせていただきたいと思っております。

 時間の都合上、全員の参考人の方に御質問できるかどうかわかりません。その点は、まず冒頭、お許しをいただきたいと思っております。

 まず、西村参考人にお伺いをいたしたいと思います。

 今回、公務部門、霞が関での障害者雇用水増し問題、これはまさに、田中参考人の言葉をかりれば障害者雇用の偽装問題だということでありますけれども、それに端を発して、今回、二年間で四千人の障害者を雇用するということが数値として、目標として打ち出されました。

 試験においては合理的な配慮をある程度はされたと承知はいたしておりますけれども、それとてやはりまだまだ課題がある。しかし、それにも加えて、私、お話を伺っていて更に問題だと思いましたのは、職場での合理的配慮についての助成が十年限りであるということであります。駐車場の助成、それから職場介助者や手話通訳者といった助成は十年だということなんですけれども、これはやはり、私もお話を伺っていて、かなり問題だなというふうに思いました。

 この点について、西村参考人からもう少し詳しく御説明をいただきたいと思っております。

西村参考人 ありがとうございます。

 制限規定は、全て、障害者が必要とするものを提供しないということになっています。自力通勤可の者、介助者なしで職務遂行能力可の者、活字印刷物に対応できる者、口頭面接に対応できる者はどういうことかというと、介助者は使ってはいけません、移動サービスとかそういうものは使ってはいけません、手話通訳は用意しません、点字試験は用意しませんということになっているんですね。それを入り口の段階で改善することが、実は職場に入った後にもつながってくるというふうに思っています。

 私は道庁の方に勤めておりましたけれども、道庁の会議の中では、研修の中では手話通訳が配置をされたりしておりましたけれども、必ずしも点字の資料が用意されていたわけではありません。

 障害者権利条約は、あらゆる場面で合理的配慮を提供すると。応募、募集、採用試験、採用後、そして、実は退職後も含めてということになります。

 私は、こういった問題をまず一番きちんと検証していくには、一つは、既に自治体の中で雇用されている障害者が働くことに何を問題を抱えているのかということをきちんと足元から検証し、そして、その中でどういうことを改善しなくてはいけないのかということを議論しながら、この四千人の雇用については達成をしていくべきだというふうに思っています。

西村(智)委員 働くということに関していえば、募集、採用そして雇用の継続というところまでずっとステージは続いていくわけですので、それを長期的に視野に入れたやはり政策というものが必要だということを改めて感じさせていただきました。

 ですので、先ほどもお話にありましたとおり、やはり私も、雇用の中身についてきちんと分析をするということは今後も必要ではないかというふうに考えております。

 その関連なんですけれども、障害者雇用促進法は、対象者が手帳を持っている方ということになっております。

 私も実は地元で小児がんの経験者の方と接することが多いんですけれども、やはり、小さいときに投薬を受けて、それを理由として、背景として、体が小さかったり体力がなかなかおぼつかなかったりということで、一般的な就労が難しいという方もいらっしゃいます。

 そういった方々を何とか、まあ、障害者手帳を持つということも一つの選択肢なんでしょうけれども、そうではなくて、雇用促進法の対象者にすれば事業主の方も意識を変えていただけるのではないかというふうに思っていたこともありまして、この対象者の見直しについて、これも西村参考人に伺いたいんですが、どういう考え方で見直していくべきか、このことについてお考えがあったらお願いいたします。

西村参考人 手帳制度で雇用率を算定していくというのが一番簡単だと思います。

 しかしながら、手帳制度というのはどういう制度なのかというと、内部機能障害でいえば、心臓、腎臓あるいは小腸、そういった障害がありますけれども、新たに肝機能だとかあるいはHIVだとか、そういうものが追加されてきている経過があります。視力障害についても、両目に障害があれば該当するけれども、片目が見えないということでは障害者手帳の該当になりません。障害者手帳自体が、極めて医学的な、別表で掲げられた、筋力が何キログラム以上とかそういったことで限定されています。

 この枠組みをどう拡大していくのかということに関しては、この間の障害福祉制度の中でそれはヒントがあるというふうに思っています。例えば、障害基礎年金の支給については一型糖尿病の方たちも対象になっておりますけれども、彼ら、彼女たちは必ずしも手帳を持っているわけではありません。それから、さまざまな障害福祉サービスの利用についても、手帳ではなくて、それ以外のさまざまな障害支援区分によって、必要なサービスというものが提供されています。

 したがいまして、厚生労働省という、厚生省と労働省がせっかく一緒になったわけですから、そして社会モデルという考え方を制度の中で盛り込んだわけですから、さまざまな障害を判定していく要素がたくさんあると思っていますので、一定の時間は必要かもしれませんけれども、そういった、障害者手帳だけではない、本来の、基本法なり雇用促進法なり、あるいは権利条約に基づく一つの基準を考えていくということが重要だと思っています。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 先ほど田中参考人は、今回、人事院で合格された七百五十四人の中で視覚障害の方が四十三人ではないか、そして点字を使用されている方がそのうちお二人ではないかというようなお話がありました。

 川島参考人にお伺いをしたいと思っております。

 御社ではどういった方々が対象でいらっしゃるのか。先ほど、手帳を持っておられる方というふうにお伺いをしたと思いますが、そういった方ということが今現在対象なのか、また、今後、今ほど問題になっておりました対象者についてどういうふうにお考えか。それから、視覚障害や聴覚障害の方々にどういった業務をやっていただいているのか。ちょっと、ヒントがあれば、お願いしたいと思います。

川島参考人 対象につきましては、やはり特例子会社というのもありますので、障害者の方になります。手帳を持っている方ですね。健常者の方は、障害者のサポートというわけではなくて、人手が足りない職種のところに健常者の人を入れているだけですね。障害者と同じ、同等のレベルで入れる。

 視覚障害の方、聴覚障害の方のそれぞれの仕事なんですが、視覚障害の方もやはり、パソコンのスキルは意外と高いんですね。弊社では、ウエブ関係の仕事、業務改善ですね。マクロを組んでいただいたりとか、なるべく納期の長い仕事をお願いしています。楽天の方々もパソコンのスキルは高いんですけれども、マクロを組んだりとか細々とした時間をとれない。コピペしてエクセルをやっている、それを私たちの方にいただいて、視覚障害の方々がマクロを組んで戻してあげるとか、そういう仕事をしています。

 聴覚の方々は、やはりなかなか人とのコミュニケーションは難しいので、コミュニケーションがないところですね。ウエブ関係のデザインの仕事が結構中心となっています。あと、裏方の、人事関係の事務の手続の仕事、そういったことも行ったりしています。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 楽天さんの方でも非常に工夫されているということなんですけれども、仕事の切り出しと申しましょうか、どういったことをやっていただくのかということは、やはり時間をかけてやっていかないと、それまでの経験とか蓄積を踏まえてやっていかないと、幾ら数をふやしましょうといっても、やはりそこは数合わせに終わってしまうんじゃないかという危険性があるということかなというふうにお話を伺っておりました。

 その流れで小出参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、通勤支援の御質問に際して、自力通勤が求められるという一方で、他方で障害者総合支援法では移動支援は通勤支援には使えないということは、やはりこれは間接差別ではないかというお話がございました。まさにそのとおりというふうに私も思ってお伺いをいたしたところなんですけれども、やはり、仕事の切り分けといいましょうか、数合わせではない、本当の意味での障害者雇用の促進のためには時間をかけた取組が必要だというふうに私自身も思っております。改めてその点を小出参考人からお答えいただきたいと思っております。

小出参考人 ありがとうございます。

 先ほどもお答えしましたように、通勤支援、これはネックになっている。そのとおりでございまして、今、いろいろな働き方、研究会の方でもいろいろな項目が挙がっておりましたけれども、テレワークとか在宅での仕事という、本当に、移動できない人たちも仕事ができるんだ、そういう仕組みですね。そういう仕組みもつくっていけたらそのことは一つは解決できますけれども、本当に通勤というのは私ども頭が痛い問題でございまして、もう少し何らかの支援というものを見出せないかな、そういうふうに思っているところでございます。

