衆議院

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第12号 令和2年5月13日(水曜日)

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令和二年五月十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 岡本 充功君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      木村 哲也君    国光あやの君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    阿部 知子君

      稲富 修二君    尾辻かな子君

      岡本あき子君    下条 みつ君

      白石 洋一君    中島 克仁君

      西村智奈美君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      桝屋 敬悟君    宮本  徹君

      藤田 文武君

    …………………………………

   議員           山花 郁夫君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   文部科学副大臣      亀岡 偉民君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   厚生労働大臣政務官    自見はなこ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  池田 達雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君

   参考人

   (独立行政法人国立病院機構理事長)        楠岡 英雄君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

五月十二日

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一一号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一二号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一三号)

 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一一号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一二号)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外八名提出、衆法第一三号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国立病院機構理事長楠岡英雄君、独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官池田達雄君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、大臣官房審議官森晃憲君、総合教育政策局社会教育振興総括官寺門成真君、厚生労働省大臣官房総括審議官田中誠二君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、大臣官房年金管理審議官日原知己君、医政局長吉田学君、健康局長宮嵜雅則君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長小林洋司君、雇用環境・均等局長藤澤勝博君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長谷内繁君、老健局長大島一博君、保険局長浜谷浩樹君、年金局長高橋俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 自由民主党の谷川とむです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は一般質疑ということで、新型コロナウイルス感染症対策について質問をさせていただきます。

 まず冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の誠をささげますとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、療養中の皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 そして、みずからも感染の恐怖と戦いながら、一人でも多くの命を守るためにその最前線で昼夜を問わず懸命に御尽力をいただいております医療従事者の皆様を始め、介護や福祉に従事する皆様、また、長期化する自粛生活の中で、物流の維持や生活必需品の販売を通して私たちの生活を支えてくださっている皆様、各種問合せや申請等にかかわる皆様、そして、感染拡大防止に多大なる御尽力をいただいている皆様に心から敬意を表し、深く感謝を申し上げます。

 まず、医療体制の強化、支援、地元からいろいろと御意見をいただいております。それについて質問をさせていただきます。

 私の選挙区、泉佐野市にあるりんくう総合医療センターは、平成十一年四月、感染症新法の施行に伴い、一種及び二種感染症指定機関のほか、未知の感染症についても収容可能な、当時としては我が国唯一の特定感染症指定医療機関に指定され、現在は西日本唯一の感染救急対応の機能を持つ指定感染症指定医療機関です。高度安全病床を含む十床の感染病床を保有しております。

 このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、本年二月六日には、帰国者・接触者外来を設置して、大阪府内で発生した疑似患者の診察から受け入れ、その後、軽症や中症患者のみならず、府内の医療機関から多くの重症患者も受け入れてきました。先月からの大阪府内での感染者増加もあって、救命救急センターのICU病床を利用し、更に七床を確保しております。

 しかしながら、大阪府南部の二次、三次救急を維持しながら新型コロナウイルス感染症患者に対応していくためには、医師、看護師を始め医療スタッフのマンパワーが絶対的に不足していて、その機能を確保するために、一般病床十床の休床と、二次救急患者の受入れを原則休止して対応しているところであります。

 民間病院を含む大阪府南部の医療機関は、大阪府北部とは違い、医療機能を十分に分担できる余裕はなく、りんくう総合医療センターは、人員的にも恵まれていない中にもかかわらず、医療スタッフ、事務スタッフが我が身を顧みずに一丸となって新型コロナウイルス感染症に対して懸命に取り組んでいる状況であります。

 このたび成立した補正予算では、新型コロナウイルス感染症患者受入れ病院への診療報酬の加算措置が行われているほか、大阪府においても空床確保等に対する補助も用意されているところでございますが、これらは直接的に新型コロナウイルス感染症対策にかかわる経費や損失に対するものであり、例えば、新型コロナウイルス感染症対策の体制をとることに伴って救急搬送件数が下がることとなりますと、病院全体に及ぶDPC係数が下がって診療報酬が減少するなど、間接的な減収には何ら補填もないものであります。

 さらに、現状は、ふだんより財政的に全く余裕はなく、泉佐野市に交付される特別交付税の一部等に頼っておりましたが、その特別交付税もふるさと納税の件で大幅に減額され、窮地に追い込まれております。

 このままでは、令和二年度では、りんくう総合医療センターは約二十億ほどの赤字になると予想されております。長期化が予想される新型コロナウイルス感染症対策のみならず、本来の医療提供体制が確保できず、府民、市民の命を守ることもできなくなる可能性があります。

 りんくう総合医療センターのみならず、全国で同じような医療機関に対して、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金及び新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等、国としてもいろいろと対策を講じていることは承知しておりますが、到底足りないのが実情であります。

 そこで、緊急事態の今、医療スタッフの人的支援、マスクや防護服などの物的支援はもちろんのこと、さらなる特段の財政支援をして、命を守るために厚生労働省としても全力でサポートするときであると考えますが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、感染拡大の防止、医療提供体制の整備等に最優先に取り組むこととしておりまして、今回の緊急経済対策でも、病床及び軽症者等の療養場所の確保、重症者に対応できる医師、看護師等の派遣、医療用マスク、ガウン等の確保など、人、物両面からの抜本的強化を図ることとしております。

 これらの経費につきましては、緊急包括支援交付金として千四百九十億円等を計上しておりまして、また、地方創生臨時交付金の活用によりまして、実質全額国費による対応も可能としております。

 まず、この交付金を最大限に御活用いただきますとともに、現時点におきまして、その交付金につきまして必要な規模を確保しているものと考えておりますが、仮に感染の拡大の状況等によりさらなる対応が必要となる場合には、新型コロナウイルス感染症対策予備費の活用など、必要な措置を速やかに講ずることとしたいと考えております。

 また、今般、診療報酬におきまして、重症の新型コロナウイルス感染症患者に対する一定の診療への評価を二倍に引き上げることなどをしております。

 加えて、新型コロナウイルス感染症により経営に影響が出ている医療機関への支援も重要でございまして、今般、緊急経済対策において、無利子無担保を内容とする経営資金融資による支援を行うことなどをしているところでございます。

 引き続き、医療現場を守りつつ、感染拡大の防止に向けて全力で取り組んでまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 今答弁いただきましたとおり、いろいろと交付金はあるのは承知しておりますが、先ほども言いましたけれども、財政的に本当に逼迫しているところがあります。ぜひ、予備費の活用等をしっかりと、厚生労働省としても、命を守るためにこういう医療機関をしっかりと支えていっていただきたいと思いますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、質問通告の順番を少し変更させていただきまして、雇用調整助成金について質問をさせていただきます。

 私の地元からも、雇用調整助成金についていろいろと御相談や御意見をいただいております。与野党問わず提案がなされておりますが、私からも、倍額に近い一万五千円等の増額を求めていきたいと思います。

 そして、厚生労働省もいろいろと工夫をされていると思いますが、申請手続がまだまだ複雑で、申請しづらいとの声が圧倒的です。また、要件の緩和、申請手続から支給までの期間も短縮できるように、制度の見直しも必要であると考えます。更に言えば、働く従業員の方々から、事業主が雇用調整助成金を申請してくれないなど、悲鳴とも言える声も届いております。真に雇用を守り、今倒れそうな人々をしっかりと助けられる何らかの方策も必要と考えますが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用調整助成金でございますが、これを迅速に支給することによりまして雇用維持を図っていただく、これを最優先課題で取り組んでおるところでございます。

 このために、記載事項の半減といった申請手続の簡素化、それから審査、支給に当たります労働局、ハローワークの人員体制の大幅な拡充、また、社会保険労務士を活用したきめ細かな相談体制の構築などによりまして迅速化を図ることとしております。また、今般、小規模の事業者の方の負担を大幅に軽減しようという趣旨で、実際の休業手当額を用いて助成額を算定できるという大幅な簡略化を図ることといたしました。

 こうした取組を進めまして、申請から支給までの期間を二週間とすることを目標として支給の迅速化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、御指摘のございました雇用調整助成金の上限額の引上げ、それから休業手当を受けることのできない労働者の方が直接申請できる仕組みの創設でございます。

 この点につきましては、さまざまな御提案をいただいておるところでございます。そういったことも踏まえまして、雇用されている方の立場に立って早急に具体化を図ってまいりたいというふうに考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 事業主も潰してはならない、そして雇用もしっかりと守っていかないといけない。いろいろと事情があると思いますけれども、しっかりと支えていっていただきたいなというふうに思います。

 そこでまた、社会保険労務士の皆さんを活用しての申請ということも今御答弁でありましたけれども、しっかりとそれも進めていっていただきまして、できるだけ早く困った人にお金が届くようにしていっていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、医療従事者に対する支援の拡充について質問させていただきたいと思います。

 大阪府は新型コロナウイルス助け合い基金を創設し、本年二月から四月までにおおむね五日以上新型コロナウイルス感染症患者と直接接して業務を行った人と条件を示して、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている病院に勤務する医療従事者に一人当たり二十万円分のクオカードを、PCR検査のスタッフや患者などが療養している宿泊施設職員らに一人当たり十万円分のクオカードを給付する予定であると聞いております。なぜクオカードなのか、また、同じ医療機関などで働く全ての方々が新型コロナウイルス感染症と戦っているチームであり、対象から外れる方々をなくすべきと考えますが、大阪府の独自の支援策としては評価ができるのではないかと思います。また、各自治体においてもさまざまな支援策が講じようとされております。

 そこで、国としても、診療報酬の加算措置が行われておりますが、こうした危険手当等が医師、看護師等の医療従事者に分け隔てなく、一刻も早く届けられるように、そして、まだまだ長期化が予想されますので、肉体的にも精神的にも負担が大きくなる中、医療従事者に対してさらなる財政支援を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 最前線で新型コロナウイルス対応に当たり、更にその中で通常の診療も行っていただいております医療機関、医療従事者の方々には、政府としてもしっかりと支援をしていく必要があるというふうに考えております。

 御指摘のとおり、診療報酬におきましては、先ほどもございましたけれども、重症の新型コロナウイルス感染症患者に対する一定の診療への評価を二倍に引き上げますとともに、感染症の患者に直接向き合う医療従事者の皆様に危険手当として日額四千円相当が支給されることを念頭に置きまして、人員配置に応じて診療報酬の引上げを行ったところでございます。

 医療機関におかれましては、確実に医療従事者の皆様の処遇改善につなげていただきたいと考えております。

 このほか、新たに緊急包括支援交付金を創設いたしまして、重症者に対応できる医師、看護師等の派遣、入院患者を受け入れる病床の確保、消毒等々に対しましても財政支援を行うこととしております。

 引き続き、関係団体等から丁寧にお話を伺いながら、新型コロナウイルス感染症患者等の診療を行う医療機関及び医療従事者に対しまして、さまざまな面から支援を検討してまいりたいというふうに考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 しっかりと医療機関にも指導していただきまして、確実に手元に届くようにしていただきたいなというふうに思います。

 また、先ほども言いましたけれども、長期化が予想されますので、その都度、しっかりと想定して、医療従事者の皆さんが安心して働ける、そして多くの国民の命が救えるようにしっかりと対策を講じていっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、介護、福祉にかかわる職員の皆様に対しても特段の支援をお願いしたいと思います。

 地元からいろいろと御意見、御要望等をいただいておりますけれども、社会福祉は対面的な支援が基本であるために感染のリスクも高く、自分自身が感染して、重篤化、死亡リスクの高い利用者に感染させてしまうのではないかと不安の中、支援を要する人たちを支えるという強い使命感のもと、今現在もぎりぎりのところで懸命に仕事に従事されております。

 利用者や職員に感染者が発生した場合には、確実に感染のクラスターになり得ることも明らかになっております。事業閉鎖に追い込まれたり、職員が退職を申し出ているところもあると聞いております。これらの問題が深刻化していけば、支援を必要とする障害者や高齢者など、その御家族にとっても、一層行き場がなくなってまいります。

 事業所はもちろんのこと、例えば特別手当等、介護、福祉職員に対してもさらなる財政支援をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 今、介護や福祉の現場で働いている方々は感染防止を図りながらサービス提供に努められており、感謝の気持ちでございます。

 今お尋ねがございました特別手当でございますが、令和二年度補正予算におきまして、感染者が発生した介護施設等に対して、サービス提供を継続する観点から、職員の確保に関する費用や消毒の費用などのかかり増し経費につきまして助成する予算を計上しております。この中で、手当も含めまして対応を図ってまいりたいと考えます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 先ほど申しましたとおり、医療従事者と同じで、介護に携わる人たちも一生懸命になって働いております。これも長期化が予想されますので、しっかりとまた体制を強化していただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

 続きまして、ワクチン、治療薬の確立について質問をさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の一番の恐怖は、いまだワクチンや治療薬が確立していないということであると思っております。ワクチンや治療薬が確立すれば、今以上に恐れることなく、社会経済活動も徐々にもとの状態に戻すことができるのではないかと思います。

 日本のみならず、全世界で研究開発が進められていますが、それと同時に、今やれることはしっかりとあらゆる手を尽くしてやっていかなければならない。アメリカの抗ウイルス薬レムデシビルが、新型コロナウイルスの治療薬として我が国においても特例承認されました。我が国で開発されたアビガンについても、治療薬として期待が寄せられているところでございます。

 そこで、アビガンについても、副作用などの安全性の問題や有効性の確認等の問題もあると考えますが、できるだけ早く承認して、医師の判断で投与、治療していくべきであると考えますが、加藤厚生労働大臣の御見解をお願いいたします。

加藤国務大臣 今、谷川委員からお話がありましたアビガンについては、現在、観察研究、特定臨床研究、さらには治験、企業による治験とそれぞれ進められておりまして、観察研究では、医師の判断のもとで既に三千人近い方が投与を受けておられます。五月四日の総理会見で、こうしたデータを踏まえながら、有効性が確認されればと、まだ確認している段階ではありませんが、確認されれば、医師の処方のもとで使えるよう、今月中の承認を目指したいとの発言もありました。

 私どもとしては、いずれにしても、企業からまだ承認申請が出ておりませんけれども、承認申請が出されれば、速やかに審査を行い、一定の効果が確認されれば、できるだけ短期で承認をしていく、こういった姿勢で臨みたいと思いますし、これは、単にこのアビガンだけではなくて、新型コロナウイルスに対する治療薬、今御指摘のように、根本的な治療薬がないということが国民の不安にもつながっているわけでありますので、そうした治療に資するもの、そうしたものであれば、一定のデータがあれば取り扱っていくとか、やはりこれまでとは異なるような審査、もちろん、しっかりやるべきことはしっかりやり、スピード感を持つものはしっかりスピード感を持ってやる、そういった姿勢で取り組んでいきたい。その一環として、アビガンにも同じような姿勢で取り組んでいきたいと思います。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 加藤大臣からも御答弁がありましたとおり、アビガンのみならず、新型コロナウイルス感染症に効く治療薬をいろいろと治験を進めていただきまして、申請がありましたら、承認していただきまして、国民の命を守っていき、そして、もとの生活に戻れるように、しっかりとこれからも取り組んでいただきたいなというふうに思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、新型コロナウイルス感染拡大を防止するためにはPCR検査の拡充も必要であると考えます。

 PCR検査がふえない理由の一つは、感染リスクがあるのではないかなというふうに思います。鼻から綿棒を挿入して鼻咽頭の粘液や細胞を採取して検査するために、どうしてもそのときにせきやくしゃみが出やすくなります。このときに感染者の飛沫が医師や看護師などに飛んで、新たな感染者をふやしてしまうおそれがあります。医師や看護師等の医療従事者が感染してしまえば、医療崩壊を起こしかねません。また、熟練した採取者の確保が困難なことや隔離された採取場所が必要な問題などもあります。

 これらの問題を解決してPCR検査数をふやしていく方策として、唾液を採取するPCR検査がアメリカで始まっています。アメリカのラトガース大学の試験によると、六十人に対する綿棒方式と唾液採取によるPCR検査の結果は同じであり、また、アメリカのイエール大学の試験では、新型コロナウイルスのPCR検査の検体として、咽頭拭い液よりも唾液の方がウイルス量が約五倍多かったという報告もあります。そうしたことから、信頼できるのではないかと考えますが、我が国においても唾液によるPCR検査に切りかえていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 議員から今御指摘がございましたとおり、唾液による検査が可能になった場合には、従来の咽頭とか鼻腔の拭い液を用いる検査と比べて受検者の負担が減らせるほか、受検者がみずから検体を採取するということも見込まれるため、検査の省力化や医療従事者の感染リスク低減につながるものと考えております。

 唾液によるPCR検査に関しましては、唾液の採取条件によって検査精度に影響があるということから、現在、厚生労働科学研究におきまして検査の精度確認を行っているところでございますが、有効性や安全性が認められたものにつきましては保険適用になります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 次に、抗体検査についても進めていっていただきたいなというふうに思います。

 抗原検査キットが、本日、我が国においても承認されましたが、抗体検査も期待が寄せられております。一定程度抗体ができてしまうと再感染や他の人に感染リスクが低いと考えられています。しかしながら、まだまだ新型コロナウイルス自体がわからないことだらけであって、抗体ができたら本当に感染しないのか、どれぐらいの期間持続するのか不明な点もありますけれども、しっかりと世界じゅうで協力してデータを集めていただきまして有効性を確認できれば、一日も早い終息、通常の社会経済活動ができるように、抗体検査も推し進めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 抗体検査につきましては、WHOは有症状者に対して診断を目的に使う、単独で用いるということは推奨しておりませんが、疫学調査等で活用できる可能性を示しております。

 ただし、新型コロナウイルス感染症につきましては、感染後に抗体を獲得する可能性は高いものですが、抗体の有無とか抗体価と再感染の関係性とか体内で抗体が維持される期間など、その詳細がわかっていないところもございます。

 このため、社会経済活動の再開に当たり、抗体検査を活用という御指摘もございましたが、その点は、ちょっと若干、慎重に検討を行う必要もあるのかなと考えております。

 一方、感染しても無症状の方が一定数おられることを踏まえますと、PCR検査のみで感染状況の全体像を把握するのは難しい面もございまして、抗体検査を用いた疫学調査は有意義な方法であるというふうに考えております。

 抗体検査につきましては、現在、抗体検査キットの性能評価等を行っているところでございますが、こうした結果も踏まえまして、今回、補正の方もお認めいただきましたので、今後、速やかに疫学調査の実施に移りたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきたいと思いますが、加藤大臣を始め厚生労働省の皆さんには万全の体制で新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。私もしっかりと頑張ってまいります。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、まず、介護、障害福祉サービスについて伺いたいと思います。

 今、介護、障害福祉サービスの崩壊が懸念される中、多くの従事者、また関係者の方たちの御努力によりまして、ぎりぎりのところで持ちこたえていただいているという状況と思います。

 五月七日、公明党は、介護、障害福祉分野の支援策拡充に向けた緊急提言を大臣にお届けをさせていただきました。一昨日、予算委員会におきましても、それを踏まえまして質問させていただいたところ、大臣から、第一次補正予算に盛り込まれた、休業要請を受けた通所介護事業者等のサービス継続に対する支援、新規事業でございますが、いわゆる継続支援事業について御答弁をいただいたところです。

 この事業は、休業要請を受けた施設、事業所だけではなく、感染が発生した施設、事業所、また、これらと連携した事業所、濃厚接触者に対応した施設、事業所、また、自主的にサービス内容を切りかえた通所事業所がこの事業の対象となっております。また、継続支援に実際に要したかかり増し費用につきましても、人件費、手当等を含めて柔軟に充てることが可能とされているのがこの事業でございます。

