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平成二十七年九月十日提出
質問第四二〇号

政府は内閣府試算や日本の経済の現状に関して重大な誤認があるのではないかという疑問に関する質問主意書

提出者  福田昭夫




政府は内閣府試算や日本の経済の現状に関して重大な誤認があるのではないかという疑問に関する質問主意書


 実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問主意書に対する答弁書(答弁第三九三号、以下答弁書という)や、首相官邸のホームページに書かれている内容を読むと、内閣府試算や、日本の経済の現状に関して重大な誤認が含まれているのではないかという疑問がある。
 これに関連して質問する。

一 答弁書の「二について」であるが、「デフレからの脱却と経済再生に向けた取組が進み、デフレ状況ではなくなる中、経済の好循環が着実に回り始めた結果、企業活動や雇用を含む幅広い分野で、およそ四半世紀ぶりとなる良好な経済状況がみられるようになった旨を記述しているところであり」という記述がどこにあるかわからない。「平成二十七年度年次経済財政報告」の六頁には「およそ四半世紀ぶりとなる良好な経済状況の出現」というタイトルで説明がある。この根拠として二〇一五年一−三月期の名目GDP成長率が前期比年率九.四%となったことで、一九九四年以降最大の伸びとなったというのがタイトルの根拠になっている。しかし、これは速報値であり、確報値では九.〇%と修正され二〇一一年七−九月期の九.二%を下回るのでタイトルの記述は間違いではないか。しかもこれは原油価格の下落によってもたらされた数字であり、アベノミクスの成果ではない。アベノミクスの成果と言うなら四−六月期の実質成長率マイナス一.二%を引用すべきではないか。
二 答弁書の「三について」であるが、「年平均で〇.一パーセントポイント程度の差が出る」とあるが、これは「四年間の合計」の間違いである。成長戦略シナリオにおいて四年間の合計は一体改革ありでは、七.六%、一体改革なしでは七.七%である。差は合計で〇.一%である。四捨五入した誤差を考えても差は〇.二%を上回ることはないから、年平均で〇.一%という主張は間違いではないか。実際はどうなのかは、もう一桁数字を出せば明らかになる。
三 答弁書の「三について」であるが、二つの試算で「駆け込み需要の反動減」や「社会保障・税一体改革を考慮」は両方とも同じように考慮されているのではないか。「試算の考え方や、前提となる経済状況等が異なる」とは具体的に何を意味するのか。
四 答弁書の「四について」であるが、「我が国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にある。」となっている。しかしながら、平成二十七年七月二十二日に内閣府から発表された「中長期の経済財政に関する試算」の経済再生ケースでは債務残高の対GDP比は今後減り続けるとある。答弁書はこの試算が間違いだと主張するのか。
五 先日トルコのアンカラで開かれていた二十カ国・地域(G二十)財務相・中央銀行総裁会議で九月五日に発表されたコミュニケでは「われわれは、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せつつ、経済成長と雇用創出を支えるため、短期的な経済状況を勘案して機動的に財政政策を実施する。」とあり、われわれとは日本も含まれている。内閣府の発表した乗数でも、財政出動によって債務残高の対GDP比は下がる事が示されているのだから、当然政府は財政出動によって経済成長と雇用創出を支える事を国際公約したことになるのではないか。
六 現在のように世界的な不況の局面においては、経常黒字で対外純資産が多い国は積極財政で世界の景気の牽引役になるべきではないか。その意味でも日本は補正予算を組んで景気対策をすべきなのではないか。
七 首相官邸のホームページに「アベノミクス「三本の矢」」というタイトルで国民向けに現在の経済状況を示したページ(以下官邸ホームページという)がある。それによると実質GDPは年率+二.四%成長(二〇一五年一−三月期)とある。しかし、最新のデータマイナス一.二%成長(二〇一五年四−六月期)をここは書くべきである。わざわざ古いデータを載せるということは、国民を騙そうとしている意図ではないか。
八 官邸ホームページには実質GDP累計+二.〇%成長(二〇一五年一−三月期/二〇一二年十−十二月期)とある。その前のデータ二.四%は年率であるが、ここ二年三か月の累計である。国民に誤解を与える表現をわざわざ行っているように見える。ここは前の表記に倣って二.〇を二.二五で割って年率を計算して表示すべきなのではないか。
九 官邸ホームページで夏季賞与:過去二十三年間で最高水準とある。この数字の意味を内閣府に質問したら、厚生労働省に聞くように言われた。厚生労働省に質問すると、これは厚生労働省の数字ではないとの返事だった。しかし、これを裏付ける数字をどこか出されていないかを調べてくれた。そこで経団連の発表があると教えてくれた。しかし、経団連の数字は僅か百四十社のみの集計であり、しかも名目値である。厚生労働省は三万三千社を調べており、しかも実質値を計算してある。平成二十二年の平均を百とした場合、平成二十五年六月は百三十七.七、平成二十六年六月は百三十二.〇、平成二十七年六月は百二十八.一、となっており、下がり続けているわけで、過去二十三年で最高という表現は不適切ではないか。政府は厚生労働省のデータを信頼しないということか。

 右質問する。



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