 ありがとうございました。

西村(智)委員 時間も限られておるんですけれども、今回の法改正、私は、公務部門、霞が関におけるやはり障害者雇用水増し問題が出てきたということで、ちょっと、本来であればもう少し中身を詰めて議論して、いい内容のもの、もっと深い多岐にわたる内容の法改正があってしかるべきだったんだと思っております。

 そういう意味で、各参考人の皆さんに、今後に向けて残された課題は何だというふうにお考えなのか、お一方ずつ短く御答弁いただけたら幸いです。

冨岡委員長 じゃ、眞保さんからよろしいですか。簡潔にお願いしたいと思います、時間が限られてまいっておりますので。

眞保参考人 眞保でございます。

 私は、在り方研究会で、委員として議論にかかわらせていただきました。実は、在り方研究会では相当な数がまだ継続の検討課題になっておりまして、そのいずれも重要な内容でございますので、今後、そちらの議論を進めていけたらなというふうに考えております。

 以上です。

西村参考人 西村です。

 雇用促進法は私はいい法律だと思っています。この法律の理念そして目的が確実に実現される、各指針の内容が確実に反映される、まずもってはその一歩を踏み出すことが重要だと思っています。

川島参考人 企業においては、やはり雇用率のあり方ですね。雇用率の算定基準が余りにも曖昧過ぎてしまって、五年ごとにただ企業が上がっていくのを待つというのは、これはちょっとどうかなというふうには考えております。

小出参考人 ありがとうございます。

 まず、公務部門における皆様の仕事、自分の周りはどういう仕事かと。能力があればあるほどいろいろな仕事をやっております。でも、やらなくてもいい仕事もあるかもしれない。それを切り出していただきたい。このことは知的障害でもできるんじゃないかという仕事も一緒にやってしまっているというところがありますので、もう少し時間をかけて、皆さんの周りの仕事を見直していただいて、切り出していただきたい、そういうふうに思います。

田中参考人 先ほど私は何点か申し上げたんですが、中でも一番大事だと思っているのは、やはり合理的配慮の問題です。

 現時点で二千七百何人ということですが、一度にそういう方が各省庁に入っていくわけですね。その方々の継続雇用は大丈夫か。つまり、職場定着をするためにはいわゆる合理的配慮が徹底して検討されなければならないと思います。そういう意味で、一人一人の職場環境はどうなっているか、その辺をぜひこの機会に吟味していただきたい、これが一番言いたいことです。

西村(智)委員 五名の参考人の方には、本当にありがとうございました。今後の法案審議に生かしてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。終わります。

冨岡委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介でございます。

 連休明けという、非常にこういう日程の中で、五名の参考人の方には、きょうは本委員会にお越しをいただき、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。

 時間もありませんので、私からも早速質問に入っていきたいというふうに思うんですけれども、まず、川島参考人、本当に、無理を言って、きょうはお越しをいただきまして、ありがとうございました。

 川島さんの御経歴を拝見いたしますと、先ほど意見陳述の中でもありましたけれども、御自身も先天性両肢脱臼という障害がありながら、八九年までは障害者手帳を取得されなかったということが書かれておりました。

 個人的なことなので恐縮なんですけれども、なぜ手帳を取得されなかったのか。また、実際、障害者雇用の現場に身を置いておられて、手帳をあえて取得されていないという方もいらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、御自身の体験とあわせて、先ほど、西村委員から西村参考人に対して、手帳を基準にした障害者雇用のあり方についてどう思うかという御質問がありましたけれども、私からも川島参考人に、手帳を基準にした制度のあり方と、御自身が手帳をあえてとらなかったということについて御質問をさせていただきたいと思います。

川島参考人 年齢は控えますけれども、今から五十年以上前、私の親からしてみれば、障害者手帳をとるというのは、何となくハンディキャップを持った子を産んでしまったという思いがあったようです、話を聞いたところ。

 私が手帳をとったきっかけというのが、もともと先天性で悪いんですけれども、子供の出産を機に更に足が悪くなってしまったんですね。そうなったときに、子供を抱えて移動するのに交通機関は、民間を使うのはちょっと、子供をだっこして難しいなという中で、車の免許を取得したい、でも足が悪い、そのためにはどうしたらいいんだろうというので調べたときに障害者手帳が取得できるというのがわかって、私は、いろいろ障害者手帳を持つことによってのメリットというのを感じたので、手帳を取得しました。

 なかなかやはり、障害者手帳をとるというのがポジティブには考えられないのは現実だと思います。もっと国として、私が思うのは、障害者手帳をとる、持つことの意味というのをもうちょっと障害者のためにわかるようにしていただけた方がいいのかなと。教えてくれないと、実際、障害者手帳って何なんだろうというのはわからないんですね。なので、医療機関から勧めるところもありますけれども、もうちょっと自治体からわかりやすく障害者の方々にいろいろ出していただいた方がいいのかなというふうには感じます。

大西(健)委員 障害者雇用率の水増し問題を受けて今回この法改正もなされておりますし、先ほど来話が出ているように、国では前例のない四千人規模の障害者の採用を行おうとしていますけれども、採用される障害者の中には、当然、先ほどの話にもありましたように、既に民間企業で働いておられる障害者の方が相当数含まれている。公務部門での障害者の大量採用は民間企業の採用計画に影響を与えるのは必至だというふうに思いますけれども、一方で、雇用率達成のために受け入れる側の環境が整わないままに一気に大量の障害者を雇用しても、長続きしなくてお互いに不幸な結果に終わるということも懸念をされています。

 川島参考人は、本日御出席の参考人の中では唯一、民間の実際の障害者を採用している側におられるということでありますけれども、公務部門における障害者の大量採用が民間の採用に実際に影響を与えているのかどうなのか。御自身の企業だけではなくて、業界の中でそういうことを具体的にお聞きになっているということであれば、そういうお話も含めて御紹介をいただければと思います。

 また、あわせて、短期間に大量に公務部門で障害者を採用してもうまくいくのかどうなのか。これについても、うまくいくと思われるのか、いかないと思うのか、率直な御意見をいただければと思います。

川島参考人 この問題につきましては、とある機関、私もそこに入っているんですが、百七十七社を対象にアンケートを実施しました。うち七十六社から回答がありまして、そのうち六十五社が特例子会社です。

 省庁の採用が発表されたときに、この機関全体で百七十三名の退職がございました。うち、公務員の試験に受かって退職が二十名、採用辞退が十六名、受かる前に、とりあえず試験を受けたいので退職するというのが大体二十三名ぐらいという報告を受けております。

 勤続年数でいくと、一年未満が三十七名、このうち公務員志望が五名という形です。三年から五年が二十五名、うち六名が公務員試験。五年以上が五十五名、三名が公務員試験を受けるという形で退職になっております。

 弊社におきましても、内定辞退が二名出ました。これは、はっきり、公務員の試験に受かったのでやめますという形は出ております。

 以上で大丈夫ですか。

大西(健)委員 今のお話だと、限られた調査ではありますけれども、具体的にやはり影響が出ているということですので、実際にそのことによって雇用率が下がってまた納付金を納めなきゃいけないという話になったら、これは全く変な話だというふうに思いますので、しっかりまた審議の中でもそのことは深めていきたいというふうに思っています。

 先ほど来、人事院の統一試験ではなかなか知的の方は難しいという話が出ていますけれども、そういう中で、私は、公務部門の障害者雇用に際しても、個人的に、例えば特例子会社みたいなものをつくれないのかなということを思っています。

 もちろん、それぞれの省庁の各部署において障害のある方が御活躍いただけるような、そういう雇用も進めなきゃいけないと思いますけれども、霞が関の行政機関には共通する事務作業というのもありますし、また、霞が関という狭いエリアに行政機関が集中をしているということですので、特例子会社みたいなものをつくるのに適しているんじゃないかと思うんです。人事院の外局みたいな機関でもいいかと思いますけれども、そういうのをつくって、トップに例えば川島さんのような民間の障害者雇用を実際にやってこられた方についていただいて、やってはどうかということを個人的には考えるんです。

