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平成二十九年六月六日提出
質問第三六八号

治安維持法に対する政府の認識に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




治安維持法に対する政府の認識に関する質問主意書


 平成二十九年六月二日、衆議院法務委員会で金田法務大臣は、「治安維持法は、当時適法に制定されたものでありますので、同法違反の罪に係ります勾留、拘禁は適法でありまして、また、同法違反の罪に係る刑の執行も、適法に構成された裁判所によって言い渡された有罪判決に基づいて適法に行われたものであって、違法があったとは認められません」(以下、「本答弁」という。)との認識を示した。
 他方、例えば、三木武夫総理は、昭和五十一年一月三十日、衆議院予算委員会で「今日の事態から考えると、その治安維持法というものが好ましい法律であったのでないことは明らか」と述べ、昭和五十一年九月三十日の衆議院予算委員会では、「治安維持法につきましてはすでにそのときでも批判があり、今日から考えれば、こういう民主憲法のもとに考えれば、これはやはりわれわれとしても非常な批判をすべき法律であることは申すまでもないわけですが、当時としてはこれは一つの法体系でして、やはり有効な機能が働いておったわけでございますから、無論いまから考えてみれば、いま御指摘のようにいろいろな批判があることは当然でございますが、当時の法律として法律が有効でなかったと否定することは私は無理だ」と述べ、今日的な価値から言えば、治安維持法に否定的な見解を示しつつ、当時の法律の一つとしては有効であったとの見解を示している。
 三木総理の答弁は、「悪法もまた法なり」という法諺を踏まえつつも、日本国憲法下の価値観を以て治安維持法という悪法への評価を明確に述べているものであるが、金田法務大臣の答弁においてはそれが明確ではない。
 このような観点から、政府の見解を確認するため、以下質問する。

一 本答弁では、「治安維持法は、当時適法に制定されたもの」と示されているものの、今日的価値でいえば、「好ましい法律であったのでないことは明らか」であるという政府の見解は維持されているという認識でよいか。
二 本答弁では、治安維持法の当時の適法性のみに言及され、「好ましい法律であったのでないことは明らか」等の趣旨の説明がなされていないが、これまでの政府の見解が修正されたということか。
三 政府は、現時点でも、治安維持法について、「やはりわれわれとしても非常な批判をすべき法律であることは申すまでもないわけですが、当時としてはこれは一つの法体系でして、やはり有効な機能が働いておったわけでございますから、無論いまから考えてみれば、いま御指摘のようにいろいろな批判があることは当然」という認識を維持しているのか。見解を示されたい。
四 治安維持法の今日的評価について、現時点の政府の見解を示されたい。
五 「悪法もまた法なり」という法諺が示すところは、不適切な内容だろうが、法として制定されれば、それは国民の生活を制約するものであり、国民はその法に従わなければならないことを啓蒙していることである。昨今の衆議院法務委員会での議論を検証する限り、日本国憲法下の価値観を以て治安維持法という悪法への評価を明確に述べている部分は見られない。これは、現在、共謀罪法案の審議が行われており、現代の治安維持法と揶揄される共謀罪法案を念頭に置き、意図的に治安維持法という悪法への今日的評価について言及していないのか。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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