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平成二十七年二月十三日提出
質問第七二号

TPP交渉における国益に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




TPP交渉における国益に関する質問主意書


 「国益」とは、国家あるいは国民社会にとっての最良の価値、利益であり、それは、国家、特に政治指導者たる対外政策決定者がその対外行動において追求すべき価値であり、政治指導者の対外行動基準として機能すべきものと解されている。また、対外政策を通じて追求される国民全体的な利益を指し、国内政策における公益に相当するとの見解もある。
 このような利益の中で議論の余地のないものは、国家の生存と独立であり、最終的には自衛力を行使しても確保されるべき利益と考えられている。他方、国家の生存と独立から導き出される政策目標や優先順位は必ずしも自明なものではない。特に経済的繁栄、社会的価値などを含めて国益を考えた場合、政策目標や優先順位の組み合わせは複数に及び、このようなものを含めた国益を一義的に定義することは容易ではない。
 政府は、「国家安全保障戦略について」(平成二十五年十二月十七日閣議決定)において、「我が国の国益とは」、「主権・独立を維持し、領域を保全し、我が国国民の生命・身体・財産の安全を確保すること」と述べつつ、「経済発展を通じて我が国と我が国国民の更なる繁栄を実現」することであるとしているが、他方、「アジア太平洋地域において、自由な交易と競争を通じて経済発展を実現する自由貿易体制を強化」することであるとも規定している。
 しかしながら、我が国の国益の追求のためには、「我が国国民の更なる繁栄の実現」が優先されるべきであり、「自由貿易体制の強化」のために国民の繁栄がないがしろにされることは本末転倒であろう。このためにも、国益の定義が国民に理解される形で示されておくべきことが重要である。
 安倍首相は、平成二十五年四月二十二日の参議院予算委員会において、「自由貿易の推進は我が国の対外通商政策の柱であり、力強い経済成長を実現するためにアジア太平洋地域の活力を取り込むことはメリットであると考えます。同時に、それぞれの国には国柄があり、守るべきものがあります。それこそまさに私は国益だと」、「我が国には美しい田園風景、農村の伝統文化」、「世界に誇るべきこれこそ私は国柄だろうと、このように思います。この国柄を断固守っていかねばならない」と表明しているが、具体的に何を守っていくのかが明らかではない。
 このような観点から、以下質問する。

一 「国益」の定義について政府の見解を示されたい。
二 国家主権にかかわる国益の議論は多くなされているものの、経済発展、自由貿易に関する国益の議論は十分なされていないと思われる。我が国の経済発展、自由貿易に係わる「国益」の定義について政府の見解を示されたい。
三 安倍首相は、平成二十六年十月十四日の衆議院本会議で、「貿易交渉においては」、「守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の結果を追求してきたところです」と答弁しているが、ここでいう「国益」とは具体的にどのようなものか、政府の見解を示されたい。
四 貿易交渉は政府の専権事項であるものの、TPP交渉の結果得られた協定は国会での承認を得なければならない。安倍首相は、平成二十六年五月二十八日の衆議院予算委員会で、「TPP交渉は最終局面を迎えている」、「国益を最大限に実現し、国会でご承認をいただけるような内容の協定を早期に妥結できるよう、全力を尽くして交渉に当たっていきたい」と述べているが、具体的な交渉内容は政府の専権事項として現時点で詳らかにできないとしても、何が「国益」であるかは国民の前に明らかにしておく必要があろう。ここで首相のいうところの「国益」とは具体的にどのようなものか、政府の見解を示されたい。
五 健在な民主主義政治の発展には、できる限りの情報を政府が国民に公開すべきである。これまでの政府からのTPP交渉結果に関するヒアリングでも、不誠実な対応が繰り返され、十分な議論を行う前提に欠ける。詳細な交渉については詳らかにできないとしても、どのような国益を守り、どのような経済利益を得るので、TPP交渉を進めたいという具体的な方針が明確な形で示されるべきである。その前提となる国益や経済利益についても不十分な説明しかされていないと思われるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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