衆議院

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第2号 令和元年10月30日(水曜日)

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令和元年十月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      木村 哲也君    国光あやの君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    武井 俊輔君

      谷川 とむ君    百武 公親君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    山田 賢司君

      山田 美樹君    阿部 知子君

      池田 真紀君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    岡本 充功君

      白石 洋一君    中島 克仁君

      西村智奈美君    初鹿 明博君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    藤田 文武君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   総務副大臣        長谷川 岳君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   総務大臣政務官      斎藤 洋明君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   厚生労働大臣政務官    自見はなこ君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官)        榎本健太郎君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 大山 真未君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 伊原 和人君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           渡邊  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           野原  諭君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     山田 賢司君

  佐藤 明男君     百武 公親君

  堀内 詔子君     武井 俊輔君

  初鹿 明博君     池田 真紀君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     堀内 詔子君

  百武 公親君     佐藤 明男君

  山田 賢司君     大串 正樹君

  池田 真紀君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官榎本健太郎君、内閣府子ども・子育て本部審議官藤原朋子君、総務省自治行政局公務員部長大村慎一君、財務省主計局次長宇波弘貴君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、大臣官房審議官増子宏君、国際統括官大山真未君、厚生労働省大臣官房総括審議官田中誠二君、大臣官房年金管理審議官日原知己君、大臣官房審議官辺見聡君、医政局長吉田学君、健康局長宮嵜雅則君、医薬・生活衛生局長樽見英樹君、労働基準局長坂口卓君、職業安定局長小林洋司君、雇用環境・均等局長藤澤勝博君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、老健局長大島一博君、保険局長浜谷浩樹君、年金局長高橋俊之君、政策統括官伊原和人君、農林水産省生産局畜産部長渡邊毅君、経済産業省大臣官房審議官野原諭君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。自由民主党の冨岡勉でございます。

 きょうはトップバッターとして質問に立たせていただきます。加藤大臣を始め副大臣、よろしく御答弁のほどお願い申し上げます。

 私は常々、科学技術の振興というのを唱えてまいりました。きょうは五題ほど質問をさせていただきます。主に科学技術に関することになります。

 まず最初に、医療機関におけるサイバーセキュリティーについてお尋ねしたいと思います。

 御案内のように、国家間のハッカーの事件とか、仮想通貨、コインチェックがNEMという仮想通貨をおよそ五百八十億円も消失する、ダークウエブの中に消えていく、そういう大変な事件が続いております。

 医療界に関しましても、一昨年、日立総合病院が身の代金の要求、ランサムウエアというので業務が一時停止するような、そういう攻撃が頻回に起こるようになりました。

 そして、恐れていた、ロシアの事件ですが、手術場がターゲットになって、十三歳の脳外科の女の子の手術中に一斉に心電図がとまり、機器が動かなくなった。誰でも停電かなとか思うんですが、そうではなかった。ハッカーの攻撃が行われた。幸い命は取りとめたと聞いております。

 こういう事件が頻回に起こるようになって、いわゆるサイバー部隊とかそういう問題とはまた異なった、いわゆる厚生労働行政に関するようなハッカー事件が起こっております。

 そこで質問ですが、もう続けて、時間の制約があるので質問を言いますので、それぞれにお答えいただいた後、また再質問をさせていただきたいと思います。

 そういう事件が続いておりますが、その後、医療機関に対する攻撃の実態というのはどこまで把握されているのか。また、院内サイバーアタックに対する、攻撃に対処するために、誰がどういう権限でどのように対応する、そういうシステムを有している、また、それを指導しているのか。そして三番目で、サイバー対策の専門家はどんな資格を有している、例えば情報処理安全確保支援士というのを進めておりますけれども、例えば院内にそういうのを義務づけているのか等々についてお尋ねをしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 サイバーセキュリティーの関係、最新の事例あるいは人材についての御質問と受けとめさせていただきました。

 厚生労働省では、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、これは直近は平成二十九年五月に第五版として改定をしてございますが、などを定めまして、医療機関がサイバー攻撃を受けて医療提供体制に支障が生じるような場合には、当該医療機関あるいは事態を把握した自治体から厚生労働省に報告をいただくという仕組みを既につくらせていただいております。

 この仕組みに基づきまして、直近、これは令和元年七月の事例の報告で申し上げますと、ある医療機関が、システムにコンピューターウイルスが侵入したことにより当該システムが停止し、一定の期間、一部の診療を制限せざるを得なかったという事例など、近年においても幾つかの事例の報告を受けているところでございます。

 こうしたサイバー攻撃に対応するために求められております医療機関の体制につきましては、先ほど申し上げましたガイドラインにおきまして、各医療機関に情報システム運用責任者というものを置いていただいて、医療機関の対策を求めているというところでございます。

 このため、現状では、医療情報システム運用責任者というものが情報システム業者の方々とも連携をして対応に当たっていただいているというふうに私どもとしては受けとめてございます。

 また、このような医療機関におけるサイバーセキュリティー人材をどのように確保するかという点については、これは私どもとしても重要な課題だというふうに思っておりまして、今お話のございました情報処理安全確保支援士などなどいろいろな仕組みがございますけれども、厚生労働省として、令和元年度の予算事業で、国内医療機関等におけるサイバーセキュリティーの現状でありますとか、あるいは人材等につきまして実態を調査して、その調査を踏まえて、人材養成を含めた必要な取組、例えばでありますけれども、いわゆる人材育成にどんなプログラムが必要なのかとか、あるいはどんな研修システムが必要なのかなどなどを念頭に置いた検討をする予定でございます。

 こうした取組を通じまして、医療機関のサイバーセキュリティー対策に、私どもとしても引き続き万全を期してまいりたいと思っております。

冨岡委員 お答えをいただきました。模範回答みたいなものなので。ただ、それがやはりエスカレートしているという認識を持っています。どこかで、例えば重要インフラというんですか、部門が攻撃の対象になって、直接命にかかわるのが病院なんですよね。想定していなかったことがやはり起こってしまったということを重く受けとめていただきたいと思います。

 例えば一部上場の会社の、例えばセブンペイなんか、わかりました。やはりトップクラスの人が、社長さんクラスの人がほとんどセキュリティーに関心を持っていない、関心はあってもわからないという状態が続いています。病院でもやはりそうなんですよね。だから、そういったセキュリティー網をしっかり厚労部門で指導してつくっていただきたい。いろいろなベンダーさんがおられます。NECとか富士通、トレンドマイクロ、マカフィー、シマンテック、いろいろあるんですが、そことタイアップをしたりするようなのを、やはり指導しないとわからないですよ。停電ぐらいとしか思わないんだから、手術場で。ぜひ、そういう点について積極的に、ある意味で命ですから、関与していただければと思います。

 次に、がん治療対策。

 特に、量子のつく言葉が今頻回に出てきています。量子コンピューター、量子暗号、量子力学、量子センサー、そして量子メス。従来は重粒子線治療機器と言われておりましたけれども、非常に有効的ですね。

 私も膵臓がんを治療して外科医として二十年ぐらい携わってきたけれども、もう負けましたね。これが出てきて、あっ、今の手術知識ではもう治療できないんだなと。世界の五年生存率が大体七%から一〇%、膵臓がんに限って言うなら、重粒子線、量子メスをかけた後、取れば、何と膵がんの五〇%以上、五年生存率を上げることができる。これは世界がもう画期的に驚いている事象であります。

 したがいまして、この重粒子線、ただ、この機械がまた高い。今普及しているのが百五十億円です。そして、大体、先進医療ですると三百十二万円かな、かかります。保険に通っている例えば前立腺がんとかだったら百六十万円ぐらいになります。機器も高い、値段も治療費も高い。そして、一年間に治療できるのが六百例からその前後ですね。そして、ずうたいがでかい。いろいろ、いいことばかりじゃなくて、治療機器としては非常に画期的なんですが、そういうウイークポイントというか、まだ欠点があるわけであります。

 そこで、質問をまた二問ほどさせてください。

 小型化については、この二十年、いろいろ努力をされておられますが、スピード感がない、遅い。そこで、何が開発に問題になるのか。予算があればできるのかどうか。お金をかけても待たなくてはいけない研究とか開発があります。どっちなのか。予算があれば非常に速いスピードでいくのか。

 そして、量子メスの世界市場は一兆円規模と聞いておりますが、輸出も、韓国とか台湾が導入するとかいう話がありますが、なかなかそうはいかないので。

 そこで、現在、オリパラで訪日外国人が増加している中、これを契機に機運と捉えて、地域振興の観点から、日本の医療技術を世界に紹介し、広める作業を、今やっているとはちょっと思えないので、これを積極的にやって外国の方に来ていただくようなシステムは、廉価になるまで、輸出産業として育つまで、そういう観点からのお考えはないのか、お尋ねしたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘の重粒子線がん治療装置の小型化の話について、文科省の方からお答えさせていただきます。

 重粒子線がん治療につきましては、手術のしにくいがんや、従来の放射線が効かないようながんに対しまして、体を切らずに治療できる特徴を持つ技術でございます。平成六年に当時の放射線医学総合研究所が、重粒子線がん治療装置、通称HIMACと申しておりますが、これを世界で初めて開発いたしまして、これまで一万二千人を超える患者に対し高い治療効果を上げておりまして、患者の質の向上に貢献してまいったというふうに考えております。

 ただ、このHIMACは、おおむねサッカーコートの大きさがございますが、研究所のさらなる技術開発の成果をもとに、その後に開発された施設は当初の三分の一まで小型化されております。これによりまして、国内では合計六つの施設が設置、運用され、新たに山形大学の施設が来年にも治療を開始する予定でございまして、治療を提供する機会が確実に拡大していると考えております。

 さらに、量子科学技術研究開発機構におきましては、円形加速器の直径を現在の二十メートルから七メートル程度に、線形加速器を十五メートルから数メートルまで小型化し、当初の四分の一、おおむねバレーボールコートの大きさまで小型化し、既存の病院の建物にも設置できるようにすることを目指しているところでございます。

 ただ、このためには、加速器の超小型化、これが必要不可欠でございまして、超電導の電磁石の技術あるいはレーザーを使った加速技術など、最新の技術開発を行う必要がございます。

 こうしたさまざまな技術上の課題を解決するため、現在、量研機構では、大学あるいは開発メーカーと連携いたしまして技術開発に積極的に取り組んでおりまして、試作に向けてさまざまな検討を進めております。

 文部科学省といたしましても、重粒子線のがん治療装置のさらなる普及に向けて、装置の小型化は非常に重要であると考えておりますので、この機構における技術開発が早期にかつ着実に進むように、積極的に支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉田政府参考人 御質問後段の医療技術の国際展開の部分についてお答え申し上げたいと思います。

 厚生労働省は、新興国などの各国と協力をいたしまして、関係構築を通じて、我が国の医療技術を移転する、あるいは保健医療分野における政策形成に関する知見、経験を共有するという形での国際的な展開をさせていただいております。

 具体的には、国立国際医療研究センターを実施主体といたしまして、我が国の専門家の海外への派遣、あるいは諸外国からの研修生の受入れという形を通じて、これまで医療の国際展開を進めてきております。

 また、それに加えまして、今御指摘をいただきましたような、今年度からは新たに、オリパラというものもございますので、地域医療に支障が出ないということをまず十分配慮した上でではありますけれども、日本のすぐれた医療サービスと地域の特色を生かした、例えば観光要素なども組み合わせて、諸外国からの外国人受入れを推進するための調査事業を観光庁などとも連携しながら始めさせていただいております。

 こういった事業を通じまして、日本の医療技術を世界に紹介して広めていくという形での国際展開に努めてまいりたいと思っております。

冨岡委員 簡潔に答えてください。質問に、増子さん、答えていない。予算があればできるのか、できぬのかという、それだけ聞きたかったんですけれども、まあいいです。

 非常に有用な機器ですので、補正予算等を使ってでも、お金を使ったらこれはスピードアップすると思うので、ぜひやってください。

 それから、三番目に移ります。がんのゲノム医療についてお尋ねしたいと思います。

 がんは遺伝子の異常だということがわかってきて、ことしの六月から、NCCオンコパネル、百十四遺伝情報、それからファウンデーションワン、三百二十四個、それの組合せの異常によって薬を選んでいくという画期的な治療法が始まりました。

 ただ、体制が、今十一プラス三十四校、四十五校の施設でやられているんですが、うまくいっているのかなと思う最新の情報が欲しいんです。

 したがって、今の現況、どういう問題点、例えば診断をする方たちの資格の認定とか、問題点を多々含みながら進行しています。全体の流れをまず言ってください。今現在でわかっている状態のことを説明していただければと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ありましたがんゲノム医療につきましては、第三期のがん対策推進基本計画に基づきまして、本年九月には、委員のお話にもありましたが、三十四カ所のがんゲノム医療拠点病院の指定をするなど、順次、遺伝子パネル検査が実施できる医療機関を拡充し、全国でがんゲノム医療を受けられるよう体制を整備しております。

 一方で、がんゲノム医療の課題としては、患者さんやその御家族が遺伝子パネル検査の結果を正しく理解していただくことが求められておりますが、患者さんやその家族に説明を行う遺伝カウンセリングに関する専門性を持った者の人材の確保が重要であるというふうに考えております。

 厚生労働省では、平成三十年度より、がんゲノム医療中核拠点病院等において遺伝カウンセリングの実施体制を整備することを求め、人材の適切な配置を推進しているところでございますが、引き続き、必要な方が安心してがんゲノム医療を受けられるように、人材の確保等にも取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

冨岡委員 ありがとうございます。

 そういう答えになると思いますが、いろいろな問題点があるのは恐らく理解されているんでしょう。

 したがって、私たちは、今、超党派の、適切な遺伝医療を推進するための社会的環境の整備を目指す議員連盟、俗称、略してゲノム議員連盟を立ち上げて、いろいろ遺伝情報を得ることはいいんですが、それによって、基本的に、自分の遺伝情報が暴露というか、知ることによっていろいろな不都合を生じることにもなります。また、それを知ることによって、社会的に、人が知ることによって倫理的な問題、差別や不利益な取扱いを受ける可能性もやはり出てくるわけなんですよね。

 これは非常に世界的にも問題になりつつあるので、試行錯誤しながら今進んでいるのが我が国のゲノム医療の実態だろうと思っております。慎重の上にも慎重にやっていただきたい。そういう情報が漏れないようにすることが、セキュリティーの話をしましたけれども。

 したがいまして、我々もゲノム議連で議員立法を今検討しております。ぜひこれはやり遂げたいと思っておりますので、ここに御出席の委員の皆様方にも御協力をお願いしたいと思っております。

 続いて、地域医療体制の整備促進について、有床診療所を、離島や僻地など、人口減少によって、もっと活用すべきではないかという観点から質問したいと思います。

 有床診療所につきましては、二十年ほど前は二万三千カ所ほどありました。これが地域の医療の防波堤になって、地域に人が住めるような小規模多機能の医療、そして、今では介護施設に近い医療・介護機関となっております。

 したがって、これが減少する、今七千を切りました。この二十年の間に六千八百台ぐらいになったと思います。これでいいのかということで、我々議員連盟も十四、五年やっていますけれども、法案を変えてまでこの有用性について認めていただいたんですが、何せ減少に歯どめがかからない。その結果、いろいろな不都合が生じております。直接大学病院に行ったり直接大病院にかかるような患者さんが後を絶たなくなって、そのため、ドクターが疲弊してやめていくという悪循環に陥っています。

 果たして、この有床診療所に対してどのように、今いろいろな施策が無効なんですね、無効なんです。この点について、大臣に直接、この有床診に造詣の深い加藤大臣にちょっとお聞きしたいと思います。時間がないので、済みません。

加藤国務大臣 有床診については、その有用性を含めてしっかり発揮すべく、さまざまな、冨岡先生においても支援をされておられるところであります。

 特に、地域包括ケアシステムというのが今求められている中で、有床診の発揮すべき機能はさまざまあるんだろうというふうに認識をしておりまして、平成三十年四月一日からは、地域包括ケアシステムの構築のために必要な機能を有し、地域における医療需要を踏まえ必要とされる診療所として都道府県知事が認められる診療所については、病床設置が届出により可能とする見直しを行っているところであります。

 また、平成三十年度の診療報酬改定でも、介護サービスを提供している有床診療所について、高齢患者等の入院受入れに係る新たな評価の創設等を行ったところであります。

 引き続き、地域包括ケアシステムの構築を進める上で、有床診療所が担っている、また発揮をしていただいているその機能を十分に、重要性があることをしっかり認識をしながら対応させていただきたいと思っております。

 また、地域医療介護総合確保基金における支援においても、有床診療所の機能を有効に活用していきたいというふうに考えております。

冨岡委員 いろいろな政策を打っているんですが、ほとんど効果がないということで、我々は、入院基本料がやはり余りにも低過ぎると。ほかの介護施設、もちろん医療施設の一カ月当たりの保険診療の点数からいうと異常に低い状態にあるというふうに私たちは主張しているわけで、ぜひここら辺を扱っていただいて、非常に有用な施設ですよ。先生方が献身的にやられているのは大臣も御存じのことだろうと思います。

 いろいろな政策は打っても、新しく新規参入してくる有床診療所はほとんどありません。この二年間のうちに〇・四%の増加、新規がですよ、総数に対しては。その程度のものです。ぜひ検討をしてください。でないと、医師不足とかいろいろ言っていますけれども、もともとはそういう部分をしっかり丁寧に対応していないから、今のような現象が起こっているというふうに解しています。

 最後に、BSL4について、質問というよりお願いになります。

 BSL4の施設は、今、長崎大学で建設中ですが、大変訴訟が続いております。建設の差しとめ訴訟等、大学関係者はそのために、イグゾースト、疲弊しています。ぜひ、これは国の施設であり、エボラ出血熱を始め、先進国にはなくてはならない施設の一つでありますので、ぜひそういう面では助けていただきたい。これを最後にお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、新谷正義君。

新谷委員 ありがとうございます。自由民主党の新谷正義でございます。

 政務官の任期が終了しまして初めての質問となります。どうかよろしくお願いいたします。

 まずは、冒頭、先般、台風十五号や台風十九号、あるいは先週の記録的大雨等による甚大な被害が全国各地で発生をいたしました。亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 本日は所信質疑ということになりますので、先日伺った加藤大臣の所信から、特に、健康寿命の延伸や地域医療の推進、感染症の予防といった国民の健康医療に関する質問を行いたいと考えております。

 まずは、がんゲノム医療の推進策についてお伺いしたいと思います。先ほど冨岡先生もこれに関して御質問なさったところでございます。

 現在、日本において二人に一人ががんにかかると言われておりまして、平均余命が上昇する中で、誰もがかかる可能性があるものでございます。がんは遺伝子の異常によって起こるものでございますが、がん細胞は遺伝子の変異の仕方が千差万別でございます。抗がん剤を使った治療をする場合に、例えば同じ血液がんであるにもかかわらず効かなかった例があるのは、遺伝子の変異の仕方が異なるからでございます。がんゲノム医療はここで大きな効果を発揮するものだと考えております。

 がんゲノム医療というのは、先ほど申し上げた遺伝子の変異の仕方を遺伝子解析によって読み解くものでございます。遺伝子の変異が解析できれば、がん細胞について、増殖をどんどん進めるアクセルが働き過ぎているのか、あるいは、これをとめるためのブレーキがきかなくなっているのか、そういったメカニズムを明らかにすることができます。メカニズムが明らかになれば、これを効果的にとめるための抗がん剤を選択し、先ほど冨岡先生さまざまお話がありましたが、より体に負担の少ない治療を選択することが可能となるところでございます。私の地元の広島大学でも、がん治療のために医学部附属病院にがんゲノム医療外来を設置しまして、新たな治療を進めようとしているところでございます。

 このように世界の医療技術の発展が急激に進んでおる中で、がんゲノムの技術開発が大きく発展をし、また診断や治療の領域で新たな段階に入ってきているところでございます。

 ここで健康局長にお伺いをしたいと思います。

 日本においても、国民が新たながんゲノム医療による高度な診断、治療が受けられるようにするために、先ほど冨岡先生にも御質問あったところでございますが、改めて、がんゲノム医療の実施をどのように推進していくか、決意をお伺いしたいと存じます。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも御指摘ありましたが、個々人の体質や病状に適した、より効果的で効率的ながんの診断、治療、予防が可能となるがんゲノム医療への期待は大変高いものと認識しております。大変重要だというふうに考えております。

 このことから、第三期のがん対策推進基本計画に基づきまして、我が国のがんゲノム医療を牽引し、遺伝子パネル検査を実施することができる医療機関として、十一カ所のがんゲノム医療中核拠点病院を昨年指定いたしました。

 また、この遺伝子パネル検査を全国に拡充するため、百五十六カ所のがんゲノム医療連携病院を公表し、全国四十七都道府県でがんゲノム医療を受けられる医療提供体制を整備しております。

 さらに、本年六月に、遺伝子パネル検査が保険適用され、国民皆保険のもとでの検査が実施されることとなりました。これを受けまして、本年の九月には、がんゲノム医療連携病院の中から三十四カ所のがんゲノム医療拠点病院を更に指定し、遺伝子パネル検査が実施できる医療機関を拡充したところでございます。

 今後も、必要な方が安心してがんゲノム医療を受けられるよう、取組を進めてまいります。

新谷委員 お答えありがとうございます。

 取組をしっかりと進めていただいて、一人でも多くの命を救えるよう、切にお願いを申し上げます。

 さて、続きまして、医療系ベンチャーの支援策についてお尋ねをいたします。

 医療の質の向上という観点からも、また経済の発展に寄与する側面からも、医薬品、医療機器産業の振興は日本にとって重要なところでございます。医薬品、医療機器の輸入超過は、医薬品二兆円、医療機器一兆円。これは変えていかなければならないと考えております。

 近年、医薬品、医療機器の研究開発や実用化におきまして、地域の企業やベンチャー企業の果たす役割には非常に大きな期待が集まっているところでございます。私の地元、広島県府中町においても、もともとは自動車部品の生産を行っていて、そして、その高度な技術を生かして今新たに医療用鉗子を製作して、果敢に世界にチャレンジしようとしている企業がございます。例えば医薬品において、売上げ上位品目の大半をベンチャーオリジンの製品が占めているところでもございます。

 また、京都大学の本庶先生がノーベル賞を受賞されたのは昨年のことでございますが、私も直接お話をさせていただきまして、画期的ながん治療薬であるオプジーボの開発におきましては米国ベンチャーの協力が不可欠であった、そのように伺っておるところでございます。

 日本におきましても、ベンチャー企業の数は増加をしてきています。最近では、特にデータ関係分野などにも注目が集まっているところでございます。

 一方で、ベンチャー企業発のイノベーションを生み出していくためには、アカデミアとの連携が非常に重要でございまして、産学連携をどう進めていくか、これは非常に重要な課題となっているところでございます。

 私も昨年、またことし、厚生労働政務官としてヘルスケアベンチャー・サミットに出席させていただくことになりましたが、やはり日本としても、すぐれた医薬品や医療機器などの実用化を目指すベンチャー企業を国として支援をしていくことが非常に重要であると考えております。

 そこで、医政局長にお伺いしたいと存じます。

 日本においても医療系ベンチャー企業の支援策を推し進めていくべきではないかと考えておりますが、今の政府の支援策についてお答えを願いたいと存じます。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 近年、ベンチャー企業に由来する医薬品が世界的に売上げの上位を占めておりますし、また、医療機器の開発につきましても、医療系以外も含めてベンチャー企業が参入しているという実態でございます。

 政府全体としてもベンチャーの支援に努めているところでございますけれども、その中において、厚生労働省としても、医療産業の今後の発展における重要な担い手として、その支援策について推進をしているところでございます。

 例えばということで御紹介を申し上げれば、ベンチャー企業に対してワンストップで総合的な支援を行う窓口、これは、薬事、保険、あるいはその後の企業としての運営などなど、幅広い課題をベンチャーの方々は抱えておられますので、そのような相談をワンストップで受けられるような窓口として、平成三十年二月にMEDISOという窓口を設置をいたしまして、これまで三百件以上の相談に対応してございます。

 また、二つ目としまして、大手製薬企業とベンチャー企業との交流を促進するイベントとして、今委員御指摘いただきましたように、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミットというものを平成二十九年度から開催し、今月、第三回目を開催したところでございますけれども、周辺関連イベントと合わせまして約一万七千五百人の方々に御参加いただいたという実績でございます。

 さらに、今年度から新たに、ベンチャーへの人材交流を促進する施策といたしまして、アカデミアや大手企業からベンチャー企業への短期交流を支援するという手法も取り組ませていただこうと思っております。

 今後とも、このような政策をパッケージとして、医療系ベンチャーの支援を進めさせていただきたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ推し進めていただきたい、そのように思います。

 次に、ちょっと医師の地域偏在の質問を予定させていただいておりましたが、大分時間がたっておりますので、これは少し後で質問できればさせていただきたいと思います。

 そして、医療というものは、やはり患者さんに届けて意味があるものでございます。医療技術の開発とそれを国民に届けること、これはやはりセットで実現をしていかなければなりません。私は、まさにそれが国としての役割であろう、そのように思っております。

 医療技術を届ける先は、既に病気に罹患した患者さんだけではございません。疾患に罹患し亡くなる運命にある命を守る、あるいは、これから生まれてくる命をこの世に生み出すためにできることがございます。

 子宮頸がんの予防はまさにその取組の一つでございます。

 子宮頸がんは子宮がんの一種で、その約七割を占めているものでございます。子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルスというウイルス、いわゆるHPVの感染が原因であることが既にわかっているところでございます。HPVの感染を予防することにより子宮頸がんの発症を防ぐHPVワクチンが開発されまして、現在、世界の七十カ国以上において国のプログラムとして接種が行われている、そのように聞いておるところでございます。

 現行のHPVワクチンによりまして子宮頸がんの多くを予防できると考えられておりまして、WHOがその有効性と安全性を確認して、十歳代前半に接種をすることが推奨をされています。

 しかしながら、我が国におきましては、このHPVワクチンの接種の積極勧奨ができない状態にございまして、この間にも、ワクチン接種をしない将来の子宮頸がん患者を生み出してしまっているのが現状でございます。

 現在の接種率は非常に低く、平成二十五年度から平成二十九年度まで、定期接種を終えた被接種者は、その標準的な接種期間外に接種をされた方、こういった方も含めてたったの十万人程度でございまして、対象者が三百万人以上であったことを考えると、ほとんど接種をされていない、それが現状でございます。

 一方、国内では、毎年一万人の女性が子宮頸がんにかかり、その多くが子宮の一部あるいは全部を摘出する手術を受けている。そして、約三千人が死亡をしております。また、二〇〇〇年以降、患者数も死亡率も増加をしてきているところでございます。これは、患者さん本人の健康や命はもちろんのことでございますが、本当は彼女らが希望すれば生み育てられる可能性のあった命も失われたことになります。これは、いわゆる生まれるはずだった命とその子孫、この存在をすることすらさせてもらえなかった、こういったことになるのではないか、そのように考えておるところでございます。

 一方で、ワクチンの副反応に対する検証、救済も当然のことながら極めて重要なことでございます。

 ただし、ワクチンの副反応は政治や報道機関が決めるものではございません。当然、個人的意見ではなくて、根拠に基づいた医学的、科学的な検証によって考えていかなければならないものでございます。その上で、科学的に副反応あるいはその疑いの残る症例にはしっかりと救済措置をしていくことは欠かすことができないと考えております。国民の命と健康を守るのであれば、そして、それができるエビデンスが存在するのであれば、やはり守れる命は守らなければなりません。

 そこで、健康局長にお伺いをいたしたいと存じます。

 子宮頸がんも実際その多くが防ぐことができる疾病でございまして、これを防ぐためにHPVワクチンの接種を進めていくべきと考えますが、今の政府としての対応をお伺いしたいと存じます。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 HPVワクチンにつきましては、子宮頸がんの予防が期待されるため、平成二十五年四月から定期接種化されております。しかし、ワクチンの接種後に、広範にわたる痛みとか不随意運動など、多様な症状について報告がありまして、同年平成二十五年六月から、これらの症状の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切に情報が提供できるまでの間、積極的な勧奨を差し控えているところでございます。

 これまで、審議会での議論も踏まえて作成したリーフレットを活用してワクチンの有効性と安全性について周知を行ってきたところでございますが、自治体及び国民への調査の結果、必ずしも十分に情報が行き届いていないということが明らかになりました。これは八月三十日の審議会にも報告して公表しております。

 このため、まずは、リーフレットを活用した情報提供のあり方について審議会で議論をし、国民への適切な情報提供に努めますとともに、引き続き必要な検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

新谷委員 今ある命、あるいはこれから生まれてくる命をしっかりと守るためにも、エビデンスを示した上で国民の理解をどんどん進めていただければ、そのように思うところでございます。

 予防接種行政全般に言えることでございますが、先般も風疹のことがございました、リスクとベネフィットに国民全員で向き合っていくこと、このことが非常に欠かすことができない、そのように思っているところでございます。特にベネフィットの部分が理解が欠けてしまうことが多く、しっかりと国民の理解を進めていただくことを切に願う次第でございます。

 医療の進歩によりまして、平均余命が向上しているところでございます。特に出産時において、これまでなら命を落としていたようなケースであっても、これが助かるような事例がふえてきています。非常に喜ばしいことである一方、医療的に対応の難易度が高い乳幼児患者がふえているということも事実として存在をしております。こうした命をどう守るかということを真剣に考えていく必要がございます。

 また、これは妊娠した女性に対する医療あるいは産後のケアに対しても同様でございます。安心して医療を享受できることが親になる過程では非常に重要でございます。

 私は、政治家として、また一人の父親として、この国が安心して子供を生み育てたいと思える国にしていくことが心より必要であろう、そのように感じているところでございます。

 そのような中、昨年の臨時国会におきまして、成育過程にある者の心身の健やかな成育を保障する権利、あるいは、多様化、高度化する医療需要に対応する成育医療の提供を趣旨とする成育基本法が成立をいたしました。この法律の成立によりまして、政府の成育医療に関する取組はもとより進んでいくものと考えておりますが、ここで、自見はなこ政務官に成育基本法についてお伺いしたいと存じます。

 成育基本法は年内の施行を予定していると承知をしておりますが、厚生労働省における施行に向けた取組をお伺いしたいと存じます。

自見大臣政務官 ありがとうございます。

 新谷委員に言及していただきましたように、国、自治体を挙げての母子保健の拡充、妊娠期から始まる子供たちの健やかな成長を切れ目なく支援していくことが極めて重要であるという認識のもと、長年の関係各位の御努力により成立をした成育基本法においては、子供たちの健やかな成長を確保するため、あるいは成育を確保するため、成育過程を通じた切れ目のない支援、科学的な知見に基づく適切な成育医療等の提供、安心して子供を生み育てることができる環境の整備などを基本理念として、関係する施策を総合的に推進していくことを目的としております。

 本法律に基づく施策を省庁横断的に総合的に推進する観点から、九月に成育基本法に関する関係府省庁会議を開催したところであり、関係府省庁とも連携しつつ、適切に施策に向けた準備、検討を進めているところでございます。

 本法律は本年十二月の施行を予定しており、本法律に基づき、関係者や有識者から構成される成育医療等協議会の設置、関係する施策を総合的に推進するための成育医療等基本方針の策定を行うこととしております。

 引き続き、関係府省庁と連携しつつ、次世代を担う健やかな子供たちを育む取組を推進してまいります。よろしくお願いいたします。

新谷委員 御答弁ありがとうございます。

 自見政務官におかれましては、この問題に政務官就任前から大変な御尽力をされてきたということもございまして、今回、担当政務官に着任をされました。今後ともぜひ連携をさせていただきながら取組を進めさせていただきたい、そのようにも思っております。

 国民の健康を守るためには、やはり、健康を崩してからの治療はもちろん重要でございますが、いかにして病気にかからず介護を受けないようにするかということも、この予防の観点も非常に重要なところでございます。糖尿病などの生活習慣病にかからない体をつくるためには、日々の食生活あるいは運動習慣をつけるべきということは誰しも理解できることでございますが、実際のところはなかなか一人ではできないということがございます。

 私も、政務官のときにウオーキングなどのイベントに参加をさせていただき、そして、多くの仲間と一緒に運動をさせていただくことの楽しさ、これを味わったところでございます。一人では挫折してしまうような運動やダイエットも、一緒に取り組める仲間や社会的空気があればしっかりと成功する確率も上がっていくもの、そのように思っております。

 国民の健康づくりの取組を、ぜひ厚生労働省健康局長にお伺いをしたいと存じます。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、第二次健康日本21におきまして平均寿命の増加分を上回る健康寿命の延伸を目標に掲げ、その具体的な施策として、企業、団体、自治体等と協力、連携し、適度な運動、適切な食生活、禁煙、健診の受診等を通じて健康づくりを進めるスマート・ライフ・プロジェクトを展開しています。

 具体的には、国民の健康に対する意欲を醸成するための取組として、委員からも御紹介がありました例えばウオーキングイベントの開催など、健康増進、生活習慣病予防についての啓発、取組活動の奨励、普及を図っているところでございまして、新谷先生にも広島のウオーキングイベントとか神宮球場でのナイトヨガに御参加、御出席いただきまして、御指導いただいたところでございます。

 さらに、本年五月には健康寿命延伸プランを策定いたしまして、健康無関心層も含めた予防、健康づくりなどを推進することとしております。

 このプランでは、二〇四〇年までに健康寿命を男女ともに三年以上延伸し、七十五歳以上とすることを目指して、二〇二五年までに取り組むべき事項及びその工程を示しているところでございまして、関係者とも連携しつつ、国民の健康増進を着実に進めてまいります。

新谷委員 ありがとうございます。

 時間となりましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 私も一年ぶりに戻ってまいりまして、ずっと答弁する、される側の方でおりました。そうすると、質問したいことが結構たくさんたまっておりまして、きょうはいろいろな幅広い話題について質問させていただきたいと思います。