 このアイデアについて、眞保参考人と川島参考人の御両名から御意見をいただければと思います。

眞保参考人 ありがとうございます。

 確かに、おっしゃるとおり、地理的にまとまっているということは非常に有利な条件ですし、また、先ほど来お話が出ていますように、これまで、実はまだ仕事をしっかりと見直せているかどうかということもありますので、知的障害の方が働ける仕事を切り出して、洗い出してまとめることが可能ですので、そうすると、そうした、特例子会社というかどうかはわからないんですが、まとまった機関をつくるということは非常に適しているのではないかなというふうに考えています。

川島参考人 私も同意見で、障害者の方々が活躍する場所をつくるというのが目的であればいいのではないかなと思います。

 ちなみに、この省庁の問題があってから、とある機関の方々がやはり見学に来られるんですね。各省庁の方々も、どのような仕事をさせていいのかがわからない、仕事の切り出しの仕方を教えてほしいという御意見を伺いに来られるので、私たちみたいな特例子会社がアドバイスをしながら、障害者の人たちの活躍する機会というのをどんどんどんどんつくっていくというのがいいのかなというふうに思っています。

大西(健)委員 ちょっと今のお話に関連して、納付金制度というのは、現状は、大企業での障害者雇用が非常に進んできた一方で、経営上の余裕がない中小企業から集めた納付金を大企業の方に回している、こういう矛盾というのも指摘をされています。

 この点で、自社で障害者を雇うほど十分な仕事を切り出せるわけではない場合でも、例えば社会福祉法人等に業務を発注すれば、その業務量に応じて障害者雇用にカウントできるみなし雇用、これを雇用率の一部にカウントしたらいいんじゃないかとか、あるいは一定の中小企業に限定して適用してはどうなのかというような御意見もあるようであります。

 例えば、フランスでは、みなし雇用を含む障害者の多様な雇用形態が企業に認められており、日本のように直接雇用のみを行っている事業所というのは全体の三〇%にすぎない、こういうお話もあります。

 我が国におけるみなし雇用の導入の是非について、眞保参考人と川島参考人、それぞれから御意見をいただければというふうに思います。

眞保参考人 ありがとうございます。

 フランスのお話が出ましたけれども、おっしゃるとおり、フランスではさまざまな形で雇用率制度に対応しております。

 ただ、日本の場合は障害者の範囲ですとかそうしたことがフランスとはちょっと異なるということもございますので、みなし雇用につきましては、雇用率が相当程度高くなれば検討の余地もあろうかとは思うんですが、現段階では精神障害者の雇用の義務化が始まったばかりですので、私の事例でもお話しいたしましたように、精神障害の方が本当に中小企業で働ける事例というのはたくさんございますので、もう少し状況を見て検討していければよろしいかなというふうに思っております。

 以上です。

川島参考人 私も同意見ですね。もうちょっと時間をかけて、いろいろ検証しながらやっていった方がよろしいのではないかなというふうに思います。

大西(健)委員 先ほど来、通勤の話とかあるいは統一試験における知的障害者の話とかが出ていますけれども、ちょっとそこは質問が重なってしまったので、別の観点からと思いますけれども、先ほど、たしか田中参考人のお話の中で、人事院の統一試験とかで対象になっているのは中程度の方が多くなっているのではないかというお話がありました。

 民間の企業でも、よく聞くのは、大企業の特例子会社なんかは、まさに中程度の障害のある方、あるいは、例えば先ほど医療モデルと社会モデルという話がありましたけれども、医療モデルでいうと重度の障害であっても、仕事をする上では他の部分では健常者と違わない仕事ができる方というのは優先的に大手企業の特例子会社等が雇用されているんじゃないかというようなことが言われることもあります。

 こういう意味で、なかなか雇用が難しい方は最後、どうしても残ってしまうというところがあるんじゃないかと思いますけれども、例えばスウェーデンではサムハルという国営企業がありますけれども、ここは、逆にそういう難しい方から優先的に採用されているということも聞きました。

 このような、中程度とか、あるいは仕事をする上では必ずしも健常者に劣らない能力のある方を優先的にどうしても民間は、当たり前ですけれども、採用していくということが起きてしまうわけですけれども、この辺の矛盾というのをどうやって解消していけばいいのか、西村参考人と田中参考人からそれぞれ端的に御意見をいただければと思います。

西村参考人 障害者総合支援法に基づく就労支援については、就労継続支援A型とかB型とかありますけれども、最終的には一般就労を目指しているというふうに制度上なっています。そうすると、私は、そういった就労支援を受けている人たちの目標が、一つ、公務部門が受け入れる形をとることができないのかなというふうに思っています。それが、公務部門で障害者を先駆的に、あるいは民間に対して垂範して取り組むということになるとも思いますので、そういった形の受皿ということも必要ではないかと思っています。

田中参考人 なかなか難しい問題だとは思うんですが、やはり重度の障害者に焦点を当てて考えていくということは非常に大切なことだと私も思っております。

 そういう意味で、今お話がありましたけれども、就労支援A型などから実際の就労に移行する方が出ていますので、そういう意味で、この考え方をやはり公務部門でも取り入れて、トライアル雇用的な考え方とか、あるいは、一年、二年の有期雇用であっても、それがある程度成績がよければ正職員の道をちゃんと保障する、そういう考え方で、余り固定的に捉えないで対応していただければというふうに思っております。

 以上です。

大西(健)委員 時間になりましたので、先ほど眞保参考人の方からも、在り方研究会でも多数の検討課題がまだ残されているということでございますので、今回の法改正というのはあくまでも通過点にすぎないというふうに思いますので、きょういただいた御意見もしっかりと踏まえながら、更に委員会での審議を深めていきたいというふうに思います。

 本日は、本当にありがとうございました。

冨岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 きょうは、連休明けのお忙しいところ、わざわざ国会までお越しいただきまして大変にありがとうございます。また、貴重な御意見を五名の参考人の皆様からいただきました。大変にありがとうございました。

 先ほど参考人の方からも御指摘がございました今回の障害者雇用問題につきましては、極めて深刻な問題でありますし、許されるものではないと思っております。しかし、これを機に、今後の障害者雇用を進める上での課題や問題点を明確にした上で、しっかりとこれを改善に向けて図っていく機会にしていきたいと思っておりますので、そういった認識のもと質問させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、今回の改正案に関連して、教育と就労の連携について、五人の参考人の方にそれぞれお伺いをしたいと思っております。

 今、我が党におきまして、文部科学部会で、障害のある子供たち、いじめ等が原因で登校ができなくなった子供たち、また外国につながる子供たち、こういった全ての子供たちの個性を生かせる教育を実現したいということで議論させていただいております。そういったそれぞれの子供たちの個性を生かせる教育を実現した上で、それをしっかりと就労に結びつけていく、そういったことも重要ではないかと思っておりますが、しかし、なかなかこの教育と就労の連携というのが、まだまだ縦割りということもありまして、現実的にうまくいっていない部分もあるかと思っております。

 そういった中で、改めて、それぞれ教育と就労、障害者の方の就労もしっかりと充実をした上でしっかりと連携をとっていく、この連携強化が大変に重要になってくるかと思いますが、それぞれのお立場で、教育と就労の連携について御見解をお伺いしたいと思います。

眞保参考人 御質問ありがとうございます。

 やはり、教育を受けて、そして社会でその力を生かしていくということが御本人の自信にもつながりますので、これは必要なことだと思っております。

 具体的には、特別支援学校と企業の連携というのは大変今進んでおりますし、特別支援学校の新卒者は、先ほど参考人の御意見もありましたけれども、在学中から企業と連携して学びを深めておりますので、そうしたノウハウが外国の方ですとかそのほかに生きてくるのではないかなというふうに考えております。

