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平成二十年二月六日提出
質問第五五号

国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策に関する質問主意書

提出者  前原誠司




国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策に関する質問主意書


 国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策に関して、昨年(平成十九年九月二十八日)、質問主意書を提出し、同年十月九日に政府答弁書を受領した。しかし、この答弁では国際海上コンテナの陸上輸送における安全確保の立場からは不十分と言わざるを得ない。
 したがって、前記答弁書の政府見解を踏まえ、再度、政府見解を質すべく、以下の通り質問する。

一 国際海上コンテナの陸上輸送における安全対策を確保する施策について、政府は、その殆どを「国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドライン(以下、「ガイドライン」という)」の徹底に求めている。しかし、そもそもガイドラインには強制力がなく、関係者の善意と協力に依拠しているものである。
 省庁連絡会議でも経済産業省等は強制力が無い限り関係者に守らせることは出来ないと指摘している。
 厳密な意味で、政府が行政権限をもってガイドラインの徹底を指導し、ガイドラインが求めている安全対策を確保することが出来るのかどうか見解を求める。
二 行政権限をもってガイドラインの徹底を指導することが出来ないとすれば、先の政府答弁書では私が求めた政府が責任をもって安全を確保するという姿勢にないことになる。この点について、政府の見解を求める。
 また、政府はガイドラインの説明会を通じて周知徹底をしてきた、あるいはこれからも説明会を重ねていくと回答しているが、国際海上コンテナドライバーへの情報伝達(重量・貨物の種類・危険有害物質表示・積み付け状況の開示)など、安全輸送に最低限必要な措置すら徹底されていないのが現状である。ガイドラインの徹底のための具体的な実施計画、実効ある措置について示すよう求める。
三 政府の、国際海上コンテナの安全輸送に関する措置は、すべて国内法を根拠にしていることに問題の根本がある。国際海上コンテナ輸送は現行の国内法規で律せられると考えているのかどうか、政府の見解を求める。仮に、国内法規で対処出来ない、ガイドラインでも強制力がないとすれば、国際海上コンテナ輸送の安全をどのように担保しようとするのか、政府の見解を求める。
四 国土交通省の調査でも、国際海上コンテナに係る事故は続いており、国際海上コンテナ輸送の安全を確保することは、日本経済・物流を支えるため、国民の安全を確保するために喫緊の課題である。
 したがって、ガイドラインが求める安全確保のために早急に、コンテナターミナルに権限を付与してターミナルや港湾管理者の判断に委ねるのではなく、国の責任で、全てのコンテナ・ターミナルに偏載監視付重量計を設置し全てのコンテナを計量して、片荷・過積載が明らかなコンテナについてはターミナルで積み替え、国内法に違反するコンテナはゲートから出さない、公道に出さない措置を講ずるべきと考えるが、政府の見解を求める。
五 ガイドラインの徹底に当たっては、特に荷主の積極的協力が不可欠である。輸出であれ、輸入であれ、荷主から正確な「貨物の種類・重量・積み付け・危険有害物質表示(国内運送諸法規を遵守した)」情報が輸送事業者に伝達されれば、必要な対応する海上コンテナトラクターとシャーシ及び貨物に応じた免許所持者にて運送することが出来る。
 したがって、荷主への情報提出の義務化なくして問題は解決しない。政府(経済産業省、国土交通省)の見解を求める。
六 国土交通省は、二〇〇三年にアメリカに調査団を派遣し米国海上コンテナ安全輸送を調査している。また、労働組合が主催した国際会議にも参加して、その場で、オーストラリアやスウェーデンの陸上輸送における荷主の責任を明確にした輸送法について報告を受けているはずである。