 まず、台風十九号についてです。

 きょうは一枚、資料一枚目を配らせていただきました。病院への被害の復旧についてです。

 この報道にも書いてありますとおり、入院患者の皆さんは病室に、その二階、三階に移すことができた。ところが、CTとかMRI、マンモグラフィー、エックス線撮影装置、骨密度測定器、いわゆるいろいろな機器ですね、こういう機器が移動できずに水につかったということがございました。

 こういうCTとかMRIというのはすごい重い機器ですので、通常、いろいろな、大体どこの病院に行っても、置いているのは一階であったりとかあるいは地下であったりとかというわけで、今回、この病院についても、地域で救急医療を担っている病院でありました。その救急医療を担う病院の大事な機器であるCT、MRI、こういうようなものが水につかって使えなくなった。この病院だけで被害額が総額大体二十五億円というふうに報道されております。

 これは一つの病院だけではなかなか再建が進まないのではないか。地域の救急医療を担っているわけですから、再建が進まないと地域が困って、その救急医療が、ほかの地域にお願いしている、こういう状況であります。

 災害で、例えば中小企業であるとか農家であればグループ補助金というのがあります。今回被災した医療機関に対しても、ぜひ復旧支援をお願いしたいと思います。副大臣、いかがでしょうか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 被災をした医療施設に対しましては、医療施設等災害復旧費補助金というものがございまして、建物の工事等の復旧に要する費用につきまして、公的医療機関及び特に優先度の高い救急医療や周産期医療等の政策医療を実施している民間医療機関に二分の一を補助しております。

 今回、台風十九号が、昨日、激甚災害に指定をされました。それによりまして、今二分の一と申しましたが、公的医療機関に対しては二分の一から三分の二へ補助率の引上げを行うこと、また、政策医療を実施している民間医療機関に対しては補助額の上限を撤廃すること、そして、先ほどCT、MRI等々医療機器の話がございましたけれども、一定額、これは五十万円を超えるということになりますが、そうした医療機器について補助対象へ追加をされるということになりまして、先ほど御心配をいただいたCT、MRI等は恐らくこれに含まれることになるだろうというふうに思っているところでございます。

 今後、被災された都県を通じ、復旧のための所要額を把握し、関係省庁とも協議を行った上で、必要な支援をできるだけ速やかに行ってまいりたい、こう考えているところでございます。

 また、福祉医療機構という組織がございまして、こちらの方で、医療貸付事業ということによりまして、災害復旧に係る融資での支援も行うこととしております。

 こうしたこともあわせて、医療機関の早期復旧に私たちも努めてまいりたい、このように考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。しっかり今回の被害を受けた病院に対して支援をする。

 昨日ちょうど、副大臣おっしゃったとおり、激甚災害の指定をされました。あとはしっかり予算化をしていかなきゃいけないところだと思いますので、ここは我々としてもしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに思っております。

 次ですが、ワクチンの話です。

 ロタワクチン、これは長年の懸案でありました。この定期接種化が決まった。私もこの委員会でロタについては取り上げさせていただいて、そういう意味で、本当にニュースを伺ってうれしいなと思いました。

 もう皆さん御案内のとおり、ロタというのは、五歳までにほぼ全ての子供が感染をして、吐き気や嘔吐を繰り返す、重症化すれば死に至る。一本大体一・五万円で、二回あるいは三回打つので三万円ぐらいかかっていた。だから、経済的に我慢せざるを得ない。どうしようかな、でも、子供はほぼ確実にかかるわけですから苦しんでしまう、これをどうしようかと。だから、これが定期接種化されたというのは非常に大きなインパクトがございました。

 私、これを早速ツイートでつぶやいたんです。そうすると、一・三万リツイート、インプレッションが二百万回。私みたいな、こんな有名な政治家でなくてもこれぐらいのリツイートがされる、この反応というのは、いかに世の中が、とりわけ子育て世代がこのワクチンというものに注目しているかということだと思いました。

 この一・三万リツイート、コメントが百件ぐらいだあっとつくんですけれども、そのほとんどのコメントは、非常によかった、これで助かる、みんなに教えてあげなというような話なんですが、同時に、何で来年の十月からなのか、うちの子供は間に合わないじゃないか、何で一年もかかるのか、こういう声がありました。

 もちろん、予算措置という話もあると思うんですが、これは何で十月なのか。この声が大きかったので、ぜひこの説明を求めたいと思います。

宮嵜政府参考人 ロタウイルスワクチンにつきましては、今月二日の審議会におきまして、来年十月から予防接種法の定期接種の対象とする方針が取りまとめられたところでございます。

 定期接種は市町村が実施することになりますが、市町村議会での予算の審議の後、医療機関との契約やシステム改修等の事務的な準備、あるいは接種対象者への周知など、一定の時間を要するといった自治体からの御意見も踏まえ、審議会で検討の上、こうした準備が整う来年十月から定期接種を開始する方針としたところでございます。

 いずれにしても、ロタウイルスワクチンの定期接種化につきましては、その円滑な導入に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐委員 確かに予算措置、国の予算を通し、その後、地方議会でまた予算を通さなきゃいけないというプロセスがあるということです。

 きのう厚労省の方に来ていただいて確認をしたのは、一回目は有料だったとしても、十月を過ぎれば二回目、三回目は無料になるということも確認をしておりますので、ぜひ、十月以降、この制度を使っていただきたいというふうに思っております。

 あとは、WHOからの宿題、あと一つ残っているのは、おたふくであります。

 ここは、審議会で方針が打ち出されて、今、製薬会社でこのおたふくを承認に向けてつくっているということですので、ぜひここも、その申請が出てくれば、安全性をしっかりとチェックしながら、速やかに手続に入っていただきたいというふうに思っております。

 この定期接種化のプロセスで、もう一点ちょっと伺いたいことがあります。

 それは、定期接種化しようと思うと、当然、まず薬事承認を取るわけです。薬事承認を取った上で、今度は定期接種化の申請に入るということなんですが、定期接種化の申請をしたときに、こういうデータを出してください、ああいうことを調べてくださいと言われるわけですね。でも、それはもともと薬事承認のときに言っておいてくれればちゃんとそのデータもとっていたのに、もうちょっとプロセスが早く進んだのにというような声も伺っています。

 ある意味二重の手間になっているというところもありますが、この点についてぜひ効率化を図っていけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 ワクチンの定期接種化を判断するに当たりましては、薬事承認されたワクチンが存在することを前提として、その有効性、安全性とともに、費用対効果等について評価する必要があり、薬事承認後にワクチンの評価に関する審議会において審議することとしております。

 今委員御指摘の点は大変重要な視点と考えておりまして、現在、予防接種施策の見直しに関する議論の一環として、迅速化が可能なプロセスや並行した検討が可能な部分の特定とか、あるいは定期接種化に向けた厚生労働省における効率的な検討体制のあり方などについて審議会で検討を行っており、迅速かつ的確な定期接種化のプロセスに向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 ちょうど五年ごとの今見直しの時期に入っているというふうに認識をしておりますので、ぜひこの案ものせていただきたいというふうに思っております。

 次の話ですが、入院児童に対する教育機会の提供について伺いたいと思います。

 リレー・フォー・ライフというチャリティーイベントがあります。私も何度か参加してきたんですが、これは何かというと、がんに対して向き合う、闘う、あるいはしのぶというようなイベントでありまして、がんサバイバーあるいは家族への支援、がんで亡くなった方をしのぶ、そして予防や検診というものを通じてがんに立ち向かう、こういうチャリティーイベントで、二十四時間たすきをつないで、みんなで二十四時間夜通しでひたすら歩くというイベントです。

 私がこれに参加するきっかけになったのは、私の地元の大阪の高校生がおりまして、がんと闘っていく中でこのリレー・フォー・ライフというのを知った。彼は、大阪城の近くに母校があって、高校があって、ここで開催してほしいという望みがあって、最後はそこで開催されることになるわけですが、その中で彼が訴えてきたのは何かというと、入院中でも勉強したい、教育を受けたいということでした。

 その当時、七、八年前の話ですが、院内学級、病院の中の学級というのは、私の地元大阪では、小中学校はあったんですが、高校はなかったんです。当時、市に訴えて、非常勤講師を派遣してもらえるようになりました。彼は最後、車椅子で大学試験、センター試験に臨んで、もう震える手で鉛筆を握って試験を受けて、何とか受験することができた。でも、残念ながら、このセンター試験の四日後に危篤状態になって亡くなったということがありました。その遺志を継いで、御両親はこのリレー・フォー・ライフの活動を一生懸命されているということです。

 伺いたいのは、今、長期入院した児童生徒は六千人いるというふうに言われておりますが、小中学校は確かにいろいろな支援が、これまで文科省も行ってきましたが、高校生の入院生徒に対する教育機会の提供、教育保障というのはどのような支援を行っているか、伺いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、平成二十八年度から平成三十年度まで、小中学生を中心として、入院児童生徒に対し教育機会の保障をするため、学校と病院が連携して支援する体制の構築について調査研究を実施し、その成果を発信してきているところでございます。

 また、第三期がん対策推進基本計画におきまして、小児、いわゆるAYA世代のうち、特に高校段階において取組がおくれているということが課題として指摘されたことも参考にいたしまして、今年度より、高等学校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業を実施してきているところでございます。

 具体的には、学校と病院の円滑な連携を図るコーディネーターの配置、遠隔教育の有効な活用方法に関する研究、入院生徒の復学を視野に入れた支援方策の研究などを内容とする調査研究を、現在、全国六地域におきまして実施しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、こうした取組を通じて、地域の実情に応じて、高校段階における入院生徒に対する教育保障体制が整備されるよう促してまいります。

伊佐委員 高校生の支援、病院に入院している高校生の支援というのは、まだ、二〇一九年、昨年始まったばかりというふうに伺っております。さっき審議官の方からも、全国で六カ所というお話がございました。まだ六カ所ですので、これをぜひ拡大していただきたいというふうに思っております。

 もう一点は、これに関して、遠隔授業についてなんですが、直接先生に来てもらって、非常勤講師に来てもらって教えてもらえなかったとしても、例えばテレビ会議システム、ICTを使って、モニターを使って病室で遠隔授業を受けることができます。

 ただ、この場合にネックになっているのは、単位の上限、制限がありまして、高校卒業に必要な単位というのは七十四単位。でも、モニターを使って遠隔で受けられるのは上限が三十六単位というふうに決まっています。だから、子供たちは一生懸命、入院中に、やはり高校を卒業したいからと思って、モニターでずっと授業を受けてやるわけですが、結局、三十六単位まで来たときに、ああ、もうこれ以上やっても結局だめになるなと思って、退学したりとか留年の決断をしたりとかということになっています。

 これはモニターといっても、単に見るだけじゃなくて、同時双方向というのが条件になっているので、こっちからも質問もできるわけですよね。

 そういう意味では、単位の上限、ここをぜひもう一度考え直してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の遠隔教育につきましては、平成二十七年四月より、一定の要件のもと、この遠隔教育の制度を導入しておりまして、これも御指摘のとおり、遠隔教育により取得する単位数は三十六単位を超えないものとして現在は定められているところでございます。

 そうした中、近年のICT技術の進展に伴う遠隔教育の効果的な実践事例等も踏まえ、令和元年六月二十五日に取りまとめられました新時代の学びを支える先端技術活用推進方策におきまして、高校段階の病気療養中の生徒に対する遠隔教育について、さきに述べた単位数の上限を緩和することなどを示しているところでございます。

 文部科学省としては、単位数の上限の緩和も含め、その実現に向けて具体的な方策の検討を現在行っているところでございまして、病気療養中の生徒に対する教育環境のより一層の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 撤廃する方向で具体的な方策を今検討しているということだったと思います。ぜひここはしっかりとやっていただきたい。

 きょうは質問しませんが、厚労省自体も、長期入院する子供の教育について、例えば慢性疾病児童に対する自立支援事業というのがあると思います。そこでも学習支援できるはずですが、使っているところが、ほとんど、かなり少ない状況でありますので、こういうものもしっかりと使われるように、普及啓発、お願いしたいというふうに思います。

 次の話題に行きたいと思います。

 先日、こういう本を紹介されまして、この「フルキャリマネジメント」という、武田佳奈さんという方が書いた本で、この方は、御自身も子育てをされながら仕事をずっと続けてきた、こういう方でいらっしゃいます。

 この本を読んでいて、非常に私、感銘を受けたんですが、今までの働く女性というのは二種類に分けられてしまっていた。どういうことかというと、キャリア重視のバリキャリ、ばりばりやる人、こういう人たちは、家庭とかプライベートというのは仕事の制約にしない、とにかくキャリアを追求したいんだ、こういう方がバリキャリというふうに武田さんは言って、もう一方で、ライフ重視のゆるキャリという言葉です。ゆるキャリというのは何かというと、やはり家庭が大事よね、プライベートが大事よ、子育てが大事よね、その上で、そこを優先した上で許す範囲で仕事をしたい、こういうタイプです。

 そうじゃなくて、武田さんが言っているのは、子育てにも仕事にも意欲的に取り組みたいフルキャリというのがあって、可能な限り両方ともやりたいんだ、だから、家庭優先のときもあれば、仕事が忙しくなったら、多少、家庭を何とかやりくりをしてでも仕事を優先したい。こういう方に対しての支援というのをもうちょっと、あるいはコミュニケーションというのを考えるべきじゃないかという趣旨なんですが。

 今、働く女性のいろいろな声を伺うと、例えば、子供が小さいから、両立したいんだということを言えばどうなるかというと、比較的ゆとりのあるポジションに異動する、余り忙しくないんだけれども、確かに家庭は優先できるんだけれども、キャリアアップにつながる仕事でもなくなる。

 いやいや、私はもうちょっと仕事を頑張りたいんです、もっと頑張りますと言えばどうなるかというと、わかった、じゃあそれならといって、残業もたくさんあって、とにかく仕事の負担の重いような、かなりハードコアなポジションに移されてしまう。

 だから、結局、今申し上げたように、バリキャリか、ゆるキャリかの選択肢しか、今、なかなかないんじゃないかという問題意識です。

 政策的にも、今までの厚労省あるいは政府の打ってきた政策というのは、例えばバリキャリ用の政策として、男女雇用機会均等法、教育機会、昇給、昇格を平等にする、こういうのもあった。今まで、例えば厚労省がやってきた育児・介護休業法、時短とかにしても、どっちかといったら、ゆるキャリの人を支援するような、時短、短くていいですよとか、育休をちゃんととっていいですよとか、あるいは、同一労働同一賃金、同じように給料をもらえますよとか。

 だから、これまでの両立支援を拡充し続けるというのは、ゆるキャリにはよかったけれども、今問題になっているフルキャリというのにフィットした政策というのはそんなに多くないんじゃないかという問題意識なんですが、いかがでしょうか。

藤澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員、今、フルキャリという言葉を御紹介されましたけれども、御指摘のとおり、仕事と育児の両方に可能な限り力を入れたいというふうに考えていらっしゃる女性の方も確かに一定数いらっしゃるものというふうには承知をしてございます。

 女性活躍を推進するためには、働きがいそれから働きやすさ、その両面からバランスのとれた取組を促進していくことが重要であると考えております。

 ことしの五月末に成立をいたしました改正女性活躍推進法におきまして、職業生活に関する機会の提供、それから職業生活と家庭生活との両立に関する項目の見える化を促すために、常用労働者数三百一人以上の企業について、双方の区分から一項目以上選んで公表することを義務づけをいたしましたほかに、企業の女性活躍に関する状況把握、課題分析の結果を踏まえた行動計画の策定義務の対象企業の拡大などを行ったところでございます。

 改正法の内容やその趣旨を丁寧に今後周知をしていくことを通じまして、育児等の事情にかかわらず、お一人お一人の労働者がその希望に応じて能力を存分に発揮することができる社会を実現していきたいと考えているところでございます。

伊佐委員 私は、もう少し厚労省に現場の調査をやっていただきたいなというふうに思っています。

 それは、この資料に添付させていただきましたが、アンケート調査、これは厚労省の資料なんですけれども、この右側です、妊娠、出産を機に退職した理由は何ですかというようなアンケートで、その答えが一番多いのが、仕事と育児の両立が難しかった、ここなんですね。具体的な理由を下に書いています。では具体的に何ですかと聞いたら、育児と両立できる働き方ができなさそうだった、できなかった。

 結局、同じことを言っているわけですよ。育児と仕事の両立が難しいからやめたのに、では具体的に何がお困りですか、いや、難しいですと書いているだけで、より踏み込んだ調査が実はないんじゃないかというふうに思っています。

 この本に書かれていることは、例えば上司との意識のギャップ、上司はよかれと思って配慮をするんですけれども、それが実は負担になる場合がすごいあって、例えば、ここに書いてあったのは、職場復帰したフルキャリが上司にかけられた一番つらい言葉は何かというと、無理しないでという言葉らしいんです。

 これは、家庭も子育ても大事だと御本人は思っていて、その上で、仕事はちゃんと頑張りたいと思って決意して、気持ちを新たにして頑張ろうとしているときに、いや、もう無理しなくていいよと言われるわけですね。そうすると、いや、無理しなくていいんだ、ラッキーと思うかというと全然そんなことはなくて、受け取る側としては、戦力外通告のような感じがするんだと。

 だから、まず、上司のアンコンシャスバイアス、無意識な思い込みとして、仕事のアウトプットが落ちても仕方がない、常に家庭を優先させないといけない、こういうのがあるんじゃないか。でも、逆にフルキャリは、せっかく子供を預けてまで働くんだから、やりがいを持ってこれをやりたいんだというのがフルキャリの意識じゃないかというふうに書いております。

 こういうふうに具体的な理由をもうちょっとちゃんと調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員が今御紹介いただきましたデータはそのとおりでございまして、私どもが委託調査で行っているものでございます。

 それで、両立の難しさ等について詳細な理由なりが把握をできていないという御指摘でございますけれども、調査項目の見直しを含めまして、これからしっかりと検討していきたいと考えております。

 なお、職場で労働者とその上司の方が日ごろからコミュニケーションを図っていくということ自体は大変重要だと思っておりますし、育休復帰支援プランの策定支援というのを行っておりますけれども、そういったものを通じて、円滑な育休の取得であったり、あるいは職場復帰であったり、また、その後の就業継続を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

伊佐委員 コミュニケーションは大事だというふうに言っていただきました。

 これは難しいのは、いやいや、それやったら、もっと言ってくれたらええやんと言うんだけれども、やはりフルキャリの方々の認識というのは、例えば子育てで早く帰らなきゃいけない日があったり、子供が急に病気になって休まざるを得なくなったりして、自己都合だというふうに思っている。自己都合でいろいろ言っているのに、その上で、あれもやらせてくれ、これもやらせてくれとなかなかやはり言いにくいんだということですので、そういう意味では、そういったコミュニケーションができる環境をつくるというのは非常に大事だと思います。

 これまでの議論を聞いていただいた上で、大臣から発言を求めたいと思います。

加藤国務大臣 子育てと仕事の選択を強いられないといいますか、そういう社会をつくっていくということで私どももこれまで取り組んできたところでもあります。

 それから、やはり出産後に雇用継続されている方が、従前は五割を切っていたのが、最近では五割は超えてはいますけれども、それでも決して高い水準でもない。それぞれの方が希望される状況の中で働ける環境をどうつくっていくのかという意味において、本当に今委員御指摘のように、分類をされましたが、それ以上にかなりいろいろなバリエーションがあるんだろうと思います。

 それぞれに応じて、制度は制度としていろいろつくらせていただいているわけですけれども、それをどう運用しながら、企業にとっても、従業員の方が、会社員の方が十二分にその思いを発揮して、力を発揮していただく。一方で、過度に個人の子育てとかそういったことに影響すると雇用が継続できなくなってしまうわけですから、だから、広い意味でいうと、これはマネジメントの力なんだと思いますね。

 こういう方だけではなくて、さまざまな条件を皆さん抱えている中で、その方の状況の中でどれだけ力を出してもらえるか、そういったマネジメントそのものをどう高めていくのか、これは日本の企業にとって大変大きな課題だと思います。

 そのある部分が委員の御指摘のところだと思いますので、そういった意味で、コミュニケーションをしながら、また、企業の管理職になる方々にはやはりそういった能力もしっかり研修をしていただくとか、そういった全面的な支援、多面的な支援をしていくことが大事じゃないかなというふうに考えております。

伊佐委員 大臣、ありがとうございます。御自身の言葉で思いを語っていただいて。

 なかなかこれをやれば正解だというのは、確かに簡単なものじゃないと思います。しっかり同僚の皆さんとも悩みながら、ここは、我々として、力を合わせてそういう社会をつくっていきたいというふうに思っております。

 大臣、もう一問だけ伺いたいのは、現役世代の負担についてです。

 先月、健康保険組合連合会、健保連が発表したのが、二〇二二年危機というのがございました。団塊の世代が七十五歳に突入していくという中で、今、政府の議論というのは、税と社会保障の一体改革というのが、今回、消費税増税で一応の区切りをつけた。これで二〇二五年、高齢者がピークを迎える、あるいは彼らの言う二〇二二年、ここはとりあえず何とか一段落した。この後は二〇四〇年を目指して、高齢者は一定ですけれども働く世代が減っていく二〇四〇年に向けてどうするのかというような議論がなされていると思いますが、果たして本当に二〇二二年、落ちついたと言えるのかどうかという問題提起が、この健保連の二〇二二年危機だと思います。

 これは、保険料率、毎年上がっている。健保連でいえば、保険組合が千三百あるわけですが、だから働く世代の三千万人がここに加盟をしているわけです。二〇二二年に保険料率一〇%を超えると言われているのが六百組合というふうに言われています。もう一〇%を超えると、当然、中小企業の集まりの協会けんぽの方が料率が安くなるわけですから、そっちに行けば国費、公費が投入されるわけですから、料率の面だけいえば、そんなのだったら、健保組合、ここを解散して協会けんぽに行った方が、公費ももらえるからいいじゃないかということになってしまう。

 こうなると、結局は、公費が投入された結果、支出がふえて、翻っては国民の皆さんの負担になるということになります。

 そこで、今、全世代型社会保障、議論になっておりますが、現役世代に対する負担が増加していくことについて、この現状について、大臣としての認識を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 確かに二〇二五年、そして二〇四〇年ということを見据えて対応させていただいておりますけれども、もう少し足元を見ると、二〇二二年からいわゆる団塊の世代が七十五歳を超えてくる中で、機械的に試算をすれば、医療費が上がっていくということが想定される。そうすると、医療費が上がってくるということになれば、それぞれの保険者を含めて負担がふえていくわけでありますから、それに対してどう対応していくのかというのは、これは引き続き課題だと私は思っております。

 ただ、それに向けて、もちろん、負担ができる状況になっているのか、例えば、今、就業者がふえてきて保険料を払う人もふえてきている、あるいは高齢者も働くようになってきているとか、そういった状況もやはり一方で促進をしながら、よく、各健保連だけではなくて、全体の負担がどうなっていくのか、これはしっかり見きわめていかなければいけないと思います。

伊佐委員 時間になりましたので終わりますが、働く世代だけにどんどんしわ寄せが行くようなことはぜひ避けていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。大西健介でございます。

 共同会派を代表して、トップバッターで質問させていただきます。小川理事を始め同僚議員の皆様に心から感謝申し上げたいと思います。

 加藤大臣、お帰りなさいと申し上げたいというふうに思いますけれども、我々も、今回から共同会派ということで、ワンチームでこの厚労委員会の質疑に臨んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 冒頭、私からも、台風十九号で被害に遭われた皆様に心からのお見舞いを申し上げたいと思いますし、亡くなられた方にお悔やみを申し上げたいと思います。

 私も、先日、二十一日の月曜日ですけれども、長野県に行ってまいりました。そして、被災現場を見て、また、市民の皆様、知事からも御要望を直接聞いてまいりました。与野党、枠を超えて、しっかり支援をしていきたいと思っています。

 私も、冒頭、実は、先ほど伊佐委員が質問されたMRIやCTといった医療機器の浸水被害について、全く同じような質問を考えておりましたので、この点については先ほどしっかり御答弁ありましたので、同じ記事を私もお配りしているんですが、この中でも、星総合病院の理事長、自力では再建できない、国は適切な経済的支援をしてほしいというふうに述べておられますので、しっかり支援をしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 次に、さきの参議院選挙で、れいわ新選組から、重度障害者である舩後靖彦さん、それから木村英子さんが新たに参議院議員に当選をされたということで、重度訪問介護が通勤や経済活動を対象外としていることが障害者の社会進出を阻んでいるのではないかということから、その見直しの機運というのが高まっております。

 これに関連しまして、重度訪問介護は十八歳未満の障害児は対象になっておりません。例えば、医療的ケアが必要な重度障害児が学校に通学しようとした場合には、親がついてきてくださいと特別支援学校から言われてしまうということです。この背景には、恐らく、障害者と違って、障害児の場合は、自分の子供なんだから、親、特に母親が見るのが当たり前だという価値観がその背景にあるんじゃないかというふうに思います。しかし、今は母親も仕事を持っている場合も多いと思います。

 この機会に、ぜひ、子供も重度訪問介護の対象外というのもあわせて見直してはどうかというふうに思いますが、この点について大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 重度訪問介護については、障害児が今委員御指摘のようにいわば除外をされている。その趣旨としては、基本的に保護者とともに生活しておる障害児が居宅において長時間にわたる総合的なサービスを受ける必要が低いということから、対象になっていない。

 他方で、居宅において短時間に集中して入浴、排せつ及び食事の介護等を行う居宅介護については、障害児も利用可能になっているということ。

 また、障害児の介護を行っている親のレスパイト等のため、短期入所サービスを利用することも可能であり、また、昨年四月の障害福祉サービス等の報酬改定では、医療的ケア児等の受入れの評価も行っているところであります。

 引き続き、重度障害者、重度障害児の保護者の方々のさまざまなニーズ、これを踏まえながら、我々としても必要な支援を行っていくべく議論をしていきたいと思っております。

 それから、今回の重度訪問介護の見直しの関係で、移動支援の中において、ここにおいても当然障害児は除外をされている。一方で、例えば特別支援学校等々に通う方々に対する支援等、文科省でやっている支援措置もあるわけでありますので、その辺も含めて、文科省とも連携をしながら検討していきたいというふうに考えています。

大西(健)委員 私が今の質問の中でまさに聞きたかったのは、後半の部分というか、重度障害者の重訪の部分については、まさに今回、通勤を、経済活動をどうするのかということですけれども、子供の場合には学校に通うことだと思いますので、そこの移動支援の部分も、重訪について通勤ということを見直すのであれば、あわせて、文科省ともというお話がありましたけれども、ぜひ検討の中に私は加えていただきたいなというふうに思っております。

 次に、関連で、重度障害者の生活介護について質問したいと思うんですが、資料の一ページ目の裏ですけれども。

 これは、私の地元にある、ある重度身体障害者の生活介護事業所の昨年度、平成三十年度の利用実績、それから介護給付費に関するデータをお聞きをしてつくったものなんですけれども、この施設というのは重度身体障害者の受皿として地域では非常に欠かせない事業所なんですが、残念ながら、今非常に深刻な経営難になっています。

 いろいろ理由はあるんですが、この表を、例えば十月のところを見ていただきたいんですけれども、予定のところに六百二十という数字が入っていますけれども、実績は五百三十七。ここで、十月だけでは八十三という開きが出ている。しかし、その下の欠席時対応加算というのは二十三しかつかないんですね。

 介護給付費でずっと見ていくと、今みたいに毎月毎月予定と実績の開きがあるものですから、それが積もり積もると、年間約一千三百八十万円にその開き分が積もり積もってなってしまうということです。欠席時対応加算は年間でも二十八万円ということですから。

 重度障害者というのは、体調が急に悪くなったりして、通院したり、それから時には短期の入院をしたりとかして、どうしても欠席することが多くなってしまうということです。ただ、スタッフ等は、欠席を最初から見込んでいるわけじゃないので、予定に合わせて配置をしなければいけないということなので、この構造がある限りこういう施設は赤字にならざるを得ないんじゃないかというふうに、この経営者の方からは私お話を聞きました。

 ただ、こういう施設、本当になくなってしまうと、まさにそこを利用されている人の受皿がなくなって行き場を失ってしまうので、本当に経営を安定させていくのは重要だというふうに思うんですが、その中で、特にこの欠席時対応加算、これが余りにもカウントも少ないし、そして額も少な過ぎるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この部分について欠席時対応加算を大幅に増額するといった見直しが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

橋本副大臣 ただいま御指摘がありましたように、生活介護は、入浴、排せつ及び食事の介護の提供など、重度の障害を抱える方が安心して地域生活を送るために必要不可欠なサービスでございまして、そのサービスの担い手である生活介護サービス事業者の経営の安定を図ることというのは大変重要なことであるというふうに認識をしております。

 欠席時対応加算につきましては、生活介護の利用者が急病等により利用を中止した際、電話等により利用者の状況を確認し、引き続きサービスの利用を促すような相談援助を行う対応等を評価するというものでございます。

 欠席時対応加算を含め、障害福祉サービス等の報酬のあり方につきましては、今後、次期報酬改定の見直しというものをまたするということになりますが、その中で、障害者の方のニーズあるいは事業者の実態等、幾つか今年度調査等も行っておりますので、そうしたこと、あるいはただいまの御指摘等も頭に置きながら、丁寧に議論してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 次期報酬改定でという話でありましたけれども、今申し上げましたように、決して大きくない事業所で、一部の利用者が入院をしたりとか通院をして、その分予定と実績に開きが出ると、これは本当に赤字にならざるを得ないんですよ。ですから、こういう施設に対してこの欠席時対応加算みたいなものをもう少し見直さないと、私はこういうところはやっていけないというふうに思いますので、ぜひ報酬改定の中で根本的な見直しを検討していただきたいなというふうに思っております。

 次に、シベリア抑留者の遺骨問題について質問をしたいというふうに思います。

 このシベリア抑留者の遺骨収集事業で持ち帰った遺骨が日本人のものでない可能性があるということが最初に報道されたのは七月ということでありますけれども、報道で発覚するまでは事務方から大臣への説明もなかったし、厚労省から報道される前に積極的に公表するということはなかったということでありますけれども、それが間違いないかということと、これは根本大臣のときのことでありますが、加藤大臣に、報道が出るまで全く大臣までこのことが上がっていなかったということについて、加藤大臣、どう受けとめているかについて御答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、私は、先ほど最初に委員からお話しいただいたように、二回目ということでありますので、前、一年間を厚生労働大臣をさせていただきました。そういった意味において、この遺骨収集に対しての最終的な責任を持っている者として、その間も含めて、当初からそうした事態がわかっていたにもかかわらず的確な対応がとれていない、そういったことを通じて、まさに御遺族の方々の気持ちを、また、遺骨収集に対する信頼を損ねてしまった、このことについては深く反省をし、しっかりと対応していかなきゃいけないというふうに考えておりますし、まことに遺憾ながら、私の在任中においてもこうした事案について報告は上がっていなかったというのが実態であります。

 それを踏まえて、委員御承知のように、今、その間の事情に対して、そして、これからどうあるべきなのか、外部の有識者の方に議論をいただいて、それを踏まえてしっかり対応していきたいというふうに考えています。

大西(健)委員 もう一つ確認しておきたいのは、ロシア側、協力してくれている団体があるというふうに思いますけれども、ロシア側にこの遺骨の取り違えの疑いがあるというのを伝えたのはいつなんでしょうか。

加藤国務大臣 ロシア側に伝えたのは八月初旬というふうに聞いております。

大西(健)委員 これは大臣にも上がっていないし、そしてロシア側にも伝わっていないということなんですけれども、先ほど大臣の答弁の中にもありましたように、大臣の在任中にもということですけれども、遺骨が日本人ではないという可能性は、二〇〇五年度以降、専門家から繰り返し指摘されていたことがわかっていますけれども、長年にわたり、二〇〇五年からですからもう十数年、十四年ですかね、長年にわたって放置をされてきた。言い方はちょっと厳しいかもしれませんけれども、放置というよりも、隠蔽されてきたんじゃないかというふうに思うんです。

 大臣、今、何でこんなことになってしまったのかと省内で調査しているということですけれども、大臣はどこに問題があったと現時点で感じられているか、御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 まさに鑑定人会議において指摘を受けているわけでありますから、そうした話が当時の厚労省の中でどこまで上がっていたのか。まさに、一つはガバナンスの問題として、そういった問題を早くに察知をしていく、そういった体制がまず欠けていたということが一番にあるんだろうと思います。

 あとは、どうしてそういう形になってしまったのか等々について今回の調査チームの御指摘を踏まえながら対応するとともに、今でも遺骨収集等の対応をしていかなきゃなりませんから、省内におけるガバナンスの体制も、審議官以下で、しっかりガバナンスをきかすべく、そうした省内の体制の整備も図っているところであります。

大西(健)委員 省内のガバナンスということについて言えば、毎勤統計のときにもそういう話があったかというふうに思います。

 ですから、まさに鑑定人会議のところで指摘をされていたのに、それが何で上に上がっていかない、あるいは省内で共有されなかったのかというのは、省内ガバナンスの問題というのは何度も何度も同じことを繰り返しているわけですから、いま一度しっかり確認していただきたいと思いますけれども。

 私、この背景にやはり担当者の意識というのがあるんじゃないかというふうに思うんですが、この点で非常に気になるのは、資料の中につけておきましたけれども、二ページ目ですけれども、NHKの報道等で上がっていますけれども、ここにはメールそのものの写真とおぼしきものも掲載をされていますけれども、厚労省の担当者が九月下旬、ロシア側の意向で調査団の派遣が、日本人ではないという疑いが出てきたことを受けて調査団の派遣が中止になったことについて、厚労省の担当者が九月下旬に日本戦没者遺骨収集推進協会に対してメールを送っている。このメールの内容が、ここにありますように、報道さえなければ、いや、せめてもう少し遅ければ沿海地方の慰霊事業は復活していたのに非常に残念だ、こういうメールを送っている。ここにも、報道の中にも、例えばそのメールを受け取った団体の理事は、あきれて物が言えないというふうに言っていますけれども。