 以上です。

西村参考人 教育と就労がどういう形で連携できるかということにつきましては、なかなか想像ができないところがあります。

 ただ、先ほど特別支援学校とかということのお話がありましたけれども、私は、障害者雇用も、あるいはともに働く職場づくりも、やはり教育レベルの段階で、障害の有無ではなくて、基本的にはインクルーシブ教育の中で進めていくことがまずもって基本ではないのかなと思っています。その中で、個性を生かせるということでしたけれども、やはり違いのある人たちがきちんと同じ現場で教育を受けていく、そして同じ現場で働いていくというような形で進めていくのが必要ではないのかなと思っています。

川島参考人 弊社でも、一年生のころから実習の方を受けております。一年生のうちは会社見学、二年生から三日間とか、三年生になると二週間ぐらいとか、最初の一年から三年まで通して見るようにしているんですね。

 また、教育と就労といったところなんですが、会社に入ってからいろいろビジネスマナーとかを勉強することが多いんですが、学校のうちから、例えば私たちみたいな特例が出向いて、ビジネスの機会というカリキュラムを入れていくとかそういうことをやると、もうちょっと連携が進むのではないかなというふうに思っております。

小出参考人 ありがとうございます。

 特に、先ほど私、御説明のところで、特別支援学校の仕組みと一般的な学校の仕組みに大きな違いがあります。

 特別支援学校は、高等部になりますと教科書がありません。何が入ってくるかというと、実習、これはキャリア教育を含めた実習ですね、大人になるために、社会へ出て働くために、自立するためにという教育があります。

 ただ、高等学校あるいは大学は、実習がありません。カリキュラムの中は、例えば高等学校は七十四単位を取るための勉強をやる、そのために実習はありません。カリキュラムの中にそういうものがないということですね。ですから、社会へ出てどう働くかということは、学校教育の中には今のところないということですね。

 それで、近年、私ども、データ的には、特別支援学級の中学校を卒業した、私が住んでいる政令市でありますけれども、三月に百五十五人が三年生で卒業しました、そのうちの四十九名が通信制の高校を含めた専門学校に行く、その後どうなっているかということの統計をとったデータが出てきました。というのは、特別支援学校を卒業して企業就労するのは約三〇%から四〇%になっておりますけれども、通信制の高校とか専門学校を出た方々のうちの約六割は自宅待機ということになります。中には、引きこもりということがあります。それで、進学とかいうのは残りの三〇%強ということになります。

 要は、教育の中で今言ったキャリア教育的なものが取り入れられているのは特別支援学校だけであるという、その辺のところがありまして、障害を持った人たちの教育と雇用のつながりというものは、そこでは知的障害の場合はありますけれども、多くの他の障害の人たちはそういう機会がないということです。

 以上でございます。

田中参考人 私たちの関係で申しますと、視覚特別支援学校というのがあるわけですが、そこでは中心的に、やはり先ほど来私がお話ししております、あんま、マッサージ、はり、きゅう、あはき業を、一本立ちでちゃんと社会で活躍できるようにということで、そういう教育が中心に行われております。

 そういう意味で申しますと、公務部門でもそれが検討の材料になると思いますし、また、民間では、先ほど来お話ししましたヘルスキーパーというのが、企業で働く人の健康増進とか能率をアップさせるという意味ですごく重宝されているんですね。それがかなりな勢いで広がりつつあります。

 それからもう一つ、特別養護老人ホームなどの高齢者施設で機能訓練指導員という職業がありまして、これもやはりあんま、マッサージ、はり、きゅうの資格を持って就職しているわけですが、このような、民間を含めた、あはき業を生かした仕事ができるようにということに教育の現場でもかなり力を入れているので、その場をぜひ保障していただきたいということで、ぜひ厚労省にもお願いしたいと思っているところです。

 それからもう一つ、視覚障害者が職場に来てもちょっと当惑する、そういう話がよくあるわけですね。例えば、事務的職業は視覚障害者に無理じゃないかというようなことが地方自治体でずっとあったわけですが、ハローワークの職業紹介状況を見てみましても、事務的職業で二百八十人、これは年間ですけれども、一三・八%の人がそのような仕事をしているわけですね。

 視覚特別支援学校でも、そのような授業とか、あるいはそれ以外の研修的なそういう場も設けておりまして、パソコンのスキルアップなどをやっております。ですから、事務的職業も視覚障害者は十分できるんだということを私たちもアピールしていきたいと思いますし、また、先生方にも御尽力をぜひお願いしたい。ぜひ視覚障害者がパソコンを操作していろいろな能力を発揮している現場を見ていただければ変わってくるんじゃないか、そのように思っております。

 以上です。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 先ほど、福祉と雇用の連携ということでお話がございました。私は、教育と就労、雇用の連携も大変に重要な課題だと思っておりますので、またこれからもしっかりと、それぞれの御意見を伺いながら取り組ませていただきたいと思います。大変にありがとうございました。

 続きまして、先ほども船橋委員の方からも御質問がございましたが、私も同じ問題意識を持っておりますので、改めて、知的障害者の方の雇用促進について質問させていただきたいと思います。小出参考人と西村参考人にお願いしたいと思います。

 これも先ほどお話がございましたが、人事院が実施いたしました国家公務員障害者選考試験の合格者が発表されておりますが、七百五十四名の合格者の内訳を見ますと、知的障害者の方が全体の〇・四%ということで、これは大変に少ない、今後の課題として取り組んでいかなければいけないと私も問題意識を持っております。

 この現状に対する御見解と、また公務員採用試験のあり方も含めて、知的障害者の雇用促進をどのように進めていけばいいのか、それぞれ改めて御見解をお伺いしたいと思います。

小出参考人 ありがとうございます。

 今回の採用試験は条件がありまして、高校卒業程度、なおかつ筆記試験があったということです。

 先ほど申しましたように、特別支援学校というのは教科書がありません。教科をやっていないんですよね。ですから、一般的な筆記試験に出た問題、どういう問題か知りませんけれども、それには対応できないということがあります。

 ですから、今後、仕事の切り出し等をやって、面接等を受けていただいて、どういうふうな訓練を今までしてきたかということも加味して、それで採用という方法も考えていっていただきたいな、そういうふうに思っております。

西村参考人 知的障害のある方たちに対する合理的配慮の一つは、漢字にルビをつけるということが一つあります。それから、できるだけ難しい表現を使わないで伝えるということがあります。

 私は、今回の採用試験の中でそういった配慮がされているのかどうかわかりませんが、やはり、今申し上げたような配慮をすることが知的障害のある方たちに対しては最低限の合理的配慮の一つだろうというふうに思っていますので、そこら辺の検証が必要なのかなと思っています。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 それでは、最後、西村参考人、小出参考人、田中参考人にお伺いしたいと思います。

 地方公共団体の雇用促進ということで、先ほど財政措置のお話もございました。今後、各地方におきましても障害者の方の雇用促進を進める上で、地方公共団体の取組も大変に重要になってくるかと思います。都道府県、市町村、教育委員会等での雇用促進を進めていく上で、改めて具体的な方策、お考えがございましたら、最後、ちょっと時間が限られておりますが、御意見を伺いたいと思います。

西村参考人 先ほども申し上げましたが、地方財政は極めて厳しい状況にあります。納付金を納めるかどうかということにつきましてはさまざまな議論があるかと思いますが、地方交付税の性格を考えたときに、やはり財政基盤のきちんと整っていない自治体に対しては何らかの予算措置を、これは総務省で今年度入れたというふうには聞いていますけれども、拡充していくことが一つ必要だろうというふうに思っています。その上でさまざまな配慮を確保していくということになると思います。

小出参考人 ありがとうございます。

 地方公共団体は、国が規範を示しますと、それに右へ倣えします。ですから、地方は、私どものところも障害者雇用は満たされておりました、なおかつ九十九名の採用者がおりました。その内訳を見ましたら、身体障害者が九十名、知的障害者が三名、精神障害者が六名でございました。