 ただ、この事業の拡大につきましては、我が党の里見参議院議員、三浦参議院議員、山本博司参議院議員を中心といたしまして、強く厚労省に対しまして求めてきたものでございます。

 このように、いわゆる危険手当が盛り込まれたのは、介護、障害福祉関係だけだと認識をしております。したがいまして、本事業のメニューが地方自治体に伝わるように周知をしていただき、確実に実施していただきたいと思います。このことについての大臣の御見解を求めたいと思います。

 また、あわせまして、これを第一歩として、広く介護現場が感染症対策に取り組みながらサービスを継続することができるように、地方自治体として使い勝手のいい包括的な支援パッケージ、いわゆる医療で言う包括支援交付金のような、こうした仕組みが求められると思っておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

加藤国務大臣 先日の衆議院の予算委員会でも高木委員から同趣旨の御質問をいただきまして、私、また総理からも答弁をさせていただきました。

 重複するところもありますけれども、いずれにしても、こうした感染症が広がる中においても、介護や障害福祉サービス、これは高齢者の方々や障害のある方々の生活を守る基本であります。また、その家族の生活を守っていくことにもつながっていくということで、サービスをいかに継続をしていくか、経営をどう維持していくのか、大きな課題だと私どもも思っております。

 休業要請を受けた事業所のみならず、感染者が発生した介護施設、濃厚接触者が発生した事業所等においてサービス提供を継続する観点から、職員の確保に要する費用等々、かかり増し経費についての助成を行うこととしております。これは、それぞれ、介護や福祉事業所に従事する現場のニーズを十分踏まえた運用を行えるように、柔軟に対応できるようにしていきたいというふうに考えているところであります。

 また、周知のお話もありました。なかなか、今、いろいろな通知が自治体に行っていて、多分、現場も相当混乱しているんだろうと思いますので、一度ならず二度、三度、場合によっては、よりわかりやすい形でそれぞれの地方自治体に通知をし、こうした介護、福祉の現場で働いている皆さんを地方自治体と一緒になって支えていけるように努力をしていきたいと思っております。

 それから、今は、先ほどお話があった包括交付金、これは医療を中心につくっているところでありますが、同じようなニーズが介護、福祉の現場にあるということは私ども十分承知をしておりますので、予算の形態等はいろいろあるかもしれませんけれども、そうしたニーズにも応えていけるように引き続き努力をしていきたいと思います。

高木(美)委員 しっかりと我が党も後押しをさせていただきたいと思いますので、やはり介護が取り残されることのないように、また、介護、障害福祉サービスをあわせてしっかりと進めていきたいと思っております。

 また、こうした仕組みづくりに当たりましては、地方自治体に持ち出しが生じないように考えることが重要と思います。現在の継続支援事業は、三分の二が国、三分の一が地方創生臨時交付金となっております。第二次補正予算も近いと聞いておりますが、この継続支援事業のウイングを広げるべく、直ちに検討を開始すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今お話がありましたように、令和二年度補正予算の新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所などに対するサービス継続支援事業は、国が三分の二、都道府県等が三分の一、都道府県等の負担分については、いわゆる地方創生臨時交付金の対象となることで、実質的には全額国費の負担ということになっておりますけれども、これの中で今足りるのかという議論が当然出てまいります。

 予備費等の活用もあろうかと思いますけれども、そうしたときに、地方負担分をどうするのか、この辺もしっかり念頭に置きながら対応していきたいと思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 また、コロナウイルスの感染防止のために、特別養護老人ホームや障害者施設等では、御家族の面会を断らざるを得ない状況となっております。入居されている高齢者の方々と御家族とのこれまでのきずなをしっかりと保っていく、また、お孫さんたちの成長ぶりをしっかりと見守っていくことも含めまして、また、遠隔地にいる御家族との交流を促していくという意味からも、ICTを活用した面会を推進すべきと考えておりますが、お考えはいかがでしょうか。稲津副大臣に伺います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 現在、介護施設における面会等につきまして、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、緊急やむを得ない場合を除いて制限をするということになっています。

 その一方で、議員が御指摘のとおり、利用者とその御家族のつながりを維持することは重要なことでございまして、ICTを活用した面会は、感染防止を図りつつ高齢者と家族とをつなぐ有効な手段の一つであるというふうに考えています。

 厚生労働省においては、令和元年度予算より、都道府県に設置している地域医療介護総合確保基金の中で、介護事業者に対するICTの導入支援を盛り込み、タブレット端末も補助対象としているところでございます。

 今般の状況を踏まえて、この四月から、この事業により導入したタブレット端末について、施設内の別の場所やあるいは御自宅など、離れた場所にいる御家族とのオンラインの面会に活用することが可能である、そのような旨のことをお伝えしたところでございます。

 さらに、委員の御指摘も踏まえ、オンライン面会を実際に導入している事例ですとか実施に際しての留意事項を早急に整理してお示しをし、施設におけるオンライン面会の円滑な普及を図ってまいりたいと考えております。

 都道府県に事務連絡で早急に通知してまいります。

高木(美)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 ソーシャルディスタンスによって、どうしても人の心と心が分断されてしまうという懸念も多く生まれているところでございます。これを結びつけるためにも、面会推進に非常にICTの活用は有効であると思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、介護、障害福祉サービスにおきまして、マスク、消毒液などの衛生物資、防護器材等が不足しているというお訴えをずっと受け続けております。現場では、医療機関でも不足が訴えられておりますので、どうも医療に優先されて届かないのではないかといったお声もあるくらいでございます。

 認知症の方、また障害を持つ方の中には、御自身の感染予防策をとれない方も多い中で、ヘルパーさんたちは、手をとって一緒に手洗いをしながら実施をしてくれております。したがいまして、防護のためにも、子供を含む福祉分野、また医ケア児の御家庭等におきましても、衛生物資などは重要でございます。

 今後の、こうしたもの、衛生物資、防護器材等を届けていく、その対応策を伺いたいと思います。

大島政府参考人 介護、障害福祉施設等におきまして、今の感染症対策として、最も今求められている、我々に声が来ておりますのは、マスクと消毒用のエタノールでございます。

 まずマスクにつきましては、繰り返し利用可能な布製マスクを国が一括購入いたしまして、介護施設等の全職員、全利用者に行き渡るように、合計で約二千万枚の配付を四月の十五日までに行ったところでございます。

 これにつきましては、今後も、半年程度、月一回のペースで続けていきたいと考えておりまして、二回目は五月中に発送を開始したいと考えております。

 また、消毒用のエタノールにつきましては、優先供給の仕組みを、医療機関同様に、介護施設等におきましても、要望のあったところに対しまして供給を行う形にしておりまして、まだ実際に現場まで行き届いていない部分もございますが、動き始めておりまして、これを速やかに実施したいと思います。

 また、希釈して使用する高濃度エタノールもお配りする仕組みがございまして、こちらは少し手続がかかりますので、希望される介護施設等にお配りいたします。こちらは無償でございますが、まだ、行き届くのはこれから、開始が始まったばかりの段階でございまして、こういったエタノールが届けば、少し現場の安心感にもつながるかなと考えます。

 それから、感染者が発生した場合におきましては、今のようなマスクとかエタノールだけではなく、サージカルマスク、フェースシールド、ゴーグル、ガウン等の医療機関並みの防護用品が必要となります。

 こうした防護用品につきましては、都道府県におきまして、不足する施設等に対して備蓄分から速やかに供給する仕組みを構築しておりまして、その確実な実施が行えるよう更に努めたいと考えます。

 なお、こうした防護用品につきましては、都道府県の基金の中で購入費用に充てることができる形にしております。

 引き続き、介護、福祉現場における物資の確保に努めてまいりたいと考えます。

高木(美)委員 都道府県で購入できる費用を確保されてはいるのですが、現実に品物がないというのが現状でございますので、先ほどさまざまお話がありましたが、こうしたものがきちっと、国が今のところはまだしっかりと買い上げて、それをいち早く現場に届ける。やはり、現場に届きましたという実感が生まれるまで、今やっと始まった、動き始めているという御答弁でございましたけれども、早急にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、介護又は障害福祉サービスを使っていた方が、感染を避けるために利用を中断していたケースが多く見受けられます。デイサービス等はまさにそうでございますが、この方たちの健康状態が懸念されるわけでございまして、今後、緊急事態宣言が解除される地域におきましては、再びサービスを利用して地域で安心して暮らしていただけるようにするためには、やはり、よく知っている、本当になじんでいる、そうしたヘルパーさんが声をかけてくださるなどの丁寧な対応が必要かと思います。

 うちの事業所はいつからあけますよとか、今お元気ですかとか、そうしたお声がけが大事だと思います。それに対して今から準備をしておくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 介護事業所の多くはサービス継続していただいているところでありますが、しかし、御指摘のとおり、利用者の方が、新型コロナウイルスへの感染の不安から利用を控えるケースも生じております。

 こうした高齢者の方々等の健康の維持あるいは生活の質の向上の観点からは、どうやってまたそれを戻していくかというのは重要な課題と考えております。これまで利用されていた介護サービス事業所からの働きかけ、あるいはケアマネジャーの働きかけ、こういったものが考えられると思います。

 今準備を進めておりまして、いただいた御提案も踏まえまして適切な対応を図ってまいりたいと考えます。

高木(美)委員 次に、先日、五月四日に改定された基本的対処方針におきましては、業種や施設の種別ごとにガイドラインを作成するなど、自主的な感染防止のための取組を進めるとあります。介護、障害福祉分野におきましても検討を開始すべきではないかと考えます。

 その際、作成されるガイドラインは、紙ベースではなく、短い動画やユーチューブを活用するなど、わかりやすく、簡単に、支援する側にもされる側にも伝わりやすいものが必要と考えます。対応はいかがでしょうか。

大島政府参考人 四月七日付で、これまで示してきました、感染が疑われる方が発生した場合の感染拡大防止についての取組に加えまして、感染者が発生した場合の具体的な留意事項も含めまして、入所系、通所系、居住系に分けまして、平時から感染時までの取組方針を整理して、これは文書でお示ししております。その中でも、表にしたりとか、これまでの事務連絡を一覧表にしたりとか、ある程度見やすさ、利便性にも心がけてきたところではございます。

 しかし、やはり現場では映像がわかりやすいという話もございまして、具体的な場面をわかりやすくお伝えするという観点で、ホームヘルプサービスに関しまして、職員の方が居宅を訪問してサービスを提供する場合に、実際の御自宅を訪問する形で、留意すべき感染防止策について、ポイントを示した十分弱程度の動画を今三本作成して、厚労省の動画配信サイトに公開しております。「訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策!」というタイトルにしておりまして、三本、五月一日から七日にかけましてアップしたところでございます。

 こうした動画につきまして、現場の方々の反応も見ながら、順次ふやしていきたいと考えております。

高木(美)委員 次に、学生支援、一人親世帯の支援について伺います。

 経済的に困窮する学生に対しまして、東京、大阪、東広島市などの地方自治体では、みずからアルバイトを雇用して給付金支給業務に携わってもらうなどを推進しております。東京都は当初の予定百九十名を六百名にふやして対応すると聞いております。また、一人親世帯はもとより困窮世帯が多く、厳しい影響を受けておりまして、その中、神戸市では臨時職員として六人を採用したと聞いております。

 こうした地方自治体の例に倣って、厚労省も、ハローワークなど、可能な部署で学生や一人親からアルバイトなどを雇用してはいかがかと考えます。政府を挙げて、全省庁に呼びかけることや、地方自治体にも通知を出すなどして取組を依頼していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 厚生労働省におきましては、本省のほかに、ハローワークなどの地方支分部局においても多くの非常勤職員が勤務しておりまして、厚生労働行政の遂行にはなくてはならない存在となっております。例えば、ハローワークにおいては、入力した求人、求職データの確認ですとか、雇用保険に関する書類の整理、ファイリング等の業務を幅広く担っていただいているところでございます。

 こうした非常勤職員の採用に当たっては、人事院規則に沿って、学生ですとか一人親の方々にも広く応募いただけるようハローワークを通じて求人を公開するほか、地方支分部局のホームページなどにも求人情報を掲載するとともに、応募者の年齢ですとか性別等にかかわりのない公正な採用に努めているところでございます。

 今後とも、さまざまな事情のもとにある方々がその希望に応じてハローワークなどにおける厚生労働省の非常勤職員の求人に応募できることが可能となるように、求人情報の提供方法等に工夫を凝らすなど、取組を進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ぜひとも国が先頭を切って、地方自治体のこうした例に倣って検討を進めていただきたいことを強くお願いをさせていただきます。

 最後に、四月二十四日、厚生労働委員会で取り上げさせていただきましたが、妊婦に対するPCR検査の実施に向けての検討状況を簡潔に御答弁いただければと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 妊婦の方々につきまして、安心してお産のできる環境の確保が重要であると考えておりまして、どのような形で行うことが適切かなどにつきまして、関係団体の御意見、日本医師会とか産婦人科学会とか産婦人科医会とか、関係団体の御意見を伺っております。関係団体におきまして、無症状の妊婦さんに対するPCR検査の実施方法について、例えば週数どのくらいかとか、あるいは陽性の場合の対応などについてさまざまな御意見をいただいておりまして、現在整理しているところでございます。現場の医療従事者の方々とも意見交換をさせていただきながら、早急に方針をお示ししたいと考えております。

 なお、今般、抗原検査が承認されましたが、判定に急を要するような緊急出産の場合などにおきましては、本日承認されました抗原検査などの活用も可能となるところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 今ありました抗原検査の、また抗体検査もそうですが、質を担保する必要があります。きょうはもう質問時間が終わりましたので答えは求めませんが、やはりいずれもELISA法できちんと閾値を定めて、質を高めてから簡易な検査に展開すべきではないかということを指摘させていただきまして、答弁はまた次の機会にいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立国社の阿部知子です。

 本日は、この間、法案質疑が続いておりましたが、一般質疑のお時間を頂戴いたしましてありがとうございます。

 そして、特に喫緊の課題であるコロナ感染症、あす、ないしは近くでしょうか、政府は出口戦略を発表なさるというようなことも承っておりますが、その際に一番重要なのは検査と医療体制、ここにあえて言えば尽きると思いますので、きょうはその点に関しての御質問をさせていただきます。

 まず、医療提供体制についてお伺いをいたしますが、コロナの感染拡大に関しまして、安倍総理は四月六日のコロナ感染症対策本部の会合の後に会見をなさいまして、そのときは約五万床というベッドをこれから確保するんだというふうにお話しになりました。また、四月十七日、宮嵜健康局長は、感染症病床の今余っている千床、そして一般病床の二万七千床、プラス、それ以外を合わせて五万床の確保を目指すというふうにおっしゃいました。

 私は、数を挙げるのは簡単ですが、実態がどうであろうかということで、大臣にお伺いいたします。

 まず、安倍総理がおっしゃった五万床というのは、現在使えるかもしれない空床も含めた可能性についておっしゃったのか。現状で幾つ確保されているという御認識か、大臣に伺います。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、そこにベッドがあいていても、そこの中で治療をする人的なスタッフ、あるいはそこで必要な、特に重症であれば人工呼吸器等がなければ、ベッドがあるからといって対応できない、それは御指摘はもっともだと思います。

 そういったことを踏まえて、五月七日時点、都道府県から報告をいただきまして、先般、五月一日時点での、医療機関と調整の上確保する見込みが約三万一千床、それから既に医療機関と個別の病床の割当ての調整を行っているのは約一万四千床、都道府県別の数字を発表させていただき、この数字は、現在約四千五百人程度が入院中でありますから、今の状況から見れば、それぞれの都道府県で見てこの一万四千床の内数には入っている、まずそういう状況にはあると思います。加えて、宿泊療養等の確保も今あわせて進めているところであります。

 五万床の話でありますけれども、これから三万一千について中身を固めながら、更にこの三万一千の数字をまずは五万という方向に向けて議論していくに当たって、それぞれの都道府県とこれまでもいろいろな議論を重ねてまいりました。そして、今般の支援交付金等でさまざまな環境整備を図ること、あるいは先駆的な取組をしている事例を紹介すること、またウエブ調査で各都道府県の入院患者数の状況等も把握をしておりますので、私ども、それぞれ都道府県の担当を決めさせていただいて、それぞれの事情をよく伺いながら、それぞれの地域において、見ていただくとおわかりになるように、人口規模から見てももう少し少なくとも積み上げたいところ等いろいろあると思いますので、そこをしっかり議論しながら、必要な病床数の確保を今の時期、少し落ちついたまさにこの時期にしっかりやっておく必要があるというふうに考えています。

阿部委員 私がこの問題を取り上げますのは今回で三回目であります。当初から答弁というのが極めて曖昧で、五万床が確保できるであろう、あくまでもできるであろうというお話でした。じゃ、そうするために何が必要なのか、そこが最も審議や論議の対象になると私は思うんです。

 今、加藤大臣の御答弁では、いただきました資料を一枚目につけてございますが、五月七日の段階ででしょうか、入院患者受入れ確保病床数が一万四千四百八十六、それから受入れ確保想定病床数が三万一千七十七。実は、今大臣は三万から五万にふやすところのお話をなさったかと思うんですが、今やらなきゃいけないのは、とりあえず一万四千何がしを三万にするためのどんな補助あるいは人的配置が必要かということなんだと思います。

 これは大臣おわかりであれば教えていただきたいですが、そのためにつけられた予算はどのくらいあるでしょうか。予算は、単にハードだけじゃなくて人も入れなきゃいけませんが、もしおわかりであれば。

 まず、一万五千を三万にしなきゃいけないという、まだそこの段階なんですね。バナナのたたき売りみたいに、二万八千、五万とか言ってもだめで、これは着実に人とハードも変えなきゃいけないんです。病床だって、陰圧にする、あるいは水回りをよくする、空調を変える、いろいろなことが必要です。

 これは、大臣おわかりじゃなかったら、担当部署で結構です。一万五千を三万にするために、今具体的に何が検討されていて、どの程度の予算がついておりましょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今ちょっと細かい数字は確認しないとあれなんですけれども、今御指摘がございましたところにつきまして、まさに今回の補正の関係で緊急包括支援交付金等もお認めいただきまして、病床の確保のために、これは空床の確保も含めてですけれども、そういう予算とか医療従事者の確保、あるいは重症患者のケアに必要な人工呼吸器とか個人防護具等の整備の費用等についてメニューとして示させていただいて、その中で都道府県の方でいろいろ御活用いただくというような枠組みをつくらせていただいているところでございます。

阿部委員 今、具体的な金額を教えていただけませんでしたが、現状、受け手側では到底そのお金では足りないということだけ申し添えて、また内容を少し教えていただけましたら。とにかく積み上げていって、今の病床を倍にする。本当にハードもソフトも手当てが必要であります。もう到底足りないと思いますので、宮嵜健康局長にはまた引き続いて御質問いたしますので、よろしくお願いいたします。

 私がきょう皆様のお手元に用意いたしましたのは、私は神奈川県ですので、神奈川方式と言われるものが、一つ参考としてぜひ御検討いただきたいと思います。大臣には、連休の最後の日、五月六日でありましょうか、神奈川にもお越しいただきまして、この神奈川方式の話も聞いていただけたと思います。

 二つ、大きなポイントがあります。

 上の表を見ていただきますと、ここには陽性者数が書いてございますが、重症、中等症、軽症・無症状、おのおのの症状別に何人おいでかということをここに明示をしてございます。これは非常に重要なデータで、全体で何床あるかではなくて、どの程度の患者さんがどのくらい発生して、どこに収容というか入院していただけるかという予測が立つわけであります。

 今、国がやっていらっしゃるのは、アバウトに、二万八千、いや五万とか、一万四千、いや三万とかやっていますが、本当の検証とは、私はこういうふうに患者さんの症状とおのおのの行く先を見える化することだと思うんです。