 まさに、このメールから我々が受け取るものというのは、ばれなきゃいいんだという、そういう態度じゃないか。それが、長年にわたるこの問題の、先ほど私、隠蔽と言いましたけれども、隠蔽につながったんじゃないか。

 先ほど大臣からも少し反省の弁がありましたけれども、ばれなきゃいいんだ、日本人の骨じゃないかもしれないけれどもばれなきゃいいんだというふうにやってきたということは、私、英霊への冒涜でもありますし、また御遺骨の御帰還を待ち望む遺族やあるいは戦友の気持ちを踏みにじるものだというふうに思いますけれども、このメール、団体に送ったということは事実なのか。また、このメールについて、今私が申し上げたように、これは御遺骨の帰還を待ち望む遺族の気持ちを踏みにじり、そして英霊への冒涜になるのではないかということについて、大臣から御答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今御指摘のメールについては、九月二十日に厚生労働省の担当者から指定法人の担当者に対して、九月に実施する予定であったロシア沿海地方での埋葬地調査が中止になったということの伝達の、かかるメールでございます。

 その中身については、今委員の御指摘の、まさに不適切なあるいは正確でない事実が伝達されているということもありまして、九月三十日に担当部局からまずメールの相手先に対して説明と謝罪を行い、また、本人に対しても担当審議官から厳しく注意をするとともに、遺骨収集に当たっている他の職員に対しても信頼回復をすることの必要性、意識の徹底を図ったところであります。

 いずれにしても、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘をされている中においてこうしたメールが発信をされたということ、この重みをしっかりと私ども受けとめながら、先ほど申し上げた、ガバナンス、ガバナンス、何回も何回も言っていると御指摘をいただきましたけれども、しっかりとこの点についても取り組んでいきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 遺骨収集については、まさに、議員立法を与野党を超えて成立をさせて、我々も硫黄島にも行きました。そういう背景もありますので、ぜひこれはしっかり、ガバナンスだけじゃなくてまさに意識、ばれなきゃいいんだみたいな意識ではなくて、しっかりこの遺骨収集事業を国を挙げてやっていくんだということで、ぜひやっていただきたいというふうに思います。

 次に、保育の問題にちょっと触れたいんですけれども、ことし二月の予算委員会のときにも、この十月から始まった幼児教育の無償化、これが行われると、保育料の一部になっていた給食費の食材費、この実費徴収が行われることによって負担増になる人が出てくるんじゃないかということを指摘をしました。確かに、生活保護とか一部の経済的に厳しい世帯については手当てはされましたけれども、残念ながら、懸念したような負担増が起こっている。

 資料の次のページの朝日新聞の記事ですけれども、この中に具体的な例が幾つか挙がっていますけれども、例えば、大阪府堺市で中学校一年生から二歳までの四人の子供を育てている三十五歳の女性は、認可保育園に通う五歳と二歳の二人の子供の利用料がことしいっぱいは無料だけれども、来年四月からはおかず代が一人月額五千円ずつかかるので、年間で十二万円の負担増になりますということです。

 ほかにも、千葉県の市川市では、十八歳未満の子供が三人以上いる世帯に向けて、三人目以降の子供の保育園の利用料を月二万五千円減額してきたけれども、無償化に伴っておかず代が実費徴収に切りかわるので、市内認可保育園などに通う三歳から五歳児約五千人のうち、約二百八十人が負担増になるということです。

 このようなことは、この市川あるいは堺だけじゃなくて、全国で起こっています。

 内閣府では実態調査を行う予定というふうに聞いていますけれども、衛藤大臣が二十五日の閣議後記者会見で、その実態調査の結果を見て、利用者の負担がふえないように働きかけたいと述べているんですけれども、それはぜひやれるんだったらやっていただきたいんですけれども、具体的にどうやって利用者の負担がふえないようにするのかを、わかりやすく説明をいただきたいと思います。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 この幼児教育、保育の無償化に伴い、本年十月から食材料費については徴収することとなりましたが、副食費の免除対象を年収三百六十万円未満相当の世帯まで拡充することといたしました。これにより、国の基準においては利用者の負担は生じません。一方で、先ほど御指摘のように、保育料については、独自に国基準よりも減免していた地方自治体がございまして、こうした自治体においては利用者の負担が増加する可能性がございます。

 現在その実態の把握の調査をしているところでありますが、これは地方自治にもかかわる分野でございますが、国としては、独自に保育料の減免をしていた自治体に対しまして、その財源を活用し、無償化を機に利用者の負担が増加することのないよう、これは働きかけを行っていくということであります。

大西(健)委員 この記事のところにも書いてありますけれども、免除対象拡大も実態調査せず、最後のところに、内閣府は、今回の無償化に合わせた免除対象の拡大で、全ての逆転現象が解消されるのか、調査や検討は行わなかったと。

 今調査をやっているということですけれども、本来であれば、前にやっておく話じゃないのかと私は思います。前にやった上でこの政策を実施していくというのが本来あるべき姿であって、こういうことが起こりますよねと予算委員会でも言っていたのに、三百六十万までやってもまだ起こるのは想定内の話だったので、事前にそういうことを私は調査した上でやるべきだったんじゃないかということは申し上げておきたいと思います。

 保育に関連して、企業主導型保育について質問したいんですけれども、ことしの七月ですけれども、企業主導型保育園のコンサルタント業を行っていたWINカンパニー代表の川崎大資という人が、助成金をだまし取ったという疑いで逮捕、起訴されています。

 川崎は、当時、内閣府副大臣だったあきもと司代議士との近しい関係を吹聴して企業主導型保育事業の勧誘を行っていたとされているんですけれども、この件に関して、川崎は、あきもと副大臣を通じて内閣府子ども・子育て本部参事官の紹介を受けたんじゃないかという疑いがあります。

 当時の内閣府子ども・子育て本部の参事官というのは、現在厚労省に戻っておられて難病対策課長をやっておられる竹林さんですけれども、竹林課長に本委員会に来ていただいて直接確認しようと思いましたけれども、現在の所管とは違う話ということですので、それは難しいということでしたので、きのう内閣府の方に、竹林さんがWIN代表だった川崎という人物に会ったことがあるか、また、あきもと副大臣から川崎なる人物を紹介されたことがあるかを確認して、きょうの委員会で答弁をしてほしいということでお願いしてありますけれども、御答弁をいただきたいというふうに思います。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 企業主導型保育事業に係る助成金の不正受給事案については、現在、捜査機関において捜査中でありますので、恐縮ですが、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、報道されているような、内閣府職員と議員や関係者との接触等がなかったかどうかに関して、現在、事実関係を事務方において調査をさせているところでございます。

大西(健)委員 私、きのう、これはあえて厚労省に聞こうかと思ったんですよ。さっき言ったように、竹林課長に来てもらってというふうにも考えましたけれども、それはなかなかこれまでの委員会のルールでは難しいということだったので、きのう厚労省にはこのことを、今は厚労省に戻っておられるわけですから、大臣にちゃんと竹林さんに確認してほしいということをお願いしようと思ったら、内閣府にいたときのことだから内閣府でちゃんと答えますから、だから内閣府でいいですかということで、私はそれを了承したんです。だから、答えられないということだったら、それはだめだと言ったはずですけれども。

 捜査機関云々じゃなくて、こんなことは確認すればわかることであって、刑法上の罪云々に触れるかどうかを捜査するのは、捜査機関でやってもらったらいいことです。ただ、この保育という重要なことに税金を使って企業主導型保育というのをやっているわけですけれども、仮にその企業主導型保育を所管する内閣府の副大臣が助成金詐欺の片棒を担いでいたみたいな話になると、これはとんでもないことだというふうに思います。

 ですから、これは、まさにその企業主導型保育の事務方の主要な担当だった当時の竹林さんが当時の副大臣だったあきもと副大臣から、ちょっと会ってやってくれとか紹介をされたとかいうことがなかったのかどうかというのは、重要な、国会として明らかにすべきことだというふうに思いますので、ちゃんとお答えいただきたいと思います。

藤原大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、現在、事実関係を事務方において調査をさせていただいているところであります。

大西(健)委員 きのう言いましたように、私は最初は厚労省に確認してもらおうと思いましたので、じゃ、改めまして、加藤大臣。

 今、厚労省に戻っておられます。直接御確認をいただいて、そして本委員会に報告をいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘の事案というのは、内閣府所管の事業の実施にかかわる話でありますから、あくまでも内閣府において調査されるべきもので、私どもの方でそれを直接調査する立場にはないというふうに思います。

 ただ、内閣府における調査が円滑に行われるように、もちろん、そうしたサポートは当然していかなきゃいけないと考えております。

大西(健)委員 これは本当に、私は、だから、きのうの夜、言ったんですよ。最初は厚労省に言ったら、それは内閣府にいたときのことだから内閣府でちゃんと答えますと。だから、答えられないだったらだめだよと言ったら、内閣府で答えますと言ったから、じゃ、いいよということで認めたのに、これ、だめですよ。

 本当に、だって、さっき言ったように、捜査機関は捜査機関としてちゃんと捜査すればいいです。ただ、それを妨害する話でも何でもなくて、会ったかどうか、この川崎なる人物に会ったかどうか。あるいは、もしかしたら、事業を所管しているわけですから、どこかで会っているかもしれない。別に後ろめたい話じゃなくて、会っているかもしれないし。

 あるいは、本当に副大臣から紹介をして会っていたとしたらこれは大問題ですけれども、いずれにしろ、それは、答えることが捜査機関の捜査を妨害する話でも何でもないと私思いますので、逆に、後ろめたいことでなければ、ちゃんと答えたらいいんじゃないですか。内閣府、ぜひ答えてくださいよ、これ。

藤原大臣政務官 繰り返しでありますが、現在、事実関係を事務方において調査させているところでございます。(発言する者あり)

盛山委員長 御静粛にお願いします。

藤原大臣政務官 繰り返しですが、現在、事実関係を事務方において調査させていただいているところですが、できるだけ早く事務方に確認をさせたいということで進めているところであります。(発言する者あり)

盛山委員長 御静粛にお願いします。

大西(健)委員 さっき言ったように、これは捜査機関の捜査を別に妨害する話でも何でもなくて、しかも、本当に、今別にちょっとここで休憩して電話して聞いてもらってもわかるような話なので、本当は、聞いて、すぐ答えられる話なので、そんな何週間も何カ月もかかる話じゃないので、いつ、例えば次回の委員会に必ず報告していただけるとお約束していただけるならいいですけれども。時間がかかる話じゃないんですよ、竹林さんに会ったか会っていないか聞いてもらえばいいだけで。

 きょうの午後答えていただけるということでありましたら質疑を続行したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤原大臣政務官 繰り返しでございますが、現在、事実関係を事務方において調査させているところですので、今の時点では、会っているとも会っていないともお答えができない。

 そういう中で、できるだけ早く事務方に確認をさせたいと考えておりますが、これは、本人だけではなく、その他の当時在籍した職員に対しても確認をしなければ責任のあるお答えができないということで、確認が一定の時間かかることは御理解をいただきたいと思います。

大西(健)委員 いやいや、本人に確認したらすぐわかることじゃないですか。だって、それは、聞いたら、本当にもう一分でできることですよ。本人に川崎なる人物、写真とかも見せて。あるいは、WINカンパニー、実際、これ、企業型保育事業のコンサルをやっていた人なんですから、だから、それは、ああ、そういう人物と会いましたとか、あるいはそういう人物に会ってくれと副大臣に頼まれましたみたいな、仮にあれば、すぐにわかることですよ。捜査なんていう話じゃなくて、確認したらすぐわかることですので、すぐに確認して、少なくともきょうの午後、報告をしていただきたいと思います。お願いできないでしょうか。

藤原大臣政務官 できるだけ早く事務方に確認させたいと考えています。(発言する者あり)

盛山委員長 静粛にお願いします。(発言する者あり)御静粛にお願いします。

大西(健)委員 委員長、まず、今かなり協議をしていましたけれども、本当に、速記をとめていただかないと、私もたくさんほかにも質問を準備していたのに、私の質問の機会が奪われたことは本当に遺憾だと思いますので、委員長、ぜひしっかりとそれは公平な整理をしていただきたいと思いますし、今、小川理事の方からお話をいただきましたように、速やかに、内閣府、答弁すると言っていますけれども、速やかにということは、じゃ、いつですか。先ほど来言っていますように、これは御本人に確認していただければすぐにわかることであります。すぐにわかることでありますし、後ろめたいことがなければ堂々とお答えいただけることだと思いますので、速やかにというのはきょうじゅうということでよろしいか、そのことをもう一度御答弁願います。

藤原大臣政務官 できるだけ早くということで、今確認をさせておるところであります。

 もう一度繰り返しですが、本人が話したとしても、記憶違いであるとか、あるいはあやふやな点等がある、そういう意味で、複数名にしっかりとお話を聞いて、その上で責任のある答えをするということが第一であります。そういう中で、しっかり今確認をしているところでありますが、これは確認でき次第、速やかに報告を、確認をさせたいと考えています。

大西(健)委員 私、さっきも言いましたけれども、きのう、さっきも言ったように、もともと大臣に聞こうと思って、確認してくれとお願いしようと思ったら、さっきの大臣の答弁のように、今は確かに厚労省に戻っているけれども、内閣府のときのことだから自分のところでは答えられないと言ったから、内閣府がきっちり責任を持って答えるんだったら内閣府の答弁でいいよということで認めたのに、これじゃ通告の意味がないじゃないですか。

 その上、そのことの混乱によって、私は、ほかに用意していた質問、例えば、私の住んでいるところの隣の豊田市で、昨年の一月に、三つ子の母親が十一カ月の次男を床にたたきつけて殺してしまったという痛ましい事件、多胎児の育児支援の話とか、あるいは、来年のオリンピックに向けて風疹のワクチンをやると言っているけれども、これは全然進んでいない話とか、いろいろな話をまだまだ聞きたいんですよ。用意していたのに。

 これは、委員長がしっかり議事整理していただけないのは、私の質問時間も奪われてしまったし、何のための通告かわからないじゃないですか、これじゃ。何のための通告かわからない。

 だから、委員長、これは委員長の責任でもって、ちゃんと内閣府に、今言ったような、速やかにではなくて、ちゃんと期限を区切って委員会に報告するように整理していただけませんか、指示していただけませんか。

盛山委員長 内閣府に申し上げます。

 今の大西委員の御発言、しっかり受けとめて御答弁をしていただくようにお願いします。

大西(健)委員 あと、今私がこの間、もう五分以上は優にだと思いますけれども、速記をとめていただけなかった分で質疑時間を奪われてしまいましたので、用意していた質問ができませんでしたので、この分についても理事で協議していただいて、御配慮いただきたいと思いますけれども、委員長、いかがですか。

盛山委員長 そこにつきましては、昼の理事会で協議をさせていただきます。

 大西君、時間になっておりますので。

大西(健)委員 では、時間が終わっているということですので。

 さっきも言いましたけれども、本当に、多胎児、石川県立看護大学の大木教授によれば、不妊治療等の普及によって、三十年前に比べ、双子や三つ子が生まれる、こういう確率が高まっていると。そういう中で、多胎児の支援、来年度概算要求で初めて厚労省も施策を考えているということですけれども、こういった問題とか、あるいは風疹のワクチンも、ことしもう三人も先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれてしまっている、かわいそうなことが起きています。それから、オリンピックがもう一年に迫っているのに、リオのときのジカ熱みたいに日本への渡航禁止が各国に呼びかけられるなんということになったら、これはもう大変なことですよ。でも、全然これは、風疹のワクチンも予定どおり進んでいないんです。

 こういった話とか、まだまだ聞きたいことがたくさんありましたけれども、時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。

盛山委員長 次に、山井和則君。

山井委員 本当に委員長のひどい采配にびっくりしておりますが、私も、今二十九分ですので、当然私の持ち時間は十一時半まで、三十分質問させていただきますので、まさか、今の延びで私の質問時間が削られるということは当然あり得ない話ですので、そこはちゃんと委員長の責任で、十一時半まで質問時間を確保してもらいますようにお願いをいたします。当たり前のことであります、それは。

 そういうしっかりとした公正な判断をされないのであれば、閣法の審議もできないし、委員長の解任決議も私たち出させていただきますから。厚生労働委員会というのは、国民の命、健康、それをつかさどる非常に重要な重たい委員会でありまして、与党、野党、円満に今までから審議をしているわけですから、そういうふうなことを心がけていただきたいと思います。

 きょうは、三十分間、在職老齢年金の見直しに絞って私は質問をさせていただきたいと思います。

 この一カ月間、私の国会事務所の吉沢秘書と二人で、きょうの配付資料を一カ月ぐらいかかってつくらせていただきました。在職老齢年金というのが国民に対してどういう影響を与えるのかということをずっと、厚生労働省の担当者の方々とも何度も議論をして、きょうの配付資料をつくらせていただきました。

 そういう意味では、加藤大臣にも、きょうの配付資料の主な数字、全てきのうお渡ししております。担当課には一週間前からお渡ししております、大体の資料は。ですから、正々堂々と、この資料、間違っているところがあれば、私たちの試算で間違っているところがあれば、加藤大臣にも御指摘をいただきたいと思います。建設的に、エビデンス・ベースド・ポリシー、根拠とデータに基づいた審議を私たちは与野党を超えてやっていきたいと思います。

 ただ、結論から申し上げますと、今回、安倍政権が年金改革の目玉と見据えているこの在職老齢年金の廃止や見直しということに関しては、お金持ち優遇でありまして、私は大反対です。やめるべきだと思います。そういうお金持ちの年金をふやすことではなくて、逆に、本当に困っている低年金の方々の支援をどうするかということこそ最優先で考えるべきであると考えております。

 ついては、在職老齢年金の見直し、どんな制度なのかということを、まずお互い共通認識を持っていきたいと思います。

 きょう、財務省、来てくださっていますよね。そうしたら、まず配付資料の一ページ、これは十月九日に財務省が財政制度審議会で配付した資料であります。

 ここに、「在職老齢年金制度の見直し」ですね、「高齢期の就労を促進する観点から、在老の将来的な廃止も展望しつつ縮小を行うことが課題となっている。」特に六十五歳以上の高在老という部分について議論をしたいと思います。

 そこで、まず財務省にお聞きしたいんですけれども、この在職老齢年金制度の廃止や見直しをすると、高所得者の年金はどうなるのか、低中所得者の年金はどうなるのか。ここに書いてありますけれども、この三丸の「一方、」以下、高所得者への給付がどうなって、低所得者への年金水準がどうなるのか。財務省、御説明ください。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました財政制度等審議会の資料の記載でございますけれども、これは、本年八月に厚生労働省が公表いたしました公的年金の財政検証、これのオプション試算において、今御指摘のありました、在老を見直した場合に将来の所得代替率が下がる見通しが示されたことに基づきまして、それのイメージとして左の下をお示しをし、それに関しての記述を書いたものでございます。

 具体的な年金の影響額につきましては、この御指摘いただいた資料の右の下に、財政検証の数字どおりに将来の所得代替率の変化をここに記載しているということでございまして、財務省として特段の認識を示したわけではなくて、これは財政検証の結果を踏まえてここに記載をしているということでございます。

山井委員 財務省、読み上げてもらっても結構です。高所得者への給付を回復すると、低中所得者の給付はどうなるんですか。読み上げてください。

宇波政府参考人 ここの記載は、今、三つ目の丸ということでございますね。(山井委員「はい、読み上げてください」と呼ぶ)はい。

 「高所得者への給付を回復すると、低中所得者の給付水準は低下するため、高所得者優遇との批判が生じうることも踏まえて検討する必要がある。」というふうに記載しております。これの趣旨は、将来の所得代替率の低下ということを言っていることでございます。

山井委員 これは非常に重要です。在職老齢年金の廃止、見直しは、高所得者の年金はふえるが、一方、逆に低中所得者の年金は減るんです。これは非常に重要ですよ。これは逆じゃないですからね。高所得者の年金をふやすために、低中所得者の年金は減る。

 そうしたら、財務省、改めてお聞きします。

 この下に書いてあります。そうしたら、高所得者以外の年金額はどうなるんですか。書いてあるとおり読み上げてください。ここに書いてある、高所得者以外の年金はどうなりますか。ここに書いてあるとおり読み上げてください、四角の上。読み上げてもらったら結構です。この四角の上に高所得者以外の年金のことが書いてありますから、読み上げてください。どうなりますか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘は、この青い箱の上のところでございますね。高所得者以外の年金額は減少(世代内の公平の問題)ということでございます。

山井委員 つまり、高所得者の年金はふえます、在職老齢年金の廃止や見直しをすると。ところが、その財源を確保するために、それ以外の人の年金は減少する。

 財務省にお聞きしたいと思います。

 では、高所得者というのは、年金がふえる高所得者というのは大体何%ですか。ここに書いてありますけれども、念のため、大事なことなので言ってください。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 どのように見直すかということを今現在で検討中でございますので、見直しによる影響ということではなくて、委員の御指摘の、高在老によって今現在影響を受けている人数ということであれば、これは厚生労働省から発表しているとおりでございます。この資料の中に記載のとおり、今対象となっている方々は四十一万人というふうに私どもは認識しております。

山井委員 つまり、四十一万人、一%の人の年金は、下がるけれども、財務省、確認します。ということは、ここに書いてありますように、高所得者以外の年金額は減少ということは、約九九%の人の年金額は減少という理解でいいですか、この資料は。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、どのように見直すかというのは、これは、年金改革全体の中でさまざまな課題がある中で、全体で検討しているところでございます。

 今委員の御質問にありました四十一万人というのを受給権者総数を分母にして単純に割った場合には、ここに記載のとおりの一・五%というふうに認識しております。

山井委員 ということは、残り九九%の人の年金額は減少するということでよいですね。確認です。財務省。

宇波政府参考人 委員の御質問は、この見直しによってということ……(山井委員「そうそう」と呼ぶ)これは、見直しの具体的な中身はまだ検討中でございますので、それは……

山井委員 いやいや、違う、オプション試算の場合です。オプション試算の場合はどうなるか。この資料の説明を聞いているんですから。まだ見直しの結論が決まっていないのはわかっています。この財務省の資料の場合。

宇波政府参考人 高在老を完全に廃止した場合ということでございます。その場合には、一・五%を一〇〇パーから引いた数字でありますから、九八・五%ということかと思います。

山井委員 約九九%の人が年金が減る。この在職老齢年金の見直し、廃止の本質はこれなんです。

 一%の高所得者の年金をふやすために、九九%の低所得者、中所得者の年金を減らす。こういう改革というのは国民は喜ぶんでしょうかね。喜ぶんですかね。誰のための改革なんですかね、これは。ちょっとびっくりです。一%のお金持ちの方の年金をふやすために、九九%の中低所得者の年金を減らす。すごいことを検討しているんですね、今、政府・与党というのは。検討するだけでも私ちょっと驚きます。

 野党の発想ではよう検討しない。私たちが検討するんだったら、例えばクローバックとか、高所得の人をちょっと我慢してもらって低年金の人を応援するとか。そういうのを所得の再配分というんですよ。

 ところが、この在職老齢年金の廃止、見直しというのは、所得の逆再配分、貧しい人の年金を削ってお金持ちの年金をふやす。本当、世界じゅうないでしょうね、こういう改革の議論というのは。ちょっと想像を絶するものであります。

 そこで、確認したいんですけれども、財務省、改めてお聞きします。

 このオプション試算では、四十一万人の年金が今高在老でとまっているわけですから、これを廃止したら四十一万人の年金がふえるわけですよね。ちょっと聞いてくださいよ、質問をちゃんと。四十一万人。それで、年金の支給停止額が四千百億円、これを廃止したら四千百億円が払われるわけですけれども、ということは、一人当たり平均百万円が年間、年金が支給停止が解除されたらふえるという理解でいいですか。単純な割り算。四千百億割る四十一万人。一人当たり平均百万円がこのオプション試算によるとふえる、そういう機械的計算でいいですか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 委員、大変恐縮でございます。先ほど幾つか、私、数字をお答えしたのは、委員から提出のあった資料に基づいてお答えしましたが、恐らく、最新の財政検証のところで示された場合によると、先ほど一・五パーと申し上げたのは一・四パーに、四十一万人と申し上げたのは三十六万人というのが直近の財政検証の結果だと思います。大変失礼いたしました。訂正させていただきます。

 その上で、具体的に個々にどのような影響があるかというのは、私どもの方では数字は持ち合わせておりません。個々にどういう影響があるかということについては、恐縮でございますけれども、厚生労働省にお聞きいただければというふうに存じます。

山井委員 いや、これは答えにくいんですよね。一人年間百万円もふえちゃうんですよ、四十七万円以上の高所得者が。お金のある人たちの年金を年間百万ふやすために、ほかの人の年金をカットするんですね、これは。すごいことを考えますね、本当に。私は逆だと思いますけれどもね、普通は。普通の人の感覚でいうと。

 ところで、財務省、改めてお聞きしますが、このオプション試算では、これは加藤大臣にお聞きします、では。

 加藤大臣、そうしたら、このオプション試算をやったのは厚生労働省ですから、では、この配付資料の三ページの上、これは先日の財政再検証のオプション試算ですけれども、これによると、こういう制度を導入すると、マクロ経済スライドで百年間で調整するという前提にオプション試算はなっていますが、ということは、そのマクロ経済スライドの調整額が変わるなり、その時期が延長することによって、残り九九%の方の年金水準が低下するのは、この配付資料の、二〇二五年度に比例部分は、マクロ経済スライドが、ここですね、マクロ経済スライドが終了するということですから、二〇二五年あるいは二〇二六年からその影響が出て、年金水準が九九%ぐらいの方で低下するという理解でいいですか、オプション試算のとおりであれば。

加藤国務大臣 マクロ経済スライドによって調整をするということですから、当然、その調整期間が場合によっては長くなるし、今回の場合には、要するに全額じゃない場合は二〇二五年度、全額やる場合は二〇二六年度にずれ込むということによって、そのとき働いている実質所得に対する代替率が変化をしていく。

 ただ、委員も御承知だと思いますけれども、マクロ経済スライドそのものは名目を下げるわけではありませんので、名目の額は下がるわけではないということと、もしお時間をいただければ、その部分について議論をさせていただきたいと思います。

山井委員 その議論はあえてしません。というのは、この在老を導入した場合と導入しない場合とで額が下がるということが一番重要ですので。

 つまり、今お認めになったように、この在老の廃止や見直し、例えば六十二万円まで上限を上げると、二〇二五年か二〇二六年から九九%の方の年金水準は低下する。ただ、あえて言いますと、加藤大臣おっしゃるように、伸びるやつの伸び率が下がるということでもあるかもしれませんけれども、とにかく、この見直しをしなかったときよりも年金額が下がるということであります。

 それで、加藤大臣、念のためお聞きしますが、マクロ経済スライド調整でこの二千億なり四千億を調整していくということは、今の高齢者だけじゃなくて、将来の若者世代の年金も、高在老の対象者以外では、給付水準は、この高在老廃止や見直しをしないときよりも給付水準は低下するという理解でいいですね。今の高齢者だけじゃなくて、将来の若者世代も一緒の影響を受けるということでいいですね。

加藤国務大臣 当然、将来も含めてそれが影響していくということでありますが、当然、将来の姿はいろいろ変わってくるところは当然あるわけであります。

山井委員 いや、これは私も驚きます。つまり、今回、裕福な方の年金を年百万ふやす。廃止をやったら、今の世代だけの問題じゃないんですよ、今の若者、将来の年金世代の九九%の人の年金も減るんですからね。政府・与党はしっかり聞いてくださいよ。今の議論だけじゃないですよ。百年後の、今の若者、今の赤ちゃんの年金まで今の判断で減らすということですからね。高所得者の年金をふやすために、今の若者、今の赤ちゃんの九九%の年金を減らす。こんな改革、本当にやるんですか。

 具体的に、私たち、試算をしてみました。どういう試算かといいますと、先ほど財務省から話があったように、もし廃止をしたら〇・四%所得代替率が下がります。ということで、ここですね、二〇二四年の三十六・七万円、モデル世帯、これの〇・四%所得代替率が下がると、ここに書きました、高在老を廃止しなかったときに比べて、三十六・七掛けるマイナス〇・四で、月に千五百円、年間一万八千円、所得代替率的には高在老を廃止しなかったときに比べて年金が減る。

 一方では百万円ふえる、九九%の人は年一万八千円年金水準が下がる。加藤大臣、こういう理解でいいですね。

加藤国務大臣 計算すればそういう数字が出てくるということは承知を。

 ただ、議員、そもそも論を少し議論させていただかないと、せっかくの機会なので、ぜひそういう御質問もいただければと思います。

山井委員 いや、限られた時間なんですよ。だから肝の部分だけ議論します。

 つまり、一万八千円、モデル世帯で下がります。ところが、これはしょせんモデル世帯ですから、平均すると幾らになるかということを計算したら、こちらになります。つまり、百万円、一%の人がふえて、そのかわり、減る側は約二千七百万人ですから、単純に割れば、一人当たり、モデル世帯では一万八千円給付水準は下がるけれども、単純に機械的に割れば、一万五千円下がる。

 加藤大臣、ここは大事な議論なんです。モデル世帯というのはちょっとフィクションの部分もありますから、機械的に割ると、二千七百万人ぐらいの厚生年金受給者の、四千百億円マイナスになるということは、一年間で収支をプラスマイナスで成り立たせるという形でやると、機械的に計算すると約一万五千円年金水準が下がるという理解でいいですね。

加藤国務大臣 一年間で収支がといっても、これは百年見ながらマクロ経済スライドをかけていくので、さっき冒頭あるように、マクロ経済スライドをかけた結果、マクロ経済の調整が延びて、結果的に代替率が下がるというのはそのとおりなんですが、委員おっしゃった一年間という趣旨がちょっとよくわからないんですけれども。

山井委員 当たり前じゃないですか。結局、最初で減らさなかったら、後でたくさん減らさないとだめなわけだから、平均のイメージをとろうとするのは当然です。これは頭割りすると、機械的には一万五千円になります。

 それで、ここ、私たち、つくってみました。つまり、廃止をすると、一%の人は一人年間百万円プラス、おおよそですよ。一方、九九%の低中年金の厚生年金の受給者は、二千七百万人が一万五千円マイナスになる。

 そこで、さすがに廃止は野党も大反対しているということで、六十二万円に引き上げるぐらいにしようかという議論が出てきました。

 しかし、本質は一緒なんです。一%の人が五十四万上がるかわりに、二千七百万人が年間約八千円マイナスになる。一緒じゃないですか、二千億に財源が変わっても。おまけに、新聞報道によりますと、この六十二万円でも、野党からの反対意見、国民からの反発が、得られないから、近々五十万円台が出されると、年金部会に。そういううわさもあります。

 五十万円台にしたら、一応五十五万としました、仮に。そうしたら、これはもう単純な機械的計算ですから、加藤大臣、ぜひ御理解ください、機械的計算ですから。私たちは、賛成も反対も、別に色をつけて数字はさわっていません。単純計算では、五十五万円にして一千億の財源が必要になるとしたら、年間、一%の高所得の人は二十四万円プラスになりますけれども、二千七百万人の方々、若者も含めて、年間四千円の年金がカットされることになります。

 ここで加藤大臣に考えていただきたいんですけれども、四十七万円以上の人、あるいは六十二万円以上の人といったら、かなりの高所得者、会社の役員の方々ですよ、一%ですから。そういう本当に例外的に、日本の社会で一%ですからね、例外ですよ。そういう例外な方々の年金を上げるために、若者も含めて九九%の、低年金者も含めてその年金を削って財源に充てるって、おかしくないですか。

 もっと言いましょう。それは、高齢者の就業促進とおっしゃるのでしょう、それは否定しません。でも、高所得者の支援をするのであれば、高所得者の課税とか、そういう高所得者から財源を取ってやるんだったら私は文句を言いません。でも、何で、本当に低年金で苦しんでいる方々までも年金を削って、何で高所得の方々の年金をふやさないとだめなんですか。理屈が立たないじゃないですか。

 だから、私は、加藤大臣、まずそこでお伺いします。

 きょうの配付資料にあります骨太の中で、十ページ、廃止や見直しを展望するということが書いてあります。骨太方針で廃止も検討すると書いてあるんですよ。加藤大臣、こういうことの廃止を検討するというのは当然もうあり得ないと思いますよ。四千億、年間減ります。十年間で四兆円です。百年間で四十兆円です。消えた年金で二兆円ですからね。あれだけ大騒動になった消えた年金は二兆円。でも、これをやったら、廃止をしたら、十年間で四兆円年金は減ります。この在老の見直しは、私は令和のグリーンピアだと思いますよ。あのグリーンピアでさえ二千億ですからね、二千億。でも、これは一年間で四千億、十年間で一般庶民の年金が四兆円減るんですよ。

 まず確認します。廃止はもう検討すらしないでください。おかしい、これは。廃止の検討はもうやめるということを明言してください。

加藤国務大臣 まず、さっきの財務省の示した表は、確かに今と比べればそうですけれども、本来、保険というのは、あるいは年金制度は、保険料に応じて支給される、支給されるところを、その人が働いているから減額をするというのが今の在老の仕組みですから、本来のあるべき姿という形で四角形をつくれば、高齢者の分を減らした分をそれ以外の人にふやしているというのが今の実態だということであります。

 それから、たまたま勤労所得で入れば減らされるけれども、不動産所得を持っている人たち、そういう人たちは全く勘案されていない。また、賃金についても、これは、先ほど話がありましたけれども、社保料等も税金も含めた上でもう一回下げられ、しかも五〇%下げられていく。こういうことは所得税においても相当高い所得の人にしか対応していない限界税率でありますから、そういったことも含めて議論していく必要があるのではないか。