 ということで、まず、採用するに当たって条件をつけていた、先ほど申しましたように自立通勤とかそういうことであります、そういうことも見直して、公務部門がその規範を示すような制度にしていただくと、地方公共団体、日本じゅうのところがそれをお手本にするということになりますので、ぜひいいものをつくっていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

田中参考人 私も地方公務員をやっておりましたので、その経験を踏まえて、感じていることを申し上げます。

 まず、雇用率というのは、やはり民間に範を示すということで、特に自治体関係についてはなるべく早期に達成するようにお願いしたい。さらに、それをクリアしたらそれでオーケーじゃなくて、更に、例えば三%であるとかそういう目標を立てて次のステップに向かっていくということが必要なんじゃないだろうかというふうに思っています。

 それから、点字受験について、これが一つのハードルになっているようですが、やはり、今の障害者差別解消法あるいは改正雇用促進法が二〇一六年に施行されましたけれども、その理念からいって、点字受験を認めないということは、これは自治体としてはどうなのかなというふうにかねてから思っております。

 ですから、点字受験、あるいはパソコン受験というのもあるんですよね。これは、点字が苦手な中途視覚障害者で、点字と併用してパソコンを使って受験をする。今回も非常によかったのは、人事院の方でそういうパソコン受験というのを認めたということなんですけれども、この辺は大変よかったと思います。

 ですから、公務員になりたいという視覚障害者のそういう願いにぜひ門戸を開いておいていただきたいということで、点字受験あるいはパソコン受験などもぜひ前提条件として入れていただきたいというふうに思います。

 以上です。

鰐淵委員 参考人の皆様、大変にありがとうございました。

 以上で終わります。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、五人の参考人の皆さん、御出席をいただきまして、本当に貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 早速質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、眞保参考人に伺います。

 厚労省の在り方研究会の委員を務められました。報告書が出されたのは七月三十日であって、今回の水増し問題の公表は八月でした。ただ、五月には、本来、財務省からの指摘があって、厚労省として各省庁に点検を行っていたことがわかっております。研究会での報告がなかったのかということをぜひ伺いたいと思うんですね。

 本来であれば、それを受けての補充というのが必要だったんじゃないのかなと私は思うんですけれども、逆に、先ほどちょっと答弁がありましたように、課題をたくさん残しましたということをおっしゃっていたと思うんですが、水増し問題を受けて今回の法案をちょっと急いでしまったということがあって、研究会の報告そのものがかなり薄まったといいましょうか、まだ具体化されていないということが多いのかなと率直に思うんですけれども、伺いたいと思います。

眞保参考人 御質問ありがとうございます。

 報告会で水増しのことについて報告があったかという御質問でよろしいでしょうか。報告会では、それに関しましては全く議論はされておりませんし、報告も受けてはいないということでございます。

 以上です。

高橋(千)委員 それはわかりました。それを受けて、今回の研究会の報告の具体化としてはまだ課題が残っていたということで、実は昨年も水増し問題を受けての参考人質疑をやっているんです。むしろ、この問題を契機に、障害者雇用のあり方についてもっと全般的な議論をすべきだというふうな提案が多くの参考人の方からもありました。そうした点でどうだったのかなという率直な感想を伺いたかったんです。もう一度お願いします。

眞保参考人 御質問いただきましてありがとうございます。

 報告会では、七月でしたので、さまざまな積み残されている議論につきましてはもちろん議論を進めて報告書をお出しはしたんですけれども、時間的に全て書き込むことはできませんでしたし、また、法案に全て反映することは、今回水増しのこともございましたでしょうから、できなかったということはあるとは思いますけれども、今後議論が続いていくかと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。なかなかお答えにくかったかなと思っております。そういう意味で、今後ももっと総合的な議論をやはり一つの契機としてやっていく必要があるのではないかなと私自身が考えて、質問をさせていただきました。

 次に、西村参考人に伺いたいんですが、合理的配慮についてなんですが、DPIは、障害のある人もない人も、ともに生きる社会の実現を目指して活動されております。重度の方でも国会に来て、さまざまな介助を伴いながらも自立して生きるという意味、提言を積極的に発言されてきたと思っております。

 伺いたいのは、これは障害者に対する差別ではなく合理的配慮なんだということを本当に理解すること、一人の障害者として尊重することの意味を理解してもらうというのは実はとても難しいと思うんですけれども、受け入れる側の企業や従業員にもこのことをよく知ってもらう必要があると思いますが、最もポイントと思われることは何でしょうか。

西村参考人 質問ありがとうございます。

 差別禁止指針にしても、合理的配慮指針にしても、障害者権利条約にしても、障害者は、障害のない方が持っていない新しい権利を付与されているものではありません。

 例えば先ほど、点字試験の実施だとか手話通訳の配置だとか介助者ということを申し上げましたけれども、視覚障害があると墨字は読めません。かわりに、点字というもの、あるいは別の形での情報入手をする。聴覚障害者についても、耳からの情報ではなくて目から情報を受けることで、障害のない方たちと機会が均等になるということをやはり知っていただきたいというふうに思っています。

 障害者だから特別扱いをする、特別な権利を与えるのではなくて、障害があっても障害のない人と同じような機会を均等にするためのものが合理的配慮であるということの理解が広まることが重要かなと思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 今の質問と同じ趣旨で、田中参考人にも伺いたいと思います。

 点字試験は、今回の統一試験で八十三名の利用があったと聞いています。実際には大変狭き門であったということなんですけれども、採用試験時の合理的配慮、まだまだ不十分とは思いますが、先ほどお話のあったパソコンの問題ですとか、一定の人事院の配慮がされたと思っています。

 問題は、それをこれからももっと工夫していくことや、採用後も同じように定着していくために合理的配慮をしなければならないんですけれども、そういう点で重視すべきことは何かということを伺いたいと思います。

田中参考人 今回の人事院の統一試験ですけれども、先ほども申しましたように、七百五十四人のうち、これは正式な発表ではないんですが、未公表の部分なんですが、四十三人の視覚障害者が合格して、ただし、点字使用者、点字で受験した人は二人ということで、これはバランス的にも非常に低い数字だと思うんです。点字使用者の率から申しまして、これは七、八人ぐらいいてもいい数字なんですよね。そういう意味で、ちょっとその辺は非常に、点字使用者が何か冷遇されているような、そういう印象を持っております。

 それで、私たちの観点でいいますと、やはり合理的配慮ということで視覚障害者に不可欠なのは、職場内でパソコンを使うということ。これには必ずスクリーンリーダーとかそういうものをつけないと、私たちは仕事になりません。

 そのことと、あと職場介助者制度も、今民間では制度化されておりますが、これも必要なことなんですね。ところが、これは今のところ十年、そして最長十五年まで認められているわけですが、そういうことで、十五年たってもやはり視覚障害者は視覚障害者で、障害を完全に克服することはできないわけです。ですから、私たちは、雇用期間全てにこの職場介助者制度を適用すべきじゃないかというような主張をずっと持っております。

 そういうことで、何といいましても、私たちが働くのは、合理的配慮がちゃんとされているかどうか。弱視の方のためには、拡大読書器という、テレビ型の文字を大きくするものがあります。そういうものがちゃんと職場で個人の希望に応じて配置されているかどうか、その辺が私たちとしては大変ポイントになるんじゃないかと思います。

 せっかく入った人が途中でやめたりすることのないように、そういう職場環境を整備していくことをあわせてやっていただきたい、このように思います。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 問題になった今だけ頑張ったということではないように、継続した配慮の取組が必要だなと改めて考えました。ありがとうございました。

 次に、川島参考人に伺いたいと思うんですが、御自身が障害があり、さまざまなハンディキャップを乗り越えて、今日、多くの障害者を雇用する側に立っているということで、貴重な御意見をいただいたと思います。

 特例子会社制度は、もともと障害者が多い職場で、互いのよさを引き出すという工夫もしやすいメリットがあると思っております。その工夫の一端が紹介されたと思うんです。

 伺いたいのは、障害者を包摂した社会を目指してきたこと、義務ではない中小企業でも雇用を積極的に行っている企業がある、そういうことからいっても、もっともっと当たり前に障害者雇用が進む社会をつくっていくためには、力のある大企業が特例子会社を持つことで、雇用者数がちゃんとクリアできていますよというだけではなくて、特例子会社のノウハウが一般化されて、親企業そのものが障害者が働ける職場を目指していくのがいいんじゃないかと思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。