 大臣はもうよく御承知ですが、神奈川方式の特徴とは何かというと、下の図にございます重点医療機関というものをまず率先して充実をさせていただいております。ただいま現在、十七病院で千二百床がございます。重点病院というのは、これからコロナが爆発的になった場合にきちんと受けられるだけのハードとソフトをあらかじめ準備しておくという概念で、順次数をふやしてまいりました。

 こういう発想に至りました根幹には、前回御紹介いたしました、横浜にクルーズ船が来たときに、やはり中核になる重点病院をしっかりして、そこから重症、経過観察、あるいは疑似症、疑わしいけれどもどう見るかなどを配分していくという方式が一番ケアに適しているだろうということで考え出したものでございます。

 大臣にあっては、今後、いろいろな病床の、自治体とのやりとりの際に、こういう神奈川モデルもぜひ念頭にお置きいただきまして、各地で自分の症状に合わせたところに患者さんが行けるような体制をつくっていただきたいが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 その前に、交付金等の話がございましたけれども、これについては、二十九日までに各都道府県から事業計画を出していただくことにしておりますから、それもしっかり見きわめながら、それぞれの都道府県が取り組んでいることについては国も責任を持って対応する、こういう姿勢で取り組んでいきたいと思っております。

 神奈川方式は、本当に、ダイヤモンド・プリンセスのときにも神奈川県にいろいろと御負担をおかけいたしましたが、ある意味では、それを一つの知見として大変すばらしいモデルをつくっていただいて、これのポイントも、私も何回か、黒岩知事始めメンバーの方とお話をさせていただきました。当初はちょっと重症ということを中心に考えていたんだけれども、やはりダイヤモンド・プリンセスを考えると、中等症のところをしっかりやっていくということが大事だ。この中にも真ん中に中等症が書かれております。

 したがって、ややもすると、重症患者数、患者数としては重症患者数は非常に大事でありますが、医療提供体制を考えるときには、やはり中等症、要するに疑いがある人をまずどこで受けとめていただくか、これが非常に大事だということを私も重々承知をし、むしろ、これをベースにしながら各都道府県もお願いをさせていただいているというのが今の状況であります。

 その上で、いろいろお叱りもいただいております。この統計、各都道府県からいただく数字を我々は使わせていただいているわけでありますけれども、今の時代に電話で聞いたりファクスで聞いているというのは何なんだとお叱りをいただいておりまして、今回、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム、英語でHER―SYSと呼んでおりますけれども、この開発を進めております。五月の十三日を目途に試行がスタートして、今月中には全国での利用を開始したいと思っております。

 これが稼働し始めますと、今御指摘いただいたような入院中の患者の症状別の数やあるいは自宅療養者の数のほか、それぞれの方の健康状態、症状の有無等々を一元的に把握し、それをまた都道府県で同時に見ていただけるということになっていますので、これをしっかりやらせていただきたい。そういうことを通じて、今委員御指摘のように、それぞれの症状に応じた対応ができるようにしていきたいと思っています。

阿部委員 大臣の今の御発言にもありましたように、このコロナ感染症について、当初は重症者をどうするか、これはインフルエンザの概念からきていると思いますが、重症になってお亡くなりになる方を少なくしたい、専門会議のお話もずっとそう流れてきたと思うんです。

 でも、一番大事なのは、中等症から重症にしないこと。それから、中等症におけるケアというのは非常に重要で、逆に言うと、医療崩壊を起こさせないためには中等症をしっかりとやっておくということでありますので、今それが、大臣がおっしゃったように、ITを活用して、どこにどれだけ患者さんがおられるか、よりスムーズに把握されて、よりよい治療に結びつくことを私もお願いしたいと思います。

 引き続いて、これも前回、四月十七日にお尋ねした件の確認ですが、二〇一七年の十二月十五日、厚生労働省は、総務省から感染症対策に対する行政評価・監視の結果に基づく勧告を受けておられます。もう三年前とは言いませんが、二年半たったところかと思いますが、この勧告へのお答えがまだ厚労省から総務省にもなされていない。

 この件は先回の質問のときにも伺いましたが、私は、これがなぜなのかということを考えますと、やはり一つの、例えば感染症指定医療機関のさまざまな指摘される問題をどう解決していくのかを本当に丹念に追っていかないと現実の可能性のある解決策がないからだと思うんですね。

 大臣には、今回のこの遅過ぎる総務省へのお返事、しかし、遅いことは今さら責めてもしようがありませんから、これを前に向けていくために何かお考えがあればお願いいたします。

加藤国務大臣 前回も委員から御指摘をいただきまして、ちょうどその前も私、大臣だったという、たしかそんなお話もさせていただいたと思っております。

 いずれにしても、早くにこれは答えを出して、そしてその結果を踏まえて、必要な助言や支援や、あるいは今後の改めるべき点を指針にしていく必要があるというふうに思っておりますので、ちょっと今、新型コロナウイルスの対策等々にもその部局も取り組んでおりますけれども、そんな中で、一日も早くこの結果を取りまとめさせていただきたいというふうに思っています。

阿部委員 私は、もし仮にこの結果をもっと早く取りまとめていれば、今回のこの混乱も少しは調整がつき、感染症対策についての感染症病床の大切さももっともっと違ったのではないかなと思います。このときの指摘、繰り返すことになりますが、二次感染の防止の措置が必要という指摘とか、院内感染防止措置が十分でないとか、十分今に続く指摘なのです。そして、病床数はどんどん削減されると。

 もっと言えば、大臣に何度も聞きますが、昨年の暮れの公立病院改革のあの指標の中には、こういう感染症病床の充実が全く入っておらないのです。改めてあれを見直していただけませんか。どうですか、大臣。

加藤国務大臣 あれは、あのときの公立・公的病院の役割という中で、これまで規定されていたものをベースに比較というんでしょうか、分析をさせていただいたということでありまして、今委員御指摘の感染症以外も、いろいろな医療のニーズ全部が入っているわけではない、これは当時からも申し上げておりましたので、それはそれぞれの地域の中で拾い上げていただきたいというふうに思っておりますが、ただ、今後、これから議論していくわけでありますから、感染症という観点、これも大事な観点として議論の中に取り上げていくべきものだとは思っています。

阿部委員 私は、単に大事な観点ではなくて、景色が変わるくらいに重要な観点なんだと思います。感染症対策の、蔓延予防や院内の全ての行動がそこに重きを置かなければいけなくなっていく、これはクリニックレベルからセンター病院まで全てそうだと思います。コロナとの戦いが一朝一夕に終わるわけではない、しかし、その間も守らなければならない命があって医療がありますから、この点を大臣にはぜひ、私は、そもそもあの公立病院改革の一方的な発表には反対ですが、視点も欠けていると思いますので、よくお考えいただきたいと思います。

 きょうは、お忙しい中、地域医療機能推進機構の尾身理事長にまたまたお越しいただくことになって恐縮ですが、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 この間、いわゆるクラスターの問題で、これは何度もいろいろな方が質問されましたが、一体どれくらいのクラスター件数があったのかということで、昨日段階で全国で二百五十一、発生場所は、医療機関八十六、福祉施設五十七、飲食店二十三というふうになっておって、大臣、このうち、クラスター班が実際に調査に入った、あるいは支援に入ったのが幾つあったのか。

 そして、この間報道されておりますJCHOの東京新宿メディカルセンターは、クラスター班が支援に入られたのかどうか。

 三問続けて恐縮ですが、入っておらないと聞いておりますので、もしそうなると、もともと、クラスター班のいろいろな取りまとめは、私どもが何度要求してもほとんど教えていただけない。私は、こんなものは秘密にするものじゃなくて、医療事故とか起こってしまった感染のクラスターは共有して再発防止に努めるべきだと思いますが、今回、JCHOの東京メディカルセンターはクラスター班が入っておられないとすると、その報告を受けて、きちんと公表の中に含むものと考えてよろしいかどうか。どうでしょう。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 実質的に、クラスター班を直接そのクラスターに、あるいはその支援をしている地方自治体に送った件数というのは、詳細な数字、積み上げたものは今手元にはございませんが、御依頼がございましたら基本的には送る方向で対応させていただいているところでございます。

 そうした中で、今御指摘のありましたところについては、実績として送っていないということは承知しております。

阿部委員 済みません、答弁になっていないんですけれども。

 私は、公表しなさいと言っているんですよ、共有しなさいと。もちろん、起きてしまった感染のクラスターは、大変切ない、病院にとっても大きな課題です。ただ、それはその病院が悪いから起こるというものではないのです。新たな感染症が出てきて対応ができ切れない中でクラスターが発生しているんだから、みんなで何に対して対処していくべきかを共有しないと、今の不幸な事態はおさまらないと思います。

 私は、厚生労働省のその公表をしない姿勢、これが事態を悪化させていると、あえて言えば言わせていただきたい。まだまだ事態を悪化させているものはありますが、今のは宮嵜局長の答弁ですから、大臣には指摘をさせていただきます。

 クラスター班が、何かベールの向こうにあって、何をしているのかわからなくて、発表もなくてと、そんなことはあり得ないのです。国のつくった班なんですから、国民に共有されるべきです。医療現場に共有されるべきです。そのことを、ぜひ大臣が、陣頭指揮でやっていただきたい。そうでなければ、初めて出会ういろいろなことに医療現場も混乱しております、こうすれば防げたなということがあろうかと思います。そのためにクラスター班はあるんだと思いますので、今御答弁は求めませんから、お考えをいただきたいと思います。

 いいですか。お願いします。

加藤国務大臣 先ほど局長から御説明させていただいたように、基本は、私どもが押しかけているというわけではなくて、それぞれの都道府県等からの要請に基づいて行かせていただき、基本的には各都道府県でその病院の支援をし、そして分析をする。そして、それぞれが御発表されている。中には、たしか平時の場合には既にそうした発表がなされていたというふうに承知をしているところでありますので、そういった中で、クラスター班がどうかかわってきたのかについて公表いただくこと、これは我々、全然妨げているわけではありませんが、ただ、主体的には、やはりそれぞれの都道府県がおやりになっているということです。

 それからまた、いろいろ都道府県で感染事例が重なっていればなかなか報告もできないという状況もありますので、それについて、出ていった人間から、例えば医療現場でこういった場所において感染が広がったのではないかといったことについては、それを踏まえた感染防止策についてはこれまでも通知をさせていただいているということであります。

阿部委員 コロナ感染症というのは国家的危機であります。自治体にそこまで丸投げしてはいけません。起きた出来事をきちんと国として集約して再発防止に努めるというのが当然の姿勢です。

 次に、尾身理事長に伺いますが、東京メディカルセンターにおける感染の、恐らく四十名余りの院内感染になったと思います、患者十八名、医療者二十二名。このことについて、メディカルセンターでは、特にクラスター班の応援ということではなく、御自身たちで原因の究明、再発防止に努めておられると思いますが、JCHOには五十七病院、そして二十六の老人保健施設がございますので、非常に重要な観点かと思いますが、今の段階でどのような御知見、また行動、対策がおありでしょうか。お願いいたします。

尾身参考人 お答えいたします。

 まず、新宿メディカルセンターのことですけれども、今先生がおっしゃったように、入院患者のうち二十一名、それから職員の二十四名が確認されまして、その人たちの集団感染の原因やあるいは分析、それから個々の患者の、あるいは職員の感染状況、あるいは濃厚接触者の疫学調査などをやっていまして、その後は、おかげさまで、それ以降の新たな感染者は出ておりません。

 新宿メディカルセンターでは、当然のことながら、再発防止に今全力で取り組んでおりますが、例えば、新たな入院患者は当面受け入れておりません。それから、外来診療については、紹介状のない人は受けていない。それから、救急患者の受入れは、当然、当面原則中止ということにしております。関係する職員については、感染防御の方針を徹底的に実行してもらうように指示を出しております。と同時に、JCHOにはほかの病院がございますので、他の医療機関についても同様にしっかりと感染防御の対策をとっていただくように、今指示をしております。

 これからも、引き続き自治体と連携しながら、一日も早く、終息に向けて頑張りたいと思っております。

阿部委員 終息に向けて頑張っていただくのは大変重要なことですし、私が繰り返し申し上げているのは、そうした知見を共有する、隠さないということであります。そうすると、どういうことに注意すれば次の感染が防げるかということが出てくるかと思いますので、尾身理事長の大事な役割と思いますので、よろしくお願いいたします。

 これで終わりますので、尾身さんには御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 引き続いて、国立病院機構の方にお尋ねをいたします。

 実は、国立病院機構におきましても、百四十一病院を取りまとめておられる日本で最大の規模の病院グループだと思いますし、重要な役割を担っておられると思いますが、三月に発生いたしました大分の医療センターでの事案、これは感染者も二十名以上あったと思いますし、それから、関係していろいろな、患者さんを転送した先の病院が六つ余りあったかと思いますが、そこにも感染が拡大をした事案であります。

 そして、今般明らかになりましたのは、同じく国立病院機構の北海道のがんセンターにおきましても、多分八十一名になったでしょうかに及ぶ患者、医療従事者の感染が発生しておる。大きなクラスターになっております。

 これはクラスター班の御協力も得ながら国立病院機構としてやっておられることと思いますが、楠岡理事長にあっては、こうした相次ぐ感染のクラスターの発生ということを踏まえて、今後、国立病院機構としてどのような改善あるいはお取組を考えておられるか、お願いいたします。

楠岡参考人 大分医療センター及び北海道がんセンターの発症例につきましては、クラスター班の分析によりまして、入院時においては新型コロナウイルス感染症を疑うような所見は全くなかった入院患者から同センターの医療従事者あるいは他の入院患者に感染が広まったと指摘されております。

 このような状況を踏まえ、大分医療センターでは、速やかに、国のクラスター対策班や当該自治体の助言や指導に基づきまして、全ての職員及び入院患者に対するPCR検査を実施するとともに、改めて職員の手指消毒やゾーニングの徹底などの感染症対策を徹底したところでございます。

 また、北海道がんセンターでは、クラスター対策班から、感染防護具の着脱の再教育、あるいは病棟におけるゾーニングの見直し、病室の換気の徹底等につきまして助言をいただき、これらにつきまして再度感染症対策の徹底を図っているところでございます。

 国立病院機構といたしましては、機構内の全ての医療機関に対しまして、新型コロナウイルス感染者が他の疾患で受診する場合もあることから、標準予防策の徹底を図るなど適切な感染予防策を講じるよう注意喚起を行っており、引き続き、国や関係自治体とも連携しながら、地域で必要とされる医療を持続して提供できるよう努めていきたいと思っております。

阿部委員 私がいただきました情報によれば、大分の医療センターの病院長のお話ですが、やはり入院時に全ての患者さんを検査する。これは、今楠岡理事長がおっしゃったように、症状のない方から発生してしまうんですね。そう考えると、症状があるから検査していたら遅い。それから、今般の北海道がんセンターでも、いろいろな今後の改善が出されて、その中には、新規の入院患者さんについて事前にチェックをするということが出されているかと思います。

 私は、これまで日本の検査体制が症状があることばかりを言ってきましたが、それでは医療も医療者も患者も守れないと思います。新たなフェーズに入り、ぜひこのことを楠岡理事長にも念頭に置いて推し進めていただきたいし、特にもう一つお願いしたいのは、やはり職員の防御ということであります。

 北海道のがんセンターの場合は六階で発生いたしましたが、確かに、今おっしゃったように予防衣がなかなかなくて、同じものを乾かして使っていたとか、これはもう本当に国による対策のおくれだと私は思います。

 それから、いまだにその病棟に勤務した看護師さんたちの、勤務されて、その勤務が終わったら二週間御自宅にいていただいて、そこで職場復帰となりますが、そのときにももう一回PCR検査をやっていただきたい。実は、神奈川で、施設で過ごされて、家に二週間して帰るわけですが、家に帰るときは検査をしません、でも、家に帰ってからプラスに出たというケースがあります。万全の予防策を医療機関や介護機関ではとらなくてはならないと思います。

 あわせて、これは私の意見ですので楠岡理事長にお伝えをいたしまして、それと含めて、私は皆さんのお手元に、国立病院機構が担う医療ということでコピーをさせていただきましたが、国立病院機構は、いわゆる人的な教育とか、あるいは他の病院に何かあったときの支援とか災害支援とか、極めて重要な機能を担っております。ここがリーダーシップをとって、これからの日本の感染症の医療の姿を見せていかなければいけないところだと思います。

 楠岡理事長には、ぜひ、例えば今、日本には、災害のDMATというのはあっても、感染症災害と位置づけたときに、誰がどこに駆けつけて何をするのかがないのです。これは加藤大臣に何度もお尋ねをいたしましたが、そういう体制で今の危機には臨めません。ぜひ国立病院機構の中でそうした教育も含めてお願いしたいが、いかがでしょう。

楠岡参考人 まず、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、医療機関としては、新型コロナウイルス感染症を含めた全ての患者が適切な医療を受けられるよう診療を継続していくことが極めて重要であると考え、そのためにも院内感染対策の徹底は不可欠であると認識しております。

 NHOの医療機関においては、入院患者の家族等の面会の禁止や職員の健康状態の管理の徹底などを行うとともに、特に診療等に従事する職員に対しては、感染防護具の着用方法やゾーニングの理解促進について教育研修を確実に実施しております。これらの院内対策については、感染症の専門的知識を有する医師等をメンバーとする感染症対策の専門チーム、ICTを中心にして対応しているような状況でございます。

 お尋ねの機構外に関する研修に関しましては、今のところまだ我々として具体的な用意はございませんけれども、地域の中でそれぞれ役割分担をしながらそういう感染症に対する研修というのは進めていく必要があると感じております。今後検討したいと思います。

阿部委員 では、加藤大臣にお伺いいたしますが、今、楠岡理事長の御答弁にも少しございましたが、実はこの機構の第四次中期計画の中には感染症という大きな柱が抜けていると思うんですね。

 楠岡理事長になられてからつくった第四次中期計画は、非常によくできておるのですが、何せコロナ前のものであった。お手元に第四次中期計画を示してございますが、この中には感染症という太い柱がございません。この第四期中期計画を見直していただいて、感染症という、ここにもしっかりと位置づけていただく。五疾病五事業にもないですし、国の政策医療の中にはあるのですが大変隅っこにあるという状態で、これでは、例えば楠岡理事長が頑張られても、各地域の問題じゃないんです、国の政策医療なんです。

 そこを中期計画に入れ込んでいただく。いかがでしょう。

加藤国務大臣 もちろん、これまでも地域における特に結核医療の中心も担っていただいてきた、こういう経緯もあります。こうした新型コロナウイルス感染症を含めた感染症対策に取り組んでいただくことを当然期待しているわけでありますし、NHOにおいては、その根拠法において、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療の向上を図るとされているわけであります。

 今、具体的な中期目標云々というお話もありました。現在の中期目標は二〇一九年の四月から二〇二三年の三月までと承知をしておりますので、まだ三年ぐらいあるんだろうと思います。その間、また感染症等の議論もありますので、よくNHOと相談をさせていただいて、我々が決めて、えいというわけでもないと思いますので、よく相談をしたいと思います。

阿部委員 ぜひそうしていただきたいです。二〇二三年までの計画ですから、大臣がおっしゃったように、まだ三年あります。その三年とは日本にとってとても重要な三年と思いますし、国立病院機構にも頑張っていただきたいので、お願いをいたします。