 ただ、今委員御指摘のように、保険の中だけで、年金の中でやろうとしているというところにも一つの問題があるのかもしれません。年金課税そのものも含めて議論をしていくという広いビジョンを持っていく必要は私はあると思いますけれども、そういった意味においては、やはり今の仕組みというものの問題点をしっかり踏まえながら議論していくということは当然なんだろうと思います。

山井委員 廃止は断念するんですかと聞いているわけですよ。年間四千億、十年間で四兆円。九九%の低年金者、中年金者の年金を減らす。この高在老、在職老齢年金の廃止はもう検討すらやめてくれ、検討すらやるべきじゃないということなんです。お答えください。

加藤国務大臣 今、先ほど私の問題意識は申し上げさせていただきました。そういったことも含めて今議論をさせていただいているわけですから、これは厚労省の中の審議会でも議論しております。また、今、全世代型社会保障の検討会議においても当然議論されることだろうと思います。そういった議論を踏まえて最終的には決定していきたいと思います。

山井委員 驚くべき答弁ですね。

 ここまで言っても、まだ、一%の高所得者の年金をふやすために、年間四千億、十年間で四兆円の年金を削る案を検討をやめない。いや、私は本当にもう考えられないと思います。

 だから私たちは、社会保障調査会という会合で一カ月かかって、どういう影響がみんなにあるのかということを機械的計算を出しているんですよ。本来、こういう計算は厚生労働省こそ出すべきじゃないんですか。

 ぜひ次回の委員会までにこういう試算を出していただきたいと思います。大まかで結構です。それで、問題点があるならばぜひ御指摘いただきたいと思います。

 委員長、ぜひ、この高在老の廃止、見直しにかかわって、年金はどれぐらい額として減るのか、対象人数は幾らか、この表に準ずるデータを理事会に出していただきたいと思います。委員長、お願いします。

盛山委員長 理事会で協議いたします。

山井委員 これは、もう決めてしまいましたでは済みませんよ。ですから、繰り返し言います。たとえこれが五十五万円への引上げになっても、一千億の年金財源が傷みます。それによって九九%の方々の年金が、年に八千円、十年間で八万円削られるわけです。今の若者世代も削られる。そして、高額所得者、高所得者の年金が、年間約五十万円程度。繰り返し言いますが、別にこれが一字一句正しいとは言いません。でも、この傾向は、機械的計算でいうとこういうことになるわけです。

 これはやはり、繰り返し言いますけれども、今私たちが年金改革で議論しないとだめなのは、低年金者、このままいくと生活保護の方がどんどんどんどんふえていかざるを得ないんです、その低年金者をどうやって救済するかということこそ年金改革の一番重要な議論ではないかと思います。

 きょうの配付資料の中でも入れさせてもらいましたが、私たちも今、社会保障調査会の中で、十一ページにありますように、このパートの適用拡大をもう大規模にやるべきじゃないか。またあるいは、民主党政権のときに提案をしました十二ページのクローバック。考え方は逆です。高所得者に対して年金を減らして低所得者に支援するということをやっていきたいと思います。

 改めまして、最後、質問しますが、五十五万円への引上げでもあり、方向性が逆です。金持ち優遇はやめてください。高所得者の年金をふやすために九九%の低中所得者の年金を減らすような年金改革法案が出てくるんだったら、体を張って阻止します。一年間一千億円でも、十年間で一兆円年金を減らすことになります。この在老の見直しはやめてください。やめてください。加藤大臣、答弁を求めます。

加藤国務大臣 先ほどと同じ答弁になって恐縮ですけれども、委員御指摘のように、高額あるいは高所得者を優遇するという御意見ももちろんあります。それから、先ほど私もいろいろ、本来の在職老齢年金制度に対する課題も申し上げました。それらも含めてそれぞれの検討の場においてしっかり議論をいただいて、それを踏まえて対応していきたいというふうに思います。

山井委員 締めくくらせていただきますが、改革の方向が逆だと言っているんですよ。検討することすらおかしいと言っているんですよ。検討するんだったら、高所得者の年金を我慢してもらって、低年金の人をどう救うかを議論しましょうよ。それが政治じゃないですか。低年金者の年金を削って高所得者の年金をふやす議論は、検討すらやめてください。これが私の意見です。

 以上、終わります。

盛山委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 立国社の初鹿です。

 少し空気を変えて質問させていただきたいと思います。

 大臣、きょうは十月三十日ですが、あす三十一日は何の日だかわかりますよね。ハロウイーンなんですよね。

 きょうは、まず最初に、お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、ハロウイーンになると、皆さん仮装をしたり顔にペイントをしたりということで町に出ていく人が多くなりますけれども、タトゥーシールとフェースペイントについて質問をさせていただきます。

 今、皆さんのお手元に資料をお配りさせていただいていますが、九月の十八日に消費者庁が注意喚起を行っているんですね。ハロウイーンと、あと、ラグビーのワールドカップがあったので、スポーツ観戦の際にも顔に国旗をフェースペイントしたりして応援をするような方がいます。そういう方々に対して、このタトゥーシールやフェースペイント、ボディーペイントなどで、皮膚に、かぶれたりとか、そういう健康被害が出るんだということの注意喚起です。

 皆さん、これを見ていただくと、結構びっくりするようなことも書いてあるんですが、全文はつけていないんですけれども、ここに書いてあるとおり、日本はタトゥーシールなどに安全性や品質等についての明確な法規制や基準がありません。ですので、例えば成分の表示なども書いていないんですよ。

 この注意喚起を見ていくと、結構驚くことが書いてあるんですが、皆さんも知っている有害物質のホルムアルデヒド、これは商品テストをしたら、一部の商品の中から、タトゥーシールでテストしたうちの三銘柄、フェースペイントで一銘柄でホルムアルデヒドが検出された。そういうものを顔に塗っていたということですよね。

 また、金属の方は、アレルギーの陽性性が高い金属としては金、ニッケル、水銀、クロム及びコバルトが知られていますが、二銘柄でクロム、九銘柄でコバルトが含まれていました。そして、これらの製品は金属が含まれている旨の表示がありませんでしたということなんですね。

 こういう状況を受けて、厚生労働省にお願いをさせていただきますが、ここにも書いてありますけれども、EUやアメリカ、オーストラリアでは一定の基準を設けているわけです。化粧品と同じように顔に塗るものですから、化粧品に準じたような規制基準を設けているということであります。我が国もぜひ同じような基準を設けていただけないか、この検討に入っていただけないかということをお願いしたいと思います。

 来年は、御存じのとおり、オリンピック、パラリンピックが真夏に開催をされる予定です。どうなるのかわかりませんけれどもね、札幌に行くとか行かないとかそういう話もありますが。いずれにしても、非常に暑い、酷暑の中でオリンピックが開催されて、そこにフェースペイントなどをして応援に行かれると、日光の影響などを考えても、結構な健康被害が出る可能性はあるんじゃないかと思います。

 そのときに、例えばアレルギーの体質を持っている人が、アレルギーの物質が入っているかどうかを確認しようにも、成分の表示もないんじゃ確認しようもない、消費者の選択もできないということになりますから、ぜひEU並みの基準を設けるような、そういう検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今委員御指摘のあったフェースペイントなどは、意匠やキャラクターなど、そのデザイン等を楽しむことを目的として使用される場合が多いというふうに承知をしております。

 医薬品医療機器等法には化粧品というものの定義がありますが、現行においてはこの化粧品には該当しないということで、この規制の対象になっていないのが今の現状であります。

 ただ、今委員御指摘のように、さまざまなそうした被害があり、それを踏まえて、今般、消費者庁がこうしたいわば注意喚起を行ったということでありますから、これをしっかり、使われる方にもまず理解をしていただかなきゃいけない。

 その上で、今後の対応ということでありますけれども、やはり、健康被害の事例等をしっかり我々も把握しながら、また、委員も御指摘があった、EU、米国等がどういう体系を持っている中でどう規制をしているのかということも含めて、消費者庁等関係省庁と連携しながら、厚労省は厚労省としても検討していきたいというふうに思っています。

初鹿委員 ありがとうございます。ぜひ、しっかり検討をして、来年の夏に間に合うように一定の基準をつくっていただきたいということをお願いさせていただきます。

 次に、一枚めくっていただいて、京王線で今、三車両だけこういう車内広告がついているんですね。ちょっと、なかなか車内全体の写真を撮る勇気がなくて中づり広告だけなんですけれども、これは、実は中づり広告全部と、あと網棚の上の広告も全部、窓のところの広告も全部、「こころ、カラー、たのしもう。」という、色が五種類ぐらいあるのかな、そういう広告で埋め尽くされております。これはJRAの広告なんですよね。

 大臣は、今回の所信表明の中で、依存症対策をしっかりやるという旨の発言をし、その中で、特にといってギャンブル依存症対策について触れられているわけですよね。国としてギャンブル依存症対策を進めようと言っている中で、国の機関ですよね、JRAというのは。そこが車内全面広告を出して、競馬に行きましょうということをいまだにやっているというのは、私はいかがなものかなと思うわけですよ。

 今回、農水省が来ておりますが、この車内広告で幾ら予算を使っているんですか。

渡邊(毅)政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の広告につきましては、日本中央競馬会が京王電鉄で、先生御指摘のとおり、三編成の車両で広告を貸切りにして、本年十月から実施しているというふうに聞いてございます。

 その費用につきましては、約二千二百万円という報告を受けている次第でございます。

初鹿委員 二千二百万円も使ってこんな広告を出すくらいだったら、依存症対策に少しはお金を使っていただきたいなと思うわけですよ。

 これは、年末になると有馬記念があって、去年もそうでしたけれども、有馬記念になると、渋谷の駅なんか柱から壁から全部、有馬記念の広告になっていたわけですよ。まさかことしはやらないですよねということはまず忠告をしておきたいというのと、そういう広告の出し方について、加藤大臣、ギャンブル依存症含めて依存症対策を担う担当の大臣としてどう考えますかということと、やはりこれはやめさせるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、ギャンブル依存症に対して国を挙げて、政府を挙げて対応していこうということで、本年四月にギャンブル等依存症対策推進基本計画を策定し、基本計画に基づき、それぞれの分野において関係省庁が適切に取り組むということで、今御指摘の点については農水省の担当ということで担当が分けられているというふうに承知をしております。

 私どもとしては、依存症についての正しい知識の普及啓発、また相談・治療体制の整備、依存症対策に取り組む民間団体への支援など、しっかりと実施をしていきたいと思っておりますし、また、農水省は農水省におかれて、この計画を踏まえて対応されていくものというふうに承知をしております。

初鹿委員 大臣、治療や、また普及啓発というところが大臣の所管なんだろうとは思いますけれども、やはり政府全体として、閣僚が、こういうものは広告からきちんと規制をする、そういうことを発信していただきたいというふうに思います。

 農水省も、年末の有馬記念でどういう広告を出すかということを私も注視しておりますので、まさか駅全体をラッピングするような、そういうことがないように対応していただきますようお願いをさせていただきます。

 では、次の話題に行きます。

 次、もう一枚めくっていただいて、新聞記事、ぜひ皆さん見てください。これは非常に驚くべきことが起こっております。

 何が驚くべきことかというと、麻薬取締官が、元KAT―TUNの田口さんという方が大麻取締法で逮捕された、そのときの捜査動画をテレビ制作会社に渡していたということがあったということです。これは事実だとしたら非常に問題だと思うんですね。事実なんですよ。これは事実だから、裁判の期日が延期になった、予定していた日を飛ばすことになったという記事であります。

 この件については、もう厚生労働省の中で麻薬取締部監察官室が調査を始めているということでありますが、まず加藤大臣に確認をしたいのは、この麻薬取締官がテレビ制作会社に捜査のために撮った動画を渡していたということは事実であるのかということと、これに対して、大臣としてどう考えているのかということをお聞かせください。

加藤国務大臣 今御指摘の件は、関東信越厚生局麻薬取締部が被告人宅の強制捜査を実施した際に、適正手続の担保及び証拠保全を図る目的で撮影した映像を、薬物乱用防止に関する広報啓発に使用するためマスコミ関係者へ提供した、このことは事実でございます。

 そして、その結果において、これは公判の中で検察側からお話があった話でありますけれども、公判期日が延期したということ、それらも含めて、大変遺憾だというふうに考えております。

 今件については、今委員からもお話がありましたけれども、厚生労働省本省に設置されている麻薬取締部監察官室において事実関係を調査し、その結果を踏まえて厳正に対応していきたいと思っております。

初鹿委員 ちょっと大臣、多分役所の方が答弁を書いているんですけれども、広報啓発のために動画を渡したと。テレビ局に広報啓発のために、捜査をして、それこそ逮捕をして手錠をかける動画を渡すものなんですか。これが広報啓発だからいいという判断をされるんですか。よくないと思いますよ、私は。どうですか。

加藤国務大臣 過去において、やはりこうした啓発活動において、リアリティーというんでしょうか、そういったものを込めるためにそうした映像の提供が行われていたということは承知をしておりますが、本件はまだ係争中といいますか、裁判をしている最中でありますから、そういった意味においても問題があったということで、今調査をしているということであります。

初鹿委員 これは過去にも提供していたことがあるんですよね。中には、提供した動画だと思われるものが既にテレビで放映されていることもある、それは事実ですよね。

樽見政府参考人 過去に、提供したと思われる動画について放送された事実があるということは事実でございます。

初鹿委員 その方も芸能人ですよね。

樽見政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

初鹿委員 だから、広報啓発のためじゃなくて、結局、テレビのワイドショーとかで使える動画だから制作会社は受け取っているわけですよね、欲しかったわけですよね。そういうテレビ制作会社のまさに金もうけのためですよ、ある意味。そこに厚生労働省が捜査で得た動画を提供するなんということは、絶対に私はあってはならないと思いますよ。

 これは、本当に徹底的に調査をして、どういう経緯で動画を渡すようになったのか、そして、渡すことに対して何らかの便宜供与などが行われていないのか、そして、これが、特定の人物が行っただけなのか、それとも組織的に行われていたのか、それを徹底的に調べる必要があると思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今委員御指摘の点も含めて、まず調査をしっかりさせていただいた上で、厳正に対応していきたいと思っています。

初鹿委員 その上で指摘させていただきますが、現在、麻薬取締部の監察官室という、内部の調査ですよね。これまで、この間、統計不正の問題だったり、また、障害者の水増し雇用の問題だったり、いろいろな問題が出て、内部で調査をして、その調査報告書が出てきて、それを我々が見ると、どうも、やはり身内の調査で、調査が甘いと言わざるを得ないようなものが続いているわけです。

 そういうことから考えてみると、厚生労働省の内部での調査で本当にいいのか。これは結構私は大きな問題だと思いますよ。捜査に携わっていた人がその捜査情報を渡しているわけですから、それこそプライバシーの侵害でもあるし、国家公務員法の守秘義務違反にも当たる問題ですよ。これを、内部だけではなくて、やはり第三者委員会なりをつくって、第三者による調査を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 私ども、先ほど来話がありましたように、医薬・生活衛生局内に麻薬取締部監察官室というものを設置しているということでございまして、地方厚生局あるいは地方厚生支局の麻薬取締部が司法警察員として行う職務に関する監察業務というのを行っているわけでございます。

 この監察業務ということになりますけれども、本省の監察官室ということで、そこで、捜査経験のある本省の職員、それから弁護士の資格を有する職員、そうした専門性の高い職員で構成をしているということでございまして、また、麻薬取締部は地方厚生局、地方厚生支局に置かれているわけでございますけれども、これは本省でございまして、そういう意味で、実際の捜査、今回の問題も含めまして、それとは距離のある本省職員が行うということになっておりますので、この監察官室において調査を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

初鹿委員 私は、第三者を入れた調査をする必要があると思いますよ。

 ただ、今調査を始めているということですから、まずはこの調査をしっかり行って、そして、ほかにもないのかと、ほかの厚生局も含めて、きちんと事実関係を明らかにしていただきたいと思います。

 では、次の質問に移ります。

 もう一枚資料をめくっていただいて、六ページを見ていただきたいと思います。これは、インターネット署名サイトのチェンジオルグというところで署名を集めていた、そのページです。

 たまたま私のところにメールが来て、賛同してくださいというメールが来まして、読んだところ、予防接種のワクチンに関連することなんですけれども、御存じの方もいると思いますが、骨髄移植などを行うと、今までワクチンを接種していてもその免疫がなくなってしまって、もう一回再接種をしなければならなくなる、そういう子供たちがたくさんいるわけですね。その子たちが、じゃ、再接種しようかということになると、もう定期接種の対象ではないということで、自費で打たなければならなくなるわけですね。

 昨日、担当の方に確認したら、今、全部の予防接種を打つと、二回接種だとか三回接種のものもあるから、三十回ぐらい打つそうなんですね。それで、全部自己負担となると二十万近くかかってしまう。これは非常に大きいですよね。地方自治体によっては助成制度を設けているところがある、しかし、それは非常に限られているために、住んでいる地域によって全額自己負担になるという非常に大変な状況になっている。

 それで、これは全国関係なく、住んでいるところに関係なく、全ての子供たちがワクチンの再接種ができるように国としての制度を設けてくださいという署名なんですね。

 これを見まして、私も、この発信者である、五歳のお子さん、骨髄移植をしたお子さんのお母さん、お父さんに会って話を聞いてきました。いろいろお話を聞いていて、やはり大変なんですよね、本当に。日ごろから病院の治療もあるし、体調もすぐれないこともあるし、接種をするにしても本人の体調との兼ね合いもある、それはなかなか大変だということなんです。

 実は、この問題について、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会の予防接種基本方針部会で、一年弱前、十二月ですか、議論がされていて、そこで資料が出ているんですけれども、一ページめくっていただくと、助成事業をやっている自治体とそうじゃない自治体、助成事業をやっているのは八十九自治体、全体の五%しかない。では、やっていない自治体で、今後やる予定はあるかということを見ても、八一%はやる予定がないということなんですよね。やはり、やるというところは非常に限定的になってしまっているという残念な状況であります。

 そしてまた、やっている自治体においても、いろいろな条件があるんですよ。例えば、治療が終了してから二年間の縛りがあるような自治体もあります。二年だと、三十回の予防接種を打つとなると、本人の体調が悪いときとかもあるので、二年で打ち切れない場合も出てくるわけで、やはり期間をなくしてほしいというのがこのお父さん、お母さんたちの要望の一つでもありました。

 また、子供だけじゃないですよね。大人になって骨髄移植をした場合も、これは免疫がなくなってしまうわけですから、やはり改めて予防接種を接種する必要が出てくるわけです。

 例えば、私が今住んでいるのは江戸川区ですけれども、江戸川区だと、皆さんも御存じのとおり、池江璃花子選手が住んでいるところですが、江戸川区は助成制度はありません。だから、彼女が骨髄移植をして、そして再接種しようとなると、二十万円の負担をしなければならない。これぐらいは、少しは国で助成してあげてもいいんじゃないかなと、皆さん、思いませんか。

 ですので、まず国として、ぜひ、骨髄移植などで免疫がなくなってしまって予防接種の再接種が必要になった人たちに対する助成制度を検討してもらえないか。それも、年齢とか期間とかそういう制約なく、打ちたいという人にきちんと全部打てるようにしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘のように、骨髄移植等の医療行為によって免疫を失った場合に、予防接種を再接種しようとしても、予防接種法に基づく定期接種には該当しないというのが今の扱いになっております。

 これについては、先ほどお話がありましたように、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針分科会で議論をさせていただき、さっきの各市町村の実態把握、あるいは、それをする、すべきである、あるいは、する場合においてどういう課題があるのか、問題点があるのかということの整理もなされていたところではありますけれども、引き続き、そうした論点を含めて、予防接種施策全体、何のために予防接種をしているかというのがそもそもあるわけでありますから、そういった理念も含めながら、今言ったそうした事情をどう勘案していくのか、そういった観点も含めて検討を進めていきたいと思っております。

初鹿委員 ぜひ、本人が感染するかだけの問題じゃないですからね、予防接種というのは。集団防疫という考えでいけば、やはり打っていない人たちをできる限り少なくさせていく。

 特に、大人の場合は、子供さんが打っていなかったら、自分がかかったら子供に感染させてしまう可能性もあるわけですから、そういう親になる可能性のある人たちはやはりきちんと打っておく必要があると思いますので、ぜひ前向きに進めていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

 そして、打っていないという人でいうと、こういう骨髄移植だとかそういう治療によって免疫がなくなった人ばかりじゃなく、そもそも子供のときに打っていなかったという人も世の中にはいるわけですよ。例えば、親が反ワクチンで、それで打っていなかった。大人になって、海外に旅行に行こうかなとかいったときに、打っていないと行けませんよということになって、打たなきゃいけない。よくよく調べてみたら、三十も実は打つ必要があって二十万もかかる、これはびっくりしますよね。

 あと、先ほど子宮頸がんワクチンの質問が出ていましたが、現在、定期接種でありながら、自治体からもう接種票などが送られなくなっているわけで、そもそも定期接種なのかどうかもわからないまま大人になっちゃって、打っていなかったという人も出てくるわけです。こういう人たちに対しても、私は何らかの対応をする必要があるんじゃないかと思います。

 先ほどの、骨髄移植で本当にやむなくなったということから考えると、一定、自分たちにも責任があるんじゃないか、そこに支援するのかという指摘もあるかもしれませんが、子供のころに打つべきものでありますから、本人に自己責任を負わせるにはちょっとつらいかなというように思いますので、こういう打ち損なってしまった人に対しての助成制度なども私は検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘の、幼少時に接種を受けなかった方に対して成人後の接種費用をどう助成するかというお話なんだと思いますけれども、そもそも、ワクチンの中には、どの時期に接種すべきかというものもあるわけでありますから、やはりその時期にしっかりやっていただく。また逆に、後でもただで、例えば無料で打てるということになると、本来あるべき時期にしていただくという機運がどうなるのかという課題もあるのではないかなというふうに思いますので、私どもとしては、引き続き、しっかり予防接種をしていただけるような環境をつくっていくことにまずは注力をしていきたいと思います。

初鹿委員 済みません、もう時間になってしまったのでやめますけれども、ことしは、はしかももう七百例を超えるぐらいに流行していて、風疹もとまっておりません。もう明らかな理由がわかっていて、やはり一定世代が、打っていない世代がいて、その人たちがかかって広まっているということがあるわけですから、やはり予防接種を打っていない人たちをできる限り少なくしていくということは私は非常に重要なことだと思いますので、ぜひ前向きに検討いただきますようお願いをして、質問を終わらせていただきます。

盛山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

盛山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日、午後の一番手を務めさせていただきます。

 まず、加藤大臣には、さきに二〇一七年の十一月から一八年の十月までの間、厚生労働大臣をお務めになられ、このたびのまた御就任、大変役割が期待されるところと思いますので、課題も山積しておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 私の本日の質問は、御遺骨の収集に絞って御質問させていただきます。

 そして、この質問をするに当たり、冒頭申し上げました加藤大臣に期待するところ大いに大でございますので、ぜひ前向きな、そして抜本的に御遺骨の収集体制を変えていくような御答弁を期待申し上げます。

 まず一番目の質問ですが、そもそも戦没者の御遺骨の収集事業の目的は何であるか、また、やるべきこと、やってはならないこと、これについては大臣はどうお考えであるかをお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、遺骨収集、これはまさに国が行うべき責務でありますし、今そのことは戦没者の遺骨収集の推進に関する法律にも明記をされております。

 その中で、今私どもがこうして豊かな生活をできているということ、まさに我が国が平和で繁栄した国家であるということ、それに当たっては、国また国民、その御家族のためにかけがえのない命をささげられた、そうした皆さんのとうとい犠牲の上に成り立っている、そういった観点からも、この遺骨収集、本来であれば一日も早くこの日本に、そして御遺族のもとにお届けをしなければならない、こういう思いで取り組んでいきたいと思っております。

阿部委員 その思いは、さきの立法化に当たって多くの国会議員が共有したものでございますし、御遺骨の収集の推進を図る法律という形ででき上がったものが、今日、私たちにも法としてあるわけです。

 私が今お尋ねしたのは、やってはいけないことは何かということでございます。誰もがやはり、戦没された方の一日も早い御帰還、それもできれば御家族のもとにお返ししたいという思いで皆取り組んでおりますが、その一方で、戦後七十四年もたちましたし、今起きていることは、最もやってはならないことをやってしまったことではないかと。ですから、私はあえて、やってはいけないことがある、それは何とお考えですかと大臣にお尋ねします。

加藤国務大臣 遺骨収集を行うに当たっては、まさに遺骨収集がどういうものなのか、そして御遺族がどういう思いで遺骨というものに向き合っておられるのか、あるいは、遺族会を始めとして御遺族の方々自身がその場に赴いて、必ずしも気象条件が余りよくない中でも、本当にお力、御努力をいただいている。そういった意味において、一日も早く御遺骨を日本の家族に戻すという意味においては、まさに日本の方の遺骨を、そしてその遺骨をその御家族に返すというのが、これが基本でありますから、間違っても日本人でない方の御遺骨を収集したりということ、また、その中において本来そうした一連の事業に支障を起こすというようなことは、これはあってはならないというふうに思います。

阿部委員 この間大臣も、予算委員会、あるいは本日も何人かの委員が質問されましたが、既に御答弁でありますが、やってはならないこと、起こってはならないことがこの遺骨収集の中で起こっておるという前提の中で、どう改善、改革していくべきかだと思います。

 皆様のお手元に、資料一枚目。大きな問題として取り上げられました、ロシアのザバイカル地方における十六人の御遺体の、これは本来日本人ではないであろう可能性が高いということが平成三十年の六月に指摘されて、平成三十年の八月、鑑定の結果、日本人ではない可能性が高いと指摘された御遺骨の一連の経過を記したものでございます。

 私がさきに大臣の先回の御就任期間を申し上げましたが、この事案は、まさに大臣が御就任のときに起きてございます。このほかにも、実は、イルクーツク州からの七十人あるいはクラスノヤルスク地方からの四十五人についても、いずれも、平成二十九年の十二月、平成三十年の三月と、大臣の御就任中であります。大臣はとても正直な方ですから、先ほど大西さんからの御質問に自分の就任中もあったというふうに御答弁でありましたので、そのことは御自覚があるんだなと思いましたが。

 私が伺いたいのは、この平成二十九年の十二月、平成三十年の三月、あるいは今お手元にございます平成三十年の八月の鑑定人会議というものには、厚生労働省の遺骨収集事業にかかわる事業課長と事業推進室長のお二人が厚労省から出ておられます。鑑定人会議に厚労省から事業課長あるいは事業推進室長が御出席で、その場で御遺骨が日本人のものではない可能性を指摘されております。

 二十九年の十二月、三十年の三月、三十年の八月、これを受けた事業推進室長あるいは事業課長は加藤厚労大臣には一言も、もう三回もあるわけです。二度あることは三度あるではありませんが、三回重なっております。一言も御連絡がなかったでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘の鑑定会議は、課長、室長が出席しているだけではなくて、そもそも厚労省が主催をしている会議であります。その場においてそうした、日本人の遺骨ではない、あるいは遺骨ではない可能性があるということが、その場でそれぞれまさに有識者の方から発言、鑑定をされた方から発言があるわけでありますから、本来であれば、そのことがまさに社会援護局の幹部に上がり、またそれぞれの政府のところに報告がなされるというのは本来の姿でありますし、まさに遺骨収集において、先ほど申し上げたように、あってはならない。これは、遺骨収集事業は御承知のとおり相手国との連携で進むわけでありますから、相手国との連携を、あるいは信頼関係を崩すということにもなりかねない、そうした事態であります。

 したがって、そうしたことが、しかも幾度に渡って今申し上げたような情報の連絡が行われていなかったということは、当時私も最高責任者として重く反省をしていかなければならないというふうに思いますし、また、今その辺の一連の事情に関しては有識者の会議をつくって議論をしていただいておりますので、その結果を見て、しっかりとした対応をとっていきたいというふうに思います。

阿部委員 私は、有識者の会議に投げるのではなくて、まず大臣が行政の束ねでいらっしゃいます、なぜ自分のところに言ってこなかったんだと。理由があるはずです、この方たちが大臣に上げなかった。それを、私は、大臣は上司でありますから、きちんと部下に理由を問いただし、そこにある、本当のわだかまっている原因を解くということが解決への道なんだと思います。

 もちろん、有識者会議、重ねて、いろいろな方がヒアリングを受けられますでしょう。でも、私は、まずそのスタートには大臣がかなめでいらっしゃる。そして、その室長とか事業課長とか、最も駆動力、駆動していかなきゃいけない人たちから大臣に行かない。大きな目詰まりです。これを発見したときに、当然、大臣からこの方たちに聞かれるべきだと。それは本当の原因がわからなければ次の対策が出てこないからでありますが、この点についてはお尋ねになったんでしょうか。

加藤国務大臣 今の担当の方とは、もちろん、この説明に当たってお聞きをいたしました。

 いずれにしても、今回そうした仕組みをとったのも、やはり当時の事情というものを客観的にまず把握をしていく必要があるということで有識者の皆さん方にお願いを申し上げたということでありますけれども、そうした事情が見える中で、もう一度、これは厚労省のガバナンスとの絡みも出てまいりますから、また私の方からもしっかり確認をしたいと思いますけれども、まずはそういった皆さんから客観的な事情をしっかり洗い出していただきたいというふうに思っています。

阿部委員 今私が御指摘申し上げた三つの鑑定人会議は、いずれも、この遺骨収集が事業課長という形で事業となって推進された中で起きたことです。担当者も同じです。事業課長は吉田さん、事業推進室長は皆川さん、このお二人が鑑定人会議に出ておられました。

 私は、今のように、大臣のように、昔々を調べなければわからない、それも累々、代々だからあると思います。でも、直近の大臣が御着任中のこの三回の会議は、いずれも、同じ担当の方が出られて、同じように聞きながら、同じように流していったわけです。この事態の重要性をきちんと認識していただきたい。

 個人を責めるつもりはありません。例えば、外交的に問題になるだろうと大変不安に思われたとか、いろいろな理由があろうとは思います。ただ、大臣がおっしゃるガバナンスとは、外から強制されて変わるものではなく、やはり厚生労働省という数々の不祥事で今問題になります省庁が真によりよいものに変わっていくための、内部統制の、内部の仕組みだと私は思っております。

 まだ大臣がこの吉田さん、皆川さんにお聞きでないなら、ぜひ、じかに、どうして会議のことを自分に言ってくれなかったんだとおっしゃるべきであるし、それこそが、人で成り立つ組織なんです、組織は。よりよいものに変えていくと思いますので、お願いいたします。

 次の質問ですが、私は、実は当選以来ずっと、遺骨収集には私の責務と思ってかかわってまいりました。私には、この国を出ていくときは身体もお名前も御家族もふるさともおありであった方が今、何柱、柱と言われて、骨になり、そして本当にその方が、本当は行方不明者なのに、どこの誰かもわからず、そのまま闇から闇に葬られるということは決してあってはならないと思いましたし、私自身も何回か、行けるところには遺骨収集に参加をさせていただいた結果、ますますやらねばならないと思い至って今日まで来ております。

 そして、そういう経験の中から、現在の我が国における遺骨収集あるいは検体採取、そして御遺骨の鑑定における問題点はもうここに凝縮していると思いますので、次の質問をさせていただきます。

 我が国の御遺骨の収集は、令和元年八月末で三十四万四千八百三十六名の方の御遺骨が収集されたとされております。そして、ここから、どなたであるかを、あるいは日本人であるかを含めて考えていくための検体というものが採取され始めたのは平成十一年でございます。DNA鑑定が始まったのが平成十五年でございます。

 果たして、採取された検体数、それは、御遺骨から歯があればそれで一検体です、お一人のものとして。検体数は三十四万四千八百三十六人のうち何名であるか、これを先週からずっと厚労省の事務方にお尋ねをしておりますが、この場で御答弁いただけるということですので、教えてください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 鑑定を開始しました平成十五年度から平成三十年度までにDNA型を抽出をいたしました戦没者の検体数は九千三百四十六柱でございます。

阿部委員 よく聞いてください。その質問じゃないんですよ。DNAを抽出したものじゃなくて、抽出しようと思ってとってきたものを検体と言うんです。DNA抽出用の検体です。これが幾つありますか。何度聞いたって、皆さんはそれすら答えられない。DNA鑑定用は九千、先ほどおっしゃいました四百何がしになりましたでしょうか。そこからまたDNAが抽出されるわけです。でも、最初に検体をとってこないとDNAもとれません。三十四万余のうち幾ら、どれだけ検体をとってきたでしょう。

 大臣、御存じですか。お願いします。

加藤国務大臣 今の委員の整理では、まさにDNA鑑定のために採取した検体の数は約一万体ということは申し上げているわけでありますが、その前提となる、DNA鑑定するために、歯の一部とか、そうやって持ってきた数が幾つかという御質問だと思いますけれども、済みません、ちょっと私の手元にその数字がないので、答えることができません。

阿部委員 これは年々、例えば、昔は、そのそばにヘルメットがあったとか、何か日本の兵隊さんらしいものがあった方の検体しかとってきていなかった。やがて歯をとってくるようになった。やがて長管骨や側頭骨をとってくるようになった。年々ふえてはいます。

 でも、大臣は、ことしの四月、米国と遺骨収集の、大臣の任ではなかった時期ですが、協定を結ばれたと思います。アメリカにおいては、発見された御遺骨のほぼ全てから検体をとってきております。検体をとってこないとDNAは抽出できません。もうここに歴然とした差がございます。

 三十四万のうち、検体をとってきたのは一万そこそこだと思います。最近は、それは少しずつ改善されております。例えば、ビスマーク島等々で百三十九人の御遺骨を発見して、そのうち検体をとったものが七十になってきておりますので、骨もとろう、歯もとろう、いろいろな部位からとろうとして、ふえてはございます。

