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平成二十九年一月三十日提出
質問第三八号

今国会における施政方針演説や代表質問等での政府答弁に関する質問主意書

提出者  仲里利信




今国会における施政方針演説や代表質問等での政府答弁に関する質問主意書


 安倍総理大臣や閣僚は、今国会における施政方針演説や代表質問等への答弁として、内容の伴わない、美辞麗句の記述に終始している。また、これが国会での演説か、選挙演説ではないかと疑いたくなるような表現が随所に見受けられた。さらに、沖縄問題については明らかにこれまでの演説や答弁から後退した内容となっている。
 そこでお尋ねする。

一 政府は、北部訓練場の一部返還により沖縄県内の米軍施設が約二割減少することを強調し、あたかも「沖縄の過重な基地負担の軽減に繋がる」かのように装う。しかし、その実態をつぶさに見ると、全国の米軍専用施設の面積に占める沖縄県内の面積が七十四.五%から七十.六%に減少するに過ぎない。また、本職が平成二十八年十一月九日付質問主意書第一二八号において指摘して明らかにしたように、米海兵隊が二〇一三年にまとめた「戦略展望二〇二五」の中で明確に示した「使用不可能な訓練場を部分返還し、限られた土地を最大限に活用する訓練場を新たに開発する」との方針に基づき、「北部訓練場内の使用不可能の土地を返還」し、新たに「オスプレイとF三五ステルス戦闘機が離発着可能なヘリパッド」や「国頭村宇嘉川河口部から上陸訓練を行うための訓練道」の建設・整備に他ならない。つまり、米軍は使えない、古い訓練施設を恩着せがましく、しかも仰々しく返還し、その代わりに日本政府の負担で新たな機能や規模を備えた最先端の施設を手に入れたことになる。このような実態を鑑みると、政府の演説はおよそ「最大の返還」とか「実行」とか「結果を出す」とか「沖縄の基地負担軽減に一つ一つ結果を出す」とかの類ではないと言わざるを得ないが、政府の認識と見解を答えられたい。
二 質問一に関連して、本職の平成二十八年十一月九日付質問主意書第一二八号に対して、政府は、十一月十八日付の答弁で根拠を全く示さずに「御指摘は当たらない」とした。そうであるならば、「返還された北部訓練場全てにおける使用実績」について政府の承知するところを明らかにした上で、政府は米軍の訓練内容と方法について場所や時期を問わず、その全てについて逐一承知しているかについて政府の見解を答えられたい。
三 質問一及び二に関連して、政府は、本職の質問主意書への答弁で「既存の通行路を補修するものであり、御指摘は当たらない」とした。そうであるならば「宇嘉川河口部からの上陸訓練は一切行わないし、また行わせない」との趣旨になるものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
四 政府は「軍属の扱いを見直す補足協定が実現した」ことを強調した。しかし、沖縄県民や沖縄県、地方公共団体等が強く求め続けていることは、このような枝葉末節の対策ではなく、根本的な再発防止策である。然るにこれまで日米両政府が対策として行ったことは、今般の軍属の身分に関することを始め、教育の徹底等およそ県民の要求とかけ離れた、全く内容や成果を伴わないものでしかない。沖縄県民の人権と尊厳、生命、財産、その他「人として最低限度認められるべきもろもろの権利を守る」ためには、米軍基地の全面撤去と戦争に繋がる全てのものをなくすこと以外にはあり得ないと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
五 政府は「最高裁判所の判決に従い、普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設工事を進める」とした。しかし、政府はこれまで曲がりなりにも「沖縄県民の気持ちに寄り添う」とか「丁寧に耳を傾ける」とかしてきたはずである。さらに昨年の施政方針演説では「沖縄の皆さんと対話を重ね、理解を得る努力を粘り強く続けながら、あすの沖縄をともに切りひらく」としていた。今回、そのような表現や対応を一切やめ、「最高裁判所」を敢えて持ち出してきたということは、これまでの「表面上のしおらしさ」を恥も外聞もなくかなぐり捨てて、「沖縄県民の民意を無視」し、「国と地方自治体が対等であるという地方分権を否定する」という政府の非民主主義で強権的な本性を従来に増してむき出しにしてきたものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