 最後にもう一つ、楠岡理事長にお尋ねというかお願いがございます。

 実は、国立病院機構の八雲病院の移転問題で、ここは筋ジスあるいは重度の心身障害の、重心といったらいいんでしょうか、患者さんの治療に当たっていたところが、今回、北海道の医療センターに移るということが、八月下旬か九月でしょうか、予測をされております。だがしかし、こういうコロナ禍の中で、例えば新しく移る病院の方に十分なハード、ソフトの対応があるか。もちろん移動中も心配であります。筋ジスの皆さんは呼吸筋をやられますから、コロナにかかったら致命的になると非常に不安を抱えておられます。

 私は、命を預かる病院というものは、そうした患者さんの不安にしっかりと応えるためにも、今、事を急ぐのではなく、十分な感染症対策ができたということを患者さんにもお話しできるときまで少し見送りをされてはどうかと思いますが、いかがでしょう。

楠岡参考人 御指摘のとおり、八雲病院の機能移転に当たりましては、患者の安全、安心を確保することが極めて重要と認識しており、今後、患者を受け入れる北海道医療センター等においても、新型コロナウイルス感染症に対するものを含めた院内感染対策について万全を期した上で機能移転の準備を進めていきたいと思います。

 また、患者様、家族に対しては、これまでも機会を捉えて説明会等を実施しておりますけれども、次回予定している説明会の中で、その時点の状況に応じた感染対策についても説明を行っていきたいというふうに思っております。

阿部委員 私が今のことを伺いましたのは、移転先の北海道医療センターにおいても看護師さんの感染が出ているということで、全体的に今この時期というのは非常にまだ対処できない時期かと思いますので、今理事長のおっしゃったことをしっかりと安心のメッセージに変えていただいて実施していただくようにお願いをしたいと思います。

 そして、とりわけ今医療で働く現場の皆さんが、例えば北海道のがんセンターにおいても、先ほどちょっと述べましたが、PCR検査になかなか結びつきません。その間、不安を持ちながら勤務します。やめたいという気持ちにもなります。

 理事長にもお願いです。医療者をしっかり守るということの前提は検査です。それがしっかりと守るんだというメッセージとともに伝わることをお願い申し上げたい。

 そして、実は残しました質問、介護施設と出産時のPCR検査については、また引き続いてやらせていただきます。

 ありがとうございます。

盛山委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 先週に続いて質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭になりますが、検察庁法改正に抗議しますのツイッターデモが勢いがとまりません。今や不要とも言えるアベノマスクいまだ届かず。定額給付金も、世帯主にしか入らないため、家庭内DVや虐待におびえる子供たちに届かないかもしれません。みなし失業、家賃補償や学生支援も、野党提案があるにもかかわらず、遅々として進んでいません。こんな状況なのに、検察庁法の改正だけは強引に進めようとしています。きょうの内閣委員会の審議でも、立法事実もなく、これは黒川氏以外にですね、立法事実がない、それから基準もこれからというずさんなものです。私からもこの今の政権運営に対して強く抗議を申し上げたいと思います。

 厚労関係について伺ってまいります。

 不妊治療の支援強化について伺いたいと思います。

 コロナ対策で対象年齢を延長していただいたことに感謝の声が上がっております。時間との勝負と思っている方々も多くいらっしゃいます。

 過日、山川百合子議員から質問で、厚労省は今年度、調査をされると伺いました。ぜひ期待を申し上げたいと思います。

 NPO法人Fineさんの二〇一八年のアンケート調査によると、体外受精一周期当たりの平均治療、五十万円以上かかるという方が四三%です。一回で終わらない方がほとんどでございます。顕微授精になると、六割を超える方が五十万円以上を一回当たり負担をしております。

 制度発足当時、平均治療費三十万円という根拠から大きく乖離しております。早期の助成拡充を目指し、実態の把握をしていただくよう求めたいと思います。

 この中で幾つか伺わせていただきます。

 まずは、今、原因の半分は男性側にもあると言われています。男性の不妊治療の実態把握と、そして、男性側からの申請も認めていただくよう求めます。

 もう一点、事実婚、これは現行制度では対象になっておりません。資料一を見ていただければ、東京都ではもう既に事実婚を対象にしております。事実婚のためにこの助成の対象にならず、不妊治療を諦めた方もいるんじゃないかと思います。ぜひここの点も実態把握に努めていただきたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました今年度の調査研究につきましては、今、具体的な調査項目について検討しているところでございますが、不妊治療、御指摘のありました男性不妊治療の実態も含めた実施の件数や実態、さらには直近における不妊治療に係る費用負担の状況、さらに、不妊治療にはさまざまな御意見があることを承知していますので、そういったものを幅広く調査をしたいと思っております。

 その上で、実際にこの助成制度をどうするかということは、まさにこの調査結果を見てということになろうかと思いますが、御指摘のありました事実婚につきましては、これは、家族関係に関しての民法上の取扱いですとか、あるいは社会の価値観等、そういったさまざまな要素も考える必要があると思っていますので、慎重な検討が必要だと思っておりますが、いずれにしても、調査結果を踏まえて助成制度のあり方を検討していきたいと思っております。

岡本(あ)委員 ぜひ、事実婚についても、状況がどうなのかというところは踏まえていただきたいと思います。

 そして、調査結果を待たずともになりますけれども、不妊治療期間に対する、今、プレマタハラという言葉がございます。ぜひこれは速やかに禁止を求めたいと思います。

 仕事と治療の両立について厚労省が行ったアンケートでも、両立できているのは半数。先ほどのFineさんの調査では、九割が両立困難と訴えております。治療のために仕事を諦めたり、フルタイムからパートに変えたりせざるを得ない方がいらっしゃいます。少なくとも、不妊治療を理由に処遇が変えられたり、不当に扱われたりすることがあってはなりません。

 仕事と治療の両立のため、このプレマタハラと呼ばれるもの、ほかのハラスメントと同様、あらゆるハラスメント、これを速やかに禁止をするよう求めたいと思います。お答えください。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 仕事と不妊治療が両立をできるような職場環境をつくっていくことは大変重要だというふうに考えております。

 私どもで平成二十九年度に、不妊治療を行っている従業員に対する支援の実施状況といったことも含めまして、不妊治療と仕事の両立に係る実態に関する調査を行っております。その中で、不妊治療をしていることを職場に伝えている方が九十七人中、上司や同僚から嫌がらせ等を受けた人が十七人ということで、約一八%、そういう実態がございました。

 いわゆるプレマタハラでございますが、男女雇用機会均等法では、事業主に対しまして、妊娠、出産等に関するハラスメントを防止するための雇用管理上の措置義務を課しておりますけれども、この妊娠、出産等に関するハラスメントは、妊娠したこと等に関する言動に関するものでございまして、妊娠する前の嫌がらせ等は含まれてはおりません。

 一方で、妊娠、出産等に関するハラスメントの発生の原因や背景には、妊娠、出産等に関する否定的な言動が行われるなどの職場風土もあって、これを解消していくことが重要でございますので、その指針におきまして、措置義務の一環として、妊娠、出産等に関する否定的な言動が職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの発生の原因や背景となり得ること等を明確化をしておりますし、また、管理監督者を含む労働者に周知啓発することも求めているところでございます。

 さらに、ことしの一月にこの指針を改正いたしまして、妊娠、出産等に関する否定的な言動には、不妊治療に対する否定的な言動も含まれる旨を明記してございます。

 なお、いわゆるプレマタハラの禁止というお尋ねでございますけれども、妊娠する前のハラスメントは、現行法では、妊娠、出産等に関するハラスメントの防止措置義務の直接的な対象とはされておりませんし、また、ハラスメントの禁止規定を設けることについては、平成三十年十二月に労政審の建議におきまして、違法となる行為の要件の明確化等の課題があり、中長期的な検討を要するともされたところでございます。先ほど申し上げましたような取組の実施状況を踏まえて、その必要性も含めて議論を要する課題であると考えているところでございます。

岡本(あ)委員 検討いただいたり、必要な啓発を行っていただいているところは理解をいたします。

 ぜひ、中長期的な検討課題ではなく、早期に解決する課題だという認識を政府の方は少なくとも持っていただきたいなと思っております。子供を欲しいと望んでいるカップルの願いをかなえることが結果として少子化にも貢献することを踏まえ、経済的支援、環境整備に、大きく前進することを期待したいと思います。

 次に、コロナ対策について伺います。

 文科省の矢野審議官、お越しいただき、ありがとうございます。毎回毎回、質問通告をしていたのに、時間がなくてお答えいただく機会がなくて申しわけなかったんですが、一問伺わせていただきたいと思います。

 今月、順次、学校再開が広がっていくだろうと思います。また、六月からは一気に広がる可能性があると思います。教職員の皆さんがその準備に戸惑っていらっしゃいます。

 いろいろと情報をいただいておりますが、まず、机を一メートルあけろと言われていますが、四十人学級で果たしてできるんだろうかという疑問もあります。あるいはプール、水は大丈夫だけれども更衣室は大丈夫なんだろうか、そういう不安。細かい点、さまざまありますが、一つだけ、私からちょっと、厚労の委員会ですので伺わせていただきたいと思います。

 熱が出た児童生徒が学校を休みました。でも、特にコロナという疑いで相談することもなく、かかりつけ医の受診もなく、熱が下がったので登校してきますと言われたときに、果たして学校としていいのかどうか。できれば各御家庭でかかりつけ医には診てもらってから来てほしいというのが本音だけれども、かかりつけ医に受診を義務にはできないんだろうと思う。そういう中で登校させていいのかどうか、単に熱が平熱に戻ったら登校させていいのかどうか、その判断というのはどなたがしてくれるんだろうかというのが一番基本的なところで、たくさん聞かれます。もし今の時点でお考えがあったらお示しください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒等に発熱が見られた場合には学校を休むよう周知しているところでございますけれども、熱が下がった後にすぐ登校していいかどうかにつきましては、これは地域の感染の状況によって判断が変わるものと考えております。

 地域で感染経路不明の感染者が多発しているような地域については、熱が下がった後も一定期間自宅にとどまっていただくことが適切だというふうに考えておりますけれども、多分、そういう地域はそもそも学校教育活動が実施されていないということも考えられます。

 他方、感染経路の不明な感染者がいないような地域におきましては、一時的な発熱の後、ほかに症状ももうないといったような場合には、登校を拒むという根拠には乏しいというふうに考えておりまして、このため、一律に再登校するための基準をお示しすることは難しいと考えております。

 いずれにしても、以上のことについて、文部科学省からお示ししているQアンドAなどを用いて適切に周知を図ってまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 地域事情を踏まえるのは当然のことだと思います。多分、学校に来ることを楽しみにしている子供たちも多くいる中で、でも落ちついてということもしっかり伝えられる、そういう環境をぜひ整えていただければと思います。今、QアンドAには特にまだ入っておりませんので、ぜひ再開に向けてのタイミングで指示を出していただければと思います。

 そして、コロナの関係で、厚労大臣、加藤大臣に、ちょっと通告はしていなかったんですが、聞かせてください。

 先週、誤解という発言をされました。昨日は、安倍総理、周知不足と言うだけで謝罪は避けました。少なくとも本来必要な方に検査がされず犠牲になった方、あるいは、保健所、相談センターのスタッフ、多くの方々が厚労大臣の発言に傷ついています。受診されることなく犠牲になられた方にかける言葉というのはございませんか。

加藤国務大臣 きのうの閣議でも、御質問賜りまして、誤解という言葉に対していろいろ御指摘をいただいております。そういったことは真摯に受けとめさせていただきたいというふうに申し上げたところであります。

 それから、今お話がありました、今回の新型コロナウイルスで亡くなられた方々に対して、これはもう本当に心からお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈りする。そして、これまでもそうでありますけれども、重症者、そして死亡者ができるだけ生じないように努めていく、そういう思いでこれまでも取り組んできたということであります。

 また、そういった中で、今回の相談や受診の目安についてはこれまでも国会でるる御議論をいただきました、そしてそのごとに御説明をさせていただいたところでありまして、その説明について変わるものではありませんけれども、しかし、結果において、そうしたものが現場、PCRの検査に結びついていたという指摘はいただいておりますので、こうしたことについて、これは私どももそうした周知が十分なっていなかったということについてはしっかり反省をして、今後ともこの中身について周知を図っていく。

 そうした意味からも、今回の相談の目安等においては、これに限らず対応して、済みません、ちょっと手元にないのであれですけれども、そういった記載をし、あくまでも目安であって、検査については医師の判断だということ、そういったことも含めて記載をさせていただいたということであります。

岡本(あ)委員 周知不足という言葉でございましたけれども、ちょっと後ほど触れさせていただきますが、厚労省から出している中でも、逆に現場が混乱する部分もあるんだということは申し上げたいと思います。残念ながら、現場では一生懸命頑張ってくださっておりますけれども、対応が後手後手に回っている部分もあるんだということはぜひ真摯に受けとめていただきたいと思います。

 課題の、コールセンターにつながらない、あるいは、先ほどの判断基準の問題、保健所の体制、軽症者の滞在先、急変する方への対応、さまざま問題がございます。

 その中で、先日も伺わせていただきましたが、軽症者が病床を占めてしまうのを避けるため、軽症者は、四月二日時点は、原則自宅療養へという通知でした。四月の下旬になって、滞在先ということで、方針転換になったと思います。これも、本来であれば療養できる滞在先を原則とするべきだったと私は思っております。

 先日、千九百八十四名が自宅療養になっているという状態について伺わせていただきました。その後、早期の移送は実行されているのか、お答えください。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員の御質問の中でありました、我々としては、自宅をまずということではなくて、自宅か宿泊ということでお示しさせていただいていたところを、その後、宿泊を優先してくださいというふうにさせていただいたところでございます。

 直近の入院患者数、宿泊療養者数、自宅療養者数等につきまして、各都道府県に対して報告を依頼しておりましたところ、最新となります五月七日時点の新しい数字、きのう公表させていただいておりますが、これは、死亡者や退院者を除く陽性者数が六千六百九十七人、このうち自宅療養中の者が九百五十七人という結果になっておりまして、前回公表させていただいたときから千人ちょっと減っているというような数字でございます。

岡本(あ)委員 半減とも言われていますが、しかし、先般指摘させていただきました東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、大阪府については、相変わらず三桁の方々が自宅にいらっしゃる状況です。入院待ちのために自宅にいざるを得ないという方というのは把握はできておりますか。もしわかれば御説明ください。わからなければ、わからないということで結構です。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました数字、あるいは委員から御指摘のありました数字は、医療機関から退院された方と医療機関に入る前の方と両方入っておりますが、その内訳というところまでは、ちょっと現段階ではわかりません。

加藤国務大臣 私も、半減はしましたけれども、今言った都道府県についてはまだ三桁ということで、これは窓口の担当者に聞いた話ですから、数字ということで把握しているわけではありませんけれども、個々の名称はちょっと申し上げませんけれども、一部の県においては、かなり自宅療養を、最初からスタートして、もう十四日間とか、もう既に終わるという、そうした方々だという地域もある一方で、もともとこうしたホテルということをむしろ嫌って、自宅を強く選好する、どうしても自宅じゃなきゃいけないという事情ではなくて、ホテルのアメニティーの問題とか、あるいは行動が制約されるということで、なかなか言っても施設療養に同意をしていただけなかった、こういう方もおられるということなので。

 ここは、先日、臨時の医療施設という概念を整理させていただいて、宿泊療養についても、一定の医療的ケアを付加していただければ、それを臨時の医療施設として定義できるし、そして、臨時の医療施設であれば措置入院という手もできますと、一応そういう選択肢は用意をさせていただいているところであります。

 自宅療養、やはりいろいろ課題はあります。家族内の感染の拡大の問題、あるいは急に容体が変わった場合の対応、こういった課題もありますので、よくこれは都道府県等とも連携をしながら、自宅療養を減らして、そして宿泊療養等々でしっかり対応していけるように、引き続き努力をしたいと思います。

岡本(あ)委員 一番最初に、四月二日時点で出した通知では、原則自宅療養でとなっておりましたよ。それで、御家族に同居の高齢者がいるとか、そういう場合は滞在先でもいいという通知だったと私は認識しております。何回も読んだつもりなので、間違っていたらそこは指摘いただきたいが、療養先を確保している自治体はそれで動いたかもしれませんが、その時点ではめどが立っていなかったところについては、それを理由に説明をされていたところもございますので、ぜひそこは、方針が違うんだということは徹底していただきたいと思います。

 そして、残念ながら、三桁の方々がまだ五県でいらっしゃる、そして千名近くが自宅にいる中で、自宅にいて、御家族の方、家族感染の恐怖におびえているところもございます。少なくとも、自宅療養者には、サージカルマスク、消毒液、パルスオキシメーター、支給するべきだと思いますが、これは支給されていますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 自宅療養時につきましても感染管理が非常に重要だという認識は我々も共有しておりまして、四月二日におきましては、自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染対策ということで示させていただいております。

 その中におきましては、いろいろと細かく整理をさせていただいておりますけれども、患者さんあるいは介護者の方が必要とする感染防護用の物資などについても記述がございます。別途、私どもとしては、このような防護具、マスクなどにつきましては、増産要請、あるいは供給量の増大に取り組んでいて、そういう方々が市場をもってして入手しやすいような取組をさせていただいているというのがまずございます。

 その上で、別途、私どもとしては、医療機関にマスクなどについて配付をさせていただいておりますが、あわせて、四月八日のQAという形での私どもの整理におきまして、自宅療養を行う際の感染管理対策について、必要に応じて患者等に対してマスクを提供する、これは医療機関が提供していただくということは差し支えない、その上で、医療機関のニーズや備蓄状況を適切に把握をしていただき、医療機関等へのマスクの配付、医療機関のリストの作成、これは都道府県にお願いをしております。

 私どもとしましては、先ほど申しましたように、全てというわけではございませんけれども、医療機関を通じて、患者さんという形で自宅療養されている方についても目を配っていただき、必要に応じて、ニーズがある場合には登録をしていただき、私どもとしては、医療機関に配付をさせていただくことを通じて必要な物資については確保していただいているところでございますが、これからも、それぞれの地域において実情をよく伺わせていただきながら、丁寧な対応をさせていただきたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 今御答弁で、支給して差し支えないとおっしゃいましたか。私は、差し支えないじゃなくて、必ず渡してほしいんです。陽性の方がいて、家族感染が、現実、起きている中で、医療機関にも届いていないときからこの状態が出ています。渡せないところにじくじたる思いを持っている現場の医療者の方々がいるときに、渡して差し支えないという判断はないと思います。もう一回御答弁ください。

吉田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど、医療機関の方々が患者等に対してマスクを提供することは差し支えないということを申し上げました。これは四月八日の私どものQAの文章そのものでございますので、それは事実関係として御報告を申し上げた上で、今委員御指摘のように、自宅療養されている方々に対しても、先ほど先に申し上げましたように、十分な感染防護、感染対策が必要だという認識ではございますので、そのようなところについても手が届くように、関係者の方々のお話もしっかり聞いて、できるだけ対応させていただきたいというふうに思います。

岡本(あ)委員 今現在一千名という数字の報告をいただいております。少なくともこの千人の方に届いているかどうかの確認くらいはぜひしていただきたいですし、なければ速やかに支給をする、お渡しをするというくらいの対応をお願いしたいと思います。

 次に移りますけれども、相談の目安、表現を変更されました。前々から大臣は、医師が総合的に判断した結果はいいんだという御答弁をされておりました。この医師というのはかかりつけ医も入っているということでよろしいですか。大臣、確認させてください。

加藤国務大臣 四月十五日にお示しした事務連絡で、地域外来・検査センターへの運営委託等々についてお示しをさせていただきました。そこでは、かかりつけ医と地域外来・検査センターが連携をとるという姿をお示しをさせていただいておりますので、そういった連携の中でいえば、かかりつけ医から地域外来・検査センターの方に検査の依頼があって、そこで検査がなされていく、そういう道筋もお示しをさせていただいているところであります。

