衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十年二月四日提出
質問第四九号

死刑制度を取り巻く国際的趨勢と死刑制度に対する政府の認識に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




死刑制度を取り巻く国際的趨勢と死刑制度に対する政府の認識に関する質問主意書


一 法務省は二〇〇八年二月一日、三人の死刑を執行したことを、死刑囚の氏名、執行場所、犯行事実の概要と共に発表した。右の死刑執行は昨年十二月に執行されてから二カ月弱で、前回の執行以降の死刑執行としては最短の期間であると承知するが、この様にわずかな期間をもって死刑が執行された理由を説明されたい。
二 昨年末の国連総会において、死刑廃止を視野に入れた、死刑執行のモラトリアムを求める決議(以下、「決議」という。)が行われたが、「決議」に対して我が国は反対票を投じたと承知する。政府が「決議」に反対した理由を述べられたい。
三 二〇〇七年十月二十三日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六八第一一九号、以下「政府答弁書」という。)では、死刑制度に対する政府の見解として「死刑の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を廃止することは適当でないと考えている。」と、死刑制度の必要性を述べている。凶悪犯罪の犠牲となった方々の遺族の感情を配慮しての、また、いわゆる抑止力としての面で、多数の国民世論は死刑制度の存続を支持しているものと考えるが、抑止力としての死刑制度を考える時、果たして死刑制度が真に凶悪犯罪の抑止力たり得ていると政府は認識しているか。
四 三で、政府がそう認識しているのなら、具体的な根拠を示されたい。
五 遺族感情に配慮しての面について、遺族の方々が自らの家族を奪った者に対して極刑を望むことはやむを得ないことであり、遺族の方々に対するケアを政府として十分行う必要があると考えるが、政府が「命を奪ったから命で償わせる」という発想で死刑を執行するのではなく、より人間的な、理性的な対応をとることを検討すべきではないのか。「政府答弁書」で、「決議」や韓国で最近十年間死刑執行がなされておらず、事実上の死刑廃止国となっていること等、死刑制度を取り巻く国際趨勢に対して「死刑の存廃の問題は国際社会で関心を集めている事項の一つであると考えるが、死刑に関する各国の考え方はいまだに様々に分かれており、その存廃について国際的に一致した意見はないと認識している。この問題については、諸外国における動向等も参考にする必要があるものの、基本的には、各国において、当該国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて慎重に検討し、独自に決定すべきものと考えている。」との答弁がなされ、我が国における死刑制度の存廃は我が国における議論によって決定すべきものである旨の政府の認識が示されているが、言うまでもなく我が国は国際社会の一員であり、他国との交流なしには存在し得ないのであって、自国のことは自国で決定することは当然ながらも、国際世論というものとも全く無縁ではいられないものと考える。「政府答弁書」で政府は死刑制度について「その存廃について国際的に一致した意見はない」と述べているが、右に述べた様に、死刑制度の廃止は今や国際的潮流であり、「死をもって償う」という、いわば「仇討ち」の思想を克服すべく、現在国際社会において議論、検討がなされているものと考えるが、我が国においても、一で指摘した様に死刑執行を急ぐのではなく、また「仇討ち」の思想に留まるのではなく、右国際趨勢を十分に参考にして、死刑制度の廃止を含めた検討を広く国民全体で行う必要があると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.