六 政府は「真摯かつ建設的な議論を闘わせ、結果を出していこう」とした。しかし、そう言いながら、「総務省の国地方係争処理委員会が「国と県との真摯な話し合い」を求め、沖縄県もこれに基づき提訴を取り下げて協議を求めたのにもかかわらず、政府は放棄したこと」や、「福岡高等裁判所が示した和解勧告に基づき国と県が和解し協議が進む中で、国が是正の指示を一方的に行ったこと」等を鑑みると、およそ実態とかけ離れた「施政方針演説」や「答弁」であると言わざるを得ない。また、「必要なことは実行だ。結果を出すことだ」としていることを考えあわせると、地方・地域の住民や少数派の意見や批判が政府の意見や方針と異なると全く耳を傾けず、ましてや歩み寄って合意を目指そうという考えを政府が全く持ち合わせてなく、結論ありきで物事全てを進めてきたものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
七 政府は「学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にあり、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の全面返還を何としても成し遂げる」とした。しかし、沖縄県民が「度重なる選挙で辺野古新基地建設反対の民意を示してきた」ことや、沖縄県との関係の悪化と修復の方策については全く触れようとしない。政府が「未来を拓く」と言うならば、まず沖縄県民及び沖縄県とのあるべき姿をどうするかを明確に施政方針で示すべきであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
八 政府は、離島沖縄の産業や経済を活性化するための施策として「沖縄はアジアとのかけはし。我が国の観光や物流のゲートウェイ」との文言は見受けられるものの、その具体策については「機材の大型化に対応するための施設整備を支援する」との文言があるだけで、それ以外の具体的な施策についての記述は何ら見受けられない。一方、昨年の施政方針演説では、かろうじて「岸壁の整備」や「予算の前年度増」があったが、今回は、そのような記述すら全く見受けられない。これは、予算の減額と考えあわせると、政府内で明らかに沖縄に対する施政方針や姿勢が後退しているものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
九 政府は「私たちの子や孫、その先の未来、次なる七十年を見据える」とした。この記述は、安倍総理の「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」との戦後七十年談話を受けたものであると思われる。しかし、去る大戦の悲惨な教訓について、歴史教科書等を通じてあるがままに子や孫等に伝え、過去を教訓として未来に向かうという姿勢を持ち続けるべきであり、真実から目を背けて、都合の良い話だけを信じさせることはあってはならないことだと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十 政府は、二月に開催予定の日米首脳会談で「米国第一主義」を掲げるトランプ米国政府に「理解し、尊重する」と伝える意向を固めたとのことである。また、「日米同盟を不変の原則」と位置付けることも明らかにしている。そして、我が国の立場やこれまでの米国への貢献等を粘り強く説得すれば、おのずからTPP再開や基地負担・軍事貢献への道は開かれるものとした。しかし、TPP問題で安倍総理の見通しが全く甘かったことを考えると、「同盟のきずなをさらに強化する」のであれば、沖縄の米軍基地問題や、トランプ大統領が求める軍事的な負担増、米軍と一体となった世界各地での軍事行動等の要求を拒否できなくなるものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十一 政府は「各種の政府統計を一体的かつ抜本的に改革する」とした。しかし、政府のこのような見直し方針は、アベノミクスなどの成果が統計上、政府が期待するような画期的な数値を反映していないことに対する不満があり、名目GDP六百兆円を達成しているとの数字上の操作を行わんがための考えに基づくものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十二 政府は、経済成長戦略や地方創生の施策として「人工知能を活用した自動運転」については具体的に触れたが、それ以外の戦略や施策については、何ら具体的に言及していない。また、「未来への責任」を唱えるものの、そのために実際何を行うのかについては、これまた一切触れていない。つまり、総花的な美辞麗句を並び立てることに終始し、具体的な内容には踏み込めなかったものと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

 右質問する。



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