岡本(あ)委員 前に私が聞いたときは、接触者外来の医師だと御答弁をされておりましたけれども、状況、環境が整ってきたというところも踏まえて、かかりつけ医の医師が必要だと判断した場合は検査につなげるという点、確認をさせていただきたいと思います。

 先ほどちょっと条件をつけられましたけれども、一般医療機関、かかりつけ医の医師が、受診拒否は別ですよ、少なくとも問診あるいは電話での診療をした結果、必要だと判断した場合は検査につなげるということでよろしいでしょうか。もう一度お答えください。

加藤国務大臣 ですから、当初から、そうしたところに殺到する等々の懸念もありました。したがって、地域の医師会等でPCRセンターを設け、そしてそこと連携をとって、かかりつけ医というんでしょうか、それぞれの診療医の方々が対応していただける、そういう体制が整っているところにおいては、その診療医の方が直接、地域外来・検査センター、この連携をとっていただいて、検査につなげていただく、こういう仕組み、これもお示しをさせていただいているということであります。

岡本(あ)委員 資料二をごらんいただきたいと思います。

 大臣、相談の目安と言っておりましたけれども、これは本当は相談・受診の目安となっていたと思います。なので、受診についても、どうしても発熱四日というところに縛られていた事実はあったんだと思います。周知不足というよりは、本来、相談・受診の目安として示していた事実は事実だと受けとめていただきたいと思います。

 資料二、これは厚労省のコロナ対策推進本部から出した補足資料です。問九、相談の目安に該当した場合、接触者外来に受診は調整するんですか、全部対応するんですかというところの答弁に、必要に応じてかかりつけ医に一回戻す指示が出ております。

 先ほど相談の目安と言いましたけれども、一方で受診の目安にもなっていたかと思います。少なくとも、該当した人はちゅうちょなく受診に結びつけるべきだと思うんですが、ほかの日にちに厚労省から出ている文書と矛盾をしておりますので、ここはぜひ速やかに訂正をしていただければと思います。

 もう一つ、問十で、受診すべきかどうか医師が判断するというところに、疑いの例「エ」となっています。これは問十の四角で囲んだところの下線ですが、医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要な場合は対象にするという答えになっております。

 これも今まで、先週、厚労省が御答弁されていた、大臣が御答弁されていたことと全く向きが違っていると思うんですが、ぜひ、ここのところ、もちろんこれは対象にするのは当たり前なんですが、積極的に相談センターに来て該当する方、それから先ほど御答弁いただいたように、かかりつけ医、必ずしもICUが必要なほど重症な人しかかかりつけ医からは受けないことではないと思うんです。これは非常に矛盾していると思うので、ぜひここの部分は撤回していただきたいと思います。いかがでしょう。

加藤国務大臣 これはちょっと、これも十分じゃないんですけれども、例えば基礎疾患があるとか、さまざまな疾患がある方は、やはりそこの情報もかかりつけ医と外来の関係の方、外来というか、帰国者・接触者外来、まだ連携が必要だという趣旨で書いているというふうに書いた人間は言っておりますが、なかなかそう読めないところがあれば、しっかりその意が通じるようにしていきたいと思います。

 それから、疑似症、これはいわゆるサーベイランスの関係で出てきております。しっかり、どういう状況が今、その感染で起きているのかということででき上がってきた仕組みになっておりまして、基本的にはWHO等々ともこうした整合性をとってやってきているんですけれども、当時、議論で、これに縛られていてPCRできないじゃないかという御指摘があったので、縛られなくしましたということにいたしましたので、これとPCRの検査というのは、今は全く遮断された別のものとして、PCRの検査ですよ、したがって、PCR検査については医師が判断するということで、もちろん、これの対象になっていれば当然でありますが、これ以外についても対象になるということはこれまで通知で幾度となくお示しをさせていただきました。

 ただ、ここの疑似症に対応すると医師に届出義務が出るんですね。ですから、当時、届出義務がいろいろあると医師の負担があり、また、届出義務に違反すると罰則等もかかってきているという事情がありましたが、PCRの状況だったら、まだ医療機関とかいろいろなところを押さえていけば検査の実態をある程度把握できますが、新たに、今回、抗原検査というのもスタートし、これは幅広くキットを、それぞれに流通をしていただいてやっていただくことになると、もうこの数字も把握できなくなってしまうので、ちょっとそこも含めて、これ自体、この定義そのものも検討して、医師の方から報告をしてもらうような仕組みにしていくべきじゃないかということで、今、中で鋭意検討させていただいているところではあります。

岡本(あ)委員 先般、三月十三日に受診調整の文書を出してくださっています。二十二日に、重ねて、広く拾ってほしいという通知も出されています。その間の十九日にこれが出ておりますので、現場とすると逆に混乱をしている部分がありますので、ぜひわかりやすくシンプルに対応していただきたいと思います。

 資料三をごらんください。これは、東京都の医師会が東京都の方に通知して、介護施設、医療関係でこういうことをやりますよという宣言をされたものです。

 先般伺ったときは、積極的疫学調査、濃厚接触者は対象になりますけれども、無症状の人は対象になっておりません。ましてや、防護服をちゃんとしていた医療従事者ですとか、あるいは濃厚接触者ではない、でも濃厚接触の周辺、ここでは濃厚接触が疑われる者と書いておりますが、厳密にいくと制度上は対象になっておりません。

 先般私が伺ったのは、濃厚接触が疑われる者も幅広く検査につなぐべきだと言わせていただきました。そのためには、濃厚接触者はもちろん検査をされます。こちらの方は陰性と出ても二週間待機していただく対象になります。これは福祉施設の例ですけれども、濃厚接触者には直接該当しないけれども、同じフロアにいた、陽性の方とすれ違った、あるいは同じ施設にいた、そういうような方々については、右から二番目の、職員の流れですけれども、こういう対象にしてはどうですかというのを先般質問をさせていただきました。その際には、検査の対象にするけれども、陰性となっても業務は継続できるよ、こういう流れを新たにつくってはどうかという質問をさせていただきました。

 今後検討する御答弁でしたけれども、短い期間ですけれども、何かその後、動きはございましたでしょうか。

盛山委員長 では、とめてください。

    〔速記中止〕

盛山委員長 では、時計を動かしてください。

 宮嵜健康局長。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと前回のやりとりも含めて確認してみないとわからないところがあるんですが、濃厚接触者と疑われる者の分け方もちょっと、ここに今書いてございますけれどもわからないところがありますけれども、いずれにしても、医療機関内とか施設内につきましては、濃厚接触者につきましては、本来であれば症状がある方を検査にかけていくわけですけれども、院内とか施設内の場合には、利用者もそうですし職員さんもそうですけれども、症状がない場合にも積極的にPCR検査で確認してくださいということはお知らせしているところでございます。

 ですので、その後の、ここの業務継続できるかどうかというところが、濃厚接触者と接触が疑われる者の分け方がちょっとわからないところもありますので、ここは改めて整理させていただければと思います。

岡本(あ)委員 私、先週提案させていただいたのは、濃厚接触者と違う新たな定義というのも必要なんじゃないかということを言わせていただきました。既にこれは東京都の医師会が東京都に通知を出して取り組んでいらっしゃるということですので、ぜひこういう例を、検査体制がちゃんと整っている前提ですよ、余裕がないところにまで広げろと言うつもりはないですけれども、整っているところについては順次、陽性の人を早期に見つける、それから、少なくとも医療従事されている方、施設の中で陽性の方と日ごろ接している方々については、防護服をまとっていても定期的に検査をする対象にするべきだということを申し上げさせていただきます。

 時間がなくなったので、最後に、生活困窮者の支援の中で、一人親家庭への支援について触れさせていただきたいと思います。

 資料の最後、ごらんいただければ、一人親が収入減になって大変なことになっているという状況です。例えば、修学援助それから奨学金というのは、家計の収入に応じて、急変に応じて対象にする、そういう判断もされています。児童扶養手当、これは家計急変に対応するべきじゃないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 御指摘のございました児童扶養手当を始めとする児童手当あるいはそういった他の手当につきましては、厳格な資産調査を行わないというかわりに、地方税法に基づく前年度の所得あるいは子供等の定型的な基準に基づいて手当を支給する制度となってございます。

 御指摘のような家計急変、直近の状況を、個々の家庭の状況を反映するかどうかということにつきましては、そうしたことを反映することにつきまして、例えば、現下の収入状況を把握することに対してのさまざまな自治体の事務負担の増ですとか、あるいは現在の所得が下がる場合ではなく上がった場合のことをどう考えるか、あるいは他の手当制度との関係といった点を整理する必要があるというふうに考えております。

 そうした中で、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により家計が急変した世帯につきましては、一人親世帯も含めまして、返済免除も可能な緊急小口資金等の特例貸付制度を実施しているほか、緊急経済対策で、一人当たり十万円の特別定額給付金あるいは子供一人当たり一万円の一時金ということで支援を行っているところでありまして、まずはこれらの施策をしっかりと実施してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 これは本当に一人親の方々に寄り添っているかどうかということです。二〇一八年に発表した調査だと、特にシングルマザーの方々の就労の収入、二百万円です。これが減らされている。しかも、四割が非正規雇用、パート、アルバイトとなっております。この方々が休業に追い込まれたり、そして休業手当も出ていない状況に追い込まれている方々が多くいらっしゃいます。貸付けは怖くて行けないという声が起きているんです。まずは貸付けをとか、そういう悠長なことではなく、現実に向き合っていただきたいと思います。

 私たち、児童扶養手当の受給対象者、これはできるだけ現行の状況に合わせた形での対象者ということも視野に入れて、定額の給付金制度ということも盛り込ませていただいた提案の準備をさせていただいております。一人親家庭が今本当に経済的な状況の中で一番際にいらっしゃる方々なんだということを、現実、受けとめていただきたいと思います。

 最後に厚労大臣に伺いたいと思います。この一人親家庭への支援、ぜひ、この方々に対してということでお考えを示していただければと思います。

加藤国務大臣 一人親の方々の中で、多く、大変厳しい方もおられます。他方で、そうでない、たしかこの間、どこかの、NPOかな、の方が出した統計ではそうした数字も出てきていたと思います。

 いずれにしても、そうした厳しい状況にある方々、今回、十万円の特別定額給付金あるいは児童手当の一人一万円の一時金、こうしたこともお支払いをし、また、さまざまな制度も、緊急小口貸付けを始め、そうした施策も出していただいております。まずはそういったものをしっかり活用していただくべく、我々としても、なかなかそういった情報も届かないものですから、そういったことにしっかりと努力をしていきたいというふうに思っております。

 また引き続き、これは短期で終わるものではないんだろうと思いますので、こうした流れの中で、そうした方々の状況はどういう状況にあるのか、そういったこともしっかり踏まえながら、必要な対応は考えていきたいというふうに思います。

岡本(あ)委員 緊急事態宣言が延長になって、学校を休んでいるお子さんを御家庭で見ている親御さんも疲れ果ててきております。シングルマザーでは、一番下のお子さんが小学生という家庭が一番収入的にも厳しいという統計も出ております。今後検討するではなく、速やかな判断、少なくとも、家計急変、収入が下がった方は児童扶養手当の対象にするんだ、奨学金や修学援助、こういうのを参考にして一緒に取り組むという姿勢を速やかに出していただくよう求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立国社の白石洋一です。

 まず、地元の高三生から受けた相談をもとに質問させていただきます。

 九月入学なんですけれども、これは、私自身、三月の六日に佐々木文科政務官にお願いし、そして四月の七日には今いらしています亀岡副大臣にもお願いしました。前回のときは主に、九月入学というよりも、高三生にオンライン教育を優先的にやってほしい、特に地方の公立高校、こういった生徒を優先的にお願いしたいと。これも引き続きお願いしたいと思います。きょうは、それに加えて、現高三生のための制度をぜひ考えておいてほしいという趣旨で質問させていただきます。

 私が描いているイメージというのは、地方の公立高校の普通の家庭、今、普通の家庭というのは、コロナで経済状況が悪くて、教育費だとか、子供は進学を希望するんだけれども、その仕送りとか、これから何年あるのか、そういったことを非常に心配している家庭で進学を希望している、そういう現高三生を念頭に置いております。

 それで、まず最初の質問です。

 今、全国の公立、私立も含めた高三生の休校の状況と、そしてこれからどうなるのかについて概要を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の国公私立の臨時休業の状況につきましては、四月二十二日の時点におきましては、小学校及び中学校の九五%、高等学校の九七%において臨時休業を実施しており、最新の状況、これは五月十一日時点でございますが、現在調査を取りまとめ中でございまして、間もなく公表予定でございます。

 都道府県の県立学校の臨時休業については、現在文部科学省が把握しているところでは、五月十一日時点で学校を再開したのが七県、五月中下旬までの休業を決定しているのが九県、五月末までの休業を決定しているのが二十九都道府県、休業期間未定なのが二県となっているところでございます。

白石委員 先ほどは公立というふうにおっしゃったんですね。五月末まで二十九都道府県ということで、そこまでは、三月から始まってずっと休校の状態になっている。そして、私立も同様だと思います。

 一方、休校といっても、実際はオンラインで授業をしていて、先生は学校にいてオンラインで授業をしている、これも休校というカウントになっていると思うんですけれども、それで、宿題じゃなくて、オンラインで授業がなされている状況について、できればそのオンラインが一方向、ただ聞くだけ、ユーチューブを見ているだけのようなものではなくて、双方向、Zoomみたいなもので質問も受け付ける、こういったところの状況は把握されていますでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきまして、新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した、これは公立学校ということでございますけれども、学習指導の取組についての調査を行ったところ、臨時休業中の家庭学習につきまして、四月十六日時点で、同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習を実施する設置者の割合は五%というふうになっているところでございます。

白石委員 公立では五%と非常に低いわけですね。でも、公立というのは、高校三年生にフォーカスしてお話しします、まだ受験のための勉強をしないといけない教科書が随分残っている。一方、イメージですけれども、私立の進学校で中高一貫みたいなところは、もう二年生までに高校の習うべき教科書は全部終えて、あとは問題演習というふうになっているところが多いと思うんですよ。ですから、ここで教育格差が非常についてきているということを私は危惧するわけです。

 そこで、それを、学習の、均一な修学の保障をするためもあって、九月入学というのも一つの方策としてあるんですけれども、これは今政府の方でも検討を始めて、そして、各省に課題を提出するようにということで、締切りも過ぎていると思うんですけれども、その結果の状況はいかがでしょうか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 九月入学につきましては、萩生田文部科学大臣が国会で御答弁しておりますとおり、文部科学省だけにかかわる問題ではなくて社会全体に影響を及ぼすものでありますことから、各方面との調整が必要であります。したがいまして、委員御指摘のとおり、各府省に対しましても、どのような課題があるかについて検討などをお願いしているところでございます。

 現在、各府省から頂戴しました回答を精査している段階でございまして、まだ御説明できる段階に至っておりません。お尋ねを賜りながら、まことに申しわけございません。

 なお、文部科学省としての九月移行についての課題等についての認識でございますけれども、九月入学のメリットといたしましては、学校休業が更に長期にわたった場合、現在在学している子供たちの学年の期間を延ばすことで教育活動の時間を確保できること、また、長い夏休みが学年の途中に入らないことにより年間の教育活動をより円滑に進めることができることなどが挙げられる一方で、課題としては、就職の時期が半年おくれることによる企業等における人員不足、また、特定の学年の人数が急激に増加しないようにするなど移行方法について十分な検討が必要であること、また、子供の在学期間が長くなることによりまして保護者の経済的負担が増すことなどが挙げられます。

 こうした課題、メリット等のほか、今後のコロナウイルス感染症の状況を見ながら検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

白石委員 容易なことではないということだと思います。

 それで、今回私がお願いしたいのは、少なくとも高校三年生、現高三生の大学入学についてだけ何カ月かずらす、例えば、九月入学になるように、五カ月ずらして九月入学にする、この学年だけ合わせてやるということも一つ考えられるんじゃないかなというふうに思うんです。それを、もう学校をやっているところもあるじゃないかとそのままやったら、この二、三カ月でついた学習格差が尾を引いて、来年の大学入学の結果が公立高校については非常に悲惨なことも私は危惧するわけです。

 ですから、現高三生についてだけ入試を五カ月ずらして九月入学にするということも一つの選択肢として考えていただきたいんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

亀岡副大臣 先ほどから委員の問題視されている、学校の臨時休業期間が長期化する場合においても、高校生が授業を十分に受けることができないようなことによって学習に著しいおくれが生じることのないようにすることは大変重要だと考えております。

 このため、文部科学省としては、まず、早期の終息に向けて感染拡大防止の取組を徹底した上で、これまでも行ってきている子供の学習の保障のための取組を一層しっかり進めていきたいと考えております。

 御提案のような現高校三年生の卒業、大学入学の後ろ倒しを含む九月入学については、仮に我が国の社会全体の問題として広く国民の間で認識が共有できるのであれば、学びの保障のためのやむを得ない選択肢の一つであるとは考えておりますが、いずれにしても、子供たちのための最高の選択肢は何かということを第一に考えていくことが重要であると考えておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

白石委員 やむを得ない選択肢の一つとして考えていきたいということで、もちろん、今、学校のおくれを取り戻すのが一番大事で、終息したらそれをフルに発揮していただく、これが第一です。ただ、入試という意味では、一月に、共通一次と言わない、そういうものがありますね、今は。それよりも前に、AO入試とかあるいは推薦入試というのは秋から始まるので、そろそろ考えておかないとまずいということでこういう提案、促しをしているわけであります。

 それで、このずらすということについてどういった負担があるのかというのもあるんですけれども、今、文科省の方で、現三年生を五カ月ずらしたことによってどんな負担が出ると考えていますでしょうか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成三十年度の子供の学習費調査によりますと、子供を高等学校に通学させている保護者におきましては、例えば授業料や学用品費などの学校教育費、また学習塾費、体験活動費などの学校外活動費を支出してございます。仮に委員御指摘の高校三年生の在学期間が延長されるとなりますれば、こうした費用について経済的な負担が発生するものというふうに認識してございます。

白石委員 そういった、五カ月おくれることによって巣立ち、子供が巣立つのがおくれるということで、生活費は上がる。ただ、やはり親の身になって、今の高校三年生の親の身になったら、それはやむを得ない出費として負担し、それで自分の子供が夢をかなえる、浪人はさせられない、ただ、あと五カ月、おくれを挽回できる時間をくれるんだったらそっちの方がいいというふうに思うのが私は親心じゃないかなというふうに思うわけです。

 そこで、提案なんですけれども、この際、現高校三年生やその保護者、そして学校関係者も含む方々に、高校三年生の進学についてに絞ったアンケートを全国で実施したらいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 九月入学は、先ほども御答弁申しましたとおり社会全体に影響を及ぼすものでありますことから、御指摘のとおり、趣旨を踏まえまして、当事者も含めてさまざまな方から意見を聞くことが重要だと考えてございまして、今後十分に検討してまいりたいというふうに考えます。

白石委員 いろいろなアンケートを、今はコロナで非常に多忙なときですから、でも、やはり秋に入試が近づいてきている、そして、私もそうですし、限られたところから情報を集めるよりかは、網羅的に今、ただ、今の高校三年生に絞ってアンケートをするということをぜひ考慮していただきたいなというふうに思います。

 それで、副大臣、いずれにしても、今検討されている九月入学、あるいは、先ほどやむを得ない選択というふうにおっしゃった現高校三年生、あるいは、ほかにもいろいろな救済策というのはあるんじゃないかな。例えば入試の範囲を狭めるであるとか、そういったものというのはあると思うんですけれども、いずれにしても、今の高校三年生で、環境によって、おくれる方に学習格差がついてしまった子供たちを救っていただけるように約束していただけますでしょうか。

