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平成三十年四月六日提出
質問第二一五号

資源エネルギー庁によるニセコ高校の教育内容への不当な介入に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




資源エネルギー庁によるニセコ高校の教育内容への不当な介入に関する質問主意書


 教育基本法第十六条は「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と謳っている。
 エネルギー教育モデル校事業は、経済産業省資源エネルギー庁からの委託事業として、平成二十六年度より公益財団法人「日本科学技術振興財団」が実施している。教科(理科、社会、技術・家庭、総合的な学習の時間等)や課外活動等を通じてエネルギーについて幅広く学び、児童・生徒が将来のエネルギーに対する適切な判断と行動をするための基礎を構築することを目的とし、その実践に取り組む学校に対して資源エネルギー庁は様々な支援を行っていると承知している。
 平成二十九年、北海道のニセコ町立ニセコ高校で行われたエネルギー問題に関する講演の中で、北海道経済産業局が事前に原子力発電の問題点に関する内容について変更を求めていたことが明らかになった。
 講演は、平成二十九年十月十六日、自然エネルギーに知見を有する北海道大学大学院の研究者が「ニセコでエネルギーと環境を考える」(「本講演」という。)と題して行ったもので、北海道経済産業局は、ニセコ高校に対し、この研究者が事前に送った講演資料の提出を求めた。これに対して、ニセコ高校はメールで北海道経済産業局に回答を行った。ニセコ高校からの回答を受け、北海道経済産業局の八木雅浩資源エネルギー環境部長らがこの研究者の研究室を訪問し、資料のうち福島第一原発事故の水素爆発の写真を掲載した部分について、「この写真は使ってほしくない。この写真だけ出して原発が危険だというのは印象操作である。他の自然エネルギーでも、事故が起きますよね」と資料の修正を求めた。当該研究者は、「直接書き換えてとは言えない。忖度して」と北海道経済産業局の八木雅浩資源エネルギー環境部長らの訪問の目的を受けとめた。当該研究者は写真を削除することはなかったが、風力発電の施設が壊れた写真も追加し、原発のコストについては他の資料も追加した。
 北海道経済産業局は、「教育への介入ではない」「メリット、デメリットもあるので中立公正な内容を求めただけ」「原発について修正が偏ったことは誤解を招いたが、教育への介入にはあたらない」との見解を示しているものの、その言動は、ニセコ高校の教育内容に対する事前検閲で、教育基本法第十六条に反する「不当な支配」であり、日本国憲法第二十一条でいう「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」ならびに同条第二項の「検閲は、これをしてはならない」に反して、憲法違反であると思われるので、以下質問する。

一 本講演に関して、事前に、北海道経済産業局の八木雅浩資源エネルギー環境部長らがこの研究者の研究室を訪問し、資料のうち福島第一原発事故の水素爆発の写真を掲載した部分について、「この写真は使ってほしくない。この写真だけ出して原発が危険だというのは印象操作である。他の自然エネルギーでも、事故が起きますよね」と発言したのは事実か。
二 北海道経済産業局の八木雅浩資源エネルギー環境部長らの言動は、ニセコ高校の教育内容に関する「不当な介入」ではないのか。政府の見解如何。
三 本講演にあたり、事前に資料の提出を求め、その発表内容の修正を求めることは、日本国憲法第二十一条で保障される表現の自由を侵すとともに、北海道経済産業局によるニセコ高校の教育内容ならびに北海道大学の当該研究者の発表内容への事前検閲であり、日本国憲法第二十一条第二項に反するのではないか。
四 北海道経済産業局は、「メリット、デメリットもあるので中立公正な内容を求めただけ」「原発について修正が偏ったことは誤解を招いたが、教育への介入にはあたらない」とメディアへの取材に答えたと承知している。北海道経済産業局の所掌事務には、ニセコ高校の教育内容に関して、八木雅浩資源エネルギー環境部長らが自ら本講演を行う研究者の下に足を運び、講演内容の修正を求めることや、かかる八木雅浩資源エネルギー環境部長らの言動について「教育への介入にはあたらない」と判断することは含まれるのか。政府の見解如何。
五 北海道経済産業局の八木雅浩資源エネルギー環境部長らの言動は、「児童・生徒が将来のエネルギーに対する適切な判断と行動をするための基礎を構築すること」には明らかに反し、講演内容を事前検閲した上で、「原発が危険だというのは印象操作」との八木雅浩資源エネルギー環境部長らの価値観をニセコ高校の生徒らに押し付けるものではないか。政府の見解如何。
六 北海道経済産業局によるニセコ高校の教育内容に対する「不当な介入」は極めて不適切であり、政府は是正に取り組むべきである。経済産業省資源エネルギー庁によるエネルギー教育モデル校事業において、ニセコ高校で行われたような講演内容の事前の確認、修正を求めた事実は他にはないのか。政府の見解如何。

 右質問する。



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