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平成三十年二月二十七日提出
質問第一〇一号

五稜郭をはじめとする近代城郭の文化財保護と利活用に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




五稜郭をはじめとする近代城郭の文化財保護と利活用に関する質問主意書


 文化財保護法第三条では、「政府及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない」と規定され、同法第百二十五条では、「史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない」と示されている。
 北海道函館市にある五稜郭は、江戸時代末期に徳川幕府により蝦夷地の箱館郊外に建造された稜堡式の城郭で、築造中は、亀田御役所土塁などと呼ばれていた。そもそも五稜郭は箱館開港時に函館山の麓に置かれていた箱館奉行所の移転先として築造された。慶応二年に完成したものの、その後のわずかな期間で徳川幕府が倒れたため、箱館戦争で旧幕府軍に占領され、本拠となった。明治時代には、郭内の建物はほとんど解体され、陸軍の練兵場となった。大正三年から五稜郭公園として一般開放され、以来、函館市民の憩いの場とともに函館を代表する観光地となっており、桜の開花の時期には函館市民のみならず多くの観光客が訪れる名所として認知されている。
 五稜郭は、現在、文化財保護法でいう特別史跡であり、「五稜郭と箱館戦争の遺構」として北海道遺産に選定されている。このため、文化財保護法上、「その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする」行為には厳しい制限が課せられ、その補修には十分な留意が必要である。またわが国の他の近代城郭と同様に、市民のための公園として存続する道が選択されたため、花見などが楽しめる城址公園としての側面も併せ持つ。しかしながら、適切に保存すべき近代城郭の文化財であることと、多くの市民が利活用する憩いの場である城址公園であることは、適切な保存と利活用という場面によっては矛盾する一面もあるため、その文化財保護と利活用に関して問題が残されている。
 このような観点から政府の方針を確認したいので、以下質問する。

一 現時点で、政府の近代城郭の保護整備の方針は十分に確立されていないと考えるが、公園としての側面と文化財としての側面の整合性はどうあるべきと考えているのか。政府の見解如何。
二 それぞれの地域で近代城郭が保存されていくためには、史跡の公園化という道を歩んできたことはあながち否定されるべきではないと思うが、本来、城郭の築造当時の現状にできるだけ近い状態で「保存に影響を及ぼす行為」を制限するためには、これまで市民に広く愛されてきた公園としての側面を一定程度否定しなければならない。このような近代城郭を文化財として保護することと、公園としての側面の整合性について、これまで検討したことはあるのか。政府の見解如何。
三 北海道の渡島、檜山地方においても、このような公園には桜などが植樹され、松前城などのように、市民の憩いの場である公園として定着しているものが多い。渡島、檜山地方において、文化財保護法上の近代城郭の文化財であり、かつ、市民の憩いの場となっている城址公園等はどの程度あるのか。政府の把握するところを示されたい。
四 国宝や国の重要文化財に指定されている姫路城、国の重要文化財に指定されている弘前城でも、重要な観光資産である桜の植え替えに関して、五稜郭公園と同様な問題が生じていると承知している。このような事案において、政府は文化財保護法上の「将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われる」という方針と、市民の憩いの場や観光資産としての側面のどちらを優先すべきもの、あるいはどのように整合性を取るべきものと考えているのか。政府の見解如何。
五 現在、一般公開されている五稜郭公園には多くの桜が植えられ、開花の時期には多くの函館市民や観光客が訪問し、函館市の重要な観光資産になっている。桜は植樹された当時から老齢化し、植え替えを行うべき時期に来ているものもあるが、国の特別史跡であるため、植樹のために土壌を掘りかえすことなどは、「史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為」に該当し、一定の制限が課せられる。地域の観光資産であることも勘案し、文化財保護法との整合性が取られるように、近代城郭の文化財保護と利活用に関するガイドライン等の策定をなすべきではないか。政府の見解如何。

 右質問する。



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