亀岡副大臣 まさに今委員の御指摘されたとおり、不平等、不公平のないようにしなければいけないというのは大切なことだと考えております。

 特に、感染拡大の防止のために、臨時休業により、とりわけ進学や就職を控えた高校三年生の学びを保障し、希望する進路の実現に向けて必要な措置を講ずることが一番の重要なことと考えておりますので、文部科学省としては、五月一日に、段階的に学校教育活動を再開するに当たっての学校運営上の工夫として、時間帯又は日によって登校の対象とする学年又は学級、学級内のグループを順次変えたりするなど分散登校の実施や、最終学年、特に小六、中三、高三等を優先した登校日の設定などについてまとめて通知をしたところであります。

 また、来年度の大学入試の選抜については、当面、特に九月以降に出願が始まるAO入試や十一月以降に出願が始まる推薦入試については受験生が大きな影響を受けることが予想されますので、特定の受験生が不利益をこうむることがないよう、現在、出願の時期や評価基準、方法などについて、高校、大学関係者、団体等との調整を行っており、それを踏まえ、各大学に対し配慮いただきたい点などを詰めているところであります。このうち、現時点で配慮をお願いしたい事項については、調整が整い次第、近々、大学等に周知したいと考えております。

 さらに、就職を念頭に置き、資格取得を考えている専門学校等の生徒に不利益が生じないよう、国家資格の受験資格等に関して、厚生労働省や国土交通省の関係省庁とも協議をし、既に実習の代替措置等の柔軟な対応が可能である旨の通知を発出しております。

 これらの取組を通じ、高校三年生に不利益が生ずることのないようしっかりと対応していくということで今考えているところであります。

白石委員 ぜひ、今回のコロナ禍によって今の高校三年生が就職氷河期的な感じになることのないように、特に環境によって学習保障に不利益を受けた層をしっかり手当てしていただくようにお願いします。

 それともう一つ、九月入学を全体で考える場合は、今、六歳で義務教育、六歳になって初めて来る四月で義務教育になっていて、それがまた五カ月おくれるということで、今の世界の潮流であるとか、やはり子供は早く義務教育にして学校に入れて勉強させる、あるいはネグレクトなどの家庭の問題もそれによって随分解消するということを考えたら、義務教育の年齢はおくらせない方がいいと思うんです。

 それで、今、文科省として、ほかの国の義務教育の就学年齢というのは何歳と状況を把握されていますでしょうか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの点でございますが、例えばG20の構成国で見ますと、義務教育の就学年齢を六歳としている国が最も多く、我が国のほかに十二カ国となってございます。ただし、六歳としている国におきましても、その多くの国におきましては、実際の入学時期との関係から、五歳児も入学しているものと承知をしてございます。

白石委員 それで、副大臣、今政府で九月入学を検討する際に、ぜひ、義務教育を五カ月おくらせたままにするんじゃなくて一段早める、五歳にするということもその際の一つの検討事項に挙げていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

亀岡副大臣 先ほど世界のお話をさせていただきましたが、義務教育の就学年齢については、これまでもさまざまな議論があることは承知しております。今回検討している九月入学と同様に教育上の大きな課題の一つだ、これも大きく認識をしております。

 就学の早期化は、体制整備のあり方や財源も含めて学校教育制度全体のあり方にかかわる問題であるとともに、社会全体にも影響を及ぼすものであり、各方面とも調整が必要な案件です。仮に議論を進めるとしても、我が国の社会全体の問題として国民の幅広い理解を必要とするものであることから、諸外国の例等も幅広く研究しつつ検討していく必要があると考えておりますので、ここはじっくりと検討させていただきたいというふうに考えています。

白石委員 ありがとうございます。

 それでは、文科副大臣、そして文科関係の質問はこれで終わります。

 次は、私はずっとこの連休も事業所に電話しているんですけれども、その中で、介護施設、特に通所サービスと言われる、デイサービスが中心なんですけれども、こういったところは相当打撃を受けているという感覚を持っています。

 今政府でやっている持続化給付金は売上げベースですよね、売上げベースで前年同月比半分以下に下がったところなんですけれども、こういった介護、医療関係はそこまでは下がっていない、だけれども、特にデイサービスを中心とした通所サービスについては固定費があるものだから、固定費がかかっていて、加えて今回、感染拡大を防ぐための消毒であるとかマスク、資材の購入とか、工程がふえて、しかも念入りにやるということでコスト高になって、職員さんも相当疲弊している、疲れているというところがあると思うんですね。

 そういったところに、次の補正予算のときになるかもしれませんけれども、手当てをするべきだという趣旨で、次の質問をします。

 まず、今、対コロナで最前線で戦っているのは、間違いなく医療機関、中でも感染症指定医療機関と帰国者・接触者外来だと思うんですけれども、そこに対して今特例的にどのような手当てがなされているのか。概要でいいので、簡単にお願いします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の緊急経済対策で、病床及び軽症者等の療養場所の確保とか、あるいは重症者に対応できる医師、看護師等の派遣とか、医療用マスク、ガウン等の確保など、人、物両面からの強化を図ることとしておりまして、これらの経費につきまして、緊急包括支援交付金として千四百九十億円等を計上しております。また、裏として、地方創生臨時交付金を活用しまして、実質全額国費になるような対応を可能としているところでございます。

 加えて、診療報酬等におきまして、重症の新型コロナウイルス感染症患者さんに対する一定の診療への評価を二倍に引き上げるとか、あるいは、感染症の患者に直接向き合う医療従事者の皆様に危険手当として日額四千円相当が支給されることを念頭に、人員配置に応じた診療報酬を引き上げることなどが行われております。

 さらには、無利子無担保を内容とする経営資金融資による支援などもございまして、こういうことで医療の現場を守りつつ、感染拡大防止に向けて取り組んでいるというところでございます。

白石委員 千五百億円の交付金とそれから報酬のところでのポイントの特例と、これでもう十分とは言えませんけれども、それなりにされているということはあるんですね。

 一方、感染症の患者を受け入れるところ以外の医療機関は、受診抑制で患者が減少して、ここも苦境に陥っているということを聞きますけれども、そちらに対する特例というのはどのようなものが今回補正を中心にあるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、コロナ感染症の患者さんは受け入れていないけれども、患者さんの減少など経営に影響が出ている医療機関につきましては、独立行政法人福祉医療機構が行う融資がございます。これにより、新型コロナウイルス感染症の影響でやむを得ず機能停止等となった医療関係施設などに対しまして、無利子無担保の優遇等の支援を行っております。

 また、経営が厳しい中小あるいは小規模の医療法人や個人診療所につきましては持続化給付金も活用いただくことが可能でございますので、法人は二百万円、個人事業者は百万円を上限の現金給付もあるというふうに承知をしております。

 また、労働者の雇用の維持と生活の安定を図られるよう、解雇等を行わずに雇用を維持する医療機関に対しまして、休業等の要請を受けていなくても、休業手当について六〇%を超えて支給する場合にはその部分に係る雇用調整金の助成率を一〇〇%にするということで、今申し上げた三つの施策それぞれ、コロナを積極的に受けていないけれどもと申しましょうか、医療機関として一定のコロナの影響により経営に支障が生じたところについて、それぞれの要件に該当する場合にはこのような支援を用意させていただいているというふうに御理解いただければと思います。

白石委員 この無利子融資、配付資料にもつけさせていただきましたが、福祉医療機構によるものは条件はいいと思います。条件は、日本政策金融公庫のものよりも無利子の期間が長い。日本公庫は三年に対して、福祉医療機構は五年ですから。金額も相応になっているということだと思います。

 ただ、私が最初に申したように、売上げ減少といっても五割までは減っていない。ただ、医療機関、そしてこれから申し上げる介護機関は、固定費の比率が高くて、ですから損益分岐点も高いわけですね。そこをどう考えるかということなんです。

 それで、先ほどまでは医療機関向けでした。次にお伺いしたいのは、介護施設向けに、今回の新型コロナウイルス対策として補正予算等でどのような経済的な支援がなされていますでしょうか。

大島政府参考人 補正予算の以前に若干介護報酬上の特例も設けておりまして、人員基準を満たすことができない場合も減額をしないこと、あるいは、デイサービスが居宅を訪問してサービスを提供した場合あるいは電話によって安否確認をした場合も報酬を取れるといった扱いをしております。

 それから、融資につきましては、先ほどの医療機関と同様に、福祉医療機構の無利子無担保の融資、それから株式会社等で民間金融機関から借入れをされている場合もございますが、信用保証協会のいわゆるセーフティーネット保証五号の対象にもしております。

 そして、今般の補正予算の中では、一部物品等の支援も都道府県を通じて行っておりますが、それに加えまして、感染者が発生した介護施設や休業要請を受けた事業所等に対しまして、職員の確保に関する費用あるいは消毒の費用など、かかり増し経費について助成を行うこととしているところでございます。

白石委員 ありがとうございます。ただ、休業要請まではされていなくて、結構その範囲が狭いんじゃないかなというのが私の印象なんですね。

 もう一つは、介護報酬についての特例を設けているということで、それを設けたらどのような形で発出しているかというのが、配付資料に一つつけさせていただいた、先ほど答弁でありましたように、やはり一番、通所サービス、利用者さんが来なくなっているから、それを施設側にとってみれば訪問に切りかえた場合の介護報酬のカウントについての事務連絡、こういったものが十通ぐらい今まで出てきていると思うんですけれども、それが果たして介護施設、介護施設というのは非常に零細とかもありますから、そこまでちゃんと行き届いているのかなというのが私が懸念するところなんです。

 さらに、先ほどの答弁がこれかなというものを配付資料にもつけましたけれども、その中で、この上のところの2で、介護施設等の消毒・洗浄経費も支援されますということだと思うんですけれども、これも申請が必要なわけですね。こういったところが、特に通所サービスをしているところにちゃんと話が行っているのかなと。

 一方、中小企業庁の方では、それの話がちゃんと行くように、こういう一つのパンフレットにして、これは中小企業庁の事業だけじゃない、ほかの厚生労働省だとか日本公庫だとかそういったものも含めて一枚の冊子にして、これがどんどん更新されていっているんですね。

 お願いしたいのは、こういったものを、長引きそうですから、ぜひ作成して、そして、介護施設、大きいものもあれば小さいものもある、特に小さいところの、さらには特に通所サービスをしているところには念入りに届けていく必要があると思うんですね。

 加えて、大臣、これから補正予算、第二次の策定を考えていらっしゃると思うんですけれども、こういった介護施設に対しても、直接の感染症拡大の被害じゃないかもしれないですけれども、非常に神経をとがらせてやっているところに、野党の方からは処遇改善という対案、法案も出しましたけれども、こういった介護施設に対しての経済的支援も考えていただきたい、必要があると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 既に、今回の補正予算で、介護サービス事業所等に対するサービス継続支援事業ということで、今まで局長からも答弁をさせていただきました、こうした施策もさせていただいております。よりわかりやすくということで、更にそれぞれの事業所の方々が使っていただきやすくしていきたいというふうに思っております。

 もう一つは、やはり介護あるいは障害者サービス等について、入所されているところにおいてもそれぞれさまざまな影響がありますけれども、特に訪問とか通所系のところにおいては、なかなか通所に来ていただけない、あるいは訪問したくてもなかなか訪問しにくい、こういう状況があるのではないかというふうに承知をしておるところでありますので、それぞれ、そうした事業体、これも、通所と入所と一緒になっている場合、ばらばらになっている場合、いろいろあるんだと思いますけれども、それぞれの業態の中で実際どうなっているのか。既に介護報酬の請求等を分析したり、今、さまざまな話も聞かせていただいております。

 やはり、こうした方々が、こうした感染時においても平時においても、高齢者や障害者の方々を支えていただく大事な基盤でありますから、この基盤が崩壊をしてしまったのでは、そうした方々あるいはそうした方々の御家族を含めて暮らしていけないという状況になってしまうわけですから、そういった観点で、引き続き、必要な対策、これをしっかりとっていきたいと思っております。

白石委員 補正予算、第二次が控えていますので、それをぜひ盛り込んでいただきたい。もともと介護職員の処遇というのは低いということで、野党からもその処遇改善というのを出している。更に今回のコロナ禍ですから、危険手当的にも特別に処遇、そして介護報酬のポイント増し、それは感染症指定医療機関だけじゃなくて、こういったところにも配慮していただきたいというふうに重ねて申し上げます。

 次の質問なんですけれども、雇用調整助成金です。

 先ほど申し上げたように、私もずっと電話しているんですけれども、雇用調整助成金、申請を考えているとか、申請の準備をしているとか、申請をしましたという話は聞くんです。しかし、入金されましたというのが聞かれないんですね。もちろん、これだけもう国会でも問題になっている、それで改善もしているでしょうから、給付まで行った数はふえているとは思うんですけれども、直近の申請受け付け数と決定件数を教えていただけますでしょうか。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 五月十二日現在の速報値でございますが、雇用調整助成金の支給申請件数は一万四千六百五十二件となってございまして、それに対して支給決定件数は五千六百六十六件となっているところでございます。

白石委員 三分の一になってきているということで、決定されたら、大体何日ぐらいに入金、口座振り込みがされるんでしょうか。

達谷窟政府参考人 入金の手続は金融機関等を通じてやりますのでちょっとばらつきがございますが、おおむね二日から四日程度というふうに聞いてございます。

白石委員 そこから四日程度は最大でかかるということで、これを早めてほしいということと上限金額を上げてほしいということは改めてお願いしたいと思いますけれども、これにもう業を煮やして、自分から申請したいという人もいると思います。

 これは、みなし失業として、失業保険給付の形で失業手当を受け取るということも今政府の方でも検討を始めたというふうに聞いております。この検討の内容について教えてください。

小林政府参考人 雇用調整助成金の拡充それから支給の簡素迅速化、これは先ほど御答弁申し上げました。まず、雇用調整助成金を活用いただきまして雇用維持を図っていただくということがあくまで基本であるというふうに考えております。

 その上で、みなし休業給付という御指摘がございました。みなし休業給付は、激甚災害法に規定をされております雇用保険の特例でございます。これは事業所が直接被災した場合の特例であるということと、それから、この場合には、これを受給しますと、その後万一離職といった状況に立ち至った場合に基本手当を十分受給できなくなるおそれが生ずるといったことに留意が必要となるものであるというふうに思っております。

 こうした中で、労働者が直接申請する仕組みについてでございますが、さまざまな御指摘をいただいておるところでございまして、労働者の立場に立って検討していく必要があるという観点から現在検討を進めておるところでございまして、今後具体化を図ってまいりたいというふうに考えております。

白石委員 ぜひ、これは次善の策でしょうけれども、考えていただいて、ただ、やはり雇用調整助成金がちゃんと出るのが一番だと思います。そして、上限も倍以上にしてちゃんと払われるということであれば、雇用主も、動機づけとして、雇用調整助成金の方が、働いている人を失業させるであるとか、あるいは、雇用を継続するんだけれども資金的な負担に耐えられないからみなし失業してほしい、こういったことよりも、雇用調整助成金でちゃんと入って、それを自分のところの従業員全員に、その失業手当の原資を得るというのが一番だと思います。

 逆に、みなし失業ということになって個々人がハローワークに殺到すると、そうでなくてもハローワークは今混雑しているところに、また個々人が窓口に行くということで大変なことにもなりかねないので、もしこれを次善の策として入れるんだったら、そこの簡易化が必要なんじゃないかなというふうに思います。

 それで、大臣、あと、この雇用調整助成金の迅速化そして上限の引上げということで、上限の引上げは、報道によると次の補正予算で検討されるということなんですけれども、やはり引き続き迅速化というのも図っていただきたい。

 それで、今、今までの本会議での答弁でも休業計画は後でもいいということを言っていらっしゃるんですけれども、休業計画なしでも、休業手当が支払われたということさえ確認できれば出せるんじゃないかなというふうにも思いますし、ほかにもまだこれを加速化する、給付の迅速化を図るための具体的な手だても挙げてこの実効を担保していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これまでも、申請の手続の簡素化にも努力をしてまいりました。また、体制を整備する、あるいは社会保険労務士の方のお力もかしていただく等、あらゆる施策を講じながら、やはり、休業手当を払う中で、雇調金を使って休業手当を払いながら雇用を守ろうとする、そういう事業主の方、経営者の方、これをしっかり支援していく必要があると思います。

 今回は特に、これまでの製造業、リーマンのときは製造業等が多かったように記憶をしておりますけれども、一時的な営業自粛等、飲食店とかサービス業を中心に出てきている、なかなかこれまで雇調金になれていない方も多いということを踏まえて、特に小規模の事業主に対しては、過去の賃金は計算せずに、幾ら払った、その実績でいいとか、そういった思い切った対応もさせていただこうと思っております。

 加えて、今委員御指摘のように、一定、もちろん審査もしていかなきゃなりませんけれども、できるだけ早く申請をしていただいて、早く支給をしていただく、こういったメカニズムをどう組み込んでいくのか。そのためにも、どの程度の書類がそろえば申請できるという、そういった意味での簡略化と、そして私どもの方の処理手続の迅速化等をすることによって、当初申し上げたように申請から二週間程度で支給することによって、一回目は休業手当の資金を用意していただかなきゃなりませんが、二回目については雇調金も活用していただきながら休業手当の支給等ができる、こういう状況をつくっていきたいというふうに思っています。

白石委員 その簡素化の中に、休業計画は必須書類じゃなくて、もしあれば出してくださいというぐらいにし、さらに、おっしゃったとおり、今打撃を受けているのは、飲食店とかあるいは小さな小売店が一番打撃を受けている。そういったところは、法定三帳簿と言われているようなものはもともと備えていないというところがあります。だからといって、それが必須になっている以上、後から改ざんもできないというところで逡巡しているというのが現状ですから、そこをもう、あれば出してくださいと。

 やはり一番確認しないといけないポイントというのは、休業手当を出したのかどうか。そこさえ確認したら出していくというふうにしたら相当簡略化されると思いますし、また、人員の手当てとおっしゃいましたけれども、今、手があいているところも随分あるでしょうから、そこにどんどん応援隊を送り込んでいただきたいと思います。

 次は年金なんですけれども、今の私の問題意識は、基礎年金のところが減る、あるいは基礎年金だけで生活している人をどうするかということです。

 基礎年金をこれから減らさないためにはどうすればいいか。マクロ経済スライドを三十年もかけさせるんじゃなくて、あるいは、被雇用者適用拡大によって一年だけ短縮しました、そんな小幅なものじゃなくて、これを二階部分、報酬比例と同じ七年程度にするか、ゼロにするためには、国民年金の財政に一括して資金を振り込むということをお願いしました。

 今回は、それまでだと、これから減るのを減らすだけで、じゃ、今、基礎年金ぐらいしかない人がどうやって生活するかというところには答えていない。そのことについて、提案を含めて質問しようとしましたけれども、また次回にしたいと思います。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、予算委員会の続きですけれども、派遣の問題についてお伺いします。

 予算委員会の際に、派遣の解雇等、厚労省がつかんでいる数が三百九人という答弁がありましたけれども、そんなはずないだろうと思って、信濃毎日新聞の報道を見たら、長野労働局が派遣元八社に聞き取った解雇や雇いどめ、見込みを含む、が、四月一日以降、百四十九人と。もっと実際は厚労省自身もつかんでいるんじゃないかというふうに思いますが、改めて派遣について、全国の雇いどめ、見込みを含む数を教えていただけますか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 まず、労働力調査がございます。労働力調査で見ますと、非正規の職員、従業員、三月の数字でございますが、前年同月差で二十六万人の減少ということになっております。その内訳を雇用形態別に見ますと、労働者派遣事業所の派遣社員、三月は前年同月差で二万人の減少という数字になっております。