川島参考人 ありがとうございます。

 まさにそのとおりだと思っています。弊社の場合も、やはり特例子会社がしっかりしていないと、親企業もなかなか理解は得られないんですね。

 十二年たちまして、私たち特例がきちんと障害者雇用を推進し、障害者の方々が活躍するようになり、やっと親会社の楽天でも障害者雇用をやっていこうというふうな気持ちになりました。やはり実績がないと、親会社の方でも、どういうふうに障害者の人たちに仕事を用意したらいいんだろうか、どのような配慮が必要なんだろうかというのがわからないので、こういう実績を特例子会社がどんどんつくっていって、親会社の方の理解促進に努めていってほしいなというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。親企業が大いに進んでいくということを期待したいと思います。

 次に、小出参考人に伺いますけれども、私は、手をつなぐ育成会の青森県の大会に毎年参加をしております。本人の会の報告ですとか、スポーツ大会での活躍を表彰する場をいつも見せていただいて、本当に貴重だなと思って御挨拶をさせていただいているんですけれども、今回の統一試験の結果というのは、非常に、知的障害の方がもともと困難な試験だということがわかっていた、それを指摘したにもかかわらず、そのまま実施をされて、三名だけだったということは残念だなと思っております。

 ただ、先ほど御紹介があったように、川島参考人の企業でも、知的の方が得意とする野菜の水耕栽培も取り入れられているですとか、コーディネートする人がいれば、職場に理解が広がれば、もっと雇用して活躍してもらえると逆に思うんですよね。

 今回の水増し問題を契機として活躍の場がもっと広がればよいなと思っているんですけれども、御意見を伺いたいと思います。

小出参考人 ありがとうございます。

 育成会の方にも参加していただきまして、ありがとうございます。

 一般企業で働く、それから福祉的就労ということで福祉施設で働く、そういうケースがありますけれども、実はうちの娘はB型の作業所で働いておりますけれども、時々、施設外就労ということで、一般企業に行って仕事をしてきます。

 そうすると、そのときだけは、うちに帰ってくると、胸を張って、鼻の下が伸びております。胸を張ってこうやって来るんですよね。何が起こったのかなと思ったら、一般企業では、そんな大きなところではありませんけれども、仕事が終わった後、社長さんが出てきて、ありがとうね、助かったよ、そういうことを心から言ってくれるんです。でも、福祉施設で働いても、うちの娘たちが幾ら働いていろいろな生産性を上げても、それはそこに働いている職員の人たちの給与にはならない。うちの娘がそこに行って初めて個別給付が出るというその仕組みですね。一般企業で働くことの本来の意義というものはそこにあるんじゃないかなと思います。

 またよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

高橋(千)委員 とてもいいお話を聞かせていただきました。ありがとうございます。

 今回の問題を契機として、障害者の皆さんが本当に活躍できる、そのことが、企業にとっても、受け入れる側にとっても、社会にとっても、もっと理解が進んで、全体が共生社会に進んでいくような方向に向かって、そのためには公的部門がもっと、範を垂れるというか、頑張らなければいけないという思いでありますけれども、そういう思いを今後に生かしていくという決意を述べまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 きょうが初めての質問でして、皆様よろしくお願いいたします。

 参考人の皆様、本当に貴重な御意見をありがとうございます。私も障害福祉にかかわったキャリアがございますので聞きたいことがたくさんあるんですけれども、限られた時間ですので、端的に質問の方をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の官庁の不手際について、それを解消するために四千名の採用をことしじゅうにやるということなんですけれども、全体の母数で見ますと、障害者の数が点検前で七千五百九十三名、それが三千七百十一名という形ですので、実数でいうと倍増させるということになると思うんですね。それでいうと、一般企業の経営的観点から見るとかなり無理のある人事戦略だなというふうに感じざるを得ないんですね。

 ただし、これはもう既に進んでいることですのでいたし方ないという形で、うまくいくために策を講じるべきだ、このように思うんですけれども、ここで考えられるリスク、それからそれに対する対応等、五人の参考人の皆様からそれぞれの知見をいただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

眞保参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほども私も申し上げたんですけれども、精神障害の方が六割弱合格されているということでございますので、実は民間でもまだ精神障害のある方の雇用が進んでいるとまでは申し上げられないところがありますので、これから民間もノウハウを積み上げているところでございます。

 やはり大切なのは、精神障害の方に限って申しますと、孤立させないということがすごく大切でございますので、不安があったりですとか困ったことがあったりするときに精神的なフォローをする必要がございます。そのために、障害者職業生活相談員を、今回資格を取っていただいてフォローしていただくというのは大変一歩前進なのではないかなというふうに考えております。

西村参考人 まずもっては、何の仕事をしてもらうのか、やるべき仕事があるのかということが一つ不安な要素になります。いるだけでいいという職場になってしまうと、これは非常に大きな問題があるのではないかなと思います。

 それからもう一つは、働ける環境にあるのか。バリアフリー、これはハード面とソフト面も含めまして、車椅子で使えるトイレがあるのか、あるいは、さまざまな情報保障がきちんとされているのか、会議に出たときに情報保障がされているのか、そういったものがきちんと整備をされているのかということが心配です。

 ちらっと聞いた話なんですけれども、今回採用された方たちが一年間研修に入るということを聞いたことがあります、民間の方からの情報でしたけれども。もしそれがそうであるとしたら、例えば発達障害を含めて、精神障害の方も含めて、さまざまな環境が変わるということでの配慮がきちんとされているのかということ。

 したがいまして、働くための環境ができているのか、働く仕事がちゃんとあるのかということが極めて懸念をされるというふうに思っています。

川島参考人 先ほども話しましたが、いまだに省庁の方々が見学に来られ、どのような仕事をさせたらいいんだろうかという御相談を受ける中で、本当に仕事の内容がどうなっていくのか。また、やはり、先ほども眞保さんからもありましたけれども、精神の方々の定着支援は本当に力が必要になってくるんですね。さまざまな病気を理解していくという必要もあります。またサポートも必要になってきます。そういったことが全てできるのか。その上できちんと職業評価をされていくんだろうかといったところがちょっと課題にあるかなというふうに思います。

小出参考人 ありがとうございます。

 今回の採用にしましても、性急過ぎるということですね。一般的な企業でありますと、うちの会社はこういう仕事がある、あなたに対してこれができるかどうかというそういうことがプロセスとしてあって、それで採用したいよということ、そういうプロセスがあってしかるべきところ、今回、ないという。

 一年間の職場実習的な訓練があるということを今お聞きしたんですけれども、それは当然でありまして、今定着支援ということをやっておりますけれども、例えば定着支援をやって状況を見てみますと、精神とかほかの方々というのはやはりなかなか定着しづらいというところがあります。

 というのは、仕事とのマッチングがなかなかできていないということですね。ですから、まず、その仕事に取り組む前に、それが自分たちに合っている仕事かどうかということを見きわめる、そういうことが必要だと思います。

 以上でございます。

田中参考人 やはり、大切なのは職場環境の整備だと思います。

 そういう意味で、先ほど来私申し上げました音声パソコンであるとか拡大読書器、それから職場介助者。職場介助者というのは、誤解のないように言いますと、私の経験でもそうなんですが、一日にわずかの時間でいいんですね。そういう方が一時間なりちょっと手伝って、あるいは三十分でも大丈夫な場合もあります。そういう意味で、そういう人的なサポートなんかもあると、途中でやめる、あるいは職場定着がうまくいかないというようなことが防げると思います。

 それと、今回の改正案で書かれております生活相談員ですね。単にこういう制度をつくっただけじゃなくて、それを実際に魂を入れて活躍してもらう、一人一人に対してきめ細かく対応していただくということが基本だと思うので、この制度、大いに期待しております。