 ただ、大臣は今後、遺骨収集を進めていく場合に、アメリカとの協議と、アメリカでの、同じように今、南方方面に米国も御遺骨の収集に向かっています、意見交換をして、どうして彼我の差があるのか。例えば、シベリア方面は、よく言われますように、御遺体が凍土の中で傷みづらい、南方方面は気温が高いから骨が損傷、傷みやすい、その差はあろうかと思います。ただ、今、米国は南方方面で行っていて、ほぼ全例から検体をとっております。ここに覚悟の差と、私は技術は日本もそれなりに進歩していると思います。でも、最初にとらなきゃ、全て、次が始まりません。

 大臣がきょう御存じでなければ、米国がどうやっているかもぜひこれはお知りになって、よいところは取り入れていただけたらと思います。

加藤国務大臣 今御指摘のように、たしか、アメリカのDPAという組織が、これは覚悟もそうですし、技術も非常に高い技術を持っております。日本としてもそこと連携をとりながら、特にアメリカの場合は南方中心ですから、かなり御遺骨が傷んでいる中で、その中で、まず自分の国の軍人なのかどうか、そして一体それが誰なのかというところを科学的なやり方でやっておられますので、それは我々もしっかり吸収しながら、また、今そういったところに行っていて戻ってきた日本人の職員もいますので、そういった人間のノウハウ、ノウハウというか、あれも使いながら、今委員御指摘のように、科学的な形でしっかりと遺骨収集をする、また、そのことが最初の御質問にあった遺骨収集の本来の意義であるというふうに思います。

阿部委員 歴然とした差があるということを大臣にはぜひこの場でお伝えをしたいですし、そもそも、とる検体数の差もそうですが、その後、日本は、検体をとったら、検体をとらなかった遺骨ととった遺骨と御一緒にして焼いてしまいます。検体をとって、検体からDNAが出てきて、これの人種的な確かさがわかる前に焼いてしまいます。極論すれば、ロシアの方のものかもしれない、今鑑定が必要とされる五百九十七の御遺骨も既に焼かれております。DNAだけはとれている。

 結果が、DNAがわかってから持ってきたり焼いたりすれば、少なくともロシアの方の骨を焼くことも持ち帰ることもなかったはずなのです。私は、日本の遺骨収集の大きな二つの問題、とにかく検体をちゃんととらない、そしてもう一つは、結果が出る前に焼いてしまう、そうしたらうやむや、わからない。この二つは宿痾のようなものだと思っております。

 御遺骨は、御遺族は、だびに付すと申しまして、焼いてほしいというお気持ちがあるのは私も存じています。ただ、そうであれば、結果がわかってからになさればいいわけです。ロシアの人にだびという風習はありません。でも、焼いちゃうんです。五百九十七人、もう焼いてしまったんです、恐らくじゃなくて。こういうことも外交的には大きな問題になります。

 そこで、大臣、こういう問題が大きくクローズアップされたのはNHKの報道を通じてですが、あの放送はごらんになりましたでしょうか。

加藤国務大臣 いや、直接は見ておりませんけれども、後で、紙ベースですか、それは読みました。

阿部委員 私は、きょう、大臣にプレゼントしようと思って、DVDを持ってまいりました。これは、見ていただくと、本当に現場がよくわかります。大臣にこそわかって改善していただきたいので、ちょっと委員長にお時間をいただいて、そこまで渡しに行っていいですか、済みません。

盛山委員長 はい、許可いたします。

阿部委員 こうした御遺骨の取り違え問題が発覚いたしましたのは、ロシアの事案が初めてではございません。

 私自身も出向いたことのあるフィリピンでの遺骨収集が、二〇一〇年、平成二十二年にフィリピン現地の方の御遺骨がまざっているであろうことが指摘をされまして、その後、七年間ストップをしてございました。ちょうど加藤大臣の前任の時期にフィリピンとの協定が結ばれまして、協定が結ばれたのが五月だったと思いますが、その後、再開という形になりました。七年余りが、本来は帰ってこられる御遺骨が帰ってこられなかったことは私も申しわけなく思いますし、でも、ここで学ぶべきことが多々あったと思います。

 実は、フィリピンに残してきた方の御遺骨、三百十一人、検体を調査いたしまして、おのおの、平成二十三年の十月に、国立の遺伝研究所あるいは山梨大学、山形大学などで検査した結果、三百十一人の検体の中にはいずれも、日本に多いハプロタイプという人種の型を持った方はおられなかったということが判明をしております。そして、判明して、その後、再開までの間に大臣が協定を結ばれて、協定を結んだ後は、実は、再開されたフィリピンの御遺骨の収集では、まず検体をとって、その検体で人種的確からしさを分けて、その後に持ち帰る、その後に日本人のものは焼却するとなったと思いますが、そのような理解でよろしいでしょうか。

辺見政府参考人 フィリピンとの協定におきましては、入手可能な根拠について総合的に判断を行って、これにより判断ができない場合に日本においてDNA鑑定を行うことができるというふうに規定をされているところでございます。

阿部委員 時間がもったいないから、正しく答えてくださいな。その結果が出るまでは遺骨は持ち帰らないんですよ、遺骨は焼かないんですよ。ここが重要なんです。あなたの答弁は、一切それに触れていないじゃないですか。何でそんなに不誠実なことをおっしゃるんですか。

 大臣、どうですか。私は、私の質問時間を返してほしいです。いかがですか。今の私の質問は、今フィリピンで集めているものは、検体をとって、それを人種分析して確からしさを確かめた後、持って帰ってくる、確かめた後、日本人のものは焼く、そうしているんだということを指摘させていただきました。

加藤国務大臣 今も御答弁させていただいたように、蓋然性のかなり高いケースにおいては、それはそのまま日本に持って帰る、その場合にはこれまでのケースに従って多分焼骨もされているんだろうというふうに思いますが、ただ、そうでないケースについては、今委員御指摘のように、まず検体を持ち帰った上で、それを確認し、その後、遺骨についての対応を決めていく、こういう手順になっているというふうに承知をしております。

阿部委員 そのことについても一言申し上げたいですが、蓋然性が高いとは何を意味しているのか、非常に曖昧なんです。例えば、遺留品と思わしきものがあった、しかし、その人のものかどうかもわかりません。そういう方法で、よくわけのわからないことを蓋然性が高いと言っていないで、現下の私たちが手にした分析の技術を用いて、その蓋然性を確認すべきなんです。

 それでは、今、事務方でいいです、フィリピンで蓋然性が高いものは幾つありましたか、蓋然性が高くないものは幾つでしたか。答えられないと思いますよ。どうですか。

辺見政府参考人 協定締結後、フィリピンから我が国に収容した遺骨は、今のところ、まだございません。

阿部委員 まだやっていないからという意味ですか、それは。

辺見政府参考人 検体の確認を行っているものが六柱あったというふうに記憶をしております。

阿部委員 でも、その中には、蓋然性の高いと今大臣がおっしゃったものはないと思いますよ。そういう形で言えないところなんです。皆さんの取り間違えた御遺骨にだって、いろいろな蓋然性にかかわるものが書かれていますよ。でも、間違うんです。そう思わないと、この事業は大きな間違いを起こすということであります。

 そして、もし今フィリピンでの教訓を、マイナスでした、七年間もとまって。でも、それをもっと早く教訓化していれば、私は、引き続いて起きたこのロシアの事案というのは途中からはとめることができただろうと思うわけです。

 大臣に伺いたいですが、今、五百八十一人、日本人ではない可能性のある御遺骨の指摘があります。これの鑑定は、これは人種の型ですね、その結果はいつ出るんでしょう、五百八十一人。

加藤国務大臣 年度内に出していただくべく、鑑定人の方にお願いをしているところであります。

阿部委員 私もきのう事務方からそう伺いましたが、それで、ああ、時間がかかるんだろうなと思わせるための答弁です、それは。この五百八十一人については既に、ミトコンドリアのDNA、核DNA等々、もう既に分析済みなんです。これを人種タイプに分けていくという作業だけなんです。半年もかかろうはずがない。最初から抽出して分析していくのと違うんです。もうはっきり言って、データベースに入っているものなんです。そのデータを分析していけばいいものであります。

 大臣は、そういうことをお聞き及びではないのですか。

加藤国務大臣 実は、最初その話を私も聞いたときに、もっと早くできないのかと。既に今委員御指摘のようにデータベースがあれば、特に最近、ゲノム検査等々いろいろあるわけですから、そういった先端技術の活用もあるのではないかということを申し上げたわけでありますけれども、なかなか通常の、今の例えば型からとった血液とか、そういったものの検体と比べて、相当データにも補正が必要等々の理由を聞かせていただいて、どうしてもそのぐらいかかるということでありました。

 ただ、一日も早くということは私も同じでございますので、もう一回その辺も含めて、全部が全部ではなかったとしても、かなり整理できているもの、できていないものが仮にあるとするならば、できたものだけでも早くやるとか、その辺は考えていきたいというふうに思います。

阿部委員 人種分析を通常ハプロタイプの分析と言いかえておりますが、十分に私はデータベースでできるものだと思います。そして、九千何がしのDNAのとれたもの、ロシア以外のものもやるべきです。そこにも日本人じゃないものが混入していると思います。国際的な問題になる前に、あらかじめ自分たちから明らかにすること、これが亡くなられた方への最大の誠意だと思います。

 質問を終わらせていただきます。

盛山委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの白石洋一です。よろしくお願いします。

 まず、在職老齢年金制度見直しの議論について、今報道されている限り、撤廃も含めた見直し議論をしていて。ただ、在職老齢年金、二つあるんですけれども、六十歳から六十四歳、六十五歳以上、六十五歳以上のところについては撤廃ではなく、六十二万円超にするか、それとも五十万円超にするかというようなところまでは来ているというふうに聞いております。

 低在老、六十歳から六十四歳のところについては、ここの年金受給というのはいずれはなくなりますから、議論はその後でいいと思うんですけれども、では、この高在老のところですけれども、このインパクト、メリット、デメリットをはっきり確認したいんですね。

 今検討されている縮小、例えば六十二万円として、それによって年間の年金財政の給付の増加金額というのは幾らとみなされますでしょうか。

加藤国務大臣 在職老齢年金について、二〇一八年度末の支給停止額をもとに六十五歳以上の在職老齢年金制度見直しによる年間の給付増を試算をいたしますと、基準額を六十二万円に引き上げた場合は約二千二百億円、撤廃した場合は約四千百億円の給付が現行に比べて増額が必要になるということであります。

白石委員 これは山井委員も強調されていますけれども、これがふえることは喜ばしいことだと思います。受け取る方にとってはいいことだというふうには思います。ただ、この財源がどこから出てくるのかといったら、これは年金財政の中から捻出される。特定のところではなくて、広く薄く給付を抑えるという形で財源が捻出されるということなんですね。

 その具体的な効果としては、マクロ経済スライドが長目になって、給付を抑える自動調整が長目になるという形で捻出される。一旦それが長目になった後は、その低い、低いというのは名目じゃないかもしれません、実質が大事です。実質物価上昇分も加味した形で、実質低い形で、ずっとその後低いままの年金になっていくということだと思います。

 質問です。

 では、マクロ経済スライドが、この見直し、先ほどの六十二万円に引き上げたとして、どれだけ長くなるんでしょうか、そして何%の実質引下げになるんでしょうか。

加藤国務大臣 財政検証、これはケースが幾つかありますから、ケース三について、報酬比例部分の調整終了年度は、現行では二〇二五年とありますけれども、二つの見直しのケース、給付調整の基準額を四十七万から六十二万に引き上げた場合には、これは同じ二〇二五年度ということで年度は変わらない。撤廃をした場合には、二〇二六年度ということで一年先、マクロ調整スライドが終了する期間が延びるということであります。

 また、それに伴って、所得代替率、これは報酬比例部分のということで言わせていただきますと、現行二五・三が、何もなければ二四・六になるものを、基準額の引上げの場合には二四・四ということで三角〇・二%、撤廃の場合には二四・二ということで〇・四%ポイント下がるということであります。

白石委員 質問通告していたのは、所得代替率も一つの物差しでいいんですけれども、実感としてわかりやすいのは、実質の金額で何%下がるか、それも多分準備されていると思いますので、大臣、お願いします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたケース三の二〇二六年度のうち、報酬比例は九万二千四百円が、基準額を引き上げた場合には九千百七十円ということで〇・八%減、また、全額撤廃した場合には九万一千百円ということで一・五%の減、こういうことになります。ごめんなさい、済みません、九万一千七百円が基準額を引き上げた場合。

 もう一回申し上げますと、基準額を引き上げた場合は九万一千七百円で三角〇・八、撤廃した場合は九万一千百円で三角一・五、そして、もとのケースにおいては九万二千四百円ということで、これは二〇二六年度ベースで申し上げております。

白石委員 六十二万円へ引上げ、撤廃というのはちょっともうあり得ないと思います、六十二万円だと仮にしても、それでも一般の方々は〇・八%、在職老齢年金のこの見直しがこのままであったときと比べて下がるわけですね。〇・八%、一%近く下がるわけですね。一般の方々、特にこれは二階建ての部分ですから厚生年金の方々の話ですけれども、それでも、かつかつで年金で暮らしていらっしゃる方が多い中で、この〇・八%というのは大きいわけです。

 では、誰がメリットを受けるかというと、高在老でいったら、月の年金とそのほかの収入を足して四十七万円。加えて、これは一階建て部分は考えていませんから、それに一階部分、基礎年金が加わって、足す六万円ですね。ですから五十三万円。さらには、配偶者の年金、世帯で考えたら配偶者の年金もあるでしょうから、これが御主人だったら、妻の国民年金、基礎年金が六万円ということで、これは、六十万円、月の収入がある方にはそれはメリットがあっても、そのための犠牲が余りにも大き過ぎる。

 ですから、これを考えるんだったら、よっぽどのこの見直しによってメリットがないといけないと思うんですけれども、どのようなメリットがあると考えていらっしゃいますでしょうか。

加藤国務大臣 一つ、どういう方が対象になるのか。相当な高額所得者のようなイメージを持っておられるかもしれませんけれども、どこまで上げるかの議論ですけれども、例えば、今四十七万が際でありますけれども、四十七万、今、入るか入らないかというぐらいの所得だとすると、大体、モデル年金で報酬比例は七万円ぐらいだったというふうに思いますから、実質四十万ですね。そして、これはボーナスも入れた金額で、名目でありますし、それに加えて、これから社会保障保険料が引かれるわけでありますから、そういう働き方をされている方も、少し給与がふえたら五〇%収入が減少される。その辺をどう捉えるのかということも議論の中であるんだろうというふうにも思います。

白石委員 大臣、その減少というのはちょっと表現が誤解されやすいので、ふえ方がそのまま伸びるわけじゃないということで、ふえはするんです、額面でいったら。ただ、ふえ方が、イメージ、天引きされて、そのまま来るわけじゃない。それが在職老齢年金だと思うんですけれども。

 それで、そのことによって、六十五歳以上の四十七万プラス基礎年金がある人が、見直しによってより働いて、そして厚生年金保険料はふえていくのか。あるいは、これを目指してやはりもう一回働こうという人がよっぽど出てこないといけないと思うんですけれども、その辺はどういうふうに厚労省として見ていらっしゃいますでしょうか。

加藤国務大臣 確かに、これは学者の方の分析だったと思いますけれども、この高在老については、就労抑制されているということは言えないんではないかというたしかデータがあるというのは事実だというふうに思います。

 ただ、他方で、厚労省の調査によると、年金額が減らないように、収入が一定の額におさまるよう就業時間を調整しながら働くという、これは意識調査でありますけれども、これは六十五から六十九歳の場合、約四割を占めている。

 それから、やはり、私たち、これからより長く働ける環境をつくっていこうということで、今、雇用継続制度というのは六十五まででありますけれども、これを更に延ばしていこう。そして、やはり一番あるべき姿は、定年が廃止されたり定年制が延長される中で、六十五までと同じように働き、同じように収入をもらえるというのが私は一つの姿なんだろうと思います。

 ただ、そうなった瞬間にどれだけの減額になっていくのか、そういったことも踏まえながら議論をしていかなきゃいけないんだろうと思います。

白石委員 在職老齢年金、最後の質問ですけれども、ぱっと聞きはいいんです。働いてその見返りがふえることはいいんですけれども、その財源が、一般の低年金の方も含めて負担をお願いして捻出するというところに問題がある。

 ですから、これをやるんだったら、高所得の人から財源を得て見直しするなりするんだったらわかります。私としては、この在職老齢年金、もっとハードルを下げて、そこで財源を捻出して、低年金の人に上げたいぐらいですよ、国民年金の方に。

 そこまで考えてほしいぐらいなんですけれども、少なくともこの撤廃あるいは引上げというのはもうやめてほしいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっとその前に、先ほどの答弁で、モデル年金、報酬比例七万と申し上げましたが、九万の間違いでありました。ちょっと訂正させていただきたいと思います。

 そういった意味で、この在職老齢年金、今お話がありましたように、本来、年金制度は、保険料を納めた方は年金を受給する権利を有している。しかし、この在職老齢年金の場合には、所得が高い方はその分減額をされる。要するに、原則ではなくて特例的に下げられているというのが今の実態なわけであります。

 そういう中で、どのところまでそれを対象とするのか。そこで、先ほど申し上げた、では、今かかっている方々の働き方というのはそんなに高い所得なのか。そういったことも議論していく必要があるんではないかというふうに思います。

 今のままいくと、今の仕組みのままいけば、普通のサラリーマンと同じような形で働き続けていける高齢者の方、その方も、本来もらうべき年金を、所得二に対して一ずつ減っていく。こういう状況になるわけでありますから、その辺も含め、それから、今、ただ、委員が御指摘になるように、非常に高い所得を持っている方もいらっしゃるのは事実だと思います。その辺のバランスをどう図っていくのか。

 そして、更に先を見れば、先ほど他の委員の方に申し上げましたけれども、これは単に雇用所得がある場合だけでありますから、役員として顧問料をもらうとか、そういったものの場合にはこの在老の対象にならない。そういったことも含めながら先を見ていく必要があるんじゃないかなと思います。

白石委員 大臣のお話だと、それは民間保険の考え方だと思うんですね。やはり、公的年金ですから、所得分配で生活の底上げ、少なくとも尊厳ある生活が老後できるように、を目指すべきだというふうに思います。ここはちょっと価値観の違いかもしれません。

 次の質問に行きます。

 がん治療なんですけれども、温熱療法というのがありまして、これは、がん治療で手術も薬物も、そして放射線もなかなか効かないという形の患者さんにとってはこれに頼るということなんですけれども、これの温熱療法の施術ができる病院もふえてほしいんですけれども、もう一つは、ちゃんと保険でカバーされるのかどうかというところが非常に大事な部分で、少し、もしかしたら患者さんの方で誤解されているんじゃないかな。地域によって保険適用されたりされなかったりするんじゃないか、あるいは病院によってされたりされなかったりするんじゃないかというような考え方もされているようであります。

 まず、これは一つの質問でいきたいと思うんですけれども、診療報酬にカバーされるものであるのかどうか、そして、カバーされるとしたらどういう条件でカバーされるのか、これを答弁をお願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の電磁波温熱療法でございますけれども、これはがんに対する治療法の一つとして保険適用されております。それと、条件でございますけれども、治療計画上の疾患に対する所期の目的を達成するための一連の療法に対しまして、一回だけ算定することになっております。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、この療法につきましては、一連の治療の範囲とする期間、あるいはその期間内の施行回数等につきまして、個々の患者の状態や医師の判断によるものとなっておりまして、不明確である、地域によってばらつきがあるという指摘がございます。

 今後でございますけれども、学会の関係者の御意見も伺いながら、要件の明確化あるいはその周知方法につきまして検討してまいりたいと考えております。

白石委員 ぜひ、一連の診療で所期の目的を達成するまで行うというところをはっきりと患者とその家族の方に周知していただきたいと思うんです。その目的が同じだったら適用外で、違ったら適用されるというところも含めて周知をお願いしたいと思います。

 次の質問ですけれども、最低賃金なんですけれども、地域の最低賃金というのは、これはよく報道もされ、知られているところですけれども、特定最低賃金というのがあって、これは産業又は職業ごとに適用されるというものですね。お手元の資料にもありますけれども、合計二百八十九万人が適用されている。

 そこで、私のところにお話があったのは、非常に危険な化学薬品を扱っている労働者の方もおられます。これは、危険な分、最低賃金も当然高くあってしかるべきじゃないかと。自分の時間給がその最低賃金よりも超えているにしても、それが上がっていったら、それに連動して上がるという効果も認められる。だからこそ、化学業界、危険な薬品を扱っているところはこの特定最低賃金というのが設定されるべきではないかという声があります。

 では、現状はどうかというと、塗料製造のところで六千人いるにすぎないんですね。これはやはり、化学の業界というのはもっともっと雇用人数がいて、そして危険な薬品を扱っている。特定賃金が適用されるべきだと思うんですけれども、ここはいかがでしょうか。

坂口政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の最低賃金につきましては、議員御指摘のように、地域別最低賃金が全ての労働者の賃金の最低額を保障するセーフティーネットの役割を担っておりますけれども、今御指摘ございましたような特定の産業又は職業につきまして、関係労使の方々の申出に基づいて、地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定める特定最低賃金制度というものが、最低賃金法第十五条に基づきまして設けられているものでございます。

 今委員御紹介いただきましたように、化学工業関係では、この塗料製造業に係る四件の特定賃金が設定されているというところでございますけれども、今後につきましても、こうしたもちろん危険物を取り扱う業種につきまして、特定最低賃金設定の申出があった場合には、公労使から成る地方の最低賃金審議会に諮った上で、しっかり適切に対応してまいりたいと考えてございます。

白石委員 次の質問です。

 健康保険料の賦課方式なんですけれども、これは地域によって違う。地域によっては資産割によっても保険料が計算される。その資産というのは何かというと、固定資産だと。でも、固定資産はあっても、例えば、自営業者で商売をしていて、都市部に土地、家屋、商売用に少し広目にそれがあるとして、多く保険料がかかっているという場合もあると思うんです。

 しかし、資産というのであれば、つまり応能負担というのであれば、これは金融資産も加味するべきだ、金融資産も足した上で保険料を計算すべきだという考え方はあると思うんですけれども、これはどうしてそうなっていないんでしょうか。このあたり、お願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険の保険料でございますけれども、議員御指摘のとおり、世帯所得に応じた負担、所得割と、世帯人数に応じた負担、これは均等割と申しますけれども、この組合せを基本としながらも、地域の実情に応じまして、世帯ごとの定額負担、これは平等割と申します、それと固定資産税額に応じた負担、資産割を組み合わせて算定することとしております。

 御指摘の資産割でございますけれども、負担能力に応じた保険料、つまり応能部分といたしまして、所得割を補完する役割を果たすものでありまして、なぜ固定資産かと申しますと、これは固定資産税額に応じてということでございますので、自治体において把握可能であることから、固定資産税額をもとに算定することとしたものでございます。

白石委員 固定資産税を加味する自治体も二割ぐらいありますので、これを免除して、フローのところだけで見る方がむしろ公平だと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、今月から介護福祉士に対して処遇改善手当が適用されて、本来ならば、国から支援金が介護施設に届いているわけですから、それらが介護士の給与に反映されていないといけない。ところが、ちまたのうわさを聞くと、自分は上がっていなかったよというような声も出ているみたいです。

 厚労省としては、ちゃんともう手当てはしているわけですから、それがちゃんと使われているか、介護士のところに届いているのか、確認すべきだと思うんですけれども、その今の体制を教えてください。

大島政府参考人 お答えいたします。

 介護職員のさらなる処遇改善としまして、委員御指摘のとおり、この十月から満年度で一千億円の公費を投じまして新たな賃金改善を始めております。

 この仕組みにつきましては、これまでの賃金改善もそうなっておりますが、事前に、引上げを行う事業所から処遇改善に向けた計画を出していただき、それから、事後に実績報告をとっております。その計画の段階でも、それから事後の実績の段階でも、加算額によって得た収入と賃金の改善額を比較して、賃金がちゃんとそれを上回っていることを確認することをとっておりまして、きちんとこの仕組みにつきましては、今回の処遇改善につきましても担保していきたいと思っております。

白石委員 計画を出させただけじゃなくて、そして実際の賃金とちゃんと厚労省としても比較して、もしそれがちゃんと反映されていないようだったら指導するように、よろしくお願いします。

 次の質問は、難病についてなんですね。

 難病法が施行されたのは二〇一五年一月、四年前ですけれども、そのことによって難病とされる数がふえた。それまでは五十六にしかすぎなかったものが、今、三百三十三にまでふえている。これはいいことなんですけれども、一方、デメリットとして、一つは、月額の自己負担額が総じて上がってしまった。つまり、自己負担を患者さんとしては多く支払うことが強いられるということが一つ。

 もう一つ、これはまた非常に大きいと思うんですけれども、もう一つは、軽症とされてしまったら、軽症と認定されたら、一般の健常者と同じ三割負担になってしまうということなんですね。ところが、難病の病気によっては、非常に病状の変動が激しくて、調子がよかったらいいんだけれども、悪いときには悪い。薬を飲んだらまたよくなる。それで、いいときに認定を受けてしまって、重症ではない、軽症とされてしまったら、一般の健常者と同じになってしまう。非常にこれが不安を生んでいるわけですね、難病患者の皆さんにとっては。

 そのため、どういうことが起こっているかというと、もし軽症として認められても、救済措置として軽症高額特例というのがあって、これで特例が認められるために、わざわざ高いお薬を注文して、もし軽症となってもこちらで救われるようにする。高いお薬というのは、後発薬ではなくて先発薬を指定するといった形で特例で救われるようにする。そういったひずみが起こっているわけですね。

 そこで質問なんですけれども、要望も含めてですが、難病の軽症かどうかを認定する際は、病状というのは非常に変動するということも含めて弾力的に認定すべきだと思うんですけれども、その辺、政府、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました点につきまして、制度改正のときに、他の制度との均衡の観点とか、いろいろ広く国民の皆さんの理解を得る観点から、患者さんの団体とか有識者の意見も踏まえまして、医療費助成の対象患者について、症状の程度が一定以上の者とするというような形で制度を創設させていただいて、運用させていただいております。

 今議員が御指摘があったようなケースというのは、私も今お伺いして、そもそも制度の趣旨からしても反するというか、適切ではないというようなことも考えられまして、そういう医療費の助成とか軽症患者さんへの支援のあり方というのは、今まさに、先生ちょっとお話ありましたが、難病の見直しの検討規定がございまして、今、そういうこともテーマに、今後どういうふうにしていくかというところを関係の審議会などで議論させていただいているという状況でございます。

白石委員 最後で私が言ったのは、ひずみという部分は、それぐらい軽症と認定されることに対する不安が大きいということですので、それも十分踏まえて、また、よりよい制度にしていただきたくお願い申し上げます。

 終わります。

盛山委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは一般質問の機会をいただきましたので、早速、限られた時間ですので、質問をしていきたいと思います。

 まず一つ目は、社会保障制度改革をどうやってやっていくのかということについて、きょうは内閣府にもお越しをいただいておりますので、お伺いをしたいと思います。

 安倍総理は全世代型社会保障制度の実現ということを訴えられていますけれども、内閣府として、今、全世代型社会保障検討会議が設けられているのは承知をしていますが、その中ではどういった議論をしていくのか。

 つまり、これはこうあるべきだというようなことを示すのか、それとも、そこにかかる費用や、その費用の負担のあり方を含めてこの会議で検討していくことになるのか、どちらなんでしょうか。つまり、項目だけを出すのか、かかる費用を示すというようなことをするのか、示した上で、その財源はどうあるべき、そこまで踏み込む予定なのか。それについてはどうですか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 人生百年時代を見据えまして、七十歳までの就労機会の確保、それから年金受給開始年齢の選択肢の拡大、さらには医療、介護など、社会保障全般にわたって改革を進めてまいります。

 このため、社会保障に関係する政府内の会議から代表者を集めまして、全世代型社会保障検討会議を設けることといたしました。現在、九月二十日に第一回の全世代型社会保障検討会議を開催したところでございます。

 今後の会議の進め方といたしましては、年末に中間報告を、来年の夏には最終取りまとめを行いたいと考えております。

 少子高齢化と同時にライフスタイルが多様になる中で、誰もが安心できる社会保障を大胆に構築してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 それは役所の書いているペーパーなんですよ。これは、わざわざ来てもらったのは、どこまで踏み込むつもりがあるのかということを聞きたい。つまり、負担と給付のあり方、こういう負担があるけれども、こういうことをやるべきではないかというようなことまでいくのか。

 今の話で、こう言ってはなんですけれども、小さな小玉を出して、お茶を濁しておしまいという話では困ると私は思っているんですよ。だから聞いています。どこまで踏み込むんですか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 全世代型社会保障検討会議は、社会保障審議会なども含めて、社会保障に関係する政府内の会議から代表者を集めまして、全世代型社会保障改革の基本的考え方と具体的な方針を取りまとめるものでございます。

岡本(充)委員 ちょっと、ちゃんと聞いていますか、私の質問を。全然答えていないですよ。悪いですけれども、ちゃんと聞いてくださいよ。

 どこまで踏み込むつもりなのかという話をしているんですよ。誰が代表者で集めたかなんというのは、それは聞いていないです。

神田大臣政務官 どこまで踏み込むかというお尋ねですが、現在のところ、まだ社会保障改革の基本的な考え方と具体的な方針を取りまとめるということが明示されておるだけでございまして、現状、御報告を委員にお答えさせていただいたまでです。よろしくお願い申し上げます。

岡本(充)委員 ちょっと、よろしくお願いされないですよ、それでは。

 私が聞いているのは、財源が要るような話まで踏み込むのかということですよ。財源が要るような改革にまで踏み込むのか。まず、それはどうなんですか。そこを踏み込む権限があるのか、この会議に。

神田大臣政務官 先ほど御答弁させていただきましたが、社会保障改革の基本的な考え方と具体的な方針を取りまとめるものでございまして、委員お尋ねの財源等については、まだそこの段階に至っておりません。

岡本(充)委員 具体的な内容に入るというんだったら、負担が発生するような具体的な案も出す権限があるんですね、財源については提示をする権限があるんですね、それを聞いているんです。そこを答えてもらいたい。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 財源がというお尋ねなのでございますが、現在のところ、基本的な考え方とそれから具体的な方針を取りまとめるということだけが今確定しておるところでございます。

岡本(充)委員 では、具体的な策を策定することはない、そういう理解でいいですね。方針だけですね。

神田大臣政務官 具体的な項目を固めていくということでございます。

岡本(充)委員 つまり、それは具体的な内容に踏み込むということですか。具体的な内容を決めて、こういう内容のことをやるんですともし言うのなら、必要な財源はこうなるんですよ、そして、その財源について、さすがにその財源は、これからこういう税にしましょうまでは言えないでしょうと私は思っているんですが、そこまで言う権限があるのかということについて聞いているんです。

 もう一回整理して。さっきから同じ話。これはもう五分もやる話じゃないんですよ。冒頭まず聞くだけの話なんだから。きちっと、そこでレクしていないで、ちゃんと答弁してください。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 今申し上げたとおり、基本的な考え方と方針、項目を今後決めていくということでございます。

岡本(充)委員 同じことをこれは何回、項目の、では、内容は決めるんですね、内容まで決めるということでいいですね。

 ちょっととめてくださいよ。

神田大臣政務官 先ほど来申し上げておりますが、考え方と方針を取りまとめるものということになっておりまして、項目については各省庁でということになります。

盛山委員長 私の方からちょっと申し上げますが、岡本議員の質問に対して、もう少しポイントをよく把握して御答弁をいただければと思います。

岡本(充)委員 では、確認します。

 この会議は方針だけを示して、各項目は各省庁で決める、そういう理解でいいですね。政策の中身までは踏み込まない、そういう理解でいいですね。

神田大臣政務官 先ほど来申し上げておりますが、社会保障改革の考え方と方針は取りまとめをいたします。そこで各省庁におろして、施策の具体化を進めていくということでございます。

岡本(充)委員 大臣、それでいいんですか。

 では、社会保障会議からは方針だけであって、どういうチョイスをするか、さっきの話で、例えば適用拡大をどうするかとか、そういうような話が降ってくることはない、細かな項目は来ないということですよね。そういう理解でいいですね。

加藤国務大臣 運用の仕方については内閣府でやっておられますけれども、私も構成員として参加している立場について申し上げれば、まず、二〇二五年、二〇四〇年といった将来の日本の社会を見据えながら、健康寿命を延ばしながら支え手をふやしていく、また、そうした中で、医療や介護のあるべき姿として社会保障全体はどうなるのか、そして、当然、そういう議論の中では、給付と負担のあり方についても議論がなされていくというベースだと思います。

 ただ、議員のおっしゃっている、どこまでがというのはちょっとこれからの議論ではありますけれども、ただ、少なくとも、最終的な、例えば年金制度をどうするかというディテールにわたっての議論は最終的には社会保障審議会のそうした場であり、あるいは労働政策であれば労働政策審議会の場であり、それぞれの中でしっかり中身を詰めていくということになるんだろうと思います。

岡本(充)委員 であれば、内閣府から出てきた案に対して、最終的に労政審なり社保審で、それについて、方向性は示されているけれども、意図したものと違うものが出てくることもあり得る、そういう理解でいいですね。それは、だから、最後は決めるのは社保審であり労政審なんだ、そういう理解でいいですね。

加藤国務大臣 意図したということがないように、先ほど内閣府から話があったように、メンバーも構成がなされているというふうに承知をしております。

 先ほど申し上げたのは、このディテール、制度の詳細な設計は、もちろんそれぞれのつかさつかさである審議会等で議論はいただくということになるわけでありますが……(岡本(充)委員「決定権はどこにあるんですか」と呼ぶ)

 決定権というか、基本的にはそこを経て最終的には決まっていくということでありますけれども、ただ、これは全体としてそういったメンバーが集まって議論されているわけですから、そこの場において先ほどあった方針等々については打ち出されていくものというふうに承知をし、また、それについては、入っているメンバーが、それぞれの審議会のトップの方が入っているわけでありますから、そごがないような議論がなされていくものというふうに思っております。