 また、先ほど御指摘ございましたが、都道府県労働局、それから業界団体等を通じまして情報収集を行っておりますが、五月十二日時点で労働者派遣事業について申し上げますと、解雇等見込み労働者数が四百名ということになっております。

 契約の不更新だけでなく、中途解除というのも一部出始めてきておるところでございますので、引き続き状況をしっかりと注視してまいりたいというふうに思います。

宮本委員 四百名というのは、これは長野の労働局の百四十九人を入れた数なんですか。

小林政府参考人 私ども、各都道府県の数字を積み上げて、先ほどのように、解雇等見込み労働者数、全体で六千二百名余ということでございますが、うち派遣については、先ほどの四百名ということになっております。

宮本委員 だから、それはどういうつかみ方をしているのかなというふうに私は思っちゃうんですよね。多分、長野の労働局だけは、ちょっと報道を見たら、派遣元にみずから聞き取りをして、つかんだ数が報道されたんだと思うんですけれども、全国的にはそういうことをやっていないから、四百という数になっちゃうんじゃないかというふうに思うんですよね。

 予算委員会で加藤大臣も答弁されたように、七月一日からの新しい更新に向けて、この五月に相当、もう次は更新しませんよというのをやられる可能性が高いと言われているわけですから、これをやはり本当に前もってしっかりつかんで指導をしていただきたいというふうに思うんですね。

 その上で、予算委員会では派遣元の責任についてお伺いしましたけれども、派遣先の責任についても、きょうはお伺いしたいと思います。

 本来、直接雇用が、雇用は原則だ、派遣というのは一時的、臨時的なものに限って、常用雇用の代替にしてはならない、これが大原則だということだと思うんですが、実態は常用雇用の代替として派遣を使って、こういう局面になったら雇用の調整弁として使うというのがまかり通っているわけであります。

 先ほど、中途解除が出てきているという御答弁もございましたけれども、派遣先が派遣契約の中途解約、中途解除をした場合は、あるいは契約を更新しないということになった場合は、多くの場合は、派遣元から派遣労働者が解雇されるあるいは雇いどめされる、ここに直結していくわけですよね。ですから、派遣先に対しても派遣契約の中途解除を行わないように、これから強力に働きかける必要があると思いますが、この点、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 派遣労働者の方々の雇用安定を図るため、派遣先が安易に労働者派遣契約の中途解除を行うことのないように、これまでも主要経済団体に対して繰り返し要請を行い、また、派遣元、派遣先に対しても周知を図っているところであります。

 具体的には、派遣先の都合による労働者派遣契約の中途解除が行われた場合には、派遣先において新たな就業機会を確保すること、派遣元において派遣労働者の休業手当が支払われるよう、派遣先が休業手当相当額を負担することなどの措置を講ずる必要がある、その旨を派遣先に周知をしております。

 また、派遣労働者の解雇等の見込みについては、都道府県労働局において、先ほど申し上げたような形で情報収集を行っており、派遣先がこの措置を適切に講じているか確認をし、都道府県労働局において必要な指導も行っているところであります。

 今後とも、派遣労働者に係る状況をしっかり注視をしながら、また、必要に応じて、先ほど申し上げた指導等、あるいは情報収集、指導等を行いながら、雇用を守る、こうした立場に立って、引き続き必要な対応を図っていきたいと思っております。

宮本委員 指導するということなんですけれども、今指導しているとおっしゃられても、厚労省がつかんでいるのは四百人だと。でも、実際は、労働力調査で見たら二万人、三月で減っていると。四月は物すごい数、もっと減っていますよ。五月はもっと更に減っていく。派遣労働者は雇いどめに遭っているわけですよね。ですから、本当にこれは乗り出してやっていかなきゃいけないことだと思います。

 そして、派遣元が果たすべき雇用安定措置の第一として掲げられているのが、派遣先への直接雇用の依頼なんですね。V字回復というのが今後いつになっていくのかというのは全くわからないわけですけれども、本来は、派遣先にしても、新しい人にV字回復後に一から仕事を覚えていただくよりも、仕事に熟達、熟知している方がいる方がV字回復は図れるということだと思うんですね。

 ですから、派遣先が派遣元から直接雇用の依頼を受けた場合、雇用調整助成金を使えるわけですから、これは使えるわけですよね。ですから、それも使って、やはり直接雇用に積極的に応じるように、政府としても派遣先に強く求めていただきたいと思いますが、いかがですか。

小林政府参考人 まず、今御指摘いただきました雇用調整助成金でございますけれども、今回、特例措置ということで、六カ月未満の労働者も対象とすることといたしております。したがいまして、派遣先において直接雇用された場合には、雇用調整助成金を利用できるということになります。

 今御指摘ございましたように、派遣元事業主、派遣会社の方におきましては、雇用安定措置として、派遣先に対して直接雇用の依頼をするという義務が義務の一つとしてかかることになっております。また、これが達せられない場合には別の派遣先を提供する等の措置も講じなければならないことになっております。

 そうした中で、派遣先にできるだけ雇用していただくということが望ましいという状況は御指摘のとおりでございまして、現在、私どもとしては、派遣先に対して、安易な中途解除を行わないようにということを繰り返し要請してきておるところでございますが、こういったことを超えて、更に雇用を守るという観点に立って対応していただくように働きかけてまいりたいというふうに思います。

宮本委員 派遣法が改正される前は、派遣先の側に労働契約申込義務というのがあったわけですけれども、それがなくなっちゃったわけですよね。ですから、今、現行法で唯一定められている派遣先の義務は、雇入れの努力義務しかない。政治が派遣先の側の責任を取っ払っちゃったという政治の側の責任があるわけですから、法律で努力義務しかないわけですけれども、やはり、政治がここは本当に責任を果たさないと、犠牲が全部派遣労働者に背負わされることになりますので、しっかりお願いしたいと思います。

 それと、六月三十日で契約が切れる方々への雇いどめの通告が五月末に一斉になされていく可能性があるわけですね。これは、派遣先が直接雇用するのであれ、あるいは派遣元で雇用を継続するのであれ、雇用調整助成金を使っていこうと思ったら、今、雇用調整助成金の助成率引上げの特例期間というのは六月三十日までになっているわけですよね、六月三十日。これを延ばさないと、この問題には対応できないと思うんですよね。

 ですから、今から本当に、派遣先、派遣元に対して、あるいは、それ以外も、非正規の方々なんかもたくさん雇いどめになる可能性はあるわけですけれども、この特例期間を延ばすということにならないと、厚労省の指導が実効あるものにならないと思うんです。

 ぜひこれを早急に延ばしていただきたいと思いますが、いかがですか。この点、大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例については、四月一日から、いわば当面ということで、三カ月間、六月三十までの緊急対応期間ということを設定して、そこにかかるということでございます。

 その後の対応については、今後の感染状況あるいはその影響による経済、雇用情勢、そうしたものをしっかり見きわめつつ、また、先ほどのお話にもありました、雇用のそうした流れ、こうしたものを見きわめつつ、必要な対応を講じていきたいというふうに考えています。

宮本委員 今の答弁は、見きわめて対応を考えるということだと思うんですけれども、その見きわめる後ろというのはいつごろまでと考えているんですかね。きょうはもう五月の十三日ということで、五月末には一斉に、これで終わりですよという話が、恐らくかなりの数やられると思います。これは労働局からぜひ派遣元に話を聞いてもらえばいいと思いますけれども、私たちが聞いている話でも、かなりそういう話を聞いていますので。

 延ばすなら早く決断しなきゃいけないし、延ばす決断をする必要があると思うんですけれども、いつごろまでに判断されようと思っているんですか。

加藤国務大臣 今、雇調金については、雇調金そのものの制度をどうするかという議論もありますから、そうしたことの議論も含めて考えていく必要があるんだろうというふうに思います。

宮本委員 いや、それはわかりますよ。雇調金そのものを、上限の引上げだとか何だとかというのもありますけれども、ただ、期間については、これは延ばす方向で検討しているということぐらいはもうにじみ出しておかないと、なかなか、雇用を継続してくれ、雇調金を使ってくれという話にならないんじゃないですかね。

加藤国務大臣 ですから、先ほど答弁を申し上げたとおり、今委員の御指摘、派遣事業者の雇用の状況等をよく見きわめながら、ただし、最初に申し上げたこの三カ月は、当面の措置ということで三カ月間置いたわけでありますから、状況状況を見ながら、それから、今申し上げた、制度そのものをどうするか、どう拡充するかということがありますので、そうした議論の趨勢も見きわめて判断をしていきたいというふうに思います。

宮本委員 早急な判断をお願いしておきたいと思います。

 次に、国民健康保険の傷病手当金についてお伺いしたいと思います。

 これも三月にここで大臣と議論した記憶がありますけれども、コロナに感染したり、あるいはその疑いで仕事を休む場合、非正規労働者については、国が全額について財政措置をとるということになりました。ですけれども、この財政措置の対象は給与等を受ける被用者に限られているわけですね。国保には個人事業主やフリーランスも当然入っているわけですけれども、自営業の皆さんは入っているわけですが、こうした方々が財政措置の対象とはなっていません。

 国の方は、自治体が条例改正すれば、それは当然、自治体で支給の対象拡大はできますよ、こういうことは言っているわけでありますけれども、しかし、国の財政措置がないと、自治体も二の足を踏んじゃうわけですよね。私なんかが聞いている話では、同じように自分たちも保険料を払っているのに、差別じゃないか、こういう話も伺うわけですね。

 保険料は同じように払っているわけですから、傷病手当金の給付で区別するというのは、私はどう考えてもおかしいので、これは個人事業主やフリーランスも国の財政措置の対象に含める、そういうことを今度の補正予算でやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、この点は大臣に御所見をお伺いします。

加藤国務大臣 傷病手当金については、療養のため労務不能となり、収入の減少を来した場合に、ある程度補填をして生活保障を行おうという趣旨でありまして、健康保険法においては法定給付、国民健康保険においては任意給付とされておりまして、コロナ感染症の拡大が始まる前は、ほとんど、たしか全くと言ってもいいと思いましたけれども、任意給付がなされていなかった。

 そうした状況を踏まえて、これは自治体からの要望もあって、被用者に対して傷病手当金を支給する、こうした御要望がありましたので、私どもも、国が特例的に財政を支援することとしたところでありまして、現時点で八割以上の市町村が傷病手当金を支給する又は支給する方向で検討されているというふうに伺っております。

 ただ、国民健康保険にはさまざまな就業、生活形態の方が加入しておりまして、自営業者等は、被用者と異なって、療養の際の収入減少の状況も多様であり、所得補償として妥当な支給額の算出が難しいなどの課題が従来からも指摘をされていたところであります。

 なお、制度としては、先ほど委員のお話がありましたように、被用者以外にも支給することは、これは可能な仕組みとなっているのはそのとおりであります。

 なお、所得補償とは異なりますけれども、国民健康保険では、新型コロナウイルス感染症の影響により収入減少等がある場合に保険料を減免することが可能になるよう、保険者への特例的な財政支援も講じているところであります。

 こうした措置を含めて、あるいはさまざまな事業者支援のスキームもございます、そういったことも含めて対応していただきたい、あるいは対応に当たっていきたいというふうに思っています。

宮本委員 被用者以外は収入の減少をどうやって判断するんだと、収入の問題ですかね、それは難しいんだという話がありましたけれども、それはいろいろなやり方が考えられると思いますよ、私は。最低賃金で出すだとか、そういうことなんかも考えられると思いますよ。

 ただ、やはり、同じ保険料を納めて、この間、雇用類似の働き方というのもずっと国会でも議論されているように、形としては個人事業主だけれども被用者に近い働き方をされている方、雇用に近い方というのはかなりたくさんいらっしゃるわけですから。今ふえているウーバーイーツの方、物すごく町でたくさん見ますけれども、仕事を失って、ウーバーイーツの方もいっぱい働いていますが、あの人たちも対象にならないわけですよね、今のままでは。ですから、そこはちょっと踏み込んで考える必要があると思いますよ。

 もともと、これを始める理由というのは、感染拡大防止のためだということだったと思うんですよね。仕事を休みやすい環境をつくる、コロナに感染している疑いがある場合もやはり仕事を休むということをしないと職場での感染拡大が広がるじゃないか、こういう議論を一番初めに大臣とさせていただいたことを覚えていますけれども、そこからこれは始まったんだと思うんですよね。ですから、同じ感染拡大防止の観点からいえば、これはぜひ考えていただきたいというふうに思いますので、そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 それからもう一点、生活保護のコロナ特例についてお伺いしたいと思います。

 けさのNHK、朝見ていましたら、若い路上生活者がふえているというのを仙台の事例で取り上げてやっていました。ごらんになった方もいらっしゃると思いますけれども、仕事を失って、ネットカフェは使えない、あるいは派遣切りとともに寮を失ったということが取り上げられておりました。本当に今、仕事を失って収入を失って、大変苦しい生活をされている方がふえております。

 そういう中で、日弁連の会長が生活保護の特例というのを出しました。その中ではこう言っているんですね。保護開始時の現金、預貯金は最低生活費の五割しか認めない運用を改めて、少なくとも最低生活費三カ月分までは保有を認めればいいじゃないか、そして、収入基準の審査のみで保護の要否判定を行うというのをこの期間は特例的にやったらいいんじゃないか、こういうことが書かれておりました。

 今回、急に収入を失った方々というのは、病気になって生活保護になるわけでもなく、けがをして生活保護になるわけでもなく、本当に一時的な話なんですよね。一時的に仕事が、本当に経済活動全体が縮小する中で仕事ができない、この状況がなくなったらまた働けるという人たちですから、そういう人たちをどう救うのか。

 確かにいろいろな議論をされているのは知っていますよ、みなし失業の議論もこの間ありましたし、政府部内では休業した方に対して給付を出そうという検討も進んでいるというのがきょう報道もありましたけれども、私なんかはもともと、生活保護をもっと受けやすいものにすれば解決する話じゃないかということも思うわけですね。

 この日弁連の提案について、本会議でもお伺いしましたけれども、やはり踏み込んで検討する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 まさにこの新型コロナウイルス感染症の拡大という状況を踏まえて必要な対応をとっていくということで、これまでも生活保護の認定というんでしょうか、それを認めることに対して弾力的な対応もとらせていただいておりますので、そういったものと、そもそもの生活保護制度からくるもの、それをどうするか、これは別の議論なんだと思います。

 ですから、先ほどお話がありました日弁連の会長がおっしゃったように、例えば、最低生活費三カ月分までは保有を認めること、これはもともと、活用可能な資産を有していながら保護を行うということは生活保護の補足性というものとは必ずしも一致をしないということでもありますので、本来の生活保護制度というものの運用というのは運用として持ちながら、しかし、その中で、先ほどお話がありましたように、一時的に生活保護水準になられて、しかし、この状況が終わればまたもとに戻っていかれる可能性がある、そういった方に対する運用、対応をどうするかについては、もう既に弾力的な運用もお示しをさせていただいているところであります。

宮本委員 ですから、弾力的な運用といっても、収入、資産要件は従来どおりになっているわけですよね、基本的には。半月までの資産と。そこまで減ったら、その次にまた立ち上がるときが大変になるわけですよね。だから、もうちょっと余裕を持った、三カ月分ぐらい、せめて保有を認めるようにした方がいいんじゃないかというのが日弁連の提案であります。

 いずれにしても、本当に今、一時的に収入が落ち込んで大変な方がたくさんいるわけですから、緊急にどうするのかというのは踏み込んで更に考えていただきたいと思います。

 それから、もう一点ですけれども、先ほど白石議員からもお話がありましたけれども、介護の収入の落ち込みの問題、私からも一言させていただきたいと思います。

 もう何度もお話しさせていただきましたけれども、きょう、介護事業者連盟の行った調査を資料としてお配りしておきました。これは、全体、特養から何から、どれぐらいの事業所がどれぐらいの比率で減収しているのかという話があったわけですけれども、先ほど白石さんのお話にあったとおり、通所介護がとりわけ大きな減収になっているわけですよね。利用控えというのがあります。

 これは二月と三月を比べたものということになっています。二月の最終週と三月の最終週を比べたものだとかいろいろなものが出されておりますけれども、四月ということを考えたら、もっと、緊急事態宣言で利用控えは、私が聞いている話でも進んでおります。

 何らか考えなきゃいけないという答弁がありましたけれども、私は、考え方としては、こういう福祉の事業所ですから、基本はやはり前年並みの収入、前年同月並みの収入を補償していくというのが基本的な考え方だというふうに思うんですよね。そうしていかないと、人を抱えて家賃も払って介護事業所を運営しているわけですから、大きく減るというのが、これから感染拡大、拡大状況とそれがおさまる状況と波を繰り返しながらということを考えたら、長い間、そういう通所控えというのが続く可能性があるわけですよね。

 ですから、前年というのを一つの基準にしてしっかりと補償していく必要があるんじゃないかと思いますが、その点、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 何を基準に物を考えるかというのは多分いろいろあると思いますが、やはり大事なことは、通所であり訪問であり、こうした事業が、それぞれの地域で高齢者の方、今、サービスによっては障害者の方々を支え、またその家族を支えておられるわけでありますから、そうしたサービスが引き続き継続して実施をしていただける環境あるいは経営状況をつくっていくということが必要なんだろうと思いますし、また、そうした事業主体そのものはもともと高い利益率を持っているわけでもありません。

 そうしたことも踏まえながら、先ほども申し上げた、今お示しをいただきましたけれども、これは二月、三月でありますけれども、三月の介護報酬のそれぞれの請求状況、あるいは四月分ももう今出てきていますから、そういったことも踏まえながら、そうした事業体が引き続き事業を継続していただき、地域における高齢者、障害者を支えていただける、こういうふうにしていかなきゃならないというふうに思っています。

宮本委員 しっかり対応をお願いしたいと思います。

 最後に、一月前に取り上げさせていただきました靴型装具の問題、残った時間でお話しさせていただきたいと思います。

 四月に、二〇一八年の誤った通知の誤った運用で、障害者の方が、やっと自分が歩ける靴をつくってもらえる技術者に出会ったのに、突然、保険でその靴がつくれなくなったというお話をさせていただきました。そして、その際の答弁は、義肢装具士以外が治療用装具の採寸等を行うのは事実上違法行為だというような答弁があったわけですね。四月十四日の吉田医政局長の答弁は、治療を継続している又は治療が必要とされる患者に係る義肢装具の採型及び適合については医行為に該当するものと考えておりますと、この医行為ができるのは義肢装具士だけだという話でありました。

 しかし、私は、この見解というのは深刻な矛盾があると思います。じゃ、義肢装具士法以前というのは、装具作製者は医療現場で患者に採寸、採型、適合を行っていましたけれども、全部違法行為だったということになっちゃうわけですね。

 あるいは、現在、私、この間、靴屋さんの話をしましたけれども、義肢装具士の資格を取らない、靴型装具の専門的なコースを持つ専門学校というのがあります。ここの学校を出て義肢装具士の会社に勤められる方がたくさんいらっしゃるわけですよね。その学校の卒業生も当然、医療現場で患者に採寸、採型、適合をやっていますが、これが違法行為になっちゃうわけですよね。仕事ができなくなっちゃうという新たな深刻な問題が生じると思うんですよ。この間の答弁の見解でいくと、私、問題がどんどんどんどん拡大するというふうに思っています。