 以上です。

藤田委員 ありがとうございます。

 やはり、今のお話を聞いていても、課題がかなりあるなというのと、あとリスクが伴っているなというのが、通常のペースで採用するよりも大きくなっているんだろうなというのが認識できました。

 その上で、川島参考人にお聞きしたいんですけれども、企業で実際にどういうリスクを想定していて、それに対して例えばアクシデントが起こったときにどういうマネジメントをするかというようなガイドライン、又はその対応のマネジメントみたいなものというのはどのような感じになっているのかというのを、参考までにお聞きしたいと思います。

川島参考人 細かいガイドラインというのはないんですね。というのは、つくれないです。一つの障害であってもさまざまなんですね、その人によってというのがありますので。

 どのような対応もできるように、例えば精神保健福祉士を五名配置していたりとか、あと管理職になるとジョブコーチの資格を取りにいく、障害についての勉強をしに行きなさいというのをやっています。さまざまな障害者に対してサポート体制ができるようにしているというのが現状ですね。

藤田委員 ありがとうございます。

 ちょっと視点を変えて質問させていただきます。

 長期的な視点に立った場合、今求職されている方又は既に職についておられる方の支援は、それはもちろん進めていかないといけないことですけれども、いわゆる労働市場と言っていいのかわかりませんが、これから出てくる若年層、つまり小中高の方々に対してなんですけれども、私もその現場に、よく見聞きしたり、実際に仕事として触れたりするんですけれども、端的に言うと、進路指導を適切にできる環境がないというのが非常にあって、先ほど小出先生からもありましたが、特別支援学校はまだ恵まれている方で、通常学級の方でいうとほとんどその環境整備がなされていないというのがあります。特に、特別支援の教員免許、つまり特別支援についての勉強をされた方というのがいない学校さえあるというのが現状でして、そのあたり非常に問題だなというふうに思っています。

 その辺をしっかりと環境整備しないと、今後労働市場に入ってくるであろう障害者の方々が生き生きと働くというためには、企業側又は公務部門の官庁側も努力が必要ですけれども、育成側の方も非常に重要になってくるというふうに考えているんです。そのあたりの問題意識について各参考人から一言ずついただけたらと思います。

眞保参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、特別支援学校では進路指導あるいはキャリア教育に基づいたインターンシップなどが盛んに行われている状況なんですが、高等学校の普通科においては、通信も含めて、障害をお持ちの方の進路指導というのが少し難しいという現状は確かにあろうかと思います。

 でも、一方で、障害者就労移行支援事業所が学校に入りまして今説明会などをすることも始まっておりますので、そうした活動が広がれば、議員がおっしゃるようなキャリア教育が少し進むのではないかなというふうに考えております。

西村参考人 私からもやはり、学校の中できちんと就労に向けて、ブラック企業なんかも最近ふえてきたりという話もありますので、どういった労働環境の中で働くことができるのかということは、障害の有無にかかわりなく、きちんと若い人たちに伝えていくことが必要ではないのかなというふうに思っていますし、また、障害のある方につきましては、それぞれのさまざまな制度があるということも含めて、自分たちの可能性について知る機会をきちんと保障していくことも必要だというふうに思っています。

川島参考人 弊社でも昨年、普通校に通われていた学生が、心臓に障害を持っておりまして、親御さんが御心配になって先生に相談して、教育委員会の方に相談に行って、弊社に御紹介いただくという経緯がありました。そのときに、私も、障害を持っている学生に対しての就職支援が学校でもされていないということに驚いたんですね。

 高校生が就職をするときに求人票がハローワークから提示されてくると思うんですが、なぜ障害者の求人票が提示されていかないのかといったところに疑問も感じているので、もうちょっと横の連携をしていただけると、障害学生についてのサポート支援というのが私たちにもできるのではないかなと思っています。

 ことしに限りましては、各学校に弊社のパンフレットの方を郵送する手配をとっております。

小出参考人 ありがとうございます。

 今、親御さんを含めて、学齢期の障害のあるあるいは発達障害のある、高齢・障害・求職者の独立行政法人がありますね、そちらの方がピラミッドで五段階のを示しております。まず健康が重要だよ、家庭内でやることはその次に自立支援が大切なんだよ、その次に社会的な制度とかいろいろなことがありますけれども、そういうことを身につけることだよと。

 どこからどこまでが家庭の役割か、あるいは学校の役割か、それから、最後が企業等で求められるスキルということになりますので、その辺のところを学校の先生方もよく理解しながら、この子たちに今何をやるべきかということをよく理解しながら教育をしていただくということ、それが基本ではないかなと。障害があるからどうかというよりも、そのことをまず念頭に置いて教育に打ち込んでいただきたい、そういうふうに思っております。

田中参考人 視覚障害者の場合で考えますと、やはり盲学校で要望したいのは、情報提供。これを、父母に対してもそうですが、やっていただきたい。それで、自分はどういう進路がいいのか、そういう基礎となる情報提供をまずやっていっていただきたいというふうに思います。

 それから、社会人としての一定のモラルといいますか、最低限の資質を身につけると申しましょうか、そういうこともやはり学校でやっていただきたい、これはもちろん家庭との連携ということなんですけれども。即社会へ出ていって困らないように、さまざまなそういうアプローチが必要じゃないかというふうに思っています。

 それから、実際の職場において、私思うのは、障害者全般に環境になれるまでに時間がかかります。その辺をやはり少し大目に見ていただいて、丁寧に研修等は対応していただきたい。

 私たちの方で話し合っていることとして、職場におけるキーパーソンということがあるんですね。つまり、その人をいろいろな面で支える、あるいは対外的な社会資源との連携とか、そういう意味でその人をサポートする、生活相談員ということも出ているようですが、職場内での一人一人のサポートをする、相談相手になる、そういう人が必ず一人はいていただければ大変安心じゃないかというふうに思っています。

 以上です。

藤田委員 時間となりましたので、これで終了させていただきます。

 五名の皆さん、本当にきょうはありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 本日は、お忙しい中、また連休明けの日に、五人の参考人の皆様には厚生労働委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。心から感謝申し上げます。

 限られた時間ではございますが、私も用意していた質問があるんですが重複するところもございますので、できるだけ重複しないように質問をさせていただきたいと思います。

 今回審議されております障害者雇用促進法改正案、昨年の中央省庁を中心とする雇用率の水増し問題、本来雇用促進の旗振り役である中央省庁でこのようなずさんな算定が行われておったこと、大変な衝撃だったと。そして、先ほど田中参考人からはストレートに、今回の水増し問題は障害者雇用偽装問題である、根底に国による障害者差別、排除の考え方があったと明確に陳述をされておった。

 このことについて、まず眞保参考人、また民間で取り組まれている川島参考人に、排除の意識が根底にあったのではないかという当事者からの、また御家族からの御指摘に対する考え方、また、民間で取り組まれていて、今回中央省庁でこのような問題になったその本質について、眞保参考人そして川島参考人にそれぞれお尋ねをしたいと思います。

眞保参考人 御質問いただきましてありがとうございます。

 今回の問題は大変残念で、私も委員会におりましたけれども、実際のところ、このようなことが起きるとは一カ月前の委員会では全く実は想像していなかったところで、それに関しましては非常に残念だというふうに思っています。

 排除の気持ちがあったかというお尋ねでございましたけれども、それに関しましては、私、直接にはわかりかねますけれども、ただ、障害者雇用促進法ができて最初の時点では、身体障害の方が事務職で働くということになりますと、圧倒的に公的な部門で働いていたということは事実でございまして、ただ、この歴史の過程の中で民間事業者が大変頑張って工夫を重ねまして、特に、知的障害者の雇用の義務化からのこの二十年間でいろいろなノウハウを積み上げて、実際のところ官公庁をちょっと追い抜いてしまったところがあるのかもしれません。