 その意味では、この問題が、現行の国内法では律しきれない問題であり、製造業でPL(製造物責任)法があるように物流における荷主責任が決定的であることを認識しているはずである。しかし、海外で積み込まれたコンテナ貨物が国内法に違反している場合、現行では依頼した国内荷主に対して、何ら規制する法的根拠がない。また、危険有害物貨物についても、海上輸送と同じように国連勧告に基づき国内法を整備しなければ、適正な国内輸送を実現するための取り締まりも出来ないと考える。一方、前記答弁書で述べているように、海上輸送については国際条約を批准し、国内法を整備して安全の担保を行うとしているが、その海上輸送されてきた国際海上コンテナが国内陸上輸送に代わるやいなや国内安全輸送を担保する法律がない。したがって、ガイドラインに固執するのではなく、ガイドライン制定後二年の経過を踏まえて、国際海上コンテナ安全運送法(仮称)の制定に踏み切るべきではないかと考えるが、政府の見解を求める。
七 二〇〇八年四月以降、ISOフル積載に対応する経過措置期間が終了し、対応トラクターとシャーシでなければフル積載コンテナは公道を牽引出来ない。政府も承知の通り、事業者は、対応トラクターで五十六%、対応シャーシで十七%しか保有していない。政府の回答によれば「買換え促進」と「各都道府県トラック協会による近代化基金融資制度の活用」を図るとのことだが、規制緩和や燃料の高騰などにより運賃収受が悪化し、この融資制度を受けられない経営状況の中小企業が多数存在している。また、現実的に三月末までに対応車両の購入が間に合わない。仮に、事業者が一斉に発注しても製造が間に合わないのも事実である。政府は、その事態を看過するのかどうか。経過措置の延長も検討しないとの回答だが、間に合わない場合は、「物流がストップしてもかまわない」、あるいは、「違法を承知で旧型二軸での輸送を看過する」ということか。その場合でも、従来どおり、国内法規に基づき海上コンテナドライバーと事業者の責任として取り締まるのかどうか。政府の見解を求める。
八 政府は、各都道府県単位の過積載防止対策連絡会議の活用による防止措置に期待しているようだが、この会議は地域での過積載防止対策で国際的な規格コンテナの過積載防止対策について、対応出来る会議でないことは参加している関係労使代表者からの声によって明らかである。この会議で国際海上コンテナの過積載防止対策についてどの様な議論がされたのか、具体的に示すよう求める。また、同会議に荷主も出席し、責任ある対応をしているのかどうか、政府が把握している事実を明らかにされたい。(大阪では、近畿経済産業局、近畿地方整備局、近畿運輸局、大阪府、大阪府警本部、大阪市、西日本高速道路、阪神高速道路、大阪交通運輸産業労働組合協議会、大阪交通運輸労働組合共闘会、大阪府ダンプ協会、大阪府トラック協会、大阪労働局各代表が参加しているが、荷主団体は参加していない。)
九 特殊車両通行許可について、政府は輸送者の責任として、荷主の責任を問うことは困難と回答している。政府は、荷主の倉庫や物流基地(荷主先道路)から高規格道路までの間は走行不可能な道路が多数あること等を把握しているのかどうか。把握している場合は、その内容を示されたい。(荷主からの責任を持った輸送依頼・輸送に必要なトラクターとシャーシそれに輸送経路)
 業界の陳情の場で、国土交通省道路局長は、「海上コンテナ車両は通行出来る道路、出来ない道路がデータ上明らかになっている」と発言している。このことが間違いないなら国際海上コンテナは戸口〜戸口までの一貫輸送を特性としており、荷主の戸口で受けるか、荷主の戸口に搬入することになる。したがって、荷主から輸送要請があり、運送業者が通行許可を取得することになるが、荷主の戸前が高規格道路でない場合は、走行不可となる。荷主の要請を断ることが難しいトラック事業者は違反を覚悟で走ることになる。こうした事情に鑑み、政府は荷主に対し道路事情を周知徹底するとともに、国際海上コンテナの運送依頼をするときに、運送業者に取得させた特殊車両道路通行許可証のコピー入手を義務付け、内容確認を行い、適正な輸送を確保する必要があると考えるが、政府の見解を求める。
 最後に、国際海上コンテナの陸上輸送の道路通行にあたり、特殊車両として許可制度により道路通行を規制している制度自体が、国際物流の主流であるコンテナ輸送(特殊な貨物ではない)と相容れない状況である。よって、車両の高さ規制を許可制から指定道路通行(官報等で公示)方法に緩和したように、ISOフル積載通行道路について、指定道路通行方法に緩和することにより、運送事業者及び荷主の責任が明らかになり、適正な輸送の確保が出来ると考えるが、政府としての見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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