岡本(充)委員 そごのない議論がなされるんでしょう。

 ただ、今の話で、では、最後に決定するのは、僕はそこを確認したいんです、最後にどういう政策を決めるのかは労政審であり社保審なんだ、この理解でいいんですね。ここだけです、最後、確認。

加藤国務大臣 最後に決めるのは、最終的にはそれぞれ、例えば法律を、例えば私のところであれば法律を担ぐ大臣が最終的に決めるし、もっと違う言い方をすれば、政府が責任を持って決めるということだと思います。

岡本(充)委員 それはそうでしょう。政府提出になるんですから、閣議決定して。

 ただ、そのディテールを決めるのは、労政審であり、社保審の審議を経て、そこで決められたことがディテールとなって出てくる、こういう理解でいいですよね。つまり、今回の会議から投げられたものが、そのまま、ある意味もう法律になって出てくるような、そういうイメージじゃないんだよね。そこの確認をしたかったんです。もう一回、最後に。

加藤国務大臣 今の段階で、どういったものが出てくるということはつまびらかに申し上げる状況ではありませんから。

 ではありますけれども、基本的に、先ほどから申し上げておりますように、我々の、年金だったら年金部会で議論したり、医療だったら医療の関係であったり、労働政策だったらそれぞれそういったところの審議を経て、特に法律、法令のことについては議論をしてきているわけでありますから、当然そういうプロセスを踏むことにはなるわけであります。

岡本(充)委員 そういうプロセスを経て法律が出てくるというふうに理解をしました。

 そうしましたら、この社会保障改革の話はまずはここまでにして、次の話題に行きたいと思います。

 地域医療構想を進めていこうという中で、九月に公的病院、公立病院の再編についての、まあ一つのデータと厚労省は言っていますけれども、示されました。現実的にいろいろな波紋が広がったわけでありますけれども、厚労省の役所の皆さんは、資料の二ページ目にもありますけれども、公表は唐突だった、こう言って、厚労省謝罪と書いています。

 大臣としては、今回の再編統合を促す公立病院名の公表をめぐるこの間のいろいろな御批判も聞きながら、反省する点はあるんですか、それとも反省はしていないんですか。

加藤国務大臣 少子高齢化や、それぞれ地域で人口動態が変わっていく、あるいは医療を支えるそうした資源にも限りがあったり、また、そういった中でそれぞれの地域において将来を見据えて最適な体制をつくっていこうということが地域医療構想であり、これ自体はそれぞれの地域でお決めをいただいた。その実現に向かって地域が取り組み、また我々も最大限協力をしていく、これが基本姿勢であります。

 そういう中で、地域医療構想を踏まえた形で具体的な方針が出てきたわけでありますけれども、地域医療構想全体で見ているのに比べると、更にもう少し議論が必要ではないか、こういう御指摘があって、私どもから、先般、今委員のお話があったデータを出させていただいたわけであります。

 ただ、それに対して、唐突であるとか、あるいはこれで地元の病院がなくなってしまうのではないかという懸念を国民の皆さんあるいは地域の皆さんがお持ちになられた。それに対して、地方からもさまざまな御批判、御叱責を頂戴しているわけでありますから、その辺については私どもも真摯に受けとめながら、大事なことは、それぞれ地元の理解を踏まえながら、地域に合ったそうした医療提供体制をつくっていくということが目標でございますから、それに向けて、皆さんがそうした方向で一緒になってやっていただける体制をつくっていく。

 そういった意味において、これからもこうした説明は丁寧に行いながら、また必要な資料を我々としてもしっかり提供しながら、地域における議論がしっかり進むように対応していきたいと思っています。

岡本(充)委員 つまり、それは反省の弁という理解でよろしいですか。確認です。反省をされているのか。

 いや、だって、事務方の人たちは謝罪しているんですよ。大臣はそれについて、やはり反省すべき点があったと考えているんですよね。そこの点について答えてください、明確に。

加藤国務大臣 したがって、今回の事象について、それぞれの御叱責を真摯に受けとめて、それを踏まえた対応をしていきたいということ、これはまさに、委員の御指摘の反省というのは、私にとっては、そういう対応をとっていくということがそのことだと思います。

岡本(充)委員 素直に反省している、反省する点があったと言えばいいじゃないですか、そんな回りくどく言われずに。結局反省ということはそういうことでございますと言うぐらいだったら、最初から言えばいいんですよ。やはりこれは反省すべきところはあったんです。

 一方で、三ページ目には、厚労省の職員の中からこんな声もあると。ばり雑言も想定の範囲内、リスト公表はやってよかったし、我々は当然やるべきこととして進めてきたという意見もあるそうですけれども、こんな意見が、実際、医政局の中にあるんですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員今引用されました記事についてコメントすることは、私、適切でないと思いますけれども、私ども、地域医療構想を進めるべく、今回一連の取組を進めている。

 それを担当しております医政局といたしましては、先ほど大臣からお話ありましたように、重ねては申し上げませんけれども、関係者の方々全体の御理解を得、私どもがお示しをした客観データなども活用していただきながら、それぞれの地域において議論が進み、具体的な地域医療構想が実を上げるということが一番大事なことだというふうに思っておりますし、それに向けて、我々自身が行動すると同時に、関係者の方々に対する物言いなどについても十分気をつけ、また、データなどの出し方についても、地域からいただく御意見をきちっと受けとめてこれから対応させていただきたいという思いで、私ども担当させていただいております。

岡本(充)委員 リストの公表が唐突だったという問題だけじゃなくて、中身の検証の仕方もどうかなと思っているんですよね。

 比較する病院が、AとBという病院が二十分圏内にあって、同じ医療圏の中で二十分圏内。これは、AとBとを更に比べて、Bと更にCを比べちゃったら、下手をすればAとCの距離は四十分あるかもしれないんですよね。

 そういう意味でいって、今回、これは通告しているんですけれども、医政局長でいいですけれども、最大何分の距離があるような地域の病院が再編の対象となっているんですか、時間数で。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきましたように、今回の取組におきましては、近隣において競合する病院についての公立病院を中心とした機能を明らかにするという作業をしております。

 その際において、当該公立病院を中心としまして、そこから車で二十分というものを私どもとしては一つの前提として、この前提を置くに当たりましては、民間有識者や医療関係者も入っていただいたワーキングにおいて、公開の場において御議論を積み重ねさせていただきましたけれども、そこでの御議論も踏まえた上で、片道車で二十分というものを一つの目安として今回分析をさせていただいているというところでございます。

岡本(充)委員 違う違う。二十分の根拠を聞いているんじゃないんです。Aという病院とBという病院を比べたら二十分の距離ですね。さらに、Bという病院にでは再編できると思ったら、Bという病院と更に二十分でCという病院があるかもしれません。このCという病院とを比較したら、またここと再編できるといったら、AとCの距離は、もし一直線なら最大四十分かかりますね、こういう形です。

 こうやって統合、統合が進む、再編、再編の対象が広がっていった場合、最も遠い距離は何分なんですかということについて、通告をしているので、答えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 申しわけございません。委員の御質問を捉え損ねているのかもしれませんが、先ほど繰り返し申し上げましたように、今回、公立病院一つ一つに着目をして、車で二十分、もちろん、そこから先に、競合先の病院からまた二十分、例えば公立があり、二十分先に民間があって、その民間から二十分先に公立があってというようなケースも起こり得るかと思いますけれども、今回、まずデータをお示しするに当たりましては、個々の病院からの二十分という形で一定のリストとしていますので、そこから先、今おっしゃったように、公立があって、民間があって、公立があってといういろいろな形については、それぞれの再編の具体的な内容にかかわるものとして、それぞれの地域医療構想会議において御議論いただくということを想定して示しているところでございます。

岡本(充)委員 あの星取り表の、白黒の黒星がついている表は、AとBという公立病院、公的病院を比較しているんですよ。比較して、ここに再編できますねといった後に、この病院もほかの病院との比較対象にされちゃうわけですよ。そうすると、更にここにいきますねという話になっていくんです。大臣、わかりますよね。玉突きみたいになっていくわけです。

 こういう仕組みで比較しているでしょう、事実関係としては。一回だけの比較じゃないですよね。玉突きが起こり得る仕組みになっていますよね。なっているんです。だとすれば、それは一体、今回の表でいったら、最大何分の距離のところと再編の対象という議論になっているのかということを私は聞いているんです。

 大臣、そんなわからない話じゃないですよ。そんな渋い顔をされなくても。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 公立病院から二十分、その二十分先にまた二十分というのがある場合には、確かに、それをもってして、今回のデータの公表に当たりましては、いわゆるフラグを立てるという形で、ほかの要件も合致していれば明示をするということになってございますけれども、距離だけで申し上げれば、この病院、この病院、この病院、この病院と、基本的にはつながっていき得ると思います。

 ただ、じゃ、二十分後に、どこかで公立病院がなくなった、民間病院がなくなったというところになりますと、いわばつながりはそういう形でとまるということだと思いますし、あくまでも、距離についても、距離だけの規定ではなく、ほかの要素、機能がバッティングしているかということもあわせて見ているということや、個々、そういう形で今回フラグを立てさせていただきながらも、結果、それが今おっしゃったように、全部数珠つなぎ的に何らかの形で具体的な見直しにつながるかどうかなど、具体的な内容については、お示しした後のそれぞれの地域における議論によるというふうに受けとめております。

岡本(充)委員 結局、答弁を用意していないということですね、それは。何分間かかるのかということを聞いたわけですよ。

 最大何分かかるのかということについて、結局のところ答弁を用意していなかったというのが答弁でしょう。そうですよね。答弁が用意できていなかったんですよね。そういうことですね。だから、答弁が用意できていなかったんですよ。そう言ってくださいよ、ちゃんと最初から。答弁が用意できていないんです。

 やはり、これはどういう考え方なのかというのが非常にわかりづらいんですよ、今言ったように。場合によっては、とんでもない距離、患者さんは行かなきゃいけなくなる可能性があるわけです。これは調査の仕方も問題だったと思うし、それから比較の仕方も問題だったと私は思いますよ。公表の仕方ももちろん問題だった。そういう意味で、幾重にも反省するべき点があるのではないかと思います。

 次の課題に行きたいと思います。

 援護事業、これもいろいろな人がやっていますから、ちょっと私はポイントを絞ってやりたいと思います。

 それでも骨を焼くのかということについて聞きたい、これが一つ。それから、一体誰がどこまでこの話を知っていたのか。

 きょうは辺見さんに来ていただいています。辺見さん、七月の九日から今の職につかれましたか。そうですね。いつこの話を知りましたか。このDNA鑑定人会議で、どうやら日本人ではない可能性のある骨が多くあるのではないか、こういう話が上がっているという話を、いつ辺見さんは知りましたか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のとおり、七月九日に赴任をいたしまして、その後、七月の下旬に報道がなされたところでございますけれども、正確に日付をちょっと今申し上げる準備はございませんけれども、報道に近接したタイミングであったというふうに記憶しております。

岡本(充)委員 そこは極めて重要で、報道の前でしたか、後でしたか。日付はいいです。少なくともそれぐらいはわかるでしょう。報道の前でしたか、後でしたか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 前でございます。

岡本(充)委員 それは本当に、じゃ、近接した前だった。

 そして、辺見さん、そのことを知って、今の加藤大臣ではありませんけれども、大臣にいつその情報は上げましたか。報道の前ですか、後ですか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 記憶のみでちょっとお答えさしあげることが難しいところでございますが、同じく報道に近接したタイミングであったと思います。

 前か後かについては、済みません、今、正確にお答えする必要があると思いますので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 ということであれば、自分は前に知っていたけれども、前に伝えたかどうかわからない。つまり、直ちに伝えたかどうかはわからない、こういうことを言っているということですね。

 直ちに伝えたのであれば、当然報道の前になっているんですよ、自分は報道の前に聞いたと言っているんですから。だけれども、大臣に伝えたのは報道の前か後かわからないということは、そこに何日間かのタイムラグがあったということを今言われているわけですよ。ああ、これはとんでもない話だ、すぐ行かなきゃというのだったらすぐ行っていますから、それも報道の前に決まっているわけです。

 という意味で、やはりこれはいろいろな危機管理的にも問題があったなというふうに思うわけでありますが、この問題点とあわせて、あと、焼骨の話は最後にどうしてもやりたいですが。

 ほかに同じように、援護部局内で問題、例えばお金の使い方かもしれない、何か問題があるということについて、洗いざらいきちっと調べる必要があるんじゃないか。今回の話だけじゃなくて、実は審議官が知らない話がまだあるんじゃないか。

 きのうも管理職の方が来られて、私、話をしましたよ、知らないことがあるんじゃないかと。それを今回出させる機会かもしれませんよ。そういう意味で、きちっと職員から、ほかのことも含めて、知っている問題点を聴取する必要があると思います。

 大臣、どうですか。これはやってみられたらいかがですか。まだやっていないと思いますよ。

加藤国務大臣 援護局においては、たしか私の記憶では、出張旅費等に関してもいろいろ課題があったということもかつてあったわけであります。

 ちょっと、幅広いというとあれですけれども、まずはこの遺骨収集に関して、今回フィリピンの話があり、そして今回シベリアの話がありましたけれども、それ以外の地域も含めて遺骨収集事業をやっているわけでありますから、またこれまでやってきたわけでありますので、その辺についてどうだったかということはしっかりとフォローしていく必要がまずあるだろうというふうに思います。

岡本(充)委員 それは、まず今回の問題はそうですよ。ただ、ほかにもあるんじゃないかということを聞いてみられたらいかがですかと提案をしているんです。聞いてみられたらいかがですか、やられるおつもりはありますかということですから。やってみたいと思いますと言うか、検討したいと思いますと言うか、やりませんと言うか、三つです、答えは。どれですか。

加藤国務大臣 ほかにありませんかというのは、何といいますか、問題の捉え方だと思うんですね。やはりしっかり調査するなら、それなりの問題意識を持ちながら、この点についてはどうかということをいろいろ詰めていかなければ、しっかりとした調査にはならないというふうに思いますので。

 まずは、先ほど申し上げた、そうした全体の遺骨収集作業がどうなっていたのかということを調べる中で、またいろいろ課題が出てきたとすれば、当然それについてまた調べていく、そういうことで対応していきたいと思っています。

岡本(充)委員 ほかに眠っている課題をこうやって掘り起こさないという宣言をされる大臣もどうかと思いますけれども。

 私は、ほかに眠っているかもしれませんよ、聞いてみられたらいいじゃないかと言っているだけですから。後ろに室長も座ってみえますけれども、聞いてみたいと室長はおっしゃっていましたが、大臣が聞いてみたいと言ってもらわなきゃ、それは室長も答えられないですよ。かわいそうだと思いますよ、大臣。トップとしてやはりそれを決断して、聞いてみられたらいいだけですよ。

 では、続いて、焼骨の問題に行きたいと思います。またやりますから、この話は。

 骨を本当に焼いてしまっていいのか。仏様にしたいという人がいるんですと総理は私に答弁されました。それは、日本人であるかどうかだけでなくて、個人の特定にも大変有用なDNAを、焼いてしまってもう再現不可能にしてしまうことは、私はやはり問題がある。

 今の技術でかなり抽出できるようになってきた、戦後直後だったらそれはできなかった。でも、今できるようになってきたんだ、それをきちっと御遺族にお話をして、御遺族のところまで骨を返すためにも、ここは検体をきちっととる、若しくは、検体がとれなくても、今後DNAをとれる可能性がある、だから焼かずに持って帰ってくるということを丁寧に説明すれば、多くの御遺族は理解されると思いますよ。いろいろな国が焼かずに持って帰ってきている、DNAを抽出しようとしている、これをやるべきだ。

 それからもう一つ。次からはこうしますといろいろいただいています。まだこの問題はいろいろあるからまたやりますけれども、私は、現地でDNAの鑑定が迅速にできるシステムを導入することができると思いますよ。決して大がかりな施設がなくても、今や、DNAの重要なポイントを見るだけであれば、これはできるんです。だから、現地で調査をする、そういうスキームをつくられてはどうですか。

 現に、インドネシアではそうした現地で調査するスキームを厚生労働省はつくろうとしていますよ。インドネシアでできるなら、ほかでもできるでしょう。やられたらどうですか。そうすれば、より確実に持ち帰りが早くできるわけでありますから。

 その二点、検討される御予定があるのかどうかについて御答弁を求めます。

加藤国務大臣 まず、焼骨の話がありましたけれども、まさにこれから遺骨収集のやり方についてどうすべきかということについて議論をいただいておりますので、その議論を踏まえながら、そういった中で、その焼骨の議論も、当然、その蓋然性が、先ほど他の委員からもお話がありましたけれども、本当にどこまで蓋然性があるのかという指摘もあります。そうなれば、かなりの部分を検体の形で持ち帰りながら調べていくということに当然なっていくんだろうと思いますので。

 そういったことも含めて、先ほど地域、国によってはとありましたけれども、日本の場合には焼骨という、そうした宗教的なというんでしょうか、対応もありますので、そうした御遺族のお気持ちも踏まえながらではありますけれども、やはり大事なことは、日本人の遺骨を日本に一日も早く、そしてできれば家族のもとに返していくということでありますから、それにのっとって、どうすべきかということについて、遺族の方ともしっかりとお話をさせていただきたいというふうに思います。

 それから二点目の、今、インドネシアの話は、ちょっと私、初めてお聞きをしたのでありますけれども、いずれにしても、スピーディーに対応しようと思ったら、現地でこうした鑑定ができる、これは私も一番だというふうに思います。ただ、それがどこまで現在の技術でできるのかどうか。

 この辺も含めて、今、有識者、専門家の中で御議論いただいておりますので、まず、その議論を踏まえながら当面対応していくとともに、また、これから技術は日進月歩で進んでまいりますから、そうした技術が具体化されれば、当然、より現地の中で対応していくという方向、これは目指していかなければいけないと思います。

岡本(充)委員 終わります。

盛山委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立国社の尾辻かな子です。

 加藤大臣、お久しぶりでございます。そして、副大臣、政務官に新たになられた皆さんも、どうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 さて、私からは、岡本委員に引き続きまして、地域医療構想について更にお聞きをしていきたいというふうに思っております。

 それを聞く前に、十月二十八日に経済財政諮問会議において安倍総理が発言をされております。それはどういう発言かというと、持続可能な地域医療体制を構築するため、地域医療構想に基づき、病院の再編とともに、全国でおよそ十三万床あるとされる過剰なベッド数の削減などを着実に進める、こういう発言でした。

 ちょっと十三万という数字が、今までの中では出てこなかった数字でありますので、この十三万ということは民間、公立、公的を含んだ数字なのか、また病床機能はどういうところなのか、この辺についてまず教えていただければと思います。

盛山委員長 吉田厚生労働省医政局長。(尾辻委員「いや、大臣にお聞きしたいと思います。大臣御出席されていますので」と呼ぶ)

 ちょっと説明をさせて、それからにします。

吉田政府参考人 事実関係をまず御説明をさせていただきたいと思います。

 今御紹介いただきました総理大臣の御発言につきまして、その裏について、裏といいましょうか、そのバックデータにつきましては、私どもとして、きちっと担当省庁として、これからその趣旨についても整理をさせていただきたいというふうに思っております。

加藤国務大臣 あの総理の発言は、あの経済財政諮問会議で、マスコミが入った中で発言をされておりますので、もうこれは既に出ているところでありますが、読み上げましょうか。(尾辻委員「いや、いいです」と呼ぶ)いいですか。

 その中で、先ほど委員の御指摘があった、病院の再編と過剰なベッド数の削減の指示という、そういった指示は総理の発言の中にはございません。ただ、民間のペーパーの中にはそういうのがあったというのは記憶をしております。

 十三の数字は、全体の数とそれから現在の休眠ベッド数ですかね、たしか、それを足したら十三になるという説明を聞いたところであります。

 もし必要であれば、事務局からきちんと答弁させます。

尾辻委員 まず、十三万という数字の、民間、公立、公的含めてなのか、病床機能はどうなっているのか。

 さっき、医政局長は、これからだという話があったと思いますが、更に何かあるんでしょうか。

吉田政府参考人 先ほど総理云々という形での御発言がございましたので、私、それについては確認する必要があるということでございましたが、先ほど加藤大臣からの御答弁もありましたように、改めて今、私自身、頭を整理させていただきますと、あの会議において、私どもも承知をしております十三万という数字は民間議員の方々からのペーパーの中にあった、これは事実として確認してございます。

 それについての我々としての考え方は、今大臣からもお話しのようなものが、大体、積み上げていくと十三万だろうということでございます。

 それの内訳的な機能などにつきましては、よく精査をさせていただきたい。

 今後、この地域医療構想を進めるに当たって、一つの御示唆として民間議員の方々からのペーパーが出ておりますので、私どもよくそれを分析させていただきながら、それはそれとして、私ども進めるべく、地域医療構想を推進させていただきたいというふうに思っております。

尾辻委員 この地域医療構想がこれだけ地域や自治体、病院にショックを与えている中で新たな数字が出てきて、その病床機能もわからない、民間、公立もどうなっているかわからないという数字がいきなり出てくることに、私は本当に驚きを覚えています。一体どういうふうに政府として考えているのか、整合性がどうとられているのか、ここは非常に疑問が残るというふうに私は感じています。民間の方が出されたということであれば、またこれから地域医療構想の目標が変わるのかということも懸念をするところです。

 さて、四百二十四の公的・公立病院がこうして名指しをされたということについて、これからお伺いしていきたいというふうに思います。

 私は、昨年の七月十一日の委員会質疑でも、地域医療構想は、地域医療を守る観点で病床数の調整を行うべきだということを申してきました。

 ところが、今回の病院名の公表、マスコミの報道、先ほど岡本委員からもありましたとおり、やはりこれは非常に唐突であったと言わざるを得ない。特に再編統合という言葉、これは普通に聞くと、やはり病院がなくなるんじゃないかとか、そういう言葉なんですね。ダウンサイジング、病床削減だといっても、再編だ、統合だと言われたら、もうなくなるんじゃないかというふうになるわけです。

 今いろいろされていますけれども、一旦プレスリリースしてマスコミ報道されてしまったら、正直言って、これは後の祭りじゃないのか。まず、本当にこのプレスリリースのあり方はよかったのかということも、やはり私はすごく疑問を感じています。

 結局、こういうやり方で厚生労働省がいきなり名前を公表することが本当に地域医療構想の活性化につながるのか、名指しされた方は、信じられるのかという、信頼関係を損なうということになると思うんですね。より硬直化や反発や警戒を生んでしまうんじゃないか、こういうことを懸念せざるを得ない状況だというふうに思っております。

 きょうは、お手元に、全国市長会や知事会がこれを受けてさまざまな発言をされている、意見があるということで、添付をさせていただきました。

 例えば、知事会の方からは、平成二十九年七月以降における機能転換やダウンサイジングの方針が合意された医療機関も含まれているとか、こうした状況を考慮せずに、厚生労働省が分析結果のみで一律、機械的に公表したことは、地域医療構想調整会議の協議結果を軽んじた対応だとか、厳に慎むべきだという言葉まで出ておりますし、むちゃくちゃ思い切った乱暴なやり方だとか、市長会でも、唐突感があって地域住民に動揺を与えたと、異論噴出の状態になっているわけです。

 こうした地方三団体や自治体からの強い懸念の声、そして、それによって住民や患者や病院職員の皆さんには非常に不安が広がったわけです。

 このことについてどう捉えておられるのか、先ほど岡本委員もありましたので、簡潔にお答えいただければというふうに思います。大臣、お願いいたします。

加藤国務大臣 まさに委員が御指摘のように、この地域医療構想、構想そのものはそれぞれの地域でお決めをいただいた、そしてやはり限られた資源、そして今、医療ニーズも随分変わってきている中で、それに応じたより適切なサービスがそれぞれの地域で行われていく、それを目指して、地域が挙げて、そして我々国も応援してやっていこうという中において、信頼感、これは非常に大事なことでありまして、そういった意味において、今回の一連のこうした発表等を通じて、そうした信頼感に対してさまざまな御批判を頂戴しているわけでありますから、そのことは我々謙虚に受けとめながら、まずは、今回のこうした資料のそれぞれの、データにする意味とか、今回発表した趣旨とか、そういったものをそれぞれの地域において御説明をさせていただき、また、必要であれば、より細かい地域においても御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

尾辻委員 やはり病院名を出すのは唐突だった、拙速だったと言わざるを得ないわけで、この公表の前に、例えば地方三団体とか、公立病院であれば主管省庁は総務省であります、こういったところと協議をされて出されているのか。この手順について、大臣と、そして総務省、きょうは副大臣に来ていただいておりますので、お聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 経緯だけ申し上げると、それが十分だったかというのは、また御批判は御批判として受けなきゃいけないと思いますけれども、地域医療構想に関して、これはワーキンググループで議論をさせていただいておりまして、その中には、公立病院の代表として全国自治体病院協議会、また医療政策を担う都道府県の代表として全国知事会衛生部長会からそれぞれ構成員として参画をいただき、また総務省については、また後でお話があると思いますが、公立病院を所管する立場からオブザーバーとして議論に参加をしていただいたところでございます。

 また、こうした考え方については、さまざまな機会を通じて地方三団体やまた総務省にも情報提供はさせていただいたということではあります。

長谷川副大臣 今回の検証要請病院の分析、公表については、骨太二〇一九を受けて、厚生労働省の責任において行われたものと承知しております。

 総務省としては、地域医療構想ワーキンググループにおいてオブザーバーとして出席をしてきたほか、今回の公表直前に厚生労働省から公表内容、方法等を説明を受けたものであります。

 人口減少や少子高齢化が進む中において地域医療構想の実現は必要でありますけれども、一方で、地域医療構想調整会議における議論というものは、地域の実情を十分に踏まえることが重要であるというふうに考えております。

 そのために、公表後速やかに地方団体との意見交換をすべく、今月四日に、第一回の地域医療確保に関する国と地方の協議の場を、地方三団体、厚生労働省及び総務省により開催したところであります。

 今後も、この会議において国と地方が協議を重ね、地域医療の確保に向けた取組が進むよう、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

尾辻委員 本当は、公表の前にこういったことをやって、どの病院が本当に再編統合とか病床削減が必要かというのを出すべきだと思うんですね。今お話をお聞きしていると、情報提供はした、でもやはり協議はされていないわけです。協議しないまま、厚生労働省の責任において出しているということ。

 ワーキンググループについても、総務省はオブザーバーで入っているわけですから、意見が言える委員として入っているわけではありません。主管省庁抜きにこうして名指しでリスト化されているというのは、ちょっと順番が逆じゃないかというふうに思います。

 その後、今回のワーキンググループの公表の後ですけれども、地域で説明会を、橋本副大臣も行かれてされているかと思います。これでどういう声が出ているのか。また、一番お聞きしたいのは、ちょっと時間がないので、撤回という声が出ているのかということについて、ちょっとお聞きできたらと思います。

 副大臣、よろしくお願いします。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 お話をいただきましたように、今、地域ごとにやっておりまして、その初回の、九州で行った、福岡で行った会の方に私も出席をいたしました。

 その場におきましてさまざまな御意見をいただいておりまして、データを撤回すべきだという声があったということも事実でございます。

尾辻委員 実はこの説明会、私が聞いたところによると、十七日に行われた九州、何か、現場や自治体に話があったのはその二日前、十五日だった。十六日に返事をしてほしいとか、そういうタイムスパンでこの地域での説明会が行われたと聞いているんですけれども、それで合っているかどうか。これは医政局長で結構です。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 ちょっと手元に正確な数字を、申しわけございません、用意してございませんので、少し私どもの記憶で申し上げる部分があることをお許しいただきたいと思いますが、十七日に開催することについては、少なくとも、前日とか前々日ではなく、もう少し、週前から御案内はさせていただいていたかと思います。

 ただ、その間に、私ども、当初、会場の都合から、御連絡申し上げたところから、より多くの参加ができるようにすべきという御要望、御意見もいただきまして、そこである程度仕立てを広げたという部分もございましたので、最終的な、オフィシャルなといいましょうか、御案内がいつだったかというのは少し、私手元で確認させていただけませんが、十七日にやらせていただくということの御案内はもう少し早かったかと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、今ほかの会場でも行っておりますように、十分な、私どもとして、働きかけをもっとすべきではないかという御意見、あるいは運営を含めて工夫すべきではないかというのも、運営しながらいろいろいただき、そして改善をさせていただいております。そういうものも今後とも続けながら、さらなる地方に対して出向いて御説明するような取組は続けさせていただきたいというふうに思っております。

尾辻委員 非常に後手後手に回っているような、そして大慌てで説明会をしているような印象をやはり受けるんですね。

 そして次、ワーキングチームが公表された個別病院、それはデータに基づいて皆さん機械的に出されたということなんですけれども、その信頼性ということについてお聞きしたいと思います。

 東京都済生会中央病院、ここも入ったわけですけれども、病院が十月十一日に見解をホームページで公表されておられます。もちろん、突然の名指しに、医療関係者、患者さん、家族、職員に大きな衝撃を与えた、不条理に憤りを感じるという強い言葉とともに、実はこの病院は、新しい新棟がちょうど二〇一六年七月から二〇一七年五月というデータをとっている間にあったり、診療実績も、二〇一七年六月のこの一カ月のときに、まだまだ新棟ができていなかった、だから、稼働率が二〇%とか物すごく異常な低値になってしまった。こういう病院の建てかえの事情によって、そこで得られた数字が異常値のようなことを示した、こういうところまで公表に挙げられたとかですね。

 熊本市立の熊本市民病院も、ことし十月一日に新たにオープンをされていまして、皆さんも御承知のとおり、二〇一六年四月の熊本地震で主要病棟が被災をされているわけです。なので、休診をされている科などもあって、大幅縮小しているときにこのデータの収集があった。なので、非常に診療実績が少ないという評価をされてしまって、これもまたデータとして挙げられてしまったわけですね。

 こういった一律、機械的なデータで、事情も知らない、細かい地域の事情がわからないままに病院名を挙げてしまった。病院側からしたら、たまったものじゃない、風評被害だということになると思います。済生会中央病院では、公表があってから、入職の内定が決まっていた技術部門の職員が辞退したということまで起こっている。

 病院の先行きに不安があれば、医師も来てくれない、看護師やコメディカルなど、支える職員も集まらない、患者も集まらない、こんな危険性があるわけですから、個々の事情を顧みずに、一律、九項目と六項目で機械的に判断した、これは本当におかしいというふうに思います。このデータについて、おかしいというふうに思われないでしょうか。私が挙げたところ、いかがですか。医政局長で結構です。イエスかノーかだけで結構です。簡潔にお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 地域医療構想を進めるに当たっては、今おっしゃった病院以外にも、個々それぞれの病院、さまざまな状況を抱えておられる中、進めております。今般の分析におきましては、公平性を担保するという観点から、最新の病床機能報告、これは二〇一七年度でございますが、のデータを機械的に用いて行わせていただいております。

 まさにそれぞれ地域によって、あるいは個々の病院によって抱える御事情もあるというふうに思いますけれども、それをまさに今後、地域医療構想調整会議において十分留意が必要であるということを、地域における各意見交換などを通じて、あるいはいろいろな機会にメディアの方々も含めてきちっと丁寧に発信をして、この全体の取組について御理解また御協力をいただくように努力してまいりたいというふうに思っております。

尾辻委員 地域調整会議で議論をしようと思うと、民間病院のデータもなければこれは比較しようがないわけなんですね。この民間データについて、どういうふうに、いつまでに出されるのかということについてお聞きをしたいと思います。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今般の公立・公的医療機関等のデータの公表に当たりましては、今月の国と地方の協議の場においても、民間医療機関のデータを早急に公表すべきという御意見をいただいております。

 私ども厚生労働省としましても、地域医療全体を見直す観点からは、民間医療機関についても競合状態の可視化を行う必要があるというふうに考えております。

 現在、各地域において、先ほど来お取上げいただいておりますように、意見交換などを行っているところでございまして、具体的にどういった形で可視化を行うのか、それをいつ、どのような形で提供するかにつきましては、意見交換における自治体関係者あるいは医療機関関係者などのさまざまな御意見を踏まえて、今後判断してまいりたいと思っております。

尾辻委員 いや、まだ決まっていないということはちょっとびっくりなんですけれども、そうすると、来年の三月若しくは九月までに報告をしてくださいと言っているスケジュールは一体どうなるのかということですよね。まずデータがないと、これはスケジュール的にできないということになりませんでしょうか。

 ちょっと質問の順番は違いますけれども、こんな状態で本当に、都道府県に通知を出したり、来年三月、九月までの期限として、地域調整会議から報告を求めるということになるのか。ここについては、ちょっと大きなことなので、大臣、お聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 公立・公的医療機関等の具体的な対応方針の再検討の要請に当たっては、まずはそれぞれの地域に直接伺い、今回の取組の目的、趣旨を説明して、意見交換を重ね、そして、そうしたことを踏まえて、別途、今委員御指摘のような民間のデータもお渡ししながら議論していただくということが必要だというふうに思っております。

 再検証を要請する通知の発出時期については、意見交換会を通じて得られた自治体等の意見等も踏まえて、適切に判断していきたいというふうに思っております。

 ただ、前提として、骨太方針の中に、二〇一九年度中に対応方針の見直しを求める、医療機関の再編統合を伴う場合については、遅くとも二〇二〇年秋ごろまでとされている、このことも念頭に置きつつも、そうした実態を踏まえて考えていきたいと思います。