 それには、官公庁にはジョブコーチですとかそうしたノウハウを提供する仕組みがございませんでした、これまで。ですけれども、今回法改正をしていただくことで、障害者職業相談員の配置ですとかそうした具体的な施策がされますので、川島参考人もおっしゃっていますように、民間のサポートなども見学等を通じてなされているようですので、そうしたノウハウが広がれば必ず障害者雇用も少しずつ進んで、少しずつかもしれませんけれども進んでいくというふうに思っております。

川島参考人 私も、今回のことは非常に残念です。我々、特例子会社にとっても障害者雇用というのを積極的にやっているところで、大もとである省庁の方が全然障害者雇用に対する理解がなされていなかったというのは、とても残念なことだと思っています。

 本来、厚労省が各省庁の方にいろいろ、障害者雇用のあり方、障害者の雇用率のカウントの仕方であったりとか管理の仕方、また障害者に対しての配慮等を勉強する機会を提供していってほしいなといったところではあるんですが、これから採用された障害者の方々が活躍できるように皆さんが力を合わせてやっていただきたいなと感じております。

中島委員 ありがとうございます。

 我が国は、二〇一四年に障害者権利条約の批准をし、その前提となる国内法、障害者差別解消法も施行されておる。そういう状況の中での昨年の水増し問題、先ほども言ったように、大変な衝撃だったと。

 そういう状況の中で、今回、国が今年度中に約四千人の中央省庁において雇用を進めていくという方針を示されておりますが、先ほど、小出参考人から、障害を持った方が民間企業、一般企業で働くその意義、これは非常に重要なんだという陳述をされていたと同様に、今回、数合わせではないと。

 中央省庁で障害者が働いていく、この意義を明確にする必要が私はあるというふうに考えるわけでございますが、重ねて眞保参考人、また小出参考人、田中参考人に、中央省庁で障害を持った方が働かれる意義また意味をどのように捉えるべきか、明確にしていくべきか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

眞保参考人 御質問ありがとうございます。

 障害のある方が中央官庁で働く意義ということなんですけれども、やはり職域が広がるということがとても大切だと思います。今後、事務職それから行政の職種で障害のある方が仕事をしている姿を民間に見ていただいて、また民間もそこで新たな、こういう仕事もできるんだということを見つけることができると思いますので、職域が広がる、それから役割が広がる、そういう意味で大変重要な機会だというふうに考えております。

小出参考人 ありがとうございます。

 公務部門で働く、あるいは、障害のない人も、国家公務員という、これは全国から注目されるんですね。

 ですから、今回新たに採用された方々というのは、非常に大きな負担になるかもしれませんけれども、多くの役割を持っている、どういう働き方ができるんだということを全国に模範を示すことになります。

 ですから、官公庁においてもこういう働き方があるんだということは新たな働き方を示すことになりますので、ぜひ、障害者の方々だけの努力ではなくて、これは公務部門もあわせて、皆さん一体になって、日本全国の模範となるような働き方を示していただきたいな、そういうふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

田中参考人 私としましては、やはり、ともに生きるということで、共生社会ですね。これが、職場でもやはりともに働く、障害を持っている人も持っていない人もともに働く、それがノーマルな社会なんだという考え方を普及させる意味で極めて大きい。四千人ということで、その方々がずっと職場で定着して仕事をできるように支援をお願いしたい。

 一つだけちょっと申し上げたいんですけれども、今回は高卒程度の問題でした。やはり、必要なのは、政策を立案していく立場での障害者、障害当事者のかかわりという点で、そういう方を採用する道を、従来、点字試験も受けられるわけですけれども、二十数年でわずか一人というようなこともありますから、何かそういう特別な枠を設けるような方向での考え方で、特に政策立案で障害者がかかわっていけるようにしていただきたい、そのように思っております。

 以上です。

中島委員 ありがとうございます。

 眞保参考人からは、職域が広がる。また、小出参考人からは、全国に規範を示す。そして、田中参考人からは、政策立案にかかわる。

 私、まさに、障害を持った方が中央省庁で働く、そしてそのことは、やはり、当然我々国会議員とも接する、そのことが、机上の空論ではなく政策立案に反映させられるんだという明確な、今の三点。今回、国が四千人の雇用を進める、これは数合わせじゃないんだというからには、中央省庁で障害者が働く意義というものを明確に示していくべきだというふうに、今参考人のお話を聞いていても理解できたところでございます。

 最後に、眞保参考人、川島参考人、小出参考人にお尋ねをしたいんですが、発達障害の就労支援について。

 発達障害の概念が広く社会に認知をされるようになりましたが、まだまだ誤解もある。発達障害者支援法、二〇一六年に改正がされたわけでありまして、現在、家族に対する支援、教育に関する支援、医療に関する支援、徐々に進んではきている。

 一方で、その先の発達障害者の就労支援策、これは喫緊の課題だと。先ほど来、手帳のお話もございますが、固有の手帳制度がない発達障害者の雇用環境の整備について、具体的に今後どう取り組むべきか、今現在どういう課題があるのか、眞保参考人、川島参考人、小出参考人にお尋ねをしたいと思います。

眞保参考人 御質問ありがとうございます。

 課題ということをまずお答えいたしますと、やはり見えない障害であるということだと思います。見えない障害で、なかなか理解が進んでいないということがあろうかと思います。

 大学においても発達障害の方が支援室に支援を求めるというケースもふえてきておりますし、現在、大学に障害のある学生さん、大体約三万人いらっしゃるというふうに、年々ふえてはきているんですけれども、教育の現場でもそういった方にどういった形で就労に結びつけた形のキャリア支援をしていくのかというのは模索しているところで、そうした教育現場での課題もまず一点あろうかと思います。

 今後、就労支援をどうしていったらいいかということなんですけれども、現状の制度でございますと、福祉側の制度ですけれども、障害者就労移行支援事業が、大学の卒業年次でも自治体がサービス給付決定を出しまして、使うことが現在可能になってきておりますので、このサービス自体は手帳がなくても使える状況になっています。

 そうした支援を受けながら、自分が障害者の枠として就職していくのか、あるいは、そこで支援したことを生かしながら障害をオープンにせずに就労していくのか、そうしたことを支援していく今過渡期の状態じゃないかなというふうに思っております。

川島参考人 弊社では今最も力を入れているところではあります。

 眞保参考人と同じなんですが、今、大学生からのエントリーが非常に多いんですね。というのも、大学に入ってから就職活動を行うとなったときに、なかなか就職先が決まらない、今後どうしていったらいいんだろうかというふうに悩まれる学生が多いんです。

 そのためにも、特別支援学校方式を弊社では導入しております。大学一年のときから会社見学を行いまして、二年、三年をインターンシップに充てています。四年生のときにはほぼ内定をとれるように、四年間かけて発達障害の方への、お互いにとっての理解といったところをするようにしています。

 今、発達障害の方につきましては、職業適性を職業センターに行って必ず受けてくるようにというお話をしています。安易なマッチングを仕事についてはしないように、発達障害の方は、一回何かにつまずいてしまうと立ち上がるまでに物すごく時間がかかってしまう、そこを企業では行わないように、何の仕事がまず合うのか、その上で、きちんと面談を経て仕事の方をアサインするように準備をしています。

小出参考人 ありがとうございます。

 教育の場においてもなかなか見えないということ、それから、従来の制度の中にはめ込められない、そういう点があります。

 要は、特別支援学校の高等部へ行きますと、これは、知的のということが多くありますので、そうすると、その中に含まれないということになりまして、中学校までの支援教育は受けているけれども、その先に行き先がないという。要は、制度的な支援が整っていないという状態。

 それからまた、一般企業に行っても、まだそのノウハウがないということですね。知らないということもありまして、職場側がその対応に苦慮しているというのが現状でありまして、そういうことを改善していくということが早急の課題だと思っております。

 以上でございます。

中島委員 ありがとうございます。

 時間になりました。西村参考人にも質問を用意していたんですが、時間で質問できなかったことをおわび申し上げたいと思います。

 大変参考になりました。今後の議論に生かしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、明八日水曜日午後二時四十五分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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