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平成二十九年六月六日提出
質問第三七〇号

国家戦略特別区域を活用した獣医学部の新設に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




国家戦略特別区域を活用した獣医学部の新設に関する質問主意書


 平成二十九年六月五日、衆議院決算行政監視委員会で安倍総理は、「獣医師公務員が不足しているというお話があった。まさにそういうのは本当に長い間獣医学部ができていなかったことによる弊害であります。岩盤規制があるからこそ、その弊害を突破できなかったわけでございます。しかし、今委員がおっしゃるように、この国家戦略特区というのは、一校とか二校ではなくて、まずは穴をあけて、全国展開をしていきたいと思っています。ですから、ここでいろいろな公正な法令にのっとって公正に加計学園に決定されたわけでございますが、この結果を見ながら二校、三校に私たちはむしろ広げていきたいとすら考えている」(以下、「本答弁」という。)との認識を示した。
 この答弁に関連して、以下質問する。

一 本答弁で、「国家戦略特区というのは、一校とか二校ではなくて、まずは穴をあけて、全国展開をしていきたい」と述べているが、政府は今後、獣医学部をさらに増設していきたいと考えているのか。見解を示されたい。
二 本答弁で「いろいろな公正な法令にのっとって公正に加計学園に決定された」と述べているが、なぜ加計学園だけの増設が認められたのか。獣医師公務員の不足、偏在が指摘されている中、「まずは穴をあけて、全国展開をしていきたい」と考えるならば、加計学園に百六十人の定員を認めるよりも、例えば、京都産業大学は八十人の定員を申請していたと承知しており、京都産業大学八十人、加計学園八十人という組み合わせの方が合理的な判断ではないか。政府の見解を示されたい。
三 平成二十七年六月に閣議決定された「日本再興戦略改訂二〇一五」の中では、「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」として、「現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う」と示されているが、全国的見地から検討を行うのであれば、現在の全国の獣医学部の新入生の定員の約二割にあたる百六十名を今治市に新設するのではなく、二で指摘しているように、京都府下で八十人、四国で八十人という組み合わせの方が合理的かつ全国的見地からの判断ではないか。政府の見解を示されたい。
四 平成二十二年八月、日本獣医師会は、「四国地区に獣医師養成課程を有する大学が存在しない。これを大学立地の偏在是正として「特区提案」の理由に挙げておりますが、大学の立地場所が獣医師需給政策上の課題となるものではありません。獣医師需給対策は国全体の施策として手当てすべきものであり、「特区」要望になじむものではありません。「特区」による大学獣医学部の新設は、新規卒業者の特定職域及び特定地域就業義務付けが困難である以上、獣医師の職域分布の偏在の是正に応え得るものではありません」との見解を示しているが、日本国憲法で職業選択の自由が保障されており、そこには勤務地の自由も当然保障されているものと解される。従って、四国地区に獣医師養成課程を有する大学が存在しないために、特区で獣医学部を認可しても、大学の立地場所が獣医師需給政策上の懸案事項を解消することにはつながらないのではないか。政府の見解を示されたい。
五 政府は、獣医師公務員の不足、偏在が指摘されている中「数字的に需要が幾らというのは、そんなことは誰も言えないんです。だけれども、それを数字としてできないんだけれども、需要がある程度あるかどうかということはきちっと証明でき」るために、「岩盤規制があるからこそ、その弊害を突破できなかった」ものの、安倍総理がいうように、「まずは穴をあけて、全国展開をして」行けば、「神の見えざる手による、市場メカニズムによる調整」が働き、結果として、獣医師公務員の不足、偏在の適正化が図られると考えているのか。見解を示されたい。
六 五に関連して、プロフェッショナル集団である獣医師会も反対し、「数字的に需要が幾らというのは、そんなことは誰も言えないんです。だけれども、それを数字としてできないんだけれども、需要がある程度ある」かどうか程度の認識で獣医学部の新設を認可することは、政府が司法制度改革でロースクール増設を政策誘導したものの、現在、多くのロースクールが廃校に追い込まれているという失敗を繰り返す危惧はないのか。見解を示されたい。

 右質問する。



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