 改めて法律制定時の通知を私も見てみましたけれども、きょう資料でお配りしましたが、これは通知についている、別記様式と書いているんですね。これは何かといいますと、法律ができたときに、義肢装具士の資格をつくるわけですけれども、その試験もできるわけですけれども、そのときに使うものの証明書なんです。こう書いていますね。「私は、義肢装具士法附則第三条の趣旨が、これまで医療の現場において実際に適法に義肢装具の採型(採寸を含む。)、製作及び適合の業務を行ってきた者に、法施行後も継続して業務を行うことができるようにするために設けられた特例措置であることを理解し、」云々云々と書いています。

 つまり、義肢装具士法ができる以前も、ここに書いているとおり、医療の現場で採型、採寸、製作、適合。義肢装具士法以前ですからね、義肢装具士じゃない方が、国家資格がない時代にやっていたんですよ。そうとしか、通知を見る限りでは読めないわけですね。実際、そうなわけですよね。

 医療の現場で採型、採寸、国家資格なしで患者に対してやれているじゃないですか。なぜそれがこの間のような答弁になるんですか、治療を継続している又は治療が必要とされている患者に係る採型、採寸、適合は医行為になるんだと。全部は医行為にならないはずですよ。私は、このときの通知とこの間の答弁というのは、全くそごを来しているというふうに思います。

 そして、その下を見ていただきたいと思うんですけれども、これは今、療養費の支給基準というのを出しています。もともとはこれは厚生省の時代の医療課が編集していた小冊子、それを今はほかのところが引き継いで出していますけれども、この下の段落を見ていただければわかりますように、「治療用装具の実際の製作過程についてみると、装具製作者が製作のみならず医師の指示のもとに採型、装着等にも関与している例が通常である。」と。

 通常なんですよ、これは。これは義肢装具士と書いていないわけですよね。義肢装具士以外が医療現場で医師の指示のもとに、治療を継続している患者に対して、過去から現在まで、やることは認められてきているわけですよ。厚労省自身もいろいろなところで書いてあるじゃないですか。何で全部が医行為になるんだと。私は本当にこれはおかしいと思いますよ。

 この点、大臣、ちゃんと整理する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 済みません、通知レベルまで見れば、ちょっと私もすぐに答えられませんけれども、ただ、これはもともと、義肢装具士法上、義肢装具士の業務として、義肢装具の製作と義肢装具の装着部位の採型及び身体への適合、これが定められております。

 このうち、義肢装具の採型、適合については、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある行為である医行為に該当するものとそうでないものが含まれており、医行為に該当するものに関しては、義肢装具士法の制定前は、医師や看護師等でなければ業として行ってはならないとされていた。

 そして、医行為に該当するかについては、最終的には個別具体的な判断になりますけれども、一般的には、治療を要する患者の患部への義肢装具の採型、適合については、適切に行わなければ患者の患部に危害を及ぼすおそれがあると考えられるため、医行為に該当するというふうに考えているということであります。

 医行為に該当しない場合ももちろんあります。そうした行為や義肢装具の製作については、医行為に該当しないため、一方で、治療までは要しない方や治療が完了した方に対して、その日常生活の補助や、疾病、けがの予防のための義手や義足、靴型装具を製作する際に行う採型、適合などであれば、これは医行為に該当しない場合もある。

 したがって、そうした行為や義肢装具の製作については、医行為に該当しないため、義肢装具士法の制定前から現在においても、無資格者であっても適法に行われたというふうに整理がなされているというふうに承知をしているところであります。

盛山委員長 宮本君、既に持ち時間が終了しておりますので、まとめてください。

宮本委員 僕、ちょっと今の答弁は納得いかないので、また次やらせていただきますけれども、治療といっても、生々しい治療と、そうじゃない治療があるわけでしょう。難病で、徐々に足の長さが片足が短くなっていくだとか、あるいは徐々に足が変形していくだとか。生々しい状態にある方に対して適合、採寸する際は医行為に該当するかもわからないですけれども、そうじゃない治療中の患者、治療中といったって、ずっと治療中ですからね、難病の方は。そういう方に対して、全てが医行為に当てはまるわけがないわけですよ。だけれども、そういうふうに医行為に全部当てはめて、できないという扱いを今しちゃっているわけですよね。

 ですから、その治療というのに対しても、いろいろな治療があるわけですよ、治療を継続している患者といっても。そこをちゃんと整理をしていただきたい。そうしないとこの問題は解決しないと思っていますので、また続きをさせていただきます。

盛山委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武です。

 大臣、通告はありませんので、外していただいて結構です。副大臣も大丈夫です。

 きょうは、出口戦略について少し議論をやりたいというふうに思います。

 予算委員会でも少し私の方でやらせていただいたんですが、大阪の方で自粛要請の解除基準を明確化した。それから、政府の方も、緊急事態宣言の解除要件について、今、もうすぐ発表されるという形になっているわけですけれども、これはあくまでやはり短期の出口戦略であって、本来の出口戦略は、中長期を見据えてどのようなスケジュール感、どのような時間軸において対策をとっていくかということが非常に重要なわけであります。

 コロナとの戦いももう数カ月に及びまして、これまでいろいろ明らかになったデータや知見というのが出てきております。その中で、今、政府が明言していない出口戦略の中で、抑制的な自粛という政策、自粛を強めたり弱めたりするということで第一波の感染拡大を抑え込めたとしても、第二波、第三波が到来することを避けることはできずに、感染をゼロに終息させるということは非常に難しいというふうに考えるわけです。

 そうであれば、少し方針を転換して、経済へのダメージもこれは長期化するに当たってかなり大きくなりつつありますから、自粛一辺倒の政策から緩和型の共生政策にある程度移行していかないといけないんじゃないか、それも正面から向き合って検討しないといけないんじゃないかというところが問題意識としてあるわけであります。

 ちょっと紹介させていただきたいのは、私がこれは勝手に言っているわけじゃなくて、研究機関や大学等が発表している論文等を見ますと、例えば、第一波と第二波の関係については、スペイン風邪の研究や、又はコロナの諸外国の事例も既にかなり出てきているところでありますが、第一波が大きいと第二波が小さい、又は第一波が小さいと第二波が大きいという傾向が認められるというのも知見として出てきています。

 それから、重症化しやすい層、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方は重症化率がもちろん高いけれども、若い方は重症化率が非常に低く、例えば季節性のインフルエンザと比べてそこまで大差がないんじゃないかともデータから出てきております。

 それから、ウイルスの感染力の強さや特徴については、例えば、ウイルスは感染してから症状が発生する前にうつす可能性が非常に高いと言われているのに対して、症状が出てから七日間ぐらいたつと感染力が弱まって、症状が出て相当数の日数がたつとほとんど感染させないのではないかという知見も出てきています。

 また、そもそも症状が出ない感染者も多い。こういうことから、とにかく封じ込めをしてやればこれは終息に向かうのかというと、必ずしもそうじゃないのではないかという仮説が立てられるわけであります。

 それから、ワクチンや特効薬ができるのを待つ、そのための時間稼ぎをするというだけが出口であれば、これは免疫や抗体についても、この抗体や免疫が果たして明確にできるか否か、又は、これがどれぐらい続くのかどうか。例えばインフルエンザのワクチンでも、二年、三年はもちません、数カ月の話です。ですから、これは二年、三年の戦い。例えばハーバードの研究でいうと、弱目と強目の自粛戦略を繰り返すだけでは二〇二二年まで終息しないということが発表されております。

 これは、方針の転換というか、政策を中長期にわたってどのように意思決定していくかというのは非常に重要な論点だと私は思うんですが、そのあたり、お考えがあればお聞かせいただけたらと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 政府におきましては、五月四日に変更した基本的対処方針におきまして、全ての都道府県において、三つの密のある場所の徹底的な回避、基本的な感染防止対策の徹底、全国的な大規模イベントの自粛、県をまたいだ移動の回避に取り組むことといたしました上で、十三の特定警戒都道府県においては引き続きこれまでと同様の取組をお願いすることとした一方、それ以外の三十四の県につきましては、地域の感染状況や医療提供体制を踏まえながら、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくこととしております。

 具体的に申し上げますと、特定警戒都道府県以外の三十四県につきましては、クラスターの発生がこれまであった施設、それから三つの密があるような施設、こういった場所には引き続き外出の自粛等の要請をしていただく一方で、これ以外の施設につきましては、基本的な感染防止対策の徹底等を行うことを前提といたしまして、外出の自粛要請でありますとか施設の使用制限、いわゆる営業の自粛要請は、解除又は緩和を各都道府県知事が検討することとしております。

 実際、この基本的対処方針を受けまして、特定警戒都道府県以外の三十四県におきまして、基本的な感染防止策を継続する一方、多くの県で営業自粛の要請の全部又は一部を解除する動きが見られるところでございます。

 加えて、現在、各業種ごとにガイドラインが関係団体において策定されているところでございまして、これに基づいて、感染防止に万全を期しながらも社会経済活動を広げていくこととしております。

 今後、議員御指摘のとおり、持続的な対策が必要と見込まれる中で、感染防止の拡大と社会経済活動の維持との両立を図ることは重要だと認識しておりまして、感染状況や、今委員からいろいろ、諸外国の知見、御指摘もございました、そういった感染リスクに応じて対策のめり張りをつけながら、感染拡大を予防する新しい生活様式、スマートライフと呼んでおりますけれども、こういったものを定着させていきたい、このように考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたことは、どちらかというとやはり自粛の政策だと思うんです。地域ごとに、感染者数が非常に少ないところに関しては経済を開きましょうと。日本全体で見ると、そういったところで経済を支えてもらいながら、感染拡大が多いところに関してはやはり自粛で、封じ込めの方に寄った政策をやっていこうというのが考え方ですよね。

 私が申し上げたいのは、そうではなくて、そういう地域も含めてターゲットを変えた方がいいんじゃないか。例えば、ある種、これは非常に表現は難しいところではありますが、いわゆる命か経済かという問題じゃなくて、どちらも命を預かっている、経済からも死者が生まれるということを考えたときに、これはバランスが非常に必要で、これをどのように終息させていくかというのは、今審議官がおっしゃっていただいた政策でいくと、解除された地域でも感染が、またクラスターが起きればそこは閉じざるを得ない、こういうことが起こるわけです。

 今の考え方でいうと、指標はどうしても感染者数を見ないといけないということになると思うんですね。もし、私が提案しているような、ある種社会に受容しながら重症者を防ぐということであれば、重症化予防、重症化の方へのケアということに資源を投入するというふうに例えばかじを切るとします。そうすると、見るべき指標が変わってきて、重症化率だったり、又は病床数だったり医療キャパみたいなところにとにかく注力して、感染者数自体は、そこに至らないかという附属的指標になる。これは考え方がかなり変わると思うんですね。

 というのは、これはやはり第二波、第三波が、幾ら封じ込めても起こる可能性がある。今、諸外国でも二波、三波が来ています。そうしたときに、どれだけ封じ込めても、結局その後の第二波、第三波の広がりには、幾らいい封じ込めをしたところで第二波、第三波は封じ込められないわけです。

 ワクチンも、さっき申し上げたように、完璧なものができるかどうかわからない。治療薬も、今承認されているものも、非常に現場では副作用もあって使いにくい、若い方にも生殖機能にも影響があるし使いにくい。こういうことがある中で、最高の完璧な治療薬というのができるというのは非常に不確実性の高い希望なわけです。

 それができるのを待つのはいいことだと思いますが、であれば、実はきょう、総理に宛てて緊急提言、今まで四回出してきたんですが、第五弾を出しました。これは、出口戦略に特化して考え方を整理したものを我が党として正式に提出させていただいて発表したわけですけれども、明らかに重症化予備軍と言われる高齢者や基礎疾患保有者をいかに守るかということを最終ゴールとした場合に、例えば、医療キャパシティーをいかに広げるかということでもっと工夫できることがあるし、それから、今、一律どの層にも課しているというかお願いしている行動制限というのをそういう重症化の高い人に限定するなり、又はその限定した方々に対して補償を厚くするなり、そういうふうにする方が、より長い目線で見たときに苦しむ方が少ないんじゃないかというふうに思うわけです。

 こういう方針の転換、特にそういうターゲットを変えていくということに対して御見解がありましたら御答弁をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ターゲットを変えていくという一つのお考えではありますが、一つは、医療提供体制の確保と一方で蔓延防止というのは表裏の関係にございますので、やはり蔓延防止を行っていかなければいけないということを考えてございます。

 しかも、このコロナウイルスの難しいところは、重症者の方でなくても、無症状の方がやはりいらっしゃるので、無症状の方が出回って外へ行かれると、当然それによって蔓延が生じてしまうということがございますので、ターゲットとしては、私どもが考えておりますのは、一つはやはり外出の自粛なり新しい生活の様式は広く国民に定着させていきたい。そうした上で、一方で、こういう施設は危ないですよというところと、それほどでもない、感染予防策を講じれば安心して使っていけるような場所、こういったところがあるかと思いますので、そういったところのめり張りをつけてまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 感染者数は、やはり感染者数と医療体制で実際に相関関係があるのは間違いないですし、実際に濃厚接触者に関しては報告しないといけない。そうすると、医療資源が食われるわけです。それがいわゆる私が言っているターゲットで、そこを重点的にケアするのではなく、重症化の方へのケアというものをいかに重視するかというふうにかじを切ることで医療資源の使い方も変わってくるというのが考え方なんですね。今おっしゃっていただいたような考えだと、自粛期間がいつ終わるかわからないという結論になってしまうんです。

 なおかつ、既に西村大臣からも少し緩んでいるんじゃないかというような御発言がありましたが、これは緩んでいるんじゃなくて、もう限界なんですよ。十分な補償も得られないし、実際にお店をあけないと生きていけない。又は、ずっと家にいることが大変。それから、子供さんのこともそう。子供さんがずっと家にいることによって、教育の環境、そういった精神的なメンタルヘルスの問題。こういうものが出てくるから、やはり限界に来ているというのがあって、幾ら自粛要請、任意のお願いを強力にし続けるとしても、社会としてそれを受け入れられないステージに、もはやもう間もなく来る、もう既に一部的には来ているというふうなのが私たちの認識です。

 であるならば、やはり中長期の戦略を示す上で、これまでとってきた戦略というのをある種ちょっと修正するというのは、私は全く悪いことじゃないし、これは一〇〇%の正解はどの方もわからないことだと思うので、今まで出てきた知見というものを合理的に判断して、中期戦略をつくっていただけるというふうな答弁も予算委員会でもありましたから、ぜひ私たちも積極的に提言していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

盛山委員長 次に、内閣提出、地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案並びに山花郁夫君外八名提出、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 少子高齢化が急速に進行し、我が国の社会が人口減少に直面するとともに、単身世帯の増加等家族のあり方や地域社会も変化する中で、個人や世帯の抱える課題が複雑化、複合化しております。こうした状況を踏まえ、市町村の包括的支援体制の構築、地域包括ケアシステムの推進、医療、介護のデータ基盤の整備等を通じて、全ての地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を図るため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、市町村において、既存の相談支援等の取組を生かしつつ、地域住民の抱える課題の解決のための包括的な支援体制の整備を行う新たな事業及びその財政支援等の規定を創設することとしています。

 第二に、地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等を推進するため、認知症施策の総合的な推進に向けた国及び地方公共団体の努力義務を規定するとともに、有料老人ホーム等の設置状況を介護保険事業計画に位置づけます。

 第三に、地域の特性に応じた質の高い医療・介護サービス提供体制を構築するため、介護分野のデータベースの収集情報の拡大、医療・介護情報の連結精度の向上等により、医療、介護に係るデータ基盤の整備を推進します。

 第四に、介護人材確保及び業務効率化の取組を強化するため、その取組を介護保険事業計画に位置づけるとともに、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務づけに係る経過措置の延長や、有料老人ホームの設置等に係る届出事項の簡素化のための見直しを行います。

 第五に、地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供及び社会福祉法人の経営基盤の強化を図るため、社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等の業務連携を推進する社会福祉連携推進法人制度を創設することとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和三年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

盛山委員長 次に、山花郁夫君。

    ―――――――――――――

 介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山花議員 ただいま議題となりました障害福祉関連三法案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 団塊世代の全てが後期高齢者となる二〇二五年を前に、高齢者、障害者に対して質の高いサービスの提供体制が求められているにもかかわらず、介護・障害福祉の現場では人手不足が深刻化をしています。著しく低い賃金水準が一番の原因です。安倍政権は、昨秋の消費増税の際、経験のある職員に重点化した処遇改善を実施したものの、甚だ不十分であり、既に人手不足で倒産も発生するなど、現場は崩壊の危機に瀕しています。

 こうした状況に追い打ちをかけるのが新型コロナウイルスの感染拡大です。介護・障害福祉の現場からは、悲鳴とも言える声が多数寄せられています。食事やトイレ、入浴介助を行うのに、濃厚接触を避けるということは極めて困難です。

 マスクや手袋、消毒液が不足する中で、施設内感染も発生しています。介護・障害福祉従事者は、医療現場以上に、自身の感染リスクのみならず、万が一にも自分が相手を感染させてはならないと神経をすり減らして懸命な努力を続けています。

 こうした待ったなしの状況を踏まえ、既に提出済みの処遇改善法案の内容をバージョンアップし、再提出した次第です。政府には、介護・障害福祉の現場において、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じることができるよう、マスク、手袋、消毒液の確保など、必要な予算措置をぜひともお願いをいたします。

 また、厚生労働省が、来年四月の障害福祉サービスの報酬改定に向け、食事加算と送迎加算の調査を実施して、この二つの加算の廃止、減額の方針を打ち出そうとしていることに、障害者やその家族、支援団体から不安の声が上がっています。前回改定時に、厚生労働省は食事加算廃止を提案したという経緯があるからです。新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい生活を強いられている障害者の負担増となる食事加算等の廃止、減額を阻止すべく、法案を提出いたしました。

 さらに、重度訪問介護サービスについては、かねてより通勤や就労中に利用できないことが問題となっており、障害当事者や地方自治体から見直しが求められています。

 厚生労働省は、重度訪問介護利用者の就労を支援する事業主への助成金の拡充を決めたものの、重度訪問介護自体の改善には踏み込んでおらず、多様な働き方に対応できません。そこで、我々は、重度訪問介護を通勤や職場で利用できるようにする法案を提出した次第であります。

 これら障害福祉関連三法案は、憲法にうたわれた生存権、勤労の権利を法律により具体化するものです。憲法に書かれた文字を障害福祉の現場で現実のものとするため、ぜひ党派を超えて御賛同いただきますよう、強くお願いを申し上げます。

 以下、三法案の概要を御説明いたします。

 まず、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案について申し上げます。

 本法律案では、都道府県知事は、介護・障害福祉従事者等の賃金を改善するための措置を講ずる事業者等の申請に基づき、助成金を支給することとしております。

 ケアマネや事務職の方も含め、介護・障害福祉に従事する全ての方を対象に、平均して一人当たり月額一万円賃金を引き上げるべく、助成金の支給に要する費用は全額国の負担とします。

 また、ホームヘルパー等へのセクハラ、パワハラを防止するため、適切な就業環境の維持について国や事業者等に努力義務規定を設けることとしております。

 次に、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案、いわゆる食事加算等存続法案について申し上げます。

 本法律案では、食事提供体制加算等の廃止、減額を阻止するため、当分の間、食事提供体制加算等を廃止してはならないものとするとともに、送迎加算についても、サービス利用者に不利な内容の算定基準を定めてはならないこととしております。

 最後に、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案、いわゆる重度訪問介護就労支援法案について申し上げます。

 本法律案では、職場での介護及び通勤における移動中の介護を重度訪問介護の対象とするとともに、行動援護など重度訪問介護以外の職場及び通勤における支援の実施、また、障害者等の通学における支援の拡充並びに重度の障害者等を雇用する事業主に対する支援の拡充についての検討規定を設けることとしております。

 以上が、三法案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ御賛同いただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。

盛山委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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