尾辻委員 実態を踏まえというところが私は本当に大事だと思いますよ。だって、民間のデータがないのに結論を出せと言われても、比較できるものがないのにどうやって検討していくのかということがありますから、まずは地域の声を聞いていただいて、民間データを出していただいてからであります。それも、いつ、どこにというのも全然なくては、本当に、その締切りのことが、骨太で言っているからということだけで、中身がないまま、また、地域の合意を置き去りにするようなことはあってはなりませんので、これはしっかりとスケジュールを、このままでは私は間に合わないと思いますから、スケジュールを見直していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 公立・公的病院のことについて、もう少しお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 今回、狙い撃ちをされたということなんですけれども、公立・公的病院は、新公立病院改革プランや公的医療機関等二〇二五改革プランに基づいて、既に病床の削減や経営形態の変更などを実施をしてきているわけです。にもかかわらず、ワーキンググループの議論などを見ると、公立・公的病院は繰入金が自治体から入っている、いわば優遇措置があるから優先して病床削減などを検討すべきだというような発言が聞かれるわけです。

 僻地、周産期、小児科、災害拠点病院など、不採算の政策医療を担っている分を補填しているのであって、これを優遇措置というふうに厚労省は考えておられるのか。あわせて総務省にもお聞きしたいと思います。大臣からお願いいたします。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 まず一つ今回の背景にあるのは、今お話がありましたように、新公立病院改革プランや公的医療機関等二〇二五プラン等に基づいて、個別の病院で既に病床の削減、機能転換も行っている事例がある、このことは承知をしておりますけれども、一方で、今回、具体的方針をお出しいただいていますけれども、その中身を見ると、全体として急性期からの転換が進んでいないという指摘もあって、今回の対応をさせていただいているということでございます。

 もちろん、公立・公的医療機関等については、その期待される役割に鑑み、自治体の一般会計からの繰入れや税制上の措置が行われているというふうには認識をしているところでございまして、そういった意味において、地域において将来の医療提供体制のあり方を議論する際には、そうした財政、税制上の支援に見合った役割を果たせているのかといったことについても考慮をいただく。そういった意味において、今回、我々こうした資料を出させていただいて、更に議論を進めていただきたいということであります。

長谷川副大臣 結論から申し上げますと、一概に優遇であると断定はできないというふうに考えております。

 公立病院は、民間病院の立地が困難な僻地等における医療、あるいは救急、周産期、小児医療等の不採算・特殊部門等に係る医療などを提供する重要な役割を担っているものと認識をしております。このことから、不採算・特殊医療の提供等に要する経費についても、必要な特別交付税措置を講じているものであります。同時に、公立病院全体に対して普通交付税措置を講じていることを踏まえれば、効率的、効果的な経営に努める必要もあると、これは当然ながら考えております。

 今後とも、地域の実情を踏まえ、公立病院が果たすべき役割を担っていけるように必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 私、だから優遇だと言っていいのかと思うわけです。

 というのも、不採算な部分をやっているから税金で補填をしているわけです。なおかつ、公立・公的病院だって経営としてちゃんと黒字を出さなきゃいけないと言われている。相矛盾することを公立病院に求めているわけですよね。黒字にしようと思ったら、黒字になる診療をしなきゃいけない。でも、求められているのは、赤字になるけれどもやらなきゃいけない政策医療を求められている。これは一体どういうふうに考えるのか。これは本当に矛盾していることを求めているんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。

 私も、一床たりとも減らすなと言っているわけでは全くありません。特に、地域医療構想、言われているように、医師、医療従事者の働き方改革とか医師偏在対策、これはあわせてやっていかなければいけませんし、ただ、だからといって、今回、上からやっていくことで地域の医療空白が出るとか、そういうことがあってはいけません。二十分とかいって、北海道とか東北で雪がいっぱい降っているところ、夏だったら二十分かもしれないけれども冬に二十分で行けるのかとか、いろいろありますから、ちゃんと地方の声を聞いていただいて、やっていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、済みません、時間がありませんが、幼保無償化のことについても若干お聞きしたいと思います。

 まず、十月一日から幼保無償化ということで始まりましたけれども、残念ながら対象外になっているところがあります。私は、できるだけ、同じ機能を果たしているのであれば無償化の範囲の中に入れるべきだし、何らか支援をしていくべきだと思っております。

 ですので、まず事実確認。ちょっと二問ありますけれども、一問に丸めて聞きますけれども、無償化の対象外になった幼児教育段階相当課程を持つ各種学校で認可された外国人学校は幾つあるかということを把握されているかに加えて、今、二月二十二日付で、いわゆる幼児教育類似施設に係る支援の実態調査について、これも都道府県に依頼をされて返答を求められていると思います。この両者について数値を教えてください。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 各種学校として認可された外国人学校のうち、幼児教育段階相当の子供を対象としたものは、令和元年五月一日現在八十九校存在するものでございます。

 また、今御指摘のございました調査の結果、現時点で自治体で支援を検討しているものも含めて、暫定的な数として、約二百の施設数を把握しているところでございます。

尾辻委員 あと、この二百というのは、四十七都道府県全部返ってきたということでいいんでしょうか。まだ返ってきていないところがあるんでしょうか。

矢野政府参考人 全ての都道府県で返答いただいております。

尾辻委員 ですから、まず、八十校以上、インターナショナルスクールや各種学校で認可されている外国人学校が無償化から外れている。さらに、幼児教育類似施設も二百ぐらいある。

 これは、幼児教育類似施設とこの認可された学校は交わり合っているんでしょうか。この二百の中に入っているのか、一部入っているのか。ここについてを一つ教えていただきたいのと、もう質疑時間がありませんのであわせてお聞きしますが、萩生田文科大臣が十月一日の大臣の記者会見において、新年度から新しいことをやろう、自治体と一緒に新しい支援をしようということを表明されています。具体的にどのようにされていくのか、最後、お聞きしたいと思います。

盛山委員長 矢野大臣官房審議官、時間となっておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる幼児教育類似施設については、法令上の定めや基準などはなく、多種多様なものが存在しているところ、実態の把握のため、今回、地域の幼児教育の提供体制の確保に重要な役割を果たすと考えるもの、自治体において現に当該施設に対して支援を実施している又は今後支援を検討しているもの等の暫定的な定義を置いた上で、自治体に対して調査を実施したものでございます。

 また、現在把握している数字につきましては、先ほど申しました、あくまでも暫定的なもの、かつ詳細を公表することを前提に回答を得たものではないということでございまして、現在把握している数字については、現時点で自治体ごとの内訳等の詳細についてをお答えすることや公表することは差し控えたいと考えております。(尾辻委員「今後について。答弁漏れがあるんですけれども」と呼ぶ)

盛山委員長 矢野審議官、簡潔にお願いします。

矢野政府参考人 いわゆる幼児教育類似施設の支援については、現在、関係府省と連携しつつ、その要件等を含め、国と地方が協力した支援のあり方について検討しているところでございます。

尾辻委員 早急に検討を進めていただいて、幼保無償化を広げてください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、西村智奈美です。

 さきの国会で女性活躍推進法等一部改正案が成立をいたしました。そのときに衆議院と参議院でそれぞれ附帯決議を付しまして、当時、根本大臣からは、その附帯決議を踏まえてしっかりと取り組むという発言もいただきました。

 それで、今、労政審の均等分科会の中で、いわゆるガイドラインの作成、指針の作成についても議論が進んでいるところと承知しておりますけれども、その関連で、昨今の社会的な問題となっております神戸市東須磨小学校における教職員の間でのパワハラ及びセクハラ、この問題について議論をしたい、質問したいというふうに考えております。

 私、この問題が起きましたときにまず第一に考えたのは、これは、いわゆる学校職場、公務の職場という、教員と子供の関係のところではなくて、教員の皆さんが働く現場、職場で起きたハラスメントである。ですので、厚生労働省として、監督署ですとか、あるいは均等室ですとか、そういったところがもっと積極的にかかわるべきだというふうに考えておりました。

 そこで、質問の第一は、労働基準監督署が調査に入っているのかどうか。まあ、入っていないんですよね。だけれども、あの事案の重たさ、重大さから考えたら、これはやはり厚生労働省としても深刻に捉えるべきではないかというふうに思うんですけれども、なぜ、大臣、監督署が現場に調査などに入ることができないんでしょうか。

加藤国務大臣 今回は公立学校でございますから、公立学校の教員については、労働基準法の一部の規定を除き労働基準法が適用されるということでありますけれども、問題は、職権等の行使、履行確保ということになりますけれども、これについて、公立学校の教員に係る労働基準関係法令の職権行使については、地方自治体に設置された人事委員会等が行うとされているところでありますので、そういった意味では、我々の権限外という整理がなされているというふうに承知しております。

西村(智)委員 法律の所管でいうとそういうことだと思うんですよね。

 ですけれども、大臣、いかがお考えですか。あの事件、本当に全国に衝撃を与えて、しかも、文科省なんかは今現在調査には入っている、教育委員会の方に行かれたということのようなんですけれども、今回の事案について調査なり聞き取りなりをして、その後どういう対応になっていくか、まだわからないところは多いですけれども、やはり、これは職場におけるハラスメント事件ですから、厚生労働省として何か調査に入ったり何か対応したりというような必要性、それについてはお感じにはなりませんか。

加藤国務大臣 私もニュースを聞いて、どうしてこんなことが起きているのかというそうした疑問と、その小学校の子供たちはどういう思いなのかを含めて、いろいろな思いを持った、これはそのとおりであります。

 ただ、執行というのは法律に基づいて行われるわけでございますので、先ほど申し上げた執行権限がない私どもが執行していくということは、これは本件事案に限らず、行政の態度としてはそういう姿勢で臨まなければならないというふうに思います。

西村(智)委員 ハラスメントだけではなくて、報道ベースですけれども、極めて深刻なセクハラも、セクシュアルハラスメントもあったというふうに言われております。神戸市の調査でもセクハラがあったということが言われておりますけれども、地方公務の小学校の職場であっても、男女雇用機会均等法十一条のセクハラ措置義務、これは適用対象になるわけです。ここの指針に定められている義務が守られていたのかどうか、ここはやはり改めてチェックをする必要があるというふうに思いますし、こうした事態に、労働局の雇用環境・均等部、今、そこは行動していたのかどうか。これが行動できなかったとすれば、その理由について伺いたいと思います。

加藤国務大臣 先ほどと似たような構造ではありますけれども、男女雇用機会均等法に基づくセクシュアルハラスメントの防止のための措置義務は、これは地方公務員にも適用はされる。公立の小学校の職場については、学校を設置する地方公共団体の教育委員会がその義務を負っている。こういう仕組みにまずなっています。

 その上で、男女雇用機会均等法上、地方公務員に関しては、厚生労働大臣による報告徴収、助言、指導等の履行確保のため、これは適用除外となっており、都道府県労働局にはこうした権限がないわけであります。

 したがって、今、地方公共団体については、男女雇用機会均等法や同法に基づくセクシュアルハラスメントの措置義務に関する指針を遵守していただく必要がありますが、公立の小学校の職場については、文部科学省において各教育委員会に周知するなど、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、必要な指導助言又は援助を行っているものというふうに承知をしております。

西村(智)委員 仕組みとして現在そういうことだということは私も理解はしているんです。

 ですけれども、余り考えたくはありませんが、このようなエスカレートした事案に至らなくても、教職員の間でのこういったハラスメント事件はほかにもあるのではないかというふうにやはり見ざるを得ないですね。

 ですので、今回のことを契機に、私は、やはり厚生労働省としても、教職員の現場におけるハラスメントを、原因が何で、そしてどうやったら防止できて、そして問題が発生したときにはどのように対応すべきかということは、前国会、先国会の一括法のときの附帯決議もありますから、しっかりと議論していきたい、していくべきだというふうに思うんですね。

 それで、ちょっと確認だけはさせていただきたいんですけれども、総務省からもお越しいただいています。

 総務省は、今回、東須磨小学校の指導、こういったものはされておられるのでしょうか。

 地方行政の現場ですと、第一義的には人事委員会及び公平委員会、ここが苦情処理等を行うということのようなんですけれども、人事委員会や公平委員会の苦情処理という機能がどの程度機能しているのか、そういった状況についても総務省としては把握しているのかどうか、これをお尋ねします。

斎藤大臣政務官 お答えいたします。

 総務省といたしましては、本件の東須磨小学校のセクシュアルハラスメント事案につきましては、先ほど厚生労働大臣からも御答弁ありましたとおり、雇用管理上の措置義務は、学校を設置する地方公共団体の教育委員会が負うものと認識をしております。

 かつ、教育行政の運営について定めております地方教育行政法では、教育委員会に対しましては文部科学大臣が指導及び助言を与える権限を有するとされ、現に、本事案を受けて、神戸市教育委員会に対する指導を行われたものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、一義的には文部科学省において対応いただくべき事案と考えております。

 全国の人事委員会又は公平委員会の対応の状況でございますが、平成二十九年度が最新のデータがございますが、セクシュアルハラスメントに関しては四十三件、それから、パワハラ、いじめ、嫌がらせに関しましては四百五十七件を取り扱われたものと承知をしております。

西村(智)委員 総務省は、今回の件では東須磨小学校には調査ないしはその他の対応というのはとっていないということなんですね。

 では、文部科学省の方はいかがでしょうか。

 今回の件について、副大臣と政務官が神戸市教育委員会に行かれたということは承知をいたしております。

 その上でというか、全体的なことなんですけれども、セクハラ措置義務のガイドライン、これに基づいて、それがどのように各教育委員会で履行されているのかということはどんなふうに把握していらっしゃるのか、それから、そこで何か対応が必要な事例で、文部科学省として対処しているというようなことがあるのかどうか、質問をいたしたいと思います。

佐々木(さ)大臣政務官 お答え申し上げます。

 男女雇用機会均等法の規定に基づきまして、セクシュアルハラスメントに関する雇用管理上の措置が事業主に義務づけられておりますけれども、公立学校につきましては、学校を設置する地方公共団体の教育委員会が事業主に該当をいたします。これを踏まえまして、各教育委員会において相談体制の整備等の措置が講じられているものと承知をいたしております。

 文部科学省といたしましては、網羅的に履行状況を把握しておりませんけれども、公立学校教職員の人事行政状況調査におきまして、セクシュアルハラスメント等を理由とする教育職員の懲戒処分等の状況について把握をしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、各教育委員会に対して、こうした非違行為が明らかになった場合には厳正に対処するよう指導をするとともに、セクシュアルハラスメントの防止等について、各教育委員会の人事担当者が集まる会議などを機会と捉えて周知を行っているところでございます。

 また、本年五月に成立をいたしました女性活躍推進法等の改正によるセクシュアルハラスメントの防止対策の強化、これにつきましても今後更に改めて周知を行うなど、セクシュアルハラスメントが起こらないように、各教育委員会にしっかりと周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

西村(智)委員 今の答弁からも明らかなように、文部科学省としては、各教育委員会がセクハラガイドラインを、セクハラ指針をどういうふうに、どんな形で履行を担保しているのかということを把握していないんですよ。把握していないんです。例えば相談窓口がどういう形になっているかとか、何件相談件数があったかとか、それにどういうふうに対応していたかとかいうことは把握していない。これはペーパーで今まで随分役所ともやりとりしたんですけれども、相談体制の整備等の措置が講じられているものと承知しておりますというような、ばくっとした体制しかとれていなくて、これではハラスメントが起きて野放しにされて当然ではないかというふうに思うんですよね。

 それで、私、きょうの質問では、ぜひ厚労省の方から、先回の女性活躍一括法の成立を機に附帯決議された内容に即してしっかりと対応をとってもらいたいというふうに思うんです。

 つまり、きょう資料でおつけしております附帯決議の中で、衆議院の方では項目の十二と十三、そして参議院の方では項目の十四というところで、「セクシュアルハラスメント等の防止措置の実施状況、被害者の救済状況、ハラスメントが起こりやすい業種、業態、職務等について官民問わず実態調査を行い、」「効果的な防止対策を速やかに検討すること。」参議院の方ではこのように書かれておりますし、衆議院の方では、「男女雇用機会均等法の適用除外となる公務員等を含めたハラスメント被害の救済状況を調査し、実効性ある救済手段の在り方について検討すること。」というふうに決議をされております。

 大臣、これはしっかりとやっていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 今の附帯決議がございまして、セクシュアルハラスメント等の防止措置の実施状況、被害者の救済状況等、実態調査を行い、結果に基づいて効果的な防止対策を速やかに検討するとされたところでありますので、厚労省においては、来年度、概算要求をして、ハラスメントに関する実態調査を費用を確保して実施をしていきたいと思っております。

 また、国家公務員や地方公務員といった公務員に関する実態調査については、関係省庁において必要な調査が検討されている、あるいは既に実施がなされているというふうに承知をしております。

西村(智)委員 各省庁においてそれぞれ検討する、把握するという方向で確認してよろしいんですか。総務省と文科省の政務官、それぞれお答えをいただきたいんですが。今の大臣の答弁のとおり、しっかりと状況把握をしているということでよろしいんでしょうか。

斎藤大臣政務官 ハラスメント対策につきましては、総務省といたしましては、昨年度、取組状況について調査を実施しております。

 既に措置義務の対象となっておりますセクシュアルハラスメントの防止措置に関しましては、都道府県と指定都市におきましてはほぼ全ての団体で、指定都市以外の市区町村におきましてはおおむね八割程度の団体で、ハラスメント防止対策に取り組んでおられると承知をしております。

 総務省としては、これまでも必要な措置を講ずるように地方公共団体に対して助言を行ってきたところではございますが、今後とも、厚生労働省とも連携協力して、地方公共団体が適切に措置義務を履行してハラスメント防止の実効性が確保されるように、改めてしっかりと助言を行ってまいりたいと考えております。

佐々木(さ)大臣政務官 文部科学省におきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在、網羅的に履行状況を把握しておりませんけれども、先生御指摘のように、国会における衆参の決議もございます。こういった状況を踏まえまして、セクシュアルハラスメントに対する措置義務の履行状況の把握につきましては、関係省庁と連携をしながら検討を進めてまいりたいと思います。

西村(智)委員 関係省庁と協議しながらということなんですよ。ですので、ここはやはり厚労省の方からちゃんと、この附帯決議が付された法律が成立をしているわけですし、やはり均等法は厚労省の所管です。そして、女性活躍一括法も、パワハラの指針、これからできていくことになりますけれども、それも厚労省の所管ということになります。ですので、つかさつかさとよく大臣たちはおっしゃる、それもわからないではないけれども、これは職場でのハラスメントなんですよね。そこはまずしっかりと認識していただいた上で、厚労省の方から十分に取り組んでいただきたい。

 私、そもそもセクハラ指針は不備があるというふうに思っていますし、今つくっているパワハラ指針案も十分なものではないと思っていますけれども、それはとにかくおいておくとして、厚労省がまずしっかりとそこのところは手を伸ばしていく、公務の現場においてもという、その決意を加藤大臣からいただきたいんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 公務の現場に手を伸ばす、ここがまさに、申しわけないんですけれども、つかさつかさで、法令にのっとって我々のできるところ、できないところというのが規定されていますから、我々が教育委員会等へ直接出かけていくというのは、厳にこれは慎まなきゃいけない。

 ただ、今委員おっしゃったように、一連の法律、また附帯決議をいただいておりますから、それについてそれぞれの主管省庁がどう対応していくのかについては、我々としても、でき得る協力といいますかサポート、これについては考えていかなきゃいけないと思います。

西村(智)委員 別に教育委員会にじかにやれというふうに言っているんじゃないんです。文科省に、どういった調査項目が必要ですよとか、どういったガイドラインでやるべきですよとか、そういった助言と言ったらいいのかな、それをやってほしいんです。

 なおかつ、この附帯決議で書かれていることは、「救済手段の在り方について検討すること。」ということになっていますけれども、私は、将来的な法改正まで視野に入れてもいいんではないかというふうに思っているんですよ、公務の職場においても。これは職場のハラスメントですので。ですので、そこのところもしっかりと、大臣、やっていただきたい。そうでないと、また同じようなことが繰り返されて。

 今回、恐らく神戸市の教育委員会には指導がいくと思います。それから、全国の教育委員会を集めての会議で周知徹底はもう一回されると思います。だけれども、周知徹底で終わってはどうにもならないわけで、終わってしまってはいけないからこそ、では厚労省として何ができるんですか。やはりまだまだたくさんあると思うんです。そこはしっかりとやっていただきたい。改めてお願いをします。

 それで、今現在、パワハラのガイドラインが検討中となっておりますけれども、この前、私たちもヒアリングを受けました。ちょっと残念な内容でした。

 といいますのは、法改正される前に実際に検討されていた検討会の議論の枠を出ていないし、それから、パワハラとして認定された裁判例、これに固執をしているし、それで、そこをベースにどうもパワハラのガイドライン案をつくっているようなんですね。これがこのままいくと、既に多くの団体が懸念の表明をしたりしておりますけれども、まずは、パワハラの範囲が著しく狭くなるおそれがあるというふうに思います。ですので、そこはしっかりと、これも附帯決議で示された内容どおりにやっていただきたい。

 特に、参議院の附帯決議の九の1ですけれども、パワハラの判断に際しては、「「平均的な労働者の感じ方」を基準としつつ、「労働者の主観」にも配慮する」ということであったり、それから、アウティングのところですね、「雇用管理上の措置の対象になり得ること、そのためアウティングを念頭においたプライバシー保護を講ずること。」これはしっかりと附帯決議に入っておりますので、こういったことも明記をしていただきたい、最低限のこととして。

 それから、いろいろ建議もあるので御苦労されているというふうには思うんですけれども、パワハラに該当しないと考えられる事例というのがいろいろ出ていますけれども、これはちょっと私の目から見ても不適当なものが多いと思います。

 それから、フリーランスの方々への配慮がちょっと足りないです。フリーランスの方々は、ある調査によれば、六割を超える方々が何がしかのパワハラを経験しておられる。そういった方々への対応も極めて不十分。

 それから、就活生。就活生も、今現在も相談に行くことはできるんだけれども、相談に行った先にどういった対処が存在をするのか、どういった苦情処理が存在するのかということがなかなか明確になっておりません。

 ぜひ、最低限、この附帯決議に書かれていること、これはしっかりと盛り込むということを大臣の決意として述べていただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、職場におけるパワーハラスメントの防止のための指針について議論をしていただき、厚労省として、改正法、また改正法の附帯決議、これを踏まえながら、指針の素案を提示をさせていただいたということでございます。

 中身について、分科会でもさまざまな御意見をいただき、また、各種団体からも今意見を頂戴をしているところでございますので、引き続き分科会において議論をいただきたいというふうに思っておりますけれども、私どもとしては、職場におけるパワーハラスメントの法律上の定義、また決議を踏まえて、指針の内容がまさにパワーハラスメントそのものの防止策の実効性を確保していく、こういう観点から、まさに具体的でわかりやすい形、かつ、これは公労使合意を必要とされていますから、そういったものができるよう、引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 そういうふうにお願いしたいんですが、附帯決議は国会全会一致の意思ですので、そこのところはよく踏まえて守っていただきたい、このように強く要請をいたします。

 それで、時間も少なくなってきましたが、全世代型社会保障検討会議、これについて、私も、岡本委員が先ほど質問されましたけれども、一点だけ具体で伺いたいと思っております。

 今、社会保障審議会の介護保険部会も動いておりまして、この中でいろいろなことをこれから議論されていくんだというふうに思うんですけれども、やはり仄聞するのは、要介護一、二のカテゴリーの方が総合事業に移行していくということが言われているわけですね。実際に、先ほど尾辻委員が配付された資料の中でも、要介護一、二の訪問介護事業が外れるという法案が来年の通常国会に提出されるとまで書いてあるわけですので、これは極めて深刻な問題だというふうに思っております。

 ただ、ちょっと大臣も思い出していただきたいし、この前の大臣所信でもおっしゃっていたんですけれども、介護離職をゼロにするという方針、これは変わりないわけですよね、大臣としては。

 そうしますと、果たして、全世代型社会保障検討会議でこれから議論が進んでいくときに、介護離職ゼロという、大臣が願っていることと同じ方向で議論がされていくんだろうかという懸念が非常に強いんですよ。しかも、介護離職ゼロというのは、安倍総理自身が、一億総活躍のいわゆる何とかの矢の中で、介護離職ゼロを目指しますというふうにも明らかにうたっておられたわけで、これは内閣府政務官にお伺いしますけれども、全世代型社会保障検討会議で、介護離職ゼロという関係で議論が行われることになっていきますよね。そこを確認させてください。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 全世代型社会保障検討会議では、人生百年時代を見据えて、七十歳までの就業機会の確保、年金受給開始時期の選択肢の拡大、それから厚生年金の適用拡大の検討、予防、健康づくりの推進など、年金、医療、介護等、社会保険全般にわたって改革を進めてまいります。

 この大きな方針のもとで、先日、第一回の検討会議を開催いたしまして、現在、その際の議員からの御意見を整理しているところでございます。

 今後、さらなる御意見や与党の御意見を聞きつつ、会議を開きながら具体的項目は進めてまいります。

 なお、一億総活躍を掲げる安倍内閣にとって、全世代型社会保障への改革というのは大きなチャレンジであるわけです。一億総活躍社会の完成に向かって、令和の時代にふさわしい、誰もが安心できる社会保障制度を大胆に構築していくものであります。

西村(智)委員 お答えください。介護離職ゼロを目指すということと同じ方向で議論が進んでいくという理解でよろしいですよね。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど申しましたが、具体的項目についてはこれから固めてまいるということでございます。

西村(智)委員 おかしいですね。だって、これは、新三本の矢か何かその中で総理も言っておられたし、加藤大臣も先日の所信の中で、介護離職ゼロを目指すというふうにはっきりと言われたんですよ。

 それで、さっきの岡本委員とのやりとりのときに聞きましたら、何かよく頭の中も整理できなかったんですけれども、つまりは、全世代型社会保障検討会議が言ってみればその総論というか司令塔のようになって、各省の審議会がそれに連動して動いていくというようなことですから、これは厚労省の、しかも厚労大臣、この考えとやはり同じ方向を向いて走っていくべきですよね。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 一億総活躍、新三本の矢というものの中でこの具体的項目を固めていくということになります。

盛山委員長 もう少し質問者の意図を踏まえて御答弁いただきたいと思います。

 神田大臣政務官。

神田大臣政務官 一億総活躍と新三本の矢の中に包含されておりますので、その具体的項目についてはこれから固めていくということになります。

西村(智)委員 何が包含されているんですか。介護離職ゼロが包含されているんですか。

 一億総活躍と新三本の矢は、確かに介護離職ゼロを含んでいますよ。なので伺っているんです。全世代型社会保障検討会議は介護離職ゼロを目指して議論するんですか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 具体的項目についてはこれからになりますので、これからの議論ということで、その項目を固めていくということになります。

西村(智)委員 非常に、不安がますます大きくなりましたね。いや、厚労大臣、結構です。

 こういうような状況ですから、全世代型社会保障検討会議の今後の持ち方とかそれから方針についても、しっかりとこの厚労委員会で議論させていただかないといけないと思っています。今のような答弁で、本当に介護離職が置いてきぼりになるんじゃないかと思っているんですよ。

 また、今議論されているまさに要介護一、二を総合事業に移行するなんということがあったら、介護離職ゼロどころかもっとふえますよ、介護離職。こんなことにならないように、ぜひ私たちもしっかりと委員会でまた議論させていただきたいと思っています。

 終わります。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、年金について伺います。

 年金の今度発表されました財政検証を見ますと、年金の給付水準の引下げが基礎年金に集中しているわけですよね。ケース三の場合で見ると、所得代替率は、基礎年金は二八%削減、報酬比例部分は三%削減。国民年金だけや、あるいは報酬比例部分が少ない方、低年金の人ほど年金の削減が大きくなる。この現状は放置するわけにはいかないと思います。この基礎年金の方がなぜ削減が大きいのかというと、財政状況のよくない国民年金勘定をもとに基礎年金の削減率を決めているからであります。

 きょう提案したいのは、基礎年金の減額を抑制するために、国民年金と厚生年金の財政統合について検討していただきたいということです。

 私、厚労省に試算を出してほしいという話をしたら、試算を出してもらえませんでしたので、配付資料をお配りしました。これは、国際医療福祉大学教授の稲垣誠一先生の試算、概算です。御承知のとおり、稲垣先生は厚生労働省の年金局でも勤められた方でございます。

 裏表ありますけれども、一番右側が財政統合した場合どうなるかということですけれども、ケース三で見れば最終的な年金の削減は九%ということですから、今の仕組みでは基礎年金はマイナス二八%、三割近く減ってしまうわけですけれども、財政統合すれば九%ということです。モデル世帯で見れば、マイナス二〇%が財政統合すればマイナス九%ということであります。

 それから、表面、戻っていただきまして、所得代替率はどうなるのかということですけれども、ケース三でいけば、今の仕組みでいけば五〇・八%になるわけですけれども、財政統合すれば所得代替率は五六・一%ということで、現行よりもかなり改善するということになります。これは、基礎年金は、ふえればその分国庫負担も増加するからこうした効果が出てくるわけでありますけれども。

 大臣にきょうは提案したいのは、やはり国民年金と厚生年金の財源を一本化すればこうした効果が出てくるわけでありますから、ぜひこの財政統合についても検討していただきたい。試算も、ぜひ厚労省としてもやっていただきたいと思います。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今回の財政検証と前回と比べて、基礎年金の減額といいますかの状況は、若干でありますけれども、どのケースを比べるかですが、二〇一四年のケースEと今回のケース三を比べれば、若干は改善されていると言える姿ではありますけれども、ただ、委員の御指摘のように、このマクロ経済スライドの中で、基礎年金の下がる率が報酬比例部分に比べて大きいというのは、これは事実な御指摘であります。

 その上での話でありますけれども、ただ、そもそも、この基礎年金制度というのは、全国民に共通する給付を支給する制度として導入をされて、費用も被保険者全体で公平にということで、基本は定額、もちろん被用者の場合にはそれは所得比例で負担をしているわけでありますけれども、そもそもそれぞれが異なる仕組みになっているわけでありますから、それを一緒にするかどうかということについて、確かにそういう主張をされる学者の方もおられるのは私も承知をしておりますけれども、さまざまな御意見があるということであります。

 また、現在、当面は、厚生年金、基礎年金それぞれにマクロ経済スライドがかかるということ、またマクロ経済スライド自体が徐々に給付水準を調整するということでありますから、今直ちに何か対応しなければ、統合しなければならない、こういう状況にはないというふうには思っております。

 また、今回、被用者保険のさらなる適用拡大等の議論もあります。この適用拡大は、国民年金財政をも改善させるという結果も、先般、財政検証の結果において確認をされているわけであります。

 また、基礎年金は、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障する再分配機能を有する給付であって、その再分配機能を大きく損なわないようにしていく、その視点は非常に大事だというふうにも思っております。

 そういった意味で、まずは被用者保険の適用拡大に向けた検討を進めるとして、今後の課題としては、所得再分配機能の維持のためにどのような方策が可能なのか、これについては今後とも引き続き議論はしていかなければならないというふうに考えています。

宮本委員 これは、学者の提案だけじゃなくて、元厚労大臣の田村さんもいろいろなメディアなんかでも、きょう、今はいらっしゃらないですけれども、主張されている話ですよ。与党の中からもそういう意見が出ているんじゃないですか。

 ですから、これは本当に、基礎年金の減額が大変だから適用拡大という話も今一生懸命議論されているんでしょうけれども、この改善の効果、グラフを見ていただければわかりますけれども、適用拡大は当然必要ですけれども、それに増して大きな、基礎年金の削減率を抑える効果が財政統合にはあるわけですよね。

 大体、なぜ、国民年金勘定の財政状況で基礎年金の削減率を決めなきゃいけないのか。この仕組み自体、合理的根拠は私はないと思うんですよね。基礎年金は、だって、国民年金加入者だけじゃないんですから。厚生年金に加入している方も含めて支給されるわけですから、財政状況の悪い国民年金勘定で基礎年金の削減率を決めていくという今のやり方をどう改めるのかというのは真剣に検討していただきたい。

 緊急な課題じゃないというお話をされましたけれども、私は緊急に検討すべきだと思いますし、さらに、私たち、この間、先日の選挙でも提案しましたけれども、厚生年金の保険料の標準報酬月額の上限を引き上げるということを訴えていますけれども、それを考えても、財政統合をやれば、この厚生年金の保険料を引き上げていくということも、削減率、カットの率を小さくしていく上では大きな力になっていくというふうに考えておりますので、どうやって基礎年金をしっかり守っていくのかという観点で検討をお願いしたいと思います。

 次の問題に行きます。

 地域医療構想の問題であります。先ほど来議論になっております。

 四百二十四の公的病院の実名を、厚生労働省が名前を挙げて、再編統合を視野に入れた再検証を求めました。

 先ほど私ちょっと議論を聞いていましたけれども、ちょっと大臣に事実だけお伺いしたいんですけれども、これが公表されてから、大臣御自身は、この四百二十四の病院のどこかの院長先生からお話を直接伺ったりとかされましたか。

加藤国務大臣 直接は伺っておりません。院長先生からという意味においては。

宮本委員 ぜひ話を伺っていただきたいと思うんですね。

 東京でいえば、十の病院が名指しされております。

 私、この間、名指しされた都内の病院のうち、台東病院、村山医療センター、奥多摩病院のお話を伺ってきました。話を聞けば聞くほど、それぞれの病院が地域住民にとっても日本国民にとってもなくてはならない病院だということがよくわかりました。

 今回、全国で多くの過疎地域の病院が対象になっております。

 東京の奥多摩病院は、近隣の救急病院まで救急車で四十分かかります。奥多摩町には峰谷という中心から離れた集落がありますけれども、そこから数えると、奥多摩病院がなければ一時間以上救急車でかかるということになります。

 そういう中で、奥多摩病院は、三百六十五日二十四時間、四人の常勤医で地域に密着したあらゆる医療を提供しております。高齢化が進んでいます。通院困難もある。そういう中で、年間四百回の往診を行っている。訪問看護は千七百回。町中心部から離れた二つの集落にも診療所を設けて、毎週そこで患者さんを診るということもやっています。

 さらに、今回、台風被害で日原地区というところが孤立しました。五十世帯ぐらいあります。山道を徒歩で通るしかなくなったわけですね。そのときに、どうこの集落の方々の健康を守るのかということで、町の保健師が山道を通って、全戸訪問で一軒一軒回ったわけですよ。そして、他市の病院にかかっている人も含めて、体調を伺い、必要な薬は何なのか、こういう話を聞いて回って、奥多摩病院が他市の病院とも確認をとって、奥多摩病院の患者はもちろんのこと、他市の病院にかかっている方も含めて、地域連携で薬を届けるということをやりました。

 四十分も救急車で離れたような病院では、同じサービス、住民の健康を守る同じ仕事というのはとてもできないと思いますが、大臣、いかが思われますか。

加藤国務大臣 委員から奥多摩病院のお話がありました。ちょっと、私自身、奥多摩病院、直接存じ上げているわけではないので、個別について評価をするというのは差し控えたいというふうに思いますけれども。

 今回の分析においては、診療実績が特に少ないか否か、またあるいは類似かつ近接にそういう医院がないか、こういう視点に立って分析をさせていただいたわけでありますけれども、当然、その中にはそれ以外の診療を中心にやっているところもあります。また、地域にとってなくてはならない医療機関というのも当然入っているわけでありますので、それはそれぞれの地域の中でそうした観点からしっかりと御議論をいただいて、見直すべきことは見直し、維持すべきものは維持していただく、こういう議論をしていただければと思っております。

宮本委員 四百二十四のリストに地域にとってなくてはならない医療機関が入っているんだったら、そんなリストを出すこと自体、間違いじゃないですか。奥多摩病院の院長先生も、厚労省の出したあの基準で評価されたら正直心が折れる、こうもおっしゃっておられました。

 さらに、もう一つお伺いしますが、国立病院機構の村山医療センター、脊椎、脊髄の手術症例数は全国トップクラスの病院になります。リハだとか整形でも大変大きな実績がある病院です。お医者さんも最近かなりふえて、経営も安定している状況です。病院も満床のときもあります。患者は、北は青森、南は沖縄まで来ております。そして、脊損患者の病棟もあって、入院患者は全介護が必要な人も多いという状況です。

 こういう病院を再編統合の対象にしたら、私は国民全体が困ると思いますよ。大臣、そう思われませんか。

加藤国務大臣 今回、我々はこの病院を廃止しろとかそういうことを申し上げているわけではありませんが、ただ、そういうふうに受けとめられたことも確かに事実でありますから、その辺は、他の委員にも申し上げたように謙虚に受けとめて、また今後、そうならないように、しっかりと取り組んでいかなきゃいけないというふうに思います。

 特に、今回は、がん、救急、小児、周産期、災害医療などの高度急性期あるいは急性期機能に着目した分析を行ったわけでありますので、今回の対象とならなかった回復期、慢性期医療あるいは他の専門的な医療について、これについてはそれぞれの地域においてそうした論点を補っていただきたいというふうに思いますし、そうしたことを踏まえながら、それぞれの地域の限られた医療資源の中でその地域にとって必要な医療はどうやったら提供されていくのか、それに向けて議論を進めていただければと思っておりますし、我々は、それにしっかりと対応するというか、そうした議論あるいはそうした取組を支援をさせていただきたいというふうに思っております。

宮本委員 廃止しろとは言っていないと言いながら、大臣が先日の経済財政諮問会議に出した資料を見ても、ダウンサイジングや機能連携・分化を含む再編統合について、来年九月までの再検証を要請するということで、これには、再編統合ですから、廃止も含めた話ですし、そうでなくてもダウンサイジングということですね、ベッドを減らしなさい、それを要請するんだとはっきり書いているじゃないですか。

 村山医療センターに聞きましたら、診療報酬でいくと、脊損病棟を見ると、ここだけでは赤字だと言うんですよね。他の部分の黒字で補って支えているという話であります。

 四百二十四の病院のリストを見ますと、難病だとか重症心身障害児への医療だとか、いわゆる政策医療を担っている病院も少なくないわけですよ。国立病院機構などでいえば、政策医療の分野も補助金もない、その分野だけでは赤字が多いわけですね。その分、一般医療の黒字で補って病院が経営されている場合が多いわけですよ。

 こういう病院に対して、一般医療のところでいいからダウンサイジングしろということをやったら、病院自体が経営ができなくなっちゃうわけですよ。そうなれば、国民にとって必要な政策医療も提供できなくなる、こういう事態を招くんじゃないですか。

加藤国務大臣 確かにそういう御指摘もありますけれども、ただ、全体として地域医療を見たときに、どういう資源配分をしていくのかという議論、そして、その中で、限られた資源の中でこれからの地域の医療ニーズに応えていく、そういう議論を私どもはお願いをさせていただいているわけでありますし、また、それを踏まえた形でそれぞれの地域から地域医療構想が既に出てきているわけでありますから、それに向かってしっかり御議論をしていただきたいというふうに思いますし、その中においては、もちろん、今回のデータ分析等も踏まえながら、また、各地域におけるそれぞれの特定領域あるいは地域の実情、そういったこともあります。それらも踏まえた議論をしていただきたい。また、その議論に、先ほどとかぶりますけれども、我々としてできる支援はしっかりやらせていただきたいというふうに思っています。

宮本委員 ですから、今回出したデータで、一面的な基準で見るということがいかに実情と合っていないのかという話を、私、今させていただいているわけですよ。私は、病院のお話を伺ってきました。大臣は、聞かずにやってきているわけでしょう。

 現場で実際にどういう役割をそれぞれの病院が担っているのか、そして患者がその地域でどういう病院を求めているのか、そこから出発しないとおかしなことになるんですよ。何か頭の中で、数の話から始まって、削減ありきというところからいくから、こんな一面的な基準で、それこそ、今一生懸命治療をされている先生方が心が折れそうになるというようなことをもたらしているんじゃないですか。

 私は、今度の一面的な評価というのは全く合理性に欠けると思いますよ、今回の基準というのは。大臣はそう思われませんか。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、そもそも、地域医療をどうしていくかというのは、まさに地域の中で地域の実情あるいは今後の動向を見ながら御議論いただくということで、我々として、まず、地域医療構想をそれぞれの地域でおまとめいただいたわけであります。その実現に向けて、公立・公的病院等、あるいはこれから民間の議論も当然出てくると思いますけれども、そうした全体を調整し、見直す中で、最初に掲げた地域医療構想の姿を実現をしていく、こういう流れになっております。

 そういう流れの中で、先般、公立・公的病院等についても具体的方針が出されているわけでありますけれども、こうした一連の流れから見て、急性期からの転換が進んでいないではないか等の御指摘もあって、今回、こうした医療データをお出しすることによって、それをも含めて活用していただいて、これからの議論、あるべき姿をどうしていくのかをしっかり議論していただきたいというふうに思っているわけで、一律に減らすとかいうのではなくて、やはり将来において必要な医療がその地域において提供されていく、そうした体制の実現に向けて、これは地方を当然主体にしながら、国もしっかりそれを応援をさせていただく、こういう趣旨でございます。

宮本委員 ですから、活用できるデータじゃないじゃないですか。全然実情を踏まえていないんですから。その点を聞いているんですよ。

加藤国務大臣 いや、活用していただきながら必要な補足をし、そして、これにおいて不足があればまさにさまざまなデータに基づいて議論をしていただく、まさにそういった一助になればということでありますので。

 もちろん、今回は、全国的、一律的に、しかもある時期のデータをベースに出しておりますから、その時期に、これまでも他の委員からありましたけれども、病院を新しく新築している、あるいは災害等があった、それぞれの事情があると思います。それはそれで、それぞれの地域でそれを補正をしていただきながら、また、必要があれば違う観点からの分析をしていただきながら、また、我々の方からこういうデータを出せということであればそうしたデータも我々は出させていただきながら、まさに今委員御指摘のように、データに基づきながら、やはりこれからどうなっていくのか、そういう議論をしっかりとしていただければというふうに思います。

宮本委員 ですから、このデータでは不足があるとか、違うデータも必要だったら出しますよと言うんだったら、こんな一面的なデータに基づいた四百二十四のリストは撤回すべきですよ。

加藤国務大臣 出すに当たって、いろいろな御批判があったり、また、それに伴う、この病院は廃止してしまうんではないかという市民の皆さんの心配を喚起したり、そうしたことは我々も真摯に反省しなければいけないというふうに思いますが、ただ、申し上げているのは、やはりこれから、二〇二五年を見据えながら、あるいはその先を見ながら、地域の医療をどうやっていくのか、それをそれぞれの地域でしっかり御議論いただく、そのためにはこうしたデータも踏まえて御議論をいただく必要があるということでお出しをさせていただきましたので、このデータも含めて、また、地域におけるいろいろなデータや視点もあろうかと思います、それも加えながら、加味しながら、それぞれの地域の中でしっかり御議論いただき、必要があるところにおいては具体的な方針の見直し等も行っていただければというふうに思っております。

宮本委員 ほかのテーマに移りたいから、ここで次に行きますけれども、やはり一つ一つの病院の役割を一番わかっているのは、厚労省でもありません。一面的なデータを出すのではなくて、やはり地域の医療関係者、そして何よりも住民、この意見を踏まえて、必要な病院は必要だということでやっていかなきゃいけないということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、先週、労政審の雇用環境・均等分科会で、パワハラ防止についての指針の素案が厚労省事務局より示されました。

 これに対し、この指針素案ではパワハラを助長しかねないと批判の声が上がっております。指針素案には六つの行為類型ごとにパワハラに該当しない例が記載されておりますが、これにも、使用者の弁解カタログだ、こういう強烈な批判が出ております。

 先ほどもお話ありましたけれども、例えば、素案では、過小な要求に該当しない例として、経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務につかせること、こう記されております。

 これは大臣の認識をお伺いしたいと思うんですが、使用者側が、違法な配転や降格、あるいは追い出し部屋など違法なリストラ手法をとって裁判で争いになった際に、経営上の理由により、一時的に、解雇阻止のためのやむを得ない措置だと裁判でしばしば主張してきたというのは御存じですか。

加藤国務大臣 配転、降格等に関する裁判で、使用者側が業務上の必要性などの主張を行うに当たって、御指摘のような主張を行う場合もあるというふうには承知をしておりますが、それらも踏まえて最終的な判例が積み重ねられているというふうに承知をしております。

宮本委員 大臣がお認めになったとおり、大体、いつもそう主張するんですよ。

 例えば、リコー事件。

 希望退職募集への応募を断った開発部門の技術者が子会社に出向を命じられ、商品のこん包、ラベル張りなどに従事させられました。リコーが退職に追い込もうとした事件であります。

 これについて、東京地裁は、人事権の濫用だとして出向を無効とする判決を下しました。

 そのときの使用者の主張は、本件出向命令のように、復帰が予定されていないわけでもなく、かつ、厳しい経営状況の中、緊急的な施策として実施された雇用維持、調整目的の出向命令は、より一層高度な業務上の必要性が認められるというべきであると。こう主張していたわけですけれども、人事権の濫用だとされたわけです。

 ベネッセの事件。

 人財部付で単純労働させたことについて、これも地裁判決では、実質的な退職勧奨になっている、配転は効力無効だとしました。このときのベネッセは、一時的な配属なんだ、こういうふうに言ったわけですね。

 プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク事件。

 これも、退職勧奨を拒否した従業員に対して、特別任務として仕事を与えない、さらに次は、単純な事務作業の部署への降格という配転命令が、人事権の濫用として裁判で無効とされました。このときも、使用者は、業務上の必要性がある、当面の措置だと言ったわけですよ。

 ですから、今回、過小な要求だ、経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務につかせることということを記されておりますけれども、これはまさに、追い出し部屋だとか、違法なリストラをやるときにやってきた使用者側の主張をそのまま書かれているわけですよ。そして、それは大臣もお認めになりました。それをこのまま明記すると。今、素案ですけれども、指針に明記するということになったら、違法な配転や降格、追い出し部屋などを行う使用者側の弁解が正当化されることになってしまうんじゃないですか。

加藤国務大臣 今のこと、今のパワハラの例を含めて、この素案では、昨年十二月の建議、また平成三十年三月にまとめられた職場におけるパワーハラスメント防止についての検討会報告書、これは労使も参画したものでありますけれども、そうした内容を踏まえて、御指摘の例を含めて、職場におけるパワハラに該当しないと考える例としてお示しをさせていただいたところでありまして、この例を含めて、それ以外も含めて、まだ引き続き分科会で御議論をいただいているというふうに承知をしております。

 なお、委員の御指摘、先ほど私が申し上げたのは、使用者側からはそうした主張がなされているけれども、それが正当な主張なのかどうかということがまさに裁判等においては争われているのではないかというふうに承知をしております。

宮本委員 この該当しない例はどこから出てきたのか。もともと、職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書だったわけです。ここでも十二分に議論されていないんです。私、議事録を見ましたけれども、この検討会は十回やられていますけれども、該当しない例が初めて出てきたのは九回目だと。そのときも、委員から例に無理があるという意見が出て、座長はそのときに、これは少し、多分きちんと議論しなければいけないので、きょうだけでは済みそうにない、とりあえず、こうやって盛り込まれている。とりあえずの話なんですよ。

 それをこういう素案ということに今回盛り込んでいるわけですけれども、裁判で人事権の濫用だと何度も断罪されている、これをこのまま指針に載せていくということになったら、使用者側がみずからの違法なリストラの正当化に使う可能性があるわけですよ。使わないということを保証できるんですか、大臣は。できないでしょう。

加藤国務大臣 ちょっと済みません、委員の御指摘がよくわからないんですけれども。

 いずれにしても、どういうガイドラインをつくっても、そのガイドラインを一つの理由として何か行為をなされるというのは、これはいろいろなところであるわけで、その主張をされたから全部ガイドラインを変えるということにはならなくて、問題は、そのガイドラインに沿った主張なのかどうかということがきちんと判断されて、それがパワハラに当たるか当たらないかという議論がなされていくということなんだろうと思いますので、そういった点も含めて、ただ、今の段階で確定しているわけじゃありませんから、この分科会において引き続きしっかり議論をさせていただきたいというふうに思います。

宮本委員 だって、何度も何度も裁判の判決でそうした主張は退けられてきているわけですよね。退けられてきているわけですよ。そういう例がたくさんあるわけですよ。それをわざわざ該当しない例ということで例示すること自体が間違いですよ。私は、そんな、該当しない例ということを並べること自体、おかしいと思いますよ。

 セクハラだったら、該当する例は載せますけれども、指針の中で該当しない例は載せていません。なぜパワハラだけ、該当しない例を載せるのか。これも私は全くおかしな話だと思いますけれども、該当しない例というふうに載せるんだったら、どんなことがあっても該当しないという例以外は載せちゃだめでしょう。裁判で何度も断罪されているような手法を該当しない例ですと載せたら、これは該当しないんだと思って、やる企業が出てくるんじゃないですか。そういう懸念を大臣は持たれないんですか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の指針の素案でございますけれども、御指摘のような例に関する記載の前提といたしまして、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、そういった旨も記載をしてございます。御指摘のような、違法な配置転換あるいは降格といったようなことを正当化する趣旨ではないところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き分科会において議論を深めていただいて、その結果を踏まえて指針を策定してまいりたいと考えております。

宮本委員 ですから、状況によって判断が異なり得る場合もあるようなものを該当しない例として堂々と載せるというのはいかがなものですかという話をしているわけですよ。状況によってこれはパワハラに該当するということがある例を、しかも実際にそういう判決も何回も出ている例を、これは該当しない例ですと、堂々と該当しない例の代表格として載せるなんて、どう考えてもおかしいでしょう。

 本当に、このままいったらパワハラ防止どころかパワハラ助長になりかねないという多くの皆さんの懸念をしっかり受けとめて今後議論をしていただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 今国会から、厚労大臣、加藤大臣に再任されまして、また、働き方改革も兼任されるということで、私、労働市場改革、働き方改革については、これから、内閣のエースでもあります加藤大臣としっかりとこの新しい社会像を見据えていろいろ議論をしていきたいなというふうに思いますので、きょうは、主に働き方改革に絞りまして少し質問の方をさせていただきたいと思います。

 まず、ことしの八月二十六日に出されました、厚生労働省の改革若手チームがレポートしました業務・組織改革のための緊急提言というのがございます。これについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 このレポートは、レポートの本文と要約版、こうありまして、要約版の一ページを見ますと、省庁の職員からの声ということで、生きながら人生の墓場に入ったとか、家族を犠牲にすれば仕事はできるとか、一生この仕事で頑張ろうと思えないとか、毎日いつやめようかと考えているとか、残業することが美学という認識があるとか、定時に帰りにくい、こういうことからスタートしておりまして、非常に、官僚の皆さんの働き方改革も一体的に考えて進めないといけないというふうに、認識を私も持っております。そういう意味で、このレポートというか緊急提言が勇気を持ってなされたことに関しては、内容も含めて、私は強く賛同をしております。

 その中で、いろいろとこの中に改革の方向性みたいなものも書かれていまして、すぐに取り組めるものから、なかなかハードルがいろいろあるなというものまでたくさん盛り込まれております。

 その中でも、職員を増員するということは、これはパフォーマンス見合いですからなかなかいきなりというのは難しいかもしれませんが、生産性の徹底的な向上のために業務を改善するであるとか、人の能力を最大化させるための人事制度をもう一回考え直すであるとか、ちょっと笑い事じゃないかなと思うようなオフィスが暗過ぎるとか、そういったすぐに改善できることはぜひしていただきたいですし、切り込んだ提案もこの中には入っておりますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 そういうレポートの中で、私がちょっと一点だけ違和感を感じましたのは、厚労省分割論について、非常にそれはネガティブなページがありまして、これについては否定的である。つまり、広く捉えると、そういう機構改革みたいなものに対して、官僚の皆さんのネガティブな思いがちょっと出ているのかなというふうに感じたんですね。

 分割論に関しては、私も、厚生分野、労働分野は、特に働き方改革も一体的にやるものですから、同じ省庁がやるということに賛同しますからあれですけれども、こういうのがちょっともったいないなというふうに感じたんですが、そのあたり、ぜひ、こういう機構改革も含めて、このレポートを受けての感想と意見表明をいただけたらと思います。大臣、お願いいたします。

加藤国務大臣 厚労省の若手のこの提言、これは、器そのものは厚労省が一定用意をしながら、ただ、そこの中における議論は自由闊達にしていただいて、今委員から御指摘があった、普通の提言とは思わぬ本音が出たり、かなり切り込んだ提言も具体的に出されているというふうに思っておりますので、したがって、そういう中で彼らが彼らなりに考えた姿だというふうに、まず提言だというふうに、この分割論等も、機構改革も含めて、それはそうなんだろうというふうに思います。

 その上で、今委員お話があった、厚生省と労働省が一緒になった中で、仕事と家庭の両立支援と子育て支援をあわせてやるとか、福祉サービスと雇用について障害者施策を一体的に進めるとか、やはり一緒になって進めてきた成果というのは確かにあったというふうに思います。

 ただ、これから先を考えたときに、行政のありようというのは常にこうだと固定されるものでもありませんし、戦後含めて省庁は随分改編をしてきたわけでありますので、そういった意味においては、時代時代に応じて必要な見直しをしっかり図っていくべきだというふうにも考えております。

 いずれにしても、まず我々として、厚生労働省の行政課題、これにしっかり対応できる体制をつくっていくということがまずその第一歩というふうに認識をしております。

藤田委員 ありがとうございます。

 大枠、私も大臣の答弁に同感であります。ですから、機構改革も含めて、細々とした省庁内でできることはどんどん進めていただきながら、政治家が旗を振るべきところは、特に機構改革だったり国会との関係性、こういったところで、官僚の皆さんがより、楽になってもらうという表現ではなくて、しっかりとパフォーマンスを高く発揮していただけるような体制づくりをすべきであるという認識で一にしたいと思います。

 それから、続きまして、このレポートの中で、国会業務についても幾つかありまして、官僚の国会対応業務が、簡潔に言うと、非常に負担が大きいということが書かれてあります。

 今回も、最近ではちょっと問題になった件もありますが、このレポートの中には質問通告の二日前ルールというのが書かれていまして、これはたしか国対ベースで、たしか各党が合意された申入れのようなものが多分十数年前にあったかと思うんですが、それをベースに多分このレポートは書いてあると思うんですね。

 しかしながら、これは国会のあり方をやはり問うていかないといけない問題でもありまして、現実的には、二日前に通告するというのは、二日前に委員会日程が決まりますから、これは非常に難しいのが現実です。

 だから、そういったことも含めて、国会のあり方、委員会のあり方を考えていくということは、野党の皆さんも与党の皆さんもおっしゃられている議員がたくさんおられますから、ぜひとも国会を挙げて、内閣もそうですが、我々議員側も含めて考えていきたいと思います。

 その中で、質問通告の時間を議員ごとに集計したり、平均通告時間等を算出したり比較したり、又は空振り答弁、質問は実際にはされなかった通告とかということを求めがあれば公表するのはどうかという、これは提案ですかね、ということが書かれてあるんですけれども、これについては実際にはどういう形での求め又は公表のスタイルをとられるかというのを教えてください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の若手チームの緊急提言につきましては、業務の改善、人事制度の改革、さらにはオフィスの環境の改善といった幅広い提言、多数の項目にわたる提言を受けております。その中で、できることはすぐに取り組むということで、既に冷房運転の柔軟化とか廊下照明の改善とか、さらには省内でできる国会業務の効率化といったところには取り組んでいるところでございます。

 御指摘の今回の提言の中で、国会対応業務の効率化のために質問通告時間の分析やその分析内容の公表について提案がされておりますが、これにつきましては、国会対応業務の効率化を進めるためにはその後の省内でのさまざまな作業の改善も重要でありまして、若手チームの提言の趣旨も踏まえつつ、また省内外の皆様の御理解、御協力もいただきながら、幅広く総合的に検討した上で推進していきたいと考えております。

藤田委員 済みません、ということは、公表をしたらいいんじゃないかという提言だけれども、それは至らないかもしれない、そういう認識でよろしいですか。公表するという方針は別に出さない可能性もあるということでいいんですかね。あくまで提言なのでということですか。

田中政府参考人 国会対応関係の業務につきましては、霞が関、私どもの職員の働き方改革を進める上では相当大きな課題であるというふうには認識しておりますが、同時に、省外の多くの方々の御理解、御協力もいただく必要があるというふうに思っております。

 こういった面も十分留意しながら、若手チームの意見も踏まえてしっかり検討していきたいということで、今後、具体的な対応についてはそういう観点から検討していきたいと思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 私は、実はこれを読んだときに、官僚の皆さんのちょっとした反抗みたいなものなのかなと思ったんですよ。もっと早く出してくれというような意見が、意見というか、それじゃないと公表しますよというような、ちょっと嫌ごとのようなことを僕は感じました。

 でも、これは本質的に考えたら、与党も野党も、野党の皆さんも多分言い分はあると思うんですけれども、与党が、自民党さんが野党のときは簡素な、わかりにくい質問通告をしていたじゃないかというのも、実際に私はまだ議員じゃなかったから知りませんが、あると思います。

 しかしながら、質問をこうやって通告させてもらうのは、今では問合せ不可とかの先生も中にはいらっしゃると聞くんですけれども、私なんかはもうウエルカムで、いつでも電話してくださいという対応を、先輩方にもしろと言われているのでやっているんですけれども。やはり質問を、より深い部分で本質的な議論をやるためには、丁寧に、先に官僚の皆さんにもわかっていただいて、より深い内容を国民の皆さんのために開示していくというのが本旨でありますから、こういった質問通告がおくれるようなことは、できるだけ我々個人の議員としても努力しないといけないし、国会のあり方としても問うていきたいというふうに思います。

 その中で、今般の、台風十九号の前夜に質問通告がおくれたという野党の参議院議員の先生の一件がありまして、それに対して、おくれたやおくれていない、又はそれが漏えいしたとか漏えいしていないとか、今これは両者、何か追及チームみたいなのができてやっておりますけれども、私は両方問題があるかなというふうに思いますが。

 一つ気をつけないといけないかなと思うのは、それは、官僚の皆さんも家族もありますし、台風の前夜で、夜中まで仕事して、休みも出てきて、私は相当むかついたと思いますよ。でも、それでも、やはり匿名のアカウントで、口汚く、内部情報が半ばわかるような形でSNSを発信するというのは、私は職業モラルとして間違っていると思います。これは、今はSNSの時代で、私も実業家ですから、企業の従業員もそういうSNSをみんな使っているものですから、これは本当に、非常に厳しく、又はリスクマネジメントを敏感にやらないといけない問題でもあります。

 そういう意味で、最も国家の中枢におられる行政府、官僚の皆さんのそういう職業モラルについて、またSNSのリスクマネジメントについて、大臣から一言御見解をいただけたらと思います。

加藤国務大臣 今の委員の御質問、一般論ということでの御質問でございますので。

 ソーシャルメディアの私的利用については、総務省において、国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点という通知が既に出されております。

 また、今委員御指摘のように、どうしてもこのソーシャルメディアについて、手軽に発信できるという、何か怒りに任せて書いてそのままぼんと送ってしまう、そういう傾向も、あるいは特性もあるわけでありますから、そういった点も十分に踏まえながら、しかし、国家公務員法等の法令を遵守するというのは、これは国家公務員の基本であります。

 こうした点をよく理解し、そういった点を踏まえて、そういう立場にあることをしっかり認識をしていただいて利用することが必要だと考えておりますので、そうした留意点も含めて、服務、倫理に関する研修、これらを実施して職員に周知を図り、ソーシャルメディア等の適切な利用をしっかり図っていきたいというふうに思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 官僚の皆さんの真摯な対応とモラル、そして我々議員側のより本質に迫る議論のやりとりこそが国民の利益に資すると思いますので、引き続きそのような形で両者で取り組めたらと思います。

 次に、議題を移りまして、地方公務員の変形労働制について少しお話を聞きたいと思います。

 ちょっとこの所管は総務省になりますけれども、私の選挙区の地元が、寝屋川市というところがございまして、寝屋川市では、この十月から全国初でコアタイムなしのフレックス、いわゆるフレックス制度を導入いたしました。これは、制度としては労働基準法三十二条の二の一カ月の変形労働制の仕組みの中で運用されているものですが、皆さんにはわかりやすくフレックスという名前で、寝屋川版フレックスというような形で運用されています。

 これは、いろいろ私も市長又は関係部署に、市役所の人に聞いたんですけれども、かなり成功確率が高い、非常に政策効果の高い取組なんじゃないかなというふうに思っています。その効果としては、一つは、例年に比べて、職員になる応募者が十倍ぐらいにふえたというのも一つインパクトとしてありまして、これはおもしろい取組だなというふうに思います。

 ちょっと紹介させてもらうと、コアタイムをつくらないということは、中抜けもできる、午後からの出勤もオーケー。それの清算期間を一カ月以内にして、原則的には勝手に残業しない。残業するときは、希望残業制度というのを相互補完性の観点から政策として組み合わせて、若いうちにいっぱい働きたいという人は、希望残業制度を取り入れて残業することも許される。こういう働き方の自由度をかなり上げているというのが今回の取組です。

 これがどこまでの効果が出るかというのは、今月始まったところですからまだ検証できる段階ではありませんが、職員のモチベーションをいろいろヒアリングしても、非常に高い。なので、これは全国的に成功事例になる可能性があるので追いかけたいんですが、その中で、地方公務員に関しては、さっきの三十二条の三項、四項にフレックスと一年間の変形労働制というのがありまして、これは除外になっています。

 つまり、フレックスに関しては、民間企業はこの四月から清算期間が一カ月から三カ月まで延びています。つまり、より柔軟度の高いフレックスの組み方、労働時間の組み方ができるように運用できるようになっています。しかしながら、地方公務員の場合は残念ながら一カ月という形の運用しかできないということで、これはぜひちょっと延ばすような運用を法改正の中でやってほしいというのは、私も思うし、地元の要望でもございます。これをちょっと見解をいただけますか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員における働き方改革は重要な課題でございまして、適切な勤務形態を用意することは公務能率の向上に資するものと認識をいたしております。一方で、公務における勤務時間は住民の皆様に適切な行政サービスを提供することが必要でございますので、そのための公務運営の体制を確保する必要がございます。

 そうした中で、地方公務員の勤務時間につきましては国家公務員に準拠して定めることを原則としておりまして、これに適合するよう、御指摘のとおり、労働基準法の一部の規定は適用が除外されているところでございます。

 例えば、一年単位の変形労働時間制につきましては、国における運用と同様、地方公務員に一般的に適用することは行っておりませんで、適用が除外されております。また、フレックスタイム制の清算期間につきましても、国家公務員に関して業務計画の適切な遂行のため四週間に限っていることに準じて、地方公務員につきましても一カ月単位の変形労働時間制の枠内で運用することといたしております。

 今後、国における変形労働時間制度等についての検討の進捗ですとか、地方公共団体における実際の利用状況、民間の状況などを踏まえながら、そのあり方を検討していくべきものと受けとめております。

藤田委員 ありがとうございます。

 今のお話は聞きました。それは官僚答弁では仕方がないかなと思うので加藤大臣に聞きたいんですけれども、働き方改革というのは、民間企業だけでなく、公務員も、それから教員も含めて、やはり労働市場全体で考えていかないといけない問題であるという認識から、これはちょっと比較対象として、先般閣議決定されました公立教員の変形労働制、一年間の変形労働制を導入するということで文科の方で審議されていきますが、公立教員の方は、今ブラックと言われていて、一年間の変形労働制にして夏休みにまとめどりをして帳尻を合わせようという、どちらかというとネガティブな発想から始まった変形労働制、これを進めぬと帳尻が合わない、こういうことなんですよ。

 ちなみに、言っておきますけれども、私は、ステップとしては一年間の変形労働制を教員に適用するのは賛成の方です。まだ多く、これは文科省にちょっと乗り込んで、こっちもがんがんやりたいんですけれども、きょうはやりませんけれども、賛成の立場です、ステップとしては。

 一方で、同じ公務員で、例えば市役所の職員は、ある程度部署で、そして季節で、仕事のいわゆる季節変動というのが読めます。特に民間企業よりも読みやすい。ということは、変形労働制の使い方を、柔軟度を上げる方がより効果的ですし、これはコストにも影響してきます。いわゆるコスト・バイ・パフォーマンスで、どれだけの人件費でどれだけの業務量をこなせるかということの、いわゆるパフォーマンスを上げるための工夫の一つとして、私は、選択的に、地方自治体が自主的にそれを導入するとかしないとかということを選択できるような幅をやることこそが、お金をばらまくよりも権限を持って創意工夫してもらうというのが、これが地方分権の本来のあり方であるというふうに思うんです。

 そういう観点から、教員はちょっとネガティブなことの発想から、いわゆる一年間の変形労働制はもう進めちゃいますよと。でも、地方公務員で、市役所の皆さんで、もうちょっと柔軟度が高かったらという課題が今上がってきている中でこれが一カ月のまま据え置かれるというのは、私は、ちょっと制度的には設計思想がおかしいなというふうに思います。その辺、働き方改革全体を俯瞰する立場として、加藤大臣から一言いただきたいと思います。

加藤国務大臣 一年単位の変形労働時間制は、休日の増加による労働者のゆとりの創造、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮を実現するため、一カ月を超える一年以内の期間を平均して、一週間当たりの労働時間が四十時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じ労働配分ができる、そういう制度を認める。これは平成五年につくられて、実際に制度を入れるか入れないかは労使の協定の締結を踏まえて決める、まさにそれぞれの現場現場において決めていただく、こういう仕組みになっているわけであります。

 ただ、地方公務員についてはこれは地方公務員法で適用除外になって、今回、適用除外のうち一部をもう一回除外するからできるようにするというのが、今御指摘のあった学校教員の対応ということであります。

 では、それを更にどう広げるのかについては、これは私どもというよりは、地方行政の現場によく精通しておられる、あるいは所管されております総務省においてそれぞれの地域の御意見も踏まえながらお考えいただく、御判断いただくべきものというふうに考えております。

藤田委員 まあ所管的にはそうなんですけれども、働き方改革という意味で、やはりより柔軟な、そしていろいろな家庭環境を抱えた方が働きやすいという意味では、選択的に、組合せに多様性を持たせるというのが、私は働き方改革の一番コアかなと思いますので。

 やはり、総務省の人と話していたら、一カ月、これは三カ月のフレックスができるようにしてほしいなという話がありますよということを言ったら、まず一カ月の変形労働制でもなかなか導入事例は少ない、それが少ないのなら三カ月もどうかなというのは、まあ人情としてはわかりますけれども、これは制度設計としては僕は間違っていると思いますね。

 なぜなら、一カ月の幅だったら効果は少ないけれども、三カ月だったら大きく効果が出る。そして、いろいろな市町村がチャレンジできて、成功事例が生まれて、そうしたら、いろいろなところが取り組むと思いますよ。だから、その柔軟度をいかに広げるかということを我々、制度設計をする側の人間はやはり考えないといけない問題じゃないかなというふうに思いますので、所管は違うのはわかっていますけれども、働き方改革全体を旗振り役として牽引される加藤大臣でありますから、ぜひ頭に入れていただいて、総合的に考えていただけたらと思います。

 質問はここまでなんですけれども、社会保障・税の一体改革も、消費税が上げられて、ちょっと税と社会保障の一体改革はまあこれで一区切りかなという雰囲気もありますし、それから、全世代型社会保障の件は、他党の先生方もいろいろ御質問されましたが、いまいち、最初はぼやっとしたものが出てくるのかなという印象を今回受けたんですけれども、やはりこの委員会では、社会保障とそれから労働市場改革、このあたりも、なかなか政府が二の足を踏んで踏み込み切れないところ、雇用の流動化等を含めて、本質的な議論をぜひともこれからさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 本日はありがとうございました。

盛山委員長 次回は、来る十一月一日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会


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